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1967-04-21 第55回国会 衆議院 決算委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年四月二十一日(金曜日)     午前十時十六分開議  出席委員    委員長 鍛冶 良作君    理事 吉川 久衛君 理事 小峯 柳多君    理事 高橋清一郎君 理事 華山 親義君    理事 吉田 賢一君       加藤 六月君    坂本三十次君       塩谷 一夫君    篠田 弘作君       菅波  茂君    丹羽 久章君       西岡 武夫君    藤波 孝生君      三ツ林弥太郎君    川村 継義君       楯 兼次郎君    西宮  弘君       浅井 美幸君    阿部 喜元君  出席国務大臣         内閣総理大臣  佐藤 榮作君         大 蔵 大 臣 水田三喜男君         文 部 大 臣 剱木 亨弘君         厚 生 大 臣 坊  秀男君         郵 政 大 臣 小林 武治君         建 設 大 臣 西村 英一君         国 務 大 臣 塚原 俊郎君         国 務 大 臣 二階堂 進君         国 務 大 臣 松平 勇雄君         国 務 大 臣 宮澤 喜一君  出席政府委員         総理府総務副長         官       上村千一郎君         大蔵大臣官房長 亀徳 正之君         大蔵省主計局次         長       相沢 英之君         大蔵省銀行局長 澄田  智君         農林政務次官  草野一郎平君         農林大臣官房長 桧垣徳太郎君         通商産業政務次         官       宇野 宗佑君         運輸政務次官  金丸  信君         自治政務次官  伊東 隆治君  委員外出席者         会計検査院長  塚越 虎男君         会計検査院事務         総局次長    保川  遜君         会計検査院事務         総局第五局長  佐藤 三郎君         専  門  員 池田 孝道君     ————————————— 三月二十九日  委員鈴切康雄辞任につき、その補欠として斎  藤実君が議長指名委員に選任された。 四月五日  委員斎藤実辞任につき、その補欠として伊藤  惣助丸君が議長指名委員に選任された。 同月六日  委員菅波茂君、丹羽久章君、葉梨信行君、水野  清君及び村上信二郎辞任につき、その補欠と  して瀬戸山三男君、中村梅吉君、田中角榮君、  馬場元治君及び千葉三郎君が議長指名委員  に選任された。 同日  委員瀬戸山三男君、田中角榮君、千葉三郎君、  中村梅吉君及び馬場元治辞任につき、その補  欠として菅波茂君、葉梨信行君、灘尾弘吉君、  丹羽久章君及び水野清君が議長指名委員に  選任された。 同月十九日  委員佐藤觀次郎辞任につき、その補欠として  石橋政嗣君議長指名委員に選任された。 同日  委員石橋政嗣君辞任につき、その補欠として佐  藤觀次郎君が議長指名委員に選任された。 同月二十日  委員伊藤惣助丸君辞任につき、その補欠として  浅井美幸君が議長指名委員に選任された。 同月二十一日  委員石田博英君、江崎真澄君、灘尾弘吉君、葉  梨信行君、水野清君、山口喜久一郎君、江田三  郎君、佐藤觀次郎君及び安井吉典辞任につ  き、その補欠として西岡武夫君、藤波孝生君、  坂本三十次君、三ツ林弥太郎君、加藤六月君、  塩谷一夫君、川村継義君、西宮弘君及び楯兼次  郎君が議長指名委員に選任された。 同日  委員加藤六月君、坂本三十次君、塩谷一夫君、  西岡武夫君、藤波孝生君、三ツ林弥太郎君、川  村継義君、楯兼次郎君及び西宮弘辞任につき、  その補欠として水野清君、灘尾弘吉君、山口喜  久一郎君、石田博英君、江崎真澄君、葉梨信行  君、江田三郎君、安井吉典君及び佐藤觀次郎君  が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和三十九年度一般会計歳入歳出決算  昭和三十九年度特別会計歳入歳出決算  昭和三十九年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和三十九年度政府関係機関決算書  昭和三十九年度国有財産増減及び現在額総計算  書  昭和三十九年度国有財産無償貸付状況計算書      ————◇—————
  2. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 これより会議を開きます。  昭和三十九年度決算外二件を一括して議題とし、審査を進めます。  御承知のごとく、議題といたしました各件は、第五十一回国会において提出されており、今日まで長期間にわたり、予算が効率的に使用されたかどうか等を中心として、超党派的に審査を行ない、今日まで一応各省別所管審査を終了しております。したがいまして、本日は、きょうまでの審査の経過に基づき、各件についての総括質問を行ないます。質疑の通告がありますので、順次これを許します。小峯柳多君。
  3. 小峯柳多

    小峯委員 検査院長大蔵大臣に伺ってみたいと思います。  三十九年度の検査報告の中で、租税徴収不足を来たしたもの、という御報告がございます。私は徴税の機構というものはかなり綿密にできておると思いますし、また担当しておる皆さんもたいへん有能な人がそろっておると思いますので、租税関係のこの徴収不足というものはあまりないのじゃないだろうか、むしろ町で言われるように、苛斂誅求というようなことがあるくらいですから、そんなものはあまりないのじゃないかと思ったのですが、検査院報告で、金額は多くございません、四億余の御指摘がございますが、どういう検査の結果で、こういうものを結論として出していらっしゃるか、現場で検査をするわけではなく、あるいは書類でやっていらっしゃるのか、これの出ました方法過程というものをお話しいただきたいと思います。
  4. 塚越虎男

    塚越会計検査院長 お答え申し上げます。  租税検査につきましては、会計検査院といたしまして、古い伝統によりまして、非常に前から非常に力を入れてまいっているわけであります。現在におきましても、いわゆる計算証明規則によりまして、各種証拠書類につきましては、相当広範にわたって各税務署からとっております。それを内部におきまして書面検査をいたします。なお、実地には、年間——大体税務署の数が五百ぐらいあるかと思いますが、そのうち、昨年度で申しますと、二百二十ぐらいの税務署検査に出ております。主要な税務署につきましては、大体毎年一回あるいは二回ぐらい出ておるところもある状況でございます。もちろん税務署等におきましても、たいへん機構を充実せられまして、いろいろ資料活用等につきましても漸次充実をいたしてまいっておるということを、私どもとしても感じ坂っておるわけでございます。  検査院といたしまして、しかしなお、ただいま御指摘のような件数金額にのぼりますいわゆる徴収不足が出ましたこと、これにつきましては、書面検査によって、いろいろと私どものほうで資料を持ってあがりまして、もちろん納税者までは参りませんが、税務署につきまして、相当こまかく検査をいたします。各種資料を突き合わせますことによって、たとえば譲渡所得等につきましては、再評価をいたしましたのに、それが譲渡所得のほうで全然見のがされておる。あるいは、こちらからまいった資料で突き合わせてみますと、譲渡所得が課税されていないというような問題、あるいはちょうど租税法令が変わりました際に、たとえば減価償却の問題、耐用年数の問題、あるいは輸出所得計算方法、そういうような問題につきましてのいわゆる見のがしがございまして、そういうようなものを集めましたものが、この検査報告に載っておるような数字になっております。なお、その態様につきましては、この検査報告の中に、そのおもな態様について掲げてあるというように承知いたしております。
  5. 小峯柳多

    小峯委員 二百十三の税務署とこれに書いてありますが、一つ税務署について、どのくらいの人を派遣して、何日ぐらいかかっていますか。
  6. 塚越虎男

    塚越会計検査院長 ちょっとその点は、事務総局次長から答弁させます。
  7. 保川遜

    ○保川会計検査院説明員 大体三人ぐらいで、税務署、大中小いろいろございますが、大きな税務署でございますと二週間ぐらい、小さな税務署でございますと一週間ぐらい、というようなところが大体のいままでの実績でございます。
  8. 小峯柳多

    小峯委員 大蔵大臣ひとつ、ただいま会計検査院長のほうからお話がありましたように、三人ぐらいで、そう多くない日数で行っても、かなりあやまちが発見されるという。私は、大蔵省租税関係のお役人というものはたいへん選ばれた人がおると、大いに敬意を払っておるのですが、そのくらいで発見されるようなものがあるとすると、相当のものがほかにもありはせぬかという感じがするのです。それから、そういうふうなものを検査院から御指摘される前に、内部監査するとか、内部でそういうふうなものを防ぐとかいうふうな機構はあるのでしょうか。
  9. 水田三喜男

    水田国務大臣 特に法令が変わったというようなときには、内部の取り扱いについては、現に相当の訓練をしておるはずでございますが、やはりそういう手落ちがあるということは確かでございますので、できるだけ気をつけておりますが、事前に相当の手は尽くしております。
  10. 小峯柳多

    小峯委員 内部の中で、たとえば国税庁の中とか局の中に、検査院指摘するようなことを、前に内部監査といいますか、やるような機構はないのですか。
  11. 水田三喜男

    水田国務大臣 内部でも監査機能を持っておりまして、国税庁が各税務署監査ををやっておる。その際に、やはり相当そういうものを発見して、注意するというようなことは常時やっておるわけであります。
  12. 小峯柳多

    小峯委員 大臣の先ほどのお話で、法令の変わったときに見落とすというお話がありましたが、これこそ税務署職員としては一番注意しなければならぬことだと思いますし、それがどうも手抜かりだといって、それを検査院から指摘されるというのは、正直なところ、私は税務署としては、あるいは租税当局としては、少しルーズなような感じがいたします。どうでしょうか。いまのこの税に関する陣容あるいは人数、そういうふうなものでは不十分だというふうにお考えになっていますか。いまのままで、やりようによっては大体やれるというふうにお考えになっておりますか。大ざっぱな見当でけっこうでございます。
  13. 亀徳正之

    亀徳政府委員 事務的な点にわたりますので、私から答弁いたします。  現在税務職員は約五万の職員をかかえてやっております。最近非常に個人が法人になりまして、法人調査その他に非常に手間どりまして、率直に申しまして、なかなか手が回らないと申しますか、理想的なたてまえから申しますと、もっと調査割合というものをふやしていきたいという感じでございます。そういう面から言いますと、まだまだほしいという気持ちでございますが、同時に、大蔵省といたしましては、全体の定員がふえるということを防がなければならないと申しますか、大蔵省としては、そういう定員が増加しないようにという立場を同時に持っておりますので、極力、乏しい人員の中で、調査を徹底したい、かように努力いたしておる次第でございます。十分かと言われますと、率直に申して、いささか十分とは言い切れないかと思いますが、しかし与えられた人員で徹底した調査を進めていかなければならぬ、おかように考えてります。
  14. 小峯柳多

    小峯委員 私は、そこで、確かに人手の足りないところもありましょうし、やり方で直る点もありやせぬかと思いますが、人手をふやしても、だんだんと税の機構が複雑になると、もう人手をふやして調査件数をふやすというだけでは、なかなかまかない切れないと思うのであります。ずいぶん選ばれた人が克明にやっていらっしゃると思いますけれども、いま言ったように、検査院から見ると、わずかの調査でも不当のものがわかるというようなことなので、どうでしょうか、大臣。これは税関係のお役人の数をふやすというふうなことよりも、国民に対する納税思想のPRというふうなことを本格的にやらなければならぬ。もとより、根本的には国民の道義的な復活といいますか、そういうふうなものでもあろうと思うのですが、大臣、そういうことに何か特別にお力でも入れて、お考えになっていらっしゃるようなことでもありますか。
  15. 水田三喜男

    水田国務大臣 内部職員のほうは、研修制度をもって、いま言ったようなものに対処しておりますし、外部に対しては、いまもっぱら納税のうちでも青色申告制度を徹底させたいというので、これについての宣伝、普及というようなことは税務署中心に、その管轄内のいろいろな団体等の会合をやったりして、この問題の啓蒙は常時やっております。
  16. 小峯柳多

    小峯委員 私は、その啓蒙というものは、税務署段階ではだめだと思うのです。税務署長というものは、何か一般納税者から見るとこわい人のような存在になっているのだから、正直なところ、ちょっと寄りつきにくい人で、こわもてで、PRしてもだめだ。もっと広い、次元の高いところからやるような考えがそこに出なければ、本物にならぬような気がするのです。これは税の根本の問題ですから、大蔵大臣は、お役所経験よりも、むしろ民間経験が長いと思いますので、少しそういう角度を変えたようなことで、本格的に租税の問題と取り組みませんと、役人の数が幾らふえても、またこまかく調査しても、私はこの問題はなかなか直らぬように思うのですが、そういう意味でひとつ御所見を承りたいと存じます。
  17. 水田三喜男

    水田国務大臣 法人会というものを各税務署所轄管内で組織されて、そこが自主的にいろいろ啓蒙指導というものをやる。税務署の署長だけがやるというのではなくて、そういう民間の会を通じていろいろ指導するというような方法を現在とっております。
  18. 小峯柳多

