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1967-07-19 第55回国会 衆議院 産業公害対策特別委員会 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年七月十九日(水曜日)     午後三時四十六分開議  出席委員    委員長 八木 一男君    理事 小山 省二君 理事 丹羽 兵助君    理事 和爾俊二郎君 理事 板川 正吾君    理事 島本 虎三君 理事 折小野良一君       塩川正十郎君    砂田 重民君       葉梨 信行君    藤波 孝生君       加藤 万吉君    河上 民雄君       工藤 良平君    高田 富之君       三木 喜夫君    武藤 山治君       吉田 之久君    北側 義一君  出席政府委員         水産庁次長   山中 義一君         通商産業省鉱山         局長      両角 良彦君         通商産業省鉱山         保安局長    中川理一郎君         建設省河川局長 古賀雷四郎君  委員外出席者         文部省文化財保         護委員会事務局         記念物課長   中西 貞夫君         厚生省環境衛生         局公害部長   武藤き一郎君         厚生省環境衛生         局公害部公害課         長       橋本 道夫君         通商産業省企業         局立地公害部長 馬場 一也君         労働省労働基準         局労災防止対策         部労働衛生課長 伊集院兼和君     ――――――――――――― 七月十九日  委員中井徳次郎君及び岡本富夫辞任につき、  その補欠として武藤山治君及び北側義一君が議  長の指名委員に選任された。 同日  委員武藤山治辞任につき、その補欠として高  田富之君が議長指名委員に選任された。 同日  委員高田富之辞任につき、その補欠として三  木喜夫君が議長指名委員に選任された。 同日  委員三木喜夫辞任につき、その補欠として中  井徳次郎君が議長指名委員に選任された。 七月十五日  飯田山本地区公害に関する請願原茂君紹  介)(第三八四八号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 七月十七日  公害対策基本法案成立促進に関する陳情書  (第四九六号)  産業公害防止に関する陳情書  (第四九七号) は本委員会参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  閉会審査に関する件  産業公害対策に関する件(ばい煙及び水質汚濁  対策等)  請 願   一 公害対策基本法制定に関する請願(保利     茂君紹介)(第八四二号)   二 公害防除総合施策推進等に関する請願     (吉田泰造紹介)(第九九六号)   三 茅ケ崎市円蔵の公害に関する請願加藤     万吉紹介)(第一七七八号)   四 飯田山本地区公害に関する請願(原     茂君紹介)(第三八四八号)      ――――◇―――――
  2. 八木一男

    八木委員長 これより会議を開きます。  本日の請願日程請願全部を議題とし、審査に入ります。  本日の請願日程に掲載されております請願は四件でございます。これらの諸請願につきましては、先刻の理事会において御検討いただきましたので、紹介説明質疑政府所見聴取等は省略し、直ちに採決いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 八木一男

    八木委員長 御異議なしと認め、直ちに採決いたします。  日程第三及び第四の両請願は、いずれも採択の上、内閣に送付すべきものと決するに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 八木一男

    八木委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。  なお、ただいま議決いたしました両請願に関する委員会報告書作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 八木一男

    八木委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。     —————————————   〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  6. 八木一男

    八木委員長 この際、御報告申し上げます。  本委員会参考のため送付されました陳情書は七件でございます。      ————◇—————
  7. 八木一男

    八木委員長 次に、閉会審査申し出の件についておはかりをいたします。  産業公害対策に関する件につきまして、議長に対し閉会審査申し出をいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 八木一男

    八木委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。  次に、委員派遣承認申請の件についておはかりいたします。  閉会審査案件が本委員会に付託され、委員派遣の必要が生じました場合には、委員派遣の人数、氏名、派遣地期間及び承認申請手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  9. 八木一男

    八木委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。      ————◇—————
  10. 八木一男

    八木委員長 産業公害対策に関する件について調査を進めます。  質疑申し出がありますので、これを許します。武藤山治君。
  11. 武藤山治

    武藤(山)委員 きょうは私は県内の石灰石あるいはドロマイト採取工場の問題に関連していろいろ労働者厚生省通産省、これらの各省に実態を把握していただき、適切な処置を講じてもらうということがねらいで、以下質問をいたしたいと思います。  冒頭にちょっと確認をしておきたいと思いますが、全国石灰石あるいはドロマイト産出している県別にもし比較をした場合、どういう県が最も多く産出しており、栃木県はどういう順位になっているか、ちょっとその辺を最初に明らかにしていただきたいと思います。
  12. 中川理一郎

    中川(理)政府委員 ただいまの御質問、実は私ども、手元にいま資料を用意しておりませんので、後ほど取り寄せてお答えいたしたいと思います。あるいは鉱山局からお答えするのが本来の筋かもわかりませんが、私のほうでわかると思いますので、調べましてお届けいたします。
  13. 武藤山治

    武藤(山)委員 日本の国内でも栃木県の葛生町、さらに栃木市の鍋山地域、この二つの石灰石ドロマイト産出量というものは全国でもおそらく屈指の中に入っておる、広範な石灰岩層地帯であります。その地帯における産出に伴う粉じんが非常にはなはだしく、ここにも週刊誌写真が載っておりますが、電線がこのようにまつ白に見えるほどひどいほこりであります。ちょっと参考に見ていただきたいと思いますが、そういう姿の中で日常生活をしている労働者は、いろんな面でたいへんな病気をしょいやすい状況にある。ところが、従来石灰の粉というのはからだに害がないんだ、結核にも関係ないんだ、かえってアルカリでからだにいいんだ、こういう迷信が明治以来ずっと続いておったと思うのであります。ところが最近、これがたいへん労働者からだに悪いということが発見をされ、大いにいま地元で問題になっている。こういう点についてまず通産省は、その実態を現在どのように把握しているか。おそらく調査も始めたと思うのでありますが、調査の結果をまず最初公表していただきたいと思います。
  14. 中川理一郎

    中川(理)政府委員 武藤先生おっしゃいました鍋山地区石灰石工場における粉じんによる被害、これは非常に大きなものであるようでございます。私のほうが所轄をいたしております東京鉱山保安監督部から、この五月以降相当熱心に精力的な調査をいま進めておるところでございます。ただ率直に申しまして、従来の監督はどうか、こういうことを顧みてみますと、私ども鉱山保安法任務でございます第一の保安面注意ということに在来主力が置かれておったことは確かでございます。その後一般的な公害予防という任務も漸次その重要度を加えてきたわけでございますが、鉱山における鉱害の予防という場合に、主として製錬所から出ます煙害でございますとか、あるいは選鉱所その他から排出されます廃水の問題に私ども主力を置いてきたということもまた否定のできない事実でございます。どちらかといいますと、石灰工場のようなものは企業形態が大体中小企業形態であることもございますし、それからいま衛生上の問題で武藤先生指摘になりましたように、石灰石は無害であるというような感じで私どもがおったこともまた確かでございます。そういう意味合いにおきまして、率直に申しまして、従来それほど力を入れてやってきた行政分野であるということは申せないと思います。ただ、先ほどの週刊誌は私も見ましたが、それ以前から多少問題が出かかっておるという状況を私ども把握いたしまして、五月以降数回にわたりまして監督官を派遣すると同時に、五つの鉱業権者監督部に呼びまして、具体的な対策をいま進めておるわけでございます。  そこで、御指摘従業員についてのじん肺防止の問題でございますが、これは私ども調査でも数名の患者があるというふうに聞いております。この対策は、まず本質的には粉じん発生飛散を抑制するということでございますけれども、御承知のように石灰工程は、石灰石を採掘しまして焼成炉で焼いて生石灰にいたしまして、それから生石灰を注水攪拌して消石灰を製造する。消石灰に注水するときに多量の熱を発生して、同時に微細かつ多量粉じん発生するというプロセスは、いってみればきわめて単純な工程でございますし、原始的な設備で行なわれているということを言っていいくらい単純な状態でございますけれども、ごく最近までは、いま先生指摘の、外に出て一般に迷惑をかけることをどうしたらいいかということを念頭に置いて考えておったわけでございます。その調査を進めております段階で、従業員自身にも問題があるということがわかってまいりました。これにつきましては、私ども一般的にじん肺防止のために、従業員対策といたしましては、マスクの備えつけの義務というものと、それからできるだけ粉じんが飛び散らないような散水実施というようなことをやらしておるわけでございますけれども、ある工程まではマスクの取りつけを確実に励行しておるようでございますが、いま申し上げました工程のあとのほうになりますと、非常に温度が高うございますために、マスクを装着して作業しますと、汗でただれると申しますか、そういう状態があるということで、一般的には、その辺の工程になりますと、手ぬぐいでほほかぶりして作業しておるというのが実態のようでございます。私のほうとしましては、これはやむを得ないといえばやむを得ないのでございますが、今後の問題といたしましては、装着しましたマスクが顔面をただれさせるというようなことに対して、そういうことの起こらないマスクというものをもう少し考えなければいかぬのじゃなかろうか。一般的に温度の高いところでマスクを使用するんだという頭がございませんで、マスクをつければよろしいんだと考えておったことが、石灰石工場などにつきましては問題があるということが、残念なことですが最近になってわかったというような状況でございますので、今後そういった新しい、そういう着用することにおいて弊害のないようなマスクをくふうしていくということに少し努力をしてまいりたいと考えております。  それから、一般に先ほどお示しになりました写真にもありますような粉じんが周囲に飛散して、付近の民家に御迷惑をかけておるという状態を、どうやって解消したらよろしいかということが一つでございます。通常の状態におきましては、どちらかといいますと、住宅地に遠ざかったところに石灰石の山があるというのがいままでの考え方でございました。先ほど申しましたように、取り立てて気にしていなかったということには、半分ほど理由がございまして、それほど問題がなかった。しかし、一般的に市街化が進んでいって、そういうところにも宅地がふえていくという状況になってまいりますと、やはり問題がある。町寄りの、先生さっき御指摘になりました葛生なんかの場合での工場設備は、いまの鍋山設備と比較して、かなり注意をされておるように私どもは承知しております。そこで当該地区につきましても、ここ数月以来、権者を呼びまして、具体的にどういう設備改善をやっていったらよろしいかということを相談いたしておりました。大体の私ども考え方を、東京監督部長から権者に話をいたしますと、同時に、権者のほうから具体的な改善実施計画を提出してもらうように指示書をすでに七月五日に渡しております。私どもいま考えておりますことといたしましては、か焼上の消化設備を二重注水式に改造するということが第一点でございます。ここで水洗いによって外に出るものを少なくする。さらに消化設備以外の粉じん発生個所につきましても密閉集じん機の取りつけ等、粉じん飛散防止のための措置を講ずる、こういうことを考えております。具体的なスケジュールといたしましては、二重注水式消化設備につきましては、本年の八月中に各鉱山一基ずつ発生する。そうして十一月に試運転し、十二月に稼働する。残りの五基につきましても来年の八月までに取りつけし稼働させる。それから粉じん飛散防止のための機械装置密閉、これは多少金額も張りますし、工事も長くかかりますので、段階的に分けまして、これはまず来年八月までに完成する。しかし、建屋全体の密閉及び集じん機の取りつけということになりますと、三カ年計画最終年次である四十四年くらいに実施するという、三年がかりくらいでやってみたらどうだろうかということを大体私どもの意図といたしまして、権者側に話をし、そういう私ども考え方に基づいた具体的な計画を出してもらうようにいま指示をしておるところでございます。以上の措置を講じますために、これはどうも見積もりでございますので、非常に幅があって申しわけないのでございますけれども参考のために申しておきますと、一工場当たり六百万円から九百万円くらいのことで何とかやれるのではなかろうか。この辺の経費であれば、いま申したような企業形態当該五山につきましても協力を得られるものという考えのもとに、いませっかく話を詰めつつあるところでございます。
  15. 武藤山治

    武藤(山)委員 五山のほうでは協力態勢で四十四年までに完成するという約束をしているのか。もし約束をされないで、この期間にこういう装置ができなかったという場合に何か罰則規定があるのですか。
  16. 中川理一郎

    中川(理)政府委員 冒頭申しましたように、公害問題に対する考え方実態というものも年とともに変わってきておりますので、現行法規をもちまして直ちにこれにひっかけるようなことは、いまの法規では不可能でございます。そこで行政指導で収拾したいと思っておりまして、いまこのもくろみにつきましては、口頭では大体権者それぞれ了解をしておる。ただ、先ほど申しましたように、いいと思って考えたのだけれども、なかなか具体的には進まない、金繰りがつかぬというような話が出てきても困りますので、ある意味で行政指導を実効あらしめる担保というような考え方で、指示書に基づいた具体的な計画の提出を求める、こういう形で進めたいと考えておるわけであります。
  17. 武藤山治

