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1967-07-18 第55回国会 衆議院 災害対策特別委員会 第8号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
四十二年七月十八日(火曜日) 午後三時二十一分
開議
出席委員
委員長
田原
春次君
理事
天野 光晴君
理事
池田
清志
君
理事
細田 吉藏君
理事
湊 徹郎君
理事
渡辺
栄一君
理事
佐野
憲治
君
理事
永井勝次郎
君
倉成
正君 塩谷 一夫君 白浜 仁吉君
砂田
重民君
保利
茂君
増岡
博之
君
三池
信君
三ツ林弥太郎
君
石橋
政嗣君
大原
亨君
神門至馬夫君
楢崎弥之助
君
浜田
光
人君
八木
昇君
山本弥之助
君
小沢
貞孝
君 鈴切 康雄君
出席政府委員
総理府総務副長
官
上村千一郎
君
防衛政務次官
浦野 幸男君
厚生省公衆衛生
局長
中原龍
之助君
厚生省国立公園
局長
大崎 康君
厚生省社会局長
今村 譲君
建設省河川局長
古賀雷四郎
君
委員外
の
出席者
内閣総理大臣官
房参事官
上田
伯雄
君
警察庁警備局警
備
課長
三井 脩君
防衛庁防衛局
第 一
課長
今泉 正隆君
大蔵省主計局主
計官 長岡 実君 国税庁直
税部所
得税課長
江口 健司君
文部省管理局教
育施設部指導課
長
大串不二雄
君
厚生省環境衛生
局水道課長
大橋 文雄君
農林大臣官房参
事官
太田 康二君
農林省農地局建
設部災害復旧課
長 松井 芳明君
農林省園芸局園
芸課長
千野
知長
君
林野庁指導部治
山課長
高桑 東作君
林野庁指導部林
道課長
大福喜子男
君
林野庁業務部業
務課長
福田 省一君
中小企業庁計画
部長
本田 早苗君
運輸省港湾局技
術参事官
栗栖 義明君
気象庁予報部長
今里 能君
建設省計画局宅
地部長
井上 義光君
建設省都市局技
術参事官
馬場 豊彦君
建設省河川局防
災課長
坂井 秀正君
自治省財政局交
付税課長
横手 正君 ――
―――――――――――
七月十二日
委員山口敏夫
君及び
中澤茂一
君
辞任
につき、そ の
補欠
として
佐藤文生
君及び
岡本隆一
君が
議長
の
指名
で
委員
に選任された。 同月十三日
委員仮谷忠男
君、坂本三十次君、
塚田徹
君、武
藤嘉文
君及び
稲富稜人君辞任
につき、その
補欠
として
保利茂
君、
三池信
君、
砂田重民
君、
増岡
博之
君及び
塚本三郎
君が
議長
の
指名
で
委員
に選 任された。 同月十八日
委員橋口隆
君、
伊賀定盛
君、稻村隆一君、
佐々
栄三郎君及び
渡辺芳男
君
辞任
につき、その
補欠
として
倉成正
君、
大原亨
君、
八木昇
君、
浜田光
人君
及び
石橋政嗣君
が
議長
の
指名
で
委員
に選任 された。 同日
委員倉成正
君
辞任
につき、その
補欠
として
橋口
隆君が
議長
の
指名
で
委員
に選任された。 ――
―――――――――――
七月十三日
小諸
市
周辺
の
干害
及びひよう
害対策
に関する請 願(
井出一太郎
君
紹介
)(第三三三九号) 同(林百郎君
紹介
)(第三三四〇号) 同月十四日
小諸
市
周辺
の
干害
及びひよう
害対策
に関する請 願(
下平正一
君
紹介
)(第三四四一号) 同(
中澤茂一
君
紹介
)(第三四四二号) 同(
原茂
君
紹介
)(第三四四三号) 同(
平等文成
君
紹介
)(第三四四四号) 同(
小川平二
君
紹介
)(第三五〇三号) 同(
小沢貞孝
君
紹介
)(第三五〇四号) 同(
吉川久衛
君
紹介
)(第三五〇五号) 同(
小坂善太郎
君
紹介
)(第三五〇六号) 同月十五日
小諸
市
周辺
の
干害
及びひよう
害対策
に関する請 願(
羽田武嗣郎
君
紹介
)(第三七一八号) 同月十七日
小諸
市
周辺
の
干害
及びひよう
害対策
に関する請 願(
増田甲子
七君
紹介
)(第四一五一号) は本
委員会
に付託された。 ――
―――――――――――
七月十三日 久留米市等の
降ひょう被害対策
に関する
陳情書
(第三三〇号) 同月十七日
災害防除対策
の
強化促進
に関する
陳情書
(第四 五六号) 鹿児島県の
農作物干害対策
に関する
陳情書
(第四五八号) 岐阜県の
集中豪雨災害対策
に関する
陳情書
(第四九五号) は本
委員会
に参考送付された。 ――
―――――――――――
本日の
会議
に付した案件
昭和
四十二年七月の
集中豪雨
による
災害対策派
遣
委員
からの
報告聴取
――――◇―――――
田原春次
1
○
田原委員長
これより
会議
を開きます。
災害対策
に関する件について
調査
を進めます。 本日は、
昭和
四十二年七月の
集中豪雨
による
災害対策
について
調査
を進めてまいりたいと存じますが、まず、本問題の
実情調査
のため先般当
委員会
より
現地
に派遣されました
委員
から
報告
を聴取することといたします。第一班、
池田清志
君。
池田清志
2
○池田(清)
委員
昭和四十二年七月の
集中豪雨
による
被害状況調査
のため、議長の承認を得て、七月十四日から昨十七日までの四日間、長崎県及び
佐賀
県に派遣せられました第一班の
派遣委員
を代表して
調査
の概要を御
報告
申し上げます。
派遣委員
は、自由民主党の私
池田清志
、
佐藤文生
君、
水野清
君及び
日本社会党
の
佐野憲治
君の四名でございまして、
地元選出議員
も御参加をいただき、長崎、
佐賀
の両県に対し、
議員一同
から拠出せられました
災害見舞い金
をお届けいたしますとともに、
現地
の実情をつぶさに
調査
をいたし、加えて、
現地
に向かう途中、
飛行機
から列車に乗りかえます四十分の間に、福岡県につきましても、知事、
関係部長
から説明を聴取してまいったのであります。 第一班は、昨夕
飛行機
で帰京いたしたばかりでありますので、簡単に御
報告
申し上げることをお許しいただき、詳細は、
委員長
のもとに、
現地
よりちょうだいいたしました数々の資料を提出しておりますので、これをごらんいただきたいと存じます。 まず、長崎県について申し上げます。 七月初旬から
九州中部
に停滞していた
梅雨前線
は、その活動を次第に活発化していき、台風七号くずれの
熱帯性
低気圧の影響もあって、七月五日夕刻には
対馬地方
に、また九日早朝には
五島列島
及び
県北地方
を中心に
集中豪雨
をもたらし、雨量は、九日一日で、
佐世保
市三百五十四ミリ、時間雨量百二十五ミリ、福江市三百五ミリ、時間九十九ミリを記録するなど、県下三十三
市町村
に激甚なる
被害
を発生せしめたのでありまして、
災害救助法
を発動したもの二市十三町を数えております。 県の
報告
による十五日現在の
被害状況
は、死者五十名、
重軽傷者
三百十三名、
住家全壊
三百八戸、半壊二百二十三戸、
床上浸水
八千六百九十五戸、
床下浸水
一万七千九百四十二戸、
被害額
は、
農林関係
七十五億二千万円、
土木関係
六十九億二千万円、
商工関係
十八億円、その他を合わせて、総額二百三億二千万円に及んでおります。 われわれ
調査団
は、
佐世保市内
にある
県北開発振興局
において、知事はじめ
県当局
の方々、
佐世保市長
、
佐々町長
ほか
関係者
から説明を聴取した後、
佐世保
市の
大野地区
、
池野地区
、
黒髪地区
などの
被災現地
をつぶさに視察いたしますとともに、同
地区
において、
自衛隊
の
活動状況
について、その
作業ぶり
を直接見る機会を得、さらに、五十余戸の部落を預かって
避難誘導
の先頭に立って適切な
指導
を行なわれた地元の一市民からも
被災現場
に立って直接説明を聞き、私どもととのやりとりが、
被災者
の身の振り方に具体的に影響を与える緊迫した雰囲気の中で、身の引き締まるような
調査
を行なってまいったのであります。
被災現地
は、いずれの
地区
も、洪水、
鉄砲水
のなまなましい
つめあと
が歴然としるされており、写真とあわせて
現地
の
状況
を見ますと、当時の激甚さが十分にうかがい知れたのでありまして、中でも、黒髪川上流の
巨岩累々
たる
鉄砲水
のあと、近接して全く対照的に、二十三災の直後設けられたというみごとな
砂防堰堤
が厳然として自然の暴威をさえぎった
状況
をあわせ見て、もしこの堰堤がなかったならば、
被害惨状
ははかり知れないであろうことが想像にかたくないだけに、いまさらながら適切な
防災事業
の
必要性
を痛感いたした次第であります。 まず、県の
要望事項
から申し述べますと、 今次
災害
を
激甚災害
に指定せられたいということは申すに及ばず、
公共土木関係
として、
中小河川対策
に大幅な
予算的措置
を講ずること、
復旧事業
は、
改良復旧
を施すとともに三年間で完了すること、また、
災害防止
の
抜本策
として、治水、
砂防ダム
の
建設促進
が強く
要望
され、さらに、急
傾斜地崩壊防止対策事業
の推進、
災害区域
における
建築規制
、
災害住宅
の復興について
要望
がありました。
農林関係
といたしましては、
天災融資法
の発動と
自作農維持資金
の
融資ワク
の拡大並びに旧債の
償還延期
及び水稲再
保険金
の
早期概算払い
について
要望
されるとともに、農地の
復旧
について、
改良復旧
に重点を置くこと、
現行進度
三・五・二を五・三・二とすること、査定前着工を認めること、十万円以下の小
災害
も
対象
とすること、
応急復旧工事
の
採択基準
は、
地区
五万円を二万円以上に緩和すること、
補助残
について
全額起債
の
対象
とすること、
事務雑費
三%を五%にすることが
要望
され、また、
種苗確保事業費
の
国庫補助
、林道の
早期復旧
、
緊急治山事業
の
大幅拡大
、
漁港災害復旧事業
の早急な修築、しゅんせつ、
漁業施設
、
水産加工施設
の
復旧措置
について特段の配意が望まれております。
厚生関係
としては、
災害救助法
による
救助費
の
限度額
の改正、
世帯更生資金
の
国庫補助増額
、
母子福祉資金国庫貸し付け金
の増額、
児童福祉施設
、
保健所等
の
災害復旧国庫補助
、並びに水道、
清掃施設災害復旧工事費
及び
伝染病予防費
の
高率補助適用
について
要望
がありました。
商工関係
としては、
中小企業者
に対する
資金融資
について、利率の引き下げ、利子、補給、
償還期限
の延長、
政府金融機関
の
災害特別融資ワク
の設定、
信用保証協会
の
災害融資
、並びに
被災中小炭鉱
に対する
特別融資
について、
文教関係
としては、小
災害復旧事業費
の
地方負担軽減
、
効用復旧
、
復旧費
の
早期決定
、
公立社会福祉施設設備
の
災害復旧
について、それぞれ
要望
がなされました。
税財政関係
といたしましては、
災害
による
緊急融資
すなわち、
つなぎ資金
の問題、
普通交付税
の繰り上げ交付、
起債充当率
の引き上げ、
単独災害復旧事業
の
採択基準
の緩和、
特別交付税
の
増額配分
並びに急
傾斜地崩壊対策事業
に対する
財源措置
について強く
要望
されたのであります。
佐世保
市からは、今次
災害
に対する
自衛隊
の
救援活動
に深甚なる謝意が表せられますとともに、特に、
上水道
の主たる
給水管
が被災したため、全市の水道が麻痺し、いまなお七千戸に対して毎日
給水活動
が続けられている現状で、
五島列島
の町村にも同様の例がありますが、
上水道
の
復旧
について高率の
補助
ないし起債による解決が強く望まれておりました。なお
佐世保
市の水道は米軍も三分の一使用していることから、
基地対策
の一環としても、ぜひ取り上げてほしいとの
要望
があったのであります。 また、
災害救助法
は全く実情に沿わないとの意見が述べられ、たとえば、
応急仮設住宅
の三分の一の規定はきわめてシビアに過ぎ、だれを優先的に入れるかということで問題が多く、全戸を
対象
とすべきであること、また、
被災民
の切実な声として、
なべかま
よりも、畳、むしろがほしいという希望が強く、市においてとりあえず
手当て
をしたが、法による
手当て
を大幅に引き上げられたいとのことでありました。
佐世保
市の説明に関連して、知事から特に
都市計画
に
防災
のウエートが少ないことが指摘され、根本問題は
防災本位
の
都市計画
でなければならず、
河川対策
のみでは不十分であるとの意見が述べられたのであります。 佐々町からは、
商店街
の
被害
が著しく、
中小商工業者
に対する
低利長期
の
融資
が早急に必要であること、
中小河川
の
改修
とともに
町村河川
についても特段の
援助措置
を
要望
するとのことでありました。 また、
町村長会長
からは、同
地方
は
産炭地
の火が消えてしゅんとなっているところに今次
災害
を受けたことから、一日も早い
激甚法
の適用で、住民の
復旧意欲
を振興するよう
要望
されるとともに、将来の
かんがい用水対策
について
総合的施策
が望まれておりました。 次に、
佐賀
県について御
報告
申し上げます。 本県におきましても、九日十二時から十四時にかけて
県下全域
が大雨となり、特に県の
北西部地域
には集中的な豪雨を記録し、
伊万里
市において二時間余の間に二百ミリをこえ、時間雨量にして百三十五ミリ、有田町で二時間に百七十五ミリをはじめ、各地に時間雨量にして百ミリをこえる降雨を見たのでありまして、このため、
県下全域
にわたって激甚なる
被害
が発生し、
災害救助法
を発動したもの三市六町に及んでいるのであります。 県の
報告
による十五日現在の
被害状況
は、死者三十二名、行くえ不明二名、
重軽傷者
百五十六名、
住家全壊流失
百六十四戸、半壊三百四十四一尺
床上浸水
六千四百四十三一尺
床下浸水
一万九千三百九十九一尺
被害額
は、
農林関係
百十五億円、
土木関係
六十八億円、
商工関係
三十六億円、その他を合わせて総額二百三十一億円にのぼっております。 私
ども調査団
は、十六日、まず武雄市を振り出しに山内町、有田町、
西有田
町、
伊万里
市、唐津市、昨十七日は、相知町、厳木町、多久市の
被災現地
及び役場におもむき、最後に
佐賀県庁
を訪れたのでありますが、県並びにに各
市町村
の
要望事項
は、大部分が、先ほど申し述べました長崎県同様でありますので、重複を避け、各
市町村
において特に印象の深かった点についてのみ御
紹介
申し上げてみたいと存じます。 まず、武雄市におきましては、平常はむしろ水不足に悩んでいるとのことで、むずかしい河川といわれる六角川の
改修
、特に
改良復旧
が望まれますとともに、水田二百八十一ヘクタール中、植えつけ不能五十七ヘクタールを除き、八十ヘクタールが
苗不足
を来たしており、二年
連続米作
反当
収量日本一
を誇る
佐賀
県だけに、村民の
米づくり
に対する意欲が盛り上がっていたところにこうむった
災害
ということで、
目下立ち直り
に努力中であり、近県からの
早生種苗
の移入、遠く石川県から種もみの急送を仰いでいるとのことでありましたが、
種苗確保
の費用について格段の配意が望まれておりました。 山内町におきましては、
地すべり対策
が強調せられ、今次
災害
が
黒髪山系
に端を発しているだけに、その山麓に位置する同町は、干ばつで亀裂が入っているところに
集中豪雨
を受け、随所に
山地崩壊
、
地すべり
が発生、いまなお、日を経るにつれてじりじり進行しているとのことで、同
地方一帯
の地層が玄武岩であるため、全町を
地すべり地帯
に指定するとともに、技術的、
財政的援助
が強く望まれておりました。 有田町は、住宅の八〇%が
有田焼
の生産、販売に従事し、年額六十五億の生産を行なっておりますが、九日の雨で二百カ所に及ぶ
山腹崩壊
が発生し、このたぬ住宅や、
有田焼
のかまが随所に
被害
を受けており、
被災業者
のかまの
復旧
、
従業員
の住宅並びに
休業手当等
、当面の危機を切り抜けるため、適切なる
金融対策
が
要望
せられますとともに、
反対側
の
有田ダム
にささえられた
地方
は
被害
がなかったことから、
抜本的対策
として大規模な
砂防堰堤
ないし
防災ダム
の設置が強く
要望
せられていたのであります。 なお、これに関連して、
国有林
の
防災対策
がきわめて不十分であることが、
災害発生
の一因をなしていることが
