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1967-05-24 第55回国会 衆議院 産業公害対策特別委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年五月二十四日(水曜日)    午後一時三十一分開議  出席委員    委員長 八木 一男君    理事 天野 公義君 理事 奧野 誠亮君    理事 小山 省二君 理事 和爾俊二郎君    理事 島本 虎三君 理事 折小野良一君       塩川正十郎君    砂田 重民君       田村 良平君    葉梨 信行君       橋本龍太郎君    三原 朝雄君       加藤 万吉君    河上 民雄君       工藤 良平君    中井徳次郎君       中谷 鉄也君    吉田 之久君       岡本 富夫君  出席国務大臣         厚 生 大 臣 坊  秀男君         運 輸 大 臣 大橋 武夫君  出席政府委員         外務政務次官  田中 榮一君         水産庁次長   山中 義一君         通商産業政務次         官       宇野 宗佑君  委員外出席者         外務省条約局国         際協定課長   村上  謙君         厚生省環境衛生         局公害課長   橋本 道夫君         運輸大臣官房審         議官      鈴木 珊吉君         海上保安庁警備         救難監     猪口 猛夫君     ————————————— 五月二十四日  委員工藤良平辞任につき、その補欠として中  谷鉄也君が議長指名委員に選任された。 同日  委員中谷鉄也辞任につき、その補欠として工  藤良平君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  船舶の油による海水汚濁防止に関する法律  案(内閣提出第六〇号)  産業公害対策に関する件(産業公害対策基本  施策)      ————◇—————
  2. 八木一男

    八木委員長 これより会議を開きます。  船舶の油による海水汚濁防止に関する法律案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、これを許します。河上民雄君。
  3. 河上民雄

    河上委員 このたび提出されております船舶の油による海水汚濁防止に関する法律案につきまして、少しく広範な諸点にわたりまして御質問をいたしたいと思うものであります。  本法は、このたびの国会批准せられます国際条約国内関連法として提出されておるわけでございますが、まず初めに、この国際条約につきまして二、三お尋ねしたいと思います。  この国際条約は何年に成立したか、そのことをまずお尋ねしたいと思います。
  4. 田中榮一

    田中(榮)政府委員 お答えいたします。  この海水汚濁防止のための国際条約につきましては、一九五四年に一応成立いたしました。それから、さらに一九六二年に、いろいろその後改正すべき点がございましたので、この条約の一部に改正を加えておるわけでございます。
  5. 河上民雄

    河上委員 ただいまお伺いいたしますると、この国際条約が成立いたしましたのが一九五四年でございますが、ことしは一九六七年でございますので、このように十三年間も批准がおくれた理由についてお伺いしたいと思うのでございます。
  6. 田中榮一

    田中(榮)政府委員 詳しいことはまた外務省の係官から御答弁申し上げてもいいと存じまするが、実は本条約参加批准につきまして、早くからこれは参加し、これを批准すべきが当然でありまするが、これに参加批准いたすにつきましては、やはり国内法をつくり、そしてまた、この条約に適合するような施設と申しますか、いろいろな港湾における施設を今後つくっていかねばならぬ。こういうような状態でございまするので、そこで一応、昨年の秋でございましたか、臨時国会の席上におきましてもお答え申し上げておきましたのですが、いずれ通常国会におきまして、本件条約参加いたしまして、条約上の義務を実施するに必要なる施設をつくるだけの予算、あるいは必要なる法律、そういうものを提案いたす予定でありますので、その際に並行してこの条約批准をいたしたいと考えております。こういうように実はお答え申し上げておったのでございますが、今国会におきまして予算関係法律案が提出されましたので、この条約批准をお願いする、こういうことになったのであります。
  7. 河上民雄

    河上委員 ただいま国内関連法整備との関係からおくれたというようなお話でございますけれども、先日行なわれました法律案提案理由説明によりますると、すでに三十一カ国が受諾しているというようなことでございまして、あるいはまた、こうやっておりますうちにもほかの国が加わっているかもしれませんが、一体わが国のように、海運国として世界的にも非常に名の通っている国であり、かつ、過去十年間、つまり昭和三十年代に非常な勢いで重油の消費量が伸びてきたわが国として、このような船舶の油による海水汚濁防止国際条約を十三年間もほうっておいたということは、ちょっと弁解の余地がないのではないか、こういうように思うのでございますが、政府の御見解を承りたいと思います。
  8. 大橋武夫

    大橋国務大臣 国内体制整備がおくれておりましたために、条約成立後十三年間もこの重要な国際条約批准がおくれたということは、まことに遺憾に存ずる次第でございまするが、御承知のとおり、戦争で荒廃いたしました日本の復興ということのために、あれこれと政府といたしましても先立ってやらなければならない数々の施策が相次いでおりましたために、今日まで延引いたした次第でございますが、今日となりますると、国内における油の使用量も非常に増大をいたし、海岸における海水の汚染ということももはや一刻も猶予のならぬ状態に相なりましたので、おくればせではございまするが、今年度予算におきまして必要な措置をとることとし、これに対する政府補助金の計上もいたし、国内体制もこれで整備できる、こういう確信に至りましたので、このたび批准をお願いしている次第でございます。
  9. 河上民雄

    河上委員 私どもは、今回国際条約批准の運びとなり、また、国内関連法としていま審議しております法律案が出ましたことも当然としているわけでございますけれども、しかし、十三年間の怠慢ということは非常に解しがたいことでございまして、伝え聞くところによりますと、政府部内の意見の調整がつかなかったということが、真のおくれた原因であるというふうにいわれておるのでございます。念のためでございますが、大体三十番前後の調印国の名前を参考までに伺っておきたいと思うのであります。
  10. 村上謙

    村上説明員 お答えいたします。  おもな国をあげますと——全部お読みいたしましょうか。
  11. 河上民雄

    河上委員 おくれた国でけっこうです。
  12. 村上謙

    村上説明員 おくれた国から順々に申しますと、受諾の日を境にいたしまして、ベネズエラ、アメリカ、イギリス、アラブ連合、スイス、スウェーデン、スペイン、ポーランド、フィリピン、パナマ、これらの国が一九六三年以降の受諾国でございます。
  13. 河上民雄

    河上委員 今回この法律が、また条約が通ることによりまして、いろいろの規制が加えられるわけでございますけれども、今日までそうした規制が存在しなかったわけでございます。そこでちょっとお伺いしますけれども、これまでわが国の船は外国へ渡航する場合、外国海域におきましてこの条約を無視していたのかどうか。また外国船日本海域に来た場合、この条約を無視していたのかどうか、その点をお伺いしたいと思います。
  14. 大橋武夫

    大橋国務大臣 廃油を海上に投棄いたしますることは、ひいては海岸にいろいろな迷惑を及ぼす事柄でございますから、従来とても、わが国船舶はもとより外国船におきましても、どこの海域においても、海岸に接近したところを通る場合には、おのずから自粛をいたしておったことは事実でございますが、何ぶんにも現在のところ法律規制というものがないわけでございますので、時として、やむを得ず条約に違反するような行為が事実上行なわれておったことは否定できません。
  15. 河上民雄

    河上委員 ただいまのお話でございますと、間々そういうことが守られてない。ただ、その守られてない場合に、わが国としては、もちろん抗議することも取り締まることもできなかったわけでございましょうか。
  16. 大橋武夫

    大橋国務大臣 従来のわが国の法制、すなわち現行法でございますが、これは港則法によりまして、港内並びに港域外一万メートルの範囲内の水面におきまする有害物の投棄を禁止しておるにとどまっておったわけでございまして、これらの処理につきましては、国内法に基づいて手続がとれたのでございます。その他の一般海域は野放しの状況でございましたので、実際上抗議をするというようなこともいたさなかったような状況でございます。
  17. 河上民雄

    河上委員 それでは、今後この法案が成立し、条約批准いたしますると、そういうことができるというふうに考えてよろしいと思うのですが、先ほど田中政府委員のほうからお話がございました一九六二年の改正法というのは、すでに効力を発しておるのかどうかということを一つ。それからまた、その法案内容、すなわち改正点がどういう点であるのか、また、われわれがいま審議しておりますこの法律案は、そうした改正点をあらかじめ内容に盛っておるのかどうか、こういう三点についてちょっとお伺いしたい。
  18. 田中榮一

    田中(榮)政府委員 御質問の第一点の、ただいま提案いたしておりまする条約案内容には一九六二年に改正になりました諸事項が含まれております。それから、現に批准をされました諸国におきましては有効にこれが適用されておるわけでございます。それから、どの部分が一九六二年の改正条項であるかということにつきましては、別の説明員からお答えいたしたいと思います。
  19. 村上謙

    村上説明員 お答え申し上げます。  改正点を大約しますと、三点ございまして、第一点は、従来の条約によりますと、総トン数五百トン以上の船舶適用されていましたが、改正条約によりますと、タンカーにつきましては総トン百五十トン以上、タンカー以外のその他の船舶につきましては総トン数五百トン以上のものに適用されるというように、適用船舶が変えられました。  第二点には、廃油受け入れ施設でございますが、従来の条約によりますると、廃油受け入れ施設は、主要港におけるタンカー以外の船舶のための施設のみに限られておりましたけれども、この改正に盛り込まれました条約によりますと、タンカーのための受け入れ施設及び船舶修理港における受け入れ施設というふうに変えられました。  それから改正案の第三点は、従来なかったのが今回入りました条文でございますが、船舶のうち総トン数二万トン以上の船舶についてはいかなる場所でも油を排出してはならないという、こういうことが新たに入りました。
  20. 河上民雄

    河上委員 そこで、今回の法案内容の焦点というものがいまの改正点の中にうかがわれるように思うのでございますが、この法案それ自体につきまして二、三技術的な点でよくわからないことがございますので、伺っておきたいと思います。  その第一は、わが国沿岸から五十海里という線を設けてございますけれども、この五十海里という線を設けた趣旨。  それから第二には、五十海里といった場合に、瀬戸内海のような場合、両方から五十海里といいますと、おそらくほとんど禁止区域になるのじゃないかと思うのでございますが、そういう点を確かめておきたいと思います。  それから第三には、いま申されましたタンカー百五十トン、一般船五百トンというこの規制対象をつくったその基準の根拠でございますが、しろうと目に見まして、もう少しきびしくしてもいいのじゃないか。ことに十三年間放置してございましたわが国海域は相当荒れておるわけでございまして、こういう個々の船を規制するだけではなかなか追っつかないというような面もあるのじゃないか、こういうふうに思いますのですが、こういうことが政府部内で論議されたことがないのかどうか、こういうことをちょっとお伺いしたいと思います。
  21. 鈴木珊吉

    鈴木説明員 ただいまの御質問に対しましてお答え申し上げます。  最初に、沿岸から五十海里ということでございますけれども、これは条約では五十海里またはそれ以上のこともあり得るわけでございます。一応法律では原則として五十海里、場合によりましてはこれも拡大し得るというふうな規定を置いておるのでございまして、これにつきましては、まあ精密な調査の結果はございませんけれども、現状は大体五十海里ぐらいのところで一応押えておけば、そう沿岸に油が行くことはないんじゃないかということで、一応条約の線ということで規定したわけでございます。  それから瀬戸内海のことでございますけれども、これは全域がこれに入ります。  それからトン数の制限のことでございますけれども、これは条約どおりに、タンカーにつきましては百五十トン以上、それ以外のものにつきましては五百トン以上ということにして、条約どおりいっております。これにつきましては、大体この程度の線で押えておけば、日本の船の場合につきましても、出します油性の汚水とかあるいは油そのものというものにつきましては、大体八割ないし九割押えられるというふうに考えております。さらにそれ以下の小さい船につきましては、先ほど大臣も申しましたように港則法というものがございまして、港域内並びに港域の境界から一万メートル以内の海域におきましては港則法によりまして罰則の規定がございまして、みだりに捨ててはならないという規定がございます。その両面からいけば大部分押えられるのじゃないかというふうに予想しております。
  22. 河上民雄

    河上委員 巷間伝えられるところでは、もっと、タンカー二十トンぐらいまで、あるいは一般船百トンぐらいまで押えたらどうかという意見があったように聞いておるのでございますが、そういうことは、結局この案では表に出てこなかったのでありますが、何か条約国内法との関係という問題があるのか、あるいはもっと技術問題がそこに介在しておるのか、ちょっとその点をお答えください。
  23. 鈴木珊吉

    鈴木説明員 ただいまの点でございますけれども、まあ線は条約どおりでございますけれども、実際といたしまして、先ほど申しましたようなぐあいで、大体八割ないし九割押えられる。なお、小さい船につきましては、いまの港則法がございますので、大部分目的を達せられるのではないかというふうに考えた次第でございまして、特に条約上の技術問題というわけではございません。
  24. 河上民雄

    河上委員 何か、一般船百トンまでやるということはきびし過ぎるという、そういうような意見があったのでございましょうか。その点をちょっと伺いたい。
  25. 鈴木珊吉

    鈴木説明員 そういう声もあったと思いますけれども、一般船ビルジでございますので、ほとんどごく少量しか出ませんので、そんなに害はないのじゃないか。タンカー二十トンのものにつきましては、大体小さい船でございますから平水区域をオーバーしていないのが多うございますので、そういう船はいわゆる港則法によって規制できるのではないかということでございます。
  26. 河上民雄

    河上委員 今度の法律によりまして、いまのような規制のほかに、港湾に水と油を分ける分離装置をつけなくてはならないというようなことが港湾管理者義務づけられる。また、各船舶については油が漏れるのを防ぐ施設をしなければならない。こういうようなことが義務づけられておるわけでございますけれども、そのための予算措置、またその義務というものはどういう程度のものか。それからまた、一部に聞くところによりますと、船舶の場合、大型船の場合はその施設がつけられるけれども、小型船の場合、スペースの点で多少難点があるというようなことを聞いておるのでございます。そういう点につきまして伺いたいことが第一点でございます。  それからまた、各港湾施設をするということになっておりますが、前国会においては大体十港ぐらい政府では考えておるというようなお話があったのでございますが、具体的に、実際にどの港に施設するという御計画か、そういうことについて承っておきたいと思います。
  27. 鈴木珊吉

    鈴木説明員 施設でございますけれども、小型船につきましては、大型船と違いまして、たとえばバラストを入れるようなスペースがないものでございますから、その点違います。しかし、油水分離器のようなものとか、あるいはビルジが出ないようなためとか、そういうものはつくれるわけでございます。したがいまして、両方区別して考えなければいかぬと思います。そこで大型船につきましては、大体外航タンカーが主になりますけれども、要するに日本で油を揚げまして修理するというときに洗いますので、えらいよごれた水が出る、これには相当大きな受け入れ施設が要る。それから小型船につきましては、相当大きな施設は要らないのでありまして、主として港湾管理者港湾の中をきれいにするという意味施設をつくっていくわけでございます。それで港湾管理者に対しまして、大体建設費半額国庫で補助するというふうに法律規定しております。  それから民間でやります場合には、たとえば大型タンカーをやる場合の施設につきましては、国の財政補助として開銀で公害施設の特別のワクがございます。そこの金を使うように話がついております。  なお、おもに小型船がつけます油水分離器につきましては、これは船舶整備公団というものがございまして、そこで低利融資でもってそういうものをつけるための資金を小型船に貸すというようなシステムでやっていくつもりでございます。  それから、そういった施設港湾管理者がつけます港湾でございますけれども、本年度それから来年度にわたりまして、本年度予算では大体六カ所程度つけられる金額のその半額分でございますけれども、その分を確保いたしてございます。場所は、川崎、千葉、横浜、神戸和歌山下津それから水島、おもに内航船が油を積むところでございまして、油を積むところでバラストを流すものですから、主として油を積むところから先にそういう施設をつくろうということで、まず六カ所の予算を確保いたしております。
  28. 河上民雄

    河上委員 前国会では、何か十港ぐらいというようなお話を伺っていたわけですが、いまのお話では六港というようなことでございます。それはほかの四つは必要ないというふうにお考えなのか、それとも……。
  29. 大橋武夫

    大橋国務大臣 御承知のように政府といたしましては、毎年度予算を組むわけでございまして、その予算を組むにあたりましては、各省からそれぞれ翌年度の事業の計画を立て、それに必要な経費を大蔵省に要求いたしまするが、いろいろ国家財政の都合がございまして、必ずしも要求どおり認められる場合ばかりではございませんので、今回の場合も十カ所要求して六カ所実現したというわけでございまして、残った分については翌年度以降に要求し、実現してまいりたいと思います。
  30. 河上民雄

    河上委員 それでは、港湾にそういう施設が必要であることはわかっていながらなお施設が間に合わない場合、この法案適用などはどういうふうになるのですか。
  31. 大橋武夫

