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1967-07-12 第55回国会 衆議院 建設委員会 第22号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年七月十二日(水曜日)     午前十時四十四分開議  出席委員    委員長 森下 國雄君    理事 木村 武雄君 理事 正示啓次郎君    理事 砂原  格君 理事 丹羽喬四郎君    理事 廣瀬 正雄君 理事 石川 次夫君    理事 岡本 隆一君       伊藤宗一郎君    池田 清志君       吉川 久衛君    田村 良平君       高橋 英吉君    谷垣 專一君     早稻田柳右エ門君    勝澤 芳雄君       工藤 良平君    佐野 憲治君       塚本 三郎君    吉田 之久君       小川新一郎君    北側 義一君  出席国務大臣         建 設 大 臣 西村 英一君  出席政府委員         近畿圏整備本部         次長      上田  稔君         中部圏開発整備         本部次長    国宗 正義君         建設政務次官  澁谷 直藏君         建設大臣官房長 鶴海良一郎君         建設省都市局長 竹内 藤男君         建設省河川局長 古賀雷四郎君         建設省道路局長 蓑輪健二郎君  委員外出席者         法務省民事局第         三課長     住吉 君彦君         林野庁指導部長 手束 羔一君         専  門  員 熊本 政晴君     ――――――――――――― 七月六日  委員勝澤芳雄辞任につき、その補欠として三  宅正一君が議長指名委員に選任された。 同日  委員三宅正一辞任につき、その補欠として勝  澤芳雄君が議長指名委員に選任された。 同月十二日  委員内海清辞任につき、その補欠として塚本  三郎君が議長指名委員に選任された。 同日  委員塚本三郎辞任につき、その補欠として吉  田之久君が議長指名委員に選任された。 同日  委員吉田之久君及び北側義一辞任につき、そ  の補欠として内海清君及び正木良明君が議長の  指名委員に選任された。     ――――――――――――― 七月六日  戦傷病者に対する公営住宅割当に関する請願(  關谷勝利君紹介)(第二七〇五号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 七月五日  国道久留米別府線大分久留米線指定変更等  に関する陳情書  (第二三一号)  建築行政に関する陳情書  (第二三二号)  同和対策における住宅建設推進に関する陳情書  (第二三三号)  名神高速道路高槻インターチェンジ設置に関す  る陳情書  (第二三四号)  記者会館建設工事工法改良等に関する陳情書  (  第二三五号)  日光東照宮境内地景観保護に関する陳情書外  二件  (第二五五号)  一般国道三号線バイパスの建設促進等に関する  陳情書  (第二八五号)  日光東照宮境内地の切取り及び老杉群伐採中止  に関する陳情書外二件  (第二八六号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  近畿圏保全区域整備に関する法律案内閣  提出第一一六号)  中部圏都市整備区域都市開発区域及び保全  区域整備等に関する法律案内閣提出第一一  七号)      ――――◇―――――
  2. 森下國雄

    森下委員長 これより会議を開きます。  去る七月七日和知ダム水門決壊事故に関する実情調査のため、本委員会より委員を派遣いたしました。  派遣委員は、砂原格君、池田清志君、福岡義登君、稲富稜人君北側義一君を派遣し、その代表として砂原格君より報告書提出されております。  この際、派遣委員報告を省略し、その報告書会議録に参照掲載いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 森下國雄

    森下委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。      ————◇—————
  4. 森下國雄

    森下委員長 近畿圏保全区域整備に関する法律案中部圏都市整備区域都市開発区域及び保全区域整備等に関する法律案、右両案を一括議題とし、審査を進めます。  質疑の通告がありますので、これを許します。北側義一君。
  5. 北側義一

    北側委員 ただいま上程されております近畿圏保全区域整備に関する法律案につきまして、若干の質問をいたしたいと思います。  私は、このたび上程されております保全区域整備、これに関する問題につきまして、このたびの七月八日、九日に降りましたところの四十二年七月豪雨、これにこの法案が非常に大事な法案であるということをあらためて認識した次第です。と申しますのは、ちょうど私も非常に被害を受けました近辺に住んでおりますので、さっそく八日の晩から九日にかけて神戸市方面を訪れたわけです。状況を見ますと、これは神戸と六甲山及び神戸市街海岸、非常に急傾斜な町が神戸市の実態なのであります。そこで見ますと、あの被害の最大の原因というのはやはり緑の木が少なかった。特に二十一名死にました市ケ原、あそこにも参りましたが、あれなどは全く上につくられましたゴルフ場、またそのほかもう一カ所で六名生き埋めになっておりましたが、それを見てもその生き埋めになった場所の真上には宅地造成がなされて、そうしてそこに山くずれがあるのは当然であるような実態になっております。これは起こるべくして起こった、そのような災害である、私はこのように現場を見て感じたわけです。またそのほか中小河川のはんらん、このような問題があのような大きな被害神戸市において起こした、このように私は思うわけです。これについては建設省のほうも対策を練っておられ、また対策の手を打っていかれると思いますが、その点についてまず初めにお聞きしたいと思います。
  6. 古賀雷四郎

    古賀政府委員 お答えいたします。  災害状況につきましては、お手元に資料として「昭和四十二年七月豪雨による被害状況」というのを差し上げてございますので、御参照いただきたいと思います。  特に、今回の梅雨前線温帯性低気圧が刺激したことによりまして、佐世保、呉、神戸等におきまして甚大な被害をこうむっております。特に被害の悲惨なところは、いま申し上げました三市におきまして非常に死傷者がたくさん出たということでございます。これらの原因をいろいろ振り返ってみますと、まず三市とも共通的に言えますことは、比較的傾斜の強いところに市街地が発展しているということでございます。したがいまして河川は、非常に急勾配の川でございます。佐世保におきましても、呉は河川は見当たりませんが、神戸等におきましても、やはり河川が急勾配、そういうことが直接、最近の開発に伴いまして、いろいろ傾斜地帯防護等につきまして若干問題があろうと思いますが、集中豪雨の非常なひどさ、たとえば連続雨量としましてはたいしたことはありませんが、三時間の集中豪雨がその連続雨量の約八〇%も占めて降ったということも一つ原因だと思いますが、そういうことによりまして非常な被害をこうむったわけでございます。  そこでわれわれとしましては、早急に建設省の中にも災害対策本部をつくりまして、これらの対策を練っているわけですが、ただいままで実施いたしましたことは、現地に調査官を派遣して災害実態を把握することが第一でございます。それから必要なものにつきましては災害査定を、災害工法指導等を行なわせまして、実態的に現地で処理するようにいたしておるわけでございます。  かように国土開発が進みますと、相当今度は治水上の問題あるいは国土保全上の問題が問題になってまいりますので、これらの対策につきましては、今回の豪雨を契機としまして具体的な計画の検討を行ないたいというふうに考えております。
  7. 北側義一

    北側委員 他の区域は私は新聞で見る程度でわからなかったのですが、特に神戸市のほうは二日間にわたって見てまいったわけです。いま局長答弁せられたとおり、非常に特殊な区域ということが、このたびの被害の大きいところはそのように言えるのじゃないか、そのように思う次第なんです。と申しますのは、やはり山間から平地をたくさん持った海岸線に流れていく河川と、神戸長崎、あのような場合の河川とは、これは非常に変わってくると思うのです。どうしても、あれだけの雨量が降りますと鉄砲水になって、そうしてがけくずれ、また山くずれを起こすのは当然だろうと思うのです。そういう面で他の区域と地形が違うと思うのです。  そこで、このたびの治水五カ年計画、この問題にしましても同じような考え方で、国のほうから河川建設費、こういうようなものを県へ補助している、これは一応そういう地形的なものも考えてやっていかなければならない、このように私はつくづく感じたわけなんです。たとえば神戸市の場合ですと、今度の大きな被害原因となった中小河川です。特に下流部においては改修工事が行なわれておる、上流部において改修工事が行なわれておらない、それが大きな被害を生んだ一つ原因となっております。そうしますと、神戸市の助役に会いまして話をしますと、これは県のほうで管理しておる、県のほうへ行きますと、建設省のほうが金をくれない、このような答えが出てきておるわけなんです。そういう問題で、やはり五カ年計画の件につきましては、予算の配分、そういうものはよく考えてひとつやっていただかなければならぬ、このように私は感じたわけなんです。その点どうでしょうか。
  8. 澁谷直藏

    澁谷政府委員 今回の集中豪雨によりまして、佐世保、呉、それから神戸を中心として甚大な被害が発生したわけでございまして、政府といたしましては、この被害発生を聞くと同時に、内閣総務長官本部長とする災害対策本部を設置いたしまして、私と総理府の副長官が副本部長ということで、政府関係機関を総動員いたしまして、目下懸命にこれが対策と取り組んでおるわけでございます。  きのう、班を三班に分けまして、佐世保長崎、それから広島、さらに神戸地区、こういうぐあいに三班を編成いたしまして、広島班は私が団長といたしまして、それから神戸地区には上村副長官団長、それから九州地区には農林政務次官団長ということで、きのう、日帰りでございましたが、行って、現地を見てまいったわけでございます。  それできょうの十二時から、総理府対策本部におきまして、きのう見てまいりました現地班報告をいたしまして、その報告に基づいて必要な各般の措置を迅速に打っていきたいということで、現在懸命に取り組んでおるわけでございます。  そういうことでございますので、いま少し時間をかしていただきまして、政府の総合的な対策がまとまりましたら、本委員会におきましても詳細に御報告を申し上げたいと考えております。
  9. 北側義一

    北側委員 その点につきまして、もう一問だけお聞きしたいのですが、こういう危険個所全国で何カ所くらいあるのかということです。また、問題は、三十六年に行なわれた宅地造成規制法ですが、やはりこれ以前に宅地造成の行なわれた部分が、私の調べたところによりますと、非常に危険度が多いわけです。こういう問題について、調査なさったその結果の答えが出るのではないか、そのように思うのですが、大体どのような考え方でやっていかれるかということです。このことはどうでしょうか。
  10. 澁谷直藏

    澁谷政府委員 第一点の、がけくずれ等の、急傾斜からの被害が最近多いわけです。昨年の四号台風でも、そういった地点に甚大な被害を発生いたしましたので、政府といたしましても、あるいはまた国会全般といたしましても、こういった面に対する対策を強化しなくてはならぬということで、建設省といたしましては、四十二年度の予算におきまして、従来になかった急傾斜地崩壊対策事業費というものが新規に発足を見たわけでございます。予算の額は二億円ということで、まああまり大きい額ではございませんが、従来なかった、こういった新しい項目が、対策として打ち立てられたということは、これはもう大いに特筆していいことではないか。そこで、建設省といたしましては、現在、全国に通達を出しまして、そういった危険な傾斜地がどのくらいあるか照会をいたしておりまして、ある程度まとまっております。もう少し時間をいただきますると、全国的な個所数がはっきりまとまるわけでございます。そういった報告に基づきまして、建設省といたしましては、今後何カ年計画でこれと取り組んでいくかという具体的な計画を立てまして、そして予算折衝その他に今後臨んでいきたいと考えておるわけでございます。  それから、宅造規制の問題でございますが、確かに三十六年の宅造規制以前におきましては、そういった規制がない状態でやられたわけでございますので、非常に危険な場所宅地造成が行なわれてそこにうちが建っておるという個所が、全国におきましては相当の個所数あるのではないかと考えております。これは、実際問題といたしましては、すでにそういう個所宅地が造成されて、その上にうちが建っておるわけでございますから、これをどうするかということはなかなかむずかしい問題ではございますけれども、しかしこれも現実に危険な場所に建っておるという状態があるのでございますから、これをこのまま放任しておくというわけにはまいらぬと思うのでございます。したがいまして、私どもといたしましては、そういった場所もひとつ全国的に点検をいたしまして、このままの状態で放任しておいてはあぶないという個所があれば、それに対して何らかの形で対策を講じていく必要があるのではないかと考えておる次第でございます。
  11. 北側義一

    北側委員 地すべり等防止法、このようなものもありますが、実際の問題としては、このたびの豪雨にいたしましても、これはむしろ天災より人災であるというようなことがいろいろ新聞にも書かれております。私も、見た目で、そのように感じるわけなんです。と申しますのは、もう一度あれと同じような雨が降れば、今度は被害はもっと大きくなると私は思うのです。そのような個所が、私の目で見ただけでも、すでに何十カ所とあったわけです、二日間回ってみると。これに対しては何年計画、そのようなことになりますと、結論としては災害のあったあと計画ができて、そうして補っていく。まるで災害あとから計画がそれを追っていくような形に現在までの姿ではなっておる。このようなことでありますので、どうかこの問題につきましては政務次官もこの会合にはひとつ強く発言をしていただいて、何といってもとうとい人命が神戸だけでも百名近い人がなくなっておるわけですから、これを機会にがっちりとした災害対策を練っていただきたい、このようにお願いしたいと思います。よろしくお願いします。  あわせて、この前に私、PL国有地問題で質問したわけですが、このあれが中途はんぱになっておりますので、この際機会もありませんので明らかにしておきたい、このように思いますので、ひとつよろしくお願いいたします。  と申しますのは、この前私の質問いたしましたことにつきまして、鶴海官房長は、大阪府の富田林新堂におけるPL教団里道、水路一万五千平米、約四千坪の不法占拠については六月二十四日に行政財産としての用途廃止手続を行なった、このようにお答えになられたわけです。国有地管理のずさんなことは前々から非常にやかましくいわれておるわけですが、第二点として私が質問いたしました法務省富田林出張所、ここに登記されているところの国有地、この問題につきましては官房長は三十六年にPL国有地交換した、このようにお答えになったわけであります。交換されたものならば、どのような交換をされたのかということについてお聞きしたいと思うのです。と申しますのは、私ここに登記謄本土地謄本をとってきたわけです。これは全部国有地になっております。見ていただいたらわかります。全部国有地でそのまま登記になっております。決してPL教団土地とはなっておらない。ところが、PL教団はすでに三十四年ごろから使っております。このことについてひとつ明らかにしていただきたいと思います。
  12. 鶴海良一郎

    鶴海政府委員 前回の御質問につきまして答弁申し上げたわけでございます。当時の状況は、その前日にお話がございましたので、電話大阪府に照会いたしまして、その電話の回答に従って答弁申し上げたわけでございますが、当委員会の御質問で問題を指摘されまして、私自身ふに落ちない点がございましたので、さっそく係官を大阪に派遣して、現地調査をしたわけでございます。その結果、この前の答弁が不正確であったという事実がわかりましたので、あらためて経緯を申し上げたいと思います。  この大阪府道の堺−富田林線のつけかえの問題でございますが、昭和三十四年十一月九日と三十五年三月二十八日の二回にわたりまして、PL教団から大阪府知事に対しまして、当該府道のつけかえにかかります道路法二十四条の請願工事申請があったわけでございます。この申請書におきましては、新しい道路敷地無償道路管理者に提供する、それから旧道路敷無償で払い下げてもらいたいということが書かれてあったわけでございます。この請願工事に対しまして、大阪府は昭和三十五年一月五日付及び同年七月二十九日付で請願工事承認をいたしております。その後工事にかかりまして、昭和三十七年の七月十四日に完成したという届け出がございまして、大阪府のほうで検査をいたしまして、引き継いでおります。府のほうでは無償で取りかえるという申し入れに対しまして、これを認めたわけでございますけれども、その際交換につきまして合意が一応成立しておるというふうに考えて、三十七年の七月十四日の完成を引き継いだことによって事実上交換が終わったというふうに考えて、日付につきましては不的確でございますが、前回答弁申し上げましたような内容の報告があったわけでございます。しかしながら今回、実地について調査いたしました結果、交換につきましての合意請願工事承認におきまして一応成り立っておるわけでありますけれども、この請願工事承認書に条件がついておりまして、道路敷地交換につきましては工事完成後別途申請することという文言が入っておるということがわかりました。調べました結果、その別途申請ということがなされておらないという事実がございましたので、したがって交換についてはまだ交換の事実が完了しておらないということが明らかになりました。この際、前回の御答弁につきまして訂正いたします。
  13. 北側義一

    北側委員 交換手続が完了されていない原因というのはどこにあるのですか。
  14. 鶴海良一郎

    鶴海政府委員 これにつきましても現地につきまして調査いたしました。交換すべき土地でございますけれども、PL教団が新しくつくりました土地と申しますか新堂敷地が十九筆ございます。面積にいたしまして九千七百四十六平米でございますが、この十九筆のうち十八筆につきまして抵当権が設定されておる。そういう関係手続がおくれたわけでありますけれども、この抵当権の消滅につきましては府のほうからPL教団にも話しまして、逐次消滅さしていっております。この前の段階では、十八筆のうち十一筆はすでに登記抹消されておりまして、なお七筆残っておるという状況でございます。そういう関係でおくれたわけでありますけれども、これにつきましては至急に抹消登記をするように話が進んでおりまして、抵当権者銀行あるいは商事会社等もこの抹消につきましては同意をいたしております。したがいまして近く登記抹消できるものと考えております。この手続が済み次第、交換の契約をいたしまして交換をさすということにいたしたいと思います。
  15. 北側義一

    北側委員 少しこれも私はおかしいと思うのです。と申しますのは、財政法の第九条には「国の財産は、法律に基く場合を除く外、これを交換しその他支払手段として使用し、又は適正な対価なくしてこれを譲渡し若しくは貸し付けてはならない。」と、このように、国の財産の処分及び管理について、あるわけです。法律に基づいて交換というのはなされる。ましてや、相手交換物件銀行担保に入っておるものを事実上交換してやるというのは、これは私は国有財産法違反だと思うのです。その点どうでしょうか。
  16. 鶴海良一郎

    鶴海政府委員 府道敷交換につきましては道路法規定によってやるわけでありまして、道路法規定国有財産法の特例になっておるというように解しております。  なお、抵当権の問題でございますけれども、交換に際してはPL教団側は当然抵当権抹消する義務があると思います。抵当権のない土地交換をする義務があるわけでございますから、その手続を進めさしておるわけでございます。
  17. 北側義一

    北側委員 たとえば自分の財産にしましても、相手のものが担保物件に入っておるものをこちらと交換して先に工事やらすばかはないと思うのです。担保物件を抜いてからやるというなら話はわかります。またこのいわゆる国有地は、私の調べたところでは非常に分布が広くなっております。あの府道の付近だけ国有地じゃないのです。このようになっております。これは私、法務局に行って、向こうの地図明治時代にできた地図ですから、これは国有地を買収される前からのいわゆる土地であります。その地図で明らかにこのようになっておるわけです。そのようなものを、担保物件があってしかもそのように交換する、これはまことにけしからぬと思うのです。担保でも抜いて交換するならまだ話はわかります。事実はそのようになっておっても手続はいまだできておらない。これは民法においても同じようなことがいわれておりますよ。役所というのは、判こ一つ足らなくても、これは判こがないじゃないかといって何べんも行かなければいけないところでしょう。そのような重要な手続を行なわずしてそれをやるというのはもう黙認の形でやった、このようにしか私は思われない。建設省は一体その事実をつかんだのは最近つかんだのですか、どうでしょうか。
  18. 鶴海良一郎

    鶴海政府委員 建設省がその話を承知いたしましたのは先生のこの前御質問があった前の日でございます。  先ほどの担保権の問題でございますけれども、交換する以上は担保権を消滅さした上で交換するということは当然のことだろうと思います。現に担保に入っておりましても交換段階におきましては担保権を消滅さす義務PL教団側にあるわけでございますから、その点は現在の時点といいますか、この請願工事承認した段階において判断すべきでなくて、現実交換手続を要する段階において担保権を消滅さすという必要があろうかと思います。現在鋭意その方法を進めておるわけでございます。
  19. 北側義一

    北側委員 そうしますと、建設省のほうはこのたびの事件につきましては私のほうから質問があって初めてわかったということですね。そうしますと、この問題につきましては、管理しております大阪府、これに全責任がある、そのように言われるわけですか。
  20. 鶴海良一郎

    鶴海政府委員 この府道管理の問題でございますから、第一次的には大阪府に責任があろうかと思います。
  21. 北側義一

    北側委員 府道だけじゃないのですよ。府道にかかっておるというのは国有地の半分以上ですよ。府道にかかった何番地と番地で一ぺん法務局に行って全部照らしました。
  22. 鶴海良一郎

    鶴海政府委員 建設省が調べましたところによりますと、当該土地に二十八筆の内務省用地がございます。これはいずれも道路の改築の際買収したものでございまして、すべてが道路敷でございます。私のほうも持っておりますけれども、お手元公図につきましてはこれは実測によらずにつくられたものでございまして、位置、形状等につまきましては正確を欠く面があろうかと思います。現地について当たりました結果はいずれも道路敷でございます。二十八筆全部が交換対象になるのじゃなくて、そのうちの二十筆は依然として府道敷で残るわけでございます。そのうち八筆が交換対象になるということでございます。
  23. 北側義一

    北側委員 その残る部分は現在どうなっております。
  24. 鶴海良一郎

    鶴海政府委員 残る部分は現在府道として使われておるわけでございます。
  25. 北側義一

    北側委員 そうすると、いわゆる交換された場所ですね、これは全部現在府道で残っているか、またPL教団府道にしたかどちらかですか。それ以外に残っておりませんか。
  26. 鶴海良一郎

