○
西村国務
大臣 ただいま
議題となりました
土地収用法の一部を
改正する
法律案につきまして、
提案の
理由及びその要旨を御
説明いたします。
近年の
地価高騰の実情にかんがみ、
政府は総合的な
地価対策を逐次実施しつつありますが、その一環として、
公共事業のための
用地取得制度の
改善をはかる必要があります。
すなわち、
公共事業における
用地費は、
事業費のうち大きな割合を占め、しかも年々増加の一途をたどっておりますが、
公共事業のために
値上がりしたいわゆる
開発利益を含む
土地価格で
用地を買収することは、
公共事業の
施行が国民全体の負担において行なわれているものだけにきわめて不合理であり、何らかの
改善措置が早急に講ぜられる必要があります。
現行の
土地収用法は、
収用する
土地の
損失補償について、
収用の
裁決のときの
近傍類地の
取引価格等を基準とすることとしておりますが、
裁決時においては、
事業が実施されることによる
値上がりの期待をもって
近傍地の
地価は著しく騰貴しております。
収用の時期がおくれればそれだけ
値上がりを招き、いわゆるごて得の弊害を生じ、
早期買収について協力を得ることが困難であります。
そこで、このような
現行制度を
改正して、
開発利益の帰属の
合理化をはかることが社会の要請にこたえる至当な
措置であると考える次第であります。
すなわち、今回の
改正案におきましては、
収用する
土地に関する
補償額の
算定の時期を
原則として
事業認定の告示のときとし、また、このような
補償額算定の
原則をとることに伴い、被
収用者は
収用裁決前においても
起業者に対し、
補償金の
支払い請求を行なうことができることとし、その
利益の保護をはかるための
措置をとることといたしました。
以上がこの
法律案の
提案の
趣旨でありますが、以下この
法律案の要旨を御
説明申し上げます。
第一に、
収用する
土地に対する
補償金の額は、
事業認定の告示のときにおける
近傍類地の
取引価格等を考慮して
算定した
相当な価格に、権利取得
裁決のときまでの物価の変動に応ずる修正率を乗じた額とすることといたしました。
第二に、右の
改正に対応して、
土地所有者等の
利益の保護をはかるため、
事業認定の告示があった後、
土地所有者等は、いつでも
起業者に対し、
補償金の支払いを請求することができることといたしました。
第三に、大規模な
事業等におきまして、全体の
用地取得を初年度に完了することができない場合等を考慮いたしまして、
起業者は、
事業認定の申請にあたって、起業地の全部または一部について、
収用手続を一時保留することができることといたしました。
起業者は、この保留した
土地について、必要に応じ都道府県知事に対し、
収用手続の開始の告示を申請するものとし、
補償額の
算定、
補償金の
支払い請求等につきましては手続開始の告示のときを
事業認定の告示のときとみなすものといたしました。
第四に、
収用の
裁決を権利取得
裁決と明け渡し
裁決とに分離いたしました。
土地に関する対価補償を、物件移転料等の補償と切り離して、すみやかに権利取得の
裁決をすることとし、
起業者が、実際に
土地を必要とするとき、または
土地所有者等が
希望するときに、あらためて移転料等の損失の補償、
土地・物件の明け渡しの期限等を内容とする明け渡し
裁決を行なうこととしたものであります。
なお、
補償金の
支払い請求の
制度を設けたことに伴い、
事業認定において起業地を確定することとし、そのため不要となる
土地細目の公告の手続は廃止することといたしました。その他これらの
改正に伴い必要となった事項について所要の
改正を行なうとともに、経過
規定及び関連法律の
改正につきましては別に法律で定めることといたしております。
以上がこの
法律案の
提案理由及びその要旨でありますが、何とぞ慎重御審議の上すみやかに御可決くださるようお願い申し上げます。
次に、ただいま
議題となりました
土地収用法の一部を
改正する
法律施行法案につきまして、
提案の
理由及びその要旨を御
説明いたします。
政府は
土地収用法の一部を
改正する
法律案を国会に
提出したのでありますが、この
改正法の
施行期日及び必要な経過
規定を定め、並びに
関係法律の
改正を行なう必要があります。
まず、
改正法は、公布の日から起算して八月をこえない
範囲内において政令で定める日から
施行することといたしました。
次に、
改正法の
施行の際すでに
現行法による
事業の認定を受けている
事業については、
土地細目の公告を終わったものは
