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1967-07-11 第55回国会 衆議院 社会労働委員会 第28号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年七月十一日(火曜日)     午前十時三十八分開議  出席委員    委員長 川野 芳滿君    理事 藏内 修治君 理事 佐々木義武君    理事 齋藤 邦吉君 理事 橋本龍太郎君    理事 粟山 ひで君 理事 河野  正君    理事 田邊  誠君 理事 田畑 金光君       天野 光晴君    大石 武一君       菅波  茂君    世耕 政隆君       田中 正巳君    竹内 黎一君       地崎宇三郎君    中野 四郎君       藤本 孝雄君   三ツ林弥太郎君       箕輪  登君    山口 敏夫君       渡辺  肇君    淡谷 悠藏君       枝村 要作君    加藤 万吉君       川崎 寛治君    後藤 俊男君       佐藤觀次郎君    島本 虎三君       西風  勲君    八木 一男君       山本 政弘君    本島百合子君       和田 耕作君    大橋 敏雄君  出席国務大臣         労 働 大 臣 早川  崇君  出席政府委員         総理府人事局長 増子 正宏君         林野庁長官   若林 正武君         労働省労働基準         局長      村上 茂利君         労働省職業安定         局長      有馬 元治君  委員外出席者         議     員 河野  正君         議     員 田邊  誠君         議     員 川崎 寛治君         専  門  員 安中 忠雄君     ————————————— 七月十日  委員菅波茂君及び淡谷悠藏辞任につき、その  補欠として塩谷一夫君及び米内山義一郎君が議  長の指名委員に選任された。 同日  委員塩谷一夫君及び米内山義一郎辞任につき、  その補欠として菅波茂君及び淡谷悠藏君が議長  の指名委員に選任された。     ————————————— 七月六日  医療保険制度改悪反対に関する請願川崎寛治  君紹介)(第二四五三号)  同(只松祐治紹介)(第二五四四号)  同(河野正紹介)(第二五九〇号)  同外二件(長谷川正三紹介)(第二五九一  号)  同(畑和紹介)(第二五九二号)  同外一件(本島百合子紹介)(第二五九三  号)  全国産業一律最低賃金制確立等に関する請願  (島本虎三紹介)(第二四五四号)  同(井上泉紹介)(第二五九八号)  同外一件(石橋政嗣君紹介)(第二五九九号)  同外二件(川崎寛治紹介)(第二六〇〇号)  同(河野正紹介)(第二六〇一号)  同(下平正一紹介)(第二六〇二号)  同外九件(本島百合子紹介)(第二六〇三  号)  健康保険制度改悪反対に関する請願田邊誠君  紹介)(第二四五五号)  同(小川三男紹介)(第二五五五号)  同(西風勲紹介)(第二五五六号)  同(山本政弘紹介)(第二五五七号)  同外五件(久保田鶴松紹介)(第二五九四  号)  同(中村時雄紹介)(第二五九五号)  同(平林剛紹介)(第二五九六号)  同(本島百合子紹介)(第二五九七号)  長期ソ連抑留者補償に関する請願坪川信三  君紹介)(第二四五六号)  各種福祉年金併給限度緩和に関する請願外三  件(相川勝六紹介)(第二四五七号)  同外一件(宇野宗佑紹介)(第二四五八号)  同外一件(内田常雄紹介)(第二四五九号)  同外二件(小川半次紹介)(第二四六〇号)  同(大竹太郎紹介)(第二四六一号)  同外一件(大坪保雄紹介)(第二四六二号)  同外三件(大橋武夫紹介)(第二四六三号)  同(金丸信紹介)(第二四六四号)  同外三十一件(小宮山重四郎紹介)(第二四  六五号)  同外七件(小山長規紹介)(第二四六六号)  同(坂本三十次君紹介)(第二四六七号)  同外三十二件(進藤一馬紹介)(第二四六八  号)  同外三件(菅波茂紹介)(第二四六九号)  同外二十件(田澤吉郎紹介)(第二四七〇  号)  同(谷垣專一君紹介)(第二四七一号)  同(羽田武嗣郎紹介)(第二四七二号)  同(早川崇紹介)(第二四七三号)  同(福永健司紹介)(第二四七四号)  同外二十三件(藤井勝志紹介)(第二四七五  号)  同外四件(保利茂紹介)(第二四七六号)  同外十件(堀川恭平紹介)(第二四七七号)  同外一件(森田重次郎紹介)(第二四七八  号)  同(相川勝六紹介)(第二五二六号)  同(愛知揆一君紹介)(第二五二七号)  同外一件(井出一太郎紹介)(第二五二八  号)  同外十一件(河野洋平紹介)(第二五二九  号)  同外五件(小坂善太郎紹介)(第二五三〇  号)  同(佐藤洋之助紹介)(第二五三一号)  同(田村元紹介)(第二五三二号)  同(谷垣專一君紹介)(第二五三三号)  同(塚田徹紹介)(第二五三四号)  同(藤波孝生紹介)(第二五三五号)  同(船田中紹介)(第二五三六号)  同(保利茂紹介)(第二五三七号)  同外三件(三池信紹介)(第二五三八号)  同外五件(三ツ林弥太郎紹介)(第二五三九  号  同(森田重次郎紹介)(第二五四〇号)  同(山崎巖紹介)(第二五四一号)  同外一件(宇野宗佑紹介)(第二六七六号)  同外二件(小川平二紹介)(第二六七七号)  同外三件(大石武一紹介)(第二六七八号)  同外十五件(大久保武雄紹介)(第二六七九  号)  同(金子一平紹介)(第二六八〇号)  同(北澤直吉紹介)(第二六八一号)  同(世耕政隆紹介)(第二六八二号)  同外二件(田村元紹介)(第二六八三号)  同(高橋清一郎紹介)(第二六八四号)  同(竹内黎一君紹介)(第二六八五号)  同外一件(野田卯一紹介)(第二六八六号)  同外十一件(増田甲子七君紹介)(第二六八七  号)  同外二件(粟山ひで紹介)(第二六八八号)  同(森山欽司紹介)(第二六八九号)  健康保険法及び船員保険法臨時特例に関する  法律案反対に関する請願大柴滋夫紹介)(  第二五四二号)  療術新規開業制度に関する請願佐藤洋之助  君紹介)(第二五四三号)  同(笹山茂太郎紹介)(第二六六九号)  同(佐々木義武紹介)(第二六七〇号)  同(塩川正十郎紹介)(第二六七一号)  同(根本龍太郎紹介)(第二六七二号)  同(松田竹千代紹介)(第二六七三号)  同(村上勇紹介)(第二六七四号)  同(和爾俊二郎紹介)(第二六七五号)  栄養士法第五条の二改正に関する請願渡海元  三郎紹介)(第二五四五号)  同(床次徳二紹介)(第二五四六号)  同(増田甲子七君紹介)(第二六六八号)  衛生検査技師法の一部改正に関する請願羽田  武嗣郎紹介)(第二五四七号)  同(福家俊一紹介)(第二六六七号)  ソ連長期抑留者補償に関する請願堀昌雄君  紹介)(第二五四八号)  日雇労働者健康保険廃止反対等に関する請願  外一件(小川三男紹介)(第二五四九号)  同(中澤茂一紹介)(第二五五〇号)  同(中嶋英夫紹介)(第二五五一号)  同(高田富之紹介)(第二五五二号)  同外二十三件(華山親義紹介)(第二五五三  号)  同(山本政弘紹介)(第二五五四号)  同外二件(小沢貞孝紹介)(第二六〇五号)  同外一件(太田一夫紹介)(第二六〇六号)  同外八件(木原実紹介)(第二六〇七号)  同(神門至馬夫君紹介)(第二六〇八号)  同(島上善五郎紹介)(第二六〇九号)  同外四十九件(塚本三郎紹介)(第二六一〇  号)  同(中嶋英夫紹介)(第二六一一号)  同外三件(長谷川正三紹介)(第二六一二  号)  同(原茂紹介)(第二六一三号)  同(平林剛紹介)(第二六一四号)  同外三件(山口鶴男紹介)(第二六一五号)  日雇労働者健康保険改悪反対等に関する請願  (神門至馬夫君紹介)(第二六〇四号)  引揚医師の免許及び試験の特例に関する請願(  本島百合子紹介)(第二六六六号)  農協及び生協共同利用施設環境衛生関係営  業規制に関する請願森田重次郎紹介)(第  二六九〇号)  戦傷病者に対する傷病恩給等生活保護法の収  入対象より除外に関する請願關谷勝利君紹  介)(第二六九九号)  戦傷病者等の妻に対する特別給付金の不均衡是  正に関する請願外一件(關谷勝利紹介)(第  二七〇三号)  戦没者等の妻に対する特別給付金の不均衡是正  に関する請願關谷勝利紹介)(第二七〇四  号) 同月十日  日雇労働者健康保険廃止反対等に関する請願  (太田一夫紹介)(第二七〇六号)  同(北山愛郎紹介)(第二七〇七号)  同(神門至馬夫君紹介)(第二七〇八号)  同(東海林稔紹介)(第二七〇九号)  同(田中武夫紹介)(第二七一〇号)  同(只松祐治紹介)(第二七一一号)  同(千葉佳男紹介)(第二七一二号)  同外一件(野間千代三君紹介)(第二七一三  号)  同(山花秀雄紹介)(第二七一四号)  同外十件(角屋堅次郎紹介)(第二八二五  号)  同(田邊誠紹介)(第二八七五号)  全国産業一律最低賃金制確立等に関する請願  (岡田春夫紹介)(第二七一五号)  同(工藤良平紹介)(第二七一六号)  同(栗林三郎紹介)(第二七一七号)  同(内藤良平紹介)(第二七一八号)  同(野間千代三君紹介)(第二七一九号)  同(福岡義登紹介)(第二七二〇号)  同(山内広紹介)(第二七二一号)  同(角屋堅次郎紹介)(第二八二四号)  健康保険制度改悪反対に関する請願加藤勘十  君紹介)(第二七二二号)  同外二件(佐藤觀次郎紹介)(第二七二三  号)  同外一件(東海林稔紹介)(第二七二四号)  同(千葉佳男紹介)(第二七二五号)  同(内藤良平紹介)(第二七二六号)  同(野間千代三君紹介)(第二七二七号)  同外三件(華山親義紹介)(第二七二八号)  同(神門至馬夫君紹介)(第二八二六号)  同(中嶋英夫紹介)(第二八二七号)  同外七件(佐藤觀次郎紹介)(第二八七三  号)  同(島本虎三紹介)(第二八七四号)  全国産業一律最低賃金制及び医療保障確立  等に関する請願東海林稔紹介)(第二七二  九号)  同(内藤良平紹介)(第二七三〇号)  医療保険制度改悪反対に関する請願千葉佳男  君紹介)(第二七三一号)  同(野間千代三君紹介)(第二七三二号)  各種福祉年金併給限度緩和に関する請願外四  件(青木正久紹介)(第二七三三号)  同(伊藤宗一郎紹介)(第二七三四号)  同(岡本茂紹介)(第二七三五号)  同(大坪保雄紹介)(第二七三六号)  同外一件(仮谷忠男紹介)(第二七三七号)  同(倉石忠雄紹介)(第二七三八号)  同外一件(小山長規紹介)(第二七三九号)  同(谷垣專一君紹介)(第二七四〇号)  同(藤本孝雄紹介)(第二七四一号)  同外一件(増田甲子七君紹介)(第二七四二  号)  同外十件(三ツ林弥太郎紹介)(第二七四三  号)  同外四件(渡辺美智雄紹介)(第二七四四  号)  同(大野市郎紹介)(第二八一八号)  同外三件(瀬戸山三男紹介)(第二八一九  号)  同外七件(中垣國男紹介)(第二八二〇号)  同外八件(中山榮一紹介)(第二八二一号)  同(早川崇紹介)(第二八二二号)  同(小渕恵三紹介)(第二八六〇号)  同(大竹太郎紹介)(第二八六一号)  同(吉川久衛紹介)(第二八六二号)  同(黒金泰美紹介)(第二八六三号)  同(倉石忠雄紹介)(第二八六四号)  同外六件(小宮山重四郎紹介)(第二八六五  号)  同外五十六件(砂原格紹介)(第二八六六  号)  同外四件(田村良平紹介)(第二八六七号)  同(谷垣專一君紹介)(第二八六八号)  同外三件(羽田武嗣郎紹介)(第二八六九  号)  同外十件(長谷川四郎紹介)(第二八七〇  号)  同外十件(八田貞義紹介)(第二八七一号)  療術新規開業制度に関する請願赤城宗徳君  紹介)(第二七四五号)  同(永田亮一紹介)(第二七四六号)  健康保険制度改善に関する請願和田耕作君紹  介)(第二七四七号)  同(山本政弘紹介)(第二八二三号)  同外一件(佐藤觀次郎紹介)(第二八七二  号)  日雇労働者健康保険制度の存続及び給付内容改  善に関する請願大竹太郎紹介)(第二七七  九号)  保育所予算確保に関する請願池田清志君紹  介)(第二七八二号)  はり、きゆう治療費患者負担軽減に関する請  願(池田清志紹介)(第二七八三号)  あんま師等社会保険施術に関する請願池田  清志紹介)(第二七八四号)  社会福祉事業法等の一部改正に関する請願(大  久保武雄紹介)(第二八二八号)  衛生検査技師法の一部改正に関する請願外一件  (八田貞義紹介)(第二八七六号)  季節労働者に対する失業保険改悪反対に関す  る請願外一件(横山利秋紹介)(第二八七七  号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  最低賃金法の一部を改正する法律案内閣提出  第一三六号)  駐留軍労働者雇用の安定に関する法律案(山  花秀雄君外十二名提出衆法第一七号)  国有林労働者雇用の安定に関する法律案(河  野正君外十一名提出衆法第一八号)  最低賃金法案多賀谷真稔君外十二名提出、衆  法第五号)  家内労働法案多賀谷真稔君外十二名提出、衆  法第六号)  失業保険法及び労働者災害補償保険法の一部を  改正する法律案内閣提出第一〇四号)      ————◇—————
  2. 川野芳滿

