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1967-07-05 第55回国会 衆議院 商工委員会 第27号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年七月五日(水曜日)    午前十時三十七分開議  出席委員    委員長 島村 一郎君    理事 天野 公義君 理事 小川 平二君    理事 鴨田 宗一君 理事 河本 敏夫君    理事 田中 武夫君 理事 中村 重光君    理事 麻生 良方君      稻村左近四郎君    遠藤 三郎君       小笠 公韶君    岡崎 英城君       岡本  茂君    神田  博君      小宮山重四郎君    小山 省二君       齋藤 憲三君    坂本三十次君       田中 六助君    橋口  隆君       三原 朝雄君    武藤 嘉文君       板川 正吾君    岡田 利春君       佐野  進君    多賀谷真稔君       中谷 鉄也君    永井勝次郎君       古川 喜一君    塚本 三郎君       岡本 富夫君  出席国務大臣         通商産業大臣  菅野和太郎君  出席政府委員         公正取引委員会         事務局長    竹中喜満太君         通商産業政務次         官       宇野 宗佑君         通商産業省通商         局長      山崎 隆造君         通商産業省鉱山         局長      両角 良彦君     ————————————— 七月五日  委員小宮山重四郎君及び千葉佳男辞任につき、  その補欠として橋口隆君及び板川正吾君が議長  の指名委員に選任された。 同日  委員白浜仁吉君及び板川正吾辞任につき、そ  の補欠として小宮山重四郎君及び千葉佳男君が  議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  石油開発公団法案内閣提出第六七号)  貿易大学校法案内閣提出第五六号)      ————◇—————
  2. 島村一郎

    島村委員長 これより会議を開きます。  内閣提出石油開発公団法案を議題として、審査を進めます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。板川正吾君。
  3. 板川正吾

    板川委員 私は、石油開発公団法案、及びこれに関連をいたしまして、わが国産業に重大な影響を持つ当面の石油政策について伺いたいと思います。  まず第一に伺いたいことは、この石油開発公団という名称と内容との関係について伺ってみたいのであります。それは商工委員会関係でも金属鉱物探鉱促進事業団法という法律がございます。目的と業務の内容からいうと、これは石油開発公団という名前でありますが、石油探鉱融資事業団という内容を持っておると思う。これは実際は探鉱融資事業団である。しかしこれに石油開発公団法という法律名前をつけた、これはどういう意義を持つのか、伺っておきたいと思う。
  4. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 仕事は、いまおっしゃるとおり、そういう仕事をしますけれども、石油開発公団という名前にしたのは、石油開発ということが日本の今後の産業の伸展の上においては重要なかぎを握るということで、この石油重要性をわれわれ認識しまして、そこで石油開発公団という名前にしたのでありまして、事業団よりも公団というほうが従来の慣例上重きをなすというと語弊がありますけれども、従来の慣例上そういう見方をしておりますので、したがって単なる事業団じゃない、これは日本の百年の大計を立てる国策だということで石油開発公団という名前にしたのであります。
  5. 板川正吾

    板川委員 この石油開発公団内容は、全く金属鉱物探鉱促進事業団、かつては金属鉱物探鉱融資事業団、こういう法律内容石油に置きかえただけで、同じであります。しかし同じでありますが、石油開発公団法という名前をつけたことは、これは大臣いま、語弊があるかもしらぬがと言っておりますが、語弊はないのであります。金属鉱物探鉱融資事業団よりももっと将来の発展的な構想を持ったもの、当面は融資事業団的であっても、将来はさらに石油開発公団にふさわしい内容、体制を整えていこう、こういう将来の含みを持った名前じゃないかと私は思うのです。この際、わが国石油政策一つの大きな転換を内蔵した意図を持った名前である、こう思うのでありますが、そう理解してよろしいかどうか。
  6. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 お話のとおりでありまして、われわれも同じような解釈をいたしております。
  7. 板川正吾

    板川委員 そこで私は、きょうは主として石油政策の大きな基本的な問題について伺ってまいりたいと思うのですが、わが国石油政策基本は二つの原則によって立てられておると思います。一つ供給安定性確保一つ低廉原則安定供給低廉原則、これがわが国石油政策基本的な原則だろう、こう思うのでありますが、政府はこの安定供給低廉と、いずれが重要性を持っておると思っておるのか、どちらが重要だと考えておるのか、その点についてまず伺っておきたい。
  8. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 安定と低廉、まあ両方とも重要性を感じていますが、どちらにより多くの重要性を認めるかといえば、私の考えでは安定です。石油というものを一定の供給量安定せしめることが日本産業を維持しまた発展せしめることになるのでありますからして、そこで安定ということが基本で、できれば安く買いたいというのが次だ、こう私は解釈しております。
  9. 板川正吾

    板川委員 石油政策基本法である石油業法、これにも「石油の安定的かつ低廉供給確保を図り」こういうことで、安定供給というのが私は絶対の条件だろうと思う。石油政策基本というのは安定供給というのが絶対的な条件である。低廉というのは、できればで、いわゆる希望条件である。片っ方は絶対条件であり、片っ方はいわゆるできるだけ安いものを希望する、こういうウエートの差があると思います。ところが、最近エネルギー調査会答申等によりますと、逆に、低廉を主として、安定をうしろに置いておる表現になっておる。まさか低廉が先にきたから安定を軽視しているという意味じゃないと思いますが、その点最近の資料は、石油業法書き方と違って、安定があとになっておる。これはどういう意図に基づいてこういう書き方をしておるのですか。安定を軽視しているわけじゃないのでしょう。
  10. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 答申には「低廉安定」ということばを使っておりますが、やはり本旨は、安定が絶対条件低廉希望条件だという意味だと私どもも解釈いたしております。
  11. 板川正吾

    板川委員 同じウエートじゃないのであって、そうであれば、安定的供給かつ低廉な、こういうことに表現さるべきじゃないか、こういうところで石油政策基本理解のしかたが若干違うのじゃないか、こう思うものですから伺いました。  ところで、今回の中東戦争によって各国とも石油政策重要性というものはしみじみわかった。石油というのは産業血液である食糧だ。この血液である食糧が途絶すれば、一国の産業自体が大きな混乱あるいは壊滅するおそれがある。こういうことで、西欧諸国日本も含めて、中東戦争による大きな教訓を学んだものと私は思います。この石油開発公団政府法案としてまとめられたときは、中東戦争がまだ起こっていないのですね。中東戦争が起こってないときにこの法案考えられた。ですから、中東戦争が起こって大きな経験をした今日においては、本法案ははなはだなまぬるいのじゃないか、不十分ではないか、こういうふうに考えられるのでありますが、これに対する政府の率直なる見解を伺っておきたい。
  12. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 中東動乱によって、石油問題については非常な教訓日本も外国も得たと思うのでありますが、日本は御承知のとおり大体九割以上もこの中東方面から石油輸入しておりますからして、中東動乱が幸いにしていま停戦になりましたけれども、これが引き続き動乱が続くというようなことになりますれば、これは非常な影響日本に与えるということで、そこでいままで以上に、中東から石油供給を仰いでおることにたよってはいかぬという考え方、これは今度の動乱によって非常に教えられたと思います。したがいまして、石油海外開発なども、今後はやはり中東以外においてその油源確保するということに全力を注がなければならぬということが教えられたと思うのでありまして、そういう意味において今後の石油対策というものの考え方を変えていかなければならぬということが第一だと思います。  それから、幸い、この石油開発公団というものは中東動乱の起こる前に考え出した案でありますが、この中東動乱によって石油開発公団必要性を一そうわれわれも認識いたしたのでありまして、したがいまして、中東動乱教訓にかんがみて今後の石油対策というもののいろいろの考え方を変えていく必要があるということは、板川委員と同じ意見を持っておる次第です。
  13. 板川正吾

    板川委員 今度の中東動乱によって、私は前から主張しておったのですが、石油安定供給というのはいかに重要だかということが、幸いにして日本被害が少なかったからいいようなものでありますが、国民もある意味では理解したものと思うのでございます。ですから、今後の石油政策というのは、大臣も従来より考えを改めたいといま言っておりますが、これは安定供給というところに主力をしぼった政策というものをこれから考えていかなければならないのではないか、こう思うのであります。中東動乱で、幸いにして日本中立外交をとっておりました。佐藤総理は幻想だと言っておりましたが、しかし、社会党の限定的な中立外交、こういう方向をとったために、日本に対する石油の禁輸というのが行なわれなかった。もしアメリカイギリス外交政策に同調しておったとするならば、今日九一%を占めておる中東地区石油の大半が輸入が途絶するということになれば、日本産業というものはたいへんなことになる、こう思ったのでありまして、そういう意味で、今後のわが国石油行政というものは安定供給確保、ここに石油政策主力をしぼるべきである、中心をしぼるべきである、こう考えます。大臣もそういう趣旨のようでありますから、理解をいたします。  そこで、次に伺いたいことは、中東動乱被害を最も受けておる英国を中心とする西欧諸国のその後の石油需給状況といいますか、そういう点をこの際若干伺っておきたいと思います。これは局長でけっこうです。
  14. 両角良彦

    両角政府委員 今回の中東動乱によりまして、西欧諸国特にイギリス西独さらに北欧諸国におきまして、石油供給面で大きな影響が出てまいるという事態になっておるかと思います。問題は、イラクないしはリビア並びに地中海に対するパイプラインのそれぞれの出荷の停止ということによりまして、ヨーロッパ向け原油供給がすべてペルシャ湾からケープタウン経由でなければ不可能になったということからいたしまして、世界的にタンカー船腹不足状況があらわれてまいりました。それが特に欧州に対して端的な影響を与えておる模様でございます。これは量にいたしまして約四千万トン程度タンカー船腹不足が現在見込まれておりまして、このような不足事態を、交錯輸送の廃止あるいは集約配船等々の措置によりまして欧州諸国向け影響を緩和するためには、約半年かかるであろうといわれております。その間にイギリス並び北欧諸国備蓄が著しく減少するということがきわめて明らかな事態に立ち至っておるかと存じます。かような事態に対処いたしまして、イギリス政府その他北欧政府におきましては、石油製品輸出制限、並びに近い将来において、場合によりましては消費の規制というようなことも検討中と伝えられておりますが、まだ詳細はつまびらかにいたしておりません。以上でございます。
  15. 板川正吾

    板川委員 新聞報道等によりますと、イギリス等では近く配給制度をとらざるを得なくなるかもしらぬ、そういう深刻な事態を招来しておるようであります。わが国がそういう事態にならなかったことは、不幸中の幸いと言うほかはないのであります。そこで、西欧諸国石油需給が逼迫しておるについて、アメリカとしてこれに対する緊急対策をとっておるようであります。アメリカ石油政策というのは、御承知のように国内で膨大な油田を持っておる。しかし、生産はある程度しぼっておる。そうしていざというときには、生産フル生産をして、アメリカ需要確保し、同時に友好国に対する石油供給をはかる、こういうアメリカ政策があると思うのでありますが、一体アメリカのそういう平常の需要をまかなってよそに応援し得る余力といいますか、これはどのくらいあるのですか。それがヨーロッパの今日の不足にどのくらい応援する力を持っておるのか、その点、ちょっと伺っておきたいと思います。
  16. 両角良彦

    両角政府委員 今回の動乱によりまして、欧州その他の自由諸国向け原油供給の絶対量が不足をいたすという事態に対処いたしまして、アメリカ政府としましては、内務省に設置されておりまする海外石油供給委員会が活動を開始いたしまして、アメリカとして自由圏諸国に対し、万が一の場合に供給が可能な量並びにその方策、特に輸送問題等中心検討を開始したと伝えられております。この場合、どの程度ヨーロッパ諸国その他の地域に対して応援が可能であるかということについては、まだアメリカ政府としても公的な数字は公表いたしておりませんし、現在作業が行なわれておる程度であろうと思いますが、御承知のようにアメリカにおきましては、国内生産を常時制限をいたしておりまして、この制限を解除することによりまして、相当程度供給弾力性が見込まれております。最大限約一億キロリッターの弾力性があるというふうに見込まれておりますが、具体的にそれを今回の対策としてどの程度検討いたしておるかはまだつまびらかにいたしておりません。
  17. 板川正吾

    板川委員 けさ方新聞ですと、アメリカヨーロッパ石油不足に対して、船賃の協定ですとかあるいは売り値のある程度協定独禁法上これを認めていこうということで、ヨーロッパ石油不足に対する緊急対策をきめておるようであります。アメリカの非常時に備えての余力といいますか、手持ちの数量というのは一億キロリットル、これは日本の十カ月から十一カ月分くらいの消費量ですね。その程度のものをアメリカ友好国ヨーロッパ諸国に回すということになれば、日本アメリカ友好関係を持っておるといっても、それに多くをたよるということは不可能ですね。アメリカはそういう場合に日本だけを救うというわけにいきませんから、当然ヨーロッパ諸国も応援しなくちゃならない。したがって、日本アメリカ友好関係を持っておれば、いざというときにアメリカ石油日本産業は何とかやっていけるのだ、こういう期待を持つことは、私は危険じゃないか、こう思うのでありますが、この点はどうお考えですか。
  18. 両角良彦

    両角政府委員 御指摘のとおりかと存じます。われわれといたしましても、石油供給途絶事態に対処いたしまして、アメリカ供給のみに依存するという安易な姿勢ではなく、みずからの手による供給確保方策について強力に推進いたさなければならないということを、今回の動乱を見ておりまして特に痛感いたしておる次第でございます。
  19. 板川正吾

    板川委員 中東動乱が幸いにいたしまして短時日のうちに決着がつきました。しかし私は、あれがもし長期化したならば、これはたいへんなことになるだろうと思ったのであります。長期化すれば、勢い英米向け石油輸出を禁止する、それに対抗手段がとられる、石油生産地で国情騒然たる状態になる、そういう場合に、日本だけ石油確保して、日本だけそれを買いたいというわけにはなかなかいかない。動乱の渦中に巻き込まれてむずかしくなる。そういった場合に、日本産業は、一体どこにエネルギーを求めるのか、こういうことで心配したのでありますが、幸いに短時日に終わりました。しかしあれが長引いた場合に、一体わが国産業に及ぼす影響というもの、私はあの機会に政府はもっと国民石油政策重要性というものを理解させるようにすべきではなかったか、こう思うのでありますが、もし中東動乱が不幸にして長引いて、わが国石油供給源というものが、相当程度とまるということがあれば、わが国産業は一体どういう状態になるのか、そういった予測をされたことがあるかどうか伺っておきたい。
  20. 両角良彦

    両角政府委員 わが国のみならず、西欧諸国におきましても、中東に対する原油依存度がきわめて高い現状にかんがみまして、OECDの石油委員会におきましては、中東からの石油供給混乱が起こりました場合に、どのような対策を講じたらよろしいかということを、図上の想定作戦と申しますか、さような形態におきまして、すでに過去二、三年にわたりまして検討を続けてきております。わが国もそのような石油委員会の一員といたしまして、そのような対策考え方というものについても、意見の交換をいたしてきた次第でございますが、実際の問題として、供給混乱が起こったときには、もはやこれを現地において解決するということではなくして、中東以外の地域において、また中東以外の国との関係において解決をする以外にないわけでありまして、供給不足するという事態をただ放置することなく、直ちに供給転換ということの施策を講ずることが必要であろうかと考えております。
  21. 板川正吾

