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1967-06-01 第55回国会 衆議院 決算委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年六月一日(木曜日)    午前十時十七分開議  出席委員    委員長 鍛冶 良作君    理事 吉川 久衛君 理事 小峯 柳多君    理事 小山 省二君 理事 白浜 仁吉君    理事 高橋清一郎君 理事 佐藤觀次郎君    理事 華山 親義君 理事 吉田 賢一君       菅波  茂君    丹羽 久章君       葉梨 信行君    水野  清君       中村 重光君    安井 吉典君       中野  明君  出席政府委員         厚生省医務局長 若松 栄一君         厚生省薬務局長 坂元貞一郎君  委員外出席者         医療金融公庫総         裁       安田  巌君         参  考  人         (日本赤十字社         副社長)    田辺 繁雄君         参  考  人         (日本赤十字社         血液事業部長) 外山 良造君         専  門  員 池田 孝道君     ————————————— 五月二十六日  委員村上信二郎辞任につき、その補欠として  遠藤三郎君が議長指名委員に選任された。 同日  委員遠藤三郎辞任につき、その補欠として村  上信二郎君が議長指名委員に選任された。 同月二十九日  委員浅井美幸辞任につき、その補欠として正  木良明君が議長指名委員に選任された。 同日  委員正木良明辞任につき、その補欠として浅  井美幸君が議長指名委員に選任された。 六月一日  委員浅井美幸辞任につき、その補欠として中  野明君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  歳入歳出実況に関する件  政府関係機関の整理に関する件  国が直接または間接補助金奨励金助成金  等を交付しているものの会計に関する件(日本  赤十字社)      ————◇—————
  2. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 これより会議を開きます。  歳入歳出実況に関する件、政府関係機関の経理に関する件及び国が直接または間接補助金奨励金助成金等を交付しているものの会計に関する件について調査を行ないます。  これより質疑に入ります。小峯柳多君。
  3. 小峯柳多

    小峯委員 私は、医療金融公庫の事務的なことですが、少し伺ってみたいと思います。  業務は非常に順調に伸びていらっしゃるようですが、ごく最近の数字で、件数貸し出し残高はどういうことになっておりますか。統計はいただいておりますが、最近のものを……。
  4. 安田巌

    安田説明員 昭和四十一年度末の貸し付け残高が一万五千六百十九件で、六百八十一億五千九百万円でごいます。それで、実際に貸し付けました額はこれより多いわけでございますが、回収いたしましたものをまた使っておりますので、その残といたしましては、これだけになっているわけでございます。
  5. 小峯柳多

    小峯委員 たいへん数字が伸びておられるようですが、それだけに資金量が足りないような感じが、お見受けすると、強いように思うのですが、どうですか。
  6. 安田巌

    安田説明員 仰せのとおりでございまして、医療金融公庫ができまして以来の資金量の推移を簡単に申し上げてみますと、三十五年七月にできましたときに、これは九カ月でございますので、三十億でございました。それから三十六年度が七十億、三十七年度が九十億、三十八年度が百十億、三十九年度が百三十五億、四十年度が百七十億、四十一年度が二百七億、四十二年度が二百四十八億、これは総計いたしますと、大体千六十億になるわけでございますけれども、先ほど申し上げましたような数字になっているわけでございます。  それで、どの程度窮屈かというお話でございますけれども、たとえば昨年四十一年度の例でお話し申し上げますと、資金量が二百七億なんでございます。それに対しまして、私ども貸しもいたしておりますけれども、大部分銀行にお願いして代理貸しをいたしておるような状況でございますが、代理貸しで、いろいろ選別等をなさいまして、私どものほうに融資申し込みとして書類が届きましたものが四百二十六億あったわけでございます。そういたしますと、二倍ちょっとになりますので、それをどういうふうに査定していくか、あるいはどういうふうに申し込みを取り扱ったらいいかということで頭を痛めているような状況でございますが、資金量資金需要関係は、大体そんなようなことでございます。
  7. 小峯柳多

    小峯委員 大体、銀行によって、代理貸し代理審査というのをやっているんだと思うのですが、ときどき受付をとめるようなことはありますか。あるいは、受け付けてからでも、なかなか審査もできていないような件数があると聞いておりますので……。
  8. 安田巌

    安田説明員 現在は都市銀行、地方銀行、これは全部でございます。それから相互銀行、それから信用金庫、そういったもの、これは少ないのでございますけれども、加えますと相当な数字にのぼっておりますから、申し込み者のほうからいいますと、全国どこの銀行に行きましても大体借りられる、というような状況になっているわけでございます。それで、いま実は受け付けない期間があるかという仰せがございましたのですが、先ほど申しましたように、資金需要が非常に多くなるわけでございますので、何とかこれを制限したいのであります。しかし、これを住宅金融公庫のようにくじ引きというわけにはもちろんいきませんので、どうしたらいいかということでいろいろ苦労しておるわけでございますが、受付期間を大体四月から受け付けておりましたのを、六月から受け付けるということにいたしております。それから締め切りを、病院について十月で締め切るということにいたしまして、若干でも資金申し込みをそこでケリがつくというようなことを考えておりますが、しかし診療所につきましては、これはまあ額も少のうございますので、昨年は、診療所につきましては六月から三月まで、締め切りのほうの期限は設けなかったわけでございます。そういったようなことが、先生のお耳に入ったんじゃないかと思います。
  9. 小峯柳多

    小峯委員 そうすると、大体銀行を通ってきたものは無条件で、あなたのほうは出すようにしているわけですか。実は証明書があって、その証明書をつけて銀行に持っていく、銀行に持っていくと、それが銀行審査を経て、ほとんどその上にはあなた方の主体的な意見というものは加わらないで、事務的に出しているようなことになっていますか。
  10. 安田巌

    安田説明員 いまお話しのように、私どもは国の医療政策とマッチしてやりたいと思っておりますので、たとえば中央区であるとかいうようなところで、病院病床が万分の五十八床というのが一応基準になっておりますけれども、それを越えているかどうかということの事実の証明を、保健所を通して、都知事にしていただくわけでございます。その証明は、ただ私どものほうで、一応増床なりあるいは新設の貸し付け対象になる、という事実の証明だけでございます。それを持ってまいりまして、代理店へ持っていくわけでありますけれども代理店で、今度はいろんな、主として信用調査をするということになると思います。私どものほうへ参りまして、それをいろいろ見るわけでございますが、非常に資金に余裕があれば、おっしゃるようなことになることが多いんじゃないかと思います。ところが、先ほどお話し申し上げましたように、倍ございますので、その中から、非常に優先的にやらなければならぬとか、あるいは昨年借りたのにことしも貸してくれというのもございますし、あるいは一人でもって二ヵ所も三ヵ所も持ちたいというようなものもございます。そういったものはあと回しにするとか、あるいは先ほどの基準から申しまして、基準ベッド数の半分にも足りないというようなところもあるわけでございます。そういうところにはやはり先に出す、そういったような操作をいたしますが、必ずしも向こうが申し込んでこられました額そのままいくとは限らないわけでございまして、大部分はこちらのほうで査定をしまして、そして資金と合わせておる。もちろん査定をいたしますときは、本人の御了承を得まして、私どもとしてはこれだけしか出ないけれどもどうだ、というようなお話をいたしまして、それでまた削るといったような操作をいたしております。
  11. 小峯柳多

    小峯委員 そうすると、大体金庫のほうは、実態調査じゃなしに、通ってきたものを、資金量とにらみ合わせて、前後緩急あるいは額などをきめていくということだけだと承知してよろしいですか。
  12. 安田巌

    安田説明員 大体そういうことでございますけれども、先ほど申しましたように、銀行では、いま言ったような、私どものほうの基準に合っているかどうかというようなことにつきまして、間違った判断をされているようなことがときどきございます。それからまた、私どものほうといたしましては、たとえば診療所なんかを新設される場合に特例を認めまして、内科の診療所が非常に多い町村の中で、整形外科とか産婦人科を設けたいといったような場合には、これは基準を超越しましてそれを認めるというようなこともあるわけでございます。そういった内容的な審査というものは、これは銀行ではできないわけでございまして、私どものほうに来て、実際に経歴とかその他を当たりまして判断するわけでございます。それからまた信用上の問題といたしましても、銀行では非常に多うございまして、病院の経営について、大体このくらいの収入があるだろうか、あるいは大体一日何件くらいの平均だろうというようなことについて、誤解もあるわけでありますから、私ども一々全部見ております。そういったような審査もいたしております。
  13. 小峯柳多

    小峯委員 どうですか、銀行から回ってきたやつで、あなたのほうですぐにイエスと言えないものが相当ございますか。件数に比べてどんなものでございましょうか。
  14. 安田巌

    安田説明員 金額がそのままいかないというものは、むしろ数としては多いと思います。それから、否決をいたしまして、これは貸さないというのもございますが、その数はわりと少ないということでございます。
  15. 小峯柳多

    小峯委員 どのくらいの審査期間がかかっていますか。銀行に持ち出してから、あなたのほうが最終決定をするまで、どのくらいかかっていますか。
  16. 安田巌

    安田説明員 銀行へ持ち出しますと、大体銀行で一ヵ月から一ヵ月半かかります。なれないことがございますと、それが多少おそくなるということもございますけれども、大体一ヵ月か一ヵ月半じゃないかと思います。それから私どものほうに参りますと、大体一ヵ月くらいでケリをつけるということにいたしております。ただし先ほど申しましたように、書類自体がいろいろ不備であったり、あるいは状況がよくわからないような場合に、照会をいたすことがございますけれども、その照会をいたしますときに、代理店というものを通じるために、御本人のところへ行くのがおそくなる、御本人から代理店に行って代理店から私どものほうに来るということで、時間がかかるということがございますので、そういった点で、例外的には、そういった一ヵ月ないし一ヵ月半という数字では済まない場合がございます。それからもう一つ、よく私どものほうに御照会がありまして、いつ申し込んだけれどもまだ返事をしないのはおかしいじゃないか、というようなお話もよくあったわけでございます。調べてみますと、実は代理店のほうにまだ滞留していたということもございます。もう一つは、先ほど申し上げましたように、資金量が非常に少のうございますから、その年できめられない場合があるわけでございます。そういたしますと、そういうものはどうするかと申しますと、ただそれを資金がないから突き返す、来年また申し込みなさいというようなことでは気の毒なわけでありまして、それを窓口で、もう資金が一ぱいだと言うことは、代理店でございますから、なかなかできにくいわけでございます。そういったようなことで、私どもといたしましては、それを返さないで、私どものほうで持っておって、そのかわり、審査を進めていって、決定は、年度を越えてですからできませんけれども、たとえば十二月なり一月なりに内定をいたしましたときに、これは四月になったら決定をしてあげる、しかしそれまでは工事に着手しておっては困るんだというような通知を出してあったこともございます。そういたしますと、その決定をいただきましても、さらに今度は資金をもらうのが五月ごろになるとかいうこともございますので、えらく長くかかるじゃないかというような御非難をこうむることもあるわけでございますけれども実情はそういうようなことでございます。
  17. 小峯柳多

    小峯委員 あなたの説明以上に、たいへん長くかかっておるといううわさを私も聞いている。半年以上になるものもある。おそらくいまあなたのおっしゃったようないきさつから長くなっているのかもしれませんが、そういうときは、その旨はちゃんと本人に知らしていますか。
  18. 安田巌

    安田説明員 私どものほうでは、ちゃんと知らせておるつもりでございます。私どものほうから照会を出しましてその照会が——非常に珍しい例なんでありますけれども本人のほうへ届いていないというような例がございまして、そういうのは、むしろそういうことを言ってもらったことによって見つかった、そういう例がたまにはあるわけでございます。代理店につきましては、私どもはもうそういうことを十分平素注意しておりますけれども、何しろ支店の数からいいますと五、六千になるわけでございますので、そういう点で不行き届きの点があるかと思うのでございます。その点は、毎年私ども会議をいたしまして、集めてよく御相談申し上げておるのでありますけれども、しかし本店がきめたということでございますから、本店から末端へ行くのがたいへんだ、というような実情もございます。せいぜい受付簿を見まして、そういうことのないように気をつけておりますし、今後も十分気をつけたいと思っております。
  19. 小峯柳多

    小峯委員 私は、あなた方のような専門金融機関があまり時間がかかると、その存在意義が非常に薄くなると思うのですよ。わざわざ中小企業金融公庫から分かれたときには、そういう問題を含めて、専門金融機関だからもう遅滞なくいくんだ、資金関係からあなたがおっしゃっている説明はわかるのですが、もしそうではなくてそういうことがあるとすると、私は専門金融機関意義が薄くなると思う。これは特に総裁がお気をつけていただかなくちゃいかぬと思います。  それから、直接貸しというのは、このごろふえているようですが、どういう場合に直接貸しというものをなさるのですか。
  20. 安田巌

    安田説明員 一つ特定病院というものに対するものでございまして、これは、たとえて申しますと、大学付属病院であるとか、あるいは総合病院であるとか、インターンの指定病院であるとか、看護婦養成機関を持っておりますところとか、それから結核の療養所精神病院で、二百床以上というものであって厚生大臣の認めたものというようなもの、それからなおまた、これは最近国の方針によっていたしておるわけでありますけれども、骨や関節の疾患をおもにするような整形外科病院とか、あるいは小児の専門病院とか、あるいはガンその他の悪性新生物を対象とするような病院、そういったような病院で、一つの都道府県を診療圏とするような大きなものにつきましては、これの対象としております。これは、現在私どものほうの病院貸し付け額が、最高が五千万円でございますけれども、これはそれをこえて貸せるということになっております。ただし、一億以上になりますと、個々について監督大臣の承認を得て貸すということ、そからもう一つは、私ども本店大阪支店がございますけれども東京都と大阪府につきましては、私ども店を持っておりますから、三千万円以上の申し込み額病院につきましては、私ども直接審査をしてお貸しする、そういうことにいたしております。
  21. 小峯柳多

    小峯委員 直接貸し審査する手はございますか。どのくらい現在従業員はいらっしゃるのですか、調査関係の人は。
  22. 安田巌

    安田説明員 総数は東京大阪、合わせて百八十九でございますが、審査関係は、大体本店のほうですと直貸しは十三名でやっております。数はいまのところそれほど多うございませんので、四十一年度がたしか百十件ばかりでございます。件数は、たとえば建築費とか、機械とか、運転資金とかいうものを入れまして件数にいたしておりますが、大体百十件くらいでございまして、それを東京大阪が持っておるということでございます。
  23. 小峯柳多

    小峯委員 直接貸しというのが、統計で見るとふえているような傾向ですが、そうでございますか。
  24. 安田巌

    安田説明員 去年、四十一年度が、大体十九億くらいだったと思いました。それから、ことしの予定が二十五億ぐらい。これは、ふえておりますというのは、むしろ、資金最がふえるものでございますから、それに応じて、その比率よりも若干低いぐらいなところで押えております。
  25. 小峯柳多

    小峯委員 これも町のうわさなんですが、どうも大きいところばかり出したがって、一般金融機関がまかなってくれるようなところへ出て、中小企業規模のものにどうも少し冷淡だといううわさを、これも私は根拠あって聞いているのではありませんが、そういううわさを聞くので、そういううわさに対する心当たりはございますか。
  26. 安田巌