問題点
としてクローズアップされるとともに、
通商局
から、
有田焼
のかまの再建に関して、今次
災害
を機会に、
中小企業近代化促進法
に基づく
スクラップアンドビルド方式
にのっとって
近代化計画
を立て、特別の
融資
を受けることを検討すべきであるとの指摘がなされたのであります。
西有田
町におきましては、二百五十を数える
老朽ため池
の
被害
が顕著であることから、その
改修
について、国及び県で何とか
援助
する方法はないものかどうかが
問題点
となりました。急
傾斜地
である地形上、大きな
ため池
はつくれず、町の
財政規模
はきわめて貧弱であるため、
防災対策
についての町長の陳情は、まことに切実な声と承ってまいったのであります。 次に、本県で最も
被害
激甚であったといわれる
伊万里
市につきましては、
問題点
も一つにとどまらないのでありますが、まず、
被災商店
の
立ち直り
をはかる必要が痛感せられるところでありまして、一商家二百万円程度の
長期低利
の
融資措置
はぜひとも必要であろうとのことであります。同市は、
産炭地
からの脱皮をはかるため、
新建材工業都市
、
石油基地構想
をあげて意欲的に
町づくり
に乗り出そうとしているやさきでありましただけに、まことに同情を禁じ得ないものがあるのでありますが、地形上、
伊万里
川と有田川にはさまれた
デルタ地帯
に位置し、市街地の護岸に余裕がなく、道路もないため、洪水と火事には全くお手あげの状態であるといわれ、治山、治水の
抜本的対策
、特に
防災ダム
の設置、
急流河川
の水勢を緩和する
河川改修等
が強く
要望
されるところであります。
伊万里
川の上流にある
鍋島焼
で有名な
大川内地区
を視察したのでありますが、従来の川幅の倍以上に広がっている護岸の
決壊状況
は、当時の水勢をしのんで余りあるものがあり、これが市内に向かって奔流となって押し出したのでありますから、もし日曜日の昼間でなく、男手がないあるいは夜半の
災害
があったとすれば、その
被害
ははかり知れないものがあり、その意味では不幸中の幸いであったとも言い得るのであります。 唐津市におきましては、
上水道
の
送水管
が流されたが、
応急復旧
のため、とりあえず市議会で
一般会計
から二千五百万円の支出が認められたので、一週間で
復旧
するとの
報告
に接したのでありますが、
上水道
の
災害復旧
に対する国の
補助
について強い
要望
がなされました。 相知町は、松浦川と厳木川の
合流地点
でありますため、毎回
災害
を受けているといわれ、今回も二メートルに及ぶ水が出て、全部落が被災したのでありますが、特に
警察活動
が目ざましく、各
孤立部落
の救援に大きな成果をあげたとのことでありました。
抜本的対策
として、
河川改修
の
原則どおり下流
から逐次
改修
を進めていくべきことが強調せられておりました。 厳木町は、旧
炭鉱地帯
で、特に
生活保護世帯
、失対事業に従事する世帯が多く、
被災者
が貧困でありますため、今次の
災害
に際し、
一般会計予備費
から
見舞金
の支出を行ない、金額は、全壊二万円、半壊一万円、
床上浸水
五千円ないし三千円とし、
対象
については、不平が出ないよう二日間の十分な
調査
を行なったということであり、この適切なる
措置
は注目に値するものであります。 多久市におきましては、林道の
路面復旧
についてぜひ
とも国
に
援助
の手を差し伸べてもらいたいとの熱心な
要望
がなされました。同市は、
林道延長
が長いことから、一度出水すれば、これが川となるため、路面が荒され、歩くことができないとのことでありますが、
復旧
には多額の費用を要し、
砂利代
も出せない
状況
にあるので、何とか国の
援助
をお願いしたいとのことでありました。なお、十万未満の小
災害
が多いため市の財政が圧迫されていることから、三万円程度まで
補助対象
にされたいことが望まれ、困難だとすれば、
金額起債対象
として、
元利償還
をお願いしたいとのことでありました。 また、千人の
従業員
をかかえる鉱山の
土砂流入
による
災害復旧
に対して
緊急金融措置
が望まれ、ボ夕山
対策
としては、一部に水路をつげたことが非常に効果的であったので、残余のものにも水路をつけ得るよう
措置
されたいとの
要望
がありました。 なお、同市の死者二名中一名は、警察に協力して、
孤立部落
に救援に向かう途中事故にあった高校生であるとのことで、法に基づく
補償措置
を考慮中であるとのことでありましたので、ぜひこれは実現するよう当局にお願いをいたしておきたいと存じます。
佐賀
県の
要望事項
は長崎県同様でありますので、重複する部分は割愛させていただき、残余の部分について御
紹介
申し上げますと、
商工関係
といたしましては、
危険ボ
夕山の処理について特別の
対策
をはかられたいこと。
農林関係
といたしましては、
農林土木技術者
の
派遣あっせん
、
緊急治山ワク
の拡充とともに、
樹園地等
、
災害融資制度
の
対象
にならないものについても何らかの配慮が強く望まれておりました。 また、
土木関係
につきましては、
砂防予算
の
大幅増額
と、
特殊緊急砂防事業
を大幅に採択し、二年以内で完成するよう配慮が望まれておりました。 以上、県及び各市町の実情の一端を御
紹介
いたしたのでありますが、特に全体を通じて
地元住民
の強い不満の声が聞かれました点は、
国有林野
の
防災対策
の不備についてでありました。
林務当局
におかれては、今回の
災害
を契機として、再びかかる
災害
を生ぜしめないような十分なる
防災
上の
措置
が強く望まれるところであります。
地すべり地区
の
移転促進
につきましては、県、市町などの条例で、若干の
融資措置
がとられているようでありますが、
融資
のみでは実効は期しがたく、一方、
退却命令
を出せば補償の問題が生ずることなどから国の適切なる
指導
、
援助
が強く望まれるとともに、
構造改善事業
以外の個人の
樹園地
の無理な開墾につきましては、
防災
上の見地から何らかの形で
指導
を強化する必要があるとの意見につきましても、当局の適切な
指導
が必要であると感じてまいった次第であります。
老朽ため池
の補強の問題につきましては、大きくて
緊急性
のあるものから、一定の基準に従って着々進められてはいるのでありますが、
市町村
の
財政力
を考えるとき、
防災
上の見地からいま一歩何とか前進せしめる手だてはないものかと感じてまいったのであります。 さらに、同
地方
はいずれも
産炭地域
でありまして、ほとんど閉山して、人口もかなり減少しているところが多く、ようやく新しい産業を興し、
町づくり
に立ち上がろうとしている際の大
災害
でありますだけに、貧弱な
市町村財政
では打つ手がない
状況
であり、再び
災害
を起こさないよう、各般にわたる国のあたたかい
援助
が強く望まれますとともに、ボ夕山
対策
につきましても、
災害
の
防止措置
から一歩進めて、何らかの形でこれを活用する方策の検討が必要であろうと痛感いたしてまいった次第であります。 次に、福岡県につきまして、御
報告
を申し上げておきます。 県の
報告
による
被害
は、死者二名、
負傷者
二名、
住家全壊
一戸、半壊十二戸、
床上浸水
八百四十四戸、
床下浸水
二万一千百四十二戸、
被害額
は、
公共土木関係
九億二千万円、
農林業関係
五億七千万円、その他で総額十五億四千万円にのぼっております。 同県の
要望事項
も、他の県とおおむね重複いたしますので、省略させていただきますが、特に
宅地災害防止
及び
復旧
についての
要望
を御
紹介
いたしますと、
宅地造成等規制法
を適用するにあたり次の事項につき善処せられたいとのことでありまして、 その一は、
造成主
に対する
融資
の拡大及び
改善命令
による
改良工事
を行なう場合、
造成主
に対し国の
財政的援助
を願いたいこと。 その二は、
現行法
の改正または新法の制定によって広範な
危険区域
を指定し、地形の
変更禁止等
の
措置
ができるように願いたいこと。 その三は、法に基づき
行政庁
が代執行をした場合、
執行庁
に対する国の
財政的援助
を願いたいこと。 以上であります。 最後に、今次
災害
の
調査
を終えて、その
被害
の激甚なる
状況
に身をもって接してまいりました立場から一、二申し上げてみますと、 まず、いずれの県、
市町村
に参りましても、
関係者
はもとより、報道陣も含めて、異口同書に、
激甚法
の早期発動について熱烈なる
要望
がなされたのでありまして、政府におかれましては、一日も早くこれが指定を行ない、
被災現地
の方々の
復旧
の意欲を高揚せしめるよう特段の御努力をお願いいたしておきたいと存じます。 次は、
自衛隊
をはじめ地元警察、消防団の目ざましい活躍についてであります。特に、
自衛隊
はその近代的装備、機動力をもって、いち早く
救援活動
に、
応急復旧
にと、昼夜をわかたぬ活動を展開し、一部では、日曜を利用した自発的奉仕の
状況
にも接してまいったのでありまして、県、
市町村
当局をはじめ
被災者
の感謝の気持ちを率直にお伝えいたしておきたいと思うものであります。 終わりに、今次
災害
でなくなられました方々の御冥福と、負傷された方々の一日も早い御全快をお祈りいたしますとともに、本
調査
に御協力を賜わりました県はじめ
市町村
の
関係者
の方々に深甚なる謝意を表しまして、御
報告
を終わります。(拍手)
田原春次
3
○
田原委員長
第二班細田吉藏君。
細田吉藏
4
○細田
委員
第二班の
調査
の概要につきまして申し上げます。
派遣委員
は、自由民主党の細田吉藏、
日本社会党
の
岡本隆一
君、民主社会党の
塚本三郎
君及び公明党の小川新一郎君の四名であり、ほかに
地元選出議員
の参加を得まして、七月十五日から十七日まで、広島県におきます
昭和
四十二年七月の
集中豪雨
による
被害
の
状況
につきまして、つぶさに
調査
をいたしてまいったのであります。 なお、本院
議員一同
から拠出されました今次
災害
のお見舞い金を県庁におきまして
知事
にお渡しし、罹災された方々につつしんでお見舞いを申し上げてまいりましたことを御
報告
いたします。 広島県におきましては、七月八日と九日の両日、
県下
一円にわたって
集中豪雨
があったのでありますが、特に呉市、竹原市、三原市、尾道市、豊田郡等の瀬戸内海沿岸部、及び大崎上島、大崎下島を中心とする島嶼部において激しく降り、呉市においては正味二日間に三百十五ミリを記録し、九日午後三時から六時までの三時間に百三十三ミリという
集中豪雨
が降ったのであります。 このため、同
地方
におきましては
山腹崩壊
が各所に
発生
し、また、渓流、
中小河川
は崩壊土砂を伴う
鉄砲水
となって、多数のとうとい人命を奪い、家屋を倒壊流失させ、道路、橋梁を破壊し、
災害
の比較的少なかった同
地方
の人々の夢想だにしなかった大
災害
が
発生
したのであります。 県の
報告
によります。月十五日現在の
被害
の
状況
は、
死者
百五十九人、
負傷者
二百十九人、
住家全壊
三百七十五戸、同
半壊
四百六十九戸、同一部損壊二百二十二戸、
床上浸水
五千四百三十一戸、
床下浸水
二万九千八百二十八戸、教育施設の
被害
約六千万円、
上水道
等施設
被害
約五千万円、
農林関係
約三十二億六千万円、
土木関係
約三十三億四千万円、
商工関係
約二十六億円、公園等約五千万円、
総額
で約百四十三億六千万円となっており、なお
調査
が進むに従って
被害額
はかなり増大するものと思われます。 県におきましては、九日午後五時
災害対策
本部を
設置
し、本部員を招集し、直ちに
災害
の応急
対策
に取り組んだのであります。呉市、竹原市、三原市をはじめ十五
市町村
に次々に
災害救助法
が発動されたのでありますが、九日午後十一時三十分に、県内の住家滅失
世帯
が二千をこえるに至り、県が
災害救助法
を発動し、罹災者の
救援
に当たったのであります。また、
自衛隊
の
災害
派遣を要請し、九日午後五時二十五分、海上
自衛隊
員七十名が船で呉市に入ったのをはじめ、同日午後七時十分、陸上
自衛隊
二百名と続々増強し、生き埋めとなった人々の捜索、救出に当たり、多くの生き埋めとなった人々が救出されたのであります。 呉市におきましては、太田川
送水管
、三永
送水管
の本管が山くずれのために破壊され、約二万
世帯
が断水し、その給水
対策
が大問題となり、広島市及び
自衛隊
の給水車を総動員し、さらに広島陸運局に配車を要請し、タンクに入れた飲料水を断水地に輸送して応急給水につとめたのであります。 われわれ
調査団
は、県庁におきまして
知事
をはじめ各担当
部長
から
説明
を聴取した後、呉市、竹原市、三原市、福山市及び尾道市の各市役所においておのおのの市長から
説明
を聴取し、また、川尻町、安浦町及び安芸津町の各所長からは、同町内の
災害
現地
において
説明
を聴取し、各
市町
における
災害
現地
を視察してまいったのであります。 その詳細及び各地の
要望
等につきましては、時間の関係から省細させていただきます。 最後に、今回の
調査
で感じました二、三の点につきまして要点だけ申し上げます。 今回の
災害
は、呉市に見られるごとく、時間
雨量
にして七十五ミリ、二日間で三百十五ミリという驚異的な
集中豪雨
であったため、山地に接した急
傾斜地
で、
山腹崩壊
によって家屋が倒壊埋没し、多数のとうとい人命が失われているのでありまして、山地に接した
住宅
地の問題は、将来の
災害防止
の上からもその
防災対策
が望まれるのであります。 また、今回の
災害
によって多数の方々が家を流されたり、こわされ、家財道具の一切を失って、まる裸になっているのでありますが、これら個人の
災害
に対する
手当て
がほとんどない現況でありまして、個人
災害
の問題につきましても検討の時期にきていると思うのであります。 そのほか、
中小河川
、都市
河川
の
改修
の問題予防
対策
強化の面からの
集中豪雨
の予報、テレビ、ラジオ等による警報の強化等、問題は多数ありますが、時間の関係上割愛いたし、以上、
報告
を終わります。(拍手)
田原春次
5
○
田原委員長
第三班、天野光晴君
天野光晴
6
○天野(光)
委員
第三班の
調査
概要について御
報告
申し上げます。 七月の
集中豪雨
による
被害状況調査
のため、去る七月十五、十六の両日、
永井勝次郎
君、
小沢貞孝
君、鈴切康雄君及び私が大阪府、兵庫県に派遣され、さらに
地元選出議員
多数の御参加を得まして、つぶさにその
実情
を
調査
してまいりましたので、以下御
報告
いたします、なお、
委員会
の運営上、ごく簡単に概要を申し上げることをお許しいただき、細部については、府、県、市からの
陳情書
、資料等を
委員長
のお手元に提出いたしてありますので、御参照願いたいと存じます。 このたびの
集中豪雨
は西日本一帯に大きな
被害
をもたらしたのでありますが、大阪府では七月七日から十日、及び十二日の断続的な
集中豪雨
に見舞われ、特に大阪市の北部においては、九日の午後のみで二百十ミリをこす記録的なものであり、このため、
中小河川
、
ため池
は
随所
で決壊、はんらんし、各地で土砂くずれ、浸水等、甚大な
被害
を与え、府の
報告
によりますと、その
被害
は、
死者
四名、行くえ不明二名、重軽傷七十名をはじめ住居関係約三十五億円、
土木関係
九億八千九百万円、農林水産関係十億九百万円、商工業関係約十億六千七百万円等、物的
被害
は七十五億円余にのぼり、また、兵庫県においては、九日の朝から夜半にかけて、阪神間を中心に三百ミリをこす
集中豪雨
があり
昭和
十三年の大水害をしのぐ記録的なものとなり、そのため、
河川
のはんらん、山くずれ等が続発し、
死者
七十八名、行くえ不明二十一名、
負傷者
九十四名の多数の人命がそこなわれ、物的
被害
は、
住宅
関係約三十八億八千五百万円、建設関係約六十一億円、農林水産関係約十九億二千万円、
商工関係
約十億二千六百万円等、
被害
総額
は百三十九億円余にのぼり、両府県の市民の生活、経済
活動
等にきわめて深刻な打撃を与えたのであります。 私
ども調査団
は、十五日、大阪府庁において、衆議院
議員一同
から託されましたお見舞い金を
知事
にお渡しし、府
当局
