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1967-05-23 第55回国会 衆議院 決算委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年五月二十三日(火曜日)    午前十時三十四分開議  出席委員    委員長 鍛冶 良作君    理事 吉川 久衛君 理事 小峯 柳多君    理事 小山 省二君 理事 白浜 仁吉君    理事 高橋清一郎君 理事 佐藤觀次郎君    理事 華山 親義君 理事 吉田 賢一君       丹羽 久章君    葉梨 信行君       村上信二郎君    中村 重光君       安井 吉典君    浅井 美幸君  委員外出席者         外務省北米局安         全保障課長   浅尾新一郎君         外務省条約局条         約課長     松永 信雄君         大蔵省主計局主         計官      長岡  実君         建設省国土地理         院長      安芸 元清君         会計検査院事務         総局第三局長  石川 達郎君         専門員     池田 孝道君     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  歳入歳出実況に関する件      ————◇—————
  2. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 これより会議を開きます。  歳入歳出実況に関する件について調査を行ないます。  質疑の通告がありますので、これを許します。華山親義君。
  3. 華山親義

    華山委員 実は、新聞等にも出ました国土地理院の、アメリカとの協議によって行なわれた地図作製につきまして、一般国民はあれで非常な、ンヨックを受けております。一つには、やはりそういうふうな自分のところの地図、そういうものを外国に出されて、そして外国から金をもらっているというふうなことは、これはやはり国民的感情として、相当これに対しまして、何か許せないものがあるという感じを抱くのは当然だろうと思うのでございます。  もう一つには、新聞報道等によりまして一般国民が受けた印象といたしましては、国土地理院がかってにアメリカから金を受け入れて、そしてやったような印象を受けました。この後段の問題につきまして、私も、これはどうしたことだろうかというふうなことから、さっそく調べてみ、また調べてもらったのでございますけれども、一般会計に入って、それが国土地理院経費として出ているということがわかりましたが、そういう点は、できる限り国民に対して誤解を解く必要があるというふうなことから、さっそく皆さま方お話を聞きたかったのでございますけれども、延び延びになりまして今日に至りました。六日のショウブ、十日の菊と申しますけれども、その感がございまするし、ほかの委員会等においても明らかになっておりまするし、前の地図部長はこの問題につきまして、政府の姿勢を正せということで新聞に稿を寄せておりますし、相当誤解は解けたと思いますけれども、なおひとつこの間の経緯等について明らかにしておきたいと存じます。  それで、初めに国土地理院長から、いままでのこれを作製するに至った経過、そのことにつきまして、簡潔に概略をお話し願いたい。足りない点がございますれば、私から伺いますので、概要をお話し願いたいと思います。
  4. 安芸元清

    安芸説明員 お答えいたします。  米国からの余剰農産物資金の残金のうち二億五千二百万円をもちまして、日米共同地図——われわれはこれを特定五万分の一の地図と呼んでおりますが——作製を行なうことにつきまして、日米両国間の合意を得まして、昭和三十五年二月十八日、外務大臣アメリカ大使との間で交換公文がかわされたのでございます。これに基づきまして、国土地理院、当時、地理調査所と申しておりましたが、国土地理院は、昭和三十五年度から三十九年度までの五ヵ年にわたりまして、本州及び北九州の一部の地区につきまして、総面数四百五十四面の地図作製を行なったものでございます。  これがいままでの経過でございます。
  5. 華山親義

    華山委員 外務省まだおいでになりませんか——外務省の方に伺いますが、ただいま国土地理院院長からお話を承りまして、この経費余剰農産物剰余金ですか、そういうものから出て、これが一般会計に入って、そしてその経費によってやったんだという話を簡潔に伺ったのでございますけれども、この余剰農作物といいますか、その性格及びここに至るところのその前からの経緯というものを、簡潔でよろしゅうございますから、御説明を承りたいと思います。
  6. 浅尾新一郎

    浅尾説明員 御承知のとおり、第一次農産物協定というものが、昭和三十年の六月二十五日に締結されました。それから越えまして、翌年の三十一年五月二十九日に第二次農産物協定日米間で締結されたわけでございます。アメリカ側は、いわゆるPL四八〇という国内法によりまして、農産物を他国に輸出する場合の根拠規定がございまして、それに基づきまして、日本にも農産物提供するというのが前提でございます。この一次、二次の協定に基づきまして、第一次においては七〇%、第二次においては七五%を、経済借款として日本政府に供与する、残り共同防衛のための装備、資材あるいはフルブライトの教育交換等に使うということを取りきめましたものが、第一次、第二次の協定内容でございます。
  7. 華山親義

    華山委員 初歩的なことでございますけれども、あちらから参りました農産物というものは、これは金は払うのでございますか。
  8. 浅尾新一郎

    浅尾説明員 これは払うことになっておりまして、日本側がそれに見合うお金を積み立てまして、日銀に開設されたアメリカ政府勘定に振り込むことになっております。
  9. 華山親義

    華山委員 先ほどおっしゃった七五%というのは、その金の七五%でございますか。
  10. 浅尾新一郎

    浅尾説明員 全体にこちら側が円勘定に振り込みます、そのうちの七〇%あるいは七五%ということでございます。
  11. 華山親義

    華山委員 その七〇%、七五%というものは共同防衛のために使って、その残ったところの三〇%なり二五%がこの農産物に関する日本国アメリカ合衆国との間の協定によりまして、共同防衛のための軍事上の装備とか、他の国のための物品の購入及び役務とか、合衆国農産物の新たな市場を開拓するためとか、国際教育交換活動資金とか、日本における合衆国の債務を支払うためのものとか、そういうものになったわけでございますね。
  12. 浅尾新一郎

    浅尾説明員 ただいまの数字は逆でありまして、七五%、七〇%は経済借款です。残りの三〇%ないし二五%が、共同防衛のための支出であるとか、あるいは教育者交換というものに使われるわけであります。
  13. 華山親義

    華山委員 その金は、日本は将来支払うものですか。
  14. 松永信雄

    松永説明員 ただいまの、安全保障課長のほうから御説明申し上げました七〇%なり七五%の部分は、借款として借り入れをいたしましたから、その部分は返済することになると思います。
  15. 華山親義

    華山委員 そうしますと、日本地図をつくったというふうなこの金は、将来返済しなくてもいい金でございますね。
  16. 松永信雄

    松永説明員 そのとおりでございます。返済いたしません。
  17. 華山親義

    華山委員 それじゃ、その点はあとで伺うことにいたします。  院長に伺いますが、おつくりになった地図というものは、精密度が加わったということはありましょうけれども、どういう点がいままでの地図と違っておりますか。
  18. 安芸元清

    安芸説明員 特定五万分の一の地図と、現在われわれが地理院から市販いたしております地図との相違点でございますが、これは新聞紙上にもいろいろ書いてございましたけれども、グリッドが入っております。グリッドという方眼が、一キロごとに入っております。それから海の等深線が、日本国土地理院発行地図にはございませんが、特定五万分の一には入っております。それから色合いが、向こうは五色で、こちらの日本のやつは四色であります。それから多少記号が、鉄道が、日本のやつは旗ざおじるしになっておりますが向こうのやつでは二本の軌道のようなしるしになっている。それから道路の区分なんかにつきましても、若干幅員のとり方等について違っております。そういうことで、表現においては多少異なりますけれども、その他についてはほとんど同じ内容のものでございます。精度につきましても、日本地図と同じということにお考えいただいていいと思います。
  19. 華山親義

    華山委員 その一キロごと方眼というのは、何の役に立つのですか。
  20. 安芸元清

    安芸説明員 その方眼グリッドが、非常に新聞では大きく取り上げられておったわけでございますけれども、純学術的に申しまして、地球位置を示す場合に、われわれは緯度経度で一応わかっておるわけでございますけれども、緯度経度ですと、これは実態の距離をあらわさないわけでございます。そういうことで、一般ユーザーの立場に立って、距離を正確に欲しいときには、やはりグリッドを入れるのがいいのじゃないか。これは純学術的な問題として、そういう問題があるわけでございます。日本の国の地図になぜ入れないかということでございますけれども、御承知のように、日本の昔の地図は一色であったわけでございます。白黒でございました。そういうことで、これにグリッドを入れるということは、非常に図面が見にくくなるというおそれもございまして、入れなかった。最近多色刷りになりまして、入れようかという話も実は学術的な問題として出たわけでございますけれども、いままで見なれていないということで入れなかったわけで、別にこれをもって爆撃上に役立つとか、というふうなものではないと私は考えております。  ちなみに、外国におきましても、ヨーロッパ諸国等におきましては、ほとんどの国においてグリッドを採用いたしておる、こういうことでございまして、その地図はもちろん市販されておりますが、そういうことで、グリッドを入れることはユーザーの便のために入れられておるというふうにわれわれは考えておりまして、これが特別に爆撃とかなんとかのために役立つものというふうには、われわれは学術的には考えておらないわけでございます。
  21. 華山親義

    華山委員 軍事上のことでございますから、私もよく知りませんのでなんでございますが、とにかく一キロごとにある物件というものは、どこに入っているかわかるわけですね。ある物が、建て物なり橋梁なりがこのブロックに入っておる、そうしてそれが地球上のどの位置だということはわかるわけですね。そうすれば、そこを軍事上のためにやろうという場合に、発射する地点というものがわかっているのですから、私はこの前も言ったのですけれども、そうすればロケットというものはそのまま使えるようになるのじゃないかということを言ったこともありますけれども、それは今日の武器からすれば、的確に命中するのだと私は思う。外国のものでもやっているからと言われますけれども、そういうふうなものが、アメリカばかりでなくて、どこの国へもいくわけですね。この点は、私は軍事評論家ではございませんからわかりませんけれども、しろうとが考えても、そういう気持ちがいたします。ソ連とか中共とかにつきまして、そういうふうな、あなたのおっしゃる精密な、線の入った地図というものは日本で入手できますか。
  22. 安芸元清

    安芸説明員 現在、ここでソ連とか中共地図というのは私はつまびらかにしておりませんけれども、資料交換学術資料としてやっておりますので、ひょっとしたら、来ているかもわからぬと思います。
  23. 華山親義

    華山委員 軍事上のことにつきましては、私はそういうふうな気持ちがいたしますけれども、いまここでは、それ以上は論及いたしません。  そうしますと、アメリカの金でおつくりになったものというのは、これは全く学術的文化的なものだ、そうしてこれは一般に市販されているものである、こういうふうに私は考えてよろしいわけでございますね。
  24. 安芸元清