    大橋国務大臣 これは港ごとに港を指定して適用するような仕組みになっておりますので、準備のできたところから指定して適用するようにいたします。
  32. 河上民雄

    河上委員 そういうことは国際条約で認められておるわけでございますか。
  33. 鈴木珊吉

    鈴木説明員 条約では、やはりそういった施設のないところにつきましては例外だというふうに規定しております。
  34. 河上民雄

    河上委員 そうすると、条約違反にはならないというふうに……。
  35. 鈴木珊吉

    鈴木説明員 ならないと存じます。
  36. 河上民雄

    河上委員 では、また後ほど法案内容につきましては他の同僚委員からお話があろうかと思いますので、この辺で一応法案内容についての御質問を終わりまして、次に、これと関連して最後に一つだけお伺いしておきたいと思いますのは、現在の油だけではございませんけれども、海水汚濁によっていろいろ生じております被害についてお伺いしたいと思うのでございます。  その第一点は、最近、ことにことしに入りましてからも、愛知県あたりでは知多半島のノリ漁場にどろどろの廃油が流れ込んで、二億円の被害が起こったというような話がございます。これは単にノリ漁業だけではなくて沿海漁業全体の問題だと思うのでございますが、そういう被害状況はどういうふうに把握しておられるか、またそれに対する補償措置現状についてひとつお伺いしておきたいと思います。
  37. 山中義一

    山中政府委員 ただいまのノリそのほかの水産物に対します被害でございますが、船舶廃油によります被害は、四十年度におきまして、都道府県からの報告によりますと、直接の推定被害金額が四億六千九百万円、このほかに、数字的にははなはだ不確定でございますけれども、油のために漁業の質が低下したり魚の値打ちが下がりまして、そのために損害を受けたという恒常的な被害は四十八億三千四百万円くらいにのぼるものと考えられております。
  38. 河上民雄

    河上委員 水産業者の間ではこの問題は非常に大きな問題になっておるわけでございまして、水質汚濁に関する法律は、数えますと大体五十ぐらいあるということでございますけれども、にもかかわらず全く無力であるので、この今回の油による汚濁防止虫薬と、そしてまた今後の公害基本法などに非常な期待をかけておるわけでありますが、現に起こっておる被害補償問題について、いまちょっとお伺いしたのでございますけれども、そのことについて……。
  39. 山中義一

    山中政府委員 被害補償に関しましては、はっきりその加害者被害を与えた側がわかっておりますものにつきましては、その者が損害賠償と申しますか、見舞い金的なものを出しております。しかし、いつ廃棄したのかもわからないような油が流れついてきてノリをいためるような場合、全然補償的な措置はとられておりません。
  40. 河上民雄

    河上委員 ということは、いま申しましたように水質汚濁関係規制法は五十にものぼるといわれておりますにもかかわらず、いま言ったような御答弁であることは、やはり無過失責任に対する明確なる規定がないというところに原因があるというようにわれわれは考えるわけですけれども、政府においてもそのようにお考えでしょうか。
  41. 大橋武夫

    大橋国務大臣 公害問題に関しまする基本的な考え方として無過失責任が唱えられておるということは、これは御承知のとおりでございます。そもそも公害は、その性質から見まして、被害程度を証明したり、あるいはまたその損害程度を具体的に証明するというような裁判の手続などでやるということがずいぶんめんどうでございまするので、そうした煩を省く意味からいいましても、補償の実をあげまするためには無過失賠償責任をとるということが適当であろうという考え方は確かに一理あると思うのでございます。ただしかし、産業保護その他、また他の理由によりまして無過失責任を主張することが適当でない場合もございまするので、政府といたしましては、公害問題につきましては、原則としては加害者責任主義ということでまいりまして、おそらく提案される基本法もそういった見地からある程度過失一本というような行き方にはならないのではなかろうかと思います。
  42. 河上民雄

    河上委員 いまのようなお考えでは、公害問題そのものに取り組む熱意がないというふうにわれわれは判断せざるを得ないのでございまして、いまの御答弁のうちの前半だけで議事録はとめて、後半はないというふうに理解させていただきたいと思うのでございます。いまの問題と、先ほど産業ということがございましたが、実は沿海漁業あるいはノリ漁業というような浅海漁業の場合、これもまた一つ産業でございまして、どうも水産資源に対する保護という点が非常に弱いように私は思うのでございます。  それはそれといたしまして、いよいよきょうあたり暑くなってきていることを感ずるのですけれども、夏になりますと水泳という時期に入りますが、最近数年間遊泳禁止になりました場所が非常に多いのでございまして、私の選挙区の神戸でも、須磨、舞子というような非常に昔から親しまれた浴場がとうとう禁止せられ姿を消すというようなことになりまして、大阪の浜寺あるいは西宮方面も同様のことでございます。こういうことは非常に大きな問題であろうと思うのでございます。こういうことにつきましての政府のお考え。それと同時に、最近数年間遊泳を禁止せられました海水浴場の数などについてここで報告していただきたいと思います。
  43. 八木一男

    八木委員長 ただいま厚生大臣が見えましたので、もう一回河上君から同じ趣旨の質問を厚生大臣にしていただきたいと思います。
  44. 河上民雄

    河上委員 いま厚生大臣がお見えになりましてちょうどいいところへお入りになったのですが、夏になりますと海水浴のシーズンとなりますが、最近数年間で遊泳禁止された浴場というものが非常に多い。そしてわれわれにとって、また現在の子供にとって親しまれておりました海水浴場が次々と姿を消していくのでございますが、こういうことは、生活環境を守るという意味からいっても、また、あるいは日本の文化を守るという意味からいいましても、非常に重大な問題であろうと思うのでございます。そこで、こういう問題についての厚生省の御見解と、ことに最近数年間遊泳禁止のやむなきに至りました海水浴場の数を、全国的なものでございますが、お知らせいただきたいと田ふうのです。もしおわかりにならなければ、後ほど資料で必ず提出していただきたい。
  45. 坊秀男

    ○坊国務大臣 近来海水汚濁をいたしまして、海水浴ができないというようなことは、私どももこれを非常に遺憾なことだと考えております。(「川もそうですよ」と呼ぶ者あり)川もそうです。これはいずれにいたしましても水質が汚濁をすることによりまして、濁りとか悪臭とかそういったようなことが原因となっておるのでございまして、申すまでもなく公害基本法の第二条に水質の汚濁ということが公害として取り上げられておるものでございまして、この水質汚濁につきましては、結局これは環境基準というものが問題になってくるのだと思いますが、いままで海水浴をやっておって、そして現在それが不能になっておるということは、これから厚生省で、政府考えてまいりまする環境基準を、これははるかに逸脱したというか、この環境基準を阻害するような状態であろうと思いますので、この環境基準を早急にきめまして、そうして川、海ともにその汚濁をしないように持ってまいりまして、そうして海水浴が可能になるというふうに持ってまいりたい、かように考えております。  それから海水浴が不能になったといったような場所が幾らあるかということにつきましては、いま私はここにその資料を手に持っておりませんので、これは追ってまたお答えを申し上げることといたしまして、大体どういったようなところがどの程度悪くなっておるといったようなことについての調べも、これはいたしておりますけれども、ただいまとっさのことでございますので、そういったような資料を私持っておりませんので、これはまたあとでお答えを申し上げる、こういうことで御了解を願いたいと思います。
  46. 河上民雄

    河上委員 海水浴のシーズンはもう間もなく始まるわけでございますので、その資料は早急に出していただきたいと思います。  最後に、このいま審議しております法案が出ることによってどの程度昔のような状態に戻ることができるかという見通しでございますが、その一つの前提になりますのは、重油消費量というものの増加の見通しということが非常に重大だと思うのでございます。そういうことを伺いたいことが一つと、一体この法案を実施をした場合にどの程度に効果を生むかということが第二の点でございます。実は先般あるものを読みますと、足尾銅山による渡良瀬川の被害というものは、すでに百年の歴史というものが、その川あるいはその付近の農地にしみ込んでおる。そして現在の環境基準を当てはめただけではなかなか解決しないのだというような記事を見たのでございますが、おそらくこういう海水汚濁の問題も、これだけ荒れてまいりますると、単に現状の基準を適用しただけでは、なかなかもとの昔の状態に戻るということが非常に困難なのではないか、そういうことをおそれるのでございまして、いま言った二点をお伺いいたしまして、私の質問を終わって、あとは同僚委員の方に譲りたいと思っております。
  47. 大橋武夫

    大橋国務大臣 この法律の実施によりまして、現在海上に投棄されておりまする油類の九〇%近いものが投棄されなくなるであろう、こういうふうに考えられまするので、したがって油による汚染はその程度において改善されるものと思われるのでございます。しこうして今後のことについてどう見るべきかという点でございまするが、御指摘にもございましたごとく、今後油類の一般的な使用はますます増加をいたしまするから、この法律を実施いたしまして、たとえ投棄量を九〇%制限いたしましても、やはりその後は油の使用の増大につれて、放置しておきますると、だんだんとまた海上の油がふえていくというようなことは避けることができないのでございまして、私どもはそうした先のことを考えますると、ますます研究調査を重ねまして、今後の対策について常に努力し、明日への準備をいよいよつとめなければならぬという考えを持つ次第でございます。
  48. 河上民雄

    河上委員 いま政府より今後についての御決意のほどを伺ったわけでございますが、何とぞこの法案一つの契機といたしまして、今後日本の将来というものを見通して格別なる御努力をいただきたい、こういうように希望いたしまして、すでに時間もまいりましたので、私の質問を一応終わりたいと思います。      ————◇—————
  49. 八木一男

    八木委員長 この際産業公害対策に関する件について調査を進めます。  質疑の通告がありますので、これを許します。島本虎三君。
  50. 島本虎三

    ○島本委員 私は、産業公害について特に坊厚生大臣にお伺いするのですが、水質汚濁と漁獲の問題もこのあと当然あるわけですから、運輸大臣退席されることは困るのであります。三時までということでよろしゅうございます。  それでは坊厚生大臣にお伺いいたします。私が聞きたいのは、いま基本法が出され、今後は大いに公害の問題について議論をわかすことに相なろうかと思うわけです。本委員会は産業公害特別委員会であります。産業公害の点につきましては、それぞれの立場から、基本的な考え方から、今後はいろいろと議論の展開があろうかと思うわけであります。しかし、いま私が聞きたいのは、産業公害とともに都市公害の問題がいよいよまた大きくなってくるのでありますけれども、大臣産業公害と都市公害の問題をどのようにお考えになり、今後その対策に任ぜんとするのか、まず御意見を承りたいと思います。
  51. 坊秀男

    ○坊国務大臣 今度の公害対策基本法は、決して公害産業から発するだけの公害に限ったものではない。公害というものは、これは法律で一応定義づけておりますけれども、それらの公害産業だけではないということは、第二条をごらんになっていただきますと、「「公害」とは、事業活動その他の人の活動に伴って生ずる相当範囲にわたる」云々と、こういうふうに書いてございまして、何も事業者の活動、事業者と申しますと、ここではある一定の規模を有しておる工業等をさすのだと思いますけれども、そうではなくてその他の人が発する、こういったようなものについてこれを公害という、こういうふうに書いてございますとおり、何ももう産業公害だけ防止すればいいんだ、ほかの公害はどうなってもいいんだ、そういうような趣旨ではありませんというふうに私はこの法律を理解しておるのでございます。
  52. 島本虎三

    ○島本委員 その趣旨はよくわかりました。それと同時に、都市公害の点でも最近は特に著しいものがあり、ことに必然的な問題もないわけではないのであります。というのは、たとえば北海道の札幌、あの周辺のように、冬になりますと必然的に暖房の必要があるわけです。現在の状態では燃料も油、石炭またはまき、こういうようなのに限られているわけであります。そうなりますと、その排出するばい煙等のために、おそらくはものすごい公害をかもし出し、札幌市はもうすでに条例をもってそれに当たっている、こういうような状態にあるわけです。そういうようなさなかに、今度は札幌では一九七二年、五年後ですけれども、冬季オリンピック大会が開催されるような状態になり、このばい煙と都市公害という問題の対策にはもうすでに国をあげてその解決のために努力しなければならないような状態に相なっているわけなのであります。それで一点伺いたいのは、このばい煙排出規制法という、われわれに言わせるとまことに奇々怪々なる、あってなきがごとき、またあってもいいような法律が三十七年度に制定されておるわけであります。しかしながら、その運営の面においては全きを得ておりませんけれども、今後それを改正するなりして、相当程度これを有効に利用しなければならないと思うのであります。札幌等のこの都市公害の多いところも当然その規制の中に加えて今後は考えておかなければならない問題の様相を十分はらんでいる、こういうふうに思っているのですけれども、大臣はこの点はいかがお考えでしょうか。
  53. 坊秀男

    ○坊国務大臣 主としてばい煙による公害はいま仰せのとおり非常に大きな公害であり、ことに御指摘の北海道札幌あたりは、これは私は冬期の札幌へまだ参ったことはございませんけれども、察するにあまりがある、かように考えております。そこで、いまのばい煙規制法では一定規模以上の施設につきましては、これはばい煙の規制をいたしておりますけれども、直接には家庭暖房といったようなものから発生する公害、ばい煙といったようなものについては規制が行なわれていないというようなことでございまして、それではいけない。ただしかし、必要に応じましては、たとえば東京都といったようなところでは条例をもちましてこれの規制も行なっておるということでございますけれども、今後この公害基本法というものを御審議願って御決定願い、これを実施するというようなときにあたりまして、現状のままで都市における家庭暖房、個人の暖房といったようなものを放置しておくべきものではない。ばい煙規制法を強化あるいは改正するとか、さらにはそういったような施設に対しましてはいろいろな面から突つかい棒をしていく、具体的にはどういうように相なるか、いま私はその具体的方法までは考えておりませんけれども、いずれにいたしましても、都市におけるそういったような個人の暖房、これも集中いたしますればたいへんなことになるわけでございまするから、そういったようなばい煙による公害から市民生活というものを守っていかなければならないということは、私はこの公害基本法の設けられた一つの趣旨だと考えております。
  54. 島本虎三

    ○島本委員 かつてないように明確な答弁を坊厚生大臣がされるので、今後公害基本法の審議の場合にもそのように歯切れのいい答弁を大いにしていただくことを心から期待してやみません。このばい煙排出規制法、現行の規制法によりますと、やはり知事の申請によってその地域の指定がなされなければこの適用を受けることができない、こういうような状態になっているままにいまだ指定を受けられないところが多いのである。それを補正するために条例をつくる、それぞれの都市が行なっている。ことに札幌の都市公害につきましては、毎冬雪祭りをやるのであります。雪祭りをやり、そこにおそらくは何百万人という人が集まるのでありますけれども、その雪像は三日にして全部こわされなければならない。あのりっぱな万里の長城を思わせるようなりっぱな建物が氷でできる、雪でできるのです。でき上がると、それを楽しむ、レクリエーションのために全道から人が集まるのです。それを見るのにヘリコプターで上へ上がりますと、下のほうは見えないのであります。なぜか、ばい煙がこもっておる。そうして遠くから見るとかすんで、これは花雲りならざる煙のために見えないのであります。そうして三日たつと雪像が黒くなる。あなたの顔より黒くなる。したがって、そういうような顔は醜をさらすというので、三日か四日でそのきれいな雪像を全部こわしてしまうのが実情なんです。それほど煙の害というものが現在知らないうちに大きくなり、レクリエーションの面にまで完全にこれが及んでいるのが現状なのでありますから、十分この点等を考えて、今後は、オリンピックが当然行なわれる五年後のことを想定いたしますと、このままではとうてい済みません。国をあげてやるそういうような行事に対しましても、厚生省が中心になって、環境整備の面に極力支援体制を整えるのでなければ、これはまた醜を天下にさらすことがあってはたいへんだと思う。そういうような観点からして、今後そういうような場所には公害事業団からの融資を可能にして、それによって集中暖房かまたは煙の出ないような、または住民に現在とっておるような油、石炭または木、こういうようなものをたく以上の効率を与えるような集中暖房方式をとるように今後は指導しなければならないのではないか、こういうように思うわけです。そういたしますと、当然公害事業団からの融資が可能でなければならないようなことに相なろうかと思うのですけれども、一の方面の公害対策上からの指導はどのようになっておりましょうか、この点お伺い申し上げたいと思います。
  55. 坊秀男

    ○坊国務大臣 北海道札幌で五年先でございますか、冬季オリンピックが行なわれるということは私も承知いたしておりますが、それまでに私はいまの御意見、非常にごもっともな御意見だと思いますので、その御意見を体しましてできるだけ善処してまいりたい、かように考えております。  それから公害防止事業団からの融資でございますが、御承知のとおり現行法のままだと、これはちょっと融資が困難な実情にございますが、そういったようなことも早急に検討をいたしまして、御趣旨の線に沿うたようにこれは努力をしてまいるべきものだ、かように考えております。
  56. 島本虎三

