○
八木(一)
委員 それで
厚生大臣、病院においては四つの窓口で二十五分、診療所は四十分ですか、非常な時間がかかると思います。いま開業医のお医者さんの場合には全国平均従業員一人です。そうすると、平均値以下のところだと、従業員がいないというところがあるわけです。そういうところで開業のお医者さまのところに健康保険の診療者の方が来られるときは——働いておると思われますから、働いてから来るので、五時とか六時とかいうような時間に集中して診療に来られるわけです。その統計についてはまた後の
機会に伺いますけれ
ども、とにかく平均的に出しておられますが、集中的に五時、六時、七時というような時間に、つとめが終わってから来られるわけです。そういうところで事務をする人がない。あるいは一人ぐらいのところで、通常の人が晩めしを食べる時間に、開業のお医者さまは
国民の健康を守るために必死の努力をしておられるわけです。そこでこの十五円という記載をすれば事務が非常に煩瑣になる。
ここで、実は私も拝見しましたけれ
ども、これを各
委員の方に見ていただきたいと思います。ここでごらんになるように、全部読みませんけれ
ども、短い時間では読み切れないくらいの薬剤が書いてあります。たとえば四番目のところを見ていただきたいと思いますが、冠不全、高血圧症、脳出血という場合に非常にたくさんの薬剤が要るわけです。その薬剤が十五円以上であるかどうかということの認定は非常にむずかしいわけですから、
ほんとうにこれは気も使えば、時間もかかります。しかも夕方に大ぜい殺到するときにかかる問題が出てくるわけです。それをやりますと、
ほんとうに診療担当者の方や従事員の人は、一番気持ちを集中して診断をしなければならないときに、そういうような事務が加重されるわけです。この表にざっと見えるように、非常にむずかしいものを書かなければならないし、それが十五円以上であるかどうかということについて間違ったらたいへんであるし、そういうことをしなければならない。事務が非常な繁雑になるわけです。担当者が
国民の健康を守ってくださるときに、その
方々が時間的な余裕を持って、十二分の注意を持って診断をし、治療をしなければならないときに、このような事務的な量をふやすという問題については、医療の質の問題で、また、
国民の健康や命を守ってくださる診療担当者の
方々が、疲れが残らず明快な頭で
ほんとうに診断をしてくださるということには、非常なマイナスになるわけです。あなた方は赤字と金のことばかり言っておられますけれ
ども、そういうような薬代の一部
負担という問題で大ぜいの人が診療中断をして命があぶなくなる。また初診料の一部
負担のために早期診断のチャンスを失う。そこで、そういう
国民の健康を守ってくださる診療担当者の人たちの事務量がふえたり、早期診断が金の
負担のためにできなくて病気が重くなる人もあれば、薬代の一部
負担で診療が中断して重くなる人も出て、非常にまずい効果、非常に間違った影響を与えるわけです。非常にけしからぬ影響を与えるわけです。しかも、診療担当者の
方々が非常に熱心に
国民の健康と命を守ってくださるときに、このように事務量がふえては、後顧の憂いなしに、疲れが残らずに、変なところに神経を使わないで、
ほんとうに診療、診断、療養に十二分の力を入れていただくために非常にマイナスなんです。質的に非常にマイナスの点がこの薬代の一部
負担ということで起こるわけです。あなた方は金の問題だけで問題を考えているけれ
ども、
国民の命と健康の問題ははるかに重大な問題であります。命と健康を守るためには、この医療給付というものは完全でなければならない。少なくとも憲法の条章に従って、後退は許されない。一時的な赤字対策のためにこういうことをやる。しかも、抜本対策で論ずべき問題を、そこで考えるべき問題を、この中に火事場どろぼうみたいに入れている。そうしてそういうような問題について間違った方向、間違った基礎をつくろうとしている。非常に
国民の健康、生命を守るために反動的な
意見、反動的な立場である。こういうことについて、皆さん方の金だけをおもにする、
厚生省と大蔵省のメンツだけを大事にするというような態度でやってこられましたけれ
ども、
ほんとうに
国民の医療を守るためにはこういう問題は絶対にいけないし、特に薬代の一部
負担というものは、
国民にとっても、診療担当者にとっても非常に迷惑であり、健康を守るために非常にマイナスであるということを深くここで認識をされて、こういう問題を推進することをおやめになる、こういう問題が
実現をしないように、いまから反省をしてやらなければならないと思います。
厚生大臣は
紋切り型の
答弁で、きまったことは何でもやるのだ、赤字である制度のために総合的に見てやるのだと言うが、この制度の
ほんとうの趣旨は、
国民の健康と命を守ることです。それと逆行した改悪案に対していま
国会の論議が一生懸命行なわれている。のれんに腕押しのような
答弁で、時間が経過すればこれはあがるのだというような考え方でやっていられる気持ちは断じて改めて、
ほんとうの
国民の命と健康を守るために
責任のある
厚生省の大臣としての立場を取り戻さなければならないと思います。そうして
国民に対する
責任を果たされなければならないと思います。
きょう私は体調が不十分だったので、あまりりっぱな
質問でありませんでしたけれ
ども、私以外の
委員の
方々の御
質問にも非常にりっぱな点がございました。そういう点を取り入れられて、
自分として出したものを悪いと思えば、それをとめる努力をされる。
総理大臣にも
大蔵大臣にも報告をしてとめる努力をされる、そういうことをすることが
厚生大臣の
任務であります。どんなに間違っても、出したものはほおかむりで通してもらいたい、
与党の、人のよ過ぎるか、人の悪過ぎるか、そういう
先生方にただおがみ倒して、何でも通してくださいというようなことであってはいけない。
与党の
先生方に社会保障に対するりっぱな経験を持っておられる
方々もおります。
厚生大臣が、閣議できまったから何とかしてくださいというようなことについて、幾ぶん影響を受けておられる
方々もおられる。そういう
方々についてもそういうわがままな頼みをすることは間違いであります。悪ければこれはつぶれてもかまいません。悪ければ直してください。そういうことについて
与党の
先生方にお願いをするのはあなた方の立場であります。
野党のわれわれが一生懸命に
国民の気持ちをくんで言っていた問題についてまともに理解をして、あやまちを改める、この
法律を
撤回をする、
審議未了にする、そうなっても悪いのだからしかたがない、そういうような気持ちでまともにこの論議を受けとめていただかなければならないと思う。そういう線でこの悪法を強行するような考え方、強行してもらいたいというような考え方を絶対に取りやめて、
国民の健康と命を守るために、
厚生大臣としての立場を取り戻していただくことを強く要求をいたしまして、ただいまの
質問を一応中断をいたします。後日私はまたあらゆる点で十二分に
質問をさせていただきたいと思います。