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1967-03-28 第55回国会 衆議院 商工委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年三月二十八日(火曜日)     午前十時三十八分開議  出席委員    委員長 島村 一郎君    理事 天野 公義君 理事 鴨田 宗一君    理事 河本 敏夫君 理事 田中 武夫君    理事 中村 重光君 理事 麻生 良方君       小笠 公韶君    岡本  茂君       神田  博君    黒金 泰美君       小山 省二君    齋藤 憲三君       坂本三十次君    櫻内 義雄君       白浜 仁吉君    田中 六助君       丹羽 久章君    橋口  隆君       石野 久男君    板川 正吾君       佐野  進君    千葉 佳男君       中谷 鉄也君    平岡忠次郎君       古川 喜一君    塚本 三郎君       吉田 泰造君    近江巳記夫君  出席国務大臣         通商産業大臣  菅野和太郎君  出席政府委員         内閣法制局第四         部長      田中 康民君         警察庁刑事局長 内海  倫君         法務政務次官  井原 岸高君         通商産業政務次         官       宇野 宗佑君         通商産業省重工         業局長     高島 節男君         通商産業省公益         事業局長事務代         理       藤波 恒雄君         中小企業庁長官 影山 衛司君  委員外出席者         法務省民事局参         事官      味村  治君         消防庁予防課長 高田  勇君         参  考  人         (東京瓦斯株式         会社取締役社         長)      本田 弘敏君     ――――――――――――― 三月二十八日  委員岡本茂君、山手滿男君及び岡田利春辞任  につき、その補欠として山崎巖君、橋口隆君及  び板川正吾君が議長指名委員に選任された。 同日  委員橋口隆君及び板川正吾辞任につき、その  補欠として山手滿男君及び岡田利春君が議長の  指名委員に選任された。     ――――――――――――― 三月二十七日  国立四国工業技術試験所設置に関する陳情書  (第三〇号)  日本万国博覧会開催に関する陳情書  (第三一号)  中小企業金融公庫鳥取支店設置に関する陳情書  (第五九号)  中小企業施策に関する陳情書  (第七三号)  東北開発促進法等の改正に関する陳情書  (第九八号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  プラント類輸出促進臨時措置法の一部を改正す  る法律案内閣提出第五号)  中小企業信用保険臨時措置法の一部を改正する  法律案内閣提出第六号)  公益事業に関する件  中小企業に関する件      ――――◇―――――
  2. 島村一郎

    島村委員長 これより会議を開きます。  内閣提出プラント類輸出促進臨時措置法の一部を改正する法律案及び同じく、中小企業信用保険臨時措置法の一部を改正する法律案を議題として、審査を進めます。  おはかりいたします。  両案の質疑はこれを終局するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 島村一郎

    島村委員長 御異議なしと認めます。よって、両案の質疑は終局いたしました。     —————————————
  4. 島村一郎

    島村委員長 これより討論に入るのでありますが、討論申し出がございませんので、直ちに採決いたします。  まず、プラント類輸出促進臨時措置法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案賛成諸君起立を求めます。   〔賛成者起立
  5. 島村一郎

    島村委員長 起立総員。よって、本案原案のとおり可決いたしました。  次に、中小企業信用保険臨時措置法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案賛成諸君起立を求めます。   〔賛成者起立
  6. 島村一郎

    島村委員長 起立総員。よって、本案原案のとおり可決いたしました。  おはかりいたします。  両法律案に関する委員会報告書作成等につきましては、委員長に御一任を願うことに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 島村一郎

    島村委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたします。     —————————————   〔報告書は附録に掲載〕      ————◇—————
  8. 島村一郎

    島村委員長 公益事業に関する件について調査を進めます。  本日は、参考人として東京瓦斯社長本田弘敏君が出席されております。  本田参考人には御多用中のところ御出席をいただきまして、まことにありがとう存じます。  政府当局並びに参考人に対して質疑申し出がありますので、これを許します。田中武夫君。
  9. 田中武夫

    田中(武)委員 ガス事業保安問題に関連いたしまして、参考人及び政府委員に若干の質問をいたしたいと思います。まず最初に、参考人及び消防公益警察にお伺いいたしますが、去る三月二十二日の午後十一時四十分、文京区の湯島爆発音が三度にわたって起こりまして、そして民家二戸を全焼し、死者一名、重傷一名、そして長さ十メートル、幅五メートルにわたって火柱が立って、その付近の人に相当な恐怖を与えた、こういうようなことが新聞等に報じられておりますが、大体いろいろの新聞の報道も大同小異でございますけれども、実際の状況は各新聞社が伝えたような実情でございますか、簡単でよろしゅうございますから、これの調査をせられました消防庁警察庁、あるいは監督にある通産省、それぞれの立場からの調査実態を御報告願いたい。あわせて参考人から、ガス会社社長としての立場から、実態についての御説明を願いたいと思います。時間がありませんので、それぞれ簡単に願います。
  10. 本田弘敏

    本田参考人 それでは湯島事故の概略を申し上げまして、これに対する私ども考え方を申し述べさせていただきます。  去る三月二十二日、文京湯島発生しましたガス漏洩事故によりまして、とうとい人命をそこないましたほか、お住まいを失われ、けがをされた方がございましたことは、まことに申しわけなく、つつしんでおわびを申し上げる次第でございます。また、この事故のために地元の皆さまをはじめ、関係官公署皆さまには多大の御迷惑をおかけし、本日も皆さまには貴重な時間をさかれまして御配慮をわずらわしましたことは、まことに申しわけなく、深くおわびを申し上げます。  ただいまお話がありましたように、事故発生場所文京湯島三丁目三十一番地先でございます。事故発生の日時は、昭和四十二年三月二十二日二十三時四十五分、事故概要及び被害状況でございますが、この事故は、口径四十センチメートル、ガス圧一平方センチメートル当たり一キログラムの鋳鉄ガス管、これは大正十一年に埋設したものでございます。これからガスが漏出し、これに何らかの原因により引火、爆発火災を起こしたものでございます。このため、青田実さん六十歳の方がなくなられましたほか、矢部富貴さん五十一歳の方が、両手、顔面等に全治約二週間のやけどをなさいました。また家屋二件が焼失、一件が半焼しましたほか、破損家屋が五件という被害を生じたのでございます。  この事故に対する処置でございますが、当社は、事故受け付けと同時に緊急作業員三百人、車両七十数台を出動させまして、消防警察、その他関係者と協力いたしまして、付近住民の方の避難誘導に当たらせる一方、バルブを操作しましてガスの噴出をとめ、これは二十三日の零時五十六分でございますが、消火を行ないました。また、付近一帯の四千件の需用家対象に本管及び内管漏洩検査を行いますとともに、ガス管漏洩箇所の前後で切断、これは二十三日の十四時三十分、いたしまして、応急の措置を完了いたしております。  次は、被害者に対する補償でございます。当社では、従来から不幸事故により被害を受けられました方に対しては、法律上の責任の問題は別といたしまして、被害者の方と誠意を尽くしてお話し合いをいたし、示談によって円満に解決をはかってまいっております。すなわち、昭和三十八年一月二十四日、江東区深川三好町で発生しました事故による被害者の方に対しましても、事故原因は別として、すべて円満に示談解決いたしております。このように、当社では、ガス導管事故に際しましては、被害者の方を御慰問、陳謝申し上げることが何よりも大切であると考えまして、被害者の方と十分お話し合いを重ね、御納得を得た上で、示談によって解決をはかってまいったものでありますから、被害者の方の御納得が得られないまま、ついに法律上の問題として争ったというようなことは、過去におきまして一度もございません。今回の事故につきましても、以上申し述べました当社補償に関する考え方はいささかも変わっていないのであります。不幸なくなられました青田実さんにつきましては、三月二十五日、台東区池ノ端の福成寺でとり行なわれました御葬儀に際し、御遺族と御相談いたしまして、当社費用を負担させていただく等、万端手配させていただきました。また今後の御慰謝につきましても、御遺族とお話し合いを続け、御納得が得られましたならば、示談によって解決いたしたいと存じております。また青田さんは家屋焼失されたのでありますが、この点につきましても同様御遺族お話をさせていただきたいと思います。  矢部富貴さんの御一家は、家屋焼失されましたほか、主婦の矢部さんが負傷されましたが、さっそく矢部さんを東大病院にお見舞い申し上げました。お見舞い品とお見舞い金、これは金額五万円でございますが、お贈りいたしました。矢部さんの治療費全額当社で負担させていただきますが、全治されましたら、そのときに御慰謝の点についてお話し合いをさせていただきたいと存じております。  また焼け出されました御家族に対しましては、とりあえず宿泊所をごあっせんし、その費用を負担させていただいておりますが、適当な時期に焼失家屋等補償についてお話し合いをさせていただきます。  その他の破損家屋につきましては、被害状況調査いたしておりますが、とりあえずガラスの破損十二件につきましては、即日修理をいたしました。またその他の修理を要する破損家屋補償につきましては、別途御協議させていただきたいと存じております。また事故の際に付近住民の方々には何かと御迷惑をおかけいたしましたので、近隣三十九件をおたずねいたしまして、おわび申し上げますとともに、お見舞い品をお贈りいたしました。  そこで、事故原因でございますが、今回の事故につきましては、現在その詳細について究明中でありまして、その結果をまたなければはっきりいたしませんが、事故現場導管口径四十センチメーター鋳鉄管、圧力一平方センチメーター当たり一キログラム)を掘り上げてみましたところ、管の底の肉厚が薄くなっており、その部分に最大四センチメーター最小〇・六センチメーター程度の穴が五個あいておりました。したがって爆発火災の直接の原因は、この穴からガスが漏れ、それに何らかの原因で火がついたものと思われます。穴のあいた原因については、先ほど申し上げましたように、現在調査中でございますので、その結果をまたなければなりませんが、元来鋳鉄管は、普通の状態で埋設されておれば、七、八十年はもつものでありまして、今回事故を起こしました導管も、大正十一年に埋設いたしたものでありますので、導管自体の命脈は十分あったと考えられます。したがって、事故原因は、何らかの作用によって導管底部が薄くなったものと思われますが、このような事故は、当社にとりましては初めての特殊ケースでありまして、現在の段階では、まず事故原因をできるだけすみやかに明らかにすることが先決と思いますので、鋭意これを促進いたしたいと存じます。方法といたしましては、すでに社内的には原因究明委員会設置しておりますので、ここでよく調査を行なわせますとともに、学識経験者にもお願いいたしまして、その徹底的究明をはかる所存でございます。いずれにしましても、今回このような事故を引き起こしましたことは、まことに申しわけなく、今後再びこのような事故を起こさせないように万全の措置を講ずる所存でございます。
  11. 田中武夫

    田中(武)委員 政府委員も、それから参考人も、尋ねたことだけに簡潔に答えてください。ここで私がいまお尋ねしているのは、被害実態について報告願いたい、こう言っておるわけです。いま会社側からというか参考人から伺いましたが、消防警察、さらに通産省、それぞれの立場からお調べになったと思いますので、簡単に実態を御報告願います。
  12. 島村一郎

  13. 藤波恒雄

    藤波政府委員 今回の湯島ガス事故につきましては、通産省としてもはなはだ遺憾に存じております。通産省といたしましては、事故直後、係官を現場に派遣いたしまして、事情調査をいたしますとともに、会社側を呼びまして、責任者から事情を聴取いたしました。その結果は、事故状況は、ただいま本田社長の述べられたとおりのようでございます。事故原因等につきましては、警察当局におきましてもいろいろ調査中でございます。会社のほうでも詳細調査研究を進めると言っておりますので、通産省といたしましては、それらの結果をもあわせまして慎重に原因を検討し、今後の対策に資したいと存じております。
  14. 島村一郎

  15. 内海倫

    内海政府委員 警察庁としましては、警視庁から報告を聴取いたしました範囲概要を御説明申し上げたいと思います。  事故そのもの発生しました概要につきましては、ただいまのガス会社側からの説明のとおりでございますが、現在なお警視庁におきましては、事故原因あるいは鑑定を継続いたしておりますので、現在までに確実に判明いたしております範囲で御報告を申し上げたいと思います。  現在私どもが承知いたしておりますのは、先ほど御説明のありましたように、地下一・四メートルのところに東京瓦斯が布設しました鋳鉄管の中圧導管、これの底部に大小五個の腐食した穴が発見されたということが一つ。さらに、先ほどもお話のありましたように、導管の一部が非常に腐食といいますか、摩滅をしておりまして、私どものほうの調査では、厚さが二ミリくらいになって腐食をいたしております。それからガスが漏れて、さらに青田さんなりあるいはその他のうちにどういう形でガスが入っていったかという状況を調べておりますが、これは青田さんのうちから一・八メートルほど寄った地点の地下一・二メートルのところに下水管が布敷されておるのでありますが、この下水管接続部に約二センチメートルほどの亀裂が生じております。おそらく腐食した穴から漏れたガスがその水下管亀裂から侵入いたしまして、それが排水溝を伝わって青田さんあるいは矢部さんの勝手場の流しあるいは水洗便所とつながっておるところから入って充満しておったのではないか、こういうふうなことが認められるのであります。このガスにどういうふうな形で引火したかということは、なお現在厳密に捜査中でありますが、発火いたしました青田さんのうちでは当時全く火気を使っておりませんし、電気器具も、勝手場に置いてある冷蔵庫があるわけでありますが、これも自動点滅する装置になっておるだけでありますので、はたして何が発火の原因になったかということにつきましては、目下捜査中でございます。ただ、放火とかあるいは自殺のための云々というふうなことは、現在警視庁捜査では全く認められておりません。  私どもがいま明らかにいたしておりますこのガス爆発に関する捜査の過程で確実になっておる点だけをとりあえず申し上げました。
  16. 島村一郎

  17. 高田勇

    高田説明員 本郷の消防署の管轄内に起きました事件ですが、現地における消防活動原因その他消火活動を中心に御報告申し上げます。  原因その他につきましては、いま刑事局長からお話がございましたように、私どものほうでも同じような意見で、東消の調査課でも同じような意見でございます。それで火災警防活動につきましては第一出動、これは大体七台から八台の出動でございますが、今回は特殊な火災でございますので、高圧車を加えまして合計十六台の消防ポンプ車等出動いたしておるわけでございます。それで現場に到着いたしましたときには、現場都電通りは一面火の海でございました。特殊なガス火災でありますので、火を消すことよりも延焼防止のほうに重点を置くということで、消火による二次災害危険防止をして、そのまま原因調査をして、建物火災延焼防止に全力をあげたということでございます。それと同時に、漏洩ガスが広範囲にわたっているということが想定されましたので、高圧車あるいはポンプ車装備拡声装置等を活用いたしまして、火気の禁止とか、あるいはコックを締めろ、あるいは開口部を開けというようなことで、百五十メートルの範囲内に警戒区域を設定いたしまして住民の協力を要請いたしました結果、心配されました二次災害発生はなくて、被害最小限度に食いとめることができたわけでございます。なお、路面の火は、東京瓦斯会社の方のガスガバナーの操作による供給の中止によって自然消火したわけでございます。  大体事情といたしましてはそういうことでございます。
  18. 田中武夫

