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1967-03-28 第55回国会 衆議院 決算委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年三月二十八日(火曜日)     午前十時十八分開議  出席委員    委員長代理理事 吉川 久衛君    理事 小峯 柳多君 理事 小山 省二君    理事 白浜 仁吉君 理事 高橋清一郎君    理事 中村 重光君 理事 華山 親義君    理事 吉田 賢一君       篠田 弘作君    菅波  茂君       丹羽 久章君    葉梨 信行君       水野  清君    村山 達雄君       矢尾喜三郎君    鈴切 康雄君       阿部 喜元君  出席国務大臣         国 務 大 臣 二階堂 進君  出席政府委員         警察庁長官   新井  裕君         警察庁長官官房         会計課長    土田 国保君         警察庁保安局長 今竹 義一君         警察庁交通局長 鈴木 光一君         科学技術政務次         官       始関 伊平君         科学技術庁計画         局長      梅澤 邦臣君         文部大臣官房会         計課長     井内慶次郎君  委員外出席者         文部省大学学術         局審議官    岡野  澄君         通商産業省重工         業局次長    赤沢 璋一君         会計検査院事務         総局第一局長  斎藤  実君         会計検査院事務         総局第二局長  井上  鼎君         専  門  員 池田 孝道君     ————————————— 三月二十五日  委員菅波茂辞任につき、その補欠として中曽  根康弘君が議長指名委員に選任された。 同日  委員中曽根康弘辞任につき、その補欠として  菅波茂君が議長指名委員に選任された。 同月二十六日  委員江崎真澄辞任につき、その補欠として村  山達雄君が議長指名委員に選任された。 同月二十八日  委員村山達雄君及び浅井美幸辞任につき、そ  の補欠として江崎真澄君及び鈴切康雄君が議長  の指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和三十九年度一般会計歳入歳出決算  昭和三十九年度特別会計歳入歳出決算  昭和三十九年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和三十九年度政府関係機関決算書  昭和三十九年度国有財産増減及び現在額総計算  書  昭和三十九年度国有財産無償貸付状況計算書   〔総理府所管警察庁科学技術庁)〕      ————◇—————
  2. 吉川久衛

    吉川委員長代理 これより会議を開きます。  委員長が所用のため、委員長指名によりまして、私が委員長の職務を行ないます。  昭和三十九年度決算外二件を一括して議題といたします。  本日は、総理府所管中、警察庁及び科学技術庁関係決算について審査を行ないます。  まず、各関係決算概要について、当局より順次説明を求めます。新井警察庁長官
  3. 新井裕

    新井政府委員 昭和三十九年度警察庁関係歳出決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。  第一に警察庁の項であります。  当初予算額は百五十一億八千六百十六万五千円であり、予算補正追加額が三億五千三百三十三万五千円、予算補正修正減少額が二億三千五百四十三万八千円ありますので、歳出予算額は百五十三億四百六万二千円となったのであります。これに予備費使用額が九百七十一万七千円、移用増加額が千八百七十七万七千円ありますので、歳出予算現額は百五十三億三千二百五十五万六千円となっております。  この歳出予算現額に対しまして、支出済み歳出額は百五十三億二千八百三十九万五千二百九十円でありまして、不用額は、四百十六万七百十円となっております。  この経費は、警察庁及びその付属機関並びに地方機関自体経費のほか、都道府県警察に要する経費のうち警察法の規定に基づき国庫が支弁する警視正以上の階級にある警察官俸給その他の給与及び警察職員の教養、警察通信警察装備犯罪鑑識犯罪統計警衛警備、国の公安にかかる犯罪その他特殊犯罪捜査等に必要な経費でありまして、不用額を生じましたおもなものは、職員俸給等人件費でありまして、職員退職等に伴い、予定より職員俸給等を要することが少なかったこと等によるものであります。  予算補正追加額の三億五千三百三十三万五千円は、昭和三十九年九月以降政府職員給与を改善するために要した経費であります。  予算補正修正減少額の二億三千五百四十三万八千円は、既定予算節約額を修正減少したものであります。  予備費使用額の九百七十一万七千円は、昭和三十九年六月十六日発生の新潟地震災害地における警察活動に要する経費支出する必要がありましたので、その経費予備費から使用することについて、昭和三十九年九月十八日閣議決定を経たものであります。移用増加額の千八百七十七万七千円は、職員退職者が多かったので、退官退職手当に不足を生じたため総理府本府より移用をしたものであります。  第二は、科学警察研究所の項であります。当初予算額は一億二千二百二万六千円であり、予算補正修正減少額が百二十二万五千円でありますので、歳出予算現額は一億二千八十万一千円となっております。この歳出予算現額に対しまして支出済み歳出額は一億一千八百七万五千六百八十一円でありまして、不用額は二百七十二万五千三百十九円であります。この経費は、警察庁付属機関である科学警察研究所自体経費でありまして、少年の非行防止交通事故防止等交通警察その他犯罪防止並びに科学的犯罪捜査についての実験研究及び鑑定のために必要とした経費であります。  不用額を生じましたおもなものは、職員俸給等人件費でありまして、職員退職に伴い、予定より職員俸給を要することが少なかったこと等によるものであります。予算補正修正減少額既定予算節約額を修正減少したものであります。  第三は皇宮警察本部の項であります。当初予算額は五億八千七百六十二万円でありまして、予算補正追加額が二千四百二十六万六千円、予算補正修正減少額が五十九万二千円でありますので、歳出予算現額は六億一千百二十九万四千円となっております。これに対しまして支出済み歳出額は六億九百三十二万五千五百八十五円でありまして、不用額は百九十六万八千四百十五円であります。この経費は、警察庁付属機関である皇宮警察本部自体経費でありまして、天皇及び皇族の警衛皇居及び御所の警備その他皇宮警察に必要とした経費であります。  不用額を生じましたおもなものは、職員俸給等人件費でありまして、職員退職等に伴い所要額予定より減少したことによるものであります。  予算補正追加額二千四百二十六万六千円は、昭和三十九年九月以降政府職員給与を改善するために必要とした経費であります。予算補正修正減少額五十九万二千円は、既定予算節約額を修正減少したものであります。  第四は、警察庁施設費の項であります。当初予算額は十一億三千百七十二万二千円であり、予算補正修正減少額が三千三百九十五万一千円。前年度より繰り越した額が一億二千二百六十万九千円ありますので、歳出予算現額は十二億二千三十八万円であり、この歳出予算現額に対しまして、支出済み歳出額は十一億八千五十八万六千七百三十二円でありまして、翌年度へ繰り越した額が三千九百六千万円ありますので、不用額は十九万三千二百六十八円となっております。この経費は、警察庁関係庁舎等施設整備するため必要な経費でありまして、そのおもなる内訳は、警察総合庁舎の新営工事の経費のほか、都道府県警察学校その他の施設整備するために必要とした経費であります。  前年度より繰り越した一億二千二百六十万九千円は、警視庁第一機動隊庁舎新築工事警察庁装備課秋多分室新築工事皇居警察本部待機寮新築工事及び皇居警察本部吹上護衛署新築工事に要した経費の一部または全部でありまして、いずれも三十九年度中に事業を終わりました。  予算補正修正減少額三千三百九十五万一千円は、既定予算節約額を修正減少したものであります。  翌年度へ繰り越しました三千九百六千万円は、警視庁第三機動隊庁舎新築工事警察総合庁舎新築工事に要する経費でありまして、いずれも基本設計に著しい変更をしなければならなくなったこと等、やむを得ない事情によって事業遂行がおくれ、年度内支出が終わらなかったことによるものであります。  第五は都道府県警察費補助の項であります。当初予算額は五十五億七千三百三十四万七千円でありますが、前印度より繰り越した額が千三百十五万六千円ありますので、歳出予算現額は五十五億八千六百五十万三千円となっております。この歳出予算現額に対しまして、支出済み歳出額は五十五億八千六百五十万三千円であります。この経費警察法及び同法施行令の定めるところによりまして、都道府県警察に要する経費の一部を補助したものであります。  前年度より繰り越した千三百十五万六千円は都道府県警察署等施設整備費補助金及び都道府県警察官待機宿舎施設整備費補助金の一部でありまして、岡山県倉敷警察署庁舎新築工事長崎長崎水上警察署庁舎新築工事及び香川県警察官待機宿舎新築工事にかかるものでありますが、いずれも昭和三十九年中に事業を終わりました。  第六は国立機関原子力試験研究費の項であります。この経費歳出予算現額百六十五万九千円は、昭和三十九年度一般会計予算総則第四十条に基づき、昭和三十九年四月一日大蔵大臣承認によりまして、科学技術庁から移しかえを受けたものでありまして、科学警察研究所において、放射線利用に関する研究のため必要な機器購入等に要したものであります。  第七は特別研究促進調整費の項であります。この経費歳出予算現額五千百九十五万五千円は、昭和三十九年度一般会計予算総則第四十条に基づき、昭和三十九年十月七日大蔵大臣承認によりまして、科学技術庁から移しかえを受けた経費でありまして、科学警察研究所及び警視庁において、東京都心部における広域交通管理方式、すなわち交通需要に応じて作動する広域系統式信号機群制御等研究のため必要な機器購入に要するものであります。  翌年度へ繰り越しました四千七百九十五万八千円は、各種調査遅延実施区域変更、主制御装置等機器の選定及び仕様の決定遅延等によりましてやむなく事業遂行がおくれ、年度内支出が終わらなかったものであります。  第八は庁舎等特別取得費の項であります。この経費歳出予算現額は三億九千七百九十一万三千円となっております。この歳出予算現額に対し、支出済歳出額は六千五百万円でありまして、翌年度へ繰り越した額が三億三千二百九十万二千八百円ありますので、不用額は一万二百円となっております。  この経費は、二件ありまして、一件は、富山警察学校土地建物工作物富山県庁に譲り渡し、これにかわる施設建築交換により取得するため、昭和三十九年度一般会計予算総則第四十二条に基づき、昭和三十九年十一月二十四日大蔵大臣承認によりまして、大蔵本省から移しかえを受けたものでありまして、予定どおりその事業を終わりました。他の一件は、四国管区警察局土地建物工作物株式会社竹中工務店に譲り渡し、これにかわる施設建築交換により取得するため、昭和三十九年度一般会計予算総則第四十二条に基づき、昭和三十九年十二月十五日大蔵大臣承認によりまして、大蔵本省から移しかえを受けたものでありまして、工期の関係上、年度内支出が終わらなかったものであります。なお不用額一万二百円は、四国管区警察局施設の処分と、これにかわる同局の施設を取得するにあたり、土地評価の差額によるものであります。  第九は、警察庁施設その他災害復旧費の項であります。歳出予算現額は五千百九十二万六千円でありまして、この歳出予算現額に対しまして、支出済み歳出額は五千百九十一万二千三百四十三円ありますので、不用額は一万三千六百五十七円となっております。  この経費は、新潟地震に伴い警察庁施設その他災害復旧、及び災害地における警察活動に必要な経費として、昭和三十九年九月十八日閣議決定により予備費使用承認されたものでありまして、そのおもな内訳は、新潟警察学校復旧補修新潟中央警察署及び東警察署山形県内駐在所その他の復旧補修工事費と、警察通信施設復旧用機器類警察装備用品類購入であります。  以上で各項別概要を御説明申し上げましたが、これを総括して申し上げますと、当初歳出予算額は二百二十七億四千百九万二千円でありまして、これに予算補正追加額三億七千七百六十万一千円、予算補正修正減少額四億一千百四十一万八千円、予算移しかえ増加額四億五千百五十二万七千円、前年度繰り越し額一億三千五百七十六万五千円、予備費使用額六千百六十四万三千円、移用増加額一千八百七十七万七千円を加減しますと、歳出予算現額二百三十三億七千四百九十八万七千円となります。この歳出予算現額に対しまして、支出済み歳出額は二百二十九億四千五百三十七万九千百九十一円でありまして、翌年度繰り越し額四億二千四十六万八百円、不用額九百十四万七千九円となっております。  以上、警察庁関係経費決算について概要を御説明いたしました。何とぞよろしく御審議のほどお願いいたします。
  4. 吉川久衛

  5. 始関伊平

    始関政府委員 科学技術庁昭和三十九年度決算について、その概要を御説明申し上げます。  まず、歳出予算現額は百四十億四千八十五万円でありまして、これに対する支出済み歳出額は百三十四億四千五百九十八万円となっております。  次に、そのおもなる費途についてその大略を御説明いたしますと、第一に、原子力関係経費として九十三億七千三百九十七万円を支出いたしました。これは日本原子力研究所原子炉等研究施設整備原子燃料公社原子燃料研究施設整備国立機関における原子力試験研究実施民間企業等原子力試験研究助成等原子力平和利用促進をはかるために支出したものであります。  第二に、試験研究機関経費として二十八億六千三百五十六万円を支出いたしました。これは当庁付属試験研究機関のうち、航空宇宙技術研究所金属材料技術研究所及び国立防災科学技術センターにおける研究施設整備等実施、並びに宇宙開発推進本部における宇宙科学技術研究開発のための経費として支出したものであります。  第三に、科学技術試験研究費補助金等として一億八千四百三十三万円を支出いたしました。これは人工降雨水質汚濁防止等科学技術の総合的、基礎的、共通的試験研究及び資源の総合的利用方策実証的調査に対する補助金委託費のほか、発明奨励のための発明実施化試験費補助金等を交付するため支出したものであります。最後に、重要総合研究等推進をはかるための特別研究促進調整費科学技術者資質向上のための海外派遣費、日本科学技術情報センター及び新技術開発事業団事業実施並びにこれら両法人の合同ビル建設資金に充てるための政府出資金並び科学技術庁一般行政費等として十億二千四百十二万円を支出いたしました。  以上、簡単でありますが、昭和三十九年度科学技術庁決算の大略を御説明申し上げました。  よろしく御審議のほど、お願いいたします。
  6. 吉川久衛

    吉川委員長 代理続いて、会計検査院当局より、検査の概要説明を求めます。井上会計検査院第二局長
  7. 井上鼎

    井上会計検査院説明員 警察庁関係昭和三十九年度決算について検査いたしましたところ、特に違法または不当と認めた事項はございません。  以上でございます。
  8. 吉川久衛

  9. 斎藤実

    斎藤会計検査院説明員 昭和三十九年度科学技術庁所管決算について検査いたしました結果は、特に違法または不当と認めた事項はございません。
  10. 吉川久衛

    吉川委員長代理 これにて説明聴取を終わりました。     —————————————
  11. 吉川久衛

    吉川委員長代理 質疑の通告がありますので、これを許します。中村重光君。
  12. 中村重光

    中村(重)委員 私は、警察庁並び科学技術庁のただいまの報告に基づいて質問をするわけですが、時間の制約がありますので、問題点をしぼって、簡略に質問をいたしたいと思います。  まず、警察庁に対する私の質問は、警察捜査方針、基本的な点になるわけでありますが、また具体的には、今次行なわれた衆議院総選挙において、警察庁当局がどういう態度で臨んだかという点についてお尋ねをいたしたい。またもう一点は、近年増加一途をたどっておる交通事故の問題についてお尋ねいたしたいと思うのであります。  まず最初に、交通事故の問題についてお尋ねをするわけですが、御承知のとおりに、文明の利器であるところのあらゆる交通機関は、いまや人命殺傷のための凶器に化した。お互いに道路を歩いておると、車が通る、自分がいま直ちに殺されるのではないか、あるいはその車にぶつけられてけがをするということになるのではないかという不安感というものがあるわけであります。警察当局としましても、交通事故防止のためにあらゆる努力を続けておられるということはよくわかるわけです。ところが、事故件数あるいは事故に伴うところの死傷者の数というものは一向減らない、むしろ増加一途をたどっておるという状況でございます。私もいま資料を持っておるのでありますけれども、正確を期するために、最近の事故件数死傷者の数について、一応伺ってみたいと思います。
  13. 鈴木光一

    鈴木(光)政府委員 最近における交通事故死傷者の数について、御説明申し上げたいと思いますが、御指摘のように、私どもいろいろな方面から努力をしておるわけでございますけれども交通事故死傷者の数が、毎年増加の傾向にあるということはいなめないと思います。  そこで、数字を申し上げますと、最近、三十九年度におきまして非常に事故が多いということでございまして、その三十九年度数字から申し上げますと、死者が一万三千三百十八名、負傷者が四十万一千百十七件ということで、合計四十一万四千四百三十五件ということで、このときには、当時におきまして、過去数年来の最高を記録したということで、われわれもそれに対するいろいろな対策をその後講じましたが、翌年の四十年におきましては、死者につきまして一万二千四百八十四名ということで若干の減少を示しました。しかし負傷者につきましてはやはり数が減りませんで、四十二万五千六百六十六件、合計四十三万八千百五十件ということで、死者におきまして若干減少のきざしを見せたのでありますが、昨年の四十一年度になりまして、死者におきまして一万三千九百四名、負傷者におきましては実に五十一万七千七百七十五名、合計いたしますと五十三万一千六百七十九名という死傷者を出したわけでございまして、昨年度はいわゆる史上最高ということでございまして、死者負傷者とも、まことに残念ながら、ただいま申し上げたような数字になっておる次第でございます。
  14. 中村重光

    中村(重)委員 あらゆる努力をやっておるのにかかわらず、事故件数というものが非常に増加しておる。特にいまお答えいただきましたように、四十年の死亡事故あるいは負傷事故というものが史上最高である、そういった好ましくない数字を記録したそのことは、どこに原因があるのだろうか。交通網も相当整備されてきつつあると思うのです。ただこれは車が非常にふえたのだということでは片づけられないと私は思う。やはりどこかに欠陥というものがあるからで、それについてはいろいろな対策を立てておられると思うのですが、その点に対して、あなたのほうで相当研究しておられる。この点が盲点なんだ、これを解決をしなければならないのだといったようなことがあるであろうと思います。それらの点に対して、ひとついままで研究を続けてこられた、いろいろと法律上の改正を要する点というものもあるでありましょうし、あるいは予算の面もあるでありましょう。いろいろな点もあろうと思うのでありますが、それらの点に対して、ひとつ考え方をお聞かせ願いたい。
  15. 鈴木光一

    鈴木(光)政府委員 交通事故防止につきましては、私ども警察をはじめといたしまして、関係各省いろいろな努力を傾注しているのでございますけれども、ただいま申し上げましたように、四十一年度史上最高ということで、きわめて残念なことでございますが、私どもはこれに対する事故防止対策といたしまして、いろいろあるのでございますが、大きく分けますと、三つあると思うのでございます。  一つは、道路交通環境整備ということでございます。第二番目の問題は、いわゆる交通安全教育を徹底させるということだと思います。それから第三番目の問題は、いわゆる取り締まりの問題、この三つ事故防止対策一般的な対策としてあげられておるのでございます。  第一番目の道路交通環境整備の問題につきましては、特に交通安全施設整備が一番大きな問題だと思うのであります。交通安全施設整備につきましては、御承知のとおりに、われわれの公安委員会がやるべきことと道路管理者施設すべきものと、二つに分かれるわけでございますが、いずれにいたしましても、まだ不十分だということで、四十一年から緊急に交通安全施設整備しなければならぬということで、交通安全施設等整備事業に関する緊急措置法というのが四十一年の七月に閣議決定がなされまして、四十一年から三ヵ年にわたりまして急速に安全施設整備をはかるということで、現在この計画の進捗に鋭意努力中でございます。しかしながら、安全施設整備につきましては、いろいろまだこれでは不十分ではないかという御意見もありまして、さらに今後検討しなければならぬ問題だと思いますけれども、この問題は非常に大きな問題だと思います。  それから第二番目の安全教育の問題につきましては、基本的には学校教育の問題があり、それから学校以外に一般のいわゆる社会教育と申しますか、地域的に、あるいは職場を通じてというような、安全思想普及徹底という意味の社会教育があろうかと思います。それから対象といたしましては、歩行者に対する安全教育と、それから運転者に対する安全教育というふうに二つに分かれて、両方から安全教育をそれぞれ徹底していかなければならぬと思います。これは必ずしも警察だけではなくて、やはり関係各省が一緒になってやらなければならぬ問題だと思います。  第三番目の交通取り締まりの問題につきましては、交通取り締まりを適正に行なっていくということで事故防止に資したいということで、これは警察の本来の仕事でございまして、以上三つ対策を総合的に関係各省が相提携いたしまして推進していくということが、事故防止対策に資するゆえんだというふうに考えておる次第でございます。
  16. 中村重光

