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1967-06-06 第55回国会 衆議院 商工委員会 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年六月六日(火曜日)    午前十時四十七分開議  出席委員    委員長 島村 一郎君    理事 天野 公義君 理事 小川 平二君    理事 鴨田 宗一君 理事 中川 俊思君    理事 田中 武夫君 理事 麻生 良方君      稻村左近四郎君    小笠 公韶君       岡崎 英城君    岡本  茂君       神田  博君    黒金 泰美君       小山 省二君    齋藤 憲三君       坂本三十次君    櫻内 義雄君       丹羽 久章君    橋口  隆君       三原 朝雄君    武藤 嘉文君       佐野  進君    中谷 鉄也君       平岡忠次郎君    塚本 三郎君       吉田 泰造君    近江巳記夫君       岡本 富夫君  出席国務大臣         通商産業大臣  菅野和太郎君  出席政府委員         通商産業政務次         官       宇野 宗佑君         通商産業大臣官         房長      大慈彌嘉久君         通商産業省繊維         雑貨局長    乙竹 虔三君         中小企業庁長官 影山 衛司君  委員外出席者         厚生省環境衛生         局環境衛生課長 柳瀬 孝吉君     ————————————— 六月六日  委員中谷鉄也辞任につき、その補欠として下  平正一君が議長指名委員に選任された。 同日  委員下平正一辞任につき、その補欠として中  谷鉄也君が議長指名委員に選任された。 六月三日  電気工事を営む者の営業所登録等に関する法  律制定反対に関する請願(田中武夫君紹介)(  第一二六〇号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  中小企業振興事業団法案内閣提出第八一号)      ————◇—————
  2. 島村一郎

    島村委員長 これより会議を開きます。  内閣提出中小企業振興事業団法案を議題として審査を進めます。  質疑の申し出がありますので、これを弄します。丹羽久章君。
  3. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 委員長よりお許しをいただきましたので、中小企業振興事業団について大臣お尋ねをいたしたいと思います。実は大臣でなくてもけっこうでしたけれども大臣がいらっしゃいますので、特に大臣お尋ねをいたしたほうが間違いがなしだろうと思いまして、お尋ねいたします。協力的立場に立っての質問でありますから、ひとつ丁寧に、そしておそれ入りますが、間違いのない御答弁を心からお願いいたしまして、それから本論に入りたいと思います。  中小企業高度化資金融通特別会計日本中小企業指導センターとを統合し、今度は新しい機構として中小企業振興事業団ができることになりました。それが提案せられまして、ただいまから審議ということになったわけでありますが、個々のうちで、事業団助成の問題についてお尋ねをいたしたいと思うのです。  これは、最初の構想は八割ということであったが、これが一般貸し付けが六割五分、すなわち事業団が四割で、それから都道府県が二割五分、そして自己資金が三割五分に押えられたということになって、この法案が出ておりますけれども、これはどういうわけでそういうふうに前のお考えといささか変わってきたかということについてのお尋ねをいたしたいと思います。
  4. 影山衛司

    影山政府委員 当初予算要求段階におきましては、助成比率を八〇%としたしておったわけでございますが、予算折衝経過過程におきまして、先生指摘のような助成比率になったわけでございます。
  5. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 予算折衝段階において、大蔵省との折衝であったろうと思いますけれども、あなたのほうの構想が、八割というのが六割五分になると一割五分であって、この一割五分の違いというものは非常に大きいわけでありますけれども、いろいろ折衝した結果がそうなったのだという単純なお答えであるけれども、それなら今後は一体どういうお考えを持っておられるか。このたびの予算はそういう中で押えられたがためにやむを得なかったとしても、今後は一体どういう考えを持っていらっしゃるかということをはっきりお聞かせいただきたいと思うのです。
  6. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 ただしまお話しのとおり、助成金が減らされたことはわれわれも非常に遺憾に思っております。がしかし、これは御意見もあるとおり、ぜひひとつ従前どおりに復活して助成金を多くしたいということで今後できるだけ努力したい、こう考えております。
  7. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 それではまあ大臣が、今回はそういうふうになったけれども、今後は全力をあげてもっと率をよくしたいというお考えなら、それでけっこうでありまするが、私の申し上げたいと思いますことは、こういう中小企業事業団ができていままでの成績、それから現在の日本におけるところの中小企業に参加する人員というもの、一体国民全体の、またこの事業関係に対して、日本の工業、産業発展のためいろいろ日本が今日までの発展のために役割りをしてきた人員のパーセントというものは——いま局長さんは簡単に、まあ政府折衝において押えられたからそういうふうにしたんだ、大臣はそうでなくて、私の質問に対して、また今後はもっと率をうんとふやしてみたいとお考えになっているような答弁でありますけれども、私は今度長官お尋ねいたします。いま御答弁いただいたのは長官だと思いますが、長官は、中小企業に従事しておる従業員数というものはどのくらいになっているかということを御存じになっておりますか。
  8. 影山衛司

    影山政府委員 中小企業に従事しておるところの従業者数でございますが、これは昭和四十一年度末におきまして二千四百二十一万二千八百人でございます。
  9. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 中小企業にただいま二千四百二十一万人従事しておる。大企業に一体どれだけ従事しておるかというと、あなたの数字と私が調べた数字とは一致しておりますから私から申し上げますが、七百十七万人ですね。そのデータでいくとそう出ておるだろうと思うのです。そうすると片方は七七・一%、片方は二二・九%という率になるのです。いかに中小企業が国家のために、そして日本の繁栄のためにこれだけの多数の人が働いておるかということは、この一例をもってでもわかっていただけるだろうと思うのです。そういう点からいって、くどいようでありまするが、助成比率については全く遺憾に私は思いますけれども、済んだことはやむを得ぬので、まあ来年度の予算には、ひとつ大臣の言われたようにうんともらってもらいたいと思うのです。  それでは次の質問をいたしたいと思いますが、これについての金利の問題です。一般貸し付けでは事業団とそれから府県貸し付けですね、そうした利子は、これのあれでいきますと、府県のほうは無利子です。事業団のほうの貸し付けは三分五厘ですね。そうすると、この平均をいたしますると二分一厘五毛のパーセンテージということになるわけですけれども、これ以外に何かもっと安く貸してやるというような方法はなかったろうかどうか、このことをひとつお尋ねいたしたいと思うのです。
  10. 影山衛司

    影山政府委員 大体におきまして、他の現在におきます政府関係金融機関等の例を調べてみましても、大体三分五厘の貸し付け金利というのが一番低いわけでございまして、私どもといたしましては、従来が無利子貸し付けであったわけでございますけれども、従来の無利子貸し付け助成比率考えてみますと、制度上は五割を無利子貸し付けるということになっておりましたけれども実質は調べてみますと大体三割五分くらいでございます。残りの六割五分あたりを八・二%程度一般金融機関あるいは政府関係金融機関から借り受けるというような計算にいたしますと、中小企業者団地等を造成いたしますについての全資金量コストは大体五・三三%くらいになるわけであります。ところが今度は事業団方式で四割を三分五厘、先生指摘のように二割五分を無利子で、あと残り三割五分くらいを八・二%で借り入れるということにいたしますと、全資金コストは四・二七%ということでございますので、従来の実質の五・三三%に比べまして実質負担金利は非常に有利になっておるわけでございます。そういう点から、私どもといたしましては、他の政府機関との比較を考えてみましても、非常に有利になっておるというふうに考えるわけでございます。
  11. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 いまお話を聞いておりますると、一般よりは安くなっておるとおっしゃるけれども運用部資金というのがありますね。ああいうようなところに肩がわりでもして、もっと金利負担を下げるような方法、そういう資金を使う、政府保証債でなくて、そういうようなところから使うというようなお考えを持たれる、そうしたら私はまだ下がるような考えが持たれる。私はできるならこれはほんとうに無利子でやってもらうことが望ましいと思いますけれども、現在のところそこまで行けないというならば、府県は無利子でやっているのだから、事業団のほうは三分五厘をとるということであるので、運用部資金をひとつうまく活用してもらって、もっと下げていただくような方法はできないでしょうか。
  12. 影山衛司

    影山政府委員 今後先生指摘方向で努力をいたしたいと思います。
  13. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 努力するでなくて、そういう方法でもやれるというようなお考えか、それはなかなかむずかしいでお約束はできぬとおっしゃるのか、その点どうですか。
  14. 影山衛司

    影山政府委員 初年度発足の当初におきましては、事業団債政府保証ということで発足いたしておりますけれども法律上はそういう資金運用部資金も借り入れられるようになっておりますので、その点初年度発足のときはそういう状況で、資金量の点もございまして政府保証債の発行ということになりましたけれども法律上は運用部資金財投資金も活用できるということになっておりますので、そういう点で今後先生指摘方向で努力していきたいということを考えておるわけでございます。
  15. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 まあ運用部資金でひとつ今後考えてみようということで、それがやれるんだというお話ですから、利率は下がるものと私は質問に対してお答えいただいたと解釈いたしますので、たいへん大きなみやげがもらえたように思うので、うれしく思います。  さらにそれじゃお尋ねいたしたいと思います。これの償還期間ですね、この借り入れ金償還期間、これはまだ確定いたしていないようですが、これはひとつ大臣からお答えをいただきたいと思うのです。
  16. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 償還期間の問題につきましては、いま大蔵省折衝中でありまして、われわれのほうはできるだけ長い期間を希望しておりますが、いまの段階では大体十五年前後で話がきまるのじゃないかと考えております。
  17. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 大体十五年前後だというと、十五年と二十年の間になるのか、十年と十五年の間になるのか。それは償還する者の身になってみるとえらい違いでありますからね。十五年前後といったらその前あとになるのだから、十五年をまん中に置いて二十年の場合もあるし、十五年を中心に置いて十年ということも考えられるので、その点どうでしょう。
  18. 影山衛司

    影山政府委員 現在の償還期間は七年ないし十年でございます。そういうふうな幅もございますので、十五年前後ということで大臣お答えになったわけでございます。ゆうべもおそくまで大蔵省とも詰めておりましたが、まだ詰めがもう少し残っておりますので、申しわけございませんけれども、はっきりした償還期間を申し上げられない点を御了承願いたいと思います。
  19. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 影山長官からの御答弁を聞きますと、まだ折衝中であるからはっきりしたことはわからない、大体七年から十年がいままでの例だというお話でありますけれども、いま大臣は十五年前後だとおっしゃった。  少し話が違いますけれども中小企業者の人々の考え方を率直に申し上げますと、日本で一番いい制度にしてもらって、そしてわれわれを助けてもらうためには、これは大体十五年から二十年ぐらいの長期の貸し付けをしてもらえるだろう、こんないい政策はない、ほんとうにわれわれが生きていくためにそのような政策をとってもらえるのだという大きな期待を持っているのですから、いま大臣の言われた十五年前後をできるだけひとつ延長してもらって、二十年という線へ長官も骨を折っていただきたい。少々無理か知らぬが、先ほど申し上げたように、全国に二千四百二十一万人、七七%という大企業と違った零細企業者中小企業者たち政府指導のもとに団結をして一つ企業合理化をはかろうとしておるのですから、ひとつよくお考えいただいて、償還期間をうんと長くしていただきたいということを願って、この問題は一応打ち切ります。  それでは次にお尋ねいたしたいと思いますが、ボランタリーチェーンについて、四十一年度には二十カ所程度を予定していた、ところが、予算の措置も講じたが、実際二カ所しか実現はしなかったということが、これを読んでみますと書いてありますね。これは私が言わなくても大臣御存じだと思うが、これはどういうわけで政府の目算とそんなに違ったかということが一つ。それから今後のボランタリーチェーンはどういうふうに対策をしていかれるかということをお尋ねいたしたいと思うのです。あまりにもお考え申し込みとの差が多過ぎるものですから、これは一体どこに誤算があったのか。大臣では専門的でないだろうから、長官のほうがよう知っておられると思いますので、長官のほうからひとつお答えいただきたいと思います。
  20. 影山衛司

    影山政府委員 先生指摘のように、ボランタリーチェーンに対しますところの貸し付け予定は、四十一年度におきましては二十カ所程度を予定いたしておったわけでございますが、四十一年度は発足初年度でございまして、その当初から、ボランタリーチェーンにつきましては零細小売り商対策として力を入れていきたいという考えは持って指導いたしておったわけでございますが、ボランタリーチェーン制度というものが、そういう小売り商人たちの間に根を張って、盛り上がってくるという体制がなかなかでき上がってこないわけでございます。そこで私どもといたしましては、まず指導から始めていこう、啓蒙宣伝から始めていこうということからやっておるような次第でございます。初年度わずか二カ所しか実現しなかったわけでございますが、あとまだ十カ所程度申し込みもございますし、それから予算上におきましても、まず啓蒙指導というところに力を入れまして、パンフレットの作成はもとよりでございますけれども、海外からの外人専門家の招聘、あるいは日本中小企業指導センターにおきましてボランタリーチェーン中心になる人材養成するというような基礎的な人材養成、あるいは啓蒙指導という点から、これはやはりじっくり腰を落ちつけて、小売り商の人にもよく納得してもらいまして、このボランタリーチェーン制度に乗っていただきたいということでやっておるわけでございます。今後の成果をひとつ御期待を願いたいと思うわけでございます。
  21. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 長官から卒直に、四十一年度の二十カ所が二カ所に終わったということに対しては、啓蒙も足らなんだ、指導方法も行き届かなんだから、今度はこれに力を入れていこうと思っておる、しかもあとまだ十カ所の申し込みがあるのだということですが、見通しは明るくて、これに対しての指導員、そうした面に力を入れていけば政府考えているような方向にきっとうまくいけるという自信がある、こういうお話なんでございますね。それに間違いないのですね。−それではけっこうです。  次にお尋ねいたしたいと思いますのはコンサルタント指導員のことですけれども、これはどうも経営指導員コンサルタントが弱体だということが伝えられておりますが、この点はどうです。
  22. 影山衛司

    影山政府委員 中小企業対策の一番の基礎は、やはり中小企業者経営、管理の合理化、それに対する診断、指導でございますので、従来から経営指導を行なう指導員であるコンサルタント養成ということには力を注いできたわけでございまして、中小企業指導センターにおきましては、そういう指導員養成する専門の一年間コース、あるいは技術指導員については半年のコース、その他短期の研修コース等もたくさん用意をいたしておりまして、そういう人材養成あるいはレベルアップということに力を注いでおるような次第でございます。コンサルタントにつきましても地域的な格差があるわけでございますけれども、これをできるだけレベルアップをいたしていきたいというふうに考えておるわけでございます。
  23. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 いま地域格差お話が出ましたが、これに対して今後どのような方針で進まれるのですか、この点ひとつ明確にお聞かせいただきたいと思うのです。ずいぶん地域格差があるのですから……。
  24. 影山衛司

    影山政府委員 中小企業指導センター中小企業指導者養成研修は、中小企業振興事業団におきまして中小企業研修所として引き継ぐわけでございますので、そういう養成研修をいたします場合に、地域的に指導員の素質がおくれているようなところは重点的にひとつ養成、講習をやっていきたいと考えておるわけでございます。
  25. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 では、その問題はその程度にいたしましょう。  それでは最後の質問をいたしたいと思います。もう少し微に入り細にわたってお尋ねしたいと思うが、鴨田さんから、早うやめよ早うやめよ、たいがいにせぬかたいがいにせぬか、何分だ何分だと請求ばかりされるので……。  そこで商業団地、あれはいまの政府方針に基づいて移転していくということになりますね。そうすると、やはり資金の問題、三割五分というものは自己負担になってくるのですから、その資金を出すためにはやはり現在持っておるものを処理しなければならない。その処理が、足元を見られて二束三文にたたかれてしまえばたいへんなことにもなるし、やはり適当な価格で売りたいということで、足踏み状態が続く場合が多いのですね。そういうようなことについての移転後の、移転してからでもいいし移転前に相談しても、どちらにいたしましても、そういうようなときに対する考え方はどういうお考えを持っていらっしゃるか、この点に対しての質問をいたします。
  26. 影山衛司

