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1967-06-13 第55回国会 衆議院 決算委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年六月十三日(火曜日)    午前十時三十二分開議  出席委員    委員長 鍛冶 良作君    理事 吉川 久衛君 理事 小峯 柳多君    理事 小山 省二君 理事 白浜 仁吉君    理事 高橋清一郎君 理事 佐藤觀次郎君    理事 華山 親義君 理事 吉田 賢一君       阿部 喜元君    丹羽 久章君       村上信二郎君    中村 重光君       安井 吉典君    浅井 美幸君  委員外出席者         会計検査院事務         総長      宇ノ沢智雄君         会計検査院事務         総局第一局長  斎藤  実君         会計検査院事務         総局第二局長  井上  鼎君         最高裁判所事務         総長      岸  盛一君         最高裁判所事務         総局総務局長  寺田 治郎君         最高裁判所事務         総局家庭局長  細江 秀雄君         専  門  員 池田 孝道君     ————————————— 六月九日  委員葉梨信行君辞任につき、その補欠として大  野明君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和四十年度一般会計歳入歳出決算  昭和四十年度特別会計歳入歳出決算  昭和四十年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和四十年度政府関係機関決算書  昭和四十年度国有財産増減及び現在額総計算書  昭和四十年度国有財産無償貸付状況計算書  (会計検査院所管裁判所所管)      ————◇—————
  2. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 これより会議を開きます。  昭和四十年度決算外二件を一括して議題といたします。  この際おはかりいたします。  裁判所所管決算審査に関し、国会法第七十二条の規定による最高裁判所長官の指定する代理者から、出席説明要求がありました場合は、その承認に関する決定につきましては、その取り扱いを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。  本日は、会計検査院所管及び裁判所所管決算について、審査を行ないます。  まず、当局から、順次その概要説明を求めます。宇ノ沢会計検査院事務総長
  4. 宇ノ沢智雄

    ○宇ノ沢会計検査院説明員 昭和四十年度会計検査院所管一般会計歳入歳出決算の大要を御説明申し上げます。  会計検査院主管歳入につきましては、予算額百八十七万二千円に対しまして、収納済み歳入額は百九十八万六千五十五円であり、差し引き十一万四千五十五円の増加となっております。  収納済み歳入額増加のおもなものは、公務員宿舎貸し付け料四万三千百四十七円、雑収五万八千六百十一円であります。  次に、会計検査院所管歳出につきましては、当初予算額十三億九千七百二万円に、前年度からの繰り越し額二千九百九十一万七千円、給与改善に伴う予算補正追加額四千八百三十万五千円を加え、これから、節約による既定経費減少六百二十二万三千円を差し引いた予算現額十四億六千九百一万九千円に対しまして、支出済み歳出額は、十三億九千七百万五千九百三十七円であり、その差額は七千二百一万三千六十三円となっております。  この差額のうち、翌年度に繰り越した額は七千百八十一万六千円であり、不用額は十九万七千六十三円であります。  支出済み歳出額のうちおもなものは、人件費十億二千四百七万五千円、検査旅費八千六十八万五千円、物件費六千四百十四万四千円、庁舎等施設費二億二千三十三万八千円となっております。  不用額となったおもな経費は、人件費であります。  以上、はなはだ簡単でございますが、会計検査院所管昭和四十年度一般会計歳入歳出決算について御説明申し上げました。  よろしく御審議のほど、お願いいたします。
  5. 鍛冶良作

  6. 岸盛一

    岸最高裁判所長官代理者 昭和四十年度裁判所決算概要について御説明申し上げます。  昭和四十年度裁判所所管歳出予算額は、二百七十八億二千七百三十万三千円でございましたが、右予算決定後、さらに八億七千三百六十万三千円増加いたしまして、合計二百八十七億九十万六千円が、昭和四十年度歳出予算の現額でございます。  右増加額八億七千三百六十万三千円の内訳は、予算補正追加額として五億四千二百八十万三千円、大蔵省所管から移しかえを受けました金額三億六百六十二万七千円、昭和三十九年度から繰り越しました金額二千四百十七万三千円でございます。  昭和四十年度裁判所所管支出済み歳出額は、二百八十三億六千六百九十三万九千九百三十四円でございまして、これを右歳出予算現額に比べますと、三億三千三百九十六万六千六十六円減少しております。  この減少額のうち、翌年度に繰り越しました金額は、二千九百二十八万四千四百円でございまして、全く不用となりました金額は、三億四百六十八万一千六百六十六円でございます。  この不用額内訳は、裁判所職員俸給手当等人件費二億六千三百十三万五十円と、その他の経費四千百五十五万一千六百十六円とでございます。  なお、このほかに、大蔵省所管から移しかえを受けました国庫債務負担行為限度額が一億三百四十五万六千円ございまして、実際に負担いたしました債務額は、一億三百四十五万五千九百円でございますが、右債務額は、全額翌年度に繰り越しました。  次に、昭和四十年度裁判所主管歳入予算額は、一億三千百二十七万七千円でございまして、昭和四十年度収納済み歳入額は、一億六千二十二万二千五百二円でございます。  この収納済み歳入額を、右の歳入予算額に比べますと、差し引き二千八百九十四万五千五百二円の増加となっております。この増加額は、公務員宿舎貸し付け料及び保釈保証金等没取金増加相続財産相続人不存在のため国庫帰属となった収納金等収納がおもなものでございます。  以上が、昭和四十年度裁判所歳出及び歳入決算概要でございます。よろしく御審議のほどをお願いいたします。
  7. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 次に、会計検査院当局より、以上の各決算について、検査概要説明を求めます。斎藤会計検査院第一局長
  8. 斎藤実

    斎藤会計検査院説明員 昭和四十年度会計検査院決算につき審査いたしました結果は、特に不当または違法と認めた事項はございません。
  9. 鍛冶良作

  10. 井上鼎

    井上会計検査院説明員 裁判所昭和四十年度決算につきまして検査いたしましたところ、特に違法または不当として御報告申し上げることはございません。以上でございます。
  11. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 これにて説明の聴取は終わります。     —————————————
  12. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 これより質疑に入ります。  質疑の通告がありますので、これを許します。小峯柳多君。
  13. 小峯柳多

    小峯委員 会計検査官がいま一人欠けておりますね。このことからくる、実際的にも、また法律的にも、たいへん私は不都合が生じているんじゃないかという感じがするのであります。検査官会議というものは、正式には構成されないはずであります。また対外的な職権というものも、したがって、正式には行なわれ得ないのじゃないかというような感じがするのですが、検査官が欠けていることからくる、実際的な、また法律的な不便、欠陥というものをどういうふうにお考えになっておるか、お伺いしたい。
  14. 宇ノ沢智雄

    ○宇ノ沢会計検査院説明員 御指摘のように、ただいま本院では、塚越前院長が五月二十二日付をもって退官されまして、現在検査官が二人となっておるわけであります。私たちといたしましては、できるだけ早い機会国会のほうの御承認をいただいて、内閣から後任検査官が任命されることを期待しておるわけでございます。  検査官は三人でございまして、三人をもって検査官会議を構成するということから考えまして——三人と申しますのは、合議体としては最小限度の数じゃないかと思います。このうちの一人が欠けておりますということで、また特に、検査官が任命されないために、互選でもって選任されることになっております院長がまだきまらないというようなことで、対外的にもちょっと妙なことになっております。  しからば実際の事務はどうかということでございますが、検査官会議に付議しなければならない事項は、それぞれ法律によって規定されておるわけでございまして、ただいまのところ、早急に検査官会議の議を経なければならないという緊急差し迫られておるものはございませんので、その点は、何とか後任検査官が任命されることを実は待って、その上で会議にかけるということに相なるかと思うのであります。実際の検査事務は、これは検査官の指揮、監督はございますけれども、事務総局でもって検査執行をしておるということでございまして、検査業務といたしましては、別に現在差しつかえているという実情ではございませんけれども、先ほども申し上げましたとおり、三人の検査官のうち一人が欠けておるということは、これは正常な状態ではございませんので、できるだけ早い機会に、国会の御承認を得た上で、内閣のほうから正式に任命していただきたい、かように考えております。
  15. 小峯柳多

    小峯委員 検査院長というのは、実際上の職権というものより、むしろ対外的な、儀礼的なものですか。また、いまだれが検査院長職責というか、そういう必要な場合には代行しているのですか。
  16. 宇ノ沢智雄

    ○宇ノ沢会計検査院説明員 検査院長職責といたしましては、検査官会議議長となっております。それからもう一つには、各省、各庁の長としてやる仕事がございます。これはたとえば財政法にいう各省、各庁の長でございますが、現在、先任者の山崎高検査官が、院法規定によりまして、職務代行ということで、院長職責を遂行しております。  それから、ちょっと申しおくれましたが、二人ではたして検査官会議が構成されないかどうかというような面については、これまたいろいろな御意見があるかと思いますが、正式に法制局なりその他の見解をお聞きしたわけではございませんが、二人でもいいのではないかというような御意見もございますので、その辺は実ははっきりいたしませんが、少なくも重要な事項につきましては、やはり三人の検査官がそろったところで会議を開いて決定するのが、少数合議制のたてまえからいたしましても妥当じゃないか、かように考えております。
  17. 小峯柳多

    小峯委員 検査院法規定にははっきり三人と書いてありますね。ですから、いまあなたのおっしゃったように、いいのかもしれない、というふうなあいまいなことではいけないのではないかと思います。  それからまた、事実前段の御答弁の中にも、検査官がそろうまで検査官会議を延ばすというか、見送るような意味の御答弁があったように記憶するのですが、実際問題としてやはりお困りになるのじゃないですか。また二人でやっていいのかどうかという問題も、事務総長としてはきちんときめる、いいのかもしれないでは、私は事務的にたいへん怠慢だと思うのですが、どうですか。
  18. 宇ノ沢智雄

    ○宇ノ沢会計検査院説明員 ただいまの点でございますが、実はかつても院長がやめて、後任検査官が任命されないでおったことがあるわけでございます。その際も、三人そろわなければ検査官会議が構成されないのではないかということは、私の記憶では、そう議論に——そのときは検査官会議にかけるような重要事項のなかったことも関係しているのかもしれませんが、先輩の著書などを見ましても、二人でも成り立つのではないか、もしかりに二人では成り立たぬのじゃないかということであれば、後任検査官が長期にわたって任命行為がないというような場合には、検査院機能は一時ストップするというような事態も生ずるので、この点は解釈上、二人でもいいのではないかということでございます。先ほど申し上げましたように、現在緊急に検査官会議を開いて決定を願うような事項はないので、かねて検査のほうは事務総局責任を持って遂行しているということでありますので、実際の事務の運営としては差しつかえない、かように考えます。
  19. 小峯柳多

    小峯委員 私は、会計検査院というのは、行政綱紀を正す元締めみたいに考えておりますから、あいまいないまの発言がありましたが、あいまいな態度ではいかぬと思います。それで、いまのあなたの御答弁のままだとすれば、二人でも、実際問題としてはやっていけるというような感じを受けます。  そこで、検査官会議にかけなければならない事項というのは、どういうことですか。
  20. 宇ノ沢智雄

    ○宇ノ沢会計検査院説明員 それは法律にございます。
  21. 小峯柳多

    小峯委員 おもなるものを少し列挙してください。
  22. 宇ノ沢智雄

    ○宇ノ沢会計検査院説明員 たとえば、検査官会議で決議する事項とは、検査報告に掲記する不当事項とか出納職員弁償責任の検定に関する事項とか院法の三十六条、三十七条によって改善意見表示する場合とか、そういったようなものでございます。そのほか決算確認、総決算確認をする場合ですが、検査報告に掲げる。十一条に検査官会議事項がきまっておりますが、「会計検査院規則の制定又は改廃」、それから「検査報告」、それから「検査を受けるものの決定」、これは補助団体とか出資団体について、これから検査をするという場合の指定でございます。それから「計算証明に関する事項」、それから「意見表示又は処置要求」とか「予算執行職員等責任に関する法律第九条第五項の規定による意見表示」、大体そういうものであります。
  23. 小峯柳多

    小峯委員 事務総長の御見解だと、二人でもやっていける、したがって現状でも仕事には差しつかえがきていないとお考えですか、それとも実際上お困りになっているのか、どうなんですか。
  24. 宇ノ沢智雄

    ○宇ノ沢会計検査院説明員 ですから、先ほども申し上げましたように、検査の現在の段階では、そう検査ができないとか、あるいは検査をこれでやめなくちゃいかぬという事態は起こっておりませんので、検査のほうは平常どおり業務を遂行しておりまするけれども、先ほどもちょっと申し上げましたように、三人と申しますのは、合議制としては最小限度の数ではなかろうか、こういうふうに考えておりまするので、少なくとも検査官会議にかけなくちゃならぬと法律規定されておるような事項につきましては、やはり三人の検査官がそろったところで会議にかける、それが検査院法の趣旨から見て妥当ではないか、かように考えておるわけであります。
  25. 小峯柳多

    小峯委員 もうくどくはあれしませんが、二人でもいいという解釈が成り立ちますと、ちっとも差しつかえないように思うのですが、どうなんですか。
  26. 宇ノ沢智雄

    ○宇ノ沢会計検査院説明員 その点は、私個人見解を申し上げたので、こういう公の席上で個人見解ということで、はなはだ不見識のそしりを免れないかもわかりませんけれども、はたして法律的に成り立つか成り立たないかという点につきましては、そこまで実は詰めて考えてみませんでしたので、なお、この点は十分今後検討してみたいと思います。  ただ、念のために申し上げますが、たとえば公正取引委員会とか、人事院も同じでありますが、それから国家公安委員会というような場合も、規定の書き方は違いますが、やはり、人事院は三人の人事官をもって組織する、それから国家公安委員会なんかの場合も、委員長それから五人の公安委員をもって組織する、公正取引委員会においても用語は同じであります。実際のほうがどういうふうなことをやっておるか聞いてみませんでしたけれども、いろいろな人事院あるいは公取あたり規定をざっと見たところでも、やはり読んだ感じ——感じじゃはなはだ恐縮なんですが、読んだところでは、一人欠けても会議は成立するんじゃないかというふうな、そう思われるような規定もございますので、そういうことからかね合わせて、二人でも、軽微なものについては、合議決定しても差しつかえないのではないか、かように考えております。会議ではございません。合議でございます。
  27. 小峯柳多

