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1967-06-29 第55回国会 衆議院 建設委員会 第19号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年六月二十九日(木曜日)    午後一時二十一分開議  出席委員    委員長 森下 國雄君    理事 木村 武雄君 理事 正示啓次郎君    理事 砂原  格君 理事 丹羽喬四郎君    理事 廣瀬 正雄君 理事 岡本 隆一君    理事 稲富 稜人君       天野 光晴君    伊藤宗一郎君       池田 清志君    佐藤 孝行君       田村 良平君    谷垣 專一君     早稻田柳右エ門君    渡辺 栄一君       阿部 昭吾君    井上 普方君       勝澤 芳雄君    工藤 良平君       福岡 義登君    内海  清君       小川新一郎君    北側 義一君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 水田三喜男君         建 設 大 臣 西村 英一君  出席政府委員         大蔵省主税局長 塩崎  潤君         建設政務次官  澁谷 直藏君         建設大臣官房長 鶴海良一郎君         建設大臣官房会         計課長     高橋 弘篤君         建設省計画局長 志村 清一君  委員外出席者         専  門  員 熊本 政晴君     ————————————— 六月二十八日  宅地建物取引業法の一部改正に関する請願外四  件(野田卯一君紹介)(第一八七一号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  土地収用法の一部を改正する法律案内閣提出  第六一号)  土地収用法の一部を改正する法律施行法案(内  閣提出第六二号)      ————◇—————
  2. 森下國雄

    森下委員長 これより会議を開きます。  土地収用法の一部を改正する法律案土地収用法の一部を改正する法律施行法案、右両案を一括議題とし、審査を進めます。  質疑の通告がありますので、これを許します。小川新一郎君。
  3. 小川新一郎

    小川(新)委員 お許しをいただきまして、大蔵大臣が来てからまた大蔵大臣に対する質問はさしていただくことにして、建設大臣にお尋ねいたします。  土地対策の問題につきまして私もこの間質問したときに、大臣土地に対する定義につきまして、特別の商品というようなお考えをお述べになった。この特別の商品という一つの問題を提起したからには、その定義というものが必要だと思うのでありますが、それについて大臣のお考えをまずお尋ねいたします。
  4. 西村英一

    西村国務大臣 一般経済界におきましては需給関係でもって価格がきまると思うのであります。たとえばこれは需要が要求が強ければ価格は上がる、価格が上がれば供給をふやす、供給をふやせば結局価格は下がる、そういうような需給関係によって、そこでもってやはり均衡した価格というのができ上がるわけであります。しかし土地の場合は、必ずしもその原則どおりにいかないのは、やはり土地そのもの生産をすることができないという一つ商品で、売買はされても生産ができないということである。また土地というものは動かすこともできません。またみずからも動きません。また腐るものでもございません。したがいまして、いつまでも保存ができるものでございます。そういうようなことからいって、やはり一般のものとは違う。しかし現実の問題はやはりその売買が行なわれておるという、私は現実の問題をとらえて言ったのでございます。また非常にその一方の側のほうを強調して、エンファサイズして言うならば、瀬戸山さんの言われたように、それは商品ではないというようなことは、それは非常な極端な一方をとらえて言ったのでございますが、それも私は間違いではないと思いますけれども、私はまた現実に行なわれておる姿で、そういうような特性を備えたものであるから、特別な商品である、かように申したのでございます、
  5. 小川新一郎

    小川(新)委員 土地の問題につきまして私はそこで、それは確かに土地の問題というものは特別な商品であるという大臣のお考えはわかりますけれども、大臣の口からそういうことばが出るということになりますと、これはそういうことをひっからめて土地売買とか収用法にかけたときに、いろいろと問題が出てくると思うのであります。そういうときに町の一般の国民に、これが新語になりまして、特別の商品ということばがはやってくるのじゃないか。こういうときに、土地というものは特別の商品であるからという概念のもとに、いろいろと問題が起きやしないかと思うのです。その点どうお考えですか。
  6. 西村英一

    西村国務大臣 私もしいてそういうような宣伝をするつもりはありません。言いたくはなかったのであります。しかし一体商品であるかないかと聞かれたものですから、それでわかりませんと言っておけばよかったのですが、わかりませんと言えばやはり次から質問がありますから、何か言わなければならぬ。商品じゃない、こう言ってしまうというわけにもいかないものだから、特別な商品だ、こう言わざるを得ないようにしむけられたのであります。
  7. 小川新一郎

    小川(新)委員 そうしますと、確たるそういった根拠があって、また確信の上に立って大臣が述べられたのでないということは私が了承してもよろしいのですか。
  8. 西村英一

    西村国務大臣 特別なものだというふうに了承してくださればいいと思います。
  9. 小川新一郎

    小川(新)委員 そのことをなぜ私がしつこく聞くかと申しますと、そのことによって税制面についてもまた考えが変わってくるであろうし、またその土地定義がはっきりしませんと、はっきり言って金の問題ですね。お金なんか貧乏人が持った場合、それから金持ちが持った場合、また税金なんかかける場合に累進課税とか特別基礎控除とか、いろいろと税の面でも段階があるわけです。そうすると土地という一つの特殊な商品に対しては、いま土地収用法をかけるわけでありますが、貧乏人と言っては語弊がありますけれども、一般大衆、ほんとうに土地が十坪か二十坪しかない人がそこに家を建てておる。たまたまそこに公共事業を行なうので収用法がかかる。そういう場合に、その公共用地獲得するために、公共事業優先のために、それらの方々から土地を収奪しなければならぬ。ところが一方においては大量の土地を持っている不動産業者だとか大地主とか、そういう人たちにその収用法をかける場合とは、かけられるほうにおいてはこれは全然違うのですね。金がある者とない者とでは、かけられるほうは違うと思うのです。そこで私は土地定義というものをいま大臣からやかましく聞き出そうとしているわけです。私はしむけて大臣を脅迫しているような意味で言っているのではないのです。それでそういう観点に立ちますと、収用法にかける場合に二段階、三段階段階をきめてもいいのではないかという私は考えを持っているのですが、その点についてはどうお考えですか。
  10. 西村英一

    西村国務大臣 やはり収用される人の発言機会をなるべくつくってもらう。あくまでも土地収用法ができたからといいましても、任意特定の協議の方法をとっていくのが原則でございます。したがいまして、またどうしてもかけられる場合には、やはり被収用者発言機会をその段階でたくさんとっていくことは必要であろうと、私はこう思います。
  11. 小川新一郎

    小川(新)委員 そうしますと、こういう考え方大臣はどうお考えになりますか。それはたとえば収用法をかける。現在の土地収用法もこれは私権侵害であります。相当制限を受けておるわけです。それをさらに強く改正するわけです。土地のうんとある者は、現在の強化された今回の改正法律案でいいと思う。ところが二十坪、三十坪しかない生活の本拠となるものが収用を受ける場合には、改正されない収用法でやっていったらどうか。こういうように土地定義というものは、はっきりしないのですから、段階を分けたらどうですか。こういう考え大臣どう思いますか。
  12. 志村清一

    志村政府委員 お答え申し上げます。  補償につきましては、大別して二つに分かれると思うのでございます。土地そのものに対する補償と、それから土地を失うことによりまして生ずる離農補償とかあるいは漁業をやっている方々漁業をやめなければならなくなる。それを一括いたしまして通損と称しておりますけれども、土地そのものに対する補償と、通損的な補償二つに分けられると思います。  お説のように、土地そのものに関しましてはどなたが持っておりましても価格は変わらぬというふうに考えるのが当然であると思います。今回の改正法案におきましても、さような意味におきまして権利取得裁決ということで土地そのものについての裁決は別途にやる。しかし問題になりますのは、離農あるいは漁業をやめざるを得ないというふうな問題、いわゆる通損関係の問題でございますが、それらに関しましては事業認定時に限定はいたしておらぬわけでございます。これは明け渡し裁決時の価格でもってやるということでございますから、現行法と同じような態様で裁決がされるというたてまえになっておるわけでございます。
  13. 小川新一郎

    小川(新)委員 そうすると、改正になりましても裁決時ですね。認定時と裁決時がありますが、認定時のとき一律にそうなるというわけじゃないのですか。
  14. 志村清一

    志村政府委員 改正法におきましても、土地収用、使用といった関係につきましては事業認定時の価格が基準になって考えられるわけでございますが、ただいま申し上げたのをもう少し砕いて申し上げますと、たとえば建物を移転するというようなことは現実にかかる費用でございますので、事業認定時ではなくて、実際明け渡しをするときの値段建物を移さなければならぬときの値段、すなわち最終的な明け渡し裁決のときの値段考えていく。それから通損と申しまして、先ほど申し上げました離農しなければならぬ、あるいは漁民をやめなければならぬというふうなことにつきましても、明け渡し裁決時の価格でもって考えるというたてまえになっておるわけでございます。
  15. 小川新一郎