    ○島本委員 そういうような点等を入れまして、委員長も、この点は一歩前進した公害対策の見本として今後とも大いに指導を願いたいと思うわけであります。私は、この地域暖房事業の施設というようなものに対して、いまここにある公害事業団からのいろいろな措置等については、大臣は検討するようにおっしゃってくれましたから、これはなかなか前向きのりっぱな発言だ、私はこういうように思って、これは敬意を表するにやぶさかではないのであります。今後こういうような方面の融資または投資等につきましては、どんどんとこれを助成し奨励するようにしてやってもらわなければならない、こういうように私ども思っております。そういうような見地から、今後は委員長も、答弁等の中にはそれを促進させるようにして大いにやってもらいたい、こういうように思うわけなんであります。  大臣、それと同時に、今度は、いろいろな事業者の保護規制またはこの監督並びに利用者の保護、こういうようなものがいろいろあろうかと思いますが、そのために今後は公害基本法ができましたら当然関係立法ができてこようかと思います。この地域暖房の問題等につきましては、関係立法をまって行なう、こういうようなことになるかならないかは、その関係は別としても、現在の電気事業法のように、これは完全に単独立法でも早くその制定を望まれている要素があるのでありますから、こういうような点等については十分お考えおき願いたい、こういうように思うわけですが、この点等はいかがお考えでございましょうか。
  57. 坊秀男

    ○坊国務大臣 いまの御意見、非常に大事な貴重なる御意見だと思います。そういったような点につきましては、いろいろ関係各省もありまして、たとえばばい煙を出すといったようなことは、ばい煙の防止とともに燃料の改善とか、そういったようなことからも考えてまいらなければならないというふうに、非常に根を張っておりますから関係が広うございますので、そういったところともよく相談をいたしまして、できるだけ公害防止公害予防といったような目的に沿うような検討をやっていきたいと考えております。
  58. 島本虎三

    ○島本委員 私の質問要点は、具体的な問題をきょうは提起して、公害の問題の前哨戦としていま坊厚生大臣にいろいろ伺ってみたわけです。この必要性は、国家的な見地から見ても当然必要でございますから、ただいままで答弁ございましたように、具体的に将来——と言うと、何年後かになりますが、これは限定された将来でございます。本年からあと五年しかないというこの将来の中で、この問題のすべては解決しなければならない問題になろうかと思います。国の威信にかけましてもこれは重大な問題でもあり、また、他の集団暖房等の一つのサンプルとしても、この問題の取り扱いは貴重なものに相なろうかと思うわけでございますから、この点等、ただばく然たる将来ということじゃなしに、限定された将来の問題として、この解決のために今後大いに努力してもらいたい、こういうように思うわけでございますが、その点よろしゅうございますか。
  59. 坊秀男

    ○坊国務大臣 公害防止ということは何年先でもいいんだというものでは決してございませんで、これはできるだけすみやかにその効果を発生せしめなければならない。こういうことでございますので、私は、将来と申しますことは、むろん完全——完全はともかくも、とにかく効果を十分に果たすということは、それはそう一年や二年の間でできないと私は思いますけれども、決して将来のんべんだらりとやっていくということではない。できるだけ迅速にこの効果があらわれるということでなければ、私はこの法律はあってもないようなものだ。この法律をきめた以上は、具体的な方策を整備いたしまして、できるだけすみやかにこの法律の趣旨、実効があらわれるということに持っていかなければならない、かように思っております。
  60. 島本虎三

    ○島本委員 その基本的な考え方はいいと言うのです。具体的な問題として札幌にいま提起されている集中暖房等の件については、冬季オリンピックという一つの行事を五年後に控えてあるから、将来といっても、その五年以内にこれはすべて解決しなければならないような国家的な一つの使命を帯びていますから、この点等の処理はいいかと言っているのです。
  61. 坊秀男

    ○坊国務大臣 ただいまの御要望、オリンピックを控えての御要望、しごくもっともなことだと私は思います。そこで、五年先を目途といたしまして、できるだけそれまでにその集団暖房ですか、ばい煙によるそういったようなものを防止し防除するという方向に私はやっていきたい、実現したい、かように考えております。
  62. 島本虎三

    ○島本委員 もうかってないようにわりあいに的確な答弁がありましたので、私が予定しました質問時間が半分で済んだわけであります。しかし私は済みましても、これと関連して加藤委員その他あるようでございますので、委員長、そのまま私は引き継がせてもらいますから、そのままの姿勢で委員長の許可を待って答弁願いたいと思います。私の質問はこれで終わります。
  63. 八木一男

    八木委員長 ただいまの島本君の御質疑の中で、公害防止に対する熱心な御意見の開陳がございました。この点について委員長に対する御要請がございました。委員長といたしましては、熱心にその問題の推進に当たりたいと思います。ただいま厚生大臣から、冬季オリンピックに関連する札幌市の公害防止の問題についてのお約束がございました。その問題についてこの委員会で公約をされた線に従いまして急速に善処をされることを要望いたしておきます。厚生大臣のその点についての御決意をもう一回伺いたいと思います。
  64. 坊秀男

    ○坊国務大臣 委員長の私に対する御要請、私はでき得る限りこれを実現してまいる努力を傾けます。
  65. 八木一男

    八木委員長 岡本富夫君。
  66. 岡本富夫

    ○岡本(富)委員 厚生大臣に若干、今度の公害対策基本法につきましてお聞きしたいと思います。  すでに閣議決定されまして本国会に提出されようとしておりますところの公害対策基本法のその目的の中に、「経済の健全な発展との調和を図りつつ、」こういうようにございますが、これに対しまして町の声が非難がごうごうとしておる。いろいろな新聞にもたくさん出ておるのを大臣は御存じでしょうか。
  67. 坊秀男

    ○坊国務大臣 承知いたしております。
  68. 岡本富夫

    ○岡本(富)委員 大体法律というものは国民のものでございまして、一部の権力者のものではない。したがって、大多数の者がこうして意見を言うときには、やはり取り入れてしかるべきではないか、こう思うのですが、これに対して厚生大臣は取り入れる決意はありますか。   〔委員長退席、島本委員長代理着席〕
  69. 坊秀男

    ○坊国務大臣 法律は個人のものでなくして国民のものであるということは、全くお説のとおりでございます。したがいまして、法律をきめるにあたりましては、立法府の御審議にまちまして、立法府で御可決を願って法律が生まれてくるわけでございまするから、私は、立法府の御意見、これが国民の御意見として、立法府の衆参両院議員、国会の御審議にまってまいりたい、かように考えております。
  70. 岡本富夫

    ○岡本(富)委員 なぜ素朴なこういう質問をしたかと申しますと、かつて水質保全法というのがありました。これにやはり「産業の相互協和」、これがうたわれておったわけです。そのために結局河川の水質の基準の設定、海域の基準設定にも非常に長く日を要した。世間では、ざる法である、こういうようにも言っておりますけれども、この水質保全法をきめてからでももうだいぶになりますが、それからたくさんの公害が出ております。たとえば漁業にとっても年間被害が四十年度だけで全国で百二十七億、また戦後公害によってなくなった人が四十五名、中毒患者が数千名、こういうようにもいわれておるわけです。また兵庫県におきましても、工場排水によるところの漁民の受けた被害が二十六件で五億六千五百五十万円、こういうような大きな被害を受けておるわけです。したがって、今度の基本法はそういうようなざる法にならないように特に気をつけなければならぬ、こういうわけで申し上げたのです。この点についての大臣の強い決意をお願いしたいと思うのです。
  71. 坊秀男

    ○坊国務大臣 お述べになりました水質保全法でございますが、この法律におきましては、水質を保全していくために公共汚濁原因になる工業と水産業、農業との調和ということをうたっておるのだと思いますが、今度の公害基本法においての、経済の健全な発展との調和をはかる、こういう文句は、これはわれわれの生活環境と経済との調和をはかる、こういう意味でございまして、われわれの生命や健康はもう絶対のものでありまして、いやしくも生命にかかわるといったような公害は、これはもう産業との調和、そんなことを言っておれない。それから産業との調和ということは、それより一歩進んで、われわれの生活を快適なものにしていこうという一つの一歩進んだ要請がございますが、その要請を満たすために産業を無視してしまっては、かえって角をためて牛を殺すようになるというような考え方から、一歩進めて生活環境を進めていくというためには産業との調和をはかっていく、こういうふうな趣旨でもってこれを入れたわけでありまして、いやしくも生命、健康に障害があるといったような場合には、さような調和と言っておる余地を残していないというふうに、この法律案を御理解願いたいと思います。
  72. 岡本富夫

    ○岡本(富)委員 御趣旨よくわかりましたが、一番最初の厚生省試案には、あなたのところから出た試案ですよ。それにはこれはなかった。厚生省は、産業との調和は関係ないというのが最初の御意見だったのですが、途中で変わったのですか。
  73. 坊秀男

    ○坊国務大臣 法律にいたしましても何にいたしましても、ものごとをきめていく過程におきましては、それぞれの立場の主張ということがございまして、非常に強いというか、ある点を標準とすれば非常に純粋といいますか、そういったような要求なり要請がある側から行なわれる。それに対して、さらにまた逆の面から違った要請が行なわれる。こういうようなことは私は往々にしてあることだと思います。いろいろな要請が二律背反と申しますか何と申しますか、そういったような要請が各方面から縦横に行なわれる。それをそのままではどうにもものごとがまとまらない。そこで何らか統一して、調整して、調和していかなければ、一つのものごとがまとまっていかないということは、これは御理解いただけると思います。さような意味におきまして、この公害基本法の策定の過程におきましては、御案内のとおりこれに関係する省、関係官庁が十以上あるというので、それらの各省からそれらの立場におきましていろいろな議論が行なわれ、検討が行なわれたのでありまして、厚生省の原案には確かに調和の点はなかったと思う。ありませんでしたが、それをまとめていくという上において調和——この調和ではございませんが、調和点を見つけまして、今度のこの法案ができた、こういうことでございますので、そこいらの点を御理解願いたいと思います。
  74. 岡本富夫

    ○岡本(富)委員 人命を守る、特に国民の健康を保持していく責任のある厚生省、これはあちこちの意見を聞いて調和していかなければいかぬという話でありましたが、国民は、特にこの厚生省の働きに対しては全部期待しておると思います。そこで、厚生省がほんとうに国民の健康を守り、生命を守っていくことの所管であろうと思うのですが、御承知のように新潟県の阿賀野川の水銀中毒問題につきまして、この事件はすでに足かけ三年になっております。これはもう新聞でも報道されておるように、また私どもの調査によりましても、五名死亡、二十何名ですかが病気。この原因を今度はたどってまいりますと、昭和二十八年から三十四年にかけての熊本県の水俣病の発生のときには、患者が百十四名、死亡が四十一名、こういうように報ぜられております。そのときに通産省としましては、こういうような有機水銀のまじった液を川に流してはいけない、こういうように——全国約二百カ所あったというのですが、それに対して通達をした。ところが、ものの本によりますと、この阿賀野川は、昭和電工は排水に対しての検査をしてなかった。これはきのうも通産大臣に話をしたのですけれども、この排出するところの水に対する検査ができてなかった。しかも通産省は報告だけ受けていたというのです。全然検査してなかった、こういうような事件は厚生省は御存じでしょうか。大臣どうですか。
  75. 坊秀男

    ○坊国務大臣 鹿瀬工場が水俣以後におきまして水銀を川に流すということにつきましては、これは私どもは、通産省がさようなことのないように指導をしておったというふうに理解をいたしておりますが、もしそれを指導していなかったという、通産大臣の話を私は直接承っておりませんが、その後私は、鹿瀬工場だけではなくして、いまお述べになりました日本国内におけるいろいろな工場、水銀を流すおそれのあるそういった工場につきましては、これは指導をいたしておったと思うのでございます。きのう通産大臣は指導してなかったということを言われたのかどうか、あなたのおっしゃることをここで私は決して疑うわけでもございませんが、おそらく指導しておったのじゃなかろうかと思いますが。
  76. 岡本富夫

    ○岡本(富)委員 きのう通産当局は、各工場に報告書だけ出さしておった、直接の取り締まりはやってなかった。そのために再びここにこういう水俣病の二の舞いのような水銀中毒事件が阿賀野川に起こったわけです。   〔島本委員長代理退席、委員長着席〕 人の健康、国民の健康を守ってあげなければならないと厚生省が一番やってくださっている、こういうような状態わが国民は安心しておれる。あれは通産省の問題だというのでなく、一つ出たらあとやはりそういう面について、同じ政府の機関でありますし、国民の側に立ってよく監視もし、また保健所というものもあるのですから……。その点について大臣はどういうように考えられますか、またその責任についてどう対処されますか。
  77. 坊秀男

    ○坊国務大臣 公害防止の問題は、これは何も、あれは通産省の責任だとか、これは厚生省の責任だとか、そういったものでなくて、政府全体の責任であって、政府全体がこれに対して対処いたしていくべきものでございます。さような意味におきまして、何もいま私は阿賀野川についてそれは通産省の責任だというようなことを申し上げた趣旨では全然ないのでございまして、もしおっしゃられるようなことが、何ら、通産省が報告だけ受け取っておったというようなことでありますれば、将来とも通産大臣ともよく相談をいたしまして、こういったような公害発生のおそれがある工場から、水銀はもちろんのことでございますが、水銀にかかわらず、人体に対して有毒有害といったようなものを排出するといったようなことでありますれば、これは通産省だけではありません、あるいは農林省にいたしましても何省にいたしましても、よく連絡をとりまして、さようなことのないように期していくのが、これが私は政府の責任だと考えております。
  78. 岡本富夫

    ○岡本(富)委員 現在までの水質保全法あるいはまた工場排水規制法というものがざる法であったということがあらわれてきておるわけなんです。と同時に、これは別としまして、いま厚生大臣から、そういう場合はもう各省なんていわずに特に早生省としては強力な措置をとっていく、こういう決意を聞きまして若干安心いたしましたが、現地の声を聞きますと、毎日非常に不安な姿です。この公害委員会でも再三問題になっているものですが、その後厚生省のとられた処置、これに対していろいろ手を打たれたと思うのですが、ひとつそれを聞かしていただきたいのです。
  79. 坊秀男

    ○坊国務大臣 阿賀野川の問題につきましては、何よりも私はその公害を発生した原因者がだれであるかということ、これをまず突きとめていかなければならない問題だ。そのほかにもう一つ、被災された人たちに対する処置をどうしていくか。この二つの問題があろうかと思いますが、厚生省といたしましては、その原因を探究いたしますために、しばしば各委員会で申し上げましたが、調査班を組織いたしまして、その調査班が熱心にその原因追及に学問的な見地からやっていただいて、その研究班が三班ございます。疫学、分析、臨床、この三班に分かれまして、この三班がそれぞれの専門的立場から、一体何が原因で阿賀野川がよごれたのか、こういうことを研究していただきまして、これらの三班からのそれぞれの答申を厚生省は受け取っております。これらの三班の調査報告というものは、それぞれの専門的な・立場から独立した研究調査の結果を答申いただいております。まだこれを総合いたしておりません。これを総合いたしまして、そうして厚生省の意見としてまとめるためには一つの段階を越さなければならない、こういうことで、ただいま厚生大臣の諮問機関でありまする食品衛生調査会へ、この三班からそれぞれお受けいたしました答申を提出いたしまして、ただいまその食品衛生調査会で取りまとめをしていただいておるということでございまして、それが取りまとめが完了いたしましたならば、これが厚生省としての意見であるということを科学技術庁——阿賀野川のあの災害というものは、これは厚生省だけの問題ではありません。農林省は農林省の立場におきまして農林省の意見もありましょうし、それから通産省は通産省としての意見もありましょうから、そういったような関係各省の意見を、科学技術庁はさような問題につきましては総合取りまとめをする機関でございますから、そこへ提出いたしまして、そして科学技術庁において最後の意見を取りまとめていただく、こういうような段階にございます。
  80. 岡本富夫

    ○岡本(富)委員 いまのお話を聞きますと、先ほど大臣が答えられましたように、厚生省は国民の健康、国民の人命を一番大事にし、またそれを主管しておるところの省である。したがって、各省がこうだああだ——考えてみますと、いまの打つ手は、ちょうどもう足かけ三年ですよ。被害にあっている人の気持ちになってください。たとえば火災があった。いま燃えている最中にその原因はどこやといって消防署が調べている、これでは話にならぬ。消さなければならぬ。したがって、ここの住民の動揺と申しますか、また死の川といい、その悲惨な姿を、この間私は新潟県の阿賀野川のところに住んでいる方から、直接住民大会に出て、この耳で、この目で、聞き、見たときに、何としても一日も早く国民の不安を除いていかなければならぬ——おそらく大臣もそういう気持ちであろうと思うのですが、どうでしょうか。
  81. 坊秀男