    田中(武)委員 いまのそれぞれの御報告なりあるいは調査結果の報告によって実態は明らかになったと思いますが、原因導管亀裂によるものだ、こういうことであったと思います。そして本田参考人は、大体普通ならば八十年ぐらい鋳鉄管ならもつということでございますが、これは大正十一年に布設をいたしまして、まだ八十年にはなっておりません。  そこでお伺いいたしますが、この導管は、あるいは鋼管があり鋳鉄管があろうと思いますが、経理上の耐用年数は何年にしておられますか、何年でこういう導管に対して償却をしておられますか。
  19. 本田弘敏

    本田参考人 経理上と申しますより、実際の耐用年数がどうであるかということを先ほど申し上げました。それは、外国の例で申しますと、英国あたりでは百年ぐらいも使っている鋳鉄管がございます。
  20. 田中武夫

    田中(武)委員 いや、そういうことは聞いてないのです。会社経理導管償却をどうしておるかと聞いておるのです。
  21. 本田弘敏

    本田参考人 耐用年数を主としてやっておりますので、償却のなには……。
  22. 田中武夫

    田中(武)委員 社長さんですからあまりおわかりにならぬようですが、私の調べたところでは、ガス会社は、東京瓦斯その他もそうであろうと思いますが、経理上の償却にあたりましては、鋳鉄管は二十二年、鋼管十三年ということで償却しておられるそうでございます。八十年あるいはそれ以上もつ、こういうのに対して、その四分の一ぐらいの耐用年数償却しておられる。そうすると、あと六十年近くはもう償却済みのものでガスを送っておるということになるのですが、これは特別措置法か何かでそうなっておるのかどうか知りませんが、実際の耐久力経理上の耐用年数とでは大きな開きがあると思いますが、この点いかがですか。
  23. 本田弘敏

    本田参考人 仰せのとおり、鋼管償却年数は十三年、それから鋳鉄管が二十二年になっております。これは実際使いまして、今度の場合は特別でございますけれども、いままでそういう危険はございませんでしたし、実際使えるものを取りかえるということは、国家的に見ましてむだなことになるのであります。われわれとしましては古いものを順次に取りかえております。しかし鋳鉄管の場合は、いまだかつてこういう事故はありませんで、初めての事故でございましたが、今後は十分その点も考慮しまして、もっと現場について調べまして、これは古い新しいばかりでございませんで、地質その他の関係によりまして早く管がいたむというような場合がしばしば起きますから、そういう現場についてしさいに調査いたしまして、こういう事故を再び起こさない、こういう危険をはらまないような適当な処置をとりたいというふうに考えております。
  24. 田中武夫

    田中(武)委員 耐用年数ですね、資産償却では二十二年あるいは鋼管十三年、実際は八十年以上もつというものに対して四分の一くらいの期間で償却してしまう。そうすると、あとはこれはもうかってしようがないというか、償却済み資産ガスを送っておられる、こういうことなんです。いまあなたがおっしゃいました、なるほどまだもつものを取りかえることは国家的にも損失である、そのことはわからぬことでもないのですが、その考え方が今日の問題である人よりか物を大切にする考え方につながっておると思うのです。今回の場合も、昨年十二月の定期検査のときにはどうもなかった、そういうように言われておるわけですが、ここで会社並びに通産省にお伺いいたしますが、定期検査のときにどうもなかった、それだけでこと足れりとお考えになりますか、どうですか。事は、事故発生いたしまして、そのときには人が死ぬとか、あるいは家屋が焼けるとか、大きな損害が発生するのです。それからではおそ過ぎるのです。定期検査のときにどうもなかったからということではなくて、私は、こういう古い管につきましては、計画性を持って取りかえることを進めていただかねばならない。現にやっておられると思います。東京瓦斯のそういうような設備改善費は幾らかというようなこともこっちは調べておりますので、あとでおいおいお伺いいたしますが、ただ定期検査でどうもなかったからということでこと足れりとは言えないと思う。事故が起こってからではおそ過ぎるのであります。それを事前に防ぐ方法として会社はどう考えておるのか、通産省はどのような指導考え方を持っておるのか、明らかにしていただきたいと思います。
  25. 本田弘敏

    本田参考人 全く仰せのとおりでございまして、災いを未然に防ぐということでなければいけない。決して定期検査をもってこと足れりとしているわけではございませんでしたが、こういう事故が起きてみますと、まだまだ会社のやり方に不十分、不徹底なところがあったということが反省されます。それで、ただいま御指摘がございましたように、私ども計画的に古い管を取りかえております。これは数字について後刻御説明さしていただきますが、そういうようにやっておりますが、さらにこれを強化しまして、仰せのように絶対こういう事故が再び繰り返されないように心がけるということをはっきりお約束申し上げたいと思います。
  26. 藤波恒雄

    藤波政府委員 ガス保安につきましては、ガス事業法におきまして保安上の基準を定めておるわけでございます。保安確保一つ方法として漏洩検査等がございますわけで、法令上は三年に一ぺん、五年に一ぺんというぐあいに、対象物件によりましてそれぞれ定められておるわけでございます。それだけの検査で十分かいなかという点につきましては、先生の御指摘もあるわけでございますが、東京瓦斯におきましては、その法令上の最低の回数よりも検査回数をふやしまして現在実行しておるというのが実情でございます。  なお、計画的な取りかえについてはどう考えておるかという点でございますが、鋼管あるいは鋳鉄管耐用年数につきましては、ただいまお話が出ましたが、条件のよろしいところでは七、八十年もつというのが定説でございますが、その土質とか水位あるいは水質等によりましても、ある程度影響を受けるわけでございます。したがいまして、通産省といたしましては、それらの条件を考慮いたしまして、それらの影響が多い場所につきましては、漏洩検査を精度なり回数をふやすように、またそういう場所につきましては、優先的に取りかえ計画上考慮するようにという指導を行なっております。それから非常に古いものは、全体の率から申しますとわずかではございますが、そういうものにつきましても、検査並びに取りかえ計画におきまして優先的に考慮するように指導いたし、東京瓦斯のほうにおいてもその方針のもとに実行しているものと了解しております。
  27. 田中武夫

    田中(武)委員 ガス漏れの検査は、これは十分やっていただかないといかぬわけですが、漏れているときにはもう事故原因発生しているわけですね。だから、それ以前のことを考えなくちゃいけないと思うのです。そこで、現在では明治四十年代に布設したものあるいは大正初期に布設したものがまただいぶあると聞いておりますが、一体どのくらい明治四十年代のものがあり、大正初期のものがあるのかをお伺いいたします。  さらに、記憶をたどってみますと、的確のことは私も忘れましたが、たしか十年以上前であったのではないかと思いますが、芝の西久保巴町で、夜中に寝ているうちにガス漏れがあって、一家四人がガス中毒で死亡したという事件がありました。そのときにも参考人として社長さん来ていただきまして、いろいろと論議をいたしたわけであります。そのときに私は、東京都民は猛毒性時限爆弾を床下に置いているようなものである、そういうことばを使ったことを記憶いたしております。今日の状態であるならば、私はやはり東京都民は猛毒性時限爆弾を、いつ猛毒をふくかわからないものを床下に置いているのと同じような不安があるのではなかろうかと思うのです。明治、大正初期のものについて幾らくらいあるのか、それに対してどういう計画をお持ちなのか、さらに先ほど来私が申しました経理上の耐用年数と実際の場合とがあまりに開き過ぎておる。経理上でそういう操作をやるならば、その二十二年たったなら全部かえろとは申しませんが、それに近いような——すでに償却してあるのですから、しかもその費用等については、公益事業の規定によって、ガス事業の規定によって、料金の算出の中に原価方式をとっておるのですから、すでにそれは済んでしまっておるのです。そういう上に立って、古いものについては早急にかえていくような方法をとること。さらに、同じ鋳鉄管あるいは鋼管でありましても、その地質とか交通量、地盤沈下がひどいところでは違うと思うのです。そういうようなものについても、特に配慮を持った取りかえ計画を進められるように希望いたしますが、いかがですか。
  28. 本田弘敏

    本田参考人 ただいま御質問がございました年代別の内訳を申し上げますと、明治時代に埋設いたしました管が一%まだ残っております。それから大正年代が二二%残っております。昭和年代が残りの九六・九%ということになっておりますが、お話のとおり、できるだけ早く古い管のほうは取りかえる方針にいたしたいと思います。  なお御指摘がありましたように、猛毒といいますか、非常な危険をはらんだ管を地中にいだいている、これはほんとうに私ども自身そういう考えを持っておりまして、私、年末年始、営業所、工場を回ります際に、必ずこの漏洩のことについてはみんなの注意を喚起し、万全の対策をするように話をしております。ということは、先年の深川の事故がありましたときにも、その前の年の暮れに私巡視しましたときに、しばらくそういう事故がなかったので、これはほんとうにお互いにほっとしてうれしい正月ができるなというようなことで、みんなとともに喜び合っておりましたところが、が然翌年の正月あの事故がありました。それから私は口をきわめて、とにかく油断は大敵、われわれが安心しているとき災いのなには足元に近寄っているから、ほんとうにこのことだけは万遺憾なくやってくれということを申したのであります。ということは、御承知のように地下鉄その他の地下の工事、高層ビルの建築、交通の激化、いろいろそういう事故を誘発しやすい原因はふえる一方でございますから、われわれもほんとうに日夜安き心はないぐらいの気持ちでおります。そのことだけははっきり申し上げ、なお一そう先生の御注意によりまして今後の対策をますます強くきびしくやっていきたいというふうに考えております。
  29. 藤波恒雄

    藤波政府委員 明治年間、大正年間に布設されました施設の内容につきましては、私ども調査でも、本田社長の述べられた数量と一致いたしております。これらの古いものに対します取りかえ計画の推進につきましては、先ほど申し上げましたとおり、今後とも一そう独力に推進してまいりたいと考えております。
  30. 田中武夫

    田中(武)委員 明治年代が一%であり、大正初期が二・一%、数において少ない、これだけで安心はできないと思いますので、十分な取りかえ計画を立ててやっていただくことを希望いたします。  そこで、ガス事業法を見ました場合に、藤波さんよろしいか、第一条の目的は前段と後段、二つから成り立っております。前段のほうはいわば営業面であります。後段は「ガスの製造及び供給に伴う危険を防止することによって、公共の安全を確保することを目的とする。」すなわち営業と保安の両面からこのガス事業法が規定せられておる。それが目的である。ところが、この法律を見ました場合に、保安のことにつきましては、営業面の規定に比べてあまりにも少な過ぎる、こういうことを私は感じるわけなんです。  そこで、逐次お伺いいたしますが、まずガス事業法の十七条に基づくガスの供給規程であります。これは十七条によって通産大臣が認可したものでございます。これを見ました場合に、これは東京瓦斯のものでございますが、七項、ここに「保安」という項目がございまして、三十六と三十七——これは号と呼ぶのか項と呼ぶのか知りませんが、とにかく三十六と三十七に規定をしております。これを見ました場合に——何ならごらんください。持っておるでしょう。これはまず供給施設については、一応は保安責任を持っておりますとはうたっておるが、それ以下は不可抗力による場合はどうだとか、あるいはこういう場合はどうだということで、ガス会社、供給業者の保安についての免責——こういうときには責任を持ちませんぞ、全部そういうことばかりを書いているじゃございませんか。そうして、ガスの供給契約はこのガス供給規程にのっとってなされるわけですね。いうならば、一方的契約でございます。そうでしょう。だからこそ通産大臣が認可するということになっておる。このようなガス供給規程だけで保安面について十分であるとお考えになっておりますか。このことについては、またあらためて一項一項議論をしてもよろしいと思いますが、まず保安面だけを取り上げて、二つの項目だけ、しかもそのほとんどは免責規定なんです。免責条項なんです。それで十分だとお考えになっておりますか、いかがでしょう。こまかいところは政府委員でよろしいが、通産大臣の認可事項ですから、大臣にかわって次官の答弁を求めます。
  31. 宇野宗佑

    ○宇野政府委員 ただいまの田中委員の御意見、御指摘の点を伺いますと、全くそのとおりだと思います。特に先ほどからの参考人等の御意見もあわせ考えまして、今後御指摘の面におきましては十分に通産大臣の指令が行き渡るように検討いたしたいと思います。
  32. 藤波恒雄

    藤波政府委員 供給規程におきます保安条項の記載のしかたは、ただいま田中先生のおっしゃるとおり、会社側責任につきましては一行で「当社は、供給施設について保安の責に任じます。」こういう表現になっておるわけでございますが、これは非常に広い表現でございまして、あとに書いてございます不可抗力あるいは使用者の故意もしくは過失以外のものにつきましては、全面的にその責任を負っておるということをいっておるわけでございます。しかもその責任を負う施設の範囲につきましては、先生御承知のとおり、導管から屋内のコックに至るまで全面的にカバーしておるという点におきまして、非常に広いと考えております。  なお三十七のところに、「保安に対する使用者の責任」という事項が四項目にわたって書いてございまして、使用者側の責任条項のほうが多くなっておるわけではございますが、この内容はすべて保安の確保のために、ガス会社がその保安の全面責任を負うために、その確保をはかるために使用者側に協力してもらわなければならぬ事項を書いてあるわけでございまして、事保安の確保のためでございますので、必ずしも需給両者アンバランスであるというぐあいには見られないと考えております。
  33. 田中武夫

    田中(武)委員 いま次官は検討する必要ありと言われた。あなたはその必要はないと言われる。この三十六項ですか、これで使用者の故意である場合は問題ないでしょう。問題の起こるのは不可抗力による場合ですよ。こういう場合に、責任はございませんとうたっておるのです。先ほど本田参考人は、いままで示談で済ましてきた、こういうように言われております。それはけっこうなことではありますが、やはり示談というものでは、その背景は力関係が支配するものであります。したがって、そういう問題につきましては法的に、本田参考人法律上は問題は別といたしましてと、こう言われておるが、はっきりする必要があると思うのです。ことにこの不可抗力という問題につきましては、いろいろ議論が出てくると思うのです。おいおい無過失責任論に入っていって議論を展開していきたいと考えておりますが、私は供給規程は全般にわたって再検討の必要あり、このように思いますが、さらにいかがでございますか。
  34. 藤波恒雄

    藤波政府委員 先生おっしゃいますように、不可抗力の判定は確かにむずかしい問題を含んでおると存じます。現実の場合におきましては、先ほど本田社長からも述べられましたように、使用者の故意または過失あるいははっきりと不可抗力である天災、災害等であるといったような場合を除きまして、原因が必ずしも明らかでない事件につきましても、被害者との間で十分な話し合いをつけまして処置してまいっておるというのが実情でございます。
  35. 田中武夫

    田中(武)委員 かつての事において話し合いでうまく示談が成立したからそれでいいんだということではありません。現に、本田参考人も言っているでしょう、法律上の責任は別といたしましてもと。そこには恩恵的なというようなニュアンスが出てくるわけです。いいですか、今日のようなこの複雑な社会機構、産業公害の多いときに、そういうような考え方でいいと思われますか。もちろん故意の場合はともかく、過失の場合でも過失相殺ということが出てくるでしょう。あるいは不可抗力の場合は大きな問題が出てくると思います。事態に応じて、起こってきた事故を通じて常に供給規程は検討を進めるべきと考えておりますが、いかがでしょう。これは通産大臣にかわって次官からお答え願います。
  36. 宇野宗佑