    安芸説明員 私は軍事的な専門家でございませんので、軍事的などういう意味があるかということはよくわかりませんけれども、内容を見てみまするに、市販されています地図グリッドが入っているというのは非常に目につくと思うのです。等深線、水の深さなんかにつきましては、これは日本政府の機構の中で、水路部国土地理院に分かれておりますので、分かれて別々にやっているわけであります。グリッドだけが少し目につく問題でございますが、これは外国のものは全部市販されている地図にありますし、われわれの地図づくりの一応学説的な話になっておりますので、私が私なりの技術的な判断をいたしますれば、特に軍用にこれが役に立つというようなふうに、私は考えておらないわけであります。
  25. 華山親義

    華山委員 ですから、今度アメリカの金を入れられてつくられた地図は、全く学術的なものあるいは文化的なものであって、何人にも公表のできる、市販していられるそうでございますが、そういうふうなものだ、学問的所産である、こういうふうに考えてよろしゅうございますね。
  26. 安芸元清

    安芸説明員 私が見た範囲内では、学術的な価値が非常に高いというふうに考えているわけでございます。
  27. 華山親義

    華山委員 あなたどうして明確に答えられないのですか。そういう文化的な所産なんだ、学術的所産なんだ、それでいいじゃないですか。何か口ごもったことを言われるから、何か裏があるのじゃないかということになってしまう。そうおっしゃいなさい。
  28. 安芸元清

    安芸説明員 私は軍事専門家でございませんので、そういう目からの観点というものはちょっと持ち合わせていないわけでございまして、私が見た範囲内では、文化的所産であるというふうに考えます。
  29. 華山親義

    華山委員 大蔵省主計局に伺いますが、そういうふうな文化的所産、そういうふうなものを、どうしてアメリカの兵隊から金をもらってやるか。そういうふうな、五年間で二億五千万程度の、どちらかといえば、私は小さな金だと思う。そういうふうなものは、日本予算に組めないのですか、外国から金をもらわなければ。私はそういうふうなことは日本人感情——私は右翼じゃありませんよ。右翼じゃありませんけれども、やはり愛国心はあると思う。日本人気持ちは持っていると思うのです。そういうふうなことに、どうして外国から金をもらってまでやらなければいかぬのか。予算要求があったならば、そういう要求はつけたらいいじゃないですか。どういうわけでそういうことをなさらないのか。
  30. 長岡実

    長岡説明員 昭和三十五年ころの国土地理院予算を見ますと、おっしゃるとおりに、五万分の一の地図整備その他につきまして、必ずしも十分な予算措置が行なわれていると自信を持って申し上げられるような状態でないかもしれませんが、ただ当時の予算の状況を調べてみますと、たとえば三十四年度とこの特定五万分の一が始まりました三十五年度——前年度の予算に比べまして、ただいま先生から御指摘がありました四、五千万の金、いわゆる米軍との協定に基づきますこの金を除きましても、国土基本図等作製経費は、前年度に比べまして八割方予算を増額しておるわけでございます。ただ、出発点が非常に予算の組み方が小さいので、八割増額しても十分でないという御指摘はあろうかと思いますけれども、私どもといたしましても、一般的な行政の経費というのはでき得る限り切り詰めて、これを国民に直接奉仕すべき事業費に回すべきであるという観点で査定をいたしておりますけれども、国土地理院経費につきましては、事務費と申しますよりはやはり一種事業費でございますので、乏しい予算の中から、相当重点的には措置をしてきたつもりでございます。  なお、ただいまの点につきましては、それじゃどうして大蔵省がそういうものを認めたのかというお話でございますが、先ほどから国土地理院長からもお話がございましたように、当時の建設省大蔵省と申しますか、政府の認識といたしましては、やはりこれが一般国土地理院のやっております地図内容においてそれほど変わりがない。だとすれば、こういう経費でも、これを五万分の一の整備に使うことによって、終戦後立ちおくれておりました日本地図整備が促進されるというようなことから、予算に受け入れたのだろうと思うのであります。
  31. 華山親義

    華山委員 それで、先ほどお話のありましたとおり、日本国土の一部ができたということであって、そして今度、三十九年で終わっておるわけでございますが、そうすると、日本国土の一部というものは、国土地理院から提案されてきめられたのか、あるいはアメリカから提案されてきめられたのか、どっちできめたのか。
  32. 安芸元清

    安芸説明員 詳しい経過につきましては、私十分承知しておりませんけれども、おそらく金がきめられて、それから逆にその面積がきまったのじゃないか、かように考えておるわけであります。
  33. 華山親義

    華山委員 面積はわかるけれども、この部分、この部分、それから北九州の一部とかおっしゃったでしょう。その地域等をきめたのは、一体日本意向によるのかアメリカ意向によるのか、どうなんだということをお聞きしておる。
  34. 安芸元清

    安芸説明員 おそらく日米協議いたしまして、きめたことであろうと考えられます。
  35. 華山親義

    華山委員 あなたお考えになりまして、あそこの地点を選んだことにつきましては、あそこの地点を選ぶだけの理由はおありになるわけですか。
  36. 安芸元清

    安芸説明員 北九州本州の南のほうでございますけれども、非常に開発速度が早いところでございまして、地理院といたしましても、早く地図を直さなければならぬという羽目におちいっておりましたので、こういう金でやるということになりましたならば、そういうところから始めたいということから考えて、地理院としてもそういうところを考えたのじゃないか、かように考えるわけでございます。
  37. 華山親義

    華山委員 あれは、院長おっしゃったよりも、神戸とかなんとか、もっと大きいのじゃありませんか。この地図お持ちでしたら、どの部分ですか、ちょっとお示し願いたい。
  38. 安芸元清

    安芸説明員 東北太平洋側から始まりまして、ずっと西のほうが入っております。もちろん大阪、名古屋も入っておったと思います。
  39. 華山親義

    華山委員 東京は……。
  40. 安芸元清

    安芸説明員 東京は入っておりません。
  41. 華山親義

    華山委員 国土地理院でお使いになった金は、どういう部分に主としてお使いになったのか。
  42. 安芸元清

    安芸説明員 ほとんど請負契約でやったわけでございますが、補足の測量航空測量をやりました。それからこれを今度は図化しなければならぬわけでございますが、図化機というものがありまして、いま自動的に航空写真図化する方法があるわけです。図化機にかけまして、これを図化する。その図化に伴いまして、現地調査もやらなければならぬ。そういうことを並行いたしまして、日本測量会社請負契約をいたしました。それでやらせました。そして最終検収国土地理院の責任においてやっております。途中におきましては、アメリカ軍の検査もありました。それからそれができますと、今度はそれをスクライブと申しまして、製図をしなければならぬわけでございます。製図日本測量会社に出しまして、請負契約のもとにスクライブいたしまして、原版をつくった、かようなことで、金はほとんど日本国政府契約のもとに支出しておる、こういうように考えております。
  43. 華山親義

    華山委員 日本のどの部分航空写真でおとりになっていまのような作業をなさったのか、その地図で見せていただきたい。
  44. 安芸元清

    安芸説明員 日本でとりました航空写真は一部でございますが、そのほかに、各省庁の持っておった航空写真、それから公共団体等が持っておりました公共測量のためにつくっておりました航空写真、というものを集合いたしまして、それにアメリカ航空写真ももちろん一緒でございますが、そういうものを一緒にして図化をいたしておりますので、どこがどの地図を使ったかというはっきりしたデータはここに持ち合わせていないわけでございます。
  45. 華山親義

    華山委員 いまのお話によりますと、そういたしますと、アメリカからも航空写真等資料提供を受けたわけでございますね。
  46. 安芸元清

    安芸説明員 調査いたしました結果、昭和二十三、四年ごろの地図でございますが、それの提供を受けたようでございます。しかし非常に古いためにそれが使いにくかったということで、その後に日本の国でとりました新しい航空写真というものを利用する、どうしても足らぬところは、この金の中で日本請負契約航空写真をとった、こういうことになっております。
  47. 華山親義

    華山委員 どうも、私も少しは専門的なことも知っているはずですけれども、地図作製するための航空写真というものは特別なものでしょう。各官庁とかよそとかいろいろなところにもあったから、それも借りてきた——そんなもので地図作製ができるのですか。
  48. 安芸元清

    安芸説明員 各省や公共団体にありました航空写真地図といいますのは、公共事業なんかをやります場合に、航空写真を写しましてそれで地図をつくるわけでございますが、そういう地図を利用させていただいた。ただ航空写真を上からとっただけのものではございませんので、地図をつくる目的でとりました航空写真を借用してやった、というふうに聞いております。
  49. 華山親義

    華山委員 それはしかし、もう大部分地理院でやったのであって、そういうものを手に入れられたことはあるかもしれませんけれども、きわめて限られたものではないでしょうか。大部分は、やはり新しく地理院のほうでとられた、あるいは請負とおっしゃいましたが、そこでとられたものではないのですか。
  50. 安芸元清

    安芸説明員 数量的に、国土地理院がとったのが幾らで、地方公共団体等から借りたものが幾らで、アメリカ側幾らということはつまびらかにいたしておりませんけれども、そういうものがあるということでございます。
  51. 華山親義

    華山委員 よそから借りてもいいですけれども、そのどの部分航空写真をとられて、今度の新しい地図修正をされたか。先ほどからお聞きするのですけれども、一体、地図の上では日本のどの部分なんですか。東北太平洋岸関東地方東海地方、阪神、山陽、北九州、そういう東北太平洋岸太平洋ベルト地帯北九州、そこまでがつくられているのですね。
  52. 安芸元清

    安芸説明員 四百五十四面をつくったわけでございますが、東北から北九州にかけまして、そのどの部分をどういう写真でつくったかということにつきましては、ちょっとここではわかりかねるわけでございます。
  53. 華山親義

    華山委員 私が言うのは、その航空写真のことを離れましても、新しい修正をなすった部分というのは、先ほど私が申し上げたとおり、太平洋津——ずっと本土から北九州にかけての太平洋津、そういうふうに考えていいわけですね。
  54. 安芸元清

    安芸説明員 つくりました四百五十四面につきましては、全部航空写真様式に切りかえましたので、昔の五万分の図面とはだいぶ違うわけでございまして、新しい航空写真に切りかえるという要請が戦後起こりましたので、それによって切りかえたので、これは全部新しい図面になっております。
  55. 華山親義

    華山委員 それが日本のどの部分なんですか。
  56. 安芸元清

    安芸説明員 場所的には、大体先ほど申しましたように、太平洋岸とそれから日本海も一部入っておりますが、東京付近は除いております。たしか仙台付近からじゃなかったかと思いますけれども、いまちょっと手元にございませんので……。
  57. 華山親義