    影山政府委員 工場あと地等処分につきまして、これを買い上げてくれという要請は従来からもあったわけでございます。またこの事業団を設立いたします際にも、そのことも検討いたしたわけでございますが、結局のところ、先ほど先生指摘のように、あと地処分するということは金融上の必要性から出てきておるわけでございますので、まず第一番目には融資率を上げること、それからあとの三五%につきましては商工中金等によって協調融資をするというようなことで、資金上のめんどうを見てあげるということをまず第一に考えたわけでございます。従来このあと地処分につきましては、東京都でございますとか、あるいは大阪市等におきましても、地方公共団体として建設省の指導のもとにあと地買い上げをやっておられるのでございますが、これにつきましてもいろいろな問題点もございますし、今後こういうところもひとつよく検討いたしまして、今後の検討項目ということで研究さしていただきたいというふうに考えておるわけでございます。
  27. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 振興事業団ができまして、そうしてこれを発足し、これが運用の万全を期するということになってくると、やはり全額が事業団あるいは都道府県でやっていただければけっこうだが、先ほどから言っておるように、自己資金として三割五分というものを持たなければならぬ。そうすると、いま中小企業金融公庫からでも金を借りるような方法でもというお話ですけれども、これはまた非常にむずかしい。ここでお金を借りる手続、いろいろの問題等々を考えてみますると、非常にむずかしい。やはりこういう問題は、そういう指導していただく事業団のほうで買い上げを一時してやるとか、貸し付けをして、そうしてそのめんどうを見てやるというような方法あと始末をしてもらわぬと、ほんとうのいいあり方というものの徹底がしていかないじゃないかと私は思うのです。これはいま簡単に中小企業金融公庫で借りる、あるいはどこかで借りてやっておりますよとおっしゃいますが、それではいかぬと私は思う。この点はひとつほんとう零細企業者中小企業者めんどうを見、そうして一つ団地づくりをしていただいて、うまくこれを指導していただくというこの構想たるや、私は実際に世界に冠たるものだと思うのです。それこそほんとうにりっぱないい考えだと思うけれども、ただ一点、そういう土地のあと始末をどうしてやるか、これができない限りは、進めようと思っても進まない。音頭をとる人も音頭をとってみても、その問題を片をつけてやらなければなかなかできないですよ。これは机上プランではいろいろの言いわけができるだろうと思うのですが、いまのことをどう言ってみたってしょうがないから、これからどういうふうにしようと思っていらっしゃるか、大臣考えをひとつ聞かせていただきたいと思うのです。
  28. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 いまの中小企業団地移転などのあと地をどうするかという問題ですが、できれば資金融通をしてもらって団地へ行く、そうして適当なときに高く売ってもらうということをしてもらえば一番いいと思うのですが、しかし資金融通ができない場合には、これはひとつ事業団で一時買い上げてあげるということも一つ方法かと考えております。そういうことも今後考えてみたい、こういうふうに思っておる次第でございます。
  29. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 私はこれで質問を終わりますけれども、いま大臣が、事業団買い上げてやってみるのも一つ方法だ、こうおっしゃったのだから、ひとついろいろ手を尽くしてみたけれどもどうしてもうまくいかぬときには、事業団買い上げるなり事業団で金を貸すなり、どちらかしてもらって、促進のうまくはかれるような考え方をしていただけるというように解釈して、皆さんにお話してもいいということですか。もしそれを話されたらたいへんだ、困るぞということになると、私も困って、選挙のほうにえらい影響になる。大臣に聞いた話がうそだったといったらえらいことになるんで、一番大切なことだけは念を入れておかなければならぬ。この点どうです。長官でなくて大臣に……。
  30. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 お話の件は今後のもので、できるだけ実現するように検討したいと思っておりますから、政府考えておるというようにおっしゃっていただいてけっこうです。
  31. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 それじゃ、政府考えておるそうだからもう間違いないというように報告しますから、ひとつそのようなつもりで真剣に取り組んでください。長官にもよろしくお願いいたしまして、あとがっかえておるので、これで終わります。どうも御苦労さんでございました。
  32. 島村一郎

  33. 佐野進

    佐野(進)委員 私は、中小企業振興事業団のことについて若干の点を大臣長官に御質問したいと思いますが、わからない点もありますけれども、率直に考えている点を申し上げますので、ひとつできるだけ丁寧に御答弁を願いたいと思います。  大臣は、この委員会でもそうですし、本会議の席上でもそうですか、何か中小企業問題が出ると、今度は中小企業振興事業団をつくって、あるいはできて、そういう問題については解決するのだ、私どもが聞いておると、この事業団そのもの中小企業対策についての隠れみの的といっては表現が適切でないかもしれませんが、そういうような印象を受ける答弁——いわゆる資本の自由化をはじめ、幾多の課題に対して特効薬的な効果を持つがごとき発言を、私どもたびたび耳にしておるわけです。しかしこの事業団が、二つのいままでの組織を統合してできるのだという提案の内容からするならば、かつて二つ組織のとき果たしてきた機能、持つ本質的な役割り、こういうものを土台にして判断した場合、大臣の言われるようなことがはたしてできるのかどうかということについて非常に危惧を持つわけです。特に事業団、公団というようなものについては、いわゆる整理統合をし、できる限り簡素化した形の中で行政を充実させていくというのが政府方針である、こういうようなことを考えた場合、あるいはまた、そのことがわれわれとしても適切な処置でないかという判断を持つとき、単なる組織をつくり、そこに人を当て込み、さらにその予算をつけて、それで当面責任が果たせるんだというようなことは、きわめてわれわれとしては不本意にとらざるを得ないと思うわけです。したがって、この振興事業団の説明はいろいろ読みましたし、あらゆる面についての検討もしましたけれども、はたしてそういう大臣の言われるような役割りを果たし得るかどうかということになると、幾多の心配点が出てくるわけです。逐次それらの問題について御質問をしていきたいと思うのですが、大臣があえて時流に逆行するような形の中で、いわゆる公団とか事業団を廃止しろという形の中で、たとえ二つ組織を統合するという名分があったにしても、この振興事業団が特効薬的な効果を果たすんだと大言壮語とまではいきませんが、言っておられるけれども、それが半年ないし一年たったあと、来年のこの委員会なり何なりに、はたしてその効果があがらなかったとき、その責任をどうとるかと私も追及したいと思うのですが、まず質問に入る前に、これについての決意についてお聞きしておきたいと思うのです。
  34. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 お尋ねの件ですが、中小企業振興事業団というものは、従来の高度化資金の特別会計と指導センターとを合わせたものであって、一対一、一プラス一イコール二じゃなくして、私は二プラス・アルファにしたいという考えを持っておるのでありまして、従来別々で資金融通あるいは指導をやっておりましたが、これを一体としてやったほうがより効果的であるという考え方で今度事業団を設けたのでありますから、したがって従来が一対一で、一プラス一イコール二じゃなくして、いま申し上げましたとおり二プラス・アルファを出したい、そこにねらいがあるわけです。でありますから、この事業団をつくったことをもってわれわれ逃げ口上にしておるのではなくして、この事業団によって積極的にひとつ中小企業の問題を抜本的に解決するように努力したいという決意をもってつくったということだけひとつ御了承願いたいと思います。
  35. 佐野進

    佐野(進)委員 決意はわかっておるのですが、成果があがらなかったとき、その責任をどうするのか。あまりにも前景気がよ過ぎるような表現が多過ぎる。あらゆる資料を見ましても、振興事業団こそ当面する、いわゆる提案の中に書いてある、資本取引自由化の要請、発展途上国の進出等による国際競争の激化、労働需給の逼迫や産業再編成の影響等も、これはすべて含まれておるわけですね。中小企業対策の当面する課題はすべて含まれておるわけです。これが特効薬的なものだと言っておる。ところが、いままであった中小企業指導センターなり高度化資金特別会計なりが果たしてきた役割りというのは、さっきの質問にあったとおり、きわめて微々たるもの、そういうことを言うと気に入らぬかもしれぬけれども、われわれが当面する中小企業対策においては重要な組織であったにもかかわらず、果たしてきた成果というものは小さかったと思うのです。そしていま資本の自由化を前に控えて、まさに提案理由の説明に書いてあるような情勢にあるとき、その振興事業団というものがそれを解決する最も大きな中心的な柱だ、こう言っておる。それが一年たった来年のいまごろ、そうではございませんでしたということになったのじゃ困ると思うのです。特に公団とか事業団をつくらないというのが方針だと言われておりながらつくったんだから、これからできたあと、もしうまくいかなかったとき、それは一体どこに責任があるのかということを、あらかじめ審議に入る前に聞いておきたいのです。これは中小企業庁長官の責任なのか、通産大臣の責任なのか。
  36. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 その責任は、私であります。それだけの効果があるという自信があればこそ今度事業団法案を出しておるのです。何の役にも立たぬのだったら、こんなものを出す必要はありません。だから必ず効果をあげるべく努力いたします。
  37. 佐野進

    佐野(進)委員 だから一番最後に、「本事業団の監督は、通商産業大臣が責任を持って当たることとしております。」監督は大臣が当たるでいいのですけれども、監督というのは、いわゆる悪いことをやるか、いい仕事をやっているかということになるから、それは大臣が責任を持たれるということは、いろいろそれは出ているのです。ただ、すべてそうですか、公団なり事業団というものをつくるときは熱を上げても、あるいはその内容がよくとも、往々にして国のお金を使って、その事業団の幹部が事業団の運営の本質をわきまえないとまでは言わないけれども、事志と違う場合が多々あると思うのです。したがってそれは単に大臣が、いいと思いますから出しました、その責任は私が持ちます程度じゃ、これは私はいかないと思う。したがって法案の審議に入る前に、この事業団というものが、私ども賛成するか反対するか、相談してみなければわかりませんけれども、しかし考え方そのものが、当面する課題について非常に熱心にやろうとすることはいいのだけれども、それだけではどうも非常に中途はんぱだと思うから申し上げたのです。  きょうは時間があればもう少しやりたいと思ったのですが、あとの関係もありますから、この点についてはいまの大臣の決意そのものをひとつこの耳の中によく入れておいて、来年またどういうことになるかわかりませんが、もし成果があがらないかあがるか、これから私も内容を突っ込んでいきますが、その結論についてはひとつお手並み拝見ということで、次の質問に入っていきたいと思います。  そこで私は、大臣の提案の中で一番強調されておるのは、「わが国の中小企業は画期的な構造改善を迫られております。」構造改善というのは中小企業だけでなく、いわゆる日本産業全体が構造改善の必要があることは論をまたないわけです。しかしその構造改善の中で特に——特にということが中小企業対策については言い得るのではないかと思うのです。そうした場合、構造改善の中で一番問題となることについては、いわゆる中小企業の過小性、過多性という表現で幾多の問題を提起されておるわけですが、その過小性についてはしばらくおくとして、過多性について、非常に過当競争が多い、乱立する、そういうことについて構造改善をはかる上にいわゆる事業団を通じてそういう問題を取り上げていかなければならぬということになってきたとき、この過多性、過当性についてどのような取り組みを根本的になさろうとするのか、これは大臣でなくて、長官でもいいですから、ひとつお聞きしておきたいと思います。
  38. 影山衛司

    影山政府委員 先生指摘のように、中小企業の構造改善を推進していきます場合に、特にこの過小性、過多性という問題、それから生じますところの過当競争という問題が非常に大きな問題になるということは御指摘のとおりでございます。  そこで、過当競争を防止しながら中小企業の近代化をはかっていくということになりますと、当然個別企業の努力ももちろん必要でございますけれども、やはり協業化あるいは共同化ということによりまして、団結の力あるいは組織の力によって近代化をはかっていくということが必要であろうかと思うわけでございまして、そういう点から今度中小企業基本法あたりでは、それを中小企業構造の高度化とも申しておりますけれども、そういう高度化を進めるために中小企業振興事業団をつくったわけでございます。ただ、その近代化が、業種全体の構造改善が進んでいきますまでの間におきましては、過当競争を防止する方策といたしまして、中小企業団体の組織に関する法律に基づきますところの商工組合によるところの生産調整等の調整行為をやって、そこでお互いに過当競争を防止するという防波堤を一つつくりながら、その間において構造の改善を、事業団等を中心にいたしまして進めていきたいというふうな考えを持っておるわけでございます。
  39. 佐野進

    佐野(進)委員 いま長官の言われているようなことは、文章を読めば出ているのです。私の聞きたいことは、その文章の裏にある、裏といっては語弊があるけれども、文章ではあらわしきれない中小企業の当面する問題点について、この事業団というものができる際配慮しなければならない、しかし文章ではなかなかあらわし切れないそういう問題について質問をしているわけなんですよ。したがって、これから御答弁していただく場合は、できる限りそういう点は、非常にむずかしい注文でありますが、配慮して御答弁をお願いしたいと思います。  私は、過小性、過多性と過当競争を排除するために、あるいは資本の自由化によって外資が入ってくる、あるいは貿易の自由化によるいろいろな影響があらわれておる、こういうような形の中で中小企業を守っていくというか、育てていくという形の中においては、当面して共同化、協業化が重要な施策である、こういうことを否定するものではないのです。しかし共同化、協業化というものをいかに指導しようとも、いかに事情に合った施策であろうとも、対象となるべき業種なりあるいはそれぞれにおけるところの人たちが、これによってほんとう経営が守られ、生活が向上していくのだという、そういう共感を得るようなものでなければならぬ。観念的な指導の中で、特に中小企業者はそれぞれ苦労をし、組織をつくり、経営を維持していっておるだけに、大企業なり政府機関人たちには考えられ得ない感覚的な差があると思う。そういうときに、ただ過当競争を防ぐために共同化、協業化が必要だというようなことだけでは、とうてい協業化、共同化はできないと思うのですよ。予算をやりますよ、つくりなさいということで、全部予算をやって、政府が全部お金を出して、ただで——ただということではなしに、たいして労なくしてできるとしても、その人たちほんとうにそうだという気持ちにならなければだめだと思う。したがって、当面は共同化、協業化の方向はいいとしても、過当競争なり過多性を排除するもっと突っ込んだあたたかみのあるというか、入間性のあるというか、そういうものが考えられでしかるべきじゃないか。これはこれから出てくるものじゃないのですよ。いま既存の中小企業者を対象にしたときに何があるのかということを私はお聞きしたい、こういうことなんです。
  40. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 いま佐野委員お尋ねの件は、結局何というか精神的な問題でないかと思うのです。中小企業者が単独でやっておったのでは自立ができないということの認識を持ってもらうということ、またそういうような世の中になってきたということを教え、また指導するということ、そうなれば双方相まって私は協業化というものができると思うのですよ。本人が協業化の必要はないという考えを持っておったら、これは幾らこちらがこういう制度がありますということを言っても乗ってこない。そこで、そういうことについては親切に教えて、協業化をやったほうが今後の経営の上にいいですということを親切に教えなければならぬ。またそういう指導をするのがこの事業団の大きな役割りだと私は思う。そこで、お話のとおり、こちらが単に制度をつくって事業団をつくったらそれで事足りるというようなものでは私はないと思う。制度は生きたものではありませんから、制度を生かすのは人間ですから、したがって、そういう意味において、たびたび申し上げておるように、有能な指導者を見出し、またそういう指導者をつくっていくということ、それはこの事業団でそういうような研修もやりますし、そしてまた特に協業化の必要のある中小企業の方に寄っていただいて御指導申し上げ、またいろいろ御相談申し上げてやっていくということでいかぬと、お話のとおりなかなか簡単にできるものじゃない、こうわれわれも覚悟しておりますから、まずそういう啓蒙運動が先であって、それからこの制度をつくるということでいきたいと考えておる次第です。
  41. 佐野進

    佐野(進)委員 では長官に、いまの点に関連してもうちょっとお伺いしてみたいと思うのです。  いわゆる協業化をすすめて指導してきた、そして若干の成果はあがっておるけれども、なかなか具体的な成果があがらない。その最大のネックと思われるものについて、何点かあると思うのですが、代表的なものについてひとつお聞かせ願いたいと思います。
  42. 影山衛司

    影山政府委員 従来、高度化資金の特別会計を中心にいたしまして共同化、協業化を進めてきたわけでございますけれども、まず第一番目には、やはり助成指導というものが一体化していない。従来の中小企業の工場団地あるいは商業団地その他につきましても、大体従来のできましたものはほとんどこちらから指導をしなくてもでき得るような層が中心になってやっておったわけでございますが、先生指摘のように、今後小規模事業者まで含めて共同化、協業化を進めていくということになりますと、先ほど大臣が申しましたように、啓蒙宣伝から親切な指導までやってあげなければいけないということになりますので、今度そういう啓蒙指導という面を重視した中小企業振興事業団をつくったわけでございます。  それともう一つは、やはりできましたものについてのアフターケアをしてあげなければいけないということがもう一つの条件でございます。そういうアフターケアも、専心的にめんどうを見てあげる機関をつくらなければならないということがもう一つの理由でございます。  それから、従来の高度化資金特別会計によりますところの貸し付けでございますと、一般会計からだけの繰り入れでございますので、その点につきまして、従来からの経緯もございまして、補助金的な頭があるわけでございます。そこで土地の単価あるいは面積等について頭打ちの制度があるわけでございますが、今度はそういうことをいたしませんで、実質必要なだけの資金めんどうを見ていこう、あるいは財政資金も投入いたそうということにつきましては、やはり事業団をつくらなければならないというようなこともあるわけでございます。  またもう一つは、従来の高度化資金でございますと、たとえばボランタリーチェーンをつくります場合にも、県を通ずる助成でございますので、本部がたとえば東京都にあって、それから中小企業小売り商人たちが他の府県にも散在をしておるというような場合には、助成の道がなかったわけでございます。そういうところも、今度の事業団をつくることによりまして可能な道を開いていきたいというようなことも考えておるわけでございます。そういった点のネックを今度解決したいということを考えておるわけでございます。
  43. 佐野進

