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1967-05-08 第55回国会 衆議院 建設委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年五月八日(月曜日)    午前十時三十八分開議  出席委員    委員長 森下 國雄君    理事 木村 武雄君 理事 正示啓次郎君    理事 丹羽喬四郎君 理事 廣瀬 正雄君    理事 石川 次夫君 理事 岡本 隆一君    理事 稲富 稜人君       伊藤宗一郎君    池田 清志君       佐藤 孝行君    高橋 英吉君       谷垣 專一君    森山 欽司君     早稻田柳右エ門君    渡辺 栄一君       阿部 昭吾君    井上 普方君       勝澤 芳雄君    工藤 良平君       佐野 憲治君    福岡 義登君       内海  清君    小川新一郎君       北側 義一君  出席国務大臣         建 設 大 臣 西村 英一君  出席政府委員         建設大臣官房長 鶴海良一郎君         建設省計画局長 志村 清一君         建設省都市局長 竹内 藤男君         建設省河川局長 古賀雷四郎君         建設省道路局長 蓑輪健二郎君         建設省住宅局長 三橋 信一君  委員外出席者         参  考  人         (水資源開発公         団副総裁)   柴田 達夫君         参  考  人         (農林中央金庫         理事)     安井 三郎君         参  考  人         (農林中央金庫         理事)     山本 省三君         専  門  員 熊本 政晴君     ――――――――――――― 五月一日  下水道法の一部を改正する法律案内閣提出第  一〇六号)  宅地建物取引業法の一部を改正する法律案(内  閣提出第一〇八号)(予) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 四月二十四日  表富士周遊道路建設に関する陳情書  (第一一〇号)  公営住宅建設補助単価引上げに関する陳情書  (第一二二号)  主要地方道国道昇格に関する陳情書  (第一二三号)  日本万国博覧会開催に伴う道路等交通施設の整  備に関する陳情書  (第一二四  号)  奈良市水道に対する淀川水系よりの水源手当に  関する陳情書(第  一五四号)  国定公園剣山登山道路早期整備に関する陳情  書  (第一七三号)  鶴見川河川敷地内居住者の立ちのきに関する陳  情書  (第一八六号)  大規模住宅団地建設にかかる補助対象化等に  関する陳情書  (第一八  七号)  県道改修及び舗装事業促進に関する陳情書  (第一八八号)  鹿児島水俣線国道編入に関する陳情書  (第一八九号)  四国開発幹線自動車道早期建設に関する陳情  書  (第一九一号)  砂利採取に伴う吉野川下流水域飲料水等確保  に関する陳情書  (第一九二号)  本土、四国連絡架橋早期実現に関する陳情書  (第一九三号)  九州横断自動車道の起点に佐世保市追加に関す  る陳情書(第一  九四号)  町村道整備促進に関する陳情書外一件  (第一九五号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  住宅融資保険法の一部を改正する法律案内閣  提出第三八号)  建設行政基本施策に関する件      ――――◇―――――
  2. 森下國雄

    森下委員長 これより会議を開きます。  建設行政基本施策に関する件について調査を進めます。  この際おはかりいたします。  本件調査のため、本日水資源開発公団副総裁柴田達夫君に参考人として御出席を願い、御意見を聴取することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 森下國雄

    森下委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、同君からの御意見質疑応答の形式でお聞きすることにいたしたいと存じますので、さよう御了承願います。  質疑の通告がありますので、これを許します。小川新一郎君。
  4. 小川新一郎

    小川(新)委員 建設大臣に若干御尋ねいたします。  さきに私が質問いたしましたが、時間切れのために残されている問題がありますので、これをお尋ねしたいと思います。  住宅建設にあたりまして、基本的、抜本的な考えのもとに法の執行の大事であることは言をまちませんが、なぜにこの大きな住宅問題に対しまして、住宅建設基本法というものを制定しないのか、その辺のお考えをまず大臣お尋ねいたします。
  5. 西村英一

    西村国務大臣 住宅が非常に大事であるから、まず基本法をつくれというお話でございます。考え方といたしましてはごもっともと私は思います。しかし現在の住宅建設計画法がございますので、それをもってあなたのおっしゃったようなことにある程度かえ得る、こういうふうな考え住宅建設法をつくったものと思われます。ただ基本法というものも大事でございまするけれども、現在の住宅の事情はやはり、何と申しますかただ単に理想を掲げるだけでは用が足らないのでございます。ともかくもわれわれの住宅対策に対する基本的な態度といたしましては、もちろん住宅の不足を補うという量の問題と、しかし量だけではいかぬ、やはり文化的な生活をするための質の問題も考えなければならぬという、住宅政策に対する基本的な態度は質と量との問題ということになるわけでございます。したがいまして基本法で申しますると、どちらかというとやはり両方並べて基本法というものはつくらなければならぬ。しかし現在の焦眉の急は何と申しましても質よりは量をたくさん提供するということに重点を置かなければならぬ現状でございまするので、一応住宅建設計画法をつくりまして、そうして量のほうでもってやや満足する状態になりましたならば、やがて理想的な質のほうも考えるために住宅というものはこうこうあるべきであるという基本法がまあできるんじゃないか。ややともすれば基本法を掲げますると非常に抽象的になりがちでございますので、私はいまの状況では計画法で十分である。したがいましてもう少し量の問題が解決したならば、やがてまた基本法につきましても十分検討する必要がある、かように考えておるものでございます。
  6. 小川新一郎

    小川(新)委員 ただいま大臣の御答弁を承りましてなるほどと思う点もございますが、建設省内においても計画法基本法かという意見については種々議論が出たということを聞いております。ただいまの大臣答弁の中にある一定の量ができたときにということでございますが、一体それはどのくらいの量が達成されたときにそういう基本法というものが策定されるのですか。
  7. 三橋信一

    ○三橋政府委員 ただいまのお尋ねにお答え申し上げます。  ただいま大臣一定の量が不満足でもできた時期においては当然基本法というようなことも考えるべきであろうというお答えを申し上げました。御案内のとおり住宅建設計画法の中におきまして住宅建設基準ということについてきめるという条項が設けてございます。これはまことにユニークな条文なんでございますが、住宅というものをどういうふうにして建設していくか。もちろん公営住宅なり公団等におきまして政府あるいは政府関係機関でやっておりますものはそれぞれ基準を設けてやっておりますが、民間住宅にまで、その基準をどういうふうに考えていくかということをいまきめたいと思いまして、それの努力をいたしております。ただその建設基準と申しますものはあくまでも建設基準でございまして、やはり住宅基本法ということできめてまいりますためには住まい方の水準、そういうようなものまでも含めてその基本法の中で考えなければならぬであろう。そこまで到達するにはまだちょっと早過ぎる。したがいましてまずただいまの五カ年計画が四十五年まででございます。これによりまして、いろいろ御議論もございますけれども、狭いながらも一世帯住宅というものが達成できるようにいたしたいと思っております。これができました暁におきましては、基本法というものも検討に移ってまいるのが至当ではなかろうかというふうに考えておる次第でございます。
  8. 小川新一郎

    小川(新)委員 そうしますと五カ年計画で大体狭いながらも一世帯住宅というものができる、そのできた暁に基本法というものをつくっていきたい、こういうふうに了承してよろしいでしょうか。それが一つと、私はこの住宅問題というものは、ただいま局長並びに大臣からの答弁の中で、ちょっとその一分野だけをとらえてはできないのではないかと思うのです。なぜかといいますと土地対策、また都市問題、また住居基準、いろいろな要素がからみ合って住宅というものはできていくのであります。現在最も問題になっております宅地の問題がございますが、こういった高騰する土地対策というものをないがしろにしたところの建設計画というものでは当然できないのではないか。もっとこれを強く規制したところの基本姿勢というものを打ち出してその行政を執行したほうが効果的である、私はそう考えておるのでございますが、その辺のお考えについて大臣にお聞きしたいと思う。
  9. 西村英一

    西村国務大臣 住宅については私たちもまた小川さん等も、やはり居住水準については相当に理想を持っておると思うのです。私たちはやはり家族構成であるとかあるいは所得であるとかいうようなものをにらみ合わせて一つ基準といいますか、そういうもので居住水準をきめたいというような気持ちは持っております。しかしながら現状としては指摘されましたように宅地の問題その他社会的ないろいろな問題がございまして、なかなか一挙に解決し得ないのが現状でございます。したがいましてこれは量の問題をある程度解決して、そうしてしかる後に——その量の問題を解決するにいたしましてもいろいろな問題があるわけでございますから、それを解決してしかる後にいまあなたがおっしゃったようなこともあわせて今後考えていきたい、かように考えておるものでございます。
  10. 小川新一郎

    小川(新)委員 その辺のところは大臣のお考えを了承しておきますが、次に責任体制の問題についてお願いしたいのです。  住宅困窮者でみずから住宅ができない人々に対しては政府責任を持って住宅供給するというのが私はたてまえである、こう考えております。住宅建設計画量の六割は民間にたよっておりますし、政府施策住宅の中身というものは政府責任を持って、これらの困窮者建設する住宅公営住宅のみで建つことが必要だと思いますし、またそれはこの前議論が出ております。現在全体の必要量の七・七%を政府で建てていく。特に低所得者に対して……。この低所得者の八一%を占める月収三万円以下の低所得階層人々に、公団住宅等の月一万円から二万三千円のもので一体家賃が払えるかどうか、非常に困難なことである、こう考えるわけであります。これら低所得者に対する住宅対策としては公営住宅を大幅に増加して対処すべきであると思うのでございますが、この辺の責任という問題はどういうふうにお考えになっておりますか。
  11. 三橋信一

    ○三橋政府委員 住宅困窮者政府なり公共団体なりができる限りの住宅を提供する、これは先生のおっしゃったとおりでございます。そこで今回の六百七十万戸の五カ年計画で、二百七十万戸の政府施策住宅を見ております。この算出の基礎につきましては、すでに先生御存じのとおり年収四十二万円以下の者で住宅困窮の者、この方々に対してはこれをすべて提供しようということでいっております。したがいまして四十二万円以上の方々に対してはしからば完全に提供できるかどうかということでただいま御指摘の三万円見当の方というものに対しましては公営住宅におきましてほぼいける、しかしそれ以上の方々につきましては公営住宅ももちろんございますけれども公庫住宅等によって自分で建てたいという方もございます。したがって、公庫から融資いたしました地方住宅供給公社住宅あるいは先ほど御指摘住宅公団賃貸住宅、これも家賃が高いという議論もございますけれども所得がある程度方々に対しては、つまり中程度方々に対しましてはこれでいけるのではなかろうかというように考えております。したがいまして、年収四十二万円以下の方々に対しては公営住宅でこれをカバーしてまいるということにつきましては変わりがないというふうに考えている次第でございます。
  12. 小川新一郎

    小川(新)委員 その辺よく了承いたしました。  住宅金融公庫融資というものは建設費の七割五分と定められております。融資単価実質単価よりも非常に低く、実際の融資額建設費の五割ぐらいにも満たないのじゃないかというのが現状でございます。この個人負担能力いかんがこのような矛盾を生み出しておりますが、住宅困窮者に対するこれらの援助の問題ですが、これをどのように今後やっていくか、お考えをお聞きしたいと思います。
  13. 三橋信一

    ○三橋政府委員 ただいま御指摘住宅金融公庫融資が、いわゆる融資率というものが予定した率までいっていない、つまり建設費のほうが高くて、したがって融資単価とこれがそごを来たしておるという御指摘でございます。これは私ども遺憾ながら御指摘のとおりであるということを申さざるを得ないと思っております。ただ私どもといたしましては、御存じのとおりこの単価を、つまり融資基準になります単価をできるだけ高く持ってまいりたいというのが毎年の予算の努力しておるところでございます。そのためには、まず金利を安くするために政府の金をできるだけ入れまして、そうして借りる方が返しやすいようにするということ、それと同時に、ただいま申し上げました一戸当たりの融資単価というものを現実にできるだけ近づけていくということ、と同時に、さらには宅地の大幅な供給によりまして安い宅地を適当なところに入手できるような方法、そういうような事柄をあわせまして、この融資率関係とあわせまして処理してまいりたいというふうに考えておりまして、十分とは申せませんでしたが、若干の増加は本年度果たせ得ましたが、今後ともその点は相変わらず努力してまいりまして、御指摘のようなことがないようにやってまいりたいというふうなつもりでおりますので、よろしく御指導いただきたいと思います。
  14. 小川新一郎

    小川(新)委員 今後この点に非常に努力していただきたいと思います。  次に、住居水準については、不満足ながらいろいろ決定されておりますが、健康で文化的な生活を保障するための適切なる規模構成を有する住宅供給というものはどのようにいまお考えになっておられますか、その点がまず一つであります。  次に、公営においては二種住宅一種住宅よりも狭いし、また住宅公団の募集についても、応募資格所得収入によって定められております。所得によるために大幅に制限されております。所得による住宅水準が定められ、家族構成に適した広さの住宅供給は二の次になっているように考えられておりますが、これら家族構成に見合う住宅供給が必要となっておる現在、住宅水準に対する検討がさらに必要ではないかと思うのでありますが、政府基本的考え方大臣基本的考え方をまずお尋ねしたいと思います。
  15. 三橋信一

    ○三橋政府委員 私からまずお答え申し上げます。  住宅規模につきましては、この五ヵ年計画におきまして二、三人の世帯においては九畳以上、それから四人以上の世帯におきましては十二畳以上の規模を確保し得るように措置してまいりたいと思っておりますが、さきに二十ヵ年構想として建設省から試案をお示ししてございますけれども、これにおきましては、二十年後におきましては一人一居住室、一世帯共同室というような規模のようなものを確保するようにいたしたい。ただいまの五ヵ年計画は、これは五ヵ年ごとに計画をつくっていく仕組みになっておりますエンドレスの五ヵ年計画でございます。したがいまして、この五ヵ年計画の繰り返しによりまして、ただいま申し上げましたような二十ヵ年構想住宅規模にまで持ってまいりたいというふうに考えておる次第でございます。  そこで、このようにいたしますために家賃なり家族構成なりをどう考えるかという第二段のお尋ねでございます。これは、ただいま私ども真剣にこの点検討しておりまして、住宅対策審議会にも諮問をしてございますが、要するに、所得家賃家族構成、それからうちの広さ、この四つ関係をどう考えていくか、どう考えていくのが至当であるか。理想的に申しますなれば、貧乏人でも家族が多ければ、ある程度以上のうちに安い家賃で入れる、これが私は理想だと思います。しかしながら、そう申しましても、ただいまの財政その他の現状におきましては、直ちにそこまではいけない。そこでただいま申し上げました四つ要素を今後の住宅施策におきましてどういうふうにこれを織りまぜていくかということにつきまして、ただいま住宅対策審議会においてこの議論を願っておる最中でございます。私ただいま申し上げましたような方向にできるだけ早く進み得るような姿勢で今後進めてまいりたいというふうに思っております。
  16. 小川新一郎

    小川(新)委員 次に、宅地の問題について若干お尋ねいたします。  現在最大の問題点となっておりますところの宅地開発について、二つあると思います、一つ既成市街地の再開発新規宅地開発二木立てとなっておりますが、土地利用計画等総合的施策の策定を強力に推進しなければならないと思いますが、今後の方針をまずお尋ねいたします。
  17. 西村英一