    小川(新)委員 これは建設大臣にお尋ねしますが、最近の地価高騰が、きょうの新聞によりますと不動産鑑定の面から見て七%ですか、ほかの物価に比べて地価高騰が最近著しいと思う。この点については大臣はどのようにお考えになっておりますか。地価高騰についてのお考えです。
  16. 西村英一

    西村国務大臣 どのように考えておるかですが、まことに困ったことだ、早くこれを安定した地価にしなければならぬ、かように考えておるものでございます。
  17. 小川新一郎

    小川(新)委員 その地価高騰について収用法強化する、またそれに伴うところの総合的な地価対策というものがいつも論議になっておるわけですが、そういった地価対策ができていないので、他の物価に比べて地価高騰というものが最近急ピッチになってきておる。これに対する考えをいま大臣がお述べになりましたが、この地価高騰というものがいまのような急ピッチで進んでいくのがどの点で押えられるか、その点についての大臣の見通しをまず聞きたいのです。それに対してはどのような手を今後打ってその急ピッチをとめていくか、こういった今後の地価対策という面についてまず大臣のお考えをお聞きしたい。私のことばが足りなかったのですが、その点についてお聞きしたい。
  18. 西村英一

    西村国務大臣 全国的には結局五%くらいであるということは先日も申しましたが、やはり都会の周辺においては年に一割ぐらいということでありまして、非常に高い値段でございますが、このまま続けておってはたいへんでございますから、政府としては土地政策につきましてあらゆる手をやるということ、これを押える手は特効薬はないということです。特効薬はない。あらゆる手段を講じて地価の安定をはからなければならぬ。そのためには土地収用法もその一環でございましょうし、再開発法手段をやるのも一環でありましょう、あるいは都市計画法改正をやって、土地利用計画を立てるのも一環でありましょう。その他今後こまかい手といたしましては、土地価格公示制度をやるとかいろいろな方法を講じてこの病気をなおすということでございまして、これをやれば地価は絶対に直ちにおさまるのだという手はない。しかしあらゆる手段を講じて地価の安定をはかりたい。それは他の物価上昇をも来たすものでございますから、あらゆる手を使って押えたい、安定させたいということでございます。
  19. 小川新一郎

    小川(新)委員 地価対策につきましてのこれは病気としますと、専門医者建設大臣すなわち建設省だ。ところがそのお医者さんが特効薬はないのだ、まあ何とかなるだろう、都市計画市街地開発のほうも、これは収用強化していかなければできない問題です。そのことを皆さんがおっしゃっておる、一緒に提起しようと。そういうふうに、現在の地価対策土地の問題のひずみが、収用法だけに責任があるような考え方は私は納得できないのですが、まことに大臣の御答弁では無責任のようにちょっと感じるのですけれども。いろいろな学者の説もあります。この地価問題という点につきましては地価公示制度とか国土利用基本計画の策定とか、いろいろな問題があると思いますが、大臣考えとしてこれとこれとこれをやれば、一〇〇%の地価対策はできないにしても建設大臣責任の上において、この問題をここへ当てはめればこれだけの地価対策は解決できるという確信と所信のもとに今回の収用法強化というものが打ち出されているのでなければ、これは納得できないと思うのですが、その点についてはどうですか。
  20. 西村英一

    西村国務大臣 いま申しましたように、いろいろな手を打つということでございます。したがいまして収用法もその一つである。先般提出いたしました都市開発法案もその一つである。また今後提案を約束いたしました都市計画法改正もその一つである。さらにいろいろな手を打っていきたい。そのいろいろな手というのはどういうことかというと、ただいま検討中であります。いろいろな手がまだあろうかと思われるのでございますが、ただいま検討中であります。いずれ成案を得ましたらそれも御審議願うようなことがあろうかと思います。
  21. 小川新一郎

    小川(新)委員 そうすると、都市開発法とか都市計画法というのは土地の根本問題が解決しないうちは成功はしないという考えを私は持っておるのですが、その点はどうお考えですか。——計画法とか再開発法というものは、土地の問題が解決しなければ、つまり基本的な理念、モラルというものを打ち出した中できちっとしたものが打ち出されなければ、そういった結果面のほうはあらわれてこないのじゃないかという私の問いなのです。この点はどうお考えですか。
  22. 西村英一

    西村国務大臣 いま考えておるそういうような手を打っていけば徐々に安定した価格に向かうと私は確信するのでございます。
  23. 小川新一郎

    小川(新)委員 これはいつまでたっても水かけ論になりますので、私どもも収用法強化という点は、私権侵害の点、また収用法強化だけで土地の問題は解決していかないといういまの大臣のおことばを承りましたので、そのいろいろといういろいろですね、いろいろと腹案がございますでしょう。そういう問題が次々に出されて土地対策というものが解決するということを私は願ってやみませんが、すみやかにその構想というものを発表されんことをまずお願いしておきたいと思うのです。次に、政令で定める「物価変動に応ずる修正率」、これは昨年与野党の皆さんが議論をなされたのですが、具体的にはどのようなものを想定しているのですか。
  24. 志村清一

    志村政府委員 事業認定時の実質価格を維持するために物価変動に応ずる修正をしようということでございますので、考え方といたしましては卸売り物価指数小売り物価指数というものを総合いたしまして、さような変化に応じて価格修正していくということにいたすべきであろうと考えておるわけでございます。
  25. 小川新一郎

    小川(新)委員 物価の安定というのは、これは全般的にわたるものですね。土地上昇というものは特殊な地域です。一つ公共事業起業者から発表されて、その周辺地は値上がりしていく。それは急速にうんと上がっていくわけです。物価上昇よりもさらに上がるわけです。その点でもって、はたして土地の代替というものはできるでしょうか。
  26. 志村清一

    志村政府委員 さような意味におきまして、事業認定がございますと、直ちに補償金支払い請求ができる、そして事業認定時の地価をすみやかに権利者に渡せるようなたてまえにいたしておるわけでございます。
  27. 小川新一郎

    小川(新)委員 これは大蔵大臣が来てからまたあらためてお伺いしますが、建設大臣のお考えをひとつお聞きしたいのです。  税制面からの抑制だけでこの土地対策というものがある程度押えられるかどうか。これは大蔵大臣のお考えをお聞きしなければ、私は納得しないのでありますが、所管の大臣としまして、この税制面についてはどのようなお考えを持っておりますか。
  28. 西村英一

    西村国務大臣 税制面だけで押えるということは無理があるのではないか。確かに、それは一つ方法であります。しかし、その税制面考える場合にも、やはり程度の問題になろうかと思うのであります。だから税制面だけでそれは開発利益だからみな取り上げてしまうのだという態度でいくということ、これはまたそういうことも必要であるかもしらぬけれども、やはり土地問題をそれのみで解決しようというのも、全般としては無理があるのじゃないか、かように私は考えております。
  29. 小川新一郎

    小川(新)委員 もう一つ大臣にお尋ねしますが、私はごね得をやる者よりも、周辺地不労所得、自分は手をこまねいておっても、収奪されるまわりにいる人たちが、土地が上がっていくのでもうかってしまう、不労所得ですね。これを社会に還元していく税金のあり方、これを今回まだ提出されないのでありますが、大臣はこの点についてはどうお考えになりますか。
  30. 西村英一

    西村国務大臣 不労所得もいろいろあります。したがって、財産権を論ずる場合にも、不労所得財産でないという学説もございます。しかし土地のために不労所得を取った人からその取り分を還元してもらう。土地ばかりじゃありません。不労所得はいろいろありますけれども、土地から得た不労所得のものを、いわば土地のために還元してもらうということについては、十分な考慮をしなければならぬと私は考えておる次第でございます。
  31. 小川新一郎

    小川(新)委員 これは話が全然別になってしまうのですが、国鉄共済組合先行投資をした問題が新聞に出ておりました。非常にずさんなやり方が新聞発表になりまして、私はこのことは運輸委員会でも質問したのでありますけれども、こういった国鉄または官庁関係団地造成に対して、建設省は何らかの申し込み、またはそれに対する指導というものを行なっているのですか。
  32. 西村英一

    西村国務大臣 あの問題は、新聞発表になりましてから私も気がついたのでございまするが、私どもまだ調査中でございますが、いままで調べたところによりますと、結局私のほうの所管しておる法律、宅建業法の違反であったかどうか、そういうようなことはないようでございます。また宅地造成法律に関しては、正当な手続をいま国鉄共済組合はやっておるようでございまするから、法規上における違反はなかったように私は思うのでございます。さらに調べてはみます。しかし、道義上どうであったかこうであったかということにつきましては、新聞で出ておる範囲内では、やはり道義上あまり好ましくないというようなことは承知をしておるのでございます。いずれにいたしましても、法的にどうこうというようなことは、いままで調べた範囲内ではない、かように考えておって、私のほうでもただいま検討を命じております。
  33. 小川新一郎