から
被害状況
等の
説明
を聴取した後、茨木市、高槻市、豊中市、
池田
市の被災地を視察するとともに、各市長から
説明
並びに
要望
を聞き、引き続き兵庫県に入り、伊丹市を視察いたしました。翌十六日、兵庫県庁においてお見舞い金を
知事
にお渡しし、県及び神戸市から
災害
状況
の
説明
を聴取した後、神戸
市内
、西宮市、尼崎市等を視察してまいりました。 次に、視察地から数多くの切実な
要望
がありましたので、そのおもなるものを、
調査団
の
意見
を加えて申し上げます。 第一は、都市
河川
の創設であります。 最近の産業の発展等に伴う宅地造成等により急激な人口の増加を見、過密都市特有の問題が
発生
しておりますが、それに対応する
治水
、排水の施策が貧困であることが今回の
災害
の原因の一つではないかとも考えられますので、この際
抜本的対策
を立て、将来憂いのない
復旧
並びに
改修
事業
を早急に進められたいと思います。 第二は、造成宅地の
被害
が甚大であったことにかんがみ、
宅地造成等規制法
、
住宅
造成
事業
に関する法律の
改正
についてであります。 最近未
改修
中小河川
の
周辺
並びに山はだを切り開いた
住宅
が立ち並んでいる町の姿は、旅行者でも、大雨が降ればあぶないと心配されるものがあり、そういうところが山津波、がけくずれ等が続発しており、
住宅
難のおりとはいえ、惨事を起こすことが明らかな宅地造成や山地の開発については、適切な
指導
と規制が必要であり、特に地質変更、または急傾地の崩壊
対策
は急を要すると痛感いたしました。 第三は、七月の
豪雨
による
災害
を
激甚災害
に指定されたいとの強い
要望
であります。 今回の
被害
の激甚なるにかんがみ、
激甚災害
の指定がなされることと思いますが、すみやかに指定されんことを望みます。 なお、
災害復旧事業費
については、
改良復旧
を大幅に認めるとともに、
国庫補助
の
高率
適用
に特段の考慮が必要であります。 第四は、被災
中小商工業者
及び農林業者に対する
災害復旧
資金の
融資
等の促進についての
要望
でありまして、
融資ワク
の
拡大
、
長期低利
、手続の簡素化等については、十分
配慮
されたいと思います。 その他、個人
災害
の問題、
災害救助法
に基づく救助
基準
額の引き上げ、
対象
件数の制限緩和、緊急査定、特別
交付
金の
高率
配分等、数多くの切実な
要望
がありました。 以上、
調査
の概要について申し述べましたが、政府は今次
災害
の特異性を考慮され、各
要望事項
について慎重に検討を加え、
地元
各位の期待にこたえるべく、特段の
措置
を講ずるよう強く
要望
いたすものであります。 最後に、本
調査
にあたり御協力をいただきました関係各位に感謝の意を表し、
報告
を終わります。(拍手)
田原春次
7
○
田原委員長
これにて
派遣委員
の
報告
は終わりました。
派遣委員
各位には、まことに御苦労さまでございました。 ————◇—————
田原春次
8
○
田原委員長
ちょっと速記をやめてください。 〔速記中止〕
田原春次
9
○
田原委員長
速記を始めて。 これより質疑に入るのでありますが、各地におけるその後の
被害状況
等につきまして、上村非常
災害対策
副本
部長
から
説明
を求めます。上村副本
部長
。
上村千一郎
10
○上村政府
委員
この際、
昭和
四十二年七月
豪雨
災害
について政府のとっておりまする
措置
を
説明
いたしたいと思います。 初めに、今回の
豪雨
により不幸にもおなくなりになられました方々に対し、つつしんで哀悼の意を表するとともに、罹災された多くの方々には、政府としてできる限りのことをいたし、一日も早く立ち直っていただけるように努力をいたす所存でございます。 今回の
災害
に対しまして、政府は、直ちに
昭和
四十二年七月
豪雨
非常
災害
に
対策
本部を
設置
し、十一日に政府
調査団
三班を編成し、
被害
の
状況
を
調査
いたしましたが、それらの特色は次のとおりでございます。 兵庫県では、山くずれ、がけくずれによる
住宅
被害
及び人的
被害
の大きかったことであり、広島県では、
山腹崩壊
、渓流での
鉄砲水
、都市
河川
のはんらんによる
住宅
被害
及び人的
被害
が大きかったことでございます。
長崎
県、
佐賀
県でも、
山腹崩壊
と
中小河川
、都市
河川
のはんらんによる
住宅
被害
、人的
被害
、及び冠水による
農地
の
被害
等が大きかったことであります。 次に、いままでに判明いたしました
被害
の
状況
について御
説明
申し上げます。 なお、お手元の資料は七月十四日現在の数字でございまするので、よろしくお願いを申し上げます。 まず、一般
被害
といたしましては、
死者
・行くえ不明が、広島
県下
での百五十九名を含め、三百六十九名、
負傷者
六百十八名、建物全
半壊
・流失二千四百四十棟、床上・
床下浸水
三十万棟、罹災者二十八万人の多くを数えております。 次に、施設関係等の
被害
といたしましては、県からの
報告
によりますと、公共土木施設三百二十三億、
農地
等百六十八億、中小企業関係九十四億等、総計七百九十億にのぼっております。 次に、政府のとった
措置
を申し上げます。 警備、救助
活動
について申し上げますと、
警察
庁及び管区
警察
局では、警備
活動
を強化するとともに、各府県
警察
では、広報の実施、避難の勧告、警備を実施しております。 消防機関の職・団員も、十九府県で、避難の指示、誘導、人命の救出、救助及び行くえ不明者の捜索をはじめ、水防
活動
等を実施しております。 防衛庁では、
自衛隊
員延べ二万二千六百二十名を派遣したほか、車両、航空機、艦艇等を派遣して、道路、啓開、給水、通信支援、遺体収容等を実施しております。 海上保安庁でも、巡視艇、航空機により、海中での遺体捜索のほか、緊急物資等の輸送を行なっております。
災害救助法
の
適用
については、広島県等八府県の五十七
市町村
に発動し、避難所の
設置
たき出し、飲料水の供給、被服、寝具等の給与、医療救出等を実施しております。 防疫
対策
について申し上げますと、都市部の
被害
が大きかったことにかんがみ、特に防疫
対策
について重視し、
被災者
の検病
調査
を行ない、伝染病の早期発見、流行の防止につとめ、避難所の衛生管理を強化しております。
住宅
対策
について申し上げます。
応急仮設住宅
の
設置
、
住宅
の応急修理については、すみやかに実施すべく手配中であります。
災害
を受けた
住宅
に対しては、
災害
復興のための
住宅
資金の貸し付けを行なうほか、
災害
公営
住宅
の建設及び既設公営
住宅
の
復旧
についても所要の
措置
を講ずることとしております。 文教
対策
としては、罹災児童生徒の学習に支障を生じないよう、教科書の
調査
、補給を行ない、また、就学
援助
費
補助
金を
市町村
の申請に基づき
交付
するほか、授業料等の減免
措置
を講ずることといたしております。 交通関係について申し上げますと、主要道路については、一車線以上の交通を確保いたしております。国鉄については、主要幹線は全線
復旧
し、運行しており、現在の不通個所は、筑肥線等三線区、七区間であります。 中小企業
対策
としては、政府系中小企業金融三機関に対し、元利金の支払い猶予、貸し付け期間の
延長
等の
措置
を講ずるほか、据え置き期間の設定、担保条件の緩和等の
措置
を講じております。また、中小企業信用保険公庫からの
融資
、臨時金融相談所の
設置
などを行なっております。 公共土木施設等の
復旧
について申し上げますと、
河川
等公共土木施設については、緊急に
復旧
を必要とする個所は急速
復旧
作業を実施しております。
農地
、農業用施設についても、緊急に
復旧
を必要とする個所については、応急工事、査定前着工を行なうよう
指導
しております。
被災者
の援護
対策
については、
被災者
に対し、郵便はがき等の無償
交付
、為替貯金の非常取り扱い、保険年金の非常取り扱いを実施しております。また、労災保険料の延納
措置
、被災
事業
場に対する薬品の配布を行なっております。
財政
金融対策
について申し上げますと、資金運用部短期資金による
融資
については万全の
措置
を講じており、金融上の
措置
についても、手続の簡易迅速化、政府関係金融機関の
災害融資
等の
措置
を講じております。 また、税制上の
措置
として、申告納付等の期限の
延長
、租税の軽減免除、納税の猶予、滞納処分の猶予を行なっております。 次に、
普通交付税
の繰り上げ
交付
についても検討をいたしております。 以上、政府のとっております
措置
を簡単に御
説明
いたしましたが、今回の
災害
の特色を教訓として、原因等を十分
調査
した上、将来の
対策
を講じてまいりたいと考えております。
田原春次
11
○
田原委員長
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。 なお、先ほどの
理事
会の申し合わせにより、質疑時間は、答弁を含めておおむね二十分
程度
にお願いいたします。
砂田重民
君。
砂田重民
12
○
砂田
委員
私は、まず、今回の
災害
でなくなられた方に心からのお悔やみを申し上げ、また、罹災者の皆さんにお見舞いを申し上げながら、同時に、この悲しい教訓を十分生かして将来に備えたい、こういう立場から、ただいままで政府のとってこられました
措置
等について若干の質問を申し上げます。 まず最初に、
防災
本部の激甚指定の見通しについて、公共土木、中小企業、農林水産業等、それぞれ
事業
別にその見通しについてのお話を伺っておきたいと思います。
上村千一郎
13
○上村政府
委員
ただいま
砂田
委員
から御質問がございましたが、各
地区
におきまして、一刻も早く
激甚災害
の指定をいたしてほしいという御
要望
の多くございますことは、先ほど国会側からの
調査団
の御
報告
の中にもあらわれておったとおりであります。それで、政府といたしましても、この
激甚災害
指定について急速に手続をいたしまして、そして復興
意欲
に対して対応いたしていきたい、こういう考えでございます。 実は、少しくこまかく申し上げますと、今回の
災害
の
激甚災害
としての点につきましては、過般の本
会議
におきましても、総務長官が、その指定の方向に向かって手続を進めていくということを答弁申し上げておるわけでございますが、どの
適用
措置
が指定されるかは、各施設関係の
災害復旧
事業
等の
事業
量の査定見込み額が判明次第きまるものでございまして、現在個々の点につきまして明確に申し上げるという段階には至っておりませんけれ
ども
、今回の
災害
の大きさにかんがみまして、第二章グループの
公共土木関係
、第五条の
農地
等の
災害復旧
事業
等にかかる
補助
の特別
措置
等の主要なもの、それに、今回の
災害
の特徴といってもよい中小企業関係のものに対しまする特別
援助
規定でありまするところの、第十二条の中小企業信用保険法による
災害
関係保証の特例、第十三条の中小企業近代化資金助成法による貸し付け金の償還期間の特例、それから第十五条の
中小企業者
に対する資金の融通に関する特例等は、指定すべきものとして鋭意事務を進めておる段階でございます。 そして、一体いつごろにこれが指定されるであろうかということは、被災の方あるいはその他一般に最も関心の深いことであろうかと思いまするので、この際明確には申し上げられませんけれ
ども
、来週一ぱいにはこの指定を終えたいというふうに、鋭意手続を進めておる
実情
でございます。
砂田重民
14
○
砂田
委員
来週一ばいというのはちょっとおそいような気がしますが、できるだけ早く、できれば今週中にでも指定をしていただきたい。これは
要望
をしておきます。 今回の
災害
は、都市
災害
というような一つの特色を持っておると思います。たまたま私は
災害
のその日に罹災地の一つである神戸市におりましたので、直接この
災害
にぶつかりまして、さらに、その後の政府の
調査団
、当
委員会
の
調査団
のお供をいたしましたので、神戸市の例を一つずつあげていきながら伺っていきたいと思います。そういたしましたらば、各
被害
地に共通した問題がその中に出てまいろうと思います。 建設省関係にいろいろ伺いますが、その前に、国税庁はすでに十四日付の官報で納付等の期限の
延長
を告示されましたが、非常にこまかい
地区
指定をやっておられる。たとえば神戸市なんかは、神戸市生田区の下山手通一丁目及び八丁目から九丁目まで、こういう指定をしておられるのですが、この
地区
に住んでいる人だけが罹災をしているのではない。今回の国税庁の告示により指定をされておる
地区
以外にたくさん罹災者がいるわけでございます。
被害
を受けた中小企業の関係の方もたくさんおるわけでございますが、こういう形で告示をされますと、期限の
延長
だけの問題であるならばともかく、
あと
でその
被害
を受けた人の税の減免の問題がやはりからんできますから、この
地区
以外の人が非常に不安感を持っておる。この指定
地区
についてのPRもまたあなた方のお仕事だろうと思うのですが、この指定された
地区
以外で
被害
を受けた人たちに対しても同じような
措置
は行なわれると思うのだけれ
ども
、それについてのPRも同時におやりにならないと、相当大きな不安を罹災者に与えておりますから、その
措置
をどういうふうになさるか承っておきたい。
江口健司
15
○江口
説明
員 御
説明
申し上げます。 ただいま御指摘のとおり、官報十四日付、国税庁告示九号で指定した地域は、当地の税務署、国税局から
報告
がまいりましたもので特に集団的に納税有資格者の集まっておるところにつきまして地域指定をしたわけでございます。したがって、今回はまとまった地域につきまして地域指定をいたしましたので、その地域内に住んでおられる方につきましては、自動的に八月三十一日まで諸手続あるいは納税の猶予ということが行なわれるわけでございます。 そのほかに、個々に納税有資格者がおられるところにつきましては、私
ども
へ直接、あるいは
警察
あるいは協力団体等を通じまして、個々の納税者につきましても、地域指定はいたしませんが、個々に、二カ月以内、場合によりましては二カ月をこえましても、猶予の手続等をしていただきますように、万般のPRをしておるところでございます。現在のところは、
現地
のほうの
報告
に基づきまして、集団的に広地域にまたがる地点だけを指定いたしましたので、なお引き続き
現地
のほうから
報告
がまいりますれば、追加指定ということももちろん考えられるかと思います。ただ、地域指定をした場合と、それから個々の申請の場合とでは、個々の場合には、個人個人が申請手続をしませんと、期限の利益を失うというような危険もございます。従来の
災害
等の場合には、そうした場合、かりに二カ月を過ぎましても、申請がございますれば、大
部分
は受け付けをするというふうな
措置
を講じてございますし、なお、来年の二月十六日から三月の十五日までの確定申告の期間におきましてもさらに手続をしていただきますれば、その際にも救済
措置
を講じたい、こういうようなことで、
現地
のほうには昨年の七月にこまかな通達を出しておりますが、それを徹底いたしますように指示はしてございますので、特に納税者の方々には御不便をかけないだろうというふうに想像しております。
砂田重民
16
○
砂田
委員
この指定をされた神戸市の
地区
でいえば、神戸
市内
には五つの税務署がありますけれ
ども
、二つの税務署の
地区
からだけしか指定
地区
が出てきていない。こんなふうに意地悪く勘ぐりたくないけれ
ども
、二つの税務署は一生懸命
被害状況
を調べて歩いて、
あと
の三つはあまり熱心にやらなかったのではないか、そういう感じを受けるほど、罹災者多発
地区
がそのほかにもたくさんあるわけです。ですから、これでいいかどうかということを、税務署がもしも御自分で調べたのだったらなおさらのこと、もう一度国税庁が
調査
なさる必要がある。 それから、さっきおっしゃった指定
地区
以外の場合は、個々に申請手続をしなければならない、その広報というか、PRは十分やっていただきたい。お願いをしておきます。 次に、中小企業関係について伺いますが、いま上村副長官の御
