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1967-07-13 第55回国会 衆議院 決算委員会 第23号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年七月十三日(木曜日)     午前十時三十五分開議  出席委員    委員長 鍛冶 良作君    理事 吉川 久衛君 理事 小峯 柳多君    理事 小山 省二君 理事 白浜 仁吉君    理事 高橋清一郎君 理事 佐藤觀次郎君    理事 華山 親義君 理事 吉田 賢一君       菅波  茂君    丹羽 久章君       水野  清君    村上信二郎君       浅井 美幸君  出席政府委員         法務大臣官房経         理部長     辻 辰三郎君         法務省刑事局長 川井 英良君         法務省矯正局長 勝尾 鐐三君         公安調査庁次長 長谷 多郎君  委員外出席者         法務省民事局第         一課長     香川 保一君         法務省刑事局刑         事課長     石原 一彦君         法務省刑事局青         少年課長    安田 道夫君         法務省刑事局参         事官      村上 尚文君         法務省保護局総         務課長     海治 立憲君         法務省入国管理         局次長     笛吹 亨三君         会計検査院事務         総局第二局参事         官       鎌田 英夫君         専  門  員 池田 孝道君     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  昭和四十年度一般会計歳入歳出決算  昭和四十年度特別会計歳入歳出決算  昭和四十年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和四十年度政府関係機関決算書  昭和四十年度国有財産増減及び現在額総計算書  昭和四十年度国有財産無償貸付状況計算書  (法務省所管)      ————◇—————
  2. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 これより会議を開きます。  昭和四十年度決算外二件を一括して議題といたします。  法務省所管について審査を行ないます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。水野清君。
  3. 水野清

    水野委員 この前、六月二十九日の当委員会における質問に引き続きまして、少し続けて質問をさしていただきたいと思います。  この前、大臣が新しい少年法の構想の基本は、いわゆる少年事犯を起こす一つ前の芽をつみ取るということと、それから職業補導の問題だということを言われたわけでございますが、その職業補導の問題について少し伺いたい。  現在、少年矯正施設その他で職業補導をやっておられますけれども、その現況について、簡単にちょっと御説明願えませんか。
  4. 勝尾鐐三

    勝尾政府委員 少年院職業補導現況でございますが、少年院職業補導の中には、職業訓練法に基づく職業補導と、職業訓練法には基づかない職業補導、二種類職業補導を行なっております。職業訓練法に基づく訓練期間が一年で、その一年の間に、職業訓練法所定課程を履修させるということでございます。現在は、雇用の需要が多い職種、それは現在採用いたしておりますのは、板金とかテレビ修理、あるいは自動車の整備といったもの十種額につきまして、収容少年の中から比較的適性の高い者を選びまして、多摩少年院等九カ所の施設において——施設によって、三種目実施しているところもございます、あるいは六種目を実施しているというところもございますが、全部で十種類について訓練を施しております。  それから、職業訓練法には基づきませんが、その他の中等少年院あるいは特別少年院につきましては、やはり収容少年能力に基づきまして、比較的短期間に習得ができる職種を選びまして、現存約三十種の職種について、訓練を施しているというのが概況でございます。
  5. 水野清

    水野委員 そうしますと、少年院の中では十種目訓練しておられる。それ以外では五十一種目範囲すべてを選択自由だという話ですか。
  6. 勝尾鐐三

    勝尾政府委員 訓練法ではたしか五十一種目あると存じますが、そのうち、職業訓練法に基づく職種は現在十種目でございます。しかしそのほかに、訓練法には基づかないものが現在三十四種目、だから合わせまして四十四種目、現在少年院職業補導をやっているというのが現況でございます。
  7. 水野清

    水野委員 こまかい質問ですが、現実には、私の見ている範囲では、四十四種目という職業補導が、私は完全に履行されていないというか、履行しにくいのじゃないか、それぞれの少年院が離れた地域にあるわけでありまして、しかも、その少年院の中に、四十四種目職業補導をし得る能力のある先生ですか、少年院指導者がいないというような現状だと思うのです。結局いまのお話は、機会としてはあるがというお話しであって、現実にはその四十四種目が完全に実行されていない。ですから私の申し上げたいのは、実は質問がまだたくさんありますので、先へ急ぐわけなんですが、むしろ、少年院とかそういうところに参りますと、非行少年がさらに悪くなっていく。むしろ悪い仲間から、中で、いままで知らなかったいろいろな非行を覚えてくるという例のほうが多い。受刑施設ではないのですけれども、要するに練鑑に行くと、箔がつく、悪くなってくるというのが社会常識だ、こういうことではうまくないので、その四十四種目につきまして、中の少年たちが自由に職業補導を受けられるように、そして職業を通じて更生ができるようにということに、一そう御努力をいただきたいということを、私からお願いしておきたいと思うのです。
  8. 勝尾鐐三

    勝尾政府委員 お説のとおりでございまして、現在職業訓練法に基づく職業訓練は十種目しかやっていないような実情でございますので、十種目につきましては、予算上の必要な手当、並びに教官専門家を集めまして、何とか所定課程を終えまして、職業安定局長終了証書ももらえるという段階に達しておりますが、それ以外の三十数種目につきましては、お説のとおり教官不足あるいは少年適性な者の選択方法並びにそれらをある程度集めてやるといったような点のくふうと申しますか、それがまだ十分でございませんので、さらにこの方面について充実をしていくという方針で、計画的に予算上の手当並びに教官の養成、これをやっているのが現状でございます。
  9. 水野清

    水野委員 さらに、この職業訓練お願いしたいのは、その職業訓練が役に立っているかどうかということです。現実にこの少年たちの退所してからの近跡は、それぞれ保護観察官その他司法保護司が見ているわけでありますから、その追跡調査もあわせてやっていただいて、要するに効果のある職業を選択さしていただきたい。これをあわせてお願いをしたいと思います。
  10. 勝尾鐐三

    勝尾政府委員 職業訓練を終了した少年出院後における就職状況でございますが、これにつきましては、たとえば特定の、多摩少年院あるいは神奈川少年院等について、出院後の就業状況を調べたことがございますが、それによりますと、少年院で覚えたその職業に就職できた者の率というのは六一%という率に相なっております。ただし、全国的に少年院における職業訓練効果がどのようになっているかという点につきましては、たいへん申しわけないのでございますが、いままでのところ、法務省としての調査ができていないのでございます。そういう意味におきまして、昨年、法務総合研究所に依頼いたしまして、少年院における職業訓練も含めまして、各種の処遇効果というものがどういうことになっているかということを調査依頼いたしまして、法務総合研究所におきまして、五カ年計画でその研究を始めまして、本年ようやく二年目に人っているというのが現状でございます。そのほうの調査と合わせまして、なお私のほうだけでも、一つ施設あるいは二つの施設についても、追跡調査というものをせひやってみる必要があると考えて、その計画を練っているというのが現状でございます。これはぜひやりたい、このように考えております。
  11. 水野清

    水野委員 それから、やはり同じ非行少年関係の問題でございますが、毎年決算上、これらの施設における指導職員手当不用額、さらに流用額などの金額が出ているわけであります。たとえば昭和四十年度には、少年院関係職員俸給不用額として二百十七万円余り流用額が二千六百五十万余りございます。現実には、法務省関係のこういう施設では非常に予算不足している。私ども、少ない範囲ですが、いろいろ見聞したところでは、設備も非常に悪いというのが現状でありますのに、そういうふうなお金を出しているのはどういうところに原因があるのかということを少し承りたい。私の見ている範囲を申し上げますと、やや給料が低いのではないか、あるいは少年院その他のある地域が山奥であったりなんかするために、優秀な人材がこういうところに来て、非行少年教育ということにあまり力を注いでくれるような機会がないのではないかというふうに感じるわけです。この点について、ちょっと承りたい。
  12. 勝尾鐐三

    勝尾政府委員 ただいまお示しのとおり、四十年度決算におきまして、少年院のほうの職員俸給不用額が二百十七万四千五百六十八円ございます。このほか、職員俸給から他の費用に流用しました分、それが二千六百五十九万九千円ございます。このような不用額等を生じましたのは、一つは、年度途中におきまして、比較的高齢、したがって俸給の高い職員がやめた、そういう欠員があったことがおもな事由でございます。したがいまして、このような欠員がなぜ生じたのかという問題、さらにそのような欠員が生じないように、人事管理面についてなお十分なくふう努力をする必要があるという問題が当然起きるわけでございます。その点につきまして、ただいまお示しのように、少年院の所在地がへんぴなところに比較的ある、しかも、勤務が、少年が昼間起きている場合はもちろん、夜間寝ている場合にも教官がつきっきりでそのめんどうを見ているといった、かなり質的に苦しい労の多い勤務についているわけでもございますので、そういう勤務にふさわしい待遇をしていくということが、ぜひ必要であろうかと思っております。現在、いわゆる俸給表制約等もございますが、その俸給表制約については、そのほうの是正を別途折衝をすると同時に、超過勤務手当支給の問題あるいは教官研究費支給の問題、さらに宿舎の整備をはかっていくといった、間接的ではございますが、そういった面の強化を実現して、教育必要人員を確保するということについて、現在も、来年の予算期を控えまして、関係省庁とも強力な折衝を続けているというのが現状でございます。  なお、欠員から生じました俸給不用額につきましては、現在財政法上の制約がございまして、俸給人件費を他の庁費だとかあるいは営繕費等に流用することが困難なので、したがいまして、これは主として退官、退職手当等の足らない金額に回していくのが現状でございます。
  13. 水野清

    水野委員 これはいわば、いろいろ国家公務員の法律その他から、なかなかむずかしいと思うのでありますが、私の知っている範囲では、実際農村には——農村というか、少年院のあるようなへんぴなところには、優秀な人材で、非行少年教育を来てやってくれるような人はいない。ところが片一方では、小中学校のいなかの校長さん方が定年退職されて——定年退職者という一つの制限があるわけなんですけれども、こういう人たちが非常に遊んでいるわけです。決してその人たちは一部の人が考えているように思想的にも片寄っている人でもない。こういう人たちを何らか、たとえば嘱託というような形で、そういうところへ来てもらう。いわゆる時間講師のようなかっこうでもいいのですが、この少年院関係に使うことができるのじゃないかということが一つ、でございます。  それからもう一つは、たいへん失礼なお話なんですか、やはり少年院関係を私の見た範囲——三、四カ所で、非常に狭い範囲なんですが、やはりそこに一種の昔の非行少年設備の暗さが残っているわけです。その暗さの原因一つは、職員の性格というものもある。こういうものを一掃していくには、私はこの際外部人たち——人物を選考されるというのは非常に重大なことだと思いますが、中に入れて交流していくことが、中の非行少年教育ということについて大きな効果をもたらすんじゃないかと思うわけでございますが、その点ちょっと御意見を承りたい。
  14. 勝尾鐐三

    勝尾政府委員 最初にお示しになりました、いわゆる遊休ということばが必ずしも適当ではないかと思いますが、有用な社会資源活用するという方向でございます。その点につきまして、私、現在の少年院実情を見ておりますと、現在の定員で精いっぱい勤務をしている。したがいまして、職員の中に、たとえば病気になった場合、あるいは不幸があって休暇を取らなくてはならないという場合、そのしわ寄せがすぐ残りの教官にかかっていくわけでございます。これが非常に限界を越えて、耐えがたいようなしわ寄せがいく場合が、十分実情として私も聞いておるわけでございます。そういった場合に、いま言った社会資源、これをたとえば臨機に非常勤といった形で助けていただくという方法はぜひ私、考えたいと思っているわけでございます。特に女の子供を入れている少年院におきまして、女の教官の方が産前産後で休まれるといったような場合に、その穴埋めと申しますか、その期間だけかわってやってほしいという教官の声が、非常に現場では大でございますので、私、何とかしまして、そういった社会資源を平素からひとつリストなりをつくっておきまして、そしていざというときに、非常勤あるいは謝金といったような予算活用によって、ぜひ協力をしていただく体制をつくりたいと考えておりまして、現在その面を、予算的にどういうぐあいに乗せ得るだろうかということを考えている実情でございます。  それからなお、施設が非常に暗いという問題が一つございます。これもやはり少年教育というのは、教官収容少年との間に人間的なコミュニケーションがないと、あと幾ら学科を教えても、幾ら職業訓練を施しても、実は実らないだろう。根本的にはどうしてもあたたかいコミュニケーションがつくられる。そのためにはそういうコミュニケーションがつくられるような環境をやはりつくってやる必要があるということで、施設整備につきましては、少年院としての効果をあげるための重要な基本的な要素であるということで、全国的に、これを年次計画に乗せて、施設改善をはかっていくというのが現状でございます。  なお、職員が、やはり離れた土地で、しかもいうならば拘禁的な施設、しかも官舎に勤務しておりますと、非常に社会から孤立化するということが避けがたい現状でございます。これは当然視野も狭くなりますし、考え方も偏狭になるという可能性がございますので、これを外部との接触を、窓を開いて職員視野も開いてやるということが、やはりぜひ必要である。そのために、できるならば、たとえば、せめて少年関係を扱っております家庭裁判所調査官の方、あるいは法務省でいえば保護観察官といったものとの間の人事交流ができないものだろうか。できれば人事交流をするにこしたことはない。そのためには、俸給表の問題だとかいろいろございますが、そういう方向で、この人事交流ということも実現したいと考えておる次第でございます。
  15. 水野清

    水野委員 次に、少年保護観察につきまして伺いたいのですが、これは私の調べましたところでは、昭和四十一年の年度末現在、保護観察を受けております少年が十万七千八百名余、保護観察官一人当たり百五十名の負担数だということでございます。この数字は違っていれば、そちらで御指摘願いたいと思いますが、このような現状では、実際に保護観察が行なわれると言えない。民間司法保護司というものの力にたよっているということは私も存じておりますけれども、この実態について簡単でけっこうでございますが、御説明を願いたい。
  16. 海治立憲

    海治説明員 御説明申し上げます。  昭和四十一年末現在の保護観察対象者の十万七千八百十名と申しますのは、成人を含めた数でございますけれども、これらのうちの大部分は、青少年対象者を入れている現況でございます。すなわち、家庭裁判所保護観察処分を受けました対象者と、それから少年院を仮退院しました対象者の数を合わせますと、七万六千十二名となるわけでございまして、これらの青少年対象者に対する保護観察官諸君負担量は、一人当たりの数にいたしますと、相当重い実情にございます。もしもこれらの対象者処遇を、すべて役人である保護観察官の手のみで行なうといたしますと、当然十分な処遇の実施が困難と考えられるわけでございますけれども、わが国が現在民間保護司との共同体制のもとで更生保護を行なうという制度をとっておりますために、保護観察官の足らないところを、民間保護司に補っていただいておる実情でございます。このことは、更生保護制度根拠法規になっております犯罪者予防更生法にそういうふうな制度をとるんだということを規定してございますけれども、やはり何と申しましても、民間保護司の方々は、素質であるとか、あるいは知識経験という点で決して不足であるということはございませんけれども、現在更生保護に対して期待されておりますような、専門的な知識に基づいた合理的な保護観察を実施するためには、やはり十分でないという問題があるわけでございまして、専門役人である保護観察官の数を十分にすることによりまして、この対象者処遇を充実していくべきものであるというふうに考えております。保護観察官の数が必ずしも十分でない現状におきましては、大部分の事件は、とりあえず民間保護司の方にお願いをいたしまして、ほとんど保護司の取り扱いにゆだねっきりというふうに見られるようなところもございますけれども対象者のうちの処遇の困難な特別の対象者につきましては、重点的に保護観察官がみずから直接処遇に当たることによって、効果的な保護観察を行なって、対象者改善更生をはかりたい、また社会に対する危険性の除去ということに努力したい、そういう方針のもとに、いろいろ名前をつけておりますけれども保護観察の初めの重要な二カ月程度の期間を直接観察官処遇するとか、あるいは対象者の中をABCというふうに分類いたしまして、処遇の困難なAの者については観察官が直接取り扱うとか、そういったいろいろのくふうをいたしまして、保護観察が具体的に一人一人の対象者効果をあらわすように努力しておる段階でございます。
  17. 水野清