    武藤(山)委員 局長あるいは御存じないかもしれませんが、これはここへつとめている労働者だけの問題じゃなくて、ここにもカラーで私自身とってきたのでありますが、黒いズボンを外へ干しますと、一日で黒いズボンが白くなってしまう。上から落ちてくる部分だけは黒いズボンが白くうつるほどすごい粉じんである。これを日常吸っておる子供たち、それからそのほこりの中に生活している子供たちのほとんどはトラホームである。同時にぜんそくぎみで、かぜをちょっとひくと気管支炎みたいな、普通のせきと違った症状になっている。したがって、ここにおる者の大半が半病人だと言って過言でない、そういう状況であります。そこでこれを根本的に解消するためには、いま局長がおっしゃった根本策を一日も早く誠意をもって会社側にやらす以外にないと思うのです。ところが、私らの見ている判断では、この会社の経営者なるものは、なかなかそうすなおにスムーズにその計画を推し進めそうもないような感じがするわけであります。そういう点からかなりの不安をまだ抱いております。したがって、あなたのほうの所管事項であるこれらの監督問題については、きちっとした取りきめができるように、行政指導で逃げられないように強く要望しておきたいと思うのであります。  それから、いまの設備改善するための融資などは、現在通産省は何かあっせんするような制度というようなものがあるのですか。それとも中小企業金融公庫とか、それぞれの能力に応じて担保力のある者が借りられる範囲内で借りろ、こういうような仕組みになっておるのか。それとも通産省あっせんによって、公害防止するこういう施設は、特別に十年年賦とか十五年年賦という思い切った長い融資をしてやらなければならぬと思うのでありますが、政府環境衛生公庫などをつくって特別な業種には安い金利で長期で貸すというのでありますから、いわんや人命の問題でありますから、私は、通産省はすみやかにそれぞれの関係者と相談をして、公害防止融資というものの特別措置考えるべきじゃないか、こう思うのでありますが、あなたの見解はいかがですか。
  18. 中川理一郎

    中川(理)政府委員 おっしゃるとおりでございます。ただ特別の制度というものが本件について適用できるかという観点で考えますと、現在のところ防止事業団にいたしましても融資対象を非常に限定しておりますので、いま直ちにこの業種に該当するわけではございません。ただいま私どもが三年間に計画考えました場合にも、当然にこの資金繰りの問題につきましては念頭に置いておるわけでございまして、すぐ使える制度といたしましては、先生いまおっしゃいました中小企業金融公庫からの公害融資あるいは保安融資それと近代化計画に基づく融資あっせんということがございまして、近代化につきましては、すでに東京保安監督部のほうから栃木当局に話を持ち込んでおりまして、担当ベースではお互いにこれをできるだけ積極的にやろうじゃないかということで話ができております。問題は、むしろそのほうの心配はさほどなくて、先生おっしゃるように企業がほんとうにやってくれるかどうかというところにあろうかと思います。この点は、御懸念のところは私はわかっておるわけでございますけれども東京監督部長が二回にわたって鉱業権者を呼んでおりますし、その限りにおきましては非常に積極的であるようでございます。現にいまの二重装置につきましての発注ですとか、週刊誌に書いてございますほこりの問題もございますので、散水車の購入なども、すでに一部やりかけておりますので、私は、いまの感じからいいますと、信用し、かつ期待を持ってよろしいのではなかろうか。もし御懸念のようなことがありましたら、私どもさらに積極的に話を進めたいと思っております。
  19. 武藤山治

    武藤(山)委員 局長、ちょっと交互に質問しますから……。  次に、厚生省にちょっとお尋ねしますが、今回衆議院を通過した基本法に基づいて、いまの鍋山の問題あるいは葛生地域の問題が第八条の環境基準あるいは第十八条の地域指定、こういうものに当然該当する地域だと思うのでありますが、いま皆さんのほうで政令なり省令なりで検討している段階で、これらの基準というものは大体どの程度のものをこれに含めようとしておるのか、その辺、もし作業が進んでおったらちょっと見解を明らかにしていただきたいと思います。
  20. 武藤き一郎

    武藤説明員 先生指摘公害対策基本法におきます環境基準の問題でございますが、これは大気汚染の問題、水質、それから騒音の三つのことについて、健康なり生活環境を保全する上で基準をきめるようになっております。この基準になりますのは、健康を守りあるいは生活環境を保全するための行政上の政策目標として基準をきめるわけでございます。したがいまして、現在厚生省として大気汚染についてまず考えておりますのは、各地で問題になっております亜硫酸ガス等についてまずきめたいというふうに考えております。したがって、いま御指摘石灰の粉、あるいはそれは粉じん等に入るかと思いますけれども粉じん等についても当然きめるべきだというふうに考えております。具体的にどの程度粉じん等の数字をきめるかということについては、まだ結論には至っておりません。  それから十八条の、公害が著しく、かつ、総合的に公害対策をきめなければいけない地域、あるいは公害発生するおそれがある地域については、十八条で内閣総理大臣が県のほうに策定を指示するわけでございますが、現在考えておりますのは、前者では京阪神とかあるいは四日市とか、そういう既存の工業地帯等考えておりますし、それから第二番の予防的な地域では、水島とかあるいは鹿島とか、そういう広い地域考えておりまして、いま先生お話し鍋山地域自身については、現在のところ私ども事務当局の頭にはありませんけれども政府で定めます公害防止地域には入りませずとも、関係都道府県知事は、それぞれ地域公害問題については当然対策を立てるべきでございますので、そういう問題として処理すべき問題ではなかろうかと考えております。
  21. 武藤山治

    武藤(山)委員 私がいま言っているのは、鍋山と局限しておりますが、最初葛生の町のことを言ったわけです。葛生の場合は鍋山と全然地形、居住者数が違って、かなり居住者も多いわけです。葛生も外ではものは干せない状況です。したがって、先ほど通産省のほうでは、葛生はある程度工場が大きいから、ほこりはそう出ないだろうというような楽観的な見方をしておりますが、これはぜひ一度局長葛生も行ってみてくださいよ。葛生かなりの人口があります。外へものが干せない。屋根の上にもうまっ白に積もっているという。板川先生葛生の出身ですから、特に葛生の問題は毎日頭の中に浮かべていると思うのでありますが、これも集じん施設を各工場につくらせるように、通産省鍋山だけではなくして、葛生のほうもひとつ集じんについては指導しよう、こういう気持ちになってもらわないと困るんですよ。そういう点の指導葛生のほうにもしようというかまえを持てるかどうか、その辺ひとつ局長の態度を明らかにしてください。
  22. 中川理一郎

    中川(理)政府委員 私ども先生方のように直接見ておりませんので、実感があるいは違うかもしれませんけれども、先ほど申しましたのは、設備的にいえば、鍋山地区よりも葛生のほうが幾らか気を使っているはずだということを申し上げたはずでございまして、実態に対応いたしましてそれぞれに改善の歩みを進めさせるという点におきましては、ある個所が問題になっておる、それだけやるということではなくて、全国もうほとんど、考えますと気が遠くなるほどたくさん事例が多いケースでございます。それだけにそう勇ましいことも申し上げられませんけれども、できるだけのことはやはりやっていかなければいかぬというのが私ども考えでございます。
  23. 武藤山治

    武藤(山)委員 労働省より、労働者健康保持という立場から、鍋山地域における健康診断、これをやった経過、結果はどういうぐあいになっておるか、ちょっと明らかにしていただきたい。
  24. 伊集院兼和

    伊集院説明員 鍋山地区けい肺検診の結果につきまして、まず御報告いたしたいと思います。  最近の三年間について見ますと、鍋山地区の五事業場のうち、毎年百九十二名について検診が行なわれております。これらの検診は、一般的には三年に一度けい肺検診を行なうということになっておりますが、その関係で三年間について一応御報告させていただきますと、三十九年におきまして十三名のけい肺の有所見者が発見されております。ところが、その翌年の四十年におきましては二十二名、さらに四十一年におきまして四十名の有所見者が発見されております。なおその中でいわゆる管理四として、私ども管理四と呼んでおりまする療養を特に必要といたします程度の者につきましては、三十九年において一名、四十年において一名、四十一年度においては幸いにこれが出ておらないのでございます。  なお、それらの粉じん作業におきまする経験年数等を調べてみました結果によりますと、鉱石の破砕等の作業に従事している者については十一年余り、それからかまで焼く作業がございますが、それらの焼成作業に従事いたしております者については十二年ばかり、主としてその二つの作業に関連をいたした者の、これらの有所見者の平均勤続年数でございます。  なお、ただいま御報告申し上げました数字は、鍋山地区の五事業場についてでございますが、先ほど来葛生につきましてもお話がございましたので、武藤先生指摘のように非常に関係があると存じますので、これのけい肺検診結果についてもあわせて御報告をさせていただきたいと思います。  葛生地区におきまする二十二の事業場において、けい肺検診の対象といたしておりまするのは、現在七百九十九名と把握されております。これのうち、最近の三年間で、先ほど触れました管理四に該当いたしておりまするのは、四十年に発見されました一名のみでございまするが、けい肺の有所見者と認められました者は、三十九年で百三十三名、四十年度で四十八名、四十一年で百五十五名、いずれも二八%、三〇%、二五%という高率になっております。  なお、そういった実情でございまするので、最近それらの作業場におきまする粉じん発生状況を労働衛生専門官に調査をさせましたので、その結果につきましてもあわせて御報告をさせていただきたいと存じます。  先ほど鉱山保安局長さんから御報告がございました各種の作業があるわけでございまするが、最初石灰石の粉砕作業場におきましては、一立方センチメートル中に約二千個の粉じんを数えたのでございます。次の、それらの石灰石をかまで焼きまする作業場におきましては、同じく一立方センチメートル中九百個、それに続きまして、生石灰の選別作業がございますが、そこでは約六千個でございました。選別が済みました後に水をかけまして消石灰になる、その消石灰をかき出します作業がございますが、その作業場におきましては約三千三百個でございました。なお、最後の工程消石灰を袋詰めいたしまする作業場では二千二百個という数でございます。したがいまして、相当な粉じんの個数でございます。  先ほど来武藤先生指摘のようなことでございますので、それに伴いまして、鍋山地区におきまするそれらの職場の粉じん対策について、先ほど保安局長さんも触れておられましたが、職場の環境改善研究会を開催いたしまして、それらの調査結果に基づきまして具体的な粉じん対策の設置について、また、粉じん環境の把握についての指導をいたしておるところでございます。
  25. 武藤山治

    武藤(山)委員 そういたしますと、労働省のほうは、じん肺法の規定に基づいて、第四条のエックス線写真はきちっと法律どおり撮影をしている、そういう状況ですか。
  26. 伊集院兼和

    伊集院説明員 ただいま御指摘のように極力そのようにつとめておりますが、いずれも中小企業関係で……(武藤(山)委員「答えはなるべく簡潔に結論だけ答えてください」と呼ぶ)御指摘のような種類の項目について実施をいたしておりますが、なお、中小企業の巡回健康診断の委託検診に委託をいたしまして、その一そうの実施をはかっておるところでございます。
  27. 武藤山治

    武藤(山)委員 したがって、法第四条の規定どおりにきちっとやっているかどうか聞いているのです。
  28. 伊集院兼和

    伊集院説明員 そのようにやらしておるつもりでございます。
  29. 武藤山治

    武藤(山)委員 さらに三十二条の政府の援助義務というのがありますね、じん肺の危険のある場合に。その場合の政府の援助義務というものをはたして完全に果たしているかどうか、その点はどうですか。
  30. 伊集院兼和

    伊集院説明員 先ほど衛生専門官等によりまする職場の環境の把握並びにそれらの改善技術につきましての指導、並びにただいま申し上げました巡回検診とによりまして、極力努力をいたしてまいりたいと存じております。
  31. 武藤山治

    武藤(山)委員 いや、まいりたいじゃなくて、三十二条の義務をきちっと果たしておるかどうか、まだ満足でない、まだ少し手抜かりがある、もうちょっとやろう、こういうことなのか、きちっとやっておるか、そこらを確認をしたいと思ったのです。
  32. 伊集院兼和

    伊集院説明員 御指摘のとおり、なお決して十分ではないと存じております。ただ、先ほど来保護具等のことで御指摘も出ておりましたように、保護具並びに局排装置等につきまして、技術的になお不十分な点がたくさんございます。それらの改善について一そうの努力をいたす必要があると存じております。また、それらの技術開発とともに、それらを現場で活用させなければならないと存じております。
  33. 武藤山治

    武藤(山)委員 いずれにしても、そこで働いている労働者自身が、いま発表になったようにたいへんな病状を持っている。特に私の調査では、四期ですか——四期というともう労働不可能。私の知り合いの生沢君と栗原君という二人がすでに塩原の国立病院に入院中であって全く労働に服することはできない。さらに三期というのが十五名、二期というのが全従業員の三分の一。そうすると三期というのは、医者の専門家に言わせると病状としては大体どの程度のものか。重労働はかまわぬのか、それともほんとうの軽労働しかできないのか、あるいはもう石灰山にいるのはちょっと無理があるのだ、そういう判断なのかしろうとでわかりませんから、二期とか三期とか四期という——四期は重体で入院しなければだめだということだと思うのですが、あとのはどの程度なんですか。
  34. 伊集院兼和

    伊集院説明員 三期と御指定いただきましたのは、私ども管理三と呼んでおる対象のものだろうと思います。一口に申し上げますれば、粉じん作業にこれ以上従事することは適当でないという程度のものだと御理解いただいたらいいのではないかと思います。
  35. 武藤山治

    武藤(山)委員 このじん肺にかかっているという者は結核になりやすい、それとも何かほかの余病にかかりやすい、そういう体質になっているということなんですか。専門的にはどういうことなんですか。
  36. 伊集院兼和

    伊集院説明員 一般に遊離珪酸粉じんによりますけい肺の場合には、肺結核の併発を非常に誘発しやすい、ないしは肺結核を非常に増悪させやすいというふうに理解されております。
  37. 武藤山治

    武藤(山)委員 そうしますと、もう明治以来の、石炭石の粉は結核には関係ない、からだには入っていいんだなんということは完全な迷信だと、労働者自身認識していいわけですね、いまの統計から見ましても。
  38. 伊集院兼和

