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1967-05-31 第55回国会 衆議院 建設委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年五月三十一日(水曜日)    午前十時三十四分開議  出席委員    委員長 森下 國雄君    理事 木村 武雄君 理事 正示啓次郎君    理事 砂原  格君 理事 丹羽喬四郎君    理事 廣瀬 正雄君 理事 岡本 隆一君    理事 稲富 稜人君       伊藤宗一郎君    池田 清志君       大野  明君    吉川 久衛君       佐藤 孝行君    田村 良平君       高橋 英吉君  早稻田柳右エ門君       渡辺 栄一君    阿部 昭吾君       井上 普方君    勝澤 芳雄君       工藤 良平君    佐野 憲治君       小川新一郎君    北側 義一君  出席国務大臣         建 設 大 臣 西村 英一君  出席政府委員         建設政務次官  澁谷 直藏君         建設省道路局長 蓑輪健二郎君  委員外出席者         建設省河川局次         長       多治見高雄君         専  門  員 熊本 政晴君     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  道路整備緊急措置法等の一部を改正する法律案  (内閣提出第三七号)  河川に関する件      ————◇—————
  2. 森下國雄

    森下委員長 これより会議を開きます。  河川に関する件について調査を進めます。  質疑の通告がありますので、これを許します。工藤良平君。
  3. 工藤良平

    工藤委員 私は先般下筌松原ダム計画変更の問題について若干質問を申し上げましたが、その際に問題点幾つか残しておりますので、その問題の追及と同時に、筑後川総合開発の問題についてすでに調査が実施されつつありますので、それらの問題に関連をいたしまして、本日若干御質問をいたしたいと思います。  先般、補償の問題について御質問をいたしましたが、計画変更によりますと補償額が二・七倍にふくれ上がった。その原因についてどのようなことがその中心なのかということをお聞きいたしましたが、その点について当初の三百四十世帯から四百八十四世帯に増加をした、この内容について、まずお答えをいただきたいと思います。
  4. 多治見高雄

    多治見説明員 お答えいたします。  当初予定しておりました補償戸数は三百四十戸でございますけれども、それがその後の調査によりまして百四十四戸増加いたしまして、合計四百八十四戸になった次第であります。その内訳を申し上げますと、その後世帯分離したいという新しい希望を持って世帯分離計画された戸数がございます。それにつきまして、世帯分離による新たな補償戸数が六十六戸、それからその後の工事計画変更によりまして、主として道路計画変更がございましたので、それに伴う補償戸数が増加いたしました。その戸数が六十八戸でございます。それから残りの十戸が残存補償でございまして、水没に伴う残存戸数のうち、立ちのきその他を希望して補償を受けたいという戸数が十戸でございます。合計百四十四戸増加いたしまして四百八十四戸ということになった次第でございます。
  5. 工藤良平

    工藤委員 ただいま世帯分離お話がございましたが、もちろん世帯分離をするということが若干起こると思いますけれども、あの小さな村落で六十六戸の世帯分離が行なわれたということでございますが、その主たる原因はどういうことでございますか。
  6. 多治見高雄

    多治見説明員 補償調査期間が御承知のような事情通常よりも若干長期にわたって行なわれましたという点が一つでございますが、当初、御承知のように立ち入り調査によりまして詳細に具体的な事情を調べるということが不可能でございましたので、でき得る範囲で世帯分離希望はこれくらいということで想定いたしておりました数字よりも、実際に立ち入り調査その他によって詳細に被補償者希望その他をとった結果、分離希望がふえたということでございます。
  7. 工藤良平

    工藤委員 そうなりますとこの世帯分離の中に、事業認定申請をいたしましてから以降に、建設省が具体的な下筌・松原ダム建設にかかりましてから新しい建築許可した、こういうような事実はこの中には入っておりませんか。
  8. 多治見高雄

    多治見説明員 お答えいたします。  着手後に新しく建築申請をしてその認可を得たという事例につきましては、具体的にはまだ調べておりませんので、後ほど調べましてお答えいたします。
  9. 工藤良平

    工藤委員 私がこの点をお聞きいたしますのは、下筌・松原ダム計画変更の主要な要因というものが、補償問題で非常に長期にわたった、なお現在係争中であるということが一つの大きな原因ではなかろうかというように私は考えております。それらの問題がややもいたしますと、当初の立ち入り調査以来の感情的な問題がもつれまして、さらにそれが法的な問題として争われるという結果になっておるようでございまして、私はこの問題をあえてお聞きしたいわけでありますが、私が調査をいたしましたところによりますと、三十六年に入りまして、具体的な名前をあげますけれども神泉荘という旅館があの河川のすぐ近くに建築されたという事実がありました。それに対しても、相当多額な補償がなされておるというように聞くわけでありますが、この点についてすでに会計検査院の調査の要請もなされたというようなことも伺っているわけで、その点の内容について若干御説明をいただきたいと思います。
  10. 多治見高雄

    多治見説明員 具体的に、新しい旅館が建てられてそれに対して補償が行なわれておるということは、まだ伺っていませんので、私のほうの調査には出ておりませんが、もしそういう事実がありましたら、早急に調べまして御報告いたしたいと思います。
  11. 工藤良平

    工藤委員 この点は、河川法あるいは多目的ダム法に基づいた新河川予定地あるいは河川保全区域等建築物を建てる場合には、建設省許可を要するということになっているわけで、建設省は当然この内容については御存じだ、このように私は考えているわけです。特に、県庁を通じて調べましたところが、三十六年の十二月二十四日に建築許可が出ているわけであります。もちろんこれはその町村長から、ぜひ建築を要請したいということで出ておるそうでございますけれども、すでにその当時は土地収用法を適用いたしまして、このダムサイト地点につきましては室原さんを中心として、土地収用法によりまして強制的に土地を取り上げるという事態が発生をしておるその以降に、河川敷の中に新しい建築許可がなされる。しかもそれに対して後ほど相当な補償がなされておるというようなことを私は聞くわけなんで、そういうことが積もり積もってこの問題をさらに悪化させる、こういう事態に立ち至っておるような状態も私どもは知るわけであります。ぜひこの点については詳細に御調査をいただきまして、その内容をつぶさにしていただきたい、こういうように考えるわけであります。
  12. 多治見高雄

    多治見説明員 逐一調査いたしまして、御報告申し上げます。
  13. 工藤良平

    工藤委員 次に、先ほど道路の問題が出ておりましたが、道路補償関係が新たに六十八戸ふえた、こういうことでありますが、志屋と蕨野を結ぶ工事用新設道路がつくられているわけでありますが、この問題については、当初は県道のつけかえ道路によって工事を行なうということに基本計画ではなっておるようでありますけれども、この問題については一部の人たち補償が難航したために新たな工事用道路をつけなければならない、こういうことが現地では言われているわけでありますが、そういうことになっておりますか。
  14. 多治見高雄

    多治見説明員 一部当初の道路計画変更になりまして、線形その他変わった点がございます。それに基づいて補償の額の変更というものがございますが、いま御質問にございましたように、補償関係道路経路を変えたということは、まだ聞いておりません。いままでの報告では、その後の道路事情変化とかそういった点を検討した結果、よりよい道路にしようということで経路変更して、補償額がふえただけというふうに聞いております。もし御指摘のようなことがございましたら、早急に調査いたしたいと思います。
  15. 工藤良平

    工藤委員 まだこの内容について、いろいろと追及すれば数限りないわけでありますけれども内容についてはこの程度にいたしまして、このようなことが幾つか重なりまして、この下筌・松原ダム変更というものが当初の百十七億から二百二十億というように大幅にふくれ上がった。もちろん工期延長なり、あるいは資材の高騰ということは、当然その要素として認めたいと思います。そのことは十分に承知をいたしておりますが、特にいまこの下筌・松原ダムの問題が、補償の問題をめぐりまして非常に長期化した。しかもそれが地建の——極端に言いますと、ある程度公共事業であるから、土地を取ったということは当然のことだという考え方が、終始支配をしておったことが問題を混乱させていったというような気がしてならないので、この点についてはもちろん土地収用法の審議の際にもさらに問題点として論争してまいりたいと思いますけれども、そういうことが重なりまして、非常に大きな計画変更になった。計画変更そのものはある程度認めたいと思うけれども、しかしそのことによってさらに地方自治体負担金というものが倍額近いものになっているわけであります。大分県にしても二億九千万というような倍額負担金を出さなければならない、あるいは佐賀県、福岡県におきましては、非常にばく大な負担金でありますが、このように計画変更によって地方自治体が受ける非常に大きな影響、こういうものについてどのようにお考えなのか、これは大臣考え方をひとつお示しいただきたいと思います。
  16. 多治見高雄