    川野委員長 これより会議を開きます。  内閣提出最低賃金法の一部を改正する法律案議題として審査を進めます。
  3. 川野芳滿

    川野委員長 提案理由説明を聴取いたします。早川労働大臣
  4. 早川崇

    早川国務大臣 ただいま議題となりました最低賃金法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容概要を御説明申し上げます。  最低賃金制につきましては、昭和三十四年の法施行以来今日までにその適用を受ける労働者中小企業中心として約五百五十万人に達するとともに、その金額も逐次改善を見せ、賃金の低廉な労働者労働条件改善中小企業近代化に役立ってまいりました。  この間、わが国経済高度成長の過程において、若年労働者中心とする労働力逼迫等により一般賃金の上昇は著しいものがあり、このような中でなお改善から取り残される労働者に対し、より効果的な最低賃金制度確立してその生活の安定と労働力質的向上をはかっていく必要はますます大きくなっていると考えます。  かかる事情にかんがみ、政府は、一昨年来中央最低賃金審議会に今後の最低賃金制のあり方の御検討をお願いしていたところでありますが、先般同審議会より答申提出されました。その答申に基づきまして、最低賃金決定方式については、業者間協定に基づく決定方式廃止し、最低賃金審議会調査審議に基づく決定方式中心とすることに改めることが適当であり、また、このような措置を円滑に進めるためにはある程度の経過措置が必要と考え、ここに最低賃金法の一部を改正する法律案提出いたした次第であります。  次に、この法律案内容につきまして概略説明申し上げます。  第一には、最低賃金制度をより効果的なものとするため、業者間協定に基づく最低賃金及び業者間協定に基づく地域的最低賃金二つ最低賃金決定方式廃止することといたしております。  このことに関連して、最低賃金審議会調査審議に基づく最低賃金につきましては、労働大臣または都道府県労働基準局長は、従来、その他の方式により最低賃金決定することが困難または不適当と認めるときに限り審議会調査審議を求めることができることとされておりましたが、その要件を除き、賃金の低廉な労働者労働条件改善をはかる必要があると認めるときは、調査審議を求めることができることといたしております。なお、最低賃金審議会調査審議を行なう場合においては、関係労働者及び関係使用者意見を聞くものとするとともに、労働大臣または都道府県労働基準局長最低賃金決定に先立ち、関係労働者及び関係使用者は異議の申し出をすることができることといたしております。  第二には、業者間協定に基づく最低賃金及び業者間協定に基づく地域的最低賃金二つ決定方式廃止に伴う必要な経過措置を定めることといたしております。すなわち、現在まで業者間協定に基づく最低賃金決定方式が広く実施されている実情にかんがみ、その廃止に伴い無用な混乱を生ずることのないよう、法施行の際現に効力を有する業者間協定に基づく最低賃金及び業者間協定に基づく地域的最低賃金は、法施行後なお二年間はその効力を有することとし、その間においてはなお従前の例により改正または廃止することができることといたしております。しかしながら、その期間内に最低賃金審議会調査審議に基づく最低賃金が新たに設定または改正されたときは、その最低賃金適用を受ける労働者については、業者間協定方式による最低賃金はその効力を失うものといたしております。  以上、この法律案提案理由及びその概要につきまして御説明申し上げました。  何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。     —————————————
  5. 川野芳滿

    川野委員長 次に、山花秀雄君外十二名提出駐留軍労働者雇用の安定に関する法律案河野正君外十一名提出国有林労働者雇用の安定に関する法律案多賀谷真稔君外十二名提出最低賃金法案、同じく家内労働法案の各案を議題として審査を進めます。
  6. 川野芳滿

    川野委員長 提出者より提案理由説明を聴取いたします。河野正君。
  7. 河野正

    河野(正)議員 私は日本社会党を代表いたしまして、ただいま議題となりました駐留軍労働者雇用安定に関する法律案提案理由並びにその骨子について、御説明申し上げます。  御承知のように、この法律案はわが党から数回にわたって提案いたしてまいったものでありますが、残念ながら成立を見なかったのであります。しかしながら、日本社会党が再三再四にわたってこの法律案を提案いたします理由は、この法律案駐留軍労働者雇用の安定と生活確保のために、必要欠くべからざるものと判断しているからであります。  これまでも強調してまいりましたが、駐留軍労働者地位はきわめて不安定であります。三十九年には、アメリカドル防衛政策とその戦略変更によって、五千人をこえる労働者解雇されました。また四十年においても約二千人に近い労働者が離職するなど、毎年数千名にのぼる労働者予算の削減や部隊の統廃合などの合理化によって離職せざるを得なくなっているのであります。しかも、これらの離職者のうち、再就職したものはわずかその三〇%前後にすぎず、その他の者は、なお安定した職場を得ていないというのが実情であります。  この一事をもってしても、駐留軍労働者雇用がいかに不安定であるか明らかだと思いますが、日本社会党といたしましてはぜひとも、緊急にこれらの労働者雇用安定をはかる必要があると考える次第であります。  特にこれらの労働者米軍のもとで働いているものでありますが、その雇用については日本政府雇用主であります。したがいまして、これらの労働者がもし米軍の都合により解雇されました場合には、日本政府がその再雇用の責任を持つのが当然だと考えるのであります。  しかも米軍基地は、日本政府の意向とはかかわりなく、アメリカ政府軍事戦略によって、変更、移動または廃止される地位にあるのであります。したがいまして、駐留軍労働者職場は、いつ、いかなる事由によってなくなるかわからないという特殊性、不安定さを持っているのであります。この点こそが、一般産業雇用問題と根本的に相違するところでありまして、そこに、駐留軍労働者雇用安定策必要性が存在するのであります。  日本社会党は、以上のような理由から、特にこれらの労働者雇用について法的保障が必要と考え、駐留軍労働者雇用安定法案を提案いたしているのであります。  次に法律案概略を御説明申し上げます。  第一に目的では、米軍撤退等に伴って解雇される場合には、安定した職場への再就職を容易にするための必要な措置を講じ、これらの労働者雇用の安定をはかろうといたしているのであります。  第二に、本法案によって保護される駐留軍労働者の範囲は、もっぱら政府雇用労務者だけを対象といたしております。  第三に、防衛施設庁長官アメリカ軍撤退等の場合に余剰となった労働者解雇しようとするときは、労働大臣同意を得なければならないことといたしました。この場合に労働大臣同意は、解雇されようとする労働者が安定した職業に再就職することが確実である場合にだけ許され、かつ、その同意はあらかじめ駐留軍労働者雇用安定審議会意見を聞かなければならないことといたしております。さらに、同意を得ないでなされた解雇は無効であることを確認的に規定いたしております。  第四に、雇用計画についての規定は、アメリカ軍撤退等による余剰労働者を転職させる計画作成義務労働大臣に負わせ、これには解雇制限を受けた労働者についてだけでなく、将来予想される余剰労働者についても雇用計画に織り込むことといたしております。  第五に、転職促進措置の実施を規定し、職業指導職業紹介公共職業訓練その他の措置が効果的に関連して実施されるような義務労働大臣義務づけました。  第六に、労働大臣の不同意にかかる労働者に対する措置規定し、解雇制限を受けた労働者にはそのすべてに対して転職促進措置を必ず受けさせる義務を課すことといたしました。  第七に、駐留軍労働者雇用安定審議会に関する事項を規定いたしました。  以上が、駐留軍労働者雇用安定に関する法律案提案理由とその骨子であります。何とぞ慎重審議の上、本法案の御採決をお願いするものであります。
  8. 川野芳滿

    川野委員長 次に、田邊誠君。
  9. 田邊誠

    田邊議員 私は日本社会党を代表いたしまして、ただいま議題となりました国有林労働者雇用の安定に関する法律案について、その提案理由内容について、御説明申し上げます。  現在、五十万人に及ぶ山林労働者は、人里離れた山奥で家族と別れ、昔ながらの封建的身分差別と非近代的な労働条件に苦しみながら、森林資源の造成、木材生産に従事しているのであります。しかし歴代保守政府の進めてきた高度成長政策は、山林労働者をも一そうの貧困の谷間におとしいれ、近代文化の恩恵に浴することもなく、生活近代化は望むべくもない状態に放置されているのであります。すなわち、これらの労働者賃金は、依然として人間としての最低生活を維持するにはほど遠い状態であり、労働条件規定した労働基準法中心的規定であります労働時間、休日休暇の規定は、その適用が除外されているのであります。したがって、これらの労働者は、低賃金構造との関連で、今日もなお長時間労働が強要されている状態であります。  わけても十五万人に及ぶ国有林労働者は、国有林に専業的に働き、その生計を国有林に依存し、二十年、三十年の勤続表彰を受けておりながらも、林野庁当局の降雪、積雪を理由とする休業のため、毎年首切りが行なわれているのであります。その結果、毎年三カ月から六カ月にわたって失業するという状態が繰り返され、国有林労働者身分生活を極度の不安におとしいれているのであります。  しかも、これらの国有林労働者は、定員内職員、常用作業員、日雇い作業員、臨時日雇い作業員という雇用区分によって、その労働条件に大きな格差が設けられているのであります。このような国有林労働者の差別支配を強行している当局が、国有林を管理運営する林野庁という名の政府機関の一部であることは、私の最も遺憾とするところであります。  さらに、一昨年三月の中央森林審議会国有林経営合理化に関する答申によると、国有林野事業を利潤追求を第一義とした企業性重視の立場から、労働者や地元農民、中小企業者の犠牲によって一そうの合理化をはかろうとしているのであります。これは高度成長政策のしわ寄せによる国有林経営の悪化を、国有林労働者の人減らしと労働強化によって切り抜けようとするものであり、その矛盾をますます拡大する以外の何ものでもありません。  最近開催されましたILO国家公務員専門家会議においては「恒常的な職務を遂行するため必要とされる職員は、常勤として採用されなければならないし、その間といえども常勤と非常勤との間の法的身分の違いをもって、賃金労働条件全体について差別の理由とすべきでない」という報告をしているのであります。したがいまして現在、林野庁が行なっております労務政策は、このILOの見解にも全く違反しているのであります。  このような国有林労働者の現状にかんがみまして、これらの労働者雇用を継続させ、その雇用生活の安定をはかる必要があると考えるのであります。これがこの法律案提出する理由であります。  次に、この法律案概要について説明申し上げます。  まず、国は、国有林労働者として前年度及び前々年度において、それぞれ継続して六カ月以上雇用された者、また前年度において継続して十二カ月雇用された者については、当該労働者が希望するときは、これらの労働者を常時雇用する国有林労働者として雇用しなければならないもの、といたしました。  第二に、国有林労働者が一年を通じて労働することができるようにするため、国はできる限り、国が直接実施する国有林野事業の事業量の増大及び作業量の平均化をはかる義務があることを明らかにいたしました。  第三には、国は、前年度において継続して六カ月以上国有林労働者として雇用された労働者で、常時雇用国有林労働者対象とならなかった者については、当該労働者が希望する限りは、次年度においても再雇用を保障する義務があることといたしました。  第四には、常時雇用される国有林労働者が、降雪または積雪のために休業せざるを得なくなった場合には、国は、労働基準法第二十六条の規定にかかわらず、特別休業手当として、平均賃金の六〇%以上の手当を休業期間を通じて支払わなければならないことといたしました。  以上が国有林労働者雇用の安定に関する法律案提案理由及びその概要であります。何とぞ慎重審議の上、すみやかに御賛同あらんことをお願い申し上げます。
  10. 川野芳滿