    鶴海政府委員 内務省用地で二十八筆ありますが、そのうち二十筆は引き続き府道として使う土地でございます。八筆が旧道として廃道になる性質のものでございます。それからPL教団が十九筆道路敷として持っておりますが、この十九筆と内務省用地うちの八筆が交換になるということになります。
  27. 北側義一

    北側委員 先ほど官房長答弁によりますと、法務省富田林出張所にあるところの地番と地籍、これは間違いである、このようになるわけです。私は向こうの地図をそのまま写してきた。そうすると、この新堂、新家、その横にもこうやってあるわけです。これは現在府道です。この前交換した府道はこうついておるわけです。奥のほうにもこういうあれがあるわけです。おそらくここらは国道になっておるでしょう。これなどは池の横など国道が走る道理はない。そのようないわゆる法務省のあれは間違いだとすると、法務省にも問題があると私は思う。あなたの答弁によるとみんなそのようになっておる。こういう答弁には受け取れない。そうするとこれはでたらめかということです。
  28. 鶴海良一郎

    鶴海政府委員 私が申し上げましたのは、地番の数字が間違っておるということではなくて、その地番の土地の表示につきまして位置、形状等につきまして実測によらないものでありますから正確ではないということを申し上げておるわけであります。
  29. 北側義一

    北側委員 この前私が質問したときに、あの敷地の中の里道、水路はつぶされて、そして手続がいまだ行なわれず、ゴルフ場として営業を開始しておる、また建物が建っておると思います、今回もまた同じです。今回もやはり、交換したといいながら道路整備をするにつけましてPL大阪府知事に対して道路工事申請を出した。そうしてその申請許可がきたということは、私も調べた結果聞いております。そうして申請が三十四年十一月十二日にされて、三十五年五月五日に申請の許可がおりた、これはわかっております。これは建設省行政財産になっております。三十六年にすでにあそこらは工事しております。行って話を聞くと、交換したといわれるわけですが、謄本を見ますと、その謄本には国有地で残っておる。なぜ残っておるかというと、事実は交換されておるが、いわゆる銀行担保に入っておる、だからその手続がおくれておる。こんなばかなことというのはどこに行ってもございません。国有地というのは国民の財産ですよ。道路だけじゃないのです、これは。あまりにもひど過ぎると思います。昭和三十六年に交換したときに、大阪府は建設省に対して何ら話はなかったのでしょうか。
  30. 鶴海良一郎

    鶴海政府委員 これは建設省所管の普通財産でありまして、大阪府に無償で貸し付けておるわけでありますが、この土地管理につきましては府知事に委任しております。府知事において処置するわけでございますが、先ほども申し上げましたように事実上交換のようなことになっておりますが、別途申請するという申請がまだ出ておらぬわけでありまして、この申請を受けまして交換の合議ができた段階交換になるわけであります。したがいまして目下その手続を進めておるわけでありますけれども、お尋ねの土地府道敷以外にあるようにおっしゃっておられますけれども、私のほうの現地の調査の結果によりますと、いずれも府道敷でございます。
  31. 北側義一

    北側委員 ではもう一ぺん調査して、もしこれが府道敷になってない、全部土地謄本をとったのだから現に国有地があったらどうします。あなたは責任をとりますか。
  32. 鶴海良一郎

    鶴海政府委員 調査してみなければわからぬ話でございましょうけれども、われわれが調査した限りにおきましては道路敷として買収した土地でありまして、現在道路になっております。現地の丈量図も持ってまいっておりますけれども、いずれも道路……(北側委員大阪府の分でしょう」と呼ぶ)府で現地で丈量した分であります。道路敷になっております。
  33. 北側義一

    北側委員 この問題はこうなっております。富田林出張所における地番、これによりますとどうなっておるかというと、二千十四番の三、この辺は車庫と警備室が建っておる。府の土地台帳によりますと、二千六十一の一、二千六十一の二、これはPL敷地になっておるが、こっちは敷地外になっておる。同じ場所でありながら、府と法務局と——あなたは府のほうで答弁しておりますが、私は法務局の出張所のほうでやっておるわけです。だからこういう食い違いが出てくるわけです。同じ場所でありながら、番地が違う。もうずいぶんなるわけですが、調べてこられたのは、府のほうで調べておられる。私はあくまでも法務局の地籍台帳で調べておるわけです。そうするとこのような地図になっておるわけです。私はこれが正しいとか、あなたがそれが正しいとは言い切れませんよ。それだったら、もう一度調べなければね。いいですか。
  34. 鶴海良一郎

    鶴海政府委員 お手元にお持ちの公図といわれておる図面でございますけれども、それの正確さにつきましては、建設省としては責任を持っておるわけではございません。この正確さあるいはどの程度信頼できるものかということにつきましては、法務省からもお見えになっておりますし、そのほうからお答えいただくのがいいかと思います。
  35. 北側義一

    北側委員 この法務省富田林出張所地図は、明治時代にできた地図です。大阪府が土地を買う前にできた地図ですよ。この問題について、法務省の人はどういう見解でございますか。
  36. 住吉君彦

    ○住吉説明員 お答えいたします。  いま先生御指摘の公図でございますが、これは従前税務署が地租、家屋税を徴収しております際に、地租で申し上げますと、土地台帳の付属地図ということになっております。これは税務署によりまして必ずしもその制度は統一がとれておりませんけれども、地租の対象としてあまり価値のない土地といえば語弊がございますが、たとえば山林とか荒蕪地、原野、こういうところは当時の図面では必ずしも正確には出ておりません。極端な事例でございますが、たとえば中国地方の山間部の公図、これはだんご図とかあるいは談合図とか申しまして、フリーハンドでかかれた図面というような形で残っている事例もございます。いま御指摘の富田林の登記所の公図の精度がどうであるかということについて、私どもは確信は持てませんが、おそらく客観的な事実とそごする図面もあり得るのではないかと思っております。
  37. 北側義一

    北側委員 いずれにいたしましても、この前の分につきましても、これは手続が逆になっておる、このようにあなたは答弁されたわけです。今度の分も、手続がおくれておるといいましても、これは六年間。しかも担保に入っているものを事実上交換されておった。しかも六年間、いまだに国有地としてそのまま台帳に残っておる。このようなことは正しいのですか、悪いのですか。どっちですか。
  38. 鶴海良一郎

    鶴海政府委員 六年間も手続が遅延するということは、明らかに怠慢でありますし、府のほうの怠慢であると思うのですが、これにつきまして、現段階では一刻も早く手続を完了するように進めさしております。近く抵当権抹消の同意も得られる見込みになっております。交換手続もできる見込みになっておりますし、登記のほうも、現地自体の手続もありますので、若干手間がかかると思いますけれども、八月には登記も完了できる見込みというような報告を得ておるような次第でございます。できるだけ促進をはかりたいと思っております。
  39. 北側義一

    北側委員 この問題につきましては、時間の関係もありますので、これでやめますが、やはりこういう国有地はこういう問題がありますと、どうしても国民の目はそれに移っていくわけです。これからこのようなものにつきましては、もっとがっちりやってもらいたいですね。これはもちろん大阪府の責任かもわからぬ。それにしても、やはりそれだけの手は年間に打てるはずです。会計検査院でも、聞くところによりますと、会計検査院が行った、建設省はこの問題はできるだけ内々に済ましてもらいたい、このようなことを言ったとかいう話を私は聞いております。これは人のうわさですから、私はそんなことをここで取り上げません。しかし、事実このような問題が明らかにされて、このたびは四千坪、一万五千平米、これは大きなばく大な土地です。しかも両方で手続がおくれている。役所の仕事としてはこんな怠慢な仕事はありません。判こ一つなくてもうるさく言って、判こをとりに帰らす、このような役所にこのような大きな問題、このようなミスがあるということは私は信じられない。何かそこに裏があるのではないかと疑いたくなる。あなたは笑っておられるが、こちらは真剣なんですよ。笑うべき問題と違うじゃないですか。(発言する者あり)にやにやする問題と違いますよ。これは何千坪という土地不法占拠されて、手続あとになります、そんなばかな答弁がありますか。(発言する者あり)これは建設省財産ですよ。何が一体悪いのですか。
  40. 森下國雄

    森下委員長 北側君に御注意申し上げます。  ちょうど官房長はただいま大蔵委員会に出席する時間がきておりますので、御注意申し上げます。
  41. 北側義一

    北側委員 わかりました。  私は真剣なんです。ですから、このことをお願いしておきます。
  42. 鶴海良一郎

    鶴海政府委員 御趣旨を体しまして、道路法管理につきましては万全を期したいと思います。
  43. 森下國雄

    森下委員長 官房長は大蔵委員会に出席するため御退席願います。  質疑を継続していただきます。
  44. 北側義一

    北側委員 では次に、時間もありませんので、簡単でありますが、保全区域整備、このことについて質問申し上げたいと思います。  この問題につきましては先ほど最初に申し上げましたとおり、この保全区域整備は非常に早急を要すると思うのです。ところが予算額を見ますと非常に少ない。このような金額で一体何をするのかというような感を私は受けるわけです。大体このたびの保全を目的とするところの区域及びどのような事業をなすのかということについて少しお尋ねしたいものです。
  45. 上田稔

    ○上田政府委員 お答え申し上げます。  この保全区域でございますが、近畿圏におきましては、全体の区域の大体一三%ばかりのものが保全区域になっているわけでございます。このうちで、いま先生が御指摘になりました近郊の緑地の部分でございますが、この部分がまたそれの七分の一程度のものでございます。そのようなものを大体考えているわけでございます。  予算が非常に少ないではないかということでございますが、これは、この法律を通していただきまして、それから、保全区域というものはきまっておりますが、その中で近郊緑地あるいは特別区域、こういうものをきめまして、そうしてその特別区域に対しましていろいろな制約がかかっていくわけでございます。したがいまして、その特別区域は、特に都市計画の施設としてきめていただくことになりますので、都市計画委員会にかけなくちゃいけない、そういうような手続がございますので、十二月ごろになるのではなかろうか、そういうことでございますので、今年度は当初でございますのでさしあたって二億、事業費にいたしまして三億ということを考えたわけでございます。
  46. 北側義一

    北側委員 近畿圏整備本部の業務について、最終目標年月日はきまっておるわけです。これに向かってこれからますますこの事業は複雑化されていくのではないか。そういう点から考えまして、現在の人員ではたしてやっていけるのかどうか。このような危険性を私は感じるわけなんです。非常に大きな膨大な計画でありますが、それに向かって業務をなされておる方は少ないように思うのです。このままでいきますと、完全な近畿圏整備は目標の年月日がきまっておるわけですから、それに対してできるかどうかという危険、また予算の配分、そのようなものもいまお聞きしましたとおり、事業費がわずか三億、これではたしてでるきのかどうか、その辺はどうなんでしょうか。
  47. 上田稔

    ○上田政府委員 まず最初に、この予算の面でございますが、この三億といいますものは、建設省のほうにつけて、建設省のほうでやっていただく、こういうことになるわけでございます。したがいまして、その消化は建設省のほうでやっていただき、私どものほうはそれを報告を受けて、あるいはまた実際の状態をときどき監査いたしまして、見せてもらって、それによって勧告をいたしたり指導いたしたりする。指導といいますか、連絡をいたして直してもらいたいというようなことを申し出る、こういうことになるわけでございます。  それから、全体の計画につきまして、四十二名でやっておるわけでございます。この人員が非常に少ないのではないかということでございます。いろいろこれから法律を出しまして、いろいろなやはり整備をすることは、制限ということがかかってまいりますので、いろいろな点で人員を要するということが起こってくると考えております。したがいまして、そういうときには人員をふやしていただくようにいたしたい。現在の四十二名というのは、何といいますか、非常に頭でっかちな役所でございまして、したがいまして、いろいろな判断をするという面を重点にいたしまして、計画をいたしておるわけでございます。首都圏が五十一名でございますので、首都圏程度にはいたしたい、こういうふうに考えております。
  48. 北側義一

    北側委員 この問題につきまして関係外なのかわかりませんが、近畿地方行政連絡会議、この各地方都市が行政連絡会議を行なっておる、このように私は思うわけなんです。聞くところによると、連絡会議のほうは、法が実施されてからまだ一ぺんも自治省からの通達がなくて、そういう話し合いがなされていないということを聞いたのですが、その点どうなのですか。関係外ですからわからないかもしれないのですが、かように聞いておるのです。いわゆる、各都市の横の連絡ですね。
  49. 上田稔

    ○上田政府委員 横の連絡につきましては、私どものほうは近畿圏の協議会というものをつくっておりまして、それによってやっておるわけでございます。それから、ときどきその必要のあるときには、私どものほうは企画部長会議、あるいは課長会議、あるいは担当者会議、そういうものを開きまして、横の連絡を保っておるわけでございます。それから審議会には、知事さん、議長さんが全員お入りになってもらっております。
  50. 北側義一

    北側委員 わかりました。  この問題につきまして、広域都市圏ですね。その開発方向、これは既成市街地を中心とした核を取り巻くところの二重、三重の環状道路というのですか、そのような整備もこれは行なわれなければならないものと私は思うのです。そういう問題の両方からの開発方式、この点はどうなるのでしょうか。
  51. 上田稔

    ○上田政府委員 私どものほうは、基本整備計画というものをきめておりまして、その基本整備計画の中に、そういう環状線というような根幹となるべき事業については規定をいたしております。
  52. 北側義一

    北側委員 現在の法の適用、これを見ますと、たとえば保全の目的となるものは文化財、緑地、観光資源、このようにされておるわけです。これは古都における歴史的風土の保存に関する特別措置法、これとの関連はどうですかね。
  53. 上田稔

    ○上田政府委員 私どものほうの保全区域の中には、古都の歴史的風土の関係部分も入っておりますが、全体を通じまして、そういう歴史的風土、結局観光の一部に当たるわけでございますが、そういったようなもの、あるいは近郊緑地、あるいはほんとうの観光だけのもの、そういったものを込めまして、全体の計画を立てようということが、この法律一つの目的でございます。
  54. 北側義一

    北側委員 そうしますと、古都保存法に適用されていないところの大阪市の難波宮のあと、その他都市開発区域におけるところの地方の歴史的な景観の保存、こういうものはどうなんですか、たとえば姫路城、大阪城、この場合はどうなるのですか。
  55. 上田稔

    ○上田政府委員 姫路城、大阪城、これはたしか史跡になっておりましたかと思いますが、とにかく文化財になっております。文化財保護法でそのものずばりは保護されるわけでございます。そして大阪城の周辺というものは都市公園といいまして、都市計画における公園としてそれを整備する、こういうふうに考えております。難波宮趾につきましては、いま大阪市と大阪府とがいろいろ相談をいたしておりますが、これをどういうふうなことで残すか、文部省のほうに現在話し中であるというふうに聞いております。
  56. 北側義一

    北側委員 近郊緑地保全区域及び特別保存区域の指定について、その内部の行為制限があるわけですね。その指定にあたって、これはもうよほど検討しなければならない、そういう地域も出てくるのではないか、このように思うわけなんです。大体現在想定されるような保全区域の中にどういう問題が——この緑地保全区域、特別保全区域の指定になった場合に困るというような区域、業種、そういうものがあったら、どのようなものが考えられるのですか。これは事実上の問題として、この法律が通過すると困るというものが出てくるのではないかと思うのです、行為制限がありますからね。その点どうでしょうか。
  57. 上田稔

    ○上田政府委員 ただいまの御質問の趣旨は、たとえば六甲山に例をとりますと、その六甲山に土地を持っておる人がどういうふうに困るかという御質問かと思います。  それにつきましては、実は私どもが定めております保全区域というのは、六甲山の急斜面に現在あります樹林地というものを考えておるわけでございます。その樹林地につきまして、ふもとのほうからだんだんと荒らされてくるということになりますので、その樹林地の一番下側のところにおいて住宅地の進出を防いでいくという考え方で、特別区域というものをきめていきたい、あるいはきめてもらいたい。それから近郊緑地の保全区域はそういう点できめていって、そうして特別保全区域については建設省のほうでそういうような趣旨で定めてもらいたい、こういうふうに考えております。
  58. 北側義一

    北側委員 保全区域、ここには観光道路整備というようなものが古都保存法、これに関連して非常に必要だと思うのです。この場合広域行政によったところの府県の区分、このようなものが道路開発について、府県がやはり同じような広域行政の立場からやっていかなければ一貫したものが将来できてこない。このように思うのですが、その点どのように考えておられるのですか。
  59. 上田稔

    ○上田政府委員 このただいまの観光道路のようなものでございますが、こういうものはやはり広域的に考えていかなければいけないというものでございます。この法律におきましては府県知事が計画を立てて、そして内閣総理大臣の承認を受けるという形になっております。これは近郊整備区域並びに都市開発区域の建設計画と同じスタイルをとっております。したがいまして、この知事さんのお出しになったものを、私どものほうでチェックをいたしまして、広域的の観点から見て、ある程度直していただいて、そうしてその部分を直して内閣総理大臣の承認を受けるという形をとっていくというふうに考えております。
  60. 北側義一

    北側委員 これは聞いた話なんですが、近畿圏の水需要の最も多い中央部、この辺は年間を通じて非常に降雨量が少ない。河川を見ましても、将来の利用水量が現在のままではいかない。これはどうしても琵琶湖の総合開発計画の問題がからんでくるのじゃないか、このようなことを聞いているのですが、その点はどうでしょうかね。
  61. 上田稔

    ○上田政府委員 琵琶湖の総合開発は必要であるというふうに考えております。これにつきましては建設省が中心になりましていろいろな調査をいたしておりますが、滋賀県全体あるいはそれに関連をして総合的な計画を立てて開発をしていかないといけないのじゃないか、こういうふうに現在考えております。
  62. 北側義一

    北側委員 時間もまいりましたので私の質問はこれで終わらしていただきますが、ひとつこの問題につきましては近畿圏の発展のためにしっかりした施政を行なっていただきたい、このように思います。  それではこれで終わらしていただきます。
  63. 森下國雄

  64. 勝澤芳雄

    勝澤委員 私は、中部圏都市整備区域都市開発区域及び保全区域整備等に関する法律案関係をいたしまして御質問いたしたいと存じます。  最初に、中部圏開発整備に関する基本的な構想についてどういうようにお考えになっているかという点をお尋ねいたします。
  65. 国宗正義

    国宗政府委員 中部圏開発整備に関しまする基本的な構想につきましては、今後関係県、地方協議会、審議会等、関係各省庁の意見をも徴しまして基本計画として作成することに相なるわけでございますが、立法の趣旨からいたしまして、さらにこの中部地方の地域の実態から見まして、その基本的な考え方と申しますのは、現在次のようなものと考えます。  すなわち、中部圏は首都圏と近畿圏の中間に位いたしまして太平洋と日本海に面し、将来わが国全体の発展に重要な役割りを果たすべき大きな国家的使命を有する地域というべきでございますので、この地域の開発整備は、単に中部圏の繁栄と福祉をもたらすにとどまらず、わが国経済の発展、国民の福祉の向上に大きな寄与をするものと考えております。したがいまして中部圏開発整備の眼目は、太平洋沿岸地帯、中部内陸地帯及び日本海沿岸地帯のように、それぞれ発展の歴史、風土、経済、文化などを異にいたしておりまするところを、打って一丸といたしまして、経済発展の盛んな太平洋岸、比較的開発のおくれておりまする内陸及び北陸を結びつけまして、中部九県の均衡ある発展をはかるとともに、経済開発、社会開発の調和をもはかりまして、豊かで住みよい中部圏づくりということが基本的構想であろうかと考えております。
  66. 勝澤芳雄

    勝澤委員 私は、この中部圏開発整備というのは、首都圏、近畿圏の場合と異なった開発構想というのがなされるのではないだろうかと思うわけでありまして、そういう点では、首都圏が東京を、近畿圏大阪を、こういう構想の中にはさまれたというような点からいって、やはりこの開発のしかた、整備の方法というものは、相当変わってくるのではないだろうか、こういうように思うわけであります。  そこで、基本的な開発整備計画、その性格と内容について、どういうふうにお考えになっているかという点についてお尋ねいたします。
  67. 国宗正義

    国宗政府委員 基本的な開発整備計画の内容と性格につきましては、さきに申し上げましたとおり、基本計画でもってその方向は決定をされるわけでございますが、その内容は、開発整備に関する基本的なる構想が一つでございます。第二番目といたしまして、区域の指定に関しまする方針がございます。第三番目といたしまして、中部圏開発整備に必要な、根幹となるべき道路河川、鉄道等の計画を内容といたしておるわけでございます。
  68. 勝澤芳雄

    勝澤委員 次に、都市整備区域都市開発区域の指定の方法、それから開発整備のやり方、こういう点についてはどういうふうにお考えになっておりますか。
  69. 国宗正義