    ○宇野政府委員 先ほど申し上げましたとおり、田中委員の御意見はごもっともな点が多いと思います。したがいまして、今回の事件そのものの責任自体に関しましては、調査がただいま進められておるわけでありますから、その後に検討いたすといたしましても、確かに人命尊重並びに保安の確保という面から考えましたならば、今後十二分に検討してよい問題ではないか、かように私は考えます。
  37. 田中武夫

    田中(武)委員 それでは、そういうことで供給規程に問題がありますが、これは一応おいて次に参ります。  ガス事業法ですね。この中で保安の規程というものが第五章の二十八条から数条にわたって規定せられております。しかし、その細目とか具体的な問題はすべて通産大臣の定めるところ、省令にまかされております。そこで、たとえば今日のあの事故にいたしましても、おそらくやこういう行政上の取り締まり条項、これには従っておったと会社は言うでありましょう。ただ単に行政上の取り締まり規定に、あるいはこの保安規程に従っておったので全然責任がないとはいわれないと思います。従っておっても事故発生した場合に、まず監督官庁としての通産省はいかなる責任がありますか。さらに、会社はどのような責任を感じられますか。
  38. 藤波恒雄

    藤波政府委員 先生御指摘のように、行政上定められました保安上守るべき技術基準を守っておりました場合におきましても、事故発生することは間々あるということは否定できないと存じます。かような場合に、われわれといたしましては、その原因究明いたしまして、必要があればさらに今後の保安対策、技術上の法令なり、さらに改善する余地があればその実施というぐあいに進めていかなければならないものと考えております。
  39. 本田弘敏

    本田参考人 行政上の措置あるなしにかかわらず、私どもは、自分たちのこしらえているガスで、しかもガスを御使用、御愛用になっているお客さんに中毒とか、あるいはいろいろな御迷惑をかけるということは、ほんとうに良心的にもうそのことに対しては申しわけなく思っておりますので、行政上の措置云々ももちろん必要でございましょうけれども、私どもはそれ以上にお客さん方にお尽くししたいという気持ちを一ぱい持っております。だから、いままでの過去の実例に徴しましても、おそらく行政上の何かのきめがありましても、私どもがやった以上のなにはおそらくできてない、そう申し上げてはばからないのでございます。
  40. 田中武夫

    田中(武)委員 いや、法律的な責任は別としても、いままでに実際上の問題として話し合い示談が成立してきた、だからいいんだということにはならないと思うのです。それは、東京瓦斯さんがそういう示談交渉のときには、そのようなことはないと思います。しかし往々にして示談といったようなものには、その背景の力関係が左右するというのが世間の実態でございます。したがいまして、やはり法律的にはっきりと責任を明確にし、賠償の責めを課すべきではなかろうかと思う。そこで今日の法律を見ました場合に、今回のような事故、大体ガスあるいは電気もそうでありましょうが、そういうことの多くはいわゆる工作物の瑕疵によって生じた損害の発生だと思うのです。そうすると、今日の法律では民法の七百十七条だけがたよりになると思うのです。もちろんこの規定それ自体が過失を前提としていないという見解もございます。しかしながらこの規定だけしかないと思う。そのほかにいろいろの法律を見てみますと、まず鉱業法の百九条で、大正八年にいゆわる無過失責任というものを規定しておるのでございます。あるいはその後の原子力災害あるいは労働災害、こういうものにつきましては、大体そういうような議論が成り立ちつつあると思います。そこで私は、こういう公益事業につきましても、そういったいわゆる無過失責任ということを明確にしていく必要があるのではなかろうかと考えるわけでございます。したがって、現在の民法のいわるゆ過失なければ責任なしという市民法概念で今日のようなこの複雑な状態を律していくことはできないと思いますが、いかがでございますか。これは法制局、法務省、通産省からそれぞれお伺いいたしたいと思います。
  41. 田中康民

    田中(康)政府委員 確かに無過失責任というものをこういう危険のある企業に認めるということが必要であることは、すでに大正前期以来唱えられておるところでありまして、たとえば、先ほど先生仰せられましたように、自動車あるいは原子力というようなものにつきましてすでに無過失責任に近い法律制度ができております現状におきましては、この非常に危険の高い企業、たとえば電気事業あるいはガス事業につきまして無過失責任の制度を肯定するということは、やはり私は、一つ考え方として非常に当を得たものだ、こう考えております。しかしながら、私らが考えますのに、過失責任の原則というものが、今日通常の世の中におきましては通用しておる大原則でありまして、これにはわれわれ国民の活動の自由というものが保障された大きな功績があるわけでございます。でありますから、無過失責任というものを逆に受けますと、その企業活動なり活動の自由というものを拘束するということの反面を考えなければいけないというふうに思うわけでございます。そこでいますぐ無過失責任ガス事業なり電気事業に導入いたしますことは、まず一方の被害者側が損失について賠償を受けられないということと同時に、加害者側についても企業の支払い能力なり被害の程度なりといったものをよく考えまして、両者を考えた上で、無過失責任が適当であるという場合にはちゅうちょなくこれを実行するのが適当であるというふうに私は考えるのであります。しかしながら、いま日本の従来のやり方を見ておりますと、社会の要求に応じなくて、法律制度が非常におくれておる。たとえば自動車損害賠償にいたしましても、公害賠償にいたしましても、事態が発生いたしまして、そのあとずいぶんたってからでき上がっておる。こういうようなことがないように、私は、このガス事業あるいは電気事業につきましても、もっとすみやかに関係御当局が検討をされまして、そして法制化することを期待いたすものでございますが、私自身もこれに対しましては心から援助をいたしまして、なるたけ早くそういうことが必要な場合に無過失責任措置がとれるように、かように考えておるわけでございます。
  42. 味村治

    ○味村説明員 無過失損害賠償の問題は、田中委員指摘のように、従来から相当非常に議論せられていることでございます。この無過失損害賠償の制度をとりましたのは、鉱業法とか、原子力とか、独禁法等にもあるわけでございます。一がいにこれを一般化することがいいかどうかということにつきましては、ただいま法制局の政府委員仰せられた問題があろうかと思うわけでございます。御指摘の民法七百十七条は、これは一種の無過失責任を規定したものであるというふうに言われておりまして、本件の場合におきましても、この規定の適用によってまかなう余地がないかというようなことも十分考慮する必要があるのではなかろうか。やはり現行法の体系といたしましてまかなえないものがあるといたしますれば、これまた無過失責任ということも当然考慮しなければなりませんし、現行法の体系のもとでまかなえるものであれば、現行法でまかなうということも検討しなければなりません。いずれにいたしましても、非常にむずかしい問題であろうかと存じております。
  43. 藤波恒雄

    藤波政府委員 ただいま法制局のほうから述べられました見解等も十分考慮いたしまして、慎重に検討してまいらなければならぬ問題であると考えております。
  44. 田中武夫

    田中(武)委員 いま法務省の課長が申されたように、民法七百十七条も解釈論としては一種の無過失責任をうたっておるのだ、そういうことでありますが、これは訴訟しなければいかぬですね。この訴訟をするのには相当な期間と金が要るのです。そこで鉱業法等では、その訴訟の前提としての、訴訟までもっていくまでの解決方法が規定せられておるわけです。その他のものもそうだと思います。そういう点に立って、訴訟ということについては弁護士を雇わなければいけない、期間がかかる。しかも法制局の田中部長がおっしゃったように、なるほど判例の上においては、大正初期から、当時の大審院は、有名な信玄旗掛の松事件以来、この無過失責任というものを一応認めておる。しかし今日の判例を見ました場合、下級審は比較的まじめであります。ところが上級にまいりますとぼやけておるのが今日の実態であります。そういうことで、私は、法の上に一般の国民を十分保護しておる、こういうことは言えないと思うのです。  そこで、この公益事業につきまして、少しガス事業法に関連しながらお伺いを進めていきたいと思うのです。今日公害が大きな問題になっております。そして政府も、今国会に出されるのかどうか知りませんが、公害基本法を検討しておられると聞いております。またわれわれもそれを待っております。しかし、その中において、これは総理もどっかの機会で言われたと思いますが、公害基本法の中ではその企業責任を明確にしていくんだ、こういうようなことが言われております。これは一般企業であります。ところが、公益企業、いま問題になっておりますガスを例にとってみましょう。たとえばこのガス事業法によりまして、特に四十二条には公共用の土地の使用権が認められております。四十三条には土地の立ち入り権が認められております。さらに四十四条では植物の伐採という特別の権利が認められております。さらにガス事業は土地収用法の三条十七の三によって指定業種になっております。したがって、土地収用法あるいはこの法律の四十二、四十三、四十四条というような条項によりまして、一般の企業には与えられていないところの大きな保護といいますか特権が与えられております。そういう特権があるとするならば、私はその反面、一般企業よりも高度な責任、義務があってしかるべきだと考えるわけです。それについてはいかがでございましょうか。
  45. 藤波恒雄

    藤波政府委員 田中先生おっしゃるように、ガス事業につきましては、いわゆる公益特権、すなわち土地の使用権あるいは伐採権とか、さらには土地収用法の適用の業種になっているといったような点があるわけでございますが、これはガス事業公益事業として一般の需用に対しまして供給の義務を負っているという関係から与えられている特権であると理解しているわけでございます。したがいまして、特権があるから即無過失責任がしかるべきであるということには必ずしも直接には結びつかないと存じます。しかしながら先ほどもお話が出ましたように、一般の需用に対してガスを供給するためには、場合によると危険性を包蔵しておりますガス体という物質を、道路なりあるいはその他の一般の公衆が接触する機会が多い場において導管を張りめぐらさなければならないという事業の実態を備えているということから、往々にいたしまして、善良な管理をやっているつもりでも、事故が起きて需用者ないしは第三者に被害を与えるような例が比較的多くあり得るというような関係から、先ほどの無過失責任問題等が出てまいるものであるというぐあいに理解しているわけでございます。
  46. 田中武夫

    田中(武)委員 私の申し上げているのは、ガス事業等に一般企業にない特権を与えていることが悪いとは言わない。あなたのいまの答弁はそれに重点を置いているわけです。そうじゃないのです。そういう特権を与えられておるなら、その反面、より一般企業よりか高度な責任、義務を課すべきではないか。民事上の問題につきましてはいま私が申し上げましたが、これを刑事上の問題にとりましてもそうでしょう。いわゆるガスの工作物を損壊した場合には、一般のいわゆる刑法第二百六十一条の器物損壊罪、これは懲役三年ですが、これと違ってガス事業法の五十三条は、刑事上での特別な保護をして、このガス工作物に対して損壊を与えた者は懲役五年、一般の工作物以上に保護しているのです。これは公共の目的物だということで、公益の目的物だということであろうと思いますが、それだけに強く民事上、刑事上保護せられているならば、反面それに対応するところの、一般企業よりかより高度な責任、義務、道義を持たしていいのではないか。先ほど私が申し上げましたように、今度政府が考えておられる公害基本法の中においても、総理がどっかの機会に申したように、企業責任者を明確にするのだ、ここまできているわけです。これは一般企業なんです。ところがこういう独占企業、ことにいろいろな法律によって保護せられているようなものに対しては、特別な、やはり一般企業より高度な責任、義務を課すべきが当然ではなかろうか。これがいわゆる法の均衡の上にあってもいいんじゃないか。公益事業なるがゆえに切り捨てごめんということは許されないと思うのです。そのことについて——通産省はためた、法務省とそれから法制局、どう考えられますか。
  47. 田中康民

    田中(康)政府委員 これは公益事業でありますから、ガス事業法におきまして、あるいは土地収用法におきまして、それ相当の特権を認められております。これは当然のことでございます。また、その公益事業が損失を他人に与えました場合に、その被害をどういうように被害者と加害者で分け合うか、そこに均衡なり公平の理論があってしかるべきではないかという議論としてただいま先生のお話を理解いたしますと、私は、そういう特権を与えられた公益事業が、しかも非常な危険を伴う事業をやりながら、かつ株式会社という形によりましてもうけておる、利益をあげておる、だからそういう利益の範囲内におきましては、ある程度無過失責任と申しますか、その損失の補償被害者にすることが、それこそが社会正義に合し、また公平の原則に合する、こういうように考えるという意味におきましては、確かにいま先生仰せられましたように、その裏として、無過失の賠償責任を課するという法理が妥当するというふうに考えるわけでございます。
  48. 味村治

    ○味村説明員 無過失損害賠償の根拠といたしましては、一つは危険責任であるという説と、もう一つは報償責任という説と、考え方として二つあるわけでございます。ガス事業が特権を持っているから無過失責任を負担すべきではないかという御見解は、一種の報償主義という御見解に近いかと思うわけでございまして、そういうお考えは、これはもう十分検討しなければなりませんし、考えていろいろ措置をしなければならない問題であろうかと存じます。ただ、先ほど申し上げましたように、現行民法の七百十七条でもってまかなう余地があるかどうかということは、今後の措置を考えるにつきましても検討を要する問題であろうかと存ずるわけでございます。
  49. 田中武夫

    田中(武)委員 民法の七百十七条のいわゆる市民法概念では、もう実際に起こる事態に処していくことができないというか、できにくい状態になってきておる。先ほどから言っているように、それでは裁判を起こせばいいじゃないか、訴訟を起こせばいいじゃないか。それには金と日時が要る。だからこそ鉱業法等では、すでにその前提となって、裁判に持ち込むまでのいろいろな賠償についてのやり方が書いてあるでしょう。鉱業法がそうであるならば、電気もそうでしょうが、ガス事業法において私はそういうことをきめたっていいじゃないか。先ほど申し上げましたように、このガス事業法の目的は二つからなっておる。供給事業の営業面と保安の面からなっておる。この法律を一々、私はそれでは議論をするなら続けますが、これは営業面のほうに重点がある。これは供給規程もそうでございます。そして保安という責任のほうが比較的簡素である。そういうところから見て、バランスをとるために、こういう電気事業法あるいはガス事業法に単独な賠償責任というか、責任、義務の明確な規定を入れる。もちろんそのためには、訴訟に持っていくまでに鉱業法のようなあっせん機関をこしらえるとか、いろいろな方法があるでしょう。そのことは別といたしまして、ただいろいろな特権が与えられているのを、民法七百十七条だけでいい、こういう考え方はきわめて保守的であり、私はこの複雑な、ことに多角化しました現在の状態を律するのには、もうおそ過ぎる、古過ぎる、こういうふうに考えますので、この点を提案しておきます。ガス事業法なりあるいは電気事業法を含めて、一方に特権を与えるならば、それに符合するところの責任、義務を明確にしておくということは、法の当然の義務であり、立法論からいっても私は正しいと確信をいたしております。どうです、通産省、検討いたしますか。
  50. 宇野宗佑

    ○宇野政府委員 先ほどからの田中委員の御意見、私はしごくごもっともだと思います。結論を申し上げますと、検討いたしたいと思います。なぜかならば、片っ方におきまして、公害基本法をただいま政府各関係省庁が寄りまして検討している最中でございますが、先ほどの御意見にありましたとおり、企業責任というものを明確にしなくちゃいけないという議論も生まれておりまするし、同時に、土地の利用に関しましても公的規制を加えるとか、工場にも規制を加えるとか、なかなか一般企業でございましても相当なところまで考えておるわけでございます。ただし一般企業でございますから、無過失責任云々は、この公害基本法ではいまのところわれわれといたしましてもなお慎重を期さなくてはならないと思いまするが、一般企業に対しましても今日法律の上でそこまで考えておりまする以上は、特に公益企業につきましては、今後十二分にこれを検討をしなくちゃならない、こういうように私は考えております。
  51. 田中武夫

