○渡辺(美)
委員 こういうようにわからないのです。これは神さまでない限りわからないのです。そのとおり正直に言いなさいま、わからないのだから。だから
答申においてはここは経費となっておったのですよ。経費といっても、経費だけでもわからないのですが、
答申は、年間経費額の十分の三というふうになっていたと思いますが、ここでは経費額というのは支出額ということになったから、なおわからない。しかも、支出については
法律で、支出というものはこういうものですという用語の定義がうたってあるのですから、これも変更することはできません。
法律を
改正しない限り、
幾ら政令でどんなことをきめようと。経費はすなわち支出とみなす、そんな政令を書くことはできない。そうすれば、結局支出の概念がわからないから、この支出総額というものがわからない。支出総額がわからないから、十分の三以上をこえる
団体がどれであるかもわからない。あとになって
一つ一つ調べてみればわかるけれ
ども、少なくとも
政治資金の
寄付を受けるについて、限度超過であるか超過でないかということは、
会社だって膨大な費用と時間をかけない限りはわからない。
会社でなくて
団体にしてもそうです。こういうところにこの
法律の矛盾というものが出てきておる。
どうしてその矛盾が出たかということは、現金主義会計を母体としたところのこの
法律に、損益計算というようなものをここに入れ込んできたり、あるいは発生主義的なものを入れてきたりしたから、思想の大混乱を起こして、わけがわからなくなってしまったというのが実情ではなかろうか、私はこう思いますが、どうですか。これは取り締まりのほうへ聞いても、どうせそういうふうな事件が発生してみないと、そのときになってみなければわかりませんと言われるのでは、これは聞いたって
意味がないものね。だから聞くのはやめましょう。そういうことですから、私は
政治資金規正を、適正、合理的にしていくことはけっこうだけれ
ども、法を急ぐあまり世論に迎合して、そうしてわけのわからないものに罰則をつけて——専門家がここで応答していてわからないものを、一般
国民がわかるわけがないじゃないですか。そういうふうなところに問題があるのだ。だからもっとよく慎重に検討して、これだけのものをかりにするとすれば、税務
関係だったらおそらく一年くらい前から準備をして、あらゆる人の
意見を聞いて、あらゆるケースを考えてやると思うのです。ところが、
審議会の
委員の皆さんの中に会計学者が入っていたのか入ってないのか知らないが、こういうような問題を考えないで、ただ、その他の
団体については、経費の十分の三以上を支出したものは届け出によって
政治団体とみなす、あるいは届け出しないものは十分の三以下の
寄付しかできない。これが今度は支出というふうに直ってまいりましたから、ほとんどこれは無
制限なんです。逆用されたら無
制限になるということです。
私が
一つ抜け道を教えておきます。抜け道はどういうのかと申しますと、たとえば五十万円しか支出できない
会社、資本金二億円、
利益金三千万円の
会社が十あったとする。
自分の同族
会社です。全部ほかをやめて
自分のところへ集めてみたところで五百万円。ところがその
会社は同業的な、同じような仕事をやっておる。そこで正式の協同組合をこしらえてもよし、任意組合をこしらえてもよし、そこのトンネル組合を
一つつくるのです。トンネル組合をこしらえて、
会社で使う材料はそのトンネル組合を通して売ればいいのです。そのときリベートを取ればいいのです。リベートを取っても取らなくてもそれはかまわないし、リベートを高く売ってもいいのです。そのトンネル組合は二千万円まで出せるのです。その裏道もちゃんとあるのです。そういうようなことは、これは
幾らでもできるでしょう。できませんか。できなければ、その理由を明確にしてください。