    小峯委員 私は、青色申告だ何だという事務的なことでなしに、国民的な納税思想といいますか、そういうものが必要だと思うのですが、これは保留します。  それでは、会計検査院長に伺いたいと思います。  検査報告の末尾ですが、付表の三に、既往年度一般会計決算確認額表というのがあります。これはかなり古いものがあります。この表によると、昭和三十三年度のものでまだ確認のできないものが残っておるように思います。事の性質は私どもでも大体見当つくのですが、あなたのほうでは、こういうものが、三十三年度のものがまだ残っておるということは、あなた方が少し手を抜いているのか、努力はしたけれども方法がないのか。どの程度の御努力の結果こういうものが残されているか、御所見を承りたいと存じます。
  19. 塚越虎男

    塚越会計検査院長 ただいまのお尋ねでございますが、なるほど未確認額相当古いものもございます。これは御承知のように、艦船の建造の関係とか、いろいろの関係性質のものでございまして、これをできるだけ早く確認をしたいということで、検査院といたしましても常時努力をいたしております。まだ先方からの回答はこない、そういうような事情によりましておくれておることは、まことに遺憾に存じております。できるだけ早くこれを解消すべく、常に努力をいたしております。
  20. 小峯柳多

    小峯委員 三十三年度のものが残っておるのですから、努力しても不可能だというような段階に来ておるのじゃないでしょうか。そういうものだったら、おのずから処理のしかたもあるのじゃないかと思いますけれども。とにかくこういうものが残っておる。何か決算というものは非常にルーズだという感じを与えやせぬかと思うのです。国民の税というものが、こういう形で、一番こわい会計検査院でもつかめないものが残っておるというようなかっこうはどうもよくないように思います。ことに三十三年ですから十年近くなるのじゃないでしょうか。どういう努力をなさっていらっしゃいますか。
  21. 塚越虎男

    塚越会計検査院長 次長から、具体的な点について……。
  22. 保川遜

    ○保川会計検査院説明員 ただいまの古い未確認事項でございますが、これは内容はアメリカからの機器等関係でございます。これは前金払いでございますが、向こうとの精算がなかなかつかない。これはわれわれのほうも、院長が申し上げましたように、防衛庁にとにかく精算しなければいかぬと言っておるのですが、また向こうも一生懸命努力はいたしておるのですが、相手のあることで、なかなか片がつかない、そういう特殊な事情がございますので、われわれとしても手を抜いておるわけではございません。常に防衛庁に対して注意をいたしております。また今後もそういうふうな努力をやりたいと思います。おっしゃいますとおり、こういう古いものがたくさん残っておるということは、われわれとしても実際みっともない話でございます。これは十分努力いたします。
  23. 小峯柳多

    小峯委員 それでは、時間がたてばきれいにきっぱりいく見込みですか。十年近くたったら、役人だってかわるだろうし、向こうの当時者だってかわっているのじゃないかと思うのです。そういう意味で、もしこれが見当つかなければ、ずっとこのまま残すのですか。
  24. 保川遜

    ○保川会計検査院説明員 やはり前金払い精算がはっきりつかないということでございますと、われわれとしても、どうしても異議あり、そういう判断はいたしかねるわけでございます。
  25. 小峯柳多

    小峯委員 大蔵大臣、いまの御答弁でわかるように、かなり古いものが残っておるでしょう。こういうものをいつまでも、検査院では、もう材料がなくて確認できなければほうっておくのだということだけれども、三十三年のが残っておるのはぐあいが悪いと思うのです。こういうものに対して、大所高所からどうなさるといいとお考えですか。何かお考えございますか。
  26. 水田三喜男

    水田国務大臣 とにかく、急がせて片づけるより方法がないということで、極力急がせているそうでございますが、なかなかむずかしい問題であります。
  27. 小峯柳多

    小峯委員 ただいまの御答弁了承いたしました。  それでは、大蔵大臣にもう一つお聞きいたしますが、予算編成権というのは大蔵大臣にあるわけですね。予算執行に関する権利というのは各省大臣にもあると思うのですが、執行過程における、検査院指摘するような事項に対する監査権みたいなものは、大蔵大臣にはないのでしょうか。どういうことになっておりましょうか。
  28. 相沢英之

    相沢政府委員 お答えいたします。  会計法の第四十六条におきまして「大蔵大臣は、予算執行の適正を期するため、各省各庁に対して、収支の実績若しくは見込について報告を徴し、予算執行状況について実地監査を行い、又は必要に応じ、閣議の決定を経て、予算執行について必要な指示をなすことができる。」それからさらに「大蔵大臣は、予算執行の適正を期するため、自ら又は各省各庁の長に委任して、工事の請負契約者、物品の納入者補助金の交付を受けた者又は調査、試験、研究等の委託を受けた者に対して、その状況監査し又は報告を徴することができる。」という規定がございます。これによりまして、大蔵大臣監査の権限を持っておるのでございます。
  29. 小峯柳多

    小峯委員 それでは、いまあなたが読み上げた条文は、大蔵省のどの部局で、どれだけのスタッフでおやりになっておりますか。
  30. 相沢英之

    相沢政府委員 この四十六条に基づくところの監査は、主計局司計課で実施しておりまして、監査の係は十五、六名でございます。
  31. 小峯柳多

    小峯委員 私は、予算編成ということには、非常に大蔵省熱意をお持ちになっているし、また各省熱意を持っているように思うのですが、その執行になりますと、どうも手を抜いておるような感じが、率直に言っていたします。先ほど大蔵大臣にも、税に対する国民思想というものを申し上げましたのもその点にあるので、もっと執行に関して熱意をお持ちになって、きめこまかく監査をするようにして、あなた方の税金はこれだけ大事にしておるという姿が出ませんと、納税に対する国民思想というものは水準が上がってこないと思うのです。そういう意味で、大蔵省予算編成に関しては非常に興味をお持ちになる、非常に熱意をお持ちになる。しかし執行に関しては、条文をお読みになりましたけれども大臣から下まで関心が少ないのじゃないか。これは私、質問じゃありませんけれども、そういう意味で、もう一ぺん何か予算執行に関してもお考えいただかなければならぬような段階じゃなかろうかと思うのであります。私は、御承知のように予算勉強は多少はしたつもりですが、初めて決算勉強を始めてみて、どうもこの決算というものが非常に、同じ委員会の中でも端に寄るような感じがするものですから、そういう意味で、以上申し上げたようなこと、これはまあ頂門の一針でございます。どうぞひとつそういうおつもりで、特に大蔵大臣は新しい方向を、この予算執行に関してお打ち出しになるようなこと自体が、国民納税に対する思想というものを、私はもっと引き上げることになるだろうと思う。そういう方法をとらなければ、幾ら役人をふやしても、租税担当者をふやしても、私はやはりほんとう意味の全き租税行政というものは行なわれ得ないというふうに考えますものですから、これを申し上げまして、質問を終わりたいと存じます。
  32. 水田三喜男

    水田国務大臣 ごもっともでございますが、御承知のように、予算執行については、行政管理庁という役所がございまして、ここがほんとう監査をやっている。もう一つ会計検査院というものがやっておりまして、各省予算執行についても、この二つの機関が常時監査をするということになっていますので、これに、財政当局大蔵省がまたさらに特別の監査というようなことは、あまりにこれは繁雑過ぎるというような面もございまして、私のほうでは、会計検査院やそこいらで問題が起こると、そこで主計官がその説明を聞いて、そうして必要な場合には、その関係官庁を呼んでまたさらに説明を聞いて、いろいろなことをいたしますし、両官庁監査の結果を得てから、大蔵省のいろいろな必要な監督をするというようなたてまえにいまなっております。
  33. 鍛冶良作

  34. 華山親義

    華山委員 まことに残念なことでございますけれども、この年間決算委員会共和製糖の問題で非常に重要なことに相なったわけでございます。それにつきまして、きょうは総括的な日でございますので、現在、共和製糖その他の会社に対しまして債務が幾らになっているのか、これを回収する見込みがあるのか、あるとすればどういう方法であるのか、その見込みはどうなのか、また回収につきましての担保があるわけでございますけれども、その取り立てをしたのかどうか、そういう点について、関係各省から御答弁を願います。
  35. 水田三喜男

    水田国務大臣 御承知のように、共和製糖については再建計画がただいま出ておりまして、この運営と担保物件の有利な処分によって、全額回収をするという方針でいま進んでおりますが、詳しいことは、私のほうに関する限りは、銀行局長から答弁させます。
  36. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 農林省、だれか答えますか。
  37. 桧垣徳太郎

    桧垣政府委員 共和製糖細島工場に対しまする融資の問題について、御案内のような種々の問題が出てまいったわけでございます。そのうち、開発銀行融資の分については私のほうからお答えいたしかねますが、農林中央金庫及び農林漁業金融公庫共和製糖に対する貸し付け金についての債権確保状況なり、あるいは返済の見込みという点についてお答えを申し上げます。  共和製糖問題につきましては、さき政府調査の結果を国会に御報告申し上げたのでございますが、その後においてとりました措置について御報告を申し上げたいと思います。  政府は、関係金融機関に対して、債権管理の万全を期するために、債権額を充足いたしますように追加担保の徴求につきまして指導をしてまいりますとともに、金融機関業務執行体制を強化するための検討について指示をいたし、その実行を推進してまいったのであります。  まず、農林中金につきましては、さき国会でも御報告申し上げましたように、総計約二十九億円余りの貸し付け融資をいたしておるのでございますが、当時御報告申し上げましたように、担保の不足があったわけでございます。その後、追加担保の徴求といたしましては、共和糖化工業の神戸工場、同じく水戸工場、同じく千葉工場、共和製糖の宮崎製糖事業所の社宅用地、それから同じく東京工場、そのほか共和製糖の本社ビル、それから兵庫県芦屋所在及び滋賀県所在の山林を、昭和四十一年十一月から四十二年一月の間に担保に徴しまして、それぞれ登記を完了いたしたのでございます。評価の問題等がございますから、これで十分かという問題は若干問題もございましょうが、おおむね債権の確保のために必要な担保の徴求をなし得たものと見ております。  業務の執行体制の整備といたしましては、従来融資部は二部になっておりまして、関連産業融資融資二部というところでやっておったのでございますが、融資二部を分割いたしまして、これを二つの部に分けて、融資部を三部の体制にして、業務執行の的確化をはかることにいたしたのでございます。なお業務上の責任と処理の的確性をはかりますために、融資各部長に専決権限を拡大いたしますと同時に、審査部の審査機能の充実をはかるということにいたしたのでございます。  なおこれは両金融機関あるいは他の金融機関と共通の問題でございますが、会社の再建案の推進をはかったのでございまして、共和製糖及び共和糖化工業の債権者団による協議を行ないまして、次に申し上げますような構想で新会社が三月六日に設立、登記されました。精糖、ブドウ糖の施設を旧共和製糖から賃借りをいたしまして操業を行ない、金融機関に対し負債の償還を長期的に行なうという体制を整備するよう努力を行なっておるのでございます。新会社の概要を申し上げますと、名称は第一糖業株式会社ということでございまして、資本金は先ごろ増資の決定をいたしましたものを含めて十五億円の資本金、事業は精製糖及びブドウ糖の製造、販売ということでございます。役員は、社長は元農林中金理事の沼部氏、専務、常務は、東食からの出向で、柏木氏、それから田中という人が就任をいたしております。  農林漁業金融公庫におきましても、担保の追加徴求を行なったのでございますが、一つ共和製糖の小見川工場、もう一つ共和製糖の社長でありました菅貞人の個人所有宅地、以上の物件につきまして、昭和四十一年十一月及び十二月に登記を完了いたしております。この結果、農林漁業金融公庫につきましても、若干の担保不足のきみはございますが、おおむね債権額に近い担保の徴求ができたわけでございます。  以上申し上げましたように、関係金融機関におきまして、担保の徴求を行ないまして債権の確保をはかっており、また新会社の事業が軌道に乗りますれば、この点からも、金融機関の債権は確保されるものと考えておる次第でございます。
  38. 澄田智

