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1967-05-18 第55回国会 衆議院 交通安全対策特別委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年五月十八日(木曜日)     午前十一時二十三分開議  出席委員    委員長 山下 榮二君    理事 大竹 太郎君 理事 木部 佳昭君    理事 堀川 恭平君 理事 太田 一夫君    理事 山田 耻目君       加藤 六月君    小峯 柳多君       丹羽 久章君    広川シズエ君       古川 丈吉君    古屋  亨君       井上  泉君    久保 三郎君       後藤 俊男君    柳田 秀一君       松本 忠助君  出席国務大臣         国 務 大 臣 塚原 俊郎君         国 務 大 臣 藤枝 泉介君  出席政府委員         総理府総務副長         官       上村千一郎君         内閣総理大臣官         房陸上交通安全         調査室長    宮崎 清文君         警察庁交通局長 鈴木 光一君         運輸省自動車局         長       原山 亮三君         建設省道路局長 蓑輪健二郎君  委員外出席者         運輸省自動車局         整備部長    堀山  健君         労働省労働基準         局監督課長   藤繩 正勝君         建設省道路局次         長       吉兼 三郎君     ————————————— 本日の会議に付した案件  交通安全対策に関する件      ————◇—————
  2. 山下榮二

    山下委員長 これより会議を開きます。  交通安全対策に関する件について調査を進めます。  質疑の通告がございますので、これを許します。井上泉君。
  3. 井上泉

    井上(泉)委員 どなたが出席しておるのか…。
  4. 山下榮二

  5. 井上泉

    井上(泉)委員 それでは私は、交通安全対策の問題について、いろいろ対策要綱も出されておるわけですけれども、その柱になるところは、やはり人命を尊重するということでなくてはならないし、事故を起こすのも人であり、そしてまた事故によって損傷されるものもこれは人であるわけですから、やはりこの人との関係というのが、交通安全対策の上において最も重要なかなめでなくてはならないかと思うのです。そういう点について、この交通安全対策特別委員会でいろいろ資料をいただいたわけですけれどもほんとうにこれらの政府のやっておることが後手後手と、こう言っても差しつかえないんじゃないかと思います。  たとえば、この総理府陸上交通安全調査室からいただいた資料の中でも、ダンプカーに対する特別対策部門を設置するというようなことを、「交通安全施策強化に関する当面の方針」ということで、去年の十一月の二十一日にそういうことを本部で決定をされておる。また同じように、三月二十九日にもらった資料でも、それと同じような、「ダンプカー等による交通事故原因を究明してその抜本的な対策を講ずるため、交通対策本部ダンプカー等事故防止対策専門部会を設けること。」とある。ずっと前にも、半年前ぐらいにも、またその前にもダンプカーのそういうことがある。ダンプカー事故が続出するとそういうことになる。この間の春日さんの質問のときにも、ダンプカー対策については特別の部会を設けて云々と、こういうふうなことで、やはり対策が作文に終わりまして、実際にそれが行政の面で、あるいは法律の面で生かされてきていないきらいがあるわけでございますが、その点について総理府上村総務長官に、そういうふうな要綱倒れで、実際の政策というものがなされていない、こういう経過についてどうお考えになっておるか、まずその基本的な考え、姿勢というものを伺いたい。
  6. 上村千一郎

    上村政府委員 御説のように対策を立て、総合施策を立てているわけでございます。えて、そこに生命と申しますか、血の通ったところが出てこないのではなかろうか。この点につきましては、相次ぐ事故の発生を見ますというと、はなはだ申しわけないことでございますが、その感を深くするわけでございます。ございまするけれども総理府交通安全対策本部といたしましては、関係省庁を督励をしながら、そしてその趣旨を最も効果的におのおの実施するように、連絡を密にいたしておるわけでございますが、御趣旨の点は、全くそういう点を感じまするので、今後一そう気をつけていきたい、こう思っておるわけでございます。
  7. 井上泉

    井上(泉)委員 ほんとうに毎日の新聞をごらんになっても、これは委員長のけさの車の中での話でもないんですけれどもほんとう新聞三面記事を見るのがいやだ、こう言っておられるほど、交通事故記事一ぱいです。これは単に中央紙だけではなくて、地方のローカル紙でも、もう三面記事交通事故記事一ぱいだと言っても差しつかえないわけです。至るところで人命が損傷され、そして命を失っておるわけですが、これに対する対策が、絶えず、何々対策要綱、こういうことをやることを検討します、検討しますといって、後手後手と回ってやっているところに、私は交通事故の頻発する大きな原因があると思います。歩道橋の設置にいたしましても、これを設置することがきまっても、今度実際歩道橋が竣工するまでには六カ月くらいかかるわけです。いろんな問題がある。ところが、やればやれないことはないわけです、現行の法律の中で。車を運転するのも人であるかう、その人の管理が十分できれば、私はある程度事故というものは防止できると思います。その点で、自動車運送に限りませんけれども、この運送関係で、従事しておる人に、基準法違反した雇用条件就労さしておる、こういうことで、基準法罰則の百十九条を適用して処分したものが一体どれくらいあるのか、たとえば四十一年度で。この点について、労働基準局監督課長にお尋ねしたいと思います。
  8. 藤繩正勝

    藤繩説明員 自動車事故が、逆転者労働条件によって起こるという問題がございまして、私どもといたしましてもいろいろな点につきまして、自動車事故原因となる労務管理改善ということにつとめております。昨年の数字は、ただいままだまとめておりませんが、一昨年について言いますれば、自動車関係のこのような事業場は三万二千三十三事業場ございますが、それに対して三千六百三十九件監督実施いたしております。これは実施率といたしましては一一・四%となりますので、必ずしも高い実施率ではございませんが、全産業では八%程度実施率になっておりますので、全産業の水準よりはきつい監督をしておるわけであります。  違反の内容といたしましては、労働時間、休日、割り増し賃金等が多うございます。四十年度では、そのうち三十四の事業場につきまして、単に監督というような手段ではなまぬるいので、先生おっしゃいましたように、これを基準法違反事件として検察庁に送致したというような次第でございます。この点をもっと厳格にやる必要がございますので、実は昨年度におきましては非常に活発にやっておりまして、全体の数字はまだまとめておりませんが、たとえば、去年の暮れに行ないましたダンプカー事故につきましては、一週間のうちに六千件の事業場監督いたしました。そのうち半数程度が何らかの基準法違反を示しておりましたが、そのうち悪質なもの二百九十八件につきまして、事件検察庁に送致いたしたという厳格な態度をとっておるわけでございます。
  9. 井上泉

    井上(泉)委員 いまの監督課長答弁によりましても、六千件調査した中で、半分は基準法違反しているという。これは驚くべき数字であるわけでありますが、こういう状態の中で運転手作業させられておるわけでありますから、そこに私は被害というものの発生する要素があると思うのです。  そこで、労働省のほうから各都道府県の労働基準局長通達を出しております自動車運転者労働時間の改善基準についてですが、これは従前のものよりかは、ある程度強くこの通達によって規制されておるのでありますけれども、私は、自動車運転手の一日の運転勤務時間、所定の実作業時間十一時間ということは、これはいままでの時間の規制から見ると、時間的に非常に運転者保護するような措置にはなっておりますけれども、十一時間というのは、八時間を三時間オーバーすることになる。しかも、一日では十一時間であるけれども、それを毎日十一時間やって、四日間やると四十四時間になり、六日やると六十六時間になるということが抜けていた。一週四十八時間制、この四十八時間の就労時間をオーバーしてやるものにつきましての措置というか、指導というものを、もっと通達の中に明らかにすべきではないかと思うのです。ほとんどのタクシー業者が一昼夜交代制でやっておるような実情にあるわけですが、およそ十一時間も運転をするというようなことは常識では考えられないのです。東京都の場合におきましても、これだけ自動車の往来が激しい中で、十一時間の運転時間でやれとかというようなことでなしに、少なくとも対人関係——その運転を誤ることによって人の命を傷つけるわけですから、そういう仕事に従事している者につきましては、この労働時間の問題については、基準法の面からももっと積極的に取り組まなくてはならないと思うのですが、その点について総理府は、労働者の身分は労働省所管だからということでなしに、総合的な交通安全対策を立てる面において、各省にまたがるものを調整して、そしてその適切な対策を立てる機関として総理府があるわけですから、総理府としては、こういう労働者労働時間の問題についてどうお考えになり、どう労働省基準局と話し合いをされるというお考えがあるのか、承っておきたいと思います。
  10. 上村千一郎

