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1967-06-29 第55回国会 衆議院 決算委員会 第19号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年六月二十九日(木曜日)     午後一時十二分開議  出席委員    委員長 鍛冶 良作君    理事 小峯 柳多君 理事 小山 省二君    理事 白浜 仁吉君 理事 高橋清一郎君    理事 佐藤觀次郎君 理事 華山 親義君    理事 吉田 賢一君       菅波  茂君    丹羽 久章君       水野  清君    村上信二郎君       中村 重光君  出席国務大臣         法 務 大 臣 田中伊三次君  出席政府委員         法務省矯正局長 勝尾 鐐三君         大蔵大臣官房日         本専売公社監理         官       海堀 洋平君  委員外出席者         法務省入国管理         局次長     笛吹 亨三君         会計検査院事務         総局第二局長  井上  鼎君         会計検査院事務         総局第五局長  佐藤 三郎君         日本専売公社総         裁       東海林武雄君         日本専売公社管         理部長     遠藤  胖君         日本専売公社販         売部長     斎藤 欣一君         日本専売公社生         産部長     大塚 孝良君         日本専売公社塩         業部長     友藤 哲夫君         専  門  員 池田 孝道君     ————————————— 六月二十九日  委員阿部喜元君及び丹羽久章辞任につき、そ  の補欠として長谷川峻君及び中山マサ君が議長  の指名委員に選任された。 同日  委員中山マサ辞任につき、その補欠として丹  羽久章君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  昭和四十年度一般会計歳入歳出決算  昭和四十年度特別会計歳入歳出決算  昭和四十年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和四十年度政府関係機関決算書  昭和四十年度国有財産増減及び現在額総計算書  昭和四十年度国有財産無償貸付状況計算書  (法務省所管日本専売公社)      ————◇—————
  2. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 これより会議を開きます。  昭和四十年度決算外二件を一括して議題といたします。  法務省所管について審査を行ないます。  法務大臣より概要説明を求めます。田中法務大臣
  3. 田中伊三次

    田中国務大臣 遅刻をいたしまして、おわびを申し上げます。  昭和四十年度法務省所管一般会計歳入歳出決算の大要を御説明申し上げます。  まず、法務省主管歳入につきましては、予算額三百一億一千二百三十五万一千円に対しまして、収納済み額三百十三億七百三十八万二千円であり、差し引き十一億九千五百三万一千円の増加となっております。  収納済み額増加のおもなものは、罰金及び.科料の五億二百五十万三千円、刑務所作業収入の三億九千三百七十二万七千円でございます。  次に法務省所管歳出につきましては、当初予算額五百四十三億三千六百三十四万三千円に、前年度からの繰り越し額三億七千三百八十万三千一百円、大蔵省所管からの予算移しかえ増加額一千二百七十一万三千円、予備費使用額二億九十一万二千円、給与改善等に伴う補正予算額十四億三千十七万八千円を加えました予算減額五百六十三億五千三百九十四万九千一百円に対しまして、支出済み額は五百六十二億三千九百三十四万八百八十三円であり、その差額は一億一千四百六十万八千三百一円となっており、不用額となっております。  支出額のうちおもなものは、外国人登録事務処理経費として二億二千五百万四千円、登記及び土地家屋台帳事務等処理経費として八億七千二百八十九万六千円、検察事務処理経費として六億三千二百二十四万九千円、矯正施設における被収容者収容就労経費として六十一億二千九百二十三万五千円、補導援護経費として七億九千二百六十一万八千円、出入国関係に伴う出入国審査並びに被退去強制者収容送還等経費として七千八百万四千円、公安調査庁における破壊活動防止のための調査経費として八億三千四百三十九万八千円、施設費として三十六億八千二百二十万円となっております。  不用額となりましたおもな経費は、人件費及び刑務所等収容者食糧費更生保護会委託費であります。  詳細につきましては、お手元に提出しております「昭和四十年度決算について」に記述してありますので、御了承願いたいと存じます。  最後に、昭和四十年度決算検査の結果、会計検査院から不正行為として批難を受けました事項がありますことは、まことに申しわけないところであります。この事故に対しましては、その発生原因を究明いたしまして、是正の方途を講じましたことはもちろんでありますが、今後一そう監督を厳重にするとともに、内部監査励行等により、この種事故の根絶を期したい所存でございます。  以上をもって、昭和四十年度法務省所管一般会計歳入歳出決算について御報告申し上げました。  よろしく御審議を賜わりますようお願い申し上げます。
  4. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 次に、会計検査院当局より、検査概要説明を求めます。井上会計検査院第二局長
  5. 井上鼎

    井上会計検査院説明員 法務省昭和四十年度決算審査結果の概要を申し上げます。  検査報告不当事項として掲げましたものは、不正行為に関するもの一件でありまして、これは、鹿児島地方法務局中種子出張所で、同出張所長が、登録税として納付される収入印紙にかえて受領した現金二百二十二万一千六百四十五円をほしいままに領得したものでございます。  以上、簡単でございますが、説明を終わります。
  6. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 これにて説明聴取を終わります。     —————————————
  7. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。水野清君。
  8. 水野清

    水野委員 最初に、大臣が御出席でございますので、大臣に、最近の法務省におきます非行少年対策と、さらに少年法改正の問題について、少し質問を申し上げたいと思うわけでございます。  非行少年対策の問題に入る前に、法務省家庭裁判所で、少年事犯につきまして統計上の食い違いがあるわけでございます。私の調べたのを申し上げるまでもないと思いますけれども、昭和四十一年度におきます非行少年検挙人数は九十八万八千五百九十五人、このうち道交法関係が七十四万五千五十一人、約七五%、それから刑法犯のほうは、四十一年の検挙人数が二十二万六千二百三十人ということになっております。それから道交法のほうが、検挙人数は三十九年をピークに減少しておるというふうになっておるのでございますが、実は法務省自身の計数のとらえ方が、警察における検挙時をとらえておられる、家庭裁判所のほうは、受理した時限において統計を作成しおられるというふうに聞いております。この現象面で、実は異なる傾向が出ておる。私から申し上げますと、法務省のほうにおきましては、非行少年の数が三十九年度をピークにやや減少の傾向をたどっておる。とりわけ道交法違反少年は減少しているというふうになっている。一方、家庭裁判所のほうは、司法統計によりますと、総数においても道交法においても増加をしている。同じ系統のお役所の中で、二つの傾向数字で出ているわけです。同じ非行少年を扱っておられますが、このような基本的な問題で逆だというのは、いささか私はおかしいと思うのであります。これをまとめて私のほうの質問を申し上げますが、ちょっとこのことにつきまして、大臣からお答え願います。
  9. 田中伊三次

    田中国務大臣 資料とり方に違いがある結果がそういうふうに、おことばのように、答えが違ってきたのではないかと思います。それで、この問題は重要な問題でもございます。私が数字を一々暗記もいたしておりませんが、非常に重要な問題でございますので、法務省のとりました数字根拠、それから、したがってそこに出てまいります成人犯非行少年との数字結論、これを裁判所のおとりになりました数字と、一度ひとつ比較一覧表につくりまして、根拠を明らかにして、資料としてぜひ皆さまにお読みをいただきたいと思います。  結論を申し上げますと、資料をとるとり方が異なっておりますので、幾らか結果に違いが出ておりますが、非常に大きな開きは、実質においては出てこないものではなかろうか。やはり少年犯は、量におきまして、それからことに質におきまして悪質のもの、量におきまして多くなっておるということにおいて、憂うべき現状となっておるということは間違いがないのではなかろうか。その点は一点、法務省のの言うことと裁判所仰せいただくこととの間に、幾らか違いがあるのではなかろうか。裁判所仰せになりますのは、少年非行犯というものは増加をしていない、幾らか増加はしておるが、それは少年人口増に伴うてそのつろくがとれておる、特に犯罪それ自体としては実質的増加はないものだ、こういうふうに仰せをいただいております点が、幾らか違う点かと思います。それで、責任のあることを申し上げたいと思いますので、そういうふうに、資料として後に提出することにいたします。
  10. 水野清

    水野委員 ただいまのお話はよくわかりました。いずれ資料でお答えいただくのはけっこうでございますが、実は、現在少年法改正が行なわれる準備を進めておられるやに伺っているのでございます。こういうふうに、統計上の数字自体も違っておるということがあるし、法務省側では、少年法の対象を、十八歳にまで引き下げようと考えておるというふうに聞いておるわけです。また家庭裁判所は、現行かむしろそれ以上、二十二歳くらいまでに引き上げてもいいんじゃないかというふうに、基本的な考え方が分かれておる。そのために、この少年法改正結論が出ていないというふうにも聞いております。少年法につきまして、大臣所管の中で意見が分かれているのかどうか、それから、それは結論が出たか、さらに、出ましたならば、いずれ改正をする用意をしておられるのかということにつきまして、御答弁をいただきたい。
  11. 田中伊三次

    田中国務大臣 お尋ね少年法でございますが、私が法務省におつとめをするようになりますまでの状況は、これがわりあいに世間に公になっておるわけでございますが、現行の二十歳未満を十八歳未満に二年下げる。下げただけではなしに、二十歳、二十一歳、二十二歳一ぱい、二十三歳未満ということでございますが、三年それに上積みする。下げた二年と上積みの三年と合計五年でございますが、その五年に、少年と成年、子供おとな中間層をつくる、それを青年層と名づけておるわけでございます。そういう案がよかろうということで、法務省案を発表いたしましたが、それは行き過ぎておるではないかとの反対意見が、弁護士会からも、いまおことば裁判所からも出てまいりました。そこへ私が就任をしたという事情でございます。私は、弁護士会とも、よく私みずから足を運んで、あらためて話し合いをいたしました。裁判所も訪問いたしまして、いろいろ御意見を承ってまいりました。いろいろ感ずるところがありまして、一点だけ違うように処置をしたいということにいたしました。それは、二十歳未満を十八歳未満に下げるだけでよい、その二年間を、本来おとな扱いをするのだが、しかし急におとな扱いをしても子供が戸惑うであろうから、事情のいかんによっては子供扱いもできるようにはからいをしよう、そういう意味において、青年層なら青年層というものを二年間でとどめて、加うるに上積み三年ということは、この際はひとつ遠慮しよう、こういう方向に改めましたのが、私になりましてからの変化でございます。  そういう方針をきめまして、これは反対論もだんだんと風当たりも弱くなってくることと存じますので、幾らかお役に立つと思って、これを思い切って削除をいたしまして、そういう方針でこれを法制審議会にかける決心をいたしました。しかし、決心をいたしましたが、かけるについては、本来法制審議会は時間のかかるところとなっておりますので、あまり時間をかけられては間に合わない。時間をかけないように、数カ月間で処理していただこうと思えば、かけ方が、いかがいたしましょうというかけ方ではなくて、こうしたいと思うがいかがでございましょうという具体案を示して、国会提出寸前具体案をつくりまして、これでどうかというかけ方であれば、審議は短くて済むと思います。いまその具体案を作成させておりますところでございます。それは、ここ一、二カ月で、大体九月初めまでには、その案をつくり上げまして、法制審議会に急遽かける。大急ぎで審議をしていただきまして、来年の一月末か二月初め、次の通常会休会明けには答申をいただきます。答申をいただきますれば、直ちに閣議決定を経て、国会に提出できるようにしたい。かけ足で急ぎたい。十分審議は尽くしてありますので、これでだいじょうぶだと考えて、そういう方針をとっておる次第でございます。
  12. 水野清

    水野委員 ただいま、少年法についての御構想、よくわかりました。  次に、非行少年収容施設矯正収容施設と申しますか、その現況と、収容状況につきまして、これは担当の方でけっこうでございますが、ちょっと簡単にお話をいただきたいと思います。
  13. 勝尾鐐三

    勝尾政府委員 御承知のように、帆布、少年院は、本所六十、分院二カ所、六十二施設ございます。  その収容状況につきましては、収容定員合計九千六百五十七名でございますが、収容人員は九千六百三十名、九九・七%という収容状況でございます。
  14. 水野清

    水野委員 それは少年院だけですね。少年刑務所とか少年鑑別所というものもありますね。
  15. 勝尾鐐三

    勝尾政府委員 少年鑑別所につきましては、収容定員が総計二千三百九十八名でございます。それに対する収容現況でございますが、一千六百五十二名。したがいまして、収容率は六九%でございます。  それから、少年刑務所につきましては、全国で九ヵ庁ございますが、収容受刑者合計四千四百五十九名。ただしこの中には青年もおりますので、少年法にいう少年受刑者は一千四百六十一名という状況でございます。以上はいずれも、昭和四十一年十二月末日現在の統計でございます。
  16. 水野清

    水野委員 ただいま少年収容施設現況につきまして御答弁をいただいたのでございますが、現行少年法の基本的な考え方によりますと、これはまた改正後もそうだと思うのでございますが、少年保護教育ということが先であると思うのです。これらの、ただいま御説明のありました施設におきます指導職員確保充実について、特別の努力をお払いになるということは当然でありますが、毎年決算上、職員の手当に不用額あるいは流用等数字が出ているのでございます。この点の説明をお願いしたい。
  17. 勝尾鐐三

    勝尾政府委員 少年院教官確保充実のために、私のほうとしましては、勤務体制基準というものを策定いたしまして、これによって勤務体制合理化をはかると同時に、昭和三十二年度以来、毎年おおむね二十名ないし九十名の増員をいたしております。しかしながら、少年院教官は、やはりそれにふさわしい資格を持った優秀な人材でなくてはなりませんので、その面の確保につとめるかたわら、少年院の処遇の強化、職業補導あるいはこれを充実するための有資格者を得まして、岬町職その他の待遇の改善をはかっております。  それから、お尋ねの、四十年度の決算における少年院職員俸給でございますが、不用額は三百十七万四千五百六十八円でございます。このほか、職員俸給から他の費用に流用した金額が二千六百五十九万九千円でございます。この不用額等を生じましたのは、年度途中で職員欠員があったことがおもなる理由でございます。四十年九月末現在の欠員凍結は二十四人、全員二千七百六十二人に対する〇・八%という凍結状況でございます。
  18. 鍛冶良作

  19. 中村重光

    中村(重)委員 ただいま大臣は、少年法改正問題について明確な考え方を明らかにされた。非常に関心を持ちますのは、少年法改正の場合に念頭に流かんでくるのは、非行少年定義が必ずしも明確ではない、そういうことが一点あると私は思う。それから現行保護教育主義は当然のたてまえになるが、現在、非行少年に対する扱いというものがどうも甘やかし過ぎるから、これを若干きびしくする必要があるのではないかというような議論も展開されておることは、大臣承知のとおりであります。そうなってまいりますと、現在の審判に付するということとその前の段階との間の中間的なものが考えられなければならないのじゃないだろうかという点も、私は重要な問題であろうと思います。それから、非行少年と申しましても、先ほど触れましたように、定義が必ずしも明確でないということの中に考えられるのは、要するに善意非行であるとか、あるいは潜在非行であるとかいうようなことがよくいわれる。そういうことについても、アメリカなんかの例を見ますと、そういうものまでもひっくるめて少年を善導していく、いわゆる改善していくという方向に非常に力を入れているということが伝えられておるわけです。日本の場合におきましては、どうも少年問題というものをあまりきめこまかく扱っていないのじゃないかというような感じがしてなりません。私もかつて調停委員をいたしておりました経験を実は持っております。そういうことからいたしまして、あくまで少年改善保護教育ということ、そして社会に復帰させるということに中心を置かなければならないのだけれども、そういう中では、先ほど触れましたように、あまりにも現行法というものは、粗雑ということばは語弊があるかもしれませんが、簡明過ぎるというのか、粗雑であるというのか、きめこまかくない。今度の改正にあたりまして、大臣はそこらの点に相当配慮して、慎重な考え方で取り組もうとお考えになっていらっしゃるのか。具体的な点では、これからという点もありましょうけれども、この改正の問題は、たしか井野大臣当時からの問題でございますので、事務当局としても煮詰まった考え方を持っておられるでしょうから、一応その点に対する考え方を伺ってみたい。  それから、先ほどの大臣答弁は、今度はひとつ問題がないようにしたいということでしたが、いろいろ反対論があったことは御承知のとおりであります。ここらあたりは、もう調整がついておるという形なのかどうか、伺ってみたいと思います。
  20. 田中伊三次