    中村(重)委員 交通安全のための三つの柱というものはいずれも重要でありますが、すべて関連があるわけです。この環境整備の問題にいたしましても、ただいまお答えのような整備計画が進められておる。だがしかし、より積極的にこれを進めていかなければならない点もあるだろう。同時に各機関との連絡協調といったような点に問題がないとも言えない、そう私は思うわけです。具体的にいろいろお尋ねをしてみたいと思うのですけれども、冒頭申し上げたように、時間の制約がありますので、残念ながら、また適当な機会にお尋ねをしなければならないと思うのですが、交通安全の思想を普及していくという点に対しましても、私は昨年の委員会におきましてお尋ねをし、私の考え方も申し上げてきたわけであります。この点に対しましても、いろいろ考え方もあるわけでありますけれども、時間がありますれば細部に触れてみたいと思うのですが、第三点の取り締まりの適正を期するという点について、特に留意をしておられるというのはどういうことなんですか。
  17. 鈴木光一

    鈴木(光)政府委員 交通違反取り締まりにつきましては、御承知のように、非常な自動車の数の激増、それから運転免許者の激増と、それからもう一つは、やはり自動車免許者の激増にもかかわらず、道路環境整備が必ずしも十分に行なわれておらないということから、警察関係の法規、あるいは公安委員会の規制というものが非常に多くなっておるわけでございます。したがって、そういう関係から違反者が非常に激増しておる。四十年で大体年間五百万件くらいの違反者が激増しておるということでございますが、この違反者につきましては、私どもは必ずしもしゃくし定木に違反を取り締まるということではなくて、適当な場合には指導、警告ということでやっておりますが、残念ながら五百万件の違反者が出ておるということでございます。そこで今国会に私どもがお願いしょうと思っておりますのは、これらの違反者につきまして、直ちに刑罰をもって臨むということでなくて、その前に警察本部長が通告して、反則行為ということで通告をいたしまして——これは申しおくれましたが、比較的軽微な違反につきましては、反則行為という範疇を設けまして、それに反則金の納付を通告する。この反則金を納付すれば公訴が提起されないというような制度をつくりたいと思っておるわけでございますが、いずれにいたしましても、違反者が非常に激増しておるということで、その違反者につきまして、非常に膨大な違反者の処理の合理化を期したいというふうに考えておるわけでございます。  なお、事故が起こりました場合の捜査につきましては、事故原因を究明いたしまして、悪質な事故につきましては徹底的に追及していくという方針には変わりがない。なお違反につきましても、酒酔いとか無免許とかといったようないわゆる悪質な違反につきましては、徹底的にこれを追及して刑事裁判に持っていくという制度が、先ほどの制度であるわけでございます。  大体、以上のような方針で臨む次第でございます。
  18. 中村重光

    中村(重)委員 交通違反を起こすところの運転者というのは、違反常習者というものもあるが、それから初心者が私は多いのではないか、こう思うのです。いまあなたは、非常に件数が多い、ところがそのために軽微なものに対しては本部長が事前に通告して、反則行為というものに対して、反則金制度であろうと思うのですが、そういうことで処理していこうということ。ところが私は、それと交通違反が非常に多いということとは別ではないかと思うのですね。なるほど違反者が非常にふえてきているから、これの事務処理にたいへん困っておられるだろう。その点が、まあ反則金制度というものを実施されると非常に簡素化してくるとは思う。しかし、そうすることが事故件数というものを減少させるということにはならないのではないか、ある意味では、むしろそのことが、事故を非常に増加させるというような誘因にすらなっていくのではないか、というふうに私は感ずる。新聞紙上でもって、反則金制度というものを実施するという考え方があることを伺ったのですが、その際に、私はただいま申し上げましたような感じを持ったのであります。あなたのほうの考え方としては、そうした反則金制度を実施するということが——結局交通違反から事故が起こるわけでありますが、交通違反というものを減少させる、防止するということに役立つというようにお考えになりますか。
  19. 鈴木光一

    鈴木(光)政府委員 私の説明が不十分でございましたが、反則金制度をつくります場合に、私どもが考えましたのは、やはり悪質な違反、先ほど申しましたように酒酔いとか無免許とかいったようなものにつながる違反につきましては、反則行為から除く、それから反則行為につきましては、比較的軽微な違反ということで、そういう違反につきましては、本部長の通告で、その任意に納めるわけでございますが、納めた場合に、非常に即罰的な効果が生ずるであろうということから、考究された制度でございます。  なお、御指摘のように、違反について反則金制度というようなことになりますと、事故防止にならないおそれがあるのじゃないかということでございますが、これは先ほどからちょっと御指摘がありましたように、常習的なものについては、この反則金制度には載せないということにしております。ごく平たく申し上げますと、初犯者の者をこれに載せていく、反則者という定義の中からは、累犯——過去一年間に累犯のある者は除いていくという考え方でやっておりますので、その点の御心配はなかろうかと思います。  それから、なお、現在東京の場合ですと、墨田に警察官がたくさん行っているわけです。警察官と検察庁と裁判所と一緒になって、エスカレーター式の裁判手続をやっているわけでございますが、この制度ができますれば、あそこに行っております警察官の数を相当減らすことができる。それを第一線に振り向けて、さらに悪質な違反に対する取り締まりを徹底さしてやっていくというような効果も出てまいると思います。
  20. 中村重光

    中村(重)委員 この反則金制度というものは、私はいろいろな弊害が伴ってくるというように思うのです。しかしこれはまた適当な機会に十分伺ってみたいと思います。  次にお尋ねをしたいのは、交通事故にあった、その事故によって死傷した人、そういった人の遺族、負傷された本人というのが、相手の加害者の態度いかんによっては、非常な不幸な事態におちいるという点があるわけです。それに対して、警察当局も、この両者の中に立って、いろいろ補償の問題についてあっせんすることにつとめておられるというように伺っておるわけですが、警察がこのあっせんをやっておるということにおいて、そうした泣き寝入りをするというような事態が、相当解消するというか解決するという方向に、どのような実績があがっておるのか、補償というものは公正に行なわれておるというようにお考えになっておられるのか、その点をひとつ伺ってみたい。
  21. 鈴木光一

    鈴木(光)政府委員 事故が起こったあとの、損害賠償その他につきましての問題につきましては、警察がいたずらに介入するということになりますと、いろいろな問題が起こるのであります。たとえば弁護士法との関係でいろいろな問題がありますので、われわれは、相談所というものを設けて、そういう被害者の方々の御相談には乗りますけれども、その賠償額をいかにするとか示談をどうするとか、そういう具体的なところまでは立ち入らないように、なるべく相談に乗って、それぞれの機関で、それらが適正に措置されるようにしむけていくという考え方で、内容的に介入するということを極力避けておる次第であります。しかし精神的にはいろいろ相談に乗ってやって、いろいろな方法を教えて差し上げるということで、現在の相談所の数が非常に少のうございますので、警察で相談に乗り、または安全協会等にそういう相談係を設けて、それぞれ、そういう被害者が泣き寝入りをするとか、あるいは適正な手続を知らないでおるというような場合にそれを教えてやるというような意味において、相談にあずかっておるという程度でございます。
  22. 中村重光

    中村(重)委員 運輸省が、泣き寝入りをなくするために、相談所をつくるということが新聞報道で伝えられておるのですが、全国に百ヵ所の交通相談所、これに対して公安委員会との話し合いというものがなされておるのではないかと思うのですが、この運輸省が実施しようとしている全国百カ所の交通相談所、これもいまあなたがお答えになった程度のものなんでしょうか。もっと積極的な解決に乗り出すというようなかまえなんですか。
  23. 鈴木光一

    鈴木(光)政府委員 運輸省の考えておりますことについて、まだ具体的に承知しておりませんけれども、いままで私ども承知しておる範囲では、従来ありますところの、弁護士会が持っておりますところの交通事故処理委員会、あるいは人権擁護委員、行政相談委員とかいったようなものに対する補助をして、さらにそれを強化していくという方向で考えているようでございます。そのほかに、なお総理府と自治省におきまして、各都道府県に公の相談所を設けるということで、来年度予算に若干の予算が組まれておるということでございます。これらはいずれも弁護士をその中に委嘱いたしまして、そして弁護士法との関係を考慮しながら、適正な相談をしていこうという考え方のように聞いております。
  24. 中村重光

    中村(重)委員 交通安全のために、都道府県に対して交通安全補助金が出されておりますね。この補助金が、三十九年度決算で見ると、大体都道府県に対して三億五千万円程度交付されているというようになっておるようでございますが、この補助金の交付基準、これはどういうことになっておりますか。
  25. 土田国保

    ○土田政府委員 都道府県の警察に要する経費に対しまする補助金でございますが、これは警察法及び警察法施行令の規定に基づいて交付されるものでございます。この金額の算定につきましては、警察法施行令第三条第二項に定めるところによりまして、当該都道府県の警察官数、警察署数、犯罪の発生件数その他の事項を基準として、その年度予算の範囲内で、国の所要額を算出する、こういうたてまえになっておるのでございます。国が一応所要額として算出したもののうちの二分の一、換言すれば十分の五を補助するものでございまして、先ほどのお話の交通安全施設関係整備に必要な経費とか、そういった関係補助金もその中に含まれておるわけでございます。  三十九年度につきましては、結局、補助金の交付のたてまえといいますか積算というものは、そういうことで行なわれておったわけでございますが、四十一年度、四十二年度及び将来四十三年度の三ヵ年につきましては、交通安全施設のうちに、全部ではございませんが、いわゆる指定道路に対しまして特別に三ヵ年計画というものが実施中でございまして、これに対しましては、やはりそれぞれの指定道路におきますところのいろいろな交通事象を、全国的な実績を集計した上で、補助金の算定をしておる、こういう状況でございます。
  26. 中村重光

    中村(重)委員 三十九年度の都道府県に対する補助金は、先ほど申し上げたように、国費支出は三億五千万円に間違いございませんか。
  27. 土田国保

    ○土田政府委員 三億五千万円、間違いございません。
  28. 中村重光

    中村(重)委員 そこで伺いますが、この三十九年度、あるいは四十年、四十一年と、この補助金というものは増額はされてきておるわけですが、あまりにも私は少ないと思うわけです。そこで、直接この交通違反に伴う罰金収入とこの交通安全の補助金関係があるわけではありませんけれども、やはり素朴に考えて、交通違反というものが非常に多い、それによって罰金収入というものが相当国庫に入る。その額とあまりにかけ離れておるわけですね。これではいけないじゃないか。これほど交通事故が起こって多くの人たちが死傷しておるのだ。ならば、これほど交通違反の罰金が国庫に入っているのだから、もっと大幅に国は交通違反のための予算を計上すべきではないか、取り締まりの費用を支出すべきではないか、というのが素朴な国民感情であろうと私は思う。そこで、それらの点に対して、いろいろと公安委員会といたしましても国に対する要求もしておると思うのですが、この三十九年、四十年——四十一年は最終的の集計というものができておるかどうかわかりませんが、この交通違反に伴うところの罰金収入というのは、国庫にどの程度入っているのか、その点をひとつ、おわかりでしたら明らかにしていただきたい。
  29. 鈴木光一

    鈴木(光)政府委員 手元に明確な数字を持っておりませんけれども、大体四十年で罰金が三百億、そのうち交通関係の罰金が大体その八割程度であるというふうに聞いております。
  30. 中村重光

    中村(重)委員 そこで、大蔵省は、交通取り締まりは厳重にやらなければならぬ、交通安全というものは十分やらなければならぬとは考えながらも、なかなかさいふのひもを締めて金を出そうとしない。そこで、この反則金制度というものが今度実施される。この反則金制度というものは、司法処分という形でやらないで、行政処分という形でやるのであろうから、この反則金制度による収入というものは、これは地方自治体にそのまま入ってくるのではないか。そういう考え方もあるわけですが、その点はどのようにお考えになっていらっしゃいますか。
  31. 鈴木光一

    鈴木(光)政府委員 確かに、前から罰金の都道府県還元論もありますし、今回の反則金をつくるにあたりまして、その反則金は都道府県に還元したらどうかという御意見もあります。ただいま、反則金制度に関連する一連の道交法を法制局に持ち込みまして、検討しておりますが、最後に、反則金の帰属の問題が実は残っておるわけでございます。この問題につきましては、私どもはやはり、これは財政政策上の問題であるというふうに考えております。ただ、私どもの言えることは、都道府県にかりにそれを直に帰属させるということになりますと、とかく取り締まりと非常に近くなってまいりますので、密接な結びつきが出てまいりますので、いろいろな誤解を受けるおそれを懸念するわけでございまして、そういう意味では、できるならば国に帰属さして、何らかの形で都道府県にそれを還元していくということが望ましいのではないか、というふうに考えておる次第でございます。
  32. 中村重光

    中村(重)委員 あなたはそういう考え方でございましょうが、これは司法処分ではないわけですね。そうなってくると、罰金制度だと、国家刑罰という形になるわけでありますから、当然国庫に収入というものが入ってくる。しかし、反則金制度というものはそうではないわけでありますから、これは何らかの方法をもって、とおっしゃるのでございますけれども、そう簡単にいくものではないと私は思うのであります。この点は、いま大蔵省は大蔵省なりの考え方もあるということが伝えられておるのでありますが、いろいろ研究されたと思うのですが、その点はどうなんですか。
  33. 鈴木光一

    鈴木(光)政府委員 私どもの考えは、先ほど申し上げたとおりでございますが、ただいま大蔵、自治の間でいろいろ検討しておりますし、また党のほうにおきましても、この問題について検討中でございますので、私どもの考えは一応申し述べましたけれども、さらに突っ込んだ御意見につきましては、ただいまのところ差し控えさしていただきたいと思います。
  34. 中村重光

    中村(重)委員 その点は他の委員会においてお尋ねをすることにいたしたいと思いますが、私は交通安全というものを強調しながら、あまりにも都道府県に対する補助金というものが少ないという点、第一線の警察当局としても、交通安全の万全を期さなければならないと考えながらも、実際は予算制約ということによって思うようにいかないから、そこで反則金制度というものが実施されるということになってくると、これは自動的に都道府県に入ってくるということになって、交通安全を期するという面について、財源的に問題が解決されるのではないかというような期待感というものが私は必ずあると思う。そういう点から、実は申し上げておるわけです。  そこで、これと関連して出てくるわけですが、交通安全を期するために、交通安全協会というものができているわけですね。この交通安全協会の主たる収入というものが何によっておるのか。私がなぜにこれをお尋ねするかと申しますと、バイクにいたしましても、免許証を交付するわけですね。その免許証を交付する際に、交通安全協会のための会費というのか交付金というのか、手数料、そういうものを取る。これは非常に不満の声が高いわけです。農村なんかに行きますと、バイクを持たない人はほとんどない。ところが、農村のバイクなどというものが交通事故なんというものはほとんど起こすことはないのだ。だけれども、交通安全協会のためにというので、そういう費用が取られる。むしろ、トラックであるとかその他の自動車等による事故というものが多い。そういう業者というものは、当然交通安全協会に対して負担をしなければならないにもかかわらず、そういうものは負担しないというような——これは単に会費は納めておると思うのでありますけれども、そういう批判の声というものが非常に高いわけですが、それらの点に対してはどのようにお考えになっていらっしゃいますか。
  35. 鈴木光一

    鈴木(光)政府委員 交通安全協会には、大体地区の交通安全協会と、県の単位の交通安全協会、それから全国的な組織の交通安全協会と、三種類あるわけでございますが、お尋ねのやつは地区の安全協会だろうと思います。地区の安全協会につきましては、大体会員制度になっておるのが全国的な通則になっております。会員は大体自動車の所有者または運転免許者というのが会員になっております。それから、そのほかに、その交通安全協会の管轄の管内で運輸事業を営んでおる事業所等も特別会員のような形でなっておるのが通例でございます。それで、運転免許者が会員の場合に、それは強制的な会員ではございませんで、任意に会員になるわけでございますが、会員になった場合に、会費を納めてもらうということで、大体全国的に見ますと、三年に一度更新されますので、更新のつど会員の会費をちょうだいする、その場合に、三ヵ年で百円ないし三百円程度の会費を納めてもらうというのが全国的な通則のようでございます。  その取った会費につきましては、たとえば法令が改正になるような場合に、講習会を開いて法令改正の趣旨を徹底するとか、あるいは更新の時期が来たときに通知を出すとか、その他交通安全運動をやった場合のいろいろなチラシを配るとか、先ほど申し上げましたような運転者に対する安全教育の趣旨を徹底させるためのパンフレットを配るとか、そういったような印刷通信代といったようなものを考えての会費というふうになっております。
  36. 中村重光

    中村(重)委員 地方はそういうことであろうと、あなたはお考えになっていらっしゃると思うけれども、私の調査したところによると、そうではないですね。地域の安全協会というものがそうした手数料というのか、会費というものを取る。それによって、道路標識であるとかいろいろな交通安全のための施設をするための経費というものが、安全協会において支出される。そのためにそうした会費というものも取る。またその会費の額も引き上げていくという形があるわけですよ。私は先ほど、これほど交通事故というものが起こっておる、したがって、交通事故が起こるということは、交通違反というものがそれだけ増加している、それに伴っていわゆる罰金の国庫収入というものが非常に多い。今度反則金制度というものが実施されるということになってくると、もっともっとそうした収入というものは増加してくるであろう。そうした収入の面というものは、反則金制度が相当収入をはかるために実施するとは私は考えていないわけでありますけれども、必然的にそういう形になってくるんですね。ところが、一方においては、国民がなるほど交通事故防止のために総ぐるみになるということはわかりますけれども、いろいろな形において負担を求めていくという態度は適当ではない。たとえば学校の前に交通安全のためのいろいろな設備をする、そのためにも地域住民に対して相当な負担というものが要求されているわけです。私ども、地域に参りますと、いろいろと寄付を集めるために御協力を願いたいというので、いろいろお手伝いを現実にやっておるわけでありますから、わかるわけです。政治に携わっておるという立場からして、こういうことではいけないのだ、もっと国が積極的に交通安全のための費用というものを支出していくということでなければならないというように、絶えず矛盾を感じながら協力をやっておるというのが実は現実なんです。ですから、あなたのほうとしても、積極的に、やはり国の責任において、それら交通安全のための費用というものが支出されていくように取り組みをしてもらわなければ私はならぬと思う。何かやると、地域の住民に対して、先ほど申し上げましたように、農村のほとんど交通事故というものを起こすことのないような、そういうバイクの免許等を交付するということにおいて、多額の出費を求めるという行き方、そういうことに依存をしていくという態度というものは、私は適当ではない、適切な指導というものがなされなければならないと考えるわけです、  次に、最後にお尋ねをするのでありますが、私はいつかの委員会においても申し上げたと思うのですが、ティラーですね。農家のティラーというものが、いただいております資料を見ると、事故がティラーによって増加しておるというようにはほとんど考えられないわけですが、この事故というものはどうして起こったのであろうか。農村なんかでは、むしろティラーの一人乗りということは事故を起こすのだ、たくさんこれに農耕用のものを、ワラなんか積みます場合は山のように積むということがある。そういう場合に、むしろ助手というのか、二人乗っておりますと、一人は交通安全を確かめていくということになると、むしろ事故防止することになる。だけれども、二人乗りというものはこれを認めてくれない。どうしてこれを認めないのであろうかというような、農村の方々の素朴な声もあるわけです。ですから、ティラーの事故というものの発光状況はどういうことであろうか。前の交通局長は私に対して、できるだけ早く二人乗りというものを実施するようにいま研究しておるのだから、これの実現をはかりたいとお答えになったこともあるのでありますが、その点に対してはどのようにお考えになっておられるのか、伺ってみたいと思います。
  37. 鈴木光一

    鈴木(光)政府委員 農村におきますティラーの事故の原因につきましては、手元に資料がございませんけれども、二人乗りの問題につきましては、検討してまいりたいと思います。
  38. 中村重光

    中村(重)委員 何回お尋ねしても、検討いたします、そういうお答えですね。私は検討だけではだめだと思うのです。いまおやりになっているのは、二人乗りということは、制度としてはこれは認められていないけれども、行政指導みたいな形で、できるだけ実情に即してこれの緩和措置をとるようにというような御方針であるとも伺っておるのでありますけれども、やはり積極的に問題解決に乗り出してもらわなければならぬと思いますから、十分ひとつこの点は配慮されることが適当ではないかと思います。  次にお尋ねするのでありますが、警察捜査方針というのか、それらの基本的な考え方について伺うのでありますが、犯罪に対して、まず犯罪を起こさないようにこれを予防していくという、その点に重点を置くのか、そうではなくて、これを検挙するということに重点を置いておられるのか、まずその点を伺ってみたいと思います。
  39. 新井裕