    ○坊国務大臣 そういった被災者に対して何としてでも、これは被災者に対する賠償と申しますか、お見舞いと申しますか、補償と申しますか、そういったようなことも、これはもうやらねばならぬことであると思います。そのためには、私はその原因者というもの、これを的確につかまえまして、そうしてそういったような具体的な事態に対処いたすべく措置を講ずるとともに、さらにその原因者を的確につかまえることによりまして、そこで一般的にこういったような場合はどういうふうにするかということを、とにかく原因者をつかまえないことには基本的なこれに対する対策というものが——それは早ければ早いほどよろしいのでございますが、また被災者の身にとってみれば、これは一日も早く、こういうお気持ちであられる被災者の気持ちはよくわかります。よくわかりますが、基本的にこれに対してどういう対策をとるかということになってきますと、これは的確に原因者というものをつかまえなければ、あいまいのままにその上に対策を立てていくということはどうかと思いますので、今日は私といたしましては、できるだけすみやかにこの原因者を的確につままえよう、こういうことで作業を進めておるわけでございます。
  82. 岡本富夫

    ○岡本(富)委員 まことにいまの答弁は不満であります。なぜかならば、国民の生命を預かるところの厚生省の——少なくともほんとうであれは大臣が飛んでいって、そうして激励もし、応急の手当をするのがあたりまえではなかろうか。原因が出てから、それは抜本的にはそうなるでしょう。たとえば先ほど火災の話をしたのですが、火災にあった人がいる、そして冬で寒い、行くところがない、しかしこの原因がわからなければ家は与えないぞ、こういうのは無慈悲ではなかろうか。いま大臣、ほんとうに現場、現地の人は困っているのですよ。これに対して、政治とはあたたかい慈悲であると思うのです。愛情がなければいけないと思うのです。これに対するところの大臣答弁に対しては全く私は不満です。まあ、それはそのくらいにして次のときにお伺いすることとします。  そこで、二月ごろのある新聞を見ますと、福岡県の大牟田市の大牟田川の水質汚濁状態、これは私まだ調べておりませんが、大牟田川に相当量の水銀が排出されておる、また水俣病になるのではないか、こういうようなことが出ておりましたが、この資料はございますか。
  83. 八木一男

    八木委員長 ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  84. 八木一男

    八木委員長 速記を始めて。
  85. 岡本富夫

    ○岡本(富)委員 これは資料要求をしておきまして、次の方に迷惑をかけてはいけませんので、一応終わります。      ————◇—————
  86. 八木一男

    八木委員長 次に、先ほどの船舶の油による海水汚濁防止に関する法律案について質疑を続行いたします。加藤万吉君。
  87. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 先ほど同僚の河上委員がいろいろ質問しましたが、今度の船舶の油による海水汚濁防止に関する法律、いわゆる一九五四年の国際条約批准する国内関連法でありますが、私は聞いておりまして、大臣あるいは関係の各政府委員の方の御説明に、実は一九五四年代的感覚しか覚えないのであります。私は、この条約日本批准する政府の態度について、まず大臣質問をしておかなくてはいけないと思うのであります。  この国際条約は、おそらくは国際的な条約ですから、石油の輸出をする国、それから輸入をする国、それぞれ含めて最低限度のいわゆる国際規制という立場があったと私は思うのです。一九六二年に部分的な改正がされておりますけれども、それもやはり国際的にいえば最大公約数的な条約、そういう立場から私は発想がされているというふうに思うわけです。ところが、わが国を見ますと、これは世界の三大工業国、しかも日本の場合には非常に資源がないのでありますから、外国石油を輸入をして、それによって化学製品をつくる、そういういわば石油精製工業といいましょうか、あるいは石油を原材料とする化学工業の発展、それによって起きる海水汚濁、そういう条件の中からこの法律案をとらえていかなくてはいけないと私は思うのです。  そういう立場からいいますと、どうも一九五四年代の感覚と私申し上げたのは、いまから十二、三年前のわが国産業状態と、今日、十年は百年に匹敵するという産業の技術革新の進歩の状態から見て、この法律案では、今日の石油産業あるいは油を扱う海水汚濁の焦点から見て、少しおくれているのではないか。逆に言うならば、国際条約の最低基準と何となしに合わせている、そういう政府の消極的な態度ではないかというように私は思うのです。したがって、日本が世界の第三の工業国であるという立場から見て、国内関連法は、もっとより前進的なものを求められるべきではなかったかと思うのですが、この辺の大臣の見解をまずお聞きしたいと思います。
  88. 大橋武夫

    大橋国務大臣 まず、国際条約批准ということについて申し上げますと、この条約は五四年に最初に起草されたものではございますが、その後の情勢の発展を考慮に入れまして、六二年に改正されたものでございますから、条約それ自体は明らかに六〇年代の条約であるということを御留意いただきたいと思うのでございます。  次に、国内法の問題でございますが、国内法内容につきまして、ただいま加藤委員から、少し時勢におくれておりはしないかというような御意見を承ったのでございますが、私はこの点について、あえて加藤委員の御意見に異論を立てる考えはございません。場合によりましては、そういうふうに見られることもやむを得ない点があるかとも存じますが、ただ御承知のとおり、かような規制につきましては、たとえば五十海里以内の海上における油の投棄を制限するというような事柄は、これはそれだけでできるのでございますが、しかし、近海におけるいろいろな船の油を制限する場合においては、ただその船に義務を命じるだけでは実施できない場合もございまして、廃油等を受け入れる施設というものを考えなければならぬわけなのでございます。こうしたこの法律の受け入れ態勢ということを考えますると、この際まだるっこいような感じもいたしますが、実際問題としてある程度漸進的に進めざるを得ない面もございまするので、まず最初の立法といたしましては、私は最小限度のところこの程度のことを実施いたそう、今後の情勢を見ましてさらに将来はより進んだ対策を立てるべきではなかろうか、こういうふうに思うわけでございまして、この規制の結果いかんによりましては、なお将来十分改正考えていかなければならぬと思っております。
  89. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 先ほど六二年の条約批准国を河上委員がお伺いしましたが、六三年以降に批准した国、たとえばベネズエラ、アラブ連合ですね。私はベネズエラにしろ、アラブ連合にしろ、今日の日本産業、工業水準から見て、これはもう指数の上からも問題にならない国ですね。逆に言えば、石油の原油を輸出するという立場の国だろうと思うのです。わが国は何といってもそれを受け入れて、今度は加工し、しかも化学製品として製造をするという条件の中で出る油なんですよ。その立場から一体海水汚濁の油の規制をどうするかという立場を見ていかなければ、わが国の関連法律としては非常にお粗末じゃないかと思うのです。そこで私は一つ質問しますが、一体この条約批准に基づく国内関連法は、他の諸国に比べて、今度の法律はどのくらいの点が進歩している法律なんですか。私は各国の法律わかりませんからよくわかりませんが、今度の関連法律が他の国に比べてどの辺が第三の工業国として進歩的な法律として国際的に肩を張れる法律なんでしょうか。
  90. 鈴木珊吉

    鈴木説明員 ほかの国の実例でございますけれども、大体この条約の線に沿ってやっておりますのが実情でございますが、特に新しいというようなものは聞いておりません。
  91. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 いや、進歩的な点です。わが国のこの法律が他の国の法律に比べて進歩的な点はどの辺なんですか。この船舶の油による海水汚濁防止に関する法律の中で一どこが一体進歩的なんです。
  92. 鈴木珊吉

    鈴木説明員 イギリスあるいはドイツの例などで申しますと、民間でおもにやっております廃油処理施設は、日本の場合は特に国家助成でやっております点、特に港湾管理者の場合には国が半額補助するという点が違うのじゃないかというふうに思っております。
  93. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 いまの点はあとで速記録を一ぺん見せていただいて、できれば諸外国のこういう油濁問題に対する法律で参考になるようなものがありましたら、私どもに参考資料としてひとつ提示を願いたいと思うのです。  そこで厚生大臣も忙しいようですから、法案そのものに対してひとつお聞きをしておきたいと思います。この第二条の油性混合物というのは、石油精製過程における海上廃棄物ですね、それは含まれますか。これが第一点です。  それから私はどうも字にあまり強くないのですが、第二条に油送船と、こうありますけれども、油を送る船、それとよく木へんの槽という字を書いた油槽船というのがありますね。木へんの槽という字です。一体これは同一のことばなんですか。
  94. 鈴木珊吉

    鈴木説明員 ただいまの御質問でございますけれども、油送船は法文では送を書いてございますけれども、タンクの槽ですか、木へんと同じ意味でございます。
  95. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 どっちを一体政府では常用漢字として使われているのですか。というのは、あとで御質問申し上げますけれども、消防庁関係の油槽船事故なんというような場合には、その送というのは使っていないですね。木へんの槽を使っている。私は善意に解釈しまして、この油送船というのはおそらく鋼鉄船のことを言うのじゃないか。そしてあとの油槽船は機帆船に類する油送船、そういうことで政府内で用語の統一をされておるのじゃないかと思っておったのです。なぜかといいますと、あとで出てきます百五十トン以下の油送船の油の廃棄について実は問題が出てくるのです。だるま船で廃棄する場合はどうするのかという問題がどうしても出てくるものですから、この用語は政府部内で統一してもらわないと私どもは質問するのに非常に困るわけです。  それからいま一つ、油性混合物、これをひとつ明らかにしておいていただきたいと思います。
  96. 大橋武夫

    大橋国務大臣 政府の文書は大体法制局の審議を通して国会に提出されておりますので、今回の条約案並びに法律案におきましては送という字を使っております。これは法制局が認めたものでございますから、政府の認めた文字でございまして、これによってお考えをいただきたいと思います。
  97. 鈴木珊吉

    鈴木説明員 油性混合物は、油が一万立方センチメートルにつき一立方センチメートル入っておるものをいうわけでございます。
  98. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 それは書いてあるからそのとおり読めるんですよ。私の言うのは、石油精製過程における油がありますね。海上廃棄をするものがあるのですが、それもこの油性混合物という対象になるのかどうかということを実はお聞きしたいわけです。  それからいま一つ。運輸大臣が御答弁いただきました油送船というのは、そうすると木へんの油槽船もこれと同一用語だというふうに理解してよろしいですね。
  99. 大橋武夫

    大橋国務大臣 どういう場合に木へんが使ってあるのかわかりませんが、法制局の認めた文字がこの法律に使ってある文字でございます。
  100. 八木一男

    八木委員長 油性混合物の答弁をしてください。
  101. 鈴木珊吉

    鈴木説明員 ここにございますように、原油と重油とそれから潤滑油という三種類のものを含んでおるものが油性混合物でございます。しかも船が排出するものでございます。
  102. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 それじゃそういう定義で若干質問してみたいと思います。  この法案によりますと、一万立方センチメートルにつき一立方センチメートル以上の油性混合物をある海上では流してはいけない、こういうことになるわけですね。そこでお聞きしますが、私がしつこくいまの点を尋ねましたのは、実は海水汚濁海水の油濁だけではなくして、もし日本が進歩的な法律をつくるとするならば、海水の油濁と同時に海水に廃棄される油性物から生まれる悪臭、そういうものを第一の定義にすべきではないかと実は考えたからにほかならないのであります。この法案の第一条では、船舶の油による海水汚濁だけをとらえておりますけれども、私は、船舶の油による海水汚濁及び悪臭という問題を、たとえば鉱工業製品が非常に発達しておる日本でありますから、単に原油や重油だけの処理ではなく、そこに悪臭を含めた、いろいろな環境公害を含めた法律定義をするのが先進国的な法律案ではないか、実はこういう見解を持ったからにほかならない。したがって、混合物というのは、一万立方センチメートルにつき一立方センチメートルのものを含んだ石油精製過程の石油混合物、こういうふうに理解をし、したがって、第一条の定義はそういう範囲まで拡大するのが、わが国国際条約に基づく国内関連法としてはいわゆる先進的な意義を持つのではないか。特に一方では公害基本法を論議しておる段階でありますから、そういう意味で、私は法案の作成過程にはそういう態度あるいはそういう問題まで含めて論議をされるのが至当ではなかったかと実は思うわけです。  そこで厚生大臣にお聞きをいたします。一体一万立方センチメートルに一立方センチメートル以上の油性混合物、これは社会環境上どういう影響を持っておるのでしょうか。なかなかむずかしいですから少し資料をあげて、この辺についてどういう御見解かをお聞きしたいと思うのです。これは横浜市で出しておる資料でありますが、これによりますと、昭和四十年九月に刺激臭が横浜の神奈川区に非常に大きく発生した、それは廃油貯留タンカーが台風のため沈没して、付近一帯に悪臭を放った。四十一年の五月、すなわち去年の五月ですが、そのときには葉山、逗子、鎌倉、横浜、東京に南南西の風に乗ってタマネギの腐敗臭、アセチレンガスのような強い刺激臭が広範囲に広がった。これは石油廃棄物が潮流、風向き等の影響によって発生したものと思われる、こう実は出ております。そこで、さあその原因は一体何だろうかということを調べておりますけれども、これは率直にいって資料がありません。その前に、実はこういうものが悪臭を放つ原因であるという化学的なものが載っているのであります。それはニンニク、ニラのような悪臭の出る物質でメチル・メルカプタン、エチル・メルカプタン、プロピル・メルカプタン、アルキル・メルカプタン、いずれも液体であります。この物質は化合物で空気一リットル中に十億分の二ミリグラム存在しても人間を実に刺激する悪臭を放つ、こういうわけでございます。そうしますと、一万立方センチメートルの中に一立方センチメートルの油性の混合物は、化学的に見て十億分の二ミリグラム以上に相当するというふうに実は思うわけです、かりに先ほど申し上げましたような油性混合物が海上に投棄された場合には。そうしますと、これはいわゆる油による環境公害になっていくわけであります。したがって、この第二条で規定している一万立方センチメートルの一立方センチメートル以上であるということが、一体厚生省ではそういう観点から見て了解をされた量であるのかどうか。化学的に分析されてこれならよろしい、わが国海水油濁はこのくらいのものなら流しても悪臭は放たないというふうに厚生省では見られたかどうか。これをまずお聞きしたい。
  103. 坊秀男

    ○坊国務大臣 いまの精細なる数字のことにつきましては、私ちょっとわかりかねますので、政府委員からお答えをさせます。
  104. 橋本道夫

    橋本説明員 ただいま先生から御質問ございました一万立方センチメートルに対して一立方センチメートル、これは百PPMという数字でございますが、私どもの了解している範囲内におきましては、国際的に油の汚濁ということにつきましての水準を運輸省が採用されておやりになっておられることでございまして、国際的に別に日本だけが非常に悪いレベルのことをやっているものではないというように思っております。  もう一点、先生のおっしゃいましたメルカプタン類でございますが、これはいま申し上げました油が百PPMであるというのと、それがイコールメルカプタンが百PPMであるということとは全然違います。油の中に夾雑物が入っておる。その夾雑物が空気中に入って十億分の一PPMくらいになったときに鼻にもにおいを感ずるということでありまして、その海水中の油の濃度が十億分の一PPMという国際的な水準を採用した濃度と比較をして検討するということは、化学的には適切ではないのではないか、そういうふうに思っております。
  105. 大橋武夫

    大橋国務大臣 お答え申し上げます。ただいま加藤先生から御質問の生活環境保護の見地から考えると、海水汚濁ということだけに着眼することなく、悪臭を放つということについても着眼して防護措置を講ずることが適切ではないか、こういう御質問でございましたが、私どもといたしましては、いやしくもそれが油性混合物である場合におきましては、悪臭を持つと持たないとにかかわらず、一切これを防護しようというたてまえでございますので、油性混合物につきましては、悪臭を有するものももちろん取り締まれる、こういうわけでございます。油性混合物以外につきまして悪臭の取り締まりということは、この法律の目的の範囲外でございます。
  106. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 ですから私は先ほどから言っている。日本産業構造から見て、いま海水油濁を処理する法律案をつくるときには、他の国とは違った条件があるというのです。それを単に国際条約批准がここであるからということでその限界で法律案をつくられるのは何といっても日本政府が消極的だというふうに見ざるを得ない。先ほどの河上委員も、十三年前にあった法律がなぜ今日あるかという状態から見て、やはり政府側の姿勢といいましょうか、その辺に問題点があるような気がするのです。したがって、先ほど言いましたように、油性混合物の中に、ブタンの問題等も含めながら、一方の社会環境、公害問題と、一方の海水汚濁の問題、これとの関係を見ながら法律をつくるようにお願いをしたいと思うのです。  厚生大臣お急ぎのようでありますから一点だけお伺いしますが、五十海里という法律ですが、先ほど河上委員も言いましたけれども、たとえば海水浴客あるいは沿岸漁業ノリその他——社会環境衛生問題ですから海水浴客に限定していいのですが、それに支障がないものでしょうか。私の調べたところでは、鎌倉、葉山の海岸では四十年には油によごれた人は五百万人ですね。それに使った自治体の金は五千万円です。いま五十海里の沖合いに油を捨てれば、日本の地形から見て、潮流その他によって流れ込む海水浴地帯というものはないものかどうか。そういう点を、この法律案をつくる上に関係当局と打ち合わせてつくられたものかどうか、単に国際条約によってやられたものなのかどうか、その点をひとつお伺いしたいと思う。
  107. 坊秀男