    佐野(進)委員 私は、いま長官のおっしゃったことがさっきから言っているとおりよくわかるわけですが、しかしそういうことについてはいまの大臣答弁で大体了解いたしますけれども、いわゆる指導と融資について一体性を持つ形の中で中小企業の当面の対策を立てるのだということ、このことについては、考え方としては理解することができるのですが、実際上の問題になってくると、先ほど来申し上げておるとおり、非常にむずかしいいろいろな問題があると思うのです。たとえば実際に一つの業界を指定して、あるいは一つの地域を指定して、そこでそれらの問題についてどうやるのだということになってきた場合、十軒なら十軒、百軒なら百軒ということになると、その指導全体が、では助成対象事業の人々はこの指導要綱の中にあるような形の中でひとつこの振興事業団助成対象の中に入れて協業化をはかろうではないか、共同化をはかろうではないかというところまでいくということは、非常にむずかしいいろいろな問題が出てくると思う。  そこで、そういう点について私がお聞きしたいことは、指導について技術的な面にまで入った——さっき大臣は精神的な面における指導についての考え方を述べられたわけですが、技術的な面に入ってもう少しこれは深く検討をしなければならないし、政治的な配慮というものについてももっともっと検討を加えなければならぬ。私もこれを読ましてもらったのですが、いろいろな面から研究したのですが、これではなかなかそこまでいき得ないのじゃないかという気がいたしたわけです。そこで精神的な指導のことについては、大臣の先ほどの答弁では不満足だと私は思うのだけれども大臣がそうおっしゃったのですからそこでしばらく了承するとしまして、技術的な面について、特に金融、融資の問題についてもう少し突っ込んだ見解を聞いておかないと事業団をつくった意味が全然生きてこないんじゃないか、そういう気がしますのでお聞きをしたいと思うのです。先ほどの御質問にもあったように、いわゆる今度の事業団をつくる一つの大きな柱としては、助成条件がいままでの形と変わったことで、充実したんだということですが、この充実のしかたそのものが魂がはたして入っているのかどうなのか。さっきの質問がありますから重複することは避けますが、冒頭言ったような形で、読めば読むほど何かかっこうだけつけているような気がしてならないのです。先ほどの質問がありまして、時間がございませんので、それはしばらくおくとしまして、私はここで、中小企業対策に対するいわゆる融資助成方針に通産行政というか政府政策として一貫性がない、こういう点を指摘せざるを得ないと思うのです。たとえば、いまこの振興事業団の審議を私どもはここで一生懸命やっておるわけですね。そうかと思うと、まだ上程されておりませんが、いま厚生省の環衛金融公庫法というのが上程されようとしているのですね。これとそれとが一体どういう関係に、政治的にあるいは技術的にこの金融対策の中でとらえられているのかということが、どうもこれを読めば読むほどわからなくなってくる。この点についてひとつ大臣の見解をお聞かせ願いたいと思うのです。同じ年に、同じときに出るんですから。
  44. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 環境衛生金融公庫の問題については、これもわれわれの側からいえば中小企業金融になると思いますが、特に環境衛生ということに重点を置いて別にこの金融公庫を設ける、こう思うのであります。そこで問題は、先ほどから金利お話もありましたが、いまことに資本の自由化に際しまして、日本全体の金融というものを再検討するときがきておると私は思うのです。これは市中銀行、大銀行はじめ、あるいは信用組合、信用金庫その他の問題でもです。どうしても、自由化に対してはやはり日本金利を安くするということが絶対必要条件でありますからして、それには金融全体についての体制を再検討する必要があるということが答申案にもちょっと出ておりますが、そういう意味でお話中小企業金融の問題についてもひとつこの際再検討したいと私は考えております。でありますからして、いろいろ中小企業金融の機関はありますけれども、これをもう少し再検討して、そしてできるだけ安い利子で貸せるように、その方法考えなければいかぬ。資金も、豊富に資金を得るような制度ということで——私から言うと、金融機関がはらはらであると思うのです。これではいかぬという考えをしておりますので、資本自由化に際して、この際ひとつ再検討すべきじゃないかと思いますし、政府の資本自由化対策一つの中にも、この金利を安くして金融機関を再検討するということが書いてありますので、そういう意味で、いろいろ現在の中小金融の機関については不満の点もおありだと思うし、疑問の点もおありだと思いますが、ひとつこの機会に再検討して、安い利子資金の豊富な中小企業金融機関をつくるということでやっていきたい、こう考えております。
  45. 佐野進

    佐野(進)委員 そこで長官のほうにお尋ねしますが、いまの金融の問題です。環衛金融公庫で環衛関係については融資をはかる。そうすると、これは十幾つかの業種ということになると思うのですが、中小企業の中における環衛金融公庫対象の業種と、この振興事業団対象のいわゆるその業界を別にした残された業界とは、どういうような区分けをするのかどうか。いわゆる包含した形の中でそれらの対策を立てるのか、除外した形の中で立てるのか。私は「事業団のあらまし」というのを何回も読み返してみたのですが、いわゆる共同化、協業化という形の中にありながら、金融関係法の中に示されておる法案は出ておりませんが、説明する中におかれましてもやはり重複せざるを得ない面が相当出てくると思う。そうしたときに、それとこれとの関係についてどのように措置されるのか、次の質問の関係があるのでお聞きしたいと思う。
  46. 影山衛司

    影山政府委員 環衛公庫は、ほかの政府関係金融機関である中小企業金融公庫、国民金融公庫、商工中金等々と同列の地位にあるものと考えるわけでありまして、中小企業振興事業団は、そういうところでもなおかつむずかしい共同化等を取り上げて対象にいたすわけでありますので、環衛関係の事業につきましても、これは対象にいたすわけでございます。たとえばクリーニングあたりは、共同工場をつくるという場合にはそういう対象にもなり得る一つの好適な例ではないかと考えておるわけでございます。
  47. 佐野進

    佐野(進)委員 そうすると、いわゆる共同工場をつくる、共同施設をつくる、それには事業団としてやる。そうすると、共同工場をつくる、共同施設をつくったその中における機械、共同施設の中における具体的な施設、これの取り扱いはどうするのですか。
  48. 影山衛司

    影山政府委員 たとえば団地等におきましては、その中に入りますところの個別企業の機械類につきましては、従来からも高度化資金の対象にはしていなかったわけであります。そういう場合におきましては中小企業金融公庫あるいは商工中金等の対象になるわけでありまして、環衛関係につきましては環衛公庫がめんどうを見るということになっております。
  49. 佐野進

    佐野(進)委員 そうすると、共同工場あるいは共同処理施設の設置というようないろいろなあれがここに書いてある。そういう中の施設については、たとえば環衛法に関係する業者については融資などは金庫にやらせるんだ、環衛法に規定されてない業種については商工中金なり国民金融公庫なりにやらせるんだ、こういうことなんですか。
  50. 影山衛司

    影山政府委員 いろいろな場合があるわけでありますけれども、先ほど例にあげました中小企業団地の場合には、個別企業がこの団地に協同組合の形で参加するわけでございますので、それの共同施設につきましては、これは事業団の対象になります。それから個別企業の必要な機械につきましては、これは中小企業金融公庫なり環衛公庫の対象になる。それから共同工場を事業団を通じて県がつくりまして分割譲渡をするというような場合があるわけでありますが、その場合には、その共同部分に関する限りは全部共同施設でございますので、中小企業振興事業団の対象にいたすということでありまして、中に入る個別企業めんどうは個別の金融機関が見るというような考え方に立っておるわけであります。
  51. 佐野進

    佐野(進)委員 私も相当研究しておるので理解できるつもりなんですが、いまのお話を聞いておるとちょっと混乱しておって、私も混乱するのですから、いわんや直接対象になった人たち——いわゆる環衛法に規定されている業種で一般中小企業の対象になる業種、たとえばクリーニングという具体的な例が出たが、クリーニング業の場合は環衛法に規定される業種で、近代化促進法に規定される業種でしょう。おそば屋さんの場合には同じ環衛法に規定される業種であるけれども、近代化促進法に規定されない業種でしょう。そうすると、振興事業団というものは一体何をやらんとするのか。大臣から何回も言われるとおり、いわゆる資本の自由化というものは、貿易の自由化と関連して論ぜられる問題ですから、特に中小企業については、たいへんいま問題になるわけでしょう。そうしたとき、あなたの説明じゃ、まるきり中小企業者は混乱しなさいよということになる。あなたの頭の中ではそうかもしれぬけれども、私はある程度研究してきたつもりであっても、いまのお話を聞いていると、わけがわからなくなる。
  52. 影山衛司

    影山政府委員 この振興事業団の対象にしますところの業種は、必ずしも近代化促進法の指定業種だけに限るわけではございません。クリーニングは近代化促進法の指定業種になっておりますから、一つのいい例として申し上げたわけでございますが、その他の環衛業種につきましても、たとえば旅館の団地をつくるというような場合がもしもあるとしますならば、それは振興事業団の対象になるわけでございますけれども、そういう点で限定をしておるわけではございません。ただ、個別企業の中に入る個別企業については、共同施設部分でないから、従来からも、高度化資金の場合も国民公庫がめんどうを見ておったわけでございます。それは、環衛関係については、環衛金融公庫が今度できますので、それが対象になるということでございまして、観念の整理はできておるというふうに考えるわけでございます。
  53. 佐野進

    佐野(進)委員 環衛金融公庫法については、また別の角度ですから、ここで何もこれをからめて議論しようと私は思っていません。中小企業振興事業団のその対象としてどうなのかということを聞いた。それはいわゆる観念だけで問題を処理しようとしてもでき得ないのだ、現実のいわゆる中小企業者が当面する困難を、どう打開してやらなければならないかというところにあるとするならば、そういう点についてもう少し整理して、あたたかみのある、直接ここに相談に行けばもうそれらについてはすでにこれこれこうですよということができておるようになっていなければ、行ったからといって、いやあっちに行きなさい、それは中小企業金融公庫へ行けばいい、それは環衛公庫へ行けばいい、それは事業団で取り扱いますじゃ、相談相手の人がいやになってしまいますよ。しかも、こっちは役人の古手が——と言っては語弊があるでしょうけれども——行くということも考えられるとすれば、なおさらこれはそういうことでは困ると思うのです。少なくともこういうような融資対象について、これだけの助成対象事業をきめて、しかもその対象事業の中で、さっき言った近代化促進法の対象事業もあれば、環衛法関係もある。環衛法関係の中においても、いわゆるこの対象にならない業種もあるし、対象になり得る業種もあるわけです。そうすると、冒頭申し上げたような形で非常におかしなものになるんじゃないかという気がしますので、それらについては私も研究してみますけれども、もう少し御研究を願いたいと思うのです。そこで、これはあまりきょう突っ込んでいってもまだしょうがないと思いますから、次へ進みたいと思います。  指導の問題と融資の問題についてはいま言ったような形でありますが、それらの問題を含めて、いま大臣お話しになっておるときも、私どももそう思うのですが、この提案説明の中に書いてある一番大きな問題は、自由化の要請にどうこたえて中小企業がその経済的基盤を確立し、将来の発展への道を見出していくかというところに、この法案の精神があるように感ぜられるわけです。そうした場合、私は幾つかの問題点が出てくると思うのです。中小企業自由化の問題について、これは田中先生、平岡先生あとでおやりになるでしょうから、私はそういう高度な政治的な面における自由化問題については話しませんけれども、具体的な問題として、この自由化中小企業の問題について、振興事業団の関連の中で御質問してみたいと思うのです。  今度資本自由化の対象として何十品目か出ましたね。その五〇%対象事業の中で、中小企業関係ではクリーニングを対象としてやるのだ、資本自由化をするのだ、こういうことが発表されている。したがって、中小企業の業種で、近代化促進法で指定された業種も数多くあるし、近代化促進法に該当しない業種も数多くあるでしょう。その中で中小企業関係としてクリーニングだけやる、その理論的根拠と実際的なあり方、その両面について御説明願いたいと思います。
  54. 柳瀬孝吉

    ○柳瀬説明員 資本自由化の問題でクリーニングを業種にあげました点について御説明を申し上げたいと思います。全体といたしまして、自由化方向につきまして外資審議会等の答申がございまして、将来クリーニング業におきましても自由化方向に進むべきであるという方向については、うなずけるわけでございますが、現状におきましては、クリーニング業は現在全国で五万有余の店舗がございまして、これが非常に零細な企業で、国内的にも非常に大きな資本に対する脅威と申しますか、大きいクリーニング工場等ができますと、非常にそれによって脅威にさらされて、いろいろな問題を起こしているわけでございまして、現状におきまして、そのクリーニング業は、零細な苦しい企業を協業化をして競争力をつける、そういう方向に持っていくべき段階にありますので、いま直ちに外資が導入されてきますと、相当クリーニング業に対しましては影響度が大きいわけでございます。そこで、一般的な普通のクリーニング業については、ちょっと現段階では自由化の業種としてあげることは適当でないと考えているわけでございますが、クリーニング業の中でもいろいろございまして、一般のクリーニング業のほかに、コインの営業、リネンサプライの営業というのがありまして、リネンサプライの営業につきましては、これは数も少のうございまして、全体のクリーニング業の〇・五%程度でございます。それから従来も若干外資も入っておりまして、その影響度も非常に少ないわけでございまして、そういう点を考慮いたしまして、クリーニング業の中でもリネンサプライ業だけを第一種の自由化業種、いわゆる五〇%以内の範囲において自由化する業種ということであげることにしたわけでございます。
  55. 佐野進

    佐野(進)委員 それは新聞記事を読めば大体わかる。私が聞いたのは、中小企業というものを強化育成し、将来いわゆる大企業、あるいは外資の入ってくることによっての中小企業への圧迫をどう防ぎとめるかということが当面する課題として非常に大きい。こういう中で中小企業関係については自由化を相当狭めたと思うのです。狭めたというか、ほとんどやっていないその中で、なぜクリーニングだけ対象にしたのかという政治的な意義ないしは経済的な意義についてここで聞きたい、こう言っているのですよ。あなたの言われるようなことを聞いているのではないのです。あなたのほうは事務的な説明でこうだということなんだから、もしわからなければ、大臣でいいですよ。
  56. 影山衛司

    影山政府委員 補足的に御説明申し上げますと、この自由化業種の業種名にクリーニング業と書いてございますね。統計上の産業分類表上ではクリーニング業となっております。なお技術的にあげただけでございまして、本来ならカッコしてリネンサプライ業に限るというふうに書いてあるわけでございます。リネンサプライ業と指定すればいいのですけれども産業分類表の中に広く洗たく業として、その中にリネンサプライ業も入るというふうな解釈になっておりますので、カッコしてリネンサプライ業に限る。現実に外資の自由化と申しますか、五〇%の自由化をするのはリネンサプライ業だけでございまして、一般の洗たく業は全然厚生省もまだ考えてないのだろう。通産省あたりにおきましてはそういうことも考慮いたしまして、産業分類表の形式的な産業分類だけにはよってないわけでございます。たとえば電話機、または電話交換機製造業とありますけれども、これは産業分類表では電気通信機械工業製造業と広くなっておるわけでございます。そういう点で技術的な問題もございますので、おそらく厚生省のほらも単純な洗たく業については現在のところ考えていないというふうに申し上げていいのではないかと思います。
  57. 佐野進

    佐野(進)委員 だから、ぼくの言わんとするところは、中小企業というワクの中で、リネンサプライ業として、クリーニング業という形の中で出ているわけですよ。だから私の申し上げたいことは、中小企業の業種は幾らでもあるというのですよ。しかもこれは中小企業とはいいながら、さっき言ったとおり、環衛法にも関係しているのでしょう。環衛法というのはそこいらの食堂もそうでしょうし、あるいはパーマネント屋もそうだし、映画館もそうなんでしょう。映画館といったって撮影するほうではなくて、映画館そのものがそうなんでしょう。いわゆる私どもの毎日の生活に最も密接な関係があり、かつ精神や肉体その他について最もよりよい環境の中で置かせなければならないという対象の業種の一つなんでしょう。したがって、そういうところを当面する幾つかの業種があるのにもかかわらず、資本自由化の対象にした政治的、理論的、経済的根拠を明らかにしてもらいたい、こう言っているのですよ。そうでないと、今後出てくるいろいろな問題について、ただ思いつきや感じだけでやられては、その業種はたまらないでしょう。
  58. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 中小企業全体については、目下自由化するという考えは持っていないのです。体質を改善して、そうして競争力を持つようになった場合に自由化するという考え方でおるので、おそらくこのリネンサプライ業はいま自由化しても対立できるという自信を厚生省では持たれたのではないか、こう思っておるのです。私どものほうでも、もし実際に中小企業の中でも競争力を持つものがかりにあるとするならば、この際やはり自由化の中へ入れておくべきだと思うのです。私どものところでは、まだそれぞれの業種について実態を調査しておりますから、そこまで自信を持っておりませんから、そこで中小企業はもっと体質改善をやりたい、漸進的にいきたいという考えを持っておるのです。
  59. 佐野進