    小峯委員 私的な見解などとおっしゃっておりますが、もあ少し、事務総局としては固めておく必要がある。そうでないと、先ほど申し上げたように、会計検査院というものは、行政綱紀元締めのようなものでなければならないと考えておりますから、それを扱っているところがあいまいな態度ではいけないと思います。少なくとも、事務総局ではこういう見解です、というくらいなことをおっしゃっていただけるような御勉強があってしかるべきだと思います。この問題は、ひとつこれで見送りましょう。  書面検査をやる。実地検査の結果、いろいろの不当事項だとかなんかを皆さんのほうで指摘しているようですが、文書質問しているケースも非常に多いですね。昭和四十年度の、文書質問、それに対する回答受理という件数を調べてみると、昭和四十年度で八千二百六十七件の質問書を出して、回答受理したものが九千八百八十六件、これは質問書よりも回答受理のほうがかなり多いのです。四十一年度になりますと、質問を出したものが七千八百二十一件で、回答受理したものが六千二百七十六件というように、かなり減っております。こういうふうに、年によって、質問を出したものに対する回答の多い年、質問を出したものに対する回答の少ない年、変化があるのですが、私ども中身のことはよくわかりませんが、こういう変化は何によって生じているのでしょうか、その点ひとつ伺いたい。
  28. 宇ノ沢智雄

    ○宇ノ沢会計検査院説明員 なるほど御指摘のように、質問件数が四十年度は八千二百六十七件に対しまして、四十一年度は七千八百二十一件、約五百件近く減っておるわけでございますが、これ、内容を分析してみないとちょっとここで正確なことを御答弁できませんが、いわゆる補助関係が、四十年度検査報告をごらんになっていただいてもおわかりのように、四十年度は、三十九年度あたりから比べてずっと減っておりますが、四十一年度につきましても、あるいはその辺の経理が改善されて、実地検査の結果による発見数が減っておるのではないか。これは、いまこまかい資料を持っていませんので、なんですけれども、要するに、不当なといいますか、疑問を抱くような事項が、検査の結果減ってきたということに基因するものだ、かように理解しております。
  29. 小峯柳多

    小峯委員 私の質問をあなた取り違えている。ぼくはそう聞いているのではない。質問に対する回答の多いのが四十年度質問に対して回答が非常に減っているのが四十一年度、そういう食い違いが何でできているのか。質問に対して非常に回答が多いときには、再質問といいますか、何かそのようなことで御注意でもしているのか、少ないときには口頭で答弁でもいただいているのか。なぜそういうふうになっているか……。
  30. 宇ノ沢智雄

    ○宇ノ沢会計検査院説明員 御質問を勘違いいたしまして、恐縮いたしました。  これは、実は整理を暦年でやっておる関係で、承知のように、質問しましても、回答が二カ月も三カ月もおくれるものがございますのです。それですから、質問回答がその年度に来ませんで、ずれてあとから来るというようなことになりますと、したがって、ここでいいますと、かりに四十年の一月から十二月に質問したものが八千二百六十七件、ところがこの回答にある九千八百八十六件といいますのは、これはおそらく、三十九年度に発見したものの中で、四十年の一月か二月ごろになってどっと来たものもあるいはあるのではないだろうか、そうした関係だろうと思います。なお御疑問でございましたら、後ほどこの関係はまた調査いたしまして、御報告いたしたいと思います。
  31. 小峯柳多

    小峯委員 私は、千五百件も減ったりふえたりしているものだから、これは、質問されたら、会計検査院からぴりっとしたところがなければならぬように思うもので、特にこういう質問をしたわけです。おくれてもいいんだ、年度を越してもいいんだというようなことでは、あなた方のように手の少ないところで会計検査をやる場合には、やはりぴりっとしたものが通っていなければいかぬのじゃないか。最初の質問といい、いまの御答弁といい、私はわりあいに大まかにやっているような感じがするのですが、事務総長、どうですか、そういう感じはありませんか。
  32. 宇ノ沢智雄

    ○宇ノ沢会計検査院説明員 その点は、そういうことは絶対ございません。これは照会回答ということじゃなくて、普通の毎月定期に出していただく証拠書類あるいは計算書などにつきまして、毎月具体的に、どこの官庁がいつの期限までに提出しなければならないもので現実に来ていないものが、計算書については何冊、証拠書類については何冊、それで、その期限に来ないものは、一応近傍のものは電話なり、遠方のものは書面によって終始督促をしております。部内の書類整理といたしましても、これは私のところまで、そういったものの証明条件の遅延の状況がわかるようなものはあがってきておりますので、その点は、なるほど先生おっしゃるように、非常におくれておるようにお考えになるのはごもっともだと思いますが、こういった点については十分注意して、関心を払っております。
  33. 小峯柳多

    小峯委員 もう一つ、それに関連したようなことなのですが、国の債権の中で、債務者の所在が不明であったり、あるいは強制執行をしても収納ができない、そういうものもあわせて、三十八年度が七億円、三十九年度が八億円、四十年度が十一億円、年々これがふえておるわけでございます。  そこで、検査院としては、こういうふうなものの実態を、全部というわけにはいきませんが、その問題の中に少し突っ込んでお調べになっているようなことをしておるか、それとも、それぞれの原局で、担当の官庁で、しかたがないのですと言うと、そのままあなたのほうでも、しかたがないんだというふうに見ておるのか。ちょっとお答えしにくいんじゃないかと思いますけれども、その実態、実際どういう検査をしているか。国の債権で回収不能におちいったものの額がだんだんふえておりますから、その点お伺いしておきたいと思います。
  34. 宇ノ沢智雄

    ○宇ノ沢会計検査院説明員 その点は、書面といたしましては、そういったようなものの現在額は毎年報告になりますので、それにつきまして確認すると同時に、実地検査等に参りました場合には、それがいかなる理由で、そういう債権が焦げつきになっておるか、所在不明のものについては、一体どういう実情なのか、あるいは徴収を一時停止をしているものについては、どういうわけで一時停止をしているのかということは、検査の上では十分に見ておるのが実情でございます。
  35. 小峯柳多

    小峯委員 それでは、当該官庁がこれはしかたがないと認めたものの中で、あなた方が検査をして、必ずしもそうじゃないというふうに発見したものがありますか。この三年度についてどうですか。
  36. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 あなたでなくて、ほかに係の者がおるなら、やられてよろしいですよ。
  37. 宇ノ沢智雄

    ○宇ノ沢会計検査院説明員 その点、私まだそういうものについての報告を聞いておりませんので、いずれこれも調査いたしまして、御報告申し上げたい、かように思っております。
  38. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 だれか、会計検査院で来ておられる方で、そういうことを取り扱っている方がありませんか。あったらお答えくださってけっこうです。——なければしようがない。
  39. 小峯柳多

    小峯委員 それは調べてみてください。私は、一つでも二つでも、やはり原局の見ているものと違うというものがあれば、会計検査院機能というものがかなりものを言っておるような感じがするのです。そうでなしに、おっしゃられたことが、さようごもっともでございますということになると、検査院としての機能というものが、何かそこにもうちょっと突っ込みが足りぬと思うのです。これは全部はできないだろうと思いますけれども、何か一つ抜き出して、そういう取り組み方をしたほうが、会計検査院の権威というものが上がりはしないかという感じがするものですから、こういう質問をするわけであります。  それから、四十年からの検査報告の中に、留意事項というのが取り上げられているんですね。不当事項のほかに留意事項、これは御注意ください、こっちが不当事項として指摘するまでもありません、というような程度のことだと思うのですけれども、そういう留意事項に関する計数の説明が、この検査報告の中に非常に少ないように思う。やはりあなたのほうから見て、留意しなければならぬものだと思えば、少なくとも計数的なものはやや具体的に書いていただきませんと、決算委員会で取り上げる場合でも、私は意味をなさないように思うのですが、どうですか。
  40. 宇ノ沢智雄

    ○宇ノ沢会計検査院説明員 御指摘の点につきましては、今後できるだけ計数的な説明もいたしたいと考えております。ただ、検査報告をごらんになってもおわかりになりますように、留意事項の中で、たとえば補助金につきまして、府県からさらに市町村に流れる間接補助金、これの行き方が非常におそいじゃないか、県に滞留している時間が長いじゃないか、こういうものにつきましては、滞留した金額その他は、あげろとおっしゃられれば、あげることもできるかと思いますけれども、これがはたしてどのくらいの国損になるかどうかというようなことになりますと、そこまでは私たちとしてはなかなかっかみにくいというようなことで——これは御説明にならぬかとも思いますけれども、そういうようなこともございますけれども、御趣旨の点ごもっともなので、できるだけ計数など、はっきりできるものはいたしまして、検査報告に掲記したい、かように考えております。
  41. 小峯柳多

    小峯委員 私は、いまの場合でも、金額があると、そのことによって事業がどのくらい停滞をするかということの判断になろうと思うのです。ですから、あなたのほうだけで御注意になっておって、これは留意事項だということでなしに、私どもも多少公共事業というのは知っているつもりですから、ははあ、このくらいかかっておってたいへんだなという気がするのです。正直なところ、決算委員会というところは、あなた方の検査報告を中心に審議するのですから、ごめんどうでも、そういう点は具体的にお書きくださったほうが、私どものためにもなりますし、またあなた方の職責としても、そのほうがベターじゃないかと思いますので、お気をつけ願いたいと思います。  それから、いろいろな面で随意契約というのがございますが、なぜ随意契約をしなければならなかったのだというふうな内容について、やはり検査を願っておりましょうか。
  42. 宇ノ沢智雄

    ○宇ノ沢会計検査院説明員 契約に関する書類につきましては、相当こまかくとっております。その中に、たとえば随意契約にした場合の理由、そういうようなものも付記されておりますので、そういうような点については、どうして本件は随意契約したかというようなことについて、検査しております。
  43. 小峯柳多

    小峯委員 私は決算委員の経験が浅いものですから、よくわからぬのですが、何となく数字に重点を置いていらっしゃって、そのよって来たるところに対する検査のしかたというものが少し薄いのじゃないかという——これは感じでございますから、質問になりますかどうか、そういう点が気がつくものですから、こんな点を申し上げておるので、いままで申し上げたことでも、根幹に入って、もう一皮めくってごらんになる、全部はできぬかもしれませんけれども、そういう精神でやると、私はもっと規律が立ってくるような感じがするものですから、こういう質問をしたわけです。  最後に一つ、このごろたいへん技術的な進歩があり、科学的な進歩があり、あなた方が御検査をなさる場合にも、専門の知識が要請されるのじゃないかと思うのですが、そういうことに対するあなた方の心がまえというか、準備というか、訓練というか、どうやっていらっしゃいますか。たとえば機械を一つ見ましても、建設機械を取り上げてみても、このごろのものはなかなか進歩がきわ立っておりますから、よほど勉強しておりませんと、機械の能率、機械の構造、そのよってきたる経済的な効果なんというものがおわかりにくい面がありはしないかと思うのです。原材料に関しても同じじゃないかと思うのです。そういう意味で、技術の進歩に伴う専門的な御勉強というものをどういう方法でやっていらっしゃって、どういうふうにその穴を埋めていらっしゃるか、その点を伺っておきたいと思います。
  44. 宇ノ沢智雄

    ○宇ノ沢会計検査院説明員 この点は、私たちとしましても、非常に悩みといいますか、常に検査上問題にしておるわけでございまして、これはひとり日本の会計検査院ばかりではなくて、諸外国の会計検査院においても、やはりこの問題は非常に重要な問題として、現在、この次の来年東京で開かれます国際会議の議題の一つにもなっておるわけでございます。現在本院としましては、何もかもひっくるめまして、技術者が、技術関係の知識を有する者が八十人、そのうち調査官、技術の知識を修得した者が四十五名ということで、なおこれでは不十分でございますので、年々そういったような専門の技術者を、一人でも二人でもいいからできるだけ多く採用したいということは心がけておりますけれども、現在の情勢ではなかなかそういう専門の技術者を採用することはむずかしい現情でございます。それで、できるだけ現在、技術の勉強をしてきた人を、またさらに大学なりあるいはそういった技術の専門機関のようなところへ委嘱しまして講習を受ける。あるいは事務官といいますか、技術の経験のない、そういう技術的な知識を学校で修得しなかった、単なる事務屋として採用したような人も、院内に入りましてから、機会あるごとに技術的な素養を身につけるような訓練はいたしておるわけでございますが、ただ非常に高度の技術になりますと、これはもう検査院としても、そこまではたして検査をやらなければいかぬのかどうかという限界の問題もあると思うのです。しかしそんなことも言っておられませんので、できるだけ、常識程度の技術については、職員全部がある程度備えるということが望ましいのじゃないかという意味で、研修などもその点には十分力を入れてやっているのが実情でございます。
  45. 小峯柳多

    小峯委員 専門事項に関しては、顧問を置くことができるという規定がありますね。これは活用なさっておりますか。
  46. 宇ノ沢智雄

    ○宇ノ沢会計検査院説明員 現在は顧問というものは置いておりません。ただ検査の過程におきまして、いろいろそういう技術的な問題について疑問が生じました場合には、謝金を出しまして、技術の研究所なりあるいはそういった専門の機関にお願いして、鑑定ということもやっていただいております。現在、顧問という制度は置いておりません。
  47. 小峯柳多