    田中(武)委員 次官がそう御答弁になるならそれでいいのですが、ここではっきりしておきたいのは、公害基本法がかりにできても、これとは別だということです。公害というものは不特定多数の者にですが、この場合は特定の人に甚大な影響を及ぼす、そういうことです。  それから法務省の課長さん、先ほどいろいろ言われましたが、私は無過失責任についてはこれだけいろいろ調べておるのです。その学説論争ならやってもいいのですが、そういういとまがありませんから、またあらためてやります。私のほうはこれだけ資料を持ってきているのです。  それから、この際ついでにはっきりしておきたいと思うのですが、民事上の責任と刑事上の責任は違う。たとえば行政取り締まりの条項に従っておったからといって刑事上の責任は免れない。そういう実は判例もございますが、その点についてはどのように考えられておりますか。いや、この湯島の事件が刑事上のということを私は言っておるのではありませんが、判例、あるいは近くは新潟地震出火のとき等もそうでございますが、すでに大正三年に時の大審院は、そういった行政上の法規にのっとっておったからといって、刑事上の責任は免れない、こういうような判例が出ておりますが、それにつきまして警察、法務はどう考えられておりますか。
  52. 内海倫

    内海政府委員 刑法上の責任という点になりますと、たとえば今度の例をあげれば、これが業務上過失致死というふうな適用が出てくるとか、あるいは失火罪の適用が出てくるとか、いろいろ具体的な事案の捜査の結果によりまして責任の追及というものが出てくると思いますが、いま仰せられておりますように、単に行政法的に規定されておる基準を守っておるからということが、業務上過失の罪を免れるということにはならないと思います。おそらく刑法の業務上過失という問題は、業務を遂行する上においてかなり広範な責任を要求しておるものと考えております。したがいまして、抽象的には私は申し上げかねますが、具体的な事案につきましては、かなりきびしい業務上過失の責任追及はあり得るものと、かように考えております。
  53. 味村治

    ○味村説明員 刑事局のほうからは法務省から参っておりませんので、民事上の責任だけについて申し上げたいと思いますが、よろしゅうございますか。  民事上の責任といたしましては、やはり行政法規を守っておりましたからといって、そのために過失がなくなったということにはならないと存じます。やはり具体的にそのときどきの事情によりまして過失が成立するということがあると考えます。
  54. 田中武夫

    田中(武)委員 田中部長、特に行政取り締まり法規とその行為についての民事上の責任、刑事上の責任についてはどう考えますか。その判例もだいぶ調べておりますので……。
  55. 田中康民

    田中(康)政府委員 民事上の責任と行政法規との関連についてでございますが、これは、いま法務省から申し上げましたように、行政法規を守っているからといって、そこに過失があれば、当然民事上の責任は免れないということでございますので、それを守ったからといって必ずしも民事責任を免れるわけにはいかぬ、そういうふうに考えております。  また、刑事責任につきましては、当該取り締まり法規を守っておれば、当該取り締まり法規違反ということにはならないわけでございますから、そちらのほうは違反はもちろん構成いたしませんけれども刑事局長から申しましたように、過失により刑法上の違反行為があります場合におきましては、それはまた別途の考慮をもってその責任のあるなしを決する問題だと考えております。
  56. 田中武夫

    田中(武)委員 私の質問はまだ続くんですが、石野委員と麻生委員から関連質問の申し出がございますので、関連質問を許していただきたいと思います。
  57. 石野久男

    ○石野委員 関連して、参考人にお尋ねしますが、先ほどの田中委員に対するお答えの中に、明治時代の古い管がまだ一%あるとおっしゃっておる。一%というのは非常にわずかなものですけれども、現在布設しております配管は、全長どのくらいあるかということをこの際ひとつ明確にしておいていただきたいと思います。それが一つと、いま一つは、耐用年数が材質の上からいって七十年、八十年あるんだ、こういうことをおっしゃっておりますが、事実上、会社経理的に二十二年で償却を済ましておる内容でもあるところから、私はこの際、その七十年、八十年たっていなくても、すでにこういう事故が出ているという現実に徴して、ひとつそういう明治時代のものについては、それが皆さんが予定しているような所定の年数を耐え得るものであるかどうかということも調査もしなければならぬと思います。そういう点について、政府当局はこの際これらのものについてどのように処置なさるか。私の希望を申し上げれば、この際ひとつ一斉にこれらのものについて調査をすべきじゃないか、こういうふうに思っておりますが、そういう点について政府の所見をひとつ聞かしていただきたいと思います。
  58. 藤波恒雄

    藤波政府委員 先ほども申し上げましたように、明治時代、大正時代等に布設されました古い導管につきましては、早急に調査をいたしまして、特にその中でも土質、水質その他条件の悪いところにつきましてはなおさらでございますけれども、できるだけ早急に更新の計画を推進するように指導いたしたいと考えております。
  59. 本田弘敏

    本田参考人 先ほど御質問がございました全延長は、千八百二十五万六千六百メートルになっております。したがいまして、先ほどの明治時代の埋設管数が一%でございますから、十八万二千百メートルだけ残っておるわけです。これはできるだけ御指摘のように早く取りかえたいというふうに考えております。
  60. 麻生良方

    ○麻生委員 関連して。先ほど田中委員の質問にお答えになりまして、今度のガス事故原因につきまして、管の腐食、そして腐食の結果、本来十五ミリぐらいあるべきものが二ミリぐらいになっているというような答弁をされておりますが、その腐食は外部から腐食されたものですか、それともガス管の中から腐食されたものですか。ちょっと参考人からお願いいたします。
  61. 本田弘敏

    本田参考人 先ほど御説明申し上げましたように、中からえぐれておるのでございますね。こういう例は非常に少ないことでございますが、これから十分調査いたしまして、はっきり原因を突きとめたいと存じます。
  62. 麻生良方

    ○麻生委員 これは原因は、非常に容易ならざる原因だと思うのですよ。外部から腐食されたというのは、これはある意味では、年数がたって、外部のいろいろな要因によって外部が侵食されることはわかります。しかし、ガス管の中が腐食されるということは、ちょっといままでの常識では判断されない特殊ケースです。しかし、そういう特殊ケースが現にここにあったということになりますと、その事故原因究明というものはよほど徹底的にされて、その原因を当委員会の名において明らかにしなければ、今後あぶなっかしくて、新しいものでも中から腐食されるということになる。これは会社のみならず、通産省においても、この事故究明についての特別委員会でもつくっていただいて、そうしてその原因はやはり世間に明らかにすることが必要だろうと思いますが、通産省はどうですか。
  63. 藤波恒雄

    藤波政府委員 今度の事故原因につきましては、現在各方面で調査中でありまして、その結果を待たねばなりませんが、先生いま御指摘のように、これは従来なかった非常に新しい現象のようでございます。われわれといたしましても、この点につきましては徹底的に究明をいたしまして、必要があれば、将来の保安確保の対策なり運用基準の改善をやっていかなければならぬかとも考えておりますので、十分に各方面の知恵をしぼりまして原因究明に当たりたい、こういうぐあいに考えております。
  64. 麻生良方

    ○麻生委員 いま石野委員の質問でその延長距離が明らかになりましたけれども、通常八十年くらいは使えると言いながら、事実こういう事故が起こっておるわけですから、そういう古いガス管が配管されているかもしれないと思われる地区の住民はたいへんな不安を持たざるを得ないのですが、これは念のために参考人からお伺いしますが、大体東京都のどの地区に古いガス管が配管されておりますか、おわかりでしたらここで明らかにしてください。
  65. 本田弘敏

    本田参考人 各地区に埋管されておりまして、特にどの地区と限定された地区はございません。つまり、山手地区だとか下町だとか、そういうふうにはっきり古い管が埋管されておるということはございません。これは会社がだんだん大きくなりましたから、会社が早い時代にほうぼうに延びておりますから、一つの限られた地区においてだけこういう古い管があるということは申し上げられません。
  66. 麻生良方

    ○麻生委員 しかし、明治から大正の古いガス管が各地区にそれぞれ、ぽつんぽつんとあるのだろうと思いますけれども、その地区は、会社としてはきちんと把握されておるのでございましょうが、それは明らかにされないんですか。
  67. 本田弘敏

    本田参考人 もちろん会社では、どこの地区に古い管がなにしていると、ちゃんと資科がありますし、それに基づいて漸次取りかえをやっております。ただ、常識としましては、鋳鉄管に対してこういう穴があくとか腐食するというようなことは、ほとんどいままで例がないことなんでございます。今後は、またこういう痛ましい事例が起きたのですから、これを契機としまして、さらに古い管を各地区にわたりまして、現場についてしさいに調査検討いたしまして、悪いものはどんどん早く取りかえるようにいたしたいと思います。
  68. 麻生良方

    ○麻生委員 ちょっとそれでは私は足らぬと思うのです。先ほど来、田中委員質疑の中にもあったように、大体二十年くらいすれば償却は済んでおるものを埋めておるわけですから、それは法律上取りかえる義務を持つか持たざるかは今後の問題ですが、しかし、東京都の住民としては、やはり古いガス管が埋まっておるかもしれないという不安は除去されない。だから、古い管であることは事実なんだから、とすれば、私は、この機会に、埋蔵されている場所を明らかにして、そしてそれに対してガス会社として、少なくとも期限を区切ってそれを取りかえるという処置くらいは、誠意をもって御回答いただきたいと思うのです。
  69. 本田弘敏

    本田参考人 もう会社にはちゃんと資料はございますから、それに対する対策といいますか、そういうようなものを至急きめまして、いつでも御報告できるようにいたしたいと思います。
  70. 麻生良方

    ○麻生委員 きょうはお持ちじゃないと思いますから、ひとつ資料を早急に委員会あてに出していただきたい。この埋蔵されている地区名、それから、その地区をいつどういう処置でそのガス管を取りかえる具体的な対策を持っておるかということを、ひとつお差しつかえなければ委員会のほうに御提示を願いたいと思いますが、いかがでございましょうか。
  71. 本田弘敏

    本田参考人 承知いたしました。古い管がどこにあるかということを明らかにいたしまして、必ずしもいたまないしっかりした管を取りかえる必要はございませんから、危険と思われるものはできるだけ早く取りかえるということをはっきりいたします。
  72. 麻生良方

    ○麻生委員 私は全部取りかえろと申し上げているのではないんです。全部調査した結果を明らかにする、その図面を提示していただきたい。そうすれば、そこに住んでおる住民も、これに対していつ取りかえてもらえるかが明らかになりますから、そういう形でひとつ不安を除去していただきたい。これをお願いしておきます。  それからもう一点だけ、先ほど来いろいろと田中委員の御質問の中で法律上の問題がたくさん出ております。しかし、これらの立法措置を講ずるということは今後の問題になると思いますが、これは必ずしも示談がいいか悪いかは別として、いま言われておるような被害者が出ておるわけですから、一体示談によってどの程度の補償額をガス会社としては考えておられるのか、この際ちょっと明らかにしていただきたい。
  73. 本田弘敏

    本田参考人 補償額につきましては、私どもまだ具体的に考えておりません。これはできるだけ、先ほど申し上げましたように、被害者側の御満足を得るように、これは先ほど申し上げましたいままでの例を見ましても、いつでも御満足のいくようにやっておりますから、実際きまりましたあとで先生に御報告申し上げることにしてけっこうだと思います。
  74. 中谷鉄也

    ○中谷委員 関連して……。
  75. 島村一郎

    島村委員長 ちょっと申し上げますが、関連質問はなるべく簡単にお願いいたします。
  76. 中谷鉄也

    ○中谷委員 先ほど参考人お話の中に、私非常に気にかかった点が一点あるわけです。それは、三好町の事故について非常に円満に解決した、先ほど関連質問の麻生君の質問に対しましても、納得のいくように解決をしたい、非常に誠意を尽くして解決する、こういうようなお話なのであります。そこで、私は読み間違いではないかと思って、通産省関係のほうからいただいた資料を見たのですが、三好町の関係では、これはたいへんな事故なんですね。六人の方がなくなっている。その事故について、私の読み間違いであれば非常にけっこうだと思うのですけれども、千二百五十万円という金が六人の方に支払われている。そこで私、念のために一人に千二百五十万円払われたのかとあらためて聞きにいった。そうすると、これはトータルで千二百五十万円ということなんです。先ほど法務省の人のお話もありましたけれども、自動車損害賠償保障法なんかでも百五十万円までは保障しておる。そういう状態の中で、子供さんであろうが御老人であろうが、一人平均で割ってみると二百万円ちょっとだということだとすると、これは円満にというふうなことはとうてい考えられない。先ほど田中委員お話しになった、まさに力関係によるところの示談というものが行なわれたというふうにしか思えない。これは全く示談ではない。いうてみれば、全くの見舞い金としか思えない。いわゆる訴訟に至るまでの前提としての示談——先ほど参考人社長が言われたように、人の命はとうといんだというふうなこと、私はお金ではないと思う。そういう点から、いわゆる法律的な責任の有無については、これはあとで一、二点聞きたいと思うけれども、いずれにいたしましても、こういう示談については、自動車損害賠償の計算の基準のようなものがあると思うが、腰だめ的なものでなく、ホフマン式的な計算によって行政訴訟損害額の基準がある、やり方がある。そういうあたりまえの計算によって損害額を出しましょうというふうな方針というものを会社は持っているかどうか。そうしませんと、死んだ人の命は返ってこないのだから、かりに一千万、一億もらっても、円満ということではない。したがいまして、ホフマン式の計算にプラス・アルファーを計算しなければならぬ。こういうふうなかっこうで、今度の事故についての金額その他はわからないにいたしましても、金額を言えとは申し上げませんけれども、そういう方針をお出しになるかどうか。この点参考人にお聞きしたいことが第一点。  関連質問ですから、続けてお尋ねしておきますが、いま一つ問題になる点は、非常に気にかかった点だけ申し上げます。  何か通産省政府委員、それから参考人社長さんの御答弁の中には、至急に明治時代、大正時代の導管が三・一%ですか、とにかくある、それにつきましては至急取りかえるということでございます。ところが、新聞の報道等によりますると、まるで火山の上におるようだということが報道されている。田中委員から先ほどお話がありましたけれども、東京都民の住んでいる土地の下には猛毒性の時限爆弾ですかがある、そういうお話もあった。これでは私は、むしろ東京都民であれば、参考人社長さんの会社に恐怖料の損害賠償請求を起こしたいと思う。そういうようなことで、至急にという誠意はわかるけれども、これは政治の問題なんですから、耐用年数がまだあるとか、危険でないとか、危険防止ができるという問題でない。住民の恐怖を取り除くという政治の問題ですから、これは至急にということでなく、これについてはいつまでに取りかえをしますという方針を出していただきたい。少なくとも昭和四十二年のいつまでに明治、大正時代のものは全部なくなるようにいたします、こういうことについて参考人社長さんの御答弁を願いたい。至急にというふうなことは、とにかく私は町の弁護士ですから、野人礼を知らずというところがあるかと思いますけれども、やはり通産省指導方針としても、至急というようなことでなしに、会社としては何年何月のいつころまでにこういうものは取りかえるということが望ましいと考えているという通産省の御答弁をいただきたいと思う。これが第二点。  もう一つありますが、その点についての御答弁をいただいて、あと関連質問で一点だけさしていただきたいと思います。
  77. 本田弘敏