    佐野(進)委員 大臣答弁は、私がしろうとのせいかわからぬけれども、きわめて感じ取れるわけです。ほんとうのことをいって、別に他意あるわけではないけれども、おそらくそうだろうと思うのです。しかし、私はその考えがあるならあるほど、いま少しくそのことについては慎重に取り扱ってもらいたいと思うのです。ということは、クリーニング業という一般的な注釈、それから中小企業という一般的な概念の中に当てはめたという形の中で資本の自由化が行なわれ得たとするならば、こうやって突っ込んで説明したからそうだということはわかりますけれども一般大衆にはわかりません。外国資本もわからないでしょう。次は何かということになってきたときに、いわゆる資本の自由化——けさの新聞にも出ておったけれども、いま言ったような形の中で今後どんどん競争力を高めて、自由化するという形になってきたら、いわゆるそのときの感じだけで、おそらくこの業種を対象にしたことについてもそう深い意味があったとは私は考えないのです。厚生省が持ってきた意味も、たまたま何か一つ厚生省から出さなければならぬから、ここいらなら適当じゃないかという程度だろうと思うのですよ、ほんとうの感じからすれば。もっと理論的なものがあれば理論的に出してもらいたい。私は時間がありませんから突っ込みませんけれども、そうであるとするならば、クリーニング業というものを対象に出すということ自体の配慮だっていま少しくあってしかるべきじゃなかったか。それは大臣の趣旨と全く合致するのですよ。そういう面については、いま少しく対外的に、中小企業の中でも一つ自由化したのだよ、その自由化の中にはクリーニング業があったのだよということで大義名分を立てようということであるとするならば、ああそうなのかということで——そのときになってみなければそう言うか言わぬかわからぬけれども、しかし、これは政府の施策としてはきわめて配慮が足りない一つではないか、こう思うのです。  そこで、私はこの点についてクリーニング業というのが出たので、いろいろクリーニング業の実態その他について勉強したのです。勉強したところが、すればするほどいわゆるクリーニング業というものが、資本自由化の対象に当面——何十年、何百年先はわからぬけれども、なり得ない業種であるという結論に到達せざるを得ない結果しか出ていないのです。これは近代化業種にも指定されて、おたくのほうでも一生懸命これは調査している業種でしょう。そうすると、最も過当競争の中に置かれ、最も大資本の圧迫の中に苦しみ、最も人手不足その他労力逼迫というか、そういう中にあっては一番対象として育成し指導していかなければならない業種の一つに数えられると思うのです。それを資本自由化ということでぽっと出すということは、その裏づけにこれこれこういうものがあるから、こういう施策をしたから、これは資本自由化の対象になり得るのですということの説明が出なければ、意味はないと思うのです。だからそういう点についてリネンサプライ何とかと出したなら、そういう具体的なものがあるなら、ちょっとお聞かせ願いたいと思うのです。
  60. 柳瀬孝吉

    ○柳瀬説明員 クリーニング業というような形で出ましたので、非常に誤解を与えて申しわけないのでございますけれども一般のクリーニング業は、先ほど申し上げましたように、これは自由化を現在の段階考えるべきでないということで自由化の業種に入れていないわけでございます。リネンサプライ業というのは、区分上は日本産業の標準分類とか、クリーニング業法上に入っておりますが、リネンサプライ業につきましては、現在一般のクリーニング業のような零細企業が過当競争で非常に拮抗している、あるいは大企業との間で競争が非常に激化しているというような状況のものではないし、また新しい分野のもので、まだ普及も進んでおりませんし、それからいままでも資本が外国から若干入っている例もございますし、それがトラブルを起こしているという問題もありませんし、それから業者の数も少のうございまして、一般のクリーニング業とはちまっと違うあれでございまして、これは第一種自由化を行なっても、影響は非常に少ないという観点からこの業種に入れたわけでございます。
  61. 佐野進

    佐野(進)委員 だから課長さん、突然呼び出して来てもらって、大臣に聞くようなことを聞いてたいへん申しわけないんだけれども、あなたの言われることは、結果としてこうなったということをお話になっておられるのです。私はそれが悪いというのじゃないですよ。結果としてこうなんだ、何もきめたというのではないのですから、きめたのは大臣政府なんだから、きめたということになれば通産大臣が説明しなければならないということになるわけですね。だから正直なことを言うと、あなたが言われれば言われるほどおかしくなってくるのですよ。中小企業というワクの中でなぜリネンサプライ業というのを対象に入れなければならなかったか、資本自由化で対抗できるんだ、資本自由化で対抗できるということを取り上げていけば、まだまだ幾らでもあるでしょう、正直なことを言えば。中小企業全体の中で、これだけしか資本自由化の中で中小企業は外国資本と対抗できない。それで説明になりますか。あなたに御質問しても、これはしようがないと思うので、大臣、いま言われたような形の中で、中小企業対策ということで振興事業団をつくるとか、政府が今年は力を入れますという最重点施策の一つとして取り上げておられ、大臣もたびたび強調されている中で、少なくとも資本自由化という波をかぶる中小企業者が心配したり、それに連鎖反応的にいろいろなものが出てきたり、考えさせられるような施策、そういうものについては慎重の上に慎重を期さなければならないと思うのです。私は、これでなく、いわゆる——説明を聞けばわかりますよ。しかし説明でなくて、クリーニング業でなく、もっとほかの対象を考えれば考えられるものが幾つもあるのだから、一々聞く必要はないが、中小企業対策の見地からいって、業種の少ない特殊性からいって、これは非常に問題だと思うのです。特に資本自由化の経過の中で、たとえばコカコーラにしても、あるいはウイルキンソンのかみそりにしても、日本に入ってくるまではたいしたことはないと思ったが、入ってきてからの浸透力というものはたいしたものでしょう。外国、特にアメリカ資本は、洗たく業については非常に進んでいるわけです。機械力でも設備でもあらゆる面で進んでいるわけです。これが巨大な資本を持っておる。いま大企業と小企業者の間においてすら問題がある中において、巨大資本が重要な拠点の中に、五〇%といいながら、どこかの資本と提携してやってごらんなさい。日本企業というものは、もうクリーニング業に関係するものは壊滅的な打撃を受けることははっきりわかっておる。これは、大臣が幾らこれから産業基盤を強化し、協業化をはかり、共同化をはかるなんて言ったって、三、四人の人を使って始めれば始められるでしょう。きわめて少ない資本で店が出せるのですよ。過当競争の最たるものの一つでしょうね。ちょっと五年か十年つとめて、若干のお得意があるということになれば店を持つことができる。そういうことが続生している中で、それをどうするかという対策が全然ない。リネンサプライにしても、どうだこうだと言っても、私はリネンサプライはあまりわからないから、研究してみなければどうなるかわからないけれども、これはたいへん問題がある。私が聞きたかったのは、クリーニング業を資本自由化の対象にしたのだから、それをするについては、いま申し上げたこれこれこういうものがあるのだ、こういうことをお聞きしたいと思ったのですが、これは長官、ひとつあとでまた私は質問を保留しておきますから、この点についてよく検討しておいてください。私のほうもよく勉強して、これは検討したいと思うのです。  時間が長くなりましたので、次の締めくくりに入ります。まだ一ぱいあるのですが、これはたいへん大切な事業団の問題だから、私も一生懸命やりたいと思っているのですが、時間がないので、もう一点これに関連して最後にお聞きしておきたいことは、中小企業振興事業団ができて、これから協業化、共同化あるいは指導、いろいろやられるわけですが、私が考えて一番大きな問題点になるのは、幾ら施設をつくり、幾ら協業化をはかるということをしても、大資本と中小企業との関係の調整をはからざる限り、業種区分のある一定限度における明確化をはからざる限り、たとえば五人いる工場が百集まって五百人の工場をつくったって、五千人の工場と対抗して幾ら協業化をはかって競争しようだって、これはなかなかできないことだ。そうすると近代化業種に指定される業種であっても、されない業種であってもいいですけれども、あるいは振興事業団の対象になった業種でもいいのですが、それらと大企業、いわゆる直接競合する大資本、大企業との関係についてどのような調整をはかろうとするのか、これについてお聞かせ願いたいと思います。
  62. 影山衛司

    影山政府委員 大企業中小企業の分野に進出してくる場合が二つあるかと思うわけであります。一つは、国内の企業、主として大企業と外資との提携によりまして中小企業分野に入ってくるという場合が一つあります。これに対しましては、そういうことが予想される業種につきましては慎重に自由化を進めていくということでございまして、その際も、外資法上の認可権というものが残されておりますので、たとえ入ります場合におきましても、認可上の条件をつけまして、たとえば生産量あるいはその他設備の点等につきまして条件を付しまして、中小企業の分野にできるだけ影響がないように認可を進めていくということになるかと思います。  もう一つの場合は、国内の大企業中小企業分野に進出をしてくる場合、これにつきましては、産業調整法と申しますか、法律中小企業分野というものを指定いたしまして、その産業分野に入ってはいけないというような法律をつくっていくという案もあるわけでございますが、そういうふうに法律で指定をいたしますと、日本経済の弾力性を害するという点がございますので、私どもは現在の段階ではそういうことは考えていないわけでございます。ただ先生御承知のように、中小企業団体の組織に関する法律におきまして、商工組合が、進出してこようとする大企業との間に団体交渉によりまして特殊契約を結ぶ、その特殊契約を結ぶことができないような場合には、中小企業調停審議会にかけて、それによって通産大臣が勧告をするというような制度がございます。しかし、これは伝家の宝刀でございますので、それに至りますまでの間に各通産省の原局あるいは中小企業庁も入りまして、事実上の行政指導によって生産量あるいは設備のやり方、増設等について条件をつけるというようなことで、これは行政指導でございますから、事実上の大岡さばき的な指導をするということでございますが、そういうことでやりたい、こういうふうに考えております。
  63. 佐野進

    佐野(進)委員 これはもう少し議論をしなければならないと思うわけですが、最後に大臣答弁をまとめていただきたいと思います。  いわゆる振興事業団ができて、そういうような施設をつくる、あるいは協業化もはかる、共同化もはかる、たいへんけっこうだ。しかも仕事の面について、その分野を明確化して——明確化し得ないまでも、中小企業が成り行くような指導大臣がやるのかどうか、それについての大臣考え方を聞きたいことと、もう一つは、逆に上のほうではなしに下のほう、このごろある新聞に出ておりましたが、振興事業団ができても、対象になり得るものはきわめて限られたもので、相当程度のものがその対象になり得ない、この対象になり得ない零細業者が相当多い、この零細業者に対する対策というものが全然ない、この問題については、私は別の機会にもう一回お伺いしたいのですが、ただ、きょうはもう大臣の時間がないということで坂本さんが待っておりますから、大臣に、いわゆる分野の問題と零細業者に対して、振興事業団の関連においてどう考えるかということをお聞きして、質問を終わりたいと思います。
  64. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 先ほどから資本の自由化中小企業振興事業団の関連でいろいろお尋ねがあったと思いますが、資本自由化の問題につきましては、これは実際国民はほんとうに理解を持っていないと思います。これはもう少し具体的に、資本の自由化というものはこういうものであるということ、それに対して中小企業振興事業団がどういうふうにするのだということを、私は何か印刷物で示したい、こう思っております。これは、やはり具体的にもう少し国民に啓蒙運動をしなければならぬ。ただ単に資本の自由化というて——資本の自由化はどういうようになるのかということを、これは実際われわれ自身だって検討しなければならぬ、勉強しなければならぬものが多々あるわけでございます。そういうことを、今後具体的なことでひとつ国民に啓蒙運動をしたい、こう考えておりますから、佐野委員からいろいろお尋ねになったことも、これはやはりそういうことでお答えして、そうして皆さんもわれわれもみな理解を持つようにやっていきたい、こう思っておる次第であります。
  65. 島村一郎

    島村委員長 坂本三十次君。
  66. 坂本三十次

    ○坂本委員 きょうは、自民党にとっては二月に国会が始まって以来の第一陣でございますので、ひとつ御丁寧に、御親切に御答弁を願いたい。  中小企業対策というのは、これはもう超党派的なものでございましょう。中小零細、特に小零細のほうは非常に日の当たらないところにいままで置かれてきましたから、これにもつとあたたかい日を当てるという意味で、私は前の佐野さんに負けないで攻撃的にひとつ質問をいたします。激励もまた入りますから、どうかひとつ御答弁をお願いいたします。  私ども中小企業零細企業者の中へ入って、お店番のおかあちゃんに聞いたり、機場のおやじさんに聞いたりいたしますけれども中小企業者、特に小零細のほうは、私も自民党でありますが、政府自民党は選挙のたびには中小零細企業と言うけれども、どうもわれわれにはまだ着物の上からかくような、くつの底からかくようなもので、ぴったりこない。もうちょっと一段と突き進んだ施策がほしいという声を非常にはだ身に感じて私どもはまいりました。そういう意味合いにおきまして、零細企業者の焦燥感というか不安感というものがあるということをぜひひとつ頭に置いていただきたいと思うのです。いままで私はいろいろ調べてみましたが、中小企業というのは戦後の問題ですね。ほとんど戦後の政策で、五十幾つばかり法律がありますけれども、いままでの小零細企業対策はどうも平板であって、一律的である、われわれのところまでおりてきてないという、はだに感じた不安感というか焦燥感というか、これを解決するような、一歩突き進んだ根本的な中小企業対策について前進的に自信がある施策が立てられるのかどうか。これは私自身も心配をしております。その点について政府の御見解を承りたい。  そこで、これに関連いたしますが、いままでうんとがんばってやっておいでになったことは私もよくわかるのですけれども、それならば、自民党のやってきたことあるいは通産省のやってきた具体的な政策で、官民ともに、やああいつはヒットであったという中小企業政策ないし措置というものがありましたら、ひとつそのクリーンヒットをあげていただきたいと思うのですが、どうですか。大臣お尋ねします。
  67. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 中小企業の根本問題についてお尋ねがあったようでありますが、お話しのとおり、これは戦後やかましくなってきた問題だと思います。そしてこれは与党、野党を問わず、口を開けば中小企業の育成ということを唱えてまいったのでありますが、しかし中小企業の問題は解決しておりません。いまに至っても皆さんからこういう御質問があるということは、中小企業の問題がまだ解決していないということを示しておると思うのであります。戦後中小企業の問題がやかましくなってきたということは、一つには国土の割りに人間が多いというのが根本問題であります。戦争で、いままで多少資産を持っておった人もみななくしてしまった。ことに小さい商売人というものは、私から言うと企業じゃなくして生業です。企業ということばに入らぬと思うのです。生業であって、みなほとんど資本なしでやっておるというような状態でありますから、したがって、それによって十分な収益をあげてやっていくことはいわば困難だということは考えられると思うのです。   〔委員長退席、天野(公)委員長代理着席〕 そういう零細企業でありますから、資本がありませんから、たとえば小売り商で申しますと、やはり卸売り商人から貸してもらうということで、卸売り商人からいろいろと支配される。自分が資本を持っておれば、安いところからいい品物を買うてきて売ることができますけれども、自分に資本がないために、卸売り業者が提供するものを売らざるを得ないということで、なかなか小売り商などは困っておられることは私も実はよくわかるのです。なるほど日本は、戦後二十年間非常に発展してきました。生産性の向上ができる大企業は非常な発展をしてきましたけれども中小企業、農業というものは生産性が向上しないために、そこにひずみというものが起こってきたのであって、今後日本産業全体を発展せしめようと思えば、この生産性の低い農業、中小企業発展せしめるということが、私は今後の日本の経済政策の基本でなければならないと考えておるのです。そこで、いままで中小企業の育成のことについてはいろいろの手段を講じましたけれども、これは思うとおりの業績をあげてないと私は思います。しかしこれではいかぬので、いままで、あれをやれ、これをやれということでいろいろ苦心をしてきて、これは与党だけでなく野党の皆さん方も御心配になって、中小企業基本法をつくってみたり何かして、与野党一致で法律もでき上がったのでありますが、なかなか思うとおりいかないというのが現状だと思います。  それでは、中小企業についてはきれいさっぱりと解決のできる政策がないかということですが、この点はわれわれ非常に苦心をしております。そこで考えたのが中小企業振興事業団であって、これで何とか中小企業問題の解決の一つの曙光を見出したい。いままでは、中小企業といえば、資金を貸してもらうとか、あるいは利子を安くするとか、税金を安くするとかいうようなことでやっておりましたけれども、それだけではとうてい間に合わない。指導もやっておったけれども、これはやはり金融面や税制の面も一緒にあわせてやっていくことが必要じゃないかということを最近において痛感してきて、そこで考え出したのがこの振興事業団でありますので、右手では金を貸し、左手では指導するということで今後やっていきたい。私はこれで完全だとは思っておりません。事業団をつくったから、これで一ぺんに解決する、そんな大それた考え方は持っておりませんが、しかし中小企業問題の解決の一つの曙光を見出したいということで、この問題についてはわれわれもひとつ前進したいという考えを持っておる次第であります。
  68. 坂本三十次

