○福島
説明員 ただいまお尋ねの点について、概略いままでの経過を御
説明申し上げたいと思います。
御承知のように、卵価につきましては、最近まで、多少の周期的変動あるいは季節的変動を伴いながらも、比較的安定的に推移してまいったのでございますが、一昨年、三十九年の夏から、それまで見られなかったような価格の凋落が約一年間続いたわけでございます。そういうことで、生産者に対する打撃も非常に大きく、またその反動といたしまして、四十一年の夏以降非常に卵価が暴騰するといったようなこともございまして、この際卵価の安定を志向するために、何がしかの制度的
措置をとる必要があるのではないかということで、このような、ただいまお話のございました鶏卵価格安定基金制度を設けることにいたしたわけでございますが、国が畜産振興
事業団を通じまして出資もし、
関係都道府県にも出資をお願いいたしましてつくり出す前に、いわゆる総合農協系統で、自主的に同様な——これは財団法人でございますけれ
ども、基金をつくって
運営が始められておったわけでございます。それで一応とりあえず、国と申しますか、畜産振興
事業団でございますけれ
ども、出資もし、それから
関係の
都道府県にも出資をお願いして発足する新基金が、それまでございましたところの財団法人でございますが、旧基金の
業務を継承するという形で発足するということに相なった
関係もございまして、当初−から
加入し現に
加入しておりますものは、先ほど御指摘のございましたように、いわゆる総合農協系統、具体的に申し上げますと、全国販売農業
協同組合連合会、それからそれにつながりますところの各県の経済連、それからその末端の単協、さらに
関係の
団体といたしまして、いわゆる全購連、それから非出資会員といたしまして農林中金、全共連、こういったいわゆる総合農協系統のものが主体となって
運営されてきたわけでございます。それでただいま御指摘にございましたような
関係の
業者、あるいはその他のいわゆる専門農協と称せられるグループの方々から、この制度の構想が発表され、その仕組みについていろいろ準備が推し進められております段階において、積極的な
加入申し込みがあったわけでございます。そのうちのまずいわゆる
業者と申しますか、商人系の方々につきましては、この制度が、いわば先ほど申し上げましたような、卵の需給のアンバランスに基づくところの卵価の変動を防止するという点に主眼があるために、生産者の自主的な防衛
措置というものを国なり
関係府県で誘導するという仕組みから出てくる制度であるから、したがって、いわゆる商人系と申しますか
業者の方々が直接
加入するというのは制度の
趣旨に反する。したがっていわゆる生産者
団体、具体的には農協でございますが、そういった
組織を通じて参加せられることが望ましい方向であるということで、私
ども指導してまいりました。
現在問題になっておりますところのいわゆる専門農協系のグループといたしましては、日本養鶏農業
協同組合連合会と全国鶏卵販売農業
協同組合連合会という二つの
団体があるわけでございます。それで、前者の養鶏農業
協同組合連合会につきましては、これは昭和二十五年ころの
設立でございまして、従来主として飼料の購入並びに共販をやっておった。鶏卵につきましては、いわゆる一部の種卵と申しますか、種鶏をとるための種卵の共販はやっておりましたけれ
ども、
一般の養鶏卵の共販はやっておらなかったという経緯がございます。それから全国鶏卵販売農業
協同組合連合会につきましては、この制度が発足するので、これにいわば
加入を
目的として、昨年の十一月半ばに
設立認可に相なったという
団体でございまして、それ以前には鶏卵の取り扱いの実績はもちろんないわけでございます。この制度のたてまえといたしまして、そういった生産者が相寄り相つどった自主的ないわば生産
調整の仕組みであるということから、制度
加入の条件としまして、全国的な規模で傘下の各連合会あるいは単協を通じまして需給
調整をし得るような、そういった
組織体であることと、さらに具体的には生産者が生産いたしましたところの鶏卵を共同販売し得るような仕組み、そういった
組織、能力を備えておるというのが
一つの条件になっておるわけでございますが、先ほど申し上げましたようなこともございまして、現に
加入を申し込んでおりますところの二者については、一まだその実績が十分でないということが、現在まで
加入が実現しない一番大きな
理由であろうかと思います。
農林省といたしましては、先ほど申し上げましたようなこの制度創設の
趣旨にもかんがみまして、むしろこれを積極的に
加入さして、広い意味で生産者全体のそういった需給
調整機能を備えたような形で進むことが望ましいということで、数度にわたりまして、卵価安定の
理事会あるいは総会等において、これが
加入方を指導もし
促進してきたわけでございますが、従来からのいろいろな経緯と申しますか、そういったものも背景にありまして、なかなかその問題が実現しないというのが今日の段階であります。