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乙竹政府委員 お答えを申し上げます。まず第一点でございますが、今回の対策は、繊維産業の中でも一番
中心的な地位を占めており、また特に実施の急がれます第一区分の紡績業、それから綿・スフ、絹・人繊織布業を対象とするものでありますが、これは御
指摘のように、繊維産業全般の総合的な
計画と申しますか、
見通しと申しますか、これが必要であるとわれわれも
考えるわけでございます。現在私たちが持っております全般的な需給の
見通し、それから将来の
計画、これは先ほど御説明申し上げましたが、糸ベースにおきまして、四十二
年度、それから将来の姿としては四十六
年度の需要を算定いたしまして、その糸ベースを、紡績用の糸と、それ以外の糸というふうに分けまして、そのいま申し上げました
見通しを基礎にいたしまして、先ほど御
指摘の化合繊につきましては、協調懇談会がございますので、通産省側からこの糸ベースではじきました数字を協調懇談会に出して、新増設の場合のガイドラインにいたしているわけでございます。もちろんこの糸ベースの需要想定は、その裏に最終需要の想定がございまして、これにつきましては、内需、輸出、内需用につきましては、衣料用とその他の生産用資材に分け、衣料用については、国民の消費水準との相関式により、その他については積み上げ方式で算定したものでございます。
第二の御
質問に対するお答えでございますが、今回の織布の対策につきまして、いわゆる産地主義をとり、組合主義をとることにつきましては、織布業が産地特性を有していること、すなわち同じ織布と申しましても、絹機、綿機では全然違いますし、絹機につきましても、北陸三県と秩父、つまり内需ものの秩父と輸出
中心の北陸三県とでは違うわけでございます。織っているものも違いますし、そうなりますと、当然流通組織も違ってくる。今回の
計画は、付加価値を増大することをまず大きな目標にしておりますが、当然流通機構の中にビルドインしていく必要があると思います。このような産地特性の問題、それから第二には、織布は主としてほとんどが
中小企業者でございますので、個々の
企業を相手にしておったのでは
効果があがらない、産地の組合を
中心にしてまいりたいということで、産地主義、組合主義を標榜いたしておりますが、このような産地の商工組合組織を活用できる業種がございますれば、他の業種におきましても、こういう
やり方を活用してまいってはいかがかと思います。産地
中心で思い切った産地組合に対する支援措置を行ないますと同時に、産地組合に完全に責任をとってもらうというかつこうができます業種がございますれば、このような対策を及ぼしてまいりたいというふうに
考えます。
それから第三点でございますが、織布業は御
指摘のように専
業者と紡績兼営織布がございます。これは横の
関係でございますが、さらに縦の
関係では、特に化合繊綿メーカーと織布
業者の
関係がございます。私たち、今回の構造改善対策で特に留意をいたしましたのは、紡績
業者と専
業者との
関係、また合繊綿メーカーと絹人繊織布
業者との
関係でございまして、この縦横の
関係は単なる売り買いの
関係、すなわち一方がもうかれば一方が損するということではなくして、そこに長い目で見れば完全な協力
関係をつくり上げることに努力を、私たちだけではなく
業界あげてなさいまして、これが
審議会の
一つの大きな成果になったと思うのでございます。この
審議会の席上におきまして、特に紡績兼営織布と専
業者の間におきましては、お互いにお互いの立場を尊重し合い、お互いに協力し合っていこうということが約束されておる次第でございます。こういうふうないい
関係を、われわれとしてはますます注意をし助長をしてまいりたいと思っておる次第でございます。
それから第四点でございますが、他の部分の繊維業すなわちメリヤス、染色につきましては、先ほど御説明いたしましたように、すでに二千万円の経費をもちまして調査を進めておりますともに、
業界に対しても、
業界自身の熱意と自発的意思による改善対策の勉強を要請しておる次第でございます。特に御
指摘の流通問題につきましては、今回の対策の主たるねらいの
一つが付加価値の向上である、簡単に申しますと、つまりもうかる織物、もうかる織布業に再建するということ、それがためには当然流通
段階の勉強と流通
業者とのタイアップがなければなりませんので、この辺につきましては構造改善対策、産地別の
計画の中で十分留意をいたしますとともに、またなお現在産業構造
審議会に繊維
部会がございますが、その繊維
部会の重要テーマとして繊維の流通問題を目下
検討中、勉強中でございます。他の業種につきましては、業種の現在持っております危機感と申しますか緊要度が非常に高いものであるかどうか、すなわち現在手を打たなければ間に合わないかどうか、それから第二に
業界の受け入れ態勢、責任体制は整っておるかどうか、またさらに非常に有効な適切な対策が
考えられるかどうか、この三点を主として
判断基準として、他の繊維の業種にも構造改善対策を及ぼしてまいりたいというふうに
考える次第でございます。
それから第五点でございますけれども、関連の部門すなわち消費者に対しましては、今回の対策は、付加価値の向上ということを先ほど申し上げましたけれども、究極的には繊維業の健全なる国際競争力強化ということでございますので、終局的には消費者の利益を大いに増進するものであるというふうに
考えております。
それから労働
関係でございますが、今回の対策は省力化がはかられる——これは御高承のとおり現在人が採れないという事態でございますので、主として今回の省力化は、人員整理というかっこうではなくして、現在補充がなかなかできないというかっこうで自然的に人員が減っていくと
考える次第でございますけれども、一時的にいろいろ問題が起こると思います。起きます問題につきましては
業界を十分指導いたしますとともに、労働省とも連絡をとりまして、公共職業安定所によります職業紹介の強化、雇用促進事業団によります雇用促進一般対策の活用等をはかって、適切なる措置を
考えてまいりたい。特に必要なのはむしろ労働力の確保の面であるというふうに
考えますが、この辺は公共職業安定所によります優先あっせんの実施、あるいは特に労働
環境の整備、また福利厚生施設等の整備に努力をしてまいりたい。しかし何よりも一番大事な労働力確保のポイントは高収益、高賃金であると思います。織布業に対して高収益を確保してやる、それが高賃金にはね返り、それによって労働力を確保してまいることが大事であるというふうに
考える次第でございます。