    西村国務大臣 住宅の問題にしましても、いずれの問題にしましても、御指摘のように土地の問題がすべての基本になるわけでございます。いまの都市状況を見ますと、昔の都市と全然様相が変わりまして、一回りも二回りも規模が広くなっておる。したがいまして、たとえば都市計画法にいたしましても、従来の都市計画法でございますと、やはりある程度土地利用区分はいたしておりまするけれども、それは一市一町村について計画法をきめたものでございまして、広い範囲においてきめたものではないのであります。したがいまして、いまは、もう少し広い範囲土地利用計画を確立しなければ、どうしても非常に乱雑な都市ができるじゃないか、乱雑な住居ができるじゃないかという批判が非常に多いのでございます。したがいまして、今度建設省といたしましても、でき得れば、従来の都市計画法を改正いたしまして、もっと広い範囲土地利用計画を確立したいということで、せっかくいま検討中でございます。しかし、この問題は一口に土地利用計画と申しましても、いろいろな大きい重要な問題を含んでおりますので、なかなかその検討中にいろいろな困難があるわけでございます。せっかくいま鋭意研究、検討いたしておりますれば、できますれば、今国会中にでも都市計画法の改正をお願いしたい、かように考えておる次第でございます。  もう一つ、従来の都市が、東京、大阪を例にとりましても、やはり中心地は非常にあき地になっておる。工場等の疎開するものが非常にたくさんできましたので、これは、大事な土地を遊ばしてはたいへんでございますので、それはそれといたしましても、有効にこれを利用する、また立体的にこれを利用することも大事であろうと思います。で、既成市街地につきましては、この都市の再開発をやっていきたい。この問題につきましても、都市開発法を用意いたしておるところでございます。不日、これも、できますれば、提案をいたしまして、御審議をお願いしたい。いずれにいたしましても、土地利用計画をめぐって、いろいろ今後検討していかなければならぬ問題がたくさんあると思いまするが、どうぞ御協力のほどをお願い申し上げる次第でございます。
  18. 小川新一郎

    小川(新)委員 住宅建設五カ年計画を達成する前提としたものは、これに見合う宅地の取得が第一だと思います。政府新規宅地開発として約一億五千万坪を予定しておりますが、これが達成の見込みはどうでありますか。また地域配分についてはどのようにお考えになっておられますか、お尋ねいたします。
  19. 西村英一

    西村国務大臣 そういう一応の計算上のことはいたしておりますが、政府委員に説明をさせます。
  20. 志村清一

    志村政府委員 宅地供給に関しましては、五カ年間に大体一億五千万坪程度供給いたしたい、かような計画、もくろみをつくっております。そのうち、公的な機関によります分が大体半分ちょっと足りません。先ほど申し上げましたように、ヘクタールで申し上げますと二万三千六百ヘクタール、民間による分が二万五千四百ヘクタール、合計で四万九千ヘクタール程度供給したい、かように考えておるわけでございます。
  21. 小川新一郎

    小川(新)委員 これは私が確実にはっきりしておるわけではないので御質問するのでありますが、聞くところによれば、政府土地対策というものは非常にあいまいであるように考えられる例が一つあるのです。それは、昭和四十一年十月三日の次官会議において、政府農地法施行令を改正して、農地の改革で政府が買い上げた農地のうち、大都市周辺にある土地でもう農地に適さなくなった農地がございます。その農地を買い上げて、地主にその買い上げた値段で返すというようなことをきめたというように聞いておりますが、この次官会議にはそのようなことがはかられたのかどうか、まずお尋ねしたいと思います。
  22. 志村清一

    志村政府委員 御質問のようなことが次官会議の議題になったことは事実でございます。ただいま手元にはっきりした資料がございませんので、具体的に詳細なことはお答えできませんが、私どもといたしましては、その際におきましても、なるべくそういうものは学校とか道路あるいは公園あるいは公共住宅といった公共の用に使いやすいようなかっこうで処置してほしいというような希望を申し入れたことを記憶いたしておりますが、そのほかの点につきましては、私ただいま資料を持っておりませんので、詳しくお答えいたしかねます。
  23. 小川新一郎

    小川(新)委員 それでは後ほどそれはまた詳しくお願いしたいと思いますが、大臣に一点だけ、土地考え方についてお尋ねしたいと思うのです。  前の瀬戸山大臣は、土地というものは、国土というものは、商品ではない。これは私も同感だと思うのであります。こういった限られた土地希少価値、またその財産の確定というものはいろいろと憲法の上でも私権問題等で複雑に考えられておりますが、この土地、すなわち限られた国土、この国土に対する基本的考え方、これは西村大臣はどのようにお考えになられているか。また、今後こういった国土開発の上に立って、また土地収用法とかいろいろな問題がこれからも出てきますが、そういった施政に対する大臣基本的姿勢というものを、私はこの際知っておきたいと思いますので、まずお尋ねしておきます。
  24. 西村英一

    西村国務大臣 瀬戸山大臣土地商品ではないという、なかなか名言を吐いたということを聞いておりますし、私も現に本会議で聞きました。それはそれの一つ思想といたしまして、考え方として、いいと思います。しかし、私は、そういう気持ちがないわけではございませんが、現実の問題と、それではそれはそういう思想を持ってやれるのか、そういう思想を持って全部貫けるかというと、必ずしも貫けないと思うのであります。商品ではない、それによって利益を受けることはできないのだ、こういうことになれば、私は、それによって、現実の問題、行為が貫けないと思う。したがいまして、君は一体どう考えるのかといいますれば、しいて申しますれば、特別な商品だ、まあこういうようにしか言い得ないと私は思うのでございます。やはり一般財産でも、社会性公共性のあるものは私権も大いに制限をされておりますが、いわんや土地というものは商品ではないというほど公共性を持っているのであるから、やはり土地に対しては相当な私権制限も現在ではやむを得ないのじゃないか、したがって、やはり現実の問題は特別な商品だ、こういうような感じがいたすわけでございます。
  25. 小川新一郎

    小川(新)委員 ただいま大臣の御答弁に特別な商品とかいうおことばがありました。特別な商品とは一体何かという定義の問題もございますが、その点はこの次の土地収用法のときに詳しくついていきたいと思います。  ただ私権の規制についてただいま大臣がちょっと御意見を吐いておられましたが、私はけっこうだと思います。しかし、その土地政策の基本的原則、行き詰まった土地対策、また都市計画、すべての基本になっている土地対策基本的原則をこの際西村建設大臣の時代に明確にしておく段階がもうきたのではないか、このようにも考えているのですが、大臣のお考えをお伺いしたいと思います。
  26. 西村英一

    西村国務大臣 さいぜんも申しましたように、したがいまして、土地は、私権の問題がありましても、やはり公共性が非常に優先するというようなことで現在の状態はやっていかなければならぬ、こういうふうに考えているのでございます。瀬戸山さんの考え方もそのようでありました。私もそういうような気がいたさないわけではございませんが、実際上の問題が、私が言ったようなことになるのではないだろうか。したがいまして、今後はそういうような気持ちでやっていきたい。公共のためには私権のある程度制限もやむを得ない、そういうような気持ちでやっていきたい、かように考えておるわけでございます。
  27. 小川新一郎

    小川(新)委員 宅地開発というものは現在の最大の問題点であるということはいま私が申しました。そして、この大規模宅地造成について、大都市の周辺部において漸次開発されてきておりますが、団地の建設に伴うところの関連公共施設の負担というものがいま問題になってきております。地方公共団体にとってこれが一連の大きな財政負担になっている。住宅公団等の団地建設の立地を地方公共団体において非常に警戒しております。こういうものを受け入れてもいいのだけれども、地元の財政を圧迫していくのだ。だから、関東ブロック圏においては、千葉、埼玉においては非常にこれを敬遠していくような態度も打ち出されておりますが、こういう土地の確保というものがだんだん遠くへ走っておりますが、現在のような地方公共団体に対して、どのように財政的援助を与え、またなおかつ啓蒙し、啓発し、住宅対策に協力していくようにしていくのか、その辺の考え方をまずお聞きしたいと思います。
  28. 西村英一

    西村国務大臣 どうも団地がとかく地域社会からきらわれるということを私もたびたび聞いております。つまり地方公共団体の長になってみますると、やっかいなものがきた、そのために公共団体としてはますます持ち出しになるのだ、何ら公共団体としては裨益するところがないじゃないかということと、団地の方々が集団的で来ますので、地域社会等と人的なつながりも非常に薄いというようなことから、いまあなたがおっしゃるようなことは、もう非常に団地については、批判があるわけでございます。しかし、やはりそうではいけないのでございますので、この点については、やはり政府といたしましては気をつかって、団地が地域社会の方々によくとけ込むように、したがいまして、団地のためにつくった施設が既設の地域社会に十分その利益をもたらすように、ああいう団地ができたので、こういうわれわれには期待できなかったようなものまでできたというふうな、従来の地域社会に非常に裨益するように持っていかなければ、ますます団地は地域社会から遊離していくのではないかと私は思っておるわけでございます。従来も全然そういうことに気をつかわなかったということではございませんが、しかし、公共団体の長は団地の問題で非常に困っておるということを聞いておりますので、十分その辺はこれから意を注ぎたい、かように考えておるものでございます。
  29. 小川新一郎

    小川(新)委員 その団地の負担であるところの関連の公共施設については、今後どのようにお考えになっておりますか。
  30. 志村清一

    志村政府委員 ただいま大臣からお話がございましたとおりでございますが、ただいま御質問の関連公共施設につきましては、地元の地方公共団体が一時に多額の財政負担が生ずるというところが問題でございます。長期的に見ますと、住民税なり固定資産税等によりまして一応はペイできるわけでございますけれども、一時的に非常に大きな額が必要になるという点に問題がございますので、今後の措置といたしましては、関連の公共事業についてできるだけ補助事業として採択していくということが第一点。それから第二点といたしましては、開発地帯が地方負担分の一部を負担していくということを考えてまいりたい。次には住宅公団等が行なう開発事業に関連します公共施設につきましては、一時立てかえて、これを公団がやる、そして公共団体は割賦で返していくというふうな方法も考えてまいりたいと思っております。地方公共団体の行なう宅地開発もございますが、それらにつきましては、ただいまのような方式を、公庫からお金を貸しまして、割賦譲渡していくというふうな方法をあわせて考えてまいりたいと思っております。  なお、地方交付税とか起債とかいうふうな問題につきましては、大都市周辺の団地の建つようなところは、いわゆる人口急増地区でございまして、それらにつきましては、特別の措置をとる必要があろうというふうなことで、交付税の割り当て等についていろいろ配慮をしてもらっておるような状況でございます。
  31. 小川新一郎

    小川(新)委員 話はちょっとまた横道にそれるのでありますが、質問の中で、公共事業等の施行によって当該地域の地価が開発地帯の期待によって上昇いたしてまいります。投資効率がそこなわれる、またその弊害があまり大きいので、開発利益は社会に還元しろ、こういう声がいま社会的要請となって聞こえておりますが、これについては建設大臣はどのようにお考えになっておりますか。
  32. 志村清一

    志村政府委員 開発利益の社会還元の問題でございますが、これは大事な問題ではございます。さような意味におきまして、私どもといたしましては、国会に御提案申し上げました土地収用法の改正等におきまして、事業を行なう用地を買ってまいります。事業がだんだん進みますと、事業用地そのものがたいへん高くなる。これは開発利益あるいは期待利益を含んで高くなるのでございますので、それらも勘案いたしまして、開発利益の一部の調整をはかるために、事業認定時の価格を基準として収用価格をきめていくという法案の御審議をお願いしておるような状況でございます。また周辺の地域等につきましては、すでに受益者負担金という制度がございまして、下水道の布設等のように地域の受益の範囲がはっきりしておるものにつきましては、受益者負担金をとっておるわけでございますが、その他の事業につきましては、必ずしも受益の範囲が明確でございませんので、受益者負担金をとることが非常にむずかしゅうございます。それらもかねあわせまして、今後大蔵省におきましても税制そのものについてもう少し検討しようというようなことで、ただいま勉強をしておる段階でございます。
  33. 小川新一郎

    小川(新)委員 それに伴って、地価対策の問題としまして、地価の公示制度というものを創設する考えがございますかどうか、御質問いたします。
  34. 志村清一

    志村政府委員 地価公示制度も、かつて三党の決議といたしまして、国会で御議論のあったところでございますが、私どもといたしましても、かねて大都市の周辺につきまして、地価調査をいたしております。これはいろいろ問題ございますが、一番問題が多いのは、大都市の周辺でございますので、逐次調査をいたしておりますが、御存じのように、鑑定士制度ができましてまだ日が浅うございまして、鑑定士の人数もそれほどまだ十分そろっているわけでもございません。したがって、東京周辺、大阪、名古屋というぐあいに、逐次調査範囲を広げておりますが、全国をカバーしての地価調査はなかなかできない状況でございます。しかし東京につきましては、もう両三年ほどやっておりますので、それらの結果をある程度取りまとめまして、いわゆる公示制度ということでなく、調査の結果こういうふうな価格が出たということを発表する機会を得たいということで、本年いろいろ準備をいたしておるような状況でございます。
  35. 小川新一郎

    小川(新)委員 現在土地の評価制度というものはありますが、自治省管轄の固定資産税評価、大蔵省管轄の最高路線価、また法務省管轄の不動産登記用評価、こういうように三段階になっておりますが、それらがいずれも多少なりとも評価の値段が異なっております。それはどういうふうに違っておるのかということが一つ、またそれらが統一ができないのかということが二つ、その点についてのお考えをお聞きしたいと思います。
  36. 志村清一

    志村政府委員 地方税の評価あるいは国税の評価あるいは不動産登記における評価、それぞれたいへん相違のあることは、先生御承知のとおりだと思います。これらにつきましては、おのおのの性格上、国税徴収あるいは地方税徴収上の問題もございます。また同じ土地でございましても、たとえば郊外地の農地のように、いわゆる農地として現実には使っておるが、実際の値段は宅地、準宅地と申しますか、そういった値段になっているところをどう税金として評価するかというふうないろいろ問題がございます。さようなことで、各方面によりまして評価の額が異なっておりますが、先生おっしゃるとおり、これらの評価が統一されることがきわめて望ましいのではないかと私ども考えております。それにいたしましても、先ほど御指摘ございましたように、一体土地の価格は、この辺の土地の価格は幾らだというふうな、公正妥当な価格を評価するということが大事かと存じますので、私どものやっております地価調査を今後進めまして、大蔵省とかあるいは自治省とか、各省とも相談しながら、できるだけそういうものが統一されるような方向に努力いたしたい、かように考えておる次第でございます。
  37. 小川新一郎

    小川(新)委員 ちょっと確認しておきたいのですが、建設省がイニシアチブをとって、両省の価格統一というものをしていくように建設省が働きかける、こういうふうに理解してよろしいのですか。
  38. 志村清一

    志村政府委員 税制上の評価でございますので、必ずしも理論どおりにはまいらぬ点もいろいろございますが、できるだけ統一したいという気持ちはございますので、私どもの鑑定評価いたしました額はこういう額だというふうなことを連絡いたしまして、なるべく同一のものにそろえるようにお互いに努力しようじゃないかという提案はいたしたいと思います。
  39. 小川新一郎