    上村政府委員 実は各交通安全対策につきましては、関係省庁がおのおの処置をいたしてまいるわけでございますが、御案内のように、交通対策はきわめて総合的な、また能率的な処置が必要になりまするので、政府としましては昭和三十五年に、御案内のように交通対策本部というものを総理府に設置いたしたわけであります。その後、四十年に交通関係閣僚協議会というものができたわけでございますが、実はいま井上委員のおっしゃったような問題につきましては、もちろんきわめて重要なことでもございまするので、交通対策本部といたしましても十分考慮をいたしていきたい、こう思っておるわけであります。  なお、陸上交通安全調査室長から、詳細の点を申し上げさしていただきます。
  11. 宮崎清文

    宮崎政府委員 御指摘の点につきましては、ただいま副長官が御説明申し上げましたように、従来からも総合的な交通安全施策一環として総理府においても取り上げてまいったわけでありますが、特に昨年後半におきまして、大型貨物自動車等による事故が非常に多発いたしております。その原因はいろいろございますが、その原因一つとして、事業場等における労務管理運行管理が不適切であるために、運転者過労運転をするというようなことから起こった事故でございますので、昨年の十一月二十一日に交通対策本部におきまして、これらの問題すべてを含めて、「交通安全施策強化に関する当面の方針」を決定いたしたわけでございます。その中にも、ただいま御指摘になりましたように、たとえば、労務管理改善の問題につきましては、労働省から先ほど御説明がありましたように、事業場に対する監督強化いたしまして労務管理改善をはかる。あるいは民間有識者からなる自動車労務改善推進員というものを三百人程度委嘱して、これらの人々によって労務管理改善をはかる。また、運輸省におきましては、自動車運送事業について運行管理制度というものが設けられておりまして、これは、原則的には自動車の安全な運行管理する制度でございますが、一応労務管理の問題も含まれておりますので、そのようなことで運行管理の適切な推進をはかる。こういうようなことを総合的に決定いたしまして、自来各事業場におきましてこれを実施しておるところでございます。
  12. 井上泉

    井上(泉)委員 事務当局は、いわゆる政策として立てていく場合において、労働基準法という法律の中で変形八時間制という形を認めて、自動車運送業者についてはそういう形で労務管理をやらしておるのでありますが、これについては、私は、一週で規制せずに、一日の労働時間を八時間に規制をし、さらに、労働省通達によりますと、一日の実作業時間は十一時間となっておるけれども、二十四時間拘束される場合がある、あるいは十六時間拘束される場合があるわけですから、こういういわゆる人の命にかかわるような仕事に従事している労働者に、変形の時間制度を適用することは問題があろうと思うのです。特別の例外を除いて、自動車運転に従事する者については、この変形時間の制度は認めるべきではない、これは適用すべきではないと思うのですが、そういう点について、総理府のほうにおいて労働省と話し合って、基準法改正をするとかいうふうな——現在のところは法律改正がなされていないのですから、労働省からの通達でいろいろ労務管理をやっておられるわけですが、やはりそれだけでは根本的な労働者保護にはならないわけですから、やはり労働基準法改正を行なって、自動車運送に従事する労働者保護に当たる。労働者保護に当たるということがすなわち人命を守り、交通事故を防ぐ上においてきわめて大切なことになるわけですが、それについて副長官の御意見を承りたいと思います。
  13. 上村千一郎

    上村政府委員 いまおっしゃった点は重要な問題でございまして、私どものほうでも問題点としていま検討をいたしております。けれども、ただいまのように変形労働時間制度のものを変更してどうとか、そういうようないろいろな方針は、まだ結論を得るに至っていないのが事実でございます。
  14. 藤繩正勝

    藤繩説明員 ただいま御質問のありました点につきまして、御説明を申し上げたいと思います。  先生指摘のように、自動車運転者労働時間が非常に長い、あるいは休日労働が多い、あるいは変形労働時間制を当然のたてまえにしておるというようなことが、いろいろ問題でありますことは御指摘のとおりであります。そこで今般通達も出しまして、全体といたしまして労働時間をあるワクの中におさめていくような指導強化いたしておるのでございます。ただいま御指摘のありました変形制も問題でありますが、それ以上に実は問題でございますのは、労働基準法で一週四十八時間、一日八時間の労働時間をきめておりますけれども、御承知のように、同法三十六条の規定によりまして、労使協定を結びますと、いわゆる三六協定を結びますと、すべてこれは長時間労働を許すということになる。そこで、そういった三六協定についてもしかるべきワク内での指導が必要だということを痛感いたしまして、今度の通達をいたしたような次第でございます。  そこで、一日十一時間は長過ぎるではないかというお説でございますが、一日八時間、一週四十八時間を原則といたしておりまして、しかしながら、変形制あるいは三六協定等の場合がございますから、そういった場合でも一日十一時間、しかも残業はできるだけしないということを原則にして、やむを得ない場合にも二時間を限度とするという指導方針を出したのでございます。  それから変形制でございますが、先生のお説でございますけれども労働基準法が三十二条二項でああいう変形制を用意しておりますのは、主として化学あるいは繊維、石炭等に見られますような交代制を前提にした労働というものがあるものですから、それを認めておるわけでございますが、御指摘のように運輸産業におきましても、実情は、たとえば長距離路線トラックのような場合に、やはり変形制を採用しないと実際の運行に即しないという点があることは事実でございます。ただ、これも野放しでやるという点は確かに弊害がございますから、今度の通達のように、そのワク内でも、たとえば一日について限度を設ける、あるいは残業について規制をするというようなことでやってまいっておるのでございますが、なお十分検討さしていただきたいと思います。
  15. 井上泉

    井上(泉)委員 労働省労働者保護するという立場に立ち——この三六協定にいたしましても、これは労働者使用者との力関係で動かされるわけです。やはり労働者としては少しでもよい条件仕事をするようなことを求めるのは当然であるし、しかもまたそういう協定ということが法律の中で許されておるのでありますから、そういう協定を結ぶことによって長時間労働を行なうような仕組みになっておる。そういうことをやめさえすれば、認めないようにすれば、そういうことをしなくても済むと思う。そのことが人命を尊重する点においてきわめて大切な要素になると思いますので、なおその点についての御検討をお願いしたいと思います。  次にダンプカーの問題につきましては、先般春日天各員が質問された中で、ダンプカーについては、警察庁のほうで許可制検討ということを答弁されたのでありますが、今日、自家用車十二万八千台という膨大な大型自動車が野放しになっておる。これが何か運輸省通達によって、営業用免許の書きかえとか、免許をおろすとかいうような話をされておったけれども、そういうことで簡単に自家用卓の整理がつくものではない。やはり許可制をしくとかいうようなことは、その前に、その許可制をしく条件の中で、自家用として営業ができるかどうか。自家用としてそのものが運送するところの品物があるのかどうか。これも対人関係で、はっきり品物をこのものに売り渡して運送させますよとかいうような点から、自家用ダンプカー運送についての許可制ということについては、私は非常に前向きになって検討していただかなければならないと思いますが、これが、役所のダンプカー等事故防止対策専門部会のように、半年くらい前あるいはずっと前にもうきめておいて、そうしてそれがさっぱり実施に移されない、こういうようなことになっては国民も非常に失望するわけですから、前によく——昭和の初期当時に自転車の鑑札の登録がえをやるとかいうような措置町村役場なんかでよくやったのですが、それと同じように、ここで自家用車についての許可制検討する場合には、これに基づく一斉許可の際検討するとかいうようなことをあわせて考えなくては無意味だと思います。  その点と、さらに時間の節約でなにしますが、ダンプカー運行についてタコメーター運行記録計をつけるということになっておるけれども、これは、営業用許可をもらっておる業者は、タコメーターをつけていないのはほとんどないわけであります。ところが、一般の自家用車のものについては、このタコメーターがほとんどないわけであります。このことは私は一歩前進だと思う。一歩前進だと思うけれども、その記録計をつけただけではどうにもならない、この間の事故があのとおりですから。そこでこれについては、タコメーター走行記録の経緯が絶えず調査のできるようなそういう規定というものも、やはり記録計を取りつけると同時に入れておかないと、これは意味をなさないと思うのですが、この点について、これはどこが所管か知りませんので、調査室長のほうから……。
  16. 宮崎清文

