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1967-07-19 第55回国会 衆議院 建設委員会 第24号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年七月十九日(水曜日)    午前十時五十七分開議  出席委員    委員長 森下 國雄君    理事 木村 武雄君 理事 正示啓次郎君    理事 丹羽喬四郎君 理事 廣瀬 正雄君    理事 石川 次夫君 理事 岡本 隆一君    理事 稲富 稜人君       伊藤宗一郎君    池田 清志君       大平 正芳君    佐藤 孝行君       田村 良平君    高橋 英吉君       福家 俊一君    森山 欽司君       渡辺 栄一君    井上 普方君       勝澤 芳雄君    工藤 良平君       佐野 憲治君    福岡 義登君       内海  清君    小川新一郎君       北側 義一君  出席国務大臣         建 設 大 臣 西村 英一君  出席政府委員         経済企画庁総合         開発局長    加納 治郎君         海上保安庁長官 亀山 信郎君         建設大臣官房長 鶴海良一郎君         建設省計画局長 志村 清一君         建設省都市局長 竹内 藤男君         建設省道路局長 蓑輪健二郎君  委員外出席者         法務省民事局第         三課長     住吉 君彦君         建設省計画局宅         地部長     井上 義光君         専  門  員 熊本 政晴君     ――――――――――――― 七月十八日  委員勝澤芳雄辞任につき、その補欠として木  原津與志君が議長指名委員に選任された。 同月十九日  委員天野光晴君、吉川久衛君及び木原津與志君  辞任につき、その補欠として福家俊一君、大平  正芳君及び勝澤芳雄君が議長指名委員に選  任された。 同日  委員大平正芳君及び福家俊一辞任につき、そ  の補欠として吉川久衛君及び天野光晴君が議長  の指名委員に選任された。     ――――――――――――― 七月十四日  都市計画法案内閣提出第一五二号) 同日  大口市内国道改良舗装に関する請願池田清  志君紹介)(第三五一三号)  九州縦貫自動車道緑地帯用街路樹優先買上げ  に関する請願池田清志紹介)(第三五一四号)  主要地方道阿久根牛深線国道編入に関する  請願池田清志紹介)(第三五一五号)  黒之瀬戸架橋早期実現に関する請願池田清  志君紹介)(第三五一六号)  大口里元町、里村間バイパス建設に関する請  願(池田清志紹介)(第三五一七号)  名古屋市営楠住宅二区、三区の分譲に関する請  願(丹羽久章紹介)(第三六一〇号) 同月十五日  東京外郭環状線道路建設計画反対に関する請  願外七件(長谷川正三紹介)(第三七一二号)  同外五件(神近市子紹介)(第三七一三号)  同外三件(伊藤惣助丸君紹介)(第三七一四号)  同外五件(大野潔紹介)(第三七一五号)  同(山花秀雄紹介)(第三八四六号)  同外一件(和田耕作紹介)(第三八四七号)  零細建設業者保護育成等に関する請願外九件  (八木一男紹介)(第三七三四号) 同月十七日  国電赤羽西口広場開設に関する請願岡崎英  城君紹介)(第三九九九号)  特別不動産鑑定士及び同鑑定士補試験の特例に  関する請願池田清志紹介)(第四〇〇〇号)  同(鍛冶良作紹介)(第四〇〇一号)  同(小坂善太郎紹介)(第四〇〇二号)  同(佐々木義武紹介)(第四〇〇三号)  同(鈴木善幸紹介)(第四〇〇四号)  同(關谷勝利紹介)(第四〇〇五号)  同(田中正巳紹介)(第四〇〇六号)  同(中川一郎紹介)(第四〇〇七号)  同(中山マサ紹介)(第四〇〇八号)  同(長谷川四郎紹介)(第四〇〇九号)  同(村山達雄紹介)(第四〇一〇号)  同(森下國雄紹介)(第四〇一一号)  同外二件(粟山秀紹介)(第四〇一二号)  同(渡辺美智雄紹介)(第四〇一三号)  同(大野明紹介)(第四一四七号)  同外一件(田村良平紹介)(第四一四八号)  同(丹羽久章紹介)(第四一四九号)  同(福永健司紹介)(第四一五〇号)  都市開発法案に関する請願小笠公韶君紹介)  (第四〇一四号)  東京外郭環状線道路建設計画反対に関する請  願外八件(岡崎英城紹介)(第四〇一五号)  同(神近市子紹介)(第四〇一六号)  同外二件(小峯柳多君紹介)(第四〇一七号)  同外五件(小山省二紹介)(第四〇一八号)  同外一件(松本善明紹介)(第四〇一九号)  同(長谷川正三紹介)(第四〇二〇号)  同(山花秀雄紹介)(第四〇二一号)  同外一件(和田耕作紹介)(第四一四六号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 七月十七日  四国開発幹線自動車道早期建設に関する陳情  書  (第四五三号)  町村道整備促進に関する陳情書  (第四五四号)  明石・鳴門連絡架橋建設促進に関する陳情書  (第四五五号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  閉会中審査に関する件  宅地建物取引業法の一部を改正する法律案(内  閣提出第一〇八号)(参議院送付)  都市計画法案内閣提出第一五二号)  建設行政基本施策に関する件      ――――◇―――――
  2. 森下國雄

    森下委員長 これより会議を開きます。  都市計画法案議題とし、提案理由説明を聴取いたします。西村建設大臣。     —————————————
  3. 西村英一

    西村国務大臣 ただいま議題となりました都市計画法案につきまして、提案理由及びその要旨を御説明申し上げます。  近年における人口及び産業の都市集中に伴い、都市及びその周辺地域における市街地の無秩序な拡散が公害の発生等都市環境の悪化と公共投資の非効率化弊害を生ずるに至っており、この際、これらの弊害を除去し、都市の健全な発展と秩序ある整備をはかるための対策を確立することが緊要の課題となっております。  現行の都市計画法は、大正八年に制定されて以来半世紀を経てまいりましたが、その内容はもはや昨今の都市の問題に十分に対処することができないものとなっております。  すなわち、都市の秩序ある発展をはかるための総合的な土地利用計画確立都市計画における広域性及び総合性の確保、国と地方公共団体間の事務配分都市計画決定手続合理化等、新しい時代の要請に応じた新しい都市計画制度を早急に確立することが必要となってきたのであります。  今回、これらの諸点について十分な検討を加え、都市計画制度を全面的に改革し、もって現下の要請にこたえることとした次第であります。  以上がこの法律案提案理由でありますが、次にこの法律案要旨を御説明申し上げます。  第一に、都市計画区域は、必ずしも市町村行政区域にとらわれず、都市の実態及び将来の計画を勘案して、一体都市として整備開発及び保全する必要のある区域を定めることができることといたしました。  指定の手続としては、都道府県知事建設大臣認可を受けて指定することとし、特に、必要がある場合には、建設大臣が二以上の都府県にわたって都市計画区域を指定することができることといたしました。  第二に、都市計画内容として、用途地域その他の地域地区道路その他の都市施設及び土地区画整理事業その他の市街地開発事業を定めることとするほか、新たに、市街化区域市街化調整区域区分を定めることといたしました。  すなわち、優先的かつ計画的に市街化をはかるべき区域市街化区域とし、市街化を抑制すべき区域市街化調整区域とし、都市計画区域をこれらの両区域区分することにより、秩序ある市街地の形成をはかることといたしております。  第三に、都市計画決定主体につきまして、広域的見地から決定すべき事項または根幹的な重要な事項に関する都市計画都道府県知事が、その他の事項に関する都市計画市町村が決定することといたしました。この場合、市町村都道府県知事の承認を要することとする等により、都市計画一体性を確保することといたしております。また、都道府県知事都市計画を決定するに際し、一定の場合について建設大臣認可を受けるべきこと、必要がある場合における建設大臣指示等を規定することにより、国の立場から必要な調整をはかることができることといたしました。  なお、二以上の都府県区域にわたる都市計画区域にかかる都市計画は、建設大臣が決定することといたしております。  第四に、開発許可制度を創設し、市街化区域または市街化調整区域内において開発行為をしようとする者は、あらかじめ、都道府県知事許可を受けなければならないものといたしました。この場合、良好な市街地が形成されるような一定水準道路下水道等都市施設を備えたものでなければならない等の要件を規定するとともに、市街化調整区域内については、さらに、その区域内に立地することが支障がなく、またはやむを得ない行為に限り許可することといたしました。  なお、市街化区域及び市街化調整区域区分及び開発許可制度は、当分の間、大都市及びその周辺等区域以外の都市計画区域については適用しないものといたしております。  第五に、都市計画施設または市街地開発事業区域については、一定建築物建築を規制することとし、特に重要な都市計画施設等区域につきましては、建築許可しないことができることとする反面、土地所有者の申し出により土地を買い取る制度を定めております。  第六に、都市計画事業は、市町村都道府県知事認可を受けて施行することを原則とし、一定の場合には、都道府県、国の機関または民間の者が認可を受けて施行することができることとし、この場合には、土地等の収用または使用をすることができることといたしました。  第七に、この法律により権限に属させられた事項及び都市計画に関する事項を調査審議するため、建設省都市計画中央審議会を、都道府県都市計画地方審議会を置くこととしたほか、開発許可にかかる不服審査を処理する機関として、都道府県に、開発審査会を置くことにいたしました。  第八に、農地法の一部を改正し、市街化区域内の農地等については、農地法に基づく農地転用許可等を要しないことといたしました。  第九に、この法律の施行に伴い必要な事項につきましては、別に法律で定めることといたしておりますが、開発許可制度を創設いたしましたこととの関連におきまして、本法により、住宅地造成事業に関する法律を廃止するごとといたしました。  以上がこの法律案提案理由及びその要旨でありますが、何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御可決くださるようお願い申し上げます。(拍手)
  4. 森下國雄

    森下委員長 これにて提案理由説明は終わりました。  本案に対する質疑は後日に譲ることにいたします。      ————◇—————
  5. 森下國雄

    森下委員長 宅地建物取引業法の一部を改正する法律案議題とし、審議を進めます。  質疑の通告がありますので、これを許します。  なお、質疑される委員各位に申し上げます。理事会の協議によりまして、質疑時間は一人二十分程度にお願いいたします。  福岡義登君。
  6. 福岡義登

    福岡委員 宅建業法なんですが、公正な取引をさせるという意味で、ここに提案されているものについては、特に私ども異論があるわけはないのですけれども、きょうは時間も限られておりますし、宅建業法個々内容といいますよりも、そういう業者の適切な指導あるいは一般建設行政の適切な推進という立場から、一般的問題について一、二建設大臣にお伺いしたいと思うのであります。  御承知のように、この建設行政というのは、国の行政の中で非常に大きなウエートを占めております。また、いま議題になりました宅建業法についても、建設行政の中で強力な指導を必要とする問題だと思う。そういう強力な適切な行政指導を行なおうといたします場合に何が一番必要かといいますと、やはり建設行政関係者に対する信頼というものが非常に私は大切だと思うのであります。しかし残念なことに、あちこちにその信頼を傷つけるような行為が見受けられるわけであります。  あとで具体的に二、三の問題について触れたいと思いますが、建設大臣は、一般論として、この信頼のもとに強力な、しかも適切な行政指導をどのように進められようとしておるのか、まず伺いたいのであります。
  7. 西村英一

    西村国務大臣 建設省に対して、その点で信頼度がないということは特にないと思います。第一線監督都道府県でございますが、大きい監督は、広い意味建設省がやっておりますが、特に信頼度がないというようなことはどういうことをあげられるのか、ちょっと私も了解に苦しむわけでございますが、いずれも行政には絶対に国民の信頼がなければ一般的にやれるものではございません。信頼を得ることは大切でございます。
  8. 福岡義登

    福岡委員 それでは具体的に問題点を申し上げたいと思うのでありますが、もちろんいまから申し上げることについては、この建設委員会が直接深く掘り下げるべき問題ではなくて、決算委員会なりあるいは社労委員会あたりで取り上げられるべき筋合いの問題だと思うのであります。たとえば信頼問題でありますが、綱紀粛正の観点から考えてみますと、二、三それが見当たるわけであります。  一つは、ことしの二月二十七日に一応のピリオドが打たれたようなかっこうにはなっておりますが、九州地建におきますところの昭和三十四年、三十五年における物資購入問題をめぐる不正事件別名押し売り事件とも言われておるのでありますが、市価よりも相当高く購入させられておる事実が、これは検察当局の手で明らかになっておるわけです。具体的にその内容を話せとおっしゃれば、ここに資料を持ってきておりますから申し上げてもいいのでありますが、一つはいま申し上げました九州地建における物資購入をめぐる不正事件の問題。  それから第二番目には、去年の五月ですか、松山工事事務所における砂防汚職で、これは逮捕者を何人か出しております。さらに、これはこまかい問題でありますが、同じく九州地建熊本工事事務所出張旅費不正支払いの問題、以下申し上げればまだありますが、ちょっと考えてみましてもこういう問題があるのであります。  申し上げましたように、一々については決算委員会その他でやるべき筋合いだと思いますから、深くは触れようと思いませんけれどもさきに申し上げました建設行政の強力な指導体制確立関連をして、やはりこういう問題は信頼問題に大きな関係があると思うのです。ですから、一般論として、建設大臣はこれらの問題についてどういう方針を考えられておるのか、それを聞きたかったわけであります。  それから、時間がありませんからついでに申し上げるのでありますが、第二の問題は、やはり強力な建設行政指導をやろうと思えば、打って一丸となって当たらなければならぬと思うのであります。ところが、他の省にはあまりそういう事例が見当たらぬのでありますが、建設省、特に出先地建あるいは工事事務所において、労使間の無用な争いというものが起きておるわけであります。特に、さきに申し上げました一連の事件が発生しておる地建などには、たとえば正常な組合活動オルグを立ち入りさせないとかあるいは集会、会議などのための会場便宜供与しないとか、そういう問題が発生しておるわけであります。これは私どもが勘ぐって言うわけじゃありませんが、そういう事件が起きておるために、労働組合の代表をその職場に入れることが——建設省出先機関の現地の責任者といいますか、そういう人が意識的にそういう措置をとっておるような節も見受けられるわけであります。ですから、正すべきは正さなければなりませんが、申し上げましたように強力な建設行政指導体制確立しようと思えば、そういう労使間の無用な紛争というものは避けなければならない。立場上の争いはやはりやらなければならぬと思いますが、いま申し上げましたような職場労働組合の役員を立ち入りさせることを、しかも休憩時間に制限をしておる。あるいは時間外に労働組合の人が会合を開こうとするのに、その便宜供与を、会場を貸さない。そういうようなことは無用な摩擦を招くだけであって、何ら建設行政を前向きに進めていくという面においてはプラスにならぬと思うわけであります。そういう意味で、何とか大臣指導力によって問題を解決していただきたいと思うのであります。  さらにその便宜供与問題に関連をして言えば、これも深く掘り下げようとは思いませんが、地理院建物エロ映画を映写するのに貸しておる。私は参考までにここへそのフィルムを持ってきておりますが、そういう部外にしかもエロ映画建物を提供するようなことはあっても、労働組合会合などにそういうものを貸せない。そういうことでは円満な労使関係も期待できないし、同時に強力な建設行政指導体制もできぬじゃないかというふうに思うわけであります。  さらに続けて言えば、労働組合分裂工作出先地建とか工事事務所の相当の地位にある人が当たらされておる。これも具体的にその資料を持ってきておりますから、大臣が言えとおっしゃれば申し上げます。文書で私はここへ資料を持ってきておりますから言いますが、たとえば何々課長があるいは何々係長個々職員をとらまえて、おまえは労働組合を脱退してこっちのほうに入らぬかという第二組合工作をさせられている。そういうことが随所に見受けられるわけであります。いろいろの事情がそこに介在するとは思いますけれども、結論としてそういう状態があるところに建設行政の強力な指導体制というものは確立できぬと思うわけです。初めに御質問申し上げたのはそういう事実に基づいて御質問をしたわけでありまして、そういう点について大臣の見解というものを求めておるわけであります。
  9. 西村英一