    板川委員 供給源転換というのは、アメリカの一億キロリットルの余剰、生産余力というのですか、それに主としてたよらざるを得ないだろう。しかしそれは、ヨーロッパでも不足する状態ですから、それに多くをなかなかたよるわけにいかない。他に供給源転換といっても、何千万キロリットルという大量を他の地域から求めるということは不可能だ。だからそこに私は石油政策重要性がある、こういうことを言いたいわけであります。そこで伺いますが、中東地域における石油関係での動乱というのは、これが二回目ですね。一九五六年にスエズ動乱がありました。スエズ運河が閉鎖されて、エジプトとイギリスが戦いをした。このときの経験にかんがみて、西欧諸国ではその後再三にわたって、石油政策というものを検討し、万が一中東動乱が起こった場合ということで、いろいろ対策をとってまいったと思います。たとえばフランスのごときは、アルジェリアの石油開発をして自給自足をはかる、イギリスのごときは中東に依存する割合をずっと減らす、こういうふうなことで、おのおの各国が、いざというときに備えて安定供給をはかるべく、膨大な資金を使い、いろいろな対策を講じてきたと思いますが、そうした西欧諸国スエズ動乱以降における安定供給上からの種々の対策というものを、この際参考のために伺いたい。
  22. 両角良彦

    両角政府委員 西欧諸国は、一九五六年のスエズ動乱以後、御指摘のように中東依存度の減少をはかりまするために、主としてアフリカ油田開発に力を注いだわけでございまして、その後ナイジェリア等から有望な油田開発されまして、今日におきましてはアフリカからの供給力は、ヨーロッパ全体に対しまして二七%という数字に達しております。スエズ動乱時はそれがゼロであったという点からいたしますと、著しい改善ではないかと思います。  またソ連その他の中東以外の地域からの原油輸入も増大をいたしておる模様でございまして、さような供給源分散措置を具体的にとったということが、西欧諸国のその後の対策の成果ではないかと考えております。
  23. 板川正吾

    板川委員 中東戦争教訓からわれわれが学んだのが、いわゆる安定供給確保というものの重要性安定供給確保するためにはいかなる方策が必要か。そこで私は幾つかの柱を考えてみました。第一は行政自主性確保であります。第二は供給多元化といいますか、供給基地を各方面に求めるほかはない。第三は自主開発促進、これが石油開発公団設立につながると思うのであります。第四は備蓄政策強化、こういう四つの柱、ここに今後のわが国石油行政というものの主力が注がるべきではないか、こう思いますが、大臣見解はいかがでしょう。
  24. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 いま板川委員の言われたとおり、その四つのことを今後においては考えなければならぬ、こう思っております。
  25. 板川正吾

    板川委員 そこで、その四つの点について、私、以下順次問題を取り上げてみたいと思います。石油行政自主性独立性といいましょうか、これを確保するについて、そのうちの一つ政策は、民族系石油資本育成強化をはかるべきではないか、これが一つの点だろうと思います。政府民族系石油資本育成強化にいかなる考え方を持っておられるか、この際伺っておきたいと思います。
  26. 両角良彦

    両角政府委員 石油供給自主性確保いたしまするために、民族系石油業育成が必要であるという点は、まことに御指摘のとおりかと思います。そのような見地に立ちまして、通産省といたしましても、今日までたとえば民族系精製業者のうち三社をもちまして販売集約を行ない、日本共同石油という企業を設立をいたしました。この共同石油に対しまして財政資金の投入を通じて、強力な育成をはかっております。なおこのような民族系資本育成ということは、外資対策うらはらの問題でございまして、外資石油産業における立場というものにつきましても、たとえば今後は資本の参加は五〇%までしか許容できないという方針、あるいは外資との提携は一対一の原則というようなこと、さらにはひもつきの問題も、資本参画率までしか認められないといったような諸般の外資対策というものとあわせて考えてまいりたいと考えております。
  27. 板川正吾

    板川委員 共同石油育成強化していこう、これはわれわれも賛成であります。共同石油はいまのところはまだ販売面だけであります。精製面共同化はまだできてないのでありますが、将来は精製面共同化ができるような育成をはかるべきではないか。共同石油はできたが、実はいまのところこの共同石油育成は必ずしも十分ではないと思います。こういう点で名実ともに、独立性自主性を持っておる小さい民族系精製会社をひとつ今後とも育て上げていくべきではないか、こう思うのであります。たとえば、最近報道されました新増設の問題等の場合でも、共同してされる場合には優先的にこれを認可するという方法考えられるやに伺っておりますが、そうした民族系ひものつかないもの、実はあまりこのところ民族系はよくないのじゃないかと思うものですから、そういう意味でなお育成をはかるべきではないかと思います。  そこで、そのうらはら関係にあります外資系会社、これは私もいままで何回か取り上げてきたのでありますが、エネルギー調査会答申等によりましても、外資系の出資が五〇対五〇、こういう場合には契約によって輸入する量を五〇%までとする、あとは、フリーハンド、自由にする、こういう方向に指導するということがエネルギー調査会答申の中にもあるかと思うのであります。  ここで私は公取委に伺いますが、御承知のように独禁法七条によって、不当な取引制限あるいは不公正な取引方法、そういう国際契約は差しとめすることもできるし、独禁法六条で不当な契約はいかぬということになっておるのであります。この問題は再三取り上げてきたんですが、公取委としてはこの問題をその後どういうように措置をされたか、ひとつ伺っておきたいと思います。
  28. 竹中喜満太

    竹中政府委員 この問題につきましては、板川委員から再三御指摘を受けておるのでありますけれども、御承知のように燃料供給契約が締結されました当時は、石油市場売り手市場でございまして、買い手のわが国石油精製業者としましては、安定的な供給を得るために燃料供給契約を結んだわけでございます。しかしその後、これをてこにいたしまして、株式を所有する、役員を派遣する、それから技術の指導をする、あるいは借款を供与する、こういう事態が起こりました。これは独占禁止法の不公正な取引方法一般指定の十号の優越した地位の乱用になりはせぬかということもございまして、当時は独占禁止法昭和二十八年に改正される以前でございまして、この規定がございませんので、そういう事態に立ち至ったのだろうと思います。それがその後経済事情が変わりまして、御承知のように石油は買い手市場になりました。買い手市場のときに、そういう事態があるからといって一〇〇%の供給を受けなきゃならぬということは不都合ではないか、これは確かにわれわれも感情的には不都合であると思いますけれども、すでに五〇%の株を持たれており、技術の指導を受け、役員も来ておる、しかもその上に比較的安い金利で借款を受けておる、こういう場合に、一〇〇%を供給することが直ちに独占禁止法の六条の不当な取引に該当するかどうか、非常にむずかしい問題でございますので、再三申し上げておりますように、公正取引委員会としては最終的な結論が出せない、こういう状況に現在ございますが、さらに引き続いて検討はいたしております。
  29. 板川正吾

    板川委員 私、再々言っておるのですが、五〇%出資した場合に、契約上引き取る数量というものは五〇%でいいのじゃないか。あとの五〇%は原油の性質、サルファの含有量の関係、あるいは船の輸送上、運賃の関係、そういうことで合意の上で一〇〇%とることは、何もわれわれはそれまで反対だと言っておるのではない。しかし契約によって一〇〇%とらなくてはならないという義務を持つことは、私は不当の契約じゃないか、こういうことを言っておるのです。現実的に一〇〇%とっちゃいかぬ、五〇%しかとっちゃいかぬ、ほかから買うべしということまで私は主張しておるのではない。その国際契約によって、五〇%出資者が一〇〇%契約として引き取りを強制することは、独禁法六条にいう国際契約の不当性、不当な国際契約じゃないか。だからそれは契約上でなくて、お互いに合意で一〇〇%、しかし場合によっては他からとることもあり得る道がある、こういう形に私は国際契約なるものを改善するように指示すべきではないかと思う。これは検討する検討するといって、何年も検討して、いつになっても結論が出ない。どうなんですか。それは再々言いましたように、石油供給というものは、売り手市場から買い手市場に変わっておるし、またいまの中東動乱等からいっても、いわゆる供給源多元化ということも私は必要だと思う。そういう国策的な要請というものもあると思う。しかし、それをはずしたらイコール多元的な供給源を持つことになるかならないかは別としまして、公取としては、国際契約としてはおかしいんじゃないですか、どうなんですか。
  30. 竹中喜満太

    竹中政府委員 板川委員はかねてより、五〇%株を持っておる場合には五〇%の供給ということを言われております。私ども考えますと、拘束を受けるのは——本来ならばゼロが一番いいんじゃないかと思います。どこからでも自由に買えるのが一番いいと思います。われわれ法律を解釈するにあたりまして、これが一〇〇%がいいか、五〇%がいいかということは、われわれ問題ではありませんで、要するに、正当な理由のある拘束か、ない拘束かという問題でありまして、先ほど申しましたように、株を五〇%持たれておる、比較的低利の融資も受けておる、技術の指導も受けておる、役員も来ておる、こういう場合に直ちにこれが正当な理由がないと言えるかどうか、なかなか検討いたしましても踏み切れない。これは前委員長の渡邊さんが、おそらく板川さんの御質問にお答えしたことがあると思いますけれども、そういう点でなかなか踏み切れないので、委員の満場一致で結論を出したいというようなことを言われたと思いますけれども、そういう線でさらに検討を続けておるわけでございます。
  31. 板川正吾

    板川委員 五〇%株を持ったその会社が、いや、そこで一〇〇%取るということも一般の取引上あるかもしれない。しかし、この石油供給源多元化ということは日本石油安定供給確保という面から重要な政策になっておる、こう思うのです。エネルギー調査会答申にもそういう趣旨がありますが、そこで私は通産大臣に伺いたいのです。通産大臣はそれをどういうふうに考えられておりますか。公取ではなかなか結論が出ないと言っております。しかし私は、通産省がエネルギー調査会答申を認めてそういう方向行政指導の基点を置かれる、こういう結論になれば、公取もそういう解釈をとらざるを得なくなると思うのです。これは正当性というのにひっかかってくる問題であって、この場合の正当性というのは、われわれのほうでは石油供給源の多元的な確保というのを正当性と考えているわけです。そういう点から見ると、この点については一体通産省はどう考えているか伺いたい。
  32. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 いままでのなには長期契約で、その買収の内容を変更することはできないと思いますが、その契約の期限がきたときには、お説のとおり、これは自由に各方面から買収ができるようにしたい、こう考えております。
  33. 板川正吾

    板川委員 そうすると、各社の契約の期限というのはいつになっておりますか。
  34. 両角良彦

    両角政府委員 原油の長期購入契約の期限は、各社によってまちまちでございまして、十年、十五年あるいは二十年といったような諸般の期間がございます。
  35. 板川正吾

    板川委員 しかし、その各社のそういう契約はありましても、国の石油行政の必要上、そういう契約がいいことじゃない、こういうことになれば、私は公取も踏み切って、正当性がない、したがって、そういう契約はひとつ改善しろということになるのじゃないかと思うのです。それでは今後エネルギー調査会答申のような方向に各社を持っていこうとされますかどうか、その点をもう一度通産大臣答弁してください。
  36. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 お説のとおりに、そういう方向で進めようと思っております。
  37. 板川正吾

    板川委員 それではここで、それに若干関連しておるのですが、丸善石油の問題についてこの際伺っておきたいと思います。  米国のユニオン何とかという石油会社がかつて丸善石油の株式三三%を受け持って出資した。しかし、当時自主性確保という点から、われわれ国会でこれを議論したために、経営上には参加しない、しかし三三%株を持ちましょう、しかし、一定期限後丸善石油が買い戻したいというならこれは買い戻しに応じましょう、こういう契約になって、外資審議会の許可になったと思いますが、この買い戻し時期が昨今ではないか、こう思うのです。この問題はその後一体どういう解決をされたのか、この点を伺っておきたいと思います。
  38. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 買い戻し期限は来年なんです。それでまだそこまで交渉を進めておりませんが、大体期限が参りますれば政府の方針どおりやっていきたい、こう考えております。
  39. 板川正吾

    板川委員 政府の方針どおりというのは、具体的に言うとどういうことでしょうか。
  40. 両角良彦

    両角政府委員 ただいま大臣からも御答弁申し上げましたように、期限は明年の五月でございますが、その前にできるだけ早く契約に従いました買い戻しの話し合いを進めたいという趣旨のもとに、お話のございましたように、本年の五月ユニオンの社長、副社長が来日いたしまして、丸善石油側と交渉を行なったわけでございますが、その結果、丸善石油側の買い戻し権の発動と申しますか、買い戻しの方針に対しましてユニオン側も原則的にこれに協力する方針が認められ、かつあわせまして原油の購入問題につきましても、合理的な方法で、また合理的な程度においてこれを解決したいという意向が非公式に示された由でございまして、ただいまそのような方針のもとに具体的な内容を両当事者間において検討中というふうに承知をいたしております。
  41. 板川正吾

    板川委員 まあ事情が改善をされて買い戻しができるということは、わが国の民族石油自主性確保できるものとして私ども歓迎するものであります。なお、今後自主性確保のために、さらにしかるべき指導をしてもらいたいと思います。  次に、供給源多元化といいますか、この問題について伺っておきたいと思いますが、わが国石油中東から九一%供給を受けております。これは資料に示されているとおりですが、これは先ほど大臣も言いましたように、安定供給の上から、一カ所に大半の供給源を求めるということはなかなかむずかしいから、ほかに変えていくのだ、こういうことを言われました。これは日本石油需要というものが非常に伸びておりますから、年間一五%から二〇%近く伸びておるのでありますから、供給源を各方面に求めるといっても、中東を減らしてほかからそれを取るというわけにいかないと思うのです。少なくとも、中東は現状のままあるいは現状から漸増をする程度にして、ふえる分の主たるところを他に求める、こういう政策を当然とらざるを得ないだろう。油の出る地域というのは世界じゅう大体きまっているのでありまして、そのきまっているところ以外は油が出ても採算上合わぬ。だからしたがって油はないと同じだ、こういう説さえあるのであります。そこで一体、供給源多元化、他に供給源を求めるというのでありますが、現在わが国輸出を希望している国はどういうところがありますか。ソ連、カナダ等が伝えられておりますが、そのほかわが国石油輸出してもいいという希望を持っておる国としてはどういうところがありますか。
  42. 両角良彦

    両角政府委員 現在わが国が購入しておりまする以外に、あるいは購入しておっても、相当大きく対日供給をふやしたいという希望を持っております国は、ソ連のほかにアフリカの新興産油国がございます。しかしながらこれは輸送の面から見まして、やはりケープタウンを迂回しあるいはスエズ運河通過の問題もありますので、供給源分散という見地にはなりまするが、低廉供給の面からは多少問題があると思っております。
  43. 板川正吾

    板川委員 その供給量というのは、どの程度供給量を持っておりますか。
  44. 両角良彦

    両角政府委員 ソ連のほうといたしましては、現在民間ベースで話し合いの進められております西シベリア油田開発構想が伝えられておりますが、この場合は、ソ連側としては対日供給相当程度希望をいたしておるようでございますが、大体一千万トン程度の期待を持っておるのではなかろうかと承知しております。アフリカ等の新興産油国の対日輸出期待量は、別に量的な数字はございませんで、むしろわが国の購入希望に応じて供給する用意があるという話かと存じております。
  45. 板川正吾