    新井政府委員 たいへんばく然たる御質問なので、私のお答えが筋違いになるかもしれません。またお尋ねがあれば、お答えいたしますが、私どものほうは、防犯と捜査というものは並び重要なものとして考えてやっておるつもりでございます。
  40. 中村重光

    中村(重)委員 この二つは並べてやっているのだ、それはそうであろうと思うのです。しかしできるだけ犯罪を起こさせない、これを未然に防止する、ということに最重点が置かれなければならないと私は思う。その点はどうですか。
  41. 新井裕

    新井政府委員 精神において、そういうことに全然異議はございません。
  42. 中村重光

    中村(重)委員 そこで、具体的な問題としてお尋ねをするのであります。選挙なんかの場合に起こってきておる事例でありますが、たとえば戸別訪問なんというようなことが、選挙違反の中で最も多いケースです。戸別訪問というものが、事前に警察の調査によってわかってきて、そういう場合に、できるだけそういった犯罪を未然に防止するといういろいろな措置が講じられなければならないと私は思うのです。ところがそうではなくて、たとえば一回戸別訪問というものがなされておる、その事実を確かめた、その際に、これは戸別訪問であるということがわかっておるならば、それに注意をしていくということが適当ではないか。そうではなくて、三日も五日も一週間もというように、その戸別訪問を実施していると、そのままこれを尾行するという形でやらして、そうしてこれを検挙していくというようなことが行なわれておると伺っておるのでありますが、そういうことが適当であるのかどうか。きのうも戸別訪問をやった、あすもやるであろう、あさってもやるであろう、そういう形でこれを尾行して一できるだけ未然に防止するとか、あるいは一回が二回にならないように、これが選挙違反になると考えるならば、それに対して適切な注意なり指導をしていくということが適当ではないかと思うのですが、それらの点はどのようにお考えになりますか。
  43. 新井裕

    新井政府委員 数字をここに持ってきておりませんので、具体的なことは申し上げかねますが、この数年、検挙いたしました件数の八割は、いずれもわれわれが実質犯と呼んでおります買収、供応、利害誘導の罪でございまして、それ以外の形式犯は二割程度にとどまっておりますから、全般として、そういうものにたいへん力を入れているということはございません。それから、この数年特にそういうことを力を入れてやっておりますけれども、できるだけ事前に警告をして、未然に防止するという方法をとっておりますので、これまた、警告件数というのは特に統計はとっておりませんけれども、抜き取り的に調査したところによりましても、大体全国的に数万件に及ぶ警告をやっております。したがいまして、そういうことで、今度の選挙違反がこの前の選挙違反と比べまして約半数であるというのは、いろいろ原因もございましょうけれども、私はそういう警告なり事前の指導というものが徹底したせいであろうと思います。ただし、引例の戸別訪問につきましては、戸別訪問をしてはいけないということが選挙法にはっきりきまっておりますので、それを一々注意するということはあるいはないかもしれません。それからまた、戸別訪問は、判例その他起訴基準等によりまして、ある程度まとまらなければ起訴しないし罪にもしないという解釈がございますので、それで、立証するために、いろいろの方法を行なうということはございます。したがいまして、そういうことで、そこだけをつかまえて見ると、いかにもつかまえるためにやっておるというふうにごらんになるかもしれませんが、大観していただければ、選挙につきましては、そういう点は非常に警告というものを活用して、事前に防止するという方法をとっておる、またそれの効果が今度あらわれておるというふうに考えております。
  44. 中村重光

    中村(重)委員 何というのか、告示前の警告というものはよくおやりになるのですね、私はこれは非常にいいことだと思う。ところが、告示後になってまいりますと、警告ということよりも、どうしても検挙という形に重点が移っておるような気がしてならない。買収とか供応という実質犯というものは、これはもうはっきりわかっている。ところが戸別訪問とかあるいは文書という場合に、これが公職選挙法違反になるのかどうかということがわからない。自分のやっていることは、これは知り合いのところに行って、あるいは一つの団体の構成員のところに行って、お互いに特定候補を支援、激励をするというようないろいろな行為というものがなされる。その程度というものは、これは公職選挙法違反のいわゆる戸別坊間というようには考えないでやっておるという人たちが非常に多いであろうと思う。ところが警察が選挙取り締まりをやるにあたって、これはやはり戸別訪問をやっているのだというようなことでもって、いろいろと捜査に当たっておると私は思う。そういう場合に、たとえ一軒特定の家庭を訪問をしたということが、直ちに戸別訪問という形にはならない、いわゆる連続しなければ私はならないと思うのでありますけれども、ずっと尾行しておるということになってくると、これは何軒も訪問をしたのだから、だからこれは戸別訪問だというようなことがわかる、そのように考える。ならば、あなたがいまおっしゃったように、これに対して、いわゆる警告をする、そしてそれが連続した違反を起こさないといったような、そういう態度というものが好ましいのではないか、そのように私は考える。ところがどうしても警察取り締まりというものは、できるだけ事件を、違反の拡大を防止していこうというような方向よりも、何か検挙するために、それをむしろ継続させることを望んでおるといったような感じがしてならない。その点は、そのようにはあなたはお考えになっておられませんか。
  45. 新井裕

    新井政府委員 私どもは、先ほど申し上げましたように、拡大を放置するというような気持ちは毛頭ございません。したがいまして、警告、制止をやりますけれども、運動期間中というものは、わずか三週間のことでございますので、できるだけその現場で検挙をするという方針をとるということは、新聞紙等を通じて周知させておったつもりでございます。したがいまして、公示前と公示後は、若干取り締まりの方針を変えておることは、御指摘のとおりでございます。したがいまして、事前であれば警告でとどまるものが、公示後運動期間中であるために、直ちに検挙される場合があると私どもは予想をして、そういう指示をいたしておりますけれども、しかし先ほど数字をあげて御説明できませんので、パーセンテージだけで申し上げましたけれども、大体は、もう八割から九割は実質犯でございまして、そのほかのものについて特に苛察な取り締まりをしておるというふうには、私ども考えておりません。
  46. 中村重光

    中村(重)委員 もう一点お尋ねをするのですが、公職選挙法に違反をしておる、こういうわけで、家宅捜索等をされるわけですが、そういう場合に押収される書類というものは、その事件に関係のあるそれらの物件に限るのではないかと思うのですが、その点はどうなんですか。
  47. 新井裕

    新井政府委員 押収捜索の許可状に記載された内容に従ってやっておるものと思っております。
  48. 中村重光

    中村(重)委員 私が承知していることで、その点と事実と相違することがありますけれども、その点はきょうは触れません。  そこで、被疑者が拘置されている、そういう場合に、検察官が接見禁止をする。その接見禁止をやっておる被疑者に対して、警察官——あるいは警察署長も警察官でありますが、そういう警察官がこれに接見をさせるという行為は適正とお考えになりますか。
  49. 新井裕

    新井政府委員 ちょっとただいまの御質問、私聞き違えかもしれませんが、検察官が禁止しておるものを、警察官が接見をさせるという御設例のようでありましたけれども、検察官から手持ち時間に入ったものを警察官がみだりに接見をさせるべきものだとは思っておりません。ただ、一応あらかじめこの程度のものは会わせてもよろしいという打ち合わせがあって会わせておるという実例は、ちょいちょいございます。
  50. 中村重光

    中村(重)委員 それは何か取り調べ上の場合ですか。−おわかりにならないでしょうから、私がお尋ねします。先ほど私がお尋ねしたことに対して、あなたの理解はそのとおりなんですが、検察官が接見禁止をしておるわけですね。ところが特定の警察官と親しい者、その被疑者とも親しい、そういう場合に、その被疑者と自分と会わしてくれないかと言った、そういう場合に、それが特別な用件というものがない、ただ親しいということだけでもって、一警察官が接見禁止中の被疑者と面接させる、接見させるということが適当であるのかどうかということをお尋ねしておるのです。
  51. 新井裕

    新井政府委員 実例のことについて、実情を私知りませんので、見当違いのお答えになるかもしれませんけれども警察官が取り調べの必要上接見するということはある、そういうふうに想像をしております。
  52. 中村重光

    中村(重)委員 取り調べの必要以外には、検察官が接見禁止しておるものは、警察官は接見をさせるということはできない、こういうことに解釈してよろしいですね。
  53. 新井裕

    新井政府委員 先ほど申し上げましたように、一般的に、接見禁止の場合に、こういう者は会ってもよろしいというような打ち合わせがあれば、そういうことであります。ただ、いま御質問のような疑いを受ける行為があったかどうか私も知りませんけれども警察の内部の者が、処遇状況を調べるために面接するということもあるかもしれません。それも広義の取り調べと解釈されるならば、御設問のとおりだろうと思います。
  54. 中村重光

    中村(重)委員 あなたのお答えの裏を返せば、そうした取り調べの必要以外は、被疑者と接見をさせることはできないのだというように、私は理解したいと思うのですが、それでよろしいですね。
  55. 新井裕

    新井政府委員 どうもその実際の場合がわかりませんので、何とも申しかねますけれども、私はおのおの理由があって面接しておるものと解釈しております。
  56. 中村重光

    中村(重)委員 私は、具体的なことで、どの警察官がどういう被疑者にということで申し上げていないので、あなたのお答えも、そういう答弁にこだわりが出てくると思うのですが、しかし大体考え方はわかりました。取り調べの必要以外には接見をさせてはいけない、だから、そういう接見を検察官が禁止しておる場合に警察官が接見をさせておるという事例は、それは取り調べの必要から、検察官と連絡をとって接見をしておること以外にはないのだというようなお答えでありますから、そのとおりに私は理解をいたします。具体的な問題に対しましては、他の機会にまたお尋ねをいたしてみたいと思います。  時間の関係がございますから、別のことをお尋ねいたしますが、警察庁の活動旅費及び捜査費、三十九年でもって活動旅費が二十億、それから捜査費が十二億出ておるのでありますが、この配分はどういう方法でやっておられるのか。それから、これらの費用の使用方法はどういうことなのか。具体的には、このいずれの場合も領収書等が必要であるのかどうか、その点をひとつ伺ってみたい。
  57. 土田国保

    ○土田政府委員 捜査及び活動旅費についての御質問でございますが、最初に活動旅費からお答え申し上げます。  活動旅費と申しますのは、いわゆる警察活動に必要な旅費ということで、国家公務員等の旅費に関する法律に基づいて支出されるわけではございますが、これは予算の範囲内におきまして、旅費規程に基づいて支出いたすわけでございますので、特別な計算証明というものは必要ないわけでございます。問題はむしろ捜査費ということになるわけでございます。  捜査費につきましては、計算証明規則の十一条に基づきまして、会計検査院の承認を受けて、特用な処理方法が認められておるわけでございます。これは支出官が当該部局の長に、おおむね一ヵ月の所要額予定して、一元的に支出をいたしまして、当該部局の長がこれを関係課長、署長に交付をする、そして課長、署長がそれを必要なつど捜査員に交付をし、捜査員が捜査活動上の諸経費に支払いをして、領収書等を添えて、課長それから署長に報告をするというのが支払いの手続方法でございまして、この書類が支出官の手元に保管をされまして、会計検査院の実地検査の際、その他要求によって提出する、かようになっております。
  58. 中村重光

    中村(重)委員 地方の都道府県の警察の場合に対しましては、これはあなたのほうではお答えできないと思うのでありますけれども、いわゆる県警の本部ですね。都道府県の警察本部と、それから第一線の警察とのこれらの費用の配分というものが、いろいろと重要な点があると私は思うので、お伺いしたいのでありますけれども、これは都道府県の関係でありますから、お答えは要りません。  なお、事件発光とかあるいは選挙取り締まりといったような場合に、警察官というものは、相当過重な勤務についておるということになるわけでありますが、そういう場合は特別の手当というものが支給されておるわけですか。
  59. 土田国保

    ○土田政府委員 事件の発生あるいはその他特別に過重な勤務をいたす場合といいますのは、いろいろケースがございましょうけれども、通常の形におきましては、たとえば超過勤務手当が県費から支出されるというような形もございます。
  60. 中村重光

    中村(重)委員 その超過勤務手当というのは、一つのワクがあるわけでしょう。超過勤務をやった、それによって時間計策をやって、超過勤務手当を支給しておるというわけじゃないのじゃありませんか。
  61. 土田国保

    ○土田政府委員 超過勤務手当につきましては、これは県の歳出になるわけでございます。全額県費でございまして、それぞれの県の予算上の制約等はあろうかと思います。
  62. 中村重光

    中村(重)委員 それでは、時間がないようでありますから、最後にお尋ねをしたいのですが、最近売春婦が非常にふえてきている。したがってまた性病が蔓延をしておるということを伺っておるのでありますが、売春婦の状況はどういうことなのか、これらに対しての取り締まりあるいは指導というものは、どのようにしてやっておられるのか、これをひとつ伺っておきたいと思います。
  63. 今竹義一

    ○今竹政府委員 御承知のとおり、売春につきましては現在二つの重点があるわけでございます。一つはいわゆる街娼と申しまして、盛り場等でいろいろと客を誘引するというもの、もう一つは、いろいろと風俗営業等において、客引きその他の周旋等を利用しまして客をとる等の行為でございます。いずれも、警察として厳重に検挙取り締まっておるところでございます。  問題は性病予防の関係でございますが、これは性病予防法によりまして、そういう売春婦等が性病患者であるという場合に、衛生当局、これは知事部局でございます。これが検査をすることができる、こういう規定になっております。私どものほうで売春婦を検挙したりあるいは保護いたしました場合に、これを知事部局のほうへ通報する、こういうたてまえになっております。この通報によって、知事部局のほうで検診をする、こういうことになっております。
  64. 中村重光

    中村(重)委員 警察のリストに載っている売春婦というのは、どのくらいあるのですか。
  65. 今竹義一

    ○今竹政府委員 リストに載っておるというものではございません。特にそういう街娼等がどのくらいおるかということについては、全国的な件数等をとっておりません。最近の傾向だけを申し上げますと、街娼等の数はだんだん減っておる、かように考えております。
  66. 中村重光

    中村(重)委員 しかし、なんじゃございませんか。街娼というのは、ほとんど常習じゃありませんか。そういうものだけでも、あなたのほうのリストに載っておるのではないかと思うし、またそれらに対して、いろいろ関係機関との連絡をとって、いろいろな指導をやっていると思うのですが、そういう状況はどうなんです。
  67. 今竹義一

    ○今竹政府委員 売春婦にいわゆる街娼と、それから街娼以外でいろいろと風俗営業その他の営業に雇用されておる形、この二種類あります。街娼の問題につきましては、これは街頭におけるもろもろのそういう客引きとかそういう行為、売春勧誘行為を重点に取り締まるわけでございますが、むしろ売春の取り締まりの重点は、それよりも、いわゆる娼家の経営者あるいは暴力団等によりまして、えじきになっておるような婦女子を保護する、というほうに最近の重点があるわけであります。その全国的な数等については、必ずしも十分に把握しておりませんが、ただ言えますことは、いま御指摘もございましたように、常習的な売春婦ももちろんおるわけでございます。そのほかに二十歳未満の少女あるいは十八歳未満の児童というものの新しい売春婦への転落というものがかなりあるわけであります。私どもとしましては、そういう年少少女の転落を防止するとともに、御指摘がありましたような常習的売春についても、各種の方策を講じていきたい、かように存じております。
  68. 中村重光

    中村(重)委員 いまお答えになった若い女性の転落という問題について、いろいろお尋ねしたかったのですが、時間の関係から、いずれまた適当な機会にお尋ねします。  最後に、警察庁長官に、私は要望を申し上げておきたいと思うのですが、先ほど私がお尋ねをいたしました公職選挙法違反の取り締まり問題点でありますが、昨日でありましたか一昨日でしたか、テレビを見ておりましたところが、東京都の知事の選挙で、文書違反か何かというので検挙された、その場合に、特に候補者——どの候補者か、私知らないのでありますが、候補者の名前を発表しないようにつとめられたということは、配慮としては適当であったと私は思うのです。そこで、実質犯というものは徹底的に取り締まりに峻厳な態度で臨まれるということは、私正しいと思う。しかし形式犯という場合に、文書違反にいたしましても、あるいは戸別訪問にいたしましても、実質犯は陰にこもってなかなか外へ出ないのですね。ところが形式犯というものは形として出てまいりますので、表に出てくる。ですから、重点は形式犯に置かれてない。あなたは、実質犯が八割で形式犯が二割であったということのお答えでありましたが、統計的にはそういうことであろう。ところが、地域によりましては、必ずしもそうではないという統計が出ておるのではないかと私は思う。そこで、先ほども申し上げましたように、この文書違反の問題、あるいは戸別訪問といったような、いわゆる形式犯に属することに対しましては、当の本人が、これは公職選挙法違反であるという意識を持ってやっていない。たまたまそれが公職選挙法違反であったという形で犯罪になるという点が多々あるであろう。警察当局考え方といたしましても、犯罪をつくることを望んではおられないと私は思う。特に留意をして、できるだけ犯罪防止していくという考え方でまいりますならば、私は、それらの形式犯というものは、犯罪という、いわゆる罪人ということにならないで、これが犯罪を、いわゆる警察当局努力いかんによっては、最小限度にとどめることが可能であろうと私は思う。したがって、できるだけいわゆる防犯というところに力を入れて、警告というような点に十分留意をしていかれる必要があるのではないか。地方選挙がもうすでに始まっておるわけでありますから、その点に対しては格段の留意をされる必要があるのではないかと思いますが、最後に、ひとつあなたの考え方を伺ってみたいと思います。
  69. 新井裕

    新井政府委員 戸別訪問は、一応形式犯というふうに解釈されておりますけれども、私どもの伺った限りは、戸別訪問をなぜ禁止するのかは、実質犯につながるからであるという理由と承っております。したがいまして、そういう意味からいえば、実質犯につながる程度の形式犯というものは、われわれとしては、やらざるを得ないというふうに考えてやっております。ただ、私は、個人として、いまの公職選挙法そのものが一体実情に適するかどうかは、この衆議院の公職選挙法の特別委員会でも、かつて意見を求められて申し上げたことがございますけれども、たいへんこまかな規定が多過ぎると私ども思います。したがいまして、われわれとしても、取り締まりに非常に苦労しているのが実情でありますけれども、われわれは法律があります以上、これを執行するということについては、当然やらなければならないと覚悟してやっておることでございます。ただ、先ほどからいろいろ問答がございましたが、私どもも、警告制止をして、できるだけ防犯につとめなければならぬと思っておりますけれども、しかし私は、公示後の問題については、あたかも急行列車が走るようなぐあいで、あっという間に投票日に到達するわけでありますから、なかなか警告というような、手ぬるいというふうな感じを第三者に与えるような措置では、全般に犯罪が広がることを防ぎ得ないという観点から、実は公示期間中は特に強くやっておるわけであります。そういうことを十分御理解をいただきますと同時に、先ほど、あまり妙なことを申し上げるとおかしいので申し上げませんでしたけれども、防犯にわりあいに徹底いたしますと、昔の選挙法を見ますと、警察署長に選挙事務所も届けなきゃならぬ、それから、出納の計算書も届けなければならないというたてまえをとっておりました、その時代と同じようなことになりかねないと思いますので、私は、防犯にはやはり引くべき一線があると、実は理解をいたしております。あまり立ち至った警告とか防犯というものはやるべきではない。これは政治全般の問題につながる問題だといわれておりますし、私どもも、防犯には、そういう意味で限度がある。そこで、先ほど申し上げましたように、事前運動の段階においては、できるだけ、そういう意味では、時間的にも余裕がございますので、警告制止をいたしますけれども、公示期間後の短い期間ではできるだけ検挙にしないと、犯罪がびまんして非常に不公平な競争になってしまうという見解でやっておるのでございます。非常に常識的に考えましても、むずかしいことが多いのでありますけれども、なお今後ともわれわれも十分に研究、検討を重ねまして、できるだけ皆さんの納得のいくような形で、しかも公職選挙法のねらいとするところが実現できるようにやってまいりたいと思っております。
  70. 中村重光

