運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1967-05-10 第55回国会 衆議院 建設委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年五月十日(水曜日)    午前十時三十八分開議  出席委員    委員長 森下 國雄君    理事 木村 武雄君 理事 正示啓次郎君    理事 砂原  格君 理事 丹羽喬四郎君    理事 廣瀬 正雄君 理事 岡本 隆一君    理事 稲富 稜人君       伊藤宗一郎君    池田 清志君       大野  明君    吉川 久衛君       佐藤 孝行君    高橋 英吉君       森山 欽司君  早稻田柳右エ門君       渡辺 栄一君    阿部 昭吾君       井上 普方君    勝澤 芳雄君       工藤 良平君    佐野 憲治君       福岡 義登君    渡辺 惣蔵君       小川新一郎君    北側 義一君  出席国務大臣         建 設 大 臣 西村 英一君  出席政府委員         林野庁長官   若林 正武君         建設政務次官  澁谷 直藏君         建設省計画局長 志村 清一君         建設省都市局長 竹内 藤男君         建設省道路局長 蓑輪健二郎君         建設省住宅局長 三橋 信一君  委員外出席者         農林省農林経済         局金融課長   今村 宣夫君         建設省国土地理         院長      安芸 元清君         参  考  人         (農林中央金庫         理事長)    片柳 真吉君         専  門  員 熊本 政晴君     ————————————— 五月九日  下水道整備緊急措置法案内閣提出第一〇七  号) 同月十日  土地収用法の一部を改正する法律案内閣提出  第六一号)  土地収用法の一部を改正する法律施行法案(内  閣提出第六二号) は本委員会付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  住宅融資保険法の一部を改正する法律案内閣  提出第三八号)  土地収用法の一部を改正する法律案内閣提出  第六一号)  土地収用法の一部を改正する法律施行法案(内  閣提出第六二号)  下水道法の一部を改正する法律案内閣提出第  一〇六号)  下水道整備緊急措置法案内閣提出第一〇七  号)  建設行政基本施策に関する件      ————◇—————
  2. 森下國雄

    森下委員長 これより会議を開きます。  住宅融資保険法の一部を改正する法律案議題とし、審査を進めます。  本案審査のため、参考人として農林中央金庫理事長片柳真吉君が御出席になっております。参考人からの御意見質疑応答形式でお聞きすることにいたしたいと存じますので、さよう御了承願います。  質疑の通告がありますので、これを許します。稲富稜人君
  3. 稲富稜人

    稲富委員 まずこれは建設省側にお尋ねしたいのですが、大臣がおられませんので、次官のほうから御答弁いただきたいと思います。  住宅融資保険制度の利用ができる金融機関として、新たに農林中金農業協同組合その他の金融機関が今回利用できることになったのでございますが、私は、その中におきまして、まず農林中金その他農林省関係機関に関してお尋ねをしたいと思うのでありますが、この法の改正にあたっては、農林省側とは十分なる協議決定の後にこの法案改正ができたものであるかということを冒頭に承りたいと思います。
  4. 澁谷直藏

    澁谷政府委員 今回の改正農林関係金融機関を新たに追加することにしておるわけでございますが、この点につきましては、当然主管省である農林省とも十分打ち合わせをいたしまして、むしろ農林省側からの希望が強くございまして、完全な了解の上で新たに追加することにいたしておるわけでございます。
  5. 稲富稜人

    稲富委員 農林省側希望が非常にあったんだということでございますので、しからばお尋ねしたいと思いますが、農林省にお尋ねしたいと思いますのは、金融課長が見えておられるようでありますが、これを利用する者は、これは全般でありますか、それとも農林関係においては、まず農林中金の場合には、これに関係する特定の人が利用するということになりますか。その点いかがでございますか。
  6. 今村宣夫

    今村説明員 農村におきます住宅建設あるいは農業関係住宅建設につきましては、単協信連中金とも系統金融機関として従来努力してまいったわけでございますが、また今後もそういう面につき努力をいたすべきものと考えておる次第でございます。住みよい農村をつくりますことは、農業近代化のためにも非常に必要なことであると私たちは考えておる次第でございます。実際の融資におきましては主として単協及び信連がこれを担当するということに相なるかと思いますが、農中の融資分野といたしまして考えられますものは、農中は現在個々の農家融資をするという制度になっておりませんで、法人でありますとか、あるいは連合会等融資するということになっております。その融資先の主たる部分は、たとえば厚生連におきます社宅でありますとか、あるいは看護婦宿舎でございますとか、あるいはまた単協等がなかなか融資しがたい漁協漁船員宿舎でありますとか、そういう面についてこの融資が行なわれ、そしてその融資につきまして保険が行なわれるというふうに理解をいたしております。
  7. 稲富稜人

    稲富委員 そうするとこの融資がやはり業務になるのでございますか。
  8. 今村宣夫

    今村説明員 農林中金業務ということに相なります。
  9. 稲富稜人

    稲富委員 業務ということになりますと、農林中金は第十三条において業務規定いたしております。これに対する余裕金ができた場合はさらに融資をするという十五条の規定がありますが、このどの条項によってこの業務を行なうことになりますか。
  10. 今村宣夫

    今村説明員 第十三条の所属団体に対する貸し付けというふうな規定になるかと思います。
  11. 稲富稜人

    稲富委員 第十三条の何項ですか。
  12. 今村宣夫

    今村説明員 十三条の一号の「所属団体ニ対シ……定期償還貸付ヲ為スコト」、二号の、所属団体貸し付けをするという、その規定に該当するわけであります。
  13. 稲富稜人

    稲富委員 第一号には「所属団体ニシ担保徴セスシテ五箇年以内ノ」、これですか。
  14. 今村宣夫

    今村説明員 十三条の一号と十三条の二号の規定でございます。
  15. 稲富稜人

    稲富委員 大体農林中金融資というものは、御承知のとおり、この所属団体というものは農業者を主体とする所属団体というふうに考え、農業者がこれによって利益を享受するということで農林中金の金は融資するというのがそのたてまえじゃないかと思う。それで私先刻農業関係特定の人に利用させるかと言ったら、そうでもないようでございますが、この点農林中金性格そのものからの解釈はどういうようにお考えになっておるのでありますか。
  16. 今村宣夫

    今村説明員 農林中金所属団体範囲は、農業協同組合はもとよりでございますが、そのほか土地改良区でございますとかあるいは森林組合でございますとかあるいは漁業協同組合でございますとか、相当幅広く範囲が定められてございます。そこで所属団体に対する貸し付けということで、宿舎貸し付けを行なうという場合の一例を申し上げますと、たとえば厚生農業協同組合連合会というのがございますが、これは農業協同組合法に基づいて設立された連合会でございますが、病院を持ちましていま事業をいたしております。これは当然に農林中金所属団体でございますので、そういう厚生連病院をつくり、そうして宿舎をつくり、社宅をつくるということにつきましての融資は、これは農林中金の本来力をいたすべき分野融資でございますので、そういうふうな宿舎住宅建設に対する融資、あるいは漁業協同組合等が船員の宿舎をつくりますが、それもまた農協、漁協所属団体でございますので、農林中金からの融資が行なわれておる、そういう融資につきましての保険ということを考えておるわけでございます。
  17. 稲富稜人

    稲富委員 それじゃ私冒頭質問いたしましたように、これは農林中金に属する所属団体という、特定の人に対する融資だ、この点は私冒頭お尋ねしたわけなんでございますが、そういうように解釈して差しつかえないのですか。
  18. 今村宣夫

    今村説明員 農林中金に対する貸し付け業務所属団体に対する貸し付けでございますが、同時に最近農業生産法人というのが出てまいっておりますが、そういう農業を行ないます法人等に対しても業務として貸し付けができるということになっております。関連産業融資等につきましては、これは余裕金運用という規定でいたしておるのでございます。
  19. 稲富稜人

    稲富委員 それを聞きますのは、農林中金融資というのが最近問題になって、なかなかずさんな融資が行なわれるということが問題になっている。いま課長が言われましたように、第十五条によります余裕金運用という問題において融資が行なわれる。余裕金の問題の第十五条の五号に「食糧営団其ノ他農林水産業ニ関スル事業営ム法人ニシ主務大臣認可受ケ」という問題がある。この問題が、いつでも主務大臣認可をする場合に、その問題に対する認可じゃなくして、総括認可等をやられるために、一括認可等をやられるために貸し付けがずさんになってきたという結果があらわれているのが非常に多いと思うのでありますが、この点はいかように農林省はお認めになりますか。
  20. 今村宣夫

    今村説明員 農林中金余裕金運用として、関連産業融資いたします場合には二つの形式がございます。一つはいま先生からお話ございました、十五条の規定に基づく融資でございます。これは短期資金を融通をいたしております。短期資金御存じのとおり企業状態に基づき迅速的確に融資をなすべき必要性がございまして、これを一つ一つ認可にかけまして認可を行ないますことは、融資迅速性という問題、同時に事務的にこれを処理するということになりますと、たとえば短期資金につきまして四十一年度末の状態を見ますと、企業数として千八百ぐらいございます。それから融資残高として四千四百億ぐらいございます。これを一件認可で処理をするということはとても事実上できがたい問題でございますので、私たち取り扱いといたしましては年二回に分けましてワクを示しまして、その範囲の中において農林中金金融機関としての的確な判断のもとに融資をしていただくという取り扱いにいたしておるわけでございます。十五条の二のほうの規定によります関連産業融資につきましては、現在一件認可をいたしておりますが、これは件数もごくわずかでございまして、四十一年で件数として四十七件程度でございますので、これにつきましては一件認可扱いにいたしておるわけでございます。
  21. 稲富稜人

    稲富委員 そうすると、いまの御答弁によりますと、十五条の五によります「主務大臣認可受ケ短期貸付」というものは、そのつど認可を受けているのですか。一括認可によって、主務大臣認可を受けられているのですか。
  22. 今村宣夫

    今村説明員 十五条の短期資金につきましては、農林大臣大蔵大臣ワク認可いたしておりまして、したがいましてその範囲内において農林中金融資をするという扱いでございますので、一件ごとの認可はいたしておりません。
  23. 稲富稜人

    稲富委員 そこに非常に問題があるのじゃございませんか。従来農林中金貸し付けは、あるいは放漫な貸し付けがあるとか、担保に満たない貸し付けがあるということでしばしば問題が起こっております。現在でも、昨日の予算委員会におきましてもこれが問題になっておるようでございますが、こういうような貸し付けに問題があるということは、その点の貸し付け一括認可を受ける、こういうような問題があるからつい結論的にずさんな結果になったというようなことがあるのではないか。こういう点は件別に、しかも金額において相当貸し付けをやるというような問題に対しましてはそのつどやはり調査をして認可をするというような方向でやらなければ、ただいま申しましたような轍を踏むということになるのじゃないかと思うのですが、この点いかがでございますか。
  24. 今村宣夫

    今村説明員 お話の御趣旨はよくわかるのでございますが、御存じのとおり三十六年に農中法を改正いたしまして、従来政府出資がございましたものも現在は政府出資というものもございませんし、それから役員の任免等につきましても自主的に総代会で選ばれてくるという形になりまして、現在御存じのとおり農林中金民間金融機関としての性格を有しております。したがいまして、先ほど申し上げましたように融資的確性迅速性ということを考えますと、これを一件一件認可にかけるということは融資実態にも即しませんし、また農林中金の三十六年以降の性格から見ましても必ずしもいかがかと思うのであります。農林中金といたしましても新しい執行体制のもとにおきまして、共和製糖以後、片柳理事長以下一丸となりまして融資的確性体制整備ということをはかってまいっておるわけでございますので、私たちは一件認可にすることによってこれを的確に行なうということよりも、中金自主性を尊重しつつ、その執行体制整備のもとに的確な融資が行なわれることを期待いたしておるわけでございます。
  25. 稲富稜人

    稲富委員 もちろんいま課長が言われるように、農林中金自主性を尊重しながらやるとおっしゃる。ところがあなたのほうは監督をすべき立場にあるのです。ややもしますると従来は、こういうことばを使いたくないけれども、監督するほうからかえって融資に対する圧力を加えるというような問題もある。そこに非常に大きな問題があったという過去の問題があるので、そういう点があるから一面には貸し付け自主性を尊重しながらも、やはり監督としての立場は十分堅持しなければいけない立場もある。その中に、全体のワクによってやるということよりも金額によって、相当に多額の金額融資するというものに対しては、やはり監督官庁としてそのつどこれに対する内容を調査するとか、あるいは認可の形においてこれに対する監督の手をいろいろ伸ばしておくというようなことも、当然なおざりにすべき問題ではないのじゃないか。これはいままで往々にして農林中金融資が非常にずさんであるという問題がしばしば起こりますので、私はこういう点を最近特に深く感ずるわけなんです。もちろん共和製糖の問題があったから、理事長もかわるし新体制のもとにやっていくのだという、これに対する全幅の信頼を監督官庁がされることはいいかもわかりません。しかしその自主性を尊重しながら、やはり監督の手をゆるめてはいけないと私は思う。これは監督官庁としての当然の責任であると思う。こういう点から私は、何かそこにこの貸し付けに対する認可の形においても従来と変わる方法をとるべきではないか、こういう点から私はただいま言ったようなことを提案しているわけなんです。ただこれは、従来から認可に対しては一括認可をやってきたのだ、しかし今度は理事者もかわるだろうから自主性を尊重して従来のとおりやっていくのだ、こういうような、現在の執行部を非常に信頼される意味はわかるけれども、やはりこういうようなときであるから、何かこれに対しても一つ方法をとることが必要じゃないか、こういうことをわれわれは深く考えるわけです。これらに対しても、ひとつ監督者としての立場からの御意見を承りたいと思うのです。
  26. 今村宣夫

    今村説明員 農林中金は、農家の方々の零細な金を預かりまして、それをできるだけ有利にかつ的確に運営すべき責務を有しておると思うわけでございます。そういう意味合いにおきまして、行政庁といたしましてもその監督については十分留意をすべきところであり、従来からも私たちとしましては至らぬながらも努力をしてまいったわけでございますが、今後とも関連産業融資その他農林中金融資につきまして十分指導をしてまいりたいと考えております。農林中金融資につきましては、従来から銀行検査等を通じましてその的確性検査ないし調査を行ない、不的確なものにつきましては改善を指示する等の措置を講じてまいったわけでございます。ただしかし、昨日の予算委員会において倉石農林大臣からも御答弁申し上げましたように、民間機関としての農林中金に対する監督範囲ということを考えますと、やはりその自主性を尊重しつつ融資的確性を期していくというのが方向ではないかと考えられるわけでございます。農林中金の特に関連産業融資的確性につきましては、これを確保する必要ということは痛感をいたしております。したがいまして、先生の御趣旨のような点も含めましていろいろ私のほうとしても検討はいたしてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  27. 稲富稜人

    稲富委員 従来は農林中金に対して銀行監査等もやってきたとおっしゃるけれども、そういうような中に、あるいは共和製糖の問題その他いろいろあるのでございますが、ずさんな問題が生じてきている。それで農林中金のたてまえというものは、まず基本的に考えなくてはいけないことは、これは零細な農村の金なんだ、農村に還元して農民の生産に使うということが第一のたてまえでなければいけない、したがって、この融資というものは十三条に掲げられているような所属団体融資をする、こういうような十三条の業務規定にありますことが第一番ではないか。ところがこれに対して、余裕金が生じた場合という十五条の規定があるので、余裕金の問題からこの十五条の五の規定が乱用されるというと語弊があるかもしれませんけれども、この問題においてたまたま問題が起こっているわけです。それだからこの十五条の五の規定によります運営というものに対しては、従来のあり方とは相当に考えた融資というものを考えなければいけない。ただ、特に理事者がかわったから自主性を尊重してやっていくんだ、こういう野放しではたしていいのかどうか、こういうことを監督する立場あるいは指導する立場としては十分農林省としても考えなければいけない問題じゃないかと私は思う。この点を私は強く言っているわけなんです。いままで十分これに対しては銀行監査ということをやってきたんだ、やってきたけれどもこういう問題が起こったという事実があるんだから、しかもいま申しましたように、余裕金が生じた場合というこれを利用していろいろ乱用されている十五条の五号、ここに問題があるわけですから、この五号の運営に当たる主務大臣認可の場合に対してはよほど考えなくてはいけないのではないかということを私は主張してまいりました。どうですか。
  28. 今村宣夫