    小川(新)委員 そうすると、きのう岡本委員質問していた中に、駅前土地が最近非常に値上がりしたために買い手がつかなくなった。都市計画や、また市街地開発の上にガンになっておる。そういうふうに土地が猛烈に値上がりしておって、埼玉県においても大宮周辺浦和周辺、これは土地が遊んでおります。泥濘地帯、こういうふうな土地の急騰によって買い手がつかなくなって、都市計画というものは思うとおりいかなくなった。こういうふうな点は、今後どのようにお考えになって対策を立てられるのですか。
  34. 志村清一

    志村政府委員 先生御指摘になりました現象は、いわゆる空洞現象というふうなことばで言われておりまして、これから開発されていく駅周辺などがちょうど空洞のようになってしまう。それから先に住宅地等ができるという問題がございます。これはいわば期待価値というものを含んだ相当高い地価になってしまいますために、当面の需要に応じ切れない。そして、そのまま残るというかっこうでございます。これらにつきましては、御指摘のとおりいろいろ問題があるわけでございます。もちろん駅前等でございますので、区画整理を施行するとかその他によりましてだんだん整備をしてまいる、ちゃんとした市街地になり得るような形にし、その利用を促進するという方向で検討するのがしかるべきだと考えておる次第でございます。
  35. 小川新一郎

    小川(新)委員 そのための私権侵害ということは考えられませんか。
  36. 志村清一

    志村政府委員 たとえば区画整理を行なう場合におきましても、地主がお互いに共同いたしまして、組合をつくってやる方法もございます。また公共施設等整備という意味で、公共団体施行という方式もございますが、いずれの方式におきましても、関係権利者の意思を十分反映するような措置で進められる制度になっておるような次第でございます。
  37. 小川新一郎

    小川(新)委員 これはまた大蔵大臣が来たときにお聞きしたいのですけれども、税制調査会の中に土地税制特別部会というのがあると聞いておりますが、この税制を、一方的な大蔵省だけの考え方で進めていくようなことは今後起きないでしょうか。建設省としてはどういうふうに考えていますか。
  38. 西村英一

    西村国務大臣 建設省としても、公式でなくても、私的なものでも、十分検討して、これに対してやはりその委員会に反映するように十分力を尽くしたい、かように考えております。
  39. 小川新一郎

    小川(新)委員 私は、きょうは大蔵大臣に対する質問のために用意しておったことばかりなので、建設大臣にあまりできないのでありますけれども、最後にこれを一つだけお尋ねして終わりにしますが、地方自治体がいま非常に財源に苦しんでおります。そのために土地利用というものが、また土地獲得というものがたいへんなんですね。そのために、大蔵省にあとでお願いするわけでありますけれども、建設省としましても、地方自治体財源の悪化の中から都市計画または市街地開発法、または宅地の五ヵ年計画のための土地獲得という点について非常なる御援助をいただかなければだめだと思います。その点について、大臣としまして今後こういった地方自治体公共土地獲得の点につきましては、どのように進められるか、その点だけお聞きしまして建設大臣に対する質問を終わりたいと思います。
  40. 西村英一

    西村国務大臣 その点につきましては、きのう岡本さんの質問に対して総理大臣も答えました。自治財源の問題、これは御承知のとおり、自治省といたしましては、いろいろな点で財源問題を訴えております。自己財源がないということ、したがいまして、これは十分今後政府の問題となろう、かように思っておる次第でございまして、十分検討をいたします。
  41. 森下國雄

    森下委員長 この際、本会議散会後再開することとして、暫時休憩いたします。    午後一時五十分休憩      ————◇—————    午後三時三十五分開議
  42. 森下國雄

    森下委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。内海清君。
  43. 内海清

    内海(清)委員 昨日は総理も出られましていろいろ開発利益吸収などにつきまして御質疑があったようでございますが、なおそういうこと、さらには民間宅地業者租税特別措置法との関連と申しますか、そういうことにつきまして若干の御質問を申し上げたいと思います。建設大臣がおいでになりませんから大蔵大臣に関連した部分のみを引き続きまして御質問いたしたいと思います。  昨日岡本委員からも総理との間にいろいろ質疑が繰り返されましたが、私この開発利益吸収の問題について昨年の五十一国会当時からの記録をいろいろ調べてみたのでありますが、これによりますと、収用地と周辺地との均衡をはかる必要があるということで、昨年は特に租税特別措置法の一部改正の中で長期譲渡所得の課税の特例というものが設けられておったのであります。これは当時の議事録を見ますると、特に「公共事業のために収用された土地等とその事業の利益を享受する土地等との均衡を図る必要があるとする」という提案の説明がございました。「すなわち、前述の通り、公共事業の費用の増大や計画の遅延等に対処するため、今後収用地は改正土地収用法に基いて従来よりも低い価格収用されることとなるが、その周辺地地主はそのような社会投資が行なわれる結果必然的に土地の値上り益をうけることとなる。しかしてこのような値上り益は、いわば不労所得というべきものであり、社会的公平を保つうえにもその利益の一部を社会に還元すべきであるという観点に立って、長期譲渡所得の一部を全額課税に改め、収用されるものとこれらのものとの権衡を図る必要があるとするものである。」と提案理由に説明されておるのであります。ところが、今回はこれが削除されておるわけでございます。  これにつきましては昨日もいろいろ質疑が取りかわされましたが、なおその他の議事録を調べてみますと、当時の瀬戸山建設大臣も、収用地以外の土地というものはただ高騰、暴騰そのままにしておくということは、地価全体の問題、土地全体から考えて適切ではない。と同時に社会公平の問題からいいましても、公共事業に協力する人はそれでいいかもしれぬが、その他は野放しということは政治姿勢として適当でない。それからさらに当時の福田大蔵大臣も、収用関係のない土地が従来のような高い価格売買されている。これとの間に非常な不均衡を生ずる。これは国民感情——特に国民感情ということばを使ってありますが、国民感情として収用法が新しくなるという際にちょっと見のがすことのできない大きな問題である、こういうふうにいろいろ答弁されておるのであります。そういう点から考えますならば、昨日いろいろやりとりがございまして、大臣も御答弁ございましたけれども、私どもその辺が十分納得いきにくい問題が残るように考えるのであります。今回のこの収用法の問題のみでは、さらにこれに関連する特別措置法の問題のみでは、収用地と周辺地の均衡を保つということは不可能であろう、この二つは不可分の問題であるのであるが、それがそのような状態になりますので、これはたいへん遺憾に思うのであります。  そこで、特にお尋ね申し上げたいと思いますことは、今回の収用法改正案、これにつきまして、収用地と周辺地との不均衡というものが是正されないのでありまするが、その点についてあらためてひとつ御所見を承っておきたい、かように思うのであります。
  44. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 これは昨日もちょっと申し上げましたが、税制として昨年の提案には、私はやはり未熟な点があったというふうに考えております。と申しますのは、いまおっしゃられたような意味開発利益吸収するということは、これは当然必要なことであるというふうに思われますが、それでは昨年そのための措置がどうなったかといいますと、この開発利益というものを把握することがむずかしい、結局土地収用土地とは無関係に、全国一律に譲渡所得の強化というような税制が昨年は提案されたということは、土地収用とは無関係一般税制までここに便乗されて提案されたということもございまして、しまいにいって国会の批判が非常に強くなったということから、これは再検討しなければならぬと私どもも考えておりまして、今回の場合も、利益があったところに税をかけるという一般税理論の問題ではなくて、問題は土地解決、いわゆる土地対策一環として、税制をどうあらしむべきかという観点から一ぺん全部見直す必要があるというふうに考えまして、実は明日税制調査会が開かれますが、そこに対して私どもは、土地に関する税のあり方を一括して検討願うという措置を明日とるつもりでおります。これによって土地に対する税制、いろいろ複雑な問題がございますし、また売った場合に税をとるという譲渡税にするか、あるいはそれを持っておる場合に税をとる、そういう税制度というものが有効であるか、こういうものを全部ここで一ぺん見直して、総検討したいという考えでおりますので、この答申によって最も合理的と思われる土地対策に関する税制というものを私どもははっきり確立したい、こういうふうに考えております。
  45. 内海清

