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1967-06-07 第55回国会 衆議院 商工委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年六月七日(水曜日)    午前十時四十八分開議  出席委員    委員長 島村 一郎君    理事 天野 公義君 理事 小川 平二君    理事 鴨田 宗一君 理事 河本 敏夫君    理事 中川 俊思君 理事 田中 武夫君    理事 麻生 良方君      稻村左近四郎君    小笠 公韶君       岡崎 英城君    岡本  茂君       神田  博君    黒金 泰美君       小山 省二君    齋藤 憲三君       坂本三十次君    櫻内 義雄君       田中 六助君    丹羽 久章君       橋口  隆君    三原 朝雄君       武藤 嘉文君    石野 久男君       佐野  進君    中谷 鉄也君       永井勝次郎君    古川 喜一君       塚本 三郎君    吉田 泰造君       近江巳記夫君    岡本 富夫君  出席国務大臣         通商産業大臣  菅野和太郎君  出席政府委員         通商産業政務次         官       宇野 宗佑君         通商産業省繊維         雑貨局長    乙竹 虔三君         中小企業庁長官 影山 衛司君     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  中小企業振興事業団法案内閣提出第八一号)      ————◇—————
  2. 島村一郎

    島村委員長 これより会議を開きます。  参考人出頭要求の件についておはかりいたします。  理事会において御協議を願いましたとおり、通商産業基本施策に関する件(輸出貿易に関する問題)調査のため参考人から意見を聴取することとし、その人選、日時、手続等に関しましては委員長に御一任を願うことに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 島村一郎

    島村委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。      ————◇—————
  4. 島村一郎

    島村委員長 内閣提出中小企業振興事業団法案を議題として、審査を進めます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。橋口隆君。
  5. 橋口隆

    橋口委員 中小企業振興事業団法案につきまして、きのう通産当局の御見解をいろいろ承ったのでございますが、大臣が本日御出席になっておりますので、あらためてひとつお伺いしたいと思います。  すでに御承知のとおり、政府公社公団等の問題につきましては、非常に世論がきびしくなっておるところでございます。また、承るところによりますと、野党におかれてもその点いろいろと批判があるようでございます。そこで、こういう時期に際して、この中小企業振興事業団を確実に運営させていくためには、通産当局におかれて、きわめて慎重に、また実効のあがるような運営を期せられることが、これから最も大事な点ではないかと思うのでございますが、それにつきまして大臣の御決意を承っておきたいと思います。
  6. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 公社公団についていろいろ非難もありますけれども、また、公社公団をつくらなければならないものもあるのでありまして、この中小企業振興事業団は、私はこれはつくらなければならない公社公団に属するものと、こう考えておるのでありまして、初めから大蔵省なりあるいは総理に対しても、この事業団はぜひつくってもらいたい、ほかの公社公団についてはいろいろ批評があるかもしれないが、これと石油開発公団だけはぜひつくってもらいたいということで、いろいろ折衝いたしたのであります。この間うちから皆さんからいろいろ御意見がありましたとおり、中小企業の育成あるいは振興については、いままでいろいろやったけれども効果があがらぬじゃないかという御批判がいろいろあったようでありますが、それは私も同じ感じを持つのでありまして、したがいまして、何か中小企業振興について、ひとつほんとう効果のあがる対策はないかということで、いろいろわれわれのほうも研究いたし、また皆さん方からのいろいろの御意見をも徴して、そして考え出したのがこの振興事業団であります。これによって、ひとつ中小企業の問題の解決の糸口を見出したいということで、その意味において、ことに中小企業の問題は、政府として解決しなければならない重要問題でありますがゆえに、この事業団は是が非でもひとつ政府も認めてほしいということで、この事業団をつくるようになった次第でございます。
  7. 橋口隆

    橋口委員 大臣の御趣旨よくわかりましたですが、これから日本中小企業振興させるためには、中小企業構造高度化が最も必要だろうと思われます。それを推進するための中核として、この振興事業団を運営されると思いますが、将来もっとこれを強化される御意思がございますでしょうか。
  8. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 まず今度はこの規模でスタートいたしまして、私はおそらく今度やってみて、この事業内容というものはだんだんと拡大さるべきものだ、こう考えております。でありますからして、今度やってみて、その実績にかんがみて将来拡大するということをきめたい、こう考えております。
  9. 橋口隆

    橋口委員 中小企業実態が非常に複雑で、長期計画が立てにくいと思うのでございます。しかし、すでに経済社会発展五カ年計画は策定され、またほかの道路、港湾あるいは上下水道その他についても、すべて五カ年計画が編成されまして、それに基づいて長期予算も組まれている実情でございます。これに対して、中小企業においても、そういうような五カ年計画に見合ったそういう予算長期計画あるいは財政投融資計画あるいは事業体の将来の統合、再編成、そういう問題に対して、長期ビジョンが必要だと思われるのでございますが、それにつきまして通産当局はどういう御準備がございますか、それを承りたいと存じます。
  10. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 この中小企業の問題は、これは五年間に目的を達成するというような、そういう期限を切るということは、私は困難だと思うのです。お話のとおり、なかなか複雑多岐なものでありまするし、したがって、これは解決のできるまでは五年でも十年でもかかるという気持ちでやらなければならぬのでありますが、とにかく今度中小企業振興事業団をつくりまして、そしてこれをひとつ一、二年やってみて、その上で大体見通しがつくのではないか、これでいけば何年間でできるのではないかという見通しがつくのではないか、こう私は思うのでありまして、できるだけ中小企業というような問題がもう起こらぬような世の中にしたいというのがわれわれのビジョンでございます。中小企業の問題で毎年皆さん方もいろいろ御心配になりますし、政府もこの問題で頭を悩ましておるのでありますが、国会では再び議論のないような世の中にしたいというのがわれわれのビジョンであります。
  11. 橋口隆

    橋口委員 大臣の御意見をお聞きしまして非常に安心しておるのでありますが、どうしてもやはりいま一番大事なことは、中小企業経営者が、倒産も多いこういう最近の世情におきまして、将来に明るい希望を抱いて仕事のできるような、そういう目標を与えることがきわめて必要だろうと思うのです。そういう意味におきまして、道路五カ年計画なんかとはもちろん違いますが、将来五年、十年あるいは十五年先を見通したようなビジョンをぜひとも提示していただく、そして国民経済に明るい目標をともしていただくようにお願い申し上げる次第であります。
  12. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 橋口委員も御存じのとおり、世の中はだんだんと急展開いたしておりますし、ことに産業というものが急展開いたしておりまして、したがいまして、道路をつくるとかなんとかいうこととは違って、産業がいかに伸展するかということについては、これはなかなか予測すべからざるものがあると思うのであります。したがって中小企業の問題も、大企業もそうですか、何年か後にはどうなるかということについての一応の見通しはしますけれども見通しどおりにいくかいかないかということは、これはもうほんとうの確固たる信念をお互い持つことが困難だと思います。したがいまして、中小企業の問題も、今後の日本産業世界産業がどう動くかという大きな見通しを立てて考えていかなければならぬと私は考えておるのであります。いかに世の中が変わっておるかということは、一々私から申し上げるまでもないことでありますが、とにかく十年前と今日と非常に世の中が変わっております。それと同じ意味産業が変わってまいりますから、したがいまして、先ほど私から申し上げましたとおり、中小企業の問題についてのピリオドを打つということが、これが非常に困難だということは、産業自体が変わっておるというところに原因があるのでありますからして、われわれはいかに産業が変わるかという見通しを立て、そして産業がどうなるかという見通しを立てて、その上で中小企業というもののあり方というものの見通しを立ててやっていきたい。それにはさしあたり高度化ということ、技術の開発あるいは協業ということが必要だと考えておりますが、将来においてはもっと考えなければならない問題がまだ出てくるのではないか、こう考えておりますので、その世の中の変わり方に応じてひとつ善処したい、こう考えております。
  13. 橋口隆

    橋口委員 さて私に与えられた時間はございませんので、最後にお伺いしたいと思います。  実はもう万人承知のとおり、一昨日中東戦争が勃発いたしました。この中東戦争はわが日本経済に対して非常に重大な影響を与えると思うのであります。それにつきまして本日御質問したいと思っておりましたけれども、金曜日にこれについての質疑がかわされることになっておるようでありますので、私からは中小企業に関連してその問題をお伺いしたいと思います。  日本原油在庫量は、現在原油においておそらく二十日分、製品において二十二、三日分ではないかと思われるのであります。したがって、これは日本経済にとって一日を争うような非常に重大な問題であろうかと思います。まさしく油断大敵ということばが当てはまるような、そういう逼迫した事態がきておると思うのでございます。したがって、これが長引けばもちろんでございますが、短期にけりがつくといたしましても、わが日本石油事情には非常に重大な影響を与えるはずでございます。またスエズ運河の封鎖もすでに報ぜられておるところでございますので、日本の海運、貿易に対する影響は、これから非常に甚大なものがあると考えられるのでございます。したがって、この中東戦争日本経済に与える影響というものを通産当局におかれましても、これから十分分析し、考究されまして、そして今度の世界のこういう危局に対する万全の措置をお立てくださいますようにお願いを申し上げたいと思います。  特にお伺いしたいと思いますのは、この石油見通しにつきまして、それが日本経済貿易全体、また中小企業界にこれからどういう影響を及ぼしていくか、そういう問題について本日は最後にお承りしておきたいのであります。
  14. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 お話のとおり、この中東の問題は、日本から言えば非常に遠い国のように思いますけれども、これはベトナムよりも日本経済影響が大きいと私は考えております。したがいまして、この中東の問題がどういうように展開していくかということは、ことにわれわれ産業面から見ると、重大な関心を持っておるのでありまして、したがいまして、もうすでにこの中東問題が起こりかけた——きのうはいよいよ戦火を交えるようなことになりましたが、その前から実は通産省ではひそかにこの対策考えておるのでありまして、万が一ということはないと思いますけれども万が一の場合にはどう対処すべきかというようなことについても、目下いろいろとわれわれのほうでも調査いたしております。至急にこの問題は、いろいろの場合をわれわれは想像して、それがいかに日本産業——中小企業と限らず、日本産業全体に対して大きな影響を及ぼしますから、それに対する対策至急にいま調査に取りかかっておる次第でございます。いずれまた追って皆さん方に御披露申し上げ、また皆さん方からいろいろと御指示をお願いしたい、こう存ずる次第でございます。
  15. 橋口隆

    橋口委員 それじゃどうも……。
  16. 島村一郎

  17. 中谷鉄也

    中谷委員 お尋ねをいたします。  中小企業高度化近代化構造改善共同化協業化、いろんなそういうことば、そしてそれの内容についての質疑が常に中小企業問題についてはかわされているわけでございますが、次のような問題についてまず最初お尋ねをいたしたいと思います。要するに、そういうふうな中小企業構造改善一つの具体的な内容高度化の具体的な内容として団地という問題がある。そうすると、団地昭和三十六年、実際に動き出したのは昭和三十九年で、団地の数が現在まで百五というふうに承知いたしております。そういたしますると、これは全く算術的な計算で出てまいるわけでございまするけれども中小企業のいわゆるメーカーと申しますか、製造業というか、そういうふうな中小企業者の数というのが六十六万ということで押えていまして、百五の団地の中で企業を営んでいる中小企業者の数というのは一体幾らなのか。これは私は大体承知しておりますけれども、全六十六万の中小企業者に対するパーセントは一体何%になるのだろうか。これはきわめて算術的なことですけれども、一番最初質問の導入的な問題になりますので、お答えをいただきたいと思います。
  18. 影山衛司

    影山政府委員 百五の団地に参加しております企業は二千九百八十企業でございます。中小企業製造業業者のうちで〇・五%でございます。
  19. 中谷鉄也

    中谷委員 そこでお尋ねをいたします。  中小企業の数が全部で三百六十万、この中に団地になじまない中小企業というものも、これは当然あるわけでして、この場合、六十六万というその数が必ずしもすべて団地化されるべきだというふうな議論というのは成り立たないと私は思うのです。ただ、しかし、いわゆる中小企業高度化、そういうようなものの一つの大きな具体的な内容として、団地共同工場共同店舗共同施設、そういう事業共同化協業化ということが必要なんだ、こういわれておる。そうすると、昭和三十六年——昭和三十九年から実際に動き出して、現在までの実績が一%に満たない。いま長官お答えになりましたように〇・五%だ。そうすると、その振興事業団の今後の動きの中で、団地化される、団地としてその中で動いていく、営まれていくところの中小企業の、いわゆる全六十六万の、これはまたふえてまいると思いますけれどもパーセントというものは一体どういうことになるのだろうか。そういうパーセントであらわされるということにどれだけの意味があるかどうかわかりませんけれども、こういう問題について、先ほどから中小企業全体としていわゆるビジョンの問題、どういうふうに中小企業というものを近代化し、高度化していくのかという問題と私は関連してくると思うのです。団地をつくる、こういったって、現在〇・五%しかないじゃないか、これは将来何年後にはどの程度団地が一体造成されるのかということでお答えいただいてもけっこうだし、あるいはその六十六万の企業に対するパーセントはどの程度になるべきであろうか。これは計画経済じゃないのだといってしまえばそれまでですけれども、そういう意味お答えじゃなしに、中小企業庁長官としてお考えになっているビジョンですね、これは業者まかせなんですよということでなしにひとつお答えいただきたい。何か業者意欲にまかせるのだというお答えが出そうなので、そういうことでなしに、ビジョンとしてはこの程度のものなんだというふうなことでひとつお答えいただきたい。
  20. 影山衛司

    影山政府委員 先生承知のように、中小企業高度化と申しましても、製造業につきまして工場団地は理想的な形でございます。ほかにも小規模事業者対象にいたしましては、共同工場とか、それから今度協業組合というものをつくりまして、その協業組合協業工場とかあるいは共同組合組織によるところの共同施設というような、いろいろ高度化協業化段階があるわけでございまして、工場団地につきましては、先ほど先生御指摘のように、また私が御答弁申し上げましたように、いままでわずか〇・五%くらいでございますけれども共同施設対象企業数は実に六十六万八千七百五十二件になっておるような次第でございまして、そういうふうに私どもといたしましては、先生先ほどお話しになりましたように、計画経済でございませんので、計画的にはやりません。しかしながら、それでは中小企業者がやりたいのにまかせておくかと申しますと、それではないわけでありまして、おのおの産地なりあるいは中小企業のグループの実態に合わせまして、それを指導しながら、できるだけ協業化段階ごとに進めていきたいということを考えておるわけでございますので、その点はひとつ指導と合わせながら、そのために今度も振興事業団指導体制を固めたわけでございますが、この計画的な数字は持っておりませんけれども、そういう実態に合わせながら、段階ごとに応じて協業化を進めていきたい、そういうふうに考えておるわけでございます。
  21. 中谷鉄也

    中谷委員 ちょっと御答弁としては、私のお尋ねしておることとは——少しはお答えにはなっていると思うのですけれども、明確にお答えをいただいておらないと思います。  重ねてお尋ねいたしますけれども、要するに、この経済社会発展計画については、いろいろな批判がありますけれども、この経済社会発展計画を通読してみましても、中小企業の問題についての、いわゆるビジョンというようなことばが必ずしも適当かどうかわかりませんけれども、結局大臣の御答弁の中にも、中小企業問題のなくなることが中小企業問題のビジョンなんだ、何か禅問答みたいなお答えだというふうにもいえるかとも思うのです。  そこで、もう一度お尋ねいたします。要するに、そうすると、これは長官の御答弁の中で、団地共同工場——団地のみじゃないんだ、共同工場共同店舗共同事業等共同化協業化、いろいろなことをやっていくんだ、そして、そこには業者熱意と努力、そういうものもある、それに対して事業団は助成をしていくんだということですけれども、やはり私がきわめて素朴にかつ端的にお尋ねをしたように、中小企業高度化近代化あるいは構造改善といろいろなことばが飛び出してくる中で、いわゆる近代化された中小企業高度化された中小企業構造改善された中小企業等のあるべき姿というような中では、一体どの程度団地、六十六万に対してどの程度がその団地としての中に仕事をしていくということになるんだろうかということは、これは素朴な疑問であると同時に、中小企業の将来のあるべき姿の一つとして、私、お答えをいただけるのではないかと思って最初お答えをお願いしたわけなんです。じゃ、ことばを変えて言いますと、現在百五の団地がある。これは将来幾つになるか私のほうはわかりませんよということなのか。それじゃあまりにも何といいますか事業団をつくった——事業団というものはとにかく高度化資金指導センターとこの二つを合わせたものじゃなく、それにさらにプラスアルファなんだというふうな趣旨の説明に比して、若干意欲が不足じゃないか、あるいは見通しについては、ちょっと私ごとばに苦しみまするけれども、こういうことばを使っていいかどうかわかりませんが、若干無責任じゃないかというような感じもいたします。無責任ということばには私自身もちょっと抵抗を感じましたけれども、そういう感じもする。じゃ、昭和四十三年、四十四年、四十五年、団地は一体どの程度ふえていくんでしょうかというような一番身近な質問からいたしましょうか、その点についてお答えをいただきたいと思います。
  22. 影山衛司