    西村国務大臣 やはり綱紀粛正内閣の最も重要な姿勢でございます。したがいまして、私も現場に行きましたら事あるごとに皆さん方綱紀粛正につきましては強く申し上げておるのでございます。私自身もまたその範をたれなければならぬ、かように思っております。仕事をする場合に労使間の協調もちろんでございます。労働者を抜きにして仕事は絶対できるものではございません。その場合にいろいろなことがございましょうが、まあおよそ常識というものがあるので、何と申しますか、指導者はやはり良識の人を当てたいと私は思うのです。良識の人がおれば、決して労働者の間に、立場の相違はありましても、そう無用の紛争はないものと考えます。労働者方々をしいたげたのでは絶対にうまい仕事はできない、かように考えておるものでございまして、現場に行くたびに私はそのことを申し上げておるのでございますから、今後とも十分注意をして建設行政にいい労使関係をつくりたい、かように考えております。
  10. 福岡義登

    福岡委員 申し上げましたように、ここで一々のケースについてどうこうやろうとすれば、社労その他別の場所を求めなければなりませんが、いま大臣の言われたようなことで私ども方針としては了解できると思う。  認識を新たにしていただく意味において一、二の例をもう少し申し上げておきたいと思うのですが、さっき言いました松山工事事務所における砂防汚職の問題に関連して、これは事件内容は省略をいたしますが、たとえば昭和四十一年の五月十三日でありますが、四国地方本部委員長職場入ろうとした。これは十一時半ごろ、昼食前であります。ところが入所三木庶務課長によって拒否されておる。同じく九月二十六日にも石月竹という中央執行委員が十二時ごろに職場入ろうとしたが、これもやはり庶務課長によって拒否されておるわけであります。同じくことしの二月二十四日にもそういう事例があるのでありますが、申し上げましたように、松山工事事務所砂防事件というものがあって、別に組合のほうはその問題について行ったわけではないでしょうが、一般的な組合オルグで行ったと思うのでありますが、入れなかった。そうすると、こういう汚職事件があるので、意識的に入所が拒否されておるのじゃないかというようにこっちは勘ぐるようになるわけであります。  さらに、九州地建におけるさっき言いました不正物資購入をめぐる問題についても、事件としてはりっぱに成立をしておるのですが、検察当局は時効という立場からこれを一応不起訴にいたしております。しかしその後、建設省としては具体的な御処理は何もなさっていない。そういうことで一般職員信頼というものが得られるかどうか、同時に第三者の信頼というものが得られるかどうかというところに私どもは問題があると思うのであります。  それから第二組合の問題につきましても、直接職場課長なり係長が出向いていって——ここへ何月何日だれがどこでという記録を持ってきておるのですが、これはあえてここで申し上げてもいいのですけれども、退職後のめんどうとか次の転勤のめんどうとかいうようなことを条件に出して、おまえは組合に加入するなとかあるいは脱退しろ、そういうことがやられておるわけであります。そういう事情の中ではやはり労使信頼関係というものは回復できない。大臣がおっしゃったように、私ども常識の線というものが当然あってしかるべきだと思いますから、今後具体的に——いまここでは具体的に一つずつ問題をせんさくしようとするよりも、今後こういうことが起きないように、労使一体となって、ましてや汚職などが発生しないように、信頼を回復するというか、信頼をもとにいたしまして、強力な建設行政指導体制というものをつくり上げていただきたい。こういうことが私ども質問の趣旨なんであります。したがって無用な労使紛争も、あるいは綱紀粛正の問題についても、大臣の今後の行政の中で適切な指導というものを、やはりこの際私は求めておかなければならぬと思うのであります。
  11. 西村英一

    西村国務大臣 過去におきまして、いろいろ不祥な事件があったことはまことに相済まぬと思いまするが、汚職なんかというものはもちろんこれは論外でございます。しかしやはり国家公務員はそう縮んではだめでございます。官吏としては越ゆべからざるある一線があると思うのです。それはこわいから業者には会わぬとかなんとかいうような、そうこわがっちゃ困ると思うのです。越ゆべからざる一線を越えなければ、あまり官吏はそのために非常に縮こまっては困る。越ゆべからざる一線は越えないということによって、堂々と皆さんに会って意見も聞くし、そうやるべきだと私は言っておるのでございます。  私はまた第二組合をつくるために勧誘したとかなんとかいうようなこともいろいろ聞きまするが、労使間の問題につきましては正々堂々とやはりやるべきだ。人によってみんな考えが違うのでございますからその人自身にまかして、やるときは正々堂々と労働者方々もあるいは管理者方々もやるべきものだと思います。したがいましてそういう過去において悪いことがあったと申しまするが、私も十分現場職員に対しましては、ひとつ機会あるごとに私の所信を申し上げて指導につとめたい、かように考えるものでございます。
  12. 福岡義登

    福岡委員 以上で質問を終わらしていただきたいと思いますが、必要によって私ども建設委員会なりあるいは社会労働委員会でこの問題を取り上げたいと思いますが、願わくばそういうところまで問題が発展しないように、建設大臣及び関係局長などの誠意ある御処置をお願いしておきたいと思うのであります。
  13. 森下國雄

  14. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 宅地建物の売買ないしは貸借をめぐっていろいろな紛争が起こっておる。そしてまた悪質業者が故意にやるところの不正行為を規制するために今般法律がこうして提案されたことはまことにけっこうでございますが、しかし最初にこういうふうな法律をいま持ち出してこなければならないという日本の今日の住宅事情について、私は政府のほうにやはり反省がなければならぬと思うのです。言いかえますと、住宅事情がよければこんな不正行為は生まれてまいりませんし、こんな法律は必要ない。だからこの法律案というものは、その実態は、ごみ箱をちっとも掃除しないでハエたたきでハエ殺せ、こう言っているのと同じだと思います。環境衛生の施設をつくらないで、たとえば焼却場であるとかあるいは汚水の処理場であるとか、そういうものをつくらないで石油乳剤を便所にまけとか、ごみ箱にふたをしなさいというふうなことを言っておるのと同じだと思います。だからこの法律法律として、なるほど日本のいまの政治の中では必要であるということは認めます。しかしこういう法律を必要ならしめている政府の態度というものに私は強い反省を持ってこの法案を提案されなければならぬ、こういうふうに思うのでございますが、それについて建設大臣から、この法案を提案しておられる現在の御心境というようなものを、一応私はこの法案の審査にあたりまして承っておきたいと思います。
  15. 西村英一

    西村国務大臣 それは反面からいえばそういうことは言えると思います。とりもなおさず、住宅は公営でやってしまう、宅地も公営でやる、そういうものが困るからこういう要が起こるのではないか、したがって全部公営、政府がやれ、こういうことになるならばそうですけれども、必ずしもこれは政府でもって住宅を全部建てられるものでもなければ、宅地を全部用意できるものでもない、必ずしも必要はないと思うのであります。したがってこういう法律——民間にそれらのことをある程度委託しなければならぬ。あるいはまた民間のエネルギーも吸収してやらなければならぬから、どうしてもこういうことは現実の問題として民間の方々の力を借りるわけでございます。しかしこの法律は、そういう民間の住宅のあっせんをし、宅地のあっせんをするという要が、非常にそれを取り締まるあるいは指導するということはむずかしいから、この法律の根本は、岡本さんが知っているように政府が出したものではございません。議員が立法して出したものでございます。しかし一たん法律となりますればその責任は政府にあります。したがいましてただこれをいままで改正をしてきたものでございまするが、ようやく昨年登録制から許可制度まで持ってきました。しかしなおかつ現在非難攻撃されることは、この宅建業に対する監督が手ぬるい、指導がよくない、相変わらず弊害があるではないかということをちまたに聞きます、皆さん方の御意見に聞きまするから、今回これらの点を改正したいために若干の改正法律案として提案したのでございます。
  16. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 まあ一番問題になっておるのはやはり土地だと思うのです。土地の売買をめぐって、駅から歩いて五分、実際に行ってみたら自動車で五分だ。あるいは水道ができておる、ところがちゃちなちゃちな簡易水道であった、そのために赤痢が多数に発生したというふうな例もありますし、あるいはまたすぐに水がかれてどうにもならないといったようなところがある。といったように、いろいろな土地造成業者が誇大広告をやって、それを購入した人が非常に困っておるというようなことが、この法律案を政府が出される一番大きな動機になっておると思うのでございますが、とにかくそういうふうに土地というものが商品化され、しかも悪徳業者の非常な好飼になっておる。またそれほど簡単に悪徳業者にだまされるほど、多くの庶民が格安な宅地というものに困っておるというところに、この法案の出てくる原因があるわけであります。言いかえますならば、日本の今日の地価の暴騰が、この法律案を出さなければならないようにした一番大きな原因なんです。ところがその地価安定施策としてわれわれがいつもいろいろな方法を具体的に言っておるにかかわらず、政府の施策が一向進まない。そのことが今日こんな法律案をどろなわ式に出してこなければならぬということになっておるのでございますから、私は、まず政府がやはりこの問題についてもう一度謙虚に反省しつつ、この法律案審査を受けなければならぬ、こういうふうに思うのでございますが、大臣ちょっとむかっとしていられるようですけれども、しかしそれは、実際私のいま申し上げていることで、別にいまさら事ここであらためてこの問題について私は大臣と議論しようとは思っておりません。しかし、政府のほうがこの法案を出して、こんなものをいま時分出さなければならぬということについての内心じくじたるものと、そういうふうな謙虚な気持ちが政府に必要であるということを私は申し上げておるのでございますので、その点あるいはちょっと腹がたつといいますか、何をという気分になられるか知りませんが、私はもう一度そういうふうなお気持ちを政府でお持ちいただくようにお願いしておきたいと思います。  そこで、この法律案内容については、もっともなことばかりでございますので、われわれも内容については賛成でございますが、しかしこの法律は、これと一緒に土地建物の流通過程の問題を扱うのでございますが、その流通過程の中に、いろいろの問題点がありますので、できますなればそれらの問題点も今後整理していただくということが私は必要であるかと思いますので、この機会にいろいろ考えているところを申し上げておきたいと思うのです。  まず第一に、法務省にお伺いなり意見を申し上げることになるのでございますけれども、登記の場合に登記簿が非常にわかりにくいということです。たとえば権利証一つわれわれが受け取りましても、権利証を見ても——自身かなり世なれた人間のつもりでございます。何回か土地建物の売買もしてきたし、借金もしてきたし、また人の世話もしてまいりましたし、かなり世なれた人間のつもりでありますが、登記簿を見ると、もう砂をかむようでさっぱりわかりにくい。見ておりますといやになってしまう。いいかげんにしてしまうというのが実情なんです。ところが、一生に一ぺんか二へんより土地の売買をしない——一ぺんもしない人が非常に多いだろうと思うのです。土地の売買にしても、一生に一ぺんか二へんだという人は無数にあると思うのです。そういう人が見ても、権利証がよくわかる、一体それはどういう内容のものだ、自分が持っておるこの書類というものは一体どういうことを内容にしたものかということがわからなければ、いろいろ事故も起こるし、だまされやすいと思うのです。その点、今日の登記というものがきわめて非近代的である。これは明治初年のものがそのままきておるのであって、今日いろいろなものが整理されている段階で、もっと登記簿というものをわかりやすいものにする必要があるのではないか。権利証があります。少なくともその権利証は、建物は付近と合わしてどこの位置にあるのだ。建築の申請なんかのときには、全部位置をきちっと示しています。まず位置を示して、それからその位置の次には形を示す。東西に何メートル、南北に何メートル、あるいはどういう方角へ何メートルというふうに形を示す。そして坪数を示す。その次にはどういうふうな権利が設定されているかされておらないかというふうなことをはっきり示す。この権利証の内容はどういうものかということが一目わかるように整備をしていただく必要があるのではないか一それは流通過程において非常に重要なことであると思いますので、法務省そういうことをやる気があるのかないのか、あるいはまた将来やる準備を進めておられるのかどうか、そういう点について法務省から御意見を承りたいと思います。
  17. 住吉君彦

