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1967-05-10 第55回国会 衆議院 産業公害対策特別委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年五月十日(水曜日)    午後一時三十分開議  出席委員    委員長 八木 一男君    理事 天野 公義君 理事 奧野 誠亮君    理事 丹羽 兵助君 理事 板川 正吾君    理事 折小野良一君       塩川正十郎君    葉梨 信行君       橋本龍太郎君    八田 貞義君       藤波 孝生君    三原 朝雄君       河上 民雄君    工藤 良平君       中谷 鉄也君    吉田 之久君       岡本 富夫君  出席政府委員         経済企画庁水資         源局長     松本  茂君         科学技術政務次         官       始関 伊平君         厚生政務次官  田川 誠一君         厚生省環境衛生         局長      舘林 宣夫君         水産庁次長   山中 義一君         通商産業省化学         工業局長    吉光  久君         運輸政務次官  金丸  信君  委員外出席者         通商産業省企業         局産業立地部長 馬場 一也君     ――――――――――――― 五月十日  委員河本敏夫君及び加藤万吉辞任につき、そ  の補欠として八田貞義君及び中谷鉄也君が議長  の指名委員に選任された。 同日  委員八田貞義君及び中谷鉄也辞任につき、そ  の補欠として河本敏夫君及び加藤万吉君が議長  の指名委員に選任された。     ――――――――――――― 四月二十七日  船舶の油による海水の汚濁防止に関する法律  案(内閣提出第六〇号) 同月十四日  公害対策基本法制定に関する請願(保利茂君紹  介)(第八四二号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 四月二十四日  公害基本法早期制定に関する陳情書  (第二〇〇号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  産業公害対策に関する件(水質汚濁及び騒音対  策等)      ――――◇―――――
  2. 八木一男

    八木委員長 これより会議を開きます。  産業公害対策に関する件について調査を進めます。  この際、質疑の通告がありますので、これを許します。岡本富夫君。
  3. 岡本富夫

    岡本(富)委員 運輸省関係について、最近民間航空騒音について非常にやかましくいわれております。特に大阪国際空港騒音防止並びに安全対策について地元から非常にたくさんの陳情が来ております。特にジェット機が間断なく離着陸したり、あるいはまたその騒音によって住民感情が非常に刺激されておる。こういう問題に対して運輸省はどういう対策考えていられますか。
  4. 金丸信

    金丸政府委員 運輸省は、ジェット機がひんぱんに離着陸しております国際空港の問題につきましては、深夜着陸というような問題につきましてはこれを禁止する、あるいは官民合同騒音対策委員会というようなものをつくりまして、前向きにこの問題について取り組んでおるわけでありますが、現在病院だとか、学校だとか、そういうような問題につきまして工事助成をしょう、騒音防止ということで、本年度予算につきましては三億円の予算を計上いたして、ただいま審議していただいておるわけでありますが、なお、この問題につきましては、騒音対策特別立法措置をいたしまして、明日閣議で了承を得て国会に提案する段取りになっておる次第でございます。
  5. 岡本富夫

    岡本(富)委員 いま予算が三億しか出ていない、こういうような非常に簡単な対策のように考えられますが、全国学校、すなわち公立学校航空機によるところの騒音被害状況調査しましたところが、この騒音によって被害が千八百九十九件、そのうち航空機については五百七十六件、こういう多きにのぼっておるのです。また、最も重要な成長期にあるところの学校の生徒が、その騒音によって学習上非常に障害を受けている。こういうことに対してもっと前向きに考えていただきたいと思うのですが、どうでしょうか。
  6. 金丸信

    金丸政府委員 ただいまのお話はもっともな話でありまして、この問題につきましては運輸省といたしましても前向きで考えておりまして、ただ、本年度助成工事費として三億円の予算ということはまことに少ない予算でありますが、この法案を通していただきまして、できるだけ速急にこういうものの助成をいたすような方向に、予算も大幅に四十三年度からは獲得してまいりたい、こう考えております。
  7. 岡本富夫

    岡本(富)委員 それで、病院とかいろいろなところがありますけれども、そのうちまず学校問題につきまして、学校防音装置防音設備はどれくらいかかるか、この点についてお考えになったことがありますか。
  8. 金丸信

    金丸政府委員 そのほうの問題につきましては、あまり詳しくないので、いま航空局長が参りますから、それは航空局長が参りましてから説明させていただきたいと思います。
  9. 岡本富夫

    岡本(富)委員 責任者である次官の先ほどの三億というようなお話があったけれども、若干不勉強と考えられます。そこで私のほうの調査では、宝塚長尾中学の例をとりますと、校舎が約二億、それに対して防音装置だけでも六千四百万、このくらい一校についてかかるのです。そうしますと、相当金額がかかるわけです。いま学校問題につきましては、先般新聞やテレビでいろいろ報道されたとおりでありますが、広島県の南観音小学校、ここは授業中に授業がたびたび中断される、また校舎の窓がゆれてしょうがないのでくぎでとめてある、こういうような状態です。また私は、川西伊丹、こういう方面に住んだことがありますけれども、宝塚長尾中学、あるいは川西川西小学校また南中学久代新田——久代新田あたりではすわっておれないのです。ぐわっと、こう、何といいますか、びっくりするような爆音です。また、伊丹神津小学校においては、大体市費でそういう防音装置をつくったわけですけれども、非常に地方財政が少ないために、換気装置が完全にいっていない。夏はわりあいいいのですけれども、冬場において、暖房装置をつくっていないものですから、毎日子供が二、三人卒倒しておる。そうして視力障害あるいはまた神経痛、いろいろな病気が多発しておる、こういう事実を御存じですか。
  10. 金丸信

    金丸政府委員 その話も承っております。
  11. 岡本富夫

    岡本(富)委員 この問題は、いまあらためてこの委員会においてやかましく言う問題ではない。もっと早くからわかっていたと思うのです。このお役所仕事を一日も早くやってもらいたい、こういうように思うのです。全国で三億円くらいの予算で、まず小中学生だけ考えてもそういう予算ではできないのじゃないか。ただやっています、これだけでは困ると思うのです。今後もっと力を入れてもらいたいと思います。
  12. 金丸信

    金丸政府委員 三億円の予算というものは、まことにスズメの涙ほどであるということは十分私もわかるわけでありまして、実際問題としまして、ただいまお話のありましたような現実があるわけでありますから、一日も早くこれを解決することが政治の一つの筋合いだろうと私は考えております。本年の予算はかような状況でありますが、四十三年度予算につきましては、御趣旨に沿いましてできるだけ拡大いたしまして、一日も早くこういう問題を解消するように努力いたしたいと考えておる次第でございます。
  13. 岡本富夫

    岡本(富)委員 では、その問題は、もう少し後日に技術的な面もお聞きしたいと思います。  それで、運輸省のほうですからついでにお聞きしたいのですが、尼崎立花踏切の問題につきまして……。立花駅のすぐ西のほうに水堂の踏切がある。本年の二月ごろからこれが自動遮断機に取りかえられたと思うのです。それからまことにひどい状態になった。多いときは四十七分五十六秒締まっているのです。そうして開いているときは十二分三秒。そのために市バスの運行を取りやめたのが六十本、そうすると通勤者が時間がおくれる。こういう問題について陳情があったと思うのです。御存じでしょうか。
  14. 金丸信

    金丸政府委員 私は陳情は聞いておりませんが、ただ尼崎のその問題ばかりじゃなくて、踏切の問題につきまして、そういう話を間々聞くわけであります。ことに時間的に非常に長く遮断されるというような問題も間々聞くわけでありまして、政府も、この問題につきましては、立体交差にしてこういう問題をできるだけ解消してまいりたいという考えで鋭意努力はいたしておるわけであります。  私のことを申し上げてはまことに恐縮でありますが、私は山梨の生まれで、甲府の駅の隣に踏切があるわけでありますが、これもただいまお話のあったような状況があるわけであります。この問題も、いま立体橋を建設いたしまして、来年度中には解決するように私も考えておるわけであります。そういうところを一日も早く解消しなくちゃならぬだろうということで、運輸省国鉄もあるいは建設省とも、ともども示し合わせまして、これをいま推進しておるような現状であります。ただ、予算関係もありまして、一般から期待するほどの速度かどうかという問題については、非常な問題点もあろうと思いますが、鋭意努力いたしておる次第であります。
  15. 岡本富夫

    岡本(富)委員 非常にその答弁に対しては不満足であります。実は、この踏切の東のほうに南北の道がありますけれども、これはいま主で八千台ぐらいしか車が通っていなかった。それに対して一万台に増加しているということは、この踏切がいままでは一日に四千台通っていたのです。それが二千台に減少しておる。また車の行列が十キロくらい停車しておる。また東西の関連の道も車両が停止して、歩行者がその間をくぐり抜けていかなければならぬ。非常な危険な状態である。この踏切には、いま四人の警手がいるのです。要するに人件費といいますか、合理化のために、いままでは手動だったのを自動にして四人いるのです。こういう面は非常におかしいと思うのです。周囲商店街が、それで商売できないといって、まことにやかましく言っている。もう一本その東のほうに踏切があるのですが、これは一ぺんよく調べてもらいたいと思うのですが、そこには警手がいないわけです。ですからそこをちょいちょい通る。チンチン鳴って通る、非常に危険な状態です。したがって、私は、この立体交差についてはいつやるか、その計画を聞かしてもらいたい。それをやりませんと、付近の住民が安心できない、こういう状態です。
  16. 金丸信

    金丸政府委員 ただいまのお話を承りまして、私もその実態を調査しておりませんが、即刻これを調査いたしまして、国鉄ともいろいろ話し合いまして、いずれ後日御報告申し上げたいと思います。
  17. 岡本富夫

    岡本(富)委員 じゃ、至急にひとつこの点は出していただきたいと思います。運輸省関係はこれで終わりたいと思います。  それじゃ次に、経企庁のほうにひとつお聞きいたします。公害基本法制定に伴い、ただいまの水質二法、すなわち水質保全法あるいは工場排水法、こういうものに改正を加えるかどうか、または廃止をするのかどうか、これについてちょっと聞きたいと思います。
  18. 松本茂

    松本政府委員 公害対策基本法が、いまその策定につきまして準備がされておるわけでございますが、これができ上がりますれば、この法律公害に関する国の基本的な姿勢を統一的に示すものであります。水質保全法は、公害の中の一つ分野であります水質汚濁問題を受け持って、この基本法の精神、それからその規定に即して具体的な規制を行なうものになっていくものと考えております。すなわち、両者は基本法実施法という関係に立つものとなるわけでございまして、水質保全法内容公害対策基本法考え方に適合したものでなくてはならないということは申すまでもございません。公害基本法内容が確定いたしました場合には、これに即しまして水質保全法は十分検討いたしまして、必要な点がございますれば、それに必要な所要の改正を加えたい、こういうふうに思っているわけでございます。
  19. 岡本富夫

    岡本(富)委員 現在までの水質保全法というものはざる法に近いということを言う人がありますけれども、私はこの際申し上げたいのは、この保全法はきたなくなってから、汚濁してから指定水域にしておる、そういうような、あとから追っかけていくような法案であるように思う。ですからもう少し前向きに、よごれないうちにそれを指定して、川をよごさない、こういうようにしていきたいと思うのですが、どうでしょうか。
  20. 松本茂

    松本政府委員 現在の水質保全法の第五条の規定によりますと、「当該水域水質汚濁原因となって関係産業相当の損害が生じ、若しくは公衆衛生上看過し難い影響が生じているもの又はそれらのおそれのあるものを、水域を限って、指定水域として指定する。」こういうふうになっておるわけでございます。ただいま御指摘になりましたように、従来の水質基準の設定につきましては、やや手おくれの傾向がなきにしもあらずでございまして、その点は今後十分検討して、反省してやっていかなくてはならない、かように思っておるわけでありまして、法律にもございますように、おそれがあるというふうに見られます場合には、それに応じて調査を行ない、早く水質基準を設定していくように努力してまいりたい、こういうふうに考えております。
  21. 岡本富夫

    岡本(富)委員 じゃ、お聞きしますけれども、兵庫県に武庫川という川があります。これは兵庫県では唯一のきれいな川といわれております。これが最近、上流栃木化学という会社があったりして、雨が多く降ると非常にきたないものが流れてくる、こういうわけで遊泳禁止をしたりしております。これに対するところの指定水域はどうでしょうか。
  22. 松本茂