    伊集院説明員 先生ただいま御指摘のように、、従来そう考えられておりました。それがけい肺についても容易にかからないのではないか、あるいはこの場合に遊離珪酸を含んでおりませんので、けい肺ではない、石炭じん肺であるといたしても、石灰じん肺というのは容易に起こらないと理解されておったのは事実でございます。しかしながら、先ほど来御報告申し上げましたように、管理三ないし管理四というものが発生いたしております。ただいまの管理四につきましても、結核の合併によりまして管理四になったのではなくて、心肺機能の低下とともに管理四になったという経過でございますので、ただいまの時点では、結核の合併が他のじん肺けい肺の場合のようになりやすいとは、このデータだけからは私にわかには申し上げかねますけれども、いずれにしろじん肺になりやすいということは事実だといって差しつかえないのではないかと思います。
  39. 武藤山治

    武藤(山)委員 厚生省おりますね。  いまのは主として従業員の健康上の問題ですが、一般従業員家庭の子供、家族、こういうものは、子供の場合には異常にトラホームが多い、この地域は。さらに気管支災、ぞんそく、こういう状況があるようでございますが、厚生省としては従業員以外のそういう者に対する徹底した検診、そういうものは何か指導したことがあるか。あいるは現実にやっているか。その点どうですか、
  40. 武藤き一郎

    武藤説明員 具体的には県のほうで住民について指導を行なっていることと推察いたしますけれども、私どものほうに現在報告されておりますのは、先生指摘の目の患者のことでございます。寺尾中央小学校という四百人ばかりの生徒の中で、目の疾患については四十二名、その中で門沢部落の生徒九十二名おりますが、そのうち八名ということで、全員というようなお話もございましたけれども、ほほ一割程度は目の疾患にかかっている。そのほか、保健所の専門家の話によりますと、子供が外で遊べないので非常に顔色が悪くて、その点は非常に心配である、こういうようなことを報告されております。
  41. 武藤山治

    武藤(山)委員 気管支炎、ぜんそくの数字はどうなんですか。
  42. 武藤き一郎

    武藤説明員 数字については現在手元にございませんので、さらに詳細に調べたいと思います。
  43. 武藤山治

    武藤(山)委員 いまのはどこの小学校でもやっている身体検査程度で、特にこの地域の人体をむしばんでいるこの粉じんについてという注意を持ちながら住民の検査をやっているのではないのであります。一度もやっていないのです。これはぜひ厚生省はすみやかに県にこれらの措置をとるように早急に指示をして、実態を集めてもらいたいと思いますが、いかがですか。
  44. 武藤き一郎

    武藤説明員 さようにいたしたいと思います。
  45. 武藤山治

    武藤(山)委員 こういうような状況をずっと調べてみて、とにかくいまの状態のままでは、ここに住んでおれない、こういう状況であります。  そこで、こういう人たちがもうここを逃げ出そう、八十戸とにかく全部移転をしよう、こういう話がいま出ているわけでありますが、そういう際に国、地方自治団体は、特にひどいこういう公害地域あるいは粉じん地域から逃げ出す場合に、何か国のほうであるいは県のほうで、そういう場合の宅住はひとつ特別な措置として方法を講じよう、そういう制度はいま何にもないのですか。
  46. 武藤き一郎

    武藤説明員 住宅問題については建設省のほうで所管されていると思いますが、私が聞いておりますのは、現在六十世帯のうち四十世帯は工場の社宅に住んでおられるわけでございます。工場の社宅を移転したらどうだという話があるそうでございまして、これについては住宅金融公庫やあるいは市の住宅団地開発施策等を活用して具体化の方向で検討を進めているというふうに聞いております。それから、これは厚生省関係でございますが、厚生年金の還元融資制度がございまして、この点についても会社従業員のアパートといった問題については従来から融資しているわけでございます。こういう話を聞きましたので、さっそく年金局を通じまして、そういう計画があれば早めに申し出るようにという指示をいたしております。
  47. 武藤山治

    武藤(山)委員 一時間という割り当てですから、鍋山の問題は以上で終わりますが、ひとつ十分実態をそれぞれ責任官庁を集め、直接調査に乗り出してもらいたい。特にいま八十戸の移転問題については、栃木の市長も非常に力を入れて、土地買収のあっせんや、いろいろ飛んで歩いておるわけでありますが、なかなかうまく運ばない。しかも、その八十戸の諸君は、住宅を建てて何とか逃げ出そう、それに会社も、みなそこに死ぬまでつとめるのだからひとつできるだけめんどうを見てくれという折衝をしておるようであります。退職金の前払いならしよう、退職金の前払いで逃げていくというのはいささか、というので、労使間でなかなか話がまとまらぬ状況にある。そういう場合に、できるだけ国のほうでも経営者に対してもう少し責任ある、誠意ある態度を示すような行政指導をぜひ求めたいのでありますが、少しそれは邪道になりますか、いかがでしょう。
  48. 武藤き一郎

    武藤説明員 厚生省のやっております範囲内では全力を尽くしたいと思いますけれども、なお関係各省とも相談いたしまして、先生の御趣旨に沿いたいと思います。
  49. 武藤山治

    武藤(山)委員 短い時間の質問でありますから、端的な簡単な質問で要領を得ていないと思いますが、ひとつ意のあるところを十分——労働省厚生省通産省ともそれぞれの立場において法律で定められた皆さんの権能を十分発揮して、これらの住民が一日も早く安心できるような処置を強く期待をいたしておきます。  それから、厚生省厚生技官加藤三郎さんというのはあなたの部下におりますか。
  50. 武藤き一郎

    武藤説明員 公害課の技官でございます。
  51. 武藤山治

    武藤(山)委員 私のところに速達で陳情嘆願書が参りまして、厚生省に行って、シンナーの被害を受けて自立神経失調症という状態におちいった。すぐ隣にシンナーをつかう染色工場がある。膨大にシンナーをつかうわけですね、大きなかんで。その排気ガスが全部外へ流されるために、近所十五、六軒の方々が陳情書をつくって何回も県、市、保健所、最後はがまんできなくて、厚生省の、いま申し上げた加藤三郎なる者に陳情に行った。そうしたら、お前らの来るところではない。ここは国会議員か県会議員の来るところである。簡単にそういうことでもって帰された。非常に憤慨をした手紙が私のところに舞い込んだわけであります。私は一役人を責めようなどとは思っておりません。しかし、この陳情書をずっと読んで感じましたことは市役所に行ってみると、これは公害基本法ができなければわしらにはどうにもならぬのだ、保健所に行くと、それは金もうけでやっているんだから保健所はとやかく言えない、どっちへ行ってもこの陳情者はけんもほろろにみな断わられておる。まことに役所というものは機械的で情けも何もないということを、これは私は涙をこぼして読んだのです。この御夫婦は二人とも日赤の診断書まで送ってきたのですが、自律神経失調症にかかってしまっておる。これは頭がいつも重くて仕事にならない。就職もできない。ぶらぶらしておらなければいけない。五十にもなって親の金をもらっていなければならない。親たちはもう来ないでくれと言う。こういう訴えなんです。いまこの基本法ができたおりに、こういう後遺症——工場がすぐ近くにあって、何回も陳情し、文句を言ってもなかなかその工場がやめない。その被害を受けて後遺症が残った場合に、そういう人を救済する道というのは全くないのですか、どういうことになっていますか。
  52. 武藤き一郎

    武藤説明員 原因者がはっきりわかっておりますれば、いまお話がありましたように、会社のほうに当然請求すべきだと思います。  それから前段の厚生省の係官に行き過ぎたことばがあったようにおっしゃいましたけれども、私、本人をよく知っておりまして、ちょっとそういうことを言うかどうか、非常にふしぎに思うのでございますけれども、まあ、各地でいろいろ問題が起きて、厚生省に非常に困った問題をしょっちゅうお話しにまいります。係官等が少なくて夜昼なく働いておりますので、あるいはつい忙しいあまりにそういうことを申したかしりませんが、今後そういうことのないようにいたしたいと思います。
  53. 武藤山治

    武藤(山)委員 もう時間がありませんから、あとでもって局長に、私のところに来た文書、陳情書一切をお貸しいたしますから、一回検討していただいて、何省であってもいいですから、少しでも前進した解決の方向に指導できることでしたら取り組んでいただきたいと思います。  ちょっと一節を読んでみると、「足利労働基準監督署に実情を申出善処方を要望しました処工場外は所管事項ではない、附近住民の事は所管外であるとの理由で受付けて呉れませんでした。」工場から排気ガスがどんどん出ておるから被害を受けるのは工場外である。基準局は労働者の保護のほうだから、中だけでいいのだ、こういう機械的なぶっきらぼうな答弁であります。市役所に行ってみると、公害係官がおるけれども、「田中町は住宅区域だから工場の建築許可をする筈はないとの事でした」、だからそんな害が起こるはずはないのだといって、これもとりあってくれない。それで町内の人は、ずっとこのように連名で知事、市長、労働基準監督局、こういうところへそれぞれ行ったけれどもさっぱりらちがあかない。憤慨をして本人は私のところに上申書をよこした。こまかい中身を読んでみると、やっつけてみたいなと思う個所も何カ所かあるのですが、私はそういうことは一応慎みたいと思いますので、どうかこれをお読みいただいて、もし企業が全部負担すべきであるというならば、その場合の方法などもできる限り親切に本人に教えてやって、こういうものを処理しなければならないと私は思います。加藤君の名前を出して恐縮でございますが、部長はしからぬでください。おそらくあなたの言うように忙しくて、あるいは国会議員なら話をしてやろうと思ったのかもしれませんが、いずれにしてもいまの諸官庁の取り扱いはまことに不親切です。血も涙もない取り扱いのしかたであるということを指摘して、今後こういうことが二度と起こらないように十分の注意を喚起して私の質問を終わります。
  54. 武藤き一郎

    武藤説明員 あっちこっちでそでにされて、厚生省をたよりにしてきたら、また厚生省から冷いことばをかけられたということで、はなはだ御本人は御不満であると思います。厚生省をたよりにされたと思いますので、厚生省は全力をあげてやりたいと思います。
  55. 武藤山治

    武藤(山)委員 あとまた休会中の審査の際に、これら要望を申し上げた問題点については、それぞれの担当官にお尋ねをいたしたいと思います。ぜひひとつ誠意ある処理の方向を前向きで期待をして質問を終わりたいと思います。
  56. 八木一男

  57. 高田富之

    高田委員 私は、河川の砂利の採取に関連した公害問題につきまして二、三御質問したいと思います。  実は本件につきましては、先般予算委員会におきまして西村建設大臣、剱木文部大臣、両大臣にきわめて簡単に御質問並びに御要望申し上げましたところ、さっそく先般は、文化財保護委員会の吉川調査官、吉川係長さん御両名が埼玉県庁の柳田文化財保護係長と一緒に現地へも行っていただきました。そういう問題でございますが、きょうはさらに担当の政府委員の方からより具体的な御回答をいただいて問題点をさらに解決を促進していただきたい、こう思いまして質問申し上げるわけであります。  質問事項は大別して二つでございます。  一つは、砂利採取のために河川がよごれるわけですね。汚濁されまして、その川の清流が濁るためにいろいろな害が起こるわけでございますが、そのうちの一つに、天然記念物であるたとえば長瀞のような——これはおそらく全国至るところにあるのじゃないかと思います。私自分の目で見ております具体的な問題をあげて質問をするわけですけれども、問題はかなり一般性があると思うのですよ。たとえば長瀞あるいはそのすぐ下の玉淀というような景勝の地、日本で幾つもないような渓谷美を誇るそういうようなところが、濁流とうとうでもって三文の値打ちもなくなってしまうというような問題でございます。これを何とか解決しなければならぬという問題。  それから第二の問題は、これもまたきわめて一般性のある問題だと思うのですが、砂利の採掘のために川の水位が下がりますから、そのために付近の住民の飲料水が枯渇する、あるいは農業用水が枯渇するというような問題でございます。これにつきましても、具体的な現在起こっておる事例をあげて申し上げるわけですが、埼玉県と群馬県の境を流れております神流川流域では一市一町数カ村にわたりまして長らくこれは問題にし、中央あるいは県に対してたび重なる陳情等も行なわれておるわけでありますが、こういう例は全国にもたくさんあろうと思います。  非常に重大な被害を及ぼしております問題でありますから、この二つの問題点につきまして御質問申し上げます。  まず最初の、この前お願いしまして、いま申しました吉川さんのおいでになったのは長瀞でございます。この長瀞の問題は、その後調査に行かれました直後の様子は中央でもお聞き取りになっておるはずなんです。電話でもお調べになったそうですが、一時ちょっときれいになったのですね。ところが、またもとどおりになってしまっております。私もその後見たのですが、そのきれいになったというのは、上流の砂利採取業者に対して県のほうから注意をしまして、沈でん槽がもともとあるのですけれども、それがこわれておったのを修理させて、そして三段か四段に沈でんさせまして、きれいな水になってから川に落とす、こういう仕組みになっておりますが、それはちょっと手を入れて直した程度でございますから、一ぺん雨が降ったためにまたそれが流されて、よごれた水が流れておるという現場を実は私は見てきたわけです。それによって一時、一週間か十日きれいだったのですが、その後またもとどおりになっちゃったというような状態でございまして、私はこれはその程度のことではいけないと思うのでありますが、こういう点はどういうものでしょうか。法的にも、もっと上流の砂利採取業者に対してきちっとした法的な根拠のある施設をつくらせるという指導ができるのじゃないかと思うのですが、これはいかがでしょうか。文化財保護法の第八十一条に、「委員会は、史跡名勝天然記念物の保存のため必要があると認めるときは、地域を定めて一定の行為を制限し、若しくは禁止し、又は必要な施設をすることを命ずることができる。」、こういう規定があるのですけれども、こういうようなものによって、上流で濁った水がその地域、長瀞なら長瀞というものに影響する範囲内にわたりまして、あるいは三里なら三里、あるいは二里なら二里の上流までは影響があるということになれば、その間における砂利採取業というものは、この法的根拠をもって基準を設けて、これこれの施設をしなければならない、濁った水を流しちゃいかぬということをやって、そしてこれを監査していく、もしこれに違反すれば許可を取り消すというようなきちっとした指示をしてやればできるのじゃないかと思うのですけれども、これはいかがでしょうか。
  58. 中西貞夫

