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1967-07-20 第55回国会 衆議院 決算委員会 第25号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年七月二十日(木曜日)     午前十一時三十六分開議  出席委員    委員長 鍛冶 良作君    理事 吉川 久衛君 理事 小峯 柳多君    理事 小山 省二君 理事 白浜 仁吉君    理事 高橋清一郎君 理事 佐藤觀次郎君    理事 華山 親義君 理事 吉田 賢一君       四宮 久吉君    篠田 弘作君       丹羽 久章君    箕輪  登君       水野  清君    村上信二郎君       中村 重光君    浅井 美幸君     ————————————— 七月二十日  委員山口喜久一郎辞任につき、その補欠とし  て箕輪登君が議長指名委員に選任された。 同日  委員箕輪登辞任につき、その補欠として山口  喜久一郎君が議長指名委員に選任された。  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 水田三喜男君  出席政府委員         大蔵省主計局次         長       相沢 英之君         大蔵省理財局長 中尾 博之君         大蔵省国有財産         局長      松永  勇君         大蔵省銀行局長 澄田  智君  委員外出席者         大蔵省主計局法         規課長     小田村四郎君         大蔵省国有財産         局国有財産第一         課長      竹内  勉君         会計検査院事務         総長      宇ノ沢智雄君         会計検査院事務         総局第一局長  齋藤  実君         専  門  員 池田 孝道君     ————————————— 本日の会議に付した案件  閉会審査に関する件  昭和四十年度一般会計歳入歳出決算  昭和四十年度特別会計歳入歳出決算  昭和四十年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和四十年度政府関係機関決算書  昭和四十年度国有財産増減及び現在額総計算書  昭和四十年度国有財産無償貸付状況計算書  (大蔵省所管)  昭和四十一年度一般会計国庫債務負担行為総調  書      ————◇—————
  2. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 これより会議を開きます。  閉会審査申し出に関する件についておはかりいたします。  すなわち、決算の適正を期するため、  一、昭和四十年度一般会計歳入歳出決算    昭和四十年度特別会計歳入歳出決算    昭和四十年度国税収納金整理資金受払計算書    昭和四十年度政府関係機関決算書  二、昭和四十年度国有財産増減及び現在額総計算書  三、昭和四十年度国有財産無償貸付状況計算書  四、歳入歳出の実況に関する件  五、国有財産増減及び現況に関する件  六、政府関係機関経理に関する件  七、公団等国資本金の二分の一以上を出資している法人の会計に関する件  八、国または公社が直接または間接に補助金奨励金助成金等を交付しまたは貸付金損失補償等財政援助を与えているものの会計に関する件  以上八件について、閉会審査申し出をいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決します。  次に、委員派遣承認申請に関する件についておはかりいたします。  閉会審査案件が本委員会に付託になり、調査のため現地に委員を派遣する必要が生じました際には、議長に対し、委員派遣承認申請を行なうこととし、その手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ所あり〕
  4. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 御異議なしと認め、よって、さよう決しました。      ————◇—————
  5. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 次に、昭和四十年度決算外二件を一括して議題といたします。  大蔵省所管について審査を行ないます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。華山親義君。
  6. 華山親義

    華山委員 一昨日、インドネシア大使館の建設のことについていろいろお尋ねいたしまして、その大綱はわかりましたけれども、私の手落ちがあったかとも存じますが、大蔵省のほうからおいでがありませんでしたので、補足的に大蔵省にお聞きいたしたいと思います。  あの大使館は、国費でもって大使館自体の固有の公館がつくられた、そしてそれは二階程度のものであって、九階建ての三階から上の七階分は、原則として業者につくらして、それを国有財産として寄付をしてもらった、現在はそれを国有財産として、一時使用許可を、寄付をした業者に許している、こういうふうなことでございます。大綱は、そういうふうに大蔵省も御了解になっておると思いますが、いかがでございますか。
  7. 松永勇

    松永(勇)政府委員 華山先生がいまおっしゃったことと、大体同じように了解いたしております。
  8. 華山親義

    華山委員 私、考えますのに、今日、政府財界との結びつきということがしばしば問題に相なるわけでございます。このことが一つの前例にも相なるわけでございますけれども、ものごとにもよります。たとえば美術館を大金持ちの人から寄付していただいて、それを国が国有財産として経営していくというふうな、寄付者仕事とは全然無関係のものもございますから、何もかも寄付をもらうなというわけではございませんけれども、寄付をもらったそのものが、すぐその業者の役に立つというような番付は、私はもらうべきではない、受け入れるべきではないというふうに考えますが、いままでこういう事例があったのか、今度初めてこういうふうなことが起きたのか。今度が初めての大規模な問題だとすれば、今後重大な先例にもなりますので、その間の事情と、今後の方針を承っておきたい。
  9. 松永勇

    松永(勇)政府委員 国が民間から寄付を受けるということは、法律上は禁止されてはおりませんが、国としては、原則としてそれは好ましいことではないという考え方で、従来も運用されていると思います。本件の場合には、私がいままで開いております限りにおいて、大使館あるいは公使館のような外国公館寄付を受けたというのは、これが初めだというふうに承知いたしております。一昨日、おそらく外務省から、そのいきさつについては詳しい説明を申し述べたことと思いますけれども、本件インドネシアにおける特殊な事例として、番付を受けたということになっております。これが一般的に行なわれるという事態ではないと思います。またそうあってはならないというふうに考えております。これは国内においても同様でございますが、それ以外の面につきましても、国が寄付を受けるということは、原則として好ましくないという立場で処理いたしております。
  10. 華山親義

    華山委員 自分のことを言って恐縮ですけれども、私も外交官らしい仕事をしたことがございますが、メーンストリート大使館公使館を置かなければならないなどという観念は少しもない。日本銀座通り大使館公使館がありますか。逆に考えれば、業者のために大使館公使館をくっつけたようなものです。どこの国だって、メーンストリート大使館公使館がある国などありませんよ。そういうふうなことは、私は非常に了解しにくい。今後いろいろなことがあろうと思いますし、日本は、大公使館その他の在外公館を今後建築するものが多いと思われますが、ひとつ十分に気をつけてもらいたい。メーンストリートに九階建て建物建てるということが、日本国威の発揚であるというような話もございましたけれども、それならばそれで、日本財政でやったらいい。財界から帯付をもらって九階建て建物建てるなどということは、逆に日本国威を失墜させるものだと私は思うのです。今後十分にそういう点は気をつけていただきたいと思います。  それから、現在この建物行政財産でございますから、これを貸すわけにはいかない。したがって行政財産として一時の使用許可をしているという形をとっている。私があえてこれを形と言うのは、実際上もう何ともしかたがないじゃないですか。とにかく四億円以上のもの、一社平均にすれば四千万以上の金を出して、そして入れている。形の上では一年間で、国が必要になれば出ていけという形はあるかもしれませんけれども、実際上四億も寄付をさしておいて、一年たった、出ていってもらいたい、そんなことはできないじゃないですか。いわんやこれは一つ一つの会社に貸しておるのではない。ちょっと名前はむずかしかったので忘れたのですけれども、ある会に貸しておるそうです。したがって、その会が一社でも残っておる間はあけられないわけです。私も役人で、小細工のきくほうだったけれども、あまりにも役人らしい小細工をしておられるのじゃないか。そこまでちゃんと見越してやったのじゃないですか。
  11. 松永勇

    松永(勇)政府委員 先生のおっしゃる点、いろいろごもっともだと思う点が多うございます。本件は、外務省取得をし、外務省使用承認を与えるという関係になっております。大蔵省に対しては、その取得をするということの協議、それから使用承認を与えるということの協議があったわけでございます。そういう点で、いま先生がおっしゃるいろいろな点は、私たち今後こういうものの協議に応ずる場合に非常に参考になり、また指針となる点が多かろうと思います。私たちは、外国におけるこういう事態について、非常に勉強不足と申しますか、認識が比較的なくて、外務省のそういういろいろな協議お話を聞き、まあやむを得ないということにして、協議に応じたという事態になっております。今後こういう協議につきましては、十分その点お話を聞き、協議の際にも十分念査いたしたいというふうに考えております。
  12. 華山親義

    華山委員 それから、この問題について、一点でございますが、あまり私はここで追及することはやめます。幾らの値段で貸しているのか、非常に疑問なんです。地代はとっている。維持管理費のほうはとっている。その合計程度じゃないのかと、私はあの数字からは察せられる。それだったならば、国有財産を貸す使用料というものは、これは私は非常におかしなものだと思う。この点については、いま私はここで聞きませんけれども、会計検査院にお願いいたしますが、この使用料ははたして妥当なものであるのかどうか、十分にひとつ検査してもらいたい。会計検査院のほうから御答弁を願いたいと思います。
  13. 齋藤実

    斎藤会計検査院説明員 お答えいたします。  インドネシア大使館の問題につきましては、私のほうは、在外公館の検査に昨年も行っておりませんし、インドネシアにも行っておりませんので、インドネシア大使館の本館、外務省でお使いになる、政府でお使いになる分につきましては、証拠書類が参っておりますけれども、それ以外のものにつきましては、一切契約書使用料明細書その他につきましても何も来ておりません。そういうことでございますので、たまたまあれが新聞に出まして、どうなっておるかということを担当の課に聞きまして、外務省に聞いて、そういうぐあいになっておるということを開いただけでございまして、まだ検討する段階といいますか、そういうところまで立ち至っていないという状況でございますので、華山委員のおっしゃるとおりに、これは十分検討する必要があると思いますから、今後十分検査いたしたいと思います。
  14. 華山親義

    華山委員 私は、会計検査院はいままでの経過を、出たばかりのことですから、おわかりにならないと思いますが、今後特に幾らで貸しておるか、使用料幾らとっているか、この点につきまして、合理的なものであるかどうかということについては御研究を願いたい。私の考え方からいうならば、とにかく寄付があったのだから安くするということであるならば、これは全く業者のために建て建物にすぎなくなってしまう。しかもそれがいつ返せるかわからぬ、こういうことであってはいけないと思いますので、建ててしまったことにつきましての経緯、及びその間につきまして会計経理上の問題があるかどうかもございましょうけれども、使用料につきまして、ひとつ特段の御研究を、会計検査院にお願いをしておきます。よろしゅうございますか。
  15. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 大蔵省でわからぬですか。
  16. 松永勇

    松永(勇)政府委員 はい、わかります。
  17. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 あなたのほうでわかるなら、お答えください。
  18. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 議事進行について。私いまの答弁を聞いていると、資料が来ぬでどうやらこうやらという話で、これでは進行しないと思うのですよ。私の聞くところによると、インドネシアは、建物建てるときに、必要以上の大きいものを建てなければ認めないというような話があったということを私は聞いておるけれども、その大使館以上の大きなものを建てなければ許可しないということで、ああいう大きいものを建てた。建てたとすると、それにだれかを入れなければしようがないというようなことで、そういうことから商社を入れたという話であるが、そういう事実があったらあったように、率直に話をしたら、質問せられる方はおそらくわかると思う。
  19. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それはもうわかっているんだ。いま賃料の問題を言われたから、大蔵省でわかりませんかと言っているんだ。
  20. 華山親義

    華山委員 きのう私は聞いておりますから、済んでいる。
  21. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 賃料大蔵省でわかるというから……。
  22. 松永勇