    松本政府委員 御指摘のございました武庫川は、上流におきまして宝塚市等で水道水源となっております。また下流におきましては、伏流水からでございますが、西宮市、尼崎市、そういったところでこれまた水道水源となっておるわけでございます。また農漁業用水としても利用されておるわけでございます。したがいまして、昭和三十六年に経済企画庁で策定いたしました水質調査の十ヵ年計画の百二十一水域調査対象水域としても、その一つとして予定されておるところでございます。現在までにまだ経済企画庁としてはこの水質調査に着手しておらないわけでございますが、兵庫県の水質調査状況を最近聴取いたしましたところによりますと、CODは西宮市ではかりましたところ、昭和三十六年は一・五〇PPM、三十七年は一・三PPM、三十八年は二・六一PPM、三十九年は二・〇〇PPM、四十年は一・七六PPM、こういうふうな推移をたどっておるわけでございますが、この武庫川の取り扱いにつきましては、先ほど申しましたように水道水源として使われておりますような重要性があるわけでございますので、今後地元兵庫県とも十分よく協議いたしまして、県の要望も十分伺いました上、必要な場合には早く調査に着手いたしまして水質基準をきめていく、そういうふうに取り進めてまいりたいと考えております。
  23. 岡本富夫

    岡本(富)委員 二、三年前に、この川にし尿の不法投棄があった、ずっとやられていたらしい。これは公明党が発見いたしまして、県にやかましく言ってこれは押えましたけれども、こういうものもやはり河川指定水域にしてあれば早く発見できて、そして取り締まることができるではないか、こういうように思われますので、一日も早く重要な河川に対しては指定水域にして調査し、また取り締まってもらいたい、こういうように思います。  ちょうど時間がまいりましたので、失礼いたします。
  24. 八木一男

  25. 板川正吾

    板川委員 公害関係で一般的な質問を若干いたしたいと思います。  その前に、まず厚生省に伺いますが、公害基本法はいつ提案される予定でありますか、伺っておきたいと思います。
  26. 田川誠一

    田川政府委員 公害基本法は、ごく最近各省との話し合いもだんだん煮詰まってまいりまして、ほとんど近いうちに国会に提出されるような段階に立ち至っております。
  27. 板川正吾

    板川委員 予算委員会で何か十二日の閣議できめたいという発言があったそうでありますが、その時期に大体予定どおりきまる見通しですか。
  28. 田川誠一

    田川政府委員 いま、まだ法制局で検討しておるところでございますが、いまおっしゃった十二日というのはあくまで目標でございまして、できればそういうふうに持ってきたいということでございます。
  29. 板川正吾

    板川委員 何か産業界がたいへん反対しておるので難産中だというニュースがありますが、そういう事実がありますか。
  30. 田川誠一

    田川政府委員 私全然聞いておりません。
  31. 板川正吾

    板川委員 私、きょう一、二伺いたいのは、公害の中で一つ分野をなしておるだろうと思う水質汚濁による公害、その代表的なものが熊本県の水俣で起こりました水俣病、それと類似の新潟における阿賀野川、いわゆる第二の新潟水俣病、こういわれておる問題について伺いたいと思っております。  まず水俣病事件概要、初めての方もありますから、事件概要を説明していただきたいのですが、発生時、被害状況経過、その結末と、こういうことについてひとつ報告をしてもらいたい。
  32. 田川誠一

    田川政府委員 私、大ざっぱには承知しておりますけれども、ごく最近厚生省のほうへ参りましたので、続けて担当しております局長から概要報告させます。
  33. 舘林宣夫

    舘林政府委員 昭和一二十一年四月に態本県水俣市におきまして原因不明の脳症状を呈する患者が発見されました。当時はその原因が何ものであるかということがわからなかったわけであります。さっそく熊本大学並びにそのほかの専門研究者研究をいたしました結果、そのような患者昭和二十八年ころから散発をしておることがわかりました。三十四年の七月に至りまして熊本大医学部は、これは現地の魚をとったことによる神経症状で、魚を汚染しておる物質といたしましては水銀がきわめて注目されるというような発表をいたしました。三十四年十一月から経済企画庁幹事役となりまして、厚生省、通産省、水産庁経済企画庁等が相寄りまして、関係専門家委員といたしました水俣病総合調査連絡協議会が発足いたしました。これによって総合調査をいたしてまいったわけであります。この総合調査は、昭和三十六年三月第四回会合を最後といたしまして、遺憾ながら当時の調査では明確な結論を得られないままに今日に至っておるわけであります。ただし、その当時から原因物質としては、熊本大学等においてメチル水銀化合物をきわめて注目するというような御発表がございました。昭和三十八年七月に至りまして熊本大学は見解を発表されまして、かなりこの問題に対していままで不明であった点を解明した公表がありまして、これは工場排水というようなものが原因ではなかろうかという意見の開陳があったわけであります。これに対しまする対策といたしましては、魚介類摂取原因であるということが判明いたしました昭和三十一年以来魚の摂取が危険であるという指導をいたし、翌三十二年に至りまして水俣湾における魚介類摂取禁止を強力に指導をいたしました。したがって、それ以後は新しい患者発生はとまったけれども、患者慢性病でございまして、今日に至るまで非常に重い病状に苦しんでおる者が相当にあるわけでありまして、患者の総数は百十一名、そのうち三十九名、昨年また一名追加しまして、今日では四十名の死亡者を生じております。  以上が水俣病概要でございます。
  34. 板川正吾

    板川委員 その問題は当時原因不明ということでどういうような解決をいたしましたか、問題の解決はどういうふうに行なわれましたか、この被害者加害者と思われる会社との関係ですね。
  35. 舘林宣夫

    舘林政府委員 水俣病発生は、ただいま申し上げましたように、必ずしも明確に当時問題とされました水俣市に存在する新日本窒素の廃液が原因であると断定されたわけではございませんけれども、新日本窒素患者に対する見舞い金といたしまして、一時金で発病から死亡までの年数に十万円を乗じた金額死亡者に対しましてはそのような金額、それから未成年者は三万円、死亡した場合の弔慰金三十万円、葬祭料二万円、また生存者に対しましては、年金としまして、発病からの年数で、成年に対しては年数に十万円を乗じたもの、それから発病したときの成年に対して十万円で、発病後一年に対して五万円、未成年には三万円、これは昭和三十九年四月にさらに改定いたしまして、発病成年十万五千円、重症者十一万五千円、それから発病成年八万円、未成年五万円、計六千七十三万円、それから漁業補償として六千万円、それに漁業振興会等に対しまして一億四百万円、計漁業補償関係が一億六千四百万円、そのほか患者治療研究費の補助として国庫から七百六十七万円、以上のような措置が講ぜられております。
  36. 板川正吾

    板川委員 そういった二億五千万近い金を会社が出しておりますね、これはいわば暗黙原因を認めた上でのことではないのですか。その原因が不明だというのですが、原因の不明なのに会社が何億という金を出すはずはないと思う。それは暗黙原因を認めた上での行為であったのですか。
  37. 舘林宣夫

    舘林政府委員 会社側で明確に会社原因であるというような公式の発表はございませんけれども、会社は、その後排水処理装置を厳重にいたしましたし、またこのような多額の見舞い金補償金等相当金額を出しておる現実から見まして、この患者発生には会社排水が至大の関係があるという判断のもとに行なわれたのではないか、かように考えております。
  38. 板川正吾

    板川委員 事伴経過を見れば、三十四年の十一月には関係官庁総合調査を始めた。それから厚生省食品衛生調査会でも水銀中毒という結論発表した。これは三十四年十一月で、この補償の協定が三十四年十二月二十九日ですね。そうしますと、会社は当時、自分のほうの責任なしという主張をしておったけれども、周囲の情勢からいって、まあ暗黙会社責任というのを認めた上でこの補償をするようになった、こう私は思うのです。  そこで、これは経済企画庁に伺いたいのですが、当時の記録を見ますと、経済企画庁で通産、農林等各省庁の結論をまとめる、こういうことで総合調査を開始した。なぜ総合調査結論を出さなかったのか、その点を伺いたい。
  39. 松本茂

    松本政府委員 厚生省食品衛生調査会水俣病特別部会が設置されまして、この部会は三十四年の十月に、水俣病はある種の有機水銀化合物が主因をなしておるものである、こういう答申がございまして部会は解散されたわけでございます。水俣病原因となります物質の究明につきましては、これによりまして一つの医学的な結論を得たものでありますが、それがどういうふうにして発生してまいりますのか、その発生原因、その生成過程、それからその分布状況、そういったことについてはなお未解決でございます。今後ともいろいろと総合的に調査をやっていく必要がある。こういうことで、御指摘のように経済企画庁厚生省、それから水産庁が相互に連帯いたしまして、総合的な調査を実施することになったわけでございます。この調査は、各省がそれぞれの関係の深い分野対象にいたしまして、それぞれの予算によって調査を行なうわけでございます。ただ、その場合に、その調査が効果的に行なわれますように十分連絡調整をとってやっていく必要がある。こういうことでございますので、企画庁がその連絡取りまとめの役を引き受けてやっていったわけでございます。  昭和三十五年度におきましては、これらの四つの関係省庁それぞれの予算によりまして調査を行ないまして、たとえば企画庁におきましては約五百六、七十万円の予算をもちまして、水俣湾のどろ、水中におきます水銀分布状況あるいは潮流の状況、そういったことを調査いたしたわけでございます。そうして昭和三十五年の二月二十六日に第一回が開かれまして、三十五年の四月、三十五年の九月、それから三十六年の三月、合計四回この会議が行なわれまして、各省が分担して調査研究いたしました結果の報告が行なわれたわけでございます。それで三十五年は、そういうふうに各省調査いたしまして、こういう協議会を開催いたしましてその結果を相互に連絡し発表し合ったわけでございます。  三十六年に入りましてからは、一方で患者発生が三十五年の十月ごろを契機といたしまして、その後発生を見ていないような状況になってまいりましたので、また、その原因につきましてはまだ不明確な点があったわけでございますが、通商産業省の行政指導によりまして、工場に対しまして排水処理につきましてのいろいろな施設もでき上がってきた、こういう状況でもございました。また、三十六年度におきましては、関係各省のそういった調査も、特に連絡調整を行なうほど活発にも行なわれないような状況になっておりましたので、この連絡協議会もおのずからこの三十六年の三月の第四回を最後といたしまして、中絶の形となったわけでございます。
  40. 板川正吾

    板川委員 経済企画庁が取りまとめをするといいながら取りまとめをしなかった。取りまとめをしなかった理由をいま伺うと、通産省の行政指導排水処理施設をする、いままでたれ流ししたのを新たに沈でんしてそれを化学処理して流す、こういうことになったからだいじょうぶだろうということで結論を出さなかった、こういうふうにいまの報告でうかがえるのですが、そういたしますと、結局は、当時において工場排水原因であったということはやはり認めておるわけでしょう。なぜ、それを認めておりながら、明らかにその関係結論として出さないか。なぜそれを言うかというと、これが今度の阿賀野川事件に関連を持っておるから私は聞いておるのです。いまのお話では、いろいろ調査をしてみた。その調査の前の段階で魚を摂取することを禁止したから食う人が少なくなった。そうしてまた通産省の行政指導排水処理をすることになった。そうして三十五年になったらば新しく罹病する人もなくなった。だからということで、結局結論を出さなかった。しかし、出さなかったけれども、結果的には、通産省の行政指導による排水の処理、こういうことを言うからには、やはりその工場排水原因であったということを認めたのじゃないですか。認めたからそういうことになったのでしょう。そうじゃないですか。
  41. 松本茂

    松本政府委員 昭和三十五年度におきまして、これらの各省で、先ほど申しましたように、いろいろ調査いたしまして四回連絡協議会をやったわけでございますが、その当時の調査におきましては、原因がこうであるということはまだはっきりいたしておらなかったわけでございます。
  42. 板川正吾