    ○坂本委員 いま、戦後の中小企業対策というものは、きめこまかく一生懸命努力したけれども、これはというヒットはなかったということを率直に言われた。その反省の上に立って、ひとつ今度の中小企業振興事業団というものは今後の中小企業対策のチャンピオンとして登場させようという決意を承ったことは、私は非常にけっこうだと思うわけであります。しかし幾ら通産省、中小企業庁が決意を新たにしてやろうとしても、相手のある仕事でありますし、この相手はまた膨大であります。事業所の数にして企業の九九%、千九百万人というたいへんな数の人がいる。この事業団をチャンピオンにしてこれから進めていくのですが、これを受けて立つ業界の熱意というものもしかと確かめておかなければいかぬ。大臣、この点はいかがでございますか。
  69. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 お話しのとおり、政府がこういう制度をつくりましても、制度をつくっただけでは効果があがらないと思います。やはりそれを受ける中小企業者が同じく立つということが必要であって、問題は、やはり中小企業者自身がひとつ自分らの企業発展さそうという意気込みでやってもらわなければならない。そこでわれわれが助力するとかいうことでいって、両々相まっていくと思うのであります。したがいまして、先ほどから申し上げましたとおり、指導ということに重点を置いておるのは、その中小企業者がみずから立つという元気を出してもらうという意味で、ひとつ指導ということを重点としてやっていきたい、こう考えておる次第であります。
  70. 坂本三十次

    ○坂本委員 中小企業庁長官に、先ほど、これまで官民ともにヒットであると拍手をもって迎えられた政策は何かということをお聞きしましたが、これは長官のほうから、まず拍手の起きたものをひとつ簡単に言ってください。
  71. 影山衛司

    影山政府委員 小規模事業対策といたしまして、共同工場の貸与制度、機械の貸与制度という制度があるわけであります。これは小規模事業者の自分で金融のできない人たちに対して、県のほうで工場を建てて分割譲渡をする、あるいは機械類を買って貸与するという制度であります。これは非常な零細企業対策と申しますか、小規模事業対策としてヒットをしたものと思います。それから、信用保険制度で特別小口保険あるいは無担保保険ですけれども、これも小規模事業でヒットしたものと思います。それから、まだ現在初年度でございますけれども、官公需の確保に関する法律、これもヒットしたものだと思います。それから非常にじみちなことでございますけれども中小企業庁に施策普及室というものを設けまして、先ほど大臣が申しましたような啓蒙関係、あるいはすでに実施したところの施策効果の反省というようなものをやる特別の課をつくったわけでございます。   〔天野(公)委員長代理退席、委員長着席〕 これは従来、中小企業者、特に零細層にわれわれが用意いたしておりますところの中小企業対策というものがよく知れ渡っていなかったというような点もございますので、非常にわかりやすいパンフレットもつくり、これを流すということをやっておるわけであります。じみちなことでありますが、施策普及室をつくったということも大きなヒットではないかと考えておるわけでございます。
  72. 坂本三十次

    ○坂本委員 いま四つ、五つばかりありましたが、しかし考えてみれば、戦後二十年かかって、いかに困難なりとはいえ、五十幾つも法律をつくって四つや五つのヒットでは打率一割、これではとても見せて楽しませる野球にはなりませんが、しかしひとつ振興事業団をチャンピオンにしてがんばっていただきたいと思います。  それから大臣お尋ねをいたしますが、先ほど大臣はやはり業界の熱意を喚起することが大切だということを言われました。大臣は特に大阪で、中小企業の町で、はだに感じていままで施策をやっておいでになられた方ですから、これは当然のことと思いますし、そのとおりでございますけれども、この指導を、これからいよいよ中小企業振興事業団などを始めるにあたりまして、中小企業庁というのは、何かパンフレットを見ましたら、百七十人ばかり、それで今度事業団をつくりますが、これは一部ダブっていますから、何人ですか、四十人ばかりふえるのですか、二百人ちょっとで日本の千九百万人の中小企業者をリードしよう、こういうことであります。これが大臣政策のPR、指導という点で、この二百人のさむらいでひとつやらなければいかぬということになりますが、どうですか、二千万人の人を二百人でということになると、これは一人頭十万人、われわれは代議士で十万票とるのはたいへんであります。中小企業庁の役人が、一騎当千ならず一騎十万人を相手にするという意気込み、これがこの施策を成功させるか失敗させるかのもとでありますから、大臣が今度は熱意を喚起する、啓蒙運動をやるというのですから、皆さんのほうで代議士並みの努力をやっていただかなければならぬということになりますから、ひとつがんばっていただきたい、こう思います。  その次に、大臣はもうお帰りになるということでありますので、大臣にもう一つお尋ねをいたします。  中小企業振興事業団の中で、特定産業ということで織布業の構造改善——構造改善と言わないで、何かあとのほうを見ると、構造改革というくらいずいぶん意気込みが入っている。革命の革が入っております。そういう意気込みでスタートせられたものと思っておりまするけれども、後進国の追い上げだとか、それから自由化の影響だとか、労働力の需給逼迫だとか、いろいろな問題に立って苦しい中小企業を早く立て直したい、構造改革したいとおっしゃる気持ちはわかる。いわゆる緊急対策ですね。この緊急対策ということになりますると、全体資金量は、私の調べたところによりますると、千三百億近い、それで緊急対策を五年間でやりたい、五年でやるとすると、年に二百六十億をつぎ込まなければならない。そこで六〇%かければ百五十六億円が必要になるということに相なります。ところがこれを見ますると、千三百億の全体資金に対して十分の一足らずの百三億を要求をせられた。それの六〇%をひとつ国のほうでめんどうを見る、六十一億八千百万円という予算措置になっておるわけでありますが、これでは五年ではなしに十年以上かかるということに相なります。こういうスタートで必ず五年でやり切れるものかどうかということの自信があるかということをお尋ねを申し上げたいと思います。何ごとによらず競争のときはスタートが大切ですから、スタートでのろのろやってあとで取り返そうということはなかなかむずかしいことだと思うのですが、予算措置は必ず五年で十分にやれるものかどうか。そうしてどうしてもこの計画を完成させようという熱意がおありになるのかどうかということをお尋ねしたいと思います。
  73. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 数字の点につきましては局長から御説明申し上げますが、繊維産業について今回皆さん方に御審議をお願いしておる問題は、これは繊維産業としては画期的な私は対策だと思うのです。紡績業にしても織布業にしても、この対策というものは画期的な対策であると思いますが、一つはやはり業者自体の熱意にわれわれも動かされたのであって、そうしてひとつわれわれ自身でも、織布なり紡績業の改革をやるべきだという業者自身の熱意と、それからそれにこたえてわれわれはこういう対策考えたのでありますが、これはいまの時世において、現在のままでいけば繊維産業というものは衰退せざるを得ないという考えをしております。そこで根本的な対策を講じて、日本のいままでの重要産業であった繊維産業を依然としてやはり重要産業として保持したいし、また私は、繊維産業では日本人は適した国民だという考えもしておりますから、これは日本人としては育てなければならない産業だ、こう考えております。そこで、こういう案を出したのでありまして、五カ年の間にこの目的が達成できるような計画をやっておる次第であります。いずれ具体的なことは局長からお答えさすことにいたします。
  74. 乙竹虔三

    乙竹政府委員 数字に即してお答えを申し上げます。御指摘のように、織布の構造改革計画は、五年間に千三百億の金を投じたい、現在の少なくとも老朽化をしております耐用年数超過の織機を少なくとも半分程度にまで減らしたいというのを一つのメルクマールにいたしておるわけでございますが、御指摘のように千三百億を五年でやると、初年度は二百何十億要るわけでございます。ところが、今回予算でお願いをしておりますのは、約百億でございます。その百億の内訳は中小企業振興事業団に六十億を期待し、県に十億を期待し、産地の組合が三十億を出すということでございます。で、この約十分の一になりますが、この十分の一に計画いたしましたのは、何を言うても初年度でございますので、発足がやはりおくれるという点が一つ、次に産地の計画を十分つくらねばいかぬという点が一つ、それから現在各産地とも実は非常に熱意に燃えておりまして、もちろん法案もまだ通っていない時期ではございますけれども、各産地ともいかなる織機を入れたら一番適当であるかということで、織機の機種をいま選んでおるような状態でございます。そんなことで、まあ初年度は十分の一程度で遺憾ながらやむを得ないのではなかろうか。しかし次年度以降拍車をかけまして、五年間で完成をいたしたいというふうな計画になっております。
  75. 坂本三十次

    ○坂本委員 それでは以下、中小企業振興事業団法の中で織布業が取り上げてありますが、それについて個々に質問を申し上げたいと思います。  この繊維産業は、かつて大正時代以前は日本の花形で、輸出分野で六〇%以上のウエートを占めていた。これはもう日本の輸出のたいへんな貢献者である。しかしその後、昭和三十年代から重化学工業が発達したせいもありますが、だんだん年々においてそのパーセンテージは減ってきております。三十年度後半には二五%、四十年度に入って一九%、四十一年度は一八%、こういうふうにだんだん下がってきております。これもやはり、構造改革をするからには、生産性をうんと上げてまた輸出の花形にひとつカムバックさせようという政府の熱意があるものと思いますので、まずその輸出の見通しという点について簡単に御説明を承りたい。それから構革終了年度の四十六年における輸出見通しという点もつけ加えて御説明をいただきたいと思います。
  76. 乙竹虔三

    乙竹政府委員 いま御指摘のように、繊維製品の輸出は、日本の総輸出額の中におきます比率は、御指摘のような数字で下がってきております。ただ絶対額は、幸いにして漸増をしておりまして、四十年には十五億八千万ドル、四十一年におきましては十七億六千万ドルというふうに絶対額は増加しておるわけでございます。しかしパーセンテージは御指摘のように下がっておる。このまま放置いたしますとどうなるか、絶対額は依然として伸びていくであろうかという点でございますが、実は非常にわれわれ心配をしておるわけでございます。何せ繊維産業、特にこれは糸というよりも、織布以降の製品として、織布なり縫製品なりで出てまいるわけでございますが、いずれも労働集約産業でございまして、豊富低廉な日本の若年労働力に依存をしておった輸出品でございますので、すっかり国内の労働関係が変わったということ、さらに海外におきましては後進国、発展途上国が猛烈に追い上げておる、こういうことでございますので、現在のままおきまするならば、日本の繊維品の輸出は後進国にどんどん奪われてしまうという心配を持っておるわけでございます。そういうわけで思い切った構革計画を遂行いたしたいということでございますが、そういう構革計画が幸いにして順調に進んだならばどうなるかという点でございますけれども、一応現在試算をいたしてみますると、金巾を例にとってみますと、ヤール当たり生産コストが現在十三円程度でございます。これが、労賃がこのまま年率八%でアップいたしますと、大体五年後には十五円程度になるというふうに思われます。同じ金巾が低開発国で生産された場合にどうなるかと申しますと、現在のところ、いろいろ各国によって違いますけれども日本に比べまして三分の一程度の労賃というところが多いようであります。ところが、生産性が現在のところ日本の三分の一である、労賃は三分の一であるけれども生産性が三分の一であるということで、かろうじて日本の輸出競争力を維持しているわけでございますが、今後どんどん後進国の機械化も進んでまいるだろうと思うわけでございます。この構造改革がわが国において成功した暁におきましては、年率八%で労賃が増加をいたし、賃金が上がりましても、五年後におきまして現在程度の生産コストに維持できるというふうに考えるわけでございます。低開発国におきましても、次第に生産性は上がりますものの、またおそらくそれに比例し、ないしはそれ以上に賃金も上昇するというふうにも考えられますので、一応わが国の国際競争力は維持できるのではないだろうか。さらに、特に考えなければいけませんのは、後進国と競合するような製品を避けまして、先進国特有の高品質の高級製品にだんだん移行していくという配慮が必要ではなかろうかというふうに考える次第でございます。したがいまして、今回の織布の構造改善計画は、思い切って機械化に金をつぎ込みまして、労働集約産業を資本集約産業に脱皮せしめるとともに、また同時に製品の高級化をはかりまして、低開発国の追い上げに対して競争力を維持ないしは補強をしてまいりたいというふうに考える次第でございます。
  77. 坂本三十次

    ○坂本委員 いま承りますと、労賃は韓国あたりの三倍も日本は高い。それから年率一〇%近く労賃がアップするというふうなお話、そこへもってきてもう耐用年数を過ぎた機械が半分もある。これでほんとうに後進国の追い上げに対して太刀打ちでき、あるいはそれ以上に、水準を維持するよりも、水準を抜いていくということがほんとうにできるかどうか。特殊なものを織りたり高級品を織ったりしても、構革を完了した暁にほんとうに後進国に水をあけることができるかという、その自信を承りたい、こういうふうに思うわけです。
  78. 乙竹虔三

    乙竹政府委員 予測する数字は先ほど申し上げましたように、結論的に申し上げますと、現在の構革を完遂し、資本集約化を完了した暁におきましては、現在程度コストであがる、さらに品質の高級化によりまして、後進国とは別途の分野を切り開いていくというふうに考えるわけでございますが、他の例を見ました場合にどうなるか。すなわち先進国におきます織布産業、繊維産業でございますけれども、これは先生御承知のとおり、かつてイギリスは日本に追い上げられまして、イギリスの綿業、織物業はピンチに入ったのでございますけれども、五九年の綿業法を拠点にいたしまして、過剰設備の処理、老朽設備の廃棄を行ない、さらに政府が新鋭設備に対して四分の一の補助金を出すというふうな、思い切った荒療治をし、近代化を行ないましたことによりまして、現在、国内産業ではございますけれども、国内産業として十分なる安定した基礎に立っておる次第でございます。アメリカ合衆国の織布業、綿業、これは政府が税制上のいろいろの助成措置を行ないまして、また一面、グルーピング化が急速に進みまして、その結果、これもまた日本及び海外の綿輸出国に対して国内産業として十分なる競争力を持っておるということを考えますときに、わが国の織布産業も、現在にして相当思い切った手を講じますならば、将来確固たる地位を保持できるというふうに確信する次第でございます。
  79. 坂本三十次

    ○坂本委員 ただいま政府の自信のほどを承って頼もしく思うと同時に、それに対する国民の期待が大きいことをひとつお考えになられて、今後とも見通しを誤らないように御指導を願わなければならぬと思うわけです。  そこで、いま構革が進んでいきますが、中小企業の中あるいはまた小零細な機屋さんの中で、皆さんはわかっておると思うことでも——これからの期待も大きいし、またその中で不安も大きい。これらの皆さんにやはり親切にPRして、教えて、いろいろと施策をお伝えしていただかなければならぬ、こういうふうに思うのですけれども、この構造改革、これのいままでの施策と、ここがほんとうに違うのだというポイントをひとつ聞かしてください。
  80. 乙竹虔三

    乙竹政府委員 繊維、特に織布の構造改善対策は、一面におきましては繊維産業対策でございますとともに、一面におきましては中小企業対策でございます。御指摘のように織布業者、頭数におきましては九割、織機台数におきましても五割が一これは綿と絹で若干違いますけれども、五十台以下というような零細業者でございます。この業者に対します政府施策、われわれ一生懸命考えて、業界の方々も非常に考えられたのでございますが、それから出ました一応今度の計画の特色と申しますか、これは一つにはいわゆる産地主義ということであろうと思います。それから一つには組合主義ということであると思います。従来、戦後、中小企業対策は通産省といたしましても最重点施策として行なわれてきたのでございますけれども、全国の非常に多数の中小企業、これは業種によっても非常に違いますし、さらにまた同じ繊維の織布業という業種は産地によっても全然違うわけでございます。絹、合繊機の北陸とそれから綿機の播州なり知多なりでは、これは全然違う。絹機の北陸がまた福井と石川では生産構造、流通構造が違う、こういうことでございますので、かゆいところに手の届くような施策を行ないますためには、産地別にものを考える必要があるというのが今回の一つ考え方でございます。それから第二に計画をつくるということでございます。産地別に、しかもその計画は政府がつくるのではなくして、産地の盛り上がりによりまして、産地が計画をつくり、その計画を政府が承認をするということ、それからこの計画は単に計画倒れではなりませんので、承認した計画に対しましては思い切った財政上の措置、税制上の措置を講ずるということが次でございます。このような産地主義が一つ。  それから第二は組合主義でございます。中小企業者でございますので、個々にばらばらに企業が自分で合理化をやろうとしても、これはなかなかむずかしいわけでございますので、産地別の計画というものは産地の組合がつくるということ、それから産地の組合に対して政府助成をいたしまして、構革事業は産地の組合が実施をするということ、この産地の組合が実施することによりまして、非常に零細な中小企業者も十分に構造改革計画の中に組み込まれるということが可能であるというふうに思うわけでございます。
  81. 坂本三十次