    国宗政府委員 さきにもお話こざいましたように、首都圏と、近畿圏と、中部圏は、大きい方針においてはおおむね一致いたしておりますが、その詳細にわたりましては若干の相違と特色を持っておるわけでございます。したがいまして、中部圏におきましては、中部圏の特質に従ったところの整備区域開発区域及び保全区域、それらの建設整備等を基本的な方針に採用いたさなければならないものでございます。  そのうち都市整備区域につきましては、法律の十三条においても明示いたしておりますように、すでに産業の開発の程度が高く、さらに経済の発展が予想される地域で当該地域の発展の進度に応じまして都市機能が十分に発揮されまするように計画的に基盤整備を行なう必要がある区域を指定するわけでございます。  開発区域につきましては、中部圏の均衡ある発展をはかりまするために、工業等の産業都市その他地方の中核都市といたしまして開発整備することを必要とする区域を指定するわけでございます。  保全区域につきましては、観光資源を保全し、もしくは開発いたしまして、文化財を保存する必要がある区域を指定することといたしております。
  70. 勝澤芳雄

    勝澤委員 都市整備区域なりあるいは都市開発区域、こういうようなものを指定の場合、工業立地の問題あるいは公害対策の問題、あるいは流通団地、こういうものとの調整はどういうようにお考えになっておりますか。
  71. 国宗正義

    国宗政府委員 都市整備区域開発区域、両区域の指定にあたりまして、工業の立地及び工業団地の造成、公害対策あるいは流通業務施設の設置等は、それぞれの区域におきます重要な課題の一つでございます。  工業につきましては、中部圏法律につきましては近畿圏、首都圏と若干趣を異にいたしまして、公害の対策に関する基本的な事項を基本計画に明示することを要求いたしております関係上、さらに社会開発と経済開発の調和を要求されております以上、非常に大事な重点の一つでございます。  流通団地につきましてはいま御審議願っております開発整備に関する法律が成立いたしますれば、それらの法律に基づきまして計画を作成することにいたしております。  工業団地につきましては将来新たな立法を必要とするわけでありますが、近畿圏、首都圏における事情と若干異にした趣旨をもちまして、工業のみならず住宅その他の公共施設との調和をはかった立法を次の通常国会にお願いしたいと考えておる次第でございます。
  72. 勝澤芳雄

    勝澤委員 次に、保全区域の指定の更新と保全整備のやり方、これはどういうふうにおやりになるのですか。
  73. 国宗正義

    国宗政府委員 保全区域につきましては、首都圏、近畿圏の基本的な方針とおおむね一致いたしておるわけでございますが、首都圏におきましては無秩序な市街化の防止をはかり、あるいは無秩序な拡大、過密の防止等に重点がございますが、中部につきましてはレクリエーションというものをも含めまして、都市の無計画なる膨張の防止のみならずレクリエーションその他緑を保存するのに適当な事業等をかね合いに考えました上で、総合的な保全区域指定並びに保全に関します具体の規制、助成等を将来の問題として考えていきたいと思っております。
  74. 勝澤芳雄

    勝澤委員 保全区域の指定をされた場合の特定行為の規制だとかあるいは土地の買い入れ、こういう問題についてはどういうふうにお考えになっておりますか。
  75. 国宗正義

    国宗政府委員 それは将来新たな立法をもちまして解決いたしたいと考えるわけでございます。すなわち、いま御審議願っております法律は、基本法に基づきまして都市整備区域開発区域及び保全区域整備の基本的な考え方なり手続を要求するものでございまして、これをまず成立さしていただきまして、地方の審議を経た基本計画をもって具体の区域が指定されるわけでございます。具体の区域が指定されますときに、保全区域につきましては近畿圏とおおむね同趣旨の規制の立法を次の通常国会以後においてお願いしなければならないものと思っております。
  76. 勝澤芳雄

    勝澤委員 それで、この基本開発整備計画計画期間というのはどの程度お考えになっておりますか。
  77. 国宗正義

    国宗政府委員 基本計画につきましては、地域開発の重要性にかんがみましてできるだけ早いことを期待いたしております。しかし、現にいま進行中でございまして、地方協議会の原案を九県の知事が相談をいたしまして、地方協議会の審議を経て内閣提出することに相なっております関係上、それの第三回目の協議会が来たる十七日に予定されております。そういたしまして、この十一月を目標にいたしまして地方から原案が提出されることを私ども期待いたしております。それを受けまして、政府関係部内の調整、中央における審議会の意見等を徴しましてできるだけ早く、明年の六月を目途に基本計画を作成準備中でございます。
  78. 勝澤芳雄

    勝澤委員 この中部圏開発整備法自体が議員立法でできたわけでありまして、これは今日の時代の要請に沿ったものであると思いますが、とかく議員立法といいますとその取り扱いというのは遅延しがちでございます。しかしこの国会にこのような第二の法律を出してきたというのは、熱意がうかがわれると思うわけであります。それでいま言いました基本計画を早急に立てて、それに基づく実施というものをやっていただきたい。そうしないとあとから手直しするという面がたくさん出てくるわけであります。最近は都市再開発法にいたしましても、都市計画法にいたしましても、あるいは保全の問題につきましても、もろもろ出ておるわけでありますから、特に作業を進められて、実際に中部圏開発整備という効果があらわれるように要望いたしたいと存じます。  その中でいま特にいわれておりますのは、この中部圏開発で、これは近畿圏でも首都圏でも同じでありますが、都市中心の整備開発に重点が置かれて、農村地域に対する対策が欠けておるのではないだろうかということがいわれるわけであります。それは、たとえばいま各県ごとに審議されている内容を見てみますと、港湾とか、道路とか、住宅とか、工場とか、こういうものが中心になっておって、農村地域に対する問題というものはどうも全体的な中で忘れられておるのではないか、こういうような気がするわけでありますが、こういう点についてのお考えをちょっとお聞かせ願いたい。   〔委員長退席、廣瀬(正)委員長代理着席〕
  79. 国宗正義

    国宗政府委員 計画の早期作成につきましてはさきに申し上げたとおりでございます。効果の早い発揚も現に要求されているところであり、中部圏開発整備の仕事は一日も休みなく進んでおるわけでございますので、基本計画ができるのを待たずに、なお将来根幹とされる事業につきましては、その推進方に私どもも鋭意努力しておるところでございます。  次に農村地域の問題でございますが、中部地方は首都圏、近畿圏と異なりまして、農業面積の占めるところが非常に大きく、北陸、中部内陸はもとより、太平洋方面においてさえ農業の重点は大きいわけであります。言うならば将来日本の食糧基地、近郊農業振興地域にも相なろうかと思っております。したがいまして、さきに申し上げました都市開発区域につきましても、産業都市等地方の中核都市という場合におきましては、その産業のうちには農業も重要なものとして考えております。さらに小さいことで申し上げますれば、根幹となるべき施設の中におきましても、林道の根幹となるべきもの等をも含めることにいたしております。
  80. 勝澤芳雄

    勝澤委員 特に近畿圏の場合、首都圏の場合を考えてみますと、工業というものが中心に考えられがちでありまして、これは公共投資の面からいって必然だと思うのですけれども、やはり農村の問題をどういうふうに配置していくかということはたいへん大事なことであります。特に中部圏というものは近畿圏と首都圏の間にはさまれて調和のある総合的なものをやろうということでありますから、基本的な考え方の相違がここに出ておると思いますので、農村問題については私は強く、この計画段階でそういう点がよく取り入れられるように要望いたしておきます。  次に、中部圏計画は、近畿圏整備法なり、あるいは北陸地方開発促進法なり、あるいは新産業都市建設促進法等の法令に基づく地域計画と地域的に重複する場合があるようでありますが、この場合の調整方法というものをどういうふうにお考えになっておりますか。
  81. 国宗正義

    国宗政府委員 御指摘のように中部地方には新産二カ所、工特二カ所、その他北陸開発あるいは近畿圏整備本部区域とも重複しておるところでございます。したがいまして、それらの同じ目的を持ちまする法律の趣旨とは全く調和をとるように中部圏開発整備計画は考えておる次第でございます。特に国土総合開発法との関係の調整、水資源開発促進法との調整、近畿圏整備法との調整、北陸開発との調整等につきましては、明文をもちまして総理大臣がそれぞれの審議会の意見を聞いて調整する旨の規定があります。新産、工特法につきましてはこれらの規定はございませんが、精神におきましては全く同じでございますので、事務的にもあるいは科学的、技術的におきましても、それらと同じ目的を持つ計画とは十分調整をいたしまして、御指摘のような調和のある、均衡のとれた開発整備計画ということに持っていきたいと考えておる次第でございます。
  82. 勝澤芳雄

    勝澤委員 最後に政務次官にお尋ねいたしますが、一つは、この基本計画を、特に中部圏の場合は範囲が広いわけでありまして、一つの固定された首都圏とかあるいは近畿圏というような形の中心都市を置いて、それを中心に置いたものの考え方じゃなくて、はさまれた中部全体的な調和というものを考えているわけでありますので、これはできるだけ地域住民の意思を集約をして早くつくっていただきたい。  それから第二の問題は、やはり何といいましても開発整備に対しては国の財政援助が必要になるわけでありまして、特にそのためには財源の裏づけ、地方債の問題あるいは金融のあっせんあるいは特別な補助等々諸問題が起きてくるわけであります。計画がよくてもそういう裏づけがなされなければ絵にかいたもちにひとしいわけでありまして、これはやはり仏つくって魂入れず、法律だけはつくったけれども、実際には進んでいかないということになるわけであります。そういう点につきまして、これはあとで附帯決議もお願いいたしておるわけでありますけれども、一つ整備計画を、住民の意思を尊重してお考えいただくこととして、二つ目は、特に財政援助について、やはり積極的に援助を行なって、この計画が実施できるように、こういう二点について特に政務次官から最後にお答えを願いたいと思います。
  83. 澁谷直藏

    澁谷政府委員 第一点の基本計画の立案に際しましては、地元住民の意向を十分尊重してやるべきだという御意見に対しましては、全く同感でございます。先般、私はほかの用事で名古屋に参りました。桑原知事以下関係者がたくさん集まっておられまして、この中部圏の基本構想についての説明も伺ってまいりました。地元でも非常な熱意を持って、地元の意見を中心にした基本計画をだいぶ進めております。したがいまして、私どもといたしましても、そういった下から盛り上がってきた意向というものを十分尊重いたしまして、この地域の特殊性に密着した基本計画をつくるように努力をしていきたいと考えております。  それから第二番目の、せっかくいい案ができても、これが実現できなければ意味がないのは御指摘のとおりでございまして、したがってそういった法律に基づいた基本計画ができてまいるわけでございますから、国の立場におきましては、当面これが実現のために財政その他の援助につきましては、あとう限りの努力をしてまいりたいと考えておる次第であります。
  84. 勝澤芳雄

    勝澤委員 終わります。
  85. 廣瀬正雄

    ○廣瀬(正)委員長代理 塚本三郎君。
  86. 塚本三郎

    塚本委員 大臣が十一時半からおいでになるという予定のようでしたけれども、いつごろおいでになるかわかりませんか。
  87. 廣瀬正雄

    ○廣瀬(正)委員長代理 間もなく見えることになっております。
  88. 塚本三郎

    塚本委員 政務次官にお尋ねします。  中部圏開発整備に関する要望書というので、おそらく中部圏知事会議の要望書が出ておると思いますが、これをお読みになったですか。
  89. 澁谷直藏

    澁谷政府委員 私、まだ読んでおりません。
  90. 塚本三郎

    塚本委員 勝澤委員から先ほど重要な点について質問がありまして、具体的な御答弁がありましたので、その点は避けて、主たる問題について御質問申し上げてみたいと思っております。  申し上げるまでもなく、中部圏は首都圏及び近畿圏と最も異なっておりまするのは、中部圏の特色を生かすということにあろうかと思っております。そうなりますると、何といいましてもやはり道路、交通が中心になってこの地域における特色を効果あらしめるという立場に立たなければならぬと思うわけでございます。そういう意味におきまして、いまお聞きいたしました中部圏知事会議では十八の項目が要望せられております。これが四十三年度の中に実現あるいは促進がなされなければ、実際かけ声だけに終わってしまうという気がいたすけわでございます。したがいましてまだお読みになっておいでにならないということですと、お見えになっている次長さんのほうでは承知しておいでになるでしょうね。
  91. 国宗正義

    国宗政府委員 はい。
  92. 塚本三郎

    塚本委員 そういたしますと、これは四十三年に要望がどの程度実現できるか、この点御見解を承っておきたい。
  93. 国宗正義

    国宗政府委員 中部圏開発の根幹となりまする事業計画うち、もっぱら交通関係の十八項目については、昨年の七月の中部圏の知事会議でそれが決定され、さらに本年におきましても、地方協議会においても引き続き促進することを決議されておりますので、関係各省、特に建設省関係が多うございますが、道路、鉄道、港湾の関係でございますが、それらにつきましては、それぞれの省におきまして促進方を考慮していただいているところでございます。一口に申しますると、何しろ非常に長期を要する計画でございますので、たとえば東北、北陸を結びます自動車道につきましては基本調査の段階でございますが、それらにつきましても、関係局におきまして調査の促進をはかっていただいております。港湾、鉄道につきましても、おおむね同様四十三年において促進の方法を購じていただいている次第でございます。
  94. 塚本三郎

    塚本委員 これから手をつけなければならぬものあるいはもう一押しで完成するもの、幾つかの要望が盛り込んでございます。ここで私申し上げてみたいことは、首都圏の場合ですと、もうどうにもならなくなって、そうして対策を練る、言ってみまするならば、建設省のおやりになるいままでの立場は、そういうふうな現状をいかにして打開するかということが中心であったと思うわけでございます。その点今度の中部圏の場合は、現状そんなにどうにもならないという状態ではなくして、これから理想像をここに描いてみる、そうしてそれを実施するということですから、ややもいたしますると、対大蔵省との関係におきまして、まだやらなければならぬことが先にあるのだ、こういう形に扱われがちと思うわけでございます。したがってそういうことに対する認識を大蔵省のほうにどのように植えつけてあるか、この点、対大蔵省との関係についてのいわゆる折衝の一端をお聞かせいただきたいと思います。
  95. 国宗正義

    国宗政府委員 御指摘のように、過密になってからあるいはどうにも処置がむずかしくなってからでなくて、未然に整備計画を立てまして開発いたしますのが中部圏の特色でございます。したがいまして、いま御指摘の理想図をかいて、そして着工順序はあとであるということにならないための一つの措置といたしまして、さきに御指摘の十八項目につきましては、建設大臣、運輸大臣のみならず大蔵大臣のほうにも一応協議会のほうから推進いたしておるところでございます。  なお、首都圏のように云々とおっしゃいましたが、基本計画をつくりまして、それに従って建設計画をつくり、すべての事業が具体化するのは、さきにも申しました来年の六月に相なりますものですから、それを待たずしてやります関係上、主として交通関係について御指摘のような措置で強力に進められておるところでございます。
  96. 塚本三郎

    塚本委員 本部長がおいでになったので、基本的な問題についてお尋ねしたいと思います。  いまもちょっと御質問申し上げておったのでございますけれども、首都圏や近畿圏と違いまして、中部圏の場合はいまさしあたって困ってはおらない。しかし将来日本が発展するであろう地域から考えるならば、よくいわれている白いキャンバスの上に理想図をかいてみる、そしてそれを実現するという、ここに中部圏に対する大きな課題があろうかと思っております。したがいまして、従来までの建設省の立場でございますと、災害に対する、あるいは直接国民生活に対するどうにもならなくなった問題あるいは交通麻痺をいかにするのか、こんないわゆる病状を診断してそれに対する処置を講じなければならぬということに追っかけ回されておったと思うわけでございます。これは敗戦後の日本のあり方からしていたし方ないと思っております。しかしいま上程せられております中部圏だけはそうではなくて、東と西におきますそういう状態を見つつ、まだ健全である中部圏だけはこれから理想的なわれわれの郷土づくりをしてみるべきだ、こんなところから提言せられてまいったと思うわけでございます。いってみますならば、いわゆる人知の可能な範囲、そしてまた政治というものはこういうものだということを国民に知らせる可能な限界をこの中部圏の中で示されなければ何も意義はないと私は思うわけでございます。それでなければ首都圏と近畿圏とに押しつぶされた谷間をいかに排除しようかというだけにとどまってしまうわけで、中部の政治家の意図しておりますイメージというものはそうではない。こういう点からいきますと、いま申し上げたように人間の知恵と、そしてそれを実現する政治力の限界というものを私はここにためされておるというふうに思うわけでございます。そういう意味におきまして、もちろん最終的には予算の裏づけがポイントになるでございましょうが、しかしその予算の裏づけもまた本部長の熱意にかかっておると申さなければならぬと思うわけでございます。したがいましてそういう取り組み方で進んでいただき得るかどうか、その気がまえについてお聞きしたいと思います。   〔廣瀬(正)委員長代理退席、委員長着席〕
  97. 西村英一

    ○西村国務大臣 前からのお話を承りませんからちょっとわかりませんが、どういう質問になりますか、中部圏としてたとえば北海道開発庁のように各省の予算を持っておらなければ何ぼ一生懸命やったって何にもできないんじゃないかというような御質問のようにも受け取れますし、いまの組織のままでいろいろ考えはあるのです。実際考えはありましても、本部長としてやれることはあまりやれないのですね。勧告はできるわけです。たとえば運輸省で中央線をこうせい、こうせにゃ中部圏として困るのだ、こういう場合には運輸大臣に勧告はできます、中部圏本部長としては。だけれども、予算は運輸省が持っておるわけですね。計画はできるのです。けれども権限が勧告の権限なんですね。私は率直に言いまして、何かその権限をもう少し強化すると申しますか、あるいはやり方を変えると申しますか、中部圏の発展のためには尽くしたいということは本部長ですから考えておるわけです。建設行政につきましては、私は建設大臣で兼務しておりますから中部圏のために尽くすことはできるとして、ほかの省に関する限りの行政はなかなかそこに歯がゆさがあるわけですね。質問がそんなことであったのかどうなのかよくわかりませんけれども、また聞きましてお答えいたします。
  98. 塚本三郎

    塚本委員 次官に最初お尋したのでございますけれども、中部圏開発整備に関する要望書というものが、四十三年度にはこういうことがしてほしい、とりあえず十八項目中部圏の知事会議の要望として出ておるわけでございます。とにかく中部圏はいわゆる地方の特色を生かすところにある、そうすれば何でも大きなものをつくってどうにもならなくなってほかに広げるんだという形ではなくて、現在あるものを理想的にどう組み立てていくか、それには道路、交通がすべてに優先しなければならぬ、こういう発想に立って知事会議において百くらい要望が出たそうでありますが、とにもかくにもいま手をつけておるもの、あるいはいますでに計画が進められておるもの、さらにもう一歩で完成するもの、こういうもの十八項目を選び出して要望書が出してあるはずでございます。次官にお聞きしたら、まだ見ておらぬというお話でございますし、伺いますると、大臣もいま初めて見たというお顔をなさって読んでおいでになりますが、私は、地元の知事さんたちが地元発展のための最も第一段階として、とっぴなことではなくて、すでに予算化せられつつあってその進行状態のものを強力に推し進めていただきたい、これからお聞きしたわけでございますが、あらためて大臣に、この要望を強力に推し進めていただくということに対する御答弁を賜わりたいと思うのでございます。
  99. 西村英一

    ○西村国務大臣 これは見ました。見ましたどころではなくて非常に研究しておるのです。そしてごく最近も桑原知事がわざわざやってきまして、また詳しく聞きました。いずれも重要な問題であります。したがいまして私としては、本部長としてできるだけ力を尽くしてやりたいと思います。  御説のように東京、大阪というようなところとは違いますので、やはりいまのうち整備された条件を持っておる——東京ですと五十キロ圏内といえばどうにもなりませんけれども、名古屋で五十キロ圏内というと、いまからやればりっぱな都市ができるわけであります。したがいましてこういう要望については私どもはたいへん熱意を持っておる。熱意を持っておるけれども、建設省のことは別として、各省に関することは各省大臣に勧告する、お願いをするしか手がない、こういうことでございますから、熱意を持って大いにやることで十分これは要求をいたしておるところでございます。
  100. 塚本三郎

