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1967-05-16 第55回国会 衆議院 交通安全対策特別委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年五月十六日(火曜日)     午後四時三十九分開議  出席委員    委員長 山下 榮二君    理事 大竹 太郎君 理事 木部 佳昭君    理事 登坂重次郎君 理事 堀川 恭平君    理事 太田 一夫君 理事 山田 耻目君    理事 春日 一幸君       小峯 柳多君    広川シズエ君       古屋  亨君    井上  泉君       松本 忠助君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 大橋 武夫君         国 務 大 臣 塚原 俊郎君         国 務 大 臣 藤枝 泉介君  出席政府委員         内閣総理大臣官         房陸上交通安全         調査室長    宮崎 清文君         警察庁交通局長 鈴木 光一君         運輸省自動車局         長       原山 亮三君         建設省道路局長 蓑輪健二郎君     ————————————— 本日の会議に付した案件  委員派遣承認申請に関する件  交通安全対策に関する件(ダンプカー事故防  止対策に関する問題)      ————◇—————
  2. 山下榮二

    山下委員長 これより会議を開きます。  この際、委員派遣承認申請の件についておはかりいたします。  先ほどの理事会におきまして協議をいたしましたとおり、地方における交通事情及び交通安全施設整備状況調査のため、現地に委員を派遣いたしたいと存じます。  つきましては、衆議院規則第五十五条により、議長に承認を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 山下榮二

    山下委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  なお、派遣期間派遣委員選定等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 山下榮二

    山下委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。      ————◇—————
  5. 山下榮二

    山下委員長 交通安全対策に関する件について調査を進めます。  質疑の通告がございますので、順次これを許すことにいたします。春日一幸君。
  6. 春日一幸

    春日委員 私は、本日はダンプカー業態正常化に関する問題について、問題を集約して質問をいたしたいと存じます。  まず最初に、最近のダンプカー事故実態について、これを明らかにいたしていただきたいと思うのでありまするが、われわれが新聞紙上承知いたします限りにおきましては、暴走ダンプカー小学生幼稚園児、さては中学生の列に突っ込みまして、このため多数の死傷者を出すという悲惨な事故が相次いで発生をいたしておりまして、ここにダンプカー対策が大きな社会問題、政治問題になりつつあるのであります。  すなわち、昭和四十一年中における交通事故発生状態は、件数が四十二万千四百四十五件、死者が一万三千八百九十五人、負傷者が四十九万七千四百九十人ということで、これは実に史上最悪の記録をさらにここに更新をいたしておるのでございます。すなわち、これは三十八分間に一人の割合死者発生する、六十二秒間に一人の割合負傷者発生しておるという勘定になるのでございまして、このうちダンプカーによる死傷事故はかなりの比重を占めておると想像されるのでございます。したがいまして、このダンプカー事故絶滅を期することのため、政府は、最もすみやかに総合的な、効果ある施策を講じなければならぬと思うが、内閣においてこの所管大臣であられます塚原総務長官は、これに対してどのような対策をお立てになっておられますか、ダンプカー事故実態を明らかにされると同時に、この事故絶滅に対する政府具体案について、この際お述べを願いたいと思います。
  7. 塚原俊郎

    塚原国務大臣 御指摘ダンプカーによる事故が非常に多いことは、まことに残念でありまするし、また、昨年の自動車事故による死亡者の数が、戦後最高数字を示したというきわめてグルーミーなニュースも、これはきわめて大きな政治問題として取り上げなければならないと私は考えております。  政府におきましては交通対策本部というものを、総合調整立場から総理府がお世話をいたしてこれを設けておりまして、問題のあるたび以外にもひんぱんに会合を重ねまして、その対策を練っておるわけであります。昨年の十一月末でありまするか、十二月に入りましてからも相次いで事故発生いたしましたので、特にこのダンプカー大型車に対する規制措置をとりました。もちろん、法律改正等をまつものは国会をまたなければなりませんが、政令その他でやれる応急措置恒久措置に分けまして、応急措置は、当時から取り締まり強化あるいは労働基準法に違反していることについての労働省からの御注意等、これはわりに徹底してやったつもりでありまするが、法的措置を講ずる問題につきましては、今度の国会で十分御審議を願うことになっておるわけであります。  その後、踏切事故等の非常に悲惨な事件もありまするが、踏切事故と並んでこのダンプカー大型貨物車に関する部門と、それから学童園児保護対策という、この三つ部門に最重点を置きまして対策を練っておるようなわけでございます。
  8. 春日一幸

    春日委員 総合対策については、今次国会においてその論議を行ない、しこうして、おりを見て法的措置をとりたいという総務長官の御答弁でありますが、私は、そのようにゆっくりかまえていい問題であるかどうか、政府認識を疑わざるを得ない。と申しますのは、一年間に一万三千九百人という死者、これは今次ベトナム戦争において米軍が失った戦死者一万三百数十人に比べますると、さらにそれを上回るという巨大な数字に相なっております。毎日三十数名の諸君がこの事故によって死んでいくのである。国民的災害とでも申しまするか、このような大災害が日々起きておるにもかかわらず、この問題に対する総合的対策は、まず今次国会において論議を行なってもらっておもむろに施策を講ずるというがごとき御認識では、佐藤総理大臣がかねがね申されておりまする人間尊重政治であるとか、社会開発施策を講ずるとか言われたところで、それは言われておるだけのしゃれでしかないじゃございませんか。真に人命尊重のための政治に徹するというのであるならば、このような悲惨事——幼稚園児の列の中に、小学生中学生の列の中にダンプカーが突っ込んでいく、毎日の社会面の記事は、このような悲惨な事故によって埋められておるのであるという事態にかんがみて、政府は、最もすみやかにもっと根本的な総合施策を講ずべきである。総選挙が過ぎてすでに四カ月になんなんとするこの時点において、いまだにその対策総合施策政府において固められていないということは、まさにその認識を疑わざるを得ない。良心のあるところを私は疑いたくなるほどでございます。まるで何も考えていないのでございますか、あらためて御答弁願いたい。
  9. 塚原俊郎