    宮崎政府委員 関係する省庁が多うございますので、一応私から一般的な御説明を申し上げます。後ほど各省庁から補足的な説明があろうかと思います。  ダンプ事故対策がおくれておるじゃないかという御指摘でございます。なかなか結論が出ないで、その点はまことにおっしゃるとおりだと思いますが、昨年の暮れに、総理府交通対策本部に、ダンプカー等事故防止対策専門部会を設けまして、自来引き続き検討中でございます。ただ先生も御承知と思いますが、ダンプ事故のよってきたる原因は非常に複雑でございますし、また、根深いものがございます。これは、いま抜本的に原因を究明いたしまして、しかるべき対策を立てたいと思っておりますので、たいへん申しかねますが、もう少し時間をかしていただきたいと思います。  その間にいろいろな考え方がございますが、御指摘のようにダンプカーのいま一番問題になっておりますのは、いわゆる白ナンバーでございます。これが十二万台ちょっとございますが、しかもその内訳がまたいろいろ複雑でございまして、その大部分は、いわゆる代車業といわれておりますが、砂利販売業の下請の形で事実上砂利を運搬しておるという形態でございます。これらをどう扱うか、非常にむずかしい問題がございます。したがいまして、私たちも一つの方法だけでこれを解決するということは考えておりませんで、いろいろな方策をあわせ用いながらこれを解決してまいりたい。たとえば、先ほども指摘になりましたように、その白ナンバーのうちの事業用ナンバーに変えられるものはこれを変えていく。それから、残ったものをどう取り扱うかという問題でございますが、あるいは許可制という問題も現在検討いたしておりますし、許可制以外でこれがうまく規制ができればそういう方策検討いたしたい、かように考えておるわけでございます。  また、タコメーターの件でございますが、これは道路運送車両法に基づきます政令がすでに公布されておりますが、大型自動車にはすべてタコメーターを設置させる、こういう義務を課すことにいたしております。  なおダンプの問題は、近く国会で審議の予定になっております道路交通法の一部改正によりまして、タコメーターを取りつけた車につきましては、そのタコグラフを一年間保存する義務を課しておりまして、これによって適切な指導監督を行なってまいりたい、このように考えております。
  17. 井上泉

    井上(泉)委員 それで、このダンプカー自家用車を雇うものが多い。雇うものがあるから自家用車がふえる。雇うものとしては建設業者が一番多い。こういうふうな自家用車を雇う場合についての罰則規定というものがないために白トラがはんらんしておる。そうして、いわゆる交通道徳というものが、無人の境を行くがごとく荒らしまくられておる、こう言っても差しつかえないと思うのですが、営業許可を受けていないのにかかわらず、これを雇い入れて運送させるというようなことについては、取り締まりの面からどうされているか。これは全然野放しですか。
  18. 宮崎清文

    宮崎政府委員 ただいま御指摘になりました点は、自家用自動車を持っている者を雇い入れて、事実上運送業をやらせた場合の罰則の問題でございましょうか。
  19. 井上泉

    井上(泉)委員 そうです。
  20. 宮崎清文

    宮崎政府委員 もしそれが事実上の運送行為に該当する、つまり脱法行為であるといたしますと、道路運送法違反によって処罰することになっております。
  21. 井上泉

    井上(泉)委員 それが脱法行為であるかないか。脱法行為であれば、これは処罰するのはあたりまえでしょう。それは常識の問題だと思いますよ。
  22. 原山亮三

    原山政府委員 現在われわれのほうといたしましては、道路運送法に基づきまして、営業免許を受けない者に運送を委託した場合におきます罰則規定というものがないのであります。したがいまして、そういう場合には、われわれとしては何らの措置もできないというようなことでございます。
  23. 井上泉

    井上(泉)委員 これは自動車局長に、ないからそれをつくれと言ってもどうもならぬと思うのですけれども、やはりこれは政府のほう、いわゆる政治の面で、そういうことについての対策一環として考えなくてはならないと思うのですが、これについて上村総務長官——これは運輸大臣運輸政務次官かだれかに御答弁願わなければいかぬ問題ですが、おいででないですから、総理府の副長官のほうでそういうものについての御答弁を願いたい。
  24. 上村千一郎

    上村政府委員 実は、巧妙な脱法行為ができることになってしまいます。けれども、無免許ダンプ営業を実質的にやっておるというような実態があるにかかわらず、ただ雇っておるという形だけで、法の罰則規制がないということは、交通安全対策からいいますれば、これは検討しなければならぬというふうに思われるわけでございます。  ただ、そこで問題になりますのは、自家用ということになりますれば、たとえば建築業者がそういう業者を雇っておった。それは、形の上ではその建築業者自家用ということに相なるわけでございましょうから、たとえばその建築業者に対して、違反が起きたというような場合におきまして、これをどう処置をするか。いろいろな問題がここで提起されるかと思いますけれども、重要な問題だと思いまするので、この点につきましても——もちろん現在のダンプカー対策というものにつきまして、対策本部でいろいろな施策を決定しておるにかかわらず効果がまだあがってきていないという現実のことを考えますれば、これはあらゆる、いまの御趣旨ども検討しながらやらなければ、私は初期の目的を達するわけにはいかない、こう思いまするので、御趣旨の点につきまして十分検討いたしていきたい、こう思っておるわけであります。
  25. 井上泉

    井上(泉)委員 これは自動車局長にしても、あるいは総務副長官にしても、あまりダンプ運送の実態というものを把握していないと思うのですよ。十三万もある自家用車で、自分の品物があって運送しておるのは、このうちの一割あるかないかぐらいですよ、現実は。そういうことをお調べになっておる資料総理府の中にありとするならば、お示しを願いたいと思います。ほんとうに自分のところで運送する荷物があって自家用営業を受けておるのか、あるいはよそから、建材店が品物を買い入れて、それを貨物としてもらっておるのかというと、これは、大半が自家用で自分の荷物がないのですからね。
  26. 宮崎清文

    宮崎政府委員 ただいま御指摘の点で的確な数字は、実は持ち合わせておりませんが、私たちの推定によりますと、御指摘のように、この自家用の大部分は、みずから運送事業を営んでおるものではなくて、要するに、いわゆる代車業と思われるものがその実態であろうと推定いたしております。
  27. 井上泉

    井上(泉)委員 たとえば砂利トラが非常に暴走するわけですけれども、河川の砂利の採取権を持って、そして自分で車を持って砂利を取ってやっておる者は、この中でもごく一部です。この実態は、お調べになったらわかるでしょう。これはどこの水系でも、たとえば利根川の水系でも、砂利の採取権を与えておる者は何人あって、その何人がどれだけの台数を持っておるのか、それを部分的に抽出して、そこらの実態を調べれば一番参考になると思うのです。ところが、そういうことについての取り締まりがないために、白トラが横行して、その白トラ事故を起こしておるというのが現実の交通事故の大半の姿でございますから、私はこの点で、やはりダンプカーの取り締まりをはかる前に、ダンプカーについての交通安全の規制をするとともに、白トラックに対する取り締まりということについて——タクシーの場合には、いわゆる白タクが大流行した当時に、白タクに乗っても罰せられますよということを掲示したりされておるのです。白タクに対しては相当な取り締まりがされておるにもかかわらず、白トラはほとんど野放しの状態です。その野放しの状態というのが事故を続発せしめる。そうして基準法を無視したところの労働条件労働者が働かされて、そして災害を引き起こしておる。こういうことを私は認識をしていただかなくてはならないと思うのです。  そういう実態について警察庁の交通局長にお尋ねしますが、違反車の中で、大型トラックで、自家営業車と営業許可を受けておるものとの事故の比率はどんなぐあいになっておるのですか。
  28. 鈴木光一

    鈴木(光)政府委員 数字的に持ち合わせておりませんけれども、貨物自動車につきましては、自家用貨物自動車事故率が非常に多いということになっております。
  29. 井上泉

    井上(泉)委員 自家用車運転者が多いということははっきりわかっておる。わかっておることについての取り締まりの対策を立てないということが、今日後手後手に回っておる現実じゃないですか。それは機構をつくるのはよい、そしていろいろな法律をつくるのもよい、いろいろな通達を出すのもよいけれども、要するに、そのことが現実に国民の前で実行されなかったら無意味なんです。そのことをもっと当局は熱心に考えていただけないかと思うのです。  きのうの事故については、警察庁長官も藤枝自治大臣もまだ来ていないので、私はまたあとで質問をいたしますが、次に建設省の道路局次長にお伺いしたいと思いますが、この道路管理の問題で、路面の損傷が原因で起きた死亡事故について、仙台高裁で昨年四月に管理自治体に賠償責任があるとの判決が出されておるのですが、この仙台高裁の判決は、その後一年たっておるのですが、上告しておるでしょうか、どうでしょう。
  30. 吉兼三郎

