○岡本(隆)
委員 いまの写真はぜひとっておいていただかなければいかぬと思いますが、しかしながら、やはり鉄筋でも、写真だけでは十分
確認できないと私は思うんですよ。だから、鉄筋を写真で数を数えなさいといったって、これはなかなか数えられませんよ。
現地へ行って数えれば数えやすい。だから、そういう意味では、やはり中間
検査を何回かたんねんにやっていただかぬと、アームや
ピンで
ゲートが飛んだ、もし圧力に耐えかねて
ダム本体が崩壊してごらんなさい。これはもうそれより以上の大惨害が起こってきますよ。そういうことがないようにするためにも、その点
建設省は、
河川管理者として十分そういう
検査もやるようにしていただかぬと、これは
通産省の
発電ダムだから、
建設省はあまりくちばしを入れたらいかぬ、こんなことでは困る。だから、
ダムの
構造に関する規程、それからまた
監督に関する規程、こういうものをきちんとつくって、
河川管理者がこういう形で
監督し、こういう形でなければ
ダムの建設は
許可いたしませんというような、たとえば道路
構造令があるように、
ダムの
構造についてもなくちゃいかぬと思いますから、その点ひとつ
建設大臣にぜひ配慮していただきたい。
それで私は、この
テンターゲートにつきまして
——私も
ダムを、
テンターゲートを見にも行きました。しかし、ここまでこまかいことを
——こんなものがこわれるなんて思ってませんから、そんなこまかいことまで見てこなかった。そこで、
ゲートが飛んだと聞いたときに、どうしてそんなものが飛んだか。おそらくみぞの中に入っているに違いない、こう思ったわけですよ。両端が、
ダム本体の中に水をえぐってみぞをつくって、そのみぞの中でもって上がったり下がったりしておる、こう思ったわけです。だから、みぞの中にあるものが、かりに飛ぶというふうなことになれば、
ゲートそのものが折れなければ飛ばぬですね。どうして飛んだかなと思っておりました。ところが、
新聞に
テンターゲートの
構造が書いてありますが、なんとみぞなしなんですよ。だから、
ピンが折れたらぱあんと簡単に飛ぶようになっているのです。あれを受ける側に、うしろ側ですね、向こうから水が来ておる、
ゲートがある、
ゲートのこちら側に、たとえ三センチでも五センチでも、
ダムの
本体を突出させておいて、ばっと来たときに、がちっと受けとめるようにしておけば、つまりみぞになるわけですね。向こう側はみぞは要らぬかもしれません、水圧のかかる分は。しかし、こちら側に受けるものがあれば、
ダムの
本体が受けられるような
構造にしておけば、かりに
ピンが折れたとしても、ぱちんとすぐそれでとめられて、もう飛ばないんです。当然そういう
構造でなければならぬ。ところが、もう
ピンの安全性にたより切って、それで飛んだのです。自動車を坂道でとめますときには、まずサイドブレーキを引きます。それだけでなしに、エンジンブレーキをかけます。それでもいまのジョイントが折れたり、そういうことのためにすべるようなことがあるといかぬから、車に歯どめをかけます。どの車でもこのごろみんな歯どめを持っておりますよ。そういうようなことで、坂道に自動車
一つとめるのさえ必ず歯どめというものをかけるのです。だから六百五十トンの水圧を受ける、六百五十トンという圧力はものすごい圧力です。そんなもので絶えず押されているのを
ピンだけでいつも受けておる。それは
一つ間違って
ピンが折れたときにはどうするのかということは当然考えておかなければいかぬですよ。だから当然そんなものは常識として、
しろうとの常識でみぞの中に
ゲートが入っているものと思っておりました。ところがみぞの中には入っておらぬのですよ。それがこの
事故の最大の
原因です。
ピンが折れるということはこれはあり得ることですよ。当然考えなければいかぬですよ。それを考える必要がなかったら
検査も何も要らぬですよ。そのための圧力
検査やから、荷重
検査やから。
——荷重
検査ということは折れる心配があるということです。だから折れる心配があるなら、それなら、もし折れたときにはどうするかという二段のかまえがなければいけない。絶対折れませんだけでは通らぬですよ。そのためにはやはり
構造上の安全性というものをつくっておかなければいかぬ。それがないんです。それは初め、
発電ダムというようなものは小さいものから始まりました。小さいものから始まってだんだん大きくなってきたのです。大きくするときに
ピンさえ大きくすればそれでいいのだということで、
構造の安全性をあまり考えずにだんだん大きくしてきた。一体何トンの圧力まではこういうふうな
ピンで受けてもいいのか、こういうような
ゲートでいいのか、これよりももう
一つ大きなやつになるとみぞの中に入っているのですね。たとえば天ケ瀬とか、そういうものはみぞに入っているのではないですか。大きな
ダムになるとみぞに入っている。だからみぞの中に入れなければならぬのと、みぞなしにいいというのと限界がきまっていないのです。何トンまでというのは
法律上も何も規定がない。政令上の規定もない。そういうふうな安全性というものの制度上、法制上の安全性の規定がないから、だからこういう
事故が起こってきたのです。したがって今後は当然
ダム建設については
ダムの安全確保に関する政令というような形で、
材質の
検査をどうやる、それから
本体の
検査はどういうふうにやる、それからまた
構造はこうでなければいかぬ、必ず歯どめをかけてそんなものは飛ばぬようにする、岩盤の
検査もどういうふうにやるというふうないろいろのなにを
——現在は
技術者の良識にまかせてあるのです。
技術者の
設計にまかせてあるのです。だから
技術者がいろんな力学的な、またどういう学問か知りませんが、力学的な
検査あるいは工学的ないろいろの考え方に基づいて
設計をしたら、その
設計で安全だという考え方に立っているわけです。しかしこれはいかなる人にもやはり読み違い、計算違いというものもあるし、サルも木から落ちるということもある。だからそれでもなおかつ安全が確保されるというような、これだけのことさえすればもう絶対に安全だろうというふうなことを、あらゆる角度から考えたところの
ダムの
構造の
基準、こういうものを私はつくらなければいかぬと思うのでありますが、
大臣いかがお考えになりますか。