    ○澄田政府委員 開発銀行共和製糖関係に対します債権の回収状況並びに債権の確保の状況について申し上げますが、開発銀行共和製糖株式会社に対しまして、当初の貸し出しといたしましては八億円の債権を持っておるわけでございます。そういたしまして、これにつきましては、一部元利の返済が行なわれてきておりまして、四十二年の三月末現在におきまして、残存の債権は七億二千万という状況でございます。なお、これは逐次期限が到来してまいるような仕組みになっておりまして、現在までに期限が到来して、いわば延滞という状況になっておるものは、元金にいたしまして四千万、それから利息で三千万、こういう状況でございます。あとはまだ期限が到来いたしておりません。債権の確保のために、開発銀行は、共和製糖の宮崎の工場財団に対しまして、第一順位の財団抵当権を設定いたしております。したがいまして、担保価値は開発銀行の債権を十分に担保する余力がございます。そういう意味では、担保につきましては不足ということはございません。ただいま農林省のほうから説明のございましたように、現在共和製糖の再建につきましては、新しい会社を設けまして、逐次その方向で立て直しをはかっておるわけでございます。先ほど申しました延滞になっております元利金、並びに今後期限が到来する開発銀行の債権の回収、確保につきましては、新会社の業態の円滑な進行を見守りつつ十分確保をはかっていく、こういう方針で進んでおります。
  39. 華山親義

    華山委員 この委員会におきまして、その際に、開銀、農林漁業金融公庫におきましては、融資の目的外に使われたものは繰り上げ償還をさせるということを明言されたのでございますけれども、繰り上げ償還はさせたのかどうしたのか、その点伺いたい。
  40. 桧垣徳太郎

    桧垣政府委員 国会におきましても、農林漁業金融公庫総裁からお答えを申し上げましたとおり、目的外使用の融資については全額繰り上げ償還の措置をとるということでございます。農林漁業金融公庫は、四十一年の十月十七日付をもちまして、旧東洋果糖——いまは共和糖化宮崎工場になっておるわけでございますが、この旧東洋果糖に対する資金交付分四億円を、四十一年の十月三十一日までに全額償還するよう請求いたしたのでございます。その後の経過を申し上げますと、公庫は、繰り上げ償還を請求いたしましたあと、直ちに菅前社長に償還について具体的な協議をいたしたのでございますが、現実には、期限までに償還を見るに至らなかったのであります。さらにその後、引き続き折衝を続けてまいっておるのでございますが、前社長の退陣、あるいは検察庁の捜査等の事態に当面したこともございまして、早急な償還が困難となりまして、現在に至るまで償還は行なわれていないのでございます。なお、繰り上げ償還ということは、一面において、金融機関側からいえば、その期限までに返せということでありますと同時に、もとの契約に基づく期限の利益は少なくとも失わしめるということに相なるわけでございます。その後は、先ほど申し上げましたように、公庫におきまして、担保の追徴に専念をいたしてまいるということでございます。現在に至るまで、現実の償還は行なわれておりません。
  41. 澄田智

    ○澄田政府委員 開発銀行関係について申し上げます。  開発銀行共和製糖に対します貸し付けは、精糖部門に対して貸し付けをいたしております。したがいまして、ブドウ糖部門に対して、旧東洋果糖に貸し付けました公庫の場合と違いまして、精糖部門につきましては、宮崎の工場においてはすでに施設が完備いたしまして運転を開始している。それが今回新しい会社に賃貸をした、こういうような仕組みになっておりまして、評価についてはいろいろ問題があり、また政府報告書で一応調査をいたしましたところの金額で押えましても、開発銀行融資いたしました部門につきまして、これが精糖部門以外に流用されたというような数字は出てまいりません。したがって、開発銀行に関しましては、いま御質問のような繰り上げ償還を命ずるという、そういう目的外使用という問題はない次第でございます。
  42. 華山親義

    華山委員 いまは時間もございませんので、また別の機会にこまごまお聞きいたしますが、一言だけ。ただいま農林省のお答えの中に、菅社長その他が検察当局に勾留されておるというふうなことがあったために、その手続まで至っておらないというのでございますけれども、償還のできる能力、実力があるのですか。
  43. 桧垣徳太郎

    桧垣政府委員 償還の能力いかんといいますことは、これは半該会社の持っておる現実の資力あるいは信州力というものの総合的な力で判定をされるものでございますが、現在の段階のようになりますれば、もはや社会的信用は失墜し切っておりますので、私は、担保権の美行等あるいは新会社の賃貸料の中から、関係金融機関の間の協議によって、分割償還をしていくという方法等のほかは、直ちに償還をするという能力はないものと考えております。
  44. 華山親義

    華山委員 これらの債権については、金利がつくのでございましょうから、そうでないというならばそうでないと言っていただきたいのでございますけれども、かさむ一方だと私は思うのです。それで、担保能力があるというならば、なぜその担保を早く回収のほうに回さないのか、なぜいままで担保物件をそのままに放置しているのか、その点についてのお考えを伺いたい。
  45. 桧垣徳太郎

    桧垣政府委員 担保権の実施ということは、これはいろいろな判断を加えてやらなければいけないことであろうと思うのでございますが、特に、先ほど一部申し上げたのでございますが、現に運転をされております工場等に対する担保権の実行ということは、これを誤りますれば、事実上担保価値を著しく減殺する、あるいはその他の副作用が起こってくると思われるのであります。金融機関としては、お話しのように、今後金利の累積等も考えられるわけでございますので、いかなる方法をとったら最も有利に償還をさせることができるかということを、関係金融機関とも協議の上で、取り進める必要があろうと思うのでございまして、まず現段階においては、新会社の事業運営を軌道に乗ぜるということが第一で、そのあとで関係金融機関との協議の上で、償還ないし担保権の実行ということを考えてまいることが穏当であろうというふうに思っております。
  46. 華山親義

    華山委員 納得しがたいのでございますけれども、私は工場を執行しろというんじゃない。そのほかに、先ほどお述べになったとおり、いろいろなところに物件がある。そういうものをいままでどうして放置してあるのか。早くこれを処分して債権の償還に充てて、そして利子等の軽減をはかるべきではないか。なぜそういうふうなことをおやりにならないのか、こういうことをお聞きしておるのです。
  47. 桧垣徳太郎

    桧垣政府委員 お話のように、事業運営に関係のない担保物件の実行につきましては、できるだけ早く換価して徴求をすることが穏当であろうと思うのでございますが、それにつきましても、共和製糖関係の資産であるということは、少なくとも現段階では有利な条件ではなさそうでございます。したがって、適当な換価の時期を見て、なるべく早い時期において換価をするというふうに指導いたしたいと思います。
  48. 華山親義

    華山委員 なお、時間のあるときにお聞きいたしますけれども、とにかくこの資金は一般普通銀行の資金とは違い、財政資金であり、零細農民の資金の集積なんです。一般国民の資金なんです。そういうことにつきまして、他の銀行の焦げつき債権とは違うのであるから、私は、万全の政府指導をもって回収をしてもらわなければいけない、こういうふうに考えますので、大蔵大臣のものの考え方をひとつお聞きしておきたいと思います。
  49. 水田三喜男

    水田国務大臣 いま農林省から説明がございましたように、新会社をつくって、これによって解決するという方法をとりました以上は、その線に沿って、至急全額回収できるようなことをやりたいと思います。
  50. 華山親義

    華山委員 新会社の賃貸料でこれだけの金が納まるなどという甘い考えではだめですよ。新会社の賃貸料でこの債権を回収しょうとしたら何年かかるか。そういうふうな、ただ、新会社ができたから、そこから工場の賃貸し料が入るだろうから、それで返していくんだというようななまぬるい考えでは、私は国民に対して申しわけないと思う。全部が国民の金ですよ。普通銀行の金じゃないのです。早く何とか目星をつけて、処分すべき担保は処分して、できるだけ早く回収するということをしなければいけないと私は思う。私は大臣のものの考え方は非常になまぬるいと思う。そんなことの回収では何年かかるか。何年かかるかということは、あとで聞きます。それでいいですが、時間がありますか。
  51. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 まだ三分ぐらいあるから、続けてください。
  52. 華山親義

    華山委員 それじゃお聞きしますが、きのうの毎日新聞を見ますと、新しい会計検査院長について大蔵省が方針を固めたと書いてありますけれども大蔵大臣、そうなんですか。
  53. 水田三喜男

    水田国務大臣 会計検査院長の選任は、会計検査官の互選による、これを内閣は任命するということになっておりますので、これは大蔵省の支持者がそのまま検査院長になるというようなふうにはなっておりません。
  54. 華山親義

    華山委員 そうしますと、会計検査院長にお聞きいたしますが、そういう御相談でも受けたことはございますか。
  55. 塚越虎男

    塚越会計検査院長 まだ、実は少し先のことでございますので、何も相談を受けておりません。
  56. 華山親義

    華山委員 私から申し上げるまでもなく、会計検査院は内閣から独立したものです。会計検査院長検査官の互選によって行なわれる。その互選に加わるべきところの会計検査官は、まだきまってもおらない。国会の承認を得て初めてきまる。その人が加わって互選するのでしょう。そういうふうな、新聞に書いてあるとおりとするならば、これは議会軽視です。しかもこういうことが行なわれるならば、監査されるものが監査する人を選ぶということになるのじゃないですか。こういうふうなことはあまりにもひど過ぎる。そうしますと、毎日新聞の誤報だと私は考えていいのですか。
  57. 水田三喜男

    水田国務大臣 何かお話が、会計検査院長大蔵省がどうこうというふうにおっしゃられたと思いますが、会計検査官を一名補充するという問題は早晩起こってまいります。これは従来の慣例もございますし、財政に通じた学識経験者を必要といたしますので、財政官庁である大蔵省から一人、会計検査官が出るというのは、大体の慣例にもなっておりまして、今回も、欠員の補充は、そういう方向で私は補充したいと思っております。その互選によって院長がきまるのでございまして、この問題はまた別でございます。
  58. 華山親義

    華山委員 それは知っていますよ。会計検査官というものは、これは政府のほうで選考して、そうして国会の議決を経なければいけない、それはわかっております。この毎日新聞には、大きな見出しで「会計検査院長に山崎氏を内定」と書いてあるじゃないですか。これは誤報かということを聞いているのです。
  59. 水田三喜男

    水田国務大臣 これは互選の問題で、全然私ども関知しておりませんから、存じません。
  60. 華山親義

    華山委員 そうしますと、これは誤報ですね。毎日新聞の誤りですね。それでよろしゅうございますか。それだったならば、私は安心しますが……。
  61. 水田三喜男

    水田国務大臣 誤りかどうか、全然われわれは関知しておりません。
  62. 華山親義

    華山委員 誤りでないことがわからぬで、そんなことはないじゃないですか。ここに書いてあるのです。見てごらんなさいよ。そうじゃないというならば、誤りじゃないですか。どうなんですか。
  63. 水田三喜男

    水田国務大臣 私どもの知らないことを、知らないふうに書かれても、どうにも言いようがありません。
  64. 華山親義

    華山委員 言いようがないじゃないですよ。私の知らないことがここに書いてあるのだから、これは毎日新聞が誤って報道したかどうかということです。誤って報道したものと私は考えますけれども、それでよろしゅうございますね。
  65. 水田三喜男

    水田国務大臣 これは、私に聞かれる問題じゃございません。(笑声)
  66. 華山親義

    華山委員 だけれども、そう言うと、あなたは笑われるけれども、私の知らないことが書かれていた、そうすれば、あれは誤って書かれたのですというようなことは、だれだって考えるじゃありませんか。聞かれたってしょうがないではなくて、考え方を聞いているのです。考え方を聞いている。
  67. 水田三喜男

    水田国務大臣 その考え方がおかしいので、あとの互選の権限を持った二人が何か言って、毎日新聞が書いたかどうか知りませんが、少なくとも私ども関係していることでないことを、誤報であるかどうかということで、私の方に聞かれる理由はないです。
  68. 華山親義

    華山委員 この内容は、大蔵省会計検査院長に山崎氏を内定したということを政府できめたと書いてある。そう書いてあるのです。
  69. 水田三喜男

    水田国務大臣 きめられるはずはないと私は思います。そういうことはあり得ないことだと思います。
  70. 華山親義

    華山委員 では、これは毎日新聞が誤って伝えたものと私は考えますから、これは聞いたってしょうがないでしょうから、もっと質問したいことがありますけれども……。
  71. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 時間がありませんので……。  吉田賢一君。
  72. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 まず行管の長官に聞きます。時間の関係で、私も問いは簡単にしますから、答えもひとつ明確に、ごく要点だけを述べていただきたい。  去年の十月に、行政監理委員会から、いわゆる「行政改革の現状と課題」の白書と称するものが出ております。この白書につきましての実績、それまでの実績に対するあなたの評価、これをひとつ端的におっしゃってもらいたい。
  73. 松平勇雄