    華山委員 院長、何も私は、追及するとか、何か人のことばじりをつかまえてどうしようとかいう気持ちはないのです。先ほどは何か中国の一部と北九州だとおっしゃった。それからだんだんお聞きしていくと、それがだんだん拡大してきた。初めからちゃんとおっしゃってくださったほうが時間がかからなくていいのです。何も私はそれをあばき立ててどうこうするなんという気持ちはございませんから、正直におっしゃってください。  そういう地点は、アメリカとそれから地理院のほうで協議をなすってきめた。それから、いろいろ先ほどおっしゃった検収であるとかいろいろなことも、アメリカ地理院協議してきめなすったわけですが、その協議書というものは、毎年毎年予算も違っているようでございますが、毎年毎年おつくりになったわけでございますね。
  58. 安芸元清

    安芸説明員 毎年やったわけでございます。
  59. 華山親義

    華山委員 それをひとつ出していただきたい。
  60. 安芸元清

    安芸説明員 この文書につきましては、極東地図局との周にかわされた一種外交文書でございまして、外交文書の取り扱いといたしまして、向こうの了解を得なければ出せないというふうに私聞いておりますので、ちょっとそのものずばりをここへお出しすることはできないかと思います。
  61. 華山親義

    華山委員 了解を得て出してくださいよ。
  62. 安芸元清

    安芸説明員 外務省とよく相談してみたいと思います。
  63. 華山親義

    華山委員 外務省、どうなんですか。そんなこと了解とれないのですか。
  64. 浅尾新一郎

    浅尾説明員 ただいま御指摘文書は、アメリカ地図関係者と地理院との間に取りきめました事務的な文書でございます。したがいまして、これを提出できるかどうかについては、先方の了解もございますし、建設省と十分打ち合わせして措置したいと思います。
  65. 華山親義

    華山委員 会計検査院に伺いますが、会計検査院のほうは、一応の収入をアメリカから得た、こういうふうなことで納入告知書が——これはいままで調べたところによりますと、アメリカの駐日米国陸軍司令部経理部長あてに納入告知書が出ておりますね。それで納入告知書が出て、納入があって、そうしてその納入が正当であったかどうか、適当な権限によって出されたものであるかどうかということは、会計検査院に回るわけです。会計検査院はそれについて確認しなければいけない。そのときに、会計検査院はどういう裏づけの文書でこれが正当なものであると確認されましたか。
  66. 石川達郎

    ○石川会計検査院説明員 本件の国土地理院特定地図作製につきましては、御承知のとおり、三十五年度から三十九年度まで、それぞれ予算に計上されておるわけであります。そこでその根拠といたしましては、基本的にはこれは余剰農産物協定でございますが、それがございまして、実際仕事を進めていく上の、外務大臣及び在日米国大使交換公文、及び国土地理院長米軍地図局長でございますが、その間の覚え書き、それによりまして、その根拠を確認いたしたわけでございます。
  67. 華山親義

    華山委員 それはわかっておりますけれども、事務的に、とにかく納入告知書が行って納入されるわけでしょう。納入されたということについても、納入しましたというだけではだめなんでしょう。納入したことについての、これを裏づけるところの書類がなくちゃいかぬわけでしょう。その書類は何か出されていたかということを聞くのです。
  68. 石川達郎

    ○石川会計検査院説明員 当初は、三十五年度は交換公文及び覚え書き、それからその後におきましては、毎年覚え書きの写しが提出されております。
  69. 華山親義

    華山委員 しかし、毎年毎年金高が変わっているのですよ。外務省との交換文書によって、金高が毎年毎年変わっているわけじゃない。地理院アメリカとの話し合いによって、金額が一つ一つきまっているわけです。そうすれば、ことしはこういう契約をしましたということが、会計検査院にいっていなければいかぬでしょう。いっておりますか、ということを聞いておる。
  70. 石川達郎

    ○石川会計検査院説明員 三十五年度から三十九年度にわたりまして、毎年これが提出されております。写しでございます。
  71. 華山親義

    華山委員 それは、先ほど私が資料をお願いしておりますところの、地理院アメリカ側とのその年その年ごとの約束ですか、それがきておるわけですか。
  72. 石川達郎

    ○石川会計検査院説明員 さようでございます。
  73. 華山親義

    華山委員 会計検査院、出しなさいよ。われわれは、この決算委員会は、すべての決算について、それが正しいかどうかを調べるところの権能を持っておる。会計検査院に出たものがわれわれの目に入らないというものじゃない。それを出しなさい。会計検査院わかりましたか。どうですか。
  74. 石川達郎

    ○石川会計検査院説明員 会計検査院が検査をいたします場合に提出されました書類は、写しでもございますが、まさにそのような事実が記載してあるわけでございます。ただわれわれといたしましては、検査の便宜上これをいわばお預かりしているというような形でございまして、これはむしろ外務省なり建設省お話し合い願えればと考えております。
  75. 華山親義

    華山委員 そのものずばりでなく、お預かりしておるものなら、写しでいいですよ。会計検査院が見られるものを、決算委員会の委員が見られないはずはない。出しなさいよ。
  76. 石川達郎

    ○石川会計検査院説明員 これは先ほども申しましたように、外務当局及び建設省側と検討した上でないと、私の一存では提出をお約束するわけにはまいらないわけであります。
  77. 華山親義

    華山委員 決算というのはそんな不明朗なものですか。決算委員会の国会議員から、そのときの添付書類を出しなさいと言われましても、これはないしょでございますから出せない、そんなことじゃ、決算委員会の委員は決算の審査はできないじゃないですか。そういう性格でいままできたのですか。出せる書類もあるし出せない書類もある。それでたびたび私も聞いたのでございますけれども、たとえば報償費、ああいうふうなものにつきましては、これは書類としては持たない。書類としては持たないけれども、課長外務省なりあるいは警察庁なり、そういうところにいって、よく支出の状態を調べておる、こういう答弁だ、それだけが例外であろうと思っていた。しかし、なお会計検査院には出せない書類がある、こういうことでございますね。
  78. 石川達郎

    ○石川会計検査院説明員 検査につきましては、厳正かつ慎重に行なっているつもりでございます。ただ書類の提出につきましては、先ほどお話しいたしましたように、あくまでもお預かりしているというような形になっておりまするので、事は外交に関することでもございまするし、外務省あるいは建設省の御了解を得た上でないと、われわれとしては一存で提出というわけにはまいらないと思います。
  79. 華山親義

    華山委員 お預かりしておるというのは何のことだ。出した書類なんでしょう、あなたのほうに。お預かりしておるのじゃないでしょう。それは本物がきてないと思うのですが、写しできておる。それを証拠書類を出せないということでは、われわれは審議権を十分に尽くせない。出してください。
  80. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 議車進行。いまの華山委員の質問並びに覚え書きの写しの提出方の要望ですね。これはあちらこちらと手続をむずかしくするようなことでもないように考えます。それでできれば五分間でも、ちょっとこのまま休憩して、そこでお話し合いになれば、すぐ結論を出し得ると思うのです。委員会を閉会して次の機会に出すというような、そこまで手数をとる必要もない文書のように思いますから、そういうふうにできませんか。どうですか。
  81. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 しばらく待っておって、何か話できますか、休憩せぬで。
  82. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 本省へ持って帰って相談せぬでもいいようなことだと思うのだが……。
  83. 安芸元清

    安芸説明員 この覚え書きは、日米両国の事務当局間で作成されました事務手続のやり方をきめたものでございまして、通常この種の文書は先方の了解なしには公表しないということになっておりますので、テキストそのものは、遺憾ながら提出できないと思うわけでございます。ただ概要説明をもちましてこれにかえることは可能だと思いますので、それによってかえさしていただきたい、かように考えるわけでございます。
  84. 華山親義

    華山委員 政府の答弁は、非常に平明に、この地図というものはそんなだいした軍事上とかなんとかいうふうなことでもあるまいという御答弁だし、私もそういうふうにも考えたいと思ってきたのですけれども、両方の打ち合わせが済まなければ公表ができないという約束までしているなんて言われると、何が書いてあるかと聞きたくなるわけですよ。片方は軍ですよ。日本駐留軍のほうで金を払っておるのでしょう。そうして、その文書というものは両方打ち合わせしないと発表しないことになっているなんて言われると、国民はますます疑惑を持つ。疑惑を解く意味からも、私は出していただきたい。それで、私が会計検査院に言ったのは、決算委員会というものは会計検査院が窓口なんだ。折衝の場所だ。だからあなたのほうで出していただきたい、こういうふうに言ったので、そういうふうなアメリカ日本との間の打ち合わせがないと、議会が全くの純然たる事務的なそういうふうな経緯の実態まで知ることができない、こういうことでは、私はひどいと思う。アメリカのほうに御交渉になって、アメリカのほうが、どうしてもだめだ、こういうふうに言われるかどうか、聞いていただきたい。アメリカのほうでどうしてもだめだと言うならば、ますますわれわれの疑惑は深くなるだけだということをひとつお考えになって、そして強硬にアメリカのほうにお話しになって、出していただきたい。私はこの文書はそんなたいしたものじゃないというふうに思うのです。その点、ひとついまここでそういうふうなことで、もう日米のほうでそういう打ち合わせだから出せないということであるならば、いまここで休憩してみても結論が出ないです。進むことにします。
  85. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 ちょっと、議事進行について。やはり問題は、その覚え書きなるものが公表できないもので、両国間の了解がなければ公表できないということになりますると、これはやはり相当重大だろうと思います。公表できない取りかわしの覚え書きがあって、これに基づいてある作業をする、そしてその作業の代償を金銭で支払いする、それを国会には報告することなくして受け取っておる、作業は進められておる、こういうことになりますと、やはり華山委員が述べましたごとくに、疑惑は深まるのみであります。なぜそんなに秘密文書をつくって、秘密協定をして、そして公表し得る普通の地図をつくるということになったのか。これはまことに論理が一貫しない、奇怪なことであります。疑惑は深まるということは当然であります。そんな不明朗なことをなさるということは、行政官庁としては越権です。それはもう相当明らかにいたしまして、国会に理非の筋というものを全部明らかにするということが、これは当然であります。金は取ったが仕事はした、した結果は公表しております。取った金の約束の契約書は、それは国会へお知らせすることはできませんなんという、そんなばかなことがありますか。もっと別の角度から見るならば、国会に知らすことができない契約をして、そして金をそっと受け取って、日本の公務員がこれを使う、公務員が公務の一部としてその仕事をする、そんなことがありますか。これは確かに私は、いろいろな意味におきまして、財政の紊乱のもとだと思います。そしてまた、それは外国の関係がある。権力の関係がある。国交の関係がある。そういうことになってきますると、これはやはり金額の大小にかかわりませず、事態を明らかにしなければ、財政の紊乱の根本に触れてくると思いますね。どうお考えになりますか。どこからでも説明してください。——外務省はだれが来ているんですか。
  86. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 外務省は、条約課長安全保障課長が来ております。
  87. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 条約課長安全保障課長は、いまの問答をお聞きになっておりまして——国会側の要請ということはきわめて事務的な、平易な、普通のことなんであります。それをひた隠しに隠すということはとんでもないことだ。アメリカと約束しておるから出せないということは、とんでもないことであります。そんなことを言い切れるのですか。それならそれでもうしょうがないから、この委員会に外務大臣に出てもらう、そして建設大臣に出てもらう、こういうことを発展いたしまして、事態を究明しなければならぬということになりますよ。
  88. 松永信雄