    中村(重)委員 まあ、私はできるだけ要望という形でとどめたいと思ったのですけれども、あなたのいまのお答えからは再度申し上げなければならない。  事例によって、私は違ってくると思うのですけれども、防犯というものは、できるだけ犯罪を未然に防止していくというところに精神がある。ですから、防犯というのにはやはり相当な力を注いでいかなければならないのではないかと私は考える。ですから、戸別訪問も公職選挙法違反であることは間違いないわけでありますから、私はそれをやるなとは言わない。やはり違反は違反として取り締まりをやり、これを取り調べていくというようなことはやらなければならないと思う。ですけれども、戸別訪問なんというようなものになってくると、関係者というものが非常に広くなってまいります。関係者が非常に多い、こういう形になる。そうすると、どうしても、何というのか、警察の数が限られている。これに関係する戸別訪問をした、あるいは被訪問先というものも、当然裏づけ捜査というものもやる。これの調書もまた取らなければならぬということになってくる。それがために非常にそれに力が注がれる。肝心の買収あるいは供応というような実質犯が取り残されていくという形になってくると私は思う。だからして、できるだけこの戸別訪問といったような場合においては、これが事前に察知されるならば、これは警告をやるとか、あるいは公示後におきましても戸別訪問をやっている、そういう事実がありました場合、これが連続してやる可能性があるというような場合等もあるでありましょうから、そういう場合はできるだけそれが連続して行なわれないように、十分これに対して注意をしていく。警告ということもあるでありましょうし、あるいはもっと進んだやり方というものもあるであろう。できるだけそういう違反行為というものが拡大をされないような、あなた方の取り組みということが必要ではなかろうかと、私はそのように考えるから申し上げたわけであります。考え方が同じであるならば、別にお答えは要らないことでありますから、十分ひとつ、地方選挙等の中でもありますから、留意をしてもらいたいということを要望しておきたいと思います。
  71. 吉川久衛

    吉川委員長代理 丹羽君の関連質問を許します。時間の関係がありますから、ごく簡単にお願いをいたします。
  72. 丹羽久章

    ○丹羽(久)委員 どうもおそれ入りました。  鈴木交通局長さんにちょっとお尋ねいたしたいと存じますが、もうすでに中村委員から交通問題に対していろいろと詳しくお話を承りましたので、私は、一、二点だけ、時間の関係でごく簡単にお尋ねをいたしたいと思います。  実はスピード取り締まりに関してのことでありますが、たとえば二台の車が走ってきた。それを警察官の方々が出ていらっしゃって、そうしてそのスピード違反のキロをはかっていただく。こういうような場合に、同じスピードで二台走ってきたけれども、一台だけつかまった。一台はつかまることなしに行ってしまった。おれは、どういうわけでつかまったんだ、こう言って聞くと、気の毒だけれども、機械が一台よりないから、一台だけで正確にこれは出たんだ。しかしもう一台のほうは同じスピードで走ってきたんじゃないかと本人が言っても、機械がないので、これはちょっと取り締まるわけにいかないんだ、こういうような傾向がたまたま耳に入ってくるわけなんです。そうすると、正直者は損をするという意味ではありませんが、同じことをしながら、片一方は罰金刑を受ける。そうしてまた、あるいは免停の処分を受ける。片一方は、機械が一台であったために助かったという事例があるが、そういうようなことを考えてまいりますと、私は、交通取り締まりの上からいっても、人命尊重の上からいっても、スピード違反の取り締まりは厳重にやっていただかなければならぬと思いますが、そういうようなことに対しての予算的措置というものは十分に考えられておるのか。そういう実情を交通局長さんはどうお考えになっているのか。そういうことが、報告が来ておるのか来ていないのか、この点ちょっと聞きたいと思います。
  73. 鈴木光一

    鈴木(光)政府委員 スピード違反の取り締まりにつきましては、ただいま御指摘のようなことがあるいはあろうかと思います。この問題は、やはり立証の技術の問題でございまして、機械の多寡のみならず、警察官の数にも関係してくると思いますが、限られた警察官の数、限られた機械というものの中で、そういう不公平が出ないように、なるべく努力したいと思いますけれども、技術的になかなかむずかしい問題がありますので、御了察を願いたいと思います。
  74. 丹羽久章

    ○丹羽(久)委員 そこで、もう一つ申し上げておきたいと思うのですが、警察官の頭数が足らぬからという話だが、聞いてみると、警察官の頭数より機械の購入費のほうがない。機械が足りないのだという話のほうが優先するように私は聞いておりますが、あなたが、人が足らぬでそういう場合もあり得るのだとおっしゃられれば、ひとつこの点、もう少し公平な取り締まりをやっていただけるように、二台とも同じようなスピードで一緒に並んできたら、同じような処罰をする、という考え方にしていただきたい。  これは、なぜ私がそういうことを主張するかと言うと、長い間保護司をやっていた方ですけれども、この方がさらに町内の皆さんから推薦を受けて保護司の申請を出した。そうしたら、おまえは前科があるから保護司になることはできない、こう言われた。その前科というものは、何も人の物をとったり懲役刑を受けたりなんというような前科は思い出されない、そんなばかな話はないということで、前科は何も持っていないと言って聞きに行ったら、実はあなたはスピード違反の罰金があって、これはやはり前科になるから、お気の毒だが保護司は遠慮してもらいたいということで、やめなければならぬ。全くりっぱな人が、そういうようなことになったわけなんです。考えてみれば、スピード違反も前科の一つになるには違いありませんけれども、二の点を考えてみると、最近の国民の考え方は、総理は人命尊重だと言って叫んでおられるけれども、その人命尊重の上における前科をもらうということ、交通違反に対する前科という考え方というものは、非常に軽く考えておるのです。しかし実質においての前科というものは、いま言ったような大きい立場に立って、皆さんから御推薦を受けてなれるはずの保護司が、スピード違反をやった前科のためになれないというようなことになる。もしそれが片方のほうの人であって、助かっておったとするならば、この方は保護司が簡単にいただけて、そして国民のためにまた働いていただける、こういうことになります。いまのお話だと、警察官の頭数が足らぬというよりも、機械が足らぬという声のほうがやかましいように思いますから、法改正が今度はなるそうでありますので、法改正のうちにも、こういうような問題を十分取り入れて、ひとつ法改正をやっていただきたいということを要望いたしておくわけであります。  まだ、聞きたいことが二つ三つありますけれども、私は建設的な考え方お尋ねをするわけでありますが、私は関連で聞くのでありますので、もうやめろということでありますから、これでやめておきまして、また後日お尋ねいたします。
  75. 吉川久衛

    吉川委員長代理 吉田賢一君。
  76. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 要点を、こちらも簡単に申しますから、警察庁長官も簡潔に御答弁願います。  一件は、交通安全の問題ですが、交通安全と児童保護の点であります。交通安全白書によりましても、児童の交通事故死は全死亡の三割から四割にもなっております。これはたいへんな、お母さん方の脅威であることは申し上げるまでもありません。この対策の一環といたしまして、児童福祉法の児童遊園あるいは都市公園法でしたか、省所管の児童公園、こういったものがございますが、この際に、全国的に非常に不備な児童遊園なり児童公園に積極的に踏み出していくということに、国家公安委員会警察庁をあげまして、これは他省との関連もありますが、実現に努力していただきたい。その完備を尽くして、そうして児童を交通被害から守る、こういう方策を打ち立てなければいかぬと思っております。この点、長官いかがでしょう。
  77. 新井裕

    新井政府委員 御指摘のとおりでございまして、私どもの直接の所管ではございませんけれども、あらゆる機会を通じまして、推進してまいりたいと思っております。
  78. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 あらゆる機会を通じて推進しておる、それはわかっておるのです。わかっておるのだけれども、そういう段階ではないのであります。たとえば立法措置、児童遊園と児童公園は、児童公園は都市公園法で建設省所管なんです。児童遊園は厚生省所管なんです。全国的に非常に不備なことは申すまでもありません。これはやはり統合、総合いたしまして、積極的に推進するというふうにせにゃいかぬ。ですから、交通安全、人命、身体の保護を主要な目的とし、任務とする警察は、捜査とか犯罪とか暗い面ばかりではなしに、積極的にこの問題に取り組んでいくという体制にせにゃいかぬ。これは公安委員会なり警察なりが対策を積極的に立てることを私は提案しておるのです。あらゆる機会に推進しておることは存じております。存じておりますけれども、そんなことでは間尺に合わぬ。それで聞くのです。それをもう一度答えてください。
  79. 新井裕

    新井政府委員 陸上交通安全調査室というものがありまして、私どものほうも参りまして、ただいまのような、私のほうに直接権限としては関係のないようなことも、このものを通じまして、強力に推進してまいるつもりであります。私どものほうで決定いたしましても、どうもそれだけでは推進できませんので、そういう機関を通じて、関係省の注意を促したいと思いますし、そういうことについての決意については、私どもは機会あるごとに発表をいたしております。
  80. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 次の点は、臨調の行政改革意見の警察の関連事項についての質問であります。  第一点は、内閣の機能に関する改革点について、国家公安委員会を組織上はこのままに置いて、そして新たに設置する内閣府にこれを移してはどうか、こういうのが移管に関する委員会の意見であります。もちろん、これは本来ならば国家公安委員会に関することで、直接警察庁関係ではないかと思いますけれども、不離一体の関係もある非常に重要なことでありますから、この点について、長官の意見を聞いておきたい。
  81. 新井裕

    新井政府委員 これにつきましては、吉田委員御存じのように、私どもについては異議がありませんという旨を行管に答えております。それは総理府から内閣府にまいりましても、外局としての地位には変わりないし、また公安委員会というものがあります以上、いままでと同じ程度の独立性と中立性は保てるという意味で、異議なしという意味の意見を出しておる次第であります。
  82. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 わかりました。  それから許認可につきまして尋ねておきたいのですが、あなたのほうからは、臨調の意見に対する一種の回答といたしまして、貸し金業の届けを、大蔵省所管であるのを警察庁移してはどうかという臨調の意見について、これは検討を続けておる、こういうことでありますが、はたしてこれはどういうことであるか。貸し金業というのは、最近は非常に広範な利害関係の対象ができておるようでございまして、われわれの社会常識、普通の従来の経験から見ると、商利貸しとかいったものは特に取り締まりの対象に考えておりましたけれども、今日では、手形の売り買い等、広い範囲から資金を集めまして、たとえば山口議長が問題を起こしました東京大証とか、五万人に及び数十億円の被害を出しております大阪の日証金、こういったものがやはり貸し金業であることは申すまでもございません。そこで、一枚警察庁でもかんではどうか、こういうことであろうと思うのですが、これは届け出ということになって、直接許可、免許の制度の法律の趣旨ではなさそうでありますので、どうかと思いますけれども、この点について御意見を伺いたい。  そこで、私は届け出を、大蔵省であろうと警察庁であろうと、いずれにしましても、具体的に、社会的に、広大な被害が及ぶような事態が次々と続発しておる現在の社会事情でありまするから、あるいは条件を付するとか、あるいはある条件のもとに許可事業にする、あるいは何かしかるべき許可条件等を付しまして、そして未然に社会大衆の被害を守るということが、広い意味における警察行政の目的ではないだろうか。被害が発生してからどんなに追及し、どんなに防止対策を立てようとしましても、これはたいした効果はありません。だんだんと広がる可能性があります。巧妙にしてその金額は膨大にのぼっていく可能性があります。昔の保全経済会もその一つであろうと思いますが、その点はどう考えておられますか。
  83. 新井裕

    新井政府委員 簡潔にという御注文でございますので、申し上げますが、結論としては、私どもの範囲の外にあるものだと理解しております。と申しますのは、御承知のように、戦前は営業警察ということで、広くこういうものも所管し、ほかのものも所管をいたしておりましたけれども、戦争に負けました後に、警察からこういうものは全部排除すべきであるということで、全部こういうものはいわゆる保安警察の分野から排除されました。したがいまして、私どものほうが引き受けましても、これを十分に監督指導していくだけの体制はいまのままでは整っておりません。もしこれをやろうということであれば、根本にさかのぼりまして、保安警察のあり方そのもの、あるいは常業警察のあり方そのものについて再検討いたしませんと、軽々しくわれわれとしても引き受けられないというのが、ただいまの意見でございます。
  84. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 そのような諸問題につきましては、やはり警察は事後活動というよりも、犯罪防止とか未然活動とかいう分野におきまして、長官の立場としては、国家公安委員会などに意見を具申するとか、何らかの手を打ちまして、そして一歩改善の方向へ進めていく。かくかくの大きな社会被害が現実としてあるのだから、こういったことを、あらゆる資料を集めまして、そして未然に犯罪防止する。たとえばこういう重大なる社会被害が起こってきますと、詐欺あり、横領あり、あるいはまた破産があり、あるいはまた被害者にはいろいろな不幸なできごとが連鎖反応としてあろうと思いますので、こういうことはやはり社会不安の原因でございまして、放置するならば、いたずらに警察の仕事が膨大になるのみであります。でありまするから、抜本的な対策を立てるという意味で、警察並びに公安委員会の態度をそのほうに向けるということに努力をなさるべきであると思いますが、そういうことはできないものでしょうか。
  85. 新井裕

    新井政府委員 先ほど申し上げましたように、そういう体系そのものが根本からくずれてまいりましたので、もしやるということになれば、貸し金業のみならず、実はそういう意味の注文をときどき——たとえばこの間の豚肉の問題にも関連して、受けておるのでございますけれども、もしそれを引き受けるというのであれば、よほど根本から考え直さなければ、体系そのものはくずれておりまして、人間もおりませんし、専門的な知識も全部われわれのほうから外へ出してしまいましたものですから、きょう引き受けてあしたからりっぱにやっていけるというぐあいにはまいりませんので、ただ吉田委員の御指摘のように、私どもも最近いろいろな書きものの中でも、そういう防犯的な警察について、警察はもう少し遠慮しないで出たほうがいいのではないか、という意見もあることは十分承知しております。したがいまして、十分検討はしなければならない問題だと思っておりますけれども、ここで答えを出せと仰せられると、私どもは、先ほど申し上げましたように、いまは簡単には引き受けるわけにはいかない、こういう意見でございます。
  86. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 わかりました。  これはきわめて重大な根本に触れる問題であります。やはり究極するところ、警察というものは、警察法規には詳しく書いてはないけれども、単に人命の保護だとか、財産の保護だとか、それから犯罪捜査の活動をするということよりも、それよりも進んで、国民の生活がよくなるために、しあわせになるために寄与する、文化の向上に寄与するという、消極的でなしに積極的な面がなければいかぬと思うのです。したがいまして、病気の治療対策に終始する段階から、予防医学というものが非常に発達しているということは御承知のとおりであります。でありますから、防犯あり、青少年問題あり、あるいは胎児教育の問題等々あり、非常に進んだ面もありますから、一歩退いて、根本からやはりこういうような問題との取り組み方について、すぐにしろうとが考えるような一般捜査活動とか犯罪捜査とか、そういうものとの関連においてのみ考えるというのではなしに、広く全国民に奉仕する、国民生活を高めて文化の向上に寄与するという、そういう深い立場から進むような立場になってくれば、おのずから研究的な態度、また範囲というような基礎的なものができてくると思う。そこから新しい方向が出てくると思います。ぜひそういう方向へ警察としても進んでもらいたい。犯罪捜査、科学捜査等々いろいろすばらしい研究をずいぶんしておりますけれども、そういう研究以外にもっと未然に防ぐという面から、高い次元に立ちましての研究、これにつながってくると思います。これはもちろん憲法の個人の営業の自由等の関連もありまして、そう簡単にいきません。それは存じております。けれども重要な資料は、警察活動から出るものと思いますので、それを希望しておきまして、そのお答えを願って、私の質問を終わります。
  87. 新井裕

    新井政府委員 いろいろの御意見、十分に承りまして、今後ともそういう点については検討を重ねてまいりたいと思います。
  88. 吉川久衛

    吉川委員長代理 私から一つお尋ねをしたい。  昭和三十九年度の決鎌の説明の際に、警察庁の項第一で不用額四百十六万余、それから第二の科学警察研究所の項で不用額二百七十二万余、それから皇宮警察本部の項で不用額百九十六万八千余円、それの説明が、「不用額を生じましたおもなものは、職員俸給等人件費でありまして、職員退職に伴い、予定より職員俸給を要することが少なかったこと等によるものであります。」と、この三項について同様の説明をしております。しかも、これだけの額が不用額になっていて、その不用額の理由が職員退職だということになりますると、どんどんやめる人ばかりあって、そしてその予算が余っちゃったんだということになると、それでそれぞれの機関の使命は達成されるのであるかどうであるか、その点、会計課長からでもけっこうですが、御説明を願います。
  89. 土田国保

    ○土田政府委員 全体で九百十四万七千円の不用額を生じておりますことは、御指摘のとおりでございます。これの経緯につきましては、昭和三十九年度に比較的長年勤続いたしました高額の給与を受けておる職員退職が、たまたま多かったために、既定予算に不足を免じましたので、一応総理府本府から千八百七十七万七千円の移用を受けたのでございますけれども、その後不用額を生じておりますが、これはこの移用を要求した時期にまだ不用額として確定し得なかったので、移用を要求したといういきさつがございまして、あとで不用額を生じた、こういうことでございます。
  90. 吉川久衛

    吉川委員長代理 了解いたしました。  この際、暫時休憩いたします。    午後零時二十一分休憩      ————◇—————    午後三時四十六分開議
  91. 吉川久衛

    吉川委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  審査を続行いたします。水野清君。
  92. 水野清

    ○水野委員 最近、科学技術の行政面におきまして、新聞、放送その他におきまして、種々の問題が話題となっておりますが、以下、二、三の点につきまして伺いたいと存じます。野党の方の質問もございますので、私は長官に最初一、二伺いまして、場合によっては、野党の方の関連に出していただいて、議事の進め方を急ぎたいと思います。  最初伺いたいのでございますが、科学技術行政の基本方針につきまして、総合的なかつ長期的な見通しのもとに、基本計画を策定すべきであるというふうに思っておりますが、国の行政機構の上でどのように実施しておられるか、具体的に伺いたいと思います。また、このための予算措置についてどうなっているかという点につきましても、簡単に御説明いただきたいと思います。
  93. 二階堂進

    ○二階堂国務大臣 科学技術の振興の問題につきましては、御承知のとおり、これがわが国の産業、経済の基盤をなすものでございまして、この問題につきましては、官民総力をあげて、今後対処していかなければならない施策だと考えております。したがいまして、政府といたしましても、科学技術審議会の答申に基づきまして、長期の計画を立てて、そして技術の開発、振興に当たってまいらなければならぬと思っております。目下、科学技術基本法という法律も昨年来取り上げられてきておりますが、この科学技術基本法が、人文科学の面におきまして、まだ文部省との完全な調整もついておりませんけれども科学技術庁といたしましては、やはり科学技術の開発につきまして、長期な計画を立てて着実にこれを実行してまいりたいと思っております。と同時にまた、先ほど申し上げましたとおり、やはり民間の協力も求めていかなければなりませんし、また政府といたしましても、その民間の研究開発に力をいたす面も非常に多かろうと思います。したがって、度は税制の面におきまして、研究投資等の面において、税制からの優遇措置も講じておるというようなわけでございまして、予算の面につきましては、数字にわたりますので、局長からちょっと答弁させていただきます。
  94. 梅澤邦臣

    ○梅澤政府委員 ただいまの長期計画予算でございますが、実は長期計画をつくりますのに、前々から大体そのもとになります調査というものをいたしております。それで、実際にこれから長期計画をつくりますに際しましては、研究所を設けている関係各省庁の合同体制で、長期計画をつくる体制になっております。そういう関係から、それを全部まとめる予算といたしまして、調査費を含めまして約七百五十万円の予算を、われわれは今度も来年度予算として計上する予定になっております。それから通産省におきましては、特に大型プロジェクトとその他の長期計画がありまして、その事務費といたしまして、ことしたしか百万円くらいのものを計上して、事務的にも、そのように完備した予定で進めていきたいという予定で進んでおります。
  95. 水野清