    田中国務大臣 少年法改正問題につきましては、調整は完全についていないのでございます。しかし、これはもう何年たっても現状のままでは、手続が具体的に進んでまいりませんと調整がつくまい。法制審議会の中にも裁判所御出身の代表者がいらっしゃることでございますから、法制審議会でひとつ十分審議をしていただいて、見通しをつけよう、そして国会にこれを持ち込みまして、国会で論議をし、ひとつ光線に当ててみよう、こういう考えでやっておるわけでございまして、私が先ほど説明をいたしましたことで考えはできたのでございましょうが、完全にこれで見通しがついた、これで反対方向がないというふうにはなっていないのでございます。申しわけないことでございます。  それから、少年扱いについて、日本非行少年扱いは甘やかし過ぎるという先生のおことばでございますが、私も全く同様に思うのでございます。少年法を取り扱ってまいりましたが、全くそういうふうに考えるのでございまして、大体世間一般も、それから家庭も、これを取り扱う警察も検察庁も家庭裁判所も、全体を通じて言えることは、少年を甘やかし過ぎるのではないか。確かにそういう重要な一点があろうかと存じます。温情あるきびしさ——非常にむずかしいことばでありますが、温情あるきびしさをもってこれに対処すべきものである、こういうふうに考えるのでございます。一番大事な点として、私の信念として考えます点は、少年は、何と申しましても、環境が一番大事でございますが、その環境が悪いがために最初罪を犯すおそれかある、法に触れるおそれがある触法少年虞犯少年といわれるころが一番大事なときではなかろうかと存じますので、少年扱いについて最善を尽くすべきは、指導補導自体が、入り口のところが一番大事なものではなかろうか。それからもう一つ大事な点は、意外にも再犯を犯す少年が多い。統計によりますと、厳格に統計を見ると、ほぼ五〇%近く、四六、七%も、実は再犯を犯す者が多いわけでございます。こういう点から考えまして、その事情を調べてみると、ぶらぶらしているということが原因再犯を犯すことになるということでございますから、これを矯正手続をとっております間に、十分ひとつ少年刑務所の中において、職業補導に力を入れる、世の中に復帰して外に出れば、一定の職業を楽しんで行なえるというところまで、この職業補導ということにうんと力こぶを入れていく。入り口収容中の職業補導、この二点にしっかり力を入れてお役に立てたい、こういう考えで、ただいま指導をいたしておるわけでございます。
  21. 中村重光

    中村(重)委員 それから、少年を甘やかし過ぎるということも、御承知のとおり、議論としていろいろあるわけです。これに対して反論するには、それなりの理由というものがある。せっかく大臣がこの問題に真剣に取り組んで、何とか今度解決をしようということであるならば、十分それらのあらゆる意見を総合して、調整できるものは調整して、国会に提出されましたならば、いろいろ波乱がなくて問題が処理されるという方向に、ひとつ対処してもらいたい。  時間の関係がありますから省略しますが、それから、刑務所にいろいろな事件発生をしておる。新聞に報道されるもの、あるいは私が調査したところによりますと、新聞に報道されていない、いろいろな暴行事件であるとか、あるいは婦人刑務所におけるところのわいせつと申し上げていいのか、いろいろな事件があるということが一点でありますが、あとで、これは事務当局から具体的なことは伺ってみたいと思います。  いま一つ、刑務所の問題について、大臣に十分配慮してもらわなければならぬと私が考える点は、御承知のとおり、都市化関係ということも影響があるわけですけれども、住宅街商店街というのが、ずっと地域の発展ということと関連をして変わってくるわけですね。一つの例として、私は長崎の例を参考に申し上げるのですが、長崎刑務所浦上支所というのがあります。これは原爆で実は前の刑務所が破壊されてしまいまして、そのために、そこからあまり遠くないところに白鳥町というところがいまあるのですが、そこへ建設された。もう二十年前、ところが、事情が一変してしまった。住宅商店街、学校などできて、もうそこの地域中心になってしまった。そこに実は刑務所がある。そして囚人の作業場があるが、それに対する障壁もない。だから教育上からいっても、そういう地域になりましたので、問題がある。それからそうしたいろいろ施設の不備というような点がありまして、脱走のおそれもあり、住民の不安もあるわけです。だから、終戦直後に建てられたバラックの建物でもありますし、適当な場所に移していくということでなければならないのではないか。地域住民の不安を解消するということだけではなく、刑務所というものは本来そういうところにあるべきではないというような見地に立って、大臣は移転について真剣にひとつ、対処してもらいたいと思いますが、お考えはいかがでありますか。
  22. 田中伊三次

    田中国務大臣 刑務所の移転問題が具体化しておる時期でございますから、お説を十分胸に置きまして、善処をしてまいりたいと思います。
  23. 中村重光

    中村(重)委員 それから、少し時間がありますからお尋ねするのですが、実は先般、決算委員会外務省関係で、私はお尋ねをしたわけですが、長崎県の対馬というところがございます。そこと韓国の釜山との小型貿易がそこから行なわれている。ところが韓国が三十トン以下の貿易船は、これは密貿易であるというわけで、実はいま取り締まりをしてもらいたいということを日本側にも要請があるのです。ところが、その船員手帳も正規なものだ、出国証明というものも出ている、これは適法であるからというところで、実はそれを認めてきておる。ところが、入管でこの取り締まりをやるということが新聞に伝えられた。それだけでなくて、関係の官庁の人たちに集まってもらって、それに協力を要請した。ところが私の質問に対し、適法であるならば——いままでは適法と認めておったのだから、この取り締まりをことさらしようとは考えていないというお答えがあったわけです。そういうことを指示したこともない——ところが、私が質問したのは二十二日なんです。翌二十三日にまたやっているのです。その片道貿易は密入国だというわけで、あなたのほうの入国管理事務所の厳原出張所、広渡繁男という人は所長なんですが、また地元業者並びに関係の人たちを集めて——あとで事務当局には読んでいただくのですが、厳重にこれを取り締まるだけでなくて、締め出すと言っている。これは私の質問に対して、先ほど申し上げたように、そういうことを指示した覚えはない、また適法に行なわれている貿易を締め出そうとは考えていない——これは通産省も来ていただきましたし、外務省はもちろん、それから大蔵省の関税関係も来ている。みんな異口同音に、これは正規に、適法に行なわれているのだから、これを取り締まるということは、ただいたずらに韓国の言うことに屈服することになるのじゃないか、こう私が言ったところが、そのとおりだということで、肯定をされたのです。ところがまた私が指摘を続いてしなければならぬような態度をおとりになるということは、私は問題があると思うのです。二十三日の新聞ですから、そのときに、実は対馬に電話をかけて問い合わせをしたというお答えがあったように思うのです。それならば、二十三日にまたこういうような、新聞に載らなければならぬような、そういう考え方があったのだったら、その電話の話し合いのときに正直におっしゃればよかったのです。そうすれば、それなりに、私もまた意見というものもあるわけですから、いろいろと議論もするわけです。私は、全くけしからぬ、こう思うのです。大臣はこの点どのようにお考えになりますか。
  24. 田中伊三次

    田中国務大臣 私の部下の答弁態度の悪い点は、ひとつ私からおわびを申し上げます。どうぞお許しをいただきます。  それで、いまの具体的な問題でもございますので、人管次長が参っておりますから、次長から一応説明をいたします。
  25. 笛吹亨三

    ○笛吹説明員 大臣から御指名がございましたので、私から申し上げます。  最初に、その新聞を拝見さしていただきたいのです。まだ、そういったことが記事に載ったということは、私は存じておりません。ちょっと拝見をしたいのです。(中村(重)委員、笹吹説明員に新聞を示す)  実は、この前の決算委員会局長がお答えいたしましたように、私のほうでは、この小型韓国船による対馬の貿易は、別に、違法だと認めておりません。韓国側のほうにおきましては、これは船員手帳が偽造だ、品物が禁制品なんだ、向こうのほうはこういうふうに言っている。韓国への密輸人であるしそれから船員手帳が偽造なんだから、その船員は日本国に入るのが不法入国なのだ、こういうふうに韓国側は言うわけです。これは税関の所管でございますから、品物のほうは、日本側では何も違反にはならないのだ、私のほうでは、船員手帳をいままで調べましても、偽造だということは認定できないわけでございます。したがってこれは正規の乗員手帳を持って入国してきておりますので、正規入国だと見て、これは寄港地上陸さすべき者につきましては、ショアパスを発行するということについて、何らの制限は加えておらないわけでございます。ところが、この前の決算委員会で御質問あったように、集まって会議をしたことはございます。またこの二十三日も会議をしたようでございますが、これは何もこの韓国船を違反だとして取り締まろうというような会議ではございません。ところが新聞は、その二十三日ですか、夜おそく私のところへ、ある新聞社から電話がかかった。東京の新聞社から、こういう会議をやったらしいが取り締まるのか、こういうようなことを言われましたので、私はそれはおかしい、そんなはずはないので、私のほうからはそういう指示もしてなければ、現地からもそんなことをするという報告もありません、したがってそれは何かの間違いじゃないかと申したのです。そうしたら、その新聞には載ってないわけですが、現地の長崎新聞ですか、これはこういうことが戦っているのですが、これは私は非常に心外なんです。こういうことはないのです。入管としては、そういう方針を立てたこともございませんし、現地もそういうことをやったことはないはずであります。会議はやっても、そういう取り締まりをやるというような会議ではないはずでございます。
  26. 中村重光

    中村(重)委員 あとでやります。
  27. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 吉田賢一君。
  28. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 時間の関係がありますので、簡単にしますから、大臣にひとつお尋ねをいたします。  少年法改正の問題ですが、これはしばしば伝えられておりますが、近い将来、政府案として御提案になる御意思でありましょうか。現にこれは法務省と最高裁との間に、必ずしも重要な問題について一致しておらぬようにも思うのであります。この種の法案につきましては、司法内部におきまして、やはり相当論議も重ねて、慎重に扱っていくべきじゃないかとも私も考えるのです。そこで、御提案になるようなおつもり、用意があるのだろうか、この辺をまず伺っておきたいと思います。
  29. 田中伊三次

    田中国務大臣 結論を申し上げますと、この八月末か九月初めには、法制審議会に付議いたします。そうして法制審議会結論を急がせまして、次の通常国会休会明け、すなわち来年の一月末か二月初めには、通常国会に提出をさしていただきたい、こういう予定で、せっかく手続を進めておる次第でございます。  それから、調整はついておるかということですが、先生、これはなかなか何年かかっても調整がつきそうにございません。だいぶん論議を傾けてまいりましたので、この辺で法制審議会をわずらわし——法制審議会の中には、弁護士会からも出ていらっしゃる、裁判所からも出ていらっしゃる会議でございますから、ここでひとつ会議を重ねていただく、そうして答申を願う。それを国会に提出いたしまして、ひとつ国会で十分な御討議をいただきたい、こういう考えで、出す決心はやっと固めたところでございます。
  30. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 そこでひとつ伺ってみたいのですが、根本的に、少年の非行問題ですね、この問題に対するお考え方です。きわめて多岐にわたる原因があろうと思いますが、最も重視すべき原因は何というふうに御認識になっておりますか。
  31. 田中伊三次

    田中国務大臣 最も注意すべき最大の問題は、私なりの考えでありますが、指導、補導時代が一番大事、これが少年を補導いたします場合の命、こう考えるのでございます。法律に違反をするおそれがある、法律に抵触するおそれのある虞犯少年触法少年というものになりかけの入口のところで、係官が補導、指導をいたすわけでございますが、この補導、指導時代にひとつ重点を置きまして、力を入れたい。それからもう一点でございますが、いよいよこれが審判にかかりまして、かりに少年院収容をいたします場合に、またしても再犯を重ねるという数が、おとなの場合と違って子供の場合は、非常に多うございます。ほぼ半数に近いものが再犯を犯すという状態が統計で出ております。これは、する仕事もなく、収入もなしということでぶらぶらしておる、こういうことになるということが大多数の原因でございますから、これを審判いたしまして矯正をいたします矯正中に、矯正施設において十分職業補導をいたしまして、その職業に楽しんで従事することができます程度にまで少年を補導していく職業補導ということには十分の力を入れたい、この二点に重点を置きたいと考えます。
  32. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 私の聞きたいのは、その段階よりもう一つ前、根本的なものです。やはり多岐にわたる原因というのが、あらゆる論議を生むもとだろうと思うわけであります。すでに触法に近い段階、補導を要する段階、こういったものは一つの固まった現象、これに対する法務当局のお考え方、それからさらに進展していくという問題もさることながら、そこへきた原因、社会的なあるいは個人的なあらゆる原因があろうと思うのです。その原因のうち最も重視なさる原因は何であろうか、もう一つ前にさかのぼった根本の問題です。
  33. 田中伊三次

    田中国務大臣 家庭環境、両親の心得るべき家庭のよき環境に重点があると思います。
  34. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 家庭環境ということになりますと、家庭は申し上げるまでもなく、両親があり、子供があり、家族構成あり、健康あり、経済あり、生活あり、あるいはまた児童に対する教育ありということになりますと、この環境は、もう一つ突っ込んでいくならば、もっと深く掘り下げていかなければならぬのじゃないか。私はなぜこんなこまかいところまでついていくかといいますと、やはり青少年ないしは児童問題は、そこをつくところまで原因追及をしないといかぬと私は思うのです。これはこの問も論議したのですが、すでに総理府におきましても、二十年間青少年問題と取り組んでおります。そして今日、少年法改正せんならぬという不幸な事態にまで立ち至っておる。それならば根本的に反省する問題はないか、こういう角度からわれわれは批判を加えてきておる。そこで法務省としましては、少年法改正という大きな旗を振りかざして、相当成果をあげていきたい、こういうお考え方らしいのですが、しかしそれだけで一切解決するというふうにお思いになっておらぬことも、これは法務省の発行された文書でわかります。一部だということはわかりますが、その前にさかのぼって原因を追及する、原因を深く掘り下げていく、そこをつくというところまで、やはり法務省自体もおいきにならぬと、何か表に出た現象をつかまえる、そのちょっと前ということではなしに、家庭環境にあるというならば、もう一つ深く掘り下げていきまして、そして母体を保護するというところまでいく必要があるのじゃないだろうか。母体保護なら、母体をどう保護するか、どう教育するか、赤ん坊を教育する必要はないか、これをどう保護する、そこまでいかなければ、ほんとうの政治ではないと私は思うのです。そうでなければ、百年河清を待つということになりはせぬかと思いますので、かかる意味におきまして、根本的な大臣の御見解は非常に重要と思います。
  35. 田中伊三次

    田中国務大臣 お説はよくわかりましてございます。真剣に、しかも深刻に検討をしてまいりたい。
  36. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 それから保護処分の段階におきまして特に問題がございますが、これはまた事務当局ともいろいろ問答いたしますが、私は現在の少年院制度並びに運営、ないしはあらゆる救護施設とかあるいは養護施設などの制度並びに運営、こういったものの人的、施設的、財政的あらゆる角度から考えて、必ずしもこれは完備したものと思いません。そういう問題もあわせて根本的に考えるということが、この際必要でないかと思います。この点どうです。
  37. 田中伊三次

    田中国務大臣 十分検討を加えていきたいと思います。
  38. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 本会議散会後直ちに再会することとし、暫時休憩いたします。    午後二時一分休憩      ————◇—————    午後三時三十九分開議
  39. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 休憩前に引き続き、会議を開きます。  昭和四十年度決算外二件を一括して議題といたします。  日本専売公社について、審査を行ないます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小峯柳多君。
  40. 小峯柳多

    ○小峯委員 総裁に御所見を承りたいのでありますが、私は、公企業の経営精神という問題をたいへん関心深く勉強してきたつもりでありますが、特に総裁にその点で承りたいと思いますのは、総裁は民間企業の経営者として、もう自他ともに許すベテランでございます。そのお立場で、専売公社の経営をお引き受けになって、その経営の精神の上で、何か違いをお感じになっていらっしゃるはずでありますが、一般の民間企業の経営を御担当なさる場合と、公社の経営を御担当になっていらっしゃるその気がまえの違いというふうなものを、何かお感じになっていらっしゃいますか、承っておきたいと思います。
  41. 東海林武雄

    ○東海林説明員 私は民間の仕事をやっておりまして専売公社のほうへ参りましたが、これは私が全然いままで経験いたしませんところでありますし、ただ、先生がもう十分御承知のように、いまの自由主義の経済社会におきまして、公共企業体というものが別個の形態をなしておるわけなんでありますが、この公共企業のあり方というものについては、非常な深い関心を実は持っておるわけなんであります。しかし、企業という立場からいきますとこれは民間企業であろうと公共企業であろうと同じだ、ことに民間企業におきましても、このごろはいわゆる社会性ということが非常に深く叫ばれているのでありますし、また企業自体でも、企業の社会性というものの重大さを感じております。そういう点では、公正企業であろうが私企業であろうが、やっぱり一脈通ずるものがあるのではないか、かように考えております。公共企業の場合に、ことに専売公社のような場合には、これは企業の性質からいきますと、ただ単純に利潤の追求ということにはいきませんので、その中で公共性が非常に強くうたわれておるのでありますから、その両面の調和と申しますか、そういうものでいろいろ勉強させていただいておりますけれども、今後の行き方につきましても、一つの企業形態としての公共企業というものが、どういうような姿で行ったほうがほんとうの企業精神に沿うものであるかということを考えておるのでございます。いろいろの問題点がありまして、いろいろ制約を受けますけれども、その中で企業の自主性というものを確立していきたい、かように考えております。
  42. 小峯柳多