    安田説明員 そういうことは絶対にないわけでございまして、たとえば診療所でございますけれども診療所につきましては、先ほど申しましたように、締め切りもいたしませんで、そしてまた査定診療所についてはいたさないようにして、まるまるお貸しするような方針をとっております。もちろん、中で、診療所でもいろいろな問題がございました場合に、これを取り上げることもございますけれども。それから、病院も最近はだんだん規模が大きくなるし、そして整備するのに費用がかかるようになっているわけであります。たとえば、私ども公庫ができましたときは、病院貸し付け限度といのは二千万円だったわけでございます。そのとき考えましたのは、大体病床一床当たり五十万あればできるのじゃないかというようなことを考えたわけであります。病床一床当たりと申しますのは、一つベッドをつくるのに五十万円かかるというのではなくて、それを持つために、診療部門もございますし、管理部門もございますし、それに病棟もございますが、それらを含めまして大体五十万ぐらいだろう。そのときにすでに国立病院あたりでは百万円なければできないということを言っておったわけでございます。そうしますと、五十万で五十床、二千五百万円、平均はそれの八割だから、大体二千万円くらいお貸しすればいいのだろうと言っておったのでございますが、その後、それではとてもやっていけないということで、五十床でも現在五千万円をこえるようなことで、百二十万円くらいがほとんど普通になってきた。もう少しりっぱな病院になりますと、それをこえる。そういうわけで、病院診療所関係で、貸し付け金額から申しますと、大体四分の三が病院へ行き、四分の一が診療所のほうへ行くということでございますが、しかしそれは、さっき申しましたような一件当たり金額が違うためにそうなっているのであって、そのために診療所のほうを私どもがことさらに圧縮しているということは毛頭ございませんし、逆に診療所は優先しているような取り扱いをいたしております。ただ、御承知かと思うのでありますけれども公庫ができましたときは、たとえば大学病院なんかは、私どものほうの所管になっていなかった。その後、前からの問題がございまして、私立大学付属病院をどうするか、とてもやっていけないということで、その仕事が私どもに入ってきた。そういたしますと、私立大学病院というのは相当大きな規模でございますから、たとえば三十億もかけられるのに、私どものほうは二年度以上にわたってせいぜい五億しか貸せないといったような状況なんでありますが、そういうところに貸したということは、話としては大きく伝わりますから、何か公庫というのはそういうところばかりに貸すのかというようなこともあるかと思います。しかし実情はそういったようなことでございまして、一定のワクをきめておきまして、それ以上には貸さないというようなことで取り扱っております。
  27. 小峯柳多

    小峯委員 その話だろうと思うのです。どうですか、実際に出しておる私立大学病院というのは、どことどこですか。
  28. 安田巌

    安田説明員 私、いまはっきりと覚えておりませんけれども、ほとんどのところは、私どものほうで融資申し上げておると思います。しかし額はいろいろ違いますけれども、大体先ほど申しました程度の額までは、融資いたしたいと思っております。
  29. 小峯柳多

    小峯委員 私立大学なんかは、一般金融機関貸して、それに共同融資みたいな形になるわけですか。
  30. 安田巌

    安田説明員 大体そういうことで、むしろ向こうのほうで、たとえば学債だとか寄付金なんかもお集めになって、そして銀行からもお借りになる。しかし償還期限の長いのを借りないと、やはり償還がむずかしいというような事情もございまして、幾らかでも私どものほうから借りれば、その点で非常に有利だ、そういう状況でございます。
  31. 小峯柳多

    小峯委員 医療法人だとか、個人のものには出していないわけですか。
  32. 安田巌

    安田説明員 いまのお話は、たくさん出していないかということですか。
  33. 小峯柳多

    小峯委員 いいえ。扱いとしては、個人病院も、個人の施設も対象にしているわけですか。
  34. 安田巌

    安田説明員 私ども貸し付け先は、個人医療法人だけです。そういった意味の私立医療機関だけです。それで、特定病院と申しますのは、個人は大体ございませんけれども医療法人立というのがございますね、そういうところは、先ほど申しましたように、その資格にかなうところがありましたならば、五千万以上でも貸すということにいたしておりますが、このほうは、額といたしましては、現在のところ比較的少ない。ですけれども、先ほど申しましたように、今後五千万以上というのは、ちょっとした病院にお貸しする場合でも、一億や二億かかるわけでございますので、だんだんそういう需要が多くなるのじゃないかという気がいたしております。
  35. 小峯柳多

    小峯委員 私立大学病院は、法人格はどういうことになるのですか。
  36. 安田巌

    安田説明員 学校法人でございます。ですから、これはそういうものを入れるときに、私どものほうは、貸し付け業務方法書の中にそういうものを入れたわけでございます。
  37. 小峯柳多

    小峯委員 いつからそれが入るようになりましたか。
  38. 安田巌

    安田説明員 三十七年度です。私どものほうは、三十五年にできて半年くらいたちまして、三十六年にそういう問題が起こりまして、そして各方面の了解を得て、三十七年度からそういうことになりました。そのときはせいぜい五億程度、四億九千五百万円ですから、非常に額は少ないと思います。
  39. 小峯柳多

    小峯委員 それはみんな直接貸しでやるわけですね。
  40. 安田巌

    安田説明員 三十七年と八年は代理貸しでやったわけであります。それで三十九年から直貸しをやっております。
  41. 小峯柳多

    小峯委員 この資金関係の中に、自己資金があるわけですね。これは結局、経営していった場合の、普通の営利法人なら剰余金という、利益金に当たるものですか。
  42. 安田巌

    安田説明員 利益金というのはほとんどないわけでございますから、むしろ償還されてくるもの、たとえば機械なんかでございますと、償還年限が短うございますし、運転資金でも……。それから七年になりますと、それが返ってくる。その償還の金を、まだ資金運用部のほうに返さなくてもいいやつ、それを自己資金として、予算折衝のときに、おまえのところはこれだけ新しく貸してやるけれども、手元にこれだけ返るのだから、それと加えたものが来年度の資金量だ、こういうやり方をやっております。
  43. 小峯柳多

    小峯委員 そうすると、収支だけは償っておりますか。
  44. 安田巌

    安田説明員 収支だけは償っているわけであります。償っておりますのは、御承知のように、私ども六分五厘の金を借りてきて、大体いま六分七厘八毛くらいの利子を取っておるわけでございますが、そういたしますと、どうしてもこれは逆ざやになるわけでございます。それが、最初に政府出資が百十五億ございましたのと、それから、最近では政府のほうで、そういう出資金がたいへんでございますから、補給金のようなものが一億くらい出ておるわけでございます。それが結局逆ざやの財源になるわけでございます。本来ならば政府出資金をいただくということでございますが、非常に財政が窮乏しておりますので、出しにくいというようなことで、各公庫とも、最近、去年とことしあたりそうなっております。
  45. 小峯柳多

    小峯委員 ここ二年くらい政府出資がとまっておりますね。補給金というのはどういう形で、どこの会計から入っているのですか。
  46. 安田巌

    安田説明員 一般会計から、公庫のほうの予算の中につくわけでございます。
  47. 小峯柳多

    小峯委員 どのくらいありますか。
  48. 安田巌

    安田説明員 ことし、四十二年度が一億百万円であります。
  49. 小峯柳多

    小峯委員 貸し出しで回収不能のようなものはないでしょうね。期限も長くなっているだろうから……。そういうものはありますか。
  50. 安田巌

    安田説明員 たいへん幸いなことに、いまのところは、こげつきになったものはございません。
  51. 小峯柳多

    小峯委員 今度は総括的な問題ですが、どうですか、この金庫ができてから、日本の医療保障の問題の中に、どういう寄与をしているとあなたは御認定になっていらっしゃいますか。ことに健康保険問題が、御承知のとおりたいへんやかましい中なので、どういう役割りを果たしてきておるとお考えになっておられますか。  そうして、この金庫の恩恵を受けない医療機関もあるだろうと思うのです。そういうものとの間の、医療費のけじめみたいなものは何か考えていらっしゃいますか。
  52. 安田巌

    安田説明員 ここに持っております数字は、昭和三十五年に公庫が設立されましてから、四十年の終わりまでの数字でございますけれども一般病院で、新しくできましたものが全体で千三百三十三増加しております。そのうち公庫資金によるものが八百五でありますから、大体七八%、それから精神病院では全体で二百二十四病院が増加しておりますけれども、そのうちで公庫資金によるものが百八十でありますから七四%。それから病床のふえましたのは、これは新設も含めて、いままでの病床をふやすというものがございますが、これが一般病床の増加が全体で八万四千九百四十床でございます。そのうち公庫資金によるものが五万七千二百四十七床で約六七%。それから精神病床では全体で七万六千八百五床、これで公庫資金によるものが三万九千八百四十八ですから、これは約半分くらい。それから診療所では全体で六千七百五十一増加しておりますけれども、そのうち公庫資金によるものが二千二百九十九で、これは三四%、これだけのものが公庫資金によってふえたわけでございますが、同時に、いま申し上げましたのは、新設されたりふえたものでございますが、いままで木造でありましたものを改築して鉄筋にするとか、りっぱなものにするとかといったようなのが、先ほど申しましたような貸し付け残に含まれるわけでありまして、六百八十一億五千九百万円であります。  それで、いまの新設にいたしましても、増床にいたしましても、政府のほうできめました基準がございまして、都内なんかはほとんどだめなんでございますけれども、その基準よりも病床が少ないところに限って、不足の病床分だけの病院が新設されるとか、あるいは既存の病院がそれだけ増すことができるということでございますから、私どものほうでお貸しした病院なりあるいは病床というものが、それだけ政府が考えておりますところの医療機関の整備状況から見て水準に達していないところに、それだけのものができた、それは相当大きな効果があったのじゃないかというような気が私はいたします。たとえばこれはばく然とした数字でありますけれども、私ども始まったころは精神病院病床というのはたしか八万ぐらいだった。いまは倍の十六万床をこえているのではないかと私は思います。これは一例でございますけれども、精神病患者の野放しとかなんとか言われておることに対して相当効果があった。  それから、ここで借りることができないものはどうかというお話があったのでございますが、これは借りられる人は大体借りていると思います。いま申しましたように、都会地なんかで、病院を設けよう、診療所を設けようと思っても、私どものほうで、あなたのところはだめです、そういう方は借りられないのです。ですけれども、そうでない方は大体借りられる。それで問題になりますのは、僻地の、医療機関が非常に少ないところのことなんでございますが、私ども公庫が四十年度で貸し付け決定を行なった医療機関のうち、病床の普及度が五〇%に満たないもの、たとえば、この町は百床まではいいというのに五十床もない、というような半分以下のところが件数で百三十九件。それから私どものほうで病院に九百四十四件貸しておりますが、その二八・一%、この五〇%以下のところは、私ども額に全然査定を加えないでそのまま貸しておるわけでございます。それから診療所につきましても、普及度が五〇%に満たない地区は四十二件でございますが、これも私どものほうで御融資申し上げているわけでございます。  それからもう一つ、別の角度から申しますと、人口五万未満の市町村というのは、大体そういう医療が不十分なところでございますが、その人口五万未満の市町村に対しまして、公庫資金融資されたものが、病院診療所とも毎年三〇%から三五%ということになっております。こういうことでございますので、これを三十五年公庫ができます前の状態と比べていただきますと、数字としては非常に大きな数字になっております。  それから僻地の問題といたしましては、これは医務局長のほうの御所管でございますが、やはり私ども受け身でございますから、言って見えればすぐ貸しますが、そういうところでは個人ではなかなかおつくりになれないということで、むしろそういう診療所病院をつくるのに金がないという問題よりは、町立でつくるとかあるいは村の国民健康保険の直営の診療所をつくっておっても、お医者さんが来ないという意味で、問題が多いわけであります。しかしいずれにいたしましても、そういうところから、私どもまず最優先に取り扱いたいと思っております。
  53. 若松栄一

    ○若松政府委員 私のほうから、ちょっと補足させていただきますが、いま総裁から五〇%に満たないとかいうようなお話が出ましたが、ちょっと御理解ができにくいと思いますので、その点を御説明申し上げますが、現在の医療法では、医療機関の配置が日本国全体に適正に行なわれるようにという趣旨を盛っておりまして、過剰な地域には医療機関を抑制し、そして医療機関の少ない地域にはこれを助成していくという考え方を持っております。そのために、現在医療法で、厚生大臣が定めました基準より病床がオーバーしている地域については、公的医療機関の開設を許可しないことができるというたてまえになっております。また、病床が非常に不足している地域には、国はその病院診療所の設置に助成しなければならない、そういう規定がございます。そのために、たとえば人口三十万以上の都市については人口万対五十八、人口一万について五十八ベッド、それから人口十万から三十万未満のところは五十七ベッド、人口五万から十万までのところは五十二ベッド、それからまた五万未満のところでは人口万対三十八ベッドという基準がございます。これをオーバーして病院をつくる場合には、公的医療機関はその開設を許可しない、そういう規定がございますので、それに合わせまして、医療金融公庫融資も、国の政策に沿って、過剰地域は抑制し不足地域は助成するというたてまえで、過剰地域は公庫融資も押える、不足地域はできるだけ優先させるという趣旨をとっておりますので、五〇%という意味は、いま申し上げました基準の五〇%にも足らない、つまりわれわれが予定しております病床数の半分もないような地域、そういう意味でございます。
  54. 小峯柳多

    小峯委員 だんだんお話を承って、私立大学病院みたいなものに、わき役のようにして、確かに安い金、長い金が入ればいいのだけれども、そういうことに相当のウエートがあるような感じがするのですが、いま医務局長の言ったように僻地のもの——これはもとより根本的には医務局長のお仕事になるのだと思うのですが、そういうところの医療機関がほんとうに働いておるという感じがすれば、私はこの機関に対する社会的な評価がもっと高まると思うのです。正直なところ、わりあいにいい仕事はしてくれておるのだけれども、社会的に与えているインフルエンスは少ないと思うのです。総裁どうですか、そういうお感じは持っておりませんか。
  55. 安田巌

    安田説明員 確かにそう言う方もありますし、ことに開業医さんとの関係もあると思うのですけれども、私どもが、大きい大学病院なんかに全然融資しないというのもどうだろうかという気がいたします。と申しますのは、やはりそれがその地域におけるメディカルセンターの働きをしておりますし、そこからお医者さんがいろんなところに行ったり、あるいは患者がそこに連れてこられたり、そこで研究したりすることがいろいろございますから、そういう地域に相当広範な医療圏を持っておって、しかもそれがその地方の医療機関の中心的な機能を持っておるというようなものに対しましては、私どものほうで貸さなくてもいいのでございますけれども、国なりどこかでやはりめんどうを見てやらないと、やたらに患者ばかりたくさんとって、本来の機能が発揮できなくなるのじゃないかというような心配があるわけであります。そうでありますから、現在のところは、できるだけ控え目にそして全体とのバランスをくずさないようにということで、額は限定しておるような次第でございます。
  56. 若松栄一

    ○若松政府委員 僻地、あるいは僻地と言わないまでも、非常にいなかのほうの、地方の医療機関に対する助成という問題もあろうかと思います。医療金融公庫は、私的な医療機関対象とした金融機関でございまして、公的な医療機関については、別途の資金供給の方法があるわけでございます。たとえば、都道府県、市町村の病院というものは、特別地方債で国が直接融資しておりますし、また日赤、済生会その他のいわゆる公的な医療機関というものに対しては、年金福祉事業団が融資をいたしております。この医療金融公庫は私的な医療機関対象にしておりますので、私的な医療機関というものは、どうしてもある程度の採算が立たなければ経営してやっていけない。したがって私的な医療機関が、いわゆる僻地で、採算のとれないような医療をやるということは事実上不可能なことでございます。したがって、金融公庫からそういう僻地の医療機関に対する融資はやっていない。したがって、それを補うためには、国自体がやらなければならないということで、僻地につきましては——これは僻地ですから、病院というような大きなものはできませんで、診療所でありますが、僻地の診療所については、そういう企業ベースといいますか経営ベースに乗りませんので、これはもう赤字を覚悟でやらなければいかぬ。したがって普通の私的医療機関ではだめで、公的な医療機関でやらなければならない。したがってこれについては、僻地の診療所を、村立であるいは国保が経営いたしまして、それに対して助成するという方法をとっておりまして、現在、いわゆる僻地と称しますものを特定の基準で千個所くらいを選定いたしまして、これに対して国保診療所を設置することが適当だというものが五百ヵ所程度、それからむしろ村立で赤字覚悟で経営をするのが適当だと思われるものが四百二十七ヵ所ございまして、そういう施設につきましては、たとえば僻地の市町村がやる場合には、その設備費に対しては国が二分の一の助成をいたしております。なおそれでももちろん赤字が出ますので、その運営費についてなお三分の一を公庫で補てんするというやり方をいたしておりますので、そこら辺はどうしても公的あるいは国あるいは地方公共団体の任務でありまして、そこら辺を、医療金融公庫の任務と公共団体の任務とはっきり割り切ってやっている次第でございます。
  57. 小峯柳多

