○
浅井委員 私は、公明党を代表いたしまして、ただいま
議題となりました
昭和三十九年度
一般会計歳入歳出決算外三件を承認できないことを表明するものであります。
ただ、この際特に申し述べたいことは、ただいま朗読されました議決案についてであります。すなわち、その(一)、
予算の
執行が適切を欠いたため、その効率的使用等所期の成果が十分達成されていないと思われる
事項、(二)に述べられた
政府に対して注意を喚起された点、及び(三)の
検査院の不当
事項はそのまま認めたこと、そして、最後に、これらの悪い点を今後なくするようにせよとの
政府への要望、これらについては、私は、まことに当然しごくのことと存ずる次第であります。
しかし、ここで一言つけ加えさしていただきたいと思いますが、この議決案において、あれだけ
国民の注視を浴びた
共和製糖問題について一言も触れていないことは残念だということであります。
わが党は、次のような試案を本議決案に追加すべく、
委員長の御手元まで提出しました。すなわち「いわゆる
共和製糖事件については、国税徴収、国有林の交換処分及び
政府関係金融機関等の
融資の面などについて、妥当性を欠く事態があったことは遺憾である。
政府は、本件について明快な事後措置を期するとともに今後、厳にこのような事態が再び発生しないよう抜本的対策を講ずべきである」以上であります。
この問題は、共和グループの国税の脱税をとりましても、国有林の交換処分による受け地が国有林の現在額として三十九年度分となっている事実からしても、はたまた
政府関係金融機関の
融資時点及びそれぞれの
機関の三十九年度の
融資残高の面からしましても、ただいま
議題となっている三十九年度
決算それ自体の問題であり、それゆえにこそ、私も本日の三十九年度
決算の総括質疑において、
質問し、また本
委員会において、数回にわたりこの共和問題が他
委員により
審査がなされたわけであります。わが党の事前の提案がなされながら、この重要問題を抜きにしたこのような議決案が出されているのは残念であり、理不尽に存ずる次第であります。
次に、本
決算の不承認の内容を申し述べます。それは、この議決案の「(四)
決算のうち、前記以外の
事項については異議がない」という字句に対するものであります。
以下、若干の点につき、本
決算を承認できない理由を申し述べます。
第一点は、この
決算が
国会に提出されるまでの経緯について疑点が残るからであります。御
承知のように、憲法第九十条におきましては、「国の収入支出の
決算は、すべて毎年
会計検査院がこれを
検査し、内閣は、次の年度に、その
検査報告とともに、これを
国会に提出しなければならない。
会計検査院の組織及び権限は、法律でこれを定める。」と規定し、
会計検査院法、第一条には「
会計検査院は、内閣に対し独立の地位を有する。」となっているのであります。このような内閣に対する独立の地位が
会計検査院に与えられているゆえんは、言うまでもなく、民主政治の基本として、会計
検査がきわめて重要な
機関であり、時の権勢から独立する地位に立たなければ、その重要な使命が果たせないからであります。ところが
会計検査院の態度は、はたして、この時の権勢からの独立の地位をき然と守っているでありましょうか。たとえば、共和問題の一環となりました、
農林漁業金融公庫の共和
関係の細島甘味コンビナート建設に対する
融資のうち、三十九年十月六日の四億円の貸し付け払い出しは、ブドウ糖機械の製作を目的とするものであったのに、これを精糖機械のほうの支払いに当てたことは、
会計検査院は
承知していたにもかかわらず、
検査院は、これを三十九年度
決算検査報告に記述しないのみならず、衆参両院の本問題の
審査の
過程においても、このことを遂に表明していないのであります。
私はこの
検査院の態度を、過去しばしば地方公共
団体等に対する同公庫の貸し付けについて、ささいな
金額について、目的外使用だといって、きびしい
指摘をし、直ちに繰り上げ償還の措置をとらせるに至った事例と、今回のこの四億とを比較してみるとき、時の権勢におもねり、院法第一条、すなわち、「内閣に対し独立の地位を有する。」を実践し切っていないことを明確に物語るものであります。