    ○坊国務大臣 この点につきましては海上保安庁の専門家によく調査をしていただきまして、こういうふうにきめたわけでございますので、私といたしましては、これでさしたる障害がないものである、かように考えております。
  108. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 大臣、これから二十一世紀の法律ですから、一九五〇年代にこだわった法律条約というものよりも、日本はもっと先進的な角度、ものの見方、社会環境の見方をぜひとっていただきたいというふうに私は思うのです。
  109. 大橋武夫

    大橋国務大臣 ただいまの加藤委員の御説はとくと拝聴いたしました。
  110. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 そこで少し条を飛ばしますけれども、第十条のいわゆる適用除外規定。先ほど河上委員もこの辺を追及しておられましたが、百五十トン未満の油送船にはこの法律適用しない。しかも大臣答弁によりますと、この取り締まりは港則法による、こう言っている。いわゆる一万メートル以内には投棄してはならないという。そうすると、私は先ほど油送船のところで問題にいたしましたが、たとえばあとで御質問しますが、京浜運河で衝突事故を起こして火災を起こした第一太平丸ですか、これは百トンです。そしてこれが横浜市でやはり出しておりますけれども、こういう形で油性物を海洋投棄した場合には一体海水汚濁に対する防止ができるのでしょうか。と申しますのは、百五十トン以下、逆にいえば百五十トン未満の油送船というものは、たとえば横浜港にはどのくらい船があるかということが問題になってくるわけです。私の見た目では、たとえばだるま船あるいははしけ船というのですか、油送船、こうしたものがありますね、石油廃棄物を入れる船が。おそらく百トン未満が多いと私は思うのです。しかもそれが港則法によって一万メートル以外へ出れば投棄してもいいということになるわけですから、先ほどの大型船については確かに海水浴の問題は起きないかもしれませんけれども、もし小型タンカー、百四十九トンまでの船でやった場合には、そういう状態が起きるのじゃなかろうか。したがって、私は、港則法適用ではなくてこの法案適用をさせるべきではないかという見解なんです。港則法以外には拘束する法律が私はどうもないような気がいたしますので、この辺の見解をひとつお伺いしたいと思います。
  111. 大橋武夫

    大橋国務大臣 お説のとおり、港則法は港及び港の外一万メートル以内の海面だけに適用されるのでございますから、それ以外の海面につきましては、小型船は拘束をされないことになります。そうした海面に小型船から排出される油が海岸海水を汚染するであろうということは事実でございまして、またこれが一つ公害として取り上げる価値のある問題であるということも否定はいたしませんが、私どもは、さしあたり規定といたしましては、現在海上に投棄される油の九〇%を占めまするこれら大型船の油の投棄というものをまず取り締まっていこう、そうしてその後の問題として残された小型船の問題を取り上げていこう、こういうふうに一応段階的に考えておるわけなのでございます。と申しますのは、小型船舶は非常に数も多うございまするし、またその船主も一ばい船主的な零細なる企業者が多いのでございまして、大きな企業上の負担を一挙に命ずるということにつきましては、政府といたしましても、やはり金融対策その他の手当も必要でございまするので、その辺の準備をする必要もございまするし、また事実小型船から排出される油で海水が汚染されるというのは、現在の実情から申しますると、港内並びに一万メートル以内の水面で投棄される場合が大部分でございまして、まずそれの取り締まりを励行するということが先決問題であろう。したがって、この法律の励行並びに今後における港則法の励行によりまして相当海水の浄化が期待できる、こう思ったわけでございます。
  112. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 大臣ね、いま九〇%と言われましたけれども、全国的には九〇%か、統計資料を持っておりませんから言えませんけれども、石油コンビナート地帯ではその濃度はもっときついのですね、小型船による石油廃棄物の港湾汚染度は。小型船は一〇%ですから——そんなことは私はないと思う。それがたとえば千葉のノリの問題になってきたり、先ほど話しました湘南海岸地帯の油の流れによる海水浴客の汚濁という問題になっているのじゃないかと私は思うのです。したがって、とにかく一万メートル以上出て捨てることには、これはもう、いわゆる合法的なんですから、これを取り締まらずして——もちろん大型船の取り締まりは十分あるでしょうけれども、それ自身の取り締まり法規を何らかの形でつくってやらないと、いまの沿岸漁業の問題、それからこれから行なわれる海水浴客の汚濁防止というものは実際上はできないのじゃないでしょうか。私は鎌倉なり葉山のそれぞれの自治体の関係者に会って聞きましたけれども、実は法律がないんです、こう言うのですよ。この油の汚れから海水浴客を守るという公海上の法律は、いまないのです。ですから公害基本法でやるか何かでやられなければそれはできないのですと、こう言うのですね。  いま一つは、何といっても日本産業構造の今日の進歩というものが、大型船——これは国際条約の場合は五百トン、百五十トンで規制しても、先ほど言いましたように最大公約数的な規定でありますからいいとしても、日本のような国には、河上委員が言いましたように、たとえば二十トン、五十トン、最低見ても五十トンでしょうか、それくらいの船までタンカーについては規制をすべきだ、私はこういう考え方を持っているのですが、これはどうでしょう。
  113. 大橋武夫

    大橋国務大臣 大体タンカーが油性の汚物を海上に投棄するおそれのある場合というものを考えて見ますると、これは貯油場からタンカーに油を積み込むとき、その際にタンカーの中を掃除いたしまして、そしてその悪水を排水するというように現在なっておるわけでございます。そこで、今度この法律と同時に予算措置を講じまして、コンビナートないしは石油精製場のあるような港におきましては、そういう小型船から吐き出しますところのそういう水を受け入れる施設を講ずることにいたしまして、その施設に排出する以外に海面にこれを捨てることを禁止いたすことにいたしました。したがって、そういう前提のもとに、将来小型タンカーがどういう場合に油を海面に大量に放出するであろうかといいますると、その放出すべき悪水をわざわざ放出のために一万メートル沖へ出て放出するというようなことが、しいて言えば考えられるのじゃなかろうかと思うのでございますが、小型船にとりまして一万メートルただその悪水を捨てるためだけに往復するということは、経済効果から考えましても考えられないことでございまするので、事実上は御心配のようなケースはほとんどなかろうというのが、私どもの見通しでございます。
  114. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 いまのことはわかりました。それでいいと思うのです。問題は、先ほど私は横浜の例で御紹介申し上げましたように、先ほど言った混合物の問題がどうしても私はひっかかるわけです。いわゆる石油精製過程から起きる廃棄物ですね。この中に一万立方メートルに対して一立方センチメートルあった場合にどうするか。しかも、それが非常に悪臭を放つという事例がこれは事実あったわけですから。
  115. 大橋武夫

    大橋国務大臣 加藤委員の御指摘になりましたのは、これは特殊の生成物だろうと思いますので、ただいまのところ、私ども運輸当局といたしましては、その方面の十分な知識を持ち合わせておりませんので、これ以上ただいまお答えができかねます。しかし、今後法律の実施に伴いまして、御指摘のような方面にも十分に調査をいたし、そうした公害を防ぐために必要あがれば将来立法上の措置をも考えてまいるようにいたしたいと存じますので、どうぞさよう御承知を願います。
  116. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 明快な答弁でわかりました。これは新しい日本産業構造、技術革新上起きるゆゆしい問題ですし、これから論議される公害基本法との関係も非常に密接な問題ですから、ぜひ運輸当局でも勉強していただいて、そういうことが起きない法律わが国でつくる、そういう立場で御検討願いたいと思います。  いま一つだけ法律について。これは簡単な質問ですが、第七条に適用しない条件をいろいろ書いております。船舶の安全確保、それから損傷の防止、海上における人命救助、これで思い出されるのは例のドーバー海峡における衝突座礁事故によるイギリス沿岸の油濁問題ですね。私は、日本の場合にああいうことが起きないということは実は想定できないわけです。可能性はあるわけですね。しかも、大臣御存じでしょうけれども、観音崎のあの入り口、特に入り口はたいへんな船舶の込み方で、いつ座礁あるいは衝突事故が起きるかということは、予測されないというような状態でないんですね。そこで、私はまず大臣に将来の問題としてお願いを申し上げておきたいのですが、この日本海水汚濁防止はもちろんでありますけれども、国際条約を今後改定をされる会議に、イギリスにおけるああいう事故が起きたときに一体どうするのかという国際的な取りきめといいましょうか、ひとつぜひお願いをしておきたいと思うのです。私ども、外国のことですからよくわかりませんが、あの場合にフランス沿岸には到達しないからということでフランスの積極的な協力がなかったとか、あるいはイギリスは何とか作戦というのを遂行したけれども、なかなか効果的な——イギリス一国ではできなかったというような例等があったように聞いております。したがって、これから十五万トン、二十五万トンというタンカーが建造され運航されておるわけですから、そうなりますと、公海上かりに五十海里以上の地点でも、ああいう問題が起きたときに、日本のように沿岸が全部海面で囲まれている国は非常に大きな問題を起こすと実は思っているのです。したがって、国際会議でそういう問題が提起されたときには、その事案を二つとらえてみて、一体国際条約なりあるいは国際的な取りきめとしてどういうことを行なったらいいのか、各国間の協力はどうすればいいかということを日本の国から提起していただきたい。そういうお考えがあるかどうかという点をお聞きしておきたい。
  117. 大橋武夫

    大橋国務大臣 実は今月の初めに、先般の英仏海峡における経験に基づきまして、ロンドンにおきまして、国連の下部機構であります国際海事機構の理事会が招集されました。この会議の議題は、先般のような事故に対処する国際的な協力、またこれを防止する方法、こうしたことについての将来の損害の取り扱い、こういったことについて国際的取りきめをする必要があるのではなかろうか、こういうことがこの会議の議題でございました。その会議におきましては、特にまた必要な部会等も設けられまして、ただいま詳細に検討されているのでございまして、わが国からは、ここに出席いたしております鈴木議官が代表として急遽出席いたしてまいったような次第でございます。私どもも、わが国の地位というもの、地理的な位置というものから考えまして、先般の事故は決して人ごとではないという感じを持っておりますので、いろいろと検討を加え、国際会議に協力をし、われわれの意見も十分反映させてまいりたいと思います。
  118. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 それでは法律に関する質問は一応いまの点で打ち切りますが、いまの点はわが国の問題もさることながら、わが国大型タンカーを持っているという国際的責任、私はその立場のほうが、諸国に対する日本の国の立場という点から見れば重要だと実は思うのです。もちろん国内も重要でありますが、国際的にそういう責任をわが国が率先して負う、そこにわが国産業の発展、国際経済協力関係が大きく樹立されるというように私は思いますから、ぜひひとつ国際舞台における本問題の取り扱いは積極的にお進めをいただきたいというように思います。  それでは国内の問題、いまの関連法規等とは多少ずれるかもしれませんが、横浜港に最近入ってくる船は一年間に三万七千百九隻だそうです。原油、重油の輸入量は千五百二十九万トン、その輸入量は他の物資に比べて六四%だそうです。ですから六割五分いわゆる石油、重油、原油の輸入港に実は横浜港はなっているわけです。しかも、それを受け入れる京浜地帯には千三百六十二基のタンクがあります。四百八十万トンの原油、重油を入れるタンクが存在しているという状態であります。ここで問題になりますのは、一体これだけの船の往来と石油の輸入がある横浜港の消火能力というものはどのくらいあるものだろうか。実は私は河上先生と共同で、私は横浜を、河上先生に神戸港を調査していただいたわけですが、加藤君、実は神戸港もこれに対する消火能力がないのだという、こういう調査だったそうです。私どもが聞いた範囲でもきわめて微弱で、もし一たん火災が起きた場合にはどうなるのだろうかという心配が実はあるのですが、この辺のまず消化能力についてお聞きしたいと思います。
  119. 大橋武夫

    大橋国務大臣 タンカーの大型化に伴いまして、その火災に対する配慮というものが大事になっておることはもとよりでございまして、私どもは何よりもまずタンカーの衝突事故による出火を防止したい、こういう考えで、特に東京湾内におきます航路の整備、航路標識の建設、あるいは航行の規制、こういった点を検討いたしまして、できれば明年度予算にも要求を実現するように努力をし、必要があれば来年の通常国会には法案の提出もいたしたい、こう思ってただいま勉強中でございます。同時に、不幸にして出火いたしました場合には、科学消防力によりまして万全を期さなければならぬと思うのでございますが、ただいまのところ消防力が決して十分とはみずからも言い切れない状況でございますが、おおよその概況につきまして海上保安庁の担当官から御説明を申し上げます。
  120. 猪口猛夫

    ○猪口説明員 港湾におきます消防体制は、御承知のように陸岸を海上にあるわけでございます。海上に浮上しておりますタンカーを対象とする海上消防の面から先生の御質問にお答えいたしますと、消防能力を持っております海上の舟艇は全国で約二百十六隻ございます。そのうち、いわゆるタンカー等の火災に有効であります化学消火能力を持っております船が大体四十六隻ございます。京浜港の例につきますと、水上消防あるいは地方公共団体のタグボートに消防ノズルをつけるという措置も講ぜられておりますが、海上保安庁の専門の消防艇が二隻ございまして、これには、過般の室蘭港におきますヘイムバード号事件の経験に照らしまして、従来の消防艇を改装して、やぐらつきのノズルに改装するというような措置をとったものが二隻ございます。阪神間において二隻、それから伊勢湾、名古屋におきまして一隻、それから関門に二隻というような状況でございます。
  121. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 化学消火能力を備えた船が全国で四十六隻ですね。昭和四十年五月にいま御説明がありました室蘭の火事があったんですね、衝撃による火災が。一体四十年の五月から今日現時点までにどのくらい化学消防艇はふえたんでしょうか、これがまず第一です。  それから、京浜港に海上保安庁の船が二隻——この四十六隻というのは自治体のも含めてでしょうかどうでしょうか、私はわかりませんが、横浜港の場合には、御承知のように横浜市が持っている消防艇がありますね。一体それらを含めて、かりに京浜港に例にとりますと、どのくらいの油が流れたときに対応できる消火能力なんでしょうか。たとえば十万トンのタンカーがもし衝突事故を起こして火災を起こした場合に、いまの京浜港の消火艇で能力があるのかどうか。この二つの点をひとつお聞きします。  室蘭港以降どのくらいの船がふえたのか、それから、京浜港における消火能力は一体いまの時点で、京浜港だけの船でどのくらいのいわゆるタンカーが火災を起こしたときの消火能力があるのか。
  122. 猪口猛夫