    本田参考人 弔慰金が不満足——もちろんなくなられた方は生き返られないのですから、いくら私どもが弔慰金をたくさん差し上げましても、これで事足りるということは絶対ないわけです。しかし、御遺族の方とお話し合いをしまして、これでよろしい、場合によりましては、こんなにたくさんいただいてはという方も中にはあったようなわけでございます。実際なくなられました六名の方に対しまして、弔慰金、葬儀費として、先ほどお話がありましたように、千三百五十三万八千九百五十三円、また負傷された三十六名の方に対しましては、治療費及び見舞金としまして四百十一万八千四百十五円、また家屋焼失等に対しましての補償金として七千二百六十二万七千四百二十七円それぞれお支払いをいたしまして、円満に示談解決いたしましたが、その合計は九千二十八万四千七百九十五円というふうに、約一億近い金を支払っております。この点につきましては、いまお話しのように足りないという面から言えば、足りないということになりましょうが、私どもの気持ちとしては、どうかして御遺族の御満足な程度のものを差しあげたいというふうに取り計らったつもりであります。  それから、古い管の取りかえの時日をはっきりしろというようなことでございます。これは、先ほど申し上げましたように、明治、大正の管がまだ相当ございます。これを一挙に取りかえるということは、実際お約束申し上げましても、事実不可能なことであります。取りかえるためにガスの供給が途絶するとか、都民の方々、需用家の皆さんに御迷惑をかけるようなことも起きるのでございます。これは私どもとしましては、古いもの、また危険の多いものから順次取りかえていきたいというふうに考えております。それでいかがでございましょうか。
  78. 藤波恒雄

    藤波政府委員 古い導管の取りかえ計画の推進につきましては、御指摘の点を十分考慮いたしまして、取りかえ計画会社のほうで早急に立てて、それをいたさせるように指導いたしたいと思います。
  79. 中谷鉄也

    ○中谷委員 それでは、私はあと一点だけお尋ねをしておきたいと思います。  実は、先ほど田中委員のほうから、無過失責任の問題について、問題が提起されたわけです。私、実はこの問題について、それほど詳しく問題を掘り下げていないわけなんですけれども、ただちょっとこの点だけはひとつお聞きしたいと思って考えていたのでございます。要するに、民法に七百十七条の規定がございますね。そして、その七百十七条の規定については、法制局の部長さんの方の御答弁によると、いずれにしても、七百十七条については、市民法的な原理の上に立っている七百十七条ではあるけれども、無過失損害賠償責任的な規定として適用し得る余地と可能性も若干あるということなんですね。そういうふうに私も思うのです。そうすると、これは通産省政府委員の方にまずお尋ねをして、それから、この法の解釈については、その担当の政府委員の方に私御答弁いただきたいと思いますけれども、先ほどのガス供給規程の三十六の(1)の規定と七百十七条とは、一体どちらが広い責任というか、重い責任というか——とにかくガスの供給を受けている側から言うと、このガス供給規程の保安の三十六の(1)に、「保安の責に任じます。」逆に言うと、保安責任に任じなかったのだからといっていわゆる損害賠償請求ができる。だから、逆解釈といいますか、反対解釈が当然できると思うのです。要するに、三十六の(1)というものは、七百十七条よりも広い責任を認めた規定なのが、何だかそうじゃなくて、七百十七条よりも狭い。田中委員のおことばによりますると、より免責的な規定のように思われる。そうすれば、導管から本管からコックまでの責任を認めているのですから、という通産省政府委員の方の御答弁というものは、あれにおいては非常に困った御答弁だと思うのです。七百十七条というものは、これは市民法的な明治何年かにできた民法の規定で、それで当然損害賠償責任があるのに、ガス供給規程の保安の三十六の(1)があるために、かえって七百十七条の規定によって請求できないという事態も生ずるということはたいへんなことだと思うのです。七百十七条と三十六の(1)との関係はどうか。無過失損害賠償責任を云々する前に、その点を一応明確にしていただきたいと思うのです。この点、通産省の方から御答弁いただいて、それからまた法制局の関係の方から何かひとつお答えをいただいたら非常にありがたいと思います。
  80. 藤波恒雄

    藤波政府委員 ただいま御質問の供給規程の三十六にございます保安責任の規定は、御承知のように需用者と供給者の間の関係を申しているわけでございまして、民法七百十七条につきましては、あとから法務省のほうで御見解があろうかと思いますが、これは、土地の工作物についての瑕疵云々、こういうことになっておりまして、必ずしも同じ面をカバーしているとは言い切れないと思います。
  81. 中谷鉄也

    ○中谷委員 法制局の方から御答弁の前に、通産省の方にもう一度お尋ねしておきます。  条文をそのとおりにお読みになってもいけないと思うのです。七百十七条は、おっしゃるとおり、「土地ノ工作物、」こう書いてありまして、そして「占有者ハ被害者ニ対シテ」こう書いてある。ガス供給規程については、御指摘になったとおりの書き方になっている。「使用者の故意」云々と出ている。ただ、私が申し上げているのは、被害者、この場合は七百十七条の被害者がイコール使用者というふうな場合に当たる場合、その場合に、この七百十七条よりも特別規定だ、両者間の特約だということで、この供給規程によって、幅狭い損害賠償責任しか負わないのだというようなことは、市民法の原理とか、無過失責任とかなんとかいうより以前のとんでもないことだ、おかしいじゃないか。こういう点で、そんなばかなことはないということをひとつお答えいただきたいということなんです。
  82. 田中武夫

    田中(武)委員 これは本質問者が関連質問者の関連になるわけですが、私は、これは契約の内容だ、そういうふうに申し上げておる。したがって、いま中谷委員の質問の七百十七条よりかこれが優先する。しかもそれは免責規定、免責条項を主として書いてあるから、やり直せ、こう言ったのです。これは契約の内容です。したがって、七百十七条の規定にかかわらず、これを内容としたところの契約をしている、こういう解釈の上に議論を進めてきたのです。念のために申し上げておきます。したがって、これはやり直せ、検討し直せ、こう言ったわけです。答弁。
  83. 藤波恒雄

    藤波政府委員 田中委員のおっしゃられるように、供給規程は供給者と使用者との問の契約の内容でございます。
  84. 中谷鉄也

    ○中谷委員 それじゃ、七百十七条とこの供給規程の三十六の(1)の問題については、やはり三十六の(1)という規定が七百十七条よりもさらに使用者について、要するに、逆に言うと、被害者について不利な契約をしているということについては、とんでもないことだ、無過失責任などというふうなことより以前のとんでもないことだと私は思うのであります。なるほどその点については当然改めたいと思うという御答弁があると私は思ったのだけれども、どうも、七百十七条の条文をお読みになっただけで、適切な御答弁がなかった。この点についてはもう一度明確にしていただきたいと思いますが、その前に、この機会にお尋ねしておきますが、警察庁のほうで業務上過失致死でお調べになっておられるということですけれども、これは鑑定等の問題もありますけれども、ことによったら、先ほどのお話の中で一番問題になったのは、摩滅か腐食かという点について、この点は私は非常に問題だと思うのです。摩滅でなしに腐食だということが非常に問題だと思うのです。その点について出火というか業務上過失致死としての、いわゆる捜査の終結される見通し、これについてお答えをいただきたいと思います。したがって、答弁漏れになっているのは、法制局の関係の方と、それからこの機会に警察庁の方の御答弁をいただきたい。この程度で、関連質問ですから、終わっておきたいと思います。
  85. 内海倫

    内海政府委員 先ほど申しましたように、湯島の事件につきましては、現在、警視庁におきまして捜査をするとともに、そういうふうなガス管の鑑定その他について実施中でありますので、いま直ちにどのような原因になっておるか、これを捜査上の観点から明らかにすることは、いま私からはまだ申し上げる材料を持っておりません。ただ、御質問のように、警視庁としましては、現実に死傷者を出した事件であり、しかもその状態がガス爆発という状態で起こっておりますから、少なくとも法条適用という点からいえば、業務上過失致死というふうな容疑をもってこれに対処しておる。しかしその結果、容疑のとおりのものになるかどうか、これは今後の捜査及び鑑定にかかるわけです。それだけ申し上げておきます。
  86. 田中康民

    田中(康)政府委員 ただいま御指摘の点でございますが、民法七百十七条は一種の無過失責任をきめておりますが、この責任につきまして、学説上におきましては、特約をもってこれを制限できるというようなことも、あるいはあるというように承っておりますけれども、私はやはり民法七百十七条の違法行為の責任を強制的に規定しておる趣旨から考えまして、七百十七条に違反するような特約というのは、その限りにおいてはそこで妥当はしないのではないかというふうに考えるのが筋だ、こういうように思います。
  87. 田中武夫

    田中(武)委員 どうも関連質問が数人続きましたのですが、またそれに関連して議論を進めていきたいと思うのですが、田中さん、七百十七条は無過失責任の意思を認めたものだ、こういうことであるなら、この供給規程の三十六項ですか、どのようなとりきめがあろうとも、それは公の秩序、善良の風俗に反するから無効だ、こういうように解釈せられるのですか。私は先ほどの質問では、これは契約の内容である。しかもそれは私契約である。したがって、私がいったように、免責条項を主として規定しているんじゃないか、こういったわけなんです。それは、そういう上に立って七百十七条があるが、こういうときには責任を負いませんよ、こういうことで契約をしておる、したがってこれをやり直せ、こういう立場を取ったわけなんですが……。
  88. 田中康民

    田中(康)政府委員 私は七百十七条が完全な無過失責任を保証しているわけではございませんということをここで申し上げなければならぬわけでございますが、その関連におきまして、この供給規程の三十六と申しますのは、やはり会社とその供給を受ける利用者といいますか、そういうものとの関係になります。ですから、利用者と供給者との関係において、使用者に対しての責任を課したものというふうに考えるわけでございますが、しかしその責任を課した点は、民法七百十七条がおよそ工作物の設置の瑕疵、または工作物の保存の瑕疵があった場合に、その加害者に一般的に賠償の責任を認めておりますその趣旨から見ますと、明らかに民法七百十七条に適合する事件についてまで、この三十六が排除的に働いて、こちらのほうを優先的に適用するんだということはどうかというふうに申したわけであります。
  89. 中谷鉄也

    ○中谷委員 この問題は田中委員の専門でございますので、私からお聞きしませんけれども、一点だけお聞きしておきたいと思うのですが、通産省の見解を承りたいと思います。要するに、三好町の事故、これは三十八年のたいへんな事故ですね。この事故導管の溶接か何かが原因事故だというふうに伺っておりますけれども、こういうふうな事故などについて、いわゆる保安との関係において、あるいは保安基準との関係において、要するに不可抗力だったというふうなことになるのか。われわれの理解からいいますと、不可抗力というものは、爆弾が落ちてきたとか、あるいはとにかくそういうふうな特別な場合を不可抗力と言うのではないのですか。たとえば大正とか明治という前に布設された導管というものは、摩滅したり腐食するのがあたりまえじゃないか。これは耐用年数七十年、八十年前といわれたって、水位、水質いろいろな関係から、われわれ素朴なしろうとはそう思います。不可抗力とはなかなか認め得ないという考えに立つのですが、要するに、今度の場合も不可抗力というものはめったに認むべきでないと思うのですが、不可抗力というものは具体的にこの場合、保安基準との関係で、いわゆる事業法の保安との関係保安の諸規定との関係、これをどういうふうに理解しておられるか。これは通産省に対して、特に保安によって利益を受ける被害者立場から私はお尋ねしているのですが、ひとつお答えをいただきたい。
  90. 藤波恒雄

    藤波政府委員 不可抗力の代表的なものとしては、天災、災害といったようなものを考えております。最小限度の行政的な基準を満足しているからといって、それを全部不可抗力というぐあいにはわれわれ考えておりません。
  91. 田中武夫

    田中(武)委員 供給規程の効力というものについて、なお若干の疑問が残っておると思います。田中君の御見解をとれば、それじゃこんなもの何をきめておっても全部無効だ、こういうことにもなる。いやそうじゃなくて、七百十七条は公法的性格を持っておるのかということも議論しなければならないのですが、そういうことをやっておる時間もありませんので、そういう議論はあらためてするとして、ここで私の質問に対して中谷君の関連が出てきたので、締めくくりだけはっきりしておきたいと思うのです。と申しますことは、藤波さん、あなたは電気屋さんで技術屋さんですから、法律論を吹っかけるのは気の毒だと思いますが、はっきり申しておきます。ガス供給規程は検討をやり直せ。なお電気もそうでありますが、ガス事業法において特別の保護をしておるので、したがって、ガス事業法の中においてそれに相応した責任、義務を明確にするよう検討する、いいですか、この二つ。さらに警察庁なりあるいは田中部長からの答弁によって、あるいは法務省等の答弁によって明らかになったが、行政法規、取り締まり法規を順守しておったからといって、民事上並びに刑事上の責任は免れるものではない。これだけをはっきりしておきたいと思うのですがいかがですか。
  92. 藤波恒雄

    藤波政府委員 田中先生いろいろとおっしゃられました点を十分考慮に入れまして、慎重に検討していきたいと存じます。
  93. 田中武夫

    田中(武)委員 刑事局長さん、私たまたま日曜日、兵庫県へ帰っておりまして、これは読売の地方版を見たのですが、姫路市警察署が野つぼ、あそこによく子供がはまって事故を起こす、何回警告してもふたをしないでいる者に対しては刑事責任を負わすというような方針をとっておるようです。これは大体お百姓さんだと思うのです。それがたんぼの真ん中です。それでもこれだけ強い方針を姫路の警察署は打ち出したんです。いわんや大企業、ビッグビジネスあるいは公営企業、こういうものに対しては、より一そうの責任、義務を負うてもらわなくては困ると私は思うのですが、もう一度刑事局長立場から明確なる御答弁をお願いしたいと思います。
  94. 内海倫

    内海政府委員 私どもは、現存する法令のもとで現実具体的な事案を対象として問題を論じておりますので、いま一般論的に意見を申し上げることは必ずしも適当ではないと思いますが、ただ、今回の事件などを通じて、私の私見としましては、やはりいろいろ論議されておりますように、こういうふうな危険性をはらんでおる公益事業というものにおきましては、その保安、安全確保という面においてもっときびしい体制と措置が必要である、あるいは必要であれば、そういうことが法令上も義務づけられることがまた必要ではなかろうか。余談になりますけれども、私自身、かなり長い間交通警察を担当してまいりましたけれども、その過程におきまして、十年間に、自動車を運転する人の義務の過重というものは、その事故発生形態に対応して年々強化され、きびしくなり、いまや実際の実情からいえば非常に軽微な過失といいますか、あるいは一般的には無過失に近いところまでの責任も追及してその措置をとろうとしておる。こういう状況もあわせて私の体験として申し上げておきます。
  95. 田中武夫