    松永説明員 先ほどから御説明申し上げておりますように、この文書は、関係当事者すなわち地理院の当局と米軍地図作製関係当局との間で作成されました、業務運営上の了解を記録した文書であると存じております。したがいまして、それは厳密な意味での外交文書という、外務省が通常作成ないし関与しております外交文書ではございません。しかし、こういう種類の関係当局間の了解上の記録が件成されますことは、間々あることであろうかと存じます。その場合に、その文書が公表されますかどうかということは、その文書自体を作成されました関係当事者間の御了解がどういうことであったか、ということによってきまるだろうと存じております。
  89. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 それはちょっと筋が通らぬ。それならば国土地理院長に聞きますが、外務省は関係しなくて、あなたらの判断によって、あなたらの裁量によって、これは決定し得る事項と思います。外務省は関知しなくていいと思います。どうなんですか。
  90. 安芸元清

    安芸説明員 交換公文の中におきましても、作業のやり方等については、国土地理院長アメリカ陸軍のほうで協定せよということになっておりますので、それに従いまして、作業のやり方、手続等につきましてきめた覚え書きでございます。別にこれは公表しないとかなんとかいうことをお互いが約束したものではありません。(華山委員「約束したと、あなたは言ったじゃないか」と呼ぶ)そういう約束はしてございませんが、一般に、こういうものは外交上の取りきめ上、まあ向こうの了解を取らなければ公表しないという慣例になっておるようでございますので、この覚え書きの概要につきましては、すぐにも提出できるかと思います。
  91. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 慣例であるというが、さきに私らが聞いたところでは、慣例にあらずして、文書内容をなすものは公表しないという協定がある、慣例ということは、それは趣旨が違いますよ。公表しないということになっておる場合に、いまのような問題が出て、次に疑惑が起こってくる。慣例であるということならば、なおさら、国会が要請しているのだから、そんなことを一々ひた隠しに隠すという態度をすれば、ますます紛糾しますよ。もっとはっきりしなさいよ。
  92. 中村重光

    ○中村(重)委員 ちょっと関連。この文書は、いわゆる外交上の公式な文書ではない、そういう外務省側の答弁でしたね。そうすると、この契約を締結をした責任者は地理院長ということになりますか。
  93. 安芸元清

    安芸説明員 そういうことでございます。
  94. 中村重光

    ○中村(重)委員 そうすると、あなたの責任によって、単に作業上のいろいろな取りきめをこの契約にしたためにすぎない、単なる事務的なものである、そういうものを秘密文書という認識の上に、あなたはおつくりになったんですか。
  95. 安芸元清

    安芸説明員 別に機密文書だとは私は思っておりませんが、慣例上、向こうの了解を取るということになっておりますので、概要をもってかえさせていただきたい、かように考えておるわけでございます。
  96. 中村重光

    ○中村(重)委員 慣例というのはどういう慣例です。そういうことをあなたは、米軍との間に幾つものいわゆる文書の作成をおやりになったんですか。慣例というのは何です。
  97. 松永信雄

    松永説明員 ちょっと補足的に御説明をさせていただきますけれども、これはおそらく先生方のお手元に差し上げてあろうかと存じますけれども、この本件地図作製計画のためにこれこれの金を支出するという交換公文先ほど来問題になっております。外務大臣日本国駐在米国大使との間の交換公文で、この支出計画については関係当局間の合意によって行なうということが書いてございます。それを受けて、地理院と先方の当局の間で、そういう了解覚え書きが作成されたんだと存じております。そういう場合に、政府の関係当局者間の了解文書が作成されるということは、先ほど私が申し上げましたように、時たまある、間々あることでございますが、その文書をすぐ発表するあるいは発表しないということは、その文書自体を作成された方の了解のいかんによるということも、先ほど申し上げたとおりでございます。一般的に私どものほうから申し上げますことができますのは、関係当局問で作成されました文書というものは、それを直ちに公表しましょう、あるいは発表しましょうという了解がなければ、通常は発表はしておりません、おらないものでございます。でございますから、それを発表ないし公表いたします場合には、先方の了解を得てからということになるのが、通常の慣例ないしは慣行と申し上げていいかと存じます。
  98. 中村重光

    ○中村(重)委員 そうすると、その両国間のいわゆる正式な交換公文というのは、日米安保条約によるのですか。
  99. 松永信雄

    松永説明員 日米安保条約ではございませんで、この交換公文は、農産物に関する日米間の協定に基づいて取りきめられたものでございます。
  100. 中村重光

    ○中村(重)委員 そうすると、その余剰農産物によるところの、それに関連する交換公文である。そうすると、今度は地理院に移ったときには、地図をつくるという作業上の事務を進める上についての単なる契約文書にすぎない、会計検査院は、いわゆる金銭の収支の関係であるから、事務的な関係によるそういう書類だけを見られたのである、いま華山委員要求しているのは、そうした事務的な書類にすぎないのではないか。そういうものがここで秘密文書として、国会の提出要求に対してこたえられないということはないじゃないですか。国会ですよ。会計検査院にその書類が参考書類として提出をされておるのに、その会計検査院の報告によって審査をするところの決算委員会の要求に応じられないということがありますか。それはあなた方の判断なのか……。
  101. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 暫時休憩して、もう一ぺん懇談で聞きましょう。  暫時休憩します。    午前十一時三十三分休憩      ————◇—————    午前十一時四十九分開議
  102. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 再開いたします。  この際、委員長より、理事会の協議に基づき、国土地理院長に申し上げます。  国土地理院長から会計検査院へ提出になりました、交換公文に基づく米軍国土地理院との覚え書きの提出について、委員より要求がありますので、その趣旨に沿って善処されたい。もし提出しがたいときは、その理由を明示されたいと存じます。  では、どうぞ質問を続けてください。
  103. 華山親義

    華山委員 私がいままでのようなことを申し上げたのは、おそらく、その院と軍のほうでなすった交換公文というものは、そんな重大なものじゃないと思うのです。それをお出しになることによって国民の疑惑が解けるだろうと思って、私は申し上げた。それを出せない、出せないとおっしゃるというと、かえって疑惑が増す、こういうことになるので、私から申し上げた。  それから伺いますけれども、このおとりになった航空写真の原板及び原紙、こういうものについての保管はどうなっておりますか。
  104. 安芸元清

    安芸説明員 その測量成果につきましては、全部国土地理院にございます。
  105. 華山親義

    華山委員 フィルムとか、それによってできたところの原図は、全部国土地理院で保管されておるわけですね。
  106. 安芸元清

    安芸説明員 さようでございます。
  107. 華山親義

    華山委員 いま私は、地理院の人ならば、私の部屋においでになってお聞きになればだれでもお話ししますけれども、この航空写真というものは、拡大するならば一草一木——一草は少しひどいかもしれませんが、ほんとうにこまかな点までわかる。地図作製をする以上のこまかな点までわかるわけです。これで私は苦い経験を持っておりますけれども、それがみだりに外部に出るようなことがありますと、これは重大な問題だと思う。請負でなさったと言いますけれども、その請負会社の請負契約の中に、そういうふうな資料の外部への持ち出し——もうあなたのほうだけに一手に納めるものであって、よそには出してはいけないのだという契約が入っておりますか。
  108. 安芸元清

    安芸説明員 できました成果は国土地理院に全部納めよ、というふうに契約書には書いてございます。それだから、持ち出してはいかぬというふうなことは、積極的には書いてございませんけれども、でき上がった資料は全部、検査を受けるために、国土地理院に出して検査を受けなければならぬことになっております。提出成果の一覧表というものも契約書には書かれておりますので、そういうものは外へ出るということはないと考えております。
  109. 華山親義

    華山委員 私の印象から言うならば、契約のあり方も、監督のしかたも、相当ルーズなものじゃないかというふうな印象を受けますけれども、ほんとうにこれは地図をつくる以外に重要なものでございますので、その点につきましては、今後十分にまた気をつけていただかなければいけないと思っております。  それから、一つ外務省に伺いますが、初めに昭和三十一年二月十日に署名されまして五月二十九日に承認を受けました、農産物に関する日本アメリカ合衆国との間の協定、この第四条によりまして、いま一々これを読むことを差し控えますけれども、どういうふうに使うかということが(1)、(2)、(3)、(4)、(5)項に分かれているわけでございますね。そしてこれは国会の承認を得たわけです。ところがその次に参りますと、昭和三十五年の九月でございますか、その中には、これによって使った金の残りをどうするかということでございますけれども、その中にも、どういうふうに使うかということがきちんと書いてあるわけです。こちらの協定のほうはパーセンテージで書いてある。それから交換公文のほうは金額で書いてある。内容につきましては、その趣旨としては、使い道をきめたということでは全く同じことなんです。ところがこちらのほうは協定として国会の承認を得ている。片方のほうは交換公文として承認を得てない。これはどういうことでそういうふうなことが出てくるのですか。外務省のほうから御説明を願いたい。
  110. 松永信雄