    塚原国務大臣 ことばの足りなかった面がありますから補足いたしまするが、ダンプカーについてというような御質問でありましたのでああいう答弁をしたのでありまするが、交通対策についての基本原則と申しまするか、それはもちろん十分持っております。ただ、誤解のないようにしていただきたいのは、当時応急対策恒久対策を立てまして、立法措置によるものは何せ国会が開かれておりませんので、国会の御審議をまつということを私は申したのでありまして、その間、立法措置によらないでなし得るすべてのものは政府としてやってまいったのであります。  なお、交通事故対策につきまして何らその対策がないというたいへん強いおしかりを春日先生から受けましたけれども、私は、就任以来四つの柱というものを中心にしてこの問題に取り組んでおるつもりでございます。大体交通安全施設等の、つまり、道路整備というようなものをまず第一にやらなければいけないということであります。それから取り締まり強化するという、この面をやらなければならない。これが第二の柱であります。第三の柱といたしましては、やはり交通道徳教育と申しまするか、交通教育と申しまするか、いかに歩行者優先とはいいながら交通に対する認識を深めていくという措置もとらなければならない。これが第三の柱であります。この三つの柱以外に、日本においては歩行者被害者が非常に多いという現状から考えて、いわゆるアフターケア、その犠牲者に対する措置というもの、これを四つの柱として立てて、私はこの対策を進めておるわけでございます。  なお、四十一年度を起点として三カ年計画を樹立いたし、たとえば横断歩道橋あるいはガードレール、信号灯、これらの整備を二カ年計画で、繰り上げて完成しようということはたびたび申し上げておる点でございまするが、四十二年度の予算においても、四十一年度予算より約八四%の予算の増加を見ましてこの問題と取り組んでおるわけでございます。この四本の柱というものを中心にして対策を練りつつあるわけでございます。
  10. 春日一幸

    春日委員 私は、基本的な認識というものがその施策を樹立するにあたってきわめて重要なポイントになると思いますので、重ねて申し上げるのでございまするけれども、いま内閣において交通対策本部最高責任者として塚原大臣が立てられておりますその四つの基本的な柱というものは、もとよりそれらの施策は当然必要でございましょう。お述べになりました道路整備の問題、道路交通取り締まりの問題、交通モラル教育の普及の問題、犠牲者救済問題等、これはいずれも重要な要素をなすものではございますけれども、しかし、冒頭申し上げましたように、これら交通事故の中の多くの部分ダンプカーによって巻き起こされておるという事実をありのままに認識、判断いたしまするならば、これら四つの柱のほかに、ダンプ業界業態整備に関する問題をおろそかにいたしましては、現象的な、外形的な問題の取り締まりを行なうだけで、事故根絶をはかることはとうてい不可能ではないかと思うのでございます。  この際、国家公安委員長としての藤枝君にお伺いをいたしたいのでございまするが、なるほど交通事故原因を検討いたしますれば、安全運転違反あるいは徐行違反車間距離不保持とか追い越し違反歩行者保護違反など、さまざまな違反種別があげられてはおりますけれども、これを検挙するだけで問題の解決がはかり得るとお思いでございまするか。はたして警察取り締まりだけで、現在行なわれておりまするダンプ業界のその実態にかんがみて、これらの取り締まりだけで、いま塚原総務長官があげられましたけれども、四つの柱、これの施策を完全に講じたとしても、そのような外形的な問題の処理で、根本的な、病理的に内攻化いたしておりますダンプカー業態整備、このことを行なうことなくして、この交通違反根絶することがなし得ると考えておられるか、国家公安委員長としての御見解をこの際お伺いいたしたい。
  11. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 確かに春日さん御指摘のように、特にダンプカー砂利運搬等につきましては、その業態正常化あるいは運賃適正化というものが根本にはかられなければならないと思います。ことに、御承知のように、この砂利運搬等につきましては、いわば一匹オオカミとでも申しますか、ダンプカーを持った日雇い労働者みたいな形態もあるわけでございますが、そういう点を直さなければ、単に取り締まりだけで十分にこの弊害を除去するわけにはいかないことは当然だと思います。したがいまして、警察当局といたしましては、関係各省にそれらの点についての業態正常化、あるいは運賃適正化等について施策をしていただくようにお願いをしている次第でございます。
  12. 春日一幸

    春日委員 この際、各大臣に御答弁をいただきまする基礎といたしまして、宮崎陸上交通安全調査室長にお伺いをいたしたいのでございまするが、今日ダンプ業界実態、それはどのようなものであるのか、総台数がどの程度あるのか、なかんずく営業用がどの程度のものであるのか、その中で自家用のものはどの程度のものであるのか、いま国家公安委員長指摘されたいわゆる一匹オオカミなるものの存在はどの程度のものであるのか、この実態について明らかにお示しを願いたい。
  13. 宮崎清文

    宮崎政府委員 ただいま春日先生指摘の点でございますが、ダンプカー実態につきましては、いろいろ複雑な問題がございまして、私のほうといたしましても必ずしも的確な資料は持ち合わせておりません。しかし、大体現在承知しておりますことをお答え申し上げます。  第一に、ダンプカー自動車保有台数でございますが、本年の一月末現在におきまして、五トン以上のダンプカー総数が約十三万九千台となっております。その内訳を申しますと、そのうち事業用、いわゆる緑のナンバーでございますが、事業用として登録されております自動車台数が約一万一千四百台、それから自家用、俗に言います白ナンバーでございますが、自家用として登録されておりますものが約十二万八千台でございまして、御指摘のように、ダンプカー総数におきましては事業用自家用車の比率は一対十一程度になっております。また、この自家用の十二万八千台がどういうところで笑われているかというこまかい実態については、最初にお断わり申し上げましたように、まだつまびらかにしておりませんが、大体の推定といたしまして、その七、八割はいわゆる砂利産業と申しますか、先ほど御指摘になりました一匹オオカミ的な業者が使用しているものと推定いたしております。
  14. 春日一幸