    小峯委員 私はこれで質問を終わりますが、だんだん御答弁いただいておって、何か少しマンネリズムになっておるのじゃないかという感じがするのです。これは私は新しい経験ですから、特にそう感じるのかもしれぬが、私は、もっと決算委員会というものも、会計検査院というものも、国の政治の中で重きをなさなければならないものだということを非常に強く感じております。あなた方、陣容も、正直なところそうたくさんの人を擁しておりません。むしろこういう質問をするのは酷かもしれませんけれども、その願いを強く感じますがゆえに、どうぞひとつあなた方も、何かぴりっとしたものを——会計検査院というものはマンネリズムじゃない、うっかりしているとやはりぴしっとやられるというようなもの、そういうものが中心で、決算委員会というものの権威が上がりますから、以上のような質問をしたわけで、どうぞ事務総長、特にあなたはお立場上、以上質問を申し上げたようなことに、きっぱりと信念を持ってお答えのできるように、心がまえ、御準備等、しっかりしていただきたい、このことを要望いたしまして、質問を終わります。
  48. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 華山親義君。
  49. 華山親義

    ○華山委員 会計検査院に伺いますが、会計検査院のほうでは、書面審理のほかに実地に調査されるわけでございますけれども、この実地に調査される割合といいますか、件数といいますか、そういうふうなものは、何か基準を持っておきめになったのか、あるいは現在の人員ではこれしかできないという、事実上の拘束があってやっていられるのか、どちらなのでございましょうか。
  50. 宇ノ沢智雄

    ○宇ノ沢会計検査院説明員 実地検査をどの程度やるかということにつきましては、やはり人員の制約もございます。それから実地検査旅費の制約もございますので、その辺から規制を受けることは当然でございますけれども、個所の選択とか、そういったものにつきましては、従来の実績とか経験というようなものを基礎にしまして、毎年具体的に、ことしはこの個所をこれだけ見る、ということで決定しておるような次第でございます。一ヵ所何万円以上の工事のものについては必ず見るとか、あるいは年予算額何億円の官署については必ず見るというような、きまった基準は別にございません。
  51. 華山親義

    ○華山委員 私の申し上げた基準というものは、この人員がこれだけだから、この中でこれだけのことをしようという、その点で拘束されるのか、会計検査院としては、もっとやるべきだというお考えがあるならば、もっと人員の増加要求してもいいはずのものだ。それで、現在の実地検査件数が少ないというふうにお考えになっているのか。それだったならば予算要求して、もっとたくさんやるべきだというふうにお考えになっているのか。その点の、ただどういうふうな基準なのかということをお伺いしているわけなんで、ただいま小峯委員の御質問の中にも、マンネリズムになっているのじゃないかというお話もございましたけれども、これだけの人数なんだからこれだけやっていこう、こういうことでは、私は、会計検査院の理想といいますか、理念がうかがえないように思うのですが、その点どういうふうにお考えになっておりますか。
  52. 宇ノ沢智雄

    ○宇ノ沢会計検査院説明員 その点につきましては、われわれも現在の検査で十分であるというふうには決して考えていないのでありまして、毎年、人員増加要求あるいは検査旅費の増額の要求というものを出しております。ただこれは、財政御当局のお考えもございまして、やはり検査院行政機関の一部でございますので、十分財政当局の意向もかね合わせまして、のめるところはのむということで、四十二年度予算につきましては、十名の振りかえ増をお願いして、課長も一人振りかえ増員をお願いしまして、やっておるようなわけで、決して現在の検査で十分だというふうには考えておりません。
  53. 華山親義

    ○華山委員 私は多いとか少ないとかいうことを言っているのじゃございません。理念というものがあっていいのじゃないか。こういうようなものは検査すべきだ、こういうものはどうするのだという理念に立って、そのためには人員が何人要るのだ、こういう理念が会計検査院にあっていいのじゃないか。ただばく然と十人とかいうふうなことでなしに、そういうふうな理念というものをお立てになって、そうしてそれに要する人員は何人要るんだ、というふうなことにならなければいけないと思うのでございます。その点はお答えいただかなくてもいいのでございますけれども、もっと、やはり会計検査院の権威のためには、検査すべき場所、そういうふうなものについて、一つの理想、理念があっていいのじゃないか、そういうふうに考えますが、いかがですか。
  54. 宇ノ沢智雄

    ○宇ノ沢会計検査院説明員 御質問の御趣旨を多少私誤解しておりました。実はその点につきましては、たとえば中央官庁については毎年検査を施行する。あるいは地方の部局につきましても、われわれのほうで甲部局と言っておりますが、比較的大きな部局、たとえば地方局というようなもの、鉄道管理局とかあるいは地方の専売局、あるいは裁判所関係で申し上げますと、高等裁判所といったような大きな部局については、必ず毎年やる。それ以外の、たとえば営林署、税務署といったようなものの中でこまかいものは、三年に一ぺんあるいは五年に一ぺんとか——しかしこれも、先ほど申し上げましたように、人員と予算というものに制約がございますので、必ずしもそのとおりとはまいらぬかと思いますけれども、予算なりあるいは人員なりがもう少し増加しますれば、その基準というものも多少変わってくると思いますが、大体そういうことで検査をやっております。
  55. 華山親義

    ○華山委員 たいへん、何か私の受ける感じがもの足らないのでございまして、もう少し理想、理念を掲げて、そして必要な人員は増員してでも、りっぱにやっていただきたいと思うわけでございます。  それにつきまして伺いますが、私は県におりまして、いろいろな検査を受けまた御指導を受けたことも長い間あったわけでございますが、その経験もまじるわけでございますけれども、ややもすると、きわめて遺憾なことでございますし、そんなことはあり得ないことだと私は信じておるのでございますけれども、会計検査の濃度が、地方に対して濃くて東京及び東京近郊に対しては薄い、こういうふうなことを聞くことがあるのでございますが、そういうことは、私はないと思いますけれども、どういうふうにこういう批判をお受けとめになりますか。
  56. 宇ノ沢智雄

    ○宇ノ沢会計検査院説明員 実は私ただいまそういうことを突然伺いまして、非常に異様に感ずるのでございますが、むしろ逆でございまして、東京近辺については、私たちは少なくとも地方の倍ぐらいの精力を費して検査をしておる、地方のほうが、東京近辺に比べては非常に検査の密度が少なくなっておるというふうに理解しておるのでございますが、先生が、どういうところからそういうことをおっしゃるのかわかりませんけれども、おそらく災害が非常に局地的にございまして、その査定とかなんとかに参りますときには、その関係で、回数が、特定の県、地方についてふえるというようなことはあるかと思いますけれども、ならしてみまして、ただいま申し上げましたように、地方に比べまして、むしろ東京近辺のほうが検査の密度は濃い、こう申し上げて差しつかえないと思います。
  57. 華山親義

    ○華山委員 私も、ことばを慎んで申し上げたつもりでございまして、そういうふうなことはあり得べからざることだとは思います。ただ、東京周辺あるいは東京近郊には、検査を受ける場所も多いわけでございますから、当然多いと思うのでございますが、私の申し上げましたようなことを言う人がございますから、そういうことは絶対にないのだというふうな適当な資料を御用意くださいまして、お示しを願えればありがたいと思います。  その次に伺いますが、これは県庁等におりまして私の体験したところでございますけれども、会計検査院のおいでになり方が、何かもう少し秩序よくおいでになれないものだろうか。それで、たとえばいろいろの課で、もちろん御所管がお違いになりますから、おいでになるのは当然のことでございますし、御指導も受けなければならないと思うのでございますけれども、極端なことを私はその当時言ったのでございますが、会計検査院検査官は、県なら県に二十日でも何でもずっといて、そしてその検査官が全部のことを見たらいいじゃないか、土木は土木、教育は教育、社会施設は社会施設、かわるがわるおいでになってやっておられる。これは私やむを得ないことかと思いますけれども、おいでになることについて、できるだけ県の仕事が平均になるように、あるいは一ぺんでそこで済むように、年がら年じゅうだらだらとして、会計検査院の応援にいとまがないというふうなことは、事務的にできるだけお避けになることはできないものでしょうか、伺いたいと思います。
  58. 宇ノ沢智雄

    ○宇ノ沢会計検査院説明員 その点につきましては、私のほうで毎年度初めに、実施検査に出ます際に、各局、各課ごとに、府県調整というものをいたしまして、どの局のどの課はいつからいつまでこの府県に行くということで、調整しておるわけでございます。そしてなるほど先生おっしゃるように、一ぺんに、土木も教育もそれから厚生もやったらいいじゃないかということで、かつて試験的に一、二の県についてそういうことをやった経験もございます。ところが、お互いにそれでは期間も長くなる。それから、これは手前がってなことを申し上げて恐縮ですが、私のほうの検査の部局の組織というものが、やはり各省別に分かれております関係もございまして、なかなかそこでまとまっていくということはいろいろな面においても支障がございます。それから、県のほうにおかれましても、日数もさることながら、一ぺんに済ますということになりますと、大ぜいの人間が一時に行かなければならぬということで、実施検査の場合などには、そのために県庁の各部局が全部——全部ということもありませんが、各部局がそれぞれ立ち会いその他車の点などもございまして、やはりこれはだらだらということになるかもしれませんけれども、そう引き続いて来られては困る、間を置いて四回なり五回なりに所管別で来ていただいたほうがいい、ということもございまして、現状は、そういうふうなことでやっておる次第でございます。
  59. 華山親義

    ○華山委員 よく御存じのことだと思いますけれども、県では、県といたしまして、その土木部ならば土木部の実地検査をいたします。それから県の決算のことをやっております、何と申しますか、そこでもまたやります。それから土木部でございますならば建設省がやります。会計検査院がやる。大体四段の検査を受けるわけでございます。それが一カ所にでも集中するようなことになりますと、これはたいへんなことになる。私はときどき考えるのでございますけれども、私のような話は夢かもしれませんが、会計検査院、県、建設省、中央官庁、やるならば一ぺんにやったらいい。全部が立ち合って、一ぺんにやったほうがいいのじゃないのか、こういうふうなことも考えられるわけでございますけれども、そういうことになりますと、これはどこでそういうふうな運びをするのか、また立案をするのかわかりませんが、また、そういう制度を考えるのかわかりませんが、そうなりますと、会計検査院は、やはりほかのものと一緒では困るという御事情がございますか。
  60. 宇ノ沢智雄

    ○宇ノ沢会計検査院説明員 ほかの部局と一緒に検査することは困るかどうかというお尋ねでございますが、私たちが県に行きます場合に、それぞれ担当の各省の方々にもお立ち会いを願っておりますし、市町村などへ行く場合には、その上にまた県からのお立ち会いも願っているということで、そういう検査がかりにできるかどうかわかりませんけれども、別に、各省の方と一緒に検査することは困るということはないと、私は思います。
  61. 華山親義

    ○華山委員 私は立ち合いの意味でなくて、これは、見解は、検査した結果、違ってくる場合もあると思いますけれども、協調してやるという意味じゃありませんが、合同した調査であるということのほうが、市町村その他の末端についても、それに要するところの日にちというものが少なくて済むのじゃないか、こんなふうに考えますので、会計検査院等でひとつ御研究を願えればありがたいと思うわけであります。  それから、もう一つ伺いますが、昭和四十年度決算報告不当事項となりました中で、予備費を使用したものが含まれているようでございますが、各省庁別の件名と、予備費を使用した金額を、一覧表にしてお示しを願いたいと思います。これは資料でございます。
  62. 宇ノ沢智雄

    ○宇ノ沢会計検査院説明員 承知いたしました。
  63. 華山親義

    ○華山委員 会計検査院のほうはそれだけにいたしますが、裁判所のほうにちょっとお伺いをいたしたいと思います。  裁判の遅延ということは多年叫ばれておるところでございまして、いまここで、その具体的方策はどうかということをお聞きするのもいかがかと思いますが、私は、弁護士、検察庁の検察陣、それから裁判所、これは同じような歩調で整備されてまいらなければいけないと思うのでございますけれども、司法官の研修を受けた人が、弁護士のほうに向く人が多くて、検察陣なりあるいは裁判所の判事になられる方が少ない、そのために困る、というふうな話を聞きますが、実態はどうなんでございますか。
  64. 岸盛一

    岸最高裁判所長官代理者 ただいまお尋ねの、裁判官希望者が少ないじゃないかということは、まさにそのとおりでございます。現在では、司法研修所を終了いたします者は約五百名近くおりますが、本年度のごときは、裁判官になりました者は七十何名、検察官が四十何名、その残りが弁護士になっておるだろう。裁判所といたしましては、できるだけ裁判官の増員もはかりたいと思いますけれども、やはり素質は下げたくないという点がございます。そういういろいろな事情から、大体ここ数年は、六、七十人程度の新規採用になっております。成績のいい人が多ければ、むろんもっといてもらえたらと思うわけでございます。やはり裁判官の素質、水準を全国的に上げていこうというのが、ただいまのわれわれどもの念願でございますので、素質の悪い人を裁判官に採用するということは、これは控えなければならぬ、かように考えております。  なお、ついででございますが、それでは司法修習生をふやしたらいいじゃないか、ただいま毎年大体五百人前後の修習生が採用されますけれども、修習生が採用される数が多くなれば裁判官希望者が多くなるかというと、必ずしもそうじゃない。これは御承知と思います。そういう事情もございます。しかし、日本の法曹人口——裁判官、検察官、弁護士を含めて法曹人口が、世界の各国に比べて少ないということは、顕著な事実でございます。将来この法曹人口をいかにふやすか、そのふえた法曹にどのようにして法曹教育を施すか、そういうようなことを、ただいま最高裁判所の内部に委員会を設けて検討中でございます。
  65. 華山親義