    水野委員 これで少年法関係質問を終わりまして、次に法務省出張所登記所の問題について、少し質問させていただきたいと思います。  最近、登記所——最近ではないと思いますが、登記所の不親切と事務の停滞という問題について、私どもの周辺でも、非常に多くの人たちからその話を耳にするわけです。現に行政管理庁の苦情受付のあっせんをしておりますその頻度でございますが、法務省に対しましての苦情が、四十一年度で三千二百三十二件、だというふうに私は聞いております。これは全部の三・七%に当たるそうでございますが、各省庁の中で、法務省に対する苦情が五位だということで、しかもその大部分登記所の不親切ということを指摘しているというふうに聞いております。このことにつきまして、特に一人庁といいますか、登記所を一人あるいは二人でやっている、こういうところのサービスが悪いということもいわれておりますけれども、それに対する対策といいますか、小人数の庁舎増員の問題あるいは機構を改革する問題につきまして、ちょっと伺いたいと思います。時間がないので、ひとつ簡単にお願いしたいと思います。
  18. 香川保一

    香川説明員 登記所は、申し上げるまでもなく、国民サービス機関であることは十分自覚いたしておりまして、サービス改善努力いたしておるのでございますけれども、ただいま御指摘のとおり、一人庁あるいは二人庁の登記所が約七百以上も全国に散在しており、それらの盗品所施設も必ずしも十分でございませんで、いろいろの面で国民に御迷惑をおかけしておる現状でございます。私どもといたしましては、サービス向上のために、まずできるだけ増員努力いたしたい。それから、増員のみにたよるわけではもちろんございませんで、施設改善あるいは窓口相談係の設置というふうな点も、いろいろ実施してまいりたいと思いまして、現在いろいろの角度から検討いたしておるわけでございます。本年度予算におきましても、窓口改善ということが問題になりまして、わずかでございますが、三千万円の予算措置が講ぜられておるような状況でございます。予算の面におきましても今後努力してまいりたい、かように考えております。
  19. 水野清

    水野委員 登記所登録税手数料等歳入が、昭和四十年度では四百八十一億円余というふうに最近非常に金額がふえている。最近、土地売買、分筆その他そういうものが多いために、非常にふえてきている。それに対して、歳出は七十六億余だというふうに聞いております。これは、もちろん登記所の業務というのが独立採算制ではない。だから、それだけもうかっているのだから、そのもうかっている分を庁舎の増設とか人員増加に使えということは申し上げられないわけですけれども、やはりこの点を考えて、これは法務省のほうにお願いするのではなしに、ほんとうは大蔵省の人に言わなければならぬことでしょうが、やはり国民財産基本を扱っておられる、しかも昔と違って、最近の社会の傾向というものは、土地とか、不動産売買不動産の移動というものが非常に激しくなってきている、その時代の趨勢を見て、もっと——いま増額して三千万円とおっしゃったが、それっぱかり増額していただいても、百年河清を待つということにしかならぬと思います。そこで、一そうその設備の改良と人員増加お願いしたいわけでございますが、いかがでしょうか。
  20. 香川保一

    香川説明員 登録税その他手数料収入は相当上がっているわけでございますけれども、これはそれだけ登記所繁忙度示しているものだと思うのでございます。そういうことが、直接法務省登記所予算面に還元されるというふうな性質のものではもちろんございませんが、先ほど申し上げました三千万円の本年度窓口改善経費は、この国会で成立いたしました登録免許税法によりまして、登録税収入が相当大幅にふえるという関係から、特に税負担増加する申請に対するサービスという意味で、いわば別ワクということで、三千万円認められたわけでございまして、私ども既定経費活用、その他今回のこの三千万円の予算措置等、いろいろ総合的に検討いたしまして、窓口事務改善につとめたいと考えております。
  21. 水野清

    水野委員 次に、登記所に備えてあります公図の問題、土地台帳附属地図というのだそうですが、公図の問題について少し承りたいと思います。  これは、もう自分の持っている土地の謄本を取ったりする際に、われわれほとんど感ずることでございますが、現在の日本の国では、登記所にある公図というものが国民の唯一の財産現状を明記してあるものでありまして、土地の分割とか合併とかそういったものに欠かせないものであることは御承知のことだと思います。ところがその実態は、何か、戦後税務署の持っていたものを引き継いだものだ、それから実際によく聞くのですが、破れておったりなんかして、現状のはっきりしないもの、これについて、たとえば最近改正されました不動産登記法においても、第十七条で、地図を備えろということを明記してあるわけです。各方面で、法律的にはこれを強要しながら、実態は非常に精度が低いというように私は思うわけです。これについて、対策をどう考えておられるか。
  22. 香川保一

    香川説明員 現在登記所におきまして保管しております御指摘公図は、土地台帳家屋台帳が、昭和二十五年に税務署から登記所に移管になりましたときに、税務署から引き継いだものでございます。この公図明治維新政府がつくりましたもので、その後の維持管理がはなはだ十分でなかったために、現在現況に合っていないのがほとんどと申し上げても過言でないと思うのでございます。ただ、現在わが国にございますこういった地図の唯一のものでございますので、これを全部なくしてしまうということにはまいりませんから、現在は引き継いだその地図の破れておる部分あるいはいたんでおる面の補修をやっておるわけでございます。もちろんこの公図だけでは、不動産登記制度の基礎としまして不十分なことは明らかでございますので、昭和三十五年の不動産登記法の改正の際に、御指摘のとおり、十七条というものを設けまして、精緻な地図登記所に備えろという規定が設けられたわけでございます。しかし何ぶんにも、これから現場を一々測量しましてこの地図をつくるということは、ばく大な経費を要するわけでございます。先ほども申し上げましたとおり、現在登記所におきましては、事件の激増に対処することにきゅうきゅうといたしておるわけでございます。遺憾ながらこの面まで大幅に地図づくりをやるというところまで実は至ってない現状でございます。ただ、国土調査法によりまして、国土調査といたしまして、小部分ではございますが、地籍図が作製されまして、これが登記所に送られてまいるわけでございます。この面から送られてまいりました地籍図は、十七条の地図といたしまして十分精度の高いものでございます。これを活用させていただいておる。もちろんそれでは十分でございませんので、私どもといたしまして、この十七条の地図の作製に真正面から取り組まなければいけないということで、来年度予算要求におきましても、登記所みずからの手でこの地図づくりができるようにということで、いわばモデル的だ地図作製の経費を要求したい、かようにいま考えておるわけでございます。地図がございませんと、取引の円滑、正確を害することがあるわけでございまして、不動産登記制度の運用につきましては、地図は必要欠くべからざるものでございます。その面は十分認識いたしておるのでございますけれども、財政の許す限度におきまして逐次整備してまいりたい、かように考えております。
  23. 水野清

    水野委員 これは十分御承知だと思うのですが、昨年の四月、読売新聞に出ていたことなんですが、那須高原の別荘地ですね、栃木県那須郡那須町で、あるべき土地がなかった、蒸発してなかったという事件も現にあるわけです。現実には不動産屋が土地を売ったんだが、台帳にはなかったというような例がある。これはもう先刻御承知のことだと思います。こういう例もあるわけです。  それから、これは実は突然の質問なんで、記録にとどめていただけばいいのですが、御調査をいただきたいと思うのですが、千葉県印旛郡印西町字草深、これは戦前逓信省の飛行場であった。ところが終戦直前になって陸軍の飛行場に拡張したわけです。そのときに——これなんかも一つの間違いなんですが、軍が急に拡張したために、はたして土地代金を払ったか払わなかったか今日わからない問題があるわけです。そして同時に、登記面で、軍が完全に土地代金を払っていないらしいということから、旧地主がありますし、それから、終戦後、飛行場であったために、これに開拓者を入植させたわけです。そこで今度は開拓者が、開拓の成功検査を得まして、開拓財産になって、今度は農林省から払い下げを受けた。そうすると開拓者もその所有権があり、軍が接収した段階において、逓信省の飛行場というのは小さかったわけですので、軍がその外縁をちょうど額ぶちのように広げたわけです。その外縁は実は二重の地主になっているわけです。現にこういう問題があるわけです。そして、両方に税金がかかっていっておる。法律を知っている人にはこれはちょっと想像できないことなんですけれども、印西町役場から相続税がかかってきているという例があるのです。これは後ほど私のほうで資料を整えて、お見せします。私、このことで三、四年前から、農林省の農地局を通じて、いろいろと法務省のほうにお願いをしておるのですけれども、らちがあかないのです。こういう問題が全国的にまだ、軍用施設の払い下げ後に、あるのじゃないかという気も私はいたしますので、このことについてはおわかりにならないと思いますが、ひとつ御調査を一ぺんお願いしたいことと、こういう問題をどんどん解決していただきたいと思うわけであります。  実は、これと似た問題で、やはり千葉県の、郡は違いますけれども、現在自衛隊の下総基地になっておりますが、海上自衛隊の航空基地があります。そこもやはり戦前、終戦直前ですが、軍の飛行場であった。そうして終戦後農民に一時払い下げてしまった。そこで、急に自衛隊があそこへ設備をつくろうということで調べたら、非常にむずかしい問題がある。これはようやく防衛庁との間で現実に解決をされたようですが、草深の飛行場については未解決のまま残っているわけであります。このことについて、ひとつ農地局の管理部のほうと御連絡を願って、よく御検討いただけないかと思うわけであります。これはお聞きになっておらなかったでしょう。
  24. 香川保一

    香川説明員 いま御指摘の印西町の関係は、私ここで初めて承るのでございますが、類似の事例がやはりあちこちございまして、これは戦争中の飛行場とか道路とかいう場合に、一々法律的な手続が踏まれずに、そのまま強行されてしまったというような結果じゃないかと思うのでございますが、それがそのまま放置されてまいりました関係で、いま御指摘のような問題が生じてくるわけでございます。登記所としましては、これは実態関係をまずはっきりさしていただかぬことには、受け身の、登記をやる役所でございますので、積極的に登記所がこの問題を解決するというわけにはちょっとまいらぬと思いますが、しかし農林省等ともいろいろ協議いたしまして、できるだけ適正な、円満な解決がつくように努力してまいりたいと思います。
  25. 水野清

    水野委員 次に、やはり登記所関係でありますが、計量法の改正が行なわれまして、現在、坪というものはないわけなんであります。まだ法務省の登記簿においては坪という単位が残っています。法務省は法律を守るお役所であるわけなんですけれども、もちろん先ほどの予算上の関係があると思います。これについて計量法違反の一つの疑いがないのかどうか。あるのではないかという点、ちょっと伺いたいと思います。
  26. 香川保一

    香川説明員 メートル法が土地、建物につきまして全面的に施行される段階を控えまして、法務省におきましては、登記簿に登載されております尺貫法の単位の計量を、直ちにメートル法の計量単位に書きかえるということがきわめて困難でございますので、したがいまして、計量法施行法におきまして、土地、建物について、計量法が全面的に施行になる時点において、現に登記されている土地、建物につきましては、メートル法に書きかえなくても、尺貫法で表示されておっても違法でないという手当てをしていただいた経緯がございます。ただ国民が全部メートル法によらなければならない、またそれに慣熟する意味からいたしましても、法律的には、いま申しましたように書きかえなくても違法ではないことになっておりますけれども、しかしやはり書きかえて、一般の国民におすすめすることが妥当でございますので、メートル法の書きかえ作業をやるということにいたしておるわけでございます。ただこれも何ぶん激増しております平常事務を処理するかたわら、書きかえ作業をやる関係にございますので、一挙に短期間に書きかえるというわけにはまいらぬわけでございます。幸い昭和四十二年度予算におきまして、全体の十分の一の書きかえ作業経費が認められたわけであります。もちろん十カ年ということではいささか長きに失するきらいがありますので、大蔵省のほうにおきましても、六年間ぐらいで実施するというふうな査定を受けておるわけでございます。現在登記所におきましては、一般の事件の増加のほかに、まだ登記簿台帳の一元化作業が完了いたしておりませんので、あと四年ばかり残っておるわけでございます。これと並行してやっていかなければならない関係もございまして、六年と申しましてもはなはだ長過ぎるという見方もあろうかと思いますけれども現状におきましては、これ以上のスピードアップは無理だというふうに私は考えておるわけであります。
  27. 水野清

    水野委員 最後に、登記所関係の不正行為について承りたいのですが、昭和四十年度決算検査報告の三十一ページにも出ておりますけれども、これはもう法務省でもよくお調べになっていて、処置をなすったあとだと思いますが、鹿児島県の地方法務局中種子出張所における不正行為の問題であります。これは私は先ほどの問題に戻りますけれども、一人庁、二人庁の一の宿命ではないかというふうに思うわけです。こういう一人庁、二人庁における不正事件というのは、何年か循環してあらわれてくるように、私の調べたところでは思うわけです。結論は、新聞に出て、そういうところの人たちが処罰をされますと、何年間かはそういうことが出てこない。数年たつと忘れてしまって、またそういうのが発生する機会が多い。これは私が新聞の記事なんかを見た手口なんですが、古い書類から印紙をはがしてきて、一人庁、二人庁にいる司法書士と組んで、その印紙を渡す。その司法書士が、印紙を一般の登記に来る人に売る。そうするとお金が入ってくる。それを山分けするのかどうか知りませんが、そういうような手口の犯罪というものは、やはり一人庁、二人庁の存在する限り、どこかで起こる可能性がある。あるいは現在起こっていても、それがいろいろ監査をしておられるけれども、わからない。この中種子出張所の場合も、詳しく調べてみますと、監査を現にしておられるわけです。ところが実際は、たしか後任の所長が転勤していって、ようやく発見された。とても短期間の出張の監査ではなかなか出てこない。実際、古い書類を全部ひっくり返して検査することはむずかしいわけです。これは一人庁、二人庁ではないが、昨年の七月ごろ、大阪の法務局の北出張所における事件もあります。こういう事件の発生について、法務省当局としてどういうふうに考えておられるか、ちょっと承りたいと思います。
  28. 香川保一

    香川説明員 最初の、中種子出張所、鹿児島の事件でございますが、これは所長が、登録税用の現金あるいは小切手二百数万円を着服、横領したという事件でございますが、ここは御指摘のとおり、一人庁でございまして、一人庁については相互牽制というふうなことが不可能でございますので、さような不正事件の生ずるおそれが多分にあるわけでございます。もちろん私どもといたしましては、現状におきまして、登記事件の激増に対処するためには、一人庁が一方に生ずるということはやむを得ないことだと思うのでございますけれども、その一人庁に配置する職員については十分厳選いたしまして、また長期間そこにおるというふうなことのないようにいたしますとともに、逐次内部監査を強化してまいっておるわけでございます。しかしなおこういった事件があとを断たないことは、まことに申しわけない次第だと思うのであります。一人庁を解消するというためには、いろいろの方策は考えられないではございませんけれども、いずれも、実現が非常に困難な面があるわけでございます。一人庁を統合して、そういった形でなくしてしまうということも、一方、地域の住民の利便を考えますれば、あながちそういう方法も必ずしも適当でないという意味もございまして、そうかと申しまして、増員でもってすべて一人庁を解消するということもはなはだ困難な実情にあろうかと思うのであります。したがいまして、今後の一人庁対策といたしましては、よりそこに配置する職員の厳選をするとともに、他方、内部監査をいまよりも約倍以上強化してまいりたい、かように考えて、現在検討中でございます。  大阪の事件は、他人数庁の大きな繁忙庁でございますが、かような事件も、はなはだ申しわけない次第なんでございますけれども、全国的にかような事件の未然に防止できることを考えますと同時に、先ほど申しました監査の面も強化して、それによって未然に防止するというふうに持ってまいりたい、かように考えておるわけでございます。
  29. 水野清

    水野委員 先ほど申し上げましたように、結局法務省事務官は、直接は印紙を売買できないでしょう。そうすると、結論は、司法書士と大体組むしかないわけです。司法書士か印紙を販売する人と組むしかない。印紙を売る人は、法務省窓口からは原則は売らないのですね。それはどうなんです。
  30. 香川保一