    板川委員 供給源の分散、多元化というなかなかむずかしい問題を持っておりますね。しかしいま一番具体性があるのは、やはりシベリア開発によるソ連の石油一千万トン、当面はこれが一番具体性を持っておるのじゃないでしょうか。パイプラインの鉄管を日本で送ってほしい、そして長期のいわゆる購入契約を結んでくれるならば、向こうもひとつそれに応じてもいいということがソ連側からも主張され、日本の財界人等もこれに呼応して調査に行ったということもありますが、私は、供給多元化というたてまえから、ソ連の石油開発にお互いに協力をし合って、依存度を相当ふやす必要があるのじゃないか、こう思います。これは日ソ経済閣僚会議、貿易協定会議等がありますが、一体これに対して大臣どういうような心がまえでこの問題と取り組んでいこうとされるのか、具体的に考え方があったならば、この際明らかにしてもらいたいと思います。
  46. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 まだ具体的な話は私聞いておりませんが、私もソ連へ行きましたときに、向こうから、石油日本へ売りたい、それにはパイプラインだけ日本でひとつ供給してほしいということを言っておりました。またそのときの話では、値段も非常に安く私には言っておったようであります。でありますからして、これは今後必ず具体的に起こってくる問題だ、私はこう考えております。
  47. 板川正吾

    板川委員 大臣、そういう問題を、今後必ず起こってくるというよりも、こちらからも積極的に取り組んでいくべきではないか、こういうことをわれわれ考えておるわけです。向こうから起こってきたら、まあ様子を見て、よかったら乗ろうというのではなくて、わがほうもこれに真剣に対応するような積極的な取り組みをすべきではないか。どこに問題があるのか。向こうは希望しておる。日本供給源多元化という意味から、特にサルファ分の少ないソ連原油というのは歓迎されるわけですから、それがパイプラインを通じて安定的に供給されるということは、日ソの友好上からも必要だし、同時にそれは世界平和の上からも必要だと私は思うのです。ですから、今後起こってくるというよりも、積極的にわが国としては取り組んでいくべきである、こういうような考え方を持つべきではないかと思うのですが、どうなんですか。
  48. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 私が行ったときの話では、まだ日本供給するだけの用意ができていない、将来そういう場合にはひとつ応じてくれという話があったのであります。したがいまして、こちらからいま買いたいというても、とても向こうではまだそれだけの準備がないと思います。まあ当時の話を聞くと、まだ日本へ売るだけの余裕はないように聞いております。しかしその後石油がたくさん出るようになったかどうか、そこらは私はまだはっきりいたしておりませんが、これは早晩、向こうが余裕があれば向こうから話が出てくるし、こっちもそれに即座に応じてしかるべきではないか、こう考えております。
  49. 板川正吾

    板川委員 そういう話は聞いておる、しかし機運が熟したようにまだ見えないが、そういう機会があれば今後積極的に取り組んでまいります、こういうことですね。——わかりました。  次に私は、石油開発公団の大きな任務である自主開発政策について伺ってみます。  政府の出された資料等によりましても、昭和六十年、日本石油消費量が非常に膨大となって、しかも、少なくともその三割は自主的に開発したひものつかないものでいきたい、こういう資料による提案もございます。それは昭和六十年において一億四千万キロリットルを開発したい、その開発の母体になるのが石油公団である、こういうふうに考えてよろしいかどうか。
  50. 両角良彦

    両角政府委員 総合エネルギー調査会答申にございますように、昭和六十年におきますわが国自身の手による開発輸入原油を一億四千万キロリットル程度確保いたしたいという目標のもとに、海外の原油開発を総合的に推進いたします母体が石油開発公団考えております。
  51. 板川正吾

    板川委員 一億四千万キロリットルというと、いまのアラビア石油が昨年産出した原油が一千四百万トン、ですから、アラビア石油の約十倍、こういうふうに考えてよろしいと思うのです。アラビア石油の十倍程度のものを昭和六十年から十七、八年のうちに開発を行ないたい、こういうことになるのであります。十七、八年にというと、大体二年弱に一つのアラビア石油的なものを開発する、大体こういう計算になる。現在のアラビア石油の規模の石油資源の開発、これが十カ所ですから、したがって二年に一カ所くらい、少なくとも一年十カ月くらいに一カ所アラビア石油程度のものが開発をされなければならぬという計算になります。私は、この計画を実施するのには膨大な資金的な準備も必要だと思う。この昭和六十年に一億四千万キロリットルを自主的に開発をしたいという計画は、一体どういう地域に年度別にやり、そしてその所要資金の年次別な必要量、こういったものは大体構想にあるのですか。
  52. 両角良彦

    両角政府委員 お話にございましたように、昭和六十年度におきまして一億キロリットル以上の開発を行ないますことは容易な事業ではないと思います。したがいまして、今後探鉱活動はきわめて多額の資金投入を必要とし、また開発のためにも巨額の投資を必要とするであろうかと考えております。現在のめどといたしましては、昭和六十年度までにおおむね四十五地点の探鉱を行ない、これに所要の探鉱資金としては約三千億円程度資金投入を必要といたし、かりに油田が見つかれば、その開発のために約八千億円程度の投資を必要とすると考えております。これらの具体的な年次別の計画ということになりますると、これは相手国政府の事情あるいは国際的な諸般の石油情勢の変動等もございまして、いわゆる五カ年計画のごとくきっちりとした計画はなかなか立てにくい性格のものでございますが、一応ただいま申し上げましたような目標のもとに、各年度にわたりまして着実に開発を推進してまいりたいと考えております。
  53. 板川正吾

    板川委員 十七、八年のうちに四十五地区、探鉱資金三千億、開発資金八千億、合計一兆一千億、大体年間七、八百億ですね。私は、通産省がただそういうプランを持ったということだけでは、なかなかそうした予算措置がどうも実現不可能じゃないかと思うのです。たとえば道路五カ年計画の場合には、道路五カ年計画を立てて所要資金を何兆何千億とこういうふうに大きなめどを立てて、そのめどのもとに財政資金を投入するなりしていきますね。しかしこの産業食糧であり血液である石油確保ということについて、通産省だけがそういう資金的な計画を持っているだけではいかぬじゃないか。ほんとうにやる気ならば、やはり五カ年計画なりで、資金的な面あるいは開発地点、そういうことを含めた大まかな計画を一つ立てて、しかもこれを閣議にかけてそういう方向を了承してもらう、こういうことでないと、せっかくそういう膨大な石油確保上構想を立てておられても、絵にかいたモチになって、なかなか計画どおり進まないのじゃないか。ですから、そういう実際にやる段となったならば、私は、石油開発五カ年計画なりというものを立てて、所要資金を明確にして、大体道路整備五カ年計画のようにそれが年次別に、あるいは一年たち二年たってまた変わっても、所要資金というものなりを閣議で了承されるような措置をとる、こういう必要があるのじゃないかと思うのですが、大臣はどういうふうにお考えですか。
  54. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 石油資源というものは、お説のとおりこれは産業血液でありますので、したがって三千億あるいは八千億金が要りますが、これはみなやはり産業にそれが具体化されていくのでありますからして、もし具体化されないようであれば、またこれだけの石油も要らぬということになるわけです。これだけの多額の石油が要るということは、日本産業が発展するということになりますからして、したがって、それだけの産業が発展すれば税収入もまた当然ふえてくるということになりますから、日本の財政収入がそれだけふえてくるということになります。私は、必要な石油量を確保するということは絶対条件でありますからして、その絶対条件石油確保するに必要な資金は、これも絶対的なものであるというように考えるべきであると考えております。したがって、その点においては大蔵省も十分理解していただける、こう考えておる次第であります。
  55. 板川正吾

    板川委員 石油供給確保するということが絶対的条件だということは、今日決定されたことじゃないのです。日本エネルギーの情勢というものを見れば、もう何年も前からそういうことは当然わかっていることなんです。しかし大蔵省なり日本政府は、石油確保のために開発のために一体どのくらいの金を出したか。昨年はわずか二十億くらいじゃないですか。一方において膨大な原油の関税収入を取っておりながら、石油の自主的な供給源確保する、開発をするということに対する金というのはごくわずかじゃないですか。だから私は大蔵省がそれを理解しておるとは思わないのです。去年は海外開発関係わずか二十億。それは開発が具体的になってない、計画が具体化してないから、とりあえず調査費なり探鉱費なりということで、わずかでもしようがなかったかもしれません。しかし私は、そういう点で大蔵省を中心として石油供給確保というものがいかに重要だということがどうも軽視されておって、空気か水のように、どこでも掘れば出るようなつもりでおる点もあるのじゃないか。そういう点は通産省のPRが欠けておったと思うのです。ですから一億四千万キロリットル、四十五地区に、しかも一兆数千億の資金を使う、この資金がなかなか大蔵省が出さないで困るということのないように、ひとつ大臣、いまのうちからPRしておいてもらいたいと思うのです。できれば私は、やはり五カ年計画なりを立てて、資金計画のめどというのも明らかにしていくことが、開発を順調にする大きなやり方じゃないかと思います。そういう点はひとつ今後検討されて善処されることを要望いたします。
  56. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 この石油資源と産業開発ということについては、私はもう少し根本的な調査をしなければならぬと思います。将来産業が発展することによって税源がどれだけ出てくるかということも調査して、その上であるいは五カ年計画なら五カ年計画を立てても私はいいのではないか、こう思うわけです。いまのところ石油重要性ということはなるほど認めておりましたけれども、私はごく最近だと思います、まだ日本では石炭というものに依存しておる気風がありましたから。しかし石炭のほうでは依存ができないということについて大体みな考えてまいりましたから、そこで石炭を五千万トンを確保する、それ以外のエネルギー石油にたよらなければならぬというようにみんなが理解してきたのは私はごく最近だと思うのであります。したがいまして、そういう点においてまだ十分われわれのほうも理解が足らないし、また大蔵省のほうも理解が足らなかったと思いますけれども、しかしもう今日では、ことに中東問題で痛切に石油重要性ということを官民ともに考えてきたと思うのでございますからして、したがいまして、私は先ほど申し上げましたとおり、これだけの石油日本産業の発展のためには絶対必要だということは当然みんなが考えておることでありますからして、その石油確保するに必要な資金というものは、これはまた何とかしなければならぬということについては、私は各方面から御理解を得られると思いまするし、なおひとつその点においても皆さん方の御協力を特にお願いを申し上げたいと思う次第でございます。
  57. 板川正吾

    板川委員 次に、スエズ動乱西欧諸国がどのくらいの資金を投入していわゆる自主開発に努力してきたか、西欧諸国のそうした努力の結果としてどのくらいの資金を投入したのか、資料がありましたら、簡単にそれを説明してください。
  58. 両角良彦

    両角政府委員 西欧諸国は、スエズ動乱以後、各国ともに政府資金をこれに投入いたしてきております。フランス政府はERAPを通じまして、イタリア政府はENIを通じまして、また西独政府は探鉱融資制度を通じまして、それぞれ国家資金を、最低百五十億円、平均いたしまして二百億円程度毎年投入をいたしてきておる実績になっております。
  59. 板川正吾

    板川委員 西欧諸国石油消費量と今日における日本石油消費量では明らかに日本のほうが凌駕している。しかし、その石油消費量から比べてみましても、各国では毎年二百億程度資金開発のためにつかっておる。しかし、わが国は何十億ですか、五分の一かそこらだと思いますが、非常に少ない。これでは、私はこれからの石油安定供給確保するというわけにいかないと思うのです。  それはそれといたしまして、次に伺いたいことは、海外開発が四十五カ所となり、一億四千万キロリットルも海外開発原油輸入されるということになった場合に、国内の引き取り体制というものはどういうことになりますか。いまアラビア石油がわずか七、八百万キロリットルから千六百万キロリットルになりましたが、その当時すら、アラビア石油石油は引き取るべきじゃない、あるいはサルファが多いからといって、いろいろクレームをつけて——多いことは事実ですが、これについて苦情を出してなかなか引き取らなかった。ですから、せっかく海外開発をして、わが国の技術と資本によって開発された原油わが国に入る場合に、これを引き取って精製するもの、販売するもの、こういうものに対する対策がなければ、開発はしたけれども国内輸入されない。そうすると、めんどうだから、アラビア石油じゃないけれども、途中でアメリカのほうに売ってしまおう、こういうような考え方になるんですね。引き取り体制というものを今後どういうふうに整備されようとするのか。この点をひとつ伺っておきたいと思います。
  60. 両角良彦

    両角政府委員 御指摘のように、開発原油は引き取りがきわめて大きな問題の一つであることはお説のとおりかと存じます。さような面で、特にアラビア石油の過去の例にもかんがみまして、将来の開発原油国内への引き取りを円滑にいたしまするためにはいろいろな方策を講じてまいるべきかと思っております。まず第一に、海外の原油開発はそれ自体コマーシャルベースに乗る開発であるという原則のもとに進めらるべきだと思っております。したがいまして、商業採算に乗る開発、それによって出てまいる原油の購入ということは取引として少なくとも円滑に行なわれる最大の前提であろうかと考えております。  次に、海外の開発を推進するにあたりまして、あらかじめわが国石油精製業界の協力というものを求め、また協力体制を確保して海外に進出していくという事前の準備というものが今後もきわめて肝要であろうかと思います。そういう方向で各開発プロジェクトの推進を考えていくべきであろうかと思います。  さらに、昨今の新しい動向といたしましては、たとえば九州石油の南カリマンタン開発計画のごとく、精製業自体が開発に進出いたすというような形態も出てまいっておりまして、かような場合には引き取り問題もきわめて円滑にいくのではないかというように思うわけでございます。  第三に、引き取りを円滑にしますためには、先ほどお話のございましたわが国の自主購入度というものを高めていく必要がある、言いかえますと、精製業者のひもつきウエートというものを合理的な程度にまで下げてまいりまして、いわばふところを広くした買い付けが可能になるような国内体制というものを整えていく必要があります。このことは、時間をかけまして、さような方向に改善をいたしていきたいと考えております。以上の措置をとりまして、引き取り問題というものを今後円滑に処理をしていきたいと考えておる次第であります。
  61. 板川正吾

    板川委員 原則としてコマーシャルベースは当然だと思います。私が心配するのは、そこで先ほどに返るのですが、五〇%出資しておって一〇〇%引き取り義務を持つ、こういう契約がそういう場合には一つの障害になるだろう。この契約があるから引き取りません、こういうことになるのであります。従来はそういう主張をされました。しかし、国会や政府の指導によって、その考え方は向こうはあまり強く押さなかったけれども、しかし、考え方としては、一〇〇%の原油購入契約があるからというので一時断わることもあったわけであります。将来海外開発油が大きなウエートを占める場合に、私は国内引き取り体制というものが必ず問題になると思う。そういう意味で先ほどの五〇%出資に契約上の義務として一〇〇%原油を購入させるという契約は、わが国の利益からいっても不当な契約である。これは将来ひとつ通産省が踏み切れば、公取委は何かわけのわからないことを言っておりますが、やがてそうなるだろうと思うのであります。ぜひひとつそういう意味からもあの国際契約の是正のために適正な指導をしてもらいたいと思います。で、必要とあれば、将来石油業法の審議の際に、附帯決議にありますように一手買い取り機関、こういうものも私は考慮すべきではないか、こう思うのでありますが、その点に対する考え方はいかがですか。
  62. 両角良彦

    両角政府委員 開発原油の引き取りにつきましては、ただいま御説明申しましたような方策によりまして、私どもといたしましては円滑な引き取りが期待されると考えておりまするが、なお、それによりましても引き取りが困難な場合に対処いたしましては、ただいま御示唆のありました御提案を含めまして、慎重に検討をいたしたいと思っております。
  63. 板川正吾

    板川委員 現在わが国海外開発油というのは一五%くらいでしょう。これが三〇%になるというのは、たとえ一%のシェアでもたいへんな競争をしておる業界からいえば、なかなかたいへんな抵抗を受けるだろうと思うのです。その抵抗を受けるのは、そう簡単に私はなくならないのじゃないかと心配するのです。そういう意味で必要とあらば、私は一手買い取り機関という制度も考えるべきだ、こう思います。  次に、四番目の問題であります。備蓄政策について伺いますが、現在わが国石油備蓄量、原油、製品合わせて幾らですか。
  64. 両角良彦