    ○坂本委員 いろいろ特色を盛った構革を進行させるにあたりまして、産地の現場の、これからやらなければならない人々のいろいろ心配しておるような点を二、三拾ってみたいと思うのですが、いませっかく構造改革で助成を受け融資を受けて、そして新鋭織機に切りかえるというけれども、一体その新鋭織機なんというものは、入れかえたらほんとうにここ当分世界の競争力に打ち勝てるだけの能力を持った新鋭織機なのかどうか。せっかく入れかえたところで、もう二、三年たてば諸外国の水準がはるかにまさる技術の開発をしておったのでは何にもならぬわけでありますから、織機の技術開発の点について心配はないかどうかということを伺っておきたい。
  82. 乙竹虔三

    乙竹政府委員 御指摘の点は、私たちも実は非常に心配をしておる点でございますし、産地の方々、特に産地のリーダーの方々また県当局も非常に心配をしておる点でございます。遺憾ながら、いままで紡績織布産業は日の当たらなかった産業のために、紡機なり織機なりの注文があまり出ないということで、紡機のメーカー、織機のメーカーが国内需要に対して十分なる配慮と申しますか手を打っておらない。あまりもうけにならない産業でございますので、したがって新鋭の紡機の開発もおくれ、織機の開発もおくれておったというふうに思うわけでございます。今回はそれに対しまして千三百億というふうな織機の更新計画、これが政府で立案をされましたので、大いに織機メーカーのほうも張り切りだしたわけでございますけれども、どういう織機機種を選んだらいいのか、遺憾ながら現在のところ数年間開発がおくれたというふうに私は思うので、この辺のところ急遽がんばって新鋭織機をさがしださなければいけないという段階でございます。それがためには、自己の努力による開発を進めますことはもちろん、それと同時に世界の新鋭織機の勉強をして、必要なものはどしどしこれを取り入れていくということをせねばならないということで、業界のほうにおきましても、これは織布業界と機械業界と両方でございますけれども、世界の織機業界に対していま熱心な調査を行なっておる次第でございます。  それからまた国内におきましては、問題は織布業者と織機業者との連携を深めるということ、両業界の有機的関係を深めるということが非常に必要だと思います。もしこれが欠けますと、織布のほうは争って織機を買いあさる、織機のほうはこの際ということでもうけをはかるというふうなことでは非常にまずいというふうに考えますので、両業界が一致協力して新鋭織機を選択いたしまして、その選択された新鋭織機を最も能率的に生産をし、最も秩序よく織布業者に渡すような組織、あり方を考えようということで、両業界非常に密接になって勉強をしておる、こういうのが現状でございます。
  83. 坂本三十次

    ○坂本委員 いまの御答弁では、構革はもう走りだそうとしておるのに、肝心の生産性をあげようという織機がこれから研究調査ということでは、これはまことにどろぼうを見てそれからなわをなうというようなことになりかねないので、この点はもっと政府助成するなりなんなりしてやらないと、仏つくって魂入れずということになりかねないというふうに思う。これはまだ検討調査中だということでありますれば、それ以上質問してもしようがないかもしれませんけれども、これは早くやらないとたいへんなことになりますから、ひとつこの点は急遽技術開発を進めていただきたいと思うわけです。  それから、時間がありませんから次に移りますが、今度は織機とか設備は構革の融資の対象になるけれども、それを包んでおる建物はならないのですか。
  84. 乙竹虔三

    乙竹政府委員 個別業者の場合には関連施設は対象にいたしません。ただ共同施設の場合には対象になります。
  85. 坂本三十次

    ○坂本委員 やはりエンジンとボデーというものは一体のものでして、エンジンだけは変えてあるけれどもボデーのほうは昔のままで走れというのはちょっと残酷なように思うが、この点はひとつ一体として考えられませんか。
  86. 乙竹虔三

    乙竹政府委員 確かにお説のように考えたいのでございます。ただ、何せ政府のさいふにも限度があるわけでございまして、今回の構革の金は中小企業振興事業団から思い切って出してもらうということで、必要な金の六割を事業団から出す。それから県にも頼みまして、これは地方交付税で配慮してもらうということになっておりますけれども、一割を出してもらう。したがって手金は三割でよろしい。その手金の三割につきましても、中央におきまして債務保証、必要とあれば転貸して三割も見るというふうな手厚いことを考えておりますので、相当地元の金融調達力と申しますか、これは出るのではなかろうかと考えまするが、しかし何せ零細業者であり、いままで非常に不況で痛めつけられた業界でございますので、さらにできるだけのことはやりたい。したがって指導援助委員会というのを各産地ごとにつくりまして、ここに地元の金融機関、市中銀行、政府金融機関みな指導援助委員会委員になってもらいまして、この指導援助委員会で産地別の構造改善計画の審議もしてもらうと同時に、またその審議をし、けっこうであるというふうになった産地の計画に対しては、地元市中、特に政府金融機関、これは全力をもって応援するというふうなことで、商工中金等も大いに活用をしてまいりたい、商工中金のほうも張り切ってお役に立ちたい、こういうふうな状況でございます。
  87. 坂本三十次

    ○坂本委員 それじゃ進行いたしまして、今度構革の場合の自己資金三〇%というものがあります。この三〇%は業者が出せばいいのですが、出せない場合は組合が心配をするようなことも聞いております。しかし組合が心配しても、最後はやはり金利負担などは自己負担にかかってくる、こういうふうに思いますが、何さまいままでの不況で蓄積のない小零細の方などは、この三〇%の金利負担というか自己資金、これに耐えられるものかどうかという心配を非常に私はしておるのですが、この点はいかがですか。
  88. 乙竹虔三

    乙竹政府委員 できますならば、その三〇%の自己資金、これはまず産地の組合が金をつくるわけでございますが、産地の組合は当然その組合員から徴求しなければいかぬということで、その金利は当然組合員に肩がわりされるわけであります。この辺のところはいろいろ考えたり方々にお願いをしたのでございますけれども、しかし政府の金が六割とそれから県の金が一割、組合の金三割をかりに九分といたしましても、振興事業団金利が三分でございますので、振興事業団の六割が三分、それから県の金がこれは無利子の一割、それから手金の三割を市中で九分というふうにいたしますと、総合金利で四分五厘程度になるかというふうに思うのでございます。その程度のものは、零細事業者でございますが、負担してほしい。ただ問題は、その零細業者が金利も負担できないような製品を織っておったのでは、これはどうにもならぬわけでございます。もうかるような製品をその零細な組合員の方々が織るということが非常に大事なことではなかろうか。したがいまして、今回の構革計画の一つの特徴といいますか、われわれ努力いたしておりますものは、単に設備を近代化することだけではなしに、もうかるような織物を組合の指導のもとに織っていく、産地ぐるみで織っていくということによって十分収益をあげていくということに努力をする、それによりまして金利の負担は十分できるというふうに指導をしてまいりたいというふうに思うわけでございます。
  89. 坂本三十次

    ○坂本委員 それからスクラップのほうでありますけれども、買い取り価格がちょっと安い、こういう声も出てきました。いま、少し不況を脱したものですから、十万円以下でありますか、これはどうも安い、こう言うておりますが、ごく簡単にその明細と買い上げ価格を……。
  90. 乙竹虔三

    乙竹政府委員 おっしゃるように、現に動いておる織機をつぶすものでございますので、動いておる織機が十万円というのは確かに安い、特に二分の一政府補助ということになる、この点は安いといえば安いわけでございますけれども、しかしわれわれが残存帳簿価額をずっと調査いたしましたところによりますと、簿価は相当程度それを下回っておるようでございます。それから金融機関等に担保に入っておるものが、気の毒なのが相当多いわけでございますけれども、その担保の評価価額も十万円よりもはるかに安いということでございますので、確かにもうちょっとよけいであればけっこうではありますけれども、だいぶ努力をいたしたのでございますが、この程度でやむを得ないかというふうに考えておる次第でございます。
  91. 坂本三十次

    ○坂本委員 私はいろいろ小零細の機屋さんを回っておりますけれども、そこのお嫁さんは糸くずだらけになって、おやじさんは手を油だらけにして一生懸命やっておるわけです。それでなかなか追っつけぬといって苦しんでおるわけなんです。その方々の中で、今度は政府が構造改革をやる、それで新しい機械も入れてくれるのだ、それじゃわれわれもこの構造改革の波に乗れるのか、こういうて意気込むと同時に、多少不安な気持も持っておるわけであります。この構造改革の事業における零細な機屋さんの位置づけというものをひとつお答えいただきたい。
  92. 乙竹虔三

    乙竹政府委員 機屋さん、織布業者の方々も零細な方が非常に多いのでございまして、数字を申し上げますと、綿織布、これは比較的まとまった台数がなければいけない。後進国でも大体三百台以上というふうなのが新鋭工場でございますが、遺憾ながら日本におきましては、五十台未満の方が頭数で九〇%、それから織機台数で五〇%ということでございます。それから絹人絹織布でございますが、これは綿織布よりもある程度台数は少なくてもいいのでございますけれども、それでもしかし五十台はまとまってほしい。特に新鋭織機、たとえば最近開発されましたジェットルーム、杼(ひ)のない、水でもって横糸を飛ばすジェットルームあたり、これは従来の自動織機に比べまして、二倍以上もスピードが上がるものでございまするが、こういうジェットルームを入れるというふうになりますと、できればやはり百台はまとまらねばいけない、五十台ではなかなか能率が出ないというふうに思うわけでございますが、絹人繊織布業の五十台以下、頭数では九八%、それから台数におきましても六五%というのが五十台以下、こういうことでございます。こういうふうな零細な方々が主力でございますので、今回の構革は、むしろわれわれは重点はこの零細な方々に置いております。それでこの零細な方々の織布をどういうふうに合理化していったらばいけるかということは、一つには近代設備を入れるに足る程度のグループ化と申しますか、協業化と申しますか、これは必要であると思います。近代設備でもって競争するような布におきましては、どうしてもこれは経済単位までまとまるということが必要で、それじゃないと、これはもう将来生きていけないということであると思います。これが第一でございます。  それから第二は、しかしまた絹人繊は非常に趣味品、高級品にもなり得るわけでございまして、一番極端な例は京都の西陣とか、それから丹後ちりめん、こういうふうになりますと、これは非常な高級品でございます。こういうふうなものにいかないまでも、非常な高級品を織るということになりますと、一軒当たりの単位は小さくて済むということであると思います。したがって、自分の能力に応じた織機台数で、その織機台数に適した製品を織るというふうな考え方が大事で、計画はそういうふうに考えてまいりたいと思うわけでございますが、ただここで私たち特に気をつけておりますのは、綿機屋さんにしましても、特に絹人繊機屋さんにいたしましても、非常に一軒当たりの織機の設置台数が少ない。たとえば五台とか十台とかいう方々が多いのでありますけれども、五台の機屋さんが一つ企業考えていいのかどうか。私申し上げたいのは、この五台の機屋さんは自分で注文をおとりになり、自分で製品をお売りになるのではなくて、五台の機屋さんは糸を産元からもらい、ないしは親機からもらい、そして製品は親機が集荷し、産元が集荷していく、こういうふうなのが非常に多いのではなかろうか。したがって、この五台の機屋さん、八台の機屋さんは企業というよりも一つの生産の単位というふうな、大工場で申しますと、一つの生産の班というふうに考えていいのではなかろうかとい、うふうな気がするわけでございます。そうなりますと、一つ経営体としてはその親機さんなり産元さんなりがあって、生産班として零細な生業に近い機屋さんがあるということになりますと、その親機ぐるみ、産元ぐるみ一つ経営体というものを合理化し、近代化し、しかも収益を高めていくというふうにやっていけば、個々の現に機のすわっておる機屋さんは小さくても、相当高度な経営体になっていくことは可能ではなかろうかというふうに考えまして、構造改善計画におきましてはそういう面の配慮を十分にいたしたいというふうに考えておるわけでございます。
  93. 坂本三十次

    ○坂本委員 零細な機屋さんに対しても種々配慮をしておるというお話でありますが、これはひとつぜひ見捨てないで、構革に乗れるものはぜひ乗せてやりたい、こう思うわけであります。その次に、それでもしかしなおかつ零細な機屋さんであって、わしはいやじゃ、それからまたちょっと乗りにくいくらいの——全国平均で八台だということを聞いておりますけれども、そういう零細な人で構革に乗りにくいなという人に対しては、やはり構革産地の地域においても設備の近代化資金がいままであったのですね。あれは非常に喜ばれておった。あれは残すのかどうか。いや、構革の産地は構造改善をやるのだから、特殊なもの以外は近代化資金をやらないということになると、八台機屋さんは非常に困る人が出てくる。これはどんなものですか。設備近代化資金は残すのかどうかということです。
  94. 乙竹虔三

    乙竹政府委員 この点は実はまだ大蔵当局と調整しておるのですが、大体われわれは次のような線にまとめたいというふうに考えております。おそらくそうなるのではないかと思いますが、次のような点と申しますと、構革組合の所在地にある機屋さんで、しかも組合員である、けれどもその織っておる製品が構革組合の対象になる製品でない人、したがって構革事業の対象外になるということが一つ。それからもう一つ、その方々に特別な措置を認めることが全般の構革計画にひびが入らないということ。この二つの条件を満たします場合には、近代化資金の対象として特に認める、そういうふうにしてまいりたいというふうに考える次第でございます。
  95. 坂本三十次

    ○坂本委員 それでは最後に次官にお願いしたい。せっかく構造改革を進めていっていただきたいのですが、生産性を高めるためにスクラップアンドビルドをやる。過当競争を排除するためにスクラップまでやらなければいけない。そしてせっかくやるのでありますけれども、流通構造の改善なくして構革貧乏ということになったら何にもならないわけであります。そこで私は過去の例でちょっと心配しておるのは、四十一年度でありまするが、いま合化繊は系列化しておりますね。大メーカーと産地の機屋が系列化しておるのがだいぶある。この系列化が不況がきたら従属化になってしまう。そしてしわ寄せが下にくる。ひどいのは系列打ち切りだということになった例があるわけなんです。そうでなくても、強いやっと弱いやつがおりますと、弱いのはメリットを吸い上げられてしまいはしないかという心配がありますので、今後流通構造の改善という問題を考えないと、せっかくの構革をやっても、中でアンバランスができて、弱い者がいじめられておってはこれは問題にはならない。いわゆる弱小な業者にしわ寄せされてはせっかくの施策が生きてこない、こういうように思いますが、政府は、こういう巨大資本と地元の業者というような中に入って、うまく調整をし指導していくという役割りを私は持っていたほうがいいと思うが、これについての御見解はいかがですか。
  96. 宇野宗佑

    ○宇野政府委員 流通機構の整備改善の問題につきましては、いま坂本君が言われましたお説のとおりでありますが、特に繊維関係におきましては、その流通機構が現在といたしましても非常に複雑多岐にわたっております。したがいまして、構造改善推進と同様に、さながら車の両輪のごとく推し進めていくということが必要であります。繊維に関する需給等の見通しに関しましては、先ほど局長お答えいたしましたとおりでありますが、特に流通機構ということを念頭に置きました場合には、やはり需要の見通しというものを政府といたしましても把握しておかなくてはなりません。と同時に、国民がどのような形態の繊維、生糸を選んでおるかということも、やはり一つの見通しを把握しておかなくてはなりません。同時に、そこから適正価格というものも生まれてくるだろうと思うのであります。したがいまして、御承知になっておりますとおり、通産大臣の諮問機関として産業構造改善審議会がございますが、その審議会の繊維部会におきまして、ただいま仰せの流通機構の改善に関しましては、いろいろ御審議を願っておりますので、早急に御答申をちょうだいいたしまして、構造改善と同様のスピード、同様のウエートをもって進めていきたい、かように存じております。
  97. 坂本三十次