    松永(勇)政府委員 この賃料も、御承知のように、いまのたてまえは、外務省がきめて承認するということになっておりまして、私のほうでは、外部に対してそういう使用を認めるということの協議を受けております。したがいまして、その際に幾らで貸すかということで金額も聞いております。先ほど申しましたように、国内にある国有財産使用料をどうするかというようなことにつきましては、私のほうでいろいろ検討しておりますけれども、何ぶんにもそういう外国における借料がどの程度が妥当かという点につきましては、私のほうは実はよくわからない点で、外務省のほうでおきめになった借料をそのまま、私のほうとしては協議に応じておる、こういう事態になっております。
  23. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 幾らだか、わかっておるなら答えてください。
  24. 松永勇

    松永(勇)政府委員 金額は年額二百五十万円であります。
  25. 華山親義

    華山委員 私も二百五十万ということは知っておりますけれども、七階の建物ですよ。七階分ですよ。七階分が二百五十万というのは非常識きわまる。外国の例は私も知りませんけれども、それはまるで業者自分建物建てたのと同じことですよ。そういうふうなことにつきまして、私はここには相当問題があると思いますので、そういうことがいいのか悪いのか、会計検査院でも十分に御研究を願いたい。金を出してくれたのだから安くたってしかたがないなんということは、私は許せないと思う。そういうことは許せないと思う。寄付してもらった以上、自分のものだから。それで、この問題は時間もありませんから、その程度にしておきます。  それから、大臣おいでになっていないようだから、大臣おいでになってからにいたしまして、大蔵省につきましては、その程度にしておきます。
  26. 鍛冶良作

  27. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 まず、主計局に、予算制度の問題につきまして伺いたいのであります。  予算制度につきましては、去る六月一日の本会議におきまして、大臣にもお尋ねしたのでありまするが、きょうは少し掘り下げて伺ってみたいと思うのであります。現行予算制度をどう見るか、国会立場からどうこれに向かって対処すべきか。特に私は国政の上から、行政を改革したり、あるいは国会審議権威あらしむる意味におきまして、予算制度とその運用は非常に重要なものと考えますので、こういう見地から、予算制度の問題について少し掘り下げてみたい、こう思うのでございます。  そこで、例の去年の国会におきましても、いわゆる事業別予算制度について伺ったのでございます。去る本会議大臣答弁によりますと、これは本年度財政制度審議会に付議して審議してもらうという趣旨答弁がございました。そこでまず伺いたいことは、この群業別予算制度なるものについて、ほんとうに取り組んで研究しようという態度、気がまえ、準備などを、主計局としてお持ちなのかどうか、その点をまず明らかにしておいていただきたい。
  28. 小田村四郎

    小田説明員 御質問の事業別予算の問題につきましては、去る三十九年の臨時行政調査会答申におきましても、これに触れられておるところでございまして、大蔵省といたしましても、その以前からこれについて研究を進めてきておったところでございます。ただ、先生十分御承知のとおり、非常に大きな問題でございますので、また、この予算制度自体の問題以外にも、各種の問題が毎年山積しておりますために、その研究遅々として進捗しておらない現状でございますが、なお今後の問題といたしまして、積極的に検討を進めてまいる所存でございます。
  29. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 本年度財政制度審議会にこれを付議して、そして審議をする用意をしておられるかどうか、そのあたりはいかがです。
  30. 小田村四郎

    小田説明員 本年度財政制度審議会にどのような議題を付議するかという点につきましては、主計局内部におきまして、まだ固まっておりません。したがって、私からこの点についてはっきりしたお答えをすることは、現段階におきましてちょっとむずかしいのでございますけれども、私児として申し上げることをお許しいただけれは、事業別予算についての検討が、現在のところまだ事務的な研究段階にあるように思われます。現段階におきましては、いわゆる研究、あるいは諸外国における制度検討ということを重点的にやる必要がございますので、本年度財政制度審議会に付議するというところまでは、ちょっとむずかしいのではないかという感じが、実はしているわけでございます。
  31. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 この問題は、臨調答申に対する大蔵省意見として出されておるところによって見ましても、いまお述べになったごとくに、アメリカ、フィリピンなどにおいて採用せられ、わが国においても補充的であるが、内容が取り入れられておる。そしてこのような事業計画作業計画などを、行政組織にどのように関係づけるかというような諸般の問題があるので、十分検討を要するという趣旨も実は出ておりますが、また大蔵大臣は、これは現行制度の根本に触れる問題でありますので、やはり財政制度審議会の手にかかって検討する必要があると存じておりますので、このような趣旨で取り組んでいきたいという御答弁があるのでございます。やはり私ども、決算立場から考えておりまして、決算委員会は、申し上げるまでもなく、予算委員会で国の財政審議せられて、政府がこの金を使って、そのあとしまつを検討する決算委員会、この決算委員会が、本格的に決算審査に当たられないということを実は嘆くのであります。こう言うと少し言い過ぎかもわかりませんけれども、予算委員会におきましても、同様でございます。ほんとう予算審議を本格的にやろうと思いましたならば、いまの予算制度あり方予算編成あり方を、もっと直截簡明に、国会にわかるように編成をしなければなりません。国民にも知らせなければならぬ。そこに触れていくのです。ところが何のことはない、広範な多岐にわたる内容、そのばらばらな編成のしかたというものは、長い伝統の結果ではありましょうけれども、これを総合的に把握することは容易ではありません。だから、これは何も奇をてらって言うのじゃございません。やはり主計局で出しておる予算説明等によって見ましても、ほんのちょっぴりと説明してあります。それは事項別あるいは重要経費あるいは所管別等々説明がございますけれども、そんな一行半句では予算審議資料にはならぬのです。それを思いましたら、どうしても私は予算編成そのものの形態、構成をどうするかということに取り組まねばならぬ。事業別予算制度というものが、まだ世界的に十分行なわれていないということもいわれております。そうかと思います。したがいまして、まだ研究段階であるということ、これもごもっともと思います。しかし、現在もうすでに政治の日程にのぼっておるこの予算制度について、率先して大蔵省研究するということの労をいとうべきでないと私は思うのです。そうしたら、それはもう経費もかかるだろうし、人間もたくさん要るから定員増になると、とても行管もうんと言うまいというような辺もあちらこちらあろうと思うけれども、そんな問題じゃございません。だからこれは、本年度まだ付議の運びに至るまいというような緩慢なことで、それでいいんですか。臨調答申昭和三十九年の池田内閣の末期に出たのでありますよ。こういうような長らくになりまするので、本気で取り組むなら、財政制度審議会にどんどんと審議をわずらわせばいいと思うのですが、事務当局は、こういうことはいやなんでしょう。めんどうくさいとお思いになるんじゃないですか。だから、そういうことはなるべくしないでやっていきたいという、それもわかりますけれども、大蔵省が率先してやる態度をきめなかったら、ほかの省は絶対ついていきません。これだけ言います。そして重ねてあなたの意見を聞きます。あなたがはっきりしなければ、大臣に聞きますが、どうですか。
  32. 小田村四郎

    小田説明員 事業別予算との関連におきまして、わが国予算制度が非常にわかりにくいという御指摘をいただいたわけでございますが、事業別予算編成を考え、あるいは予算執行を考えるということにつきましては、従来から各種努力をしておったわけでございます。繰り返すのもなんでございますけれども、予算査定にあたりましても、各種の数量的なデータとかあるいは実績を勘案して、査定をいたして、積算をしておるわけでございます。それから、たとえば道路とか港湾のようなものにつきましては、個別的な上長期計画基礎として、予算を作成しているものも多々あるわけでございます。さらに予算書内容といたしましても、議決対象科目は項でございますが、この項は、原則として行政目的の観点から区分されておるのでございます。さらにまた議決対象ではございませんけれども、項をさらに幾つかの小目的に分類した事項という区分を設けまして、予算参照書のほうで説明をいたしております。それから、そういう個々の事業計画とか予定業績等につきましても、毎年度予算書あるいは予算説明あるいはその執行の成果につきましては、決算説明を提出いたしまして、これにできる限りの説明をしておるということで、事業別予算長所と思われます点を、できるだけ現行予算制度の中に採用するという努力は、従来から続けてきておるわけでございます。ただ、事業別予算制度を、かりにアメリカと同様なものを採用するということになりますと、これは現在の使途別の分類を全部やめまして、事業別予算編成し、国会の御議決をいただくということになるわけでございます。この場合は、たとえば現在の使途別の流用の問題をどうするかというような基本的な問題が生じてまいります。さらにまた、長期的な事業計画というものを基礎としてまいりますれば、現在の憲法上にも定められております単年度制とどのような調和をとるべきであるか、という問題にも波及してまいります。その他、明治以来数十年にわたりまして積み重ねられてきましたところの現行子弟制度を、根本的に改革するということでございますので、諸外国におきましてもなかなかその採用が遅々として進まない。各国ともアメリカを除きましては、検討研究を重ねておるという段階でございます。したがって、これをかりに採用する場合にどのようなことでやっていくか、基本的に制度自体を変えるという方向でいくのか、現行制度基礎として、その長所を取り入れるように努力してまいるのかという点につきまして、なお私どもとしては、具体的な方向についての結論が出てこないのでございます。この点は非常に基本的に重要な問題でございますので、さらにしばらく時間をかしていただきまして、検討をさせていただきたいと思いますが、決して事務当局として、事業別予算長所を取入りれることに消極的であるということではございません。御趣旨に沿って、できるだけそういう方向に向かいたいと思いますけれども、事務の執行にあたります責任官庁といたしましては、なかなかそこまで踏み切れない次第もございますので、私どもの気持ちをどうか御了察いただければありがたいと思う次第でございます。
  33. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 いまのあなたの御意見は、大蔵省の現段階における御意見と承っていいのですね。
  34. 相沢英之

    ○相沢政府委員 さようでございます。
  35. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 大蔵省の事務は、財政制度審議会があるんだから、制度の根本にかかわる明治以来の伝統もあり、いろいろ複雑なあらゆる制度が入り組んでいるような点等々につきまして審議するのが財政制度審議会なんだ。大蔵省事務当局が、制度の根本にかかわるから容易に考えがきまりませんと言うことは、それはおかしい。そういうことを大蔵省自身がお考えになっておるということは僭越です。やはり財政も流動的に発展をせしめねばならぬ。アメリカのジョンソン大統領におきましても、一両年前に、ずいぶんとこの時代進歩に適応する予算の改革について、予算局が苦心しておるので、これに即応して協力してもらいたいということの演説もしておるのですよ。そんなことでありますので、あなたが、おっしゃることはそれはあなたの御意見として承っておきます。また大蔵省がそういう御意向であれば、大臣の御意見も聞いてみます。  そこで、こういうようなことは一体どうなんですか。いま事項別議決科目がきまっておるとおっしゃる。参照書があるとおっしゃいます。細目書も説明書もそれぞれございますけれども、あれこれあれこれと彼此照合しなければ実態をつかみにくい。前年との比較もできないというのが実情ではないのですか。
  36. 相沢英之