    香川説明員 印紙は、特定の売りさばき人を通じて以外は売買してはならないことになっております。大阪事件の場合も、実は登記所に申請書に張って納付される印紙を、全部消印して、再使用のできないことにいたしておるわけなんでございますけれども、印紙の消印手続が、一般の処理事件の激増の面から、ときたま漏れることがあるわけでございます。かような消印漏れの印紙を、大阪の事件の場合で申し上げますと、司法書士の補助者と職員が結託して、それをはぎ取って、消印してございませんものですから、別の申請書に張って再使用した、というふうな事件が大部分でございます。先ほど申しましたように、そういうふうな職員の綱紀を粛正して不正事件が起こらぬようにすると同時に、そういった消印漏れの印紙が登記所などにあることによって、不正事件が起こる誘因となるということも十分考えられますので、現在消印の方法につきまして、もっと簡素化して、しかも十分実のあがる方法を現にいろいろ実施しておるわけでございます。まあ実施と申しましても、試験的なものでございますが、今年度十分検討いたしまして、来年度から、手数がかからなくてしかも消印が完全にできるというようなやり方を実施したい、というふうに考えております。
  31. 水野清

    水野委員 私は門外漢ですが、たとえば、印紙を張る場所というのは、大体書類の右の上にきまっているわけでしょう。そうでしょう。そうすると、たとえば張るところがきまっていなければきめて、そこの書類のかどを大きな裁断器のようなもので切り落とすとか、そういうことをやれば、印紙の消印したものをはがしてもう一ぺん循環させるというルートがなくなるのだ、そういう話を、私は専門家から聞いたのですけれども、それはどうなんでしょうか。
  32. 香川保一

    香川説明員 現在の規定では、登記の申請書に印紙を貼付して登録税を納める、かようになっておるわけです。もちろん法令上は帳付する場所を特定いたしておりませんけれども、、実際の取り扱いでは、最終のページの余白に張る。そこに張り切れないときには、印紙貼用台紙を一枚追加してそこに貼付する、かような扱いが一般的に行なわれておるわけでございます。ただ、いまお説のように裁断してしまうとか、あるいは全部穴をあけるとかいうふうな徹底した方法ももちろんあるわけでございますが、そういった方法が十分完全に実施されますと、もちろんそれでいいわけでございますけれども、しかしそういう方法が非常に手数かかかるということになりますと、どうしても事件の処理のほうに忙殺される関係から、そういった消印あるいは裁断の仕事があと回しにされるおそれがあるわけでございます。そうなりますと、その間隙に応じて、はぎ取られるということがございますので、やはり受け付けましてすぐに、簡単な方法で十分の効果のあがる消印手続と申しますか、そういうものをぜひとも考えなければならぬ、かようなことで、先ほど申しましたように、いろいろ検討いたしておるわけであります。
  33. 水野清

    水野委員 小峯先生あとにおられまして、時間がないので、もう一問だけにします。  各省庁の補助事業、補助金のからむ不当事項の指摘を毎年受けているわけでありますけれども、検査報告に掲載されたものを私読み上げてみますと、三十八年度三百三十三件不当事項として指摘されて、これの補助金関係のものは総件数の五四%、金額にすると二十三億余、三十九年度においても四百三件、総件数の六一%、金額では二十七億、金額のパーセンテージは六〇%、四十年度も百九十件ございます。総件数の五二%、いずれも件数において五割以上、金額においてはやはり五割前後の数字を占めている。これは検察庁関係で、会計検査院の指摘を受けたのちであるために、おそらく捜査上の困難もあるし、いろいろな問題もあると思います。いわゆる不当事項ではあっても犯罪事件ではないという例もあると思いますけれども、検察庁でこれを刑法犯の事件として受理した件数のほうで申しますと、三十八年度が百五十一人ありまして、このうち起訴された者が十六人。三十九年度は五十八人で、そのうち十二人しか起訴されていない。四十年度は、三十二人捜査を受けて、現実には起訴は三人という数字であるというふうに私聞いております。この理由はどこにあるか、これを承りたいと思います。  さらに、補助金関係のいろんな汚職事件とかそういうものがあとを絶たない——これは絶たないということは、一つ社会的な現象として見ざるを得ない問題があると思うのですが、この原因一つに、不当事項として指摘されたものは捜査の対象にならないというようなことがもしあれば、これはやはりあとを絶たない理由の一つになるのじゃないかと思うわけなんで、この件について承りたい。この私の数字は合っていないかもしれませんけれども、ひとつお答えを願いたいと思います。
  34. 辻辰三郎

    ○辻(辰)政府委員 ただいま刑事局の主管課長が他の委員会に出ておりまして、呼びにやっておりますので、正確なことは、こちらに参りましてからお答えいたすと思いますけれども、私、法務省の経理部長として、概要を申し上げたいと思います。  御指摘のように、会計検査院の検査の結果の、補助金にからむ不当事項でございますが、これが直ちに補助金適正化法の違反その他として刑事事件になるかどうかという点になりますと、会計検査院の御指摘になった事項のほとんどの数が、むしろ不当事項ということでございまして、犯罪に直ちになるというものはたいへん少ない形になっております。これが御指摘の、会計検査院の指摘事項と検察庁のこの種事件の受理件数との大きな差になっておるという第一の原因であろうかと思うわけでございます。それから、先ほども指摘がございましたように、第二の問題といたしましては、すでに会計検査院の御指摘後に、是正措置が行なわれておるというようなこともございましょうし、また、補助金適正化法違反事件そのものといたしましても、補助金を受けました者の行為のほかに、補助金を出したほうにも多少の問題点がまたあろうというようなことで、結局、不正の受理者が直ちに刑事訴追を受けるという件数も減ってくるというような、いろんな要素がからんでおるのだろうと考える次第でございます。  いま参りましたので……。
  35. 水野清

    水野委員 質問は、会計検査院の補助金にからむ不当事項の指摘が、御承知のように、各省庁にたくさんあるわけです。検査報告に掲載されたもののうち、補助金関係だけを数字で申しますと、三十八年度が三百三十三件、総件数の五四%、三十九年度が四百三件、総件数の六一%、四十年度は百九十件で総件数の五一%、いずれも五割以上に、なっておるわけです。金額は、申し上げる必要があれば申し上げますけれども、時間がないようですから……。これがすべて補助金等適正化法違反になるとか、あるいは一般の刑法犯事件となるということは言えないと思うのですけれども、逆な見方をしますと、検察庁で受理をされておられますのは、三十八年度が百五十一人、そのうち起訴された者わずか十六人、三十九年度は五十八人で、起訴された者は十二人、四十年度は三十二人で、わずか三人しか起訴されていないという数字が出ているわけであります。これは捜査の困難な問題によっておやりにならないのか、あるいは刑法犯として全く成立しないものであるのか、その内容の分析が一つと、逆に言うと、非常にむずかしい問題なんで捜査がなされないんじゃないか。過去の事件である、あるいは是正されているために捜査の対象にならないんじゃないか。それが、逆に言うと、不当事項の数が絶えない原因一つになっているんじゃないかというふうに思うわけで、その辺の関係の御説明をいただきたいと思います。
  36. 石原一彦

    ○石原説明員 ほかの委員会に出席しておりましたので、こちらに参りますのがおそくなってまことに申しわけありませんでした。  ただいまの御質問につきましては、おそらく経理部長の答弁と重なる点があるかと存じますが、まず会計検査院から検査報告の中で指摘のございました、いわゆる不正行為というものがございますが、これは大体、職長の犯罪的な不正行為と考えられますので、これは刑法犯その他の犯罪で、処罰の対象になるものかと思っております。その他の不当行為と称せられるものでございますが、御指摘のように、非常に多いにかかわらず、刑事犯として検察庁で受理いたします事件はきわめて少ないわけでございます。それで、いろいろ私どもも検討いたしたのでございますが、要するに、不当行為と申しますのは、行政的な意味でやり方が悪いということが中心でございまして、必ずしも犯罪行為としてはなっていないのではなかろうか。したがいまして、刑事事件として立件あるいは捜査の対象になっていない、かように思われるわけでございます。ただ一方、起訴件数がなぜ少ないかという問題でございますが、実は先生も御指摘のように、隠密裏に行なわれる犯罪でございまして、われわれは、最近におきましては特に隠秘潜行化の傾向がある、こういうふうに警告いたしおるのでございますが、端緒を得ることが非常にむずかしいわけでございます。しかしながら、検察庁では、この補助金適正化法ができましたときに、特別刑事係検事というのを別途設けまして、これが専門的に検討をいたすことにいたしております。しかしながら、受理いたしました事件と起訴いたしました事件とを比べますと、その比率において非常な差がございます、その一つは、むずかしいから投げるという意味ではございませんで、そうした事件が、結局はその実害があとでカバーされる可能性が非常に多い。その場合において、はたして起訴すべきであるかどうかという点につきましては、起訴猶予制度等もございますので、慎重に検討いたしますが、起訴するのには酷ではなかろうかという事件が多いようでございます。それからもう一つは、もともと事件の性格がさようなのでありますが、私利私欲に基づくものが非常に少ないわけでございます。そのようなことから、どうも普通の財産犯と同じようには処分するのがつらいという面があろうかと存じます。それから三番目の理由といたしましては、補助金の事件を見てまいりますと、なるほど違反をした者が悪いのでございますが、それを取り巻く管理機関あるいは行政機関、ここにも相当の責任があるわけでございます。そういう点を考えますと、直ちに起訴して刑事訴訟を求めるということはやや酷に失するという点がございまして、起訴に至らない事件が相当ある、かように考えられます。しかしながら、従前からかようでございますが、検察庁におきましては、毎年出ます会計検査院の検査報告を現地に送りまして、特に注目すべき事件がございますれば、その分を特記いたしまして送って、先ほど申し上げました特別刑事係検事をして検討さしているわけでございます。そのほか、最近、この種事件に限らずほかの事件につきましても同様でございますが、何がゆえにそういう犯罪が起こるのか、何か行政機関のほうで、欠陥があれば直すべきものは直すべきではなかろうか。一口に言いますれば、検察結果の行政施策への反映と申しますか、できるだけ関係機関が集まりまして、そういう点を、検察庁の差しつかえのない程度でデータを出して検討する、というようなことをやっております。地方によりましては、検察庁以外で、行管の出先機関等が熱心でありまして、それが中心になりまして、検事正あるいは次席検事等を呼んで、その事件の内容その他のことも聞き、とるべき対策等を考えておるというような現状でございます。検察庁といたしましては、今後ともこの種事件の及ぼす影響の大きいことにかんがみまして、やはり厳正適正な捜査をやるべきであるし、また現にやるように、機会あるごとに指示しておる、かような実情でございます。
  37. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 小峯柳多君。
  38. 小峯柳多

    ○小峯委員 一問だけ、刑務所の移転の問題でお伺いしますが、市街地の再開発の問題に関連して、市街地の刑務所が問題になってきておると思うのでありますが、私どもの先輩の議員である花村四郎先生があなたのところの大臣をなさった時期がありますが、中野の刑務所の問題がそのころから出ておるのではないかと思いますし、その後も、区議会に特別な、委員会ができたりなどしまして、熱心なお願いが出ておるのではないかと思いますけれども、その経過といいますか、あなた方の受けとめ方、その後の問題の推移等に関して、御承知になっておりましたらお答え願いたいと思います。
  39. 勝尾鐐三

    勝尾政府委員 刑務所が市街地化いたしまして移転の問題が生じておりますが、全国で約二十カ所ございます。中野刑務所につきましても、ただいま御指摘のように、花村法相時代からたびたび事情をお聞きしております。私も、ここ一年くらいの間に二回ばかり、地元の方から陳情を熱心に受けております。私のほうといたしましては、刑務所が市街地化いたしますと、収容されておるものの処遇上必ずしもよろしくないという面が少なくございません。周囲を絶えず自動車が走っておる、トラックの上から禁制品を投げ込むというような事態もありまして、市街地化した刑務所の移転については、私のほうにも、この移転を検討すべき要素が少なくございません。そこで、一方市街地化した場合に、地元の都市計画あるいは再開発ということから、転移の要請が起きてくるのも当然のことであろうかと思います。したがいまして、私のほうの利害と地元のほうの利害が一致する場合が少なくございません。かような場合に、私のほうといたしましては、収容者だけの移動ではなしに、義務官舎に住む職員子弟の生活環境も変わる問題でもございますので、私たちの仕事について十分御理解をいただいた上で、なおその移転先につきましても御協力をいただいて、適地があれば、いまおるところから移動することについてはやぶさかではないという方針でございます。その場合に、当然財政的な問題がからまるわけでございます。御承知のように、膨大な国有財産の処置でございますので、十分適正を期する必要があり、かなり予算上の措置を要する問題がからみまして、その場合には、その国有地を財源といたしまして適正評価をした上で、その財源の範囲内で適地を求め、建物を立てて移動をする。さらに、そのあと地の利用につきましては、公共的な利用計画を立てていただく。そういった方向で移転をいたしたい。すでに七カ所ばかり実現しておるわけでございます。したがいまして、中野の場合につきましては、その移転先の問題、さらに財源となる国有財産の利用の問題等十分具体的な計画が出されまして、それについて意見が一致した場合に、その問題について結論を出したいということで、地元の方々にも——そこの付近の住民だけではとてもまかないきれない問題でございますので、公共団体等とも十分話を通じまして、国有財産の処分でありますので、私どもとしては、個人を相手にするということは極力避けまして、自治体あるいは自治体に準ずる公共的な団体を相手にして話を進めたいという方針を、陳情に来られました方々に申し上げてございますので、その線に沿って話し合いを進めていきたい、このように考えているのが現状でございます。
  40. 小峯柳多

    ○小峯委員 そうすると、具体的な問題で、まだあなたのほうにも、地元のほうからも見るべき提案がないという実情でございますか。
  41. 勝尾鐐三

    勝尾政府委員 そのような実情でございます。
  42. 小峯柳多

    ○小峯委員 巣鴨が小菅か何かと一緒になって、たいへんじょうずに処理できたというのを、地元では盛んに例にしまして、方法がありはせぬかというふうに言っておるように承るのですが、いかがですか。
  43. 勝尾鐐三

    勝尾政府委員 巣鴨の場合も、あそこは建設省の都市再開発計画、さらに高速道路の建設ということにからみまして、あと地を自動車の駐車場それからバスターミナル、その上にパブリックホールといったような公共的な利用計画が立ちまして、その資金の調達方法といたしまして、都のほうが財政的に困難であるということで、財界の方々が出資をいたしまして、その会社が都市計画等の指定の事業をあと地について必ず行なうという条件で、計画が具体化しておるという実情でございます。
  44. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 華山親義君。    〔委員長退席、小峯委員長代理着席〕
  45. 華山親義

    ○華山委員 委員長お願いしておきますが、各省から出ます決算説明が非常にばらばらなわけでございますが、法務省所管説明は、われわれが勉強するのに非常によくできているというふうな気持ちもいたしますし、調査室等にお言いつけになって、この決算説明のつくり方を、できるだけわれわれにわかりのいいようなものをつくっていただくように、御研究さしていただきたい。お願いいたします。
  46. 小峯柳多

    ○小峯委員長代理 承っておきます。
  47. 華山親義

    ○華山委員 この法務省所管決算説明が非常によくできていると申しましたが、この順序に従ってお聞きいたします。これは必ずしも決算とは関係のないこともあるかもしれません。  その三ページ、外国人登録事務のことが出ておりますが、朝鮮人五十八万四千六十名のうち、北朝鮮、南韓国の内訳をひとつ御説明願いたい。
  48. 笛吹亨三

    ○笛吹説明員 外国人登録法によりまして登録している在日の朝鮮人の数でございますが、本年の三月末現在で合計五十八万七千八十六名。その中で、国籍欄が韓国と記載しております者が二十五万七千三十五名、国籍欄の記載が朝鮮となっております者が三十三万五十一名、こういうようになっております。ただいま北鮮というようにおっしゃいましたが、北鮮とかそういう問題ではございませんで、国籍欄は朝鮮となっております。
  49. 華山親義