    ○小峯委員 御答弁の中の、公共性と利潤性の調和というふうな問題、これはお役所出身の方がおっしゃると、私どもは、ああお役所の方はこういうことしか言わぬのだろうなという感じがします。あなたは両方の御経験をお持ちになっていらっしゃるので、私は、その中に、どっちをどう重く見るかという、一つのやはり心の持ち方の上の座標というものがなければならぬと思います。  少し古くなりますけれども、ソ連の企業体の調査に参ったときに、利潤というもの、そして利潤をふやすことによって報償が直接返ってこないような形で、この報償というのは、経営者に対しても従業員に対してもなんでありますが、ほんとうにこの企業能率というものが上がるんだろうか、もしそういうものなしで企業の能率が保証されるなら、社会主義経済というものは、一つの行き方として十分研究しなければならぬものだというふうに感じて帰りまして、自今、実はいま御答弁のありましたような二つの精神の交錯する座標のあり方、非常に関心を持っております者として伺ったのであります。なるほど、このごろ企業の社会性がやかましくいわれておりますし、社会性を無視した企業というものはあり得ないと思うのです。しかしもし、民間の企業で、経営者いかんでは十分公共性が確保されるということになれば、私は、専売公社なんかも必ずしも公社にとどめておく必要はないような感じがするのであります。公社として経営する以上は、やはり、一般にいわゆる企業の社会性でなしに、もっと公共性というものをしっかり打ち出さなければならぬような感じがするのであります。それをあまり追求すると、親方日の丸的な傾向が多少出てくるような感じもするのであります。たいへん抽象的な質問で、御答弁しにくいかもしれませんが、私は、ほかの人でなしに、あなたのいままでの御経歴を承知しておりますがゆえに、こんな問題を伺うのでありますし、こういう考え方が、新しい自由主義経済などを考える場合に、非常に私は参考になると思います。重ねて御所見を伺いたいと思います。
  43. 東海林武雄

    ○東海林説明員 これは、先生に対して失礼な言い分でございますけれども、企業が利潤の方式というものを度外視してあり得ない、これは基本的にそうだろうと思います。そこで、いま、公社のような場合に、公共性を持っていくというものと、利潤の考え方というものを、どういうように持っていくか、どういうように調和したらいいかということが、先ほども申し上げましたように、問題になりますが、日本の企業形態の一つとしてこの公共企業、つまり公社企業というようなものが、私は、やはりこれは掘り下げて考える一つの形式だ、こう思うのでありまして、それが、いま言った利潤の問題と公共性の調和がどういう形にあらわれてくるかということが、私が勉強すべき最大の課題じゃないか、実はそういうふうに考えておるのでございます。
  44. 小峯柳多

    ○小峯委員 公社の場合の公共性というものは、どういうことが公共性になりましょうか。具体的に公共性を考えた場合に、どういう配慮が必要か、どういう面に対する配慮が必要か、そういうことに対する御見解はいかがでございましょうか。
  45. 東海林武雄

    ○東海林説明員 公社のやっております仕事、具体的に申し上げますと、たばこと塩の問題になります。たばこは、嗜好品だとは申しますけれども、非常に大多数の国民の欠くべからざる日用品だ、こう言うことはできますし、塩にいたしましても、これは御承知のとおり、食料で、なければならぬものだというたてまえからいきますと、これは食料品の中でも非常に特異な性格を持っていると思います。ことに、これが安価で、国民が安定した供給を受けるというようなたてまえからいきますと、その重要性が非常に多いのではないか、かように考えますし、たばこの場合におきましても、これは嗜好品だからどうでもいいのだという考え方に、いまでは立っておられないのではないか、こういうように思います。その公共性というのが非常に強く打ち出されているのではないか。たばこの場合は、御承知のとおり、もう一つ財政的な意味を非常に持っておりますから、そういう面からいきますと、両面の考え方をしていかなければならない。そこで専売制度というものがいままできておりますし、これからも続けていくということになっておるのではないかと実は考えておるのであります。
  46. 小峯柳多

    ○小峯委員 私は、いまの御答弁がありましたが、どうも専売公社に関しては、ことにたばこに附しては、企業の公共性というものだけでなしに、財政的な扱いが加わっておるので、それから、お仕事をなさいます場合の、企業の公共性だけでなしに、ほかのものが加わる。そこで、特に公共性という場合には、どういう点に御留意なさいますかと伺ったつもりでありますが、普通の公共性といえば、安いいい品物を消費者に供給するということ、それに、前後に関係する従業員あるいは関連事業に対しても、安定した経営を保障するということ、私はそういうことじゃないかと思うのであります。しかし、もしそういう意味の公共性からいけば、どうも私は、いま安いいいたばこをずっと専売公社で責任を持って供給しているとは、必ずしも言えないのではないか。その辺が、私はたいへん皮肉な申し方をするようでありますが、ただ普通の公共性でなしに、そろそろ、専売公社というものを性格的に掘り下げて考え直す時期に来ているのではないかという感じがするのであります。いかがでございましょう、その辺のことを加えての質問なんでございますが……。
  47. 東海林武雄

    ○東海林説明員 いまたばこが必ずしも安くないという御説なんでございますけれども、これは、実際のたばこの原価から申しますと、相当な高い収益性を持っておりますから、これは先ほど申し上げましたような財政的な意味で、そういう高い値段をやっておる。半分は結局いろんな形における税金だということになるわけであります。しかし、このたばこの問題については、たとえば、専売制度をやめてしまって、民間の企業に移したらどうかという御意見がしばしば出るようでございますけれども、このたばこの歴史、専売の歴史を見ますと、非常に古いあれがありまして、たばこの原料をどこから買ってもいい、値段が自由に決定できる、ただこういう安い原料を買って、それを製造して販売するというだけならば、これはあるいは民間でできるかもしれませんが、いまのような状態でありますと、たばこを耕作している農民との関係というものは非常に深くなっております。この三十万の耕作農民との関係というものがなかなかむずかしい問題になっておりますので、そういう意味からいたしますと、これは民間でやるといっても、なかなかそう簡単にいかないのじゃないか、こういうことになるのであります。したがって、先生はそうおっしゃいますけれども、日本のたばこは、実際はうまくて安いのでございますよ。その証拠には、御承知でしょうけれども、この間ソ連に永野使節団が行きましたときに、コスイギン首相にも渡してきたんだそうでありますけれども、非常に向こうで喜ばれまして、うまいうまい、これはおせじが半分あったかもしれませんけれども、そう言っておる。現にシべリアに昨年度二百万本出しまして、ことしも二百万出すことになっておりますし、ブルガリアに、ハイライトを中心にして一千万本出しております。でありますから、日本のたばこは、諸外国のものに比べますと決して高くはない、安くてうまいのだ。これは私の立場としては、そう申さなければならぬのでありますけれども、おせじでなしに、そうじゃないかと実は考えておるのであまりす。そういう関係で、その耕作者あるいはそういうような関係からいたしますと、なかなかむずかしい問題がありますので、先ほども先生がおっしゃったように、それらの問題をひっくるめまして掘り下げていく必要はある。いまの仕事のこれからの研究課題といたしましては、十分に研究もし勉強もしたい、私はかように考えております。
  48. 小峯柳多

    ○小峯委員 私は、財政的な面があるから、純粋な公企業体の経営というものじゃないのだろうと思います。もしそうじゃなくて、公企業体というもののあり方を掘り下げるならば、私は総裁もたいへん楽だと思うのですが、もう一つこぶがついておる。これを簡単に公企業体と言ってしまったのでは、専売公社の場合は、いかぬと実は考えております。これは特に御答弁いただくようなことではありません。  いま、輸出をなさる話が出ましたが、輸出価格というものは、私どもが毎日ちょうだいしておるような価格で輸出しておるのでしょうか。どういう価格で輸出をいたしておりますか。
  49. 東海林武雄

    ○東海林説明員 たばこの製品を輸出するということになりますと、これは実際の専売公社の仕事といたしましては、損して輸出をするということはできません。でありますから、現在先生方のおのみになっておる、たとえばハイライトが七十円だということになりますと、七十円という値段では出ないということであります。ですから、それより若干安い値段でもちろん出しておる。原価のことになりますと、これはいろいろ問題がありますので、ここで申し上げていいかどうかわかりませんけれども、相当安くなっております。
  50. 小峯柳多

    ○小峯委員 まあおせじもありましょうし、事実製造技術というものはかなり進歩しておるのだと思いますが、それにしても、財政的な負担がなければさらに安くなる、こういうことになるのだと私は思います。しかし、安くしているために、関連した事業というものをわりあいにいじめているような感じがしますが、どうでしょう。たとえば葉たばこの収買価格というものはどういうふうな変遷をとって——この耕作をすることで、ほかの農産物を耕作するのと比べて、農民は喜んでいらっしゃいましょうか、その辺のことについて……。
  51. 東海林武雄

    ○東海林説明員 現在、基本の方針としましては、耕作団体に対しましても、耕作審議会に対しても、私が申し上げていることは、外葉の輸入を少なくするということと、日本の国産葉を輸出するということを基本方針とするということになっております。そうしますと、年々実は原料葉が上がっておりまして、最近五カ年間のあれを見ますと、葉たばこの値上がりというものは、大体六割五分上がっている。しかし、製品のほうが、御承知のとおり十年以上据え置かれております。その製品のほうはさておきまして、葉たばこの輸出が、ヨーロッパのドイツを中心にしまして、多く輸出されておりますが、それは近年の値上がり状態からいたしますと、大体壁にぶつかってきておることなのであります。これは、耕作者の方々にその事情は申し上げておりますが、そのために、私のほうでは、耕作者に値段を安くしろというようなことを言って、圧迫を加えているという事実はございません。ただ私どもとしては、輸出が可能な値段にどうしても行きたいという希望がありますが、それがいま申し上げたように、輸出の値段が一応壁にぶつかっているといたしますと、葉っぱの出ない部分を何で出すか、逆に日本の国産葉を中心にしてつくった製品が出ないかどうか、これが実は輸出に目をつけた点でございまして、現在では二百万本とか一千万本とかいうわずかな数でありますけれども、これが順次ふくらんでくれば、私のほうは、逆に今度は耕作者の方々にも、いま八万七千四百五十ヘクタールという作付反別をきめておるのでありますが、これを年々拡大してくれという要望が出るわけでございますが、現在それを押えているわけであります。そういう面で、このたばこの耕作という面では、新しい面が開けていくのじゃないかという希望を実は持っております。決して耕作者の方々に対して、そういう面で圧迫を加えているということはございません。
  52. 小峯柳多

    ○小峯委員 その耕作者の単位当たりの収入というものを、たとえば米に比べたり、ほかの蔬菜などに比べた、何かそういう比較の数字がありますか。これは総裁のお手元にはないかもしらぬけれども、ありましたら、ひとつ聞かせてください。
  53. 大塚孝良

    ○大塚説明員 十アール出たりの粗収入という数字で申し上げてみたいと思います。これは四十年産の比較で、農林省調べでございます。  米では四万七千十一円、大麦では一万一千八百四十四円、繭では六万一千五百八十一円、てん菜では二万三千七十六円、農林省調べの葉たばこでございますと十万六千九百八十一円、ただし、公社の全部の平均をいたしました数字では、十一万三千七百九十四円となっております。
  54. 小峯柳多

    ○小峯委員 実はたいへん数字がいいので、私はむしろびっくりしたくらいなんですが、そうだとすると、これをもっと広げる——先ほどお話かありましたが、結局たばこの輸出ということになるのでしょうが、何か二重価格のようなものをはっきりとって、輸出を、いまのような小規模のものでなしに、本格的な輸出を考慮するというようなことをお考えになっていらっしゃいますか。
  55. 東海林武雄

    ○東海林説明員 その点は考えております。御承知のように、たとえば韓国でありますとか、台湾でありますとか、そういうところはみな専売制度を実はしいておるわけでありまして、われわれの輸出の対象国としては、非常に好ましい国々でありますが、そういうものはなかなか押えられておる。問題は、いまやっておりますのが、たとえばブルガリアになぜ出したかと申しますと、ソ連圏の国々はたばこの生産がないわけであります。非常に質が悪い。でありますから、われわれのたばこがわりあいに歓迎されるのじゃないかということで、実はブルガリアを拠点にいたしまして、これから大いに出してみよう。逆にブルガリアあたりの葉たばこも買っておりますが、それの交換条件に製品を出しておるということで、これがどれだけ伸びますか、われわれの努力によりますけれども、現在はシベリアと香港、それからブルガリア、ヨーロッパのほうではブルガリアを中心にやっております。将来もこれを伸ばしていきたい、かように考えております。
  56. 小峯柳多

    ○小峯委員 耕作者は、いまの御答弁で、たいへんいい、どっちかというと喜んでいいような傾向だと思いますが、それだから耕作面積もふやしたいということでありましょうが、私は、あなた方のお仕事の関連でもう一つ聞いておきたいことは、小売り店なんであります。小売り店はどうでしょうか、このごろほんとうに喜んで御商売をしていらっしゃるかどうか。私は少し問題がありそうな感じがするのです。これは私ども日常接する人たちでありますから、その気になって調べますと、案外いろいろな材料か手に入るのでありますが、私は結論的に言って、小売り商がこのごろ少し、たばこを売ることの御利益というものを感じなくなっているような感じがするのでございますが、どうでございましょうか。
  57. 東海林武雄

    ○東海林説明員 私はそう考えません。と申しますのは、現在小売り店の数が、全国にいたしますと十九万をこえております。これは昨年あたりの十八万から見ますと、相当の数がふえたということになります。しかも歩率の引き上げによりまして、現在平均しますと九%、年間五百五十億の小売り店の口銭を払っておるわけであります。そういたしますと、これはほかの商売から見ますと、労働時間は多少長いという問題もありましょうけれども、絶対に貸し倒れの心配がない、売り掛けの心配がないということになりますと、平均九%の口銭というものはわりあいにいいんじゃないか、こういうように考えるのです。しかし小売り店の中でも、最近のような労働事情からいたしますと、どうしても朝早くから晩までということにはまいりませんし、その点に対する補強の関係で、たとえば自動販売機を置くとか、そういうものを貸し与えるとか、現在自動販売機は約五千台使っておりますけれども、これはまだたくさん普及してくるだろうと思います。小売り店の方々のそういうような販売のしやすいような方法、いろいろ小売り店の方々の苦情はもちろん聞いております。そういうものも順次解消いたしまして、ほんとうに喜んでやっていただきたい。われわれのほうは元売りさばきがありませんで、小売り店が営業第一線でありますから、この方々にほんとうに力を入れてやっていただきませんと、販売は伸びていかないわけであります。その点はひとつ十分に考えていきたい、かように考えております。
  58. 小峯柳多

    ○小峯委員 いま小売り店が十九万をこえておるとおっしゃいましたが、そんな数字になっておるでしょうが、その中で、専業の小売り店と、兼業の小売り店というのはありませんか。何かそれだけでやっているというものがあるのかどうか。私はどうも見ておりますと、専業ではなさそうな感じがするのです。  それから、ずっと小売り店の数がふえてきておりますから、たばこの販売高がふえましても、小売り店一店当たりにするとどのくらいになっているんでしょうか。ここ十年ぐらいの傾向、これは総裁じゃわからないかもしれませんが、どなたか……。
  59. 斎藤欣一

    ○斎藤説明員 小売り店が専業であるか兼業であるかという御質問でございますが、正確な数字を持っておりませんが、大体の数字で申し上げますと、全小売り店の八五%は兼業でございます。ですから専業が一五%程度というふうに承知いたしております。  それから、小売り店の収入がどのくらいあるかということでございますけれども、現在、平均年間の売り上げが、一店当たり約三百万円、さっき総裁からお答え申し上げましたが、それの平均の粗収入と申しますか、手数料収入というものにいたしますと、大体その九%、したがいまして、二十七、八万円程度ということに相なります。年々小売り店のたばこの販売高は、金額にいたしまして一割程度ずつふえてまいっております。片方小売り店の数のほうは、まず平均いたしますと、横ばいから多少上がりぎみで、最近でございますと年に二%強ふえておる。その間、小売り店のふえ方と売り上げのふえ方というものを対比いたしますと、当然、一店当たりの小売り店の平均収入というものは、七、八%は上がっているということは申し上げられると思います。
  60. 小峯柳多

    ○小峯委員 いまの数子から承りますと、たいへん実は小売り店の収入というものもふえているというふうに伺ったのですが、最近特に小売り店に対して、あなたのほうで、販売のドライブをかけている傾向はありませんか。よけい売ってくれということを要望しているようなことはありませんか。
  61. 斎藤欣一

    ○斎藤説明員 もちろん、私たち物を売るのが仕事でございます。したがいまして、売り上げを上げるということにつきましては、いろいろな努力をいたしております。その一つの方法といたしまして、小売り店に、できるだけ売っていただきたいというふうな指導なりお願いなりをいたしておるわけであります。しかし、小売り店に対して、たとえば、これだけあなたのほうがノルマでございますよ、これができないと小売り店をやめていただきます、そういったような意味で強制的なことはいたしておりません。ただ最近、実は都会地といなかのほうと比べてみますと、都会地はどんどん人口がふえております。それから喫煙本数も大体ふえておるわけでございますから、それに対しまして、さっき総裁からお話し申し上げましたように、営業時間の関係、労働力の関係で、消費者から申しますと、たばこが比較的買いにくくなっているというふうな現象はあろうかと思います。そういう意味で、小光り店をふやすという必要があるわけでございます。急にふやしますと、現在ございます小売り店との関係、いろいろそういう事情もございます。したがいまして実は専売法で、小売り店というのはほかの場所へ出張して販売することができることになっております。最近は、そういった方法をとっていただくというようなことを中心にして、お願いをいたしております。おっしゃいますような意味での、ノルマ的な申し方ということはいたしておりません。
  62. 小峯柳多

    ○小峯委員 どうぞ総裁、聞きながら、少し私、部長に質問いたします。  いまノルマとか、質問せぬ先にお話が出ましたが、どうもそんなにおいがあるのじゃないですか。あなたは先回りしてお答えになられましたが、それは私は聞いていないのです。だから、多少やはり身に覚えがあるから、そんなことをおっしゃるのじゃないかと思います。売ることが目的だったら、それと専売公社の公共性とどうからみ合ってあなたは考えていますか。あなたはどう思いますか。
  63. 斎藤欣一

