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1967-05-31 第55回国会 衆議院 災害対策特別委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年五月三十一日(水曜日)     午後一時十分開議  出席委員    委員長 田原 春次君    理事 池田 清志君 理事 細田 吉藏君    理事 湊  徹郎君 理事 渡辺 栄一君    理事 佐野 憲治君 理事 神田 大作君       内海 英男君    熊谷 義雄君       塩谷 一夫君    世耕 政隆君       中川 一郎君   三ツ林弥太郎君       山口 敏夫君    渡辺  肇君       阿部 昭吾君    川村 継義君       神門至馬夫君    中澤 茂一君       楢崎弥之助君    華山 親義君       山本弥之助君    渡辺 芳男君       稲富 稜人君    小川新一郎君  出席政府委員         総理府総務副長         官       上村千一郎君         科学技術庁研究         調整局長    高橋 正春君         農林大臣官房予         算課長    大河原太一郎君         通商産業大臣官         房会計課長   矢島 嗣郎君         気象庁長官   柴田 淑次君  委員外出席者         内閣総理大臣官         房参事官    上田 伯雄君         科学技術庁研究         調整局総合研究         課長      緒方 雅彦君         大蔵省主計局主         計官      嶋崎  均君         文部省管理局教         育施設部技術参         事官      菅野  誠君         厚生大臣官房審         議官      武藤き一郎君         厚生省社会局施         設課長     飯原 久弥君         農林大臣官房参         事官      大田 康二君         農林省農林経済         局保険業務課長 松永 正隆君         農林省農政局農         産課長     遠藤 寛二君         農林省農地局建         設部災害復旧課         長       松井 芳明君         気象庁予報部長 今里  能君         気象庁観測部地         震課長     木村 耕三君         建設省河川局次         長       多治見高雄君         自治省財政局地         方債課長    山本 成美君         消防庁予防課長 高田  勇君     ————————————— 五月二十三日  委員川村継義君及び小平忠辞任につき、その  補欠として中澤茂一君及び小沢貞孝君が議長の  指名委員に選任された。 同月二十五日  委員中澤茂一君及び小沢貞孝辞任につき、そ  の補欠として川村継義君及び小平忠君が議長の  指名委員に選任された。 同月三十一日  委員伊賀定盛君及び佐々栄三郎辞任につき、  その補欠として華山親義君及び中澤茂一君が議  長の指名委員に選任された。 同日  委員中澤茂一君及び華山親義辞任につき、そ  の補欠として佐々栄三郎君及び伊賀定盛君が議  長の指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和四十二年度災害関係予算及び災害復旧事業  計画について説明聴取  昭和四十二年五月以降の干ばつ等による災害対  策  長野市周辺の地震による災害対策      ————◇—————
  2. 田原春次

    田原委員長 これより会議を開きます。  災害対策に関する件について調査を進めます。  本日は、まず、昭和四十二年度における災害関係予算概要及び同年度災害復旧事業計画につきまして、政府当局から説明を聴取いたします。上村総務長官
  3. 上村千一郎

    上村政府委員 昭和四十二年度における防災関係予算概要について簡単に御説明申し上げます。  詳しい内容につきましては、お手元に配付してあります資料によりまして御承知いただきたいと存じます。  防災に関しまして必要な一般的な行政措置等は、ここに書いてありますほかに、災害が発生した場合には、実情に応じまして迅速かつ適切な対策を講ずることにいたしましておりまして、このために必要な経費は、既定予算流用あるいは予備費の支出等適宜な措置を講じたいと考けておる次第でございます。  以下、予算の大要について申し上げますと、まず、科学技術研究についてでありますが、防災科学技術研究については、引き続き各省庁防災担当研究機関強化充実をはかるとともに、地震、冷害、産業災害等災害の防止のための研究及び各種構造物安全性等に関する研究推進することといたしまして、これに要する経費として総額十九億四千六百万円の予算措置を講じております。  次に、災害予防につきましては、災害予防等に関する教育、訓練は引き続き各省庁でその実施につとめるものとし、気象の観測、通信、交通、運輸、水防等についての施設整備充実及び都市の防災構造改善等をはかるとともに、災害を防止するための指導、監督につとめることといたしまして、昭和四十二年度は五百四億九千五百万円の予算を計上しております。  さらに、国土保全につきましては、国土保全防災基本であることにかんがみ、東京大阪等重要地帯台風等の常襲地帯、砂防・地すべり地域主要海岸地域開発等で急速に発展する地域等における災害の防除に重点を置き、治水治山海岸保全農地防災等各種事業推進事業内容充実をはかることとし、総額千八百九十二億四千五百万円を用意しております。  災害が発生した場合におきましては、迅速かつ適切な救助活動が実施されるよう関係機関との協力体制を確立し、応急救助その他災害実情に応じた必要な応急対策を講ずることといたしておりまして、二億六千二百万円の予算を計上してありますが、このほか、必要に応じまして既定予算流用予備費の支出等適宜な措置を講じたいと考えております。  最後に、災害復旧でございますが、昭和三十九年から昭和四十一年までに発生した災害のうち、激甚なものについては、激甚災害に対処するための特別の財政援助等に関する法律に基づいて特別の財政援助または助成を行なうとともに、昭和三十九年災害復旧事業はこれを完了させ、昭和四十年災害及び昭和四十一年災害は、直轄事業については、北海道の一部の事業を除いてほぼ完了させることとし、補助事業については、工事の進捗をはかってまいりたいと考えております。なお、災害融資等必要な金融措置を講じ、復旧資金等円滑化をはかり、災害復旧推進に努力してまいりたいと考えておりまして、昭和四十二年度の災害復旧関係予算は、総額で千四百億七千九百万円を計上しております。  以上、昭和四十二年度における防災予算概要について御説明を申し上げたのでございますが、もとより、災害予防ということに重点を置きましてその総合的対策を講ずるとともに、災害が発生した場合にも、迅速かつ適切な応急対策をとりつつ、災害復旧に万全を期してまいりたい所存でございます。
  4. 田原春次

    田原委員長 以上で説明聴取は終わりました。      ————◇—————
  5. 田原春次

    田原委員長 次に昭和四十二年五月以降の干ばつ等による災害対策について調査を進めます。  まず、政府当局より説明を聴取いたします。農林省大田官房参事官
  6. 大田康二

    大田説明員 昭和四十二年五月の千まつ被害について御報告を申し上げたいと思います。  御承知のとおり、東北関東を主といたしまして、北陸東海、四国の一部を含めて十六県にわたりまして、われわれの県等からの聞き取り等によります調査によりますと、その被害面積は約十二万四千ヘクタールにわたっております。特に被害の大きい県を申し上げますと、東北では宮城、山形、福島の三県、関東では千葉、茨城、栃木、埼玉の四県が被害が大きいようでございます。  被害状況は、五月二十九日現在、植えつけ後の用水不足になっておりますものが約七万四千ヘクタール、植えつけ用水不足枯死寸前となっているものが約六千ヘクタール、植えつけ不能は約四万四千ヘクタール、こういうことに相なっておるのでございます。  各県におきましては、応急対策事業として、ポンプ等を動員いたしまして水の確保をはかっておられるわけでございますが、それ以外に、浅井戸あるいは水路の掘さく、さらには河川の瀬がえ等の工事を実施してこれに対処しておるという状況でございます。  私のほうの政府といたしまして農林省のとった措置でございますが、いまお手元にお配りしたかと思いますが、一応五月の二十九日付で、五月以降の干ばつ対策について万全の措置を講ずるよう、農林事務次官名をもちまして東北関東北陸の各農政局長あてに通達をいたしました。それから、県の要請によりまして、各農政局で保有しておりますところのポンプがございますが、これを五月三十日現在で約七十三台を貸し出しておりまして、これによりまして用水確保につとめております。それぞれ、東北関東東海農政局でいま申し上げたように貸し出しをいたしているわけでございまして、なお手持ちに余裕があるわけでございますので、今後の干ばつ状況によりまして、県からの要請がありますれば、さらに貸し出しをいたす準備をいたしておるのでございます。さらに、被害の激甚な東北先ほど申し上げました三県につきましては、五月二十五日から二十八日までに係官を派遣いたしまして、被害状況調査並びに応急対策工事指導を実施いたしました。  ただいままで農林省としてとりました措置につきましては、以上申し上げましたようなとおりでございます。     —————————————
  7. 田原春次

    田原委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。華山親義君。
  8. 華山親義

    華山委員 いままで雨が少なかったということが問題でございますけれども、今後あるいは五日、あるいは十日、その間に大きな雨がないということになりますと、被害はますます拡大してまいる、こういう事態になるかと思うのでございますが、気象庁にお伺いいたしますけれども、まあこのときでございますから長いことは別といたしまして、今後二、三週間あるいは十日間におけるところの見通しをお伺いいたしたい。
  9. 柴田淑次

    柴田政府委員 今後一週間の予定は、きょうから六月六日までの予報がひとまず出ております。それを申し上げますと、あしたはにわか雨程度の雨しか期待できません。それから五日、月曜日でございますが、——これは東京地方の場合でございます。五日の月曜日が一時雨が降るというので、あまり期待できません。本格的の雨ということになりますと、どうしてもつゆを期待しなければなりません。ことしのつゆは、昨日つゆ状況及び一ヵ月予報と申しますか、一ヵ月後までの予報を出したところによりますと、六月前半は十分な雨は期待できない。六月の中間、あるいは中旬からあとつゆによる雨が期待できる。ただし、つゆによる雨と申しましても、ことしのつゆはじめじめしたつゆではございませんで、ぱっと降ってさっと上がるというような降り方のつゆであろうとわれわれのほうは予想しております。
  10. 華山親義

    華山委員 気象庁お話でございますと、ここ当分大きな雨は期待されないということでございまして、干害は、ほかのことと違いまして、一たび大きな雨が降ればそれによって非常に緩和されるのでありますけれども、干天が続きますと加速度的に被害が増してくるわけでございまして、非常に心配をいたしておるわけでございますが、それにつきまして各地方はいま一生懸命にやっているわけでございまして、助成金のあるなしというふうなことにつきましては、これはもうどうしてもやらなければいけないことはやっているわけでございますが、しかし、やはり助成金があるのかないのかというふうなことにつきまして不安の感じを持っているわけでございます。  それで伺いますけれども、私は昭和三十三年の大干害のときに地方におりましてこのことを扱って、その後この仕事から遠ざかっておりますので、お聞きいたしたいのでございますけれども、この干害によるところの助成のあり方というのは、そのつどそのつどにきまるのでございますか、それとも、一定の原則というものがあるのでございますか、お伺いをいたしたいと思います。
  11. 大田康二

    大田説明員 干害応急対策事業に対する助成の問題でございますが、一応私のほうで申し上げますと、一つ農地局関係事業でございまして、井戸の掘さくあるいは揚水機購入、借り入れ、水路の掘さく等に対する助成一つございます。それからいま一つ農政局関係でございまして、さらに今後干ばつが続いたあとの晩稲の予備苗しろの設置に対する助成というようなことにつきましては、従来も補助をした例があるわけでございまして、今回の干ばつの場合におきましても、前例にならってわれわれのほうは助成をしてまいりたい、かように考えております。この点につきましては、特に農地局関係事業につきましては、ある程度財政当局とも話し合いを進めて、いま前向きの方向でやってよろしいというようなことまで大体話の了解を得ておる、こういう段階になっております。
  12. 華山親義

    華山委員 この助成の割合でございますけれども、これは過去よりも前向きに進めていただきたい。今日米の重要性はますます増大いたしておりますし、米が減収されるということになることは、これは国家的立場からも非常に大きな問題だと思いますので、従来よりも増して多くしていただきたいのでございますが、過去においてどのくらいの助成がされておりますか、お伺いをいたしたいと思います。
  13. 大田康二

    大田説明員 農地局関係補助で申し上げますと、最もいい年が昭和三十九年でございます。これは査定工事費が二十八億九百七十三万三千円、これに対しまして、先ほど申し上げました揚水機等購入のいわゆる国庫補助が十億九千四百万円、こういった金額補助として支出されておるわけでございまして、干害による過去の被害に対する助成といたしましては、農地局の分といたしましては、ただいま私持っておる資料によりますと、三十五年、三十六年、三十七年、三十九年、四十年、四十一年、大体三十八年を除きましていま申し上げたような内容補助をいたしており、その中で最も補助の額が大きかったのは、三十九年度のいま申し上げた金額である、こういうことでございます。  それから農政局系統補助といたしましては、たしか昭和三十三年と三十五年の二ヵ年かと思いましたが、昭和三十三年が事業費総額が五千三百四十五万七千円、これに対する補助金額が二千五百九十一万円、事業内容は、先ほど申し上げました仮植田設置費あるいは苗しろの再仕立て費、直まき用種子購入費、それから種苗の輸送費調査指導費等でございます。それから三十五年の場合は、事業費総額か二千五百二十七万一千円、これに対して補助金が千十二万円、農政局系統補助といたしましてはこの三十三年と三十五年の二ヵ年でございまして、実は農地局応急対策によって大体処置ができて、特に農政局関係補助したのはいまの二ヵ年、こういうことでございます。
  14. 華山親義

    華山委員 いま金額で申されましたけれども、この金額を算出されたにつきましては、いろいろなものにつきまして基本の率というものが考えられて、あるいは大蔵省との間で交渉の結果、率というものができて、その金額ができたのだろうと思うのでございますが、その率をひとつ各目別におっしゃっていただきたい。
  15. 松井芳明

    松井説明員 農地局で行なっております干害応急対策事業についてただいまの御質問にお答えいたします。  干害応急対策事業は、先ほどお話ございましたように、非常な干ばつのときに、井戸を掘ったり、あるいは水路つけたり、ポンプつけたりというふうな工事に対して従来補助を行なってきたものでございまして、最近の四十年、四十一年について申し上げますと、こういうような用水確保のための工事に対しまして、県あるいは町村、農協土地改良区等の事業主体が行なったものに対しましては四〇%の補助率になっております。また、用水確保のために購入したポンプあるいは借入したポンプ、その付属品、こういうようなものにつきましては、同じく四〇%の補助率でございますが、数人の共同施行にかかるものはこの補助率が二五%になっておるわけでございます。  最近の事例は以上のようなものでございます。
  16. 華山親義

    華山委員 これらのものを運転するための燃料とか動力などにつきましては補助はございませんか。
  17. 松井芳明

    松井説明員 ポンプ運転燃料あるいは電気料、こういうようなものは、一応水田経営維持費とみなしておりまして、これは現在補助対象にしておりません。
  18. 華山親義

    華山委員 おっしゃるとおり維持費でございましょうけれども、とにかく、必要でない井戸、そういうものをつくりまして、そのために動力費が要るわけでございまするし、人件費まで見ろと私申しませんけれども、明らかにそういうことでございまして、干ばつによって生じた経費でございますので、これをぜひひとつ大蔵省とも交渉されて認めてもらうようにお願いをいたしたいと思いますが、御無理なお願いでしょうか。
  19. 松井芳明

    松井説明員 最近数年にわたりまして行なっておりますのは、ただいまの燃料費電力料はすべて対象にしておりませんので、今回そういう問題が出ますと、非常に特例的な措置になるかと思いますが、必要あらば、十分検討いたしまして、大蔵省と話し合いしたいと思います。
  20. 華山親義

    華山委員 今度の場合の特例でなくて、今後はそれを認めるんだ、こういう御方針でひとつがんばっていただきたいと思いまするし、先ほど申されましたパーセンテージも、ああそうですかといって私引き下がるわけじゃないのでございまして、とにかく今日、先ほども申し上げましたとおり、食糧の輸入の状態自給度維持あるいは向上させるための必要、そういう国家的要請もあるわけでございますので、この補助率というものはできるだけ高めていただきたいと思うのでございます。  その次に、こちらから伺いまするが、この予備苗しろにつきましてはどういうふうな補助率になっておりますか。
  21. 遠藤寛二

    遠藤説明員 予備苗しろにつきましては、従来三分の一の補助率になっております。
  22. 華山親義

    華山委員 三分の一ですか、これも先ほどと同じような理由で、極力強化するようにお願いいたしたいと思うのでございますが、これにつきまして、県あるいは農協その他土地改良区、そういうふうなところでは、少なくともいまおっしゃったような率の補助助成はあるものと考えて今後仕事を進めていいと思いますが、農林省の確信を伺わせてください。
  23. 大田康二

    大田説明員 先ほども申し上げましたように、事例としては、いままでも先ほど申し上げたような補助をいたしておるわけでございますので、私のほうも、財政当局に対しましては、当然いままでの例に準じてやってもらうという要請をいたしたいと思っております。ただし、御承知のとおり、それぞれの補助には基準がございまして、基準に該当しないものはやはり補助対象にならないということもあると思いますが、しかし、今回のような——今後の推移もあるわけでございますが、現在の段階におきましては、従来と同様な方向予備費の要求をしてまいる、こういう考えで現在はおるわけでございます。
  24. 華山親義