    ○華山委員 わかっております。  その韓国国籍の人で、日韓の協定によりまして日本の永住権を認められた、承認をいたした人は何人ありますか。
  50. 笛吹亨三

    ○笛吹説明員 昨年の一月にいわゆる在日韓国人の地位協定が発効いたしまして、それからいわゆる協定永住の申請の受付が始まったわけでありますが、本年の六月末現在、一番新しい統一でございますが、六月末現在で法務省に到着いたしました申請の受付、この受付は市町村が窓口になっておりますので、若干数字は違いますが、法務省に到着いたしました数で申しますと、三万五千三百三十でごいます。このうち審査いたしまして許可になりました数は三万四百五十五名、そういうふうになっております。そのほか不許可が三百六十七件、取り下げなどが百六十三件ございました。六月末現在で審査中のものが四千三百四十五件、このような数字になっております。
  51. 華山親義

    ○華山委員 この朝鮮と国籍の書いてある人、それから韓国の人、それから永住を申請して承認されている者、実際がこういうことであるわけですけれども、この最近のいろいろな動向について、法務省として着目すべきような模様がございますか。大体固定している状態か、流動している状態だとすればどういう状態か、承りたい。
  52. 笛吹亨三

    ○笛吹説明員 ただいまの御質問の趣旨は、この外国人登録の国籍欄の記載が動いているかどうか、数が動いているかどうかということではないかと思うのでございますが、それでございますと、昨年の四月からことしの三月までちょうど一年間でございますが、この間の統計を見ますと、国籍欄の記載を朝鮮から韓国へと書きかえました数字が合計で一万千六百七十四件、これは協定永住というものと関係が相当あると思うのです。それから、国籍欄の記載が韓国から朝鮮へと書きかえられました数字が五十一件、このように動いております。
  53. 華山親義

    ○華山委員 この南北の朝鮮人、その間におきまして、婚姻関係、養子縁組み関係あるいは出生の関係、そういうふうなことが起きるわけでございますが、これはどういうふうな、たとえば朝鮮の人と韓国の人が婚姻した、その際には本人の希望によって、夫婦ともに同じ国籍のほうがいいわけでありますから、そのときには無条件にお許しになる、こういうことになっておりますか。
  54. 笛吹亨三

    ○笛吹説明員 国籍欄の記載の問題でございますか、これは初めから申し上げますと、もう御承知のことと思いますが、もとの外国人登録令ができまして外国人登録制度ができました昭和二十二年五月でございますが、そのころは、厳密に言いますと、全部朝鮮人一本国籍でございますが、国籍欄の記載には、朝鮮半島から来た人である、朝鮮国籍に載っかっておる人であるという意味で、朝鮮という記載を全部したわけでございます。その後韓国ができまして、大韓民国という国ができ、その大韓民国の国籍証明といいますか、旅券とか国籍証明、国民登録、そういったもので、国籍をはっきり証明して、本人の意思によって、国籍欄の記載を韓国にしてくれというような申し出があったものを、韓国と記載してまいったわけでございます。そうしますと、結局、国籍欄の記載が韓国とあるのは国籍である、朝鮮とあるのは……。
  55. 華山親義

    ○華山委員 わかっています。時間もありませんし、おっしゃることは大体知っておりますから、具体的に聞きますけれども、朝鮮の人と韓国の人が結婚した場合、その際に同じ国籍をほしいというふうなことは人情だと思うのでありますが、その際には、どちらかにその国難欄の記入を変えたい、あるいは国籍を取得したい、こういうふうな場合には、無条件に認められているかどうかということなんです。
  56. 笛吹亨三

    ○笛吹説明員 韓国から朝鮮へという書きかえは、無条件には認めておりません。これは、先ほどずっと歴史的に申し上げようと思ったわけでございますけれども、そういった経緯がございまして、韓国というのは国籍とこちらは見ております。朝鮮というのは、単なる国籍欄に記載されたものでございまして、国籍というわけではございません。したがって、国籍というものは、その人の属する国とその人との関係でございまして、われわれのところでとやかくするわけのものではございませんので、韓国の国籍証明のあるものは韓国と記載しております。それ以外のものは朝鮮のままになっておるわけです。それを今度は、韓国の国籍をとった人が、韓国の国籍を離脱しないでおいて朝鮮へと記載するというわけにもまいりません。ですから、その点は無条件にはいたしておりません。また、朝鮮から韓国へという書きかえの場合には、旅券とか、何か国籍証明、国民登録、そういった韓国政府の発行する韓国の国籍を証明するものを持って、本人の意思によって書きかえを要求してきた場合に、書きかえております。その場合以外には書きかえておりません。
  57. 華山親義

    ○華山委員 そうしますと、朝鮮の大使館あるいは総領事館——個人のことは総領事館になりますか、そこの意思というものが加わってくる、当然かもしれませんが、加わってくるということになるわけですね。日本の法務省としては、ほとんどそこに何ら意見の入る余地はない、こういうことになるわけでございますか。
  58. 笛吹亨三

    ○笛吹説明員 韓国の国籍をとるのは、これは韓国政府とその帰属する人との関係でございますので、日本政府として、それをとやかく言うわけにはまいりません。
  59. 華山親義

    ○華山委員 韓国の国籍の人が、たとえば結婚をした、それで、だんなさんの国籍欄の記入は朝鮮になっている、私もそういうふうにしたい、こういうふうなときには、韓国の国籍を抜けるということは、韓国の出先、そういうふうなものの承認を得て初めてできるわけでございますか。
  60. 笛吹亨三

    ○笛吹説明員 そのように承知いたしております。
  61. 華山親義

    ○華山委員 先ほどおっしゃった、少数ではございますけれども、韓国の国籍を持っている人が朝鮮ということになったのは、どういう場合でございますか。
  62. 笛吹亨三

    ○笛吹説明員 韓国と国籍欄の記載がございまして、それを朝鮮へと書きかえましたのは、そのもと朝鮮と書いてあったのを韓国に書きかえた当時の事務上の錯誤である、あるいは本人が知らない間に、だれかほかの人が一括して韓国へと書きかえを申請したというように、本人の意思でなく書きかえられたというようなこととか、事務上の間違いだとか、そういったことが明らかに認められる場合に、書きかえをいたしております。
  63. 華山親義

    ○華山委員 その場合には、韓国の出先の意思というものは加わらないわけでございますか。
  64. 笛吹亨三

    ○笛吹説明員 これはもともと韓国というほうへ書きかえたことが間違いであった、こういうふうに私たちは見ておりますので、この場合には、韓国政府及び出先は関与しないわけでございます。
  65. 華山親義

    ○華山委員 この問題につきましては、決算とも縁遠いことでございますので、またお伺いする場合があるかもしれません。  その次に五ページの事件処理件数でございますけれども、この点総数におきましては、もう九九%をこえるほどの処理をしておる。未処理のものがほとんど残らない、このことにつきましては、私はけっこうなことだと思うのでございますが、どういうわけで労働基準法の事件についてはほかのものに比べまして未処理が多いのか、その点を伺いたい。ほかのものは九〇何%、九九%というふうなことになっており、なぜ労働基準法違反につきまして労働基準監督署あたりから送検されたものの未処理が七五%程度にとどまっておるのか、その理由を伺いたい。
  66. 村上尚文

    村上説明員 まず労働基準法違反の未済の状況でございますが、昭和三十九年から四十一年までの統計を見ますと、三十九年の受理が三千七百三十三、それから処理が三千百五十八、未済五百七十五、四十年の受理が五千三百四十七、処理が四千二百七十七、未済千七十、それから四十一年が受理が七千四百五十三……。
  67. 華山親義

    ○華山委員 件数を聞いているのではない。理由を聞いているのです。
  68. 村上尚文

    村上説明員 まずパーセンテージを申し上げましてから……。処理が六千二百七十一、未済が千二百八十二、平均いたしますと未済率が大体一五、六%になっておりまして、一般の刑事事件の場合には、これが九%から一一%ですから、労働基準法違反事件の未済率がそれほど高いものにならないのじゃないかと考えております。
  69. 華山親義

    ○華山委員 私の、この法務年鑑からとった数字は間違っているのですかね。法務年鑑によりますと、被疑事件の受理及び処理状況というのがございますね。それにつきまして総数が、これは旧受もみな合わせてでございますが、八百二十二万五千八百四十二件、そうしまして既済が八百十三万六千八百三十六でございますから、〇・九二%になっておる。これは何か違いますか。あなたの数字と違うようですが……。
  70. 村上尚文

    村上説明員 私どものほうで計算いたしましたのは、道交法を除きました一般刑事事件の未済率でございますが、大体一〇%前後の計算と相なっておるのでございます。
  71. 華山親義

    ○華山委員 ちょっと見てくださいよ。一般刑事犯でも総数は一十万二千七百四十二、それから既済は百五万七千四百五十八、九五%をこしておるのじゃないですか。このあなたのほうからお出しになったものは、私とあなたと数字のとり方が違うのでしょうか。ちょっと見てください。
  72. 村上尚文

    村上説明員 先ほどお答えしましたのは、私ども調査では、そのような数字になっておるわけでございます。
  73. 華山親義

    ○華山委員 あなたのほうの調査といったって、ここに出ておるじゃないですか。
  74. 村上尚文

    村上説明員 なお先ほど先生の御質問ございました労働基準法違反事件の未済の数が多いじゃないかという理由でございますが、これをちょっと申し上げますと、大体労働基準法違反事件の送致は、年末に一斉検挙がございまして、どうしても十二月末に検挙がふえておるということでございます。したがいまして、十二月末にまいりますと、翌年に繰り越す事件がやはり相当あるということになろうかと思います。  そこで、これにつきまして私ども調査いたしますと、たとえば四十一年の統計でございますが、これは三月ごとに数字を調べておりますが、一月から三月までの受理が千五百、四月から六月までの受理が千四百七十、それから七月から九月までの受理が千四百八十七、十月から十二月までの受理が非常にふえておりまして、千九百十九、大体二千件に近い事件が年末にくるわけでございまして、そういう関係で、若干翌年に練り越すものがあるわけでございます。  御承知のように、労働基準法違反事件というのは、非常に関係昔が多うございまして、つまり労働者の数がふえておりますので、その労働者を一々調査しなければならないということで、相当調査に時間がかかります。そのため翌年に繰り越す事件が多いと思うのでございますが、特に労働基準法違反事件に限りまして、捜査に手を扱いておるということはないと信じております。
  75. 華山親義

    ○華山委員 あなたの数字と、私の持っているあなたのほうから出た数字が合わないというのはおかしいですね。大体、労働基準法というのは、労働者を守る立場の法律として非常に重要だと思うのですけれども、統計に出ていない。私は統計をとってみて計算してみた。それによると、処理が七四%、そういう実態なんです。十二月になってから急に多くなるからというふうな理由があるとしますれば、その点は何でございますが……。私がなぜこういうことに気がついたかということは、こういう事実があるからです。これは出かせぎに出てきておった者が、悪質な雇い主から賃金をもらえなかった。それで労働基準監督署にお願いをして、そうして何とかこれの解決をはかってきた。ところが相手がそういうしたたか者でございますので、なかなか解決しない。労働基準監督署は、やむを得ず、これらの被害者と相談しまして、被害者から告訴を出した。そうして四十一年の十一月に、立川労働基準監督署から東京地検の八王子支部に——これは固有名詞は言わないつもりだったのですが、十一月二日にこれを送検したが、現在まで一ぺんだって呼び出しをしていない。その間、私としても決して放置していたわけではない。賃金をもらえなかった者は非常におこっておりますから、私のところに、あの問題はどうなったかということを聞いてくる。そのために、私はこれを扱っている地検に対して電話でお聞きをしますと、担当検事がかわった、あるいはいま選挙で忙しい、そういうふうなことで、もう半年以上、七、八カ月ですよ。これはきわめて簡単な事件です。それが一ぺんも呼び出しをしていない。こういうことがあったから、私は検察庁というものは、いろいろ労働運動に対しては俊敏ではあるけれども、労働者の保護という立場は忘れているのではないか、軽視しているのではないか、こういう気持ちを持って、いろいろ統計に当たってみたところ、労働基準法違反はこれこれだなんていうことは一行だって書いてない。これは大臣がおいでにならないので、私は非常に残念なことでありますけれども法務省の姿勢が違うのじゃないか。労働者の保護というものの立場から、もう労働基準法の違反などというものは最も敏速にやってもらわなければ困る。その点につきまして、大臣でも次官でもおいでになっているならお尋ねしたいのだが……。
  76. 村上尚文

    村上説明員 大臣、次官が参っておりませんので、私から御答弁できかねるのでございますが……。
  77. 華山親義

    ○華山委員 あなたには答弁を求めてはいないですよ。
  78. 村上尚文

    村上説明員 ただ、ちょっと先生の先ほどの御質問に対しまして、一言お答えを申し上げますと、労働基準監督官の事件送致は年々ふえておりまして、三十九年の送致が千三件、四十年が二千百二十四件、約二倍でございます。それから四十一年が三千百七十九、三十九年の三倍になっております。それから本年に入りまして、一月から三月までが千五百二十八というふうに相当ふえておりまして、労働基準監督官も相当厳重な捜査をしているのではないかというように考えております。
  79. 華山親義

    ○華山委員 早くやれということなんですよ。どうしてこんなに、労働基準法違反というものの捜査なり起訴なり——起訴にならないものもありましょうが、処分がおくれるのかということです。どうしてこんなにおくれるのですか。この事件は、ほかの事件に比べてどうしてこんなにおくれるのですか。
  80. 村上尚文

    村上説明員 私どものほうでは、ほかの事件の比べてそれほどおくれていないと考えておりますが、先ほど申し上げましたように、労働基準法違反事件は年末に受理がふえておりますので、捜査に相当手がかかりますので、若干おくれることはあると思いますが、一般の刑事事件に比べてそんなにおくれているとは、私どもは考えておりません。
  81. 華山親義

    ○華山委員 こういうおくれている実態があるじゃないですか。一ぺんだって本人を呼んでいないんですよ。こんなたちの悪い人間はどこに逃げ出すかわからない。これは特別な例だとあなたはおっしゃるかもしれませんけれども、統計的に見て、刑事事犯だって総数が九十何%、九二、三%になっている。しかるに労働基準法違反というものは、私の計算で七四%にしかなっていない。私はあなたの非を言っているのじゃないのだ。大体いままで法務省で、法務大臣なり、あるいは検察庁のほうで、全国の会議等でお集めになったって、労働者の保護について万全を期せなんという訓示を一ぺんだってやったことはないじゃないか。とにかく暴力取り締まり、それはけっこうなことだ。右、左の暴力を取り締まる。それは非常にいい。そうあるべきだと思うのですけれども、新しい現在の時代において、労働者の権利を守っていくということはこの世の要請なんですね。いまおっしゃった課長のことばからもうかがわれるとおり、ほとんどこの点につきましての関心を持っていられない。先ほどのあなたのほうの統計とこの統計とは、どこが間違いなのか、私のとり方がどこが違っているのか、あとで、よく調べて教えていただきたいと思います。その点につきましては、きょうはどなたも責任のある法務省の方出ていられませんので、保留をいたしまして、もう一ぺんこ伺います。  その次に、矯正施設における被収容者の収容のことでございますが、この刑務所の食費というものは幾らですか。
  82. 勝尾鐐三

    勝尾政府委員 成人の一受刑者、おとなの受刑者につきましては、昭和四十二年度予算では一日八十五円三銭、それから少年の受刑者につきましては九十四円九銭でございます。
  83. 華山親義

    ○華山委員 お伺いいたします。どうもわれわれには、八十五円で一日食べていくということははなはだ困難だと思いますが、これで十分なものでございますか。
  84. 勝尾鐐三

    勝尾政府委員 十分とは思っておりません。
  85. 華山親義

    ○華山委員 私のいただいている資料では、食費の高騰と、それから毎年毎年の単価の上がり方というものがまあつり合っているということですね。それでその点について、その資料をお持ちでございましたならば、一般食料品の上がり方と、それからいまお話しになった単価の上がり方と比較的なことをおっしゃっていただきたい。
  86. 勝尾鐐三

    勝尾政府委員 消費者の物価指数と比較いたしますと……(華山委員「食料品です」と呼ぶ)食料品でございます。食料品の物価指数でございます。これは総理府の統計局の調査を引用させていただきます。食料品の物価指数でございますが、昭和三十五年を一〇〇といたしますと、昭和四十二年が一五三・三%でございます。一方成人受刑者の食費でございますが、同年度を一〇〇といたしますと、昭和四十二年が一四二%、少年受刑者につきましては、三十五年度を一〇〇としますと、四十二年度が一四二・五%でございます。
  87. 華山親義