    板川委員 原因を突き詰めるといっても、被害者原因を突き詰めるという能力はなかなかないですよ。被害者原因はこうだということを出すなら、また会社側はそれに十分な反論をする。そうしてとにかく事件を長引かせばいい。こういう形になるのです。だから被害者である国民にかわって国が結論を出さなければならないでしょう。経済企画庁が当時厚生省や通産省や水産庁関係を取りまとめて結論を出すというなら、なぜ結論を出さなかったのかと私は、言いたい。結果的には、排水処理したから起こらなくなったからだいじょうぶだろうということで、うやむやにした。これが私は第二の水俣病といわれる阿賀野川事件発生した一つ原因だろう、こう思うのですよ。  そこで通産省に伺いますが、当時通産省が水俣病原因をどういうふうに考えられておったか。そうしてまた予防の措置を当時どういうふうにとられたか。通産省は、水俣病原因がやはり工場排水にあるやに考えて各地の同種の企業、全国約二百の企業に対して業務指導をされたというふうに伺っておりますが、どういうふうなことをされましたか。
  43. 吉光久

    ○吉光政府委員 先ほど水資源局長からお答えございましたように、当時原因がはっきりと確定してなかったという事態ではございましたけれども、少なくとも水銀による中毒であるということだけは、しかも有機水銀による中毒であるということははっきりいたしているような形であったわけであります。ただ無機水銀——工場で使っておるのは無機水銀でございますけれども、無機水銀がどのようにして有機水銀に変わっていくかというふうな点については、はっきりとつかめていなかったというふうな事情もございまして、一応水銀触媒を使っております工場につきまして、先ほどの連絡協議会等の中で議論が出たのだと思いますけれども、昭和三十四年の十一月に排水中に含まれておりますところの水銀の量についてまず検査をいたしております。一番問題になりましたのは、これは現にまた問題になりましたのもそうでございますけれども、カーバイドからアセトアルデヒドをとっておる工場、この製造工程中で水銀触媒を使っておりますので、そこを一番中心にいたしております。そういう工場は、全国で鹿瀬を含めまして当時四工場でございます。この四工場につきまして調査をいたしましたところ、実は私、技術的な点につきましてはあまり専門家でないのでございますけれども、当時の水銀の測定機器と申しますか、それと、水銀の分析技術と申しますか、そういうものがまだあまり発達していなかったやに聞いておりますけれども、その後だんだんと進歩が見られておるようでございますけれども、当時の検出方法で検出いたしましたところでは、実は鹿瀬工場につきましては、有機、無機合わせましたトータル水銀量でございますけれども、当時排水中からは〇・一PPM水銀量も検出されなかったというふうな報告を受けております。ただ、ともあれ、そういう水銀触媒を使っておりますこういう製造方法の事業所につきましては、やはり何らかの形で水銀を外に出さないということが、先決であろうという意味で、それぞれの工場の立地条件に対応した形で水銀の回収をふやすとか、あるいは排水中の水銀と申しますか、水銀の回収経路自身におきますところのくふう改善とかというふうなもの、あるいは調整池、除濁槽というふうなものを設けまして、できるだけ排水中のなまの水がそのまま外に出てまいらないというふうな措置をとるよう指導してまいっておったわけでございます。
  44. 板川正吾

    板川委員 通産省に伺うのですが、日本瓦斯化学工業松浜工場では、中和沈でんを行なった後放流しておるというような設備をいち早くつけまして、水銀による中毒を予防しましたね。これは阿賀野川の一番下流にあるところです。ところが、上流にある昭和電工、これがなぜ同種の水銀を媒介として使った生産をやっておりながら、いわゆる沈でん中和せずに阿賀野川へ流すようなことをそのまま放置しておったのですか。片一方ではいち早くそういう事故を防止する、公害防止する手を打っているのですね。しかし、昭和電工だけはなかなかやらなかったのはどういうことですか。その間の指導状況は……。
  45. 吉光久

    ○吉光政府委員 先ほどお答え申し上げましたように、三十四年の十一月の水銀測定量の結果が測定器にかからない——これは〇・一PPM以上でございますと測定器にかかったわけでございますが、かからない、そういう量であったわけでございます。したがいまして、排水中に水銀が入っているということ自身の意識というものがあまりなかったのじゃないかと思うわけでございます。
  46. 板川正吾

    板川委員 そうすると、その工場は、その後三十九年秋に閉鎖されるまで、その間の製造工程はちっとも変わらないのですか。
  47. 吉光久

    ○吉光政府委員 いまの昭和電工の鹿瀬工場でございますけれども、昭和三十五年——水銀の検出がありました、実際に調査をやりましたそのあとでございますけれども、三十五年ころから、アセトアルデヒドをつくります装置からの排水、ここで水銀触媒の液が入っておるわけでございますけれども、それからの排水をさらに製造原料用水として循環さして用いる。そのままなまで出さないでもう一回循環させまして、製造工程の中へ循環さしてまいります。ということは、これによりまして排水の中に含まれる水銀の量というものが減少してまいるわけでございますけれども、そういうふうな措置を講じますと同時に、さらにまた水銀の蒸留装置がございますけれども、この蒸留装置の加熱温度を上昇させるとか、そういうふうなことで触媒の回収系統の改善を行なっております。なおまた、これはどれだけの効果があらわれたかはっきりいたしませんけれども、製品のアルデヒドに沫でとっついてまいりますところの水銀、これを捕集するための水銀捕集塔というものを製造工程内でもって採用するというふうなくふうはこらしておったようでございますけれども、他の工場が実際にやりましたような、そういう処理施設そのものはつくっていなかったようでございます。
  48. 板川正吾

    板川委員 どういうのですか、三十五年に検査したら〇・一PPMの含有量で、全然これは有害じゃなかった、こういう認定を通産省はしたんでしょう。そうなっておるのに、その後さらに水銀が放出されないようにいろいろその工事をなぜしたのですか。ほんとうからいえば通産省が、これは有害じゃないんだ、このくらいの、検定計器に出ない程度のものなら心配ないんだというなら、あえてその後工程を変えて、さらに加熱化したりして、水銀が出ないようにする必要はなかったのじゃないか。なぜやったのですか。
  49. 吉光久

    ○吉光政府委員 実は冒頭申し上げましたように、水銀の危険性というものがどの程度であるかというふうなことにつきまして、はっきりした結論は当時まだ出ていなかったわけでありますけれども、先ほど申し上げましたのは、〇・一PPMまでが検出されるような、そういう検出器と申しますか、そういうものを用いましたところが、水銀の検出は得られなかったという状況でございまして、ゼロであったという事態であったかどうかということを申し上げたわけではなかったわけでございます。と同時に、何と申しましても、やはり水俣で有機水銀による中毒患者発生しておるというふうなそういう状況でございますので、先ほど申し上げましたように、無機水銀がどういう形で有機水銀になるかどうかというふうなことは別にいたしましても、やはり何らかの形で水銀排水中に出ていくことを極力防止するということが必要であるという方針のもとに、こういう措置をとらしたのではないかと判断いたします。
  50. 板川正吾

    板川委員 それはそれとして、疑問として残しておきましょう。水俣の場合でも、無機水銀がなぜ有機に変化するかという理由がわからぬというのが会社側の主張だったのですね。これに対しては熊本大学の入鹿山且朗教授、この方は衛生学ですが、これに対する実証上の論文、意見も発表しておりますね。それはそれでいいとしまして、次に厚生省に伺いますが、いわゆる第二の水俣病といわれるこの阿賀野川流域におけるメチル水銀による中毒事件概要、ちょっとひとつ説明してください。
  51. 舘林宣夫

    舘林政府委員 昭和四十年の一月ころから、新潟大学で、どうも診断のむずかしい患者が多いということで、当時たまたま東京大学の講師をしておられた椿先生が新潟へ来ておられまして診察をした結果、どうも水銀の中毒の疑いがあるということで研究をしておられたわけです。四十年の五月に至りまして、これはどうも水銀の中毒と思われるということで、県庁のほうにも連絡があり、また大学としても過去にさかのぼっていろいろ調査をされたわけであります。その結果判明したことは、その前の年の八月ころからすでに似た患者が出ておって、その数は相当数にのぼるということがわかってまいったわけであります。そこで県庁としましても、厚生省に連絡をとると同時に、各種の調査をいたしまして、厚生省とともども大学を加えて調査をいたしまして、相当これは重要な問題であるということになりましたので、厚生省としましても、現地に調査班を派遣したりなどいたしましたが、最終的には科学技術庁の研究調整費によりまして、厚生省のみならず、関係省の調査も加えて総合調査をするということになりまして、同年の八月ころからそのような措置が科学技術庁の手によって行なわれ、その調査によりまして、厚生省は三班を編成いたしまして、この三班は臨床、試験並びに疫学という三班でございますが、その調査を続けてまいったわけであります。その調査の結果、患者は二十六名、そのうち五名死亡いたしておりまして、発生の場所は阿賀野川の下流地区に限られておる。発生の時点は、先ほど申しましたように三十九年の八月以降出てきておるということが漸次判明してまいりまして、この調査を続けてまいったわけでございますが、ことしの四月の七日に至りまして、全部の厚生省関係研究班の報告書が私どもの手元に提出されまして、これを科学技術庁にさっそく申達すると同時に、厚生省としましても、前回の水俣病の事例と同様、食品衛生調査会に諮問をいたしまして、いまその意見を聞いておるところでございます。
  52. 板川正吾

    板川委員 科学技術庁始関次官、あなた二時半に用事があるそうですから先に伺いましょう。  科学技術庁がこの阿賀野川水銀中毒事件ですか、これに科学技術庁として乗り出した理由はどこにあるのですか。どういうためですか。たとえば私の意見は、これは本来なら厚生省が中心になって、それから必要に基づいて各省と相談する、人命尊重の立場からいえば。私はそれが中心になるべきだと思っておるのですが、この前の水俣病のときには、経済企画庁が出て厚生省の上に立って全部をまとめるんだ、結局結論を出さなかった。今度経済企画庁は科学技術庁に譲って、科学技術庁が出てきたわけですよ。結局これは時間かせぎ、事件をうやむやにするか、非科学的な解決をしようという考え方で出ておるのですか、科学技術庁が第一線に出る理由はどこにあるのですか。
  53. 始関伊平

    始関政府委員 最初のきっかけは、御承知のように特別研究促進調整費という予算を科学技術庁は持っておりまして、ただいま問題になっておりますような突発的な緊急を要する事項が起こりました場合には、科学技術庁から各省予算を分けてやる。こういう制度がございますので、その経費を厚生省のほうに回した、これが一点でございます。これは科学技術庁にそういう予算があるからということでございます。  それから最後の、厚生省食品衛生調査会の答申を待って厚生省としての最終結論を出されましたあとで、今度は各省間、通産省その他関係各省がございますから、そういうものの間の意見の最終的な取りまとめを科学技術庁がやるということでございますが、これは問題の本質が科学技術の問題として純粋に客観的に取り扱うべき問題であって、そしてこれは科学技術庁の設置されております本来の目的に最もよく合う、こういう見地から最後の取りまとめをわれわれの役所でやる、このように承知をいたしております。
  54. 板川正吾

    板川委員 先ほど厚生省局長の答弁によると、「新潟水銀中毒事件原因究明に対する研究報告概要」、三班の研究概要が出されましたね。これを厚生省としては食品衛生調査会にかけて、そして厚生省の意見としてまとめて科学技術庁に報告をします。こういうことに先ほど答弁ありましたし、そう扱われる。これはいつごろ報告書を出すのかというと、六月中旬だとか言っておりましたが、科学技術庁はこれに対する結論というのを一体どういうふうに出されるか、期限的ですよ。いつごろまでにこの結論を出されることが予想されますか。一年も二年もかかりますか。
  55. 始関伊平

    始関政府委員 すでに四月の十九日に、科学技術庁の主催で各省を呼びまして、各省の連絡会議を開きまして、報告書の概要を説明いたしてございます。それに基づきまして、各省から厚生省に質問したい事項を取りまとめて厚生省にお答えを願う。厚生省の最終結論が出ます前にそういったような手続を並行して進めておるわけでございますが、厚生省の見解が出、各省の見解が出ましたら、はっきり申し上げかねますが、極力早く各省間の意見を取りまとめたい、このように存じております。
  56. 板川正吾

    板川委員 各省間というと、いままでの報告もやぶから棒に急に出たわけでないのです。すでに中間報告は昨年三月に出されておって、それを一応その後検討した結果こう出たのですが、通産省、水産庁、そこから特にこういう中間報告やその他について特別強い注文なり何かありますか。
  57. 始関伊平