    ○斎藤説明員 こういうことはもちろんございます。小売り店を指定いたします場合の条件というのはございます。ですから、公社といたしましても、小売り店を置く条件、これは地域によっていろいろ違う、たとえば東京のこの地域なら、この店はどのくらい売るというふうな、そういうものさしがございます。非常に売り上げの少ないところに対しましては、配給コストの問題いろいろございますので、ある程度の売り上げの見通しが立つというところでないと、小売り店を置かないというのが一つの原則でございます。したがいまして、たとえばこの地域は、一月にかりに十万円なら十万円売るということになっておりますと——これはかなり下のほうでものさしを引いておりますが、かりにそういったものさしに合わない販売、たとえば二十万円を三カ月続けて切りましたというふうなところは、もともと小売り店を置くところではないということであろうと思います。そういう意味で、そういう場合には指定を取り消すことができるということになっております。したがいまして、この場合の二十万円というのは、ある意味でこれは最低責任量ということで、ことばはどうか知りませんが、ノルマというふうなことであろうと思います。それとは別に、私たちが、年間に公社全体といたしまして、ことしは何千億売り上げるのだということを腹づもりで計算いたしまして、そういうものを置きまして、これを一応の目標といたしまして、全国に配付いたします。その場合に、その数字が出張所に伝わってまいりまして、出張所は出張所として、いろいろ計画を立てるわけでございます。あるいは地区別に、この地域においてはこの程度、場合によりましてはそれがこまかくなりまして、個々の小売り屋さんに対しまして、このくらいとにかく売っていただくことを、私たちとしては心づもりをいたしております、そういうことには相なっております。
  64. 小峯柳多

    ○小峯委員 心づもりも、広い意味では、私は一種のノルマだと思います。それは別といたしまして、さっき出張販売の話が出ましたね。あなた方がお考えになっている出張販売の形態、実態はどういうものでしょうか。
  65. 斎藤欣一

    ○斎藤説明員 まず、私たちは、現在たばこを消費される場所というのが非常に広いわけでありますが、消費される場所に必ずしもたばこが置いてあるというふうな実態にはなっていない場所がたくさんございます。たとえば料理屋でございますとか、旅館でございますとか、あるいは遊技場でございますとか、いろいろなところがあるわけでございますけれども、そういうところ、もちろんそういうところを小売り店に指定しておけば問題ないわけでありますが、しかしその場合に、おそらく小売り店に指定するほどの販売数量の見込みというものは相立たないというふうな場合も多かろうと思います。そういうときに、近隣の小売り侵さんとの話し合いでもって、そこの場所にたばこを置いていただく、これは出張販売という形式をとりませんと、多少専売法上問題がございます。指定を受けないでたばこを売っているとみなされますと、罰則の適用などもございましたりいたします。そういった点を合理化する意味からいたしましても、正面から出張販売という形式でもって、そういう消費者の消費される場所にたばこを置いておくというふうな考え方でやっております。
  66. 小峯柳多

    ○小峯委員 いまの、たばこを消費するところに貫くということですが、あれは何の報酬もなしにたばこを預けるのですか。そういうことを考えておるのでございますか。
  67. 斎藤欣一

    ○斎藤説明員 これはもちろんいろいろな形態がございまして、たとえば東京の、ことに町中の忙しいところにおいて、たとえば喫茶店なら喫茶店がお客さんからたばこの注文を、たばこがないかといわれたときに、従業員が外に買いに行って、そしてお客さんに渡すというふうな場合がございます。そういった場合は、実は口銭なんかなくてもたばこを置いてもらったほうがいいという、極端な場合は、そういうふうなことがあります。しかし通常の場合は、店を借りまして、多少手数もかかります、場所もとります、したがいまして双方の話し合いでもって、若干手数料といいますか、場所代といいますか、そういうふうなことを取りきめまして、小売り店がいま受け取っております手数料の中から、若干のものを、そのいう名目でさいて、お渡ししておるというのが実情でございます。
  68. 小峯柳多

    ○小峯委員 これは法のほうから触れるものはございませんか。
  69. 斎藤欣一

    ○斎藤説明員 専売法では、そういうことができるようになっております。
  70. 小峯柳多

    ○小峯委員 その場所代という名前ですか、それとも、歩合いを一部分その出張販売する先に置くということでございますか。
  71. 斎藤欣一

    ○斎藤説明員 名目は、委託手数料ということになっております。
  72. 小峯柳多

    ○小峯委員 どのくらいの歩合いをお考えになっておりますか。
  73. 斎藤欣一

    ○斎藤説明員 これは具体的な条件は、いろいろ個々のケースバイケースで若干ニュアンスはあるようでございますが、まあ大体小売り定価の二分か三分程度というのが通常の場合であるように伺っております。
  74. 小峯柳多

    ○小峯委員 その出張販売を、小売り店一店について二つ以上お持ちになってくださいというふうな、強制じゃないけれども、奨励しているような傾向がございますか。
  75. 斎藤欣一

    ○斎藤説明員 実は最近東京のほうで、ある出張所で、そういったようなことと受け取れるようなものの言い方をしたというふうなことを聞きまして、そういったものではないんだということで、注意をいたしております。
  76. 小峯柳多

    ○小峯委員 先ほど総裁は、平均九分でたいへんいい商売だというようなお話がありましたが、こういうふうに別に歩合いをかけられまして、九分の歩合いの中でそれを払うのですよ。そうしてその率がだんだんと高くなって、かなり競争が始まってくる、初めは三分くらいで済んだのを、おれのほうのやつを置いてくれ、場所代のせり合いになっているのですよ。そうして四分になったりしている。そうすると、必ずしも先ほど総裁のおっしゃったような数字ではないけれども、いまのところこの程度で低いからいいけれども、私はどうも見ておって、案外小売り商というのは発言力が弱い人々だし、あなたのほうでは、ノルマもない、強制もしていないことは、私はよく知っておりますけれども、何といったって大きな権力を背負って立っている監督官庁なのでありますから、ちょっとそういういき方に対して、何となく胸にもやもやとしたものを持っているというのが、私は事実だと思うのです。そこで私は最初に、喜んでやっていますかと聞いたのですが、喜ぶ傾向が、ほんとうのことを言って、少し薄くなっていると思う。町の中で、私どもは、たばこ屋さんにお願いして選挙の票を集めたりするほうですから、実情を知っております。しかしそういうことが同時に、生きた政治をやるパイプになるのですから、私は、そういう意味合いで多少知っているのです。ですから、私はそういう話を申し上げているのですが、どうですか、あなたのおっしゃった程度のものですか。もっとニュアンスがきつくありませんか。
  77. 斎藤欣一

    ○斎藤説明員 いまおっしゃいましたように、公社と小売り廃さんとの関係、双方の受け取り方はいろいろあると思います。先生は、たばこ屋さんが非常に弱いとおっしゃいますが、私どもはたばこ屋さんにいじめられておりまして、たばこ尾さんというのは非常に強いものだという感じも一方ではいたします。ただ場合場合によりまして、本社で考えていることと、あるいはそれが地方局の段階、あるいは第一線の出張所の段階、あるいは個々の担当者の段階、その場合に、私たちの思っておりますことがそのまま伝わらないで、若干その辺の小売り屋さんに対する指導のしかた、ものの言い方に、いろいろとニュアンスの違ってくるような場合があると思います。したがいまして、小売り屋さんのほうから聞きますと、非常に何か権力的なことを言っているというふうに受け取れるようなふしがある。そこで、さっきから総裁のお話もありましたけれども、とにかく強制とかなんとかいう問題もございますが、そういうふうなことに、非常に権威的なと申しますか、高圧的なことはできるだけないような、そういう指導はいたしております。個々のところで若干間違ったようなことがあるように聞きましたもので、さっそく厳重に注意いたしております。
  78. 小峯柳多

    ○小峯委員 小売り尾さんに対する配達の回数は減ってはいませんか。
  79. 斎藤欣一

    ○斎藤説明員 たばこの配達は、これは地域によりまして、一番多いところは月に五回程度、それから少ないところは、山間僻地のような場合、そういったいなかのほうに参りますと、だんだん減ってまいりますが、最近、たとえば東京付近の例で申し上げますと、減っていることはございません。
  80. 小峯柳多

    ○小峯委員 配達の回数が減って、ストックをよけい持たされるというふうなことを言っている小売り店がありますが、心当たりありませんか。
  81. 斎藤欣一

    ○斎藤説明員 実は、たばこの販売はこういうことになっております。公社職員が、東京の場合は一週に一回というのが多いと思いますが、週に一回ずつたばこ屋さんを回りまして、注文をとります。その注文に基づきまして、運送会社がたばこを配っております。そういうことをやっております。最近、いろいろな関係から、この仕事のやり方を変えていこうじゃないか、毎週一回ずつたばこ屋さんに行くのがはたしてほんとうに必要であるのかどうか、たばこ屋さんのいろいろな御迷惑の点もあろうかと思います。そこで、たばこの注文をとります場合に、大体、この小売り屋さんはこのところどの程度売れそうだという見通しを立てまして、たとえば二へん分の注文を一ぺんにするというやり方をやって、一回の注文に商談の時間をかけたほうが、お互いにいいのじゃないかというふうに、仕事のやり方を変えようということを、まだ変わっておりませんが、そういうふうな計画をいたしております。しかし配達する回数は、これは小売り屋さんに影響のあることでありますので、変えるつもりはございません。したがいまして、注文をとるのは、たとえば今週分と来週分を一緒にとりまして、それを半分ずつ二週に分けて配達するとかいうふうなことは、行なうようにしてまいりたいと思っております。
  82. 小峯柳多

    ○小峯委員 自動販売機は、小売り店の経営にまかせるのですか、別の系統でやるのですか。
  83. 斎藤欣一

    ○斎藤説明員 自動販売機は、小売り屋さんに置いたほうが有利であるというふうなところは、小売り屋さんに置いていただくようにお願いはいたしております。ただ、さっき総裁からお話がございましたように、全国でまだ五千台程度、非常に少ない台数でございます。したがいまして、これはなかなか高いものでございますし、小売り屋さんとしましても、いろいろなことを検討いたしませんと、うかつには手が出せないというふうな事情もあろうかと思います。そこで公社といたしましては、公社で自動販売機を買いまして、その台数はいま四百台程度ございます。それを小売り屋さんにお貸しいたします。三カ月程度無料でお貸しいたしまして、そうして置いてみていただいて、その結果、自分のところは置いてもけっこう商売になるというふうなことがわかったところは、自分で販売機を買うというふうなケースがあると思います。したがいまして、最近は自動販売機がふえますテンポというものは早くなってきておりますが、それも、おたくはどうしても自動販売機を置きなさい、そういうふうなことは申し上げる筋でもございませんし、これはあくまでも小売り屋さんの自由な御意思にまかせております。
  84. 小峯柳多

    ○小峯委員 小売り屋さんから距離の遠い団地やなんかのものはどういうふうにしておりますか。
  85. 斎藤欣一

    ○斎藤説明員 実はこの団地の問題が、私たちいま当面いたしております一番やっかいな問題の一つです。非常に大きな団地がございまして、その中でたばこを売るということにつきましては、いろいろな制約があるようであります。これは住宅公団の団地あるいは地方公共団体、いろいろあるわけでございますけれども、その中で商売をするということについて、いろいろな制限がございまして、たばこ屋さんを置くということは非常にむずかしくなっております。御承知のとおり、大きな団地の中ではマーケットのようなものがございまして、そこではたばこを扱ってくれておるわけでございます。そういった場所におきます勤務時間は、朝はおそくて夜は早いというようなことがございまして、団地の消費者に御迷惑をかけるというようなこともございます。そこで、私たちも、地方公共団体とか住宅公団にいろいろ話をしてお願いしておりますけれども、最近では、そういった団地の中に自動販売機を置いていただいて、夜でも買えるというふうなことにお願いをいたしております。最近そういったような例がちらほら出てまいりました。何と申しましても、非常に大きな団地、これは一つの町のようなものであります。その中で、場所は非常に少のうございまして、それだけではなかなか解決できないのじゃないか、ほかのいろいろなことも考えてみなければならぬということで、目下研究いたしております。
  86. 小峯柳多

    ○小峯委員 総裁、マージンはしばらく変えるつもりはございませんか。
  87. 東海林武雄

    ○東海林説明員 小売り店のマージンでございますか。——これは一昨年でございますか、改定いたしまして、最低額を十二万円から十五万円に上げております。これは一割、八分、六分というように刻んでおりますが、現在のところ、これを改定する意思はございません。
  88. 小峯柳多

    ○小峯委員 私がいま言ったように、本部の御指令じゃなかったかもしれないが、販売にだいぶかけておる。出張販売なんか見てみますと、下請販売させるので、実際上かなり出ておるだろうと思う。そういうものを考慮しても、なおかつお考えになる必要はないかということです。
  89. 東海林武雄

    ○東海林説明員 出張販売の問題は、販売部長から詳しく申し上げましたけれども、そのために特約店の方々が非常に御迷惑をお受けになるということでは、本末転倒になりますので、あくまでも小売り店の方の立場を尊重していこう。そういうような競争が行なわれないように、実は指導するように申しつけてございますから、今後なお注意していきたい、かように考えております。
  90. 小峯柳多

    ○小峯委員 だんだんお話を承って、ややわかったような気がするのですけれども、どうも私はかなり強い線で臨んでいるような気がいたします。そこで、小売り業者に対する取り扱い方というものを、少しやはり親切にしていただかなければならないと思います。  それからもう一つ、塩の問題について総裁に伺っておきたいと思うのですが、イオン交換樹脂膜による製塩がかなり発達していると思うのです。将来、これをどういうふうにお考えになっていらっしゃるか。塩田法などに比べて、やはりこれを伸ばしていかなければならぬように思うのですが、お見通しはいかがですか。
  91. 東海林武雄

    ○東海林説明員 このイオン交換膜の問題につきましては、御承知のとおり、非常に長い年月をかけまして研究してまいったのでありますけれども、最近イオン交換膜の成績が非常にあがりまして、これを企業化してみたらどうかというので、本年度に入りましてから赤穂海水ほか四企業に対しまして、実用化試験を許可いたしたわけであります。国内の塩の限度量が、御承知のとおり九十二万五千トンに対しまして、輸入塩がことしの予定では四百五十万トン、その中で四百十七万トンがソーダ工業塩であります。それとの値開きというものは、大体海外塩は十ドル近辺の値段でございますから、国内塩との開きは相当ございます。いまの塩田法によります製塩法というものは、いろいろな事情からなかなか安くなる見込みがないということ、それでこれはどうしてもイオン交換膜に切りかえていかなければならない。イオン交換膜のほうは、電力代とイオン交換膜の値段が下がるかどうか、こういうことに決定的な要素を持っておりますが、これは下がるだろう。そこでイオン交換膜に切りかわっていったのでありますが、ことし一ぱいたちますと、試験の結果が出てくるだろうと思います。私といたしましては、イオン交換膜の完成後のかん水値段というものが、これも御承知かもしれませんが、現在の塩田のかん水平均値段の四千三百五十円に対して、これを半分にできないか。そういたしますと、煎熬費を入れましても六千円から八千円くらいの間で日本の国内塩ができるというような見込みが立ってくるのじゃなかろうか。同時に、かん水をとることによる水の問題がございます。とりました淡水をいわゆる工業用水に使えないだろうか。つまりイオン交換膜の行き方によりましては一石二鳥の方法になるのじゃないか、こういうような考え方でございまして、来年度の予算にも、工業技術院のほうで淡水の問題を取り上げてまいりますので、公社のほうの研究と相まって、片方ではかん水、片方では真水をとる、こういうことで、ぜひこの運動を進めていきたいというふうに考えております。イオン交換膜に対しましては、私は非常に大きな希望を持っているということを申し上げられると思います。
  92. 小峯柳多

    ○小峯委員 現在は、塩田法に比べて多少コストが高いのですか。
  93. 東海林武雄

    ○東海林説明員 ほとんど同じであります。
  94. 小峯柳多

    ○小峯委員 それじゃ、将来の見通しとしては相当安くなる。そうすると、イオン交換膜による製塩というものが日本の塩の中の中心になると考えていいわけですか。
  95. 東海林武雄

    ○東海林説明員 決定的になりますには、いまの段階では、大体電力料金が幾らかということになりますが、いまの買電単価を見ますと、安くて三円十七銭の程度でございます。自家発電にしますと二円台に落ちてくる。そうしますとぐっと違ってきますし、交換膜も、いま大体三年から四年の耐用年数を持っている。これも三年たってみなければ、実際にそれだけ使えるかどうかということはわかりませんが、現在の段階では、もちろん国内塩と同じ価格ではできるという結果が出ておりますし、私の見込みでは、今年の試験成績ではもっと優秀な成績が出てくるのじゃないか、かように考えております。
  96. 小峯柳多

    ○小峯委員 それでは、イオン交換膜の製塩を、公社として何か奨励するような方法を具体的におとりになっておりますか。
  97. 東海林武雄

    ○東海林説明員 これが決定的にいいということになりますれば、塩業者の方々にもこれは公開することになっておりますが、ただいま公社のほうでは、中央研究所をはじめ各塩の試験場が方々にありますけれども、イオン交換膜の試験を同時にやっておるわけでございます。御承知のとおり、いま五社のイオン交換膜の製造技術が行なわれておりますので、どれがいいかということはなかなか取捨選択ができないということでございますが、これはいずれその成績を公開することになっておりますので、どういう方法が一番いいかということはいずれ見通しがつくだろう、こういうふうに考えております。
  98. 小峯柳多

