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石田説明員 ただいま御質問のございました
ウジミナスの件でございますが、いま
佐藤委員からも
お話がございましたように、私しばらくほかのほうの
仕事をいたしておりまして、今度新しい任務につきましてからまだ一月たったばかりでございまして、全部その内容につきまして勉強の行き届かぬ点が多いのでありますが、冒頭に
お話がございましたことに関連いたしまして、できるだけ率直に、私が
ウジミナスにつきまして報告を受けて
感じておるところを申し上げたいと思います。
先生も御
承知のとおりに、これは十年
越しの懸案でございまして、大体
ブラジル側から
日本に対しまして、
製鉄所の建設について
援助を求められましたいろいろな
経緯がありまして
スタートいたしたのでありますが、現在に至りましても幾つかの問題が、当初以来問題になっておると思います。その問題は、新しく出てきた問題というよりも、初めからの問題が必ずしも解決しておらぬということにあるのではないかと思うのであります。
第一の問題といたしましては、
製鉄所自身に関しまして、百万トン
計画というものが当時ございました。一番初めに百万トン
計画について
協力せよ、こういう話でありましたけれども、いまから十年以上前の
日本の
実力から申しまして、なかなかそれだけの
協力をすることが無理であるということで、まず五十万トン
計画ということから
スタートをしようというので始めたのが
発端でございます。その五十万トン
計画でございまするが、その五十万トン
計画を遂行するにいたしましても、いろいろ
ブラジルにおける
経済状態の
変化の
影響を受けて、当初の
予定どおり仕事が進まなかったということが
一つの大きな問題であったと思うのであります。それは
ブラジルの
経済状態等が安定いたしませんので、そのために
インフレが進んでおる。
インフレ下におけるところの事業の遂行ということが非常にむずかしいというような
経緯をたどりまして、そして
予定よりもだんだんとおくれるというふうな形でまいりまして、その五十万トン
計画がやっと一昨年、
昭和四十年に至りまして、大体四十万トンの規模がフルに稼働するという
段階に相なったわけでございます。この点は、
計画それ自体といたしまして
一つの転機をもたらすものでございまして、四十一年度からその五十万トンがフルに稼働したということは、当初の
計画の大体目途としたところが、そこで
設備の上からいいましては完結したということだと思うのであります。しかしながら、
先ほど申しました
ぐあいに、これからの問題といたしまして、五十万トンでは、だんだんとそれだけでは満足ではない、もっと百万トンまで持っていけというような話があるというのが
現状だと思います。これに対しまして、百万トンの問題につきましては、
ブラジル当局におきまして、
世界銀行にアプローチして
援助を求めるという話がございますが、これも
相手のあることでありますから、急速にどうこうするといいましても、なかなかいかぬ部面があると思います。ただ、五十万トンの
計画でできましたところの
設備というものが、もう少し手直しいたしますと、七十万トンまでいくことについては
あまり金がかからぬというような問題がございます。この問題を、
世界銀行との
関係は別として、まずとにかく進めるほうがいいのじゃないかというのが、現在の
一つの
問題点だと思います。
それから第二の点といたしまして、それじゃ
設備がそういうふうに稼働したから
採算その他はよくなっておるか、こういうふうな問題がございますが、これは
インフレ等の
関係がございまして、いろいろ金がかかったとかなんとかいうような問題がございます。それからまた、最近の
状態といたしましては、
あまりに
インフレが激しいので、それに対する
対処策を
ブラジル政府がとるということになりまして、
引き締め政策が最近行なわれておるわけであります。この
引き締め政策が行なわれますと、そのときにおきまして
一つの
デフレ現象を生ずるわけでございまして、そういう場合において、製品の
売れ行き等に
影響があるということも
一つの事実でございます。これは長い目で見てどうこうという問題ではございませんけれども、一時的には、そういうことで浮き沈みで、なかなか困難な
状態があるというようなことがあると思います。
それから第三の問題といたしまして、かりに
インフレの問題というふうなものが将来問題でなくなる、
設備のほうはちゃんと現在
考えましたところの
設備状態でいくということでありましても、いわゆる生産しましたところの鋼材の
需要の
方面におきまして、どういう
方面の
需要が伸びるかという
見通し、物はつくるだけでなく売ることが大切でありますから、売るほうの
見通しはどうかという問題につきましては、やはりなかなかむずかしい問題があると思います。前に
考えたところの
需要先というようなものがはたしてそのとおり動いていくかどうか、あるいは手直ししなければならないかというような問題がございます。大体私
感じましたところでは、いま申しましたような
三つの点が、
ウジミナスとしては当面している問題ではないだろうか、かように
考えておる次第でございます。