    ○吉兼説明員 お尋ねの事件は、昭和四十年に最高裁までいきまして判決があった事件かと思いますけれども、ちょっと事実をよく認識いたしませんので……。
  31. 井上泉

    井上(泉)委員 昨年の四月、仙台高裁で判決があった事件です。仙台高裁で、道路の管理が悪くて転倒して死亡した事故について、自治体が責任を持てという判決が下った事件ですが、わかっていなければいいです。  それで、それと同じような事例が、高知県の国道五十六号線の沿線で事件があって、一審でも国と県が敗訴した。そして二審においても、控訴審でも、管理が悪いからこれは国と県とが双方二百何十万円かずつ支払え、こういう判決が出されておることについては承知をしておりますか。
  32. 吉兼三郎

    ○吉兼説明員 承知いたしております。
  33. 井上泉

    井上(泉)委員 それで控訴審でも国、県の敗訴になった事件について、これは明らかに国、県が道路管理について万全でなかったがために死亡したのですから、また、死亡したことはこれは厳然たる事実であるし、落石をしたことも事実であるし、これは国道である。こういう場合に、またこれを上告するというつもりであるのか。私は上告すべきでないと思うが、その点について建設省の意見を承りたいと思います。
  34. 吉兼三郎

    ○吉兼説明員 御指摘の事案は、高知県におきます国道五十六号線の落石事件関係の訴訟事件かと思いますが、御指摘のとおりに、一審、二審におきまして国並びに県が敗訴いたしたわけでございます。これにつきまして、私どものほうがさらに最高裁まで上告いたすべきかどうか。問題は、道路管理の瑕疵の責任の範囲、範囲がどこまでか、これが係争になっている問題点でございますので、慎重に私どもはこの問題を取り扱っていきたい。国を相手といたしました訴訟事件につきましては、法務省が直接の担当でございますので、本日、同被告であります高知県からも上京いたしてまいりますので、よく相談をいたし、さらに法務省の見解等もただした上におきまして、いかに対処すべきか決定をいたしたい、かように考えております。
  35. 井上泉

    井上(泉)委員 交通安全という面においても、こういう道路管理の問題というものが、昨年の高松高裁の判決でもって、道路管理を徹底化せよ、こういうことを明らかに判決の中でその責任を示しておるわけですから、これをまた、道路管理の範囲がどうのこうのいって上告するとかいうのは、愛情のある政治の姿ではないと思うのです。落石事故で若い者がなくなったのですから、それについてちっとも責任のある答弁をいただけない、そういうことで非常に残念に思うのですけれども、この第一審の見舞の五十万円は支払いを済ませたのですか。
  36. 吉兼三郎

    ○吉兼説明員 第一審の判決におきましては、仮勤行の付帯判決がついておりました。そしてたしか五十万円は、原告側に支払いをしたというふうに伺っております。
  37. 井上泉

    井上(泉)委員 私はこういう問題は、それぞれの市町村道あるいは国、県道の管理者に対する大きな警鐘である、こう思うわけです。だから幾ら人が注意をして道を通っておっても、暴走してくるトラックにはねられる、横断歩道を通ってもはねられる、そして安全を確保して道を歩いておっても、上のほうから落石をして死ぬる、こういうふうな交通災害というものが起こった場合、やはり私は道路管理の徹底をはかる意味においても、今日これにまた国が文句をつけて上告するというようなことはやめていただきたいと思うのですが、これは、政府与党を代表してはここでは上村総理府長官だけですから、ひとつ上村総理府長官から、それについての見解を承っておきたいと思います。
  38. 上村千一郎

    上村政府委員 実は、井上委員のおっしゃることはよくわかるわけでございます。ただ、それが上告する理由はどうなっておるか、これはよく存じません。でございますが、たぶんその注意義務というものの範囲がどうかとかいうようなことに相なる点を論争されるのかどうか存じませんけれども、御趣旨の点はよく同感に感ずる次第でございます。
  39. 井上泉

    井上(泉)委員 何か役所というものは、自分のほうに不利な面が出てくると、その不利な面を何とかかんとか理屈をつけて、全然金は要らないから——裁判をしても国民の税金で裁判をするのですから、費用は一文も要らない。ところがこの両親は、働き盛りの若い者を交通事故で失って、それに対してどこも賠償してくれない、当然国、県が支払いをせよという裁判所が判決を下しても、それについてまた四の五の、いわゆる俗に文句をつけて、これについての処置を講じないということ、そういうふうな考え方で交通安全というものを考えられるから、会議と作文に終わってしまって、生きた行政というものが何一つ行なわれていかない。そのことを私は反省をしてもらいたいと思うのです。そしてこれについてもう一回道路局次長に、まだ上告するとか上告しないとかいうようなことは検討するという段階であるのか。あなた自身としてはどう思われるのか。これはあなたは個人でないのですから、やはり道路局次長という国の役人、道路を管理するという大切な役目を持っておられる方でありますから、やはりあなた自身の意見というものは、道路交通安全対策を立てる上において影響するところが大きいわけですから、そこで、みんなと相談しないと話ができないということでここに出てこれたのでは困るわけです。やはり建設省から出てこられたならば建設省を代表して、たとえ事務官であろうとも責任のある見解というものを述べていただきたいと思うのですが、それについての何か御意見がないものかどうか、もう一ぺん承っておきたいと思います。
  40. 吉兼三郎

    ○吉兼説明員 私、先ほどお答えいたしましたのは、最高裁に上告いたしますというふうに決定したというふうには申し上げなかったかと思います。と言いますのは、これはごく最近二審の判決があった事案でございまして、二週間以内に主管省であります法務省が上告するかどうかを決定する権限を持っておるわけでございますから、むろん私どものほうは、道路行政を預かる者の立場から意見を求められるわけでございますが、目下そういう点につきまして三者で相談をいたしておる段階でございます。  なお、被害者の救済につきましては、今回二審の判決におきましても、仮執行の判決がついております。高知県と私ども相談いたしました結果、たしか四百万円だったと思いますが、これは仮執行の判決を受けている被害者に、取りあえず支払いをするということに決定をいたしておるのでございます。しかしながら、この問題は高知県だけではなくて、全国的な問題でございまして、つまり、単なる交通事故という人災的なものではなくて、自然災害に類する事案ではなかろうかという点もございまして、非常に影響するところが大きいものでございますから、慎重に取り扱って決定をしたい。慎重と申しましてもこれは期限がございますので、ここ一週間そこそこの間に私ども方針をきめたい、こういうふうに考えておるわけであります。
  41. 井上泉

    井上(泉)委員 それでは、そうやって仮執行でも払っておいていただけば、これはおそらく被害者のほうでは、もし上告されてどうこうされても、これはもうどうにもならない状態になると思うのです。  そこで、私は交通局長にお尋ねをしたいのです。長官が来られてからと思いますけれども、時間もたちますので……。この園児の列に警察輸送車が無免許で暴走したという、この責任はだれが負うのですか。
  42. 鈴木光一

    鈴木(光)政府委員 当該事案につきましては、運転した巡査個人の責任はもちろんあります。それから、いま取り調べの段階でございますけれども、同乗をしておった警察官は二人ございます。この警察官が、あるいはこの無免許運転等につきまして幇助の疑いがあるということで取り調べております。なお監督者が、無免許運転を命じたということはないと思いますけれども、容認しておったかどうかというような点につきましても、一応これは刑事上の責任追及でございますが、そのほかに、もちろん行政上の責任として幹部の責任が問われる場合もありますので、その問題につきましては、現在千葉県警本部におきまして慎重に調査に当たっておる次第でございます。
  43. 井上泉

    井上(泉)委員 これは民間の場合でも、たとえば井上なら井上が車を持っておる。その車を乙なら乙が無断で乗っていって事故を起こした場合にも、その車の所有者に責任があるという判例か何か出ておるわけですが、この判例があったことは承知しておるのですか、どうですか。
  44. 鈴木光一

    鈴木(光)政府委員 判例のことにつきましては、私は存じておりませんけれども、いま言ったように、今度の事故はまことに遺憾でございますけれども、全体的に見て、やはり巡査だけの責任ということだけでは終わらないと思います。刑事上の責任、行政上の責任、いろいろ追及されると思います。
  45. 井上泉