    影山政府委員 先生承知のように、私ども計画経済——あるいは頭から押しつけてやらせるのでございますならば、あるいは頭の中だけで考えるのでございますならば、いろいろと計画はできるわけでございますけれども中小企業者の盛り上がりと指導と、これを合わせてやらなければいけませんので、計画は非常にむずかしいわけでございます。さしあたり昭和四十二年度におきましてはどういう事業計画かということはお答えできるわけでございますが、それは工場団地につきましては十五件、商業団地十件、企業合同を促進するもの十件、それから協業工場十五件、共同店舗十七件、それから共同工場分割譲渡が二十二件というような幾ぶんかた目計画をただいまのところ立てておるわけでございまして、四十三年度以降も引き続き中小企業者実態を調べながら、あるいは指導しながら、その件数を明らかにしていきたいということでございまして、頭で数を、たとえばどの層があるからどの層に対しては団地をつくらせてというようなことを考えて作業すればできるのでございますけれども、なかなかその点、そういうことをやっただけでは問題がございますので、指導をしながら、実態を調べながら事業計画を立てさせるということになるわけでございます。さしあたり、昭和四十二年度はそういうふうなかた目な計画を立てておりますが、まだこれが指導のいかんによりましてはふえていくかもわかりません。そういうふうなやり方でやっておるわけでございます。できるだけそれは数をふやしていきたいということは考えておるわけでございます。
  23. 中谷鉄也

    中谷委員 お尋ねします。団地がふえてくること、団地をふやすことについて指導されること、業者がそのようなことに熱意を持つこと、これは大事なことなんだ、こうおっしゃる長官の御答弁は、納得ができるわけです。ただしかし、いま御答弁をいただいた、いわゆる計画の数を、かりに二十以上の企業が一団地に入るのだという前提で計算をしてみましても、再び算術的なことを申し上げて恐縮ですけれども、全六十六万幾ら企業に対しては、一%に満たないのではないかと思うのです。そうすると、中小企業振興事業団のお仕事の中で、いわゆる共同化協業化、そういうような中で近代化高度化をはかっていくのだ、これは一つの旗じるしになっておる。そうでございますね。そうすると、そういう旗じるしを掲げておられて、しかもその実績の中で一%に満たないんだということは、じゃ逆に申し上げると、いろんなほかのやり方があります。やり方はあるのだけれども、少なくとも団地という問題だけを取り上げて、共同工場の問題を別に質問すれば同じような問題が出てくると思うのです。共同店舗の問題をお尋ねをしても同じような問題が出てくると思うのですが、そういうふうな近代化高度化のための施策というものは、全企業に及ばないじゃないか。そういう中で一%に満たないじゃないか。そういう状態の中で、しかも御計画も持っていない、見通しもお持ちになっていない、あるいはその点について、将来はこの程度団地ができるのだということについては答弁できないとおっしゃるのか、すべきでないといわれるのか、それも私ははっきりしませんが、そういうようなことなら、中小企業近代化高度化ということを旗じるしの一つとして団地というものが掲げられておる中で一%に満たない、現在の実績について〇・五%ということとの関係が私には理解ができないという感じがするのです。お答えをいただきたいと思います。
  24. 影山衛司

    影山政府委員 先生のお考えにつきましても、私どももわかることがあるわけであります。ただ、御承知のように、中小企業者というものは一国一城あるじの観念を持っておりますので、そういうことで協業化を進めていかなければならない大前提があるわけでございます。それを引っぱっていく、あるいは中小企業者自体一国一城あるじ考え方を捨てて、協業化を進めるということは非常な大事業でございます。だからこそ事業団をつくっておるわけでございます。もしもそういうことでなくて、簡単にできるものならば、事業団をつくる必要はないし、それからこの程度数字ではわれわれも非常に不満足なわけでございます。だけれども指導しながら一国一城あるじ考え方を捨てさせて、共同の力によって近代化を進めていくという大事業、難事業政府事業者も進めてやっていこうじゃないかということでございますので、計画を立てて、それができるようなら、私ども非常にうれしいわけでございますけれども、なかなかそこまでいかない。それで、そういうふうにむずかしいからこそ事業団をつくってやるのだというふうに御了解を願いたいわけでございます。
  25. 中谷鉄也

    中谷委員 わかるのです。中小企業者一国一城あるじだ。——私も中小企業の経営には若干関係したことがありますから、私もわからないわけではないのです。そのとおりなんです。ただしかし、長官、百年河清を待つということばがございますね。要するに〇・五%なんだ、昭和三十六年からだとかりに計算しますと、足かけ七年で〇・五%なんだということになってくると、難事業なんだというふうなことで、結局団地化というのは少しも進まないのじゃないですかということだけは私、指摘できると思うのです。そうすると、逆にいうと、いろんな近代化高度化のための施策というのをまさに知恵をしぼってお考えになっておられるけれども、その実績から見てみると、いろいろな角度化からの近代化高度化のための努力はあるけれども、本来中小企業近代化高度化ということは不可能なのか。少なくとも中小企業庁長官としてはこういうふうにして、こういう方法でという的確かつ明確な見通しと、そのビジョンをお持ちになっておられないといけない。持ちようがないと言えばそれまでですけれども、そういう感じもするわけでございます。この点はいかがでございましょうか。ちょっと質問の角度を変えましたが、お答えいただきたいと思います。
  26. 影山衛司

    影山政府委員 中小企業近代化、合理化と申しますのは非常にむずかしいわけでございます。率直に申しまして非常にむずかしいわけでございます。中小企業と大企業との生産性の格差等につきましても、なかなか格差が縮まっていかないということでございます。それでは、全部中小企業団地をつくれば問題が解決できるかということではないわけでございます。しかしながら、中小企業の数が多くて、過小性、過多性というものを控えながら、これを近代化をしていくには、どうしてもやはり共同化の力によらなければいけないという大前提があるわけでございます。そういう方向で問題を引っぱっていかなければいけない。中小企業者指導し引っぱっていかなければならないからこそ事業団をつくっておるわけでございます。  中小企業全体につきましてビジョンがないということをよくいわれるわけでございますけれども先生承知のように、農業あたりでございますと、わりあい単純なので、計算もできるわけでございますけれども中小企業関係は業種、業態が千差万別でございます。だから、中小企業全体についての数字的なビジョンを掲げろといわれますと、それはちょっと不可能でございます。先ほど大臣答弁いたしましたように、中小企業問題のビジョンは何ぞやということになりますと、中小企業問題なき中小企業、あるいは格差なき中小企業というところまでもっていかなければいけないということであります。西欧諸国におきましても、そういう格差は、中小企業問題は従来もあったわけでございますけれども、格差のない中小企業中小企業問題のない中小企業にほとんどなっておるわけでございます。日本においてもやはりそこまでもっていけないはずはないわけでございます。日本実態に即した中小企業近代化、合理化対策を講じながらそこまでもっていく。ただその際に、この前中小企業近代化促進法で御審議を願いましたように、中小企業問題一般ということはもうあり得ないわけであります。業種、業態に即しまして五カ年計画なら五カ年計画でやっていく、そこにおいて業種、業態別のビジョンが出てくるわけでございます。その一つのモデルは、繊維の構造改善あたりを徹底したビジョンを描きながらこれをやっていく。その他の中小企業の業種につきましては、最近外資の自由化、あるいは後進国からの追い上げというような問題もございますので、もう一度この近代化促進法の基本計画を見直してみるということは、大臣からも指示が出ておりますし、先般先生の御質問に対しても私は明確にお答えしておるわけでございまして、そういうふうに業種、業態別にビジョンをつくっていくということでございますので、中小企業全般についてのビジョンがつくり得るかどうかという問題については、これはむずかしい。業種、業態別のビジョンをつくっていかなければいけない。その中の一環として、その業種、業態に応じた共同化協業化やり方があるだろう。その中で団地に適するものもあれば、協業化に適するものもある。あるいは繊維でやっておりますように、産地の構造改善組合をつくりまして、そこで近代化の機械を共同で買い入れていくというようなやり方もありますでしょう。だから、これは実態に即した共同化協業化やり方をやる。ただ、その共同化協業化だけでそれでは全部が万事終われりかと申しますと、あとに残ります小規模零細層の対策を十分に講じなければいかぬということもございまして、全部あわせまして近代化を進めていかなければならない。抽象的に考えますと、私ども先生と全く同じように、ビジョンも立ててやりたい気持ちが非常にあるわけでございます。正直申しまして、それはなかなかむずかしい。しかしその努力は、先生御指摘のように今後もやっていかなければならない。この努力はやはりやるということを考えております。
  27. 中谷鉄也

    中谷委員 一応、問題については私のほうも整理をいたします。お尋ねの冒頭に団地の問題を提起をいたしましたのは、団地についてお答えをいただくという中で、一体中小企業近代化高度化はどうなんだろうかという一つの具体的な例として指摘したつもりなんです。ただそこで、昨日も近促法の業種指定は八十何業種でしかないじゃないか、こういうふうな問題点の指摘もございました。まさにそのとおりだというような長官の御答弁もあった。そういうふうな中で、抽象的なビジョンといいますか、頭の中では考えられるけれどもむずかしいのだよ、こうおっしゃるのではなしに、やはり中小企業者のきわめて膨大な数、また日本経済に占める役割りというふうなものを考えてみますと、そういう中小企業ビジョンというか、今後のあるべき姿、もちろんそういうふうなことについては経済社会発展計画の中にも、あるいは諸施策の中にも、あるいは中小企業白書の中にもあらわれていますけれども、さらにそういうものについて、近代化高度化のための施策というよりも政策目標というようなものについてお示しになるべき時期にきているのじゃないか、こういうふうに考えますが、長官、この点について簡単に御答弁をお願いいたします。
  28. 影山衛司

    影山政府委員 中小企業をめぐる環境が非常にきびしくなってきておりますので、そういう先生御指摘のような方針なり計画ビジョンというものを示す必要があると思います。それは繊維あたりにつきましてはすでにビジョンを示しながら近代化をやっておるということでございますので、そういうことも模範にいたしまして、ほかの業種についても進める考えでございます。
  29. 中谷鉄也

    中谷委員 政務次官にお答えをいただきたいと思います。  いま長官との間にいろいろな点について若干質疑をかわしたわけですけれども、そのビジョンというのが、長官の御答弁のように、抽象的にそういうビジョンというものを描いたってということになれば、私自身の意欲もかなり減退してくるわけですよ。私はやっぱり、そういうものじゃなしに、きめのこまかい、中小企業全体としてのあるべき姿というものを示すべき時期にきているのじゃないか、こういう感じがするわけなんです。そういうふうな作業にお取りかかりいただけるというよりも、お取りかかりいただくべきだと私は考えますが、この点について簡単に御答弁いただきたいと思います。
  30. 宇野宗佑

    ○宇野政府委員 長官は行政官でございますから、非常に慎重なお答えをしておられたように私は考えるのであります。私が中谷委員と同じ席にすわっておったら、同じような質問をするだろうと思います。したがいまして、さような意味合いにおいても、やはり政府としては中小企業問題に関しては少なくとも可能な限りのビジョンを立てるべきである。それは各業種、業態によってそれぞれ異なりましょうけれども、やはりそうした計画を立てて指導し、なおかつ中小企業者がその指導に自発的に——この両面がむずかしいと思いますし、非常にデリケートな問題でありましょうけれども、やはり指導によって中小企業者の自覚が高まっていく、そして今度は業者間から、団地化を急ぎましょう、共同化を急ぎましょうという理念が燃え上がって、そこに政府の意思と業者の意思統一、あるいは意欲というものがマッチするという方向を行政としては見出していくべきではないかと思うのであります。
  31. 中谷鉄也

    中谷委員 では、あとはこまかい問題に入ります。  法案の二十条一項の三号「都道府県から必要な資金の一部の貸付けを受けて、前号イ及びロに掲げる業務を行なうこと。」という条文がございます。この条文については一つの新しい考え方だと思うのですが、長官のほうで、これは、こういうふうなことでこういう条項を設けたんだということについては、これはむしろ答えやすい質問だと思うのですが、この点について御答弁いただきたいと思います。
  32. 影山衛司

    影山政府委員 都道府県から必要な資金の一部の貸し付けを受けて業務を行なうことは、これは従来の高度化資金事業にはなかったものでございまして、振興事業団の直接事業でございます。これは従来の高度化資金特別会計では県を通ずる単県の仕事しかできなかったわけでございます。たとえばボランタリーチェーン制度あたりを見ますと、本部が東京都にあって、その他の小売り店が散在しておるというようなものもあるわけでございますので、二県以上にまたがるプロジェクトにつきましては、都道府県から、そういう関係県から事業団が必要資金の貸し付けを受けて直接事業を行なうということをやるわけでございます。それからまた、全国的視野で行なわなければいけない、また非常に県の財政負担が低いというような繊維の構造改善事業のような場合には、県から一部の資金を事業団が借り受けまして、直接事業として事業をやるということになるわけでございます。
  33. 中谷鉄也

    中谷委員 新しい考え方と申しますか、条文ですので、もう少しこの点について、一点だけお尋ねいたしますが、従来の実績の中で、二つの都道府県にまたがったというようなことの中で困難あるいは混乱を生じた、うまくいかなかったというような場合の具体的なこういう場合があったというようなこと、今後、いわゆる二つの都道府県にまたがるというふうなかっこうの場合、そういう案件というのはどの程度現在あるのか、こういうような点について簡単にひとつこれも御答弁いただきたいと思います。
  34. 影山衛司

    影山政府委員 従来東京都から近県に出ていきます場合に、東京のほうは出ていくほうだから、自分のほうはめんどう見ない、それから、出先のほうの県では自分のところの地元の企業を優先的にやらなければいけないというようなことで、十分めんどうを見てもらえなかった例が二、三あるわけでございます。過去においてそういう例がございましたが、四十二年度においてはまだそういう案件は出てきていない、こういうことです。
  35. 中谷鉄也

    中谷委員 質問を続けていきます。具体的な問題として、団地についての質問なんです。いわゆる中小企業ビジョンというようなこととは関係なしに、団地の問題なんです。団地というのは一体何かということなんです。  お尋ねしたいのは、要するに団地内の道路等については、これは当然助成貸し付けの対象になりますね。ところが、国道、県道から団地に通ずる道路、さらにまた、団地というのは結局、事業環境、生活環境の整備ということと切っても切れない関係にあるわけですけれども団地の上下水道——これは排水処理等については若干別においておりますけれども、上下水道、さらに、従業員の輸送の問題も出てくると思います。さらに、工業用水の問題だって、これは出てくると思うんです。こんな問題については、これは一体、団地外になるとなれば、振興事業団の貸し付けの対象にならない。一体団地というのは何かという疑問の中で、そういう上下水道施設はどうするんだろう、工業用水はどうなるんだろう、団地と国道、県道を結ぶ道路というものについては、一体どうなるのであろうかというような点について、とにかく団地というものの範囲を広げていくべきじゃないか。そうでなければ、都道府県あるいは市町村、あるいは業者の負担というのは、こういうふうな制度ができても、さらにどっかの面で加重される面があるのじゃないかというふうな感じがいたします。この点についてお答えをいただきたいと思います。
  36. 影山衛司

    影山政府委員 中小企業団地につきましては、どこで助成を打ち切るかという問題があるわけでありまして、団地自体につきましては、団地内の上下水道、道路というものは対象にいたします。しかしながら、団地の外の関連施設につきましては、これは元来は団地等につきましては、地元の市町村あるいは県との協力のもとにつくるわけでございまして、そういう点で上下水道等につきましては、市のほうでめんどうを見ていただいておる例もあります。それから関連道路につきましては、先生承知のように、産業関連施設の補助の制度がございまして、企業合理化促進法によりまして、産業関連施設の補助で関連道路の補助を行なって造成をいたしたような例も岐阜の金属工業団地であるとか、あるいは山形の機械工業団地というようなものが具体的な例としてはあるわけでございます。そういうふうに関係市町村ともひとつよく連絡をとりながら、また援助を受けながらやっていくということになろうと思います。
  37. 中谷鉄也

