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榊原参考人 先生の
お尋ねの仮処分の申請という問題は、私
どもの製糖期はおおむね年末から正月にかけて、普通の場合は、十二月から一月の末ないしは——これは
原料の多寡によってきまるわけでございますが、四十一
年度の場合には
原料が十万トンそこそこでございましたので、大体
操業期といたしましては一月の二十日ごろまでを
操業予定としていたわけでございます。その間、年末から、先ほど申し上げましたように、われわれの
やり方といたしましては、
会社独自ではなかなかやりにくいので、それぞれにお願いして
会社を別個にしていわゆる新
会社構想でやりたいということを盛んに陳情もし、努力もしてまいったわけでございますが、実らない過程においてはやはり
現状のままでやらざるを得ない
状況でございましたので、独自で
操業を始めていただいたわけでございます。そうして組合員
諸君も新
会社構想が難航しておるということを身をもって感じておられたわけでございますので、かりに新
会社構想が
実現できなかった場合でも、
フジ製糖は独自で四十二
年度から
操業してほしい、また、
自分たちの
雇用関係も保障してほしいということを盛んに昨年来から言っていたわけであります。しかし、
操業するかしないかという問題は、私
どもの見解では、これは
経営の基本的な問題でございますので、そういうことを
諸君から言われてもわれわれとしては応ずるわけにはいかぬという
態度で終始してきたわけでございます。年の明けた一月早々におきまして、四十二
年度フジ製糖独自の
操業、また、
フジ製糖の雇用保障ということを要求してきたのでありますが、われわれとしては、
経営の基本的な問題であり、経常権に属する問題であるからそういうものに調印するわけにいかぬということで拒絶いたしてまいったのでございますが、御
承知のように、この
ビート事業は二十四時間完全
操業でございます。そういう
事態であるにかかわらず、正月早々ストライキをもってその調印をわれわれに迫ってきたわけでございます。
詳しく申し上げますと、八日あるいは九日に、それに基づく団交を持てということでございますが、年始早々のことでございます。業界はこういう
事態であり、
会社もこういう
事態でございますので、
社長といたしましては、いろいろな
仕事もございまして、団交するなら東京でしたいということを申し入れたのですが、組合員
諸君は聞いてくれない。そうして突如一月九日に至りまして、何らわれわれに団交も持たないで、三六協定を破棄して時間外勤務の拒否をしたわけでございます。二十四時間
操業することがたてまえである装置産業である製糖
事業にとりまして、時間外出勤を拒否されるということは完全ストライキと同じ意味に相なるわけでございますので、私
どもとしては、そういうことをしてもらっては困るということを申し上げ、また、そういうことなら、私も万障繰り合わせて十日には行くからそれまで時間外の勤務拒否ということはしてくれるなということを再三連絡したのでございまするが、いかんせん、時間外勤務が拒否されました。そこで、私は急遽
青森にはせ参じまして、
諸君と話し合いをしたわけでございます。その当時におきましては、
農家の方が汗水たらしてつくった
原料大根がさらになお八千トンくらい残っていたと記憶しますが、さなきだに
赤字の
累積しておるところに、もしもストライキを重ねられて
操業ができないという
事態になったのでは、さらに
赤字の
累積になり、
会社としてはさらに損失を増大するおそれがあるというようなこと、また、組合員
諸君にもいろいろ説得したのでございまするが、静穏な団交のみならず、
一般従業員全体の公開団交において、そういうことを、私もこういうむずかしい
状況にある
砂糖事業並びに
ビート事業において、四十二
年度フジ製糖において完全雇用をしろ、雇用保障に調印するということ、これは元来、もともとおかしな話であるということは重々
承知しているわけでありまするけれ
ども、いま申し上げましたような
状況下において、やむを得ず私はそれに調印したわけであります。
そういう経過がございまして、私
どもが
閉鎖を申し入れたことに対して、いわゆる一月十日の雇用保障の協定、四十二
年度の
操業に対して、私
どもは先ほど申し上げました希望退職の線を打ち出していて、まだ完全に解雇という措置を講じていないのでございまするが、組合の
諸君は不安だということで、裁判所に対して、
閉鎖に伴う解雇をしてはいけないという身分保全の仮処分の申請をしたわけでございます。それに対して私
どもも裁判所に対して、審尋においてこういう
状況であるということをるる説明したわけでございますが、私
どものほうといたしましては、はなはだ遺憾でございまするが、裁判所は四十二
年度の
操業ということについては、組合の申請に対して何ら
意思表示をしなかったのですが、
工場閉鎖に伴う解雇をしてはならないという組合側の言い分を取り入れられまして、この仮処分は決定いたしました。したがいまして、私
どもも決定された以上は解雇をいたすわけにはいかないので、目下休業せざるを得ない。また
会社も財政上もそういうことであるという
判断で休業をいたしまして、休業に基づく給与の支給をするという
態度に目下出ております。この仮処分の決定につきましては、もちろんいま申し上げました
事情でございますので、私
どもはそれに対して正式に法に基づいて異議の申し立てをしております。
また先生から不当労働行為という地労委のごあっせんにつきまして
お話があったのでございますが、その件につきましては、団交拒否とかいろいろ話が組合側はあったのでございますが、地労委のほうに対しまして
会社の経過をるる説明いたしまして、地労委の御納得をちょうだいいたしました。目下地労委からの
お話で、不当労働行為だとは認めない、話は解決していると私は存じております。