    ○小峯委員 その交換膜による製塩の工場管理が徹底的に行なわれてくると、自然同じキャパシティで許可童といいますか限度量といいますか、それよりもよけいできることがあるそうですね。そういうものに対する公社の取り扱いはどうしてくれるのだろうかというふうなことを聞くのですが、どういうふうにお考えになっておりますか。
  99. 東海林武雄

    ○東海林説明員 いま五つの企業に対しましてイオン交換膜を許可したのは、いわゆる限度量の中での許可なんです。それはいまのままでいきますと、たとえば十万トンなら十万トンの限度量を持っているところに、イオン交換膜で五万トン許可したといたしますと、余分に出てきたものは、結局塩田のほうで減らされるという形になってくるわけでございます。ただ、イオン交換膜だけでやりまして非常に生産力が伸びてきた場合には、いま五%の上下のアローアンスがございますので、その範囲においてはもちろん認めていく、こういうような考えでおります。しかもそれが将来非常によけいできるようなことになりますと、これは別個にひとつ研究してみなければならないのでございます。
  100. 小峯柳多

    ○小峯委員 御承知のように、化学工場というのは、少しじょうずにつぼに入ると案外成績をあげるものだと思うのです。そういう形で、かなり許可量と限度量を越えた実生産があがっているところがあるやに聞いておるのです。その場合に、それを買っていただくのに、塩田法のものとの引きかえで、何か少し金をとられて買ってもらうようなことがあるのですか。何かそういう、ただ純粋に買ってもらうのじゃなくて、幾らか権利料みたいなものを払って買ってもらったことがあると聞いておるのですが、事実そうですか。
  101. 東海林武雄

    ○東海林説明員 限度量を越えている場合には、その限度量を——前にはそういう制度があったのでございます。限度量をよそから融通するということでございますが、現在はその問題は起こっておりませんけれども、二、三年たちますと、そういう問題が、イオン交換膜だけでやってその限度量を越す、こういうような事態がくるかもしれません。その場合にはどういうふうな対策を講ずるかということは現在研究しておりますが、いまのところは、その五%の上下でまかなっていけるという程度でございます。
  102. 小峯柳多

    ○小峯委員 最後に一つ、このイオン交換膜による製塩というものが輸入塩と競合して、ある程度まで減らすような可能性が、長い見通しで、ございますか。
  103. 東海林武雄

    ○東海林説明員 先ほども申し上げましたように、これはイオン交換膜を、塩だけ考えますと、よほど努力をいたしませんと、輸入塩の十ドルというものは、国内に入りまして再製いたしますから、その値段を幾らに見るかということでありますが、大体八千円見当じゃなかろうか。そういたしますと、現在の塩田法でやっておりますかん水の平均値段がトン当たり四千三百五十円でございますから、イオン交換膜によるかんへは半分にしよう、これは少し私は言い過ぎかもしれませんが、そこまで持っていきますと、八千円の外塩には対抗できる、こういうことの見通しなんでございますが、同時に、先ほど申し上げましたように、塩ばかりじゃなくて、工業用水の問題をくっつけて考えますと、大きな希望を持っていいのじゃなかろうか、私はこういうように考えております。
  104. 鍛冶良作

  105. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 この間、専売公社総裁見えたのだけれども、時間がなくて質問できなかったのですが、きょうは総裁に少し率直な話を伺いたいと思うのです。  そこで、だいぶん小峯さんがいろいろ質問なさったのですが、東海林さんは民間の会社の社長として大体成功してこられたのですが、いままで、専売公社の総裁は、大体いわば大蔵省の役人の出の方が非常に多かったのですけれども、今度あなたが阪田さんのあとを受けて総裁になられた。もうしろうとじゃないと思うので、何か抱負経綸があると思うので、まずそのことからひとつ率直な——この間、国鉄の総裁にも、実はこの決算委員会で、思ったとおりのことを言っていただいたのです。もう、しゃべったからといって、まさか水田君が首にするようなことはないと思うのです。思い切ったことを言っていただきたい。ひとつお願いいたします。
  106. 東海林武雄

    ○東海林説明員 抱負経綸を述べろ、こういうことなんでございますが、先ほど小峯先生のお話に出ましたように、これは重複するかもしれませんけれども、公社の仕事自体が、一つの企業形態として、これか一番いい形であるかどうかということは、よほど民間企業と比べた場合に考えさせられる、また深く研究しなければならない大きな問題点であろうと思うのであります。一がいに公社、たとえばいまの日本専売公社にいたしましても、私がよそにおった時分は、公社の仕事なんというものは能率が悪くてだめなんだ、こういうことにきめつけられますけれども、実際に入ってまいりますと、公社の身びいきになりますけれども、それが全部が全部当たっているとは私は考えておりません。したがって、こういうような形態の中で、われわれがどういう努力をしていったらいいかということなんであります。企業の自主性というものをもっと高めていく、具体的に申し上げますと、能率をよくして——これから質問が出るかもしれませんが、国民大衆の要望にこたえた製品を売っていく、安定供給をしていく、塩の面からいきますと、そういうことも言えると思いますし、たばこの製品の輸出についても、少しずつでありますが、努力を重ねておるという状態で、夢——この専売公社の仕事の性質からいくと、そうたいして大きな夢というものは持てないのでありますけれども、少なくとも塩の問題につきましては、いま申し上げたような面につきまして、塩と水とこの両方には、私は非常に大きな期待をかけておりますだけに、どうしてもこの問題だけは解決したいと熱望しておる次第でございます。
  107. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 そこで、戦後ですが、いままで逓信省と言っておった中の郵便局と電電公社、特に電電公社が非常に目ざましい発展をしておる。内容は知りませんよ。けれども、この間、国鉄総裁も、国鉄が非常におくれたというのは、電電公社のようでなく、上げ方がへただったということを非常に言っておられましたけれども、電信電話債券とかいろいろなことで、あれほど想像できないような飛躍的な発展をしておる。内容はわかりませんけれども、しかし電電公社は、りっぱな建物があるとどこへいっても電電公社、こういうようなことを考えると、御承知のように、専売公社はたくさんの人を使っておられる関係上、なかなか困難な——あの電話、テレビやラジオは空気でもうけておると私は言うのですけれども、たばこはそうはいかない。一々女の方を使って手で巻いて——いまは手では巻きませんけれども、そういう、人をたくさん使うのが商売ですから、なかなかむずかしいと思うのですけれども、何か切りかえをやる時期があるのじゃないかというような気もする。私も四、五年前に実は鹿児島に行きまして、鹿児島の地元の方から、専売公社の支店の工事をしてくれということで、あそこは御承知のように国分の葉たばこがあるので、何とか方法ならぬかということで、その当時いろいろ骨を折ったことがあるのですが、なかなか思うようにいかないということは、専売公社の仕事は人件費を食う関係上、なかなか利益があがらないということが一つのガンになっておると思うのですが、その点は総裁はどのようにお考えになっておられますか、これを伺っておきたいと思います。
  108. 東海林武雄

    ○東海林説明員 利益があがらない、こうおっしゃいますけれども、実際のところはいままでも専売納付金の面からいきますと、これは順次ふえておりますし、売り上げから見ましても、昨年度に比べますと、ことしの三月の締め切りで千八百三十六億本というのは、前年度に比べますと五・七%の増です。金額にいたしますと五千六百二十四億になりますから、これは九・六%の増なんです。でありますから、ふえていっていないということは、両方の面からいきましても言えないのでありますし、少し落ちておるじゃないかというお説になりますと、前々年度は六・三%の増なんでございますね、数量で。これが五・七%に落ちたじゃないかと言われれば、それは落ちておりますけれども、最近五カ年の推移を見ますと、大体数量においては横ばい、金額においては大体一〇%程度は伸びておる、こういうことが言えるわけなんです。原料が値上がりしておりますから、その面から見ますと、利益率といいますか、そういう率は多少落ちてきておることは事実でありますけれども、まだまだ利益をあげておる点では、それを勘案しますと、いまの説は当たらないのじゃないか、こういうように思います。
  109. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 それはもうからなければ困るのです。専売でかってにやっているので、損したらたいへんな仕事なんで、ほかのものと競争してないのですから……。総裁はそういうことを言ったって、私らはそれは聞き取れない面があるわけです。やはり専売、たばこは、外国との競争はあると思うのですけれども、競争がないのですから、それは当然だと思うのですが、一つここで問題があるのは、私はたばこをのまないのですけれども、たばこを非常にたくさん奨励して売るということと同時に、たばこには害があるということですね。それはアメリカなんかのあれで問題になっているのですけれども、一方において国民の人権を擁護し、それからからだを大事にしろと言いながら、一方においては、たばこをのめ、のめというようなことをやらなければならぬところに、私は一つの矛盾かあると思う。この点については、東海林さんはどのようにこの矛盾を回避されていくのか。日本人はいま人間が少し多過ぎるのですから、少しはたばこをのんでなくなっていいと言われる面があるのですけれども、これは政治家が言うことじゃありません。ありませんけれども、少なくとも、そういう点で専売公社の総裁として、たばこをどんどん——いま高らかに、いい製品だと言われますけれども、たばこは日本の国民がのんでおるので、そののんでおるということは、実害があるんだということが反面にあるわけです。そういう矛盾をどのようにお考えになっておるのか。おそらく考えられると思うのですが、そのことを一ぺん伺いたいと思っていたわけです。
  110. 東海林武雄

    ○東海林説明員 たいへんむずかしい御質問が出ましたが、率直に申し上げまして、私の良心的には、そういうような矛盾を非常に感じております。感じておりますが、私の仕事といたしますと、これは売り抜かなければならないということなんでありまして、したがって、健康に害あるということをおっしゃいましたけれども、きのうも実は大蔵委員会のほうで問題になりまして、この点は、医学的な立場から決定的じゃないんだということを責任者が申しておりますが、しかしそうだからといって、害があるだろうということは間違いのないことなんです。国民の成年男子の八三%を占めている喫煙者——佐藤先生はお吸いにならないけれども、八三%という大部分の国民が吸っておられる。これは嗜好品であるからどうでもいいというわけにはいかないわけなんです。そこで低タール、低ニコチンの、健康になるべく害のないものを出していこうというのが、最近新しい製品を出している気持ちなんです。またそういうものを現実に発売していく、すすめる。堂々と、たばこをのめ、のめというような宣伝は私はいたしておらないつもりなんでありますが、たばこを私も吸うのでありますけれども、これはもうなかなかやめられないというような特殊な性質を持っております。たばこをなるべく害の少ないものにやっていこう、こういうように考えておりますので、この点はひとつ御了承願いたいと思います。
  111. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 ぼくは軍隊の主計をやっておったことがあるのですが、そのときにちょうど、兵隊というのはどういうような分布であるか、酒とたばこの調査をしたことがありますが、大体たばこは十人のうちに九人まで、その部隊は自動車の部隊で、運ちゃんが非常に多かったのですけれども、酒は、十人のうちで二人くらい飲ませれば、まず運転に差しつかえないくらいの程度だということが統計に出たのです。私は自分がたばこをのまないけれども、主計として、たばこを切らしてはもの笑いになるということで、どんな嵐の中でも、大別山の中でも、相当長い間苦戦をしたのだけれども、たばこを切らせることはしなかったということで、いま自分をほめているわけですが、それほどたばこをのむ人はたばこになかなか執着があるということは、総裁の言われるとおりであります。  先ほど小峯さんからお話ありましたが、いま私たちが選挙区で求められるのは非常に小売り店を求められる。私、二十年近く、八回国会に出ておるのですが、いままで自分の選挙区でたばこを許可してもらったのは、大蔵委員をやっておりますけれども、たった八軒。代議士が一番頼まれるのはたばこ屋です。たばこ屋をなぜ求められるかといえば、たばこ屋をやれば店がはやるし、八百屋とたばこ屋をやっておるところなど、店が非常に繁盛するということもあるし、大体、私がたばこを許可してもらった人は、八軒とも非常に繁盛してやっておるわけです。しかし許可してくれといっても、何メートルまで近寄れば何とか、こうで何とかということで、私らも理屈はわかるのですが、たばこ尾は十九万軒あるそうでありますけれども、一体専売公社は一年にどれほどまでたばこの販売店をふやしていかれる計画があるのか。それともわれわれのように、議員が衆参両院で七百人はかりおりますけれども、それに頼まれればしかたなくやってやると考えておるのか。こういう計画を持っておられるのかどうか、これをひとつ伺っておきたいと思います。
  112. 東海林武雄

    ○東海林説明員 たばこの販売については、小売り府側は常業の第一線でありますから、これを大事にしていかなければならないことは当然でありますが、それと同時に、需要家の便利ということが一番問題点なのであります。これを主眼に考えなければならないのでありますから、従来のやり方では、等級別とか距離別とか、購買者層の厚さによって決定するとか、いろいろな条件はございますけれども、いまのように非常に経済状態が変わって、都市の過密化ということも行なわれてまいりますと、従来のそういうようなしゃくし定木の基準では、需要家の満足するような小売り店の設置ができなくなってきております。そこで、これは前からそうなのでありますが、こういうような一応の規則はございますけれども、これに柔軟性を持っていけ、主眼点は需要家の皆さんに不自由をかけないことが主眼点なんだ、そういう意味で、小売り店の許可基準というものを非常に緩和いたしております。先ほど申し上げましたけれども、これは十九万軒になっておりますが、一年に一万軒しかふやしてはいけないというような制限はございません。そういうような便宜なはからい方を今後も続けていくつもりであります。でありますから、いままでは佐藤先生のところは八軒であったかもしれませんが、今度は倍くらいにふえるだろう、こういうふうにお考えになっていいだろうと思います。
  113. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 御承知のとおり、丹羽さんは名古屋で、私たちは郊外ですが、非常に団地がふえまして、先ほど小峯委員からも団地の問題がありましたが、団地がふえると、一番問題になるのは、たばこ屋の許可を何とかしてくれということと、それから郵便局、郵便ポスト、それから銀行の出張所というものが、必ずぼくらのところに舞い込んでくるわけです。  そこで一つお尋ねしたいのですが、団地などは何軒くらいの軒数が——あるいはそういうものの基準というものは、おそらくあなたのほうで研究されると思うのですが、これは総裁でなくてもいいのですけれども、団地でたばこ屋を許可する基準点はどこにあるか、またどういう方法をとっておられるのか、ひとつお伺いしたいと思います。
  114. 斎藤欣一

    ○斎藤説明員 団地と申しましてもいろいろあるかと思いますが、一般の町の小売り店というものと別の基準が必要である。私たちの立場といたしましては、できるだけ団地の中にもたくさんたばこの店を置きたいわけであります。いまのところ、さっき申し上げましたように、団地のほうの管理者の側にもいろいろむずかしい問題がございまして、私たちが希望するほど、団地の中にたばこ星さんを置けないというのが実情であります。したがいまして、先ほどお答えいたしましたように、そういった障害がなくなるような方法で、いろいろ折衝いたしております。したがいまして、いまちょっと数字として申し上げかねますが、どの程度の人数がありましたときにたばこ屋さんが何軒要るか。結局そのたばこ屋さんで売れます見込みが月に何万円かということがものさしになるわけであります。団地なるがゆえにこれを不当に押えていこう、商い見込みを要求しておるといったことはございません。私たちとしては、団地にたばこ屋さんがいまでも不足であるという認識に立っております。どうやってふやしたらよろしいかということを、一生懸命考えております。
  115. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 もう一つ、これに関連して、たばこの値引きの問題ですが、私がちょうど車中で総裁と一緒になったときにお話ししたのですが、たばこの伸びが非常に少なくなったという理由の一つに、パチンコのたばこを売ることが何かなかなかむずかしいということが出てきて、このごろやかましくなったようでありますけれども、それならばたばこは販売店以外には絶対売らぬかというと、やはり料理屋あたりへ行ってたばこを売ってくれと言えば、たばこを現実に売っている。そういう点で、やはり私たちが目に見えないところでも、そういう取引が行なわれているのじゃないかと思われます。こういう点は、そこがお役所仕事だといわれる点もありますが、またある面は非常にいい点もありますけれども、私はたばこをのみませんからそういう不自由は感じませんけれども、そういう点についての思いやりがあってもいいのじゃないかという気がするのです。この点は、値引きの問題について、どういうところで、値引きはどういうようなことをやるかということについての、何かあなた方のラインがあるのかどうか。それを一ぺん承って、他人が聞くときに、ぼくら説明をしなければならぬことがあるものだから、一ぺんちょっとお尋ねしておきたいと思います。
  116. 斎藤欣一