    ○住吉説明員 お答えいたします。  御指摘のように、登記簿の記載事項法律専門用語の羅列に終わっておりまして、なかなか一般の国民が読みづらい、こういうことが現在御審議中の法案にも関連するのではないか、こういう御趣旨の御質問でございます。  御存じのように登記簿は、不動産の権利義務、この関係一般に公示することを目的といたしておりますし、ちょっと示されている内容がわかりつらいということはおよそ登記制度の目的に背馳するものである、これは御指摘のとおりだと思います。ただ、技術的な限界がございまして、たとえば抵当権の設定とかあるいは賃借権、地上権の設定登記というものが登記簿に書いてございます。その場合に、権利の関係がどうなっているのだ、たとえば抵当権の順位が一番、二番、三番とある場合に、その効力がどのようになっているのだというようなことまでこまかく書くといたしますと、これはたいへん繁雑な手続になるとともに、登記簿と申しますか、用紙の枚数が膨大になってまいります。現在はできるだけ簡潔に、しかも要点を漏らさないようにということでくふうはいたしておりますが、いま御指摘のように、たとえば、この登記簿に表示されている土地はどこの土地なんだ、なるほど何区何町何番の土地だ、こう書いてあっても、現場はどこなんだということが登記簿上わからないではないか、あるいは建物につきましても、種類、構造、床面積、そういうものが書いてございますが、ここでいう建物は現実にはどの建物をさしているのか、そのつながりはないではないか、これは御指摘のとおりでございます。現在私どものほうで検討いたしておりますのは、特に土地についてでございますが、この図面をまず整備しなければいけない。一筆ごとの土地の地図を整備しなくちゃならないということが当面の急務であろうかと思います。逐次そういう方向で、現在予算措置も得まして検討いたしておりますので、近い将来にはできるだけ国民の方のお目に触れて見やすい登記簿になるように努力はいたしたいと思っております。
  18. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 この法律案の十四条の三、それから十四条の二でございますか、「重要事項説明等」あるいは「取引態様の明示」というふうな項目がございますが、このごろよく不動産業者がやっているやり方に、農地を買います、そして仮登記をしておくのです。だから、名義は——たとえば私が志村さんに土地を売るのだと仮定いたしまして、住吉さんが業者といたしますと、住吉さんが私から農地を買って仮登記だけしておいて、三、四年ほっておく。そうして志村さんが買った。そのときには、住吉さんは、業者は私から土地を安く坪一万円か二万円で買っておりますが、売るときには、四、五万円で志村さんに売っている。そういたしますと、登記簿の上では岡本から志村さんへ売ったという形になりますので、譲渡所得税がどかんと岡本にかかってくるわけなんです。これにひっかかって困っている善良な農民がたくさんある。私も、一、二その税金の始末に困ったのが相談に参りまして、業者のところへ言っていってもなかなかもうそうなったら知らぬ存ぜぬということで税金払ってくれません。たとえば、一万かそこらで土地を売って、さやを二、三万円抜かれながら、しかもそれについてのばく大な税金を、ぽかっと税務署から譲渡所得税をかけられて泣いているというふうな農民があるのでございますが、そういうことについて、そういうふうな不正行為というか、仮登記によって差益の税金をうまくのがれる、そうして元の所有者にその税金をおっかぶしていくというような不正行為はどう防ぐかというふうな道が、この法律案の中にはないように思うのでございますが、どこにそういうことがなにされていますか。ちょっと志村さんから御説明願いたい。
  19. 志村清一

    ○志村政府委員 登記の場合に中間を省略いたしましたり、あるいは仮登記で、事実上中間を省略するような形で売買が行なわれるということは、しばしばあることでございます。税金の対象にそれをどうとらえるかということでございますが、実際の売買は登記と無関係に可能だと思います。そこで、たとえ登記上中間を省略いたしましても、実質的に売買のあったものに対して譲渡所得が課せられるのは当然でございます。私、税金の問題でございますのでそう詳しくは存じ上げませんけれども、ただいまのような先生御指摘のような事例があったとすれば、むしろそれは中間で買った人が利益を得るならば、その方に譲渡所得がかかるというのが当然じゃないか、かように考えたのでございます。
  20. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 ところが、実際は登記面の動きは直接中間の業者を抜いておりますから、だから権利の移転に基づいてそれを見て、君のところはだれそれに土地を売ったろう、だからそれだけ君のところは当然譲渡所得があるんだということで、ばさっと税務署から言ってくるわけですね。その場合に、いやあっちだからといっても、税務署がもう中間の様態がなかなかはっきりと捕捉しにくいから、やはり売った者に支払いを強要してくるというような場合が相当あるのです。そういうふうななにで困っておる人たちから相談を受けたこともあるのですが、そういう点、やはり税の処理というふうなものもこういうふうな明示事項の中へ入れておく必要があるのではないかと思うのですが……。
  21. 志村清一

    ○志村政府委員 ただいまのような事例もあろうかと存じます。たとえば、私の土地業者が仲介いたしまして第三者に売るという形なのか、あるいは私の土地業者が買いまして、それをさらに売ったのか、あるいは私の代理で売ったのかといういろいろな問題が出てくるわけでございます。ただいまの事例のような場合には、当然その仲介業者土地を売ったはずでございます。ところが、それをいかにも前の地主さんの土地を媒介したかのごとく言うということになりますと、問題が出るわけでございます。さような意味合いにおきまして、十四条の二の取引態様の明示で、一体自分の土地業者が売るのか、あるいは地主さんの代理で売るのか、あるいはあっせんと申しますか、仲介をするのかということを明白にさせろということにいたしておりますので、さような問題はわりあい少ないのではなかろうか、かように考える次第でございます。
  22. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 それからこの事実上の問題で、最近一番問題になっておるのは、いわゆる貸借の場合の権利金の問題であります。こういう敷金はとってもいいが、権利金はとれないというふうなことにたてまえはなっておると思うのでございます。ところが、堂々と不動産業者の店先には礼金幾ら、賃幾らというふうなことで、新聞広告にも出ております。だから家賃をきめる場合に、二年で権利金幾ら——実質上それは二年分の家賃と同じことになるのですね、二年ごとに更新いたしますから。そういうことが横行しているわけですね。そういうような不当な取引というものを、それがなんといいますか、普通であるかのごとくになってしまっておるのでございますが、これは借地借家法ではそういうことはできないことになっておると思います。また、たとえば子供が生まれたから出て行きなさい、アパートを貸すけれども、子供が生まれたら出て行きなさい。これも社会問題になっております。しかしながら、それが現実には横行しております。だからそういうようなことを——しかしそれは民需だから、本人から訴えが裁判所にあればいざ知らず、訴えがなければおれは知らぬのだ。私は、そういう性格のものではないと思うのです。こんなものは、およそ弱い者いじめの不当行為でありますから、こういうことについてはやはりそれ相応の取り締まりがなければならぬと思うのです。またその地代家賃統制令を見ますと、そういう不当なことをやっているかいないか、知事は査察臨検することができるというようなことの内容もございます。したがってこういうことについては、直接には地代家賃統制令と借地借家法とは関連はないかもしれませんが、しかしながらこういう不当な契約というものが当然チェックされ、押えられ、防止されなければならぬと思うのでありますが、法務省はそれを見て見ぬふりをしている。建設省も見て見ぬふりをしておる。これで一体、そういうような契約の正当性あるいは住宅難に困っておる貧しい人たちの人間性というものがどこで尊重され、守ろうとされるのか、そういう点について、それぞれ建設省並びに法務省から、どういう方法でもってそれを規制し、押えていきたいとされているのか、その辺を御説明願いたいと思います。
  23. 志村清一

    ○志村政府委員 特に借家等の場合に権利金あるいは礼金、保証金、いろいろな名称で家賃、借賃以外に金を要求するという事例があるわけでございます。そういったものの性格については、法律的にもいろいろな御議論があることは先生御承知のとおりでございますが 宅建業者が実際の貸借に関与いたしました場合にどうするかということにつきましては、今回の改正の十四条の四の二項の三号に「借賃以外の金銭の授受に関する定めがあるときは、」一体幾らなんだ、それで「当該金銭の授受の時期」とか、どういう「目的」なのかということをはっきり書面にいたしましてそれを依頼者にお渡しするということで、その辺の性格をはっきりさせようという定めにいたしております。これによりまして、本質的にはいろいろ問題があろうかと存じますが、何が何だかわからなくてお金を取られるということのないように、目的、金額等につきましてはっきりさせるということを宅建業者に義務づけておる次第でござい  ます。
  24. 森下國雄

    森下委員長 御注意申し上げます。お約束の時間はとうに過ぎました。御注意申し上げます。
  25. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 重大な問題ですから、そう言わないでください。借賃以外にはっきりしたら——そういう不当な金銭授受の媒介を業者がしてもよろしい、そういうことになっているのですか。
  26. 志村清一

    ○志村政府委員 地代家賃統制令では先生の御指摘のとおり、第十二条の二で、権利金授受の禁止の規定がございます。しかし、地代家賃統制令の適用のない通常の土地建物取引に関する件につきましては、かような権利金といったようなものの授受禁止という規定はございません。ただ実質的に権利金あるいは礼金といったような形で授受されておりますが、一体それがどういう性格でどういう金額でどういう目的かということを今回の改正においてははっきりさせる。そして書面でそれを交付するという義務を宅建業者に与えるということにいたしたような次第でございます。
  27. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 今日地代家賃あるいは……。
  28. 森下國雄

    森下委員長 約束の時間が十分過ぎておりますから、そのつもりで論旨を進めてください。
  29. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 たくさんある。それをいろいろ整備しなければならぬと思うのです。だからそういう意味では私は地代家賃統制令を改正してもなんですから借地借家法を、そういうふうな不明朗なものを一切なくする、そしてもっと秩序あるものに変えていく、公正なものにするというふうな改正が当然行なわれなければならぬと思うのでございますが、法務省いかがでしょう。
  30. 住吉君彦

    ○住吉説明員 御指摘のように借家人、家主あるいは借地人、地主との間にいろいろな紛争がたくさん出ております。そこで私のほうでは先般の国会におきまして、この紛争事件を早期に解決する必要があるのではないかというところから、借地法及び借家法の一部を改正する法律案の御審議をいただきまして、この秋から施行されることになっております。  借地借家法のたてまえに反する取引の実態あるいは現実、これを法務省は黙視しているかという御指摘でございます。決して黙視しているわけではございませんが、私人間の権利義務につきましての有権的な解釈というものは、やはり裁判所で明確にしていただくのが制度上一番妥当だろうと思います。ただしかし、こういう法律の解釈につきましては担当官のほうで、たとえば借家人組合とかあるいは借地人組合、こういうものが東京、大阪等にございますが、そういうところに出向きまして法改正の趣旨、根拠、裁判手続をスピーディーにする、こういう改正をしたわけですが、その辺の趣旨を十分御説明しております。  それから日刊新聞その他のマスメディアを通じましてこの種の紛争につきましての指導と申しますか、解釈と申しますか、そういうことには留意をしておるつもりでございます。
  31. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 建設大臣にお伺いしますが、地代家賃統制令という法律がありますが、一体守られておるか守られてないか。実態はどのように理解しておられるのですか。
  32. 西村英一

    西村国務大臣 私も詳しくは知りませんが、ずいぶんいろいろなことを聞いております。聞いておりますが、なかなか非常にむずかしい法律だということで何とかいうことは考えておりますけれども、それ以上のことは私はつまびらかにしません。
  33. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 この地代家賃統制令という法律は全然守られてないですよ。やみ米以上に守られてないのです。だから自民党のほうは、これはやめてもらいたい、廃止してもらいたいという御意向のようですが、しかし社会党の私たちは、これをやめたら一ぺんに家賃が七、八倍にはね上がる、それが実情なんです。これは借家を持っておる家主組合の調査でも、何かの事情で転任とかいろいろな事情であけてそして新たに貸しますね。その場合の家賃というものは大体いままで貸しておる統制家賃の八倍くらいになる。だからあまりに不当だから、統制家賃というものは安過ぎるから高くしてもらいたいという陳情書の中にそういう統計が入っておる。言いかえますなれば、統制を撤廃したらぼんと家賃が八倍も上がりますよ、こういうことだ。だからあまり急激な変化は好ましくないから、この統制のあり方をもう少し緩和して、もう少し家賃を上げてやりなさい。そうしたら急激な変化が防げるから統制撤廃しなくてもいい。統制は必要だ。しかし現状にあまりに合わないこの統制額を上げなさいということを私は前から何べんも言っている。にもかかわらずそれを全然無視しておられるから、統制家賃が安過ぎて、といがちょっといたんでも屋根がわらがちょっと割れても、その差しかえで一月、二月分の家賃が飛んでしまう実情でありますから、家の修理も修繕も行なわれないので家は一そう荒廃していく、こういうことなんです。だからこの地代家賃統制令のあり方をもう少し実情に合うものに変える必要がある、私はそう思うのでございますけれども、これは大臣、どこまでもこの統制令を何年でもほうっておくつもりかどうか。そんな私は無責任なことはないと思うのです。法律はあるがそれが全然無視されておる。しかしその中にはまじめに守っておる家主もある。そうすると家も修理できないから家は荒廃していく。住宅建設がこれだけいわれておるのに、片一方では統制令がむしろ住宅の腐朽を促し、荒廃を促しておるというのが実情です。だからこういう点もう少し、法律があるのならあるで、適正に運用されたらいい。もしどうでもいかぬのだというならあなた方政府の責任において撤廃を出してこられたらいい。法律があるのにその法律が守られておらないのを平気で見のがしておいて、しかも片方いろいろな統制が全然守られてないというようなことをそのままあなた方のほうで放置しておられるということは無責任きわまると思うのでございますが、大臣いかがお考えでございますか。
  34. 西村英一

    西村国務大臣 御説ごもっともでございますが、改正となるとなかなかこれは大きい問題でございます。したがいまして検討はしますけれども、ここでどうするということを言い切れません。非常に事柄は小さいようですが、大問題でございます。それだけは認識いたしておきますが、検討はいたします。
  35. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 時間の制約がありますから、もう少しいまの問題議論いたしたいのでありますが、また別な機会に議論さしていただくことにしまして、いまの地代家賃統制令については、やっぱり法律がある限り守られるようにしなければならない。守り得るような法律に改正する必要がある、そのように思いますので、まじめに検討していただくようにお願いいたしまして、私の質問を終わります。
  36. 森下國雄

    森下委員長 内海清君。
  37. 内海清

    ○内海(清)委員 宅建業法の一部改正の問題でございますが、時間がないようでございますので、ごく簡単に質問をいたしたいと思います。  いま岡本理事からいろいろ地代家賃統制令等についての御質疑がございましたが、私どももこの問題につきましては土地建物に関連いたしました一連の問題として非常な関心を持っておるわけでございます。いま大臣もこの問題については今後十分検討しようという御答弁でございましたが、この点は私からも強く要望いたしておきたいと思います。   〔委員長退席、正示委員長代理着席〕  時間がございませんから、私はできるだけ重複を避けまして、今度の宅建業法の一部改正についての質問を申し上げたいと思うのであります。  今度の改正が特に宅地建物取引業者に対する一連の規制強化の措置である、これはまことに私どももけっこうだと思うのでありまして、いま住宅に対する国民の需要の要望が非常に強いというときに、この不動産取引不正行為というものがまことに頻発いたしておるわけでございます。特に政府におきましても住宅五カ年計画を策定されておりますけれども、その中の六百七十万戸のうちの四百万戸はいわゆる民間依存ということであります。したがいまして、こういう面につきましては一そう今後意を用いていただかなければならぬと思うのであります。そこで今度の改正におきまする不当表示防止の問題が出ておるわけであります。今回の改正の十四条、これで誇大広告等の禁止規定がきめられておるわけであります。これは公正取引委員会が不当表示防止法に基づいて行なっておりまするところの不当広告排除命令と重複する規定であるように思うのであります。そこで公正取引委員会建設省の両者の間で、具体的にこの誇大広告に関する基準といいまするか、これが同一の見解が示されなければならぬと思うのであります。もしこれが同一の見解が示されない場合には現実の取り扱いにおいていろいろそごを来たすだろう、かように思うのであります。  そこでお尋ねいたしたいのでありますが、誇大広告の基準について公正取引委員会との間において、両者の間でこれは討議なされたかどうか、もし検討されておるとすればその基準の内容、これはどういうふうなものに話し合いでできておるか、その点をひとつお伺いいたしたい。
  38. 志村清一