    ○華山委員 それで、少し話がなんでございますけれども、私の友人に、東京地方裁判所の所長をしていた人があります。この人は、私何でもないことを聞いたのでございますが、法廷にお立ちになるのは一週間に何度くらいですかと聞いたところが、一度もないと言う。それでは司法官じゃないのじゃないか。私は、裁判所長になられるような人は最も老練な人だと思うのでございますけれども、そういう人たちを法廷に立てないというふうな——明らかに、そういう人たちが法廷に立ったから、目に立って裁判が進むというわけではないと思いますけれども、そういうふうなところのいろいろな諸般の問題については、これは何かの事務機構を充実してでも、事務的なことからは解放して、そしてほんとうに法廷に立ってもらう、そういうふうなことがあってしかるべきじゃないかと、私思うのでございますけれども、それらの点について、どういうふうにお考えになりましょうか。
  66. 岸盛一

    岸最高裁判所長官代理者 裁判所長という、裁判官の非常に経験の深い方が法廷に立たれるということは、これは非常に望ましいことであり、また日本の裁判のためにも非常にけっこうなことだと思います。それで、全国の裁判所のうちほとんどの裁判所の所長は、裁判事務を分担いたしておりますけれども、東京、大阪という裁判所は、非常に世界にも珍しいいわゆるマンモス裁判所といわれまして、その当該裁判所の司法行政事務が非常に複雑であり、かつ非常に繁忙をきわめております。そういうわけで、所長として、法廷に立ち会いましても、今度次回の期日をきめるときにどうなるか、また、せっかく日をきめておいても、その日にまた別な用事が起きるというようなことがありまして、事実上立ち会えない状況もございます。しかしながら、仰せのとおり、何とかして全国の所長、長官一斉に少しでも法廷に立たれるということは、これは私どもも非常に望むところでございます。今後、機会あるごとに、そういう点についての検討を進め、また会同等でも、そういうことを取り上げて論議をしたことがございます。何とかして、そういう方向へ一歩一歩前進していきたい、かように考えます。
  67. 華山親義

    ○華山委員 私は、部外の者でございますから、どういうふうな司法事務があるのか、私にはよくわかりません。しかし、とにかくできるだけ諸般の雑務、そういうふうなものから解放して、しかし責任をも免除して、そしてほんとうに必要な、司法的知識を持たなければ処理のできないような点につきましては、所長がなさることはけっこうだと思いますけれども、そういうふうないろいろなこと、また儀式、そういうものからは、私は、所長は仕事をお避けになっておやりになったほうが、これがまたそういう判事の方々の本心、本懐だと思う。そういうふうに、ひとつお考えを願えれば幸いと思います。  それから、もう一つ伺いますが、私の経験からのみ申し上げて恐縮でございますけれども、私に頼みに来ているおじいさんがいる。八十五歳なんです。その人が自分の特許権の問題で争っているわけでございますが、何とかして死ぬまでには判決を——最高裁の判決ですけれども、判決を聞いて死にたい、こういうことを言っているわけです。私にも言ってまいりますけれども、私は、裁判のことについていろいろなことをお願いすべき筋でもございませんので、お願いはいたしませんし、またいたしたこともございませんけれども、そういうふうなことも、やはりきちっと順序があっておやりになるんであって、そういうふうな、八十五になって、死ぬまでには判決を聞きたいということが、これはもう順序に従ってやるので、だめなんだ、こういうふうなものでございましょうか、伺っておきたいと思います。
  68. 岸盛一

    岸最高裁判所長官代理者 裁判所に係属いたします事件は、次から次と参ります。そして一応は配点の順序に従って審理されていくわけではございますけれども、これはしかし、必ずしも常に絶対的なものではなくて、特に急がなければならぬ事件、たとえば一例を申し上げますと、選挙違反事件、そういったようなものは、他の事件にも優先してやらなければならぬというふうになっております。ただいま御指摘のありました事件、具体的にどのような事件か存じませんけれども、当事者が非常に高齢で、早く裁判の結果を聞きたいという事情がございますれば、弁護人を通じて、その旨を係のほうへお申し出になったらいかがなものか、こういうふうに思います。
  69. 華山親義

    ○華山委員 弁護人を通じて、何度も言っておるようでございますし、本人も上申書をたびたび出しておるようでございますが、二年この方一つもごさたがございません。私は、おじいさんが気の毒だと思うんですね。私は、やはりそういうところに、裁判所であっても、人情というものが通ってもいいんじゃないか、こんなふうにも考えまして、申し上げたようなわけでございます。  これで、私の質問を終わります。   〔委員長退席、小山(省)委員長代理着席〕
  70. 小山省二

    ○小山(省)委員長代理 鍛冶良作君。
  71. 鍛冶良作

    鍛冶委員 いろいろありますが、いま華山さんから問われたように、裁判官の不足ということを非常に聞きますが、第一に、裁判官の定員は幾らで、現在幾らの裁判官がおるか。それから、これはいま、ことし去年で不足になったわけじゃありませんが、それに対してどのような補充の方法をやっておられるのか、その補充の方法が十分にいっておるかどうか、まずその点からひとつ承りたいと思います。
  72. 寺田治郎

    ○寺田最高裁判所長官代理者 計数的な問題になりますので、便宜私から御説明させていただきたいと存じます。  まず裁判官の定員でございますが、これはたぶんお手元に、委員会の事務局を通じまして、簡単な表を提出いたしておると存じますが、それによりまして申し上げますと、裁判官全体の定員が、五月一日現在で、二千五百十八人でございます。ただ、つい先般国会で御審議いただきまして成立いたしました裁判所職員定員法の改正によりまして、裁判官七人の増員が認められましたので、現在におきましては、さらにこれにプラス七ということになるわけでございます。それから、五月一日現在の現在員が二千四百八十三でございまして、欠員が三十五名ということになっております。この欠員は、大部分が簡易裁判所判事の欠員でございます。そうしてこの充員につきましては、従来多くの場合においてやっておりますとおり、いわゆる判事の定年退官者で、逐次この簡易裁判所判事を志望する者があるわけでございます。これが年間に十数名、場合によりますと二十名近くあるわけでございます。それから、御承知のいわゆる特別選考による簡易裁判所判事という制度がありまして、これも大体夏ごろから秋にかけまして試験等が実施されますので、これによりまして充員する見通しでございます。したがいまして、この現在の定員の充員という点につきましては、大体以上申し上げましたような方法で可能である、かように考えておるわけでございます。ただ、非常に大きな将来の定員増ということを見越しましての充員問題は、これはなかなかむずかしい問題がございますことは、鍛冶委員つとに御承知のとおりでございます。
  73. 鍛冶良作

    鍛冶委員 簡易裁判所の判事だけならまだいいが、もっと上のほうにありませんか。この間、高等裁判所の判事を補充することになったはずでしたね。私は、これは非常にめんどうなことで、うまくいくかと思うておりましたが、これは全部うまくいきましたか、いかがです。
  74. 寺田治郎

    ○寺田最高裁判所長官代理者 ただいまのお話の点は、昨年の増員の問題であろうかと存じますが、これは実はむしろ判事補から判事になる数が、定員と申しますか、欠員と申しますか、それをオーバーいたしておりまして、そうして増員をしていただきませんと、判事補から判事になれないという、いわば現実のほうからの突き上げもあるような形で、増員をお願いしたわけでございまして、その点につきましては、その判事補から判事になりました者を、地方裁判所の判事のほうに入れて、地裁の判事のほうから高裁判事を任命いたしましたので、高裁判事は全部埋まったということになるわけでございます。
  75. 鍛冶良作

    鍛冶委員 それはうまくいっているならけっこうですが、先ほど総長のおことばを聞いておると、判事になり手がないので弱っておるような風でしたが、その心配はないのですか、どうですか。
  76. 岸盛一

    岸最高裁判所長官代理者 先ほど私の申し上げましたのは、修習生から裁判官志望者が、弁護士に比べるとはるかに少ない、そういう趣旨で申し上げておりますので、先ほどの二十七名の定員の充足の問題とは関係はございません。
  77. 鍛冶良作

    鍛冶委員 これは五百名の修習生がおって、百名までの裁判官の志望者がない、こういうことになると、裁判官が要らぬなら別ですが、世の中が進むに従って、事件の数がふえる。事件の数がふえれば裁判官の数の増が必要であることは当然です。しかるに、どうも修習生から裁判官になる者が少ないということになると、これは根本論としていつか行き詰まる。われわれの時代には、裁判官、検事になる者は弁護士になる者より多かったのじゃありませんか。そのかわり、裁判官や検事から弁護士になる人は多かったけれども。しかるに、近ごろはどうもそうじゃない。頭から裁判官になる者が少なくて、弁護士になる者が多い。先ほど総長説明を聞いておると、成績のいい者をとろうとするものだから少ないので、成績の悪い者ばっかりおるのだから弁護士に流してやるのだ、こういうようにも聞こえたんだが、私はどうもそうでもないように思うのですが、それはどうですか。あなた、何かそこにちょっと足らぬところがあって、裁判官になる者が少ないのではないですか。その点はどうですか。
  78. 岸盛一

    岸最高裁判所長官代理者 先ほど私の申しました趣旨は、成績の悪い者を弁護士に流しておる、いい者だけを裁判官にとろうとしているから少ないのではないか、という御疑念があったようですけれども、決してそうではございません。それは裁判所として、もちろん裁判官としては、やはり同じ教育を受けた修習生のうちから、将来性のある、将来伸びていく、そういう人がほしいわけであります。ところが、それではどうして裁判官の希望者が少ないかということは、これは常に問題になりますが、その人々によって、いろいろ原因があるようでございます。いまの時代の風潮と申しますか、非常に自由な空気を楽しむという風潮もありまして、役人の裁判官よりは、弁護士として自由濶達に行動したい、こういう理由の人もございます。また、裁判所は少し何か空気が自分に合わない、そういうことから、裁判官はいやだというような人もおります。いろいろな人に各様の意見がございますが、大体、このごろ修習生を終えて任官まぎわになりますと、年齢が二十七、八歳、三十歳近くになる人が多うございまして、家族を養っておられる。そうなりますと、どうしても経済的なことを考えなければならない。裁判官の判事補の俸給も次第次第に上げていただいておりますけれども、弁護士の収入に比べると相当の差等がある。そういうわけで、やはり経済的な理由から、裁判官にはなりたいのだけれども、しかし弁護士を選ぶ、そういう人がございます。それから、裁判官になりますとやはり転任というものがございます。それでやはり転任を回避したい。そういうような事情から、裁判官希望者は少ないわけでありますが、最も大事なことは、最近の修習生と申しますか、昔の司法官試補、あるいは法律学生を含めて、そういう人たちの間に、裁判官としての使命感というものが十分に感じ取られていない。そういう点がやはり一つの大きな要素であろうと思います。そういう点で、先ほど申しました最高裁判所の内部に設けております委員会でも、いかにして修習中に裁判官としての使命感を養ったらいいか、どういう方法でそれをやったらいいかという問題が取り上げられて、論議をいたしておるような実情でございます。
  79. 鍛冶良作

    鍛冶委員 そうなると、どうも、申し上げたいことはたいへんたくさんあるのですが、あなた、長い間勉強して、ほかに負けないむずかしい試験を受けて、その上さらに修習を二年終えて、そうして家族を持って、ようやく裁判官補ですか。裁判官補というと、いかにもどうも一人前でない者のように聞こえますが、ほかの方面から見たら、十分学識もあれば、社会経験も積んでおるし、りっぱな修業もしておる。それを、どうもほかの行政官と同じように、裁判官になったからといって、いわゆる昔の高等官に初めてなったというようなことと同格の見方をしておる。それで、どうもだれも裁判官になる者がないのではありませんか。修業して年をとった、家庭を持った、そして裁判官になるんだ、それならば、そのようにやれるようなことをしてやらなければ、裁判官になろうと思っても、なる者がおらぬのは当然なんです。それをやらぬことが一番悪いんだと思うのだが、これは何もあなた方が悪いとばかりは言わぬけれども、それは私も十分いままで経験してきておりますから、大蔵省も悪いし、行政官のほうの考え方も悪いけれども、行政官と違うんだ。ここに司法官の特別のところがあるんだということを、それらの者に、財政当局の者にもよくわからせ、政府の者にもよくわからせ、国民にもそのとおりだという納得をさせるようなことをしなければいけないのですよ。これはだれがやるといったって、あなた方にやっていただくほかにどうも方法がない。われわれもできるだけのことをいたしますが、この点大いに欠くるところがあるから、そういうことになるのだと思いますが、あなたはいかにお考えになりますか。
  80. 岸盛一

    岸最高裁判所長官代理者 任官まぎわの年齢が、裁判官希望者と行政官希望者との間に、おそらく開きがあると思います。任官まぎわと申しますのは、要するに修習を終えた者です。おそらく修習を終えた修業終了者の平均年齢のほうが高いと思います。  それはそれといたしまして、裁判官にいい人を迎える最も有効な道の一つは、やはり裁判官の待遇を考えなければならぬ。任官まぎわの判事補につきまして、御承知のとおり判事補十年、これが昔はそういうことがなくて、すぐ判事になれたのですけれども、ただいまでは、判事補ということになって、十年間やらないと一人前の判事になれない、こういう制度になっておりますが、その判事補の一番最初に採用するときの待遇問題、これにつきましても、われわれも十分に大蔵当局とも折衝し、また説得し、判事補の待遇をよりよくするための努力は、これは続けなければなりません。今日まで、微力ではございますが、やってきたつもりでおります。しかし、これでは今後十分満足ができませんので、今後とも、これは下級裁判所の裁判官全体の待遇の問題の一環として、そのほうへ十分な努力を傾けたいと思っております。ただ経済問題だけでなく、またほかにもいろいろな、裁判官を希望しない要素もあるのだということは、先ほどもちょっと申し上げたわけであります。
  81. 鍛冶良作