    小峯委員 医務局長に伺いますが、それだけ公共団体で、私的な施設じゃだめだということをお考えになっていると、どうも私は、医療金融公庫の占める役割りというものが初めから何か非常に小さいように思う。だから、いま少なくとも公的な施設に対しては至れり尽せりの補助なり援助があるのなら、なぜ医療金融公庫というものを特につくらなければならなかったか。たとえば大きな病院というものは、医療金融公庫が、できないといったって貸しますよ。実際の経営はよくないことを私は聞いているけれども、普通の金融機関貸していますよ。そんなところにちょっと乗っかってやるような、仕事がどうも中途はんぱなような気がするのです。ほんとうに医療金融公庫の使命があるなら、そのものずばりで、これがあるために、これがこうなってこうなんだという分野を初めからつかんでおかないと、どうも私さっきから承っていると、存在価値が薄いような気がする。
  58. 若松栄一

    ○若松政府委員 どうも補足的な説明を申し上げましたところ、本筋のほうの話になってまいりましたが、実は医療機関というものは、やはり戦時中の混乱から非常な荒廃をいたしまして、国民の住宅全般が非常に荒廃いたしましたように、医療機関も非常に荒廃をいたしました。その復興のテンポを見ますと、これは一般の企業と違いまして、かなりテンポがおくれておったようであります。といいますのは、資本あるいは私的な資金は、利益の多いところに流れますけれども、こういう医療機関というものは本来営利を目的とするものではございませんので、株式会社ももちろんできません。したがって、大きな資本というものはなかなか集まり得ないわけです。そういう意味で、戦後の日本のいろんな復興に比べまして、医療機関の復興というものが非常におくれました。一方医療保障が進み、国民皆保険というものが進んでまいりますと、日本のあらゆる地域において医療の需要が起こり、あらゆる地域において医療を供給しなければならないという状態になりまして、医療の供給体制ということを、やはり国の立場で積極的に助成していかなければならないという事態になりましたので、そういう事態に即応して、どうしても医療機関の不足の地域に特にやっていく。しかも医療機関というものは、数の上では圧倒的に私的な医療機関のほうが多うございます。そういう意味で、圧倒的に数も多く、しかもそういう医療供給体制を普遍的にする役目を持っておる私的医療機関を助成しなければ、現在の皆保険体制下の医療供給がうまくいかないという立場で、この医療金融公庫を設けたわけでありますので、公的な病院は、それぞれ、先ほど申しましたように別途のものだ。私的なものについて、できるだけそういう小さく、しかも比較的零細なもので数多く必要とするものというものが確かに必要でございます。そういう意味で診療所に対して優先させ、病院はむしろ二次的に考えているわけでありますが、一方、総裁のお話もありましたように、私立大学病院というようなものは、非常に大きな規模であるにかかわらず、現実に、先ほどの特に地方債とか年金福祉事業団というような融資の道がございません。やむを得ず何らかの方法を見つけなければいかぬ。しかも現在の一般商業ベースの資金ではとてもやっていけない。したがって、やはりその分についても、医療金融公庫が一部は持たなければならない。したがって、先ほどお話がありましたように、三十億必要なところでも、五億程度限度というように押えてやっております。
  59. 小峯柳多

    小峯委員 総裁、貸し出しの条件、金利なんか、私立大学病院に出すのと僻地に出すのと同じですか。
  60. 安田巌

    安田説明員 前はもっと離れておったわけでございますけれども、最近は六分五厘と七分ということになっております。それで、六分五厘というのは、この地域における医療施設というのが基準以下の場合、ですから新設とか改築というようなもの、それから新設はできないけれども悪いのをよくするという目的を持っておるものに対しては、病床が一ぱいの地区においても融資を認めておるわけであります。その場合には貸し付け利率は七分、病床基準以下の地区は六分五厘、大学病院も右と同じような利率の区分に従って貸し出しをやっております。
  61. 小峯柳多

    小峯委員 僻地の私立の施設はできにくいということなら、思い切って条件を下げる。結局そろばんですよ。収支が合わなければならないのだから。もしほんとうに医療金融公庫の存在価値を発揮するならば、僻地では思い切って三分なら三分くらいにするようなことを考えてやるような構想はございませんか。これはお二人共通です。
  62. 若松栄一

    ○若松政府委員 僻地等におきますものをある程度利率を下げたといたしましても、いかに利率を下げても、経常収支が償わなければ、これはできることではございません。そういう意味で経常収支が償わないようなものは、これは私的医療機関に依存するわけにまいりません。そういうものについては、公的医療機関で穴を埋めるという努力をいたします。六分五厘と三分というような二つの段階に分けるといたしますと、その地域における採算性がどの程度かということによって、ある意味では分けなければならぬわけでございますが、これは実際問題として、医療機関の経営というものは個々によって非常に違いますので、それらの点を明確に区分するということはなかなか困難であろうと思いますので、現状においては、いまのところそのような点は検討いたしておりません。
  63. 安田巌

    安田説明員 僻地と申しましても、先ほど申しましたような五〇%以下だというところですね。そういうのは、私どもかなりやっておるわけであります。しかしながら無医村というようなところ、これは、それを建てるための金があるとかないとか、それからそこに建てて経営をいたしますときに非常に経営が困難であるとかいうようなことではなくて、私ども承知しておりますのは、やはりお医者さんが来ないというのが一番大きな原因だと思う。ですから、かりに村で病院を建てる、あるいは診療所公庫で建てまして、相当俸給を出すと言っても、なかなか来ない。やはりお医者さんの私生活の問題とか、子女の教育の問題とか、あるいはお医者さんですから、みなが研究みたいなことをしたいわけですが、そういうことができないとか、そういったような事情のほうが大きいのじゃないかという見方に立っております。そうなりますと、そういう僻地の医療機関を整備する対策とすれば、よほど大きな医療団体か何かのお世話で、そこからの人間をあてにして、それがぐるぐる回るというようなことでないと、融資面だけでそれを何とかしょうというのは、ちょっと無理ではないかというような気がいたしております。
  64. 小峯柳多

    小峯委員 最後に一つ。年度で四千件以上の件数を扱っておるようですが、その中で、よその金融機関と共同でなしに、あなたのほうだけでやっておるのがどのくらいですか。みな少しずつですか。
  65. 安田巌

    安田説明員 大体少しずつ出しております。ということは、資金がございません。工事費に対し私のほうで八割を融資することになっておりますが、その八割も公庫資金関係でしぼっておりますから、その不足分を銀行のほうで融資しておるとか、中には自己資金の方もございますが、やはりそんなに金を持っておる者は借りられないじゃないかということはあるかもしれませんが、大体他の金融機関が多少融資をしているものが多いのではないですか。
  66. 小峯柳多

    小峯委員 だんだんお話を承って、どうも私はいろいろの条件で狭められてきて、あなたの金庫の活動分野というものが、実はかなり制限されているように思います。また戦後これだけたちますと、段階的にも、いままでのことでいいとは思えない。そういうふうなことで、何かひとつくふうがないと、それこそ臨時行政調査会が、これはどうも元に戻すということになりがちだと思う。そういう意味でいろいろ伺ったのですが、どうぞひとつ、これは厚生省のほうもあわせてお考えになっていただきたいと思います。  私の質問は、これで終わります。
  67. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 中村重光君。
  68. 中村重光

    ○中村(重)委員 安田総裁にお尋ねしたいことがあるのですが、日赤の田辺副社長の時間の関係があるようでございますから、しばらくお待ちを願います。  田辺参考人にお尋ねをいたします。この献血に対して、現行法が御承知のとおりあるわけですけれども、この法律は、どちらかといいますと、業者に関する取り締まり法的なものになっているわけですね。したがって、いまは献血が中心である、献血によって血液はまかなわなければならぬというような方向にあるわけですから、この献血のビジョンというものを基礎にした新しい法律をつくる必要がある。でなければ、あなたのほうで献血の運動を展開をしていかれる、そのために、いろいろ関係の機関の協力を求めていかなければうまくいかないのではないかと思いますが、やはり現場で献血運動というのをさらに高めていって、そうしてまた血液を集めるという点から、現在の法律であるとかあるいは血液の政策では、どうもうまくいかぬというような点をお感じになっていらっしゃる点があるのではなかろうか。そこいらの考え方をお願いしたい。時間の関係がございますので、簡潔に要点だけでけっこうです。
  69. 田辺繁雄

    ○田辺参考人 御承知のとおり、日本の血液事業と申しますか、これは長年の積弊が積もり積もりまして、大きなさびがたまっておるようなものでございます。これを一挙にふるい落とすということは、禁止とか何とかということになりますと、大きな穴があきますので、厚生省でも非常に御心配になった点だと思いますが、赤十字、引き受けてくれということで、お引き受けしたわけでございますが、これは非常にむずかしいことなんです。強大な市場をつくっている業者がおります、そこへ資本もなしで、素手で、大ぜいの皆さんの御協力だけによって、これを今日まで推進したわけでございます。理論的に申し上げますれば、いろいろなことが考えられます。究極的には、おっしゃるように献血に関する基本法が必要だというととはわれわれ認めており、希望もしておりますけれども、それをつくり出す諸条件をまずつくっていくということになりますので、私どもとしては、今日できる限りの努力を続けてまいりたい、かように考えております。現に九州では、すでに赤十字の血液事業の進展状況を考えまして、化血研という大きな民間団体が血液業務を全部ストップしまして、全部赤十字に渡すということになりました。私どもは、そのかわり、われわれのとった廃液と申しますか、不要になった血清をそちらに回すという協定をつくりまして、今日に至っておるわけでございます。こういった方式が今後他の地域にも及び得るならしあわせだ。それにはやはり自力をつけなければいけませんので、乏しいながら一生懸命力を入れておるわけでございます。
  70. 中村重光

    ○中村(重)委員 ほかの団体の協力態勢というものはどういうことなんでございますか。学校あるいはその他の公的な医療機関、その他いろいろな団体が協力態勢をとってくれまして、なめらかにいくんであろうと思うのですが、そういう点はどうなんですか。
  71. 田辺繁雄

    ○田辺参考人 これはお話のとおり、赤十字だけでできることではございません。関係各機関、関係国民の方々の御協力、それがじょうずに組織化されて目的を達するのだというふうに思います。その中心は、何と申しましても、やはり都道府県が中心となっていただくほかにございませんので、各都道府県あるいは各保健所あるいは市町村ごとに献血推進協議会というものをつくりまして、その中に関係機関全部入れまして、共同の計画を立てまして、それぞれ実行する、こういう構想で御尽力、御協力をいただいているような次第でございます。まだ不十分な点はございますけれども、着々成果をあげているところもございますので、その方式が現状では一番いいのではないか、そう考えております。
  72. 中村重光

    ○中村(重)委員 献血推進協議会は、全国的に各都道府県ともできているのかどうかということと、それから、詳細は要りませんが、大体のメンバー、そういう点はどうですか。
  73. 坂元貞一郎

    ○坂元政府委員 いまお話のございました献血推進協議会でございますが、これは三十九年、政府が閣議決定に基づきまして、献血推進の大方針をきめたわけでございます。このときに、各都道府県に献血推進協議会というものをつくっていただくように、私どものほうで指導をいたしまして、現在は都道府県には全部ございます。それから、もちろんその下部末端組織としまして、保健所単位とかあるいは市町村単位というところまで現在逐次できつつある、こういう現況になっております。  それから、お尋ねの第二の、推進協議会の構成メンバーでございますが、これには各都道府県の実情によっていろいろ違う点もございますが、原則的、基本的な考え方としましては、各都道府県の、ただいま御指摘のありました関係諸団体、たとえば医療機関とか、労働団体とか、あるいは婦人団体、青年団体、それから言論報道機関の代表だとか、そういうような、いわば各界の協力団体の代表者をこの構成メンバーとしているというのが、全国的な実情でございます。
  74. 中村重光

    ○中村(重)委員 厚生省にあとでまたお尋ねしたいと思っておりますが、あなたのほうの公的医療機関、そういうところでも、私は協力態勢というものは非常に弱いと思う。そうした推進協議会をつくるということは必要ですね。せっかくつくったならば、その推進協議会というものは活発な運動を展開していかなければなりません。それを展開させるについては、やはり文部省に働きかけて、文部省は学校教育の立場からも、やはり献血というものの真の意義がどこにあるか、そういうことを徹底をしていくということも私は大事だと思う。  それから、公的医療機関でどれだけの献血に対する啓蒙活動をやっておりますか。ほとんど協力態勢というものはございません。肝心の厚生省がそういうようなことでは、各級機関に対して活発に運動を展開し、協力をしてもらいたいということを言いましても、なかなかそんなにいくものではない。具体的な問題で、あとで厚生省には、先ほど申し上げましたように、お尋ねをすることにいたします。  そこで、日赤にお伺いしたいことがありますのは、献血者に対して謝礼をしていらっしゃると思うのです。それがどういうことになっているのか。それから全国的に統一された形で行なわれているのかどうか。私の知り得たところによりますと、必ずしもそうではないという面もあるようであります。時間の節約の関係から、私が知っておる具体的な点を申し上げると、あなたのほうでいろいろな謝礼をしておられる。それから、現金でもって血液の代金を実は払っておるというところもあるように伺っておりますが、これは厚生省が定めた基準というのか慣習というのか、そういうことでやってはおるようでございますが、この点は現場で日赤が当たっておるのだろうと思いますから、その点をひとつお聞かせを願いたい。
  75. 田辺繁雄

    ○田辺参考人 謝礼というほどのものではございませんが、この献血された方にバッジを渡すとか、手帳を渡すとか、一定の基準を定めまして、通達してございます。謝礼として現金を渡すというふうなことは、本社としては認めておらないのでございます。
  76. 中村重光

    ○中村(重)委員 いまバッジのことだけおっしゃったのですが、大体現金をお渡しになっていらっしゃらない、全国的に統一しておられるということであると、これは基準ですから、そうであろうと思うのです。それならば、何を渡して、それは大体何が幾らで、総額幾らになるのか、そういう点をひとつ明らかにしていただきたいと思います。
  77. 田辺繁雄

    ○田辺参考人 Rh式血液型検査の際、二百四十円、献血手帳として二十円、献血バッジが三十円、それから血液型の判定をした場合に、それぞれあとから通知をいたしますが、その費用が約十円、大体合計約三百円というものを、奉仕のための経費の標準としております。
  78. 中村重光

    ○中村(重)委員 三百円ですね。それから、献血ですから、これは元はただなんですね。それで患者に対してはたしか二百cc千六百五十円で売っておるということに伺っております。それは、あとで厚生省から伺うことにいたします。いまお答え願ってもけっこうですが……。  いまの三百円、それから、別に何か二百円積み立てをしておる、しかもそれは何かプールして使うというように伺っておりますが、そこらあたりをひとつ。
  79. 田辺繁雄

    ○田辺参考人 今日の血液の値段というのは、いわゆる売血ベースできまっておりますので、本来献血ベースできめられるべきものだと、私も考えておりますが、それまでの暫定措置といたしまして、どうしてもこういった奉仕事業に使った余りが出るわけであります。それを、厚生省からの御指示もございまして、積み立てまして、各都道府県ごとに現在は積み立てさせておりますが、推進協議会の皆さんにおはかりいたしまして、最も有益な公益的なものに使いたい。もちろん献血事業のためにこれを使い、運営費には使わないことにしております。設備その他公益的なことに使う、こういうふうにしておるわけであります。
  80. 中村重光