    両角政府委員 今年五月末の速報によりますると、原油の在庫量は五百八十八万キロリッター、二十一日分でございます。また、製品の在庫量は六百十五万キロリッター、二十五日分、合わせて約一カ月半という備蓄量になっております。
  65. 板川正吾

    板川委員 中東動乱でも爆発的に拡大をして、石油がとまるという場合には、どこの国でも石油を安全に確保するということはなかなかたいへんと思います。しかし、次の手段が打てるまでの間、やはりある程度備蓄というものがなければ、次の手段が打てない、こういうことになると思うのです。魚をおかへ出して、ある程度がまんできるうちはいいのですが、あまり置いておくと死んでしまうのと同じように、原油備蓄量というのが最大限四十日か四十五日では、いざというときの緊急対策、配船、その他の対策というものがなかなかとれない。西欧諸国では各国とも若干の差はありますが、どの程度備蓄をされておって、しかも、それが義務とされておる国はどことどこですか。
  66. 両角良彦

    両角政府委員 西欧諸国備蓄状況は、おおむね平均いたしまして、一九六五年におきまして、約七十日弱でございます。この中で、特に備蓄量の高い国はイギリスでございまして、九十三日分という状況を示しております。フランスは七十九日分の備蓄、西独は五十七日分、イタリアは七十六日分ということになっております。この中で、法的に義務づけを行なっておりますのは、フランスと西独の二カ国であります。
  67. 板川正吾

    板川委員 西欧諸国、特にある意味では安定しているともいえる中近東諸国に近い西欧諸国でも、最低がドイツの五十七日で、大体七十日から九十日ですね。   〔委員長退席、河本委員長代理着席〕  ドイツの場合には、いざというときには、エネルギーとしては石油にとってかわる国内石炭があります。そういう国で、その程度ですね。日本もいまの四十五日というのは少ないのではないか。ですから、これは若干のコスト高になっても、この際、行政指導なりで、ある程度備蓄というものをさせていくことが当面必要ではないかと思いますが、備蓄を増加させるような政策をとっておりますか。
  68. 両角良彦

    両角政府委員 まさに御指摘のように、わが国備蓄量が四十五ないし六日という数字は、国際的に見ましても、きわめて低い水準でございまして、石油供給混乱が起きました際は、心もとない状況でございますので、今後はこの貯油を少なくとも二カ月分程度まで高めるように各精製業者、販売業者の努力を要請いたしたいと思いますが、政府におきましても、たとえば原油の大型基地の建設等につきまして、税制上、金融上の助成を講じてまいりたい。また将来の積極的な貯油の増加施策につきましても、業界の要望を十分聞きまして、必要な方策検討いたしたいと考えております。
  69. 板川正吾

    板川委員 この備蓄政策強化するということになりますと、以前は一部外資系会社がそれに反対の意向を示したということが伝えられておりますが、そういう指導に対して現在どういう反響がございますか、そういう反対の空気がありますか。
  70. 両角良彦

    両角政府委員 現在さような反対は私ども承知をいたしておりません。
  71. 板川正吾

    板川委員 一応以上で私の石油安定供給四つの柱の問題を終わりまして、若干法律のほうへ入っていきたいと思います。  この国策会社石油資源開発株式会社いわゆるSKを改組して、石油開発公団とする、こういうのが提案の趣旨の中心にいわれております。石油資源開発株式会社が当初できるときも、同様に、これを中心わが国石油開発強化して、石油供給の安定をはかろう、こういう目的をもって出発したのです。しかし、SKの従来の業績を見てまいりますと、昭和三十五年を契機に縮小再生産化し、生産は横ばい、借金は返せぬ、こういうことになって、実際は拡大再生産方向をとらなかったんです。SKが当初の目的のように大きな役割りを果たし得なかったということは、どういうところに原因があるのでしょうか。これは石油政策一つの反省の材料でもあると私は思いますが、いかがですか。
  72. 両角良彦

    両角政府委員 ただいまお話のございましたように、石油資源としましての原油及び天然ガスの生産の伸びは、昭和三十九年度におきまして原油が低下傾向に入り、天然ガスにつきましても、四十年度におきまして、前年度に比して生産が落ちたという事実がございます。しかしながら、かようないわゆる生産のフラクチュエーションというものは、地下資源探鉱の成果に依存いたしまする地下資源産業といたしましては、ある程度まで不可避的なことであるかと存じますが、最近の情勢では、探鉱成果も上向いてきておりまするので、生産は今後は上昇いたすものと考えております。
  73. 板川正吾

    板川委員 探鉱投資額も横ばいで、業績からいっても今後上向くということはない。それはそれでいいでしょう。このSKが所期の業績をあげなかったというところに、私はこれからの石油政策転換する上での一つの反省がなくちゃならぬということを感じておるわけです。  次に伺いますが、この石油開発公団は、先ほど言いましたように、探鉱に必要な資金開発に必要な資金の融通を円滑にするための必要な業務を行なういわゆる融資事業団、融資業務です。この石油開発公団は融資事業だけをやるのであって、自主的な探鉱をしないのですか。探鉱業務をみずからやらぬのですか。
  74. 両角良彦

    両角政府委員 石油開発公団は、その業務といたしまして直接事業は行なわないというたてまえになっておりますが、国内の基礎調査につきましてはこれをみずから行なう、こういう構成にいたしております。
  75. 板川正吾

    板川委員 私は、石油開発公団という名を持つからには、将来はみずから探鉱し得る力を持つべきだ、こう思うのです。これには質問者の中にもいろいろ議論があるやに私も伺いました。そうじゃないほうがいいという意見があるかもしれません。しかし私は、石油開発公団となれば融資事業だけではなくて、みずからも場合によっては開発事業をするという必要があるだろう、こう考えるのです。その理由は何かというと、この石油開発事業には石油開発の技術が必要であります。ある意味で技術者を養成するということも私は必要だと思います。技術者を養成する、それからその技術者が個々の会社にみんな所属をされますと、その会社でたとえば探鉱の有能な技術者であって、しかしここはもう探鉱を一時終わって次の探鉱まで時間があるというときに、その技術者はある意味では遊ぶのじゃないかな、こう思うのです。そういうときにこの石油開発公団がある程度みずからの探鉱もする、必要がある場合にはその技術者を民間の機関に一時出向させて貸すという場合もあっていい。民間の開発会社が、その開発について、その技術者がある程度の役目を果たしたという場合には、また石油開発公団に戻って、他の地域開発を行なうという会社に出向するという場合もあってもいい。またみずから石油開発公団開発をしてもいい、こういうふうに考えます。四十五地区に相当数の開発をしなくちゃならないというときに、私は技術者養成という意味からいっても、将来は石油開発公団は探鉱事業も持つようにすべきだ。それからアラビア、中東方面に行きますと、こういう開発公団のように国が背景となっておる公団等の進出は困る、国の力でやられたのじゃ、将来トラブルが起きた場合に困る、民間ベースならいいという場合もあります。中東の諸国なんかは、大体アラビア石油の創立のときに見られたように、国が出資したのでは困る、民間なら対等で話し合う、国が背景になると軍艦が来て威圧を加えるようなことになるから困るというようなことで、アラビア石油には国の直接出資はないはずです。そういうものもありましょう。しかし一面、民間の開発関係会社がやらぬ、これはどうしても開発公団でやらなくちゃならぬということも、そういう場合が将来あり得ると思うのですよ。今度は逆に国の力でやってほしいという、また国の力でやるべきだ、リスクが非常に大きくて手を出さぬが、ひとつ公団でやってみようという場合もあると思うので、いまはこれでいいとしても、将来はそういう方向を持つことが、いわゆる開発公団なる名にふさわしい事業内容を持つことになるだろう。いまのままなら開発公団ではない、融資事業団です。その点どうですか。
  76. 両角良彦

    両角政府委員 海外開発促進いたします上で、特に技術者の確保が重要であるという御指摘は全く同感でございます。今日まで石油資源開発株式会社あるいは帝国石油株式会社におきまして優秀な技術者を育成いたしまして、これを国内及び国外の海外探鉱開発に活用いたしておる、またアラビア石油もさような実績をおさめておりますが、これら貴重な技術の水準というものを、今後とも石油開発公団中心育成をはかり、またその効率的な活用をはかっていくというために、開発公団と各開発に従事いたします民間会社との間で事務的な技術陣の交流が円滑に行なわれるような仕組みを考えていくという必要性は私は十分あると思います。さような方向で今後も運営をはかってまいりたいと考えております。
  77. 板川正吾

    板川委員 私はそういう必要があると思うので、それも今後の検討の中に取り上げていくことを念頭に置いてもらいたいと思います。  それから公団の総裁一人、副総裁一人、理事五人以内。御承知のように最近天下り人事ということがうるさくいわれておりますが、この公団の総裁、副総裁、理事等では、そういう世論の批判がないような措置がとられることは当然と思いますが、この点についてどういうふうな方針を持っておられますか。
  78. 宇野宗佑

    ○宇野政府委員 前々からそのことに関しましては大臣よりも再三お答えになっておりますが、私も申し上げますと、現在天下り人事に対して世論の痛烈な批判がございます。さようなことのないように十二分にただいま人選中でございますので、いずれおはかりいたしたいと思います。
  79. 板川正吾

    板川委員 この法律の十二条、役員の欠格条項で、「政府又は地方公共団体の職員は、役員となることができない。」公務員はかまいませんね。
  80. 両角良彦

    両角政府委員 御質問の趣旨を私ちょっとわかりかねたのでありますが、公務員が役員となることは……。
  81. 板川正吾

    板川委員 非常勤の公務員などは……。
  82. 両角良彦

    両角政府委員 この規定は、各公団法の前例にならいまして設けた規定でございますが、公務員につきましては、国務大臣、国会議員等の特殊な立場の方々は別といたしまして、通常の公務員は役員とはなれません。
  83. 板川正吾

    板川委員 これは特別職公務員はなれるのですか、なっておるのではないですか。
  84. 両角良彦

    両角政府委員 国務大臣、議員、地方公共団体の議員、地方公共団体の長、政党の役員等々の方々は、役員となることは法律上可能でございます。
  85. 板川正吾

    板川委員 この業務の範囲ですが、主として海外における探鉱開発、こういう点に力点があることは当然でありますが、国内の探鉱業務に対する問題は、技術に関する指導、委託を受けて地質構造の調査、こういうことが業務の範囲に書いてありますが、海外進出する場合には、やはり国内開発をある程度やり、それによって技術の水準を高め、そして海外に進出するということが必要なことは当然でありますが、国内の探鉱業務に対して融資事業をやらないのはどういうことですか。
  86. 両角良彦

    両角政府委員 公団の出資の対象業務といたしましては海外開発、海外探鉱ということになっておりますけれども、国内の探鉱開発重要性は海外に比してまさるとも劣らないものでございます。さような見地から、従来国内につきましては、いわゆる天然ガス基礎調査費というものを一般会計で計上いたして、政府みずから基礎調査を行なって、その成果を民間に利用願ってきておりますが、四十二年度につきましては、五億八千万円の調査費を計上しまして、これを石油開発公団に委託をいたしまして調査を行なうという予定になっております。また別途天然ガスの探鉱補助金というものを計上いたしまして、四十二年度六億二千万円を予定いたしておるようなわけでございます。国内の探鉱というものは、主として直接これを助成する強力な手段としての国みずからの基礎調査と補助金という端的な方策をもって推進することが妥当と考えて、さような構成にいたした次第でございます。
  87. 板川正吾

    板川委員 技術水準を高めるという意味においても、また小なりといえども外貨を節約し、あるいは国内産業を振興するという意味においても、国内石油資源の開発というものについてはしかるべき指導をやるべきだと思います。  時間がありませんから次にはしょりますが、二十五条で公団は債券を発行することはよろしいということになっております。また「債券の発行に関する事務の全部又は一部を銀行又は信託会社に委託すること」もよろしい、こうありますが、この場合の受託銀行は、当面はどこと考えておられますか。例の運輸大臣の問題もありますから、この際明らかにしておきたいと思います。
  88. 両角良彦

    両角政府委員 これは将来の問題でございますので、公団設立をお認めいただきました後に慎重に検討させていただきたいと思います。
  89. 板川正吾

    板川委員 まあ運輸大臣の前例にならわないように、この問題はひとつ扱っていただきたいと思います。  そこで、石油資源開発株式会社を吸収をして、石油資源株式会社は同時に解散をする、こういうことになります。三年間は別立ての独立採算性でその業務をやっていく。この石油資源株式会社の業務を将来どう処理されようと考えておられるのですか。これは幾つかあると思うのです。私の考え方を言えば、SKの業務の中で営業部門は他に譲渡をする、探鉱部門は残す、そうしてそのときには公団自身が自主探鉱ができるようなことにする、しかもそこで国内開発にも力を入れながら技術水準の向上、技術者の養成、こういったことをやる必要があるのじゃないか。これについても他の質問者はいろいろ意見もあると思いますが、いずれにしても三年内のことで、当面の問題ではないのです。しかし、できる限りこの問題は早急に関係者の意見を聞いて、このあり方を明らかにしたほうがいいと思います。どうなるかわからない、ごたごたする、こういうことでは、ここで働いておる人たちも不安でしょうし、ですから、なるべく早い時期にこの問題を明らかにしたほうがいいと思います。私の考え方は、これもそう関係者の意見も聞いたわけじゃないし、固まった意見じゃないが、私の勘から言うと、営業面はたとえば帝石なら帝石に譲る、   〔河本委員長代理退席、委員長着席〕 探鉱部面の事業は公団に残す、こういうこともあったほうが将来の石油公団という名にふさわしい体制を整えるためにはいいのじゃないかと私は思いますが、いかがですか。
  90. 両角良彦

    両角政府委員 石油開発公団ができました暁に、その特別事業といたしまして、現在石油資源開発の行なっております石油及び天然ガスの採取、販売に関する部門が承継されるわけでございますが、それが三年後にどういう姿で切り離されていくかということは、ただいま御指摘のございましたように、大きな関心のあるところであろうかと思います。どういう形態が最も合理的であり、かつ最も効率的であるかという点につきましては、公団発足後すみやかにその方針、方向を定めまして、石油資源開発の将来の再編成に資するような計画を早期に立てることが必要であろうかと思います。そのためには、石油及び可燃性天然ガス資源開発審議会の場におきまして将来の方向等をすみやかに御検討をいただきまして、そこで打ち出された案というものを参考にしまして、今後の石油資源の三年後のあり方の裏打ちをいたしたいと考えております。
  91. 板川正吾

    板川委員 私、次の会議の都合もありまして、まだ質問したいこまかい点もありますが、それは他の質疑者に譲るとしまして、この程度で終わります。ぜひひとつこの石油開発公団がその名にふさわしい体制を一日も早く充実されることを要望いたしまして、私の質問はきょうはこれで終わります。
  92. 島村一郎

    島村委員長 午後一時三十分再開することとし、この際休憩いたします。    午後零時三十分休憩      ————◇—————    午後一時五十七分開議
  93. 島村一郎

    島村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  内閣提出石油開発公団法案を議題として、質疑を続行いたします。橋口隆君。
  94. 橋口隆

