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1967-05-30 第55回国会 衆議院 社会労働委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年五月三十日(火曜日)     午前十時三十一分開議  出席委員    委員長 川野 芳滿君    理事 藏内 修治君 理事 齋藤 邦吉君    理事 佐々木義武君 理事 竹内 黎一君    理事 橋本龍太郎君 理事 河野  正君    理事 田邊  誠君 理事 田畑 金光君       天野 光晴君    大石 武一君       菅波  茂君    田中 正巳君       中山 マサ君    藤本 孝雄君       増岡 博之君    箕輪  登君       粟山  秀君    山口 敏夫君       渡辺  肇君    淡谷 悠藏君       枝村 要作君    加藤 万吉君       後藤 俊男君    佐藤觀次郎君       島本 虎三君    西風  勲君       八木 一男君    山本 政弘君       大橋 敏雄君  出席国務大臣         労 働 大 臣 早川  崇君  出席政府委員         防衛施設庁長官 小幡 久男君         防衛施設庁労務         部長      江藤 淳雄君         労働政務次官  海部 俊樹君         労働大臣官房長 辻  英雄君         労働省労政局長 松永 正男君         労働省労働基準         局長      村上 茂利君         労働省職業安定         局長      有馬 元治君  委員外出席者         厚生省公衆衛生         局検疫課長   後藤 伍郎君         専  門  員 安中 忠雄君     ————————————— 五月二十六日  委員菅波茂辞任につき、その補欠として赤城  宗徳君が議長指名委員に選任された。 同日  委員赤城宗徳辞任につき、その補欠として菅  波茂君が議長指名委員に選任された。 同月三十日  委員増岡博之君、箕輪登君及び粟山秀辞任に  つき、その補欠として神田博君、黒金泰美君及  び齋藤憲三君が議長指名委員に選任され  た。 同日  委員神田博君、黒金泰美君及び齋藤憲三辞任  につき、その補欠として増岡博之君、箕輪登君  及び粟山秀君が議長指名委員再選任され  た。     ————————————— 本日の会議に付した案件  駐留軍関係離職者等臨時措置法の一部を改正す  る法律案内閣提出第四三号)      ————◇—————
  2. 川野芳滿

    川野委員長 これより会議を開きます。  内閣提出駐留軍関係離職者等臨時措置法の一部を改正する法律案議題とし、審査を進めます。     —————————————
  3. 川野芳滿

    川野委員長 提案理由説明を聴取いたします。労働大臣早川崇君。
  4. 早川崇

    早川国務大臣 ただいま議題となりました駐留軍関係離職者等臨時措置法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容概要を御説明申し上げます。  駐留軍関係においては、これまで相当数離職者発生を見ており、政府は、これら離職者の再就職の促進に鋭意努力してきたところでありますが、今後も、中高年齢層中心に、かなりの離職者発生が見込まれるところでありますので、従来の対策についてその充実をはかるとともに、離職者の実情に即した対策を推進するため、進事業団の行なう援護業務を拡充し、自営を行なおうとする離職者に対する援護対策を強化することが肝要と考え、この法律案を提案した次第でございます。  次に法律案内容の概略を御説明申し上げます。  改正の主眼は、雇用促進事業団の行なう援護業務を拡充することにあります。  駐留軍関係離職者については、雇用促進事業団においては、現在その援護業務として、訓練手当移転資金及び雇用奨励金の支給を行なっているところでありますが、自営に対する援護対策を強化するため、この援護業務を拡充し、駐留軍関係離職者事業を開始する場合に、日常支度金を支給するとともに、金融機関から資金の貸し付けを受けることにより、当該金融機関に対して負担する債務を保証しようとするものであります。  このほか、この改正では、雇用促進事業団が支給する給付金について、譲渡等を禁止するとともに、当該給付金のうち駐留軍関係離職者に対して支給されるものを標準として、租税その他の公課を課することができないことにするため、所要の整備を行なうとともに、雇用促進事業団の行なう援護業務のこの法律の失効後の経過措置について、規定を設けることにいたしております。  以上、この法律案提案理由及びその概要につき、まして御説明申し上げた次第であります。  何とぞ御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。     —————————————
  5. 川野芳滿

    川野委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、これを許します。加藤万吉君。
  6. 加藤万吉

    加藤(万)委員 ただいま趣旨説明のありました駐留軍関係離職者等臨時措置法の適用の問題点、本法律改正に伴う種々の問題点について御質問してみたいと存じます。  まず最初に、駐留軍労務者は過去ずっと減少傾向をたどっておったわけでありますが、最近ベトナム戦争が非常に拡大をいたしまして、それに伴う駐留軍労務者動態、すなわち動きについてどのような状況になっているか、お聞きをしたいと思います。  質問の要点は、一つには、昭和三十九年以降、駐留軍労務者はどういう状態になっているか、数字の上でどうなっているか。これが第一点であります。  第二に、駐留軍労務者ベトナム戦争以降の仕事内容が、従来の駐留軍労務者仕事内容変化をしているかどうか、この辺を中心にして、駐留軍労務者動態についてお伺いをいたしたいと思います。
  7. 有馬元治

    有馬政府委員 三十九年以降の駐留軍関係労務者の数の推移についてまず申し上げます。  総数において、三十九年度は五万二千三百人、四十年度が五万八再四十六人、四十一年度は、この二月末現在でございますが、五万六百四十人、これが総数推移でございます。  同時に、離職者状況を申し上げますと、三十九年度が総数で二万一千三百三十八人、四十年度が六千九百八十四人、四十一年度は、これも同じく二月末現在でございますが、約七千人、こういう状態離職者が出ております。ただし、この離職者のうち、いわゆる人員整理といわれるものは、三十九年度が、五千十一人、四十年度が千五百五十八人、四十一年度が千九百五十三人、こういう状態になっております。
  8. 加藤万吉

    加藤(万)委員 そうしますと、定数の面ではそれほど変化はないけれども離職者のほうでは、従来の数の約四割前後が離職、いわゆる減少している、こういう減少推移ですね。それから推定をするわけですが、結局ベトナム戦争以降、駐留軍労務者仕事は、従来の在日米軍仕事内容よりも拡大をしている、こういうふうに見てよろしいですか。
  9. 小幡久男

    小幡政府委員 お答えします。  ベトナム紛争が起こりまして、特に顕著な事例は、若干需品輸送の面で、そう起伏はありませんが、たとえば兵器修理とかいうような問題が大きな問題でございます。そのほか野戦病院、こういうような点が増加面といわれるかもしれません。減少面では、ベトナムのほうに基地整備してまいりまして、たとえば所沢補給処整備減少する。そういった面で若干減っている。そういうふうに双方錯綜している面があります。
  10. 加藤万吉

    加藤(万)委員 聞くところによると、現在いわゆる使用者側である米軍の調達すべき労働力が確保されていないというように私どもは伺っておりますが、これは事実でしょうか。
  11. 小幡久男

    小幡政府委員 お説のように、一般的に労務の需給が非常に逼迫しておりますので、そういう一般的な原因の背景に、さらに駐留軍の職務は、御承知のように不安定で、危険な仕事が多いという根本的な問題がございますので、そういった点で募集が順調にいっていないことはあります。
  12. 加藤万吉

    加藤(万)委員 いま、駐留軍労務者が集まらない原因は、不安定な職業ということと、危険な面がある、こう言われましたが、労働条件がきわめて悪いということが、その調達できない一つ条件になっておりませんか。
  13. 小幡久男

    小幡政府委員 労働条件の一番根本的なものは給与であろうかと思います。給与の面について申しますと、これは御承知のように、一般公務員給与基準といたしまして、大体その給与表に従いまして、給与をきめております。  その意味は、結局一般公務員は、民間の五十人以上の会社の従業員実態調査に基づいておりますので、一般公務員給与を加味しまして一般産業従業員とさして格差はないというふうに考えております。ただ、先ほど申しましたように、終身職種でないといった点とかあるいは外人職場である、外人が使用しているというような関係で、終戦直後の他の産業が繁栄してないというならいざ知らず、いまは一般産業が非常に繁栄しておりますので、勢い魅力ある職場にはなっていないのではないかというふうに考えております。
  14. 加藤万吉

    加藤(万)委員 労働条件は、いわゆる国家公務員一般職同一条件ですね。この問題についてはまたあとで御質問します。  危険な作業があるから集まらない、いわゆる駐留軍労務者が充足できない、こういうことはございませんか。
  15. 小幡久男

    小幡政府委員 そういう危険があり得る可能性がある職域は相当限定されておりますので、そのつど米側と事前の安全措置を徴底さすように配慮を払っておるわけでありますので、そのことが原因で集まらぬということはいまのところ顕著な徴候はないと私は思っております。
  16. 加藤万吉

    加藤(万)委員 最近駐留軍労務者の、労働者職場生産関係いわゆる作業関係の中、で、武器の修理が非常に多くなりましたね。艦船修理戦闘車修理米軍に対する補給行為ですね。従来の在日米軍日本における補給行為ベトナム戦争始まって以来いわゆる在日米軍の外部の補給行為、こういうものが非常に拡大しているのではないですか。それからベトナム戦争に伴う従来の在日米軍補給行為よりも、それを増した戦争面接関係のある補給行為ないしは修理行為、そういうものが非常に拡大しているというように私ども推定がされるのですが、この辺はどうでしょう。
  17. 小幡久男

    小幡政府委員 ベトナムに対する補給行為全般につきましては、これは通産省も含めまして政府全体でそれぞれの立場のところから御説明願うのが至当かと思いますが、私どもの狭い範囲のものでは、確かにおっしゃるように修理というものは増加しております。しかしながら、政府提供労務者が働いている職場補給行為が著増したということはいままでのところないと考えております。むしろ、先ほど申しましたように、部分的には所沢補給処相模原等に一緒になった。むしろベトナムのほうの基地に大きい修理基地ができたというふうな点が著しい例としてあるくらいでございます。その顕著な増加傾向は私どもの提供しておる労務者範囲ではないというふうに考えております。
  18. 加藤万吉

    加藤(万)委員 いまベトナムから帰ってくるいわゆる船舶の場合は港でしょうが、戦闘車はどういう経路日本修理に入ってくるんですか。
  19. 江藤淳雄

    江藤政府委員 ベトナムから参ります修理用装甲車とかいろいろな車両は主として船で参ります。しかしながら一部航空機で参るものもございます。
  20. 加藤万吉

    加藤(万)委員 私の調べたところでは船舶よりも航空機のほうが多いというふうに推定されるのですが、立川横田航空機によって輸送されて、夜間その戦車あるいは装甲車相模原工場に、駐留軍基地に送られる。こういうことを聞いておるのですが、戦闘車の場合、船舶によるものが多いのか航空機によるものが多いのかどちらでしょうか。
  21. 江藤淳雄

    江藤政府委員 私のほうは特に船舶航空機輸送関係で、どちらが多いかということを詳細に承知いたしておりませんが、一般人員輸送車等につきましては、最近は比較的飛行機輸送するものが多いと聞いておりますが、やはりLSTとか、その他の貨物船ベトナムから輸送してくるものが多いというふうに聞いております。
  22. 加藤万吉

    加藤(万)委員 現在、相模原工場にM113型、これは人員輸送車ですが、それから戦車、これが私の調べではM113型が二百七十二台、戦車が七十台、それぞれ相模原工場修理をされているというふうに聞いておりますが、この合計で三百四十二台ですけれど、これらのうちで、船舶で来るものと飛行機で来るものとの割合、現時点でいいですが、どのくらいでしょうか。
  23. 江藤淳雄

    江藤政府委員 具体的に相模原等において修理等をやっております作業内容というものにつきましては、私のほうは詳細に承知いたしておりませんので、したがいまして、それらの機材が、船舶あるいは航空機でどのように運ばれておるかということまでもまだ承知してないのでございます。
  24. 加藤万吉