    始関政府委員 厚生省のほうから、農林省にも先ほどの調整費を分配いたしまして調査を進めてもらっておるわけでございますが、いまお話しのような、中間報告などを契機といたしまして、特別の質問事項とかあるいは特別の要望とかいうものがまいっているようには聞いておりません。
  58. 板川正吾

    板川委員 たとえば科学技術庁で、この後またさらに調査団をつくって再調査をするというようなことはございませんね。
  59. 始関伊平

    始関政府委員 調査団の方にいろいろお尋ねをするというようなことはもちろんあるのだろうと思いますが、調査団をさらにつくるというようなことはいたさない所存でございます。
  60. 板川正吾

    板川委員 結局上級裁判と同じように、この報告書を中心に検討する、こういうことになりますね。  そこで、時間がないようだから要望しておきます。早急にひとつ結論を出すようにしていただきたいと思います。これはあまり長引かないほうがいいんじゃないかと思いますから……。それから、この前の経済企画庁のように、さっき聞くと、何が何だかわからない、うやむやのうちに結論を出さないでまあということになっちゃったのですね。で、ひとつそういうことのないように要望をいたしておきます。
  61. 始関伊平

    始関政府委員 御要望承りました。要は、各省庁の意見が合うかどうかということだろうと思いますが、極力御趣旨に沿いますように統一的な見解をできるだけ早く出す、そういうふうに努力いたします。
  62. 板川正吾

    板川委員 経済企画庁と通産省にさっき私が質問をした点は、熊本の水俣事件のときに、もっと掘り下げてその原因を追跡して、結論を出して、そして事前の予防措置を講ずれば、今度の阿賀野川事件ももう少し被害が少なく済んだ、あるいは起こらなかったかもしれぬ、こういう点で通産省と経済企画庁が怠慢であった。こういうことを明らかにしたい、そういう気持ちで先ほどから質問しておったわけです。  そこで、今度は厚生省に伺いますが、この新潟阿賀野川水銀中毒事件、この特別研究班の報告書、これに対して当面相手方と見られる昭電鹿瀬工場、昭電側はどういう見解をとっておられますか。
  63. 舘林宣夫

    舘林政府委員 結論から先に申しますと、工場に全面的な原因がありとする結論には反対である、こういう立場をとっております。その論拠とする大きな点は、この昭和電工の鹿瀬工場は数十年来同じような化学工程で操作をしておる。それが突如としてあの時点で爆発的に集中的に患者が出た、しかも場所としても五十キロ以上も上流にある。長い沿岸の中で海の出口にだけ出るというような点が必ずしも明確に解明されていない。また、たまたま今回の発生直前に当たる時期に新潟地震があり、続いて大雨があったという特殊事例があるので、それとの関連で農薬かもっと考えられてしかるべきであって、諸種の資料からも信濃川の下流にあった農薬倉庫からの流出というものは原因としてきわめて考えるべき問題だと、こういうような点をるる反論しておるわけであります。
  64. 板川正吾

    板川委員 それに対して報告書はどういう回答を出しておりますか。
  65. 舘林宣夫

    舘林政府委員 調査班、特にその中の疫学班が結論を出す前に、すでにこれらの論点は昭和電工のほうからいろいろの事例をあげて説明があったわけでございまして、それらの説明にもかかわらず、調査班としては、やはりこの原因昭和電工鹿瀬工場の排水によるものと診断する、こういう結論を出しております。
  66. 板川正吾

    板川委員 この原因究明に当たった特別研究班というのは、これは任命者はどこなんですか、またどういう性格のものですか。
  67. 舘林宣夫

    舘林政府委員 主として人の健康、病人、人命救助という立場から、厚生省の立場で三つの班を任命したわけでございまして、その一つは臨床班で、これは患者の診断、治療方面を主として担当する班でございまして、新潟大学の医学部がこれに当たっておったわけであります。次に試験研究班、これは分析を主とし、各種の対象物の中から水銀化合物の分析をし、その内容を明確にし、数量を明らかにするということを主として担当しておったわけで、これに対しましては、東京大学、東京歯科大学、東京理科大学、東京医科歯科大学及び国立衛生試験所の専門の学者が担当いたしたわけであります。それから疫学班は、疫学的視野に立ってこの患者原因物の探究をする、原因のよって来たるところを探究するという目的のため編成されたものでございまして、国立公衆衛生院、国立がんセンター、神戸大学、熊本大学並びに日本医科大学、東京歯科大学、新潟大学並びに新潟県衛生部、これらの関係専門家が集まりまして編成されたものでございまして、任命は厚生大臣でございます。
  68. 板川正吾

    板川委員 この報告書を一べつしますと、三班がそれぞれの結論を出して報告をしておる。せっかく厚生大臣が任命するならば——私は班なら班でもけっこうだと思うのです。三班のものを統一する、何か全体をまとめる団長なりがあって、三班の資料に基づいて結論を出す。そうしてそれを報告する。こういう形が望ましいと思っているのですが、なぜこれは三班個々の答申という形になったんですか。統一ある三班の総合判断に基づいた一つ結論というものを出さなかった理由、団長をつくらなかった理由はどうなんですか。
  69. 舘林宣夫

    舘林政府委員 確かにこの三つの班を総合した総合判断を下す形のものをつくるという考慮があってしかるべきだという御意見はごもっともだと思います。ただ、今回の調査が、どこからくるか、魚のからだの中でどのような変化があるか、あるいはプランクトンからきたとすれば、プランクトンの魚の体内における変化はどうか、あるいは化学工場内の各種の操作というようなものの部分は、必ずしもただいま申し上げましたような三班の範疇だけで処理できるものではございません。したがいまして、三班だけで総合判断を下し、それが結論であるという判断もちょっと問題があるということで、三班は三班の立場でそれぞれ結論を出していただく、それを水俣病のときと同じように、厚生省食品衛生調査会にかけまして、食品衛生調査会にはただいま申し上げましたような専門家の専門委員もできるだけ加えまして、そこで厚生省としては総合判断を下してほしい、こういう立場をとったわけでございます。
  70. 板川正吾

    板川委員 この研究班の皆さんは、現地の人や、それぞれ日本の一流の学者をもって構成されておる権威ある調査班だと思うのです。そこでその結論食品衛生調査会にかける。食品衛生法の二十五条によれば、食品衛生調査会というのがあり、五十人の委員をもって構成しておる。しかし、必要に基づいて臨時の委員を設けることができる。こういうことを言っております。だから、これは何か三班に分けるなら、食品衛生の臨時委員という形でやったほうが手続上めんどうじゃないんじゃないか。何か食品衛生調査会に再度かける理由がどうも私には、その調査班の性格や任務とからんで薄弱な感じがするのです。結局、こういうところにおいて時間を食うような感じがするのです。そこで食品衛生調査会には六月の半ばにかかるという話ですが、予想として、かけて結論はどういうことになりますか。
  71. 舘林宣夫

    舘林政府委員 食品衛生調査会には、すでに四月の二十二日に諮問をいたしまして目下審議中でございます。したがいまして、いまや一月近くも審議が進んでおるわけでございます。見通しといたしまして、この前の水俣病のときの食品衛生調査会における審議もおおむね二ヵ月程度かかっておりますので、その当時と同じ程度の審議が行なわれるとすれば、あと一月程度で終了するのではないかということで、六月半ばには大体の結論が出るのではなかろうかという期待をいたしておるわけでございます。
  72. 板川正吾

    板川委員 水俣病のときは世界でも初めての病気ですね。だから、それに対する結論というのも慎重にもならざるを得ないし、文献等もないものですから時間もかかったと思います。しかし今度の場合は、大体症状その他からいって水俣病と全く同じで、しかも水俣病原因はその後の追跡によって大体——大体というよりも、これは工場の排水によるもの、こういうことが確定的になってきておる。そうすれば、私はこれが二月間かかることはないと思いますが、どうですか。これはあとで触れますが、被害者の立場になってみれば、いまほとんど補償されてないでしょう。時間を食うというよりもなるべく早く、それはなるべく早くと言ったって間違っていいという意味じゃございませんけれども、被害者の立場に立てば早急な結論が要望されるのです。ですから、そういう立場からいえば、私はそう時間は食わないと思いますが、ひとつ督促をしていただきたいと思います。  それから、先ほど科学技術庁の次官の話では、予算が科学技術庁にあったからというのですが、こういう場合に緊急に調査する程度の予算厚生省にはないのですか。これは食品衛生の立場なら立場でいい。それなら厚生省が主となってやればいい。その予算を科学技術庁からもらってこっちがやるというのはおかしいんじゃないですか。
  73. 舘林宣夫

    舘林政府委員 ある程度の予算はふだん持っておりまして、本年度におきましては特に公害関係の委嘱研究費が増額いたしまして一億円持っております。したがいまして、相当大幅な、広範囲な研究は今日の段階ではできるようになっておると申し上げていいかと思います。この調査は一千万円近くを要したわけでございますが、その不足分が生じて、なお一般厚生省経費をつぎ込んで調査をいたしたわけでございまして、経費の点で遺憾ながら厚生省の既存の予算でまかなえなかったことは事実でございますけれども、その点のほかに、今回のような事例は、公衆衛生分野のみの調査に加えて、やはり魚というような水産物の関係調査、あるいは工場の化学工程の内容調査というものが総合されて結論が出される必要があるほどむずかしい問題でございまして、今回結論が出るまでに一年半もかかったことの理由の一つに、前回の水俣病のときに非常にむずかしかった微量分析、その微量分析をかなり時間をかけて突っ込んだというようなこともございまして、非常に広範な調査が要るものでございますので、やはりこういう調査の種類の内容から見ますと、従来のこういう広範な調査の取り扱いとして、科学技術庁が音頭をとっていただきまして、各省協力して調査をするという方向が一番望ましい形かと、かように考えます。
  74. 板川正吾

    板川委員 それも一理ありますが、私が心配しておりますことは、そういうことで道草を食って時間がかかり、そして最終的に結論がうやむやになる、こういうおそれがあるものですからわれわれみたいな意見が出るわけです。  そこで、いままで私らの聞いておりましたいわゆる公害、あるいは産業公害いいましょうか、その問題が起きるときには、いつも加害者と思われる会社側は適当な意見——適当な意見じゃない、向こうはそれが真剣かもしれませんが、意見を言われているわけですね。私がちょっと思い起こしただけでも、新潟には地盤沈下の公害がかつてあったですね。地盤沈下は、これは帝国石油が水溶性ガス、地下水をくみ上げることによるのだ、こういう意見を地元の人たちが言い、そして盛んに陳情なんかもされてきた。そのときに会社側の意見を聞くと、これは必ずしも水溶性ガスをくみ上げているからじゃないんだ、これは一般的な現象である、地盤沈下は自然的な現象である、何といいますか、日本海岸線がだんだんへっこんで東の海岸が出るように、そういう地殻の変動の関係であって、水溶性ガスをくんだことが原因じゃない、こういう主張をしていましたね。そしてまた、なかなかいろいろな学者がおりまして、それを裏づけするような迷論を出しておった。しかし、実際あのガスのくみ上げを大部分、全部じゃないそうですか、大部分やめざしたら、今度は地盤沈下が終わりましたね。会社側からいえば、水溶性ガス、地下水をくみ上げたことが原因だというのはとんでもない、証拠を示せというようなことになっても、水をくみ上げたために下がったという証拠はなかなか出せませんよね、被害者としては。しかし、結果的には、それのくみ上げをやめたら地盤沈下はずっと少なくなっておりますね。これで帝石も自分の原因を認めて補償しました。そしていまはくみ上げをほとんどやめた、こういう形になっておりますね。それから水俣病のときも、有名な東京工大の学者、清浦博士ですか、わざわざロンドンまで行って、世界の国際水質汚濁研究会議ですか、ここで、水俣病工場排水原因ではないというようなことをけっこう言っておりますね。しかし、その後の何かの著書では、そうした前の所説、自分の学説をひるがえしたそうでありますが、今夏の場合も、会社側とすれば、直接原因かどうか証明を出せ、こういうような気持ちになっていると思うのです。しかし、先ほども言いましたように、被害者にそれを証明させるということは不可能です。これはやっぱり国の機関が早急に公正な立場から、学術的な立場から、科学的な立場から結論を出してやらなくちゃならぬじゃないか、こう思うのです。  そこで私は、この問題についてひとつ委員長にお願いしておきたいのは、いずれ関係者に来てもらって、十分被害者の立場から、あるいは会社側の立場、あるいは関係調査の学者、こういう方に来ていただいて、われわれもひとつこの問題と取り組むために、参考人に呼んでこの話を伺いたい、こう思っております。これはあとで理事会で私提桑いたしたいと思います。  水俣病のときは、ああいううやむやのうちに一応示談が済んだのですが、いまこの阿賀野川水銀中毒事件被害者にはどういう救済措置がとられておりますか。国はどうしておりますか、県はどうしておりますか、市はどうしておりますか。
  75. 舘林宣夫