    橋口委員 きのうから石油開発公団法につきまして、同僚の委員からいろいろと質問が行なわれておるわけでございますが、あるいは重複するかもしれませんけれども、私からも多少質疑をいたしたいと思います。  私は、去る六月九日の委員会におきまして、中東戦争等の石油供給に及ぼす影響について、その対策をお伺いしたのでございます。それにつきまして政府からは、備蓄問題についても御回答がありまして、大体の備蓄の目標については二カ月程度とする、そのため大型基地を建設するなどの御回答がございました。そこで、この石油問題は、具体的には、その後政府のお考えとしては、一体何年計画くらいでそういうめどをおつけになるか、あるいはまた具体的にそういう基地の調査等、あるいは民間との打ち合わせ等について、何かそういう問題の進展がございましたら、その点をお伺いしたいと思います。
  95. 両角良彦

    両角政府委員 大型原油基地の建設につきましては、昭和四十二年度予算で調査費が計上されております。それによりまして、調査のための委員会の設定を終わりまして、現在この委員会におきまする審議の開始を待っておるところでございますが、大体七月の中旬ごろを予定いたしております。この委員会におきましては、大型基地の候補地点と目されまする数カ所につきまして、その立地条件その他の基地としての適性についていろいろ御検討いただく予定でございます。なおこれとは別個に、各石油業界の企業単位におきまして、大型原油基地の建設計画ないしは共同シーバース計画等がそれぞれ推進をされておりまして、これにつきましても通産省といたしましては応分の協力をいたしておる次第でございます。
  96. 橋口隆

    橋口委員 その調査会は政府の調査会でございますね。そして予算は幾らぐらいでございますか。
  97. 両角良彦

    両角政府委員 予算は六百万円の調査費でございますが、委託調査の形態をとりまして、日本工業立地センターに委託をいたしております。
  98. 橋口隆

    橋口委員 その調査はいつごろ終了する見込みでございますか。
  99. 両角良彦

    両角政府委員 四十二年度内、できるだけすみやかに結論を得たいと思っております。しかしながら、大型の基地の建設計画は、今回取り上げられます候補地点だけに限られるわけではなくて、将来さらに有望な地点も出てまいるかと思います。そのつど検討を加えてまいりたいと思っております。
  100. 橋口隆

    橋口委員 それは現在のところでは何カ所ぐらいを予定されておりますか。
  101. 両角良彦

    両角政府委員 調査予定地は五カ所でございます。
  102. 橋口隆

    橋口委員 この石油備蓄の問題は、日本経済においては非常に重大な問題であろうかと思います。なかんずく国防上の観点から見ましても、これは非常に大事でございまして、私は政府全体がこれに取り組む必要があるだろうと思います。私は去る六月二十八日の内閣委員会においても、防衛庁長官に対して、通産省ではこういう考えを持っておられるようであるが、防衛庁としてはどういうふうにお考えになるか、むしろこれは国防会議の課題ではないか、こういうことを申し上げたのでございます。そこで、国防会議において、石油備蓄の問題について各大臣の打ち合わせがなされたかどうか。また各省の事務当局においてそういう御相談をなさったことがございますか。
  103. 宇野宗佑

    ○宇野政府委員 国防会議そのものには通産大臣がまだお出ましになったこともございませんし、また出席の資格もございません。したがいまして各事務局等におきましても、備蓄の問題をいま先生仰せのような趣旨から検討したことはないということであります。
  104. 橋口隆

    橋口委員 これは非常に失礼かもしれませんが、通産大臣は国防会議の一員として席を連ねておるはずでございますが……。
  105. 宇野宗佑

    ○宇野政府委員 どうも間違いまして申しわけございません。いままで出ておりますが、その席においてはまだ話が出ておらないということでございます。しかしながら、いまおっしゃったとおりに、この石油備蓄問題は、わが国の国防上非常に重要な問題でございますから、さような話し合いを今後進めるように大臣にも申したいと思います。
  106. 橋口隆

    橋口委員 この問題は非常に重大な問題で、いままで政府がどうしてこの問題に取り組まなかったかということが、私は実にふしぎだと思うのでございます。国防という問題から見ても、また日本経済の運営という問題から見ても、わずか原油二十日間分ぐらいしか持たないということは、これはもう民間だけにまかせておける問題ではなくて、政府行政指導し、あるいは政策自体としても取り上げるべき非常に重大な課題であろうと思います。その点につきまして、はっきりしためどをつけて、通産省当局では御処置いただきたいと思いますが、政務次官の御見解はいかがでございますか。
  107. 宇野宗佑

    ○宇野政府委員 政府の一員といたしましても、特に石油備蓄量の増大ということは、これはわが国の国防上ゆるがせにできない問題である、このことは従来から私たちも再三主張してまいりました。また国防という広義の意味合いにおきましては、わが国産業、経済、文化に及ぼす影響も重大であるということはわれわれもよく認識いたしておりまして、個人的には従来から石油業界の方とお会いした折りに、当時はランニングストックを入れて四十日そこそこというお話も承っておりましたから、これではあまりに少ないではないかということをむしろ私たちは業界に申し上げておきました。しかしながら、過般来お答えいたしておりますとおり、二カ月分を備蓄するということになりますと、それだけ施設等々の面におきましても相当な支出を民間企業体にも要請をしなくてはなりません。それがためには、やはり政府みずからがそうしたことに対する助成措置も講じていかなければならない問題でございますので、今後橋口委員が申されましたように、国防の見地から、また産業、経済の見地から、国民生活を守るという広いたてまえにおきまして、すみやかに二カ月の備蓄をはかりたいと考えております。
  108. 橋口隆

    橋口委員 重ねてお伺い申し上げますけれども、その二カ月の備蓄をするということのためには、何年くらいで、また政府としては大体どれくらい補助すればいい、あるいは民間投資は幾らすればいいというお考えでいらっしゃいますか。
  109. 両角良彦

    両角政府委員 六十日の備蓄目標というものは、現在のわが国石油の年間精製量約一億一千キロリットルに比較いたしまして大きな負担であるというほどではないと考えているのでございます。したがいまして、私どもとしましては、まず各企業が自己の採算におきまして、いわゆるコマーシャルベースに従いましてその貯油の増強につとめていただくということをまず推進いたしたいと思います。しかる上に、さらに各企業の負担の限界を越えまして貯油を増強する必要があると判断しました際は、政府におきましても特別な補償措置考えなければならないものと思っておりますが、いまだ二カ月程度におきましてはその段階にはいかないかと思います。しかしながら、現在の四十五日を二カ月にふやすこと自体も各企業の負担において行なわれますといたしましても、これを側面的に援助、助長をいたすということは必要でございますので、税法の面におきまして、あるいは財政資金の面におきまして、所要の協力をいたしたいと考えておる次第でございます。
  110. 橋口隆

    橋口委員 この備蓄の問題は、民間の企業体だけにまかしておいてはなかなか実現ができないのではないかと思われます。また、国防上の観点からしても、これは保有すべきだ。だとするならば、政府として何らかの対策を講ずべきだと思います。それについて、今回設立されます石油開発公団で将来それを取り扱うというようなお考えはございませんか。
  111. 両角良彦

    両角政府委員 今回の石油開発公団におきましては、海外におきまする石油の探鉱開発の総合的な推進の役割りを主として期待いたしておりまして、みずから具体的な事業主体としては想定をしておらないわけでございますが、御指摘のような貯油の増強ということが今後とも重要な課題でございますので、石油開発公団におきまして、そのような貯油の増強につきましての何らかの協力といいますか、推進といいますか、そういうことが可能かどうか十分検討いたしまして、公団の機能の合理的な拡充ということを将来において検討、研究をいたしたいと考えております。
  112. 橋口隆

    橋口委員 この石油備蓄の問題につきましては、いま政府から御回答がありましたように、どうかひとつ前向きの姿勢で取り組んでいただいて、早急にその対策ができ上がるように切望いたします。  次に、総合エネルギー対策の一環としてお伺いいたしますが、総合エネルギー調査会答申が今年の二月なされたわけでございますが、昭和六十年度において総所要原油の三〇%を海外開発原油をもってまかなうこととし、四十五年度、五十年度、六十年度の海外開発原油量を設定しておるのであります。ところが、これはあくまで答申考え方であって、政府の統一的な方針として確認されているわけではないと思うのでございます。私は、総合エネルギー調査会答申のような、そういうエネルギー政策基本的な方向を示す特に重要な政策については、その答申を受けて閣議において確認をするということが当然なさるべきではなかろうかと思います。ところが寡聞にしていままでそういう決定がなされているということも聞かないのであります。また通産省自体としても、そういうような外部に対する意思表明ということをなさったことはないように考えておりますが、その間の事情について承りたいと思います。
  113. 両角良彦

    両角政府委員 本年の二月に行なわれましたエネルギー調査会答申は、御承知のように第一次答申でございます。いわばエネルギー問題の基本的な諸項目につきまして方向づけを行なったものでございますが、その具体化ないし肉づけということは、さらに今後調査会の各部会を中心として検討していただくことになっております。したがいまして、とりあえず事態の解決を急ぎます問題につきまして、四十三年予算並びに法律案において具体的な問題を取り上げて、政府の意思統一を行なった上で提案をし、御審議をお願いいたしておる次第でございますが、全体の答申につきましては、将来これが完成をいたしました暁において、その権威づけについて考えてまいりたいと存じております。
  114. 橋口隆

    橋口委員 石炭につきましては、調査会の答申を受けて、いろいろな閣議決定がなされているようでございます。ところが石油その他のエネルギーについては、どうして政府はそういう意思決定をしないのでございますか。
  115. 両角良彦

    両角政府委員 御承知のように、エネルギー調査会答申はきわめて基本的な問題、かつ広範な問題を、あらゆる角度から取り扱っております関係上、政府の施策としてその中のどれを具体的にいかなる年度において取り上げていくかということは、おのずから政府側の各年度における選択で推進をしてまいるべき筋合いのものと考えております。したがいまして、今後エネルギー調査会答申に基づきまして、それぞれ具体的な計画を具体的に取り上げてまいりますそのつど、政府の意思統一、閣議決定という方式をとっていくことが実際的ではなかろうかということで今日まできておる次第でございます。
  116. 橋口隆

    橋口委員 政務次官にお尋ねしたいと思いますけれども、エネルギー総合政策ということは、もうこの数年来たびたび取り上げられている問題でございまして、日本経済の一番大事な問題ではなかろうかと考えております。これに対していろいろそういう調査会あるいはその他の会合では非常に論議をされながら、政府側はそれについて意思決定をしないということは、これは非常に重大な問題ではなかろうかと思います。そういう点で通産省としては、どうか今後のエネルギー総合政策方向というものを、なるべく早く、また何らかの方法でひとつ意思表示をしていただきたいと思いますが、いかがでございますか。
  117. 宇野宗佑

    ○宇野政府委員 いま申されました御意見、当然だと思いますので、できるだけすみやかな機会に、具体策をもちましてそういう形をとっていきたいと思っております。
  118. 橋口隆

    橋口委員 石油開発公団が、エネルギー政策の一環としてこれから登場するわけでございますが、先ほど他の委員からも質問がございましたけれども、この公団が、具体的に昭和六十年を目標として総所要原料油の三〇%を海外の開発原油に求める、こういう目標で進むわけでございますが、そのためには、やはり具体的な年次計画というものがどうしても必要ではなかろうかと思います。それで現実にはどういうふうに処理されていかれるか。たとえば六十年度を目標とする場合、四十五年度に一つのめどを置いておられる。そうすると、四十五年度まで、ことしから来年、再来年と、この四十五年度を目標とする場合に、具体的な年次計画があって、それに対してどういうような手を打っていく、たとえば資金量はどういうふうにする、あるいは探鉱計画はどうする、そういうような計画は当然できてこなければならないと思うのでございますが、そういう計画はもうすでに策定されておりますでしょうか。
  119. 両角良彦

    両角政府委員 現在の段階におきましては、現在着手しておりますプロジェクト並びに四十二年度において新たに取り上げます計画を含めまして、九地点の探鉱につきましては、昭和四十二年度から四十六年度におきます所要資金計画並びにその探鉱計画の内訳を含めまして、それぞれ計画の設定を一応終わっている次第でございます。
  120. 橋口隆

    橋口委員 その計画は何カ年計画になっておりますか。
  121. 両角良彦

    両角政府委員 これは何カ年計画という性質の計画とはちょっと異なっておりますが、一応現段階におきましては、資金計画は四十二年度から四十六年度まで、また探鉱計画は四十四年度までの計画を作成済みでございます。
  122. 橋口隆

    橋口委員 ぜひその計画に従って進めていただきたいと思います。  政務次官に私特に要望しておきたいのでございますが、先ほども他の同僚委員から御発言があったかと思いますけれども、道路計画、港湾計画あるいは防衛計画等につきましては、五カ年計画というものが編成をされ、そして長期にわたる予算が見込まれておるようでございます。ところが通産省の施策につきましては、そういうような長期計画というものの具体的な策定があまり試みられていないようでございます。そういう意味で、私はこれからのエネルギー政策はもとよりのこと、特に石油開発の問題を起点として、ほかの、たとえば中小企業対策等にしてもそうだと思いますけれども、政府がどれだけの金をつぎ込むのだというくらいの目標は当然立てるべきであり、また日本経済の発展の五カ年計画などもできているわけでございますから、そういう点で通商産業政策というものにはもっと計画性が必要だろうと思うのでございますが、その点いかがお考えになりますか。
  123. 宇野宗佑

    ○宇野政府委員 通産政策全般につきましての計画性が乏しいということは、私も痛感している一人でございます。したがいまして、特に石油等の問題は、国民生活上もゆるがせにできない問題であって、もう現にエネルギー調査会答申に基づきましても、昭和六十年には、現今使用している石油の量の三倍ないし四倍ということがはっきりいたしているわけでございますから、これらに関しましては、今後探鉱開発の面におきまして、なお一そうの計画性を持たせていくということが必要だと存じます。その他の計画に関しましても、やはり計画を持たすことによってまず予算を確保し、財源を確保するという積極的な態度が必要ではないかと存ぜられますので、お説のとおり、今後さような方向に基づきまして十二分に努力をいたしたいと存じます。
  124. 橋口隆

    橋口委員 次に、法案内容について一、二お伺い申し上げます。  第一は、この法案の第十九条一項一号の資金の貸し付けでございますが、この資金の貸し付けというのは、特殊の形態のものと聞いておりますが、その条件等を具体的に御説明をいただきたいと思います。
  125. 両角良彦

    両角政府委員 ここの十九条で述べておりまする融資は、その性格上、通常の融資とは異なりまして、出資形態によりまする探鉱資金供給ではその目的が達しがたい場合に、融資形態による探鉱資金供給考えなければならないかもしれないという事態を想定をいたしまして、かかる表現を用いた次第でございます。したがいまして、昭和四十二年度につきましては、現在さような資金の手当てはいたしておらないのでございますが、今後探鉱事業の進展に伴いまして、開発もしくは探鉱主体からいろいろな具体的な要望も出てまいるかと思いますので、かような段階におきまして本件融資の肉づけ、具体化ということをはかってまいりたいと思います。ただ、一つの参考といたしましては、西独政府の行なっておりまする海外石油探鉱特別融資制度というものがございますが、かようなものも参考といたしまして、今回の融資の具体化を検討したいと思います。
  126. 橋口隆

    橋口委員 次にこの第十九条の第二号でございますが、「海外における石油の探鉱及び採取に必要な資金に係る債務の保証を行なうこと。」こういう規定がございますね。この債務保証について伺いたいのでございますが、現在原油開発の段階に入っているアラビア石油、北スマトラ石油開発というものは、その開発資金を輸銀から七割、市中から三割融資を受けているわけでございますが、両者とも国内にほとんど担保となるものはない。これは法律的にやむを得ないものと思われますけれども、そのために商社に保証をしてもらって、そしてやっとまかなっているというのが実情のように聞いております。そこで、この商社保証も現在限度にきている。そして商社側もそのために難色を示すようになってきたり、また保証料も相当な額にのぼっているように聞いておりますが、この間の事情について少しく実情を承りたいと存じます。
  127. 両角良彦