    塚本委員 大臣があまり正直におっしゃるものだからこちらがどぎまぎしてしまうのだけれども、私ども政治家といいますものは、言ってみれば理想というものを常に描いておりまして、そして理想をぶっつけてそれを事務屋さんに消化していただく、こういうくせがついておるので、一つ一つの点についてやはり難点もあるでしょう。そしてまたすぐできる問題もあるでしょう。  この中部圏の中で、二つの大きな問題があると私は思っております。これも具体化の方向を見出す程度になるのではなかろうかと思いますが、それは何と言いましても、中部が北と南をいかに結ぶのか、この問題が最も大きな問題。私は愛知におりますけれども、全く北陸の実情というものを知らないという状態でございます。東京から東西にはしょっちゅう交流があるわけでございます。ところが、南北には交通網が御承知のような状態でございますから、もう全く未開の分野、おそらく東京よりも何十倍か遠いところ、いわゆる太平洋岸の人は北陸部に対してはそんなイメージしかないわけでございます。そうすると、いかに南北を結ぶか、このことが実は中部の開発の第一のポイントではなかろうかというふうに私は思うわけでございます。  それからもう一つ、第二のポイントは、中部山岳をいかに開くのか、この二つの問題。  まずこの中部圏を具体的にするための事務的な問題については、いまここで申し上げる時間もございませんし、またそれほど研究もいたしておりませんが、中部圏一つとしてこれを開発するというときには、もはや東京や大阪の弊におちいらない、このことを考えるときには、第一には南と北をいかにつなぐかということ。それからまん中の中部の山岳をいかに切り開くか。この二つについての具体策というものが事務的には進められておるわけです。しかし、その事務的な問題だけではたしていいであろうか。先ほど私は次官にもちょっとお聞きしたのでございますけれども、どうにもならぬという状態になってからではなくして、これから理想的なものとするために、南北を大胆に結ぶような着想というものが実は考えられておりはしないか。あるいはまた、中部を具体的に開くための具体的なそういう問題を徐々に——まだ予算とか計画まではいっておりませんけれども、こういうふうに想定しておるのだというようなことを、本部長としてお考えいただいておるのではなかろうかというふうに思って、この二つをどのような方向で開いていくか。このことを、概略だけでけっこうでございます。事務的に言われると、おそらくまだこれからということになろうと思いますが、その方向を、ひとつお聞かせいただきたいと思うのです。
  101. 西村英一

    ○西村国務大臣 中部圏としてのいまの最重点の仕事といえば、いま申しましたように、裏日本と南のほうとを中心を結ぶこと。その結ぶことは、道路も鉄道もあります。鉄道なんか、高山線というのは最もおくれておる一つです。しかし道路で結ぶ。しこうして、その結ぶわけは、その中間における未開の地をもう少し有効に使う。それが観光地であるにせよあるいは他の地域であるにせよ、有効に開発しなければならぬ。これがやはり中部圏の勘どころであろうと私は思っておるわけでございまして、全くあなたと同意見でございます。まず第一着手は、そこに根を据えて、それを実現することだ、かように考えておるものでございます。
  102. 塚本三郎

    塚本委員 交通の問題は運輸大臣の関係になるから、建設大臣としては勧告しかないとおっしゃるかもしれませんが、御承知の、いわゆる関西以西の災害に対して、この中部地方はそんなに被害はなかったはずでございますけれども、しかし、にもかかわらず、中央線も高山線も越美南線もほとんどとだえてしまうという状態にあるわけでございます。だから、この中で大臣が考えて実施していただくためには、電化、複線化等の問題を強力に推し進めていただかなければならぬ、こういうふうに思うわけでございます。  もう一つ、この中部山岳を開くということで、私ぜひお聞きいただきたいと思うのでございますけれども、昭和三十五年の安保条約の、言ってみるならあの日本の政界の混乱のまっ最中に、いわゆる縦貫自動車道のこの中央道が、満場一致で議決せられたはずでございます。私も委員の一人でございましたので、あの当時のこと——外にはデモが荒れ狂っておりますし、その中で、とにかく中央道だけは党派を越えた政治家の使命として通そうじゃないか、こういうことで満場一致建設委員会におきまして通されたことを記憶いたしております。そのときの政治家のイメージは何であったかといいますと、いわゆる中部山岳地帯はスイスという国をつくるのだということを政治家の合いことばにして、あの激突した中におきましても、満場一致で中央道が可決せられたわけでございます。幸いにもその中央道がいま具体的に進められつつあるわけでございます。そこで、大きな網として中部圏というものがかぶせられた。大臣はその本部長におなりになったわけでございます。言ってみまするならば、私どもも当時もっと若うございまして、青年代表としてこの発言をさせていただきましたけれども、満蒙開拓の夢も失われてしまった、そのときに、全国青年の事をこの中部山岳地帯に集めて、日本の本土をぶち抜くことによって、ここにいわゆる日本のスイスをつくるのだという、そこに政治家の夢が託されて、あのような法律が、東海道案よりも一日前に、中部の中央道のほうがこんなに希望されているのだということで、満場一致議決せられたことを思い出すわけでございます。いまようやくここに各省の事務的な問題を持ち寄っての中部圏ができようといたしております。したがいまして、単なる中央道を通すということだけに終わるのではなくして、中央道の中から派生してくるところのいわゆる精密機械の工場の問題もあるでしょうし、あるいはまた畜産の問題もありましょうし、あるいはまた腐りつつある一億石という木材をここから切り出すという、木材を生かす道もあるだろうし、そっくりそのまま中部を開くところの新しい国づくりがここに始まるのだというスタートにいま立っているという気がいたすわけでございます。したがって、そういう御認識に立って、この中部山岳に対する開発も忘れずにやっていただきたい、こういうふうに思いますが、決意のほどを伺いたいと思います。
  103. 西村英一

    ○西村国務大臣 仰せのように、私も本部長といたしまして十分その趣旨に賛成でございますので、十分力をいたしたい、かように考えております。
  104. 塚本三郎

    塚本委員 もう時間がきたそうでございますから、一言だけ区切りをつけてまいりたいと思っておりますが、最初に申し上げましたように、この地域はあくまで先行的な投資を必要とするということを前提にしていると思うわけでございます。どうにもならなくなったことに対しては、たとえば災害でございますと、被害が大きければ大きいほど各省の予算はとっていただき得るわけでございます。そういう追っかけの、うしろから追っかけた仕事を建設省はなさってこられた。これはもう予算上やむを得ないことであろうと思っております。しかし、中部に関する限りは、こういったことではなくて、先ほどから申し上げておりますとおり、二十年先という計画のもとにいくのでございますから、国家の余力からいいますと無理だというふうに考えられるかもしれませんけれども、しかし少なくとも中部圏の発想というものは、あくまで東のような、あるいは阪神のような状態にならない先に、政治家の力はこういうふうに生かされていくものだという見解を示すという点にあろうかと思っております。したがいまして、いわゆる都市間をつなぎます道路や交通の問題については大臣のほうから御答弁をいただきましたが、そのほか要約的に、いわゆる具体的、先行的に投資をしなければならぬ。これから地方計画が出てくることだと思います。そのとき、これは無理だ、これは無理だというような——確かに当面としては必要のないことがたくさん出てまいると思っております。しかし必要のないときにやってこそ投資効果というものがすばらしくあがってまいると私は申し上げたいわけでございます。あとからあとからまいりますから、土地収用の問題一つにしましても、すべての予算の大半を食ってしまっておるのが建設行政の実態ではないか。いまは困っておらないけれども先行的に投資する。二十年先のすべての地方計画がこれから各県ごとにでき上がってまいることだろうと思っておりますが、それを受けられるとき、常に二十年先を想定しての計画なんだから、したがってそれを受け入れていただかなければ、それを、これは運輸省が文句を言う、これは何々省がだめだ、通産省がこう言ったというようなことを言われたら、もはや出発において中部圏というものの意義がなくなってしまうと思うわけでございます。それはしょせん、ふん詰まりの首都圏を解決すると同じ轍を踏まなければならぬ形になってしまうと思うのであります。したがいまして、中部圏からこれから出されてまいります地方計画といいますのは、ちょっと理想的過ぎるじゃないか、オーバーじゃないか、二十年先でございますからそういうことがすべての問題になってきてしまうと思うのです。そのときこれを大きくくるんで本部長が各省に火の玉となって当たっていただいて、解決をしていただくということでなければ、地方はその熱意を失ってしまうと思うわけでございます。このことに対する本部長の決意を承って、私の質問を終わりたいと思います。
  105. 西村英一

    ○西村国務大臣 御趣旨の点は十分わかりました。私といたしましても十分努力を傾けて、いまお話のございましたように十分やりたい、かように考えております。
  106. 森下國雄

    森下委員長 岡本隆一君。
  107. 岡本隆一

    ○岡本(隆)委員 近畿圏は御承知のように、ことに和歌山、京都あるいは奈良というところは台風の常襲地帯でございまして、今度も兵庫県に大きな災害が出ております。またけさのテレビによりますと、きょうも近畿圏は相当な雨が降り続いておるというふうなことを報道いたしております。したがって私は今度の災害の発生にかんがみまして、まず災害対策から大臣にお伺いいたしたいと思います。  昨年山梨県で大災害がございました。一昨年はたしか山陰にあったと思います。ことしはかなり広範な災害が西日本に発生いたしておりますが、しかしここ二、三年の災害は従前とその性格が非常に変わってきているということが言われております。そこでその災害の変わってきたのは、どういうふうに従来と変わってきておるか。そこでまた政府はそれにどう対処しようとしておられるか、こういうふうな点についてまず建設大臣の御見解を承りたいと思います。
  108. 西村英一

    ○西村国務大臣 災害は、ずっと前のことは別といたしまして、四十年、四十一年の災害等を見ますと、また今回の河川災害等を見ましても、都市周辺の中小河川による災害と、いわゆる急傾斜と申しますか、がけくずれと申しますか、そういうようなものが崩壊して、そして非常にとうとい人命をなくしたということが顕著にあらわれております。中小河川につきましては非常に局地的集中豪雨に弱い。また集中豪雨があっても河川に対しての非常な暴威をふるうような状況になった。これには何か原因があるのだ、つまり上流がいろいろな意味で開発される、また沿線には施設がたくさんできたという社会変化によって、局地的集中豪雨に非常に弱いということが顕著になっておるのでございます。それとともにがけくずれの問題でございますが、これがまたわが国の事情といたしまして、地形の関係上どうしても平地が少ないために、安い土地を求めて宅地が造成され、住宅が建てられるというような傾向にもありますので、今回の事故がまさにそのとおりでありますように、四十一年も四十年もそういう事故であったように見受けられます。したがいまして、そういうようなことにつきまして、つまり中小河川対策、急傾斜地対策というようなものについて、新しい気持ちで取り組んでみたい、かように考えておる次第でございます。
  109. 岡本隆一

    ○岡本(隆)委員 災害がいわゆる大洪水という形から土砂くずれ、あるいはまた大きな河川から中小河川、こういう形で災害の形が変わってきた。それに伴ってきのうの毎日新聞は、総理が重点を中小河川に置きたい、こういうようなことを方針として出されたというようなことが報道されておりました。あるいはまた昨日の朝日新聞でございますが、建設大臣は、四十年度に発足したその当時の治水五カ年計画をことしで打ち切って、来年から新治水五カ年計画を発足させる、こういう方針を明らかにされたということが報道されております。そして八千五百億の治水計画の事業量を新たにうんと増加するということでもって、それに都市河川対策と洪水調節のためのダム建設との両方をうんと促進するんだ、こういうことが報道されておりますが、建設大臣としては、それじゃその事業量をどのくらいの程度にまでやりたいと思っておられるのか。あるいはまた、ここに発表されているように都市河川対策を中心とする、それから洪水調節のためダム建設を一そう促進する、こういうふうなことを骨組みとして新計画をお立てになるおつもりか。新聞に報道されておりますので、その辺について建設大臣からお伺いいたしたいと思います。
  110. 西村英一

    ○西村国務大臣 それはどの新聞か知りませんけれども、記者会見のときに、この現行の五カ年計画を改定するとは言わなかった。検討をしなければならぬだろう、元来は五カ年計画は五カ年のスケールでずっとやりたいのだけれども、こうせぬと、予算だけの問題であるならば来年の予算を現在の五カ年計画でもって繰り上げてやればいいのだが、新しい事柄が入ってきておるようだ。新しいことをこなすのには、やはりこれは五カ年計画を検討しなければならぬのじゃないか、こう言ったわけで、したがって、もし五カ年計画が改定されるとしても、その規模がどうで、どのくらいな金になるかというようなことは、私は申しておりませんが、もし新聞でそういうことが発表されたとすれば、何かやはり憶測とか他のほうからの情報で書いたものではなかろうか、まだ全然その規模等については考えておりません。ただ事柄といたしましては、新しく入りましたことは、やはり中小河川はいまやっております。やっておりますが、これを大々的に取り上げるというと、岡本さんも御承知のように、一口に中小河川と言いますけれども、中小河川は非常に金がかかる。にっちもさっちもいかないような、たとえば東京都の中小河川、おたくのほうでもありましょう。都会地の内水で困っている中小河川等は非常にばく大な金がかかります。大河川をやるのと同じ金がかかる。したがいましてそれを急速にやるということになりますと、なかなか現行の計画では対処できないだろう。それからまた一つ入ってきたのは、急傾斜対策であります。もう一つ考えられるのは、降った水はためておきたい。これはいままでは多目的ダムではやりましたが、ただ単に水をたくわえる、こういうものにつきましては、今年初めて十カ所やっておるわけであります。これを大々的に来年度はやるということになりますと、いま言ったとおり、現行五カ年計画を検討しなければならぬのではないか、かように考えておりますが、金の問題はまだ考えておりません。
  111. 岡本隆一

    ○岡本(隆)委員 しかし今度の災害にかんがみまして、ことに今度は西日本に非常に広範にやってまいりました。したがって、こういう災害にかんがみて治水対策について格段の配慮をさらに加えなければならない。いま大臣は検討するとおっしゃいましたが、再検討をしなければならぬということは、これは私も大臣がそういうふうな御意見を発表されても当然であると思います。しかしながら、それでは従来の治水対策というものの重点を置きかえるというふうな考え方でいいのかどうかということなんですね。大河川中心主義から中小河川へ重点を移すということになってまいりますと、いままでの五カ年計画予算の進め方、いままでは大河川重点にやっておったが、それを少し予算中小河川のほうへ回すのだというふうなことでやりますと、これは問題があると思うのです。伊勢湾台風であるとか、ああいう超大型の台風がやってまいりましたときには、まだまだ日本の国土はもろい。伊勢湾台風であるとか、第二室戸というような大台風に対するところの、たとえば大阪、東京の高潮対策であるとか、もしもあのとき伊勢湾台風によって名古屋に来たり、あるいはまた第二室戸によって大阪に来ましたような高潮が東京湾にやってまいりましたら、現在の東京の防潮施設では、とてもこれは防ぎ切れるものではないと思うのです。だからそういう意味では、ああいう大台風に備えるところの守りはさらに堅固していかなければならないが、従来中小河川であるとか、あるいは土砂くずれ、さらにはまた奥地になってまいりますと、砂防でございます。砂防というものが軽視されておって、大河川ばかりに目を移して——それは非常にはでに見えますから、同じ治水投資をいたしましても、大河川は非常にはでに見えます。ダムははでに見えます。そういうはでなことにはどんどん投資しておって、じみな中小河川であるとか、砂防工事、山奥で何をやっているのか——もう何億、何十億、あるいは何百億金をつぎ込みましても、立山だとか、あるいは日本アルプスの奥地でやっておるような砂防工事は、現にそれで恩恵を受けておるのであるけれども、全然下流の人にもわからない。私は一昨年でございましたか、鳶山の砂防工事現地を見てまいりましたが、なるほど砂防というものはたいへんなことをやるもんだ、しかしその恩恵を受けておるところの富山の人たちは、一部の人は知っていましょう。しかしながらほとんどの人はあのような大工事によって富山が守られているということを富山の人も知らない。だから砂防というものは非常に軽視されておりますが、そういうふうな従来軽視されておったところの砂防であるとか、あるいは中小河川対策、いまは金がかかって困るとおっしゃる。そのとおりなんですね。中小河川の周囲は都市がどんどん発展してまいりまして、その都市が発展してきたところがはんらんをしてきているわけです。だからそういうようなところの河川の拡幅であるとかいうようなことになってまいりますと、たいへん用地費にお金がかかってしまって、これはいまおっしゃるとおり事業が非常に困難。しかしながら、だからといって、それは放置しておけばますますひどくなっていきます。だからどうしてもそれはやり遂げていただかなければならぬということになってまいりますと、従来の治水計画にさらに大幅なかさ上げといいますか、資金、事業量をうんと増大をして、日本の災害防止に当たらなければならぬと思うのでございますが、七月十一日の毎日新聞を見ますと、総理は重点を中小河川に置いて——これは報道陣のほうの印象で主観が相当入っているのかもしれません。しかしながらこういうふうに重点をいままでの大河川中心主義から中小河川に切りかえるのだ、こういう行き方でありますと、また今度は大はんらんが出てまいります。だからこれは両々相まってやっていかなければならぬ、こういうふうに思うのでございますが、建設大臣としては、どういう見解をお持ちでございますか。これはもうやはり何といいますか、政府の方針をきめていく一番中心になります所管大臣は建設大臣でございますから、建設大臣としての御見解を承っておきたいと思います。
  112. 西村英一

    ○西村国務大臣 やはり大河川に計上すべき予算中小河川に持っていくというような意味には私も言っていないつもりでございます。大河川に対する改修というのは、いまお話がございましたごとく、大台風にはやはり備えなければならぬのでございます。従来どおり、また従来にも増してやっていかなければならぬ重要な問題がたくさんございます。しかし、ここに新たな問題が社会変化によって、特に中小河川に問題が起こってきましたので、やはりその問題はプラスして今後いくのだということでございまして、一方の犠牲において一方をやる、こういうような考え方は、私はいたしておりません。
  113. 岡本隆一

    ○岡本(隆)委員 先ほど大臣がおっしゃいましたように、都市周辺ではどんどん宅地開発が進んでおります。ところが従来たんぼであったところにある川というのは、これはいわゆる農業用水路でございますね。その農業用水路のままでもって、どんどん宅地開発が行なわれる。ところがいままでですと、降った雨が相当量たんぼに湛水されまして、それからまた地下にしみ込んでいきました。ところが、いまは降った雨は屋根から直通ですぐ水路に流れてまいりますから、至るところではんらんを起こすというのが、これは都市周辺全部の通例でございますが、これはやはり都市計画法が今度できますから——できますからと言いましても、今国会では成立をいたしません。まあ来国会になりますか、来国会もあれだけの大法案でございますから、成立は相当先になると考えなければならないと思うのでございますが、そういうことになってまいりますと、それにいたしましても、とにかくこれは都市排水ですね、都市周辺の排水施設というものを相当急速に進めていただかなければ、これは至るところではんらんを起こしておりますし、起こしてまいります。政府としてやはりこういうふうな問題を従来相当なおざりにされておった。宅地開発が進められるような地域についてはもう先に、先行的にどんどん排水路をやって、そうなってくればいわゆる都市の公共下水道になってくると思うのでございますが、そういうふうな施設としての排水施設。同時にまた至るところそういう地域では人工排水が必要になってまいりますが、そういうような施設も足りない。だから九日の晩の豪雨にいたしましても、たとえば京都市の西南部でも至るところ相当な浸水が出ております。しかも人工排水施設もできていない、不十分である。宅地化に、つまるところは開発に施設が追いついていっていないということのために災害がどんどん出ているわけでございますが、これは都市計画法ができたからといって、もうすぐにそれでは各地域が都市計画によってそれが全部解決されるというようなわけのものでもない。建設省としては都市計画を進める過程の中にこういうふうななにを、都市周辺のすでに発展してしまっている、相当発展してきた市街化された地域、こういう地域の現在浸水の常襲状況をどう解決されますか。やはり相当、いまの中小河川に重点を置くと言われるなにと、それでもって解決すると言われるであろうと思いますが、それならそれで、現在の中小河川に対してどれくらいの事業量、資金量、何倍くらいのものを投入しなければならぬかというふうな大体の目安でもつけておられますかどうでありますか、承りたいと思います。
  114. 西村英一

    ○西村国務大臣 仰せのとおり、とにかく、いまやっと気がついたんです。やっと気がついたという言い方は悪いかもしれませんが、実は私は先般三多摩の日本住宅公団の宅地の造成を見ました。住宅公団に、川の人が、河川をやる人が一体どうなっておるか、まあこう聞いたわけです。やはり私はどうも納得ができない。あそこをあれだけの土地を切り開いてやれば、まさに宅地造成河川の問題になってくるです。非常にまあやってみて、おそらくいまようやく日本住宅公団も気がついて——前から気がついておったか知りませんが、なかなかたいへんなことになるわけです。もちろん上水道を入れることはともかくとして、この降った雨を、あれだけの宅地造成のところへもう集中的に、局部的に降ったとすればたいへんな水の量になってくるわけです。したがいまして、そういう点、また宅地造成といっても、この川の問題、水処理の問題、それからまた交通の問題と、関連することが非常に多いのでございます。しかしこれらにつきましては徐々に総合性を持ってやらなければならぬと思っております。  それから、一体どれぐらい中小河川に金をつぎ込んだか、こう申しますが、局長がおりますからわかりましょうが、大体四十二年度は一般的河川でもって九百二十七カ所かかっております。そのうちでもって、いわゆる中小河川として都市河川災害河川——その中小河川うちの特に悪い、気をつけなければならぬもの、つまり改修を促進する河川は三百三十カ所でございます。相当にたくさんな河川、千カ所になんなんとする河川にかかっておりますが、特にひどい三百三十河川にかかっておるわけでありまして、相当にいまこのワクから申しますると中小河川にはやはり力は注いでおるわけでございます。ワクがきまっておりますから、それだけ大河川のほうを痛めつけておるのじゃないか、こういうことにもなるかもしれませんけれども、一体どれだけの予算をことしつぎ込んでおるか、将来に向かってまだ私は計算をいたしておりませんからわかりませんが、四十二年度の予算局長から説明させます。
  115. 古賀雷四郎