報告
によると、中小企業関係の激甚指定は大体確実のように思われる、そういう御
報告
をいただいたわけですが、いま副長官のおっしゃった、幾つかの激甚指定を受けた際の中小企業の金融の問題で、中小企業近代化資金の貸し付けの期限を
延長
するとか、そういう問題があったけれ
ども
、たとえば公害防止
事業
団が同じような目的をもってやったもの——何と申しますか、工場アパート協業化集団がやはり一つの協同組合の協業的な仕事として近代化資金の助成でつくった工場アパート的なもの、それに対しては法律上こういう特例が設けられる。公害防止
事業
団が同じような助成の
措置
でつくった工場アパートについても、やはり同じような
措置
を講じてあげるべきだと思うんだけれ
ども
、この点、中小企業庁はどうお考えになりますか。
本田早苗
17
○本田
説明
員 お答え申し上げます。 法律では近代化資金等について特別の規定があるわけでございますが、金融三機関の既貸付につきましても、
災害
の際には、
償還期限
について、
実情
に応じて、ある
程度
延長
するという運用をいたしております。したがいまして、公害防止
事業
団が建設いたしました共同工場のようなものにつきましても、
被害
の
実情
を考えまして適当な
措置
を講ずるよう、一応検討いたすようにいたしたいというふうに考えます。
砂田重民
18
○
砂田
委員
ただの検討ではなくて、ひとつできれば法律
改正
を——公害防止
事業
団法というものを別に
改正
しなくても何かやれるんじゃないかと思う。そういう
措置
を前向きに考えていただきたいと思います。 時間がないので走りますが、実は、
激甚災害
の指定を受けてから
措置
をされるわけだが、その前に別に激甚指定をされなくても、中小企業
対策
として、
償還期限
を延ばすとか、そういう金融のいろいろな
措置
をしておられると思う。同時に、県、市などが、罹災者に、特に中小企業の小さい経営者に当面の
災害復旧
の資金のようなものを貸しておるわけですね。たとえば、兵庫県で二億円、神戸市で二億円、一銭九厘の利息で、一人頭二百万、そういう
融資
を、とりあえず、
災害
を受けた翌日からすぐにやっている。せっかくそれだけのことをやられても、実際にほんとうに金を必要とする、たとえば商品を流してしまったそういう小さい零細企業者、特に小売り商、そういう人たちは、そういう制度
融資
を受けるときの手続が煩瑣で、なかなかうまく自分たちで手続ができない、中小企業の
指導
員等の助けを借りながら手続等を代行してもらうとか、そういうことをやるのですけれ
ども
、これは平時の場合の中小企業、零細企業
融資
にしても、保証人を二人つけてこいというようなことでは、ほんとうに金の要る人たちが、保証人をよそに頼みにいくということをようしない。だから、奥さん一人の保証でいいではないかというようなことで、これは別に法律できまっておることではないけれ
ども
、
信用保証協会
等の受付は、最高二百万の担保なし、保証人は奥さんでもいいというような、零細企業の人情の機微に触れた
融資
を平時でもやっているわけです。平時のそういう実際に困っている小さな企業者に対する
融資
の手続制度よりも、緊急を要する
災害復旧
のこういうときのほうが手続がかえってむずかしいという事態が出てきております。せっかくそれだけのことをやっても、中小企業の上の部類といいますか、中企業の工場経営者などはそういった緊急の制度
融資
にうまく乗っていくけれ
ども
、ほんとうに気の毒な零細企業者は、保証人を二人連れてこい、担保物件はどうだということになると、実際なかなか乗ってこない。国で
災害
を受けた翌日からそういう制度をすぐに発足するなんということはむずかしいので、県、市がそういうことをとりあえずやっているわけですけれ
ども
、その県、市の手続条件でも、国が平時にそれだけの、人情の機微に触れたような、奥さんを保証人にしたらいいという、そういう手続よりも、もっとむずかしい手続を県、市の緊急の
融資
に要求している。国でさえこれだけ大ざっぱなことを考えているのだから、県、市がせっかくそれだけのことをやるのならば、国がやっているこういう制度と同じようにしたらどうだというふうなことを、これはあなたのほうから県、市に対してすすめてみませんか。どうですか。
本田早苗
19
○本田
説明
員 お答えいたします。 先般の保険法の
改正
で、いまお話のありました無担保保険につきましては、限度が百万円増加いたしまして三百万円になったばかりでございますので、おそらく若干のゆとりはあると思いますが、その場合は、おっしゃるように、保証人は身内保証でもいいということで運用しておるわけでございます。 それから、特別小口は、もちろん、無担保、無保証ということでやっておるわけでございますが、こういう時期でございますから、できるだけその辺の条件は
実情
に合うように運用してまいることが必要であろうと思います。特に、今度は
激甚災害
の指定を受けますと、別口でもう一口
限度額
ができることになりますから、特別小口で五十万、無担保で三百万の、いまおっしゃるような簡易な保証の方法で保証が受けられて
融資
を受けられることになると思いますので、激甚の指定についてもできるだけ早くやることによって、御希望に沿うような
融資
の道が開けるというふうに考えております。 〔
委員長
退席、
池田
(清)
委員長
代理着席〕
砂田重民
20
○
砂田
委員
激甚指定をやる前の、それまでの間のつなぎのとりあえずのことをぼくは言っているので、
現地
を見ておりましても、
地方
通信局の人々が府県のそういう仕事を非常にじょうずに
指導
しておられる。あれだけ親身にやられるならば、いま私が申し上げたような、ほんとうに身になる
融資
の制度というか
融資
手続というか、そういうものをひとつ中小企業庁から、せっかくそういう制度を打ち出している県、市に対しても、国がやっているあの制度と同じような手続にしたらどうだというふうにぜひこれは
指導
していただきたい。別に法律の問題でも何でもない。県、市に対してあなたがそういう権限をお持ちになっているわけではないけれ
ども
、罹災者の立場に立ってものを考えれば、それくらいのことは、緊急の場合であるだけに、中小企業庁がおやりにたるべきじゃないか。これはお願いをしておきます。 この点は、あなた方がお考えになると、いわば市民、県民の税金を貸すということになる、だから、貸し倒れということをまず心配される、だから、こういう緊急の場合の
融資
でも非常にきつい手続を要求されるけれ
ども
、議員側のわれわれが考えれば、少々の貸し倒れはあってもいいじゃないかという気持ちがする。何さま緊急の事態の緊急の
融資
なんだから、片方の貸し倒れのないほうの、うまく
融資
を利用して商売を早くやられればこっちの側で担税力がふえるのだから、片方で少々の貸し倒れがあったって、その担税力がふえればパーにいくのではないかという気が実はわれわれのほうではするわけです。そういった方向で、県、市の緊急の
災害復旧
融資
の手続についても、もっと簡素化できるように
指導
をぜひともお願いしておきたい。 次に、今回の
災害
の一つの特色でございますいわゆる
中小河川
、都市
河川
の問題を特に建設省の
河川
局長
に伺っておきたいと思うのですが、昨日の本
会議
でも、建設大臣は、
中小河川
に力を入れていく、都市
河川
に力を入れていくのだということをおっしゃっていただきましたが、何か
中小河川対策
、都市
河川対策
というものがここにきて新たに生じた問題のように受け取っておられる方が多いわけですが、決してそうではないので、私はその歴史的な経過を簡単にここで申し上げておきたいと思うのです。 御承知の
昭和
十三年のあの阪神の大
洪水
の
あと
——あのときには表六甲
河川
だけで五百四十六人の方がなくなっております。表六甲
河川
沿線の各都市というものは一瞬にして廃墟になってしまった。そこで、それまでは明治三十年の法律で表六甲
河川改修
というのは県の
事業
であったわけです。ところが、あの
災害
の
あと
、これではいけない、
中小河川
、都市
河川
というものを考え直してみなければいけないというので、実は
昭和
十四年の四月十九日付で内務省の告示が出て、県にこういった
河川
はまかせない、直接国がこれを実施するといって、膨大な改良計画を立てられたわけです。もうこのときに
中小河川
、都市
河川
というものの特殊性を国が認めて、県に仕事をやらせるのではなくて、直接国がこれと取り組んでいこう。
河川
数二十五、そのうち神戸
市内
の
河川
が二十でありますが、そういう復興計画を国自身で七カ年の長期計画、三千万円の
事業
費で立てられたわけであります。このときにもうすでに、都市
河川
というものは別に考えていかなければいけないということを国自身が一ぺん決心されている。ところが、当時はもうシナ事変に入っておりましたが、戦争に入ってしまう、物価は上がっていくから、実際問題として工事費というものは削減されたと同じような状態が毎年毎年続いて、戦争が終わって、戦争の
あと
の混乱の状態ではまた
災害復旧
どころではないということになって、仕事がなかなか進まない。そこで、二十四年にもう一ぺん政府は決心をしておられるわけです。こんなことでは、雨が降ったならばあの表六甲
河川
というものはまたどんな惨状を呈するかわからないというので、二十四年に大幅に予算を
増額
されて、本格的な再出発をそのときにやっておられるわけです。 この国の予算は
災害復旧
予算から
支出
をしておられたのですが、せっかく十四年に一ぺん政府がそういう決心をし二十四年にさらにもう一ぺん決心をされて、都市
河川
というものは別に考えていくという決心をされたのですけれ
ども
、残念ながら、
昭和
二十五年度に至って、国家の税制の改革、あるいは戦後相次ぐ各地における
災害
等によって
地方
財政
が窮迫してきた、そういったことから、
昭和
二十五年度における
災害復旧事業費
国庫負担の特例に関する法律という法律が二十五年に出て、
災害復旧
というものは全額国庫負担でやる、ただし、原形
復旧
というものと
改良工事
というものの区分をこのときに一律に明らかにしてしまった。そのために、あれだけ都市
河川
というものは別建てでいくのだということを十四年と二十四年と二度決心をされた政府ではあったのだけれ
ども
、このときのいま申し上げた特例法というものが
改良工事
と
復旧
工事というものを全然分けて考えてしまったために、表六甲
河川
の十四年、二十四年、二度ともその計画がほとんど全部が
改良工事
であったために、国でやれなくなってしまって、県にその仕事が移って、それからは
中小河川
という名前で、全国一律的に、その川が
傾斜地
を流れているのか、平地を流れているのか、その川の流域の経済環境はどうなのか、その川の流域の国民生活の環境というものはどうなのか、そういう一つ一つの、地域地域の特殊性などというものは何も考えられないで、全国一律に
中小河川
ということで今日まできてしまっているわけでございます。 都市
河川
、
中小河川
というものを別に考えなければいけないというのは、特に新たに起こったことではなくて、もうすでに
昭和
十四年、
昭和
二十四年、二度実は政府が決心をされて予算も立てられたことでございます。 そこで、私はひとつ具体的に伺っておきたいと思うのですが、古賀さん、このときに政府が計画をされた二十五
河川
のうちで、都賀川、西郷川、新湊川、これは古賀さんなら御承知だろうと思うのだけれ
ども
、この三つの
河川
の
昭和
十四年当時に計画されていた計画
延長
の中で、二十六年までに実施されていたのは何%あったか、その後二十六年から四十二年までにどれだけの仕事をしてこられたか、簡単でいいですが、
金額
では物価水準が違うので、計画を予定されたその
延長
距離といいますか、そんなようなものでもお答えいただけましたらけっこうです。
古賀雷四郎
21
○古賀政府
委員
都賀川につきましては、
昭和
十四年から二十五年まで、これは物価換算いたしておりませんが、五億三千一百万使っております。その後、四十二年度以降は一億三千万かかるそうでございますが、これは国鉄線と国道橋の関係が残っているというのが都賀川の現特でございます。それを解決すれば大体
改修
が終わるということになります。 それから西郷川につきましては、
昭和
十四年から二十五年まで一億一千二百万円ほど使っておりますが、四十二年度以降は二億九千三百万円、これもやはり国鉄橋と国鉄の
上流
の阪急までの間ができておらないということでございます。 それから新湊川につきましては、大体河道は
改修
いたしておりますが、なお
上流
に
洪水
調節のダムをやる必要があるということで考えておりまして、ただいままで着工はいたしておりませんが、今回の
災害
にかんがみまして具体的に検討したいというふうに考えております。 都賀川、西郷川にごらんになるように、いずれも非常に都市部でございますので、橋梁の立体交差等につきまして非常に苦心を要するわけで、なかなか
財政
的な問題もございますし、それから計画上の問題もございます。しかし、今後十分それらの問題を詰めて早急に解決するようにいたしたいというふうに考えております。
砂田
委員
私はここに実は
昭和
二十六年の資料を持っているのです。これは主としてやはり
財政
的な事情から工事が非常におくれている。
昭和
十四年につくられた計画、その計画が非常におくれている。簡単に言いますと、この中を十四
河川
と十
河川
の二つに分けて、十四
河川
では、
昭和
十四年の計画について
昭和
四十二年現在で六〇%くらいできているのじゃないか。
あと
残った四〇%というものは、当
委員会
の先般の
調査
でごらんいただきましたが、私鉄、国鉄の下を暗渠で——依然として、
上流
の開口部は河口の開口部よりもはるかに狭い、流水能力も小さい暗渠がそのまま残ってしまっている。非常にむずかしいか。小さな川であるのにたいへんな金がかかる、そういう工事がまだ残っていると思うのです。しかも、
中小河川
という名前で呼ばれるその中では、おそらく、川の面積としては最左翼に考えられると思う。そのちっぽけな川があふれて今度は多数の人間がなくなっておられる。こういう点から、十四年、二十四年、二度の決心をされたような決心で都市
河川
というものと取り組んでいかなければならぬのですが、さらに、いま私が例をあげて三つの川を申し上げましたが、それは当時甲
河川
といわれた、六〇%くらいの工事が完了している川であって、他に、乙
河川
と呼ばれる、
昭和
十四年に立てた計画の今日までの実施量ゼロ%という十
河川
がまだ残っているわけです。この十
河川
についても、まことに小さい
河川
でございますが、
中小河川
という中に包括して一括してやってまいりましただけに、兵庫県全体が
中小河川
の予算として国と相談をしてきめるその
金額
の六三%をこの
河川
につぎ込んで、兵庫県全体の
中小河川
の面積からいえば、表六甲
河川
というものはわずか三%ですが、この三%のところに兵庫県全体の予算の六三%をつぎ込んでみても、ただいま
改修
中宇治川一本、こういう残念な仕事しかできていないのが
実情
でございますだけに、別に都市
河川
というものと取り組んでいくというきのうの建設大臣の本
会議
での御決心を具体的にぜひとも実現していただきたい。もっと強力な仕事ができるようにしていただきたい。 そこでもう一つ川のことを伺っておきますが、今回非常な
災害
、罹災者を出しました、
改修
途中の宇治川の問題であります。たいへん時間をとって申しわけないので、簡潔に御答弁をいただきたい。
改修
計画は
あと
二年で終わりの予定だったのですが、
都市計画
のテンポがついていけるものならば、一年でやってしまうことができるかどうか。 それから、旧暗渠の断面と新
改修
予定の暗渠の断面の違い、新暗渠の流水能力があればこの間の水害はどうであったろうかという見方として、さらに流木どめというものができるかどうか。それから、宇治川のあれだけの大きな暗渠をつけて、なお
上流
の砂防に不足な点はないかどうか。これだけを一括して御答弁をいただきたい。 〔
池田
(清)
委員長
代理退席、
委員長
着席〕
古賀雷四郎
22
○古賀政府
委員
