○二階堂国務大臣 ただいまお述べになりました宇宙開発の問題につきましては、最近、非常に国民の間におきましても関心が持たれている問題でありますし、また最近、東大の問題等につきましても、新聞その他で取り上げられておることはお述べになりましたとおりでございますが、おっしゃるとおり、この宇宙開発の問題は、もう十ヵ年近く前から、東京大学の宇宙航空
研究所におきまして、鹿児島の内之浦で開発が進められていることは御
承知のとおりであります。この内之浦で行なわれております宇宙物理科学の探検は、それ自体、宇宙空間におけるいろいろな科学的な
研究調査をやるということが一つの大きな目的でありまして、私は、東京大学の方々が、戦後ほとんど灰じんに帰した科学陣容を一本にまとめて、そうして真剣な検討を続けてこられて、今日この科学衛星を打ち上げようというところまで持ってこられたのは、私は非常な成果だと考えております。非常な
努力があったからだと考えております。それと前後いたしまして、
科学技術庁におきましても、実用衛星、通信衛星を打ち上げる開発を行なっておるわけであります。これも鹿児島県の種子島というところで、昨年からその
施設をいたしまして、そうして
昭和四十五
年度にはぜひひとつ通信衛星を打ち上げたい、こういう目標のもとに、いろいろな
研究開発を行なう
施設をつくっておるわけであります。私
どもがやっておりますこの問題と、
施設と、東大との間において、いろいろな対立があるやに今日まで言われてきておったことも承っておりますが、私は、東京大学の
研究それ自体と、
科学技術庁が行なっております実用衛星を打ち上げる開発とは、さほど対立はない、むしろ今日この宇宙開発の日本の技術が国際的になってきたというその裏には、先ほど申し上げましたごとく、東京大学の
研究が大いに貢献をしたと思っております。その技術をまた引き受けまして、四十五
年度には通信衛星を打ち上げる、こういうことになるわけでありまして、
科学技術庁がやっております開発の目的と、東大のほうでやっておられます開発の目的というものは、おのずから違うものであります。しかし燃料の問題とか、あるいは技術の問題とか等につきましては、今日までも相互に協力をやっております。またその間、おっしゃるとおり多少重複しておったような面もあったのではないかと思っておりますが、そういうことでございまして、私はそう極端な対立があったとは思っておりません。それから、先ほどおっしゃいましたとおり、郵政省が四十五
年度に通信衛星を打ち上げる
計画を持っております。さらにまた運輸省等が測地衛星を打ち上げる、あるいは航行のための管理をいたすような衛星を打ち上げるとか、もろもろの
計画が今後進められようとしております。そうなりますと、宇宙開発の
事業というものが一つのことになって、国においてもなされなければいかぬ。また民間においては、御
承知のとおり、NHKあたりが放送衛星の打ち上げを考えておる。そうなりますと、民間においても国においても、相当大規模な宇宙開発という問題と今後は取り組まなければならぬ。そうすると、大学それ自体の
研究の基礎
研究、あるいは基礎
研究をもとにした一部の応用
研究というものは、大学において、あるいはプライベートの
研究所においては、当然なされていいものだと思っております。しかしながらそれを利用してほんとうの、実験衛星を越えた本物を打ち上げるということになるとたいへんな金が要る、たいへんな
施設が要る。そういうことになりますと、現在いわれておりますような、各省がまちまちになって開発を行なっていくということは、やはり国費のむだなのではないか。この技術に関与するたくさんの学者の方もおられますけれ
ども、そうたくさん人がおるわけでもありません。頭脳の面からいいましても、技術の面からいいましても、あるいは経済の面からいいましても、何か大きな一元的な機構というものを考えて、そして開発あるいは実験、本物をつくって打ち上げるというところまでやるというような機構が、今日考えられてしかるべきものではないか、こういうふうに考えますので、実は昨日来、閣議のあとに出しまして、けさもその話を閣議において出しまして、総理からも強い指示がありましたけれ
ども、一つの開発機構というものを、四十三
年度をめどにして、考えてみたい。しかしそれにはいろいろな問題があります。きょうも
予算委員会で、山中吾郎さんが、
研究自体を国が取り上げてやるのじゃないかということをおっしゃいましたが、私
どもは決してそういう考えではありません。
研究というものは、大学あるいはプライベートの
研究所がどんどんやっていいのだと思っております。ただ、どこまでそういう大学がやり得るものか。たいへんなものになって、たいへんな
予算になりますと、ただいま東大のほうでちょっと問題になっておるようなことも起こりかねないということもございますので、その限界を越えた大きなものについては、やはり政府が、機構の上でもある一定のものをつくって、考えて、それによって
研究開発を行なっていくということが至当なことではなかろうかと思っております。御
承知のとおり、アメリカではNASA機構がありまして、大きなプロジェクトの
計画を
実施いたしております。英国においても、その機構ができておるわけであります。これらのことにつきましては、十分ひとつ各省間におきましても調整を行なって、
研究をして、どうこれに対処していくかということは慎重に考えてみたい、かように考えております。