    井上(泉)委員 この警察官がやったことについては、その本人にもちろん非常なやった責任があるわけですけれども、これほど交通安全の問題が論議をされておるのに、同じ日に京都でも警察官が八十キロで飛ばして重傷をした、こういう事件が起こっておるのですが、この場合は警察官自身だから、これは自業自得といえばそれまでだ。ところが、園児の列に警察輸送車が飛び込んでいった。しかも、それが免許取りたさの気持ちで車を動かした。その車は警察の車、しかも、交通を取り締まらねばならない警官を輸送する車です。私はどう考えても、これは千葉県の警察本部長の責任だけじゃ済まされぬのではないかと思うのですが、そのことについて交通局長はどうお考えになりますか。
  46. 鈴木光一

    鈴木(光)政府委員 まことに御指摘のとおり、何とも申しわけのない事案でございまして、私どもといたしましても、交通局長という立場といたしましても申しわけなく思っている次第でございますが、(「申しわけないことはさまっているのだ」と呼ぶ者あり)幹部の責任の問題等につきましては、やはりいろいろな観点から、取り調べを進めた上で処置したいと思っております。
  47. 井上泉

    井上(泉)委員 申しわけないことはきまっているのだと言うヤジか意見か知らぬけれども、これは全くどうかしておると思うのですよ。私はこの委員会での発言は——委員長、こういうことは与党だから、政府機関の者がやったことは単に一片の申しわけないで、わかり切ったことだということで済まされては困ると思うのです。そういうような発言については委員長も警告を発してもらいたい。  それで、この場合における賠償責任はどこが負うのですか。
  48. 鈴木光一

    鈴木(光)政府委員 これは、事故を起こしました警察官が都道府県の職員でございますから、都道府県が賠償責任を負うことになると思います。
  49. 井上泉

    井上(泉)委員 この園児七名がけがで済んだから、これはまだ不幸中の幸いと言わざるを得ないわけですが、これは中学生の列へダンプカーが入って三人死に、二人に負傷させた、この事件と何ら違いがないわけです。これよりももっと悪質で、もっと重大な責任を背負わねばならないわけですが、いまこの七人の人はどういう状態になっておるのですか。
  50. 鈴木光一

    鈴木(光)政府委員 現在までの調査では、被害を受けました園児五名につきましては、一人は前額部を裂傷いたしまして全治十日間、その他全治七日間、三日間といったように、不幸中の幸いでございましたけれども一応負傷で済みまして、いずれも病院に急遽運びまして手当をいたし、それから県警本部におきましても警務部長が直ちにはせ参じまして、いろいろ見舞いはもちろんでございますが、事後の救済措置につきましての手当てをいたしておる次第でございます。
  51. 井上泉

    井上(泉)委員 これは警察官も生活がかかっている問題ですから、事故を起こした当人はもちろん重大な責任があるし、身分的な面においても、やはり政治的に、行政的に責任を負うのはもっと上の人が負わなければならぬと思います。同乗しておった者が幇助したとかいうようなことで、下のほうで責任を、始末をつける、こういうようなやり方は絶対にしてはならないと思うのですが、その点について交通局長の御意見を承っておきたいと思います。
  52. 鈴木光一

    鈴木(光)政府委員 私も先ほど来から、一応刑事上の責任、行政上の責任は当然負わなければならないということを申し上げておるのでございまして、幹部についての責任を回避しておることは絶対にないと思います。責任は当然あるという考え方で、それが刑事上の責任であるか、行政上の責任であるかということにつきましては、慎重に検討した上でその責任を追及すべきであるということを申し上げているのでございます。
  53. 井上泉

    井上(泉)委員 国民が、交通安全対策特別委員会ができたことについて非常な期待を寄せておるわけです。非常な期待を寄せておるわけですけれども交通安全対策特別委員会ができていろいろ論議されても、なかなかそれが行政の面なり、あるいは法律の面なりに反映をしてこないことを遺憾に思っておるわけです。調査をするとか、あるいはまた何々会をつくるとかいうようなことで終始をしておるような状態を、私は非常に残念に思うわけです。私はその気持ちのあらわれというものが——それは国家公安委員長もいろいろ用件があろうと思うのですけれども、やはり国民の注視を集めておるこの特別委員会に来て、一応国民に対し自分の管理責任といいますか、そういうものについて私は一言あってしかるべきだと思うのですが、委員長は来ないのですか来るのですか。
  54. 山下榮二

    山下委員長 井上さんに申し上げますが、私はけさから、昨日の事故のみならず、交通安全対策特別委員会ができたゆえんを深くお考えいただいて、運輸大臣あるいは国家公安委員長ないしは総理府総務長官にぜひ出席を願ってもらわなければ、委員会ができたけれども政府としては何らこれに熱意がないじゃないか、こういうことで委員各位も失望をし、委員各位が失望することは国民に相済まぬ、こういうことであるということを申し上げて、参議院の予算委員会にも参りまして、予算委員長、予算委員理事の方々にもお願いを申し上げて、ぜひ本委員会に総理府総務長官、国家公安委員長の御出席を願えるようにお願いを申し上げました。ちょうど同じ問題を取り上げて質疑の最中であるから、できるだけ早くこちらのほうにおいでをいただくように取り計らいはいたします、こういうことで、事務当局のほうもいろいろやっていただいて、先ほどの話では、六分で質問が終わるからすぐこちらへおいでをいただく、こういうことでございますから、もうほどなく見えると思いますが、さよう御承知をいただきたいと思います。
  55. 井上泉

    井上(泉)委員 これは政府の政治責任者、つまり大臣が委員会に来てなくとも、政務次官等が来てしかるべきだと思うのです。それぞれの委員会もやっておるから、一がいに機械的にはそのことは言えないかもしれませんが、少なくともこういう問題については、私は自治省の関係なりあるいはまた運輸省関係なり——ここへおいでになっておるのは総理府の副長官だけですから、こういうふうな委員会を軽視をしたとか、あるいはきょうは一年生の井上質問をするからまあ出ないでもかまわぬ、こういうようないいかげんな形でやらぬように、ひとつお願いしたいと思います。  私は、今度大臣等が来られたときに質問することにいたします。
  56. 山下榮二

    山下委員長 大臣がお見えになってからさらに続けていただく、こういうことにいたしまして、関連質問の通告がございますから、それでは太田一夫君。
  57. 太田一夫

    ○太田委員 鈴木局長、警察庁を代表して来ていらしゃるようですから、ちょっとその所感を承りたいのですが、ああいう千葉のような問題を起こした。その後あちらこちらで警察官のいろいろなことが大きく新聞等に載りますと、国民は交通取り締まりの衝に当たる警察官というのは一体はたして信頼をしていいのか、あるいは尊敬していいのかという非常な疑惑に包まれておると思うのですね。私はけさNHKのテレビのスタジオ102ですか、あれをちょっと何げなく見たのですが、千葉県警の態度というものはどうもあまりよくないじゃありませんか。あなたごらんになりましたか。
  58. 鈴木光一

    鈴木(光)政府委員 御指摘の点まことにごもっともでございまして、私どものほうでも、交通取り締りの衝に当たる警察官がみずから交通事故を起こしておるということにつきまして、しかも重大な違反をして交通事故を起こしておるということにつきまして、まことに申しわけなく、国民の信頼にこたえ得ないような状況がかりに出るといたしますれば、私どもは今後ますます警察官のあり方につきまして、従来からも十分教養はしておるのでございますけれども、まだまだ足りない点があろうかと思いますので、そういう点につきまして一そうの精進をしてまいりたいと思います。  なお、けさのNHKのスタジオ102の放送につきましては、私、残念ながら見ておりませんけれども、かりに千葉県警のあの事故についての考え方が、国民の皆さんから見て誤解を受けるような点があるといたしますれば、まことに遺憾だと思う次第でございます。
  59. 太田一夫