    ○相沢政府委員 ただいま先生のおっしゃいましたような、予算に計上された経費内容、それからそれぞれの執行の実態というふうになりますが、予算決算とを連ねまして、はたしてその経費予算どおりに執行されているか、あるいはその計画が達成されているかというような点につきまして、これが現在の予算書あるいは決算書、またそれに対しますところの予算説明決算説明、その他の付属書類をもってしても、なかなか的確に把握しにくいといったような難点は確かにあると思います。こういった点につきましては、私ども事務当局といたしましても、事務の執行上も非常に障害のあることは感じておるわけでございますので、できるだけそういった点について前進的な方法を考えようということで、せっかく従来も努力しておりましたが、まだ不十分な点は多々あると存じます。そういった点につきましては、今後ともなお検討して努力していきたい、かように存じております。
  37. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 実態に入ります前に、一体この予算というものは、国会におきまして、ことしの四十二年度予算と四十一年度予算と、その実績を比較して国会検討に供しておる。資料として出しておるというふうにはなっておらぬでしょう。なっておりますまい。一昨年の四十年度予算とその実績は、五月を過ぎましたら決算が出ますから、これは国会にわかります。しかし通例は三月終わりには参議院を通過いたします。したがいまして、ことし使った予算は、翌年度予算審議中におきまして、その前年における予算の計画とそしてその実績は、国会では知ることができない。進渉の状況は問えばあるいはわかります。しかし、ずばっと国会資料として出ておらぬのです。これは間違いありますまい。
  38. 相沢英之

    ○相沢政府委員 そのとおりであります。
  39. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 前年度予算が、どのような計画を持って何の事業を計画したか、予算は可決したけれども、はたして効率的にこれが使われたかどうか、効率的にというように少し限局しますが、その実績はどうかということを把握することが、国会にずばっとできないようなことで、翌年度予算計画を審議してくれというのは、知らない場合はともかくも、知りたいと思う国会立場からすると、きわめて資料不十分、こういうことになると思いますが、そうではありませんか。もっとも、その点については、予算説明舌が主計局から概要のものは出ております。それからまた、あれこれと、あちらこちら照合すればわかりますけれども、しかし国会予算審議に出す資料としては、出てきませんな。
  40. 相沢英之

    ○相沢政府委員 実は、その点は、私ども予算編成の事務を担当しておる者にとりましても、非常にいろいろと問題がある点でございまして、もう各省は来年度予算の要求の事務を実は現在始めておるという状況でございます。ことしのように暫定予算が人っておるような年になりますと、ことしの予算執行状況というものを、来年の予算要求に、また査定に参考にするということは、なかなか従来よりも困難な状態になっておるわけです。そういうように、前年度予算が、通常の年でせいぜい三月ないし四月程度しか実行されない段階において、各省が次年度予算をつくり、われわれもまたせいぜい半年とか七カ月程度の実績でもって翌年度予算を否定する、こういうことになっておるわけでありまして、この点は国会の御審議において、諸先生方が難点をお感じになると同様に、またわれわれもそういう点について感じておるわけであります。これは現在の予算の単年度主義という原則のもとでは、わが国ばかりでなく、諸外国においても、これは避けられないような一種の制度に伴う難点でございますので、現状におきましては、できるだけそういうようなことで、難点が存在するということを前提にいたしまして、できるだけそれを解消するような方向、つまり予算編成する場合においては、できるだけその実績を予算編成ぎりぎりまでとる、十一月、十二月ごろまでも各省の予算執行の状態をとる、また国会の御審議におきましても、予算説明あるいはその他の資料の提出を通じまして、できるだけ最近時までの予算執行状況を御報告申し上げるといったようなやり方で、この問題を処理していかざるを得ないのじゃないか、かように考えております。
  41. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 そこで、財政制度審議会予算制度そのものを根本的に検討をわずらわすということは、ぜひおやり願わねばならぬ。その前——その前というよりも、それと並行して、可能な範囲で、これを発展充実せしめるということもできると思います。ことに公共事業におきましては、ある程度事業計画が先行し、これに予算が伴う、こういうやり方がございますので、したがいまして、公共事業等につきましては、事業別予算制度の精神は生かされておると思うのでございます。しかし全体としてまだワクがはずれておりませんので、十分にその長所は発揮されておらぬようであります。でありますので、この段階におきまして、たとえば可能な範囲でこれを一応実施に移してみるということで、試みに御提示申し上げてみますると、たとえば建設省の予算、それから総理府の予算になります住宅の建設費の予算でございますが、この予算経費は、いまの実情から——いまの予算制度内容、実態、それらを見ますると、先に申し上げましたように、四十二年の予算審議におきましては四十一年の計画はややわかるけれども、実績は明らかにならず、四十年はすでに五月を過ぎましたら、御承知のとおり、決算で計画も実績も明らかになっております。しかし少なくとも三年にわたりまして、前々年度は予定計画と実績、それから前年度も計画と実績、そしてことしは何ゆえこの事業を必要とするか、それと、去年おととしに比較してどうこれが実現するであろうか、その価値いかん、こういうことを比較せしむるため、例を住宅建設費にとってみますると、これはこういうことも可能でないか、こう思うのであります。これはいまの制度におきまして、組織としまして建設本省、項が住宅建設事業費、こうなっておるようでございますが、さらに参照書などがいろいろございまするが、これを本省予算と、住宅に関しては総理府予算、これは北海道の道庁の住宅建設費ということになりますので、やや行政組織上の問題がこんがらかってきます。これは一考を要する重点の一つであろう、こう思いますが、これは別に考究するといたしまして、内地別とそれから北海道別、できるならば内地別のうち、首都圏の整備計画の中に入る部類、それから近畿圏整備計画の中に入る部類、——これは法律によって毎年度計画を立てなければならぬのですから。それからその他一般内地というふうに分類いたしまして、そしてこれを公営住宅の建設豊、それから災害あるいは住宅改良費、こういうふうな区分をいたしまして、四十年度は計画、実績も全部あらわし、四十一年におきましても実績を出すように、ただし地域別に相当区分いたしまして——いまだったら北海道と内地になっておりまして、内地のうち古都圏は幾らか、近畿圏は幾らか、それはわかりません、そこで四十年度にはどの程度実績があったか、これもわからず、ということになりますので、地域別とそれから年次別、これを実績と計画というふうに、区分して織り込んでいく。そして四十年と四十一年と四十二年度——四十二年度は計画だけですから。そうして一覧表をつくってみたのでありまするが、ここから一覧いたしますと、四十年の実績もわかりますし、四十一年の計画も、実績もわかる、そして四十二年の計画もわかる、比較対照できますから、これは事業別予算長所と、説明せられるところの過去の業績、計画とそして予算の業績、これを比較対照し得るという、一目、一覧でわかるという長所をこれは出し得ると思うのです。この住宅建設の予算等につきましては、このような方法も可能であろうかと思うのです。抜本的な改革がなくとも、そこまでひとつ充実発展せしむることが可能な分野でないかと思うのです。そこはひとつ大蔵省の腹がまえ一つで、事務も少し努力なされればできることでありますので、したがいまして、こういうふうにいたしましたら、はたしてどの程度に公営住宅ができておるか、またいまの計画はどうかということを、一覧して、国会は比較してわかるのです。もっとも建設省で出しておる住宅五カ年計画や予算説明なるものも若干出ます。若干出ますけれども、私がいま申しましたような立体的な縦横にずっと出てくるもの、これは参りません。来ないです。ことに地域別に、首都圏それから近畿間、その他内地全体とか、こういうものが出てまいりません。でき得べくんば、さらに単価までは出せなくても、やはり相当建設費などにつきましても、基準のようなものはお出しになってしかるべきだと思うのです。そういうふうにいたしまして初めて、事業計画予算が首尾吻合いたしまするので、私はその意味におきまして、公共事業費としての予算目的が非常に大きく達せられ得るんじゃないか、こういうふうに思うのですが、この点はどうお考えになりましょうか。あとでまた、私のこれはあなたのほうへお送りいたしますから、これはまあしろうとですけれども、大蔵省としてどういうふうにお考えになるでしょうか。
  42. 相沢英之

    ○相沢政府委員 御案内のとおり、予算書、それから予定経費要求書は、現状でも相当部厚いものになっておりますので、予算書自体、予算書と申しますか、予定経費要求書自体では、そういったような過去における予算あるいは実績というものを十分に盛り込んでいくというような形をとることは困難であると思いますけれども、たとえば予算説明、現在主計局が出しております予算説明に、ある程度そういうことを織り込みますとか、また主計局のつくっております予算説明以外に、各省でやはり予算説明というものをつくっておりますので、そういったようなものにおき幸して、いま先生がおっしゃいましたような事業の予定、実績というようなものを示すような手だても考えられるのではないかと思いますが、せっかく先生作製なさいましたものを拝見できますれば、また私どもも十分検討いたしまして、できるだけそういう事業の事業別予算制度の特色とされているような点を、制度の問題としてではなく、そういった説明資料その他の面で、まあ前進的に取り入れることができればけっこうだ、かように存じております。
  43. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 保留しておきます。
  44. 鍛冶良作

  45. 華山親義

    華山委員 会期もこれでおしまいだと思いますので、会計検査院にちょっとお尋ねいたしますが、三月二十三日の当委員会におきまして、補助事業の当初計画と実績との間にそごを来たした場合について、会計検査院の見解をお尋ねいたしましたところ、事情真にやむを得ざる場合には批難しないという答弁がございました。その後会計検査院の方が私のところにお見えになりまして、ことばが足りなかったからといって、補足的説明をなされたのでありますけれども、問題はなかなか重要なデリケートな問題でもございますので、補足すべきことがありましたならば、公式にこれを補足されたほらがいいと思いまして、もう一度お尋ねいたしますが、物価が上がったとか国の予算単価が低いといった事情のために、当初計画より実施事業量が不足した場合はどのように相なるのか、もう一度会計検査院のお考えをお伺いしておきたい。
  46. 宇ノ沢智雄

    ○宇ノ沢会計検査院説明員 先生のただいまお述べになりました、去る三月の当委員会におきまして、先生の御質問に対して、本院の答弁が必ずしも十分でありませんでしたために、お手数をわずらわしたことはまことに恐縮に存じております。ただいまお尋ねの、実施事業量が当初の計画より不足いたしました場合、それが真にやむを得ないというような事情による場合にまで、本院としてはこれを不当として批難することはございません。このように形式だけを論じませんで、実質に着目して検査するということは、補助に限らず、あらゆる場合について、本院が従来不当として批難する際の基本的な態度でございます。しかしながら、ここで申し添えさせていただきたいのは、たとえば補助事業の場合でございますと、事業主体が、実施しようとする事業の量とかあるいは質などを明記して、国に補助の申請をいたします。これに対しまして国が補助の決定をするというのは、いわば一種の約定を取りかわしているわけでございまして、事情さえ正当でございますれば、この約定を事業主体が一方的に破棄してもよいというのでは、補助事業執行の規律が維持できないということとなりますので、この点の処理と申しますか、すなわち当初の申請、決定を変更する処理は必要でありますし、この処理がなされていないような場合には、その点についての批判はせざるを得ない、こういうふうに考えております。
  47. 華山親義

    華山委員 念のためにお聞きしておきますが、そのような場合には、実質的にはこれは批難さるべきものではないけれども、手続上に欠けるところがあるから批判をする、批難じゃありませんよ、批判をする、という意味に理解してよろしゅうございますか。
  48. 宇ノ沢智雄

    ○宇ノ沢会計検査院説明員 御質問のとおりでございます。
  49. 華山親義

    華山委員 これで終わります。
  50. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 中村重光君。
  51. 中村重光