    ○志村政府委員 公正取引委員会の行なっておりまする不当景品類及び不当表示防止法によるチェックのしかたと今回の宅建業法の改正によりますチェックのしかたとの関連の問題でございます。公正取引委員会の担当している分におきましては、商品一般についての広告を、公正競争と申しておりますが、そういった公正な競争を確保するという立場で考えられているわけでございますが、宅建業法の今回のたてまえは、取引の公正を確保するということでございます。まあ最終の目的はいずれにしましても消費者と申しますか、一般国民の保護ではございますが、他の業者との競争を公正にするということがなくて、ただ一つ業者が出した場合の広告におきましても、これは私ども宅建業法の改正ではチェックするというたてまえにいたしております。さような意味において性格が違い、保護法益が多少異なるわけでございますが、御指摘のとおりお互いに連絡を十分密にいたしまして、一体いかなるものが誇大であるかというふうな基準の策定はせなければならぬ、かように考えております。そのような意味におきまして、私どもにおきましても公正取引委員会あるいはその他の関係の向きともしばしば連絡を密にいたしまして、基準の策定につとめたい。現在も連絡はいたしておりますが、今後とも十分連絡をいたしまして、基準の策定につとめたい、かように考えております。  なお、基準の内容といたしましていろいろございまするが、宅地または建物の所在の問題とかあるいは規模の問題、形質の問題、利用の制限の問題、環境の問題とか、いろいろあるわけでございます。またいわゆるおとり広告というもの、こういったものも第十四条に基づきます誇大広告の基準としてとらえてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  39. 内海清

    ○内海(清)委員 まあ公取のほうは取引の公正を期するということで、こちらのほうは公正の確保ということで、若干そこにねらうところが違う面もあると思うのでありますけれども、いずれにしてもこれは関連のあることでございます。したがいまして、この点については今後、その基準につきましてはひとつ十分なる連係をとられまして、これに当たっていただきたい、これをひとつ強く要望いたしておきたいと思います。  それから第二番目の問題としては、取り締まり体制の問題でございます。今度のこの改正案を見ますると、「取引態様の明示」及び「重要事項説明」というふうな、新たに宅建業者に課せられる義務規定やあるいは禁止規定がいろいろあるわけでございますが、この規定に効果を発生せしめますためには、従来以上に一段と業者に対する指導監督というもの及び違反事項に対する摘発体制、こういうふうなものが整ってまいらなければならぬと思うのであります。そこで、従来建設省では投書とかあるいは電話、こういうふうなものをきっかけとしましていろいろ調査を進められる、こういうのが従来の体制であると思うのでありまするが、これを改めまして、自主的な取り締まり体制を確立していくということが必要じゃないかと思う。その点についてどういうふうにお考えになっておるかということ、また今後どのような指導監督体制をとっていくというふうにお考えになっておるか、この点についてお伺いをいたしたい。
  40. 志村清一

    ○志村政府委員 不動産業者のうち悪質な者がおりますことによりまして不動産業者全般についての信頼度が非常に薄くなるというようなこと等もございまするので、業界の内部におきましてもぜひ悪質な者を大いに取り締まってほしいという要請もございます。私どもといたしましても当然さような体制を整えるべきかと存じておりますが、すでに改正になりました昭和三十九年の改正によりまして、登録制を免許制に改め、あるいは業者に対する指示、指導等の監督権の強化もいたしております。これらにつきましてはことしの四月から全面的に施行になったわけでございますので、この点もあわせまして取り締まりの強化をいたしたい。  また、今回の改正法案におきましては、ある県で免許をとりますと、他県で仕事をする業者につきまして、他県の、仕事をされた県の知事さんの監督権限が非常に少なかったわけでございます。それにつきましては今回の改正におきまして、その県の区域内で宅建業を実際に営む場合につきましては、すべての宅建業者に対して必要な指導なり指示なり業務の停止までを知事さんができるというふうな体制を整えたい、かように考えておる次第でございます。  また、実質的には一体どうやって取り締まりをしているかという問題でございますが、単に投書あるいは非常に困ったというふうな事例を泣き込まれて動くということではいかぬ、まことにそのとおりでございますので、私どもといたしましても、公正取引委員会、警察庁、関係都府県というところと連絡を密にいたしまして、逐次広域的な合同取り締まりをやっております。その結果悪質な者に対しては免許の取り消しの処分あるいは公正取引委員会に対する排除命令、さらには警察関係による検挙というふうなこともやっておるわけでございますが、今後ともそのような方法等も十分利用いたしまして監督の強化につとめたい、かように考えておる次第でございます。
  41. 内海清

    ○内海(清)委員 今後業者の自主的な規制ということももちろん必要でございましょうが、これについてもあと若干お伺いしたいと思いますけれども、今回の法の改正を契機にして、ことに関係官庁間の情報の交換あるいは合同調査というふうなものを行なっていかなければならぬと思うのであります。今後そういう協力体制、これがいかに強化されるかということが、またこの問題解決のきわめて重要な点だと思うのであります。これらにつきましては、いまそういうお考えのようでありますけれども、十分ひとつ関係官庁間の連絡を密にし、強化されまして、その効果のあがるように十分なる御措置を願いたい、これまた要望申し上げておきたいと思うのであります。  それからこの宅建業者間の自主規制の問題でございますけれども、宅建業者は全国で四万三百五十七人でございますか、これは免許を受けておる者だけというふうに承っておるのでございますが、これらの中で悪質な不正を行なうのは、このうちの各種団体の、全国に七つぐらい団体があるのでありますが、そのいずれにも属していない、加入していない、こういう約一万人程度のいわばアウトサイダー的な存在のもの、これが多いというふうに従来指摘されておるのであります。このことは各種業者団体の一応の自主規制の効果を示すものだと思います。それで判断できる。また現に不当表示防止法の公正競争規約制度に基づきまして、自主規制を目的に設立されました宅地建物公正取引協議会でございますか、こういうふうなものもあるわけでありますが、この協議会がかなりの効果をあげておるということも承っておるのでありますけれども、会員の自主規制にとどまらず、このアウトサイダーの不当行為に関する重要な情報、これもこういう協会で十分活動してもらって、そうして取り締まりを強化していくということがきわめて重要なことじゃないか。従来その点において十分でなかったということが、そういうふうな団体あるいは協会等に加入しておる者がむしろ苦しんできた、これが実情じゃないかと思うのであります。現実に関係官庁の監視の限界からしましても、まことに多いものでありますから一々こまかいところまでは目が届かぬ、したがって監視に限界があるわけでありますけれども、その限界から考えましても、あるいはまたこういうふうな業者団体の自主規制活動の効果から見ましても、法規制の強化もさることでありますけれども、これらが業者間でやはり自主規制といりかこれが一そう強化されていかなければ相ならぬと思うのであります。きわめて必要なことだと思います。  そこでこの宅建業者の全国的な組織、これは聞くところによりますと、本年の五月ですか、現行宅建業法の第二十二条の三によりまして宅地建物取引業協会に一本化しよう、現在まで七つの団体があるのをこれを一本化していこう、こういうふうなこともあったようでありますけれども、これらの七団体が不正取引に対しまして自主規制として具体的にどういうふうなことを行なってきたのであろうか、これが一本になって、それが強力に行なわれていけば問題がある程度解決されていくと思いますけれども、いままでは七つの団体で、それぞればらばらであるというところに、この自主規制の具体的な効果というものがあがりにくい点があったのじゃなかろうか、かようにも考えるのでありまして、建設省はこれらの団体の自主規制というものを積極的に行なうためにどういうふうな構想を持っておられるか、具体的に御説明願いたい。
  42. 志村清一

    ○志村政府委員 御質問のとおり、業界の団体がなるべく一本になりまして、お互いに会員の指導をし、連絡を保って、公正な取引を確保するということはきわめて望ましいことでございます。さような意味におきまして、昭和三十九年の法改正におきまして、先生御指摘のように、第二十二条の三によりまして、都道府県区域ごとに取引業協会を設立する、その連合会も設けるということに相なっておるわけでございます。さような意味におきまして、私どもといたしましても、各県の担当部局とも連絡をとりまして、各団体の一本化についてあっせんの労をとるように進めておる次第でございますが、その結果最近におきまして、大体三十都府県宅地建物取引業協会が設立されはした。またその他の府県につきましても、ごく少数を除きまして、二、三の例を除きまして大部分がただいま業協会の設立の申請中でございます。全国的な連合会につきましても、来月くらいになりますとめどがつくのじゃないか、こういうような大きな団体ができてまいる。全部が全部入るというわけにはまいりませんが、かような団体に入っている業者がその信用のおける業者であるというふうなことから、お互いのまた同時に会員内における指導ができる、資質の向上がはかられるというふうなことになることを期待いたしておる次第でございます。
  43. 内海清

    ○内海(清)委員 この点はひとつ今後一そう強力に進めていただきたいと思います。  また、宅地審議会の宅建業制度部会の審議におきまして、専門委員から、業者団体の一本化を推進するとともに、強制加入としてアウトサイダー問題の解決をはかり、また業者の自主規制を強化したい、こういうふうな意見がかなり強く出たように実は承っておるのであります。強制加入ということには、これまた今日の情勢からいえばいろいろ問題があるかもわからぬと存じますけれども、自主規制の強化、こういう考えからいたしまして、それらに対して建設省はどういうふうな御意見を持っておられるか、お伺いしたいと思います。
  44. 志村清一

    ○志村政府委員 ただいまの強制加入の問題につきましては、先生御指摘のとおり、宅地審議会におきましても、最も議論の多かった点でございます。いろいろ御議論ございましたが、その結果といたしましては、強制加入の団体をつくることは適当ではない、現在法律で定められております連合会あるいは個々の県の業協会というものの公正な運営によりまして協会の信用を高めるならば、強制加入の場合と同じように自主規制の効果を十分期待できるのじゃないか。ただ弁護士とかあるいは司法書士会とかいうふうな特殊な団体と同様に強制加入というふうなことをすることについては、職業の自由の制限の問題とかその他いろいろの問題があるので、適当でない、かような御議論でございました。私どもも宅地審議会の御議論が妥当の線ではなかろうかということで、今回の改正案にも強制加入の点は出しておりませんが、この団体につきましてはなるべく皆さんが御加入になって、そうして団体の信用を高め、そうして自主規制を大いに進めていくということで指導してまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  45. 内海清

    ○内海(清)委員 強制加入の問題は、いまお話しのように十分問題のある点だと思うのであります。しかしながら、こういうふうなものに加入しないところにいろいろな問題が起きてきておるわけでありますから、十分ひとつ建設省行政指導等によりまして、それらのすべての業者が自主的に参加するような指導が今後最も望ましいのではないか。そのことによりまして、十分ひとつ自主規制の効果をあげるように指導していただきたい。この点をこれまた要望申し上げたいと思います。できるだけ業者が自主的にそれに加入いたしまして、できることなら業者団体が一本化できる、このことが最も望ましい姿であります。これがもしそういうふうな適切な行政指導によって一本化の体制ができた場合、宅建取引全般について自主規制が積極的に推進されていくような体制ができると思うのであります。そういうふうに建設省としては十分なる育成指導ということ、これが望ましいと思うのでありますが、それにつきまして何か今日までも具体的にそういう行政指導を行なわれたか。またそういうふうな場合に公正取引協議会との関連の問題も出てくると思いますが、それらの問題についてはどういうふうなお考えであるか、その点をお伺いいたします。
  46. 志村清一

    ○志村政府委員 一本化し、多数の業者、できれば全部の業者が加入できるようにということにつきましては私どももさように考えておりまして、業界に対しても直接勧奨いたしたい。あるいは各府県の担当部局の会合等におきましても、各県内の団体の一本化についてはあっせんの労をとるように指示をいたすというようなことで進めております。また、先ほど先生の御指摘がございましたように、具体の公正取引についてのお互いの自主規制の問題につきましても、私どもといたしましては相談に乗りまして、できるだけそういうものが広く行なわれるように努力いたしている次第でございます。
  47. 内海清

    ○内海(清)委員 もう時間がきましたから終わりますが、この問題は今日非常に重要な問題であると思う。国民の家に対する非常な需要の意欲が盛んなとき、このときにいろいろな問題を起こしておる。むしろ社会問題的にまでも発展するような傾向もあります。この法改正を契機にしまして、一そう行政指導の強化、監督の強化によりまして、力の弱い人々を守るように十分なる御配慮を強く要望いたしまして、私の質問を終わります。
  48. 正示啓次郎

    ○正示委員長代理 小川新一郎君。
  49. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 時間がありませんので、要約していろいろと質問してまいります。  戦後最大の土地詐欺が行なわれました。三十二億円の土地詐取を行なったこの連中は、正式許可を受けている土地の不動産業者でありますかどうか、まず第一点お尋ねいたします。
  50. 志村清一

    ○志村政府委員 どこのどういう業者であったか、ちょっとわかりかねますので、お答えしにくいのでございますが……。
  51. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 三十二億円の土地の詐欺を行なった業者が警察にあげられたということはえらい騒ぎです。その問題が組織暴力団と関係しておるといううわさを聞いている。この点についてはどう調査されていますか。−それじゃ私のほうで調べたところをちょっと発表しまして、いろいろお聞きしたいのですが、今回法務局の公印などを偽造して他人の土地をだましとっていた戦後最大の地面師グループ、これは警視庁捜査二課で発表になっておりますが、名前は暴力団元日本国粋会の青柳組幹部、前科九犯笹川省三、同幹部、前科十犯鈴木公玄、それらは正式な許可を受けた不動産業者であるかないかということが第一点なんです  次に、これらの組織暴力団のような社会の敵がこういった不動産業界に入り込んでいる実例はたくさんありますが それについてはどうお考えになっておられますか。これは大臣にお尋ねしたいと思います。
  52. 西村英一