    今村説明員 御質問の御趣旨は私たちといたしましても十分わかるわけでございまして、そういう御趣旨検討も今後続けていきたいと考えますが、ただ一点御理解いただきたい点がございます。これは決して責任を回避するという意味で申し上げるわけではないので、この点御理解をいただきたいと思いますが、農林中金法が制定されたのは——農林中金が設立されましたのは約四十五年ほど前でございまして、そのときは資金量も非常に少なく、またその構成員であります単協資金量も非常に少なかったという現状でございます。ところが、その後農業所得の向上その他によりまして、単協が大体自分のところで資金を自まかないができるという状態になったわけでございまして、農業及び農家に対する融資といたしましては大体信連単協段階でまかなっていけるという状態になったわけでございます。そうしますと、農林中金にあがってきます金は単協信連農業及び農村に使われた残りの金があがってくるわけでございまして、農中といたしましても、従来から低利融資制度を設ける等いたしまして、本来の業務であります所属団体に対する貸し付けにつきましては非常に努力をいたしてまいったわけでございますけれども、先ほど申し上げましたような単協信連段階で大体自まかないできるという情勢になりますと、本来の所属団体に対する貸し付けというものはどうしても比率としては少なくなる。金額としては伸びてまいりますけれども、全体の資金量に占める率としては少なくなるわけであります。それが第一点と、もう一つは、御存じのとおり系統金融につきましては最近コスト合理化等鋭意努力をいたしてはおりますけれども、なお資金コストは高うございます。ところが農業に使われるべき金はやはり長期低利ということが要請されるわけでありまして、そこにコスト農家長期低利という要望との関係に非常に微妙な問題をはらんでおるわけでございます。そういう意味合いにおきまして、どうしても農中金の金の相当部分関連産業融資される、あるいは有価証券を取得するということで、その金の運用だけを見ますと、はなはだ本来の業務を怠っておるではないかという御批判をいただくわけであります。現実はそういう実態の上に現在の農林中金業務が行なわれておるということをひとつ御理解いただきまして、私たちとしても十分農林中金業務的確性につきましては今後とも指導してまいりたいと存じます。何とぞよろしく御了承願いたいと思います。
  29. 稲富稜人

    稲富委員 時間がありませんので結論だけ申します。農林中金運営については、またいずれこの建設委員会ではなく別の機会にいろいろ質問することにいたしまして、今回の範囲の拡張に対する解釈は、中金法できめられておりまする所属団体に限定された融資がされる、それで、こうすると農林関係のものがこれによって融資の対象になるということが一点、さらに従来これに対する農林中金貸し付けに対してはいろいろ問題があるので、監督者立場からこれが融資に対する監督を怠らない、そういうつもりで今回のワクを広げたのだ、こういう点の的確なるあなたのほうの腹がまえを承ればいいわけであります。御答弁をいただければ、それで私の質問を終わります。
  30. 今村宣夫

    今村説明員 御趣旨のとおりでございます。御趣旨に即しまして私たちとしても指導監督をつとめたいと思います。      ————◇—————
  31. 森下國雄

    森下委員長 理事会協議によりまして、ただいま建設大臣が御出席になりましたから、直ちに、本日付託になりました土地収用法の一部を改正する法律案及び土地収用法の一部を改正する法律施行法案、去る一日付託になりました下水道法の一部を改正する法律案、昨日付託になりました下水道整備緊急措置法案、右四案を一括して提案理由説明を聴取いたします。西村建設大臣。     —————————————     —————————————
  32. 西村英一

    西村国務大臣 ただいま議題となりました土地収用法の一部を改正する法律案につきまして、提案理由及びその要旨を御説明いたします。  近年の地価高騰の実情にかんがみ、政府は総合的な地価対策を逐次実施しつつありますが、その一環として、公共事業のための用地取得制度改善をはかる必要があります。  すなわち、公共事業における用地費は、事業費のうち大きな割合を占め、しかも年々増加の一途をたどっておりますが、公共事業のために値上がりしたいわゆる開発利益を含む土地価格用地を買収することは、公共事業施行が国民全体の負担において行なわれているものだけにきわめて不合理であり、何らかの改善措置が早急に講ぜられる必要があります。  現行土地収用法は、収用する土地損失補償について、収用裁決のときの近傍類地取引価格等を基準とすることとしておりますが、裁決時においては、事業が実施されることによる値上がりの期待をもって近傍地地価は著しく騰貴しております。収用の時期がおくれればそれだけ値上がりを招き、いわゆるごて得の弊害を生じ、早期買収について協力を得ることが困難であります。  そこで、このような現行制度改正して、開発利益の帰属の合理化をはかることが社会の要請にこたえる至当な措置であると考える次第であります。  すなわち、今回の改正案におきましては、収用する土地に関する補償額算定の時期を原則として事業認定の告示のときとし、また、このような補償額算定原則をとることに伴い、被収用者収用裁決前においても起業者に対し、補償金支払い請求を行なうことができることとし、その利益の保護をはかるための措置をとることといたしました。  以上がこの法律案提案趣旨でありますが、以下この法律案の要旨を御説明申し上げます。  第一に、収用する土地に対する補償金の額は、事業認定の告示のときにおける近傍類地取引価格等を考慮して算定した相当な価格に、権利取得裁決のときまでの物価の変動に応ずる修正率を乗じた額とすることといたしました。  第二に、右の改正に対応して、土地所有者等の利益の保護をはかるため、事業認定の告示があった後、土地所有者等は、いつでも起業者に対し、補償金の支払いを請求することができることといたしました。  第三に、大規模な事業等におきまして、全体の用地取得を初年度に完了することができない場合等を考慮いたしまして、起業者は、事業認定の申請にあたって、起業地の全部または一部について、収用手続を一時保留することができることといたしました。起業者は、この保留した土地について、必要に応じ都道府県知事に対し、収用手続の開始の告示を申請するものとし、補償額算定補償金支払い請求等につきましては手続開始の告示のときを事業認定の告示のときとみなすものといたしました。  第四に、収用裁決を権利取得裁決と明け渡し裁決とに分離いたしました。  土地に関する対価補償を、物件移転料等の補償と切り離して、すみやかに権利取得の裁決をすることとし、起業者が、実際に土地を必要とするとき、または土地所有者等が希望するときに、あらためて移転料等の損失の補償、土地・物件の明け渡しの期限等を内容とする明け渡し裁決を行なうこととしたものであります。  なお、補償金支払い請求制度を設けたことに伴い、事業認定において起業地を確定することとし、そのため不要となる土地細目の公告の手続は廃止することといたしました。その他これらの改正に伴い必要となった事項について所要の改正を行なうとともに、経過規定及び関連法律の改正につきましては別に法律で定めることといたしております。  以上がこの法律案提案理由及びその要旨でありますが、何とぞ慎重御審議の上すみやかに御可決くださるようお願い申し上げます。  次に、ただいま議題となりました土地収用法の一部を改正する法律施行法案につきまして、提案理由及びその要旨を御説明いたします。  政府土地収用法の一部を改正する法律案を国会に提出したのでありますが、この改正法の施行期日及び必要な経過規定を定め、並びに関係法律の改正を行なう必要があります。  まず、改正法は、公布の日から起算して八月をこえない範囲内において政令で定める日から施行することといたしました。  次に、改正法の施行の際すでに現行法による事業の認定を受けている事業については、土地細目の公告を終わったものは現行法の手続によることとし、その他のものは改正法による手続保留の事業の認定を受けたものとみなすことといたしました。なお、事業の認定を申請中のものも、手続保留の事業の認定をすることといたしました。  第三に、土地収用法を適用して収用または使用をする旨を定めた都市計画法等の各種事業法及び公共用地の取得に関する特別措置法、不動産登記法その他の関係法律について、必要な規定整備を行ないました。  以上がこの法律案提案理由及びその要旨でありますが、何とぞ慎重御審議の上すみやかに御可決くださるようお願い申し上げます。  次に、下水道法の一部を改正する法律案につきまして、提案理由及びその要旨を御説明申し上げます。  最近における人口及び産業の急激な都市集中に伴う市街地の拡大及び都市環境の悪化に対処するためには立ちおくれているわが国の下水道の強力な整備をはかることが現下の急務であると考えられます。  下水道行政につきましては、従来、公共下水道の管渠と終末処理場の建設建設省と厚生省の所管に分かれておりましたが、下水道事業の進展に伴い、これを一体化し、その強力な推進をはかる必要が生ずるに至っております。  このような観点から、終末処理場の維持管理に関する事項以外はすべて建設省の所管に改めることとし、なお、終末処理場の維持管理の適否が公衆衛生に重大な影響を及ぼすことにかんがみ、終末処理場の維持管理に関しさらにその適正を期するための措置を講ずることといたしました。  以上がこの法律案提案理由でありますが、以下この法律案の要旨を御説明申し上げます。  第一に、終末処理場の維持管理を除き、公共下水道に関する事項の所管大臣建設大臣とすることといたしました。  第二に、建設大臣が公共下水道の事業計画の認可をしようとするときは、政令で定める場合を除き、あらかじめ保健衛生上の観点からする厚生大臣意見を聞かなければならないものといたしました。  第三に、厚生大臣は、終末処理場の維持管理に関し、その適正が期せられるよう公共下水道管理者に対し、所要の勧告を行なうことができるようにいたしました。  以上がこの法律案提案理由及びその要旨でありますが、何とぞ慎重御審議の上すみやかに御可決くださいますようお願いいたします。  次に、ただいま議題となりました下水道整備緊急措置法案につきまして、提案理由及びその要旨を御説明申し上げます。  下水道の整備につきましては、政府は、生活環境施設整備緊急措置法に基づき、昭和三十八年度を初年度とする下水道整備五カ年計画及び終末処理場整備五カ年計画を策定し、これによりその促進をはかってまいったのであります。  しかしながら、最近における人口及び産業の急激な都市への集中に伴う市街地の拡大及び都市環境の悪化に対処するとともに、公共用水域の水質の保全に資するためには下水道投資の飛躍的拡大をはかり、下水道の緊急かつ計画的な整備をさらに促進することが必要となってまいりました。  また、本国会に別途提案いたしております下水道法の一部を改正する法律案において下水道行政の所管の合理化を行なうことといたしていることに伴い、下水道の整備計画は、従来厚生大臣の所管でありました終末処理場をもあわせて建設大臣が一体的に策定することが必要となってまいりました。  このような観点から、政府といたしましては、現行の下水道整備五カ年計画及び終末処理場整備五カ年計画を改定し、かつ終末処理場の整備計画をもあわせて一体として、新たに昭和四十二年度を初年度とする下水道整備五カ年計画を樹立することとするため、ここに下水道整備緊急措置法案提出することとした次第であります。  以上がこの法律案提案理由でありますが、以下この法律案の要旨を御説明申し上げます。  この法律案では、新たに昭和四十二年度を初年度とする下水道整備五カ年計画を策定することとし、そのための手続として、建設大臣は、あらかじめ経済企画庁長官及び厚生大臣と所要の協議を行ない、昭和四十二年度以降の五カ年間の実施目標と事業量とを定めた計画の案を作成し、閣議の決定を求めなければならないことといたしております。  なお、この下水道整備五カ年計画の円滑な実施を確保するため、政府は必要な措置を講ずるものとし、また地方公共団体も、この五カ年計画に即して下水道の緊急かつ計画的な整備を行なうようつとめなければならない旨を規定いたしております。  以上がこの法律案提案理由及びその要旨でありますが、何とぞ慎重御審議の上すみやかに御可決くださいますようお願いいたします。
  33. 森下國雄

    森下委員長 これにて提案理由説明は終わりました。  各案に対する質疑は後日にこれを譲ります。      ————◇—————
  34. 森下國雄

    森下委員長 理事会協議による建設行政基本施策に関する件について、調査を進めます。  質疑の通告がありますので、これを許します。岡本隆一君。
  35. 岡本隆一

    ○岡本(隆)委員 けさ毎日新聞を見て、私びっくりしているのでございますが、建設省所管の国土地理院が、日本でアメリカ軍に頼まれて軍用地図をつくって提供しておる、こういうふうな新聞記事が出ておりますので、あまりのことに驚いておるのでございます。一体どのような地図を米軍の委嘱によって提供されましたのか、国土地理院から御報告願いたいと思います。
  36. 安芸元清

    ○安芸説明員 地理院長でございます。  本日の毎日新聞に出ておりました記事の、米軍の地図に協力しておったということでございますが、これにつきましては、一九六〇年二月に外務大臣とダグラス・マッカーサー二世との協定によりまして、日本の小麦の金を日本に保留しておったわけでございますが、その円決済の一つの項目といたしまして、いろいろな項目がございまして、その一項目といたしまして、日本国における日米共同地図作成計画のための経費というものが計上されまして、それによりまして、昭和三十五年度から三十九年度に至る五カ年間にわたりまして、日本の地図をつくったわけでございます。これは、私たち考えておりますのは、別に軍用という目的ではなしに、われわれもその地図を使いまして、現在日本の五万分の地図の修正計画をやっておりますので、そういうふうにはわれわれとしては考えていないということでございます。
  37. 岡本隆一

    ○岡本(隆)委員 そうしますと、提供されておるところの地図は、一般に提供されておる五万分の一の地図あるいは二万五千分の一の地図、あなたのほうで発行しておられます、日本国内で広く頒布しておられる地図がございますが、それと全く同じものでございますか。それとも違った内容のものですか。
  38. 安芸元清

    ○安芸説明員 内容につきましては、図式等につきまして、地図を見ていただきますと、いろいろな記号で書いてございますが、記号とかそれから測量の仕様書等につきましては、アメリカ側と地理院のほうで協議いたしまして、大体、日本の式もかなり入っております。アメリカ式のものもあります。たとえて言いますと、鉄道等につきましては、日本の地図は旗ざおになっておりますが、同こうの地図は実線に点線が入っているというふうな形でございまして、多少図式には変わりはございますけれども、内容的にはほとんど変わっておりません。ただ、ちょっと見た感じといたしましては、アメリカの地図はグリッドが入っておる。日本の地図はグリッドが入っていないという点が——グリッドと申しますと、網の目を入れてあるわけです。これは別に日本の五万分の地図には入れてございませんけれども、われわれとしてもこれは入れるべきではないかという議論もあるわけです。これはどうしてかと申しますと、距離をあらわすために、いろいろな利用目的のために距離を平面座標に直して書いてございますので、緯経度であらわすよりは、われわれが日常に使うのにはぐあいがいいということで、われわれもその点を入れるか入れないかということについて現在検討しておるわけでございまして、別にそれが軍用ということには結びつかないのではないか。外国の地図におきましても、市販されておるのはほとんどグリッドが入っておるわけでありまして、あと別にそれが市販の日本の五万分の地図とそう変わったところはないし、ただローマ字で字が入っておるわけでありますけれども、ほかにはそう差異の点はない、さように考えておるわけであります。
  39. 岡本隆一