    川野委員長 次に、川崎寛治君。
  11. 川崎寛治

    川崎(寛)議員 私は、提案者を代表いたしまして、ただいま議題となりました最低賃金法案につきまして、提案理由並びに内容について御説明申し上げます。  申すまでもなく最低賃金制は、制度ができた初めのころは、欧米資本主義社会の中でも極度に窮乏化した一部の極貧層の労働者救済のための社会政策として、資本家の側からは、産業平和や社会緊張緩和のための手段として採用されてきたのであります。  しかるに、第二次大戦後においては、最低賃金制労働者最低生活保障のための統一要求として掲げられるようになったのであります。  本来、最低賃金制の目的は、労働者最低生活水準を保障することであります。現在労働者最低生活費はほぼ全国同水準となっております。また学卒労働者の初任給水準も労働市場の需給状況を反映して格差は縮小しつつあります。  また最低賃金水準については産業別、規模別の格差も縮小しつつあり、このような現状のもとでは原則的には全国産業一律の最低賃金が設定されなければなりません。  今日わが国の経済情勢を見ますとき、工業生産においては、造船は世界第一位、自動車と化学繊維は第二位、鉄鋼とセメントは第三位であり、その経済成長率は実に世界第一位であり、鉱工業生産では世界第四位の地位を占めるに至っています。  しかるに国民一人当たりの所得は、国連統計によれば、驚くべし、何と世界第二十一位で中南米のベネズエラ以下というみじめな状態であります。すなわち、今日なお月二万円以下の低賃金労働者が膨大に存在し、このほか低い工賃のまま放置されている家内労働者は二百万世帯にも及んでいるのであります。  こうした著しい生産と所得の不均衡を是正し、健康で文化的な労働者生活を維持するに足る賃金を法的に保障することこそ最低賃金制を必要とするゆえんであります。  すでに現行法実施以来八年になりますが、適用労働者数は昨年六月現在で中小企業労働者一千三百万人のうち、四百六十万人にすぎず、しかもそのうち第九条の業者間協定方式による千九百九十七件の実に八八・一%は日額五百円以下なのであります。月額に換算すると一万三千円以下という賃金なのであります。しかもこの膨大な低賃金労働者の存在が、他の労働者賃金にも決定的な悪影響を与え、今日のわが国労働者生活を常に不安におとしいれているのみならず、法的最低賃金は、さらに米価の生産費に含まれる労働力の費用の基礎ともなり、農民の所得水準をも規制しているのであります。さらに生活保護基準、失業保険の最低額、失対賃金、国民年金とも関連、低い国民生活水準のおもしとなっているのであります。まさに、鉱工業生産世界第四位を誇り、経済成長率第一位を呼号するわが国の見せかけの繁栄を物語っていると申せましょう。現行最賃法が、資本にとっていかに有効な役割を果たし、労働者並びに国民各層にとっては、その生活を圧迫する役割しか果たしていないのであります。  政府もようやくその非を認め、今回改正に至ったわけでありますが、しかしこの業者間協定の汚名はわが国労働法規上悪法の最たるものとして永久に消えることはないでありましょう。  われわれが、現行法制定の際に鋭く指摘したように、現行制度によって、日本のあるべき最低賃金構造は少くとも数年の立ちおくれを招いたと断ぜざるを得ません。政府の責任はきわめて重大であります。  今日、雇用情勢は逼迫の度を加え、人手不足の傾向は深まり、今後の企業の深刻な問題は労働力不足にあるとさえいわれています。いまや低賃金によって国際競争に立ち向かう時代は過ぎ去りました。東南アジアでは繊維、造花等に見られるごく低賃金労働力に押しまくられているではありませんか。  したがって、今後のわが国経済は、先進国の名にふさわしい高度の技術によってその発展を期すべきであり、それは労働者最低生活水準を保障することによってのみ可能であります。  いまこそ真の最低賃金制確立することは国家の急務であります。下請の上に大企業がそびえ立っている経済の二重構造を解消する方向はこれをおいてありません。  以下法案内容について御説明申し上げます。  まず第一に、最低賃金適用方式全国一律制にいたしたのであります。このことは特にわが国のように、産業別、業種別、地域別の賃金格差がはなはだしく、低賃金労働者が多数存在する状態のもとでは、それぞれの最低賃金を定めることは最低賃金制度の効果を半減せしめるからであります。  なお、全国一律の最低賃金制の上に、労使の団体協約に基づいた産業別あるいは地域別に拘束力を持つ最低賃金の拡張適用の制度も積み上げることにいたしました。  第二は、最低賃金決定については、労働者の生計費(原則的には標準家族の必要生計費)と一般賃金水準等を考慮してきめることといたしました。  第三に、最低賃金決定及び改正は行政委員会の性格を持つ最低賃金委員会に権限を持たせることとし、同委員会は労使同数の委員とその三分の一の公益委員をもって構成することといたしました。  第四に、最低賃金委員会は六カ月に一回必要生計費及び一般賃金水準に関する調査を行ない、その結果を公表し、必要生計費が三%以上増減したときには最低賃金改正決定することといたしました。  以上、この法律案提案理由及びその概要につきまして御説明申し上げました。  今日までのにせ最低賃金法に対する汚名をそそぐために何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願いして提案説明を終わります。  次に、家内労働法案提案理由説明いたします。  私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま議題となりました家内労働法案につきまして、提案理由並びにその概要を御説明申し上げます。  さて、御承知のように、今日の日本経済のめざましい発展は、一方ではあらゆる分野に格差やひずみを生じ、特に家内労働の性格にも大きな変化があらわれ、物価高に対する収入を確保するため、一般労働者の主婦が家内労働に従事する傾向が強まってまいりました。また経営者にとりましても、電気器具、プラスチック製品、メリヤス、紙器などの分野では若年低賃金労働力の不足に対処するため、家庭主婦の家内労働への活用が増大しておるのであります。  政府の調査によりましても、現在家内労働者は約八十四万人にものぼり、そのうち九〇%以上が女子で占められ、地域的には六大都市に集中し、産業別には繊維工業並びに雑貨工業がその八〇%を占めているといわれております。しかし、これら家内労働者の工賃は、驚くなかれ一時間当たり三十円程度といわれ、しかも労働条件もきわめて劣悪で、作業環境が不備なため安全衛生上の問題が頻発していることは御存知のとおりであります。  政府も、こうした現状を放置しておくことができず、さきに臨時家内労働調査会を設置し、今後の対策として最低工賃と標準工賃制度、労働時間の適正化、安全衛生、労働保険の適用などについて、その必要性を強調しているのであります。しかも今日の家内労働の増大は、学卒労働力の不足からくる賃金上昇のために、中小企業が家内労働に依存する結果あらわれた現象でありまして、また家内労働が増大すればするほど、雇用労働者労働条件の向上を阻害する要因となっていくことは明らかであります。わが国低賃金の温床的役割りを果たしている、これら家内労働者を苦汗労働から解放し、あわせて家内労働に依存せざるをえない諸産業近代化を促進する上からも、いまや抜本的な立法措置を講ずることは国家の急務であると考えるのであります。これがこの法律案提出する理由であります。  以下、この法律案概要について御説明申上げます。  まず第一に、本法案適用範囲は、同居の親族以外の者を使用しないで家内労働に従事する者に限ることとし、事業主がこれら家内労働者に物品の製造等を委託する業を営む場合は、行政当局に届け出なければならないことといたしました。  第二に、家内労働者には家内労働者手帳を交付し、労働条件などを委託に際して明記させ、もって委託者の不正を規制することといたしました。  第三に、家内労働者の最低工賃は、社会党提出最低賃金法案による一般労働者最低賃金額に見合う額で、都道府県労働基準局長が、地方家内労働審議会の議を経て決定することといたしております。  第四に、家内労働者労働時間、危険有害業務の委託等について若干の規制を加えるとともに、労働基準法規定を大幅に準用することといたしまして、一般労働者と同様にその労働条件改善をはかることといたしました。  第五に、家内労働者が団結して労働条件等につき、委託者またはその団体と労働協約の締結等の交渉をするため、家内労働者組合を組織することができることとし、これに労働組合法の規定を準用するとともに、家内労働関係の当事者間において争議行為が発生した場合における、あっせん、調停について規定いたしました。  以上が、本法律案提案理由とその主たる内容であります。何とぞ慎重審議の上、すみやかに御賛同あらんことをお願い申上げます。
  12. 川野芳滿

    川野委員長 以上で各案の提案理由説明聴取を終わります。      ————◇—————
  13. 川野芳滿

    川野委員長 次に、内閣提出失業保険法及び労働者災害補償保険法の一部を改正する法律案議題として審査を進めます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。後藤俊男君。
  14. 後藤俊男

    ○後藤委員 実は、今度の失業保険改正中心につきましては五つくらいあると思います。そこで、総理府の人事局長に、何か十二時以降は差しつかえがあるそうでございますので、その問題を先にお聞きいたしたいと思うわけです。  この前、先週の火曜日でございますか、今度の失保の改正の一番最後の国家公務員等退職手当法の一部改正の第十条でございますか、このことにつきまして、時間が非常に短うございましたので、非常に簡単な説明をいただいたわけでございますけれども、さらにこの問題につきましては、林野庁にも非常に関係の深い改正になろうと思っておるわけです。私、考えてみますと、失業保険と退職手当とはおのずからその性格が違うと思うわけなんです。おのずから性格の違うものを、失業保険法改正になって、三回目が四十五日になるから、これと歩調を合わせて国家公務員等退職手当法の一部も改正するのだ、いわばこういう簡単な、一口に言えばいま申し上げましたような説明があったと私記憶をいたしておる次第でございますが、この点につきましては、やはりどう考えてみましても、この前の説明におきましては、これはどうしても納得するわけにはまいりません。さらに、何かの法律でそういうふうにしなければいけないというふうな、拘束されるものがあればいざ知らず、これは全然ないと思います。でありますのに、今度の失保の改正に基づいて公務員の退職手当法を右へならえして改正をする。しかも失業保険そのものと退職金との性格がおのずから違うのに、なぜ一体こういうふうに歩調を合わせた改正をしなければいけないか。この点についてこの前の説明もいただいたわけでございますけれども、さらに一歩突っ込んでよくわかるような御説明をお願いいたしたいと思います。
  15. 増子正宏