    鍛冶委員 先ほどから言うように、ずいぶん修業し、勉強し、研修して裁判官補になる。そして十年たってやっと裁判官になる。これは十年間の裁判官補というものの、何というか、修養というか、忍耐というか、これは並みたいていでないと思うのです。しかるに大蔵省やその他へ行くと、お前は任官してから何年になるじゃないか、お前と一緒の行政官はこれだけなのに、お前のほうだけ特別にいかぬというようにやられて、あなたのほうは、私が見ていると負けている。何ゆえに十年間判事補でいなければならぬか。そうして裁判官になるということは、ほかの行政官とは違うのだ、ほかの行政官とは比較して問題にならぬのだということを、彼らに——この制度がしかれてから何十年かたっている。これは徹底させなければいかぬですよ。非常に遺憾に思う。これはあなた方に文句を言ったって、私どもは働かずにいるわけではありませんよ。できるだけやっているのです。  その次にいやなのは、検事と裁判官とのせり合いですよ。これは同じようなものの考え方もできますけれども、判事補を十年やって判事になったのだから、その点は検事と違うのだ。それで、判事というものは特別の待遇にしなければならぬのだということを徹底さしてもらわなければならぬ。  その次は、私がいつも言うのだが、さらに進んで言うならば、判事補を十年やって判事になるという根本の問題は、法曹一元化からの考えです。経験をそれだけ積んだ者が裁判官になる、これはイギリスの裁判制度を見習って、これでなければならぬということから、私は出ておるつもりなんです。またそういう意味で法律をつくったつもりでおりますが、この点ばかり議論をしておってもしようがないのですが、この点も、ついでですからお聞きしますが、どうお思いですか。
  82. 岸盛一

    岸最高裁判所長官代理者 鍛冶委員は、非常に裁判制度全般の問題、特に裁判官の待遇については、多年の御経験がおありだし、また裁判所のことにもいろいろ通じておられ、内幕もよく御存じでございますので、ここでいいかげんなことを申しておるわけではございませんが、判事補を十年やりまして、そして判事になってからの待遇というのは、御承知のとおり、この間国会の御理解によりまして、特号から八号まで一本にして、行政官の指定職甲の扱いと同じような俸給表ができております。これは判事の待遇改善の第一歩と思います。ですから、そこが検事と違います。検事はそういうことになっておりません。そういう点で、はなはだ微力ながら、少しずつそういった裁判官の待遇にふさわしい体系をつくりつつ努力いたしておりますので、今後ともいろいろ御鞭撻をお願いいたします。
  83. 鍛冶良作

    鍛冶委員 これは、どうやらこうやらわれわれこしらえたんですよ。しかしまたこの検事との争いの問題は必ず出てきますよ。われわれ法務委員をしておって一番いやなのは、それなんですよ。われわれは、そうでなければならぬのだということでやっても——やっておられることは知っておりますが、そういう議論はせぬで、もっとじょうずにやってもらいたい。イギリスに行けばそうなんですから、ジャッジ、裁判官といえば、たいへんなものなんだということを、国民全体に認識を与えるだけのことをやってもらわなければならぬ。これはいろいろ方法もありますが、この点ばかりにかかっておってもいけませんから、この程度にして、お互いに研究することにいたしましょう。  そこで、裁判官に関係があると思うが、あなた方のほうで現在ある裁判所をやめようという議論をよくなさいますが、いまでもやめようとする裁判所は幾つありますか。どなたからでもよろしいのですが、あるとすれば、どことどこですか。
  84. 寺田治郎

    ○寺田最高裁判所長官代理者 ただいま御指摘のございました裁判所の配置の問題は、鍛冶委員つとに御承知のとおり、臨時司法制度調査会の意見によりまして、内閣に答申が出ました。最高裁判所に対しても、その趣旨を尊重して施策をするようなお話になっておるわけでございます。そういたしまして、その中に、お話しの整理統合の問題が相当掲げられておるわけでございます。そういう関係から、私どもとしても、法務省等と協力いたしまして、いろいろな実地調査等をいたしたわけで、その関係で、いろいろ地元に御迷惑なり御心配をかけた面もあるようでございます。そうしてまた、この実施調査の結果による事件計算あるいは地理的な関係等につきましては、おおむね結論は出ておるわけでございます。しかしながら、これはいまお話のございましたとおり、国民の権利の伸長に非常に重要な関係のある問題でございまして、単なる事件の数であるとか、あるいは地理的な距離ということだけで決して結論の出せる問題でないことは申すまでもないわけでございます。そういうところで、いま参議院で御審議いただいております下級裁判所の設立管轄等についても、その点はのせられておらないような実情でございますが、ただこの問題につきましては、御承知のとおり、いわゆる支部の問題と簡易裁判所の問題と、二つあるわけでございまして、そのうち簡易裁判所の問題につきましては、これまたつとに御承知のとおり、法律にのっておりますがしかし実際には建物もなければ職員もいない、そういう簡易裁判所が現在十四庁あるわけでございます。したがいまして、私どもとしては、かようなところは整理と申しますか、法律の上でも、それを廃止ということにしていただいていいのではないかという一つの気持ちを持っているわけでございます。しかしながらその中におきましても、地元では建てろという御意見のあるところもあるように伺っておりますので、その点は、さらに十分検討しなければならないと考えているわけでございます。これに対しまして、支部の問題は、臨司の意見では、簡易裁判所の事物管轄の拡張等々の関連においてうたわれている面もあるわけでございますので、そういう作業との関連も考えながら、仕事を進めているわけでございまして、現在のところ、具体的にどこをどうするという結論には達しておらないような次第でございます。
  85. 鍛冶良作

    鍛冶委員 いま言われた、簡易裁判所で実際にやっておらないものが十四あるという話ですが、それはいまさらじゃなく、前から聞いているが、これは何でやめられないのですか。私はいつも言うように、国民が、どうあってもここに置いてくれなければならぬと言うなら、審議会がどう言おうと、何がどう言おうと、それは机上の空論で、とてもやめられるものじゃないですよ。国民がぜひ地方に置いてくれと言ったら、喜んで置くようなことをやらなければいかぬ。そのかわり、法律に書いてあっても、地方で、こんなところは要らぬ、こんなところに裁判所を持ってきてもしようがないと言うなら——それは十四が全部そうだとは思わないが、そういうものはさっさと片づけてしまいなさい、そして置いてくれというのをやめようなんていうことは、もうやらぬでもらいたい。そしてその十四というのは、置かなければならないものが入っているのか、それともどうでもいいものも入っているのか、どっちですか。
  86. 寺田治郎

    ○寺田最高裁判所長官代理者 この十四庁は、お話しのとおりでございまして、最高裁判所としては、これはもう十数年来実際に活動しておらないわけでございますから、法律の上でも廃止していただいてけっこうではないかと考えているわけでございます。しかしながら、これは御承知のとおり、国会がおきめいただく問題でございまして、その法案は、内閣で御提出いただく問題でございます。私どもとしては、そういう気持ちを持っているわけでございます。  それから、それ以外のところは、これは非常に重要な問題でございまして、鍛冶委員お話しのように、地元が望めばどんどん建てるというわけにもまいらないと思いますが、しかしながら、地元で非常に必要を感じられておられるところを積極的に廃止するということも、これは非常に問題であろう、したがって慎重にやらなければならないというのが、私どもの気持ちでございます。
  87. 鍛冶良作

    鍛冶委員 私は、そんな新しいのをどんどん建てろと言うのじゃない。現在あるものをやめると言われるから、言うんですよ。国民が、どうあっても置いてくれと言うのを、やめます、やめますと言われる。これは、われわれのところにもたいへんだ、たいへんだと言ってくるのがあるんですよ。しかもこれを、われわれこしらえるのにずいぶん骨を折って、裁判所に対してずいぶん協力をした。それを裁判所の都合でやめるなんて、おかしいじゃないですか。これからどんどん建てなさいというほうは、それはなるほど慎重にやってもらいたい。そうであると同時に、あなた方がやめなければならぬと言われる底に、裁判官が不足だから、裁判官がおらぬで弱っているから、そういうものをやめると、それだけ裁判官が要らぬことになって、ほかへ回せる、こういう考えがついて回っていると思うから、質問したのだが、この点はどうですか。
  88. 寺田治郎

    ○寺田最高裁判所長官代理者 これはお話しのとおり、現在、簡易裁判所が実際には五百五十幾つあるのですが、その中で、私どもの事務的な計算から申しますと、事務量が三割以下というのが百五十以上、二百近くもあるわけでございます。そういうところへ全部一人ずつの裁判官を配置するということはきわめて困難なことでございますので、いわば兼任という形でやっておるわけでございます。そういう面から申しますれば、これは廃止すれば非常に事務の円滑にはなるわけでございます。しかし決してそういうことだけから申し上げているわけではございません。  一つ先ほど来の鍛冶委員のお話で、私のほうからちょっと申し上げたいと思いますのは、実は日本弁護士連合会がやはり簡易裁判所につきましては整理統合の御意見でございます。これは、つとに百数十庁の廃止の要望を、政府なり最高裁にお出しになっておるわけでございます。そうして最近に、臨時司法制度調査会の意見書の批判というものをお出しになったようでございますが、その中でも、簡易裁判所に関しまする限り、整理統合についてむしろ黙しておられる。ということは、もとの御意見を維持しておられるというようにも見えるわけでございます。しかし私どもは、弁護士会のおっしゃるような百数十庁の廃止ということはとんでもないと考えておるわけでございます。ただ、それなら全然現在のところの中で廃止にふさわしいものがないかということになりますと、今後の問題と申し上げざるを得ませんけれども、しかしながら、これは鍛冶委員つとに御明察いただいておりますとおり、ここは非常に慎重にやるという基本的な姿勢でおることは間違いないわけでございまして、決して事務量だけから簡単に結論を出すというつもりではございません。  なおそれから、先ほど裁判官のことを申し上げましたが、裁判官もさることながら、一般の職員につきましても、これは小さいところでは、非常に少数の、たとえば二、三名程度の人が独立の勤務をいたしておるわけでございます。そういうところの維持管理の体制ということについても、なかなかむずかしい問題があるわけでございますが、これはいわば内部の問題でありますから、存置という前提におきましては、十分そこは慎重に検討して、実際の点について遺憾のないように善処してまいりたい、かように考えておるわけでございます。
  89. 鍛冶良作

    鍛冶委員 私はさっき十四と言いましたが、十四だけじゃありませんよ。これは日本で、こんなところになくていいというところはありますよ。それはやめていただいていいと思いますよ。しかし、弁護士会が言うのをそのままのむわけにいかない——私も弁護士だが、いま政治に関係いたしました以上は、そうはいかぬと思う。弁護士は弁護士としての頭で言うのだろうが、そうはいかぬと思う。やめていいというところはあります。それはさっさとおやめなさい。それを、どうも、やめずにおいて、そして、そうではないほかのところを、そうやるかのようなことをおっしゃったから、こういうことを申したのです。  それから、私は、判事の数が少ないからじゃないかと思いますが、そうではないならけっこうですが、いま言われた兼任ですね。これはどうも考えていただかぬと、本庁におりまする判事が、ひまで、そして兼任したほうは遊んでおる、兼任しておって毎日出張していったほうがいいというなら、それはよろしゅうございますが、本庁におる者は、どうも出張させられて、汽車に乗って通っておって、たいへん困っておるにもかかわらず、それをやらしておられる。そうかというて、支部に判事がおらぬので、非常に困っておられる。おまけに、これもまた私は実情を知っておるから言うのだが、支部では、判事の出張があっても、常住してもらう判事がおらなければいかぬというので、その設備等に対しても、市町村で非常にこれに協力しておるのに、せっかくこさえてあるのに泊まってくれない。そして出張する。そうすると、そこで地方の支部のほうでは、判事がおられぬために非常に不便を感じておる。特に令状をもらったりその他の命令をもらったりするときに、土曜、日曜になると、夜になると、できない。たいへん困っておるのですよ。そういうものをできるだけ、いま言うとおり、本庁に遊んでおってしようがないから回してやるというなら私も承りますが、そうでないのですよ。結局、判事をふやすことができないものだから、そういうことになるのだろうと思う。そういうものがあったら遠慮なく、どうあってもおらなければいけないんだ、ここには泊まってもらいたいが泊まってくれる者がおらぬのだと、なぜおっしゃられないのですか。そうしてやられるのがいいと思うのだが、この点どう思いますか。
  90. 寺田治郎

    ○寺田最高裁判所長官代理者 まことにお話のとおりでございまして、簡易裁判所はともかく、少なくとも地方裁判所の支部につきましては、できる限り一名の裁判官を常置させたいということで、いろいろ努力はいたしておるわけでございます。ただ、しかしながら、御承知のとおり、現在支部が非常にたくさんございまして、その中には事務量のきわめて少ないところもあるわけでございます。これも、裁判官の数が、私どもの希望いたしますとおり完全に確保できますれば、あるいは事務量が少なくても、常駐ということも可能であろうと思いますけれども、御承知のような大都会等の事情にあります現在におきまして、しかも支部につきまして、きわめて少数の事件を扱うのに常置させるということになりますと、どうしてもそのしわ寄せが大都会のほうに回ってこざるを得ない、そういう関係で、そういう比較的小さな支部は、本庁にその必要な人員を配置いたしまして、本庁から填補に参る、こういうやり方をとっておるわけでございます。その際には、これは決して本庁のいわば余りの人間が行くということではなくて、その支部の事務量を計算し、なおかつ応援に参ります交通的なロス、そういうものも計算に入れまして、そしてそれに必要なもの、それに必要な定員を本庁のほうに入れておるわけでございます。したがいまして、決して本庁のほうで余りの人間が行っているのではなくて、本来支部要員として入っておる者が支部に応援に行っておる、こういう形でございまして、現状では、かような方法も地理的にはやむを得ない場合もあるわけでございます。その点いろいろ北陸のほうでも御迷惑をかけておるところもあるということでございまして、恐縮いたしておるわけでございますが、しかしながら、この点は、今後ともできる限り善処してまいりたい、かように考えるわけでございます。
  91. 鍛冶良作