    ○松平国務大臣 過去一年間実績は、この白書にもございますとおり、臨調の答申を完全に実施したというところまではいかないわけでございまして、進み方が非常におそいように感じるわけでございますが、御承知のとおり、なかなか内容が広範にわたっておりまして、ことに現行制度にも関係している問題が非常に多いものでございますから、われわれといたしましては、進み方はおそくとも、一つ一つ堅実に整理をしてまいりたいというふうに考えております。
  74. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 あなたは行管の長官ですけれども、同時に行政監理委員会委員長です。委員長としてのあなたに伺うわけです。ですから、十分に実績があがっていないかどうか、そういう行なう側の答弁を求めているのじゃないのです。この白書が端的にいっているところによるならば、約二年を経過した今日、臨調の答申は、実績は一言にして言うならばきわめて不十分、ほとんど見るべきものなし、特に答申の線に沿うて積極的改革の面については成果はなはだ不十分、あるいはまた、答申のうち積極的に努力されたあともほとんど見られないというように、きわめて悲観的な、全く遺憾しごくである、しかもまた、この判断としましては、臨調の行政改革についての意見はきわめて正当である、こういう判断に立っておるわけなんですね。これがこの監理委員会の意見なんです。これをあなたにひとつ蒸し返してもらいたかったわけです。だから長官が、実行する側に立って、遅々として進まない、十分にやっていく、なかなかむずかしい——そんなことは総理大臣に聞くことです。あなたはこの委員長だから、委員長は——委員会が熾烈な不満をぶちまけて、こう指摘しておるのです。それを聞こうとしておるのです。それなんです。御意見はどうなんです。
  75. 松平勇雄

    ○松平国務大臣 行政管理庁といたしましては、申すまでもなく、臨調の答申を尊重して、それを忠実に実行しようという方針でやっておるわけでございます。確かに「行政改革の現状と課題」というので報告いたしました内容によりますと、まだ非常に不満足な点がございますけれども、私どもといたしましては、行政のあり方というものは、国民のためになるような行政組織なり運用をしていかなければならないというたてまえのもとに、今後とも臨調の答申を強力に実際に行なうように努力をいたしたいというふうに考えております。
  76. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 全体として、実現可能性を念頭に置いた臨調の答申であった、したがいまして、不可能もしくは理想像を書いたのではない、こういう判断に立っておるのですが、この点同意見ですか。
  77. 松平勇雄

    ○松平国務大臣 私も同じ考えを持っております。
  78. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 しかし現実はきわめて悲観すべきですね。悲観すべき状態にあるということ、これはここにも指摘しておるように、答申の実現の強力な推進が当面の任務と考える行政監理委員会は、この実績に対しましては、行政改革の実績の評価は、きわめて遺憾とするところである、こういう判断なんですが、これでよろしゅうございますか。
  79. 松平勇雄

    ○松平国務大臣 きわめて遺憾というのは……。
  80. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 いや、お書きになっているのです。四五ページにありますよ。下から三行目にあるじゃないですか。そうお書きになっている。あなたがこれの委員長なんです。頼みますよ。
  81. 松平勇雄

    ○松平国務大臣 この一年間の……(吉田(賢)委員「二年七ヵ月です」と呼ぶ)二年七ヵ月ですか、いたしました実績といたしましては、きわめて遺憾であったのでございますが、しかし実際なかなかむずかしい問題でございまして……。
  82. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 しからば、行政改革の阻害要因を聞きたいのですが、阻害要因として、あなたが委員長で主宰していなさる行政監理委員会のほうで四つ指摘しておるのですよ。第一は国民です。国民は要するに納税者である。そしてその納税者である立場を十分に理解しておるにかかわらず、この行政改革については一向に盛り上がってこない。こういうことについては、これまた非常に遺憾であるということになるわけですね。この国民の改革意向を盛り上げていくということが必要らしいのだが、こういうことについて、対策等について、何か御意見あるのですか。
  83. 松平勇雄

    ○松平国務大臣 おっしゃるとおり、行政改革は非常にいわゆる役人の抵抗が強いものでございますから、これを打破するためには、やはり国民の世論が必要であることは仰せのとおりでございます。したがいまして、やはりこの世論を起こすには、行政の実態がどういうふうになっているかということを国民に知らせて、そして世論を起こしていただくというふうにしてまいりたいと思っております。
  84. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 第二番目に指摘せられておるのは、国会と政党が指摘されておる。国会や政党も、政策の看板として機構を設けようとすることもある。しかしそれを仰制するようなことについては努力しない、こういう傾向が第二番目として阻害要因に指摘されておるのですが、国会とか政党——与野党をさすかと思うのですけれども、特に議会制のたてまえからしますと、与党は内閣と連帯責任でありますから、与党の立場は非常に重要であります。この行革の試案なども自民党から出たようでありますけれども、こういう辺につきましても、やはりいまの監理委員会の出している認識と、あなたは同意見でございますか。
  85. 松平勇雄

    ○松平国務大臣 同じ意見でございます。
  86. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 しからば、これにつきましては、あなたは国務大臣でもあるし、あるいはまた与党の幹部でもあるし、行管の長官でもあるし、監理委員会委員長でもある、こういう立場にかんがみまして、この阻害要因として重大な、言うならば妨げておる国会とか政党のいまのあり方につきまして、大きな反省をすべきだと思うのであります。これはともにいたしましょう。  そこで、さらに第三に指摘しておるのは、政府内部です。行政府内部が同時に阻害要因になっておる。行政費の節約とか権限が小なくなるとかいったようなことの脅威ですか、いずれにしましても、拡大とか強大とかいうようなことは習性として求めておるようでありますけれども、これも大きな阻害要因になっている、言うならば、行政府自体が行政改革にはあまり乗り気はしない、これは全体の空気だ、これはそのとおりですか。
  87. 松平勇雄

    ○松平国務大臣 これは臨調でも指摘されておりますように、先生のおっしゃったと同じようなことを答申しておるわけでございますが、私もさように考えております。
  88. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 これまた重大なことでございまして、総理大臣以下、えりを正してこの臨調の答申を厳粛に尊重するというなにならば、みずから反省をしていかねばならぬ、こういうふうにも考えますが、これはひとつ意見として申しておきましょう。  そこで、第四の阻害要因としてあげておりますのは、各種関係団体です。民主制の立場からいたしまして、全国的に国民がいろいろと要望とか陳情することは当然でありますけれども、団体の圧力によって行政の拡大をはかる、それに協力していく、したがって、行政改革ということにつきましては大きな阻害要因になる、こういうふうに指摘しておるのですが、そのような実態であるという御認識でしょうか。
  89. 松平勇雄

    ○松平国務大臣 団体の圧力というようなものは、私は別に感じないのですが、陳情としていろいろ申してこられたことはございます。
  90. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 私は臨調の答申作成までの過程における各種陳情、そういうことを意味しているのではなくて、日本の政治、行政の運用の途上におきまして、各種団体なるものが、ともすると、行革の大きな抵抗になっておる、こういう点が指摘されておる、いわゆる阻害要因だ、こう思うのです。そういう点について、あなたの御意見を聞きたいわけで、あなたが委員長である委員会がこう言っておるのですから、私は繰り返しておるのです。そこで、要するに、この結論として、しからばどうすればいいのか。結論といたしまして、行政改革というものは国家的要請である、国民の世論である。国民の支持を受けて答申も出たようでありますから、最高の政治の指導者の強いリーダーシップの発動が絶対の要件である、この期待に待つことが大きい、こういう一つの結論、これは同時に、臨調の総論にも指摘されておる意見でありまして、これをそのまま写してあるわけですね。やはりこういうような理解、御認識のもとに判断をしておられるのですか、どうです。
  91. 松平勇雄

    ○松平国務大臣 そのとおりでございます。
  92. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 そうしますと、結局現内閣、佐藤総理以下また行革に積極的に取り組んでいくという以外手がない。これは最大の推進力となる、こういうことですね。
  93. 松平勇雄

    ○松平国務大臣 おっしゃるとおり、佐藤総理をはじめ、各大臣が、所管大臣と同時に、国務大臣としての一歩高いところからやはりこれを見て取り組んでいかなければできない問題だと思います。
  94. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 わかりました。やはり閣僚が、閣議等におきまして、一そう積極的に、行革の線に沿ってそれぞれ実現、推進をはかっていくという、絶えずそういう熱意を持って臨んでいくという必要があるんじゃないかと思います。したがいまして、行革の長官としても、国務大臣としても、他の大臣と手を握り合って、そういうふうに推進することが管理委員会を設置した趣旨にも合うことになるし、バックアップにもなるし、内閣総理大臣のリーダーシップ発揮のためにも絶対に必要なことじゃないか、こういうふうに思うのですが、どうですか。
  95. 松平勇雄

    ○松平国務大臣 御意見のとおりで、同じ意見を持っております。
  96. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 そうしますと、委員長、以後はまたほかの機会にさしていただきます。
  97. 鍛冶良作

  98. 浅井美幸

    浅井委員 質疑に入る前に、委員長にお願いしたいことがありますが、けさの理事会で、農中金の理事長の出席の要求を申し上げたわけですが、それが認められなかったわけで、私の質疑は、その範囲が非常に狭くなったわけでありますが、後日の委員会に、農中金の理事長の御出席を、委員長で取り計らっていただけるかどうか、委員長からお聞きいたしたいと思います。
  99. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 できるだけ御要求に沿いたいと思います。
  100. 浅井美幸

    浅井委員 時間の関係から、まず会計検査院長にお尋ねしたいわけですが、会計検査院は、農林漁業金融公庫の細島コンビナートへの融資については、いつどのような検査を実施したのか、このことについてお答え願いたいと思います。
  101. 塚越虎男

    塚越会計検査院長 農林漁業金融公庫につきましては、昭和三十九年の八月三十一日から九月四日、九月七日から九日まで。次に四十年の八月十六日から八月十九日、八月二十五日から八月三十日。それから四十一年の八月二十二日から八月二十四日、八月二十五日から八月三十日。これは本店及び東京支店を検査いたしたのでございまして、農林漁業金融公庫融資全般について検査をいたした次第でございます。
  102. 浅井美幸

    浅井委員 四十年の十月十六日に、公庫総裁あてに、融資についての疑問点を照会した事実がありますか。
  103. 塚越虎男

    塚越会計検査院長 照会した事実はございます。
  104. 浅井美幸

    浅井委員 いまお伺いすると、このように、過去三回検査を実施をしておりますけれども、この内容でございますが、流用の事実は、いろいろなことからわかっておったのではないか、このように思うわけです。参議院の決算委員会で、わが党の二宮委員の質疑の経過から見ますと、四十年の八月には、公庫は、共和の流用すなわちブドウ糖関係の遠心分離機あるいは結晶かんを設置するための融資金を精糖部門に流用する事実を知っておったが、その検査の際に融資金の流用を発見していたと思われるけれども、この点についてはどうですか。
  105. 塚越虎男

    塚越会計検査院長 便宜、所管の第五局長から答弁させます。
  106. 佐藤三郎

    佐藤会計検査院説明員 御指摘のとおり、四十年の八月十三日、会社側から公庫の東京支店に対して、ブドウ糖の機械の製作を加工部門に流用した、切りかえたという事情説明したということを、公庫から私のほうは聞いております。もともとこの共和製糖の工場の建設につきましては、流用しておるのではないかというような投書がございましたので、かねがね注意を喚起しておいたのでございますが、その結果、公庫側が積極的に会社について事情を聞いたところが、そういう説明を受けた。これはおっしゃるとおり、四十年の八月十三日にわかっております。その直後ぐらいに、検査院としては検査に行ったのですが、その結果、本院といたしましては、四十年の十月十六日に、資金の払い出しにつきまして、七億五千三百万円の六〇%に当たる四億円を資金交付しているけれども、実際は五億三千百万円程度じゃないか、こういう支払いの実績に合ったような資金の交付をしてもらわなければ困るという意味の照会を、四十年の十月にいたしておるのでございます。なお、公庫側としては、その後いろいろ聞いてはおったのでございますが、昨年の十二月の政府報告でわかりましたようなぐあいに、はっきりした線まではまだわかっていなかった、そういう経過でございます。
  107. 浅井美幸

    浅井委員 いま、はっきりしていなかったというわけですが、四十年の十月十六日の公庫捜査にあたっての照会事項の中には、このこと、流用、目的外使用ということについては、指摘はされたのですか、されないのですか。
  108. 佐藤三郎

    佐藤会計検査院説明員 流用、目的外使用というはっきりした意味では言ってはございません。ただ、事実と、支払い実績と違った。つまり七億五千三百万円を基礎として払い出しをしているから、こういうことのないように、という意味の注意は喚起してございます。
  109. 浅井美幸

    浅井委員 今日の時点で、公庫自体が償還命令を出した時点で、この検査院の目的外融資指摘がなかったということは、会計検査院として反省すべき点があるんじゃないですか。
  110. 佐藤三郎