宇治川はたいへんな事故でございまして、お気の毒に存じております。われわれは計画流量七十トンでいま計画しておりまして、沈砂池から
上流
はすでに計画断面どおりできております。この前の
災害
におきましても、大体計画水位以下で水が流れてきておりますので、もしもいまの計画どおりの断面ができておれば、別にほかに条件がなければ大体流せると考えております。ただ、都市
河川
の問題等も同様でございますが、最近宅地開発が特に行なわれているということで、流木その他が流れてくる、これらのものをとめらるかどうかという問題が一つの問題でございます。しかし、宇治川の現状におきましても流木が相当つかえておりますし、それらが障害となりまして土砂がたまる。そういった問題が連鎖的に起こってくるだろうと考えておりますので、
上流
砂防ダム
はもちろんやらなければいけませんし、それから、がけの切れたところとか、いろいろなところのくずれを防止する必要があるというふうに考えております。そういう点にかんがみまして、いま計画している断面につきましては、そういう防止ができれば十分間に合うというふうに考えております。また、
都市計画
上の
措置
ができるならば、一年でも十分やれるというふうにわれわれ考えておりまして、目下検討、打ち合わせ中でございます。御趣旨に沿うようにやりたいといま考えております。
砂田重民
23
○
砂田
委員
そういうふうにひとつお願いをいたします。 いずれにいたしましても、都市
河川
の現状がそういうことで、宇治川一本ただいま
改修
をしていただいておりますけれ
ども
、十四年の計画の今日までの実施量ゼロ%というのが十本もある。爆弾をかかえているようなものでございますから、これはあながち神戸市だけに限らず、今回の被災地各地にそういう
実情
があるのではないかと思います。それだけに、
治山
治水
計画を変えてでも都市
河川
と取り組んでいただきたい。そういう御決意があるかどうか、基本的なことを伺っておきます。
古賀雷四郎
24
○古賀政府
委員
中小河川
、特に都市
河川
の実態につきましては、降った雨は直ちにたくさん一ぺんに出てくるという現象がございます。それを、われわれ技術的に言えば、流出物の増大と称しております。たとえば百ミリの雨が降って、従来のたんぼだったら、七五%あるいは七〇%くらいしか
洪水
となってあらわれない。それが、東京の
周辺
とか、いろいろな開発が進みますと、九〇%から一〇〇%近くになる。したがいまして、
中小河川
全体として
治水
計画を検討しなければならぬという段階にきております。特に都市に人口の集中が重なりまして、そういった問題が激化してくるというふうに考えます。さらに、人口、資産が集中いたしますと、
災害
がひどくなる。また神戸市のようなところでも、ああいう急傾斜の
河川
におきましては、一度にいわゆる
鉄砲水
が入ってまいります。したがいまして、それらの
対策
は、十分
上流
砂防とからみ合わせてやっていかなくちゃならぬという問題もございますし、それらの問題を考え合わせますと、今後
中小河川
の安全度をどのくらいに持っていくかとか、いろいろな問題がございますし、
治水
計画を再検討中でございます。
砂田重民
25
○
砂田
委員
都市計画
の新法をおつくりになっても、
都市計画
事業
を推進していこうとおっしゃっても、一方、都市
河川
をほうっておいたのでは、
都市計画
新法が泣くだろうと思う。
河川
を治めないでその上に
都市計画
も何もできるものではありません。それだけに、都市
河川
というものをひとつ真剣に1
昭和
十四年のあのときの内務大臣が決意されたと同じ決意で今回もひとつ都市
河川
というものを別に考えていく、そういう決心をぜひともお願いしておきたいと思います。時間がございませんので、私は宅地の問題等にも触れておきたいと思ったのですが、砂防のことだけちょっと聞いておきたいと思うのです。 砂防というのは、谷と谷との足を固めるという性格と、それから、砂をためる貯砂機能というか、二つの機能を持っていると思うのですが、
上流
のほうはそういう脚部を固めていくという性格がより強く、下流のほうはやはり貯砂機能というものの性格が強い。そうなりますれば、
昭和
十三年以来やっていただいた砂防というものが今回の
災害
でも非常にものをいっておりますが、これは相当老朽的なものになってきているんじゃないか。特に下流の
堰堤
の砂の詰まりぐあい、これは下流の
堰堤
の機能が貯砂機能というものの性格が強いだけに、これはお取りになるべきじゃないか。そうでないと、あす降るか、あさって降るかわからないこういう雨に対して、やはり不完な感じを受けるのですが、この点はどうですか。
古賀雷四郎
26
○古賀政府
委員
今度の
災害
におきまして、下流の
堰堤
に相当砂がたまりまして、これを取ったらという御
意見
でありますが、実はわれわれも今回の
災害
にかんがみまして、
砂防堰堤
をつくるべきか、しゅんせつをすべきであるかというような、いろいろな問題をただいま
調査
中でございまして、まだ結論を出しておりません。しかしながら、今回の
災害
のような土砂くずれがあれば貯、砂
堰堤
に相当余裕をもってつくっておかなければいかぬというふうに考えられますので、われわれとしてはできるだけ
堰堤
を多数つくるという方向でいきたい。特に、ちょうど山から市街地に出るところの
砂防堰堤
は、これは非常に大きいものをつくって、そこでがっちり受けとめられるような
堰堤
を考えていくべきだというふうに考えております。そういう方向で、現場におきましてただいま計画を検討中でございますので、御趣旨に沿うようにひとつできるだけ努力したいと思っております。
砂田重民
27
○
砂田
委員
私の最後の質問にいたしますが、やはり都市
災害
というものの一つの特色といいますか、道路という道路、街路という街路、また、宅地といいますか、われわれが住んでいる家の庭、そういうところに土砂が非常にたくさん入ってきて、水がひいた
あと
も土砂だけが残っている。これの排除といいますか、清掃といいますか、こういったものはいままで
補助
の
対象
になっていない。これは交通の安全だとか、われわれ
住民
の衛生の問題、こういった観点から——たとえば神戸なんかは、今度の
災害
で推定二十五万立方米くらいの土砂がおそらく道路、宅地に累積をしていると思うのですが、三億くらいのお金がかかるんじゃないかと思う。それが、道路だけをとってみればわずかしか埋まっていないじゃないかという考え方から
補助
の
対象
にならないというのでは、
地方
自治体は実際非常に苦しいだろうと思うのです。これをやはり
補助
の
対象
にしていくべきだと思うが、それはどう考えられるか。 もう一つは、舗装の場合のこわれ方。法律できめられている十五万円以下の小
事業
については
補助
しないんだ、こういうきめがございますけれ
ども
、全市的に見ればこれは膨大なお金のかかる舗装の回復をやらなければいけない、こういうものは法律のほうを改めていくべきじゃないか、これも都市
災害
としての一つの特色だろうと思います。それをどう考えられるか、お答えをいただきたい。 もう一つ、最後に、
河川
事業
で港湾の船の泊地等が相当埋まっておりますが、港湾局は港湾管理者とさっそく打ち合わせをなさって緊急の順番さえもつけて取り組んでおられるようだけれ
ども
、港湾に流れた流木というものをどうするか。港湾管理者の
財政
状態が苦しいから、外貿埠頭公団をつくって港湾の建設をやっていくのだと言っておられる。おっしゃるとおり、港湾管理者がきわめて苦しい
財政
事情の中であの流木の清掃をやらなければならない。これは
補助
の
対象
になるかどうか、もしもやっていないとすれば、今後どうやるか、これを伺って私の質問を終わります。
馬場豊彦
28
○馬場
説明
員 都市局の参
事官
馬場でございます。堆積土砂についてお答えいたします。 ただいま
災害
によります市街地の堆積土砂に対しまして
補助対象
にしておりますが、大きなものだけでございます。
基準
は、一
市町村
で三万立方メートル以上、一カ所につき二千立方メートル以上、これだけが
補助対象
になっております。それよりさらに零細なものは、目下のところは国補
対象
になっておりません。
砂田重民
29
○
砂田
委員
全市で二十五万立方メートルというのは
対象
になりますか。
馬場豊彦
30
○馬場
説明
員 いま申し上げたような
基準
以上の大きなものは
対象
になります。 道路の舗装関係は、
局長
がおりますから……。
古賀雷四郎
31
○古賀政府
委員
一カ所の公共土木施設の
災害
限度額
を引き下げたらどうかという御質問でございますが、今回のような
災害
になりますと、舗装につきましても、上はりっぱでも下が浮いている、十分でないというものがあるだろうと思います。これは
調査
してみないとわかりませんけれ
ども
、しかし、いままで原則的には、都道府県工事においては十五万円、
市町村
工事においては十万円ということにいたしております。これは二十六年につくられております。したがいまして、その当時の建設工事の物価指数の約二倍以上になっておりますので、簡単に言えば、七万五千円と五万円ということになるわけでございますし、さらに、五万円以下の小
災害復旧
事業
につきましては
全額起債
を認めて、その
元利償還
金を
交付
税
交付
の
対象
としておりますので、
地方
財政
の問題として十分
措置
ができるというふうに考えますので、いまのところ、小
災害
につきまして
限度額
を引き下げるということはちょっと考えておりません。
現地
に当たりまして十分考えてまいりたいと思います。
栗栖義明
32
○栗栖
説明
員 港湾につきましては、先ほど流木というお話がございましたが、流木に二つございまして、流れてきた材木が港湾の中の航路、泊地に埋まったものにつきましては
災害
対象
になります。ただ、ごみその他が流れまして一緒に海面に浮かんで流れているもの、これはちょっととらえようがございませんので、いまのところは、維持工事ということになって、
対象
になっておりません。これに対しまして、むしろいろいろな料金体系その他を考え合わせて検討していきたいと思います。
田原春次
33
○
田原委員長
倉成正
君。
倉成正
34
○
倉成
委員
私は、七月
豪雨
による
災害
について、ごく簡潔に質問申し上げたいと思います。 まず、ただいまの
砂田
委員
の質問の中に、
激甚災害
の指定問題がございまして、これに対して政府
委員
から前向きの御答弁がありました。しかし、やはり
災害
に対する
対策
は、何としても
現地
の人々に一日も早く安心感を与えるということが一番大切なことであると思いますので、来週と言わず、なるべくすみやかに、あすでも、あさってでも、できればきょうでも指定するような気持ちでひとつお進めをいただきたい。 そこで、
激甚災害
と相まって
農林関係
で一番関心がありますのは
天災融資法
による指定、これをいつ、いかなるしかたで発表するかということでありますが、この点について農林省のお答えをいただきたい。
太田康二
35
○太田
説明
員 昨日も衆議院の本
会議
におきまして私のほうの大臣からお答えを申し上げたかと思いますが、御承知のとおり、
天災融資法
の発動につきましては、従来とも、私のほうの統計
調査
部がまとめました
被害
調査
の結果に基づきまして、その発動の可否をきめておるわけでございまして、いつも
被害
調査
がおそいではないかという御非難をいただいておるわけでございますが、今回できる限りすみやかに
被害
の
調査
をするということで、大体来週二十四、五日ころまでに集計をいたしまして、その前でもある
程度
被害
等の額がわかりますれば、大蔵省と折衝いたしまして、
天災融資法
の発動の可否、並びに、これとあわせまして、激甚災の指定ができるかどうかという点につきまして早急に検討をいたしたい、かように考えておるのでございます。
倉成正
36
○
倉成
委員
事務的にはそのとおりです。しかし、今度のようにひどい
災害
で、
天災融資法
の発動があることは、これは常識でわかり切っておる。したがって、作報の
調査
を待って事務的な手続をするということもけっこうですけれ
ども
、こういうふうにはっきりしたものは早く発動して手続をするという姿勢が必要だと思います。したがって、その点では、もう少ししっかり前向きに直ちに御検討いただきたい。 そこで、
自作農維持資金
、これがやはり
天災融資法
と相まって
災害
に一番役立っておりますが、これについて、いまどの
程度
の
自作農維持資金
を
災害
地に振り向けようとしているか、その計画を承りたいと思います。 私、非常に時間を限られておりますので、ごく要点だけを御質問申しますから、御答弁も簡潔に、イエスかノーか、はっきり御答弁いただきたい。
太田康二
37
○太田
説明
員
自作農維持資金
につきましては、御承知のとおり、
天災融資法
の発動がございますと、
災害
分として保留をしております分から配分をいたすのでございますが、先ほど申し上げましたように、まだ統計
調査
部の
被害
集計ができておりませんので決定はいたしておらないのでございますが、御承知のとおり、
災害
の保留分としては七十五億ございまして、そのうち、一、二月の降雪低温
災害
に対しまして二億を
支出
した
程度
でございまして、なお
災害
保留額といたしましては七十三億あるわけでございますので、これによって今回の
災害
に対しまして十分対処できるというふうに考えております。
倉成正
38
○
倉成
委員
その点も、先ほど申した趣旨でなるべくすみやかにお願いをしたいと思います。 そこで、建設、農林両省に通ずることでありますが、この
災害
に対する査定を一日も早くやる。 しかし、これだけ大きな
災害
になりますと、私も
現地
で
災害
の総支配をふるったことがありますけれ
ども
、なかなか技術員が足らない。したがって、技術員をどうしても各県から応援を求める必要がある。現にやっておると思いますが、建設、農林両省で技術員の不足
対策
、査定を急ぐ
対策
についてどういう具体策を講じておられるか、これも簡潔にお答えいただきたい。
古賀雷四郎
39
○古賀政府
委員
建設省としましては、
災害
が
長崎
、
佐賀
で非常に多うございましたので、直ちに
現地
の
知事
と応援体制の問題につきまして話し合いました。しかし、
佐賀
県、
長崎
県とも、十分ほかの土木事務所から技術員を回してとれる。それならば、ということで、応援はいま行なっておりませんけれ
ども
、いっでも応援する用意はありますし、また査定も、第一次、第二次、第三次というぐあいに、急ぐものから先に設計をまとめてもらって、そのつど査定を行なっていきたいというふうに申し入れいたしておりますので、準備が整い次第、早急に査定するつもりでございます。
太田康二
40
○太田
説明
員 農業土木技術者の派遣の要請が
佐賀
県あるいは
長崎
県等からあるわけでございますが、私のほうは、
被害
のない県、特に東海の各県あるいは九州の各県から農業土木技術者を派遣することにいたしておるのでございます。
倉成正
41
○
倉成
委員
農林省、そういう方針、けっこうですけれ
ども
、やはりどれだけやるということで、ちゃんと見きわめてやっていただきたい。 そこで、先ほどの
砂田
委員
のお話にもありましたけれ
ども
、やはり
中小河川
は、もしこういう大きな
集中豪雨
が降れば危険な地域はもう全国至るところだと思うのです。ですから、一体
雨量
何ミリを大体
基準
として
中小河川
の
改修
をやっておられるか、この点をまずお伺いしておきたい。
古賀雷四郎
42
○古賀政府
委員
河川
の
洪水
流量の計画降
雨量
に対しましては、平たく言えば、五十ミリないし六十ミリいうことでございますが、ただ
河川
にはいろいろ
状況
がございまして、緩勾配の
河川
、急勾配の
河川
、あるいは土砂を流れる
河川
、いろいろございます。したがいまして、普通の
河川
につきましてはその
程度
でございますが、重要な
河川
につきましては、到達時間以内の
雨量
につきまして既往最大にとるとか、あるいは第二位をとるとかということで、さらにそれに余裕高を加えて
改修
計画を行なっております。なお、最近都市化が非常に進みまして、先ほど申し上げたように、流出が非常に多くなっております。たとえば百ミリの雨が、従来は七十ミリぐらいの