    華山委員 私が三十三年に経験したところと今度の状態と、まあ山形県内を見て回ったのでございますが、多少様相が違っているようでございます。と申しますことは、あの時代、三十三年のころから見ますと、農法といたしまして、植えつけが早くなっている。その結果、三十三年のときはちょうど同じような時期に干ばつがあったわけでございますけれども、植えつけが不能におちいったということが多かったわけでございますが、今後の天候状態にもよりますけれども、このたびの干害におきましては、植えつけはできたけれども、これが枯死するというふうな状態の発生をおそれるわけでございまして、たちからいうならば、むしろ今年度のほうが悪いんじゃないか、こういうふうに私は考えるわけでございます。そういたしますと、これはできるだけ早くわせの苗をつくらなければいけない。そして雨降りを待つて、水を待って、あるいはポンプでできればなお早くなるわけでございますけれども、苗の植えつけをしなければいけない。話によれば、苗の植えつけは、とにかく、おそくとも六月中に完了しなければいけないという状態でございまして、そのための苗というものは、この四、五日間あるいは二、三日間に種まきをしなければいけない、こういうふうな状況だと聞きますけれども、私の申しましたことと同じように農林省もお考えでございましょうか。
  25. 遠藤寛二

    遠藤説明員 御指摘がありましたように、やはり東北地方その他関東でも、植えつけは非常に早まっておりまして、そのために、植えたあと干害というものが現実に起こっております。私どものほうといたしましても、御趣旨のようなことがございましたので、各県及び地方農政局と連絡をとりまして、山岳部のほうに参りますと余り苗もございますので、こういうものの確保、それから、現在苗しろで持っております苗を余分を残しておいてもらって、それを仮植田に植えてもらって苗の確保につとめております。それでも困る場合には、至急にまき直しをして苗しろの再仕立てをするということもございますが、そういうようなことで処置いたしたいと思っております。
  26. 華山親義

    華山委員 現在山岳部その他で余っている苗といったって、植えられないのですからね。そういうための苗不足じゃないんですから、そういうものはあてになりません。したがって、新しい苗をつくらなければならない。その新しい苗につきましてのもみの問題でございますけれども、これはわせでなければいけませんから、非常に不足するのではないか、こういうふうに考えますけれどももみに関する見通しはどういうふうにお考えになりますか。
  27. 遠藤寛二

    遠藤説明員 もみにつきましては、種でございますので、原則といたしましては採種圃産の種を手配するわけでございますけれども採種圃産の種だけでございますと、今日のように大きな規模のものになりますとおそらく足りない場合も出てくると思います。その場合、準種子その他種子として食糧庁が買い上げておりますものが幾らかございます。それでも足りないという場合には、たとえばカントリーエレベーターその他のところにおきましてもみで貯蔵しております食用米もみがございます。いよいよ非常に量が足りないということになりますと、ただいま申し上げましたような順序で手配をしてまいりまして、最後に足りませんものは、その品種も明らかになって別のサイロに入れてございますので、そういうものを出すとか、その他食糧庁のその他の倉庫で持っておりますものを出す、かようにいたしたいと考えております。
  28. 華山親義

    華山委員 今後の手段方法といたしまして、最善の方途を講じていただくことはよくわかりますけれども、私の知っている限りにおきましては、山形県でございますけれども、ほかの県も同様だと思います。おそらく、このような天候が続く限り、もみ不足によって苗の不足が深刻に来るのではないか、これがまた米の生産に影響があるのじゃないか、こういう心配がなされますけれども最善方法をとられるほかに方法がないわけでございますから、その方法をおっしゃったのでございましょうが、そういう御心配農林省ではお持ちになりませんのでしょうか。
  29. 遠藤寛二

    遠藤説明員 御指摘の点は、私どもも非常に憂慮にたえませんので、いろいろ手配をしておるわけでございます。たとえば、先ほどお話のございましたわせの問題につきまして、奨励品種になっておりませんものは私どももよく把握いたしておりませんけれども、たとえば、先生御指摘になりました山形県のものでございますと、奨励品種で、フジミノリ、ササニシキ、ササシグレというような品種がございます。そういったものにつきましては採種圃産だけでは間に合わないと思いますけれども、岩手、秋田、福島、新潟、このような県を総合いたしますと相当な量のもみを持っておりますので、緊急の事態に備えて、もみのないために苗ができないということはあまりないと思います。ただし、品種そのものに、いままでそこで植えていた品種でなければいけないということにこだわられますと、それはたいへんむずかしいことになってまいります。しかしながら、そうではなくて、わせならわせでいいのだということでございますれば、奨励品種東北各県同じように持っておりますので、何とかなる、また何とかいたしたいと思います。
  30. 華山親義

    華山委員 山形県のことばかり言いまして恐縮でございますが、ほかの県も同様だと思いますけれども東北の各地から持ってくるということについては絶望的な状態だと言っております。まさか山形県へ北海道のユーカラを持ってくるわけにもまいりませんし、何どもいいというわけにもまいらないと思うのでございまして、非常に心配をいたしておりますので、最善の努力を各地方へあれでございましょうが、これて対して全力をあげて農林省は御援助をお願いいたしたいと思う次第でございます。何かお話を聞きますと、きわめて楽観的なお話を聞きますので、私はまことに意外に感ずるわけでございます。私は決して農林省を攻撃しておるわけでも何でもないのですから、正直におっしゃっていただきたいと思うのでございますが、このようなことでございまするし、これは相当巨額な金で、県においてしなければいけない。苗しろをつくるためには、水のあるところに土地を借りなければいけませんし、人夫賃も要りますし、結局これは総括して県がやるという立場になろうと思います。大体米産県は財政の貧弱な県でもございますので、先ほど三分の一とおっしゃいましたが、この点に対しまして特段の御配慮をひとつお願いいたしたい次第でございます。  それから、激甚地区の指定というのは干害の場合にもございましたか、お伺いいたします。
  31. 松井芳明

    松井説明員 干ばつの激甚は、一般の激甚法による激甚とは全然意味が違っておりまして、三十九年度に一応非常に被害が激甚であったために特別の措置を講じた例がございます。これは補助率を四割のものを五割に上げたということで、被害状況は、北海道及び南九州を除いた全国的な非常に大きな規模で、これに要した工事費が、先ほどお話ございましたように二十八億の巨額に上ったわけでございます。
  32. 華山親義

    華山委員 私は、この点につきまして、先ほどのような米の需要の問題もございまするし、国全般でなくても、ある県あるいはある地区につきまして非常に財政負担のあったような場合には、特に新しい問題かもしれませんが、十分な考慮をしていただきたいことを申し上げておきたいと思います。  それから、関東地区のことについてちょっと私伺いますが、建設省がおいでになっておりますか——関東地区におきまして非常に水の問題で困っているようでございますけれども東北地方等は水をどう調整するかという問題は残されていないのです。それだけ後進地域だと言えるかもしれませんけれども、残されていないわけです。関東地区には利根川という大きな川がありますが、これは河況係数の非常に悪いところで、たちの悪い川でございますけれども、それでも五十里、川俣、薗原、藤原、八木沢——八木沢は東京郡の水道の問題でございますが、非常にダムができているわけでございます。そして昨今は両総用水、大利根用水に海水が遡上して、これはもう使えなくなっているということを私は耳にいたします。それで、この利根川の水をいざという場合にはかんがい用水のためにどういうふうに使うかということにつきまして、建設省、農林省その他各県等におきましてすでにいろいろ御相談中のことじゃないかと思いますけれども、どういう段階になっておりますか。
  33. 多治見高雄

    ○多治見説明員 お答えいたします。  関東地区の水の問題につきましては、御承知のとおり、利根川と鬼怒川にダムがございまして、水量を調節するという機能を持っております。したがいまして、今回の渇水の問題が起きました際、とりあえず今月の二十五日に、利根川の河川管理者の協議会というのがございますが、それをさっそく開きまして、水量の調節なんかについて御相談申し上げているわけでございます。この協議会のメンバーといたしましては、関係公共団体、それから農林省、水資源公団、経済企画庁等もお集まり願いまして、それぞれの資料を持ち寄りまして今後の調節について御相談申し上げたわけでございます。それで、このときの会議によって、大体の考え方といたしましては、御指摘の利根川下流部の塩害の問題でございますが、当時大利根川用水について塩害のために取水が不可能になっているというような話もございましたので、この対策をとりあえずやる必要があるということで——承知のように、利根川の水は江戸川に分水しております。その分水につきましては一応分水準則がございまして、こちらに何トン流す、どういう状況のときには何トン流すという準則がございますが、これを今回の特殊な渇水状況ににらみ合わせまして、特に江戸川に対する分水をここで一応多少削減いたしまして本流のほうに流して利根川の用水事情を緩和しようということで御相談申し上げまして、江戸川の分水を四十トンということにきめまして、そこで余裕のできました水を利根川本流のほうに流すという措置をとりました。これによりまして大利根用水は、ごく最近の情報によりますと、昨日は一応取水が可能になって、ポンプ一台を運転して取水をしているというふうに伺っております。  それから鬼怒川水系のほうでございますが、これは先ほどお話のございました利根川下流とは田植えの時期その他の関係、降雨量等も若干違いますので、少し事情が違いますが、先ほど開かれました協議会では、鬼怒川の水を佐貫地点で測りまして、常時最低二十五トン流れる程度まで上のダムから放水して、その二十五トンの流量を保っていこうという方針をきめまして、その方針に従いまして、自然流量とにらみ合わせまして、二十五トンを切るような際は上のダムの水を流すという措置をとっております。  ごく大ざっぱに申しました。
  34. 華山親義

    華山委員 専門家でありませんからわかりませんが、最終的には江戸川の河口を締める設備もあることでございますから、江戸川の河口を締めて、それによって沿岸漁民の補償等の問題もあったり、むずかしい問題があるという場合には、そういう点を総括的にひとつお考えを願いたいと思いますし、中川から江戸川にポンプで水を送るということもあるわけでございます。総合した意味での研究を大至急始めていただきませんと、五、六日中には大きな問題が起きはしないかということを心配いたしておりますので、ひとつ根本的な対策を、第一次的あるいは第二次的、最終的な計画まで至急お立てになっていただいたほうがいいのじゃないか、こういうふうに思うわけでございます。そういうふうなお考えがございますかどうですか。私はたいへん心配しているのですが、どうでしょう。
  35. 多治見高雄

    ○多治見説明員 全くお話のとおりでございまして、われわれも、そういった事態に対処いたしますために、流域全般の情勢を時々刻々的確に把握して、総合的にやっていこう、いまお話しになりました江戸川の問題その他も、各流域ごとにそれぞれの事情が違うものでございますので、そういった点を常に把握しながら、総合的に対処していこうということで、先ほども申し上げました関係各省、関係公共団体集まっていただき、会議を常時開けるように、最初、第一回を五月二十五日に開きましたが、その後二十七日、続きましては今週末にもその会議を開きまして、きめのこまかい対策を検討していきたいというふうに考えております。
  36. 華山親義

    華山委員 きょうはお持ちにならないかもしれませんが、五十里ダム、川俣ダム、藤原ダム、薗原ダム、矢木沢ダムの現在の水量をひとつ大至急資料として出していただきたいと思います。水の量といいますか、一般的な計算でどの程度の水が現在あるのかということでございます。
  37. 多治見高雄

    ○多治見説明員 各ダムの貯水量は、私のほうで数字は握っております。ただ、そのダムでためられております水のうち、渇水対策として農業用に放水できる水量というものは一応限定されますので、それが現在のところ約七千万トンから一億トンの間というふうにお考えになっていただいてけっこうだと思います。
  38. 田原春次

  39. 三ツ林弥太郎

    ○三ツ林委員 干ばつ対策についての関連ですが、実はただいまの資料で御報告いだだきましたが、農林省干ばつ対策についての二番目に、揚水機設置について、まだ手持ちの台数が相当ある、これについてはまた連絡されたい、こういうことがございますが、手持ちの余裕の台数というものはどのくらいありますか。
  40. 大田康二

    大田説明員 先ほど農林省が現在までとった措置について申し上げたのですが、東北農政局は二十四台保有いたしておりまして、これを全部貸し出しいたしておりますので、東北は現在余裕がないわけでございます。関東は五十七台で、現在三十八台貸し出しいたしておりますので、十九台、東海が四十八台で十台貸し出しておりますので、三十八台。それ以外に実は農政局全般で、いま申し上げた台数も含めてでございますが、三百三十三台ございまして、場合によっては西のほうから持ってくるというようなこともやりたい、そういう意味で全般の調整を農政局でやりますので、いま先生の御指摘のようなことをうたったわけでございます。
  41. 三ツ林弥太郎

    ○三ツ林委員 いままでのことで干ばつ対策についてのお話はよくわかったのですが、実は河川の砂利、また砂の乱掘といいますか、それが非常に多くて、ために用水障害というものが非常に多いのじゃないかというのですが、それについて農林省なり建設省の対策といいますか、それについてお伺いいたしたいと思います。
  42. 大田康二

    大田説明員 実は用水障害事業につきましては、農林省だけの立場からいえば、たとえば原因者負担というようなことで砂利採取業者に一部負担をしてもらいたいというような形での用水障害事業をやりたいという話だったわけでありますが、なかなか原因者を的確につかむことも困難であるということで、たしか昭和三十八年くらいからと思いましたが、かんがい排水事業の中に特別に用水障害事業というものを設けまして、県営でたしか実施いたしておる、そういうふうに理解いたしております。
  43. 多治見高雄

    ○多治見説明員 お答えいたします。  砂利の乱掘によります河状の変更によりまして用水の取水が困難になるという場合もあろうかと考えられます。それで、河川管理者といたしましては、用水の問題に限らず、砂利の乱掘によりまして河川自体の堤防も相当の被害を受けます。橋脚その他大事な工作物も乱掘によって、だんだん大きな被害を受けつつあるというのが現状でございまして、これに対する対策を何とかやらなければならぬということで、目下いろいろ研究しておりまして、現実にはそれぞれ一本一本の河川につきまして砂利の賦存量等を検討して、これ以上砂利を採取した場合には危険だという川につきましては禁止まで持っていきたいということで、その段階的な違いはございますが、各河川について砂利の採取について相当きびしい規制をやるということで検討いたしております。また、一部現在すでに実施しておる措置といたしましては、そういった砂利の量等を規制いたしまして、あまり乱掘できないように持っていこうということで措置いたしております。
  44. 三ツ林弥太郎

    ○三ツ林委員 江戸川の水不足を御検討いただいたわけでございますが、これはありがたいと思っておるわけです。そこで、最近新聞等で見ると、藤原ダムその他ダム群の放流をしていただきたいということを団体で陳情しておりますが、建設省のほうで当分見合わせるという事柄が記事になっておりますが、その理由についてひとつ……。
  45. 多治見高雄

    ○多治見説明員 一部新聞に、藤原ダムその他の放流について建設省が見合わせるということを発表したようにございましたが、見合わせるということではございませんで、先ほど説明申し上げました河川管理者の協議会で、各都道府県、それから農林省、企画庁等の関係者の集まりの討議の結果、放水の時期というものは相当慎重に考えなければならぬ。特に大潮の関係で塩干害の問題が相当端的に出てくるときにダムを放流するのが一番効果的だというような、上流、下流部によって相当意見の違う面がございますので、そういった点を勘案して放流時期を決定しようということで、あの新聞記事の出ました当時は、すぐ放流することはまだ時期ではないという関係者の会議の結論が出たということでございます。
  46. 三ツ林弥太郎

    ○三ツ林委員 応急干ばつ対策につきましてはそれぞれわかるのですが、どうも私ども毎年干ばつの憂いがあると思うのでございます。そこで、まあいろいろの問題点なり、また対策等もあると思うのですが、恒久的な干ばつ対策について当局でお考えになっているかどうかということをお伺いいたしておきます。   〔田原委員長退席、細田委員長代理着席〕
  47. 上村千一郎

    上村政府委員 実はこの干ばつにつきまして各省ごとにいろいろと御対策があるかと思いますが、先ほど華山委員もおっしゃっておりますように、今回の干ばつにつきましては政府も非常に重大視しておりまして、そのためには、こういうことになってくると各省ごとではなかなかうまくいくまい、それで、昨日の閣議におきまして、関係省庁——おもだったものといたしましては、建設とか農林とか、あるいは経済企画庁などがございますが、少なくとも関連をし、対策上必要なりとする関係閣僚の会合を持ちまして、これに対する対策を樹立して、そして関係の国民各位に御心配のないように配慮したいということで、昨日それを決定したようなわけでございます。
  48. 華山親義

    華山委員 多数御質問なさる方もおありだそうでありますから、私はこれで質問を終わりますが、ともかく、各地方では第一線の仕事をやっておるが、金が幾ら来るんだろうというような、そういう心配をしながらやっていたのではうまくまいりませんし、少なくとも従来どおりの助成はあるんだということを——あなた方は地方においでになってもよく言わないんですね。それで、そういうふうなことはやはり明確にして一すべて明確にもできないでしょうけれども、確信を持っておっしゃって、そして一生懸命にこの仕事に努力させていただきたい、こういうことをお願いいたします。それから、いままでの例によりますと、あまりにも決定がおそい。十二月ごろでないときまらない、そういうふうなこともございますので、とにかく植えつけ期間が終わったならば、できるだけ早くこれを一応締め切って、そして助成を出すというふうな方向最善の努力を今後お願いいたしまして、私の質問を終わりますが、私の申し上げたことに何かこうふしぎな顔をいたした方もおありのようですが、何かおっしゃることがございますか——。それではこれで終らせていただきます。
  49. 細田吉藏