    佐藤会計検査院説明員 ごもっともな御意見かと思いますが、四十年の十月の照会のときにも、一応注意を喚起いたしましたし、それからその後、四十一年の八月、去年の夏の実地検査におきましても、一応向こうとしては、支払い実績はこういうわけだという数字を示してくれたのですが、いわゆる共通部門の配分等の問題で、どうもまだ説明を受けて納得いかないような点があるので、なおよくひとつ調査してくれということで、調査を依頼しておった段階で、国会で、御承知のようなああいう大きな問題になった次第でございます。
  111. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 これより総理大臣に対する質疑に入ります。吉川久衛君。
  112. 吉川久衛

    ○吉川委員 総理にお伺いをいたしますが、時間がきわめてわずかしかございませんから、簡明にお答えを願いたいと思います。  第一にお伺いをいたしたいのは、決算委員会の重要性について、総理の御見解を伺いたいのでございます。決算国会審議が、いずれの審議にも劣らず重要であることは申すまでもありませんが、一般には、国の決算とは何か、決算委員会は何をするところか、決算の審議はどのように行なわれているか、一向に知られない、無関心でいられることは、何よりも残念しごくでございます。佐藤総理は、昨年私が決算委員長の時代に、たいへん御理解ある態度を示されまして、明治二十三年国会開設以来初めて、決算国会での報告を本会議でとり行ない、各党の質問を認めることにされましたこと、また決算の取りまとめの本委員会に、総理は各閣僚に指示をいたしまして、全員の出席をさせたりいたしました。佐藤総理が本委員会の重要性を認められておりますことは、敬意を表するのでありますが、国会における現状は、依然として決算軽視の風潮はぬぐい去るわけにはまいりません。会計検査院検査報告委員会審査して政府に伝えましても、政府は最後には頭を下げて、今後十分注意して批難されることのないようにいたしますと言うだけで、何らの反省もなければ、何らの改善がなされておりません。これでは決算委員会は何のためにあるのかわからない。決算委員会の重要性について、総理の御見解を伺いたいのでございます。
  113. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 吉川君は決算委員長の御経験もありますので、あまり詳細な長い説明は要しないと思います。決算委員会はもちろん重要な委員会でございますし、ことに予算の審議とちょうどうらはらをなすと申しますか、事前の予算審議については特に各方面で関心を寄せられますが、この予算執行後のトレース、これもなかなか大事なことであります。これが十分できてはじめて、予算の審議、予算編成がうまくできるわけでございます。やはりそういうことを考えますと、十分気をつけなければならないと思います。しばしば指摘されるのでありますが、国務大臣の出席が悪いというようなことがありますが、そういうことのないように努力しておりますし、また、この決算委員会で御審議をいただきます会計検査等の処理につきましても、政府は特に意を用いているわけであります。また、この委員会でまことに貴重な得がたい意見を述べられますので、こういう事柄が将来の予算編成上にもそれぞれ取り入れられております。政府といたしましては、いずれの委員会も尊重いたしますが、特に予算編成に直接関係を持つ決算委員会といたしまして、十分意を用いている次第でございます。
  114. 吉川久衛

    ○吉川委員 総理は、決算予算に活用されたように伺うのでございますが、私は非常にこの点は不十分ではないかということを見てきているのでございます。欧米の人たちは、自分たちの納めた税金がどのように使われているかに非常に関心を持っております。日本人は税金については問題にしますけれども、税金を納めてしまったら、その税金の行くえについては一向に問題にしない傾向がございます。これは国民性の相違かもしれませんが、これではいけないのであって、税がどのように使われ、どのような効果をおさめておるか、それを顧みて、新しい予算編成の参考にしなければならないと思うのでございます。予算予算決算決算で、何らの関連を持たせないいまのあり方はどうかと思っているのでございます。  それから、決算委員会の毎年の議決をどのようにお考えになられますか。毎年、決算の審議に際しまして、予算の効率的執行並びに不当事項の根絶について、繰り返し政府に注意を喚起してきたのでありますが、何らの改善がなされておりません。何か実効があがる方法はないものかというような前向きの検討もなされていると伺っておりません。決算を効率的にするためには、予算執行実績を具体的に把握して、さらに決算の結果が予算に十分反映するようにしなければならないのでありまして、そのために、事業別制度の導入をはかって予算執行を管理するとともに、その成果を決算上に表示すべきだと思います。これはあるいは理想論だと言われるかもしれませんが、そういたしませんと、各省ばらばらに同じ事項について予算を取り合って、そうして横の連絡は何もとらず、非常に国費をむだに使っているというような事実が散見されるのでございます。予算の実効のあがるような検討を政府が一体したことがあるのかということに、われわれは疑問を持つのでございます。実効のあがらなかったときには、執行責任者に責任をとらせたことがあったかどうか。無責任時代とは言いましても、国民の政治不信のよってきたるところも、案外こんなところにひそんでいるのではないかというふうに私は思うのでございます。責任の所在を明らかにし、綱紀を粛正しなければならないと思いますが、この議決の取り扱いについて、これに関連して、総理のお考え方を伺っておきたいと思います。
  115. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 古川君の御意見に、私も同感でございます。もちろん政府といたしましては、決議事項等尊重するという、その表現で終わるようですが、では尊重ということはどういうことか。いま言われましたが、たとえば予算編成の前に、決算委員の方の御意見も伺っておるのでありますし、また具体的に、たとえば零細補助金あたりの整理なども、やはり決算委員会の御意見、お指図等が強く響いておる。また共管事項等の整理等につきましても、これまた御意見のとおりしておるわけであります。問題はいろいろでございますが、予算編成において、効率的な予算という考え方に一そう徹しなければならない、かように私も思います。  また綱紀粛正の問題、これは特に政府が意を用いておる際でありますし、最近のように政治道義のゆるみが云々される、そういう際でもありますから、この綱紀の粛正については、さらに一段と注意するつもりでございます。
  116. 吉川久衛

    ○吉川委員 最後に、決算の審議が行政の効率性と国民経済の生きた反省として活用される、国民の信託にこたえることができるようにいたしたいというのが私どもの念願でございます。昨年来、佐藤総理になってから、若干の前進が見られたことは多といたしますが、まだまだでございます。欧米の先進諸国の決算制度は、私も文献でよくこれを知ることができるのでございますが、その運用については知る由もございません。せめて決算委員決算関係の者を欧米に派遣して、調査研究をなさしめる必要があると考えるのであります。諸外国の議会制度の調査は、十数年来毎年繰り返して行なわれております。もう外国の制度についてもマスターをされた時期ではないかと思うのでございますが、本年もまたやるんじゃないかと思います。これは私どもも大いに反省しなければなりませんが、大切な決算のあり方、委員会の運営等について、先進諸国に学ぶべき点があると思うのでございます。昨年、私は英国の制度等について、総理にもプライベートで申し上げたこともございましたけれども、これは非常に大切なことだと思うので、総理にひとつ格段の御高配をわずらわしたい点でございます。総理の御所見を伺って、私の質問を終わります。
  117. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 各方面で意見を交換し、さらにまた制度の相互研究をするということはたいへん望ましいことだ、かように思います。思いますが、もうそろそろ日本の国会も、皆さん方の創意とくふうによってりっぱな運営ができているので、むしろこちらから送り出すくらいの権威があっていいんじゃないか、かように思います。最近は特に決算委員会が範を示しておられるようで、そういう意味では、政府も督励をされ、また会計検査ども新しい考案等が示されておるようでございます。私は、外国に行くこともさることですが、皆さん方の国内における御勉強、御努力に対しまして、心から敬意を表しております。
  118. 鍛冶良作

  119. 華山親義

    華山委員 ただいまも大蔵大臣にお聞きしたことでございますけれども、昨日の新聞にはこう書いてあります。「政府は五月二十一日定年退官する会計検査院長塚越虎男氏にかわる新院長として、同院の山崎高検査官を任命する方針を固めた。」とあります。大蔵大臣は知らないとおっしゃる。新聞の誤報かとお聞きしたところが、誤報か何だかわからないと言われる。もう総理大臣に申し上げるまでもないことでございますけれども会計検査院政府と独立した機関だ。会計検査院長は会計検査官の互選によって選ばれる。そしてまた、その新しい会計検査官はまだきまっておらない。国会の承認を得てきまれば、その人が互選に参加する。そういうふうになっているときに、こういう方針を固めたなどということは、私は毎日新聞の誤報ではあるまいと思う。それまで大臣は知らない。しかし大臣の下の人たちが何かやっておるに違いない。私はこういうふうな裁かれる立場の人が、裁く人に、政府のほうが干渉するなんということはたいへんな間違いだと思う。これは綱紀粛正のなにではないけれども一つの乱れだと思うのです。ひとつ会計検査院の尊厳のために、権威のために、そういうことは今後絶対にさせませんということを、大臣からお答え願いたい。
  120. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 いま華山君、何か誤解していらっしゃるのじゃないですか。政府の権限でございませんから、政府は何もそれに関係しておりません。だからまた、そういうようなことを一部で云々するものがありましたら、会計検査院の独立性からも、私は厳に戒めてまいります。したがって、毎日新聞の取材がどういうところから出たか、それは私は全然関係しておりませんから、誤解のないようにお願いします。
  121. 華山親義

    華山委員 そうであるならば、ひとつどういうところからこの取材が出たのか、大蔵省内部でよく調査してもらいたい。こういうふうなことが新聞に報道されるということは、私は重大なことだと思うのです。  それから、同じ日に、大臣が、何か一民間会社の全日空の社長についてくちばしを入れられたということが出ておりますけれども、こういうことは、大臣がおやりになることではないと私は思う。これはどういうことなんですか。
  122. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 御意見としては伺っておきますが、ただいま航空審議会等におきましても、航空のあり方——これはもういつも皆さん方から政府に督励されております。事故が起きれば、政府の責任じゃないかとしばしば言われます。私は、こういう人事に干渉する、介入する積極的な意図を持っておりませんけれども政府は、その立場におきまして批判するのは当然だ、かように思います。
  123. 華山親義

    華山委員 介入するのじゃないけれども、岡崎さんを批判したということですね。それはかえろということだ。  次に伺いますけれども、この一年間、当委員会共和製糖の問題、田中彰治等の問題、本来そういうふうなことが仕事であるべきものでないことに精力をさかれてしまった。これは私は非常に残念なことだと思うのでありますけれども、これらの問題はいずれも政治資金と結局関連している。政治資金と関連するがゆえに、このような問題が起きて、そしてそのことのためにわれわれの精力が費やされた。しかしこのような問題の追及の結果、今日選挙制度審議会が政治資金の問題につきまして答申を出された一つの動機になったのではないかということを私は考える。総理大臣は、現在、最もこの点について日本の将来の政治に対して重要な関頭に立っていられる。あなたが勇断を持って今後の政治がりっぱにいき、国民の政治に対する信頼を回復する。これはもう一番重要なあなたの任務だと私は思う。その際に、われわれといたしましては、きわめて不満足なことではございますけれども、選挙制度審議会が政治資金の問題について大臣に答申しておるわけです。ところが、新聞、テレビその他で見ておりますと、いろいろなことで自民党のほうではこれに反対的な模様が見える。そういうようなことでございますけれども、総理大臣は現在における最も重要な政治の信頼を取り戻すために、少なくともあの程度の答申は勇断を持って法制化すべきだと私は思うのです。答申は尊重すると言って、そして骨抜きになってみたり、いろいろな論議が自民党にあるからといって、それがえんえんとしてついに立法化されなかったり、そういうようなことがありますと、これは日本の政治のために非常に惜しいことだと思う、大臣所見を伺いたい。
  124. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 あの選挙制度審議会から答申が出ております。いろいろな問題を選挙制度審議会は出してくるのでございますが、いの一番に政治資金の問題を出してきた。政府もこれを受けまして、答申を尊重する。ただいま立案にかかっておる段階でございます。何だか骨抜きになったような言い分でございますが、そういうものはまだ出してないはずでございまして、御意見として十分伺います。私どもも真剣にこれに取り組んでおるのでございます。政界の浄化をはかる、これがただいまの国民の至上命令でございますから、こういう事柄に忠実でなければならない。そういう立場で、政府は答申と真剣に取り組んでおります。いましばらくお待ちをいただいて、そして国会の御審議をいただくのですから、その際に、骨抜きになっておるかどうか、十分御検討願いたいと思います。また、どうか、こういう問題は全般の問題ですから、もうすでに出ております意見は、一部だけ困る、とかいうような議論があるようですが、まだその他の問題について審議会がどういう答申をするかわかりません。あるいは、さらに進んで、選挙区制等についても意見が出てくるのだろうと思う。私はこういう公平な扱い方をする第三者の機関が答申をする、こういうところにたいへんな意義があるのだと思います。でありますので、政治資金についての御意見はよく伺って、政府も十分尊重した結果、法案を御審議いただくようにいたしますが、こういう中立的な答申というものについては、全般的に十分御協力を願うように、この際に申し上げておきます。
  125. 華山親義