    ○太田委員 私は、鈴木さんあなたを責めるわけじゃないが、国民の信頼を得ていない警察官なんて取り締まりの衝に当たれないですよ。ですから警察官がおやりになることは、たとえばその方が自動車に乗っていらっしゃっても、道交法を正確に守って運転なさる車というものはああいうものかと見る。歩いていらっしゃってもそうだと思う。それは警察官の制服を着ていらっしゃる限りは、厳重に道交法を守っていただきたいと思うのですよ。そうして信頼にこたえてもらいたい。ああいう事故が起きたら、あなたのほうは何らかすみやかに、士気を振作すると申しますとことばがあまり古くさいかもしれませんが、秩序を保つために、綱紀を正すために、何らかの対策をすぐ各県警に示達されるべきであると思うのです。何かおやりになりましたか。  それからもう一つは、あなたも交通局長さんだから、朝のテレビで無理かもしれませんが、新聞は読みません、雑誌は読みません、テレビも見ませんというような、どこかの総理大臣のようなことじゃまずいので、ぜひひとつ朝の——交通関係問題をこのごろキャンペーンしていらっしゃると思うのですが、なかなかりっぱなものがあるのですよ。地方の交通取り締まりの実情、署長みずから出てきて、そうして朝早くやっていらっしゃる、現地から中継放送をしていらっしゃる苦労などをあなたごらんにならぬのですか。どうしてああいうものにあまり興味がないのですか。NHK不信ですか。
  60. 鈴木光一

    鈴木(光)政府委員 私は、朝のNHKのスタジオ102はいつも見ておるのでありますが、けさたまたま公安委員会が開かれる関係がありまして、朝早く家を出たものですから見ておらなかったわけですが、私どもも国民の交通問題に対する世論の動向につきましては常に注意をし、国民の要望にこたえるような交通警察の運営ということに心がけておる次第でございます。
  61. 太田一夫

    ○太田委員 こちらのほうから、スタジオ102は九時からだなんと言っているのですけれども、やはり交通安全対策特別委員のメンバーも、そういうものに対してなかなか見るということはできないようだが、九時からじゃないのだから、起きたらとたんに見えるはずなんだから、これはごらんになってくださいよ。そうしていろんなことに対して現実、実情を、警察庁本来の使命に立脚してそういうものの現象を把握をしていただく、そうして適切なる指示をなさる、対策を講じられることは必要なことじゃございませんか。
  62. 鈴木光一

    鈴木(光)政府委員 警察官の交通事故等につきましては、まことに残念なことでございますけれども、いままでもたびたびございまして、警務局長、交通局長の連名で通達をいたしておるのですけれども、けさたまたま国家公安委員会が開かれております。私はそれに、国会の関係出席いたしかねて途中から参りましたけれども、国家公安委員会で、今度の千葉県警の事故を取り上げられまして、これに対する御趣旨のような措置が急速にとられると思います。
  63. 太田一夫

    ○太田委員 したがって、私はいろいろ方法はあると思うのですよ。ポータブルのテレビだってあるのだから、自動車でおいでになるなら、自動車の中に持っていって中で見てください。交通局長たるものは、地方の末端の署長が第一線の取り締まりに対してこのような苦心をしておる、その苦心のポイントはどこにあるかということを知る必要がある。たとえば朝早く取り締まるのは、なぜそんなに朝早くとめるのか、それは眠たくなるから、一ぺんとめると眠けがなくなって、そして交通の安全になるのだ、事故が防げるのだ、だから交通事故を防ぐために朝早く全部とめて、一つ一つチェックするのだというようなこともあるのです。取り締まりというよりは、そういう予防的な苦心談の数々が、あなた、簡単にテレビで見れるとするなら、興味を持って、きょうはないだろうか、あすはないだろうかと、NHKさんのチャンネルに合わせて、ほんとうに関心を持っていただきたいと思うのです。そうしなければたいへんだ。  それから、いまの千葉県警の問題ですが、それは少なくともことばとか、何か国民に対するおわびがあったとしても、態度で示さなければいかぬですよ。なるほど心から悪かったなと責任を痛感していらっしゃる、こういう気持ちを態度で示さなければいけない。態度に不足があった。私はそう見ました。これはひとつ大いに今後のために何かしかるべき御措置をいただきたいと思う。各県警に対する綱紀粛正のそういう通達はなさいましたか。
  64. 鈴木光一

    鈴木(光)政府委員 いまその点についてお答えしたつもりでございますが、けさ国家公安委員会が開かれておりまして、それに私は出席いたしかねましたが、おそらくその問題が国家公安委員会といたしましても、重大な問題として審議され、かつ、それに基づいてさらに警察官の綱紀粛正の問題について、当然緊急に通達が発せられるというふうに私は考えております。
  65. 太田一夫

    ○太田委員 それは、と思いますということでありますが、確信を持っての御答弁でございましょうね。当然それはやってください。そうなければ私はうそだと思う。すみやかに、事が起きたらさっとやってください。頼みます。  委員長、藤枝委員長がいらっしゃらないようですから、あとでいまの問題について、公安委員長としての所見を明らかにされることを希望いたしまして、質問を終わります。
  66. 山下榮二

    山下委員長 いま長官が見えました。  この際、昨十七日の千葉県警機動隊員の無免許運転による幼稚園児の負傷事故に関し、藤枝国家公安委員長より発言を求められております。これを許します。藤枝国家公安委員長
  67. 藤枝泉介

    ○藤枝国務大臣 世をあげて交通事故対策に取り組んでおりますときに、しかも、指導取り締まりの任に当たりますべき警察官が、あのような事故を起こしましたことにつきましては、まことに申しわけない次第でございまして、被害者並びに御両親等に対しまして深くおわびをいたしますと同時に、国民の皆さんに対しましてもおわびを申し上げる次第でございます。  平素、警察の自動車運転者に対しましては、物心両面にわたりましてきびしい訓練をいたしておるわけでございますが、それにもかかわらずこのような事故ができましたことは、まことに残念でございます。つきましては、さらに、こうした物心両面にわたる厳格な訓練を十分にいたしまして、今後このような事故の絶滅をはかってまいりたいと存ずる次第でございます。
  68. 山下榮二

  69. 井上泉

    井上(泉)委員 国家公安、委員長に伺いますが、今後こういう事故が起こったら、これはたいへんなことはだれしもわかり切ったことですけれども、こういう事故が起こるというところが、今日の警察官の心理の中にひそんでおるのではないか。警察官という一つの権力を持つと、その権力に酔って、どうしても、何をしても差しつかえないじゃないか、こういう心理が今日の警察官の中に充満をしておるからこんな事故を起こすわけです。これは地方におきましても、警察官が無免許で車を乗り回すということは、往々にして聞いておることです。これらについて——いま交通局長の話によりますと、国家公安委員会が開かれたということを聞いたのですが、国家公安委員会として、これについて、都道府県の警察に対しどういうふうな通達を出したのか、どういう処置をとられたのか、けさの国家公安委員会の模様を承っておきたいと思います。
  70. 藤枝泉介

    ○藤枝国務大臣 実は、私、参議院の予算委員会の質問を受けておりましたので、本日の国家公安委員会には出席をいたしておりませんから、どのような具体的に通達を出したか存じません。ただ、ただいま御指摘のような、警察官が一種の特権意識を持って行動するというようなことはあってはならないことでございまして、単に技術面の訓練ばかりではなくて、そうした心がまえと申しますか、教養、訓練にさらに一段と意を用いまして、ただいま御指摘のようなことの絶無を期さなければならないと存じます。
  71. 井上泉

    井上(泉)委員 太田さんの質問に対して交通局長も、警察としてこれについてどのような処置をとるのか、こういうことで国家公安委員会が開かれておる、こういうお話だったのです。それで委員長もその会には出席していないからと言う。そうすると、きょうの国家公安委員会のこの問題についての討議の内容というか、決定をした内容というものが、たまたま開かれておる特別委員会にも全然報告もされないようなことでは、これは交通安全対策特別委員会としてもまことに残念千万です。それくらいの事務連絡は、交通局長がここにおるから、だれかしたらいいのではないのですか。こういう責任を回避する態度から事故が起こると思うのです。交通局長も、国家公安委員会がきょうは開かれておるから、朝の七時三十五分から始まっておるテレビのスタジオ102も見れなかった。ほんとうにもっとまじめに真剣に取り組んでもらいたいと思うのです。そのまじめさと真剣さがないから、警察官がこういう事故を平気で起こす。それを、国民に対して申しわけないと言って陳謝をしたらそれで済む。こういうような仕事の体制が、たくさんの交通対策をきめた一昨年から、ダンプカーに対しては取り締まりをしなければならぬと、ずっといろいろの機会あるごとに言っておる。ところがいまだにそれの対策が立っていない。いろいろの関係があるから慎重に討議しなければならないと言う。そうこうしておるうちに一年たち、二年たち、事故は激増するばかりでございます。そういう上から下までの心理がこの事故を起こしていると思うのであります。これについてのきょうの国家公安委員会の処置について、後刻報告をお願いしたいと思います。
  72. 山下榮二