    中谷委員 団地の建設一般についてお尋ねをいたしたいと思いますけれども、最近のいわゆる都市問題、もっとこまかくといいますか別のことばで言えば、都市開発であるとか、地域開発であるとか、そういうようなことが盛んに言われておるわけです。じゃどこに団地を設定するかという問題は、ただ事業団指導と、そうして業者あるいは都道府県だけで団地の立地場所の設定をしていいものかどうか、さらにこのような問題については、自治省であるとか、建設省であるとか、特に小さい市の場合には、いわゆる都市計画全体について、どう都市計画をやっていくかということについての能力と申しましょうか、企画力に若干欠ける面があると思うのです。また事業団のほうも必ずしも都市計画そのものに御専門ではないと思うのです。そういう中で建設省その他との連絡等については、どういうことになっておるのか、この点についてお答えいただきたいと思います。
  38. 影山衛司

    影山政府委員 都市計画との関連におきましては、都市計画の一環として行なっておるわけであります。それから通産省におきましては、工場適地調査を行なっております。その工場適地地域の中に入っていなければ団地を認めないというようなことにもなっておるわけであります。立地関係につきましても十分配慮をいたしながらやっておるわけです。それから、具体的に相談をする場合には、県あたりがその指導を直接には行なうわけでございますが、その他工業立地センターというようなものもございますし、あるいは企業局の立地部におきましても指導課がございます。相談室を持っております。通産局あたりとしても指導をいたしておるような次第でございます。
  39. 中谷鉄也

    中谷委員 実際の団地ですね、私は的確に指摘はできませんけれども、必ずしもあまり適当だと思われない、全体の町の地域開発等から見て、そこに団地を持ってきたことがはたして適当かどうか、若干疑問に思われるようなものがあるような気がするのです。そうなってまいりますと、何かそのやり方は、長官の御答弁いろいろありましたけれども、要するに、県の経済部あるいは企画部という、これはいわゆる東京都というようなものでなしに地方の県、そういうところが窓口といいますか、になって、明確な都市開発見通しがない中で立地するというようなところにやはり問題がある。したがいまして、長官の先ほどの御答弁でけっこうですから、さらにそういうふうな点については、全体としての都市計画あるいは地域開発との関係というものを十分にひとつお考えになって立地をしていただくということについて、そういうふうな配慮をするということの御答弁をひとついただきたいと思います。
  40. 影山衛司

    影山政府委員 先生御指摘の立地関係につきましては、従来からも配慮をいたしておりますが、今後ともさらに一そう配慮をいたしたいと思います。
  41. 中谷鉄也

    中谷委員 そこで、次の質問になるのですけれども、別のことです。  事業団指導業務の中で、いわゆる経営管理に関する指導、それから技術指導、こういうような指導の分野がありますが、実際に指導をする職員の数はだいぶふえたそうですけれども、技術指導をされる方の、いわゆる体制というふうなものは十分なのかどうか、これは一体どの程度の方がおられるのか、先日指導をされる方の人数は聞きましたが、その内訳についてひとつ簡単に御答弁をいただきたいと思います。
  42. 影山衛司

    影山政府委員 現在中小企業指導センターのコンサルタントが三十三名おります中で、十四名が技術関係のコンサルタントでございます。新たに二十名をコンサルタントとしてとるわけでございますが、その内訳はまだ決定いたしておりません。この事業団につきましてはこの程度のコンサルタントでございますけれども先生承知のように、各府県に公設の試験研究所もございまして、そこには技術関係の指導員は四千人以上の人間がおるわけでございます。そういうところを動員をいたしまして、指導をいたしたいと思っておる次第でございます。
  43. 中谷鉄也

    中谷委員 お尋ねしたかった点はその点なんです。要するに、その地方の特産品だとか、それから伝統業種といいますか、そういうふうな技術指導については県、市町村あるいはその地方の試験所、そういうところの指導を主として地方の特産品なんかについては受けているわけなんです。しかし、それはなかなか一生懸命にやっているわけですけれども、若干マンネリ化しているという問題も出てくるというふうなことを考えてみますと、現在の事業団の技術指導の体制というのがはたして十分なのかどうか、こういう点についてはいかがでしょうか。
  44. 影山衛司

    影山政府委員 たとえば和歌山県には工業試験所、漆器の試験所等がございまして、いずれも木工関係は非常に充実をしておるように聞いておるわけでございます。そういうところを中心にいたしまして技術指導をやっていくわけですが、ただ、最近の技術の進歩あるいは指導の手法というようなものも日進月歩でございます。振興事業団は、直接の指導をすると同時に、そういう指導者の研修養成もやっておるわけでございまして、半年コースの指導研修をやっておる、そういうふうなところに和歌山県あたりからもきてもらいまして、勉強してもらって能力を向上する、技術的な指導をしてもらうということが必要かと思います。
  45. 中谷鉄也

    中谷委員 長官の御答弁の中から和歌山県の話が出ましたので、ではさっそく次のようなことをひとつお尋ね申します。  これはひとつお教えをいただきたいと思うのですが、私は実はよくわからない。長官もこれは一体どうしたらいいかということについては私は明確な御答弁はいただけないという心配があるのです。長官もわからぬということになるのかもしれませんが、実は中小企業問題一般に関係してくると思うのですが、事業団との関係も私はあると思うのですけれども、結局災害なんかを受けた場合には、中小企業者に対する救済の措置というのが天災地変、そういうものにございますね。ところが、和歌山県の由良という人口一万くらいの小さい町です。そこで一千人の集団赤痢患者が発生した。全然町の機能は停止してしまって商売にならないわけです。ここの中小企業の人たちは、こういう状態が何カ月も続いたら全部だめだというようなことを言っている。このような問題がこの事業団法による貸し付けの対象に直ちになるとは私は思えないわけです。こういうふうな法がこういうものを予想していないと思うのですけれども、集団赤痢によって町の一割の人が患者になってしまって、町が機能を停止してしまったというふうな場合の中小企業業者に対する救済方法は一体どうあるべきか。現行制度等を調べてみましても、適切なものがないと思う。どうあるべきか、現行制度のどれを活用すべきか、この点についてお答えいただきたいと思います。
  46. 影山衛司

    影山政府委員 集団赤痢のような非常事態についてどういうふうに対処すべきかということでございますが、幸いにいたしまして、中小企業関係は政府系の金融機関が国民公庫、中小公庫、商工中金等があるわけでございます。そういう機関をフルに活用いたしましてその救済措置を講じていくというふうに考えておりまして、現実に和歌山県の集団赤痢の場合におきましても、国民金融公庫なりが直接相談に乗っているようでございます。私どものほうもそういう点で指導いたしていきたいと考えております。
  47. 中谷鉄也

    中谷委員 そこで、そういうふうな問題を考えているという中で、先ほどの中小企業問題のビジョンというか、そういうものと関係をして次のような疑問を持ったわけです。要するに、小規模企業の中でのまた小さいもの、たとえば生業的形態といいますか従業員数ゼロというようなものが一体どの程度あるのだろうか、こういうような点についてまず疑問が一つ。そういうものは将来どういうふうに営まれていくべきだろうか、またそういうものに対する施策はどうあるべきか、この点について先ほどたまたま和歌山県の話が出ましたのでお尋ねをした由良の集団赤痢、そこで苦しんでいる小規模事業者というよりもむしろ生業的業態、従業員ゼロ、こういう商売をしている人たちに対する中小企業施策はどうあるのだろうか、将来こういう人たちはどうなっていくのだろうか、見通しはどうなんだろうかという点についてひとつお答えをいただきたいと思います。
  48. 影山衛司

    影山政府委員 従業員ゼロのものについての数字はないわけでございますが、三人以下の事業所数につきましては、製造業あたりで、三十九年度でございますが、二十二万五千件あるわけでございます。小売り業につきましては二人以下が九十一万七千件あるわけでございます。そういうふうな家族零細工業者につきまして今後どういうふうにやっていくかということでございますが、結局のところ、やはりそういう人たちの存立基盤があるかどうか、それからその実態としてどういうことになっておるかということでございます。まずそういう人たちの存立基盤があるかどうかということが一番の問題でございますが、中小企業白書等でも調査いたしておりますように、過去十年間の日本経済の動向を調べてみますと、大体生産構造も迂回度が高くなってきております。それから消費生活水準も非常に上昇いたしております。そういう間におきまして、やはり零細企業の存立の基盤というものも残っておるというふうに私ども考えております。それから国民金融公庫が最近「小零細企業と国民金融公庫」という小冊子をつくっておりますけれども、そこで調査をいたしても大体そういうふうな結論に達しているわけでございますが、ただそれでは存立の基盤があるけれども、そういう零細企業層が経営が安定しておるか、あるいは生産性が低いかどうかという問題につきましては、必ずしもそうではないわけでございます。だから、まず第一番の問題は、そういう零細企業層につきましては、経営の合理化をやらなければならない。帳簿も何もつけてないような人たちもおるわけであります。そういうことでは金も借りられないわけでありますから、まず第一に経営の合理化あたりから進めていかなければならないと考えておるわけでございます。
  49. 中谷鉄也

    中谷委員 この問題はまた日を改めます。というのは、私が申したかったのは、たとえば町の荒物屋さんだとか、あるいは雑貨屋さんだとか、そういうのが一体将来どうなっていくのだろうかというふうな点についてお答えをいただきたかった。自分で考えてみても、これはなかなか結論も出ませんし、対策も立たない。おそらく中小企業庁もそういうことを聞かれて困るだろう、こう思って、私自身、こうすべきだというなにがないわけです。この点についての長官の御答弁は、ちょっと私のお聞きしたこととは違うように思いますけれども、問題は、先へ飛ばしますが、実はこういう問題について、これは資料の出所だけをひとつまず最初に明確にしていただきたいのですが、中小企業のうちで最低賃金法を適用している企業数と適用従業員数については中小企業白書の中に出ております。この資料はどうも私が調べた資料と若干違う点がある。したがいまして、この点については、中小企業白書の資料の出所はどこなのか、この問題について私、関心がありますので、その点を説明員の方からでも御答弁をいただきたい。
  50. 影山衛司

    影山政府委員 出所につきましては後ほどお答えいたします。
  51. 中谷鉄也

    中谷委員 じゃ、あとで資料をいただきたいと思います。  この点については明確に申し上げておきますが、最低賃金法というものについてかなり私自身は批判を持っているわけですけれども、この点についてひとつ資料の出所を明確にしていただきたい。  じゃ、こういうことをお尋ねします。最低賃金制の実施をされている、その最も多い業種、それから少ない業種、これをひとつ色分けをして簡単にお答えをいただきたいと思います。
  52. 影山衛司

    影山政府委員 適用者数から申し上げますと、繊維が九十四万八千人でございます。それから金属機械が百五十五万九千人でございます。これも多いほうでございます。サービス業が六十七万六千人、少ないのは、木材木製品が五十三万四千人で多いのですが、家具装備品になりますと九万八千人、それからゴム製品等が一万人、皮革関係が一万四千人、そういうふうな状態でございます。
  53. 中谷鉄也

    中谷委員 そうすると、いま御答弁になった中では、そもそも最低賃金法によるそういうあれがないという業種もだいぶあるということでございますね。じゃ、その点についてもまたあらためてお尋ねすることにいたします。  次に、この点はひとつ私は政務次官からお答えをいただきたいと思います。  昨日も特定繊維工業の構造改善についてずいぶん問題になりましたが、要するに綿、スフ、絹、人絹、そういう織物業、こういうものが対象になっておる。ところがメリヤス、染色整理業、こういうようなものは対象になってないわけでございますね。  それで、次官から御答弁いただく前に、政府委員のほうからひとつ御答弁いただきたいと思いますけれども、そのメリヤスにしろ、染色整理業にしろ、いわゆるそういう緊迫性というか、緊急性というか、私は綿、スフ、絹、人絹というようなものとそう異なっていないと思うのです。業界の状態は私非常なものだと思うのです。そういうようなものについて対象外となっている。この点については、政府のほうでは一体どういうふうにお考えになっているのか。これはメリヤスとか染色整理業というものについて対象外になったことはたいへん残念だという声は非常に強いと思うのですが、この点について、ぜひともひとつ政府委員のほうから御答弁をいただいて、あとで次官のほうから御答弁をいただきたい。
  54. 乙竹虔三

    乙竹政府委員 お答え申し上げます。数字をまず最初に若干申し上げますが、繊維工業を一〇〇といたしますと、紡績業、綿糸製造業が構成比で二六%、織物業が一九・五%、それから繊維二次製品製造業が一二・四%、化学繊維製造業が一五・五%に続きまして、いま御指摘の染色整理業が一一・四%、メリヤス製造業が八・九%という比率を占めておるわけでございます。これは付加価値額の比率でございます。御指摘のように非常に重要な業種でございます。重要な業種であるばかりでなく、非常に問題解決しなければならない緊迫性を持っております。メリヤス製造業につきましては、縦メリ、横メリ、まる編み等いろいろのメリヤスがございますし、また手袋業等もございますが、主として零細中小企業によって構成をされておりまして、特に後進国の追い上げが非常にきついものでございます。これは問題として非常に緊迫性を持っております。それから染色整理業につきましては、これは繊維の中では比較的化学工業に近い業種でございまして、製造工程等も非常に複雑である。したがって後進国よりもむしろ先進国に近いものでございまするが、わが国の繊維産業が後進国の追い上げに対して対処いたしますために、製品の高度化をはかってまいらねばならないという場合に、染色整理業というのは一番大事なお化粧産業でございます。御指摘のとおり、わが国の繊維産業をこれから付加価値を増し、先進国化するために絶対必要なものであるという意味におきまして緊迫性を持っておる、御指摘のとおりでございます。重要性を持ち、かつ緊迫性を持っておるわけでございますが、今回の政府原案の構造改善の立法の中から省きましたのは、現在の対象にしております紡績業とそれから織物業、この織物が二つになりますので三種でございますが、織物だけでも実は五年間で千三百億の金が要る。そのうち約七割は政府及び府県に依存をするというふうな、国及び地方公共団体としては非常に集中的な傾斜をした支援措置を考えておるわけでございます。この場合に非常に大事と思いますのは、業界の問題が緊迫性を加えており、かつ業種として重要であるだけでなく、業界の熱意がどれだけ高まっておるかということ。業界の熱意と申しますのは、ただ単に主観的な気分だけではございませんので、その熱意は、どういうふうに自主的に業界が責任を持って解決しようという知恵を出すかということを伴っての熱意でございます。この熱意がどの程度メリヤス業、染色整理業について固まっておるかという点が実は問題になったわけでございます。この点につきましては、綿紡績業でございますとか織物二業種は問題が非常に古くはっきり露呈されております。   〔委員長退席、小川(平)委員長代理着席〕 また解決の手法も相当明確になってきておる、こういう点でまず初年度三業種を取り上げた、こういうことでございます。
  55. 中谷鉄也

    中谷委員 次官の御答弁をいただく前に、もう一度政府委員から御答弁いただきたいと思います。  メリヤス、染色整理業、いわゆるそういう問題業種についても緊迫性がある。ただ、業界の熱意、それも主観的な熱意というのじゃだめだ、こういうことですけれども、問題は非常に地域的な問題になりますけれども、業界においては、それ自体もう自分では解決できないくらい非常に弱ってしまっておるというふうな状態の地域もあると思うのです。そこで、しかしそれでは問題の解決になりませんので、おっしゃられているその熱意熱意というおことばで御表現になったその熱意は、じゃメリヤス業界、染色整理業界がどういうふうな熱意を示せば、さらに問題が前向きに解決されるのか、この点についていまひとつ御答弁をいただきたいと思います。
  56. 乙竹虔三

    乙竹政府委員 これはまず、業界がアウトサイダーが比較的少なくて、組合にまとまっておるということは、これは絶対に必要だと思います。これはメリヤスでございますが、中小企業対策でございますので、組合を足場にした施策をする以外に、ほとんど手がないのではなかろうかというふうに、ちょっと考えます。どういうふうに、うまく組合員同士、同業者がまとまっておるかということが、これが一つだと思います。それから次に、この構造改革につきましては、相当思い切った大手術をせねばならないと思います。織布の業界におきましては、組合にほとんど全業者がまとまっておるだけではなくして、その大手術を自分でやろう、たとえて申しますると、過剰設備の処理をやるという決意を固めております。過剰設備の処理は、綿織物におきましては新規一台入れます場合に、古いものを一・六台つぶす、絹、合繊織物につきましては、新規一台につきまして一・五台をつぶすということで、しかも、つぶしますうちの、上乗せとわれわれが言っております。先ほど申しました数字の〇・六ないし〇・五、この上乗せ廃棄分については、半額は政府が補助いたしますけれども、ネックになっております。新規設備と同比率の廃棄設備、これは自己負担でつぶすという腹が業界として固まっておる、これあたりは業界としてほんとうに大手術をやらなければいかぬという決意のあらわれであるというふうに考えます。
  57. 中谷鉄也