    ○中村(重)委員 これは先ほどの謝礼がそれぞれ三百円、そうすると、いま積み立てをやっているというのですから、この積み立ては幾らで、設備とおっしゃるのですが、中心は何か。
  81. 田辺繁雄

    ○田辺参考人 二百円を積み立てた、その金の使途についての御質問だと思いますが、それは先ほど申し上げましたとおり、各県ごとに血液センター、血液の推進協議会があります。そこにおはかりいたしまして、最も緊要と考えられるような設備、主として器械購入であるとか、修繕であるとか、そういうものに使っておるのが大部分だと思います。それには一々本社が承認をいたします。本社が承認を与える場合には、厚生省と協議いたしまして、使途につきましては慎重な態度で臨んでおるということでございます。しかしこれは次善の策でございますので、先ほども申し上げましたとおり、早急に献血ベースの値段をきめてほしいということを厚生省にお願いして、厚生省が目下検討を急いでおられるわけであります。
  82. 中村重光

    ○中村(重)委員 厚生省に伺うのですが、先ほど田辺参考人は、血液の謝礼として現金を払っていないということですが、地区によりましては、現金を払っているところもある。私はこれはきわめて不統一であると思う。さらにまた、この三百円はバッジであるとかジュース、あるいは先ほど御説明がありましたような内容であろうと思いますが、専門家の諸君に言わせると、この三百円というのは、実際実費としてかかっておるのであろうか、三百円はかかっていないように思うということを言う人が多いです。そうしてみると、もしそういうことが事実であるとするならば、私はこれはたいへんな問題であろうと思う。ほんとうに三百円実費がかかっておるのかどうかという点が一点であります。  それから、先ほど私が申し上げました、現金で代金を払っておるという事実は認めていないとおっしゃるのだが、そのことをいままで御調査になったことがあるのかどうか。  いま一つは、これは厚生省にお尋ねすることになりますが、先ほど田辺参考人からお答えがございましたように、献血ベースではなくて売血ベースであるということですね。だとするならば、売血は御承知のとおり五百円で買っておった。ちょうどいまの二百円の積み立てと謝礼と合わせると五百円です。だから、売血ベースであるということはそういうことを意味するのであろうと思うのです。売血をやめなければならない。そこでこれは献血でもって血液を満たしていくのでなければならぬという方向でもって、強力な政策を進めておるのであろうと私は思う。ところが患者には千六百五十円で売っている。そうして、かつて売血ベースで一つの商売という形で化血研がやっておったときに、これを五百円で一応買っておった。それに合わせるという形で、いま日赤がやりますところのこの献血に対しても、五百円という金は、事実上いろいろな設備をするとかあるいは謝礼をするとかいう形で、献血をしてくださった人たちの分から使っていくということには、私は問題を感じます。そういうような費用こそ、私は国が責任を持って支出をしていく必要があるのだということです。そういう姿勢を確立せずして、献血運動というのが十二分に推進されようはずはございません。また、国民の献血に対するところの協力を期待することは、私はできないと思う。千六百五十円で売るということ、そのことにも私は抵抗を感じる。これも引き下げて、同時に、その二百円の積み立てをして、いわゆる献血車を買ったり、その他の設備を、献血をしてくださった人たちの血液を売って、その金からやるというようなことは、私は許されてはならないと思う。そういう点、厚生省はどのようなお考えになっていらっしゃのか。依然として、これをそのまま改めずして進めていこうとしておられるのか。田辺参考人は、いまこれを検討しているとおっしゃったのでありますが、どのようにお考えになられますか。
  83. 坂元貞一郎

    ○坂元政府委員 第一点の御質問は、三百円なるものの使途は、日赤で確実に支出しているかどうかということだろうと思います。私どもとしましては、献血運動を三十九年閣議決定で提唱しました当時から、日赤のほうにも、いまお話のございました三百円なり二百円、合計五百円でございますが、こういうものにつきましては、厳重な経理をしていただくようにということで、たとえば特別会計制度にするとか、経理内容を公開していくとかいうような点をお願いをしてまいっておるわけでございます。したがいまして、この三百円なるものは、私どもとしましては、当然日赤のほうで正しく使用していただいておる、こういうふうに考えておるわけでございます。この問題はもちろんいまも御意見ございましたように、一般の国民の善意に基づいて献血をしていただいていることからいいましても、当然この経理内容というものはガラス張りにしまして、疑惑の起きないようにしなければならぬわけでございます。そういう意味におきましても、日赤当局のほうはそういう点を十分懸念をされまして、この経理等については十二分の配慮を払ってもらっておると、私ども厚生省では考えているわけでございます。  それから第二点の、現金等を謝礼の形で出しているじゃないかという御意見でございますが、私どものほうで、もちろん全国的に詳細な調査をしたことはございませんが、各都道府県あるいは日赤本社と直接にこういう問題について、たまたまいろいろな機会に話し合いをしたことはございますが、いままでのところ、血液を出していただいた方に、日赤がやっております献血の場合は、一切現金のサービスはしていないと、私どもは報告も聞いております。またそのように確信をしております。もちろん、御存じのように、民間血銀等が従来やっていたわけでございますが、これも売血の廃止に伴いまして、現在は供血者の方にサービスの形で謝礼はしていないというふうになっておりますので、現在は、日赤の場合も民間の場合も、現金の形で、血液を出してもらった方にサービスはしていない、かように承知しているわけでございます。  それから最後の、千六百五十円の血液の供給価格あるいは五百円の血液代金の問題でございますが、これは私どもも、昨年当委員会におきまして、この五百円というものは献血を推進する上において非常に大きな支障があるということの御指摘も受けましたので、当時の大臣からも、五百円というものは早急に廃止したいということを、国会でも言明してもらっているわけでございます。そこで四十二年度の予算の編成の過程におきまして、日赤が従来やっております千六百五十円から五百円をかりに廃止をしますと、当然千百五十円ということになるわけでございますが、これでは、確かに日赤が現在やっております献血事業というものは、なかなか財政的にも困難だろうというようなことを考えまして、四十二年度予算におきまして、先ほど二百円の施設整備の費用を御指摘になりましたけれども、それに大体相対応する考え方としまして、本年度から施設整備の費用を、たとえば移動採血車とかあるいはセンターとか、そういうような施設整備の費用を、国費で約一億二千万程度予算を計上している、こういうことに相なっているわけでございます。
  84. 中村重光

    ○中村(重)委員 そうすると、三百円はそのままで日赤が謝礼としてやるのだ、二百円の施設整備費は適当ではない、したがって四十二年度の予算の中で一億二千万円、日赤に対する補助金というものをことしは計上しておるようであります。そういうふうに、その二百円に見合うということでやったのだから、これは廃止する。そうすると、その血液会計の中では、千六百五十円で患者に売るわけですから、収入としては千三百五十円、こういう形になることになります。二百円は廃止する、いまの血液会計からはずす、そのために予算を組んだのだ、直ちにこれは実行する、というように理解してよろしゅうございますか。
  85. 坂元貞一郎

    ○坂元政府委員 千六百五十円から五百円をかりに廃止しました場合に、当然千百五十円になるわけでありますが、先ほど申しましたように、千百五十円では、現在の日赤の財政能力等から、非常に困難な面がございますので、この千百五十円にどれだけプラスアルファして供給価格をきめるかという問題がいまあるわけでございます。したがいまして、いま御指摘の、二百円分は国費で見るから、それはもう日赤には渡さぬでもいいのだ。——確かに考え方としてはそういう考え方もあるわけでございますが、私どもとしましては、もちろん二百円の分を今年度予算で計上いたしましたので、考え方としてはそういうような考え方もとりながら、片一方において、また日赤が献血というような採血方式でやっている、その実態が非常にいままでの売血方式と違うという、特殊な実態を持っておるわけでございます。いわば売血の場合は車等を動かさなくてもいい。ところが日赤等でやっております献血の場合は、移動採血車というようなもので、県内の農村地帯までぐるぐる回って採血を呼びかけておるというような特殊な採血方式をとっておりますので、そういう日赤のやっております献血に伴う採血方式というものが特殊な経費がかかるというような面も考えながら、この千百五十円にどれだけプラスアルファで価格を決定するかということを、現在関係方面と折衝しながら検討を進めておる、こういう段階であるわけでございます。
  86. 中村重光

    ○中村(重)委員 ともかくそういう説明も必要でしょう。献血を受けて、患者に千六百五十円で売りて、その中から五百円使うということはいかぬ。それに対してあなたも、献血運動に対して非常に支障がある、献血者に対する感情という面からよろしくないのだからこれは改めなければならぬということにしたのだ、こうおっしゃった。だからそのために予算も組んだとおっしゃったのだから、ひとつそういうやり方は廃止するのか、それをずばりお答えになればよろしい。
  87. 坂元貞一郎

    ○坂元政府委員 千六百五十円から五百円を廃止することは、昨年も申し上げたとおりでございます。廃止するという方針はきめておるわけであります。ただ、廃止した場合、千百五十円というだけでは、なかなか日赤の財政状況も苦しい。したがいまして、廃止しながら、片方において千百五十円というものにどれだけ上積みするか——もちろんこれは現行の千六百五十円より相当下回る価格になることは当然でございますが、その点がまだ関係方面と完全に意見が一致していない。もちろん念がなければならぬ問題でございます。早急に結論を出したい、こういうことでございます。
  88. 中村重光

    ○中村(重)委員 患者に千六百五十円で売っているのは高い、これを引き下げる、こう言ったのだから、それを引き下げる考えはないか。また日赤の会計という点から考えて、逆に千六百五十円を上げようというような考え方はないでしょうね。この点ははっきりしておいてください。
  89. 坂元貞一郎

    ○坂元政府委員 もちろん千六百五十円を値上げするという考え方は、現在のところ厚生省としては全然考えておりません。千六百五十円より相当下回った価格で価格決定をいたしたい、こういう基本方針でございます。
  90. 中村重光

    ○中村(重)委員 わかりました。日赤の会計の問題が重要であることはわかる。大体、血液を特別会計というのが、私は問題があると思うのです。国はもっと金を出しなさい。国民に対して献血を働きかけておいて、血液関係会計がどうだ、こうだ、そういうことを議論するということ自体が大体おかしい。国の責任において、血液の管理もやらなければならぬ。保存の問題なんかにいたしましても、二十一日以上保存できないのでしょう。もし保存しておる間に温度が狂ったりなんかしたら、人の生命にかかわる。そういうことに対して厚生省が責任回避をやって、あなたまかせというようないまの態度を改めなければたいへんな問題になる。だから、そういう問題も、時間がありますれば私はずっとお尋ねをしてみたいと思うのでありますが、ともかく、国は血液の問題に対しては真剣に取り組み、財政援助をやる。国会議員でだれひとりそういうことに反対する人はありません。だからもっと積極的な取り組みをしてもらいたいと思います。  なお、田辺参考人に御希望申し上げておきますが、いろいろ聞きますと、採血にきてもらいたいという連絡をする。じゃいつ行きましょう、約束をする。なかなかその日に行かないそうですね。それで、待っている、来ない、というので、たいへん迷惑をするという苦情をあちこちから聞きます。医師が不足しているとか、いろんな点があるのであろうと私は思うのですが、そういう点は厳重にひとつ全国的に注意を喚起されて、そういうことがないようにしなければ、私は献血運動というものに支障を来たすと思います。この点はお答えは要りません。十分調査をして、対処していただきたいと思います。献血の問題、血液全般の問題については、厚生省にあとでお尋ねすることにいたします。  田辺参考人に。長崎県の日赤五島病院の合併に伴う慰労金や記念品、こういう問題で、全国的に波紋を巻き起こしたことは御承知のとおりであります。この点に関して、だいぶ日時もたってきたのでありますが、いろいろこれに対する始末をどうするかということに対しましても、それなりに大体片づいたのではないかと思うのであります。したがいまして、どういうようにこの問題に対して処理されたか。長崎県知事である支部長、あるいは副知事である副支部長、あるいは衛生部長あるいは民生部長、こういう人たちが参与になっておる。また日赤の飛永事務局長、こういう人たちが責任を感じて辞表を提出したというように伝えられておるのでありますが、どのようにこれらを処理されたか。また、時間の関係から、まとめてお答え願ってけっこうでありますが、慰労金や記念品という形で、六百四万五千円の多額の金が支出されておる。こういう金が、私は日赤という立場から考えてみまして、どうして支出されたのであろうか、この支出は合法であったのか非合法であったのか、これらの点等もあわせてお答え願いたいと思います。
  91. 田辺繁雄

    ○田辺参考人 まず、支部長以下役員の進退に関する措置でございまするが、長崎県の日赤の支部に評議員会というのがありまして、その評議員会の中に、当問題の善後措置を講ずるための特別委員会を設置いたしまして、慎重に審議いたしました結果、支部長等の進退につきましては、次のような結論に達したのであります。  すなわち、支部長については、いま直ちに辞任することは支部事業の後退が非常に懸念されるので、支部長には留任をしていただいて、今後一そう赤十字事業の発展に御努力願うことが至当であろう、こういう結論でございます。副支部長のうち、副知事をしておられた一ノ瀬氏につきましては、四月三十日に辞任していただく、その後任につきましては、官民一体の協力体制を打ち立てるという趣旨からいたしまして、従来二名であったのを三名、すなわち一名増員いたしまして、全員民間人をもってこれに充てるということにいたしたのでございます。それから長崎支部の事務局長飛永氏につきましては、今回の事件に関連する人事といたしまして、退任をしていただくことになりまして、四月五日付で退任をいたしたわけであります。  次に、もう一つの措置といたしましては、全支部長に対しまして、副社長名をもちまして、謝礼金等の支出についてという通達を出しました。今回のこの事件におきまして、支出いたしました額が、社会通念上容認される程度を越えていたなどのことから、疑惑を招いたということはまことに遺憾であった、今後はかようなことのないように、赤十字の公共的な性格を十分考慮して、社会の批判を招くことのないように、下記のことに留意して、謝礼金等の支出にあたっては慎重を期せられたい。その一つとしまして、謝礼金等の支出は、経費節減の面から見ても、極力少額にとどめることが望ましい、それから、謝礼金の支出にあたっては、会計上の所要の手続をとること。予算の計上であるとかあるいは支出に関する決裁等、遺漏のないように必ず措置をすること、第三番目に、支部長その他の役員等の更迭にあたりまして謝礼金等を支出する場合は、一人五万円以上支出する場合には必ず評議員会にかけて、その評議員の皆さまの御意見を伺った上で措置するように、こういう通達を出したのでございます。  それから、今回の事件においての謝礼金等の支出でございまするが、これはいずれも経費として支出しておるわけでございまして、したがって、法人の剰余金から支出したということはないのでございます。これは当然のことでございまして、損益計算書上の支出として立てられておるわけでございます。そのうち、職員の臨時ボーナスに該当します二百九十五万円は、赤十字病院がまだ合併する前に支出をし、残りの金額は、支出だけは決定し、未払い金、未払いの債務として、新しい病院のほうに引き継がれたのでございます。こういった支出の行為をするにあたって、会計上遺憾の点がなかったかと申しますと、おおむね会計上の手続にはかなっておるようでございましたけれども、若干、本社に相談するとか、あるいは予算の流用等に関する手続等について、抜けておったことは事実でございます。このたびの事件におきましては、額等において社会通念上程度を越しておったという点と、その取り扱いのやり力が妥当でなかった、こういう点は深く反省をいたしまして、本社の指導が十分でなかったことをまことに申しわけなく思うのでございますが、かような事件は、病院を閉鎖するということはめったにないことでございまして、この点については詳しくは入りませんが、今後こういう類似の行為が発生するおそれがございますので、厳重な態度をもって臨みたい、かように思います。
  92. 中村重光

    ○中村(重)委員 めったにないのではなくて、日本でも初めてのケースでしょう。これは世界で八十ヵ国加入しているわけですね。おそらく世界にだってないのじゃありませんか。世界でまことに忌まわしいそういうケースを今度はつくり出した、こういうことじゃございませんか。
  93. 田辺繁雄

