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加藤(威)
政府委員 確かに先生おっしゃるように、数字としてはっきり出したほうがいいという御見解もあると思います。ただ、私どもは、
努力いたしておりますけれども、それで、現に、
会計検査院から
指摘されます
金額も、若干ではありますけれども、だんだん下がってきております。たとえば
昭和三十八年にはこの
標準報酬の件について
指摘されました
金額が三千六百六十万でございますが、
昭和三十九年は三千六百四十五万、ほんのわずかでございますが、減っております。
昭和四十
年度にはそれが二千五百八十九万、約一千万ばかり減っておりまして、
努力はいたしておるわけでございますが、
金額的に言いますと、非常にその減り方が少ない。これはどういう点が問題があるかと言いますと、
標準報酬を的確に把握するということは、やはり直接
事業所に出向いて行くか、あるいは
事業主を呼び出しまして、そしてその届け出ている
標準報酬と、
現実に勤労者に支払っているところの賃金と、数字が合っているかどうかというのを突き合わすことを全部やらなければいかぬ、こういうことになるわけでございます。それで、
事業主が正直にその
標準報酬を申告してくれますれば、こういう問題は出ないわけでございます。結局、
事業主が、あるいは非常に忙しいためか、あるいは若干の故意もあるかもしれませんが、正確に従業員の賃金を申告してこないということのために、この食い違いが起こるわけでございます。そのためには、一々その帳簿と届け出の額を突き合わせなければならない。この点につきましては、
健康保険の
標準報酬はきめ方が二つございまして、
一つは、毎年十月に定時決定というのをやるわけです。これは、五、六、七の三カ月の賃金の平均をとりまして、そして八、九で整理いたしまして、そして十月から、そのAならAという人の
標準報酬を三万円とか三万五千円ときめて、そして
原則として一年間それでやるということでございます。この定時決定のときには、これは私ども最大限の
努力をいたしまして、実質的にもう九七%ぐらい実地
調査をやっております。
事業主を呼び出しまして、九七%につきましては、ほんとうにその定時決定をやるときには
調査をして、そうして実際の給料と
標準報酬とが合って、新しい
標準報酬として一年間動かす、これを九七%までやっております。ところが、問題はもう
一つありまして、随時改定という
規定が保険の
法律にございまして、これはその一年の間に著しく給与が上がったときには、やはりまた新しく
標準報酬を改定する、こういう
規定があるわけであります。これがなかなか把握がむずかしい。これは
中小企業でございますが、
事業所が五十六万ぐらいございます。昇給時期もいろいろ違っております。その昇給の
理由もまた違っておるかもしれません。これを昇給しましたときに一々
事業主が届け出てくれれば問題はない。これを全部歩いて、その昇給の著しいやつをつかまえて、それで
標準報酬を手直しをするということは、これは物理的にも一〇〇%はとてもできない。その点では、
会計検査院が
調査になられますときに、そういったものにぶつかるわけであります。定時決定のときには合っているけれども、その間その
あとで昇給したとかなんとかいうものがあって、それがだから
標準報酬と食い違っておる。
現実の俸給のほうが高くなっている。これはおそらく随時の改定
——その後の昇給があって、それが相当大幅の昇給であって、そいつをつかまえ切れなかったというのがあるわけです。私どもといたしましては、そういう
意味で、できるだけ
努力はいたすつもりでございますが、非常に
一般的な
保険料徴収
業務もございますし、
社会保険事務所の職員も非常にいま多忙でございまして、なかなかそれを全部把握することはできない。その
意味で、四十一
年度の
行政努力も、一応
努力目標として掲げましたけれども、なかなか思うように成果があがらぬというようなことで、私どもといたしましては、あまり自信のない数字は、
行政努力として
項目にあげるのは差し控えたわけであります。
努力は、できるだけ最大限の
努力はいたしたいというぐあいに
考えております。