    ○華山委員 結論的には、食料品の消費者物価指数に及ばないという程度で伸びているわけです。私は非常にこれはいけないことだと思う。私は何も、刑務所の人を優遇しろとか、刑務所に入った方がしゃばにいるよりはごちそうがあるんだとか、そんなことであってはいけないと思いますけれども、とにかく世の中がだんだん程度が上がってきているわけですね。世の中の程度が上がってきて、食品の食べ方が上がってきている。それに順応する程度の上がり方というものは、私は刑務所の人たちにもあっていいと思う。それが食料品の消費者物価指数にも及ばないような状態に置くいうことは、私は何か人道的な気持ちさえもするわけです。それで、大体大蔵省の税の関係で、これは批判が多いわけですけれども、成人一人当たりの食費は二百円といっている。この中には光熱費も入っているのかもしれませんが、二百円といっている。それに比べてあまりにもひど過ぎはせぬか。もちろん刑務所におきましては——私はこの経理状況等も、実地について追ってお聞きしたいと思いますけれども、たとえば野菜をつくっておられるとか、あるいはみそ、しょうゆは自分のところでつくっておられるとか、いろいろなこともあるかもしれませんが、あまりにもひどいのじゃないか。少し話がこまか過ぎますが、米と麦はどれくらいの割合で入れていらっしゃいますか。
  88. 勝尾鐐三

    勝尾政府委員 大麦が六、米が四でございます。
  89. 華山親義

    ○華山委員 まあ私としては、少し極端なことを言えば、ため息が出るようなものでございますけれども、刑務所に留置するということは、未決は別といたしまして、既決の人でも、もう人間の一番大事な自由を拘束されるということで、これがあるいは社会から犯罪的性向を持つ芦を隔離するかと、そういうことだと私は思うんですね。それで、刑罰的な意味から言っても、自由が剥奪されるということが刑罰の目的なんで、人並みはずれた悪いものを食わしてこれを刑罰だとするということは、私はこれは人道の問題だと思うのですよ。どうぞひとつ、大蔵省のほうにも、何かの委員会かあったらついでに私も言いますけれども、がんばっていただきたい。私は憲法二十五条の、健康で文化的な最低限度の生活ができるということは、日本人はだれでもできるのであって、刑務所の人といえども、やはりその憲法の規定は当てはまるものじゃないか——これは憲法学者に聞いてみなければわかりませんけれども……、とさえ思われる。少しひど過ぎる、そういうふうに考えます。ことに少年刑務所ですか、あの少年の食費は一体幾らくらいですか、お聞きいたします。
  90. 勝尾鐐三

    勝尾政府委員 先ほど申し上げましたのは、少年の受刑者でございますが、少年院、いわゆる保護処分ということで、少年院に送られました子供たちの食費でございます。これは昭和四十二年度九十五円九十五銭でございます。なお少年につきましては、少年院に入る前に、少年鑑別所というところで、資質の鑑別を受けるために自由を拘束いたしますが、少年鑑別所の食費は九十六円二十六銭でございます。
  91. 華山親義

    ○華山委員 まあ何と言っても、私の性格がそういう性格なのかもしれませんけれども、少しひど過ぎるようですね。ぜいたくなことはもちろんできません。できませんけれども、どういうものを食べていられるのか、ちょっと私想像ができないような気もするのです。大いにがんばって、ひとつ予算をとってください。  それから、四番目にお伺いいたしますが、公安調査庁における破壊活動防止のための調査経費八億三千四百三十九万というのがございます。これは内容をいまここで御回答ができるかどうか、どの程度まで詳しくお話ができるかどうか、私にも見当がつきませんけれども、これはどういう経費ですか。
  92. 長谷多郎

    ○長谷政府委員 お答え申し上げます。  ただいまの公安調査庁における破壊活動防止のための調査経費合計八億三千四百三十九万八千円というものの内訳を大きく申しますと、一つは公安調査官の調査活動費でございまして、これが七億八百五十四万二千円になっております。次の種類庁費でございまして、調査用の科学器材等の費用を含むものでございますが、これが五千四百六十五万六千円、残りの七千百二十万円が、団体等調査旅費と称しまして、調査官の出張に要する費用をおもに含んでおるのでございます。これを合計いたしまして、ただいまの費用と相なっております。
  93. 華山親義

    ○華山委員 ただいまおっしゃったことは、まともに受けますけれども、公安調査官は何人おいでになるのですか。
  94. 長谷多郎

    ○長谷政府委員 調査官の定員は千七百十名でございます。
  95. 華山親義

    ○華山委員 平均いたしますと、一人当たりの活動費はどのくらいになりますか。
  96. 長谷多郎

    ○長谷政府委員 お答えいたします。  公安調査調査活動費というものは七億八百幾ら、これを一人当たりに割りますと——目算でございますが、年四十万ばかりでございまして、大体月に割りますと三万五千円くらいと相なります。
  97. 華山親義

    ○華山委員 それはもっぱら調査官だけにお渡しになるので、外部の人や外部の団体等にはお渡しになっておらないわけでございますか。
  98. 長谷多郎

    ○長谷政府委員 お答え申し上げます。  これは大半は調査官から渡しますが、最終的には、ただいまお話しの外部の個人に手渡しするというものが、パーセントから申しますと、半数以上を占めております。
  99. 華山親義

    ○華山委員 会計検査院にお伺いいたしますが、これは証明規則第十一条ですか、あれによりまして、簡易証明になっておるわけですか。
  100. 鎌田英夫

    ○鎌田会計検査院説明員 お答え申し上げます。  おっしゃるとおり、簡易証明の扱いとなっております。ただしこれは全部ではございません。
  101. 華山親義

    ○華山委員 会計検査院にちょっとお伺いいたしますが、これは報償費にはなっていないのですね。
  102. 鎌田英夫

    ○鎌田会計検査院説明員 公安調査庁におきましては報償費ではございません。公安調査費の調査活動費、こういうことになっております。
  103. 華山親義

    ○華山委員 そうしますと、経理のあり方につきましては、これは調査官にお渡しになるわけでありますが、全部そういう形式になっておりますか、外部の人に、受け取りをとって渡すということはございませんか。
  104. 長谷多郎

    ○長谷政府委員 お答え申し上げます。  ただいま簡易証明の手続に関連いたしまして、調査官のほうでは、外部の人にこの活動費を渡す際に、外部の人から領収書をとるかどうかということをお尋ねでございましょうか。
  105. 華山親義

    ○華山委員 それもお尋ねしてみようかとも思いますけれども、とにかくこの金の受け取りは調査官からとっている、外部の人からとっているのじゃない、こういうことでございますか。
  106. 長谷多郎

    ○長谷政府委員 外部の最終受領者からこの領収書を受け取っております。これを具体的に申しますと、本庁におきましては、次長、私が取り扱い責任者でございまして、各末端領収者から徴しました受け取りを、私のもとに保管しております。簡易証明と申しますのは、その保管したものは公安調査庁の手元に置きまして、これを検査院へ送らないということでございます。
  107. 華山親義

    ○華山委員 私そういう点をお聞きいたしますのは、報償費であるならば、これはたとえばどなたかからその人に金をやって、そして受け取りをとるということができるだろうと思うのです。ところが、こういうふうな活動費になりますと、これは活動する人に金を渡す、その人がこれをどういうふうに使うか、これはまた、それがほかの人にやったら、ほかの人から受け取りをとらなくちゃいかぬでしょうけれども、そういうふうなことで、第一次的には調査宿にお渡しになるか、そういうことを聞いておるのです。
  108. 長谷多郎

    ○長谷政府委員 お答えいたします。  具体的の手続から申しますと、公安調査官の手を通じまして、最終の情報提供の協力者といったような民間人に渡すわけでございます。受け取りはその民間人の方から書いてもらいまして、調査官がこれを受け取るわけでございます。
  109. 華山親義

    ○華山委員 第一次的には調査官から受け取っておられますか。
  110. 長谷多郎

    ○長谷政府委員 お答えいたします。  調査官から受け取りを取ることは、内部のメモとしてはございますが、最終受領者の領収書がございますときには、それをもって十分でございまして、特に調査官からは取りません。   〔小峯委員長代理退席、委員長着席〕
  111. 華山親義

    ○華山委員 この点について、私はいまここで会計法上の立場から追及するだけの確信を持ちませんけれども、報償費という名目のものであるならば、これはそこの職員でない者に与えて、そしてその人の受け取りでいいと私は思うのです。しかし、活動ひということになっておりますと、これは活動をする人にやるのですから、活動する人はだれか、調査官なんでしょう。ですから、活動する人に与えるのであるから、活動する人から受け取りをとっておかなければいけないのじゃないか。その与えたところの金が、活動費として受け取った者がどういうふうに使ったかということの証明のために、活動した者が預かったところの証明書を提出させる、こういう筋合いのものではないかというふうに考えるのですが、会計検査院の御所見はどうですか。そうでなければ、報償費も活動費も、なんだかさっぱりわけがわからない。どこに区別があるのか。
  112. 鎌田英夫

    ○鎌田会計検査院説明員 この活動費につきましては、実際に調査官がみずから活動をする場合と、調査官が、実際にいろいろな情報、資料、そういったものを提供される方に渡す場合、こういうような場合がありまして、実際の権利者、債権者というものが表面に出てこないと申しますか、書類上はそういう扱いになっておらぬわけでございますけれども、しかし公安調査庁のほうのお考えと申しますか、そういう行政の一環として、会計法的にやむを得ないわずかのケースではないか、こういうふうに思います。
  113. 華山親義

    ○華山委員 私の言うことがよくおわかりにならないのか、私の言うことがけつ曲がりなのか、私は会計検査院のおっしゃることはよくわからないのですがね。国の活動をするのは役人でしょう。それだったら、活動費なんだから、その金は役人に与えるべきじゃないか。それをよその人に与えた、そういうことじゃいけないのじゃないかということを私は言っている。報償費であればこれは別ですよ。報償費だったら、何らかのことで民間の人が働いた場合に、それのお礼をあげようということなんだから、民間の人から受け取りをもらってもいいと思う。活動費という名前がついている以上は、そういう活動をする人から受け取りを、取っておくべきではないか。そういう活動をする人が多額の命をもらうのだから、それをどういうふうに使うのか、あるいは上の方が指示したとおりに使っているのかどうか、そういうことの証明のために、監督のために、そういうものをきちっと与えた人に対して整理しておく。会計検査院は、その第一次的、第二次的の全部について監査をする、こういうのがたてまえじゃないだろうかと思うのですが、どうでございましょうか。これは会計検査院にむしろひとつ聞きたいのですが……。
  114. 長谷多郎

    ○長谷政府委員 ただいまの御質問にお答えさせていただきますが、食い違いの点の理由がここにあろうかと思います。御質問の趣旨の中には、公安調査活動費の中には報償費は含まれていないという御前提でお考えのようでございます。しかし名称はそのように違いますが、調査活動費の中には、報償費的なものも予算上含んでおります。そしてそのような含んだ前提のもとで、このような報償費的なものであっても、特定の理由のあるものは簡易証明の制度が認められるということで、会計法にのっとりまして、簡易証明の制度を受けておる。したがって、最終受領者から領収書を徴するということは、その点から考えましても、御質問の趣旨から申せば、報償費的な意味のものもあるわけでございますから、これは当然徴しなければならないわけでございまして、現実徴しております。
  115. 華山親義

    ○華山委員 私もかたくなに考えておるわけじゃありません。予算の名目が、報償費になっていたり活動費だなっていたりするものですから、そういうふうに考えたのでございますけれども、これはかつては機密費というものがあった。機密費は会計検査院の検査外だった。それで戦後、予算明示主義の立場から機密費という制度をなくしたわけでございますね。しかし、それでも私は相当不便だろうとは思いますので、全部が公開されるというふうなことに踏み切るべきか、これはちょっと問題があろうかと思うのでございますけれども、会計検査院にお願いをいたしておきますが、これも会計検査院長がおいでになったときに言いますけれども、簡易証明の範囲というものはきわめて厳格にしていただきたい。これは法務行だけの問題じゃございません。きわめて狭くして、極力少なくすべきだと私は思うわけです。  それにつきまして、ちょっと気づいている点があるのでございますが、毎年毎年の公安調査費というものが大体並行しておりますけれども、三十八年から三十九年にかけて増大しておりますね。あれは何か理由があったのですか。
  116. 長谷多郎

    ○長谷政府委員 現在、三十八年度の数額を具体的に持ってまいっておりませんけれども、そのころ順次上向きに調査活動費が増額されておることは確かでございます。この理由は、簡単に申しますと、言うなれば、当時の内外共産主義勢力の伸張に伴いまして、調査が複雑困難の度を順次増してきたという状況に対応いたしまして、調査活動費の従来の不足というものがこれ以上続きますと、調査自体の存立がむずかしいというような事情を勘案いたしまして、予算の要求をいたし、この限度はそのために認められた。要するに、調査対象の広がりと調査の困難さというものがこの時期に順次重くなっておるといった事情を反映した結果だと承知しております。
  117. 華山親義

    ○華山委員 従来から少しずつ増しておりますけれども、あそこで一億ほど飛び上がっておりますので、何か特別な事情があったのかどうかと思ってお伺いしたのですが、事が事ですから、あまり決算委員会で聞いてもしかたがないことでなんですが、抽象的なお答えで不満足ですけれども、このくらいにしておきます。  それでは時間が参ったそうですから、このくらいにしておきます。どうもありがとうございます。
  118. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 吉田賢一君。
  119. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 少年法の問題と法務行政の問題、二点についてきょうは伺ってみたいのであります。きょうは法務委員会があるらしく、法務省の首脳部が見えておりません。単純な事務的な問答で終わりますことは、少し根本的な問題があるのでありますから、非常に残念でありますが、民事局長、見えておらぬのです。  ちょっと少年非行の問題を伺いたいのですが、だれが適当でありますか、ひとつお答え願いたいのですが、一体この少年非行の趨勢は、法務省の統計なりあるいはまた少年法改正についてのいろいろな資料等によりまして見ても、かなり憂慮すべき傾向も一面見えるのでありますが、そこで、根本的に少年非行原因を深く追及していくことがまず非常に大事な点であろう、こう思うのですが、その点について原因は何か、最近の特徴は何か、そういったことについて、特にこの点という前祝すべき点を一つ御答弁願いたい。
  120. 安田道夫

    ○安田説明員 犯罪原因につきましては、成人につきましても少年につきましても、きわめて複雑でございますので、これといった原因を特定することはむずかしいと考えます。一般的に、やはり環境あるいは素質などの面がいろいろ考えられるわけでございますけれども、そういう点で、法務省その他者関係機関とも、たとえば環境の浄化だとかあるいはまた不良文化財の一掃というようなことなどを、国民運動なども基盤としまして、広範に広めてはおりますけれども、しかしいろいろ見てまいりますと、環境の浄化というような面につきましては、これはやはり幾らやっておりましても、一定の限度がございます。やはり問題は、どういう環境にもめげない、あらゆる誘惑にも耐えていくような、そういう人間をつくり上げていくということがきわめて大事であるというふうに考えております。そういう点で、これは原因と相関連しまして対策にもなるわけでございますけれども、やはり基本的には、社会的な協同生活を営んでいくにふさわしい人間を、しつけ教育していくということが大事であるというふうに考えております。
  121. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 対策もさることながら、対策を立てるのに、たとえば国民運動にしましても、環境を整備するにしましても、その他あらゆる諸般の影響のある事項を是正するにしましても、その前にもっと最近の犯罪傾向とか非行傾向がこのような数字、種類、性質等になっておる場合に、一体何が原因かということをだんだんと追求されるということなしに——私は、その原因の追及というものをもっと深く掘り下げていくということを、各方面に実は要請しておるわけなんです。法務省におきましても、どう是正されるかということで非常にお急ぎになる。たとえば、少年法の改正についてのこうかんな書物をちょっと一覧さしていただきましても、原因の追及については一枚もない。統計は出ております。何々の種類の凶悪犯はこれこれであるとか、あるいは犯罪傾向がこれこれであるとか、年齢はこうだとか何だかんだ言っておられますが、それは出た現象ですよ。何がそうなさしめているということが、特に少年の場合重要ですよ。成人であろうと少年であろうと犯罪原因は種々だから、ちょっと簡単には言えない——そんな理屈はないですよ。特に成人の場合と少年の場合は区別してかからなければならないのが、これが少年非行問題に対する国民の取り組み力なんです。だから、法律の改正までやろうというからには、ずばっと重点を幾つかあげて、これが重要な原因である、だからこの原因の除去が大事だ、こういうことがなければ、特にものごとを論理的に科学的に考えておる法務省が、成人と少年の犯罪原因が種々雑多だというような考え方では、これはどうかと思うのです。もっと端的に、少年非行原因はこういう点に重点がある、最も重要な根本的な問題はここにあるということをつかんで、国会にもお示し願いたい、そういう意味なんです。
  122. 安田道夫