    多治見説明員 お答えいたします。  計画変更に伴います地方自治体負担の増ということは、御指摘のとおり相当高額な負担の増を来たしますので、地方自治体といたしましても、相当問題点として内部でいろいろ検討されたようでございます。  計画変更につきましては、本年に入りまして二月一日付でございますが、各関係公共団体計画変更の協議をいたしました。それに対しまして、熊本県、佐賀県その他関係県から同意の文書をいただいております。福岡県だけがまだいただいておりませんが、これは県会の開催時期の都合でまだ出していないということで、六月に県会が開催されますれば、その県会で大体同意の御返事をいただけるというふうに伺っております。したがいまして、各関係地方公共団体負担の増につきましては、それぞれ関係地方公共団体で御了解を願っているというふうに私どもは考えております。
  17. 工藤良平

    工藤委員 確かに各県といたしましても、すでに工事が半ばを過ぎておるという状況の中において、このダム工事を中止するということはこれは不可能でありますので、やむを得ずその負担金については出さなければならないという考え方に立つだろうと思います。私、県議会の議事録を読んでみましても、内容については若干の論争はしておりますけれども、さっぱり要領を得ないままに、最終的には工事をどうしても建設省としては仕上げていかなければならないのでごかんべんをいただきたい、こういうようなかっこうで最終的には各県の負担金を徴収をする。こういうようなことが議事録から読みとれるわけであります。この規定の中にあります計画変更をする場合、各県の知事意見を出すことができる、こういうことになっておりますが、知事意見を出した場合に、その知事意見というものはどの程度尊重されるのか、その点についてひとつ明らかにしていただきたいと思います。
  18. 多治見高雄

    多治見説明員 お答えいたします。  規定にございますように、関係都道府県知事意見を聞かなければならないということになっておりますので、御意見は十分お伺いして、現実に、現在もやっているつもりでございます。もし具体的に知事としての計画変更についての積極的な御意見があれば、われわれとしてもそれを取り入れて計画をつくるということになるかと思います。
  19. 工藤良平

    工藤委員 そういたしますと、はっきりしておきたいと思いますが、計画変更に対するいろいろな意見もあろうと思いますが、いま申し上げました負担金の問題についても、意見が出てくれば建設省としてはその負担率変更するということがあり得るということでございますか。
  20. 多治見高雄

    多治見説明員 お答えいたします。  負担金変更につきましての御意見が出ればということでございますが、御意見伺います前にいろいろ下準備的に県当局とも事務的にお打ち合わせをしておりますが、そういった御意見が出るというふうにはわれわれとしては伺っておりませんし、県のほうとしてもそういう御意向はないというふうに現在までは聞いておりますので、はっきり御意見が出たならばどうするというところまではまだ検討いたしておりません。
  21. 工藤良平

    工藤委員 この下筌・松原ダムというのは、私はこの前もお話をいたしましたけれども、当初は防災ダムというようなことから出発をいたしまして、多目的ダムに変わり、そして今度の計画変更の、発電所変更を見てみると、その内容がほとんど発電のためのダムというようにいっても差しつかえないようなかっこうに変わってきているわけです。したがってやはりこのような大幅な計画変更があるということになりますと、おのずから各地方自治体につきましても、その負担割合につきましても、はっきり申し上げまして、相当大きな意見というものが出てくるわけであります。ただ他の仕事関係等もありますから、あまり建設省につばを吐いてもということから、そのままやむを得ないという立場でその負担をそのまま了解をするということがしばしばあるわけであります。私は、このような大幅な計画変更が出た場合には、当然それらの知事意見というものを十分に尊重するという立場が堅持されなければならないと思うわけでありますが、その点についてぜひひとつ明確な御回答をいただきたいと思います。
  22. 多治見高雄

    多治見説明員 お答えいたします。  計画変更に伴いまして、ごく常識的に考えます場合は負担割合変更ということが考えられるわけでございますが、今回の変更につきましては、発電計画変更が主体でございまして、大ざっぱに申し上げますと、発電所の場所が変わったというのが一つの大きな変更原因でございます。したがいまして共同施設、すなわちダム本体工事につきましては、全然変更はございません。それで基本計画負担割合をきめました際の割合の出し方についても、その後の発電所の移転に伴う発電計画変更によって、特にその割合を変えて計算し直すというほどの影響はないというふうに考えられますので、負担割合については特にこれを変えて、新しい計画によって、新しく計算するという必要はない程度変更というふうにわれわれとしては了解しておる次第でございます。
  23. 工藤良平

    工藤委員 それではもう少し詰めなければならないわけでありますが、この計画変更内容を見ますと、主として変わっておりますのは、いま次長がお話しのように高取の発電所を柳又に変える、この変更が四万五千キロワットを六万一千九百キロワットに変更するということですね。そういたしますと、佐賀県なりあるいは福岡県の、いわゆる長谷地点以降の——毎秒八千五百トンのうち二千トンを調節するといわれるあの長谷地点下流におきましては何ら変わりはないと思いますけれども大分県のように、特に日田市のように、当初は日田市の上流放水をしてもらう、したがって水郷日田といわれる水は変化はない、こういうふうに考えておった。ところが今度の発電所計画変更によりますと、日田市の下流である、しかもこの長谷地点上流、いわゆる夜明ダムのまん中に放水をするわけであります。そういたしますと、大分県の場合には、これははっきり申しまして、受益県としての性格よりも、むしろ水を全く取られるだけの、水源地域だけの性格しか持っていないというかっこうになるわけです。したがって私は、そういった意味から、このような大幅な計画変更がなされた場合は、当然各県の負担率というものも当初の計画から変更すべきではないだろうか、こういうように考えるわけでありますが、この点について伺いたいと思います。
  24. 多治見高雄

    多治見説明員 お答えいたします。  発電所位置変更に伴いまして、取水した水の放出口が、ただいま御指摘のように、日田市をはさみまして上流部から下流部に移るということは御指摘のとおりでございます。そこで、通常考えますと、その際日田に対する水の量は当然問題になりまして、従来の計画よりも少ない水しかいかないのではないかという問題が当然起きるわけでございます。これは私から申し上げるまでもなく、日田市にとっては大きな問題でありまして、水の量がどうなるかという点については、この計画変更にあたりまして最も慎重な検討を加えた点でございます。それで御承知のように、新しい計画に基づく発電所はピーク時に発電するということで、それと三隈川水量を、常時あまり変動のないような量を流していくという二つの点を考慮して計画されたものでございまして、既設の二つ発電所との発電のやり方の問題も加わってまいりますけれども豊水時には一応長又のほうに流して、豊水時以外には、通常、従来流しておった二十トンという水はそのまま従来の流域を流していくという発電計画で新しい発電所は運営できるという結論が出まして、この発電所位置変更に伴って、日田市の水に対する影響はないというふうに考えられる結論にはなっておる次第であります。
  25. 工藤良平

    工藤委員 そういたしますと、三隈川渇水時における水量といいますか、私は専門語はよく存じませんけれども、いわゆる現在平常流れておる三隈川水量というものは、柳又に変えた場合の水量変化というものはどういうようになりますか、調査をしておれば明らかにしていただきたいと思います。
  26. 多治見高雄

    多治見説明員 大体の水の流れについて申し上げますと、その時期によって違いますが、現在までの調査によりますと、通常流れが約二十八トンから三十トンということで、新しい発電所建設いたしまして、そちらに豊水時だけ流すということにいたしました場合は、従来流れておりました二十八トン程度の水はそのまま本川から流れるという数字になっております。
  27. 工藤良平