    松永説明員 ただいま御指摘がございました昭和三十一年の農産物に関する協定第四条について申し上げますと、この第一項で「アメリカ合衆国政府は、合衆国勘定に積み立てられた日本円の二十五パーセントを、別段の合意がある場合を除くほか次に掲げる百分率で、次の目的のため使用するものとする。」と書いてございまして、(1)から(5)まで項目があがっているわけでございます。その各項目の下にパーセンテージが掲げてあるわけでございます。それからさらに第六条にまいりますと「この協定の実施のため必要な細目取極は、両政府の間で合意されるものとする。」という規定がございます。この第四条及び第六条の規定を受けまして、実はその当時に一つ交換公文が行なわれております。その交換公文で、いま申し上げました第四条に定める円資金の使用について次のように使用しますという、アメリカ合衆国政府意向が通報されておりまして、そして実は具体的にまた(1)から(5)までございますけれども、たとえば第四条の1の(1)では「共同防衛のための軍事上の装備、資材、施設及び役務の調達のため」とございますのを、具体的に「主として、日本国における合衆国の軍人軍属の家族宿舎の建設のため」というふうに具体的に取りきめをしているわけでございます。この交換公文は、この農産物協定に基づく政府間の取りきめとして行なわれたものでございます。ただいま御質問がございました昭和三十五年の交換公文、これも性質的には、いま申し上げました使途を具体的に取りきめました交換公文と同じものであると解釈いたしております。したがいまして、その協定上の根拠と申しますのは、いま申し上げました第四条及び第六条の規定でございます。
  111. 華山親義

    華山委員 私は了解ができませんですね。何かこれが、この交換公文の書いてあるところがこの施行的なもの、そういう協定の施行的なものが交換公文に出ているということなら私はわかるのですけれども、そうじゃないのでしょう。たとえば地図作製なんということは全然予想してない。全然予想してない事項、そして初めに書いてあるところは具体的に書いてある、そして地図作製というふうな具体的な事項については、これは交換公文にしてしまう。その根拠というものは私はわからない。施行的なものならばいいですよ。交換公文は施行的なものじゃない。そういうことをこの協定では何ら予想してない。どこでこの地図作製というふうなこと——その他も書いてありますけれども、この協定のどこの文章、どこから出てくるか、端的におっしゃっていただきたい。
  112. 松永信雄

    松永説明員 ただいまの点は、こういうふうに具体的に御説明申し上げれば、あるいは御了解いただけるかと存じますが、第四条、具体的に申しますと第四条の1の(1)では、「共同防衛のための軍事上の装備」云々、これのために幾ら幾ら使うということが出てまいります。この規定そのものを改変するものでは、この交換公文はないわけでございます。それで私どもといたしましては、この地図作製計画のための二億五千二百万円というものが交換公文に出てまいりますけれども、これはアメリカ側から見ますれば、共同防衛のための支出項目、これに該当するものとして支出していると考えておるわけでございます。これはこの農産物協定の構成全般をごらんいただきますとわかりますけれども、もともとアメリカの法律、農産物貿易の促進及び援助に関する一九五四年の法律というのがございまして、それを受けて、この協定は結ばれているわけでございます。その法律の中で、アメリカ政府が受け取った積み立て円貨、これはこれこれに使用するというアメリカの法律上の規定があるわけでございます。これはもともとアメリカ政府の財産になりましたところの円貨の処分、使用の使途についての取りきめでございまして、アメリカ政府が自国の法律の規定を受けて支出いたすのは当然のことだろうと存じます。その場合に、この共同防衛のための支出云々ということが、アメリカの法律の解釈上相当融通性をもって解釈されているというふうに私どもは了解いたしております。
  113. 華山親義

    華山委員 そういうふうなところから出てくるのですか。そうすると、先ほど院長の御説明では、今度できた地図というものは、何も軍事上のためにできたものじゃないということでしたけれども、協定第四条1の(1)の「共同防衛のための軍事上の装備、資材、施設」、ここから施行的なものとして出てきたということになりますと、あの地図共同防衛のための地図、こうなりますね。そう解釈すべきですか。
  114. 松永信雄

    松永説明員 その点、私から補足的に御説明申し上げさせていただきますと、それはあくまでもアメリカ側が支出するための費目と申しますか項目を、「この共同防衛のための」云々、これから支出すると考えているということにすぎません。それから支出されたから、それがすぐ軍事的なものになるということではないと思います。たとえば、それは、軍人軍属の家族宿舎というものを建設するということが出てまいりますけれども、そういう宿舎が普通一般の住宅と同じものだというのと同じことではなかろうか、こう思っております。
  115. 華山親義

    華山委員 ここで明らかにされましたことは、やはりこの地図というものは、予算的に便宜その項目から出したのだというふうな御答弁ではございますけれども、正式にこの協定交換公文を結びつけるならば、あなたの言われたところによって私は初めてわかったのですけれども、共同防衛のための地図だ、そういうふうに言えるわけです。大蔵省にお聞きいたしますけれども、アメリカはそうかもしれませんけれども、日本でそんな便宜なことができますか。軍事上の予算を文部省の、軍とは全く関係のないところに出すなんというのは、私は常識的に考えられない。そうすると、外務省の御答弁からすれば、これは日本人の常識をもってするならば、軍事上の目的のために地図をつくったのだ、こういうふうな結論に私はなると思います。この点に対する御見解、これはもうよろしゅうございます。私はそう解釈します。ただ私の考えていることの前提に何か誤りでもあるということでありましたならば、おっしゃっていただきたい。
  116. 松永信雄

    松永説明員 いまの先生の御意見を訂正するという意味ではございませんけれども、アメリカの法律の解釈の問題でございますので、たとえば第四条1の(2)でございますが、「他の国のための物品の購入及び役務の調達の資金に充てるため」というのがございます。これがいわゆる域外調達資金に充てられている資金でございますけれども、この「他の国」という「国」の解釈につきましては、アメリカの法律ではやはり限定してございます。たとえばソビエト連邦あるいは共産主義勢力の支配を受けている地域ないし国は含まないという、アメリカの法律の定義がございます。これも私どものほうから申せば、他の国、友好国という場合に、全く違う、日本の法令解釈上は違った解釈がなされるかもしれませんけれども、アメリカ側の支出の問題でございますから、これはアメリカの法律に従わざるを得ないというのは当然だろうと考えております。
  117. 華山親義

    華山委員 それじゃ、時間が長引きまして恐縮でございますが、参考のためにお聞きしておきますけれども、この交換公文の「(b)アジア諸国向け車両の日本国における調達及び修理のため五億一千六百」云々と書いてございますが、これは第四条のどこから出てきたんですか。
  118. 松永信雄

    松永説明員 それは第四条との関係から見ますれば、第四条一項二号でございますが、それに該当すると思います。
  119. 華山親義

    華山委員 「農産物市場発展計画のため三億六千万円」これはどこですか。第四条の1の(3)ですか。
  120. 松永信雄

    松永説明員 そのとおりであろうと解釈いたします。
  121. 華山親義

    華山委員 それから「日本国におけるフルブライト教育交換計画のため八億四千六百万円」、これは協定の(4)でございますね。
  122. 松永信雄

    松永説明員 さようでございます。
  123. 華山親義

    華山委員 それから(e)の「原子関係医学の研究、治療、」これはどこでございますか。
  124. 松永信雄

    松永説明員 (e)それから田を一緒に申し上げますと、(e)(f)はおそらくアメリカ側の支出項目としては(1)だろうと思います。
  125. 華山親義

    華山委員 そういうふうなことで、私が非常に残念だと思いますことは、日本人のほんとうの純粋な国民的感情に触れるような、アメリカの金で日本地図をつくるというふうなことが、国会には何らのことなしに行なわれておる。施行、施行と言いましても、いまのお話を聞きますと、これは抽象的のもので、こっちは具体的なことですね。協定のほうは国会にはかっておるけれども、肝心な内容というものは何ら国会の目や耳に触れてないわけです。しかもその予算を見ましても、昭和三十九年度の一般会計歳出予算の各日明細を見たって、どこにも出てこない。わずかにそれらしいものが、特定地図作製ということで、各目明細の中で、その旅費なんかにちょこっと出てきているだけで、そんな特定地図なんていわれたってわかりっこない。そういうふうに、ほんとうに国民があの新聞が出て最も関心を持ったような事項が、国会には何らその当時出てこないということが、私は残念だと思うのですよ。それですから一そう国民の疑惑を深めることになる。私はこれは重要なことだと思うのであります。きょうは大臣もおりませんし、事務官の方々にお聞きしてもしかたがないと思いますが、そういう点を私は非常に残念だと思うのです。  それから、先ほど課長おっしゃいましたけれども、これを見ますと、金が余ったから使うというのでしょう。初めパーセンテージで使っていたものが、金が余ったから、今度は地図をつくるとかアメリカン・スクールをつくるとかいうことに使うということでしょう。こういうふうにやっていたんだから、施行じゃないじゃないですか。そして余った金を使うときにまた約束をした。このものの施行とはならないじゃないですか。
  126. 松永信雄

    松永説明員 いま先生のおっしゃいましたとおりでございますけれども、もとの協定では、共同防衛のために幾ら幾らとありまして、それを受けまして、その金額を軍人軍属の宿舎建設に使うという取りきめがあったわけでございます。その軍人軍属の宿舎の建設に使うべき金がこれだけ余ったから、それをこういう目的のために使いましょうということで、この昭和三十五年の交換公文が取りきめられたわけでございますから、この条約の施行だと存じております。
  127. 華山親義

    華山委員 私は、ちょっと外務省の見解では了解できません。余った金の使い方だから施行だなんて、そんな理屈はないでしょう。それだったら、初めからきちっときめておけばよい。初めの交換公文には何も出ていない。金の余るときはこれは軽く扱って、交換公文でいいんだなんという理屈は出てこないと思うのです。初めはこの協定によって金を使っていたのだから、余った金を今度どうするかというときには、もう交換公文でいいのだ——地図をつくるじゃありませんか。とにかくこの問題につきましては、私も速記録をよく見まして勉強をします。そして勉強の足りなかった点は、またよくお聞きするなり何なりいたします。この次にまた機会がございましょうから、その際には、法制局にも出ていただいて、その点をもう一ぺんよく承っておきたいと思います。結論的に、国会がつんぼにされたことだけはたいへん残念に思います。
  128. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 吉田賢一君。
  129. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 地理院長にちょっと聞きますが、あなたのほうのいま問題になりました地図作製ですね。これは権限としては、行政権限としての法的根拠は何ですか。
  130. 安芸元清