    中谷委員 次官にお答えをいただきたいと思います。要するに、メリヤスと染色整理業というのも、いわゆる近促法の指定業種になったのは、ずいぶん私は早かったと思うのです。そういうことで、しかもいわゆる国内向け、あるいは国外向け、内需、輸出ともども高級品に力を入れていこう、こういう方向にある。そういうふうな中で、そのメリヤスと染色整理業が対象外になっているというようなことについては納得のいかないものがあります。もちろんいま政府委員のほうから御答弁になったような事情もわからないわけではありませんけれども、この問題についても、ひとつ早急に前向きの形で処置をしてやる、要するに、ことばをかえて言いますならば、綿、スフ、絹、人絹織物業、そういうものと同様、ことしはだめでしょうけれども、近くそういうふうな措置をとってもらうということでなければ、構造改善近代化高度化というようなことは私ははかれないと思うのですが、この点については、ひとつ次官のほうから政治的な御答弁をいただきたいと思うのです。
  58. 宇野宗佑

    ○宇野政府委員 いま局長が申されましたとおり、繊維産業全般として考えましたときに、やはりメリヤス、染色という問題は、これは絹、人絹等と織布、紡績、大ざっぱに言いますと、織布、紡績と何ら緊要度に関しましては差別がない、それほど構造改革を迫られておる業種であると私も考えております。しかし構造改革を急激に実施せしめ、なおかつ振興事業団対象事業にするというたてまえといたしましては、私自身が考えてみましても、受け入れ態勢ということが非常に肝要なことではないかと思うのであります。したがいまして、昨日も織布に関しまして答弁いたしましたとおり、産地主義とか、組合主義とか、その産地主義、組合主義を通じての意思の統一意欲というものがちょうど政府考えております緊急事態に備えての指導というものとマッチいたしましたので、大手術をすることになったのでございますから、やはりいま申し上げました緊急性と受け入れ態勢、これを、振興事業団指導という今度は機能があるわけでございますから、この指導という機能をうまく生かしまして、さようなことにしたほうがわが国の繊維産業全体のためにもよろしいのではないか、こういうふうに考えておりまするから、今後十二分に検討いたしまして、さような方向にいけるようにつとめたいと考えております。
  59. 中谷鉄也

    中谷委員 じゃ、もう一度念押しで恐縮ですけれどもお尋ねといいますか、お答えをいただきたいと思いますが、要するに緊急性というか、緊迫性というか、必要性、そういうものはもう十分にあるのだ、要は受け入れ態勢の問題だということになれば、もちろんそういう点についての御指導もいただくと同時に、業界がそういう受け入れ態勢を整備した段階においては、これは当然緊急性があるわけですから、当然いわゆる綿、スフ、絹、人絹と同様の御措置をいただける、またそういう措置をすべきだ、これはもうそういうふうな御答弁として私理解をさしていただきましたが、そういうことでよろしいでしょうか。
  60. 宇野宗佑

    ○宇野政府委員 いまおっしゃったとおりお考え賜わってけっこうだと思うのであります。それがため政府といたしましては、メリヤス、染色の業種に対しまして、本年度調査のために二千万円の予算を計上いたしておりますので、十二分なる調査をいたしたいと思っております。
  61. 中谷鉄也

    中谷委員 最後に一点だけ長官に、これはお尋ねというよりも、先ほど私いわゆる生業的業態のものについてお尋ねをいたしました。ところが生業的業態のものについて従業員ゼロというようなものについてのどの程度の数というふうな資料がないというふうにちょっと私お聞きしたように思うのですけれども、もう一度、その点資料があるようでしたら、この点についてお示しをいただきたいと思います。
  62. 影山衛司

    影山政府委員 従業員ゼロ自体の数字はただいま手元にございませんけれども、先ほど御答弁申し上げましたように、製造業で生業的な形態を営んでおると認められる従業員三人以下の企業数につきまして二十一万五千、それから小売り業につきまして従業員二人以下のもの、これが九十一万七千ということでございます。
  63. 中谷鉄也

    中谷委員 資料の関係で恐縮ですが、私この問題については日を改めてお聞きしたいと思いますが、問題は私はもっと下のところを考えているのです。従業員三人以下、あるいは小売り業で従業員二人以下というのじゃなしに、むしろ従業員ゼロあるいはせいぜいでっちさんが一人というふうな、まさに文字どおり生業的業態といいますか、そういうふうなものの数を私は知りたい。現にそのようなものがどんなかっこうで将来見通しがどうなるのか。先ほど存立基盤がないことはないのだと、こうおっしゃったけれども、私の実感としては、全然とにかく品物を買いに来ませんよというふうな話がある。こういう生業的業態のものに対する施策、これはもうとにかく施策が立てにくいことは私よくわかります。国民金融公庫、こう言ったって、それが直ちに施策になるとは私は思いませんけれども、また現に人口は流動し、移動していくこと、購買者の数がそのようなかっこうで減っていくこと、あるいはそういう商売をやっている人が過疎、過密問題の中の過疎地帯におけるそういう業態の人が買いに来る人がおらないからといって不服も言えないという問題もわかりますけれども、だからといって、これをほっておくべき問題じゃないと思う。   〔小川(平)委員長代理退席、河本委員長代理着席〕 そういう問題について、いまおっしゃった製造業で三人以下、あるいは従業員で二人以下というのじゃなしに、もう少し低いところの資料についてひとつ御整備をいただきたいと思います。そういうような問題について、生業的業態について、そういうふうなものの対策、措置をいかにすべきかということについて、私日を改めてお尋ねをいたしたいと思うわけです。これはひとつお願いをいたしておきます。
  64. 影山衛司

    影山政府委員 資料につきましては、早急に調査をいたしてみたいと思います。またそういう生業層につきましての対策につきましては、私どもも非常に悩んでおる問題でもございますので、むしろ先生にも教えていただきたいと考えておるわけであります。
  65. 中谷鉄也

    中谷委員 終わります。
  66. 河本敏夫

    ○河本委員長代理 小山省二君。
  67. 小山省二

    ○小山(省)委員 ただいま審議を行なっております振興事業団法は、わが国の中小企業の画期的な構造改善をはかるための中心政策であり、今日第二の黒船だといわれております開放体制を迎えまして、国際競争力を身につけねばならないときに、現内閣がこの政策にかける情熱も、また業界がこの考え方に期待する点も、ともに非常に大きいものがあると私は思うのであります。しかしながら、反面にまた学界や専門家の間では、必ずしもこの考え方に対して支持できない、相当批判的な声も耳にいたしておるわけであります。その一つであろうと思うのでありますが、去る五月の十七日に参議院の予算の公聴会で加藤公述人がいろいろとこの中小企業対策について述べられております。私も速記録を見まして、傾聴に値する考え方だというふうに実は思っておったわけでございますが、こまかいことは相当広範にわたって述べておりますが、大体要旨としては、現在の中小企業の集団化、協業化を通して近代化政策が進められておるが、規模の拡大不能の企業にとっては、むしろこういう政策から切り捨てられる可能性がある、また労働集約的性格の強い企業もあって、必ずしも小零細企業効果があるとは言えない、このような近代化政策は中小企業の階層分解を引き起こすようになる憂いがある、注意をしなければならぬと、概要そんなふうないろいろこまかい点を述べておる。もちろん次官も長官も、予算の公聴会のことでありますから、おそらく御存じのはずだろうと思うのですが、こういう考え方に対しまして通産当局がどのようにお考えになっておるか、その辺の考え方をちょっとお知らせいただきたい。
  68. 宇野宗佑

    ○宇野政府委員 いま小山委員申されましたとおり、いろいろと批判はあろうとは存じます。ということは、中小企業という把握が、平易なことばで申し上げますと、ピンからキリまでございますから、必ずしも労働集約的な傾向を、さらに資本集約的な方向にもっていったほうがいいじゃないかという考え方が、全般に及ぶとは私も考えておらない次第でございます。しかしながら、今日の全産業に占める中小企業の位置という問題から考えましたならば、やはり先般来より、いろいろと内外の情勢によりまして、それに抗すべく、さらにそれに先行するような態勢をとることが必要である、こういうような考え方から、どういたしましても業種、業態ごとに細密なる調査をいたしまして、とにかく集中的な施策を講ずることが必要ではないか、さような意味合いでここに御審議を願っております振興事業団法も出されておりますので、いろいろと御批判はございましょうが、私どもといたしましては十二分にその点もあわせ考えまして、今後緻密な計画のもとに緻密な政策を強力に実行いたしたい、かように考えておる次第でございます。
  69. 小山省二

    ○小山(省)委員 そこで私お尋ねいたしたいことは、一体中小企業対策というものを経済政策の面から考えてみることが至当であるか、あるいはある程度社会政策的な面から取り上げてみたらいいか、こういう中小企業対策に取り組む姿勢の問題があると私は思うのであります。わが国におきましては、従来から経済政策と社会政策的な、つまり混合方式といいますか、両方を織りまぜたような考え方がとられておるようなことでございました。しかしながら、この基本法がつくられて以来、一貫した立法の趣旨というものは、主として経済政策的な見地に立っていろいろな施策が講ぜられておるように私ども見るのでございます。外国のような場合、いろいろ聞いてみますと、同様にやはり経済政策的な立場に立っていろいろな中小企業対策が打ち出されておるわけでありますが、しかしこれにはそれを立案する前提条件があるわけです。いわゆる経済環境というものが非常によく整備されておりまして、大企業であろうが中小企業であろうが、同様な条件の上に立って正当な競争ができるという、こういう環境の上に立って一連の施策が進められておるわけでありますから、私は経済政策的な見地に立ってのいろいろな立法が行なわれて当然だというふうに考えておる。しかしわが国の実情を見ますと、はたしてこのような環境整備が行なわれておるか、公正な競争ができるという見地に立って、中小企業の立場というものが、経済活動ができるようになっておるか、こういう点を考えてみますと、必ずしも経済政策的な立場から指導が行なわれるということは、適切な指導方針と断言できないような面があるわけです。こういう面で今度の事業団法が立法化されて、そういう考え方というものは全然見てないのかどうか。たとえば経済政策的な面で今後もこの事業団事業活動というものを進めていくとなれば、この事業団によって救済され、この施策の恩恵を受ける業界はいいんですが、そういう業界以外の業界というものは、一体何によってみずから生きていこうとするか、そういう面の不安というものが一部の人にあるわけです。そういう点で長官、ひとつ今後どういうふうなお考えで対処されようとするか、お聞かせをいただきたい。
  70. 影山衛司

    影山政府委員 中小企業政策の姿勢でございますが、よく中小企業政策は経済政策と社会政策を切り離して、小規模零細のほうは社会政策にまかせたらいいじゃないかというような意見があるわけでございますけれども先生承知のように、日本の社会保障制度というものはまだ不十分でございます。そういう点から、中小企業対策のうちで社会保障制度に全部まかせてしまうということで割り切るわけにはいかないのでございます。やはり中小企業対策をやります場合には、社会政策的な見地を含めながら、加味しながらこれをやっていくというのが基本的な姿勢でございます。中小企業対策自体が普通一般の経済政策よりも特別な対策が行なわれ、国民金融公庫等も設けられておるというようなことを考えますと、これはまさに社会政策的な見地からの施策であるということもいえるわけでございます。どうも日本中小企業対策経済政策だけに片寄っておるというような批判が行なわれておるといたしますならば、それは誤解ではないかというふうに私ども考えておるのでございます。したがいまして、先生御指摘の環境整備等につきましても、下請代金の支払い遅延防止関係、官公需の確保の問題あるいは国民金融公庫、中小公庫等につきましても、金融が受けやすいような環境を整備することも一つの方法ではないか。あるいは小規模事業対策も環境整備の一つの方法ではないかと思います。また振興事業団を運用していきます場合におきましても、小規模事業者ができる限り協業化の方向に乗っていきやすいような事業対象といたしまして進めていくというようなことでございますので、社会政策的な見地もそういう点からは十分に加味して行なっておると言っていいかと思うのでございます。
  71. 小山省二

    ○小山(省)委員 確かにいまお答えになられたように、わが国においても、おそまきではありますが、多少そういう環境整備の一連の政策というものが行なわれておることは事実でございます。しかし、はたしてこれらの法律というものが、立法の趣旨どおり業界にとって十分活用できるような立法化がなされておるかどうか。たとえば下請代金遅延防止法など一応形の上では整っておりますが、実際にその業者がこの法律の恩恵にあずかるという場合においては、相当犠牲を覚悟しなければこの法律の適用ができないというような面もあるわけです。たとえば無担保、無保証の融資制度ができた。しかし実際に日本の金融機関の中で、政府機関がその保証制度により、あるいは保険の運用によってある程度の保証をするといっても、実際に預金もなければ取引状態に対して信用のない人に、そういう制度だけで融資が円滑にいくかどうかということになると、一応制度としては、多少社会政策的な意味を兼ねた制度はできておりますが、実際面になりますと、これははなはだ不十分といわざるを得ないと私は思うのです。   〔河本委員長代理退席、委員長着席〕 そういう立場から考えまして、そういう一連の近代化政策あるいは振興事業団のような仕事が進められる反面に、いうならばそういう恩恵に浴しにくい業界というものを救済する政策というものが並行的に行なわれないと、そこには私はいろいろな問題が必ず派生する要因というものをつくっていくのではないかというふうに考えております。したがって、振興事業団そのものが強化される反面、またその仕事の量が拡大されれば拡大されるほど、そういう補助的な政策、社会政策的な施策というものがさらに必要度を増してくるというふうに考えておるのですが、将来そういう面に対してどういうふうな対策をお立てになるお考えがあるか。
  72. 影山衛司

    影山政府委員 できるだけこの事業団対象小規模事業者も加えていきたいということでございますが、ただ、それに乗り得ないような小規模事業層もあるわけでございます。今後ともそういう層につきましては、施策の充実をはかり、また環境整備も先生御指摘のようないろいろな問題点があるわけでございますから、一々これを解決していきたいというふうに考えておるわけでございます。
  73. 小山省二

    ○小山(省)委員 大体当局のお考えは、ある程度われわれも理解できるわけであります。それでもう少しこの振興事業団仕事内容についてお尋ねしてみたいと思うのですが、わが国の中小企業政策の主要的な考え方はいわゆる近代化政策でありますが、いうならば個別企業における設備の近代化、それから共同化あるいは集団化、さらにはただいま取り上げられておるような協業組合制度、こういう一連の政策というものがだんだん強化してまいりますると、私はその政策に乗る、要するにその政策の恩恵に浴する企業と浴し得ない企業との一つの格差といいますか、そういうものが非常に開いてくる。大企業中小企業の格差ということが、一種の社会問題になると同じように、そういう面から比較的政策の恩恵に浴し得られるような企業だけは、その恩恵によってかなり合理化され、近代化される。しかし浴し得ない企業というものが勢い取り残される。いうならば、そういう企業が切り捨てられるような立場に追い込まれるということになると、ここにまた第二の中小企業の中における格差の問題ということが当然発生してくるのじゃないかというような考え方を持っておるわけです。こういう将来起こり得る中小企業の内部における派生問題、そういう問題が起こる可能性がないとお考えになっておるか、将来起こり得る場合に対しては、さらに第二、第三の対策を立てて救済しなければならないというふうなお考えを持っておるか、そういう点について長官見通しお尋ねしたい。
  74. 影山衛司

    影山政府委員 先生承知のように、中小企業をめぐる環境というのは非常にきびしくなっていくわけでございますので、現在やっておるところの近代化あるいは協業化共同化施策を強力に進めていかなければいけないわけでございます。そういたしませんと、中小企業全体が大企業あるいは国際競争力から見て落伍していくということになりますので、現在の近代化施策はこれを強力に進めてまいる所存でございます。その間におきまして中小企業の間に格差が生じてくるおそれもあるわけでございますが、そういう格差の生じないように小規模事業層につきましても指導をしながら、取り残される層につきましても指導をしながら、あるいはそういう人たちの経営管理、合理化の底上げをいたしながら、すべてをこれはわれわれの施策のほうへ乗せていくという方向で進めていきたいというふうに考えておるわけでございます。
  75. 小山省二