    鍛冶委員 それは事務量やなんか、いま言うとおり、土曜、日曜になると令状もとれないので困るのですから、それらの点を考えて……。机の上のそろばんだけでやられたらかなわぬ。私の言うのは、結局、裁判官が足らぬからですよ。思うようにいかないなら、それをどんどん説明して請求しなさいよ。失礼ながら、あなた方に協力して、やるつもりです。あなた方の熱意が足らぬということを申し上げたいのです。あんまりその点ばかりではどうもあれですが……。  それから、非行少年のことについて聞きたいが、時間もありませんから、一つだけ私が聞きたいのは、非行少年を宣告猶予にするとか、また試験観察とかいう決定で、これは少年院へ入れるよりもそのほうがいいというので、やっておられるだろうが、年々非常にふえておるそうですが、この点はどうでしょう。
  92. 細江秀雄

    ○細江最高裁判所長官代理者 ただいま宣告猶予というお話が出ましたのですが、宣告猶予の制度は少年法にございませんので、むしろ試験観察の問題でないかと思います。これは少年法第二十五条に基づきまして、少年の行動を観察の上、終局処分するかどうかということをきめるために、一時その少年の身柄を調査官の観察に付する、あるいは補導委託先に補導委託いたしまして、その間の行動を観察して、少年の動向というものを見ながら、最終の処分決定をするという制度でございます。この試験観察の制度は、いま鍛冶委員指摘のとおり、年々ふえておりまして、昭和四十年度では大体全体の四・二%ぐらいが試験観察になっておるというのが実情でございます。
  93. 鍛冶良作

    鍛冶委員 その人数が非常にふえまして、その結果非常に善良に導かれる、こういうのならばよろしいが、そのためにどうもあんまりいい結果が出ておらぬ。何か、この試験観察をやるときに、個人の家または個人の施設へ委託されるようですが、そういうことが、はたしてあなた方のほうで自信がありますか。いかがですか。これは重大なことだと思いまするので、結果についてまず……。
  94. 細江秀雄

    ○細江最高裁判所長官代理者 非行少年の再非行を防止するということは、これは裁判所だけの努力ではやはり非常にむずかしい困難な問題でございます。裁判所といたしましても、やはりあらゆる社会資源を活用して少年の再非行を防ぐ、あるいは少年の不健全を防ぐということを考えてまいっておるわけでございます。その社会資源の一端といたしまして、個人に非行少年の補導を委託する場合がございますし、また、ただいま御指摘のように、施設に委託するという場合もございます。また法務省の所管にありますところの更生保護委員会、そういうところの施設に、少年を預けて補導を委託するという処置をとっておるわけでございます。こういうふうな身柄つきの補導委託の場合には、やはり少年の交友関係が悪い、あるいは家庭環境が悪いというような場合に、場所を移す、いわゆる住居を転移させまして、よい環境のもとに少年を置くという必要もございますし、また少年が非行を犯すには、一定の職業につかないという場合が多い。したがって、職業補導という面からいっても、そういうふうな施設で職業を身につけるという、いわゆる働く意欲というものを養うという点からも利点がございます。なお、その成績があまりよくないのではないかという御指摘がございましたが、昭和四十年度で、試験観察に付した少年の終局処分が一体どうなっておるかということを調査いたしますと、そのうち八・九%が少年院送致になっており、保護観察になったのが一九・三%、それから不開始処分になりましたのが六四・三%、こういうふうになっております。その不開始処分になった者の再犯率というものにつきましても、私どものほうで実態調査をしてみました結果、不開始になった者の再犯率が非常に少ない、その次に不処分になった者の再犯率が少ない、やはり少年院に送った者の再犯率は非常に多い、という実態調査の結果が出ております。したがって、いま鍛冶委員がおっしゃったように、試験観察がそれほど実効のないものであるというふうには、私ども考えておらないわけでございます。
  95. 鍛冶良作

    鍛冶委員 教育のほうはあなた方の係じゃないものですから、そこまでは申しませんが、やはり結果を見ていただきまして、今後裁判所決定に対する御指導を願いたいものです。  時間がありませんから、それでは、私は終わります。
  96. 小峯柳多

    小峯委員 関連して一問だけ御質問したいと思いますが、私は国会で交通安全対策特別委員というものをやっておりまして、交通戦争をどうしておさめるかということに非常に苦慮しておるまつ最中でございますが、たまたま家庭裁判所における受理件数が、昭和四十年で百七万八千十七件、その中で、道路交通違反事件が八十三万三千三百七十二件というふうになっておる数字を見て非常にびっくりしたのです。   〔小山(省)委員長代理退席、委員長着席〕  そこで一問だけお尋ねしたいのですが、こういうふうに少年に関する道路交通違反が非常に多いのですが、これをどういうふうに処理なさっておられるか。これは裁判所の範囲で、おのずから手の打てる限度というものはあると思うのですが、将来の交通戦争を少しでも緩和する方向で、どういう処置をお考えになっていらっしゃるか。これはあなた方だけの範囲でやれるものでないと思うのですが、少しそういうものでふえんして、ひとつ親切に御答弁いただきたいと思います。
  97. 細江秀雄

    ○細江最高裁判所長官代理者 ただいま御指摘のとおり、昭和四十年度の交通違反少年の数は八十四万二千件というふうに、非常に膨大な数字になっております。これは少年法が施行されました当時は、実は少年の交通違反事件というものはほとんどなかったわけでございます。したがって、少年法自体に、道路交通違反事件についての少年の保護処分の処理というものをほとんど予定しておらなかった。ところが、戦後、御承知のとおり自動車の数がふえる、あるいは自動車の運転人口が非常にふえたということから、年々少年の交通違反事件がふえてまいりまして、ただいま申しましたような膨大な数字になってまいりました。この少年の交通事件というものについては、大量な事件をいかに迅速にしかも的確に処理するかということが、私ども家庭裁判所としては非常に重要な課題であるわけであります。したがいまして、先ほど申しましたように、保護処分の数が非常に少ない。いわゆる少年の交通違反事件では、検察官送致、いわゆる検察官に事件を送りまして、通常の刑事裁判所で罰金刑を科するという方法と、それから保護観察に付するという方法しかないわけでございます。少年院に送るということもあり得ますけれども、これは、単なる交通違反を犯した少年を少年院に閉じ込めるということは、むしろかえって弊害があるというところから、少年院送致ということはほとんど利用されないということになりますと、やはり検察官送致と保護観察ということになってまいるわけでごさいますけれども、保護観察にいたしましても、実は少年の道路交通違反事件の保護観察を引き受けてくださるところの保護司の方が非常に少ない。いわゆる保護司の方は、一般の刑法犯事件の保護観察を従来からやられておるわけでございまして、いわゆる交通知識とか、あるいは少年の道路交通の違反というものに対する理解、そういうふうな予備知識と申しますか、そういうものが不足しておりますので、結局家庭裁判所が現在とっておりますのは、検察官送致あるいは不開始処分ということになるわけでございます。ところが、不開始処分と申しましても、大体少年事件の検察官送致が年間一四、五%くらいのようであります。その余のうちで保護観察になる分が若干ございまして、あと不開始処分ということになりますが、大体七六%程度が不開始処分になっております。その不開始処分の段階で、実は、何もせずに裁判所は野放しにしているのだというふうな批判を、よく世間から受けておるわけでございますが、その間に、家庭裁判所におきましては、少年に対して、拘束と申しますか、いわゆる交通安全教育あるいは交通法規の知識を授ける、あるいは順法精神を鍛える、そういうふうな方向をとって、不開始処分にしておるわけでございます。これが現状でございます。
  98. 小峯柳多

    小峯委員 いまのアフターケアみたいなことが非常に弱いと私は思うのです。それで受託といいましたか、何か民間の施設に委託するようなことが、ほかの県であるように伺ったのですが、たとえば交通安全協会の中に、かなりそういう法文のことに詳しい、また親切な人もおると思うのです。このごろは婦人をかなり警察署の単位で交通委員のようなものに任命している場合もあります。もうちょっとこういうものを拾い上げて、正直なところ、私は裁判所の範囲における交通教育なんというものがそうものを言うとは思わぬのですが、しかし、この年齢が、ひいては大きくなってから大きな事故を起こす可能性を包蔵していると私は思うのです。ダンプの問題なんかも、こういうところから出やせぬかと思うのです。  そこで、ただ施設の上でいろいろなことをやっても、やはりこういう点でしっかりしたものが加わりませんと、私は交通安全対策というのは効果をあげ得ないだろうと思うのです。そこで、これはぜひひとつ、どうしたらいいか、私どもも知恵を出しますし、国会の中にも交通安全対策特別委員会ができておりますから、御相談くださって——私どもも努力いたします。こういう面に関して、もう少し裁判所本来の機能のほかにプラスエックスをして、あなたのほうで扱えなかったら、一つのヒントを与えていただいてもいいですが、どうでしょうか。一緒になって、この問題はもっと突っ込んで入っていくということにお考えになれないでしょうか。この点を最後に伺っておきたいと思います。
  99. 細江秀雄

    ○細江最高裁判所長官代理者 少年の交通違反に対して、非常に御理解のある御発言をいただきまして、私どもとしても非常にありがたい仕合わせと思っております。私どもも、裁判所だけで少年の交通違反を防げる、再犯を防止できるというふうに考えておりません。また先ほど申しました保護観察につきましても、当初の間は、どうも少年の道路交通違反を保護観察に付することはやめてもらいたい、というふうな法務省のほうのお話がございましたけれども、最近は法務省のほうも御理解をなさいまして、少年の道路交通違反に適するところの保護司を任命していただいて、非常にその方面の保護観察というものがふえてまいりましたし、また、ただいま御指摘の交通安全協会というものも各地にございまして、非常に裁判所に対して御協力をいただきまして、私どものほうから、その交通安全協会のほうに補導を委託しまして、そこで少年の安全教育という方面の知識を授けていただくように、御協力をいただいておるわけでございます。私どもといたしましても、今後そういうふうな関係機関と十分御相談して、今後少年の道路交通違反事件を少なくする方向に努力してまいりたい、こういうふうに考えております。
  100. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 吉田賢一君。
  101. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 まず検査院に伺います。  検査院から、例の臨時行政調査会の答申意見のうち、「予算・会計の改革に関する意見」、これにおきまして、相当広範に各事項にわたって意見を述べておられます。全部にはわたる時間もありませんし、大蔵省と重複する点はなるべく避けたいと思いますので、若干伺ってみます。  第一には、わが国の予算制度が戦前の財政制度、それが抜本的な改正をせられることなく、新憲法で引き継がれましたことは申し上げるまでもないのでございます。長い間の積み重ねた補完、補正などを経てきましたけれども、いまは制度自体に根本的な改革をせねばならぬ、こういったことが臨調の基本的な考え方だろうと存じております。  そこで一点は、この予算編成の段階におきまして、どのようなことが財政運営の基本原則として指摘されねばならぬのであろうか。どのような点が最も重視すべき問題であろうか。この点をひとつ簡単でよろしゅうございますから、お答えを願っておきたいと思います。
  102. 宇ノ沢智雄

    ○宇ノ沢会計検査院説明員 この臨調から出ておりまする勧告に対しまして、私のほうで見解を申し上げましたのですが、これは実は勧告がすでに出たあとになって、本院に対する勧告に対して見解を求めてまいりましたので、実はこれは多少歯切れの悪い点もございますけれども、できるだけこの勧告を尊重して、前向きの姿勢で意見表示したい、かような見地から意見表示したわけでございます。  ただいま先生の御質問でございますが、財政運営の基本原則として、どういう点が問題になるのかということでございます。勧告にも書いてございますが、いわゆる財政運営としましては、財政支出の範囲はどの程度にすべきかというような点、あるいは財政支出に対する国民負担の限度はどうあるべきかというような問題、こういったような問題について、やはり収支の両面から総合的に検討する必要があるのじゃなかろうか。ただ、そういたしましても、やはり時代の変遷といいますか、そういうようなものによって、ただいま申し上げましたようなものは、多分に政策的な要素が織り込まれるものでございますから、そういう審議機関をつくって客観的な基準というものをつくる際には、相当やはり考慮する必要があるのじゃないかというような趣旨で、本院の見解を申し上げた次第であります。
  103. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 ただいまお述べになりました点につきまして、臨調といたしましては、さらにこのような一つの提案をしておるようであります。国の財政支出に対応する国民の負担、この両者を総合的に把握して検討する、財政運営の基本原則を確立するために、別個の機関を設けてはどうであろうか、こういうような提案をしているようでございますが、これらの点は、要するにそのような検討をしてはどうかというのが一つの提案の趣旨でございまして、必ずしも内容を明確に打ち出しておる意見ではございませんですが、何か検査院としましては、いまの収支均衡の面——しからば、収支均衝、いまのような別途総合把握検討するという機関を設置する、こういう見解につきましては、どういうふうにお考えになりましょうか。
  104. 宇ノ沢智雄

    ○宇ノ沢会計検査院説明員 その面につきましても、これは非常にむずかしい問題でございますので、ただいま申し上げましたように、経費のバランスをどういうふうにするとかいうような点で、これは一つの例でございますけれども、そういうような面で、客観的な基準を設けるということが、必ずしも——かりにそういったようなものを審議する機関を設けましても、なかなか基準を設けるというのはむずかしいのじゃないかということで、意見を申し上げたわけでございます。
  105. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 あなたのほうは、毎年膨大な検査報告書を国会にお出しになりますが、こういう点は御指摘になりますまいでしょうか。大体予算編成の過程におきまして、編成の基本方針は内閣がきめるべきもので、これは大体十二月に、総理大臣がそれを明らかにしておるようであります。ところが現実には、大蔵省におきまして、原案ができるその直前、あるいはまあ案ができたあとかもしれませんが、そういったことで、内閣が基本原則を国民に明示して、そして財政方針の基本的なものを明らかにして、それに沿って大蔵省が予算を編成する、こういうのが筋であろうと国民は思っておるのですけれども、そうではなしに、大蔵省がまず内容をつくって、もう大体原案ができるころに至って、内閣がこれを声明するというのが実情のようであります。この点も指摘されておりますが、これが検査院あたりにおきまして、しばしば指摘され、予算の乱用であるとか、あるいはその他の不当事項などが続出するというのは、こういったところにも一つの原因が胚胎するのじゃないだろうか、こういう直接の因果関係は別といたしまして、ともかく基本方針、基本態度、これによって予算が編成されるという順序が、何か転倒しておるような感じさえするのですが、この辺についてのお考え方はどうですか。
  106. 宇ノ沢智雄