    古賀政府委員 中小の河川改修につきましては、いま大臣の御報告にありましたとおり、ことしは九百二十七河川だけやっております。そのうち特に都市河川災害を受けた河川と、それから他事業の関連河川宅地開発等に関連する河川、あるいは農業構造改善事業に関する河川、あるいは都市の内水河川、そういった問題につきまして三百三十河川を実施いたしております。そのうち特に重点といたしまして災害を受けた河川、それから都市の河川、それから他事業の関連河川につきまして、それぞれ四十二年度におきましては災害河川として六十河川、三十一億、それから都市河川といたしまして四十九河川、五十六億、他事業関連としまして約二十八億を実施いたしております。  最近の集中豪雨等の状況を見ますと非常に雨量強度が強い。特に中小河川は短いわけでございますから、しかも勾配が強いということで、それらの集中豪雨を受けるのには不十分な河川でございまして、われわれとしましてもことしから重点的に都市河川を実施するようにいたしたいと思っておりますし、あるいはまた集中豪雨等の傾向から見ましても、従来の日雨量を上回った河川というのが相当ございます。しかも多いところでは二倍というような日雨量を示しているところもございます。いつも例に引き出しますが、九頭竜川の真名川等におきましては三倍近くの日雨量が出ております。それらの問題を考えてみますと、治水計画を再検討する必要があるというふうに考えるわけでございますが、ただそういう大きな雨に対処するということが一ぺんにはなかなかできないのでございまして、われわれといたしましては、計画の検討を行ないまして、安全度を高めるという形で逐次実施していくように努力しております。
  116. 岡本隆一

    ○岡本(隆)委員 昨日と一昨日、神戸のほうへ私のほうの党から調査に参りました一行が帰ってまいりまして、けさの国会対策報告いたしておりましたが、たとえばまあ神戸の場合、昭和十三年に大災害があった、その当時のお金で三千万円の復旧費をつぎ込んで、それででき上がったなにが大体六割復旧工事ができた。残り四割まだ未改修のままで残っておったが、今度災害が起こっておるのはその四割の未改修部分で大災害が出た、こういうふうな報告でございました。そこで神戸市から出ておる意見といたしまして、とにかく無秩序にがけのところへどんどん住宅が建っていくから、だからもう宅地造成の禁止区域をつくれ——これは今度近畿圏整備法の中に、いわゆる特別保全区域として、特別緑地保全区域ですかとしてたぶん指定されるでありましょうし、またできるだけそういう地域を広範に指定していただくことによって、まあこういう災害を防ぐことができると思うのでありますから、神戸のほうでは、神戸のこうした要望にはある程度近畿圏整備法の運用によっても応じることができるであろうと思うのでございますが、しかしながな小規模な開発が至るところ、あちらこちらで進められておる。宅造法である程度の規制を受けてやればやれるというもの、やっぱり危険建造物をどんどんつくっていっているということになるのでありますから、やはりいまの宅地造成規制法を改正して、もっときびしく、そして小さな宅地開発などということはこれはもう許さないようにするというふうなことのほうがむしろいいのではないかと思うのでございますが、それについての大臣の御見解を承りたい。  もう一つは、神戸の例でございますが、下水道の使用能力を越えて宅地開発が進められていくので、もう下水道はとても大雨のときには持ち切れない。だから下水からどんどん吹き出して噴水のように水があふれて出て都市の水害をつくっているというふうなことでありますが、これはやはり下水道というものをそういうふうな神戸とか——神戸は古くに下水道ができた。ところがもう細い管に広い範囲の宅地開発された部分がみなつながれておる。雨が降らないときはのみ込めます。しかしながら大きな雨になればのみ込めない。いまの下水道は雨水と下水と共用でございますね。これはやっぱり雨水だけを別に流すような施設を、そういう地域については考える必要があるのではないかというふうな点でございます。  それからもう一つ、問題として指摘されておりましたが、災害を受けた中に、河川敷を不法占拠していた家族が相当含まれておる。あぶないのを承知で河川敷を不法占拠しておる。各都市、神戸もそうであります、京都もそうです、鴨川を不法占拠しておるなにが相当ございます。それで一たん、これは危険だからということ、あるいは川のためにもよくないということ、あるいは美観の問題、いろいろでもって、何といいますか、災害復旧住宅を建てて、いつのときでございましたか、そこへ入れて一たんきれいにしたのです。ところがまたいつの間にか河川敷が不法占拠されておる。いまでは相当戸数がやはり現在鴨川の堤防の上にあります。あるいは中小河川である紙屋川の河川敷にも相当不法占拠で住宅があるというようなことでございますが、これを一体建設省として、これはもう全国的なものとして、それぞれの地域で、知事なりそれぞれの直接の管理者がやればいい、そういうことかもしれませんが、そういうことでは私はいかぬと思うのですがね。だから全国的に河川敷というものは、そういうふうな不法占拠は絶対許さぬというはっきりした規律をもって管理することが必要であると思うのでございますが、その三点について大臣からお答えを願いたいと思います。
  117. 西村英一

    ○西村国務大臣 第一点でございますが、これは調査官が神戸に行きまして、今度事故が起こっておるところは宅地造成等の規制法の適用指定区域を受けておったところであるかないかという点、それから、もし受けておったところで、その造成事業がどうなっておって、どういうような事故を起こしたのかというようなことを調べてもらいましたら、はっきりしたことはまだわかりませんが、今回の事故は適用外のところがだいぶある。それは自然の山くずれだ。一体自然の山くずれってどうなんだと言いましたら、あすこは花こう岩地帯であって、自然の風化によって年々歳々弱くなっておる。そのところに局地的な豪雨があったものだから、たまたま今度多くの被災者を神戸で出した二カ所はほんとうの自然の山くずれだ、こういう報告でございます。しかし、これに対処するためには、急傾斜地対策というものが今回新しくできたのでございまするから、こういう問題につきましては、今後どういうように対処していくか、自然の山くずれというようなものにどう対処していくかということでございます。規制区域をもう少し厳重にしたらどうか。厳重にするという意味は、いまこれの実施は各知事にまかしておるわけであります。したがいまして、さらにこの技術の基準を改正をして強化するかどうかという問題になります。この点につきましては、皆さま方にまた法律の改正で御相談を申し上げなければならぬかと思われますが、目下実情を調査中でございます。  第二番の、下水道の問題ですが、実はこれも、下水道の設計をするときは一体一時間の降雨量を幾らにとるか。尼崎を聞いてみますと、尼崎でいま下水道をやっていますが、四十五ミリというわけです。ところが今度降った雨が七十ミリでございます。それだから、管一ぱいはかしても四十五ミリしかはきませんので、あとは、町がつかるのは当然なことになっておるのでございます。四十五ミリなんというと少ないじゃないか、もう少し雨が降ることはあたりまえじゃないか、こう申しますと、役人の言うのには、そういうことをいって、たまたま何年か、十年か二十年かに一ぺんしか降らない雨を相手にして——それは大きいほどはけます。それは百ミリなら百ミリの雨量で設計すればはけるけれども、百ミリの雨というものは百年に一ぺんか七十年に一ぺんかだ、そういうピーク時を設計の基準にとればばく大な金がかかると言うのです。やはり中央線の電車と同じで、ラッシュアワーのやつを平常にはかすためにはたいへんなことになるのと同じで、やはりある平均値よりもちょっと上のところでしか設計上とれないと言うのです。とればばく大な金がかかる、こう言うのですが、いま御提案にもなりました、下水と雨水をそれなら分けたらどうかということは、ああいう特殊な地域については必要じゃないかというようにも考えられますから、これは検討してみたいと思います。  河川不法占拠でございます。これは実際は私はわかりません。河川管理ということと他に、やはりほかの社会的問題があるようでございますので、もしあれだったら、従来の取り上げ方等につきまして河川局長から説明をさせます。
  118. 古賀雷四郎

    古賀政府委員 河川不法占拠が現在多数ございます。熊本市内とかあるいは広島市内とか、あるいは各所にあるわけでございます。たとえば鶴見川の市内だとか、河川改修をやる場合に、それらの立ちのき問題でいつも非常に頭を悩ましております。代執行してやったところもございますし、それぞれ対策を毎年そういったことの会議をやりまして実施いたすようにいたしておりますけれども、現実問題がなかなか解決しない。まず土地の問題、それから住宅の問題、それぞれを勘案して、やはり生活ができるような形を考えなくてはいかぬということで、非常に総合的な調整を要しまして、われわれもこの解決には非常に苦慮しているところでございます。しかしながら、御指摘のように不法占拠があるとしましても、洪水のときには人命が被害をこうむりますし、また不法占拠がじゃまになって洪水の疎通を害するという点もございますので、これらの対策につきましては、御指摘のとおり格段と努力いたしたいというふうに考える次第でございます。よろしく御指導をお願いします。
  119. 岡本隆一

    ○岡本(隆)委員 この河川不法占拠でございますが、私はやはりパトロールが足らぬと思うのです。その次には、たとえば不法占拠している家でも電気は供給されるのです。京都なんかでは、不法占拠をしている者に対して水道まで供給しているのです。河川敷の中へ公共施設の水道管が運び込まれている。こういうふうなことでは——これは快適とは言えないまでも、まずまずどうにか暮らせますから、そういうところへは政府間で話し合って、不法占拠をしているような向きには、通産省と話をして電力は供給しない、ガスは供給されなくてもプロパンが今日ではございますから、これはやむを得ないかもしれませんが、少なくとも水道や電力くらいは供給されない、こういうことでなければ、せっかく河川敷のクリアランスをやりましても、またそこへ新たなる闖入者が出てくるというふうなことで、ちょうどごみの上のハエを追うようなことになるわけです。だから、これはやはり政府として、この河川管理をどうするかということについて、各省間でよく話し合って、協力をしてもらって、河川敷は、住むとしても非常に条件が悪い、そこへパトロールをやられて始終出ていけ出ていけと言われるのでは、落ちついて暮らせないというふうなことから、新たに来る人はないようにし、現在住んでいる者については、今後適当な住宅を考えて、応急住宅のようなものでも提供することによって、全国河川を一度きれいにしてしまって、その上で今後河川を絶対に占拠させないというふうな方針を、この機会に国としてはきちんと打ち出される必要があるのではないかと思うのです。ことに、こういうふうに災害が都市の中あるいは都市の周辺の中小河川に出てくるということになってまいりますと、不法占拠されているのが非常に多い。そうすると、それもやはり災害救助法で救助もしなければならないし、応急住宅を建てて入れもしなければならぬ。災害が起こってから応急住宅を建てて入れるくらいなら、あらかじめそういうふうななにについては防ぐと一緒に、現在住んでいる者については、先に応急住宅のようなものへでも収容して、河川をきれいに管理するということが必要ではないかと思うのです。  それからもう一つ、下水道の問題でありますが、なるほど四十ミリの降雨量で計算してあるものが、百ミリ降ったらとてものみ切れぬ、そのとおりなんですね。だから、そういうときには——下水道の管理をしている人に聞きますと、全部自然放水で流しちゃうんですね。だからたとえていえば、相当雨量がある、そうするとある程度のものは、たとえば京都の下水道なんかでも、下水道の本管へのめないものはひとり鴨川にあふれ出るように下水道というものがつくってあるというんですね。そういたしますと、雨量が多いときには、うんと薄められているからそれで無害なのだ、こういうことなのですが、しかしうんと薄まれば、それはし尿が相当まじっていてもきれいだ——きれいだとまではいかぬでも、薄まっているから、いわゆる汚染の程度は少ないからいいんだということでもありましょう。しかし、やはり黄色いかたまりがぷかぷか流れてくるということにおいては変わりないのでありますから、下水道は下水道として、四十ミリのものを計算してやれば、大量の雨水を下水道へ入れずに別に流すような施設を、都市計画をやるときには、下水道は下水道として、なるべく下水のものだけを流していく、ほんとうの汚水だけを流していく、そして大雨にあっても、それを受けるだけの排水路というものはやはり整備すべきじゃないか。私は、都市の下水道というものをこれからつくっていく場合に、全部下水に始末するというのでなしに、やはり公共の排水路というものを別に都市計画の中へ織り込んで考えていくべきじゃないだろうか、こういうふうに思うのでございますが、これから新しい都市計画法ができ、それについてどういうふうな都市計画をやっていくかということについての政令とか、そういうふうなものもでき、これからの町づくりの計画というものは、新しい都市計画法ができましたら、やはり新しい観点に立って、これから町づくりというものを考えていかなければなりませんが、やはり私は、大雨だけは別にのむような水路計画というものは、都市計画のときに立てておくべきでないかと思うのでございますが、いかがでございましょうか。
  120. 西村英一

    ○西村国務大臣 不法建築に対して、建築基準法はあってもなかなか守られないわけであります。そのときのきめ手は、いま言いましたように電気をとめたらいいじゃないか、ガスをとめたらいいじゃないか、水をとめたらいいじゃないか、こういうことなのですが、今度非常に不法建築が多くなって困るというから、やってみたいと思っていろいろ調べたのですが、できないのです。つまり電気事業法によって供給しなければならない、ガス事業法によって供給しなければならない。水道法によって供給しなければならぬということになっておって、できないのです。そんなばかなことはないじゃないかといっても、判決があるわけです。やはり不法建築について法律上、電気事業者は独占事業として、それが不法建築であろうとどうであろうと、判決でやはり供給しなければならないようになっているようです。したがいまして、これは行政上やる以外にないと思います。もう少し法律上も研究してみたいと思います。いま言いましたように、不法建築があって、それに生活できるようにするからそういうことが起こるのだというのは、ほんとうにもう簡単な考え方でできるわけでありますから、私はその点で、今度ちょっと試みてみようと思ったのです、今回の都市計画法の改正につきまして。できないというのです。それは裁判になると負けるというのです。もっと研究してみたい。ただし、行政上やるということは、行政上こちらが電気事業者に話して、そういうところはなるべく送らないようにという行政上の措置はできると思いますが、一方裁判で訴えられますと、やはりできないことになるので、これはもう少し検討したいと思います。  それから下水道と雨水処理の問題ですが、これもやはり全部というわけにはいきませんが、私は、特定なところはやはり分離して考えるべきじゃないか、かように思っておりまするが、今回の事故等も参考にいたしまして、将来に向かって検討したい、かように考えております。
  121. 岡本隆一

    ○岡本(隆)委員 いまのたとえば神戸市、これも下水道を太いのに入れ直すとすればたいへんでしょう。そうすると、これはもう開放式の、とにかく別の水路をつくって、大水はそこへのませる、地上に降った水はそこへのませるというふうなことは当然考えなければならぬと思うのです。だから、これはやはりこれから都市計画のときに、当然ある程度のものは下水にのませるが、地上に降った大水は別に流してやる、そういうものを一緒に考えておかなければこれは十分なものといえないと思いますから、ひとつそういう点について御検討願いたいと思います。  それから、大臣のいまおっしゃいました不法建築物に電気事業法あるいは水道法によって供給しなければならないのだというお答えでございますが、これに法律改正したらいいのです。閣議で話し合って、政府部内でやられるならばやれるんですよ。法律改正しなければいかぬという意味のことを私は言っているのです。それはたとえば、豊中市で、供給をストップするしないで問題になって委員会で見にいきましたね。そういうことが電気事業法によって、あるいはガス事業法によってできないというたてまえになっておるということは知っております。だから私は言うのです。しかしながら、そういうような不法建築というようなものが現在堂々とまかり通っているというところに問題があるわけで、これは建築基準法も改正しなければならぬと思うのですね。不法建築なんかして、そして基準に合わない、建蔽率はもちろんのこと、防火、あらゆる点で規制を全然無視しておるというふうな建物に対して、それは、入居させない、住まわせないということがほんとうのあり方で、昔、ずっと以前、戦前にいまの建築行政が警察の中にあった時代がございます。そういう時代には、検査を受けてパスしなければ住めなかったのです。またパスしなければ便所も使えなかったのです。そういう時代があったわけですね。そういう非常に強い権力主義がいいとか悪いとかということについては検討の余地があるのかもしれませんが、しかしながら、少なくもやはり自分が住む家であり、自分の身の安全を考えるならば、やはり適正な規格に合ったものに住まなければいけないでありましょうし、わずかの建築費、建設費を惜しむのために、防火上あるいは災害防止上あぶないところに住むというふうなことは、ひいては生命を失ったりする身の危険になるわけでございますから、そういうことから国民を守るという意味においても、私は、ある程度いろいろな規制をして、やはり適正な基準に合った住居を建てなければ住めないということにし、少なくもガスや水道は供給を禁止させるというようなことは、これは法律改正でできるわけなんですから、だからそういう点をひとつ大臣からももう一度各所管の大臣にお話をしていただいて、やはり法律改正まで持っていってそういう規制をやるべきである。またそれができないとするならば、やはり建築基準法の改正によって入居はさせないというところまでいかなければなりません。しかしそれはかってに入ってしまったものを出すわけになかなかいかぬでしょう。だから間接的な手段で制約を加えていく以外に道がないから、やはりそういう点をもう一度大臣のほうで努力し、不法建築に住まないような規制をしていただきたいと思うのです。  それからもう一つ重要な問題は、新しい五カ年計画に、大臣が今度かりにいまの都市周辺の中小河川の改修を促進するのだ、あるいはまた土砂くずれを防止するのだというような施策を新しい計画の中に入れていかれるとするならば、これはぜひひとつ砂防をもっと強化してもらいたいということですね。いまの日本の治水計画の中で砂防が一番おくれている。これはこの前の治山治水緊急措置法が問題になったとき、私はその点を指摘して非常に強調したわけです。この前の緊急措置法に基づく現行計画では河川が五千億で五八%、ダムが千七百億で二〇%、砂防も同じように千七百億で二〇%、構成から見ますと六〇%と二〇%、二〇%というふうになっております。けれどもそれを建設省が必要と考えておるところの治水の全体計画治水水系計画という名で建設省は発表されておりますけれども、それから見ますときには、現行計画治水水系計画の中にどれだけのパーセンテージを占めるかといいますと、河川は一〇・八%、約一一%、ダムが二八%、砂防が五・五%なんです。だから、治水水系計画全体、日本の治水上八兆三千億の投資が要る、その八兆三千億の投資の全体の計画から見ると、ダムが二八%をこえておって、砂防は五・五%だ、こんなに砂防が取り残されておるのです。だから、目に見えるところの河川事業やダムというふうなものはどんどん進める、ことに大臣が先ほどおっしゃったように、降った水はほしいのだからためたいというふうな考えもあって、ダムばかりがどんどん先行して、それで砂防がずっとおくれているのです。その砂防のおくれていることが、去年の例の山梨県の梅ケ島ですか、あそこらの大災害になって出てきているわけです。あそこも、いまから何年前でございますか、ずっと以前に大崩壊が奥でありまして、砂防をやらなければならぬということが指摘されておりながら、それが不十分であった、そのことのためにああいうふうな大災害が起こってきているわけなんです。だから、砂防があまりおくれておるということは、河川は何ぼ河川事業をやっても、どんどん土砂を流して河床を上げていく、ダムをつくっていくだけダムを埋めてしまって、洪水調節能力も弱めていくということになりますから、これはやはり、すぐにああ進んだなというふうには砂防は目に見えません、だから砂防というのは金の入れがいがないようでありますが、やはり治水の中で非常に重要な役割りを持っておる。さればこそ、治水に必要な費用の大体三分の一は全体計画としては砂防に投入しなければならぬということを、建設省も数字としてはじき出しているわけです。だから、そういうふうな砂防を非常に軽視されているということが、私は日本のいまの災害をつくっている大きな原因だと思いますので、これはひとつぜひ砂防というものをもっと重視されるようにお願いしたいと思うのです。
  122. 西村英一

    ○西村国務大臣 砂防を軽視しておるわけではございませんけれども、まあ予算をどういうふうに、アロケーションをどうやるかということによってきまるのですが、これは新五カ年計画をつくる場合には十分検討したいと思います。  なお、今年度、四十二年度の砂防に対しましての配賦額は、一般の河川よりは比率については相当大きくなっておりゃせぬかと私は感ずるのですが、局長いかがですか、ひとつ答弁してください。
  123. 古賀雷四郎

    古賀政府委員 砂防事業の大事なことは大臣から御説明がございましたとおりでございますが、四十二年度予算におきましては、砂防は一八%の伸び率でございますが、河川は、事業費としては一六%程度の伸び率でございます。したがいまして、砂防には重点を置いて実施しているわけです。特にダム等につきましては今回行なわれた治水ダム等につきましても土砂扞止という目的も持たしているわけでございまして、これは効果を持っているわけでございます。それから、砂をためたほうがいいか流したほうがいいかは、河川の特性によりましていろいろ違うわけでございます。流していい川もあるわけでございます。いま全国で河床が下がって非常に困っている川が多数ございます。それで、その辺を調整をとりながらやらざるを得ないというふうに考えますので、その辺の計画は十分われわれといたしまして検討いたしまして、御趣旨に沿うようにしたいと思いますし、砂防事業を決して軽視しているわけじゃございませんので、御了承を願いたいと思います。
  124. 岡本隆一