    工藤委員 そういたしますと、この前河川局長のほうからお話がありましたが、渇水時には女子畑の発電所のほうに毎秒二十トンほど回すので、したがって渇水時の平常水位にはあまり変化をしない、こういうお話でありましたが、そういうように理解をしていいわけですね。
  28. 多治見高雄

    多治見説明員 お話のとおりでございまして、渇水時は新しいダムのほうの発電をとめまして、従来流れておりました二十トン程度の水はそのまま従来の本川のほうに流す、したがって日田市内の川については二十八トン程度の水は従来どおり流れるというふうになっております。
  29. 工藤良平

    工藤委員 渇水時には一方の発電をとめるということでなくて、八十何トンの水をそのうちから二十トンを向こうに回して流すから大体平常水位を保つことができる、こういうように私は聞いているわけですが、それでいいですね。
  30. 多治見高雄

    多治見説明員 そのとおりでございます。
  31. 工藤良平

    工藤委員 それでは話を前のほうに進めたいと思いますけれども、どうも明確な御答弁がないわけでありますが、非常に大幅な計画変更があった場合には、地方自治体負担分については若干変更することがあり得る、こういうように私は理解をしたいと思うのでありますが、そういうように理解してよろしゅうございますか、具体的に出てきた場合には。
  32. 多治見高雄

    多治見説明員 現在までの見当では負担割合変更は必要ないというふうに考えておりますけれども、具体的にこういう点でこういう変更が必要じゃないかという御意見が出てまいりました場合には、検討はしなければならない。
  33. 工藤良平

    工藤委員 それではもう一つ伺いをいたしたいと思いますが、いま二十トンの水を渇水時には一方に回してくれる、こういうことを確認をいたしましたが、もう一つ問題は、十六日の日に建設省が参りまして、地元玖珠川有田川、花月川中心にいたしました筑後川上流地域ダム群をつくるという説明がなされております。このことについて県や関係市町村を集めて御説明をなさっておりますが、地元ではこのことが非常に問題になりまして、すでに反対運動が起こっているわけでありますが、この問題についてはどのようなお考え方で進めておられるのか、その点をお伺いをいたしたい。特に玖珠川有田川、花月川の水を北九州やあるいは他の方面へ持っていくということになりますと、さっき申し上げました日田市の三隈川の水が一体どうなるか、たいへん重大な問題でありますので、そこら辺の内容を御説明いただきたい。
  34. 西村英一

    西村国務大臣 工藤さんも御承知のように、筑後川総合開発指定河川になりましたのが昭和三十九年でしたか、以来水資源開発促進法に基づきまして基本計画をつくりまして、四十一年二月に基本計画閣議決定をいたしたのでございます。そのときの閣議決定の水の利用、上水道に使う水、あるいは工業用水農業用水に使う水というものは、おおむね概定をいたしております。その大ざっぱな計画につきましてやるのでございまするが、今後は水資源開発公団が全部受け持ってやるのでございます。しかしながら調査といたしましては建設省でやる。それらの用水合計した水をどういうような方法によって生み出すかということにつきましてただいま私のほうでも調査をいたしておるのでございます。しかしこれからは仕事それ自身は水資源開発公団でやりまするが、したがいましてそれらの調査のためにあるいはいろいろな調査員が行って調査をいたしておるのではないかと思われますので、調査をしたことによって人心に与える影響も非常に大きいかと思われまするが、要するに水を効率的に利用しようということにすぎないのでございまして、どうかその点はとにかく上流の水を取り上げて下流のことばかりを利益させるのではないということ、つまり水資源開発のいわゆる目的としておるところを十分ひとつ地方民に御理解していただくように、調査をいたしておる段階でございまするから、どこにダムをつくってどうするということはまだかいもくわかっておりません。ただ現在着手がきまっておるのは農林省でやる江川のダムだけが着手がきまっておるわけでありまして、その他の問題はこれから進むわけでございまするから、あなたの出身の御郷里でありまするから、十分その住民の方に御協力いただくようにお願いを申し上げたいのであります。
  35. 工藤良平

    工藤委員 私もぜひ御協力をしたいということで心配をしているわけなんでありますが、ただたくさん問題がありますからこの際明らかにしておきたい、こういうように思っているわけであります。  いま大臣説明をいたしましたように、確かに四十一年の二月一日にこのように水資源開発基本計画というものが明らかにされております。ただこの内容を見ますと、ただ二十三トンの水を上水道それから工業用水農業用水にそれぞれ分割をして筑後川上流地域から持っていこう、こういう計画が、きわめて大あらましに出しているわけであります。ところがこの地域人たちにしてみれば、従来ややともいたしますと、水を取られる側にしてみれば水を取られっぱなしで、残された人たちはたいへん迷惑をするわけであります。たとえば下筌・松原のように三百八十何戸という人たちがその水源地域から去って行った。先ほどちょっとお話がありましたが、いわゆる耕地をとられて、家はあるけれども水没はしないけれども耕地の大半をとられるという人たちについては残存補償として十戸の人たちにその補償がなされております。しかし問題は、水没する人たちだけに補償をすればそれで事足れりとするならば、たいへん重大な問題が起こるわけであります。すでに大臣お話を聞いておると思いますけれども、この中津江村の例を一つとりましても、八百戸の戸数を持った村が、たとえば三百戸引き抜かれたといたしますと、これは水没した人たち補償をするだけでは済まないわけであります。あと残された五百戸でもってやはり村の運営をやらなければならないという、たいへん重大な問題があるわけであります。そういうことから、こういうダム建設の問題が一つ起こってまいりますと、地域の住民にしてみればまず不安のほうが先に立つわけです。したがって私は、二十三トンの水を北九州あるいは両筑平野の農業用水あるいは工業用水に使うという大ざっぱな計画だけではなくて、具体的にやはりその地域の産業開発、奥地の開発という問題もあわせて示していただかなければ、住民の人たちは納得できないだろう、そのような問題について、一体大臣がどうお考えになっておるか、それではお聞きをしたいと思います。
  36. 西村英一

    西村国務大臣 あなたと全く同意見です。とにかく土地を取り上げて対価を払えばそれで事足れりというような考え方は、これはあまりいい考え方ではございません。しかし役所の仕事としては、それぐらい、対価を払うことしかできないような現状にあるわけでございます。しかしやはり、もちろん対価をもって譲っていただく、しかしその対価をもって土地の住民の方々はより以上の生活ができるように、より以上の幸福がもたらされるような仕組みにしたい、こう考えるわけでございまするが、これはなかなか役所の仕事だけではとうていできないと私は思うのでありますけれども、精神はあくまでやはり、より以上の生活ができるようにということを心がけなければならぬと私は思うのでございます。したがいまして、あなたがいま言われるような水源地の方々が、あと残った者の弱小な町村になると非常に困るというようなこともありますから、十分水源地の方々に対する対策は考慮したい、かように思っております。ただ具体策は、どういう具体策があるかということでございます。しかし一つ考えていただきたいこともあります。ただ二十三トンの水を取られるのだという、その取られるのだということが、私はどうかと思うのであります。雨が降ったたら、取られるも取られぬもないのです。やはり施策をもってしなければ、その水は逃げてしまうのでありますから、要するにそこに水の銀行をつくって、いつでも住民がその水が要るときにはその銀行から出してやろうというのがこの総合開発の役目でございますから、それはもちろん下流の方も潤します。しかし上流の犠牲によって、あまりに大きい犠牲によって下流の方々がということになれば、非常にまた水源地の方々に問題があるのでございますから、十分両者をにらみ合わせまして今後の施策を進むべきではないか、かように考えておる次第でございます。
  37. 工藤良平

    工藤委員 それではあまり深追いはいたしませんけれども、四十一年の二月一日に閣議決定をいたしました。いま十六日に説明をされて建設省調査をいたしたい、こういうことを言っておりますのは、この閣議決定に基づいて具体的な基本計画を作成するという過程のものなのか、そこら辺を一応お伺いいたしたいと思います。私が調べた範囲内におきましては、たとえば筑後川上流水資源調査費というのが昨年組まれておったけれども、それはほとんど使われずに本年度に繰り越している、こういうことを聞いているわけなんです。そして突然このたび調査に乗り出してきた、こういうようなことを聞いているわけでありますが、その点についてどのようになっているか、その内容を聞かしていただきたい。
  38. 多治見高雄