    春日委員 ただいま宮崎室長によって示されましたとおり、十三万九千台ある。その中で道路運送法によって取り締まり対象たり得るものが一万一千四百台でしかないのである。自家用車、これが十二万八千台、なかんずくその七〇%というものが一匹オオカミであるという。このような事態において、いま塚原総務長官がお述べになりましたような道路整備の問題でありまするとか、あるいは単なる交通取り締まりでありまするとか、モラル教育の問題だけを彼らに説いておったところで、私はダンプカーが日々巻き起こしておりまする交通事故、これを根絶することのために的確な効果を持つ施策とは考えられない。私はこのような実態に即して、ダンプカー対策というものが根本的に立てられなればならないものであると思うが、この際、運輸大臣にお伺いをいたしたいのでありまするが、運輸省は、一体このような実態に対して現行法律範囲内においてこれが対策、すなわちこのダンプカー規制対策を樹立することができるのであるか。営業用ダンプカー自家用ダンプカー、それから一匹オオカミダンプカーと、こういうものが現行道路運送法ですか、この法律範囲内でこれを把握し、捕捉し、対策を立てることができると思うか。この点はいかがでございますか。
  15. 大橋武夫

    大橋国務大臣 砂利輸送ダンプカーの問題は、今日の砂利業界あり方と関連をいたしておる問題ではございますけれども、しかし、交通安全という見地から考えまするというと、砂利業界あり方と切り離しましてダンプカーに対する独自の対策も、この際考えなければならない事柄だと思っておるのでございます。したがいまして、ダンプカー業者に対しましては、これが輸送業者として営業用の車ということになっておりまするというと運輸省取り締まりを受け、陸運当局によりましていろいろと指導、監督も行き届くわけでございますが、いわゆる自家用車ということになりまするというと、車両の構造上の問題につきまして運輸省が関与できるだけでございまして、事業運営そのものについては何ら関与できないという悩みがあるわけでございまして、この点について実際安全上の問題を引き起こしておりますのは、営業車よりもむしろ御指摘の一匹オオカミ的なものを含めました自家用車の部類でございますから、これに対する対策を早急に関係当局と相談いたしまして、何らかの措置をとるようにしなければなるまいと思っております。
  16. 春日一幸

    春日委員 いまお述べになりましたような諸条件を背景として、総務長官にこれが総合対策について所見をただしたいと思うのでありまするが、ただいま運輸大臣がお述べになりましたように、すなわちダンプカー事故根本原因は、道路運送法機能のもとではこれを完全に捕捉することができないものである。しかも実在するダンプカーはその大部分が一匹オオカミであり、かつ自家用のものであるという、このような事態にかんがみて、何らかの法的措置を講じなければならないと結論的に指摘されておるのであるが、これに対する本部長としての御見解はいかがでありますか。
  17. 塚原俊郎

    塚原国務大臣 運輸当局として非常に歯がゆいと思われるあり方については、いま運輸大臣がお述べになりましたとおりでありますが、先ほどから申しておりますように、昨年からの非常な悲惨な事件が、ダンプカーあるいは大型車によって起こっている。だから、応急対策として取り締まりあるいは労働基準法違反のものに対してびしびしこれをやってまいったが、なおこれでも足りない面がたくさんあるわけでございます。その一つのあらわれが、いまの運輸大臣の御発言でもあろうと思うのであります。  そこで、冒頭に申しました、いま交通対策本部三つ部門踏切は別といたしまして、学童園児交通対策の問題、そしてこのダンプカー部門というものを特に設けまして、関係各省が集まりまして、いま御指摘なような点の矛盾をいかに打開していくか、さらにまた法的措置を講ずべきものはどういうものであるかというようなことについて、総合調整立場からただいまこの問題を大きな問題として取り上げておる次第でございます。
  18. 春日一幸

    春日委員 ただいまこの問題が重要な問題として検討の対象とされておるということ、これは必要不可欠の問題でございまして、最もすみやかに実行確保のための施策を樹立して、これを実行せしめていただきたいと思うのでございます。  ただいまの質疑応答によって明らかになりましたことは、すなわち、このダンプカーの問題を解決せしめることのためには、現在の道路運送法機能では、とうていこれは根本的な解決がはかり得るものではない、当面の解決もはかり得るものではないということが明らかになりました。塚原長官は、先年来取り締まり強化してきたとおっしゃっておりますけれども、強化された各段階において、日とともにそのダンプカーによる交通事故が、その最悪のレコードを更新しておるのである。それを悪い方向に更新しておるのである。この事態を考えまするならば、取り締まりなんか幾ら強化したってだめなんだ、ダンプ業態それ自体のあり方交通禍対策の根源があるのであるということについて御認識が得られると思うのでありますが、これについて御所見はいかがでありますか。
  19. 塚原俊郎

    塚原国務大臣 ダンプカー等による事故の頻発に対しまして、当時、応急対策としてとり得るものは取り締まり強化がまず第一である。スピードの問題にしても、積載量の問題にいたしましても、そういうところからそういう処置をとったのでありますが、もちろんダンプ業者実態等についても、御指摘のような点は私も率直にこれを認めているのであります。それだけにあらゆる角度から、いまダンプカー専門部会を設けまして、基本的な根絶策と申しまするか、そういうものに取り組んでおる次第でございます。
  20. 春日一幸

    春日委員 そこで、私は運輸大臣にお伺いをいたしたいのでございまするが、われわれが調査いたしました範囲内では、先般来運輸省が各地方陸運局通達を発せられまして、陸運局ごとに、すなわち骨材等運送を目的とする貨物自動車運送事業免許申請事業処理要綱、これを通達されまして、地方陸運局ごとに聴聞を開始されておるということでございますが、このことを御承知であられますか。
  21. 大橋武夫

    大橋国務大臣 陸運局に対しまして、自動車局からさような事務連絡をいたしました事実がございます。
  22. 春日一幸

    春日委員 その処理要綱はお手元にございますか。
  23. 大橋武夫

    大橋国務大臣 ここにございます。
  24. 春日一幸

    春日委員 ならば質問をいたしたいと思うのでありまするが、その第二項目の中の申請事業の審査というところに述べられておりまするが、これによりますると、要約すれば、この免許申請対象となるものは、結局は営業用ダンプカーのみに局限されるということになると思いますが、いかがでありますか。
  25. 大橋武夫