    ○斎藤説明員 お尋ねの趣旨は、小売り店がパチンコの景品用としてたばこを売ります場合に、値引きをしているのじゃないか、これは一体どういうふうにしてやっているのかというふうなお尋ねだろうと思います。これは法律のたてまえから申し上げまして、定価でたばこを売らなくてはならぬとなっております。高く売ってもいけませんし、値引きをしてもいけないということになっております。したがいまして、そういうことになりますと、当然罰則の適用を受けるわけであります。そこで、そういうことが見つかりました場合には、法に従って処分をいたすわけでございます。実際問題として、なかなかやり方というものが千差万別のようでございます。むずかしゅうございます。ほかの商品との関係において、たとえばほかの商品のほうを安くしておいて、たばこは定価で売るというふうなかっこうをとっているようなところもあると思います。それから、表面は定価で売買しておって、あとでリベートをしてやるというようなことで、私のほうでもいろいろと調べてみますけれども、非常にむずかしいような事態になっているようでございます。ただ問題といたしましては、ああいったところからたばこを引き揚げてしまうということは、現実の問題として不可能なことであります。パチンコ屋などの遊技場で売られておりますたばこはかなりの量にのぼっておりますし、そういった意味で、ああいったところを通じましてたばこが消費されていくということを、私たちは禁止するつもりもございません。それではそういったところにどうしたら経済的にもペイするようなかっこうで、しかも法を犯さないで、たばこを供給されるかということを考えていかなければいけない。さっき先生もおっしゃいましたように、どうもお役所仕事のようなことで、そういったことはいまのところ非常にぎくしゃくしているわけでございます。これが合法的に行なわれますような方法、これは案といたしまして数案ございますが、どの案によってこういったことをやっていこうかということを、いませっかく検討しております。できるだけ早い機会に、そういったことが法を犯さないでもできるような方法を考え出したいというふうに考えております。
  117. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 それがいいか悪いかという問題よりは、現実の生活の面の中に、パチンコのたばこの問題、それから料理屋あたりで出すたばこの販売の問題、飛行機の中でもたばこを売る。これは外国なんかでもそういうあれがあるのですが、こういうふうなことで、私はいいとか悪いとか言っているのじゃないですよ。実際の事実に即して、どういう方法でこれを改善するなり、またたばこの販売量をふやすなりということについて、おそらくあなたは専売公社としてどえらい組織を持っておられるのだから、そういうことについての検討をやっておられるのかどうか。またそういうことについて、これはおそらく日常、名古屋は名古屋、東京は東京、鹿児島は鹿児島、地域的にもその土地土地のいろいろな習慣もあるし、おそらくそういうような問題があると思うのですが、そういう点は、一体専売公社の中にそういうことを研究する部門があるのか、一ぺん教えてもらいたいと思うのです。
  118. 斎藤欣一

    ○斎藤説明員 そういったことを検討し、立案し、実行するのは私のほうの部でございます。専売公社販売部でございます。先ほど小峯先生の御質問の中にもございましたけれども、いま小売り店の出張販売というふうなことも考えております——考えておると申しますか、できるだけやっていただくようにいたしたいと思っております。それからもう一つ、たとえば料理屋にいたしましても、旅館にいたしましても、そこで小売り屋さんとしてりっぱに売っていただいてもある程度の売り上げがございます場合には、小売り屋になっていただく。これは正攻法でお互いに疑問のないところであります。それに至らないものは、さっき申し上げました出張販売というようなことでやっていただく、そういったことをいろいろと考えております。
  119. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 時間がありませんから、いろいろと言いませんけれども、たばこというものは国民生活の間に、いまたばことか酒なんというものはぜいたく品ということでなくて、必需品の中に人っているとわれわれ思うので、いい悪いは別として、相当国民生活の中に密接な関係もあるし、現実的にはぼくらのようなたばこをのまぬのもおるけれども、大部分はたばこを、十人のうち八人半からおるのだから、相当これは重要な問題だと思うのです。そういう仕事を専売公社はつかさとっておる関係——特に御承知のように、たばこの売り上げは地方税の中に入る関係で、だいぶそういうことについても、地方のいろいろなあれは、地元でたばこを買うようにということを宣伝しておりますし、そういうことが、国民のいろいろな面でそういうような経済的なあれも与えるという意味においては非常にいいことだと思うのですが、私はそれと同時に、先ほど東海林総裁は、たばこの伸びは決して悪くないということで、高らかに誇っておられましたけれども、しかし、私たちからいえば、専売公社は独占事業だ。私は子供のころに、私のうちのあたりでたばこ屋をやっておったものが、専売になったために、そのうちがつぶれた記憶を持っておるのですが、そのころのことを思い出すと、いまの若い人は、たばこはもともと専売になっているから、それでわからぬけれども、昔はたばこは自由販売で、アメリカあたりへ行けば自由販売をやっておるわけです。専売公社でないのですけれども、日本は、専売公社という日本の国の庇護のもとにやっておるので、もっと伸びてもよさそうじゃないかと私は思うのです。そういう点で、東海林さん、あなたは能がないというわけではありません。けれども、少なくとも実業界の中では相当活躍された人であるし、まあおそらく相当期待を持っておられる総裁だから、いま専売公社へ入ったから、あまりそう専売公社のいいことばかり言わずに、こういうことはひとつ改革してやろう、こういうことはよくしてやろうという抱負があれば、それを聞いて、私の質問は終わります。
  120. 東海林武雄

    ○東海林説明員 先生のおことばを返すようですけれども、私は決して高らかに言っているわけではないので、数字が確かに伸びているということを申し上げたのでございまして、これからもいろいろな面で努力をしなければならない面もございますし、また専売公社の仕事については、改善していかなければならない面も多々あると思いますので、その点は、これから大いに努力してやっていきたいと思いますので、御了承願いたいと思います。
  121. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 華山親義君。
  122. 華山親義

    ○華山委員 昭和四十年度の決算でございますが、この年は有名な小林章事件のあった年であります。それで、東京地裁はああいう判決をした。それにつきまして、相当の専売局の公費が使われたということも言われている。私はこれは非常に重大な問題と思うのでございまして、昭和四十年度の決算、三十九年度の決算等につきまして、決算明細書等を合わせていろいろ研究してみたけれども、そういうふうなことは、われわれには悲しいことに摘出できない。会計検査院は現場の調査もおやりになっておったと思いますけれども、そういうふうなことにつきまして、会計検査院は世の中から浮き上がったものじゃない。そういうふうなものがあるならば、特にそういう点に重点を置いて、そうして、あったのかなかったのか、そういう点を究明すべき任務もあると私は思う。会計検査院は、この点につきまして、何らかの意識を持って実地調査等をなさいましたかどうか。その点伺っておきたい。
  123. 佐藤三郎

    佐藤会計検査院説明員 いまの華山委員の御質問でございますが、その点、私どもといたしましても非常に慎重に、特に気をつけて検査したつもりでございます。その結果、ここで御報告申し上げるような不審の点は見つかっておりません。
  124. 華山親義

    ○華山委員 これはもう専売局は、そういうことの経理というものが中心になってやるところでございますし、あの出し方というものは、新聞紙等その他に報ぜられるようなことでございまして、会計検査院がつかもうと思っても、つかまえられない性質のものかもしれない。ただここで、私総裁に伺っておきますけれども、あの際に阪田前総裁は責任を負っておやめになった。再びああいうことがあっちゃいけない。その当時の幹部級の人たちにつきましても、私はいろいろ考えられますけれども、地方に参りますと、末端のほんとうに気の毒なような人が刑事責任を負って、そして退職金ももらえない。ほんとうにお気の毒な人がいるんです。それにつきまして、専売局のほうでこれを救済しろとかなんとかいうことは私は申しませんけれども、再びああいうことがあっちゃいけないと思う。それで、総裁に伺いますが、来年は参議院選挙がある。専売局がいささかなりとも組織的なことをもって参議院選挙等をなさる、そういうふうなことがあってはならないと私は思うのでございますけれども、その点は、総裁といたしまして、おそらく非常な決心を持って、策動は許されないと思いますけれども、いかがでございますか。
  125. 東海林武雄

    ○東海林説明員 ただいまのお話、非常にごもっともでございまして、私が就任した当時はこの選挙の問題のあとでございまして、まっ先にこの公社の全職員に対しまして、今後再びああいうことのないようにという訓辞をいたしておりますが、さきの衆議院選挙におきましてはそういう事実がございませんし、来年の参議院選挙につきましてはもちろんのこと、そういうことはかたく禁じておりますので、二度と再びそういうことのないようにしたいと考えております。
  126. 華山親義

    ○華山委員 監理官おいでになっておりますか。——私ちょっと監理官に申し上げておきたい。御答弁がなくたっていいですよ。と申しますことは、昨年の十一月か十月ごろでございますけれども、耕作者があなたに会いたいというものだから、私が代表者十四、五人でしたか二十人でしたか連れて、あなたにお目にかかりに行った。そして葉たばこにつきまして生産費及び所得補償方式をとってもらいたいということを申した文書を読んだだけなんです。ところで、あなたは意見を言われた。意見を言われることはいいですよ。しかし、いかにも意見の言い方がひど過ぎる。御記憶にあるかもしれませんけれども、私の言うことが間違っておったならば、私は首になってもよろしいとか、あるいは調査会ですか審議会の会長の川野さんですか、川野先生はしかし生産費及び所得補償方式につきまして、あなた方の言うことはわかるけれども、現在の財政の収入という面を考えれば、そういうことはできないのだ、そういうふうに川野さんは言っているんだから、そういう方向に努力してもらいたい、こういうふうに言ったところが、あなたは、私も川野さんは知っているけれども、あなた方にはそういううまいことを言うだろうけれども、あなた方よりは私のほうがよく川野さんのことを知っているんだ、川野さんはそんなことを考えちゃおりませんよ、とあなたは言ったでしょう。ひどいもんだ。それで、あの二十人の農民の人たちはすわり込みをすると私に言った。だから、そういうことはやめなさい。とにかくきょうは引き揚げなさい。私が国会でもう一ぺんよく話しておくから、そういうことはやめなさいと言って、みんなをなだめて、私は連れて帰った。その帰り道、私は何と言われたか。おまえみたいなやわらかい社会党の議員なんてないじゃないかと私は言われた。今度はこっちがつるし上げられた。役人は国民に奉仕するものでしょう。あなたのものの考え方は別としても、私は、ああいうものの応答というものはあるものではないと思うのですよ。答弁は要りませんけれども、私はこれは大臣の前で言おうと思ったのだが、それほどのこともないと思って……。ここで言わなければ、私はあのときに連れて行った農民の人たちに責任を果たせないから、あえて一言申し上げておく。ああいうのは、私は役人の態度ではないと思う。聞くべきことは聞いて、あなたの考えることはじゅんじゅんと話せばいいのだ。私の言うことが間違っておったら、私は首になってもいいとか、そういうふうなものの言い方はないと思う。慎んでもらいたいと思いますが、どうですか。お答えにならなくてもいいですよ。
  127. 海堀洋平

    海堀説明員 いまお話がございましたのですが、そのことについて別に弁明するわけではございませんが、要するに、どなたか代表の方、一人の方が御説明になるについては、私は私なりにそれに御答弁したはずでございます。その席には大ぜいいらっしゃいまして、あちらこちらから、何か一言言いますと、そんなことはない、こうおっしゃられて、説明かとぎれとぎれになって——そこの状況は先生御存じだと思うのでございます。代表の方が書類をお読みになりまして、それについて私が自分の考えを申し上げたまでは、話としては、いま先生のおっしゃられたようなことはなかったかと存じます。あとはその代表者の方ではなくて、周囲のというか、もちろんその方も代表者だと思いますけれども、話の途中で他の方々がいろいろおっしゃいますから、それに全部お答えしなければならなくなった。先生いまその私のことばだけを取り上げられて申されましたが、そのときのお話を全部先生も御記憶だろうと思うのでございまして、私は何も弁明するわけではございませんのですが、ああいう場合には、お一人の方がお互いに対話していけば、別にああいう形にはならないのだろうと思うのでございます。大ぜいの方が同時に、そんなばかなことがあるかとか、こういうふうに言われますと、やはり人間でございまして、あるいはことばの行き過ぎがあったかと思いますので、その点はまことに申しわけなかったこととおわび申し上げます。
  128. 華山親義

    ○華山委員 長くは申し上げませんけれども、あんなことはあたりまえですよ。私も長い間役人をやっていて、たくさんの人にいろいろな話を聞いた。百人、二百人の人に囲まれてつるし上げられたこともある。それだからといって、自分が興奮して、先ほど言ったみたいなことを言うもんじゃないですよ。私は、あそこにすわり込むというのをなだめて、連れて帰ったのだが、ああいう方々も一人の代表者なんです。その代表の者に対するものの言い方が悪いから、みな興奮する。いままであなたは一般の人々、そういう大衆に接したことがないから、ああいうことが出るのかもしれないけれども、よく気をつけていただきたい。ことばというものは過ぎてはいけません。私の言うことが間違っておったら私は首になってもいいとか、川野さんはあなた方にそう言ったかもしれないが、私は川野さんのことはよく知っている、川野さんはそんなことは考えておりませんよ。——ひど過ぎると思うのです。いくらあなたが、ほかの人がそう言ったから、あんなことを言いましたと言っても、これはひど過ぎますよ。私は、これでみんなに言いわけが立ちますから、やめます。
  129. 鍛冶良作

  130. 中村重光

    中村(重)委員 会計検査院お尋ねします。  いま、問題の小林章事件のことについてはいろいろな角度から検査をしたけれども、特に不正な支出と認められるものはなかった、そういうお答えであったわけです。ところが、あれほど大がかりな選挙運動、選挙違反が行なわれたわけですね。したがって、あれだけの組織的な動きというものがあっておる以上は、やはり選挙にからんでの出張であるとか、あるいは会合であるとか、そういうもろもろなことが行なわれたということは、常識的に考えられるのではないかと思います。あなたのほうは、警察的な立場に立っての検査をおやりになるわけじゃないので、なかなかそれはつかみにくいということはよくわかるんですが、あなたも御承知のとおりに、昨年の六月でございましたか、検察官の合同会議、から出張があったというあの事件、これは旅費は十何万か返還するというようなことになったわけですが、検察官ですらああいうでたらめなことが行なわれたということから考えてみると、特に私が先ほども申し上げましたような、例年と違った出張であるとか、あるいは会合であるとか、そういうものが特に行なわれておったというような、そういうことはございませんか。
  131. 佐藤三郎

    佐藤会計検査院説明員 私どもは、新聞でも相当大きく報ぜられた問題でありますし、国会でも当然御質問があろうかと思いましたから、特に慎重に、厳重に検査したつもりでございますけれども、おっしゃられるような、これは選挙のための出張だとか、あるいは選挙のために使われた金だというような心証を得るような支出を発見できませんでした。
  132. 中村重光

    中村(重)委員 だから、警察的な立場から検査をおやりになるわけじゃないので、なかなかつかみにくいんだろうけれども、例年と違った出張が特に多かったとか、会合が特に多いとか、いろいろ違った現象があらわれておったということはないか、こうお尋ねしているのです。
  133. 佐藤三郎

    佐藤会計検査院説明員 おっしゃられるような点、特にございませんでした。
  134. 中村重光

    中村(重)委員 どうも、ないというものをあったということで、あなたに食い下がってもしょうがないんだけれども、とにかく何かしら、くさいものにはふたをしろといったようなことが、あなたのほうに意識的にこうあったんじゃないかといったような感じを受けます。しかし、それはあなたのほうで否定されるんだから、これはこれ以上お尋ねいたしませんし、違った形の答弁は出ないでしょうから、またいずれ適当な機会に、いろいろな角度からお尋ねをしてみたいと思います。  それから総裁にお尋ねいたしますが、たばこ耕作者との関係ですが、収納であるとか、それから、これは審議会の関係が出てくるわけですが、価格の問題、それから等級をおきめになりますね、等級の取り方であるとか、それから収納をされて耕作者が保管する期間というのがあるわけですから、その期間がたいへん長過ぎるとか、いろいろ耕作農民、耕作者からの不満があるわけですが、そういう点について、あなたのほうでは、耕作農民の意見をどの程度まで尊重されるか。そういう点を特に反映をしていかなければならぬというようなことで留意をされておるというような点が、特に実績としてお答えができるようなことがあるかどうか、お尋ねしたいと思います。
  135. 東海林武雄

    ○東海林説明員 いまいろいろな問題でお話ございましたけれども、たとえば標本の作成、これは耕作者が一番関心を持つ問題でございますが、これは耕作委員会のほうでも問題になりまして、これを民主的にやってくれ、こういうことで、耕作者団体の方々を入れました標本作成を、本年度から実施しております。それから、いまの収納の問題でございますが、たとえば収納所というものが七百余にわたっておりますけれども、昔の時代と違いまして、交通機関が発達して道路がよくなり、昔のような粗末なところでは、非常に寒さにかかりますときに、私も収納の実際を見学しまして、実際にお気の毒だと思ったのでありますが、そういう収納所を統合しまして、もっといい設備をつくり——これは現にやっております。本年度になりますと、大体計画どおりにまいりますと、従来の数は半分に減るだろうと思いますが、そのかわりに、そういうようなもっと完備した設備のところで収納ができる、こういうようなこともやっておりますし、耕作者とわれわれとは、これは申し上げるまでもないのでありますが、一体にならなければならないのだ、こういう意味で、お互いに対立している関係というものはなくしようということで臨んでおります。いろいろな御注文もあるだろうと思いますが、そういうことはよく耕作者の代表の方々とお話しして、今後善処していきたい、かように考えております。
  136. 中村重光