    ○田辺参考人 私が申し上げましたのは、病院を閉鎖して他に移管する、しかも剰余金のある病院が他の団体に移管することは、めったにないであろうということを申し上げたのでございますが、こういう事件が他に例のないことはもう当然でございます。
  94. 中村重光

    ○中村(重)委員 あなたのお答えで、だいぶん事実と違う点があるのです。まあしかし、できるだけ問題がないようにお答えになろうとつとめていらっしゃるの、だと私は思うのです。  あなたが、これは剰余金じゃない、経費であるという答弁をなさったら、第一たいへんですよ。考えてごらんなさい、知事に三十万円、副知事に二十五万円、衛生部長に十五万円、民生部長に十万円、事務局長が二十五万円ですか二十万ですか。肝心かなめのあなたのほうも、五万ですよ。いいですか。当時の島津社長五万円でしょう。そういうような金が経費ですか。通りますか、そういうことが経費ということで。これは剰余金を配分したのじゃないのだ、経費として落としたのだ、こうおっしゃる。こういうことを日赤が堂々と、これが経費であるというようなことでこれを処理されようとするなら、これは重大な問題ですよ。  それと、あなたは、これは経費云々ということで、会計上の処理のことをお答えになる。大体この合併はあなたが推進なさったのだ、指導なさったのだ。私は十分調査しているのだから。ただ、自分だけの調査では、間違いがあっちゃいかぬ。当時それを推進なさったあなたに、また責任者である川西社長にお尋ねするのでなければいけないから、だから私はお尋ねをしておるのだけれども、両者が合併するときに、それぞれ委員が出て、いわゆる七人委員会というものができて、合併したのですね。そして、この合併は、三十九年十月一日から新しい病院ができた。そしていま私が申し上げましたようないわゆる記念品、慰労金、総額六百四万五千円、それはあなたのほうも含めてなんです。そういう金は九月二十七日に決裁になったのです。もうかったから——大体財産を引き継いだ金は五千五百万円、その中には現金もあるわけです。そしてこの金は九月二十七日に、しかも知事が旅行もしておらぬのに、副知事に決裁を代決させたのですが、これは時間がないから、私はあまり触れようとは思いませんけれども、そういう形でこの山分けをやったのです。だからたいへんなことになって、募金運動にも影響し、献血運動にだって大きな影響を及ぼしているのです。この事件が起こったときに、長崎の保存血がどの程度減ったかということも、私は調査をしてみたのです。これは全県的なたいへんな問題なんです。これは長崎県だけではなくて、全国的な問題になった。おそらくこれは外国紙にも報道されたでありましょうから、国際的な問題でもあったと私は思う。そういう点について十分あなたのほうも調査をなさったはずだ。そして支部長の問題については、これはいま支部長をやめさせることは後退をする、だからひとつ大いに日赤の発展のために働いてもらいたいというので、辞表を撤回させた。そして副知事である副文部長をやめさせた。そして事務局長をやめさせた。それでこの問題に対してケリをつけようとする考え方は、少なくとも長崎県民は納得いたしませんよ。国民として納得できない。当然支部長は、あとで就任するようなことがあるにいたしましても、一年間ぐらいは謹慎する意味でも、支部長を辞任すべきです。あなたのほうはそういう責任ある態度をとるべきではなかったかと思うのです。そして、五万円以上出すというときは云々ということで、これは偶然の一致かもしれませんけれども、あなたのほうが五万円もらったものだから、三万なんということになったら、五万円というようなものを自分がもらったことに責任を感ずるから、だから五万円という基準に、ここで五万以上という、五万円にこだわった、そういう批判は免れませんよ。あなたがもらっているところの五万円、社長がもらっているところの五万円、その他あなたのほうの幹部諸公がもらっておる三万円、二万円あるいは五千円、そういうものが社会通念上考えて、常識的な経費と見ることができますか。記念品と見ることができますか。責任を感じるというならば、みずからそのことを天下に陳謝すべきなんです。それをせずして、代決を強引にさせられた一ノ瀬副支部長、命令に従って動いたところの飛永事務局長をやめさせた、詰め腹を切らせた、そしてこれを処理しようという。何ということですか。しかも飛永君をやめさせるについては、あなたは知事に約束をしておるでしょう。飛永君をやめさせるけれども、この身分については何とか考えてくれと言っているでしょう。いろいろな点について、まことになれ合いもはなはだしいと私は思う。いろいろ私が申し上げるとまだある。しかし質問という形でやっておりますから、そう私からばかり言わないで、まだまだお尋ねしたいことがたくさんあるのでありますが、一応ここであなたのお考え方を聞かしていただきます。
  95. 田辺繁雄

    ○田辺参考人 ただいま、私ごとぱが足りないので誤解を受けたと思いますが、剰余金という形式でなかったということを申し上げましたのは、会計経理上は、赤十字というものは剰余金というものを分けることはできないのでございます。経理上は、支出と経費のどれかに当てはめて支出するという形式をっとておるわけでございます。ただその中には、職員の長い間の功労に対する報いということもありますし、それから年度の途中でやめる人がございますので、賞与に該当するものを出さなければならないということもございますので、全部が全部適当でないとも言い切れないと思います。ただ、かような場合は、当然私は本社に相談があってしかるべきだと思うのです。それが事務局長なり何なりの常識だと思うのです。しかも相談すべき機会は幾らでもあったのです。この問題について詳細に打ち合わせをすべきだと思います。また、本社がこういう点について一体了解しているかという点については、おそらく当時の幹部の方からいろいろ照会は受けておると思うのでございますが、それにもかかわらず、肝心かなめの本社に相談をしなかったという点はまことに遺憾であり、ふだんからわれわれの指導も十分でなかったということを反省しております。もし事前に私どもに相談を受けたならば、こういった結果の支出にはならなかったのだろうと、深く反省をいたしておるわけであります。
  96. 中村重光

    ○中村(重)委員 伝えられるところによると、相談をし、十分打ち合わせをやったということが言われております。同時に六百四万五千円ですか、この点も、相談の結果がそういうことになったのじゃございませんか。支部長の支出権限というものは幾らですか。
  97. 田辺繁雄

    ○田辺参考人 これは事前に何ら私どものほうに相談はございませんでした。それから、これは本来から申しますと、院長の権限でございまして、支部長は、院長のこういった経理あるいはその他に関する指導監督という立場から、了承を与えたという形式になっておるのでございます。事実はどういうふうに処理したかは別といたしまして……。支部長の権限といたしましては、先ほど申しましたとおり、了承を与えるにあたっては、初めてのことでもあり、また他に例のないほど金額が多いのでございますから、品物で渡すかあるいは金で渡すかという問題でも、いろいろデリケートでございますから、そういったことについて、範囲、程度、方法について、やはり本社に当然相談していただきたかったのであります。そういう点について本社から念を押さなかった点が、実はわれわれとして深く反省をいたしておるわけでございます。その他の問題につきまして、しょっちゅうこれは連絡をしておったわけでございます。これだけの合併の問題でありますから……。本社に相談がなかったという点は、われわれとしても適当でなかったというふうに思っております。
  98. 中村重光

    ○中村(重)委員 だから、いわゆる病院を合併をした、病院関係するものだ、だからこれは院長だとおっしゃるのだが、日赤の機構から、支部長の支出権限、いわゆる本社に伺いを立てなくて、支部長が決裁し得るいわゆる金額限度というものがあるのでございましょうか。これ以上は本社の承認が要るとか、その限度は幾らですか。
  99. 田辺繁雄

    ○田辺参考人 これは支部長が支出するのでなしに、支部長が院長を指導するということでございますので、支部長は権限はございません。ただ、いままで承認を与える場合に、これ以上はどうだ、あれ以上はどうだということは、従来慣習にまかしておりまして、日赤といたしましては、本社の統一した方針はなかったわけでございます。それも一つの原因だろうと思うのでございまするが、その点も反省いたしまして、先ほど申し上げましたような通達を、全国的に出したわけであります。
  100. 中村重光

    ○中村(重)委員 現在私が具体的にお尋ねをしておる五島病院の問題は、これはいわゆる院長決裁である、こういうことでいまお答えになったわけであります。そうでなくて、日赤の機構の中から、支部でいわゆる収支関係を扱っておるわけでありますから、支部で金を支出をする、あるいは財産処分等をやる、そういう場合に、支部長で決裁し得る限度というものがあるのじゃありませんか。処分し得る限度、それは幾らですか、とお尋ねしているわけです。
  101. 田辺繁雄

    ○田辺参考人 それぞれ支部病院には、年度当初に予算をつくりまして、本社にそれを持ってきて、代議員会にかけまして——もちろんその予算書をつくるにあたっては、各支部ごとに評議員会というものを設けて、評議員会にかけまして、その予算案を本社に持ってきまして、代議員会、理事会にかけまして、決定するわけでございます。したがって、予算で令達を受けましたものは、一定の手続を経れば支出し得るわけでございまするが、ただ不動産につきましては、五百万円以上は理事会にかけなければならぬことになっております。したがって、土地、建物その他につきましては、理事会の議決を受けて、本社の社長の委任状をもらって処置をするということにいたしております。その他の経費につきましては、予算の範囲内であれば、支出することが認められておるわけでございます。したがって何円以上ならどうこうというよりは、一定の金額によって、たとえば請負契約の場合は何円以上は本社に持ってこなければならぬとか、あるいはこれ以上は本社に持ってこなければならぬという限度はございまするが、それは、項目別に会計規則でこまかくきまっておるわけでございます。
  102. 中村重光

    ○中村(重)委員 伺ってみると、まことにずさんきわまることと思うのですね。そういうことをやっていいかどうかと私は思うのです。とにかくこの事件が終わったあとで、相談して、あなたと打ち合わせをされて、それは五島の病院のことだから、支部長は関係がない、院長の責任でやったということにすればよかったのだということで、いろいろと話し合いをやったということが伝えられておる。そこで支部長の権限が二百五十万円、こういうようなことで理解しておったらしい。六百四万五千円だと財産処分なんだから、これは本社の承認が要る。だからこれをばらして三つに分けたのです。そうして支出をする。そうすると、これは支部長権限でやれるということで、そこで支部長が決裁をするところを、副支部長である一ノ瀬副知事が代決する、こういう形をとっている。そしてこの経理という問題については、先ほどあなたはことばが足りなかったということを言われたのですが、これははっきり財産処分なんです。これは私が自分の想像で言っているのじゃありませんよ。長崎県議会で、知事に対する問責決議案、自戒決議案が出たときに、知事は発言を求めて、これは財産処分の一部でございますと、はっきり釈明をいたしておる。これは完全な財産処分であります。そういうのがあなたのほうの承認なくしてできるのかどうか。これは一病院の問題だ。しかし日赤という名前を冠しているのですよ。幸いにして、これは要するに剰余金ということばが当たるのか当たらないのか知らないが、ともかく財産整理をいたしましたところ、五千五百万程度残った。これを新しい病院に引き継いだのだから、要するに負債は残らなかった。いわゆる欠損ではなかった。もし欠損が出た場合、日赤という名前を冠しているのだが、その最終責任はだれであろうか。日赤本社は知りませんよということで済むのか。これは重要な問題であろうと私は思う。その点はどのようにお考えになりますか。
  103. 田辺繁雄

    ○田辺参考人 一般論として、赤十字という法人が病院を経営しておるわけでございまして、開設者でございますので、病院で大きな赤字が出て閉鎖でもしなければならぬというような場合においては、本社が責任を持つことは当然であります。現に山形にもそういう例はございました。大きな赤字を出しましたので、本社が支出をいたしまして、その病院を再建いたしました。そうなってはたいへんでございますので、われわれ一生懸命やっているわけでございます。くどいようでございますが、知事が財産処分と言われたのは、きわめて常識的な意味で言われたと思うのでございますが、私が申し上げましたのは、会計処理複式簿記をとっておりますので、その帳簿上の形式論を申し上げたのであります。実質的には余った金を分けた、まことにそのとおりでございます。ただその際に、そのやり方についてはもっと慎重にやるべきであった。みんなの意見を聞いて、本社の指導も受けるし、支部評議員の意見も聞いてやるのが、責任ある当局者の態度でなければならぬ、私はこう申し上げておるわけであります。
  104. 中村重光

    ○中村(重)委員 おっしゃるとおり、最終責任というのはあなたのほうにあるということであるならば、当然この財産処分というものは、あなたのほうの承認を受けなければならなかったのではないかと私は思う。現に合併のときの覚え書きに入っております。その写しを私はここに持っておる。覚え書きには、あなたのほうの承認を受けて、一月に開かれる日赤本社の理事会の承認を受けて効力を発するとあります。にもかかわらず、六百四万五千円の山分けは、事前に十月の四日から十日に行なわれておる。しかもこの六百四万五千円というものは五千五百万円の財産処分からはずしたのですよ。そうして決裁だけをして、どうもいまここで自分たちが支出をするのは適当でないから、新しい病院の責任において出させることにしようというので、現金も別に引き継いだのですよ。そうして特別の会計をつくったのです。そういう形で処理しておる。全くこれが事件にならないようにならないようにということで、ずいぶん研究をしてやっているのですよ。あなたは御承知かどうか知りませんが、知事の三十万、ほかに二十万ある。あなたはこれを御承知ですか。合併の前に知事は外遊をしたのですよ。そしてせんべつとして——日赤に何のかかわりもない外遊ですよ。そして二十万円のせんべつを出したのですよ。そして、これの会計処理ができないでおって、この合併のどさくさに、三十万円の記念品代プラス二十万円、五十万円を出しておる。そういう非常識な山分けの実態を知って県民が憤激し、募金活動に対しても、あるいは献血運動に対しても大きな水がかけられるというような結果が起こってきたということは、私は当然だと思う。あなたのほうの重大な責任問題なんだ。社会通念上考えられないような記念品代ということで、あなたのほうでそういう多額の金をもらわれたということと相まって、厳にあなたのほうは反省されなければならない。しかし、先ほどの説明につけ加えて、反省をしておられる、非常に遺憾に思っておるということでございましたから、私は重ねてその点は追及いたしません。しかし、少なくとも支部長である知事の責任というものは当然認めらるべきものであったと私は思う。  同時に、知事は、百万円という金を、この事件が明らかにされましたときに、ことしの三月四日でございますが、日赤に寄付する、こういう形で金を出しております。それはそのままあなたのほうに来ておるのかどうか。ところが私がきのうもらいましたパンフレットによりますと、おそらくこれは知事が回しておると思うのでありますが、百万円は預かっておりますと、事務局長名で出しておりますね。そういうことがいいのかどうか。日赤に寄付ですよ。百万円ですよ。あなたのほうにとっては、これは相当多額の大口の寄付になるのだろうと思うのですが、どういうことでしょう。三月四日に寄付の申し出があった。そして現金が渡された。そして副知事もあるいは衛生部長も民生部長も、寄付がございました、こういうことであります。あなたのほうにその百万円入っておりますか。
  105. 田辺繁雄

    ○田辺参考人 まだ聞いておりませんが、調査をいたしまして、処置をしたいと思っております。
  106. 中村重光

    ○中村(重)委員 これは新聞に大きく載ったのでございますから、したがってこの事件に関連した記事なんかお読みになっておると私は思う。そうすると、内閣のほうの褒賞の規定によって、紺綬褒賞ですか、そういう百万円の寄付をした人には、自動的に褒賞をしなければならぬということになるようでございますが、そういうことになるのでございますか。
  107. 田辺繁雄

    ○田辺参考人 これは国の表彰でございますので、どういう手続になっておりますか。御本人の希望等もございましょうし、よく調査をいたしまして、手続をとる必要があれば、手続をとるようにしなければならぬと思います。何ぶんにも実態がわかっておりませんので、よく調査した上で処置をいたしたいと思います。
  108. 中村重光