洪水
になってあらわれたのが、九十ミリぐらいになるとか、そういう流出の状態が変わっておりますので、それらも加味して、計画
洪水
流量をきめてまいりたいというふうに考えております。
倉成正
43
○
倉成
委員
ただいまの御答弁にもありましたように、気象条件が非常に変わっておる。それからまた、都市の中の
河川
においては、やはり安全性ということを最大限に考えなければいけないということから、どうしても今度の
災害
の査定は
改良復旧
を原則として考えていかなければいけない。 しかし、
改良復旧
をやるといいながら、査定官がよほど裁量を与えられておりませんと、どうしても原形
復旧
に流れるという傾向があることは御承知のとおりです。したがって、建設、農林両省を通じまして、
改良復旧
をやるのだ、この
程度
のものをやるんだというきちっとした方針をやはり的確に査定官にもあるいは
地方
庁にも示すことが必要だと思いますが、それらの点についてはどういうふうにされておるか、お伺いいたします。
古賀雷四郎
44
○古賀政府
委員
災害
の査定にあたりましては、原形
復旧
が可能な場合には、つとめて
改良復旧
を行なう査定をいたしたいと思います。さらに、われわれとしましては、ある区間における
災害
が八〇%ないし七〇%以上になれば、一定災という
改良復旧
計画に基づきまして、
災害復旧
工事を行なう、さらにそれでもどうしてもそういうものがとれない場合には、
災害
関連
事業
費というものをつぎ込みまして、
災害
に対処できるような
改良復旧
を行なっていきたいというふうに考えております。
太田康二
45
○太田
説明
員 原形
復旧
のみでは再度
災害
の
発生
のおそれのあるものというものが当然わかるわけでございますので、こういったものは、ただいま
河川
局長
からのお話もございましたように、極力関連工事をあわせ実施することといたしまして、施設の
改良復旧
をはかるということにつとめておるのでございます。
倉成正
46
○
倉成
委員
ただいまの点は、十分末端にその方針を早く示して明らかにしておいていただきたいと思います。 それから、
長崎
佐賀
のような地域で特に一つの特色は、第三紀層の上に玄武岩が乗っておる。したがって、多量の
集中豪雨
がありますと、
地すべり
あるいはがけくずれの危険性が非常に多いわけであります。したがって、現在はくずれておりませんけれ
ども
、これから先非常に雨が降ってちょっとこれに力が加わると、ほんとうにがけくずれが出たり、あるいは
地すべり
が起こる。そういう危険地帯が非常に多いのですそういうところにあります
住宅
であるとか、あるいはそういうところの施設というのは非常に不安な状態にありますが、これらに対する施策というもの——現在は
災害
が起こっていないけれ
ども
、近く起こるかもしれない、あるいは起こらないかもしれない、わかりませんが、非常に不安な状態にある、これをどうするかという問題が
現地
の非常な関心事でありますけれ
ども
、この点についてどのように考えておられるか、建設、農林両者の御見解を承りたい。
古賀雷四郎
47
○古賀政府
委員
最近の
災害
におきましても、がけくずれと土石流によって非常な
災害
をこうむっております。したがいまして、昨年足和田村の
災害
にかんがみまして、大蔵
当局
とお話し合いしまして、
調査
費をお願いし、土石流の危険地帯を
調査
いたしました。現在のところ、
地形
、地質的に見て、全国に一万五千
程度
の危険個所があるわけでございます。これらにつきましては、予防砂防等の実施によりまして防いでいきたい。さらに、そういうものがなかなか全国的に回りかねるということになりますれば、これは人命尊重のたてまえ上、警戒
雨量
等を示しまして、適切な時期に避難していただくということで、ただいま行政
指導
をいたしておるわけでございます。 なお、がけくずれにつきましては、ただいま全国的に
調査
中でございまして、七月末くらいに全国的な集計ができます。その集計のできた段階におきまして、具体的に
財政
当局
と打ち合わせまして、仕事ができるように実施いたしたいと考えております。
松井芳明
48
○松井
説明
員
農地
等の
地すべり
について申し上げます。 北九州、特に
長崎
県、
佐賀
県におきましては、現在
地すべり
の防止工事を行なっておるものが三十二
地区
ございますが、大体その
地区
は、いま御指摘のように、
地すべり地帯
で、現在指定している
地区
の防止工事を相当進めておりますが、こういったような
地区
につきましては、本年度の予算を特にそういう危険なものにつきましては、一部流用いたしまして、こういうような防止工事をできるだけ弾力的にやってまいりたいと考えております。 なお、こういうようなところがすべりまして相当の
災害
を起こしました場合には、
災害復旧
費をもって直ちに応急
手当て
なり
復旧
なりをやってまいりたいと考えております。
倉成正
49
○
倉成
委員
これはできるだけ
現地
の
知事
に裁量をまかして、どんどん応急
対策
をやらしたらいい。 それから、ただいま御答弁の中でちょっと問題が私はあると思いますのは、危険なときに避難をさせる、
知事
がかりに避難命令を出せば、ある
程度
補償
しなければならないという問題であります。その点非常にむずかしい問題ですけれ
ども
、上村副長官、何か腹案がありますか。生命の危険で避難をさせる場合には、どういう処置をしてやるか、そういう問題です。
上村千一郎
50
○上村政府
委員
ごもっともなお尋ねでございまして、実は現実にこの七月の
集中豪雨
の際にとりました本部の御意向なり決定のことを御
報告
申し上げたいと思いますが、八号台風のくずれというものが、気象庁のほうのお見込みでは、去る十五日ごろに同じく西日本に及んでくるであろうということでございまして、私
ども
は実は
災害
現地
に私、
調査団
長といたしましておもむいて
実情
をよく
調査
した結果、非常に危険な状態が多い。それかといって、直ちに工事なりその他をしまして危険の状態を除去するということが現実にできない
実情
がたくさんある。この際人命に危険を及ぼすということを放置するわけにもいきません。それで、各省庁全部集まりまして——従来、危険
地区
というものがあるわけでありますが、この点につきましては、避難をするよう処置をするようにというわけで、
災害対策
本部から各
知事
さんあて通達をいたしたという事実でございます。もちろん、それに対しますところのいろいろな
財政
上のことがございますれば、これは当然政府のほうでも検討し、期待に沿うような
措置
をしなければならぬという段階に立っておるわけでございます。
倉成正
51
○
倉成
委員
ただいま前向きの御答弁がございましたが、これはある
程度
県にまかせまして、そしてその
あと
めんどうを見てやるというのが実際的ではないかと思いますので、特に御
要望
を申し上げておきたいと思います。 そこで、現在あります宅地の造成で、非常に危険な地域に宅地がつくられたりしておる、そういうところの建築を禁止する、これはいろいろ法制上の問題があるかと思いますけれ
ども
、そういう危険地域における建築を強力に規制するための立法
措置
、そういうものについての御用意があるかどうか、これをお伺いししておきます。
上村千一郎
52
○上村政府
委員
この点につきましては、将来立法
措置
を検討していこうというような考えでございます。
倉成正
53
○
倉成
委員
今次の
災害
の現況にかんがみまして、
河川
の
上流
あるいは渓流における砂防施設あるいは
地すべり
予防施設、その他いろいろなきちっとした施設をやっておるところでは、
災害
が最小限度に食いとめられておるということは明らかであります。したがって、
砂防ダム
であるとか、
洪水
調節用のダムであるとか、そういう恒久的なものをあわせて建設、農林両省で御検討いただきたいと思います。 そこで、
農林関係
で特殊な問題について若干御質問申し上げたいと思いますが、
救援
苗で田植えをするというのをやっておられると思います。これについて共済金の支払いはどういうことになるのか。 時間の関係上、もっと端的に御
説明
申し上げますと、再植えつけをしないで、田が流れたままでほっておけば、共済金を全部もらえるわけです。ところが、
救援
苗を持ってきて田に植えますと、現在の
災害
保険の法律によりますと、その分だけ差し引くということになる。これはちょうど十年前に諫早水害のときに同じような問題が起こりまして、私はちょうどそのとき担当者でありましたので、共同で田植えをした分については、いわゆる共済契約はなくなったものとみなしまして、全部流れたところには全額共済金を支払うということにいたした例があります。当時の農林大臣は赤城宗徳氏でありました。この点について何か御検討になっておることがあるかどうか、お伺いしたいと思います。 というのは、とにかく
救援
苗を植えるということは経済的になかなか合わない。トラックなんかで持ってきて苗を植えたりすると、なかなか経済ベースに合わない。しかし、田畑をなくしてほんとうにぼう然自失した農民が、本来の天職である田植えをすることによって元気を出すということに大きな意義がある。そういう意味において、あまりしゃくし定木に共済金の支払い等を考えていくと、これは正直者がばかを見るというふうな結果になるわけでありますので、もしいま御研究になっておれば、お答えいただきたいし、もしなければ、
昭和
三十二年の大水害において試みた例を今回もぜひ
適用
していただきたいと思いますので、御答弁をお願いします。
太田康二
54
○太田
説明
員 実は私どう
措置
していいのか、ちょっとお答えできかねるのでありますが、よく検討いたしまして善処いたしたい、かように考えます。
倉成正
55
○
倉成
委員
現に私が担当者のときにやったのですから、それは検討じゃなくして、勉強不足です。その点はさっそく十分勉強していただきたいと思います。 それから小
災害
の問題です。
農林関係
で、
農地
は個人のものでありますから、小
災害
については個人で
復旧
してよろしいということでずっとやっております。おのおの自分の力でやっておりますけれ
ども
、
応急復旧工事
について五万円以上というのは、少し高いような感じがするのですが、もう少しこの
基準
を下げる御用意はありませんか。
太田康二
56
○太田
説明
員 小
災害
の問題につきましては、先ほど
河川
局長
もお答えになったわけですが、私のほうの
農地
の場合は、大体十万円以上ということになっております。ただ、実際にこの
基準
それ自体がかなり昔にきめた
基準
でございまして、厳密なことを言うと、むしろ上げるべきではないかという議論も実はあるわけでございまして、御承知のとおり、
激甚法
との関連で、
激甚法
が
適用
になりますと、小
災害
についても
起債
等の
措置
措が講ぜられるわけでございますので、いま直ちに
基準
を引き上げるというようなことは考えていないのでございます。
倉成正
57
○
倉成
委員
国のやる仕事、県のやる仕事、
市町村
のやる仕事、おのおのの分野がありますけれ
ども
、とにかく、小
災害
についても救済の道があるように、十分県や
市町村
を
指導
してやっていただきたい。国で全部見るということはなかなかたいへんだということはよくわかります。しかし、
災害
を受けた者にとってはたいへんなことでありますから、この点はとくと御
指導
をいただきたいと思います。 そこで、時間もありませんので、ごく二、三点だけお許しをいただいて御質問させていただきます。
厚生関係
で、
水路
が
送水管
その他非常にやられておりますが、水はやはり人間の生命にとってなくてはならないものでありますから、一日も早く
復旧
をすると同時に、
上水道
の
災害復旧
について
高率
補助
の道がないかという点。
融資
のみでは、これは貧弱な
市町村
の公営
水道
等では相当無理がいくと思うのですが、この点についての厚生省の御答弁をいただきたい。
大橋文雄
58
○大橋
説明
委員
災害
におきまして
上水道
が
被害
を受けました場合に、それに対します
財政
措置
といたしましては、予算
措置
で従来から国が
補助
金でもってこの
財政
措置
をいたしております。今回も
長崎
県、
佐賀
県及び兵庫県で非常に
水道
がやられております。これにつきましても、従来のような方法でこれをやってまいりたいと考えております。
倉成正
59
○
倉成
委員
補助
ですか。
大橋文雄
60
○大橋
説明
委員
はい。
倉成正
61
○
倉成
委員
どの
程度
の
補助
ですか。
大橋文雄
62
○大橋
説明
委員
従来のあれですと、大体二分の一ということになっております。
倉成正
63
○
倉成
委員
ただいま
補助
の道があるということでありますから、十分ひとつ活用して、遺憾のないようにしていただきたいと思います。 そこで、通産関係について、先ほど
砂田
委員
から詳細に御質問がありましたけれ
ども
、やはりちょうど田植え時期、しかもお盆の時期でありますから、農村付近の小さい商売人というのは、無理をして商品を仕入れて、このお盆のときに精一ぱい売ってやろうという準備をしておったわけであります。そういった小
規模
の商売人というのは、銀行やその他でなかなか
融資
の道がない。信用組合や、せいぜい相互銀行を利用したり、あるいは無尽を利用したり、そういう形で無理をして資金をつくって商品を仕入れておる。これが一挙にして流されたということになりますと、この救済の道というものは、よほど親身になって世話をしなければならないと思うのであります。とりあえずは、そういった手形決済を二月でも三月でも延ばしてやるということになってくるかと思うわけですが、それに対して県が保証の裏づけをしてやるとか、いろいろな方法があろうかと思いますが、これらの点についてはどういうふうな方法を講じられるつもりか、どうしたら一番安心してやれるかという点について、中小企業庁でお考えがあれば、ひとつお聞かせをいただきたい。
本田早苗
64
○本田
説明
員 小
規模
企業の方の
災害
に基づく資金需要に対しましては、信用保証による
融資
の道を特につけるということで、県も保証料の全額負担を考えておられまして、そうして保証料については全額免除ということによって保証を受けて、それに基づいて、いまお話のありました信用金庫なり信用組合等からも借りる。その場合は、てん補率は、少額の場合は八〇%でございますので、国の公庫から、もし貸し倒れのときは八〇%が信用金庫にてん補され、二〇%だけが保証協会の負担で、金融機関は全額損害がないという形になって、
融資
が円滑に行なわれるということになっておりまして、
信用保証協会
に対しましては、今回二千五百万円を低利で公庫から
融資
をするということを決定いたしております。
倉成正
65
○
倉成
委員
ただいま、
信用保証協会
に
融資
をする、それからてん補率を八〇%に引き上げるというお話でありますが、これはできれば中小企業庁の方々も
現地
に行きまして、やはりその窓口の状態をできるだけ見ていただいて、そしてひとつ親切に
指導
していただきたいと私は思うのです。非常に零細でありますから、なかなか大きな声は出てまいりませんけれ
ども
、実際問題としては非常に困っておるという状態であります。 そこで、私の持ち時間がなくなったようでありますから、この
程度
にいたしますけれ
ども
、政府としては、迅速適切に、勇気をもって
災害対策
に取り組んでいただくことを御
要望
して終わります。
田原春次
66
○
田原委員長
石橋政嗣君
。
石橋政嗣
67
○
石橋
委員
私も社会党の
調査団
に加わりまして、
佐賀
県、
長崎
県、おもな被災地をほとんど見て回ったわけです。いまさらのように
災害
の大きなことを確認し、一日も早くあたたかい手を差し伸べなくてはならないのではないかという義務感を新たに感じたわけですが、それと同時に、何といいますか、ほんとうにこれでいいのだろうかという気持ちにとらわれておるわけです。というのは、
災害
が起きるたびに、私たちはお見舞いを兼ねて
調査
に行きます。そうして
地元
の
被災者
のいわゆる
陳情
というものを聞きます。ところが、
被災者