    多治見説明員 お答えいたします。  今回の調査は特に基本計画の策定ということについて具体的に調査を始めたというものではございませんで、昭和三十六年から引き続き河川総合開発調査ということで建設省が継続的にやっている調査の一環でございます。昭和三十六年からずっとやっておりまして、当初航空写真をとったり、それを図化したりというようなことから、だんだん水文調査に入って、だんだん詳細なる調査に入るわけでありますが、現在のところまだ航空写真を図化する程度調査が主体となっております。一部具体的に調査に入れるところは入る場合もございますが、まだほんとうの基礎的な調査という段階では昭和三十六年からの継続でございます。  それから先ほどのお話の水源地の調査費の繰り越しでございますが、これはわれわれのほうではそういう事実はございません。
  39. 工藤良平

    工藤委員 そうすると、これは九地建がかってにやっておるということになるわけですか。
  40. 多治見高雄

    多治見説明員 日本全体の河川総合開発調査計画に基づきまして、本省から予算の配付を受けて、本省の指示によってやっていくという調査でございます。
  41. 工藤良平

    工藤委員 私は、玖珠川、そうして有田川、花月川のいわゆるダム群の問題については、そういううわさが出ているから、具体的に調査を進めているのではないかということをこの前お聞きをいたしましたところが、一切そういうことはございませんという答弁を実はいただいたわけでありますけれども、現実に予算にも組みましてそういう調査がやられている、こういうふうに私は十六日の説明によりまして事実を確認したわけでありますが、これはこの基本計画に基づいて具体的な調査を始めている、こういうことでございますね。
  42. 多治見高雄

    多治見説明員 ちょっと御説明が足りなかったかもしれませんが、あくまで従来やっておりました河川総合開発事業調査の一環として継続的にやっている調査ということで、今回の計画に基づいて新しく具体的に調査を始めるというものではございません。
  43. 工藤良平

    工藤委員 それでは、この筑後川総合開発の問題についていま調査をしておりますのは、具体的な基本計画を進めるための、いわゆるダム建設については建設省の所管になるので、建設省がそれぞれの地点を調査をする、あるいは下流の開発計画とか、ノリとかあるいはクリークの問題については農林省がやる。工業用水の問題については通産省がやる。それぞれ関係部門でやって、そうして経済企画庁が総合的にまとめて、具体的な筑後川上流総合開発というものをこれからつくろうとする調査なのか。すでにそういうものができ上がって、具体的にダムの予定地を調査しようとするのか、その点をちょっとはっきり聞いておきたいと思います。
  44. 多治見高雄

    多治見説明員 御質問の、基本計画に基づいて具体的に調査をするのかということでございますが、調査につきましては、現在の段階では基本計画のために具体的に調査をするということはやっておりません。ただ従来の総合開発事業としての基礎的な調査は進めておりますので、その結果がある程度出てまいりますと、それが基本計画のほうに取り入れられて、基本計画の策定に役立つということは当然考えられますが、現在の段階では基本計画策定のためということの調査でなしに、川全体についての総合開発調査建設省の所管事業について行なっているということでございます。
  45. 工藤良平

    工藤委員 水資源開発促進法の第四条の三項に、水資源の開発のための基本計画を策定する場合には、その水源地域、特に後進地域の開発促進についてもあわせて具体的な計画を出さなければならぬということになっているわけでありますが、そうしますと、いまの建設省調査が行なわれるというのはそういう面も含めて行なわれることになるわけでありますか。
  46. 多治見高雄

    多治見説明員 そういうものを含めて調査をするというふうに具体的に計画には出ておりませんけれども、結果的には当然そういうことに役立つような調査が行なわれているということでございます。
  47. 工藤良平

    工藤委員 私はさっきも松原・下筌ダムの問題でも申し上げましたけれども、このように法律にうたっておることを具体的に政策としてあわせて実施しなければ、水を持っていかれるほうにしてみれば、決して従来よりもよくなっていないということが現実のダム行政の一端なんであります。したがいまして、ダムをつくるということだけですでに恐怖心を起こして、おれたち追われ残ったものもみじめだという感覚が先に立って、こういうふうな大幅な計画変更をしなければならない。しかもなおかつ問題がいつまでも残っていくというかっこうになるわけであります。やはり法律をつくった以上は、法律どおりに全体的な総合開発、そして残された地域の開発、いまよりもいい条件を何らかの形で後進地域に対しても行なうということをあわせてやらない限り、これらの問題についてはいつまでたっても解決しないのじゃないか。したがって今回のこの調査におきましては、ぜひそういう意味で総合的な計画というものをあわせて出すように、建設省としてもぜひ具体的な内容というものを示していただきたい。
  48. 多治見高雄

    多治見説明員 ダム建設に伴います水源地域の開発の問題でございますが、非常に大きな問題で、水資源開発促進法にもお話しのようにはっきりうたってございますので、われわれとしては河川関係調査を実施いたします場合は当然この点も考慮に入れて、そういった面も考えながら調査を進めていくということは従来もそのとおりでございます。ただ水源地の開発という問題は必ずしも川だけの問題ではなくて、いろいろな事業が関連いたしますので、川の調査だけでそれが具体化するということはなかなかむずかしい問題でありまして、あらゆる施策が総合されて開発ができるということになろうかと思いますので、少なくともダム建設する側の事業といたしましては、それに関連する調査の際はそういう点を十分配慮して調査を実施したいというふうに考えております。
  49. 工藤良平

    工藤委員 大臣にひとにお伺いをいたしたいと思いますが、いま申し上げましたように、私は総合的な開発計画というものはぜひ必要だ。建設省河川、特にダム問題を中心にして河川関係を進める。あるいは農業問題についてはその流域の耕地の問題とか未開発の地域の問題を検討する。あるいは工業用水の問題については通産省がやる、こういうことでやられることはけっこうでありますけれども、ぜひその総合的な計画の場所というものを閣議でこのように決定をされているわけでありますから、その締めくくりとしてもぜひとも総合的な対策というものを立てていかなければならないのではないか、こういうように私は考えるわけでありますが、ただ、いまのところはばらばらの形でやっている。そして建設省建設省ダムだけつくるということではなく、早急にこの問題について私は具体的に明らかにしていただきたい。その点について大臣のひとつお考えを聞いておきたいと思います。
  50. 西村英一

    西村国務大臣 御説のとおりでございますが、いま筑後川水資源開発公団が手をかけたばかりでございます。ようやくあれは久留米ですか、事務所ができまして、今後は農林省の江川ダム水資源開発公団が引き継ぐわけでございます。したがいまして今後は水の総合的開発のために一貫的に水資源開発公団がやっていくと思います。ただしそれだから建設省は全部手を引くというのではなくて、たとえば利根川にしましても、これはいま水資源開発公団がおもに使うことにつきましてはやっております、河口ぜきにしましても、樋門にしましても。しかし利根川に関する限り全部水資源開発公団がやるというわけではないのでありまして、たとえば上流において現在調査を進めております八ツ場ダムあるいは今後調査を進めまする神戸ダム等はやはり建設省調査をやっておるのであります。どれだけ水没されるか、どういうダムが必要であるか、その水はどうなるか、こういうことは建設省がやっておるのでございます。しかし筑後川水資源開発公団が引き継ぎましたから、本格的に水資源として総合的にやっていくのであります。その場合に、いまあなたが強調されますように、やはり水源地の方々のことを十分に念頭に置きまして総合的な開発をしなければならぬと私たちは思っておりますので、今後ともそれらの地域の住民の方々と十分お打ち合わせをして、後進地の開発のためにやはり十分の納得のいく線を出さなければならぬ、かように考えておる次第でございます。
  51. 工藤良平