    田中(武)委員 それでは、もう法律的なあるいは立法政策の問題についてはまた後日に議論を譲ることにして、次に進みたいと思います。  これは通産省ガス会社社長さんにお伺いするのか——参考人に聞くのがいいのかわかりませんが、昭和三十八年一月の例の深川の爆発事故のあれを契機といたしまして、都市ガス保安対策検討会というのが置かれたと思うのですけれども、それはその後活動しているんですか。
  96. 本田弘敏

    本田参考人 活動いたしております。
  97. 田中武夫

    田中(武)委員 そういたしますと、その検討会はどのような活動をし、その活動の結果が事故を未然に防止するというようなことに対して前向きな検討をやったのかどうか、その点についてはいかがですか。
  98. 本田弘敏

    本田参考人 もちろん前向きな検討をいたしまして、事故が一件でも起きないようにつとめているつもりでございます。ただ、広範な区域であり、先ほどもお話がありましたように、全くいつ何どきというなにがありますから、先ほど先生のお話がありましたように、未然に事故を防ぐということに万全を尽くしております。ただ、こういう事故が起きてまいりますと、そんなことがよく言えるなというあれがあると思いますけれども、私どもとしては最善を尽くしておるつもりでございますが、なお一そう一生懸命やるつもりでおります。
  99. 田中武夫

    田中(武)委員 大きな事故が起こって、それを契機に保安対策検討会というようなものも置かれておるのですから、それを十分に活用して、事故の絶滅を期していただきたいと思うのです。そのためには、これは参考人よりか通産省へ希望といいますか要求いたしますが、私は、いまの話でもあるように、明治四十年代のものが、数字にすれば一%であるけれどもある、大正初期のものが二・一%あるということである。そういうことは、一面経理上では、耐用年数は二十二年あるいは二十三年、こういうことになっておる。鋼管のほうは二十三年、そういうことになっておる。しかし、私は、そういう上に立って八十年だとか百年だとかいうようなことをいっておると、思わざるところに事故が起きると思うのです。今回の原因についても、先ほど麻生君も質問をしたりいろいろしておりますが、一面には電食作用であるというようなことも言われておる。これはもっと調査を待たねばはっきりと言えないと思うのですが、そこで保安規程で、たとえば何年たったら取りかえるべきである、こういうような考え方はいかがです。ガス漏れを検査しておるから、、定期検査しておるからいいということでなく、漏れたときには即事故ということになるわけなんです。私が当初質問のときに申し上げたのもそういうことを申し上げたんですが、これを一応取りかえる一つのめどをつけておく必要もあろうと思うのですが、そういうことはどうです、保安規程の中に、いかがです。
  100. 藤波恒雄

    藤波政府委員 先ほど御質問の中にありました前回の昭和三十八年の大事故の際設けられました対策委員会の成果につきましては、役所側といたしましては、その後その結論に基づきまして、技術基準の整備強化をいたしております。  なお、いまおっしゃいました古い導管の取りかえる基準を法令化するのはどうかというお話でございますが、導管の布設される土地の条件によりまして、相当程度に耐用年数が、物理的耐用年数影響を受けるわけでございますので、一律にきめることは技術的にはなはだむずかしい問題であろうかと実は思っておるわけでございます。いずれにいたしましても、今回の事故をさらに分析をいたしまして、その結果をさらに技術基準の整備強化ということに資したいというぐあいに考えておる次第でございます。
  101. 田中武夫

    田中(武)委員 たとえば電線等なら見えるのですが、地下に埋没しておるのですから見えないのです。しかも電食作用によって腐食しておるということになるとわからないのですね。だから何年くらい——これは二十年にせよとか十五年にせよとかいうことは申しませんが、何年ぐらいたてば取りかえるべきである——機関車だって定期検査をして何年かたてば取りかえるのですよ。目に見えないところにあるだけに、必要ではないかと私は思うのです。何年にせよとは申しません。さらに、ガスを送る圧力、気圧が大正年間と今日とでは変わっておるのかどうかは知りません。しかしカロリーは高くしておる。だんだん高くしておる。したがって、ガス事業にも近代化といいますか、そういうことが行なわれておれば、その間の耐久力も、いろいろな強いガスを送るとかなんとかいうようなことで、かつて八十年といったが、八十年とは言い切れないと思う。そういうことの検討が必要である。少なくとも何年たてば取りかえるようにしろというようなことは、保安規程として必要ではなかろうかと思うのです。検討しますか、しませんか、いかがです。
  102. 藤波恒雄

    藤波政府委員 十分検討はいたしたいと存じます。
  103. 田中武夫

    田中(武)委員 それじゃ検討するということですから、そこで私、本田参考人に最後に一つお伺いをし、意見を述べ、要望しておきたいと思うのですが、たとえば今日のガス会社の営業方針といいますか、そういうものに対して、いささかの疑問が出ております。朝九時半からですか、東京瓦斯は六チャンネルで放送しておられますね。あれなんかを見ておりましても、ガスがまとか、ガスぶろとか、そういう器具の販売ということに重点を置かれておるんじゃないですか。ガス供給者として、付属的な器具の販売というものに対して重点を置かれているやにあのテレビのコマーシャルを見ておると感じられます。そういうことよりか、ガス供給者は本来の使命に立って、まず自分の供給区域の普及化ということを急がねばならぬと思う。今日では六〇%程度だと思うのです。さらに、それにプロパンの子会社まで経営しておられる。ここに資料がありますから、そうじゃないというなら申し上げますが、そういうことではなくて、もっと健全な方針によって事故を未然に防ぐということ、さらにコマーシャルの中でも、こういう火のかっこうがいいとか悪いとかいろいろ言っておられますが、いわゆるガス中毒を起こさないようなPRにむしろつとめていただきたい。ふろがまだとか、炊飯器だとか、そういうものの宣伝、ことにガスぶろまつりだとかなんとかいってやっておられるところから、一体営業方針がどっちにあるのか、こういうようにも考えられます。本田社長におかれても、そういう点についてはもう一考していただきたい、そのように考えますが、いかがです。
  104. 本田弘敏

    本田参考人 ただいま御指摘がございましたように、テレビあるいはラジオ等を通じましてやっておりますことは、やはり営業と保安両面をやっております。寝るときガスのせんを締めてくださいとか、ガスぶろの換気だとか、そういうこともやっておりますが、こういう事故に際会しますと、一そう保安面のPRということが必要であることを痛切に感じます。  それから、もちろん公益事業でありますし、一件でもよけいに一日も早くガス需用家を獲得するということには専念しておりまして、ことしも昨年よりはるかに新設の件数をふやしまして、二十六万件以上やる予定で、目下着々それを進捗さしておるのでございますが、御指摘のように、営業の方面にも力を入れると同時に、それ以上に保安方面に力を入れて、こういう事故が今後一切起こらないように注意いたしたいと思います。どうぞ御了承をお願いしたいと思います。
  105. 田中武夫

    田中(武)委員 藤波さん、お聞きのように、電気会社もそうでしょうが、ガス会社が器具の販売というようなことにあまり関心を寄せられ過ぎると私は思う。ことに公益事業だという上に立って本来の業務に専念せられるようにぼくは指導してもらいたい。どうですか。あれを見ておると、なるほどいま本田参考人言われましたように、保安のことについても、元せんは寝るとき締めろとか、ガスの炎はこういうのが正しくて、こういうのが正しくないということは言っておられます。しかし重点は、ガスぶろとか、ガスがまとか、炊飯器とかなんとかいうことで、いつでしたかガスぶろまつりとかいうので大々的にやられたでしょう。私はこういうことでは器具を売るメーカーと混同すると思う。そういう点も十分考えてもらいたいと思うが、いかがですか。
  106. 藤波恒雄

    藤波政府委員 御指摘の趣旨を念頭に置きまして指導してまいりたいと考えます。
  107. 田中武夫

    田中(武)委員 それから、東京瓦斯等が子会社でプロパン供給をやっておる。こういう問題については、やがてまたプロパンの保安法案が出ますから、そういうときにまた議論をいたしたいと思いますが、そういう点でも、あまりほかのことに手を出さずに、本来の業務を守ってもらいたい。そして事故のないようにやってもらいたい。そういうことを要望しておきます。  最後に、これは少し大きな資料の要求になろうと思いますが、ひとつ通産省のほうへ資料要求をいたします。  それは東京瓦斯だけでなくて、全国に、たとえば大阪、名古屋等々あります。そういう全国で、明治年間に布設したものがまだどの程度残っておるのか。東京では一%といっておるが、どの程度残っておるのか。あるいは大正初期に布設したものがどの程度残っておるのか。少なくとも四十年ぐらいといったって、先ほど来何回も言っている経理面の耐用年数からいえば倍ですよ。あとの二十年というのはただもうけしておるといっても過言ではない。だから、四十年ぐらい前のものが幾らほど残っておるのか、それを調べて提出をしていただきたい。これはひとつ委員長からも御配慮願いたいと思います。  いろいろございますが、まだ公明党の近江君も質問があるようでございますので、私は本日はこの程度で終わります。しかし、公益事業責任というか、義務の問題につきましては、まだこれで解明せられたわけでもなし、私自体も全面的には納得いたしてはおりませんので、引き続き機会を得まして検討、論議を進めていきたい、こういうことを申し上げて、一応きょうはこの程度で終わります。
  108. 中村重光

    ○中村(重)委員 関連。通産省にお尋ねするのだけれども、いま田中委員から資料要求がありましたね。その点は通産省調査をしているのじゃありませんか、どうですか。
  109. 藤波恒雄

    藤波政府委員 東京におきましては調査をいたしておりますが、その他の地区につきましては、いま御指摘のように、調査をいたしまして、御提出申し上げたいと思います。
  110. 中村重光

    ○中村(重)委員 先般の深川の事故にしても、今度の事故にしても、特に今度の事故導管腐食から起こってきていると思うのです。いま田中委員から資料要求のあったような、明治年間に埋設したもの、あるいは大正年間に埋設したもの、そういうものの調査は十分やっておかなければならぬ。それから保安規程の検討も十分やっているという御答弁があったのだけれども、少なくとも表に出ているボンベなんかの定期検査も絶えずやっている、地下に埋設している導管検査なんということもやるくらいのことじゃないとだめなんですね。大体、保安なんというものもきわめて軽視しているということがはっきりする、そういうようななまぬるい、端的に言えば保安軽視の考え方なんというものはお話にならぬと思う。事故がどんどん起こってきている際に、いま委員会で議論され指摘されたようなことに対して的確な答弁もできない、調査も行なっていないというようなことじゃ話にならぬと思うのです。お答えは要りませんが、もっと責任ある保安対策というものをお立てにならなければいかぬと思う。
  111. 藤波恒雄

    藤波政府委員 できるだけ努力いたします。
  112. 島村一郎

  113. 近江巳記夫

    ○近江委員 刑事局長さんが次の予定があるそうでございますので、まず最初に警察関係のことをお聞きしたいと思います。  これはきのう現場でとってきた写真なんです。事故発生後五日目でありますが、このように歩道に積み上げたままなんです。非常に車がよく通る。ところが、そこには点滅灯も設置をしておりませんし、要するにあぶなくてしかたがない、こういう状態であります。これを見まして、現場付近の方も非常におこっております。これについてどう思われますか。
  114. 内海倫

    内海政府委員 私、現場をよく知りませんので、いまのおとりになった写真を見て初めて知ったわけでございます。在来よくそういう問題につきまして、付近住民の方から実情を聞くことがあるのでございますが、こういうふうな事故が起こりました場合は、その原因を、できるだけ事故の起こったときの現状において鑑識を行なう、あるいは調査を行なうということを行ないますために、一般の方から見ますと、いつまでほうっておくんだというふうなことで、非常に非難を受けることがありますが、そういう非難を受けた場合、私どもが聞いてみますと、まだ鑑識あるいは調査が終わっておらないので、遺憾ながらやむを得ないんだということを聞くことがしばしばでございます。今度のように非常に事柄が複雑であり、困難な事案につきましては、その状況調査し、あるいは鑑識を進めていく上で相当に長時間を要しますので、そういう点があろうかと思います。しかしながら、それはそれといたしまして、付近の交通妨害、あるいは交通を円滑にするということのための描置をとることは別個の問題でございますので、さっそく私、帰りましたならば、警視庁のほうには連絡をとりまして、支障のないような措置をとるように勧告をいたしたいと思います。
  115. 近江巳記夫

    ○近江委員 いま善処のお話があったわけでございますが、これは警察行政の一面でありますが、付近の人が思い余って警察へ行った。それは東京瓦斯へ言いなさい、そうすれば取りはずしてくれるでしょう。ところが東京瓦斯へ行っても、それはすることができない。よくこれで交通事故がいままでなかったことだと思うのです。もしもこの現場で一人でも死んでおったような場合、いまのような答弁では済まないと思うのです。こういう点におきまして、いま局長さんがおっしゃったように、すみやかに処置をお願いしたいと思います。  それから、この実地調査の問題でありますが、ケースによっては相当長期間の調査をしなければならない。それは確かにわかりますけれども、その状態において、十二時になったら食事だ、五時になればこれで終わりだ。ほんとにそのやり方がスローモーで、そのたびにベニヤ板の囲いを解いたり敷石をどけたり、もうみないらいらしているわけです。そういった点において、調査するならするで、すみやかにそういった調査を進められないのかどうか、それをひとつお聞きしたいと思うのです。
  116. 内海倫

    内海政府委員 可能な限りすみやかに実施をさせたいと思います。
  117. 近江巳記夫

    ○近江委員 警察にお聞きしたものですから消防にもお聞きしますが、この新聞の切り抜き等を見ましても、時間にして非常に長く焼けておるわけです。十一時四十分から一時過ぎまで、一時間三十分以上燃えておるわけです。消防もそれだけの出動をしたということを言われておるわけでございますけれども、もっと早く消火できなかったのか、この点をお聞きしたいと思うのです。
  118. 高田勇

    高田説明員 今回の火災は、ガス原因になっております火災でございますので、ガスの場合の消火になりますと、ある程度ガスガバナーの供給の中止をいたしまして、もとを締めまして、それまでは火を消すということは、生ガスが外に出て、かえって中毒現象を起こしますので、火のほうはそのままにして、延焼の防止というところに重点を置く消火活動を行ないましたので、火そのものの燃焼ということはかなりの時間がかかった、こういうことでございます。
  119. 近江巳記夫

    ○近江委員 そうしますと、対策としては、東京瓦斯のもとせんをすみやかに締めれば火災はもっと早く消えておった。要するに、ガス会社として、火災発生の場合、もとせんはすぐにも締められるはずなんですね。一時間半も燃えたということはどういうことですか。
  120. 本田弘敏

    本田参考人 事故が起きましたのが十一時四十五分でございます。こちらからかけつけましたのが三十分ぐらいたったときでございます。それから緊急作業員三百人、車両七十数台を出しまして、ガスが漏れると危険でございますから、付近住民の方々の避難誘導に当たらせる一方、バルブを操作しましてガスをとめましたのが翌日の零時五十六分でございます。約一時間かかっております。それで消火できたわけでございますが、何ぶんにも時間がおそいときでございますし、誘導その他に人も出しましたが、これでできるだけ早くやったということでございます。バルブをとめましても、管内のガスが幾らか残っておりますから、それが出る。できるだけ早くやりましたにかかわらずこういうことになったことは、申しわけないと思います。
  121. 近江巳記夫

    ○近江委員 化学的に見まして、要するにバルブを締める、その締めたもとから管内に残っているガスが燃焼しきるまでにはどのくらいの時間がかかるのですか。
  122. 本田弘敏