    ○中村(重)委員 先ほど、華山委員から、問題のインドネシア在外公館建物を商社に使わしているということについて質疑が行なわれた。私、商工委員会で、麻生委員の質問を通じて、内容は大体伺うことができたわけですが、その際に、ジェトロが貸してもらいたいという申し込みをやった。ところが断わられた。外務省のほうでは、そういうことを聞いていないので、調査をしてみたいからというお答えであったが、調査なさいましたか。
  52. 竹内勉

    ○竹内説明員 先生のおっしゃるとおりでございます。私、大蔵町でございますが、外務省ちょっとおりませんので、その後の状況はよくわかりません。
  53. 中村重光

    ○中村(重)委員 あなたはわからないとおっしゃる。問題は、十一社ですかの両社に、大使館建物を貸しておるわけでしょう。四億の寄付を求めたという特殊な関係はあるのだけれどもね。ジェトロということになってくると、これは公的な機関ということがいえるのですよ。商社に貸す場合、やはりそうしたジェトロのような機関には優先して使用させるということのほうが、貿易振興の立場からいって、当然の措置でなければならぬ。ところがそのジェトロの借り入れ申請を拒否して、商社のみに貸したということは、何としても割り切れない。大蔵省も、そのことを御存じないということはないのではないか。やはり外務、大蔵両名が、寄付の受け入れにいたしましても、あるいは商社その他の機関に貸し付けをするにいたしましても、使用料の問題等々もありますから、申し込み者の中からいろいろ選考して決定をするのだろうと思うのですが、そういうことだと、大蔵省も知っていらっしゃるのではないかと思うのです。どうなんですか。
  54. 松永勇

    松永(勇)政府委員 ちょっと先生に補足して御説明申し上げたいのでございますが、本件につきましては、行政財産として、取得をする、取得の場合に、国有財産法十四条に基づいて、「大蔵大臣協議しなければならない。」となっている、この規定に基づいて、予算によって取得するものと、それから本件につきましては、それに追加して寄付によって取得するものと、あわせて協議があったわけであります。本件につきましては、先ほど華山先生に対してお答えいたしましたように、この承認を与えたわけでございます。次に、この行政財歴は外務大臣が管理するということが、国有財産法にきめられております。したがって、この管理はすべて外務大臣において行なわれるわけであります。ただ、この行政財産を、行政目的に違反しない範囲において、一時他に使用させるという場合には、同様に国有財産法十四条の規定で、「大蔵大臣協議しなければならない。」となっております。したがいまして、本件協議が参ったわけであります。私たち、先ほど華山先生のときにお答えいたしましたように、外地にあって事実上その事情にも暗うございます。外務省からこういう協議が参りまして、それでやむを得ないということで、協議を受け、その承認を与えた責任があるわけでございますが、その際に、第一次的にどういう商社から申し出があったか、その中からどのようにセレクトなさったかということについては承知いたしておりません。外務省がこういうものに貸したい、使用承認したいということで協議があった段階において、やむを得ないということで承認したわけでありまして、第一次の申請者の状況は、私のほうではわからない、こういう状況でございます。
  55. 中村重光

    ○中村(重)委員 大蔵省のいわゆる普通財産ではない、外務省行政財産であるということになってくると、いまお答えのような形になるのですね。ところが、私たちが普通国有財産という場合におきましても、外務省行政財産という場合におきましても、どうそれが貸し付けられておるかということに対しましては、やはり問題は問題として指摘していかなければならないと思うのです。そういう財産の形式というようなことは、私は別の問題になってくると思う。したがって、契約のことにいたしましても、一年更新でもって貸し付けをしていらっしゃる。ところが、インドネシア以外に、そうした大使館建物を商社に使用さしている例があるのかどうかということも伺ってみたいと思うのですが、一時使用という形で、一年更新でもって契約をしていらっしゃる。一年契約であるから、その期限が来たならば、国がどうしても続いて契約更新をやって貸し付けをすることができないような事情が起こったという場合には、いわゆる契約を更新しないという形になるわけですが、実質的には、これは契約の解除という形になるわけです。金を寄附してもらったという関係があるわけですから、事実上そういうこと、か可能かどうかということはやはり問題になるわけですよ。全然寄付がなされていないということになってくると、事情は変わってくると思いますけれども、寄付をもらったという事実は——形式は全く外務省行政財席を商社に貸しているのだから、契約更新をするかしないかということは、外務省自体が第一次的に判断をするということでいいわけですね。ところが事実問題としましては、なかなかそうはまいらないであろう。そこまでやはり問題になると思うわけです。そうした関係はどのようにお考えになっていらっしゃいますか。
  56. 松永勇

    松永(勇)政府委員 この点につきましては、法的に申しますれば、先生もすでにお述べになりましたとおり、これはいわゆる民法上の貸し付け——借地権あるいは借家権を発生するような貸し付けではなくて、行政上の使用承認ということであって、一年で以後更新するということは何らないわけでございます。法律上たてまえはまさにそのとおりになっておるわけであります。ただ本件は、一年たってその期限が参りました際にどのようになるか。この点はその財産の管理者である外務大臣が判断をする。さらに更新をしたい、する必要があるというふうにお考えになった場合に、私のほうに協議が参る、こういうことになるわけであります。ただ、実体論として、外務省自身で大使館建物が必要であるという場合には、これは当然立ちのかせることが行なわれるでしょうが、現在のインドネシアの場合に、すぐそのような事態になるかどうかという点は、確かに問題があろうかと思います。いずれその点につきましては、責任ある外務省として御判断になり、私たちのほうに協議が参りました際、その時点において十分検討し、措置をいたしたいというふうに考えております。
  57. 中村重光

    ○中村(重)委員 大蔵省としても、国有財産の問題ということになってまいりますと、一番関心をお持ちになるのはあたりまえでございますからね。一カ年間二百五十万ということでございますが、私は商工委員会で、麻生委員の質問に関連してお尋ねをしたわけですが、その付近の地価は大体どのくらいするのか。それから、これはお買いになっていたのではなくて借地だろうと思うのですが、借地の場合に、借地料は大体どの程度であろうか。そのことと、この二百五十万の、建物を貸し付けておる問題との関連が出てくるのですよ。四億という野付を受けたことは、名目は寄付でございますから、それだけ国が財産を取得したという形になるのでございますけれども、その二百五十万というものが、周囲の地価あるいは賃貸料の価格というものが低いということになってまいりますと、その四億という金を国が寄付として受け入れたことは少しも利益にはならない。ところが一方においては、四億という寄付を受け入れたために、一年間の期限が来ても、この事実上の契約を解除することができないということになってまいりますと、国は拘束されることになってくると思うのです。先ほど私が申し上げましたように、ジェトロその他公的な機関から借り入れ申し込みがありましても、それには貸し付けができない、こういう形になる。この点は非常に問題だと私は思うのです。だから、寄付の受け入れあるいは貸し付け等に対しましては、慎重な態度をおとりになる必要があるのだろうと思いますので、一次的には、いわゆる外務省行政財産であるんだから、その管理者は外務大臣だから、大蔵省としては、まあ外務省が相当と考えて大蔵省に対して協議をしようという場合は、自動的にこれを認めていくというような態度であってはならない。もちろん外務省は慎重に対処してもらわなければならないわけですけれども、全体の国の財産を管理しておる大蔵省という立場の上に立ちますと、より慎重でなければならぬと私は思うのです。いろいろ、商工委員会あるいは当決算委員会におきまして問題になったわけでありますが、それらの質疑あるいは指摘された問拠点等を通じて、どのようにお考えになりますか。その後あなた方が対処していこうとする上について、いろいろとお考えがあると思いますが、いかがでしょうか。
  58. 松永勇

    松永(勇)政府委員 先ほど、華山先生の御質問でお答えいたしたところでございますが、確かに国がこういう寄付を受けるということにつきましては、慎重な態度で臨まなければならないというふうに考えております。もちろん寄付を受けること自体が違法ではございませんが、その寄付がいわば反対給付であったり、あるいは何らかそれを期待されるというような状態のもとで寄付を受けるということは、非常に好ましくないということは御指摘のとおりだろうと思います。本件につきましては、外国においてこういうような事例は、私の聞いております限りにおいては、これが初めてでございます。今後こういうような場合に十分慎重にやらなければならぬ。ただ本件の場合には、私たちも不勉強と申しますか、外国における事情、がよくわからないという事情、外務省からお聞きした事由によりますと、インドネシアという国における特別な事情があったというような点で、やむを得ないんじゃないかという判断をして承認をしたわけでございますけれども、確かに中村先生のおっしゃるとおり、こういうものの寄付を受けるという点については、今後慎重に取り計らっていきたい、こういうように考えております。
  59. 中村重光

    ○中村(重)委員 あなたの誠意のある答弁ですから、これ以上追及いたしませんが、商工委員会であなたもお聞きのとおり、くれるものならもらっておけ、そういうことで受け入れたんだということを、政府委員じゃなくて、当日出席されたのは説明員でしたか、名前はどなただったかわかりませんが、ああいう、委員の質問に対して不謹慎というのか、不見識きわまる答弁をされた。やはり一つ考え方というものが、何か支配しているような感じがしてならなかった。私も、全くけしからぬ答弁だ、あるいは考え方だと思ったのですけれども、麻生委員が質問しておったことですから、特に取り上げなくて、ただ関連質問の際に、ちょっと軽く注意を喚起するということにとどめたのです。私の聞き違いではなかったでしょう。あなたも出席をしていらっしゃったのですから、お聞きになりましたでしょう。寄付をするのだからもらっておけ、こういうようなことでもらった。これはおそらく会議録を見るとはっきりすると思う。私が聞き違いであれば、これは幸いだと思う。しかし私が関連質問で立ちましたとき、そのことに触れましたところが、出席しておられた政府側は、そのときに、全く同感だというような印象をあらわした。きょう時間がありませんから、いま御答弁になりました、そういう態度でもって対処してもらいたいということを期待をいたしまして、質問を打ち切ります。  そこで、いろいろお尋ねをしたいことがあるのですが、時間の関係がございますので、一、二点、大蔵大臣が参りますまでにお尋ねをしてみたいと思いますが、大蔵大臣が出席をいたしますと、この債務負担行為について、議題となり、報告を受けることになるわけですが、私は、きょう議題となりますところの、災害関係に対します債務負担行為ということは、これは内容からいたしまして、当然異議なく承認されるべきものであるというように考えているわけであります。ですけれども、全体的に決算委員会におきまして、国の予算を見てみますと、債務負担行為にいたしましても、あるいは予備費の面におきましても、あるいは予算の繰り延べ、不用額等々、いろいろな点で、ほんとうに国の予算あり方ということについて、どれほど真剣に考えていらっしゃるのであろうかという点に疑問を感じることが非常に多いわけです。翌年度の繰り越しというものを全然ないようにするということも、これは不可能でありましょうし、やむを得ないということはあります。また不用額の面におきましても、同じようなことが言えるとは思うのでございますけれども、予算折衝の中において、各省、大蔵省と、これは夜も寝ないで予算獲得のためにがんばる。ところが翌年繰り越しあるいはまた不用額ということについて、それぞれの理由づけはいたしておりますけれども、ほんとうに真剣に、予算獲得のときにあらわしたような情熱を持って、責任を持って予算執行に当たるということになってくるならば、翌年度繰り越しの面におきましても、不用額の点におきましても、もっともっと切り詰めて運営できるでありましょうし、最小限度にとどめることができるのだ、そのように実は感じるわけです。予備費にいたしましても、御承知のとおり、憲法八十七条で、予見しがたい予算の不足に充当するために国会議決を得て予備費というものは計上されている。したがってこの予備費を支出する場合は、ほんとうに予見しがたいものであるというものでなければ、予備費は決して支出してはならない。ところが予備費が、相当緊急性がないのにかかわらず支出されておるという、この事実を私たちは知ることができる。あるいはまた、この債務負担行為の場合におきましても、同じようなことが言えると思うのであります。したがって大蔵省といたしましては、そうした各省におけるところの、翌年度予算の繰り越しであるとか、あるいは不用額であるとか、あるいは予備費の支出であるとかいうこれらの問題に対して、従来の経過からどのようにお考えになっていらっしゃるのか、さらにこの後は、ただいま私が指摘いたしましたような点に対して、どのような取り組みをしていこうとお考えになっていらっしゃるのか、ひとつ伺ってみたいと思います。
  60. 相沢英之