の言っておることはいつも同じことなんですね。私たちがそれに対して応待して答える返事までが同じになってしまっておるのです。あがってくる
問題点
というのは、大体いつの
災害
の場合もほとんど同じだと言っていいのじゃないでしょうか。確かに皆さん方の政府の
対策
というものも要領よくなっております。テンポも早くなっておることは私も認めます。それは確かに進歩ではありましょうけれ
ども
、皮肉な見方をすれば、しょっちゅうのことだものだから、ちょいと手ぎわがよくなったという
程度
にすぎないんじゃないか。ほんとうの
対策
を講じておるといっていいのだろうか、どうだろうか、こういう疑問を実は感ずるわけです。 時間も非常に制約されておりますから、私は、典型的な例をあげながら、考えていただきたいと思うのです。おそらく大臣が出席されたときにしか根本的なお答えは得られないのかもしれませんけれ
ども
、その代表的なのが、原状
復旧
か
改良復旧
かという問題です。長い間原状
復旧
というものを貫いてまいりました。しかし、それではいけない。これではさいの川原の石積みだ。流れた、橋をかけた、また出水して、また流れた、こんなことじゃいけないというので、
改良復旧
が
部分
的に認められ始めた。しかし、
部分
的にでもみんなの
意見
がいれられたのだから、進歩だと言いたいところなんです。言いたいところなんだけれ
ども
、こういう事件にぶつかったら、私は言えなくなってしまった。そういう例を幾つか見たわけです。逆に前の
災害
より大きくしてしまっておる。
部分
的なちょっと
改良復旧
をやったばかりに、そういう例が出始めておるのです。これは相浦の川下町の百人の人たちが全部冠水でやられたわけです。家財もほとんど流失してしまいました。その原因をたどる中から、その
部分
的な
改良復旧
というものにこんな
被害
を大きくした原因があるのだということがわかってきたわけです。 そこで、新聞でもずいぶん大きく扱われておりますから、まず私は事実を確認してみたいと思うのです。この伝えられておるような、あるいは
地元
の人たちがそう思い込んでおるような、それがほんとうの原因であったのかどうかということですね。場所は、先ほど申し上げたように、
佐世保
市相浦川下町です。ここにかかっております大和橋が原因になっておるわけですが、前に橋が流れました。ところが、どういうことが行なわれたかというと、原形
復旧
では、また増水すれば流れてしまうというわけで、先ほどから申し上げておるように、
部分
的な改良を加えて橋げたをコンクリートでじょうぶにしたわけです。ところが、じょうぶなコンクリートの橋げたをつくったのに、その橋げたの数は、木のときと同じ八本、数をそろえちゃったわけです。数は原形だ。そして、木がコンクリートにかわるという意味では強固な改良が加えられたわけです。もちろん、上にかかっております橋梁は木です。そこで、橋げたがじょうぶになってしまったから、前のように橋が流れてしまわなかった。全部そこに流木や何やらがたまって、自然に
堰堤
ができてしまったのです。これでたいへんなことになって、堤防を突き破ってあふれた水が、川下町一帯にあふれ出て、たいへん大きな
被害
をもたらした、こういうわけです。
地元
の新聞にはこういうふうに書いてあります。これは西日本新聞ですが、「つまり脚のコンクリート化だけの
復旧
予算が認められたわけである。しかし脚の数は現状
復旧
で八本と元どおりにちゃんとつけられた。こんなことにはまことに律義である。そのかわり、強くなったらなぜ数を減らさぬか。そんな疑問は、ひとたびお役所の計画なり予算査定の流れに入ると、消えてしまう。」
地元
の人もこう思い込んでおります。これは事実だとすれば問題だと思うのです。私たちは技術的なことはわかりません。じょうぶな橋げたにしても、やはり八本要るんだ、そういうことなんでしょうか。どうもしろうと目に見ると、間隔が非常に狭過ぎるような気がするんですがね。もし
地元
の方が言っているように、また、この新聞が扱っているように、数だけ原形
復旧
にして、質をよくしてその面で改良したということがほんとうに原因だったら、これはたいへんなことです。こういう例はほかにもまだございますよ。私は、こういうことを繰り返しておっていいのだろうかという疑問を持たざるを得ないのです。それは実際に実務を担当していらっしゃる方々にしてみれば言い分はたくさんあることはわかっております。
災害
に便乗して不正を働くとか、そんな疑惑を持っておられることもわかっておりますが、しかし、多少のことはあっても、私は、政治家としてはやはり思い切った改良に踏み切るべきだ。これな
ども
、アーチ型にして、橋げたの数を一本か二本にしてしまう、そうしてやっておけば当然避けられた
災害
なんです。こういう点を非常に痛感したわけです。 もう一つ、
あと
で
住宅
の場合の例をあげますけますけれ
ども
、まずこの事実から確認していきたいと思うのですが、いままではそういうことはあったのでしょうか。このケースについては調べておられないかもしれませんが、そういうことは、当然、本省の
指導
からいって、あり得ただろうというふうにお考えになりますか。このことからまず確認をしておきたいと思います。
古賀雷四郎
68
○古賀政府
委員
結論的に申し上げれば、あり得ただろうというふうに考えます。実は私九州に長らくおりましたけれ
ども
、そのときの二十八災等の
実情
を見てみますと、橋梁のスパンが狭いためにやられている実例が非常に多い。したがいまして、私、本省に来まして、
河川
の流量に応じたスパン割りをきめるべきであるということで、ただいまそれで
指導
いたしております。したがいまして、最近の橋梁につきましては、
災害復旧
も、あるいは改良におきましても、そのような
指導
をやっておりまして、間々、
市町村財政
の問題からなかなか話がまとまらぬところがございますが、しかし、極力さような方向で
現地
指導
をしております。いっそう原形
復旧
をやられたかよくわかりませんけれ
ども
、特に急流の
河川
、中小の
河川
等におきましては、その橋梁のピアがたくさんあることは、断面を縮小いたしますし、材木が流れてこなくても、そこでせき上げになります。したがいまして、橋の
上流
が非常にあぶない状態になる。それから、材木とか、あるいは畳とか、いろいろなものが流れてくれば、当然つかえまして、それが破堤の原因になる。私らとしても、極力そういうことがないように
現地
指導
をしておりますし、技術
基準
でもそういうぐあいにさしてもらっております。したがいまして、現在はたくさんはない、間々あるかと思いますけれ
ども
、そういうことのないようにいたしたいと思います。
石橋政嗣
69
○
石橋
委員
率直にお認めになりましたから、それでは私はこれ以上申し上げません。とにかく、
部分
的な中途はんぱな改良を加えたのでは、かえって
被害
を大きくしてしまう。これが完全な原形
復旧
ならば、まだ橋が流れるだけで済んだわけです。しかし、
部分
的に改良を加えたばかりに、非常にたくさんの人たちを犠牲者にしてしまう、これはたいへんな問題です。そういうことが起きてまいりますから、ぜひ思い切った改良ということで今度は
指導
していただきたいと思うのです。 いま一つの典型的な例は、いまのは相浦川ですが、日宇川の公営の分譲
住宅
地が流されて、ここは死亡者まで出たわけです。私たちも日ごろはあまり気がつかない。確かにうかつな話です。そのことがないときには気がつかないものです。行ってみて初めて、これは当然やられるという感を深くするわけです。
調査
に行かれた方々みんなそうだと思うのですが、まさに
河川
の角度九十度です。水は流れる本能のままにまっすぐ突き破ってたくさんの
住宅
を押し流し、そして人的犠牲まで出しておるわけです。これな
ども
、当然
河川
のつけかえという形がとられなくてはならない。これもまた原形
復旧
だということになると、たいへんなことになると思いますが、これは何もいま例にあげました
佐世保
市の
黒髪
町の場合だけではないと思います。典型的な例として私はあげたわけですが、ほかの場合にもあります。そういう面でも、思い切って
河川
のつけかえをやっていただけるものかどうか、この点の確認をしておきたいと思うのです。
古賀雷四郎
70
○古賀政府
委員
結論的に、思い切ってやりたいと思います。けさ102で
黒髪
町の状態を拝見さしてもらいました。ああいう曲がりのある川、ああいう
急流河川
では絶対もたないだろうというふうに感じました。昨年も、加治川におきまして曲がり角のところからやられました。これは四十戸の家屋移転を行ないまして、ただいまほぼ直流の形に
改修
をいたしております。これは
災害
助成
事業
として実施しております。さような方向でひとつ十分検討さしていただきます。
石橋政嗣
71
○
石橋
委員
それからこのほかに、やはり異口同音に
被災者
が私たちに訴えるものの一つが、一般
災害
、民間
災害
にもう少し手を差し伸べてもらいたいということなんです。幸い、
農地
の場合は、十万円以上の場合、
補助
の
対象
になっておるわけですね。ところが、そのほかはほとんどめんどう見てもらえない。せいぜい
融資
という道しかない。このことを訴えられるわけです。確かにケース・バイ・ケースでございますけれ
ども
、これは個人としては資力からいってもほんとうに手の施しようがなかろうという面をまのあたりたくさん見たときに、何とかしてやらなくてはいけないのじゃないかという気がするわけです。これはむずかしいことはわかります。いろいろの面でむずかしい面があると思います。しかし、せっかく
農地
までいったのですから、さらに、この
災害
を契機に、宅地なら宅地、家屋なら家屋、もう一歩進める、こういうものが出てきていいんじゃないか、こういう感じがするわけです。これは副長官になるかと思いますが、何とか検討してもらいたいと思うのです。私は、本
委員会
におきましてもこれはじっくりと取り組んでいただいて、超党派的に、今度の
災害
によって何かおみやげ——おみやげということばはおかしなことばですが、みんなで生み出すという努力をしていただきたいと思いますので、副長官の考え方をちょっとお聞きしておきたいと思います。
上村千一郎
72
○上村政府
委員
石橋
委員
がおっしゃるのはごもっともでございますし、特に今回の
災害
は、都市
災害
の特色を持っております。そんな関係上、各個人
災害
が非常に増大しておりまして、昨年の
集中豪雨
につきましても、個人
災害
についてどういうふうに
対策
を練るかということは、この
委員会
におきましてもいろいろと御熱心に御主張されました。政府側としましても、これは真剣に取り組むべき時期ではないかというわけで、私
ども
中心になりましていろいろと各省へも検討してもらうように呼びかけたわけでございます。ところが、御案内のように、
農地
にはそういうことがある。だから全般的に個人
災害
というふうに大きくとりますと、この
災害
をどういうふうにするかとか、あるいは個々の点でございますから非常にむずかしくなる、こういう各省の御
意見
もある。しからば、いまお話のように、宅地とか、何か目的物に限ってやるようにしてはどうだろうかというわけで、相当進めようとしたのですが、なかな
かま
だまとまっていないわけでございます。これを
機会
にもう一度
意欲
を燃やしまして検討をしていきたい、こう思っております。 それまでの処置はどうするかということでございますが、先ほ
ども
いろいろと質問がございましたけれ
ども
、少なくとも個人
災害
の特色を特に持っておりますし、非常にお気の毒であるし、しかも局部的に
融資
やあるいは税金面だけではとても立ち上がっていくことのできないような大きな
被害
をこうむっておられる個所が
随所
にあるから、何とか
措置
をしなければならぬが、これは立法
措置
の問題にもなってまいりますので、これは検討して進めていかなければならないが、しかしながら、そうかといって、従来の
融資
の面におきましても、税金の
措置
の面にしても、あまりしゃくし定木に事を運んでおったのでは、これは実態に即さぬだろう、こういうふうに思いまして、特にこの点について各省の御協力を賜わりたいというふうに
災害対策
本部は
要望
いたしておる次第でございます。
石橋政嗣
73
○
石橋
委員
被災者
の側からは、何とかしてください、われわれの側は、何とかさせるように努力します、政府のほうは、検討いたしますというようなことの繰り返しにならないように、ひとついまの決意をぜひものにする、政府のほうでも全面的に実施する、ワクを何とか広げるという立場で検討していただく、
委員
のほうでもまた超党派的に一歩前進を今度に是が非でもやるのだという意気込みでお互いに取り組むということでやっていきたい、このように考えております。 時間がありませんから、
被災者
の方々の実態を見、またお聞きする中で直接痛感をいたしました問題をもう一つだけ申し上げたいと思うのですが、それは、畳を何とかしてやれないだろうかという気持ちがするわけです。このような水害の場合には、水につかってしまった畳というものはもう使いものになりません。私自身、
昭和
二十三年に軒下まで冠水したという経験を持っておりますから、よくわかるのですけれ
ども
、絶対に使いものにならない。どろんこになると、たとえ水で洗っても、敷きものがなければ寝るにも寝られない、場所もないというような
実情
を見るにつけて、畳あるいはそれにかわるカーペット類のようなものを何とか
災害救助法
によって認めてやれないものだろうか、こういう気がするわけなんです。現在では、たしか生活必需品の
限度額
の範囲には八種類ばかり指定されておるように聞いておるのですが、この畳とか、これにかわるカーペット類というようなものは入っていない。何とかこれを限度内に入れていただけないだろうか。そうしないと、このめんどうを見ると、ほかのものは見られない、こういう矛盾が出てまいりますから、これはひとつ早急に考えていただきたいと思うのですが、この点についてお尋ねをして終わることにいたします。
今村譲
74
○今村政府
委員
お答え申し上げます。 ただいまのような問題は、県からもよく話を聞いております。実際問題といたしまして、水がついた、すぐ畳をといいますと、県のいわゆる備蓄物資で畳を何万枚も持っていなければならぬ。そうして、つゆどきになると腐ってしまうという問題があったり、いろいろ問題がありますので、畳そのものは備蓄物資で一枚一枚配給するというわけにはいかないだろうと思います。いま
長崎
県あたりでは、畳表といいますか、ござみたいなものを三百円か五百円くらいで応急に買えるというふうなものが若干ございますが、その点に対してどうだこういうことでございますので、現在、たとでば冬と夏では違いますけれ
ども
、五人
世帯
で一万幾らというワクの中で、そういうござ類なり、畳にかわるようなものを組み込めるならひとつ手配してくれ、こういう話をいたしたわけであります。ただ、どのくらい応急に手に入りますか、いろいろ疑問でございますけれ
ども
、その辺ならば手に入る余地があるのではないかというように考えております。
田原春次
75
○
田原委員長
白浜仁吉君。
白浜仁吉
76
○白浜
委員
いろいろと各
委員
諸君から御答言がありましたが、今度政府が幸いにして
災害対策
本部をつくって緊急
措置
を考えようと、前向きにいろいろと御考慮を願っておることに対し、
被災者
の民意を代表して厚く御礼を申し上げたいと思うわけであります。 私
ども
どうしても取り返しのつかないものは人命でございます。この人命を失ったということにつきましては、ことばを幾ら重ねても、どうしてもこれは取り返しのつかない問題でございますが、この問題を考えるにつきましても、たとえば、先ほど
石橋
委員
からも御発言がありましたが、
災害復旧
の問題につきまして、原形
復旧
にこだわらずに、もっと全体を見ての
改良復旧
を考えなければならぬというふうなことは、これはもう私がここで申し上げるまでもないことで、事務
当局
の諸君もこれは十分御了承の上だというふうに考えるのでありますが、今度の場合、特に私は
佐世保
の
黒髪地区
をまのあたり見まして主として現実の面で感じましたことは、三分間おくれておったならば、しかも、あれが夜であったならば、おそらく数百人の死亡者、行くえ不明者が出たろうということで、現実にそういうことがいわれておるわけであります。そのことから考えてみますと、せっかく気象庁の諸君が少ない予算の中から非常に努力をしてやっておりますし、しかもまた、