    ○細田委員長代理 神田大作君。
  50. 神田大作

    ○神田(大)委員 まず第一に、私は、気象庁のほうからおいで願っておりますから、このような干害に対しまして、気象庁としては、どのような警告と、それから対策等に関しまして関係各省並びに農業団体等に対して指示を与えたか、お尋ね申し上げます。
  51. 柴田淑次

    柴田政府委員 こういう異常気象につきましては、気象庁といたしましては、異常気象によって処置をしなければならない方面には通知を出すというのは前からやっておるところでございまして、今回の場合におきましても、先生方御承知のように、一週間予報、あるいは一ヵ月予報、あるいは三ヵ月予報、あるいは長期予報というものにつきましては、それを利用されまして対策を講ぜられる方面には従来どおり通知をしております。今後この干害がますますひどくなるというようなことでございますれば、干害についての特別の情報を出すつもりにしております。現在はそうしなければならない段階ではないかというふうに考えております。  なお、総理府のほうでこれについての総合的の対策を講じられるということになっておりますので、主として総理府のほうとも十分に連絡したいというように考えております。
  52. 神田大作

    ○神田(大)委員 今後長期見通しとして、どのような見通しをお立てになっておるか、お伺いいたします。
  53. 柴田淑次

    柴田政府委員 先ほど華山先生の御質問にお答えしたとおりでございますが、長期と申しますと、六月一ぱいということでございますれば、それでお答えいたします。  先ほどお答えしたとおりでございまして、六月の前半は十分な雨は期待できない。しかし、全然雨が降らないのではございません。十分な雨は期待できない。中旬以後すなわち梅雨の雨にたよるよりしかたなかろうということでございまして、先ほど申し上げましたように、ことしの梅雨は男性型と申しますか、ざあっと降ってぱっと上がるというような形の梅雨でございますけれども、そういう雨に期待しなければならないというのが六月一ぱいの現在の見通しでございます。
  54. 神田大作

    ○神田(大)委員 農林省にお尋ねしますが、ただいま気象庁長官のほうから申されましたとおり、相当の干ばつの憂いがあるということが知らされておりますが、これらに対しましていままでどのような処置をとったか、お尋ね申し上げます。
  55. 大田康二

    大田説明員 いままで農林省のとった措置でございますが、ただいまお手元にお配りいたしましたように、五月二十九日付で農林事務次官名で、関係農政局に対しまして、こういう点に注意をして管内の各都道府県を指導してもらいたいという意味の指導通達を出したのが一つでございます。  それから第二は、各農政局で保有いたしておりますポンプがあるわけでございますが、これを県の要請に基づきまして貸し出しをいたしております。特に東北関東重点を置いて実施いたしております。まだ残台数があるわけでございますから、今後要請がありますればさらに貸し出しをしてまいる。こういうことにいたしております。  それから第三に、被害の激甚な東北管内につきましては、特に直接本省から係官を派遣いたしまして、被害状況調査、把握と、それから現地におります応急対策工事指導というものに当たってまいっておる。それ以外に、先ほど建設省の河川局次長からお話がありますように、関係各省集まりまして、ダムの放水等の問題につきまして十分協議を遂げまして、適切な水利を確保するというようなことの措置を協議実施いたしておる、こういうことでございます。
  56. 神田大作

    ○神田(大)委員 農林次官が出されました通達ですが、こういう一片の通達ではなかなか徹底はしにくいだろうと思うのであります。御存じのとおり、今日早期栽培がほとんど普及されておるのでありまして、従来の干ばつ対策だけではこの早期栽培の被害を防ぐことは非常にむずかしいだろう。時期も非常に大事でありますし、また、苗そのものがおくれてまいりますと使いものにならないというようなことになりますので、私は、気象庁のそういう御連絡、御通告等に基づいて、一片の通牒じゃなしに、やはり干害のお与れのある土地に係官を派遣して、県庁等御当局と緊密な連絡をとって、時期のおくれないような田植えのやり方を指導しないと、農民は、水がないから、やむを得ず植えないでおく、しかし、植えるときは、揚水機でも何でも使って適期に植えるというふうな指導を徹底させるということが非常に大事ではなかろうか。そういう意味合いにおきまして、農林省指導をもっと強化すべきである。私は、ことしばかりでなしに、今後もこのようなことが再々起こると思うのでありますから、このようなことに対して農林省御当局のお考え伺います。
  57. 大田康二

    大田説明員 先生御指摘のとおり、早植え栽培が非常にふえてきたということで、いままでの田植えの時期の水量等との関係につきましても、確かに新しい観点から検討しなければならぬという点につきましては、おっしゃるとおりであろうと思います。特に稲苗の問題等につきましてもさらに検討を深めなければならないと思っております。  それから、各農政局を通じての現地指導ということにつきましては、かなり積極的にわれわれのほうからもいたしておるわけでございますが、さらに、先生からの御指摘でもございますので、今後の指導には遺憾なきを期してまいりたい、かように考えております。
  58. 神田大作

    ○神田(大)委員 かんがい用ダムの建設等も相当できてはおるようでありますけれども、今度の干ばつでもってこのダムの水が大体干上がってきつつあるというような状況でございまして、これらかんがい用ダムの建設にあたりまして、この水資源の問題等につきましていわゆる誤算がなかったかどうか。これだけのダムをつくってやればかんがいに対して十分対処できるというような、そういう科学的な計算のもとに私はダムをつくっておるだろうと思うのでありますが、それらについて、聞くところによると、すでにダムの水がもうかれるというような状況でございますが、これに対しましてどのようにお考えになりますか、農林、建設両当局からお聞かせ願いたいと思うのです。
  59. 多治見高雄

    ○多治見説明員 ダムの建設につきましては、お話のように当然農業用水計画も含めて考えているわけでございます。ダムの建設によって何トンの水を農業用に利水できるかということは、計画の当初から確定して建設しておるわけでございます。現在ダムの水が干上がっているというお話でございますが、現在はそういった状態にはまだなっておりません。利根川、鬼怒川ともに約一億トン前後の農業放水が可能な状態で、現在その放流の時期、量等について、各地の気象条件あるいは田植えの条件等を総合的に判断して逐次出していこうということで、対処の体制を整えておるというところでございます。
  60. 大田康二

    大田説明員 私のほうのいわゆるかんがい排水用のダム、単独の目的のようなものにつきましてはあまり問題がないというように聞いております。ただ、多目的ダムにつきましては、いま河川局次長からもお話のありましたように、よく私のほうからも御希望等を申し上げまして、随時適切に放流をしていただくということで対処してまいることにいたしておる、こういうことでございます。
  61. 神田大作

    ○神田(大)委員 そうなると、これは工業用に使うべきか、農業用に使うべきかということで相当問題があると思うのでございますが、特に鬼怒川あるいは利根川流域のダムにつきましてこれを上手に放流さえすれば、いまのこの干ばつ対策に十分間に合うというようなお考えであるかどうか、お尋ねします。   〔細田委員長代理退席、委員長着席〕
  62. 多治見高雄

    ○多治見説明員 今回の干ばつにつきまして、ダムの水を流せば間に合うかどうかというお話でございますけれども、現在の段階で申し上げますと、今後の気象条件その他の条件で相当事情が変わってくると思いますので、ダムの水を出せば解決する、あるいはほかのほうに回すために農業が困るというような問題は、現在のダムの貯水量から申し上げますと、ないと考えております。  それで、現在のダムの水をどう出すかという点につきましては、この干ばつの条件を考えまして農業用水を第一義的に考えまして、これの需要に見合う水を出していこうということで今後もやっていくつもりでございます。
  63. 神田大作

    ○神田(大)委員 これらのダムの利水につきましては、いままで工業と農業用水によってその使用についていざこざがあったとわれわれも聞いておるのでありまして、今後干ばつが進むにつれてこのような問題が出てくると思うのでありますが、私は、田植えどきの非常に大事な時期でございますので、このダム用水の使用について農林、建設両省においてよく検討の上、このダム利水によって干ばつを防ぐ万全の措置をしてもらいたいということを要望申し上げます。  次に、このような利根川あるいは鬼怒川その他の大河川の流域はこのようにして防げるのでありますけれども、いわゆる天水場と称するところの、大きい河川のない流域においては、井戸を掘るとかあるいは揚水機を使うとかいうような、そういう施策をしない限りこの対策はできないのでありますが、日本のように再々干害に襲われる国におきましては、農林省はもっと思い切った予算措置をとって、県自体においてもこれが対策ができるように、揚水機なりあるいは地下水利用の井戸の掘さく等につきまして恒久的な対策をとるべきではないかと思うが、いかがでございますか、お尋ねします。
  64. 大田康二

    大田説明員 先生御指摘のとおり、干ばつ被害地域というのは、やはり基本的には用排水対策が整備されていない、こういうことにあるかと思うのでございます。そこで、やはり用排水の事業によって干害を未然に防止するような土地改良事業を実施する、これかやはり恒久対策基本であろうかと思います。この点につきましては、これも先生御承知のとおりでございまして、土地改良の十ヵ年計画というものに基づきまして計画的に今後実施してまいるということにいたしておるのでございます。
  65. 神田大作

    ○神田(大)委員 いま一つ建設省にお尋ねしますが、那珂川の流域の水は非常に豊富であって、これをうまく利用すればほかの地域にもこれを利用でき得るような状況になっておろうと思うのでありますが、那珂川について、たとえば烏山にダムをつくり、そしてこれを小貝川流域に流していくというような方法とか、あるいはまた、ずっと下流にもこういうダム建設の適地があるわけでありますから、那珂川の水の利用につきましてどのようにお考えになっているか、お尋ねを申し上げます。
  66. 多治見高雄

    ○多治見説明員 那珂川につきましては、現在河川総合開発事業調査ということで調査を進めておりまして、いまの見通しでは、治水のための洪水調節と農業利水の目的をあわせ計画できるのではないかというところまで進んでいるわけであります。今後まだ調査を重ねまして、具体的な計画の検討をいたす段階でございます。
  67. 神田大作

    ○神田(大)委員 干害は非常に短い時期にきまりのつくものでございますから、農林省当局におきましては、農民は、水がなくて、ただ雨が降るのを待っておるというような、そういう状態の場合も多いわけでありますから、積極的に県当局を鞭撻して、適期に田を植えるための揚水機の配置、足らなければこれに対しまして予算的な措置をとって十分これに対処しないと、食糧増産に大きな影響を与えると思いますので、ひとつ特段の努力をお願い申し上げます。  次に、私は、過般関東並びに東北、また今日九州あるいはその他の地区に起こりましたひょう害の問題でございますが、このひょう害対策につきまして、その状況並びにその対策等につきまして当局にお尋ね申し上げます。
  68. 大田康二

    大田説明員 たしか五月十七日に衆議院の農林水産委員会で、五月十四日の北関東等における降ひょうについての被害報告をいたしております。御承知のように、五月十四日に北関東東北の一部に降ひょうがございまして、果樹、麦、桑、野菜等に被害が発生いたしたのでございます。おもなる被害県は、茨城県、栃木県、埼玉県でありまして、一応この五月十六日の段階で判明した県報告による被害総額は、六億二千三百万円という報告を受け取ったのでございますが、その後県から訂正がございまして、六億二千三百万円から減りまして五億五千三百万円というふうに、私のほうでは五月十四日の降ひょうについての集計はいたしております。  そこで、対策ということになるわけでございますが、いずれにいたしましても、最終的には統計調査部の数字を見てからということになるわけでありますが、県の報告で先ほど申し上げましたように五億五千三百万ということでございますと、従来の例によりますと、天災融資法等の発動もなかなかむずかしいのではないか。御承知のとおり、天災融資法には、国民経済に重要な影響があると認めて云々ということになっておりまして、やや局地的な被害につきましては県でまず措置していただくというたてまえにもなっておりますので、いまの段階では天災融資法の発動もちょっとむずかしいのではないかというふうに考えております。したがいまして、そういうことになりますと、たとえば自作農維持資金の融通ということもなかなか困難ではないかというふうに考えております。  それから五月二十八日から三十日にわたりまして各地にひょうが降ったようでございます。これにつきましても、私のほうで一応各県からの見込み額という形で被害の報告をとっております。これによりますと、この中には実はたばこも含めて被害が出ておりますので、それで申し上げますと、福岡県が五月二十八日の降ひょうによりまして五億五千七百万、茨城県が五月三十日で二億二千四百万、その次に大きいのは愛知県が五月二十九日で八千百万、おもに被害を受けました作物は、野菜、果樹、たばこ、麦、こういったものが被害を受けたおもな作物でございます。
  69. 神田大作

    ○神田(大)委員 いまの答弁のように、いわゆる天災融資法の発動とか、あるいはその他の施策等も、被害総額が少ないということで見送られるようでありますが、このひょう害というものは、私がいつも言っておるとおり、小さな部分が徹底的に被害を受けるということでありますから、ひょうの被害の特質をよくお考えの上、これらの被害に対します特殊な対策考えないと、ほかの水害とか風害とか、そういう広範囲の大きな被害とは違うのでありますが、しかし、ひょう害を受けた部分に対する被害率というものは非常に膨大である。もう全滅というのでありますからして、これら特殊な被害に対してはもっとあたたかい思いやりのある対策を立ててもらいたい。  栃木県において、過般私が調べましたところによると、特にナシの被害が甚大でありまして、ほとんど傷がつかないナシはないといっていいほどやられておりますが、これに対し、病虫害防除費として、一回の防除費の半額程度でありますから、約一反歩に対して千二、三百円の補助しかもらっていないというように私も記憶しておりますが、このようなスズメの涙のような災害対策では、これは何とも地元の農民に増産へ奮起させるわけにはいかないのでありまして、これらについて農林省当局は今後どうお考えになっておられますか、お尋ねをいたします。
  70. 大田康二

    大田説明員 実は私思い出すのでありますが、昭和三十三年か四年に金融課長をやっておりますときに、今日と同じような御質問を実は先生から受けまして、また同じような答弁をきょう繰り返していたわけなのでございますが、天災融資法のたてまえから言うと、役人の理屈になるかと思いますが、やはり第一次的には市町村が見るのだ、さらに県が見て、これが非常な広範な範囲にわたって農作物に被害を与えたような場合に国が出ていって、国が見る、こういう体系になっているかと思うのでございます。ただいま先生がおっししゃったのでございますが、栃木県におきましては、私たちが聞いておりますのは、農薬につきましては二分の一、肥料については三分の一の補助を県単独事業でおやりになったというふうに聞いております。そういった形で、被害の額からいいますと、一応いままでの実施の段階におきましての基準というものがございまして、確かに先生のおっしゃるとおり、被害を受けた農家の方というのはたいへんお気の毒で、まさに全滅というようなこともあるわけなんでございますが、現在の段階の国の施策では、やはり農業共済金の概算払いあるいは仮渡しというようなことはできるわけでございますが、それ以外の措置につきましては、現段階におきましてはちょっと困難ではないか、かように考えておる次第でございます。
  71. 神田大作

    ○神田(大)委員 最後に、気象庁のほうにお尋ねしたい。  ひょう害が起こる気象状況という特殊な状況があると思いますが、これに対して外国等においてはこれを予防する検討等も行なわれて、未然に防ぐ方法があるようにわれわれ聞いておるのでありますが、日本においては、これらひょうを散らす、そういう研究、あるいは研究をしてそれが実際に役立つ可能性があるかどうか、お尋ねいたします。
  72. 柴田淑次

    柴田政府委員 予報の問題でございますが、ひょうが降る予報というお話でございます。現在のわれわれの知識では、ひょうというものがどうしてできるかということはわかっております。また、どういう場合に降るかということもわかっております。しかし、どういう場合に降るかということなんでございます。それが非常にむずかしいのでございまして、御承知のように、ひょうが降るのは、雷雲のような雲がございまして、その雷雲の雲の下にひょうが降るというのが大部分の場合かと思います。では、その雷雲の予報をすれば、ひょうが降るかどうかということの予報ができるじゃないかということが考えられるわけでございますけれども、雷雲と申しましても、雷雲があればすぐ必ずひょうが降るというようなことにはならないのでございまして、そこのところが非常にむずかしい。雷雲必ずしもひょうを伴わない。しかし、ひょうが降るのは、大体雷雲のときに降るのだということでございまして、そういうことでございますので、現在は雷雲に対しての注意警報、つまり雷雲注意報、雷雨警報とわれわれ呼んでおりますが、そういうものを、雷雲が発生する期間は特に電力会社のほうとタイアップいたしまして、電力会社と共同事業としてやっております。その雷雲注意報あるいは雷雨警報という形では、一般の人にはあるいはなじみが薄いかと思われますので、テレビ、ラジオなどではそういうことばを使うこともございますが、普通、たとえば、あしたの午後雷雨があるでしょうというようなことばで発表いたしております。要するに、ひょうを予防するということは、外国ではやっているようなお話でございましたけれども、私の知る限りでは、完全にそういうものが役立っているほどやっているというようにはまだ聞いておらないわけでございます。これは気象現象の今後の問題として、われわれ大いにこういう方面にも努力しなければならないかと思います。
  73. 神田大作