    本田参考人 これは残ったガスの分量にもよりますが、やはり三十分ぐらいかかるのじゃないかと私は思います。
  123. 近江巳記夫

    ○近江委員 化学的に答えてください。
  124. 本田弘敏

    本田参考人 バルブを締めるところは相当の距離、三百メートルもございました。それから管径の大きさにもよりますし、これははっきりとそのときのなにはわかりませんが、やはり二十分か三十分かかったんではないかというふうに推定されます。
  125. 近江巳記夫

    ○近江委員 その二十分、三十分というのは最高の時間だと思いますが、たとえ三十分かかったとしても、火災発生から一時間四十分もかかっておる。どうしてそれが締められなかったのか。それはなるほど、あなたのほうとしては人命救助、いろいろな点においてあらゆる手を打たれた。しかし、根本的なこのガス管を締めるという処置が、いまあなたがおっしゃった二十分、三十分という時間から推計すると、その本管がどこに続いているかさがすのに手間取ったか、あるいはとっさの場合、そういった防災体制の機能が日ごろからできてなかった、いろいろな原因が考えられると思うのですが、この点はどうお考えになりますか。
  126. 本田弘敏

    本田参考人 もちろん管はもうあることははっきりわかっておりますし、バルブの所在もはっきりいたしております。また、バルブの地図もございますが、ごらん願ってもけっこうだと思いますが、先ほど申し上げましたように、できるだけ迅速にバルブをとめても、バルブの中に残っておるガスが出る間はその火は消えません。こういうことで早く消えなかった結果が事故を大きくしたというふうに考えられます。
  127. 近江巳記夫

    ○近江委員 化学的なデータなくして、いまそういった推定でお答え願ったわけでありますけれども、要するに、こういったことは、 いまのそういった古い管がそれだけ全国各地にあって、また東京都内で事件が発生したわけでありますけれども、二%くらい古いのがある。これからますますそういうような危険性が考えられるわけです。こういうような点において、そういった防災体制について今後万全の対策を考えられるかどうか、その点についてお聞きしたいと思います。
  128. 本田弘敏

    本田参考人 先ほど来諸先生方にもお答え申し上げましたとおり、こういう事故の絶無を期しまして万全の対策をとる考えでございます。
  129. 近江巳記夫

    ○近江委員 それから、本田参考人が先ほど、今回の事故は初めての特殊ケースである、このようにおっしゃったわけです。警察のほうの先ほどの報告によりますと、穴のあいた個所は厚さが二ミリくらいに減っている、このように言われたわけです。こういった点から考えていきますと、過去において非常に大きな、先ほどもお話が出ておりましたが、深川等の事故においても六名が死んでおる。このような大きな事故、これは要するに、溶接部分が亀裂してガスが漏れた、こういうケースです。それから、中央区の日本橋浜町のガス漏出火災事故、これ等も結局地盤の不等沈下により、そこからパイプが折れてガスが漏れた、こういうような事故であります。だから、要するに一つ事故を通じていろんなことが予想されるわけです。そういう点において、今回のは初めての特殊ケースであり、いままで想像もつかなかったというような感じに受け取れるわけです。最高の技術陣をもってその万全な対策に当たっておられる東京瓦斯さんが、このようなケースが予想できなかったかどうか、技術的にどうでしょう。
  130. 本田弘敏

    本田参考人 初めてと申しましたのは、これは鋳鉄管の場合が初めてです。先ほどの深川の場合は鋼管の溶接個所から燃えた。今後は、この鋳鉄管に対してわれわれがおいていた信頼感と申しますか、安全感というものを考え直して、鋳鉄管に対しても非常に従来よりもシビアーに調査をし、検討をし、事故のないように万全の処置をとらなくちゃならぬ、そういうふうに考えております。
  131. 近江巳記夫

    ○近江委員 各委員から先ほど来そういった古い管の取りかえの要望、またそれに対して皆さんのほうから、その計画書を提出するというお話がございました。今回の事故は、要するに交差点のところなんですね。したがって、こういったところは車の量も非常に多いわけですし、いろんなそういうような外部的な破損される危険性も多いわけです。したがって、今後補修をなさっていく上におきまして、特にそういった危険個所と思われる重点地区から先にやっていかれるおつもりがあるかどうか、その点をお聞きしたいと思います。
  132. 本田弘敏

    本田参考人 御指摘のとおり、われわれとしましても、自衛上でもあぶないところから先に手をつけるということは当然なさなくちゃならぬ。ことに江東地区は相当地盤沈下がございます。橋がありまして、地盤が不等沈下するために事故が起きるというようなことがしばしばございます。また、交差点なんか交通ひんぱんのところは特に注意しなくちゃならぬ。いろいろ今後も一そうその検査調査を十分にいたしまして、こういうことを繰り返さないようにいたしたいというふうに考えております。
  133. 近江巳記夫

    ○近江委員 それでは、先ほどのその計画書につきまして、特に重点的にどこから手をかけるか、いま私の申し上げたそういう点に対しての具体的な、今後おたくの会社のほうで計画なさったそれをまた委員会のほうに提出してもらいたいと思います。
  134. 本田弘敏

    本田参考人 十分考慮しました上で、ひとつ皆さまの御満足のいくような報告書を作成いたしたいと思っております。
  135. 近江巳記夫

    ○近江委員 それから、今回の事故の状態を見てまいりますと、昨年の十二月にたしか検査なさっておりますね。先ほど十月というお話がありましたが、私が調査した範囲では十二月というふうに聞いておるのですが、この点どうでございましょう。
  136. 本田弘敏

    本田参考人 やはり十二月でございます。
  137. 近江巳記夫

    ○近江委員 十二月ですね。このガス管検査につきまして、ガス事業法の施行規則第十九条第十号によりますと、導管の路線上を深さ五十センチそれから間隔五メートルでボーリングを行ない、その穴に管を立て、約一分経過した後においがあるかどうかにより検査する、このように規定されておるように聞いておるわけでございますが、東京瓦斯さんはそのようにやっておられるでしょうか。
  138. 本田弘敏

    本田参考人 この規定以上にやっております。
  139. 近江巳記夫

    ○近江委員 そうしますと、東京瓦斯さんは、政令に基づいてそのとおり行なっている、このようにおっしゃっているわけです。そうしますと、政令をつくり監督をしている通産当局の政令不備または監督不行き届きということに私はなるんじゃないかと思うんです。ですから、今回の事故は、東京瓦斯だけではなくして、当局において重大な責任を負わなければならない、私はこう思うんですが、それに対してどうでしょうか、どのように考えておられますか。
  140. 藤波恒雄

    藤波政府委員 御指摘のように、今回の事故は、漏洩検査に関する限り、法令で定められた技術的基準どおりにやっておるものと考えますが、それにもかかわらず事故が起きたことはまことに遺憾でございますが、このような事故を契機にしまして、十分検討の上で、技術基準の改正を要する点等が出てまいりました場合には、それらの整備等を心がけたい、このように考えております。
  141. 近江巳記夫

    ○近江委員 いまのお話によりますと、東京瓦斯さんは政令できめられているより多く検査をなさっておられるようであります。要するに正確にやっているかどうかという問題に入ると思うのですが、あの事故のあったシンスケという店がありますが、あの前で十二月末日に検査済みである、それは先ほど答弁いただきました。そういたしますと、事故発生までどれだけたっているかといえば、まだ三月もたっていないわけです。そうしますと、幾らあなたのほうで一生懸命ガス検査やっているといっても、われわれが検査したんだから安心だと思っておっても、そうでない。そうすると検査が当てにならない。非常に都民の不安というものは増大するわけです。また今回の事故原因を調べてみますと、穴が数カ所あいていた。専門的に考えて、三カ月で鉄の穴が五つもあくかという問題なんです。ですから、そういう点から考えますと、十二月末にはすでに穴が一個でも二個でもあいておったか何かがあったに違いない。そういうことを発見できなかった。これは検査員が無責任検査をしたに違いない、こういったことも十分考えられるわけです。あの四年前の深川の事故があった家族にも聞きました。そこで異口同音に言っていることは、あんなたよりない検査では不安でしかたがない、このように言っているんです。要するに、大きな事故がこのように続いて発生もしておりますし、いま政府委員のほうから技術的にも将来検討したいということをおっしゃっていますけれども、これはひとつ真剣に取っ組んでもらいたいと思うのです。これに対して、東京瓦斯さん、どう思われますか。
  142. 本田弘敏

    本田参考人 ピーク時、一番寒いときには、営業員総動員でボーリング、穴をあけてにおいをかぐ、また臭気を調査しております。その効果は相当の発見件数をあげておりますが、いまお話しの、十二月末にやって、穴がその当時あいていたのじゃないかとおっしゃいますけれども、あいていたら必ずどこかしらに漏れて、においがつくわけでありますから、その事故発生会社のボーリング、臭気調査の以後のことということは、はっきり言えると思います。ただ、寸前にあったということは、おそらく、三カ月たった後に事実起きたのですから、ほんとうに危機一髪の状態であったかと思います。どうして今後そういう漏れようとするものを発見するかということは、やはり管の実態について調査して、これはあぶないんじゃないかということを調べてみて、未然に漏れないうちにやるということでございます。今度の事故によりまして、ほんとうに、われわれは非常に参考になる点が多々ありましたので、災いを転じて福となすといいますか、そういうふうな線に進んでいきたいと思っております。
  143. 近江巳記夫

    ○近江委員 先ほども、各委員からいろいろな角度から問題が出ておりますし、重複をいたしますので、この辺でこの問題についてはやめたいと思いますが、要するに、ガス税にしろ、ガス料金にしろ、国民が全部負担しておるわけです。きちっと払っているわけです。こういう点におきまして、今後こういった事故はほんとうに——もしも気をゆるめるならば、ほんとうに幾らでも起こる可能性があるわけです。こういう点において、どうかひとつ常にその対策に万全を期して、今後そういった不安のないようにやっていただきたい。このことを特に要望いたしておきます。  それから、政府委員にお聞きいたしますが、この間京都でタンクローリーの爆発がございましたね。あれは通産省責任はあるのですか。それをお聞きします。
  144. 藤波恒雄

    藤波政府委員 いまお話しの京都における事故のことは、新聞等で承知いたしておりますが、実は私のほうの局の所管でない関係もございまして、詳細な原因その他につきまして実は存じておりませんので、御了承願いたいと思います。
  145. 近江巳記夫

    ○近江委員 政務次官にお聞きします。
  146. 宇野宗佑

    ○宇野政府委員 同様であります。
  147. 近江巳記夫

    ○近江委員 私の申し上げているのは、その責任通産省にあるのかということをここで明確にお聞きしているわけです。
  148. 宇野宗佑

    ○宇野政府委員 本日は公益事業局だけでございますので、公益事業局直接の担当ではございません。しかし一応プロパンガス等々は御承知のとおり化学工業局の所管でございます。したがいまして、まだ原因は実は追及いたしておりませんので、明確にその事件自体に関して通産に直接責任があったかどうかということは申し上げられませんが、一応主務官庁といたしましては、いろいろな問題につきまして、広義の意味においては決して関係なしと言い切れない問題である、こういうふうに考えております。
  149. 近江巳記夫

    ○近江委員 では、また次の機会に譲りたいと思いますが、いずれにしても、西宮のあの事件もまた私たちにはほんとに耳新しいこの間のようなできごとなんです。これに引き続いてのこれだけの大きな事故でありますし、こういった点において、次の機会にまたお聞きしたいと思いますが、今後ひとつ真剣なその対策を要望いたしておきます。どうもありがとうございました。  以上をもって私の質問を終わります。
  150. 島村一郎

    島村委員長 他に御発言もなければ、参考人に対する質疑は終了することといたします。  本田参考人には、御多用中のところ長時間にわたり御出席をいただきまして、ありがとうございました。      ————◇—————
  151. 島村一郎

    島村委員長 次に、中小企業に関する件について調査を進めます。  質疑申し出がありますので、これを許します。中村重光君。
  152. 中村重光

    ○中村(重)委員 本会議の時間の関係がありますから、簡略にお尋ねします。  まず影山中小企業庁長官にお尋ねしますが、昭和四十一年八月二日に金木基礎工業株式会社が倒産をし、そして会社更生法によって更生開始で、いま管財人によって運営をされている、そういう事実は御存じでございますね。
  153. 影山衛司

    ○影山政府委員 概略は承知いたしております。
  154. 中村重光

    ○中村(重)委員 概略ですか。
  155. 影山衛司

    ○影山政府委員 東京通産局からの報告に基づきまして概略承知いたしております。
  156. 中村重光

    ○中村(重)委員 通産局見えていますか。どうもあなたは概略というぐらいの答弁なんだから、具体的なことはおわかりにならないだろう。通産局来ていますか。
  157. 影山衛司

    ○影山政府委員 ある程度知っております。
  158. 中村重光

    ○中村(重)委員 それじゃ知っておられるならお尋ねしますけれども、この金木基礎工業株式会社のその後管財人による経営というのか運営の状況はどうなんです。
  159. 影山衛司

    ○影山政府委員 更生計画が認可されましたのは四十年の十二月二十三日でございまして、その後管財人によりまして運営がなされておりましたけれども、この会社のその後の運営状況というのは、あまりうまくいっていないように承知いたしております。
  160. 中村重光

    ○中村(重)委員 それから管財人は何回かかわっているのじゃないかと思いますが、現在の管財人はだれで、大体何人かわっています。
  161. 影山衛司

    ○影山政府委員 管財人関係の交代につきましては、これは裁判所の直接の所管でございますので、私のほうには報告は受けておりません。
  162. 中村重光

    ○中村(重)委員 そういう形式的な答弁を求めているのじゃないのです。一たん会社が倒産をした。更生計画によってやはりその会社というものは経営されておるわけです。そうすると、倒産をしたのだから、無担保の債権者、俗にいう零細中小企業者、そういう債権者というものは非常に多いわけです。それを関連倒産をさせないためには、あなたのほうは、単に管財人は清算事務だけをやるわけじゃないのだから、中小企業対策の立場から、十分管財人とも連絡をとり、また関連中小企業がどういうその後の動向にあるのか、まずそれらを通じて、あなたのほうは、いま私がお尋ねしたようなことくらいは把握しておられるのがあたりまえじゃありませんか。単に、裁判所が管財人を任命したんだから、その管財人がだれで、何回かわったというような、そういう形式を私はお尋ねしておるのじゃないので、あなたのほうは、中小企業対策という立場から、十分それら管財人との連絡等をなされて、あらゆる対策を講じておられるであろうと考えているから、そういう意味で、あなたのほうは御存じであろうからお尋ねをしておるわけです。
  163. 影山衛司

    ○影山政府委員 私どものほうは、更生会社決定以後、管財人につきましての運営が順調に行なわれておる場合には、直接こちらからタッチしないわけでございますけれども、この金木基礎工業の場合におきましては、通産局からの報告によりますと、管財人が二人目だとかいうような話でございますが、その後うまくいっておりませんで、四十一年の八月四日に不渡りが約五百万円ほど発生をいたしまして、その関連下請事業者のほうで不渡り手形を受け取ったものが五十社程度あるということが通産局のほうに連絡がございまして、それで関連下請事業者の救済措置を東京通産局のほうが行なったということでございます。その際、五十社程度ということでありましたけれども、現実に東京通産局のほうへ救済を求めてこられたのは三社であるということでございます。
  164. 中村重光