    ○小山(省)委員 まあ考え方としては、確かに長官がいま御答弁になったような考え方でいかなければならないと思います。しかし実際問題として、そういうふうな集団化、協業化共同化が行なえる企業とおのずから困難な企業というものがあるわけです。救ってやりたい、またそういう政策の中に入れてできるだけ指導してやりたいという考えは、それは確かにお持ちだろうと思う。しかし、これは政府施策だけで一方的にその政策の中へ入れるというわけにはいかないわけであります。業界自体の考えもあるでしょうし、また実際にそういうことが事実上困難な企業もあるわけでありますから、当然私はそこにそういう大きな格差が自然の間に出てくると思うのです。また事実上零細企業にとってはなかなか、そういう資金の面からいっても、相当自己負担をしなければなりませんし、また二重投資の形にもなるわけです。また現在のところ、そういうあと地の買い上げとか、いろいろそういう点まで、東京都のような場合においては多少予算化されていますが、全国的に見た場合においては、なかなかそこまで行き届いておらぬわけですから、いろいろな角度から見て、なかなかその政策に追従できない企業というものは、救ってやろうという考えはそれは確かに当局ではお持ちだろうと思うけれども、実際には困難である。したがって、逐年この政策が拡大され強化されていくと、いつしかそういう系列に乗れない企業と、そういう恩恵に浴する企業との間に、いま言ったような格差ができるばかりでなく、格差の程度であれば問題ないですが、むしろそういう企業が倒産、破産に追い込まれる危険性がないとは私はいえぬと思うのです。したがって、何らかやはりそういう一連の近代化政策を進める場合においては、別個な方法として、いわゆる社会政策的な意味を多分に加味したそういう政策というものが並行的に行なわれない限り、均斉のとれた中小企業対策というわけにはいかないと思うのです。日本の国が社会保障制度が非常に進んでいて、中小企業もある程度老後の生活が社会保障によって保障されておるというような立場に立っておる場合においては別ですが、そうでない今日の日本の業界の実態を見ると、私はやはりそこに一まつの不安というものが必ず業界の中にあると思う。そういう点で、もう少し将来を見通して政策の立案というものをいまから考えてほしいと私は思うのですが、そういう点についてもう一度ひとつお考えを聞かしていただきたい。
  76. 影山衛司

    影山政府委員 先生御指摘のとおりでございます。ことしは中小企業振興事業団を大きな旗じるしといたしまして、構造改善をやるということで進めておるわけでございますが、何でもかでも協業化で片づく問題ではないこともまた事実でございます。あとに残されるところの、あるいは個別企業単位の近代化で十分適応していけるものもあり、あるいは個別企業、零細企業対策として施策を講じていかなければならない層ももちろんあるわけでございまして、今度振興事業団をつくりますにつきましては、昨年度までに小規模零細企業対策というものをある程度充実を一応いたしたわけでございます。先生も御承知のように、設備近代化補助金は従来からやっておりますが、それに加えまして機械類の貸与制度、それから共同工場の貸与制度、それから無担保無保証の制度、あるいは無担保保険の制度、それから、もちろんその基礎になりますところの商工会、商工会議所あるいは中央会を中心としての小規模事業指導対策というふうに、いろいろとまず小規模事業対策、個別企業対策というものを一応の充実をいたしました上で、そこでその上に事業団というものを今回設立することにいたしたわけでございますので、さらにその振興事業団対象といたしますところの協業化施策を進めていく過程におきまして、また、両者の間の乖離、矛盾が生じましたならば、その点につきましてはさらに対策を講じていくということにいたさなければいけないわけでございまして、先生御指摘のように、今後ともそういう点には十分配慮をいたしまして施策を進めていきたいというふうに考えるわけでございます。
  77. 小山省二

    ○小山(省)委員 今日の段階においてそこまで立法化を進めるということは確かに困難であろうということは、私もよく理解できるわけです。しかし本年度の中小企業におきます倒産件数などを見ましても、日本の景気というものが急速に回復しつつあるという反面に、依然として中小企業の中にはそういう悲惨な実例というものが減少するどころか、むしろ増加しておるというような遺憾な結果が出ておるわけです。私は、いま高度化政策、協業化政策というものが強力に進行しておる過程の中に、小零細企業の中には相当悲惨な形において倒産、破産というような最悪の事態にいっている企業が非常に多いということを承知しておるわけです。それはもう、逐年の経済取引の中においてそういうことがいろんな形で出ておるのです。たとえば商取引の中で手形サイトというものが一体どういう方向をとっておるか。年とともにこれが延びているのですね。従来ある程度の現金支払いをしたようなところでも、今日ほとんど現金で支払いをするというようなところはないわけです。六十日の手形がいつしか百日になり、百二十日になり、百八十日になる。これは何も下請関係だけじゃないのです。商取引の面において、非常にそういう一方的な、支払うという有利な立場から、そういう条件を強制しておる。たとえば百貨店のように現金で売っていても、これは実際に支払うということになると相当長期な手形で払っておる。こういういわゆる中小企業、ことに小零細企業を取り巻く周辺の環境というものが悪化しておるのです。こういう環境を一日も早く整備してやらぬと、これは相当長期にわたって放任できないのですね、非常に脆弱な業界ですから。ですから、政府が本腰を入れて近代化政策、高度化政策、そういう政策を進める反面に、やはりそういう零細業者というものの立場に立って一連の社会政策的な施策を進めませんと、これはあまり時間をかけて放置することが許されない立場にある、こういうことを十分ひとつ長官、お考えいただいて、今日直ちにわれわれはそういう施策を要求するわけでありませんが、少なくとも将来この振興事業団仕事というものは強化されこそすれ、後退することはないわけです。そういうものと並行的に、そういう日の当たらない部門に関係しておる人のためにできるだけの親切な施策をしてやっていただきたい、これを私は特にひとつこの機会にお願いを申し上げておきたいと思います。  それから、しばしば質問に立たれる方が、公団公社の整理統合ということを言っておりまして、私はそういう考え方そのものは大いにけっこうだろうと思うのです。しかし、今日の振興事業団はむしろそういう精神を加味して、指導センターあるいは高度化資金というものを統合しておるから、趣旨としては別にそういう考え方からはずれておるとは思わぬですが、むしろこの振興事業団を一そう強固なものにし、またその文字が示すとおり、中小企業振興に大いに役立つためにさらにこの振興事業団をもっと強化し、他のいろいろな投資育成会社であるとか、あるいは近代化資金関係であるとか、あるいは小規模企業共済事業団とか、そういう一連の事業団をできるだけ整理統合して、可能な範囲はこの振興事業団の中に包含して、これが中小企業対策の最も大きな柱として強力な力を発揮してもらえるように、今後この振興事業団の強化策についてひとつ一段と御検討を願いたいというふうに考えておるわけでありますが、この考え方について、幸い大臣がお見えになりましたから、どんなお考えでありますか、お聞かせをいただきたいと思います。
  78. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 中小企業対策については、お話のとおりこの事業団以外にもいろいろ対策があるし、そういう法律もつくって今日までやってきておりますが、今後はこの中小企業振興事業団中小企業対策の本山としたいと、こう考えたのです。でありますからして、お話のとおりほかの対策どもこの中にもし包含したほうがよければ包含してやるということで、これを中心として、これを本山としてやっていきたいというつもりでおります。
  79. 小山省二

    ○小山(省)委員 たいへんけっこうなお考えでございますので、ぜひひとつそういう方向で今後お願いをいたしたいと思うのです。  それから、これはちょっと方向が変わるわけですが、この間の本会議昭和四十年度の決算が上程されました。たまたまこの中で、中小企業関係にたいへん多額の不用額が出ておるというようなことが述べられたわけです。五兆予算から見ますと、本年度は中小企業対策というものが相当強化された、増額されたと言っても、なおかつ三百五十億程度でありまして、要するに国家予算全体から見ますと一%にも及ばないという、私どもから見るとたいへん不満な中小企業対策費であります。そのわずかな対策費の中で多額の不用額が出るというようなことは一体どこに原因があるのか、こういう点でひとつ直接の担当である長官からその考え方を聞かしてもらいたい。
  80. 影山衛司

    影山政府委員 中小企業高度化資金関係におきまして不用額が出ておるわけでございますが、この不用額が出ました原因は、一つはやはり経済情勢が非常に不況でございましたので、その不況時におきまして工事計画等がなかなか進みにくい状況でありましたということになるわけでございまして、それが最大の原因であったと考えております。それと同時に、先生承知のように、中小企業者を団結させてこういう大事業に向かって進ませるということは非常にたいへんな仕事でございます。そういう点の指導等につきましても、まだ不十分な点があったんではないかと思うわけでございまして、今度の振興事業団をつくりますにつきましても、そういう反省のもとに、指導事業も十分行なっていくということを考えておるわけでございます。
  81. 小山省二

    ○小山(省)委員 たしかに日本経済の中におきます景気の変動その他によって事業の遂行というものが困難なことは、われわれもよく理解できるわけでございます。しかし一たん予算化されました以上は、やはりこの予算を忠実に消化するということはお互いの義務でもありますので、今後日本経済の前途というものがはかり知れない、あるいは将来どのような不況が来るかわからぬ、そういうことを考えましたとき、やはりもう少し計画的に予算の消化をはかるという考え方で御善処願いたいというふうに考えております。  この団地をつくります場合におきまして、われわれしばしば聞く苦情としますと、先ほどちょっと話題に出ましたあと地の処理ということになるわけであります。もともと十分な資金を持たない中小企業の関係者が新しい団地を造成し、そこに新たなる資本を投下するということになりますと、できるだけ自己資金を調達するために、不要になったそういう資産というものをできるだけ早く有利に償却したい、こういう考え方になることはもう経営者としてはあたりまえのことだと思います。しかし建設する面については、いろいろと親心がはかられておりますが、そういうあと始末といいますか事後処理といいますか、そういう問題に対しては比較的等閑視され、仏つくって魂入れず、せっかくそこまで指導してやろう、新しい団地もつくってやろうというところまでいった以上は、やはりあと地の処理についても何らかの形で明確にその処理がはかられるという安心感が持てるように、そういう対策というものがこの振興事業団を創設するに当たって当然必要な考え方だろうというふうに私は思っておるわけでありますが、これらの問題についてはどうお考えになっておられますか、その点をひとつお伺いしたいと思います。
  82. 影山衛司

    影山政府委員 先生承知のように、あと地の買い上げについての要望も非常に強いわけでありまして、振興事業団考えます場合にもその点を考慮いたしたわけでございます。まず東京都等であと地の買い上げ等もやっておられるわけでございますが、その実態等もいろいろお話を聞いてみますと、なかなか問題も多いようであります。そういう点も十分検討いたしまして、これからの検討項目にさせていただきたいと考えるわけでございますが、ただ、それではあと地の買い上げができないことによって受ける影響はどういうふうにしてこれの対策を講ずるのかということでございますが、結局のところ、あと地を処分するということは、そのあと地を処分することによって資金を確保するということになるわけでございます。必要資金を確保してあげるということにつきましては、これは事業団の融資比率を高めましたし、あるいは商工中金等も協調融資をしてもらうということになっております。そういう面で融資の面の手当ては十分してやれるということになっております。あと地の買い上げの問題は今後の問題、こう思いまして検討させていただきたいと思っております。
  83. 小山省二

    ○小山(省)委員 いろいろ資金面について御配慮いただいておりますことはたいへんけっこうなことだと思いますが、事業をやる者にとりまして、金利負担もそう軽視できるものではないわけです。したがって、融資が受けられるからといって、そのものにいつまでも依存しているというわけにはいかないわけでありますから、できるだけ自己資金を調達するということが最善の方法であります。したがって、将来振興事業団が強化されていきます過程においては、どうしてもそういう問題がいろいろ事業計画を進める上の大きな一つのめどになってくる。したがって、単に資金調達という面ばかりでなく、これからそういう施策に協力しようという、そういう計画を立てる一つの前提としてこの問題はあくまでも解決してやらなければならぬ問題だというふうに考えております。将来振興事業団の資金関係に余力ができるような、あるいは別な面で調達が可能だというような場合におきましては、ぜひこのあと地の買い上げということを事業団一つ仕事としてつけ加えてもらうというような方向で御善処願いたいと思うわけであります。  それから今度振興事業団をつくりますに当たって事業団債を発行する、当初われわれこういうことについては承っておらなかったわけであります。本年度は五十八億ほどの発行計画になっておるわけであります。さきに中小企業公庫が債券を発行するときにも業界でいろいろ問題になった。あるいは商工債券の発行に支障を来たすのではないか、あるいは民間資金を圧迫するのではないかとかいろいろ中小企業公庫の債券発行については業界の中でも異論があったわけであります。私は、この振興事業団が債券を発行する、今年は確かに五十八億程度でありますから、そうさしあたって問題になるようなことはないと思います、ないと思いますが、ここに一つの道が開かれるということになると、大蔵当局はややもすると今後の資金源をそういう面に転嫁しよう、そういう危険性が多分にあるわけです。そういうことは単に資金を得ればいいということだけでなく、もうすでに今日の振興事業団の実際の中におきましては当初の構想からかなり後退しておる面がある。たとえば融資の比率なども当初八〇%を予定しておった、それが六五%に後退した。あるいは資金源の一部を事業団債に譲る、われわれとしてはこういうようないろいろな不満な結果を招来しておる。しかしこの事業団を発足させなければならぬ、こういう考え方が優先しておった関係上、そういう問題をしいて取り上げることによって流産してはならぬというので、実はわれわれも今日までそういう不利な条件を忍んできたわけであります。しかしここに道が開かれた以上は、将来そういうことがないとは考えられない。したがって、そういう点で何か大蔵当局と十分確約をとってあるか、事前に話し合って、そういうことのないような確約がとってあるのかどうか、そういう点につきまして、また将来この事業団債の発行というものをどうお考えになっておるか、ひとつその辺をお聞かせ願いたいと思います。
  84. 影山衛司

    影山政府委員 私どももこの政府保証債を発行するということは当初考えていなかったわけでございまして、資金運用部資金等の財投の要求をいたしておったわけでございますが、これは事業団そのものの設立ということが最後までもみにもみまして、まあ時間切れというようなかっこうで、財投資金を投入するというところまではいかなかったわけでございますけれども、この事業団法の第二十七条で政府保証債の発行ができるという規定があるわけでございますが、一方におきまして資金運用部資金法の第七条におきまして、こういう債券発行規定がある事業団につきましては資金運用部資金の借り入れが適格になるということになっておりますので、これは財投借り入れの道が開かれておるということになっておるわけでございます。今後その財投借り入れでやっていくという方向で進んでいきたいと思うわけでございます。
  85. 小山省二

    ○小山(省)委員 いろいろそういう点でもう少し突っ込んだあれをお聞きしたいのですが、もう時間がきたという話でありますから、問題をはしょって、もう幾つかお尋ねしたいと思います。  二つの府県にまたがった事業所で一つ団地をつくるというようなことが将来起こり得ると思います。振興事業団は業務の大半というものを都道府県に委任するわけです。そういう対象事業所が二つの府県にまたがった場合、団地そのものはいずれかの府県に所属すると思うのでありますが、対象事業所が違っておる、こういう場合におけるところの事業というものは一体どこが責任を持って処理することになるか、その辺、ちょっとこまかいかもしれませんが、一応お聞きしておきたいと思います。
  86. 影山衛司

    影山政府委員 そういうケースにおきましては、関係都道府県からも必要な資金の一部を事業団のほうへ繰り入れまして、事業団自体の仕事、直接事業といたしまして商工中金を窓口として事業を行なっていくということになっております。
  87. 小山省二

    ○小山(省)委員 そうすると、事業団が直接指導監督に当たってやる、こういうことになるわけですね。  それから、いろいろ長い期間たちますと、成功する例もあるでしょうし、失敗する例も出てくると思うのです。そういう場合に回収がなかなか円滑に行ない得ないということが当然出てくる。そういう場合に、今度の事業団の助成の比率を見ますと、地方の府県で二五%、事業団が四〇%、こういうことになるわけです。直接指導に当たり、事務を委任を受けておる都道府県が当然責任を持つということになるわけですが、それは都道府県が出資した分だけ責任を持つのか、国の出しておる、いわゆる事業団の分も都道府県が責任を持って返済をしなければならないのか、その辺はどういうことになっておりますか。
  88. 影山衛司

    影山政府委員 第一義的には都道府県が責任を持って回収に努力してもらわなければいけないわけでございますが、回収不能となりました場合には、そういう分担区分に従って責任を負担をするということになると思います。
  89. 小山省二

    ○小山(省)委員 それから今度の事業団では、繊維関係の構造改善に関する仕事もあわせてこの事業団が行なうということになるわけでありますが、去る六月一日、これは日経ですが、「立ち直りはっきり綿紡十社」「経常で八割もの増益」というように、大きく綿紡各社の急速な経営の立ち直りを報じておるわけであります。たいへんな利益が綿紡各社から出ておるというような経理状態だということ、いまの計画されたような精紡機の破棄ということは、はたしてこのような過程の中でも従来の計画どおり遂行するのか、将来このような状態が続いても、政府はそういう景気の推移のいかんにかかわらず既定計画どおり進めよう、こういうお考えであるのか、将来実情に合わせて計画に多少の変更もあり得るという考えであるのか、その辺簡単でけっこうですから、一言見通しについてお願いしたい。
  90. 影山衛司

    影山政府委員 紡績関係につきましては、直接の所管ではございませんで、中小企業関係からはずれておるわけでございますが、長期的に問題を考えなければいけないわけです。短期的に、景気がいいからといって構造問題が解決されるという問題でもございませんので、長期的な視野から考えていきたいというふうに考えております。
  91. 小山省二