    加藤(万)委員 私はその点は重要だと思うのです。作業内容承知していないということは、私はたいへん重要な問題だと思います。これから質問してまいりますけれども作業内容把握をして、駐留軍労務者の動向をどうするかということが本来的任務でなければおかしいじゃないですか。  いま申し上げました三百四十二台の戦車あるいは輸送車が、どこから入ってきてどこを経由して修理工場にいくかということを聞いているのは、最近またまた検疫問題が問題になっているのですね。防衛庁では御存じでしょうけれども昭和四十年の十二月に、ベトナム負傷兵に関する検疫問題、これについて在日米軍自治体——神奈川渉外部ですが、そこと話し合いがあったことがありますね。この問題はもう私が多く説明するまでもないと思いますが、ベトナム戦線におけるいわゆる伝染病、それが日本国内に持ち込まれることを危惧をして、これに対するいろいろな処置行為覚え書きないしは交渉の段階でおきめになったはずです。したがって、私はいま申し上げましたいわゆる戦闘車ないしはベトナム戦線で使われる兵器がどの経路で入ってきて、どの工場で、どういう修理が行なわれているのかということが把握をされていないと、たとえば、いまの検疫問題一つをとらえてみても、一体内地におる一般日本人に、その検疫からくる、たとえば伝染病の感染というものがあるのかないのか、こういうことが出てくるだろうと思うのです。したがって、私は、その仕事内容把握をしていないということはどうも承知がしかねるのであります。  そこで申し上げますが、四十年の十二月にベトナム負傷兵内地送還陸軍病院収容に対して、おもだった点でいいですから、どういう点で国内伝染病を予防するための措置覚え書きが結ばれたんでしょうか。
  25. 小幡久男

    小幡政府委員 主管が厚生省でございますので、ちょっと私のほうから検疫のほうは……。
  26. 加藤万吉

    加藤(万)委員 厚生省関係の方、検疫課長
  27. 後藤伍郎

    後藤説明員 検疫の取りきめはそれ以前からやっておりまして、行政協定に基づく向こう施設、そういうところに入った艦船あるいは航空機、この場合は向こう施設で、こちらの該当する検疫所長向こう検疫官をして検疫をやらせておる。当然こちらの検疫所長検疫済み証を渡すことによって検疫が終了する。それ以外に、もう一つの道としましては、米軍の、あるいは国連軍もあるかもしれませんが、艦船あるいは航空機、そういうものが入った場合でございますけれども、この場合は、外国艦船等に関する検疫法特例というのがございまして、これによってやっておりますが、現在はこちらの当該検疫所長検疫をして通過しておる、そういうことでございます。
  28. 加藤万吉

    加藤(万)委員 一般的には、外国艦船に関する検疫ないしはいわゆる外国人に対する検疫は、御説のとおりだと思うのです。昭和四十年に問題になったときには、いわゆる一般的な問題としてではなくして、特にベトナム帰り戦傷兵の中に伝染病患者がいるのではないか。しかも、それが航空機によって立川横田に運ばれて、相模原陸軍病院収容される。その間における検疫制度が不備であるから、したがって、この問題は特殊な問題として検疫を行なうべきではないかということから実は発したわけです。そうして、当時の在日米軍と、私の聞いたところでは県の渉外部、もちろんこれは厚生省関係があるだろうと思うのですけれども、その中で覚え書きを結ばれた、とこういうわけです。一体、その覚え書きはどういう特徴点を持っておったのでしょうか、というのが私の、質問なんです。
  29. 後藤伍郎

    後藤説明員 これは、昨年の八月に日米合同委員会が開かれました、そのあとの話だと思います。御承知のように、検疫伝染病は六つの伝染病疾患しかございません。それ以外の伝染病はマラリアとか腸チフスとかいろんな伝染病があります。そういう点も問題になりまして、実は昨年の八月、合同委員会を開いて、そのことによってきめられたのが、大きく分けまして二つのポイントがあったと思います。  一つは、防疫体制を即時確立する意味情報交換をしよう。それは定期的に、向こうがどんな患者収容したか、あるいはどういう患者発生したか、こちらはどういうふうになっているか、そういう伝染病発生状況を定期的に行なう。その中では特に検疫伝染病、それから法定伝染病集団発生、これは重大な問題でございますので、直ちに報告する。それ以外の伝染病は週報で報告する。これは相互でございます。  それから第二点といたしまして、病院として、病院地区あるいはその周辺で広域的な防疫活動をする必要が出てくるのではないか、そういう場合はどうするかということでございますが、その際は向こう病院長、それから関係する保健所長、都道府県、そういうところで大いに緊密に協力をしよう。そうして、防疫に必要な処置がとれるようにしよう。この二点がきまったわけでございます。
  30. 加藤万吉

    加藤(万)委員 その日米合同委員会で三つの点の、特にあとの問題ですね。その地域における広域防疫行政を行なうその中の一つに、ベトナム戦傷兵衣服ないしは伝染病におかされたと思われるものについて日本人はその処置を行なわない。たとえば衣服は、焼却をする場合には在日米軍の米人が行なう、こういうようなお話があったように聞いておりますが、いかがですか。
  31. 後藤伍郎

    後藤説明員 私、検疫課長であまり詳細なことはわかりませんで申しわけございません。防疫課長承知しておると思いますが、主として向こうで、たとえば伝染病を媒介する虫類とか、そういうものの駆除、それからただいま御質問のように衣服の消毒、こういうものは主として向こうで実施しているのが現状だと思います。
  32. 加藤万吉

    加藤(万)委員 少し検疫課長実態を見ていただいたほうがいいと思うんですよ。御承知のように、沖繩じゃもうベトナムにおける戦傷兵収容ができないんですね。そこで、相模原とかあるいは国内、いわゆる内地に、陸軍病院がどんどんできているでしょう。いま言われたのは間違いですよ。現地ベトナムじゃもう伝染病対策ができないんですよ。いま説明があったように、現地処置をして云々じゃないんですよ。実は沖繩に持ってきて、沖繩収容しきれなくなったから相模原陸軍病院に持ってきたんですよ。そこで四十年にこの問題が出てきて覚え書きが結ばれる、こういう状態になったわけです。そこで、そういう伝染病に対する国内の波及を非常におそれて、したがってなるべく部分的に、しかも、もし発生した場合には小範囲で問題をとどめようということで、県の渉外部との話し合いでいわゆる駐留軍基地に働いている日本人はそういう伝染病患者に対する取り扱いを行なわない、したがって衣服焼却にいたしましても、あるいは看護にいたしましても——看護婦は別ですけれども、たとえばハウスメードとかあるいは駐留軍基地に働く一般労務者、これは行なわせない。そして焼却在日米軍がこれを行なう、こういうふうに当時覚え書きがあったはずです。その内容を実にお聞きをしたかったわけですが、そういう覚え書き伝染病の予防についてはくれぐれも自重をして注意をする、こういう態度であったわけです。  そこで今度は施設庁にお伺いするわけですが、私は先ほどのことにどうしてもひっかかるわけです。ベトナムから来る戦闘車——艦船は別にしまして戦闘車は、先ほど言いましたように、最近では空輸が非常に多いわけですね。飛行機によって立川横田に来るものが多いわけです。その戦闘車ベトナム戦線で傷ついた装甲車にいたしましても、戦車にいたしましても、そのまま空輸横田に来、横田から自動車で相模原に運ばれるわけですね。これを先ほどの一般的ないわゆる特例法に基づく艦船に対する検疫制度というものは当てはまるでしょうか。もし当てはまるとすれば、どこでその検疫を行なうのでしょうか。いわゆる外国から日本に入ってくる一つ物資ですから——物資と言ってはおかしいですが、戦争機材ですね、それは一体どこで検疫を行なうのでしょうか。たとえば、先ほどの特例法に基づいてもいいんですけれども、どこで行なわれるか、お聞きしたいと思うんです。
  33. 後藤伍郎

    後藤説明員 その場合でございますけれども検疫国際衛生規則に準拠してやっておるわけでございますが、ベトナムのような検疫伝染病が流行している地区から参ります場合、まず人間は当然検疫いたします。それからタンクのような場合にはそういう問題があろうと思いますけれども、いろいろな、たとえば衣服のよごれたようなものがある場合には、これは処置できるようになっております。ところが戦車とかそういうものになりますと、まだそこまでは考えておりません。
  34. 加藤万吉

    加藤(万)委員 明確でございませんね。戦車については、それじゃ検疫はしないということですか。
  35. 後藤伍郎

    後藤説明員 いや、必要があればやります。相当汚染地区を走っている、たとえば、ペストの地区を走ってきたような、しかも非常によごれているというような場合にはやります。
  36. 加藤万吉

    加藤(万)委員 相模では戦闘車輸送車を含めて三百四十二台、現地点修理に入っているわけです。これらにはほとんど血痕が付着しているのです。いわゆる戦争によって現地で血がまじっているわけですね。最近では、戦車の中で負傷されたんでしょう、あるいは近所に爆弾が落ちて人肉が飛び散ったのかどうかわかりませんけれども、肉がついている。一体この場合に、あなたの判断で検疫をする必要がありませんか。
  37. 後藤伍郎

    後藤説明員 その場合は十分ございます。
  38. 加藤万吉

    加藤(万)委員 施設庁先ほど仕事内容承知をしていない、こう言われましたけれども、こういう戦車を扱って、いま厚生省から言われると、これは検疫が必要だというんですが、施設庁でやられているんですか。
  39. 江藤淳雄

    江藤政府委員 先ほど作業内容承知いたしていないということは、若干ことばが足りなかったので訂正いたしますが、具体的にどのような機材、種類のものをどの程度の作業量行なっておるかということについて、私ども承知いたしていないということを申し上げたわけでございます。正確に申しますならば、作業管理内容承知していないということでございます。
  40. 加藤万吉

    加藤(万)委員 あと続いての質問に対してどうですか。
  41. 江藤淳雄

    江藤政府委員 先ほど御指摘の点がございました、肉片がついているとか、あるいは危険物装甲車内に入っているというようなものにつきましては、米軍のほうで軍人があらかじめ検査いたしまして、そのような事実のないことを確かめた上で作業員作業をせしめるということに、県と現地の軍との間で昨年十一月に話し合いをいたしまして、その後はそういうふうに実施いたしておるというふうに聞いております。
  42. 加藤万吉

    加藤(万)委員 これは防衛施設庁長官駐留軍労働組合から、危険、不潔な人員輸送車両の直接作業反対に対する申し入れが来ているはずです。これによりますと、これらの人員輸送車両については、実弾、実包、さらに人肉内臓物と思われるものがこびりついたまま作業にかかっています。こういうことが申し入れの中にあることを御存じだろうと思うのです。としますと、いまの答弁とはまるきり違うじゃないですか。米軍が処理をしてきれいになった戦車修理いたしていると言われましたけれども、現実に働いている労働者は、こういう状況なんですということを申し入れしているでしょう。どうですか。
  43. 小幡久男

    小幡政府委員 先ほど労務部長からお答えしましたように、昨年そういった事前検査の要請を神奈川県知事にいたしましたが、その後いまお話しのようなことが若干あったようでございます。したがいまして、再度本年五月二十五日に神奈川県知事から在日米軍司令官に対しまして厳重な申し入れをいたしまして、現在では在日米軍司令官から示達その他がいっております。五月二十五日以後は、その件は十分気をつけております。
  44. 加藤万吉

    加藤(万)委員 それじゃ厚生省にお聞きしますが、いま、育ったような状況なんですね。そしてあなたはこれに対する検疫が必要だとおっしゃられているわけです。もし厚生省がいわゆるいまの問題を扱うとすれば、いまの経路の中でどこの地点、たとえば、在日米軍立川に持ってきたものをその地点で日本国内法に照らして伝染病検疫を行なおうとされるのか、あるいは相模工廠に着いたときに行なおうとされるのか、もし厚生省が扱うとすればどの地点で行なわれるのでしょうか。
  45. 後藤伍郎