    工藤委員 最後に、いま大臣からそういう御回答をいただいたわけでありますが、この水源地域につきましては、特におくれた地域が多いわけでございまして、さっきも申し上げましたように、そのおくれた地域の中でなおかつたくさんの人たちが農村をあとにする。具体的に例を申し上げますと、せっかく補償で建てていただいた新しい学校に、非常に戸数が少なくなったためにわずかに新入生の児童が一名しか入らなかったという事実があるわけであります。せっかくいままではりっぱに勉強ができておりましたのが、複式教育をしなければならぬ、あるいは複々式教育をしなければならぬ、こういうような状態が生まれてきておる。ただこれは一部の問題であって、やはりこの水源地域の開発促進ということを当然国としても並行的にやるということは、私は緊急の要務ではないだろうか、こういうように考えております。この前の新聞によりますと、ある県を中心にいたしまして水源地域の開発促進法という法の制定をやろうじゃないかという運動が起こっておると私は聞くのでありますが、この問題については私は当然のことだ、こういうように思います。したがってぜひこの問題については建設省といたしましても、この水をとられるほう、いわゆる水没地域に対する補償のみでなくて、その残された地域に対する開発促進をはかる、こういった意味でぜひともこの水源地域の開発法の制定等につきましては、各県からそれぞれ要請が出てくると思いますけれども、この問題については建設省としても最大の努力を払っていただきたい、この点についてぜひひとつ大臣の御回答をいただきたいと思います。
  52. 西村英一

    西村国務大臣 そういう問題は、水源地のみでもないので、いわゆる山村一般が荒れてくるというようなことで、先般も山村振興法ができたわけでございます。したがいましてそれらの地域の方々に新しい法律をもって対処するか、あるいは現在あります山村振興法等の法律をアプライしましてそれに対処するかということは、今後の問題であろうかと思われます。もちろん水源地の各県の方々が寄り寄り寄って水源地のために法律の制定を希望しておるということは、私もちょっとは聞いてはおりまするが、それだけで法律をつくってやるか、あるいは現在あります法律を応用してやるかということは、今後検討を要する問題であろう、かように考えておる次第でございます。要は地域住民にいたしますると、おれたちの水をとってしまうのだという思想を持たせないようにする。そのためにはやはり対策をもって報いなければならぬ、かように考えておりますから、将来に向かって検討をいたしたい、かように考えております。
  53. 工藤良平

    工藤委員 確かにこの問題については全体的な奥地の産業開発、その一環であろうと思います。しかしそれと異なりますことは、特にダム建設ということになりますと、地すべり的に非常に大きな変化が起こるということなんです。この点については一般的な問題として問題を処理するということについては、若干私は無理が起こってくるのではないかと思います。したがってこういう問題については、いま大臣検討するということでございますので、その特殊的な条件をどのようにして解決をしてやるか、このことを十分ひとつ念頭に置いていただきまして、この問題に取り組んでいただきたい、こういうことを申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。      ————◇—————
  54. 森下國雄

    森下委員長 道路整備緊急措置法等の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。  質疑の通告がありますので、これを許します。阿部昭吾君。
  55. 阿部昭吾

    ○阿部(昭)委員 道路長期計画についてお尋ねをしたいと思うのであります。  昭和六十年度を見通しをして、総延長七十万七千キロ、それからそれに投資する総額五十三兆円、こういう長期計画を持っておられるわけでありますが、七十万七千キロ、この総延長を現在の長期計画で策定しております状態に道路の整備をやっていきます場合に、五十三兆円というこの総金額で確実になし遂げられ得るというふうに見通しをなさっていられるのかどうか、この点をまず伺いたいと思うのであります。
  56. 蓑輪健二郎

    ○蓑輪政府委員 まず第一に、われわれ昭和六十年を目標といたしまして、そのときの車の台数その他を想定いたしまして、約五十三兆の道路事業費が必要だろうというふうに推定したわけであります。この中に、先ほど先生のお話ございました七十万七千四百キロという数字が入っておるわけであります。これの内訳については、こまかくなりますので、大ざっぱに言いますと、七十万七千四百キロのうち、われわれ交通の幹線、これは道路といいましても、交通の幹線になるものと、一般個人の住宅の周辺にあるいわゆる民生安定的な道路、こういう表現もおかしいかと思いますが、そういうものも全部ひっくるめまして道路と称しておるのでございます。そのうち、少なくとも車が走ることが目的になるような全国的な幹線網といたしまして約四十万キロを考えてございます。そのほかに三十万キロは個人の住宅のまわりのいわゆる生活に必要な一般道路の舗装を考えております。それを合わせまして、先ほど言いました七十万七千キロというような数字を出しておるのでございます。  これにつきまして、いまの五カ年計画その他から、はたしてこういうことは可能かどうかということでございますが、これは非常に問題は多いと思いますが、こういう計算をする場合に、国民の総生産に対しましてどのくらいの道路投資が行なわれるかが一つの目安になろうかと思うのであります。その辺を考えますと、現在の五カ年計画の六兆六千億ということになりますと、その初年度でございます四十二年が、これは一般道路事業、有料道路事業、単独事業入れましてGNPに対する道路投資の比率が約二・三%になっております。これが昭和六十年までに五十三兆を入れるためには、最終の年ではGNPに対して大体三%くらいの道路投資にならないと五十三兆にならないということでございまして、いまよりはGNPに対する道路投資をさらにふやしていかなければこれは五十三兆まで達せられないというふうに考えております。
  57. 阿部昭吾

    ○阿部(昭)委員 大臣が他の会議の日程もあるようでございますから、当面大臣伺いたいのでありますけれども、いま局長が答弁いたしました六十年までの間に五十三兆円の総投資、これによって七十万七千キロの道路の整備を完了する、それが長期構想として設定をされておるわけですけれども、私どもは、この中に物価の値上がり、あるいはそこから出てまいります予算単価というものを大幅に変更しなければならぬ事情が出てくるであろう、そういう意味で五十三兆円の総投資が、いまの局長答弁のようにかりに可能であったというふうにいたしましても、七十万七千キロというものを計画のとおり道路整備を完了するということは困難になっていくのではないか、こういうふうに思っておるわけであります。そういう点で大臣の見解を承りたいと思います。
  58. 西村英一

    西村国務大臣 やはり建設省として年次計画をつくっていく場合は、まあ相当長期的な、二十年後と申しますか相当長期的な観点に立って、その一環として年度計画を改定していく必要があるのでございます。したがいまして、その二十年後になってどういうふうに物価が変化していくかという、そういうようなことについては、もう正直なところあまり見当はつかないと思うのであります。しかしそう言っては計算ができませんので、一応は計算はいたしますけれども、いまあなたがおっしゃいます二十年後にどうなるか、こういうようなことについてはあまり自信のある返事ができません。ただし私といたしましてはやはりそういう長期計画をもって、今回の五カ年計画もその一環としてやるのでございまするから、ある程度の目標だけは立てて、したがいましてその目標を立てるのは過去の伸び率、やはりGNPの伸びだとかあるいは自動車の伸びだとかあるいは国民生活の向上のぐあいとか、そういうものをいろいろ勘案してやるのでありまして、数字的には私は詰めておりませんからお答えはできませんけれども、あくまで長期的な一環としてやるのでございますから、まあ数字数字としてお聞きになっていただきたい。このような感じがするのでございます。
  59. 阿部昭吾

    ○阿部(昭)委員 そういたしますと、長期計画長期計画だが、それはあまり当てになるものではない、こういうふうに聞こえるのですが、そういう理解でよろしゅうございますか。
  60. 西村英一

    西村国務大臣 まああくまでも目標でございます。目標でございまするから、今後二十年後のことにつきましてそう詰めた議論をされてもなかなか数字には私自信は持てないのでございまして、あくまで目標と、かように考えていただきたいのでございます。
  61. 阿部昭吾

    ○阿部(昭)委員 質問ではありませんが、七兆三千億の今回の建設省の第五次五カ年計画に対する主張というものが六兆六千億に打ち切られた、そういうところにも私は、その長期計画などというものはある意味ではそう当てになるものではないというような自信のない弱腰な大臣考え方にやはりひとつ問題があるのじゃないかと思うのであります。(発言する者あり)  そこで申し上げたいのであります。いまの経済の動きでありまするけれども、国民総生産に対して、昭和六十年度には、建設省が去年の八月に出しております「国土建設長期構想案」、これによりますと、これが百四十兆円に達するであろう、こういうふうに策定をしておるようであります。ところがもう一つのいまの道路整備のビジョン、これによりますと昭和六十年度の国民総生産は百兆円というふうにしておるのでありますが、四十兆円のズレというのはどういうところからきておるのか、伺いたいのであります。
  62. 蓑輪健二郎