    ○岡本(隆)委員 内容の点ではあまり変わったことがないというお説でございますが、この新聞記事によりますと、地磁気の偏差度を記入されておる、それが非常にミサイルの攻撃に役に立つというふうなことが書かれておりますが、一般の地図にも地磁気の偏差度をやはり記入するのが地図の発行の普通のあり方ですか。
  40. 安芸元清

    ○安芸説明員 現在国土地理院で発行いたしております五万分の地図でも、地磁気の真北、磁石の方向というものは書いてあります。これはユーザーのために、磁石で旅行する場合に磁石の方向と真北と違っておりますので、そのほうが地図を見るときに便利なように現在の地図にも書いてございます。
  41. 岡本隆一

    ○岡本(隆)委員 そういたしますと、日本の地図をただ記号とかあるいは文字をアメリカ式に翻訳した、いわば地図の翻訳、この程度のものである、こういうふうなあなたの御説明ですか。
  42. 安芸元清

    ○安芸説明員 翻訳と言いますか、日本式の翻訳のものもあるわけです。それは全部アメリカ式の翻訳はいたしておりません。その辺はお互いに話し合いまして、日本で使いやすいような記号に話し合ってきめておりますので、アメリカ式に全部翻訳したというわけではないと考えております。
  43. 岡本隆一

    ○岡本(隆)委員 そういたしますと、あなたのほうで武藤院長の時代に、昭和三十四年の十一月に、AMSのアーサー・T・ストックランドという米軍将校との間にかわされた覚え書き、プロジェクトPL460なるものがある。これは一般の課長にも知らされておりません。そうしてこの記事によりますと、当時地理課長であって後に地図部長になった人が、部長になって二年間覚え書きのあることを知らなかった、その覚え書きを知ってびっくりして、院長のところに、そんなひもつきの金なんか使うのはいやだと言ってどなり込みに行ったというようなことが記事として載っておりますが、そういうふうにあなたのほうが公明正大で何らやましいものでない、そうして一般に市販されておる地図と内容は同じであって、ただ記号や文字のあらわし方が米人にわかりやすいようにしたにとどまる、こういうことでございましたら、そんな覚え書きを秘密にしておく必要もございませんし、そういうふうなことをあっさり職員全体に知らしておかれても別に差しつかえなかったであろうと思うのでありますが、それをどうしてこういうふうに覚え書きをないしょにしておられたかということです。
  44. 安芸元清

    ○安芸説明員 ないしょにしてこそこそやっておったのではないかというお話でありますけれども、これだけの大きな仕事をやる場合に、そういう秘密で仕事をやるということは私はできないと思うわけです。そういう意味から、ここにはこういうふうに書いてありますが、実態につきましては、私の聞いておる範囲では別にそれに対する異論というものはなかった、かように聞いております。
  45. 岡本隆一

    ○岡本(隆)委員 先ほどあなたは、マッカーサー二世と日本の外務大臣、当時だれだったか存じませんが——との間で、MSA援助に基づいて共同防衛のために地図を作成するということを米軍と約束した、このMSA援助というのは、当時武器援助を日本にするということでたいへん問題になったものでございますが、講和条約が結ばれ、それから後に日米共同防衛体制がつくられる。それと一緒に地図もこの共同防衛のためということで、日本の地図はすっかり何もかも明らかにして渡す、こういうことになってまいりますと、昔は御承知のように要塞地帯の地図というものは公表されなかった。また要塞地帯の上を飛行機で飛ぶということも許されなかったし、同時にまたそこの写真をとることも許されなかった。いわゆる軍機ということになっておりました。しかし日本は平和日本になったのでございますから、そういう軍の機密というものはないでしょう。ないにいたしましても、しかしながら米軍がみずからの努力でもって日本のいろいろな地理を詳しく知ろうとするのはやむを得ないかもしれませんが、日本がMSA援助で共同防衛体制をとっておるといって、洗いざらい日本の地形をすっかりアメリカ軍に知らす必要というものは必ずしもなかろう、こういうふうに思うのでございます。そしてまたあなたは共同防衛のために必要なんだ、こういうことでございますが、共同防衛をいざやらなければならぬときに地図を渡せばいいのであって、あらかじめ共同防衛の体制をつくるために地図を渡しておく、こういうふうなことは、これはいかさま向こうの知りたいところを先に渡す、こういうことになると思うのでございますが、建設大臣いかがですか。あなたはけさこの毎日新聞の記事をごらんになっただろうと思うのでありますが、ごらんになってないのですか。
  46. 西村英一

    西村国務大臣 見ました。
  47. 岡本隆一

    ○岡本(隆)委員 この記事をごらんになってどういうふうな感じをお持ちになったか。先ほど理事会できょう私はこの問題を一番に質問させていただきたい、こういうふうに申しましたら、それは岡本君、ぼくらも納得いかぬ、だからそれは与野党を代表して質問してくれ、こういうことなんで、私は社会党員として言うておるのではなしに、建設委員一同を代表していま御質問申し上げておる、こういうことなんです。そして理事会でもみんなあるまじきことだと非常に驚きにかられておるというのが現状でございますが、建設大臣いかにお考えになりますか。
  48. 西村英一

    西村国務大臣 私も新聞を見たばかりでございまして、それでいまのそれを読んだだけではよくわからないので、いま院長にもちょっと聞いたのですが、新聞は非常に軍用、軍用と書いてあるのですが、院長もいま言いましたように、軍用ではない、店頭に売っておるものとあまり違わぬ、これはそう院長言うわけです。そういうことも聞いて、それからまた経過も多少聞いたのです。そこで私といたしましては、これは少し調べてみないと、調査をしてみないと何とも言えませんが、しかしながら岡本さんも御承知のごとく日本とアメリカが日米防衛協定によって特殊な関係にありますから、これはただ単に地理院がこそこそとやっておるのではなくて、やはり政府関係においての一連の仕事でやったものなんでございます。しかしもうその約束は昭和三十五年に取りかわされたものでございまするから、もう少し調べまして、これはまた地図ばかりではないのであります、ほかの問題に対しましてもいろいろそのときの申し合わせで政府間でやっておるわけでございますから、少し調べなければならぬと私は思っておる次第でございます。もちろんわれわれとしては守るべき一線はあると思いますけれども、またアメリカとは防衛上特殊な関係にあるということもこれはあるわけでございます。新聞に書かれておるがごとき軍事目的というものではないだろう、こういうふうにいまのところは認識いたしておるのでありますから、いずれもう少し詳しく調べたいと思っております。
  49. 岡本隆一

    ○岡本(隆)委員 軍事目的でなかろうと思うがという御意見でございますが、しかし先ほど安芸さんの説明では、MSA援助の協約に基づいて、これは共同防衛のために米軍に頼まれてつくったのだ、こういうことでありますから、これは明らかに軍事目的であるということははっきりしているわけですね。それで六〇年の二月、先ほど院長が言われました日本の外務大臣とマッカーサー二世との間にかわされた地図を作成するための協約といいますか、覚え書きですか、どちらか知りませんが、それの内容はどういうものですか。いまお持ちでございますか。ひとつそれをお示し願いたいと思うのです。
  50. 西村英一

    西村国務大臣 その覚え書きはいまここに持っておるようでございます。しかしこれを公開すべきものかどうかということは、もう少し私といたしましては調べてみなければ何とも言えません。一般の公文であれば——いま持ってはおります。けれどもこれを公開していいかどうかということは、もう少し調査をさしていただきたいと思います。
  51. 岡本隆一

    ○岡本(隆)委員 しかし公明正大なものだ。もう町に売っている地図を翻訳しているようなものだ。アメリカ風に翻訳したようなものだ。それならアメリカで日本の地図を買ってそれを向こうで翻訳してもいいのです。だからそういうような程度のものなら、日本がいままで測量し調査した範囲のものをそのまま載せておるということなら、それはそれで別に問題ないと思うのです。しかしながら協約によってこういうこととこういうことをひとつやってもらいたい、そういうふうな特別の調査を向こうから求められて、米軍の要求による調査項目というものがその中に加わっておって、それを新たに昭和三十五年から五年がかりでつくったということでありますから——翻訳ならこれはもう一年もあれば十分できるはずです。すでに測量されたものをそのまま翻訳して渡す、こういうことなら一年間もあればできるわけです。それを五年がかりでつくって渡した。その渡すまでの間は、米軍はAMS局、米陸軍極東地図局というものを日本に置いておって、その地図をもらったら、御用は済みましたとそれを引き揚げていった。あとはもう座間の機関が残っておるだけだ。だから五年がかりでもって米軍から委嘱を受けて地図を作成したということになりますと、相当な作業である、こういうふうに思うのであります。そのような作業をやるための協約が結ばれておる、こういうふうに私どもは解釈をせざるを得ない。だからいま院長の言われたように、あり合わせのものを翻訳して渡しただけでございます、公明正大でございますということなら、その内容は即座に公開することも可能でございます。一体いまの六〇年二月に行なわれたところの協約と、もう一つこの新聞記事に書かれておる三十四年の十一月十七日、それより約半年前にかわされた覚え書きとは同一のものなのですか。それとも違っておるものなのですか。それは院長でないとおわかりにならぬと思いますが……。AMSというのはアーミィ・マップ・サービス何とかでしょう。そのアーサー・ストックランド中佐と地理院長との間にかわされた三十四年の十一月の覚え書き、それといま院長が言われました六〇年二月、それの翌年の六〇年二月に外務大臣とマッカーサー二世との間にかわされた協約というものとは内容は同じものなんですか。それとも違ったものなんですか。
  52. 西村英一

    西村国務大臣 岡本さんの一般的なその公文書の公開ですが、これは公文書の公開は私も文書規程は知りませんが、一般的にできるものとできぬものがあると思います。いわんや外交上の、条約上の覚え書きでございますから、これは私は出せないと思いまするが、なお、私もその辺事務的に詳しくありません。ですから、後ほど御返事をしてもいいが、これはおそらく公開は、外交上の問題ですからできないと思います。二つ条約の覚え書きがあるというのは私は知りませんから、院長から、二つあるならば二つあるようにお答えさせます。
  53. 安芸元清

    ○安芸説明員 先ほど翻訳ということでだいぶ行き違いがあるようでございますけれども、地図はつくり直したわけでございます、全面的に。昔五万分の一というのは全国、戦前からあったわけでございますが、それはわれわれのことばで言いますと平板測量というもので、三角測量をやりまして、その三角点を基準にいたしまして、そこで平板を据えまして、その平板で地図をかくという形で地図をつくっていったわけでございます。ところが最近、まあ戦争前からありましたけれども、非常に戦後発達した方法といたしましては航空写真による測量ということが発達してきたわけでございます。平板でございますと高い山のコントアラインなんというものはあれは非常に詳しく書いてございますが、実はあれは山へ入りましてところどころ要点を押えまして、スケッチしながらかいたものでございます。一々あの等高線をはかるということは不可能でございまして、そういう点で、基準点、要所要所を押えまして、それによって山へ入ってスケッチをしながらかいたということでございますので、多少その辺不正確な点が免れない、こういうようなことがございまして、日本全部の地図は航空写真に切りかえて正確なものにすべきじゃないかということで、戦後航空写真に切りかえをやっておったわけでございます。ちょうどそのときにそういう話がございまして、それで特定五万と称しております図面につきましては航空写真による修正を行なった、そういうことでございまして、そのために前の地図を全面的に改訂せざるを得ないという形になっておりますので、ちょいちょいと手を入れて直すという程度のものではございません。全面的に改測を行なった。現在日本の地図につきましても、いまやっておりますわれわれの地図につきましても、航空写真を利用いたしまして全面的な改訂をやっておるわけでございまして、そういうことで非常な金と時間的なものがかかる、こういうことでございます。
  54. 岡本隆一

    ○岡本(隆)委員 私がお尋ねしておるのは、つまり覚え書き、いわゆる六〇年二月のものと、それから五九年十一月のものと、それが同一のものかそうでないものか、こういうことをいまお尋ねしているんです。
  55. 安芸元清

    ○安芸説明員 三十四年に結びましたのは、これは院長と向こうのAMSの隊長と結んだものでございまして、これは作業のやり方についてのものでございます。
  56. 岡本隆一

    ○岡本(隆)委員 そうすると三十五年の二月のはどうですか。
  57. 安芸元清

    ○安芸説明員 それは包括的な話でございまして、地図だけの問題ではございません。
  58. 岡本隆一

    ○岡本(隆)委員 いずれにいたしましてもまあ相当大きな作業をやらなければならぬ。大きな作業をやるについては金が要る、その金をMSA援助の金にたよった、そのために地図を提供しなければならなかった、こういうふうに理解していいですか。
  59. 安芸元清

    ○安芸説明員 金がないからたまたまそれに便乗したという考え方ではございません。そういう依頼がありましたので、まあ地理院としてはそういう方針に従ってやろうということでやっただけでございまして、金がないからそれをやったというわけではないのであります。
  60. 岡本隆一

    ○岡本(隆)委員 しかしながら、この新聞記事の論調なり報道の傾向は、一応日本としてはそれだけの大作業をやるための金がなかった、地理院に予算がつかなかったから、地理院としても仕事がしたくてしかたがなかったから、それにたよったんだ、こういうふうな報道が行なわれていますね。あるいはこれは誤解かもしれません。しかしそれにいたしましても、これは日本のいままでになかった、現在までなかった、そして日本の測量を正確なものに完全にやり直すのだ、そういうふうな、まあ裸にしてすみからすみまでからだを点検する、いわば日本のからだの精密検査です。そういう精密検査をやるのに際して外国の金にたよって、外国とその精密検査の結果を提供するというふうな約束の上に立って国土調査をやるということになってまいりますと、これでは日本のための国土調査なのか外国のための国土調査なのかわからないと思うのです。そういうふうなうかつなことをどうして日本がやったのか。これは私どもは軍備というものを否定する立場です。しかしながら現実に世界というものは、いま資本主義国の間では現実に局地戦争ということが至るところで行なわれておる。日本だって局地戦争というものがなきにしもあらず。ことにアメリカとの共同防衛ということをいま政府は言っておられますが、しかしながらいつまでも日本がアメリカと共同防衛の立場にあるかどうかということは、五十年、百年後になればこれはわからぬと思うのです。日英軍事同盟をしておった日本が、やがてはシンガポールでもって英国軍と戦争をして、そしてまた豪州軍が日本に進駐してきている。だから五十年、百年の歴史の中では、これはきのうの敵はきょうの友、きょうの友はまたあすの敵になるかもしれない。資本主義体制が続く限りは、いつそういうことが起こるかわかりません。そういうふうな情勢の中ですみからすみまで精密に調査したものをそっくりそのまま外国に渡すというふうなことは、これは私は一つのスパイ行為だといわれてもしかたがない。公然とやっているからスパイ行為でないと言われるかもわかりません。しかしながら、スパイの仕事というものはまず敵を知るということなんです。丸橋忠弥がきせるで堀の広さをはかり、石を投げて深さをはかったというふうな話がありますが、ああいうふうな幼稚なスパイ行為から、たとえて言えば福島中佐ですかがシベリア横断をやったというふうなこともあれも堂々たるスパイ行為、あるいは世界一周飛行機として飛んできたリンドバーグ機というふうなものもあれはやはり米軍のなにじゃないかというふうな憶測すら伝えられておるのです。だからあらゆることをやって諸外国の地形というものを綿密に知りたいということ、そういうふうなことを日本の国みずからが、国の機関がして渡しておるということになれば私は事は重大であると思うのです。まあU2機の問題にいたしましても、あれだけ危険をおかし、そしてどんどん黒い飛行機が外国の領土の端のほうをかすめ飛んだり、超高空を飛んで写真をとって、かろうじて敵のいろいろな情勢を探っておるというふうな世界情勢の中で日本が、ちょうど昭和三十五年といえば、U2機の問題なんか盛んに国会なんかで論議されておった時代だと思うのです。また安保条約改定の問題で安保騒動の大騒ぎのときです。その安保で国会で大騒ぎをやっておる最中に、国土地理院では、日本をまる裸にして点検いたします、そしてあなたのほうへその点検の結果をそっくりお渡しします、こういう契約のもとに作業を始めておる。こういうことなんです。これは一体どういうことですか。これは国民感情として、そこまで日本の国はアメリカに心を許さなければならぬのか、そこまでのサービスをしなければならぬのか。素っ裸になって、さあどうぞどうでもしてください、こういう姿ですよ。こういうふうなことを日本の国の機関がやっておる。それに対していま建設大臣は、いや、しかしその意図ははっきりせぬから、これからもう一ぺん調べてみます、別にいまのところ考えというものもございませんというふうなことでは、私は通用しないと思うのです。けさ理事会では、みんな口をそろえて、これは何ぼ何でもひどい、岡本さんひとつしっかりやってくれ、こういうことだったのですよ。だからこれは大臣も、いま、まあ済んだことはしようがないというような口吻もちらっと漏らされましたが、しかし済んだことはしようがないではこれは済まぬと思うのです。こんなふうなスパイ行為というものを、みずから進んで日本の国の皮をはいで見せるというふうなことを何で日本がやらなければならぬのか。私は建設大臣から、もっと骨の入った、タコみたいなぐにゃぐにゃなお答えでなくて、もうちょっときちっと筋の入ったお答えをいただきたいと思います。
  61. 西村英一