    ○中西説明員 ただいまのお尋ねでございますけれども、この法律の規定をもってしてはそこまで規制をするということは困難でございます。
  59. 高田富之

    高田委員 だけれども、いま私の読んだこういう条文があるのでしょう。どうして困難です、ちょっと説明してください。
  60. 中西貞夫

    ○中西説明員 文化財保護法は文化財の保護を委員会に命ずると同時に、所有権の尊重とか、あるいは開発その他の公益との調整というふうなことも言っておりまして、やはり指定されております地域の、地域そのものについての現状の変更とかあるいは保持ということに直接関係するものでございませんと、それをずっと広げまして、そこまで拡張していくというようなことは、この法律からいきまして困難でございます。
  61. 高田富之

    高田委員 それは困難なことはないでしょう。これを読んでみますと「天然記念物の保存のため必要があると認めるときは、地域を定めて一定の行為を制限し、若しくは禁止し、又は必要な施設をすることを命ずることができる。」というのだから、川の流れが上流からよごれたものを流してくる、そのためにこれがだめになるのですから、これを保存するために、無制限じゃないわけです。影響があると思われるその範囲を指定して、ここにちゃんと法律にあるように、この部分ではこういうことをしちゃいかぬ、こういう施設を設けろとかいうことができなければ、この条文は意味がないじゃないですか。
  62. 中西貞夫

    ○中西説明員 その地域の定め方が非常にむずかしゅうございまして、どの範囲までにするかということになりますと、そう広くやるということは非常に困難でございます。そういう点からいたしまして、ただいまの問題になっております長瀞の問題でございますけれども、どこからどこまで規制するかという問題になりますと、これではそう広くは規制できないのじゃないかということでございます。したがいまして、多少名勝のまわりの近いところにあるならば、ある程度そういうことはできますが、先ほど申し上げましたように一応所有権との調整とかいろいろございますので、非常に広い範囲ですと困難ではないかと思います。
  63. 高田富之

    高田委員 これはしかし非常に大事なのですよ。文化財保護委員会あたりはそれを守るのが任務なのです。それに対して被害を及ぼしているというのは一定の範囲にきまっているのです。下流のほうから水が逆流してくるわけじゃないから上にきまっているし、上だって一定の範囲がありますね。せいぜい三里くらいじゃないですか。その程度の部分のことは、ここがこうなればいいということはわかると思うのです。それも、禁止してしまうということになれば、強い規制ですからかなりむずかしいと思うのですが、いま私が言ったように沈でん槽みたいなものをつくらすことはわけがないことなのです。そのくらいの施設を設けさせるということぐらいはこの法律で十分やれると思うのです。この法律を別にたてにとらなくたって行政指導でそのくらいは私は常識問題だと思うのですよ。天下の景勝を保持するために、その程度の所有権に対する制限規制はたいした損害を与えるわけではない。ちょっとめんどうを見ればそのくらいのことはできる。あたりまえです。だからいまの公害から国民を守るというような精神からいっても、その程度のことは所有権を行使するには社会的につきものの義務なんです。それはひとつ強力に指導をして、ぜひともああいう日本に幾つもないような景勝の地を守っていく。天然記念物を保存していくというためには相当強い指導をしなければいかぬ。特に埼玉県のごときは、ああいう名勝なんかほかにありはしないのです。県に一つしかない。そういう大事な所が濁流が流れて三文の値打ちもなくなってしまった。この問題が起こりましたのは数年前砂利採取が始まるとともに問題が起きた。県にはずいぶん陳情が行っているのですよ。八ミリのカラーの映写までしてそれを見せたりして県へ行ってずいぶんやっているのですが、一向にきき目がないというので、とうとうその運動が途中で挫折したのです。というのは、それほど砂利採取というものが当時ブームでございまして、ここ数年ですけれども、ものすごい勢いで砂利屋さんがふえる。また、これに対する規制はほとんどできないというくらいで、いまわしい事件もずいぶん起こっておるのです。そのために贈収賄事件で埼玉県の砂利事務所長がとっつかまったのです。そういうようなさなかですからどうしても規制はできなかった。そういう面はそこまでしなければならない。やはりきちっとした規制はしなければいけない。そういう事件があって、去年事務所長以下日本会議員、村長というのがみなとっつかまった。そういうときでありますから、このチャンスに汚名をそそぐということのためにきちっとした規制の砂利行政をやらなければいかぬということでお願いしたわけです。  今度は建設省のほうにお願いしますが、そういう点で県の砂利行政に対して強力な指導をして、そうして少なくともある程度のことは施設をきちっとすれば直るのですから、そのくらいのことはやれるはずだと思うのですが、いかがですか。
  64. 古賀雷四郎

    ○古賀政府委員 長瀞付近の河川の汚濁の問題につきましては、この前御指摘がありましたのでさっそく調査いたしまして、いろいろ現地で調べてみますと、約八百メートル上流の砂利採取によるものだということでございまして、これは直ちにやめさせております。それから長瀞から上流四キロくらいの所でも河川砂利採取をやっております。  これらの問題につきましていろいろ調べてみましたが、科学的と申しますか、五月十五日以降に降雨量が少なくなり、河川の流量も非常に減りましたので、五月二十五日に長瀞付近の汚濁度と申しますか、いわゆる水の透明度でございますけれども、これを調べました。これはセンチが単位になりますが、センチの多いほうが透明であるということでいろいろ調べてみました。約九カ所調べてございます。それで上流の一番というのは皆野橋のところでございますが、これは二十二センチでございます。それから長瀞付近の汚濁度は二十七センチ五ミリで、これはかなり透明度が多いということになります。しかしながら、その後水質等の状況につきまして御指摘のような点があると思いますので、これは河川管理上も重要な問題でございますし、私らとしましては長瀞がレクリエーションの場として国民のためにも非常に大事なところでございますので、御指摘の点は十分調査してひとつ具体的に処理したいというふうに考えております。
  65. 高田富之

    高田委員 それで私もあとで調べてみて、もとのとおりになってしまっているというので、さっそく御連絡をしましてお願いはしたわけです。ですから、きょうもあらためてここでお願いするわけでありますが、これは手がけた以上はぜひきちっと結論を出していただきたいと思う。どうしてもだめならだめでしょうがないけれども、だめなはずはない。数年前の砂利採取以後起こった問題ですから、どうか全力をあげてなるべく早くもとの清流に戻すということで取り組んでいただきたいのです。  これは長瀞とすぐその下にほとんどくっついていると言ってもいいくらいですが、玉淀というやはり同じ荒川の清流を下にしました景勝の地がございます。寄居の町についているのですが、この辺一帯は観光地でして同じなんですよ。非常に水が濁ってしまったし、水位が下がって深くなってしまったわけです。そういうことのために、もとのような渓流の美観というのが全然失われております。先般は子供が落ちて、濁っておって深いものですから、どろどろでさがされないでとうとう死んでしまったというような事件もあるのです。いずれにしましても、もとは浅くてきれいで底まで見えたのが、非常に濁ってしまった。さっきお話があったように、もとアユの産地でしたが、ああいう魚はほとんどとれないでドジョウや何かが出てくる。下ににょろにょろたまっている。漁業組合でもそういう点を非常に問題にしたわけです。これは非常に被害が大きいのです。このままほうっておいたらああいう景勝の地が全然だめになってしまうんですね。底がずっと下がってきて深くなっていますから、ぜひひとつこれは早急に県のほうを督励されて、きちんとした処理をしていただきたいと思う。そうたいしたことじゃないと思うんですよ。施設を動かすくらいでできると思うので、ついでに玉淀の付近も御検討になって、せっかくあの付近の上流から舟を流してきて非常にいい静養の場所になっているわけです。観光地になっているわけですから、どうかひとつそれを真剣に取り組んでもらいたいと思います。
  66. 古賀雷四郎

    ○古賀政府委員 御指摘の点につきましては、県と共同しまして早急に調査いたしまして、必要な対策を講じていきたい。  なおこの際、私、この前御指摘がありまして県のほうにお願いしたのですけれども、長瀞付近の旅館から出る下水が十分でない、直接長瀞に注いでいるということでございまして、これを統一して整理するように埼玉県に私指示したわけでございまして、その辺の関係も十分考えていきたいというふうに考えております。
  67. 高田富之

    高田委員 それじゃ、ぜひひとつそれをお願いいたします。  それから第二の問題は、飲料水や農用水がかれる問題でございまして、この問題も再三陳情などもあるわけでございますが、問題は、わずかな砂利資源のところへたくさんの業者が殺到して、それがみな認可を受けまして、競って砂利の採取をやるということから出ておるのだと一般には見られているわけです。われわれもそういうふうに思うのですが、何かこの間高崎の河川事務所ですか、私はちょっと行ってみたのですが、砂利採取は神流川のごときは本年度一ぱいでやめるということをちょっと言っておりましたがね。それはどういうことか、そこをちょっと伺っておきたい。いまの砂利の需給状況からいうと、どういうことなんでしょうか。私どもは、できれば全部やめてしまって、あと施設すべきものは施設してしまえば、今後ずっと将来にわたって心配がなくなるんだからいいようなものですが、しかし、砂利資源というものが枯渇はしているけれども需要は一向減っているとは思われないので、このままで一体どういうふうに処理されるのか。一年以内に全部ストップしてしまう、砂利採取を禁止してしまうというようなことで処理のつくものかどうか。その点、需給状況と業者の採掘の規制とか、そういう問題について建設省の見通しや計画はどういうふうになっておりますか。
  68. 古賀雷四郎

    ○古賀政府委員 お答えいたします。河川砂利は現在のところ全国的に見ますと二億数千万トン掘られております。ところが、御指摘のような公害が各所に発生いたしておりまして、しかも直接的には河川の護岸をこわすとか、あるいは堤防の堤脚を洗うとか、いろいろな問題が出まして、洪水時等には非常にあぶない状態になっております。さらに農業用水等につきまして減水深が非常に大きくなるとか、いろいろな方面に影響を及ぼしておるわけでございます。したがいまして、私らとしましては河川砂利をこれ以上採掘を続けていったら非常に問題があるということで、私ら河川局といたしましては、河川砂利の採取許可準則というものを設けまして、採取の位置その他につきましては、それにのっとってやる。それからなお、河川砂利の採掘を一ぺんにやめるということは全国的に非常に無理でございます。それで漸減方式を立てまして考えてまいりたいということで、おおむね四十五年を目標に漸減する方針でただいまやっております。しかしながら、河川砂利を使わないとすれば、何らか——建設業が最近のようにだんだんふえてきますと、どうしても砂利対策の必要があるわけでございまして、そのためには未利用資源の開発、たとえば河川砂利の豊富にあるところがまだ残っております。それらの開発、あるいはダムその他にたまっておる砂利の開発、それから砕石へ転換するという問題、あるいは山砂利への転換というような問題もあります。それらの問題を含めて砂利需給対策を立てておりまして、それらに基づいて施策の実施が早急に迫られておるわけでございまして、ただいまそれらの問題について鋭意検討中でございます。いずれにしても、砂利が四十五年になりますと相当量、現在のままで推移すれば不足するという状況でございまして、われわれとしましては、これらの対策は非常に真剣な問題として取り組んでおるわけでございます。御指摘の神流川の問題につきましては関東地建において四十三年度より全面採取禁止を行なうつもりでございます。
  69. 高田富之

    高田委員 そうすると四十二年までですね。
  70. 加藤万吉

    加藤(万)委員 いまの河川砂利の採取禁止のために次の問題が起きているわけですね。すなわち、河川敷の隣の農地転用による砂利採取、これは和、建設委員会でも質問いたしましたけれども、農地転用の場合には農地委員会の許可条件が必要です。ところが、丘陵のような山林の場合には許可条件が必要ないわけです。農地法の適用がないわけですから。そこで問題になりますのは、農地につながる山林と河川につながる農地と、この三つの焦点を合わせてどうするかという問題も考えていかないと、砂利採取の問題は単に河川だけの問題では実は始末がつかないわけです。すなわち、私が建設委員会質問したのは、その砂利採取のあとの穴埋めが全然できていないわけです。河川に近いわけですから水がたまって子供が死んでしまったというような事件、いま先生がおっしゃったような事件が農地に出ているわけです。農地の場合にはまだ許可条件が要りますから、先般その問題で私が質問いたしましたのは、ついに不許可条件で採掘ですから起訴されまして、送検されました。ところが、送検されたのはいいけれども、補償は全然ないわけですね。地主は砂利採取業者がやるものだと思っておったけれども、実際には、送検されて企業は倒産してしまいましたから、穴はそのまま掘りっぱなし。そしてもう一つ問題になりますのは山林、それにつながる丘陵といいますか、低い丘で、土地台帳では山林に登記されておるという。これは全然無許可なんですけれども、でもいいんだそうです。農地法の適用を受けない。そうしますと、これはもう無制限に、いま相模川の河川の両岸はやられておるわけです。そこで河川局長、建設省という立場でお聞きしたほうがいいのでしょうけれども、いまの砂利採取を禁止されるならば、同時に農地法の改正の問題、それから河川につながる丘陵ですね、低い丘、それをどうされるか、これの規制措置考えていかなくちゃいけないと思うのですが、これはどうお考えになっておりますか。
  71. 古賀雷四郎