    ○猪口説明員 室蘭のヘイムバード号事件以降改善されました海上消防体制は、先ほどもちょっと触れましたが、従来はいわゆる高いやぐらを持っていない消防艇でございましたが、それが先ほど申しました七隻ございましたのを急遽改装いたしまして、六メートルのやぐらをつけまして、その上にノズルをつけた。そしてなおかつ化学消防力を付与したという改善をしただけでございまして、隻数につきましては新しくふえておりません。そのほか、私のほうの巡視艇には、室蘭事件以後約二十二隻ばかり巡視艇が新造されましたが、その船には、全部化学消火能力をつけさせております。しかし、これは御承知のように消火艇という専用艇ではございませんので、いざ火災が起きたというときには消火の役目を果たしますが、いわゆる専用艇としては先ほど申しましたような実情でございます。  それから、そういう現状において十万トンのようなタンカーに役立つかというお話でございますが、これは残念ながら、現状では役立たない状況でございます。つきましては、室蘭港事件以来、大型タンカー用の化学消防対策といたしまして、大型化学消防艇の建造を海上保安庁では企画いたしまして、例年大蔵省と折衝しておるのでございますが、本年ようやく、四十三年度から建造に着手するという前提で設計費がつきました。これが建造に着手いたしますれば、大体十万トン以上のタンカーにつきましても効力のある十五メートルぐらいのやぐらを備えた百五十トン内外の大型化学消防艇ができるわけでございます。これで一応——現在のタンカー消火対策といたしましては、海上保安庁では十分ではございませんが、そういうような体制で、あるいは対策で臨んでいる次第でございます。
  123. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 大臣、いまお聞きになったとおりで、先ほど私が話しましたけれども、京浜港一つとりましても、重油、原油の輸入量は千五百二十九万トンですね。それから、沿岸のタンク四百八十万トン、これに対する消火能力というものはきわめてもう微力ということばじゃ尽くせないほどだろうと思うのです。私はもし、こんなことはあってはいけないことですけれども、かりに室蘭のような衝突事故と、それから新潟地震のような毛のが一緒に起きたということを想定した場合に、一体どうなるかということを考えますと、りつ然たるものがあるわけです。新潟の場合には、地震によるいわゆるタンクの海面への流出、地震がもし起きて横浜港内の十万トンタンカーが埠頭の岸壁にぶつかって火事を起こした、しかも陸上のタンカーが地震によって被災をし火事が起きた、その場合の消火能力はないということですよ。これは重要なことだろうと私は思うのです。しかも、私の聞いているところでは、海上保安庁なりあるいは自治体のそういう要求に対して常に大蔵省で予算が削られているという話を聞いているわけです。いまもお聞きしますと、大型建造に対して昭和四十三年度までに設計費が計上されたということですね。私は、これはあまりにも無策過ぎるというふうに実は思うのです。これだけ石油鉱工業が発展をし、しかも港の輸入量の六四%が原油、重油であるという今日、この消火、いわゆる一方における人間尊重といわれる面のこういうものが予算措置が講じられていないのは、何といっても、これは運輸省、海上保安庁のほうが弱腰なのかどうか知りませんけれども、やはりこの辺はきちっと取るべきものじゃないかと思うのです。しかもこれは、例としては四十年の五月にもあったことですし、それからドーバー海峡の問題もあったことですし、国際的なそういう協力をする意味でも、わが国は、そういう消火能力を持つ大型消火艇の設備には万全を期せられる必要が私はあると思うのです。  いまここに京浜運河の事故の際にも、川崎の消防局長が、将来はこうすべきだという意見書を出しておられる面があるんですね。これは昭和三十七年の事故です。このときの船は二万トン前後ですからさしたる大きな船とはいえませんけれども、そのときに将来こういうことをしなければ防火作動はできにくい、こう言っているのですね。それは「この種船舶火災に対応する消防艇は大型鋼鉄船で次の装備を必要とすることが痛感された。」として、第一に、火炎に包まれたときの自衛措置としての噴霧装置をどうしてもつけなければいけない。二番目には、高所の放水塔がどうしても必要だ。いま十五メートルと言われましたけれども、今度できました出光丸ならどのくらいでしょうか、海面からはおそらく二十メートル、いや二十五メートルぐらいにはなるのじゃないでしょうか。十五万トンタンカーですか、いや今度できました二十万トンタンカーですか、もっと高くなると思うので、十五メートルではどうかと思うのですが、いずれにしても高所放水用として屈伸可能で、はしご兼用にもなる放水塔を備えた大型消火艇が必要ではないか。三番目には、近接戦法、輻射熱防備のための消火だてをどうしても必要とする。この三つと。いま一つ問題のあるのは、こういう火災が起きたときに、小型船舶の運航が激しいことをとめなければいけない。特に小型船舶の場合には船内で炊事を行なうというわけです。その炊事による火の引火ですね、これがさらに火災を拡大をする。したがって、大型タンカーの衝突による火災が起きた場合には運河、港に対する小型船舶の運航は禁止すべきではないか。おおまかにいえば、こういう四つほどの意見を出されておるわけです。昭和三十七年ですよ。さらに室蘭の事故につきましては、もう保安庁御案内でしょうけれども、きわめて明細な事故現場の模様その他が全部出ているわけですね。昭和三十七年から今日昭和四十二年です。昭和四十二年に初めて大型鋼鉄船の設計費だけを国で予算計上するなんということは非常にマンマンデーで、おそ過ぎるきらいがあると思うのです。しかも一方の石油の消費量はどうですか、日本の場合にはどんどん急角度に上昇しているわけですよ。先ほど今度の汚濁防止に関する処理施設の問題が出ましたけれども、これも六カ所ですね。これらの港にはほとんどこういう消火設備が必要だ私は思うのです。そうしますと、この消火能力の拡大という問題は、目下の急務の問題として運輸大臣はお考えを願わなければいけないと思うのです。先ほど新しい法案を実は考えているのだということがありましたから、ひとつその際には設備能力——海上保安庁はどうもお願いをするほうで、予算要求には少し弱腰ですから、大臣のほうから応援をしていただいて、この横浜、神戸、いわゆる港湾の近所に住む住民が安心して生活ができる、そういう設備をぜひともお願いをしたいと思うのです。  それから最後に一つだけ聞きますが、消火に対する行政上の一元化が実はどうしても必要だと思うのです。これは保安庁も御案内でしょうけれども、海上火災に対する業務協定は昭和二十四年の作成でありますね。昭和二十四年に国家消防本部と海上保安庁との間に業務協定が実はなされているわけです。いまから十八年前です。そうしますと、私の判断では、この昭和二十四年の業務協定では、実はこの港湾火災に対する措置ができない。たとえばいま予防火災あるいはかん詰め火災というやつがあるわけですね。公海上火災を起こしたやつが港に入ります。港に入った時限までは海上保安庁の扱いであります。岸壁に接岸しますと、これは自治体の扱いであります。たとえば横浜の市の扱いになるわけですね。私は今度法案を見てびっくりしたのですけれども、港務局に消火に対する責任があるのですね。私はどの範囲であるかちょっとわかりませんけれども、海上保安庁、港務局、さらに横浜だったら横浜市、そういうものが断片的にそれぞれの責任を負うという形になっているわけです。しかもいま言いましたように、かりに十万トンの石油タンカーが火災を起こした場合には、公海上あるいは港の内部ならば海上保安庁の責任で、それに自治体の応援を求めるという体制でしょうけれども、先ほど言いましたように、京浜運河の場合に、陸上に引火した場合にはまさに今度は四百八十万トンの石油に引火してどうのこうのという問題が起きてくるわけですね。そうなってまいると、昭和二十四年に海上保安庁と国家消防本部で協定されたこの業務協定では、今日の大型タンカーによる火災に対する対応能力措置としては行政上不備を生ずるのではないかと思いますが、この点について海上保安庁あたりは御経験があるでしょうから、こういう点はこう直したいという意見があれば、大臣でも海上保安庁でも御答弁願いたい。
  124. 大橋武夫

    大橋国務大臣 お説のとおりに二十四年に協定ができておりまして、船舶につきましては、接岸またはドックに入っておりまする船の消火を含めて陸上施設の消防は陸上消防、それから海上にある船舶の消防は海上保安庁、こういうことに相なっておるわけでございます。この間において港務局が消火について責任を持っておるという問題もございまするが、港務局は御承知のとおり港湾管理官庁でございますので、いろいろ港湾施設を持っております。したがって、自己の保有する施設について港務局が消防の責任を負うておるわけでございまして、一般的な消防責任は、先ほど申し上げました二十四年の協定できまっておるのであります。  ところで、これでは古過ぎるのではないか、もっと改善すべき余地があるのではないかという御意見につきましては、全く同感でございまして、関係者の間におきましても、一般的にはこの協定でやるにしても、大規模な火災の場合においてはとうていこの協定だけではいかないだろう、こういうことでございまして、いま関係者の間には、大規模火災を想定いたしまして、この協定を何とか補う必要があるというので目下研究中でございます。
  125. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 この協定を補うのでは、私はどうも答弁としては不満足なんです。たとえば室蘭のときの状態をお聞き取り願いたいと思うのですけれども、あの場合には米軍の消火能力まで借りて実は消火に当たったわけですね。そうしますと、海上保安庁と国家消防本部との間の業務協定の改善では済まないと私は思うのです。あの程度の火災でもですよ。私は、どうしても大型タンカーの出入する港の消火体制については、特別法をやはりつくる必要があるのではないか、特別に法案をつくって、それに対する一元的な行政、消火指導といいましょうか、そういうものをつくる必要があるのではないかというふうに実は思うわけです。  いま一つ陸上で問題になりますのは、単に火災問題だけではなくて、たとえばそれだけの油が燃えたときに起きる一酸化中毒の問題、あるいは重油の場合には亜硫酸ガスが出るかどうかわかりませんけれども、やはり一般火災に関係なく起きる社会環境上の問題ですね。そういうことを考えますと、単に消火という側面だけではなくて、もちろん消火も重要ですけれども、いまの日本の消火能力でできないとすれば、米軍の——米軍といいますか、この前はアメリカのいろいろなものをお借りして消火に当たったわけですから、そういうこと等も含めて、幾つかある日本の石油輸入港あるいは石油から製品化される製品の移出港、たとえばLPGを国内向けに移出する港がもしありとすれば、あるいはそういう港については特別な法案といいましょうか、措置ができる法体制というものを、先ほどの大臣答弁にもありましたように、港湾の法の改善をする際に考える必要があると思うのですが、これはどうでしょう。
  126. 大橋武夫

    大橋国務大臣 ただいま申し上げましたるごとく、二十四年の協定ではまかなえないということは、大規模火災については痛感いたしておるのでございまして、これに対する対策を研究中でございますので、まだ研究の結論が出ておりません現段階におきまして、法律改正が必要かどうかということについては、にわかにお答えをいたしかねますが、御趣旨のような点をも考慮に入れまして、今後ともすみやかに結論を得るように研究を進めさせていただきます。
  127. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 それでは結論を申し上げます。  先ほど私は法案に対するものの見方、日本の立場から見た法律をつくる角度といいますか、姿勢といいましょうか、そういうことについても、一つの留意をしてもらう点を要望申し上げました。さらにこの法律からくる国際的な日本の責任、国際条約における審議の際の日本の国の立場、あるいは日本の国の姿勢、これを申し上げました。三番目に、とにかくこれだけ産業が発展をして技術革新が激しい日本の場合には、一方における高度成長政策、一方におけるやはり社会環境、人間尊重という施策が、たとえばいま言った消火の問題一つとらえてみても、これだけのひずみがあるわけです。ですから、いま言った幾つかの点を十分留意し、あるいはこれからの施策の中に取り入れていただいて、日本の国民、一般市民が安心して生活ができる条件をつくってもらいたいということを要望いたしまして、私の質問を終わります。どうも失礼いたしました。
  128. 大橋武夫

    大橋国務大臣 ありがたく了承いたします。
  129. 八木一男

    八木委員長 島本虎三君。
  130. 島本虎三

    ○島本委員 まず私は、船舶の油による海水汚濁防止に関する法律案、これの審議にあたって、条約批准され、当然国内法が実施された場合に、通産行政には影響があるのかないのか、これによって通産省はよしと考えるのか、重しと考えるのか、この辺政務次官がきておられるようですからお伺いいたしたいと思います。
  131. 宇野宗佑

    ○宇野政府委員 公害がやかましく言われておるときでもありますから、この条約並びに法律がすみやかに成立することをわれわれといたしましても願っておるわけであります。したがいまして、その内容において通産行政上重大な影響があるとか、あるいはまた支障を来たすというような面はないと私は存じております。
  132. 島本虎三

    ○島本委員 それを聞いて安心しておるわけであります。公害基本法も当然出され、これに関連する船舶の油による海水汚濁防止に関する法律案も全然異質なものでないわけです。同質のものになるわけです。そういうような観点からしても、今後通産行政としても、こういうようにして海水汚濁防止に関する件とか、公害等に類するようなものが、いわば加害者的な立場からあまりにもこれを擁護し過ぎるような姿勢をとるのであれば、法ができてもまさに仏つくって魂が入らない、こういう状態になる危険性もなきにしもあらずだと思います。今後通産省の立場としてはなかなか重要な問題を控えておると思いまするから、こういうような問題についてもあわせて御意見を伺っておきたいと思うわけです。
  133. 宇野宗佑

    ○宇野政府委員 本件に関しましては、いわゆる重油並びに原油、これにサルファが相当入っておりますので、海水汚濁の問題あるいは水質保全法に基づく河川汚濁の問題等々ございます。したがいまして、公害基本法における一おそらく島本委員のほうは経済との調和ということを頭においての御質問ではないかと思いますが、それはそれとして、先般来大臣説明してまいったところでございます。したがいまして、特に今回問題になっておりまするところの廃油等に関しましては、通産省といたしましてもこれを未然に防ぐだけの技術の開発もやっていかなくてはなりません。あるいはまたタンカーの問題が先ほどから議論されておりましたが、経済性ということから考えますと、タンカーの大型化もやはり考えなくちゃならないでございましょうが、それと同時に安全性ということも考えなくちゃなりませんので、通産行政の一環といたしましては、タンカー等によって原・重油が輸入される基地、そうしたものを建設してはどうかというので、本年度予算におきましてそれに関する調査費を計上いたしておるような次第でございます。
  134. 島本虎三

    ○島本委員 運輸大臣にお伺いいたしますが、第十条による本法の適用除外がございますが、これは具体的に申し上げてどういうふうなことになるわけでございますか。
  135. 大橋武夫

    大橋国務大臣 第十条はごらんいただくとおりでございまして、一般船舶につきましては総トン数五百トン未満のもの、それからタンカーにつきましては総トン数百五十トン未満のいわゆる小型船についてはこの法律による制限は適用しない、こういう意味でございまして、それ以上何も意味はございません。
  136. 島本虎三

    ○島本委員 海上自衛隊の自衛艦は、これは当然適用になることに相なりますが、そうなりますか。
  137. 大橋武夫

    大橋国務大臣 このトン数以上のものは当然適用になります。
  138. 島本虎三

    ○島本委員 聞くところによりますと、排水トンであるとか、またトン数の基準がそれぞれ商船の場合と違っているかのようにも聞いておりまするけれども、そういうような制限は一切ないのでございますか。
  139. 大橋武夫

    大橋国務大臣 総トンで統一して規定をいたしてございまするので、個々の船舶につきまして総トン数を測定して適用するかいなかということの決定をいたすわけでございます。
  140. 島本虎三

    ○島本委員 そういたしますと、当然この適用内にある自衛艦も本法の適用を受け、規制を受けるものである。こういうように解釈して差しつかえないわけですか。
  141. 大橋武夫

    大橋国務大臣 そのとおりでございます。
  142. 島本虎三

    ○島本委員 この場合は、海上自衛艦と同じような立場をとる日米安保条約によるところの米艦はどういうふうなことになりますか。
  143. 大橋武夫

    大橋国務大臣 第十条第二項に、「前二条の規定は、日本船舶以外の船舶には、適用しない。」、こういうことがございまするので、これによりまして適用を除外されますし、外国軍艦につきましては国内法が必ずしも適用されないという慣例もございまするので、これらのいろいろな理由によりまして、米国の軍艦には適用されないわけでございます。しかしながら、こういう法律ができました以上は、十分先方にも申し入れをいたしまして、これに協力してもらうように最善の努力を尽くしたいと思います。
  144. 島本虎三

    ○島本委員 後段の問題は理解できます。条約批准したあとでも、これは全然適用を受けない原則があるとすると、そういうような被害が明確になった場合のそれに対する日本政府の態度はどうなりますか。
  145. 大橋武夫

    大橋国務大臣 御承知のとおり、この法律は一応の適用の範囲を定めてはおりますが、これの基本になるところの国際条約があるわけでございまして、この国際条約につきましては米国もそれを批准いたしておるわけでございますので、この法律の持っておる精神については、米国政府も十分協力する意思があるものと考えられますので、私ども、施行後の日本海岸海水汚染の問題につきましてはさように心配をいたしてはおりません。
  146. 島本虎三

    ○島本委員 この法律にいわば違反するような事項があるかないかということ、油濁についての監視はどういうふうになすっておられますか。
  147. 大橋武夫

    大橋国務大臣 これは罰則規定がついておりますので、一般海上犯罪と同様に海上保安庁の船艇が監視をいたしますし、また、これを現認いたしました人たち、あるいは被害者等から告訴、告発等の措置が出ましたならば、これに基づいて刑事当局は捜査を開始してくれるものと思います。
  148. 島本虎三