    華山委員 総理大臣のことばの裏を考えますと、小選挙区制も出てくるであろうから、それとあわせて考えるというふうに聞こえるのでございますが、そうでございますか。
  126. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 そこまでは申しておりません。
  127. 華山親義

    華山委員 それから伺いますが、これは大臣にきめていただかなくちゃいけない問題だと思うのです。東大のロケットの問題について私が伺ったのでございますが、その中で、東大のロケットをインドネシア、ユーゴに輸出しておる。武器に転換する性格のあるようなものは輸出すべきではないじゃないかということを申したのでございますけれども、今度軍需産業におきまして、いろいろな武器が日本において開発され、または製造されるという段階になった。そのことについての批判は別にいたしますけれども、その際に、この武器を外国に輸出するつもりなのかどうか。これは、日本の佐藤総理大臣は、常に平和に徹すると言われた。平和に徹するということは、日本憲法の精神でもありますし、日本憲法の平和の思想は、国際的な平和の保持によって、その間において日本の平和を維持していこうというのが精神なんだ。そういう立場からいえば、日本において開発しあるいは製造された武器というものが外国に行くということは、私は絶対にやめていただきたいと思うのでございますけれども所見を伺っておきたい。
  128. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 いまの華山君のお話、これはやや説明を要するかと思いまするが、私は平和に徹する、こういう考え方を持っております。しかし自衛のために必要なものはわが国自身も持つ。だからどこの国でも平和に徹すると言ったからといって、その国の自衛力、これを否定するというものでないことは御了承いただきたいと思います。私どもが自衛隊を持ち、自衛力を確保する、そうして安全が確保できて初めて日本は平和であるのであります。平和に徹するというのはそういう立場でございます。また、その武器等防衛のために必要なものを国産するということ——これは外国から全部買うのでなしに、国産することがいいことだ、かように思いますので、国産をはかります。また国産をいたしまする以上、防衛的な武器等については、これは外国が輸出してくれといえば、それを断わるようなことはないのだろうと思います。この武器を輸出するという問題になりますと、これは輸出貿易管理令がございますから、当面問題を起こしておるようなところに武器を送るわけにいきません。また紛争の渦中にある、あるいは特殊な国に対しましては武器を送ってはならない、こういうような取りきめもございます。等々の制約は受けますけれども、私は、一切武器を送ってはならぬ、こうきめてしまうのは、産業そのものから申しましても、やや当を得ないのじゃないか。ことに防衛のために必要な、安全確保のために必要な自衛力を整備する、こういう観点に立つと、一がいに何もかも輸出しちゃいかぬ、こういうふうにはいかぬと私は思います。
  129. 華山親義

    華山委員 それは大きな問題だと私は思うのです。とにかく世界の平和、できるだけ戦争は国際的になくそう、こういう立場に立ちながら、戦争のために使われるものを日本から輸出するというふうなことは、これは私は絶対にやるべきではない。何のためにやる。何のために輸出するか。要するに佐藤大臣のことばから言うならば、いろいろな経済上の、あるいは会社のために、そういうふうにも聞こえる。何のために日本で開発された武器を外国に輸出しなければならないのか。積極的なその理由を伺いたい。
  130. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 いま申しますように、防衛のために、また自国の自衛力整備のために使われるものならば差しつかえないのではないか、かように私は申しておるのであります。輸出貿易管理令で特に制限をして、こういう場合は送ってはならぬという場合があります。それはいま申し上げましたように、戦争をしている国、あるいはまた共産国向けの場合、あるいは国連決議により武器等の輸出の禁止がされている国向けの場合、それとただいま国際紛争中の当事国またはそのおそれのある国向け、こういうのは輸出してはならない。こういうことになっております。これは厳に慎んでそのとおりやるつもりであります。
  131. 華山親義

    華山委員 いま大臣の言われるようなことは私も知っておるし、官僚から聞けばわかる。そういうようなことではいけないのではないか。いままでは、日本は武器というものは発達しておらなかった。しかし今日武器というものが発達してくる。そういう段階において、外国に輸出するのであるというふうなことは、平和に徹するという精神ではないと私は思うのです。あらためてひとつ考え直していただきたい。と申しますことは、経団連が、輸出をさせろ、そしてその輸出によった利益というものを、自国の防衛機器産業のコストを下げるようなことには使わないでくれ、こういうえてかってなことを言っている。まるで輸出奨励政策なんです。武器は輸出させる、それによったところの利益は、国内のコストを下げることには使わないでくれ、こういうふうなえてかってな、そういうものの考え方、そういうことにより日本の武器が輸出される、こういう考え方であるならば、私はたいへんな間違いであると思う。これはそんな理念的なことは言いたくありませんけれども、防衛産業というものがだんだん戦争に近づいていくんだ、そういう理念に近いものなのだ、それだから私は心配して申し上げた。いまおっしゃったようなことは、私は法律のことは知っておりますから、そういう法律をいまここで——防衛機器産業に進もうというならば、考え直してもらいたいということを総理大臣に申し上げた。いまここで答弁をいただけるならばよろしゅうございますけれども、ひとつ、よく考えますとでもおっしゃられるかどうか……。
  132. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 どうも答えを強制されるようですが、私はただいま考えるとは申しません。と申しますのは、日本の武器は、たびたび説明しておるように、他国を脅威するような武器ではございません。これはどこまでも防衛産業、いわゆる防衛的な立場から製造するものでございます。でありますから、日本の武器そのものは、外国へ行きましても、日本で攻撃的な機能を持たないのですから、外国へ行っても、やはり攻撃的な機能は持たないのです。でありますから、そういうものは、国連その他の決議による輸出、こういう場合には輸出しないという、もうそれだけで十分だと私は思います。  もう一つお話ししておきたいのは、たとえば飛行機をつくった、その飛行機が直ちに爆撃機に変わるのじゃないか、こういうような御心配があったり、あるいは東大がペンシルロケットを輸出した、そういうものが、その国の武器の発達に寄与している、こういうようなお話でございます。私は、そういう問題は、各国においての各国の行き方、いろいろあるだろうと思います。ユーゴへ行ったものが、ユーゴで武器開発にペンシルロケットを使ったからといって、それをとめる方法はない。しかし日本のペンシルロケットは、将来そういうところに使われるから輸出してはまかりならない、これは少し偏狭じゃないかと思います。したがいまして、ただいま言われました、華山君も十分御承知の、法律的に、自由主義の国は共産国に向けては武器は送らないとか、あるいは国連でこういう決議をした場合には送らないとか、また交戦国、紛争当事国には送らない、こういうことが最小限度いま要求されておる。これは厳重に厳格に守り、そして日本自身が攻撃的な武器をつくらないのだ、これはひとつ徹してもらいたいと思います。また日本の産業自身が武器を開発することにいたしましても、国内で使うことが目的でございますから、それより以上のものをつくるとは私は思っておりません。そういう点で、誤解のないようにお願いをしておきます。
  133. 華山親義

    華山委員 私は、総理大臣は、大局的なことでお答えになることと思いましたけれども、たいへんこまかいところまでおっしゃいますから、私もこまかいことまで言わなければならない。それは東大のロケットですよ。東大のロケットというものは、それがそのまま武器にはならないでしょう。しかしこれがインドネシアに行きました場合に、立ち会ったのは、あれは軍人なんですよ。科学者は立ち会っておらない。そしてそのときに私が指摘したのでございまして、最近また新聞に出ておりますけれども、東大の宇宙航空研究所にはインドの軍人が入っているのです。総理大臣考えるほどなまやさしい問題ではないのです。  それから、日本では攻撃用のものはつくらないとおっしゃるけれども、局地的戦争、そういうものが世界各国に起こるじゃありませんか。その局地的戦争には十分使われるものなのだ。そういうような意味で、あれは防御的なものだからという甘い考えでは私は困ると思う。それは局地戦争には十分使われる。そういうふうなことから考えまして——また国際的にきめたことだとおっしゃいますけれども、日本は日本独自の自主性があっていいと思います。平和に徹すると言われる以上、日本の総理大臣の独自の立場の、平和に徹する考えがあっていいと思うのです。明快な御答弁は得られませんけれども、これで私の質問は終わります。
  134. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 華山君の御意見はよく伺っておきます。おりがとうございました。
  135. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 吉田賢一君。
  136. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 佐藤総理にお伺いします。  臨調の答申の行政改革を中心に、総理の御意見を伺ってみたいのであります。  この問題は、去年の二月の予算の際におきまして、私は若干触れましたけれども、その続き、発展となります。行政改革は、戦後二十三年の芦田内閣以来、数回にわたって、非常に広範な改革案が出ましたが、なかなかうまくいっておりません。そこで昨年の二月の予算のときには、前の臨調の会長の佐藤さんは、この答申を十分に実施するならば、時間、経費等加えて一兆円の節約になるのだろうという重大な御発言がございました。あなたの当時の御答弁といたしましても、二年有半の期間を費やし、ばく大な経費を投じ、すばらしい答申が出ました、これは十分に尊重していきたい、こういう基本的な態度が明らかになっております。そこで、その後引き続いて行政監理委員会もできて、だんだんとものが進んでいるようでありますけれども、しかし内容は非常に遺憾な状態であります。  そこで、これらにつきまして、総括的にまずあなたの御意見、基本的な態度、具体的に四十二年にどういうふうなプログラムを持っておられるのだろうか、そこを伺ってみたいと思います。
  137. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 吉田君に臨調の答申の詳細は申し上げませんが、よく御承知のとおりでございます。これはたいへん広範に、また各部門にまたがるものでございまして、なかなか簡単に、尊重すると申しましても、実現がすぐ右から左にできるものではございません。この点は御了承いただけると思います。しかし政府といたしましては、忠実にこれを実行に移すべく、いろいろ努力をいたしておる次第でございます。昨年はいろいろの要請がございましたが、公社公団は一切つくらないということを申しました。今回御審議をいただいております予算では、公社公団も、情勢の変化により必要なものはつくることにいたしましたが、しかしそれをつくる場合でも、他のものを整理して、そういう財源をもって新しいものをつくる、こういう方向でいこうじゃないかということで、これは協力を得まして、新しいものが五つ六つできたと思いますが、そのうち全然関係なしに新しくつくるというのは一、二でございまして、他は他のものをつぶして、そうしてこちらのほうの新しいものに乗り移る、こういうことでございます。また各省機構等におきましても、新しく局をつくる、あるいは部をつくるというようなこともございますが、これは時勢の、要請にこたえる意味におきまして必要でございます。そういう場合には、他のものをつぶしてこいということで、他を整理さして、そうして新しくこういう財源を求めろ、大体においてそういう方向へ大まかに行っていると思います。また各種審議会等につきましても、その整理の方向で、ただいま検討しているような次第でございます。
  138. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 これを推進するためには、私はやはり二つの大きな問題がひっかかっていると思います。一つは臨調も指摘して、そうして監理委員会におきましてもこれを全面的に肯定しておりまする大体四つの阻害要因があるらしいのです。国民の意識が低いこと。それからもう一つは、やはり国会とか政党自身がほんとうに積極的な、たとえば予算を獲得するときのような猛烈な熱意等が全然見られない、これが事実。もう一つは、行政府内部におきましてとかくこの問題には消極的である。四におきましては、各種団体がとかくこれについて事実上大きなブレーキになっておる、等々の関係もございまして、そういうことがございまするので、特に政府内部、あるいは国会、政党というものは、これは与党、政府一体でございますから、その責任におきましても、非常にこれは重要な立場にございます。そこで、この阻害要因に対する対策はどうするか。この点をほっておきましては、とても理想だけを追うていこうとするのでは現実は推進しません、実際問題として。どういうふうになされる御予定でありましょうか。
  139. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 いま、分類されて、阻害要因というものを出されました。まあ面接間接、政府部内の問題、これは私の責任において処理のできる問題でございます。また、しかし各政治家の問題の場合には、各人でひとつ自粛していただきたいし、また各種団体等の問題は、党の運営におきましても、これは私どもが十分注意することによりまして、弊害におちいらないで済むのじゃないだろうか。それぞれ指摘されるような阻害要因に対するそれぞれの道はあると思います。問題は、その熱意の問題、結局熱意がすべての困難さを解決するだろう、かように私は思っております。
  140. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 アメリカあたりにおきましては、市民委員会というものをつくったり、ずいぶん長い努力が広範に行なわれたのですが、同一のことを日本に求めましても、これは政治意識その他いろいろな従来の事情もございますから困難でございましょうが、一体どうすればもっと、国民的輿望をになったこの重大な問題が、戦後しばしば試みられていまだ実現しない行政改革の問題、しかも一兆円もし節約ができるとなれば、国民のためにはたいへんな収益であります。たとえ一円の金たりとも、有益に使ってもらいたい、節約したいというのが国民の願いでありますので、こういう見地から考えましても、何とか英知をしぼり、全力をあげまして、この推進に努力するということがあなたの御責任でないか、こういうふうに思うのですが、これならということを——しかしこういう点も協力しろというなら、われわれも微力ながらどうとでもしたい、こう思っておりますが、この点について、ずばりとしたお考えはないでしょうか。
  141. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 いま吉田君の御指摘のとおりでございます。これはもう私自身が最高の責任者でございますし、また直接の責任がある、かように思っておりますので、ただいまの各種委員会等におきましても、私の熱意で、また私の努力で、そういう問題が片づく、かように思いますので、これはお説のとおりと思います。
  142. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 この監理委員会におきましても、これは内閣が実行の決意を持つこと、それからその実現の断行につきましては、実行可能な具体案をすみやかに明らかにして、そうして内閣自身、総理大臣が先頭に立って事業遂行の決意を持って臨まれることを強く要望するというのが、行政監理委員会一つの結論です。だから、これは言うならば、あなたの幕僚と申しますか、管理庁長官が委員長です。そして行政管理庁が事実上いろいろとあっせん指導の役になっております。この委員会の結論です。こういうような大きな結論が出ておりますので、これはどうにもならぬとたんばに来ておるのではないだろうか、こう思うのですが、具体的な実行可能な案をすみやかに示すということ、まあいつぞやも六大重要施策ですか、あなたの重要施策の中に入っておったと思うのですが、ことしは相当推進するという決意が必要でないか、こう思うのですが、重ねてひとつお尋ねしまして、質疑をこれで終わります。
  143. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 ただいまお説のとおり、政府自身が重大なる決意をし、そうして熱意をもってこれを実現する、こういうことでなければならないと思います。また決算委員の皆さんをはじめ、また各方面から、これはたいへんな鞭撻を受けております。ことに吉田君からはもうしばしば政府は鞭撻を受けておるのでございますから、この上とも一そう熱意、決意を固めまして、この問題と取り組んでまいりますので、この上ともよろしく御叱正、御鞭撻のほどをお願いいたします。
  144. 鍛冶良作