    舘林政府委員 見舞い金といたしまして、県から一人当たり十万円、市あるいは町から三万円、死亡者五人に対しましては六十五万円、それから患者の治療費の大部分は生活保護あるいは国民健康保険等の社会保険等でまかなわれておりますが、自己負担分がございます。これは今日までのところは三十八万四千円ほどになりますが、それと、あるいは通院費、日用品費というようなものが、これは生活保護適用者には月千五百円、その他の者は千円ということで、総計三十一万九千円、それから胎児性水俣病の危険のある新生児が一人ございますが、これに対しまして、一年間のミルク代が十五万円と推計いたしまして、それらを総計いたしまして八十五万三千円になりますが、これを県と市町村がそれぞれ二分の一ずつ負担をいたしております。それから生業資金の貸し付け、これを県で総計二十五万円いたしております。それから、漁業組合に対しまする見舞い金を五十万円、以上総計で四百三十三万円ほどが、県あるいは市町村から出ております。そのほか、五世帯は生活保護になっておりまして、保護規定によりましての援護、以上のようなことでございます。
  76. 板川正吾

    板川委員 参考に伺いますが、いまの水俣病の罹災者、それから四日市でも四日市ぜんそくといわれる公害病がありますね。そういう患者に対しては、どういうような補償、救策済が国や県や市でとられておりますか。参考のために伺っておきます。
  77. 舘林宣夫

    舘林政府委員 水俣病のときには、国から、今日までの間に七百六十七万円の治療研究費が出されております。これは毎年百万円でございますが、そのほか患者の自己負担分につきまして県、市が負担しておりますが、原則的には、水俣病のときには見舞い金補償金という形で、かなりな経費が会社側からも出されておると伺っております。  それから四日市におきましては、約二百名前後の患者の治療が今日公害患者として行なわれておりますが、これの各種社会保険の負担でない自己負担分につきましては、四日市市が今日までのところ全額負担をしております。  ただ、国といたしましても、本年度から医療費の一部に充てる意味合いにおきまして、治療研究費を計上いたし、企業側並びに県、市と並んで、国も一部を持つという方法で予算計上いたしております。
  78. 板川正吾

    板川委員 四日市の場合に、国の一部というのはほんとうに一部で、予算計上といったって百万円で、ずいぶん少ない。ほんとうの一部だと思う。それはきょうの議論でもないからあとにいたしますが、新聞の報道によると、被害者は、どうも政府調査団も時間ばかりかかって結論が手ぬるい、しかもまたこれを科学技術庁で調整するということになると、いつ結論が出るかわからぬというようなことで、裁判をしよう、法による救済を頼もう、こういうようなことも新聞に出ております。しかし私は、会社もよほど考えないと、どうも多額の補償金を取られるなら裁判で五年でも十年でも争ったほうがまだ得だというふうな考え方を万が一とれば、これは社会的な重大問題になるのじゃないかと思います。補償金よりも裁判の費用が安いというようなことで、この問題をそういうふうな気持ちで処理されるなら、これは大きな問題になって非難を受けなくちゃならないと私は思います。いずれこの水銀をめぐる有毒な要素というのは学界でもだんだんはっきりしてきておって、われわれの場合でも、この場合に会社責任なしとするわけにはいかないと思っております。  それはそれとしまして、この公害のこうした紛争を処理する機関か——処理するというのですか、公害の紛争を調整する機関が必要じゃないかと私は思います。それは、こういうのを裁判で争えば五年、十年かかるでしょう。そしてその間救済政策はほとんどとられていないということになります。また、そういうことを会社側はある程度見込んで、どうせ長期法廷闘争をやれば向こうは参ってしまう。いいかげんのところで向こうが折れてくればなどといって強腰になるおそれがある。そして地盤沈下じゃないけれども、あの下にもぐってこれが証拠だなんていうわけにはいかない。なかなか証拠はこれだというものがない。あったとしても、会社は、それをいいかげんなほかの理由をこじつけて、そうじゃないなんということを言い得るものもある。だから私は、こういうのは調整機関、たとえば労働問題には労調法による中労委、地労委というのがありますね。ああいうところで、半ば司法的な権能を多少持ち、お互いによければ仲裁という方法もあるのですが、これは仲裁になればそれ以上の裁判にいくわけにいきません。しかし、どうしても裁判で争うというなら裁判で争う方法もあります。しかし、ああいう紛争調停の機関というものが必要じゃないかと思うのですが、これは次官、どういうふうに考えておりますか。
  79. 田川誠一

    田川政府委員 確かに板川委員のおっしゃるように、こういう問題が起きますと、いつもそういう責任の所在、それから被害者の救済に関する問題、いろいろ起こるわけでございまして、今度の阿賀野川の事件結論が出ましてから冠どもは何とかそういうことも検討しなければいけないのじゃないかということを部内で話し合っておるわけでございます。しかし、いずれにいたしましても、今回の阿賀野川の問題は、経過としては峠を越しておるように感じられますので、その結論を見ましてから、私ども検討をさしていただきたい、こういうつもりでおります。
  80. 板川正吾

    板川委員 次官、いまあなたの前のほうで言っていることとうしろのほうで言っていることとはつじつまが合ってないですよ。こういうように紛争が起こって、補償問題でなかなか急に結論が出ないものだから、調停的な機関が必要じゃないか、そういうことを私聞いているのであって、阿賀野川の事件がもう発病者がなくなったからということには関係ない。だから私は、基本法がどういうふうな形で付帯法律をつけてどういうふうに出てくるかわかりませんけれども、しかし、こういうふうになってくると、公害問題というのが国民の大きな関心になっており、またいろいろ問題がある。これは当事者間にまかしておくということじゃなくて、公正な第三機関が、国の機関が、私は早期解決を目ざす機関があっていいんじゃないか、労働委員会における労調法と労働委員会というような形のもの、しかし、そういうお互いに話し合ってやるんじゃなくて、裁判でいこうということであれば、それはそれでいいです。しかし、すべてが裁判というわけにはいかない。いまの裁判でいけば、金持ちが有利で、被害をこうむっている国民のほうが、多数の国民が不利なんです。だから、こういう点のバランスをとるためにも、国がその役をとるべきじゃないか、こういう考えですよ。阿賀野川事件の罹病者が最近なくなったということは関係ない、どう思いますか。
  81. 田川誠一

    田川政府委員 ちょっと説明が足りませんでしたけれども、阿賀野川の問題とは切り離した問題でございます。しかし、阿賀野川の問題についても、単に被害者が法廷闘争に持っていくということをそのまま見ていくことはなかなかできない問題でございまして、私どもも、そういう阿賀野川の問題についても慎重に円満に解決していくように何らか考えなければならない要素があるのではないか、こういうことを申し上げたかったわけでございます。
  82. 板川正吾

    板川委員 この問題は、また大臣が来たときにひとつゆっくり議論してみましょう。  通産省、私、この点はちょっと専門家じゃないからわからぬが、自動車に自動車賠償保険というのがありますね、御承知のように強制保険で。化学産業に、何かそういった公害の際に、化学産業が原因して大きな損害を社会に与えたという場合に、保険制度というのが現在あるのですか。その点調べてないものだから伺いたいのです。
  83. 吉光久

    ○吉光政府委員 私、その問題詳しく勉強しておりませんので、あるいは間違っておるかもしれませんけれども、化学産業そのものに固有した損害保険制度というものはないんじゃないかと思っております。ただ一般の損害保険の形で対人、対物と合わせた普通の損害保険でございますが、そういうものに加入しておるのじゃないかというふうに考えます。
  84. 板川正吾

    板川委員 そうすると、万が一昭和電工による原因だということがわかった場合に、多額の補償を出さざるを得ないということになるとしますね。その場合に、それを救済する保険制度というのが現在あるかどうか。何保険だか知らぬけれども、現在入っておるのですか、その点を参考に伺いたい。
  85. 吉光久

    ○吉光政府委員 これも推定でございますので間違っておるかもしれませんけれども、一般的なそういう意味での、公害を中心にしました意味での災害保険制度は現在ないのではないかと思います。先ほどお答え申し上げましたのは、災害、いわゆる公害と違いまして、爆発いたしますとかどうとかいう意味で第三者に被害を与えた場合のいわゆる災害保険というものに加入しておるのではないだろうかということであります。
  86. 板川正吾

    板川委員 爆発とか、火災とか、そういう場合にはそれぞれ保険があると思います。しかし、こういうように会社としては通常の作業を行なっていた、こう思っておるわけですね。その結果、いずれ学術的にも証明されるでしょうが、昭和電工に責任ありということになった場合に、保険制度というのが一般化していれば、特に最近のようにいろいろな化学物質が出てきて、予想を越して弊害を社会に与える場合がありますね。こういう場合に、特に化学工場なんかは、爆発したときの損害を補償するような損害保険、もちろん爆発しなくても、そういう公害的な損害に対しても保険制度があって、そして万が一そういう結果になったときにそれを補償の財源にする、これはもちろん一企業じゃなくて、業界全体で入るとか、そういう方法も考えられていいのではないか、こう思います。これは私もまだ研究不足だし、いずれまた研究の上で議論いたしたいと思っております。  最後に、その報告書に対する結論を早急に出していただきたいということを要望いたしまして、私の質問を終わります。
  87. 八木一男

  88. 八田貞義

    八田委員 関連質問でございますから、そう長いこと御質問申し上げませんが、先ほどから同僚の板川議員から非常に有意義な、しかも大切な問題についての御質問がございました。重複しないように本問題解決についての私の考えを申し述べてみたいと思います。  まず第一が、今度の問題についてマスコミなんかの取り上げ方を分析してみますと、まずマスコミなんかでは、典型的な産業公害といえる事件だ、こういうような表現を使っている新聞もございます。しかも今度の第二の水俣病というのは、三段論法的な奇病ともいうべきものであって、これでは裁判所が証拠価値としてどう評価するのだろうかとまどうと申しているくらいです。しかもまた工場廃液の規制取り締まりは通産省の仕事だ、こういうようなことで、結局総合した表現をもってこの問題に対するマスコミの態度というものを考えてみますと、産業振興の大前提を掲げ、企業擁護にたよりがちな通産省、国民の生活環境、保健衛生を託されながら、ともすれば問題が起こってから腰を上げる厚生省、相反する両省の性格、力関係が行政の谷間を生み、第二の水俣病を起こしたのだ、こういうふうにマスコミは伝えております。これについて政府当局の態度について質問と申しますか、そういう点についてまずお尋ねしなければならぬと思います。というのは、御承知のように朝日新聞が「川と海のよごれ」という社説を掲げまして、これは本年三月二十一日ですが、この中に非常にいいことを書いてございます。「国際的には、海水汚濁防止条約が約十年前に成立し、世界のおもな海運国はほとんど参加しているというのに、四面海にかこまれ、海に生かされているはずのわが国が、これまでこの条約に加盟もせず、やっと防止法をつくろうというのは、怠慢という以外にはない。海を大切にしない海洋国など、およそ自らを重んじない無風格国家といってよかろう。」こういっている。これはちょうど朝日新聞の論説と、それからマスコミの総合されたいろいろな表現のしかたと一致しておるのです。そこで、最近建設省あたりで水質基準なんかをつくろうということについて報道がございますけれども、水質基準なんかについても厚生省がはたしてこれにあずかっているのかどうかわかりませんけれども、こういうような問題について次官ひとつ十分——日本の役所というのは非常に横の連絡が足りない。この点をひとつ十分にお考えになって、公害防止法をおつくりになる場合に、ほんとうに横の連絡というものを真剣にお考え願いたいと思うのです。特に公害基本法をつくる場合には、要するに基本となるものは役所的ななわ張り根性を捨てて、人間生活を守る、こういう観点から公害防止基本法というものをつくり上げていかなければならない。この点を次官として十分に横の連絡をとるようなお考えでお進め願いたいのであります。この点について次官の御決意をひとつ伺いたいと思います。
  89. 田川誠一