    山下委員長 総務長官が見えましたからどうぞ……。  次に、木部佳昭君。
  73. 木部佳昭

    ○木部委員 私は関連ですから一点だけ。ほんとは国家公安委員長質問申し上げたいと思っておったんですが、総務長官交通安全対策の担当大臣ですから、率直なお答えをいただきたいと思います。  御承知のとおり機動隊トラックが暴走したということは、非常に国民にも大きなショックを与えておるわけであります。われわれとしても重大な関心を持たなければならないと思うわけであります。新聞報道によりますと、特に千葉県下で一斉の交通取り締まりに機動隊が出動する、その取り締まりに出る菅原巡査が、中庭からああした暴走をしたというふうに報道されているわけであります。  そこで、私は、先ほど交通局長からもお話がありましたように、事件の真相につきましては、それぞれ関係者の間で慎重な取り調べが行なわれていると思うわけであります。しかし、いまのところ取り調べ中でありますから、菅原巡査の全くの故意による、まあ言えば、ちょっとそこに車があったからいたずらしてみようかという気持ちであったのか、軽自動車か何かの免許証を持っておられるようでありますから、自分も将来はひとつ自動車免許でもとってやろうというようなことで、その練習をするための一環としてやったところが、たまたまああした暴走になってしまったという点があるのか、よくわかりませんが、私どもが日常よく見ておりますと、たとえて申し上げますれば、自動車免許というものは、公安委員会の許可ということに道路交通法で明記されているわけであります。でありますから、道路上におきましては、もちろん何人たりとも試験を受ける前の練習をするということはできないわけでありますが、しかし、自動車学校においてしっかり勉強して免許をとる、こういうことでいっておられる人もありますけれども、大ぜいの中でありますから、中には、道路やその他空地であるとか、公園の一部であるとか、学校の土曜、日曜の庭であるとか、そういうところで練習をして、そして公安委員会の指定する、ないしはまた県の試験場でもって、実地と学科の両方の試験を受けるということになるわけであります。  そこで、たとえて申し上げますれば、もちろん法律におきまして、自動車学校というものもそれぞれ各県の公安委員会で許可しておるわけでありますが、この免許制度について多少問題があるんじゃないか。と申し上げますことは、ただいま申し上げましたように、いまや世界の願いとしての交通安全対策、まあわれわれもそれを確立するために、微力でありますがこうして委員会にも参加いたしておるわけでありますが、たとえば、先ほど私が申し上げましたように、菅原巡査が、自分は転自動車免許を持っておる。でありますから、将来一般の免許でも持って、そして自分も古い自動車の一台でも持てるようなことにいこうとしたのか、ないしは、自分は警察官として免許証を持ったほうが、そしてみずからが知るということが一番よろしい、こういうふうな心境で、練習でもしようかということになったのか、よくわかりませんが、いずれにいたしましても道路交通法の八十四条でありますか、免許をとる者は公安委員会の指定のものに従うということになっております。  そこで、私は、たとえば菅原巡査がたまたま警察官でありますから大きな問題があるわけでありますが、たとえて申し上げますれば、私が先ほど申し上げましたように、路上であるとか、また公園の一部であるとか、そういうところで、自分は自動車学校へ通わないで、そうして県の指定する試験場において一気に実地試験も、ないしはまた一般の学科の試験もとろう、こういうようなことでいかれる場合と、二とおりあるわけであります。  そこで、今日のようなこれだけ世界の願いとしてての交通安全対策ということを考えた場合に、私は、善意に解釈すれば、菅原巡査が、自分が将来免許証でもとろう、こういう立場に立った場合の事故であれば、たとえば免許制度の一元化ということをはかることによって、そして公安委員会の指定する自動車学校ないしはそういうところ以外では一切練習ができないというくらいの免許制度の一元化をはかるということが、私は、将来への悔いをなくする一つの大きな原因にもなるのではないかということを考えておる一人であります、でありますから、今回は道路交通法の一部改正で反則金の問題を議論されておるわけでありますが、私は、いま申し上げましたように免許制度の一元化をはかって、そうして公安委員会の指定された自動車学校ないしはそういうところにおいて練習ができるような制度の一元化というものをはかっていかなければならない、こういうふうに思う一人であります。総務長官の率直な御所見を承りたいと思います。
  74. 塚原俊郎

    ○塚原国務大臣 遅参いたしまして申しわけありません。  千葉県の、新聞に出ております御指摘事故はまことに遺憾でありまして、これは精神の弛緩とかたるんでおるという問題ではないと私は考えております。少なくとも交通対策本部長として、私は関係省に対しまして強い申し入れをいたしておる次第でございます。もちろんいま御指摘のような、どういう原因であるかということはただいま調査中でありましょうが、いまや交通問題が一番重要な政治問題となり、特に当委員会等において超党派的に論議されておるときだけに、単にそれが警察官であったとかあるいはそうでなかったということは別といたしましても、これは真剣に取り上げられなければならない問題であると私は考えております。  ただいま免許制度の一元化についての御質問でありまするが、昨年大型車、ダンプ車等による事故が相次いで起こりましたときに、応急対策として取り上げましたもの以外に、恒久対策として免許制度の問題があったわけであります。たとえば年齢の引き上げとか、あるいは経験年数の問題でありますとか、それはただいま国会で御審議を願っておる問題であります。しかし、いま木部委員指摘のような矛盾の点、批判をいただく点が多分にあると思いますので、この免許制度の一元化ということについては、これは真剣に検討されなければならない問題であると私は考えております。先般もこの委員会で申しましたように、大型車に対する安全の問題、学童、園児に対する安全の問題、そういう専門部会もございますので、そういう機関を利用いたしまして検討を続けていきたいと考えております。
  75. 山下榮二

    山下委員長 丹羽久章君。
  76. 丹羽久章

    ○丹羽(久)委員 私は総理府の総務長官にお尋ねいたそうとは思っておりません。どうぞほかのほうへお出かけいただいてもけっこうであります。  私がこれから聞こうといたしますことは、運輸省自動車局長あるいは堀山整備部長さんにお尋ねをいたしたいと思いますが、最近交通事故問題は非常に多くなってきて、昨年は一万三千八百人からの死亡者を出し、五十万人からのけが人を出した。これは何度も何度も論議をせられて、そうして対策も次から次へと御苦労していただくのでありまするが、私は、あなた方を攻撃したり何かするのが目的ではないので、いろいろと起きたその事故に対して、それをどうしたらなくするかということの建設的な私の意見をひとつ聞いていただきたい、こう思うのです。  たとえば、歩道に立って車道を渡ろうとするとき、この車はとまってくれるかとまってくれないかということがわからない。それがために、とまってくれるだろうと思って渡りかけたら、その車はとまらずに走ってきた。それがためにその人はたいへんな事故を起こしてなくなった、あるいはけがをした、こういう事故が往々にしてあるのです。ところが、うしろから続いていく車は、ブレーキを踏むとストップライトがつくから、前の車はとまるということがわかるから追突せずに済むわけです。この横断をする人が安心して渡れる方法の一つとして、ブレーキに足をかけたら前にもライトがつくようにすれば、あの車はとまってくれるなということがわかって安心して渡ることができるのじゃないかと思うが、こういう機構的な改造をしていただいたらどうか。これについてお答えをいただきたい。
  77. 堀山健

    ○堀山説明員 お答えいたします。  御承知のように、ブレーキライトは後続車に対して追突防止のためにあるわけでございます。前のほうにつける場合にどういう効果になるかと申しますと、車は、うしろにつく場合も同じでございますが、制動をかけるということととまることとは、一見同じようでございますけれども、実は違うわけでございます。とまろうという意思があるということととまるということとは必ずしも一致しないわけでございます。そこで、たとえば横断歩道で前から車が来る。横断しようとする人が、前から来る車の制動灯がついた。だからとまるだろうということで見当をつけて渡りますと、あにはからんやとまる場合もあるし、あるいは徐行はするけれどもとまらなかった、こういうこともあるかと思います。そういう点で非常に不明確な点があって、かえって間違いを起こすという点がございますので、安全という面からいいますと、車が確実にとまってから渡るということが、やはり何といっても一番安全なことではないか、このように考えます。
  78. 丹羽久章

