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1967-06-30 第55回国会 衆議院 災害対策特別委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年六月三十日(金曜日)     午後三時十三分開議  出席委員    委員長 田原 春次君    理事 天野 光清君 理事 池田 清志君    理事 湊  徹郎君 理事 神田 大作君       井出一太郎君    内海 英男君       熊谷 義雄君    塩谷 一夫君       世耕 政隆君   三ツ林弥太郎君       山口 敏夫君    川村 継義君       神門至馬夫君    中澤 茂一君       平等 文成君    山本弥之助君       渡辺 芳男君    稲富 稜人君       小沢 貞孝君    小川新一郎君  出席政府委員         農林省園芸局長 八塚 陽介君  委員外出席者         大蔵省主計局主         計官      嶋崎  均君         農林大臣官房参         事官      太田 康二君         農林省農林経済         局金融課長   今村 宣夫君         農林省農政局農         産課長     遠藤 寛二君         農林省農地局建         設部災害復旧課         長       松井 芳明君         農林省園芸局園         芸課長     千野 知長君         建設省河川局防         災課長     坂井 秀正君         自治省財政局地         方債課長    山本 成美君     ————————————— 六月二十一日  委員佐藤孝行君、山口敏夫君及び伊賀定盛君辞  任につき、その補欠として羽田武嗣郎君、井出  一太郎君及び平等文成君が議長指名委員に  選任された。 同月三十日  委員羽田武嗣郎君辞任につき、その補欠として  山口敏夫君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和四十二年五月以降の干ばつ及び降ひょうに  よる災害対策  長野小諸周辺集中豪雨等による災害対策  昭和四十二年一月から二月までの降雪等による  災害対策  派遣委員からの報告聴取      ————◇—————
  2. 田原春次

    田原委員長 これより会議を開きます。  災害対策に関する件について調査を進めます。  本日は、昭和四十二年五月以降の干ばつ及び降ひょうによる災害対策、並びに長野小諸周辺集中豪雨等による災害対策につきまして調査を進めてまいりたいと存じますが、まず、先般長野県の被害状況調査のため現地に派遣されました委員から報告を聴取することといたします。湊徹郎君。
  3. 湊徹郎