    田川政府委員 大臣が答えればよろしいのですけれども、出席できませんので、私から考え方を述べさしていただきます。  ただいまおっしゃられた趣旨は全く同感でございまして、総合的にいまおっしゃられたような処置をする機関があればほんとうにいいという意見も多々聞くわけでございます。今度の公害基本法におきましては、根本的な方針としては、そういうような精神を法の中に受け継いでやるつもりでございます。ただ、いままでの問題については、たとえば経済企画庁であるとか、あるいは科学技術庁であるとかというようなところである程度総合調整することもできた面もあるのではないかと思うのでございます。しかし、各省間の横の連絡ということが一番大切なことであり、また重要な問題でございますので、こうした公害防止解決については、さらに各省間連絡をとって推進をしていくように私ども努力をしていくつもりでございます。
  90. 八田貞義

    八田委員 政務次官の御答弁をいただきまして非常に安堵するのですが、一般によく役所は、審議会とかあるいは調査会をつくりまして、その答申をもらって、そして何とか対策を講じよう、こういうような出方をしておるのです。ところで私は、審議会とか調査会とかいうものの委員の人々の構成について非常に体質改善しなければならない、こういうふうに思っておるのです。というのは、ああいう人たちはみな忙しいのです。はっきり言いますと、調査会とか審議会に入る人は二つも三つも、あるときは十幾つも兼任している人がいるのですよ。わが日本には、そういった審議会委員とか学識の人々を選び出すインフォメーション・ビューローというものはないのです。役所の人がかってに選んでいる。そして自分の隠れみのになるような自由な人を選んでいるのです。そういうことですから、私は政務次官にお願いしたのです。というのは、あの審議会とか調査会の委員なんか見ますと、非常に悪口になりますけれども、火のないところに煙は立たぬということは理解しておりますけれども、ドライアイスは火がなくても煙は立つのです。そういったところに対する理解がない。火があるところには煙が立ちます、そういうような考え方でずっと通しているのですよ。ところが、ドライアイスは火がなくても煙は立つのです。そういったところに対するところの理解が足りない。  それからもう一つは、よく新しい酒は新しい皮袋に盛らなければいけませんということを言いますね。そういった気持ちですっといきますよ。しかし、古きたるにもかおり高きブランデーがあるということを忘れているのですね。こういった点、われわれは審議会の体質改善がそういうところにあると思う。ですから、政務次官が横の連絡はとりますというけれども、横の連絡をとる場合に、その土台になるのは全部審議会とか調査会ですよ。役人が選んだ隠れみの的な人々、そういう人々はいま申し上げましたように、いわゆる火がなくても煙は立つドライアイスがあることを忘れているのですね。こういった点はひとつ政務次官大いにお考え願いたいと思うのです。この点をまず要求しておきます。これは大臣によく伝えてください。  それからもう一つは、板川さんが先ほどおっしゃったように、被害者の立場からすればほとんど救済処置がないのですよ。一体何のためにじんぜんこういうふうに延ばされておるのか。これは厚生省並びに役所の態度が非常に自信がないと私は思うのですね。第一いろいろな昭和電工あたりの反論とか、あるいは厚生省のおつくりになった研究班なんかの報告を見ますと、みんな三班ともばらばらですよ。私は「新潟水銀中毒事件原因究明に対する研究報告概要」というのを読みましたけれども、これが全部違うのです、合っていないのです。こんな報告を私は初めて見ましたね。だれがつくったのですか。臨床、試験、疫学の三班を組織してこういうものをつくったといっていますが、ところがこれが全部違います。この中で一番正しく報告しているのは臨床と試験だけです。疫学班なんかは、全く事件記者的な推論だけです。これは繰り返しのきかない実験の場合には、こういった疫学班のような推論は出ないのです、結論なんか出ないのです。一体厚生省は、権威のある機関の、こんな三班がみんな分裂症みたいに出した報告を、そのまままとめて出されて、これをどういうように理解したらいいのです。それを今度食品衛生調査会に諮問してやるんだというけれども、こんなものを見たってどこでも結論は出ませんよ。こういうところにほんとうを言うと行政当局の怠慢があるのです。こんな学者の論争だけでは事態は解決しないのですよ。私は国会対策で黄変米についても解決しました。学者の論争だけでは解決できない。そうしてこれに対して解決を与えました。森永のドライミルク事件のときもそうです。あなた方行政当局ははっきりと——学者の論争だけを紹介したってだめたんですよ。こういうばらばらな報告をまとめて出したって一体だれがこれを判断するか。マスコミがよくその点を伝えていると思うのでありますが、こういった点は、私は行政当局に対して一番お願いしたいのは、政務次官、学者の論争においてはこれはもう解決しないのです。これは繰り返しのできない実験なんですから、そんなものはいまから食品衛生調査会にやってみたって結論が出るはずがないのですよ。政務次官は大局に目をつけてください。ただ学者の結論を待つなど、それまでわれわれ行政当局の態度は保留しなければならない、学問を尊重するようで実際は尊重していないのですよ。その点をひとつお願いして、いま苦難の道を歩んでおられる遺族、家族、そうして漁業権者に対しまして早く光明を与えるような国としての措置を早急に立ててください。どうですか、政務次官。
  91. 田川誠一

    田川政府委員 先ほど来いろいろと御意見がありましたけれども、厚生省といたしましては、結論を延ばし延ばししているようなことはごうもございません。できるだけ早く結論を出したいという気持ちで進んでおりますことをひとつ御了承をいただきたいのであります。おっしゃられたように、われわれもできるだけ早く調査会の結論を出してもらって、そうして厚生省としての意見もはっきりと出したい、こういうつもりでおります。
  92. 八田貞義

    八田委員 では政務次官、調査会の結論結論というふうに言っておられますけれども、調査会の結論がどういう結論が出るかという大体の見通しを立てておられるのですか。
  93. 田川誠一

    田川政府委員 まだどういう結論が出るか、私ども承知しておりません。
  94. 八田貞義

    八田委員 政務次官、私はそこを言うのですよ。政務次官、この報告をよくお読みになりましたか。ざっと読んだのではだめですよ。ほんとうを言うと、私はこういった報告を見て義憤を感ずるのです。私はこういう問題を、ずっと国会に出る前にこういう問題の研究にあたっておる。舘林局長をよく知っておるのですが、こういう報告を見ると義憤を感ずるのですね。ですから、私はこういった事件記者的な報告は要りません。もっと慎重な検査をやる、ところがこれはもうできませんね。何も尊重することもないですよ、学者の論争を一体いつまで待つのですか。それはもう行政当局としての、それは国民尊重という立場から見て、先ほど申しましたようにこの学者の論争からもう問題は解決しないのですから、どうぞひとつはっきりとした態度を示してもらいたい。
  95. 田川誠一

    田川政府委員 できるだけ早く解決するように私ども努力をいたします。
  96. 八田貞義

    八田委員 私もこまかい問題はたくさんありますけれども、これは学者を相手にして質問するわけではないのですからこれくらいにいたしますが、すべて調査機関とか諮問機関に諮問すれば何とか答えを出してくれるだろうとじんぜん時間を費やすことは政治家として許されない。この点を早急に解決してくださることを行政当局に強く求めて私の質問は終わります。
  97. 八木一男

    八木委員長 河上民雄君。
  98. 河上民雄

    ○河上委員 先ほど板川委員から詳しく御質問があり、いままた阿賀野川事件に関連して非常に有益な御議論がありましたので、いわば関連質問的に、抽象的でありますけれども公害行政に関する基本的な政府の態度を伺っておきたいと思います。すでに伝えられますように、公害基本法が本国会に提出されることは明らかでございますので、その論議に入ります前に、基本的な政府考え方を伺っておきたい、こういうふうに思っておるのでございます。  第一は、公害対策の基礎となるべき公害調査の機関がばらばらであるということは、先ほどの板川委員の御質問、また政府の御答弁の中で具体的な事実として出ているわけでございますが、こういう公害調査がばらばらな機関によって行なわれて、その結果、重複によるむだや、あるいは各機関の調査結果に対する相互の不信、あるいはまた被害者であります住民調査結果に対する不信というものが問題解決を非常に妨げているように思うのでございます。たとえばある一つ事件を県でやり、市でやり、また企業でやる、こういうようなケースは非常に多いのでありまして、そして結果が一致すれば一致したということに喜んだり、また、違えば違うで互いに科学的な正しい公正な調査結果でないというような不信感があるように思うのであります。  そこで一つ伺いたいのでありますけれども、このたび公害基本法が提出されますのを機会にして、今後公害対策の基礎になるべき公害調査は、その主管官庁であります厚生省責任を持って最終的に行なうということにすべきではないか、こんなふうに私は考えるのであります。ことに基本的な調査は国が行ない、地域特有の問題については各地方公共団体が行なう、こういうふうなことで統一的で権威ある調査結果を今後発表していくようにしてはどうか、こういうように思うのでありますが、厚生省のお考えはいかがでございますか。
  99. 田川誠一

    田川政府委員 御指摘の点につきまして、公害対策、それから公害防止というような広範な問題については、やはり関係各省いろいろな問題がございますので、一省だけで、厚生省だけでこれをすべて責任を持ってやっていくというわけにはなかなかまいらぬと思います。しかし、私どもといたしましては、公害対策基本法を一応受け持っていくわけでございますから、こうした面についてできるだけ努力をしてまいるつもりでございます。
  100. 河上民雄

    ○河上委員 先ほど板川委員政府当局者との質疑応答の中でも明らかになりましたのですが、通産省関係調査結果はとかく企業の利益を不当に考慮して発表しているのではないか、そういう疑いが一般の住民の中にあるように思うのでございますが、何かそういうような政府発表について、公正を期する意味において、いまお話のありましたように、各専門家、各省の協力が必要ではございますけれども、最終的には厚生省責任を持つ、こういうことにしていくべきではないかと思うのでございますが、そういう点お尋ねいたします。
  101. 田川誠一

    田川政府委員 厚生省としては、人の健康を保持するという面につきましては厚生省が中心になってやっていくつもりでございます。
  102. 河上民雄

    ○河上委員 公害基本法が今度は出るわけでございますけれども、いまの御答弁でちょっと思いつくのでありますが、その場合の一番重要な問題は公害という概念だと思うのでございますが、そういう公害の概念について厚生省はこう考える、通産省はこう考えるというようなことでは困るのではないか、こういうように思うのでございまして、一体公害というものをどういうふうに考えておられるかお伺いしたいと思います。
  103. 田川誠一

    田川政府委員 公害の定義と申しますか、今度の基本法試案にも明示をしてございますけれども、事業活動その他人の活動によって生ずる相当範囲にわたる大気の汚染とか、水質汚濁騒音、振動、地盤の沈下、悪臭によって、人の健康または生活環境にかかわる被害を生ずるもの、これを公害というふうに規定しております。
  104. 河上民雄

    ○河上委員 公害を取り締まる、あるいは防止する立場からいいますと、公害についての意見はいろいろありますが、大別しますと二つあるように私は考えるのでございます。一つは、公害というのは御承知のとおり人間のつくり出した文明というものが生み出す新しい条件が人間生活に与える被害であると思うのであります。したがって、公害という問題を考える場合に、そこには当然ある一つの利益があって、他方被害がある。そのプラスマイナスを考えて、公害というものはこの辺で取り締まるべきだという考え方が一つと。もう一つは、市民の健康というものを重視して、市民の健康に支障を来たす絶対量というものを問題として、この一定限度をこえた場合はこれを取り締まる。大別しますと、こういう二つの態度があるように思うのでございますが、伝えられるところによりますと、公害基本法の中に産業調和というようなことばが出てくるやに聞いておるのでございますが、これはどうも第一の考え方に基づいているように思うのでございます。しかし、第一の考え方をとりますと、いまのように日本が非常に石油化学を中心として経済成長を遂げている段階におきましては、とかく市民の健康というものが無視せられる、軽視せられる。こういう危険を非常に感ずるのでございまして、公害基本法の中心的な公害に関する概念としては、私はむしろ第二のほうを採用すべきではないか、こういうように思うのでありますけれども、厚生省としてはいかなるようにお考えになりましょうか。
  105. 田川誠一