    安芸説明員 建設省の設置法に、地理院の仕事といたしまして「土地の測量地図の調製」という項目がございます。私はこの地図によりまして、日本地図修正を進めていく一つの手段といたしましてやったということから、この「土地の測量地図の調製」という所管事項でやった、こう考えております。
  131. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 建設省設置法の第三条の二号には、本省に関するもので、これは「土地の測量地図の調整」が入っております。それから設置法の第七条、これは付属機関である国土地理院の権限の規矩であります。この権限の規定の第七条を読んでみますると、国土地理院は第三条二号の事務、それから二号の二の事務、これは地図作製の附帯事務です。それから二十六号の二に規定する事務のうち地図作製測量写真の撮影、こういうことが規定されております。おそらくこれだろうと思うのです。  ところで、第三条二十六号の二、これによりますると、公共団体、住宅金融公庫その他等々たくさんな公社公団が書かれておりまして、これらの委託に基づき地図の調製をすること、こういうことになっております。外国の委託に基づき地図作製するということは、設置法の権限には規定されておらぬ。いうなれば、法制権限外の行為でなかったかというふうに思うのですが、この点、御見解はどうです。
  132. 安芸元清

    安芸説明員 特定五万分の一の作製につきましては、先ほども御説明申し上げましたように、日本地図修正のために使うということの考えでございますので、委託というふうには考えておりません。一応、一般会計のほうに、委託というのはわれわれ計上をしておりますが、これは二十六の二に書いてありますような公共団体等から委託を受けますものを委託業務といたしております。この特定五万分の一の作製につきましては、委託というふうには考えておりません。
  133. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 考えておらぬということですか。
  134. 安芸元清

    安芸説明員 はい。
  135. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 アメリカから委託を受けて、そしてその経費を支給され、地図作製する、写真撮影をするというのは、具体的にどの条項に入りますか。
  136. 安芸元清

    安芸説明員 第三条の二にございますが、「土地の測量地図の調整」そのものだと考えております。
  137. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 この三条の二号は、二十六の二との関連ではないのですか。もしくは、三条の二号は、みずから使用するものであって、他の委託の場合には、二十六の二などに規定されておるのじゃないですか。委託による事務ですよ。
  138. 安芸元清

    安芸説明員 われわれが使用する目的を持ちましてつくったわけでございまして、委託行為ではない。われわれ自体の仕事であるというふうに考えております。もちろん交換公文に基づいてやったことはやりましたけれども、われわれ自身の仕事だというふうな考え方でやったわけでございます。
  139. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 われわれ自身が使用することが目的であって、委託に基づくものではない、こういうことになるのですか。しかし受け取った金は、委託業務の代償の趣旨ではないのですか。これは外務省のほうの見解ではどうですか。外国契約して金を受け取って……。
  140. 松永信雄

    松永説明員 建設省設置法上の解釈の問題でございますので、私のほうからこうこうだということを申し上げるわけにいかないと存じますけれども、実態的にそれは委託ではないという、ただいまの建設省のほうの地理院の御説明でございます。それが条約上どういう関係を持つかという点、実は御質問の趣旨がはっきりわからないのでございますが……。
  141. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 私の尋ねるのは、覚え書きは、これこれの仕事をしてもらいたい、そこである金を使ってもらいたい、こういう趣旨なんでしょう。いま文書が来てないからわかりませんけれども、要するに求めるものはある行為、その行為は地図でしょう。そして受け取るものは金でしょう。この二つが基本になって契約ができているのでしょう。協定ですか、覚え書きが、両国間にできているのですね。これがあなたのほうの所管の範囲、そこで当てはめて、地理院の権限については、建設省設置法の解釈の問題になりますけれども、しかしあなたのほうから見て、その覚え書きなるものは、いま私が申しましたような趣旨になるのではないか、こういうふうに伺うのです。
  142. 松永信雄

    松永説明員 委託と申しますのが正しいかどうかわかりません。いわば一種契約であることは——契約的なものだろうと存じます。
  143. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 その点は、あなたとだけ問答していてもしようがないから、文書が出たときに、その趣旨を明らかにすることにしましょう。  それからもう一点。国土地理院は、業務上の秘密保持とか、そういう点につきましては、相当厳格な何か基準はあるのですか、ないのですか。
  144. 安芸元清

    安芸説明員 特別に業務上の、これについて、これは秘密だ、というようなものはございません。国家公務員の立場におきます秘密保持というものはもちろんございますけれども、それ以上のものはございません。
  145. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 それならば、具体的に、日本の国の一切の地理、地形並びにその自然的な状況などを、外国に、あるいは軍事上の目的に使用されるおそれあるようなことをかりに予想しても、それは秘密保持の対象にすべき範囲ではないのですか。
  146. 安芸元清

    安芸説明員 測量いたしました成果でございますが、いろいろな成果が、測量いたしますと出てくるわけです。これにつきましては、測量法でも、公開するということが原則になっておりまして、そういう意味では別に秘密はない、かように考えているわけでございます。
  147. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 少し私は想像に過ぎるかもしれませんけれども、いまのようなお説でありますと——お説ではなくて、あなたのほうはずいぶんこまかい日本の自然的な諸状況を、精査あるいは写真をとる、地図をつくる、そしてそれがかりに日本と国交もしておらぬような国から参りまして、金銭でそれが取引されるようなこともあるいは可能かもわからぬ、ということさえ想像をたくましゅうするのですが、一体そういうことでいいんだろうか。国土地理院というものの作業の重要性にかんがみてそれでもいいんだろうか。国民の名誉あるいは信用あるいは財産等に関しましても、かなり秘密は保持されておるのであります。国民全体の安危、運命にかかるようないろいろな事実が、明確に秘密保持についての基準もされておらぬというのが国土地理院の実情のようにも考えられるのです。私は何か非常に大きな危惧の念さえ抱く次第でありますが、そんなものでいいのでしょうか。これは一般論でよろしい。院長どないにお考えになります。
  148. 安芸元清

    安芸説明員 まあいろいろな地図地理院にもあるわけでございますが、五万分の一とか二万五千、それから土地条件というふうな、災害防止のために役立つような地図がございます。こういう地図は、できるだけ国民に利用していただくということがわれわれの念願でございまして、そういうことから測量成果は公表しなさいというふうに、いま測量法にも書いてあるわけでございます。これにつきましては、謄本等の交付ということも受けられるわけであります。それから日本の五万分の一でも、どこでも入手できるわけでございまして、そういうできるだけ国民に利用していただくという観点から、われわれは測量業務を行なっているわけでございまして、そういうことが、まあ私も軍事専門家でございませんからわかりませんけれども、軍事用にそう役立つものかどうか、私としては、いまのところわかりません。が、この成果を国民に利用してもらうことによって、いろいろな建設事業とか公共投資も進んでいくのではないか、かように考えているわけでございます。
  149. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 あなたの善意はわかるのですよ。善意はわかりますけれども、国民の生活にしましても、たとえば家庭内の秘密もありますし、個人の秘密もありますし、業務上のお互いの秘密もあるし、そういったことはお互いに守り合って、秘密を漏洩しないということが、われわれの社会生活のきめでもあるし、法律さえあるのであります。まして国の場合に、あなたはいま地図が公に売られておるから、市販されておるからとおっしゃるのですが、それはわかるのですよ、その限界のことはわかります。しかしさらに深く日本のあらゆる、外からうかがい知れないような自然的な諸条件及び社会的な諸状態、そういったものが手に取るようにあなたのほうではわかり得る権限、業務を持っておる、それが一切がっさい何らの秘密保持の対象になっておらぬ、あなたのことばではそんな印象を受ける。そこで、そこにけじめはないのかということが、私の質問するところであったのです。だから、売っておる地図国民になるべく利用してもらいたいというその善意はわかるのです。その趣旨はわかるのです。わかりますけれども、さらにもっと深い関係のことを考えるべきでないか。ことに国際的スパイ事件というものが、アメリカでもソ連でもどこでも起こっておるということは、これは皆さん御承知のとおりであります。こういうことの関連におきましても、いま私がお尋ねするようなことはすでに十分に考えておかねばならぬ点ではなかろうか、相当な基準があってしかるべきでないか、そう思うのです。それで、あなたは最高の国土地理院院長なんです。最高の責任者なんだから、あなたにずばっと聞いておるのです。市販されておる地図はなるべく国民に利用してもらいたいと思う、そんなちゃちな常識的な問答をしようとするのではないのです。どうでございましょう。——言えなければよろしいですが、まあ一般的なそれしかないのなら、ないでもいいのですよ、また立法の方法もあるんだから……。
  150. 安芸元清

    安芸説明員 現在、国際的な学術会議のいろいろな話から類推いたしますのに、現在、測量というものにはあまり国境がないんじゃないかとわれわれは考えているわけでございます。そういうことで、学術資料としていろいろな資料交換も行なわれておりますし、国連のほうからもそういうお話がございますので、その御心配になるようなことは、私は軍人でないからわかりませんけれども、ないというふうに確信をいたしております。
  151. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 私は私なりにまた考えてみたいと思います。  あと一問だけ尋ねておきたいのですが、大蔵省とそれから検査院にちょっと聞いておきたい。いま問題になりましたアメリカから受け取ったこの金ですね。これは何か国土地理院の雑収入というものになっておるらしいんですね。このような重要な背景を持った金につきまして、何かそこらの雑物の処理入金のような、処理収入のような、雑収入のようなことで処理していくというのには、少し問題が生ずるのではないか。なぜ一体雑収入としたのか、雑収入とした根拠いかん。そういうふうにすることが適当であるのかどうか、あるいはこのような国際上、外交上の重要な背景を持ったような資金を、国の行政機関が受け入れるについて、雑収入とするのはこれは適当でないとも考えるのです。これは財政法ですか、予決令ですか、それらの法的根拠ないしはこれらに対する考え方は、一応事務当局としてどういうふうにお考えになりますか、大蔵省と検査院に伺います。
  152. 長岡実

    長岡説明員 財政法の二十三条によりますと「歳入歳出予算は、その収入又は支出に関係のある部局等の組織の別に区分し、その部局等内においては、更に歳入にあっては、その性質に従って部に大別し、且つ、各部中においてはこれを款項に区分し、」とございます。この大きな歳入歳出の一番大きな分類といたしましては、これは三十九年度予算を見ましても、租税及び印紙収入、これは国民の租税収入でございます。それから専売納付金、それから官業益金及び官業収入、それから政府資産整理収入、その次に雑収入、それから前年度剰余金受け入れとございまして、いずれも、これは三十九年度予算で申しまして、政府資産整理収入等でも二百三十億くらいの金額で、一つ大きなくくりをしておるわけでございます。したがいまして、雑収入というくくりであるから歳入としての重要性がないというわけではございませんので、やはり予算を整理いたします上におきまして、歳入の性質上区分をいたしますときに、どこまでこまかく部を分けるかという問題であろうかと思います。雑収入の中にこういう非常に特殊なものが入っておるのはどうかということでございますが、私といたしましては、雑収入は決して重要性がないから——名前が雑収入ということで、非常に簡単に片づけられるような印象を与えてはいけないわけでございますけれども、便宜上この中に整理をしたということであろうと思います。
  153. 石川達郎