    湊委員 長野小諸周辺集中豪雨及び降ひょうによる被害状況調査のため、議長の承認を得て、去る六月二十四日長野県に派遣されました派遣委員を代表いたしまして、調査概要を御報告申し上げます。  派遣委員は、自由民主党の私、日本社会党川村継義君及び公明党の小川新一郎君の三名で、ほかに地元選出委員多数の御参加を得て、被害実情をつぶさに調査いたしてまいったのであります。  まず、被害概要を簡単に申し上げます。  六月十六日午後六時四十分ごろ、小諸市及び御代田地方に、突如雷を伴った降ひょうがあり、これが集中豪雨となって、時間雨量にして八十二ミリ、三時間で百十ミリの降雨量であったため、俗にいう鉄砲水となって、一瞬のうちにとうとい人命を奪い、各河川をはじめ家屋農地道路等に激甚なる被害をもたらしたのであります。  しかも、地元住民方々がこの激甚なる災害になすところを知らずぼう然としているところに、一日おいた十八日午後七時過ぎ、約二十一分間にわたって、同地方をはじめ上小北佐久一帯ピンポン玉大の激しい降ひょうがあり、このため、レタスキャベツ白菜等高原野菜中心農作物が壊滅的な被害をこうむったのであります。  両日被害は、県の報告によりますと、十六日の集中豪雨によるものは、死者二名、住家全壊流失五棟、半壊三棟、床上浸水五十一棟、床下浸水六百八十一棟、農林関係被害額十億円、公共土木施設被害額五億四千万円、その他を合わせて十六億八百万円にのぼっております。  十八日の降ひょうによる被害は、レタスキャベツ等高原野菜だけで十億円、リンゴ等果樹四億五千万円、桑一億七千万円など、農作物被害額十八億八千五百万円に達し、両日を合わせた被害総額は約三十五億円にのぼっているのであります。  われわれ調査団は、軽井沢町、御代田町の降ひょうによる被災現地視察し、御代田町役場におきまして、長野県知事、県議会副議長小諸市長軽井沢町長御代田町長及び農業団体方々から説明を聴取した後、小諸市の集中豪雨及び東部町の降ひょうによる被災地視察いたしますとともに、横堰の被災現地におきまして、上小地方事務所長上田市長東部町長塩田町長眞田町長及び川西村長から説明を聴取してまいったのであります。  まず、十六日の小諸市及び御代田町の集中豪雨について申し上げますと、同地方は、年間の平均降雨量が九百八十ミリという、きわめて少ないところでありますが、同日はわずか一、二時間の間に百ミリをこえる降雨量であったため、繰矢川乙女川、北川吉田川等のほか各用水路が一度にどっと溢水はんらんし、浅間山ろく火山灰土の脆弱な土質の上に、傾斜地であるため、瞬間的にいわゆる鉄砲水となって流れ下り、同地方としてはいまだかつてない激甚な被害をこうむったのであります。  しかも、夜間にこの未曽有の災害に見舞われた住民は、一時はぼう然自失し、なすところを知らない状態にあったのでありますが、小諸市の計画した復旧のための動員計画に協力し、自衛隊松本駐とん部隊六百人の応援を得て、決壊した道路、水路応急工事に、家屋耕地に堆積した土砂の排除に、また、土砂を排除した田の植えかえ及びおくれていた田植えの促進にと邁進し、その動員数は延べ一万六千人に及んだということであります。  これが復旧にあたっては、知事から、特に緊急を要するので二カ年内に復旧するよう要望がなされましたが、市長からも、市として応急対策のためすでに多額の支出をしており、今後の復旧のことを考えると、年間予算額でありますが、市財政七億円の二倍に及ぶ被害をこうむっている現実からして、国の強力な援助が望まれたわけであります。特に、浅間山ろくの開発が進むにつれ海拔八百メートル近くまで開墾されておりますので、今回のような降雨がありますれば再び同様の被害が発生することが明らかなことから、今次の災害復旧にあたっては、長期的な防災計画のもとに、再び災害の起こらない総合的な対策を強く要望しておったわけであります。  次に、降ひょうによる被害状況について申し上げます。  上小北佐久地方は、五月三十一日、六月一日、十六日、十八日及び十九日と降ひょうに見舞われているのでありますが、特に十八日は、午後七時十分ごろに始まり、川西村、上田市、真田町、東部町、小諸市、御代田町、軽井沢町の各市町村に、西から東に向かって帯状に、地鳴りに似たごう音とともに二十分間にわたって降ひょうがあり、その大きさは先ほど申し上げましたようにピンポン玉大で、スレートの屋根を突き抜け、百数十戸の窓ガラスが割れるほどの強いものであったわけであります。このため、同地方主要農作物であるレタスキャベツ白菜等高原野菜をはじめ各農作物に甚大な被害が発生したのであります。六月から十月にかけて同地方中心長野県から出荷されるキャベツ白菜は、高原野菜として市場の人気が高く、関西市場ではほぼ一〇〇%、関東市場でも九〇%と、市場占有率が非常に高いわけでありまして、その生産を唯一の農業経営の基幹にしている同地方農家は、出荷期を迎えていた時期だけに、物心両面に受けた打撃は言語に絶するものがあり、まことにお気の毒にたえない次第であります。  果樹につきましても、リンゴ穴だらけとなり、落果し、残ったものでも、傷がひどくて、生育しても商品とはなり得ず、加えて、葉も落とされたり樹体の損傷がひどいため、来年以降の結実にも影響し、その被害ははかり知れないものがあります。  桑は、蚕があと一日か二日で上蔟しようという大切な時期でありましたために、群馬県から緊急に輸送して急場をしのいだのでありますが、夏秋蚕の掃き立ての見込みが立たないという実情であります。  その他、刈り取り寸前の麦は、穂が全部落とされ、植えつけを終わった稲は、腰を折られて横倒しになり、トウモロコシは茎を裂かれるなど、全農作物ひょうの爪によってかきむしられ、その被害額は実に二十二億五千万円という巨額に達しているのであります。  同地方野菜づくり農家にとりましては、春野菜による収入によって秋野菜生産を行なっているのが実情でありますために、当面の生活費はもちろんのこと、営農資金の調達が緊急の課題となっております。  軽井沢町の場合、緊急対策費としてすでに六百万円を支出し、秋野菜生産に取り組んだという話も聞きましたが、ひょう害のような特殊な災害については、種苗肥料農薬等購入費について何らかの助成措置考える必要があり、長野県では、その対策として総合助成方式助成を行なっているということであります。  また、同地方開拓農家が多く、農業基盤が弱いところに災害が起こっておりまして、転落農家が出ることが予想されるなど、きわめて深刻な問題のあるところもあったのであります。  この際、県及び地元市町村からの要望事項を取りまとめて申し上げます。  一、激甚災害法及び天災融資法適用措置を講じられるとともに、制度金融借り入れ農家に対し償還猶予等条件緩和措置を講ぜられたいこと。  二、農地農業用施設災害復旧事業が早期に完結できるよう配慮されたいこと。  三、農作物等応急技術対策並びに再生産に必要な種苗肥料、桑葉、農薬等購入確保費に対し助成措置を講ぜられたいこと。  四、農業災害補償法に基づく共済金早期支払い措置を講ぜられたいこと。  五、公共土木施設被害状況は非常に激甚であり、復旧は緊急を要するので、二カ年をもって復旧されたいこと。  六、被害激甚な繰矢川乙女川、北川吉田川等については、再度災害防止のために改良復旧をはかられたいこと。  七、災害応急対策の実施にあたっては、県及び市町村は相当多額な一般財源支出を必要とするので、これらの特別な需要に対し特別交付税を増額されたいこと。  以上であります。  なお、同県の干ばつにつきましても県及び町村から実情報告がありましたが、六月二十四日現在で、県の報告によりますと、農作物植えつけ遅延二千四百五十二ヘクタール、植えつけ不能見込み一千四百十八ヘクタール、生育不良四万六千二百十八ヘクタール、計五万ヘクタールで、総作付面積の三〇・九%、林業関係で五万一千ヘクタール、応急対策費として、さく井、水路等一億一千五百万円、揚水機原動機等の購入一億二千九百万円、同借り入れ二百万円、合計二億四千七百万円となっております。これら応急対策事業費高率補助についての要望がありましたので、あわせて御報告を申し上げます。  最後に、今回の調査を通じて痛感いたしました若干の点について所見を申し述べさせていただきたいと存じます。  連年の各種災害を通じて災害に対する各種立法及び諸制度は逐次整備され、また、その運用も弾力的に、かつ迅速になってまいりましたことは、御同慶の至りであります。先輩各位及び政府の御努力に深甚な敬意を表します。しかしながら、今回の長野災害の教訓にかんがみ、今日まで積み重ねられた実績の上に立って、災害制度全体をさらに一段と前進させる時期にきたという感を深くするものであります。  その第一は、今回の災害は、局地的な集中豪雨、それによるいわゆる鉄砲水といい、同じく局地的なひょう害といい、特殊異常な、それだけに限定された被害者にとっては、深刻きわまる特異現象であります。いま災害対策特別委員会中心特殊災害と小災害の問題が取り上げられ、政府もまたこれに対応して、従来の一般適用基準を変える、あるいはそれを緩和する措置等を検討中のようでありますが、すみやかに結論を得られるようこの機会に要望いたします。  第二は、現地被災者に対して何より大事なことは、立ち上がる意欲の喚起であり、鼓舞激励であります。抜く手も見せぬていの迅速果断な措置をとることが必要であります。そのためには、第一次的には市町村長、第二次的には都道府県知事臨機果断措置に期待するところがきわめて大きいわけであります。従来からルールが積み重ねられて、知事市町村長が国やそれに伴う地方自治体の制度財政措置について予知しているようなケースの場合はまだいいわけでありますが、今回のような連発した特殊災害の場合、ある程度知事市町村長対策措置を包括的に委任して、迅速な措置をとり得るよう、運用について改善する必要があるのではないかと思われます。  第三は、今回のごとく、干ばつ水害ひょうで害と、二重三重に被害を受けた場合、現地の数市町村責任者の話を聞きましても、隣接した地域ありながら、市町村ごとに、さらには地区によって、被災種類や態様、あるいは対象になる施設作物等にニュアンスの差があり、それに対応してとった、あるいはとろうとする対策措置にもかなりの差が見られます。先刻申し上げました長野県の総合助成方式は、臨機果断措置を期待する上からも、また、現地実態に応じた弾力的な運用をはかる上からも、真剣に検討するに値する対案であると考えられます。現地要望の強い肥料農薬種苗等に対する個別補助にかえて、たとえばメニュー方式によって対策種類を選択させるとか、あるいは被害額一定割合——これは過去の経験から、各種災害の際、県や市町村が実際にとった対策措置に要した財政負担額は当然明らかなはずでありますから、その一定割合のうち、これもたとえて申せば、被害額の百分の一であるとか、あるいは対策に要した額の五分の一であるというふうな形で国が県等に総合的に援助する、そういう方法はできまいものかというふうなことを特に感じてまいった次第であります。  以上、委員会及び政府において今回の災害に対する応急措置を急がれるとともに、所見としてただいま申し上げました諸点も十分検討されますことを要望して、御報告といたします。(拍手)
  4. 田原春次

    田原委員長 これにて派遣委員からの報告聴取は終わりました。  派遣委員各位にはまことに御苦労さまでございました。      ————◇—————
  5. 田原春次