    ○安田説明員 犯罪の原因を明らかにします関係から、現在の犯罪の現象を分析していく必要があろうかと思いますが、現在の少年非行の特徴として取り上げておりますことは、特に戦後においてでございますけれども、先生御承知のとおり、学生あるいは生徒による犯罪が多いとか、あるいは両親もそろっており、生活程度もそれほど貧困でないという家庭における少年による非行が多いというようなことなどが、その特徴として指摘されておりますが、このような現象、それからまた、これはやや古い統計ではございますけれども、犯罪の動機あるいは原因別に、検挙した人員について調べたものなどを見ますと、その動機としましては、遊興費あるいは虚栄心を満たすというような、利欲を中心にしたものが圧倒的にその原因として大きい数字を占めておるわけでございます。それやこれやのことを勘案いたしますと、現在の社会の環境において、消費ブームだとかあるいはその他のいろいろな問題がありますけれども、このような一般的な社会の情勢というようなものに耐えていけない、弱い素質を持った少年がかなり多くなっておるということが、最近の少年非行のきわめて増加、悪質化しておる大きな原因ではなかろうかというふうに考えております。
  123. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 いまのあなたの御答弁は、私の求めるものが実は出てきておらぬのであります。お手数ですけれども法務省におきまして、少年法がやがて日程にのぼるのであります。最高裁にしましても、相当意見も持っておるようであります。国民も重大な関心を持っておりますので、われわれとしましては、本質的に根本的に掘り下げていって、そこから出発して、議論、意見の展開が望ましいのであります。したがって、法務省といたしましては、占い統計なんてそんな中途はんぱなことをおっしゃらずに、また各種の非行の態様とかあるいは数字とか、そういうものから帰納した、そういう原因探究の方法もありましょうけれども、それはどうでもよろしゅうございます。いずれにしましても、最も重視すべき重要な原因がここにあるということをぐっと浮き彫りに出して、そして明確な資料にしてもらいたいのです。それがまとまっておれば、当委員会に出してもらいたい。そういうものはまだ集約されたりできておらぬとするならば、急いで取りまとめていただきたい。ただし、これは算術的に数字を並べるという意味に私は言うておるのじゃないのであります。言うておるのじゃなくて、もっと科学的に御検討になって、よって来たるところはここだ、ここのねらいが一番大事だと、その急所をついてもらいたいのです。あなたのほうのいろいろな御意見も、法務省少年法改正につきましての御意向もわかるのです。肯綮に当たる面もあります。しかし、まだわれわれとしてまことに納得しがたい面もあります。でありますので、かりにも全国の少年を対象にして、少年法を画期的に改正しよう——現行少年法の成立の過程で、相当深刻な批判をしておられる。その欠陥もいろいろと述べておられるけれども、しかし、この重大な社会現象のよって来たる具体的な原因を、国民にちゃんと納得させるような確認的な原因の表明、御意見の発表というものは、どうもまだ非常に粗野な感じが私はいたします。まことに失礼ですけれども、これは資料は十分にあるのかと思いますけれども、簡単に要約いたしまた、これが最も重要だとお思いになりますととを、ひとつぜひお示しを願いたい。これはお願い申しておきます。よろしゅうございますか、いま御説明になりましたこともわかりますけれども、唐突な私の問いであったためでありますか、私にはちょっと満足いたしかねます。ぜひともそういうふうにお願いしたいのですが、委員長、しかるべくお願いいたします。これは後日の参考になりますからね。
  124. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 よろしゅうございます。
  125. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 こういう点につきまして、私は先般から児童、青少年教育の面、幼稚園とかそういう教育の面から、児童問題を少し観察しておるのでありますが、結局、私がたどりつきましたことは、大きく言えば二つの柱になっておるようであります。やはり家庭問題にもっと踏み込んでいくことが必要ではないか。もっともいまの家庭ということになりますと、警察が、干渉、介入したり、法務省の行政指等等がそこに及ぶことができない場所であります。しかし結局は、少年の人格も、人間も、性格も、体質も、あるいは心身の発達そのものをつくる最も重要な場が家庭ではないか、こういうふうに思われますので、それならばどうしたらよいのか、ということに考えが及ぶのではないか。これが一つ。  それからもう一つは、やはり社会環境があまりに複雑でありますので、この複雑な社会環境に対しまして、私がずばりと申し上げたい点は、これはどう評価しておるか知りませんけれども、いまの不良文化財の問題、不良文化財のはんらんというものが、少年の興味あるいは一種のスリル的なものを、何かかき立てるようなものが相当あるのじゃないか、こういうふうに私は考えておりますが、これは表現の自由とかあるいは営業の自由とか、憲法の問題とか等々こんがらかって、徹底した措置がどうもないようでありますけれども、こういう面につきましても、相当思い切った措置がなされなければ、その防止とか、予防とか、なくすることは、私はできないと思うのです。その二点。  それから、時間の節約上……。一体これは根本的にどういうふうにお考えになっているのでしょうか。少年非行をなくするというところで、非常に雄大な施策を行なおうというぐらいな意気込みであろうか。このような時代の発達の過程では、相当非行が出てもやむを得ないというお考え方なんであろうか。その点が非常に大事な点なんです。世界的に少年問題が大きな悩みですから——日本が最も大きいかもしれません。これはますます重大です。根本的になくするというところまで、非常に大きな雄大な施策を持って臨もうというのが法務省のかまえなのか。そうではないというのか。もっともそんなこと言ったって、交通違反を全部なくすることは人間わざではできない。神さんの天国でなければできないというような理屈はありますけれども、しかし考え方としましては、それほどの構想を打っておるかどうかということを実は聞きたいのです。あなたにその辺を伺うというのは無理だと思うのですが、これは矯正局長、あなた事後処理の指導をやっておられる立場だから、ちょっとその辺はどうかと思いますけれども、どなたでもよろしゅうございますから、いま申し上げましたような点、私の意見を加えつつ、ちょっと御所見を伺うのでありますが、以上の三点を、一括逐次御説明願ってみたいと思います。
  126. 安田道夫

    ○安田説明員 先生の御指摘になりました最初の二点につきましては、法務省といたしましても全く同感でございまして、そのような点に十分な配慮を加えて、施策を講じていかなければならないと思っております。  それから第三点の、いわゆるどのようなかまえでおるのかという点につきましては、これはもとより国といたしましては、非行少年が一名もいなくなるように、その根絶をはかりたいというのが国の願いであることには相違ございませんが、しかし、ただこれを実現していきます上におきましては、各関係機関の協力、総合的な施策が必要なのでございますから、法務省の施策というものはその一端をになうものであって、法務省の施策だけによって、その非行少年の根絶が直ちに実現できるというようなものでは毛頭ないことを、先生も十分御承知のことだろうと思います。そのような意味におきまして、法務省としては、その与えられた職務の範囲内において最善を尽くしていきたいという姿勢にあることは、これは申すまでもないところでございます。
  127. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 その第三点につきましては、これは総理府の青少年局もあることでございますが、総理府がいろいろな意味において、青少年問題の行政を総括している面もございますが、各省とも、それぞれと業務を分担しておいでになります。私は、各省とも、文部省にいたしましても、その他にいたしましても、そのような大きなかまえを根本的に打つということについて一致するように、そういうふうに強く主張していかねばならぬ。事後処理ばかり幾らいたしましても、これは百年河清を待つですよ。厳罰にするとかあるいは何をするとか、どうするとかいいましても、それはそれなりに力を入れておりましても、これは私はまことに至難なわざじゃないかと思います。でありますので、法務省の業務範囲で根絶を期するということは、それはできないかもわかりません。けれども、行政ですからね。国の行政は、やはり全体総合統一的に、お互いが責任があるはずであります。内閣におきましては、法務省法務省だ、文部省は文部省だといって、それぞれとお互いにお互いのことをやっておればいいというわけにはいきません。受けるものは国民ですから、統一的帰一した責任は、この内閣が行政上持っているわけでありますから、それはやはり総理府なら総理府になとどこになと、いまお述べになった、私がお尋ねしましたようなそういう線に沿った、よほど雄大な少年対策、施策が行なわれなければ、何ぼ口で言うておりましても——何年か言うております。もう終戦後、青少年の健全育成は述べ述べ述べてきておりますけれども、一向改まらなくて、まことに凶悪の傾向が強くなるというのがあなたのほうの御説明なんです。これは説明にも弁解にもならぬ。かぶとを脱いでいるというのがいまの行政の態度ですよ。何か間違うている。何か間違うているというときは、根本的に反省が要りますよ。根本的に反省することなくして、一々説明やら弁解ばかりしておってはいけません。極端なことを言うなら、職を賭してでもこれをやり抜くという考えを、行政官が持たなければだめですわ。マンネリズムにどこもかもなってしまったら、ますます惰性は悪い方向に向いていくものだ、私はそう思います。マンモス東京になりまして、東京といなかは空気が違います。きょうあたりも、表にたくさんいなかから来ておりますね。子供がついてきております。それが何を見て帰るのかと思うと、私はぞっとします。純朴ないなかで育って、はち巻きしておとうさんが米の値上げのことで一生懸命になっておる。それはそうとして、帰りしなに銀座の裏あたりにこそこそと行くようなことで、何を覚えて帰るだろうかと思うと、私はぞっとします。会館あたりで、そういう少年が何人かおりますと、そういうことさえ思います。それほどに、東京というところは複雑な社会環境にありますから、こういうときに対処していきます少年問題での行政施策、態度、行政のあり方というものは、まことに私は重要だと思いますので、いろいろと意見も加えましたけれども、そういう観点から実は御意向を伺った次第なのでございます。  それで、さっき言いました不良文化財の問題、少し横へそれ過ぎたんですけれども、この問題はどうも解決しないんですね。私は、映画館の全国的な何かの陳情をちょっと受けたときに、何とかもっとならぬものかという話をしてみたことがあるんですけれども、とんとわれわれでは間尺が合わぬ。なかなかむずかしい問題らしい。しかし、映画だけとは申しません。すべての不良文化財につきまして、これまたほんとうに取り組んでいくということ、これもまた、法務省が、わしの領域でないということになってしまうのであろうかどうであろうか。憲法の表現の自由とか、営業の自由とか、なんとかかんとかの自由と権利の主張で、どんなに社会に悪い影響を与えてもいいというような、そういうことになっていいんだろうかとさえ私は感じるんですが、これはまた何か適切な具体的な方法はないものでしょうか。対策の問題です。
  128. 安田道夫

    ○安田説明員 御指摘の不良文化財、いろいろな種類が、いろいろな形でもってはんらんしておるわけでございますが、これに対しましては、御承知のように、総理府の青少年問題審議会におきましても、その根絶を期するための対策をいろいろと考えておるわけでございまして、その方法としては、結局、根本的には、先生おっしゃいましたような、やはり表現の自由やその他のいろいろな問題もございますので、業者の自主的な規制にまつというところ、国民的な運動として盛り上げていくということで解決していくよりほかないのではないかというのが、現在のいわば結論的な態度でございますけれども、しかし、これも単に自主的と申しましても、漫然とその規制を期待するということじゃございませんで、やはり関係各機関が、それぞれの許された権限範囲内において、厳正な取り締まりを行なっていかなくちゃいけないわけでございます。法務省といたしましては、この点につきまして、刑法その他関係法規で罰則の設けられているもの、あるいはまた、青少年保護育成条例などでやはり罰則が設けられておりますが、そういうような罰則規定のあるものにつきましては、これを厳正にかつ徹底的に実行、実現していくという姿勢をもって臨んでおります。そのようなことで、法務省としては、不良文化財の一掃については、十分な配慮をしておるわけでございます。
  129. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 結局、これも、そのような問題はやはり行政の値域でなさそうですね。国民連動に期待がされる——国民連動というようなものは、そんなものは行政じゃありませんよ。そういうものになけなしの補助金ぐらいやって、そんなもので根絶するほどのなまやさしい問題ではございません。やはり法制度の根本と取り組んでいくということで手がない、だろうかというところまで、私はいかなければなるまいじゃないか。もしいまのようなお説が、それがほんとうに法務省の全体を貫く基本的態度を表明しておられるものとするならば、結局、法務省の業務の範囲は、またその成果は、きわめて消極的なものにすぎない。あらわれた非行をできるだけ適正公正に処置をするという以外に手はない。これは法務省である。あるいはそうかもわかりません。そうかもわかりませんが、私は、やはりこの時代におきましては、行政の一体的責任、総合的機構の運営、こういうことが非常に重視されるだろうと思います。だから、その意味におきましては、各省との横の連絡でも、どの点に重点を置くかというようなことを、一生懸命にやはりお互いが協力せられる必要があるんではないか、こう思います。しかし、いまのお説で大体限界がわかりますので、これは別の機会に別の行政府に対してお尋ねするより手がないかと思います。
  130. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 吉田さん、刑事局長に来てもらいました。あまり時間がないそうですから、もしありましたら……。
  131. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 刑事局長見えたんですね。刑事局長は法務委員会でえらい忙しいそうでありますから、実はあなたのほうの少年法改正で、ちょっと取り組んでみておりましたのですが、いまだんだん伺っておりましたのですけれども、やはり刑事局といたしまして、お頼みはしておきましたか、少年非行原因をもっと追及し、もっと明確にして、そうしてこれを少年法改正なり少年法問題についての論議の重要資料として、まず第一に出してもらわねばなるまいじゃないか、こういうように思うておりますのです。非行の統計、犯罪統計というようなそういう形式だけじゃなしに、これを縦横に検討いたしまして、原因は何かということの追及が非常に重要であろう。だから、これはきょう即答はできませんならば、やはり要約した文書にして出してもらいたいということをよく頼んでおきましたので、ひとつお含みを願っておきます。  それからもう一つ、今度のこの少年法の改正について、この間大臣も、かなり積極的だけれども、慎重な態度で望んでいかれるようにお考えになっておりましたが、最高裁との間にはかなり意見の違った面もあるらしいのでありますが、こういう重要な問題につきましては、裁判所と行政府との間ですから、そう簡単にいきますまいけれども、しかしかなり行政上の問題も多いようでありますから、何も裁判のそれじゃなしに、行政上の問題も多いときに、何年もお互いにいじくって解決しないというようなことでは、これはどうかしらんとこう思うのですが、これは法改正に至らずとも、一致点があるなら——全面的な結論が一致するまでもなく、お互いに意見の一致するものがあるならば、他の意見も聞いて、そうしてすみやかにそれをどんどん実現していく、こういうふうにせられたらどうかと思うのですが、そういう考慮をしながらこれを扱ったらどうかと思うのですが、その点は事務的にどうでしょうかね。
  132. 川井英良