    西村国務大臣 元来、宅地建物業法は、非常に不正が行なわれたりして議員立法でやったのです。もともと建設省は、こういう業界の取り締まりはなかなかむずかしいと考えておったようであります。したがいまして政府は初め手を出さなかった。しかし議員立法でこの法律ができまして、できた以上はやはり正当にこの法律を守っていかなければならぬのでございまして、今日まできたのです。したがいまして、そういう業界に対して不正な分子が介入しておるということは過去においてあったと思います。まだ現在も多少あるかもしれません。しかしながら、こういうことは好ましくないのでございますから、そういうものをも含めてわれわれは監督を厳にしたい、かように思うのでございます。
  53. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 これは大臣、好ましいとか好ましくないとかの問題じゃない。現在の組織暴力団がその財源を断ち切られて、パチンコとか景品買いとか、そういった社会のいろんな表面から締め出された連中が不動産業者になっている。日本の土地行政の一番重要であるところの土地問題が食い荒らされ蚕食され、そこに多くの人たちが泣いているのです。私は不動産業者が全部悪いと言っているのじゃないのです。ごく一部の連中が悪いために、多くの不動産業者も泣かなければならない。また土地のこういった犯罪は知能的犯罪で非常に悪質であります。これがために首をくくって死んだとか一家離散したとか、そういった社会面に及ぼす影響というものは非常に大きい。これについて、なぜこういう組織暴力団の幹部が——厳重な許可とかまたは認可とかいろいろなあれがあるでしょう。それをもぐり込んでこういう連中がなぜ業者になったのか、そこが私はわからないのです。それについてはどうなんです。
  54. 西村英一

    西村国務大臣 それだから私が言っているでしょう。いままでは登録制であったのです。それがようやくことしの初めに許可制に直ったのです。そうでございますから、登録制である以上は、書面上やはり一定の書式をそろえて出せば、登録制でございますからそこに許認可の問題がないのです。そういうルーズなやり方をやっておりましていろいろな問題が起こりましたから、初めて許認可制になった。今後は許認可制をやるのでありますから、さような悪い業者業者として認めないという中止命令——認可を与えておるのだから中止命令も出せることになるわけでございまして、ようやくこの業の取り締まりができる、過去においてはいろいろなことがあった、こういうことを申し上げておるのでございます。
  55. 志村清一

    ○志村政府委員 補足させていただきます。  業法の四条に免許の基準がございます。   〔正示委員長代理退席、委員長着席〕 この中で「禁錮以上の刑に処せられ、又はこの法律の規定に違反して罰金の刑に処せられ」た者につきましては、「その刑の執行を終わり、又は刑の執行を受るけことがなくなった日から二年を経過しない者」は免許できない。あるいは「免許の申請前二年以内に宅地建物取引業に関し不正又は著しく不当な行為をした者」は免許を受けることができないということになっております。これらの規定を十分運用いたしまして、法の免許を受けるべからざる者が免許を受けるということがないように今後とも留意をいたしたい、かように思っております。
  56. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 そうしますと、今後は組織暴力団とか悪質な犯罪者、こういうのは全然不動産業者になることができない、こう解釈してよろしいのですね。
  57. 志村清一

    ○志村政府委員 ただいま申し上げましたように取引業法第四条の免許の基準がございます。この基準に該当しないものは当然免許することができないわけでございます。禁錮以上の刑に処せられまして、あるいはまたこの法律の規定に違反して罰金の刑に処せられて、その刑の執行が終わり、またはその刑の執行を受けることがなくなった日から二年を経過しない者は免許を受けられない、あるいは免許の申請前二年以内に宅地建物取引業に関し不正または著しく不当な行為をした者は免許を受けられないということに相なっているわけでございます。
  58. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 それはだれも私は悪いことをしたと言う人はないわけです。みんなごまかしていろいろやるわけですから、そういう点今年から改正になった法でもいろいろな抜けがけができて、こういう問題が起きているのです。その点については厳重なる審査をしなければならぬ。  次にもう一点お尋ねしたいことは、今回の台風七号くずれの豪雨によって土砂がくずれて人が死にましたね。その中に不動産業者が宅地造成を行なった例はどれくらいあるのですか。
  59. 志村清一

    ○志村政府委員 今回の宅地災害について取り調べをいたしておりますが、まだ完全な情報がまとまっておりません。佐世保と神戸の例で申し上げますと、佐世保では二十六件のがけくずれがございましたが、そのうち自然がけのくずれたのが十六件ございます。あと造成宅地が十件でございますが、造成宅地の中で宅地造成等規制法によって免許を受けた工事は一件でございまして、これは些少なくずれであったように承知いたしております。神戸につきましては、全体でただいま調べたところでは七十七件ございます。自然がけが二十二件、造成宅地のがけがくずれたものが五十五件ございます。このうち規制法適用前の分が三十七件でございまして、規制法適用後は十八件、これも工事中のものが大部分でございまして、たいした被害はございません。そこで全体的に今度の災害によりまして相当の人命、家屋というものの被害があったわけでございますが、その原因を詳細には調べてございませんのではっきり申し上げかねるわけでございますが、ほとんどが自然がけによる被害でございまして、造成宅地の崩壊によるものは非常に少ない、規制法適用以後の免許を受けたものによる被害は皆無であるというふうなのがただいまの現況でございます。
  60. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 そうすると、不動産業者がこれから危険なところの宅地造成をやってそれによって人が死んだとか財産等の損害を受けたときには、その業者は今後仕事をやっていけるのか、いけないのか、そういった大きな事故を出した場合。これは交通事故なんかも重過失罪等になりますとダンプの運転を禁止される。こういうふうに宅地造成等の不備によって人身、財産に極度な損害をこうむった場合には、その業者に対する処置はどうなんですか。
  61. 志村清一

    ○志村政府委員 非常にやわな宅地造成をいたしまして、その結果人命、家屋に損害を与えるというような事例がございますれば、著しく不当な行為に該当すると存じます。当然免許につきましては免許基準に該当しないということで免許を受けられないというふうに判断するのが妥当かと思います。
  62. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 すると、今度はそういう人は免許は受けられない、こう判断してよろしいのですね。——そこで問題になるのはそういった監督処分されて廃業した悪質業者がさらに名義変更等をして免許申請をしている例がたくさんありますが、そういったことに対して行政処分をされた例があるのですか。
  63. 志村清一

    ○志村政府委員 これまた法第四条の規定の基準があるわけでありますが、法人でその役員のうちに第四条の第一号から第四号までに該当する者があった場合には免許基準に該当しない。したがって免許を受けられないということになっているわけでございます。ただ事実上個人営業の場合ですが、免許を受けてやっておったけれども、何と申しますか非違行為がございまして免許を取り消される。その場合に奥さんの名義で始めるという事例があるわけであります。これらに関しましても実は宅地審議会でずいぶん議論をいたしたわけでありますが、奥さんの名義で奥さんがお始めになる、そして責任者も別途に置くということになれば、それまで家族であるからといって云々ということはどうもむずかしかろうということで、考えておらぬようなわけであります。
  64. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 奥さん名義にしても何にしても、実態はその主人であり社長である前任者がおそらくやるんだと思うのですが、それに対してはまた何らかの規制を加えなければならぬと思いますが、それに対するお考えもあとに聞くといたしまして、机一つ、電話一本でできる商売、一発屋とか片手間にやる業者が非常に多いわけです。こういった自分一人でやっておるような連中がたくさんふえていくということには営業自体について問題があるのですか。その点どうお考えですか。
  65. 志村清一

    ○志村政府委員 宅地建物取引業は、先生御存じのとおり、大きなものは大団地を造成しあるいは分譲住宅を建てたりいたしまして行なうという業態もございます。小は貸し間のあっせんというようなこともございますので、非常に態様が分かれております。そのような意味におきまして、その態様に応じましていろいろな業態があるわけでありますので、必ずしも従業員の数が少ないということだけをもって適当ではないという判断はしにくいと存じておる次第でございます。
  66. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 今回こういった不動産業者の問題が起きるのは、やはり需要と供給のアンバランスでありますね。それで、こういった問題が起きるのは、買うほうのお客にも一半の責任があるようになってしまう。なぜかと申しますと、知らな過ぎる。そのために、こういった人たちのために都道府県に案内所とか係とかいうものを設けて、そういった指導するような、また相談を受けるような窓口をつくるように考えたらどうなんでしょうか。その点どうお考えですか。
  67. 西村英一

    西村国務大臣 非常にいい質問です。私はその意見なんです。やはり指導しなければいかぬ。それだからもちろん相談所のある府県もあります。ある府県もありますが、大部分はないわけであります。したがいましてそれはぜひとも都道府県に置いてもらいたい、こういう指導をしておりますが、なお中央にもそういう相談をするようなところを持ったらどうかというようなことまで考えた。これはぜひとも指導のためにやりたい、消費者の保護のためにぜひやらなければならぬ、かように私は考えております。
  68. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 大臣からいまおほめをいただいたのでありますが、そういったシステムの中に一種の土地公開市場的な機能を持ったやり方をやったらさらに——土地の公開市場、これはこうだとか値段は幾らとか、そういったものを設ける考えはいかがでしょうか。
  69. 志村清一

    ○志村政府委員 ただいま大臣からお答え申し上げましたように、国におきましても、公団あるいは公庫等におきまして住宅についての相談を受けられ、あるいは土地についての相談を受けられるような相談所をつくっておるわけでありますが、同時に府県あるいは市の主要なところにもかような相談所というようなものをつくるように勧奨し、相当できております。同時に、しかし具体の品物をそういった公的機関であっせんするということは非常にむずかしゅうございますので、業界の中で業界自身がそういった相談所と申しますか、そういうものをつくって、そこに優良のものを展示するというようなことを今後とも指導してまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  70. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 駅前なんかに行きますと、新興駅の前には宅地建物不動産の案内所がありますな、旗が立って。その係が身分証明を持っていないのがおりますけれども、これは宅地建物取引業法第十八条の二に違反しているんではないでしょうか。
  71. 井上義光

    井上説明員 現行法におきましては、記章または身分を証する証明書を携帯すればいいというので、必ずしもその記章をつけさせるようになっておらぬわけでございます。
  72. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 身分証明を持たなくてもできるんですか。
  73. 井上義光

    井上説明員 記章を携帯し、または身分証明を携帯する、いずれかであります。
  74. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 持っていないのが一ぱいいるのはどういうわけですか。そういうのは取り締まるのですか。
  75. 井上義光

    井上説明員 宅地建物取引業者は、従業員に、いま申し上げました記章または身分証明書を携帯させるという義務がございまして、もしそういう義務違反があれば、この法律違反ということになります。
  76. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 そういうことを調査したことはおありでないようでありますけれども一体この取り締まりに当たっている係官というものは、国及び都道府県にはどのくらいいるんですか。
  77. 井上義光

    井上説明員 先ほど計画局長がお答えしました中にございましたが、東京近辺におきましては、建設省、公正取引委員会、警察庁及び都道府県で合同取り締まりを年に四回程度実施いたしておりますが、その場合に、現地の案内所等につきまして、従業員につきましては、すべてそういった身分証明なり記章の携帯につきまして確認いたしておりますが、ほとんどそういったものを持っている状況でございます。
  78. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 私の質問は、取り締まり官が東京では十五人ぐらい、県によっては二、三人という現状でありますけれども、それで取り締まりが十分にできないんじゃないか。これは、この間も自民党の方が質問しておったんですが、非常にいいところを突いておると思った点があるんです。それは、なぜかというと、既成業者に対する取り締まりはいろいろな条件でだんだんきびしくなってくる。ところが、もぐりのブローカーとかそういった連中には取り締まりがだんだん、幾らいったって、これはもぐりですからかからないわけですね。そうすると格差が出てくるわけです。そうなってくると、一般業者がかわいそうだ。そのために、私は、そういった不公正をなくするために、東京都で十五人ぐらいしかいない、これは事実なんです。それで一体この実態はどうなのか。埼玉県なんか三人か四人しかいない。これで膨大な首都圏の土地の需要をまかないきれるのか。そこにいろいろな問題が起きて、こういった種々の問題が起きてくるのでありますから、その点についてのお答えを願いたい、いまこういう質問なんです。
  79. 志村清一

    ○志村政府委員 無登録業者、やみ業者というのはまことにけしからぬのでございまして、これは宅建業法で無免許事業等の禁止の規定がございます。たとえこの業法に載っておるようなちゃんとした仕事をやったにいたしましても、罰則を受けるわけでございます。たとえいかに善良でありましても、無免許の営業はいかぬということになっておるわけでございます。その罰則も、三年以下あるいは三十万円以下というふうな、業法におきましては一番重い罰則の適用を受けるわけでございます。これらにつきましては、今後とも十分取り締まりを進めてまいらねばならぬと思いますが、具体に府県における取り締まりの陣容は充実してない、非常に少ないという御指摘でございます。これらにつきましては、確かに少ない面もございますので、今後とも充実を地方公共団体等に要請してまいりたいと存じますが、同時に、少ない人員で能率があがるようにという意味で、あるいは公取、各県というふうなところとも合同いたしまして、取り締まりをいたすというふうなこと等も考えてやっております。今後とも十分取り締まりの強化につきましてはつとめたいと思っております。
  80. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 誇大広告やそういった業者の取り締まりは、公開取り締まりなのか、それとも、隠密取り締まりなのか、それが一つ。それから、それは年に何回ぐらい、どういう規模でどういった範囲でやるのか。それから、一年間の目標はどのくらいなのか、その点についてお答え願いたい。
  81. 志村清一

    ○志村政府委員 大体東京におきましては、東京周辺の府県を含めまして年四回ぐらい、合同の取り締まりを実施いたしております。
  82. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 不動産広告認証制度というものを確立し、この誇大広告防止のためにやったらどうかという考えがあるのですが、これは大臣どうお考えになっておりますか。——これはどういうことかと申しますと、広告を出したい、それを都道府県知事に見せて、一応こういうふうなのはどうだと認証制度で検査を受けて、そうして広告する、こういうシステムです。
  83. 志村清一

    ○志村政府委員 一つのアイデアとして非常におもしろいアイデアでございまして、東京におきましてはそういうふうなことをお互いの自主規制をやっている仲間内でやろうというふうな企てもあるわけでございますが、これを全般的に制度として広げるということになりますと、行政事務の繁雑その他ございまして、まだ相当検討しなければならぬのではないかと考えておるような次第でございます。
  84. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 違法建築被害者の会というのがありますが、その中で、聞くところによると、新聞に出ておるのですが、監督者が酒を飲んでその勢いでおごり散らしている、困った問題だというのが出ておりますが、これはけしからぬ、悪らつな行為でございますが、こういった事例が実際にあるのですか。
  85. 志村清一