    ○小山(省)委員 時間がありませんから質問をはしょりまして、いろいろあとお聞きしたい点もありますが、省略いたします。  いま一つだけ最後にちょっとお聞きしておきたいと思いますが、今回零細企業業界に対しまして機械貸与制度、昨年の予算から見ますと二億ほど増額をされておるわけであります。したがって、予算規模そのものがこの考え方の上に立って逐年拡大をされてまいりますならば、この恩恵に逐次浴してくるのではなかろうかと私は思うのでありますが、いずれにしても、二十人以上の事業対象者の工場が四十数万といわれておる。そういう中でかりに四億八千万あったといたしましても、これは五十万くらいの機械を貸与するとすれば千工場ということになるわけです。したがって、日暮れて道遠しの感が深いわけです。私は中小企業関係の予算の増加の比率については決してどうこうはないのですが、全体的な考えとして、中小企業に対する認識というもの、大蔵省の考え方というものは非常に低いような感じを持つのです。さっきお話に出ましたとおり、今日の日本中小企業構造改善という大きな仕事をこれから果たしていこうというのに、国の予算規模の五兆億というものから見れば一%に満たない三百五十億程度、しかもそれは最大限の好意を示した、配慮を示した、こういう形の上に立って初めてこの程度予算であります。したがって、今日まで業界の中からどうしても中小企業省を設置しろ、専任の大臣を置けというようなことは、こうした一連の不満のあらわれである、私は別な形においてそういう考え方になってくるであろうと思うのです。したがって、機械貸与制度そのものは本年度予算の上から見ると倍額に近い増額は示されておりますが、私が先ほどお話し申し上げましたとおり、今度の構造改善事業に乗り得ない、振興事業団指導対象からややもすればはずれるような、そういう企業にとっては、この機械貸与制度というのはまさに社会政策的な意味を含んだ一つの恩恵的な施策であるというふうに考えております。したがって、これが去年二億八千万のものがことし二億ふえたからといって、これで事足れりというお考えであってはたいへんだと思うのです。少なくともこの仕事は将来十億なり二十億なり相当大幅にひとつ増額をして、そういう施策から漏れる業者をこういう面から救済をしていくんだという熱意のある態度で今後の施策にひとつ取り組んでいただきたいと強く要望いたしまして、時間でございますから質問を終わります。
  92. 島村一郎

    島村委員長 塚本三郎君。
  93. 塚本三郎

    ○塚本委員 幸い大臣がおいでになりましたから、最初にお伺いしたいと思います。  先ほど大臣の御答弁では、この振興事業団中小企業対策の柱にしていく、こういう話でございましたが、私もこの振興事業団には異論は持っておりません。ただ気にかかりますことは、先ほど中小企業庁長官のほうから、個別企業施策については、今日までで一応施策を充実させた、それは近代化資金なりあるいは機械貸与制とか、いろいろな施策を講じてきました、一応充実したから、これからはこの振興事業団、こういうふうな御答弁があったやに承っております。しかし、私どもの目から見ますると、成果がなかったとは申し上げませんけれども中小企業者が期待し要望しておりますその希望からしまするならば、一応の充実というところまで私はまだいっておらない、さらに大きな力を注いでいただかなければならぬ、こういうふうに思うのでございますけれども大臣、その点の御見解はどうでしょうか。
  94. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 長官から答弁したのを私聞いておりませんけれども、おそらく中小企業、零細企業についてはいろいろ手を尽してやってきたが、その上この中小企業振興事業団をつくってやるんだという意味だと私は思うのです。いままでいろいろやってきたけれども、それで事足ったとはわわれれも考えていない。この中小企業事業団でその足らざるところを補ってやっていきたい、いままで目の届かなかったところへ及ぼしたという考えでおりますから、いままでやってきたいろいろの施策がありますが、それに加うるにこの中小企業事業団でひとつやっていきたい、こう考えておる次第でございます。
  95. 塚本三郎

    ○塚本委員 十分だとはおっしゃらなくて、一応充実という表現です。私はそのまますっとそれを速記しておきましたのですが、私は、このことを申し上げるのは、実は長官にそういう心があるものだから、設備近代化資金等について、ちょっと金を事業団のほうへとられたのか、それは知りませんけれども、見てみますると、五十二億が若干減っておる。こういう点も、やはり十分だとは言わないけれども、ある程度施策は講じたんだという腹があるからだと思う。ところが、個別企業に対する育成というものを柱にしてやっていただいて、なお足らないところということならわかるのですが、また大臣も、これが中心の中小企業施策、特に本会議等では、これから事業団ができるからそういう点はということで、何か商工委員でないところの議員さんが聞いていると、中小企業振興事業団が何か救いの神のごとく、しろうとから見ると、本会議大臣の御答弁は受け取り方がされるやに、そんなすばらしいものなのかとみんな聞いてくるわけです。そういう意味で、実は足りないところを補うという見解であればいいと思うのですが、その点、個別企業の育成という立場から近代化資金が減らされたというのはどういうことでしょうか。
  96. 影山衛司

    影山政府委員 設備近代化補助金は、先生承知のように、国から補助金を県に出しまして県が同額出す。それと同時に、過去十年以上の間貸し付けをやっておりますので、回収金が出てくるわけです。それを総合いたしまして貸し付け計画を立てているわけでございます。したがいまして、昭和四十一年度は五十二億の補助金を出しましたが、現段階での貸し付け規模は大体二百億でございます。ことしは設備近代化補助金は四十二億五千万と、十億減りましたけれども、現段階での貸し付け額は、回収金が百二十六億もございますので、二百十一億というふうな貸し付け規模になりまして、むしろ貸し付け規模では増加をいたしております。
  97. 塚本三郎

    ○塚本委員 それは私も以前お聞きしまして承知しておるのですけれども、多少増加しておりますが、まだまだ急カーブで、いわゆる資本自由化に備えるためには、いま一番中小企業が望んでおるのは、政府はいろいろなりっぱな施策を講じていただきました、だが、直接に中小企業者が最も喜んでおりますのはこの施策だと思うわけです。これからできる事業団のことはまだこれからのことでございますが、いままで施された政府中小企業に対する助成施策については、私はこれが最も望まれておる施策だと思うのです。したがって、この自由化に備えて、さらに急カーブでこれをふやしていかなければならぬ。戻ってくるのは、御承知のように五年でこれから戻ってくるのだから、すでに十何年たっておるから、戻ってくることはいままでも戻ってきておるはずです。にもかかわらず年々これがふやされていく傾向の中で、自由化を控えたこのときに、実はさらにふやさなければならぬのが、戻ってきた分を計算しますとふやしてはおりますけれども、いわゆる政府から出されるお金としては削られておる。このこと自身は、客観的に見るならば、この面では一歩手を引いて、そうして事業団のほうに総力を費やした、こういう形にしか受け取れないのですが、違いましょうか。
  98. 影山衛司

    影山政府委員 設備近代化補助金制度を通ずるところの施策も、これは一つの大きな柱でございますので、先生御指摘のように、今後とも充実をしていきたいわけでございますが、その前提となる資金計画等を県とも相談をいたしまして、県のほうの要望等もとりながら毎年の計画を立てておるわけでございます。大体この二百十一億程度の貸し付け規模で、一応県のほうの要望は充足されるというようなこともありまして、そういうようなことになるわけでございまして、この設備近代化補助金につきましては、そういう要望がございますならば、幾らでもこれを今後も増加をいたしていくつもりにしておるわけでございます。
  99. 塚本三郎

    ○塚本委員 そういたしますと、県からの要望があれば、ここに計上の限度額よりもふえても、何らかの形でこたえ得るだけの余裕を持っておる、そういうふうに受け取ってよろしゅうございますか。
  100. 影山衛司

    影山政府委員 ことしは二百十一億というような要望がございましたので、その範囲内で計画をいたしたわけでございますが、来年度以降の計画につきまして、また県のほうがさらに増加してきましたならば、それに応じていきたいということを申し上げたわけでございます。
  101. 塚本三郎

    ○塚本委員 その問題は、私はまだ十分納得はできないのですが、この問題だけであれしておってもなんですから、先へ進ませていただきます。  中小企業の従業員数、昨日自民党の丹羽委員のほうからの御質問に対して、こまかく、その分野に占めております中小企業が七七%、そして大企業が二三%という人員比率の御説明をいただいたわけです。ところでこの七七%というような、いわゆる日本の従業員の中における重い比重を占めておるこの中小企業に対して、先ほど自民党の委員のほうからのお話もあったように、経済政策よりも社会保障的な関与をしなければならぬような御発言があったわけです。私は、ことさらにこの全労働者の七七%を占めておる、しかも経済の最も土台をなしておるものに対して、なぜ社会保障的な——あるいは社会保障といっては言い過ぎかもしれませんが、社会政策的な手を打たなければならぬのか、根本原因がどこにあるのか、あらためて聞いて恐縮でございますけれども、もう少し具体的にその点を長官のほうから御説明いただきたいと思います。
  102. 影山衛司

    影山政府委員 従業員に対してと申しますよりも、企業自体について中小企業、零細企業、中でも零細企業対策について社会政策的な配慮が必要であるかどうかという問題になったわけでございます。欧米諸国のようにいわゆる社会保障制度が充実をいたしておりますならば、仕事をやめても、老齢になりましても、年金で隠居をして食っていけるわけでございますけれども日本の現実におきましては、社会保障制度というものが充実をいたしておりませんので、やめましても退職金だけで食っていくわけにはいかない。退職金を元手に小売り商でも始めなければいけないというような実情もあるわけでございます。そういう点で、日本中小企業政策を行なっていきます場合に、そういう零細規模層は社会政策的な社会保障制度にまかせておいて、われわれの中小企業対策の範囲外でいいじゃないかというわけにはまいらない。やはりそういう零細企業の人たちも、私どもがやっておる施策の中に組み込んでいかなければいけない。だから、中小企業対策というのは純粋に経済合理性だけで割り切った施策にはなり得ないので、社会政策的な見地を含めた経済政策にならざるを得ないということを申し上げたわけでございます。
  103. 塚本三郎

    ○塚本委員 なぜ経済政策の範囲内だけでいき得ないのでしょうか。まともに働き、そして日本産業を背負っておる業者、従業員がなぜ経済政策の中で太刀打ちができない形になっておるのでしょうか、その点は。
  104. 影山衛司

    影山政府委員 経済政策あるいは経済合理性だけでやっていけないということは、やはり小規模零細層の人たちの経営の基盤というものが、資本主義経済のもとにおける経済合理性に乗ってないような基盤になっておるわけでございます。たとえば卑近な例が、帳簿組織も充実していないというようなことでは経済合理性にのっとった経営はやっていけないし、また経済合理性にのっとった施策というものには十分乗っていかないわけでございます。だから、商工会、商工会議所等も帳簿のつけ方から、金の借り方から指導をいたしておるような次第でございます。そういうような底上げをいたしまして、経済性に乗っていくようにしてあげなければいけないわけでございます。その部門につきましては純粋な経済政策ではなくて、やはり社会政策的な指導というものが必要であるということでございます。
  105. 塚本三郎

    ○塚本委員 そういう経済政策に乗らぬような中小企業が依然としていつまでも生き続けていくということはどういうことでしょうか。近代化がこれだけやかましくいわれており、そして政府施策を講ずると講じないとにかかわらず、貿易自由化のあらしの中で、そういう経済に太刀打ちできないものは当然何らかの形で転換を余儀なくされておる。今日の農業がいわゆる自然淘汰の形、あるいは政府施策と相まって農業人口が急激に減りつつある。それと同じように、中小企業も、もし長官が言われるような状態ならば、いいものは生き延びていく、悪いものはどこか転換をするような形で人口あるいはまた企業者が減っていかなければならぬと思うのですが、それが依然として生き続けておるということはどういうことでしょうか。
  106. 影山衛司

    影山政府委員 それは、日本経済が常に生々発展をいたしておりまして、停滞をいたしていないということからくるものと思うわけでございますが、さらに日本経済の発展のしかたが、生産の迂回度が高まる、あるいは消費生活水準が向上いたしていくということになりますと、零細企業層も存立分野が出てくる。あるいは小売り商等につきましても、先ほどもちょっと中谷先生からも御質問ございましたけれども、そういう小規模零細層が存立し得るというのは、日本の消費構造というものが非常に地域が狭いということで、やはりその範囲内においては零細企業である小売り商等も存立ができるというようなことになっておるわけでございます。
  107. 塚本三郎

    ○塚本委員 零細企業はそういう一面があるということは私は認めます。ただここで、たとえば大企業はなぜこんなに中小企業、零細企業を下請として使うのでしょうか。
  108. 影山衛司

    影山政府委員 下請関係は、やはり社会的分業でございます。社会的分業の観点から、何でもかんでも親企業が全部つくるわけにはいきませんので、下請を使うということになると思います。
  109. 塚本三郎

    ○塚本委員 何でもかんでもというわけではなくて、大企業の生産分野の半分以上は、中小企業、零細企業といわれる下請企業が背負っておると私は判断しておりますが、どうでしょうか。
  110. 影山衛司

    影山政府委員 先生御指摘のとおりの実態ではないかと思うわけでございまして、先ほど申し上げましたように、生産の迂回度が高まっていきますと、部品一つを取り上げましても、非常にこまかくなってまいります。それを大企業が、自分の工場で最終的にその部品のまた部品まで全部つくるということは、かえって親企業のほうも、経済的な見地から見ましても、自分のところで全部内生産するということは不適当な場合もあるわけでございます。そこは社会的分業ということで、下請を使うということになるであろうと思うわけでございます。
  111. 塚本三郎

    ○塚本委員 長官、遠慮しいしい、そんなに小出しの説明をしておいでになるようですけれども、不適当ではなくて、下請を使ったほうが安くなるのだから、つとめてこのほうに切りかえていくというのが、今日の大企業の姿じゃございませんか。
  112. 影山衛司

    影山政府委員 私が申しましたのは一般論、一般原則を申し上げておるわけでございますが、先生御指摘のような実態があることもまた事実であります。
  113. 塚本三郎

    ○塚本委員 私が承知しております範囲ですと、大企業のチャージといいますか、一時間当たりのコストを大体八百円から九百円で大企業計算しておる。そして、そこに入っていく下請の一人の一時間当たりのコスト、労賃は二百円から二百五十円で計算をしているわけです。よろしゅうございますか。五〇%ずつの作業量の場合は、この二つを足して二で割りますと、その会社における全生産コストは四百五十円ないし五百円でできたことになるわけです。したがって、この二百円から二百五十円という、小さい下請やそういうものの割合が多ければ多いほど、その会社における生産コストは下がってくる。こういう計算のもとに、どんどんと一般の中小企業を下請の系列に入れて、そして傘下を広げていきつつ全生産コストを下げていく、これが大企業の今日向かっておる道だ。こういうのが大勢ではないかと思うが、どうでしょうか。
  114. 影山衛司

    影山政府委員 従来におきましては、確かにそういう傾向が強かったわけでございますけれども、最近の機械工業部品等の実態を見てまいりますと、労賃等も上昇いたしますし、あるいは景気の上昇に伴いまして、優良な下請が中心でございますけれども、むしろ逆選択が起こっておるというふうな状況もあるわけでございまして、最近の傾向といたしましては、親企業のほうもそういう下請を育成していくというような見地からの系列化ということも行なっておる。これは外資導入の自由化等も起こりまして、そういう新しい状態に適応するために、いたずらに下請だけにしわ寄せをしたかっこうでの系列化というものは、ほんとう意味の、長い目で見ての自分のところの合理化と近代化にはならないという自覚がだいぶ出てきておるように私ども考えておるわけでございますが、まだまだこれは一部でございまして、大部分はまだまだ先生のおっしゃっているような非近代的な要素が非常に多いということを私も考えておるわけでございます。
  115. 塚本三郎

    ○塚本委員 専門家の長官に向かって、私は中小企業下請論争をさしていただこうというつもりでこんなことを申し上げておるのではありませんが、たしか長官先ほどおっしゃったように、優秀な下請を育成していく。しかし大企業はこすいやり方です。それは、何百もあるそういうものを、優秀な下請におまえたちが統括せよといって、その直接結びついておった小さいやつをそこで食いとめて、また二段階下に下げる、こういう形にして、いわゆる責任はおまえたちが持てといって、第一次のそれに並んでおった小さいのはその下にくっつけるという形で、大企業はいわゆるこの監督管理費を少なくするためにこういうことをしておる。この大企業の底意というもののもとにいま長官が説明された経過が出てきているというふうに私は判断しておるわけです。しかし私がこのことを申し上げておりますることは、このような状態になりながらなおかつ中小企業者が生きていくということは、今日の経済界において中小企業の生産の中において果たす役割りは、それは経済ベースの中でも、いわゆる品質と値段とで十分合っておる、そういう大企業でつくるよりも中小企業、零細企業でつくったほうが安上がりだということがすべてのポイントになっておると私は判断しております。その点はどうでしょうか。
  116. 影山衛司