    ○古賀政府委員 これら砂利対策の問題につきましては、各省連絡いたしまして、ただいままで対策をまとめておりまして、今後施策の上でどうやっていくかという問題、あるいは砂利採取業の適正化に関する問題をどういうぐあいにやっていくかといった問題につきまして、制度化とか、いろいろな問題をあわせて検討していかなくちゃいかぬというふうに考えております。  先ごろ相模川の周辺の農地で人身事故がございまして、建設委員会等でも御視察をいただきまして、それらの問題の対策につきましては、各省より寄り集まっていろいろやっております。全般的には、やはり砂利の採取の適正化という問題が、公害を起こさないためにも必要な要件でございまして、さらに現地におけるパトロールの実施とか、いろいろな実態的な監視もきびしくやらなければいかぬというふうに考えますので、その辺の問題も十分検討してまいりたいというふうに考えております。
  72. 加藤万吉

    加藤(万)委員 きょうは本会議で例の大型ダンプカーの規制問題が通過をいたしまして、私は建設委員会で御視察を願ったし、その後建設、厚生、それに運輸も一緒なんでしょうが、ダンプカーの規制の問題等も含めまして、各省問で協議を願うということになっておりますから、できれば、もう三カ月、四カ月たっているわけですから、この次の国会、いつ開かれるかわかりませんけれども、中間報告のようなものを、各省間の連絡あるいは法制上の不備をどうしたらいいかというような中間報告のようなものを委員会に提出していただくと、その経過なり、私どもが審議する上に非常に都合がいいと思うのですが、どうでございましょうか。
  73. 古賀雷四郎

    ○古賀政府委員 各省と連絡の上で、さようなことが中間報告ができるような状態になれば、御報告申し上げます。
  74. 加藤万吉

    加藤(万)委員 終わります。
  75. 高田富之

    高田委員 いや加藤さんのほうから御質問がありましたように、畑の部分をどんどん買い取って掘るというのが非常に多くなってきております。これも全く同じで、そこで乱掘されますと、付近の水位が下がりまして、畑やたんぼが干上がってしまうということになるわけなんで、やはり強力にこれは規制してもらう必要があると思います。いま私が指摘しております神流川の例でございますが、これもたとえばこの上里村の陳情を見ましても、陸田面積約三百町歩がこれで水がなくなってしまう危機にいま瀕している。この地方の農業の生死の重大問題だというふうに書いておるのですね。それからさらに全村が飲料水——井戸が全部かれてしまっておりまして、全村ボーリングしなければならないというような事態になった。だから、そういう経費はとても村にはないので、国なり、県なりで大がかりな上水道でもやってもらわなければ、飲料水にこと欠くという非常なせっぱ詰まったところへ追い込まれております。ですから、これは一面で砂利の規制の問題もありますが、もう事ここまできてしまいますと、さしあたり水をどうしてやるのだということを、これは厚生省のほうですが、こういう措置につきまして、やはりある程度国で助成するなり、あるいは県と連絡をとりまして何とかしてやらなければ、村ではとてもできっこないのですから、そういう大がかりな上水道の施設をしてやるようなことをいま考えないと、これはどうにもならない。民生上の重大問題になっていると思うのですが、これは何らかの方法を講じられますか。
  76. 武藤き一郎

    武藤説明員 御指摘の点につきましては、県とよく相談いたしまして、前向きの姿勢で対処したいと思います。
  77. 高田富之

    高田委員 それはひとつぜひ急いでやってください。いままでも何べんも県へは陳情に来ているのですけれども、なかなか県でもやりかねているのじゃないかと思うのです。重大な問題なので、ひとつ本省のほうで本腰を入れて相談に乗ってもらいたいと思うのです。
  78. 武藤き一郎

    武藤説明員 重ねてよく相談いたしたいと思います。
  79. 高田富之

    高田委員 それからさっきのお話の、たとえば神流川は本年度一ぱいで砂利採取な禁止するのだ、こうおっしゃいますが、ほんとうにそれがやれるのかどうか、私はちょっと疑問に思いますのは、いまの砂利の需給関係からいいまして、砂利を掘らせないといってみたところで、砂利の需要は非常にあるでしょう。そうすると、もぐっても掘らなければならぬということになるかもしれない。一つには、河川の砂利にかわるべき、いまあなたがちょっとおっしゃったような山の砕石だとか、その他いろいろな方法があるでしょうが、そういうものの準備ができているのか、いないのか。準備も何もなくて、ただやめろと言ってみたところで、私は事実問題としてやまらないのじゃないかと思って心配しているのです。需要が非常に旺盛だということ。もう一つは業者が——私は聞いて驚いたのですが、神流川のような小さな川でさえも、関係している業者の数が埼玉県側だけで二十社もあるのです。そして従業員が、これは群馬県も入っているのかと思いますが、二千六百人というのですよ。それで急に今年一ぱいでやめろということをこの春か何か言い渡されたらしいのですが、びっくりしてしまった。おととしあたり大きな施設をやれという建設省の指示でもって大きな施設にみんなかえた。みんな五、六千万円の経費をかけて施設をした。とたんにやめろと言われても、どうにもならぬというようなことなんです。ですから、やめさせるのだったらやめさせるような手を打って、業者の転換のための必要な施策を講じなければならぬでしょう。ただやめろと言われたからといって、ぱっとやめるというわけにいかぬのじゃないかと思うのです。そうでなくてもなかなか言うことを聞かない。需要は旺盛だ。そういうふうに指導されて、施設もつくって、金もかけて、まだ借りた金も返していないというときに、唐突にぽこっとやめろと言ったって、やまるとはちょっと考えられない。ですから、やめさせるには、要するに転換するなら転換するで、山の砂利を砕くのですか、そういうような方法で需要が十分まかなえる、そしてそっちへ転業させる。転業についても指導する、必要があれば助成もする。やめさせるならやめさせるで、施設を買い上げてやるとか、あるいは転換に必要な措置をとってやるとか、そういう手だてと、いまの需給関係から見て、川の砂利に代替できるものの用意とか、そういう両面の対策なしには、言っても、ただ言ってみただけのことに終わりはしないかと思うのです。いかがですか。   〔委員長退席、板川委員長代理着席〕
  80. 古賀雷四郎

    ○古賀政府委員 御指摘のとおりでございまして、実は神流川の砂利採取量を調べてみますと、三十八年がピークでございまして五十五万三千立米でございます。四十一年度は三十三万立米でございます。したがいまして、その間、たとえばほかに支障のない個所あっせんするとか、いろいろなことをやってまいっております。ただ神流川の場合には、ほかにないからといってこれをやめさせずにおくということも非常に問題がございます。飲料水が出てこないとか、農業用水が全然だめになるとか、いろいろな問題がありますので、私らは強力にやめてもらう方法でやりたい。ただ、私らといたしましてもう一つ考えておりますのは、そういう飲料水対策とかあるいは農業用水の対策としまして、神流川に床固めをつくらなければいかぬじゃないかというふうに考えております。ただいま地下水の系統を大体調べておりまして、早急に結論が出ると思いますが、どこへ床固めをつくれば地下水がうまく流れてくれるかどうか、そういうことを調査いたしております。したがいまして、現段階では床固めの位置をどこにするか調査をやっておりまして、これは来年度から実施いたしたいというふうに考えております。したがいまして、そういう段階にはまた砂利も取れるような段階になれるのではないかという気もいたしますし、その辺、十分今後検討いたしまして必要な措置を講じてまいりたいというふうに考えております。
  81. 高田富之

    高田委員 神流川の問題については、その後いろいろ県の調査もあったらしいのですが、砂利採取のためばかりではなくて、そのほか近辺の藤岡市、それから新町ですか、ああいう群馬側の大きな都市で、最近工場が非常にふえまして、工業用水のために大きな深い井戸を掘って、この数年間、その水の使用量が非常に激増している。そういうことも合わさっているのではないかというような県の意見もあるらしいのですね。原因は那辺にあるとしましても、現在すでに水では付近一帯が困ってきているというのが現実なんで、この点につきましては、先ほど来申しましたように、住民の飲料水、それから農用水を確保するための手だてを、厚生省を中心に建設省とも連絡をとりまして、早急に県のほうにも指示して立てていただきたい。このことを特に強く申し上げまして、私の質問を終わります。
  82. 板川正吾

    板川委員長代理 河上民雄君。
  83. 河上民雄

    ○河上委員 昨年問題になりました出光の姫路進出問題が最近再燃しているのでございまして、この問題について御質問いたしたいと思います。本日は、先般の出光姫路進出問題に関して本委員会において論陣を展開されました同僚の三木委員が来られておりまして、後ほど現地の詳しい事情などまぜて質問をされることになっておりますが、私はそれに先立ちまして、基本的な問題点について、二点ほどお尋ねしたいと思う次第であります。  なぜこういうことを申しますかといえば、今般成立いたしました公害対策基本法におきまして最後まで問題になりました、健全なる経済の発達と生活環境基準の調和という問題が、単に法律上の文句ではなくて、実際の問題として適用せられる最初の例となるおそれがあるからでございます。伺いますところによれば、石油審議会はこの六月三十日に、四十五年まで七十万バーレルの新設を認めるという御方針をきめたようでありますが、その計画に関する政府の態度について初めにお尋ねしたいと思います。
  84. 両角良彦

    ○両角政府委員 去る六月三十日の石油審議会におきまして、昭和四十三年度から四十五年度において設置さるべき石油の精製設備の許可ワクを七十万バーレルというふうに設定をいたしたわけでございます。
  85. 河上民雄

    ○河上委員 出光は、その新しい申請基準のワクに対しまして、今回新たに申請をしたわけでございますか。
  86. 両角良彦

    ○両角政府委員 出光興産からは、今回新たに姫路に十五万バーレル、千葉に十二万バーレルの二つの計画の申請が行なわれております。
  87. 河上民雄

    ○河上委員 前回の出光の姫路進出の際、姫路に八万バーレルの許可申請が出たように記憶するのでございますけれども、その後地元の強い反対によりまして、出光は清水に方向を変え、さらに千葉に移したように承知しておるわけでございますが、その八万バーレルの申請と、今回の新たなる合計二十七万バーレルとは全く異質のものであるというか、新しい申請であるというふうに理解してよろしゅうございますか。
  88. 両角良彦

    ○両角政府委員 前回出光は十万バーレルの申請を行ないまして、四十年八月に八万バーレルの許可を姫路の製油所として行なわれたわけでございます。しかるところ、ただいまお話のございましたような公害問題の経緯のために、その設置個所を姫路から千葉に変更をいたすということにつきまして、石油審議会の議を経まして、正式に振りかえが行なわれたわけでございます。したがいまして、今回姫路につきまして出されました申請は、全く新しい別個の申請ということでございます。   〔板川委員長代理退席、委員長着席〕
  89. 河上民雄

    ○河上委員 前回、四十年の審議会において四十万バーレルのワクが認められたわけですけれども、そのワクの中で八万バーレル出光には認められ、さらに今回二十七万バーレルを申請しておる。こういう出光の拡張計画というものが、全体の需給上そうした必要があるというふうにお考えになっておられるかどうか。
  90. 両角良彦

    ○両角政府委員 ただいまの点につきましては、出光の計画を詳細に検討の上、石油審議会の議を一経まして決定をいたしたいと考えております。
  91. 河上民雄

    ○河上委員 そういうことでございますと、少なくとも一つ明らかなことは、姫路に前に申請をしという形で姫路への再進出というものが行なわれているという考え方には通産省としては反対しておられる、こういうふうに理解してよいものだと思うのでありますけれども、その点が第一点。  それから第二点には、今回の二十七万バーレルというものの申請は、前回の四十万バーレル、そして今回の七十万バーレルという許可ワクの中で、私どもから見ますと、他の会社との関係において少しくバランスを欠いて、多いように感ずるのでありますけれども、そういうようなことを念頭に置いて今後許可をするかどうか協議せられるというふうに理解してよいものでございましょうか。
  92. 両角良彦

    ○両角政府委員 御質問の第一点につきましては、前回の姫路の申請につきまして、最初の与えられました許可がそのまま後に千葉に振りかえられたということでございますので、今回の申請は全く新しい申請として考えるわけでございます。したがいまして、姫路につきましての出光としての既得権というものは何ら存在をいたしていないというように私ども考えております。  第二点の他社との振り合いの点は、御指摘のようにきわめて重要な問題でもございますし、私どもといたしましては、去る六月三十日の石油審議会におきまして定められました特定設備の許可基準というものにのっとりまして、公正なる検討を加えた上で判断をいたしたいと考えております。
  93. 河上民雄