    ○坂本委員 流通構造の改善については今後の問題であります。ひとつこれはよく御検討いただいて、さっそく対策を立てていただきたいと思います。これで私の質問は終わりとしまするけれども中小企業振興事業団の眼目というのは高度化ということで、高度化というのは、協業化とか共同化とかグルーピング化とか、いろいろいわれますけれども、なかなか相手はたくさんおりますよ。しかも小なりとはいえ一城のあるじでありまするから、これはほんとうにやる気になって指導をするという熱意をひとつあくまでもお忘れにならないようにしていただきたいということを注文をいたしまして、質問を終わります。
  98. 島村一郎

    島村委員長 橋口隆君。
  99. 橋口隆

    ○橋口委員 時間もだいぶ経過いたしましたので、簡単にお伺いしたいと思います。  中小企業振興事業団法案は、非常に重大な時期に登場したと思うのでございます。と申しますのは、最近政府がつくる公団、公社等について、その乱設ということが非常に問題になっておる、その最中にこの振興事業団は登場するわけでございますが、それだけに設立の趣旨についてそれなりの理由がなければならないと思うのでございます。予算折衝の過程を見ましても、この事業団中小企業センターと中小企業高度化資金とを最後にくっつけたようなかっこうになっておるものでございますが、木に竹をつぐような、そういう不都合は起こらないものかどうか、その点をちょっとお伺いしたいと思います。
  100. 宇野宗佑

    ○宇野政府委員 先ほども大臣が申し上げましたように、確かに今回の事業団は高度化資金並びに指導センター、この二つの機構を一つにまとめ上げたものでございます。したがいまして、一足す一は二でなくてプラスをつけたいということを大臣申されましたが、われわれも同様の機能を発揮してもらうことをこい願いまして、この振興事業団法案を提出いたした次第でございます。より具体的に申し上げますると、従来まで中小企業者金融は、ややもすれば、指導に従ってカルテはもらったが、その薬代がなかったというような懸念がございました。したがいまして、そのような形の医薬分業であってはいけない。だから指導と、そして直ちにその手当てができる金融、これが一体化する、これが必要ではなかろうか。さような考え方で出した法案でございますので、いま橋口委員が申されましたような懸念は毛頭ない、より一そう強い態度でこの方策を進めていきたい、このように考えております。
  101. 橋口隆

    ○橋口委員 この中小企業振興事業団は非常に名前がりっぱでございまして、それで業界一般に、これは中小企業振興の万能薬だ、こういうふうな印象を与えておるようでございます。ところが実際は、よく調べてみると、非常に限られた事業をするわけでございますが、それにつきましては、どういうような組織を中央ではつくり上げて、それから人員はどういうくらいの人数でやるのか、そしてまた将来あるいは現在地方組織はどういうふうにしてこれを運営されるのか、その点をお伺いしたいと思います。
  102. 宇野宗佑

    ○宇野政府委員 構造、組織等に関しましては長官のほうからお答えをいたさせますが、いま先生申されましたとおり、確かに万能薬的な効果はあろうかと思われまするが、中小企業と一口に申し上げましても、ピンからキリまでございますので、いわゆる零細企業というものに関しましては、この中小企業振興事業団の機能がどこまで及ぶか、共同化、協業化というようなことばにしぼればそこまで及ぶわけでございますが、万能と私たちが大きく言い得るような内容ではないということも一部ございます。しかしながら、あくまでもこの事業団をここに設立しなければならないというのは、当面する中小企業の課題といたしましていろいろな問題がございまするが、それを集中的に解決したい、こういうことを考えておりますので、さような考え方であるということを御了解賜わりたいと思います。
  103. 橋口隆

    ○橋口委員 この振興事業団中小企業構造の高度化をめざしているわけでございますが、この中小企業というのは個人経営を主軸とするものでございますが、その中にあって一体この事業の共同化、協業化あるいは集団化というようなものはどういうような効果を与えているか、いままでの施策の状況から見まして、その効果等についてひとつ御説明を承りたいと思います。
  104. 宇野宗佑

    ○宇野政府委員 抽象的に申し上げますと、従来の中小企業の盲点は企業の集約性といわれます。ということは、つまり労働集中的な問題、集約的な要素のほうが非常に高かった。資本集約的な要素というものが非常に薄かった。したがいまして、今後体質強化のためには、どういたしましてもやはり資本集約的な要素も加味していかなくてはなりません。そのことにおきますのならば、やはり協業、共同化ということにおける生産性の向上、それに基づく基盤の拡大、こういうように私たちは考えておるような次第でございまするが、なお具体的な事例につきましては長官からお答えいたさせます。
  105. 影山衛司

    影山政府委員 先ほどの御質問でございますが、一つ振興事業団組織でございます。これは現在中小企業指導センターが百二十五名おりますので、それにあと四十名ばかりをつけ加えまして、百六十五名のスタッフで事業を運営していくわけでございますが、機構につきましては、大体現在のところ理事長一名、副理事長一名、理事三名という下に、中心になります事業を行ないますのに業務部、それから指導関係を行ないます指導部、それにその前提となります調査あるいは啓蒙を行ないますために調査部というようなものを設けるということにしております。それから中小企業指導者その他の人材養成のために、従来中小企業指導センターが行なっておりましたところの研修事業につきましては、中小企業研修所を設置するというふうに考えておるわけでございます。  それから先ほどの個人営業につきまして従来どの程度の効果があがっておるかという御質問でございますが、従来工場団地の参加企業資金別の構成の一覧表を調べたものがあるわけでございますが、それによりますと、個人企業が参加しているのは二四・一%になっておりまして、四分の一は個人企業が参加しておるというようなことで、相当個人企業のためにもなっておる制度であると私は思っております。
  106. 橋口隆

    ○橋口委員 このいままでの資料を拝見してみますと、共同施設のほうは非常に利用されているようでございますが、集団化、団地化、企業合同の実績というのは非常に数が少ないようでございます。そこで四十一年度、昨年度における実績と申し込み数との比率はどういうふうになりますか。
  107. 影山衛司

    影山政府委員 お答え申し上げます。昭和四十一年度につきましては、工場団地につきましては新規二十一団地を予定いたしておりましたけれども、実績は十一団地でございます。商業団地は、非常に流通機構の合理化の波に乗りまして、新規六団地を予定いたしておりまして、六団地全部実績ができております。それから商店街の近代化四団地に対して一団地企業合同は二十五件を予定いたしておりましたが、二十二件ができております。小売り商業の店舗共同化につきましては、六十店舗を予定いたしておりましたが、十七店舗になっております。小売り商業の連鎖化、ボランタリーチェーンにつきましては、先ほどお答え申し上げましたように、二十五件予定いたしておりまして、二件ができておる。中小企業の共同工場につきましては、三十カ所を予定いたしておりましたが、二十一カ所ということで、これは初年度でもございますので、非常に成績がいいほうであるというふうに考えておるわけでございます。
  108. 橋口隆

    ○橋口委員 そのうちで、商店街の近代化資金というのは、いまお話しのとおり非常に少ない。三十九、四十、四十一と毎年一件ずつしか新設されていないようでございます。実は私も地元でこの商店街の近代化資金の申請を指導してみた。ところが、その手続が非常にむずかしくて、市役所でもあるいは県庁でもなかなかそれがのみ込めない。またその条件があまりにも煩瑣過ぎて、そのためにとうとうそれが成立しなかったようでございます。それでいま承って、全国で一件しかないんだから、これは非常にむずかしかったんだということがわかったのでございますが、これがどうしてそのように利用されないのか、どこにそういう隘路があるのか、これをひとつ教えていただきたいと思います。
  109. 影山衛司

    影山政府委員 商店街と申しますのは、その中にいろいろな業種の商店の方、あるいは中にはサービス業も入っておりますし、種々雑多な商売の人が入っておるわけでございまして、そういう人たちが団結をしまして、それで商店街を改造いたしまして新たな町づくりをやるわけでございます。これは非常な大事業でございます。たいてい小規模の零細の人が多いわけでございますが、そういう点で大事業であるだけに、従来は事業の計画のまとまりがむずかしかったとか、あるいは先生指摘の手続の点等につきましても、やはり小規模の人たちが多いわけでございますので、不親切な点もあったかと思われますが、とにかく商店街の大改造でございますので大事業、そういう点でなかなか計画自体も出てこない。それから計画は出てきますけれども、途中でいろいろと問題が出てきて挫折をするというような例も非常に多かったのでございます。今度は振興事業団指導も十分にやる、あるいは手続等につきましても、今度はできるだけ簡素化をして、また助成条件等についても弾力的に行なっていくというふうにいたしたいと思っております。この商店街の近代化は、小売り商の近代化の一つの大きな方策でございますので、そういう点で先生指摘の点も注意いたして進めていきたいと考えております。
  110. 橋口隆

    ○橋口委員 それから、いわゆるボランタリーチェーンでございますが、四十一年度予算では二十数件予定をされておったのに、これもわずか二件しか実現されなかった。この制度は理論的には非常にいいように思われるのでございますが、一体日本のこの風土に適しているのかどうか。その点非常に疑問に思うのでございますが、その点どうでございますか。
  111. 影山衛司

    影山政府委員 ボランタリーチェーン制度につきましては、先生指摘のように、日本の土壌に育つのがなかなかむずかしい制度ではないかというふうに考えるわけでございます。しかしながら、ボランタリーチェーン制度先生御承知のように、小規模零細の商店の人たちが独立の店舗をかまえながら、それで居抜きのままで近代化を進めるのにはどうしたらいいのかということで進めておるような制度でございます。非常に意義のある制度でもございますので、啓蒙あるいは指導というような点にも力を尽くしまして、これが日本の土壌に育ちますように、腰を据えて、指導の面、啓蒙の面からひとつ始めたいと考えておるわけでございます。
  112. 橋口隆

    ○橋口委員 いまのこの商店街の近代化資金ボランタリーチェーン制度は、ほんとうは非常に望ましい制度だと私は考えているのでございます。そういう意味で、いま長官が言われましたとおり、ひとつ将来これが全国的に普及するように御指導いただきたいと思うのでございます。  そこで、この振興事業団の中で、一般的な中小企業指導あるいは研修、そういう問題が取り上げられるわけでございますけれども、この事業団中小企業指導センターが切りかわると同時に、専門コンサルタントが置かれるように聞いておりますが、その予定人員は一体どのくらいなものか、また高度化の指導自体にとどまるのか、将来、製品、原材料の需給から労働力の見通し、あるいは高度化の指導、そういうものについてまで及ぶのか、そのためには一体人員をどのくらいにしたらいいのか、そういう点の見解を承りたいと思います。
  113. 影山衛司

    影山政府委員 コンサルタントにつきましては、現在中小企業指導センター経営関係及び技術関係のコンサルタントが三十三名ほどおります。これを活用いたすわけでございますが、さらに、新たに二十名程度コンサルタントとしてここに入れたいというふうに考えているわけでございます。そのほかに、三十名程度一般の学識経験者でコンサルタント能力のある人を委嘱をするための予算もとっているわけでございます。それから先生が、先ほど御指摘になりましたところの、中小企業の構造関係の調査であるとか、あるいは経営動向、マーケットリサーチ、長期事業予測というような中小企業対策中小企業の高度化を進めていく上に前提となるいろいろな調査があるわけなんです。これは調査部を設けまして、それには二十五、六名の人員を予定いたしているわけでございまして、そういうところでも突っ込んだ調査をしていきたいと考えているわけでございます。
  114. 橋口隆

    ○橋口委員 この振興事業団ではそういうような調査、研修等を行なうわけでございますが、これに類似した制度が幾つか現在行なわれていると思うのでございます。それとの関連を承りたいのでございますが、四十一年度から中小企業総合指導所というのが十六府県発足したようでございます。これも中小企業経営管理の合理化あるいは技術の向上をはかる、そのための指導事業のように聞いておりますけれども、これと本事業団指導事業とはどういうような違いがあるのか、そういう点を承りたいと思います。
  115. 影山衛司

    影山政府委員 総合指導所は各府県に設けるわけでございまして、この総合指導所が中心になりまして、直接の協業化あるいは個別企業の近代化の診断指導を行なっていくということでございます。振興事業団にかかえますところのコンサルタントは、そういう中小企業の窓口、指導の窓口を一本化するという意味におきまして、まず県のそういう総合指導所が診断指導をやり、事業団コンサルタントはその診断指導の場に参加を常にしてやっていくという方式を考えておりますが、ただ今度振興事業団法におきましては、さらに、中小企業者の依頼を受けた場合には、事業団コンサルタントが相談を受けるるいは助言をするという道は開かれているわけでございますが、原則といたしましては、そういう総合指導所を窓口にして、それに事業団コンサルタントを常に参加をさせていくという考え方でおるわけでございます。
  116. 橋口隆

    ○橋口委員 そうしますと、この中小企業の総合指導所というのは、将来、この振興事業団の管轄下に置いたほうが便利なように思われますけれども、その点はどうでございますか。
  117. 影山衛司

    影山政府委員 なかなか核心を突いた御質問でございますけれども、これは各県のほうの、どういいますか、付属機関として総合指導所を置いておるわけでございます。これを直ちに振興事業団のほうの組織の中に移していくということは、ちょっと、私どもも前に中小企業指導センターをつくります際に、そういう点も検討いたしたことがあるわけでございますが、いろいろな難点もございます。地方自治の精神というようなこともございますので、事業団組織の中にそれを吸収するということは、検討の結果、非常にむずかしいという結論に達した次第でございます。
  118. 橋口隆

    ○橋口委員 いまの点は、どうしても私は、この事業団というのは頭だけで手足を持たないので、将来、現在都道府県で行なわれている指導事業との連携というものを十分にしていただいたほうがいいのではないかと思います。地方の企業者にしますというと、その受けるほうは一本で、そしてその源が非常に混線をしているという状況では、なかなか地方の一般の零細業者にはわかりにくいと思いますので、十分御検討をお願いしたいと思います。それにつきまして、従来都道府県が行なってきました診断事業でございますが、これは一般企業診断のほかに、そのたてまえ上、工場団地商業団地、あるいは商店街造成の診断等も行なうたてまえになっているようでございますが、これと本事業団との関連は一体どういうふうになるわけでございますか。
  119. 影山衛司

    影山政府委員 振興事業団の事業は、原則といたしまして、県を窓口として助成の金を流すわけでございます。その際に、都道府県が行ないますところの計画診断、たとえば団地につきましては団地についての計画診断、あるいはボランタリーチェーンにつきましてはボランタリーチェーンの診断というものを前提といたしまして、適正な協業化計画をつくった上で金を流すということになるわけでございます。その総合指導所等の県の指導所が行ないますところの団地の診断あるいは商店街の診断というようなものが貸し付けの前提になるわけでございます。
  120. 橋口隆

    ○橋口委員 そうしますと、この振興事業団で行なう調査研修というのは必ずしもこの全体の集団化、共同化、そういうものに対してだけ指導を行なうのではなくて、一般企業の個別的な診断指導、そういうものも当然行なうわけでございますね。
  121. 影山衛司

    影山政府委員 振興事業団は、そういう診断事業については、個別企業につきましては県の行ないますところの診断事業に参加をするという形で行なうわけでございますが、その前提となりますところの調査研究というものは、個別企業にも適応できるところの調査研究を行なうということになっておるわけでございます。
  122. 橋口隆

    ○橋口委員 せっかくこの振興事業団ができて、看板は非常にりっぱでございますが、これが将来中小企業指導の中核体になるということを非常に期待をされていると思うのでございます。そういう意味でいまのような、この関連したような制度というものを将来一本化するというお考えがございますかどうか、政務次官にひとつお聞きしたい。
  123. 宇野宗佑

    ○宇野政府委員 私の考えを申し述べますと、今回出しましたこの振興事業団は、先ほど御説明申し上げましたとおりに、指導金融の有機的一体化でございます。したがいまして、指導ということをさらに拡大いたしますと、私は、指導金融、税制まで一体化したいというような気分があるわけでございます。なぜかならば、政府が融資助成をした、指導に基づいてそういう措置がなされた、ところが、その指導に基づいて中小企業はそれぞれ努力したにもかかわらず、たとえば同じ政府機関の出先の税務署が過大な徴税攻勢を行なう、これは一体どうなんだろうかというような問題もわが国の中小企業対策には残されておると私は考えるのであります。したがいまして、さような意味合いからいたしますと、この三者を有機的に結合せしめんがためには、やはり指導能力のある人に強力な指導行政をしいてもらうということは肝要なことだろうと私は考えます。したがいまして、この事業団が有しておりますところの指導能力と、また各地方において持っておりますところの指導能力というものは、どこかにおいて私は結合する必要があるのではないか。ただ、現段階におきましては、長官が先ほど申しましたとおりに、地方自治という一つの分限もございますから、それを侵さざる程度においてやはり国家も地方自治体も一体となって中小企業の整備、それに当たらなくてはならない。さような意味合いから申し上げますならば、非常に観念的ではございますが、そうした意味合いにおける将来の地方、中央の一本化、これはぜひともし遂げたいものだと考えております。
  124. 橋口隆