    田原委員長 質疑の申し出がありますので、これを許します。小川新一郎君。
  6. 小川新一郎

    小川(新)委員 ただいま団長からつぶさに視察報告がございましたので、ダブっているところは省きまして、簡単に要点をまとめて質問さしていただきます。  第一は、耕地並びに家屋損害復旧全額国庫負担でということを、陳情を受けたところでどこも言っております。もちろん、これはすぐそういうことになるわけにはまいりませんが、こういうことにつきまして、被災農民は、今度の災害はトリプル・パンチだ、ダブルではなくて、干害、水害ひょう害という三つの災害の中から耕地並びに家屋、そしてまた人命まで失っておる。こういうのが今回の小諸地方災害でありますので、これについてのお考えをまずお聞きしまして、第一の質問とさしていただきます。
  7. 太田康二

    太田説明員 先般も申し上げたわけでございますが、確かに今回の長野災害につきましては、被害を受けられた方はたいへんお気の毒だと思っているものでございます。  御承知のとおり、現在の私のほうの関係で申し上げますと、農地農業用施設災害復旧に対する国庫補助暫定法があるわけでございますが、これによりますれば、それぞれ基準がきまっておりまして、これによって補助をいたしてまいるということになるわけでございまして、ただいま小川先生からの御質問のように、現行制度下において、いま直ちに全額国庫というわけにはまいらないというふうに思っておるのでございます。
  8. 小川新一郎

    小川(新)委員 金を出すべきもの、また貸してあげるものは、すみやかにこれはやっていただかなければならぬ。ただいまの御答弁のとおり、現行制度できまっているのでどうにもなりませんけれども、私はここに、血の通った政治と申しますか、そういう中ですみやかにできる範囲のことをやってあげる、そうしてわれわれ議員としてもただすべきところはただし、改めるところは改めていくような姿勢というか、態度というものが被災農民の胸の中にたたき込まれていけば、この要望に対しても何十分の一かというものは満足できるのではないか、こう考えております。  大蔵省のほうですが、いつも何かこういった措置をとったあと、なかなかさいふひもがかたいというふうなことを聞いておりますが、この点どうでございましょうか。
  9. 嶋崎均

    嶋崎説明員 大蔵省災害関係をすべて私が実はやっておるわけではございませんで、手分けをしてやっておりますので、耕地なり家屋なりの補助の問題は実は私の所管外なのでございます。しかしながら、一般的な考え方として、大蔵省が、さいふひもをゆるめっぱなしというわけにはとてもいきませんけれども、災害というものの性格にかんがみまして、従来そんなに運用をきつくやっているわけではないということは、たとえば過去の天災融資法は私の所管の話でございますが、それのみを見ていただいても、そう極端な運用をやったつもりもありません。一般に、そう締めることのみを考え災害対策考えるというようなことはないと私は思います。
  10. 小川新一郎

    小川(新)委員 そういうふうにしていただくことを要望しておきます。まあ気分を害さないで——これは私がもらうのではありませんから、農民にかわって、ひとつ大きな立場に立ってやってもらいたいと思うのです。  第二は、水路農道、これは早急に復旧または改修することが目下の急務になっておりますが、全般にこれらの被害地に対する復旧見込みはいつごろ完成する予定になっておりますか。
  11. 松井芳明

    松井説明員 このたびの長野県の小諸集中豪雨による農地及び農業用施設災害は、現在判明いたしておりますのは、農地被害が約百九十四町歩で、被害額は一億六千五百万円、それから施設が百三十三カ所で四億八千万円、合計で百六十四カ所、六億四千六百二十万の被害額に達しておりますが、現在までに応急復旧といたしまして、施設、特に農道橋水路等施設につきまして約十カ所の応急復旧を行ない、また、直ちに処置をすれば稲の植えつけの間に合う水田約二十町歩について、すでに応急的な復旧を行なって、稲の植えつけが完了しております。特に水路あるいは農道等施設の緊急的に復旧をしなければならないものが相当ございますので、そういうような最重点のものを選びまして約二十七カ所になりますが、これにつきましては、今月の二十七日から三十日までの間緊急査定を行なっております。この分につましては、査定完了後直ちに工事に着手して、できるだけ早く復旧を進めていくということを考えております。また、その後におきましても緊急のものから選びまして逐次査定を進めてまいって、査定を終わり次第工事に移していくというたてまえをとっておりますが、大体復旧進度につきましては、農地及び施設等災害につきましては四カ年で完了するという平均的な進度考えておりますが、現在、緊急を要するものにつきましては二ないし三年で復旧をすることが行なわれておりますので、この地区実情に即して、できるだけ早く、復旧の年限を短縮することも考えてまいりたいと思っております。
  12. 小川新一郎

    小川(新)委員 自衛隊の出動に対しては、非常に現地から好評を持たれ、また感謝されておりますが、聞くところによりますと、あと一日いてほしかったという声が非常に高かったのであります。なぜ四日間で帰られたのか、その辺の事情をひとつお聞かせ願いたいのですが、これはわかりませんか。——それでは、後ほどこれは書面でけっこうですから……。  次に、樹木または野菜等復旧肥料病虫害防除農薬、そういった問題が複雑になっておりますが、これは団長からの報告にもありましたが、総合助成、あれが一つ、こっちが一つというのではなくて、総合的にそこの損害助成というものを考えなければならないのじゃないか、また、全部知事とか市町村長に一任して損害というものに対する対策を講ずべき時期がきているのじゃないかということが、現地市町村並びに知事の非常な声でございました。いまも団長からそのことに対する要望がなされておりますが、これについてのお考えはいかがでございましょう。
  13. 太田康二

    太田説明員 ただいま団長の御報告並びに先生の御質問で、実は総合助成ということを現地でおとりになっているというお話を伺ったのでございます。御承知のとおり、従来は、個別の補助ということで、前々から申し上げているように、たとえば干ばつの際には、苗しろの再仕立てに対する補助金とか、あるいは稲苗輸送費に対する補助等をいたしたのでございますが、実は遠い過去におきましては、肥料農薬等も含めまして補助した事例もあるわけでございます。そういった個別の補助がいいのか、あるいは総合助成というような形で補助したらいいのか、いろいろ技術的にむずかしい問題もあるわけでございますが、現在の段階におきましては、これも毎度申し上げてあるいはおしかりをいただくかもわかりませんが、御承知のとおり、天災融資法という制度が一方にできておりまして、肥料農薬等のいわゆる運転資金につきましては、通常の場合では末端の金利が九分になるわけでございますが、天災融資法によりまして利子補給補助をいたすことによりまして、通常の場合六分五厘、激甚農家に対しましては三分という低利の資金のめんどうを実は見ておるのでございまして、しかも、その実行を見てまいりますと、おおむね九割方が三分資金だというような実情にもございますので、現在の段階におきましては一応これによって政府としての処理はできておるというように考えておるのでございます。
  14. 小川新一郎