    内海(清)委員 その点は昨日も大臣の御答弁の中で伺いましたわけでございますが、大蔵委員会における質疑の状況をいろいろ見てみましても、主税局長も、昨年の国会においていろいろな論議がなされておるが、今回は反省してもう一度検討し直そうということで、そういう意味合いの答弁がなされておるようであります。しかし昨年の提案理由の趣旨を顧みましても、あるいは昨日岡本委員総理とのやりとりのぐあいから見ましても、ほんとうにそういうことで今回の提案が見直されたかどうかということに私どもはすっきりしないものがあるのであります。いろいろな圧力が加わった。ことに衆議院段階におきましては通過したものが参議院段階でああいう形になったということにつきましては、そこにいろいろな疑惑があると思うのでありますが、ただいまの大臣の御答弁のようでありますならば、昨年出されたものはきわめてずさんなものであったのではないかというふうにも受け取れるのであります。しかし少なくとも政府責任を持って提案されるものが、昨年のものでもそれほどずさんなものではないだろう、私はかように考えるのであります。むしろこの問題に対して政府の態度が幾ぶん後退したのではなかろうかというふうな、国民感情からいえば感じを受けるのであります。この点につきましての御所見をひとつお伺いいたしたい。
  46. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 私が考えますのに、土地供給を促進して土地利用の効率化をはかる、そして地価高騰を防ぐというような土地対策の主役は、やはりいま建設省を中心にして考えておられるような利用計画というようなところにあって、税制はしょせんわき役をつとむべきものである、税制によって土地問題の解決をはかる、これを主役にしようということは間違いじゃないかというふうに私は考えております。そうしますと、税を強化するということをきめましても、その土地が、やはりがんばっておれば、将来はもっと上がるのだという情勢にあれば、幾ら税を強化しても、その人は売らない、売り惜しみをするということになりますし、宅地相当低廉に供給されるという事態がいろいろ出てくるということになりますと、長く持つ必要はないので、これを適当なときに売るという流動化が促進されるということになりますので、税をどうするかという問題の以前に、やはりみなが土地供給することに協力する別個な対策というものがとられれば、それに伴って税制が推進をはかる役目をするということになろうと思いますので、やはりいろいろな利用計画のようなものが先であるというふうに考えまして、いま政府でもそちらの案をつくって、この国会に提出しようとするところでございますから、その具体化に伴って一緒に私のほうは税制考える、明日から諮問をして、なるたけ早く税制の答申を得るというふうにしたい、こういうふうに考えております。
  47. 内海清

    内海(清)委員 なるほど大臣のお話のように土地の問題は、土地利用計画、これは生産できませんから、一定のきまった土地をいかに有効に利用するかということがもちろん一番問題だと思うのであります。税の問題は、あるいはそれに対する補完的な問題であるかもしれません。しかし今日の日本におきます土地利用の問題、特に地価問題を考えますときには、やはり税の問題も一つの大きな要素になってくるのではなかろうか。ただ利用計画ができたのみでは、いまの日本の状態からいえば、これが是正できるのかどうか、こういう問題があると思うのであります。でありまするから、私は先般の委員会でも申し上げたのでありますが、こういう問題、ことに開発利益の還元というような問題につきましては、これは収用法と両輪で並行的に進めていかなければ、ほんとうにいまの状態では解決できないのではないか、かような心配をいたしておるわけであります。大臣がいまおっしゃいますように、税はあくまでも補完的な立場に立ってやるのだ、それでいけばこの上ないと私は思いますが、いまの状態ではそれではなかなかいかぬのじゃなかろうか。この点を私は心配して、御迷惑だろうけれども、たびたびお尋ねをしておるわけであります。その点に関しましての大臣の御所見を承りたい。
  48. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 お説のとおりだと存じます。したがって私どもは、税の問題について後退したというわけではございません。土地対策という角度からどういう税をつくったらいいかということを、ここで総括的に根本的に一ぺん練り直そうということでございますので、後退したつもりはいささかもございません。
  49. 内海清

    内海(清)委員 今回の収用法地価対策一環でもございますし、そういたしますと、いまの日本の情勢から考えましてどうしても税の問題を軽視するわけにいかないのであります。ことに税の公平の原則から申しまして、この開発利益の還元の問題はきわめて重要な問題だと私は考えるのであります。そういう意味合いで、今度税制調査会へ御諮問になりまして検討されるようでありますけれども、その点ひとつ十分お考えいただいて、これが来年の通常国会に提案されますかどうか、この収用法が国会を通りまして施行されてまいりますと、その間に時間的にギャップが出るわけでございますけれども、この問題はできるだけ早く解決しなければならぬ問題だ、かように考えておるのであります。この点を強く御要望申し上げておきたいと思います。  それから、大蔵省では土地の流動化促進あるいは譲渡課税の合理化、こういうふうな問題から現行の譲渡所得税を根本的に検討したいという御意向があるように承っておるのであります。そのために六月末ごろ——これはあしたから開かれるのがそれだと思いますが、税制調査会に基本構想をまとめて諮問されるということも承っておるのでありますが、その基本構想とはどういうふうなものかお伺いいたしたいのであります。
  50. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 税制調査会では、土地税制特別部会をつくっていただこうというふうに、部会の設置をお願いしようと思っております。大体委員の構成は七名、特別委員四名程度の特別部会で、土地に関する税制の、審議をお願いしたい。これは明日調査会できまることでございまして、まだ確定したことではございませんが、私どもの希望はそういうことでございます。  審議していただく項目は、一、土地供給の促進。二、土地利用の効率化、合理化。三、土地の思惑需要の抑制。それから四が、いまおっしゃられました土地の値上がり益に対する社会感情。五、保有課税と譲渡課税。六、土地の値上がり益と貨幣価値との関係。七、現行土地税制の簡素化。こういうような項目を中心とした課題の御検討を願おうと思っておる次第であります。
  51. 内海清

    内海(清)委員 承りますと、この土地問題につきましてかなり各分野の御検討が願えるようであります。おそらくこれで来年度の問題も解決する方向にいくだろうと思いますが、特にこれらの中で、私考えましても大体想像つくのでありますが、開発利益についてどういうふうに対処しようとしておられますか、その点をちょっとお伺いいたしたい。
  52. 塩崎潤

    ○塩崎政府委員 大臣の御答弁を補足するようでございますが、いま大臣が申されましたように、こういった問題点を提起いたしまして、私どもの構想というよりもむしろ有識者の方々の御意見、特に今回はあらためて土地関係の学識経験者を相当特別委員として追加をお願いいたしましたので、問題点を提起したにとどまっておるだけでございます。私どもも税制の専門家といたしましていろいろな考え方がございますが、何といっても社会的な影響、経済的な影響が大事でございますので、そういった角度の広い御意見を承るつもりでございます。したがいまして、当初におきましては、私どもは私どもとしての意見はできる限り申し上げるつもりはございません。ただ、いま申し上げました土地開発利益、値上がり益に対します感情は、内海先生御案内のとおり、社会的な感情としてございます。さらにまた、これは不労所得という所得税法上の概念でもございますので、これらはとうてい無視できないことでございます。しかし一方、あまりに不用意に、あるいはまた、大臣はよく未熟にと言っておりますが、未熟にやりますと土地供給がそこでとだえる。これまた一つの大きな社会的なマイナスでございます。これらをどう調和させるか、これからひとつ有識者の方々の御意見を十分拝聴いたしまして、いい案をつくってまいりたい、こういうふうに考えております。
  53. 内海清

    内海(清)委員 時間がございませんので、あともう二点お伺いしたいと思います。  一つは、公共事業の用に供します土地を売り渡した場合、今回の特別措置法によりましてこれは千二百万円までの控除が行なわれるということに相なっておるわけであります。その結果、確かに私どもは公共事業が促進されていくだろうというある程度の希望を持っておるわけでございます。ただこの場合に私どもが非常に心配いたしますことは、公共事業はこれで進んでいくだろうけれども、反面に公共事業と競合する——競合するということばはどうかと思いますが、競合するような関係にあります民間の事業者、たとえば宅地造成にしましてもこの問題が起きてくると思うのです。民間の事業者がいても非常に仕事がしにくくなる面が出てくるのではなかろうか、こういう心配をいたすのであります。特にこの住宅におきましては、御承知のように、民間事業者に売る場合と公共事業者に土地を譲渡いたす場合の譲渡所得税の面でこれは極端な格差があるわけでございます。特に民間の場合には強制力も何もございませんので、したがって土地を持っておる人は民間には売り渋るであろうというふうな面が出てきはせぬかということを私は非常に心配いたしております。ことにいまの住宅問題は、やはり今日わが国でも非常に大きい問題でございますが、現行の住宅の五ヵ年計画を見ましても、五ヵ年で六百七十万戸という住宅計画政府にあるわけでございますけれども、そのうちの約六割の四百万戸というものは民間建設にたよろうといたしておるのであります。したがって、この民間の住宅建設というものは、特に宅地の造成業者にとっては、宅地造成がこれらの面と公共事業の面と競合することによって非常にやりにくい面が出やしないかということを実は心配をいたすのであります。この点につきまして、時間がないようですから大蔵大臣にお尋ねしておきますが、建設大臣にはまた何かの機会にお尋ねいたしたいと思います。
  54. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 これはそのとおりだと存じます。国や地方公共団体の行なう宅地造成事業はどんどん進んでも、民間の宅地造成事業はこれによって阻止されるという傾向はございますので、ここで今回の法案におきましては、一定の要件を備えた公共性の強い宅地造成事業については譲渡所得課税について特別控除を行なうという措置をとりまして、これは三百万円でございますが、これについて千二百万円に対してあまりに差があるとかいうようないろいろ意見もございますようですが、私の聞きましたところによりますと、この三百万円という特別の控除があるだけで、土地を放す地主はここに新しい住宅地域ができるというときに、前もって思惑でこれを第三者が買っておいて、そして高く供給しようとすることが全部なくなった、地主から見たらもう第三者に売ったのでは恩典がないので、直接民間の造成業者と取引をしなければ不利であるというふうなことで、この三百万円の特別控除制度が置かれただけで土地は第三者に売られないという傾向が出てきた、これは非常に今度の法案はいいという批評を私は聞いておりますが、まだ十分な措置でないかもしれませんけれども、民間の宅地造成者に対して特別の恩典を与えることは、やはりこの際私は必要だろうと考えております。
  55. 内海清