    ○蓑輪政府委員 これは価格のとり方の差でございます。われわれ、百兆といいますのは三十五年の価格をとっておりまして、昨年出したのは四十年の価格で百四十兆というように考えております。
  63. 阿部昭吾

    ○阿部(昭)委員 そこで現在の長期計画によりますと、おもに七つの柱を設定しておるわけであります。一つは幹線自動車道、第二には一般国道、都道府県道、第三が重要な市町村道、第四が幹線街路、第五が市街地区画街路、それから一般地方の区画道路、第六が道路の維持修繕、交通安全、雪寒道路の冬季交通の確保、第七がこれ全体のまとめとして、昭和六十年度を展望して五十三兆円の道路総投資をやる、骨組みを見ますとそういうふうに長期計画を策定しておるのでありますけれども、私がさっき伺いましたところの経済の変動、こういう基本的な問題に対して正確な判断、見通しを持っていなければ、いま大臣がおっしゃいますようにそのときになってみなければ先のことはわからぬという状態で、長期計画そのものがあまり信用するわけにいかぬようなものになってしまうのではないか、こう思うのであります。  そこで特にこの七つの項目を置いて長期計画を盛っておるわけでありますが、その中は内容的に六つの柱だと見ておるのであります。この六つの柱の中で、重要な市町村道二十二万四千キロの整備を行なうといっておられるのでありますが、今度の新しい五カ年計画でも、地方単独事業に一七%の分担を実は求めているわけであります。したがってこの分担は、今日の地方財政の現状からいって非常にきびしい状態になっているのではないかと思うのでありますけれども、この点に関して見解を求めたいと思います。
  64. 西村英一

    西村国務大臣 地方道を二十二万四千キロということになっておるのでございますが、御承知のとおり地方道のいまの統計は八十五万キロほどあるのでございます。したがいまして今後昭和六十年ごろにはそのくらいは直せるのじゃないかというのであります。実はその前の前提といたしまして、私は二十年も先は目標であると言いましたけれども、五カ年計画等は相当詰めた数字でございます。これは当てずっぽうの数字じゃない。六兆六千億円をもってすればこのくらいになるであろう、もちろん価格の点については一般の上昇はその中にカバーできるだろう、こう考えております。したがいましてこの五カ年計画における地方道の問題にしましても、地方道に対しましてはある一定の単独事業の金を見ております。しかし昭和四十二年度の単独でやる金は、伸び率を普通に伸ばせば大体それで単独事業としてはやっていけるのであります。あなたがいまおっしゃいました一七%というのは、どういう数字をとったのか知りませんけれども、現在の単独事業の伸びでいけば今回の第五次五カ年計画の最終年度の金はこなせると思うのでございます。しかし最近において地方道のために、金が足らないからもう少し特定財源をつぎ込んだらいいじゃないかというようなお話は、私ども十分知っております。この財源問題につきましてはさらに今後五カ年計画内容をきめるときに討議が行なわれると思っておるのでございます。しかし私の地方道に対する大体の考え方は、やはり現在も特殊なところはやっておるわけであります。特別な法律をもって規定しているところとか、あるいは緊急なところはやっておるわけでございますが、一般的な地方道のことにつきましては財源をもう少し考えなければいかぬと思います。しかしそれよりも先に地方道の調査をしたいというのが私の希望でございます。現在は市町村の合併によりまして地方道につきましてもピンからキリまであります。したがいまして徹底的に地方道の調査をいたしたい、かように考えておるのでございます。しこうして、その次にいよいよ地方道にかかりたい、かように考えておる次第でございますが、一七%という数字は、ちょっと私にはどういう数字だったかわかりませんのですが……。
  65. 阿部昭吾

    ○阿部(昭)委員 新しい五カ年計画内容として、一般道路事業が五四%、有料道路事業が二七%。地方単独事業が一七%、そして予備費が二%で、現在の六兆六千億という新五カ年計画のいわば見通しを策定しておる、こういうふうに私ども理解をしておるわけでありますが、その中で地方単独事業の占める一七%というのは、最近出ました地方財政白書などにも見られるように、地方自治体の財政というのは非常にきびしい状態にあるわけであります。そういう意味で地方に対して単独事業を、新しい五カ年計画の中でも従来同様一七%をしょい込ましていく、こういうふうに進めてまいります場合には、地方自治体の財政、財源に対して何らかの手だて、措置というものを考えなければいかぬのではないか、こういうふうに思っているのであります。  それからもう一つは、大臣がいる問に伺いたいのでありますが、用地買収の問題であります。たとえばいま土地の価格というものが都市近郊を中心として非常に値上がりを示している。これに対して、いろいろなことは言っておるのでありますが、全く何らの手だても実際に適合するようなかっこうでは講じられておらぬのが現状なのであります。そこで、都市近郊の地価の値上がりに並行して二十年間に——二十年先のことは当てにならぬという話ですから、当面の五カ年計画を考えました段階でも、用地買収というのはますます、現実のいわば時価相場とこの事業推進のために用地費として見ている基準との間に非常なズレというものが出てきていると思います。われわれの地域で考えてみましても、坪当たり一般農地で千円ないし千五百円程度のところを考えていらっしゃる。ところが現実には、一般農地でもうすでに一反歩六十万、七十万といったような農地を、建設省で用地買収を進める場合には三十万か四十万くらいでまとめよう。ですからなかなか話が煮詰まっていかないというので、建設省の末端で働いておる職員の方々や、あるいはそれに協力をしております県なり市町村段階の当事者は非常に苦労しておるというような現状にあるのであります。そういう意味でこの用地の価格の問題についても、いまこの委員会で道路の問題が終わりましてから土地収用法が日程になってくるのでありますけれども、私は、この土地収用法という強権をより強化することによってだけ問題を押えていくことはできない、こういうふうに思っているのであります。そういう意味で私は、用地買収に対する土地の価格に対する考え方も、やはり従来あります地価相場というものをもっと正確にそれを基準にしてやるという方針を——方針はそのとおりなっておると思うのですが、現場では、非常に急激に高騰してまいります土地価格と、建設省が考えております買収価格というものは著しいズレが出てきておるのでありますけれども、こういう問題に対して五カ年計画推進の場合に、一体建設省はどのように考えていらっしゃるのか、大臣の見解を求めたいと思います。
  66. 西村英一

    西村国務大臣 前半の地方道の問題でございまするが、一七%というのはわかりました。その地方道が五カ年計画で一兆一千億だ、全体が六兆六千億だから一七%ということではなかろうかと思うのですが、実は四十二年度は、この五カ年計画につきましては単独事業は千八百十億予定をいたしております。しかしこれはあくまでも推定でございまして、私のほうが押しつけて計画を持っておるものじゃないのです。従来の実績から申しまして、四十二年度千八百十億くらいはこの単独事業が行なわれるのではなかろうか、こういう推定でございます。したがいまして、これを曙光といたしまして四十六年までいままでの伸び率でいけば十分一兆一千億円には達する、かように考えておるのでございます。もちろんさいぜんも申しましたように、この財源につきましては、単独でやることはなかなか苦しいという事情がありますから、将来に向かって財源は考えたいと思います。  次に用地の問題でございますが、御指摘のとおりでございます。私は、実際いま用地費が道路問題についてどれだけのウエートを持つかというものを精密に調べたいと思います。たとえば東名道路につきまして、一体建設費のどれだけがほんとうに用地費に向けられたか。一がいに用地費といいましてもいろいろなものが突っ込みになっております。つまり純用地費、それから補償費、雑費と、いろいろなものが突っ込みになって、いわゆる用地費と言われておりまして、それが全体の三五%になっておるんじゃないか、四〇%になっておるんじゃないか、こう言われるのですが、もう少し精密に道路事業に対する用地費を精査してみたいということで、いま私は道路公団に命じております。それができましたら、ほんとうの用地費、しかし補償費あるいは生活保護費といういろいろなものが積み重なったいまの値段でございます。しかしいずれにいたしましても、これだけの道路をやるということになりますれば、用地費はたいへんな重大な問題でございます。この用地の地価の高騰につきましてどうするかという問題につきましては、なかなか一言で言えないのでございまして、困っておることは確かでございます。したがいまして土地収用法等の改正もあるいはその他の法律の改正も建設省としてはただいま検討いたしておるのでございます。私も用地問題について詳しくはありませんが、大体一番騰貴したのは三十四、五年でございまして、これは数字が間違っておったら御訂正願いますが、いまは全国的にも五%ぐらいの値上がりで、都市付近については、これも平均でございますが、一〇%ぐらいではなかろうかと思うのです。しかし、それが実際問題に遭遇するとそんなことではないよ、こう言うかもしれませんが、大体全国的には五%、あるいは都市付近では一割、特別なところはまた特別であろうと思いますが、いずれにいたしましても一割という高騰はたいへんな値上がりでございまするので、土地問題については十分今後も考慮をいたしたい、かように考えております。あまり名案がありませんので考慮をする、考慮をすると言ってきておるのですが、土地収用法をはじめ、いろいろなことは考えてただいまやっておる次第でございます。
  67. 阿部昭吾