    ○河上委員 全体のいままでの経過を、地元民の感情といたしましては、姫路に進出する場合には、地元の繁栄というようなことを一方の旗頭にしてしきりに説得に当たった。ところが、その後考えをひるがえすと、清水に行き、千葉に行く、こういうようなことでまた姫路にやってくるということになりますと、地元の繁栄というそうしたアピール、説明というものは全く根拠のない単なる説明にしかすぎなかったということがわかるばかりでなく、はなはだかってな行動だというような印象を持っておるわけでございます。こういう企業の地方に対する進出というものは、やはり地元民の繁栄、あるいはまた平穏なる生活への希望というものと調和を持たなくちゃいけないわけでございまして、このような経過で出光の姫路進出が許可になるというようなことがありますと、地元民としてははなはだやり切れない感じになると思うのでございます。そういう点も十分考慮して御審議いただきたいと考えるものであります。単に需給上の必要ありやいなやということだけでは解決しない問題があると私は思うのでございます。そういう点について政府のお考えを承りたいと思います。
  94. 両角良彦

    ○両角政府委員 お話がございましたように、石油の設備許可にあたりましては、全国的もしくは地域的な需給の関係だけではなくて、当該地域の振興、地域開発に具体的に寄与するかどうか、また適正な立地条件を備えておるのかどうかというような点につきましても、十分な検討を加えました上で行なうべきものと考えております。特に立地条件の中では、公害問題につきましては、許可基準の中にも公害防止十分な配慮を払った計画であることを要請しておりますし、また許可を実際に行なう段階になりましても、さらに公害防止のために必要な設備その他の措置を講ずることを特に指示をいたすような手続もとっておる次第でございまして、さような見地からも、地元の繁栄もしくは地元民との融和という見地を十分に織り込んだような建設が行なわれるよう、当省としても行政指導をいたしておる次第でございます。
  95. 河上民雄

    ○河上委員 いまの問題は、また三木委員から、いままでの経過とにらみ合わせてさらに追及していただくことにしたいと思いますが、私、先般も岩国のほうへ参りまして、岩国のあの古い城下町、美しい城下町が、奥のほうはその面影を残しておりますけれども、先端のほうは軍事基地となり、また、少し離れた大竹のほうは工業地帯となりまして、その場所を通ります道路を通りますバスに乗っておりましても、鼻をつく臭気が思わず不快の念を起こさすような状態になっております。  こういうふうに、地方の風光明媚なところに、ただ産業上の立地条件というようなことから、いたずらに産業が地方に進出することにつきまして、非常に大きな疑念を持ったのであります。ことに瀬戸内海というわが国が誇るこの美しい地域を、このようにして次々と石油コンビナートその他によりまして汚染していくということは、日本国民の長い発展と幸福ということを念頭に置きます場合に、非常に考えものである。瀬戸内海をこれ以上荒らすべきでないという強い印象を持って帰ってきたわけでございます。私はそういうような意味におきまして、またここに姫路という美しい都市が、この出光の進出によって汚染せられるということを嘆き悲しむものでございます。先般も地方選挙の際に、問題になっております家島、坊勢の一帯の漁民と親しく話す機会があったのでございますけれども、こうした漁民の生活と、そして工業の進出というものとの非常にむずかしい問題を、その会話を通じて強く感じたわけでございます。そのような意味におきまして、瀬戸内海にこのようにして次々と石油基地ができていくということに関しまして、通産省並びに厚生省としてはどういう考えを持っておられるか、順次お伺いしたいと思います。
  96. 両角良彦

    ○両角政府委員 石油精製設備の現在存在しておりまする各地点、並びに今後建設されるであろうところの各地点を通じまして、また瀬戸内海その他の地域を通じまして、少なくとも石油精製工場の側から公害等を惹起することのないように十分行政上の指導を加えたいと存じております。
  97. 武藤き一郎

    武藤説明員 石油コンビナート等によります工場の進出によりまして、先生指摘のように歴史あるいは文化、また厚生省の直接所管しております国立公園といったようなものについていろいろ影響を与えることが考えられます。こういう点につきましては十分——もちろん、工場の進出によります経済の健全な発達ということも考慮する必要もございますけれども、やはり厚生省といたしましては国民の健康と生活環境を守るという立場から、この点については十分関係各省と連絡して問題がないようにいたしたいと考えております。
  98. 河上民雄

    ○河上委員 いまの通産省並びに厚生省の担当官の御回答の間には若干ニュアンスの違いがあるような気がいたしますけれども、これは非常に重大な問題でございまして、瀬戸内海の内部にまるでガン細胞が発達していくように、次々に石油コンビナートが生まれてくるということは非常に重大な問題でございます。瀬戸内海は海の便があるために、どうしても適地と見なされがちでございますけれども、これがいま言った国立公園の問題、あるいは住民の幸福あるいは平穏なる生活というものが、また伝統的な生活というものが、それで次第にくずされていくということは非常に重大な問題であろうと思うのでございます。ひとつこの問題につきましては、政府においてぜひとも抜本的な立地計画をつくっていただかない限りは、いまの大勢を押しとどめることは不可能ではないか、こういうふうに私は考えるのであります。  実は私、今般公害基本法が審議せられるにあたりまして、日本の国会におきまして、先輩の議員が公害問題につきましてどういう討論をしてきたか、そういうことを少しく振り返ってみたのでございます。御承知のとおり日本の国会において最初公害問題を取り上げたのは田中正造代議士でございます。私はいまここに木下尚江の編さんにかかりまする「田中正造の生涯」という本を持っておるのでございますけれども、田中代議士が明治二十年代を通じまして繰り返し叫んだことばは何かと申しますると、それは日本は勧業へんぱである。そのためにすべてが犠牲になっておる。そういうことを強調しておるのでございます。われわれはこうした先輩議員、ついに荒野に叫ぶ声として国会から姿を消し、気違いのように言われたこの田中正造代議士の叫びというものを、再び繰り返さないようにすることが、われわれ現在の国会議員に課せられた任務であり、また特にこの産業公害対策特別委員会に属するわれわれの任務であろうと思うのでございます。御承知のとおり渡良瀬川の農民たちの被害をまのあたりにいたしまして、彼は国会が開かれると同時にこの問題を取り上げておるのでございます。政府は回答をいたしません。そうして再三にわたる田中代議士の要求に対しまして、政府は書面で答弁書を出しておるのでございます。ところが、そこに述べられておること、その骨格は、残念ながら現在においても政府の各位から阿賀野川または水俣、そうした問題に関しまして述べられた回答とあまり違わないのであります。私はこの八十年の歴史の針がとまっておるということを非常に残念に思うのであります。明治二十四年、政府が出しました答弁書によりますと、第一は、「群馬栃木兩縣下渡良瀬川沿岸に被害あるは事実なれども被害の原因確實ならず。」、こういうことを言っております。第二に、「右被害の原因に就ては、目下各専門家の試驗調査中なり。」、第三は、「鑛業人は成し得べき豫防を實施し、獨米より粉鑛採聚器を購求して、一層鑛物の流出防止の準備をなせり。」、こういう回答をいたしておるのでございます。先般来の阿賀野川事件その他についての論争とこの答弁書との間には、何ら本質的な進歩がないということを私は残念に思うのでございます。やがてこの出光の姫路進出におきましても、同様の問題が起こらないとはだれも断言できないのであります。ひとつ勧業へんぱということばがいまもなお生きておるということのないように十分に考慮していただきたいと思うのであります。健全なる経済の発達との調和ということばが勧業へんぱの叫びの変形でないことを私は強く念願いたしまして、この問題に関しての専門家であり、また権威者であります三木喜夫代議士よりこの問題についての詳細なる御質問がございますと思いますので、私の質問はこの程度にして終わりたいと思います。
  99. 八木一男

    八木委員長 委員長より要求をいたしておきます。いま出席の各政府の担当官から内閣総理大臣並びに厚生大臣その他関係者に、いまの公害問題に対する河上民雄君の質問の趣旨を十二分に急速に伝えられるよう要望いたしておきます。
  100. 河上民雄

    ○河上委員 どうもありがとうございました。
  101. 八木一男

  102. 三木喜夫

    三木(喜)委員 河上さんから大体話していただいて、今回姫路地区に進出しようとする出光興産の問題についての政府の皆さんのお考えが大体わかりました。それから、もう時間もだいぶん迫っておりますから、私はごく簡単に問題の焦点だけお聞きしておいて、後日何か機会がございましたら詳しいことは皆さんとともに検討してみたい、こういうふうに思います。  いま河上さんも述べられましたように、石油基地をつくるということは、その地域に一つの恩恵を与えるような印象をいままで持たせてきたわけです。さらにまた、行政当局も、これを誘致することあるいは懇請するというようなことは、これも行政の責任であるかのごとく運んできたわけであります。しかし、いまはこれはだいぶん違ってまいりました。その例は姫路市の地域においてはそれがいえると思うわけであります。姫路の一地域の問題をこうして皆さんにごしんぼう願ってお聞きいただくということは、これは単なる一地域の問題でなくて、公害基本法がいま新たに国会において誕生しようとするこのときにおけるところの一つのサンプルだと私は思う。河上さんも言われましたように、単なる企業と国民の健康とのバランスを考えるという美辞麗句ではもう済まされぬときがきているのではないか、こういうふうに思うわけであります。なぜそんなことを言うかといいますと、私は全国的なケースはわかりません。あなた方は全国的なケースを押えられておるのですから、その点でお聞きしたいと思うのですが、私は一地域状況を見圧しても、一つには公害に対するところの国民の関心が非常に高まってまいりました。特に出光の問題があれだけ政治問題として白熱化してまいりますと、誘致賛成の側もちょっと待った、おれたちは大切な足元の問題を忘れておったではないか、こういうような反省が出てきましたし、それからいままで関心を持っていなかった人は、公害に対してそういうこともあったのか、知らなかった、産業を誘致することだけが地元の繁栄だとばかり思わされておった、これではいけないんだというような、こういう自覚に立ったということが一つです。もう一つは、新産都市それから工業整備特別地域、こういう政府が太鼓をたたいてやりました計画というものが軒並みにうまくいっていない。これは公害考えなかったということもあるでしょうが、やはり産業の立地計画の中でいま出ておる問題は、分散化、集中化という問題であります。集中していいというような結果は、都市政策にしてもいまあらわれていないわけなんです。そういうところから考えまして、この二点から私は石油基地の問題というものは新たなる脚光を浴びてきたと思うのです。  そこで、昨年姫路市の妻鹿地先の出光姫路製油所建設反対運動が激しく行なわれたことは皆さんもよく御存じだろうと思います。その結果、いまもお話がありましたように、出光側は千葉のほうに転進されて、われわれはやっと胸をなでおろした。ところが、このごろになってまたまた出光が同じ地区に十五万バーレルの常圧蒸溜装置並びに接触改質装置の申請を出されたということを聞いたわけであります。いまのお話ではそれは事実のようであります。したがって、私は、ただいま申し上げましたような論点に従って、昨年度の姫路地域に起こったところの反対運動をどのように認識されておるかということを、通産当局にひとつお聞きしておきたいと思うのであります。
  103. 両角良彦

    ○両角政府委員 昨年の五月、出光の姫路製油所の起工式の前後から起こりました現地の漁業組合を中心といたします公害問題を主とした反対陳情、並びにそれと意見を同じくされる地元民の方方のいろいろな御意見は、当時当省といたしましても直接に承り、また地方通産局を通じまして詳細にその情勢を承っておったわけでございまして、その後、かような地元の方々の御意向を会社側においても十分理解をされました結果、千葉への移転という計画変更をなされましてので、当省といたしましても進んでこの移転の計画を認可いたした次第でございまして、今後とも、全国の各地点におきまして石油の基地ないしは製油所というものが設置されるにあたりましては、十分地元民との了解ないしは協力というものが前提になっていくことが望ましいと考えております。
  104. 三木喜夫

    三木(喜)委員 厚生省は被害者を守る立場、通産省はいわば立地計画をどうしても立てなければなりませんから、加害者側と言うと、きょういろいろ御答弁になったことからすると言い過ぎかもしれません。しかしながら、そういう立場の違いがありますから、これはいたし方ないと思いますが、厚生省としては昨年度のこの様子をどのように把握されておりますか。
  105. 橋本道夫

    ○橋本説明員 昨年この播磨の問題につきまして非常に問題が起こったこと自体を厚生省はどう見ておるかということでございますが、あの地域を工業化するということは、自治体としても意思決定をしたことで進めておりました。しかしながら、その際におきまして、やはり公害防止という点につきましての十分な詰め、あるいは市民と十分話し合いをして理解させるということに至るまでの実力が十分備わってはいなかったし、また企業の側が、いろいろな努力に対して、それを住民相手に大丈夫だということを示すに足るだけのあの時点においての事前調査が十分行なわれていなかったという点が非常に問題ではなかったかと思います。そうして漁民の反応といいますのは、自分たちの生活が脅かされてくるということからくる、構造変革からくる問題としてああいう問題が起こっているということでございまして、単に公害だけの問題として見るべきではない、こういう考えを持っております。
  106. 三木喜夫

    三木(喜)委員 水産庁のほうもひとつお願いしたいと思います。
  107. 山中義一

    ○山中政府委員 水産庁といたしましては、昨年の姫路市の出光の石油のコンビナート建設に関しまして起こりました事態、この点につきましては現地における漁業者に対する十分なる説明あるいはその被害を防ぐためのいろいろの手段方法についての説明その他がきわめて不足のために、彼らが非常におそれ、また猛烈な反対をしたという点につきましては、あの漁業者の個々の行動をとらえればある程度行き過ぎというような点はあったかもしれませんですけれども、全般としては大いに同情すべきではないかというふうに考えております。今後どこに石油コンビナートが設置されるにいたしましても、海面のことに十分——まあ陸上のことは、これは当然一般の事業を所管される関係の方面におきましても御理解があるわけでございますけれども、海面の問題あるいは漁業の問題につきましては、ままその辺の御理解が十分でないという点があるのをおそれるわけでございます。その点を十分配慮していただいて、漁業の面における被害を最小限にとどめるように、あるいは技術的にも、できるだけないような技術を開発するという方向で実施していただきたというふうに考えております。
  108. 三木喜夫