    ○志村政府委員 事案がよくわかりませんが……。
  86. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 それではもう一ぺんやります。  これは不法建築を取り締まる係官ですね、その連中が、監督者が行って、酒を飲んでおごり散らしているというのが、違法建築被害者の会というのに投書がいっているのですよ。そういうのが各都道府県の取り締まり官の中にある、こういう事例がきている。これがその被害者の会というところから新聞投書されてきております。そういった事例を聞いておりますかというのです。
  87. 森下國雄

    森下委員長 小川君に御注意申し上げます。約束の時間が過ぎておりますので、どうぞ……。
  88. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 はい。  それを答弁してください。
  89. 志村清一

    ○志村政府委員 宅建業法関係ではなく住宅建設関係だと存じますが、私のほうには、宅建業法関係でありますから、そのような事例は承知しておりません。
  90. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 では、もう一問、時間がありませんから聞きますけれども、この不動産業者等の会社ですね、会社側が、この取引をするときに念書を取って、そうしてそのお客さんが責任をとるようにしている。そういう場合に、会社が、営業停止になるので、お客さんにその行為を全部転嫁するような、この間話したようないろいろな問題がある。そういった念書なんていうものはこれからなくして、はっきりした口約束でやったほうがいいと思うのですが、この点どうお考えになりますか。
  91. 志村清一

    ○志村政府委員 さような御質問の趣旨に合致するかどうかよくわかりませんが、今回の改正法案におきましては、十四条の三で、取引関連いたしまして重要な事項については十分事前に説明する。しかも、大事な問題につきましては文書であっせん業者は依頼者に渡さなければならない。また、契約が成立するというふうなときになりますと、遅滞なく、いろいろな事項につきまして書面にいたしまして、それを依頼者に渡しまして、契約の正しい結び方を進めていくというようなことにいたしているわけでございます。さようなことで、正当な、公正な取引が進むように努力いたしております。
  92. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 最後に、それでは資料調査だけお願いしておきますけれども、先ほどの悪質業者の暴力行為、これを調べてあとで出してください。以上です。      ————◇—————
  93. 森下國雄

    森下委員長 建設行政基本施策に関する件について調査を進めます。  質疑の通告がありますので、これを許します。工藤良平君。
  94. 工藤良平

    ○工藤委員 時間がありませんので、簡単に質問をいたしたいと思います。  いろいろと建設行政の重要な問題をかかえておりまして、道路、住宅、河川非常に重要な問題でございますが、このような重要な建設行政を推進してまいりますためには、建設省当局と職員との間の融合ということにつきましては特にこれから配慮を払わなければならないと考えるわけでありますが、私聞くところによりますと、建設省の共済運営の問題につきまして若干組合との間に問題もあるようでございまして、その関係について官房長から事情をお聞きいたしたい。
  95. 西村英一

    西村国務大臣 共済組合のことについての御質問でございますが、私は大体うまくいっておるのじゃないかと思いまするが、もしうまくいかないようなことがございましたら、これはひとつわれわれのほうで十分指導をいたしたい、かように考えております。
  96. 工藤良平

    ○工藤委員 官房長にお伺いをいたしたいと思いますが、現在運営審議会の中に建設省労働組合の代表の方が参加されているかどうかお聞きをいたしたい。
  97. 鶴海良一郎

    ○鶴海政府委員 運営審議会の委員でございますが、会長は私がやっております。委員が八名でございます。八名のうちの四名は共済関係の事務を主管しておる者から選んでおります。残りの四名につきましては一般の共済組合組合員から選ぶということにいたしております。この委員の選び方でございますが、建設省は全国的に散らばって仕事をしておりますので、ブロック別に選ぶということにいたしております。全国を八つのブロックに分けまして、それぞれのブロックから事務の主管の候補の者を選ぶところと一般の共済組合員から選ぶところと分けまして、それぞれのブロックから適任者を推薦してもらっておるというしかたをとっておるわけであります。  ただいまの御質問職員団体の代表の推薦者を選んでおるかというお話でございますが、ブロックによりましては職員団体が推薦をしてきた人を推薦してまいっておるところもございまして、さようなブロックにつきましてはその推薦のあった人を運営審議会の委員として任命いたしております。
  98. 工藤良平

    ○工藤委員 従来組合代表を入れまして、この組合代表というのは推薦しました労働組合の代表ですね。それを入れて運営をしておったように聞いているわけでありますが、それでは現在四名おります運営審議委員の中に労働組合関係をしておる方がいらっしゃいますか。
  99. 鶴海良一郎

    ○鶴海政府委員 四名のうち何名が組合員に属しておるかという点につきましては、私どもでは調査いたしておりませんが、組合といいますか、職員団体が推薦してきた人をそれぞれのブロックで推薦してきて任命したというのが一名でございます。
  100. 工藤良平

    ○工藤委員 それでは官房長としてはそれが労働組合に所属をしているかいないかということについては関知をしていないということですか。
  101. 鶴海良一郎

    ○鶴海政府委員 運営審議委員を選びます場合に、職員団体の組合員であるかどうかということを判断の基準とすることは適当でないと考えております。
  102. 工藤良平

    ○工藤委員 そういうことになりますと、じゃ労働組合というのはどういう趣旨で結成をされているか、答えていただきたいと思います。
  103. 鶴海良一郎

    ○鶴海政府委員 公務員法によります職員団体につきましては、職員の労働条件の改善につきまして当局と交渉をして改善をはかっていくという趣旨を持っておると思います。私は先ほど組合員に所属しておるかどうかということが共済組合の運営審議会の委員の選定の基準でないという趣旨を申し上げたのでございまして、本来職員団体と共済組合とは別のものでございますので、そういう運営をいたしておるわけでありますが、先ほども申し上げましたように、職員団体の推薦者がありますればその中で適任の者を選ぶにつきましては、これは別に拒否いたしておるわけじゃございません。
  104. 工藤良平

    ○工藤委員 じゃ全建設労働組合から運営審議委員にしていただきたいという申し入れがあったということについては承知をしておりますか。
  105. 鶴海良一郎

    ○鶴海政府委員 全建労から推薦があったのは事実でございます。ただ、先ほども申し上げましたように各ブロックで選んでおりますので、直接本省のほうへ推薦があったわけでございますけれども、これがブロックの要望と必ずしも合わないという問題もございましたが、全建労の推薦の中身を検討してみますと、たとえば刑事事件関連いたしまして起訴されまして、目下休職中の人を推薦されるというふうなこともございまして、適当な人が見当たりませんでしたので、できますれば適当な人に取りかえ得ることができないものかということで、先年の八月でございますがいろいろ努力いたしたのでありますけれども、時間の関係で間に合いませんで、全建労の代表は任命されておりません。
  106. 工藤良平

    ○工藤委員 いま官房長の話を聞きますと、共済運営審議委員の条件の中に労働組合の代表というものはうたってないかもしれませんが、逆に入れて悪いということもうたってないわけですね。いわゆる職員団体の代表としてだれが組合員のほんとうの意思を反映できるかということを運営の面で考えるべきだと思う。私も農林共済におりましたので、その点十分わかるわけです。各組合の状態を見ても、労働組合の代表というものはほとんど大部分入れておるわけです。それは労使の間というものを正常に持っていこうとする努力があるわけです。ところがいまの官房長のお話によりますと、何か労働組合というものを敵視したような、労働組合がひいては非常にじゃまになるような考え方というものが相当根底にあるような感覚を私は感じ、非常に遺憾に思うわけでございますが、この点についてどのようなお考えを持っておりますか。
  107. 鶴海良一郎

    ○鶴海政府委員 お話のとおり労働組合の推薦した者を運審の委員として任命するということをわれわれとして拒否しておるわけではございません。また法律では職員団体の推薦者を入れるとか入れないということは書いてあるわけではございませんが、運営といたしましては職員団体の意向が反映するような運営をしたいと思っております。また現に昨年も改選の時期にあたりましてさような努力をいたしましたし、一名は幸いにして任命できたわけでございますけれども、また来年改選期がございます。その際も職員団体の意向が何らかの形で反映していくように努力をいたしたい、かように考えております。
  108. 工藤良平

    ○工藤委員 先ほどおたくのほうは地域別に選定されたと言われたが、全建労から出ております推薦の名前を見ましても、地域別にそれぞれ出しておる。そうしますと、地域別に選定するということについては組合の出した者と何の矛盾もしない。  それからもう一つは、組合の出した者よりも他の者のほうがはっきりいいますと優秀であったというような発言があったわけですけれども、その優秀というようなことはどこで査定をするわけですか。この共済組合法の中にあるところの審議会の委員の任命については、確かに条件があります。これは組合の福祉に関する事項について広い知識を持ち、一部の者の利益に偏することのないようにしなければならぬということがうたわれているわけです。これはもちろん運営に当たってそろばんをはじいたり、こまかな運営の内容を承知しておるということではなくて、むしろ組合員の立場というものをだれが一番どのように理解をするか、福祉厚生についてはだれが一番熱意を持っているかということが、私はこの運営にあたっては非常に大切なことだと思うんですよ。そういう意味の理解が一体なされているのかどうか。いまの答弁からいきますと、どうも私は逆な立場があるような気がしてならないわけであります。その点ひとつ考え方を明らかにしておいてもらいたい。
  109. 鶴海良一郎

    ○鶴海政府委員 先ほども申し上げましたように、決して逆な立場であるわけではございません。職員団体の推薦した中で適任者があれば任命することに決してやぶさかであるわけではございませんので、そういう趣旨でこれからも人選に当たっていきたいというふうに考えております。
  110. 工藤良平

    ○工藤委員 さっきから前向きの姿勢で努力するということを終始発言されているわけなんで、それは私はそのとおりに理解をしていきたいと思うのですが、もう少しただしておきたいと思うのです。  確かに共済組合というのは建設省仕事とは別なものだと私も理解をしております。それは国の行政の中で当然行なわなければならない福祉行政がいまどうなっているかわかりませんけれども、聞きたいと思いますが、一年間に一人当たりどの程度の福祉の予算を組んでおりますか。従来は大体一人当たり千円ぐらいだった。これはもちろん一年であります。そういうものをカバーしていくために、相互共済という立場でこの共済組合というものが私は設置をされているだろうと思う。したがって、組合の代表者あるいはまた、さっきちょっとお話が出ておりましたけれども、処分をされた者がどうだこうだということを言っておりましたけれども、それはどういうことで処分をされたか私は存じませんけれども、事共済組合の問題については、これが破廉恥罪で処分をされたものであるということであれば別でありますけれども、正当な、正常な組合運動の中において当局との間にいろいろな問題があって処分を受けるということは、各省ともあることなんであります。しかも各省そういう人たちが中に入って、運営を通じまして当局と組合員との友好をはかりながら、より正しい労働慣行というものをつくり上げていこうという努力をしているわけなんですが、そういう問題について、もう少し官房長の考え方を私は明らかにしておきたいと思います。
  111. 鶴海良一郎

    ○鶴海政府委員 お話のように国家予算で組んでおります福祉関係の予算は、年間千円程度でございます。これをカバーするといいますか、組合員相互に協力し合って福祉を向上していこうというのが共済組合の趣旨であると思います。  なお、先ほど私が申し上げましたのは、全建労から推薦のあった人の中には、たとえば刑事事件に関しまして起訴されまして、目下休職中の人もあって適当でないと認めたという趣旨を申し上げたのでございます。これはある地方建設局におきます暴行事件でありますが、その容疑で起訴されておる人でございます。まあ目下裁判所に係属中の人を運審の委員にするというようなことは適当ではなかろうというふうに判断いたしたわけでございます。
  112. 工藤良平

    ○工藤委員 それは推薦者全員がそうですが、暴力事件で起訴されているのですか。
  113. 鶴海良一郎

    ○鶴海政府委員 全員ではございません。全員ではございませんが、その中にそういう人も入っておったということを申し上げておるわけでございます。
  114. 工藤良平

    ○工藤委員 それじゃ、その人一人がいることによって全体を拒否するということはあり得ませんね。
  115. 鶴海良一郎

    ○鶴海政府委員 その人一人のために全体を拒否したのではなくて、ほかの推薦者につきましても、ここ数年の期間内にそれぞれ懲戒処分等を受けた人でございますので、全建労にも適当な人もずいぶんおられるわけでありますから、より適当な人を推薦願いたいというふうに考えておる次第でございます。
  116. 工藤良平

    ○工藤委員 それは結局共済組合法でいいますと、どこら辺に該当するわけでございますか。
  117. 鶴海良一郎

    ○鶴海政府委員 共済組合法におきましては委員の任命の条件につきまして、さようなこまかい規定はございません。先生の先ほどお読み上げになりました職員の福祉について広い知識を有するというふうなことが一応の要件になっておりますが、その中でさらに適当な人を選んでいきたいというふうに考えておる次第です。
  118. 工藤良平

    ○工藤委員 先ほど四名の中に組合関係する方が一名おられるという発言があったようでございますが、それは事実ですか。
  119. 鶴海良一郎

    ○鶴海政府委員 組合といいますか、職員団体から推薦を受けて出てこられた人が一名ある、かように申しております。
  120. 工藤良平

    ○工藤委員 その職員団体の方は全建労の方ですか。
  121. 鶴海良一郎

    ○鶴海政府委員 全建労ではございません。別にできております職員団体でございます。
  122. 工藤良平

    ○工藤委員 そういうことになりますと、組合が幾つもあるようでありますからたいへん複雑になるわけであります。それが、より問題を混乱をさせ、労使関係をますます混乱さしていくという結果になるわけであります。  従来やはり全建労の推薦をいれて運営をはかっておった。いろいろ問題はあったでありましょうけれども、やはり、より正しい運営をはかっていくためにも、私はこれらの問題につきましては前向きの姿勢で当局が取り組んでいく必要があろうと思います。その点につきましては、いまおっしゃいました、一つの団体を入れる、これはやはり私は非常に問題があろうと思います。この点に対する考え方をお聞きしたいと思います。
  123. 鶴海良一郎

    ○鶴海政府委員 結果的に一つの団体の推薦者になったわけでございますけれども、その前に、全建労の中からもとりたいということで、最後まで努力いたしたわけでございます。最後の段階でつい間に合いませんで、かような結果になったわけでありますけれども、御承知のように建設省職員団体の中では全建労が一番大きいわけでございます。そういうわけで全建労からもぜひ適当な人を推薦いただいて任命したいという気持ちは変わっておりません。
  124. 工藤良平