    ○神田(大)委員 終わります。
  74. 田原春次

    田原委員長 阿部昭吾君。
  75. 阿部昭吾

    ○阿部(昭)委員 今度の干害についてでありますが、農作物の生産を確保するためにかんがい用の施設設置する、こういうような問題が非常にふえておるわけでありますけれども、この場合に、農業近代化資金を利用するというような場合に、近代化資金のワクの増大の問題をぜひひとつ考えていただかなければいけないと思うのであります。同時にまた、この近代化資金の場合に、一般的な近代化資金と別に、災害という特殊な関係を持っておるわけでありますから、その金利につきましては利子を補給するような対策があっていいのではないかと思うのでありますけれども、このような考え方についての御見解を伺いたいと思うのであります。
  76. 大田康二

    大田説明員 近代化資金でいまお尋ねのようなかんがい用の施設設置のための資金需要がふえるので、近代化資金のワクをふやせというお話でございますが、現在の資金ワクは、御承知のとおり予算できまっておりまして、これをふやすというわけにはちょっとまいらぬかと思います。私、出がけにこの点につきまして経済局のほうに聞いてまいったのでございますが、実はまだ各農政局別の配分が終わってないようでございます。したがいまして、当然干害の地帯におきましてはそういった要請も出てくると思いますので、ワクの配分をいたしますときには、当然そういったことも考慮に入れて配分をするということによって対処していったらいいのではないかというふうに考えております。  それから、御承知のとおり、近代化資金につきましては、共同利用施設はたしか七分、個人施設は六分ということにいたしますために、国と県でそれぞれ利子補給をいたしておるのでございますが、これをさらに下げるために利子補給をしたらどうかということにつきましては、現在の段階におきましてはちょっと困難ではないかというふうに考えております。
  77. 阿部昭吾

    ○阿部(昭)委員 いまの説明によりますと、まだ配分をやっておらない、したがって、災害のあった地域に厚く配分をして、災害のない地域は薄くする、こういう結果になると思うのであります。総ワクはふやさぬということでありますから……。そこで、近代化資金に対する農民の需要、希望というものが非常に増大をしている今日、私どもが申し上げておりますように、今回の災害関係施設設置する、この場合に限り近代化資金のワクを特殊につくることは当然に考えられていいのではないか。それから金利の補給については考えておらない、困難だということでありますけれども、現実に県なり市町村段階においてこの近代化資金に対して金利の一部を補給しておる前例はあるのであります。したがって、国も、この干害対策なり災害対策に熱意を持っていらっしゃる、そうであります限り、金利の一部を補給するような考え方は当然にあってしかるべきだ、こう思うのであります。  それから、もう一つの問題は自作農維持資金、今回の災害は、一定地域、耕作しておりますすべての面積にわたって干害のために生産がほとんど成り立たぬという状態が起こってくるわけであります。したがって、いまから、自作農資金の災害特別資金のワクですか、こういうものを準備してもらわなければならぬと思うのでありますけれども、これに関する考え方、見通しなどをお聞かせいただきたいと思います。
  78. 大田康二

    大田説明員 現在の段階におきましては、干ばつによる被害がどの程度あるかということについて的確な数字をわれわれはつかんでおりませんので、自創資金をどれだけ用意するかということにつきまして、ここでいまにわかにお答えすることはできないわけでございます。また、いままでのルールによりますと、一定の被害額がございますと、まず天災融資法が発動になるわけでございますが、発動との関係におきまして自作農維持資金の所要額というものもはじかれまして、その際、干ばつなら干ばつというための維持資金のワクを特につくりまして、これを融通申し上げるということにいたしておるわけでございます。いま申し上げたような事情で、目下のところ、そういったことがわかっておりませんので、いまお答えいたしたようなことでございますが、いずれにいたしましても、被害が判明し次第、条件に該当いたしますれば、天災融資法の発動、それに基づく自作農維持資金の融通ということも行なわれることに、もし条件に該当する場合にはなるということは申し上げて差しつかえないかと思います。
  79. 阿部昭吾

    ○阿部(昭)委員 議論になりますけれども、近代化資金の関係ですね、それはどうですか。
  80. 大田康二

    大田説明員 実は近代化資金につきましては、何に幾らというワクをきめておるわけではございません。御承知のとおり、干ばつ対策の場合の揚水機設置等につきましては、先ほど説明もいたしましたが、土地改良区等で実施する場合には国から四割補助というような補助も出ておるわけでございますので、揚排水機等の設置に対する特別ワクをつくれということは、本年度の近代化資金をまだ実施していない段階におきましていま直ちにワクをふやすということは、実際の実行は困難であろうというふうに考えます。
  81. 阿部昭吾

    ○阿部(昭)委員 ちょっと納得がいかぬのでありますが、災害のために特別の資金需要が起こってくるというのが現実であります。その場合、ワクは一切そのままで、配分をいわば技術的な操作で処理するというかっこうになりますと、災害対策を事実上根本的な立場で進めておるというふうに私ども受け取るわけにいかぬのであります。ですから、私どもは、当然この場合、その金を、単なる補助をよこせ、あるいは援助をしろというのではなくて、返す金として貸してくれ、こういうことなんであります。いま問題にならぬという考え方は、関係農民が非常にいま深刻な立場にありまして、どうも災害対策に対して政府のほうで熱意を持っておるというふうには私ども理解できないのであります。議論になって残念でありますけれども、もうちょっと明快な答弁をいただきたいと思います。
  82. 大田康二

    大田説明員 災害対策といたしまして一般的な形を申し上げますと、先生お尋ねのように、まず次期作の経営資金として天災融資の発動、これが発動になりますと、いままでの例でまいりますと、自作農資金の貸し出しが行なわれる。実は近代化資金によりまして災害対策というものを講じたことは、私の記憶に誤りがなければ、なかったと思うわけであります。災害が起こったたびに近代化資金のワクをふくらまして、それによって対処するというような例は、いままでなかったかと思います。そして、御承知のとおり、先ほども申し上げたわけですが、補助金干害応急対策として出るのでございますので、今回の場合特に近代化資金のワクをさらにふやして、これによって災害対策を講じろということにつきましては、とても実現が困難ではないかというふうに考えます。
  83. 阿部昭吾

    ○阿部(昭)委員 これは現場の実情を私は正確に把握なさっておらないからではないかと思うのであります。現場は、いまのように、あらゆる干害対策の全部が、補助対象になったり、あるいは国がこれが災害対策といって示してまいりますその中で措置をされるということにはならないのであります。現場は現場で、とにかく膨大な面積が、干害という、もう時間を争う局面に立っておるわけでありますから、結果がどのようになろうとも、やはり応急な対策はどんどん進んでいっておるのであります。そうしてそれに対する国の援助なり措置というものは、あとで追っかけて出てくるのであります。その場合にすべての干害対策のために打った手だてに対して国が見るのかというと、見ておらないのであります。当然ワク外に置き残されていく。農民が苦労いたしました投資なりあるいはいろんな施設なり、こういうものは、はみ出していく部分がたくさん出てくるのであります。これらの部面を従来の例から見ますと、ほとんど全部農協のきわめて短期の資金に依存したり、あるいは何かいろいろな方法をくめんして、近代化資金なんかうまく持っていったりしておる農協どもあるようですが、こういう例は非常に多いはずであります。そういう例はないはずだなどというようないまの答弁は、私どもはいただけないのであります。
  84. 大田康二

    大田説明員 私が申し上げたのは、政府の立場で当初たとえば八百億なら八百億と予定した近代化資金のワクを、災害のつど、たとえばさらにもう五十億ふやすとか、百億ふやすとかいうようなことをいままでやったことはございません、こう申し上げたわけでございます。実は近代化資金につきましては、相当大きなワクを今日つくっておるわけでございますが、われわれが聞いておりますところによりますと、最近はやや状況が違いましてかなり評価されてきたようでございますが、いままでのところは、いつもある程度のワクを余したというふうにも聞いておりますので、いま先生のお尋ねのような場合に、まず補助金等がきまる前に近代化資金で手当てをなさるというようなことはあるかと思いますが、そのために非常に近代化資金が全体として不足するというようなことはないのではないかというふうに考えております。
  85. 阿部昭吾

    ○阿部(昭)委員 どうも歯車がいささかかみ合わなくて残念なんですが、たとえば数年前われわれの地域で首いもちなどで膨大な被害があって、あの場合はたしか自創資金の災害特別融資であったかと思うのですが、その地域で一定の要望を出したところ、これがワクがないと称してぎりぎりしぼられて、実際はその要望の十分の一あるいは八分の一、こういうふうに全部県段階でくくらざるを得なかったのであります。したがって、いまおっしゃるように、そういう干害対策の資金などはいままであまり現場にひもじい思いをさせたことはなかったはずだなどというふうに理解されるような説明は、私どもは何としても納得がいかぬのであります。したがって、いま私が言ったのは、災害対策の正規のルートに乗る補助なり援助なり、そういうルートに乗ってまいりますものだけで災害対策の全部を抜本的にこなしていくということは私はできないだろうと思うのです。従来の例からいって、はみ出すものがたくさん出てくるのであります。むしろ、補助対象や融資の対象になるのは氷山の一角ではないかとさえ私は思っておるのであります。したがって、そのもぐっておる、現在の政府の行政ルートの中にうまく吸い上がってこないところの——上のほうではやっておるつもりでおっても、現場にいくと、たとえばある町村で一千万の自創資金、災害資金を要望した、ところがいろいろ査定される、ワクがないと称して県段階で百万だ、百五十万だというふうにくくり上げておるというのが従来の例なんであります。したがって、要望が一千万でありますから、県段階で査定されたのが百万の場合に、百万しかこないということになると、残りの九百万は、農協の短期資金なり、いろんな方法でしょいこんでいかざるを得ない、こういう形になっておる。したがって、いまのように施設その他を地方独自でやっておるようなもの、しかも補助なり何なりの対象にならないものも出てまいりますから、こういうものは自創資金や何かでやっていくという熱意を持っておる地域があるわけです。この場合には優先して近代化資金を使えるような、そういうワクを設定していくということがあっていいのではないか、こう思っておるのであります。したがって、どうも並行線になるのでありますが、これはやはりもう少し熱心な御見解を示していただいて、現地をひとつ安心させてほしい、こう希望するのであります。  時間がございませんので、もう二つほど申し上げますが、一つは砂丘地の農業。これは私どもの地域にも砂丘地があり、鳥取地方などにも砂丘地がある。方々にあると思いますけれども、この日照りの害というのは、稲作よりもっと厳しく実はかかってきているのであります。こういう場合の問題などから、当然、実はいろいろな災害資金なんかの対象にしていただく、こういう御配慮を希望するわけであります。  それから、時間がないので、全部一括してお尋ねいたしますが、気象庁長官にお伺いしたいのですけれども、当面はずっと期待できるような雨量はない、こう承ったのでありますが、将来、今度は、たくさんだというようなどしゃ降りの雨が毎日続くのじゃないかというような懸念もされるのであります。したがって、この干害あとにいろいろな病虫害などが発生することを私どもたいへんおそれているわけでありますけれども、そういう意味で、当面ここは日照りで心配しておるのでありますけれども、今後この刈り入れ収穫をするまでのここ三ヵ月ぐらいの展望、見通しの上で一体どうなっていくのか、このことをひとつお聞きしたいと思うのであります。  さっきの問題はぜひ熱意ある答弁を……。
  86. 大田康二

    大田説明員 砂丘地帯等における作物は水稲以外のものということになるのだろうと思うのでございますが、これはもちろん、それぞれのルールに従いまして融資なり補助対象にのりますれば、当然対象にしてまいるということは申し上げるまでもないかと思います。  それからもう一つ、先生から現地の実情について、おまえは机の上では全部処置したように思っておるけれども、末端では実はそうではないので、やはり査定等を受けているんだというお話がありました。よくお話はわかりました。ただ、御承知のとおり、いま一定のルールあるいは基準に従いまして補助なり融資を行なうということにも相なっておりますが、これが多少実情に合っていないということもあるかと思いますので、なお今後前向きの方向で検討いたしてまいりたい、かように考えております。
  87. 柴田淑次

    柴田政府委員 今後の見通しでございますけれども、いま私のほうでは八月一ぱまでの見通ししか立てておりません。つまり三ヵ月予報でございますので、六、七、八と三ヵ月でございます。六月は先ほど申しましたとおりで、中旬から、あるいは中旬以降に、期待できるほどの雨が降るであろうということでございます。七月になりますと、雨のことだけ申し上げますと、六月の下旬から七月の中旬の梅雨明けまで大体梅雨前線が活発でございますので、この間に局地的な大雨が降る心配がございます。その後は、七月の下旬にもう一度梅雨型の気圧配置に戻ることが考えられますので、七月下旬にもう一度雨が降るであろうというように予想しております。それから八月に入りますと、あまり詳しいことは申し上げられないのでございますが、大体雨の量は、八月全体を通じての話でございますが、降水量は、日本海側と北海道方面で局地的に多くなるほかは、その他の地方は少ないでしょうということでございます。現在その程度の予報が出ておる次第でございます。
  88. 阿部昭吾

    ○阿部(昭)委員 終わります。
  89. 田原春次

  90. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 ただいま気象庁お話を承ったのですけれども、最近、気象予報というものは当たらないという評判があるのです。この当たらないとか当たるとかいう問題は非常に大事な問題でありまして、もしも干害というものがほんとうに予想されるならば、井戸でも何でも掘れ、そういうことをわれわれとしては考えているわけなんです。これは一生懸命にやられている気象庁関係の方に対しては失礼な質問かと思いますけれども、そういううわさがありますが、これに対してどういう確信を持っておられるのか。また、今後そういう面で予算面でもって必要な——こういった天災とか、または災害とか、われわれ国民に密接的な関係を持つ気象庁としまして、今後のあり方、また、予算等の不足とか、いろいろな点があると思いますが、そういう点をお聞きし、計画についての決意のほどをお尋ねしたいと思います。
  91. 柴田淑次

    柴田政府委員 最近、天気予報が当たらないということが新聞に書かれておりまして、確かに五月初めの天気予報はだいぶんはずれました。その天気予報というのは、今晩、明日、明後日くらいの天気予報でございまして、かんがいに必要な天気予報は、むしろ、一週間先までの天気予報、一ヵ月先までの天気予報というような天気予報のほうが、農作関係には必要であろうかと存じます。ところで、今晩、明日、明後日の天気予報と、それから一ヵ月先の天気予報を出します根拠が全然違うのでございまして、今晩、明日、明後日の天気予報が当たらなくても、一ヵ月先の長期予報が当っていることは、従来もあるのでございます。農作物に必要なこういった長期的な見通しを立てる場合には、短期的の今晩、明日の予報とは違いまして、ずいぶん各地の資料が必要なんでございます。各地と申しましても、日本だけでは決してございません。北半球全体、北極を含めましての資料が必要でございます。そういう資料を収集してそれを解析するということと、それからもう一つは、地上だけの資料ではございませんで、ずっと高いところまでの資料も必要であります。風船を飛ばしますと、御承知のようにたかだか二十数キロまでしか上がりません。しかし、それでは不足でございまして、地上六十キロぐらいまでのところの資料はわれわれとしては必要と思っておるのであります。そのために、御承知かと思いますけれども気象庁といたしましては、気象ロケットを上げる——現在上げておりますが、気象ロケットをもっとたくさん上げるというように考えまして、非常に高いところまでの気象状況を把握いたしまして、それから一ヵ月あるいは三ヵ月というような先の予報を解析するのでございます。そういったことでございますので、現在そういった長期予報の開発のためには、現在の気象庁の設備は決して十分だとは申せません。特にロケットを上げるということにつきましては、これからそれをやらなければならないというように思っております。こういった長期予報計画につきましては、年次計画を立てまして、その年次計画に沿いまして今後できるだけ設備を充実していくように、その予算の獲得に今後もなお一そう努力したいというように考えております。
  92. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 現在の予報というものはある程度信憑性があるとわれわれも思っておりますが、いまのお話で聞いたように、確実というわけではない。そういうところで、われわれとしては、どの程度までこの長期予報というものが確実性があるのか、その点についてまずお伺いします。
  93. 柴田淑次