    ○中村(重)委員 大体あなたは時間が十二時までということでございますから、まだいろいろお尋ねしたいことがたくさんございますけれども、もうこの程度で、あなたに対する日赤五島病院の問題を打ち切ることにいたします。  ただ、あなたも厚生省もお考えおきを願いたい。この病院が合併をいたしまして、その目的はいわゆる基幹病院として、そういう大きい離島につくる、医師の交流をやる、研究設備をするということで、大きな期待を持たせる形で合併をしましたが、そういうことは全然だめなんです。基幹病院的な役割りは果たしておりません。たいへんな赤字です。そして先般は、七人の掃除婦の首切りにまで発展をいたしております。同時に、この日赤の病院が五千五百万円を新しい病院に引き継いだということになりましたが、その後、地主から日赤の支部長である長崎県佐藤知事を相手にして告訴事件が起こっておる事実も、あなたはおわかりだろうと思うのであります。そういう、剰余金と称して山分けまでやったというようなことをやりながら、そのあとにはそういうように家賃を払わなかった、詐欺をやった、ごまかしたのだということで、告訴事件まで発生するという、まことに好ましからざる問題が起こっておるという事実も、十分ひとつあなたのほうは反省をされる必要があるのじゃないか、そのように感じます。  どうかひとつ、九十周年という重要な意義ある年でもあるわけでありますから、日赤の精神というものが十分発揮されて、これが発展をするように、今回の問題を試金石として、なるべくこういう忌まわしい事件が起こらないように、十分対処してもらわなければならぬと思います。最後に、あなたの決意のほどを伺って、私のあなたに対する質問は終わります。
  109. 田辺繁雄

    ○田辺参考人 御承知のとおり、赤十字は、国際的にも国内的にも大きな信用を持って、その信用をもとに、いろいろな事業をやっておるのでございますが、いやしくも世人に批判を受けるようなことは、今後絶対に避けなければならぬと思います。そのためには、ふだんから、ささいなことであっても、常に間違ったことがあればそれをふきとって、それが発展しないようにしていくことが必要だと思います。今回こういう事件が起こったことは、私どもの至らぬ点である、監督が十分でなかったという点にあると思います。反省をいたしまして、今後かようなことのないように、十分注意して措置してまいりたい、かように存じます。
  110. 中村重光

    ○中村(重)委員 厚生省に伺いますが、この献血と売血の、最近の状況はどういうことになっておりましょうか。
  111. 坂元貞一郎

    ○坂元政府委員 三十九年閣議決定をしまして、献血運動を提唱したわけでございますが、その当時は、いわゆる献血と言われるものがわずか二%程度でございまして、残りの全部は売血であったけれども、その後四十年、四十一年と逐次一般の国民の方の御協力を得まして、献血の比重が高まってまいりまして、特に昨年の秋ごろから献血の比重は大体六〇%程度までまいりまして、つい最近の本年の三月、四月ごろになりますと、大体全体の保存血液の総製造量のうちで献血の占める割合は、六八%までなっているわけでございます。一方売血のほうは、三十九年来激減いたしまして、昨今におきましてはわずか三%ぐらいまでなっておりますが、本年の四月から売血は全廃するという民間血液銀行の自主的な申し合わせもございまして、今日においては売血というのはほとんどない、こういうふうな状況に相なっているわけでございます。
  112. 中村重光

    ○中村(重)委員 そうじやないでしょう。まだ売血が相当の量を占めておるんじゃありませんか。いまお答えもございましたように、四十二年四月における献血の全供給量に対する割合は五六%、その後若干上がっておる。あなたのお答えのとおりでありますが、預血その他いろいろあるにいたしましても、ほとんど売血がなくなっているというようなことじゃないんじゃありませんか。  それから、あなたもお読みになったと思うのですが、黄色い血の恐怖、肝炎発生、献血でも約二割あると、島田慶大教授が発表しておるのです。そこで、売血のことについては、三月一ぱいで終止符を打ったはずの売血による血清肝炎の脅威がまだ去っていない、という調査結果を発表しておるのでありますが、この点はあなたどのようにお考えになっていらっしゃいますか。
  113. 坂元貞一郎

    ○坂元政府委員 重ねて申し上げますが、売血はほとんどなくなっているわけでございます。先ほど申し上げましたように、六七、八%が献血でございます。残り、預血と言われるものが三〇%程度でございます。売血の占める率というのは、二%か三%という状況になっていることは事実でございます。  それから血清肝炎等の発生状況でございますが、もちろん御案内のように、売血が非常に盛んな時代は、血清肝炎の発生率というのは非常に高かったわけでございます。これは諸外国の例を見てもそうでございます。今日献血制度が全国的にやや行き渡るようになりますと、当然血清肝炎の比率というものも、売血全盛時代と比べますと、発生の比率は落ちておる、われわれはこういうふうに読みとっているわけであります。ただ血清肝炎といわれるものは、やはり現在の医学の水準ではなかなか未然に完全防止はできないという状況に相なっているわけでありますので、したがいまして、献血が完全に一〇〇%なら一〇〇%程度までいきましても、これを未然に防止できるというような医学水準はまだ現在できておりませんので、若干の血清肝炎の発生率というものは残り得ると思うのでございますが、その問題はその問題として、別に血清肝炎の予防策、治療策は別途の方策として、われわれは十分検討をしていかなければいかぬ。また学界等でも、この問題は大問題でございますので、いろいろ検討を進めているという段階でございます。
  114. 中村重光

    ○中村(重)委員 現在使用される血液の全体に対しての売血の比率は非常に低く、ほとんどなくなったという答弁でございますが、血液そのものはまだ非常に不足している。昨年なんかは非常に不足して、患者や家族に不安を与え、社会問題化したことは、皆さん御承知のとおりであります。ところが、そういう血液の不足から起こってくるのでございましょうが、患者が自分で血液を集めねば手術してもらえない。そのために数万円にのぼるところの旅費あるいは謝礼金、そういうようなもので患者が苦労しているということが伝えられておりますが、そういうことは、あなたのほうではわかっていらっしゃるのでしょうか。
  115. 坂元貞一郎

    ○坂元政府委員 いま御指摘の点は、確かに昨年の夏ごろ前後に、私どもも耳にいたしました点でございます。いま仰せのように、手術を待っている患者等が、血液不足のためになかなか手術ができない、あるいは血液を集めるために相当の経費等がかかっているというようなことは、これはあり得べき問題ではない、こういうふうにわれわれも考えましたので、昨年の夏ごろそういうことを耳にしまして以来、全国の医療機関にこの趣旨を徹底いたしまして、患者等に血液を集めさせるとか、あるいは患者の方に特別に不便をかけさせるというようなことのないようにと、いろいろな通達なり指示をいたしております。完全に全国的にそのような事実がないかという点につきましては、まだ私どももここで完全にそういう事実はないと言うところまで自信を持っておりませんが、昨年の夏ごろ以来今日まで、そういうような努力なり何なりをやっておりますので、逐次この弊害は消えつつある、われわれはこういうふうに受け取っているわけでございます。
  116. 中村重光

    ○中村(重)委員 私どもはときたま結核病院なんかを回るのですが、深刻に訴えられる。ひどいのはこういうのがあるのですよ。献血した人が、病気その他によって血液が必要になる。当然入院してからのことですが、病院によっては、献血した人に対して、血液がありません、こういうことで、手術をしてくれないことがある。献血した人は献血手帳というものを持っている。いつ何どきでも、血液は必要に応じて提供しなければならないのに、こういうことがある。これでよろしいのですか。あなたの答弁からは、もう血液の問題はあたかも解決をしたような印象を受ける。こういう矛盾というか、深刻な問題があるという事実をどのようにお考えになりますか。
  117. 坂元貞一郎

    ○坂元政府委員 私ども血液行政を担当いたしまして、この献血制度いうものは、国民の方々の善意に基づいてお願いをしているわけでございますので、いま御指摘のような、献血をした方が、いざ手術の段階になって、血液がないといって断わられるというようなことがあるということは、確かに残念なことでございます。われわれとしましても、できる限り各都道府県なり日赤等に指導をいたしまして、いやしくも献血をした方が血液不足のために手術を延ばされる、あるいは断わられるというような事実がないようにということを、機会あるごとに指導を徹底しているわけでございますが、まだ完全でないかもしれませんが、いま仰せのように、そのような事実はないように、今後もできるだけ努力をしていきたい、かように思っているわけでございます。
  118. 中村重光

    ○中村(重)委員 私のほうでいろいろな調査をしているのです。こういうのもあるのです。手術の前日に患者から血液を採取した。そこへ入院している患者、しかも手術の前日にその患者から血液を採血して輸血をする、こういうケースです。常識で考えられますか。現にあるそうです。そういうことは、あなたのほうでは実情として聞いておりませんか。
  119. 坂元貞一郎

    ○坂元政府委員 具体的な事実としては承知しておりませんが、先ほど来申し上げておりますように、患者なりあるいは献血をしていただいた方に事故等が発生して、手術等を必要とする場合は、いま御指摘のような点ができるだけないように、われわれとしては、今後各都道府県なりあるいは全国の医療機関等を奨励をしてまいりたい、こういうふうに思っている次第でございます。
  120. 中村重光

    ○中村(重)委員 それから、これは都道府県によってやっているところがあるのですが、患者の家族や知人からの指定献血、そういうことを義務づけている。これは当然その患者が家族や知人から血液をもらってくるのはあたりまえだと言うて、指定献血を義務づける、そういうことだというのですが、そういうことが許されてよろしいのですか。どういう行政指導をしていらっしゃるのですか。
  121. 坂元貞一郎

    ○坂元政府委員 指定献血ということばが妥当かどうか問題があろうかと思いますが、御案内のように、血液行政というものは必ずしもいま楽観を許さないわけでございます。全体の量でも七〇%近くまでいっておりますけれども、まだ日本の血液状態というのは決して軌道に乗っていないわけでございます。したがいまして、そういうような現状におきましては、いろいろな問題がまだ残っているわけであります。先ほど来いろいろ御指摘のような点も、ちょいちょい全国的に起きているかもしれぬと私どもは思うわけでありますが、ただ指定献血という名のもとにおいてやっております実情だけを申し上げますと、血液不足が全国的な傾向であるというような事情からしまして、医療機関等において、どうしても各血液型別の血液が当座の間に合わないというようなこともありまして、その患者の周囲の方に、できるだけ血液を出していただきたいというような自主的な勧奨を医療機関でやっているということは事実のようでございます。これは決して強制をするというような意味合いでなくして、常日ごろから、患者の周辺の方を含めまして、一般の国民の方が将来事故が起きたりあるいは病気になったりするような場合を当然予想して、血液の提供をPRしている、こういうふうにわれわれは受け取っているわけでありますが、この点はできるだけ強制にわたらないように、また変な疑惑を受けないような方法で、この患者周辺の献血の問題は今後十分指導をしていきたい、こういうふうに思っておるわけであります。
  122. 中村重光

    ○中村(重)委員 指定献血と言うのか指名献血と言うのか、そういう義務制はよくない。義務制は強制ですから、だからそういうことは強制しないように行政指導をするということですから、その点は了解いたします。  そこで、私が先ほど日赤に質問をしました現行法、これはいわゆる業者取り締まり法的なものですが、やはり献血というものを中心にしていくという点では、各関係機関の協力体制を固めて、いろいろな矛盾をなくしていくという点から、新しい法律をそれに即応するようにつくるということが必要じゃないかと思いますが、厚生省としては、その点はどのようにお考えになりますか。
  123. 坂元貞一郎

    ○坂元政府委員 昨年も当委員会で、そのような御意見を承ったわけであります。現在の法律は三十一年当時できまして、いま仰せのように供血あっせん業の取り締まりというような問題を中心とした法律でございます。確かに昨今の献血行政がそこまで来ました情勢には、必ずしも即応しない面があるわけでございます。その点はわれわれ厚生省としても十分認めているわけであります。そこで、ただここで新しい情勢に即応した新立法をするということについては、もうちょっとわれわれとしましては検討を重ねなければならない面が少しあるような気がいたすわけでございます。もちろん、そういうような新しい情勢に即応した新しい日本の血液の指導理念というものを確立することは、われわれ厚生省としても十分わかっているわけでありますが、立法技術上の問題、あるいはいろいろそれ以外にも技術的な問題がまだ相当残っておりますので、そういう問題を逐次条件を整備していきながら、仰せのような新しい情勢に即応する新立法は考えていきたい、こういう気持ちでいるわけでございます。
  124. 中村重光

    ○中村(重)委員 拙速をたっとぶということではございませんけれども、それはいろいろ研究をして、十分な法体系をつくり上げるということはわかります。わかりますけれども、この血液の問題というのはきわめて重要なんです。だから、いままであなたのほうでは、こういうことを改めていかなければならぬ、新しい法律をつくるならばこういう点を入れていかなければならぬと思われるならば、まず法律をつくって提案をするという前に、いいことはどんどん行政指導でできるような面が多いわけだから、そういうことを実行に移していく。そういうことをなさらなければ、私はいかぬと思う。だから、この後、血液に対する国の責任体制の確立ということと相待って、ひとつ決意も新たに取り組んでいくという考え方であるかどうか、その点をお尋ねをしまして、この血液の問題に対する質問は終わります。
  125. 坂元貞一郎

    ○坂元政府委員 先ほど来から仰せの点、十分われわれも御意見を参考としまして、新たな情勢に即応する新たなる指導理念の確立という点について努力を重ねていきたい、かように考えております。
  126. 中村重光

    ○中村(重)委員 それでは、安田総裁に、公庫の問題でいろいろお尋ねしたいことがあるのですが、時間がございませんから、問題点を、特に感じますことだけをお尋ねすることにいたしますが、都道府県に対して第一次査定をやらしておるのかどうか。都道府県を通じての申し込みということでございますが、その点はどうなんですか。簡潔にひとつ……。
  127. 安田巌

    安田説明員 お答え申し上げます。  都道府県で行ないますのは第一次の査定ではなくて、先ほど小峯委員からお話のありましたときお答え申したのでありますけれども病床が国で定めた基準を越えておるようなところには、診療所なり病院の新設を認めない、あるいは病床が越えているところに増床は認めない、こういう趣旨でございますので、その限度内である、基準以下であるという証明を、保健所に行ってもらってくるだけであります。
  128. 中村重光

    ○中村(重)委員 いただいております資料を見ると、都市銀行というのが非常に多いのですね。これは先ほど小峯委員の質疑に対してお答えになっておられた、あるいは小峯委員の強く指摘しておったことと関連を持ってくるのですが、都市銀行を窓口にして借り入れるということは、勢い資金が都市に集中してくることになる具体的なあらわれです。これは離島、僻地に都市銀行というのはないのですから、この点問題を感ずる。  それから、民間金融機関だけで、政府関係金融機関は窓口にはならない、そういうことになりますか。
  129. 安田巌

    安田説明員 私どものほうの窓口は都市銀行が十二ございます。それから地方銀行が六十三、相互銀行が五十四、それから信用金庫が四十一、医療関係信用組合十九、それから商工組合中央金庫等計百九十でございます。しかしそれに全部支店がございますので、その支店を全部窓口といたしております。その数は約七千くらいになろうかと思います。したがいまして、お話しのように、いなかでありましても、借り入れようと思えば、私ども代理店は数あるということで、その点で私は借り入れ希望者が不自由を感ずることはおそらくない、こういうふうに思うわけです。
  130. 中村重光

    ○中村(重)委員 この公庫貸し付けは特定の設備に限るのですね。その種類によって、利率その他の条件が違っておる。そこで公庫申し込みが殺到してくる。しかし申し込みはしたけれども貸し付けてもらえないことが非常に多い。そこでまず臨調はこの点を指摘して、受け付け順によって貸し付けをしておるが、どうも機械的じゃないかというような指摘もあるようですが、今年の予算ワクが少ないために借り入れができなかった施設に対しては、同じ条件で他の機関から借り入れることができないわけだし、事はやはり病院の施設であるだけに非常に問題があると思う。そこで借り入れ申し込みの全部でなくても、相当程度貸し付けることができるようなことを考えなければならぬと思うのですが、これはただ資金面だけでございますか。人不足の問題、その他いろいろな問題があるのじゃないかと思うのですが、その点いかがでしょう。
  131. 安田巌