    ○相沢政府委員 ただいま先生御指摘の、繰り越しあるいは不用にいたしましても、これは各省も私どもも、できるだけこれを少なくするように、従来からも努力をしてきているわけでございますけれども、やはり毎年度決算を見ますと、相当額ございます。この点については、今後予算をできる、だけ的確な見通しに従って組むということが第一であると思いますし、また実行の問題といたしましても、できるだけ繰り越しあるいは不用の原因となるような予算執行上の不手ぎわ、あるいは準備が不十分でございますとか、その他いろいろ原因がありますが、そういうようなことのないように心がけていくべきであると思っております。しかしながら、財政当局があまり繰り越しの問題、あるいは不用の問題をやかましく申しますと、過去においてかつてそういうことがありましたが、実際には繰り越しをしているにかかわらず、その仕事が完成したことにして決算をするとか、あるいは当然本来ならば不用に立ててしかるべき経費を、不用にしたということをもって次年度以降の予算査定に影響しやしないかというような懸念から、年度末に無理して使ってしまう、こういったような弊害もかつてはございましたものですから、この金額をできるだけ減らすことに努力することという気持ちは変わりはありませんけれども、たとえば繰り越しの問題につきましては、この数年間は、かつてほど繰り越しについてきびし過ぎるというような態度をとることは差し控えているわけでございます。  それから予備費の問題でございますが、これはもちろん国会における予算審議権との関連がございます。私ども行政府といたしましては、不時の要に備えるという意味で、ある程度金額——できるだけ金額は多くという考え方もあるかと思いますが、しかしながらそういうことの国会審議権との調和等々を考えあわせまして、かつまた、戦前における予備費の一般会計予算に対する割合等も勘案しまして、最近におきましては、大体一%から一・五%程度金額を計上しているわけでございます。これはかつて大蔵委員会で、私どもの大臣から答弁もいたしましたが、大体希望といたしましては、絶対予算の二%程度、したがいまして、たとえば本年度で言いますと、総体が約五兆でございますから、千億程度の予備費をできれば組みたいというふうに考えておるわけでございます。戦前の普通の年、昭和九年、十一年ごろが大体一・四%、一・五%程度であったかと思いますが、そういったことも一つのめどにいたしまして、現在ではその程度金額を組んでおるわけであります。もちろんその予備費の使用にあたりましては、予算で十分慎重に検討すれば当然予算に盛り込み得るし、また盛り込むべきものを、予備費で支出するといったようなことで、従来もいろいろと国会からの御批判をいただいている問題もございますが、そういうことがないように、できるだけやっていきたい、かように考えております。
  61. 中村重光

    ○中村(重)委員 大臣はいつごろお見えですか。
  62. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 もうすぐ見えます。
  63. 中村重光

    ○中村(重)委員 きょういろいろとお尋ねしたいこともあるのですが、大臣が出席をする時間の関係から、非常にまとまった形の質問が実はできないのですけれども、国税庁が出席をしていただいておると思いますので、脱税の問題等々についてもいろいろお尋ねしたいこともあるわけですが、何か質問がちぐはぐになってまいりますので、非常にやりにくいのです。大臣が御出席になりました場合に、それと関連をするようなことで、事務当局にちょっと伺っておきたいことがありますから、その点を二、三お尋ねいたします。  銀行局長御出席ですね。——私が金融問題で非常に関心を持っておりますのは、政府関係の金融機関の問題でございます。ということは、中小企業の金融、なかんずく所得水準の非常に低いところの離島あるいは僻地、そうした地域における金融問題というのは非常にむずかしいのであります。そういう地域にはメリットがございませんから、民間の金融機関というのはなかなか進出をしないということになってくる。ということになりますと、政府関係の金融機関というものがそうした未開発の地域に進出をして、金融の緩和をはかっていくということが望ましいと思いますし、また政府関係の金融機関というものは、そのことが一面においては使命でなければならぬと私は考えるわけであります。ところが現実にどうかということを見てみますと、問題の医療金融公庫にいたしましても、当委員会においていろいろお尋ねをしたのでございますけれども、慶応病院であるとかあるいは阪大の病院であるとかという、そうした大きい病院に対しては五億近い融資がなされておる。しかし医療機関が非常に少ないところの離島、僻地等に対しての融資というものは、率としては非常に低いということが明らかになっている。また国民金融公庫、中小企業金融公庫あるいはまた商工中金等の貸し出しがどういう状態でなされておるであろうかと調べてみますと、離島、僻地等に対しましては、直貸しというものもほとんど行なわれていない。また中小企業金融公庫のごときは、設備資金が中心となってまいりますだけに、代理貸しも非常に少ない。そういうことが実績としてあらわれておるということでございます。私は、中小企業金融公庫であるとかあるいは商工中金というようなものは、そうした離島、僻地に対して直接進出をするということはいろいろ問題があるにいたしましても、庶民金融である国民金融公庫、この機関は、離島、僻地等に支店を出すことはできないといたしましても、出張所等は当然つくらなければならないのではないかというように日ごろ感じておるのでございますけれども、なかなかそういうようにまいっていないようであります。いわゆる実績がないからだということをよく聞くのでありますが、実績というものは、つくらずして自然にできるものではない。しかしその実績がないのに対して、民間の金融機関はなかなか進出をしないのだから、先ほども触れましたように、政府関係金融機関というのは、当初ある程度の欠損というものがあるにいたしましても、それを乗り越えて進出をしていくということでなければならないのではないか、かように考えるのでございますが、銀行局長としては、この点どのように考えていらっしゃるか、ひとつ考え方を聞かしていただきたいと思います。
  64. 澄田智

    ○澄田政府委員 ただいまお尋ねの件でございますが、おっしゃるとおり、政府金融機関は、これは民間の金融機関の商業ベースの金融ではつきにくいというような対象あるいは地域も含めまして、そういうものに対しまして、これを量的、質的に補完をするという趣旨で、それを最も重大な使命といたしておるわけでございます。またそういう趣旨で運営されるべきものでございます。したがいまして、離島、僻地等に対する、ただいまお話の医療金融公庫であるとかあるいは中小企業金融の政府金融機関であるとか、こういうようなところが、そういう点について、民間の金融ではとかく漏れやすいというところについて、やはりそれ相応の注意をして、資金量もそういうところに行き渡るようにしなければいけない、あるいはこれを貸し付ける店舗等についても便宜をはかるようなことを考えなければいけない、そういう点については、御趣旨はごもっともであろうと思います。ただ、直貸し、代理貸しというような点につきましては、政府金融機関としてはできる限り充実すべきではございますが、直接みずからこれをやるというのは限られているというようなこともございまして、代理貸しを活用するとか、その辺は実情に応じてやらざるを得ないという点もあるわけでございます。特に離島、僻地というようなところについて、特別な制度として、やるというようなことはいたしておりませんが、そういう意味において、離島、僻地の資金需要に応じた金融がなされるように、そういう努力を払うべきであるというような意味において、われわれ指導する場合も、十分そういう点を注意をして指導する、またその実績を監督をする、こういうふうなことにつとめてまいらねばならない、かように考えております。
  65. 中村重光

    ○中村(重)委員 大蔵大臣御出席でございますから、時間が非常に限られておりますので、端的にずっとお尋ねをしてまいります。  いま私は、離島、僻地等において、政府関係の金融機関の進出がもっと積極的になされなければならない、そういうことを銀行局長にお尋ねをいたしたのであります。大蔵大臣も御異議があるところではないと思いますけれども、どうでございましょう。離島といいましても、そう小さい離島を私は言うのではございません。相当な人口を擁するところの離島、そうして中小企業等が相当多い地域、そういうところには、国民金融公庫の支店までいかずとも、出張所、そういうものは当然設置しなければならない、こう思うのでございますが、その点はどのようにお考えになりますか。      ————◇—————
  66. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 大蔵大臣が出席されましたので、この際、昭和四十一年度一般会計国庫債務負担行為総調書を議題といたします。  本件につきましては、去る三月十六日に説明を聴取しております。  別に、質疑及び討論の申し出もございませんので、直ちに採決に入ります。本件につきましては、異議がないと議決すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  67. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 起立多数。よって本件異議がないものと決しました。  なお、ただいま議決いたしました本件についての委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  68. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————   〔報告書は附録に掲載〕      ————◇—————
  69. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 引き続き、昭和四十年度決算外二件を議題とし、大蔵省所管について質疑を行ないます。小峯柳多君。
  70. 小峯柳多