    内海(清)委員 なるほど大臣いまお話しのとおりに、今度の特定住宅造成事業というものはこれは認定を受けまして、そうしてそれによって三百万円の特別控除が行なわれる、これは今回できたわけでございます。しかし、この収用地の場合との差というものは九百万円あるのでありまして、それがはたしていま大臣のお話しになりましたようなことで公平になるかどうか、あくまでも税は公平の原則を基本にして考えなければならぬというふうに思うのであります。しかも特定の住宅業者という、これはまた建設省のほうにもお尋ねしなければなりませんが、これには条件があるようであります。条件がありまして、たとえばその施行地区が一定面積以上の大規模なもの、あるいは道路、公園等の面積が四分の一を占め、学校その他の公益的施設の敷地が確保されていること、あるいはその造成した宅地の処分予定価格が一定価格以上であることというような条件があるわけであります。したがって、これは一般のこういうふうな大規模の業者ならいいわけでございます。その他のものはこれにかからないということがございますので、一般宅地利用というものはなお多くの問題を残すのじゃなかろうかということを心配いたすのでございます。この点につきましても、これは政府におきましても今日の地価問題と同時に住宅問題解決の一つの重要な要素であると私は考えますので、これらにつきまして今後特別の御勘案を御要望申し上げたいと思いますが、それにつきましての大胆の御所見を伺います。
  56. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 やはりさっき申しました項目のうちで土地に関する税金がございますから、民間の宅地造成事業を促進するという立場から、やはり私は税制調査会で一応この問題も検討していただきたいと思います。
  57. 内海清

    内海(清)委員 私に与えられた大臣に対する質問時間がまいりましたので、まだ残っておりますけれども、私はこれでやめますが、いまお尋ねいたしましたこの開発利益吸収の問題と、さっき申しました後段の問題、これはきわめて今後重要な問題に相なってくると思います。ことに税制面でも特別にお考えをいただかなければならぬ問題だ、かように考えておりますので、今後とも一そうの、できるだけ早くこれらに対処する措置をとっていただきたい、この点を強く要望いたしまして質問を終わります。
  58. 森下國雄

  59. 小川新一郎

    小川(新)委員 大臣も時間がないようですからはしょって簡単に質問いたしますから、よろしくお願いします。  未利用地の有効利用のための課税、たとえば空閑地税ですね。この空閑地税のことは非常に出ておりますが、ただ利用度の高いところと低いところでは差があってあたりまえだと思います。それに対する大臣のお考えをまずお聞きしたいと思います。
  60. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 私も当然差があってしかるべきだと考えます。
  61. 小川新一郎

    小川(新)委員 あまり簡単なんですが、その差があるということの前に、こういった空閑地税についてはどうお考えですか。
  62. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 これはきのうも総理が答えておったようでございますが、税理論としてはよろしゅうございますが、実際問題として何が空閑地であるかということを決定するというためには、これをやはり空閑地とする一つ計画がなければならぬ、土地利用計画によってはっきりこれが空閑地であるかないかということがきめられますので、やはり空閑地税の前提として土地利用計画がなければならぬというようなことから、いま利用計画と取り組んでおりますので、こういうものがはっきり具体化しましてから、さっき話しましたようにそれに伴う税制として空閑地税を私どもは研究したいというふうに考えております。
  63. 小川新一郎

    小川(新)委員 それから土地対策についてでありますが、ただいま国家の所有しておる土地、こういった土地を絶対今後売らないで国のための仕事に使う、こういうお考えをお持ちでありましょうか。
  64. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 これは国の持っている土地は多種多様でございますので、これを公共のために使って民間には譲渡しない、すべきではないという場所もありましょうし、そうじゃなくて、むしろ民間に活用させていい土地であるというものもございますので、これは一律には原則を立てられないと思います。
  65. 小川新一郎

    小川(新)委員 固定資産税また譲渡所得税等のそういった税金都市発展に伴う目的税に、たとえば道路のためにはガソリン税とか揮発油税とか軽油引取税とか、こういった目的税のために使うようにしたらどうかという考えを持っておるのですが、そういうお考え大臣お持ちですか。
  66. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 目的税にするということは不適当だと考えております。
  67. 小川新一郎

    小川(新)委員 土地対策都市計画、いろんな土地の問題でありますので、その財源について確かにその目的のために使わない、しかしそのほうに主力をかけてその財源を使っていくという考えはありませんか。固定資産税また譲渡所得税等のそういった財源都市開発のための目的税に使う考えはないかという質問に対して、全然使わないというお答えでありましたけれども、そういう方面へ主力を注いでそういった財源を持っていったらという考えはどうですか。
  68. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 それは、都市計画というようなものを遂行するために今後これは力を入れたいと考えております。
  69. 小川新一郎

    小川(新)委員 まあいいでしょう。  それじゃこれは大臣に特別にお尋ねしますが、きのう税制調査会ということばをお使いになりましたね。そこの答申を待つということをお聞きしました。その中に土地税制特別部会というのがあるそうでございますが、それの進め方ですね、大蔵大臣が今後どういうふうにそういった土地税制特別部会の進め方を持っていくのか、そしてまたどういう答申を今後受けられるか、この税制調査会のあり方について大臣のお考えをお聞きしたいと思います。
  70. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 これは先ほど申しましたが、特別部会を税調の中へ設置したいと思います。そうして構成は大体委員七名、特別委員四名、十一名程度の専門家をもって構成したいというふうに考えております。そうしてここで討議される主要な政策、項目というものは、先ほど述べたように大ざっぱに七つございますが、結局土地を中心にする税制全般ということでございます。
  71. 小川新一郎

    小川(新)委員 これは、大蔵大臣がまた建設大臣等の意向、考えも織り込んだ中でそういった答申を受けられる方向でございますか。
  72. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 これは今度の法案ができますときに、税は一括して検討してきめるということを建設省との間の話し合いで——税制だけ今回の法案では抜いてございますので、十分打ち合わせ済みでございます。
  73. 小川新一郎

    小川(新)委員 経済問題として大蔵大臣にお考えをお聞きしたいのですが、最近の地価が目立って急ピッチに上がっております。このことはきょうの新聞にも出ておりました。市街地価格指数は八七五に対して一般物価のほうは七・九倍となっております。一般物価の安定ということは第一番目でありますが、特にその中で地価はそれ以上一般物価より上がっております。経済全般に対して、こういった問題については大臣はどのようにお考えになり、今後対策を講じられてまいりますか。
  74. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 確かに地価はこの十年ぐらいに七、八倍、特に都市は十倍近い値上がりをしております。この土地高騰ということはいずれにしても国民経済にとっていいことではございません。そのためにこそこの土地問題というものがようやく政治問題にまでなってきたということでございますので、ここで私どもは地価高騰を何としてもこれ以上防ぎたいということから一連の土地対策をやっておるわけでございまして、まずそのためにはいま建設省でやっております土地利用計画、それからもう一つは、やはり地価を押えるというためには、いまの農地との関連における基礎的な問題を片づける必要があると思います。農地法がこのままであって地価を押えるということもなかなかむずかしい問題があると思いますので、ここまでの対策を立てると同時に、それと税制を付随させるというようなことで、この地価高騰だけはここでどうしても国民経済のために押える必要があるというふうに私は考えております。
  75. 小川新一郎

    小川(新)委員 地価対策、特にその地価高騰に対して何かきめ手になる特別なお考え大臣お持ちですか。
  76. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 どう考えてもこれは供給需要との関係でございますので、供給をふやすという政策を基本にしなければ土地の問題は片づかぬ。そういう意味から都市周辺の農地というようなものも、いままで農地法があるためにこの問題まで触れなかったのですが、やはり地価対策としてはこういう問題まで触れた対策が必要であるというふうに考えております。
  77. 小川新一郎