    ○石川会計検査院説明員 基本的には、ただいま大蔵省のほうから御説明のあったとおりでございます。これはまあ、御質問の御趣旨は、おそらく、地図でございますので、地図といたしましては刊行物売り払い代、こういうようなもので整理したらどうかという御趣旨かとも存じまするが、一般地図でございますればそういうことも可能でございますが、これはいわば特定地図でございまして、その財源をいわば米軍の負担金のようなものに仰いだというような意味で、これをこまかく言えば、雑収入のうちの雑入雑収ということで整理したということであろうと思います。
  154. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 そこで、いまの問題、主計官の方に重ねて聞いておきますが、国会の議決事項ではないけれども、しかし国会におきましては、重要な外交上の、外国の主権につながっていくようなある金は、金額にかかわりませず、その使途は相当明瞭になるということのほうが、少なくとも国民及び国会は便宜なんです。雑収入だからそれは予決令十四条ですか、並びに財政法の規定に規定してあるので、入れてもいいじゃないかというよりも、進んでやはりそのような細目をきめておりまするのは、国会としましても、国会議員といたしましても、予算統制上、その使途は何かということを知ることが一番重要なんです。相当大きな金額であろうとも、さほど重要でないものもあります。たとえば、きまった定員の給与のごときものは重要でありません。しかし国交上、秘密文書まで交換して受け取った金で、そしてそれが何に使われるかわからぬというような疑惑の生ずる可能性のあるもの、そういったものの代償として——少なくとも向こうから見れば代償ですよ、アメリカ流の考え方は、代償として金も渡してある、その金の受け入れを雑収入としてしまうというのでは、やはり国会審議の上から見まして、きわめて不便しごくであります。だから、近ごろ大蔵省で、何々雑収入とか——この間もこの委員会で財投の各公社、公団などの受け取っておりまする「自己資金等」と書いてあるものがあったのです。そういう財投計画書が出てきたのです。財投計画書を見たところが、金額が膨大な金額なんですね。一公団で約百億円も受け取っているものも実はあるわけです。内容は何だろうと聞いたところが、その中には補助金まで、補助金が五割も、五十億円も自己資金等に入ってしまうのです。こういうような分類のしかたというものは、これは国会が財政を統制する重要な国家機関であるという立場を軽視することになります。でありまするから、やはりこの点につきましては、この種のものを雑収入に入れるについては、一応省議としまして、大臣間の協議にいたしましても、相当検討した上で、しかるべく処理するのが当然だろうと私は思います。こういう点につきまして、あなたはどういうふうにお考えになっておりますか。
  155. 長岡実

    長岡説明員 ただいまの特定五万分の一の地図の性格なり、その財源と申しますか、米軍から金が来て地図をつくったこと自体に対することを問題にしておられまする委員会で、こういうお答えを申し上げるのはいささか問題かと思いますけれども、私ども、当時直接担当いたしておりません私から申し上げるのも問題かと思いますけれども、おそらく、それほどの問題意識がなかったのじゃなかろうか。先ほどから申し上げておりますように、普通通常の地図とあまり変わりないものがつくられる、その金は、先ほどからのお話のように、普通の雑収入ではなかったかもしれませんけれども、まあ金額も三千万、四千万程度のものであって、これを受け入れてつくることによって、全体としておくれておった日本地図整備が少しでもよくなるのだという程度の認識で、御要求を受け入れて、予算を組んで国会に御審議をわずらわしたというようなことから、雑収入の整理をいたしたのだろうと思います。いまの吉田先生の御質問の趣旨はよくわかりますので、非常に重要度の高いものにつきましては、金額のいかんにかかわらず、国会の審議が必要になるようにせいという御趣旨だろうと思います。そこで、雑収入だからいかぬのだというのではなくて、一つの技術的な整理といたしまして、かりに雑収入に整理をいたしましても、非常に問題のあるものについては、何らかの別途の資料によって、国会で御説明申し上げる必要があろうという点につきましては、御質問の御趣旨はよくわかりますので、私どもも今後十分検討いたしたいと思いますけれども、この事項自体につきましては、いま正直に申し上げましたように、その程度の問題意識で予算を組んだのではなかろうかと思います。
  156. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 中村重光君。
  157. 中村重光

    ○中村(重)委員 先ほど来、各委員との質疑応答を聞いておったのですが、非常に答弁が混乱をしているのです。支離滅裂と申し上げたほうがぴったりする。答弁がずっと変わってくるのです。それで、私が疑問に感じた点をお尋ねするのですが、いま吉田委員の質問に対して、二億五千二百万の歳入、これが雑収入ということになった。ところがこれは農産物に関する日本国アメリカ合衆国との間の協定の四条に基づいておるわけですが、これらの歳入というものは、各省別に歳入というものがなされておるであろうかと思うのですが、これはほかの関係もすべて雑収入という形になっていますか。
  158. 長岡実

    長岡説明員 ただいまの御質問は、余剰農産物関係の協定に基づく項目だろうと思いますが、私も実は他省の関係を十分に調査をいたしておりませんので、十分なお答えができませんけれども、正式に予算に受け入れて経理いたしますものと、そうでないものとがあるのだろうと思うのでございますが、かりに予算に受け入れているものがあるといたしますと、やはり先ほど私が読み上げました、歳入の非常に大きな大分類から申しますと、雑収入に入るのではないかと思います。
  159. 中村重光

    ○中村(重)委員 その問題はあとでまたお尋ねすることにいたします。  そこで、地理院長にお尋ねしますが、この地図作製は、先ほど外務省の答弁によっても、日米安保条約に基づくものではない、こういうことであったわけです。するとあなたのほうは、米軍のほうから地図作製の要請を受けた、そこで、この地図をつくることになったのですが、地図作製一つの義務であるとお考えになりましたか。そうでなくて、そういう要請を受けても、断わることは可能であるという考え方でしたか、どうですか。
  160. 安芸元清

    安芸説明員 当時日本の五万分の一の地図が非常に古くなっておった、それで、早く直さなければ国民の要請にこたえられない段階に来ておったという事実から、こういう金を使ってやるということも、地図修正という意味からは非常に意義があるということで、われわれの国の地図つくり直すのだという考え方でやったわけでございます。
  161. 中村重光

    ○中村(重)委員 われわれの国の地図つくり直すという考え方でやったのだということで、私の質問に対して、米軍からのそういう要請を断わることはできないという義務的な考え方があったのかどうか、そういうあなたの観念を伺っているのだから、あとでそのことについてあなたのほうからお答えを願いたい。  ところが、先ほど来、華山委員の質問に対して、あなたがずっとお答えになっておるのですが、私の聞き違いという点もあるかもしれませんが、当初あなたは、そういう形の答弁をなさっていない。米軍からの要請があった、そこで交換公文に基づいて一つの覚え書きをつくって、それに基づいて、米軍の要請によって地域もきめてきたのだ、そういうお答えがあなたからあった。あなたが、日本地図修正をする必要がある、日本地図をつくらなければならぬという自主的な考え方の上に立って、地図作製するのだというならば、米軍の要請によってどこの地図作製をするというようなことについての、何もそういう取りきめというようなことがあるべきではない。あくまで自主的にそれはやらなければならぬと私は考えるのです。どうも華山委員の質問に対する御答弁と、吉田委員の先ほどの質問に対する御答弁、また私のいまの質問に対する答弁は、吉田委員の質問に対する答弁とは大体同じでありますけれども、華山委員の質問に対する答弁とは変わってきたのじゃありませんか。
  162. 安芸元清

    安芸説明員 どうも違うのじゃないかという御質問でございますが、私は違ったように思っておりませんけれども。日米協議いたしまして、どこからつくるかということを、個所をきめたわけでございまして、一方的に向こうの要請によったものでもなく、お互いが協議いたしまして、特に日本地図の古くなっておるところ、それを選んでやったわけでございます。
  163. 中村重光

    ○中村(重)委員 そうすると、あくまで米軍の指図によるものでないとおっしゃるならば、この地図を、あなたは請負会社に請負をさしたのだ、途中において米軍がこれを監査したのだということをお答えになったのだ。何のために米軍からそういう指図を受けなければならないのですか。
  164. 安芸元清

    安芸説明員 それは技術的なお互いの検査でございまして、特に日本航空写真をつくる技術なんかも、まだその時分そう進歩いたしておりません。そういうことから、向こう側の中間検査もありました。最後の検査、最終検収というものにつきましては、あくまでも国土地理院が責任を持って、各事項ごとにやっておりまして、そういう意味で、技術的に若干劣るところについては、向こうの検査があったというふうに考えております。
  165. 中村重光

    ○中村(重)委員 なるほど、先ほどの答弁も、最終検査はあなたのほうでやったというお答えであった。しかし、先ほどまであなたが一貫して御答弁になったことは、あくまで日本地図修正する、そういう考え方の上に立って、自主的にこの地図作製に着手したというように判断されるような答弁ではなかったのです。米軍軍事上これが必要であるということで、農産物に関する日本アメリカ合衆国との協定に基づいて、七〇%ないし七五%は経済借款である、三〇%ないし二五%は、この第四条に基づいて、日本政府に対して、いろいろとこれの使い方についてアメリカとして要請をする形に実はなっておる。そこで日本に対して地図作製を求めてきた、こういうことになる。  外務省先ほど、これまた華山委員の質問に答えて、第四条の一項一号によるところのいわゆる共同防衛のものであるかどうか、そういう軍事上の必要があるということであるかどうかということはわからないのだけれども、たぶん向こうはこの一号の共同防衛というような形があるので、そういうような支出ということであったのであるかもしれないけれども、そこは明確でないという意味のお答えがあったように私は記憶をするのです。ところが、軍がこの地図作製を要請するということになってくると、これは軍事上の必要性があったからということはわかるわけですよ。軍事上の必要性から、日本に対して地図作製を求めてくるということになってくると、これはきわめて重要な問題であると私は思う。そう簡単に、向こうの要請があったから、これを受け入れて地図作製していくのだというようなことであってはならぬと私は思う。これが日米安保条約か何かに基づくところの当然の義務であるということになってくると、問題はまた変わってまいりますけれども、そうでないということになってくると、事はアメリカ合衆国だけの問題ではない。その点は吉田委員も触れておったのでありますけれども、ほかの国からそういう要請があったという場合に、これを受け入れることができるかどうかという問題が出てくるわけなんですね。その点はどのようにお考えになりますか。
  166. 安芸元清