    中村(重)委員 きょうは時間がございませんので、また機会がありますればお尋ねしたいと思います。  特に、この等級の問題もそうなんですが、耕作者に対する保管の期間ですね、そういうことで、もう少し耕作者に負担を負わせないような形を当然お考えになる必要があるのではないか、こう思うのです。また、季節労働者の問題等もあるわけですが、残念ですが、きょうは時間がありませんので、またお尋ねすることにいたします。  それから、たばこの小売り価格の問題ですが、あなたのほうは、ぜひ四十二年度に値上げをしてもらいたいというような強い期待を持っておるということも伝えられております。来年四十三年度には、たばこ小売り価格の引き上げということを期待をしておられるのか、また、その見通しについてはどのようにお考えになっておるか。
  137. 東海林武雄

    ○東海林説明員 この問題は、現在のところは全然未定でございます。と申しますのは、来年産の予算がこれから追って始まるだろうと思いますが、値段を上げるということについては、いまのところは、いろいろな関係もございますので、それは私のほうとしてははっきり申し上げられない、上げるということは言っておりません、それだけを申し上げておきます。
  138. 中村重光

    中村(重)委員 たばこ小売り店の指定基準の問題ですが、先ほども各委員からお尋ねがあったと思います。ところが、私は、この指定基準というのが、あなたがお答えになりましたように、柔軟性ということになりますか、あなたのほうで、基準に基づいてのものさしでもって、事実上の指定許可をなさるわけですね。ところが、どうも、私どももいろいろと相談を受けることもあるわけですが、この指定基準というものが、あまりにもいわゆるものさしによって自由に動かされてきて、さじかげんというものがあまりにも働き過ぎるのではないかというような印象を受けることが非常に多いわけです。ですから、私は、指定基準というものも再検討することが必要ではないか、そうしてこのものさし、いわゆるさじかげんというものをあまり働かせる幅というものを、ある程度は必要でしょうけれども、あまりその幅が広過ぎるというところには、いろいろと不明朗な面もなきにしもあらずと思うわけです。具体的な問題としていろいろありますけれども、たとえば団地等がどんどんできるわけですから、そこで申請をいたします。これはいまどうも人家が非常に足りない、こういうことで、指定されないわけです。したがって、書類は却下になるわけです。それからそう長くない期間に、今度はほかの方が申請をして、それが認可になっておるという事実もある。私はこれは問題だと思うのです。不許可になった理由をすなおにその申請者は了解をして、引き下がっている。しばらく待っておったならば、半年先か一年先か認可をしてもらえるであろう、またそのときひとつ出すようにしよう、こう思っている。ところが、ただいま私が申し上げましたような、他の違った申請人によって申請がされ、認可になっている。私はこれは問題だと思う。やはりそういう場合は、先に申請をした人に連絡をされ、その意志ありやいなやということで、あるとすれば再度申請をさせる。そうして全体の申請人を爼上に上げて検討していく、そういうことを、私は、あなたのほうのサービスということよりも、当然の義務として、責任として、おやりになる必要があるのではないかというように思います。  時間の関係がありますから、続いてお尋ねしますが、指定基準の問題等も、たとえば身体障害者の場合、あるいは母子家庭の場合、現在のところ八割程度ということで、若干緩和して、これを指定許可をするというような取り扱いをしていらっしゃるようでありますけれども、実績といたしまして、どうも、先般私資料をいただいたわけでございますけれども、非常に、母子家庭あるいは身体障害者に対する許可が少ないのですね。ですから、そういう許可基準、いわゆる指定基準というようなものを、身体障害者であるとかあるいは母子家庭であるとかいうものに対しましては、八割というのでなくて、もっとゆるめていく必要かあるのではないか。そうしてその中におきましても、そのさじかげんというようなものが働く余地があるとするならば、そういうような気の毒な方方に対して、できるだけの温情ある取り扱いをなさる必要があるのではないか。いろいろ、基準はこうですというようなことで、二割程度下げてゆるやかにしていらっしゃるわけでございますから、特に配慮がなされておるというように考えられますけれども、現実はなかなかそうじゃないです。したがって、全体の中に占める身体障害者とか母子家庭に対する認可件数というものは非常に少ない。ここも総裁として、そういうところまで現場でなされていることを御承知になっていらっしゃらない点があるのだと思いますけれども、そういうところにこそ、総裁は十二分の配慮をしていかれる必要があるのではないか。たくさんいろいろな問題をあげてお尋ねをしたわけですが、まずお答えをいただいてみたいと思います。
  139. 東海林武雄

    ○東海林説明員 ただいまのお話の、たとえば先願優先ということは、前に届けておったがあとから他の人が認可になったというような場合には、私のほうで、先の方の優先権を認めるように指導しているつもりなのでございます。あるいはそれが徹底しない向きもあろうかと思いますので、その点は今後十分に注意したいと思います。  なお、その次にお尋ねのありました、身体障害者あるいはその他の方々に対する優先権というものは、ただ、私のほうでは、しゃくし定木に、八割だけ緩和したからいいじゃないというような考え方ではございませんので、今後その点も、私どもの範囲でできますことは、そういう方々の優先権を認めていきたい、かように考えておりますので、その点を御了承願いたいと思います。
  140. 中村重光

    中村(重)委員 先願者の問題ですが、書類がそこにあればいいのですが、書類は却下になっておるわけですね、そしてある程度の期間もたったということになってまいりますと、あなたがお答えになったような形で、現実の問題として、いわゆる優先権ということで扱われておるというようには必ずしも考えられない面が、私が知る範囲においてはあると思うのです。  それから、そのさじかげんの問題にいたしましても、団地の例を私はとったわけですが、それでなくても、たとえば百二十メートルとか百五十メートルということになっておりますね。それは一級地、二級地等々、級地によっても違いがあるわけですけれども、その場合、たばこ屋の小売り店の指定許可を受けるということだものですから、われもわれもと申諸者が出る。そういう場合に、だれが考えて見ても、需要者にとってはここの場所が一番便利だがと思うような、バス停であるとかあるいは角地であるとかいうところが認可、いわゆる指定されないで、どうしてここが指定されたのであろうかと思われるようなところが指定になっているような例がありますよ。そう針で突いたほどの欠点もないような扱いというものは、人がやることでございますから、見方の違いということもありましょうから、私はあまりこまかく言うのではありませんけれども、一応常識的に見て、あまりにもさじかげんが働き過ぎて、きわめてこれは不明朗ではないかという批判を受けないだけのことは、やる必要があるのではないかと思います。  なお、いま、身体障害者とか母子家庭の問題に対しましてきっぱりと、優先権を認めておるとお答えになったのですが、私の知る限りにおいては、そうは思いません。なるほどお答えになった点もあるでしょう。あるでしょうけれども、あなたがおっしゃることが優先権を認めてきたというならば、それがほんとうに全国的な形において実施され、実行されておらなければなりませんね。ところが、それはあなたのほうの支所あるいは局の扱い方、見方ということの違いもあるかもしれませんけれども、ともかく地域的なアンバランスもあるのではないかと私は思います。ですから、あなたのほうで、こうしたことが国会において取り上げられたというような点を十分ひとつ参考にされて、再調査をされる。そしていまのお答えがほんとうに実行されるように、身体障害者の方々から、あるいは母子家庭の方々から、専売公社はほんとうに自分たちに対して温情を持って対処してくれるのだという感謝の気持ちを起こさせることが、私は必要であろうと思う。その点に対して、いま一度あなたの決意を伺ってみたいと思うのです。
  141. 東海林武雄

    ○東海林説明員 いまのお話、私もまことに同感でございまして、これから私の気持ちを末端まで浸透させまして、皆さんの御期待に添うようにいたしたいと思います。
  142. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 関連。ただいま私の聞こうとすることは、大体中村さんがお聞きになりましたが、総裁にお尋ねいたしたいと思います。  実は、公社におけるたばこ製造に対する品物は、地方局において求めさせるのか、ほとんど本社が一切買って、そして地方局へお出しになるのか、どういうふうな方法をとっていらっしゃるか、その点ひとつお尋ねいたしたいと思います。
  143. 東海林武雄

    ○東海林説明員 資材の購入につきましては、おもなものは本社でやっておりますが、地方で購買できるものは、地方にやらしておるものもございます。
  144. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 実は、地方で十分に問に合うものであるし、また運賃もかかるであろうと思って、ある業者がある人を介して、そして見本まで持っていって、そうして名古屋地方局は相当たくさんたばこが売れるのであるから、これを東京なんというところで、本社でまとめるのでなしに、ひとつ地方で買ってくれないか。品質が悪ければやむを得ない、あるいは何かこれを買うことができ得ない理由があるならば、それはやむを得ないが、一応私は同等以上のものだと思うから、見ていただきたいと言ってお願いをした人があるのです。ところが、それはがんとして、なかなかいままでの慣例上、そういうことは困るのだということで、わざわざ高いものをお買いになっているというようなことは、私はどうかと思うけれども、そういう実例があったのです。私がまだ衆議院議員にしていただかないときにも、私もついていったことがあるのです。そういうようなことが、一部地方で求められるものは求める、しかし地方で求められないものは本社で求めるのだというお話は、これは理論的にはよくわかるのですけれども、私は率直に申し上げて、総裁は御存じないかしらぬが、もう少し資材部のほうで打ち合わせてもらって、ほんとうに地方で買えるものはもっと地方で買ったらいいと思うのです。地方の人たちもどれだけ喜ぶかしれないでしょう。そういう点が、総裁は、何というか、よく地方のことを知っていらっしゃって総裁になられたのでありますけれども、なかなかあとのお役人というか、公社の人たちは、わけのわからぬ人が多いのですよ。だから、いま中村さんのおっしゃった中にも、何と申しますのか、総裁のおっしゃる未亡人あるいは身体障害者という者に対しては、できるだけ、つとめて許可を与えるようにするんだというお考え方を持っていらっしゃる。ところが末端のほうへいくと、なかなかそうはいかない。  そこでお尋ねいたしたいと思いますことは、私は思いつきのことを申し上げるので、違っておったらひとつお許しをいただきたいと思うが、審議会というものを持っているのだ、こういうのです。地方のほうでは、許可を与えるに際して、許可基準に関する審議をするんだ。その審議会によって決定します。それでは審議会とはどういう人たちが一体審議をして、どういうところどいいとか悪いとかというような判定をつけるのかということをお尋ねいたしたいと思うのですが、機構のことですから、総裁も十分御存じのはずだと思います。
  145. 斎藤欣一

    ○斎藤説明員 これは、いま先生から機構の問題というふうに御指摘いただきましたが、実は公社の組織規定とか、そういった正面から規定されている問題ではなくて、実際上の運用といたしまして、そういったやり方をやっているところがございます。それも、小売り店の指定の申請がございまして、そして調査をいたしました結果、これは指定する、これは不指定にいたしますということをきめるわけでございますが、これは地方局長の権限になっております。ただ、やります場合におきまして、一つの地域から二つ以上の申請が出ました場合、俗に競願と言っておりますが、場合によってはかなりたくさん出てまいります場合もあります。その場合に、いろいろ調べまして、非常に優劣がはっきりいたしますというようなものは問題がないわけでございます。ところが、なかなか同じようなことで、きめかねるというふうな例もままございます。そういった場合に、いまおっしゃいましたような審議会——審議会と申しましても、公社の中の局長と部長が集まりましてのそういった審議会でございますので、中の運用の問題でございます。そういうところで相談いたしまして、だれに決定するかということを、手続上やっているわけでございます。
  146. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 部長のお話を聞くと、審議会か審査会か、そのものの言い方によってはだいぶ違うと思うのですが、許可権限はその地方の局長に与えてあるとおっしゃる。地方の局長は、その審査会なり審議会に出られて、そうしていろいろの検討をせられるかどうか、その点は、私ども民間人ですからわかりませんけれども、ここで一つ申し上げられることは、競願の出た場合にそういうようなことをするんだといまおっしゃった。だが競願でなくても、一括的に出たものについてはやるようなお話なんですよ。公社の本社の考え方とだいぶ違うじゃないか。本社が考えていらっしゃることと、地方局でやっていることと違っておるじゃないですか。そうじゃないですか、あなたのおっしゃることをそのまままじめに聞くならば。審査会というものを、競願の場合だとおっしゃる。競願以外でもやっているじゃないか、出たやつを全部まとめてやるというのなら……。それは、今後どういうふうな方針をとられるか、私はわかりませんけれども、もう少し徹底してもらいたいと思うのですよ。  それからもう一つ聞きたいと思いますことは、さっき佐藤さんが質問をせられた、パチンコ屋だとか料理屋さんだとか、そういうようなところでたばこを売っておる。もっと極端なことを言うと、デパートなんかは、同じようなところで向き合っている。そういうところには一つも二つもどんどん許可を与えている。そういうところには特典的に与えて、実際ほんとうに困ってお願いをして、利益が少しでもいただけるからということで、あなたのほうにお願いに行っておるのがけられる。先ほども中村さんのおっしゃったように、書類を出したら却下せられた、あとから出した人は許可になったという例は幾らでもあるのですよ。私どもずいぶんそれで泣かされてきた。丹羽さん、頼んだが却下せられた、あとから出した人が許可になる、そういうようなものですか、といって聞かれる。そうすると、私は何と答えていいか、先ほどの総裁の話を聞いておると、そういう場合には先願した者に対しての優先権があるから、つとめてその人にまた許可を与えるように指導をしておるとおっしゃるが、そういう例はあまりないと思う。そういうような取り扱いをした例はないと申し上げても、あまり過言でないと思う。だから、もう少し本社の総裁がお考えになっておることを地方局に徹底するように、販売部長はやってもらいたいと思います。  それから、先ほどのお話の、パチンコ屋だとか、料理屋さんだとか相当量売れるというところに対しては、今後許可を与えられるつもりでいらっしゃるのか、それとも、これは法律的には違法行為であるから、徹底的に取り締まる方針を立てて、そうした法律をつくり上げていくんだというお考えになっているのか、これは重大な問題だと思う。特に愛知県の名古屋なんというのは、パチンコ屋は全国一のパチンコ屋ですからね。取り扱っていくたばこというものはまずばく大な金額にのぼっておるのです。あなたのほうで摘発せられたのにもずいぶん大きな金額のがあったでしょう。報告が行っておると思う。もうけたかもうけないかは別として、違法行為をやって、一日に数千個、数万個、だいぶ売っておった事実があった。そういうことからいって、今後どういうお考えを持っていらっしゃるか、これをひとつはっきりしていただきたいと私は思う。正直者がいつもばかを見るような世の中をつくっていくということは、これは断じて許されるべきことではないと思うのです。私は少なくとも自民党に席を置いておりますから、決して攻撃をしようとか、あなた方のやっていらっしゃることを徹底的に追及しようとは考えておりません。少なくともよくやっていただきたいという考え方から申し上げることでありますから、誤解のないようによく聞いて、そうしてひとつお答えをいただきたいと思うのです。
  147. 斎藤欣一

    ○斎藤説明員 御質問は三つばかりございましたと思いますが、第一点の指定の申請に対しまして、地方局で審議会か審査会か、そういうものをつくってやっております。これは実はさっきも申し上げましたように、組織でもございませんし、各地方局が実際の運用の便宜と申しますか、そういうことでやっていると思います。したがって東京地方局でやっておりますのと、名古屋地方局でやっておりますのと、やり方あるいはその審査会なり審議会にかけます案件と申しますか、それはいろいろ取り扱いが違っているかと思います。私が申し上げましたのは、たとえば東京地方局で申しますと、東京地方局は非常に申請が多うございますが、そういうところは一件一件でなくて、競願のむずかしいケースだけかけているのだと聞いております。これは本社でそういう会を設けて指定の扱い手続きを、そういったことをやりなさいといったような指導はしておりません。これは各地方の局長の判断でもって、そのほうがいいということで、おやりになっていることであると思います。地方局によりましては、そういうことをやっていないところもあります。  それからもう一点、パチンコの問題でございます。これにつきましては、先生おっしゃいますように、名古屋はパチンコの日本一と申されましたが、おそらくそういうところであると思います。こういうところに、たばこが合法的に供給されますように、おっしゃいましたように、これを全然取り締まってもう禁止してしまうということではございません。そういうところはうまくいきまするように、どういう仕組みでやれば、法律に違反しないでしかも関係者の満足を得られるような方法があるかということを、技術的に検討しておるというところであります。
  148. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 技術的に研究をしておるとおっしゃるが、きのうやきょう始まった問題ではないですよ。これは私が知っておるだけでも、もうすでに四年も五年も前からそういうことがあるので、す。私はここで初めて議員になってお尋ねをするのですよ。そうすると、公社というものは、もうすでにそういうものに対する方針がきまっておらなければならぬはずなんですよ。けれども、あらためていま聞くが、どちらを選ぶかというぐらいは、すでに内部で議題に供されていなければならぬ。どんなお考えを持っていらっしやるか。これから研究するというような話ではないと私は思うのですよ。許可するなら許可の方針で、内部で話ができておるのだけれども、まだそこまで徹底していないとかどうとか、はっきりしてもらいたいと私は思っております。
  149. 斎藤欣一