    後藤説明員 これは先ほども申し上げましたように、検疫伝染病には六つの疾患がございます。これにつきましては、米軍のほうでも非常に慎重に取り扱っております。たとえ向こう検疫伝染病患者になった場合でも、それが一度感染しますと、注意して、潜伏期間に相当する期間を隔離しておくわけでございます。ですから、もう感染の能力がないと断定して初めて、検疫伝染病患者をこちらに送っております。そういうことが一つございまして、それからそれ以外の伝染病につきましては、これはその地区防疫官の判定によるだろうと思いますが、砲弾やそういうものに付着しているものがはたして伝染病におかされているかどうか、これも判定しなければならぬだろうと思います。もちろんそれが検疫伝染病に汚染されているというおそれがある場合には、これは検疫等を当然十分にやるわけでございますけれども、それ以外のものについては、やはり検疫以外の問題になってまいりますので、防疫上の措置をしまして、そのあとでそういうものをきれいにするという段階になろうと思います。
  46. 加藤万吉

    加藤(万)委員 ちょっと課長ではなかなか答弁しにくい問題だろうと思うのです。日米の行政協定あるいは安保条約にさかのぼるかもしれませんが、それに基づいて在日米軍、特に外国における戦争状態から帰ってくる者の取り扱い、こういう問題になるわけですから、一般的な防疫対策というだけでは実は問題の解消にならないと私は思っております。確かに厚生省が行なわれている一般防疫はそのとおりだと思うのです。  そこで私は、防衛施設庁厚生省にぜひともひとつ統一の方向を出してもらいたいというふうに実は思うわけです。なぜかといえば、この問題は、四十年に問題になりましたように、いわゆるその地域においては、伝染病の感染経路になる可能性が十分秘められているわけです。いまのお話ですと、在日米軍が全部の処理を行なった上で修理を行なう、たまたま最近ではそういう問題がふえてきたから、勧告をしているというだけでは、私は日本政府としては少し弱腰だと思うのです。国内における日本人伝染病に関する処置としては私は非常に不適当だと思うのです。したがって、日米行政協定の中でどうなるのかわかりませんけれども、最近のようなそういう戦闘車ないしは戦車の搬入経路あるいはその内容から見て、どうしても施設庁厚生省とが協議をして、在日米軍に対する処置の方向について一致される必要があると思うのです。単に米軍にまかせるだけじゃ、先ほど言いましたように、なかなか内部監察ができないわけですから、そういう面では施設庁厚生省とが協力して、在日米軍との間にこの処置に対する覚え書き程度のものは緊急な問題として行なう必要があろうかと思うのです。どうでしょうか、この見解について……。
  47. 小幡久男

    小幡政府委員 ただいまの点、主管は厚生省だと思いますが、われわれも基地を担当していますし、さらに外務省も合同委員会に出ていますので、よく実情を調査いたしまして、もしそういう必要があるならば、さらに高いレベルで話し合いをしていきたいと思っております。
  48. 加藤万吉

    加藤(万)委員 先ほども言いましたように、全駐労のいわゆる作業している現場の労働者からは、どうもくさくていやだ。初めの感覚はくさいだけでしょう。肉が腐っているわけですから、あるいは血痕がだいぶ飛び散って、それがにおいを発するわけですからその程度でしょうけれども、ほんとうに医学的に考えれば、私はベトナム戦争ベトナムの地点から見て、伝染病がその中に含まれている、伝染病の感染経路があると見ていいと思う。厚生省もこの辺は十分に留意されて、地域住民の伝染病予防対策、四十年の覚え書き程度のものはやはり結ばれる必要があると思いますから、ぜひひとつ統一的に作業を進められるように要請をしておきたいと思います。  いま一つ問題になりますのは実包ですね。たまがたいへん戦車戦闘車の中に入ってくるというのです。その実包は国内における、たとえばピストルあるいはその他のいわゆる銃器ですね、これらに使えるたまがたくさんあるというふうに私は聞いているのですが、これは事実ですか。
  49. 小幡久男

    小幡政府委員 国内のピストルに使えるたまがあるかどうかということは、ちょっとその詳細はつまびらかにしませんが、若干そのようなものがあり得ることは考えられます。したがいましてそれにつきましても、先ほど申しましたように、それこそ事前に米軍が検査して、そういう危険物を回収し得るように、そういう点にこそ先ほどの要望の示達の効力を期待しているということでございます。
  50. 加藤万吉

    加藤(万)委員 これはあまり追及というか、問題を広める意味はありませんけれども、ただ私が心配するのは、立川から相模原までというと相当距離があるわけです。そうして御承知のようにあの間はLPG、プロパンガスを積んだ自動車等の往来も非常に激しいところです。かりにその輸送段階で実包が街路に落ちて破裂するということになりますと、もしたまたまそこにプロパンの自動車が通ればたいへんな事故を起こす可能性があるわけです。実包ですからしんが抜いてない。当然火薬も詰まっています。したがって、そういう問題が起きてからではおそいわけですから、私は、飛行機からおろされるときには、実包ぐらいの処理はやはり在日米軍はすべきだと思うのです。そして相模工廠の工場に運ぶ、そういうことでなければいけないと思いますから、これもひとついまの問題に関連して、在日米軍との間に御協議を願っておきたいと思います。  いま、具体的な問題二、三お聞きしたわけですが、私は結局問題は、こういう国外における戦闘行為の補給基地日本がなっているところに問題があろうと思うのです。いわゆる日本における在日米軍だけの処理ならば、こういう問題は起きてこないわけですが、ベトナム戦線における米軍の補給的役割りないしは基地的役割りを日本が果たしているところに、これは問題があるのですね。したがって、私は、まず国外におけるそういう戦闘行為の補給基地として日本基地を使うことに対する防衛庁の見解をお聞きをしておきたいと思うのです。第二に、少なくともそういうような行為、たとえば実包の処理ないしは伝染病の処理等が完全に済まされる、ないしは済まされない段階で、日本人労働者にこれをやらせることに問題があるので、日本人労働者にそういう行為がやらせない処置あるいはその問題に対する見解、これをお聞きしておきたいと思います。
  51. 小幡久男

    小幡政府委員 日本基地が一時駐留にせよベトナム補給を担当しておるということにつきましては——われわれはもとよりベトナムの紛争のすみやかに終わることを希望しておる点は変わりございません。しかしながら現実には安保条約に従いまして、極東の安全と平和に対する寄与という意味で、在日米軍はそういう義務を持っておるという解釈でありますので、その解釈に従いまして補給をやるということも、これまた現実におきましてはいたしかたないことだろうと考えております。  第二の、それにいたしましても、そういう危険物等が日本に還送されてくる、それにつきまして駐留軍労務者が危険に面していろいろ心配をするというようなことにつきましては、これを十分、国内のしかるべき段階で米軍当局と折衝いたしまして、そういうことは除くように、その点につきましてはわれわれとしても十分努力したいというふうに考えております。
  52. 加藤万吉

    加藤(万)委員 安保条約が、極東の安全ということが問題があるからということでありますが、極東の範囲についてはしばしば国会で論議されておるとおりであります。  そこで、いま一つ問題をお聞きしたいのですが、政府雇用の駐留軍労務者、これが最近MSTSの関係ベトナム海域に行っているという話を聞いているのですが、これは事実でしょうか。
  53. 小幡久男

    小幡政府委員 MSTSの中に若干のいわゆる間接雇用の船員がおりまして、その貨物船が行っていることは事実でございます。
  54. 加藤万吉

    加藤(万)委員 間接雇用ですか、いまの場合は。
  55. 小幡久男

    小幡政府委員 LSTのほうは直接雇用でございまして、政府が雇用いたしまして提供するのが間接雇用と申しております。
  56. 加藤万吉

    加藤(万)委員 MLC船員というのですね、この船員は。これがいまいわゆるベトナム周辺の海域に行っていますが、このベトナム水域に、私どもよく用語知らないのですが、ジョンソンラインというのがあるというのですが、そのジョンソンラインを越えて入っているという話を聞きますが、これは事実でしょうか。
  57. 小幡久男

    小幡政府委員 ジョンソンラインと申しますのは、船員にある種の手当を加増する地域というふうに聞いております。これに入っておることは事実であります。
  58. 加藤万吉

    加藤(万)委員 かつて新聞で問題になりましたLST船員ですね、と同様な危険がこれらの船員にあるということはお認めになりますか。
  59. 小幡久男

    小幡政府委員 同じような状況にあると存じます。
  60. 加藤万吉

    加藤(万)委員 そうしますと、これは非常に重要な問題に実は発展をしていくわけですね。政府の雇用するいわゆる駐留軍労働者貨物船、油送船に乗ってベトナムに行っておる、しかもLST船員が被害を受けたと同じ、いわゆる銃爆撃を受ける地域に、わが国の政府船員が戦略物資を積んで運んでいるという事実になりますが、そういうふうに理解してよろしゅうございますか。
  61. 小幡久男

    小幡政府委員 これは日米安保条約におきまして、先ほど申しましたように、ベトナムは極東周辺でございますけれども、そこにおける問題は極東の平和に関係があるという解釈でございまして、そこの区域は特に在日米軍の船がこれを担当するようになっておりますので、それに従いまして船員を提供しているというわけでございます。その安全性につきましては、政府担当当局でございますから、われわれの責任におきまして何回となく米軍側にも、危険のある点については厳重に申し入れております。LSTにつきまして、貨物船でございますので、先ほど同程度の危険があると申しましたが、船から申しますと、LSTよりは若干安全ではないかというふうに考えております。
  62. 加藤万吉

    加藤(万)委員 貨物船フェントレス、ハーキュマー、マスキンガム、油送船では。ピスカタックワ、リンコン、ペタルマ、これはいずれも武器を装備していますか。
  63. 小幡久男

    小幡政府委員 これは一般物資輸送で、特に武装はしていないということでございます。
  64. 加藤万吉

    加藤(万)委員 そうすると、LSTの船よりも若干安全だということはどこから生まれるんですか。海域は同じで、しかもLSTと同じ地域に行っているということでありますし、いま聞きますとジョンソンライン——おそらくこれは例の南ベトナム水域周航船舶に対する特別規定、それの海域だと思うのですが、一体どこにその差があるのでしょう。
  65. 小幡久男

    小幡政府委員 これはベトナムのみに行っているのではございませんで、近海をずっと周航しておって、ときおりベトナムに顔を出すという周航航路になっておりますので、船舶の型も、LSTの上陸用舟艇という軍用船らしいかっこうをしていないものですから、積んでいる荷物も、第一線兵器というものは比較的少ないというふうなことから、船自身は若干そういうチャンスは、LSTなどよりはないんじゃないかというふうに考えております。
  66. 加藤万吉

    加藤(万)委員 日本が具体的にベトナム戦争に介入しているかいないかという、実は事実行為の確認になるわけですが、例の安保条約の極東の範囲について、これはいろいろ問題になりましたけれども、いまの御説明にもありましたように、ベトナムは極東といわれる範囲の周辺ということに、いまのところは政府の統一見解がなっておるわけですね。そうしますと、朝鮮とか台湾、それにも行っておるようでありますが、そういうところにいわゆる在日米軍としての必要な日常物資といいましょうか、それを運ぶ段階では、確かに御説のとおり安保条約の規定に基づくものだろうと思うのですけれども、いま言ったようにベトナム周辺——私どもが聞くところでは、サイゴン港に入港しているということですが、サイゴン港は御承知のとおり完全な戦域ですからね、いまの場合は。しかも、サイゴン港に陸揚げされる物資は、われわれの目から見ればほとんどが戦争物資ですよ。かりにそれがゴムの長靴にいたしましても、これは戦略物資というふうに私どもは認定しているわけですから、そういう意味からいくと、日本政府が雇用するいわゆる船員がアメリカの後方基地から戦略物資輸送しているというふうに見られてもやむを得ない状況じゃないかというふうに私は思うのです。  そこで私は、LSTと違ってこの場合はいわゆる政府の雇用の労働者ですから、それだけにもっともっと、何といいましょうか在日米軍に対するその使用の方向を明確にされる必要があると思うのです。在日米軍がもしLSTによってやられても、問題が社会的にはあるにしても、日本政府としては一応の責任のがれはできるのでしょうけれども、この場合には政府雇用の労務者なんですから、この辺の限界をきちっとして在日米軍にその業務の内容を勧告されなければいけないというふうに私は思うのですけれども、どうでしょうか。
  67. 小幡久男