    ○小峯委員 私、一問だけ、大臣と理財局長に伺っておきたいと思います。一問だけでございますから、どうぞ幅広く御見解を伺わせていただきたいと思います。  国債償還計画につきまして、私はたいへん関心を持ちまして、勉強、薄っぺらなんですけれども、いろいろ資料を見てまいりますと、外国には永久国債みたいなのもありますし、今日日本の出しておりますのは、比較的短いものが出ております。戦争前は二十年くらいのものが出ているというように、この間御答弁がございました。そういうふうにいろいろ期限の違いがありますが、基本的に国債というのはどのくらいの期限でしたらいいのだろうという、何か理論的によるべきものがなければならぬような感じがするのであります。この間、大蔵委員会で、大臣に対する社会党の皆さんの質問を聞いておりますと、借りかえの問題は、むしろ国会議決を要すべきものではないかというお話がありました。私は、国債の期限というものは長い期限がたてまえだとすると、七年ものでは当然に借りかえをしてもいいものだと考えますし、たまたま国債の整理基金特別会計の改正案に触れて、六十年という年数がうたわれております。国債の見合いになった資産が有効に働く期間を、大かた六十年と抑えるというふうな意味じゃなかったかと思うのでありますが、それで百分の一・六ですか、出ておると思うのですけれども、一つの手がかりになっておると思うのですが、そうだとすれば、はっきりむしろ建設国債というものは六十年くらいを考えるべきもので、しかし実際に発行する場合には、金融の条件、環境等を考えて短くはするのだけれども、したがって当然に借りかえをやっていくのだ、というようなたてまえを押したほうが筋が通るような感じがするのであります。もっともこれは建設国債で、四十年度にはしりぬぐいの国債を出しておりますから、そうなると少し違ってきはせぬかという感じもするのでありますが、いろいろ判断ができかねるままに持ち越しております。これはもうすっきり御答弁いただいて、あなたこう言ったから、という意味ではございませんので、国債というものの償還期限を何によってきめたらいいの、だろうか、国債の種類にもいろいろございますけれども、その辺のことを、一応よるべきものがつかみ出せないものだろうか、こういう意味で教えをいただくわけでございますので、どうぞ大臣からもあるいは局長からも、それに触れて御教示いただきますとたいへん幸いでございます。
  71. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 おっしゃられるとおり、もしこれが赤字公債とかいうようなものでございましたら別でございますが、建設公債に限られるという限りにおいては、この建設公債によって得られた資金でつくられた国民財産が、どれだけの期間効用を発揮するか、これはいろいろ見方はあるでしょうが、建物そのほかの耐用年を平均五十年と見て、それから出資金や土地みたいなものは永久財産ですが、かりにこれを百年と見ますと、いま建設公債の対象による国民資産というものは、永久と見られるものが中に二〇%あるということで見ますと、平均六十年ということが、この効用を発揮する期間であるというふうに見られようと思います。そうしますと、六十年公債を出すということでしたら、これは一番はっきりするのじゃないかと思いますが、戦前の二十年公債というようなものが出せるならば、さらに非常に公債が償還しやすいというような問題も出てくると思いますが、御承知のような事情で、いまそう長期の公債を出せる金融環境にはございません。したがっていま七年の公債ということになっておりますが、七年ということになりますと、六十年にわたって効力を発揮する資産をつくるものを、七年で返済する資金でやるということは、これはもうそれ自身が無理なことでございまして、したがって、短期の国債というものを発行する以上は、期限が来たときに借りかえをやって返済するという措置をとるのが、むしろ当然の処置であるというふうにも私どもは考えています。したがって、先般来借りかえはいけないのだとかなんとかいう御議論がございましたが、償還を延ばすのじゃなくて、期限には現金で全部償還する、その償還財源が、一般会計であろうが借りかえをした財源であろうが、これはかまわない、償還することはするのでございますから、短期公債を出す以上は、何回か繰り返すということはやむを得ないこと、というふうに私どもは考えております。
  72. 小峯柳多

    ○小峯委員 それでは、もう一ついまの問題に関連するのですが、よく大臣がおっしゃる、弾力的に財政の運用をするという問題になりますと、やはり国債の償還のしかた、それから今度改正になりました整理資金の特別会計の運用のしかたに、案外一つの政策というものが出てくるんじゃないかと思います。定率で整理資金のほうは繰り入れるようでありますから、もし財政に税の自然増収などがあって弾力的に運営のできるような場合には、この定率のほかに国債の償還をするというようなことも考えていかれるんじゃないかというふうに実は考えるのです。それともう一つ、特別会計の中の運用のしかたも実はありはしないかと思う。特別会計で国債を現金で償還するというふうなこともありましょうし、あるいは国債を買っておいてその利息まで取るというふうなことも、理屈のしではあり得るんじゃないかと思うのですが、弾力的に運営するという角度から、いま申し上げましたように、定率の整理資金を繰り入れるほかに、適宜におやりになることをお考えになっていらっしゃるか。そしてまた、特別会計の中の運用のしかたについても弾力的な方法をお考えになっていらっしゃるか、これだけ聞いておきたいと思います。
  73. 中尾博之

    ○中尾政府委員 これは今後の問題でございますが、国債整理基金制度がございまして、今回定率の繰り入れができました。これによって一般財源はこれだけ入っていくという制度ができたわけでございます。そのほかに今回の制度におきましても、それ以外に予算で繰り入れるという道は開いております。なおお話がございました弾力的運営の問題でございますが、これは国債整理基金制度そのものの全体としての目標が、実は弾力的運営にございます。したがいまして、各年度入れました経費は、金額的に某年度においてはいつでもその全額が出動できるというしかけになっております。これがいわゆる基金制度になっております。これをどういうふうに持ってまいりますか。場合によりましては、繰り上げ償還あるいは買い入れ、さらに買い入れ消却、いろいろな方法があろうかと思います。それらの運用の原則といたしましては、まず第一に、当然——ただいま大臣からもお話がございました建設公債。したがってその効用の見合いにおいて逐次これを償還するということが根本的な原則であると思います。しかし一方でその効用が、経済の状況により大きく発揮されるときもありますし、比較的大きく発揮されない時期もあろうと思います。それらの事情にも応じて考えなければならない。同時に、これが相当大きな国庫金の上げ下げになる。借りかえといえば一応中立的な作用でございますが、そのときの金融の状態、それからそれに対してどういうような刺激といいますか、影響を与えることが適当であるかという場面が、そのつどそのつどあろうかと存じます。それらの事情も見まして、財政の事情、あるいは金融政策運営上の事情、あるいはその双方といったようなものをからみ合わせまして、先ほど申し上げました全体としての建設公債を十分消却していく、大きなワクの中で、そのつどそのつど弾力的に運営していくという制度を考えておる次第でございます。
  74. 小峯柳多

    ○小峯委員 もう一つ、弾力的に運営するという場合に、整理基金に入れる資金で弾力的な段階に使えますか。それで直接に定率の繰り入れ以外に、ときによってゆとりがあるから国債というものを減らしていこうというふうなことを、特別会計を通さずにやる方法ありますか。そんなこと考えられますか。一ぺんに特別会計だけで弾力的に運営するという道を考えたらいいんですか。
  75. 中尾博之

    ○中尾政府委員 現在は建設公債、一般会計公債でございますから、公債の収入は一般会計そのものに入りますが、制度といたしましては、これを償還いたしますのは一般会計の公債借り入れ金、特別会計のものはすべてこれを通じて行なうことに制度上なっております。技術上には、この会計を通じて行なうことになります。
  76. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 中村重光君。
  77. 中村重光

    ○中村(重)委員 先ほど私は、政府の離島、僻地等における金融対策というものは適当でないのだ、これを改善するということに対して、意見を含めてお尋ねをしたのですが、お答えを願います。
  78. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 いま政府の金融機関の支店を出してほしいという要望が非常に多うございますが、これは、そう直接各地に支店を出せるというものではございません。代理店という制度によっていろいろな目的を果たしておるのでございますが、離島、僻地の場合には、代理店を設置する場合の要件というものを非常に緩和して、離島に行くようにというような行政措置はとっておるのでございますが、今後さらにそういう方向への配慮は強くしたいと思っております。
  79. 中村重光

    ○中村(重)委員 私はこの問題に対しては、田中大蔵大臣、福田大蔵大臣、当時のそれぞれの大臣に対してお尋ねしたこともある。実は非常に前向きの答弁を受けておる。水田大蔵大臣もっともっとこれらの問題に対しては、特に庶民性があるあなたですから、うんとこたえなければならぬという熱意のほどが必ずあられるだろうと思っておった。いまの離島等においての民間金融機関といいますと、一多くて二ですよ。一というのが灘崎に相当多いですね。そうすると、この狭い地域に民間の金融機関が一つあるということは、ある意味において、その地域に君臨しておる。それが政府資金まで代理貸しをするということになってまいりますと、非常に支配的な形が出てくる。人間、好ききらいもあるのですが、そういう個人的な感情が金融面に出てくるという弊害等いろいろあるのです。私は実例をもってあなたの御参考に供したいと思うのですが、残念ながら時間がございません。とにかく政府金融機関というものは、民間の金融機関より先行して、国民金融公庫等は離島、僻地開発のために、当然出張所等を開設をする、そういうことが私は適切な行政でなければならぬと思う。もう一度あなたの考え方を聞かせてください。
  80. 澄田智

    ○澄田政府委員 私から補足して申し上げます。国民金融公庫の場合でございますが、代理店の選定等については、従来は他の代理店との距離的な条件とかそこの事務の処理能力とか、いろいろなことを考えてやっておるわけでございますが、離島の場合におきましては、その点は極力弾力的に取り扱う、こういうことでやっております。いまお話しのように、離島には民間金融機関そのものが数が少ないというようなことで、したがって、代理店となった民間の金融機関がそこでかってなことをして、必ずしも住民の要望、一般の要望というものにこたえないというような御指摘ございましたが、公庫も、代理店の業務の状況の監査について、回数、内容等をずっと強化をしてまいっております。そうしてやり方について厳重にその内容を監査をいたしておりまして、遺憾な点があれば、びしびし注意をするというようなことでやっておりまして、いまのお話しの点は、代理店のやり方の内容の監査を強化するというような方法によっても、ある程度是正されていくものではないか、かように考える次第でございます。
  81. 中村重光

    ○中村(重)委員 全然そうではないと申せません。当然それもそうあるべきなんですね。しかし政府関係金融機関は積極的に進出をするという、そういう政策を示すべきである。いまたまたま代理店の問題が出たのですが、政府資金を代理貸しをする代理店が歩積みをとるというのは、私はもってのほかだと思う。みずからの資金を貸し付けるという場合は、信用度合い等々で、ある程度用心しなければならぬ点もあると思う。しかし政府資金を貸し付ける、しかもほとんど信用保証協会が保証をしているのですね。そうすると、てん補率七〇ないし八〇ですよ。この点は強い行政指導をもって改善させなければ、改めさせなければならぬということが一点です。  もう一つは、大企業に対して金利が安い、中小企業に対して金利が高いということはどういうことだ。信用力がそれだけ弱いから、あるいは金額が少ないから、どうしてもコストがそれだけ高くなるから、金利というものが高くなるということに実はなると思う。それならば、保証協会が保証するという場合は、信用力がある意味において大企業以上なんです。にもかかわらず、保証協会の保証料だけが金利に上積みされる、こういうことが今日まで放置されている。  いま一つ、当然そういう保証協会の保証つきで信用力は非常に高いのだから、私は、普通の保証つきでない金融よりも、金利は引き下げなければならぬと思う。この点も、行政指導として当然独力になされなければならぬと思うのです。ところがなかなか行政指導は不徹底だ。この問題はたしか田中大蔵大臣の当時も、私はお尋ねをしたと思う。全くそのとおりだ、さっそくそういうことは改憲させます、ということをきっぱりとお答えになったのだが、なかなか改善されていない。水田大蔵大臣いかがですか。
  82. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 そういういろいろな問題が金融にはございますので、ここでそういう問題を解決するために、まず中小企業の金融機関はいかにあるべきかというような問題から、そういう解決をはかる必要があると考えまして、財政金融制度調査会に、いまその問題を諮問して研究していただいていまして、この秋ごろには答申が得られるということになっておりますので、この答申を中心にして、こういう点やはり根本的に対策を立てたいというふうに私どもは考えております。
  83. 澄田智

    ○澄田政府委員 なお補足して申し上げますが、ただいま御指摘の、政府金融機関の代理貸しに対して歩積み両建てをとっているという、この点は、おっしゃるとおり、まことになすべからざることでございます。厳重に注意をいたしております。そしてこれは先ほども申し上げましたが、公庫等は、代理業務の監査について、この点を特に重点を置いて監査をいたしております。たとえば最近の数字を申し上げますと、四十年度に九件、四十一年度にも同じく九件、そういうことをいたします不良代理店を摘発いたしました。こういうような場合には、歩積み両建てを即応解消させますとともに、当該代理店における新規代理貸しを一時停止させるという措置もやるというようなことで臨んでおりますので、いろいろまだあるかとも思いますが、改善される方向にあると存じます。  それからもう一点の、保証協会が保証をしている、その場合に当然金利を下げるべきではないかというお話の点でございますが、これも最近の数字で見てみますと、金利を一厘ないし二厘、保証のない場合に比べて下げているというような場合が相当多いわけでございます。まだ全然下げていないというケースもございますが、大多数の場合は、一厘ないし二厘程度、保証のない場合に比べて金利を下げている、こういうような実績が出ております。なお、さらに下げるべきではないかという点は、まことにそのとおりかと存じますが、なおこういう点について、一そう指導監督上留意をしてまいりたい、かように思います。
  84. 中村重光