    両角政府委員 ただいま御指摘のございましたように、アラビアあるいは北スマトラ石油等は、その開発資金の調達にあたりまして、日本輸出入銀行から相当な金額の借り入れを行なっております。たとえばアラビア石油におきましては現在二百十二億円の借り入れ残高、北スマトラ石油は四十億というふうに承知をいたしておりますが、これらの資金の調達にあたりまして、かかる開発事業はその資産を海外に置いておる性格上、担保力が不足をいたすということは御指摘のとおりでございます。したがいまして、その不足を補いまするために、商社等の対人保証に依存をいたしておるということもまた御指摘のとおりでございます。アラビラ石油の場合は、ただいまの二百十二億円がすべて商社の保証残高になっております。北スマトラ石油の場合は、金利該当分のみが商社の保証を受けております。約二億円程度ではなかろうかと思っております。そういう実情でございます。
  128. 橋口隆

    橋口委員 今回石油開発事業団が債務保証業務を行なうことになるわけでございますが、いままで商社が行なってきている債務保証を、商社保証というそういうびほう策によらないで、市中融資分だけでなくて輸出入銀行等政府関係機関による融資分についても、この公団が行なえるような仕組みにしてもらうべきではないかと思うのでございますが、その点についてはどういうふうにお考えになりますか。
  129. 両角良彦

    両角政府委員 今後海外開発が進展をいたしますに伴いまして、一そう資金需要も増大をしてまいる、それに対する担保力が国内においては不足をいたすという事態が想定されまするので、これまでのような商社保証といったようないわばこそくな手段ではなく、公団によりまする政府の信用力を背景にしました保証というものを、積極的に活用をしていく必要があろうかと思っております。かような意味での保証業務につきましては、法令上はすべての金融機関からの借り入れについて保証がなされ得るというたてまえになっておるわけでございます。ただ、実際問題といたしまして、ただいまお話の出ました輸銀からの借り入れについて公団の保証ということが可能であるかどうかという点につきましては、技術的な問題も残っておりまするので、それが可能なような方向を目ざしまして、なお十分検討を加えてまいりたいと考えております。
  130. 橋口隆

    橋口委員 ただいまの問題でございますが、輸出入銀行に対して保証をするという点について多少技術的な問題が残っているということでございますが、それはどういう点でございますか。
  131. 両角良彦

    両角政府委員 一つの議論といたしまして、政府金融機関からの借り入れについて、政府の公的な機関であるものが保証をするというところの問題でございます。
  132. 橋口隆

    橋口委員 そうすると、他の政府金融機関に対してこういう公団が保証をするということは、いままでに例はございませんですか。それともそれは法的には許される問題でございますか。
  133. 両角良彦

    両角政府委員 保証という形態におきましては前例がないと私は考えまするが、法律的に可能かどうかという御質問につきましては、法律的には可能であるということであろうかと思います。
  134. 橋口隆

    橋口委員 私は、この商社保証という、担保力を持たないそういう保証形態というのは、今後の石油開発について非常に支障を来たすだろうと思うのでございます。それならば、法律的に問題がないとするならば、この公団が輸銀等の債務に対して保証するということは、もう当然政府が踏み切っていい問題だと考えます。その点について御見解を……。
  135. 両角良彦

    両角政府委員 御指摘のように、必要性から見ますると、十分正当な理由があると私どもも考えておりますし、また石炭合理化事業団等の行ないまする債務保証につきまして、ただいまお話が出ておりまする形態にやや近い前例等もあるようでございますので、これらの点を参照しながら本件の具体的な解決をはかりたいと考えております。
  136. 橋口隆

    橋口委員 以上をもって私の質問を終わります。
  137. 島村一郎

  138. 小笠公韶

    ○小笠委員 私は一言希望だけ申し上げるので、答弁はよろしいです。  現在の日本石油業界ではいろいろ問題があると思うのでありますが、それらの問題の多くにつきましては、すでに同僚委員が触れられておりますが、まだ触れておらない点について一言申し上げておきたいと思うのは、日本におきまして、いわゆる石油の問題ではまず第一に量の問題が一番基本的であると考える。いわゆる安定的供給の道をいかに確保するか、こういう問題が第一であることは申し上げるまでもないのであります。それからさらに、それが備蓄問題にもつながることは当然であります。備蓄問題にもつながるということは、石油業法に関連する問題でもある、こういうふうに考えます。私が特に申し上げたいのは、量と質との問題、現在、日本の社会においてやかましく叫ばれておる公害問題、公害問題の尤たるものはいわゆる石油コンビナート、その他石油中心として起こる公害にあるわけであります。それは大気汚染の最も尤たるものでありますが、そこで私は、今後の石油政策考えるのにあたって、ローサルファの石油をいかに確保していくか、ここに問題があると思うのであります。一例をとりますと、アラビアのカフジ石油につきましては、一二%近くのサルファが含まれておる。所によりましては一・五あるいは一コンマ以下のサルファがある。しかも、世界的に見まするときに、ローサルファの賦存度というものは非常に少ないのであります。最近公害問題がやかましくなってまいりまして、たとえば重油あるいは原油からの脱硫の問題が大きく取り上げられてきておる。大型プロジェクトとして研究テーマにもなっておる。だがこの問題は、世界でまだ解決を見ていない。しかも採算的な点から見てなかなか問題がある、こういうことであります。したがいまして、今後の日本石油政策考えるにあたりまして、いわゆる公害問題との関連において、いかなる質の石油原油確保するかという問題が基本的に大事だと私は思うのであります。こういう意味におきまして、この開発公団ができますれば、一つの目的は取得先を分散し、同時にそれによって安定供給の道を開かんとするのでありますが、その際に特に考慮してほしいのは、いま申し上げましたようなローサルファの問題、これをいかに安定した取得ができるようにするか、こういう問題がともすれば忘れられがちであります。量さえあればいいという考え方、その時代はすでに過ぎておる。ここに質的な油の選択という問題を十分に頭に置いて考えなければ、日本の公害問題の解決にほど遠くなるおそれがある。こういう意味から、本公団の運営にあたりましては、その質的な問題に対して十分なる配慮をぜひしていただきたい、これが私のお願いであります。多くの人々がまだ触れておりませんが、私は日本の公害問題という点から見ますと、最も重要な問題の一つはここにある、こういうふうに考えますので、石油問題を議論するにあたりまして、役所側の考慮をぜひとも促しておきたい、これだけであります。  どうぞよろしくお願いいたします。      ————◇—————
  139. 島村一郎

    島村委員長 次に、内閣提出、貿易大学校法案を議題として、審査を進めます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。中谷鉄也君。
  140. 中谷鉄也

    ○中谷委員 貿易大学校法案についてお尋ねをいたしますが、一番最初にお尋ねをいたしたいことは、貿易大学校というのは、学校教育法にいう大学ではない。そうすると、現在この貿易大学校と同じような性格を持ったいわゆる大学校というようなものが一体存在するのかどうか、この辺からひとつお聞きをいたしたいと思います。
  141. 山崎隆造

    ○山崎政府委員 現在水産大学校、自治大学校、特に政府機関が直接設けておりますもので、部内の研修を主としたもの、及び民間からも直接とります航空大学校とか水産大学校とか、こういう大学校の種類は十くらいあります。
  142. 中谷鉄也

    ○中谷委員 お尋ねをいたしますが、そうすると水産大学校ほか十ばかりある大学校というのは、貿易大学校法案と同じような単独法に基づく大学校でございますか。
  143. 山崎隆造

    ○山崎政府委員 これは防衛大学校、税務大学校、自治大学校、海上保安大学校、気象大学校その他ございますが、すべて設置法によって行なわれております。ただ一つ職業訓練大学校が、雇用促進事業団の付属機関といたしまして、雇用促身事業団法に基づいてつくられております。
  144. 中谷鉄也

    ○中谷委員 もう一度私のほうでも確認をいたしておきますけれども、気象大学校であるとか、海技大学校であるとか、政府委員のほうから例示をせられましたようなものは、全部設置法に基づくところのものである、ただ一つ職業訓練大学校というものがある、ただ、これも事業団一つの付属機関としてそのようなものがあるということを推し進めてまいりますと、いま審議されている貿易大学校というのは、いまだかつてない形式のもの、形態のものということになると思いますが、いかがでございましょうか。
  145. 山崎隆造

    ○山崎政府委員 設立の法根拠その他におきまして、確かに貿易大学校というものは、ただいま御審議願っている特別法で行ないますので、従来にない例であると考えております。
  146. 中谷鉄也

    ○中谷委員 まさにいまだかつて例を見ないものということになってまいりますると、このような単独法を御提案になりました通産省の勇気をほめるべきか、それとも非常に珍奇なものということにこれは相なるのか、非常に問題があろうかと思うのですけれども、大学校という名前を特にお使いになっている。これは学校教育法にいう大学などとの関係において混乱を生ずるおそれがあると思う。こういう点については文部省などとどういうようなお話し合いをされましたか。この点についてはいかがでございましょうか。
  147. 山崎隆造

    ○山崎政府委員 いわゆる学校教育法関係の大学校ではございませんで、文部省ともいろいろ話しましたところ、もちろん大学という名称は、御承知の学校教育法で特定されておりますので、これは困る、それからたとえば大学院という名称はどうかというときには、これはできるだけ使わないでほしいという希望がありましたので、あるいは研修所とか、いろいろ名称が用いられると思いますが、この設立の当初からいわゆる貿易大学ということで各方面に説いておりました関係上、いろいろ考えた末、やはり貿易大学校という名称のほうが、いままでのいきさつからいいまして、そのほうがぴたりとするということからその名称を選びまして、これは文部省とも十分話し合いました結果、貿易大学校という名称について文部省としては何ら支障がないということで、ここに落ちついたわけでございます。
  148. 中谷鉄也

    ○中谷委員 学校教育法において、大学ということばは、学校教育法にいう大学以外のものについてそのような名称を用いてはならないということが法によって明定されております。したがって、各種学校、たとえば栄養大学校であるとか俳優大学校であるとか、そういうふうな名前をことさらに僭称するということはあり得るわけです。この点については、学校教育法によって、法違反にはならない。取り締まる方法はないということがある。ただ文部省の考え方としては、これは当然のことだろうと思いますけれども、みだりに大学校などという名前は使うべきではないのだという考え方があるだろうと私は思う。そういうふうな中で、大学でもないものについてあえてこのような名称をお使いになったわけとして、従来のいきさつからそのような名前になったのだということだけれども、そういうことでありますならば、たとえば貿易大学校というのは、政府のいわゆる各省の付属機関としてある防衛大学であるとか気象大学であるとか海技大学というようなものと同じような性格のものでなければならないと思う。ところが、特に貿易大学校というのは何かそういうものと相異なるわけです。法律的な性格においても異なりますし、内容においても異なる。にもかかわらず、そのような大学校という名前を使わなければならなかったというわけ、従来のいきさつということについて、最初そういうふうなことにはまり込んでしまっても、その名前が適当でないというのならば改むべきであろうと私は思うけれども、この点についてはいかがでありましょうか。
  149. 山崎隆造

    ○山崎政府委員 いきさつ上そうなりました経過はただいま申し上げたところでございます。それから、これを設立いたしますにあたりましては、民間その他から半額の金を集めますので、民間等の御意見もいろいろ伺いましたところが、研修所あるいはその他の名称というのは日本人の感触ではどうもあまり好ましくない。やはり何か大学といえば——大学院が一番いいというような感触もございましたわけでして、そういたしまして大学校という名称に落ちつきましたところ、これは御指摘のとおり、大学校は各省の設置法でつくると申し上げて差しつかえございませんが、先ほど先生の御指摘のとおり、まさにわれわれとしましては初めてなもので非常に勇気が要るとおっしゃいましたが、そういう意味で初めての試みであるので、法的に何ら制限がない、文部省の行政上も支障はないということでありますと、やはり皆さんお好みの大学校がよかろうというところにどうしても落ちつくわけでして、これが法的に支障がございますればもちろん避けたわけでございますが、設置法によるもの以外は大学校と称してはいかぬという規定もございませんので、そういうところに落ちついたわけでございます。
  150. 中谷鉄也

    ○中谷委員 法律に違反しておる名前政府提出法案の中で出してくるなんということはあり得ないことなんです。しかし、たとえばこの法案についてずいぶん御苦労なさった森田課長が「貿易政策」の一月号の中に「貿易大学校はどうして必要か」というレポートをお書きになっておることは局長さんも御存じだと思いますが、その中でこうなっております。「「貿易大学校」という名称は現在仮にそう呼んでいるわけであるが、必ずしも名は体を表わしていないのである。現在、私どもより相応しい名称はないかと検討中であるが、読者の皆様のうちで何かよい案がありましたら、ぜひお知らせいただきたいと思う次第である。」こういうふうに相なっているわけです。そこで、最初きわめて何げなしに、あるいはもっと端的に言えば軽率に貿易大学校という名前をつけた。そうすると、業界の人たちもそれがよかろう——私は、これは業界の権威主義というか事大主義というようなものと関係があると思うけれども、大学院ならいいだろうというような案も出てきたというふうな中でいつの間にか、名は体をあらわさないにもかかわらず、貿易大学校ということで引っ込みがつかなくなった。名は体をあらわさないものがこうして法案のかっこうで出てきているということについて、これはその経過から、そういうことは政府委員としても認めざるを得ないのじゃないかというふうに思いますが、いかがでしょうか。
  151. 山崎隆造

    ○山崎政府委員 確かに森田政策課長がかつて、この名が体をあらわさないということを当時ちょっと書いたかと思いますが、これは十分詰めた意味ではございませんで、大学校というものはしからば何であるか、中身は何でなければならぬかというと、これはなかなかはっきりしておりませんが、要するに、学校教育法による場合は大学であり、その他の大学に相当するものあるいはそれ以上のものは、設置法でつくりますとか、あるいは何らかその他の方法でつくりますときには大学校といいまして、これは何も大学と同程度というわけではございませんが、特にこの貿易大学校のほうは大学卒のあと民間の実務三、四年の経験を経た者ということで、実態的にはいわゆる大学院に相当する、あるいはそれ以上高度なものという考えから、貿易大学校というのはやや格落ちの名前ではないかという意味で、名は体をあらわさないという印象を政策課長が持ったのだろう、こう考えております。
  152. 中谷鉄也

    ○中谷委員 では、名前のところだけで論議することはやめます。ただしかし、非常に珍奇な感じがするということは申し上げておきたいと思うのです。  そこで、法的な性格でございますけれども、いわゆる特殊法人でございますから、学校教育法にいうものではないことはもちろん、いわゆる財団法人でもない。法の二十条によって、通産大臣は報告とか検査をさせることができる、あるいは二十一条によって監督命令等を発することができる、こういうことに相なっておる。同時に、先ほど政府委員の御答弁の中に、大学院にふさわしいものだというふうなおことばもありましたけれども、そうすると、学校教育法の適用を受けるものではないけれども、教育基本法の精神というものはこの研究センターの中においては尊重さるべきものだというふうにお伺いすべきだと思いますが、その点はそのように確認してよろしいでしょうか。
  153. 山崎隆造