    安田説明員 いま臨調と仰せられましたのは、臨時行政調査会のことだと思うのですが、その中で、医療金融公庫は要らないじゃないかという第一が、先ほどちょっと御指摘になりましたが、貸すか貸さないかという審査は府県知事がやるのだというふうに書いてございます。それは先ほど申し上げましたように、府県知事がやるのじゃなくて、たとえば静岡市なら静岡市というものを考えました場合に、病院病床が一応目標としておりますベッド数というのは人口一万に対しまして五十八床という基準があるわけでございます。それから診療所でございますと、おそらく千二百人に対して一ヵ所という基準がございます。そこまではぜひひとつ全国的に医療機関を整備充実したい。しかしそれよりこえておるところには、何も国の金を使ってそれ以上つくってもらう必要はない、こういう基準があるわけでございます。その基準に、当該申し込み者の建てようとする病院なり診療所が合っておるかどうかということの事実関係証明を、これは保健所が一番よく知っておりますから、その保健所に調べてもらって証明してもらう。もちろん保健所の名前でなくて、知事の名前で証明書が出てくるということでございますから、その点は臨調の調査の結果というものと、実際は少し違うと私どもは思うのです。それから、出てまいりますもの、そういう条件が一応そろっておるものを代理店に言ってくるわけでございますが、これは各公庫とも、そういうふうに代理店を使っておるわけでございます。幾ら私ども支店を設けても、実際上、先ほどのお話のように、全国の人が申し込みに不便を感じない程度支店を設けるということはとうてい不可能なことでございますし、そういうことはとてもコストが高くなってできないということで、各公庫とも、そういうものを使っておるわけでございます。そこで、出てきましたものにつきまして、代理店でもっていろいろ信用上の、私どもの申しておることを調査してもらいまして、私どものほうに持ってくる。それを私どものところでさらに審査いたしまして、自分のところで持っておる資金量なり、あるいは一件一件についての緩急というようなものを考えまして、そうして決定をするということでございますが、そのときに、非常に申し込みがあるのにかかわらずうまくいっていないじゃないかということをおっしゃるが、このことは資金だけでございまして、資金の量が多ければ、おそらく申し込み者の御意向に応ずることができる、こういうふうに思っております。
  132. 中村重光

    ○中村(重)委員 私が先ほど都市銀行ということを申し上げたのは、おっしゃるとおり、資料をいただいておりますから、地方銀行ありその他の機関があることを承知しております。私が指摘したのは、都市銀行の取り扱いの比重が相当多い。これはいただいておる資料でもわかっているのです。このことは何を意味するかというと、問題は、都市銀行のあるのは大体都市でございますから、だからそこに相当の資金が流れていくということになっておる。この点は一考を要するのではないか。それは数が地方銀行相互銀行信用金庫等多いのだから、数字からいえば、全体的にはそちらが多いのはあたりまえだけれども都市銀行がそういう比重を占めておるということ。  それから先ほど小峯委員との質疑応答の中で私が感じたのは、私立の結核病院とか精神病院というところが六〇%、七〇%を占めておる。私は、精神病院とか結核の療養所等に対して資金を流していく、そうしてそれらの病院の充実をはかっていくという意味において、それなりの意義があると思うけれども、これに集中しているところに私は問題を感じます。これは厚生省にお尋ねするのですが、大体こういう精神病院とか結核療養所というのは、国がやらなければならない。国がやるべきものを、この医療金融公庫に肩がわりさせる、民間にやらせるというところに重大な問題がある。だから、できるだけ国立、公立にして、こういう医療金融公庫資金というのは、純粋に民間がやるような医療施設の充実をはかる。具体的には、小峯委員が強く言っておりましたように、離島であるとか僻地であるとか、そういうところに重点を置かなければならないのだ。申し込み件数も少ないということを聞くのでありますけれども、いまのお話でわかるとおり、資金量によって、なかなか申し込みに応ずることができないという実態、その資金が、こういう国がやらなければならぬような精神病院とか結核療養所に多く融資されておるというところに問題がある。こういうことに対して、厚生省はどのようにお考えになるのか。
  133. 若松栄一

    ○若松政府委員 医療金融公庫資金量が、精神病院あるいは結核病院に流れ過ぎておるではないかという御指摘でございますが、現実的には、御指摘のような精神病院には相当出ておりますが、結核関係にはきわめて少ないのであります。といいますのは、結核関係では、現在利用率が非常に低くなっておりまして、新設その他のものはほとんどございません。また国自体も相当のベッド数を持っております。現在全結核ベッドの四分の一をこえるものを国が持っております。そういう意味で、結核ベッドについて金融公庫の金は非常に少ししか使われておりません。精神病院ベッドには、御指摘のように非常にたくさん使われておりまして、先ほども話が出ましたように、公庫ができましたころから比べますと、現在までにほとんど倍近いベッド数になっております。そのうちの七割程度公庫の金でまかなわれておるという実情でございます。ただ、この精神病院ベッドが、その病気の性格上、公立あるいは国立というような公的な病院で充足さるべきではないかという御趣旨は、私も全く同感なのでございます。したがって、そういう意味で、国立療養所におきましても、できるだけ結核があいてきた一部のベッドを精神に転換しようという趣旨で、数年来努力しております。残念ながら、これがそう活発にいっておらないことも事実でございますが、相当な努力はしてまいったつもりでございます。また県におきましては、精神衛生法のたてまえから、県は県立の精神病院を持たなければならないという義務規定がございます。そういう意味で、県は少なくとも一ヵ所は持つ努力をいたしておるわけでございますが、現在、私資料を持っておりませんが、日本全国で三県ほどであったと思います。数県以内ですが、精神病院を持っておらない県がまだございます。そのほかは一応県立精神病院を持って、特に困る患者を収容する、あるいは技術的に高い水準を保持していくという努力をいたしております。ただ精神病院は、非常に特殊なことに、非常に需要が急速に増大してまいりました。といいますのは、昔は精神病の薬もなく、治療効果が非常に低かったのでございますが、最近はいわゆる向精神薬というものができまして、薬物療法が盛んになってき、かつそれがかなり有効でございますので、入院というものが急速にふえました。したがって、この急速にふえた需要に対して、国あるいは都道府県の精神病床を建てるということではとうてい間に合わない。数年間で倍増というような状況でございましたために、国あるいは県の手が打てないうちに、どんどん私立の精神病床が非常な勢いで増加いたした。そのために、公庫はその私立精神病院の設立のために非常な資金を投入した結果になったわけでございます。まあ現在公立のベッド数私立に比べて非常に少ないということは、ちょっとこれは世界にも類のない状態でございます。そういう意味で、私どもも非常に残念に思っておりますが、実態として、もうこの自由経済のもとで、きわめて自然的にこのような状態になってまいったことをまず残念に思っております。そういう意味では、私どもも公立のものをぜひふやしたいという努力はいたしておりますが、これも先ほどありましたように、精神病床も一応、人口万対二十という限度を押えておりまして、実は限度一ぱいになった県が相当多数ございます。そのために、医療法のたてまえから、公立の病院をつくることを押えざるを得ないという事態まで起こっております。そういう状態で、現在いろんな矛盾から、公的な病院をふやせない状態になっていることを、私どももきわめて残念に思っております。
  134. 中村重光

    ○中村(重)委員 率直な御答弁なんで、特に追及しようとは思いません。私は精神病院を、みずから精神患者じゃないけれども、だいぶ関心を持って、いろいろ勉強したのです。どうしてこの私立精神病院がふえるのか、それなりにあります。いろいろうまみがあります。しかし、きょうは時間がありませんから、その内容に入りません。あなたも責任を感じて、公立病院をつくるために最大限の努力をしようという意欲を持っておられるように思いますから、まあ激励をするにとどめますが、ともかく先ほど来質疑を聞いておりますと、これはいろいろ答弁はしておりますけれども、ともかく公庫の設立の趣旨がゆがめられてきたということだけは否定できません。だからやはり公庫というものは、無医村であるとか、医療機関が少ないとか、それだけに国民ひとしく医療という面で均てんさせていかなければいけないということから、民間でできないのを、医療金融公庫というものをつくって、そこでその役割りを果たしていこうということにあったわけです。したがって私は、人口五万以下というところに相当な重点というものが向けられなければならなかった、またそういう期待があったと思う。ところが現実はどうかというと、そうじゃないでしょう。大体いただいている資料等から、あるいはその他いろいろな資料等で見ておるのでありますけれども、人口一万当たり約百床が三十九年の統計としてはある。ところが人口五万未満の市町村では、わずか六十二床だ。これは四十二年度の厚生白書によって出ておる。これが現実ですね。それならば、医療金融公庫というのは、こういうところに重点を置いた業務の運営というものがなされなければならない。ところが、現実には、人口五万以下の地域に建てられたのは、わずかに三割か三割五分にすぎない。一方、今度は、先ほど小峯委員も指摘しておりましたように、大病院に対して貸し付けが行なわれている。名前はあげられなかったのでございますけれども、慶応病院であるとか、あるいは阪大の付属病院であるとかというところに貸し付けられておるということが、新聞にも伝えられたのであります。  そこで総裁に伺いますが、この五億——きちっと五億じゃなくてもいいのですが、まあ四、五億以上の貸し付け件数というものはどのくらいございましょうか。
  135. 安田巌

    安田説明員 五億以上というのはいままでございません。それから大体五億くらいというのがたしか二、三ヵ所くらいだと思います。その程度でございます。四億九千万円と四億七千万で、大体二ヵ所、その四億五億に近いというものがございます。  それから、おことばを返すようで恐縮でございますけれども、先ほどの銀行の件は、窓口の多いところがやはり多く出まして、都市銀行に比べますと、地方銀行のほうが大体三倍くらいの件数でございます。ただ金額は、せいぜいまあ二倍くらいになっておるのでございますけれども……。  それから、人口五万未満の市町村に対する貸し付けが少ないというお話でございますが、これは金額でございますから、どうしても少ないわけでございます。それはやはり五万未満におけるところの医療需要というものは、もともと人口も少ないから少ないわけでございますし、それから都市のほうは、人口が多くて医療の需要が多いという基本的な相違があるわけでございますが、それにいたしましても、四十年度で見ますと、人口五万未満の市町村に対して、私ども資金を出して整備されておるものが大体三〇%か三五%ある。これは個所数でございます。これは、私はやはり相当目的を達しているのじゃないかという気がいたします。これは絶対数ではどうしても問題になりません。片方は需要が多くて、片方は少ないのでございますから……。それから、たとえば病床基準が五〇%に満たないところがあるわけでございまして、そういうところに対する貸し付けも相当たくさんいたしておりまして、これで見ますと二八・一%ですが、こういうところにはほんとうに優先的にやりまして、削減もいたしませんでそのまま貸すということもいたしております。
  136. 中村重光

    ○中村(重)委員 私が言ったのは、金がないからその申し込みがあっても貸せないのだという、件数としては、それは地方銀行なり相互銀行が多いのはわかっております。しかし金額的には都市銀行が相当を占めている。そのことは、予算なんだから、要するに貸し付けるということは金が要るのだから、件数よりも、その金がどこにどう動いているかというところに問題がある。だから、医療金融公庫の設立の趣旨はどういうところにあったのか、どこに目を向けなければならないのかということで議論をしなければ、その問題の本質をつくことにはならぬ。だから、医療金融公庫設立の趣旨を十分体して、総裁はひとつやってもらいたいということを強く私は、求めておるのです。  そこで、この一億以上というのは、どの程度ありますか、貸し付けで……。
  137. 安田巌

    安田説明員 確かな数字は、私は持っておりませんから、またひとつ後日お答えいたします。
  138. 中村重光

    ○中村(重)委員 あとで資料としてお出し願います。  ともかく、一件当たり貸し付けば四百四十二万七千円になっている、そうすると、先ほどあなたは慶応病院とか阪大の病院とかということは、名前をあげてお答えにならなかったのだけれども、二件お答えになった。おそらくそれであろうと思うのです。おそらく一億以上というのも相当あるだろう。そうすると、こういう一億以上なんというような金をかけてつくります病院自己資金もあるわけなんですから、相当大きい病院。そういう病院はどうしても都市につくられる。だから、そういう大きい病院を五万以下の町村なんかにつくっても、それこそ採算に乗らないという形になりましょうから、どうしてもその貸し付けが偏してくるということになるわけであります。いろいろと、医療金融公庫に対しまして、期待もあれば批判もあります。しかしその多くの期待は、いわゆる金を借りる側の人たちなのです。批判というようなものは、そういう医療金融機関の設立に対して大きな期待を持っておったが、その期待を裏切られた人たち、あるいはその運営がゆがめられたということに対する国民的な批判というものもあるわけだ。この目的を達するために、あなたを中心として、関係の方々が努力をしておられるであろうということはわかりますけれども、そういう批判というものに十分目を向けて取り組んでもらわなければならないと思う。臨調の指摘に対する反論も出ておるようでありますけれども、私はそれなりに、やはり臨調の指摘というものは突くところを突いておるという感じもいたします。そういう点については、十分反省するところは反省をして、この後は対処してもらわなければならぬと思います。時間もございませんから、これで私は終わりますが、あなたの最後の決意のほどを伺っておきたいと思います。
  139. 安田巌

    安田説明員 いろいろ御指摘をいただきました事項につきましては、今後十分心して当たりたいと思いますが、一言だけ申させていただきたいと思うのですが、資金が十分でないから、貸し付けが行なわれていないというようなところがある、あるいは御希望どおり行なわれないところがあるということを申されましたが、先ほどもちょっと触れましたけれども、普及度が五〇%以下のような、公庫として優先的にやらなければならぬところに対しては、私どもは全然査定しないでそのまま貸しております。それから、人口五万以下の市町村に対する医療機関に対しても、私どもは、資金が足りないからといって貸さないということは絶対にありません。それから、病院診療所と比べまして、診療所に私どもは全部貸しております。病院のほうを査定をいたしております。それだけ意のあるところをひとつおくみ取り願いたいと思います。
  140. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 華山親義君。
  141. 華山親義

    ○華山委員 簡単にお伺いいたします。  献血のことでございますが、献血につきまして、厚生省は赤十字に対してどういうふうな法律上の指導の力を持っておりますか。——いらっしゃいませんか。献血のほうの方はどなたもいらっしゃらないんですね。  委員長、お尋ねする人がいらっしゃらないので……。
  142. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 丹羽久章君。
  143. 丹羽久章

    ○丹羽(久)委員 精神病院のことについて、ちょっと厚生省の方にお尋ねいたしたいと思いますが、最近交通関係でノイローゼになって精神病院に入る、あるいは騒音でノイローゼになるというようなことで、精神病者が、先ほどお話しのようにずいぶんふえてきた。医療公庫のほうも、それにマッチして、ある程度お考えになって、厚生省を中心にして、非常に病院の形ができてきたことは、半面で見れば非常にしあわせだと思うのです。そういう人たちがなおっていくことはけっこうなことだと思うのでありますが、入院患者の一部、そうして病院の一部、私立の監督——県立病院なんかは県でやるだろうと思うのですけれども私立の医療、薬品あるいは精神病者に対する監督というような指導的役所というのは、あなたのほうでおやりになるのですか。その点、ちょっとお尋ねいたしたいと思います。
  144. 若松栄一

    ○若松政府委員 精神病院の運営管理という面の指導は、当然厚生省が担当いたしております。ただ厚生省でも、実は精神衛生という問題が特殊な分野として、厚生省の中でも行政が独立しておりまして、精神衛生課というものをつくって、この仕事をやっております。この仕事は、実は公衆衛生局でやっております。したがって、私医務局長でございますので、直接の担当はしておりませんが、かつては公衆衛生局長もしておりましたので、大体の線は申し上げられるわけでございます。直接的には、現在都道府県知事が、医療法の規定によりまして、医療監視員等を使って、設備構造等についての指導をやり、また運営については、精神衛生の担当が、県あるいは保健所の職員を使って監督をしているわけであります。
  145. 丹羽久章