    ○中村(重)委員 考え方は一致するわけです。おっしゃるように、まだまだ行政指導の——あえて私は不足とは、誠意ある答弁ですから、申し上げません。しかし確かにまだ強い行政指導が必要であるということを、私は具体的な事実を知ってお尋ねをしておるわけです。この点ひとつ特に大蔵大臣、配慮していただきたいと思います。  それから、大臣も私と同じ考え方を持っていらっしゃるのだと思うのですが、最近特殊金融機関といいますか、信用組合であるとか、あるいは市街地農協ですね。農協が全く金融機関と変わらないような金融業務、員外利用なんというようなことは念頭に置かざるがごとく、一般融資業務、その地域だけでなくて、県を越えて融資をしている。しかも融資をするときにはリベートを取るというような不正融資、不正行為というものが行なわれておるということ、これは新聞報道によっても御承知のところだと思うのです。連合会等に対しては、信用組合の場合は、大蔵省が直接監督という形ができるにいたしましても、単位の信用組合等は、間接的な指導監督という形になるので、だからやむを得ぬということで放置すべきでないと私は思う。そうした不正融資によって、あるいは不正行為によって受ける利用者の被害というものは、変わらないと思う。だから法律であるとかあるいは規制であるとか、そういうものを、ひとつ改めるところはどんどん改めて、大蔵省の指導監督というものが強力に行なわれるような体制がえをする必要があると私は考える。また、市街地農協等が、目に余るようなそうした金融行為をやっておるというこの事実に対しては、当然定められた、いわゆる員外利用の範囲を越えないような行政指導もなさる必要がある。それから、先ほど触れたことになるわけですが、金融機関でございますから、監査をいたしましても、公表するということになってまいりますと、影響が大きい。だから文書か何か送って、注意をするにとどめる。ところが農業団体は圧力団体ですから、そういう注意くらい知事がやっても、そういうことによって反省するというような態度はなかなかとりません。一向これが改まらないというようなことが、全部の農協であるとは、私は申し上げませんが、特定の農協の金融の上にあらわれて、刑事事件等にも発展をしたというこの事実は、御承知になっていらっしゃるであろうと思う。これらの点に対して、大臣どのようにお考えになりますか。
  85. 澄田智

    ○澄田政府委員 私からお答え申し上げます。最初の、信用組合の監督というような点でございますが、この点については、確かに現在のやり方については改善すべき点もございます。先ほど大臣から申されました金融制度調査会の中において、中小企業金融のあり方というものを目下検討いたしております。特別委員会を設けてやっておりますが、その答申等にも、今後の信用組合に対する監督のしかたについては、何らか取り上げて改善をはかっていきたい、かように考えておるわけでございます。  それから、いまお話しになりました市街地の農協の行為等につきましては、これは当然御指摘のように、員外貸し出し等をやるということは、その監督を十分徹底していかなければならない問題である、かように存じております。
  86. 中村重光

    ○中村(重)委員 時間がありませんから、金融問題はこれで打ち切ります。  最後にお尋ねしたいと思うのですが、在外公館の、土地あるいは建物を借りている——これは、私は当決算委員会において、外務省関係の際にお尋ねをした。政府も、計画的にそうした在外公館の土地、建物の買収、取得をやるということで進めておるようでありますけれども、私が調査したところによりますと、四十二年度予算では九億五千六百二十二万二千円使用料を払う。少なくとも、日本の経済力がこれほど発展をいたしておる、そういう際に、土地も借りる、建物も借りるというようなことで、九億、十億という使用料を毎年毎年払っているということは問題だ。これは日本の名誉のためにも、またこうしたむだな経費とまでは私は申しませんけれども、当然こういうことは改善されなければならない。もっと計画を早めて、すみやかにこれらの財産を取得することが必要ではないかと思うのでありますけれども、この点はいかがお考えになります。
  87. 松永勇

    松永(勇)政府委員 この点につきましては、御指摘のとおり、現在の一本における外国公館に対する貸し付け料というものは、非常に低額になっております。この点、この契約がほとんど明治年間に行なわれたものでございまして、その当時の物価というもので契約がなされておったということで、こういう状態が戦後放置されておった。実は放置されておったというのはちょっと語弊がございまして、この貸し主である大蔵省といたしましては、いかにもこの価格がアンバランスになり過ぎておるという観点から、従来数回にわたって努力をいたしておったのでございます。何ぶんにも外国公館の敷地を貸すということは、外務省の外交交渉と関連して行なわれてまいった経緯がございまして、私のほうとしましても、外務省にお願いし、各国に対してこの引き上げに努力してまいったのでありますが、まずイギリスに対して、その第一着手をやりましたが、イギリスとの間がなかなか難航し、その後イギリス以外の国に対しても、外務省努力をわずらわしたわけでございます。これがまだ成功していない状況にございます。そこで、最近では、昭和四十年からこの値上げを強力に行なおうということで、いま外務省と折衝いたしております。外務省当局にも私たちの気持ちをくんでいただきまして、現在各国との交渉をいろいろとやっていただいておることが現状でございます。現状はいまのようでございますが、確かに明治年間の借料というものがそのまま続いておるというような状況で、早急に何とか改定いたしたいというふうに考えております。
  88. 中村重光

    ○中村(重)委員 大臣、お聞きのとおりです。私は外国における日本公館、そのことをまず尋ねたんですが、続いてお尋ねするつもりでした。日本が払うのは年間九億も十億も払って、今度は日本が、アメリカであるとかイギリスであるとかあるいは、これは大体五カ国か七カ国のようでございますが、それも明らかにしてほしいと思うのですが、明治年間そのままだということです。治外法権のときそのままに、日本が何のために屈従していかなければならないのでしょう。これは実に怠慢というのか、表現することばを私は知らない。いま強力に進めておるということでございますから、期待はいたしますけれども、おそらくそういう考え方は、当委員会においてもいろいろ指摘されたことがあるのですから、前からずっと持ち続けてこられたのであろうと思う。ところが現実には、それがなかなか改善されない。これはあえて私は放置されておると申し上げたいのでありますが、こういう屈辱的な状態をいつまでも続けておくわけにはまいりますまい。すみやかにひとつ水田大蔵大臣、一刀両断ということは、外国、相手があるからということになるかもしれませんが、ともかくすみやかに解決しなければなりません。あなたはどのようにお考えになりますか。
  89. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 いまお話がありましたように、交渉する場合は、どうしても外務省を通じてやらなければなりませんので、私どものほうはひとつ十分外務省のしりをたたいて、なるべく早く解決するように促進したいと思います。
  90. 鍛冶良作

  91. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 大臣に伺いたいのでありますが、時間があまりありませんので、お互いにできるだけ要点だけを尽くしていきたいと思います。  第一点は、昭和四十年の十月に、会計検査院長から大蔵大臣あてに、国有財産の普通財産の管理不当の問題で、検査院法に基づいて改善の要求がなされているのです。これがまだ相当の部分、千件以上が未済なんです。一つの例といたしましては、日比谷公園全部、これは五万四千坪ありますので、十六万平米以上のものであります。もう一つは芝公園。合わせますと八万一千八百六十坪で、二十七万平米以上のものであります。時価にして四十五、六億円なんでございますが、これが実はまだその後、普通財産といたしまして、都への引き継ぎ等もそのままになっております。長い間そういう状態になっております。大臣、あなたはあるいは直接知らぬかもわかりませんが、こういう重要なものが東京都のどまん中、大蔵省の間近にありまして、そのまま捨てられているという事件がございますが、これはどういうふうに処理なさるつもりですか。まだ現在の時点で未済なんです。これはどうなんです。
  92. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 専務当局から説明します。
  93. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 大臣は一切御承知ないのですか。大蔵大臣あて検査院長から出ている改善要求なんですが、大臣にこれは報告していないのでしょうか。
  94. 松永勇

    松永(勇)政府委員 私のほうへ、実は三十九年度の改善措置要求として検査院から参りましたので、本件につきましては、当委員会においても御説明申し上げましたが、大臣にはこの点について総括的な説明はいたしておりますが、側々のこまかい点の説明はいたしておりませんので、私から答弁させていただきたいと思います。  三十九年度でそういう指摘を受けましたものにつきましては、私たち、いわゆる国有財産の管理面が非常に粗雑ではないかという検査院の指摘の点を反省いたしまして、四十年以降、こういう国有財産の管理面を最重点的に処理をしていくということで、現在やっております。御指摘を受けましたものが約三千件ございますが、そのうち、現在四十一年度末までに約二千件の処理をいたしました。処理率六三%、それ以外のものは現在まだ処理を促進している状況でございます。御指摘になりました日比谷公園、芝公園等につきましては、これは実体は、国有財産を、公園として東京都に無償貸し付けしておるということでございます。この無欲貸し付けの手続がまだ未済ということで、御指摘を受けているわけでございます。確かに、国有財産として、今後も公園として貸し付けていく、その貸し付け期限が参りますれば、当然また更新をしてまいるということで、そういう手続は正確にこれを処理しておかなければならなかったわけでございますが、そういうものが、現在まだ無償貸し付けの手続の更新が未済になっておるという点で、御指摘でございます。  本件につきましては、東京都と国との間に、土地の境界、そういう点につきまして、まだ話し合いがつかない。私のほうとしては、あの全地域は国有地であるということに考えておりますが、その中に一部郡有地があるんだということが、東京都の主張になっております。その点の東京都との詰めがまだなかなかつかないということで、現在もまだ未済になっておりますが、いずれにしろ、現在公開としてそういうものが使われておる、その手続を早くすべきだということには変わりございませんので、私のほうとしては、その所有権の問題について、一日も早く東京都と話し合いをつけ、現在事実上貸し付けばしておるわけでございますから、そういう手続も、書面上、貸し付け契約を締結するということに持っていきたい、というふうに考えております。
  95. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 大臣、やはりこのような重要な問題が放置されまするものは、国有財産の管理につきまして、とかくたくさんに問題が続発しておりますので、これらの点につきまして、大臣としまして、相当かまえを持って厳達して、早期処理を命じなければならぬと思うのです。所有権の有無を争っておりまするならば、結局裁判になりましょう。十年もかかります。そういうだらしないことで、国有財産の管理はできません。続々として民間人が地上を使用するという経過になってくると思います。どういうふうにお考えになりますか。
  96. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 国有財産の処分その他につきましては、御承知のように、いろいろな改善策を講じておりますので、一般の処理は順調に進むと思いますが、そういうふうに問題を持った場所の処理というものは、非常にひまがかかる。たとえばきのう判決を得ましたような宿主山の問題というふうに、所有権の問題などを起こしたところの処理というものは、なかなかそう簡単にいかないものでございますので、そういう停滞がありがちでございますが、やはり一般の問題とそういう特別に問題を起こしておる土地というものははっきり分けて、それはそれの解決に専念するというような、やはり一つの体制をとって、この処理に臨むのでなければ、なかなか早期に解決しないと思いますので、そういうふうな問題になっておる場所についての解決のための内部体制を整えてかかりたい、というふうに私は考えております。
  97. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 第二点は、過日、本会議におきまして、大臣は、事業別予算制度については、財政制度審議会に付議するかのような御答弁があったのであります。先刻事務当局に伺ってみますると、本年度これを付議するような用意はどうもなさそうなんです。その意向はなさそうなんです。あなたの御説明によりますと、すでに制度審議会においては、説明も済んでおるんです。これは他の案件にはばまれまして、そのままにたっておる。非常に重大な問題でありますので、ぜひとも本年はこれに付議することを御希望したいのでありますが、あらためて御決意を伺っておきたい。
  98. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 事業別予算制度は、財政会計制度の根本に触れる大きい問題でございますので、いま部内のほうの研究に追われているのが実情でございます。財政制度審議会に、一応他の問題とからんで説明はいたしましたが、昨年は公債の問題、減債制度の問題というようなものに議論を集中したために、昨年この問題を取り扱うというところまでいきませんでしたが、それじゃ本年度諮問できるかと申しますと、まだ私のほうの準備が実は済んでおりません。昨年、係の者をこの問題を研究している国連に派遣しまして、事業別予算制度研究大蔵省としてはさせております。ようやくいま帰ってまいりまして、引き続きこの問題に取りかかっておりますが、まだ何しろ、根本に触れる大きい問題でございますので、審議会にかけても、こちらが十分答弁できなかったりしてはたいへんでございますので、もう少し内部において勉強してから審議会にかけたい、というふうに考えていますので、本年は間に合いません。
  99. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 さっき、これは一つの試案でございますけれども、そのようでありまするならば、さしあたって、公共事業費のうち公営住宅の建設等、このものにつきまして、一つの試案的なものをお伝え申し上げまして、そうして本年度やがて予算作成期が迫ってまいりまするので、これは現行制度におきましても可能でございます。しかし、一歩前進に違いありませんので、こういうものにつきましては、ひとつ今後、これは新しい制度の問題というのじゃなしに、ぜひ実行せられることを御希望申したいのでありますが、いかがでしょう。
  100. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 すでにいまの予算制度の中にも、一部事業別予算制度が部分的に事実上取り入れられているというような部面もございますので、そういう前進的ないい改善の御意見がございましたら、十分検討いたします。
  101. 吉田賢一