  145. 浅井美幸

    浅井委員 今回、三十九年度の決算の総括にあたって、総理にお伺いしたいのですが、会計検査院の問題であります。今回、三十九年度決算をながめまして、共和製糖の問題がいろいろあげられましたけれども会計検査院検査指摘の状態、これが非常に政党色が濃いというか政治色の濃い問題については、必要以上に慎重となって、あるいは権勢におもねるというか、そういう傾きがあったように考えられるわけです。なぜかと申しましたならば、三十九年八月、四十年四月、四十年八月等々に会計検査院では検査を行なっておるけれども、正式な三十九年度あるいは四十年度の検査報告の中に審査の結果が報告されていない、このようなことについては、会計検査院法の第一条には内閣からの独立が規定されておりますけれども、この検査官の任命が、内閣による、国会の同意を得るという任命制度にやや問題点があると思うのですが、この点について、総理の御所見をお伺いしたいわけです。
  146. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 浅井君にお答えしますが、会計検査宿の任命、あるいは先ほどもお話がありました院長の互選、こういう独自性、これは十分保たれておると、かように私は確信しております。また国会におきましても、こういう点につきましては、会計検査院の仕事の中立性の観点に立ちまして、それらの承認等につきましては、非常に至れり尽くせりのような気を使っていらっしゃる、かように私は思いますので、いまこの制度を直ちに改正しなければならぬとは思いません。しかし誤解のないように一そういたしたいものだ、かように思いますが、それにはやはり独自性、また国会自身が権威のある承認方法をとる、これ以外にないんじゃないだろうかと思っております。
  147. 浅井美幸

    浅井委員 先ほど、ニュースで報道されたわけですが、ベトナムで、ベトコンの襲撃によって日本人の船員が死傷したと報じられておりますが、このことについて、総理御存じでしょうか。
  148. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 サイゴンで襲撃を受けたのはLSTでございます。その乗り組み員が一人死に、四名負傷した、かようなことは聞いております。まだその氏名等は明らかでありませんし、またどういうような仕事をしておる乗り組み員か、その職種等もただいま調査中でございますが、一応耳に入っております。
  149. 浅井美幸

    浅井委員 現在、ベトナム特需といわれて、日本の人たちがベトナムにおもむいておるということはしばしば聞いておるわけであります。このような状態から、ベトコンから今後日本のいわゆるそういう船舶、いろいろな船員に対して攻撃があった場合、また今回のことについて、総理は、日本の国民の保護という立場から、日本の国として正式にこの問題について抗議をなされるかいなか、この点についてお伺いしたいのです。
  150. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 このLSTの乗り組み員の問題は、いままでもしばしば国会でお答えをし、そうして御審議をいただいた問題でございます。これはまあ外地で、乗員を、日本人を雇用したり、あるいは内地で雇用したり、いろいろの雇用の形がございます。こういうLSTの乗り組みを全部禁止したらどうか、こういうような御意見も一部出ておりますが、補給の船でありますし、これは面接戦闘に参加するものではございませんし、また、ただいまの日米安全保障条約、行政協定等からも、こういう問題について、タッチできる問題でございます。そういう意味で、ただいままでは、在来のあり方そのままで経緯しておるのでございます。しかし今後こういうような不幸な事態がたくさんできると、こういうような危険があれば、政府自身もまた考えなければならないと思います。しかし、ただいまのがどういう状態でございましたか、実情がもっと詳細にわかってこないと、ただ単なる補給船がどういうわけでベトコンの襲撃を受けたか、そこらにも一つの問題があるようにも思いますので、これはもう少し慎重に、その態度は調査の上きめたい、かように思います。
  151. 浅井美幸

    浅井委員 最後に、先ほども質問が出ましたが、私ども公明党においても、国民の要望にこたえて、過去四回政治資金規正法の改正案を提出しております。その第一点は、わが党の特色は、政治活動については、番付をなし得る主体は個人として、団体は認めない、第二点としては、個人による寄付の額は年間二十万をこえてはならない、等々のことを言っております。したがって、今回の審議会の答申の内容については、非常に私たちは不満を持っております。しかしながら百歩譲って、今回の答申の実現がされるならばというわけで、漸進という見地から認めようとするものであります。したがって、答申内容より私たちの考え方はきびしくなりこそすれ、これがゆるめられるということは非常にあり得ないことであります。総理はこの答申の立法化に勇断を持って臨まれると聞いておりますけれども、あの答申の内容の中の五ヵ年の問題であります。これは時限立法といいますか、団体寄付を認める、答申の内容は、おおむね五年間という制約を加えておりますけれども、これに対して総理は、これを明らかに法文化するお考えがあるかどうか、この点をしかと承りたいのであります。
  152. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 この政治資金規正について、公明党あるいは社会党、民主社会党、たいへん熱意を示しておられる。そして政府に対してもしばしば申し出がありまして、政府で立案する際に、これを骨抜きにするようなことがあってはならない、こういう——ちょうどいま立案の最中でございますが、そういう際の事前に、そういう間違いの起こらないように、御注意をいただいております。私は、皆さま方の、国民からの至上命令に対する熱意のあるところを、よく理解ができるのであります。ただ、私はしばしば申し上げておりますように、政治が全然金なしでできるわけじゃございません。必要な金、これは当然、党活動をするためにも、その金が必要なのであります。問題は、度はずれた金が使われるとか、あるいはまた、その金を集めるにしましても、誤解を受けるようなルートから金を集める、こういうようなことが実は問題になるのだと思います。全然政治に金を使ってはならぬ、いわゆる政党の存立を否定するようなことにならないようにはしたいものだと思っております。そういう意味から、今回答申をいただいたものも、将来もっと政党が成長し、そして国民の政治に対する関心度も変わってくれば、金の集め方ももっと変えていいのではないか。そういう意味で、今回の問題は、経過的なものとしても、まあ五年くらいこういう形でいって、その次にさらにもっときびしいものになるべきじゃないだろうか、こういうのが答申の骨子だと思っております。したがいまして、ただいまいろいろ苦心しておりますが、できるだけこの方針に沿って尊重ができるように、そういう成案を得るように、いま事務当局を督励しておる最中でございます。  先ほど、華山君からもだいぶん先ばしった御批判を受けましたけれども、これはいま成文化するその際に、将来の審議に必ず問題になるのだから、事前に注意しろ、こういうような御意見だ、かように思って拝聴いたしております。問題はなかなかむずかしい問題だし、在来からの経緯もございますから、この際にほんとに勇断を持たないと、こういう問題は、できないように思います。そうして、ほんとに日本の国の政治、政党をりっぱなものに育て上げ、そして政治そのものを浄化する、こういう熱意の結晶、成果でなければならぬ、かように思いますので、そういう意味で、さらに注意もいたすつもりであります。  私は、高橋調査会長と会いました際に、さらに今後とも、この成案を得るについては、一そう連絡を緊密にしますから、ただもう答申をしたのだから、それで私どもはもう関係なし、こういうことにならないようにひとつしてもらいたい、そういう話をいたしましたら、高橋会長は、どうもいま時節柄政治資金の問題が一番先にやり玉に上がるけれども、選挙制度審議会そのものは、これは実は本来の筋じゃございませんので、だけど、ただいまの時局柄、時勢柄、国民の最も関心のある問題ですから、これを先に取り上げました、こういうようなお話でございます。したがいまして、この取り上げられた問題がもしも万一のことがあると、あとの審議にもお困りになるのではないか、高橋会長そのものも、あとの審議についても協力できないような立場にもあるようでございますので、私ども政府としては、よほど慎重にこれと取り組むつもりでございます。御了承願います。
  153. 浅井美幸

    浅井委員 以上で終わります。
  154. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 これにて、昭和三十九年度決算外二件に対する質疑は終了いたしました。     —————————————
  155. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 昭和三十九年度決算についての議決案は、理事会の協議に基づき、委員長において作成し、各位のお手元に配付いたしてあります。これより議決案を朗読いたします。      議 決(案)   昭和三十九年度一般会計歳入出決算、同年度特別会計歳入歳出決算、同年度国税収納金整理資金受払計算書及び同年度政府関係機関決算書につき左のごとく議決すべきものと議決する。   本院は、毎年度決算の審議に際し、予算の効率的執行並びに不当事項の根絶について、繰り返し政府に注意を喚起してきたにもかかわらず、依然として改善の実があがっていないのは、まことに遺憾である。  (一) 本年度決算審査の結果、予算執行が適切を欠いたため、その効率的使用等所期の成果が十分達成されていないと思われる事項が見受けられる。    左記事項はその主なる事例であるが、政府はこれらについて特に留意して、適切な措置をとるべきである。   (1) 地方公共団体等が、国の補助をうけて施行している農林水産業施設、公共土木施設等の建設、改良、災害復旧等の工事の施行および補助金の経理、ならびに農林省、運輸省、建設省の行なう災害復旧事業費の査定については是正、改善を要する点が多い。補助工事の施行においては、設計に対して出来高不足、粗漏工事、工事費の積算過大等の事例がみられる。     これらについて、事業主体に対し、工事実施体制の整備、しゅん功検査の励行、工事費積算基準の適切な適用等について、指導するとともに、国の行なう監督、検査の徹底を期すべきである。     災害復旧事業費の査定においては、被災の事実がないもの、通常の維持管理に属するような軽微な被害であるもの等を災害復旧事業として査定しているもの、設計ならびに積算が過大となっているもの等の事例が多数見受けられる。     これらについては事業主体が災害に名をかりて、改良工事を施行しようとする傾向を是正し、現地に適合した復旧計画を作成するよう指導するとともに、被災の実情に即した設計、積算によって事業費の適正な査定を行なうよう努めるべきである。   (2) 地方公共団地が、国庫補助負担金の交付をうけて行なう事業については、補助単価等が実情にそぐわない等のため、地方公共団体は、多額の超過負担を余儀なくされているばかりでなく、事業遂行にも支障を来たしている面も見受けられる。     政府は、これら補助負担金について、地方財政法の定める所に従い補助単価の適正化等の措置により、これら超過負担の解消を図るとともに、事業の円滑なる遂行に資すべきである。   (3) 農林省所管特定土地改良工事特別会計において、国が施行し干拓工事によって造成された土地が、農業の用に供されないで、他の用途に転売されたり、またその処理がなされないまま遊休しているものが多数見受けられる。     これらは事業計画立案後の経済事情等の変化により周辺地域の土地利用の状況が農業用地として干拓地を利用する意義を失わせたことによるものであるが、かような事態を招かないためには、長期的見透しにたって事業計画を立案すること、工事着手後も、経済事情の変化に応じて、当初計画を適宜修正して、完成後の効率的利用をはかることが望ましい。     長年月にわたって転用処分が未済のまま遊休しているものについては、地元地方自治体との折衝によりその利用、処分を促進すべきである。     また、事業の施行状況をみると、その着工から完了までにかなりの年数を経過しているものが多いが、これについては着工地点を可及的に厳選整理し、事業費等をこれに集中して、工事の早期完成に努めるべきである。   (二) 各種直轄工事の施行、補助金委託費等の経理、国有財産の管理処分、公社公庫等の経理、職員の不正行為等について、本院は連年政府に対して、注意を喚起して来たが、本年度においてもなお改善を要する点が多く認められる。     政府は本院の決算審議によって明らかにされた諸点について、十分に反省検討を加えて、将来の改善、向上に努めるべきである。   (三) 昭和三十九年度決算検査報告において会計検査院指摘した不当事項については、本院においてもこれを不当と認める。     政府は、これら指摘事項について、それぞれ是正の措置を講ずるとともに、今後再びこのような不当事項が発生することのないよう、制度、機構の改正整備を図り、官紀を粛正して万全を期すべきである。   (四) 決算のうち、前記以外の事項については異議がない。     政府は、今後予算の作成並びに施行にあたっては、本院の決算審議の結果を十分に考慮して、財政運営の健全化を図り、もって国民の信託にこたえるべきである。  以上でございます。     —————————————
  156. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 これより、議決案に対する討論を行ないます。  討論の通告がありますので、これを許します。高橋清一郎君。
  157. 高橋清一郎