    柴田政府委員 長期予報の確実性の問題になってまいりますと、少し考え方を変えなければなりません。まあ私たちの採点——採点のしかたのこまかなことは申しません。採点した結果は、大体従来の平均をとりますと、少なくとも六〇%以上は長期予報としては当たっておるというように、私たちの採点の上で考えております。そのくらいの確率でございます。
  94. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 その辺でよろしいと思いますけれども、ひとつ努力していただきたいと思います。  次に、今回の干害の問題にしぼりますが、これは相当大きな問題だと思うのですが、建設大臣もしくは次官、あるいは農林大臣または次官等のおえらい方々が現地を視察なさったかどうか、お尋ねいたします。
  95. 多治見高雄

    ○多治見説明員 今般の干害について、特に大臣、次官が現地を視察されたということはまだございません。
  96. 大田康二

    大田説明員 私のほうも、ただいま建設省の河川局次長が言われたとおりだと思います。
  97. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 そうしますと、大臣とか次官とか、または本省の高級幹部が農民やその他の国民の苦しみというものをほんとうに視察する、または目で見る、はだで感ずるというには、災害段階があるのですか。
  98. 多治見高雄

    ○多治見説明員 災害について段階があるかというお話でございますが、特に段階といったようなことはないかと存じます。今回の干害につきましては、当面われわれとしましては、とにかく河川流量の配分といいますか、ダムの操作その他によって川をどういうふうにコントロールするかということが第一の問題でございますので、その点につきましては、各ダムの地元の状況は刻々とわかるようになっておりますので、それをもとにして最高の判断を仰ぐということ、そのデータに基づいて大臣、次官が判断を下すという体制でございます。
  99. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 そうするとまだ被害は出てないんですね。その点がはっきりしませんと、災害対策としても——被害状況というものをさっきお聞きしたのですが、被害は出ない、これから出るように聞こえるのですけれども、その辺はどうですか。
  100. 多治見高雄

    ○多治見説明員 河川管理の責任者としての建設大臣といたしましては、現実の被害が出ている出ていないということの前に、被害の予想その他を関係の機関から取りまして、まず被害を防ぐための水をどう流すかということが第一かと考えられます。その点につきましては、先ほど説明申し上げましたように、鬼怒川について佐貫の流量を二十五トンから落とさないという大きな前提をきめまして、それに従って川俣ダムを操作しているのが現状でございます。
  101. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 先ほど、農林関係のほうですけれども被害状況をお聞きしました。私が調べたところでも、千葉県だけでも、植えつけのできないという町歩が八千五百町歩、植えつけ後の水不足が二千百町歩、植えつけたけれども枯死寸前のたんぼが三千町歩、これは一部の大利根土地改良地域でありますけれども、そのほかひどく被害を受けているところが約八千八百町歩もある。これは相当の被害が出ておるわけで、千葉県の場合では対策本部までつくって、知事がきょう視察に行っているわけです。地元の市町村または県だけにまかせているだけでなく、こういうところで質問したり答弁したりしていますけれども、実際問題は、農民の方々に激励してやることが大事じゃないかと思うのです。そういうような点に対して薄情のような、血の通わない行政のように感ずる。そういう点はどういうふうにお考えになっておりますか。
  102. 大田康二

    大田説明員 私、ここにいま的確に御説明を申し上げる資料を持ち合わせておりませんが、少なくとも関東農政局なり東北農政局は、まさに先生が御指摘になったような、現地におもむいての指導ということは当然やっていると思います。現にそういう体制で各農政局も設けたというような経緯もございますし、いままでもそういうふうに対処してきておりますので、その辺は、完全とは言えないまでも、相当程度濃密な指導をやっておるというふうに理解しておりますし、本省におきましても、先ほど説明申し上げましたように、特に東北等につきましては係官を派遣して現地指導並びに被害調査を実施したというようなことで、大臣なり次官が行かれないというようなことにつきましての御指摘でございましたが、少なくとも事務の段階におきましては、それぞれわれわれなりに適切だと思う措置を講じてきたというふうに考えております。しかし、なお御注意でございますので、今後注意をしてあたたかい指導に当たってまいりたい、かように考えております。
  103. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 私はこの干害対策につきまして建設委員会で緊急質問をやったのでございますけれども、その席上大臣が、非公式でありますけれども、私に約束したことは、ダムの水を早急に流すということでありました。そうしていまいろいろ答弁を聞いておりますと、出していない。先ほど私が建設大臣と会ったときには、いまダムの水を流しているんだ、小川君、安心してくれ、こういうことでありましたが、私が千葉県へ視察に行ったときに、友納知事の話では、ダムの水を少しくらい流しても、下のほうであるところの千葉県には水がとても回ってこない、これは焼け石に水だという。焼け石に水ではあっても、先ほど申し上げました一連の利根川のダムを放流するとか、先ほどお話がありましたように、利根導水をとめて利根本流に流すとか、いろいろ対策はありますけれども、なぜ多目的ダムという目的のためにつくられたダムの放水ができないのか。いろいろ事情はあるでしょうけれども、現在の農民の苦境を思い、干ばつに対しては早急にやるべきであると思いますけれども、この点についてのお考えをお伺いいたします。
  104. 多治見高雄

    ○多治見説明員 ダムの放流につきましては、全くお説のとおりと思います。われわれといたしましても、できる限り適期に干害を防ぐための放水をいたしたいということで、連日関係機関から情報を収集いたしまして、適期の放水ということを考えております。  現在一番大きなわれわれの判断のポイントといいますか、基礎となっておりますのは、六月の七日、八日に大潮が予想されます。その際の塩干害に対する対策として、相当の水を放流しなければこの被害はもっと大きくなるという予想がございますので、気象の推移その他を見きわめながら、六月の七日、八日の災害を防ぐということも一方で考えながら、逐次その時点の放流量をきめていくということで作業を進めておるわけでございます。したがいまして、お話しのように、いまダムの水をどんどん出してしまうということについては、若干結果的に御不満に思うような面があるかとも思いますが、そういった事情で、できる範囲で放流していきたいと思っております。
  105. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 先ほど大臣が言った、水を出しているということは、うそなんですね、
  106. 多治見高雄

    ○多治見説明員 水は現実に出しております。と申しますのは、ダム自体、流入してくる量と出ていく量もございますが、発電も実施しておりますので、その発電に使った水は流れます。それをオーバーして流入した水は、流せる範囲で流していく。渇水対策として大規模に流すということはやっておらないというだけでございまして、できるだけ多くの量を流すという操作は、通常のダム操作の範囲でやっております。
  107. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 私が聞いているのは、通常のダムの放流のことを聞いているのではない。こういった緊急対策で、少なくとも国会議員が多目的ダムの水を放流するかどうか聞いているときに、電気をつくるための水の量とか、そういうことを聞いているのではない。一体、水がほんとうに必要な県や農民に対して、必要な量だけ回しているかどうかという意味の質問です。それに対して大臣は、出していると答えた。それじゃまるっきりばかにしたような、インチキのような答弁になってしまうですよ。どうなんですか。
  108. 多治見高雄

    ○多治見説明員 通常の場合には出さない水を出すという意味では、現在も通常の操作の範囲以上に出せる限りの水を出すということで放流をいたしております。
  109. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 いまのお話で、六月の八日ごろ大潮の塩分の害を防ぐためにダムの放流を考えておる、そのときには大量に出すというのですが、どのくらいの量を出すのですか。
  110. 多治見高雄

    ○多治見説明員 今後の気象条件その他ではっきり量は予想できませんが、そのときに一番大量に出す必要があるだろうという想定で作業を進めておるわけでございます。
  111. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 予想は、いまも再三再四気象庁の方からお聞きになって、私どものほうとしても、その気象庁の予想の中でこれは当然計画を立てなければならぬ。その量をお聞きしているわけなのです。その出したときに、大体〇・〇九%程度に達するとほとんど稲は全滅になるということをいわれておりますけれども、それに対するお考えをいま聞いているわけなのです。
  112. 多治見高雄

    ○多治見説明員 先ほど申し上げました管理者協議会で各公共団体の担当の方に集まっていただいて、その情報をもとにして判断をしているわけでございますが、その際、各県にもお願いいたしまして農業関係の部局からの情報を特にいただきまして、それぞれの県の所要の放水要請といいますか、そういう数字を出していただいて、それを各県それぞれの特殊事情を勘案してきめていこうということでございます。
  113. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 千葉県の知事は、私が行ったときには、どんなことがあっても農林省お願いしてダムの水を出して助けてもらうのだというような希望を私どもに述べておりました。いろいろと七の後の変化もございますので、私としてはいまの御答弁に満足ではありませんけれども、持って帰っていろいろとお話したいと思いますが、そういった塩害に泣く千葉県の問題等を考えまして、また、埼玉県の利根導水路、利根川のほうにどんどん水を流しまして荒川へ水が入りませんと、これまた問題になると思うのですけれども、そういう場合に、あそこの行田の取水口のところで、千葉県側と埼玉県とのいろいろな問題もあるでしょうけれども、そういった水争いというものが今後起きるような可能性があるのですが、そういう点は建設省としてどのようにお考えになっておりますか。
  114. 多治見高雄

    ○多治見説明員 もちろん、今後の問題でございますので、あるかないかということについては、私どもはっきりお答えはできませんけれども、そういうことのないようにということで、各公共団体から率直に現実の情報を述べていただきまして、事前にそれぞれ相互の利害を話していただきまして調整していこうという努力をしているわけであります。
  115. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 では話は先に進みますが、いま千葉県の塩害を防ぐための堤防工事が行なわれているそうでありますが、これの工事は順調に進んでおりますか。
  116. 多治見高雄

    ○多治見説明員 河口ぜきの工事をやっておりますが、その工事は順調に進んでおります。
  117. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 それから、これも建設常任委員会で私質問したのでございますが、建設省手持ちのポンプがありますね。そのポンプ河川局長に質問したときに、貸し出しの要求があればどんどん貸し出すという御答弁をいただいたのでありますが、そのことはどういうふうになっておりますか。通達なさったのかどうか。
  118. 多治見高雄

    ○多治見説明員 一昨日河川局長名で各出先機関に、そういう要請があった場合には、できるだけ業務をアレンジしてポンプを出すようにという通達をしております。ただ、具体的な貸し出し事例その他はまだ把握しておりません。
  119. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 これは無料で貸すわけですね。
  120. 多治見高雄

    ○多治見説明員 災害のために使うということで無料にするという道も残されておりますので、その水の活用についてやれるように考えたいと思います。
  121. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 合わせてどのくらい、いま手持ちの量があるのですか。
  122. 多治見高雄

    ○多治見説明員 手持ちのポンプの数量は、ちょっと資料を持っておりませんので、調べまして後ほど御報告申し上げます。
  123. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 手持ちの量がわからないと、私どものほうとしても、いろいろと現地の要請に対しての満足の行くあれができないと思いますので、至急それは調べていただいて、あとでひとつ書類にして渡していただきたいと思います。  その次に、水がないのでたんぼへ井戸を掘るときに、五万円以下の工事量では貸し付けをやらなかった昭和三十二年度の干害対策というものがありますけれども、五万円以下の小口の場合にはそういった貸し付けは行なわないのでしょうか。
  124. 松井芳明

    松井説明員 干ばつ応急対策事業で従来対象としております工事は、一応いまお話ございましたように、一件五万円以上を対象にしてやっております。これは大体ポンプ、あるいは井戸を掘ったり水路を掘ったりというふうなことで、数人共同施行以上あるいは土地改良区でやる大規模なものになりますので、非常に小規模のものは、どちらかといえば個人施設的なものが多いわけでございます。私ども干害応急対策は、公共的なものを対象にして助成をしたいという考え方でやっております。したがいまして、そこで一応線を引いたのでございます。
  125. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 応急的でありますので、井戸を掘るためのポンプ助成を行なうとか、あるいはポンプアップするために人をふやすとか、いろいろ五万円限度の線を引いたということでありますけれども、そういった小口の場合にも補助を出していただきたいという現地の声でありますので、あらためてお願いいたしておくわけであります。  次に、被害が一億円にならぬと助成措置をしないということをちょっと聞いたのでありますけれども、これは千葉県とか栃木県を合わせて一億円になるのか、それとも、一県だけでそれだけの被害にならないと助成をなさらないか、その辺のことがちょっとわからないので、御説明を願いたいと思います。
  126. 松井芳明

    松井説明員 一県一億円以上といいますのは、先ほどちょっと激甚の特別扱いについて申し上げましたように、昭和三十九年では非常に激甚な干ばつになりましたので、このときの激甚の基礎として、一県一億以上の対策事業を行なったものということが一応要素として考えられたわけでございまして、そのほかの年次におきましてはそういう規定はございません。
  127. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 そういう規定はないですね。
  128. 松井芳明

    松井説明員 はい。
  129. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 今回の問題でございますけれども、神奈川県の例で、いま津久井ダムと相模ダム、これは大体あと半月雨が降らないと干上がってしまう計算になっておりますが、この実態はどうでございましょうか。
  130. 松井芳明

    松井説明員 いまお話しの津久井関係の具体的な話は、実はまだはっきり聞いておりません。最近干ばつ問題が出ましてから、各県の被害状況被害対策等につきまして、再々資料をまとめて、いろいろな問題について指示あるいは協議を行なってきておりますが、特に関東近辺におきましては干ばつが非常に大きいわけで、各県に対して非常に注意してこういうふうな問題について処理してまいっておりますが、神奈川については、再々問い合わせしておりますが、具体的な話あるいは具体的な被害その他についてまだ報告を受けておりません。実はいまお話しのような具体的な問題についてはまだあまりよく承知しておりません。
  131. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 神奈川には渇水対策本部はできていないのですか。
  132. 松井芳明

    松井説明員 できたということはまだ聞いておりません。
  133. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 私の調べたところによりますと、神奈川県の場合には、きょうの新聞に出ておりましたけれども、相模、津久井両湖は、もうあと半月雨が降らないとだめである。大体一日の使用量四百万トン必要だ。そのうち、使用しているのが一秒間に三十立米流している。ところが、入ってくる水は十五立米だ。このままでいくと、現在四割程度しか水の量がありませんので、あと十日ないし二十日でからからになってしまう。ところが、津久井湖というのは、相模湖のあふれた水が津久井湖のほうにいくように設計され、また、その目的でつくられたと聞いておる。ところが、雨が降らないと、からからになってしまう。こういうときはどういうふうに考えたらよろしいのでしょう。
  134. 多治見高雄

    ○多治見説明員 建設省といたしましては、水のコントロールの面の治水効果についてダムをつくり、あるいはそのダムの操作をやっておりますが、さらに、津久井につきましては、上水を取るのが主体のダムでございます。その点につきましては私どものほうではお答えいたしかねます。
  135. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 これは上水のほうだけでなくて、やはり農業用水に使っているというので、県ではこういうふうに大騒ぎをしておるわけです。これはそういう目的のほうじゃないのですか。飲む水だけですか。
  136. 大田康二

    大田説明員 先ほど災害復旧課長からもお話があったわけですが、実は私のほうも、私のほうの統計調査事務所あるいは県等を通じて神奈川県につきましては調べておるわけですが、実は各県において出てきたように、たとえば植えつけを幾らやって、植えつけ後の用水不足が幾らで、枯死寸前のものが幾らということは、神奈川県についてはつかめておりません。いまのお話のダムにつきまして私十分承知しておりませんが、聞くところによりますと、むしろ水道、飲用水の問題で何か非常に問題になっておるというふうに聞いております。
  137. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 これは飲用水が約八割ですけれども、残りは農業用水に使っておるのです。  津久井ダムは国としてはどれくらいの助成をなしたのですか。
  138. 多治見高雄

    ○多治見説明員 津久井ダムにつきましては私どもでは別に助成しておりません。
  139. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 国では助成しておりませんね。県単事業……。
  140. 多治見高雄

    ○多治見説明員 建設省の関係ではございません。
  141. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 農林省ですか。
  142. 大田康二

    大田説明員 私その点十分承知しておりませんので、帰りまして調べまして、私のほうで助成しておれば、その数字を後ほどお出ししたいと思います。
  143. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 神奈川県は東京都に対して節水を二割方申し込んだということでありますが、これは事実でございましょうか。
  144. 多治見高雄

    ○多治見説明員 私どものほうではその点まだ伺っておりません。
  145. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 厚生省は来ておられますか。
  146. 田原春次

    田原委員長 厚生省は来ておりません——。至急厚生省を呼びますから、あとに回してください。
  147. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 では、違った角度からお尋ねしますが、農林省関係で、最近の植えつけが相当繰り上がったというふうに聞いておりますが、こういった農業の植えつけとか、そういった面にいろいろと状況が変化してきた場合、ダムの放流というものが非常に問題になってきておりますが、植えつけはいままでよりも繰り上がってきたようなことはあるのでしょうか。
  148. 遠藤寛二

    遠藤説明員 確かに御指摘のように、植えつけが数年前に比べまして逐次早まって、場所によりましては一週間くらい早まっております。関東以北はだんだん早まってまいっております。
  149. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 そうしますと、われわれが承知しておるような、田植え時期というものが年々早まってきておる。これは建設省にお尋ねするのでありますけれども、そういった多目的ダムの放水計画というものをこれから繰り上げていろいろと計画を立案しなければならぬと思いますが、この点についてはどのようにお考えになっておりますか。
  150. 多治見高雄