    小川(新)委員 次に、東京、大阪の大都市に遊休の、遊んでいるところの公用地が存在していると思いますが、それはどのくらいの量の面積なのか。第二点は、大都市の特別区にどれほどの農地があるのか。この農地の転用制限を除外すべきだと考えておりますが、これら農林省との話し合い、またそういった面の解決の方向、それらについて二点お尋ねいたしておきます。
  40. 西村英一

    西村国務大臣 先般の物懇の勧告にも、遊休地の問題、相当やかましくそれを利用しろ、遊休税をとれというような問題がありました。したがいまして、そういうようなものの一応の、概略の、大ざっぱな調べは私はあると思いまするが、しかし遊休地とは、あるいは未利用地とはどういうものだというようなはっきりしたいまのあれがありませんので、正確なことはわからないわけでございます数字は私ちょっと記憶しませんが、一応あることはあるのですが……。   〔小川(新)委員「そういう台帳があるのです   ね」と呼ぶ〕
  41. 西村英一

    西村国務大臣 あることはあるようですが、いまこちらに持っていないようです。いずれ必要ならばお見せいたしますが、概略な調べでございます。しかしもちろん、遊休地の定義等がございませんので、正確なものではありませんが、後ほどお知らせいたしたいと思います。
  42. 小川新一郎

    小川(新)委員 大体それはあとで調べていただくとしまして農地の問題がまだお答えいただいておりませんが。
  43. 志村清一

    志村政府委員 ただいま、東京の特別区内にどれくらい農地があるかという御質問でございますが、ただいま私、手元に資料を持っておりませんけれども、相当広大な面積があるということは間違いございません。
  44. 小川新一郎

    小川(新)委員 私の質問は、その農地の転用制限というものを除外する考えがあるかないかということなんです。それはなぜかと申しますと、大都市の周辺はもう農耕地として優秀な作物ができる段階ではないんじゃないか、こう考えております。それに対しての農林省との、また建設省住宅建設の立場から、農林省は食糧増産の立場から、いろいろあるでしょう。そういった転用の問題がどう今後解決されていくかという問題についての質問であります。
  45. 志村清一

    志村政府委員 都市内あるいは都市周辺の農地につきまして、それが市街化していくか、あるいは農地のままにとっておくかという問題は一つの大きな問題でございますが、大体、首都圏あるいは農林省、建設省、三者集まりまして、都市周辺の農地等につきましては、一種農地、二種農地、三種農地という区分を、一応抽象的ではございますが、考えておりまして、三種農地というのは、まわりが市街化して当然市街化すべきところである、そういうところについては農地の転用をスムーズにやらせるというふうなことを考えておるわけでございます。そうして純農地等につきまして優良なものについては、一種農地といたしまして、なるべく転用の許可はしていかないというような方向で仕事を処理してまいっておるわけでございますが、しかしこれはあくまでも一つの取り扱いでございます。先ほど大臣からも御説明ございましたような、都市計画法の改正等につきましては、市街化区域等を設けまして、それらについての農地転用について、特例を考えるというようなことで今後処理してまいりたい。そういう方向をただいま都市局において検討しておるような次第でございます。
  46. 小川新一郎

    小川(新)委員 では大臣に二点お尋ねいたします。四十一年度の建設省重点施策が発表になった中で、宅地の大量供給を目的とする宅地開発公団の新設、公共用地取得価格を適正にするための、不動産鑑定士による鑑定を明確に義務づける等の宅地対策を発表されましたが、その後の経過はどうなっておりますか、お尋ねいたします。
  47. 西村英一

    西村国務大臣 都市開発公団、これは現在の住宅公団宅地部がございます。実際は住宅をやるということと、そのための宅地を扱うということは、これは不可分な関係にもありますが、また事柄として相当に宅地を取得するということは困難でございますから、一つの機構といたしまして都市開発公団ということで、宅地を、もっぱら住宅の用地を取得したいということで希望いたしたのでございます。しかし途中におきましていろいろな折衝の結果、今年、四十二年度は見送ることになったのでございますが、もう少し高い視野に立ってひとつ都市問題を考えるべきじゃないかということが問題になったので、四十二年度はこれを見送ることになりました。したがいまして今後やはり都市問題につきまして、一つの新しい観点から考え直さなければならぬというのがいまの現状でございます。いずれにいたしましても都市化しつつあるのがいま日本の現状でございます。したがいまして都市化問題に対して、いまのような状況で農村からどんどん人が入ってきていいかどうか。それを防ぐのにはどうするかといういわゆる都市化問題と、現在過密化されておる都市問題と、これはまた別な方法で解決しなければならぬのでありまして、ことしは見送りましたが、今後来年の予算の折衝の時期になりまして、都市問題をどう扱うかということについて、一つ考えをまとめたいと思います。  もう一つの鑑定士の問題でございますが、実は鑑定士は現在非常に人が足りない。しかも人員が非常に偏在しておるわけです。鑑定士の一人もいない県がまだあります。したがいまして、いま鑑定士の養成に非常に力を入れておるわけでございまして、ことしも相当な鑑定士の養成ができると思います。ある程度できますれば、土地の評価その他につきましても、これは強力に進めてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  48. 小川新一郎

    小川(新)委員 ただいまの大臣の御答弁をお聞きしまして、わずか一年足らずでこういう重点政策が変わっていく。または次に見送る、またあらためて考える、そういうふうに変更していくというような姿勢というものは、私はちょっと理解できないのでありますが、これは西村建設大臣の前の大臣が策定なされたと思う。それで私はこの前の当初のときに、大臣がたびたびおかわりになるごとに、そういった重点施策というものも変わっていくのじゃないかという質問をした。こういうような点、これはもちろん発展的に解決するためにそういう手段をおとりになられると思うのですが、その辺のところ確固たる基本的考え方といいますか、そういう重点施策に対する考え方に、軽はずみな点があるように思うが、その点はどうお考えになりますか。
  49. 西村英一

    西村国務大臣 それは軽はずみということではないのです。結局現在の宅地あるいは都市の再開発にいたしましても、何らかの機構が要るということで、従来からもそういう問題があったから、四十一年には日本住宅公団宅地部ができたと思うのです。その宅地部だけではやっていけぬのじゃないかということで、宅地部を住宅公団から放しまして、新しい機構にして進めようじゃないかと一応考えたわけでございます。それはそれなりに理由はあったのでございます。しかし土地問題はさらに高い次元において考えなければならぬことが政府全体としてありましたので——建設省といたしましては、それはつくりたかったわけです。そのために要求もいたしたのでございます。しかしやはりまだそれくらいなことではいかぬだろう、もっと次元の高いところに立ってもう一ぺん考え直す必要があるのじゃないか、必要でないとはいえないがというようなことで、また一方政府全体といたしましても新しい機構はむやみにふやさないという一つの原則もありましたので、つくるならば、今度はちゃんと考えたもので、十分な想を練って、ひとつやり直そうじゃないかというようなことで、一応見送ったわけでございまして、これはぐらぐらしておるというわけでもないのであります。いずれにいたしましても、土地等をあずかる、あるいは都市問題をあずかるにつきましては、今後相当に考えなければならぬと私は思っておる次第でございます。
  50. 小川新一郎

    小川(新)委員 大臣の御健闘を私も期待しております。またたびたびお変わりにならないように、基本的重点施策というものはあくまでもそれを貫き通していくという姿勢を堅持していただきたい、こう希望しておきます。  次に、住宅省設置について大臣お尋ねいたしますが、住宅省設置につきましては、わが党の竹入委員長が代表質問の際提案いたしました。そのときに佐藤総理は、都市開発のやかましいさなかなので積極的に検討すると言明しております。この首相の積極的に検討すると言われた都市の過密化による弊害が住宅問題であり、この現象はもはや現在の行政機構に欠点があり、都市土地宅地を強力に推進するためには、都市に関する一切の計画を総合的に一貫して行ない、また責任を負う行政機関ができることによって問題が解決できるのではないかと考えておりますし、またそれが大きな前進への足がかりにもなるのだと思います。この住宅省設置について大臣のお考えをお聞きいたします。
  51. 西村英一

    西村国務大臣 私、いま直ちに住宅省が必要だ、こう端的に言うわけにはいかないと思いますが、現在の建設省にいたしましても、都市局と住宅局があるのですが、やはり現在の住宅というものは、もう家を建てるということだけの問題じゃないのです。やはり一つの町づくりとか都市づくりとかいうような大げさなことになっているのでございます。したがいまして住宅省というようなことも全然考えられないわけではございません。現にアメリカのジョンソン教書によりまして都市住宅省ができたようなわけでございまして、この問題は私のほうの建設省といたしましても、現在の都市局と住宅局、こういうようなものにつきましても、やはり一つ考え方を、従来と違ったような考え方をしなければならぬ、また省全体の問題になりますれば政府自身の問題でございますが、十分検討する価値がある、かように考えておるものでございますから、いまからでもせっかく考え方をまとめておる最中でございます。
  52. 小川新一郎

    小川(新)委員 宅地及び住宅につきましてはこの程度にとどめておきまして、河川行政についてお尋ねいたします。  国土並びに国民の生命、身体及び財産を災害から保護する防災行政の整備推進をはかり、もって秩序の維持と福祉の確保に資することは国の最大の責務であります。また国民の最高の願いであります。しかも防災の中枢というものは気候と地勢の特殊性を有するわが国として治水であるといわなければなりません。大臣の所信表明を見ますと、住宅宅地都市行政に大きな重点が置かれ、道路行政に深い関心が払われていることが看取されます。それらの行政に対する配慮は、私はここで決して否定するものではありませんが、治水行政がやや軽視されておる向きがないでもないように考えます。河川流域住民たちのきわめて強い念願であり、深い関心事である治水行政を最優先的に推進されるおつもりはないか、今後の大臣の方針、お考え等をお聞きしたいと思います。
  53. 西村英一

    西村国務大臣 治水行政を軽視しておるのではないかということでございますが、とんでもない話で、決して軽視はいたしておりません。それは非常に重要な行政としていままで力を尽くしております。それでありますから、現在でも災害が皆無とは言いませんが、相当に災害を防止してきた。いままで治水行政につぎ込まれた金は一兆七千五百億といわれておりますが、そのために相当な災害防除になっておるわけであります。しかし現在でもやはり年々歳々二千五百億から二千八百億くらいの災害を受けておるのでございますから、今後といえども治水行政には最も力を尽くしたい。しかも最近の人口集中がやはり河川を中心にして人口、産業の集中がありますから、決してこれは等閑に付すべきではない、かように考えておるものでございます。
  54. 小川新一郎

    小川(新)委員 それでは、その長期的展望のもとに諸施策を推進する必要があると長期構想の中で述べておりますが、昨年、国土建設の長期構想案が作成されましたが、大臣の河川行政に関する明確なる長期構想を示していただきたいと思います。
  55. 西村英一

    西村国務大臣 現在は治水五カ年計画のその基本に従いましてやっておるわけでございます。しかしこれもだんだんやってみますと、現在の治水五カ年計画でやっていけるのかどうかというような問題が起こりますので、そうすればまた順を追うてこの五カ年計画の改定ということも必要になってくるのではないかと思っております。最近におきましては相当にこの河川関係もよくなったと思われますが、まだまだのところがありますし、いわんや治水からさらに利水のほう、水を使うほうにも発展していかなければならぬ状況でございますので、現在の治水五カ年計画というようなものも再検討を迫られておる、かように考えておるものでございますから、そのときはまたよろしく御審議をお願いしたいのでございます。
  56. 小川新一郎

    小川(新)委員 時間がございませんので最後に一点だけ、都市問題の、大きな下水道整備五カ年計画の問題について一つだけお尋ねして私の質問を終了したいと思います。  第二次下水道整備五カ年計画規模というものは一兆七百三十億円と聞いておりますが、御説明によりますと九千三百億円となり、一千四百三十億円の減となっております。その結果、下水道整備事業の縮小が考えられますが、減額分はどのような形で事業別及び地域的にあらわれてくるのか、当局の御見解をお伺いして私の質問を終わらせていただきます。
  57. 西村英一

    西村国務大臣 実は下水事業ですが、要求はもちろんいまおっしゃいましたように一兆何千億を要求いたしましたが、最終的に九千三百億に決定したわけであります。しかしながら九千三百億というものも、いままでの五カ年計画は三千三百億でしたか、その倍以上になるのです。これは政府としては下水行政が相当におくれておることにかんがみて、従来の計画の倍以上の金を投資することになったわけであります。  どのように内容が変わったかといいますか、それは数字は政府委員から説明させますが、平たく言いますとこの完成する年度が少し延びたということで、根本的方針にはさして変わりはないわけでございますけれども、多少時間的に早く完成すべきものが延びたということであろうと思います。管工事、終末処理のそれぞれの内訳につきましては政府委員から説明させます。
  58. 竹内藤男

    ○竹内(藤)政府委員 今回きまりました要求いたしております九千三百億の内訳でございますが、まだ種類別あるいは地域別というものはきめておりません。国会に御提案申し上げております下水道整備緊急措置法がきまり次第早急にこれをきめてまいりたい、こういうように考えております。
  59. 小川新一郎

    小川(新)委員 それでは私の質問はこれで終了させていただきます。
  60. 森下國雄

    森下委員長 それでは岡本隆一君。
  61. 岡本隆一

    ○岡本(隆)委員 この前の委員会で井上君が入札の問題についてお尋ねをいたしたのでございますが、そしてまた、大業者の間でジョイントベンチャーが行なわれておるが、しかしながら、どうも談合的なにおいが強いというようなことで大臣お尋ねをいたしました。大臣のほうからも、今後しかしそういうことについては公正な入札ということをやらせるように十分注意していきたいというふうなお答えがございました。その後、私のほうへ早明浦ダムの入札の問題をめぐり、どうも不明朗なことが多い、こういうようなことを言ってまいった人がございますので、ひとつそれについてきょうはお尋ねをさしていただいて、その間の誤解を私はこの際建設省のために一掃していただきたい、こういうふうに思います。  それで、この早明浦ダムの入札につきましては最初五社を指名された。ところが、それにつきましていろいろ大きな非難が出たのでそれが八社になった。三社追加指名された。こういうふうに承っておるのでございますが、最初指名された五社はどこで、追加されたのはどことどこということをひとつ御説明願いたいと思います。
  62. 西村英一

    西村国務大臣 最初指名したのは五社というようなことはありません。最終的に初めから八社で、途中でもっていろいろ業者を選定するときはいろいろなあれがあります。しかし、最終的にやったものは八社でございまして、あとのものは、どこが入りそうだ、ここが入りそうだ、今度は大工事だから五社ぐらいになりそうだ、あるいは、いやそうじゃないよ、八社だ、八社じゃいかぬ、やはり十社入れなければならない、いろいろなことを業者が言うのでありまして、最終的にきめたのは八社でございまして、それ以外に途中で業者がいろいろ揣摩憶測をして言うのでありまして、私のほうで決定したのは八社でございます。
  63. 岡本隆一

    ○岡本(隆)委員 これは非常に大きなダムです。天ケ瀬であるとか、そのクラスよりもさらに大きな規模のものでありますから、非常に大工事であるということは私どももその規模でおよそわかるのです。そうすると、その場合やはり大工事であるから、大きな経済力を持った業者にということで一応大会社がランクの上に上がってきた。それから、まあわしのところだってそれくらいできるんだから入れてもらいたいというふうな運動があって結局八社になった、こういうことじゃないかと推察いたしますが、それじゃその問題はそれといたしまして、その入札で間と大林が落札をした、こういうふうに聞きますのですが、入札の価格ですが、どれくらい各社が札を入れておったか、ひとつお示し願いたいと思います。
  64. 西村英一