    西村国務大臣 私は新聞を見ただけでありますから、そう率直に答えたのです。ただし、さいぜんも申しましたように、日米は特別な関係がある。したがって、それを考えた場合に、やはり日本の地図あたりを見て——簡単に地図と言いますけれども、いま院長が言いましたように、やはり平板でやる場合もあるし、立体的にやらなければならぬ場合もある。だんだん技術が進んでおるから、やはりこうすべきものじゃないか、ああすべきものじゃないかということでやる場合もあるわけでしょう。余裕もないが、時たまたま余剰農産物の金があるから、それではこの金を使ってやれというようなことでやらしたかもしれない。しかしそのつくったものはいま店頭に出ておるものとあまり違わない。その上、最も違うところはグリッド、網の目だ。それはいま言ったとおり、技術的には地図は多少網の目を薄く入れたらいい。一キロメートルごとに入れるのですから距離がわかる。そういうものを入れれば金もかかるというようなこととの分かれ目があろうと思うのです。したがいまして、あなたはそれを非常に軍事的、軍事的とこう持っていきたがるが……(岡本(隆)委員「新聞に書いてある」と呼ぶ)いや、新聞がすべてほんとうだとは思わない。やはりそれから判断してやらなければならぬ。私ば、これはいま新聞を見ただけですから、いずれ調べまして——あなたが言うようにスパイ行為に値する、そんなものじゃなかろうと私は思いますが、一応調べてみなければと、こう言っておるわけでございます。ただほんとうに新聞をけさちょっと拝見して、これはということで、いまちょっと聞いただけでございますから、感想だけ申し述べておきたいと思います。
  62. 岡本隆一

    ○岡本(隆)委員 しかし建設大臣、それでは日本の国というのは何ですか。地形についてはどうぞどこでも自由に調べてください、見てください。それは自然にわかるのはやむを得ませんが、自分の国でたんねんに地形を調べて、それをどこへでもどんどん、外国から注文があれば売りますか。たとえば米軍からそういう要求がございましたから、その地図を翻訳して売りました。それでは今度ソビエトから、そういう地図をひとつ売ってくれと地理院に買いに来たら売りますか。中国から買いに来たら売りますか。そんなものじゃないでしょう。
  63. 西村英一

    西村国務大臣 何か昔のような立ち入り検査の個所はないようです。それから地図がほしかったら、地図は店頭にあるのです。こちらでつくったものが店頭に出ておるのですから、ほしかったらソ連でも買ったらいいのです。あるのですよ。それは店頭に出ておるのです。
  64. 岡本隆一

    ○岡本(隆)委員 そうすると、その地図というものは、たまたまMSAの金があるから使わしてもらったというだけで、米軍から何ら特別の注文はついておらない。それならその覚え書きとかなんとかいうものは公表できるはずじゃないですか。そうでしょう。その地図の作成に関しては何の機密もない。そういうことなら隠すこともない。公明正大なんだ。ソビエトや中国がほしかったら買ったらいいじゃないか、こうおっしゃるのなら、その程度のものをつくるのだったら、別に覚え書きとか協約とかいうものを伏せる必要はどこにもないじゃないですか。それならそれで国民の疑惑は晴れるのです。私は何もこれがそうだと断定しているのではないですよ。しかしこれが新聞に書いてあるとおりだったらたいへんだ。愚かなことをするものだ。だからそれを国民の前に、いやそうではございませんということをはっきりしてもらいたい。これなんですよ。私は、日本の国の機関が国を売るようなばかなことはしてないだろうと思う。だからそういうものの一切を明らかにして、いや決してそうではございませんということをこの場で国民の前にはっきり示していただきたい。そのことのほうが、出してはならぬものを出されたということより何ぼうれしいかしれませんよ。出してはならぬものを出したんじゃないか、そういう論法で追及しています。しかしながら、あなたのほうから、いやそんなものじゃないのです、そんなばかなことをしているものですか、公明正大で、協約はこのとおりです、だからもうそんなことは全然ないのですということを言っていただけばいいのです。この記事を見て、国民はみんなびっくりしていますよ。私もけさ起きて、この記事を見てびっくりしたんだ。これは何としても委員会でこの問題をお尋ねして、この間の真相を明らかにしていただいて、国民の疑惑を晴らしてもらいたい、こう私は思った。こういうふうな記事が出ましたら、これは全く日本はアメリカのおめかけになったんだな。しりの毛まで抜かれるということばがございますが、全くしりの毛まで抜かれるようなことになっているのですよ。そういう愚かな日本にどうしてなってしまったんだ。情けなくてしょうがない。  何ぼ安保体制下にあるといえども、やはり日本は日本として独立国です。独立国の日本が、自分の国の地形の詳細を外国に無理に知らせる必要はないのです。それは知るのは御自由です。翻訳したければ、日本の地図を買ってかってに翻訳されたらいいのです。しかしながら、やはり日本といえども、これはとにかく持ってはならぬにしても軍備を持っているのです。防衛体制というものを日本は持っているのです。いつ、どこの国から、どういう侵略を受けるかしれぬという想定の上に立って日本という国の防衛をやっておるときに、日本の地図は全く公明正大です。ノンズロースで、どこへでもどんどんほうり出すのです。日本の地理というものは、一切がっさい、ミサイル攻撃でも——これを見ますと、地磁気の偏差度を入れているということは、ミサイル攻撃に非常に便利だというようなことが書いてある。あるいはそうかもしれぬ。私はしろうとですからそんなことはわかりませんが、しかしそういう解説がついている。そういうことになってまいりますと、全く日本の国がもう裸になってまないたにのっているという形になっている。ところが、それなら日本は、世界の各地、至るところ——アメリカからそういう地図がきていますか。あるいはソビエトや中国にもそういう地図があるのですか。やはり各国とも、自分の国の道路とか港湾とかいうものについては、ある程度外国に知らす必要もあるし、それでいいと思うのです。しかしながら、国土全部を詳細に外国に知らす必要はどこにもないのです。だから、そこまでの地図を、そんなに綿密なものを、他国から頼まれたからといって、その仕事を引き受けてやるというふうなことの必要性は全然ないと思うのです。その点私は、いまもっとこれはたいへんだということを考えて——現在でもまだ向こうからいろいろな資料をもらっている、こっちからも渡している、向こうからずいぶんもらっていることのほうが価値が高いので、これからもどんどん情報交換していくのだということを新聞では、これは記者が尋ねたときにお答えになったことがこれに載っているんだと思うのですが、こういうふうな安芸さんのお気持ち、これはやはり従来からそういうことが行なわれているから、従来の路線に乗っていくんだというふうな安芸さんの考え方、これはお役所におられる方でしたら無理からぬところもあると思うのです。しかし、建設大臣としてはどうお思いになりますか。もうここらでくされ縁をぴしゃっと切って、日本の地理院は独立国日本の国土地理院としてしっかりやっていく、そしてまた、米軍から御援助を願わぬでも、ちゃんと国で独立してやっていけるだけの予算をつける。国土地理院あまり冷やめしを食わせて、おんぼろ庁舎に住まわして、それから十分な調査費や研究費をやらぬから、こういういじましいことが起こってくるのですよ。国でほんとうに必要なら、国の機関として独立してやっていけるだけの予算をつけて、こういうふうなおめかけ根性を起こさないように、もうちょっとやってもらわなければ困ると思うのです。
  65. 西村英一

    西村国務大臣 その覚え書きを私は読んでおりませんから、その覚え書きを読んだら普通のことを書いているかもわかりませんし、覚え書きを読んだら何でもないことかもしれないのです。しかし外交上のものであるから、何でもあろうとなかろうと、ある一定の外交上の文書は流さないということで、私はそういうふうに了解しておるわけであります。いま岡本さんがおっしゃいましたことにも、非常に参考になることもあります。したがいまして、わずか二億数千万円を惜しんでそうしたものではなかろうと思いますけれども、昭和三十五年の昔のことでございますから、どういう事情でどういうふうになってやったのかわかりません。しかしいま言ったとおり、地理院に十分な予算をつけて、あまりまま子扱いせぬで——どちらかといいますと、やはり統計局とか地理院とか、外郭のところでは幹部があまり目を通さない機関もあるわけです。事実、その辺私は注意をいたしておるわけでございますけれども、まだ地理院までは私の考慮も行き届かなかったわけでございまして、いるうちには私も相当参考にしたいと思っておる次第でございまして、いずれ私も詳しく調べてはみたい、こう思っておる次第でございます。
  66. 岡本隆一

    ○岡本(隆)委員 もうこの程度で打ち切りますが、実は私もこの間予算の内容説明のときに、地理院からも来ていただいて話も聞いたところでございますので、私はこの問題一そう重要に思うのです。  とにかく、これから国土建設の一番中心になるのは日本の地図ですよ。だから、その精細なりっぱな地図を持たなければ、日本の国の改造は——開発といえば改造ですね、開発できないのです。一番基礎になるものが相当MSA援助のおかげでできた模様でございますが、しかしながら、いまなおやはり、それをいろいろ調査しつつ訂正し、それを補完しつつある模様でございますが、やはり十分そういう面に目を向けていただくこと、それから、何ぼ何でもこの点はちょっとひどいと思いますから、あなたのほうも、それはいろいろ外交上の儀礼の問題もありますから、何もかも言われればすぐぱあっとほうり出すということでは外交上困るということかもしれませんが、やはりこれは適当な機会に、次の委員会でもけっこうでございますから、よく調査をしてみた、しかしそういうことはないのだということを、われわれに納得がいくように御説明願いたい。もし、それが公開の席で困るということなら、秘密会にしてでも、われわれの心配を解いていただくようにお願いいたしまして、この問題についての質問を打ち切ります。
  67. 森下國雄

    森下委員長 それでは地理院長に対しての関連質問がございますので、福岡義登君。
  68. 福岡義登

    ○福岡委員 先ほど岡本委員の質問に答えられた中身なんですが、聞いておりますと、問題になっておる地図は、市販のものとは大同小異であって、若干記号を変えた程度であって、そんなに変わっていない、こういうような御説明があったのですが、そのとおりにとっていいかどうか。
  69. 安芸元清

    ○安芸説明員 お答えいたします。  お話がございましたように、記号等につきましては多少変わっているところがございます。それから一見したところ、グリッドが入っているところとローマ字になっているところ、あとの等高線のかき方とかグラフの表示のしかた、そういうものにつきましてはほとんど変わっておりません。だから内容的にはほとんど差異がない、かように考えてよかろうと思います。
  70. 福岡義登

    ○福岡委員 それではその原本というか、モデルというか、そういうものと、それから米軍に実際に提供しておるもの、この二つを資料としてこの委員会に出してもらえますか。
  71. 安芸元清

    ○安芸説明員 特定の個所についてはお見せできると思います。だいぶありますので、日本のやつと比べていただけばわかると思います。
  72. 福岡義登

    ○福岡委員 ちょっといまの説明では得心できぬのですがね。見せられないところがある、市販のものと大同小異だと言うのなら、そのもとになっておる地図が、市販されておるようなものがあるはずですから、それといま提供されておる地図と両方出していただいて、われわれが、ほんとうに大同小異であるかどうか比較検討したいと思う。
  73. 安芸元清

    ○安芸説明員 ちょっと誤解があったようでございますが、全部持ってまいりますと、たいへんでございますので、ある場所を選んで重ねていただけばわかると思います。
  74. 福岡義登

    ○福岡委員 ある場所をモデルとして、それぞれのやつを一部分持ってきて、そうして比較検討すればいい、こういうことですか。
  75. 安芸元清

    ○安芸説明員 そうでございます。
  76. 福岡義登

    ○福岡委員 それでは資料として、それをまず私どもの手元に出していただきたい。  なお、それに基づいて、他の地域につきましても、こちらから注文する場合がある、それにも応じていただきたい。      ————◇—————
  77. 森下國雄

    森下委員長 再び住宅融資保険法の一部を改正する法律案に対する質疑を続行いたします。岡本隆一君。
  78. 岡本隆一

    ○岡本(隆)委員 この融資保険法の内容でございますが、この融資保険の利用状況を見てみますと、昭和三十年から四十二年の十二年間に契約成立件数が一万十八件、こういうことです。そうすると、住宅融資というのは何千万と行なわれているはずであろうと思うのでございますが、それに対して一万より融資保険が契約されておらないということになってまいりますと、各金融機関住宅建設に対して金を貸します、しかしそのうち、これはだいじょうぶだ、担保も十分あるしだいじょうぶだというのは保険に勧誘しない。こいつはひょっとしたらひょっとする、こういうのばかり融資保険に入る、こういうように思えるのでございますが、事実そのとおりでございますか。
  79. 三橋信一

    ○三橋政府委員 ただいま御質問のございましたように、保険関係の成立いたしましたのは四十二年一月末までに一万十八件、そのとおりでございます。そこで、この利用状況が少ないじゃないか、それは結局あぶないやつだけこれに持ってきたのじゃないかというような御趣旨であると思いますけれども、私は実は必ずしもそうは思っておりません。と申しますのは、四十二年の一月末までの事故発生の累計でございますが、これを申し上げますと千五十八件でございます。と同時に、この融資保険をいたします際に、金融公庫と融資いたしました金融機関との間に保険約款を結びます。この保険約款におきましては、担保あるいは保証を必ずとるということを明記してございます。したがいまして、その担保あるいは保証によってその点の危うさと申しますか、そういう点は一応担保されておるわけでございまして、したがいまして非常にあぶないやつだけをここへ持ってきたということにもなっておりませんし、また何か事故が起こりました際には、まず貸しました金融機関が第一次的にそれを回収する義務を持っております。それを回収する義務を果たしました後に、なおかつ回収し得ざる場合にのみこの保険契約が働くということになっておりますので、したがいまして、ただいまお尋ねの点は私はそういうふうには理解いたしておりません。
  80. 岡本隆一