    ○島本委員 海上保安庁のほうでは、こういうような違反事項があるかないかという監視は、どういうようにしてやるつもりですか。
  149. 猪口猛夫

    ○猪口説明員 この法律が施行をされますれば、この法律の各条項を確実に励行せしむるための監視体制をつくりたいと思っておりますが、これは御承知のように沿岸五十マイル以内が対象海域になりますので、その海域にわたりまして、沿岸の私たちの基地から巡視船艇を必要なつど、あるいは定期的に前進哨戒をさせる、あるいは航空機によって空から監視するという二本立ての監視体制をつくる所存でございます。
  150. 島本虎三

    ○島本委員 空からの監視並びに船舶によるところの監視、これによって現在日本で保有している商船並びにこれを適用する船舶の数に対しての監視体制は十分ですか。
  151. 猪口猛夫

    ○猪口説明員 この法律がまだ施行されていない現在においても、私のほうの航空機によりまして、油を排出して逃走する船舶を把握いたしまして、巡視艇と共同行動をとりまして摘発した事例もございますので、この法律が施行されますれば、より一そうの体制並びに権限が付与されることになりますので、監視体制はより容易になし得るのではないかと思っております。ただし、いま先生がおっしゃいましたように、現在のおまえのほうの能力で十分であるかと言われますと、必ずしも万全であるとは申し上げられませんが、与えられました巡視船艇並びに航空機によって全力を尽くしてその監視体制の万全を期したいという所存でございます。
  152. 中谷鉄也

    中谷委員 関連して。島本委員のほうから、念のためにということで質疑がありました点、私のほうも一点だけお尋ねをしておきます。  防衛庁組織令によりますと、その八十一条には「艦船」ということばが使われておりますが、いずれにいたしましても、本法案の第二条にいう船舶の中には、現に防衛庁が保有しているところの艦船は含まれるのか、先ほど大臣のほうから御答弁がありましたが、念のために重ねてお答えをいただきたいと思いますが、よろしゅうございますか。
  153. 大橋武夫

    大橋国務大臣 本法案におきまする船舶の定義中には、防衛庁のすべての艦船を包括いたしております。
  154. 中谷鉄也

    中谷委員 非常に蛇足になると思いますが、重ねてお尋ねをいたしておきます。防衛庁で保有しておりますあらゆる艦船を含むというお答えで、すでに尽くされていると思いますが、「海上航行の用に供する船舟類をいう。」というように法の二条は相なっておりますが、要するに防衛庁の保有するすべての艦船、これは当然潜水艦等も含む、そういうことになりますね。
  155. 大橋武夫

    大橋国務大臣 潜水艦といえども、やはり海上を航行する場合もございますので、含むわけでございます。
  156. 中谷鉄也

    中谷委員 法案の第九条によりますと、油記録簿についての記載があるようでございます。油記録簿については運輸省令で定める事項を記載しなければならない、こういうふうに相なっております。そうしますと、要するに防衛庁組織令にいわれているところの艦船等について——いわゆる運輸省令で定めるところの油記録簿というのは、他の船舶と異なる油記録簿を省令で定めるものではない、油記録簿というのは、あらゆる船舶について同一の形式のものを省令で定めるということになるのかどうか。もう少しこの点については私のほうから補足いたしておきますが、実は第二条で特に船舶という文言についての定義があるわけですけれども、いわゆる船舶法にいうところの船舶、すなわち、第一条の一「日本ノ官庁又ハ公署ノ所有ニ属スル船舶」、この中に防衛庁の艦船等も私は入ると思うのですけれども、要するに「日本ノ官庁又ハ公署ノ所有ニ属スル船舶」についての、本法案適用を受けると思われる船舶についての油記録簿は、その他日本国民の所有に属する船舶などとの間には差異がないのだ、同じものを備えつけしめるのだということにお聞きしていいかどうか。
  157. 大橋武夫

    大橋国務大臣 まだ省令の詳細まで検討いたしておりませんが、ただいままでに研究しておりまするところでは、政府所有であろうと民間所有であろうと、この油記録簿の目的は、本法案の実施並びに監督に資するためでございますから、同一様式によらしめる考えでございます。
  158. 中谷鉄也

    中谷委員 要するに船舶の油による海水汚濁防止、こういうことの非常な社会的な要請があった、こういうことでこの法案が提案されたわけでございますけれども、いわゆる問題のビルジ排出防止装置、これの現状についてお聞きいたしたいと思いますけれども、現在のいわゆる官庁、公署の所有に属する船舶等については、すでにこの防除装置については取りつけされているのかどうか、この点はいかがでございましょうか。
  159. 大橋武夫

    大橋国務大臣 大型船はほとんどやっておると思いますが、小型船舶につきましては、あるいはないものもあるかもしれません。特に船舶をたくさん持っております海上自衛隊等と、この法律の実施について打ち合わせましたところでは、設備の現在ないものについては、この法律が成立次第、自衛隊において必ず装置をつける、こういう話し合いに相なっております。
  160. 中谷鉄也

    中谷委員 そうすると、同じく島本委員の質疑の補足に相なるわけですけれども、米軍の艦船、艦艇等については、本法案の趣旨に従って協力の要請をする、こういう大臣の御答弁でございましたが、米軍の艦船についてはすでにビルジ排出防止装置等は設置されているのかどうか、あるいはそういうふうな設置されている艦艇はどの程度なのか、あるいは設置されていないものはどのくらいの割合なんだということは、大臣のほうで御認識があるのでしょうか。それとも全くそれは、米軍は迷惑をかけることはないだろうという一つの推定、希望的観測でありまして、そのようなことはまさにわからないのだということに相なるのか、この点いかがでございましょう。
  161. 大橋武夫

    大橋国務大臣 御承知のとおりすでに米国政府は、この法案の基礎になっておりまする国際条約批准し、これに必要なる国内法を米国国内において実施をいたしておるわけでございます。米国船艇の大部分は米国内の港に出入いたしておるわけでございまするから、国内法の要求する要件にかなっておるものと考えるべきでございまして、私は、所要の艦艇については大部分そういう装置はすでにあるもの、こう考えておるわけでございますが、なお、ごもっともな御心配でございまするので、法案実施までの間に至急に取り調べまして、また具体的に米国に対して協力方をはっきりさしてまいりたいと存じます。
  162. 中谷鉄也

    中谷委員 関連でありますので、次会に詳細な質問をさしていただこうと思いますが、大臣の御答弁、若干気にかかる点がございます。と申しますのは、条約加盟国だからという御答弁でございますが、条約によりますると、第二条でございますか、私の読み違いであれば恐縮でございますが、第二条で、海軍艦艇及び補助船については適用除外船舶に相なっておりますね。したがいまして、何かその点について米国は条約加盟国だからという御答弁との間に、除外になっているという点、気にかかる。いま一つは、これは内閣委員会において論議すべきことですけれども、島本委員同様、いわゆる自衛隊の艦船なるものはこの法案適用を受けるのだという点を明確にいたしたかったわけです。いずれにいたしましても、第二条との関係において、条約加盟国だからということで理解してよろしいかどうか、もう一度御答弁いただきたいと思います。
  163. 大橋武夫

    大橋国務大臣 まず第二点から申し上げます。わが国の自衛隊の保有する艦艇は厳格にこの法律適用を受けるということをお答え申し上げておきます。  第一点でございまするが、私の申し上げましたのは、アメリカがこの条約批准国だからということを申し上げたのじゃなくて、批准国であるから国内法において重要なる港湾には制限をしている、米国の艦艇はそういう港湾に出入する関連を持っておるから、おそらくそういう装置を持っておるであろう、こら申し上げたのでございます。この点は、さきにも申し上げましたるごとく、確かめた事実ではございませんので、これは一方的な推定でございまするから、まことに恐縮でございまするが、先ほど申し上げましたるごとく、もう少し時日をかけまして十分に調査をいたし、米軍の協力を十分確保するようにいたしたいと存じます。
  164. 中谷鉄也

    中谷委員 では、委員長及び大臣にお願いしておきたいと思いますが、結局、この点については御調査いただけるというふうにお聞きしておいてよろしゅうございますね。
  165. 大橋武夫

    大橋国務大臣 調査を進めます。
  166. 中谷鉄也

    中谷委員 終わります。
  167. 島本虎三

    ○島本委員 いま言うように、いろいろな重要な問題もはらんでおるわけであります。ことにこの問題等については、先ほどいろいろな論議の中にもあったように、大臣が単にこれは告訴、告発があってからこれをやるというような消極的な立場をとるよりも、進んでこういうような点を調査するという保安庁側のはっきりした準備が必要になるわけであります。そういうようなことには現在十分であるのかないのかが心配なのであります。これが十分であるならば、あえてこういうような質問はしなくてもいいわけですけれども、偶然ヘリコプターでとったのが新聞で大きく報道されて、これによって万全であるという印象を与えられておるわけであります。しかしながら、ヘリコプター並びに保安庁の有する艦船が、現在日本の港に出入するそういうような艦船と比較してみて、まだまだ不足じゃなかろうか。こういうような体制が十分であるようにするためには、今後いろいろと予算措置上またはいろいろこういうような配慮が必要であり、その大の柱が運輸大臣になるわけですから、運輸大臣のほうで、そういうようないわゆる監視体制についても、十分この辺は留意しておいてもらいたい、こういうように思うわけなんですが、この点よろしゅうございますか。
  168. 大橋武夫

    大橋国務大臣 十分御趣旨のあるところは実行いたしたいと思います。
  169. 島本虎三

    ○島本委員 大臣がそういうようなことを言いながらも、なおまだ心配な点があるわけです。おまえは名前のようにくどいと言うかもしれませんけれども、しかし私は、現在のような情勢の中で、先ほど加藤委員がいろいろと、いわゆる港の油をもとにしたところの不祥事件、火災だとかまたは衝突による港をよごした問題等についての質問があったわけであります。そういうような一連の関連の中から、現在のような港の中で、これもやはり大臣がいろいろとそれの責任を持っておられる立場にあるわけでありますけれども、衝突事故だとかまたはいろいろこれに類するような被害、こういうようなことがあってはまた何もならないわけです。ふだんだけ取り締まっても、油送船が何かの機会に衝突事故でもあったりして、港の中でこういうようなことがあった場合は取り返しがつかなくなってしまう。こういうようなおそれがある問題に、港の入り口にある灯台があるわけです。あの灯台の光は、これは各港によってみなまちまちなようであります。こういうようにしてみますと、事故を防ぐという立場からしてみても、港の入り口に現在ある灯台の光、こういうようなものに対しては、保安庁あたりでも十分配意しているものであると思いまするけれども、現在の日本じゅうにある重要港は、それぞれこういうような設備に対しては心配ありませんかどうか、重ねてお伺いしたいと思います。
  170. 大橋武夫

    大橋国務大臣 日本の灯台は、各国から見ますると決して進んでいるほうではございませんので、年々灯台の増設に努力をいたしておりますことは御承知のとおりでございます。ところで、私どもがいまタンカーの衝突防止等におきまして最も心配しておりまするのは東京湾、伊勢湾、瀬戸内海というような、いわゆる狭い水道でございまして、しかも国際的に見ても船舶の往来が非常にひんぱんであるというところがわが国には多いわけでございまして、こうしたところの交通整理をいたすということが事故予防という意味からいって一番大事ではないかと思うのでございます。  そこで、それにつきましては先ほど申し上げましたるごとく、今年になりましてから、運輸省として関係各局をあげてただいま検討中でございまして、その結果は法律改正も必要に相なりまするし、また予算の要求は当然必要になってくると思うのでありまして、法律改正については次の通常国会に提案をしたいと思いまするし、また予算は、昭和四十三年度予算に必ずその一部分でも織り込みたい、こう思っておるわけなのでございますが、これを実行するにあたりましては、特に東京湾のごときは、将来のことを考えますというと、出船入り船の航路を区別するというようなことも大切なのではないだろうか、そういうふうになりますると、航路の両側にはやはり一定の間隔を置いてブイあるいは航路標識を設置いたしまして、航路から船がはずれないように、また航路を船が認識しやすいようにする必要もあるだろう、こういうことを考えて、いまいろいろやっておるのでございます。どうぞ、もうしばらく時間をお与えくださいますようお願いをいたします。
  171. 島本虎三

    ○島本委員 その点はなお十分配慮をしてもらいたい。しばらくも、ごく短い期間のしばらくにしておいてもらって早く善処されるように、この点特にお願いしておきたいと思います。  なお、私自身がこのノートに書きしるして、こういうふうなことであっていいのかと思うことが一つあるのであります。それは横浜の外防波堤にある灯台ですか、あの光は三千カンデラでありますから、これはまずまずだいじょうぶだと思うのであります。いわゆる「函館の女」で有名な函館の港のあの防波堤の先にある光も、千四百カンデラですから、まず港の光とマッチして、入る船はこれはだいじょうぶだと思います。同じ国際貿易港である小樽の港の入り口にあるのが、いま——猪口さんは小樽におられて、これは十分知っておられるからあえてこれをお聞きするのでありますけれども、たった九十カンデラであります。一カンデラは約一燭光なのであります。港の入り口にあるのが百燭光もない、九十カンデラ程度のこういうふうなもので、はたして大ふぶきのとき、または暴風雨のときにこの見分けがつくと思いますか。保安庁はそのままにしておきまして、いまだかつて明治この方ガス灯なのであります。電灯じゃないのです。こういうふうな状態にしておいて、いつ事故が発生するかわからない。ましてそれが九十カンデラにすぎないガス灯である。こういうような状態にしておいて、事故が発生しないのがおかしいくらいであります。しかし、こういうものに対していままであまりにも無関心であり過ぎはせぬか、こう思うのですが、大臣これはどうしますか。電灯じゃないのですよ、ガスですよ、ロンドンじゃないですよ。北海道の小樽の国際貿易港なのですよ。
  172. 大橋武夫

    大橋国務大臣 非常に重大な問題につきまして御説明をいただきました。これは重大な問題だと思いますので、至急取り調べまして、将来のためにすみやかに万全の措置を講じます。
  173. 島本虎三

    ○島本委員 これはほんの一例でありまするけれども、こういうようなことが方々にないように、この点はひとつよろしく調査を願っておきたい、こういうように思うわけであります。  それと同時に、先ほどからいろいろやっております中で、水産庁の人に伺いますが、現在この船舶で五百トン未満、それから油送船で百五十トン未満のもの——以上のものはいいのです。未満のものは何隻ぐらいあるか。
  174. 山中義一

    山中政府委員 質問の趣旨は漁船の分でございましょうと思いますが、五十トン未満……
  175. 島本虎三

    ○島本委員 これはやはり運輸省ですね。船舶で、商船、漁船を含めて五百トン未満のものと、油送船の百五十トン未満のものは何隻ぐらいありますか。
  176. 鈴木珊吉

    鈴木説明員 これは商船でございますけれども、昭和四十年の統計で、油送船とその他のもの合わせまして二万三千七百六十五隻ということになっております。そのうち油送船が二千五百十六隻、油送船以外のものが残りの二万一千二百四十九隻というふうに相なっております。
  177. 島本虎三

    ○島本委員 大臣は先ほどから、大型船の取り締まりをしたあと、徐々に小型船にも及ぼすつもりである。こういうような御意見があったようでございまするけれども、ただいま発表されたこういうような漁船を含むいわば小型の船に対しても、油を使う以上、今後はこれもいろいろと考えていきたい、こういうような意向でございますか。
  178. 大橋武夫

    大橋国務大臣 さしあたって小型船について直ちにこれを実施するということは考えておりませんし、また漁船等につきましては、法律でどうこうというよりも、やはり将来できるだけ協力を頼むというような形で協力させていく、いわゆる指導的措置というもので実効をあげる面もあろうかと思いますので、当分はそうした考え方で行きたいと思います。というのは、何ぶんにも零細企業でございまするので、この際設備の改善等につきましていろいろ押しつけましても無理な面もあろうと思いますので、できるだけ協力という心がまえでいってもらうように指導をあわせてやりたいと思います。
  179. 島本虎三

    ○島本委員 それでは、水産庁関係の人が来ておられるようでありまするけれども、これはもう先ほどから、いろいろ質疑応答を聞いておられて皆さんもすでに十分おわかりだと思うのですが、このうちで基地関係、基地のあるところ、その付近、こういうような方面では、油または水質汚濁によるこういうような被害が多いですか少ないですか、普通ですか。この点調査がありましたらお知らせ願いたいと思います。
  180. 山中義一

    山中政府委員 いまのお話の基地というのは米軍の基地でございますか。——まだ詳細に調査した結果はございませんので、至急調査をいたしたいと思います。
  181. 島本虎三

    ○島本委員 米軍の基地のある付近の問題と、それからもちろん自衛艦なんかが入っておりますが、そういうような基地のある付近の水質汚濁または油濁によるところの被害状態、こういうようなものを調べて資料として提出してもらいたい、こういうように思うわけであります。  それから、いままで直接間接によるところのいわば水質汚濁または油濁によるところのノリまたは魚介類、こういうようなものの被害の総計をもう一度はっきりおっしゃっていただきたいと思います。
  182. 山中義一