    大橋国務大臣 これはダンプカー営業として運送事業を営もう、こういうものの申請に対する許可手続でございます。
  26. 春日一幸

    春日委員 さすれば、冒頭宮崎君がお述べになりましたように、ダンプカーが十三万九千台ある中で、いわゆるこの処理要綱対象となる台数は一万一千四百台でしかないではないか。自家用が十二万八千台あるとするならば、十二万八千台というものはこの処理要綱対象外に置かれるべきものであると想定されるが、いかがでありますか。
  27. 大橋武夫

    大橋国務大臣 この通達の趣旨は、すでに運送業免許を得ておりまする一万数千台をいうのではなく、その他の一匹オオカミその他を今後逐次組合その他に編成するように指導をいたしまして、そうして運送業免許を受けさせよう、こういう意図をもってする通達ではございまするが、しかし、現在までの実施成果から考えますると、急速に十二万台の一匹オオカミ的なものが、これによって運送業になるとは考えられません。さしあたりはごく一部であろうと思われます。
  28. 春日一幸

    春日委員 私は、政府閣僚に対して特に注意を喚起申し上げたいと思いますることは、この委員会におきまする交通禍対策に関する論議は、何ら政府国会とか、政府野党とかいうような、イデオロギー的要素政策上の対立内容というものはないのでございます。わけて、今国会にこの特別委員会が設置されましたそのゆえんのものは、各政党があの総選挙において、主権者国民の前にひとしく公約したその公約に基づいて、総選挙後各党の党首会談が行なわれ、交通禍をなくしよう、この交通戦争とも目すべき悲惨事をなくしよう、そのためには総合対策をすみやかに樹立しなければならないが、しかし、今日この交通政策に関しまする分担が、運輸省から警察庁、あるいは建設省、通産省、自治省、さまざまの省にまたがるのである。したがって、そこで部分的に、局部的に論議をいたしておっても、総合的結論を得ることは困難であろうから、よってもってここにこれらの対策を総合的に樹立し得るように、超党派的に、さらに言うならば、全国民的規模でこの難作業に当たろうという、そのような方針に基づいて各政党合意がなされ、そうして政府国会との間の合意もなされてこの委員会が持たれたのでございます。かくその経過を考えまするならば、こう言うたからああ言うた、ああ言うたからこう言うたというような答弁でなしに、質疑応答の中においてなるほどなとうなずけるものは、政府もこれを虚心たんかいに、胸襟を開いて受け入れて、野党の声であろうともそれは天の声なり、そういう気持ちで、その施策にほんとうに取り組んでいただけるという、そのような心がまえの中で私どもはこの論議を深めたいと思うのでございます。  そこで、私は運輸大臣並びに各大臣にお考えを願いたいことは、運輸大臣の指令に基づいてと思うけれども、自動車局地方陸運局に対してこのような通達を行なっておる。しかし、この通達対象になるものは十二万何千台の中の一小部分でしかないものである。しかも現行法律のたてまえでいけば、一匹オオカミであろうと、その日暮らしの日雇いであろうと、ダンプカーを買って、われこそは砂利販売業者なりと名のった以上、彼が砂利採取現場へ行って砂利を買って、そうして建設現場へその砂利を送り届ける、これはまさしく自家営業であり、自家輸送である。したがいまして、いま運輸大臣が、この要綱の中に書いてありますが、とりあえず何台かに集約しようというたところで、そんなことはいやだと言う男が——立憲法治国においては法律に基づいてのみ行政はなし得るものである。法律に定めざるところ、運輸省であろうと何省であろうと国民の権利を拘束することはできないのである。したがいまして、自家輸送道路運送法の適用外であるという現在の法のたてまえの上に立って、わしは砂利販売業者だといって、ダンプカーを買ってきて、あるいは借りてきて輸送をやれば、これを集約しようと思ったところで、わしはいやだと言ったらそれで終わりじゃございませんか。この問題はいかがでありますか。
  29. 大橋武夫

    大橋国務大臣 これは全く先生仰せのとおりでございまして、この通達ダンプカーの問題に対して何ら根本的な解決を意図したものではございません。ただ、さしあたりの問題といたしまして、何らかの措置がとられるまで、少しでもダンプカーの業界に対しまして陸運当局をして指導させたい、こういう意味でもって説得して運送業免許をとらせよう、こういうものでございまして、それもとりたい者はとるので、とりたくない者まで押えつけるという力は何らございません。
  30. 春日一幸

    春日委員 私は、本日臨席をいただいた三大臣に申し上げたいのでございますが、三君はそれぞれキャリアを積まれた政策のベテランであられる。だから私はここで三君の猛省を求めたいのであります。責めをふさぐということばがございますね。ここにいすが一つあいておる。そこへだれかすわってしまえばもはやそのいすはふさがれた感じがするのである。したがって、ダンプカーについて何らかの国家的規制をしなければならないというこのような大問題を、いま運輸大臣みずから述懐されましたように、根本的な解決対策には当たらないものではあるけれども、ないよりましだというような気持でこの通達を出されたというのでございますが、そのような中途はんぱな役にも立たないものが、世上たまたま当該業者たちには、これがダンプカーに対する安全対策が講ぜられたものと受け取られる心理的作用を及ぼすおそれはないか。問題はここなんでございます。それが講じられていなければ、塚原長官を頂点として、運輸大臣あるいは通産大臣、建設大臣警察庁みんなが総力を結集して、そうして根本的な対策を立てねばならぬとその道に精進せざるを得ぬではあろうけれども、ここにこのような中途はんぱな、なまじっかな規制が行なわれますと、すでにこのことはなされておるのであるという安堵感、解放感がそのような人々の心に作用しまして、この問題の根本対策がさらにこの先々おくれていくおそれなしとはしないと思う。だから、私はこんな中途はんぱなととはやめてもらいたい。  私は、この際警察庁から御答弁を願いたいと思うのですけれども、実際取り締まり警察庁である、法律の運用は運輸省であるというような立て方でダンプの規制を行なおうとしても、これはぴったりいくはずがない。相異なる人格が同一目的に向かって有機的な作用をつなごうとしても、構想としてはあり得るけれども、実際においてはなかなかそんなにうまくいけるものではない。右の手と左の手がお互いにからみ合うようなわけにはいかぬ。おれはこっちのほうでやるから君は右のほうで作用せいといっても、なかなかうまくいくものではない。だから、これは私の一個の粗見ではございますけれども、やはり全ダンプカー取り締まり対象にするような規模と構想で政策措置あるいは法的措置、これがとられなければならぬと思います。単なる道路運送法というような——これは言うならば経済法でございましょう。道路運送法は経済法である。安全確保は何といっても保安法である。異質のものを一つの法律で何とか作用しようと思ったって、これはなかなかうまくいくものではない。当然その中に自家撞着というか、そごを来たしてくることは、これはわれわれの深く経験をいたしたところでございます。だからすべてのダンプカー対象にできるように、私は一つの粗見を申しまするならば、これは営業用たると自家用たるとを問わず、ダンプカー使用者に対してはすべて免許を与えていく、そうしてその免許を与えられたものであるという証紙をその自動車に張っていく、そうして免許を与えるについては、当然事項でありますが一定の基準を設定していく、こういうことでなければならぬ。だれでもかれでも無責任にダンプ運転をすることのできないものであるという、このことを私は最もすみやかに法的措置を立てなければならぬと思うが、この問題について塚原総務長官の御見解はいかがでありますか。
  31. 塚原俊郎