    小幡政府委員 先ほどお答えしましたように、ベトナムに軍事輸送をすることは日米安保のワク内をこえておりません。そのワクを越えては軍事輸送というものはやっておりません。特に政府雇用でございますので、随時米軍と協議をいたしまして、たとえば、航海日数が長期にわたらないということも厳重に申しておりますし、あるいは港湾とか河川でどういう警戒をやったらいいかというところまで向こう側と協議しておりまして、こういう警戒方法でやっていくというような納得づくでやっておりますし、また乗る船員につきましても決して強制いたしておりません。航海ごとに船員の意向を聞きまして、その船員がもし下船を希望するならば他の船に配置転換をする、あるいは陸上のしかるべき場所へ上げて使うというふうな折衝の余地を船員側に残しております。そういう意味ではわれわれも、御心配をされておる点は十分に頭に置きまして、事あるごとに米軍と折衝しておるという状況であります。
  68. 加藤万吉

    加藤(万)委員 総じていえば、結局ベトナム戦争拡大をすることによって、日本を補給基地にしようとする、あるいは戦略基地としようとする方向が、在日米軍をしてどうしても強硬に日本政府側に要請をさせるものだと思うのです。これは戦争拡大が行なわれればそういう状況になるのは必然性を持っているわけですね。そうなってくると、どうしても日本政府側のいわゆる意見、方針というものが相当確立されていないと、ベトナム戦争に巻き込まれる可能性は十分あるわけです。私どもの判断では、これはどう見てもやはり地位協定違反じゃないか。あるいは日米安保条約なり行政協定拡大解釈を向こうから、求められて、それに対して日本政府が応じている。われわれの側から見ればきわめて弱腰に折衝しているとしか見られないわけです。したがって、この辺のことはこれからもまだ拡大する、エスカレーションされる可能性があるわけですから、十分日本人労働者の立場あるいは日本国内条件というものを出先である施設庁では把握をされて折衝されるように私は希望しておきます。  本題に入りますが、今度の臨時措置法、これは前の措置法の一部改正ですね。大臣の説明によりますと、前の措置法をより強化をして駐留軍離職者の将来の生活の不安を除く、こう言われているわけですが、私は措置法に基づく離職者対策よりも、むしろもっと抜本的に駐留軍基地に働く労働者をどうするかということが、もっと前段の問題として用意をされ、日本政府で検討されていかなくちゃいけない問題だと思うのですが、一体駐留軍労務者の不安定雇用に対して将来政府はもっと抜本的にどのように改善しようとされているのか、まずその所信を大臣からお聞きをしたいと思います。
  69. 早川崇

    早川国務大臣 駐留軍関係はどちらかといえば不安定雇用の性格を持っておりますが、通年雇用であることは間違いないわけでございます。現在は御承知のように非常に手厚い離職者対策というものをやっておることは御承知のとおりでありまして、今後これだけにとどまらず、さらに現に就職しておる人たちのいろいろな御希望その他も勘案いたしまして検討をいたしてまいりたい。現在は御承知のように炭鉱は別でありますが、炭鉱を除きましてまことに手厚い離職者対策を、今国会でさらに自営支度金、債務保証、こういうことまでやっておるというのが現状でございます。
  70. 加藤万吉

    加藤(万)委員 手厚い処置と言われるのはどうも私は合点がいきません。いわゆる臨時措置法によって起きてくる諸政策が駐留軍基地に働く労務者に対して手厚い方法だというのは、どうも実は合点がいかないわけです。日米安保条約によってこういう労働者が生まれたわけでありますけれども、本来日本の立場からいけば、長期的に雇用安定をされる労働に変化をしていく、ないしは改革をしていくということが本来的にいわゆる手厚い労働政策ということになるのじゃないかというふうに私は思うのです。  そこで一つお聞きをしますが、昭和二十七年には御承知のように接収件数は二千八百二十四件、坪数四億九百万坪の土地が占領行政下に置かれておったわけですが、政府側の資料をいろいろ読ましていただきますと、昭和四十年には百五十三件、一億八百七十万坪に減ったのですね。いわゆる基地が減ったわけです。そこで問題はその基地の払い下げですが、本来駐留軍労務者が長期的に雇用される、たとえば平和産業への転換あるいは新しい工場の誘致、そういう方向に向かわなければいけなかったというように思うのですが、一体この間、土地にしますと約四分の一弱に減ったわけですし、逆に言えば四分の三近くがいわゆる開放されたわけですから、それに対して民間工場への払い下げあるいは平和転用等の行なわれたものは一体どのくらいあるのでしょうか。さらに駐留軍基地に働いておった労働者が長期的にそこに雇用されるようになった数字はどのくらいあるのですか。   〔委員長退席、佐々木(義)委員長代理着席〕
  71. 江藤淳雄

    江藤政府委員 突然の御質問で資料がありませんのですが、転換施設駐留軍労務者離職した人が現在働いておる数は、たとえば転換施設のかなりの部分が自衛隊の施設に利用されておりますのでそのほうに、自衛隊の部隊の職員となって勤務している者は約二千人程度あると記憶しております。その他民間企業に転換になりまして離職した従業員が何名勤務しているかということは、これはすぐは資料の入手は困難じゃないかと思います。
  72. 加藤万吉

    加藤(万)委員 困難というよりも、ざっくばらんに言ってしまえばあまりないのじゃないですか。結局駐留軍労務者の雇用政策というものは、臨時措置法、いわゆる駐留軍労務者離職することによって起きる措置、臨時的措置だけに雇用政策があると私は実は言わざるを得ないわけです。もう御案内でしょうけれども、民間工場に払い下げたのは追浜ですね。それから小倉、私の知る範囲ではこの辺じゃないかと思う。いわゆる大きな民間工場に払い下げないしは平和転用された基地というのは。そこらに働く労働者の大半はいわゆる離職者じゃないのです。もう御案内でしょうけれども駐留軍離職者はきわめて年齢度が高いですから、民間企業への転業はいわゆる採用条件としてもなかなかむずかしい。実は駐留軍労働者の長期的な雇用計画というものはそこから生まれてこない。そこで、一般的にいって企業組合であるとかなんとかという方向に雇用政策が行ってしまって、平和転用の中に駐留軍労務者を長期的に安定する職場を与えるという政策が抜けている、そういう方向にあると言わざるを得ないと私は思うのです。  そこで、これは政府に一ぺんお聞きしますが、駐留軍労務者ないしは、これは炭鉱の場合にもあったと思うのですが、政府関係機関に雇用を促進する、ないしは行政指導を行なうということが一たしか昭和三十六、七年ごろにあったと思うのですが、現在そういう方向についてはどうなっているのでしょうか。
  73. 有馬元治

    有馬政府委員 石炭の離職者対策につきましては、御承知のように三十八年、三十九年、四十年の三カ年にわたりまして官公庁関係の雇用計画を樹立いたしまして官公庁への再就職を推進してまいりました。昨年度からは離職者相当減りましたので、考え方は同じ考え方で、官公庁優先ということで、できるだけ官公庁へ再就職させるという方針でやっておりますが、全体的な計画は昨年から樹立いたしておりません。駐留軍労務者の場合におきましても、これは地域によっていろいろ違いますが、できるだけ官公庁関係職場に再就職させるという方向でいろいろな条件緩和あるいは就職の積極的なあっぜん、こういうことをやっておりますので、詳しいデータを持っておりませんが、相当官公庁関係にも再就職している、こういう状態でございます。
  74. 加藤万吉

    加藤(万)委員 三十八年、三十九年、私は率直に言ってそのころは労働省も相当積極的に、特に各官公庁に対する優先雇用ということで就職指導されたというふうに実は思うわけです。ところが、四十年、四十一年はほとんど行なわれていないのじゃないですか。先ほど局長は、最近減少したからと言いますけれども、先ほどの御説明では四十一年、四十二年、それぞれ離職者は七千人前後ですね。それ以前は一万一千人です。先ほども私が申し上げましたように、雇用率は約六割五分くらいですか、六割前後ですが、まだ相当離職者はあるわけです。したがって、四十一年、四十二年にも当然離職者の官公庁優先就職というものは行政指導として計画的になされなければいけないと思うのです。たとえば、四十二年度あるいは来年度等における官公庁優先雇用計画に対して労働省では計画をお持ちでしょうか。もしあるとすれば、その内容等を御説明願えれば幸いと思います。
  75. 有馬元治

    有馬政府委員 駐留軍離職者は御承知のように年齢が非常に商い。それから職種が一般的に官公庁にそのまま向くという職種ではないというようないろいろな条件がございまして、離職する離職者全体につきまして官公庁にどれくらい再就職させるという計画を初めから樹立するということはなかなかむずかしいわけでございます。ただ、御承知のように十年前から積極的に離職者対策を展開してまいっておりますが、その間において官公庁におきましても中高年の雇用の促進体制というものを徐々に確立してまいりまして、再就職者の採用年齢も引き上げてまいりますし、それから採用条件としてのいろいろな試験制度もございますが、これらについても緩和できるところは緩和いたしまして、できるだけ官公庁に採用しやすい条件を今日までつくり出してきておるわけでございます。そこで、できるだけ官公庁にあっせんをする体制、考え方でやっておりますけれども、なかなか職種、年齢、地域、いろいろな点で実際問題は非常にむずかしい点がございます。しかし、民間と比べて官公庁ができるだけ優先的にやっていきたいという考え方には変わりございませんので、今後におきましてもそういう考え方で積極的に指導してまいりたいと思います。
  76. 加藤万吉

    加藤(万)委員 確かにお説のようにむずかしいと私は思うのです。特に民間企業は若年労働者を技術革新の中では非常に必要としていますから、そういう面では高年齢者を採用することにむずかしい条件が存在することは、私はそのとおりだと思う。しかし、むずかしいからなお実は政府の指導が必要なんです。中高年齢労働者の就労対策、雇用関係局長も御案内でしょうけれども、五十歳以上ですと五十分の一ぐらいになってしまうのですね。それだけに政府側の就職指導の措置がきわめて強く望まれるところです。政府の資料をいろいろ見せていただいたが、政府関係の雇用が四十年以降表に載っていなくて、私は非常に残念に思います。国が日米安保条約に基づいてつくった労働者ですから、やはり国がその責任を負うべきであって、それを大臣が言われるように、臨時措置法が手厚い方法であるから、いわゆる離職者に対しては手厚い方法を講じておるのだということだけではどうも納得がいきません。これは今後の問題といたしましても相当重要な問題で、ベトナム戦争がどういうかっこうに発展するかわかりませんけれども、もしベトナム戦争が終息した場合には、従来の駐留軍労務者の雇用数は比例的に傾斜してずっと減っていくと思うのです。いまの場合には需要が供給を上回っているわけですから、そういう面で五万人前後のところで基地労務者は横ばい状態でありますけれども、もしベトナム戦争が終息をすることになれば、先ほど幾つか申し上げましたように、船舶修理であるとか、戦闘車修理であるとか、あるいは補給作業そのものも減少してくることは間違いないわけです。そうしますと、いまの五万人の労務者のうちから急激にいわゆる離職関係の人間が出てくることは明らかです。そうなってくると、見通しの問題ですから、いつベトナム戦争が終わるかということに関係はありますけれども、その措置をいまから準備される必要があろうかと思うのです。したがって、政府が優先的にそういう雇用をされて民間産業にも指導する、そういう方向をぜひとも確立をしていただきたいというふうに私は思います。ベトナム戦争がいつ終わるかわかりませんけれども、一九七〇年には、いずれにしても安保条約は改定期であります。この安保条約の改定期を迎えて、これは大臣にお聞きしたいのですが、在日米軍から駐留軍労働者の今後の方針について何か申し入ればありませんでしたか。もしあれば、その内容あるいは一九七〇年を迎える政府側の駐留軍労務者に対する態度等についての御見解を承っておきたいと思います。
  77. 早川崇

    早川国務大臣 申し入れば現在のところ聞いておりません。
  78. 加藤万吉

    加藤(万)委員 そうしますと、一九七〇年の安保改定期の段階でもなお今日の在日米軍駐留軍労務者との関係は、現在の方向をもって踏襲されるというようにわれわれ認識してよろしいでしょうか。
  79. 早川崇