    西村国務大臣 価格の点は何回も入札したようです。ずいぶん数字はこまかくなるのですが、もしよろしければここにありますが、たいへんな数字ですから……。
  65. 岡本隆一

    ○岡本(隆)委員 最終入札です。
  66. 西村英一

    西村国務大臣 最終入札でよければ、それは発表できます。それはひとつ政府委員から……。
  67. 古賀雷四郎

    ○古賀政府委員 早明浦ダムの入札に関しましては、先ほど大臣も申されたとおり八社を指定いたしました。そして入札を行なったわけでございます。業者は、西松建設、清水建設、鹿島建設、大林組、熊谷組、大成建設、間組、前田建設工業の八社でございます。入札の経過は六回にわたって行なわれました。その第六回目に落札いたしまして、落札価格は、間組の二十億四千八百万でございます。(「大林組は」と呼ぶ者あり)大林組は二十億六千三百万でございまして、これは間組の単独落札でございます。
  68. 岡本隆一

    ○岡本(隆)委員 間が二十億四千万、それから大林が二十億六千三百万、それから鹿島、熊谷、西松、前田、大成、清水、これらはどれだけの価格を入れておりましたか。
  69. 古賀雷四郎

    ○古賀政府委員 お答えいたします。  西松建設が二十億五千五百万、清水建設二十億五千五百万、鹿島建設二十億五千二百五十万、大林組二十億六千三百万、熊谷組二十億五千三百七十万、大成建設二十億五千三百五十万、間組二十億四千八百万、前田建設工業二十億五千三百三十万、最低は間組の二十億四千八百万でございます。
  70. 岡本隆一

    ○岡本(隆)委員 それまでの間に六回にわたってということでございますと、第一回のときはどうなったのですか。第一回ないし第二回です。
  71. 古賀雷四郎

    ○古賀政府委員 では先ほどの順序で第一回の金額を申し上げます。  西松建設二十四億七千万、清水建設二十四億三千四百万、鹿島建設二十四億二千万、大林組二十四億六千九百万、熊谷組二十四億五千万、大成建設二十四億六千六百万、間組二十四億三百八十八万、前田建設工業二十四億六千百万、最低は間組の二十四億三百八十八万でございます。
  72. 岡本隆一

    ○岡本(隆)委員 そういうような経過で入札されて最低価格の間組に落ちたということでありますれば、私どももそれがある程度妥当ではないかとも思うのでございます。そこで、この入札が三月三十日に行なわれて間組に落札した、入札が行なわれた後に水資源公団に移管されておる、こういうふうなことでございますが、これは建設省であらかじめ水資源公団にこの工事はやらせるという方針をきめておられるのです。そういう方針をきめておきながら、水資源公団の手で計画を立てさせて、水資源公団の手で当然それが入札も行なわれ、万事そういうようなことも、事務的なことも、全部水資源で当然行なわれるべきであろうと思うのでございますが、こういうふうな例がいままでにもあったのか、なかったのか。水資源で他の多くの工事をやっておられますが、これは全部水資源のほうで用地買収から入札からいろいろなことをやっておられたのです。ところがこの工事に限って入札してちゃんとおぜん立てがすっかり仕上がってから水資源に渡されておるということで、いろいろ疑惑が持たれておると思うのでございますが、水資源の副総裁見えられておりますが、いままでにもこういう事例がありましたか、なかったか。あったとすれば、どことどこでそういうことがあったかいとうことを御説明願いたい。
  73. 柴田達夫

    柴田参考人 途中でダムの工事を公団が引き継ぎます例があるわけでございます。最初水資源公団ができました年に利根川水系の矢木沢ダムがすでに建設省のほうで予算がついて業者もきまって工事をやっておりますのを引き継いでおるわけでございます。それから、建設省ではございませんが、水資源公団の事業として印旛沼の開発事業、これは三十八年の途中からでございます。これは終戦後長らく農林省が事業をやってまいりましたのを、要するに事業の性格が多目的に、利水も加わるというようなことになってまいりまして、水資源開発促進法に基づく水資源開発事業として指定されましたときに公団に参るわけでございます。この印旛沼の工事も同様に、京葉工業地帯の工業用水を確保するという目的が加わったものですから、水資源公団の適格事業ということになりまして、途中から引き継ぎました。したがいまして、これなんかも基本的な印旛沼開発事業のいろいろな契約は、農林省時代にみんな工事をきめて契約をしてやっておりますのを途中から引き継いだ例があります。過去においては業者がきまったものの引き継ぎはそれだけでございます。  いま申しましたように、今回の早明浦ダムも、まさに最初はいわゆる多目的ダム法に基づく多目的ダムとして、早明浦ダムは建設省がかねがね御計画になっており、建設省に予算がついて工事事務所もできてやっておりましたのを、四国開発事業の重要な一環として、各県の利水事業について話がまとまりましたものですから、今年の三月に水資源開発促進法に基づく吉野川水系の基本計画として早明浦ダムは今度は事業主体が水資源公団がやる、こういうふうに決定いたしました。本年の三月十四日に閣議できまりまして、四月一日から引き継ぎました。したがいまして、これが早く進行しておれば建設省のほうで補償なり契約なりを当然なすって、それから公団が引き継ぐものと思っておりましたが、地元のほうの話のまとまる時期の関係で、本年も四月からになったわけでございますが、例をあげろということでは先例は二つでございます。今回のは三番目であります。かようなことでございます。
  74. 岡本隆一

    ○岡本(隆)委員 矢木沢ダムとか印旛沼は、これは昭和三十八年でございましたが、水資源の出発当時でございまして、これは水資源公団ができていなかったわけですね。しかし、ダムの開発構想が進められておった。水資源ができたが何も仕事がないから何かやらせようということで、計画が決定されたものを水資源がそれを引き継いでやるということは当然で、私どももそれについては何にも不審の念を持っておりません。しかしながら、いますでに水資源公団がりっぱな事業主体として出発しておる。そうしてまた吉野川の水資源開発も古い問題として、また同時に、その水の何といいますか、利用の権利をめぐって、水利権をめぐって、各府県の間で非常な論争、抗争のあった有名な川でございます。したがって、こういうところの水資源の開発をやるについては、国としては当然早くからある程度構想というものを持って進めなければなりませんし、同時にまた、これらの各県の話し合いが、この前の井上君の質問に対しましても、各県の間の話し合いがつかなかったから事業決定はおくれておったが、話し合いがついたから早急にやることになったということでありまして、私どもは、この場合に、水資源にやらせるなら当然入札をも水資源に——あと数日のことなんですから、引き継ぐにしても何にしても、仕事は水資源にやらせるということで、話をつけるのは建設省が中へ入って話をつけるが、仕事は水資源にやらせるということであるとするならば、当然工事の一番大きな問題点になる入札行為というものは、請負行為の契約というものは、これは当然事業主体がやるべきである、こういうふうに思うにかかわらず、いま柴田さんから説明があったように、入札後引き継げ、請負契約を済ませてから水資源に引き継げということをいわれておることについては、政府のほうで契約を非常に何か特に、何といいますか、自分のところでどうしてもやらなければ気が済まぬ。水資源にやらせたのではどうも得心がいかぬ、こういうことが何かその間にあったのではないか、こういうふうに思うのでございますが、それについて大臣から、なぜそういうふうなことを今度に限ってされたか、その点についての御説明をお願いいたしたい。
  75. 西村英一

    西村国務大臣 それは結局四十二年度から水資源に引き継ぐということに、水資源開発審議会か何かで決定したのでございます。しかし、それまでは建設省責任でやるわけであります。それまでにでき得ることならばできるだけ片づけてやればいいわけなんです。したがいまして、私はもっと早く工事は出したかったんです。また債務負担行為でありますが、建設省に予算がついておるわけなんです。しかし建設大臣としては、いろいろなものをできるだけ済ませて引き継ぐのは当然でございまして、引き継ぐからすべてのことをおくらして、水資源にやってしまえばもう私のほうはしようがないというような考え方は、私はどうかと思うのでありまして、実際は工事を出すのももう少し早く出したかったんですが、どうしても出す段階にならなかったのでおそくなっただけでございまして、したがいまして、その間に何らの私的な考え方はありません。現在また建設省でやっておる工事は、利根川についてみますと、今年から八ツ場ダムをやりますが、これもまたいつかの日には水資源に引き継ぐことになると思うのでありますが、ただ、水資源に引き継いだとしますれば、入札等も向こうでやる——これはやれます、やれないことは全然ないわけであります。それが間に合わない段階だったら水資源に引き継いでやらせてもいいのですが、できることなら建設省に予算もついておることであるから、建設省責任においてもやるべきだということでやらせたので、それ以外に何らあれはないわけであります。今後も建設省でやるものを水資源に引き継ぐ場合もありますから、その場合はやはり自分のところできめられるだけのことをきめて、そうして渡すのが適当じゃないかということでやったのでございまして、他意ないわけでございます。
  76. 岡本隆一

    ○岡本(隆)委員 一応どのようにでも理由づけようと思えば理由づけ得ると思います。しかしながら、今度の場合につきましては、いろいろなうわさの種が出ておりますので、これはやはりそういう誤解のないように御注意願いたいと思うのです。というのは、すでに以前にも問題があった九頭竜ダムなどですね。これは二人も犠牲者が出ておる。池田さんの秘書が団地の給水塔の上から飛びおり自殺をやっておる。それからまた、もう一人は例の何とかいう新聞記者ですね、倉地という新聞記者が自分のむすこに殺されておる。これは自分のむすこに殺されたのか、そういうことにされておるのか、まだ解決されておらぬ問題です。しかしながら、とにかく九頭竜ダムの事件をめぐって二人の犠牲者が出ておる。そしてその間、田中彰治事件が起こってきた。九頭竜ダムから田中彰治事件が起こってきたのでしょう。だからダム工事というような大きな工事、しかも建設業というのは受注産業ですから、一つぱくんとそうした発注をとるかとらぬか、契約をとるかとらぬかということでその事業の業績に非常に大きな影響があるわけでございますから、したがって請負契約をめぐっていろいろ暗躍も行なわれるということは想像されることでございます。それだけに、また事実あのときには「金環蝕」という石川達三の小説にまでなって、それで大体のなには推理小説的に非常におもしろく筋書きがつくられております。それがもし事実とするなら、また事実に近いとするなら、これは日本の政治というものがどれほど不明朗なものかということを国民に訴えておるわけであります。したがって、先ほど前の委員会大臣が言われたように、政府はあくまでも入札は公正にやらなければならぬ。どこまでも公明なものでなくてはならぬ。ところがその入札問題をめぐっていろいろな——われわれ国民にすかっと通るような形でやっていただくとわれわれもいろいろの推量をしなくて済むわけでございます。今度の場合でもあなたのほうで、建設省でやるつもりだった、しかし急に計画を変えて水資源にやらしたのだからこれはしようがないじゃないか、あなたはこうおっしゃいます。しかしながらその間、この問題についていろいろなうわさが飛んでおる。そしてそのうわさの一つとして前の建設省の事務次官をやっておられた山本幸雄君——今度建設委員会に入ってきておりませんが、選挙はうまくいかなかったようで気の毒だと思いますが、しかしあの山本さんが事務次官をやっていた時分に秘書官をしていた高岩迪資という人がおる。その人がどうも暗躍したらしいといううわさが飛んでおるのでございますが、高岩迪資という人はどういう人か。官房長、何で建設省で秘書官までしていた人がやめたのか、そしていま何をしているかということですね。それをひとつお教え願いたい。
  77. 鶴海良一郎

    ○鶴海政府委員 高岩君の件でありますが、高岩君は秘書官ではなくて建設省の官房の人事課で補佐をやっておりました。事実山本次官当時、次官の秘書的な仕事もやっておったようでございます。おやめになりましたのは、山本前次官及び平井学官房長の両名に関します選挙資金の授受問題で、起訴になるかならぬかというふうな事件がございまして、その際高岩君はやめております。
  78. 岡本隆一

    ○岡本(隆)委員 平井さんがやめたのは、いわゆる東京都内の橋梁汚職といわれておる一連の汚職事件で、山本幸雄君の選挙資金をつくるために業者から金を集めて回って、そのことのためにやめた、こういうふうなことを聞いておりますが、いま何をしておりますか。
  79. 鶴海良一郎

    ○鶴海政府委員 詳しいことは知りませんが、高岩君は間組につとめておるというふうに聞いております。
  80. 岡本隆一

    ○岡本(隆)委員 それから佐藤さんの秘書の大津という人がいる。その人が始終建設省に出入りしておった。最近その人が佐藤さんの秘書をやめたということを聞いておるのでありますが、これはそういうことの事実をあなたは知っておられるかどうか、それからやめたということもあなたは御存じですか。
  81. 鶴海良一郎

    ○鶴海政府委員 大津さんが建設省にしばしば見えたというお話でございますが、私は建設省内でお会いしたことはございません。廊下でお見受けしたこともございません。おやめになったという話は聞いております。しかしどういういきさつでおやめになったか、全然承知いたしておりません。
  82. 岡本隆一

    ○岡本(隆)委員 これは間組に入っておる高岩という人物や大津という佐藤総理の秘書が一緒になってこの工事が間組に落ちるようにいろいろ努力した。そしてさっきの入札なんか見ましても、最初の第一回の入札は二十四億台で、ずらっとわずかな差で並んでいます。それは綿密に計算したらそういうことになるのかもしれませんけれども、そして六回目、最後の入札では二十億台でずらっと並んで、一千万から五百万の差で間組に落ちた。これは競争入札だったらもうちょっと、二十億に気はれるのなら最初から——これだけの大きな工事の入札をとるかとらぬかという勝負でございましたら、最初に二十四億に入れるところもあれば二十億に入れるところもある。二十一億に入れるところもある。それくらいのがんばりがきくものなら、最初からおれのところでとってやろうと思ったら、それくらいの札を入れる者がなくちゃうそだと思うのです。それを最初からずらっとそんなきれいな入札、まるで最初あらかじめ予行演習やっておってその上で勝負したというような勝負で、いかさま八百長のにおいふんぷんです。こういうような八百長のにおいふんぷんたるところの入札が非常な大工事といわれておるダム建設に行なわれているということ自体、私どもふしぎに思うのでございます。そうしますと、何かそういうようなことについて佐藤総理や——そうなってくるとけさもある私の先輩議員とエレベーターが一緒で、私が建設委員だということを知っています。しかし私が建設委員やということを知っていても、建設大臣だれやら知らぬ。建設大臣だれや、西村さんやとぼくが言ったら、ああ佐藤総理の金庫番か、こういうことでございました。佐藤総理が自分の金庫番を建設大臣に据えた。そこにこの工事をめぐって、前の山本幸雄君——これは河野派でしたが、とにかく山本幸雄君の、前の建設の事務次官の息のかかっておるのが間組に入っており、佐藤さんの秘書が一緒になって仕事をすれば、西村建設大臣も痛くない腹を探られなければならぬような妙なうわさが飛ぶ、こういうふうなことでございます。したがって、やはりこういう不明朗なうわさが飛ぶこと自体——揣摩憶測いろいろあるでしょうが、こういうこと自体私は非常に残念に思いますので、これから後はそういう不明朗なうわさが飛ぶようなことはなさらないで、もうちょっと水資源にやらすなら最初から水資源でやりなさい、こういうことで請負は水資源でやりなさい、こういうことでしていただきたいと思います。  そこでもう一つお尋ねしておきたいのでありますが、これは計画局長の所管じゃないかと思いますが、土木建設協会というのがあって、大手建設業者がつくっている組織だそうでございます。これに合理化委員会というのがあるそうでございますが、御承知ですか。
  83. 志村清一