    塚原国務大臣 交通対策は、春日委員指摘のように、国民総ぐるみ運動を展開して事故絶滅を期さなければならない。これはもちろんわれわれといたしましても、あらゆる時期にあらゆる方法によりまして国民総ぐるみ運動、県民総ぐるみ運動もやっておるのでございますが、なお、当特別委員会ができました趣旨も、いま春日委員のおっしゃるような趣旨からであろうと思います。われわれは委員各位の御意見を十分拝聴して、これを施策の上に反映さしていきたいという気持ちは非常に強いものがあるのでありますから、その点はひとつお含みおきを願ってお教えを願いたいと思うのであります。  ただいま一つの案として、ダンプカー全般に対する規制の問題、証紙等の問題のお話がございましたけれども、先ほどから申しておりますように、交通対策本部の中にダンプカーに対する一つの部門を設けまして検討いたしておるととは、先ほどから申し上げたとおりであります。この部門における会合におきましても、ただいまの御趣旨を問題といたしまして前向きで検討させていただきたい、このように考えております。
  32. 大橋武夫

    大橋国務大臣 ただいま春日委員の仰せられましたダンプカーすべてに対する許可制度、これの実施をしてはどうかということでございますが、私もこの点については全く同一の所見を持っておるのでございまして、すでに運輸当局に命じまして、一定積載量以上の大型貨物自動車並びにダンプカーについては、これを所持、運転するについて公の許可を受けるようにしてはどうか、そうしてその許可の官庁といたしましては、さしあたり警察当局にお願いしてはどうか、こういうことを申しまして、ただいま本部のほうへその案を申し入れておるような状況でございます。
  33. 春日一幸

    春日委員 ダンプに対しまする専門部会内閣交通対策本部に設けられて、この問題について深耕細打するような形で研究が重ねられてまいったことは私も承知をいたしておりますが、しかし、私どもがここに指摘しなければならないことは、塚原長官、そのように専門部会で検討されたにもかかわらず、なおかつ運輸省認識というものは、自動車局長が地方陸運局長に向かって、ダンプカー十二万何千台の中の一小部分に対して、こうしたらどうだ、ああしたらどうだというような意見をさえずっておるという、このような実態にかんがみて、私は、ほんとうに閣僚が政治的な立場に立って、この重大案件と取り組んでおるものとは承服いたしがたい。私は、事務官僚の諸君が熱心に討議されておるその労は多とするものである。また、実態を十分に把握されておりますその資料の上に立って、これらの諸君が熱心に検討されたことにも深く敬意を表するものである。けれども、そのような事務官僚の感覚と、不肖ではありますがわれわれ政治家の感覚とは、その内容がまたおのずから違ってくる。風格も変わってくる。したがって、私はこの際、関係閣僚たる皆さんがその気になって、この問題をひとつすみやかに、根本的に解決を願えないか。今次国会は、法案審議実態に即して会期もさらに一カ月延長されようといたしておる。この中において、毎日、一日三十何名ずつが死んでいくんだから、このままほっておけば死んでいくんだから、取り締まりをどんなに強化しても、強化するたびごとに、年々さらに最悪のレコードを更新しておるのであるから、単なる取り締まりではだめなんだということがわかった。さらに現行法律の限界では、これを全面的に捕捉することができないということも明らかになった。何らかの新しき措置が講じられなければならない。そうして、その構想の一つとして立てられまするものが、この際、全ダンプカー対象とする許可認可、これ以外に道はないのではないかとすら考えられるのであります。この問題について警察庁の鈴木君、参られておりますか。——警察庁、御見解はいかがでありますか。いまの運輸大臣の御答弁とあわせ御判断を願って、警察庁としての御見解をお述べ願いたい。
  34. 鈴木光一

    ○鈴木(光)政府委員 春日委員の御意見につきましては、私どもも十分しんしゃくしなければならない問題があるのでございますが、ただ……。
  35. 春日一幸

    春日委員 しんしゃくとは何だ。しんしゃくとは何だ。少なくとも国会議員が国政論議をしておるときに、君たち行政府がしんしゃくとは何だ。
  36. 鈴木光一

    ○鈴木(光)政府委員 どうもことばが十分でございませんで……。
  37. 春日一幸

    春日委員 十分でないよ。しんしゃくとは何だ。われわれが国政の大本について政策を論じておるときに、君らがしんしゃくするとは何だ。
  38. 鈴木光一

    ○鈴木(光)政府委員 しんしゃくということばは取り消しいたします。  十分参考としてまいりたいと思いますが、ただ、業態正常化運賃適正化をはかるというようなことを目的とした認可ということでありまするならば、やはり運輸行政とか通産行政とかいうことに関連いたしますので、現在の警察の所掌権限のもとにおきまして、それを直ちに取り入れるということにつきましては、問題があろうかというふうに考えております。私どもは、先ほど来から問題になっておりまする専門部会におきまして、その辺の討議をやっておるところでございます。
  39. 春日一幸