    影山政府委員 すべてのポイントになっているかどうか、私は必ずしも先生のお説には同調し得ないわけでございますが、非常に大きな要素を持っておることは確かだと思います。
  117. 塚本三郎

    ○塚本委員 そのように日本経済を背負っております大企業の中における過半数が、そういう形で生産を、中小企業でつくったほうが安上がりなんだ。極端な表現を使いますならば、大企業というのは設計と組み立てとそして販売が大企業仕事であって、いわゆる生産のほとんどは中小企業、零細企業が行なっておる。設計図だけぽんと渡すだけで、そして販売のベルトへ乗せるというだけが大企業なんだ。これは極端な表現でございまするが、いわゆる製品についてはそれほどまでに中小企業日本産業のたいへんな部分を背負っておる。しかもそれは大企業が独自に製品化するよりも劣らないだけの製品をつくり、なおかつ安上がりであるからなんだ。確かに長官がおっしゃったような、会計経理の面では大福帳的な面はあります。しかしそんなものは、いわゆる生産そのものについては第二次の部分であると私は思っております。そう考えていきますと、日本経済の柱は中小企業であって、その中小企業が社会政策的な目でしか扱っておれないとか、あるいは社会政策的な部面を大きく加味しなければならないということは、政府自身の経済政策に重大な欠陥がありはしないか。そんなことにお気づきじゃございませんか。
  118. 影山衛司

    影山政府委員 たとえば先ほどの下請問題におきまして、下請代金支払遅延等防止法というものがございまして、中小企業の立場を強くしてあげるというようなこと、これは経済政策ではございません。むしろ社会政策的な見地からの環境整備ということもあるわけでございまして、そういうふうなこともやって、できるだけ経済ベース、経済合理性にのっとった中小企業の運営ができるというところにもっていってあげるというのが最終の目的でございまして、これは社会政策だからあるいは経済政策だからという割り切り方でものを考えるわけには、まだまだ日本の実情はいかないのじゃないかというように考えるわけでございます。
  119. 塚本三郎

    ○塚本委員 これはほんとうは公取の委員長お尋ねするのが一番いいのでございますが、先日一時間ほどお尋ねしたばかりでございますから、あえて大臣に御質問申し上げますが、今日デパートの中で売られております製品で、たとえば、例を出して迷惑になるかもしれませんが、しかし具体的に申し上げないとわからぬから申し上げるのですが、電気冷蔵庫、全く同じ製品であって、片一方は日立のマークがついております。片一方は三洋のマークがついております。全く同じ製品で、製造元は全く同じでございます。これが両方違ったマークがついて売られておるわけでございます。あるいはまたお酒などで、月桂冠というお酒、もうこれは常識になっております。そこの会社でつくったものはわずかであって、中小のメーカーの売れ残りを集めてきて——売れ残りという言い方、これも聞こえるとしかられますけれども、とにかく販売の過剰したもの、それを集めてきて、そしてとにかく月桂冠というレッテルを張って売られておって、あそこの会社独自のものは半分に満たないということは、通の人たちの常識になっております。そういうことは、いろいろ取り立ててみまするときに、まだまだたくさん出てきております。その点どうでしょうか。もちろん公取の委員長に聞かなければわからぬ。しかし私は法律的なものを聞くのではなくして、やはり不当表示という、いわゆるお客さまの意思からいいますると、そのマークならば、そのマークの会社でつくったものだというふうにお客さんは受け取って、それを買い取っていくということになろうと思いまするが、法に触れるか触れないかということを私はお聞きしようと思っておりませんが、お客さまの立場から考えたら、きわめて不本意な販売のしかたになっておると思うが、どうでしょうか。これは長官でも大臣でも、どちらでもけっこうでございます。
  120. 影山衛司

    影山政府委員 法律的な見地は別といたしまして、そういう点は商売道徳のモラルから申しまして、これはよろしくないと思うわけでございます。
  121. 塚本三郎

    ○塚本委員 「台所用品から原子力まで」というコマーシャルがテレビで出ておりますね。こういう電機メーカー、いわゆる原子力まで扱っておるところの一流のトップメーカーが、台所用品を自分の工場でつくっておるという判断が成り立つかどうか。おそらくこれは中小企業なり零細企業でつくらせて、自分の会社のマークを張って出しておると私は想定いたしておりまするが、大部分はそういう形でやっておるのじゃなかろうかと思うが、どうでしょうか。
  122. 影山衛司

    影山政府委員 必ずしもそうではないと思いますが、一部にはそういう傾向はあるかと思います。
  123. 塚本三郎

    ○塚本委員 長官は、知っておって、何か差しさわりがあるかしれぬと思って、先ほどから、肯定しながらも表現だけはきわめて慎重な御発言をいただいておる。私は悪意を持って、あるいはその会社をどうこうしようとか、あるいは公取の問題としてこれを申し上げようというつもりで申し上げておるわけじゃございません。中小企業が堂々とみずから製品として大企業のマークをつけて使っていただいて少しも遜色なく、いま国民の台所を充足せしめておるのだ。この中小企業の努力とその自信というもの、このことを長官が腹の中に置いて扱っていただかなければ、いつまでたっても、逆に言うならば、その強い中小企業製品というものが不当に扱われておるところに今日の中小企業の根本的な問題があると私は察知をしてこのことをお聞きしておるのです。どうでしょうか。
  124. 影山衛司

    影山政府委員 品質的にも中小企業製品が大企業製品と何ら遜色がない、しかるにそれだけの評価を受けていない、あるいは大企業のラベルを張らなければ売れないというような状態に置かれておるという実態、これは十分認識した上で中小企業者の実力というものをできるだけ評価をいたしまして、その実力に合った待遇ができるように持っていくということは、これは中小企業対策の  一つの大きな要素ではないかと思います。
  125. 塚本三郎

    ○塚本委員 販売のほうでも同じことが言えるのです。私はデパートへ出入りいたしておりますが、高島屋オリジナリティ、これだけは仕入れ商品ではありません、私の店で独自につくったものでございます。こういういわゆる特別な宣伝をやるわけです。これは都内の各デパートでやっております。ところが特別につくるものというものは、私の知っておる範囲では一つもないと言ってもいいわけです。一般の者はわざわざ問屋からあるいは業者から入れてきたというふうに認識するのは当然のことです。百貨店自身がつくるわけではない。だけれども、オリジナルとして特別に宣伝しておる場合においては、そういう印象を与えるのです。しかもそれが目玉として——目玉と申しますのは特別新聞広告としてデパートは売り出しをやるわけです。その品物でさえも、そのデパートで製造しておるというような、三越は三越の製作所というようなものを持っておりますけれども、ほかのデパートはほとんどそういうものを持っておりません。だから、そういう宣伝をしながら、結局のところは何も変わっておらない。中小企業そのものであって、一流の大デパートがつくっておるものではないということです。ですから製造の方面におきましても販売の方面におきましても、中小企業が一流のレッテルを張られれば、一流として家庭を充足させるだけの自信があるという——例外はございますけれども、それが大部分になってきたということです。この業界の信用力、努力というもの、それが今日日本の社会において不当にレッテルを張らなければ扱われなくさせられておる。ここに中小企業問題の中小企業問題たるゆえんがあって、いわゆる生産性の問題やあるいはそのほかの問題で中小企業製品なり中小企業の力というものが、実は特別に考慮してやらなければならぬほど弱いものだというのではなくして、ある程度互角になっておるにかかわらず、はっきり申し上げましょう、大企業の力によっていわゆる差別扱いをしなければならぬ状態になってきておるのだ、私は今日の社会情勢というものは、そういう状態だと思うが、どうでしょう。
  126. 影山衛司

    影山政府委員 中小企業製品が品質の点におきまして大企業製品に劣らないものをつくり得るというところまではいいわけでございますけれども、その先で販路を自分で開拓する、あるいはマーケッティングをやっていくというところの力がないわけでございます。そこで、デパートのほうに売って、そのレッテルを張って、自分の販路を広げていくというような実情になっておるわけでございます。それも一つの行き方ではありますが、やはりそれだけの実力のある中小企業製品なら、自分のレッテルを張りまして売れ得るようなことをやらなければいけない。今後中小企業対策として残されております問題は、そういう中小企業者がつくりましたものの販路の開拓、あるいはマーケッティングというものを中小企業者自体でやり得るような方向に指導していくということが一つの大きな課題であろうかと思うのでございまして、中小企業振興事業団にも調査部を設けまして、そういう点を今後の問題といたしまして、調査をいたし、もうすでに一部調査をいたしておりますけれども、そういうところの研究をいたしておるという状態でございます。
  127. 塚本三郎

    ○塚本委員 ありがとうございました。そのことがいま最も重要な問題ではなかろうか。自分のところでつくりながら、ピンはねだけされて、そして他人さまのマークを張らなければいま売れないという、それはもはや私は今日これほどまでに——企業中小企業との間の信用力、これはいろいろあります。かつての中小企業製品が劣っておったということや、あるいは資金力や宣伝力や、いろいろな問題があると思うのです。それを補うために、暴論かもしれませんけれども、優秀な製品に対しては中小企業庁が宣伝費くらい持ってやって、大企業に負けぬくらいの、団地と同じような百何十億という金をそれで見ていただくならば、中小企業製品というものに対して宣伝するようなこと、これは法律的にはどうなるか、私はしろうとでございますから申し上げるのですが、これをやっていただくような道を開いていただいたならば、中小企業の単独製品としてのものについては、少なくとも今日家庭用品等についてデパートで並んでおりまする範囲の製品というものは、何も大企業のマークを張らなくてもやっていかれるというふうに思うわけでございます。その点どうでしょう。相当具体的にその宣伝の方法について何かお考えございますか。
  128. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 いまの塚本委員の言われるようなケースは多々あると思います。しかし百貨店の中でも、やはり自分のマークをつけて売っておる商品もあるのでございます。そこで問題は、一方では百貨店も存在するし、一方では独特の製品であるものは専門店としてこれは存立する余地があると思うのです。それは専門店として存立のできるように今後育てていかなければならぬ。百貨店では買えなくても、あの専門店に行けばこういういい品物があるというような専門店、これは外国でもみな百貨店と同じ町に、それぞれ百貨店で売っておるものと同じ品物の専門店があります。これは少し心ある人はその専門店に行って買う。一般大衆は百貨店に行ったほうが簡単に買えますから、しかし心ある人はあの専門店に行ったら自分の気にいった品物があるということになりますから、そういうようにやはり専門店として、そういう独特の商品は売るように育てていったほうがいいのではないか、こう私は考えております。
  129. 塚本三郎

    ○塚本委員 百貨店はもちろんよく売れるほうを並べるだろうと思うのです。何も大企業だけに固執していないと思うのです。そのときに問題になりますのは、たとえば電気器具が一番わかりやすいから申し上げるのですけれども、御承知のとおり大きなテレビの番組というのは、いまほとんど薬屋さんか電機メーカーさんが占めておるという形になってしまっております。その宣伝力で、だあっとやられてしまいますと、いわゆるレッテルに弱い日本人の常として負けてしまう。中小企業でつくりながら日立のマークをつけてみたり、あるいは三洋のマークをつけてみたり、あるいはナショナルのマークをつけて売っておるということですね。そのときに自分のところのAならAというマークをつけてその宣伝ができるように、何か具体的にそんな——個別にはそれはなかなかむずかしいと思うし、深く検討をしたこともございませんが、何らかの形で実際にそれは使われておるのですから、それらの一流のメーカーのネームがついておるのですから、だったら自分のネームでやってピンをはねられぬようにするということを考えて、政府が具体的に、こんなことは不可能だとおっしゃるかもしれませんけれども、そういうふうな方針を今後大々的に考えていくということをしていかないと、製品がいわゆる劣らないだけになっておりながら、そういう扱いをいつまでも受けてしまう、こういう形になりはしませんか。
  130. 影山衛司

    影山政府委員 そういう点も考慮いたしまして、先ほど申し上げましたように、事業団あたりでもそういう方向を検討していきたいということでございます。大体個別企業についての宣伝費用を政府がめんどうを見るということになりますと、なかなかたいへんでございますので、やはり共同販売とか、そういうふうなルートに乗せていきまして、めんどうを見ていくというようなことになるのではないかと私は考えておるのでございますが、先生御指摘の点は非常に重要な点だと思いますので、今後検討さしていただきたいと思います。
  131. 塚本三郎

    ○塚本委員 くどいようでございますけれども、たとえばああいうビルを見てみますと、一流の会社が看板を掲げてやっておりますが、失礼だけれども、あそこに働いておる人の何%がその看板どおりの従業員であろうか、これは驚くべきパーセントしかないのでございますよ。二段階、三段階、四段階くらいピンをはねて、実際には半分以下の値で、四段階くらい下の人が危険にさらされた仕事をしておるというのが実情で、もう驚くべきパーセント、あの看板を掲げておる会社の従業員は少ないということですね。このことは長官も御存じですか。
  132. 影山衛司

    影山政府委員 承知いたしております。
  133. 塚本三郎

    ○塚本委員 こういう実態でございますね。私はそのことの不当どうこうを叫びますよりも、あんなビルそのものは中小企業者がつくっておるのだということです。この実態考えたときに、日本経済の柱は中小企業なんだ。この大前提のもとにすべての施策をとっていかないと——むずかしいことはないのです、中小企業に入札をさせたらいいと思うのですよ。ところが中小企業にさせない。それは万が一のときのいろいろなことがあるでしょう。そういうことを具体的に検討なさって、大企業が実際やっているならいいですよ、やってないのですから。わずかのパーセントしかいないし、やっていないという状態です。せめてそれならば、極端な表現を使いますならば、官公庁の建物だけは中小企業に全部やらせようじゃないか。そうすると独禁法にかかるかもしれませんけれども……。そういうふうな施策を講じていかなかったならは、いつまでたっても——いわゆる実態中小企業が背負っておる。最初お聞きしたように、七七%という生産を背負っておる。少なくならない。なるはずがないですよ、それは実力があるのですから。それだけ製品をつくり、しかも大企業は、そのことの価値と、安上がりだということを認めておるのですよ。だからこそそれを使っておるというのですね。にもかかわらずピンはねだけされて、極端な表現ばかり使って恐縮ですけれども、そういうふうな状態で何段階かをくぐっている。特に最近、中部地方におきまして、製鉄工場で、銑鉄のまっかな溶鉱を運んできます途中で傾いて流れてきた。下はトタン板の下で、そこで下請が小屋の中にいた。流れてきたら、溶けて死んでしまった。驚くべし、そんな重要な仕事の中で働いていた人が下請の人であったことが明るみに出た。某造船所の中で爆発事故が起こった。相当の人数、十人近くだったと思いましたが、死んでしまった。ところが、その一番大切な船体の中における作業というものは全部下請の人であったということが大問題になって、下請の問題が新聞紙上をにぎわわしたことが昨年ございます。これらの問題は、日本経済の最も大切な、しかも一番悪いところで、そして一番重要というと大げさかもわかりませんが、そういう中に働いておるいわば中小企業が、人間の数だけじゃない、日本経済におけるいわゆる重要な部分を背負っておるのだということだと思うのです。それがなぜ大企業にいいところだけ押えられてしまうのか、この点はどうでしょうか。
  134. 影山衛司

    影山政府委員 まあいろいろとそういう点があることは事実でございまして、そういう対策の一歩前進といたしまして、この前の国会にも官公需の確保に関する法律を出して現在実施中でございますが、その法律の趣旨は、まさに先生が御指摘のような方向で中小企業者に販路を確保してあげるということの前進のあらわれでございます。
  135. 塚本三郎

    ○塚本委員 長官は十分お気づきになってみえると思うのです。私どもみたいな若造のしろうとが申し上げなくとも、十分知り尽くした立場で、諸般の情勢の中からいろいろ最小限度の——わかっておって、やりたいし、やったらいいということを十分長官は御存じのはずです。それを、いろいろな情勢等を勘案しながらしか、小出しにしかやってみえないというふうに私は察知するわけでございます。確かに中小企業がそういう部面で伸びていかなければならない。ところが伸びかかりますると、今度は資本力にまかて大企業がわっと取ってしまうわけです。もうからないうちはほうっておきます。そしていわゆる採算ベースがよくなってきたという企業に対して、あるいはそういう産業分野に対してわっとやってきてしまう。この間大臣に申し上げたのでございますけれども、もう一つの例、私の例でございますが、こたつ盆というのがあるのです。最近は部屋に暖房を入れるよりも、電気のこたつにして、そしてあたっておると、その中だけで暖がとれるということで、上で食事したりマージャンしたりする、そのこたつ盆を私のところでこしらえて売っておったのでございます。ところが最近全然売れなくなってしまった。それは電気メーカーが下のこたつをつくっておりまして、ついでにその上の盆を全部こしらえてしまうのですね。しかもそれは安いのじゃないのですけれども、実際には薄いいわゆるメラミンであって、規格に合ったところの薄さの半分ぐらいですから、実際安くなってしまうということで、全く私ども、販売が十分の一ぐらいになってしまいました。これは売れるなと思っていた、一日に五十枚から百枚近くデパートで売れていた、それがぱたっととまってしまった。それはいわゆるナショナルあるいは三菱、日立、こういうところがざっと来てしまって、まる取りにしてしまう、こういう状態でございます。こういう形は、単に私は自分の商売のことでこんなことを申し上げるのじゃなくて、ほとんどの状態が、電気ストーブが、石油ストーブがそうではございませんか。具体的にあげてみますと、よくなると、自分たちの宣伝よりも向こうがまさっておるから、くふうして一生懸命分野を開いていくと、ざっと来てとってしまう。  長官、今度いわゆる外資審議会でもって、日本産業を守るために、いろいろと資本自由化で御苦心なさっておいでになります。これは一体何がために審議会でこういう苦心をしなければならぬのか、根本的な目的はどういうところにあるのですか。
  136. 影山衛司