    ○岡本(隆)委員 そうすると、これは金融公庫がたとえば信用金庫を通じて融資するいわゆる公庫融資分にだけこの融資保険が入るのであって、金融機関が独自で公庫と関係なしに金の貸し借りをしておるというような住宅融資についてはこの保険は入らないのですか。
  81. 三橋信一

    ○三橋政府委員 お答え申し上げます。  公庫融資関係は入りません。金融機関が独自に貸した場合、その場合に金融機関と公庫とが保険契約を結んだものについてのみ働くということでございます。
  82. 岡本隆一

    ○岡本(隆)委員 そうしますと、非常に件数が多い中で——多いに違いないですよ、公庫の金なんてなかなか借れへんのだから。だからたくさんの住宅融資が巷間行なわれておる。その中から十年に一万件、年平均千ですね。そうしますと、これはやはり選択的に金融機関としたら入ってくる。保険契約を結び、こいつは担保も不十分だ、だからひとつ安全弁をつけておけ、こういうことで加入してくるに違いないと思うのです。局長がいま言われるように、いや必ずしもそうではない、これはちょっと考え方甘いのじゃないでしょうか。
  83. 三橋信一

    ○三橋政府委員 岡本先生の御意見はそのような御意見でございますけれども、実はそのように利用されなかったところに問題があるのでございます。そこでこれを利用し得る、つまり金融機関が公庫と保険契約を結びまして、そして金融機関が積極的にうちを建てたい人あるいは土地を買いたい人に金を貸すような方法を切り開かなくちゃいかぬ。そのために今回この法案提出いたしまして、金融機関範囲を広げますと同時に、保険の率でございますか、このてん補率を百分の八十から百分の九十に上げるとか、さらにこれは保険理論からはまた逆の理論になるかもしれませんけれども、従来の事故発生率から見まして保険料率を引き下げまして、そして今度借りやすいようにする、そういうことによってこれを伸ばしていきたい。むしろ先生のおっしゃいましたのと逆の意味において、これを利用させんがためにこの法案提出しておるという趣旨でございます。
  84. 岡本隆一

    ○岡本(隆)委員 いや、実は私もそうではないか。——そうではないかというのは、逆選択をやっておる、あぶないのばかり入っておるということであるとすれば、この保険というのはなかなか運営がむずかしいのではないかと思って、この資料を見ていきますと案外事故が少ない。だからこの保険はもうかっているのですよ。   〔委員長退席、正示委員長代理着席〕 もうかっているから、あなたのほうもこれはもうちょっと安くしよう、料率を下げよう、こういうことになってきたかと思うのです。ところが保険料を計算しますと、現在一日百万分の三十、それを年率に換算しますと年一%なんですよ。今度それを百万分の二十六におろす。そうすると、計算し直してみると〇・九五なんです。一%が〇・九五になる。つまり一%の利率が五%下がったということです。せめてこれが二割くらい下がると、だから〇・八くらいにでもなればだいぶかけやすくなる。いまは住宅融資というのは一応長期融資ですから、民間の金融機関住宅建てようと思いましたら、どうしても年利率一割くらい払わんならぬのです。一割払っているところへさらにこの保険料一%、これはやはり借りる者が払わされますからね。そうすると一割一分くらいになってくるわけです。ここから〇・五%くらい減ったところで、そんな保険料払うのはかなわぬということになってくるにきまっているのですよ、倒せやせぬのだから。今まで、これはかけてもらわぬと困る、これはあぶないというようなものだけ契約しておった。しかし事故率はこれだけだ。それなら、現在ほかにあるところの無数の融資が全部保険に入ってくれば、事故率はもっともっと少なくなってくる。保険料率はもっともっと下げられる。半分くらいになる。ほとんど事務費だけでいいくらいになりますよ。だからそこまで思い切って広げて、そのことによって安心して金かける——からだの弱い者ばかり生命保険に入られるのだったら、これはやはり料率を上げなければならぬ。だから、ぼくらいま保険に入ろうと思ったら、ものすごい高い保険料を払わなければならぬ。あなただってそろそろそうです。けれども二十歳くらいのものだったら保険料はうんと安い。だからこれをうんと広げるためには、うんと保険料を下げなければ意味ないのです。そのことによって、いま局長言われるところの各金融機関住宅融資を安心してどんどんやれるということになるわけですね。つまりこれは住宅融資奨励のための制度でしょう。そういうことなら、もっと保険料を安くせぬと意味ないじゃないかということを私は言うのです。だから、現在のなにでもって事故率がこの程度なら、もっと下げる努力をできないのか、こういうことでございます。
  85. 三橋信一

    ○三橋政府委員 確かに岡本先生のおっしゃるように、安ければ安いほどいいのはごもっともでございます。しかし一気に安くするのがいいかどうか。それにはやはりいろいろ問題がございます。そこで、私どもただいまの改正の案で出しておりますような料率まで引き下げまして、これでまず模様を見てまいるというふうに考えております。ちなみに現在どのくらいの貸し付け利率で貸されておるかということを見ますと、都市銀行、地方銀行、相互銀行といろいろございますけれども、日歩二銭七厘というのが最も多うございます。したがいまして、これが全体で三〇・一%程度になっております。そういうことで都市銀行、地方銀行、相互銀行を通じますと、大体二銭五厘から二銭六厘、それから信用金庫等において大体二銭八厘程度というような貸し付け利率になっておりますので、そこいらともまたにらみ合わせながらこの保険料率等についても今後の実績を見まして、またさらにお説のような方向に持っていくのが理想だと思いますので、そのように努力いたしたいと思いますが、現在のところはあまり急激なことをいたしますとやはり後々またおしかりを受けるといけませんので、これによってまず進めてまいりたいというふうに考えております。
  86. 岡本隆一

    ○岡本(隆)委員 原案として出ているのですから、いまからこれをあなたのほうで直すのは……。どうも役所のほうは原案を出したらどうしてもそのまま通してくれ、こういうことでございます。しかし、実際考えてみたら五%くらいではあまり下がりばえせぬと思うのですよ。だから、これはもう一ぺん検討していただきまして来年からでもぽつんと思い切って半分くらいに下げる。それでやれるのかやれぬのか、こういう研究をぜひひとつやっていただいてこの保険制度がもっと広く普及していくようにしていただきたい、こういうふうに思うのです。  それからその次に、この制度ですね。いままでの在来の市中銀行やその他の金融機関範囲をもっと広げたい、そして多くの金融機関をこの制度の中に入れたい、こういうことでございましたが、これは農林中金の場合、農林中金から入れてくれ、こういってきたんですか。それとも金融公庫から農林中金の意思を無視して入れたい、こういうふうにきたんですか、どちらですか。
  87. 三橋信一

    ○三橋政府委員 これにつきましては、まず結論から申し上げますと、私どものほうの考え方といたしましては、御存じのとおり四十二年度の予算におきまして住宅金融公庫におきましても農山漁村の住宅融資というものを四十一年度には一万戸の戸数でございましたのを一万三千戸にふやしております。なお、そのほかに改修融資というようなものも積極的にやってまいりたい。いわゆる農山漁村の住宅というものに相当のウエートを置きまして進めてまいりたいという意図がございました。そういう意味からいたしましても、この提案いたしておりますような農林漁業関係の組合等に対しましてこれを取り扱い金融機関といたしたいという意図がございました。と同時に、農林省当局におきましてもやはり農業改善その他の関係におきましてこれを伸ばしたいという意図がございまして、そこで両方の意見が一致しましたので、このような案を提出したということでございます。
  88. 岡本隆一

    ○岡本(隆)委員 そういたしますと、農協もこの制度の中に入りたいという意向を持っておられる、こういうことでございますね。ところが一昨日私は、農協というよりも農林中金については多少疑義を持っておりますので、中金から来ていただきたい、こうお願いした。ところがきょうは水戸の支店の開所式があるから理事は全部出払うから行けないというようなことで御協力願えなかった。私は、ははあ農林中金はそんなものは要らぬのだ、入れていらぬのだ、そんなもので委員会に引っぱり出されていい迷惑だ、国会でこのごろ農林中金をいろいろな問題で追及されておるが、決算で追及されたからそれでけっこうだ、建設までそんなものかなわぬ、だからそんなものいい迷惑だから要らないのだ、実は私はこう理解したのです。私は、それなら中金来ていらぬのだからそのかわり入れるのをはずそう、それでいいじゃないか、そうしたら来てもらえなくてもいいじゃないか、こう思いましたら、中金から理事さんが二人も来ていただいた。私は恐縮したのです。来ていただかなくてもいいと言っておったのに二人も来ていただいて恐縮したのです。しかし、きょうは私は質問しない、だから帰ってもらってください、すわってもらっておる必要がないから帰ってもらってください、こう言ったら、正示君が、やはりすわってもらおう、そうおこらないでおけ、こういうことでございましたが、一昨日は私は理事長に来てくださいと言いました。しかしながら、理事長は所用で出られないからだれかかわりの理事でもよろしいかということでございましたから、かわりでもよろしい、質問の内容はどういうことですかというから、こういうことですと言って、たしか今月の二日に委員部を通じて通告しておるはずです。二日に通告されておるのを、前日に断わっておるようななにですが、当日になって、きょうは水戸の開所式があるから出られません。これは個人個人の場合だって、何や人をばかにしておる、こう思うのです。しかもこういう制度をつくりますときに、農林中金についてはいろいろ問題がある、だからその問題を明らかにした上で入っていただくなら入っていただこう、こういうふうに考えて中金についてお尋ねしたいことをお答え願う、こう思っておるのに、一昨日あっさり振られた。少し農林中金のお考えが私にはふに落ちないのですが、一体水戸の支店というのは幹部、理事さんみな行かないと開所式ができないのか、一体どんな開所式をやられたのか、そういうことを私はお尋ねしたいと思います。
  89. 片柳真吉

    片柳参考人 まず深く陳謝を申し上げまするが、いろいろ連絡が悪うございまして、私がお呼びを受け取りながら欠席をいたしましたことを心からおわび申し上げます。実は担当理事をかわりに出すことに決定しておった次第でございますが、その辺の事前の御連絡がなかったということではないかと思います。ひらに御容赦をいただきたいのでございます。私も中金に参りまして、むしろ国会には積極的に出ましていろいろ御批判を受けながら処していきたいつもりでございまして、重要な委員会を軽視するというようなことは絶対いたさないつもりであります。この際御了承いただきたいと思います。   〔正示委員長代理退席、委員長着席〕
  90. 岡本隆一

    ○岡本(隆)委員 そんなことはいいのですが、しかし一応そういういきさつだけは脚承知おき願っておきたいと思うのです。  そこで、四十一年度の実績を見ますと、農協が七万五千件住宅融資をしておる。農林中金の場合には百七十四件なんですね。そうすると、件数にしても金額にしても、そう多額の住宅融資をやっておらない。したがって、これだけ多くの融資を農協がやっておりましたら、農林中金は別に農協にどんどんやるように指導して、農林中金は仕事の上から必ずしもこの制度の中へ入らなくても差しつかえないのではないか、こういうふうに思われぬこともない。だから私はここではありがた迷惑だと思っておられるのではないか、こう思ったのですが、どうしても入らないと困るということなら、どういうところでそういうふうなこれに入らなければいかぬという理由があるのですか。
  91. 片柳真吉

    片柳参考人 先ほど稲富委員の御質問に対しまして金融課長から御答弁がありましたように、本来はやはり単協なり信連が主として生活資金なり住宅資金融資をいたしておりました。私どもは、むしろそれがどうしても融資ができないものを救い上げて融資をいたす、こういう系統機関のたてまえは堅持していきたいと思います。したがって、中金はたいしたことがないのではないかというような御批判も出るかと存じますが、御案内のように、私どもの金融は単協信連中金三者が一体となりまして、お互いに相補いながら本来の系統融資をやってまいりたいという一体の関係になっておりますので、単協信連が入って中金が抜けるということもかっこう上もあまりよろしくないということでございますし、また中金も従来の件数は非常に僅少でございますけれども、私どもはいろいろ農家の設計等につきまして研究もいたしております。農家個々のものはおそらく単協なり信連融資でいくと思いますけれども、先ほど御説明のありました厚生連等のいろいろな職員の施設あるいは水産関係の船員の施設等につきましては、漁協なりその他の水産法人のそういう要求も相当ございますので、やはり系統機関の中央機関といたしましても、たてまえ上も入ることが適当ではないか。また四十二年度の量込みは大体二億をこす予定を持っておりまして、農出漁村の生活環境の改善には、私どもも、いろいろ御批判はございますけれども、これこそ先ほど稲富委員からも御質問がありました本来の所属団体に対する融資でございますので、今後できるだけ重点を置きまして推進をしてまいりたいということで、ぜひひとつお入れをいただきたいと思います。
  92. 岡本隆一

    ○岡本(隆)委員 従来の農林中金融資の状況を見ておりますと、四十一年度の実績でも百七十四件で、そして貸し付け金額は平均四十一万円。それからまた他の機関を通しているところの件数にいたしましても、二百三十件で二百九十三万円平均だ、こういうことになっております。ところが、商工中金を見ますと、商工中金の場合には九十八件で平均は千百四十二万というふうに、一件当たりが非常に大きな金額になっております。だから、農林中金は商工中金と比べると四十一年度の段階では非常に一件当たりの金額が少ない。しかし、いま理事長のおっしゃったお答えによりますと、これからは厚生連の施設だとか水産事業等の施設について、いろいろなそういう個人のものでなしに、公共的な施設に対して金を貸していくんだということになってまいりますと、商工中金のいまの融資形態とだんだん似たものになってくる。件数もふえるでしょうが、しかしながらだんだん一件当たりの金額が大きなものになってくる、こういうふうに予想されます。ところが、そのこと自体には、私決して反対するものではございません。しかあるべきだと思う。しかし、従来の農林中金融資というものがしばしば問題になっておる。それがきわめてずさんであった。そのことは、この前の共和製糖問題あるいはきのう問題にされておったモロゾフ酒造の問題等で農林中金余った金の始末に困ってどこへでも金を貸したがって見さかいなしにいいかげんなことをやっている、こういうふうに見られるようになってきたというところに私は問題があると思う。しかもこの融資制度というものが、あぶないものだけ持っていき達者なものは持っていかない、つまり病人ばかり保険に入れるようなものです。この保険は、現在の制度は、病人を扱う保険のような制度なんです。病人相手の制度、病人相手の生命保険です。病人の中でも、もうこいつはガンを持っているか、結核の三期かわからぬというふうなものを扱ったらこれはえらいことになります。農林中金のいままでのようなことだったら、ぼくらの感じはこれはもう放火犯人——何べんも火つけやったものに、家に火災保険かけてやるようなもんだ、こういうふうな感じがするのですね。またそう言われても、現在の農林中金だったら私はしようがないと思うのです。だから、そこで私は、農林中金としてはこの際国民の疑惑を十分に晴らすだけ姿勢を正していただかなければならないということになってくると思うのです。  そこで、きょうは少し、片柳さん就任されて早々に私もこんないやなことを言うのはきらいで——本人はまるいのですがね。けど、役目で、これはやはりやむを得ぬですから、その点だけはやはり私はこの機会に明らにかしておいてからでなければ、加入していただくということをそのままうのみにできない。これが法案審査に当たる者のやむを得ない立場であるということをまず御理解願っておきたいと思います。  そこで、理事長にお尋ねいたしたいと思うのでございますが、前の楠見さん、この方はおやめになりましたが、どういうことに対して責任をとっておやめになったのか、中金側ではそれをどう理解しておりますか、それを伺いたい。
  93. 片柳真吉