    ○増子政府委員 失業保険法改正に伴う公務員の退職手当法の改正につきましての御質問でありますが、前回にも申し上げましたところでございますが、公務員につきましては御承知のように原則として退職手当制度が適用されておりまして、失業保険法適用は受けないわけでございます。退職手当と失業保険制度は全くその趣旨なり内容、形式等が異なるものでありますことは御指摘のとおりでございます。したがいまして、国家公務員等に対する退職手当の制度は、これはこれで一応完結した姿のものであり、また他方において失業保険法は、失業者にいわゆる保険制度による失業手当の給付を内容とするものでございますので、それはそれでまた別個のものである。したがって国家公務員についてはそれで一応事が足りていると考えれば考えられないこともないわけでございます。しかしながら、国家公務員としまして退職しました場合に退職手当法による退職手当が支給される。一方において、大体それと同じような状態における者が失業保険法適用を受けておって、失業した場合に失業保険金を受け取る、その両者を比べました場合に、退職手当を受けた者のほうが損をするといいますか、それが失業保険適用を受けておれば、もっとよけいに給付を受けるという場合が事実問題としてあり得るわけでございます。というのは、本来両者を初めから比較して、同じようになるということでつくったものではないわけでございますので、どうしてもそういう場合が出てまいるのでございます。それを救済する制度として、つまり退職手当法による退職手当をもらったのでは、失業保険の場合と比べて不利益になる。失業保険法適用を受けて保険金をもらった場合のほうがよけいに給付を受けられるという場合がたまたま出てくる。そういう場合にその差額分は、実はこれは退職手当としてはほうっておいてもいい問題でございますけれども、そういう場合は、いわば気の毒というか、やはり考慮する必要があるという意味において、その差額分を特別の退職手当として給付するという仕組みをとったのがこの失業者の退職手当の問題でございますので、したがいまして公務員が退職しました場合には、原則的には一般の退職手当制度によりまして退職金を受け取るわけでございます。大部分の公務員はそれでこの関係は終わりということになるわけでございます。しかし、たとえば在職期間が非常に短い者につきましては、退職手当法の計算によりますと、一定の金額、具体的に言いますと、かりに日額を基礎にして申しますれば、二十日分くらいしか退職手当をもらわない場合があるわけでございます。しかし同じ条件の者、大体似たような者が失業保険適用を受けると九十日の保険給付を受ける。そうすると七十日分は失業保険金の給付のほうがよけいになるという事態があり得るわけでございます。それを救済するために、失業保険法規定に従って受け取る金額との差額分だけは、これは実質は失業保険金でございますけれども、退職手当として一般の退職手当のほかにプラスするという制度でございます。  ですから内容的に申し上げますと、この失業者の退職手当というものは国家公務員等退職手当法の中で規定はされておりますけれども、特別の退職手当であり、内容的に見ますと、失業保険制度による保険金と全く実質的にはひとしいものと考えていただいていいわけのものでございます。つまり国家公務員の退職手当制度を、失業保険制度による保険金等と比べまして、公務員が失業者の場合より不利益にならないように調整するために特別につくった制度、それが失業者の退職手当ということでございます。したがいまして国家公務員等退職手当法におきましても特に失業者の退職手当というふうに銘を打っているわけでございます。したがいまして、この失業者の退職手当というのは、当然国家公務員等退職手当法による一般の退職金をもらった上で、そのほかにプラスされるものでございます。そのプラスされるしかたも、全く失業保険法の支給条件に従って支給される。すなわち国家公務員が退職して退職手当を若干もらった。しかし引き続き失業の状態にあるという場合に、初めて失業保険法規定に準じた取り扱いでこのプラスされる退職手当が計算されるということでございます。これは失業しているという条件がなければ出ないものでございます。たびたび繰り返しますように、この国家公務員等退職手当法による退職手当ということでございますけれども、その実質は失業保険金と同様の内容のものであるということ、それは一般規定によって計算される退職手当のほかに特別に出るものであるということでございます。  以上の点をまず御理解いただけますれば、今回の改正の事情も御理解いただけるのではないかと思うわけでございます。すなわち一般失業保険制度、失業保険法規定によって支給される保険金と比べまして、足りない分を出すというものでございますから、今回一般失業保険法内容が改定されるということになりますれば、その改定されるところに従って、一体幾らもらえるかということ、それとの差額を退職手当として追加する、こういう仕組みになるわけでございます。したがいまして逆に言いますと、失業保険金との差額を退職手当として支給するのはそのままとして、しかし一方で失業保険法は、いかに改正されてもそれとはかかわりなしにやるというのは、むしろかえって筋が通らなくなるというふうに私ども考えるわけでございます。失業保険法によるならば、一体どれだけ給付されるかということが肝心でございますから、失業保険法改正があれば、またその改正によって計算した場合には、それがどうなるかという形をとらざるを得ない。そういうことで一般失業保険法改正に応じまして、今回この改正を行なうということにいたしたわけでございます。
  16. 後藤俊男

    ○後藤委員 いま、まことに御丁寧な説明をいただいたわけでございますが、どうもいま言われましたように、たとえば公務員の手当法によって、六カ月以上働いて退職手当をもらう。ところが失業保険金と比較しますと、失業保険金の多い場合は、その差額はプラスをして支給するんだ、これは公務員の優遇措置として考えておるんだというふうな説明だったと思うわけです。もちろん足らぬところもございましょう、だいぶ長くしゃべられましたので。  そこで、退職手当法というのは、公務員に対する退職手当だと思います。片方失保が改正になって、三回目から四十五日になるから、それを基準に公務員の退職手当法もなぶらなければいけない、そこがわからぬわけです。大体いままでこういうふうにやってきたから、失保も三回目からこういうふうに減るから、退職金の法律もそのように減らすのだ、一口に言えばそういう説明だと思いますけれども、おのずから公務員の退職手当というのはあくまでも私、退職手当だと思います。失業保険法改正になったから、なぜ一体それに歩調を合わせなければいけないのか。これは特に林野庁あたりに関係があると思いますけれども、いまの問題について林野庁としては、当然あなたのほうで雇われる労働者が、今後そういう扱いになると思うわけです。退職手当法が改正されて、三年目から半分になってしまう。こういうふうなことに今日されようとしておると思いますが、これに対して林野庁の長官としては、一体どういうふうな考え方を持っておいでになるのか。これは当然のことだ、いや、これはまことに残念だ、いや、おれはこんなことになるのは反対だ、いろいろな御意見があろうと思います。その辺をひとつお聞かせ願いたいと思います。
  17. 若林正武

    ○若林政府委員 先ほど総理府のほうからお答えがございましたが、失業者の退職手当、失業保険、この二つのものは実質的な性格におきまして、同じ趣旨のものであるというふうに私どもも理解をいたしておるのでございます。したがいまして、今回失業保険法改正ということに伴いまして、国家公務員等の退職手当法の改正もされるというふうに承知をいたしておるのでございます。
  18. 後藤俊男

    ○後藤委員 林野庁の長官にちょっとお尋ねいたしたいと思うのですが、大体いままでこういう扱いをされてきた、たとえば六カ月余り臨時人夫のような季節人夫というのですか、使った。その人は公務員の扱いを受けておると思いますが、そうじゃないですか。
  19. 若林正武

    ○若林政府委員 御承知のように、一日雇用いたしましても国家公務員でございます。
  20. 後藤俊男

    ○後藤委員 そうしますと、いまたとえば七カ月雇った、その人も公務員として当然扱われてきたんだ。その人がおやめになるときには公務員の退職手当法で退職金をおもらいになる、これはもう当然のことだと思います。ただし、失業保険のほうが金額が多いときは、その多い分だけはプラスします。これは優遇的にそういうことが考えられておるのだ、それが退職手当法の第十条でございますか、なっておると思うわけでございますけれども、それなら公務員として六カ月なり七カ月間、八カ月間働かれた人の公務員の退職手当法を、失保がこうなるからこれに同一歩調で直さねばいかぬという理由は、私はどうしても見つからぬと思うわけです。ただその点だけなんです。その点をもう少しよくわかるように話をしていただきたいと思うわけです。
  21. 増子正宏

    ○増子政府委員 いま、ある職員が国家公務員として七カ月なら七カ月、常勤職員として勤務したということになりますれば、これは当然退職手当法の適用を受けて退職手当が出ることは御指摘のとおりでございます。つまり、現在では六カ月以上勤務すれば退職手当を出すということになりますし、その場合には退職手当としてはいわば最低率のものでございます。端的に言いますと、一年について、まあ一年までは——大体一年一カ月という計算が原則でございますけれども、短期の場合にはそれの六割になりますので、いわばかりに御指摘の七カ月勤務した者の退職手当は、一カ月分の俸給の六割という計算になります。一カ月、三十日——かりに日数で言いますと、三十日の六割ですから、日数にして十八日分の賃金といいますか、それに相当する手当が退職手当法による退職手当、しかも、一般の退職手当として支給されるわけです。これはこれでもうどんな場合でも別に変わりません。普通の場合には、本来ならばそれで終わりなんです。しかし、六カ月なり七カ月、常勤職員でなくて非常勤の職員として国につとめているという場合には、これは退職手当法の適用はございませんで、失業保険法適用になるのです。その場合には、その人がやめますと当然失業保険金をもらうことになります。これは国家公務員退職手当法の適用がなくて、失業保険の仕組みから保険金をもらうことになるわけです。その場合には、最低の失業保険法の要件を満たしている限りは、九十日分の給付を受けるわけでございます。同じような状態でありながら、片方は十八日、片方は九十日間もらえるという、これは現実の事態があり得るわけでございます。それがいかにも不均衡じゃないか。まあ退職手当法の制度からいえばそれでもいいのですけれども、現実の問題としてはそこを何とか考えるべきじゃなかろうかということから、不足分について特別の退職手当というものを考え出した、それがつまり十条の内容のものでございます。  これはいわゆる本来の退職手当の問題じゃございませんで、退職手当のプラスアルファ分、そのプラスアルファ分というのは、全く失業保険制度の内容に準じたものということなんでございます。したがいまして、今度失業保険法改正によって公務員の退職手当を改正するといいましても、これはいわゆる一般の退職手当のほうを改正して半減するとかなんとかいうことじゃございません。これは一般規定に従って、退職手当は退職手当としてやめたときに出るわけでございます。いま問題にしているのは、一ぺん退職手当をもらったあとで一定の条件があって、しかも本人が失業している場合に、失業保険法規定に準じて計算すればもらえるであろうものを、差額を職業安定所のほうから支給する、これはまさに支給の方法まで違うわけです。初めの一般の退職手当は、これは勤務した官庁からもらえるわけですけれども、あとの失業の状況によって不足分だけもらうというのは、名前は退職手当でございますけれども、失業保険金と同じような内容のものであり、しかも職業安定所から支給する、こういう仕組みになっているのが現在の失業者の退職手当でございます。したがいまして、これは実質的に全く失業保険とパラレルになっておる制度でございますので、いわゆる短期循環受給者に関する制度、これも失業保険金の場合と同様にしていかなければ、むしろ新しい不均衡がそこに出てきてしまう、こういうことになりますので、失業保険法改正と同じような改正をするということにしたわけでございます。
  22. 後藤俊男

    ○後藤委員 そうしますと、いま説明がありましたように、退職手当法に基づく計算よりか失業保険で計算して多い場合には、職業安定所のほうからその多い分を渡すんだ。そこで一歩突っ込んで、もし今度の改正が——これは通るか通らぬかわかりませんが、たとえば通ったとした場合に、公務員の手当法を改正しない場合を想定してみると、三回目は、四十五日というような、これは半分にならないわけです。退職手当法でもらうわけですね。改正しない場合にはそういうことになりますね。その場合には職業安定所云々の関係ではなしに、林野庁なら林野庁のほうからその人の退職手当を出すんだ、こういうことになると思います。  そこで、労働大臣にも私この問題に関連してお尋ねしたいのは、いわば短期循環で三回目半分にするというのは、均衡が云々というような問題が出てきておりますけれども、この問題につきましては均衡がとれるとかとれぬとかいう問題じゃないと思います。なぜならば、この公務員退職手当法を改正せずに現状のままいったといたしましても、失保のほうは三回目は半額になり四十五日になる。ところが、これを改正しない場合には現状のままいくから半分にならない。ならないけれども、それは職業安定所のほうから払うんではなしに、雇った官庁のほうから退職手当を払うんだ、こういうことになると思います。そうなってまいりますと、この中心の問題でありますところの合理化の問題、いわゆる均衡論はここにおいては論ずる必要は全然ないと思います。そういうようになると思います。それなのに一体なぜこういうふうに改正をしなければいけない根拠があるか、問題はここだと私は考えておるわけでございます。これは一体労働大臣はどういうふうにお考えになっておるか、ひとつ説明をしていただきたいと思います。
  23. 有馬元治

    ○有馬政府委員 御指摘の国家公務員の退職手当と失業保険制度の関係、これは非常にやっかいなんでございますが、ただいま人事局長から御答弁ありましたように、公務員の場合で勤続期間が短い場合には、現在の退職手当法の支給基準は動かしておりませんけれども、これで算定をした退職手当の金額よりも、失業保険金をかりにもらうと仮定したならば支給するであろう失業保険金のほうが高い場合がございます。これは差額を支給するということで、いわば、公務員について失業保険制度は適用されておりませんが、失業保険制度を最低保障としておるというふうなかっこうに相なっておるのでございます。しかし、いまの差額補給の場合の財源は失業保険の会計から出すのではなくて、それぞれの一般会計なりあるいは林野庁の特別会計なり、そういう会計から、これは保険でございませんので、一方的な差額補給として出しておるわけでございます。したがいまして、この点では最低保障の意味においては失業保険を最低保障としておりまするけれども、財政的な関係はないといいますか、違うわけでございます。このほかに、初めから非常勤職員として短期の雇用関係にある国家公務員がございます。これは約一万人近く失業保険金をもらっておりますが、この分は初めから失業保険適用者として登場してまいりまして、解雇されれば失業保険を支給する、こういうかっこうに相なっております。しかし、これは保険会計から申しますと、収支の差し引き計算からいいますと約三億円程度の失業保険の持ち出しに相なっております。こういう非常に複雑な関係に相なっておりますが、今回の改正にあたっても、退職手当の支給基準を引き下げるというのではなくて、失業保険制度が短期循環受給者の合理化という観点で新しく四十五日という制度ができました関係で、差額を支給する場合の基準が、短期循環受給者については新しい基準ができてきた、こういうかっこうに相なるわけでございます。したがいまして、退職手当の支給基準を切り下げるとか、改正するという問題とは関係がないわけでございまして、私どもとしましては失業保険制度が国民全体に及ぶ一般的な社会保障制度でございますので、この制度を下回るという場合にはいかなる場合でも差額を支給するという制度を国家公務員の退職制度において採用してもらえば、制度的にはそれで十分ではないか、こういうふうに考えておるわけでございます。
  24. 後藤俊男