    早川国務大臣 特別の事情のない限り、そのようになると思います。
  80. 加藤万吉

    加藤(万)委員 この問題は非常に重要な大きな問題ですから、安保条約の問題あるいは日米行政協定との問題に関連して別の席でもう少し論議をしてみたいというふうに思います。  そこで、駐留軍関係の現在の労使関係についてお聞きをしてみたいと思いますが、駐留軍労働者の賃金、これは先ほど防衛施設庁からもお話がありましたが、昭和三十八年一月一日から国家公務員一般職の俸給表に改められたわけですね。そして質問の段階でも明らかになりましたが、現在も国家公務員一般職と同じ扱いをされているというように聞きましたが、そのとおり確認してよろしゅうございましょうか。
  81. 小幡久男

    小幡政府委員 本給につきましてはそのようになっております。ただ退職手当とかその他のこまかいところについては若干の差異がございます。
  82. 加藤万吉

    加藤(万)委員 昭和二十七年の法律百七十四号九条、これによりますと駐留軍労務者の賃金は防衛施設庁長官が決定できるようになっておりますが、そうなりますと、駐留軍労務者の賃金体系あるいは賃金の額について国家公務員一般職に必ずしも比例しなくてもよろしいのじゃないかというように私は理解するわけですが、この辺はどうでしょうか。
  83. 小幡久男

    小幡政府委員 御承知のように一般公務員につきましては毎年ぺースアップがございますが、大体先ほど申しましたように一般公務員に準じておりますので、労働組合の要求も大体それに準じて出てまいりますので、原則的にはそれに比例いたしまして解決するというようなことになります。
  84. 加藤万吉

    加藤(万)委員 ぼくは組合のほうがそういうようにしているというのは、そうせざるを得なくなったというように実は理解しているのです。これは三公社五現業と比較するというのはちょっとどうかと思いますけれども昭和二十七年の法律の定めるところによれば、いわゆる防衛施設庁長官が独自で判断——独自でと言ってはおかしいですが、自身で判断ができる、決定できるということになっているわけですから、そうなってくれば何も国家公務員一般職にすべて比例をするという方向はとられなくてもいいと思うのです。むしろ駐留軍労務者に必要な賃金体系と賃金の引き上げを行なっても決しておかしいことではないというように思うのですが、どうでございましょうか。
  85. 小幡久男

    小幡政府委員 条文では「生計費並びに国家公務員及び民間事業の従事員における給与その他の勤務条件を考慮して、」云々とございますので、厳密に言えばそういうことも可能かと思いますが、これは御承知のように給与を実際払うのは米軍で、負担は米軍でございますので、やはり国際関係もございますので、理屈として通るのは、大原則である国家公務員給与にならってやるという原則が一番強く通用もし、また支持されるということでございます。
  86. 加藤万吉

    加藤(万)委員 一般公務員の賃金は私どもから見ますると一年半から二年おくれの賃金を追っているわけです。民間産業の賃金がきまって、その調査に基づいて人事院勧告が出されてくるわけですね。そして人事院勧告が実施されるのはそのあとですから、ちょうどそれだけでも一年ぐらいおくれているわけです。いまの法律を読み上げられた中にもありますように、民間賃金との比較、国家公務員との比較、そういうものを内包して駐留軍労務者の賃金云々とこうなっているわけですね。そうだとすれば、在日米軍に対する労務費のいわゆる請求といいましょうか、あるいは在日米軍との交渉段階でもそういうものを基礎データにして、いわゆる労務費をどうされるのかということをされても決して私はおかしなことじゃないと思うのです。しかもここに大臣がお見えになっていますけれども、今度は公共企業体関係の調停も御案内のような調停案が出ているわけですね。あれも民間産業との比較が中心になっているわけですが、そういうことをベースに置かれて、今後米軍との交渉をされるということが必要ではないかというように思うのですが、いかがなものでしょう。
  87. 小幡久男

    小幡政府委員 先ほども申しましたように、公務員に全部一から百まで右へならえしているわけじゃございませんので、おっしゃるような領域がございましてわれわれも駐留軍労務者の言い分がもっともだと思う点につきましてはそういう折衝をしたいと思います。
  88. 加藤万吉

    加藤(万)委員 ぜひひとつ防衛施設庁の独自性といいましょうか、主体性を出してほしいというようにこの段階では要望しておきます。  そこで駐留軍労務者の賃金引き上げは先ほど言いましたように、国家公務員一般職によって行なわれたわけですが、昨年の賃金引き上げで、人事院勧告の中で、行政職(二)表一般技能職員の初任給引き上げと在職者調整の措置駐留軍労働者には実施をされているのでしょうか。   〔佐々木(義)委員長代理退席、委員長着席〕
  89. 江藤淳雄

    江藤政府委員 いわゆる行政職(二)に該当する低額職種の職員の給与調整でございますが、これは人事院勧告の中に特にうたわれたものではございません。人事院の権限において人事院が各省に対して予算の範囲内において低額職種の者の給与を調整する際にはこの程度の方法でやってもいいんだというような人事院事務総長通達が出ておるのでございます。われわれとしましてもその線に沿いまして低額職種の給与改定も、これは人事院勧告に入ってないけれども、人事院の通達として各省が実施するものであるから、米軍もこの線に沿って実施してもらいたいということで現在交渉しております。まだ完全な結論に達しておりませんけれども、なるべく早い機会にこの成案を得たいというふうに鋭意努力いたしておる次第でございます。
  90. 加藤万吉

    加藤(万)委員 一年たっているわけですから、一体これは大体の目安としていつごろ実施をされますか。いまの交渉段階から見て、あなたの推測でいいですから、いつごろ実施をされるかちょっとお聞きをしておきたいと思います。
  91. 江藤淳雄

    江藤政府委員 在日米軍との交渉でございますので、いつそれが決定し、実施されるかということをここで断定するわけにはまいりませんけれども、対米交渉の段階においてなるべく早くこれが妥結するように現在極力努力いたしておるのでございます。
  92. 加藤万吉

    加藤(万)委員 賃金の基本給では国家公務員を踏襲されているわけです。勧告段階の問題については在日米軍との関係処置がおくれているわけですね。私は少し片手落ちのような気がします。したがって、いまの問題もできる限り早い機会に在日米軍と交渉を煮詰めていただいて処置を行なうように、これまた要求をしておきます。  それから駐留軍関係との間にいま労働協約は存在をするのですか。
  93. 江藤淳雄

    江藤政府委員 現在労働基準法に基づく労働協約というものは締結されておりません。
  94. 加藤万吉

    加藤(万)委員 先輩の議員に実は聞いてみたわけです。駐留軍労務者の労働協約というのは一体あるんですかと聞きましたら、実はそれは十年ほど前に社会労働委員会で問題になりまして、その社会労働委員会の当時の施設庁でしょうかあるいは労働省でしょうか、その答弁ではできる限り早い機会に労働協約を締結します、こう言われておるのですが、それから十年たっているわけですね。十年たって労働協約が締結されないその内容、一体どういう点にあるんでしょうか。
  95. 江藤淳雄

    江藤政府委員 御指摘のように三十二年十月に前の労働協約が失効しまして、その後新契約に基づいての労働協約はまだできておりません。労使間の話し合いにおいて、なお問題点としまして御承知のように基地内における組合活動の範囲であるとかあるいは組合費の引き去り、いわゆるチェックオフの問題、こういう点につきまして在日米軍並びに施設庁、それから労働組合の間において十分話し合いがまとまりませんので、したがって労働協約がまだ締結を見ていないのでございます。しかしながら、従来ありました労働協約の趣旨に沿った運用は現在も実際にはいたしておるのでございまして、なるべく早い機会に労働協約が締結できるように労使間で協議はいたしておりますけれども、遺憾ながらまだできていないというのが実情でございます。
  96. 加藤万吉

    加藤(万)委員 いまも答弁にありましたように労働協約の締結されていないおもなる理由が、いわゆる労働組合活動にある。これは後ほど問題になりますいわゆる不当労働行為との関係が非常に密接不可分なんですね。私はやはり在日米軍基地内における労働組合活動について相当の制約をしているというふうに実は見ているわけです。したがって、労働協約の係争点が主として組合活動の認定の問題をめぐって締結されていない。私は米軍基地ですから特殊な条件のあるということを多少諦めながらも、しかし一般的に日本の民間企業の置かれている立場での労働協約あるいは三公社五現業、公社等で行なわれておる労働協約、これに比較をして、いま組合側が提起をされておるたとえば労働協約草案——案でもいいのですが、それ自身はそんなにむちゃないわゆる要求ではないというふうに私は判断をするのですが、この辺の見解についてはどうでしょう。
  97. 江藤淳雄

    江藤政府委員 労働協約が妥結しない最も大きな技術的な問題は、組合費の引き去り、チェックオフの問題でございまして、これは在日米軍としましては、チェックオフを認めないというのが非常に強い態度でございます。それから次は基地内における労働組合の組合活動の範囲の問題でございますが、これは御承知のように在日米軍は地位協定第三条によりまして基地管理権というものを持っております。この基地管理権と地位協定十二条第五項の関係との双方の規定の関係において、その調整が非常に困難であるというふうな点で、組合の要望との関係で妥結ができていないのが実情でございます。
  98. 加藤万吉

    加藤(万)委員 私はいまのお話、説明でわかりましたけれども、結局組合活動に対する制約、それに対して一般的に日本で行なわれておる労使慣行、それをひとつ基準にして、できる限り早く労働協約が締結されるように措置をしてもらいたいというふうに思います。いま幾つか問題点をあげられましたが、チェックオフにいたしましても、ILOの批准に伴う政府側の見解あるいは問題点は出ているわけですから、あるいは最近では公社、組合との間に相当話等もあるわけですから、そういう点も踏んまえて、労働協約がやはり労使間の安定という意味から締結されるように要求をしておきたいというふうに思います。  最近保安解雇が非常に多いですね。私ども聞いたところでは、最近四十一年の十一月に相模で五名、座間で一名、四十二年の一月に相模で六名、座間で一名。保安解雇で一番問題になりますのは、労務基本契約の第九章、例の条項ですね、a、b、cの条項、aのスパイ、破壊活動の問題は別にしましても、b、c項ですね、これは労務基本契約から削除されるべき性格のものではないかというふうに思いますが、この辺の見解はどうでしょう。
  99. 江藤淳雄

    江藤政府委員 存日米軍は御承知ようにあくまで軍隊でございまして、その使命の最大なものは非常事態に対処するというものでございます。したがまして、軍紀の維持というものについては非常な関心、神経を働かせるわけでございます。その意味におきまして、保安上の理由による解雇ということにつきましては、これは軍隊の使命の特殊性から当然出てくるわけでございまして、その意味におきまして、地位協定におきましては、十二条五項におきまして、特別にこの問題については日米間で格段の合意をいたしまして、保安解雇に関する限りは、日本の労働法令の規定によらないという申し合わせをいたしております。その申し合わせによりまして九章の規定が具体的に規定されておりますので、特にこの規定を現在修正いたすということは施設庁としては考えておりません。
  100. 加藤万吉

    加藤(万)委員 それでは具体的なものを通して、どうしてこうなったんだろうかということを聞いてみたいと思うのです。  四十二年の一月に座間で一名保安解雇をされましたが、これが撤回されましたね。これは日米間の協議によって撤回をされたんだろうと思うのですが、一体撤回された理由はどこにあったのでしょうか。在日米軍が解雇をすると言った理由がどの辺に合議の段階であって、そうしてなぜそれが撤回をされたのですか。
  101. 江藤淳雄

    江藤政府委員 在日米軍が保安上有害であるというふうな認定をしまして、施設庁に対してこの人間を保安上の解雇をいたしたいというふうに申し出てまいったのでございますが、その解雇の最終段階においては米軍防衛施設庁長官との間で協議をいたすことになっております。私どものほうも十分調査をいたすのでございますが、米軍の保安上の理由についてわれわれは反論をいたしまして、この人間はそれほど保安上の解雇をする人物ではないではないかという点を、私のほうの調査の結果の資料によりまして交渉いたしまして、その結果、その人間はそれほど有害でないという結論に達したというふうに聞いております。
  102. 加藤万吉