    ○丹羽(久)委員 安全性からいって、私の言うことがあまりたいした効果がないというような御説明であるが、私は相当真剣に考えてきたつもりです。ブレーキに足を乗せればストップライトと一緒に前のライトがつく。そうすれば、とまるとまらないは別としてなんて言われるが、渡る者にとってみれば、手をあげて渡るときは、片方の運転手はその手をあげておる二とが全然わからないで車が走っていく。それがために事故が起きる。けれども、足を乗せてくれればちゃんと意識をしているので、その意識をするように法律的な義務をつけたらどうですか。そうすれば、前にライトがぱっとつけば、この車は認識してくれたんだ、だからこの車はとまるんだという安全感でちゃんと渡るように、そういう指導をすることが一つのあり方だと思って私は申し上げたが、その返答はどうも私は納得できない。実質的にやってみなさい。局長さん、あなたは免許証を持っていらっしゃいますか。私は免許証を持っております。そして三十年の経歴を持っていますが、渡る人は横断歩道だけじゃないですよ。他のところを渡らなければならぬような場合の人もある。そういう人でも、手をあげてこうやったときに、ライトがばっとついたら、それが法律的に規則づけられておるならば、この車はきっととまるということが信じられて、そして渡っていくことができるし、片方も、これを踏んだ以上は認識をして踏むのですから、そういうような指導をしていくことが必要じゃないか、こう思うのです。だから、これはひとつ研究課題にしていただきたい。  それから、運転をしている者が夜走ってくる。渡る人はライトに浮かび出される。だから歩行者は横断するときに、自分のからだは浮かび出ているから絶対とまってくれるだろうと安心して渡る。ところが、雨でも降っておるときには、人間の姿というものは、白い着物でも着ておればまた別であるけれども、暗いときにはなかなか見出すことができない。はっと思った瞬間にはもうひいてしまっておるという事態が往々にしてあるのです。そういう意味から考えてまいりますと、舗装と自動車の出すところのあかり、これとのタイミングを考えてもらわないと、夜の事故の解決はなかなかつかないと思う。死んでいった人から聞くことはできないけれども事故を起こした連中からいろいろ聞いてみると、はっと気がついたときにはひいておりました、どうしてわからなかったかというと、ライトはやっていたけれども、下のコンクリートがトペカ舗装のために、雨が降っていると実際見えなかった、こういう面が非常に多いのです。だから私は、愛知県の場合に何度も、舗装の色を変えてみたらどうか、トペカの舗装の色を黒くせずに青くするとか、ライトを照らすとばっと浮かび出てくるような色に変えたらどうかということをいろいろ申し上げたけれども、これは取り入れられなかった。これも総理府交通対策本部として御研究いただきたい。こういう事故は相当ありますし、私自身が車に乗って運転をいたしました経験から申し上げるのであります。  もう一点は、今度の予算は人命尊重というたてまえから、昨年に比べてきっと——私は昨年は出ておりませんのでわかりませんけれども、多く予算がつけられたと思っております。建設省には二百十三億円、警察庁には十七億円、総理府は少なくて七千万円、運輸省は二十六億円で、合計二百五十六億七千万円という金が一応交通対策として計上せられておるように思うのですが、しかし、消防庁の救急車の予算というのは補助金として四千万円より見ていない。四千万円を日本じゅうに割り当てるとすれば、一体どれだけの金になるかということになるというわけであります。  そこで、愛知県の場合のことを申し上げて恐縮でありますが、名古屋市なんかは、事故が起こって出動する場合に、ちゃんと医者が乗っていって、助けられるものはすぐにその場で、病院に運び込むまでの間に全部処置をするということをやるのです。交通事故は、早く手当てをしなかったために死んでいく人がどれだけあるかわからない。一万三千八百人のうちで緊急な処置をとってあげることができたならば、死亡者は一万人で、あとの三千八百人は生命を取りとめることができたかもしれないという考え方を持っている。あるいはもっとたくさん生命を守ることができるかもしれない。そういう意味から考えてまいりますと、四千万円やそこらの金で救急車に対する補助金というような考え方でなく、もっとどこかから予算を出してもらう。そしてけがをしたときには直ちに医者も乗せる。そしてその医者がすぐ手当てをするというような方法をとっていただきたいと思っておりますが、その点に対してはどういうお考えを持たれておるか。消防庁は見えませんので、総理府の上村副長官にお答えをいただきたいと思います。
  79. 上村千一郎

    上村政府委員 丹羽委員からきわめて適切な御意見の御開陳があったわけでございます。この救急医療対策という問題につきましては、総合施策としてきわめて重要な一つの柱といたしておるわけでございますが、しかし、御指摘のように、予算措置というものにつきましてきわめて薄弱であるわけです。これはおのおのの担当省庁におきまして予算請求をいたしていくたてまえに相なっておりまするので、総理府といたしましては総合調整をいたしておりまして、意図は持っておりますが、その予算請求の立場にはなっておりませんけれども、しかし、御意思はそうでございまするから、大いに御意思に沿うようにしていきたい、こう思っておるわけでございます。
  80. 宮崎清文

    宮崎政府委員 こまかい点を補足説明させていただきます。  御指摘のように、昭和四十二年度におきます救急車の予算は四千万円でございます。これは大体三分の一補助でございまして、六十八台分を一応、予定いたしております。  現在、全国で救急車がどれだけあるかという点でございますが、現在約六百台でございます。そこで、しからば今後どれだけ足りないかという問題になりますが、これはいろいろな説がございますが、現在やや通説になっておりますのは、救急業務というものは人口十万の割りにつき一隊が少なくとも必要最小限度であろう、こういうことであります。したがいまして、日本におきましては千隊の救急隊が必要であるとされるわけでございまして、一隊が一台の救急車を持つといたしますと、千台必要と相なるわけでございます。したがいまして、現在約六百台、昭和四十二年度におきましては大体七十台程度というようなことで、六百七十台程度になりますが、残りの分は今後年次計画をもって早急に整備いたしたい、このように考えております。  また、救急医療の関連の問題でございますが、これは御承知と思いますが、昭和四十二年度以降におきまして、全国に大体百十カ所程度の国、公立の病院に脳神経外科を含めまして救急医療センターを設置いたしまして、これとの関連におきまして救急業務全般を強力に推進してまいりたい、かように考えております。
  81. 丹羽久章

    ○丹羽(久)委員 いまのお話を聞いておりますと、将来には計画は立てられておるというようなことですが、千台必要なところで六百台よりできないということ、これは将来性よりも現実の問題として解決をしていかなければならぬ問題だと思います。  くどいことを申し上げるようでありますけれども、助かる人間が手おくれのために助からない、そういうようなこと、もう一つは、救急車が走ろうと思っても、たとえば名古屋市なんか混雑して、幾らサイレンを鳴らしても、徐行しようと思っても徐行のでき得ない場合がある。そういうときには、やはり医者が乗っておってくれて手当てをしてくれれば、そうすればその人は助かることができるのですから、そういう点でやはり救急車に、少々高給な金を出しても、それを好んで乗っていただけるような、人命尊重に協力してくれるお医者さんに救急車に乗ってもらって、そして、けがをしたから担架に乗せてそこらの医者へ運び込めばそれでいいのだというような考え方でなく、もっとそういうところにひとつ研究をしてもらいたい。これを私はお願いをするのです。これはもう前から、知識人でありこういうことを研究している人たちが相当やかましく言っておる問題なんです。愛知県はそういうようにお医者さんに乗ってもらって、そして救急車が出動する。直ちにそこで、骨折している場合は骨折の手当てをする、頭を打っている場合には頭を打っているような処置をする、内出血をしていれば内出血の手当てをするというような方法がとられているのですから、どうかそういう点を予算の上からもう少しお考えいただいて、そして交通事故が起きた以上はすみやかに人命を助けていく、けがを最小限度に食いとめてなおしてあげるというような処置を、心からお願いいたす次第であります。  以上をもちまして、関連ですから、きょうはこれで終わります。どうもありがとうございました。
  82. 山下榮二

    山下委員長 それでは、先ほどお話がございました本日の国家公安委員会の結果を御報告いたしたいとのことでございますから、御報告をいただきます。
  83. 鈴木光一

    鈴木(光)政府委員 けさの国家公安委員会の模様が入りましたので、御報告申し上げたいと思います。  国家公安委員会といたしましても、千葉県警の事案につきましては、重大な問題として取り上げまして審議いたしまして、その結果、従来からもこの種の事故についての通達が出ておりますが、さらに今回の事故にかんがみて、従来の事故通達を確認する意味において、もう一度重ねて通達をするということに決定したという報告がございましたので、御報告申し上げたいと思います。
  84. 山下榮二

    山下委員長 次会は公報をもってお知らせすることといたし、本日はこれにて散会いたします。    午後一時六分散会