    三木(喜)委員 水産庁の山中次長に再質問しますけれども、あなたのいまの御答弁の中で、海面の問題を考えてない、考えるべきである、こういうようにおっしゃったが、これはだれが考えるべきなんですか。
  109. 山中義一

    ○山中政府委員 事業を行なわれる主体及びその関係でございます。
  110. 三木喜夫

    三木(喜)委員 厚生省にお聞きしたいのですが厚生省はいま、事前調査をよくなしておくべきだ、そして漁民は生活を奪われるのだから、当然こういうようなことになっただろう、こういうようなお話だったと思うのです。事前調査というのは、これはだれがするのですか。
  111. 武藤き一郎

    武藤説明員 事前調査厚生省で主として大気についてやっておりますが、大体厚生省が県並びに市と合同でやっております。
  112. 三木喜夫

    三木(喜)委員 事実問題はあとで聞きますけれども、あなたの先ほどのお話の中で、事前調査が不足だったというように私は聞いたんですね。だれの事前調査が不足だったのですか。企業側か、あるいはそれを受けたところの市民か、あるいは行政当局のですか、その辺をひとつお聞かせ願いたい。
  113. 橋本道夫

    ○橋本説明員 だれの事前調査が最も不足しておったかという御質問でございまして、明らかな返答というものはむずかしゅうございますが、あの地域で工業開発をする場合の注意というのは、一応工業整備地域の基本計画のときに指示したわけでございます。それに基づいて調査の体制を、私はやはり地方公共団体がまず整えるということが基本だという考えでございまして、そういう点に基づいて兵庫県は県条例をしいておったわけでございます。また一部ばい煙規制地域の指定にもなっております。ばい煙規制法では予防のための規制といったような問題は扱われないといったようなことがございましたので、国としてもこれの事前調査をするという態勢、ちょうどタイミングが問題の起こった時点から事前調査が始まったというところで、お互いにどこだけが一番悪いのかという点をきめつけるには少し無理があるのじゃないか、こういう考えでございます。
  114. 三木喜夫

    三木(喜)委員 三つの役所の御答弁、よくわかりました。  私たちのほうのひとつ観測を申し上げたいと思うのです。出光さんが千葉に転進されました。そのことは、一つには、なるほどいまおっしゃったように公害というような実態をみな把握できなかった。設置する側としても、脱硫装置をして、今度はりっぱな企業を持ってくるという宣伝はありましたけれども、現状把握がみんなあいまいだったのです。県も市も、私はあいまいだったと思います。私たちもおぼろげだったと思いますし、それから市民においても、私はおぼろげだったと思うのです。そういう中で出光さんが千葉へお帰りになった。帰られたのはそれでいいのですが、しかしながら、これはひとつ皆さんよく聞いておいていただきたいと思うのですが、私たちどうも納得がいかぬのは、マスコミがあげて、反対運動をしたやつはけしからぬ、こういうことをやるのは兵庫県の経済力培養にも大きな障害になる、なお地元の利益を著しく阻害したものであるというきめつけを——私は出光さんがやったとは言いません。しかしながら、そういうような宣伝が非常になされた。それは雑誌にも載りました。相当あったわけであります。いわばあと足で砂をかけて姫路の地を去られたわけであります。これを見まして、いわゆる誘致側も再誘致を決意をし、議会なんかにおきましても誘致し、そして出光に再び翻意してもらうことをかなりはかられたようであります。しかし、これとてもやっぱり大きな誤謬があるわけであります。さきがたも皆さんがおっしゃったように、、市民、県民のほんとうの事前調査によるところの納得した上での誘致ではないわけです。さきがた言いましたように、企業を誘致することは地元の発展だという頭にこびりついた観念心があるがために、そういう態度になったわけでありますけれども、しかし、がんとして千葉へ行かれた。それで誘致側も激怒したわけであります。けしからぬ、失敬じゃないかというように、私は新聞を読みまして解釈したわけであります。いわばあと足で砂をかけたような帰り方をされて、それでいまどういう事情で帰ってこようとしておられるのか、何がよくなったのか、私はこれを皆さんにお聞きしたいと思う。  出光さんは、申請する以上、有形無形にあなた方とは連絡がとられておるだろうと思う。厚生省や水産庁には連絡はとられておらぬだろうと思いますけれども鉱山局長さんや立地部長さんには何かの内意は漏らされておるだろうと思うのです。私はどうしてもそれが解せぬ。なぜまたまた——言うならば舌の根がかわかぬうちに、ああ、そっちへ帰ってやろうか。おまえらの経済力を培養するためだ、地元の繁栄のためだというような考えがあるのじゃないかと思う。私たちはそういうようにこの前帰られたときには受け取っておるわけであります。一年もたたぬうちに、またぞろ帰ってこられようとする、その意図は那辺にありゃ。そこで、うがった言い方をして申しわけないですが、出光さんの責任者には私は話しました。あなた方もいわば大企業をやって、しかも世界に雄飛するところの産業をやっておられるのだ、そういう大出光さんともあろうものが、きのうのことばと今度のことばとはまるきり反対したように態度が一変するということは、いわば四十五年までの七十万バーレルの中に許可申請をとっておこうという、先取特権の考えがあるのじゃないか。あるいはまた、四十六年以降のそういうような先取特権をとっておく考えがあるのじゃないですかとまで私は言った。これは私の想像です。しかしながら、政府の皆さん方はそれをどうおとりになりますか。私たちはそういうように地元の者として把握しておるわけなんでありますが、これはひとつ鉱山局長に、無理かもしれませんけれどもお聞きしておきたいと思います。
  115. 両角良彦

    ○両角政府委員 今回の姫路に対しまする出光の申請の、ただいまお話のございましたような意味合いでの真意と申しますか、意図というものにつきましては、私どもとしましては、公的にも私的にも何ら承っておりません。ただ、現在まで、姫路の建設計画、千葉の増設計画というものを、いわば技術的、計数的に受理をいたしておる次第でございまして、ただいま御指摘のような点を含めましての今回の出光申請が、設備許可の対象となるべきかいなかという点につきましては、石油審議会にはかりまして十分公正な検討を加えた上で決定をいたしたいという方針でおります。
  116. 三木喜夫

    三木(喜)委員 その程度のお答えでもうけっこうです。  ちょっとむずかしい問題ですし、またお聞きになっておっても言えない問題だと思いますから。そこで、ちょっと方向を変えまして鉱山局長にお聞きしたいのですが、ごく最近、石油のいわゆる製油増設計画を許可になったのは三社あることは聞いておるわけなんですが、それはどういう会社とどういう会社であるか。そうして、どれだけの一日の製油能力を持った会社であるか。急にお聞きして申しわけないのですが、わかっておりましたら知らしていただきたいと思います。
  117. 両角良彦

    ○両角政府委員 前回昭和四十年度におきまして許可をいたしましたのは、富士石油七万バーレル、西部石油五万バーレル、日網石油三万バーレル、出光八万バーレル、東亜石油五万バーレル、以上でございます。
  118. 三木喜夫

    三木(喜)委員 これは大体みな同じ時期ですか。
  119. 両角良彦

    ○両角政府委員 昭和四十年度の許可は、ただいま申し上げたものは全部同一時期でございます。  なお、そのほか極東石油六万、関西石油六万を追加いたします。
  120. 三木喜夫

    三木(喜)委員 今回の増設申請は何バーレルで何社ありますか。
  121. 両角良彦

    ○両角政府委員 ただいま申請受け付け中でございまして、七月十八日現在の申請では、十八社から百六十四万バーレルの申請が提出済みでございます。今後なお二、三十万バーレルの追加が予想されております。
  122. 三木喜夫

    三木(喜)委員 どのような手順を経てこれを許可されるおつもりですか。
  123. 両角良彦

    ○両角政府委員 八月早々に開かれまする石油審議会におきまして、去る六月三十日に決定を見ました石油許可基準に即しましての各案件につきましての審議を経まして、その答申に基づきまして通商産業大臣が許可を与えるということになろうかと思います。
  124. 三木喜夫

    三木(喜)委員 石油審議会というのは公開のものですか、あるいは非公開のものですか。また、この石油審議会に対して市民の気持ちとして意見具申をし陳情することは可能なんですか。ひとつお伺いしておきます。
  125. 両角良彦

    ○両角政府委員 石油審議会の審議は非公開でございます。しかしながら、諸般の御要望、御意見等は委員各自ないしは委員会として承る方式はあろうかと存じます。
  126. 三木喜夫

    三木(喜)委員 わかりました。  前回姫路地区のいわゆる出光興産姫路製油所を通産省は許可しておられるわけですが、県はこれに対してさきがた申しましたように経済力培養という立場をとり、市は地元の利益という立場をとったわけであります。しかし、こういう石油基地をつくるのには、単なる基地だけをつくってはいけないわけでありまして、背後に道路計画、それから都市計画、さらにまたグリーンベルトをつくる等公害に対する対策もいよいよもって私は大事だと思うのです。そういたしますと、前回これを許可された通産省といたしましては、それらの計画は十分であったとお考えになって許可をお与えになったのかどうか、その背後計画というものをどういうように検討されておるかということをここでひとつお聞きしておきたいと思います。
  127. 両角良彦

    ○両角政府委員 姫路製油所の道路、港湾等の関連計画につきましては、県、市が三十九年から建設をいたしておりまするいわゆる臨港道路が四十一年に完了ということになっております。また、港湾につきましても、防波堤の建設が東西両防波堤を通じましてすでに九割方完了をいたしておると承知いたしております。また、必要な航路のしゅんせつも、三十七年度におきまして水深十二メートルまで完了したということでございます。かような諸般の条件を検討いたしました結果、許可を与える際の考慮を加えた次第でございます。
  128. 三木喜夫

    三木(喜)委員 その許可を与えるときの現地調査のほうはどういうぐあいにやられましたか。
  129. 両角良彦

    ○両角政府委員 特定石油精製設備の許可にあたりましては、現地調査は、審議会も当省も原則としてはいたしておりません。
  130. 三木喜夫

    三木(喜)委員 私はそこにやはり盲点があるのじゃないかと思うのです。これはよくお考えいただきたいと思います。私は現状を申し上げます。建設途上も私は見ていただきたいと思います。というのは、さきがたもお話がありましたように、そこまで砂利を運ぶ、あるいはセメントを運ぶ、こういう建設計画をやるのには、それに至るところの南北の道路が必要なのであります。東西の道路の遠いところの、いかほど五十メートル道路の広いものをつくる計画、があっても、現在それができていなければ建設計画には非常にそごを来たすわけなのであります。そうして地元の住民は、それによって石油公害を受ける以前の公害を非常に受けるわけなのです。いわゆる道路のふくそうによるところの公害あるいはタンクローリー車が通るところの危険、こういうものを受けておるわけでありまして、地元の人々にとりまして、私が見た範囲内ではそういうような状況で、交通上怨嗟の的になっておるわけなのです。こんな狭い道をミキサー車やタンクローリー車が通ってくれて、一体縦の道、南北の道はどれだけつけてくれるのだ、そういうような声さえあるわけなのでありまして、私は、石油の基地をつくるのだから、そういう背後計画があるのだからこれを許すというような態度だけでは許されないものがこれからあるのではないかと思うので、そういう現状もひとつ踏まえていただきたいと思うわけです。  そこで私は結論に移りたいと思います。  私は、企業側の方々にも、あるいは地元の人々にも、さらに行政当局、市、県に対しましても三つの原則を申し上げております。その一つは、公害に対するところの現状認識把握ができておるかどうかということを申し上げておるわけです。これは残念ながら把握はできておりません。これは詳しいデータを申し上げるいとまはありませんから、端的に申し上げたいと思うのです。  第二は、これに対しまして、地元あるいは兵庫県がどのような公害対策をやり、あるいはパトロール車、マイクロバスを走らして、実際に公害の現状を把握するところの努力をしておるかどうかということ、公害対策行政当局がどういう責任を果たしておるか、これが第二点だと思います。  第三点は、これを踏まえまして、さきがた私が申し上げましたように、やはり都市計画をやっていかなければならない。それから、公害が一ところに集中するところ、あるいは逆転層ができるところ、あるいはその公害物質が競合する場所、あるいは環境基準というものを十分に踏まえた上で集中するところの民家に対しましては立ちのきをさせて、どこかに移転計画を持つとかいうことをやるべきだと思うのです。私は、やはり公害に対するところの、誘致賛成側も反対側も行政当局もあるいは企業側も一致してやるべきことじゃないかと思うのです。  現状把握、そうして公害対策施設、その上に都市計画、この三つを踏まえずしてやることは非常に危険だと思うのですが、姫路地区にこれが完全にできておるとは私は思わぬわけです。それにまたまたのしかかるようにして、いま許可を申請されるということには非常に疑問を持っております。通産当局におかれては、私の申しました三原則についてどういうふうに思われますか。
  131. 両角良彦