    ○水野委員 第二の点について伺いたいのでございますが、問題が、実は最近宇宙科学の問題につきまして非常に焦点を浴びているのでございますが、実は宇宙科学の機構について、これは昨日の予算委員会で、長官から答弁がございましたので、若干重複する点があると思いますが、現在、御承知のように、東大の中に宇宙航空研究所というのがございます。さらに、科学技術庁航空宇宙技術研究所宇宙開発推進本部というのがあるわけです。これは御承知のとおりです。さらに、これは三十九年度決算面には関係ないのでございますが、四十二年度予算に、郵政省の中から通信衛星の予算が生まれてきている。さらに、同じ郵政省の監督下において、日本放送協会それから電電公社、国際電電、こういったところから、放送衛星とか通信衛星というものがそれぞれ予算が組まれているわけです。また、さらにそれ以外にも、たとえば気象庁においても、気象衛星というようなことが考えられております。そうなりますと、向こう一、二年の間に、各省庁で科学技術関係予算が非常に激増するわけです。こういう際に、これは科学技術庁並びに会計検査院においてなり、行政管理庁におきまして、こういう問題の交通整理といいますか、そういったことを十分やっていただきませんと、これは国費のむだというようなことが生まれる可能性が非常に多いわけです。過去におきましても、むだがあったのではないかということがいろいろ言われている際でございますが、その点につきまして、長官の御所見を伺えれば幸いだと思います。
  96. 二階堂進

    ○二階堂国務大臣 ただいまお述べになりました宇宙開発の問題につきましては、最近、非常に国民の間におきましても関心が持たれている問題でありますし、また最近、東大の問題等につきましても、新聞その他で取り上げられておることはお述べになりましたとおりでございますが、おっしゃるとおり、この宇宙開発の問題は、もう十ヵ年近く前から、東京大学の宇宙航空研究所におきまして、鹿児島の内之浦で開発が進められていることは御承知のとおりであります。この内之浦で行なわれております宇宙物理科学の探検は、それ自体、宇宙空間におけるいろいろな科学的な研究調査をやるということが一つの大きな目的でありまして、私は、東京大学の方々が、戦後ほとんど灰じんに帰した科学陣容を一本にまとめて、そうして真剣な検討を続けてこられて、今日この科学衛星を打ち上げようというところまで持ってこられたのは、私は非常な成果だと考えております。非常な努力があったからだと考えております。それと前後いたしまして、科学技術庁におきましても、実用衛星、通信衛星を打ち上げる開発を行なっておるわけであります。これも鹿児島県の種子島というところで、昨年からその施設をいたしまして、そうして昭和四十五年度にはぜひひとつ通信衛星を打ち上げたい、こういう目標のもとに、いろいろな研究開発を行なう施設をつくっておるわけであります。私どもがやっておりますこの問題と、施設と、東大との間において、いろいろな対立があるやに今日まで言われてきておったことも承っておりますが、私は、東京大学の研究それ自体と、科学技術庁が行なっております実用衛星を打ち上げる開発とは、さほど対立はない、むしろ今日この宇宙開発の日本の技術が国際的になってきたというその裏には、先ほど申し上げましたごとく、東京大学の研究が大いに貢献をしたと思っております。その技術をまた引き受けまして、四十五年度には通信衛星を打ち上げる、こういうことになるわけでありまして、科学技術庁がやっております開発の目的と、東大のほうでやっておられます開発の目的というものは、おのずから違うものであります。しかし燃料の問題とか、あるいは技術の問題とか等につきましては、今日までも相互に協力をやっております。またその間、おっしゃるとおり多少重複しておったような面もあったのではないかと思っておりますが、そういうことでございまして、私はそう極端な対立があったとは思っておりません。それから、先ほどおっしゃいましたとおり、郵政省が四十五年度に通信衛星を打ち上げる計画を持っております。さらにまた運輸省等が測地衛星を打ち上げる、あるいは航行のための管理をいたすような衛星を打ち上げるとか、もろもろの計画が今後進められようとしております。そうなりますと、宇宙開発の事業というものが一つのことになって、国においてもなされなければいかぬ。また民間においては、御承知のとおり、NHKあたりが放送衛星の打ち上げを考えておる。そうなりますと、民間においても国においても、相当大規模な宇宙開発という問題と今後は取り組まなければならぬ。そうすると、大学それ自体の研究の基礎研究、あるいは基礎研究をもとにした一部の応用研究というものは、大学において、あるいはプライベートの研究所においては、当然なされていいものだと思っております。しかしながらそれを利用してほんとうの、実験衛星を越えた本物を打ち上げるということになるとたいへんな金が要る、たいへんな施設が要る。そういうことになりますと、現在いわれておりますような、各省がまちまちになって開発を行なっていくということは、やはり国費のむだなのではないか。この技術に関与するたくさんの学者の方もおられますけれども、そうたくさん人がおるわけでもありません。頭脳の面からいいましても、技術の面からいいましても、あるいは経済の面からいいましても、何か大きな一元的な機構というものを考えて、そして開発あるいは実験、本物をつくって打ち上げるというところまでやるというような機構が、今日考えられてしかるべきものではないか、こういうふうに考えますので、実は昨日来、閣議のあとに出しまして、けさもその話を閣議において出しまして、総理からも強い指示がありましたけれども、一つの開発機構というものを、四十三年度をめどにして、考えてみたい。しかしそれにはいろいろな問題があります。きょうも予算委員会で、山中吾郎さんが、研究自体を国が取り上げてやるのじゃないかということをおっしゃいましたが、私どもは決してそういう考えではありません。研究というものは、大学あるいはプライベートの研究所がどんどんやっていいのだと思っております。ただ、どこまでそういう大学がやり得るものか。たいへんなものになって、たいへんな予算になりますと、ただいま東大のほうでちょっと問題になっておるようなことも起こりかねないということもございますので、その限界を越えた大きなものについては、やはり政府が、機構の上でもある一定のものをつくって、考えて、それによって研究開発を行なっていくということが至当なことではなかろうかと思っております。御承知のとおり、アメリカではNASA機構がありまして、大きなプロジェクトの計画実施いたしております。英国においても、その機構ができておるわけであります。これらのことにつきましては、十分ひとつ各省間におきましても調整を行なって、研究をして、どうこれに対処していくかということは慎重に考えてみたい、かように考えております。
  97. 水野清

    ○水野委員 少しこまかいことでございますので、付帯的にお考え置き願いたいのでございますが、いまアメリカの航空宇宙局の話が長官のお話に出ましたので、これは私の調べた範囲でございますが、アメリカのNASAの実験場などにおきましても、実験場は単一である。ところが日本では、すでに東大が内之浦の実験場を持っておる。さらに科学技術庁が種子島の実験場を持っておる。聞くところによりますと、気象庁で、岩手県のほうに何か実験場をつくるというような話も伝えられておるわけであります。実験場というものが個々に別々に必要があるのかどうか知りませんが、やはりこういうものも、その際あわせて整理をしていただく必要があると思うわけでございます。こういうことにつきまして、明らかに経費の節約もできるように私は思うのでございます。これは私の要望だけでけっこうでございます。  さらに、これは会計検査院の方にも要望申し上げておきたいのでございますが、政府の各機関で、このようにいろいろな計画が発生するわけなんで、各行政官庁としては、これからの科学技術の変化によって、自分の監督下において行政面の伸長ということがあるのが一つの自然の勢いかもしれませんが、全体から見ますと、非常に重複する場合が出てくる。会計検査院や行政管理庁におきまして、十分監督をしていただく必要があるのではないかというふうに思うわけです。やはり予算支出面においていろいろ問題があるわけであります。  実は、これも御参考までに申し上げておきたいのでございますが、これは私の調査が不十分かもしれませんが、東大の関係予算がとれてロケットの注文を出す、あるいは科学技術庁関係でもロケットの注文を出す。ところが注文を出す先は技術的に非常に水準の高い会社でございます。名前を申し上げる必要もないと思いますが、そういう二、三の会社へ、結局はお金の流れていく先は同じである。そうすると、東大や科学技術庁の学者のそれに付加されるのはアイデアだというような面がなきにしもあらずだ。むしろ実際にいま民間会社の技術者の間では、われわれがロケットをつくっているんだというような自負もなきにしもあらずだということも聞いているわけなんですが、その辺に、逆に政府機関が民間の研究機関といいますか、民間会社の技術に振り回される面があると思います。御承知だと思います。その会社は防衛庁の仕事なんかもしているわけでございます。その意味では、外国のロケット技術なんかが入ってきてかえっていいかもしれませんが、その辺に、逆に今度は自主性がなくなるんじゃないかというふうに私は懸念しているわけでございます。その点についても御検討をいただければ幸いだと思うわけでございます。これは御答弁はいただく必要はございません。  第三でございますが、これはロケットに限らないのでございますが、科学技術の、国の研究機関がある。そこに働いておられる学者がいろいろな研究をされる。その研究の成果の帰属の問題でございます。要するに発明をされる、その発明を特許をとる、その特許が個人に帰属するものかあるいは国の研究機関に帰属するものか、要するに国家に帰属するものか。これは門外漢には非常にむずかしい問題なんでございます。私の質問の要旨は、何もかも国へみんな帰属させてしまって、学者の研究意欲を落とすようなことがないように、その辺が非常にむずかしい。それで学者は、逆に言いますと、税金で勉強して、特許なら特許は自分が持ってしまうということがあるわけでございますが、私の懸念いたしますのは、学者が、ときによって、研究の成果を民間会社へ持って逃げていってしまう。いわゆる政府研究機関における頭脳が民間に流亡する。場合によっては、御承知のように、戦後の日本の科学や一般の学界におけるように、頭脳が外国へ、アメリカあたりのほうが学者の待遇がいいものですから、どうしても流れていってしまう場合が多いわけであります。こういうものが、自由主義諸国の間ならいいわけですが、共産圏にも流れていく可能性があるわけです。こういう点について長官のお考えを、簡単でけっこうです。
  98. 二階堂進

    ○二階堂国務大臣 国が持っておりまする試験研究機関でいろいろ開発される技術その他の、たとえばさっきおっしゃいました特許などの問題は、これは国で行なっている研究機関にやはり帰属するものであります。申し上げますと、国に帰属するものだ、かように考えております。ただ、そういうところで働く人の待遇やいろいろの面で、せっかくわが国で開発される優秀な技術が民間の商業用に利用されてしまうとか、あるいは外国のほうにその技術が流れてしまうというようなことがあるのではないかというような御懸念もありましたが、そういうことも、私は全然ないではないとは考えますけれども、これらの点につきましては、将来そういう優秀な技術が開発せられた場合には、これは中間におきましても一般に公開をしておりますし、また成果は全部政府部内あるいは民間のほうにも公表いたしておりまして、それがどしどし利用されてきているというのが現状でありますが、もし優秀な技術が国の機関において開発される段階において、あるいは国外にそれが逃げていくとか、そこで研究した人がまた国外に勉強にいくとか逃げていくとかいうようなことも、これは今日まであったかどうか私正確には存じませんけれども、そういうことがないように、今後研究機関の充実、あるいはそういうところに働く人の待遇、処遇の改善等を積極的に行なっていかなければならぬと考えております。
  99. 水野清

    ○水野委員 大体、私の質問の要旨はそれでございました。時間の都合があるので次へ譲りまして、あとでまた関連してお伺いいたします。ありがとうございました。
  100. 吉川久衛

    吉川委員長代理 華山親義君。
  101. 華山親義

    ○華山委員 大臣がお時間がないそうでございますから、その分だけをお聞きしておきたい。  宇宙開発審議会の昭和三十七年五月の答申におきましては、「わが国の宇宙開発は、平和の目的に限り、次の基本原則の下に行うものとする。」こう書いてあります。御承知のとおりでございます。今後宇宙開発が進むかと思いますけれども、この原則は堅持されますか。
  102. 二階堂進

    ○二階堂国務大臣 おっしゃるとおりであります。堅持してまいります。
  103. 華山親義

    ○華山委員 軍事上の目的にはお使いにならない、こういう意味でございますね。
  104. 二階堂進

    ○二階堂国務大臣 おっしゃるとおりでございます。軍事的な目的には一切使用しない。その目的のもとに開発研究は行なわない。
  105. 華山親義

    ○華山委員 それで伺いますけれども、国内におきましては、そういう体制を堅持してもらいたいと思いますけれども、これが外国に輸出された場合、はたして平和の目的に限って使われるのかと、私は一応の疑問を持たざるを得ない。それで、平和の目的に限りということを書いておる以上は、これは軍事上の目的にも使われるのだということが、反面言われるわけです。それから、いままで日本がしはしは——二度ばかり外国に輸出いたしておりますけれども、その際にも、貿易管理令によりまして通産省の承認を求めております。その承認を与える条項は別表の第一によるものと言われております。その別表第一の一九八に「爆発物(銃砲弾を除く。)及びこれを投下し又は発射する装置並びにこれらの部分品及び附属品」、これが承認を得ることになっている。そして、これによっていままでロケットは輸出の承認を得ているわけです。これから見ましても、このロケットが軍事上の目的に使われ得るものであることは明白なわけである。今後輸出につきまして、日本の目的は、日本内地だけが軍事上の目的に使われない、そういうことでは足りない。憲法にも規定してありますとおり、日本は世界平和のもとにおいて、国際平和のもとにおいて、日本の平和を維持しようということなんでありますから、私は、輸出ということにつきましても慎重な考慮が要ると思うのです。今後軌道に乗るような衛星ができた場合に、その輸出につきましては、なさるつもりですか、なさらないつもりですか、お聞きしておきたい。
  106. 二階堂進

    ○二階堂国務大臣 ただいまの御質問は、輸出の規制に関する問題だと思いますが、先ほど来お話し申し上げておりますとおりに、わが国の宇宙開発は、平和目的に限るということがもう明らかにされておりますし、したがって私どものほうで開発して、それに必要な器具機材というものはその目的のみに限って使われておる、こういうふうに私は考えております。ただ、この輸出の面になりますと、どこでそういうものを一たとえば外国にこれが輸出される場合、これはあくまでもその持っていかれた外国も、一切平和目的以外のものに使ってならないという保障と申しますか、契約と申しますか、そういうものをとることがどこまでできるかどうかということは、なかなかこれはむずかしいことじゃないかと思いますけれども、わが国において、先ほど申し上げましたとおり、つくられておるものの開発目的というものは、あくまでも平和利用、それ以外のものには使用しない、こういうたてまえを貫いていくつもりでございます。
  107. 赤沢璋一

    ○赤沢説明員 ただいまのロケットの輸出に関する問題でございますが、先生御指摘のように、カッパーの6型並びに8型のロケットが過去二回輸出されております。この場合、先ほどお示しのような貿易管理令によりますところの制限がございますが、通産省といたしましては、このロケットはいずれも、輸出の相手方並びに使用目的からいたしまして、と同時にまた、この構造、内容からいたしまして、これが純学術用に使われるものであるというふうに考えてまして、この承認をした次第でございます。今後出てまいります同種のもの、あるいはさらに高度のものが出てくるということでございますれば、輸出の相手方あるいはその使用の目的また構造、内容等を慎重に検討いたしまして、これが確実に平和目的に使われるということを見定めた上で、承認するということに相なろうかと思います。
  108. 華山親義

    ○華山委員 真実であるかどうか私わかりませんけれども、報道されるところによりますと、インドネシアに日本から輸出されたカッパー8型、これの打ち上げにつきましては、参列したのは軍人であって、科学者は一人しかいなかった、こう言われております。これはうそであるかどうであるかわかりません。しかし、日本は外国を拘束することができない。そういう状態において、世界の平和を考えるならば、そういうことに利用されるおそれの十分あるものは、これは私は輸出は慎重でなければいけない、そう思う。その点について、この答申は宇宙開発審議会の答申であり、これを受けておるのは主として科学技術庁なんですから、科学技術庁長官は、そういうことにつきまして、これは通産省のものであるというふうなお考えでは困る。将来こういうふうにして開発されたものが外国にも行かないのか、行くのか、ことに軌道に乗ってしまったあとのものが外国に行くのか行かないのか、その点明らかにしておいていただきたい。
  109. 二階堂進

    ○二階堂国務大臣 先ほど重工業局次長から答弁いたしました点、カッパー6型、8型、これがユーゴとインドネシアに輸出されたことは先ほど述べられたとおりであります。この輸出につきましては、厳重ないろいろな規制措置が行なわれて、その目的等が十分納得のいく平和利用に使われるのだということの確認を得た上で、輸出をしているということでございます。私どもとしましても、先生のおっしゃるとおり、あくまでも国内においてつくっているものの開発の目的は平和利用に限るということでございますから、そういうものが、今度は国外に行って軍事的な目的に使われるということは、これは決して好ましいことではありませんし、厳にそういうことがないように今後注意をしていくべきだ、かように考えております。
  110. 華山親義

    ○華山委員 それから、宇宙開発につきましての研究所の問題でございますけれども、宇宙航空研究所には多数の外国人が留学しておられるということでございますが、文部省の関係官の方、いかがでございますか。
  111. 岡野澄

    ○岡野説明員 東京大学には相当多数の国から研究のために留学しております。東大全体では、約五百人近い留学生がおります。
  112. 華山親義

    ○華山委員 宇宙航空研究所に何人いるのでございますか。
  113. 岡野澄

    ○岡野説明員 的確な数は承知しておりません。
  114. 華山親義

    ○華山委員 宇宙航空研究所に入られる外国人留学生については、その身分等については、十分な御審査をなさって許可しておられますか。
  115. 岡野澄

    ○岡野説明員 当該研究所において、だれを、どういう学生を入れるかということは、選考決定して入れているはずでございます。
  116. 華山親義

    ○華山委員 私の耳に入るところが真実でなければ幸い。中に外国の軍人が入っているということを聞きますので、お聞きしているわけです。日本のこの開発というものは平和の目的でなければならないのであって、何も秘密にしろという意味ではありませんけれども、それが外国に流れていく、そしてそれが軍事目的に使われるというふうなことのないように、私は厳重なものがここにあってもいいんじゃないか、そういうふうに考えます。それから、ここで、今後軍事目的に使わないということでございますが、現在、東大は——私の聞いておる記憶でございますので、間違えておるかもしれません。自衛官を研究生徒として入れておらないはずでございますが、いかがでございますか。
  117. 岡野澄

    ○岡野説明員 どういう身分の人を入れていいか悪いかは、その大学でおきめになることになっておるわけであります。  ただいま調査が不十分で申しわけございませんでしたが、東大の宇宙研では四十年度に九人、四十一年度に約十人、外国人の研究者を受け入れております。いずれも大使館の保証をとって入れているというふうに報告されております。
  118. 吉川久衛

    吉川委員長代理 ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  119. 吉川久衛

    吉川委員長代理 速記を始めて。
  120. 華山親義

    ○華山委員 それでは、最後に、とにかくこの宇宙開発で、日本で開発されたものが、国内のみならず、国際的にも、いろいろな軍事の面で利用されるということのないように、十分な戒心を持っていただきたいと思います。
  121. 吉川久衛

    吉川委員長代理 吉田君。
  122. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 大臣お急ぎですから、簡単にします。  それでは、大臣に一点まず伺いますが、いま東大の宇宙研究所で、ロケットの製作費をめぐりまして検査院に指摘され、そうして当国会でもあちらこちらの委員会でも問題になっていますので、この種の問題につきまして、やはりロケットの製作費、製作契約ないしは各種兵器とか自衛隊における艦船とか、そういったものは、それぞれの官庁ないしは政府機関におきまして統一的に検討しまして、過誤なきを期すべきが至当ではないか、そういうふうに思うのですが、そういった推進役は当然科学技術庁がなすべきではないか、こう思うのです。やはり総合施策の中心が技術庁でありますから、その点について、お考えを伺っておきたい。
  123. 二階堂進

    ○二階堂国務大臣 お説のとおり、東大のロケットの問題をめぐりまして、いろいろな疑問が出ております。こういう開発の機構の問題、あるいは発注のしかたの問題等は、貴重な国民の税金を宇宙平和利用の目的のために使うというたてまえではありますが、その貴重な税金でありますから、できるだけむだのないように、能率的に統一された形で研究開発が進められることが私は大事なことではなかろうかと思って、先ほどお話を申し上げたのでございますが、この発注のしかたにつきましても、規模が小さい間はうまく、契約の管理とか、あるいは経理とかいう面がスムーズにいくと思っておりますが、膨大なものになりますと、なかなか少ない人では、また一部の機構だけでは、いろいろな問題が起こりがちになってくるというふうにも考えますので、私は、そういう面につきましても、おっしゃるとおり、関係各省間でよく話をいたしまして、今後こういう大きなプロジェクトの開発を進めていく上に、機構がどうあるべきか、あるいは研究開発の部面がもう少し整然と区別されるべきではないか、あるいは契約等、発注等につきましても、二重になるような心配もあるんではないかということも懸念されますので、そういうこと等を含めまして、将来やはり一元的な機構をもって、そういう問題に対処していくことが至当ではないかと考えておるわけでございまして、先生のおっしゃるとおりの大体の考え方でいくべきではないかと私は考えております。
  124. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 大体の構想はわかるんです。しかしいまさしあたりまして、国会におきまして、文部大臣は、契約の方式を改めますというようなことを発言しておるんですね。科学技術庁もロケットを試作しておる。ほかにおいてもいろいろなそれに類するものを試作しておりますね。だから、契約が困難ということならば、共通の事情もしくは問題点がなければならぬのです。そういうことが官庁によってまちまちになる。手が不足である、あるいはなれない、そういったことで問題を起こすというようなことは、全く行政の不統一そのものです。だから、そういうことにやはり日本の行政機構の総合的な施策、統一方針というものがなければならぬ。ことに、こういう点につきましては、科学技術庁が中核をなすべきじゃないか。そうしなければ、あなたのほうがこの種の業務の推進はできないと思うのです。具体的に一般的な推進を統一的にやろうという総合性、それはわかるのですけれども、問題はそれではなくて、いまのような具体的な問題が起こっていることに、さしずめ、そのようなことはすみやかにやはり閣議において協議もし、そうしてあなたが一役を買って、この種の問題があとを断つようにすべきでないか、こう思うのです。その一つの案ですね。
  125. 二階堂進