    志村政府委員 そのようなものがあるように聞いております。
  84. 岡本隆一

    ○岡本(隆)委員 この合理化委員会というのは何をしておりますか。どういうことをやっていますか。
  85. 志村清一

    志村政府委員 土木工業協会の委員会、最近いろいろな委員会ができまして、非常に活発に動き出しております。たとえば労務問題とかあるいは自由化に対応する問題とかいろいろやっておりますが、合理化委員会自身がどういう仕事をしておるか、私自身も具体には承知いたしておりません。
  86. 岡本隆一

    ○岡本(隆)委員 この合理化委員会というのは、それはなるほど機械化をもっと進めるとかいろいろ建設業にも合理化の問題はあると思うのです。しかしながら、現実の問題として、これはここで話し合いをしてそれでもって順番につまり請負の契約の合理化をやっておる、こういうことです。請負契約の合理化をやっている。だから言いかえると、大体ことし出るあるいは来年予想される仕事はこれだけある、それを合理的に配分しようじゃないか、そしてあんまりひどい競争をやらぬようにしようじゃないかというふうな合理化を盛んにやっておる。こういうことのようにわれわれの耳に入っておる。そして工事が落札されたらその千分の一をその合理化委員会か協会かどちらかしりませんが寄付をするということになっております。そうすると、一千億年間大手業者で扱うとすれば、一億の資金が集まるわけですな。その資金がいろいろまたその業者団体が政治資金その他に使う、こういうふうなことにもなってくる。だから、そういたしますと、この合理化委員会というのは、言いかえますと、どれだけうまいこと談合をやってどれだけごつう荒かせぎするか、こういうふうな委員会ともとれないことはない。だからそういう点、業者指導に当たっておられる計画局でもあるいはまた同時に建設省全体として、やはり自由なる競争というもので、公正な競争というものをやってもらって、できるだけ国費の節約をはかるということをしていただかないと、いま申しましたように、今度の落札は——九頭竜のときには高いところに落ちたということで、九頭竜の川は低いほうへ流れるけれども、水は低いほうに流れるけれども札は高いほうに流れるのだ、こういうふうなうわさが飛びました。今度はいまの建設省からの御説明によりますと、さすがにゆるやかながら、非常に勾配はない。ほとんどない。勾配は非常になかったが、まあまあ低いほうへは札は流れましたから、そういう意味での疑惑は出てまいりません。しかしながら札が、あまり勾配が低過ぎたから、今度は非常にじょうずな合理化が行なわれた、こういうふうなまた疑惑が出てまいります。だからそういう点、今後もしこういう——もしというよりも、この合理化委員会というものがそういうことをやっておるとするならば、これは十分あなたのほうでそういう行為ができないような規制をしていただかなければならないと思います。同時にまた一面ではこの入札につきまして、やはりそれぞれの機関というものを尊重していただいて、水資源にやらせるなら水資源にちゃんとそういうなにもやらせる、どこまでもやらせるというふうな形で国民に疑惑を持たせないように、また黒いうわさが立たないように御注意をお願いいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。しかし大臣から何か特に弁明しておきたいと思われることがあれば、お聞かせ願いたいと思います。
  87. 西村英一

    西村国務大臣 実はたいへんいろいろ御注意をいただいたのですが、むしろ私自身はほめられやせんかしらんと思っておった。と申しますのは、私は私の責任を尽くしたのです。これは、そういうことをやらないなら水資源に引き継いで、あれは関係なかったんだ、あれは水資源でやったんだから、こう逃げればもっと楽なんです。しかし私は、自分のところの予算もついておったし、やはり自分のところでやるだけはやらなければ済まぬから、それだからして——ただ残念なことは、引き継ぐのは四月一日で、入札をきめたのがとことんになったわけです。それだけは、選挙等もあったので、手が足りなかった。その点は非常に不手ぎわであったのです。しかし責任は尽くしたのです。そこでわれわれの立場としては、大きな工事になれば請負についてみな何だかんだいろいろなところから陳情を受けるのです。しかし前に九頭竜の問題があったことも私は知っております。したがいまして、非常な注意を払いつつ私はやったのです。しかしいろいろなことがあったでしょう。だからあなたのお耳にもああだこうだということが入ってくるのだと思います。しかしながら、業者には業者のまた秩序、話し合いというものがあって、かりにあなたが業者であり私も業者であったら、やはり毎日会うておることだから、君、この工事はこの前君がとったから今度はおれにくれよというような何らか話し合い等が全然ないということは私は言いません。けれども、あくまで、われわれとしては公式に指名された人のだれがとってもそれは悔いないようにやらなければならぬのでありまして、十分注意はいたしますが、私が佐藤派であって佐藤の金庫番をするようなこともおっしゃいましたが、私はいまそういうような立場ではありません。私が自民党の経理局長であったならば、それは自民党のためにいろいろそのほうはしたけれども、いまはそういう役ではありません。ありませんから、政府の金を使う以上は最も安く最も工事がうまくできるように——安いだけがやはり能ではありません、ダンピングする場合もありますから。そういった場合は、ダンピングすればその人にいくことになっております。しかしそれも必ずしも好むことではありません。やはり秩序を守りつつ、また国費を有効に使うように、あなたの御注意もありますから、十分注意していきたいと思いますが、今回は私は多少ほめられてもいいと思うことをやりましたので、ちょっと弁解といいますか弁明をするだけで、今後ますます注意はいたすつもりでございます。
  88. 森下國雄

    森下委員長 勝澤芳雄君から関連質問の申し出があります。これを許可します。
  89. 勝澤芳雄

    勝澤委員 簡単にお尋ねいたしますが、大臣からでなくて局長のほうから——水資源にやらせるべきだ、建設省でやっておるのはおかしいじゃないか、私は聞いていてそんな気がするわけですけれども大臣でなくて、事務的にあなたのほうから、建設省でやって水資源に移した、なぜかという点を簡単でいいですから御説明願いたい。
  90. 古賀雷四郎

    ○古賀政府委員 早明浦ダムは御承知のように四国各県の水利用の問題でいろいろもめまして、非常にまとまらなかったわけでございます。われわれ、このダムは四国開発基本となるものでありますので、これはぜひ解決しなければならぬということで、特にここにおられます四国開発委員会委員長をされました廣瀬先生の御尽力もありましてようやく水利用関係がまとまった。これはたぶん去年の六月ごろだったと思います。そこで負担の問題等もございまして、それらもそれぞれ解決いたしましてようやく発足できる段階になったわけです。それでその間われわれといたしましては、建設省には二十七億の事業費と国庫債務負担行為二十七億、合計五十四億の予算がことしついております。その二十七億のうちには本体工事契約分の予算がついております。したがいまして、われわれは事務的に考えまして、当然建設省でやるべき仕事であるということからことしになっているわけです。特に、ことしわれわれの段階でやらないと十月から渇水期を利用して工事するということが非常に不可能になる。というのは、水資源公団に移した場合、機構の移動あるいは人員の異動あるいは機構の変更、いろいろございますので、従来からの例を見てみますとかなりおくれております。したがいまして予定工期に早明浦ダムを達成するためにはどうしても十月に工事をやらなければいかぬ、現実に工事にかからなければいかぬ。そうすると、どうしても三月に入札しまして諸準備を整えてやっていかなければならぬというふうに考えております。したがいまして、われわれは事務的には早明浦ダムを建設省で発注することについて全然異議を持っておりません。
  91. 勝澤芳雄

    勝澤委員 いま私、ここで聞いただけで疑問を持ったわけでありまして、いまの御説明でもまだ少し疑問が残るわけです。しかし、ここで解明しようというのは無理でありますから、あとで私その経過について御説明を願いたいと思います。  それで次に質問いたしますが、この入札は一札入札をやったのですか、それとも経理別にこまかな明細が出されているのですか。それはこういうことなんです。九頭竜川の入札があります、九頭竜川の入札というのは総経費が幾ら、関連費が幾ら、何が幾ら、何が幾らと費目別にして合計幾ら、それで入札になっているわけです。だから、あとで合わせてみますと、どこの経費をどの社は節約したためにどこが落札したんだという経過が出ているわけなんです。ですから、この場合は一札で二十億幾ら、こうなっておるのですか、その点をひとつお聞きいたしたい。
  92. 古賀雷四郎

    ○古賀政府委員 総額で最低に落ちたわけでございます。そのあと契約した後に内訳書というのが出ます。
  93. 勝澤芳雄

    勝澤委員 わかりました。  それから次に、予定価格は幾らだったんですか。
  94. 古賀雷四郎

    ○古賀政府委員 予定価格は地方建設局長がみずからつくっておりますので、これはまだ聞いておりません。
  95. 勝澤芳雄

    勝澤委員 そうすると、予定価格は地方建設局長がつくったというと、地方建設局長のところで一切がっさい設計見積もりは全部やったわけですね。入札事務だけ建設省でやったんですか、それはどこでやったんですか。
  96. 古賀雷四郎

    ○古賀政府委員 入札から契約に至るまで全部地建でやりました。設計書の作成もやりました。
  97. 勝澤芳雄

    勝澤委員 そうすると、業者の選定も当然地建でやったということですね。
  98. 古賀雷四郎

    ○古賀政府委員 当然地建でやりまして、地建から大きいものにつきましては大臣の承認を得てやるようになっております。
  99. 勝澤芳雄

    勝澤委員 これはいつか河野さんが大臣になられて、何億以上は大臣というふうにきめられた話を前に聞いておりましたから……。  それで水資源にちょっとお尋ねしたいんですが、ロアリミットというのはダム工事で水資源に適用しているのですか。
  100. 柴田達夫

    柴田参考人 私の公団ではやっております。
  101. 勝澤芳雄

    勝澤委員 たとえば、いま問題になっておるこの早明浦ダムのような場合には、ロアリミットというのは水資源がやる場合においては適用しなければならないように思うのですが、いかがですか。
  102. 柴田達夫

    柴田参考人 これは建設省でやりましたから関係ございませんが、もしわが水資源公団でやります場合には、もちろん最低価格制度というものは適用してやるという仕組みにはいたしております。
  103. 勝澤芳雄

    勝澤委員 これは私も、あるいは建設省のほうでもそうだと思うのですけれども、九頭竜川ダムのときにはロアリミットがあったわけであります。ロアリミットがあったから予定価格を業者が知るために暗躍したと私は思うのです。石川達三さんの推理小説を見ても、われわれが研究したところによっても、予定価格が幾らということがあの場合業者として一番大きな問題だと思うのです。しかし、ロアリミット制度というものがない今度のような入札ですと、これは話がつきさえすれば、幾らで上から落としていこうか、三回で落ちるか、あるいは五回で落ちるか、あるいは今回のような六回で落ちるかということになる。だからその場合に問題になるのは、予定価格というものがほんとうに適正妥当なものであるかどうかということしかないと思う、どっちがいいか悪いかは別として。業者が同じ生存競争をしておる場合には、話し合いをするということも否定できないと思う。しかし公正妥当な——それがいま市場価格で一番適正な価格であるということになるならば、しっかりした工事ができると思う。そういう点で、この入札の経過の中から見れば、建設省がやったからこうなった、しかしロアリミットという制度でやったら入札の数字はよほど変わっておったと思う。そういう点で九頭竜川というのが入札の方法として一つのいい問題を提起されたわけであるが、建設省が今度やった入札の方法というのはいままでと同じ入札でありますから、その場合は予定価格を業者は知るということについてはあまり知る必要がないわけであります。上からずっと落としていけばいい。そういう点からひとつ検討していただいて、予定価格をつくる基礎というものを、どう公正な予定価格にするかという点で建設省としてはこれを十分研究してもらいたい。これは私も会計検査院なんかと相談しながら、何とかいい方法はないだろうか、たたき合いにならずに、あるいは指名入札がいいのか競争入札がいいのか議論はともかくとして、とにかく正しい予算というものをどうしてつくるかということが一番中心だと思う。そういう点でぜひこの問題について検討をわずらわし、結論的に言うならば、水資源でやった場合にはロアリミットという制度が採用された、しかし建設省がやったらロアリミットというのはとにかくつくられなかったという差異が出てきたと思う。あとでこれは別の機会に御説明を聞いて研究させてもらおうと思う。  以上で終わります。
  104. 西村英一

    西村国務大臣 勝澤さんずいぶん調べておるから十分わかっておることと思いますが、やり方が非常にたくさんあるのです。あるところは建設大臣としても予定価格を密封してもらって、請負人の指名を密封してもらってやるやり方があります。しかし建設省はそうではなしに、工事の全部は地建にまかせておる。その中で大工事の指名人だけを建設大臣が見たいという方法であまり無理はないが、地方だけにまかせると非常に地方的な圧力を加えられ、そういうことでチェックしておるようであります。したがいまして、いま言いましたロアリミットもあるところもあればないところもある。これはほかの国鉄とかあるいは電電であるとか、いろいろやり方は違うわけであります。しかしいまあなたがおっしゃいましたように適正にやるということにつきまして十分今後は検討していきたい、かように思っておる次第でございます。
  105. 森下國雄

    森下委員長 工藤良平君の関連質問を許します。
  106. 工藤良平

    ○工藤委員 ダムの問題につきまして、関連をいたしましてお聞きをいたしたいと思います。  下筌・松原ダム建設に関する基本計画の変更について近く公示をされるというお話を聞いておるわけでありますけれども基本計画変更のおもな内容はどういうものか、お聞きをいたしたいと思います。
  107. 古賀雷四郎

    ○古賀政府委員 下筌ダム及び松原ダムの建設に関する基本計画は、昭和三十八年十一月二十日建設省告示の第二八八三号によって告示されております。事業の進行に伴い事業費の増加が明らかになりました。さらに発電事業者から発電計画の変更の申し出がありました。これが妥当と認められましたので、今回基本計画を変更しようというふうに考えております。
  108. 工藤良平

    ○工藤委員 そうしますと、基本計画のおもな変更は、当初百十七億八千万という計画は二百二十億に大きくなった、こういうことのようでございますが、そのほかに工期の一年間延長、それからいまお話しの高取発電を柳又に変える、こういうような内容のようでございますが、そういうことでございますか。
  109. 古賀雷四郎