    小川(新)委員 これという特別なあれはないのですね。ただ総合的な見地に立ってこれに対処していく、こう理解してよろしいですか。
  78. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 私はそうだと思います。
  79. 小川新一郎

    小川(新)委員 それでは大臣土地定義をひとつお尋ねしたいのですが、瀬戸山前建設大臣は、土地商品でない。私どもの尊敬しておりますところの現西村大臣は、特別な商品である。違った考え方をお持ちなのです。商品でない、特別な商品である、このような定義の中から、地価対策というものもいろいろと方向が違っていくのじゃないか。特に日本は法治国家でありまして、私権というものを非常に強く打ち出している国であります。そういう中において土地の根本的定義というものをはっきりしませんと、それに対する税制面にあらわれてくる姿もまた変わってくるのじゃないかと私は思う。大臣土地に対する定義をひとつお聞かせ願いたいと思います。
  80. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 やっぱり公共性によって制限されることあるべき商品であるというのが現在の土地の実態であると思います。それをもとにして対策を立てなければ、実際的のものにならぬと考えております。
  81. 小川新一郎

    小川(新)委員 それでよく了解しましたし、またそうあらねばならないと思うのです。  それではもう一つお尋ねいたしますが、固定資産税をもう少し強めていったほうがいいのじゃないか。土地高騰を防ぎ、思惑の価格を下げるためにも、固定資産税の増徴のほうがより合理的であると思いますけれども、この固定資産税に対する考え方をお尋ねいたします。
  82. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 固定資産は実態に即した評価をする、評価を上げていくという方向は正しいと思いますが、むしろ固定資産税の負担そのものを上げるということによって解決しようということは非常にむずかしいというふうに私は考えております。
  83. 小川新一郎

    小川(新)委員 それでは大臣に対する質問を終わらしていただきます。  きのうの北側委員質問に関連したことですが、二つばかりどうしてもお聞きしたいことがあるのでお願いしたいと思いますが、よろしいですか。——昨日の北側委員質問の中にありました富田林の新堂の建設省の国有地一千四百五十六坪については、官房長は昭和三十六年に交換したと答弁しておりますが、法務省の富田林出張所ではまだ国有地となっております。所有権移転の登記がなされてこそ交換ができるものでありますが、交換して六年にもなっておりながら登記ができてない、この点についてお尋ねいたします。
  84. 鶴海良一郎

    ○鶴海政府委員 富田林の国有地の問題でございますが、昨日北側委員よりもいろいろと問題を御指摘になったわけでありますので、私、昨日は大阪府の土木部から聞きましたところによりまして御答弁申し上、げたわけでありますけれども、なおいろいろ疑問の点もございますので、実は昨日人を現地に派遣いたしまして調査いたしております。府よりも、あらためて書面で来月上旬までに調査結果を出してもらうという手配にいたしております。そういう資料を調べました上で正確な御答弁を申し上げたいと思います。
  85. 小川新一郎

    小川(新)委員 また本件の土地につきまして、国及び公共団体からまだ一度も出張所、すなわち法務局に対して嘱託の申し込みがありませんというわけです。普通、国または公共団体である場合は、登記手続は単独申請の形態で一方的にできる形式をとって——国または地方公共団体の一方的嘱託で所有権の移転の登記がなされるというわけでありますけれども、なぜ六年間も国及び地方公共団体が放置されたか、この点についてはどうか。
  86. 鶴海良一郎

    ○鶴海政府委員 その点につきましても、あわせて現地について調査させておりますので、その結果をまちまして御答弁申し上げたいと思います。
  87. 小川新一郎

    小川(新)委員 これはいつごろわかりますか。
  88. 鶴海良一郎

    ○鶴海政府委員 ただいま二名現地に出しておりますが、この調査に数日かかると思います。登記簿の実態について調べなければならぬことでございますから、数日かかると思うのです。なお府からの書面による資料の提出は、期限といたしましては来月上旬に予定いたしております。それまでしばらくお待ち願いたいと思います。
  89. 小川新一郎

    小川(新)委員 そうすると、他の一切のこともまだ調査中でわからない、こういうことですか。
  90. 鶴海良一郎

    ○鶴海政府委員 昨日申し上げました範囲におきましては、一応大阪府の土木部から聞いたことでございますから、その範囲でわかっておりますけれども、それ以外のことにつきましては、現地について調査した上でお答え申し上げたいと思います。
  91. 小川新一郎

    小川(新)委員 それではあとで、この問題は北側議員が端を発したのですから、じゃ、その次第によってまた質問させていただきます。以上です。
  92. 森下國雄

    森下委員長 勝澤芳雄君。
  93. 勝澤芳雄

    勝澤委員 大臣に最初お尋ねいたしますが、この土地収用法という法律の書き方です。これは大臣、この土地収用法がおできになるときの昭和二十六年の五月三十一日の衆議院建設委員会で、当時、大臣の御質問を速記録で読んでみますと、大臣は、収用法というのは伝家の宝刀ではない、したがってどんどん収用法を適用して、そして適当な判断をしてもらうべきだ、こういう発言をされているわけであります。いまどうお考えになっておりますか。
  94. 西村英一

    西村国務大臣 私もずいぶん昔のことですから、どうしゃべったか知りませんが、おおよそそういうような意味でしゃべったと思います。つまり、伝家の宝刀としてそれを、収用法ができたからこれで押しまくるというようなことをやったのじゃいかぬ、やはりあくまでも任意協議が第一だろう、やむを得なければ、公共のためにやむを得ない措置をとるのだということはいまでも変わりはありません。
  95. 勝澤芳雄

    勝澤委員 そこで私は、この土地収用法の根拠になるものは何かというと、憲法二十九条だと思うのです。憲法二十九条は、公共の福祉のためには正当な補償によって土地を取り上げてもよろしい、こういうことになっておるわけです。そうすると公共の福祉というものと正当な補償という二段がまえになっておるわけです。そういうことになると、公共の福祉ということが明確になるならば、正当な補償という正当な補償の判定を土地収用委員会によって行なわれるということを考えてみれば、大臣が当時提案者に質問をしたように、伝家の宝刀ではないという考え方は私は正しいと思う。私もこれに実は賛成なんです。ただ土地収用法というものを振りかざして今日の公共事業というものが行なわれているというその取り扱い方に私は問題があると思うのです。とにかくあなたのところはこうこうこういうことで公共の福祉のためにこうなるんです、これはそれが正式に認められたものですということになれば、あとは、正当な補償であるかないかという値段の問題だけです。ところが、実は正当な補償であるかないかというのは、最近、特に私のところのような静岡で、東海道新幹線ができる、あるいは東名高速道路ができる、あるいは今度国道一号のバイパスをつくろうということになりますと、公共用地取得というものが地価の値上げを行なっておる。特に、建設省はともかくとして、国鉄なりあるいは電電公社というのは特別高い値段で買っておるということがいわれて、そのことが値段をつり上げる役割りをしておる、こういうことなんです。そういう点、局長はうなずいておるようですけれどもどうお考えになりますか。
  96. 志村清一

    志村政府委員 ただいま先生のお話しになったような問題につきましては、一番大きく問題になりましたのは、電源開発が非常に話題になりまして、わりあい高い代金を払ってしまう。そのためにその付近地に悪い影響を及ぼすという問題が出たことがございます。その他いろいろなうわさ話といたしまして、相当大規模な工事が行なわれる場合に、わりあい高い補償が払われる。そのために付近の地価まで高められてしまうというふうな非難も耳にいたしております。かような問題につきましては、公共事業をやることによって地価をあふるというふうなことがもしあるとすれば適当ではない。特に各事業主体によりまして補償価格が違うということは、まことに適当でない、こう考えられますので、政府におきましても補償基準の問題につきまして統一的な補償基準をつくるようにということで、大原則につきまして閣議了解いたしまして、これに基づきまして用地を取得する所管の各庁が、補償のための規則を統一的につくって、それでお互いに連携を保ちながら進んでいこうという形につとめておるわけでございます。
  97. 勝澤芳雄