    ○後藤委員 まあ、何べん言うておりましても同じようなことを繰り返しておるような気がするわけでございますけれども、ただ、いま答弁がありましたように、私が言いたいことは短期循環、この繰り返しの三回目の合理化、この問題が今度の失保の改正の問題でやはり中心の一つの問題となっておるわけなんです。ところが、いま申し上げましたところの公務員関係の問題については、その問題を論ずる必要は私ないと思うわけなんです。たとえば、短期循環労働者を一回、二回繰り返して、三回目には半分にする。これはいわば、いままでの説明もいろいろ聞きましたけれども、保険金は、掛け金は少ないけれども、よけい取られてしまうのだ、そこに非常に均衡を破るものがあるのだ、これらのことも一つの大きな理由になっておると私は思いますけれども、しかしながら、今度の公務員関係の問題につきましてはいまもお二方が説明されましたように、いわば退職手当の金額より失保の金額が多い場合にはそちらを支給する、それはもうようわかりました。ところが、失業保険で三回目に半額にするから公務員の手当のほうも半額にせないといかぬ、同一歩調に改める必要があるんだ、なぜかと言えば、なぜかという理由説明が十分ないわけなんです。こういうふうになってきたからこういうふうにするんだ、ただそれだけの説明なんです。たとえば、先ほども言いましたことを私繰り返すわけでございますけれども、もし公務員の手当法を改正せずに現状のままで持っていったとした場合には、失保のほうは循環労働者については三回目には半額になりますよ。ただしこの手当法でもらう人は半額でなしにいままでどおりだ、ただしその手当の予算も雇ったところの官庁から支給するんだ、そういうふうになれば失業保険の会計には何ら私は影響がないと思うわけなんです。失業保険の会計に影響のないものを、なぜ一体こういうふうにしなければいけないのか、均衡論とかどうとかいろいろ問題はございましょうけれども、そのことを別にここでは考える必要はないというふうに考えておりますので、こういう改正につきましては私はまっこうから反対の強い意思を持っておるわけでございます。  さらに次には林野庁長官もおいでになりますので、ひとつお尋ねしたいわけでございますが、いま言っておるようないろいろな問題が、公務員関係としては林野庁に非常に関係が多い。ところが去年の昭和四十一年の三月二十五日でございますか、これは労働組合と当局との団体交渉の席上におきまして、通年雇用の問題については今後十分検討をしてその方向に全力を尽くしてやっていくんだ、こういうような団体交渉の席上における確認があると思います。さらに、その日には農林大臣でございますか、国会におきましてもいま私が言いましたようなことがはっきり確認をされておる。さらに昭和四十一年の六月三十日にも「林野庁は雇用安定等に関し、次の通り考え方を表明した。」というようなことで、はっきり言明されておるわけなんです。これは組合の団体交渉だけではなしに、国会におきましてもいま申し上げました問題がはっきりと言われておるわけでございますが、この問題について、今日一体通年雇用の問題についてはどうなっておるか、当然もう今日企画されておると思います。今後はこういうふうにして解消していきたいんだ、こういうような計画もあろうと思いますので、もし年次計画等があればここで十分出していただきたいと思いますし、現在一体どういうふうな考え方に立っておられるか、この点の説明を承りたいと思います。
  25. 若林正武

    ○若林政府委員 ただいま先生からいろいろお話のございましたような線に沿いまして、林野庁といたしましては昨年の十月各営林局のほうに基本的な方針を指示をいたしまして、雇用の安定に努力をいたしておるところでございます。  御承知のように、国の企業といたしまして国有林野事業を今後運営してまいりますにつきましては、優秀な労働力確保するということは、これはもう申し上げるまでもなかろうかと思うのであります。そのためには雇用の安定をはかってまいることが必要でございます。私どもといたしましては、雇用の安定につきましてはかねてから努力をいたしてまいっておりますが、その具体的な方法について申し上げますると、事業の拡大あるいは作業仕組みの改善、各種作業の組み合わせ等によりまして、雇用の長期化あるいは通年化ということについて努力をいたしております。先般先生の御質問に対しましてお答え申し上げましたように、雇用区分別の雇用量の構成比率でおわかりになりますように、常用作業員あるいは定期作業員というものが非常にふえてまいっております。月雇いあるいは日雇いの臨時雇用者は非常に減ってまいっております。こういうことで、雇用の長期化あるいは通年化ということについて成果をあげておるわけであります。御存じのように、林業そのものが非常に季節的な制約を受ける事業でございまして、西日本におきましては大体常用化いたしております。北日本の雪のあります地帯、こういった地帯におきましては、やはりこの季節性というものに左右されまして、いろいろと問題があるわけでございますが、冬山作業を結局どう解決していくかということによりまして、雇用の長期化なりあるいは通年化という問題が解決されるわけであります。林野庁といたしましては、四十一年度、四十二年度と二カ年間を一応予定いたしまして、冬山作業の実験をただいま各所でやっております。この結果に基づきまして事業化してまいるつもりで現在検討しておりますが、それともう一つ、通年化あるいは雇用の長期化等に関連いたしまして事業拡大をいたすということに相なりますと、結局立木処分個所の振りかえ、あるいは請負事業を直営事業に切りかえるというふうなことしか手がないわけであります。そういうことをやるということになりますと、御承知のように、現在、立木処分個所なりあるいは請負をやっております各事業主等におきましては、当然これは民間の林業労働者がその事業に従事しておるわけであります。したがいまして、民間林業労働者との調整という問題が残されるわけでございまして、そういった点も考慮いたしながら雇用の長期化あるいは通年化ということに努力いたしてまいるつもりであります。  先生から、いま年次計画はどうかというお話もございますが、ただいま冬山事業につきましては実験をいたしておる段階でございまして、その結果を待ちまして年次計画というふうなものも立てるということになろうかと思いますが、ただいまの段階では、そこまでの具体的な計画は持っておりません。
  26. 後藤俊男

    ○後藤委員 そうしますと、重ねて長官にちょっとお尋ねするわけですけれども、いまのところ具体的には何にも計画はできておらない、こういうことでございますか。いま検討中であるということでございますか。私の申し上げたいのは、少なくとも去年の三月に、堂々と声明というとおかしいが、はっきり発表されておる。しかも林野の労働組合とも団体交渉できちっとお互いに確認し合った項目でございます。今日、一年以上たっておるわけなのです。しかも今度の公務員手当の一部改正の問題にも大いに関連のある問題のような気もいたすわけでございますけれども、できればひとつ長官のほうから、去年おれが言ったことはこういうふうにしていままでやってきた、こういう現状になっておる、いましばらくすればこういうふうにはっきりするのだ、それくらいなはっきりした言明があり、具体的な説明があってしかりと私は考えておるわけなのです。ただ抽象的な説明を聞くべく私はお尋ねいたしておるわけではないわけでございますので、具体的な計画なりその他がありますれば、ただここでおっしゃるだけではなしに、ひとつこの委員会のほうへ資料等もお出しを願いたい、こういうふうに私、考えておる次第でございますので、ぜひひとつ委員長、そういうふうな手配をお願いをいたしたいと思います。よろしいですか。
  27. 川野芳滿

    川野委員長 承知しました。
  28. 若林正武

    ○若林政府委員 四十二年度、あるいは四十三年度は予算編成の時期に入っておりますが、これらにつきましては、具体的な計画提出できると思いますが、それ以後の計画ということに相なりますと、先ほど申し上げましたような冬山の実験等の検討を待ちまして、どの程度拡大できるかというふうな点もございますので、二カ年程度の計画の資料提出をさしてもらいたいと思います。そのように御了承いただきたいと思います。
  29. 後藤俊男

    ○後藤委員 そういうことにひとつお願いいたします。  そこで、まず失業保険の一番最初のほうからひとつお尋ねいたしたいと思います。  今度の失業保険は、先ほど申し上げましたように、適用範囲の拡大、給付内容改善、給付日数の合理化、さらに支払い基礎日数の改正、さらには不正受給者に対する納付命令制度の創設、この五つくらいが大体中心になっておると考えております。この五つの大体改正される中心点に対して、いままでも簡単なる説明はお聞きいたした次第でございますけれども、ひとつ大臣のほうから、いま申し上げました五つの項目に対して、いままでこうであったけれども、今度はこういうふうに改まるのだ、この点を簡明にひとつ御説明をいただきたい、こういうふうに考えております。
  30. 早川崇

    早川国務大臣 第一は、懸案でございました五人未満の零細事業所に働く勤労者諸君の労災保険、失業保険全面適用ということに踏み切ったわけでございます。その結果、百万事業所、約二百万人近い零細企業に働く方々に、ひとしく社会保障、失業保険、労災保険の恩典が均てんするというのが画期的なこの法案の一番大事な中心点でございます。  二番目の改正は、いわゆる日雇い失業保険の給付の改善、それから扶養加算の日額の増額を実行いたしまして、給付内容を、特に低所得者の面に限りまして改善をはかった次第でございます。  第三番目の短期循環受給者いわゆる季節的な循環受給者に対しましては、本来これは保険の原理から申しますと、必ず失業するというのが年々繰り返されておるということは、保険財政の均衡から考えまして、諸外国でもなかなかこれはむずかしい問題になっておりますし、大部分の国は採用しておらないのでございますが、わが国におきましては年々増加いたしまして、五十八万人という多数の短期受給者が出てまいりました。その結果保険料が大体八億円程度、納める人たち五十八万人、それが三百億円という膨大な保険給付金をもらうということになりまして、これがほかの保険者に対する均衡等も考えまして、何らかのやはり合理化をはかるという必要に迫られておるわけでございます。しかしながら、従来の五十八万人に近い循環季節労務者の既得権というものはやはり政治的配慮から尊重していこう。しこうして新たにそういう循環受給者に入る人たちに対しましても、政令によって特に失業多発地帯という地域の方に対しましては、原案では三十五歳以下の人は三回目からは二分の一の給付日数になりますけれども、特に扶養親族を持つ人に対しましては、これまた従来どおりという、いわばほとんど現状に変化を与えない穏やかな合理化、最小限度の合理化ということにとどめた次第でございます。  第四番目の給付二倍の範囲内における納付金の制度につきましては、現在不正受給者が出てまいりまして、特に悪質な保険金の詐取あるいは不正受給ということが年々ふえてまいっておる次第でございます。このまま放置してまいりますと、社会保障、失業保険全体に非常に大きい破綻を来たすおそれが出てまいりましたので、この際、この不正受給者に対しましての納付金制度を設置いたしまして、せっかく今日まで育ってまいりました失業保険制度でございますので、これが健全な運営のためにやむを得ずこの制度を設ける、こういうことになった次第でございます。
  31. 後藤俊男

    ○後藤委員 大臣のほうから、大体改正点に対する簡単なる説明をお聞きいたしました。そこで、まず第一番にお尋ねいたしたいのは、失業保険の今日までの財政状態、大体昭和三十五年ごろから今日までどういうふうな状態になっておったか、この点の説明を承りたいと思います。
  32. 有馬元治