    片柳参考人 前理事長の楠見君は、共和問題につきましていろいろ世間もお騒がせをいたし、自分としてもやはり責任を感ずるということで辞表を出されましたので、受理されたわけであります。
  94. 岡本隆一

    ○岡本(隆)委員 そこで、共和製糖問題でございますが、いま中金ではそれをどのように理解しておられますか。過剰融資であるか、あるいは不当融資であるか、あるいはその両方が重なっているのか、その点どのように理解しておられますか。
  95. 片柳真吉

    片柳参考人 実はなかなか正確な御答弁がむずかしい問題でございますが、私も、就任いたしまして、その契機が共和製糖という問題でございましたので、きのうも参議院の予算委員会でも申し上げましたが、既往の融資の分につきましても、実は全面的ないま再調査をいたしております。現在得ました状況では、もちろん大部分は健全な融資でございますけれども、やはり経済情勢の客観的な変化なりあるいは企業の当初の見込みが実績と違っておるというのも若干出ておりますので、そういう点につきましては、これが債権の管理につきましては、実は最善の努力をしているわけであります。今回のものがいわゆる過剰融資か不当融資か、過剰融資という観念が、私もなかなかいろいろな見方があろうかと思うのでありますが、結果といたしましては、検察庁の結論によって私どもは判断をせざるを得ないということでありまして、結果においては、例の担保になりました山林の面積その他につきまして、相当の詐称がございました。それをそのままうのみにしたということについては、善良なる管理者の注意が欠けたという感じはいたしておりますけれども、しかしそれは、融資をする際には善意であった。しかし結果としては、あとで調べてみますと、二十四万坪の面積は十一万坪強であったということがはっきりわかったわけでございますから、結果論としては過当融資というふうに見ざるを得ないと思うわけでありますが、当時の理事長としては、だまされた、俗なことばでいえば、そういうことでありまして、その間に注意の足らなかった点はあろうかと存じますが、やはりそれを信用して貸したという点においては、善意ではなかったか。したがって、不当という観念はいろいろあると存じますが、そういう意味の不当融資というものはなかったけれども、結果的には過剰融資になったということに私どもは了解しております。
  96. 岡本隆一

    ○岡本(隆)委員 私は、質問の通告の中に、高槻の丸尾山のことを主として聞きたいと事しましたので、丸尾津を例にあげてあなたはいまお答えでございますが、やはり共和製糖融資の全貌というものを見るときには、たとえていえば、ブドウ糖工場に対して融資するということであるのに、それが製糖工場、普通の砂糖の工場にその金が使われた。それで、ブドウ糖工場は建設されておらない。そんなものは、それから後に何べんも追い借り追い借りをしているんですから、前に貸した金でもってどこまで建設が進んでいるかということをあなたのほうから当然調査に行かれなければならない。調査に行っていながら、なおかつまた、追い打って金を貸しておるというようなことからいえば、これは明らかに使い道を偽って金を借っておる、それを承知で貸しておるというところに私は不当融資といわれてもやむを得ないというなにもありますし、また、担保価値の問題にいたしましても、これは積算していけばこんなものはすぐ評価できる。目に見えないものを評価するんじゃないんです。その人の技術だとか、たとえばこの絵一枚何ぼやということなら、これはその値段は置きようがないと思う。評価はなかなか困難。骨とうの評価とか、そういうことになれば、なかなか評価は困難です。しかしながら、世に——世にというとおかしな表現ですが、普通の不動産なら——普通として、一般に担保は不動産になっているわけですから、そういうものなら、評価は少々違いはあってもそんなにめちゃくちゃな違いが起ころうはずがない。それが調査不十分のためにべらぼうな評価を、担保価値ありと評価されて融資されておったというところで、これは過剰融資であるというふうに、これは二重の間違いがあの共和製糖事件の中には含まれておるわけであります。私は、今度農林中金が入っていただく、そうすると、土地、建物を担保に金を貸してもらう、こういうことになるんですね。それを今度保険するということにこの測度はなるわけでございますから、だから、片一方の、工場設備に対するところの融資については、私らの問題にする対象外になります。しかし、この土地一の評価については、これはわれわれも農林中金がいかなることをやったかということを十分ただしていかなければならぬと思うのでございます。  そこで、林野庁の長官お見えになっておりますね。長官にお尋ねいたしますが、高槻の丸尾山の評価は、昭和三十八年の十月二日の時点で三千五百万というふうに評価した、そうして交換をした、こういうことがいわれておりますが、いまもその評価が正しかったと林野庁では確信をしておられますかどうですか。
  97. 若林正武

    ○若林政府委員 国有林野の管理処分にあたりましての評価の方法でございますが、従来は、固定資産税課税標準価格、相続税課税標準価格及び近傍類似地の売買実例価格、この三つから基準価格というものをまず出します。と同時に、民間精通者の鑑定価格というものとの平均を出しまして評定をいたしてまいっております。いまお話の高槻の国有林野の評価の問題でございまするが、基準価格につきましては、これは反当たりでございまするが、四万五千四百九十一円でございます。それから鑑定評価額でございますが、これは当時日本不動産研究所大阪支所、住友銀行高槻支店、それから高槻森林組合、この三者に鑑定を依頼いたしておりますが、この鑑定評価額の平均が反当七万円でございます。当時大阪営林局といたしましては、基準価格と鑑定評価額がだいぶ開いておりますので、国損を来たさないように鑑定評価額をずばり採用いたしまして、それによって評価をいたしておるのでございます。その結果、約三千五百万円という評価額にのぼっております。その評価の時点は昭和三十八年の六月時点でございまして、当時の状況といたしましては、宅地見込み地としての条件を具備しておらないという鑑定結果になっております。
  98. 岡本隆一

    ○岡本(隆)委員 この交換の話ですが、これはどっちから出たのですか。共和製糖側から出たのですか、それとも、共和製糖は前の持ち主から買ったらしいのですが、とにかく農林省から、これはもう管理上不便だから交換したいというふうに交換先を見つけて出されたのか、それとも、どっかから取っかえてくれ——これは農林開発か何かいう会社ですね、その農林開発のほうから、ひとつ交換してもらえないか、こういうのがあるから交換してもらえまいかと言ってきたのか、いずれですか。
  99. 若林正武

    ○若林政府委員 当時大阪営林局といたしましては、ただいま先生からお話しのように、都市周辺の小さい山を整理いたしまして、林業経営の改善をはかってまいりたいという考えでおったのでございまするが、たまたま農林開発興業のほうから、高槻の山をほしいというふうな話がございまして、そのかわり、受け財産といたしましては広島県のほうの山林を出したい。局のほうでいろいろ審査をいたしました結果、林業経営の面から見まして適当であるという判断のもとに交換をやったわけであります。
  100. 岡本隆一

    ○岡本(隆)委員 そうすると、その高槻の丸尾山の交換については、たまたま農林省のほうでも、都市周辺だから手放したいと思っておったが、農林開発からちょうど渡り船にそういう話があったから乗ったんだ、こういうことでございますが、そうすると、そのなにから、かえてもらいたい。何のためにかえてもらいたいのかという申請書ですね、それが出ているはずです。どういう目的に使いたいからひとつかえてもらいたいというように申請書が出ているはずでございますが、その申請書にはどういうふうになっておったのでしょうか。
  101. 若林正武

    ○若林政府委員 申請書の中で、用途でございますが、牧場にしたいというふうな申請が出ておりました。
  102. 岡本隆一

    ○岡本(隆)委員 そうすると、牧場にしたいと言われて、いま牧場になって使っておられるのですか。
  103. 若林正武

    ○若林政府委員 当時の交換制度といたしましては、用途指定ということをやっておらなかったのでございます。したがいまして、いまお話しのように、交換当時のままの状況に現在なっております。私どもといたしましては、行政指導の面で、そういう用途に早く使ってもらうようにやってまいりたいというふうに考えております。
  104. 岡本隆一

    ○岡本(隆)委員 そうすると、いまは牧場には使っていない、しかし牧場として使ってもらいたい、こういう意向を持っている、こういうことのようでございますね。  そこで、それではその当時の評価というものが問題になってくると思うのですが、あなたのほうがそれを交換されましてから間なしに、関西電力がその一部を一町歩ほど買い取っているわけですね。それは関西電力は幾らで買い取って、どういうふうに使っているかということを御承知ですか。
  105. 若林正武

    ○若林政府委員 昭和四十一年六月十六日に、関西電力が農林開発興業会社から、面積にいたしまして一町四反四畝買い取りをいたしております。関西電力といたしましては、ちょうどこの高槻の元国有林の隣に変電所だと思いますが、ございまして、黒四から十七万五千ボルトの電気を引っぱってまいっております。そこから各地区のほうへ分けまして送電をする。その送電敷に使いたいということで、農林開発から買ったようでございます。
  106. 岡本隆一

    ○岡本(隆)委員 いまちょっと聞き漏らしたのですが、関西電力が買った日と、それからもう一つは価格、これはいまお答え願えなかったと思うのですが……。
  107. 若林正武

    ○若林政府委員 関西電力が買いました日にちは、昭和四十一年の六月十六日でございます。価格につきましては、坪当たり約一万五千円というふうに聞いております。
  108. 岡本隆一

    ○岡本(隆)委員 そういたしますと、三十八年の暮れに三千五百万で交換した。それが坪当たり三百三十円。それが三年余りの間に、坪一万五千円になった。ここに非常に大きな問題が出てきておるわけでございますが、これはこういう地価が急騰していくということを全然農林省のほうではお考えにならなかったか。地図で見ても、あるいは航空写真をとっておるのを見ましても、もうそばに千里山の団地が見えているのです。新聞に載っておりました写真を見ますと、ここがいわゆる丸尾山の問題の地点だといって点線が引いてある。その点線をはみ出して、ちょっと離れたところに公団住宅がずっと並んでいるのです。ちょっとあそこをだだっとならしていけば、全部千里山の公団住宅の続きに開発することができる。そのそばでまた今度万国博が行なわれる。こういうふうな地域ですね。そういう地域であるということは、公団住宅があるのは、私もその時分に公団住宅を見に行きました。千里山の公団住宅のあの広い敷地、どんどん団地開発をやっておるのを、私ずっと自動車で走って見てまいりました。ちょうど河野さんの建設大臣の時分です。その公団住宅運営のあり方について私は意見があったので、河野さんに文句を言ったのを覚えております。そういうふうなもう公団住宅がどんどん開発されておるという時代に、その隣の山が普通の山林として扱われておる。これは取り扱いについて私ども非常な不審の念を持ちます。そのときの大臣はだれでございましたか。そしてそのときの林野庁長官、それから営林局長はどなたでございましたか。そしていまそれらの人は何をしておられますか。
  109. 若林正武

    ○若林政府委員 交換契約を締結したときのお話だと思いますが、その時点におきましての大臣は赤城大臣でございます。それから長官は田中前長官でございます。それから大阪営林局長は豊局長。田中前長官はただいま林業信用基金の理事長をやっております。豊局長はただいま定職はないと思っております。
  110. 岡本隆一

    ○岡本(隆)委員 豊さんが今度総選挙に出られたということを聞いておるのです。そうすると、そのときに三百三十円というのは、それから後宅地開発で地価がこのごろ急騰していますから、値段が上がったでありましょうが、それにいたしましても、四十一年に一万五千円で売れるものなら、何ぼそういうところでも、おそらくその時点で五千円以下であったはずはないと思うのです。ところがそれが三百三十円というふうな価格で交換が行なわれて、そして去年の秋から農林中金の問題は非常な疑惑の対象になって、不当払い下げをやった張本人がもうおくめんもなしに総選挙に出ておる、こういうふうなことは全く許すべからざることです。こんな許すべからざることを豊さんはやっておるのですが、それではそういう不始末をやらかしたことに対する責任体制というものが全然ないということです。赤城さんは平然として自民党の大幹部でいらっしゃいます。それで田中林野庁長官は林業信用基金、これは金庫番です。そうして豊さんという人は総選挙に出ておる。これは無責任体制と言いますが、まことに無責任そのものですが、これは林野庁としてもあくまでも三千五百万というのを主張されるのか、あるいは、いや、ちょっとあれはひどかった、あれに対しては何らかやはり林野庁としても責任がある、こういうふうに思われますか。その辺農林省としての見解を、私はきょうは農林大臣にできるなら出ていただきたいと思ったのですが、まあ農林大臣もなにだから、こんなことについてはもう農林省としての意向というものはきまっているだろうと私は思いますから、きょうは農林省としてはあの事件については遺憾だと思っているのか。あるいは、いや、あれは寸毫も間違いないのだ、おれのほうは何らそんな間違いをおかしてないのだという自信がおありですか。その辺農林省としての御意向を承りたい。
  111. 若林正武

    ○若林政府委員 従来の評価基準、これに基づきまして、当時といたしましては適正に処理されているというふうに考えておるわけでございます。しかしながら、国有林野の管理処分のあり方につきましては、特に最近の社会経済情勢の変遷というものに必ずしも十分に対応し得ないといううらみがあるというふうに私ども判断いたしまして、昨年でございましたが、民間経験者七名をもちまして研究会を設置いたしました。今後の国有林野の管理処分、あるいは特に評価の問題等につきましていろいろ検討願ったわけでございます。その報告に基づきまして、今年度から全面的に管理処分のやり方を改善いたしたので、ございます。今後は、少なくとも疑惑を持たれるということのないように、万全な処置をとってまいりたいと思っております。
  112. 岡本隆一

    ○岡本(隆)委員 今後は疑惑を持たれないようにしたい。そうすると、あれは不当処分であったということをお認めになりますか。
  113. 若林正武

    ○若林政府委員 関西電力のお話が出たわけでございまするが、関西電力の買い入れ価格、これは御承知のように特殊な用途であるということと、そういう用途に使われますると、その近傍の土地というものもそういう面から制約を相当受けるわけでございまして、それと需給事情というふうな問題もあるかと思いますが、そういうことで関西電力が買い入れました価格というものは、これは標準にはならぬだろうというふうに私は考えておるのでございます。  御参考までに申し上げて御理解をいただきたいのでございますが、同じ場所で、これは高槻市の労働者生活協同組合が——これは部落有林でございますが、ちょうど高槻の国有林の隣の用地でございます。しかもこの部落有林は自動車道路がまん中を走っておりまして、非常に便利のいいところでございますが、そこを交換をいたしました。二年後の昭和四十年七月二十八日でございますが、この部落有林を買いまして、宅地造成をやっております。このときに買い入れました土地価格が坪当たり千九百四十七円ということに相なっておりますが、御承知のように、土地の中でも林地というものは開発ということによりまして潜在価格が非常に顕在化いたしまして、価格はどんどん上がっていくという傾向にあるわけでございますが、こういった便利のいいところ、それから二年経過しているというふうなことから勘案いたしましても、さらにまた当時の評価基準に基づきまして、基準価格のほうを採用しないで、むしろ第三者の鑑定価格をじかに採用したというふうなことで、私どもといたしましては、第三者の鑑定価格というものをやはり信用いたしたいというふうに考えておりますし、適正であったというふうにいまも考えております。
  114. 岡本隆一

    ○岡本(隆)委員 そうすると、あなたのほうは三千五百万円というのは適正であった。ところが、農林中金はそれに対して坪数の水増しがあったとしても三十何億という融資をしておる。これは明らかに農林中金の不当融資である。担保価値も全然ないものに対して金を貸しておる。これは過剰どころではない、不当融資である、こういうふうに農林省ではお考えになっておりますか。
  115. 今村宣夫