    ○古賀政府委員 さようでございます。
  110. 工藤良平

    ○工藤委員 そういたしますと、大幅変更のおもな原因というのはどういうことになりますか。
  111. 古賀雷四郎

    ○古賀政府委員 大幅な変更の問題は、先ほど御指摘がありましたように、三十八年の基本計画をつくった当時におきまして、百十七億八千万という数字が二百二十億に変わったということが一つの原因である。それから、先ほど御指摘もありましたが、発電計画の一部が変わったということがおもな内容でございます。特に用地補償費等につきまして、旧事業費が四十二億程度でございましたが、これはいろいろなその後の物価の上昇、予算の積算等におきまして百億近く、百億になっておるというような点、あるいは工事費が、これの積算が三十三年当時の建設物価で積算されております。したがいまして、工事費が五十八億くらいから九十二億程度に上がったというような内容が、事業費の変更のおもな問題でございます。したがいまして、百十七億八千万が二百二十億になっております。そういう点で、事業費の変更を基本計画で示すということと、もう一つは発電の計画は従来にかわりまして発電所の位置を変更することによりましてさらに落差を利用できることになって、有効利用をはかれる。もちろんその間におきまして三隈川とか三隈川の流量及び水位の変動等を緩和していくという河川管理上の好ましい要件もございます。そういう点において基本計画の変更を行なっていくという考え方でございます。
  112. 工藤良平

    ○工藤委員 まず事業費の大幅な増加、大体基本計画からいたしますと一・七倍にふえているわけでありますが、もちろんこれは三十三年の事業認定の物価を基準にいたしまして三十八年の基本計画ができていた。もちろん現在はもうすでに四十二年度でありますから、ずいぶん物価が上昇したということはある程度どもも了承できるわけでありますが、特にその中で工事費の増加のおもな原因が、特に下筌ダムがアーチ式ダムである、こういうことから、当初の事業認定の内容を見ましても、アーチ式ダムに最適であるというような大体判断をいたしましてこの計画というのが組まれているようでありますけれども、実際に現実にいま私どもがそこを通ってみましても、ダムサイト地点の岩盤というのは決してよくない。当初の計画から相当大きな違いが出てきて、現在では地質の置きかえまで行なわれている、こういうような状態を聞くわけでありますが、その点についてお伺いしたい。
  113. 古賀雷四郎

    ○古賀政府委員 アーチダムにつきましては特に地形上あの地点が非常に狭まりまして非常にかっこうがいい。それから特に両岸の岩盤が比較的いいということで、実は私も筑後川の松原・下筌ダム、その上の川畑堰堤等を調査したことがございます。その段階ですでにアーチダムが考えられておりまして、現実におきまして掘さくしてみてアーチダムに適すると考えております。地質を置きかえておると申しますのは、各ダムにつきましては地質の処理をやるわけでございまして、たとえばグラウト等をやりまして基礎地盤並びにサイドの地盤を十分固めてやるというのが一般ダムの原則でございます。したがいまして特にアーチダムにつきましてはサイド部分の圧力に対抗するために地質を固めるということは当然な処理でございまして、これらをやってダムを完成していくようにしたいというように思っております。
  114. 工藤良平

    ○工藤委員 なおこれらの問題については後ほど詳しくまたお聞きしたいと思いますけれども、次に補償の問題について。  補償費が大体二・七倍になっているわけでありますが、これは後ほど出されます土地収用法等の関係もありますので、後日その点についてはさらに詳細お聞きしたいと思いますけれども、さらに一つだけ、補償費が非常に大幅にふえた。これは地方の新聞によりますと、大体当初三百四十世帯くらいの予定になっておりましたところが、四百八十四世帯というようにふえた。百数十戸の増加を示しておりますけれども、これらについてはやはり当初の調査段階において非常にずさんな調査が行なわれたのではないか。農村部の場合にそんなに大きな流動はありませんし、農家戸数がふえるということもほとんどないわけでありますけれども、そのような大きな誤差が生じたというのは一体どういうことなのか、その点お聞きしたいと思います。
  115. 古賀雷四郎

    ○古賀政府委員 調査段階でいろいろ調査しておりますのは相当詳しく調べるわけでございますが、末端の処理付近におきまして、やはり堆砂の影響の問題とか洪水のバックウォーター現象とか、そういったものをかなり精密に調べる必要がある、そういうことで若干増加を来たしたものと考えられます。なお詳しいことにつきましては、私手元に資料がございませんので、調査しまして後ほど御報告したいと思います。
  116. 工藤良平

    ○工藤委員 詳細については後ほど機会をいただきまして——この補償の問題はダム建設につきましては最も重要な問題でありますので、ぜひ機会をいただきたい、こういうように考えて、さらに追及をいたしたいと思います。  それからいま一つお伺いをいたしますのは、今度のこの計画変更にあたりまして、これは多目的ダム法に基づいて知事の意見を求めるということになっておるわけでありますが、これについて各県の意見がどのようになっておるか、おわかりになればお伺いしたい。
  117. 古賀雷四郎

    ○古賀政府委員 多目的ダムの基本計画をきめるに際しましては、関係各省並びに各都道府県知事、関係府県知事につきまして意見を求めるわけです。ただいまのところ佐賀県知事と大分県知事からは意見が来ております。佐賀県につきましては別に問題はございません。大分県知事から下流の未利用水につきましてお話があっております。未利用水の確保についての要望があっております。それから関係各省につきましては全部意見がまいっております。
  118. 工藤良平

    ○工藤委員 この計画変更の中で大分県が意見として出しておりますのは、特に発電所の場所が高取から柳又に変わった。したがって、当初の基本計画では日田市の上流に放水をされておりましたのが、日田市の下流にこの柳又発電所に変更することによって放水をする、こういうことになっております。水郷とうたわれてまいりましたので、日田市民にとりましてはたいへん重大な問題である。ここに廣瀬先生もお見えでありますけれども、そういうことで、日田市長といたしましても、ぜひこの問題については当初の計画どおり実施をしていただきたいという意見が強いわけなんです。この知事の意見というものが一体どの程度尊重されるのか、きわめて重大な問題でありますので、その点についてちょっと御意見を聞きたいと思います。
  119. 古賀雷四郎

    ○古賀政府委員 知事の御意見につきまして、まだ具体的に話を聞いておりません。したがいまして、今後それらのお話を十分聞きまして、私も存じておりますが、特に日田の観光用水等につきましては、格別の配慮を払わないと日田市そのものの存在価値が非常になくなります。その点につきましては万遺漏のないように期したいと思っております。もちろん柳又発電所検討の段階におきまして、十分下流の水量その他につきましては、従来の資料から私検討いたしておりまして、もしも万一、そういうことはないと思いますが、万一起こった場合には適時放流をいたしましてその処置をいたしたいというふうに考えております。
  120. 工藤良平

    ○工藤委員 適宜放流をされるということなんでございまして、これは後ほど、たいへん問題が、ただいまの発言についてはありますので、私追及をいたしたいと思いますが、この当初計画をしておりました基本計画が、発電所を変えることによって非常に大幅に変わってくるわけであります。この下筌・松原ダムというのは本来二十八年災に基づいた筑後川下流の災害を防止するということで出発してまいりました。久世畑に防災ダムをつくるというのが逐次多目的ダムに変わり、今度の計画変更の内容を見ますと、ほとんど発電を目的としたダムに変わってきつつあるということを私たち指摘せざるを得ないわけであります。したがって、当初の基本計画であればまあまあということであって、地域の人たちもやむを得ないという立場をとってきたけれども、このように変更をされて大量の、六十八トンというばく大な水が、ほとんど三分の二以上の水が下流地域に放流をされるというに至ってはいまのように適宜放流をして便宜をはかるということでは、地域の住民にとりましてはたいへん重大な問題であります。この点についてはもう少し明確な御答弁をいただいておきたいと思います。
  121. 古賀雷四郎

    ○古賀政府委員 六十八トンというものは豊水時に放水するわけでございまして、渇水期その他水のない時におきましては二十トンを女子畑発電所を通じまして日田に流すようにしてあります。したがいまして、先ほど御懸念のあるようなお話はないと私らは信じております。
  122. 工藤良平

    ○工藤委員 関連でありますからこの程度にしておきたいと思いますが、非常に大きな問題を幾つか残しておりまして、問題は未解決でありますから、これは後日あらためて詳細に検討してこの場で論争いたしたいと思います。
  123. 森下國雄

    森下委員長 住宅融資保険法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。  この際おはかりいたします。  本案審査のため、本日農林中央金庫理事安井三郎君及び山本省三君を参考人として御出席をお願いし、意見を聴取することにいたしたいと存じますが、御異議はございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  124. 森下國雄

    森下委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  この際参考人として御出席になりました御両氏にお願いいたします。  住宅融資保険法の一部を改正する法律案審査のため本日の当委員会に御出席をいただき、御意見を聴取いたしたく、理事長並びに担当理事の御出席方をあらかじめ御依頼申し上げたのでありますが、本日の御出席について十分御協力をいただけなかったのはまことに遺憾に存じます。  今後当委員会において御出席をお願いいたしました際は、極力御協力をいただきたいと存じます。  質疑の通告がありますので、これを許します。石川次夫君。
  125. 石川次夫

    ○石川委員 実は一般質問の中でいろいろ質問をしたしことがたくさんあったのですが たとえば集中化する都市政策としてたいへん政府としてはポーズの上では熱意を示しておるようではあるけれども、財政の裏づけなり、予算の面から見ると、逆行ではないかという点を実は質問をしたかったのであります。それから基本的な都市政策というものが確立をされておらないという問題、あるいはまた河川をきれいにするというのは国民のたいへん切なる要望でありますけれども建設省でBOD4PPMにするということに対する各省からの反発があってこれはなかなかきまらぬ、こういう点を何とか推進しなければならぬという問題もあるわけでありますが、関連する法案がそれぞれ出るようでありますから、きょうは住宅融資保険法の一部改正法案だけが住宅に関する法案のようでありますから、この住宅関係する分だけについて質問をしたいと思っております。  そこで、先ほどの質疑応答の中でちょっと一つだけ感じたことがありますので、要望として申し上げておきたいのでありますが、地価対策というのはこれはたいへん重要な問題で、国民が非常に関心を持っております。ところがこの地価対策に関係する対策としては なかなか複雑な問題があって、相当な勇気を持って対処しなければならぬと思いますけれども、この中で、この前瀬戸山さんから、私かつてこの建設委員会に籍を置きましたときに、土地商品ではないというアイデアが出まして、これは一つの前進ではないかと思っておったわけでありますが、ところが、今度きょうの質疑応答の中で、特殊な商品であるという新たな新語が生まれたわけでありますけれども、私はこれは一つの後退ではないかと思うのです、そういう考え方一つの後退ではないか。ということは、土地商品ではないといっても、現実土地というものは取引をされるわけでありますから、これはやはり観念として商品ではないという考え方になってもらいたいという精神教育のようなものを多分に持っておったのが、土地商品ではないという発言として瀬戸山建設大臣から出されたのではないか、こう思うのです。そうなりますというと、特殊な商品だというと、非常にぼけてしまいまして、商品なのかという印象のほうが先に立つのではないか、これは一歩後退ではないか。ですから、これは建設大臣としては私は商品ではないというのを一歩後退さしたきょうの発言として非常に残念だと思うのです。私はこの地価の問題あるいは土地の問題というのは、われわれの側から言わせるというと、商品ではないということから百尺竿頭一歩を進めまして、やはり土地国土なんだ。これはイギリスあたりではキングスランドという観念があるようでありますが、そう言ってもなかなかそうはいかぬ面がある。憲法でも私有財産というものは保障されておるという面はありますけれども、その考え方基本を国民に植えつけるという点では、ごね得をなくするという意味も含めて、土地国土であるという観念を植えつけることのほうが、商品ではないということを一歩前進した考え方ではないか、こう思っておったのでありますが、はからずもきょうは特殊な商品であるということで、一歩後退したような印象を受け取って私は非常に残念だと思う。これはあとで土地収用法の法案も出ますから、そのときに関連をする地価対策の問題について意見を申し上げたいと思っておりますけれども、きょうはまず住宅の問題に関係して、時間がたいへん経過したようでありますから、私も簡単に質問いたしますから、簡単に御答弁いただきたいと思います。  まず第一は、河野さんが建設大臣のときに一問一答の形で徹底的にやりましたのは、大体住宅というのは個人に帰属するものだ、あるいはまたこれは公的な、福祉機関というと語弊がありますけれども、公的な機関だ、こういう点での議論が行なわれたわけです。そのとき河野さんはこうおっしゃっておりました。住宅というものはやはり自分でつくって自分の住みよいようにしなければならぬのだ、これはやはり個人に帰属するものであって、国はそれをお手伝いするだけだ、したがって、土地の確保などは大いに手伝ってあげますけれども、あくまでも住宅というものは自分がつくるというのが基本でなければならぬ、こういう考え方のようでありましたので、私は、それはちょっと同じ自由主義経済をたてまえとする先進国、ヨーロッパあるいはアメリカなんかとも考え方が食い違っておるじゃないか、これは公的な機関なんだ。詳しいことは申し上げませんけれども、そういう点で、河野さんもどうやら任期の最後のころには、完全な個人に帰属するものだという考え方ではなくて、やはり一種の公的な機関だというふうにお認めになったように思うわけです。御承知のように、もはや戦後ではないということばが出ましてから相当たっておりますけれども、まあ衣食のほうはどうやら戦後ではないと思うのですが、御承知のように、住宅というものだけはまだまだ戦後の域を脱しておらない。これは都市集中が非常に進んだというふうなこと、あるいはまた世帯が非常に細分化される方向にいっておるというような特殊な事情がありましたにしても、そういう状況を見通して、それに対応しきれなかった政策というものの貧困から生まれたものだというふうに思いますけれども、とにもかくにも、この住宅というものは個人に帰属するものであるか、あるいは公的な機関に類するものであるというふうな考え方で対処する——公的機関というと語弊があると思いますけれども、そういう考え方基本をまず建設大臣から伺いたいと思うのです。
  126. 西村英一

    西村国務大臣 非常にむずかしい点でございまして、議論のあるところでございます。それは人間の生活そのものの、昔からのずっとさかのぼった生き方から論ずる場合と、現実の現在の点から論ずる場合とで非常に違うのでございまして、住居は個人に帰属すべきものであるか、そうではなしに、ほんとうの意味の公的なものであるかということは議論のあるところでございまして、私は、いま的確にどちらだ、こう言うだけの自信を持っておりません。持っておりませんが、現状から推察いたしますと、この住居に対する考え方もだんだん違いまして、公的な点についての考え方が非常に強いのでございまして、しかし、それだから全然公的なものであるというふうにも言い切れるわけでもございません。そういうことをまあ申し上げる程度にしか私はいま考えがまとまっていない。これは個人のものであるというように言い切るわけにもいかない。しかし、それは住居というものは、全部公的なもので個人のものじゃないんだ、個人に帰属すべきものじゃない、国家が全部これを公的に用意すべきものであるとも言い切れない、私は、かように、あいまいでございますけれども、その程度にしか現在は言えません。
  127. 石川次夫