    ○川井政府委員 最初の少年非行原因については、一応検討はいたしておりますけれども、御趣旨を体しまして、さらにまたその非行原因を要約したものを、またあとで文書にいたしまして、お届けいたしたいと思います。  それから、第二の点でございますが、裁判所との間、あるいは弁護士会との間で意見の顕著な対立を示しておりますのは、御承知のとおり、主として年齢の点でございます。この点につきましては、私どもさらにまた関係方面折衝いたしまして、でき得る限り意見を調整して、早い機会に成案を符たいというふうに、部内に委員会を設けまして、せっかく努力中でございます。ただ、ここでちょっと申し上げておきたいことが一つあるのでございますが、一昨日、衆議院の地方行政委員会で、御承知のとおり、道交法の改正案が衆議院を通過いたしました。その際に附帯決議がつけられまして、その附帯決議の一つの中に、この道交法の改正について少年を除外したのはどういう理由か筋が通らならないということで、少年を成人と同じように、反則金通告制度に乗っけることについて早急に検討しなさい、こういう趣旨の附帯決議がつけられまして、しかも私たまたまその席上におったのでございますけれども、全員附帯決議に賛成をされまして、この附帯決議が通ったわけでございます。その席上、最高裁の刑事局長、家庭局長もおられましたけれども、これは、この少年法改正にとっても重要な意味を持つものではないかというふうに、印象深く拝聴したわけでございます。この辺のところは、やはり少年問題についての国会方面の方々の異常な強い関心が示されておる、しかも与野党問わず示されておる、というふうに私看取したわけでございますが、これらの国会における強い関心というふうなものを背景にいたしまして、さらにこの点についても検討を重ねまして、強い決意でもって意見の調整に当たってまいりたい、こういうふうに考えております。
  133. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員長 いまの意見が、最高裁等との間に意見が近似しておるとか一致しておるとかいう点、相当あるでしょう。そういう点につきましては、どういうふうになるでしょうか。
  134. 川井英良

    ○川井政府委員 年齢の点と検察官の先議の点を除きまして、その他の点におきましては、ほぼ意見の一致を見ているというふうに申して差しつかえないと思います。私の考え方といたしましては、まず意見の一致しておる部分について、できる限り早い機会に成案を得て、そして改正の方向に向かって進みたい、こういう考え方でございます。
  135. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 特殊な年齢層を設けるという問題につきましては、根本的にこういう点が一つの問題じゃないかと思うのです。  一つは、少年に対するに、教育の立場をできるだけ捨てないようにしていきたい。いろいろな弊害もあろうけれども、長年取りきたった一つ教育主義的なあり方について、運営に欠陥があるならばそれを是正すること。直ちにこれを切り離して、たとえば十八から二十三までを成年期と設定いたしまして、そしてそれを刑余者扱いにするというふうなことでは、結果的に非常に大きな暗いものをつくるじゃないか。これは教育主義的な見地から見ますると、そういう考え方になると私は思うのです。でありますので、教育的な考え方を相当重視し、これを発展せしめるということが、少なくとも私は最近の一つの世界の傾向ではないであろうか。厳罰で臨むというような非常事態のような時代ではなくて、すべてが民主的に、人権の尊重とか、権利の尊重とか、責任の自覚とかいったふうな、人間そのものの完成に向かって、法律制度社会生活あるいは社会道徳、あらゆるものが進みつつあるということが、少なくとも日本におきましては、戦後の大きな特徴でないであろうか。これが旧少年法が現行法に変わりました一つの思想的な背景をなしておるのじゃないか、こう思いますのですが、そういう見地から見まして、一つ教育主役的なものの考え方を捨てるおそれがある、切ってしまうおそれがあります。たとえば検察官先議の問題にいたしましても、日本の検察官制度は必ずしも完全じゃございませんよ。でありまするから、そう言うと、横に論議が入りますけれども、私は、そういう面がありますので、これはまた法務省の領域を離れた要素があります。いまも、不良文化財の問題につきまして、国民連動によって結局解決するということも大きな手だろうという御意見が実は出ておりました。そのように、法務省のなさる領域以外の重要な要素があるような場合においても、やはりそのほうの意向を相当尊重するということになりませんと、それは自分だけの経験と自分だけの考え方を強く主張するということになるおそれが私はあると思う。事さほどに少年問題は重要であります。附帯決議がどういう趣旨でなされたか、私は経緯をよく存じませんけれども、少なくとも、少年に対する一種の教育主義的な立場というものは根本的に捨てるべきでないという考え方を、私は持ちたいのであります。そうしませんと、教育も機械的におちいります。こういった制度がきわめて機械的になる危険もあるとさえ実は思うのであります。これも、私の実兄が十分に熟しておるわけではございませんので、その辺につきましては、かなり法務省としましても謙虚にお考えになってしかるべきでないか、こういうふうに思うのです。これは一番初めに聞きました原因につながってくるのです。法務省の新しい少年法の改正の構想も、私ざっと読ましていただきました。原因をあげるということに力を入れておりません。ただ数字を並べておられます。統計、傾向を並べておられますが、なぜそれが起きたかというもとをただすのが、私どもは大事な点だと思います。ここから掘り下げて、もう一ぺん検討しますということが、少年法改正の一つの大きなあり方ではないか、こういうように思いますので、こういう点についてはどういうふうにお考えになりますか。
  136. 川井英良

    ○川井政府委員 あとのほうの点から申し上げたいと思いますが、少年法改正の構想を昨年五月二十三日に発表いたしましたが、その発表に至るまでに私どもの手元で研究いたしましたいろいろな資料なり、また発表いたしました後今日までの間にも、たくさんの集約いたしました資料を手元に持っておりますが、これは後ほどまた青少年課長に依頼いたしまして、一切お届けをいたしまして、おひまの際にお目通しをいただきたいと思います。  それから、一番大切な、最初の御指摘の点でございますが、およそ人を刑罰に処してその矯正をはかるというような仕事が、単に応報的な考え方だけで済むものかどうかということにつきましては、ここに矯正局長おられますけれども、これは近代的な行刑のあり方ないしは刑罰のあり方といたしましても、とうてい認められないことは明らかでございまして、少年のみならず、成人につきましても、今日基本的には、教育刑的な考え方、保護的な考え方というふうなものが基調になくては、この仕事はつとまらないのではないか、かように考えておるわけでございまして、少年を除きました成人の事件の検察、裁判、行刑、保護といった一貫した中におきましても、私どもの手元で最も中心課題となっておりますのは、御承知のとおり、刑事政策的な配属を具体的にどう生かすかということでございまして、法務省はあげて、この刑事政策的な配慮についての研究と取り組みをしておるところだ、こういうふうに申し上げてはばからないわけであります。いわんや少年の取り扱いにつきましても、その基調は、少年法がすでに十年間にわたって行なわれてまいりましたが、あくまでも保護主義的な考え方が基調にあるんだ、それを原則といたしまして、それを修正する原理といたしまして、本来の刑罰的な考え方をどの程度、どういうふうなやり方、方向で織り込んでいくかということが、この少年法改正の一番のポイントであろう、こう思いますので、御指摘の考え方と、全く私の考え方は同じである、こういうふうに申し上げて差しつかえないと思います。なお反省の上、対処してまいりたいと思っております。
  137. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 刑罰的な、刑事政策的なその趣旨を、どう少年法の構成、運用に生かしていくべきかということが大きな課題のようであります。一面非常にもっともなことでございます。しかし、その場合ぜひ考慮しなければならぬ問題は、その以前に、現在の制度と運用面においてなすべき手が十分に打たれて、そして欠陥はこれが補てんせられ、是正せられておるかどうか、おらぬならば、まずそれをやらねばならないのではないだろうか。その上で新しく刑罰法規的なものでどうこれに対処するかということ、これは何といっても最後でなければならぬと私は考えます。だから、最後のものがあわてて出過ぎてきましては、前のせっかくの土台をくずしてしまうことになりますので、その辺が非常に大事なことだと思います。  そこで私は、どういたしましても、一番最初の補導とかあるいは家裁への送致、あるいはその他の事後のあらゆる観察、指導、拘束等の問題に入っていかなければならぬのですが、この点につきまして、局長のお立場が非常に大事だと思うのです。もっと遺憾のない状態で、積極的に大胆に、政府の構想として出さねばならぬ、こう思うのです。たとえば、いまの少年院に例をとってみますと、少年院はいま定員過超の状態にあるというふうに思っておるのですが、これは事実なんですか。
  138. 勝尾鐐三

    勝尾政府委員 少年院の収容状況は、全国的に見ますと九九・一%ぐらいということで、一〇〇%を割っております。ただし東京地方が一一九%、北海道が一三五%というように、全体的には一〇〇%を割っておりますが、地域的に著しく過剰なところがあるというのが現状でございます。
  139. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 これはたいへんな問題であると思います。東京は過超して、さらに北海道はもっと過超している、他は一〇〇%以下だ、こういうでこぼこ行政、これはあり得ることではないのです。少年少年院に送致いたしまして、完全に矯正の目的を達しようといたしますならば、それは定員内において、そして定員の職員がこれに当たって、基準に相当した一切の施設をこれに加えて、本人の心身に適応するあらゆる指導が行なわれる。この状態なしにいきましたならば、結果は満足を得ないと思うのです。結果が満足を得ていなかったら、またもう一ぺん警察のやっかいになり、刑事局のやっかいになる、この繰り返しなのです。ですから、さっき申しましたように、まずその以前に整備しなければならぬ、是正しなければならぬ問題を全部をあけていかなければならぬ。それを一切改めましたその上で、なお刑罰的なものが必要であるというなら話がわかるのです。あれもせず、これもせずに、刑罰を急ぐというのは——これは国民に与える印象ですよ。あなたらはそうお思いになっていないかもしれませんけれども、地方におきまして、少年院にやったということは、それはえらいことですよ。両親とも世間に顔向けができません。少年院といったらたいへんなところだ、まるでそれは極悪の少年ばかり寄っておるところに、うちの子供がやられるというような感じでおりますよ。そういう感じを持たせておるということについて問題があると思います。これはまた別の問題でしょうが、少年院自体がいまのような運営の実態では、これは重大な問題です。こういうことについて、一体刑事局長どう考えますか。
  140. 川井英良

    ○川井政府委員 矯正の当局においても、いろいろまた考え方があろうかと思いますけれども、私どものほうは、所管といたしましては、先ほど仰せがございましたように、調べて事実が明白ならば、家庭裁判所へ送って、そして情状の重い者については少年院送致ということになっておりますが、私どものほうでは、やはりアフターケアが大切だと思うわけでございまして、悪循環をどこかで断ち切って、そして最後に処遇の面において適切な処遇をして、再び同じような悪の道に入らないようにということが一番大切なことだろう、こう考えております。今度も、御承知かと思いのすけれども少年法改正の面におきましても、処遇の面をもう少し考慮いたしまして、もっとバラエティーに富んだ処遇を行なって、それぞれの少年の性格に適応したような形の処遇を徹底することによって、その辺のところを付とか処置してまいりたいという構想も打ち出しまして、各方面の御賛同を得ておるということで、その辺のところを、なるべく早い機会に法制的に具体化したいという考え方でございます。
  141. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 そうなってまいりますと、やはり行政の総合的運営ということに、また問題は発展してまいります。一体、法務省というのは、全体か大臣あり局長ありで、局長は、それぞれ事前の業務もあれば、事後の業務もありましょう。また外国の業務もあれば、対内業務もありましょう。しかし法務省全体の恩恵決定は、各局長が総合的に意見の交換をして、法務行政はどうあるべきかということを決定するのがほんとうだろうと思います。この間から、何て日本の行政運営というものはばらばらだろうかということにどこでもぶち当たってしまう。これはほんとうです。率直な意見です。何でもっと総合できないものだろうかと実は考えるのです。これは小さな話ですが、たとえばあるアメリカの企業等を見たのでありますが、これは日本と考えが違うんですよ。課長とその他の人が十人ばかり寄っておりましたが、その中に日本人が八割ほどおりましたが、そこである一つのテーマを中心として、甲論乙駁がありました。そして係長の意見、どうもそれが一番よさそうだというので、結局それを採用しようかということになりまして、それを採用したらしい。採用したところが、それがすばらしい成績をあげたというので、その係長さんは、すぐそのいすがかわりましたよ。これはおもしろい一つのあり方です。企業はもう命がけですよ。命がけですから、ディスカッションしますのに、それほど真剣なありさまです。日本ではそうではありません。上の人は、なるべくゆっくり役所に来たり、会社でもなるべくゆっくり来たりする。重役さんと下のほうとは出勤時間が違う。下だけが汗水かいてラッシュアワーに出てくるという状態でありますが、そういうことも、行政を効率的に、能率的にということがいま叫ばれている際ですから、行政改革の一つの根本的な柱になっている際ですから——法務省といたしましても、やはり事前、事後一切を総合いたしましたところに、法務省の将来の行政のあり方があるのだろうと思います。でありますから、これは事後の矯正局かもしれませんが、しかし刑事局でも黙って見ておれぬ状態で、何とかしなければならぬ。大蔵省は金をやるというが、とんでもない話です。大蔵省が予算を作成するということは根本的な誤りです。予算の作成方針は内閣ですよ。総理大臣がリーダーシップさえとればそれでいい。大蔵省は自分の私財を出すわけではないのですから、クレームを言う性質のものではない。当然出さなければならない、こうあるべきだという、そのくらいのことにいかなければならない。まず隗より始めよで、法務省自体が将来の問題に取り組みなさるときに、先ほど御指摘になりました、ただいま問題になっております、刑事政策的な、刑罰的なそれに一歩踏み出そうかという以前に、まず反省の面がないか、改めるべきものがないか、これで十分だろうかというように、一つ一つ点検することが絶対必要だと思います。  そこで、少年院の例をさらにあげますと、少年院の建物は、さっきも問題になっておりましたが、私らも実は見て知っております。少年院だけみな古ぼけた、不便なところにある。東北と言ったら悪いけれども、ある都市のある写真を見ましたら、家のすみっこに小さいものがひっついている。それは何だと言ったら、それは気違いの老人をちゃんとしばってあった場所だということが出ておりましたが、私はそういう考え方が、根本にどこかに食い違いが出ておると思うのです。建物にしても問題になっておりましたが、それなら、一体職員は完全なのかどうか。私は売春対策のときに、売春のそれもいいけれども職員は親身になって指導するのだろうかと心配していた一人なのであります。そういたしますと、課長さんも職員も足らぬとか、あるいは画一的であるとか、職員の指導能力が十分でないとか、給与も不自由で、うちで今月の支払いをどうしようかと、かかさんが心配せんならぬようなこととか、何やかやとあるでしょう。それを十分に、その能力なり職責を尽くして、その仕事に打ち込んでいき得るような状態になっておらぬでしょう。何もこれは、あなたにベースアップしなさいという意味で言うておるのじゃないですよ。そういう意味じゃなくして、職員の数にしても能力にしても、専門的なそれにしろ、その辺が大いに欠陥があるのじゃないかと言っておるのです。どうですか。
  142. 勝尾鐐三

    勝尾政府委員 少年院についてでございますが、御指摘のとおり、現在、少年院は分院を含めて六十二ございますが、このスタートの当時は、ほとんど古い民間の建物あるいは旧陸軍の弾薬庫を変えたといったようなものでございまして、現在六十二のうち、新しく改築できたものがようやく十九、なお全面改築中のものが約二十六、その他がこれから手をつけようというものでございます。少年院少年処遇効果をあげるためには、やはり少年教官との間に心が通い合うような環境をぜひつくってやらなければならない。さらに生きた人間を扱う処遇でございますので、何といっても教官の質並びに数が充実するということが絶対に必要でございます。そのためにはいろいろな隘路がございますが、一つでも解決できるものから着実に解決をしていくという方針で、ぜひ強力に必要な施策を実行していく、こういう意気込みで、現在法務省関係の局長にも御協力を願い、さらに行政管理庁あるいは大蔵省とも折衝をいたしているという実情でございます。
  143. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 来月は予算を要求せんならぬ月です。昭和四十三年に一切の企画を実行しようと思うならば、大体予算の概算をまとめてしまわなければならない。積算の問題もいろいろあろうと思いますが、矯正問題、事後処置、少年対策等について、いろいろ調査をされるかしりませんけれども指摘されたものは直ちに改めるというふうにしなければ、いつまでもやっておりましたら、また条件が変わってきます。  私、先年アメリカに行きましたときにも、会計検査制度のことについて若干向こうで聞いて、それはおかしいなと、私が指摘したことが、ちょっと一つあったのです。忘れましたけれども、そうすると、一月ほど後になったら、アメリカから東京の日比谷のビルへ来ている人が、そういうことを頭に持って来ておったそうです。私はあとで聞いたのですが、君が言うていたことが頭にあるのだがと言っておりました。それほど機敏に能率的に進めていかなければいけませんね。だから、それならそんな超過人員——品物じゃあるまいし、矯正しなければならぬのを、超過した人員を収容する、北海道百三十以上なんて、そんなばかげたことは即時徹底的に解消しなければいけませんが、そういう諸般の問題、それだけだと言いませんが、事後矯正的なあらゆる施設におきまして、来年度予算において相当出るというようなことを省議でまとめようというようなことになっておるのかどうか、これは矯正局長だけではいけませんけれども、ここにいたら、刑事局長もだれもかれもみんなそういう問題は一本にしなければいけません。一本にしなければいけませんが、法務省としての態度を早くきめなければ、どんどん時期は去ってしまいます。論議する段階じゃないのですからね。そんな用意はあるのだろうかどうだろうか。また来年は北海道は百三十五、東京は何ぼ、ほかはからっぽということではお手あげですよ。これはどうですか。
  144. 勝尾鐐三