    小川(新)委員 そういう制度がありますことはよく承知しております。しかし、そういう声が現地市町村長知事から出るということは、結局、現行制度に対して欠陥があるからなんですね。そういう問題に対してすみやかに緊急の対策を講ずるべきために、現地指導者一つ指導権というものを与えていく、これがいまの声になってあらわれているわけでありまして、あるのだからしようがないのだというような考え方を持続していくならば、毎回われわれ災害対策委員視察に行くたびに現地市町村長知事から同じ声を聞かなければならぬ。それに対して私どもが、そうですが、はい、わかりました、よく承知しました、今後考えて何とかしましょうということを繰り返していたならば、これは政治じゃない。その点についての考え方を私はただしたわけです。それについてお尋ねをしているわけです。
  15. 太田康二

    太田説明員 確かに、末端におられましていろいろな被害状況を見てまいりますと、適切な措置をすみやかにとるということが災害の場合特に大事であるということはよくわかるわけでございます。そこで、末端におきます県あるいは市町村等におきまして、そういった緊急の助成措置をあらかじめ用意しまして、災害が起こるたびにそこから支出をしてまいるということは、確かに適切な措置であろうかと思うのでございます。しからば国がこれに対してどういう援助をするかということにもなるわけでございますが、現在の段階におきましては先ほど申し上げたようなことで、一応補助対象もそれぞれの実態に即して補助いたしてまいるということに国としてはいたしておるわけでございます。その際に、先ほども申し上げましたように、肥料農薬等に対する助成はかつては見たこともあったのでございますが、現在では見ておらない。なお、種子等対策につきましては現在は補助対象にいたしておるということでございまして、これらを含めて総合助成という形で補助するあるいは技術的な方法もあるかと思いますが、現在の段階ではそういうことになっておるということでございます。なお今後の補助のあり方等の問題とも関連いたしまして検討したいと思います。
  16. 小川新一郎

    小川(新)委員 よく了解いたしました。結局、こういった問題は、鉄砲の撃ちっぱなしではなくて、後の災害に対するためにも、現地市町村長や知事ともよく懇談し——いまのことばでいう対話ですね。話し合いの上で対策というものを練っていただきたい、こう要望いたしておきます。  次に、長野県では死者が二名出ましたが、この二名の人に対しては当局としてはどのような処置を講ぜられたか、また、これらの方々に対して国としてはどういうふうなお見舞いをしたのか、ちょっとお尋ねしておきます。
  17. 太田康二

    太田説明員 まことにうかつであれでございますが、農林省としては特に何もしておらないという実情でございます。
  18. 小川新一郎

    小川(新)委員 これは大事なことでありますね。人命の尊重ということが一番大事であります。たんぼがどうの、野菜がどうのというよりも、なくなった人たちのほうがさらにたいへんです。一番先にこういう方々を何とか激励してあげるのが当然だと思う。特にそういう中で働き手を失なった人々に対しては何らかのあれを見てあげるのが当然だと思いますが、これも関係の方が見えていないようですから、あとで私のほうへ実情等をお知らせいただきたいと思います。
  19. 嶋崎均

    嶋崎説明員 私がここでお答えするのはあまり適当ではないかと思いますが、厚生省の所管と言われても、これは厚生省の所管でもないと私は思うのです。ただ、御承知のように、不慮の災害というのは非常に多うございまして、国の補償なりあるいは見舞いなりの制度が、個々の具体的な一人一人の方々——事故にあわれた方は非常にお気の毒だと私思いますけれども、そういうケースに対して一つ一つ国が補償の体系をとるというのは、現在のわが国の諸制度のものの考え方にはないと思うのです。たとえば人命の事故につきまして、航空機の場合その他いろいろ問題がある。それから天災で、水のみならず、別の理由でいろいろ事故があった場合もあると思います。しかし、これに対しては、たとえば現在一般に認められる保険制度その他でもってカバーするたてまえになっておりまして、国が一々補償する制度はとっておりません。また、そういう制度を現在の制度へ導入することは非常に困難ではなかろうかというぐあいに考えておりますので、蛇足だと思いますけれども……。
  20. 小川新一郎

    小川(新)委員 わかりました。  私ども現地を見まして、中小河川がはんらんいたしまして、その河川のそばの家が流されたのがありました。これは、現地の方も市町村長も言っておりましたが、こんなところに家を建てておくのが悪いのだ、流されるのがあたりまえだという声があるのです。また、どうして流されるようなところに家が建って人が住むのを許可しているのか。ここに水のいっている写真がありますが、大体こんなところに家を建てさせておくのがおかしいので、流されないほうが、おかしい。こういう中小河川のそばに、流されることが、予想されるところに家が建っていて、人命の損傷を受けることが予想されるようなところになぜ建てさせたのですか。これの御説明をしていただきたいのですが、関係の方はおりませんか。——ずいぶん無責任な答え方をしておりましたが……。
  21. 坂井秀正

    ○坂井説明員 私は建設省の防災課長でございます。  河川関係でございますので、建築のことは詳しくは存じませんけれも、昨年の四号台風でも東京都周辺でそういう問題がございまして、いろいろと御質問もございましたけれども、現在の制度では、私有権を制限してやるということについてはいろいろ問題があるということで、研究課題になっておるというぐあいに記憶いたしております。
  22. 小川新一郎

    小川(新)委員 では、これもまた別の機会に専門的な人に追及していきたいと思います。  次に、農業災害補償法に基づくところの共済金早期支払いの声が非常にあがっておりますが、この現状はどうなっておりますか。
  23. 太田康二

    太田説明員 先生も御承知のとおり、五月の下旬から六月の上旬の間に、東北地方から九州にかけて各地にひょう被害があったわけでございます。これによりまして、収穫期にあった麦あるいは田植え直後の水稲等に被害があったのでございます。長野県のお尋ねでございますが、こういった関係被害のはなはだしかったのは岩手、栃木、東京、長野、岡山及び福岡という県のようでありまして、特に岩手、長野におきましては、ひょうのほかに集中豪雨が伴ったということもあるわけでございまして、これによりまして水稲の流失埋没あるいは冠水による被害というものが出ておるのでございます。そこで農林省といたしましては、これらの被害に対する措置といたしまして、都道府県並びに都道府県の農業共済組合連合会の担当者の全国会議等の機会を利用いたしまして、必要に応じて保険金あるいは共済金の仮渡の措置をとるということを指示いたしますとともに、再保険金の概算払いの請求を行なう場合の手続等につきましての指導を行なったのでございまして、いつでもそういう請求がございますれば支払い得る体制を整えておるわけでございます。
  24. 小川新一郎

    小川(新)委員 それから、諸税の減免措置を講じてほしいとの声がこれまたあがっております。これはどのように考えられておりますか。
  25. 嶋崎均

    嶋崎説明員 主計官が税金の話をする——これは私、所得税課に長くいたことがあるものですから、かわりにお答え申し上げますが、御存じのように、所得税につきましては、災害に対する租税の減免に関する法律がありまして、それに基づきまして措置することになっております。なお、賦課された金額につきましては、災害等の理由がある場合には、それぞれ延納措置というものをとれるように対処してあります。それから徴収が不能であるという場合には、それぞれ徴収猶予の措置等も講ぜられることになっております。すでにそういう法律に基づく制度が現に存在しております。ただ、所得税は御存じのように年一回の納期でございますので、したがって、前年の分としてかけられた分についての徴収の問題にいま申し上げたような措置がとれるようにできております。たぶんそういう被害地については必ず処置を講じておるはずでございます。御了承願います。
  26. 小川新一郎