    ○橋口委員 次に、この融資事業について多少お聞きしたいと思うのですが、四十二年度においては、特定織布業について産地組合に対し長期低利の融資をすることになっておるようでございます。その規模は全体の織布業における六〇%、六十二億となっておるようでございますが、そうすると、事業団が持っている資金の非常に大きな部分を織布業に出すことになりますけれども、繊維以外のほかの産業への融資規模というのは大体どのくらいになるのでございますか。
  125. 影山衛司

    影山政府委員 織布業は、先生お話しのように、事業団から六十二億、それから県から十億出しまして、七十二億の融資規模になるわけでございます。その他の案件につきましては、工場団地その他協同組合の共同施設、商店街、ボランタリーチェーン等も含めまして、県と事業団とをあわせての融資規模というのが百六十億になっております。それから、共同工場につきましては三十四億ということになっておるわけでございます。
  126. 橋口隆

    ○橋口委員 この織布業に対する構造改善の事業というのは非常にドラスチックで、これからほかの産業にもこれを及ぼしたほうがいいのじゃないか、そうすれば中小企業というのは非常に抜本的な構造改革がなされるのではないかというふうに考えられるのでございます。そういう意味で、こういうような業種対策というのを将来ほかの産業にもやろうというようなお考えがおありになりますかどうか、それを伺いたいと思います。
  127. 宇野宗佑

    ○宇野政府委員 特に今回は、中小企業の構造改善といたしましての織布業に対しましてこの振興事業団が大きく働くということに相なるわけでございますが、われわれといたしましては、一つのサンプルケースといたしまして、織布業界における中小企業振興事業団のてこ入れにおいてその構造改革の目的が達せられることをこいねがうものであります。したがって、いま橋口委員が申されましたとおりに、こうしたことは他の業種にも及ぼすことが必要だと考えております。ただし、先ほど例示いたしましたがごとくに、織布業界の場合には産地主義、また組合主義でございまして、産地組合を通じて意思が統一されておったこと、並びに、非常に構造改革をやらなくちゃならないという意欲が燃え上がっておったこと、この意思の統一と意欲があるかないか、これが非常に私は大切なことだと思いますので、そういう業界があるのならば、これを指導いたしまして、さらに拡大をいたしたいと思うのであります。たとえば私の私見に基づきますならば、今日ただいま不況カルテルを結んでいる業界が四十ばかりございますが、そういうようなのもいち早く構造改革に乗り出してほしい。われわれといたしましては、そういう場合には当然中小企業振興事業団の対象業種といたしまして、その範囲を拡大いたしたいと存じております。
  128. 橋口隆

    ○橋口委員 時間もだいぶ経過して、非常にお気の毒でございますが、もう一つ伺わしていただきます。もう間もなく済みます。  中小企業近代化促進法で、指定業種として八十四種あげられております。それからちょうど満四年に及ばんとしているので、その効果は多少出てきたのではないかと思いますが、これについて企業合同の実績とか、共同化、集団化の実績はあまり思わしくないと思うのでございますが、いかがでございますか。
  129. 影山衛司

    影山政府委員 中小企業近代化促進法の基本計画につきましては、その中で特に協業化、それから団地というような中小企業構造高度化を進めるべきであるという基本計画の項目をうたっておる事業が多いわけでございます。その中で特に一番むずかしいところの合併あるいは共同出資によるもの、これは四十二件程度従来まで実績があるわけでございまして、業種といたしましては、清酒、なまパン、銑鉄鋳物、しょうゆ、しょうちゅう、織物というような業種でございまして、そういうふうに共同、協業化というものについての相当の熱意はだんだんと高まってきておるというふうに考えられるわけでございます。
  130. 橋口隆

    ○橋口委員 次に、この振興事業団は、中小企業の中で圧倒的な多数を占める小規模企業に対しても何らかの事業を行なうわけでございますか。
  131. 影山衛司

    影山政府委員 振興事業団の設立の基本的な考え方が、指導助成とをあわせて行なって、小規模事業者も協業化が進みやすいようにということで事業団を設立するわけでございますが、特に小規模企業向けの制度といたしましては、共同工場の貸与制度などは適例でございます。その他、商業関係のボランタリーチェーン制度でございますとか、あるいは寄り合い百貨店、それから協業スーパーマーケットというようなもの、これは小規模事業対策の眼目であるというふうに考えるわけでございます。
  132. 橋口隆

    ○橋口委員 わが国で百数十万に及ぶいまの小規模企業対策というのは、非常に重大な社会問題でもあると思うのでございますが、それについていまの政府が行なっておる施策というのはスズメの涙ほどの対策ではあるまいか、こう考えるのでございます。また、その中でも最近、小規模共済制度をつくってこの零細な企業を救おう、そういうような動きも出ているわけでございますが、現在わずかに、四十二年の二月の末では一万四千二百件程度であるかと思われますが、これは一体どうしてこんなに少ないのか、その辺の事情をひとつ御説明いただきたいと思います。
  133. 影山衛司

    影山政府委員 小規模企業共済制度は、まあ実績があがってないといえば実績があがってないわけでございますが、しかしながら、これは小規模零細層を対象にしての仕事でございますので、小規模企業共済事業団理事長以下が各県に出向いていきまして、積極的なPRをやっておられまして、その結果、三月末ではたしか一万七千件程度まで数がふえておるというふうに考えておるわけでございます。これをさらに魅力のあるものにいたしますために、今度国会に御提案しまして審議をお願いするわけでございますが、掛金の所得控除制度、免税制度を設ける、あるいは共済金についても増額を行なうというような新種の共済制度を設けていくということを考えておりまして、その法案の審議を願うといたしまして、今度そういうこともあわせまして相当程度これも伸ばしていかなければいけないというふうに考えておるのでございます。
  134. 橋口隆

    ○橋口委員 多少話が横道にそれるようでございますが、小規模事業の対策というのは、これは一種の生業であって、ほかの産業と比べてみました場合に一体どういうような数字になっているか。私がいま問題としたいと思いますのは、農業における農家の一戸当たりの所得、それと都会の勤労者の一人当たりの所得、それといまの五人以下のいわゆる小規模の商店の所得、これは国民経済上非常に重要な問題だと思うのですが、それの数字というのがおわかりでございますか。
  135. 影山衛司

    影山政府委員 あいにく手元に資料はございません。後ほどお答えさせていただきます。
  136. 橋口隆

    ○橋口委員 この点は中小企業庁として小規模対策を講ぜられる上に非常に大事な問題ではないかと考えます。たとえば、従来農家というのは非常に所得水準が低いと思われておりましたのに、最近の統計によりますと著しく向上しつつあるようでございます。また勤労者のほうも非常に高まっておる。そこで取り残されておるのが案外小規模商店ではないかという気がするのでございます。これは国民の分配所得上バランスをとらなくてはならない、また中小企業対策一つの目標になる問題ではないかと思うのでございますので、どうかひとつ資料を整備していただいて、いずれそれを拝見さしていただきたいと思います。
  137. 影山衛司

    影山政府委員 中小企業白書におきまして、就業者一人当たりの国民純生産高を調べたものがございます。これによりますと、農林水産業が四十年度で一人当たり二十六万一千円でございます。卸小売り業、これは小規模事業者が多いわけでございますが、五十六万七千円ということで、製造業が六十一万円ということになっております。農林水産業よりも倍以上なっておるわけでございます。
  138. 橋口隆

    ○橋口委員 いまの数字で表面上は非常に安心できるようでございますが、小規模の商店が実際上五人以下の場合にそういうような数字になっておりますか。
  139. 影山衛司

    影山政府委員 五人以下の場合は特に調べておるわけでございませんが、大体において卸、小売りでは八〇%が五人以下という構成になっております。そういうところから比べまして、いまの平均程度にはなっておるのじゃないかと思います。
  140. 橋口隆

    ○橋口委員 それでは、これは将来の中小企業政策を論ずる上に非常に重大な問題で、私ども地方におりまして、地方の農家と中小の商店とそれから一般の勤労者とのバランスということを非常に問題にしておるのでございます。いまの数字によりますと、非常に高いように思われますが、これはまたひとつ詳細な資料を見せていただいて、いずれ論議さしていただきたいと思います。もう二時になって非常に恐縮ですが、私はもう皆さんにこの問題では質問をする機会はございませんので、あと五分か十分ひとつごしんぼういただきたいと思います。  次に、中小企業の倒産は三十九年以降飛躍的に増加しておるようでございます。四十一年には経済界が景気が回復したにもかかわらず、年間六千件以上に達しておる。そうしてことしに入ってからも毎月六百件内外の倒産が続いておるようでございます。その原因の最大のものは過当競争ではないか。またほかにもいろいろと構造上の問題もあると思いますが、何といっても過当競争ではないかと思われる。こういうような慢性的な症状に対しまして、中小企業全般に対して政府はどういうような全体的な施策を講じられるつもりでございますか。現在この中小企業振興事業団のこどきは優良企業だけを対象にしておって、そうしてそういうものだけが生き残っていく、ところがほかの弱小の企業体というのはいつも危険にさらされておる。だから自由主義経済のたてまえ上、そういうのは風の吹くままに流していっていいのか、それとももっと全体としてそういうような施策を進めるというような大きな意味の中小企業対策があるかどうか、それをひとつ伺いたいと思います。
  141. 影山衛司

    影山政府委員 倒産の一つの有力な原因は過当競争にあるということも先生指摘のとおりでございますが、この過当競争の状態をどういうふうに中小企業対策として持っていくのかということでございますが、この過当競争と同時に、一方では、中小企業は零細企業の端に至るまで近代化、体質の改善を行なっていかなければならないという強い要請が出てきているわけでございます。過当競争を防止しながら体質の改善、近代化をやるということになっていきますというと、個別企業の近代化もさることながら、共同化、協業化ということによりまして近代化をはかっていかなければならないということが当然出てくるわけでございます。そういうような共同化、協業化の対策といたしまして、今度中小企業振興事業団をつくったわけでございます。中小企業振興事業団等の私どものやりますところの施策が、優等生教育であって、小規模対策にはなっていないではないかという御批判がよくあるわけでございます。私どもは決して優等生対策をやるというつもりでこういう施策をつくっておるわけではございませんで、先ほど御答弁申し上げましたように、中小企業振興事業団はむしろ小規模事業者が共同化、協業化をやって近代化をやりやすいように持っていってあげる、その対象事業も先ほど申し上げましたような共同工場等々の施策も考えておるわけでございます。そういう点で過当競争も体質の改善という見地から前向きにひとつ問題の解決をしていきたいということを考えておる次第でございます。
  142. 橋口隆

    ○橋口委員 日本の農業の将来についてはいろいろと推定がなされております。十五カ年後の農業はこういうふうになる、そういうような一応の見通しも立てられております。そしてまた五年後はどういうふうに持っていくというあらかたの方針も大体きまって、将来の農家は現在の数をかなり減らして、それに対する雇用人口というのも将来非常に減っていくという一応の見通しが立てられておりますけれども中小企業全体については、それはどういうふうな見通しを立てられておるのか。
  143. 影山衛司

    影山政府委員 先生御承知のように、農業というのは、業種的に申しますというと、わりあい単純といっていいわけでございます。中小企業関係につきましては、業種、業態が非常に千差万別でございます。そこで、そういう千差万別の業態につきまして、中小企業一般についての将来のこうあるべき姿というものを数字的に描けというのは非常にむずかしいわけでございまして、将来のそういう点についてのビジョンとは何かと聞かれれば、中小企業問題なき中小企業に持っていくというふうに答えざるを得ないわけでございます。それなら業種、業態に応じたところの将来の計画なり何なりはどういうふうにしてやるのかということになると、中小企業近代化促進法という法律がございまして、そこで業種を指定いたしまして、業種ごとに五カ年計画の近代化の基本計画をつくっていくということでございまして、その基本計画につきましては、おのおの業種ごとの実態に合った計画を立てておるような次第でございます。そういうことで御了承願いたいと思います。
  144. 橋口隆

    ○橋口委員 近代化促進法によって業種、業態ごとに規定されておりますが、その中小企業の数というのは全体の中小企業の何%くらいになりますか。
  145. 影山衛司

    影山政府委員 企業数から言いまして、たしか三分の一程度ではなかったかと思われます。
  146. 橋口隆

    ○橋口委員 それは製造業だけでございますね。そうすると一般小売り商業並びに卸商業あるいは零細企業、そういうものを含めた場合にはもっとカバレージは低くなると思うのですが……。
  147. 影山衛司

    影山政府委員 先生指摘のとおりでございますが、できるだけ近代化促進法の規定業種というものは指定を広げていきたい、さらに流通部門、サービス部門にも広げていくということで、今年度は流通部門の一部についても指定をいたしたいと考えておるわけでございますが、ただ、その指定の前提となります業界の体制というものがやはり整備をいたしておりませんと困るわけでございまして、私どものほうで頭から指定をいたすという、一とでは困るわけでございます。側面からそういう業界を順次指導いたして、その業界の体制が整備できるに従いまして業種の指定の拡大を行なっていきたいというふうに考えておるわけでございます。
  148. 橋口隆

    ○橋口委員 中小企業対策というのは対象が非常に雑多でございますので、それに対する対策というのも非常に場当り的であるような印象を受けるのでございます。そこで、それにしましても、以前に比べて最近の中小企業関係の予算あるいは金融の額というのは非常にふえてきているようでございますが、これを、いままでの過去を振り返って将来はこれくらいにしようというような、そういう年度計画は長期にわたってできないものでございますか。現在そういうような試案がなされておりますか。
  149. 影山衛司

    影山政府委員 正直に申し上げまして、そういう計画はないわけでございます。中小企業対策といいますものは、私どものほうで用意をする政策手段に乗ってきてもらわなければいけないわけでございまして、そういう計画だけ先行いたしましても、基礎になりますところの体制の整備、指導ということも整わなければいけませんので、どうもなかなか計画性が出てこないということは遺憾でございますが、先生指摘のように、将来の考え方、計画性というものも私どもはぼつぼつ考えてみなければいかぬ時期ではないかというふうに考えております。
  150. 橋口隆

    ○橋口委員 いま日本中小企業者が一番困っているのは、一体将来どうなるんだろうかということについて非常に懸念を持っている。しかも倒産はなお続いておる。それが地方では非常に拡大をされて印象づけられておりますので、お先まっ暗だという印象を与えておるようであります。そこで私は、中小企業の長期ビジョンといいますか、そういうような構想を描いて、経営者をもっとふるい起こさせるような、そういうような見通しがこれから大事ではないかと思います。最近中小企業庁は非常に成果を発揮されて、その分析あるいは施策等もきめこまかになってきまして、非常にみんなが喜んでいるようでございますけれども、できるならば将来に対して明るい希望の持てるような、そういうような施策を講じていただきたいと思うのですが、これは大きな政治問題でもありますので、ひとつぜひとも政務次官におかれても大臣あるいは下の長官以下の皆さんとも相談されまして、そして中小企業に対しての確固たる想定といいますか、想定の域を出ないと思いますけれども、そういうものを立てていただく。特に私は、政府の補助金というものを将来こういうふうにふやしていく、あるいは政府金融機関というものは将来こういうふうにふやしていくというような、日本の経済成長に見合ったような中小企業対策というものの想定計画というものがあってしかるべきじゃないかと思います。その点についてひとつ政務次官からぜひ御答弁をいただきたい。
  151. 宇野宗佑

    ○宇野政府委員 ただいまの橋口委員の御意見ごもっともだと存じます。したがいまして、今日やはり中小企業の業種、業態に応じての的確な資料を、先ほど申されました納税額と予算額、予算における中小企業者への配分額はどうなっておるか、これも非常に貴重なデータだと思いますが、そういうようなことも私たちといたしましてはぜひとも取りまとめまして、そうした長期のビジョンにわたる雄大なスケールを政策としてまとめ上げたいと思います。その政策によって、やはり予算を獲得して、これだけ国家予算は成立しているのだから、これだけ皆さんに配分申し上げますということも、私どもとしては、いうならば一つ中小企業に対する善政ではないか、こういうふうに考えておりますので、いま申されました意見を総合いたしまして、農業面において五年先がこうなる、十年先がこうなるというようなビジョンがありとすれば、それはやはり中小企業にも、概念的ではございますけれども、そうしたものを打ち立てる必要があるのではないかと考えておる次第であります。
  152. 橋口隆

    ○橋口委員 どうも長時間にわたりありがとうございました。  私ども、この振興事業団法が成果をおさめますように祈りまして、質問を終わりたいと思います。
  153. 島村一郎

    島村委員長 本日はこの程度にとどめ、次会は明七日水曜日午前十時十五分理事会、午前十時三十分委員会を開くこととし、本日はこれにて散会いたします。    午後二時十二分散会