    ○石川委員 その議論はあとにいたしましょう。きょうは時間がありませんから、質疑応答だけで先へどんどん進んでいきます。  先ほど公明党の小川委員のほうから質問がありましたけれども住宅省をつくるという問題についての御答弁は伺いました。私は、住宅というのはいま言ったように、もはや戦後ではないということから取り残されたたった一つの戦後であるという意味で、非常に住民が難渋しておるという問題でありますから、やはり住宅省をつくるだけの価値はあると思う。しかし、私は、それよりも住宅が非常に困窮をしておる根幹は一体何かというと、先ほど申し上げましたように、土地をどう確保するかという問題、あるいは地価対策をどうするかという問題、これがやはり基本になっておると思うのです。そこで、一番建設省で困っておられる問題は、建設省だけで地価対策は十分に対処しきれない。内閣全体が相当の力を持って総合的にこれを決断していかなければならぬという場合が非常に多いのではないか。こういう点で、私は、住宅省の必要性もさることながら、それ以前の問題として、それだけの国土開発ができ、あるいは住宅問題解決のための土地政策の基本をきめる力を持つところの国土省をつくることのほうが先決ではないか、こういうふうに考えておるわけです。ところが、新聞なんかで散見されるところによりますと、何でも建設省はちょっと仕事が多過ぎるといいますか、大き過ぎるといいますか、そういう点で、国土省と住宅省と分けようという案が出ておるやにも聞いておるわけであります。そういうふうな新聞に出ておるような問題が、内閣でもっていわゆる論議の対象になっておるのかどうか、またそれに対して内閣ではどう考えておるか。もし内閣でそういうものが対象として取り上げられておらないとすれば、建設大臣はどうお考えになっておるか、これをちょっと伺いたいと思うのです。
  128. 西村英一

    西村国務大臣 まだ閣議で議題になってこれを話し合ったこともございませんし、また詰めた考え方も持っておりません。持っておりませんが、さいぜんも申しましたように、現在の社会情勢の変化、ことに都市化の問題、都市問題等を含めまして、いま言いましたような新しい建設省をさらに新しい観点で考え直す必要があるのじゃないかというようなことについては、これは建設省のみならず総理もやはり考えておられるようでございますから、むしろ今後の問題であろう、かように考えております。
  129. 石川次夫

    ○石川委員 念のためにいまの問題について伺いますけれども考えられておる基本は、私がいま言いましたように、経済企画庁あたりはしょっちゅう競合というか、意見の食い違いがある。そういう意見の食い違いというものを総合的に、権力を集中すると言っては語弊がありますけれども土地の政策の問題なんかは、国土省というようなものをつくって、全面的に掌握をする。国土開発計画についても掌握をしていく。机上のプランだけでなくて、実行面でも指揮をするという力を持つという意味での一つ国土省的な考え方というものが一つあるのかどうか。それと別に、実際の行動、実働部隊としての土地局あるいは住宅局というものを含めた住宅省というものをつくる、こういう考え方は私たちは一応うなずける、そういう考え方基本にあるのかどうか。そこまでもいっていないで、ただともかく何とか分けるということも一つ考えられるという段階なのかどうか、その点も念のために聞いておきます。
  130. 西村英一

    西村国務大臣 今度の都市計画法の焦点になるのも、土地の利用を確立するという場合、大体そういうことになると、やはり市街地にすべきところと市街地を遠慮してもらうというような土地利用計画をつくるということになりますと、むしろ経済企画庁との問題ではございませんで、農地との問題でございます。農林省との問題でございます。私は、現在の農地法はずいぶん古い昔に制定されておるので、だいぶんいまは農村問題にいたしましても、専業農家を育てるといたしましても、なかなか農地が手に入らぬ。一方は都市周辺における農地は遊んでおる。農地としての十分な効果をあげていないというようなことを考えますと、むしろ農地問題です。したがいまして、農地法をどうするか。また、したがって農林省がこの問題については最も関心を寄せておる問題でございます。国土省という、名前は別ですけれども国土省にすれば、現在の建設省と一体どこか違うようなやり方をするのかということが問題でありまして、そういうところはまだ全然いまのところでは閣議の議題にもなっておりませんし、むしろ来年度の予算を組む場合にこれは必ず議題にあがってくるものだと私は思いますので、何かひとつ十分御教示願うようなことがございましたら、この問題は十分御意見を聞いておきたいという気持ちを持っておりまして、いまの経済企画庁とは別に競合しておるような思想はいまのところありません。むしろ農林省、こういうふうに私は思っております。
  131. 石川次夫

    ○石川委員 いまの件はあらためてまた議論をしたいと思います。  それから住宅の問題で、住宅五ヵ年計画というものがありますが、これは住宅建設計画法の第四条によってつくられたもので、それによってことしの予算も設定をされたわけでありますけれども、一体この五ヵ年計画を実は私なりに読んでまいりますと、まだまだこれは改正しなければならぬ点がたくさんあるんじゃないか。内容が不十分だという点はこれから申し上げたいと思いますけれども、それでこれは四十一年度を初年度として五ヵ年計画ができておりますが、年度途中でこれまた不適当だということになれば改正できることになっておりましたかどうか、これをひとつ住宅局長に聞きたいのです。  それとあと一つは、地方住宅建設五カ年計画をやはり地方の意見を聞いてつくるということになっておりますけれども、これは吸い上げられてある程度まとまっておるのかどうかという、その現状住宅局長から伺いたいと思います。
  132. 三橋信一

    ○三橋政府委員 お尋ねが二点あると存じます。  第一点は、住宅建設計画法が不備ではないか、これを改正するのは計画年度の途中で適当かどうかというお尋ねが第一点と思います。これは四十一年の六月に法律としてできましたものでございまして、四十一年度から四十五年度までの五ヵ年計画をこの法律に基づいてつくっておるわけでございます。したがいまして、この五ヵ年計画と申しますのはエンドレスの五ヵ年計画でございます。と申しますのは、普通の五ヵ年計画は三年たったときに不十分だったらば新たな第二次五ヵ年計画をつくるという仕組みが普通の五ヵ年計画でございますけれども、この住宅の五ヵ年計画は、五ヵ年はそのまま持っていく、もちろん内容の変更はございますが、五ヵ年計画を途中で、三ヵ年でやって第二次に移すという仕組みにはなっておりません。そういうことで、御議論の焦点といたしましては、その内容の点についてのいろいろな御議論ということになって、したがって第二次五カ年計画をつくれという御議論にはちょっとこの法律からはならぬのではなかろうかというふうに考える次第でございます。  それから第二点は、地方計画でございます。地方計画はこの法律の第五条に基づきまして、すでに地方から意見も聞きましてつくってございます。ただ、今度これの下部の計画になります都道府県五ヵ年計画が必ずしもまだ熟しておらないという状況でございます。
  133. 石川次夫

    ○石川委員 そうしますと、住宅建設計画法第四条においてつくられた年度というものは変えられないけれども、内容を変えることは可能ですね。  それから地方住宅建設五ヵ年計画というのは、私が言ったのは中央でつくっている地方計画じゃなくて、地方でつくったものが積み重ねられてあるのかどうかということを聞いているのです。これはまだ不十分だということですか。
  134. 三橋信一

    ○三橋政府委員 ただいま御質問のは、都道府県住宅建設五ヵ年計画のお話だと思います。これはほとんどできておりますが、まだ完全に固まっておらない県が若干ございます。
  135. 石川次夫

    ○石川委員 それで、住宅計画の中で最低水準を、昭和四十五年を目標として二人、三人というようなのは九畳以上、あるいは四人以上というようなのは十二畳以上という目標を立てております。それから五ヵ年間に六百七十万戸をつくるということにして、持ち家住宅が三百三十五万戸、これは五割、それから借家が二百七十万戸で四割、給与住宅が六十五万戸で一割ということになっておるわけですが、この六百七十万戸を算定した基礎は私一応わかっておりますけれども、質問を進める順序として、簡潔に一応御説明いただいたほうがいいと思います。
  136. 三橋信一

    ○三橋政府委員 お答え申し上げます。  昭和四十五年度までの住宅建設の必要戸数をどう考えるかということでございますが、まず昭和三十八年度におきまして住宅統計調査を行ないました。これによりまして住宅のいわゆる不足戸数、要するに三十九年から四十五年までに建てる必要のある戸数がどのくらいあるかということを算定いたしますと、八百五十三万戸という数字が必要である。そこでまず昭和四十五年度末に普通世帯がどのくらいの数になるであろうかということを人口統計その他から考えまして、二千五百三十万世帯になるであろう。しかるに昭和三十八年度末の普通世帯の数は二千百五十万であります。したがいまして、この差が三百八十万戸ございます。これが昭和三十九年度から四十五年度までの普通世帯数の増加であるというふうに考えた次第でございます。  その次に、三十九年度から四十五年度に滅失する住宅がどのくらいあるか、それをどのくらい補充すればいいのかということを計算いたしました。これが百四十三万戸でございます。  それからさらに、住宅対策をいたしますに際しましては必要なあき家戸数というものを見る必要がある。そこで三十九年度から四十五年度までの必要なあき家の増加というものを五十二万戸、このように見込みまして、昭和三十九年度から四十五年度までに八百五十三万戸の住宅が要るであろうというふうに考えた次第でございます。  しかるに、三十九年度と四十年度におきまして再八十一万戸の住宅が建っております。したがいましてただいま申し上げました八百五十三万戸から百八十一万戸を引きました六百七十二万戸という数字が出るわけでございます。これをまるめまして六百七十万戸というふうに称しているわけでございます。
  137. 石川次夫

    ○石川委員 それで六百七十万戸という数字が出た根拠は一応御説明を伺ったわけですけれども、この六百七十万戸という根拠は、われわれとして多分に食い違っているところがあるのではなかろうかと思うところは、たとえば三十八年度末に二百七十八万戸不足している、こういう数字が出ているわけです。ところが住宅統計調査では、普通世帯が二千九十七万戸、これは昭和三十八年ですけれども、その中で同居世帯が六十万戸ある。一人平均二・五畳以下の狭隘な住宅が三百十万戸ある。それからさらに東京都だけで見ますというと、狭小でもって過密化して、どうしても直さなければならぬという戸数が五十五万戸ある。こういうものを総合して考えますというと、二百七十八万戸という数は少し少な過ぎるのではないか。二百七十八万戸の内訳を見ますと、狭少過密化した住宅の中で六割だけを計算してあるわけですね。政府姿勢としては、六割だけを満たしてあればそれでいいんだという考え方ではなくして、これを全面的にカバーしてやるのだという考え方に立つならば、六割が十割という計算をしても、私がいま申し上げた住宅統計調査の数字の結果から見ましても二百七十八万戸というのは私はちょっと見積もりが少な過ぎる、こういう見解を持っておるわけです。これは意見の食い違うところかもしれませんけれども、この点についてどう考えますか。
  138. 三橋信一

    ○三橋政府委員 ただいまのお尋ねでございますけれども、二百七十八万戸の推定戸数が少ないじゃないかというお尋ねでございます。  この二百七十八万戸の根拠といたしましては、老朽住宅につきましては八万戸を見ております。それから要大修理住宅、これの三割程度は早急にやらなくちゃいかぬということで三十四万戸を見ております。また狭小過密住宅の六割を見ておりまして、これが百八十三万戸でございます。そのほかに世帯数と住宅数、これはあき家を除きましたものの差、これを五十三万戸見ております。これで二百七十八万戸ということにいたしておりますが、お尋ねの点は、この狭小過密の居住住宅の六割を見ている点が少な過ぎるんじゃないかということでありますが、この時点におきまして狭小過密でございましても、そこから人間が出ていくということが当然考えられるであろう。そのときにおきまして、狭小過密のものをそのまま見る必要はないのではなかろうかということで、その六割だけがこの五カ年において見るべき数字ではなかろうかということで、この六割ということを出して、百八十三万戸という数字を出したわけでございますけれども、この六割については、これは六割がいいのか七割がいいのかいろいろ御議論のあるところだと思いますが、私どもは、ただいま申しましたような考え方で六割、百八十三万戸というふうに考えたわけでございます。
  139. 石川次夫

    ○石川委員 これも見解の違いがありますが、しかし、先ほど申し上げましたように、三十八年度末で、一人二・五畳以下が三百十万戸あるのですね。これだけ考えても、二百七十八万戸というのでは何か姿勢としては、取り組み方としては不十分ではないかという点を含めて、私は、二百七十八万世帯、こういう考え方がちょっと気魄に欠けているという感じがするわけです。この点はあとでまた、機会があったら検討したいと思っております。  それと、六百七十万戸というのは、これは一世帯三・八人という計算でやっておるわけですね。ところが、これは数字で、ずっとカーブを引いていきますと三・七人となるのが妥当だという見方が数字の上から出てくるわけです。これを三・七人とした場合には、六百七十万戸でなくて七百六十万戸になる。九十万戸ふやさなければならない。こういう点でどうも、七百六十万戸にしたんじゃ予算の編成上なかなか容易じゃないということで、三・七人にすべきものを三・八人とすることによって五カ年計画の帳じりを合わしたんだという見方も出ないことはない。これは、三・七人というのを三・八人にしたということは、都市集中というのが相当激しい現在の状況というものを、何とかこれを地方に分散させるという政策を行なうことによって都市集中化を避けて、緩和をさせて、そういうことでこれは三・八人で押えるのだというのが前提になっていると思うのです。しかし、実際問題としてはそうじゃない。最近の状態というのは、どんどん都市集中が行なわれている。日本の人口がふえている分は、いわゆる大都市あるいは大都市を含めた都市周辺に全部含まれて、地方は全然ふえていない。むしろ減っているのが実情なんですよ。そうなれば、やはり、都市集中を緩和させるための政治力をいかに用いても、現実の問題として非常に困難である。ということになれば、私は、やはり三・八人ではなくて、政策の効果というものを実際期待できないということを現実の問題としてとらえた上で三・七人として七百六十万戸、こうするのがほんとうに親切な、妥当な見通しではなかったか、こう思うのですが、どうですか。
  140. 三橋信一

    ○三橋政府委員 ただいまのお尋ねで三・八人はちょっと甘いんじゃないか、三・七人にすべきじゃないかというお話でございますけれども、過去の統計をいろいろ見てまいりますと、三十年におきましては一世帯の数が四・九七人になっております。それから三十五年度におきましては、四・五四人、さらに三十八年度の住宅統計調査の時点におきましては、四・二四人、それから国勢調査が行なわれました四十年度におきましては、四・〇五人ということになっております。したがいまして、これのトレンドをどういうふうに求めていくかということで三・七人になるか三・八人になるかということでございまして、私ども、確かに当初の要求といたしましてはできるだけ多く建てたいということで、まあ甘いほうと言うと語弊がございますけれども、三・七人ということで要求いたしました。それが結局七百六十万戸ということで要求いたしました。この間におきましていろい議論がございました。そこでいまのトレンドをどう延ばすかによって、将来においては、いろいろと開きが出てまいります。そこで結論としましては、三・八人というあたりがいろいろな統計からいって適当なところではなかろうかということで押えたわけでございます。これは実は将来の問題でございまして、三・八がいいのか、七がいいのか、私どもも実は確たる自信はございませんけれども、一応三・八というのが、ただいま申し上げましたことでトレンドの延ばし方いかんによって三・八にもなり、七にもなる。そこでむしろどちらかというと、財政的な関係もございまして、三・八というほうでこの計画が決定をされたというようないきさつでございます。
  141. 石川次夫