    小川(新)委員 ではあと一問で終了いたしますが、これからの声は全部私がいただいた陳情書や請願の中からしぼりとったものでありますので、これをひとつまじめにわれわれは検討していきたいと思う。  被害激甚であった乙女川、北川、吉田川は改良復旧をはかってほしい、これは非常な声であります。これは完成はいつごろになりますか。
  27. 坂井秀正

    ○坂井説明員 ただいまの河川につきましては、それぞれ災害あるいは災害関連事業によって改良復旧するという方針で、五日から災害査定がございますが、そのときに正式に決定をやりたいと思っております。これの復旧の年限は、できるだけ早くということで、災害の現在の制度でまいりますと、御承知のように四カ年でございますが、昨年同じような災害がございまして、これは大体二カ年で概成をいたしております。今度の災害の場合も、できる限り二カ年で大体できるというようなぐあいに県とも折衝していきたいと考えております。
  28. 小川新一郎

    小川(新)委員 最後に重ねて申し上げておきますが、二カ年で復旧は可能と了解いたします。そしてその二カ年でできるすべての公共土木事業の施設というものは、次の災害に備えて早急にやらなければならぬことは自明の理であります。どうかひとつ特段の努力をお願いいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。
  29. 稲富稜人

    ○稲富委員 関連いたしまして——ただいま農業共済の問題が出たのですが、果樹共済はすでに政府としても多年の問題で取り組んでおられます。今回の被害は、蔬菜の被害がまことに甚大であったと聞いている。将来こういう蔬菜に対する共済制度というものは農林省としては検討さるべきものではなかろうか、こういう点はどういうふうに考えておられますか。
  30. 八塚陽介

    ○八塚政府委員 お答え申し上げます。  ただいまもお話にありましたように、果樹につきましては、多年要望がありまして、今度の国会に、実験的な制度として果樹共済をやろうということで提案されておるのは、御承知のとおりでございます。野菜につきましては、現在の私の考え方を正直に申し上げますと、共済制度にのせるのは非常に困難であろうというふうに存じます。理由をくどくどしく申し上げても何でございますが、何といたしましても、いわゆる保険制度にのせるためのいろいろな諸要因を固めるということは、野菜の現在の作付状況、営農の状況から見ると、非常に困難ではないか、反面、災害を受けられた方には直接の施策とはなりませんけれども、その他の積極的な生産奨励の方策あるいは価格安定の方策等でもって野菜の生産の安定を期していきたいということで、端的に申し上げますと、いまの段階では保険は私どもとしては考えにくいのではないかと思っております。
  31. 稲富稜人

    ○稲富委員 野菜の共済というのは将来非常に困難だとするならば、蔬菜に対する被害があったような場合には、あるいは種子に対する政府の費用の助成とか、そういうような問題を特別に考える必要はないか、こういう問題も災害対策の一環として考えられると思うのです。もちろん、果樹共済なるものも試験的に任意共済をやる。任意共済をこの前も委員会で問題にしたことがあるのですが、任意共済というものはなかなか困難なので、試験的にこれでもって失敗したからもう共済に取り組まないということになると、とんだことになる。かつて福岡県でなたねの共済をやって失敗したことがあります。任意共済制度というものは十分考えないといけない。ただ、これができないとするならば、共済でない方法でいかなる救いの手を伸ばすかということは、当然考えなければならない。特に野菜に対して共済制度考えられないというならば、こんな場合はどういう救済対策があるかということはあらかじめ計画の中に入れておく必要があるのではないかと思いますが、この点については十分検討していただきたいと思います。
  32. 田原春次

    田原委員長 小沢貞孝君。
  33. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 時間がないようですので、私はお願いと資料だけ二、三お願いしておきたいと思います。  先ほど班長さんや、また、いま小川委員から総合助成の問題について非常に強い要望が出ておりました。現地井出先生はじめ平等先生あるいはその他各党の方、みんなこういうことこそやらなければならない、こういう現地における強い要望でもありました。現地へ行ってみれば、なるほど、苗を県下から全部集めてくる輸送費は県で持とうとか、市で心配しようとか、そういうようなことで、目に見えないいろいろのことでたくさん使われておるのを、一つ一つ項目別に補助を出すというよりは、やはり現地の県なり市町村長に一任して、総合的な立場で迅速に対策を講ずる、こういうことがたいへん有効ではないか、こういうようなことで視察に行かれた方々の意見がみな一致いたしました。私はこの間埼玉県へ行ったときだと思いますが、埼玉県においても、助成の要綱、いつのひょう害に対してはどういう要綱でやりますということで、草勢・樹勢回復の肥料だ、農薬だということでやっておりました。現にここに資料もあります。長野県へ行くと、やはり同じような要綱をつくってやっておりました。そういうようなことで、これはおそらく各県そういうことをやっておるのではないかと思います。委員会の皆さんの意見が一致しておりまして、みんなでそれに取り組もう、こういうことになっておりますから、第一点としては、各県でそういうことをやっておられるのについてひとつ資料を収集していただく。これは委員長からあとで当局側へお願いをしておいていただきたい。それが第一点であります。  それから第二点としては、かつては特別にいろいろ肥料や何かの助成をしておったけれども、たぶん会計検査院か何かで、こういうこまかい金は効果がないからやめてしまえということでやまったのではないかと思いますけれども、今度は形を変えて総合助成でやる、こういうことになった場合に、さっきも班長さんの報告にありましたように、たとえば、ひょう害はことしは三十億だぞ、こういうことになると、ひょう害の一割だとか、あるいは何%だとか、そういうものをワクとして出せば、額としては幾らでもないと思いますから、これはもうやろうと思えば実現は可能だと思います。こういう問題について一点だけ質問をいたしますが、立法技術上何か困難な点がありましょうか、その点を一つお伺いしたい。
  34. 太田康二

    太田説明員 前に申し上げたかと思いますが、実は肥料農薬等につきまして補助金を出すということになりますと、実際その実施の確認方法が非常に困難なわけでございます。御承知のとおり、現在の補助金適正化法によりますと、間接補助につきましても、結局、末端の受益者である農家のところまで出向いていってその実行を確認しなければいかぬというようなこともあるわけございまして、そういった点から、ただいま先生のおっしゃったような会計検査院の検査等の結果、どうもその辺がはっきりしないじゃないかというようなこともございましたし、一方において、天災融資法措置あるいは特別交付税措置等もございまして、現在の段階におきましては、先ほど来申し上げているように、たとえば苗しろの再仕立てというようなものにつきましての補助ということはいたしておるわけでございますが、実は肥料農薬等についての補助は現在の段階ではいたしておらない、それはいま申し上げたような理由で、かつては見たけれども、現在は補助をやっておらない、こういうことでございます。
  35. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 質問の要旨は、総合助成的なことをやることは、立法技術上困難でしょうかという一点をお伺いしているのです。
  36. 嶋崎均