    山中政府委員 水質汚濁全般として申し上げますと、これは多いのは、発生源は製造工場あるいは事業所等でございまして、これは七十四億五千万、これは四十年度の府県の報告による統計でございます。このほかに油によります直接的な被害、これが四十年度八十七件で四億六千九百万円になっております。このほかに、数字としては多少これは推定が加わっておりますけれども、油の汚濁によりまして漁場の低下あるいは魚ににおいがつくための価値低下等も含めますと四十八億三千四百万円という被害でございます。
  183. 島本虎三

    ○島本委員 それがまだ加害者はわからないというようなことなのでしょうか。この被害に対する補償は幾らになっておりますか。
  184. 山中義一

    山中政府委員 加害がはっきりしておる工場等につきましては、被害者の側から工場に訴えまして、損害賠償というはっきりした補償ということではございませんけれども、見舞い金的なもので出ております。ただその額その他はまだつまびらかにいたしておりません。しかし、これはむしろきわめて少ない例でございまして、そのほかは特定の工場、汚染源がはっきりいたしません。たとえば一番わかりやすく申し上げますと、大阪等のよごれている川の水、これはどこの工場がよごしたか、そういうようなことはなかなかわかりません。全然わからない。被害を受けるほうのことはわかりますけれども、加害のほうはわかりません。
  185. 島本虎三

    ○島本委員 水産庁ですから、特に魚の点に関しての油濁、汚濁関係についての調査を承りたかったのであります。というのは、漁業の年次報告というのは、最近のものによりますと、水産物の需要が五年後の昭和四十六年に約九百万トンに達するし、十年後には一千万トンに達する。しかしながら、これは四十年度六百九十万トンくらいしか供給できないから、あとは全部輸入に仰がなければならない。とすると、今後はますます減ってしまう、こういうようなことに相なってしまうんじゃなかろうか、こう思うわけです。そうすると、減らさない、それを保護する、こういうような行政をつかさどるのですから、当然これは計数的にも明確な資料を持っておられるんじゃないか、こういうように思っていま聞いたわけなのであります。こういうような心配は全然ないのですか。
  186. 山中義一

    山中政府委員 この年次報告によります将来の需要その他は先生ただいまお話のとおりでございます。しかし、供給量のほうはまだ幾らかふえていく、現に一番最近の統計によりますと、これは速報でございますが、昨年の漁獲統計は七百万トンを初めてこえまして、七百七万トンに達しております。われわれも決して楽観はいたしておりません。できるだけ努力いたしまして増産につとめると同時に、被害防止にはつとめなければならない。そういう意味で、先ほどお話ノリ地帯の基地その他につきましては新たに予算措置を講じまして、沿岸水質汚濁の監視員制度というものを開くための予算を計上しております。これも国会等の御承認によりまして、すみやかに通していただくことを期待しております。
  187. 島本虎三

    ○島本委員 これで終わります。  最後ですけれども、やはり大臣はじめ水産庁のほうに、汚濁、油濁によるところの被害というふうな点は、これから大きくなってまいりますから、この点は遠慮しないで、救済すべきものは救済し、補償すべきものはさせるように、いままでのようなぬるま湯のような状態ではなく、きびしく今後やってもらいたい。  それから大臣には特に、いまいろいろ私どものほうで申し上げましたけれども、重要な問題も含んでおりますので、今後この対処には十分誠意を持ってこれをやってもらいたいとお願い申し上げまして、私の質問は終わります。
  188. 八木一男

    八木委員長 先ほど島本虎三君の関連質問あたりまして、中谷君から委員長に要請がございました。その問題も含めまして、中谷君、島本君の質問に対して、大橋運輸大臣から積極的な調査並びに善処のお約束がございました。委員長からも迅速かつ十二分に対処されるように御要請を申し上げておきます。
  189. 大橋武夫

    大橋国務大臣 そのとおり計らいます。
  190. 八木一男

    八木委員長 岡本富夫君。
  191. 岡本富夫

    ○岡本(富)委員 時間がだいぶおそくなりましたけれども、このたび提出になりました船舶の油による海水汚濁防止に関する法律案、この法案を見ますと、第一の理由は国際関係、第二の理由国内、こういうようになっておりますけれども、外国に気がねをした法案のように思う。すなわち、この法案に対して私が質問したいことは、一九五四年、先ほどだれかから話があったかわかりませんが、昭和二十九年に、英、米、仏、伊等二十九カ国によるところの国際条約、これに賛成署名いたしまして現在で十三年になります。これまでこの法律案をきめずにいた、この間この法案が全然提出されなかった。何らかそこに圧力が加わったように思うわけです。この点についてまず運輸大臣からお答え願います。
  192. 大橋武夫

    大橋国務大臣 御承知のとおり、海運界におきましては非常に自由の原則が支配いたしておりまして、しかも各国の海運業はそれぞれ自由を基礎にして競争をいたしておるわけなのでございまして、こうした問題につきましては各国それぞれ申し合わせまして、お互いに規制をしていこうというような空気が強いわけでございます。そういう意味においてこの条約もできたわけなのでございますが、御承知のとおり、わが国条約の成立当時なお連合軍の占領下にありまして、その後独立が認められまして以来、国内の復興に専心をいたしてまいりました結果、これらの国際条約批准する国内体制整備にまで手が回らなかったということが実情でございます。それと、最近になりまして急にこれを批准しようということになりましたのは、わが国の石油工業の急激な発展によりまして、日本に輸入される石油も非常に多くなってまいりましたので、わが国の近海を航行いたしまするタンカーが非常にふえてまいりました。どうしても国内海岸保護するためにこの法律が必要だ、こういう急激に変化のありました国内の事情にもよるものでございます。海外の圧力というようなことは、この条約については最初から問題がなかったということをとくと御了承いただきたいと思うのでございます。
  193. 岡本富夫

    ○岡本(富)委員 田中外務政務次官にちょっとお聞きしたいのですが、この法律案について、要するに海外のほうから誘い、あるいはまた何かそういう勧告、こういうものがあったのでしょうか。
  194. 田中榮一

    田中(榮)政府委員 この条約批准につきましては、他の外国から別に勧告、強要、要請といったようなものはございませんで、日本の独自の立場においてこの条約批准について判断を下し得る立場に置かれておったわけでございまして、いままでの経過につきましては、ただいま運輸大臣から御説明あったとおりでございます。
  195. 岡本富夫

    ○岡本(富)委員 国内船舶がふえてきて、そうして大きな国内問題となった。それであるならば、この提案の一番最初の理由となって出てくるのが私はほんとうではなかろうか、こういうように思いまして、若干疑うところであります、別に海外からの圧力ではなくして、国内の圧力があっておくれたのではないかと疑う状態がありますね。
  196. 大橋武夫

    大橋国務大臣 御承知のとおり、最近わが国内におきましては公害についての対策が非常に問題になっております。海域における公害といたしましては、油による海水汚濁ということが公害の最も著しいものでございますし、国内公害対策と並行いたしまして、海水についても公害対策をとろう、これがこの法律案を出すようになりました中心の理由でございます。
  197. 岡本富夫

    ○岡本(富)委員 そうしますと、ずいぶん早くから署名をしたりして、日本の国として、また政府としてはこの問題を知っておった。しかしながら、そのまま現在まで放置されておったと私は解するわけでありますが、それにつきまして、先ほど水産庁の方が、農林省の調べでは油によるところの海水汚濁によって漁業被害をこうむった、その発生件数は八十七件、被害総額は四億六千九百万円、その他漁業価値の低下、こういったものを足しますと四十八億三千四百万円、私の選挙区であるところの兵庫県におきましても四千七百九十五万円、こういうような資料が出ております。これは明らかに政府の手の打ち方がおそかったための被害である。したがって、ただその付近の加害者、あるいはまた油を流して逃げたそういう人たちのどれが責任者であるかということは追及できない。また、いままでの政府の手の打ち方は非常に手ぬるい。ということは、この法律案をもっと早く出して、そして取り締まっておけばそういうことがなかった。こういうように私は思うのですが、どうでございましょうか。
  198. 大橋武夫

    大橋国務大臣 お説のとおりでございますが、わが国国内体制といたしまして、今日までこの条約を実行するような体制が整わなかったわけでございまして、今回急速にその準備を整えて実施を決意いたしたわけでございます。
  199. 岡本富夫

    ○岡本(富)委員 日本の国は昔から四方海に囲まれて、私ども子供のころは、われわれは海の子白波の、こういう歌で、波をまくらに大きくなってきた。こういうことですから、何といっても海の問題が一番最初にぴんとくるのはあたりまえである。したがって、国内事情、国内事情と申しますけれども、現在の日本の国の造船の状態を見ましても、世界水準第一位にいっておる。したがって、いまごろになってこれが出てくるということは、私はそこに何かあったのじゃないか、こういうように疑うわけであります。要するに業者の圧力ですか、こういうように考えざるを得ないのですが、どうでしょう。
  200. 大橋武夫

    大橋国務大臣 業者の圧力はわれわれは全然考えておりません。この条約をすみやかに批准したいというので、国内の体制を整えるのにひたすら努力いたしてまいった次第でございまして、そういう意味でも、ぜひとも今国会においてすみかに御承認をいただきたい、こう思っております。
  201. 岡本富夫

    ○岡本(富)委員 この問題に対してしつこく話しますのはどういうわけかと申しますと、この間私、漁民の方の集まりへ行ってまいりましたが、千葉県のノリの問題、本年の三月東京湾の中央部に廃油を多量に投げて逃げた人がいた、このため強風で浦安から船橋一帯のノリ作業が全部だめになってしまって、約一億円の被害をこうむっておる。この千葉県におきましては、聞くところによりますと、漁民の方が航空機を出して警戒をしておるというのです。たまたまそのときは天候が悪くて警戒を怠っていた、こういうような話があったのですが、そんなにまでして自分らの生活権を守っておる。また岡山県の方の話では、瀬戸内海の水が日増しにその汚濁を加えて、魚が非常にくさい、すなわち異臭魚が多量に発生しておる。そうしてその魚がどんどん広い海面を回るために漁業が広範囲に侵されておる、われわれの生活権の問題である、こういうように漁民が訴えておりました。この人の姿を見ましたときに、私はこの法律案がいまごろになって出されるということは、まことに政府のいままでのやり口と申しますか、すなわち国民を思わないところの、思いやりのないところの姿ではないかと悲憤を感じておるわけです。大臣その点について。
  202. 大橋武夫

    大橋国務大臣 この法案が今日まで提案されなかった理由につきましては、先ほど来申し上げたとおりでございますが、この間において油による海水汚濁に基づく公害が全国津々浦々を通じて日増しに激甚になりつつあった。そういう点から申しますと、この法案を出すのがおそ過ぎたではないかというお話は私どもも全くそのとおりであったと存ずるのでございます。つきましては、今国会において一日もすみやかに成立さしたいものと思います。   〔委員長退席、小山(省)委員長代理着席〕
  203. 岡本富夫

    ○岡本(富)委員 そこで、前の水質保全法とか、ああいう状態のようにしり抜けになってしまわないように、また、こうした漁民の方の生活権を脅かすようなこういう状態ですから、先ほどお話がありましたように救済措置、これがやはりこの法案の中に出てきてあたりまえではないか。私全部見ていませんが、そういうあれがないように思うのですが、その点について大臣いかがでしょうか。
  204. 大橋武夫

    大橋国務大臣 この法案の違反に対する救済措置というものがあわせて規定される必要はないかということでございますが、この法律ができました以上は、これに違背する行為というものはすべて不法行為になるわけでございますし、犯罪になるわけでございます。したがって、その行為は処罰され、それに基づく損害というものは不法行為に基づく損害として当然行為者において賠償責任を負うべきものでございますので、特にこれに対して救済措置というものは考えなかったようなわけでございます。
  205. 岡本富夫

    ○岡本(富)委員 ところが現在まで、この法律が制定されるまで、こんなにたくさんの被害をこうむっておるわけであります。また、今後も加害者をうまくつかまえることができればよろしいけれども、いままでの例を見ましても迷宮入り、あるいはまた広範囲な海の上でございますからわからない場合が非常に多いと思うのです。したがって、この法律の中に明記すべきではないか、こう思うわけですが、どうですか。
  206. 大橋武夫

    大橋国務大臣 被害に対する救済措置というものは個々の場合においていろいろであろうと思うのでございます。ことに被害のありました対象によりまして、あるいはそれが農林省の所管する水産物である場合もございましょうし、また、その他の一般の建物であるとか、あるいは海岸の植物であるとか、そういう場合に応じまして、それぞれ被害の救済の措置というものはいろいろであろうと思います。この法律は、御承知のとおり、運輸省におきまして、海上を航行する船舶について、それが海上に油のまじったものを投棄するということを取り締まることを直接目的といたしましたものでございますので、それによる損害の賠償ということについては、そのつどまたそれぞれの所管官庁により十分御検討の上講じていただくということが実際的ではないか、こう思うのでございます。運輸省といたしましては、これ以上運輸省の立場から規定することはむずかしい、こう認めて提案をいたした次第でございます。
  207. 岡本富夫

    ○岡本(富)委員 ちょいちょい港の入口で船舶が衝突しまして、そして沈んだりあるいは事故を起こしております。その場合、相手の船会社が支払う能力がない、そういうことを考えますと、完全な防止法案にならない。また、いや、それは防止はするというように言っておりますけれども、今度はそれが起こって被害をこうむった人に対する処置と申しますか、そういう面で、私はこの法案に対しては若干疑問を持っておるわけであります。  この問題はまた後に審議さしていただきますが、この中の廃油処理設備の件につきまして、この間私ある本を読みますと、石川島播磨重工で昨今完成した廃油処理パージ、こういうのができたそうですか、これを主要港に整備するようにすれば非常にいいのではないかというように思うのですが、大臣どうでしょうか。
  208. 大橋武夫

    大橋国務大臣 石川島播磨におきまして、外航船のための廃油処理施設をつくったということは、運輸省といたしても承知いたしております。今後各港々におきましてこの種の施設が完備いたしますならば、この法律の実施は完ぺきを期することも困難ではなかろうと思います。
  209. 岡本富夫

    ○岡本(富)委員 この処理パージをもう一度よく調べていただきますと、これは新聞の報道でありますし、ちょっと聞いた話でありますが、再度燃料として活用できる、それで一石二鳥である、こういうようにも思われるわけでありますから、もう一度よく検討していただきたいと思います。  最後に一点だけ。公害問題ですからちょっと気になることがあるのですが、今度横浜に原子力船の基地ができる予定である、こういうように聞いておりますが、もし事故があった場合はたいへんな問題になる。これに対して運輸大臣の見解を伺っておきたいと思います。
  210. 大橋武夫

    大橋国務大臣 御承知のように横浜港はわが国でも最も重要な港湾でございまして、一般船舶の往来も最もひんぱんなところでございます。したがって、この港湾にいやしくも危険を及ぼすような憂いのある事柄については、断じてこれを抑止するということが必要であろうと思うのでございます。  ところで、ただいま御質問に相なりました原子力船の母校を横浜港の一部に設けるかどうかという問題でございますが、新聞紙等においてそういった記事を見たことはございますが、まだ原子力船の責任者でございます原子力公団あるいは科学技術庁等からは何ら話を聞いておりません。運輸省といたしましては、横浜港を港湾として管轄をいたしておるものでございますから、これについて、原子力船の母港として専用するというような措置を講ずることになりましたならば、必ず港湾管理者から相談がなければならぬはずでございます。将来そういう相談がございましたなら、十分安全であるかどうかということを検討いたしまして、横浜港の安全というものを絶対に傷つけないという前提のもとに善処をいたしたいと思っております。
  211. 岡本富夫

    ○岡本(富)委員 なぜそういう先々のことを心配するかと申しますれば、現在のこの法案も非常に打つ手がおそいし、またいろいろな問題について先ほどからお話がありましたが、一つ一つ政府の打つ手がおそいように思うのです。海水汚濁してから法律をきめる、こういうことでは、いま一番困っておるのが、先ほどお話もありましたように漁民の方、あるいは夏バカンスを楽しむ国民、こういう点を考えますと、早い目早い目に、連絡が来るというのじゃなくして、もう少し積極的に調査もしまた手を打って、そして公害問題が起こらないように、こういうように私は希望いたしまして、質問を終わりたいと思います。
  212. 小山省二

    ○小山(省)委員長代理 次会は来たる三十一日水曜日午後一時より理事会、理事会散会後委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後五時二十一分散会