    今村説明員 山林の担保の評価をいたします場合には、国有林の交換の場合におきます観点と、金融機関がこれを担保に徴します場合の観点とは、はっきり異なるところがあるのではないかというふうに見られるわけでございます。したがいまして、林野庁の評価と金融機関の評価とは必ずしも一致すべきものではないと思いますけれども、農林中金としてこれを担保に徴しましたのは、ほかにもいろいろ担保を徴しておりまして、しかも貸し付けた金に対して共通担保ということで徴取をいたしたわけでございます。したがいまして、この前、昨年の十一月に報告申し上げました報告書にも記載をしてございますけれども、共通担保ということもあり、農林中金としては、正式の評価をその段階にはしていない。しからば一体、幾らぐらいだという問題が当然問題になりまするので、私のほうとしまして政府調査をした際、いろいろ中金に聴取をしましたときの中金の一応の考え方として、計算として出してまいりましたものは、近傍類地の売買価格等に基づきまして、十億ないし十五億ではないかということでございましたので、農林中金の評価とは書いていませんと思いますが、一応の価格としては十億ないし十五億円と見られておるということでございます。その後農林中金としましては、いろいろ評価につきまして調査をされておる段階と承っておりますので、現在までのところ、ぴっしゃり評価が幾らだということにはなっていません。
  116. 岡本隆一

    ○岡本(隆)委員 いまあなたのおっしゃった参議院での大臣調査報告、それを補足説明するために大和田農林経済局長が説明をしておられる。その中に、いまあなたのおっしゃったとおりのことが書いてございます。そこで、これは農林省から正式の見解として参議院の決算委員会にされた報告なんですね。そうして農林中金はこういうふうに評価を終えておるということでありますが、そのことは農林省もそう思う——少なくも農林大臣のこの問題についての調査報告ですよ。それに対して、農林中金からの融資担保物件として、添え担保その他の関係もあって、一応十億ないし十五億と評価されておる、こういう報告があったということは、一応それも農林省の見解である、こういうふうに理解せざるを得ないのでございますが、いや、農林省はそんなこと思っておりません、林野庁の三千五百万が三十八年段階では正当な評価でございます。だからそれからしますと、かりにそれが三倍になったとしても、一億です。それが正当な評価だというふうに農林省としては考えておられるのか、この問題についての農林省としての見解です。一体どちらが正しいのですか。林野庁長官がいま言われる三千五百万という三十八年段階におけるところのなにと、三年後の評価の農林中金が一しかし金がないときに、一体いつですか、共和製糖にそういふうななにをしたのは……。
  117. 今村宣夫

    今村説明員 まずあとからの御質問にお答えしたほうが適切かと思うのですが、農林中金が共和グループの東洋果糖に対する貸し付け決定をいたしましたのが三十八年の十二月三十日でございます。それから数回にわたって三十八年の末から三十九年にかけまして融資が行なわれておりますが、先ほどの十億ないし十五億という数字は、農林省の正式な見解であるかということの御質問につきましては、調査報告におきましては、「国会において論議された高槻の山林については、今回の農林中金調査報告によれば、添え担保ということもあって、正式の評価を行なっていないが、当該山林の一部及び近隣地の売買事例よりすれば、評価額はおおむね十億円ないし十五億円程度と推定されるとしている。」こう記載してございます。したがいまして、私のほうとしましては、一応この段階におきましてはそう報告をいたしたのであります。その後農林中金に十分調査をするように話をしておるところでございまして、ここの十億ないし十五億が農林省のといいますか、私のほうの評価額というふうには理解をいたしておらないわけでございます。
  118. 岡本隆一

    ○岡本(隆)委員 問題が大きくクローズアップしてから今日まですでに約十カ月に近いですね、去年の九月からの問題でございますから。自分の監督下の機関でもってこういう大問題が起こったときに、一番論議の焦点になっておるところの山林価格というものについていまだにはっきりした見解が持てないというふうなことはあり得ないことなんです。こんなことは想像できぬことなんです。農林中金が十億ないし十五億といっておる。添え担保だからこの程度と考えておる。このほかにもいろいろな工場とか機械とか、そういうようなもので土地、設備一切のものがあるから数十億の担保に入っておるが、しかしここについてはこれくらいと踏んでおるということを農林中金は言っておる。そしてその農林省からの照会に対してもそのように答えて、それがいま参議院の決算委員会におけるところの報告として出てまいっておる。あなたのほうもただでっちの使いみたいに、ああ農林中金がこう言うてはりまっせ、こういう報告は参議院に出せないですよ。参議院の決算委員会であれだけ真剣に論議されて、ずいぶん激しく論議されたあとで十一月にこういうふうな締めくくりとしてあなたのほうはなにを出しておられるのですよ、報告書を出しておられる。だから一応こういう報告は農林省としても妥当だと思っておる、こういうふうにわれわれはとります。また参議院の決算委員会でもそうとっておると思います。いやあれは農林中金が言っておることであって、農林省は知ったことじゃございません、農林省は三千五百万と思っております、そういうことが参議院決算委員会で通用しましたか。そうじゃないでしょう。農林中金が過当融資をやられた。しかしながら過当融資をやられたことは別として、農林中金だけの罪ではない。これは林野庁にも罪がある。こういうことをやったことに対して大きな責任がある。政府責任がある。この責任をある程度明らかにしてもらわなければならぬ、こう思っておるのです。ひとり農林中金だけいじめて林野庁は涼しい顔をしておる、こういうことは許されないと思うのです。だから林野庁は、この際自分のしたこと——林野庁といえどもこれは一つの人格なんです。法人格はないにしても国の機関なんですから、前の先輩のやったことは私らは全然知らぬのや、くるくるお役人がかわるたびにそんな無責任体制では困るのですよ。これはあと始末はきちっとあとの人にやってもらう。人がかわっても役所は役所です。だからそういう意味において、農林省として林野庁としてこの問題の黒白を明らかにし、同時にその責任体制というものを明らかにしてもらいたい、こういうふうに思うのでございますが、それでもなおかつ林野庁長官は三千五百万が正当な価格だとどこまでも強弁されますか。
  119. 若林正武

    ○若林政府委員 国有林野の交換、こういう問題につきまして当時若干の行き過ぎと申しますか、そういうようなことがあったのじゃなかろうかというふうな反省はいたしております。したがいまして、今後交換というものは原則的にはやらない、ごく限られたものしかやらないというふうに今年度から交換の問題も改善をいたしておるのでございます。  いまお話しの価格の問題につきましては、私どもといたしましては、先ほど申し上げましたように民間精通者の鑑定価格というものはやはり尊重いたしてまいるわけでございますし、先ほど申し上げましたような事例から徴しましても、当時の六月時点における価格としては適正であったというふうに考えております。
  120. 岡本隆一

    ○岡本(隆)委員 民間精通者の意見は尊重しなければならぬ、いかにも権威があるようにおっしゃいます。しかし民間精通者の調査に基づいて十一万坪を二十四万坪かに水増しされて、そうして農林中金はそれに対して金を貸しておる。だから民間精通者の評価を得たとあなたが言われても、私らは信用いたしません。民間精通者といえども、その民間精通者には何ら客観妥当性というものがないのですから。むしろ農林中金が十数億という評価をした、関電が一万五千円で買った、参議院の決算委員会での農林省の報告にきしっとそれは十億ないし十五億と評価をされておるということ、そういうことのほうが私は妥当性があると思います。だからいま長官の言われる御答弁きわめて歯切れが悪いのです。そういう間違いがあったように思われるというふうにきわめて歯切れが悪いのです。私は、いや、確かにこれは農林省としての大きな間違いでした、だから今後そういうことが絶対にないようにしたい、こういうふうにはっきりあなたはこれだけ議論したらお答えになるべきだと思うのです。若干そういうふうな疑義もないでもない、こういう歯切れの悪いお答えでは私は満足できません。そんなことで満足できませんよ。国会の委員会というものはそんなことで事が済まされるほど権威のないものじゃないと思います。やっぱりいいか悪いかということはきちっと明らかにして、それに対する責任というものを明らかにしてもらう。そうでなかったら、何でも悪いことしほうだいですよ。悪いことしてやめて、それで恩給もらうて、また別の林業基金ですかで相当の月給をとっておられる。少なくとも二十万程度の高給をとっておられる。そうして直接そういうことをやった大阪の営林局長は、熊本から選挙に出ておる。何ですか。責任全然とっておらぬじゃないですか。悪いことしほうだいやっておって、間違いやった人が涼しい顔をして前よりいい条件で得々とけっこうに暮しておる。わずかな犯罪を犯した者が監獄に入っておるのに、それではつり合いがとれぬじゃないですか。過失は過失でいいですよ。それならそれに対する責任をできるだけ明らかにするという反省の姿がなくてはならない。全然ないじゃないですか。あなたが先輩のことについて批判がましいことを言うのがつらい立場にあることはわかります。しかしこれだけ大きい問題とされた事柄を、いや、そう言われると若干おかしいのですがくらいのことでいま糊塗しようとしても、私のほうではそんなことで済ますわけにいきません。そういう御答弁であるならば、はっきりこの疑義が明らかにされるまでこの法律は成立さすわけにいかぬ。どこまでもこれ待ちます。あなたの返事を鳴くまで待とうホトトギスでいきます。どうですか。
  121. 若林正武

    ○若林政府委員 当時の評価基準に照らしまして適正な評価はいたしておるのでございますが、問題は、当時やっておりましたような評価の方法がいいのかどうかという問題はあろうかと思います。その後、私どもいろいろ検討いたしまして、まず需給圏、従来は同一市町村内に需給圏を限定いたしておったのでございますが、今回改正をいたしまして、同一市町村内ばかりでなく、さらにそれを拡大いたしまして県内あるいは数府県、ものによりましては全国ということにもなろうかと思いますが、要するに需給圏をまず拡大する、それから税制上の課税標準価額は直接採用しない、参考にするというふうに改善をいたしておりますし、やはり将来の予測という問題につきましても、もちろん限界はございますが、こういうものも評価のときに考えるべきである、そういうようなことで、今年度から評価のやり方、特に開発によりまして住宅あるいは自然休養地等に転用されるというふうな見込みの土地につきましては、ただいま申し上げましたような新しい観点からの評価のやり方に改善をいたしたのでございます。したがいまして、当時といたしましては、当時の評価基準に基づいてそのとおりやっておりますので、その面では適正であるということになっておるわけでございます。
  122. 岡本隆一

    ○岡本(隆)委員 林野庁長官、さっきから同じような御答弁ばかり繰り返しておられます。  それじゃ農林中金理事長にお尋ねいたしますが、三十八年現在で農林開発興業会社ですか、それがあなたのほうから融資を受けた。その担保物件として高槻の土地が提供された。それに対して、その後ずっと累計で水増ししながらも相当金額融資されましたが、しかし報告に出ておりますのは、添え担保としてそれは出したのだ、参議院の決算委員会における報告のように、添え担保として金融したのであって、評価は、大体十億ないし十五億と思っておるということを正式に農林大臣がお答えになっておるわけです。その価額が正当なものと思っておられますか、どうですか。いまの林野庁長官のお答えですと、いやもうその当時の価格はそれでよかったのだ、三千五百万円、それでよかったのだ、だから、それ以外のものは、農林中金がかってに水増しして評価して貸しておるのだ、そんなものは林野庁の知ったことではない、こういうことです。ぼくら一体どっちをとったらいいのです。そこをはっきりしたいのです。
  123. 片柳真吉

    片柳参考人 農林中金が、本件の高槻の山林の評価につきまして、担保提供者の言い分をそのままうのみにいたしたところに実は問題があったわけでございまして、これは今後十分反省をしていきたいと思っておりますが、提出の資料によりますと、面積が二十四万四千七百坪、評価額概算三十六億円、この辺をそのまま信用したところに、実は問題があったと思います。その後、山林に対する評価等の問題がございましたが、面積及び評価につきましていろいろ今日まで調査をしておるわけで、あの当時は十億ないし十五億ということでございましたが、多少幅のある評価額でございました。これではちょっと開きが多うございまして、もっと客観的な適正な評価をいたしたいということで、今日まで努力をしておるわけであります。評価のほうは、もちろんいろいろな見方があると存じますが、一番問題ないのは面積でございまして、幾らあるかということは、これはもう客観的にわかるわけでございますので、さしあたり面積の実測につきまして、専門家に委嘱いたしました結果が十一万四千八百六十二坪という結果が出ておりまして、大体これに間違いないと思うのであります。要するに半分、倍以上の面積で水増しがあった。これは客観的な問題でございますから、この辺に非常なうかつさがあったのでありますが、面積はそういうことでほぼ把握できておるわけであります。  評価の点も、実は御指摘のように、専門家もあまり信用できないというようなお話もございましたが、できるだけ三菱地所とか住友信託とかいうような専門機関に委嘱をいたしまして、現在調査をやっているわけであります。ある程度のめどはついておりますが、これはおしかりを受けるかとも思いますが、実は私どもこれが債権慣習上の一つの非常なきめどころになっておりますので、私からどうも評価を幾らということをここではっきり申し上げますことはひとつごかんべんをいただきたい。もう客観的には関西電力のものが一万五千円というようなこともございますし、また御指摘のように付近が次第に宅地化しておるというような現状でございますので、もちろん今後の処分の時期を売り急ぎますと、また多少の問題はございますが、ある程度時期を待ちますれば相当の評価ができるのではないか。はっきり申しますれば、組織なり見方が違いますから、同一の比較はできないかとも思いますが、林野庁の交換当時の評価よりも相当高めに評価できることだけははっきり申し上げてよろしいかと思いますが、まだ全部の評価も済んでおりませんし、これはちょっとデリケートなことでございますので、この点はお許しをいただきたいと思います。
  124. 岡本隆一

    ○岡本(隆)委員 政務次官、どうですか。建設大臣と言っておるのですが、参議院からなかなか手が放せないのじゃないかと思いますが、いまのぼくと林野庁長官とのやりとりを聞いておられまして、あなたどう思われますか。そうして建設省としては、これは第三者ですね、いまの立場は。融資保険のことになってくると、これは主管大臣になってきますが、この問題については第三者でありますけれども、これはあまりにも大きな開きがある。そこで林野庁長官のほうが歩があるのか、あるいは農林中金の評価のほうに歩があるのか、あなたはどう思われますか。あなたの直截な意見をひとつ言ってください。
  125. 澁谷直藏

    澁谷政府委員 せっかくの御質問でございまして、私も先ほどから質問答弁の状況をつぶさに聞いておりまして、私個人としては、これはもうはっきりした私の意見を持っておりますけれども、何ぶんこれだけのデリケートな問題でありますから、私ども第三者の立場でございますので、私の意見を公式な立場でここで申し上げることはひとつ差し控えさせていただきたいと思います。
  126. 岡本隆一

    ○岡本(隆)委員 けしからぬ、そういう逃げを打つなんて。ひきょうだよ。まあ、しかし、しょうがないですよ。  それでは、いまの問題はもう預かりにしておきます。しかし林野庁のほうでも、これは相当反省はしておられると思います。だから、私もそういう意味で、その善意だけは認めます。  そこで次にお尋ねいたしたいことは、重大な交換について過誤があった、これだけはお認めになるでしょうね。
  127. 若林正武