    ○宇ノ沢会計検査院説明員 なるほど、事務の運びとしてはまさに先生おっしゃるようになるかと思うのでございますが、そういうふうな観点からいたしまして、私たちは会計検査院といたしまして、直接予算の編成その他に発言することは越権だと思います。しかしながら、前年度検査の実績その他から考えまして、大蔵省の主計局とは、毎年検査の一段落したところで、検査に実際当たった私のほうの担当官と、それから主計局の担当官と、検査上いろいろ気のついた点、将来予算の編成に参考になるような点を申し上げるような会議を持っておるわけであります。さらに大蔵省としましても、予算の編成が大体終わったところで、ことしの予算についてはこういう点に注意したとか、あるいはこういう点が特徴になっておるというような点についても、私のほうで伺うような会を例年催しておるようなわけであります。ただ、予算の編成、基本的な考え方について、検査院がとやかく言うことは、御承知のように、私のほうは予算執行されたあとの結果を見まして、不当なりあるいは改善すべき事項がありますれば、それを根拠としまして、将来の予算の編成に直接間接影響するようなことは申し上げますけれども、そういうことでなく、ただ手ぶらということもなんですが、空にそういう予算の編成とかいろいろなことについて口ばしを入れるということは、会計検査院の本来の職務から少し逸脱するのではないか、かように考えております。
  107. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 予算単価が実勢にそぐわぬということは、年来問題になっております。こういったことにつきましても、やはりコストの把握を徹底さすとか、あるいは決算を活用するとか、補助の方式を改善するとか、あるいはまた各種の契約につきまして、全国的に情報センターのような機関を設置するとか、こういったようなことにつきまして、単価が実勢に合うように、できるだけでこぼこのないように、公正に単価が定められる、こういうことをしなければならぬということは、あなたのほうでは一番早くお気のつく点だろうと思うのですが、院法の三十六条などによって、改善意見をどんどんとお出しになってしかるべきではないかと思うのです。この点はどうでしょうか。
  108. 宇ノ沢智雄

    ○宇ノ沢会計検査院説明員 予算単価、特に先生おっしゃるのは、補助単価の点じゃないかと思うのですが、この点につきましては、従来からも各地方自治体などにおきまして、超過負担の問題もいろいろございます。各省においても、それぞれ年々その単価の改良をやっておられるのが実情でございます。私のほうといたしましても、そういう点について、もし改善意見表示をすべきような事項がございました場合には、遠慮なくやるつもりでおります。
  109. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 予算編成過程におきまして、当初の八月の概算要求、最終的な決定、これの開きが大き過ぎるというようなことは、万人知るところであります。何とか事前に調査して、たとえば省庁内におきまして調整をいたしまして、水増しでないかと非難を受けることのないよう、事務を簡素化、省略する意味におきましても、筋を通す意味におきましても、あるいはそれぞれ内部で調整するという機会をつくることにおきましても、省庁内部におきまして、そういうことは事前に調整する必要があるのじゃないか。こういう点につきましては、検査院はどういう見解ですか。
  110. 宇ノ沢智雄

    ○宇ノ沢会計検査院説明員 その点につきましては、私詳しいことはよくわかりませんけれども、各省庁の内部において、官房なり何なりのしかるべき局で、その省全体の、大蔵省の予算に対する要求について、総合調整はいたしておるように聞いておるのですが……。
  111. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 結局、根本的には予算の編成と予算制度自体——これはまたあした聞きたいと思っておりますので、きょうはあなたに聞きませんけれども、予算制度の中核としての事業別予算制度を積極的に導入するというような予算の制度自体、それと決算の総合改善、つまり編成と予算制度と執行決算というものが総合的に改革されていくというのでないと、予算編成及び執行について基本的にこれを合理化していくということの推進は困難ではないか、こういうふうにも考えるのですが、これは格別御意見いただかなくてもよろしゅうございますけれども、そういう点について、検査院はこういうような改善意見指摘し提示なさるということは、国会としましても非常に益するところであろうと思いますので、せいぜいそういうふうに努力せられんことを御希望申し上げておきます。  それから、予算執行面につきまして、いまですと四月一日に次年度が始まって、予算執行しなければならぬ。ところが三月一ぱいは国会のさなか、通常国会は五月まで続く、ことしはやがて七月まで続くだろう、ということになると、八月はすでに来年度予算の概算要求をしなければならぬ。一体、実施するところの省庁におきまして、予算執行の早期化あるいは適切化というようなこと、執行面において、そういう辺から相当大きな渋滞を来たすのじゃないだろうか。だからこれは年度直前までに、十分に予算執行への準備をしておかねばならぬ。こういう点は強く指摘されておるのでありますが、これらが合わさって、省庁官僚が無能であるというような要らぬ非難をこうむらなければならぬことになる。一体どこに原因があるのだろうか。こういう点につきましては、われわれ自身も国会審議の過程において、できるだけそういう事務の妨げにならぬようにすべきであって、いまのように、大臣以下局長その他課長に至るまで引率して出なければとても法案の審議も進まぬ、予算審議も進まぬという現状では、留守はほったらかしておる。また留守に全国から陳情団がときどき来るということになって、結局予算執行が適切に早期に行なわれない、せっかく配分すべき資金が遅延している、こういうことはずいぶんあろうと思います。あなたのほうの四十年度決算報告指摘しておるところによりましても、総理府あたりにおいて、補助金を百五十日も出しておらぬようなことが指摘されておりましたね。これは何が直接の原因かはっきりまだ知りませんけれども、いずれにしても、そういう辺は何とか事務段階におきまして、執行を適切になし得るような作業をなさしむ、こういうことが相当重要な課題ではないかと私は思うのですが、検査院としては、その点はどういうふうにお考えになりまし、ようか。
  112. 宇ノ沢智雄

    ○宇ノ沢会計検査院説明員 先生ただいまお述べになったことにつきましては、全くそのとおりでございまして、私もできるだけ予算が配賦になりましたら、その直後から、予算を最も合理的に経済的に使うことができるように、手続その他について十分事前に準備しておくことは、これは望ましいことだと思います。  それから、ただいま先生御指摘になりました、四十年度検査報告で、補助金が百五十日も停滞しておるじゃないか。これは支出官庁が、予算が配賦になってから補助団体に流すのがおそいということでありませんで、責任支出官庁が府県に補助金を流しまして——これは間接補助金でございますが、それをさらに府県が市町村へ流す場合に、府県での滞留が非常に長期にわたっておるという趣旨の指摘でございます。
  113. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 その点は、私ちょっと記憶違いでございました。そういう場合は、ひとつあなたのほうから自治省に向かって、その府県に向かって、適切に流さねばなるまいということの意見は出せるのでしょう。
  114. 宇ノ沢智雄

    ○宇ノ沢会計検査院説明員 それは、照会をそれぞれ出しております。
  115. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 また、さっき私自身が指摘しましたごとくに、国会もともに予算の早期、適正執行化に協力せんならぬということを申しましたが、やはり大胆に、原因となるところあるいは故障となっておるところは絶えず——絶えずというよりも、この検査院報告に相当大きく打ち出しなさる必要があるのじゃないだろうか。私ども検査院報告をこうやって見ましても、結局合計すると何億円のむだがあったとかいうようなことは、これは小峯さんもしばしばおっしゃいますが、数字の末端がいまは最大の問題じゃないのです。よってきたる原因を相当深く掘り下げていくというところに、新しく検査院は活動をしていかれるべき段階に来ていると私は思います。だから、そういう意味におきまして、そういう全体に通ずべき重大課題につきましては、遠慮なく原因を指摘し、それを改善すべき意見をお述べ願いたいと思いますから、これはひとつぜひとも励行されんことを御希望申し上げておきます。  なお、この予算執行の管理体制につきまして、いまの、府県庁において補助金を流すことがおくれてしまった——逆に、適切に流した、そして成績をあげる、たとえば積雪寒冷地帯等に対する補助金などは、時期をおくれたら何も意味をなしませんし、農村の災害対策の補助金も同様でございます。等々いたしますると、そういったような適切に執行管理をやりました場合に、しかるべき表彰制度はいかん、こういうことを臨調もうたっておるのでありますが、これはやはり私は、しかるだけが能じゃなくて、うんとほめる、推賞する、褒賞する、こういったことも必要でないかと思うのですが、こういったことは、あなたのほうは得手じゃないけれども、ほめるほうもちっとほめていいと思うのですが、それはどうでございましょうか。
  116. 宇ノ沢智雄

    ○宇ノ沢会計検査院説明員 制度として、そういうことを考えろというお話ですと、これはちょっといろいろ問題があろうかと思いますが、できるだけそういう事態があった場合には、現場その他において、表彰というほどではございませんが、ほめるという程度のことはやってもいいじゃないか、かように考えております。
  117. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 さらに、この執行を通じまして、今度は決算の段階へ入るわけですが、決算はこれは要するに予算の実績ですから、企業であるならば、決算株主総会が一年じゅうで最大の会議であります。ところが不幸にして、決算委員会はごらんのとおりに、委員の出席率の悪いのが実情でございまして、決算は、予算を使ったあとだから、使う前と違って興味が薄いというのは、どこかが狂っているせいでございましょう。ところで、この決算に基づきまして、実績なるがゆえに、予算の妥当性を批判する、計画の実現があったかどうかということを批判する、予算執行が効率的に行なわれたかどうかということの判断を加える、こういったことが、一体決算面においてどうしたらあらわれるだろうかという点でございますが、この点につきまして、大蔵省から毎年国会に出します決算説明、これもありますけれども、これは予算と実績との比較検討の評価、こういうものには全然触れておりません、これは何ぼひっくり返して読んでみましても。だから、これはいろいろな実績が出ておるようでございますけれども、そういうふうに、予算と実績の比較検討の評価というものには触れてきませんので、重要経費の分類、実績などはわかりますけれども、私は、やはり決算一つの任務としまして、その点が大事じゃないか、こう思うのでございますがね。こういう点についてどういうふうに改善すればいいだろうか。特にあなたのほうは、予算執行をあらゆる角度から検査する立場だから、こういうような点について、しかるべき改善意見を出してよかりそうに思うのですが、そういう点どうでしょう。
  118. 宇ノ沢智雄

    ○宇ノ沢会計検査院説明員 決算の充実ということで臨調が出しておりますこの勧告、これを拝見してみますと、臨調の答申では、先ほど先生ちょっと触れられました事業別予算の制度の採用ということが根幹で、これを導入することによって、先生ただいま御指摘のような趣旨が達成されるのじゃないかということのようでございますけれども、これは、私もそう勉強したわけではございませんが、事業別予算制度についても、先生御承知のように、問題もあるということで、現在の日本の予算制度では、これは全面的に取り入れられてはいないわけであります。ただ、現在の日本の予算でも、予算の編成が組織別になっております。大体、項で、事業別予算がねらっておりますような目的別の表示がなされておる。あるいは事業別予算で施行計画というような、目に相当するようなものについても、たとえば、日本の予算で、公共事業費というような点の目の説明になりますと、相当、事業別予算でねらっておるような、事業の内容のはっきりしたものが掲げてあるということでございますので、その他予算説明資料とか、あるいは先ほど先生そこでちょっとお示しになりました決算説明、これは事業別予算という考え方に立ちますとはなはだ不十分なものであるかもしれませんが、ある程度、それによって事業別の実績がわかるというふうになっておりますので、現在の予算のたてまえからしましても、そういう先生のお考えになっておるようなことは全然達せられないのだというふうには必ずしも私は考えていないのでありまして、なおそうした予算の施行の結果については、部分的にではございますけれども、本院としましても、予算の効率的な使用とかあるいは経済的な使用がなされておるかという点について、検討をしておるわけでございまして、その点については今後とも十分配慮していく、かように考えております。
  119. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 最後に伺っておきますが、検査院法によりますと、これは内閣に独立する行政機関ということになっております。検査院の職務、権限は、憲法九十条に由来しております。そうしますと、この法律の改廃がなければ、検査院の独立の機関、立場というものは動かすことのできない憲法の保障したものである、こう考えております。非常に強い立場です。ところで、聞きたい点をしぼってみますが、一緒に答えていただいてけっこうです。  一つは、独立の立場、地位、権限を持っておりますので、予算の妥当性、計画の実現性の有無、執行の効率化等につきまして、もっと強力な検査機関として職務を行なっていくということにできぬものだろうか。これにつきまして、一つ検査官は特別に保護されておりますが、検査官を除きました一般職員を、検査官と同じように特別の身分保障をする必要はないかどうか。特別の身分保障をいたしまして、そして内閣に独立した崇高な責務を自覚さして、遺憾なく職務を行なわしめるという必要はないのであろうか。  いま一点は、さきに他の委員から問題になりました、検査官一人補充の問題でございます。現在の欠員ということは、きわめて重大な事態でございます。申すまでもなく、検査院法の第三条、第四条によりまして、内閣検査官を任命します。両院の同意を得ます。衆参両院の意見が違った場合は、衆議院の意見による。十条、十一条によりましては、広範な検査官会議規定されておる、そして院長議長になるということも規定されておる。院長がないときは議長はないはずであります。こういうふうなことで、かりに検査院院長がないという場合には、これは一日もそんなことはあり得ないと、国民はびっくりいたします。それほど重大な事態であるというふうに考えます。よって、私は、すみやかにその補充方を内閣に要請するということを強くせられてはいかがか、こういうふうに考えるのであります。この二点につきまして、お答えしてください。
  120. 宇ノ沢智雄