    春日委員 この答弁は全然だめです。私は公安委員長答弁をあらためて求めるのでありますが、いま論議の過程で申し上げましたように、ダンプカーによる交通禍をなくすることのためには、これは経済法たるの観点に立って対策を立てるのでは、その事故根絶を期することはむずかしいであろう。これはあくまでも保安法的立場において法的措置を考えなければならぬであろう。保安法という性格をそこに明確にしていくためには、取り締まり当局は警察当局でなければならぬと思うが所見はいかに、こう尋ねておる。公安委員長としての御見解を承りたい。
  40. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 春日さんのおっしゃる、ダンプカー全体を政府として把握しなければならないであろうということは、私も同感でございます。ただそれは、先ほど私に御質問があったときに言われましたように、現在のダンプカーを持っておる人たちの、単に取り締まりではなくて、業態正常化されあるいは運賃適正化されなければ、根本的には解決にならぬであろうという御意見は、私もそう思います。したがいまして、業態正常化とか、運賃適正化ということになりますると、現在の警察がそういうところまで立ち入ってよいものであろうかというところに問題があるわけでございます。ダンプカーそのものの実態政府として全体を把握するという、そういう考え方には、私は同感でございます。
  41. 春日一幸

    春日委員 そこで問題は、そういう二つのテーマがある政策案件をどのようにして政策効果を確保していくかというところに研究があるのであって、その場合は、やはり過当競争防止のためにはいかなる立法措置を立て得るか。これは経済法としてやれると思う。しかし問題は、やればやっていける体制を確立してやらなければならないことは当然事項ではあるけれども、やれようとやれまいと、とりあえず人を殺してもらっては困るという、この人命尊重を最優先にして施策を講ずるということは、これは当然事項であると思う。だから、そこでその免許の基準は警察庁において、ダンプカーを運転するとか、あるいはこれを操業するとかということの免許を受けた者にあらざれば、道路運送法上のダンプカーとしての免許を受けることができないと、一カ条ここに、経済法の中にこれを挿入をすれば、両々相待ってこの問題の把握、捕捉ができるではないか。立法論としてできるじゃございませんか、現行の道路運送法の一部を改正すれば。そういう警察庁の許可を受ける、あるいは免許を受けた者でなければ、道路運送法において業としてダンプカーの操業をすることができない、こうすれば、両々相待ってその辺の調整ははかり得るものであると思うが、この点どうでしょう。お互いにこだわらずに——ぼくもちょっとことばが荒いかもしれないけれども、しかし、こういう問題についてはこだわらず、いいことはいい、悪いことは悪い、こういうふうにして虚心たんかいに政府並びに国会が協力するという形で解決点を見出していきたいと思うが、いかがでございますか。
  42. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 決してこだわってもいないし、謙虚に春日さんの御意見を伺っておるわけなんです。ただ、たとえば警察の許可にかけて全部を把握いたしたとしましても、その業態正常化指導したり、あるいは運賃適正化指導するのは警察の役目ではございませんので、そういうところを十分考慮しながら、春日さんのおっしゃるような方向で、全ダンプカーが把握できるような方向で考えてまいりたいと思います。
  43. 春日一幸

    春日委員 ちょっとくどいようでありますが、運輸大臣伺いまするが、たとえば、事業としての業態正常化をはかりますためには、いまお話になりましたような値段協定の問題もあろうし、事業としての労務管理の問題もあり、運営管理の問題等もいろいろございましょう。それをすべからく経済法の道路運送法のほうで把握されてしかるべきだと思う。けれども未成年運転、これはもうしょっちゅうでございますね。それからまた精神異常者でありますとか、あるいは交通事故の前歴者でありますとか、そのような者がダンプカーの運転に当たってはならないというようなことですね。こういうような問題は、保安法で把握する以外に把握のしかたがないではないか、こういうふうに私は考えるのであるし、そしてそういうような業態正常化効果をおさめるためには相当時間がかかるが、いま日々刻々起きております事故をなくすることのためには、何らかの緊急措置で、どんなしろうとが見てもなるほどとわかる、国民も納得できる、こういう法的措置を急いで講じなければならぬのではないかと思うのでございますが、運輸大臣の御所見いかがですか。
  44. 大橋武夫

    大橋国務大臣 このダンプカーの危害を防止いたしますためには、一面においてダンプ業者あり方を是正する必要があることはもちろんでございます。しかし、これだけでダンプの危険がはたして全面的に解決できるものかどうかと申しますと、やはり現在のダンプ車の危害の実態から見まして、そのほかに、やはり仰せのような保安法的な見地からの強力な取り締まりが並行して行なわれなければならぬと思うのでございます。したがいまして、さきに申し上げましたダンプ業界あり方を是正する、運賃その他事業の経営方法を適正にするということにつきましては、運輸省といたしましても今後できるだけ努力をいたしますが、同時に警察当局に対しましては、この保安的な見地から、ダンプの運転に対する強力な取り締まりをお願いする必要があろうかと思うのでございます。したがって、これは両者協力してそれぞれの分野において取り締まりを進めていくということが必要であるわけでございまして、ただいまもこの席上におきまして関係閣僚の間で話し合ったのでございますが、双方協力いたしまして御趣旨に沿うて効果をあげ得るよう今後急速に検討を進めてまいりたい、かように申し合わせておる次第でございます。
  45. 春日一幸

    春日委員 御熱意のある御答弁伺いまして、私も非常に期待を強くするものでございます。  そこで、私は重ねて運輸大臣に要請をいたしたいのでございますが、先般地方陸運局に対して自動車局長から通達されておりますこの処理要綱といいますものは、言うならば未熟なものであり、言うならばまた部分的なものである。各項目を私は精読をしてみたのですけれども、各項目ごとにみんな若干の疑義があると思うのでございます。したがって、この問題は閣僚段階でもう一ぺん再検討を願って、このこと自体が後日策定されるであろう総合施策の災いにならないか、あるいはこのような措置が何かいすをふさいだ形にならないか、いろいろな業者自体に与える心理的作用も十分あわせ御判断を願って、このことを再検討願いたいと思うのでありますが、運輸大臣の御所見はいかがでありますか。
  46. 大橋武夫