    ○石川委員 トレンドの延ばし方はいろいろあるのですよ。最近の情勢から見ると、やはり三・七人のほうがどうも妥当だという感じが強いのです。そうなれば六百七十万戸を七百六十万戸にしなければならぬということにもなって、五ヵ年計画は、年度中途であっても数字を改変する必要性が出てくるのじゃないかということで先ほど申し上げたわけであります。その点もあとでまた議論をしましょう。  それから政府施策住宅五ヵ年計画の中で、借家が三八%、持ち家が四三%、給与住宅が一九%、こういうような率になっておると思うのです。そこで大ざっぱに言って、四〇、六〇というようなことは、民間自力なんかでも大体六〇だ、それから政府施策というものは四〇でいいのだというような考え方もあるようですし、こういう点で、実は四〇、六〇というふうに出たところから、政府の予算というものを少な目に押えることができるというかっこうになっておると思うのです。過去の実績からいうと、大体そういうような実績が出ておるのです。統計の結果もそういうふうに出ておると思うのです。ただしこれは何回も言われておるように、公営住宅に対する申し込みの倍率、賃貸住宅とそれから分譲住宅ですね、これに対する申し込みの倍率、それから統計から出すと、確かだれもが自分の家がほしいと思うのです。したがって自分の家を将来ほしいのだ、こういうのが統計に出ておる、希望者として都市では出ておる。ただ現実の問題としては、なかなか分譲住宅というものを持てるところまで資力が十分でないというところから、どうしてもつなぎという形でもって、分譲住宅でない賃貸住宅にたよらざるを得ないというのが申し込みの倍率ではっきり出ておると思うのです。東京なんかは大体八十倍、横浜なんかは、これは特殊な例かもしれませんが、五百二十八倍ですね、賃貸住宅については。分譲住宅の場合は、そう大きくはありません。これは皆さん方も御承知のように、非常に低い倍率になっておる。せいぜい四倍というような倍率のようです。各都市ともそういうようなかっこうです。そうなりますと、異例な数字かもしれませんけれども、東京都あるいは横浜の五百二十八倍というような公営賃貸住宅に対する申し込みがあるということから見ると、数字から見れば、希望の統計から見れば、持ち家住宅は六割ぐらいで、政府施策住宅は四割でいいのだということは、過去の統計からはそう出る。これからの統計は、希望調査をとっても、これはだれだって賃貸がいいとは思っておりません、持ち家がほしいと思っていますよ。だから統計から見ると、これから先の統計でも、いまの統計でも、どうも六、四ぐらいの割合で、民間自力が六割だという数字を出せば、事が足りるのかもしれませんが、実態はそういうような倍率に見合ったようなかっこうになっておらない。したがって、私は四対六というのは——政府原案は四五%対五五%だったのでしょう、住宅関係建設省関係では。これを四〇、六〇というふうに切りかえられて、政府の予算がどうやら組めるような数字に合わせられて、こういう数字になったのじゃないか、こう思うのです。それに統計というものが使われておる。こういうことは——これは議論の分かれるところだと思うのですが、私は、やはり四〇、六〇——四五、五五でもほんとうは実情に合わない。むしろ逆に六〇、四〇で、六〇を公営住宅にしなければならぬほどの必要性が、申し込みの倍率になって、端的に出ておると思うのです。せめて五〇、五〇ぐらいでなくちゃならぬじゃないか。こういう点でも、私は五カ年計画というものについては、相当の甘さがあるのじゃないか、こういう感じがするのです。この点、建設大臣、どうお考えになっておりますか。
  142. 西村英一

    西村国務大臣 やはり積み上げで全部やっておるので、パーセンテージの問題は、あとから出てきたわけなんです。それですから、甘いという見方もできるかもしれませんけれども、この計画を進めて——去年できたばかりです。実績は去年しかないのです。ことしやろうとしておるのです。しかし、総体的に申しまして昭和三十五年から四十年度の実績からいきますと、相当に進んでおるのです。公営住宅公営だけで一・七%ぐらい、それから公的からいきますと約二倍ぐらい、三十五年から四十年の五カ年計画と新しい五ヵ年計画とは約二倍ぐらいな戸数になっておるのです。したがいまして、相当に計画としては思い切った金を出しておると私は思っておるのですが、どうしても住宅不足を一ぺんに解決できるものじゃございません。ただし、内容的な数字の変更は、この間におきましても、それはまた変更はいたしてもいいと思うのでありまして、五ヵ年計画の総体の数字をいじらなくて、内容的にはいろいろ変えてもいいんじゃないかと思っておりますが、この計画を強力に進めていけば、徐々に緩和される。過去の実績から比べれば、相当な飛躍的な計画であるように見受けられるのであります。
  143. 石川次夫

    ○石川委員 どうもそういう答弁しかできないのかもしれませんが、別な面からひとつ申し上げてみますと、この五ヵ年計画の中身で、いまの四〇と押えて——私は四〇じゃ非常に不足だと思っておるのです。この四〇と押えた上ででも、いまの予算では達成できないのじゃないかという感じがするのです。ということは、昭和四十年と四十一年と——これは四十一年からこの計画が行なわれるわけですね。初年度になるわけですね。政府施策住宅の数字を見ますと、四十年が三十九万五千戸です。四十一年の計画が四十万四千戸です。ほんとうは、この五カ年計画の中で見ますと、これは八ページに出ておりますけれども、伸び率は公的資金による住宅というのは四十一年から四十五年まで一四・六%になっておる。ところが、一四・六%が、今度のいま申し上げた数字によりますと、わずかに三%です。こういうふうな程度では、私が、非常に少ないと思われている公的資金による住宅の四〇%ということを前提として認めた上に立ちましても、わずか三%というのでは、伸び率一四・六%というものから見ればあまりにも少な過ぎる。これではたしてこの五ヵ年計画が達成できるかどうかという疑問が残っておるわけです。この点はどうお考えですか。
  144. 三橋信一

    ○三橋政府委員 確かに五ヵ年間の平均の公的資金による伸び率は一四・六%になっております。これはあくまでも五ヵ年計画の平均でございます。したがいまして、ならしていくとこういうことになるという意味でございますが、ただ、ただいま御質問の中にございました四十一年から二年までの伸び率が三%とかいうような御議論があったようでございますけれども、四十一年から四十二年までの伸び率は、公営住宅につきましては一二・五%の戸数の伸びになっております。したがいまして、三%というのはちょっと私了解しかねるわけでございます。したがいまして、一二・五%で、したがって、この五カ年計画の、平均伸び率よりは低いではないかというお尋ねはごもっともでございます。これは今後私ども努力いたしまして、この五カ年計画の最終の四十五年までには、これを取り返していくようにいたしてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  145. 石川次夫

    ○石川委員 住宅局長、これは私が自分でつくった数字じゃないですよ。住宅計画課というところからいただいた資料です。それで四十年が三十九万五千戸、四十一年が計画として四十万四千戸です。これはよく内容を吟味してみると、当初計画ではなくて、一二十九万五千戸というのは追加でもってだいぶふえたので、当初に比べれば三%ということはありませんという説明ではあったのですけれども、実際四十年の全体の戸数からいいますと、四十一年は四十万四千戸という数字で、わずか三%の伸び率だということ、これは疑いない、はっきりしています。これはよろしいですか。
  146. 三橋信一

    ○三橋政府委員 ただいまお示しのものは四十年から四十一年の戸数の伸びでございまして、したがいまして、先ほど御質問いただきまして、ここで御議論になりますのは、五ヵ年計画の平均伸び率と四十一年の初年度から二年目への伸び率の議論、したがって、五ヵ年計画が達成できるかどうかという御議論ではなかろうかと思うわけでございますので、私の思い違いでなければ、そういうふうに理解しておるわけでございます。
  147. 石川次夫

    ○石川委員 そういう説も一応できるでしょうけれども、しかし、四十一年からこれは始まるのですから、四十年からわずか三%というのでは、それは計画が始まったということにはならないでしょう。まあこれはいいでしょう。  それで、なおまた問題があるのです。それは政府施策住宅が二百七十万戸というふうに、わずか四割ということでは非常に不満である。六百七十万戸それ自体に問題がある。これは七百六十万戸であるべきだという問題が一つある。それから申し込みの倍率からいっても、四割の二百七十万戸ということに対しては、私は問題がある。これはもっとふやすべきだという考え方がある。ただし、その中で二十七万戸というような調整戸数になっていますね。二十七万という一割の調整戸数です。これを手を触れないでおいて二百七十万戸、二十七万を引いて五ヵ年計画でいろいろ計画していく、こういう考え方になっておるように伺ってはおるのですけれども、二十七万戸の調整戸数というのは、これは二年過ぎてしまう、四十一年、四十二年と二年過ぎてしまう。残っておる三年に二十七万戸をやるといたしますと、一年間九万戸です。こういう戸数が、いままでのならした計画戸数の中にプラスしていくということは、これはなかなか容易じゃないと思うのです。現在の計画それ自体が私にとっては非常に不満なんだけれども、いまの非常に不満な計画ですら、こういう調整戸数の二十七万戸はあとの三年間でならすという考え方だと、それだけで九万戸ということになって、これはとても達成できないんじゃないか、こういう疑問を持つのですが、その点どうお考えになっておりますか。
  148. 西村英一

    西村国務大臣 非常に大事なところでございます。確かにその二十七万戸の調整戸数をとっているのです。ただし、これは公営だけではございません。公的、つまり、金融機関から金を貸してという公的のものも含まれておるのでございます。したがいまして、この戸数の取りこわし——いま御指摘のように、三百七十万戸でも足りないんじゃないか、それは四割にしか当たらないじゃないかという御批判があります。それも私はやはりいまの住宅不足からいうと、全然そんなことはないとこう言い切るわけにはいきません。それもある程度はわかりますが、いわんやその中で二十七万戸も保留があるじゃないかということでございますから、この問題につきましては、これは大蔵省との折衝になりますが、住宅問題は政府の重要施策の一つでございまするから、取りくずして、これをも含めてひとつ公的機関による二百七十万戸を確保したい、かように思っております。四十二年度におきましては、実はそれは取りくずしができなかったわけでございます。今後は御注意に従いまして努力したい、かように考えておる次第でございます。
  149. 石川次夫

    ○石川委員 たいへん時間も経過しましたから、もうそろそろ切り上げますけれども、いま何回もくどく申し上げましたが、六百七十万戸は七百六十万戸であるべきではないか、あるいは自力建設が六割、そして政府施策が四割、これは私はもっと変えてもらいたい。民間自力でなくて、政府がもっと積極的にこの国民の住宅難を緩和してやるという考え方なら、この比率を変えてもらいたい。こういうふうなものを含めて二百七十万戸それ自体も私としては非常に不満足であるけれども、それ自体がこれでは達成できない。私は、批判して申しているのではなくて、皆さん方に住宅建設にも大いに積極的に取り組んでもらいたい、こういう意味で申し上げているわけです。  そこで、最後に一つ申し上げたいのですが、アメリカあたりではモデル住居法というのがございますね。それからイギリスには住居法ですか、西独では居住手当金法という法律らしいですが、これは全部最低基準をきめるというのではなくて、その国民が住むにふさわしい適当な適正住宅基準は一体幾らかというようなことの住民法というのを各国ともきめておるようです。これはいまのところは最低基準というものはなかなか守れない、そこまで達成できないという困難性はあるけれども、しかし何といっても住居というのは生活の根拠である。これがなくては生活意欲も出ないし、非常にみじめな生活の中では不良化の問題というものも出てくる。いろいろな生活の根底をなすところの住居というものの適正な基準をきめるという意味では、これは先ほどもちょっとこれに関連した質問があったかと思うのですけれども、やはり住宅基準法といいますか、住居法、これは法律的にきちっとこれでなければならぬというふうな強制力を持つわけではございませんが、これだけの基準だけは守って国としてどうしても住まわせなければならぬのだ、こういうものをどうしても先進国並みにつくるべきではないか、こう思うのですけれども、そういった考え方があるかどうかということ、もしそういう考え方があるとすれば、一体いつごろそういうものをおつくりになるつもりか、これを伺いたい。
  150. 三橋信一

    ○三橋政府委員 お答え申し上げます。  これは、先ほど実は住宅基本法お尋ねがございましたが、その際にも申し上げたわけでございますけれども、この住宅建設計画法の第九条に、住宅建設基準というのがございます。この建設基準と申しますのは、御存じのとおり、いわゆる住宅建設というのはどういう基準でやっていくべきかということでございまして、したがいまして、これにつきましてはただいま住宅対策審議会に諮問をいたしましてこの建設基準をきめたいと思っております。ただ問題は、現在公営住宅なり公団住宅なりについては、それぞれ基準を持ってやっておりますが、一般の民間住宅建設基準までをどうやってきめていくかという点に一つ問題がございます。しかしながら、これらにつきましては、この秋ぐらいまでには中間的にでも何らかの答申を得たいと思っております。ただ、ただいま先生の申されました住居法というようなことになりますと、これは単なる建設基準の法律だけでなしに、いわゆる住まい方の問題までも含んだ住居法ということになると思います。その点につきましては、ただいまどちらかと申しますと、残念ながらやはり数のほうに追われております。したがいまして、この数をある程度こなしたところでそういう問題に移ってまいりたい、そういうような考え方で今後進めてまいりたいというふうに考える次第でございます。
  151. 石川次夫

    ○石川委員 昭和六十年のビジョンというものを見ますと、大体西欧水準居住一人一個室、それから一世帯共通の一居間、それから一つの台所というふうなことのようですけれども、日本の場合には二十五・五坪というところに達するにはちょっと時間があると思いますが、やはりこの居住基準というものをこのぐらいにするという目標を与えて、何とかそこに住まわせるというような、遠大な希望としてではなくて、ほんとうに実現をさせるという意欲を持った目標として取っ組んでもらいたい、こういうことをひとつお願いをしたいと思う。  それから最後に、今度の法案のことについて一つだけ、資料といろわけではありませんがお願いしたい。  住宅融資保険法の中で、大体保険金を払った件数というのが五十四件で、一件当たり大体百万円で五千四百万円、こういうふうに聞いております。その五十四件の中で二十六件はすでにもう返済をしているということで、二十八件だけほんとうに解決のつかない、保険金を払いっぱなしというものが残っておるということで、一万十八件の中で件数あるいは金額としては非常に微々たるものだ、こう思っております。ところで支払った保険金額ですけれども、掛け金としては一体どのくらいの金額になっておりますか、それをちょっと参考までに知らせてもらいたい。
  152. 三橋信一

    ○三橋政府委員 ただいまのお尋ねは、年度別の事業の三十年度から四十二年一月末までの付保実行額、これのトータルで申し上げます。  これは、件数にいたしまして一万十八件、金額にいたしまして百十四億四千五百五十三万一千円ということに相なっております。
  153. 石川次夫

    ○石川委員 私は、その金額は知っているのです、それは保険金としてね。私の聞きたいのは、その払い込んだ掛け金なんです。
  154. 三橋信一

    ○三橋政府委員 請求保険料の業務開始以来の累計は二億五千百五十一万二千円ほどになっています。
  155. 石川次夫

    ○石川委員 その数字を伺いましたから、あとまた住宅融資保険法審議の中でいろいろ質問することがありますけれども、きょうは時間がありませんからこの程度にいたします。
  156. 森下國雄

    森下委員長 この際おはかりいたします。  本案審査のため、来たる十日午前十時三十分より農林中央金庫当局から参考人出席を願い、意見を聴取することにいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  157. 森下國雄

    森下委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。  なお、参考人の人選及び出頭手続については委員長に御一任願いたいと存じますので、御了承願います。  本日はこの程度にとどめ、次会は来たる十日水曜日午前十時より理事会、十時三十分より委員会を開会いたすこととし、本日はこれにて散会いたします。    午前一時三十九分散会