    ○山崎政府委員 まさに御指摘のとおり、教育基本法の中に入っておるというように思います。
  154. 中谷鉄也

    ○中谷委員 そこで、問題点がかなり多いと思いますので、次のようなことをお尋ねいたしたいと思うのです。たとえば私立学校関係法律に基づく私立大学というふうなものについては、その私立学校設立の趣旨に基づいて自由な教育ができると思う。そこで教育基本法の条文をお開きいただいておりますけれども、第五条の中には男女共学という規定がございますね。そこで、この貿易大学校が特殊法人という性格を持っている、しかも政府の監督を受ける、そのような性格を持っているということから、男女共学ということについては、男女共学でなければならないという義務づけを受けることに相なると思いますが、その点はいかがでございましょうか。
  155. 山崎隆造

    ○山崎政府委員 まだ大学校の具体的な詳細は決定いたしておりませんが、現在設計その他の準備を始めておりますので、その際にやはり男女共学にすべきかどうか、設備が相当違いますので、その点もなお検討中でございますが、現在のところ女子は拒否する、そういうことはございません。ただ各銀行、会社その他から将来の中堅になる人あるいはトップクラスになる人を推薦して出してまいりますので、大体男子が大多数であろうというふうにわれわれは了解して、その準備は進めております。
  156. 中谷鉄也

    ○中谷委員 かりに政府から出す金が、こういう貿易大学校法というかっこうに基づいて出すのではなしに、財団法人貿易大学校というものを設立をいたしまして、そうして政府がその助成金を出す、交付金を出すというものであるなら、私は男女共学でなくても許されると思うのです。ところが、わざわざ貿易大学校法案なるものをおつくりになって、いま局長御答弁になったように、教育基本法の精神を尊重するんだということも確言せられた。実際に上級職試験を合格した人が通産省に採用願いを出して、女子職員が採用されるかされないかは別として、形式的な門戸は開放されるということに相なっている。そういたしますと、学校というのは入れものがなければいかぬわけですね。八億を出してとにかく学校を建てる。全寮制ということに相なっている。そうすると、特殊法人という規定づけをされたことによって、そういう性格を付与しておることによって、男女共学でなければならないということが義務づけられているとするならば、とにかく全寮制の中において女子学生の宿舎などというものを準備しておかなければいかぬ。そういうものの準備がなしに女の人も受けてくださいよというわけにはいかないだろうと思う。だから、そういうふうなことについて非常に困難性がわかる。特殊法人ということにしたために設計の上で女子の宿舎もつくりますというのでなければ、これは教育基本法違反のものになるじゃないかという論理が当然成り立ってくる。そういうことを申し上げていじめるわけではないけれども、だから何も特殊法人というふうないまだかつてないものをつくる必要はなかったと思う。そういうものをつくってくると教育基本法の五条との関係の問題が出てくる。もう一度お尋ねしますけれども、教育基本法五条を守るんだということになってくると、女子の宿舎もつくらなければいけませんが、設計上そういうものをおつくりになるのでしょうか、いかがでしょうか。
  157. 山崎隆造

    ○山崎政府委員 これは答弁になるかどうかわかりませんが、実は私ども最初は、もう少し進歩したと申しますか、もっと進んだことを考えておりまして、もし結婚しておりました場合には夫婦ともども入る。これは海外で活動する場合には主人公だけではだめで、やはり奥さまの教育が大事である。各国の例におきましても、やはり夫婦とも入るような例が非常に多くて、たとえばアメリカのアリゾナ州フェニックスにあります貿易大学校におきましては託児所まで設けてありますので、最初はそういうことも考えた次第で、女子の寄宿舎のみならず、夫婦生活ができるというようなことまで考えた次第ですが、これは少し金がかかり過ぎるというので、一応入りますときには一人の場合は男だけ、夫婦連れでなくていきましょうというところまで決定した次第でございまして、女子の寄宿舎その他についても、現在まだはっきりきまっておりませんが、十分考慮していく予定にしております。
  158. 中谷鉄也

    ○中谷委員 いただきました資料によりまして、アメリカの貿易大学校については女子というのは非常に数が少ない。全体の三十分の一程度だ、そしてそのアメリカの貿易大学校のほうにおいても特に歓迎してないという趣旨の資料があるわけなんです。ところが、もう一度お尋ねいたしますけれども、もし貿易大学校法案なるものをつくっても、これは教育基本法に義務づけられる、そうすると男女共学でなければならぬ、女子のための宿舎というものを設けて、女子の学生が入ってくる入れものをつくらなければいかぬということになりますけれども、入れものをつくらないのだ、そんなことについては検討中だということになれば、最初からこれは教育基本法違反のもの、あるいは政府機関としてはなはだおもしろくないもの——防衛大学に女子学生を入れようというようなことは、これは法の目的からいって、別に女子を入れなくてもいいということは言えるでしょう。貿易大学校については、特殊法人としたおかげで、法律的にはそうなるということをわれわれ議員のほうも質問せざるを得ない。この点についてはいかがでしょうか。
  159. 山崎隆造

    ○山崎政府委員 男女共学につきましては、結局特殊法人にしたがためにそういう問題が起きたのではないかという先生の御指摘かもしれませんが、実は別の面におきまして、政府の助成監督、特に金を出します場合、先生十分御承知と思いますが、公の支配に属さなければならぬということで、一般の財団法人ではどうしてもできませんものですから、やはり特別な法人が必要になったという次第でございまして、そのためにこういう状態になったという御指摘ですが、私は必ずしも女子が入るのはまずいのだと頭からそう考えてはおりませんものですから、ややその点先生と感触が違うように感じております。
  160. 中谷鉄也

    ○中谷委員 それで非常にけっこうなんです。そうすると、設計なんかの面で私は非常にめんどうくさい問題が出てくると思います。ここに設計などの面から——入る人がいるかいないかわかりませんよ。にもかかわらず、特殊法人という法の性格上、女子寮もつくる。つくらなければ教育基本法違反の問題が出てくるというふうなものをおつくりになるということに相なるわけですが、全寮制ですから、観念的にとにかく女子学生の入学は拒みませんというだけではいけないと思う。本来この大学校については女子寮をつくっておかなければいかぬという問題が特殊法人にしたことによって出てくると思うのですが、そうすると設計の上で、五部屋にしろ六部屋にしろ、とにかくつくりますということになるのですか。私がそういうことを申し上げるのは、特殊法人ということで貿易大学校をおつくりになったということについて、あまり感心しないから、こういう問題が出てきますよということを指摘しているのですが。
  161. 山崎隆造

    ○山崎政府委員 まだ寄宿舎は設計が十分できておりませんが、大体現在の二流ホテルクラスの設備であるということになっております。各むねが——相当むねを分けてつくりまして、その中には講師の泊まるところ、先生の夫婦の泊まるところとか、各種いろいろつくりますので、これが非常な障害になるとは私は思っておりませんし、女子が十分泊まれる設計のものも考えております。
  162. 中谷鉄也

    ○中谷委員 別の点についてお尋ねをいたします。なお、この点については、あるいはまた別の委員のほうからお尋ねがあるかもしれません。教育基本法五条の違反になるじゃないかという私の立論がはたして正しいのかどうか、この点についてさらに政府委員のほうから何か御答弁があると私は思った。何か違反を頭から認められてのお答えですが、私は政府委員の立場からすると、五条についての解釈としてもあり得ると思いますよ。ひとつこの点についてはさらに御検討をいただきたいと思います。  次に、教育基本法というものの関係でお尋ねをいたしたいと思います。教育基本法の中には、教育の機会均等ということがうたわれております。そこで、そもそも大学を卒業して四、五年ぐらいの人、要するにこの法案が期待をいたしております「貿易を主とする国際的な経済活動に係る業務に従事する者」という人たちは、大体どのぐらい日本におりますか、この点いかがでしょう。
  163. 山崎隆造

    ○山崎政府委員 これは学歴その他についての調査がございませんので、貿易動態統計その他に、従業員その他出ておりますが、学歴別にはちょっとわかりかねます。それともう一つは、貿易を主とする国際的な経済活動というものが貿易商社、銀行、メーカー、各広範にわたっておりますので、実際これに従事しておる中で大学卒業後三、四年というのは数字的には現在把握しておりませんが、なお調査いたしたいと思います。
  164. 中谷鉄也

    ○中谷委員 なぜいまのような質問を私のほうからいたしたかということは、これはもうはっきりしていると思うのです。要するに、百二十人程度の研修生というものを一年の研修期間で採用するというようなことになってくると、これは単なる大企業のエリートだけが採用されて、中小企業の貿易業務に従事している人などというのは、落ちこぼれになるのじゃないかという問題が出てくると私は思う。そこで、一体対象になる人数は幾らですかということをお尋ねしたわけです。昨日たまたま通商白書をいただきましたけれども、通商白書に書いてあることですが、お尋ねをいたします。そうすると、「貿易を主とする国際的な経済活動に係る業務に従事する者」というのは、局長、一体どのくらい日本にいるのか。たとえば商社、メーカー、政府機関、いろいろなものをおあげになりました。大学卒業四、五年ということについての統計がむずかしいとおっしゃるから、いまの御答弁ではかっこうがつきませんから、一体全部でどのくらいいるのかということをお答えをいただきたい。
  165. 山崎隆造

    ○山崎政府委員 これは現在のところ数字はわかりませんが、少なくとも相当多数であるということだけお答えします。
  166. 中谷鉄也

    ○中谷委員 非常にいい答弁だと思うのです。相当多数だと思うのです。しかし、これは資料を調べたらすぐわかることですから、同じことの繰り返しになってはいけませんので、質問を続けます。  そこで、私がお尋ねをしたいことは次のようなことです。これは大臣にお答えをいただきたいと思いますが、中小貿易業者、こういうところの人たちがこの貿易大学校からはじき出されるのではないかという疑問があります。この点については、たとえば授業料の三十万が高いというふうな問題はそれほど大きな問題ではないということは私はわかる。ところが、大学を出て四、五年ぐらいの、かなり仕事に間に合うというふうな商社マンがとにかく一年間貿易大学校のほうに研修に行くということの、小さい商社の負担というか、その点が私は非常に大きいのではないか、こういうことから、中小商社はこの貿易大学校に対して社員を研修に出向させるということをおのずから敬遠するのではないかということが一点。  いま一つは、いわゆる入学試験といいますか、採用試験といいますか、入所試験といいますか、その入所試験の段階の中で画一的な学力試験をやった場合に、中小商社の方が画一的な入所試験というものからはじき出される可能性があるのではないか、こういうふうな問題について、それに対する対策をどうするか。要するに、大きな商社だけのためのものであるならば、屋上屋を重ねる、われわれ関西のことばで言えば、高いところに土持ちをするのではないかという不安を持ちます。この点に対する大臣の答弁を求めます。
  167. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 この内容をちょっと見ますと、何だか大商社だけを相手にしているようにお考えになるかもしれませんが、一応大学卒業者でということにはしておりますけれども、大学を卒業しないでも大学卒業以上の能力を持っている人がたくさんおりますから、したがいまして、優秀な人で、中小貿易業者の中で、こういうところへ入れてもっとみがきをかけてやりたいという社員が相当おると私は思うのです。そういう人は喜んで入れてやりたいと考えておりますから、大商社の人ばかりを相手にしているというふうにお考えにならないほうがいいと思う。むしろ中小企業者で優秀な者はどんどん入ってもらいたい、みがきをかける意味で入ってもらいたい、こう存じております。なお、一年もおっちゃ自分のところの商売に影響するというような人もあるかと思いますから、そこでBコース、Cコース、Dコースというような制度を設けておりますから、そこで半年で研修するとか、あるいは三月で研修するとかいうような方法をとってやりたい、こういうふうに思っております。したがって、この貿易大学校というものが大商社だけを目当てにしているものでは決してないということだけはっきり申し上げておきたいと思います。
  168. 中谷鉄也

    ○中谷委員 本科百二十人程度を予定しておられるわけです。そこで、この言い回しはかなり私も注意して言わなければいけないと思いますけれども、優秀な中小商社の人を拒むものではない、あたりまえのことだと思うのです。ただ実際に、仕事の時間あるいは勤務の激しさなどからいって、中小商社のほうが大企業の商社の社員のように勉強する時間がないというふうな中で、試験をまともに受けた場合には、どうも大企業の商社の方のほうが受かりそうだというような場合に、試験の中で、たとえば中小商社については、百二十人のうち何人ぐらいまで中小商社で占めるのだというところまで踏み切らなければ、私は問題が出てくると思うのですが、まずお尋ねいたします。本科百二十人というのは大体どのような割り振りになるのですか。政府機関、ジェトロからも行くというふうな話を聞いている。メーカーからも行くと聞いている。商社からも入所すると聞いている。商社の中の大と中と小というのはどんな割合になるのか。また私がいま指摘したような百二十人のうち何人ぐらいまでは中小商社の人で確保するのだという明確な御答弁がなければ、どうもこの法案はしょっぱなから、大臣がおいでになるまでに大学校というのはおかしいというので問題を提起したように、私のほうではこの法案について疑問が続出してくるということをいわざるを得ないのですが、この点についてお答えいただきたい。
  169. 山崎隆造

    ○山崎政府委員 それでは事務的な面からお答えいたします。これを実際やりますときに、各方面にいろいろアンケートその他をとって、世論と申しますか、一般の関心あるいは希望その他も十分とったわけでございますが、そういたしますと、大体七割の大、中の企業から、本科コースと申しますかAコースの百二十人の中に進みたいという希望があります。それから中小と申しますか、やや小さいクラスの業界に対するアンケートでは、一年の間進ませることは非常に困難である、したがいまして、もっと短い期間でやるものを設けてほしいという希望が非常に強いわけであります。したがいまして、Aコースとしましては百二十名、これは御指摘のとおり、一年間将来の幹部を派遣し得る余裕のある会社にとどまるかと思いますが、そのかわりBコースと申しまして、アンケートをとりましたところ、三カ月ないし六カ月ぐらいなら派遣し得る、これは金の問題ではなくて時間的な意味で派遣し得るという回答が非常に多かったものですから、そういう六カ月以内の別のコース設ける、これも約百名程度を入れるという計画を立てております。
  170. 中谷鉄也

    ○中谷委員 いずれにいたしましても、通商白書の中にも明らかなように、たとえば通商白書七四五ページには、売り上げ高の構成というふうなものが出ておりますけれども、そのことをお尋ねするわけではないのですが、中小商社が非常に多い。だから局長の御答弁は非常にまともであるし、ストレートに御答弁になるのですけれども、そうすると本来本科コースというものについては、中小商社の人たちは、機会はあるけれどもそれに応じられない、やむを得ずして機会を放棄せざるを得ないようなアンケートの結果だというふうに私はお伺いせざるを得ない。ますます疑問が出てきたわけなんです。したがいまして、この点はすでに問題点としてつとに指摘されておるわけですけれども、たとえば、もっと論理的にお尋ねをするとすれば、企業規模別であるとか、あるいは業種別であるとか、そういうあらゆる点からの公平を期する方法というものが講ぜられているということについての明確な御答弁がなければ、私はなかなかこの法案については問題点が多過ぎると思うのです。そうすると、いま必ずしも、助成あるいは援助その他の優遇措置等を講ずる中で、業種別あるいはまた規模別の公平を失しないような措置ということについては、明確な御方針がないというふうにお伺いをせざるを得ないと思いますが、いかがでしょうか。
  171. 山崎隆造

    ○山崎政府委員 この百二十人をどういう構成で入れるかということにつきましては、確かに現在のところ決定いたしておりませんが、またこれは逆に、決定すべきではない。と申しますのは、これは元来希望する者を入れるということでございますので、希望に合った状態でなるべく多数を受け入れるということでわれわれ計画いたしたわけでございます。その関係でAコースないしBコースというふうな希望が現実にございますので、そういうかっこうをとりましたわけで、Aコース百二十人の内訳をあらかじめきめるという考えはございませんが、ただ元来が商社、メーカー、銀行等、民間の出身者を優先して入れるという考えになっておりますので、官庁その他から行くのは非常に数少ない結果になるだろうとは考えております。
  172. 中谷鉄也