    ○岡本(隆)委員 一八%で、ダムの一六%に比べれば伸び率は高い、こういう御意向でございますが、しかしもともと小さいものを少々伸び率を伸ばしてみたところで、何ぼも伸びぬですよ。そういう全体計画として、とにかく八兆三千億の投資の中で三兆一千億必要だ、砂防事業に投入せぬといかぬということは治水治山計画建設省が打ち出しているのです。大体八兆三千億の三分の一強ですね。三七%を砂防に投入せぬといかぬということを治水治山計画に強調しているのですよ。ところが、それでは昨年が何ぽかと言えば二〇%でしょう。全体の均衡がとれたと言えるのは、三七%のなにがあって大体均衡のとれた治水事業が行なわれているということが言えるわけです。それが二〇%なら本来あるべき姿がぐっと落ちているわけです。そういう意味で私は砂防の伸び率が一八%ではまだまだ不十分だから、もっと砂防というものを考えぬといかぬということをいま申し上げておるのです。その点は大臣にも御理解を願っておきたいと思います。  それからもう一つ、今度の災害について新聞を見ておりますと、神戸では上にゴルフ場をつくったことが大きな災害原因になっておるというふうなことが新聞に報道されておりました。林野庁、お見えになっておりますか。——いまあちこちにずいぶんゴルフ場がつくられまして、至るところの山が相当切り開かれていっておるのは御承知のとおりです。いつかも、自民党の川崎さんと思いますが、運動場よりもゴルフ場のほうが多いじゃないかというようなことを質問されておったのを新聞で見ましたが、とにかくそれは国土の広いアメリカなら何ぽでもゴルフ場をつくってもいいと思うのです。しかし日本ではまだこれだけ住宅難で国民は困っておるし、それからまた山は荒れてこうしてどんどん災害が出る。しかもゴルフ場をつくったことが災害原因だ。これは単に神戸だけでなしに京都なんかでもそういう傾向が出始めております。ゴルフ場をつくったために出水が一時非常に多くなってきたという報道が出ております。一体林野庁はどういうおつもりですか。ゴルフ場をこれからも何ぼでもつくらせるつもりか、あるいはここらでゴルフ場は押えるつもりか、これははっきりしてもらわぬと困ると思うのです。
  125. 手束羔一

    手束説明員 一般の森林につきましては、転用について別に法律上の制限がございません。保安林につきましては、保安林を解除しなければ他に転用ができないということでございますので、保安林をゴルフ場にするというような場合につきましては、これは十分審査をいたしまして、そしてどうしても一部解除せねばならぬというふうな場合におきましてはこの保安林に十分かわるべき防災施設を設計いたしまして、その実行を監督しつつやるということになっておりますが、一般の森林につきましては現在のところ規制がございません。
  126. 岡本隆一

    ○岡本(隆)委員 規制がなかったら森林法を改正したらいいじゃないですか。もう至るところの山がぽんぽん切られて、それでもって災害原因になっていく。こういうふうなことでは幾ら片一方で砂防をやっても、また片一方で幾ら治水施設をつくっても、そういうことをやられたのでは切りがないのです。だからこれだけゴルフ場があって、ゴルフ族といわれる人がどれだけおるのか知りませんが、しかし庶民にはあまり縁がないですわ。そういうふうな人たちの遊ぶ施設をそんなにつくらぬでも、運動しようと思ったらもっとほかにも運動のしようは幾らもあるのです。だからゴルフ場をつくることについて、私は別にゴルフがいけないと言うのじゃないが、しかし山をあまり荒らされたら困るということを言うのです。また森林資源を涵養せねばいかぬとか、いろいろ林野庁のほうでは考えていらっしゃると思うのですが、一面山をぽんぽん切ってゴルフ場にするということはよろしくないと思いますから、ひとつそういう点十分検討して、将来そういう方向に持っていってもらいたいと思うのですが、いかがでしょう。
  127. 手束羔一

    手束説明員 森林の転用につきまして、一般の森林についても十分検討せねばならぬじゃないかというお話、特にゴルフ場等についてはというお話でございます。  いま林野庁が行政のもとといたしております森林法におきましては、保安林にするということ以外にその転用を防ぐという道は、法律的にはないわけでございます。その点につきましては十分御趣旨を尊重いたしましてわれわれもまた検討いたしたい、かように存じます。法律上の問題でございますし、また国民の私権の問題になろうかと思いますので、簡単にはまいらないかと思いますが、御趣旨は十分わかりますので検討したいと思います。
  128. 岡本隆一

    ○岡本(隆)委員 部長、今度は都市計画法で、都市の中の平野で相当住宅も建つ、あるいは工場も建てられる、あるいはいい耕作地になっておるというような地域ですら、私権を制限してきちっと土地利用の用途をきめようというようなことが提案されてくるのです。そういう考え方に変わってきているのです。とにかく国土というものは自分のものと思い込んでもらっては困る。やはり国民の福祉に沿って国土は使わなければいかぬ。だから、少なくとも林野庁——これはそういう面でもっと規制を受けてもやむを得ないと思うのです。ことに災害防止上必要とあれば、当然もっと規制を受けるべきだと思うのです。自分の山だから切りほうだいだ、何ぼやっても政府はどうしようもないのだ、こういうようなことでは、少し私権というものについて点数が甘過ぎるのじゃないか。やはり森林資源を確保するだけじゃなくて、これは治水面にも十分な配慮を加える。そういう意味で、今後はあまりどんどん自由にはやらせないようにしたい、治水面あるいはその他の面を十分考慮して許可が必要ということにする、そういう方向に努力したい、これくらいのことは林野庁もおっしゃっていいのじゃないかと思うのです。
  129. 手束羔一

    手束説明員 ただいまの法制におきましては、さような災害に関連のある場合には保安林を増加指定をする、こういう手段によって現在のところはやるしかないということで、制度的に一般に伐採許可にするかどうかという問題は相当大問題でございますので、もちろん林野についてこれを切ったら造林をせねばならぬとか、さようなことは林業基本法等でも訓示規定としてはきめられておるわけでございますし、またその方向において林野庁としては指導いたしておるわけでございますけれども、突き詰めてまいりました場合に、転用の場合、無断転用してもいまのところ罰則はない、かような形になっておるわけでございまして、これは望ましいということではございませんが、ただいまのところは保安林の増加指定ということで対処いたしたいと思っておりますが、さような御趣旨も入れまして、さらに一般林等につきましての取り扱い等の問題も検討いたしたい、かように考えております。
  130. 岡本隆一

    ○岡本(隆)委員 前の五カ年計画のときに七百二十億の事業費でもって八百五十八億使った、一一八%の進捗率をあげたが、しかしながら金額的にはそうであったが事業量においては五八%であった、こういうようなことが前の治山治水緊急措置法のときにあなたのほうから出された資料に出ておりますのですが、事業費は非常に使っておるが、しかしながら事業量は面積は五八%であったというふうなことは、何に原因していたのでしょうか。あなたではおわかりになりませんか。
  131. 手束羔一

    手束説明員 前のこまかい数字的な問題はちょっと手持ちがございませんけれども、大体傾向といたしまして長期五カ年計画が立てられました際には、その時点におきまする事業単価でもって計画ができるものでございますから、その後におきまする上昇等がありました場合はそれだけ食い込んでくる。それからいま一つ計画を立てます場合においては、大体年々発生いたしまする災害の見込みを立てまして計画を立てておりますが、その見込みよりも以上に途中災害が発生いたしますると進度率が悪くなる。かような関係でさような御指摘があるのではなかろうか、さように考えておりまするが、今後さような点につきましては、不十分な点につきましてはさらに計画を検討いたして善処したい、かように考えております。
  132. 岡本隆一

    ○岡本(隆)委員 治山事業の単位がヘクタールであらわされているのですね。これは何ですか。ほかのなには事業費であらわされておりますが、治山事業の場合ヘクタールであらわされているのはどういうことですか。
  133. 手束羔一

    手束説明員 治山事業は森林の保全並びにこれに関連あるところの渓流工事、これが治山事業になっておりますので、その事業に関連いたしまして保全される森林の面積、これを単位といたしまして予算を出しております。ただしその予算要求におきましては山林一ヘクタール当たり幾ら、こういうような要求をしているようなわけではございません。それぞれの設計におきまして必要なものを積み上げまして、そしてそれを予算要求のもとにいたしておりますが、それで保全される対象面積が幾ら、こういう考え方をいたしておるわけでございます。
  134. 岡本隆一

    ○岡本(隆)委員 そうすると治山事業は元来これは緑化せぬといかぬと思うのです。山腹に木を植えたりあるいは山腹工事をやったりすることによって治山工事は効果をあげていかなければならない。ところがずいぶん渓流にダムをつくっているのですね。そうするとダムをつくった場合は——これは私の解釈が間違っているかもしれませんよ。ダムをつくったら、そのダムの両側の山はだがそのダムによってこれでもう治山事業はできたのだ、こういう考え方に立って砂防ダムをつくっているのですか。あるいは山腹工事をやってもまだ足りないからダムをつくるのだ、こういう意味ですか、どっちですか。
  135. 手束羔一

    手束説明員 場所によりましていろいろなケースがございますけれども、一般的に申しまして、一つの谷間に大きな山腹からの崩壊が起こったとたしました場合に、それをどういうふうにして復旧するかと申しますると、山腹工事もしなければならないし、下の根固めもやらなければならない、こういうことでございまして、それを年次的に実行してまいります場合に、まず下からやらなければならぬという場合におきましては下へまずダムをつくりまして、山腹に治山を拡充するということになりますから、最初はそのダムだけできておるというような場面が見られる場合もありますけれども、全体は上まで関連をいたしておるということであります。
  136. 岡本隆一

    ○岡本(隆)委員 私が考えるのに、これは事業費が一一八%だ、しかしながら事業量は五八%よりできておらぬということは、結局金は使うのだが、山腹工事よりもむしろダム工事をやるためにみんなそれに金を食ってしまう。だから、結局ダム工事で金を食ってしまって山腹があまりやれない、こういうことのためにこういう事業量と事業費との間のひどいアンバランスが出てきておる。言いかえますと、治山事業というものは緑化に重点を置かなければいかぬ。緑化に重点を置かなければいかぬのを、緑化をサボってダムばかりやっておるというところに農林省の治山事業の誤りがあるのじゃないか。治山と砂防とごっちゃにしてそれでどんどんとにかく渓流にダムをつくっておけ、そうしたら少々くずれてきたっていいわ、木はそのうちひとりではえてきよるわい、こういう考え方で農林省はおられるのではないか。私は別に建設省と農林省の間になわ張りがどうというのじゃないのですが、しかしながら治山事業というものを統一した秩序のあるものにせぬといかぬと思うのです。とにかく山腹の緑化を担当しなければならない農林省が、緑化をサボってダムづくりにかかっておるというようなことでは本来の使命をぼくは達成しておらない、こういうように思いますので、これは農林省のほうでもやはり建設省と農林省との間の仕事の分野というものをよく話し合って、あるいはできれば私はこういうものは一本化すべきであると思うのでございますが、この点になるとなかなかたいへんでございますからそこまでのことを私は申し上げませんけれども、本来の自分の分野というものをよく守り、自分の使命というものをよく考えて緑化に対して農林省はもう少し積極的な姿勢をとっていただくようにお願いいたしておきたいと思います。せっかく来ていただいて文句を言って悪いのですが、しかしゴルフ場をつくって神戸災害原因になったというようなことが新聞に報道されたときには、もうちょっと林野庁のほうも恐縮して、やはりおれの指導が間違っておった、これからはひとつそういうことがないように努力したいというようなことをあっさり最初から言うくらいの気持ちを今後ひとつ持っていただくように、私はお願いしておきたいと思います。  それでは災害の問題はその程度にいたしまして、直接法案の内容の問題に入っていきたいのでございますが……(発言する者あり)高橋英吉君から昼めし食わさぬとは人権無視だ、こういう御意見も出ておりますし、それから私これをやりますともう二時間くらいかかると思うのでございますが、ちょっとここらで休憩をしていただいて・・・(発言する者あり)ちょっと相談しよう。  協定が成立しましたので、質問を続行いたします。  これは近畿圏整備法の第十四条に基づいて保全立法が出てまいりました。これも私の期待を裏切ることはなはだしいのです。上田次長もよく御存じだと思うのです。あの十四条の第三項というのですか、「保全区域整備に関し特別の措置を必要とするときは、別に法律で定めるものとする。」これは近畿圏整備法の近郊整備区域あるいは開発区域ですね。市街地開発区域に関する法律が提案されたときに、保全区域についてどういうふうにやるかということも、法律的にきめぬということはいかぬじゃないかということで、そんな子法が出ておるときに、母法の修正をするというようなことはあり得ぬというふうな文句も出ておりました。しかしながら、あえてこういうふうな保全立法をすべきだという考え方整備法の中に入れてもらった。保全区域になるということは、後進性を要求されることだ。後進性を要求されることは、地域の開発がおくれることだから、住民もたいへんいろいろな経済的な影響を受ける。それだけでなしに、自治体も非常に影響を受ける。だからその自治体に対して何らかの特別の補償措置を講じるべきではないかということを私が強く言って、それがもとで、この第三項が修正文として入ったということは、次長よく御存じなはずです。ところが、そんなことと全然別のことばかりここには書いてある。そうでしょう。だから、こういうのが保全立法として出てくる限りは、なるほど特別保全地域も必要でしょう。緑地の特別保全地域というものも必要でしょう。必要ならそれは入れていらっしゃい。しかし、それと一緒に一番こういうことが必要なんだということで、あれだけ論議されたことがこの中に入っていないということは、けしからぬと思うのですよ。これはどういうことなんですか。
  137. 上田稔

    ○上田政府委員 お答え申し上げます。  この十四条の三項に、良識ある先生方のお力でこの項を入れていただきまして、まことにけっこうなありがたいことであると思ったのでございますが、この項によりまして、私どもまず保全区域というものの選定を行なったわけでございますが、その保全区域の選定にあたりましても、近畿圏の均衡ある発展ということを考えますと、地形上から見ましてもどうしても必要である、妥当であるという地域を選ばしていただいたわけでございます。したがいまして、特に近郊緑地の区域でございますが、この区域につきましても、先ほどから災害について御質問がございましたような傾斜地、特に近畿圏は風化花こう岩の地帯が非常に多うございまして、その風化花こう岩の地帯が急傾斜をなして都市の周辺にある。それがまた非常にこわしやすいものであるから、それをこわして住宅をお建てになるということになるわけでございますが、そういう非常に急傾斜地の地帯、現在ではまだ樹林地になっておりまして非常に緑なす山はだをなしているこういう地点を選ばしていただいてやったものでございますから、後進地域と申しましても、地形上からも、地質上からも、現在ある状態を残していくのだということでございますので、そういう意味におきまして将来開発ということを考えたくないような地点を選ばしていただいたのがまず第一点。  それからその次に、そういう地域に対しまして財政援助の対象とするという問題もいろいろあったわけでございますが、この財政援助というか、財政的にどういうふうに考えるか、いわゆる自治省の問題にもある程度関係してくるわけでございますが、これに対して地方交付税をどうするかというような問題がからんでくるわけでございますが、こういう面につきましては、自治省のほうでも、全国的のぺースというか、首都圏の緑地もございますし、また中部圏の緑地もできますので、こういうものとからんでお考えいただいていくようにすべきではなかろうか、こういうふうな観点が第二点でございます。  それから、こういう地点をつくりましたけれども、それの周辺につきましては、開発を大いにやっていこうというような観点に立って、近郊整備地域の建設計画というものを立てております。したがって、そういう面で大いに後進地域ではないようにもちろんしていくわけでございますので、そういうことを考えて、自治体の問題につきましては後日の検討に譲ったわけでございます。
  138. 岡本隆一

    ○岡本(隆)委員 大体保全区域については四段階あるわけですな。それで、最初保全区域についての保全立法を出さなければならぬのを、出しにくかったから、古都保存法が出てきたんですよ。だから、近畿の中にも古都保存法によって保全される地域があります。その次に保全地域、それから特別保全地域と、近郊緑地保全地域と、この四段階に分かれているわけですね。それで、四段階に分かれておりますから、いろいろの地域があります。あなたのおっしゃるような、傾斜地で、それはその地域の保全のためにむしろ開発しないほうがいいのだというような保全地域もあれば、国民のレクリエーションの場として保全すべきだというような保全地域もあるわけなんです。たとえていえば、例を広沢の池の近くの京都の洛北にとりますなら、あそこらは住宅地としたら非常にいいところです。しかし、住宅地にされたら困るから昔のままに置きたいということで、広沢の池のそばはもうこれは古都保存でやられておりますが、とにかく保全にされている。そうすると、そこのところは、保全されて開発がうんとなにだから、これはいまの固定資産税は減免しましょう、しかしその減免した分だけは財政補てんしましょうというようなことになっていると思うのです。ところが、それに似たような地域は幾らもありますが、固定資産税の不均一課税、地方税の不均一課税に対する補てんだけぐらいならば、これはやはりその地域の発展を阻害されている場合、これはなかなかその都市の受けるところの財政欠陥——欠陥というよりも、将来入るべきものが入らないようになるという、そういうような損失というものは相当あると思うのです。しかもそういう地域は観光地として道路も何も整備しなければならぬ。だから、そういう道路設備費とか、そういう面での特別の配慮というものが国からあるべきだ。とにかく京都だとかあるいは奈良とかいうところは、国民のためのレクリエーションの場で、いわば庭先のようなものだ。だから、そういう庭先を整備するための費用ぐらいは、かりにそれが都市計画道路であろうと、保全地域については、それに関連するところの道路は全部国で持とうというふうなぐらいの費用の負担を国がしてもいいと思うのでございますが、そういう点の配慮が私は非常に欠けておると思う。建設大臣、私のいま言ったこと聞いていただきましたか。無理からぬでしょう、私の言うこと。だからそういう点、この立法にはそれが欠けておるということを申し上げているんですが、大臣いかがお考えになりますか。
  139. 西村英一

    ○西村国務大臣 質問をよく聞いておったんです。無理でないところもありますけれども、無理なところもあります。大体こういう近畿圏整備というような法律をつくったのは、やはり一般に、その経済圏か何か知りませんけれども、ある圏内を開発したい。その開発の意味は、あらゆる点につきまして行なうわけです。全体のために保存をしていくところは保存していこうか、あるいは、開発していくところは開発していこうか。それで、岡本さんの言うところは、その一部分をとらえて、そこは保存されたら損じゃないか、こういうことを言うわけでございます。それはもっともなことでございますけれども、しかしそれは全般的な大きい目から見て、そういうところを保存することは、その圏内にやはりある利益をもたらすことにもなると思うのであります。したがいまして、これは極端なことを言っては困りますけれども、やはり多少のめんどうは見るべきものだ、私はこうは考えますけれども、それかといって、その保存されておかなければここは、あちらにいろいろなものができ、こちらにいろいろなものができて、そして固定資産税も入るではないか、こういうようなものも入るではないかというような議論は、これはどうかと盛んに考えておったところでございます。したがいまして、これはやはり十分固定資産税にかわるものとか、あるいは市町村税にかわるものとか、地方交付税等の増額等によりまして、言われる意味のことはカバーしていきたい、こういう気持ちは十分あるわけでございます。
  140. 岡本隆一

    ○岡本(隆)委員 これはこの整備法ができますときにずいぶん議論したので、同じような議論を蒸し返すのもどうかと思うのですけれども、大臣、もう一つ御理解になってないんですね。それはあなたのおっしゃるとおりなんですね。工業地域として発展さすべきところ、あるいは、緑地地帯としてあるいは風致地区としてみんなの観賞用に残しておくべきところ、そういうところは必要なんですね。だけれども、そういうふうに指定された地域を広く持っているところ、たとえていえば大阪なんかは、もうまるまるしようと思えば開発できるのですね。また、すでにされているのです。だから、そこに大きな工業が発展して、大阪といえば、これはずいぶんお台所は御裕福でございます。ところが、京都なんぞは内陸地帯で、工業地帯としての立地条件が悪いということももちろんありますが、しかしながら、やはり三方山に囲まれてそこに風致地区があって、そういう地域についてはかりに、それはそういう地域でも軽工業を持ち込んで工場地帯にすることもできないことはない。しかしながら、そうするよりもむしろそういうところは、大阪神戸の人が遊びに来る場として残しておけ、こういうことなんですね。残しておけば、それはやはりその地域の人たちは、たとえば農業なんかはこのごろ引き合いません。そうすると、働きに行くにしても相当遠いところまで働きに行かなければならぬ。そこで住宅でも建てて宅地化することによって家賃収入でも得ようか、副収入でも得ようかといっても、もういまのなにでありますから、古都保存法によるところの特別保全地域でありますから、もうそうはできないということになって、土地の利用も自分で思うようにならないということになると、非常にそこに住む人の個人的な収入も減りますが、同時にまた、京都市全体としても、そういう地域を広く持っておるということは財政的な影響を受けるわけなんです。しかもそこはみんなが遊びに来るところだから、道路整備しなければならぬし、あるいは公衆便所も置かなければならぬというふうなことで、やはりいろいろそういう経費が要るわけなんです。だから、そういう意味では、特別保全地域というものをある程度の範囲において持つような地域については、諸般の事情を勘案したところの財政援助というものが、国なりその地域全体からあるべきでないか。とにかくその地域のみんなの利益のために後進性を要求されているわけです。だから、それらの人から、それらの保全地域の保全に対するいろいろな費用ぐらいは、京都市なら京都市の自治体で持たずに、そういうふうな配慮があるべきではないかということを言っているわけでございまして、これはもうずいぶんこの前のなにで議論して、その結果保全立法をつくらなければならぬということが入ったのです。その議論の結果入っているんです。そういう議論を前提にして、それで修正されたんです。修正されて、その修正に従って出てきている法案なんだから、一番どういう理由でこの修正が行なわれたかという根本の理由、それを全然無視してこの保全立法が出てきているということに間違いがあるということを私は申し上げているわけです。修正されたことの根本精神を忘れたところのこれは保全立法が出てきているところに私は非常に残念だということを申し上げておるのです。
  141. 上田稔