    嶋崎説明員 私がお答えするのはあるいは不適当かと思いますけれども御存じのように、災害に対するところの特別交付税の交付というのは、まさしく立法技術的に、片一方で補助金適正化法というものもあり、そういう点で財政的にいろいろ問題があるというものを、たとえば被害面積に対して千分の五であるとか、あるいは被害世帯一戸当たりについて千三百円であるとか、それぞれの基準があるわけでございまして、そういうもので調整をするというのが基本的な考え方であろうかと思うのでございます。したがって、そういうぐあいに配付された特別交付税は、いわゆる色のつかない一般的な財源として災害に使われるということがたてまえとして考えられるのが至当であろうというぐあいに思っておるわけでございます。
  37. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 おそらく懇談会のときもそういう話が出ると思いますが、交付税というものが十分見られて、それからまた、災害があったらそれが適切に処置できるというようなことならば、必ずしも私は総合助成ということにこだわらないでいいと思う。私が頭の中にあるのは、どうも特交というものに不信感を持っておるわけなんです。それで、片方においては、こういう事態が起これば、何かしら総合助成的なもので手当をしなければいけない、こういうことなので、市町村や県における対策としては、やはり交付税というものと、それから、みんなたぶん意見が一致していると思いますが、総合助成というものの二本立てでなければうまくいかないんじゃないか、こういうように頭の中でいろいろ描いて見ておるわけですが、この点はあとの懇談会でもまたあると思いますので、その席に譲りたいと思います。  それから、いま一点だけお尋ねしておきますが、私のところにはたいへんたくさん電報がきておりまして、たびたびこの席で同じ質問をして恐縮でありますが、ことしの干害はたいへん広がって、聞くところによると、六十七億も七十億もの応急対策事業費が計上されつつある、こういうような情勢にあると聞いております。そこで、電報が地元からたくさんきている趣旨は、激甚指定を受けられる見込みがあるでしょうかというのが、理事者としての注文なんです。それで、激甚指定を受けられる要素の第一点は、応急事業費がその年の農業所得の推定の〇・一五、それで、ことしの農業所得の推定の〇・一五は三十何億になると思いますが、一体ことしは第一点のほうは満たされるでしょうか。だいぶ応急事業費が多いようですが、その辺の関連をちょっと伺いたい。
  38. 太田康二

    太田説明員 私のほうが六月二十八日現在で各県の報告をとった数字がございます。これによりますと、各県で実施いたしました応急対策工事の概算金額が六十七億四千八百万、先生がさっきおっしゃった数字に近いのでございます。御承知のとおり、激甚災の指定の基準はいま先生のおっしゃったとおりでございますが、これは農林省が査定をいたしました応急対策工事査定額を基準にいたすわけでございまして、県の数字が六十七億でございますから、これが査定の結果どうなりますか、わからないわけでございますが、農林省の査定が終わってみないと実は最終的に結論は出ないのでございます。それで、その基準になる数字は、昭和四十二年の農業所得推定額の〇・一五%、三十一億というふうに記憶いたしております。
  39. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 第二点は、二つあったと思うのですが、一つの一億円以上の県というのも満たされるわけですね。
  40. 太田康二

    太田説明員 これもやはり査定額になるわけでございますが、満たされるというのが、一億以上の県——いま言った三十一億をこえているというのは全国ベースの基準でございまして、一億をこえている県は四割を五割にする、こういうことでございますので、もちろん、いまの県の概算報告で一億をこえている県はかなりの数になっております。これは基準では十県ということになっておりますが……。
  41. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 私の聞くところによれば、やはり夏の干害、秋の干害等も合わせて、それでことしの干害におきましてはどうであった、こういうようなことで激甚指定をされる、過去の例はそうだと聞いております。そうすると、ことしの激甚指定はだんだんおそくなって、九月、十月ごろになろうかと思うのですが、いまの市町村長や何かは、補助を出せ、何を出せということでやはりだいぶ突き上げられると、一体国は幾ら出すだろう、県は一体幾ら出すだろう、どうも県も国の様子を見ているし……というようなことで、なかなかみんな心配しているわけですが、いまお尋ねしたことによって、ここだけ激甚指定間違いなしという御言明はきょうは御無理にお願いいたしませんが、大体私のほうで頭の中で推定して、激甚指定になるんだ、こういうように数字の上からは理解さしていただきたい、こういうように考えるわけです。私の考えていることに異議というか、間違いがありましたら、ひとつ否定をしていただきたい、こう思うわけです。
  42. 太田康二

    太田説明員 この前実は降ひょう天災融資法の発動も先生に引っぱり出されてしまったわけでございますが、きょうの激甚災の問題につきましては、私が申し上げた数字、それから現在までの激甚指定の考え方等から考えてまいりますと、先生がお考えになるようなふうに考えられてもある程度やむを得ないかと思います。
  43. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 その程度できょうは終わっておきます。      ————◇—————
  44. 田原春次

    田原委員長 次に、昭和四十二年一月から二月までの降雪等による災害対策に関して、質疑の申し出がありますので、これを許します。世耕政隆君。
  45. 世耕政隆

    世耕委員 ことしの一月、二月の異常寒波、それから、珍しくあたたかいところに雪が降り続きまして、和歌山県、愛媛県、静岡県、大分県、宮崎県、山口県の、かんきつ栽培を中心とする地帯にいろいろの被害が起こってまいりました。私は新米でございまして、こういうことはあまりなれないのでございますが、時間がございませんので、簡単に概略を御説明いただきたいと思うのでございます。
  46. 八塚陽介

    ○八塚政府委員 本年の果樹被害状況をお尋ねになったのかと存じますが、本年の果樹被害状況は、お話のとおり、その中のかなりな部分がかんきつでございますけれども、一般的に相当な被害があったわけでございます。大体被害の面積につきましては、全部合わせまして一万五千百ヘクタール、そのうち三〇%以上の被害面積は五千三十ヘクタールということでございます。被害量といたしましては、これはその時期が冬でございますから、夏カン等でございますが、七万二千七百トン、被害見込み金額約三十四億ということに相なっておるのでございます。
  47. 世耕政隆

    世耕委員 昭和三十八年にも異常寒波による被害が日本の全土に生じたという記録が残っておりますが、そのときに農林省は、天災融資法その他のいろいろな苗木の助成措置、こういったことをなさっていらっしゃるように承っております。今回のこの異常寒波、雪害による果樹被害樹体被害に対して、農林省はいままでどのような措置を講じておられるか、簡単に御説明いただきたいと思います。
  48. 八塚陽介

