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高島政府委員 百二十機の需要が確実にあるであろうと
考えております背景を申し上げてまいりますと、いささか商談とからんでおりますので、デリケートなところもございますが、やはり一番の中心は
輸出にあるのではないかと思います。内需については、午前中御説明いたしましたように、当初民需が九十機、官需が三十機と、百二十機という大きな期待を持っておりましたが、内需の
関係、特に民間
関係の伸びの鈍化で、大体五十五機という程度に安全を見ておいたほうがいいのではないか、こういう感触で期待の中心を
輸出に移しておるわけで、この
輸出がうまくいくかどうかということが、一にこの
YSの問題を大きく左右する基礎になっていくかと思います。
輸出はどうも相手があるものの
予測でございますが、去年の夏、いままでどちらかというと販路の開拓につきまして消極的であったといいますか、基礎が固まりませんものですから、外国まで大幅に進出していくだけの大がかりなデモンストレーション・フライト等が行なわれていなかったのを、思い切ってアメリカに向けてやったわけでございます。その結果の反響は、アメリカからまず大きな注文が出そうだという感触が
一つ出まして、これは午前中も御質問がありましたように、現在まだ商談進行中という程度のところで見るのが手がたい実情ではないか。これは向こうの銀行筋等の金融引き締めといささかからんだ圧力等もありまして、エアラインがそれに左右されて、円滑に予想どおりに七十何機とか百機、これはちょっといまのところは期待ができませんが、現状の商談ぐあいから、二十機から三十機のものは、これはつかみ得るのではないか。二十機については相当確実な
段階にいま進みつつございまして、直ちに人を派するかどうかというような
段階までまいっております。それから、それとややおくれまして南米に向けてデモンストレーション・フライトをやりました。これはすでにアメリカにやりましたものの評判といいますか、これが南米側のほうに非常に関心を呼んでおりまして、そこでやりましたので、相当これは大きく現在反響が出てまいっております。たとえばブラジルあるいはアルゼンチンといったあたりで非常に具体的に商談が進んでまいりまして、特にブラジルの場合は、十二機程度のものはいよいよ契約がサインをされる。日本、ブラジル両国
政府のそれぞれ承認の
輸出輸入についての
手続がございますが、実際のところ商談がこれは固まってきて、場合によっては二十機かそこらまで上がっていける確実性が出つつあります。それからアルゼンチンのエアラインとも目下商談中でございますが、さしあたり六機程度固まってまいりまして、これもいま一歩進めば相当のところまでいくのではないか。したがって、南米のような中距離といいますか、比較的六十人乗りくらいの飛行機であって、そう遠距離でない都市間を結んでいくような
性格を持った、アメリカのいなか、南米の都市間の輸送というようなものに、わりあいにこれが穴場を見つけてはまり込んでいった傾向が強うございまして、その結果、南米中心に相当商談がいき得るのではないか。そういたしますと、南米には私の
感じでは、大体三十五程度のものはいき得るのではないか。北米はいまのような
段階にございますが、二十機というかたいほうをとりますと、またさらに東南アジア方面に需要が
——フィリピンとかその他の国でございますが、やや外貨事情等の問題もございまして、かたく見れば五機程度のものは
考えられるのではないか、その辺を総合いたしますと、すでに商談が固まって動いているペルーとか、その他の分も入れてまいりますと、大体六十五機ということ
——百二十機という中の六十五機、これから売る分が五十五機見当になりますが、その辺のところに数字としてまいるのは決して夢ではないといいますか、むしろ手がたいくらいの
感じに目下なりつつある。ただ御注意のように、こういう大事な時期にやはりサービスといいますか、アフターケアを十分にやっていくということが非常に必要でございますし、また世界各国ともそれぞれエアラインに対する売り込みにあの手この手と
考えております。支払い
条件等についての点も、こちらも相手方といいますか、競争者の出方を十分に見ながら
条件を調整をしていかねばならぬという辺にくふうがまだ大いに残っておるかと思いますが、たまたまこういった飛行機に対する需要が、ほかに新しく急に開発されて競争者が飛び出すというのでもなく、いま現に横並びに並んでおります中型
輸送機の競争者の中では、比較的優位を確保できつつあるという状況は争えないことではないだろうかと思います。
したがって、ここにこの程度の需要について
一つの
めどを確立しまして、腹をきめまして、今回十二億の
出資をしていただいて、それから若干の補助金の要請も来年、再来年にわたりまして必要がございますが、十二億の
出資を中核として、今後の
YSの百二十機プラスアルファといった販売体制の中に突入してまいる。大体こういう予定を立てておる次第でございます。