    ○上田政府委員 この保全区域でございますが、それでいま先生がおっしゃったように、保全区域にも、そういう観光に関しての計画に対する経費が要るではないかというお話でございますが、こういうことにつきまして、実は保全区域全体の整備計画というものをまず立ててもらいたいというふうに考えております。その保全計画というものがどの程度のものになるか。これは府県知事さんが立てていただいて、そして内閣総理大臣が承認するという形になっておりますが、そういうことを見まして、非常に過重負担になるというようなことでございますと、また財政的な面はお願いをしなければいけないようなことになるかもわかりませんが、現在におきましては、まだそれほどでもないのではないか。むしろその保全区域に至る道路、そういうもののほうにまず重点を置いて整備をしていくべきではなかろうか、こういうような考え方に立っておるわけでございます。
  142. 岡本隆一

    ○岡本(隆)委員 これはもうこれ以上追及しても歯車が合わぬのですから、またの機会にいたしますが、私はいまのその程度の考え方では非常な不満を持たざるを得ないのです。  そこで議論を進めていきまして、保全地域の整備に必要な十八条でありますが、施設の整備をやるという、その施設ですが、どういうようなものを考えておられるのか。またそれに必要な資金をあっせんするということでございますが、それはどういう方法によるのかということをお答え願いたいと思います。
  143. 上田稔

    ○上田政府委員 この十八条の「施設の整備の促進及び資金のあっせん」ということでございますが、この施設につきましてはいろいろ地区によって違うわけでございます。第四条で保全区域整備計画というものを立ててもらうわけですが、その計画に文化財の保存、緑地の保全、観光資源の保全開発、そういうものに必要な道路であるとか、いろいろなものが出てくるわけでございますが、そういうものの促進をやってもらうということと、それから駐車場なんかもおつくりになるだろうし、あるいはまた観光地におきましては、いろいろの宿泊の施設というようなものも必要になってくると思うわけでございます。そういうものに対しまして、民間の資金のあっせんというようなこともやらなければいけないだろう、こういうようなことを考えておるわけでございます。
  144. 岡本隆一

    ○岡本(隆)委員 そうすると、その施設の整備をやるのは、これは公的機関がやることになりますね。これは民間の資金のあっせんまで、この中に入っておるのですか。
  145. 上田稔

    ○上田政府委員 民間の事業等につきましても考えておるわけでございます。
  146. 岡本隆一

    ○岡本(隆)委員 まあ、道路であるとか、駐車場であるとか、公園的施設というようなものは、もちろん対象に入っていると思うのです。例を京都で申しますと、金閣寺、銀閣寺、あるいは北山、八瀬、大原の方面ですね。これは古都保存法によるところの保全地域です。ところがそういうところへ観光バスがどんどん参ります。もう大阪神戸、名古屋方面からどんどん観光バスが連なって参ります。だからもう非常な交通麻痺が起こるのです。そのために京都は都市計画道路をどんどん整備しなければならぬということになってくるわけです。そうすると、そういうふうな道路整備に必要な資金というものは、都市計画であったら補助率はたしか二分の一であったと思いますが、ただそれだけなのか。あるいはこの施設の整備等に必要な資金のあっせん、この中に一体どういうふうな措置が考えられているのか。近畿圏だけでなしに古都保存法も含めて、それはそういうふうな施設としての道路ですね。これはもう古都保存法に言うところの観光施設として快適に見ていただく、古い歴史的な建造物を見ていただくのに必要な施設の整備でございますが、それについて何か特別の優遇措置があるのですか。
  147. 上田稔

    ○上田政府委員 ただいま岡本先生から具体的の例をもって御質問がございましたので、具体的にお答え申し上げることにいたします。  まず京都のお話が出ましたので、京都に例をとって申し上げたいと思います。  いまの観光地というものが、大体京都は外郭にずっとございますわけで、金閣寺にいたしましても、銀閣寺にいたしましても、そこに参りますバスが、大体現在は市内に一応入りまして、そして、その観光地に行ってはまた帰り、行っては帰るというような状態になって、非常に市内がいっぱいになっているというようなことでございます。したがいまして、いま府と市のほうと両方寄りまして外郭線、外郭環状といったようなものを一応考えております。そういったようなものにつきまして、私のほうとしては保全区域そのものよりも、むしろそれに至る、つまり外郭線、そういったもののほうに重点があるというふうに思われるわけでございます。それにつきましては、例の近郊整備区域の財政援助というようなものを考えて、それが当てはまるようになるものにつきましては、財政援助をしていく。そういう計画については大いに近畿圏の事業計画の促進ということで、建設省のほうにお願いをして進めてもらう、こういうふうに考えております。
  148. 岡本隆一

    ○岡本(隆)委員 そうしますと道路局長にお尋ねいたしますが、京都の都市計画道路をつくります場合に、たとえば名神なんかのインターチェンジから分かれてどんどん多くのバスが入ってまいります。これは京都の都市自体が、産業のためというよりも、やはり日本の全国民のレクリエーションの場としての京都ということでやって来るわけでございますが、そのために非常に車がふくそうする。それの整備を京都市として、他の都市と同じような財政負担の中でやっていくのでは、なかなか京都市もこれはしんどいわけですね。だからそういう点で格段の配慮を現在どの程度行なわれているのか。また将来、どの程度にやっていくのかというような点で何か建設省として方針がすでにおありでございますか。
  149. 蓑輪健二郎

    ○蓑輪政府委員 ただいまの御質問の京都の周辺及び市内の道路整備に当たります場合の特別の財政上の措置、道路の負担なり、補助事業についての財政措置というのは、いまのところはまだ具体化されておりません。やはり一般の府県と同じような、国道なら四分の三、地方道なら三分の二というような率で改良工事を行なっておる次第でございます。
  150. 上田稔

    ○上田政府委員 ちょっと補足してお答え申し上げます。  いま道路局長が申しましたのは、道路面から見たものでございますが、結局京都市にどれだけの負担がかかるか、京都府にどれだけの負担がかかるか、京都の一部分保全だけではなくて、近郊整備区域の中の整備計画、いわゆる建設計画でございますが、その建設計画において、全国に比べてある一定以上の多くの仕事をおやりになった場合においては、そのものに対して財政援助があるように、昨年の六月国会でございましたかに、自治省のほうでやっていただきました法律がございます。それによって財政援助が加えられる、市に対しては補助率の加算、府県に対しては利子補給、それから起債の充当率のかさ上げ、こういうことが行なわれるわけでございます。
  151. 岡本隆一

    ○岡本(隆)委員 そうすると、それは建設省と無関係に自治省からくる、こういうことですか。
  152. 上田稔

    ○上田政府委員 この法律は、大蔵省に対しましては一年おくれてかかってくるわけでございます。したがいまして、それは一年おくれまして建設省のほうへいく、新産、工特と同じようなルールになるわけでございます。
  153. 岡本隆一

    ○岡本(隆)委員 古都保存法で、昨年の予算が二億であり、ことしの予算は五億ついておりますが、その配分はどうなっておるのでございますか。京都市では昨年の二億をどう使っていますか。
  154. 上田稔

    ○上田政府委員 歴史的風土のほうの関係は、建設省予算がついておりますので、建設省の都市局でないとちょっとわかりませんが、現在の進捗状況といたしましては、まだ買い上げのやつがあまり出てきておりませんので、昨年の暮れにおきまして、ようやく都市計画の設定を行ないまして、そうして特別区域がきまったわけでございまして、京都におきましては不許可処分になりましたのがまだ六件でございます。それで買い上げをするかどうか、いま相談にきておられるのが実情でございまして、まだ実際に発動をいたしておりません。
  155. 岡本隆一

    ○岡本(隆)委員 歴史的風土の保存という表現が使われておりますね、古都保存に。しかし私は京都の場合やはり保全しなければならぬものとして——条文を見ますと、文化財を保存し、緑地を保全し、または観光資源を保全し、もしくは開発する、こういうことになっておりまして、重要な文化財を保存するということだけでも古都保存法の保全対象になるのではないですか。それはやはり緑地と一緒でなければいかぬわけですか、歴史的風土ということになると。
  156. 上田稔

    ○上田政府委員 歴史的風土というものは、文化財の保護法がございまして、文化財そのものは文化財保護法でやっていただく、歴史的風土のほうは、文化財を除いた周辺の歴史的風土を保存する、こういうふうに分けて考えております。
  157. 岡本隆一

    ○岡本(隆)委員 たとえば平安神宮ですが、平安神宮が保全地域の対象になっておるのかおらないのか、先日平安神宮で親戚の者が結婚式をあげまして、平安神宮の池のそばで写真をとりました。平安神宮の庭は東山が借景になっておるのです。だから、平安神宮の庭に森がありますが、その森の向こうにずっと東山が借景になって、一つの美観になっているわけです。ところがその間へ旅館やらいろいろなものがにょきにょきと、四角い真っ白い近代建築物が頭を出してきている。そうすると、もう平安神宮の庭は、いわばつやけしです。それから修学院の離宮も松ケ崎の山の背景です。これはもうあなたも行かれたし、大臣も修学院の離宮はごらんになって御存じです。西の山が借景になって、一つの自然的景観ができているわけです。ところがあそこに例の宝池のあの松ケ崎の山の上に国際会議場を建てようという計画が最初出た。それが出たときに、私はそんなものをつくったら、もう修学院の離宮はだめになりますよと言ったことがある。それがあってかあらぬか知らぬが、山の下におりまして、現在の国際会議場ができております。したがって京都全体として考えていくときに、やはり京都の庭の特質というものは、借景というものが非常に重要視されておって、その借景の上に立って庭園づくりをやっている。京都のどこの庭園でも大体そうです。周囲に山が迫ったところにある庭ということから、勢いそういう形が出てきているわけです。ところが、そういうようなことになってまいりますと、そういう地域の保存は、やはり借景そのものをも保全しなければならぬことになる。そこで修学院の離宮や八瀬、大原のようなところは、もちろん保全地域になっておりますが、問題になってくるのは、京都御所をどうするかということです。これを古都保存法によるところの保全すべきものと考えるのか考えないのか。あるいは東西本願寺、二条城、こういったものは歴史的建造物です。二条城なんか旧桃山城の本丸ですからね。それは日本の桃山文化をそのまま保存したところの貴重な建築物です。そして、それと一緒に全体としての京都の歴史的風土を保存するところの建物ということにもなっていると思うのです。そこで、ああいう建物を保存するのにどうするかということです。何もいまは方針がないと思うのです。たとえば二条城の真横に国際ホテルが建ちました。そして国際ホテルが一つ建っている範囲なら、これはさほどの大きなあれはないと思うのです。また国際ホテルの九階から二条城を見ますと、それはきれいです。そして西山の風景一帯、双ケ岡も見えますし、それは西山の風景はきれいです。しかしそれが国際ホテルから見た二条城のまた反対側に国際ホテルのような大きな建造物が建ったら、もうその風景はぶっこわれる。御所にいたしましても、御所の南側に、二、三百メートル離れたところに京都新聞社の本社も建っておりますし、また京都府の勤労会館の建物が建ちました。それの上から見た京都御所と、さらにそれにつながる北山風景というものは見とれるほど美しいのです。しかしながら今度は、また北側、東側にどんどんそういうふうな大きな建造物が建っていったとするなら、もうすっかりぶっこわれると思うのです。だからやっぱり、京都御所にいたしましても二条城にいたしましても市内のまん中にありますが、それの持つところの風景、美観というものは、古都と称する限りは何らかの形で保全したいと思うのです。その横で、その周辺で建築規制が何もないということになってまいりますと、これはもう将来すっかり壁に囲まれた京都御所になる、壁に囲まれたところの二条城になってしまう、こういうふうに思うのでございます。そういう点、ある程度私はそういう歴史的建築物の周辺におけるところの建築規制というものは必要であると思いますが、大臣はいかがお考えになりますか。
  158. 西村英一

    ○西村国務大臣 現在の古都保存法で指定されておる地区は、鎌倉、奈良、それから京都の一部分でございます。実は昨年二億円の予算がついたのでありまして、それらの地区において必要なところがあったらひとつ買い上げたいということで、あちらこちら選考したわけでございまするが、法律ができて間もなくのことでございますし、そこまでいかなかったのでございます。いまはっきり覚えませんが、その古都保存法についておる二億円の金はそれぞれ出ておるようでございます、あちらこちら。一カ所じゃございません。いまお話は、この古都保存法によりまして京都全体についての保存をしたいということを考える場合には、この法律対象ではまずできないと思うのです。あなたが言うような、京都全体の、しかも借景を考えての建物まで考えなければならぬということになるなら、この法律ではできないのではないか。やはり他の建築基準法とかなにかの法律をまって対処しなければ、古都保存法をもって対処することはできないのではないかと思います。しかし非常に事柄は重要でございますので、一部分の地区を保存するということもさることながら、やはり全体としてのそれにも目を注がなければなりません。それらの問題はやはり建築基準法の観点から規制をしていくのが適当じゃないかといま考えられますが、検討をいたしたい、かように考えます。
  159. 岡本隆一

    ○岡本(隆)委員 まあ建築基準法におけるところの用途地域というふうな形における規制のしかたもあるかもしれません。しかしながら建築基準法の場合に、そうした古都保存法の精神を取り入れた規制のしかたというふうなものも——いずれこれはもう都市計画法ができましたら基準法は当然改正しなければならぬと思いますから、そういうときには、これはやっぱり古都保存法とか基準法とかいうふうなものをコンビにした、あるいは古都保存法でそういうことができるように考えてもいいんじゃないか。ことに二条城とかあるいは京都御所とかいう代表的なもの、そして当然保存さるべきものについては、これは審議会がいずれきめるのでありましょうが、しかし私は、建設大臣としてそういうものについての一定の見解なり見識を持っていただくことが必要でないか、やっぱり審議会にそういうことをあなたのほうも諮問してみていただくということも必要ではないかと思うのです。それは、京都御所から大文字山——大文字山というのは京都でも有名な、盆の十六日の大文字の点火ですね。京都でも有名な行事の一つですね。その大文字というのは京都御所の清涼殿、大宮御所かどこか知りませんが、京都御所から大文字を見るのが正面になっているのです。昔、陛下に大文字を見ていただいたといわれたものなんですね。だけれども、その大文字と京都御所との中間に高い高い超高層ビルが建ってしまったら、そういうふうな大文字というもののいわれそのものが破壊されますね。こわされます。だから、そういう意味では、京都市なんかも、そういう御所周辺においてはある程度の建築規制というものは当然考えられるべきでありますが、やはりそれはそういう歴史的建造物を保存するというたてまえからのものでありますから、建築基準法によって規制するというよりも古都保存法によって規制することのほうが私は正しいと思いますね。御所を古都保存法によってどうこうするというようなことが、これは保守的な人の考え方にあるいはぴったりこないということがあるかもしれませんが、しかし私は、そういう考え方に立って、京都市内の歴史的建造物は保存されるべきだ、こういう考え方を持つのです。  そのことが私は東京についても言えると思うのです。ちょうどこの問題をあなたにお尋ねをしようと思っていたやさきに、きょうの新聞で大きく取り上げられておりましたが、これは毎日新聞です。「皇居周辺の超高層ビル」そして「「美観」から、いまや「法」論争」と、美観論争から法論争に移ってきたというようなことをきょうは取り上げておりますが、宮城のそばの丸ノ内に東京海上が三十階建ての超高層ビルを建てようとしておる。東京都がそれにストップをかけて、それが問題になっておるということでございます。私は、こういう問題について、もう建設省が一定の見解をお持ちになってもいいのではないかと思うのです。  首都圏整備法があります。首都圏整備法の中に近郊緑地がございます。なるほどそれは皇居は皇居であって緑地でない。近郊緑地でない。どまん中の緑地ですから、近郊緑地でございません。しかしながら、どまん中の緑地は保全しようとしなくても、これは皇室財産として保全されております。しかしながら、せっかく保全されておる、皇室財産であるところのそういう緑地が、心ない人人の手によって破壊されるということは、これはやはり惜しいと思うのです。それはなるほど一本だけ鉛筆的ビルが丸の内に建ったとしても、それはそないに美観をそこねるということもないでしょう。しかしながら、この報道を見ますと、帝国ホテルがそれをやろうといっておる。それから八幡製鉄、住友商事、大洋漁業、三和銀行、三井物産、興業銀行、AIU、それらが、みんなこういう超高層ビルを建てたい、こう言い出してきておる。そうすると、それだけでも八社、東京海上を合わせますと九社になります。九社が、あの周辺に、これから、おれのところも、おれのところも、ということで、皇居を取り巻いて三十階建ての超高層ビルがある辺一帯にずっと建ち並んだといたしましたら、皇居というもののイメージは一体どないになるのか。  あれも、やはり徳川三百年の、日本の政治経済の中心地だったのです。そして千代田の森として、また千代田城として、これは何といっても、現在も、明治時代も、国民のある一つの象徴的な存在だった建物です。歴史的建造物であるということに違いありません。これから後、三百年、五百年たちましたら、ますますそれが、明治維新があり、日本にヨーロッパの文明開化が入ってきたという時代を象徴し、その時代の政治経済の中心地であった宮城として、これは私はやはり非常な歴史的建造物になると思います。また、ヨーロッパの宮城と日本の宮城との違いというものも、みんなこれはかなり違った印象を持つようなたたずまいで厳として存在するわけなのですね。だから、これはやはり保全すべきだと私は思うのですよ。民族の遺産として保全すべきだと思うのですよ。だからそういう意味では、この周辺に競争をして、鉛筆のような、あるいは煙突のような感じのビルが立ち並ぶというふうなことになりかねない。一つ許すということは次々に許すということですから、そういう意味では、これは論争点は建築基準法の問題や、あるいは容積地区で容積があるから足らぬとか足るとか、二つビルを一緒にして一つ敷地と考えたら、容積はそれで十分だ、片一方は一つ一つ別々に計算するから足らぬのだというふうな、こんなことで、それがいいとか悪いとかという問題でなしに、やはり京都でいうところの歴史的建造物、東京でいう歴史的建造物という観点からこの問題を処理すべきであって、建設大臣もここらで一つの見解を明らかにされ、必要とあらば法律的な規制も加えて、自由にどこへでもどんな建物でも建てていいんだというふうな解釈は、建築物を建てたいという人にも、建てていいという人にもそういう考え方規制を加えられてもいいと思うのですが、いかがですか。
  160. 西村英一

    ○西村国務大臣 私は美観の点についてはまことに鈍感なのです。しかし、あなたがいまおっしゃったような、歴史的なものをあらゆる角度から残していこうじゃないか、京都の例もとられましたように、それから、いままた宮城の前のビルもとられました。そういうことについては、やはり非常に責任のある立場でございます。したがいまして、今後十分検討したいと思います。ただし、いま新聞に載って論争しておる問題は非常にデリケートな問題でございまして、東京都の建築審査会において審査をいたしておるのでございますから、その問題については私は言及をすることは避けたいと思いまするが、やはりあの問題も美観の問題から転じて法律の問題になり、今後またそれがどういう問題に転じていくかわからぬような問題でございまするけれども、岡本さんの言われる御趣旨は、歴史的なものは広い範囲で守っていこうじゃないか、こういうことであります。それに対処するためには、いわゆる古都保存法の法律に基づいて対処するか、しかしこれでもって対処しますと、この法律が非常にぼけるわけです。したがいまして、他の法律をもってこれに対処するか、建設省としてもこの辺でやはり十分考えなければならぬということだけは痛感をいたしておるものでございます。
  161. 岡本隆一