    勝澤委員 公共用地の取得が地価の引き上げになっておるということは事実でありまして、特にまたその補償の問題で、取得単価の問題で、国の場合と県の場合と市町村の場合は異なっておるわけですね。ですから、そういう点を考えてみますと、特に公共投資の激しいところは、とにかく民間の住宅は建たないという状態が起きておるわけですね。一方また農村においては、それは逆の現象もあるでしょうけれども、とにかく都会地においてはそうです。そこでいまあなたのおっしゃったような補償基準をどうきめようと、国鉄なりあるいは電電公社なりあるいは建設省なりあるいは道路公団なり、私も一つ一つ検討したことがありますけれども、それはどんな地でも幅があるわけです。一万円の坪単価のやつを道路公団に持っていけば一万五千円即座に計算してくれますよ。あるいは町にいけば八千円か七千円に計算しなければならぬ、予算がないからやれないわけですから。そこでそういうものの取り扱いというものを、やはり、私は、積極的に言うならば、土地収用というものは収用委員会にできるだけかけて公正な値段をできるだけ出すというほうがいいと思うのですよ。しかし、それを収用委員会にかけるぞというおどかしによって任意協議というものが行なわれる。任意協議というものが十分なされずに、めんどうになるから、どうしても、任意協議そのものが、その土地の値上がりをしておるという現象は私はたいへんおかしなことだと思うのです。任意協議というものはそんなに幅のあるものではないのです。任意協議そのものが幅があるのです。ですから、私は今日一体正当な補償とは何かというものを考えてみますと、まず、いまのままで田んぼや畑になっておれば値段はきまっております。しかし、それが道路になるぞということを起案しておる段階で、あなたのほうでそれを計画している段階で値上げになります。それが決定になった段階でまた上がっております。そして今度は、事業認定なり、裁定なり、収用ということになるとずっと上がっているわけです。一体正当な補償とは何かということになると、国民の立場から見れば、田んぼとか畑を宅地に変えた当時というのは実は正当な値段だと思っているわけです。それを国や県、あるいは道路公団とか国鉄とか電電公社とかいうものが無理な値上げをさしている。それが一つの例になって今日のこの地価高騰を来たしておるということを考えてみますと、この際、建設省だけでなくて、やはり各省ごとに統一した——これは基準じゃないのですよ。私は成田空港の話をこの前の国会の解散前にお話ししたら、自民党のある代議士が、社会党の代議士でさえ高過ぎると言っていると選挙演説に使ってたいへんもうかったと言っておりますけれども、成田空港の値段が出たために筑波の値段が高くなったのは私が言うまでもなくわかっていると思うのです。成田の値段が上がったために筑波が上がった。それじゃ成田のいまの単価は実情に合わしてきめているかというとそうじゃない。あるいは権限はだれが持っているかというと県知事が一応持っているのです。これを見た場合に、この際もう一回そういう土地そのものを、党利党略ということでなくて、国民の立場から考えて、正当な値段で、それで別に生活に困るいろいろな条件があると思います。条件があると思いますけれども、やはり生活に困る者については、もう少し詳細にやるべきだと私は思うのです。そこで、一番問題になるのは何かといいますと、一線でこういう取り扱いをしている専門家というのは実は少な過ぎるわけです。ですから十分な土地所有者との話し合いというものがなされないわけです。ですから、楽なところだけが先に上がって、あとに残ったものは大体半年くらいたって、そこで話し合いをして、またそれが話がつかずに、話がつくところだけが落ちる。そして、またこれは実際に一番最初の人が話がついてから最後に話がつくまでに大体一年から一年半かかる。いまの東名高速道路ではそういう現象です。一番最初に話がついたところからあとは一年くらいかかっているわけです。ですから、表面に出ている単価というものは同じように見えますけれども、ほんとうに正しい単価が出ているか出ていないかということは、 これは局長も大臣も、極端な言い方をすればあまり知らないと思うのです。それは、この間物価安定推進会議の中間報告を都留さんが政府にいたそうとして各省、各公団、公社の土地の問題について資料の提供を求めたところが、資料が不十分でなかなかこれは出してくれない。これはやはり会計検査院だと思うのです。会計検査院くらいでなければ、電電公社なり建設省なりの土地のそれはわからないのです。それほど実は各省ごとになかなか表面に言えない問題だと思うのです。ですから、そういう点でこの土地収用法というものを考えたときに、やはりいまあなたがおっしゃいました統一的な単価といいますか、統一的な補償——これは補償基準はないのです。あの基準を幾らなぶっても同じことだ。あれは大体あれで一ぱいです。それを適用する基準というものを、もう少し事務段階といいますか、もう少し実際やる段階人たちの調整というか、そういうものをこの際何らかの形で考えていただかないと困ると思うが、その点いかがですか。
  98. 西村英一

    西村国務大臣 局長は土地問題については私より詳しいですから後ほどいろいろお話があると思いますが、いま勝澤さんの言うように、土地値段は同じところでも違う。結局裏返せば土地値段はないということです。土地は、その利用のしかたによって効果を発揮するものでございますから、一つ土地も使い方によるわけです。一つ土地を三百万円で買いたい人もあれば、五十万円でしか買わない人もあるわけです。利用のしかたによります。そうして公共事業の場合も、公共事業の重要性は全部同じではありません。そんなに高いならばまた考え直そうかというような場合もあるわけでありまして、そこでやはり値段が違ってくる。しかしそうあってはならない、そのやり方が極端ではないか、こういうことがいまいろいろ御指摘になるところだと思います。したがいまして、基準というようなものはどういう方法をもって考えるか知りませんが、非常に綿密なかちんとした基準はなかなかむずかしいと思います。しかし、いまのようにあまりばらばらでも、たいへんな素不幸ができますから、これは何とかひとつ検討はいたします。都留さんの委員会もやかましく言っておりますから、何とか検討はしますけれども、土地問題はそういう意味において非常にむずかしいということだけを私は申し上げまして、実際問題は局長がそのほうの専門家でございますから、局長からお答えをさせます。
  99. 志村清一

    志村政府委員 大臣の御答弁を補足させていただきますと、確かに事業主体によりまして用地の価格等につきまして差があるという場合を耳にいたします。ただ、用地補償といった場合に、用地費とか、離農補償とか、離作補償とかいったものを込めまして用地補償といっております。ある方が受け取りました補償費の中で土地代、農業をやめるための補償、あるいは従来一町歩あったのが二反歩取られて農業が縮小する場合の補償といったようないわゆる補償費、両方が重なって用地補償費という一つことばで言いあらわされ、受け取る方も全部込みにしてとっておるために誤解がある場合もあるのでございます。  しかし、いずれにいたしましても、用地費につきまして若干の差が事業主体によってあることは望ましくないという考え方に基づきまして、用地対策連絡協議会というものを私ども持っております。これは東京におきまして、建設省はもとより、国鉄その他、用地を取得する関係の諸官庁が集まりまして、お互いに連絡をし合いながら用地を買っていこう——御指摘のように、補償基準と申しましても抽象的な基準でございますので、それを具体に運用していく場合にいろいろ問題がある。その具体の運用のしかた等につきましては、基準に書ききれない場合もございます。お互いに相談し合いながら用地のきめ方につきましてもやっていこうという方向で連絡協議会をつくりまして、これについてはさらにブロックごとにも用地対策連絡協議会をつくりまして、そういうところでお互いに調整をはかるということで今後も進めてまいりたい、かように存じておる次第でございます。
  100. 勝澤芳雄

    勝澤委員 それから次に、土地とは何ぞやとさっき議論しておりましたけれども、土地商品ではないと瀬戸山さんは言っております。西村建設大臣は特別な商品と言われたが、基本的な考え方というものは、瀬戸山さんも西村建設大臣商品のように騰貴をさせる、金もうけをさせるものではないという考え方では一致しておると思うのです。この間、私は瀬戸山さんの書いた本を読みましたが、土地政策についても実にりっぱなことが書かれております。書かれておりますが、実行しないわけです。なかなか実行がむずかしいわけです。しかし、むずかしいけれども、これはやはり政府土地政策として土地の騰貴を押える役割りをしない限りだめだと思うのです。ですから私は、商品ではない、特別な商品だ、こういうことはどちらでもけっこうです。とにかくその基本というものは、騰貴させてはいけないというものだから、騰貴させないための対策というものが今度出ておる。土地収用法なんていうものでは土地政策一環だとは言えないというのは極端でしょうけれども、土地政策一環かもしれませんけれども、もっと基本的にどうあるべきかというのには、やはり強い力といいますか、強い政策といいますか、こういうものをもって押えないと、土地は幾らでも上がっていくと思うのです、生産ができないものですから。ましてや、これは一つの例ですけれども、バナナに政治家手を出すなというので、極端に言えば土地投機に政治家手を出すな、というくらいのところで極端な言い方をして、土地をそういう金もうけのことにしないということくらいまでに土地の問題を考えないと、これはやはり無理だと思うのです、生産がないわけでありますから、そして下がることはないわけでありますから。ですから、それにはやはり国がき然たる態度で、土地を上げていかない、あるいは公共用地を取得をする場合でも、やはり正当な補償というものを、低過ぎるものは当然上げなければなりません。しかし、いま都会地で行なわれているものというのは、これは実情を国民に知らしてみたって、そんなものかとびっくりするくらいのものだと思うのです。ですから、初めは反対運動をいたします。その次に何になってくるかというと、条件になってきます。その次にどういうことになるかというと、大体予想したよりも実は五割増しか倍くらいの売買になっているわけです。これは私のほうの都会の例ですから、いなかのほうを聞いてみると、いやそうじゃない、五千円くらいの土地建設省にだまくらかされて二千円くらいで売買されるということになっている。それをやらないと、おまえのほうは土地収用法をかけるぞかけるぞと言っておどかされて、かけなさいと——国民は土地収用法といってもよく知らぬので、かけられるのがいやだから、どんどん任意協議で上がっていく。片方は土地収用法をかけるぞかけるぞと言っておどかしている。ですから、これは両刃の剱になっているのですけれども、そういう点から考えて、土地収用法というものが別に伝家の宝刀ではないのです。事業認定というものが正しく行なわれ、それが国民の中に納得されるならば、やはりあとは値段の問題なんです。値段の問題については、公正な収用委員会にかけます。ですから、今度は収用委員会の問題になってくると思うのです。収用委員会はいろいろ見てみますと、各県ごとにいろいろ事情は違うと思うのです。しかし、いまのような収用委員会のようなやり方でいいのかどうかというのは議論があるのではないだろうかと思うのですが、そういう点についてひとつお考えをお聞かせ願いたい。
  101. 志村清一