    ○高橋(清)委員 私は、自由民主党を代表して、昭和三十九年度決算に対し、ただいま委員長御提案の議決案に賛成いたすものであります。  私どもは、過去一年、本決算を審議いたしてまいりまして、各省における決算事項、さらに現在の予算執行状況等につきまして、逐一事情を聴取してきたのであります。なお、審議の過程において明らかにされましたところについて、そのつど政府に改善あるいは善処を求めたことも数多いのでございます。ただいまの議決案は、もとよりこれらを全部網羅いたしておるものではございませんが、本年度決算審議の締めくくりにあたりまして、特に政府に対し、将来の改善、検討をお願いいたすものとして、私はこれに賛成の意を表するものであります。  政府におかれましては、予算執行、行政の合理的運営等に、当委員会の審議の成果を十分に取り入れ、反映させていただくよう、強く要望いたしまして、ここに賛成の討論を結びたいと存じます。
  158. 鍛冶良作

  159. 華山親義

    華山委員 日本社会党を代表いたしまして、賛成の意見を申し述べます。  ただいま御提案になりましたものにつきましては、私どもは、これによって当委員会の任務を果たしたものであるかということにつきましては、疑問を持っておるものでありますけれども、今日の会計検査院の機能、それから提出されるところの資料によりまして、この程度のものしかできないのでございましたらやむを得ぬものといたしまして、賛成をいたします。  ただ、この議決案につきましては、従来あまりなかったことといたしまして、地方財政の超過負担の解消を書き加えた。これは地方財政法第十八条でございます。よくごらんくださって、ただいまの超過負担は違法なものであるということを認識していただきたい。そして超過負担をすみやかに解消していただきたい。このことを申し添えまして、賛成いたします。
  160. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 吉田賢一君。
  161. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 私は、民主社会党を代表いたしまして、賛成の意を表するものであります。  理由は、議決案に盛られております各予算執行等における不当事項につきましては、そのとおりでございます。ただ問題の根本は、全体の政治と行政の姿勢が正されること、特に行政につきましては、国全体、中央地方を通じまして、相当な抜本的改革がなされ、反面、これと並行いたしまして、財政の再配分等、行政とともに財政制度の改革が行なわれること、かくいたしまして、国民の税金、国民の財産を一円たりともむだにしない、これは全国民のために有益に使い、あるいは管理すべきものであるという考え方にだんだんとなることが必要でございまして、これを推進することは国会の重大な責務でございますから、みずから省みまして、お互いにえりを正してその目的に進んでいく、こういう見地に立って、私は、その過程における三十九年度の決算の議決案としては、賛成の意を表するものでございます。
  162. 鍛冶良作

  163. 浅井美幸

    浅井委員 私は、公明党を代表いたしまして、ただいま議題となりました昭和三十九年度一般会計歳入歳出決算外三件を承認できないことを表明するものであります。  ただ、この際特に申し述べたいことは、ただいま朗読されました議決案についてであります。すなわち、その(一)、予算執行が適切を欠いたため、その効率的使用等所期の成果が十分達成されていないと思われる事項、(二)に述べられた政府に対して注意を喚起された点、及び(三)の検査院の不当事項はそのまま認めたこと、そして、最後に、これらの悪い点を今後なくするようにせよとの政府への要望、これらについては、私は、まことに当然しごくのことと存ずる次第であります。  しかし、ここで一言つけ加えさしていただきたいと思いますが、この議決案において、あれだけ国民の注視を浴びた共和製糖問題について一言も触れていないことは残念だということであります。  わが党は、次のような試案を本議決案に追加すべく、委員長の御手元まで提出しました。すなわち「いわゆる共和製糖事件については、国税徴収、国有林の交換処分及び政府関係金融機関等の融資の面などについて、妥当性を欠く事態があったことは遺憾である。政府は、本件について明快な事後措置を期するとともに今後、厳にこのような事態が再び発生しないよう抜本的対策を講ずべきである」以上であります。  この問題は、共和グループの国税の脱税をとりましても、国有林の交換処分による受け地が国有林の現在額として三十九年度分となっている事実からしても、はたまた政府関係金融機関融資時点及びそれぞれの機関の三十九年度の融資残高の面からしましても、ただいま議題となっている三十九年度決算それ自体の問題であり、それゆえにこそ、私も本日の三十九年度決算の総括質疑において、質問し、また本委員会において、数回にわたりこの共和問題が他委員により審査がなされたわけであります。わが党の事前の提案がなされながら、この重要問題を抜きにしたこのような議決案が出されているのは残念であり、理不尽に存ずる次第であります。  次に、本決算の不承認の内容を申し述べます。それは、この議決案の「(四)決算のうち、前記以外の事項については異議がない」という字句に対するものであります。  以下、若干の点につき、本決算を承認できない理由を申し述べます。  第一点は、この決算国会に提出されるまでの経緯について疑点が残るからであります。御承知のように、憲法第九十条におきましては、「国の収入支出の決算は、すべて毎年会計検査院がこれを検査し、内閣は、次の年度に、その検査報告とともに、これを国会に提出しなければならない。会計検査院の組織及び権限は、法律でこれを定める。」と規定し、会計検査院法、第一条には「会計検査院は、内閣に対し独立の地位を有する。」となっているのであります。このような内閣に対する独立の地位が会計検査院に与えられているゆえんは、言うまでもなく、民主政治の基本として、会計検査がきわめて重要な機関であり、時の権勢から独立する地位に立たなければ、その重要な使命が果たせないからであります。ところが会計検査院の態度は、はたして、この時の権勢からの独立の地位をき然と守っているでありましょうか。たとえば、共和問題の一環となりました、農林漁業金融公庫の共和関係の細島甘味コンビナート建設に対する融資のうち、三十九年十月六日の四億円の貸し付け払い出しは、ブドウ糖機械の製作を目的とするものであったのに、これを精糖機械のほうの支払いに当てたことは、会計検査院承知していたにもかかわらず、検査院は、これを三十九年度決算検査報告に記述しないのみならず、衆参両院の本問題の審査過程においても、このことを遂に表明していないのであります。  私はこの検査院の態度を、過去しばしば地方公共団体等に対する同公庫の貸し付けについて、ささいな金額について、目的外使用だといって、きびしい指摘をし、直ちに繰り上げ償還の措置をとらせるに至った事例と、今回のこの四億とを比較してみるとき、時の権勢におもねり、院法第一条、すなわち、「内閣に対し独立の地位を有する。」を実践し切っていないことを明確に物語るものであります。
  164. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 簡潔に願います。
  165. 浅井美幸

    浅井委員 このように、会計検査院検査態度について、院法第一条に霧がかげっていることは、民主国家における会計検査機能の重要性を思うとき、きわめて遺憾に存ずるわけであります。関係者の大奮起を求めるものであります。  昭和三十九年度決算について、検査院当局がこのような検査をしましても、憲法及び法律の定めるところによる十分の「検査を了した」とは断じて言えないものであります。すなわち、この決算は、国会に提出される以前において、疑点を残した決算だと言わざるを得ないのであります。  第二点は、前にも触れましたとおり、共和問題は、三十九年度決算自体の問題でありますが、この決算に、日本社会党が、この決算において、その一部について犯罪容疑ありとして告発した事項を含んでいることは、この決算自体をどう評価するかについて重大な問題であると思うのであります。  この社会党の告発、すなわち共和社長を四十一年十一月十九日、私文書偽造罪、偽造私文書行使罪に該当する行為ありとして行なったものであり、現在検察当局の捜査の結果においても、いよいよその犯罪容疑は確然たるものとなったのであります。特に、いわゆる領収証、印鑑等の偽造は、政府調査によっても認められているところであり、公金の授受がこのような犯罪行為によってとり行なわれたことは、決算委員として、この決算全体を不承認とするに十分なる要件であると信ずるものであります。  第三点について申し述べます。この三十九年度決算の出発点であり、うらはらでもある同年度予算については、わが党は、この予算を実行するとき、必ずや物価騰貴に拍車をかけ、同年計画改定をした道路港湾等各種の……。
  166. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 浅井君に申し上げます。いまはこの議案に対しての意見なんですよ。
  167. 浅井美幸

    浅井委員 そうです。この意見です。
  168. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そのつもりでやってもらわなければ……。
  169. 浅井美幸

    浅井委員 やっております。
  170. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 ひとつ簡潔にやってください。
  171. 浅井美幸

    浅井委員 各種の公共投資の長期計画も物価騰貴の波のまにまに、それらの実質事業量の伸びは、増大した名目的投資額と相応しなくなっていくことを警告していたのでありますが、この三十九年度予算執行を振り返りますとき、政府はこの予算に対する警告に耳をかさず、物価騰貴に対して無為無策に終始したことは明白であります。  このような三十九年度予算執行の結果、すなわち、三十九年度決算について、物価騰貴量を放任した予算執行であったことに目をおおって、これを承認するわけにはいかないのであります。  この物価問題は、今日に至るも、いまだその安定対策に見るべきものがなく、国民大衆生活に、将来国民経済の各部面に深刻な影を投げているのであります。  第四点としては、内閣の国会決算を提出する趣旨についての疑義であります。内閣の決算提出の趣旨は、相変わらずあいまいもことしているのであります。  本日、ただいまの三十九年度決算議決の取り運びも、委員長から御提案されて賛否の意見が問われておりますのは、昭和三十九年度決算そのものではなく、議決案に対してであります。この決算議決のやり方が、慣例だとは申せ、決算それ自体に対して、そのものずばり最終的評価をなし、承認か不承認かの直接の意思表示をする機会が失われていることははなはだ不本意なものが残るのであります。  聞くところによると、近年内閣の国会に対する決算の提出にあたっては、従来の慣例を破って、衆参両院の本会議において、その概要の説明を受け、各党代表による質疑が行なわれるという新しい先例がつくられているとのことであるが、もう一歩を進めて、内閣の決算提出の趣旨はどこにあるかを明確にする決算取り扱い方式が打ち立てられなければならないのであります。したがって、ここに従来の慣例どおり、おざなりの単なる報告扱いの提出方式をとっている昭和三十九年度決算につきまして、承認しがたいのであります。  以上、会計検査院をはじめ、政府関係ある当局の格段の配慮を強く要望して、昭和三十九年度決算不承認の討論といたします。
  172. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 これにて討論は終局いたしました。  これより採決いたします。  昭和三十九年度一般会計歳入歳出決算昭和三十九年度特別会計歳入歳出決算昭和三十九年度国税収納金整理資金受払計算書昭和三十九年度政府関係機関決算書を議決案のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  173. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 起立多数。よって、議決案のとおり決しました。  次に、昭和三十九年度国有財産増減及び現在額総計算書昭和三十九年度国有財産無償貸付状況計算書、以上二件を一括し討論に入るのが順序でありますが、討論の通告もございませんので、直ちに採決に入ります。  両件は、いずれも是認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  174. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 起立多数。よって、両件は是認すべきものと決しました。  なお、ただいま議決いたしました各件の委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  175. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたします。     —————————————   〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  176. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 この際、大蔵大臣より発言を求められておりますので、これを許します。水田大蔵大臣
  177. 水田三喜男

    水田国務大臣 ただいま御決議の点は十分尊重いたしまして、各省各庁と十分連絡をいたし、その趣旨の徹底をはかりまして、遺憾なきを期したいと存じます。
  178. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後零時五十一分散会