    大橋国務大臣 実はありていを申し上げますると、この通牒は運輸省自動車局の貨物課長から陸運局長にあてられたものでございまして、これは実は私の決裁をいたしたほどのものではないのでございます。いろいろこうした通達を出すに至った経緯を聞いてみますると、ダンプの取り締まり強化のために、運送業者もダンプを持っておりますので、そうした運送業者を集めていろいろ対策を検討いたしましたところが、一匹オオカミが業界を混乱させる、これが非常にダンプの乱暴な運転を激発するもとになっておる、こうした弊害を避ける意味において、できるだけ自家用車ないし一匹オオカミ的なものを運送業者に編成してほしい、なるほどそれももっともだという程度のことで課長から陸運局長に通達したもの、こういうことでございます。したがいまして、これはこの問題に対しまする何らの根本的な対策とは運輸省としても考えておらないのでございまして、この一課長通達地方におきまして、これが運輸省のダンプ対策だそうだというような感じを与えておりはしないかという先生のおことばを伺いまして、私も実はびっくりいたしたようなことでございますが、まことにこれでは不十分でございますので、今後根本的な検討を加えさしていただきたいと存じます。
  47. 春日一幸

    春日委員 非常に是は是、否は否なりとの御答弁で、私も何となく質問のしがいがあるような感じがございますが、ぜひとも各閣僚ともそのような気持ちでひとつやってもらいたい。ということは、おせじを言っておるわけでは断じてないのでございますが、ともすれば——あなた方もそれは御同情できる。衆参両院とも予算委員会に没頭されまして、いろいろ基本政策について御検討をなされる時間的スペースが物理的に非常に困難であったということはわかりますけれども、あなた方がおやりになるのでなければ、日本国にこの問題の解決をはかるために事に当たる者が他にはないのでございます。あなた方は全国民の負託にこたえ得るそのポストにあられるのでございますから、どうかその職責の何たるかをあらためて御反省願って、早急に適切な、実効が確保できる措置をとってもらいたい。各陸運局長にはあらためてしかるべき御通達を願いたいと思う。  そこで、私は最後に一つだけ申し上げたいのは、何といってもそのような強硬措置をとらなければならないであろうというこの実態関係は、われわれはこれを重視しなければならないが、さればといってそのことが著しく官僚統制に相なってはならぬと思う。したがいまして、民主的な規模で、かつそのような効果をあげるためには、やはりその協会の力をここの中に参加せしめていく必要があろうと思います。したがいまして、私は各府県ごとにダンプ協会とかなんとかいうようなものを法律によってこれを設置せしめて、その協会の中に、ことごとくといってもいいくらいそれらのダンプ業者を、一匹オオカミをも加盟せしめるような措置をとっていく、加盟しなければ損であるというような誘導措置をとっていく、そうしてその業界の中からの相互作用によって暴走的な操業のあり得ないような状態にしていく。また免許を与える基準にしても、その協会に諮問を発し、その答申をまって警察署長が認可を与えていくとか、とにかくそのような自主的な制度と、そうして国家としての安全責任を総合的に果たし得るような体制を立てられてはいかがであろうかと思うのでございます。これも私の一個の所見にしかすぎないものでございますが、これに対しまして塚原長官の御見解はいかがでございますか、この際念のためお伺いをいたしておきたいと思います。
  48. 塚原俊郎

    塚原国務大臣 ただいまおあげになりましたダンプ業者に対する育成ということは、私全く同感であります。県ごとにこれをまとめて全部参加せしめて云々というお話でありますが、この御提言に対しましては、先ほどから申しておりますダンプカーに関する専門部会がございますから、これの議題として検討させていただきたいと思います。
  49. 春日一幸

    春日委員 なお、交通安全対策に対しましてはさまざま総合的に、他に御意見も拝聴いたしたい、また提示いたしたい具体案もございますが、本日は時間の関係がございますので他日に譲りまして、私の質問はこれで終わります。
  50. 山下榮二

    山下委員長 山田耻目君。
  51. 山田耻目

    ○山田(耻)委員 だいぶ時間も過ぎておりますので、関連しまして、特にきょうは砂利トラック、ダンプ関係の質問に集中されておりますので、その意味から少しお伺いしたいと思います。  いま聞いてみますと、ダンプが大体十三万九千ばかり、そのうち七割が一匹オオカミである、こういうことがわかったのでございます。問題は比較論でありますけれども、自主規制をさしております業界所属のダンプの起こす事故と一匹オオカミが起こす事故とは、七割の一匹オオカミ事故のほうがはるかに多いわけでございます。ところが、この一匹オオカミのほうは、いろいろな面からの規制で取り締まりがなかなかうまくいかない。これをすみやかに手がけていかなければならない。ダンプにひっかけられますと、大体死亡、さもなくば重傷でございますから、人間としての機能を失っていく。きわめて悲惨なことであります。特に最近は通学途上の子供、学校から帰ってくる子供の事故が非常にふえてまいっております。こういうことをあわせ考えまして、せんだって陸運局を通して、一応の具体的な施策としてタコグラフをつけていく、そういうことを指導なさったようでございます。どういう程度までタコグラフの設置が浸透しておるか、お伺いいたしたいと思います。
  52. 大橋武夫

    大橋国務大臣 このたび政令の改正によりまして、五トン以上のダンプカー並びに大型トラックに対しましては、第一にはタコグラフを必ず備えつけること、第二には速度表示器を必ず装備すること、この二点を政令で強制いたしたわけでございます。ダンプ車につきましては、九月から備えつけた上でなければ走行が許されない、こういうことでございます。
  53. 山田耻目