    ○岡本(隆)委員 私は、そういう歴史的な建物を保全するという意味と、別な意味から必要だと思うのです。たとえば、そこへKMビルが建ちます。一万人の昼間人口を収容する、こういうことであります。そういたしますと、いまでも国会議事堂前の地下鉄の駅では、八時から九時にかけてたいへんな混雑です。あすこへまたKMビルができたら、これは一そうひどくなってくると思うのですね。丸ノ内だって、丸ビル、新丸ビル、いろいろなものがたくさん建ったことによって、東京駅の混雑もひどい。そういうような都心部に、過密の上にもさらに過密状況をつくって、夜間人口はもうゼロにひとしくなって、昼間人口ばかりというふうなものをつくり上げていく。そういうふうなことで、今度また東京海上の超高層ビルで、さらにそれを激化していけば、それが幾つもできていくということになれば、都心の過密がさらにひどくなります。だからそれを防止するという意味においても、都心における建築規制というものは私は必要だと思うのです。  もう一つは、いま申し上げました首都圏整備法でやはりそういう考え方を織り込む。首都圏整備法の中には、さっき申しました歴史的建造物を保存するという考え方がないのです。近畿圏にはありますね。首都圏整備法には近郊緑地だけであって、保全区域というものはないのです。近郊緑地ということがあれば、古都保存法とそれだけあれば、それでいいということかもしれませんが、東京は古都ではなくて現在の都だ、だから古都保存法は適用しない、こういうことかもしれませんが、やはり東京にだって保全しようと思えば、芝の増上寺であるとか、あるいは上野の寛永寺であるとか、やはり保全されるべきものが相当あるのです。いま不忍池あたりもずいぶん変わってしまって、昔の面影が全然ないと思うのでありますが、しかし、これからでも保全すべきところを、できましたら保全するという努力をすべきでないか。だから、そういう意味では、この東京都にも、首都圏整備法を改正することの中から保全地域をつくっていくということをやっていただいたらどうかと思うのですが、建設大臣のお考えを承りたいと思います。
  162. 西村英一

    ○西村国務大臣 首都圏の整備にしても、近畿圏にしましても、中部圏にしましても、法律の発足の歴史が、主としてやはり経済上の問題あるいは人口の問題からきておるので、そういういまあなたが言われたようなことが中心でなかったと思います。しかしながら、それはやっていく上におきましてやはり保存区域というものはつくらなければならぬ。そうしますと、いま言ったとおり、保存区域をさらに煮詰めてみますと、やはり最も特別なところというものはまたあるわけでございまするから、将来この法律の中に織り込んでいくことが適当であれば、これは改正をして、いま言うようなものを守っていきたい、かように考える次第でございます。
  163. 岡本隆一

    ○岡本(隆)委員 まだもう少しお尋ねいたしたいことがありますが、きょうは皆さん昼食抜きでございますから、この程度で、またこの次に一般質問の形で、お尋ねし足りないところは質問させていただくことにして、この程度で打ち切ります。
  164. 森下國雄

    森下委員長 吉田之久君。
  165. 吉田之久

    吉田(之)委員 私は、ただいま議題になっております近畿圏保全区域整備に関する法律案につきまして、若干の質問をいたしたいと思います。特に時間が三十分に制限されておりますので、能率よく質問も運びたいと思いますから、答弁のほうも、ひとつそのつもりで御答弁をお願いいたします。  まず、初めに大臣にお伺いいたします。  先ほどの岡本委員の御質問を傾聴いたしておりましたが、確かに私もこの法案につきまして特に問題があると思いますのは、この法案の目的には、文化財の保存、緑地の保全、観光資源の保全開発、こういう三つがうたわれております。しかしながら、その内容には、緑地の保全だけしかほとんど書かれていない。いわば看板に偽りがあるのではないか。むしろこれははっきりと緑地保全法と呼ぶべきではないか。しかし現実に該当地区である奈良においても京都においても古文化財を多くかかえ、また古都保存法の適用を受け、そしてまた今度の保全法の該当地区になっているところでは、あまりにも法律の数が多過ぎてどうにもならない。それぞれの法律がもっと一元化されないものか、執行上非常に困惑している状態であります。そこで大臣、この法律はこういう趣旨で内容は緑地保全一本にしぼられた法律のようでございますけれども、ひとつ今後いろいろな関係法律を一元化してその執行を容易ならしむる御意図はないものかどうか、お伺いいたします。
  166. 西村英一

    ○西村国務大臣 このもとになる法律をきめましたときに、この法律の中にこういうものは別に法律をもって定める、こういうものはまた別に法律をもって定めるという、三カ条の法律をもって定めるという事項があるわけです。それというのは、とりもなおさず近畿圏に例をとって言いますれば、近畿圏法律、これは近畿圏内においての相互援助のもとに開発をはかろうじゃないかといってスタートしたのです。その中でどういうふうにしたらいいかというめどは、おそらくまだこの法律のときにつかなかったと思われるのでございます。したがいまして、また法律から法律というふうに非常にたくさん法律を出すことになって、私自身がよくわからないのです。たくさん法律がこれにあるのです。どういう関連でなるか、よく読んでみますと、やはり法律で定めることになっているのです。したがいまして、いまあなたがおっしゃいましたように、一応法律が出そろったらひとつこれを整理してみたいということを考えておる次第でございます。
  167. 吉田之久

    吉田(之)委員 わかりました。将来そういう方針で臨んでいただくことといたしまして、いま問題になっておりますこの法律案の内容そのものについて少し御質問を続けてまいります。  まず、この法律案の三条には、保全区域の指定があったとき関係知事は近畿圏整備法第八条に規定する基本整備計画に基づき保全区域整備計画を作成し、総理大臣に承認申請しなければならないというふうに書かれてございます。現に奈良県などの場合には、すでに近畿圏整備法に基づくところのいろいろな保存の方法、その整備計画を樹立いたしております。私がいま手元に持っておりますのは、昭和四十一年十二月に策定いたした奈良地区の近郊整備区域建設計画でございますが、この冒頭にも近畿圏整備法に基づく基本整備計画に対応しつつこの計画を策定したというふうに書いてございます。したがって、おそらくいま問題になっております法案が正式に法律として成立いたしましたならば、この種の基本計画が各府県から国のほうに承認を求めるべく申請されるということになるだろうと思うのです。実はいま奈良県のほうで考えております緑地保全の面積でございますけれども、この資料によりましても、保全すべき緑地を二万三千二百九十一ヘクタールと計画を立てております。先ほど御答弁の中に、公明党の北側委員に対して近畿圏の全面積の一三%を保全して、その七分の一を緑地という意味で保全したいということを次長は申し述べられました。そのお考え方と、いま試みに申しておりますこの奈良県の緑地保全計画と申しますか、大体構想において合致するものかどうか、お伺いをいたします。
  168. 上田稔

    ○上田政府委員 ただいまの御質問の近郊緑地の考え方でございますが、近郊緑地と申しますのは、既成都市区域の周辺にある緑地という考え方でございます。したがいまして、奈良県におきましては既成都市区域はございませんので、結局阪神間と京都、こういう地域が現在では近畿圏では既成都市区域になっております。その周辺でございますので、近郊整備区域の中にはなるわけでございます。したがいまして、奈良県において近郊緑地と考えておりますのは生駒山それからしいて入れますれば矢田、斑鳩区域というのがございますが、それを入れるかどうか、その辺のところでございまして、比率と申しますと、先ほど申しました比率は近畿圏全体の、たとえば福井県も入り三重県も入った区域についての比率を申し上げましたので、奈良県におきましてはそういう地域が該当するということになるわけでございます。
  169. 吉田之久

    吉田(之)委員 いま御説明の金剛、生駒区域、それから矢田、斑鳩区域でございますね。その区域に例をとりましても相当な面積になります。いまここでちょっとそろばんを入れてみるわけにはいきませんけれども、矢田区域は大和郡山市に入りますが、その緑地が四百八十八ヘクタール、それから生駒町で千九百八十四ヘクタール、その他該当地域それぞれを算出いたしますと相当な面積になります。ところでいま次長お答えになったこの金剛、生駒区域あるいは矢田、斑鳩区域、いずれも完全に保存しなければならない緑地区域であると思いますけれども、この区域内においてすでに相当侵食されているという現状でございますが、その状態について御存じですか。
  170. 上田稔

    ○上田政府委員 部分的にはあとで調べればわかりますが、全体といたしましては、特別地域にしたいと思いまして調べましたところにつきまして大体三分の一くらいはすでに変貌をする届け出が出ております。そして工事に着工しておられるような状態になっております。
  171. 吉田之久

    吉田(之)委員 現にそういう侵食作用と申しますか、住宅化されたりいろいろな施設に変わってきておるわけでございますが、こういう現状の地域は今度の法案で特別に保存すべき緑地として考えておられる場所なのかどうなのか。
  172. 上田稔

    ○上田政府委員 現在荒廃をしております地域は近郊特別保全地域にはいたさないように考えております。
  173. 吉田之久

    吉田(之)委員 しからば具体的に近郊緑地の特別保存地域として奈良県で今後範囲を定めようとする区域並びに面積の概要について、どの程度の御計画を持っておられるか。
  174. 上田稔

    ○上田政府委員 奈良県についてお話が出ましたが、この近郊緑地保全区域と申しますのは六甲山と北摂とそれから生駒山と矢田、斑鳩を入れるかどうかでございますが、そのほか和泉、葛城、そのような区域を考えておりまして、それの特別地域というのは侵食の非常にはなはだしい部分について、それに接した樹林地を考えていきたい、こういうふうに考えております。したがいまして、六甲山で申し上げますと南斜面、それから生駒山で申し上げますと西斜面がおもでございます。それから道路に沿った地域で非常に侵食がはなはだしいところ、そういったようなところを大体特別地域に指定いただこうか、こういうように考えております。
  175. 吉田之久

    吉田(之)委員 いまお話が出ました、これですが、ちょっと遠くて見にくいでしょうが、この燈色の部分ですね。現にどんどん侵食されている地域なんです。いまお話しのとおり、生駒山ろくなんです。すでに非常に問題があると思うのですよ。しかも政府のほうは非常にのんびりと、これから場所をきめてやっていくんだ。いまもなかなか詳しくはその面積等についてはお話しになりません。特に伺おうとは思いませんけれども、しかしながら、はたして現在政府が補助金として出そうとしている本年度の二億円程度の予算で、たとえばこの奈良県の一地域だけを見ても、緑地として保全し得る状態にあるのかどうか。具体的にどのようなお考えになっておりますか。
  176. 上田稔

    ○上田政府委員 先ほど御質問がございましてお答えを申し上げたのですが、ことしの予算につきましては、この指定をやりまして、そして特別区域なんかの都市計画としての決定を行なってもらうというようなことの手続がございますので、相当長時間を要する。これは古都の法律の場合もそうでございましたし、首都圏の場合の近郊緑地の場合もやはり十二月近くまでかかっておりますので、そのぐらいはかかるのではなかろうか。それから、結局法律が働き出しまして、いろいろな申請が出てくることになりますと、予算は今年度としてはそう使えないのじゃなかろうか、こういう考え方でございます。
  177. 吉田之久

    吉田(之)委員 よくわかりました。本年度はきわめて暫定的な出発の年度であるからという御趣旨のようでございますが、それじゃ今後、来年、再来年、いわゆる平年度においてはどの程度の予算をもくろもうとしておられるか。
  178. 上田稔

    ○上田政府委員 これにつきましては、またこの申請のぐあいというものを見ていかなければいけないわけでございますが、古都の法律の場合におきましても、現状出てきておりますのが、先ほど申し上げましたように、まだ昨年の二億が使われてなかったと思いますが、そういうような状態でございますので、そういう古都の法律の使用状況とかあるいはまた首都圏の近郊緑地の状況は違いますが、そういう問題であるとか近畿圏のことしの年度末の状況とかそういうものを考えて、本年度はすぐに予算要求はいたしますが、大蔵省のほうと十分な折衝をいたしたい、こういうふうに考えております。
  179. 吉田之久

    吉田(之)委員 緑地の特別保全地区ですね、これは事実上買い上げる以外に最後の手段はないと思うのです。緑地といえども、そんなにかけ離れたへんぴな山奥ではございません。観光客が出入りをし、そしてまたその近郊と相まって緑を添える、そういう場所でございますから、先ほども申し上げましたように、現にもう開発されかかっておる。すぐに手の届くところでございます。この辺の緑地を買い上げる場合に、一体どのくらいの単価で買い上げ得るものとお考えなのか。これはケース・バイ・ケースでずいぶん事情は違うと思います。しかしながら、政府としてはこういう問題に対処していく場合には、一定の腹がまえがなければなりません。たとえば、大体どの辺のワクの中で買い得ると考えてこの法案と取り組もうとしておるのか。
  180. 上田稔

    ○上田政府委員 現在この近郊緑地に考えております地域は、樹林地以外のところはちょっと困るわけでございますので、大体樹林地と考えておるわけでございます。いまお持ちになっておられる方は、植林をやってそのほうから利益をお上げになっているというのでございます。したがいまして、その状態を変えて何かおやりになろうとするとき以外には、買い上げをお申し出にならないのではなかろうか、こういうふうに考えておるわけでございます。  それでその単価でございますが、買い上げます場合におきましては、その場所によって近傍類似の地価をとるわけでございますが、そういうことになりますので、だいぶいろいろ変化があるのではなかろうか。たとえば、和泉、葛城あたりになりますと、いまのところはまだその辺は住宅もあまりきておりませんので、値段も非常に安い。六甲山のところになりますと、もう家が全部詰まっておりまして、相当はい上がってきておる。したがってそういうところは非常に高い。こういうようなことになりますので、単価につきましてはちょっといまのところ、奈良県は幾らに見ているかと言われますと、申し上げかねるのでありますが、全体としては三、四千円程度を考えております。
  181. 吉田之久

    吉田(之)委員 格差が相当出てくると思うのです。格差の幅ということについても、いまから相当検討されておかなければなりません。またこれは、たとえば三、四千円程度で買い上げることができるかどうか非常に問題の地域が出てまいると思います。年を追うごとにそういう単価が上がってくるということも考えなければなりません。したがって、ただ法律ができたからこれで緑地は守れるだろうというふうな問題ではないと思うのです。問題は、いかに、それを完全に守るために相当の予算を国が用意するかということに尽きると思います。  もう一つは、補助率の問題です。首都圏の場合には、昨年あたりまで緑地の特別地域の買い上げについては、その補助率は五分の四であったとか聞いております。何で今度近畿の場合、それが三分の二であるのか、その辺の経緯を御説明いただきたい。
  182. 上田稔

    ○上田政府委員 首都圏は確かに昨年は五分の四でございまして、古都の歴史的風土の買い上げの場合と同じ補助率になっておったわけでございます。今年度から首都圏も近畿圏も、近郊緑地につきましては三分の二というふうにきまったのでございます。その差別がつけられたのは、歴史的風土というのは、これは全国法でございまして、全国民がそれを非常に望んでおりまして、それを残してもらうということに対して非常に熱望してでき上がってきているという関係から、地元にとっては、先ほど岡本先生からちょっとお話があったように、これはなるべく国のほうで全国民的に考えてもらいたいというふうな観点がありますし、近郊緑地になりますと、近畿圏の周辺のほうがやはりある程度利益を受けられる、そこに住んでおられる方、大阪府なら大阪府というものが受ける利益というものは古都の場合よりも幾ぶん大きいのではなかろうか、そういうようなところから差がつきまして、三分の二と五分の四、こういうことになったと思います。
  183. 吉田之久

    吉田(之)委員 大臣にお伺いいたします。  いまお聞きのとおり、この問題は今後決意を要する問題ではないか。まず、土地の単価の問題が非常に問題になります。それから申請してくる面積も相当膨大なものになると思うのです。飛び飛びに保存したって、それは何の意味も持ちませんので、相当広範囲に限って広範囲に指定して申請してくることが考えられます。  そこで私は、大臣にお伺いを申し上げたいのですが、緑地保全というものは相当な経費を伴うものでございますけれども、一たんやりかければ途中でやめることはできないと思うのです。保存したいが、金がないからそれはこわしてくださいというわけにはいかない。一たん守りかければ、守るべき地域は完全に守らなければいけない。したがって、初年度は二億円で済んでも、今後相当にその金額が高額なものになってくる。よしんば何百億かかっても、何千億かかっても、出発しかければこれはほとんど半永久的に守り続けなければならないほどの、そういう種類の問題でございますけれども、政府としてはそれほどの決意をお持ちになっているのかどうかお伺い申し上げます。
  184. 西村英一

    ○西村国務大臣 そういうところを保存するのには、相当な金が要るであろうということは想像がつきます。したがいまして、今年度はわずかな金でございますが、ただし、吉田さんも奈良県出身でございますので、やはりそういうものを国民的視野から保存しようじゃないかという県民運動といいますか、国民運動といいますか、それでなければ、買わなければ全部切ってしまうぞ、売ってしまうぞ、荒らしてしまうぞというようなことはやはりどうかと思われるのです。私も最近奈良に参りませんが、かつて四、五年前に参りましたときに、実に荒らされておるのにびっくりしたわけでございます。したがいまして、これは政府も十分決心を持って対処いたしますけれども、あなた方選出の代議士といたしまして、十分ひとつ県民運動をお願いしたい。やはりいいものを保存しようじゃないか。それはやはり全般国民の、県民のためであり、金銭上の問題のみならず、精神上の運動、PRを起こすことも必要ではなかろうかと思うのでございまして、どうかまたその節はよろしくお願いを申し上げる次第でございます。
  185. 吉田之久

    吉田(之)委員 せっかく大臣がおっしゃってくださいますので、事情を申し上げます。  われわれも確かに非常にけっこうな法律だ。好んでひとつ県をあげて奈良も京都もこの運動を推進しましょう。きれいごとで非常にいいと思うのです。しかし現状は決してそういう呼びかけだけや、単なる運動だけでは守れる性格のものではございません。個人が最も重大な私権と考えている土地の問題なんです。しかも、隣の土地は坪三万円で売れた、五万円で売れた。おれたちの土地だけがこの緑地保全区域に指定されたばかりに、未来永劫にわたって何の工作物も建築物も建てることができない。このような重大な個人の問題になってまいりますと、いかに県や国会議員や政治家や市町村長が呼び声高くがんばったところで、とても守りおおせる問題ではない。大臣がいまおっしゃったようなことは気持ちとしてはわかりますけれども、もしもそのような安易なお考え方でこの法律をつくったら、日本のしかるべきところは全部緑で守れるだろうなどとお考えになっておったら、それは時代錯誤もはなはだしいと思うのです。現にわれわれの現地では、非常にありがたい法案だけれども、またかというふうな気持ちが率直な現状であります。表情であります。  たとえば、奈良県のある場所一つの建築物を建てようとする。まず都市計画法に適合しているかどうかをたださなければならない。あるいは風致地区の規制に抵触しないかどうかをちゃんと見きわめなければならない。古都保存法による地域になっているのかどうか、あるいはまた文化財保護法にひっかかってこないか、初めはひっかかってなかったけれども、掘り返している間にかわらが一枚出てきた、これは弥生式だ、縄文式だ、すぐに文部省から声がかかってストップだ。あとあらゆる法律が——七つ、八つの法律規制によってがんじがらめにされておるわけなんです。そこへまた緑地保全区域なり、特別保全区域になってくるのか。これではたまらないではないかというのが現地の率直な表情なのであります。われわれも民族の文化の遺産の地域としてそれを守りたいという気持ちは重々個々には持っておっても、事生活の問題、経済の問題、あるいは重要な家屋の建築の問題になってまいりますと、それだけでは済まされないということをとくと御承知いただかないと、これは大問題だと思うのです。特に県や市町村では先ほども一番最初に申し上げましたように、近畿圏整備法ができた、それの子供の法律がたくさんできた、次々と出てくる、しかもそれの適用のしかたが全部違う、あるいは補助率も違う。非常に執行上、渋滞を来たしております。われわれは守りたい。しかしながら、もっともっと国が正しい認識と積極的な努力と裏づけをしてくれなければ、これは守れないではないかというふうなのが現地の率直な現状でございます。一度大臣もひとつお越しをいただいて、とくとよく調査検討をしていただきたいと思います。  再三時間の制限をいただいておりますので、いろいろと申し上げたいこともございますけれども、特に最後に、これはいささか荒っぽい一つの論議であるかもしれませんけれども、こういうことではしょせん緑地は守れないのではないか、むしろ九割を緑地にして一割だけは住宅を認める、そういう一つの制限つきの住宅地に変えていくことのほうが、むしろ成果があがるのではないか、そういう住宅をまた求めている人たちもある。何かただ単に法律の網をかぶせて、それで近畿圏保全ができる、整備ができるというふうなことでは、すでに今日の現状には即さない、こういう一切の法律はあくまでも守るべきところは徹底的に守る。守るに値しないところは、ことばは過ぎますけれども、場合によったら徹底的に破壊する、開発するというくらいの近代精神から出発しなければ守りおおせるものではないと思うのです。ただ範囲を広げておけば、法律をつくっておけば、それで何とかなるだろうというようなことではどうにもならないということを申し上げまして、はなはだ中途はんぱでございますけれども、これで質問を終わります。
  186. 森下國雄

    森下委員長 これにて両案に対する質疑を終了するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  187. 森下國雄

    森下委員長 御異議なしと認め、両案に対する質疑を終了いたしました。     —————————————
  188. 森下國雄

    森下委員長 本日はこの程度にとどめ、次会は来たる十四日金曜日午前十時より理事会、十時三十分より委員会を開会することとし、これにて散会いたします。   午後三時二十一分散会