    ○二階堂国務大臣 御趣旨ごもっともな点もございますので、できるだけ早い機会に検討をいたしてみたいと考えております。
  126. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 臨調の科学技術行政の改革意見につきましては、大体において賛成されるらしいのであります。しかしながら、問題点は幾多の重要なことを包蔵しておることはとくと御承知のとおりであります。そこで、非常に重要な一点は、仕事をかついでいく人は、これは公務員でありますね。だから、この公務員の各般の制度あるいは処遇等におきまして、相当思い切った改革の手を打つということでなければ、運用ができないでないだろうか、こういうことが結論的に言われているわけですね。この点につきまして、これはやはり最近の科学技術会議におきましても指摘しております。指摘しておりますが、これは、たとえば給与関係におきまして、一般公務員よりも上位に置くべしという意味のことがありますので、こういったことはとかく意見があります。そうではなくて、この重要な科学技術行政を推進する上において、公務員全体にわたって、この給与関係からその他あらゆる面の再検討を、科学技術庁はしなければいけない。それが一番根本です。どんな機構をいじっても、あなたのほうでよしんば独立の科学技術の基本法をつくっても、ロケットその他の推進本部をつくっても何をつくりましても、この公務員に関するあらゆる面の再検討をして、生涯安んじてこの仕事に携わり得る、そのかわり、信賞必罰も厳重に、その仕事に専念し得る、奉仕の体制も徹底する、こういうあらゆる角度から検討することが焦眉の急である、そうしてまた、根本問題である。この点につきましてやはりはっきりとした長官の態度が、いまの段階でもうなければならぬと思うのですね。どうお考えです。
  127. 二階堂進

    ○二階堂国務大臣 私は、大阪就任の際にも最初に申し上げたとおり、科学技術の重要性はもう申し上げるまでもないのでありますが、こういう研究技術に従事する人たちの、学者と言わず公務員と言わず、やはり研究者の環境をよくしてやる、このことは、処遇、待遇の面も十分、安んじてこういう研究に没頭できるような施策を施すべきだということを私は申し上げたのでございますが、御承知のとおり、この研究者の処遇等につきましては、昭和三十六年以来、人事院の要望する線に沿って改善につとめてまいっておりますけれども、三十七年当時は、民間との格差が二割以上もあったと、こういうふうに言われておりましたが、先般の給与改善等によって、約一割程度に縮まってまいりました。しかしながら、私は、これでもって満足すべきものではないと思っております。なお管理職の手当等に対する問題もございますので、先生のおっしゃったような御趣旨に沿うように、積極的に努力をしていきたいと考えております。
  128. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 それは、三十六、七年当時からの経過等は大体わかるのです。人事院が主としてなすべきである、それもわかるのです。わかりますけれども、いずれにしましても、科学技術庁は、この種の問題の解決に相当大きな推進役とならねばいかぬと思うのです。一般の人事院の扱いにまかしておきましたならば、これは全く一般的で、おそらくは数年かかって後に、ようやく何かの緒につくことになるだろうと思うのです。しかし、具体的な提案がもうされておるのです。一々検討されて、科学技術庁は、科学技術庁の立場としてなし得る限りの意見を策定いたしまして、あなたは大臣でございますから、閣議でこれをきめて方向づける、でなければ、科学技術の振興というものは不可能だ、こういう観点に立って考えねばなるまい、こう思うのです。だから、人事院がやっているという平面的なそれではなしに、立体的にこの問題と取り組むという積極的な姿勢が必要ではないか、こう思うのです。
  129. 二階堂進

    ○二階堂国務大臣 いま申し上げましたことは、人事院の勧告を受けて、私どもが今日までどういうふうに処遇改善を行なってきたかということを申し上げたわけでございますが、私は、最初申し上げたとおり、やはりこうした重要な技術開発、研究に従事する人は相当な処遇改善、待遇をよくしてやらなければいけない、こういう気持ちを持っていることは、筆頭に申し上げたとおりでございます。また、役所に働く人と民間に働くそういう人との給与の格差がひどければ、なかなか優秀な人は、そういう政府機関とかの研究、技術に従事することが少なくなる、そういう面から考えてみましても、私はやはりこういう役所に働く公務員技術者等の給与の問題については、積極的に今後も取り組んでいかなければならないということはよくわかります。
  130. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 給与の問題に限定してしまいますと、これは容易なことではないのでございます。一般公務員と比較対照いたしまして、給与の多い、少ないということは、おそらくは解決は相当困難であろう。現実にはだんだんと外国へ行ってしまうというような実情は、何ぼでも聞かされるのであります。そんな貧困な、量質ともにだんだんと欠乏していくような研究者のこの実態の中で、大いなる科学技術行政の振興をはかっていくことは、とうてい困難です。だから、抜本的な対策を立ててもらいたいのです。それでありますので、内閣の一つの方針として、これと取り組んでもらいたい。ぜひ希望しておきます。  もう一点だけ、予算の面でありますが、予算執行の面につきまして、この委員会は重大な関心を持っておるのでございますが、やはり特殊な研究、調査ということでありますので、たとえば継続費にしましても、あるいはその他流用手続等にいたしましても、相当弾力的にこれを扱っていく、もしくは手続を簡素化する必要があるのではないか。財政法の改正が必要ならば、それはしていくという、こういったことをせねばならぬかという、これも臨調の意見でございます。こういう意見に対しましては、相当大胆率直にこれに取り組んで、ノーかイエスか、大体において賛成だというばく然たるものではなしに、私は非常に重要な課題が投げられておると思うのです。ですから、これは財政法規等にも取り組むというくらいにして、改善の手を差し伸べることが重要ではないか。研究費を増額しろというだけでは問題は解決しません。それはどうですか。
  131. 二階堂進

    ○二階堂国務大臣 おっしゃるとおりのいろいろな面もあろうかと思いますので、臨調の意見も出ておりますから、それをいまどう取り扱うかということについて、調査をいたしておる段階でございます。積極的に、そういう姿勢で取り組んでまいりたいと思います。
  132. 中村重光

    中村(重)委員 一点だけ長官にお尋ねいたします。  種子島の宇宙センターにおけるロケットの打ち上げ実験を中止したということが伝えられておるわけであります。ところが、また七月に実験をするのだというようなことも伝えられておる。漁民との話し合いがつかなければ実験はしないというようなことも伝えられておりますが、実際の長官の真意はどういうことなんですか。漁民との話し合いがつかなければ実験はやらないということなのか。そしてまた、その漁民との話し合いがついてこれが実験を行なう見通しというものは、大体いつごろとお考えになっておられるか。
  133. 二階堂進

    ○二階堂国務大臣 種子島における宇宙開発の実験につきましては、上原長官時代から有田長官、引き続きまして私の時代になって今日まで、いろいろな問題がございましたので、地元の漁連あるいは漁民の方々と円満妥結をはかるべく、最善の努力を、役所としても、また私自身としましても、やってまいりましたけれども、鹿児島県の漁連あるいは県当局、ひっくるめて申しますと、漁民の方々とは、一定の条件がございましたが、条件に従って、納得をしていただきました。三月中にでも実施できるという見込みになりましたけれども、宮崎県の漁民の方々、漁連あるいは県当局の了解を得ることができなかったわけでございます。したがいまして、私はしばしば今日まで申し上げてまいっておるとおり、これらの宇宙開発の実験は、世界平和のため、日本のために欠くべからざる一つの大きな実験でありますので、この実験につきましては協力を願いたい。しかしながら、この実験を実施するためにはあくまでも漁民の協力がなければできないことでございますので、漁民の協力を得べく、宮崎県のほうとも誠意をもって努力いたしてまいりましたが、先ほどお話し申し上げたとおり、妥結を得るに至りませんで、そこで三月中、昭和四十一年度内における打ち上げの実施は中止せざるを得なくなったわけでございます。しかしながら、私どもといたしましては、政府のこの宇宙開発に関する国としての計画は明らかにいたしました。四十二年度において科学衛星を打ち上げる、四十五年度までに実用実験衛星を打ち上げる、という基本的な目標を明らかにしていく。それをやるためには、漁民の協力を得るための施策として、政府が一つの窓口をつくります。すなわち、種子島周辺における漁業対策協議会という政府の窓口をつくりまして、関係各省ほとんどすべてを網羅いたし、また内閣におきましては官房副長官、総理府も副長官、電波監理局長外水産庁長官、ほとんど全部関係各省の方が入られまして、一つの窓口をつくりまして、その窓口をもって、今後の漁民に対する漁業振興方策、あるいは万が一事故があった場合の補償のあり方、あるいは新しい漁場の開拓、漁港の整備等々たくさんの問題があろうかと思っておりますが、こういう問題につきましては、政府が責任を持って今後施策を進めていくんだというたてまえを明確にいたしたのでありまして、こういう姿勢でもって今後漁民の、特に書崎県側の漁民の方々の了解を得べく、さらに努力をいたしていくつもりでございます。  大体いつごろに打ち上げができるかというお話でございますが、御承知のとおり、漁期がいま盛期に入りまして、四月、五月、六月というものは漁民にとっては大事な時期であるのでございます。おそらくこの期間は、いま申し上げましたようなこと等をじっくりと漁連、漁民の方または県当局のほうと話し合いまして、円満な妥結を得て、それ以後でなければ打ち上げられないのではないか、私はかように考えております。
  134. 華山親義

    ○華山委員 会計検査院にお伺いいたしますが、会計検査院は、昭和四十年度の検査報告におきまして、留意すべき事項として、東大の宇宙航空研究所の経理の問題に触れておられます。これは四十年度に初めて起きた問題なのであるか、あるいは二十九年度——ただいまは三十九年度分の審議ということになっておりますが、そのときからあった問題なのであるか。御調査の結果はいかがでございますか。
  135. 井上鼎

    井上会計検査院説明員 ただいまの御質問でございますが、私どもは、ロケット関係経費につきましては毎年検査を行なっておりまして、そして今回四十年度の検査報告に掲記いたしました分につきましては、これは昨年四回にわたりまして宇宙研の検査をいたしました。その結果を掲げたわけでございます。
  136. 華山親義

    ○華山委員 この事実は、三十九年当時、あるいはそれ以前からあったのかどうかということは、明確ではございませんですね。
  137. 井上鼎

    井上会計検査院説明員 以前の問題ということでなしに、以前からあったかもしれませんけれども、その点は確認できません。昨年の検査において結論を得たわけでございます。
  138. 華山親義

    ○華山委員 会計検査院の報告の中に、契約の問題についてあげてある。そしてその前に「たとえば、」と、こういってある。そうすると、ほかにもある、ただ何かページ数を少なくするためにでも、「たとえば、」と、こういわれたのかもしれない。ほかに何がありますか。
  139. 井上鼎

    井上会計検査院説明員 確かに、おっしゃるように「たとえば、」として、契約書の問題と、契約金額に関する問題と、この二つだけが載せてございまして、それ以外に、もちろん「たとえば、」いてあるわけでございますから、問題がないわけではございません。ございます。——その内容でございますか。
  140. 華山親義

    ○華山委員 何がありますか。
  141. 井上鼎

    井上会計検査院説明員 問題は二点でございまして、一つの問題は、これはロケットに搭載されますところの計器類のうち、送受信機類の問題でございます。ロケットの搭載計器類につきまして、搭載する本品のほかに、予備品の購入がだいぶ行なわれておるわけでございます。ただその予備品の購入につきまして、実際の実例を調べてみますと、予備品が必要だとしておりながら、予備品がないままに供用したという事例もございます。また予備品を一台または二台以上持っておるというような場合もございまして、結局そういった予備品の調達についての、はっきりしたと申しますか、明確な基準というものがないという点で、遺憾な点がある、こういう問題が一つでございます。  それからもう一点は、これは能代の実験場でございます。ここはロケットの地上実験を行なう実験場でございますが、この能代の実験場で、テスト・スタンドの工事をいたしておりますが、そのテスト・スタンド工事の完成後、わずか五ヵ月たったところで、改造工事を実施しております。ところが、この改造工事は、当初の工事の施工途中におきまして、その必要が明らかになっておる。にもかかわらず、そのまま当初の工事を完成させておりまして、そうしてその後五ヵ月を経過した後において改造工事をしておる。つまり、その点において、ある程度の手戻りを生じておる、こういう問題でございます。以上の二点でございます。
  142. 華山親義

    ○華山委員 私は、大学の自治、大学の学の独立、そういう点において、これを尊重する意味におきまして人後に落ちるものではございません。しかしそのためには、大学というものが一般国民に尊敬されなければいけないと思うのであります。しかし、今日いろいろな問題が報道されておりますということは、これは学の独立を保持する上からも、正しくなければいけない、こういうふうに私は考えまして、このたびいろいろなことで問題になりますことは、残念でならないわけでございます。皆さまの御協力を得て、悪い点は何であったのか、こういう点は直すべきではないのか、そういうふうにして直していくことが、私は大学の自治、学の独立のための考え方だと思って、御質問するわけでございますから、その点皆さま方に御協力をお願いしたいと思います。  それで、こういうふうな問題がありましたけれども、調査は四十年度に限るのであって、三十九年度以前のものにはもうさかのぼらないお考えでございますか。
  143. 井上鼎

    井上会計検査院説明員 三十九年度以前にさかのぼらないというわけではございませんで、今後ももちろん——通常の例でまいりますと、もちろん今年も宇宙研の検査をいたします。その場合に、いろいろ従来気づかなかったような点が発見されますれば、さかのぼって調査をするということもあり得ると思います。
  144. 華山親義

    ○華山委員 その点につきまして、具体的には名前等は控えますけれども、たとえば契約の相手方が中学生であったとか、いろいろなことが報道されております。私は、これが真実であるのかどうかはわかりませんけれども、そういう点は、これは学者が悪いのではなくて、事務当局がうかつなのではないかとも考えられるわけでございますが、ただすべきものは、やはりこういう事態になったのですから、十分にただしていただきたい、こういうことを要望いたしたいと思います。  次に、会計検査院とも関連いたしますが、この留意を求められた契約のあり方でございますけれども、この大学の宇宙航空研究所は長い間やっておられるわけです。いま始まったものではない。これにつきまして、研究所からは予算が提出され、それを大学で見る、文部省で見る、大蔵省で見る。相当の目を通して、確信のある予算がついたに違いない。そういうふうな確信のある予算であるならば、この報告中に書いてあるとおり、もう初めから契約もしないで、あとになって関係会社の出した見積もり雷によって、それを契約書の金額にするというようなことは考えられない。研究された予算の結果というもの、それを基礎にして契約が結ばれて、その後において——もちろん学問でございますから、予算の査定当時とは違った情勢もありましょうし、製作過程においていろいろ修正すべき点もあろうかと思いますけれども、それは設計変更の方法によって直せるものではないか。その点、設計変更のやり方ではもうとてもだめだというものなんですか。この点につきましては、文部省の御意見をお聞きしたい。
  145. 井内慶次郎

    ○井内政府委員 ただいまお尋ねがございましたように、予算が成立いたしますと、東京大学の宇宙航空研究所におきましては、関係教官によって構成されました特別事業常任委員会にはかりまして、翌年度計画を定めることにいたしております。その際は、ただいま御指摘のように、当然予算の積算単価等をめどとして定めるわけでございます。ただし、実際に契約をし発注するまでの間におきましては、ただいま御意見がございましたように、その間の諸事情の変化ということもございますので、その辺を勘案しながら、実際の契約を結んでまいるわけでございます。  今回検査院のほうから留意事項として御指摘を受けました契約方法の改善の点につきましては、相当長期間を要する契約内容でございまするし、また諸事情の変化も製造過程において発生する可能性が非常にございまするので、できれば概算契約のような形でまず契約をして、製造過程の進行を確認して、契約金額を確定するという形の契約方式に改善するということを、積極的に検討したらどうだろうかという御指摘をいただきました。ただいま文部省といたしましては、検査院の御指摘の趣旨を体し、東京大学とも相談をいたしまして、四十二年以降の契約方式につきまして、改善をはかるべく検討をいたしておるところでございます。
  146. 華山親義

    ○華山委員 私の申し上げました、従来どこでもやっているような設計変更のやり方ではできないわけですね。困難なわけでございますね。
  147. 井内慶次郎

    ○井内政府委員 先ほど検査院の局長から、能代の話と内之浦の実験スタンドのお話がございましたが、この御指摘は、いま先生の申されました、契約をいたしておりまして、ある工事をやっておりまする途中におきまして設計変更ということをやれば、もっと改善できたのじゃないかという御指摘でございます。したがいまして、いま先生御指摘のように、ある契約をいたしまして、その進行中に設計変更をやりまして、合理化できる問題もあろうかと存じます。あるいは、契約方式を概算契約のような形にしまして、途中で確定契約をして、最後に精算をする、こういう形のものもあろうかと思います。この辺は、契約いたしまする事柄の内容にも応じまして考えてまいらなければならぬかと存じております。その辺、検査院のほうの御指摘を体しまして、ただいま大学当局も入れまして、検討させておるところでございます。
  148. 華山親義

    ○華山委員 会計検査院で留意を求められたこういうふうな契約の方式は、どこにどういうのがございますか。
  149. 井上鼎

    井上会計検査院説明員 御質問の御趣旨が……。
  150. 華山親義

    ○華山委員 もう一度言います。こういうふうな契約のあり方、留意を求められたこういうふうな契約のあり方というのは、世上一般に行なわれていることなのか、しばしば行なわれている常識なのかどうか、ということをお聞きしたいと思うのです。
  151. 井上鼎

    井上会計検査院説明員 通常行なわれております契約の方式と申しますものは、当初から適正な予定価格を組みまして、契約金額を確定いたしまして、つまり当初から確定金額による契約の方式というのが、これが通常のあり方でございます。ただ、本件のロケットの場合のように、設計の開始から製造完了までの間に、研究部門と製造部門との間でいろいろ相談をし合いながらつくっていく、こういうような事態でございますと、当初から確定契約でやるということは、これはなかなかむずかしい、まずほとんど不可能であろうと思います。したがいまして、先ほど文部省の会計課長が言われましたように、いわゆる概算契約、つまりなるべく可能な限りの見積もり計算をいたしました上で、概算で契約をする、そして製造が完了した後におきまして、実績その他を勘案して、金額の確定をする、こういう契約の方式をとるのが、本件の場合においては最も妥当な契約の方式ではなかろうか。また、こういった概算契約というのは、他の役所で全然行なわれていないというわけではございませんで、こういったいわゆる新しく開発されるような機械類等の場合には、いわゆる概算契約という契約も行なわれておる例はございます。
  152. 華山親義

    ○華山委員 概算契約は、会計法上何条によってやるのですか。
  153. 井上鼎

    井上会計検査院説明員 概算契約につきましては、これは、会計法の上で、概算契約をすることができるとか、そういうような条文はございません。われわれの解釈といたしましては、概算契約を禁じた法令の規定がないから、概算契約というものが可能である、つまり禁止されておらないからできるのだ、こういうふうに解釈しております。
  154. 華山親義

    ○華山委員 少しおかしいと思いますけれども、議論したって、時間もありませんからやめます。  それでは伺いますが、この契約は随意契約でございますね、文部省に伺いたい。
  155. 井内慶次郎

