○加藤(万)
委員 大臣、いまお聞きになったとおりで、先ほど私が話しましたけれども、京浜港
一つとりましても、重油、原油の輸入量は千五百二十九万トンですね。それから、
沿岸のタンク四百八十万トン、これに対する消火能力というものはきわめてもう微力ということばじゃ尽くせないほどだろうと思うのです。私はもし、こんなことはあってはいけないことですけれども、かりに室蘭のような衝突事故と、それから新潟地震のような毛のが一緒に起きたということを想定した場合に、一体どうなるかということを
考えますと、りつ然たるものがあるわけです。新潟の場合には、地震によるいわゆるタンクの海面への流出、地震がもし起きて横浜港内の十万トン
タンカーが埠頭の岸壁にぶつかって火事を起こした、しかも陸上の
タンカーが地震によって被災をし火事が起きた、その場合の消火能力はないということですよ。これは重要なことだろうと私は思うのです。しかも、私の聞いているところでは、海上保安庁なりあるいは自治体のそういう要求に対して常に大蔵省で
予算が削られているという話を聞いているわけです。いまもお聞きしますと、大型建造に対して
昭和四十三
年度までに設計費が計上されたということですね。私は、これはあまりにも無策過ぎるというふうに実は思うのです。これだけ石油鉱工業が発展をし、しかも港の輸入量の六四%が原油、重油であるという今日、この消火、いわゆる一方における人間尊重といわれる面のこういうものが
予算措置が講じられていないのは、何といっても、これは運輸省、海上保安庁のほうが弱腰なのかどうか知りませんけれども、やはりこの辺はきちっと取るべきものじゃないかと思うのです。しかもこれは、例としては四十年の五月にもあったことですし、それからドーバー海峡の問題もあったことですし、国際的なそういう協力をする
意味でも、
わが国は、そういう消火能力を持つ大型消火艇の設備には万全を期せられる必要が私はあると思うのです。
いまここに京浜運河の事故の際にも、川崎の消防局長が、将来はこうすべきだという
意見書を出しておられる面があるんですね。これは
昭和三十七年の事故です。このときの船は二万トン前後ですからさしたる大きな船とはいえませんけれども、そのときに将来こういうことをしなければ防火作動はできにくい、こう言っているのですね。それは「この種
船舶火災に対応する消防艇は大型鋼鉄船で次の装備を必要とすることが痛感された。」として、第一に、火炎に包まれたときの自衛
措置としての噴霧装置をどうしてもつけなければいけない。二番目には、高所の放水塔がどうしても必要だ。いま十五メートルと言われましたけれども、今度できました出光丸ならどのくらいでしょうか、海面からはおそらく二十メートル、いや二十五メートルぐらいにはなるのじゃないでしょうか。十五万トン
タンカーですか、いや今度できました二十万トン
タンカーですか、もっと高くなると思うので、十五メートルではどうかと思うのですが、いずれにしても高所放水用として屈伸可能で、はしご兼用にもなる放水塔を備えた大型消火艇が必要ではないか。三番目には、近接戦法、輻射熱防備のための消火だてをどうしても必要とする。この三つと。いま
一つ問題のあるのは、こういう火災が起きたときに、
小型船舶の運航が激しいことをとめなければいけない。特に
小型船舶の場合には船内で炊事を行なうというわけです。その炊事による火の引火ですね、これがさらに火災を拡大をする。したがって、
大型タンカーの衝突による火災が起きた場合には運河、港に対する
小型船舶の運航は禁止すべきではないか。おおまかにいえば、こういう四つほどの
意見を出されておるわけです。
昭和三十七年ですよ。さらに室蘭の事故につきましては、もう保安庁御案内でしょうけれども、きわめて明細な事故現場の模様その他が全部出ているわけですね。
昭和三十七年から今日
昭和四十二年です。
昭和四十二年に初めて大型鋼鉄船の設計費だけを国で
予算計上するなんということは非常にマンマンデーで、おそ過ぎるきらいがあると思うのです。しかも一方の石油の
消費量はどうですか、
日本の場合にはどんどん急角度に上昇しているわけですよ。先ほど今度の
汚濁の
防止に関する処理
施設の問題が出ましたけれども、これも六カ所ですね。これらの港にはほとんどこういう消火設備が必要だ私は思うのです。そうしますと、この消火能力の拡大という問題は、目下の急務の問題として運輸
大臣はお
考えを願わなければいけないと思うのです。先ほど新しい
法案を実は
考えているのだということがありましたから、ひとつその際には設備能力——海上保安庁はどうもお願いをするほうで、
予算要求には少し弱腰ですから、
大臣のほうから応援をしていただいて、この横浜、
神戸、いわゆる
港湾の近所に住む住民が安心して生活ができる、そういう設備をぜひともお願いをしたいと思うのです。
それから最後に
一つだけ聞きますが、消火に対する行政上の一元化が実はどうしても必要だと思うのです。これは保安庁も御案内でしょうけれども、海上火災に対する業務協定は
昭和二十四年の作成でありますね。
昭和二十四年に国家消防本部と海上保安庁との間に業務協定が実はなされているわけです。いまから十八年前です。そうしますと、私の判断では、この
昭和二十四年の業務協定では、実はこの
港湾火災に対する
措置ができない。たとえばいま予防火災あるいはかん詰め火災というやつがあるわけですね。公海上火災を起こしたやつが港に入ります。港に入った時限までは海上保安庁の扱いであります。岸壁に接岸しますと、これは自治体の扱いであります。たとえば横浜の市の扱いになるわけですね。私は今度
法案を見てびっくりしたのですけれども、港務局に消火に対する責任があるのですね。私はどの範囲であるかちょっとわかりませんけれども、海上保安庁、港務局、さらに横浜だったら横浜市、そういうものが断片的にそれぞれの責任を負うという形になっているわけです。しかもいま言いましたように、かりに十万トンの石油
タンカーが火災を起こした場合には、公海上あるいは港の内部ならば海上保安庁の責任で、それに自治体の応援を求めるという体制でしょうけれども、先ほど言いましたように、京浜運河の場合に、陸上に引火した場合にはまさに今度は四百八十万トンの石油に引火してどうのこうのという問題が起きてくるわけですね。そうなってまいると、
昭和二十四年に海上保安庁と国家消防本部で協定されたこの業務協定では、今日の
大型タンカーによる火災に対する対応能力
措置としては行政上不備を生ずるのではないかと思いますが、この点について海上保安庁
あたりは御経験があるでしょうから、こういう点はこう直したいという
意見があれば、
大臣でも海上保安庁でも御
答弁願いたい。