    ○若林政府委員 御質問の過誤という意味がちょっとわかりかねるのでございますが……。
  128. 岡本隆一

    ○岡本(隆)委員 とにかくあなたのほうが三千五百万円と評価して交換された。しかしながら一応この決算委員会の報告には十億ないし十五億の価値あるものと思うというふうな報告が出ておる。それからまた、あなたはいま、特殊の事情があるから高く売れたんだろうけれどもとおっしゃるが、関西電力は坪一万五千円で買っておる。そういうふうなことから見たら、このなにはいかさま安かった、売りものはちょっといかさま安く売り過ぎた、こういうふうに思っておられるであろうと思います。  時間がおそいですからそれ以上のことを一問一答でやっていますとくどうなりますからおきますが、そこでこれは、それだけおかしな交換をしたのならもとへ戻せぬかということですよ。林野庁はそんなばかな払い下げして、まあそのもとの価格で戻してもろうて、国に対して猛烈な、ものすごい損害をかけたんです。とにかくそれだけ大きな価値のあるものをたたき売りしたんだから、ものすごく国に対して損失をかけた。そのことに対して林野庁は責任をとるべきである。その責任をとる一番の方法としては、それをもとへ戻して、国民はこれだけ住宅難に困っているのですから国民に買わしたらいいんです。それから住宅公団に売りなさい。何ぼで買ってくれるか、適当に公団として買ってもらえるだけ買ってもらう。そういうふうななにをぼくは当然国としてはやるべきであるし、それくらいのことをできぬはずはないと思います。また国民感情としたら、それだけの損害をかけられたら当然それくらいのことを——地続きのところでありますから、ブルかけたらすぐにもできる。あそこへ新しくもう一つ大きい団地ができたら住宅問題がどれだけ緩和しますか、地価の抑制にどれだけ役に立ちますか。だからそういう都市周辺のものを、あなたは先ほどから都市周辺の管理困難だから手放したかったんだ——手放したかったらそんな重政というような土地ブローカーに交換してやらいでも、むしろ住宅公団になぜ提供しなかったかということです。だからそれが大きな過誤です。そういうふうなところへ、重政誠之というような土地ブローカーに出すから、渡すから、こういうぶざまなことになるのですよ。だからそれをはっきり公共の用にちゃんと役立てておればこういう問題は起こらなかったし、あなたにこの委員会へ出てきてもろうてこんないやなことを言わいでも済んだ。だからそれをもとへ戻せぬかということです。
  129. 若林正武

    ○若林政府委員 契約解除ができないかどうかというお話でございますが、交換契約書におきまして契約解除ができます場合はこの交換契約に定めました義務を履行しないときに契約を解除するということでございまして、本件につきましては完全にその義務を履行いたしておりまするので、いまの段階で契約を解除するというわけにはちょっとまいらぬと思います。
  130. 岡本隆一

    ○岡本(隆)委員 あなたのほうへひとつ交換してもらいたいと言ってきた理由は牧場に使いたいということでしょう。牧場に使うてないのです。それなら、本来牧場に使いたいから交換してくれと言っておった、牧場に使っていないなら返しなさい、これは通用するじゃないですか。これはもう当然国民はそう思いますよ。牧場に使わずにそのまま遊ばしておる。それでもって金を借りてまあ値上がりを待っているということです。だから当然もう国とすれば、その元来申請してきた目的に使っていないものを返してもらうのは当然じゃないですか。
  131. 若林正武

    ○若林政府委員 国有林野を売り払いますときにはこれは用途指定をいたしまして売り払っておるのでございますが、従来の交換制度におきましては用途指定なりあるいは転売を禁止するといった特約条項というものをつけておらないのであります。そういった面で私ども反省をいたしまして、いやしくも国民の財産をお預かりしておるわけでございますので、もし今後交換ということをやる場合がありましても用途指定をつけるというふうなことでやりたいというふうに考えております。
  132. 岡本隆一

    ○岡本(隆)委員 つまり用途指定をしなかったところにこの交換のみそがあったわけですね。そうでしょう。考えようによれば、それがわかっておるから交換のときにそういう条件をつけなかった。だからなれ合いとしかわれわれには思えない。そういうふうなことを営林局長や林野庁長官はしてきた。だからそれらの人に対して、これだけの交換をしてもう一ぺんもとに戻してもらえないのなら、これは損害賠償をあなたのほうから国としては要求すべきですよ、国の大事な機関ですから。そういう間違った交換をやらかした人たち、赤城さんとそれから田中さん、豊さん、こういう三人に対して、そういう不当処分をしてぱっとおれはその官職をやめたからもう知らぬ、そんなものじゃないでしょう。やはり犯したあやまちというものに対する償いというものはしてもらわなければいけない。国民の側からいえばそんなに何十億という、少なくも十億以上の損害をかけられて、いや国民のものでございますからそれは知りませんでは済まぬのです。だから当然それだけの措置をとるべきだと思うのです。それがとれないということなら、あなたは国民のものをそれほど粗末にするのかということになりますがね。そういうふうなことであなたはいいと思いますか。
  133. 若林正武

    ○若林政府委員 ただいまのお話のように国損を来たしておるじゃないかという御指摘でございますが、私どもは、再三申し上げてたいへん恐縮でございまするが、当時の評価基準というものに照らしましてそのとおりの事務処理をやっておるわけでございまして、そういった面から適正であるというふうな考え方を持っておるわけでございます。ただ、くどいようでございまするが、先ほど申し上げましたように、そういうふうな評価基準ではいけないのじゃないかというふうな問題につきましては、後年度から改善をいたしておるのでございまして、ひとつ御了承賜わりたいと思います。
  134. 岡本隆一

    ○岡本(隆)委員 もうずいぶん時間がたちましたからこの程度でやめます。しかし、あなたはいま、そういうことをおっしゃるのに心の中に厚い厚いマスクをかぶった気持ちでおっしゃっていらっしゃるんだろうと私は思っております。それだけにあなたに酷だと思いますが、しかし何らかの善後措置というものをこれについてもう一ぺん真剣に考えていただくことが必要であろうと思うのです。  同時に、経済局長お見えになっておりませんが、金融課長は来ていらっしゃいますが、先ほど稲富委員質問に対して、農林中金は幹部がすっかりかわった、だからこれからはしっかりやるだろうからその自主性を尊重したい、こうおっしゃいます。いやこれはそのとおりでしょう。いまこれだけの問題のあと、問題解決のために乗り出してこられた片柳さんにつきましては、それはそれだけ評価の高い人でありますから、いまはそういう決意でおやりになっていらっしゃると思うんですね。しかしながらこれはやはり長い月日の間にだんだんくずれていくのです。だからいかなる人がすわりましても、長い月日の間にはきちんと立ち直った姿勢がまたくずれてくるということも考えられますから、やはり監督というものは厳重にしていただきたい。また甘んじてその監督を受けていただきたい、私はこう思うんですね。そうして疑惑を受けているんだから、いまさらよけい疑いの目でじろじろのぞきに来はせぬか、こういうふうな気持ちでなしに、わしは公明正大にやっているんだからこれから後もこのようにやっていきますよということで、これから後も絶えず監督官庁の前にみずから進んで監査を受けるというふうな姿勢で公明な運営をしていただいて、そして二度とこういうふうな大きな事件が起こらないようにやっていただくように、私はひとつぜひお願いをいたしておきたいと思うのです。だからその点についてもう一度ここで理事長とそれから金融課長から、これは公正な運営をやるということを——いま監督を、自主性を尊重してまいりますというようなお話でございましたが、いやそれは自主性は尊重するが、間違いが起こらぬように今後ともしっかり見張っていくということだけはおっしゃっていただかないと困ると思うのでございますが、その点について御答弁願って、私はきょうの質問を打ち切りたいと思います。
  135. 今村宣夫

    今村説明員 お話の点は私たちも十分心にとめまして、農林中金自主性を尊重しつつ監督をしてまいることはもとよりでございますが、自主性を尊重すると同時に、私たちといたしましても十分今後の農林中金業務が適正に行なわれますように一そうその点に留意をして運営をしていきたい、かように考えます。
  136. 片柳真吉

    片柳参考人 ただいま御指摘の点はまことに全部同感でございます。ただ、先ほど稲富委員からも御指摘がございましたが、農林中金が協同組合全体の強い要望で民主化ということに踏み切ったわけでございまして、しかし民主化が強い責任を要請されることは当然でございます。また貴重な多額の預金をお預かりしておるわけでございますから、政府監督官庁の正当なる、一般の金融機関に準じました正当なる監督は、十分これはお受けをしていきたいと思っておりますが、ただ、民主化ということは、あくまで所属団体の意向なり、監査を受けながら、健全な運営を期していきたいということでございます。しただいまして総代会を通じまして会員の意向を聞くことはもちろんでございますが、民主化の線に沿いましてできました中金内部の運営審議会というものをできるだけ活用いたす、また監事の監査をひとつ十分生かしていろいろ運営をしてまいりたい。特に、御指摘のように初めは非常に張り切っておりまするが、ややもしますると初心を忘れるというきらいがございますので、率直に申し上げまして従来の中金運営のしかたもややトップヘビーというような感じもございました。私が参りましてからは内部の機構を十分整備いたしまして、融資担当だけでは融資は決定できない、審査部の機構を強化いたしまして、高い次元からいろいろ調査をいたしまして両者の意向が合致しなければ融資はいたさぬというような内部機構の整備もいたしておりまするし、また系統機関でございますから、本来は系統から役員等を迎えることも考慮をせなければならぬわけでございますが、昨今の事態にかんがみまして、最近理事も一名増員いたしました。これは日銀の検査部長をやっておった方を理事に迎えて、やはり新しい血も導入いたしまして、運営に遺憾なきを期してまいりたい。また監事も従来二名でございますけれども、事業分量も増大をいたしておりまするし、また民主化の線が理事長と監事は総代会で選任をいたすことになっておりまして、総代はそれだけ非常に貴重な存在でございますので、総代の員数も今回一名増員いたしまして、これは所属団体から監事をお出しをいただきたいということで、あくまで民主化がルーズになっていかぬことは、これはさらに責任を痛感をせなければならぬわけでございまして、そういうような人的あるいは内部機構の増強、あるいは総代会、審議会、監事機能の活用ということを十分配慮いたします。また、今回の検察庁の結論も出たわけでございますので、私から全職員に対しまして一々親展をもちまして、農山漁村に奉仕をするという考えを堅持して中金本来の使命に邁進をせよ、従来の共和糖その他で受けました御批判は十分反省をいたしまして、今後さようなことのないように一生懸命やるというような措置もとっておるわけでございます。しかし、なお、在職が長くなりますと、ルーズになるきらいもございますので、今後なおいろいろ御叱正をいただければ幸いと思いますが、できるだけやってまいりたいと思います。
  137. 森下國雄

    森下委員長 北側義一君から関連質問が申し出られております。これを許します。
  138. 北側義一

    ○北側委員 岡本委員の質問、また理事長のお答え、いろいろお聞きしまして、ただ一、二点ちょっと心にかかりますことがありますので、これをお伺いしたいと思うのです。  と申しますのは、昨日の参議院の予算委員会におきまして、公明党の黒柳議員が質問したその中に、モロゾフ酒造の問題がいろいろ取りざたされたわけです。それだけで、あと理事長のほうから詳しいお答えがなかった。きょうの新聞を見ますと、そこで私、気になりますのは、このモロゾフの問題だけが現在あのように発表されて、新聞紙上にも大きく報道されましたが、私はそのほかに三、四点同じような問題があるということを少しお聞きしているわけなんです。この点はやはりこの際明らかにして、そして態度を明らかにして、国民の前に姿勢を正して、このたびの融資保険法の中へ入れば——これは先ほど聞いておりますと、農林とも関連しておりますし、当然入るべきであると私は思うのですが、そういう疑点があって私の心にひっかかっている間は、少しこれは、そのまま、まともに認めるわけには私はいかないと思うのです。その点につきまして理事長のほうからちょっとお答え願いたいと思うのです。
  139. 片柳真吉

    片柳参考人 実は就任以来共和糖問題その他の問題で国会でも非常な御配慮、御審議をわずらわしたわけでございます。したがいまして、就任以来、すでに融資をされておりまする、相当金額でございまするが、現在一々それを再調査をいたしておるわけであります。もちろん企業のことでございますから、いろいろな内外の経済情勢の変化なりあるいはその他の理由から、当初の見込みなり計画と実績とがそごしておることが出ることはある程度やむを得ぬことでございまして、そういうこともございますので、現在審査部に命じまして既融資をいたしておるものについて再調査をいたしておるわけであります。大部分のものはもちろん問題はございませんけれども、いま言ったような情勢の変化で若干のそごを来たしておるものは、これは他の金融機関でもおそらくあり得ると思うのでありまするが、そういう点をいませっかく調査中でございまして、まだ本日はっきりここで申し上げる段階ではございません。  ただ、きのうも黒柳先生に申し上げたわけでございまするが、私のほうは民間の金融機関でございまして、やはり一般の金融機関が、どこへ幾ら貸してある、どういう条件で貸してあるということをあまり——政府資金が入っておりますれば当然お答えをしなければならぬわけでありますが、民間金融機関でございまして、政府資金を全部投入されて、それをお貸しするわけではないのであります。先ほど申し上げましたように民主化されまして、出資金、預金全部、民間の農山漁村の金をお預かりしておるわけでございます。したがいまして営業といいますか、事業の機微に触れる問題を公にしますことは預金者にも不安を与えますし、また融資をされておる先方にもいろいろ信用上の問題も起こってくるわけでございまして、できるだけ私どもは御叱正を得まして事業運営の適正を期していきたいと思っておりますが、その辺のわれわれの立場はひとつ御了察をいただきたいと思うのであります。しかしせっかく調査をしておる最中でございまして、できるだけ御期待に沿うようにやってまいりたいと思っております。
  140. 北側義一

    ○北側委員 ただいまの理事長お話だと、やはり二、三私の判断でお聞きした点も事実あるようなおことばのように聞こえるわけです。  これは政務次官にちょっとお尋ねしたいのですが、昨日の本会議農林大臣が発言された中に、農林中金のことにつきまして再検討したい、このような御発言があったわけなんです。これは議事録を見ていただけばわかりますが、新聞にも載っておりますが、いままで共和製糖問題、いろいろな問題がありまして非常に不明朗な点がたくさんあったわけです。この点につきまして、先ほど岡本さんのほうからいろいろ質問がありましたが、昨日所管の農林大臣から再検討したいというようなおことばがあったこの際に、この問題をそのまますうっと通していいものか。これは議案をつくられたときといまとは幾ぶんか違うものですね。そういう点で政務次官のお考えをちょっとお聞きしたいのです。
  141. 澁谷直藏

    澁谷政府委員 農林中金の過去の運営について、共和製糖をはじめといたしましていろいろな欠陥があったということは、先ほど来の審議の状況から見てもわかるわけでございます。それに対して理事長から、この際抜本的に運営も切りかえて、民主化の線に沿ってやっていくのだと、非常な決意を表明されて、その線に沿って着々やっておられるわけであります。私どもといたしましては、建設省の立場としては、今回この住宅融資保険金融機関の対象に農林中金も入れてもらうということは、先ほど住宅局長からも答弁いたしましたように、農漁村の住宅事情の改善というのが一つの大きな政治の課題だと思うのです。その課題にこたえるために、やはり農協をはじめ農林中金も加えて、こういった金融機関もぜひひとつこの融資保険の中に入っていただいて、一役買っていただくことが国民のために適当だと考えておるわけでございますので、御了承をいただきたいと思います。
  142. 北側義一

    ○北側委員 もう時間もあれですし、皆さんもお疲れのようですからこれでやめますが、どうかひとつ今後同じような問題が起こらないようにお願い申し上げたいのです。ここでこれだけやらしていただいて、新しく理事長もかわられまして、すっきりした態度で——また二度と同じような間違いがありますと、これは私たち委員といたしましてもおかしなものになるだろうと思うのです。その点特によろしくお願い申し上げます。
  143. 森下國雄

    森下委員長 本日はこの程度にとどめ、次会は来たる十二日金曜日午前十時より理事会、十時三十分より委員会を開会することとし、これにて散会いたします。    午後一時五十五分散会