    ○斎藤説明員 実は事務的には、さっき申し上げましたように、いろいろの案を考えております。いずれにいたしましても、パチンコ屋さんに定価で買っていただくということであれば法律上は問題はないわけでございます。パチンコ屋さんが小売り店から定価でもってお買いになるということなら、専売法上問題はないわけです。それが非常に大量にお買いになりますために、定価じゃなくて、定価よりも実質的に安く買う、そのために小売り店の間でいろいろな問題がある。したがいまして、パチンコ屋さんには定価を割っても売ることができるというふうにすれば、これまた疑問がなくなると思います。しかしそういたしますと、今度は何でパチンコ屋さんだけにそういうことをするのかという問題が起こってまいります。したがいまして、その辺の範囲をどういうふうにするか、それから売り渡しの方法をどういうふうにするか、いろいろな関連する問題がございますので、そういう技術面をいま研究しているところでございます。
  150. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 それは一個買っても百個買っても、小売り値段で買えば別に犯罪にならないでしょう。それはよくわかる。しかし、たとえばパチンコ屋が景品に出すためにたくさん買い入れをするのに、そんな価格で買うとは、あなたは常識的にもそんなことはあり得ないとお考えになるのが普通だろうと思うのです。だから、私は建設的なことを申し上げるが、どちらかはっきりして、許可を与えるなら、パチンコ屋に対して、総元締め的な卸室を一軒なら一軒許可を与えてやるとか、あるいは大量的に出すなら大量的に買い入れるところに許可を与えるとかいう形にせぬと、正直者が非常におこるですよ。だからその点を早く——内部的には一応できておるとおっしゃるなら、それを実行に移すようにして、不安を除いてもらいたい。私はあらためてお願いしておきますから、ひとつ考えていただきたい。  それから、先ほど総裁に質問をしましたけれども、総裁ではおわかりにならぬ点があろうと思うが、資材部長いらっしゃいますか。——資材の購入はどこでするのですか。
  151. 斎藤欣一

    ○斎藤説明員 調達部でございます。
  152. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 調達部長来ておりますか。
  153. 斎藤欣一

    ○斎藤説明員 いま来ておりません。
  154. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 それでは、総裁にもう一度お願いしておきますけれども、そういうことがありますから、私は総裁に特に言っておきたいことは、地方でまかなえるものは、政治的とかそういう取引的なものでない、正しい商人が正しい品物を入れるとするならば、当然買ってやってもらいたい。これはいままでの慣例であるというようなことで、何か占い鎖につながれたような形で、ずるずるべったりの行き方をしないようにお願いをしたいのです。そうすれば地方が潤うし、地方の人々が非常に感謝をする。それが自分のところに製品がありながら買ってもらえなくて、東京からわざわざ送り込まれるのを目に見て、憤慨にたえない人が相当数あるのです。そういうことは、国民全体ののむたばこですからね。地方の人々にも潤してやってもらうように、あなたから地方に対して指令を出していただきたい。これは愛知県だけのことでなくて、全国にそういうことをしたら、きっと喜ばれるだろうと思います。特にお願いしておきたい。  いまだ聞きたいこと幾つかありますけれども、あとまだあるそうですから、これでおきます。
  155. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 吉田賢一君。
  156. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 二、三分だけ聞かせてもらいたい。  臨調が、専売公社に対して、塩の専売制度を廃止したらどうかということをいっておりますが、これについて、簡単に結論だけ言ってください。
  157. 東海林武雄

    ○東海林説明員 たしかこの委員会でお話し申し上げたと思いますか、現在の状態では、塩の専売制度を廃止する考えはございません。
  158. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 お尋ねすることは、専売公社としての御意見、並びにその理由をひとつ述べていただきたい。
  159. 東海林武雄

    ○東海林説明員 三十九年のときに意見書というものが出ておりますけれども、いまの配給機構とか価格の安定とかいう面から申しますと、いま塩は、これは再々申しておるように、いろいろな変革期に来ております。現在の状態では、専売制度を廃止することは混乱を招くだけだ、こういう意味から、私は専売制度を廃止する意向はない、こう、いうことを申し上げたわけであります。
  160. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 そうしますと、実行するといろいろと困難な事態を招来するおそれあり、そういうことなんですね。
  161. 東海林武雄

    ○東海林説明員 塩の製造そのものが、いろいろな変革期に来ておるということなんです。でありますから、それが安定いたしましたら、これを廃止していいかどうかということは、もう少し先になりますが、もちろん考えてみたいと思います。
  162. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 それでは、少し掘り下げてまた日を改めて聞きますから、あなたのほうで、ごく最近三年間の監査報告書があるでしょう。その監査報告書と、それについての出した意見書、それから財務諸表、これを全部お出しいただきたいと思います。  それからもう一つは、最近の国内の製塩業者、それと従業員の数、大体の採算状況、それから、国内塩を外塩一本にするというようなことがもしあるとすれば、どういうふうな措置が必要か、こういう辺について、文書で意見を出してもらいたいと思います。これは縦横検討いたしまして、そして日本の専売制度そのものと、塩の輸入、国内塩との経済的諸関係、それから業者関係並びに財政制度の面から専売益金の歳入、そういう面からも検討したいと思いますので、いま述べましたような数点を、文書で出していただくよう、ひとつ委員長お取り計らい願います。よろしゅうございますね。
  163. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 専売公社、よろしゅうございますね。  華山親義君。
  164. 華山親義

    ○華山委員 会計検査院にお聞きいたしますけれども、あなたのことばは非常に重大な問題を持つと思う。会計検査院検査した結果、発見できなかったということと、そういう事実はありませんでしたということでは、非常に違う。発見できませんでしたと、こういうふうに私は了解してよろしゅうございますか。
  165. 佐藤三郎

    佐藤会計検査院説明員 私どもの検査した範囲においては、そういう事実は見つかりませんでしたと、こう申し上げたつもりでございます。
  166. 華山親義

    ○華山委員 見つかるようなことは、有能な、ああいうことをやる専売局の職員ですから、やるはずがありませんがね。  それから、もう一つ総裁に伺いますけれども、あなた、総裁は衆議院議員とおっしゃったけれども、衆議院に専売局から人が出たって当選しないのです。問題は全国区の参議院だ。衆議院に出たかったから安心だ、そんなことではだめです。  それから申し上げますが、立候補することは各人の自由ですから、総裁はとめることはできないと思いますけれども、専売局においてああいう不祥事件を起こしたのであるから、管理者のような立場にある人は、またこの次の参議院選挙全国区には立たない、そのくらいの考えが幹部諸公にあっていいと思う。また自由を拘束するわけにはいかぬでしょうけれども、その程度のリードは、総代としておやりになってしかるべきだと私は思うのでございますけれども、いかがでございますか。
  167. 東海林武雄

    ○東海林説明員 いま、立候補するかどうかということは各人の自由とおっしゃいましたけれども、そのとおりなのでありまして、私が申し上げておるのは、選挙違反のことは衆議院の選挙のときもなかったと、こう申し上げたのでありまして、これは参議院選挙の場合ももちろんなくする、こういう意味で申し上げたのであります。したがいまして、いまのは、これからどういう人が立候補するかどうか知りませんけれども、それは私は、立候補するならば正々堂々とやってもらいたいということで、公社といたしましては、あくまで正しい行き方をしたい、こういうことなんでございます。その点ひとつ御了承願いたいと思います。
  168. 華山親義

    ○華山委員 私は、選挙違反の問題じゃないと思う。とにかく専売公社として、組織的な選挙運動は、それが選挙違反であろうとなかろうと、私は悼むべきだと思う。この前の参議院選挙でああいうことがあったのですから、組織的なことは一切やらないんだ——選挙違反でなければ組織的なことをやってもいいということじゃないと私は思う。その点、組織的なそういうことはやらない、やらないようにさせる、こういうことをひとつ明白にしていただきたい。
  169. 東海林武雄

    ○東海林説明員 非常にむずかしいお尋ねでありますが、その選挙に関する以外のことでは組織的なことをやらないということを、広範囲におっしゃるのでございましょうか、いかがでございますか。
  170. 華山親義

    ○華山委員 たとえば、先ほどのお話にあった小売り店の指定であるとか、いろいろな問題があるわけです。令は使わなくても、専売局の職員が小売り店をつかまえていろいろ連動をさせてみたり、そういう専売局をあげての、専売局全体としての組織的な運動は、私は慎むべきではないか、こういうことを申し上げたのです。
  171. 東海林武雄

    ○東海林説明員 そればよくわかりました。そういうことは絶対に慎むようにいたしたいと思います。
  172. 華山親義

    ○華山委員 それから一点だけ聞いておきますが、原価計算、そういう意味から申し上げるのでございますけれども、葉たばこの収納費、それから製造費、その中に賃金もあると思いますが、質金は別計にして、それから管理費、その中には減価償却費、また利子等があればそういうものも入ると思いますが、そういうふうな管理費、それから専売局から出て小売り人に至ってそして消費者に入るまでの販売費、そういうふうな分析は、調べれば私はわかるのかもしれませんが、おありでしょうか。
  173. 遠藤胖

    ○遠藤説明員 ただいまその数字を申し上げるわけでございましょうか。
  174. 華山親義

    ○華山委員 パーセンテージでわかりませんか。
  175. 遠藤胖

    ○遠藤説明員 四十年度のものでございまして、いま御指摘のほど整理された詳しいものではございませんが、売り上げ高——全体のたばこの量でございますが、売り上げ高を一〇〇といたしますと、いわゆる製造原価が二九%、その売り上げ原価の中に含まれておりまする労務費、これは売り掛けの数字ではなしに、売り上げ高の一〇〇に対して三・一%、それから販売費及び一般管理費は四・八%、それからその販売費及び一般管理費の中に含まれております給与が、売り上げ高に対しましては一・八%、大体大ざっぱに言ってそんなようなことであります。
  176. 華山親義

    ○華山委員 全部合わせると一〇〇%になるのですか。
  177. 遠藤胖

    ○遠藤説明員 さようでございます。あと残りは専売益金なり消費税なりといったものはございます。売り上げ原価と販売費及び一般管理費の数字だけ抜き出して申し上げました。
  178. 華山親義

    ○華山委員 あとでまた御相談申し上げまして、私のほしい資料を申し上げます。  総裁にお尋ねいたしますが、いまのような分析の表が出てくるわけだと思いますけれども、これはいろいろな面で、製造原価なりまたそういうふうなものを少なくするということは、これは企業体として当然なことだと思うのです。現在総裁に御就任になって、企業のエキスパートでもいらしたわけですから、お気づきの点があろうかと思いますけれども、どういう点を圧縮すればもっと企業化されるのか、ひとつどうお考えになりますか……。
  179. 東海林武雄

    ○東海林説明員 原価構成の中で、原料費、材料費、労務費、その他がございますが、製造のほうから申しますと、最も大きな要素は原料費であります。原料費の中でむだになっておりますものが相当ありまして、このロスを少なくするということが大きくあらわれてきております。もしくはそういうようなロスになりましたものをさらにそれを原料にしまして、シートたばこをつくるとか、そういうことは研究の段階でありますが、そういうものが非常に減ってきておりますから、千本当たりのそういうような原価計算上あらわれた数字を見ますと、十年間の推移を見ましても、相当に減っておるということは言えるのじゃないかと思います。同時に製造のほうから申しますと、製造の工程が非常に合理化されてきましたために、その能率が上がっただけ、非常にいろいろな面で各単位とも下がってきておるということが、数字によって明らかにされております。
  180. 華山親義

    ○華山委員 今後の御方針は、原価を圧縮させるためにはどういうところに重点を置かれておやりになるつもりですか。
  181. 東海林武雄

    ○東海林説明員 いま申し上げたように、原料費、材料費、それから労務費は、これは賃金を下げていくという意味ではございませんが、合理化によって、人手がいままで十人かかったものが八人でできるとか、そういうような画でのことをやっていきたい。材料費にいたしましても、これはまだまだ改良の余地があろうかと思います。その項目全般についての合理化をもっと進めるということで、原価の軽減をはかりたい、かように考えております。
  182. 華山親義

    ○華山委員 葉たばこの買う値段、これと米の買う値段、そこに生産費、これにつきましては問題がないと思うのでございますけれども、どういう点が根本的に違いますか。
  183. 東海林武雄

    ○東海林説明員 米の生産費のことは先生御承知のとおりだと思いますが、葉たばこの場合は、生産費の補償方式をとっておるということでございまして、米と違う点は、所得の補償はしておらない、その方式はとっておらないという差でございます。それから賃金の見方が違っております。大きな点は、この都市の賃金の平衡賃金を見るか、地方の平衡賃金を見るか、その差かと思うのでございますが、大きなところはその二つの点じゃないかと考えられます。
  184. 華山親義

    ○華山委員 ちょっとおっしゃることがわからないのですがね。そうしますと、長くなりますからあれですけれども、要するに生産費、これは物財ですから、米だってたばこだって同じだと思うのですよ。これは補償していらっしゃると思う。そうしますと、農民の労働に対する補償、これが所得補償、この点が違う。その違う点はどこかというと、米は都会の労働者なり、葉たばこはその地方の人なり、こういうことですか。
  185. 大塚孝良

    ○大塚説明員 ただいま兼山先生がおっしゃったことでよかろうと存じますが、家族労働費と生産費の場合には、米の場合でも、農村基準賃金で計算いたしておると存じますが、それを価格に算定いたしますときに、都市均衡労賃に置きかえておると思います。その点が一番大きな相違だと思います。
  186. 華山親義

    ○華山委員 米のやり方と葉たばこのやり方が違うというのは、どういうところから出てきておるのでしょうか。
  187. 大塚孝良

    ○大塚説明員 たばこの値段につきましては、たばこ耕作審議会の議を経てきめなければならぬと専売法にきめてございます。それで三十三年以来——これはそのときに専売法が改正になりまして、それ以来、たばこ耕作審議会の議をいつも経て、その答申どおり決定をいたす。その間におきまして、生産者代表からしばしば米と同様の所得補償方式をとれという御意見がございまして、三十六年の十二月に、耕作審議会として、その問題について、農政を基本的に審議する機関にかけてはどうかという建議がありました。それに従いまして、公社といたしましては、農政審議会にお願いしたわけでございますが、農政審議会のほうでは、非常にお忙しいと見えまして、なかなか手をおつけになっていただけませんでしたので、耕作審議会の委員さんともおはかりいたしまして、公社の総裁の諮問機関といたしまして、三十八年の六月に臨時葉たばこ調査会というのを設置いたしまして、主としてたばこに所得補償方式を採用するかどうかということで御審議願った。それで約一年半、二十六回にわたりまして御審議をいただいた結果、答申を三十九年の十一月にいただいております。その結論は、財政専売をしている葉たばこの場合には、政策的価格はとる論拠に乏しいというお答えでございまして、ただ、それまでのやり方等は、予示価格でございますにもかかわらず、収納時点におけるところまで見てないから、その辺を直せというような御意見がございましたので、その辺を改めて、現在の算定方式を四十年度作からとった次第でございます。
  188. 華山親義

    ○華山委員 沿革はよろしいのですけれども、専売局は専売局としての御方針があると私は思うのであります。その点について一点だけ申し上げておきますけれども、農業基本法は、農民の所得と他の産業の所得が格差かあってはならない——そういう農業基本法の精神にのっとるならば、政策というものを葉たばこに入れてはいけないというふうなことは私は了解できない。農業基本法にそう書いてあるのです。そうであるならば、他の産業に従事する者との所得の格差をなくすということが農業基本法のもとなんですから、そういう考え方からいくならば、私は、米と全く同じではなくとも、同じようなものの考え方でいかなくちゃいけないのじゃないか、こういうふうに思いますが、その点につきましてどうお考えになりますか。
  189. 大塚孝良

    ○大塚説明員 農業基本法の精神というものは、おっしゃるとおりだろうと存じますが、適正なる収益というものは、必ずしも一日当たり労働報酬だけではなしに、全体の粗収入なり、家族労働の報酬の大きさというものも相当関係してまいると存じますので、その点は、たばこにつきましては、他の農産物に比しまして、必ずしも均衡を失われていない価格が現在とられていると存じます。
  190. 華山親義

    ○華山委員 議論をするわけではございませんけれども、これは独占価格なんです。政府のきめる価格なんですよ。政府のきめる価格が、どうして農業基本法の精神にのっとれないのか。流通過程において、そしてその価格が他産業に従事する人の所得と均衡しないということはあり得ても、国の定める独占的な収納価格なんです。そうしたならば、農業基本法の精神にのっとって変えるということは、私はあたりまえのことだと思う。その点、ひとつ、総裁は農政の大家でもいらっしゃらないからあれだけれども、どういうものですかね、私はわからない。とにかく政府の買う価格なんですから、政府のきめた農業基本法にのっとるのは当然だと思うのです。これはおえら方を集めてそういうふうにおきめになったのだから、これでいいのだというふうに言われれば、私は別にどうということはないのですけれども、ほんとうに反省してごらんになる必要が私はあると思う。いかがなものですか総裁、ちょっと無理かもしれませんが、ひとつお答え願えませんか。
  191. 東海林武雄

    ○東海林説明員 先生御指摘のとおり、私は農政のほうは一向不案内でございまして、いま申し上げましたのは、臨時葉たばこ調査会の、これは二十六回会合を重ねておりますが、その結論をいま申し上げて、それをやっておりますけれども、まあこれは課題にしていただきまして、私もひとつ勉強させていただきたいということで、御勘弁願いたいと思います。
  192. 華山親義

    ○華山委員 どうもたいへんおそくまでありがとうございました。      ————◇—————
  193. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についておはかりいたします。  すなわち、国が資本金の二分の一以上を出資ししている法人の会計に関する作中、社会福祉事業振興会調査のため、参考人として、関係者の出頭を求め、その意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  194. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。  なお、参考人の出頭日時及び人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  195. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。  次会は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。    午後六時十五分散会