    田川政府委員 公害をどういうふうに考えるか、また公害を防ぐことについて何を重点にやっていかなければならぬかということに関連するのだと思いますけれども、今度の公害対策基本法の目的にいたしましても、国民の健康というものをまず第一番に考えなければならぬということでこういうような基本法考えておるわけでございまして、国民の健康を保護するということをまず第一番に考えておるわけでございます。
  106. 河上民雄

    ○河上委員 いま厚生次官からそういう非常にはっきりとした御意見を承ったわけでありますが、もしそういうことでありますならば、あらためて産業との調和ということを強調することは不必要ではないかというふうに感ぜられるのでございますけれども、そういう点はいかがでございましょうか。
  107. 田川誠一

    田川政府委員 経済の健全な発展との調和ということは、生活環境を維持していくのにすべて国民の健康第一でやっていくというわけにもなかなかまいらないという意味で、経済の健全な発展との調和という字句が入っておるわけであります。生活環境をすべて国民の健康本位というわけにはなかなかまいらないと思うのであります。そういう点で経済との調和ということばが使われておるわけでございます。
  108. 河上民雄

    ○河上委員 いまの問題は、これから実際に法案が出てからまたいろいろ討議すべき問題だと思うのでございますが、第三に、いまのお話で感ずるのでございますけれども、一体いまの日本の段階で産業との調和のほうを強調すべきか、それとも企業者が公害原因となっておるものを排出するという、そういう行為がいかに反社会的であるかという意識が乏しいという点のほうを問題にすべきかということになりますと、私どもの感じでは排出者のほうがその行為の反社会性を意識しておらないということが公害の起こる場合の一つの大きな原因になっておるのでございまして、むしろこの際は、そういう反社会性ということについて注意を喚起するような、そういう努力のほうが必要ではないか、こういうように私は考えておるのであります。そういうことを感じておるのでありまして、何かもう少し、法案をつくるということと同時に、社会的な関心を喚起するような一種のキャンペーンというものが非常に必要ではないかと思うのでございます。そういう点はいかがでございますか。
  109. 田川誠一

    田川政府委員 公害をなくしていくにはキャンペーンと申しますか、一つの世論をつくっていくということは御指摘のように必要だと思っておるわけであります。それからもう一つ、経済との調和ということがございましたけれども、人の健康がそこなわれるということになりますれば、これは産業との調和、そういうものは考えられないわけであります。ただ生活環境をよくしていくということについては、たとえば東京の隅田川を見まして、あれを一番環境をよくするという点では、あそこでアユも釣れるというようなことになれば、環境は一番いいわけでございますけれども、産業との調和を考えないで、あそこを全くきれいな川にしてしまうということにもすぐまいらないと思うのでございます。しかし、人の健康がそこなわれるということは、まずそこなわれないようにすることを第一番に考えていかなければならぬ、こういうふうに考えております。
  110. 河上民雄

    ○河上委員 いまそういうことを質問したのは、この前も川崎へ参りまして、川崎の公害のひどい状況をいろいろ見たわけですけれども、企業家の中には、戦後これだけ川崎が発達したのは工場のおかげなんで、このきたない空気は川崎繁栄のためのスープと思って、ありがたく吸っとれという調子の議論がかなり行なわれておるわけでございまして、やはり、そういう気持に産業調和ということばが非常なうしろだてになるおそれがあると思いますので、そういういまの日本の社会通念というものを念頭に置いて、法案の最終的な作成に当たっていただきたいと思います。  それから、先ほど板川委員からお話がございました補償の問題ですね。公害補償に対する問題で、私ちょっと感じたのでございますけれども、公害というのは、法律家に聞きますと、要するに加害と被害関係が不特定、ないしは加害は特定であっても被害が不特定、こういうような問題を法律的には公害であるといっておるようでございますけれども、従来の補償というのは、大体において加害と被害がはっきりしておるものを前提としておるように思うのでございます。そういう意味で、公害基本法制定一つのきっかけとして、そういう補償問題なども新たな基礎に立って考えていただきたいというふうに思っておるわけでございます。そういう点はいかがでございますか。
  111. 田川誠一

    田川政府委員 被害が一体どこから来るかという原因者がわからない公害という問題がずいぶん起こり得ると思うのですが、そういう場合に補償の持っていきどころがないということもあり得ると思います。そういう場合に、一体国がどういう処置をとるかということは非常に重要な問題でございまして、将来検討をしていくべき問題だ、このように思っております。
  112. 河上民雄

    ○河上委員 最後に、非常に一般的な問題でございますが、公害を取り扱う行政面の問題でありますけれども、公害という現象は一体不可分のものであるにもかかわらず、それを取り締まる法律並びにそれを行なう政府並びに地方公共団体の機関というものがばらばらである場合が非常に多いように思うのでございます。たとえば今度の公害基本法の草案といわれておりますものを拝見いたしますと、特定地域の公害防止のための施策を推進するために、当該地域の関係都道府県知事に当該地域の公害対策基本方針を示して、その県知事に公害防止責任を負わすような形になっておるやに聞いたのでございます。ところが、実際に公害防止をやろうといたしますと、当然建築基準法とか、都市計画法とか、そういう問題が関連してくると思うのです。私の選挙区は神戸で、指定都市でございますが、そういたしますと、公害は県知事でやるけれども、その具体的な取り締まりの問題については市がやらなくてはならないような食い違いが生まれてくるのでございます。これは一つの例でございますが、そういうようなことが起こらないように、今回の公害基本法制定するにあたっては特にお考えいただきたい、こういうふうに思うのであります。いまあげましたのは一例でございますが、神戸市の場合などは、この仕事については、市長についても県知事と同様に同格にするのが妥当ではないか、こんなふうに考えるわけでございます。それについては厚生省の御管轄でないかもしれませんけれども、今後厚生省公害問題に関する主管官庁になられるわけでございますから、そういうことを留意されていただきたいと思います。  以上をもって私の質問を終わりたいと思います。
  113. 田川誠一

    田川政府委員 国と地方団体と申しますか、特に市町村との公害に対する連絡と申しますか、そういう点については、できるだけうまく調整できるように私ども努力をしてまいりたいと思っております。ただ、神戸とか横浜とかというような指定都市との問題、こういうことについては自治省とのいろいろな関係もございますので、そういうところとよく相談をいたしまして、できるだけ中央と地方との連絡調整がうまくいくように、私どもとしても努力してまいるつもりでございます。
  114. 河上民雄

    ○河上委員 いずれにせよ、このたびの公害基本法を契機に、厚生省公害という非常に複雑かつ深刻な問題について主管官庁になられるわけでございますので、単に厚生省のいろいろある仕事の中の一つという感じでなしに、政府全体を代表するような気持ちでやっていただきたい。こういう希望を持っておるのでございます。どうぞよろしくお願いいたします。
  115. 八木一男

  116. 中谷鉄也

    中谷委員 十分ばかり時間をいただきまして、政務次官にお尋ねいたしたいと思います。  公害処理委員会であるとか、公害紛争あるいは公害仲裁委員会というような、ことばは熟してはおりませんけれども、そういうふうな委員会を設けるべきである。要するに、おくれた補償補償ではないんだというふうな趣旨の質問が先ほど板川委員のほうからあったわけですが、それについて明確な御答弁がなかったのです。したがって、この問題については、私はどうしても扱わなければいかぬと思いますので、この問題については日をあらためてお尋ねをいたしたいと思いますが、ただ次のようなことをひとつ、この程度のことは本日お答えをいただけると思いますので、お尋ねしておきたいと思います。と申しますのは、たとえば厚生省において公害防止研究というのをやっておられて、国立公衆衛生院等においていろいろなことをやっておられる。たとえば昭和四十二年度は和歌山市も指定区域になる予定だというふうなことがいわれております。そういうことではございますけれども、問題のいわゆる加害者厚生省のほうの用語でいえば原因者と被害者との関係、先ほどの河上委員のことばによりますと、要するに不特定多数の被害者と特定さるべきところの加害者とのその確定の問題、こういうような問題について公害紛争処理委員会等ができれば、これはいいのですけれども、その以前の段階の問題として、住民が泣き寝入りをしないためにも、たとえば地方では、地方の大学へ原因者の確定についての依頼をしてもなかなか明確でない。したがって、結局泣き寝入りをしているというふうなことがずいぶんあると思うのです。したがいまして、少なくとも厚生省などに、そういうふうな住民、国民からの、この地区にこういうふうな被害者がある、どう考えても原因者はあの企業だと思うけれども、というようなものについては、厚生省のほうでは、単に指定区域の大気汚染、水質汚濁等についての一般的な調査をするというのではなしに、国民のそういうふうな申し出に基づく調査というのをやっていただくということでなければ、いつまでたっても泣き寝入りの状態というのは続くと思うのですが、この点について御答弁をいただきたいと思います。
  117. 田川誠一

    田川政府委員 御指摘の点はごもっともな御意見でございまして、たとえば苦情処理所というものでございますか、あるいはまた公害の裁判所的な機関、そういうものは業界などでも何か要望しておるようでございますし、もちろん一般の住民の方々もお困りになっておられる点でございまして、私どもとしても今後慎重にひとつ検討をいたしたい、そういうふうに思っております。
  118. 中谷鉄也

    中谷委員 ちょっと御答弁の趣旨が違うのです。私がお尋ねしたのは処理委員会——ことばは熟さないけれども処理委員会の問題については、これはどうしてもそういうものは要るのですから、これは日を改めて詳しくお尋ねいたします。ただ問題は、そういう処理委員会ができてないこの現実の段階において、われわれは泣き寝入りをしたくない。したがって、だからといって原因者がいわゆる科学的に確定することが非常に困難だという場合に、国立公衆衛生院等において、そういう住民の申し立てについては協力をしていただけるのですね。これは当然だと思いますが、こういう質疑なんです。
  119. 田川誠一

    田川政府委員 今後ひとつ検討してまいります。
  120. 中谷鉄也

    中谷委員 それは検討ですか、ではこの問題もあとに残します。ただ、これは決してそれで了解も何もしていないのです。  もう一つお尋ねいたしますが、実は私おくれてまいりまして、もう法務省の方はお帰りになったわけで、質問の通告もあとでしたようなかっこうで私の手落ちなんですけれども、この程度のことはこの段階でお答えいただけると思いますね。要するに阿賀野川のようなこういう問題、これは非常に深刻で当然ほっておくわけにいきません。ただ、ばい煙というような、たとえばふとんがよごれた、あるいは自分のところのかわいがっている犬の毛がよごれたというふうな、その程度の、そういうばい煙の害に基づくところの公害についても、これは大部分の不特定多数の住民というものは泣き寝入りすべきではないと思うのです。そういう問題について、現在処理委員会がないので裁判所に訴訟を起こす。この訴訟については非常にむずかしい困難な問題がございますが、そういう訴訟を起こした場合に、地方大学あるいは特にいわゆる企業につとめておられるところの化学関係の技師などという方にお願いして、早急な結論というものを期待しあるいは公正な結論というものを求めても、ことに企業につとめておられる技師の方などを鑑定人にした場合に、必ずしも期待できないと思うのです。そういうふうな場合に、裁判所と厚生省等が打ち合わせをされて、今後そういう訴訟はずいぶん私は激増すると思いますが、そういうときに厚生省のほうとしても、いろいろな仕事が忙しいけれども、そういうふうな鑑定事項については積極的に受け入れる用意があるということについては、これはお答えいただけるでしょうね。
  121. 舘林宣夫