    ○阿部(昭)委員 それから「国土建設長期構想案」、これによりますと、道路やその他をずっと整備をしてまいりまして、将来は「大都市への工業生産機能の今後の集積はできるだけ阻止する」ようにつとめる、こうおっしゃっているのであります。私はこの考え方はきわめて当然なことと思っているのでありますけれども、こういうふうに工業の生産機能が大都市に集中するのを阻止するようにつとめる、この考え方は、いまの手放しの自由主義経済体制に対して、一定のセーブをしていく、こういう考え方だと思うのであります。しかしこの考え方は、私は決して最近に出てきたものではなくて、相当以前から考えられておった点だと思うのであります。いまこの長期構想の中で建設省指摘をしている工業生産機能の今後の集積は大都市に集中しないように阻止する、こう言っておられる具体的な中身、これは一体どんなものか、お聞きしておきたいと思います。
  68. 澁谷直藏

    ○澁谷政府委員 昨年の八月発表いたしました国土建設長期構想は、国土建設という立場に立っての一つ長期にわたる目安をまとめたものでございますが、その中で、御承知のように現在の日本というものはすべての機能が大都市に集中し過ぎておる。いわゆる過密という非常に大きな問題になっておるのは御承知のとおりでございますから、これをこのまま放置しておけば、いよいよ過密の問題が深刻になってくることは、これは必然でございます。したがいまして政治の立場あるいは行政の立場といたしましては、この過密の状態をできるだけ緩和していく方向で具体的な施策を進めていかなくちゃならぬ。それを長期構想の中で大きな方向として示しておるわけでございます。  具体的な対策はどうかということになりますと、これは言うまでもなく、非常に大きなしかも広範な問題をはらんでおるわけでございまして、いま直ちにここでこういうことだと申し上げるまで実は具体的な案は固まっておりませんけれども、現在建設省で、今度の国会で提出したいと思って非常に急いでおりまする都市計画法の改正というようなものも、そういう方向を織りまぜてひとつ改正を提案したいと考えておるわけでございます。
  69. 阿部昭吾

    ○阿部(昭)委員 私は、いま政務次官のおっしゃることで、なかなか疑問を持っておることを解くわけにいかぬのでありますけれども、企業はますます一定の日の当たる場所に集中をする、人口も集中をしていく、このことはこの長期構想案の中でも、将来八〇%くらいの人口が都市に集中をする、このことを長期構想の中でも是認をなさっておるのであります。   〔委員長退席、正示委員長代理着席〕 したがって、一方においては企業の都市集中を阻止する、こうおっしゃいましても、それはそのとおりにならないというふうに、私どもは、この長期構想それ自体の中に持っておるいわば矛盾というのですか、そういう意味で実はあまり信用しておらぬわけであります。  そこで私は、このことを指摘をいたしましたのは、たとえば道路の今回の五カ年計画にいたしましても、あるいは六十年度を展望する長期計画にいたしましても、大都市集中の道路整備が勢い結果的には行なわれていって、地方の広範な、国土総合を展望したこの長期構想というものは、最後にいくとやはりくずれてしまうのではないか。たとえば道路の整備をいたします場合に、まず中心だけをやって、中心が便利になってまいりますから、ますます集中をする。集中をすると、そこにはまた次の手だてを考えていかなければならない。したがって、次第次第に中央と地方との格差は縮まっていくというかっこうでこの長期計画なりあるいは五カ年計画が作用をしていくということにならずに、最終的にはやはり地方と中心都市との格差というものはますます増大をするというかっこうで、この五カ年計画なり長期構想もだんだん年度の末にまいりますと、それがある一方に集中をして地方が置き去りにされる、こういうことになるのではないか。  そこで私が伺いたいのは、この五カ年計画策定にあたって、たとえばどの地方のどの道路は五カ年計画終了の段階では大体どういう状態に変わるのだ、どういうぐあいに整備をしていくのだ、こういった具体的な中身を持っていらっしゃるのかどうか。ただ金額だけ六兆六千億、延長は何ぼ、こういうふうにきめたのでありますけれども、どこをやるかは陳情のしかたやあるいは政治のいろいろなからみ合い、そういうものできまっていくのであって、長期計画昭和六十年度を展望した中で、その一環として行なわれている五カ年計画というのは、どの地方のどの道路は五年後には一体どういう状態にするのかということをはっきり持たれていなければいかぬと思うのでありますけれども、その点はいかがですか。
  70. 澁谷直藏

    ○澁谷政府委員 阿部さんの御指摘のとおりだと思います。そこで現在建設省におきましては、今度の六兆六千億の新しい五カ年計画で、御指摘のとおりに具体的に、たとえば国土縦貫道はどの程度まで整備されるか、元一級国道はどの程度になるか、二級国道はどの程度になるか、主要地方道はどの程度までできるかという具体的な案を現在まとめておるわけでございます。いましばらく時間がかかると思いますが、できるだけ早期にただいま申し上げたような具体案をまとめまして、閣議決定をいたす予定にいたしておるわけであります。
  71. 阿部昭吾

    ○阿部(昭)委員 できるだけ具体的に、できるだけ早期にその中身をまとめられるということについてはきわめて賛成でありますけれども、そのできるだけ具体的にというものは、たとえば先ほど私が申し上げましたように、どの地方のどの道路、これは一体どういう状態にするのか、延長はどのくらいで、整備の内容はどうでと、ここまで明瞭になさった具体的なものが出てくるというふうに理解をしてよろしいのかどうか、承りたいのであります。
  72. 蓑輪健二郎

    ○蓑輪政府委員 六兆六千億の五カ年計画の中には、御承知のように一般道路事業三兆五千五百億、有料道路事業一兆八千億がございます。このの中で一般道路事業につきましては、やはり一つの目標をまずきめたいと思います。一般国道の整備率をどこまで上げるか。——整備率という考えは、現在まだ未改良の道路で車がすれ違えない道路を車がすれ違えるようにするのが一次改良でございます。この一次改良の整備率を幾らまで上げるかということ、これが一般国道及びそのほかの主要地方道、一般県道にそういうような目標を定めるわけでございます。そのほかに道路の二次改築、再改築といたしまして、ことに元一級国道の再改築の問題が、バイパスでございますが、非常に盛んでございます。これにどのくらいの金を割り振ってどういう地点の二次改築をやるか、こういうことをきめる段取りになると思います。このうちバイパスみたいな大きなものは、やはりその個所個所を五カ年でやるということがきまりますが、地方道の末端になりますと、やはり一つの県の整備率を幾ら上げるというようなことで、あとは県知事さんの裁量によってその個所はどこかにきめるということが大体の目標ではないかというふうに考えております。さらに有料道路になりますと、これはいま整備計画のきまっております千十キロのほかにどこをやるか。これは今後幹線自動車道の審議会の議を経て逐次きめていくものでございますが、大体いまの有料道路事業というものの内容は、道路公団が幹線自動車道路に使える分とそれから一般有料道路に使える分、こういうことをきめたい。さらに阪神高速、首都高速への五カ年の投資額をきめたい。首都高速、阪神高速につきましては、投資額がきまれば大体四十六年度末までにどの線がどの辺までということがきまると思います。大規模なものについては、四十六年までにどういう結果になるということがはっきりすると思います。ただ、先ほど言いましたような地方道の末端になりますと、どこの線がよくなるということより、まずその県内の整備率をどれだけまで上げるというような形で延長が出てくるようにわれわれは期待しておる次第でございます。
  73. 阿部昭吾