    ○多治見説明員 ダムの放水につきましては、それぞれ個々のダムにつきまして操作規則を制定いたしまして、ダムごとに操作のやり方を規定いたしてございます。それで、先ほどお話しの植えつけ時期が最近だんだん早まってきておるというお話でございますが、この点につきましては、古いダムの操作規則はその当時の植えつけ時期を考えて操作規則をつくってございますので、最近植えつけ時期が相当変わってきたということでございますと、操作規則をあらためて検討して、放流時期その他をそれに合わしてやらなければならぬということで、先般の管理者会議でその点も含めて検討を指示してございます。
  151. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 これは河川のほうにお尋ねしますが、多摩川の流量について、本日現在どういうふうになっておりますか。
  152. 多治見高雄

    ○多治見説明員 ただいま手元資料を持っておりませんので、後刻調べまして御報告いたします。
  153. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 資料がないとおっしゃいますが、ここにけさの毎日新聞ですが、流れがとまったという写真が出ております。これは人が渡っている写真です。多摩川というのは東京都の飲み水を確保する川であり、人が渡れるというようなことは五十年来の異変である、アユも一日でいなくなってしまうだろう、こういった大きな問題を建設省のほうとしてなぜ掌握していないか——と言うとあれでございますけれども、川の流れがとまってしまうような状態になっている。これは重大問題だと思うのですが、この点はどういうふうにお考えですか。
  154. 多治見高雄

    ○多治見説明員 早急に調べまして対策を立てます。
  155. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 これは相当大きな影響があると思いますが、ひとつ早急に調べてやっていただきたいと思います。  全体的に何かこうわれわれと歯車がかみ合わないように感じます。こちらは一生懸命になっていろいろ質問しておるわけです。こういう災害対策というものがあっては困る、こういう災害対策委員会が毎日開かれているようでは困るのでありまして、開かれた以上は、真剣になってこの問題と取り組んでいかなければならないにもかかわらず、いろいろと資料不足だ、いや、あっちの所管だからわからないとか新聞に出ていることを私は聞いておる。これは見ていてわかることだ。相模、津久井の問題も出ている。そんなむずかしい質問をしているわけではない。多摩川の件についても、相模、津久井の神奈川県の水源地についても、ひとつもっと真剣になってやっていただかなければ、県民も、また国民もかわいそうだと思うのです。大臣や次官が視察にも行かない、ただ地方の農政のほうにだけまかして、出先機関にだけまかしていくという態度が、非常に私は遺憾だと思うのです。  今回の問題についても、ここで幾ら議論しても現実に雨は降らない、水は現実にない、農民は泣いている、こういう問題に対しては、これはもう議員も執行部も、また政府も、一体になってこの問題に取り組んでいかなければならぬと思うのです。若輩の私がこんなことを言うのは僣越でありますけれども、その点については何分ともひとつよろしくお願いしたいと思います。それからこういった水源地、湖とかダムとか、そういうものを持たない県がこういう干害にあったときには非常に悲惨であります。また、最後に私一点だけお聞きしたいことは、箱根の芦ノ湖ですね。芦ノ湖には満々たる水が現在あるわけです。この水は、どういうわけで不足している神奈川県の上水道水源地に回ってこないのか、この芦ノ湖の管理についてひとつお尋ねしたいと思います。
  156. 多治見高雄

    ○多治見説明員 芦ノ湖の水の活用につきましては、現在管理者は県でございますけれども、われわれのほうといたしましてもいろいろ研究はいたしておりますが、現在この水をどこに持っていく、あるいはどこに流すというような具体的な方策は持っておりません。
  157. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 管理の県はどこの県ですか。
  158. 多治見高雄

    ○多治見説明員 神奈川県だと思います。
  159. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 神奈川県じゃないのです。静岡県です。神奈川県か静岡県かわからないようじゃ困りますね。  それで、芦ノ湖の水は現在満々とある。この水を神奈川県では何とかしてくれと、再三再四いま静岡県と交渉中なんです。明治三十何年以来これが係争中なんです。こういう問題に対して、建設省としては、同じ神奈川県内のあの箱根の山中にある芦ノ湖をなぜ静岡県が管理していなければならないか、また、なぜこういう緊急災害のときに公益的な立場から水を神奈川県に譲ってやれないのか、あそこでは電気をつくるわけでもないし、ただあそこは観光、レジャーのための湖のように思いますけれども、この点については建設省はどのような見解をとっておられるのですか。
  160. 多治見高雄

    ○多治見説明員 神奈川県と申し上げましたのは私の間違いでございます。  芦ノ湖に限らず、いろいろ湖の水の活用につきましては問題の多いことは、御承知のとおりでございまして、それぞれ周辺の地域の利害関係等が錯綜いたしておりまして、なかなか簡単には解決しないというところが多いようでございます。もちろん、お話のように、あの水を最も国家的に有効に活用するということは非常に大事なことでございますので、われわれといたしましても、今後こういった点について十分研究あるいは検討していきたいというふうに考えております。
  161. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 この芦ノ湖の水は、埼玉県の二瀬ダムよりも貯水量が多いと聞いております。これだけの大きな自然的な湖にたまっている水を活用しないという点は、これは十八世紀の政治だと思うのです。そこを改めていくよう、また、公益の立場からいっても、建設省としては、今後神奈川、静岡の両県の間を取り持って、こういった場合には神奈川県に水を応急的に渡してやるのだ——その一つのいい例が、昭和四十年のあの東京都の渇水のときなんです。埼玉県は、飲み水がない東京に対して、あの農業用水を削ってまで利根導水路を通しまして荒川に毎秒五・五トンの水を落として東京都の渇水を救った例がございます。そういった人類愛的な点からいっても、また国の農業の基本的な政策からいっても、こういう点は早急に改めていかなければならぬ点だと思いますので、ひとつよろしく御配慮のほどをお願いしたいと思います。  以上、私はそういった点で質問させていただいたわけですけれども、あまりにも答弁が満足いきませんので、これはまたやり直ししなければならぬと思いますけれども、時間もございませんし、あとの方も待っていらっしゃいますので、本日はこの点にとどめておきます。
  162. 田原春次

  163. 稲富稜人

    ○稲富委員 これはあえて建設省、農林省、各省に聞くわけではございませんが、災害にもいろいろあるのでございますが、特に私はこの機会に申し上げたいと思いますことは、その災害の中で、干害というのは人災である、ある程度まで対策をとれば、当然この干害というものは除去することができると私は考えます。その点は、わが国はあまりにも古来より水に恵まれておったがために、水を粗末にしておるという点があると思うのです。私は数年前イスラエル国を訪問したことがありますが、あのイスラエルの砂漠地帯に水を引いて、農園でありましてもとうとうと年がら年じゅう水を活用しておる、こういう点を見るときに、ほんとうにわが国には水が足りませんなんということは恥ずかしくて言えないと思うのです。この点を考えますときに、わが国の干害対策をいま時分に論ずるがごときは、あまりにも水に対する政治がなさ過ぎたと言わなければならぬと私は思うのであります。もちろん、今日、水資源の利用方法等は検討されております。しかしながら、これは、単なる工業用水に対し河川の水を利用するというよりもさらにもっと基本的な、水というものを粗末にしないような水対策という国策を樹立する必要が非常にあると思いますので、こういうような干害に出会ったこの機会に、ひとつ十分政府としてもこれに対する根本的な考え方を樹立していただきたい、これが必要であるということを特にこの機会に申し上げたいと思うのであります。  さらに、気象庁がお見えになっておりますので、この機会にお聞きしたいと思いますが、よく人工降雨ということがいわれます。これに対してはすでにいろいろ実験等もされたようでございますが、十分成果があがっていないようであります。この人工降雨の問題に対しましてはいろいろ検討されておるのであるが、さらにまた将来こういう問題に対して考えられるのであるか、この点をひとつこの機会に承っておきたい。
  164. 柴田淑次

    柴田政府委員 人工降雨につきましては、だいぶ前から研究も進められ、実験もされておりまして、御承知のように、ある程度の成果はあがっております。しかし、今後ますますその研究を進めることによりましてその成果の程度を高めるということは可能であろうかと思います。しかし、どうしてもできない場合もあるということがだんだんわかってまいったということも確かでございます。たとえて申しますと、きょうのような快晴のときに人工降雨の種をまいても、とても効果はありません。
  165. 稲富稜人

    ○稲富委員 それから、この機会にもう一つ聞きたいと思いますが、イスラエル方面におきましては、非常に水がないので、海水の淡水化という問題が非常に検討されて、ある程度成功しているということを聞いておりますが、そういうことに対しましても、従来、水対策をやるという上から申しましても、一応これは課題として検討しなければならない問題ではないかと思いますが、これに対して、国としては何かの考え方、対策等を持っておられますか。
  166. 柴田淑次

    柴田政府委員 私のほうの所管ではございませんので、答弁をするとかえってまずいかもしれませんが、これは研究的にはずいぶん進んでおるように私聞いております。その実現はするわけでございますけれども、結局はコストの問題ではないかというような気がいたします。私はその程度しかお答えできません。
  167. 稲富稜人

    ○稲富委員 私もその程度ならばと思うのでございますが、この問題は将来の課題としてひとつ国として大いに取り組んで、いま言った人工降雨の問題、海水を淡水化する問題、こういうものを総合した一つの水対策というものを考えて、将来われわれが少なくとも干害に対していろいろ被害対策考えるということのないような、そういう事態をひとつつくり上げていただきたいということを申し上げたいと思うのであります。  その次に、時間がありませんので、結論だけ申し上げてお尋ねしたいと思いますが、それは、先刻同僚神田君から質問いたした問題でございまして、今回のひょうの被害でございます。干害対策等に対しては、事前に防ぐ方法も、やればできるだろうと思いますが、ひょうの局部的な自然発生によって生じた問題というのは、防ぐことがなかなか困難じゃないかというふうに、先刻も御答弁になったようであります。ところが、ひょう害に実際にかかりましたところは、非常に被害が甚大で、局地的であります。これは非常に範囲が狭い。こういうようなことに対して、激甚地としての指定も不可能であるとか、あるいは天災融資法の適用もおのずから受けることができないというような状態に見放されるということが多いのであって、被害をこうむった農家というものは困る問題が非常に多いのであります。これに対しては何か特段の方法考える必要はないかと私は思うのであります。たとえば、先刻福岡県の例で御答弁があったのでございますが、福岡県は五億五千七百八十五万三千円の被害を今回こうむっております。ところが、この被害面積は三千六百六十ヘクタール、この三千六百六十ヘクタールの中から五億五千七百万の被害をこうむっております。しかもこの三千六百六十ヘクタールの中で、麦の面積が二千三百六十三ヘクタールございます。麦の被害が一億五千五百九十九万九千円ですか、こういうような結果になっておるのでございます。事実上、麦以外の被害が千二百九十七ヘクタールで、四億百八十万円というような被害をこうむったという結果になっておるのでありまして、それだけ、その被害をこうむった局地的な惨状というものがこの規模の上にあらわれておると思うのであります。ところが、麦の場合は当然共済のほうの対象になりまして、農業共済としての補償もされることになりますが、その共済の対象外に置かれた一般被害というものが、いま言うように千二百九十七ヘクタールで四億以上の被害をこうむっている。こういうような惨状に対して、どうもこれは天災融資法の融資を受ける状態でもないからがまんしなさいということで見送るということは、私はあまりにも涙がなさ過ぎると思う。こういう問題に対しては何とか考えなければいけないと思いますが、これに対して、いかなる方法をもってこの農民が次の生産に立ち上がれるような事態をつくろうという考えを持っておられるのか、承りたいと思います。
  168. 大田康二

    大田説明員 私の説明が不十分であったのであるいは誤解を受けたのかと思われますが、先生も御承知のとおり、ひょう害も当然天災融資法の対象になっておる天災でございまして、過去の例を申し上げますと、三十八年、四十年、四十一年、これはいずれも相当な被害面積があり、かつ被害金額も大きかったわけでございますが、天災融資法を発動し、さらに自作農維持資金も融通したというようなこともやっている事例があるわけでございます。先ほど神田先生に申し上げましたのは、五月十四日の主として関東三県に降りましたひょう害につきましては、被害額が五億五千三百万程度であって、いままでの天災融資法を発動しておる基準には必ずしも該当しないので、天災融資法なり自作農維持資金を融通することは困難だろうと思います、こう申し上げたわけでございます。ただいま先生のおっしゃいました五月の——福岡が一番多いわけですが、二十八日から三十日までのひょう害につきましては、今後その被害の集計を待ちまして、申し上げる基準に該当いたしますれば、これは当然従来の例にならいまして、天災融資法の発動、あるいはそれと並行いたしまして自作農維持資金の融通という道は開いた例もあるわけでございますから、これに準じた措置が講じられるというふうに考えております。
  169. 稲富稜人

    ○稲富委員 当然そうでなければいけないけれども、先刻あなたは一緒に福岡の被害も加えて御答弁になって、どうもこれは適用されないような状態だ、こういうようなことも言われましたので……。このことは同時に大蔵省にも関係があるし、大蔵省からも思い切ってやってもらわなければいけませんから主計官も十分承知していただきたいと思いますが、ひょうの被害というものはそういうように非常に大きいのですから、当然今後被害実情があがってくると思いますが、そういう場合には、同じひょうの場合、福岡だけで五億の被害であって、ほかにも点々としてありますから、こういう同じ期間内に起こったものは、同じ天候異変によるひょう害でございますので、日本全部のものをくるめてやっても私は何も不合理じゃないと思うのです。こういうような同じ異変によって生じたひょう害でありますので、なるたけこういうものは大きく統計に入れて、ともに天災融資法の適用を受ける、こういうような方法をやってやることが、非常に国民に対して親切なるゆえんであり、これが法の精神でもあると考えるわけです。こういう観点で今後この問題をひとつ処理していただきたいということをお願いしたいと思いますが、いかがでありますか。
  170. 大田康二

    大田説明員 私が先ほど、困難でございますと申し上げたのは、実は五月十四日の分についてのお答えのつもりでございましたが、その後起こりました五月二十八日から三十日の分につきましては、実は、先生も御承知のとおり、まだ統計調査部の被害の集計もできておりません。これらを待ちまして、従来の例にならいましてそれぞれ措置をいたしたい、かように考えております。
  171. 稲富稜人

    ○稲富委員 特に福岡の場合申し上げてみたいと思いますことは、これはあなたのほうには報告も来ておると思いますが、苗しろであるとか植木であるとか、お茶であるとか、従来ない被害があるのでございます。お茶はいまちょうどお茶つみの時期でございます。ひょうの被害でこのお茶が損害をこうむっておる。たばこの被害もあります。こういうようないまだ類のない被害をこうむっておるのでございますから、こういうことに対しては融資対策を十分考えてやらなければいけない問題ではないかと思います。  それから、当然今度は果樹の被害があるのでございます。果樹共済の問題は多年要望されておりますから、今日これは農林省としてもすでに提案されておるかに承っておりますが、聞くところによりますと、これは任意共済として一応試験的にやろうという計画があるということも承っておるのでございますが、はたして任意共済でこういう問題がやれるかどうかという問題であります。現に、農林省は十分承知していらっしゃいますが、かつて任意共済といたしまして福岡県でなたねの任意共済をやりました。これが二十八年の災害で、任意共済でありましたがゆえに、非常な借金をかかえまして、福岡県の共済ではいまだになたねの共済の借金を返しているという状態に置かれているのでございます。任意共済というものは、共済制度でありながら、こういう非常な悲劇を生む場合がある。共済をやるというならば、もっと政府が積極的に取り組まなくちゃいかぬのじゃないか。ただ、試験的だということになると、なまぬるい試験をやっているうちにだめだということになりますし、せっかくの共済制度が生きないということになると思う。こういうことに対しては、どうせ農林水産委員会で論議されるだろうとは思いますけれども農林省としてはどういう考え方を持っていらっしゃるのか、この機会に承っておきたいと思います。
  172. 松永正隆

    ○松永説明員 先生御承知のとおり、実験実施ということで、対象は六種目程度に限って実施をしようということになったのでございますが、根本的には、おっしゃいますように、任意共済の過去の事例は非常に失敗の事例が多いのでございまして、望むべくは強制的な方式がいいという考え方もございますけれども、地域的にいろいろ片寄った状態になっております。しかも果樹の種類によりましてそれに対する保険の需要というものが必ずしも一様ではない、こういうような事情にございますので、五ヵ年の実験期間を通じまして基本的にいろいろ検討いたしまして、その上で結論を見出したい、こういう考えでおるわけでございます。
  173. 稲富稜人