    舘林政府委員 今後公害問題をはっきり住民の立場に立って力を入れてやっていく上では、公害の実態把握が非常に重要であります。しかも、住民の訴えがあって初めて調査をするということでは公害問題はおそくて、むしろ知らない間に慢性に住民をおかすという実態がございますので、常時公害の存在を確認をして調査をしているという必要があるわけでございまして、これは大気を調べあるいは川の状況を調べるという調査を絶えず続けておる必要があるということから、従来から厚生省もその方面の努力をいたし、地方におきましては地方衛生研究所がこれに当たっておるたてまえでございますが、問題によりましては地方衛生研究所だけで解決ではきない今回の阿賀野川の事件のような非常にむずかしいものが出てまいります。こういう場合には、お尋ねのような地方の大学あるいは中央の大学あるいは研究機関等の協力を得て調査に当たるし、国もそれにさらに加勢をして調査をするということをいたしておるわけでございます。お尋ねの件は、さらにそれが訴訟のようなものになった場合にこれらの機関が協力するようにしてほしい、そういう場合に用意があるかということでございますが、これはもちろん裁判所の問題でございますが、裁判所側からそのようなお申し出がある限りは、できる限り私どもとしては協力するような措置を講じてまいりたい、かように思います。
  122. 中谷鉄也

    中谷委員 政府委員のほうから調査について非常に努力をしているような御答弁があったのですが、ちょっと一点だけ阿賀野川の問題についてお尋ねいたします。これは予算の分科会でも問題を提起いたしましたが、阿賀野川の問題について、厚生省としての先ほどからの御答弁をお伺いしておりますと、原因の究明といういわゆる民事的な、行政的なあるいはまた疫学的な、そういうふうな問題について関心がいっていると思うのですが、これはいやしくもとにかく人の命という問題になってくるので、それだけでは私は済まないと思う。そこで御調査の問題意識として、一体こういう阿賀野川の被害を出したところの、これは私は原因者と申しません。あえて加害者と、私この場合は言いますが、その加害者についてどのような罰則が適用さるべきか、いわゆる厚生省関係の所轄の法のどの条文が適用さるべきかというふうな問題意識のもとで調査を進められておると思います。前の分科会における法務大臣の答弁は、厚生省のそういう調査を待って直ちに捜査に着手をしたい、こういうことだったわけです。この点についてはいかがでしょうか。現在の調査の結果、原因、結果がはっきりした場合に、どの法律に触れるという前提をもって、問題意識をもって調査をしておられるか。
  123. 舘林宣夫

    舘林政府委員 今日厚生省調査班に調査を依頼しております依頼の趣旨は、その原因を明らかにする、あくまでも科学的に明確にいたしまして、もちろんそれによりまして原因者にほんとうの救済、補償等の措置を講ぜしめることも目的の一つでございますが、そればかりでなくて、このような事故が二度と起こらないようにする、今後の戒めともするし今後の対策の基本とするというような趣旨から、法律違反という観点よりは、むしろ原因を明確にするということに焦点を向けていままで調査をいたしておったわけでございまして、その結果によりまして、何法に触れるかという問題が出てくるわけだと思います。
  124. 中谷鉄也

    中谷委員 差しかえで出てまいりまして、あまり時間も——十分程度というふうに申しましたので、この点についてあまり触れませんけれども、問題は、政府委員公害問題について非常に熱意をお持ちだと私は思うのですけれども、ただ単に原因の究明だけで終わるべき問題じゃない。それから、いま政府委員の御答弁にあったように、補償の問題だけで人の命というふうなものが云々されるべきものではないと私は思うのです。したがいまして、私、先ほどから聞いておって、やはり問題意識として、調査のあり方として、また調査の方法としての問題もあるかもしれません。問題といいますか、調査というものの性格もあるかもしれませんけれども、いわゆる問題意識として、そのようなことは公益的な立場から許されないことなんだ、いわゆる被害者補償問題は公益的な立場から許されなくて、結局それは法によって罰せらるべき場合もあるのだという意識のもとの調査というものが、この非常なふしあわせな事故のみならず、今後の調査の場合にはなければ、結局、裁判の面においても金持ちは貧乏人に負けない。しかも企業エゴイズムのもとにおいては、人の命を奪っても金で済む場合があるのだというふうなことでは、私は世の中が承知しないと思うのです。こういう点について、今後の御調査にあたりましては、調査というものの性格、あり方、方法等について、私はしろうとですけれども、やはりそういうふうな、私が申しましたような問題意識も持って今後の調査はされるべきではないかと思います。
  125. 舘林宣夫

    舘林政府委員 御指摘の点は、私も実は今回の事件に遭遇しまして非常に痛感をいたしておる点でございます。単なる事故でなく、五名の人命が失われておるという事件の探求でございますので、これが司法事件でございますれば、当然強制捜査権があるというようなことで徹底的な調査が行なわれるわけでございまして、今回のような学術調査にはおのずから限界があるという点で、私どもとしてはかなり将来の問題としては考えていかなければならぬということを十分肝に銘じておるわけでございまして、こういう事件に遭遇した場合の私どもの心がまえ、また措置のとり方ということを今後十分考えてやっていかなければいかぬ、かように感じておる次第でございます。
  126. 中谷鉄也

    中谷委員 いま一点だけ……。  これは厚生省にそれほど声を大にして申し上げられるような状態にはないと思うのですけれども、非常に気にかかっておることを私は申し上げたいと思うのです。というのは、法務大臣は、この問題について、厚生省結論が出次第捜査はします、公正、厳正な捜査をしますということを分科会で言うておるのです。ところが、これは厚生省政府委員の方にそういうふうな法務省が答弁すべきようなことの答弁を決してしいるわけではございませんけれども、この事件発生は一体いつかということがまず問題になるわけです。被害発生事件発生とは、これは違うわけですね。事件発生はいつかということになりますると、先ほどの、調査に着手されてから調査の完了までに一年六ヵ月——非常に熱心におやりになったことは私は認めますが、一年六ヵ月たっているのです。そうしてさらにその点についての結論が出るのに若干かかるということに相なってまいりますると、公訴の時効の問題が出てまいります。したがいまして、こういうふうな問題について厚生省のほうで一生懸命になってやられて、そして結局刑事事件になるのだということの結論が出たとしても、そのときには時効になっておる、罪を免れて恥じないという結果が出てくると思うのです。したがいまして、これは私は厚生省だけにこういうふうな過酷なあるいはきつい要求をすることは適当でないかと思いますけれども、このような問題、難件であればあるほど、逆に社会的な影響も多いわけですから、こういうものについての調査については、先ほど板川委員のほうからも同趣旨の発言がございましたけれども、直ちに調査に着手し得るような体制と予算、そういうふうなものがなければ、公益的な面からも国民は納得しないものがある。この点について若干御答弁をいただきたいと思います。
  127. 舘林宣夫

    舘林政府委員 御指摘のようなことも確かに重要なことでございまして、この事件はあらゆる面から一刻も早く政府としても結論を出す必要があるということで、私どもとしては、できるだけ急いで結論を出していただくように調査会の先生にお願いをしておる次第でございます。今後といえども、御指摘のようなことがございますので、このような類似の事件が起こった場合の調査は迅速に行なう必要があるし、予算的に万全を期する必要があるということで、先ほどお答え申し上げましたように、本年度からはかなり大幅の調査研究費を計上してある次第でございます。
  128. 中谷鉄也

    中谷委員 これはちょっと問題が別になるのですが、舘林さんに私はお答えいただきたいと思うのですが、大阪府下の岬町というところで、関西電力が多奈川火力発電所というのを建設しているのです。そこでこの事実関係について舘林さん御存じなければ、私はその点についてどういう事実かということをお答えいただかなくてもいいのですが、火力発電所の建設にあたって、町が関西電力から口封じ料ということで念書を入れて七百万円もらっているのです。その念書の内容を一言で言いますと、今後公害発生をいたしましても一切文句は言いません、町において責任をとります、こういうふうな趣旨の念書なんです。ここで長野自治省行政局長の談話が出ているのですけれども、それはむちゃくちゃだ、どうも次元が違う話のように思うということなんです。ところが関西電力の企業の話、私はこれは非常な企業のかってなエゴイズムだと思うのですけれども、そういう念書があるのだから、今後発生する公害については関西電力としては責任を負う必要はないと思われるという趣旨の談話を新聞で発表しているのです。だから私、舘林さんに御答弁をいただきたいのは、公害というのは河上委員の説明によると、不特定多数のものに対するところの加害であって、被害を受けることであって、同時に、それは非常に継続的な被害を受けるものが私は公害だと思うのです。まして町と関電とがそういう約束をしょうが、そういう継続的な被害について、それではいさようならというふうなわけには企業というものはいかないと思うのです。これはあたりまえのことなんですけれども、自治省の方も驚いた話だと言っているのです。ところが関電はそうじゃないと言っているので、念のために厚生省の、そんなばかげた話はない、それは自治省が言っているとおりだろうという点についての御答弁をいただきたい。  同時に、通産省の局長さんは化学工業局長さんでございますね——部長さんおいていただいていると思いますので、部長さんのほうからも、これは調和をはかられる通産省といたしましても、こんな関電の言い分というものはおかしな話だという点についての御答弁をいただきたい、これは念のためにいただいておきたいと思います。
  129. 舘林宣夫

    舘林政府委員 公害発生しまして健康がそこなわれるということに対する解決の方法として、いまお尋ねのような解決方法というのは、私どもとしては考えられない、全く意外なことである、かように思っております。
  130. 馬場一也

    ○馬場説明員 ただいま先生からお話のございました関西電力の岬町の話というのは、私直接聞いておりませんので、さっそく調べることにいたしますが、もしお話のとおりであるといたしますと、それは先生の御意見のように、そういうことがあってはならないことだと私も思います。
  131. 中谷鉄也

    中谷委員 最後に一点だけでございます。  そこで関西電力のそういうふうな態度について——大阪府下泉南の岬町のできごとです。そうすると、まず堺泉北臨海工業地帯で審査会答申がございまして、いわゆる堺泉北臨海工業地帯における煙突は百五十メートルでも低いんだというふうな報道も最近されておるというふうな状況の中で、今度和歌山県の海南という市がございますが、そこで、発電能力は四十五万キロワット、要するに国産最高の性能を持つという、それが四基あるのですが、そういうふうな火力発電所の建設計画というものが現在進行中であって、審議会のほうにかかって、六月ごろ結論が出るそうです。そういうようなことで、地元の人は、その岬町の話があるものですから、関西電力について非常に不信感を持っておるのです。もう時間がございませんので、煙突の高さであるとか、いわゆる脱硫装置についての疑問であるとか、あるいは気象条件等について私詳しい資料を持っておりますが申し上げませんが、いずれにいたしましても海南市に建設される関西電力の火力発電所についても、立地部長さんのほう、ことに通産省のほうで中心になりまして、地域における地方団体、公共団体も当然努力をいたしますけれども、十分な公害防止指導をしていただきたい。この点についてひとつ、それは当然指導するという御答弁だと思いますが、念のために御答弁をいただきたいと思います。
  132. 馬場一也

    ○馬場説明員 火力発電所を各地に建設いたします場合には、発電所の排煙というものの量がいつでも問題になりますので、立地の際には、ただいま仰せにたりましたような公害防止につきまして、むろん企業側のほうでも自主的に努力をいたしますし、通産省のほうでも十分事前に指導をいたしております。海南市における当該企業の場合におきましても同様にいたしてまいりたいと思います。
  133. 中谷鉄也

    中谷委員 いや、私が申し上げておるのは、企業のほうにおける企業努力というのが足らないのだ。また、企業努力をしますという企業の話というものは、長い間われわれはそういう被害を受けておるから、企業努力をしますという話はあまり信用してないのだということを申し上げておるのです。ですから部長さんのことばから、企業も企業努力いたしますというふうな御答弁があるのだったら、住民のほうももっとしっかりやってくれという御答弁がむしろあっていいと思うのです。したがいまして、企業努力をさせるという点について、企業が努力をするのではなしに、企業にそういう努力をさせるように、十分その点については行政指導をするという御答弁が私いただきたいと思うのです。企業が努力をするなんということは、企業が努力をしないおそれがあるから、その点について御答弁をいただきたいとお願いしておるのです。
  134. 馬場一也

    ○馬場説明員 企業の施設でございますから、企業が努力をいたすべきは当然でございますが、通産省におきましても、立地の際に、企業に対して必要な努力をさせるように十分指導いたします。
  135. 八木一男

    八木委員長 次会は来たる十七日午後一時から理事会、理事会散会後委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後四時二十四分散会