現行法の手続によることとし、その他のものは
改正法による手続保留の
事業の認定を受けたものとみなすことといたしました。なお、
事業の認定を申請中のものも、手続保留の
事業の認定をすることといたしました。
第三に、
土地収用法を適用して
収用または使用をする旨を定めた都市計画法等の各種
事業法及び公共
用地の取得に関する特別
措置法、不動産登記法その他の
関係法律について、必要な
規定の
整備を行ないました。
以上がこの
法律案の
提案理由及びその要旨でありますが、何とぞ慎重御審議の上すみやかに御可決くださるようお願い申し上げます。
次に、
下水道法の一部を
改正する
法律案につきまして、
提案の
理由及びその要旨を御
説明申し上げます。
最近における人口及び産業の急激な都市集中に伴う市街地の拡大及び都市環境の悪化に対処するためには立ちおくれているわが国の下水道の強力な
整備をはかることが現下の急務であると考えられます。
下水道行政につきましては、従来、公共下水道の管渠と終末処理場の
建設が
建設省と厚生省の所管に分かれておりましたが、下水道
事業の進展に伴い、これを一体化し、その強力な推進をはかる必要が生ずるに至っております。
このような観点から、終末処理場の維持管理に関する事項以外はすべて
建設省の所管に改めることとし、なお、終末処理場の維持管理の適否が公衆衛生に重大な影響を及ぼすことにかんがみ、終末処理場の維持管理に関しさらにその適正を期するための
措置を講ずることといたしました。
以上がこの
法律案の
提案の
理由でありますが、以下この
法律案の要旨を御
説明申し上げます。
第一に、終末処理場の維持管理を除き、公共下水道に関する事項の所管
大臣を
建設大臣とすることといたしました。
第二に、
建設大臣が公共下水道の
事業計画の
認可をしようとするときは、政令で定める場合を除き、あらかじめ保健衛生上の観点からする厚生
大臣の
意見を聞かなければならないものといたしました。
第三に、厚生
大臣は、終末処理場の維持管理に関し、その適正が期せられるよう公共下水道管理者に対し、所要の勧告を行なうことができるようにいたしました。
以上がこの
法律案の
提案理由及びその要旨でありますが、何とぞ慎重御審議の上すみやかに御可決くださいますようお願いいたします。
次に、ただいま
議題となりました
下水道整備緊急措置法案につきまして、
提案の
理由及びその要旨を御
説明申し上げます。
下水道の
整備につきましては、
政府は、生活環境施設
整備緊急
措置法に基づき、昭和三十八年度を初年度とする下水道
整備五カ年計画及び終末処理場
整備五カ年計画を策定し、これによりその促進をはかってまいったのであります。
しかしながら、最近における人口及び産業の急激な都市への集中に伴う市街地の拡大及び都市環境の悪化に対処するとともに、公共用水域の水質の保全に資するためには下水道投資の飛躍的拡大をはかり、下水道の緊急かつ計画的な
整備をさらに促進することが必要となってまいりました。
また、本国会に別途
提案いたしております
下水道法の一部を
改正する
法律案において下水道行政の所管の
合理化を行なうことといたしていることに伴い、下水道の
整備計画は、従来厚生
大臣の所管でありました終末処理場をもあわせて
建設大臣が一体的に策定することが必要となってまいりました。
このような観点から、
政府といたしましては、
現行の下水道
整備五カ年計画及び終末処理場
整備五カ年計画を改定し、かつ終末処理場の
整備計画をもあわせて一体として、新たに昭和四十二年度を初年度とする下水道
整備五カ年計画を樹立することとするため、ここに
下水道整備緊急措置法案を
提出することとした次第であります。
以上がこの
法律案の
提案の
理由でありますが、以下この
法律案の要旨を御
説明申し上げます。
この
法律案では、新たに昭和四十二年度を初年度とする下水道
整備五カ年計画を策定することとし、そのための手続として、
建設大臣は、あらかじめ経済企画庁長官及び厚生
大臣と所要の
協議を行ない、昭和四十二年度以降の五カ年間の実施目標と
事業量とを定めた計画の案を作成し、閣議の決定を求めなければならないことといたしております。
なお、この下水道
整備五カ年計画の円滑な実施を確保するため、
政府は必要な
措置を講ずるものとし、また地方公共団体も、この五カ年計画に即して下水道の緊急かつ計画的な
整備を行なうようつとめなければならない旨を
規定いたしております。
以上がこの
法律案の
提案理由及びその要旨でありますが、何とぞ慎重御審議の上すみやかに御可決くださいますようお願いいたします。