    影山政府委員 外資が入ってまいります場合には、ワールド・エンタープライズというような大規模の企業が入ってまいりまして、日本産業、特に中小企業分野に甚大な影響を与えますので、そういう影響を防止するという意味から審議会が審議をされておるものというふうに考えておるわけでございます。
  137. 塚本三郎

    ○塚本委員 長官答弁は私は実に慎重だと思って感心するのでございますが、この間のときの私の質問に対する御答弁は、中小企業に対する資本自由化の影響は、大企業が受けます、中小企業は直接には受けませんが、大企業がこれに対処するためのいわゆるいろんな企業の統合とか、そういうことが起こることによって、二次的に派生して起こってくる被害が重要だと思いますから、これに対処する方法としていろんな施策考えております。こういう答弁であったと思うわけです。それは私は間違いないと思うのです。一次的にはそういうことだと思うのです。そのよってきたるところは、大企業が外国の資本によって、宣伝力によってたいへんな被害をこうむるから、まず日本産業の中でこのまま外資を野放しにしてはいけないというところから、外国の執拗な批判やあるいは要請にもかかわらず、通産大臣御苦心なさって、小出しにだいじょうぶなものだけしかやっておらない、しょせんそれは、日本企業を保護するために野放しにさせてはいけないという配慮があったからではないかというふうに、私は御苦心のほど察知いたしております。であるとするならば、今日、同じ日本の国の中ならどうなってもいいという問題ではないと思うのです。日本の国の中で大企業がずっとにおいをかいでみて、という言い方は変ですけれども、もうかりそうなもののところへざっとこう来てしまって、私は単にこたつ盆だけの被害で済みましたけれども、こんなことで苦労してきた中小企業の分野を食い荒らしてしまうということに対して、外資に対すると同じように——日本中小企業に対して大企業が食い荒らしてしまっておる実態というもの、これはもうお認めいただいておると思います。それを何らかの形で保護しなければならぬという立場に立つ、たとえば外資審議会と同じような機能の、国内版とでも申し上げましょうか、中小企業審議会のようなものをこしらえて、中小企業がすくすくと伸びておるときには大企業が食い荒らせないように、あるいはむしろ大企業が手を出してもだいじょうぶだというところまで保護をしてあげなければ——外資審議会のようなものがあったからこそ、日本は外国の資本に対しても、いいところだけ選択をして取り入れて伸びてきて、競争力をつけてきたと判断されるわけです。であるとするならば、中小企業に対してもそういうふうな施策というもの、極端な表現を使いますと、野党が何度も主張いたしておりまするような中小企業産業分野の確保に対する施策、この点をもうぼつぼつ考えていかなければならぬときになってきたのではないか、こういうふうに考えるのですが、どうでしょうか。
  138. 影山衛司

    影山政府委員 先生御指摘の中小企業のための分野を守るための審議会、これはまさに、そういうものはすでにあるわけでございますが、中小企業団体の組織に関する法律の中に中小企業調停審議会というものがあって、問題のある場合にはそこに持ち込めるということになっております。
  139. 塚本三郎

    ○塚本委員 それでは、先ほど私はあえて公取の問題にはしないと申し上げましたけれども、こういう問題について、たとえば自家製品ではないにかかわらず大企業のレッテルを張って、そうして利だけをかせいで売っておるようなものに対して、審議会なり中小企業庁として行政指導をなさったようなことがありますか。
  140. 影山衛司

    影山政府委員 先生の問題にされておりますところの中小企業分野を確保するという問題、それは大企業中小企業の分野に進出をしてくるという問題、ちょっと問題は違います。大企業中小企業分野に進出してきます場合には、中小企業者が商工組合をつくりまして大企業と交渉する、それでまとまらない場合には中小企業の調停審議会に持ち込むということでございまして、先ほどのラベルの問題はちょっと別個の問題ではないかと思います。
  141. 塚本三郎

    ○塚本委員 そうすると、製造さえしなかったならば、その製品として扱い、その産業分野に出ておっても、製造にさえ手をつけなければいいという判断に立っておるわけですか。
  142. 影山衛司

    影山政府委員 中小企業分野に進出するということの意味でございますけれども中小企業製品が自分のラベルで販路を見つけ得ない場合に、デパートのラベルを張って売るということが、大企業中小企業分野の進出ということになるのかどうかということは、これはちょっと疑問の余地があるのではないかと存じます。別個の観点からの取り上げ方をしなければいけないというふうに思います。
  143. 塚本三郎

    ○塚本委員 私は、先ほど長官のおっしゃった法律を十分勉強しておりませんから、こんなところでそのことをお聞きすることは不見識かもしれませんけれども、しかし中小企業がいま一番困っておりまする問題は、先ほどから私がくどく回り道のように申し上げておりましたが、中小企業はこんなに日本経済の大きな力と貢献をしており、しかも労働人口を養っておるんだ、なおかつその製品に対しては大企業が取り上げて自分のものだというふうにして扱っていただき得るような力があるのにかかわらず、それが不当に扱われておるということは、まさに信用力あるいは資金力、宣伝力、このことにあるということで、その方面に、一部個別企業に対してはどうかわからぬとはおっしゃったけれども、何らかの形で宣伝力なり購買力を広げるための施策だけは考えておるという、かすかなあかりを当てていただいたような気がするわけですが、そうであるならば、それが実際に補完していただくまでは、補って、りっぱに競争できるようないわゆる手を講じていただくまでは、自分のところでつくった、中小企業でつくったものを大企業のたとえば三菱なり松下なり日立というマークをつけて売っておるということ、そのこと自身は、それはまさに三菱がつくったもの、日立がつくったものという宣伝であり、そしてまたお客さまは、三菱の製品なんだ、日立の製品なんだという判断のもとに買っておるというふうに、私は素朴にこのことは判断していかなければならぬと思うが、どうでしょうか。
  144. 影山衛司

    影山政府委員 先生御指摘のとおりでございます。三菱というマークをつけたほうが売りやすいわけでございます。そういう点で、三菱のマークをつけたほうが、中小企業者の側からいうと、自分のラベルで売るよりも数量的にもたくさん売れる場合もありますので、過渡的にはやはりこれも一つの行き方ではないか、むしろ三菱のラベルを張らしてもらえるだけの実力を備えておるということ、そのところの活力と申しますか、実力を評価して、そこを問題意識にして今後は問題の解決をはかっていきたいという問題意識だけは、十分先生の御指摘によりましてわれわれも考えております。
  145. 塚本三郎

    ○塚本委員 わかってみえるのだから、私は、こんなこと何度繰り返しておっても御迷惑かもしれませんけれども、もはやこういう意味産業分野をはっきりしなかったならば、片方において合理化がなされていって、そうしてコストが下がったということになると、下請企業におきましては、おまえのところ合理化ができたのだから単価を下げようや、こう言って、生産性向上した分の、あるいは集団化して事業団でこれから手をかけていただいてそれだけのことができたといたしましても、そのいわゆるうまみというものは大企業が初めから単価をきめるときに吸い取ってしまうというのが大部分であること、それから完成した製品として販売する場合におきましては、自分たちのつくったものが、よそからきた大企業によって、いわゆるレッテルをつけられることによって、そのいいところだけを吸い取られてしまうということ、レッテルによって売れるようになったということもありまするけれども最初はそうじゃなかったのです。最初は中小メーカーがぼつぼつ売り出して、そうして売れ行きが順調になってきたときに、大メーカーがのこのことやってきまして、それに似たものをだあっとやってしまうから、つぶされてしまうから、その肩がわりにさせられてしまう。暖房具なんかはまさにそういう例でございまして、全然、一流の電機メーカーは一つもつくっておりませんでした。それが石油コンロなんか極端でございますね。三、四年たってこれが家庭に一般化されると、ずばっときてしまって、もはや彼らに利潤を取られても、宣伝力から勝ち得ないということになってきておるわけです。いずれにいたしましても、合理化したもののうまみというものは大企業が取ってしまう。完全に産業分野を荒らすことによって彼らは生きておると断定せざるを得ないのではないか。私は、中小企業の問題、いろいろな合理化の問題とおっしゃるけれども、それが役に立たぬと申し上げるのではない。この事業団の法律もわが党は賛成することをいわゆる内定いたしております。けっこうです。だがそのかわり、こういうものをおつくりになっても、しょせん産業分野をきちっときめていただかないことには、いつまでたってもこの問題の解決はできない。長官は昨日このことについて、行政指導についてちらっと漏らされたけれども産業分野を確保するということの必要性を漏らされたはずです。ただ、しかし、それでは弾力性がないから行政指導と逃げられたはずでございます。いままで行政指導でどれだけの効果があがったのかということから考えてみると、私は、即刻野党が主張するような産業分野の確保に関して、こうせよといって、皆さま方に対する立場を追い詰めるというところまでの決意は持っておりませんが、しょせんそうしなければならぬ宿命を背負っておる、と大臣はお考えになっておいでになるでしょうか。
  146. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 先ほどから塚本委員のお話を承っておりますと、いろいろのお話、これは根本的に産業体制自体の問題だと思うのです。そこで、そういういろいろのケースがあります、あなたがおっしゃったようなケースが。そういうケースがあればこそ、この中小企業振興団というものを設けなければならぬということをわれわれ考えておるのであって、そこでまたそういうようなものでないケースもたくさんあると思う。でありますからして、先ほど申し上げましたとおり、専門店としてまたりっぱに成功しておる店もあるのですからして、それはそれでやったらいい。何も百貨店に売らなくてもいい。それはそれで育てることも考えなければならぬ。しかしまた百貨店に売ったほうが得だということで、百貨店に売る人もある。少し腕のある人は、自分は専門店でやるのだということでやっていく。そういうことで、私は、日本の商業機構というものは、大衆的な百貨店があり、片方では専門店があるということでいくべきだ、こう思うのであります。そこでいまのお話のように、同じ品物を、一方では三菱の名前をつけたレッテルを張り、一方では大丸のレッテルが張られるということであるならば、これは百貨店で売っておるメリヤスにしても何にしても、大丸のマークをつけ、三菱の場合は三菱のマークをつけて売っておるわけであります。そこで、こういうような大規模な商業機構でありますと、そういうメーカーから買って売るということでやるのでありますから、メーカーから買って自分のところのレッテルを張らすということ自体は、決して私は不当だとか不正だという意味ではないと思うのです。これが一つの商業機構であります。しかし、そこで問題なのは、売る人が不当な安い値で売らざるを得ないようにさせるというところに問題があるのです。要するに、中小企業の問題というものは、大企業と所得の格差をなくするということがねらいなんです。中小企業中小企業で相当それで収益をあげて、そして下請として大企業のほうに売るなら売るということをして、大企業はみんな集めて、そして組み立てて、またそれでもうけるということ、それが一つのやはり商業機構なんです。そこで問題は、いまあなたのお話のように、圧迫して安く売らして、そして大企業だけがぼろいもうけをするというようなことは抑制するようにしなければならぬとわれわれは考えるのであって、それぞれの業者がそれぞれみな所得をあげて、大企業の所得と格差がないということになれば、私はそれで商業機構としてはけっこうだと思っております。しかし、問題は広範にわたる問題であって、これは消費者の問題も考えなければならぬし、小売り商の問題も考えなければならないし、また卸売り商、仲買い人のことも考えてやらなければならないし、いろいろ問題はたくさんあります。こういう問題は、これから詳細に膨れわれも調査して、いま塚本委員の言われるようなことがあれば、そういうことも十分われわれ調査して、そしてまた、そういう業者が不当に圧迫されないように考えてあげるということで、できるだけ援助していきたい、こう思います。ですから、私は塚本委員のお話で初めてこういうケースもあるということを知ったのですが、そういうようなことは今後ないようにやっていきたい、こう存じておる次第でございます。
  147. 塚本三郎

    ○塚本委員 大臣はちょっと問題を取り違えているのではないかと思うのですが、デパートで売ることがどうこうではないのです。デパートへ持ち込む大企業の態度です。持ち込むときに、中小企業でつくりながら日立のマークがついておる、あるいはまた中小企業でつくりながら三菱やナショナルのマークがついておる。そのこと自身に問題があると主張しておるのであって、大臣がおっしゃったように、そうではない、専門店などもあります。それはそれで独自に伸ばし、これは個別の企業指導でうんとさらに助長していただかなければならぬ。だけれども、私が一時間にわたって申し上げましたことはそれではなくて、大企業がレッテルを張るだけでもって、中小企業のピンだけはねて、独自性さえ失わしてしまっている。これからもまたせっかく事業団をおつくりになって、そしてりっぱな品物をおつくりになって、なおかついいところだけ吸い上げてしまう。産業界における野獣のごときふるまいをいわばアメリカ資本によって日本の大企業がやられようとしておる、こういうことなんです。これをいま一々押えて、体質改善をするまではといって外国に向かって通産大臣がとっておいでになるその姿勢を、大企業に向かって中小企業を守るためになぜとってくれないのか。そのことになるとことばが濁ってしまう。しかも、長官は、そのことの問題点を十分御承知のはずでございまして、知っておいでになるにもかかわらず、差しさわりのない程度にしか御答弁なさらないのです。しかも、大臣は、経済専門家であるにかかわらず、その点はこれから検討してというようなことでございますが、はっきり言って、いま中小企業者はこのことで悲痛な叫びを上げておるのです。その問題だけではっきりと、この審議会でとおっしゃるならば、そこで取り上げて、行政指導できちっとそのことを——そうでない分野のことまで言わなくても、悲鳴を上げておりますような分野だけでもそういうことをなさるということだけは約束していただけますか。
  148. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 その問題については、私がいまお答えしたとおり、そういうように不当に圧迫されておるような事態があれば、それについてはわれわれは行政指導をするということをはっきり先ほど申し上げております。でありますからして、そういう正当なお互いの取引をやっておるのであれば問題はないけれども、不当に圧迫されるような中小企業があるとすれば、それをわれわれは助けるようにしたいということで、そのためにこの中小企業振興事業団を設けて、そういうことでわれわれはやっていきたいと思っております。
  149. 塚本三郎

    ○塚本委員 最後に、時間がないのでまたいつかの機会に譲りたいと思いますが、ただ、政府自身もまた、そういうふうな窓口をしかたなく設けさせられたという点が見えるのです。実際に中小企業のためにやってやろうというのでなくて、野党がやんやん言ってきたから、しかたなしに自民党さんの御了承をいただいてなさったという形跡が見えるのです。その点、中小企業庁長官はお気の毒な立場に立たされておいでになるというふうに私は判断をしておるわけでございますが、たとえば、官公需の中で、官庁におけるところの備品に対してはJIS規格でやらなければならぬというところから、新しい机や何かに対してスチール家具であるべきことというような通達が三十九年には出されたが、こんなことをなさるから、こういった木製メーカーはどのような被害をこうむっておるか、御存じですか。政府みずから中小企業の分野を取り上げてしまって大企業への奉仕の施策を講じておる。こんなことをやって、逆行するような事例があるのですが、長官はわかっておりながらそういうことをおやりにならないというふうに悪く判断をするのですけれども、それは悪意でしょうか。
  150. 影山衛司

    影山政府委員 スチール家具の問題は、おそらく事務の合理化、経費の節約の観点からそういうものを出しておったと思います。官公需の確保の問題に関しましては、むしろ三木大臣のほうが積極的に進められたと思います。
  151. 塚本三郎

    ○塚本委員 経費といいますから、またいつかの機会にその経費のことにつきまして、どちらが安くついておるか、お聞きしたいと思います。  それでは、これで終わらせていただきます。
  152. 島村一郎

    島村委員長 次会は明後九日金曜日午前十時十五分理事会、十時三十分委員会を開会することとし、本日はこれをもって散会いたします。    午後二時八分散会