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柴田政府委員 気象庁から、
気象状況について、先ほどの
塚原長官のお話をちょっと補足する意味においてお話し申し上げたいと思います。お
手元に
資料をお配りしてございますので、その
資料につきまして御
説明申し上げます。
一口に申しまして、今回の
集中豪雨というのは、先ほども
塚原長官のお話しのように、
梅雨前線が
台風くずれの
熱帯低
気圧に刺激されまして起こりました
集中豪雨でございます。今回のこの
集中豪雨の特徴と申しますものは、短時間に
大雨が降って、二、三時間に百ミリ以上の雨が降ったということでございます。
お
手元の
資料の三
ページをごらんくださいますと、三
ページには
台風の進路が書いてございます。四
ページには、特にその例といたしまして、七月九日の十二時と七月十日の三時の
梅雨前線の位置が書いてございます。その次の五
ページには、七月九日の九時の
天気図が書いてございます。その次には、七月十日零時の
天気図が書いてございます。その次の
ページの図は、七月七日の朝九時から十日の九時までに降った雨の量の等
雨量線でございます。最後の
ページは、特に
被害の大きかったと思われます数県について、その県の
所在地の
気象官署が出しました
注意報、
警報の出した時間及び解除した時間を表にしてございます。
この際特に申し上げたいのでございますけれども、そのうちの一つは、
集中豪雨の
予報ということでございます。すなわち、いつ、どこに、どの
程度の
集中豪雨が降るかというような
予報は、現在の
技術水準及び
施設から見まして、残念ながら、とうてい不可能でございます。それからまた、将来におきましても、一〇〇%完ぺきにこの
集中豪雨の
予報をするということもたぶん不可能であろうと私たちは考えております。まことに残念なことでございますが、
集中豪雨というものはそういうようなものであります。
次に、
集中豪雨の際の
注意報、
警報の発令について一言申し上げたいと思います。
注意報、
警報というのは、御承知のように、一般には、
府県庁の
所在地にございます
気象官署がこれを発令するようになっております。ただし、一部例外はございます。そこで、この
集中豪雨の
予報ができない現在におきましては、その
府県の中のどこかで
大雨が降りそうな状態が予測されたときに、まず
大雨注意報というものを出して、
警戒を促すわけでございます。次いで、どこかで雨が激しく降り出しまして、その量が大きな
災害を起こしそうな基準を越えるであろうと予測されるようなときには、その
注意報を
大雨警報に切りかえるというような手続でやっておるのでございます。ただいま申しましたこの大きな
災害を起こしそうな基準というのは、これは過去の経験をもとにいたしまして各
府県ごとにきめられておるものでございまして、たとえば、
兵庫県では、総
雨量が平地で百五十ミリ、山岳部で三百ミリ以上の雨が降るというような場合には
警報を出すことになっております。なお、この
注意報、
警報に関しましては、後ほどもしも先生方の御質問がございましたら、そのときにさらに詳しく
説明申し上げたいと思っております。
要するに、今回の各気象台のとった
注意報、
警報の発令でございますが、これはすべてさっき申しました手続によって行なわれたものでございまして、各気象台は最善の努力をもってこの
集中豪雨に対処したのでございまして、
集中豪雨の
予報ができないという現状におきましては、
警報の発令は、現在のこの技術の限界から見まして、これ以上たとえば早く
警報を発令するということは、現在とうていできないことだとわれわれは考えております。
なお、新聞にも載っておりましたように、紀州の白浜の
集中豪雨に対しまして、
和歌山の気象台の
大雨警報がだいぶおくれたということでございますが、これはちょうど白浜に
豪雨が降る前に
和歌山の気象台に落雷が二回ございまして、
和歌山の気象台の通信網が全部全滅してしまっておったのでございます。したがって、
和歌山としては、通信
関係としてはもう孤立した、アイソレートされたような状態になっておったので、白浜に
豪雨が降ったということをすぐには知ることができなかったということなのでございます。
なお最後に、今後の
集中豪雨の
対策についてでございますけれども、これは先ほど申しましたように、
集中豪雨というものに対する研究をもっとやらなければならないということが一つ、それから観測網の整備をやらなければならないということが一つ、それからなお、レーダー網をもっと整備しなければならないということもございます。そういうようなことなどを考えておりますが、今後の
対策につきましては、また後ほど機会を得まして申し上げたいと思っておる次第でございます。
以上でございます。