    ○丹羽(久)委員 かつてそういうお仕事をしていらっしゃったということなら非常にけっこうですから、私はこういうことをお聞きしておきたいと思うのであります。入りました患者が、自分では大体なおったと思うのです。もうどこも異常がありませんからと言って、うちの人と面会して、そういう話し合いをする。うちの人も、いろいろ話をしていると、かつて入れてもらったときから考えて、非常に良好になってきた。もうこれならだいじょうぶだと思う。ところが、なかなか病院はうんと言って出してくれない。費用は、相当高い費用を払わなければならない。こういうことは極端な言い方かもしれませんが、医療方法は電気療法、投薬療法、いろいろの療法があるのだけれども、これを野放し的にただ病院だけにまかしておくということになりますと、病院経営の経営だけに運営せられていくというようなおそれが、これから強くなってくるのじゃないかということが一つの心配です。  それから、これは一つの例なんですけれども、行くたびに、患者が、お金がほしいお金がほしいと言うそうです。どうしてそんなにお金がほしいのだいと言っていろいろ聞いてみると、やはりお金をもらわぬと困る、なぜかというと、守衛だとか何かが、そう言えそう言え、面会に来たら銭もらえ銭もらえ、こう言って教えるそうなんです。それだから、精神病者は、面会に来た親なり兄弟なりにそういうことを言う。そういう面がもしあるとするならば、これがほんとうの実情だとするならば、そういうような、におわせるような面が非常に多くなってくる。これはだれかがしっかりした監督をしていく。病院だけまかせにしておくのじゃなしに、やはり監督官庁から出張して、どんな状態で運営しているか、どんなものを投薬しているか、この患者に対してはどういう療法をしているかということがうまくできておるかどうかということを、私は心配するのです。これからうんと何か——精神科の博士に言わせると、日本人の五〇%、六〇%までが精神病者であって、紙一重のところで、精神病者と精神病者じゃない違いが出てくるというような発表をしたこともあるのです。先ほど中村先生は、ずいぶん自分自身が精神病棟をたずねて、精神病者の状態になっていろいろ研究してみたとおっしゃるけれども、私は、ほんとうに何人かの人たちが集まって、おまえの言うことは間違っているんだ、気違いだ気違いだということになれば、そうかしらぬという錯覚を起こすんですよ。だから、これはひとつ正しい指導をしてもらわぬと、私立病院というようなものを指摘するのでなくて、全体的な病院、この精神病院に対してはちゃんと正式な指導的な立場というものがつくられていかなければほんとうでないと思う。そういう点はどうです。しかも医療公庫からばく大な金を貸してある。最近の精神病院の伸び方というものは、おそろしい伸び方をしておりますよ。どこでもどんどこどんどこ増築をしている。ほかの病院とは違って——内科なんかはもうみんなくたびれてしまって、ふうふう言っている。それはあなたのほうでようわかっている。統計が出てきているはずです。町医者というのはだいぶくたびれています。いま一番にぎゃかで——失礼な言い方だが、死んでも喜ぶ。預かたら預かったで、最後までうまいこと何とかやってくれればいい。おらぬようになって、近所の人が、どこへ行ったか、ちょっと旅に行っておりますと言えば済む。預かったほうも楽だ、というような考え方でやられたら、私はたまらないと思う。これは建設的な考え方で、少なくとも攻撃したり穴をさがしてほじくったものの言い方というふうに誤解しないように。そういうものを、これからお考えになっていくのか。いまでもあるから心配するなとおっしゃるのか、その点だけをちょっと聞かしていただきたいと思う。
  146. 若松栄一

    ○若松政府委員 精神病院の運営の問題でございます。精神病院の医療につきましては、他の医療機関の他の科におけると同じように、医療それ自体について、厚生省は直接的な指導、監督というものをやっておりません。運営あるいはその構造設備、安全保持というようないろいろな問題については、ある程度の監督をいたしておるわけでございます。したがって、お話に出ましように、本人もいいと思い、家族ももうなおったと思うというのになかなか出してくれない、というような事例につきましては、これは医学的な判断でございますので、個々の例を詳細に検討しなければわかりませんけれども、精神病というものは、御承知のように、非常に流動的なものでございまして、普通の病気はなおったといえばそれは確かになおったということになりますが、精神病の場合には、ある程度軽快する、しかし完全治癒でなしに、また再発というようないろいろな形をとりますし、おそらくある程度軽快しても、また再発するという危険があって、もう少しというようなことになったのじゃないかと思います。  もう一点は、精神病につきましては、そういうように症状が非常に流動的でございますので、病院に入れておいたほうがいい状態と家庭に置く状態との間に、ある程度中間的な状態がございます。病院に置く必要はないが、家庭に帰したのではちょっとどうかなという状態がございまして、そういう中間状態のための中間施設というふうなものをつくって、そういうところで、病院でもない、しかし家庭でもないというような、ある程度集団的に訓練ができるような設備がほしいということで、現在精神衛生審議会あるいは精神病学会等で、そのようなものの設置について検討をいたしております。そういたしますと、病院は出た、しかし家庭に帰すにはまだ早いという方々の、治療的な訓練をやる場が将来できることになろうと思います。そういう段階ができますと、いまのお話のような点が、ある程度解決される可能性があろうかと思います。  それからもう一つ、患者が見舞いに来た家族に対して小づかいをくれと言うお話がございました。私ども精神病院におきましては、患者がそのように精神病者でございますので、これに自由に小づかいその他を渡して使わせるということは適当でないということで、精神病院の場合には、通常家族から預かりましたお小づかいは事務が保管しておりまして、そして必要に応じて、たとえばちり紙を買ってやる、歯みがきを買ってやるというようなことにして、小づかいはむしろ病院の事務に管理させるのをたてまえといたしております。したがって、患者が金をくれということはちょっと一般的な問題ではないと思います。したがってまた、看守がそういうふうにそそのかせたというお話もございましたが、これは一般的な問題ではなしに、残念ながら、個別的にあるいはそういう不心得な者がいたのかと思います。したがって、一般的には、申しましたように、事務的に管理をいたしております。
  147. 丹羽久章

    ○丹羽(久)委員 ありがとうございました。これでよくわかったし、そうした流動的な病気であるから、中間的なものを施設して、そこに収容して、家にも帰さぬけれども病院に置くこともどうかと思うからというようなものをでかそうと思っているし、それをでかして今後考えてみたいということであるから、私はけっこうなことだと思います。丁寧な御答弁をいただいて、それでよろしいのです。  けれども、もう一点申し上げておきたいと思いますことは、そういうような私的な病院というものを考えてみますと、やはり公平な判断をしてくれるところがどこかになければいかぬと私は思うのです。いまのところはあなたまかせ、ひとまかせで、病院の院長がほとんどおらなくたって、お医者さんが寄ってたかってやる。しかもお医者さんでなくて、そこにおる人がいいかげんな薬を盛るというような事実がある面であらわれておるというようなこともあるし、しかもそれを監督する者はだれもないとなると、これからだんだん病院がふえていく。公庫が金を貸すから幾らでもふえていく。患者はどんどんふえていく。これでは、厚生省のほんとうの指導というものの考え方と逆のような形になってくるということも考えなければならぬ。だから、そういう点について、あなたは直接の担当ではないということであるから、一ぺんよく相談していただけませんか。これは実際、建設的な考え方を申し上げるわけなんです。しかも私のところに来たのは、たたかれて、倒されて、首締められて半殺しになってしまった。少しものの言い方が悪いと、そういうことをする。それで一ぺん告訴するから、病院をやってくれと私に言ってきた。けれども、その人に私が言ってやったことは、君がそういうことを言っている間はまだなおっていないのだ、経営者を呼んでやるから、もう一ぺん病院に行けと言ったら、先生までがそう言うなら私は帰ります、しかし私は正常な気持ちでおるのです、これが実態ですよ、こういうことを話していったのです。泣き泣き私にその実情を訴えた。これに耳を傾け、あとで静かに考えてみるときに、一体この病院の運営が、ほんとうになおしてあげようという精神的な面において欠けているのかいないのかということを監督するのはどこだろうと考えた。そうすると厚生省の責任になってくる。あるいは出先機関のそうした関係になってくる。だから、やはり精神病院には巡回をしてもらうような制度をもって、そして監督をしてもらわぬと、これからだんだん広まっていくばかりなんですから、どうぞその点ひとつ十分御研究をしていただくように、お帰りになったら、お話しをしていただきたいと思います。どうもありがとうございました。
  148. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 白浜仁吉君。
  149. 白浜仁吉

    ○白浜委員 私は、この機会に医務局長にお尋ねしておきたいと思いますが、いろいろと、今日の日本の医療制度をどういうふうにやればいいかという大きな基本の問題が今日露呈されてきて、種種の問題が出てきていると思います。その中の大きな問題の一つに、わが日本においては、相当数のりっぱなお医者さんがいるということがいわれながらも、実際は地域的に非常に偏在せざるを得ない、これはやむを得ないというふうなことから、いろいろとそこに問題が出てきておる。同時にまた、先ほど途中で入りまして詳しい経過はわかりませんが、中村委員がお尋ねした医療金融公庫融資の問題その他にからみましてのことでございますが、やはり偏在している。したがって、自由営業である医療というものが、引き合うか引き合わないかという問題もおのずから出てまいるわけでございますので、どこか公共企業体、国あるいは県市町村が、これを責任を持ってやるかということとあわせ考えて、これは非常に大きな問題だと思いますが、実際面におきましては、特に精神病などにおきましては、専門医が少ないということが大きな問題じゃないかというふうな気がいたします。なぜ少ないかということになりますと、やはり私はこれは医療担当者に対する処遇全体がやはり非常な犠牲のもとに行なわれながら、なおかっこの報酬が少ないというふうなことが大きな基本の問題じゃないかというふうな気がいたします。  これはこれといたしまして、私は、約十年来、海外医療の問題を取り扱ってまいりました。いま東南アジア方面あるいは中近東、アフリカに及びまして、わが日本が相当犠牲を払って、これから非常な期待を持っているこうした開発途上の国々に対して、日本が医療をもって何とか協力をしていこうというふうな態勢で進もうとして、昨年から特に積極的にやっている最中でございますが、それをするにしましても、一番困っておるのは、いわゆる医療担当者が非常に少ないということでございます。海外のこの発展途上の国々の国民が、わずかに五万人に一人とかあるいは十万人に一人と、わが日本では思いもよらないように、正規のお医者さんの国民に対する比率が少ない。このことだけでもわれわれ日本人としては、非常に気の毒だというふうな気がいたしますが、同時に、こうした国々が、わが日本に非常に大きな期待を持っているわけでございます。しかし、それをやるにしましても、どうしてもこの医療担当者をもっともっと養成しておかなければならぬというふうに考えておるのでありますが、卒業をされ、一人前になられる医療担当者というものの数が非常に少ない現状でございますので、いまの医学制度、これは文部省の問題だというふうにお考えかもしれませんが、あなたは厚生省の医務局長でございますので、今後こういうふうなものを踏まえて、来年度あたりからでも、余裕のあるところの国立の大学あるいは私立大学、こうしたところに、多数の従来以上の医学生を養成するような方途は考えておられないものかどうか、できれば私はその措置をしてもらいたい、こういうふうに考えておるのでありますが、これに対するお考えなり、また将来の御意見なりがありましたら、お伺いしたいと思います。
  150. 若松栄一

    ○若松政府委員 非常に広範な医療の問題につきましての御質問でございまして、医療機関の整備あるいは精神病院の医師の不足の問題、さらには東南アジア方面における医療協力の場合の医師の不足、ひいては結局日本全体の医療従事者、特に医師の不足という問題が中心になろうかと思います。  日本の医師の現状という点で申しますと、日本の医師の現状は、一体足っているのか足らないのかというお話が、きわめて端的に出るわけでございますが、私は現在非常に不足しているというふうに考えます。それならばどの程度不足しているかということになりますと、これは一つのものさしが要るわけでございます。一つの国際的なものさしといたしまして、医師の数が人口十万対に何人いるかというのが国際比較のしかたでございます。現在日本は人口十万について百十一人という医師でございまして、これがアメリカになりますと百四十五程度になりますし、イタリアあたりは百二十六程度、ところがイスラエルになりますと二百三十という数になりますし、ソビエトは百九十近い数でございます。イギリスは日本とほぼ同数ということでございまして、実はこういう状態で、ソビエトはそれでは非常に医師が余っているかというと、まだ足らない、足らないと言っております。またイスラエルは世界最高で、日本の倍以上の医師がおりますが、なおかつ足らないと言っております。アメリカは現在非常に足りなくて、いまの養成を倍ぐらいにしなければいかぬと言っておりますが、イギリスに至ってはまさに悲鳴をあげている状態でありまして、何とか医師をたくさんつくらなければいかぬ。そういう意味では世界的に医師不足を来たしている状態でございまして、これはある意味では、やはり世界的な医療保障、社会保障の充実という点が一番大きなバックグラウンドであろうと思います。日本におきましても、皆保険制度の達成というようなことから、医療需要がきわめて増大いたしましたために、急速に医師不足が生じております。それに対処いたしまして、私どもは何とかして医師をふやしたいということで、実は数年前からその努力をいたしております。いま資料を持っておりませんので、正確には申せませんが、きわめて概略的に申し上げますと、五、六年前には、医師の養成定員、学校の入学定員が約二千八百名でありましたが、現在は三千八百名までふやしております。したがって、約千名ふやしているわけでありますが、これで大体各大学の収容定員がほぼ一ぱいになったという状況でございます。一ぱいになったというのは、大体戦前から、医科大学の教育能力というものは、一校百名から百二十名が限度でございまして、戦後各大学が一時減らして、百二十名であった東大が八十名に減らし、八十名であった単科大学が六十名に減らすという事態がございましたが、現在はそれがほとんど旧にまで戻っている。そういう意味で、現在の養成能力のほとんど最大限度に近いところまでふやしている。この現状でいきますと、人口十万に対して百十一という医師が、現在の大ざっぱな計算でございますが、昭和七十年になりまして約百二十六、実数で申しますと、現在約十万九千でございます医師が、七十年になって約十五万になる見当でございます。これではまだ医師の数が非常に足りないということで、実は文部省にもかけ合いまして、養成は文部省が担当しておりますので、できるだけ最高限度にこの医学校の定員をふやしてほしい、なおできれば新設を認めてやってほしい。従来医学校の新設に対してはかなりきびしくやっておりまして、そのために医師の不足を来たしております地方——北海道とか、秋田とか、富山、大分というようなところで、ぜひとも医学校をつくりたいという要望の出ているところもございます。そういうところに対しては、できるだけ援助し、好意的にやってほしいということを申しておりまして、医師の養成計画あるいは将来計画等については、私どもも平生非常に頭を悩ましているところでございまして、今後とも文部省等とも話し合いをしながら、この養成の増加並びに適正な医師の確保という面で努力してまいりたいと思っております。
  151. 白浜仁吉

    ○白浜委員 いま局長から御答弁があったとおりだと思いますが、基本的には、私は最近のいろいろな制度からくる欠陥によりまして、やはりお医者さんになってみてもうまみがない、払う犠牲だけが大きいというふうなこと、インターン問題その他にからんで、近代人の感覚でいくと、お医者さんになって何の報いられるところがあるかという、そういうような現実的な面も出ているのではないか。そのことが大きなもとをなしているのではないかというふうな気がいたします。  いずれ、この問題は、また別の機会に私も質問をしたいと思いますが、いずれにいたしましても、全体的な絶対的な数の不足というものから、いろいろな問題も派生的に出てきていると思います。どうか文部省とも早急に対策を講じて、この不足しがちな医師の養成というものと積極的に取り組んでもらいたい。そのことをお願いして、私の関連質問を終わります。
  152. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 次会は、公報をもって通知することとし、本日は、これにて散会いたします。    午後一時十九分散会