    ○有馬政府委員 三十六年度ごろから御説明申し上げますが、三十六年度におきましては、保険料収入が六百八十七億円ございました。この年度におきましては、約二百億円の剰余金が生じました。それから三十七年度は剰余金が百三十五億円、さらに三十八年度は五十億円、三十九年度は二十四億円、著しく剰余金が減ってまいっております。四十年度はやや回復いたしまして、百三十二億円という剰余金が生じておりますが、この年度におきましては、保険財政の規模が千五百三億円というふうに、三十六年当時と比べまして二倍以上に規模がふくれておるのでございます。こういう状態で、保険の収支状況は三十六年ごろをピークといたしまして、漸次変わってきている。必ずしも悪化しているという状態ではございませんけれども、剰余金が漸次減ってまいっております。今年度におきましては、さらに財政規模が千九百五十億円というふうにふくらみまして、この財政規模におきまして剰余金が、予算でございますが、百十八億円という見込みでございます。したがいまして、現在のところ失業保険財政の推移を見てみますと、健全な推移を見ておるというふうに私どもは考えております。
  33. 後藤俊男

    ○後藤委員 そこで昭和三十五年から、大体ことしの見通しとしては、百十八億円の剰余金が出てくるんではないか、こういうふうな説明でございますが、日本の経済、いわゆる景気と失業保険の財政との関係は一体どういうふうな状態をあらわしておるか、その辺の説明をお伺いをいたしたいと思います。
  34. 有馬元治

    ○有馬政府委員 失業保険制度は、御承知のように経済の景気変動と関連いたしまして、不景気の場合には失業がふえるであろう、その場合には積み立て金を給付準備金として取りくずすこともあり得る、こういう制度でできておるわけでございますが、過去の実績を見ますと、二十九年当時の不景気の時代に、受給率が平常時の二倍をこえるというような異常事態がございまして、収支は若干赤字になりましたけれども、その後高度成長に伴いまして保険財政も非常に健全な経過をたどって、先ほど申しましたような年次別の剰余金が今日では約千五百億円程度の積み立て金として準備されておる次第でございます。したがいまして、今日までの経緯を見ますと、不景気の場合におきまして若干失業率、受給率が高くなりましても、保険財政自体は健全な推移で今日に至っておる、こういうことが言えるかと思うわけでございます。
  35. 後藤俊男

    ○後藤委員 そうしますと、現在失業保険の財政的見地から見ますると全く健全財政である、こういうことははっきり確認ができるわけですか。何の心配も要らぬ、こういうりっぱな財政状態であるということが言えると思うわけでございますが、その点いかがでございましょうか。
  36. 有馬元治

    ○有馬政府委員 今日までは比較的健全な推移を見ておるわけでございますが、この中におきましても、先ほど大臣から御説明がありました、季節循環受給者という層が非常にふえておる、さらに不正受給が漸次ふえてまいっておる、こういった事態が今日の実情の中にあるわけでございます。今後五人未満に拡大適用するという場合には、御承知のようにいろいろな不安定要素といいますか、予測しがたい要素もございます。今後の失業保険財政の将来ということを考えますと、いままでにすでに萌芽的に出てきておりまする短期循環受給の問題あるいは不正受給の問題、こういったものに根本的に検討を加えながら将来の五人未満拡大に備える、こういうふうな必要が現実に起こってきておるわけでございます。
  37. 後藤俊男

    ○後藤委員 そこで、「昭和四十二年度労働省関係予算概要」というのは、この冒頭に説明がありました。これは失業保険関係の予算も含まれておるわけでございますが、大体四項目ぐらいに分かれて二十三億六千万円でございますか、一応この内容説明をお聞きしたいと思います。
  38. 有馬元治

    ○有馬政府委員 ただいまの二十三億という数字は——給付改善の数字ですか。
  39. 後藤俊男

    ○後藤委員 配付になっている「昭和四十二年度労働省関係予算概要」ですよ。これは労働省が一番最初説明された分ですね。これに失業保険制度の改善ということで、去年の予算は幾ら、ことしの要求額は幾ら、プラスマイナス幾らと、こういう説明が十分されておるわけなんですけれども……。
  40. 有馬元治

    ○有馬政府委員 給付改善の所要金額が二十三億という数字だと思いますが、今回の給付改善にあたりまして、一般保険におきましては、低所得層の日額改定を告示によってやる予定にいたしております。この分が約九億五千万円。それから、扶養加算を妻の場合十円増額いたしますが、との分が七億七千万円。それから、技能習得手当、寄宿手当、移転費等につきまして、はね返り的な改善をいたしますが、これが合計いたしまして、一億六千万円。さらに日雇い失業保険制度におきまして、新一級、七百六十円というものを設けますので、これが約一億八千万円。それから、等級の決定方法を若干改善いたしますので、これに要する費用が一億五千万円。これらを総計いたしまして、約二十三億円、こういう数字に相なっております。
  41. 後藤俊男

    ○後藤委員 そうしますと、いま説明のありましたのは、「昭和四十二年度労働省関係予算概要」の中における失業保険制度の改善二十三億六千万円、その中身の説明ですか。
  42. 有馬元治

    ○有馬政府委員 さようでございます。
  43. 後藤俊男

    ○後藤委員 いま局長説明された分は間違いございませんか。思いつきで適当に言われると、こっちも計算して、これをためすわけにいきませんので、適当な文句でなしに、正確なところをお知らせいただかぬと、計算してそうならない項目が出てきたわけです。
  44. 有馬元治

    ○有馬政府委員 先ほどの数字に沖繩の特別措置法による分が約一億四千万円抜けております。これらを合わせて二十三億、こういう数字の内訳になっておるわけでございます。
  45. 後藤俊男

    ○後藤委員 そうしますと、先ほど説明された中で、扶養家族手当の十円、これは増加しますね。この分として七億円ということを言われましたが。
  46. 有馬元治

    ○有馬政府委員 七億七千万円でございます。
  47. 後藤俊男

    ○後藤委員 七億七千万円ということは、何名分ということですか。
  48. 有馬元治

    ○有馬政府委員 失業保険の受給者のうちで、妻に対する扶養加算の十円増額でございますので、これの積算の基礎は二十二万二百八十四人分を見込んでおります。
  49. 後藤俊男

    ○後藤委員 そうしますと、二十二万と言われましたが、二十二万に十円ずつ支給されると、七億になるわけですか。
  50. 有馬元治

    ○有馬政府委員 平均受給月額というのがございますので、それをさらに掛けなければいかぬわけでございます。
  51. 後藤俊男

    ○後藤委員 この扶養加算の十円というのは、十円ということで簡単に計算のできる十円だと思います。給料が高いからどうのということは全然関係のない十円です。あなたの思っておる給料の高い者は三十円やる、低い者は五円やる、こういうこと一切関係なしに、十円ということで私は簡単な計算ができると思うのです。いま局長の言われたように、二十二万人に十円掛ければ二百二十万円じゃないですか。二百二十万円が七億円という計算は、これはおもしろい計算で、約二十二万人に十円支給されると七億円になるということはどういう計算か、その辺の説明を願いたいと思います。
  52. 有馬元治

    ○有馬政府委員 平均受給月数が四・二カ月でございますので、それを掛けなければトータルが出ないわけでございますから、いまちょっと全部計算して数字を申し上げます。
  53. 後藤俊男

    ○後藤委員 さっき局長説明された分を、間違いなく早急に計算してもらって、あとから説明していただきたいと思います。  次に、昭和四十二年度の失業保険関係の予算をお尋ねいたしたいと思います。これは昭和三十八年でございますか、いままで国庫負担というのが三分の一が四分の一になった。これは改悪されたわけです。さらに一般会計の繰り入れから、その他事務費とかいろいろ問題があろうかと思いますけれども、昭和四十二年度といたしまして、この失業保険関係の予算としてはどういう組み方がされておるか。たとえば、業務取り扱い費の問題、さらには庁舎新営費の問題、公務員関係宿舎の問題、その他福祉関係の問題もあろうかと思いますけれども、少なくとも健康保険の保険料の四分の一は国家が負担するんだということは基本になっておると思いますけれども、それ以外の業務費関係、福祉関係の予算は一体どういうふうに組まれているか、その内容説明を承りたいと思います。
  54. 有馬元治

    ○有馬政府委員 保険の給付に対する国庫負担の割合は、御指摘のとおり、一般保険におきましては四分の一、日雇い保険におきましては三分の一、こういう現行の原則によって四十二年度の予算を組んでおります。  それから業務取り扱い費でございますが、これは今年度予算の総額が八十四億四千五百万円でございますが、このうち国庫負担は一億円を計上いたしております。これは昨年までは四千百万円という額でずっと来ておったのでございますが、われわれといたしましては、できるだけ一般会計からも業務取り扱い費を負担していただく、この額を増額していただくという方針のもとに、今年度は一億円に増額をいたしたわけでございます。  さらに、保険の福祉施設関係の経費でございますが、これは総額百九十七億九千万円、これを計上いたしております。
  55. 後藤俊男

    ○後藤委員 そうしますと、いま説明のありました業務取り扱い費は、昭和四十二年度は八十四億四千五百万円の予算を組んでおる、その中で国庫負担は一億円だ、こう言われますと、残りの八十三億四千五百万円というのは、どの財源でこの業務取り扱い費に充当されておるのか、その点の説明を承りたいと思います。
  56. 有馬元治

    ○有馬政府委員 運用収入が約七十億円、そのほかが雑収入でございます。
  57. 後藤俊男

    ○後藤委員 そうしますと、その運用収入というのは、これは大体考えてみますと、積み立て金の千四百五十億円でございますか、これの運用収入ということではないかと思うわけですが、どのお金の運用収入でございますか。
  58. 有馬元治

    ○有馬政府委員 積み立て金の運用収入でございますが、四十年度は積み立て金は千四百五十六億円でございます。運用収入は、今年度の予算では八十七億六千万円でございます。
  59. 後藤俊男

    ○後藤委員 そうしますと、先ほど局長説明されました業務取り扱い費が八十四億四千五百万円だ、ところが運用収入は八十七億六千万円あります。いまそういう説明であります。そうすると、業務取り扱い費以上に、八十七億六千万円、こういう収入があるのですから、先ほど言われた運用収入とその他雑収入を充ててこの業務取り扱い費にいたしましたという説明は、そういうことにならぬと思うわけなんです。運用収入だけでも余って返る、こういうかっこうになってまいりますが、その点どうなっておるのですか。
  60. 有馬元治

    ○有馬政府委員 運用収入の残りは福祉施設費に充当いたしております。
  61. 後藤俊男

    ○後藤委員 そこでさらに一歩突っ込んでお尋ねいたしたいと思うわけでございますが、業務取り扱い費というのは、失業保険法の第二十八条に基づきまして、国家予算の範囲内でやるのだ、これはもう法律ではっきりきまっておると私は思います。であるのに、国家予算でわずかに一億円だけ国庫が負担をする、残りの八十三億四千五百万円というのは、保険料を積み立てておる利息をこれに充当しておる。これは予算の組み方といい使い方といい、さらに失業保険に加入しておられる皆さんの保険料金の積み立て金を、国庫負担はわずか一億円で、残りの八十三億円はその積み立て金の利息を充当するというようなことは、私は全く間違ったやり方ではないかというふうに考えますが、この点、いかがでしょうか。
  62. 有馬元治

    ○有馬政府委員 失業保険法規定は、いま御指摘のように、毎年国家予算の範囲内において業務取り扱い費に要する国庫の負担をする、こういうふうに書いてございますので、私どもとしましてはできるだけ国庫負担の額を増額したいとは思いますけれども、一般会計と特別会計と両方でこの業務取り扱い費を負担するというのは、保険制度始まって以来ずっと伝統的にやっておりますので、この関係は一般会計だけに負担させるというふうに割り切る必要はないというふうに考えております。
  63. 後藤俊男

    ○後藤委員 そうしますと、いまの説明で、中身のいかんによっては私了承できないこともないと思うわけでありますけれども、たとえば、業務取り扱い費が八十四億四千五百万円だが、その中でいま局長の言われましたのは、失業保険法の第二十八条でいくと国の予算の範囲内でやるのだということがきまっておるわけですね。ということは、一般会計でやっていくのだということが法律できまっておるのだと思います。ところが八十四億何がしのうちで、法律できまっておる一般会計から出されておるのはわずかに一億なんです。残りの八十三億四千五百万円というのは保険の特別会計の、しかも積み立て金の利息をこれへ流用しておるというようなことについては、二十八条のたてまえからいいましても、だれが聞いても納得のできないところではないかと私思います。それともこれが逆に、国の一般予算から八十三億円負担して残りの一億円なり一億何ぼについて積み立て金の利息をこれへ流用していく、特別会計からやっていくのだというようなことならば、私は話はわからぬことはないと思います。しかも多くの人が失業保険をかけて、そのかけた積み立て金の利息を国が負担しなければならぬものを一億円にしておいて、残りの八十三億円についてはその利息を流用する、こういうやり方は失業保険法第二十八条でいっておるやり方ではないし、根本的に間違っておるのではないか。これは当然国が一般会計から負担すべきものだ。しかもそういうことを法律第二十八条としてはいっておるのだ、これははっきりいたしておると私は思うわけでございます。なぜ一体こういうふうな仕組みになっておるのか、しかも貴重な失業保険の積み立て金の利息を、こういうふうないわばごまかし的な方向へ使われておるのか、この点を十分説明していただきたいと思います。
  64. 有馬元治

