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穗積委員 いまの御説明では、どうも十分解明されていない、われわれも理解ができないのであります。したがって、今後の
経過を監視しながら、われわれはこの問題について関心を抱いておることを申し上げて前に進みます。
ASPACの
会議でもう
一つ問題になりますのは、
日本並びに参加国は
平和共存政策をとっておる、しかしながら
相手国が
中国は
平和共存をとっていない、はなはだ遺憾なことである、彼らもやがて
平和共存政策にやってくるであろう、こういうふうな理解のされかたですが、これははなはだしく事実を認識していないし、
相手を理解していない
立場であると思います。
中国はごく最近になりまして、あなたのほうの党の宇都宮徳馬氏と陳毅が、
日本国民に伝えるような気持ちで
外交方針についての
態度を表明しております。文化革命があろうがあるいは紅衛兵の運動があろうが、それは国内の社会主義革命の問題であって、それに関連をして
中国の
外交政策は何ら変わっていない、今後も変わらない。そして
平和共存については、私が先ほど言ったように、独立、平等の
関係にある国においては、
思想と制度が違いましても共存はあり得ます。
中国の言っておるのは、
平和共存はその条件においてのみ可能性があるのであって、帝国主義または植民地主義をとっておる国が後進国に対して支配搾取をしようとする
態度、はなはだしきに至っては武力をもって威嚇をし、侵略をしようとするその二カ国の間においては共存はあり得ない、共存の前提は民族の解放、独立と平等、内政不干渉の
原則でなければならない、これを言っておるのであって、独立、平等の国々との間における
平和共存を拒否した事実は過去にもありませんし、文化大革命が起きましてからもありません。これは非常な誤解でございますね。
中国がいま
平和共存政策をとっていない、拒否しておる、武力解決、武力闘争を強く主張しておるので、それでアジアの平和が脅かされておる根源をなしておるのだ、これは全く言いがかりでございます。だから
中国は
日本との経済交流、文化交流、人事の交流についても、いまの状態でも積み上げの方式の
段階においても、いままでと変わらず、もっと拡大をしたいと思うと、これは宇都宮氏からもよくお聞きください。
解釈は別として事実はよくお聞きになることがいいと思うのです。
国交にいたしましても、
向こう側は
日本の現在の
関係において何らこれを拒否する
理由はないわけですね。いまの
原則さえ明らかになっておれば、貿易協定も結び、航空協定も結び、郵便協定も結びましょう、さらに発展をして
国交回復の平和条約も結びましょう、そういうことを主張しておるのであって、
平和共存政策を実践してないのはむしろ日中の
関係においては
日本側にあるわけです。非常な誤解でございますが、
国交回復のための条件が国内的にまだ成熟していない、あるいは対米
関係、対台湾
関係で成熟していないといまの佐藤
内閣が御
判断になることは、これは私は要望はいたしましても強制はできないのですから、その点は客観的に見れば、佐藤
内閣並びに自民党の自由な問題でしょう。しかしながら、この問題については、日中間の経済、文化、人事の交流と友好の発展、
国交回復に至る筋道の階梯において、
相手側に
平和共存原則を否定しておるから障害の原因があるんだということは全く言いがかりでございます。賛成、反対は別といたしまして、やるやらぬは別として、
相手の
態度に対しては正確に理解をし、正確にものを言わなければ、これは
平和共存になりませんよ、誹謗と独断と曲解を前提としてそういうことを言いふらされることは。私は何も
中国のために弁護するのではございません。
日本、
中国の
関係がアジアの平和と繁栄のために基本的に重要な問題だと過去の歴史の失敗の中からわれわれは反省をし、つかんでおるから、その
立場に立って私はあえて言うのです。ASPACにおいて、あなたが
平和共存原則というものを
原則としてだけでも打ち出されたことに私は支持を惜しみません。しかしながら、それを案行するにあたって、原因が
中国側にのみあるんだという言い方、
解釈のしかた、理解のしかたは私は非常な抵抗を感ずる。場合によればためにせんとする悪意すら感ぜざるを得ない。ためにせんとする、自分のなさざることを隠蔽するための言いわけにすぎないとすら感ずるわけです。あなたの主観にそういうものがあるとは思わないけれ
ども、非常にその点については
国民の間でも自民党内における良識派を
代表するあなたの今度の
会議における
発言というものはみんな注目しておる。その人がこういうことを言うということの世論への影響、誤解というものは非常に大きいものですから、あなたは
責任のある
立場におるわけです。したがって、私はこのことについてはあなたの正しい理解を——政策については強制いたしませんが、正しい理解をまず基本にして、アジア政策に対する意見を述べるべきであるということを強く要請いたしまして、御注意を申し上げておきます。これは友好的気持ちで言うのですよ。御注意を申し上げて、そうしてあなたの御所感があればよし、なければなくてけっこうですけれ
ども、指摘いたしておきたいと思います。