    加藤(万)委員 その反論された中身について説明願いたいと思う。
  103. 江藤淳雄

    江藤政府委員 保安上の理由によって解雇いたします場合に、この保安上の理由の内容につきましてはこれは米軍の判断というものが中心になるわけでございますが、それに対しましてわれわれが反論をするというような具体的な内容につきましては、これは臨時措置を実施していく段階の問題でございまして、この点につきましては日米間の信義の問題もございまして、これを部外に公表するということは差し控えたいというふうに考えております。
  104. 加藤万吉

    加藤(万)委員 わからぬですね。人間一人解雇しようというわけですからね。解雇する理由が米軍の側から説明されないということは、これはわかりますよ。しかし撤回されたものは、いや実はこういうところに米軍の言うことが無理があって、日本政府はこうこうこういう立場で反論を行なったところが撤回されたのだ、その理由くらいは、私は信義の問題よりも、この委員会の問題としてわれわれに明らかにされることが必要ではないかというふうに思うのですが、いかがなものでしょう。
  105. 小幡久男

    小幡政府委員 これは基本契約に書いてありますこと以外に具体的な内容につきましては、本人にもかかわることだし、また日米間のいろいろな事情もございまして、信義上公表せぬことになっております。ひとつ御了承願いたいと思います。
  106. 加藤万吉

    加藤(万)委員 実はこの問題は、どういうことまでがいわゆる限界なのだろうかということが、基地に働いている駐留軍労務者になかなかわからないわけですね。たとえば、おれは社会党の党員になったということが首切られた理由なんだろうか、あるいは一般的な労働組合活動をやったことが理由なんだろうか、その限界というものが当事者にとって、まあ当事者というよりか、基地に働く労働者にとってみればわからないわけです。したがって、たまたま保安解雇にぶつかった者は、一体おれは何で首切られたのだろう、そのことをある程度示すことが、いわば基地内における労務者一つの規律、基準をつくることになろうかと私は思うのです。したがって、そういう、面からもこれは明らかにしていかなければ、将来保安解雇によって切られる可能性を、たとえば自分自身がやっていることに対して判断ができないわけですから、どこが基準になるか。一般的にスパイ活動とか破壊活動とか、あるいは破壊団体の構成員とか、あるいは破壊団体の構成員と密接な連絡をとった者、こういうふうに言われても、米軍側の認定として一体日本社会党が破壊団体であるかどうか、これもわからぬわけでしょう。そのときに日本政府が、いや、日本社会党は破壊団体ではありません、合法的な政党であるということになれば撤回されるわけですね。そうすれば、日本社会党の運動をかりに基地の外で、まあ基地に関連ある地点で行なった場合には、保安解雇の対象にはならないわけです。そういう面から見れば、一体どこに政党の活動あるいは労働組合の活動について基準、限界というものがあるのだろうか、それ自身を駐留軍基地労務者に示すことは、私はきわめて重要なことではないかというふうに思うのですが、この辺の見解はどうでしょう。
  107. 小幡久男

    小幡政府委員 具体的には先ほど申し上げたとおりでございますが、決していまお話しになったような、そういうことは考えておりません。非常に厳格に解釈されておりますし、これは日本側も十分チェックしております。おそらく、発表していいことと悪いことがありますが、これは発表しないほうが穏当だろう、こういうふうに思います。
  108. 加藤万吉

    加藤(万)委員 それ以上口を開かないと言われればそれまでの話であります。いずれにしましてもこれは保安解雇、御承知のように何回も問題になっておりますように憲法の十四条、十九条、そして二十一条ですね、それぞれ日本国民から見ていった場合には違反条項がしばしばあるわけですね。そして不当労働行為案件として地方労働委員会におきましては多くの場合に不当労働行為が認められているという実情にもあります。したがって、私は保安解雇に対する基地労働者の不安をなくする行政指導といいましょうか、あるいはいま言いましたような一定の基準を示すとか、基準を示すといってはおかしいですが、取り消しになった者はこうこうこういう理由で取り消しになったということを明らかにされても、私は信義にもとるものではないと思うのです。したがって、そういう点に対しては今後の政府側のあるいは施設庁の行政指導面をぜひ的確に行なわれるようにお願いを申し上げておきたいというように思います。  今度の臨時措置法は以前からもいろいろな条件がありますが、今度新しく改正で自責支度金が出るようになりましたね。自営支度金はどういう人を対象にどういう条件で支出をされるようになるのでしょうか。まだいまの大臣の説明ないしは私どもの手元にいただいた法案の内容説明ではわかりませんので、数えていただきたいと思います。
  109. 有馬元治

    有馬政府委員 自営支度金は三十九年一月以降において人員整理によって離職した駐留軍関係離職者自営業を開始しようとする者に対しまして、自営に要する費用の一部として雇用促進事業団が支給するものでございます。これは御承知のように石炭の離職者に対して再就職奨励金が現在ございますが、これはあくまで雇用労働者になる場合に奨励金を出す制度になっておりますが、自営の場合にはこの制度がないわけです。したがいまして、それに準じて自営の場合にも支度金を支給しょうという考え方で、具体的には一年未満に再就職をした場合には七十五日分、それから一年から一年半以内の場合は五十日分、それから二年以内の場合には三十日分ということで支給の額を算定することになっております。したがいまして、最高の場合には約四万五千円くらいになると思います。
  110. 加藤万吉

    加藤(万)委員 自営業を開始する者ですか、この「者」というのはいわゆる人間的「者」に限定されるように思いますけれども、いかがでしょうか。たとえば二人くらいで一つの売店を経営しようといった場合にいわゆる自営業を開始する者に合致するのでしょうか。
  111. 有馬元治

    有馬政府委員 自営業を開始しようとする者でございますから、二人組んで売店等を開業しようという場合には、その二人のそれぞれの立場において該当者であればその分だけの支度金が支給されるわけでございます。
  112. 加藤万吉

    加藤(万)委員 これは法律をつくられる段階で少し問題になろうかと思うのですが、実は神奈川県で生業資金というのを出しております。この生業資金の支給、これは自営支度金とはだいぶ性格的には内容は違いますけれども、実はそれを支給する際の条件が「新たに事業を営もうとする者は個人で事業を営む者」こういうふうに書いてあるのです。個人といいますと一人ですね、二人の場合には個人と言わない場合もあるわけです。もしこの場合に、いま局長の答弁では、自営業を営む者という中に、一つ仕事を二人でやろうという持ち寄りならそれはいいのですが、いま言ったように新たに自営業を営もうとする者、それは個人で事業を営む者というようにもしやられると、それは適用にならないように私は判断するのですが、この辺の見解はどうでしょう。
  113. 有馬元治

    有馬政府委員 これは離職者対策としての援護措置でございますので、あくまで離職者個人に対してそれぞれの資格基準に従って支度金が支給される、したがってAの人とBの人が組んで事業を開始するという場合に、ABともに資格を持っておる場合にはそのそれぞれの資格に基づいて支度金が支給されますので、それを持ち寄って売店なりなんなり自営業を開業すればいいわけです。
  114. 加藤万吉

    加藤(万)委員 よくわかりました。いわゆる個人個人に支給して、それを持ち寄って事業を営もうが何しようがおかまいなしだ、こういうように理解していいですね。  新しくできました例の債務保証ですね。この場合にどういう条件でどういう人の債務の保証を行なうのでしょうか。
  115. 有馬元治

    有馬政府委員 債務保証の場合も、駐留軍関係離職者事業を開業しようという場合に、金融機関から必要な開業資金を借り入れるわけでございますが、その場合に離職者の場合にはおおむね担保力がございませんので、この債務保証制度を創設いたしまして、これを補完していきたいというねらいでこの制度ができておるわけでございます。先ほど申しましたように、この債務保証制度も雇用促進事業団に創設する、事業団が金融機関に対して債務の保証をする、こういう制度でございます。その条件は、離職者自営業を開業しようという計画を持っておって、開業資金金融機関から借り入れる場合に自営が可能であるというように安定所長が認めた者を被保証人といたします。そうして借り入れ期間は最高五年で資金の性質は設備資金、一件の最高保証限度は百万円、これは元利及び延滞利息について保証いたします。保証料は日歩一厘。もう少し細目にわたりますが、物的担保の限度は五十万円をこえる場合に物的掛保を求める、こういうふうな諸条件でこの制度を運営してまいりたい、かように考えます。
  116. 加藤万吉

    加藤(万)委員 事業団の方、見えていますか。——駐留軍労務者事業を営もうとするときには、いま債務保証が新しくできましたけれども、そのほかに、金融面だけでいいですが、どういうようなお金が借りられてやれるのでしょうか。たとえば、これは多少自治体とも関係がありますけれども、どういう種類のところから、事業を営むときに借りられるでしょうか。
  117. 有馬元治

    有馬政府委員 従来からありました生業資金、これは今後も踏襲をしてまいりたいと思います。今回新たに創設されました債務保証制度は、一般金融機関、これは国民金融公庫を含めまして一般金融機関から開業資金を借り入れる場合の保証制度でございますので、この制度ができることによって一般金融機関から開業資金が借り入れやすくなるわけでございます。そのほかの点におきましては、事業資金としての借り入れは事業団等から直接やるいう道はないわけでございます。
  118. 加藤万吉

    加藤(万)委員 防衛施設庁の厚生課からいただいた報告書、これによりますと、助成金がまずありますね。助成金、それから県による貸し付けで返済を求めないものの生業資金、それから信用保証協会による信用保証、それから国民金融公庫、政府関係の融資、私はこの資料だけで判断をしたのですが、これだけの方法があるわけですね。そういうふうに見てよろしゅうございましょうか。事業を開始しようとするときには、いま言ったまず助成金、それから生業資金、それから信用保証協会による信用保証、それから金融公庫による、あるいは政府関係機関の融資、これだけの道をたどりながら自営業を営むための資金を充足をする、こういうように見てよろしいでしょうか。
  119. 江藤淳雄

    江藤政府委員 そのとおりであります。
  120. 加藤万吉

    加藤(万)委員 そうしますと、生業資金については、県自体でただで、あとでくれてやるものですからいいのですが、その他の条件というのはほとんど担保が必要でしょう。この債務保証との関係はどうなりますか。いわゆるダブって金を借りることができるのだろうかどうだろうかということを実は聞きたいわけです。
  121. 有馬元治

    有馬政府委員 従前は生業資金のほかに、いま御指摘のような各種の金融機関から一般の信用保証を裏づけとして借り入れて、これで開業しておる事例が相当今日までございますけれども、これだけでは、もともと担保力がない離職者でございますので、開業資金の融資が受けられない、こういう欠点があったわけでございます。それを今度債務保証制度を創設することによってその欠点を補って融資を受けられやすくしょうというのがねらいでございますので、先ほど申しましたような条件で丘十万円までは無担保で融資をしていこう、こういう条件金融機関につけて、この融資を円滑にしていこう、こういうねらいでございます。
  122. 加藤万吉

    加藤(万)委員 そうしますと、いわゆる信用保証協会によって保証されて融資を受けるその金とは別途に、いま言った債務保証によって別の金融機関から金を借りることはできるわけですね。いわゆるダブった場合でも、片方の場合は無担保であり無条件であるから、別に五十万円までは他の金融機関から金を借りることができる、こういうように理解してよろしいのですか。
  123. 有馬元治

    有馬政府委員 その点は競合して両方から借りられ得る、この判断はそれぞれの金融機関がいたしていくと思います。
  124. 加藤万吉

    加藤(万)委員 いや、金融機関が判断をするというのじゃなくて、今度の債務保証制度によれば、そこはいわゆるノーチェックで借りることができるのかどうかということなのです。
  125. 有馬元治

    有馬政府委員 この債務保証制度の条件範囲ではノーチェックといいますか、別に信用保証を裏づけとする借り入れがあるから、こっちは発動しないというわけではないわけです。
  126. 加藤万吉