    ○井内政府委員 随意契約でございます。
  156. 華山親義

    ○華山委員 この随意契約は、どういうわけで随意契約になっているのか。随意契約のできる条項を示してもらいたい。
  157. 井内慶次郎

    ○井内政府委員 ロケットの製造は、建築工事とかあるいは類似品のある機械器具等の製造の場合と異なりまして、常に研究開発する性質を持っております高度な技術的専門的な能力と経験及び特殊な設備を必要とすることにかんがみまして、国の会計の原則である一般競争契約にはなじまないと考え、会計法第二十九条の三第四項の規定に基づきまして、随意契約をもって契約を締結しているものでございます。
  158. 華山親義

    ○華山委員 その四項を読んでみてくださいませんか。
  159. 井内慶次郎

    ○井内政府委員 会計法の第二十九条の三第四項「契約の性質又は目的が競争を許さない場合、緊急の必要により競争に付することができない場合及び競争に付することが不利と認められる場合においては、政令の定めるところにより、随意契約によるものとする。」以上が会計法の規定でございます。
  160. 華山親義

    ○華山委員 政令の定めるところでは、二十幾つかの場合が限定してあるが、そのどれに該当するのか。
  161. 井内慶次郎

    ○井内政府委員 予算決算及び会計令第九十九条におきまして、会計法第二十九条の三第五項の規定により随意契約によることができる場合を列記してあります。そして、その予算決算及び会計令第百二条の四第三号の規定に基づきまして、随意契約をいたしております。
  162. 華山親義

    ○華山委員 私はそれを読むのはなかなかたいへんだから、ちょっと読んでください。
  163. 井内慶次郎

    ○井内政府委員 予算決算及び会計令第百二条四第三号「契約の性質若しくは目的が競争を許さない場合又は緊急の必要により競争に付することができない場合において、随意契約によろうとするとき。」という規定がございまして、この規定を根拠といたしまして、随意契約をいたしております。
  164. 華山親義

    ○華山委員 随意契約のできる場合が、第何項何号として書いてあるでしょう、単価が幾らである場合とか……。そういうことのどれなのかということをお聞きしておるのです。
  165. 井内慶次郎

    ○井内政府委員 会計法の第二十九条の三が、契約の方式を定めました会計法の規定でございます。その第四項のところが、ただいま私の朗読いたしました「契約の性質又は目的が競争を許さない場合、」あるいは「緊急の必要により競争に付することができない場合及び競争に付することが不利と認められる場合」におきまする随契の根拠でございます。  もう一項ございまして、「契約に係る予定価格が少額である場合その他政令で定める場合」におきまして「指名競争に付し又は随意契約によることができる。」という随契の根拠が、角度が違った規定が幾つかあるわけでございます。本件の場合は、先ほど朗読いたしました第二十九条の三の四項「契約の性質又は目的が競争を許さない場合、」云々という規定を根拠といたしまする随契でございます。
  166. 華山親義

    ○華山委員 これは私が勉強が足らないかもしれませんけれども、私は、政令におきまして、その場合を限定してあるものかと思っておりました。限定してないのであって、そういう抽象的な規定によってできるわけですね。
  167. 中村重光

    中村(重)委員 関連。随意契約の条項では、いまおあげになったように、これはあるわけですね。それはわかるのですが、問題は、本件の場合に、競争を許さなかった、という判断の問題ですね。それはまあ概算契約をするということであるからいろいろ変化が出てくるというような点が、競争を許さなかった、という判断の基準になったのであろうと思うのです。だがしかし、膨大な金額である。したがってこれが契約にあたっては、よほど慎重な態度というものがとられなければいけないと私は思うのです。あなたのほうでも、予算を計上される場合においては、まあそれ相当な権威者の意見を聞き、試算をして、予算は計上されたわけですね。したがって、業者の選定にあたって、ただ一社だけを特定に、この工事はAの企業が適当であるからといって、それだけをもってそれと契約をするという形をおとりになるのか、あるいはそうでなくて、A、Bの企業にやはり見積もりを出させるとか、いろいろな方法を講じられて、まあこれが一番適当であるという形で概算契約をさせるかということによって、大きく変わってくるであろうと思うわけです。ですから、そうした競争を許さないんだ。いわゆる一般競争入札、指名競争入札、そのいずれにもこれが適当ではない。したがって随意契約をしなければならぬという判断に到達をして、そうして随意契約をやられる場合におきましても、いろいろな、何というのか、努力というものが必ずなされなければならないと思うのです。ですから、その随意契約をするにあたって、あなた方はどういう態度で随意契約に到達をされるのか、それらの点をひとつ明らかにしておいてほしいと思います。
  168. 井内慶次郎

    ○井内政府委員 随契で従来やり、ただいまやっておりますが、ただいま御意見のございましたように、随契で契約しようとする中身、かつその相手側を選ぶ場合におきましては、当該事業者の過去の実績でございますとか、経営規模でございますとか、あるいは特に宇宙研のロケット製造等の場合におきましては、納入時期というものが非常にシビアーでございまして、飛翔計画等の関連もございまするし、そういう過去における実績等も勘案しながら、慎重に随契をやらしております。
  169. 華山親義

    ○華山委員 くどいようですが、もう一度お伺いいたしますけれども、会計法の第二十九条の三には、お読みになったとおり、四項に「契約の性質又は目的が競争を許さない場合、緊急の必要により競争に付することができない場合及び競争に付することが不利と認められる場合においては、政令の定めるところにより、随意契約によるものとする。」こう書いてある。そしてその政令におきまして、随意契約によることができる場合に、第九十九条に一号から二十四号までが列挙されている。この第何号に該当するのかということをお聞きしたい。
  170. 井内慶次郎

    ○井内政府委員 予算決算及び会計令の先ほど朗読いたしました第百二条の四の規定と申しまするのは、随意契約によろうとする場合の一つの根拠規定といたしまして、ただいま先生が御指摘になりましたものが、随契のいわば本体のほうかと思いますけれども、それと異なった角度から、百二条の四で、随契の根拠規定を置いておるものと解しております。
  171. 華山親義

    ○華山委員 これは重大な問題だと思いますが、会計検査院、どうお考えになりますか。
  172. 井上鼎

    井上会計検査院説明員 随意契約の規定といたしましては、先ほど来いろいろ読んでおられるように、会計法の二十九条の三の第四項で「契約の性質又は目的が競争を許さない場合、」この四項の規定を適用して、本件の場合は随意契約によっておるものと考えます。それから、先生御指摘の予算決算及び会計令の第九十九条と申しますのは、この随意契約によることができる場合でございまして、会計法の二十九条の三の第五項におきまして「契約に係る予定価格が少額である場合その他政令で定める場合においては、」「随意契約によることができる。」この第五項の規定を受けまして、予決令の九十九条というのができておるわけでございます。そして会計法の二十九条の三の第四項で「政令の定めるところにより、随意契約によるものとする。」という、この政令の定めるところによるというのは、予算決算及び会計令の第九十九条の五、第九十九条の六等の規定でございますね、これをさしておるものと解釈されるわけでございます。
  173. 華山親義

    ○華山委員 じゃ、随意契約やむを得ない、こういうわけでございますね。
  174. 井上鼎

    井上会計検査院説明員 さように考えます。
  175. 華山親義

    ○華山委員 なぜ、この場合随意契約でやむを得ないのですか、具体的に。なぜ随意契約をしなければいけなかったか、競争入札がどうしていけなかったか。
  176. 井内慶次郎

    ○井内政府委員 ロケット製造の過程をちょっと御説明申し上げますと、まず東京大学の宇宙航空研究所におきまして、毎年度、ロケット予算につきまして実行計画をまず最初につくっております。この実行計画の作成にあたりましては、同研究所内に置かれました、先ほど申し上げました特別事業常任委員会の企画連絡委員会というところにおきまして、当該年度の全体計画をまず立てます。その計画に基づきまして、過去の実績、物価指数等も検討した上で、経費の見積もりを入れました実行計画案を作成いたします。その企画連絡委員会で作成いたしました原案を、宇宙航空研究所の所長が特別事業常任委員会にはかり、さらに教授会の議を経て、実行計画といたします。この実行計画に基づきまして、一基一基ごとに基本仕様というものを一応作定をいたします。で、 ロケットの製作が他の物品等の製造と異なっておりまするので、その基本仕様をもちまして、関係業者を含めて、技術的な点についての詳細な打ち合わせを、その段階から開始いたしております。かつ、具体的な仕様と設計をつくりまするための諸連絡を、その段階で業者とやります。関係業者のほうは、宇宙研の示しまする基本仕様をもとといたしまして、参考見積もり書をつくりまして、それを宇宙研のほうに出してまいります。宇宙研では、その参考見積もり書を徴し、予算額、過去の実績、積算資料等を検討の上、予定価格を作成いたしておるわけでございます。したがいまして、基本仕様をつくって、それを業者のほうに示しまして、そこから予定価格作成までの間に、宇宙研の研究者と業者のほうと、相当、相互にもみ合い、錯誤するというような過程がそこに入っておるわけであります。したがいまして、特にロケット製作の場合、約十年間にわたりまする沿革を積み重ねておりまする研究内容でもございまするし、宇宙研のほうの基本仕様によって、相互に詳細に検討を重ねながらつくり上げていくという性格でございまするので、過去の実績を見まして、随意契約でやっておるわけでございます。
  177. 華山親義

    ○華山委員 その業者というものは、何社ぐらい参加するのです。
  178. 井内慶次郎

    ○井内政府委員 三十九年の例で申し上げてみますと、ロケット本体とか、あるいは尾翼とか、あるいは推進薬とか、一基のロケットを製作いたしますのにいろいろ製作内容がございます。それで、三十九年で見てみますと、約十三の製作内容にこれは分かれておりまして、その十三の製作内容によりまして、それぞれ十三社に相なるわけでございますけれども、随契の相手方を選んでおるというのが三十九年の状況でございます。
  179. 華山親義

    ○華山委員 私は、その一社が問題だと思うのです。なぜ一社でなければいけないのか。それで、一社が去年もやった、おととしもやったから、その一社でいいんだということになるならば、永久に変わることがない。そういうふうなやり方が一体どうなるか。いままで何年来やってきたのであるけれども、ここでほかの業者にも見てもらって、この価格が妥当であるかどうかということを、私は、これはときどきは振り返ってみる必要があるのじゃないかと思う。見積もり合わせということになるかどうか知りませんけれども、そういうことをやらないで、一社に限って、もう五年も六年もやっておるというところに、私は問題があると思う。どうですか。
  180. 井内慶次郎

    ○井内政府委員 ただいまのお尋ねの点でございますが、東京大学の宇宙航空研究所でこの十年来開発をしてまいりましたカッパー型、ラムダ型、いままた開発しようとするミュー型、それぞれのロケットの開発は、一基一基が、ある意味で研究の継続だろうと思います。先ほど申しました研究所が業者に示しまする基本仕様、それを消化していく場合におきましては、正直、業者のほうのいろいろな研究面の能力とか開発能力とか、そういうものもやはり大いにあずかって力ある点もあろうかと存じます。その意味で、先生の御指摘の点も一つの点かと思いますけれども、やはり宇宙航空研究所といたしましては、具体的に製造契約をしてつくり上げていくロケットそのものが、いかに基本仕様に即した予定どおりのものがつくられていくかということをまず最優先で、学術研究としては考えざるを得ないだろう、そのかわり、先生いま言われましたような、随契の結果出てくる問題がいろいろあるだろうと思います。そういう経理面につきましては、契約方式の改善でございますとか、そういうことをやって、これに対処していくべきじゃないだろうか。ただいま私一存限りでは、なかなかお答えいたしかねる問題でございますが、会計課長といたしましては、さように考えております。
  181. 華山親義

    ○華山委員 いま会計課長は、見積もりをとるのだということをおっしゃいましたね。それによって見積もりができるのだということをおっしゃった。それだったら、その見積もりによって、どうして契約をやらないのか。
  182. 井内慶次郎

    ○井内政府委員 あるいは、先ほどの説明で、ことばがまずかったかもわかりませんが、これは参考見積もりということでございまして、これは予定価格を宇宙研でつくります際に、基本的な諸元を示し、基本仕様を示しまして、そしてそれでやるとすれば大体どういうことに相なるか、参考見積もりを一応とって、それをさらにチェックし、精査して、予定価格を宇宙研でつくり上げる、こういうプロセスでございまして、参考見積もりということでございますので、先ほどことばが足りませんでしたら、訂正させていただきます。
  183. 華山親義

    ○華山委員 予定価格が出るのならば、その予定価格で契約をしてもいいと思うのですが、どうなんです。
  184. 井内慶次郎

    ○井内政府委員 予定価格の範囲内で、必ず契約をいたします。
  185. 華山親義

    ○華山委員 しかし、この報告によると、もう全部できちゃってから契約をやったのじゃないですか。もうできてしまってから、見積もり書をとって、そしてその見積もり書のままで契約をしておるということが報告されている。そうじゃないのですか。
  186. 井内慶次郎

    ○井内政府委員 その点は、先ほど検査院の局長から、留意事項として御説明いただいた点でございますけれども、でき上がって契約ということではございませんで、実際の製造工程に入っておりまして、そして契約をする時点と製造工程に入る時点が逆になっておった、そういう点の御指摘を、私どもいただいたわけでございます。
  187. 華山親義

    ○華山委員 それから、こういうふうにしてできた契約でございますが、まあ概算ということになりますけれども、概算はどうやっておつくりでありますか。会計検査院に伺いますが、概算ができますか。留意しろということでございますが、技術上、概算というものは、いままでの話に聞くというと、私はできないように思うのですが、概算はできるのでしょうか。
  188. 井上鼎

    井上会計検査院説明員 お説のように、概算自体がむずかしいという点もあろうかと思います。ただ、ロケットの開発も相当年限がたっておりますものですから、いままでの実績というようなものが相当程度固まりつつあるものとわれわれは考えております。そういうようないろいろなデータをあとう限り集めて、なるべく正確なものを最初に概算契約金額として出してもらいたい、こういうのがわれわれの願いでございます。
  189. 華山親義

    ○華山委員 その点は、私が先ほど申しましたとおり、概算契約をしなくたって、ほんとうの契約ができるのじゃないですか。概算などといわれなくたって、文部省、大蔵省あたりで、もうびっしり予算というものをつくっているわけです。  資料をお願いいたしますが、最終的に決定した大蔵省の予算の積み重ねの表をひとついただきたい。どういう積み重ねをしてできているか。その積み重ねの表をひとつ、何も秘密のことでもないと思いますから、出していただきたい。  私も経験がありますけれども、大蔵省は、そんな概算みたいな、腰だめで、何億なんという金を出しはしないと思う。相当積み重ねたものによって出てきているはずです。いま会計検査院のおっしゃるとおり、何年もこれはたっているのだから、ある程度これはできているのじゃないか。できていると思う。そのものによって契約をして、その上に、日進月歩のことでございますから、いろいろなことによって修正ができるのではないか、こういうふうに私は思います。概算というふうなことは、これは特別な場合でなければいけないのであって、特にいわんや、何十億という予算に概算というものを認めたならば、あれも概算、これも概算、みな概算になってしまう。概算の原則というものを認めることは、私はよほど慎重でなければいけないと思う。それで先ほど言ったとおり、こういうふうな場合には随意契約でいいのだ、こういうふうな場合は概算でいいのだ、いろいろ理屈さえ立てば、随意契約で概算である、そういうことでは会計の維持はできないと私は思うのです。そういうふうに考えますので、ひとつ御検討願いたいと思います。  それから、先ほどの資料はひとつ出していただきたい。大蔵省と文部省との間で決定した、最終の積算表を出してもらいたい。よろしゅうございますね。
  190. 井内慶次郎

    ○井内政府委員 予算の積算資料の御要求かと思いますが、提出いたします。
  191. 中村重光

    中村(重)委員 関連して。会計検査院にお尋ねしますが、あなたもお聞きになっておって、いろいろとお考えになっただろうと思いますが、本件の場合、特定の企業からのみ参考見積もりをとったというように、いまの質疑応答の中から判断されるのですね。それから、先ほど、随意契約をする場合、いろいろな例証をおあげになったわけです。あなたに考え方を伺いますが、この随意契約というものは、原則として、緊急を要する場合あるいは一定の金額以下の場合であって、それ以外の場合は、絶対に随意契約はできないというようにはきめつけられないと思うのですが、随意契約を想定した中には、本件のような場合は大体入らないのではないか、そのように私は思うのですが、会計検査院としてはどのようにお考えになっているのか。  さらにまた、本件の場合、随意契約はしておりますけれども、幾つもの会社がある。そういう幾つもの会社から参考見積もりをとって随意契約をする場合といえども、競争入札をした効果と変わらないような努力というものがなされなければならぬと私は思う。ましてや数十億というばく大な金額に達する事業でありますだけに、特に慎重な態度というものが望ましい。そういう点に対して、会計検査院はどのようにお考えになっておられるのか、伺っておきたいと思います。
  192. 井上鼎

    井上会計検査院説明員 先生おっしゃいますように、随意契約、しかも見積もり合わせも全然なしに、ただ一社だけの随意契約というものが長期間ずっと続いておるということについては、これは通常の会計経理のあり方としては、決して望ましいことではないとわれわれ考えております。本件の場合、たまたま研究開発の途上にあって、そうせざるを得なかったという説明当局のほうから承っておるわけでございまして、その点についてはわれわれも無批判でおるわけでございませんで、ある程度時期がたてば、そういった開発途上とはいいながら、長年ロケットの本体の契約その他をやっておられるわけですから、したがって、他の業者を入れて見積もり合わせをするなり何なりするほうがよいのではないかというような方向に、検査の場合、向いていきたいと思っておりますが、ただいまのところでは、随意契約やむを得ないものと実は考えておったわけでございます。
  193. 中村重光

    中村(重)委員 あなたのほうからいろいろ報告を私どもは受けておるわけですが、それを見ると、随意契約と競争入札、いろいろな場合があるわけですが、相当随意契約というものもある。その場合、あなたのほうの指摘は、随意契約というものが適当ではないという指摘はわりあいにつけないですね。ただ、いろいろ工事がずさんであったとか、見積もり内容と違っておったとかいうように、きわめて小さいところに目が向けられておって、こういう大きな基本的な問題には目をそむけておるといったような感じがしてならない。ですから、いまのようなあなたのほうの態度というものは、私は会計検査院として適当な態度ではないと思う。国民の血税をいかに有効に使うかということについて、会計検査院というものはもっと真剣な態度が望ましいと思いますが、もう一度考え方を聞かしてもらいたい。
  194. 井上鼎

    井上会計検査院説明員 御趣旨に沿って、今後検査をいたしてまいりたいと思っております。
  195. 丹羽久章

    ○丹羽(久)委員 関連。局長さんにちょっとお尋ねします。これは私の尋ねることは筋が違っておるかと思いますが、大体間違っていないつもりでお聞きします。随意契約の性格というものは、いま会計課長さんが、いろいろ法律上、第何条の何項に適してと言ってお話しになったが、県なんかで、たとえば土木工事、建築工事、いろいろの工事をやるというのですが、そういうような随意契約をする場合、特定な人にやる場合と、ロケットの場合の契約というのとは、法律上全然違った新しい一つのものがあるのかないのかということをお尋ねしておきたいと思います。
  196. 井上鼎

    井上会計検査院説明員 工事のような場合に随意契約をされておるとすれば、先ほど本件のロケットの場合の根拠規定として読みました「契約の性質又は目的が競争を許さない場合、」これには該当いたしません。ほかの条項、たとえば災害復旧その他で緊急を要する場合であるとか、あるいは一定金額以下であるとか、そういったような特別の法的根拠があって、工事などの随意契約は行なわれておると思います。したがって、本件のロケットの場合とは、法的根拠は違うと思います。
  197. 丹羽久章