    志村政府委員 現在の土地収用委員会につきましては、先生御承知のとおり収用法の五十一条に規定されておりますように、各府県ごとに収用委員会が設けられておりまして、しかも法律において「独立してその職権を行う。」という独立の行政委員会みたいなものでございます。しかも、この委員を選びます場合には、都道府県の議会の同意を得まして知事さんが任命するという形になっておりますが、ただ、この委員は、何と申しますか、臨時的な非常勤の身分でございまして、弁護士さんとかあるいは大学の先生とかいうふうな方々が、別にお仕事を持ちながら非常勤の勤務をしておられます。そういう意味におきまして、収用委員会が場合によりましては夜開かれるというような事態もございます。事務局につきましても必ずしも十分でない場合等もございます。これらにつきましては、収用案件が相当多い地区につきましては、かつての収用法改正におきまして、専任の委員の設定もできるということに改正をいたしまして、東京とかあるいは大阪、兵庫とかいう地区につきましては専任の委員を置くことができるという制度に変えられております。それからまた、事務局につきましても、大阪とか東京につきましては、収用委員会の専門の事務局を設けまして、収用案件を十分審議できるというかっこうに持っていくような努力をしているわけでございます。
  102. 勝澤芳雄

    勝澤委員 そこで、先ほど私一番前提で、土地収用法というのは伝家の宝刀ではないか一これはたいへん恐縮ですけれども、この法律が制定されたときに、当時建設委員をやられておりました西村大臣ことばを引用してお尋ねしたわけでありますけれども、それは当時この土地収用法をつくった人たち考え方というものが、西村大臣質問された伝家の宝刀ではないのだという考え方は私はそうだと思うのです。しかし、土地収用法そのものが、明治以来の考え方というものは、権力で取り上げるのだという考え方があるために、伝家の宝刀的なものにして、できるだけこれにかけずに、これを一つの権力にして、そうしておどかしすかしなだめて取り上げようという考えがまだそのまま残っておると思うのです。残っておるから、収用委員会が、できるだけ収用委員会にかけないようにかけないようにしよう、そのことがやはり片方には法律を知らない国民の立場から言うならば、収用委員会にかければ不当な安い値段で取り上げられるというふうに実は印象づけられるし、また収用委員会のメンバーを見てみますと、非常勤でいまあなたのおっしゃるとおりでございますから、できるだけ収用委員会に持ってこないで、話し合いで済ませよう、済ませよう。そうすると、第一線の諸君は、収用委員会にかかるような用地屋というものはそれは幼稚なやつであって、できるだけ話し合いでものを解決するのがいいのだということで、そこに無理なものが出てくると私は思う。ですから、やはりこの法律の適用のしかたというものが、片方から見れば権力が強化された、この改正案というのは権力が強化されたという見方をするのも私は当然だと思うのです。ですから、やはり収用委員会の運営についていまのままでいいのか悪いのかという点は、法律の適用の問題ですから、ひとつ大臣現実に各都道府県の実情をよくお調べになっていただいて、大臣がこの法律が議員立法で制定されたときの経過をお考えになっていただければ、正当な補償売買される、公共の福祉との関係で、こういうたてまえでありますから、やはり収用委員会というものが、国民の立場と、土地収用するほうの立場との間に入って、それで正しい運営がされる。そこにまたこの不動産鑑定士とかいろいろなものをお考えになっておるようでありますから、そういうものとの関連で、今日の土地収用委員会のやり方、あり方というものについても、ぜひ御検討されていただきたいと思うのですが、いかがですか。
  103. 西村英一

    西村国務大臣 私は、大体今回は土地収用法強化されたと言われるのはきらいなんです。土地収用法が合理化されたと言いたいのですけれども、みな強化強化と言って、いまにも圧力で、こういう意図ではないのです。やはり適正に、収用法にかかった人のめんどうを見るというような合理化された、それからあまり長くずっと引き延ばし引き延ばしするのも一方では不合理だということで合理化された、こう言ってもらいたいわけであります。それともう一つ、何と申しましても、いまお話にもありましたように、やはり運用の問題でありますから、私はあまり運用を直接やることはありませんけれども、しかし十分運用の問題は意を注ぎたい、かように考えております。
  104. 勝澤芳雄

    勝澤委員 私は、この法律について、実際に土地を買いに歩く用地屋さんの話を聞いてみると、この法律があるために、話し合いがどうしても権力的なものの考え方でやられざるを得ないことになっておるわけです。それは何かといいますと、やはり土地収用をかけるということ自体が、何か土地所有者には脅威を与えておるわけです。しかしまた考えてみると、合理的に割り切れといっても、日本の国民性があるわけですね。ですから、法律をつくったときは、伝家の宝刀でなくて、できるだけ適正な価格収用が行なわれるように考えたのが、実はこれを今度適用するのに——一線の用地屋というのは、これは数が少ないわけですから、そしてまた言うならば、やはり特殊な技能というか特殊な人柄を擁する者でなければ実はできないわけです。朝早く行ったり夜おそく行って、酒の好きなやつには酒を持っていき、たばこの好きなやつにはたばこを持っていき、どうやるか知りませんけれども、とにかく、そうして人間と人間とようやくなれ合った時分に、それじゃ売ろうか、買おうか、値段はどうだ、あんたの言うとおりと、こういうことになるわけです。実はそういう苦労をしながらやっているわけです。その中には実は権力的なものは何も考えないわけでありますけれども、やはり最後には収用委員会にかけるぞというようなおどかしになり、すかしになるわけです。ですから、そういう点から考えてみると、私は、この土地を何といいますか、用地屋の人たちといいますか、そういうものについて十分この法律の趣旨を研究させ検討させる。それと同時にまた用地屋という人たちを今度は各省の人たちがもっと大事にして、一番大事なものですから、国民と直接ぶつかる人ですから、それを大事にして、おれの土地に道路ができた、おれの土地がこうなったということで、その用地屋との人間的なつながりというものを持たせるようにしないと恨まれて、恨まれた先からみんなこの人たちは移っておるわけです。いま静岡でやった人は今度は大阪のほうに行く。大阪のほうに行った人は今度は岡山のほうに移る。あるいはまた各省をいろいろと移っているわけです。ですから、そういう立場と用地屋というものは特殊な立場で特殊なものを持っている。しかし法律をつくるときには、そういう人たちの意見というものはあまりに軽い。上から頭の中だけでつくられている。ですから、大臣言われる権力を強化したんじゃない、合理化したのだ。大臣の言うことよくわかる、私はよくわかります。しかし、この扱いそのものがやはり権力的なものに明治以来なってきて、それがそのまま——土地収用法というものは議員立法で各党共同ででき上げられてきたにかかわらず、実はそのままの考え方が残っておりますから、特に土地所有者との理解あるいは信頼、協力を求める、こういうところに重点を置いて、そしてやはり十分な話し合いをしながら土地収用法というものが権力的なものではないのだということを知らせながら、なおかつ、これはできるならば話し合いできまっていくほうがいいわけでありますから、そういう取り扱いについて十分な配慮をしていただきたいということを特に申し上げて、私は質問を終わります。
  105. 西村英一

    西村国務大臣 いまいろいろ土地収用法の運用につきましてお話がございました。私は自分のところの建設省のこの運用のみならず、公共事業全般につきましてのいろいろな御注意もいま物価問題の推進会議等であるわけでございまするから、そのPRあるいは研修等、これは建設省のみならず、公共事業全般につきましてその担当者に対しましてある計画を持っておるわけであります。したがいまして、今後十分注意をして実施したい、かように考えておるものであります。
  106. 森下國雄

    森下委員長 本日はこの程度にとどめ、次会は明三十日午前十時理事会、十時三十分委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。   午後四時五十四分散会