    ○稲富委員 横道に入りますけれども、この任意共済の問題は、試験的にやっておる間に失敗を生じて、福岡県のなたねのような問題が生じないとも限らない。私は自分でそういう苦い経験をしておるだけに、十分に考えてやっていただきたい。しかも今回果樹の被害の問題は生じている。果樹共済の問題は、年々歳々やはりみんなが希望される問題である。せっかくこの果樹共済というものに取り組んで、果樹に携わっておる農民を安心させようとするならば、やはり政府ももっと確信のあるような方向で積極的にこれに取り組む必要があるのではないか、こういうことを考えるわけなんです。こういう点から、今回の特にひょうの被害なんというのは果樹に及ぼす影響が非常に大きいものですから、私は特にこの機会に希望を申し上げたいと思っておるわけであります。  最後でございますが、今回のこういうような天災融資法の適用に対しては、先刻、大いにそういう方向で進んでいくように希望申し上げて、大体政府の意向もそういうことであるように私も受け取りますが、さらに、麦その他の被害というものは相当に大きいのでありまして、これに対しては、種子購入その他に対する補助の問題、助成の問題、こういうことも将来考えていかなければいけないと思いますので、被害の実態があがってきました上で、農民のこの惨状に対しては、次の生産に元気を出し得るように、こういうような対策をもって処していただくように、私具体的な事実がわかった上でまた具体的な要望もしなければいけないと思いますけれども、この段階においては、そういうことでひとつ政府対策も考慮してもらう、こういうことを希望いたしまして、政府のこれに対する御意思を承って、私の質問を終わりたいと思います。
  174. 大田康二

    大田説明員 せっかくの先生のおことばでもございますし、われわれといたしましても、できる限り災害の場合には手厚い措置を講じたいというふうに日ごろ念じておるわけでございますが、従来の例等もございますので、これらに準じて措置してまいりたい、かように考えます。      ————◇—————
  175. 田原春次

    田原委員長 次に、長野市周辺の地震による災害対策について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。中澤茂一君。
  176. 中澤茂一

    中澤委員 地震対策の前に、一応委員長お願いしておきたいのは、この晴天があと四、五日続いたら、干害は加速度的に広がるという特徴があるんです。われわれもずいぶん災害を扱っていますが、あと今週一ぱいこの晴天が続いたら、被害は、いま十二万七千ヘクタールという御報告がありましたが、おそらく処置ないような事態が局部的に出てくるのではないかと思うのです。そこで委員長に要望したいことは、もし今週中この晴天が続くならば、来週はどうしても、利根水系——いまいろいろ問題になっている多目的ダムが、何のためにつくられているのか、わけのわからないような御答弁だが、特にこの多目的ダムの調査と、それから利根水系の干ばつ状況の現地調査を冒頭に御要望申し上げ、気象庁長官の報告では、続くようでありますが、その結果もし現状が続いていくとすれば、私は、農林大臣、建設大臣、大蔵大臣に本委員会に御出席を願って、そこで議論をしないと、いろいろいま答弁を聞いても、何だかくつの上からなでているような話ばかりしておって、そういう答弁では——実際被災農民の立場に立てば、ここで植えつけができなければ米が一年じゅうとれないのですよ。重大問題なんです。そういう点においても、われわれが地方農政局をつくるときに反対したというのは、地方農政局をつくって行政が屋上屋を重ねたために、どうもこのごろ本省の皆さんがあまりにも現地を知らなさ過ぎる。地方農政局をつくらぬ前は、こういう事態があると、たちまち農林省の皆さんも一緒に現地調査をして、そして委員会をやって対策をどんどん立てていったから、進んでいったのです。ところが、どうもこの通達などを見ても、地方農政局長あてに次官から通達を出して、これでもう干害対策の責任は大体終わったというような考え方で災害に取り組んでもらっては、これは被害農民の立場からは助からないですよ。ですから、私は、このつくってしまった行政の二重構造をいまさらどうしろと言ってもどうにもなるものじゃないですが、とにかくいま少しこの災害というものに本省の諸君にも真剣に取り組んでもらいたい。たとえば神田君の質問を聞いておっても、五億何千万だから、それは従来の例によってという。ひょう害の特殊性というものをこの際災害特別委員会は再検討しなければいかぬと私は思う。ということは、ひょう害は局部的にもう全滅なんですよ。何も収獲がない。まあ春先の芽をふくときの早いひょう害なら、植え直しをやるとか、畑作もまだものになるけれども、さもないと、たばこなどももう葉が大きくなってきたが、ここへばっときたら、もうそれでその畑は一年じゅうたばこも何もとれない。ひょう害の特殊性というものを考えないと、天災融資法の適用をするにも、局部的な農民はにっちもさっちもいかなくなっているのですよ。普通の災害並みに、被害額が何億をこえなければ天災融資法は適用しないとか、あるいは激甚は適用しないとか、それは行政だから、私はある程度の法律上による画一主義は認めないわけではないが、ひょう害というものは特殊な災害であるということを、この際われわれいま一度再検討しなければいかぬのじゃないか。特にひどくきた後は、二ヵ村なり三ヵ村というものは何もとれないのですからね。そういうところへ、県全体の平均がどうだから、これはめんどう見ません、そういういままでのやり方というものには私は批判がある。この際、これは大臣諸公に来てもらわなければ話にならぬが、いま一度ひょう害の特殊性というものについて再検討する必要があると私は思う。五億何千万だから、どうも天災融資法の適用にならぬだろう、そういう答弁では、被災農民としては納得できないと思うのですよ。だから、ひょう害に対してはいま一度再検討するということを、これは委員長にもお願いしたい。このひょう害の特殊性というものをいま一度考えねばいかぬ。普通災害と一緒に込みにしてひょう害を考えてはいかぬと思うのですね。だから、それは干ばつとからんで、気象庁長官予報では、ちょっと見込みはないだろう、ここへ沃化水銀をまいてもどうも雨は降ってきそうもないというのですが、これは今週中降らなかったら、重大な問題になりますよ。政府のほうでも、先ほど長官が、至急関係閣僚によって方法を講ずるということだが、早急にやらなければいかぬ。  特に、私は先ほど農林水産委員会でもあなたに言ったように、たとえば東北の二十四台ですか、これはもう全部出ちゃったでしょう。東北なんかはわりあい水に恵まれているから、揚水機があれば助かるところがだいぶあるのじゃないですか。東海は、四十八台のうち十台しか使っていない、三十八台余っておる。あるいは関東も、五十七台のうち三十八台使って、余っておる。これをすぐ東北に輸送することは考えないのですか。東北は、二十四台満ぱいで、もうないでしょう。東北の二十四台は全部出ている。そちらで足らなければ、至急東海なり関東から輸送してやるが、どうだという、そういう手配はしてあるのですか。
  177. 田原春次

    田原委員長 委員長に対する御要望につきましては、適切なことだと思いますので、理事会で相談して善処することにいたします。
  178. 大田康二

    大田説明員 そういうこともあるということを考えまして、そこに書いてありますように、一応農政局間で融通をするということで、農地局にその統轄をしていただくことにして、農地局に相談していただいて、東北のほうから要請があれば、当然いま言ったような措置は講ずるというたてまえでおるわけでございます。
  179. 中澤茂一

    中澤委員 それから、先ほどからずっと私、議論を聞いていても、近代化資金であなたと阿部君の議論が非常にすれ違っているわけですが、その近代化資金の概念の問題なんです。近代化資金とは一体何ぞや。われわれはこの法案もさんざ議論して通した経過はありますが、いままでの近代化資金の概念というのは、少なくとも政府の農業基本法によるのです。協業化なり共同化を進めていくのが近代化だという概念で問題を扱っているのです。ここに問題がある。私は、近代化というのは、そればかりが近代化ではないと思う。たとえば、これだけ科学技術が進んでいるときに、干害を起こさないための近代化というものは恒久対策としてどうするかというのは、近代化の概念の中に入ると考えなければいかぬと思う。災害が来てからあわててポンプをあっちに送ったりこっちに送ったりという話よりか、もしこういう災害が来たらば、この水の不足地帯は一体どう水をまかなっていくかということが、農業の近代化なんですよ。だから、そういう面において、阿部君の質問は、もっと近代化という問題について考えろということで、要するに、近代化といえば、機械でも買ってくるのが近代化であると考えておるところに、あなた方の頭の古さがある。いま少し概念を変えなければだめなんです。近代化というのは、干害が来る前に、事前にぱっと手を打つのが近代化政策なんですよ。そういうふうに考えるならば、近代化資金というものをもう一度違う角度から再検討する必要があるのじゃないか。機械化ばかりが近代化じゃないのだ。近代化というのは、災害を未然防止するのが農業の近代化なんだ、こういう概念に変えていけば、さっきのあの議論の食い違いというものはないわけなんですよ。ところが、あなたは、既成概念で、近代化といえば、共同化したり機械を買うのが近代化だ、こういう概念で問題を扱うから、ああいう議論のすれ違いが出てくるのです。そういう点についても、近代化資金もいま一度再検討してみる必要があるのじゃないか。  それから補助率の問題ですが、これはたしか三十九年でしたか、現に二分の一補助にしたのですよ。それは大蔵省はだいぶ抵抗したが、最後は押し切って、二分の一補助をしろ、残の二分の一に対して、県が二分の一出した県もある。そういう形であの全国的な大干害はめんどう見たという先例もあるわけです。今度の場合だって、現在十二万七千ヘクタールの被害が出ているのでしょう。今後雨が四、五日降らなければ、もう加速度的にたちまち二十万、二十五万ヘクタールというところへ被害が広がっていくのです。だから、そういうふうに加速度的に広がっていくのですから、補助率の問題は、これは干ばつとしてはやはり異常干ばつですよ、それならば、異常干ばつという姿勢の中で行政措置を進めていかないといけないと私は思う。ところが、午前の農林水産委員会でも、通達だけ出して、そのお経だけはいったけれども、お布施がついているかといえば、お布施はついていないらしい。これからまだ財政当局と折衝しますというような話ですよね。折衝してないでしょう。しているのですか。
  180. 大田康二

    大田説明員 従来の例にならって前向きで補助するというようなことにつきましてのおおむねの話は、大体大蔵省と話がついておるわけでございます。
  181. 中澤茂一

    中澤委員 嶋崎主計官、どうだね、話はついていますか。だいぶ出しそうですが。
  182. 嶋崎均

    ○嶋崎説明員 お答え申し上げます。  今回の干害につきましては、すでに御承知のとおり、先ほど農林省のほうからお答えがあったように、連絡がありまして、どういうぐあいに対処するか、まだ実は詳細な被害金額等につきましては吟味が済んでおらぬわけでございます。過去の例からいいましても、およそ統計調査部の被害金額というものを基本にしまして、それを基準にいろいろ手当てをするというたてまえになっておりますので、そういう吟味はとても現在の段階でできることではない。先生がおっしゃるように、日を追うごとに被害状況は進行していくというような状況でございますので、そういうものを受けて、具体的にどういう対策、手当てをするかという問題になると思います。ただ、その場合でも、農林省から話を持ってきて大蔵省が渋い話だけをしている場合には、非常に前向きに仕事をする場合に消極的になる面があろうかと思うので、そういう心配はなしにこういう災害には対処しなければいかぬというぐあいに私のほうは説明をしているわけであります。そういうことが先ほど御報告になったものだと私は受け取っておるわけであります。  それから、御承知だと思いますけれども災害に対するところのいろんな手当てというものは、まあ十分であるかどうかはともかくといたしまして、戦後数次にわたるところの災害の経験を経まして、一応の体系というものはできてきているわけでございます。それらの体系につきましてはそう不安なしに従前の例で対処できる。もちろん天災融資法の範囲のところに書いてあるいろんな災害の態様の中にも、実は干害は「等」ということばで書かれてあるように、あまり事例はよけいありません。したがって、従来の先例、またよそとのバランス等を考えましてどういう対策を講ずるかということになろうかと思いますけれども、いずれにしましても、被害対策のあり方につきましてはおよそのルールというものは確立されておりますので、そういう点にのっとってやっていきたい。  なお、災害対策でいろいろ手当てを講じまして、先ほどの近代化資金の問題等とのからみでございますけれども、この点につきましても、いま主として問題になっているものは、いわゆる稲作を中心にした問題。稲作については、御存じのように、今度植えつける時期を基準にしまして共済金も動くことになっておりますけれども、植えつけできなかった場合の手当ても一応準備されておるわけでございます。そういう点も十分考慮しながら、従来の先例によりまして、大蔵省としては十分農林省の意見を聞いて判断していきたいというぐあいに考ておるような次第でございます。
  183. 中澤茂一

    中澤委員 嶋崎主計官は非常に農民に理解ある主計官だから、私はその辺を大いに期待していますが、大蔵省というと、とかく、わけのわからない金を二千億円も三千億円も出してみたり、わずか十億か二十億の金を出せば被災農民が涙を流して喜ぶような金を出し渋ってみたり、どこかから文句を言ってくると三千億ぐらいすっと出してみたり、そういうところは、財政当局はき然とするところはき然としてもらって、めんどうを見るところはとことんまで見るという、そこにこそ大蔵省の弾力ある運営が必要なんで、わけのわからない金を二、三千億ひょいと出してみたり——そういうことは政治の問題で、嶋崎主計官を責めてもいかぬですが、とにかく災害なんというものは、ほんとうに食うか食われるかの境にきた農民の自然との戦いなんです。それを政治がカバーしてやらないなら、政治なんかなくたっていいのです。それをいつも事前にカバーしてやるのが政治なんです。そういう点において嶋崎さんは非常に農民に御理解があるから、私は大いに期待しています。それについては、たしかこの前の災害には、助成は、四割じゃなくて、二分の一という先例が干害ではあるのです。二分の一という先例があって、それに対してひどいところは県が残の二分の一を補助した、こういう例を私は承知しておるのです。その辺まで今度の干ばつは前進させてもらいたいと思う。先例は幾つかあるが、先例のなるたけ渋いほうだけとってやっていこう、こういうのは私は感心しないのです。前向きでやるならば、先例の新しいものをとって前進させていく、そういう姿勢で今後特に大蔵省、嶋崎さんに私は要望しておきます。  そこで、松代地震の問題に入りますが、これは非常に御理解を願いまして、対策としては、今度の松代地震対策だけは大体現地住民も八〇%の点数はいいだろう、合格点は与えられるだろう、そこまで非常によくやっていただいたわけです。非常に現地住民も喜んでいる。そこで、このごろ、佐藤総理の災害対策委員会における言明によって、地震センターをつくろう、地震の各省のばらばら行政を一本に統合化していこう、こういうことが災害対策で議論され、総理も、地震センターをつくることには賛成だ、こういう総理のお声がかりで地震センターができたわけです。当時副長官で非常にお骨折り願った細田先生にも御出席を願って、地震センターに委員長はじめ災害対策の皆さんにおいで願いまして、開所式に参列させていただいた。ところが、竹花所長の御報告を聞いてみると、これは資料を散逸しないように一ヵ所に集めるだけだ。予算要求も総額五千四百万をやった。ところが、千三百万に大なたをふるわれてしまった。われわれ行ってみても、その資料室さえ、狭くて委員が満足に歩けないんです。説明しようと思ってわれわれを案内するのですけれども、そこに七人も八人も議員が入れないのです。これでは、総理のお声がかりにしてはあまりにも貧弱過ぎるではないか。実は開所式の席上、佐藤総理の目方は千三百万かという批判が出てしまったのです。そこで、これは各省がばらばらでいろいろな要求をしたところに、大蔵省として査定する問題があったわけです。認められたのは、長官のところの気象庁科学技術庁、この二つが認められた。それが合計して千三百万だった。  そこで、気象庁長官にお伺いしますが、どういう規模のものをお考えになって、予算のほうは幾ら御要求になったのですか。
  184. 柴田淑次

    柴田政府委員 実は、先生御承知のことと思いますが、地震センターは、気象庁だけではなく、いろんなところが一緒になってやっておりますので、私のところは私のところだけで出したのでありますが、それを全部科学技術庁のほうで調整されまして、そしてそのあとを受けて各省で予算を出したということでございます。それで、私のほうだけで要求いたしましたのが七百八十三万九千円でございます。——ちょっと私ここに資料を持ち合わせませんが、科学技術庁と調整の上で出して認められた額が七百八十三万九千円でございます。
  185. 中澤茂一

    中澤委員 おたくのほうで認められたのが七百八十三万というと、科学技術庁のものが約五百万くらいですかな。
  186. 高橋正春

    ○高橋(正)政府委員 お答え申し上げます。  私のほうでは、これは科学技術庁の特別研究促進調整費、各省庁にわたります総合研究をいたします場合、不時の事態に対応いたしまして各省庁に移しがえをいたしますところの予算でございますけれども、四十一年度当初要求額は、一千七十八万三千円でございます。これは実は当初四ヵ月の分を考えまして要求を申し上げたわけでございますが、建設の経緯に伴いまして、実際的に運用いたしますのが二月、三月の二ヵ月に相なりましたので、そういうわけで、月割りにいたしまして五百二十六万五千円、こういう金額に落ちついたわけでございます。
  187. 中澤茂一