    加藤(万)委員 わかりました。いまの条件は五十万円までですね。先ほどの御説明では百万円まで債務保証ができるということですが、そうすると、あとの五十万円についてはいまの条件のままで受け入れられるわけですか。
  127. 有馬元治

    有馬政府委員 残りの五十万円については何らかの物的担保を要求するということになります。
  128. 加藤万吉

    加藤(万)委員 実は、これまた神奈川県の離職者対策から出ている問題ですが、施設補助金というものがあるのです。この施設補助金を県が認定をする場合に、県の条例がいろいろありまして、そのときにいわゆる人頭割りですね、一人について百万円まで、こう言われましたが、神奈川県の施設補助金の場合には、もちろん金額は違いまして、この場合には一人十万円ですが、それを一認定するときに人頭割りにするのか、あるいは資本力と言ってはおかしいですが、施設に対して何%まで認めるのかということが実は問題になっているのです。かりに担保能力があった場合に、一人五十万円まではわかりましたけれどもあと残りの五十万円まではいわゆる人頭割り——頭割りさえ揃えば、担保力があれば全部貸し出すことが可能なのか。それともいま言ったように人頭割りだけじゃない、この企業はこれだけの施設があるから、この施設の何%分を見るとあとの五十万円が必要だから、いわゆる施設基準にして頭割りを制限をする、百万円までの限度を制限をする。そういうことが神奈川県の場合には、いろいろ認定段階であったようですが、今回債務保証をされようとする額については、その辺の見解はどうでしょうか。
  129. 有馬元治

    有馬政府委員 これは先ほどの支度金と同じように、やはり離職者個人個人に対する融資の裏づけ制度としての債務保証でございますので、数人が寄って一つの企業体を形成して、県からの施設補助金等もいただいて総合的な企業として経営をするという場合に、さらにその企業としての担保力、信用力というものは出てくると思います。これらをあとの五十万の物的掛保にどういうふうに活用するか。この辺はいろいろ具体的なケースによって違うだろうと思いますが、融資制度の債務保証制度の条件としては先ほど申し上げたような条件で、それぞれの具体的な企業の計画に従って金融機関が担保力、信用力を具体的に判断をする、こういうことに相なるわけでございます。
  130. 加藤万吉

    加藤(万)委員 どうもおかしいと思うのですよ。金融機関が担保能力を判断するのだったら、市中銀行と同じですよ。事業団が債務保証するわけでしょう。事業団が債務保証するということは、金融機関は金を貸しても貸し倒れということはないわけですよ、債務保証されるのですからね。金融機関が判断するのじゃなくて、債務保証される事業団がされるなら私はわかるのですよ。この辺の見解はどうでしょう。
  131. 有馬元治

    有馬政府委員 金融機関事業団の、いま言ったような条件下における債務保証制度を前提にして、それぞれ金融機関が判断をするわけでございます。
  132. 加藤万吉

    加藤(万)委員 わかりました。そうなればわかるわけです。したがって、事業団のいわゆる債務保証を裏づけをするということが、この場合はきわめて重要な要件になってくると私は思うのです。  そこでひとつ、これまた事業団の人がいなければちょっとむずかしいかもしれませんが、いままでのお金の中で、自治体ないし政府、国がそれぞれ開業のため、自営のために必要な資金を出す場合、それぞれ裏づけをしてやっているわけですから、比較的スムーズにいったと思うのです。防衛施設庁の厚生課が出しております「駐留軍関係離職者等臨時措置法関係法令および通達集」を実は私は検討、勉強さしていただきましたが、たとえば、この一〇六ページあるいは一〇九ページ、駐留軍離職者がお金を借りる場合には便宜をはかってやるということが各所に実は出ているわけです。したがってそういういわば公的な裏づけのもとに金融機関が、やや信用を増した条件の中で貸すようになっているわけです。したがってそういう意味から言うと、いま言った事業団の裏づけないしは事業団が債務保証する者に対しては、金融機関が特別な処置、金融の窓口処置を行なえるというように当然通達されるものというように私は理解するわけです。そこで問題になるのは、一体債務保証をした事業資金というものは、一般的に借りる金融機関資金よりも金利も安く、実際上の手元の面で使えるものだろうかどうだろうかということが実は問題になるわけです。そこで、実は私はいろいろ調べてみました。債務保証は新しい条項ですから、いままでの例というのはなかなか引用しにくかったわけですが、信用保証協会がそれぞれ信用の裏づけをして自営資金を貸している場合の条件を調べてみると、実は駐留軍離職者が新しい事業を開こうとしたときの金利が、一般市中銀行よりも高くなる可能性があるということがわかったわけです。これは、窓口で歩積み両建てというものが出てみたりということで、四銭近い金利を払うことになってしまう、こう言っているのですね。そこで、いま信用保証協会に信用保障させて、それによって融資を受けた額、あるいは特にそれによって与えている金利、この辺は一体どのくらいになっておるか。もしおわかりになっているのでしたら、ぜひお聞かせいただきたいと思うのです。
  133. 有馬元治

    有馬政府委員 お尋ねの信用保証による今日までの融資のケースについて、一般の場合よりも金利条件が商いというふうなケースがあるという御指摘ですが、私ちょっとこの具体的なケースについての金利条件の比較を持っておりませんので、あるいは御指摘のような事例が多いのかもわかりませんが、今回創設されます債務保証制度を裏づけとする場合の融資につきましては、市中銀行をできるだけ私どもも指導いたしまして、一般よりも高くするというふうなことのないように指導を加えてまいりたいと思います。その意味におきましては、金融機関の指定というようなこともある程度考えていかなければならぬだろうと思います。
  134. 加藤万吉

    加藤(万)委員 いまのと同じこの資料によって判断する以外はないのですが、昭和三十九年に約七千四百万円、昭和四十年には九千百万円、それぞれ信用保証協会による融資が行なわれておるわけです。これは債務保証をされる際に、私は特に検討を加えてもらいたいと思うのですが、一体これの平均金利が実際上どのくらいになっているだろうか。これは後ほど質問しますが、それを調べてから事業団の債務保証の裏づけをされていかないと、実際の手元では歩積みがあり、両建てがあって、実際の金利が非常に高くなって、債務保証による資金を使えなくなる。そういう可能性も出てくるわけですから、これは一ぺん事業団の方に言っていただいて、できれば私どもの手元に、信用保証協会によって裏づけされている融資の平均金利が一体どのくらいになっているだろうかということを、これは単なる金利計算だけじゃなくて、一千万円借りた場合に、幾ら歩積みされているのだろうか、それが金利として幾らくらいになっているだろうかという累計による金利ですね、これをできれば資料として提出を願いたいというふうに思うのです。なかなかむずかしい作業ですけれども、それがないと、債務保証によって一体駐留軍離職者はお金を借りることができるだろうかどうだろうかという推定がつかないのです。したがって、これは資料として要求をしておきたいと思います。  それから、いまの人頭割りによって百万円まで、こう言いますけれども、それは無制限でしょうか。たとえば、五人で仕事を始めようとした場合にはその債務保証は五百万円まで、それから十人でやった場合には一千万円まで、そういう一定の限定条件というものはあるのでしょうか、ないのでしょうか。
  135. 有馬元治

    有馬政府委員 これは理屈の上では百人寄れば一億円ということになるのですが、実際は、百人野って、百人がそれぞれ全部役員になって事業を運営するような大企業というのはあり得ないので、せいぜい三人とか四人とか寄って事業を開業するというのが普通でございます。したがいまして、私どもは、無制限にといいますか、保証の限度かける離職者ということで事業が営まれるというふうにも考えておりませんで、普通のケースは大体数人以内ということを考えております。
  136. 加藤万吉

    加藤(万)委員 そうすると、制約条件は今度できる法律にはつけないで、融資関係における銀行ないしは事業団の認定でその限度額は行なうことになるのですか。
  137. 有馬元治

    有馬政府委員 さようでございます。
  138. 加藤万吉

    加藤(万)委員 わかりました。先ほども言いましたように、自営を行なおうとする者は、新しく仕事を始めるわけですから、たとえば担保能力と言われても、いわばこの土地を買ってここで仕事をするという場合、その土地が買えなければ担保能力になっていかないわけですね。したがって、担保能力だけで債務保証のあとの五十万円の分を認定されるということになってくると、実際の適用段階では少し問題になってくると思う。画あるいは施設計画、そういうものの中から判断をされるということがきわめて重要になってくると私は思うのです。したがって、これは限度額についても、融資をされる銀行が認定をされる段階の判断の基準ですね、たとえば、おれはここにこれだけ宅地があるから、この宅地を担保にしてこうだというのではなく、新しく土地を求めるために金が必要なんですから、その段階からのいわゆる担保能力ですね、その辺の指導を、少しきめこまかいですけれども、やらないと、実際に仕事をやろうと思っても、債務保証による資金が借りられない、こういうことになりますから、こういうことは、行政段階、指導段階では十分御注意を喚起しておきたいというふうに思います。  駐留軍離職者が二人ないしは三人、せいぜい五人ぐらいだろうと言われますが、御承知のように、企業組合は協同組合法によって四人以上ですね。そうすると、三人の場合には企業組合による事業の成立ができないわけなので、この場合に、これでいえば三百万円までの債務保証というものは、信用度の上からすることができるでしょうか。それはどうでしょうか。  もう一ぺん申します。もう少し中身を話したほうがいいと思うのですが、実は、神奈川県の場合、先ほど言いました施設補助金は、企業組合に対しては比較的安易に借りられるような方向になっているのだそうです。ところが、企業組合は四人なんで、三人で事業を開始をしようとしたときには、その認定がきわめてシビアーであるという話を聞いているわけです。企業組合にはなりませんから。そこで今度の場合、たとえば三人で一つ仕事を成立させようとした場合に、そういうものが一つ基準ないしは債務保証の判断の基準にあげられる可能性があるわけなんですけれども、この辺についてはどうでしょうか。
  139. 有馬元治

    有馬政府委員 神奈川県の条例に基づく助成制度の条件とこの債務保証の条件とは別個のものでございますので、いろいろ具体的なケースに従って、信用力、担保力の問題は個別に判断しなければならないので、向こう基準に合わせて云々ということにはならないと思います。
  140. 加藤万吉

    加藤(万)委員 それはわかるのです。しかし、これは新しい措置ですから、それをされる場合には、たとえば東京でやっている離職者センターとか、あるいは福岡でやっている云々とか、そういうものは実際の計画を実施をされて、その上に立っていろいろな法律細則、施行規則というものがつくられている例が往々にしてあるわけですから、そういう点を私は心配をしているのです。したがって、でき得る限り、債務保証がどの分野の人にも、あるいはどういう事業を営もうとする人にも適用ができるような、施行細則ないしは施行条件をつくってもらいたいというのが、実は私の言いたかったところなんです。  そこで、この債務保証についての最後の質問でございますが、当初は離職者だけでやりますけれども、その後半年なり一年の間に、今日のような経済条件の中から、経営規模を拡大する、そしてそれが有限会社ないしは株式会社になった場合にも、その条件が適用されていくのでしょうか。たとえば、離職者がその代表者になっていく場合に、その離職者の債務保証は株式会社の場合なんかに適用されていくようになるのでしょうか。先ほど「者」と言われたところに相当実はひっかかる問題なんです。
  141. 有馬元治

    有馬政府委員 保証の対象者は、三十九年一月一日以降の離職者でこの措置法の条件を具備している者になります。したがいまして、数人寄って一つの企業体——企業組合でも、あるいは株式会社でもいいのですが、やる場合においても、この措置としては、それぞれの離職者に対してこの条件に従って債務保証する、こういう行き方でございますので、一つの企業体としての立場でさらに事業資金を何らかの形で借り入れることはあると思いますけれども、その場合でも、あくまで考え方はそれぞれの離職者の立場におけるこの条件を持ち寄って開業資金を共同で融資を受ける、こういうかっこうになると思います。
  142. 加藤万吉

