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穗積委員 これは講和
条約によるものに拘束されてそういうふうに言っていると思うのです。あれはクーリール列島となっておる。それに南は含まないのだという解釈は、あとになって苦しい解釈をしておる。あのときの事情は、実は千島列島全部でありますから、歯舞、色丹以北は放棄したことになっているわけですね。したがって私は、対ソ交渉においては、基本的には千島列島全島にわたって領土権が失われていないけれども、実は講和
条約によってその
原則を誤って
日本がこれを了承しておりますから、それに対する改定が必要である、こういうふうに私は
理解するわけです。それらの
条約論については、きょうは、時間があればいたしますけれども、時間がありませんからいたしません。そこは、
条約局長もおりますから、ぜひその間の経緯は筋道を立てて、
日本民族の正しい要求、国際的に正しい原理が貫かれるように善処することを要望しておきます。これはこの際申し上げておかぬと、私どもは、あなたが領土問題に触れるということをこの
委員会で報告されて、われわれ社会党議員がそれを聞いてその点を明らかにしておかないということは、これは
国民に対する、あるいは国際原理に対する不忠実になりますので、ここで一言
意見をつけて質問を申し上げて要望するわけでございます。
それから第二点でございますが、これは帰国協定について、私はこの際両赤十字が友好的に
話し合いながらこの問題を
解決することを期待いたしております。その場合に、私どもは、協定の無修正延長を希望いたしましたが、
政府はそれを変えないということである。それは強制するわけにはいかない。まして
相手国、朝鮮民主主義人民共和国
政府あるいは朝鮮赤十字会にこれを強制するわけにいかない。同様に、朝鮮側の
意見もこれは強制することはできない。これは当然の原理ですね、交渉に臨む以上は。わがほうはこの方針で臨む、この方針は変わらないということを主張されることは何ら差しつかえないことです。ところが
相手の
意見を事前に拘束し、制限をする権限は、
日本側にはないわけですね。
相手の
意見は、無修正延長が妥当であるという主張をもって臨んでこられることもまたこれは自由なわけですね。したがって、そこで私が問題にするのは、この間七月五日に打ちました日赤の電報は、打ったというよりは、日赤に電報を打たせました。あれに朝鮮側がなぜ抵抗を感じ、あるいは非礼を感じておるかということは、この国際関係の
会談においては、相互の
意見は
お互いに強制はしない、
お互いが自分の方針は自分がきめる、
相手の方針は
相手がきめる、こういう
原則に反する心配がある。すなわちあの電文から見ますと、打ち切りを前提として、事後処理についてのみ
会談をしようという、その
日本側の
意見を
相手側に強制をし、
相手側がそれを前提として
承認しなければ
会談に臨めない、
誤解を招く電文であったわけです。私は、
会談というものは、およそいま申しましたように、相互自由の
原則に従って臨むべきである。
日本が方針を変えないということもまた自由でありましょう。
向こうがどういう方針をとるかということもまた自由でなければならない。したがって、きょう入港をいたします帰国船に朝鮮赤十字の代表の方もおるようでありますから、
日本赤十字を代表する方も新潟へきょう赴いておられて、非公式に接触をして、そして八日十二日締め切り後の事態を踏まえて正式な
会談をしようということを申し入れられるわけです。そのときに、
政府が打たせた電報は、あれはあくまで
日本の方針である、これは今後話をしても変わらないということを
日本政府では明らかにしておるだけであって、
相手の意思、
相手の方針を強制し、
相手に対しては
日本の方針を了承しなければ
会談に応じないという趣旨の電報ではない、こういう
理解でいいと思いますが、それは間違いないでしょうね。その点が
会談を成立せしめるかせしめないかの焦点なんです。当然のことですけれども、念のために伺って、この際
大臣からお答えをいただくことが、
会談を友好的かつ円満に開かしめるための重要なポイントだと思う。