    ○工藤委員 いま時間が間に合わずにどうのこうのということをおっしゃっていましたけれども、私はそういう言いわけをする必要はないと思うのです。はっきりおたくの課長がこれこれの理由で入れられないということを組合にも回答しておるようです。私は、このような回答では、正常な労使慣行というものはつくり上げることができないと思う。したがって、そういう基本的な考え方というものを変えていく必要があるのではないか。  労務管理研究会資料というのを読んでみましても、建設省の当局がどのような考え方で労使関係をつくろうとしておるかということも大かたうかがえるわけであります。  そのことから判断をいたしまして私は重要な問題が今後残されてくるような気がしてならないわけです。この点については、重大な建設行政を扱う官庁でありますので、私は特にこの共済組合の運営に対しては十分なる配慮と、従来ゆがめられていた労使関係というものを正しく直していくという努力を、建設省としてもしていく必要があるのではないか、こういうように考えるわけでありますが、この点につきましては、大臣の今後に対する取り組みの考え方というものをぜひひとつ聞かしていただきたいと思います。
  125. 西村英一

    西村国務大臣 いま共済組合の問題についてやりとりを聞いておりましたが、私といたしましては、どういうことでいまのやりとりになったかわかりませんが、公平に、公正にやりたい、かように考えておる次第でございますから、どうぞ御安心なさっていただきたいと思います。
  126. 工藤良平

    ○工藤委員 ただいまの大臣の御回答、たいへんありがたいわけなんですが、いままで大臣、これらの問題についてお話を聞いたことございますか。
  127. 西村英一

    西村国務大臣 まだつまびらかに聞いたことはありません。
  128. 工藤良平

    ○工藤委員 私は、特に労働組合は自主的に労働条件の維持改善のために組織をつくっているわけであります、したがって大臣が、自分の傘下にある労働組合がその労働条件を改善するために交渉を申し入れてきた場合には、やはり誠意をもって話し合う、こういうことが非常に大切だと考えるわけであります。そういった意味からも、この共済組合の運営の問題につきましては、ぜひ前向きの姿勢で、やはり職員団体の正しい代表というものをぜひ参加させて運営をはかるという一とが大切ではないだろうか、こういうように考えますので、ぜひこの点については大臣並びに共済組合の本部長であります官房長のほうから考え方を明らかにしていただきまして、時間もないようでありますから、私は質問を打ち切りたいと思いますけれども、ぜひ御回答をお願いしたいと思います。
  129. 西村英一

    西村国務大臣 いま工藤さんがおっしゃいますような目的のために相互に話し合うということなら、私も十分胸襟を開いてお互いに話し合って、労働者の福祉のためにまた建設行政がうまくいくようなことのために尽くしたい、かように考えます。      ————◇—————
  130. 森下國雄

    森下委員長 理事会の協議によりまして、閉会中審査申し出の件についておはかりいたします。  本委員会といたしましては、閉会中もなお審査  を行なうため、  都市計画法案  並びに  国土計画に関する件  地方計画に関する件  都市計画に関する件  河川に関する件  道路に関する件  住宅に関する件  建築に関する件及び  建設行政基本施策に関する件について、議長に対し閉会中審査の申し出をいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  131. 森下國雄

    森下委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、閉会中の委員派遣承認申請の件についておはかりいたします。  閉会中審査案件が付託になり、現地調査の必要が生じた際には、委員長において適宜委員派遣の承認を申請いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  132. 森下國雄

    森下委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。  なお、派遣地、派遣期間、派遣委員の選任等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  133. 森下國雄

    森下委員長 異議なしと認め、さよう決しました。      ————◇—————
  134. 森下國雄

    森下委員長 再び建設行政基本施策に関する件について調査を進めます。  質疑の通告がありますので、これを許します。大平正芳君。
  135. 大平正芳

    大平委員 閉会間近になりまして、法案の審議がふくそうしておるときに、質疑の時間をお与えいただきまして、委員長並びに委員各位に厚くお礼を申し上げます。  四国と本土の連絡橋問題というのは、久しく私ども並びに私どもの先輩の発願であったのでございますが、幸いに昭和三十年に鉄道建設公団が調査に着手していただき、三十四年には建設省も乗り出していただき、建設省と国鉄が共同いたしましてこの架橋問題の技術的検討、調査を土木学会に共同委託されたのが昭和三十六年の秋でございました。それで三十七年から学会におきましては大ぜいの研究員を動員し、たくさんの経費を使いまして、ようやくことしの五月十九日に最終答申なるものがもたらされたのでございます。これまでの関係者の御労苦に対しまして、これまた厚く敬意を表します。  この段階、つまり土木学会の最終答申が打ち出されたということは、長い懸案に一大エポックを画したものと思うのでございまして、この段階で、この土木学会の答申をめぐる問題点、それから今後政府がどのような手順でこの問題に対処していかれるか、この二点につきまして、きょうはあらまし御質問を申し上げたいと思うのでございます。  もっとも政府におかれましては、まだそういう段階でございますので、ファイナルなお答えがお願いできるとは思っておりませんが、また私ども同僚議員におきましても、これから国会の場でいろいろ御質疑を申し上げる機会があろうと思いますが、私が気がつきました問題点につきまして、重要な点だけをきょうはひとつ建設大臣から御意見を伺っておきたいと思います。  第一に、この問題に取り組まれる基本的な態度と申しますか、そういう点について伺いたいのでございます。と申しますのは、この問題が取り上げられました昭和三十年という年は、ちょうど日本の戦後の復興が一段落いたしまして、当時の経済白書でも、戦後は済んだ、復興圧力は減殺されて、これから日本の経済の成長力は鈍化するであろうなどということがうたわれた時代でありました。ところがその後の経過をたどりますと、たいへん予想に反して、経済は躍進を遂げまして、当時八兆七千億といわれておった国民総生産は、四十年には三十一兆三千億といいますか、四倍近くの躍進を見たわけでございます。また瀬戸内海をはさみましての本土との交通量を見てみましても、二倍三分あるいは二倍四分という増加を見ておるわけでございますから、当時の感覚と今日の感覚ではよほど違った感覚でこの問題に取り組まなければならぬのじゃないか。さらに今後十年の展望をしてみますと、たとえば昭和五十年になりますと、国民総生産は百兆億になるであろうということがいわれておりまするし、また瀬戸内の交通量というものは貨客とも二倍ないし二倍半にはどう見てもふえるであろうということが予想されるわけでございまするので、したがいましてこの問題はひとつ一番いいルートをさがし当てまして、ベストな条件を持ったのをひとつつくるというような、技術的な条件さえ許せばつくってみようじゃないかというのが三十年ごろの感覚であったと思いまするが、今日ではあそこに架橋を考えないと、瀬戸内の交通が麻痺状態になるとか、日本の経済全体の循環に一つの積滞現象を起こすのではないか、したがいましてこれは抜き差しならぬ切実な問題になってきておるのじゃないかと私は思うのでございますが、政府はこの問題について、そういう非常に切迫した感覚を持って対処されるべきであると思いますが、建設大臣はどうお考えになっておりますか、まずその点を伺いたいと思います。
  136. 西村英一

    西村国務大臣 本州−四国の連絡橋のことにつきましての御質問でございますが、御質問の趣旨は、だいぶ前にこの問題が呼び声として上がったときと今日とはだいぶ事情が違うようになったのではないか、私もそれは同感でございます。新聞でも、だいぶ前はやはり夢のかけ橋、こう言っておったのですから、やはり夢みたいなものじゃないかと思っておりましたが、だんだんだんだんやはり経済の成長と技術の進歩その他世の中の変貌で、これはどうしてもやらなければならぬのじゃないかという世論の声でございます。したがいまして政府といたしましても、これに取り組むのには、やはり従来のようなばく然とした気持ちで取り組むわけにいきません。現実の問題として十分かまえを、腰を据えて取り組みたい、かように思っておるのが現在の心境でございます。
  137. 大平正芳

    大平委員 基本的な心がまえにつきまして建設大臣からそういうお話がございまして、たいへん意を強うするわけでございますか、先ほど申しましたように、当初はどこかベストな条件を持ったものを一つ掘り当てたいというような考え方でございましたけれども、その後の経済の成熟の度合いを見ておりますと、四国と本土の連絡橋というのは何も単数に限る必要はないのじゃないか。これは事情が許せば複数の連絡橋を考えて、本土と四国の経済の一体化をはからなければいけないのじゃないかという空気は、年月の経過とともに強くなってきておるのでございます。したがってただ一つつくるということになりますと、ちょうどいま問題になっている小選挙区みたいなもので、当選晴が一人ということになりますと、たいへん激しい選挙運動が展開されるわけでございますけれども、そうではなくて、日本の実力をもっていたしましても、また将来の展望を考えてみても、これは複数あっていいんだということがだんだん常識的になってきていると思うのでございます。だといたしますならば、現在第二の心がまえとして私が伺いたいのは、そこはゆとりを持ちまして複数のルートにおいて調査が進められてきたわけでございますし、ここで示された問題点の究明がいま行なわれているわけでございますから、その中で問題の解明が終わったものからまず着工するということは、きわめて自然な成り行きであるように思うのでございます。何も排他的に考える必要は一つもないんじゃないかと思うのでございますが、建設大臣はその点はどういう感覚でおられますか、伺いたいと思います。
  138. 西村英一

    西村国務大臣 お尋ねは一カ所ときめなくてもいいじゃないかということの端的なお尋ねですが、実は土木学会の報告につきましても、やはり数カ所を調べたのでございます。その報告を見ますと、いずれも技術的には可能である。したがしまして、そういうことから、これは不可能であるということになればこれまた別ですが、可能であるということを言っておりますから、そういう意味からいけば必ずしも単数であることは必要ない、事情によれば複数でもいいということになります。しかしそれは今度は実際問題として、これを二本も三本も四本も全部やるかというようなことになりますと、これまたいろいろなことにおいてそうはいかないと思いますので、その辺につきましては、今後これをどう取り扱うかということになろうと思うのであります。また、複数に取り上げられる場合が起きましても、同時に取り上げるのか、やはり時期を置いて取り上げるのか、そういうような問題もありますから、これはまた経費の問題もありますから、いろいろ考えなければならぬと思います。しかし、ただ端的に複数、一本でなければならぬことはないんじゃないかということについては、私も幅を持って考えてもいい、かように考えておるものでございます。
  139. 大平正芳

    大平委員 それでは基本的な心がまえの問題につきましては、その程度に一応置いておきまして、土木学会の答申について若干伺いたいと思います。  土木学会の答申というのは五月十九日に最終答申が行なわれたわけでございますが、一体当初建設省は土木学会に何を、どういう形で答申を期待されておったのか、言いかえれば、建設省とかあるいは鉄建公団が一つの設計案を提示して、それの技術的な吟味を土木学会に求めたものか、それとも土木学会が相当自主的にこの架橋問題の技術的側面について究明をして、ああいう答申が出たものか、そこは一体どういうことであったのか、伺っておきたいと思います。
  140. 西村英一

    西村国務大臣 これは道路局長がいいと思いますから、道路局長のほうから……。
  141. 蓑輪健二郎

    ○蓑輪政府委員 昭和三十六年の秋に建設省と当時の日本国有鉄道が共同して、土木学会に本州・四国の連絡橋の技術的検討を委託した形になっております。そのときには、おのおのが委託契約書をかわしておりますが、さらにどういう仕事をやるかは、土木学会の中に本州・四国連絡橋の技術調査委員会をつくりまして、委員会の結成のときに、建設省なり鉄道ともいろいろ相談いたしましてきめた委員会の内規というようなものもございます。それによりますと、委員会は、各五ルートがございますが、海底の地質の調査及び橋梁基礎構造及びその工法はどうあるべきか、長大橋梁の構造、工法及び耐風性、風に対してどういうような設計をすべきか、また耐震性、地震に対してどういう設計をすべきか、こういうもの、及び海洋の気象と船舶の航行に対してどういうような考慮が必要かということ、その他この目的の達成のためにいろいろな必要な事項ということで内規をつくっております。これによりまして関係各方面の学識経験者を結集いたしましていままで審議したわけでございます。  実際に委員会が主として検討した内容を大きなものからいいますと、連絡橋の計画にあたってはどのような設計を行なうべきか、その設計の指針、技術的な可能性、各調査ルートにそれぞれの橋梁の計画がどうあるべきか、どれが一番妥当な計画であるかというものの検討をして、この五月十九日に至りまして最終報告があったわけでございます。
  142. 大平正芳

    大平委員 そういたしますと、土木学会のほうで自主的にそういう調査アイテムもきめられて、それでああいう答申が出た、委託者側からあらかじめこういう案について技術的な検討を頼んだ、そういうものではなかったわけですね。
  143. 蓑輪健二郎

    ○蓑輪政府委員 委託者側は建設省、鉄道おのおのがいろいろ現地で調査をいたしまして、その資料をこういう委員会に持ち込みまして、その考え方、判定、そういうものをこの委員会でやっていただいたわけであります。そのほかに、先ほど言いましたような橋梁の耐風性、耐震性の設計の指針がどうあるべきか、これが委員会の当初の一番大きな仕事であったと思います。建設省、鉄道建設公団がその指針によりまして、いろいろな工法について検討をいたしました。その工法を委員会にかけまして、何が一番妥当か、どういう点に問題があるかを検討していただいて、その結論が出た次第でございます。
  144. 大平正芳

    大平委員 これが出るまでのいきさつにつきましてはまだいろいろ究明せねばいかぬ問題もあるようでございますけれども、問題は、ここにせっかく答申が出た、そこでルート別にいろいろ問題点が提示されておるわけです。これからこれの究明にかかるというわけですが、したがって私が伺いたいのは、つまりこの連絡橋の技術的な側面は、今度の答申、そこで提示された問題を究明、解明していけば、そこで完全自足した一つの技術的な検討は終わるわけでありまして、したがってせっかく出てきたこの答申なるものは大事にしまして、提示された問題を今後ずっと鋭意究明していくということで、これがあくまで基礎になるのだ、委託者側のほうにおいて、これはこれだがおれのほうにもまだ別な考えがあるというそういうものではないと了解してようございますか。
  145. 蓑輪健二郎

    ○蓑輪政府委員 そういうことでございます。
  146. 大平正芳

    大平委員 それではその次に、その土木学会の答申について指摘されたルート別の問題点の究明は、いまどういう手順でどの程度まで政府で行なわれておりますか。そしていつごろまでにそれを終えたいという目安でやっておられるか、それをお伺いしたいと思います。
  147. 西村英一