    吉田(賢)委員 それから、これも本会議でやりましたので、これは結末的に大臣に、どうも問い足らなかったので、御趣旨を伺っておきたいのでありますけれども、今年度における補助金の整理の方向はややわかったのであります。しかし相当具体的に進行しようと思いまするならば、これは積極的に取り組まなければいけません。御承知のとおり、三十八年出ました例の審議会の答申は、かなり項目を並べまして、弊害あるいはこれが改革への提案的なものが出ております。それを受けまして臨調答申をいたしておるのであります。したがって、また、知事会等におきましても、これは総理も支持し、また、あなたも非常に積極的にこれにくみしなすって、零細補助金等の整理はある程度おやりになっている、これもわかっております。しかし、一歩前進いたしまして、この補助金整理の問題は、前の池田内閣時代の、補助金整理に関する相当こうかんな答申も出ておるのでございますので、できるだけもっと幅の広い補助金整理の取り組み方をしてもらわにゃいけまいじゃないだろうか、私はこういうふうに考えておりますのですが、いま事務から承る時間もございませんので、過日事務当局から、最近における事務の状況も一応聞いてみましたけれども、それはわかっておりますが、もっと幅の広い、奥行きのある補助金整理の対策を立てて、それで大蔵省としてはお取り組みになることが必要な時点ではないであろうか、こういうふうに考えております。何しろ三兆円にのぼる補助金でございますので、これはたいへんな問題なんです。また、その利弊は地方行政の上でいろいろとこんがらかってきております。ことに、権限の分界点がわからなくなってくるというようなことは至るところで聞くのであります。あれこれしますので、問題点は多いのです。しかし、零細補助金を切るということだけじゃなしに、メニュー方式のものも私は一覧して見ましたが、そんな程度のものじゃありません。もっと本格的に取り組む段階に来ておると思いますが、これはいかがでしょう。
  102. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 まさに私もそのとおりだと思っております。これは今後取り組みたいと思います。御承知のように、地方財政を見ましても、固有の地方税、それから国の交付税、補助金と、この三つによって成り立っておるという状態でございますので、その一つの柱の補助金制度というものがどうあるべきか、これはもう少し根本的にこの問題と取り組まないと、補助金整理の問題も合理的にはなりませんので、これと取り組みたいというふうに考えております。
  103. 鍛冶良作

  104. 華山親義

    華山委員 この三月ばかりの間、決算委員会で論議をいたしまして、大臣にお聞きしたいと思っていることがありますけれども、時間もございまいませんので、そのうち若干お伺いいたします。時間が参りました、どうぞ委員長にお断わりになって、お立ちになってけっこうでございます。  一つは、これは先ほどまでも論議が続けられたのでございますけれども、東大の研究所のロケットの問題についての経理上の不始末がございます。今後ますますこの宇宙開発については、いろいろな巨大な金が一要ると思うのです。そしてまた素粒子研究のための巨大加速器の大きな問題がございます。第三次防衛計画が出てまいりますと、武器の問題がございます。こういうふうに巨額の金を使って開発をする問題につきましては、私が考えるのに、これを正しく、疑惑がなく、いろいろなスキャンダルを起こさないで正しく行なうということのためには、現在の会計法規では無理なんじゃないか。それで、会計検査院の概算契約というふうなことで、そういうふうなことはどこに条項があるのかと聞きますと、概算契約は禁止しておりませんからというふうな、まことに無理な御答弁まで出てくるわけです。私はこの際、こういうふうな意味から、開発を伴う巨大経費を適正に運行するために、とにかく特別の委員会というものでもつくって、根本的に会計法規、会計検査院あり方、そういうことに取り組んでいただきたい、こういうふうに考えるわけでございます。若い正直な役人は、私に対しまして、ほんとうに白刃を踏む思いでやっているということを言います。文部省の会計課長は、ほんとうにこの問題につきましてはもう頭を悩ましておる。こういう実態でございますので、大蔵省が中心になって、この問題についての今後の、総理大臣が本会議答弁されたことの具体的な方策として、御研究を願いたい、こう思いますが、いかがでございましょうか。
  105. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 会計検査院から指摘されましたように、ロケット本体の請負契約について、製造に着手しておるのに契約書が作成されていないというようなこと、請負業者の参考見積もりがそのままもう契約金額として採用されているということの不当さを指摘されましたが、これは結局研究機関にありがちなものでございまして、技術関係者と経理担当者との間の連絡が不十分で、また連絡がついても両者が別々で、なかなかこれを合理的に解決するということができないというような、一般にはめったに起こらないことでございますが、特殊な研究部門にはこういうことが起こり得ることでございまして、これについてどう改善したらいいかという意見も、会計検査院から承っております。それによって、この改善策を今後やってみたい。そうすれば、ある程度の改善は、私どもはできるというふうに考えておりますが、それでもいかぬという場合には、おっしゃられるような、こういうものの契約を特に適正ならしめるためのいろいろな何かの機関と言いますか、そういうものが必要であるというふうにも思われますが、現状のところは、いま指摘されたその欠陥をなくすということによって、この契約の合理化は政府の力でできるのではないか。その方向で今後努力したいというふうに私は考えております。
  106. 華山親義

    華山委員 大蔵大臣会計の大家でいらっしゃるから、経理の大家でいらっしゃいましょうから、なんでございますが、現在の経理法規、こういうところでは無理が起きると私は思いますので、何らかの点につきまして改善を加えていただきたい。いま私がここで申しますのは、たとえばこのロケットにつきまして、原価計算はどうなっておるか。原価、それに対する開発費、これを十分に認めて、そしてそれについて十一%の管理費を認めて、七%の利潤を認めて、その総額が契約高になっておる。業者は損をすることは一つもない。もうけるのは開発によって得た知識だ。こういうふうな実態、それだから業者がいろいろな、たとえば武器の製造であるとか、そういうことに殺到するのは当然な話。一ぺん契約がなりますと、それはもはや永久的な独占的契約になる。こういうふうなことはやむを得ない点があるならば、極力是正してもらわなければいけないし、現在の会計法規、会計検査院あり方がこれでいいのか、私は相当疑問を持つ。財政と大企業との結びつき、ここにいろいろな問題が起きるかもしれない。真剣にひとつお考えを願いたいと思います。  それから、もう一つは憲法の問題でございますけれども、憲法の第八十九条に財政の規定がございますが、それは公の支配に属しないところの事業に対しては、教育、博愛、慈善等に金を支出してはならないということが書いてある。ところが、現在いろいろな面を見ますと、これが全く乱れている観がある。今度も問題になりましたのが、くどいようでございますけれども、ベトナム協会に対しまして、人道上の立場から、大蔵省はこれを認めて予備金を出された。これについて法制局にいろいろお尋ねした。法制局の意見は、私は政府の統一見解と思うのでございますけれども、法制局のおっしゃるには、ベトナム協会に出したことが、ベトナム協会の仕事が人道上のものであるということであるならば、これは憲法に違反する、ただベトナム協会のやった仕事が荷物を送るだけのことであるならば、それは憲法上認められることであろうということでございますが、こういうふうな無理な解釈をしなければいけない。しかも、ベトナム協会の定款には、荷物をつくるだけの荷物を貰うなんということは書いてない。その点に不適法があると私は思うのでありますけれども、現在の憲法に対しましてどういう批判を持とうとも、政府官僚、われわれがどうしてもこれを守っていかなければならない。こういう例は私は幾らもあると思うのです。この点については、予算執行上十分に注意していただきたい。そういうことのないようにしていただきたいと思いますが、これは大臣の所見を伺いたい。
  107. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 いままでの例を見ますと、たとえば中華民国に対する医薬の贈与を日赤で行なっておりますし、コンゴに対する医療救護はやはり日本赤十字を通じ、韓国に対する食糧贈与というものも日本赤十字を通ずるというふうに、こういう機関を通じての援護を行なっておりますが、べトナムの難民救済の援助は、たまたまベトナム協会というものができておりまして、この機関を通じて行なったわけでございますが、これはこの機関に補助金を出したというようなものではございませんで、この機関に援助の委託をしたということでございますから、別にいまおっしゃられる八十九条に触れるものではない、というふうに私どもは解釈しております。まだ今後ともこういう問題は起ころうと思いますが、いま言われましたように、問題は不適正な措置が政府によってとられないように、この点は、十分に今後とも気をつけたいと思います。      ————◇—————
  108. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 本日、本員会をもって、本国会の最終となるかと存じますので、一言ごあいさつを述べさせていただきます。  長い間、委員各位にはよく勉強していただき、順序よく審議を進行してまいりましたことを、深く感謝申し上げます。  休会中においては、それぞれの国政調査にお出かけを願い、また、八月十日に、委員会もしくは委員懇談会を開く予定にいたしておりますので、御出席を願い、今後の審議方法を御協議申し上げたいと存じます。  いずれにいたしましても、御健勝にて、来国会には一そうの御勉励御鞭撻を賜わりますよう、深くお願いして、ごあいさつといたします。(拍手)  本日は、これにて散会いたします。    午後二時十二分散会