    安芸説明員 特定五万分の一の地図につきましては、先ほどから御説明申し上げておりますように、非常に古くなってきたので、戦後この地図が必ずしも地形と合わないということで、早急に修正しなければならぬというときに、たまたま農産物日米協定というものが出てきて、それに従って、われわれは日米共同いたしまして地図をつくったわけでございまして、今後どういうことが起こりますか、私いま実はよくわかりませんのですが、その点につきましてはどういうことが起こるか、その起こった事態によって、そのつど各上司とも相談いたしまして、事務を処理していきたい、かように考えておるわけであります。
  167. 中村重光

    ○中村(重)委員 そうすると、米軍のほうからそういう要請を受けたあなたのほうではこの地図作製に応じられた、手続としてはどういう手続をおとりになりましたか。
  168. 安芸元清

    安芸説明員 だいぶ前のことで、実は私当時も院長をやっていたわけではございませんので、その交換公文がかわされるまでは、私はいろいろな事務的な手続は、関係当局とあったと思うのです。われわれといたしましても、交換公文がかわされまして、それによって、地図作製の設計書、規格等についてと、交換公文等に書いてございますけれども、国土地理院長アメリカ極東地図局との間でやりなさいということで、覚え書きがかわされた、かように考えておるわけであります。
  169. 中村重光

    ○中村(重)委員 その交換公文というのは、地図作製向こうが、アメリカ軍日本側に求めてきたわけですね。地図作製するための交換公文ということになりますか。
  170. 安芸元清

    安芸説明員 昭和三十五年二月十八日に、外務大臣アメリカ大使との間に交換されました「日本国における日米共同地図作製計画のため二億五千二百万円」という、この項目に従ってやったわけでございます。
  171. 中村重光

    ○中村(重)委員 それでは大蔵省にお尋ねをいたしますが、華山委員は二億五千二百万、これをしかも五ヵ年間である、わずかな金である、そういうわずかな金を米軍からもらって地図作製するなんということはおかしいじゃないか、おそらく華山委員の質問された気持ちの中には、いわゆる売国的な行為であるということのそしりを免れないのじゃないか、という気持ちがあったのだろうと私は想像したわけです。あなたのそれに対する御答弁は、十分ではなかったかもしれぬけれども、地理院予算というものもずっとふやしてきたんだ。年度は聞き漏らしたのでありますけれども、約八割程度前年よりも予算を増額をしたというお答えもあったわけですね。したがって自前でやればよかったのだ、何ももらう必要はなかったのじゃないか、というようなニュアンスのあなたの御答弁があった。ところが地図作製するというための交換公文というものが、いま地理院長からお答えのとおりなされておる。それを受けて覚え書きをつくって、いわゆる作業上の覚え書きであると思いますけれども、それに基づいてやってきた。そうすると、地理院はそういう地図作製を求められた場合に、アメリカから、事実上はいわゆる委託者になるわけですが、委託者からそれだけの代償をもらうということが、あなたは適当ではないというお考えの上に立ちますが、どうですか。
  172. 長岡実

    長岡説明員 私が先ほど華山先生の御質問にお答えいたしました趣旨は、予算も増額しておることであるから、こういうようなことはやらなければよかったのだという意味で申し上げたわけではございません。先生御承知のように、昭和二十年代というのは、まだ戦後のいろいろの事情がございまして、財政的にも非常にゆとりがなかったわけでございますけれども、国土地理院関係の予算につきまして、私は記憶を呼び戻してみますと、大体三十年度ごろから、いままで千葉にありました非常に老朽な施設を、世田谷のほうに移しております。その理由の一つは、不便であるということもございましたけれども、だんだん精密化してまいります地図作製の機械を入れましても、建物自体がバラックの非常にがたがたしたものであっては、精密度が失われるというようなことから、まず庁舎を整える。それからそういう機械を入れまして、本格的に地図のおくれを取り戻そうという段階ではなかったかと思うのでございます。そういうときにあたりまして、こういう話が出てきた。かたがた私どもの認識といたしましては、それほど特殊なものと考えなかったということを先ほどから申し上げておりますけれども、おそらくそういう認識がございまして、国としてもでき得る限りの予算措置はするけれども、それになおこういう金で、わが国で十分に使えるような地図修正測量ができるのならば、それにこしたことはないのではないかということで、予算に受け入れて実施をしたのではないかと考えます。
  173. 中村重光

    ○中村(重)委員 そうでなくて、私が尋ねたのは、華山委員から、どうもこの地図作製するということに、二億五千二百万円といったような程度の金を、アメリカ軍から受け入れてやるということはおかしいじゃないか、いわゆる軍事上の必要性から要請されたというような誤解を受けることになるのではないかという趣旨の質問があったことは、あなたもお聞きのとおりです。ところがあなたは、地理院予算というものも増額してきたのだから、何もそういうようなことをする必要はなかったと思うというような、そういう意味の答弁があなたからあったのだから、だからあなたの真意を尋ねているのですよ。
  174. 長岡実

    長岡説明員 重ねてお答え申し上げますけれども、私はそういう意味で先ほどお答えしたつもりはございません。地理院予算をふやしたのだから、こんなことはやらなくてもよかったのだ、ということを申し上げたわけではございませんので、なるほど、いまこの委員会で、この地図の性格なり、その経理のしかたなりを問題にしていらっしゃるわけでございますから、それに対しても、政府側としての御納得のいくような御説明をしなければいかぬのだと思いますけれども、当時の事情をつまびらかにはいたしておりませんが、私どもとしては、それほど特殊な地図ではない、普通の五万とそれほど違わないので、しかもこういうチャンスにこういうことができれば、それだけ日本地図整備にも役立つというようなことから受け入れたのであろう、こう申し上げたのでございます。  それから、予算措置のほうは、これは大蔵省国土地理院予算などをちびるから、こういうほんとうはやらなくてもいいようなことを無理したのではないかというように、私御質問の趣旨を理解いたしまして、それは決して国土地理院の満足するだけの予算措置は当時できなかったかもしれないけれども、それにいたしましても、一般の行政の事務費というものは、いかなる場合でも、できる限り切り詰めて、それを事業費に回すのが財政の本則でありますけれども、国土地理院事業費につきましては、これは事務費というよりは、その成果を国民が広く利用すべき事業費でございますから、そのときそのときの財政事情の制約は受けますけれども、重点的に予算の増額をはかったつもりでございます。そういう意味でお答えを申し上げたつもりでございます。
  175. 中村重光

    ○中村(重)委員 こうして質疑をかわしておると、あなた方のほうで、先ほど来、交換公文に基づいて、いわゆる作業上の覚え書きをつくった、そのことの提出ができないということはきわめてふしぎになるわけであります。しかし、あなた方のほうで要求された書類の提出を拒んだ場合、おのずから委員会としての考え方はあるわけですから、その書類が出た上でお尋ねすることにいたします。  もう一点この際伺っておきますが、地理院長は、日本地図というものは非常におくれている、したがって、りっぱな地図をつくるということは必要であると考える、そこで、撮影をやり、さらに作業を進めてきたアメリカの技術というものは非常にすぐれておるところもある、そういうようなアメリカの技術というものを利用するという気持ちが働いたというように受け取られる答弁が実はあったわけですが、その作製をいたしました地図を、いわゆる一般的な地図であるというような考え方の上にお立ちになりますか、あるいはこれは特定地図である、特定というのは、すなわちこれは特別にこの地図を使っていくという形になるわけでありますから、いわゆる特別の地図であるというお考え、認識の上に立っておられるのですか、どうなんです。
  176. 安芸元清

    安芸説明員 特定ということばは、別に特にということではないと思います。ただ現在われわれが発行いたしております五万分の一の地形図というのが、地理院で現在発行している地図でございますが、それと若干異なった図式をとっておりますので、そういう意味から特定という名前をつけたのであって、特定の目的のために使われるから特定であるというふうな解釈はいたしておりません。
  177. 中村重光

    ○中村(重)委員 先ほど会計検査院長の答弁は、いわゆる雑収入にしたのはどういうことかという吉田委員の質問に対して、これはいわゆる特別の地図であるから、したがってその相手勘定というものは雑収入ということにしたのであろうという答弁があったわけです。いま大蔵省の答弁も、それほど特別、いわゆる特定地図であるとは思わなかったのだ、そういう答弁があった。ところがあなたは、日本地図は非常におくれている、したがって日本地図修正しなければならぬのだ、そういう気持ちが働いたのだと、お答えになったわけです。いわゆる修正をしていくということは、特別でなくて、そういうことに改めていかなければならない、そういうことになる。したがってこれは特定であるということにはならない。だから、あなたの考え方と、会計検査院のこの地図作製に対するいわゆる歳入の受け入れの目的と、また大蔵省の考え方というものも必ずしも一致していない。だから、先ほど来、覚え書きの問題に対して、あらためてこれはそれが出た上で質問をすることになってまいりますから、きょうは質問を保留いたしまして、これで終わります。
  178. 鍛冶良作

  179. 華山親義

    華山委員 大蔵省に伺いますけれども、こういうふうに、外国から歳入に受け入れてそして各省の歳出に充てたというふうなものが、過去十ヵ年間にほかにございますか。この交換公文なり協定以外のものにございますか。
  180. 長岡実

    長岡説明員 突然の御質問でございまして、またおそらく政府全般にわたる御質問だろうと思うのでございますが、即答いたしかねますけれども、十分に私どもとしても調査をいたしたいと思います。ただ、各省各庁全部にわたりまして、しかも過去十年間ぐらいというあれでございますと、相当時間がかかるのではないかと思います。
  181. 華山親義

    華山委員 それじゃ十年でなくても、これは三十五年ですから、三十五年ごろからでもよろしゅうございますが、大蔵省のほうで、そういうものがあるのかどうか、あるとすれば、それはどういうところに基づいてやったものであるか、どういう目的に使われるものであるか、ひとつお調べになって、資料として提出していただきたいと思います。委員長にお願いいたします。
  182. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 適当な方法で出してください。      ————◇—————
  183. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についておはかりいたします。  国が直接または間接に補助金、奨励金、助成金等を交付しているものの会計に関する件中、日本鉄道建設公団について調査のため、関係者の出席を求めたいと存じますが、これに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  184. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。  なお、参考人の人選及び出頭日時等につきましては、委員長に御一任を願いたいと存じます。  次会は公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。    午後一時四分散会