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安井委員 私は幾つもの
選挙を見ているわけでありますが、ここに行って驚いたのは、開票事務について一般市民から非常な不信感を持たれておるという事実です。一部には、岩尾派のほうは投票では負けても開票では必ず勝つと言っていたと、こういうような話も流れております。
選挙のあの開票状況は、これはだれにも非常に興味があるわけで、たとえば東京都の美濃部知事の開票なら、一番
最初に出た票の
経過が、最後までそのままいくかどうかということに興味が持たれたわけであります。あるいはまた福岡県の知事
選挙なら、途中で開票が逆転をした、また逆転というふうな、そういう野球を見ているような興味をあるいはそそるかもしれません。しかし、あれは投票という行為が終わった
あとは、実はそれはもうほんの観客的な興味だけであって、投票ということですべてはきまっているわけです。箱に入っているわけですから。私
どもはそういうふうに開票事務というものを
理解していたつもりでありますが、ここに行きましたら、投票は負けても開票では勝つという、こういう言い方は、これは私は重大な問題だと思います。これは事実か事実でないかは私はわかりませんけれ
ども、
選挙というのは民主主義の最も基本の問題であります。その問題が、
選挙の
段階にももちろん
選挙管理委員会の公正な処理というのは必要でありますけれ
ども、
選挙が終わった開票の
段階においても、なおそういう競争意識が残るというふうな形では、これは重大な問題だと思うわけであります。
それの二、三の例を、異議の申し立てと、それに対する
選挙管理委員会との応答の中から拾ってみますと、たとえば票数の点検について、異議の申し立て者の側は、きわめて不正や、あるいは粗雑であるというふうな言い方もしているようであります。これは市選管並びに県選管から聞いたところとも完全に一致しているわけでありますが、開票の中途において、投票者数よりも投票数が四票多いという事実が出てまいりまして、ちょうどその
段階では、二人の候補の票差は二十五票差だったそうです。そこで再点検が行なわれた結果、十五束ともいい、二十二束ともいうんですが、五十票一束の束が、たとえば五十枚つづりのものがあったり、五十一枚つづりがあったり、四十九枚つづり、三十九枚つづりというふうなのが出てきているわけです。そこで判明したものだけ見ましても、松岡候補のほうは五十二枚つづりで一束、だからそれで二票損しているわけですね。四十九枚つづりが三束あったということは、三票松岡候補が得していたわけです。それから五十一枚つづりが三束ある。ここではまた三票損しているわけです。それで岩尾候補のほうは、四十九枚つづりが四束もある、これは四票得しているわけです。それから三十九枚つづりが一束というんですから、これはなんと十一票得しているわけです。そのほか、岩尾候補の束の中に松岡候補の票が二票も入っている。それから市
会議員の投票用紙で投票されたものが入っている。そういうようなことで、再点検の結果は、四票多いということになっていたわけでありますが、それが実は二票足りないということになってしまう。二票足りなくなるものですから、これは
自治省の指導どおり、足りないのは持ち帰りというふうなことで、初め余ったのが
あとには足りなくなってしまった。そうして二十五票差というのが十票差ということに詰まって結論になったのだというふうなことが
一ついわれております。この点検のやり方について、いまの内容から見ますと、非常に
意図的なものがあったのではないかといわれてもしようがないような気がするわけです。これは市の職員がおやりになるわけですね。そう枚数の計算ができないような職員がたくさんいるというわけでも決してないわけでありましょうし、特に市の職員組合が分裂をしていて、内容はよくわかりませんけれ
ども、職員のほうも二つに分かれている。それが一方が非常に多くて一方が少ないのだというような説もあります。これはほんとうかどうかわかりませんよ。そういうような中で、こういうふうなでたらめなやり方がなされていたのではないかというふうなことが
一つあります。それから二重投票で、八代市のほうに
選挙権があったのと、それから隣のどこかの村で、嫁のやり取りの関係で二重投票をしている人が四名もいるというふうなことがわかっているようであります。それから代理投票についても、文盲の
選挙人の投票に際して、どうも不正があったのではないかというふうなことも異議の申し立ての内容にあります。これらの問題は、きょうは詳しく触れませんけれ
ども、次に問題になるのは、投票用紙が雨にぬれているのが三百票くらいあったというような問題があるわけです。しかも、それは相当どろ水によごれているというのもあるわけです。どろ水の問題は私もはっきり確認はしておりませんが、雨にぬれているということは
選挙管理委員会のほうもはっきり認めております。途中で三百票くらい足りないというような話が出て、そのうちにいつの間にか三百票がまたあらわれてきたというふうなことで、どこか雨にぬらすところに投票用紙を置いていたのではないかという見方が
一つあるわけでありますが、市
選挙管理委員会は、この問題については、ちょうどその日夕方になって雨になってきた。トラックで投票箱を運ぶ際に、トラックで運んだものですからトラックの水が下から投票箱にしみ込んできたんだろう、それで三百票くらいぬれたんだろう、こういうような説明をしております。
自治省は、開票その他投票事務の指導をいろいろされておると思うのですが、投票箱の管理について、そういうようなずさんな指導をしているとは私は思えないのですが、その点もひとつ、
自治省側のこれまでの指導のあり方等についてお聞かせを願わなくてはならぬと思います。これらの問題も一票
調査が行なわれれば明らかになってくると思いますけれ
ども、そういう投票の管理の問題があります。
時間がないそうですから、ひとつ問題をまとめて申し上げますから、
あとでまとめて
お答えを願いたいわけでありますが、そういうような問題。それからもう
一つは、開票立会人が岩尾方と松岡方と、それから中立というふうに出ていたようでありますが、その途中におきまして、松岡派の開票立会人が、投票の内容についても、もっと点検をさしてくれ、こういうふうな内部的に票が出たり引っ込んだりするものですから、そういう要求をしたそうであります。ところが、それで開票が三時間も中断するというようなことで、県の選管の書記長である地方課長も出かけて行って、この解決にも
意見を述べたということだそうでありますけれ
ども、とうとう三千百十九票と聞きましたが、これは数は明確でないかもしれませんが、三千票余りについては、開票立会人は点検済みの判を押さなかったそうであります。押さないままにとうとう開票は終了をして、投票用紙は封印をされて、開票録がきめられ、
選挙録という形で当選が決定した、こういう
経過のようであります。
選挙長は開票立会の点検の要求に対して、これを拒否したというようなことも言っておりますが、つまり数を点検するのか、内容を点検するのかということで、
意見の対立があったんだというようなことのようであります。しかしながら、開票の立会については、内容についてもあるいは数についても、点検ということばに広く含まれると私は思うわけでありますが、その拒否という問題はどうなのか。それから確認印がない形で終わったということについての、その投票の効力というような問題もあるのではないかと思います。昭和三十二年七月三十一日の福岡高等裁判所の判決等もあるようですね。こういうふうな問題があるわけであります。
問題はたくさんあるわけでありますけれ
ども、私は特にこの機会に
自治省としての御見解を伺っておきたいのは、この票数の点検の事務が公正さを欠くというふうなやり方、あるいはまた投票用紙が雨にぬれるというふうなやり方、あるいは開票立会人の点検がなしに締めくくられたというふうな問題、こういう点についての御見解をひとつまず伺っておきたいと思います。