    加藤(万)委員 持ち寄りですけれども、たとえば担保物件を株式会社が今度は持つようになるわけですね。ですから個人じゃなくなってくるわけですよ。単なる持ち寄りだけでなくてこの債務保証が成立するというふうに私は考えられないわけです。有限の場合にはまだ個人が相当強く反映しますけれども、株式会社になった場合に、担保能力というものは個人なのか、株式会社そのものが持つ担保能力なのかというあたりが、まず問題になってくるわけです。したがって、債務保証される際に、いわゆる離職した者に対して——それは事業を営む場合だけではなくして、離職した者がある株式会社に入る。その株式会社をたとえば三人なり四人なり共同でやる場合に、株式会社そのものが融資を求めていくわけです。そのときに、いわゆる離職者がこの法案によって債務保証による融資の対象になっていくということが考えられるわけです。その辺の個人と会社との関係ですね。債務保証を行なう場合の条件相当こまかにきめておかないと、問題が起きるのじゃないかと私は思うわけです。これはこれから行なわれることですから、ひとつ局長のほうで十分研究をしてもらいたいと思います。  そこで、その債務保証を行なう場合に、また労働省で考えておられる事業団が債務保証するであろうという推定的な金額がもしおわかりになれば、ひとつ教えていただきたいと思うのです。それから保証業務を行なうための経費は一体どれくらいかかるものだろうか。もし経費がかかるとすれば、そこに保証料を取られるのかどうか、ここまでまず質問をしておきたいと思います。
  143. 有馬元治

    有馬政府委員 これは初年度積算の考え方でございますが、本年度は債務保証の総額を、駐留軍につきましては一応三千五百万円程度、一件当たり百万円が最高限度でございますが、平均いたしまして五十万円というふうに見てみますと、七十件程度ということに相なります。もちろんこれは一応の予算積算の内訳でございますので、多少ふくらんでも差しつかえないと思いますけれども、一応そういう見通しを立ててやっております。そこで、予算といたしましては、保証費を事業団に組んでおるわけでございますが、その額は百七十三万円を予定いたしております。
  144. 加藤万吉

    加藤(万)委員 そうしますと、先ほど私は質問しましたけれども、信用保証協会による貸し出し金は、昭和三十九年が七千四百万円ですね。四十年は九千百万円。四十年の離職者数と四十二年度の離職者数に少し変化がありますけれども、これらから推定して三千五百万円という数は少し少ないのじゃないでしょうか。予算上の問題としてこれがまず第一です。  それから、いま保証料を百七十三万円計上すると言われましたが、それは事業団の予算の中に百七十三万円があるのであって、これに対して、たとえば五十万円の債務保証をしたから何ぼの保証料を取るというようなことは、ないと判断していいのですか。
  145. 有馬元治

    有馬政府委員 百七十三万円の保証費は国の予算で組んで、事業団にこの保証費として交付するわけでございます。それから借り入れた側の保証料は、先ほど申しましたように、日歩一厘ということを予定いたしております。
  146. 加藤万吉

    加藤(万)委員 そうしますと、保証料と、もちろん融資を受けた銀行の金利、これが入るわけですね。それに今度は、もし歩積み両建てが出てくると、一般市中銀行から債務保証で借りるよりも高くなる可能性もあるわけです。これは推定ですからわかりませんけれども。私は、政府法律をつくって債務保証するのですから、少なくとも一般市中銀行から借りる金利の最低の金利で離職者に対しては事業資金が融資をされるという方向になっていかなくてはいけないと思いますので、この辺は信用保証協会の実際に行なっている平均金利、それの推定と、これから行なわれるであろう傾向をしっかりと見きわめて、債務保証制度の行政指導を行なっていただきたいと思います。  最後に、もし債務不履行の場合の貸し倒れ準備金、これについてはどういうようにお考えになっているでしょうか。
  147. 有馬元治

    有馬政府委員 それが先ほどの保証費百七十三万円という額でございますが、危険率を五%というふうに見ております。多少その辺は安全率を見て考えておりますから、先ほどの内訳の計算からいたしますと、もう少し貸し付けの件数なりあるいは保証の額なりはふくらんでくるのじゃないかと思うのです。しかし、一応初年度でございますので、私どもとしては、五%という非常に高い危険率を見込んでおります。
  148. 加藤万吉

    加藤(万)委員 一般的な場合には三、四%でしょう。これは五%ですからいいとしましてこれだけの資金自営業を営むとすれば零細企業ですから、五%ぐらいよりもっと多くなるのじゃないか。これまた危険率の推定ですから言えませんが、いわゆる貸し倒れ準備金を相当持つということが、いわば債務保証に対する信用を増すわけですから、これはひとつ次年度の予算規模の中では、いわゆる零細企業の貸し倒れ、それに対する利率、これは銀行協会あたりで調べればすぐ出ることですから、もう少しそれを見て、百七十三万円が適当であるか、いわゆる五%が適当であるかどうか、ひとつ十分考慮をしていただきたいと思います。  いま一つ、この臨時措置法の中で現在施行しているものについて、一つだけお伺いをしておきたいと思います。  例の就職促進手当でありますが、今度就職促進手当は石炭関係については変更があったと思うのですが、このいまの駐留軍関係とは同一額、同一条件でございましょうか。
  149. 有馬元治

    有馬政府委員 駐留軍の場合には、御承知のように、改正前の現行法は五百七十円と法律できめられておったわけですが、今回、石炭関係改正法によりまして政令委任をして、同時に六百十円まで日額を引き上げまして、そのとき、これに準じまして、駐留軍の場合も、現行の五百七十円を六百十円に、引き上げることになっております。
  150. 加藤万吉

    加藤(万)委員 わかりました。そうしますと、いわゆる石炭並みになる、こういうふうに理解してよろしゅうございますね。  そこで就職促進手当ですけれども、就職促進手当の支給条件を、いろいろ資料をいただいて検討してみて、実はちょっとびっくりしたのです。就職指導を受けている者はいま八百九十七人、これは四十二年三月現在ですが。そのうちで六十歳以上の者は六百八人、半分以上おるわけです。そうすると、一体いわゆる就職指導というものは、六十歳以上の場合にはどういうことになるのでしょうか。事実上、六十歳以上の人を就職指導して、先ほどのお話にもありましたように、生産点現場に雇用させるということはなかなか困難だということになりますと、実際に就職指導を受けている六十歳以上の六百八人、これに対しては、いわゆる法律に許されている範囲内一ぱいの就職促進手当を支給して、それで事実上雇用の関係は打ち切られていく、あるいは生活条件は引き下げられていく、こういうふうに私どもは判断せざるを得ないのですが、これについての見解はいかがでありましょうか。
  151. 有馬元治

    有馬政府委員 就職促進手当の制度は、御承知のように石炭と駐留軍にしかございませんが、これは三年間を限って支給する、しかも本来の失業保険金をもらい終わったあと措置でございますので、年齢的には非常に高い方々が促進手当の支給を受けているわけでございます。したがいまして、六十歳以上ともなれば、もう労働市場に再び就職をしてくるというケースは非常に少ないと思いますけれども、それでもゼロではないと思います。三年間の期限一ぱいもらい終わったあとの身の振り方につきましては、従来からの経験によりますと、相当部分がリタイアをしていくというケースを多いわけでございます。しかし、今回こういった自営資金の援護措置ができますと、その中からも自営業を開業しようという方々も出てくる可能性がありますので、従来よりはずいぶん手厚くなるのじゃなかろうか、こういうふうに思っております。
  152. 加藤万吉

    加藤(万)委員 それでは最後に大臣にお聞きしますが、いま答弁がありましたように、駐留軍関係はきわめて平均年齢が高いのです。四十五歳かないしは六歳に近くなりはしないかというふうに私は思うのです。そうしますと、当然のこととして、これは老齢者雇用対策というものが、旧来ある若年労働力とかいうものとは違った意味でなされていかなければいけないと思うのですが、老齢者対策を今後一体どのようにお考えになっているのだろうか、これが第一点であります。  第二点は、いわゆる雇用基本法をこの次元でどのようにお考えになっているか、ひとつお伺いをしておきたいと思います。
  153. 早川崇

    早川国務大臣 だんだん駐留軍労働者に対して、きめこまかい御配慮、御意見、敬意を表します。  高年齢者層の問題は、これは駐留軍労働者を離れた全般的な御質問でございますので、一言、政府がやっております対策を申し述べて、お答えといたしたいと思うわけであります。  御承知のように、若年労働力がたいへん減ってまいりまして、中高年、特に高年層、五十歳以上の方がますますふえてくる、しかも求職に比べまして求人が何倍も少ない、こういうアンバランスな状態になっておるわけでございます。これが対策といたしましては、六十歳以上となりますと、これはたいへんなことでありますけれども、まず政府といたしましては、民間企業におきまして定年の延長をはかっていきなさい、五十五歳では短過ぎるではないかという指導をいたしておりまして、各企業もそれにならいまして、大企業をはじめ、どんどん定年延長がはかられつつある実情で、非常にけっこうだと思います。  また、政府関係の雇用につきましては、雇用対策法に基づきまして、中高年者の雇用率というものを設定いたしまして、こういう業種では六五%まで中傷年者を雇われるように基準を設け、また郵政なんかは、電報の配達とかその他、これはなかなか労働省の雇用率を達成しておらぬですけれども、身体障害者雇用率の設定と同じように雇用率を設定いたしまして、たとえばエレベーターの担当とか、あるいは切符のあれとかいうようなものは、特に中高年の人には適しておるわけで、何も若い労働者を必要としない、こういう線に沿いまして、まず中高年の雇用を官公庁関係または官公庁関係機関におきまして、そういう考えによって雇用していこうということを考えておるわけでございます。  問題は、中高年の一般失業者対策につきましては、今回の国会におきまして、中高年のために住宅確保奨励金という制度を設けました。それによりまして、月四千円一年間、中直年を雇った事業主にお金を差し上げるという制度でございます。また、職業転換給付金制度というものがございまして、駐留軍関係の方よ、お受けになっていると思いますけれども、月一万八千円ぐらいのいわゆるお金を差し上げて、中高年の再就職を促進していく、こういった措置も講じておるわけでございまして、なかなかむずかしい問題ですけれども、若年労働力が非常に枯渇してくるに比例して、寿命が延びた中高年齢者の雇用問題、しかし根本的には、これは六十を越えた人は、老齢年金とかあるいは厚生年金に移らなければならぬと思いますけれども政府といたしましては、そういったいろいろな方法を講じまして、中高年齢者ができるだけその仕事からあぶれないように指導してまいりたいと思っておるわけでございます。  駐留軍労働者の場合には特に高年齢者が多いものですから、先ほどからたいへんきめのこまかい御配慮をされていることに非常に心を打たれました。十分加藤委員の御要望に沿うべく、高年者の再就職につきましては行政指導をしてまいりたいと思っております。  ただ、雇用対策法とかいろいろな法律改正という問題は、もういま相当やっておりますので、直ちにこれを改正するという考えは持っておらない次第でございます。
  154. 加藤万吉

    加藤(万)委員 たくさん問題点質問して、明らかになった点、あるいは要望する点、要求する点を提起いたしましたが、何といっても、駐留軍の場合には特に職場が不安定だけに、政府の雇用政策というものが強く望まれてくるわけですから、私はこの措置法にたよって、措置法の中身を若干充足するというのではなくて、もっと抜本的に米軍基地を返還すればそこに平和産業を持っていく、あるいは平和転換をして、そこに駐留軍労働者を雇用させる、そういう方向にぜひとも政策の重点を難きかえることを最後に要望いたします。  なお、この臨時措置法の改正にいたしましても、幾つか各地方自治体にも生業資金であるとか、あるいは助成金であるとか、いろいろ方法をとっておられるようです。しかし、私から見まするならば、むしろ地方自治体にその負担が多くかかっておって、国のほうの措置内容がむしろ少ない。たとえば、先ほどの就職促進手当にいたしましてもあるいは支度金にいたしましても、一体今日、五万円前後で何が行なわれるのかというと、これはきわめてはだ寒い思いがするわけですから、できる限り駐留軍離職者が次の職業の転換がしやすい条件、それを頭に置きながら、施行規則なりあるいは各関係者との今後の具体的なお打ち合わせをお願いして、質問を終りたいと思います。
  155. 川野芳滿

    川野委員長 次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後零時五十二分散会