    勝尾政府委員 現在の実情予算等の規模においても、私のほうでなお反省をして、すぐ是正できるものは直ちに是正をした上で、十分問題を私のほうで煮詰めた上で、関係局長の御了解を得て、省議の席では、何といっても少年院の問題について、ひとつ全省をあげて、バックアップをしていただける体制をつくる意気込みで、現在作業をやっております。
  145. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 やはりそこが役人さんはなかなかゆうちょうですよ。あなたは世界じゅう歩きなすって、どこもかしこもみんな知っていなさるから、もうすぐに——鉄は熱いときに打ってしまわなければいけません。だから、どんどんとやっていけばいいのです。それはあなたのほうも反省して検討して煮詰めてなんとおっしゃっていますけれども、煮詰まるうちには火が消えてしまいますよ。だから、それはぜひ押しなさいよ。何も矯正局に肩を持つ意味じゃないですよ。日本の少年がそれじゃたまりません。被害者は少年ですよ。  それから、これも申し上げたいのですが、事後のアフターケアの問題になりましょうけれども、たとえば職業の指導にしましても、あらゆる訓練にしても、ほんとうの専門家を置かなければいかぬと私は思う。その辺はどうでしょうか。たとえば交通やそういうことはありませんけれども、その他の職業訓練職業指導とかいうことになり、あるいはまた、もっと別の意味教育的な指導ということになりましたら、その専門人材がそこに配置されていくということに専門化する必要があるのじゃないだろうか。わが子をそう直さなければならぬというようなときに、打ち込もうとする態度を、やはり現実に行政の構造として、運営として打ち出していくのでないと、この事後の処置のあらゆる施策は実効をあげてこないと思います。やはり月給だけもらっていればよろしい、何年になったら定年になりますから、退職したあとはどないして食っていくか、そんなことばかり考えるような人が教育をやっても、ほんとうの打ち込んだ職業指導はできません。向こうがどんなに凶悪な者でも、少年期の強烈な感受性の強いそれと打ち込むのですから、それと打ち込むときは、くだらぬことを百時間繰り返すよりも、ほんとうに真剣なものを、一時間でいいんですよ。  私は、この間どこかの席でも言うたのですが、北海道のクラーク博士は、内村鑑三その他の人間をつくりました。彼はあそこには六カ月しかおらぬはずなんです。それでも、やはり時代を指導するような人格者をつくり得るのです。あの接触がありましたら、これはもう激しい力が出ることは、原子力のそれじゃなくてもあるんです。だから、ほんとうに優秀な人材を求めて、持ってくる。どっちでもいいような役に立たぬような人間に指導させては、それはもう絶対だめです。教育にしろ、学校にしろ、あるいは専門教育にしましても、専門指導にしましても、優秀な人材を持ってくるということにしてごらんなさい。その人間の触れ合いというもので、もう大手を振ってりっぱに社会に復帰する人間ができますよ。私は、そこまでほんとうに打ち込む——物的施設もよろしい。しかし、人間の施設というものがいまじゃなっておりませんよ。私も幾つか少年院を歩いてみましたけれども、当たる人は善良な人が多いけれども、どうもこれではなあという感じがどこでもですわ。だから、こういう点において、私に言わせれば、根本的に、それぞれの優秀な専門家を置きなさいということです。予算は何ぼでもありますよ。行政改革をやったら何ぼでも浮いてくるのですから、ひとつそういうこともお考になって取り組んでいってはどうか。ともかく予算の作成期が来ておるのですから、私はよけい焦慮の意味もあって、これらの点を強く主張します。
  146. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 古田さん、ちょっと私聞きますが、専門家というのは、教育専門家なんですか。職業指導と言われたが、職業専門家か、それがわからない。どっちですか。
  147. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 教育も、これは重要な専門的な職能者でなければいけません。純教育的な、たとえば高等学校のりっぱな先生もあります。あるいはまた短大の先生もあります。そういうことも必要です。職業専門家あるいはその他のいろいろな知識、技能を持っているそれぞれ専門家があります。
  148. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それぞれの専門家という意味ですか。
  149. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 そういう意味です。
  150. 勝尾鐐三

    勝尾政府委員 少年処遇する場合に、表をなでるだけの教育ではなしに、やはり骨髄に達する教育をする必要がある、私も全くそのように考えるものでございます。したがいまして、教育関係あるいは職業関係等についてのしっかりした専門家を獲得していくということについては、十分取り組んでまいるつもりでおりますが、また反面そのような専門家が早急に、待遇関係あるいはその他の関係で得られないといたしましても、民間にやはり善意の人が多数いるように私思っておるのでございます。たとえば音楽あるいは体育といったようなものについて、りっぱな専門家職員として迎え入れるために努力する一方、たとえば体育協会等の組織を通じて、各地におられるそれぞれの体育の専門家に、少年院に週一時間でも二時間でも来ていただく、あるいは学校の組織を通じて、音楽の先生に週一時間でも二時間でも来ていただくといったような方法もあわせてぜひ実行していきたい。諸外国におきましても、非常にそういった社会の各機関、組織があげて、こういう少年院その他について非常に強力な援助体制をしいているという実情も見ておりますので、教官として、職員として受け入れる努力をする一面、そういった協力を得るためのくふうと努力もあわせて進めていきたい、このように考えております。
  151. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 その点は、たとえば保護司にいたしましても、保護司まかせになったり、保護司が多くて、結局保護司はいろいろ仕事を持った社会の人なんですから、名誉保護司もありますし、役に立つ保護司もありますし、老朽保護司もあるし、いろいろですから、保護司まかせになるようなことにならぬようにしたいのです。例をあげましたら……。だから私は、民間人を定期的に、たとえば一時間来てくれ、そういうことはよろしいけれども、おまかせするという流儀は、私は日本の行政としてはよくないと思うのです。日本の行政の構成といたしましては、私はみずからそれぞれ専門家を持ってしなければいかぬと思うのです。だから、それはあまり栄転せぬでもよろしい。栄転せぬでもりっぱに待遇をなさって、それで十年でも二十年でもよろしい、その道の先達、専門家、世界的権威者となって、その一城一郭を守っていくというくらいの気魄で、そのかわりその人の待遇はりっぱによくする、こういうふうに、私は専門家になり切ってもらいたい。まずほんとうは内輪の専門家ですよ。そして外から呼んでもらいたい。  それから、最後になお、時間も来ましたのでもうおきますが、刑事局長にちょっと御要望ですが、これはたとえば警察が少年犯罪やら少年のちまたの諸般の非行的なものが多くなってきたというので、全国に警察庁がこの間も指令を出していましたね。私はこれはいなかの新聞で見たのですけれども、出しておりました。そうしてあらためて何かの施策をやるらしいのですけれども、こういったものもよろしいけれども、対少年の場合は、特に法務省も警察庁も、それから総理府もあるいはどこもさっと機敏に、統一的、総合的に連絡をやりまして、そうしてそういうことをやっているのは何のためにされるか、効果はどうか、そうしてその影響はどうか、こういうこともすぐわかるようにいたしまして、そうして名実ともに、やはり少年対策というものは非常に激しい流動性のものでございますので、生きた行政施薬を行なってもらいたいと思うのです。そういう、意味で、やはり法務省法務省だけに立てこもるのでなしに、最高の行政の面と、それから警察庁にしろ、文部省にしろ、地方庁にいたしましても、どこにいたしましても、これはどんどんといつも機敏に連絡をとってもらいたい、こう思うのです。これは希望を申し上げておきます。  時間がないので、簡単にもう一つだた聞かしてください。民事局、だれか来ておりましたね。
  152. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 第一課長
  153. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 いま、法務省の鹿児島の中種子出張所の問題をここでやっておられましたが、あの問題に関連するのですけれども、これはつまり鹿児島の中種子の法務局の出張所長が、不動産の所有権移転登記について、元来は印紙を貼付すべきものを、現金を受け取った所長が、三十七年から四十一年まで二百万円あまりごまかしたという案件らしいのです。これが検分院で四十年の報告に指摘されておる。昨年は昨年で、また大阪で相当大きな数百万円ですか、法務局の類似の事件が起こっております。私はこれを思いまして、根本的に、二つの問題があるのじゃないか、こう与えるのであります。  一つは、やはり法務局なり、法務省全体かもしれませんけれども、会計経理、金銭というようなものについて、もっと私企業ぐらいにものを厳重に、かつ能率的にきちんとするという習慣が欠けているのではないだろうか。さっきも御説明がありましたが、たとえば消印といいますか、印紙を消してしまうやつですね。あの手続についても、御検討なさっておるとか言っておりましたが、そんなものは、検討するもくそもあったものじゃありませんよ。そんなものは窓口でやれるのですから……。一体、印紙を張らねばならぬものを、現金を法務局に預けておく、こんな制度があるのですか。私、びっくりしておるのですが、そういうことが許されておるのか、どうなんです。ちょっとその点はっきりしておいてもらいたい。
  154. 香川保一

    香川説明員 登録税の問題でございますが、これは、現金で登記所に納めると申しますか、所長に渡すというようなことは、絶対に認められないことでございます。
  155. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 そうしますと、いまの鹿児島地方法務局の中種子出張所長が現金を受け取ったというのは、それ自体違法なんですね。
  156. 香川保一

    香川説明員 これは登記所の所長としては、違法な行為と申しますか、法律的に申しますれば、個人的に預かって、それでもって、印紙を購入して、申請書に張るというふうな委託を受けたということになろうかと思いますけれども、さようなことは特に禁止しておる法令はございませんけれども登記所職員として、不当な扱いだということになろうかと思います。
  157. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 そこがどうも根本的に一つの大きな重大な錯覚がありますね。これは個人から、印紙を買うて張ってくださいということを公務員が依頼を受けて、そうして金を預かったということ、ほんとう言うたら人はびっくりしますよ。どこかそこは抜けていますね。欠けております。やはりもっと、法務省は法律を守る役所だとみな思っておるのですよ。裁判所はいいこと、悪いことにしろ、権利義務の争いがありましたときには、きわめて高い姿勢で、公正に裁判するところだと人は思っているのです。その法務省が、いまのような、そんな、ちょっと想像できぬようなことをやって、これが三十七年から四十一年まで繰り返されたということでは、これはいけません。こういうことがありましたら、他の省よりも徹底的に厳格にあとを断つような措置がなされねばならぬと私は思います。一体に日本で行政府の権力というものにつきましては、ともするとおそれるのです。これは臨調の行政改革の答申について、行政事務が公正に扱われるという問題について、第十五項目に答申がされております。そのうちの一節にも、国民は、行政処分に対してもし何か文句を言っていくならば、あと不利益な一つの反撃がくるんじゃないだろうかということを心配しておるということが、すらっと書かれておりますよ。そういうことも半面考えていただきたい。そこで行政府は、民間人の普通の社会生活以上に、行政のあり方、姿勢につきましては厳格にあってもらいたい。いわんや、法務省におきまして、そのような法を犯して民間から金を預かった、何年も継続しておったということはたいへんな問題でありますので、それについて、全国的にそのあとは絶対的に断つということをさっとやってしまわなければならぬと私は思うのです。そのくらいにしましたならば、日本の行政府の権威は高まってきます。私はそう思うんです。問題は、その辺に何か一つ大きな抜けているものがあるんじゃないかと思うのでございます。これは一民事局の問題じゃありません、一地方法務局の問題じゃありません、これは法務省全体の問題です。言うならば、日本の行政のあり方の問題です。行政のモラルの問題です。行政の規律の問題です。そういうことを直してこずして、民間にだけ規律厳正にしなさい、そんなこと言ったって、それではだめです。きちっとしたものさしを民間に見せて、このとおりしてきなさいというのが法務省です。悪いことをした、つかまえて処分する、そういう人間の権利を拘束をするものを持っておるのが法務省なんですよ。その法務省みずからが、法を犯して知らぬ顔をして数年おったということは、弁解にならない。だからああいうようなことは、あれ自体は数額にしたら二百万円です。国費何兆円から見たら小さいようですが、むしろ性質はきわめて雄大だとしなければなりません。ほんとうはそうなんです。イギリスのある軍艦から、一人の水兵が海へ落ちたことがある。その落ちたために、軍艦がとまって、その落ちた水兵のおぼれているかということを、あと戻りして調べたという逸話もあるのですよ。ですから、このような大きな中の一つのことでも、性質が重要でありましたら、法務省全体として、これに対してき然としてあとを断つ措置がされねばならぬと思うのです。これをなさったのかどうか。あなたにそれを求めるのは少し無理かわからぬが、ひとつはっきりしておいてもらいたい。
  158. 香川保一

    香川説明員 登録税用の現金を領かることは、どういう理由があってもいけないということは、もうずいぶん以前から通達で取り締まっておるわけでございますが、たまたまそういう事件が起こりまして、はなはだ申しわけないわけでございます。その防止策につきましては、やはり根本的な問題は、職員の綱紀粛正ということでございますけれども、これらの現金を預かる事件のいろいろの原因を調べてみますと、たまたま高額の印紙を張らなければならない登記申請事件がございまして、その場合に、郵便局等に高額の印紙が売られていないというふうなときに、登記を非常に急ぎますので、登記だけは早く済ましたいという申請人の御希望から、ついサービス——いわはサービスを取り違えたことになるわけでございますか、現金だけを預かっておいて登記を済ませてしまう、そういうふうな経緯で、こういった不祥事件が起こることが多いのでございます。したがいまして、職員の綱紀を正すという面に根本的に力を入れますと同時に、監査も強化し、またそういった不祥事件の原因となるようなことが起こらないようにということで、実は登録税の納付方法につきましても、今回の登録免許税法では、それぞれの金融機関等に現金で納付して、その受領書を登記所に持ってくるというような扱いに変えることにいたしておるわけでございます。ただ、これも登記所側といたしましては、そのような方法をとることによって、印紙のかわりに現金を受け取るという事態がなくなるのでございますけれども、他方申請人にとりましては、それぞれの金融機関に現金で納付しなければならないということによる不便も、一面否定できないわけございます。したがいまして、申請人側に不便をできるだけかけないということを一方考えながら、いま申しました、現金は金融機関に納付してその受領書を登記所に持ってくるというやり方を逐次やってまいりたい、かように考えておるわけであります。
  159. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 希望だけ言っておきます。法務省関係にいたしましても、検査員が手不足でありますので、全部が全部何も調べておらぬというくらいなお考えになりまして、そうしてこれを機会にほんとうに綱紀粛正に徹底する、そういう事態がございましたら、あとを絶するというように努力なさる必要がある、こういう考えを私は持っておりますので、お尋ねしておったわけであります。  終わります。      ————◇—————
  160. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についておはかりいたします。  すなわち、国が資本金の二分の一以上を出資している法人の会計に関する件中、海外技術協力事業団及び海外移住事業団調査のため、参考人として関係舌の出頭を求め、その意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  161. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 御異議なしと認め、さよう決します。  また、国の直接または間接に補助金、奨励金、助成金等を交付しているものの会計に関する件中、全国拓殖農業協同組合連合会調査のため、参考人として関係者の出頭を求めて、その意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  162. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。  ただいま決定いたしました、これらの参考人の出頭日時及び人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  163. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。  次会は、公報をもって御通知することとし、本日は、これにて散会いたします。    午後二時八分散会