警察
の諸君も、いろいろな情報から、いろいろな方法を講じてこの予防
措置
をして早く退避しろということをやっておりますけれ
ども
、今度のように分散的に
集中豪雨
的なことが出てまいりますと、なかなかこのことが徹底されません。このことにかんがみまして、幸いにして、現在日本は、ラジオあるいはテレビというものが世界でも最高だといわれておるくらい普及しておりますので、この機関をフルに利用してこの予防
措置
を講ずる、少なくとも人命だけは失わないような
措置
を講じたいということで、去る十四日ですか、わが党の
災害対策
別特
委員会
におきまして、このことを強く私は
要望
いたしたのでありますが、幸い同僚の細田議員が本
会議
でこのことを強く郵政大臣に
要望
されて、ぜひともこれは前向きにやろうというようなことを大臣も答弁されたのであります。この
機会
に、上村副本
部長
を中心にしまして、一生懸命になってこのことが実現されるように私はお願いを申し上げたいと思います。 もう一つ、全般的なことでお願いしておきたいことは、今度一番困ったのは、実は水がない水がないといって干ばつに悩まされておりましたその直後に、この水の
被害
でございます。ところが、水の
被害
を受けて一番困ったのはまた水でございまして、給水というものがうまくいっていない。これに引き続いての伝染病の
発生
その他というものをわれわれはひどく心配いたしておるのでありますが、給水ということにつきまして、今度、たとえば
佐世保
でやった例でございますと、民間の土建業者の給水車も動員する、あるいは消防車も動員するというようなことでいろいろやっておるようでございますが、こうしたあらゆるものを動員するような体制を日ごろ用意しておく必要があるのではないかということを痛感して帰りました。 われわれは、いま
石橋
委員
も指摘しましたように、
あと
を追っかけ追っかけというような
対策
を講ずるよりも、たとえば
中小河川
、都市
河川
の問題にしましても、やはり
地元
民が協力してあらかじめ予防
措置
を講じなければならぬ。いろいろな施設をやり、公共
事業
をやるにしましても、やはり
地元
の協力が必要だ。たとえば、これは小さいことかもしれませんが、かってにごみを捨てる
住民
が非常に多いというようなことで、
河川
がだんだん浅くなり、水の許容量も減るというようなことで、追っかけ追っかけとうとい税金を使う。その税金を使ってもなお取り返しがつかない人命を失うというようなことを繰り返すよりも、むしろ、非常に不本意ではありますけれ
ども
、そういうふうなかって気ままに何かを捨てるというふうなことは、やはり厳重な禁止の法律をつくってやるべきじゃないかというふうな気がいたすわけであります。こういうふうな点につきましても、どうか本
部長
を中心にしまして政府が一体となって前向きに考えていただきたい。 全般的の問題はそれくらいにしまして、今度の
災害
で現在非常に困っております石炭、いま西日本、
佐賀
県、
長崎
県のいわゆる中小石炭の諸君が、水害を受けまして
復旧
に困っております。やっと安定補給金の問題も解決をしているというふうな状態でございますが、非常に傾斜的に石炭というものに希望がないというふうな
状況
では、市中銀行の金融も思うにまかせないと思いますので、この際でございますから、いろいろな特別な方法を講じて——私のところに参っております資料によりますと、八炭鉱でわずか二億円前後の
災害
だと申しておりますので、中小企業庁並びに石炭局の諸君は一体となってこの金融
措置
を至急講じてもらいたい。この相談があっておるのかどうか、そういうふうな点について、石炭局でもけっこうですし、中小企業庁でもけっこうですから、これをやってもらいたい。 特にこの際中小企業庁にお願いをしておきたいことは、うまくやる、何とかするということをよく諸君は言います。先ほど
石橋
君からも御指摘されたとおりであります。ところが、現実になりますと、なかなか下のほうは動いておりません。手続だけがめんどうで、なかなか動かないというふうな状態では、非常に苦しいさなかに、先ほ
ども
お話がありましたが、もう目に見えないようなところで
中小企業者
は困っております。たとえば、日曜日でございましたので御主人が自宅におった。幸いに、雨も降るということで外出もしていないということで、非常に救われた例もあるようでございますが、たとえば問屋街、問屋筋、こういうふうなものは、休日でございますので、だっと瞬間に増水してきたということで思わぬ
被害
が中小の商店に及んでいるというふうなこともありますので、どうかそういうふうな点も勘案して、中小企業庁は特に強力な
指導
をやってもらいたい。私は特にこのことをお願いするとともに、この
機会
にひとつ言明をしてもらいたい、はっきりと御回答をお願いしたいと思います。
上村千一郎
77
○上村政府
委員
中小企業庁のほうからも御答弁申し上げるかと存じますが、ただいま白浜先生からいろいろとおっしゃったこと、全く同感でございます。 なお、この人命救助の問題、避難の問題等につきまして、これは政府としましてもこの際総点検をすべきものではなかろうか。と申しますのは、特に私、神戸
市内
の市ケ原のあの大きな
災害
、人命事故を拝見いたしました際にも、いろいろと承りますれば、ある
程度
の避難はいたしておるものの、おとうさんの代、おじいさんの代から自分はここにおったんだ、だから、いろいろと、危険
地区
だ、あるいは避難だとは言うものの、心の中には、まだそれほどでもなかろうというお心持ちがあられるのではなかろうか。と申しますのは、それもごもっともなことでありまして、自分の見ている範囲内においてはそう変化を来たしていないのでありますが、少しくヘリコプターその他でずっとその
周辺
を見ますと、非常に大きく人工がその山に加えられておる。たとえば、あるいはカントリークラブ、あるいは宅地造成、いろいろな変化を来たして、それが知らないでおるうちに自然と
影響
を及ぼしていく。こういう点は、各
被害
をこうむられた方々にとりましてはこれは無理もないわけですけれ
ども
、全体の総合的な立場から政府は考えて、よく点検をして、危険
地区
というものにつきましては危険
地区
としてはっきりと御納得のいくように御
説明
するとともに、もちろん、そういうことのないようにいろいろな施策を講じなければなりませんが、しかし、その間に
災害
が来て人身事故が起きたらたいへんでございますので、こういうものについては、ある
程度
総点検をすべき時期に立ち至っておるのではなかろうか、こういう感じを持っておるのでありまして、私、非常にごもっともだと思うわけでございます。 それから水の問題でございますが、ちょうど兵庫県に行く際におきましても、行く前に、非常に水の問題を訴えておられました。
現地
に行きましても、非常に水で苦しめられ、また水で困っておるという
実情
もよくわかりますし、
自衛隊
のほうあるいはその他自治団体のほうの給水関係を動員されましてそうしてその危機を乗り切ったようでございますけれ
ども
、しかし、それもおくれてまいっております。でございますればこそ、相当の
要望
なり非難なりということが起きてきておりますので、これは何か総合的な施策というものを心がまえとして政府あるいは自治団体は考えていくべきではなかろうか、こういうふうに感じております。御趣旨全くごもっともでございますので、私
ども
中心になりまして、そうして御趣旨に沿うような検討を加えさしていきたい、こう思っております。
本田早苗
78
○本田
説明
員 ただいま白浜先生から、金融問題について臨機適切な
措置
をとれ、こういうことでございましたが、
被害
がありました直後に、通産局、並びに、すぐ引き続いて本省からも
現地
に
調査団
を出しまして
調査
の結果、至急金融の
措置
を講ずる必要があるというので、
佐賀
県に五カ所、
長崎
県に三カ所、広島県に三カ所臨時金融相談所を設けまして、政府三機関と
信用保証協会
、商工会、商工
会議
所、県、市の担当者が一カ所に集まりまして、そして窓口で受けつけまして、即決でそれぞれ適当な窓口で
融資
の決定をするということで、できるだけ早い
融資
の実施をはかっておる次第でございます。 石炭につきましては、二十一炭鉱、一億八千万の
被害
がございまして、そのうち、中小炭鉱は十四炭鉱、一億三千万の
被害
がございますが、これは先ほど長官から
報告
のありました九十四億の内数でございまして、中小金融の内ワクとして
融資
を実施いたしたいというふうに考えております。
田原春次
79
○
田原委員長
小沢貞孝
君。
小沢貞孝
80
○
小沢
(貞)
委員
それでは簡単に質問したいと思います。 中小企業関係の激甚指定ということは、
砂田
先生、白浜先生から御質問もありました。これは、きのうは本
会議
において、前向きで検討、きょうは、来週ごろ
適用
と、だんだん近づいてきたようであります。そこで私は具体的にお尋ねをしたいが、
激甚災害
法の第二条による指定
基準
で、当該
災害
にかかる中小企業関係の
被害額
が、当該年度の全国の中小企業所得推定額の〇・〇六%とあるが、その〇・〇六%は幾らですか。
本田早苗
81
○本田
説明
員 本年度の算定によりますと八十六億でございますので、先ほどありましたように、今回の
災害
は九十四億強になっておりまして、一応オーバーしております。
小沢貞孝
82
○
小沢
(貞)
委員
それからB
基準
の第一項で、
佐賀
県ですか兵庫県ですか、どこか一つの県の区域内の当該
災害
にかかる中小企業関係
被害額
がその県の中小企業所得推定額の二%、これは一番大きい
被害
のところはどこですか。
本田早苗
83
○本田
説明
員 現在の
調査
で、
佐賀
県は中小企業所得千二百四十一億と推定されておりますので、二%で二十五億になりますが、
被害
は二十七億五千万なので、一応事務的には
基準
には合うということになっております。
小沢貞孝
84
○
小沢
(貞)
委員
それでは、
激甚法
第二条に基づく
基準
に照らして、
激甚法
の十二条、十三条、十五条、これは
適用
確実である、こういうことでいいわけですね。ここで言明をしてくださいと、
砂田
さんも白浜さんも言っているんだから。この
基準
にぴしゃっと合っているじゃありませんか。それじゃここで言明していいでしょう。
上村千一郎
85
○上村政府
委員
先生も御案内のとおりかと思いますが、実は個々の点につきましては、
委員
の先生方おっしゃったように、できるものがありますから、何も来週ということを待ってやるつもりではないわけでございますが、ただ全体につきましてめどを申し上げておきませんと、検討検討では、従来のように、はなはだおざなりになってしまうという感じを与えて、こういう
災害
のときにはまずいというふうに思いまして、来週中にはすべて手続が完了するであろうということを申し上げておるわけで、御案内のように、これは閣議決定もいたさなければなりません、いろいろな査定の
報告
その他も集計しなければなりませんし、また財務
当局
のほうの意向もございましたり、いろいろな点もございますが、もちろん、
基準
が合ってまいりますれば、そして検討の結果がございますれば、早急にやっていきたいという意思に少しも変わりはないのでございます。
小沢貞孝
86
○
小沢
(貞)
委員
いいです。とにかく、いま数字からいってその
適用
基準
に該当していて、みんな
激甚災害
の指定を受けられる、こういうことで、また、数字的に聞いてもそうだと思いますから、そこは一週間や三日はどっちでもいいと思います。 同様に、
激甚法
第二章及び第五条、これは指定
基準
は何億で、どの県はどうなってということを、建設省と農林省からお聞かせいただきたいと思います。全国所得推定とかいうものから始まって、その標準税収が幾らの県が幾つあってとかいう
基準
もありますけれ
ども
、建設省と農林省、この二つのあれだけでけっこうですから……。
太田康二
87
○太田
説明
員 農林省のほうから第五条関係の
農地
と農業用施設、それから
林道
、この関係を申し上げます。 御承知のとおりA
基準
とB
基準
がございまして、A
基準
は、「
事業
費の査定見込額が、当該年度の全国農業所得推定額のおおむね〇・五%」これを大体百七億と踏んでおります。「をこえる
災害
」、B
基準
は、「
事業
費の査定見込額が当該年度の全国農業所得推定額のおおむね〇・一五%」これが三十一億。「をこえる
災害
であり、かつ、一の都道府県の
事業
費の査定見込額が当該都道府県の当該年度の農業所得推定額の四%をこえ、又はおおむね一〇億円をこえる都道府県が一以上あるもの」こういう
基準
があるわけでございます。それに対しまして、先ほど先生方のところにお配りしました私のほうの
被害
、特に七月七日から九日までの
農地
、農業用施設、
林道
等の
被害
合計額が、県の
報告
で百六十八億一千五百万、これに対しまして、過去五年間の平均査定率というのがございます、これをかけまして査定見込み額を推定いたしますと、百五億一千六百万、こういうことになるわけでございます。したがいまして、まずA
基準
の百七億には若干足りないわけですが、B
基準
の三十一億はこえておる。しからば、一体十億をこえておる県があるかどうかということでございますが、同様の方法で計算をいたしましたものによりますと、広島県が十一億七千五百万、
佐賀
県が二十二億八千百万、
長崎
県が三十億三千八百万、こういうことになっております。十億をこえておる県は、いまのところ、三県あるということになるのであります。
古賀雷四郎
88
○古賀政府
委員
激甚災報の第二章グループの指定
基準
の関係を御
報告
いたします。 第一項の
対象
事業
全体の査定見込み額が七百十七億をこえる場合ということでざいますが、現在まで査定見込み額が二章グループで約二百八十億
程度
になっております。これは適合いたしません。第二項関係で、
対象
事業
の全体の査定見込み額が標準税収入のおおむね一・二%、これは二百十二億になりますが、これであって、「かつ」という欄までまず出しますと、現在まで査定見込み額が二百八十億でございますので、おおむねこれは
適用
されます。 なおもう一つの条件は、当該都道府県の
対象
事業
の査定見込み額が当該都道府県の標準税収入をこえる都道府県が一以上ある場合、この場合
佐賀
県を例にとってみますと、県工事の査定見込み額が現在の段階では四十一億二千万と一応考えております。右の標税というのは約三十六億でございますので、これは
適用
されます。
長崎
県の場合は、査定見込み額が二十三億八千三百万で、標税は六十七億五千万でございますので、適格とはなっておりません。それから、(二)の
市町村
につきましては、
佐賀
県、
長崎
県とも適格となっております。 したがいまして、全体的に激甚災法の指定を受けるような資料ができ上がっております。
小沢貞孝
89
○
小沢
(貞)
委員
いま太田参
事官
からも、五条関係については、激甚災指定のB
基準
によって
適用
になる。数字的にも明らかである。それから建設省関係も、B
基準
によって
適用
になることは明らかだ、こういうことですから、これは
あと
は事務的の問題だけだ、こういうふうに私は理解をいたします。上村副長官から来週早々というお話もありましたので、数字の上からは間違いなく激甚指定だ、こういうふうに理解できますので、なるべく早く指定してやって、
被災者
を安心さしていただきたいということを
要望
しておきます。 ついでで悪いのですが、六月十六日、十八日の長野県の
小諸
の
災害
、これは
災害
特別
委員会
でも視察に行っていただいたし、今度の七月の
災害
と一緒に激甚指定にしていただける公共土木及び農林施設、これはいいでしょうか。
上村千一郎
90
○上村政府
委員
ただいまの先生の御質問でございますが、
小諸
地区
の点につきましてはいま検討中でございます。
小沢貞孝
91
○
小沢
(貞)
委員
いいです。
田原春次
92
○
田原委員長
本日はこの
程度
にとどめ、次会は公報をもってお知らせすることとし、これにて散会いたします。 午後五時五十九分散会