    ○有馬政府委員 失業保険法の二十八条の規定は、業務取り扱い費を一般会計、国庫で全額負担をしなければならぬということを規定しておるのではなくて、事業の執行に要する経費を負担するということで、一般会計と特別会計とでどのくらいの割合で負担するかというようなことは、それぞれの会計の状況によって毎年度の予算できめられることであります。したがいましてこの規定から直接に全額を国庫で負担しなければならぬというふうなことにはならないと思っております。
  65. 後藤俊男

    ○後藤委員 そうしますと、国の予算の範囲内でやれということは、どういうことをいっておるわけですか。国の予算の範囲内でやりなさい——一口に言って二十八条はそういうことだと思います。国の予算というのは一般予算をさしておるのだと私は考えておるわけです。いわゆる業務取り扱い費等については、二十八条で、国の予算の範囲内でやりなさいというふうに書いてあるにもかかわらず、一億円だけ国の予算でやって、残りの八十三億円は特別会計から出しておる。しかも千四百五十億円の積み立て金の利息、貴重なる積み立て金の利息をこれへ流用するというようなことは本末転倒のような気がいたします。もう少しやっておられるあなた方の精神について説明をしていただきたいと思います。国の予算の範囲内でやれということはどういうことなのか、その点を説明していただきたいと思います。
  66. 有馬元治

    ○有馬政府委員 それぞれの年度の予算事情できまってくるわけでございますが、私どもとしましては、先ほどから申し上げておりますとおり、業務取り扱い費はできるだけ一般会計で負担していただきたいという考え方で毎年大蔵折衝もいたしておるわけでございます。現にことしは少額ではございますけれども、従来四千百万円で据え置きであったものを一億円に増額いたしておりますので、今後ともこういう考え方は引き続き踏襲し努力をいたしてまいりたいと思うわけでございます。
  67. 後藤俊男

    ○後藤委員 そうしますと、いま質問いたしました、国の予算の範囲内でやれということになっておるから業務取り扱い費については当然国の一般会計でまかなうというのが普通だ、国の予算でやるのが正しいんだ、こういうふうにあなたは思っておられる。そこで大蔵なりへ要求してみてもなかなか金を出してくれぬので、ことしは八十四億円要るけれども一億円しかくれませんでした、こういうふうに私、簡単にあなたの説明を要約したわけでございますが、この失業保険法の第二十八条で言っておりますのは、業務取り扱い費については国の一般予算で負担するのが正しいんだ、こういうふうに解釈してよろしいかどうか、その点をお伺いいたします。
  68. 有馬元治

    ○有馬政府委員 一般会計で負担するのが正しいとか正しくないとかいうことではなくて、両会計の財政の事情を考えながら毎年の予算で業務取り扱い費の負担をきめるということになっておりますので、私たちの気持ちとしてはできるだけ一般会計の負担分を増額していきたいという基本方針でございますので、今後ともこの方針で努力してまいりたいと思います。
  69. 後藤俊男

    ○後藤委員 あなたの気持ちはわかりましたけれども、この失業保険法の第二十八条でいっておるのはどういうことですかということを私お尋ねしておるわけなんです。あなたの気持ちはあとから十分聞きますので、失業保険法の第二十八条ではどういうことをいっておるのか、その点をひとつ簡単に一口でけっこうでございますから説明をしていただきたいと思います。
  70. 有馬元治

    ○有馬政府委員 これは条文のとおりでございまして、失業保険の給付に要する費用については、先ほど申しましたような四分の一と三分の一を国庫が負担をする、このほかに毎年度の予算の範囲内において業務取り扱い費を負担する、こういうふうになっておりますので、この保険法の条文のとおりだと思います。
  71. 後藤俊男

    ○後藤委員 そうしますと、いまあなたが言われたように、四分の一の保険料の負担とさらに業務取り扱い費というのは国の一般会計で負担しなければいかぬのだというふうに確認していいと思うわけです。  そこで、昭和四十二年度といたしましては、先ほど説明がありましたように、八十四億四千五百万円という業務取り扱い費が要りますのに、法律の二十八条でそうきまっておるものを国が負担するのはわずかに一億円で、残りの八十三億四千五百万円というのは積み立て金の利息、いわば特別会計、これを充当する、私らが何ぼ言っても大蔵省が出してくれませんでした、わずか一億円でございます。こういうふうなやり方を今後もやられることになってくるとたいへんだと思いますし、さらに先ほど言われたように、五人未満の事業所は五十億円どうこうということがたいへんな問題になっておる時期に、少なくとも国がおおむね負担しなければいけない八十四億円のうちわずかに一億円しか国が一般会計で負担をしない。私は少なくとも失業保険特別会計の積み立て金の利息というのは、もちろん零細な積み立て金の集まりであり、貴重なお金だと思いますので、こういう利息等は福祉関係のほうへ使うというなら話はわかると思うわけなんです。法律からいいましても当然一般会計で負担しなければいけないものを、それを削っておいてこの利息を充当するというようなことにつきましては、どうしても私は納得できないし、納得しなければいけない理由が見つからないわけです。これはあなたと私で言っておりましても、あなたの気持ちは先ほど説明がありましたので、それ以上の説明はなかろうと思いますけれども、こういう間違った扱いを今後しないということだけは本席においてはっきりとその方向を示していただきたいと思います。間違っておらぬと言われるなら、なぜ間違っておらないか、そこを明確にしていただけないと話が次へ進まないと思いますので、お願いいたします。
  72. 有馬元治

    ○有馬政府委員 間違っておると言い切るわけにはいきませんが、私どもとしましてはできるだけ国庫負担分を増額してまいりたいという先ほどからの気持ちで今後も努力していきたいと思います。
  73. 後藤俊男

    ○後藤委員 いま私が申し上げましたのは、業務取り扱い費は別に昭和四十二年度だけの問題ではないと思います。過去三十五、六年ごろから今日までこういうふうな扱いをされておる。去年あたりもこれらの問題はかなり問題になったのではないかというふうに考えますので、ぜひひとつ今後の問題としてこれは十分検討もしていただかなければいけないし、こういう積み立て金の利息というようなものを肩がわりした方向で流用しないように、さらに検討を続けていただきたいと思います。  その次には、昨昭和四十一年の四月二十六日、社会労働委員会失業保険法の一部を改正する法律案に附帯決議がされておると思います。第一点から第五点と附帯決議がされておるわけでございますけれども、そのまず第一番の五人未満の事業所に対する強制適用の問題でございます。  まず第一番に私お尋ねしたいのは、五人未満の事業所に対する強制適用の問題につきまして、政令できめられたものは除外するというのが入っております。さらに農林関係とか水産関係、これらを除外するというような方向で進められておるわけでございます。政府職業安定なりさらに社会保障制度審議会のほうへ諮問されましたのは、一定期間以上のものにつきましては政令で定めるもの以外は除外する、こういうふうな諮問のしかたがされておると思いますけれども、今度の改正案につきましては一定期間以上というのは全く抹殺されております。これは一体どういう考え方でこういう改正案になったのか、説明をしていただきたいと思います。
  74. 有馬元治

    ○有馬政府委員 この政令除外の問題は、審議会でも非常に議論されまして、この基準については審議会におはかりをするということになっておるわけでございますが、このねらいは五入未満の零細企業でございますので、中には企業の体をなさないと言っては失礼でございますが、継続性のない企業がずいぶんございます。こういった泡沫的な企業は五人未満を強制適用する場合においては一定の基準で除外をしよう、こういう考え方で除外規定を置いたわけでございまして、一定期間云々ということは当然政令をきめる場合に審議会にはかる内容になりますので、省いてはございますけれども、審議会当時の考え方と同じ考え方でございます。
  75. 後藤俊男

    ○後藤委員 そうしますと、審議会におきましては一定期間以上ということで政令のきめる範囲が制限されておったと私思います。ところが、今回のこの改正案を見ますると、一定期間以上というのはきれいになくなってきております。そうなりますと、政令で除外する事業所をきめる場合の範囲が非常に広くなってくる。だから、いまあなたが言われたように、一定期間があろうとなかろうと審議会審議と同じことでございますということには私ならないと思いますけれども、その点いかがでございますか。
  76. 有馬元治

    ○有馬政府委員 審議会に諮問を申し上げましたときの考え方と同じでございまして、表現が若干変わっておるというだけで、この除外基準については審議会に必ず諮問するというお約束をいたしておりますので、法律段階で考え方を変えたわけでは毛頭ございませんということを申し上げた次第でございます。   〔委員長退席、粟山委員長代理着席〕
  77. 後藤俊男

    ○後藤委員 そうしますと、この失業保険の、現在全国的に適用されておりますところの事業所の数、さらに人員、さらにその率、さらに今度問題になっております。五名以下の事業所が適用されんといたしておるわけでございますけれども、これらの事業所の数、さらに労働者の数、これらの見通しについて一応説明をしていただきたいと思います。
  78. 有馬元治

    ○有馬政府委員 現在適用事業所の数は五十八万事業所でございます。被保険者の数は約千九百万人でございます。したがいまして、雇用者全体から見ますと、適用率は八六・七%でございます。今度五人未満に拡大適用を考えておるわけでございますが、この事業所の数が約百万、雇用者の数が約二百万、こういう推定をいたしております。
  79. 後藤俊男

    ○後藤委員 現在失業保険の、五人以上なり十人以上の職場におきましても非常に把握がしにくいという点は、いままでも問題になっておるだろうと思いますが、今度さらに五人以下の事業所に対する強制適用ということになった場合に、これはどういうふうにして把握をしていくのか、特にこういう小さい事業所におきましては離職率も非常に高い。さらに料金の納入の問題、あるいは家族を使っておるというような場合、いままで以上に複雑な作業が出てくるんではないかというふうに考えておるわけでございますが、これらの問題を、たとへば今度こういうふうに改正されたといたした場合に、労働省としてはどういうふうな機構、どういうふうな考え方のもとにこれを掌握されていこうとされておるのか、その点の説明をいただきたいと思います。
  80. 有馬元治

    ○有馬政府委員 五人未満の零細事業所の実態は、ただいま先生が御指摘のあったとおり、非常につかみにくい状態になっております。これまで長年、五人未満の拡大適用を叫ばれながら踏み切れなかった理由もそこにあるわけでございますが、今回適用をいたしますにあたりましては、この適用、徴収の制度を確立しなければならぬ、こういうふうな考え方で失業保険と労災保険を一本にいたしまして、徴収事務を統一する、これは適用の単位あるいは徴収の方法、こういった事務を統一する、そして適用、徴収の行政機構としましては過小でございますけれども、労働保険事務所というものを末端につくりましてここで一元的に徴収をする、しかも徴収方法といたしましては、電子計算機を使いました機械徴収を行なってできるだけ人手を省いていく、こういうふうな考え方で徴収適用の事務を合理化いたしたいと思います。これでもなおかつ五人未満の事業所の把握は非常に困難でございますので、保険事務組合を育成強化いたしまして、これをいわば代行機関として活用しながら全面的な適用拡大をはかっていく、こういうふうな考え方で処理いたしたいと思います。
  81. 後藤俊男

    ○後藤委員 それからさらに、この五人未満の適用の場合の除外についてお尋ねいたしたいと思うわけですが、農林、水産、教育さらに研究、調査の事業で政令で定める以外のものに適用する、こういうふうに農林、水産等特に希望しておる事業所の労働者の人を除外する、こういうふうなことになっておるわけでございますが、いわばいままで非常に強く要求されておりました五名以下の事業所を全面適用するんだといいながら、この政令で逃げ道がたくさんつくられておるように私考えられるわけなんです。これは一体なぜ、こういうところからこの強制適用を除外するのか、さらに除外されるであろうと思われる事業所並びに労働者、これらの数は一体どのくらいあるのかということにつきまして御説明いただきたいと思います。
  82. 有馬元治

