○
穗積委員 それからもう
一つは、
政府に協力して時間の節約のために、一括して聞いておきましょう。第二は家庭と職場、つまり住居と職場というものが非常に計画的に密着しておるわけですね。この問題は、
日本では東京の職場まで
平均——私は計算をいたしておりませんが、
労働省で計算があったら示していただきたい。各職場で働いておる頭脳
労働者、筋肉
労働者合わせて、一体通勤のために
平均どのぐらい使っておるかということですね。これは時間の問題だけではなくて、労力のエネルギー消耗としても莫大なものでございますよ。これは交通の問題と関連いたしますが、交通のことは
労働省の所管ではありませんから、したがって、住居と職場との一体化、その
一つとして
婦人労働を動員することを
考えて、しかも家庭を破壊しないようにということになれば、育児の問題、家庭生活の合理化の問題が出ますけれ
ども、職場の
指導の問題におきましては、やはり職場中心の託児所、育児施設、これが決定的だと思うのです。同時に、住居を職場と近接せしめる。これはいまの交通
事情の問題だけではありませんが、これに対する
政府の計画性がないために、どれだけ一体
労働の生産性を阻害しておるかわからないと思うのです。ほとんど
平均が一時間以上でしょう。こんな国は外国にはありませんよ。これは生活環境の市民的な不満だけでなくて、この通勤の問題は、
労働の再生産、過重
労働の問題として入っていないのですね。
国会職員の諸君だって、おそらくは一時間以上が圧倒的だと思うのです。これは何も
超過勤務の中に入っていない。こういう状態ですから、特に
婦人労働の場合はそれが言えるわけですね。パートタイムの量にいたしましても、中高年の
婦人労働力を導入するにいたしましても、これは決定的な問題ですから、ぜひ研究して促進されることを希望して、お
考えを聞いておきたいというわけでございます。
それから
ILOの問題を最後に一点だけ。先ほど戸
叶委員との
質疑応答を聞いておりまして、一体この
条約を通せばどういう変化が生ずるか、どれだけの効果があるかということです。すでに
民間におきましては、この
条約、
法律の有無にかかわらず、必要に応じて待遇のレベルアップをしておるわけです。中小
企業はそれに押されてきているわけですね。すべてそういう傾向になってきておるわけです。これを通すことによって、それがどれだけ促進されるか。
国内法においてはすでに
労働基準法に
規定があるわけですから、
国内法の新たなる立法または改正は必要としないわけですね。そうすると、一体何が残るかということです。
ILOを
批准することによって、どれだけの実効がここにあらわれてくるかということになると、はなはだしくたよりない話だ。ただ情勢が進んできた、しかも名目は
男女同権、基本的
人権の尊重だ、こういうことがうたい文句になっておりますが、実際は
人権の尊重、性別の法の
差別を撤去するということよりは、
労働省としては
労働力の実効、生産性を問題にしておるわけでしょう。そうでありますなら、この
条約を
批准することによって、一体
日本経済、
日本国民に対して、あるいは
婦人労働者に対して、
国会並びに
政府はどれだけの功績を果たしたかということです。実効は何もないじゃないか。そうなると、
あとは
行政指導でしょう。一体新たに通すことによって、通さなければできなかった行政措置が、どういうことが用意されておるか。観念的な自己満足にすぎないのではないかという、私は賛成する者として自己批判をしておるわけです。特に責任のある
労働大臣、
局長は、名目だけ通して、通した、通した、
労働者にとって理解ある
労働省である、そんなことでは何の役にも立たないということでございます。
それからもう一点、ちょっとさっきの
労働者の生活環境の改善の問題です。これは
法律ですべきことではありませんで、
指導——どうせ
指導ですけれ
ども、
男女平等の問題、住宅並びに託児所の職場中心主義というものについてお尋ねいたしましたが、三問として、いま進歩的な情勢を展望しておる
会社におきましては、思想性は別として、
労働力の生産性を高めるために、合理化するために、週五日、一週間に休暇二日制度が随所に出かかってきておるわけですね。これに対して
労働省は一体どういう
考え方を持っておられますか。私は、ぜひ
労働省は、むしろこれを促進、奨励する立場で
指導していただきたい。
それからもう
一つは、先ほど
婦人局長から、出産、育児に対しての
婦人のための特別休暇期間云云ということ、あるいは
婦人のための生理休暇というようなこともありましたけれ
ども、
男女を含めまして、やはり年間有給休暇の日数、これは週五日
労働の問題とあわせて、ぜひ、
わが国においては
会社、
企業別でばらばらになっておりますから、これを一ぺんに一律に
指導することはできないでしょうけれ
ども、やはり週二日の休養のほかに、年間通じて有給休暇の期間を延ばす。たとえば
労働力のいま一番少ないイギリス、フランスあたりを見ましても、一カ月は完全な有給休暇を八月一ぱいとっておるわけです。たとえば代表的な工場、ルノーの工場にいたしましても、それは過剰生産だから遊ばしておくのかといえば決してそうではない。需要はふえておるにかかわらず、八月なら八月、とにかく継続した有給期間、年間一カ月というものは、
日本よりはるかに
労働力不足を訴えておるヨーロッパにおきましてもほとんどとっておるわけですね。
日本はこれがさっぱり行なわれていない。ですから、最初に私がお尋ねいたしました三つの具体的な問題、その中にこの休暇の問題を入れて
労働省の御方針を伺いたいわけです。私は具体的な
提案をしておりますから。
それから最後に、いまのこの
条約を
批准することによって、
国内法におきましては何らの違いはないわけです。立法もしなければ改正も必要としない。すでに空文ながら
労働基準法にうたわれておる。これを通すという以上は、これによって法の改正は必要としないにいたしましても、
行政指導の面で躍進しなければ、この
条約を通しても、から念仏ではないか、自己満足ではないかという自己批判を私はしておりますから、それに対して第四問でございますが、あわせて一括して
お答えをいただきたい。