    ○中谷委員 もう一度この機会に、教育基本法については別な委員から論議していただきたいと思いますが、第三条の「(教育の機会均等)」というのは、ただ単にその人が希望した場合にその人の希望がむげに拒否されないということだけにとどまらずに、そういうふうな実質的な機会が与えられねばならないという社会的な権利にまで高められねばならないという一つ考え方もあると私は思うのです。とにかく希望した者についてはそれを拒否しませんよということであれば、こういうものの言い方は恐縮ですけれども、十八世紀のものの考え方だといわれておるわけでございますね。ですからもう一度この点については、教育の機会均等という問題で、実際問題として中小商社の幹部、若手職員に、どのようにこの貿易大学校というものについて期待にこたえられるかという明確な御方針がなければ、われわれとしてもどうも疑義が続出をしてくるということだけを申し上げて、次の質問に移りたいと思います。  別科という問題、Bコースという問題が出たのですけれども、もう一度お尋ねいたします。お考えになっている貿易大学校のコースとしてはどんなコースがあるのですか。
  173. 山崎隆造

    ○山崎政府委員 Aコースと申しますのは、一年間語学、地域学、それから国際経済交流に関するケーススタディをやりますものと、それからBコースと申しますのは、約百人を六カ月の間、語学と貿易実務の教育を行なうというものでございます。さらにCコースというのは、語学を六カ月間にわたりまして教えます。Dコースと申しますのがございまして、これは企業の幹部職員の再教育と申しますか、セミナーと申しますか、約五十人程度を二週間くらいの期間教育いたしていくものであります。そういたしますと、年間にいたしますと大体延べ四百名程度ないし五百名程度の人に対する研修を与える予定にいたしております。
  174. 中谷鉄也

    ○中谷委員 貿易大学校の設立について昨年の九月二十七日に中山教授のほうから、「貿易大学本科の教科目編成に関する意見書」というものが出ておりますが、それはさておいて、最初貿易大学校の考え方の中に、高等学校を卒業した生徒さんについて都道府県知事の推薦のある人について二年ないし三年のいわゆる研修をするんだという構想がございました。この構想は現在どうなっているのですか。
  175. 山崎隆造

    ○山崎政府委員 その構想は現在も生きておりますが、貿易大学校の中心になる本科コースのただいま申し上げた場合がAコースでございますが、Aコースの問題につきましてまず重点を注ぎまして、別科コース、別科問題につきましてはなおその考えを持っておるわけでございますが、まず大学をつくりましてからなお検討を重ねていきたい、こういう考えでおります。その間とりあえずいわゆるBコースというものを、意外にこういった御希望が多いものですから、高校卒業以上ということでBコースをとりあえず同時に設置いたしまして、これをもって別科構想に変えたという意味じゃございませんが、現在の実情に合わしまして一応こういうコースを置くことにいたしまして、なお実情について考えていきたい、あるいは様子を見たい、こう考えておるわけです。
  176. 中谷鉄也

    ○中谷委員 別科コース、一学年百五人から百四十人、二年もしくは三年の期間、高校卒業者にして都道府県知事の推薦するもので学力テストを行なうというかっこうでという別科コースは、構想としてはお持ちになっておるけれども、現在どこかへ消えてしまっておるというふうなことと貿易大学校という名前が非常におかしく思えることとどこかで私はやはり結びつくと思うのです。要するに、大学を卒業して四、五年もたって実務の経験のある人ということでは、大学を出た者に大学校ということはおかしなものでありまして、特に中小商社の人たちのためにということで、あるいは中小商社のいわゆる将来の幹部職員の養成ということになってまいりますと、本科コースというのはむしろ、先ほどから何べんも同じことを申し上げますように、大きな商社のためにある制度ではなかろうかという感じがしてしょうがない。別科コースというのは、かりにこの法案ができたといたしまして、いつごろおつくりになる御予定なのか、この点いかがでしょうか。
  177. 山崎隆造

    ○山崎政府委員 現在この法案がかりに通りました場合におきまして、本科が四十三年度の十一月ごろ開校になるかと思います。その後別科を検討いたしてやりますといたしましても、なお一、二年のずれが出てくるかと存じます。なぜそういう考えになったかと申します点につきまして若干つけ加えますと、各地方におきまして、高等学校卒業後貿易実務に対する研修期間一、二年の機構というものの御希望が意外にございまして、神奈川県、大阪府その他にもございまして、これらの様子も十分私ども見ていきたいと思いまして、これに重複するようなことも必ずしも国としてはよくないという考えから、やや別科コースに対する関心度が変わってきたということは申し上げられます。
  178. 中谷鉄也

    ○中谷委員 そのあたりに私は、この大学校の性格と行くえが大きな商社だけのために働くのではないかという不安と疑問を持つわけなんですが、別の質問に移ります。  これは大臣にお尋ねいたしますけれども、昭和三十九年の九月に臨時行政調査会が「公社・公団等の改革に関する意見」というものを出しております。その中の第三編の中で「公庫、公団、公社、事業団その他の特殊法人等の改善について」という指摘がございますけれども、この貿易大学校というのは、できるかできないかは別として、臨時行政調査会が指摘しております。特殊法人にあたるものだ。——それは改善しなければならぬとかつくってはいかぬということとは別ですよ。特殊法人であることはまぎれもない事実だと考えますが、念のためこの点お答え願います。
  179. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 いわゆる公社、公団の特殊法人のカテゴリーには入らないと思います。たとえば商工会議所なども特殊法人ですが、ああいうものに相当すると思うので、いわゆる民法のいう公社、公団の特殊法人というカテゴリーには入らないと思います。
  180. 中谷鉄也

    ○中谷委員 大臣、臨調の意見は「公庫、公団事業団その他の特殊法人」となっております。だから私は、これは公庫ですよ、公団ですよという指摘はしてないわけです。「その他の特殊法人」の中には入るのじゃございませんか。
  181. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 いわゆる特殊法人ではなく、特別法による認可法人という意味です。
  182. 中谷鉄也

    ○中谷委員 この点ちょっと私思い違いをしているかわかりませんから、よく検討してみます。  ただこういうことについてお尋ねしたいと思います。要するに、貿易大学校というものは特殊法人だと私理解しているのですが、これは民法のいう財団法人ということでこのような目的を達することができないのかどうか。この点さっき政府委員の御答弁の中に、財団法人では都合が悪いと聞き得るようなことがありましたけれども、まず法的に財団法人としてこの種のものの設立ができないのかどうか。そういうことはないと思いますけれども、お答えいただきたいと思います。
  183. 山崎隆造

    ○山崎政府委員 私どもが理解いたしておるところでは、憲法によりまして、公の支配に属せざる場合は教育機関に政府が助成その他をしてはならないということになっておりますので、一般の民法上の財団法人によります学校をつくりました場合、それに対して国が助成することはできない、こう考えております。
  184. 中谷鉄也

    ○中谷委員 念のために……。私立学校ということであれば助成の対象になりますね。
  185. 山崎隆造

    ○山崎政府委員 これは学校教育法に基づいておりますものですから、その学校教育法あるいは私学振興法とかいう別途の法律でやりました場合は差しつかえないかと思います。
  186. 中谷鉄也

    ○中谷委員 ではこの機会に次のようなことをお尋ねしておきたいと思います。  貿易大学校というものをつくって、貿易に従事するいわゆる国際的な経済人というものを養成するんだということですが、現在貿易に従事している商社、メーカーなどは、どのような形で現在社員に対する研修というものを行なっておるのか、どこに不十分な点があるのかという点は、私は一つ問題になろうと思うのです。現在のメーカー、商社等の研修制度のあり方あるいは現在の研修の実情というようなことについてお答えをいただきたいと思います。
  187. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 大学の卒業生が商社で特別研修を受けておるという例は少ないと思います。あるいは修行のために一月お寺で共同生活するとかいうことはやっておりますけれども、要するに彼らは実務によって貿易のいろいろの知識を得ておると思うのでございます。そこで、この貿易大学校を特に設ける必要を痛感しておりますのは、私自身がいま大学の教授をしておりますからよく知っておりますが、語学の点において、あるいは地域的な知識においても十分教えてはおりません。したがいまして、こういうような大学校をつくることによって、語学の点、地域的な点の特別な教育を施し、それからもう一つは、やはり貿易人としての人間をつくるということです。今日、日本の貿易が発展してきたという大きな原因は、やはり私は日本の貿易人というものが世界的な信用を得たというところに大きな原因があると思うのでございまして、そういう意味において語学の研修、地域的な研修をやりますが、一年間寮生活をして、そうしてそこで人間的な修養をしてもらうということ、それがねらいでありまして、そういう意味において、どこへ出してもりっぱな貿易商人として臨めるような人間をつくりたいという考えをしておるのでございます。大学校を出て二、三年実地に当たって、そしてまたこういうような研修をやれば、私はりっぱな貿易人が育成せられるんじゃないかという意味において、それだけ日本の貿易の発展に資するところ非常に多いというようなことを確信いたしまして、こういう貿易大学校を設置することに至った次第であります。
  188. 中谷鉄也

    ○中谷委員 では、いまの質問に関連して一つだけお尋ねをしておきます。  何か法案の提案趣旨の説明によると、こういうことばが、貿易振興の中で、あるいはまた貿易業者というふうなことばの中で普通に使われているのかどうかは別として、国際経済人、それを養成するんだということが言われているわけなんです。そこで先ほどから私が指摘いたしておりますのは、規模別あるいは業種別のいわゆる機会均等が確保されるかどうか、その点について疑問があるということをお尋ねしているわけですが、次に、たとえば最近の貿易というものについては、経済協力のほかに技術協力ということが非常に強調されている。このことについては提案趣旨の説明の中にも強く主張されているのです。そうすると、一体国際経済人というようなことばと同様に、こういうことばがあるかないかは知りませんけれども、国際技術人なんということばが私はあってもいいんじゃないか。要するに技術の関係の人ですね。お尋ねしたいのは、百二十人の本科コースの人たちについてのいわゆる大学の出身学部ですね。これは一体、この貿易大学校の考え方として、経済学部あるいは法学部とか文学部とかいうふうな出身の人と同じくらいに、工学部だとか理学部だとかいうふうな出身の人も入所させるんだということなのかどうか、またその割り振りはどういうことになるだろうかというようなことについてお答えいただきたいと思います。
  189. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 もちろん工学部とか理学部とかいうような卒業生も私はここに入学させてよいと考えております。それからまた文科系統を受けた人に対しても技術的な知識を授けなければならぬ、こう考えておるのであります。事実今日、貿易商人が技術的な知識がなかったら貿易できないというような時代になってきた。ということは重化学工業製品がおもな取引商品でありますから、したがって、そういうような知識を持たなければ実際貿易に従事することができない。外国の商社を見ましても、たいがい工学博士とかいうような者がセールスマンとしてやっておるのでありまして、でありますからして、そういう意味でこの貿易大学校においてもそういう技術的な教育も施していきたい。そして国際人ということばを使ったのは、国際的に見て対等に扱われるような人間にしたいという意味で私は国際人ということばを使っておるのでありまして、日本人であっても語学もできるし、いろいろの点において修養もあるし、りっぱな人間、国際的に見て恥ずかしくない人間をつくりたいという意味で、国際人としての人間を育成したいという考えを持っております。
  190. 中谷鉄也

    ○中谷委員 次に、三十億というお金を集める、うち八億については土地あるいは建物等について使っていく、あとの二十二億というものが運営の基金になっていくという考え方ですが、この機会にお尋ねしておきたいと思いまするけれども、十五億という財界と申しますか業界というか、民間から求める金ですね。これについては、十五億というのは一つの目標で、いわゆるそれが最低の目標なのか、それ以上多ければ多々ますます弁ずということになるのか、この点は一体どういうことに相なるだろうか。ここに役員名簿等もございまして、おそらく委員には各商社などが割り振りを受けるんだろうと思いますけれども、こういうようなお金の集め方についてひとつお答えをいただきたい。  同時に、これはもう先ほどからの答弁で、そんなことはありませんよという答えが出るのは当然ですけれども、要するにお金を出すというところは大体大きな商社でございますね。そうすると大きな商社のほうは、お金を出したんだからおれのところの若い職員を入れろということに相なることもあり得るだろう。そんなことはあたりまえのことだけれども、そういうようなことによって入所者は左右されませんよということは、この機会にお答えとして、これはむしろ政府のほうがそういう点は強調したい点だろうと思うので、ひとつこの点も念のためにお聞きしておきます。
  191. 山崎隆造

    ○山崎政府委員 十五億が最低か最高かというお話でありますが、もちろんこれ以上集まりましたらけっこうでございまして、一応現実的な目標といたしまして十五億ということで、設立準備協議会というものがありまして、石坂経団連会長が会長をやっておりますが、この機関が中心になりまして、さらにその下に経理の委員会がございまして、これは昭和電工社長の安西氏が委員長をやっております。これに経団連の従来から募金の関係の組織がございますが、この両者が協議いたしまして、十五億を目標といたしまして、二年間にわたりまして業界ごとに割り振りを行なうということになっておりますが、この割り振りは、一応従来の慣例と申しますか、そういう大体の率がございますが、それによることになると思います。ただ、貿易大学校である関係上、従来の慣例よりやや貿易商社にウエートを置くというような割り振りになっております。  それから、その次の点は、むしろ大臣からお答えしたほうがよろしいかと存じます。
  192. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 たくさん寄付したらより多く入れるかどうかという問題ですが、それはもちろんここの校長の方針によることだと思います。まあ現在の大学なるものでも、金を出して入れているところもあるようでありますが、その校長の方針によって、金を出しても入れぬという学校もありますし、全く私はそれは校長の方針できまることだと思います。われわれとしては、そういう不公平のないように、優秀な者を、将来貿易人としてりっぱに活動できる人を入学させるという方針でいってもらいたいということを特に希望する次第であります。
  193. 中谷鉄也

    ○中谷委員 従来の受益者負担的な考え方というのは、この場合には私は研修センターですからなじまないと思うのです。いまの点については、もう少し明確に私もさらにお尋ねをしたいと思います。  それから政府委員の方にちょっとお願いをしておきますけれども、中ごろに私がお尋ねをした、いわゆる対象となる若手職員の数は何人くらいですかというあたりについてのお答えがなかったわけです。  そこで、私のほうの資料は非常に簡単なんですけれども、通商白書の七四三ページ以下の貿易業者というあたりを中心にしてさらに質問を続けたいと思います。同時に、一般的に、この機会に輸出振興ということに関連いたしまして、同じく白書の六七〇ページ以下の海外輸出振興活動というところを中心にしてお尋ねいたしたいと思う。同時に、教育基本法についての五条あるいは三条ということを申し上げたら、違反ですとかなんとかお答えがあったけれども、その点私自身もいま少しく教育基本法関係の学説あるいは判例等も調べまして——いういわゆる特殊法人も、教育基本法との関連において規定づけられる面がある、制約をされる面が出てくるだろうと思う。そういう点についての質問をいたしたいと思いますが、本日はひとつ委員長にお願いをして、この程度にいたしまして、質問を留保したい。政府委員のほうでも、教育基本法などというとあまりなれないところだと思いますけれども、御研究をいただきたいと思います。終わります。
  194. 島村一郎

    島村委員長 次会は、明後七日金曜日午前十時十五分理事会、十時三十分委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後三時四十二分散会