    ○有馬政府委員 教育、研究、調査の事業は、現行法では一応適用範囲からはずされております。今度の改正でこれを原則的に適用範囲に入れるという改正をいたしておるわけでありますが、ただし書きでもって政令で適用をはずすことができるようになっております。これは御承知のように、私学関係の適用の問題でございまして、大体大学以下短大、高校、義務教育、幼稚園、いろいろな種類がございますが、教職員が約二十三万人ございます。私ども保険の立場から申しますと、これを除く理由は全然ないわけでございますので、今回のような改正をいたしたわけでございますが、当分の間はこういった教育関係の職員の方々にいますぐ失業保険適用するという必要がないという意見もございますし、また私学振興、国の助成というような面から、もう少し待ってもらいたいというふうな意見も非常に強うございまして、これは政令で当分の間は適用を見送る、こういう仕組みにいたしておるわけでございます。  農林水産業適用除外をいたしました理由は、これは従来からと同じ理由でございまして、こういった産業には季節性が非常に強い。それから、雇用関係が非常に不明確であり、賃金の支払い関係も不明確であるというふうな事情から、今回の改正におきましてもこれを任意適用のままといたしておるのでございます。ただ、任意適用の制度を今後できるだけこの領域については活用していったほうがいいという御意見審議会等におきましても強いわけでございまして、私どもとしては十分活用してまいりたい、かように考えておるわけでございます。
  83. 後藤俊男

    ○後藤委員 先ほど尋ねました、除外される農林水産関係の事業所と労働者の数はどのくらいですか。
  84. 有馬元治

    ○有馬政府委員 現在適用されておりまする農林水産業の関係の事業所の数は、一万七百二十四事業所でございます。被保険者の数が十一万六百二名でございます。
  85. 後藤俊男

    ○後藤委員 それは逆でして、いまそういうふうになっておるという説明でしょう。今度除外される労働者の数はどれくらいになるかということを聞いておるわけなんです。
  86. 有馬元治

    ○有馬政府委員 農林水産業関係の雇用労働者の数は約三十六万人ございます。したがいまして、現状は三〇%の適用率になっております。
  87. 後藤俊男

    ○後藤委員 農林水産関係は非常に把握がしにくいから除外をしておるのだ、雇用関係がはっきりしておらぬから除外するのだ、こういうふうな説明だったと思いますけれども、ただ、五人以下の事業所の強制適用の問題については、特に農林水産関係の要求はきびしいと思います。そのきびしいものを今度の改正で全面適用のような形の中から除外をされてしまう。いわば表面は非常にこれはいいのだ。労働省の宣伝といたしましても、五人以下の事業所には強制適用を全部完全に適用するのだと言いながら、一枚めくってみますると農林水産関係は除外だ、あるいはその他の関係におきましても政令云々で除外だ、こういったふうなことになっておることは、私、まことに残念だと思います。これらの問題につきましては、とにかく強制全面適用するならするということで、これははっきりさすべきであるというふうに考えておる次第でございます。  さらにその次の、この給付内容改善でございますけれども、これは先ほどもいろいろと説明がございましたけれども、今日の日本の非常な低賃金の中におきましては、少なくとも八〇%まで持っていくべきではないか。しかもこれは審議会におきましてもかなり問題になったと思いますけれども、私たちが叫ぼうといたしておりますのは、別にこの際一挙に全部八〇%ということを強く主張しようとはいたしておりません。少なくとも政府生活基準に達しないような失業保険の給付の問題につきましては、引き上げるべきだと思う。いわば十七等級までの非常に給料の安い人に対する分については、冒頭に局長説明されましたように、健全なる財政を誇っておる失業保険としては、この辺で思い切った給付内容の引き上げ措置を考えたらどうか。審議会でも当然これは問題で、審議されたと思いますけれども、計算上成り立たないのだ、財政的にこうなるのだ、こういう点がこういうふうになるから引き上げるわけにいかないのだということなのか。われわれとしては、とにかく引き上げていただきたい、こういう強い主張を持っておりますので、この主張に対して、なぜ一体この改正案に対していま申し上げましたような改正案が出なかったかという点の説明を詳細にお願いいたしたいと思います。
  88. 有馬元治

    ○有馬政府委員 失業保険の給付率を八〇%に改善すべきではないかという御意見はずいぶん出ておるのでございますが、私どもとしましては、現在の六〇%基準で、諸外国の例を見ましても、これで遜色はない。制度としては、この六〇%保障という考え方で、国際比較から見ましても遜色はないというふうに考えておるのでございますが、ただ御指摘のような十七等級までの比較的低額所得者については、この六〇%の原則を基準としながら若干でも改善をしていきたいという気持ちがございまして、今回の改正にあたりましても、これは法律によらずに大臣の告示で日額の改定ができますので、十円程度日額を引き上げてまいりたい。これが先ほど申しました所要改善経費として九億四千万円何がしかかるのでございます。  そこで、もしかりに八〇%の給付率に一律にした場合にはどうなるかという問題でございますが、これは約四百八十億円の財源が必要になってまいりますので、現在の保険料率等から考えますと、一律に八〇%に引き上げるということは財政上からも不可能でございます。したがいまして、現在の原則を基準にしながらできるだけの改善をはかっていくということで、日額の改定を低所得者層について行なってまいりたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  89. 後藤俊男

    ○後藤委員 いま局長は四百八十億円の膨大なるお金が要ってやれませんでした、こういう説明だったと思いますけれども、十七等級までわずかに十円の値上げです。十円というのは、現在たばこ一本か二本だけの金額なんです。これは非常に微々たるものだと思います。しかも先ほど申し上げましたように、昨年の社会労働委員会の附帯決議を見ましても、この中の第何項目でございますか、これは引き上げよということがはっきり附帯決議としてされておるわけなんです。それをわずかに十七等級まで十円しか引き上げができない。しかも冒頭あなたが言われましたように、失業保険は健全財政で実にりっぱだ、これからの見通しとしても、四十二年度も百何十億のお金が余るだろう、余裕金が出るだろう、こういうふうな情勢から考えますときには、これは何と言うていいやらわかりませんが、十円の引き上げというようなことは、ようおこがましくも出されたとは私は言いませんけれども、まことによくがんばっていただきましたとは言えない金額だと思います。(「あめ玉だよ」と呼ぶ者あり)いまの話じゃございませんが、あめ玉なら一つも買えないような金額でございます。  そこで、先ほど言われましたように、審議会でも問題になりましたが、八等級までは八〇%、さらにそれから十七等級までは六〇%というようなことで、かなり審議されておると私は思います。いま局長が言われましたのは、八〇%に上げると四百八十億円でございます。十円上げると九億四千万円です。こういう説明があったわけでございますけれども、いま失業保険の財政面から考えて、一ぱい一ぱいのところまで計算をいたしましても、十円以上上げられないのかどうか、もう十円以上上げると直ちに失業保険の会計は破産をしてしまう、こういうふうなことになっておるのかどうか、その点をもう少し財政的見地から説明をしていただきたいと思います。
  90. 有馬元治

    ○有馬政府委員 財政面から先に申し上げますと、今回の失業保険法改正によりまして五人未満に拡大適用いたしますと、私どもが非常に内輪にといいますか、移動率等も一般失業保険の場合と比べてわずか一五%の増というふうに見まして、約五十億円の支出増が見込まれるわけでございます。これはいろいろな不確定要素がございまして、やってみなければわからない要素が多分にあるわけでございます。したがって、もしかりに五人以上の現在の失業率をさらに大幅に上回る、一五%以上——かりに三割程度上回るということになりますと、出費増五十億円がさらに倍になりまして百億円になる。こういった非常に不確定要素を含んでおりますので、一応剰余金が予算上は見込まれておりますけれども、審議会等におきましても、この点はまず五人未満を実施してみて、その実績を見た上で改善をすればいいじゃないかということで、多少の余裕はございまするけれども、五人未満の拡大適用を実施して、実績を見た上でさらに改善をするという基本的な考え方で、今回十円というのは非常に微々たる額だというおしかりがございまするけれども、私どもとしては、今回の改正ではこの程度の改善をいたしまして、なお引き続き改善には努力をしてまいりたいというふうに考えたわけでございます。
  91. 後藤俊男

    ○後藤委員 いずれにいたしましても、このわずかの十円の引き上げということでは、われわれとしてもこれは賛成するわけにもいきませんけれども、いま最低が二百四十円ですか、失業保険の一番最低は。
  92. 有馬元治

    ○有馬政府委員 二百四十円でございます。
  93. 後藤俊男

    ○後藤委員 この二百四十円というのは日雇い失保よりは少ない金額だと思いますが、いかがですか。
  94. 有馬元治

    ○有馬政府委員 日雇い失保の日額三百三十円と、日額同士で比較すれば金額的には少ない金額でございまするが、一般保険と日雇い保険の性格が違いますので、端的に日額の比較だけでは比較ができない問題があろうかと思います。
  95. 後藤俊男

    ○後藤委員 その次は、この配偶者の加算の問題でございますけれども、いままで二十円のが、配偶者に対しては十円で、三十円になります。それからさらに第一種は二十円だが、第二種以下は十円です。これの引き上げもやっぱり十円ですね。前も十円、これも十円。われわれはこの説明を聞き、これらを読んで見ますると、十円以下にしたいけれども、計算がややっこしいんで十円にしたんだというような気持ちがあらわれておるような気がするわけなんです。これらの加算につきましても、なぜ一体もう少し考えられないんだろうか。先ほど局長が言われましたように、わずかに二百四十円です。生活の保護基準よりかは低いと思います。しかも、加算につきましてはわずかに十円。これらもすべて三十円なり四十円ぐらいに引き上げるというようなことも、審議会でも論議になったと思いますけれども、これもやはり同じように配偶者だけ十円引き上げるというようなことにつきましては、これは何を根拠に計算されてこういうふうな十円というものが出てきたのか、ひとつ御説明をいただきたいと思います。
  96. 有馬元治

    ○有馬政府委員 扶養加算の制度は国家公務員の扶養加算制度と関連をいたしておりまして、今回人事院勧告に基づきまして、妻の扶養加算が六百円から千円に引き上げられた、これに伴って失業保険の扶養加算につきましても、配偶者につきまして十円引き上げた、こういう経緯でございます。失業保険と国家公務員の扶養加算制度が従来からパラレルに来ている、こういう事情でございます。
  97. 後藤俊男

    ○後藤委員 そうしますと、先ほど局長説明されましたように、今回五人以下の事業所の適用ということになってくると、これは一体どういうふうに出るかわからぬので、実現を見た結果、その実績を見てこれらの問題につきましても引き上げをやりたい、こういうふうな説明があったわけであります。けれども、そういうことは、労働省の方針としてはっきりきまっておるのかどうか、ただ単なる局長だけの説明では私は信じかねる、こういうふうに思いますので、今回の五人以下の事業所に適用して、その実績を見て、その実績いかんによりましては、いま申し上げましたような失業保険なりあるいは配偶者に対する加算等の引き上げを大幅にやるんだという、このことに対してひとつはっきりした方針を説明していただきたいと思います。
  98. 有馬元治

    ○有馬政府委員 給付の改善につきましては、これは私ども絶えず努力をいたしておりますので、今回五人未満の拡大にあたりましてもできるだけの改善をいたしたわけでございますが、さらに実績を見た上で、財政の事情の許す限り、今後とも引き続いて給付の改善には一そう努力してまいりたい、これが基本方針でございます。
  99. 後藤俊男

    ○後藤委員 ちょうど時間も参ったようでございますので、きょうの質問といたしましてはここで打ち切りたいと思いますけれども、先ほどからいろいろと質問をいたしまして、適用範囲拡大の問題なり給付内容改善なり、さらに残っておりますのは給付日数の合理化の問題等、あと二、三重要な問題が残っておるわけでございますので、これらの問題につきましては今後引き続いて質問をしていきたいと思いますし、この失業保険改正の問題につきましては、少なくとも全国民がいま注視の眼をもって見ておると思います。さらに昨年、昭和四十一年の社会労働委員会の附帯決議等を考えてみましても、一歩たりとも退歩するようなこの失業保険制度の改悪に対しては、われわれとしては全面的に反対、こういう気持ちは十分持っておるわけでございますけれども、今後さらに質問を続けまして、その内容を的確につかんだ上で、さらにこの失業保険の問題につきましても論議を集中していきたいというふうに考えでおる次第でございます。  きょうは時間でありますので、一応ここで打ち切らしていただきます。
  100. 粟山ひで

    粟山委員長代理 次会は、明日午前十時より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後零時五十九分散会