    ○宇ノ沢会計検査院説明員 第一点は、先生御承知のように、一般職員として、われわれはすでにもう公務員法による身分の保障を受けているわけでありますが、そのほかに検査院の職員の任免、進退につきましては、会計検査官合議によるということに法律のたてまえがなっておりまして、その会計検査官法律で強力な身分の保障がされておるということでございますので、会計検査官会議合議によって、われわれの身分が保障といいますか、任免、進退が決せられるわけでございますので、その意味において、会計検査官会議はどこからも制肘されない独立の機関でございますので、そういった点からしましても、われわれは二重に身分の保障を受けておるということが言えるのじゃないかと思います。  なお、特別職にしたらどうかとか、あるいはもっと強力なということでございますが、その点につきましては、私一存でちょっとお答えいたしかねる点もございますので、そういう趣旨の御質問があったということにつきましては、帰りまして、幹部にその旨を申し伝える所存でございます。
  121. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 最後の点ではなしに、前の、院長が欠けておる事態はきわめて重大なことである、院長なしに検査官会議はできないのではないか、こうも考えますので、その点について、さっきは少しあいまいな御答弁だったのでございますので、きょう事務総長お帰りになりましたら、ぜひ検査官とも御相談になりまして、院長なしに検査官会議というものはできないのではないか、もしそうであるならば、十一条の一号から九号まで、重要な事項はこれは会議にかけねばならないことになっております。そういうわけでありますから、ぜひひとつ内部で至急御協議を願いたいと思いますが、これはどうです。
  122. 宇ノ沢智雄

    ○宇ノ沢会計検査院説明員 承知いたしました。
  123. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 簡単に、最高裁のほうにお伺いすることにいたします。裁判所の問題はずいぶんたくさんあるわけでありますけれども、やむを得ませんから、二、三の問題にしぼってしまいます。  地裁の民事事件のごときは激増いたしております。また年々さらに裁判はふえていくという傾向にあるべきだろうと思うのであります。そこで、一人前の裁判官一人当たり負担件数は何ほどが適当であるか、こういうことを科学的に合理的に御検討になったことはございませんですか。
  124. 寺田治郎

    ○寺田最高裁判所長官代理者 ただいま吉田委員にお話しのとおり、事件がふえてまいっており、また裁判官一人当たりの負担件数もふえてまいっておるわけでございます。ただ、この問題、御承知のとおり、民事と刑事とでは若干違いまして、刑事のほうは必ずしも一律にふえてまいっておるわけでもない次第でございます。そこで、あるべき裁判官の負担件数というお話でございますが、これは実は非常にむずかしい問題をはらんでおるわけでありまして、と申しますのは、御承知のとおり、ただいまでは、地方裁判所でも合議部と単独部というものをいわば併用しておるわけでございます。したがいまして、その合議にどのくらいの比率で回すかということによりまして、おのずからまたその負担件数に変動があるわけでございます。ここ二、三年前におきましては、かなりその合議の比率が低いのではないか。つまり合議の比率を高くするということは、結局負担を増すということではございますが、しかしながら裁判には適正という面がございますので、その合議に待つ比率を高めるために裁判官を増員するということで、予算をお願いしておったような時期もあるわけでございます。そういう点で、いまお話しの科学的の一人当たりの負担件数というものはなかなかつかみにくいわけでございますが、ただ、現在の高裁にいたしましても地裁にいたしましても、負担件数はやや重きにすぎる、もう少し負担を減らすように増員する必要があるのではないか、かように考えておるわけでございます。
  125. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 裁判の訴訟の遅延が問題になって、臨時司法制度調査会におきましても問題にしたようでございますが、これにつきましても、やはり負担にたえぬというような事実が相当あるのではないであろうか、こういうふうにも考えるのですが、これはまた、解決はどうするかは別問題といたしまして、現実の事実といたしまして、そのような原因が指摘されるのではありませんか。
  126. 寺田治郎

    ○寺田最高裁判所長官代理者 裁判官が負担にたえないというふうには、私どもとしては考えていないわけでございます。むしろ裁判官の負担によりまして、事件がおくれるという面が非常に心配になるわけでございます。これは考え方の問題でございますが、裁判官が幾ら一日にたくさん事件を入れようといたしましても、これにはおのずから限度があるわけでございます。したがいまして、入れる件数が限定されてまいりますので、そのしわ寄せは遅延というふうになってまいるわけでございます。そういう点で、私どもといたしましては、やはり裁判官を増員して遅延を解消しなければならない。ただその間には、単に裁判官のみならば、それの各種の補助的職員、あるいは施設その他の面の必要も当然ある、かように考えておるわけでございます。
  127. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 やはり一人前何ほどの負担件数が妥当かということはむずかしいに違いありませんが、幾らむずかしくても、企業であればあらゆる角度から適正量を決定いたします。裁判所におきましては、そういう辺はむずかしいというので、また広範な各種事件であるからというので、その辺は十分に御検討になっておらぬのではないだろうか、こういう感じさえするのであります。いま企業は技術革新時代に入りまして、相当精密にその人の能力、その人の事務種類、そしてその協力者との協力の割合、あるいは全体として流れ作業であるならば、ある一点における通過の時間、こういった検討を相当厳密に、毎日のごとくにしております。だからそういう点について、私はやはりまだまだ研究の余地があるのじゃないだろうか。すぐに結論を出す前に、基本調査をもっとしてはどうか。記録取りでも、やはり依然として書いておる人もあるし、速記しておるのもあるし、あるいは適当にタイプを打っている人もあるようでございますが、いずれにしましても、事務の段階もあわせまして、裁判官の持つべき件数というものは、もっと客観性ができてしかるべきでないかと私は思うのでございます。私自身、何もここで一つの結論を持っておるわけじゃありませんが、いまおっしゃるように、こういうことが訴訟遅延の重大な原因になるのじゃないだろうか、こういうふうに思います。この点はあらゆる角度から、技術革新時代にふさわしいような事件の扱い方にせられることを御希望を申し上げます。そして事務的にも毎日研究してください。御希望を申し上げておきます。  それから、素質の問題でございますが、裁判官の素質の問題につきまして、もっとやはり大胆に、こんな時代に処しまして、あらゆる社会事象が裁判になる、そして権利義務の関係になるわけですから、あらゆる意味におきまして、相当な専門化した知識経験を持つように、私は、そういう機会を与える必要があるのではないか、こう思うのであります。それは事務量という算術的なものじゃなしに、今度は別に人間という質の問題であります。質と量と両方総合するのでなければ、遅延問題の解決、あるいは適正な裁判をするということも困難なんです。こういうふうに思うのですが、どうです。
  128. 寺田治郎

    ○寺田最高裁判所長官代理者 前段のお話はまことにごもっともでございまして、上分御趣旨に沿うように、今後とも研究いたしたいと思います。  それから後段の問題でございますが、これは実は先般の臨時司法制度調査会におきましても、いろいろそういうような御意見が出ておるわけでございます。かような時代におきまして、私ども裁判官としては、広範な教養と申しますか、知識を必要とするというところから、いろいろ研修等につきましても、最近では予算を計上いたしまして、そして実際にその方面の方々の指導を受け、また見学するというような形で、努力はいたしておるわけでございますが、まだまだ不十分であると考えておるわけでございまして、今後とも一そう御趣旨に沿うように考えたいと存じます。
  129. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 司法制度調査会におきましては、賛成して設置に踏み切ったようでありますが、地裁における例の調査官制度が、最近またえらい問題になっておりますが、私もまた、実は妙な制度があるので、多くの国民は知りませんから、知ればびっくりするのではないかと思うような制度であると思うのですね。たとえば租税事件ですが、租税事件について、地方裁判所、東京におきましても、数名の調査官を置いておりますね。そしてこれは裁判官の補助事務機関、こういうことになっておるようでございますが、しかし税に関する知識のない、もしくは乏しい裁判官が、そのような調査官にたよるということは常識です。そこでそれが国税庁の出身である。国税庁は何ぞやといえば、税訴訟の相手方です。税訴訟の相手方からそのような調査官が出て、そして裁判官の意見が事実上左右せられるであろうということは、これは重大なことであります。国民が知らぬから、これはわからぬのです。国民全部、投票でもしたら、たいへんな問題です。こういうようなことにつきまして、いまは複雑な事件が多く、特に工業所有権であるとか、租税事件のだんだんふえてまいりますること、ことに租税事件につきましては、こういう弊害は指摘されておるようでございますが、やはりこれにつきましては、この際再検討をする必要があるのではないか。やはりさきに申し述べましたように、裁判官の教養の問題であります。豊富なる知識を持ってもらうように、あらゆる機会に裁判官にそういう方面の知識を供給する、そして鍛冶委員も申されましたごとく、大胆に、裁判官の身分以外に、給与保障とか、生涯ほんとうに安んじて、六十五歳になったらもう退職してあとどうして食うか、そんなことを心配しないで、りっぱに職務にも尽くし得るような、安心して職務に精励し得るような待遇をすることに落ちつくのではないかと思いますけれども、いずれにしてもやはり専門家化する必要があるのではないか。専門的教養をうんと身につける必要があるのではないか、大胆にそういうことを実行してはどうか、こういうように勧めるのですが、これは調査官制度を解消する、解決する一つの手ではないかと思うのですが、それはどうですか。
  130. 寺田治郎

    ○寺田最高裁判所長官代理者 地方裁判所の調査官の問題は、ただいま吉田委員御自分でおっしゃいましたとおり、臨時司法制度調査会で相当論議されまして、全会一致で可決された事項でございます。その中には、御承知のとおり衆参両院の与野党の議員の方々もお入りになって、御賛成いただいた問題でございます。そして昨年の国会裁判所法の改正をお願いしたわけでございまして、その際、ここにおいでになります鍛冶委員長も、法務委員として相当いろいろな面からお尋ねがございまして、いま吉田委員のお話と大体同じような観点から、その点については相当痛烈な御質問があったわけでございます。しかしながら、私どものほうからいろいろ将来の計画なり見通し等を申し上げまして、そして与野党の御賛成を得まして、裁判所法の改正が実現したというかような経過になっておるわけでございます。その間には、むろん日本弁護士連合会のほうからも十分御意見を伺い、御賛成を得ておったわけであります。ただ法律ができまして、実際に調査官を配置する段階になりまして、いろいろ弁護士会のほうでも御異議を唱えられる向きもあるように伺っておるわけでございますが、しかしながら、私どもとしては、調査官はあくまで裁判官の補助職員である、かように考えておるわけでございます。こういうような制度は、実はもう少し前からございまして、高等裁判所には、海難審判なりあるいは特許関係の調査官は、これはもう終戦後間もなくからあるわけでございます。そして、さような制度について、特別裁判の公正を害するような御批判は受けていないわけでございます。さようなところから、これを地方裁判所に及ぼすということについて、さような御疑念をいただくということは、全然考えていなかったわけでございます。そして私ども裁判官は、あくまで自己の信念に基づいて裁判をするという確信を持ち、いやしくもさような補助的な職員の考え方なり意見によって影響を受けるというようなことは、これはもう裁判官の生命に関する問題でございますから、さような気持ちは、私ども立案当局にも毛頭ございませんし、また現場の裁判官は一そうさような点については神経を使っておられるわけでございまして、決してさような、御心配になるような事態はないと確信するわけでございます。ただしかしながら、いろいろそういう御批判もございますので、今後とも運用を十分に慎重にし、いやしくもさような点でさらに御批判を受けるような場合がございますれば、また将来の問題として十分に検討したい、かように考えております。
  131. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 最近、ことしの三月三十日に、法曹会館におきまして、この調査官制度について裁判官数名、弁護士数名などが会議を開いております。いろいろ露骨な率直な積極的な意見が出ておりますが、「自由と正義」にも詳細に批判いたしておりますから、ひとつごらんをいただきたいと思います。現実はあなたのような、そういう崇高なものではございませんことを十分御了承願います。  それから最後に、ちょっと一点伺っておきますが、最近、法務省におきましては、少年法の改正を企図しております。新しく御承知の少年層を設置するとか、検察官先議の制度だとか、等々、これは非常に重大な問題でございますので、最高裁におきましても、広範にこれに対する意見書が出ていることも——これは拝見いたしましたですが、多く論議する時間も持っておりませんが、この問題の運命は、全国の青少年と申しますよりも、やはり日本の未来を背負う青少年という角度から考えましても、単に司法制度というだけじゃなしに、家庭、教育、文化、いろいろな面にわたりまして、相当重大な関連を持った問題でございますので、ひとつこれにつきましては慎重に、最後まで相当強く論議すべき点は徹底的に論議するというふうにして、進んでいかれることを御希望申し上げたいのであります。詳しく論議する時間がありませんので、そういう趣旨の私の意見に対しまして、ひとつお考え方を伺って質疑を終わります。  最高裁全体としての御意見を伺いたいので、総長から伺いたいと思います。
  132. 岸盛一

    岸最高裁判所長官代理者 ただいまの御意見、ごもっともと拝聴いたしております。法務省構想に対して、正式に法務省から最高裁判所意見を求められましたので、御承知のように、最高裁判所意見書を発表いたしております。それに掲げております基本的な考え方については、今日でもちっとも変わっておりません。これは別に法務省対裁判所のなわ張り争いとか、そういうような小さな問題ではなくて、先ほどのお話しのように、次の世代をになう少年のための問題でございますので、われわれとしても、慎重にこの問題と取っ組んでいきたいと考えております。
  133. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 次会は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。   午後一時二十五分散会