    ○両角政府委員 石油の設備許可にあたりましては、従来とも公害防止上十分な配慮を払うこと、また、具体的な必要な措置を講ずることを、そのつど許可にあたりまして、あるいは許可後の工事の施行にあたりまして指示を与えてきておる次第でございます。今後とも、ただいま御指摘のような三つの項目をも含めまして、当省といたしましても、石油精製業によりますところの公害を起こさないよう十分な留意を払ってまいりたいと考えております。
  132. 三木喜夫

    三木(喜)委員 去年の五十一国会の六月九日、産業公害対策特別委員会議事録の十八号によりまして、私は、去年は一体どんな論議がなされたかと思って検討してみました。そういたしますと、当時舘林さんは厚生省の環境衛生局長をしておられた。それから中川さんが企業局次長をしておられて、御答弁になっておるわけであります。その中では、こういうことをおっしゃっております。端的に申しまして、さきがた言われましたように事前調査をやって、そうして工場配置にはっきりした図がかけます。こういうことをおっしゃっておるわけです。それから私が、いままでの工業地帯計画というものは、あまりにも紙の上にかいた平面的工業地帯計画であると言いましたら、そのとおりであります。今回から事前に調査をして、そうしてしっかりした図をかきます。こういうぐあいにおっしゃっているわけです。どこにどういうぐあいにあるべきか。ここの特別委員会ですからよく論議されただろうと思いますけれども、あるいは天候により、風向きにより、逆転層があるようなとき、こういうときの調査というものは少なくとも一年はかかると私は思います。あとで厚生省は姫路地区において一週間、通産省は二十一日間、公害調査をやっておられる。そのことについてお聞きしたいと思うのですが、二十一日では、風が全部かりに北から南へ吹いておったとして、いろいろな機器、設備、測定器を北に備えつけておったとすれば、全部零です。こういう極端なこともないでしょうけれども、そこで一年間、気候の状況と風向きの状況とをあわせて調査するのが普通なんですが、それをやりますということを中川さんは言っておられる。この一年間どういうぐあいにしてくださったのですか。たまた責任者がかわられます。また同じことを私たちは聞かなければならぬということでは困ったことだと私は思うのです。  それから舘林さんはこう言っておられます。「従来から特別工業都市のようなところの通産、厚生両省の共同調査におきましては、まず現状がどのようなものであるか、それに新たに産業が具体的にどのようなものがどのような規模で加わった場合、大気の状況なり何なりがどう変化するかということを十分事前に調査いたしまして、その上で、これであれば公害上さして支障がないという見定めをつけて具体的に計画を進める、かような基本方針をとっておるわけでございます。」私は、その言たるや非常にいいと思うのです。しかし、これは実行が伴わなければ何にもならぬと思うわけでありまして、その点はもう皆さん方に一つ一つお聞きいたしませんけれども、いろいろそういうようなことを言っておられる。私が、将来移転しなければならぬと言ったら、移転は大事業だから、事業を興してみてからこれはとてもできません。したがって、ころばぬ先のつえとしてやるべきでありますということを、この前も同じようにおっしゃっておられるわけです。  そこで具体的な問題といたしまして、先般厚生省は、六日間だったと思いますが、播磨地区の事前調査をやっていただいておるようでありまして、「播磨地区事前調査実施要領、昭和四十一年七月、厚生省・兵庫県・姫路市」として資料を出しております。それは、まず気象観測、大気調査、主要ばい煙発生施設の燃料消費量調査などを調査項目としておりまして、観測方法としましては、気象観測地点を設ける、大気調査地点を設ける、ミゼットインピンジャーによる試料捕集地点を設ける、浮遊粉じん測定地点を設ける等、厚生省のやり方としてはかなり至れり尽くせりのやり方をしておられるように思う。しかし、昨年の十二月、私は厚生省へはよう行かなかったのですが、通産省へ行きまして、通産省は二十一日もやられたのだから、その結果がもう出ているのじゃないですか、その結果に合わせて今後の播磨、姫路付近の工業立地計画をやるべきじゃないかということで、お聞きしに参りました。しかしながら、不幸にして見せていただけなかった。しかし、どこかに発表なさったのだろう思っているのですが、その調査結果はどのように処理しておられるか、ひとつお聞きしたい。
  133. 馬場一也

    ○馬場説明員 お答え申し上げます。  播磨地区におきまする大気関係の事前調査関係は、先生指摘のように昨年度実施いたしております。現地で、いわゆるエアトレーサーをまきまして、現地の状況に即した調査をいたしました。その後、これは主として風洞を使うわけでありますが、風洞試験というのをやりました。この地区で具体的に対象にいたしました工場は、現在はまだございませんけれども、出光が将来そこに立地をいたしました場合に、どの程度の影響をもたらすか、それから同時に、この地区には関西電力の火力発電所がございます。この二つの大きな工場、片一方はすでにございますし、片一方はこれから立地をするかもしれませんが、かりに二つが立地をいたしました場合にどういう状況になるかというのを現地調査並びに風洞試験というものをかみ合わせまして、この地区にその二つの工場がもたらす影響というものを調査いたしました。その結果、非常に公害が起これば、それぞれの工場が持っておりますいわゆる工場の建設計画に対しまして適当な行政指導をする、こういうたてまえでございます。現地調査は昨年度終わりまして、現在第一次の風洞試験が終わりまして、さらに第二次の風洞試験というのをこれからやるところでございます。その結果、今年中には最終の調査結果がまとまる、かように存じます。その結果に基づきまして、もし出光がそこに立地をいたしました場合に、工場が現在持っておる建設計画のとおりで何ら支障がないのか、あるいはそれを一部変更すべき必要があるのかどうかということがわかるはずでございますから、その結果、もし工場計画を改定をする、そして防止施設についてどこをどう直すという必要がございましたならば、そのように指導する、こういうぐあいに考えております。
  134. 武藤き一郎

    武藤説明員 先生指摘のように、昭和四十一年の七月から一週間、厚生省はやったわけでございますが、このデータの結果につきましては、現在大体まとまっておりまして、近く発表できることと思います。
  135. 三木喜夫

    三木(喜)委員 厚生省のほう、まとまっておりましたらそのデータ、ひとついただけませんか。私は公害対策特別委員会の、きょう出てきました一人として、それをひとつお願いしたいと思う。よろしゅうございますか。
  136. 橋本道夫

    ○橋本説明員 私どものデータはまとまっておりまして、現在県のほうの対策と結びつけて発表しようということでいろいろ作業しております。近くそれが全部出ましたならば、私ども調査データはすべて公開にしておりますから、資料として差し上げます。
  137. 三木喜夫

    三木(喜)委員 課長さん、対策はとってください。しかしながら、そのデータというものは対策とあまり関係ないのですから、どこを直そうかということなら対策関係があるかもしれませんけれども、出たデータというのはれっきとして動かすことができないものですから、これはひとついただきたいと思うのですがね。これは出せませんか。
  138. 橋本道夫

    ○橋本説明員 先ほど申し上げましたように、現在の汚染の状態と、それを本質的に改善する必要がある場所があれば、その方式は、われわれから見ればどういうところかということをやりまして、そのような資料は通産省にも全部お渡しします。建設省にもお渡しします。そういうことで、単に汚染のデータだけを出していくということよりも、建設的にいろんな問題とからみ合わせながら出していくということをやっておりますので、そのとき汚染のデータには全然手を触れません。ですから資料としては、汚染の現状の資料は近いうちに差し上げられるというように思っております。
  139. 三木喜夫

    三木(喜)委員 委員長、これは私は重要な資料だと思うのです。どういうぐあいに対策を立ててやっていくかということ、それは行政のほうの配慮でありまして、データというものがちゃんとできておるなら、それは純粋にそのままでいただきたいと思うのです。委員長においてひとつお取り計らいをお願いしたいと思うのです。いろいろ立場があってむずかしい点もあろうと思います。先走って出してしまうと、あとでまた責任問題や何かになって非常に警戒されておるようでありますが、私も建設的に検討してみたいと思います。
  140. 八木一男

    八木委員長 三木君の御要請については、委員長が責任を持って善処いたしたいと思います。
  141. 三木喜夫

    三木(喜)委員 通産省のほうとしましても、いまお話を聞きますと、大体できておるようですね。そして第二回の風洞実験をやられるようなぐあいでありますが、ただ、私はもう一ぺんここで時間をおかしいただくならば、前の沼津においての風洞実験は大きく誤っておった。黒川調査団ではありませんけれども、沼津における調査団がやられたのは、非常にひずみがあって、間違いが多かったということを、風洞実験のおかすところの誤りというものを私は皆さんにひとつ聞いておきたいのですが、きょうはその時間がありませんから、これは十分警戒して、幾らかに縮小したから風も何ぼの力に縮小したらいい、こういうものではございません、事実は。この点はもう沼津の資料をひとつ御検討いただいて、そういうあやまちを再びおかして、そしてこれが正しい風洞実験によるところのデータでございますという出し方には私は賛成しませんから、この点はよく御研究——私はしろうとですが、お抜かりはないだろうと思いますけれども、ひとつ御配慮をわずらわしたいと思うのです。河上さんがさきがたおっしゃいました。これは私は非常に貴重な御検討だったと思っておるわけですが、とにかく行政の責任は、要するにただいま調査中でございます。あるいは検討中でございます。実験中でございます、こういうことで時間をずらされる。そして正しいところのデータが、あちらでもこちらでも考えられるというようなあいまいなことでは、とても公害対策には今後取り組んでいかれないと思いますので、河上さんの言われたことは、私は非常に重要な示唆を含んでいると思うのです。  そこで皆さんごらんになっただろうと思いますが、朝日新聞のきのうの夕刊ですけれども、「公害測定資料の公表を」ということで、都立大学教授の半谷高久さんの論説が載っております。これは要約するとこういうことです。私たちはいままで公害審議会の委員のようなかっこう、政府の側に立って、行政の側に立って公害をいままで調査したことがある。そしてその調査した結果を非常に曲げて、あるいは発表しなくて、ごまかして、そして市民、県民に迷惑をかけたことを私はつくづくいま思っておる。こう書いております。これをひとつ見てください。弔うごらんになっておるだろうと思いますけれども、そこでおそるべきは、警戒すべきは、この測定資料というものを秘密にすることである。これでは前向きには取り組めません。だから今後は公害測定資料というものは率直に出してもらわなければならない。そういうことを言っておられる。それは一つには、公害というものが非常にけわしい究明の道であるということ、さらに正確なデータをみんなが隠し合う、あるいはそれを歪曲し合うということでは、説得力を欠く結論しか出ない、こういうことを言っておられるわけです。いま皆さんのお話を聞いておりましても、そういう気持ちは全然ないだろうと思いますけれども、しかしながら、この官僚機構の中で、責任問題というようなことがある懸念の中では、いま私が聞いておりましても、非常に心配するような御答弁をいただいたわけであります。そういう気持ちは毛頭ないだろうと思いますけれども、私はそういう心配を持ちますので、できれば率直に出していただきたいと思うのです。前に舘林環境衛生局長、さらに中川企業局次長さんが、現状の把握をしっかりして、その上でしっかりした絵をかきますとおっしゃっておるが、その絵をかいてもらって、その上で出光問題を検討するのが至当ではないかと私は思うのです。それは通産省はいつできるのです。許可は八月に基準によってお与えになるでしょう。そういう絵はいつかけるのですか。それが食い違ったままで片一方はもう許可してしまった。許可を受けるためには政治的な圧力がかかりますよね。そんなものには動かされることはないだろうと思いますけれども、ずいぶんと圧力がかかりますよ。その中で正確なデータで、これはいけないという根拠をはっきりしていただかなければならぬと思うのでお願いしたいと思います。いつそれができるわけなんですか。見通しをひとつ聞かしていただきたい。
  142. 馬場一也

    ○馬場説明員 先ほど来申し上げましたように、姫路地区における事前調査調査結果というのは、ことしじゅうに、一応各種の試験あるいは研究調査等を織り込みまして、こういうふうに工場を配置すべきであるという結果がまとまると思います。石油審議会のほうで、その出光の申請がどう取り扱われるかというのは別の問題でございますけれども、かりに出光が申請どおり許可になっといたしましても、工場の建設というのに着手いたしますのは、おそらくすぐあくる日からやるわけでもないと思います。出光がそこにかりに許可をいたされました場合に、どういうぐあいに工場をつくっていくか、あるいはどういうぐあいに公害防止施設を配置していくかということにつきまして、かりに石油審議会で八月に出光が許可になりました場合にでも、十分ことしじゅうに、その調査結果を待ちまして出光の建設計画に対しまして指導する、そのとおりにしてもらうということにつきましては、十分時間的には余裕がある。私はこのように思っております。
  143. 三木喜夫

    三木(喜)委員 建設がなされるとした場合でしよう。
  144. 馬場一也

    ○馬場説明員 さようでございます。
  145. 三木喜夫

    三木(喜)委員 どうもおそくまでおつきあいいただきましてありがとうございました。私、疑問点はまだありますけれども、これはまた別の機会にやらしていただきたいと思います。  委員長、特別の御配慮をいただきまして、皆さんもごしんぼうしていただきましたことを、私、心より感謝いたしまして、質問を終わらしていただきたいと思います。ありがとうございました。
  146. 八木一男

    八木委員長 政府委員の各位に申し上げます。三木君の本日の質問についての重要事項について、関係各閣僚に十分に、急速に伝えるように要請をいたしておきますし、また、三木君の要求されました資料について、急速に提出されるように要求をいたしておきます。  本日はこれにて散会いたします。    午後六時三十三分散会