    ○山田(耻)委員 最近業界が、砂利トラあたりには自主規制という表示をして営業をやっておるわけでありますが、結局積載制限、速度制限を特に砂利トラあたりに順守させるために、業界みずからが自主規制をして積載制限なり速度制限を行なう、こういうふうな指導をされて、これは業者もそういう表示を車にいたしておりますけれども、それが一たび事故を起こしますと、その業者にも責任を負わせるような措置をさせておるのかどうか、この点は警察庁のほうからひとつお伺いいたしておきたいと思います。
  54. 鈴木光一

    ○鈴木(光)政府委員 ただいま御質問の件につきましては、今回お願いいたしております道交法の一部改正案の中に、運輸省のほらで設置を義務化いたしました運行記録計が、不備な状態で運行してはならない、またさせてはならない、それからその記録を一年間保存しなければならないという規定を織り込む予定にしております。
  55. 山田耻目

    ○山田(耻)委員 現在は、関連した責任という立場はとられていないということでございますね。
  56. 鈴木光一

    ○鈴木(光)政府委員 運行管理者につきましては、現在両罰規定がありましてそれでやっておりますが、今度この規定ができますと、不備な状態で運行させてはならないということになりますから、使用者も罰せられることになります。
  57. 山田耻目

    ○山田(耻)委員 確かに運行の自動記録装置、タコグラフをおつけになるということを指導されておるようでございますが、御存じのように、十三日横須賀で起こりました中学生五人にダンプがぶち込んだ事故でございますが、三人がなくなり、二人重傷でございますけれども、頭部打撲だといわれておりますから身体障害を起こすことは間違いないと思います。こういう状態は、もちろん業者がやっておるのでありますが、一匹オオカミではありません。自主規制の札も掲げておって、しかも御存じのように速度は越えておる、積載制限は二トンもオーバーをしている、こういうふうな事柄であります。この中には、業界をもっときっちりと指導していかなければならない行政担当の責任もあろうかと思いますけれども、自主規制を掲げておるだけでこういう自動車事故をなくしていくということにはなりません。  そこで、私は次のようなことを考えるわけでありますが、五トン以上に対してタコグラフをおつけになるようでありますけれども、積載制限のほうについては目測で取り締まる以外にはないわけであります。そこで、大体五トン以上のダンプなり砂利トラが一トン以上制限をこえて積載をいたしますと、事故を起こすある物体を目撃をしてブレーキを踏んでも、ハンドルを切っても、ハンドルをとられていけないということは、いままで幾つかの実績で明らかになっております。横須賀のこの事故におきましても、運転手の供述を見ますと、二トン積載オーバーしていることは最初から承知をしておった。これは控え目に積んだのであるというふうなことも述べております。だけれども、二トンよけい積んだためにハンドルをとられておることも明らかであります。こういう自主規制が徹底しないことによって起こる事故というものがきわめて多いのであります。だから、業界の刷新なり適正運賃の制定というものを考えて、それぞれが無理のないようにということで業界指導をお考えになることはもちろん大事でありますけれども、今日の競争状態の中におきましては、そうはいっても、なかなか一匹オオカミなりその他を取り締っていく強力なものには育っていきませんよ。やはり私は、速度は白バイが出て非常によく取り締っておりますけれども、積載制限については非常にルーズなような気がいたします。だからそれに対して、計量測定装置をつけて表示トン数をこえたらブザーが鳴る仕組みであるとか、あるいはいつでも警官のほうでボタンを押せば調査できるような設備が、最近業界でもでき上がっておるように私たちは新聞で見ておりますが、こういうものを一匹オオカミを含めて取りつけさせて積載制限をして、ハンドルがとられるというようなことのないように、そして歩道に突っ込んで平和な歩行者を殺傷するという事故のないようにしていくのが、当面一番緊急な対策ではないかと私は思うのであります。もちろん業界指導なり適正な運賃の制定をしていかなければなりません。しかしそれと同時に、直接的に事故が起こる要因である積載制限、こういうものについて直ちに手をつけることは私は困難なことじゃないと思いますよ。それすらできないあなた方というのは、人間尊重ということを言ってみたって、しょせんは大事なものが抜けておるのじゃないかという気がいたしますから、こういう積載制限等について具体的な措置を具備しなければ運行してはならない、営業してはならない、こういうふうな立場の規制をお考えになる用意があるのかどうか、この点をひとつ明らかにしておいていただきたいと思います。
  58. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 本日の閣議でも決定いたしまして、近く御審議をわずらわします道交法改正につきましては、この積載制限の違反については罰則を強化するとともに、安全運転管理者あるいはその運行を管理する者について、それを命じたりあるいは容認したりする者についても罰するような形態をとっております。  それから、いまお話しの自動ばかりにつきましては、いろいろ私も伺っておりますが、おそらく運輸当局においても十分御考慮いただけるものと考えております。それからなお、取り締まりにあたりますときのはかり等については、補助金等を出して順次整備をさせておるわけでございます。
  59. 山田耻目

    ○山田(耻)委員 これは運輸大臣に特に道交法関係の主管の立場からもお願いしておくのでありますが、いま藤枝さんからのお話がございまして、近くこうした問題等を含めて道交法整備の中で解決をしていきたいということでございますが、道交法それ自身の中にはやはりいろいろ問題な個所もあるわけでございます。そういうものが包括的に成立していかなければ道交法自体というものがやはり生まれないわけであります。だからいまのようなわかりきった問題については、国民にとりましては最も緊急避難的な要素があるわけでありますから、そこらあたりを十分考慮して、私は、まとまった法律をつくることはもちろん大切でございますけれども、非常に急がれるもの、しかも適切なもの、こうしたものはどしどし実行に移していく、こういう立場をおとりになっていただけるような意思があるのかないのか、運輸大臣にひとつ関係大臣として答弁を願っておきたいと思います。
  60. 大橋武夫

    大橋国務大臣 所管大臣といたしまして、この危険防止につきましては最善を尽くしますと同時に、特に警察当局と連絡をいたしまして実効を期したいと存じます。
  61. 山田耻目

    ○山田(耻)委員 では、きょうは時間も経過しましたから、またあらためて次の委員会で続けることにいたします。
  62. 山下榮二

    山下委員長 次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後五時五十三分散会