    ○阿部(昭)委員 いま局長のおっしゃるどの県、どの地方の整備率をどの程度まで上げるかというものは明らかになりましても、どの線のどの延長、どの個所がどうなるかは地方の大勢にゆだねる、こういう御答弁でよくわかるのであります。そうあるべきだと思うのでありますが、問題は、たとえば有料道路あるいは高速自動車道あるいは一般国道、こういうようなものになってまいりました場合、いまの有料道路関係などはわかりましたけれども、一般国道などの場合も、どの地方のどの個所、どの延長——延長は明らかになってくると思うのでありますが、その整備率も地方別に、五カ年計画の最終年次の段階で一体どのようになるのかということが明らかにしてもらえるのかどうかという点であります。
  74. 蓑輪健二郎

    ○蓑輪政府委員 各県のいまの一般国道、ことに問題になります元の一級国道、これは全部改良が終わりますからいいと思いますが、元の二級国道の改良を非常に進めておるのでございますが、大体六兆六千億では、四十六年度末では概成というのにはちょっとまだ困難ではないかという感じがいたすのでございます。それでは四十六年度末にどこまでが残るかという問題になりますと、用地の問題、工事のむずかしいやさしいという問題が非常に関係してきますので、その辺は各路線について検討いたしまして、およそどの辺が残るかは私のほうははっきり明示したいと思います。しかしこれは、そういうことを明示するにいたしましても、やはり四十六年度末でどういう状態になるかという問題は、道路が改良、完成されればもちろんいいと思いますが、工事中というものが相当出てくると思います。そういう関係で、改良の延長といたしますとかなり減りますが、元の二級国道は全面的に工事着手できるのではないかというように考えておる次第でございます。
  75. 阿部昭吾

    ○阿部(昭)委員 そこで、いまの長期構想の第五で、市街地の区画道路あるいは地方区画道路合わせて三十万二千キロを舗装する、こうおっしゃっておるのであります。この問題になりますと、市街地の区画道路などは現在の都市計画道路といった事業と一体どういう関係を持つことになるのか。あるいはまた地方区画道路というのは、全く地方自治体の責任においてやらなければいけないということになるのかどうかという点が一つであります。  それからもう一つは、今日まで市町村道の整備について、いままでの第四次の道路整備計画の事業の中で一体どういうような措置をとられてきたのかということについて、その概要、輪郭だけをぜひ御説明いただきたいと思うのであります。
  76. 蓑輪健二郎

    ○蓑輪政府委員 この市街地内の区画街路十五万キロ、地方の区画街路十五万キロという数字を書いてございます。これは、要するにいまの都市計画街路というものではなくて、先ほど冒頭に話しましたような個人の住宅の周辺の道路、交通の幹線にならないような道路、こういうもので三十万キロ舗装しようというものでございますので、先ほどの都市計画の街路事業というのはこれはまた別にございます。これはどっちかといいますと車の流れをスムーズにするための幹線の街路というようなものだと思います。それ以外の個人の日常生活に必要な道路というものを考えたのでございます。  次の御質問の市町村道につきましては、ちょっと第四次の市町村道の補助事業の金額はいまわかりかねますが、それまでの考え方は、やはり大きくいいまして地方道の整備につきましては、逐次主要な地方道それから一般県道それから市町村道という順序をとっておったわけでございます。しかし必ずしもその順序にこだわりますと、末端で非常にトラブルが起こることもございまして、市町村道につきましては、特殊の立法の関係のもの、こういうものを補助の対象にしておったわけです。たとえば離島の振興法とか企業合理化の促進法、山村振興法、新産業都市の建設促進法とか低開発地域の工業開発促進法とか、そういうものを対象としてやってきた次第でございます。ただそのほかにやはり市町村道というのは非常に種類が千差万別でございまして、当然県道になってもいいような、交通の状況が県道の大改正になるようなものもございます。そういう県道の大改正になるようなものを交通の緩和のためにやってきた次第でございます。今後第五次の五カ年計画におきましても、まだまだ県道以上の整備率が非常に低い段階でございますので、そういうものからまず重点的に整備をいたしますと同時に、先ほど言いました第四次の五カ年計画についてもとりましたような市町村道に対しては特殊立法で促進を要するようなもの及び県道にふりかえられるようなもの、こういうものを重点的に整備していくという考えでございます。
  77. 阿部昭吾

    ○阿部(昭)委員 市町村道の整備についてたとえば都道府県段階で機械事務所などを整備をして、そして現在簡易舗装などを行なっておるようなそういう機能を整備しておる地方団体が非常に増加しておるわけです。あの場合にこの六十年度を展望した長期構想の中で、農村の区画道路あるいは市街地における区画街路、先ほど局長の説明でおっしゃるいわば民生の関係に属するところとこういう説明であったのでありますが、こういう道路の舗装を推進していくためには、現在の地方団体、特に都道府県などで行なっておるような簡易舗装の装備といったようなものを、これは装備を持ちます場合に、国が、建設省が相当の援助を行なう、補助を行なう、あるいは起債等のめんどうを見ていく、こういうようなことにいたしましてやっていかないと、いま局長の説明のように、この区画街路のような、民生関係道路はなかなか建設省では手が回らぬのだ、こうおっしゃっておるわけでありますけれども、これをやっていかなければ、やはり道路の整備というものはほんとうの末端体制まで及んでいって、この国土建設長期構想のような状態にはなっていかぬわけであります。そういう面で私はやはりいま申し上げましたような何か新しい建設省自体の構想というものがあっていいのではないか。いま申し上げましたような機械公団のような、そういう場合にそういう装備を持ちます場合に、国が六割なら六割の援助を行なう、——装備の場合ですよ。そして残りの四割に対しては起債か何かでめんどうを見ていく、こういうような、何か具体的な地方のこういう末端まで及んでいくような道路整備の機能を末端に持たせていくというような方法などいろいろと考えられていいのではないかと思うのでありますけれども、地方の末端の道路整備について、もう少し整備をした御意見を承りたいと思うのであります。
  78. 蓑輪健二郎

    ○蓑輪政府委員 ただいまの先生のお話、まことに私はごもっともだと思います。道路というのは、やはり交通需要に基づいた道路、たとえば車が通るのにとてもこのままでは狭くてしようがないというような、交通需要に基づいた道路と、それから末端の民生につながる道路、こういうような二つの大きな性格を持っておるものだと思います。すべて高速道路につきましても、いまの交通需要に見合うという以外に地域の開発のために七千六百というものがきまっている状態でございますので、一つ一つ道路につきましてこれが交通需要に見合う道路か、これが民生のための道路か、なかなか区別はつけにくいのでございます。やはり道路というものはそういう二つの面がございまして、われわれの考えております一級国道だけやればいいのだ、あとの民生の道路については金がないからほうっておくのだということではいけないと思います。やはりそういう末端の道路もこの際よくなるような形で、ただいまお話がございましたような機械簡易舗装がまず主体になると思います。そういう機械の補助を主体としていくのか、それとも地方にある程度財源を与えまして地方は独自の形でやるのか、これは今後の私たちの検討事項にしておる次第でございます。
  79. 阿部昭吾

    ○阿部(昭)委員 大臣がなかなかお帰りにならないようでありますから、道路のいまの付託になっております法案の審議はさらに継続されていくと思いますので、私の質問はこれで終わりたいと思います。
  80. 正示啓次郎

    ○正示委員長代理 この際、おはかりいたします。  本案審査のため、阪神高速道路公団から参考人の出席を求め、意見を聴取することにいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  81. 正示啓次郎

    ○正示委員長代理 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、日時、人選等につきましては委員長に御一任願いたいと存じますので、さよう御了承願います。  本日はこの程度にとどめ、次回は来たる六月二日午前十時より理事会、十時三十分より委員会を開会することとし、これにて散会いたします。    午後零時十九分散会