    ○中村(重)委員 私が調査したところによると、管財人は二人でなくて、四人かわったんじゃありませんか。そうして、三回目が古関周蔵という管財人だった。ところがこの管財人というのが、管財人としての任務をちっとも遂行しない。そういうことからうまくいかなくなって、いまあなたがお答えになったような、ついに不渡り手形を発行するという形になった。不渡り手形を発行したということは、その金木基礎工業というのは、更生はできなくなって再倒産をしたということになるんじゃありませんか、どうなんでしょうか。
  165. 影山衛司

    ○影山政府委員 まだ再倒産というところまでは至っていないのであります。
  166. 中村重光

    ○中村(重)委員 再倒産までは至っていないということは、管財人によって、四人目の管財人であろうと思うのですが、それによって一応経営は続けられている、そして債権者に対するところの債務履行等は行なわれておる、そういう意味ですか。
  167. 影山衛司

    ○影山政府委員 普通の場合でございますと、こういう不渡りが更生会社発生いたしました場合には、更生手続の廃止をいたすわけでございますけれども、その廃止はまだ行なわれていないというわけでございます。
  168. 中村重光

    ○中村(重)委員 そうすると、更生会社としては、これは要するに廃止をする、こういうことは要するに破産という形に移行するということになりますか。
  169. 影山衛司

    ○影山政府委員 そういうことになるわけでございますが、まだそこまで至っていないということでございます。
  170. 中村重光

    ○中村(重)委員 そうすると、その金木基礎工業が倒産をして、そして更生計画を立てて、管財人による運営というものが行なわれるようになったのだけれども、実際はうまくいかなかった。そのために不渡り手形を出すという形によって事実上倒産をしている。ただ破産というような手続がなされていないということだけですが、私はそのこと自体にも問題を感ずるわけです。  まず味村さんにお答えを願いたいと思うのですが、更生会社というのは、会社更生法によって更生計画に基づいて更生会社が管財人によって運営をされるということになる。そうすると、裁判所が監督をしているのだというような一つの安心感を関係者が持つわけです。そういうことから労務者も安心して働くでありましょうし、それから下請業者等も安心をしてその業務を行なうでありましょう。それから納品の業者にしましても、安心して品物を納品していくということになる。ところが、管財人が、裁判所からあらゆる立場から検討して管財人としての指定を受けたのでありますから、それに基づいて責任を果たしていけばいいわけですが、その任務を十分果たし得ないで、遂には再倒産をするというような結果になってきたということになってくると、私はこれはきわめて重大な問題であろうと思う。会社更生法も今度改正をしようと政府は考えておるようでありますが、これは非常に不信感というものが高まってくると思うのです。したがって、これらの点に対する関心というものもあるであろう。そこで、この金木基礎工業の場合等につきましても、十分な関心をもってその運営の状況を見守ってこられたのではないかというようにも感ずるのでありますが、それらの関連について一応お答え願いたいと思います。
  171. 味村治

    ○味村説明員 この更生会社の管理につきましては、ただいま御指摘のように、管財人が行なっておりまして、その管財人の選任等の監督は裁判所がしているわけでございまして、実は法務省としては、個々の具体的な更生事件につきましては、更生計画案について意見を述べるという程度の関与しかしていないのが実情でございます。ごく一般論を申し上げますと、会社が更生手続に入りますときには、現在の普通の更生でございますと、いわば破産寸前というような状態になって、もう手形が不渡りになるというような状態になってから更生手続が開始されるというのが通常でありますために、非常に会社の内容が悪くなっているわけであります。したがいまして、それを引き継ぎまして管財人が経営をいたすにつきましても、非常にむずかしい。金融面なりあるいは信用面なり、いろいろむずかしい問題がございまして、管財人によほどその人を得ませんと、更生会社の経営自体も非常にむずかしいという場合があるかと思うわけでございます。しかし会社更生法の精神は、できるだけ更生の可能な会社でありますれば、これを更生させて、そうして国民経済の維持と発展に尽くさせようということでございますので、裁判所といたしましても、更生手続に入るかどうかということを調べますときには、そういう観点も考慮に入れながら、更生の見込みがあるかどうかということを考えた上で更生手続を開始するわけでございます。  本件の場合には、たまたまどのような事情かよくわかりませんが、不渡り手形を出したというような非常に遺憾な事態になったわけでございますが、そのような更生会社一般にありがちの困難性ということもあるわけでありまして、そのことを十分御考慮いただきたい、このように考えるわけでございます。
  172. 中村重光

    ○中村(重)委員 法務省としては、そういった程度の答えしかできないだろうと私は思うのですが、中小企業庁ですね、影山さん、どうも私は、会社更生法によって計画を立てて管財人が運営をしていく、そこまで至ったんだからそれで事済みだという安心感があなたにあるような気がしてならない。この場合でも、一億二千万円という共益債権というものがあるわけですね。そうすると、それは中小企業者、零細な業者というものの数も多い。そういう人たちがどういう状態にあるであろうかということは、私は、あなたはあらゆる立場からこれを見守っていくし、それに対する対策はきめこまかく行なわれていくのでなければいけないと思う。会社更生法によって、要するに更生計画によって運営をするということになりましても、ただいま味村さんがお答えになった制約はあるわけなんです。裁判所が監督をしておるんだからという安心感というものから、協力体制も一方においては生まれてくるでありましょうけれども、また経営者みずからが経営をしていない、管財人が経営をしておるということからくる、いわゆる清算人的な形ですね、そういうようなものが確かにある。そうなってくると、直接経営をする経営者が経営に当たらないと、どうしても意欲というものが十分注がれていかない。したがって、一面から見ると、そうした更生債権を持っておる中小企業者というものの状態はきわめて不安定な中にあると私は思う。そこであなたは、これらの人たちがほんとうに関連倒産という形にならないであろうか、うまくいっておるだろうかというような配慮を十分なさらなければならないと私は思うわけです。しかし、先ほどからのあなたのお答えの中では、そういう意欲的なものをくみ取ることができないというのは非常に残念に思っております。今度倒産をしたということに伴うところの共益債権というものも相当あるだろうと思う。共益債権というものは数においてどの程度であり、また、その債権額はどのくらいあるのか、そして、先ほどあなたはおそらく共益債権者のことをおっしゃったんだと思いますが、ただ二人だけしか通産局のほうは入れていないということでありましたが、私が聞いているところでは、そういうことではないわけです。まあ何とか援助してもらいたいということで働きかけをしておるけれども、どうもあなたのほうは熱意をもって十分になされていないというように伺っておりますが、そうではございませんか、どうですか。
  173. 影山衛司

    ○影山政府委員 更生会社の更生につきましては、まず一番重要なことは、管財人の選定によろしきを得るということではないかと思うわけでございます。その点、この会社は不幸にしまして管財人がよくなかったという点があるのと、それから、事業自体が最近の土木事業、土木基礎工事でございますので、そういう全体の過当競争の影響も受けたのではないかというふうに考えるわけでございますが、その関連の下請企業等が関連倒産を受けるというようなうき目にあっては、これは困るわけでございまして、これは、各通産局に不況対策相談室というものを従来設けておりまして、その相談室というものは現在におきましても存続し、週一回は通産局長みずからが相談にあずかるというようなやり方を積極的にやらしておるわけでございます。たとえば関西方面におきましては不二産興、それから象太商店あるいは東洋トランプというような関係の関連倒産につきましては、通産局長がみずからこれの救済措置に当たっておるような状態でございまして、この金木産業につきましては、二回目の不渡り手形により出てきた関連の下請企業の救済措置というものにつきましては、東京通産局がその救済の手を差し延べたわけでございます。そういう点につきまして、私どもも積極的に関連倒産の防止ということにつきましては、通産局を督励して従来からもやっておりますし、今後もやっていくつもりでございます。
  174. 中村重光

    ○中村(重)委員 あなたはやっておりますと答えるし、全然見向きもしていないということではないわけですね。しかし、ほとんど対策らしい対策が立てられておるというようには私の調査では出ていない。まして私が冒頭お尋ねしたときに、金木基礎工業に対しての関係は、概略知っておりますというお答えがありましたが、私がこの問題に対してきょう質問するだろうということは、あなたは御存じになっておられる。それで相当な調査というものは、通産局との間になされただろう、話し合いもされただろう、こう思っておる。それにしては、どうもあなたの答弁は何というのか、なるべくさわらないようにしようというような、きわめて消極的な答弁ですよ。第一、管財人が何人かわったということだって正確に御存じないではありませんか。現在の管財人だって御存じないです。いま、この更生会社が再倒産をやって、たくさんの更生債権者、それから今度共益債権者というものが出てきておる。金額にして二億、しかもそれはほとんど小規模な中小企業によって占められておるということであると、いかに関係者が多いかということがわかるじゃないですか。そうすると、管財人がどういう業務をやっておったかということくらいは十分御調査になっただろう、こう思うのですよ。古関という管財人は、私が調査したところによると、一回だって債権者会議をやっておりません。債権者に報告がなされておるとお思いですか。しかも、みずから金融に当たらない。発行した手形は融通手形で発行しておる。そうして自分のところに下請をやらせるその下請業者を通じて、融通手形を割り引かせておる。しかも、その割り引きは、高利貸しの手によって割り引かせておるということ、そういうことも、古関という管財人がみずから裁判所によって選任を受けて、十万円という手当をとっておる。そういうことに責任を感じてやったのではなく、甲斐という代理人を選んで、しかもその代理人は裁判所の手続を済ましていないのです。法的に認められていないのですよ。そういう者に、さらに会社には五万円という給料を出させておるのですよ。全くでたらめな、無責任なやり方をしておる。だから、今度の倒産は、倒産すべくして倒産しておるのです。だから、あなたのほうとしては、これは会社更生法によって、裁判所の監督の中においてこれをなされておるのだから、それは自分たちのタッチするところではないのだ、そのこと自体はそういうことかもしれません。しかし、それほどたくさんの中小企業者——大きい負債をその会社は背負って倒れたわけでありますから、したがって、これは運営よろしきを得ない場合は関連倒産が当然起こってくるわけであります。その角度から、あなたのほうは、十分管財人が任務を遂行しておるだろうか、更生計画計画のとおりほんとうに進められておるだろうかということは、当然私は知らなければならないと思う。あなたにはそれほどの熱意もないし、また取り組みもしておられないということを答弁の中でうかがうことができる。先ほどお尋ねをした共益債権者の数がどの程度で、関係中小企業者の債権はどの程度かということに対しての質問に対してでも、ぴったりした正確な御答弁すらあなたはできないじゃありませんか。どうですか。
  175. 影山衛司

    ○影山政府委員 会社更生法の適用を受けた更生会社が、これは元来なら破産をすべきものを、それを債権をたな上げをして更生をしよう。関連の中小企業あたりは、破産してしまうと元も子もなくなるわけでございます。そういうことがないようにという趣旨で更生会社の手続がなされるわけでございます。元来あぶない会社であるわけでございます。そのためには、管財人の選定につきましてよろしきを得なければいけないわけでございます。また、先生御指摘のように、そういうあぶない会社につきましては、私どもも通産局等を通じましてよく調査をし、その業務の運営状況というものについて監督をしなければならないという中小企業対策の上からの責任は、私どもは負っておるわけでございまして、そういう点について至らなかった点はおわびをしなければいけないと思うわけでございます。現在の段階におきましては、いずれにいたしましても、第二回の不渡り手形を出したということでございますので、その不渡り手形を受け取った五十社につきまして、この救済の手を差し伸べたということでございます。
  176. 中村重光

    ○中村(重)委員 私はいろんな資料を持っているのですよ。上申書というのを持っているのですよ。今度の倒産だって計画倒産です。端的に私は言ってみますと、あなたのほうでお考えにならなければならぬことは、この倒産というものは激増の一途をたどっておる。この前のお答えでも明らかなように、しかもそれは小規模化している。数はふえたんだけれども、負債金額は減ってきている。それはすなわち企業が非常に小規模化したんだから、中小企業の倒産というものは非常にふえてきた。かつて、あの中規模企業、むしろ大企業の部類に属する企業が倒産をした。どういう態度であなたのほうは取り組んだのか。債権者会議等を開いて、あらゆる手を打ってきたじゃありませんか。そうでしょう。この金木の場合においても、当時のような情熱をもって企業庁が取り組んでいたならば、いまのような事態におちいらないで、いわゆる倒産という事態におちいらないで何とかいったのではないか、そうした管財人の無責任な態度というものを、更生債権者あるいは共益債権者というものもいるわけですから、そういう人たちがさらに連携をとって、そうして十分逆にこの管財人というものを監督するというようなあらゆる手が打たれてきたであろう、こう思うのです。その後会社更生法が改正をされて、そしてまたそれらの適用が行なわれてくるということになると私は思うのですけれども、この会社更生法によって、更生計画によって運営をされておる企業が、金木の例のように、他に、でたらめな運営になって、さらに倒産をしていくということになってくると、私は非常な不安感、不信感が起こってくると思うのです。やはりあなたのほうとしては、重大な関心をもってこれらの問題にも対処していかれる必要があると思う。不渡り手形を出したり、破産の申請がなされておらぬけれども、事実上そういう状態にあるということだけはあなたの答弁の中からうかがわれたのだから、当初の一億二千万というような膨大な債権をかかえる更生債権者の状態はどうなるのか、あるいは今度の不渡り手形によって共益債権者というのが八千億という膨大な債権を持っておる非常に数多い中小企業者がいるわけですから、そういう人たちの会合というようなものでも持たせる、そうして十分な話し合いをするというくらいの熱意は示されてしかるべきだと思うのです。そういう会合を持たれる場合に、あなたのほうが、通産局が出かけられることがありましょうし、また通産局から逐次それらに対処する報告をお取りになるというようなあらゆる手をお打ちになる必要があるだろう。そこで大蔵省との折衝も必要がありましょうし、政府関係金融機関の連携というようなものもなされなければならないと思う。先ほど来、企業庁としての責任はこういうことでございますからやってきたわけですというお答えはありましたけれども、どうも答弁の中からは積極的なものも先ほど申し上げましたようにうかがえないわけです。きょうは時間がございませんから、この程度にとどめますけれども、十分ひとつ今後は積極的な熱意のある取り組みをしてもらいたいと思います。そうして不安が起こらないように十分対処していただきたいと思いますが、最後に政務次官の御答弁を伺いたいと思います。
  177. 宇野宗佑

    ○宇野政府委員 先ほど来の中村委員の御意見ごもっともと存じます。特に、今後中小企業の倒産並びにその関連倒産に対しましては、十二分に配慮していかなければなりません。したがいまして、すでに本日も御可決賜わりましたような臨時措置を延長いたしまして、続いて恒久化をし、そこにおいても関連倒産の未然防止ということに全力をあげなければなりませんし、同時にまた、会社更生法も近く法務省においてその改正の作業が続けられると聞いております。通産といたしましても、これに対しまして、特に関連倒産に関する問題、いまの御意見どおりに今後慎重に検討いたしまして、十分なる配慮を加えていきたい、かように考えている次第であります。
  178. 島村一郎

    島村委員長 次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれをもって散会いたします。    午後一時五十七分散会