    ○丹羽(久)委員 それではもう一度お尋ねいたしますが、随意契約というのは、たとえば請負の場合は、一つの橋梁をつくる場合に、ピアができ上がってしまった。その上に、あとは何もかも、仮設道具も持っておる。その人に随意契約をやらしたら安くやれるだろうということでやらせようとしても、他の業者がそれを許さない。役所側も、それは適当でないということで、何名かの業者を呼んで入札をする。しかしその場合に、その業者でなければでき得ないパテント、特許的なものを持っておるという場合は、随意契約をさせるということで進んできたのですけれども、今度のロケットの場合は、たとえば学者がお集まりになっていろいろ御研究になって、大体の図面ができ上がってくる。そして、こういうものとこういうものとこういうものとを集めれば一つの形ができて、打ち上げるロケットができるのだということに、何年かの積み重ねが進んできたのだろうと私は思うのです。そういうような場合は、私は自民党ですから、率直なことを申し上げるが、やはり一社よりやれなかったかどうかというところに問題があると思うのです。だから、私の先輩なり、同僚もすでに聞かれたようでありますが、何名かの業者に、こういうものはおまえのところはできるのかできないのかということを聞かれた場合に、私のところではこれはできませんという事態があれば、そういう業者を全部のけて、特定の業者にやってもらうことは適当だと私は思うのです。地方の小さな、五百万か三百万の工事でさえ、そういう真剣な態度をとっておるのですから、宇宙ロケットを出すには、なるほど非常に画期的なものであるから、私はむずかしいことはよくわかるのです。よくわかるけれども、何も形なしでいくのでないのだから、学者が一つの形をつくられて、そしてそれがある程度は設計図になって、それから進んでくるとするならば、やはり何名かの業者に相談をせられて、そうしていくべきである。だから、ここで会計検査院が指摘せられておりますが、業者と相談をしてというようなことがあるけれども、私はやはり設計の上において、学者が宇宙ロケットをつくるということにおいては、やはり研究所のほうで責任を持たれて、請負の、設置するとかなんとかというような物をつくるほうは、業者と相談する余地なんというものはあり得ないと思うのです。そこまで業者は研究していないと私は思うのです。それだから、やはりこういうものをつくれということを命令するということになれば、そこに何か特典的な注文をしなければならなかったかどうか、というところに一番問題があるのじゃないかと思うが、それをひとつ簡単でいいから、このロケットはどうしてもそこの業者にやらせなければうまくいかなかったのだということならば、だれでも納得できると私は思うのです。どうもそれが不明朗なような——私の聞き方が悪いのか、説明が悪いのか、どうもその点がはっきりしないから、そこをもう一ぺん聞かしていただけませんか。
  198. 井上鼎

    井上会計検査院説明員 ただいまの御質問でございますが、検査報告にも書いてございますように、宇宙研の「研究部門と請負業者の間で詳細な検討を行いつつ製造を進めている関係もあり、」こういうことを書いてございます。事実そのとおりだとわれわれは考えております。したがいまして、こういった実情でございますれば、その請負業者がごく限定されざるを得ないのじゃないかというふうに考えます。
  199. 華山親義

    ○華山委員 時間もないようでございますから、また、残ったのは、四十年度のときにお聞きいたします。  この中で、私わからない点を一つお聞きしておきたいのですが、研究費ですか、何かしらありますね。見積もりの中に研究費というのがありますね。何か一時間について一千四百四十円、それが何時間というふうなことで計算している。人件費らしいものがございますね。あれは何ですか。
  200. 井内慶次郎

    ○井内政府委員 ただいまの華山先生の御指摘は、多分技術費ということに伺っておりますが、技術費と申しますのは、技術部門におきまする設計、計算、作図、各種の検査、試験等、一連の製造工程管理の経費を内容としたものでありまして、技術部門におきます作業時間、工数に、一時間当たりの単価を乗じて算出されておるものでございます。
  201. 華山親義

    ○華山委員 私よくわからないのですがね。一時間一千四百四十円ということになりますと、これは人件費じゃないのですね。人件費ですか。そうして、総作業時間が掛けてあるわけです。これは何なのですか。
  202. 井内慶次郎

    ○井内政府委員 一時間当たりの技術費単価の算定の大体の算式は、直接労働時間を分母に出して、上に、労務費、間接材料費等の経費を分子に足し算いたしまして一応算定しておりますので、分子のほうにございます労務費というのが入っておりますから、そういう意味におきましては、人件費的なものが当然入っております。
  203. 華山親義

    ○華山委員 普通の人が見た場合、一千四百四十円、それが何時間となると、これは人件費と考えるのがあたりまえだと思うのです。一時間一千四百四十円といたしますと、これは一日で一万一千円、それで二十五日働いたとすると三十万円。一千四百四十円というのですから、相当綿密な計算をなすってこれは出てきていると思いますので、一千四百四十円を算出した基礎をひとつ——ここで論議したってしかたがありませんから、人件費は幾らなのか、いまおっしゃった器材費は幾らなのか、一千四百四十円という、四十円というはしたまでついているのですから、ひとつ出していただきたい。できますか。
  204. 井内慶次郎

    ○井内政府委員 資料を作成いたしたいと思います。
  205. 華山親義

    ○華山委員 それから、他のほうでは八百円というのもありますね。その点どういう点で違うのか、その点につきましても、ひとつこの次までに出していただきたいと思います。
  206. 井内慶次郎

    ○井内政府委員 ただいま八百円ないし九百円というお尋ねがございましたが、これは技術費ということでない他の経費でございますので、ケースが若干異なっておりますので、比較対照がちょっと困難かと思います。
  207. 華山親義

    ○華山委員 他の会社のほうにはそういうものはないんですね。
  208. 井内慶次郎

    ○井内政府委員 はい。
  209. 華山親義

    ○華山委員 それじゃその一千四百四十円だけでけっこうです。  それから、伺いますけれども、先ほど言ったとおり、一つの会社の専売になっている、そこでなければ請け負えなくなっている。しかも、いま申し上げたとおり、技術費というものまで受け取っている。技術費まで出してやっているのですから、自分のところはほとんど会社の負担がない。むしろ管理その他のものがありますから、もうけている。そして事実は、先ほどおっしゃったとおり、ほかの会社でできないというのだから、もうその会社の専有物になっている。むしろ、この会社の専有物だから、ほかの会社とは契約できないのです、とおっしゃったほうが私にはわかりいい。そうしてその専有物を輸出している。もうけじゃありませんか。自分のところは何も出していない、自分の犠牲は、何もこの開発には経済的には出していない。しかもこれを輸出している。こういうふうなことは許されるのであろうか。通産省、どうなんです。
  210. 赤沢璋一

    ○赤沢説明員 通産省といたしましては、これは、先ほど申し上げましたような輸出貿易管理令に基づいて輸出の承認をするわけでございまするが、輸出の承認にあたりましては、その物資そのものがはたして適当なものであるのか、あるいは輸入する相手方が適当であるのか、先ほどもお答え申し上げましたように、そのこと自体が本来の目的に使用されるのであるかどうか、こういうことは調査をいたします。その上で、適当であれば承認をするわけでございますが、そのものがはたして、淵源としてどういう淵源からそういうものができ上がって輸出の対象物になったかどうか、そこまでは調査をいたしておりません。
  211. 華山親義

    ○華山委員 この問題は、私は政治の問題だと思うのです。そういうふうな、自分のところは何の犠牲も払っておらない、国の注文を受けてもうけている。しかも、その間において経済的犠牲なしに技術を覚えた、もうお残りになっておる。そして、このことによって、先ほどからの問答によってもわかるとおり、この随意契約というものが永久に続くだろうと思う。しかもこれを自分のもののにしてしまったのですから、外国に輸出してもうけることができる、こういうふうな経済のものの組織といい、そういうふうなあり方というものは、私はおかしいと思うのです。次官、どうでしょうね。そういうことでいいものでしょうか。
  212. 始関伊平

    始関政府委員 国産の技術で初めてロケットを開発する過程におきまして、いろいろむずかしい問題があることは確かだと思いますが、できるだけ早く一般の競争入札の形に移すことが望ましい、これは議論の余地のないところだと思うのでございます。予定価格というものがあるようでございますから、随意契約によります場合にも、それによって見積もりをとりまして、はっきりした契約でやる、概算契約というものをなるべく避けるという方向が望ましいということにつきましては、大局的に見まして、私もそのように考えております。  なお輸出の問題でございますが、これは日本の国際収支、外貨の獲得に寄与するという点もございますし、また日本の技術を国際的に宣揚するというふうな効果もあるわけでございまして、非常にむずかしい問題でございますが、もし輸出もするということによって、政府のほうで発注いたしますものの価格が安くなるとか、あるいはこの場合には特許使用料というような観念はないわけでございますが、国との関係におきましても、輸出というものが、ある程度継続的に、あるいは相当の基数行なわれるようになりますならば、ただいま御指摘のような、国の力によって開発したのだ、その利益が国に帰するようなことからも、あわせて考うべきではなかろうかというようなことを考えておるわけでございます。
  213. 華山親義

    ○華山委員 私はいろいろなことを見ておりますと、またいろいろな先ほどの技術費等の問題にからんで見ますと、このロケットの製作というものは、一体会社のものなのか、会社が主体になってやっておるのか、大学というものが主体にやっているのか、ちょっと不明確なんですね。これはあくまでも大学だということを言っていただきたいのですが、どうなんですか。
  214. 岡野澄

    ○岡野説明員 ロケットは、御承知のように、一基が観測の目的に従って研究され、設計され、打ち上げられる、まだそういう状態であると私は思うわけでございます。したがいまして、その製造過程におきましては、大学の研究と会社の技術開発とが相互に相補完して交流するというのが実態ではないかと思います。しかし最終の責任は、やはり大学が持っているというふうに考えます。
  215. 華山親義

    ○華山委員 それでは、ただ一点だけ通産省にお聞きいたしますが、武器に関係のあるようなものが、それが武器に使われないというふうなことが明白ならば輸出を認可している、こう言うのですが、それがはたして武器に使われないような状態に、外国において置かれているかということを追及することはできますか。
  216. 赤沢璋一

    ○赤沢説明員 通産省の立場といたしましては、そのものが機能並びに構造において、武器であるかどうか、あるいは武器に転用されるかどうか、これは十分審査をいたします。その上で武器に該当しないというたてまえで、従来のロケットは輸出の承認をしたわけでございます。それが一ぺん承認をされまして、海外に船積みをされて現地に送られる、その後は、はたしてそれがどうなっているかということの追及までは、通産省の権限としては、できません。
  217. 華山親義

    ○華山委員 いろいろふしぎなことが多いのでございますが、保留いたしまして、この次また四十年度もございます。お聞きいたします。
  218. 吉川久衛

    吉川委員長代理 ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  219. 吉川久衛

    吉川委員長代理 速記を始めて。  吉田賢一君。
  220. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 なるべく早い質問をしますから、お互いに時間を節約して問答をいたしましょう。  臨調の科学技術庁関係に関する答申によりますると、各部門の科学技術を調和的に振興するとともに、国が全体として研究投資を有効に使うためには、なるべくその研究分担の部門を明確にする必要がある。民間の部門と政府部門とについては、特にそういう点について、科学技術庁は、国立試験研究機関の刷新充実に関する方策についてという、三十七年七月十三日の答申がございます。これはかなり広範なものを記載しておるようでございますが、その趣旨を尊重しようという意味にもなるのでありますが、この点については、基本的にどういうふうにお考えになっておりますか。
  221. 始関伊平

    始関政府委員 科学技術研究開発の促進につきましては、国の試験研究機関と民間の研究開発の奨励と、相まって成果をあげてまいる必要があるわけでございますが、大体におきまして、国といたしましては、基礎的な問題、産業開発のための基礎的な研究、特に大きなプロジェクトの開発などにつきましては、これは政府の試験機関でやる、こういうたてまえをとっております。  それから、また最近の公害あるいは防災等の特殊のものにつきましても、政府の機関でやる、いま御指摘の点でございますが、たとえば無機材質研究所といったようなものも、いまのような趣旨にかんがみ、またいま御指摘の答申の精神に沿いまして、科学技術庁の施策として取り上げましたものでございます。  さらにもう一つ、いままで御議論の対象になっておりましたような宇宙開発とか、それから原子力発電とか、そういったような新しい分野での大きな問題、こういう点に重点を置きまして、国の試験研究機関研究を進めてまいる、こういうことでございます。
  222. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 いまの、たとえば試験研究等につきましては、特に予算会計制度として、一般政府機関と同じような制度が行なわれておるようでありまするが、特に科学研究の特殊性にかんがみまして、発展の非常に早い、そういう性格にかんがみまして、試験研究に必要な経費の確保のためには、技術庁といたしましては、予算の見積もりとか調整について、相当強力な取り組み方が必要ではないか、こういう点を指摘しておるのですが、この点はどうでしょう。こういう点を明確に、積極的な取り組み方をいたしましたならば、よほど予算の執行、効率の上から見ましても過誤を生じないで済むのではないだろうか。
  223. 始関伊平

    始関政府委員 御指摘の点は、まことにごもっともでございまして、大局的な方向といたしましては、国民所得に対しまして、現在の政府、民間の試験研究機関を通じましての研究投資といわれますものは、一・七%程度でございますが、これを二・五%程度まで持っていく。現在の官民の研究投資の割合は七対三くらいで、政府の割合が少ないのでございますが、これを六十対四十、できれば五十、五十まで持っていきたいというような基本的な方針を考えております。なお各省庁の試験研究機関研究費を、あるいは民間に対する研究助成費をよけいに獲得するということも、科学技術庁の大きな役割り、任務の一つでございまして、この査定はもちろん大蔵省がいたすのでございますが、科学技術庁といたしましては、大蔵省に出します前に、各省庁から予算の内容たるべき事項を出してもらいまして、これは見積もり調整ということばを——下審査のようなものをいたしまして、各省庁の間の重複などを避けまして、重点の順位を極力きめまして、総体としての科学技術関係予算を大きく取るということに力をいたしておる次第でございます。
  224. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 この国立の試験研究機関研究設備については、これは減価償却の制度は適用されていないのですか。
  225. 梅澤邦臣

    ○梅澤政府委員 されておりません。
  226. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 特に、試験研究施設の価値が、短期間に非常に低下するといわれるのであります。したがって、こういうことも想定いたしまして、施設の近代化ということをすみやかに更新しつつ進んでいくことにすることが必要ではないか、それもまた予算作成途上における重要課題の一つではないか、こういう点はどうですか。
  227. 始関伊平

    始関政府委員 御指摘の点は、まことにごもっともでございまして、試験研究機関におきましての問題の重点は、やはりそこに装備いたします機械設備が陳腐化しないようにということでございまして、いまでは五年もたちますと、ちょっとどうも時代おくれになるというような事情にあるようでございますので、先ほど御指摘のございました、優秀な人材を養成し、これをできるだけ放さないようにということと相まちまして、最新鋭の試験用の機械設備を常に確保するという点に重点を置きまして、今後ともやってまいりたい、このように思っておる次第でございます。
  228. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 生産等に直接結びついておる試験研究等につきましては、民間の技術能力等をできるだけ活用しつつ、その関連において研究を進めていく、こういう体制が一番望ましいのではないか。官庁間における総合調整、全体の推進ということも大事ですけれども、民間と国立との関係推進する意味においても、民間の活力を利用する、こういうことを積極的にやるべきではないかと思うのですが、この点どうですか。
  229. 始関伊平

    始関政府委員 科学技術庁といたしましては、御承知のとおり、関係各省庁の科学技術研究開発が、総合的に相互に連携をとりまして発展してまいりますように考えておる次第でございます。同時に、いまお話しのように、民間との連携を強化するということも意を用いておるところでございまして、科学技術庁はじめ各省庁にございます研究開発の補助金、助成金等の運用を通じまして、御趣旨に沿うように今日までやってまいっております。今後もそのつもりでおります。
  230. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 いわゆる原子燃料公社は、臨調の意見で、公社、公団の整理の対象の一つになっておるわけですが、この点につきましては、あなたのほうも臨調の意見に対しましては、四十二年度において、原子燃料公社は改組して、動力炉・核燃料開発事業団を設立する、こういうことが述べられておるのでありますが、これはすでに発足の準備ができておるのですか、あるいはまた法案を今国会に提出するという準備はできておるのですか、この点どうです。
  231. 始関伊平

    始関政府委員 原子力発電の問題といたしましては、新しい動力炉の開発と、それから核燃料の確保という、二つの大きな課題がございます。動力炉・核燃料開発事業団というものを、四十二年度におきまして設立するという方針がきまっておりまして、その予算も認められております。法律案もただいま審議中でございますので、近く御審議をいただく、こういう運びに相なるわけでございます。
  232. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 これは別の機会に、大臣等から伺ってみたいと思うのです。  そこで、これに関連してくるのでありますが、原子力発電の施設がだんだんと実現の過程にあるようでありますが、これは科学技術庁かあるいは通産省か、どちらでありますか、いずれの方面でもお答えを願いたいのでありますが、現在における国内の原子力発電所の計画、完成の分と建設中の分と将来計画の分、あるいはまた中央電力協議会等におきましても長期計画があるらしいのですが、こういったものを含めまして、どれほどの発電量その他が計画されておるのか、要点だけでよろしゅうございますから、どちらかから説明していただきたい。
  233. 始関伊平

    始関政府委員 担当者が参っておりませんので、私の承知いたしておりますところを申し上げますが、現在稼働中の原子力発電施設は、東海村の原研に一つございます。それから御承知のように、同じく東海村に原子力発電株式会社の、これは十六万キロでございましたか、その施設もございまして、発電中でございます。それから現在着工しておりますものは敦賀の原子力発電株式会社の四十万か五十万の大きいものでございますが、それと、さらに敷地のきまっておりますものは、東電と関電のものがあるわけでございまして、大体の計画といたしましては、今後十年間に三千万キロワットないし四千万キロワットぐらいのものを、原子力発電で充当してまいりたい、このような計画になっておるようでございます。
  234. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 三千万ないし四千万キロワットですと、日本のエネルギー必要量から見ると、どのくらいのパーセンテージになるわけですか。これは通産省でわかるのでしょう。
  235. 始関伊平

    始関政府委員 大体、総発電設備の約三割と承知いたしております。
  236. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 これはかなり膨大な建設費が必要でございましょうね。大体、推定どのくらいの見込みですか。
  237. 始関伊平

    始関政府委員 ちょっと、担当者が参っておりませんし、資料も持ち合わせておりませんので、後ほどまた御連絡申し上げます。
  238. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 さきに担当者がおらぬとおっしゃった点、これはひとつ資料として少し詳細に出してみてください。  それから、これは全国の各電力会社全部、どこかで発電所を建設するということに結局なるわけですか。
  239. 始関伊平

    始関政府委員 先ほど申し上げましたように、東電と関電はすでに敷地が決定いたしまして、建設に着手する段階でございますが、中部電力は、せっかく三重県下に予定地域をきめたのでございますけれども、漁民の反対で、いま敷地の選定と申しますか、確定が難航いたしております。将来の問題といたしましては、ただいま石炭による発電ないしは重油による発電が、九電力を通じまして一般的に行なわれておりますように、将来は、原子力発電というものはそう特別なものではないので、あらゆる電力会社が、その相当の部分を原子力発電に変えていく、このような趨勢になるものと存じております。
  240. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 この問題は、建設は、科学技術庁の所管であり、原子力局の所管かと思います。したがいまして、現在の実情、それから計画、つまり完成と建設中のもの、計画を含めまして、資料として当委員会に出していただきたい、後日の参考にしたいと思いますから。委員長、ひとつお計らい願いとうございます。  それから、そうしますと、燃料の不足国の日本、ウラン資源の乏しい日本、これは実はたいへんではないか、こう思うのです。これも当然関連いたしまして、相当長期計画とか長期契約とか長期開発契約、精製等、諸般の聖業が伴っていかねばなるまい、こう思うのですが、そういったことにつきましても——これも答弁する人がおらぬといけませんかな。大体できますか。どうでしょうね。
  241. 始関伊平

    始関政府委員 原子力発電の問題の要点は、当面新しい動力炉——高速増殖炉を究極の目標といたします新しい増殖炉の開発でございますが、長い目で見ますと、いま御指摘のように、核燃料の確保ということが一番大事な問題になると存じております。国内での開発も過去十年来やってまいっておるのでございますが、比較的貧弱でかつ品位も乏しいようでございますので、今後の問題といたしましては、広く国際的にウラン燃料を求めまして、各国との協力関係のもとに、その開発を進めていく、これが今後の一番大きな課題であると存じております。
  242. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 資金需要ですね。したがって、これが日本の一切の他の資金需要との関連において、相当な圧迫になるのではないかと考えられますが、外資にこれを求めるということにあるいはなるかもしれぬと思いますが、そういう辺についての計画見通し、つまり長期計画等があるのではなかろうか。これは、やはり御都合によりまして、資料としてひとつお出し願って、どういう資金計画が想定されておるだろうか、こういう辺につきましても、ぜひ参考にすべきだと思うのです。お願いできますか。
  243. 始関伊平

    始関政府委員 御指摘の資料は、できるだけ調整いたしまして、お届け申し上げます。
  244. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 これで一応終わります。  ただし、科学技術庁につきましては、何かと聞きたいことがありますので、別の機会に保留させていただきたいと思います。
  245. 吉川久衛

    吉川委員長代理 承知いたしました。  本日は、これにて散会いたします。    午後六時四分散会