    西村国務大臣 とにかく土木学会から報告を受けました。それに基づいて私たちとしては十分省内で検討いたします。実は非常に国会も忙しいので、役人の方々もなかなか落ちついて検討ができないのが現状でございますが、少なくともその各ルートにつきまして、まずやはり建設費を出さなければなりません。それから工期も出さなければなりません。おおよそあの報告をもってすればそれくらいは出せると思うのです。それはとことんまで出せなくても、おおよその概算は出せると思いますから、その作業を進めなければならぬのでございます。したがいまして、そろそろその作業にかかっておるところでございますが、いつまでにできるか、こういうことでございますが、おおむねやはり建設費と工期は十一月か十二月ごろまでには何とかひとつはじき出したい、かように思っておる次第でございます。
  148. 大平正芳

    大平委員 早くお願いしたいわけでございますけれども、しかし問題点の中には、ルートによりましてはあるいは大規模の実験をしなければならぬとか、あるいは施工機械をさらに開発、研究する必要があるとかというような問題点の御指摘がございます。そういった問題はいつごろまでにそういう実験をやってしまうのか、開発を終えるのか、そしてそれがいまあなた方が与えられておる予算の中で消化が可能なのかどうか、そしてそれをいつごろまでに終えるつもりなのか、そういった点をあわせて伺いたいと思います。
  149. 蓑輪健二郎

    ○蓑輪政府委員 土木学会の報告にございますA、B、C、D、E各ルートについていろいろ問題点を指摘しております。その中でやはり施工上につきましては、非常に水深の深いところの基礎工、こういうものは大規模な実験をしなさいというようなことが書いてございます。これにつきましては、ルートのきまらない現在では、各ルート共通の問題の解明に当たっていきたいというふうに考えております。ルートがきまりますれば、それに伴いまして、やはり施工可能なように、自信を持って基礎工事ができるような上部工事ができるような実験をやりまして、いわゆる実施調査という形になると思います。そういうものをやりまして、それで最終的な実施の設計、施工の方法を確立していきたいというふうに考えております。   〔発言する者あり〕
  150. 大平正芳

    大平委員 そういたしますと、大規模の実験をやらなければならぬとかあるいは施工機械の開発の必要があるとかいうのは特定のルートに関連した問題でございますが、いまあなたが言われることをこう理解してようございますか。つまり、各ルートに共通な問題点の究明を急ぐ、それで一応ルートの決定をやって、それでそれが決定したあとで各ルートに特有の問題についてはその次の検討になるのだ、そういう手順になるということですね。
  151. 蓑輪健二郎

    ○蓑輪政府委員 まだルートのきまっていない現状では、やはり共通的なもの、これが相当問題点がございます。一例をあげますと、耐震設計をもう少し合理化することによって工費をかなり低減できるというような面もございます。また耐風性の問題もケーブルのエレクションと関係がございますので、こういうものも進めて、その中でいまのルートがきまりますれば、その地形に応じた一つの施工実験をしていくというふうに考えております。
  152. 大平正芳

    大平委員 だから各ルートに共通したものをまず先にやるということでございますね。そういたしますと、大臣はいま十一月ないし十二月の初めまでには工費、工期について概算をひとつ出してみたい、そういう心がまえを言われたわけでございますけれども、あそこに指摘された問題点の究明が終わらぬうちにそういう精度をもって出せるのですか、その点ちょっと疑問に思うのだけれども、概算と言われたのだから当たらずといえども遠からずという数字は出るでありましょうが、新幹線の場合のようにこれだけの予算でやるのだと最初スタートして、あとで倍近くもかかったというようなことになるとたいへんこれはみっともない話でございますし、財政計画から見ましてもゆゆしい問題になりますので、できるだけ精度の高い工費、工期というものがほしいわけでございますが、それは十分自信があるのでございましょうか。
  153. 西村英一

    西村国務大臣 これはやはり経費、予算を計算する、あるいは場合によっては実験も実施する。いままでに例のない技術上のことをやるのでございますから、それは一つや二つの実験ではいかぬわけです。いろいろなことをやらなければいかぬわけです。それをやらなければこれができぬ、これをやらなければそれができぬというものではございませんので、まず工期、建設費をはじきますけれども、その間についてこのルートをやるにはこれだけのことは、あらためて補助的なことはしておかなければいかぬよというような問題も起こります。それらは全部ときに及んで並行的にやっていくよりしようがないと思います。どういう実験をいまどうやるかということもまだきまっておらないのでございますけれども、少なくともこのルートにはこういうようなことがいいよということの指摘はございますから、並行的にいろいろやっていきたい、かように思っておる次第でございます。
  154. 井上普方

    井上(普)委員 議事進行について。私どもは先ほど来宅建法の法律案審議の際に二十分という時間制限を受けまして、そのうちで、あと一問、二間というようなときに委員長は途中で質疑を打ち切って、そして法案審議に十分なる時間をかけてないのです。しかるにきょうの理事会の申し合わせということになりますと、一人二十分という制限があったにもかかわらず——この問題は非常に重要な問題であります。いま大平さんが出されております問題はだいぶ大きな問題でありますけれども、いままでの質問者に対するあなたの取り扱いとこのたびの取り扱いとは非常に不公平がある。重要な法案審議の途中で打ち切っておるのにこういうことをやるというのは、どうも委員長の取り扱いはおかしいと思います。
  155. 森下國雄

    森下委員長 よくわかりました。
  156. 大平正芳

    大平委員 私冒頭に申しましたように、皆さんの御理解を得て、非常にふくそうしておるところを恐縮でございますが時間を与えていただいたわけでございますが、いませっかくのお話がございましたので、私があまり時間をとることはよくないと思いますから、いずれこの問題は技術的な側面ばかりではなく、これから経済効果の測定等にからんで私どもはたくさん質疑しなければいかぬし、また申し上げたいことがたくさんございます。しかしきょうは不幸にいたしまして、企画庁長官も運輸大臣も要求しておりましたが、参議院の都合で来られませんので、私はまた委員各位の同調を得まして、また機会を得て残された問題の究明をさしていただきたいと思います。それをお願いしておきまして、本日はこれで私の質疑は終わります。
  157. 森下國雄

    森下委員長 井上普方君。
  158. 井上普方

    井上(普)委員 私はただいまの四国・本土の連絡橋につきまして、関連いたしましてお伺いいたしたいのでございますが、西村大臣にお伺いいたします。  この四国・本土の連絡橋の問題につきましては、先ほど大先輩の大平さんがいろいろと申されましたように、昭和三十年から調査が始まっておるわけでございます。その間に大平さんは豊富な経済理論を駆使されまして、いろいろと御質問を、この本土・四国の連絡橋の必要性ということにつきましてはお述べになったところでございます。しかし考えてみますると、いままで自民党内閣といいますものは、大平大先輩が官房長官をなさっておった池田内閣当時におきまして、池田勇人総理大臣昭和三十七年の五月鳴門に参りまして、そして一万人の県民を徳島県で集めまして、自民党は、池田内閣は必ず明石−鳴門を優先するのだ、こういうことを公言されたのであります。公約されたのであります。その後も、三十七年の十一月にも、池田内閣のその当時の閣僚でございましたが、大平さんも河野建設大臣も徳島におきまして、これは私も出席いたしておったのでございますが、一万人に及ぶ人たちを前にいたしまして、自民党内閣は必ず明石−鳴門橋を優先させるのだ、こう言って胸をたたいて県民に公約いたしたのであります。こういうような事例がございますので、あるいは佐藤さんも四十年の六月三日に神戸におきまして明石−鳴門を最優先させるということを実は御発表になっておられるわけです。せんだって佐藤総理のお話によりますと、政党政治によって大臣が一人、二人かわっても方針というものは変わるものでない、このようなお話がございました。この前西村建設大臣も、重要な問題につきましては、大臣がかわろうとその方針は守っていくんだ、こういうお話でございましたので、こういうような御発言を歴代総理大臣及び建設大臣がやられておるこの実態について、自民党の政治責任といたしましてどのようにお考えになるか、ひとつお伺いいたしたいと思います。
  159. 西村英一

    西村国務大臣 井上さん、政治責任ですけれども、これはやはりお互いに政治家でございますから、いわんや総理大臣になればやはり夢を持っていろいろなことを言う。その当時はいずれも、池田さんの場合は相当前でしたし、まだ技術的な問題も何も解明していなくて、しかしそれにはこういうところはこうしたいのだというようなことはお互いに言う場合があります。それだからそれをいまここでどうこういいましても、お互いに夢を持って言うことは、それはとがめることじゃなしに、りっぱなことだと思います。それだからいまこうせよといわれても、それはちょっと性急な話じゃないかと思います。
  160. 井上普方

    井上(普)委員 政治家が大衆の面前におきまして、しかも一国の総理あるいはまた建設大臣というような方々が、大衆に、秘密の話じゃないのでそれに対して、佐藤総理もこれも言われておる。それを、政治家としては夢を持ちたい、夢を話したにすぎないというようなお話で、これは天下の国民は承知できるものじゃありません。あくまでもおっしゃった以上、しかも最優先させるということを、現在の総理大臣も前の総理大臣建設大臣もこういうことを公言せられておるのです。公約せられておるのです。でありますから当然そういうことを——政治家というものはうそを言うものだというような風潮がいま出てきておる。こういうようなことを軽々に申されること自体が問題がございましょうが、あくまでもその責任は政党が持つべきだというような佐藤総理のお考え方とするならば、これは当然そういうような考え方で一応十分な考え方を持ってひとつ臨んでいただかなければ困ると思うのでございます。政党政治というものはあくまでも、政治が国民から信頼を受けないというようなことになるのは、結局政治家がうそを言うのだということが国民一般に言われております。これを払拭するためにも、大臣あるいは総理、責任のある方の発言というものは慎んでいただかなければならないし、またおっしゃったことについては責任を持っていただかなければならぬ。この点についての西村大臣の御見解をお伺いいたしたい。
  161. 西村英一

    西村国務大臣 うそを言わないのです。うそを言わないから調べよるわけですよ。調べよるというのはうそを言わない証拠なんです。私はそう思います。決してうそを言ったわけじゃございません。調査研究をいたしておるわけでございます。
  162. 井上普方

    井上(普)委員 大臣はそうではございましょう。しかし自民党の総裁であり総理である人がそれが言われておるわけです。あなたはそれはいままで白紙だとかいうことばかりおっしゃっておられました。しかし政党としての、佐藤内閣としての、またその前の池田内閣としての政治責任というものはどういうようにお考えになっておるか、それをお伺いしたい。
  163. 西村英一

    西村国務大臣 そういたしましても、あらゆるルートにつきまして調査研究をやっておる最中でございまするから、それは総理がうそを言ったとか、うそを言わないという問題ではないのでございます。われわれはこれを夢でないように、真剣に取り組んで何とかしたいということでやっておるのでございますから、どうぞ誤解のないように御承知を願いたいと思います。
  164. 井上普方

    井上(普)委員 私は、西村大臣建設大臣であると同時に国務大臣である、しかもそれは佐藤内閣の一員であるということを十分お考え願いまして、この問題に対処せられんことを希望して、質問を終わります。   〔発言する者あり〕
  165. 森下國雄

    森下委員長 御注意申し上げます。ただいま速記者のほうから、皆さんの雑音が入りますので速記がとれませんそうでございますから、御注意を願います。  田村君。
  166. 田村良平

    田村(良)委員 時間も切迫いたしておりますから、簡単にただいまの橋に関連いたしました本土・四国連絡橋について、幾らか大臣の御所見を承っておきたいと思います。  いま池田元総理のお話も出ましたが、実は私は、そのなくなられました池田総理ないし現在の佐藤総理、いずれもこれ、言うならば吉田学校の卒業生であります。その吉田学校の校長の吉田元総理に十七年仕えまして、高知県政からこのたび国会に出てまいりました田村良平でございますが、したがいましてただいまの本・四連絡につきましては相当重大な責任を感じておる代議士の一人でございますから、この機会に私は当委員会を通じまして明確な点を一、二お伺いしておきたいと思います。  西日本の総合開発、おくれております地域に国家資本が均衡に投下されるということは、私は現在の政治の一番大切な問題ではないかと思います。したがいましてこのような大都市に偏重しております政治ないしは経済圏の十二分な拡大をはかるためには、本土と四国を結ぶにはそういう問題点を含めて理想的なあるいは重大な国家資本の投下が必要である、このように考えます。ただいまあえて特定の議員さんと議論をする意思はございませんが、立たれました方が讃岐の大先輩でありますので、かっこうからいいますと瀬戸大橋というようなことになりかねないおそれもありますので、私はこの機会に明確に、明石−鳴門で鉄道併設架橋を政府として一体今後どういうふうに進めるつもりか。まず、基本線をお伺いいたします。
  167. 西村英一

    西村国務大臣 いま非常な具体的な質問でございましたが、まだ調査の段階でございますので、どのルートを鉄道を架橋と一緒にどうやるというようなことは、全然きまっておらないのでございます。したがいまして、これからひとつやるわけでございます。ただし、いま田村さんがおっしゃいましたように、瀬戸内海をめぐる重要な問題でございますので、私は慎重に取り組むつもりでございます。
  168. 田村良平

    田村(良)委員 ただいまの大臣の御答弁はわかりますが、先ほどの大平議員の御質問の中で、複数はどうかというまことにけっこうな御意見が出ております。これに対して、大臣の答弁を聞いておりますと、もちろん複数でもいいと思いますが、と言っておきながら、二本も三本も四本もかけるわけにもまいりません。二本も三本もと言われた。それは非常にデリケートなところでありますが、政府のこれからの基本方針について優先ルートその他いろいろ問題があると思いますが、明石−鳴門の鉄道併設架橋、西日本総合開発の基本的な問題として、どういう見解を大臣はお持ちか、これはひとつ具体的に承っておきたいと思います。
  169. 西村英一

    西村国務大臣 それは、伏平さんが一本でなくてもいいじゃないか、もう心し幅広く考えてもいいじゃないかと言いましたから、私もそう限定されるものではないということを言ったまででございまして、やはり日本経済の発展のためには、幅広く考えていかなければならぬのは、あらゆる場合にそうでございます。
  170. 田村良平

    田村(良)委員 日本土木学会の答申を得まして、それから少なくとも三月ないし四月、それぞれのルートにつきまして、厳重な調査あるいは精密な調査が行なわれると思います。御承知のとおり九州ないし本州あるいは北海道ないし本州、四国ないし本州、私はこれからのわが国の建設行政、なかんずく国家の資本が均衡のとれた地域開発に責任を持って投下されることは、非常に重大な問題でございますので、明石−鳴門の鉄道併設架橋について、念願でありますこの問題は、きわめて重大な御関心の上、御認識を持たれて、この問題の調査ないし研究を進められたい、こういうことを申し上げて、きょうのところはこれで質問を終わります。
  171. 森下國雄

    森下委員長 本会議が開会されますので、本日はこの程度にとどめます。  次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後一時五十四分散会