○
枝村委員 ほんとに時間がありませんので
質問があまりできませんが、実際一度も人事院勧告を完全実施したことはありません。そのことは、人事院という一つの代償機関というものをそもそも軽視しておると見られてもしかたがないと思うのですよ。特にそれは、先ほどから言っておりますように、ドライヤー調査団がこのことを非常に強く指摘しておるわけなんです。これは皆さん一番よく知っていらっしゃる。ですから、ドライヤー
報告にもあるように、現在の人事
委員会は全く評価の対象にもならぬということに、これははっきり言いましてなるのではないでしょうか。それから、たとえこれを代償機関として認めてみても、これらの機関が
政府に勧告したことを
政府自体が受け入れないということなんです。人事院そのものがやはり代償機関の機能を果たしておらぬだけでなく、その機関が
政府に勧告したそのことを
政府自体が受け入れぬ、破っておる、あるいは黙視しておる、こういう両方の作用によって、全く代償機関としてあることが無
意味であるというふうに痛烈に批判されてもしかたがないものだと思うのです。それから、この場合、
政府が職務または
労務の
性質から
労働基本権を制限することはやむを得ない、こういうことを主張しておるのでありますが、こういうことをどんどん言ってしまっておれば、憲法二十八条にいう
労働者の団結権は
政府なり権力の思うままにじゅうりんされる、こういうことになるのです。これは重大な憲法違反ではないか、そのように私
どもは見ておるのであります。
それで、公務員
労働者が昨年の十月二十一日に人事院勧告の完全実施を要求してストライキを実施しました。これは憲法をじゅうりんする
日本政府にむしろそのことは責任があるのでございまして、これに対していろいろな理由を設けて、刑事罰、行政罰を科するということは、これは全く誤りであって、むしろこれはすべての責任がそういう
政府にある、こういうふうに私
どもは思うのです。とにかく十六万に及ぶ刑事、行政弾圧を加えておる実態は、全逓の中郵事件の判決の
関係からしても、
ILOのいわゆる
条約の精神からしても、あるいはドライヤーが
報告した
内容からしても、これはどうしても見のがすわけにはいかないのであります。そういうふうに私
どもは
考えておるのでありまして、ひとつこの問題についてもまた機会を見て
政府とわれわれとの間のいろいろ
考え方の相違をできれば調整して、
労働大臣が言いましたように、将来の労使の
関係が円滑になるように、どこの世界から見られても、
日本のそういう労使の
関係はきわめて円満である、基本的
人権がこれはどこから見ても保障されておるというように、発展、前進するようにしていきたいと思うのであります。
そこで、代償機能の不備の問題について、とりわけ
労働委員会が完全な中立性を備えていないことが、どうもいろいろな問題で
労働者の不満を買っておるわけであります。そういうことから中立性の問題について若干
質問してみたいと思います。これもやはりドライヤー
報告ですかに明らかにされておると思うのですが、とりわけ公労委の公益
委員の選任についてであります。これはほんとうに中立的でなければならぬというふうに思うのですが、どうもその公益
委員を選ぶ場合に、現在のやり方では中立性が疑われるというようなことがたくさんあるわけであります。これは私が言わぬでもわかっておるのですが、どだいえらい人、
政府の息のかかった人、これは中立性を保つような人でないと思われる人を公益
委員に据えるということ、しかも任命する場合に、中労委であるならばこれは労使の同意を得て任命することになっておるのですが、公労委の公益
委員の場合はそうでないわけですね。
意見は聞くけれ
ども、
政府がかってに任命する、こういうことになっておるのです。そういうことから中立性——まあ
政府がりっぱな者を選べばいいかもしれませんけれ
ども、そういう選び方自体に対して、
労働者の不満を買うようなやり方をするところに中立性を疑われてもしかたがないということになってくるわけでありますが、この問題についてどういうふうに
考えておられるか、お伺いしたいのであります。