    ○八塚政府委員 お話がありました三十八年の被害でございますが、これは先ほどの数字に対比して申し上げますと、被害面積にいたしまして十万四千六百ヘクタール、そのうち三〇%以上の被害面積が二万七千九百ヘクタールということで、被害の規模あるいは災害の規模といたしましては三十八年は相当大きかったわけでございます。今年の寒波の災害に際しましては、五月に天災融資法の発動がございまして、八億、これは、大体私どもの感じでは、各県の要望額を十分に満たしておる数字であったろうかと存じております。なおそのほか、もちろんあれだけではございませんで、自作農資金として約二億ということでやっておりますし、そのほか、従来の借り入れが今度の災害で返せないというような場合の償還金の猶予措置等についても通達を出しておるということでございます。
  49. 世耕政隆

    世耕委員 災害の大きい小さいにもよりまして措置のしかたが変わるものでございますか。率が変わるだけでございますか、種類が変わるものでございますか。
  50. 八塚陽介

    ○八塚政府委員 たとえば天災融資法につきましても、その他の災害につきましても、その個人にとっては非常に激甚な災害であっても、やはり一定の量にならないと——災害の諸制度の発動というのは当然変わってまいるわけでございます。
  51. 世耕政隆

    世耕委員 今回のこの異常寒波による災害は、昭和三十八年の災害あるいは昭和四十年の台風による災害よりもやや小さいのではございますけれども、昭和四十年の豪雨による災害、それから昭和三十九年の台風による災害よりは、きわめて大規模なものというふうに私どもは考えておりますが、いかがでございますか。
  52. 八塚陽介

    ○八塚政府委員 被害について先ほど数量的に申し上げたのでございますが、たとえば被害面積について各災害の規模を順番に並べてみますと、お話がありましたように、昭和三十八年の一、二月の災害、あるいは昭和四十年の九月の二十三、二十四、二十五号台風によります被害等が大きく、大体その次くらい、大体まん中程度に位しておるのではないかというふうに思います。
  53. 世耕政隆

    世耕委員 それらに対してとられた措置は、いままで御説明ございました措置と同じでございますか。
  54. 八塚陽介

    ○八塚政府委員 私が先ほど申しました措置は、四十二年の一、二月寒波に対しましてとってまいりました対策を申し上げたわけでございます。  なお、過去のそういう災害につきましては、そのほかに、当時のいろいろな苗木事情あるいは農家の経営事情等を勘案いたしまして、共同育苗圃の設置事業というようなもの等が取り上げられたわけでございます。
  55. 世耕政隆

    世耕委員 今回とられました天災融資法の発動、それから自作農維持資金等による融資措置が非常に早く講じられて、これは私どもきわめて適切な措置だというふうに考えている次第でございますが、いろいろ調べてみますと、これだけでは、いろいろな果樹栽培業者が今後立ち直って復興していくのにはどうもちょっと足りないようでございます。先ほどもお話が出ておりましたが、果樹の共済制度とか保険制度とか、そういうものがまだほとんど確立されていない現状で、やはりもう少し、これからあしたの発展、あしたの果樹の栽培にもっと強く希望を与えてやれる助成をしてやるような方法をぜひともとっていただきたいとお願いする次第でございます。その点に関しましてはいかがなものでございますか。
  56. 八塚陽介

    ○八塚政府委員 先ほど、本年の災害について天災融資法あるいは自創資金というような制度の発動がなされたことを申し上げましたが、単にそれだけではなくて、さらに災害に対応する制度といたしましては、農林漁業金融公庫の植栽資金等もございます。一般的に果樹生産振興の諸制度につきましてはまだあるいは十分でないかもわかりませんが、私どもといたしましては、それなりの施策の充実を従来はかってきたつもりでございます。大体そういうことによる——と言うとあるいは言い過ぎかもわかりませんが、かなりな程度に果樹の植栽につきましてはふえておるのでございます。
  57. 世耕政隆

    世耕委員 わが国の農産物というのは、ほとんど大部分が輸入によってまかなわれている、あるいはせいぜい細々と国内でできるものを使っている、そういうような状態のように伺っております。かんきつとかリンゴとかいうのは、わが国の農産物の中では珍しく——私どもの調べたところによりますと、輸出の対象になっております。農産物の中では二〇%以上にわたるような輸出の役割りを示しておりまして、昭和三十年から四十年まで輸出額がだんだん高額になってきているのですが、そのパーセントをとっていきますと、昭和五十年にはかなりの額に達するのではないか、それからもう一つ、かんきつ業者のことばでは、かんきつ類は植樹をしまして約十年間たたないと収穫は期待できない、このような点から考えまして、わが国の輸出とか国内需要がさらにさらにいまから三倍にも五倍にもふくれあがっていくようなことが予想されます今日、やはりこの果樹の育苗、そういうものに対して被害農家政府としては何か助成するお考えはないかどうか、それを承りたいと思う次第でございます。
  58. 八塚陽介

    ○八塚政府委員 わが国の農産物は相当輸入に依存をいたしておるわけでございます。逆に言いますと、自給率はどれくらいになるかということでございますが、まあ八〇%といい、あるいはリアルで七〇何%といい、いろいろな計算のしかたがあると思います。その自給率をどういうふうに判断するか、いろいろな評価のしかたがあろうかと存じますが、いずれにいたしましても、現在の段階では、農産物の輸出というのは輸出額のそう多くを占めていない、日本は、農産物に関します限りは、輸出国というよりは、やはり輸入国であろうということは、これはいなめない事実であろうと思います。そのうちで、ただいま世耕先生のお話しになりましたミカンあるいはその他のくだもののかん詰め等はかなりのウエートを占めておりまして、私どもといたしましても、あらゆる機会に、輸出の増強をはかっていくという姿勢をとっておるわけでございます。そのためにいろいろな施策もやっておるわけでございます。ただ、何と申しましても、いまのところは大体九割近くが国内需要ということに特にかんきつ等はなっておるわけでございまして、それに対しまして、生産者のほうの供給の体制と申しますか、これは従来大体順調にその面積がふえておりまして、特に消費者の方に御迷惑をかけるというような形にはなっていないのでございます。いずれにいたしましても、今後ミカンの需給の長期的な趨勢を見て生産の対応策を講じていかなければならぬというふうに考えております。  それに関連しまして、ただいま災害を受けて、改植と申しますか、そういうことをすることをさらに進める必要があるのじゃないだろうかという先生のお話であったと思います。今度の寒波の災害につきまして、各地元県、災害県におきましてはそういう要望が非常にあるということを私どもは承っておりますが、それに対しまして、従来も種々調査をしてまいったのでございますが、あるいは、何をなすべきかということについて、私どもとしても、十分なことはできないかもわかりませんが、できるだけのことをやってまいりたいというふうに考えております。
  59. 世耕政隆