    中澤委員 これは、先ほども言ったように、総理のお声がかりで一千三百万とはどうもあまりにひど過ぎる。あれはセンターなどという名に値しないですよ。これは地元でも非常に不満があったのです。とにかく、既設の建物をあちこちペンキ塗りをして、ちょっと見たところをよくして、前に使っていた事務室の一部をさいてそれを資料室にしたというだけで、これはセンターなどというものに値しないのです。それで、私はかつて災害対策特別委員会でも言ったように、予算委員会の調査で内之浦へ行ってみたところが、ミュー一発打ち上げるのに二億円、失敗しても成功しても一発二億円かかるというのです。ですから、もう宇宙のことはアメリカとソ連にまかしておけ、そして少なくともミュー一発分くらいは日本は土の下の研究になぜ一体金が出せないのだろうか、地震についてはいま日本が世界の最高峰をいっておる、これだけの地震国ですから、やはり土の下の研究というものにもっともっと科学技術庁は本格的に取り組むべきじゃないか、そういうふうにしみじみ痛感するのです。松代地震は皆さん終わったように思われているかもしれないが、依然としてこのごろも震度四というものは発生している。ただそれが皆神山から冠着山を越えて松本方面に震源地が移動しただけです。沈静状態に入ったが、研究データとしてはまだ依然として絶好のチャンスなんです。地震は動いておるのですから、四十三年度予算で少なくとも二億円、ミュー一発分くらいはどうしても地震研究にもらわなければいかぬと思っている。とにかく一発上げて二億円でしょう。われわれが行ったとき、ちょうど装備してこれから打ち上げるところで、失敗したけれども、それが一発二億円だというのです。ぽんと上げて二億円。土の中に二億円ほうり込んだら、日本の地震研究というものは飛躍的に私は進んでいくと思うのです。  そこで、科学技術庁と気象庁は四十三年度予算ももう八月から始まりますが、思い切った予算要求、大体私の希望はミュー一発分、これだけ要求する御意思があるかないか。いまのところ、予算要求の大体の大綱としてどういうところを科学技術庁と気象庁考えているかを御答弁願いたい。
  188. 高橋正春

    ○高橋(正)政府委員 中澤先生の御質問は、四十三年度の構想ということでございますが、なお現在庁内で検討いたしておる段階でございます。問題は、松代地震センター自体の性格と申しますか、現時点のように、要するに、各省庁がそれぞれ観測なり調査を行ないまして、その資料を持ち寄りますところのいわゆるデータセンター的な性格を持ちまして行ないます場合は、その場合は、調査自体の経費と、あるいはデータセンターといたしまして、収集いたします経費とおのずから別になると思いますけれども、収集いたします経費そのものは、結局、調査項目が非常に膨大になりました結果といたしまして、資料自体の数も上がるわけでございます。そういたしますと、結局、各省庁がおやりになります調査項目なり調査内容というものの作業量が増大するという前提がなければならないわけであります。観測陣その他の陣容から、これは私の個人的な見解にわたりまして恐縮でございますけれども調査自体の内容が飛躍的に数多くなるということは、いまの時点では想定されないのではないか。そういたしますと、現在四十二年度において私ども考えております程度——程度と申し上げるとあれでございますが、その予算をもちまして、いわゆる資料の収集、整理並びにこれを一般に供与せしめる、そういう段階の業務のみは、大体私のほうで四十二年度に九百六十万ほど用意いたしておりますけれども、この数字を上回ることはないのではなかろうか。全体的な調査自体の眼目がまた改まりますれば、それに伴いますところの資料収集費その他も当然これは増加すると思っております。その辺、結論的なことを申し上げられませんけれども、想定で申し上げます。
  189. 柴田淑次

    柴田政府委員 松代地震センターにつきましては、予算面及びその調整は科学技術庁のほうでおやりになるというたてまえになっております。先生さっき地震研究とおっしゃいましたが、地震研究というものになりますと、ひとり松代センターではございませんので、日本の地震研究ということになりますと、これはもっと広い範囲になってまいります。それにつきましては、御承知と思いますけれども、測地学審議会というものがございまして、そこで全部の研究に対する予算の調整をはかるということになっております。
  190. 中澤茂一

    中澤委員 要するに、地殻構造の研究をやろうといって、災害のまっ最中に穴を掘ったわけです。ところが、最初二千メートルばかり掘れというのに、二百メートルばかり掘ってやっておるわけですね。あれなんか、あの機会に二千メートル掘ると下からマグマがふき出してきて爆発するし、やめようというので、それならわれわれもやめようというので了承したので、あの地殻構造の研究なんというものは、私はしろうとだからわからぬが、近似点の爆発でも大体二キロから三キロの爆発点でしたから、少なくとも、この際ここまで鎮静したのですから、二千メートルか三千メートル掘って地殻構造研究をやるということを科学技術庁は考えないのですか。あのままじゃ困りますよ。二百メートルばかり掘ったってどうにもなりませんよ。
  191. 高橋正春

    ○高橋(正)政府委員 御指摘のとおり、前に二百メートル掘りました。これは日本では初めての研究と思います。先生の仰せの中にございましたように、当時は地震自体が激しゅうございましたので、地上のやぐらその他の構築物建造関係、それからボーリング自体の技術、それから地熱というような問題につきまして、はたして技術的に可能であるかどうかということが非常に問題であったわけであります。そういう点につきましてその後も検討はいたしておりますが、この間、二十五日でございますか、現地での研究者の連絡協議会を開いたわけでございますが、先生の御指摘のような御要望も出たということを承っております。技術的に可能であるかどうかということを十分検討いたしたいと思います。
  192. 中澤茂一

    中澤委員 技術的に可能であるかどうか、それは研究の余地があるであろうが、当初科学技術庁は、二千メートル掘って近似点の爆発点の地殻構造の研究をやろうという意見がだいぶ強かったのですよ。けれども、それが、掘っていったはいいが、どかんときたらたいへんだというのでやめたという経緯があるのです。ですから、ここまで鎮静したのですから、やはり技術的に可能であるかどうかを至急検討して、四十三年度予算の要求には、やはりあれを二千メートルまでは掘って、地殻構造の研究と地熱の変動その他をあの中に機械を入れて測定するということは、私はしろうとだが、やはりやるべきだと思う。科学技術庁で検討して、やっても意味がないというなら、これはやめていただいてもけっこうですが、できたら地殻構造研究というものをこの際徹底的にやるべきである、こういうふうに考えておるのですが、その予算要求までに間に合うように技術的な検討は終わりますか終わりませんか。四十三年度予算は八月から始まるわけですから……。
  193. 高橋正春

    ○高橋(正)政府委員 ボーリング自体、私どもの所管をいたしております国立防災科学技術センターが行なうわけでございますが、もちろん、関係省庁に共通的な部面等で御協力をいただかなければならぬわけですが、防災センターに運営委員会というような組織もございまして、内部的な業務のやり方につきましての協議をいたす機構もございますので、そういうところにはかりまして、関係省庁の技術者の方々の技術的な御判断等も伺いまして事を処したい、こう思っております。
  194. 中澤茂一

    中澤委員 副長官お願いをしておきますが、地震はまだ終わったわけじゃないので、震源が移動して冠着山の下にいま爆発点が移って、これは東筑摩郡でございますが、坂井村、麻績村、それから大岡村、こういう地点もいま被害が出ているわけです。これに対して農業災害のほうは、事前着工で、もう先手を打ってどんどん植えつけまで仕事をしてもらっておりますが、今後いろいろな取りまとめは依然として副長官のところでしていただかなければならぬと思う。それから、各省のいろいろなトラブルや調整は、かつての時代は細田副長官が非常にお骨折りになって、松代地震のために副長官になったんだと思われるくらい松代地震に取っ組んでいただいたわけです。現地でも県でも非常に感謝して、この前開所式においでを願ったわけです。  官房副長官にいま一つお願いしておきたいのは、とにかく総理のお声がかりで——あの地震センターは、一度おいで願えばわかるが、あまりにも貧弱きわまる。千三百万で何にもできるわけじゃないのです。ただ青ペンキを塗って、あっちこっち見たところをよくしただけで、資料室へわれわれ八人の議員が全然入れないという、そういうものが佐藤総理のお声がかりだなんというのは、現地では前の町長なども非常に不満を持っているし、県の知事も、祝賀の席上、こういう不満を言うことは皆さんに申しわけないけれどもといって、これが総理大臣のお声がかりですかというような、皮肉ともつかぬ、いやみともつかぬ祝辞を申しておりましたが、これは、やはり日本の地震研究というものも世界最高峰をいっておるのだから、将来外国からも相当資料調査研究者が来ると思うのです。そういう面についていま一度総理の再考を促して、四十三年度にはいま少し、これなら総理がお声をかけただけのりっぱなものだわいというくらいの建物は建ててもらわぬと、あれではかっこうがつかないですよ。ですから、その点を今後よく長官ともお打ち合わせ願いまして、総理にもお話して、ずいぶんひどいものだそうだ、あなたのこけんにかかわるから、来年度予算は総理のお声がかりで少しふやせ、こういうことで四十三年度予算ではこれはぜひ御努力を願わぬと、あれでは、地震センター、世界のメッカでごわすなんということはとても言えるしろものではございません。細田前副長官も、これはひどい、これじゃ総理のお声がかりの価値がないじゃないかと言われたくらい、行って見ると実に貧弱きわまるものなんです。地震は依然継続しておるのですから、今後どういう事態が出るかもわかりませんが、その点についてはぜひとも御協力をお願いしたいということと、地震センターの強化拡大予算というものを四十三年度にはどうしてもつけていただきたい、こういうことを御要望申し上げて、一応私の質問は終わりといたします。
  195. 上村千一郎

    上村政府委員 中澤委員のおっしゃることはごもっともでございまして、私も実は副長官に就任以来、前任者の細田さんからもいろいろと承っておりまして、そして私も現地へ参りましてよく拝見をいたしました。また、松代の関係につきまして、いま先生がいろいろおっしゃって、これが済んだというふうには私ども考えておりません。佐藤総理は、先生がおっしゃったように発言をしておって、できていないということではいかないということで、私、現地から帰ってから、科学技術庁あるいは運輸省の気象庁の幹部の方々、その他大蔵省関係というふうな中へ入りましていろいろと進めたわけでございます。その間にきわめて科学的な要素がたくさんございまして、なかなかいろいろと御意見もおありなんですね。しかし、とにかく出発せいと総理が発言をしておいて、いつまでたっても緒につかないということはこれはまずいということで、強く申しました。ところが、その予算の編成、いろいろな要求過程におきましてもなかなかスムーズでございませんので、実は私ども中へ入ったわけでございます。入りまして、不十分ではあるかもわからないが、とにかくスタートだけはさして、そしていま先生がおっしゃったような諸般の点なども考慮しながら、ひとつ期待に沿うようなほうへ持っていって——理想的な段階につきましては、非常に意見がいろいろとございまして、きわめて不満足な点に相なっておるかと思いまするが、今後ともひとつ御意見の御趣旨をよく体しまして私のほうとしても努力いたしたい、こう思っております。      ————◇—————
  196. 田原春次

    田原委員長 先ほど小川委員の御質疑に対する答弁が保留になっておりましたので、厚生省の関係につきましてこの際質疑を許します。小川新一郎君。
  197. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 先ほど相模湖、津久井湖の件でお尋ねしたわけなんですが、先ほどと同じことを言えといっても、これは無理でありますので、多少違っていると思いますけれども、相模湖、津久井湖の水がいまないわけです。本日現在で四割しかないという状態であります。この水の目的というものは、神奈川県の昭和五十年度の県民を六百万人と見込んだ上で建設された津久井湖でありまするが、この程度の雨でもうこのようにからからになってきた。この水は農業用水にも使われておるのではないかというのが私の質問なんです。ところが、先ほどの御答弁では、農業用水関係ないように御答弁でありましたので、これが厚生省関係だということで実はお呼びしたわけでございますが、その実態はどうなっておるか。私の調べでは、農業用水に毎秒一三・八八トン植えつけのために流れている。ところが、この水も、いまの状態では、毎秒一三・八八トンが不可能になるのじゃないか、こういう危惧のもとに質問したわけでありますので、この津久井湖、また相模湖の実態はどうか、この点が一つ。  それからもう一つは、芦の湖の件です。——これは関係ないですか。それではその点だけ……。
  198. 武藤き一郎

    ○武藤説明員 ただいまの御質問の点でございますが、津久井湖の計画には農業用水計画は入っておりませんけれども、相模湖の計画には、先生の御指摘の点につきまして農業用水関係計画が入っております。
  199. 松井芳明

    松井説明員 先ほど御答弁できないで失礼しましたが、直ちに調査いたしましたところ、相模湖につきましては、県営の畑かん事業として、河水統制の負担金を三十九年に出してございますが、これは畑かんの水でございまして、一応水田には関係ございませんので、ただいまの先生の御質問の点には直接関係がないかと思います。
  200. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 そうすると、この一三・八八トンの水というものは、稲のほうには関係はないけれども、畑のかんがいのほうには必要がある。この渇水対策は、何も稲ばかりでございませんで、畑のほうも、これは農作物の問題として取り上げなければなりませんので、この一三・八八トンが取れなければやはり相当の被害が出ると思いますが、この点についてはどうですか。
  201. 松井芳明

    松井説明員 ただいま先生のお話の水量の点については、まだはっきりしておりません。負担金として出しましたのは約三百万程度、非常に少額でございますので、水量についてもそれほど大きなものではないんじゃないかというふうに考えております。詳細についてはまだよく承知しておりませんが、御指摘のとおり、畑かんの水にしましても、畑の作付上非常に重要な要素がございますので、その点につきましては県の企業局のほうと十分打ち合わせいたしまして、できるだけ支障のないように、水の調整については話し合いをしてまいりたいと思います。
  202. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 東京都へ神奈川県から節水方を申し込んだのはどれくらいの量なんですか。上水道の関係です。
  203. 武藤き一郎

    ○武藤説明員 現在神奈川のほうから東京都のほうへ一日二十三万トンを分けているわけでございますが、これの二割ないし三割程度の節水を申し入れたというふうに聞いております。
  204. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 そうしますと、神奈川自体の上水道の節約も行なわれていると思いますが、これはどうですか。
  205. 武藤き一郎

    ○武藤説明員 きょう現在で調べました相模湖、津久井湖の状況を御説明いたしますと、相模湖は満水でありますと五千万トンでございますが、現在約四割の一千七百万トンという状況でございます。それから津久井湖につきましては、満水の場合は五千百万トンでございますが、現在六百七十万トンで、約一六%程度の水の減りになっているわけでございます。したがいまして、現在一〇%程度の給水制限をいたしておりますが、明日から二〇%程度の給水制限をやるように聞いております。したがいまして、今後二〇%の節水をいたしますれば、六月の二十日までは、時間給水その他のような制限は行なわなくても済む見込みでございます。なお、工場等大口使用者、あるいは一般家庭にも節水方を呼びかけているようでございます。
  206. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 そうしますと、この津久井湖の建設の目的は、昭和五十年の六百万人の人口を目途としたということを聞いておりますが、現在昭和四十二年度、それでもうこのような、状態になったわけです。この津久井湖というものが、いろいろのデータの上で作成されたと思いますけれども、非常にあいまいな点をさらけ出してきたわけですが、この点についてはどういうようにお考えになっていますか。
  207. 武藤き一郎

    ○武藤説明員 計画の当初は、ただいま先生の御指摘のありましたようなことにつきまして十分計画を立てたと思いますけれども、渇水状況でこういうふうな事態になりますことを考えますれば、やはり将来貯水池というようなものをつくりまして、渇水期でないときに放流しないでためておくというようなことも将来は検討しなくちゃいけないのじゃないかと思うわけでございます。
  208. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 これには国からはどれぐらい金がいっているのですか。
  209. 武藤き一郎

    ○武藤説明員 ただいま手元資料がございませんので、後ほど調べましてお答えいたします。
  210. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 最後に一点だけお尋ねします。  東京都の中央を流れておる多摩川の渇水でありますが、現在、毎日新聞の写真によりますと、川の中央を人が渡って歩いております。流れがとまっておるということになっておりますが、これに対して、東京都の多摩川、隅田川等の影響またはその他の環境衛生については、どのような被害が出るのか、また、対策を立てられるのか、これについてお考えをただしておきたいと思います。
  211. 武藤き一郎

    ○武藤説明員 御指摘の多摩川等の水量が減少いたしましたにつきまして、いろいろ環境衛生上の問題が考えられますけれども、こういう点につきましては、保健所等を通じまして、たとえば子供の水遊びその他でいろいろ支障がないように、御指摘のように、多摩川等は家庭汚水が相当ありますのでいろいろ問題が起こるかと思いますが、こういう点につきまして遺憾がないように、東京都に重ねて指導方を督励したいと思います。
  212. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 伝染病発生時期を迎えておりますが、これの影響はございませんか。
  213. 武藤き一郎

    ○武藤説明員 いまのところ具体的に影響はあらわれておりませんけれども、先生が御指摘のように、いろいろそういうことも心配せぬといけないと思いますので、重ねて注意を喚起したい、かように思います。
  214. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 それは各保健所へ通達するのですか。
  215. 武藤き一郎

    ○武藤説明員 そういうことでございます。
  216. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 以上をもって終わります。
  217. 田原春次

    田原委員長 次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。   午後四時四十三分散会