    世耕委員 そうおっしゃらずに、できるだけのことをお願いするためにきょうはここで質問をさしていただいておるわけでございまして、とどのつまりは、お金がほしい、お金の援助をいただきたい、こういうことをお願いするわけなのでございます。つまり、わが国のいろいろな食糧事情、それから食生活の栄養に及ぼす影響がこの果実類というのは非常に大きいわけでございます。それから輸出の面でもかなりの役割りを果たしているわけでございます。こういう点からいって、災害を受けた、樹体被害に対しまして、今度はどうしても新しく苗木を植えていかなければならない、これに対してはやはりいままでの融資があるわけでございますが、これは人件費その他いろいろなものでほとんど消えてしまっているような現状でございます。ぜひともこの点を農林省にお願いしたいわけなのでございますが、結局はお金のことに関連するわけでございますが、大蔵省はこの点に関しましてはどのようにお考えでいらっしゃるか、お聞かせいただきたいと思います。
  60. 嶋崎均

    嶋崎説明員 ただいまの御質問にお答えいたします。  御承知のように、先ほど来園芸局のほうからいろいろ果樹災害について御説明がありました。先生も十分に御存じだと思いますが、最近いろいろ議論になっておるわけでございますけれども、どうも果樹の植栽につきましては、非常に成長部門であるということで苗木等についても非常に不足しておった、あるいは、ものによっては、従来どちらかというと品種的に需要が少ないというようなものを、何らかの形で品種的に非常に需要の強いものに変えていこう、そういう前向きな考え方とからめまして果樹の共同育苗をされる場合につきまして補助をしておったのでございます。ところが、御承知のように、最近果樹部門が非常に成長産業であるということで、それに対応してまた苗木の生産の面におきましても非常に優良な品種を、かつ多量に育成していて、また現にそういうものが商品として相当量あるというような状況のもとにあるやに——私、実はきょうこまかい数字を持ってきておりませんが、そういうぐあいに聞いておるわけでございます。そうした場合には、御承知のように、われわれは園芸局のほうといろいろ議論をします。将来のかんきつの輸出というような問題もありましょうが、かたがた、果樹については、十年未満のいわゆる幼齢木、未成年木が相当の作付面積になっております。昨年果樹振興法を改正した際にも、農林省とわれわれはよく議論をしました。結局、あの法律の体系も、やはり主産地形成、あるいは生産性を上げるというつくり方に問題をしぼっていかないと、将来かえって過剰生産のおそれがあるという思想でできておったはずでございます。そういうような状況でございますので、いたずらに種苗のみ多く供給しても、現にそこにあるということになれば、それを購入して活用する。購入して活用するという状態ならば、当然天災融資法の発動をすれば、それに果樹植栽資金についての手当てもしますし、また、自作農維持資金というのは、本来の目的は自作農創設維持ということでありますけれども、御承知のように、あれは目的のない金も現に運用されている実態もあるわけでございます。天災融資法を発動したことに関連しまして、先ほどお話のありましたように、今回の場合、融資ワクとして八億、それから自作農資金のワクとして二億ということで対処しておりますので、このようにさらに育苗からこれを対処していかなければならぬのかどうか、やはり果樹をめぐるところの経済の状態なり需給の関係なりというものが変わっていきますれば、補助の形というものもそれに対応した形で純化されていくことが必要なのではないかというような議論を現在部内でやっているわけでございます。もうあけすけに中身を申し上げますと、実はそういうことでございまして、たぶん先生の御質問は、そうは言っても従来のもので何か国から県へ金が流れるような手当てを講ずべきであるというようなお考えかとも思いますけれども、考え方としては、そういうような現在の苗木の供給状態になっているということを前提にしまして従来の補助のあり方というものを改善していくべきではなかろうかという議論を行なっているということでございます。
  61. 世耕政隆

    世耕委員 私まだわかりかねるところがあるのでございます。つまり、いろいろな意味で過剰生産になる、また、いろいろなそのほかのことも考えた上で育苗に対する助成というものを控えなければならないのではないか、こういうようなお考えのようでございますね。おっしゃる要点はそういうことでございますね。
  62. 嶋崎均

    嶋崎説明員 私が果樹一般見込みにつきまして、実はいま詳細な資料を持っておりませんが、昨年の果樹振興法の改正をめぐってこういう考え方はいかがなものであろうかということをいろいろ疑問を出して、聞く側の立場になるわけでございますが、将来の大きな展望として、現在の未成年木というのですか、そういうものの状態というのは非常に大きな形になる、今後いろいろ更新というようような問題もありましょうし、いたずらにこれを縮小再生産しなければならぬとか、あるいは現状維持をしていかなければならぬというようなことを言っているわけではありませんけれども、面積の拡大につきましても、ある程度の長期的な展望の上に立ってセーブしていかなければならないような段階に差しかかっておるというふうに私は判断をいたしておるわけでございます。  それに関連しまして、現在の問題は苗木の問題なので、苗木が、二年生なら二年生という形で現にありまして、それを購入するにつきまして、天災融資法政府の利子補給をやる、自創資金で長期低利の資金を供給するという形でそれを購入していただけば、それは一つの現在の法規体系の中で処理できることではないかという、非常に具体的な問題とするならば、そういう議論をしておるということでございます。
  63. 世耕政隆

    世耕委員 時間がないので、もう簡単に申し上げますが、結局、苗を購入するだけの資力がなくなってしまっている、こういうのが罹災農家の現状でございます。  それから、私、これはいろいろ調べたのでございますが、アメリカあたりで今度は日本のかんきつを輸入することに大体決定してしまった。これから需要がもっとふえていくのじゃないか。かんきつ業者の話によりますと、外国へ輸出するよりも国内で売ったほうがいい、輸出よりもつまり利潤が高い、そういうようなことを言っておりまして、どんどんつくる反面、なかなか輸出を喜ばないような気配がございますが、これは今後輸出のほうにだんだん向けられて、需要がふえていくのじゃないか、そういうふうに私どもは考えております。  苗木というものは、やはり十年先に立って、足りないと困るので過剰でもいいから、やはりいまのうちに育てておかなければならないのではないか、こういうふうに私どもは考える次第なんでございます。  それで、何かこの罹災農家の共同育苗に対する助成措置というものはお考えになられませんでしょうか。
  64. 八塚陽介

    ○八塚政府委員 先ほど来のお話も、私は実は共同育苗の問題も含めての御質問かというふうに受け取っておったわけでございますが、これは主計官からのお話もありましたが、従来は共同育苗ということでやってまいったわけでございます。ただ、主計官の話にありました、苗木の需給の状況というのが変わっておるのではないだろうか、あるいは諸般のいわば経済条件というものが変わっておるのではないだろうかということがありまして、大蔵省の内部でも御議論されておるのでございますけれども、私どものほうでもその点の検討をいたしまして、そしてまた大蔵省とも今後御相談を申し上げるというつもりでございます。
  65. 世耕政隆

    世耕委員 罹災農家の共同育苗に対する助成措置、それを切にお願い申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。(拍手)      ————◇—————
  66. 田原春次

    田原委員長 それでは、ただいまから昭和四十二年五月以降の干ばつ及び降ひょうによる災害対策につきまして懇談に入りたいと存じます。  暫時休憩いたします。    午後四時三十四分休憩      ————◇—————   〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