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1967-06-28 第55回国会 衆議院 外務委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年六月二十八日(水曜日)    午前十時十六分開議  出席委員    委員長 福田 篤泰君    理事 小泉 純也君 理事 永田 亮一君    理事 野田 武夫君 理事 三原 朝雄君    理事 堂森 芳夫君 理事 穗積 七郎君    理事 曽祢  益君       臼井 莊一君    福家 俊一君       毛利 松平君    山口 敏夫君       山田 久就君    猪俣 浩三君       久保田鶴松君    松本 七郎君       渡部 一郎君    川上 貫一君       斎藤 寿夫君  出席国務大臣         外 務 大 臣 三木 武夫君         国 務 大 臣 木村 俊夫君  出席政府委員         外務政務次官  田中 榮一君         外務省北米局長 東郷 文彦君         外務省欧亜局長 北原 秀雄君 委員外出席者         内閣官房内閣調         査室長     大津 英男君         法務省入国管理         局次長     笛吹 享三君         外務省条約局外         務参事官    高島 益郎君         専  門  員 吉田 賢吉君     ————————————— 六月二十八日  委員帆足計君辞任につき、その補欠として猪俣  浩三君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  国際情勢に関する件      ————◇—————
  2. 福田篤泰

    福田委員長 これより会議を開きます。  国際情勢に関する件について調査を進めます。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。穗積七郎君。
  3. 穗積七郎

    穗積委員 実は私は中東戦争並びに中国水爆実験成功後の新たなるアジア情勢について、これに対する日本外交政策についてお尋ねいたしたいと思っておりますが、しかし、はなはだ不愉快なことですが、突発的に内河某氏スパイ容疑事件ソビエトにおいて起きております。昨日は、参議院外務委員会法務委員会等でもこの問題についてそれぞれの大臣お尋ねがあったようですが、衆議院はまた独立の立場でこの問題を一応明らかにしておく必要があろうと思っております。なるべく重複しないようにお尋ねをして、政府の所信を明らかにしていただきたいと思います。  最初に、いまの内河氏事件についてお尋ねいたしますが、これは事務当局からでけっこうですが、その後在モスクワ日本大使館あるいはソビエト政府出先機関からこちらに、あの問題について新たな通報がありましたかどうか、お尋ねいたします。
  4. 北原秀雄

    北原政府委員 昨日参議院で御報告いたしました以後、新たな連絡はございません。
  5. 穗積七郎

    穗積委員 この事件は、報道によりますと、軍事裁判にかかっておるようですが、ソビエトにおける軍事裁判判決文は、これが公開されますかどうですか。
  6. 北原秀雄

    北原政府委員 軍事裁判判決は、ソ連邦におきましては裁判の直接関係者のみにこれを明示するというたてまえになっておるように私どもは理解しております。
  7. 穗積七郎

    穗積委員 直接関係者といいますと、弁護人並びに被告ですね、それに伝えられましたものは、他に公表が許されておりますかどうか。
  8. 北原秀雄

    北原政府委員 直接の関係者と申します場合には、裁判長、検事、弁護人被告、一応この四者をさしておるものと理解しております。
  9. 穗積七郎

    穗積委員 だから、こちらでいえば被告だ、今度の場合は官選弁護人のようですからね。だから、被告に明らかにされた判決文全文がわが国内において公表が許されておるかどうかということを聞いておるのです。
  10. 北原秀雄

    北原政府委員 現在までのところ、判決全文の写しはまだ被告入手しておりません。
  11. 穗積七郎

    穗積委員 いや、その事実を聞いているんじゃないです。公表する自由が与えられておるかどうかということを聞いておるのですよ。
  12. 北原秀雄

    北原政府委員 判決全文につきましては、昨日参議院において、入手した場合にはこれを提示してくれという要求がございました。入手いたしました場合にはこれを提示いたします。
  13. 穗積七郎

    穗積委員 入手方法については努力いたしておりますね。——裁判が行なわれましたのはもう数日前ですね。その後、この問題は本人判決文が知らされないで判決が行なわれるということは考えられない。そうでありますならば、再々モスクワ日本大使館館員が見舞いにも行っておるようでありますから、それによってもうアウトライン程度でも明らかになってしかるべきだと思うのです。と申しますことは、大臣、私は確かな筋から伺うと、判決文全文はわれわれの知るよしもないところでありますが、これは本人のいままでの経歴、環境から、客観的事実、自白ですね、これによって政府機関並びに政府関係機関委託を受けて事情調査に来たということが主たる容疑並びに判決中心になっているようでございます。これは大体間違いないところではないかと思うのですね。その調査の事実がどうであるかは別ですよ、判決内容そのものは。したがって、私はいまの判決文の性格なるものが非常に重要になるというふうに思うので、したがって、どういう方法にしろ、早く手に入れて原文並びに日本語翻訳文を添えてわが委員会資料として提出されることをこの委員会においても要望いたします。原文もつけてください。よろしゅうございますね。
  14. 北原秀雄

    北原政府委員 せっかく入手方努力いたしております。入手の上は提示いたします。
  15. 穗積七郎

    穗積委員 この事件は、私どももいろいろ、実は帰国、帰還者あるいは中国ソビエトその他共産主義諸国旅行する人に、政府機関またはその代行機関から調査資料入手を依頼されて向こうへ行って、それで問題を起こした例を見たり聞いたりで、私どもよく知っておるわけです。そういう経験を持っておるわれわれから見ると、今度の事件というものは、ソビエト側政府機関あるいはその代行機関委託を受けてソビエト事情調査に来たという点の類推が必ずしもはなはだしく荒唐無稽の類推ではないというふうに思うのです。すなわち、根源は内閣調査室から出ておる疑いをわれわれ日本国民も遺憾ながら客観的に見て持たざるを得ない、こういう感じでございます。  そこで逐次お尋ねいたします。  ちょうど入管局次長がお見えになったので、内河氏のパスポート一体どういう名目申請書が出ておりますか、そして期間はどれだけになっておりますか、旅行目的は何になっておりますか、その三点についてお答えをいただきたいのです。
  16. 笛吹享三

    笛吹説明員 パスポート発行につきましては外務省の所管でございまして、私のほうは所管いたしておりませんので、その点はちょっとわかりかねます。
  17. 穗積七郎

    穗積委員 審査には関係しておるでしょう。共産圏へのパスポートは、窓口旅券課であることをわれわれは熟知いたしております。ところが実際の審査のヘゲモニーを握っておるのは法務省であることもわれわれは事実として熟知しておる。そこで、この書類は当然外務省から法務省に、あなたの手元へ回っていったと思うのです。だからそれを聞いているのです。旅行目的旅行資格者身分、それから旅行期間ですね。それからできれば第四点として取り扱い旅行社はどこであったか、それもわかっておったらお知らせください。
  18. 笛吹享三

    笛吹説明員 共産圏への渡航につきまして、外務省から旅券を出される際に法務省協議があるという点は、これはございますが、この本件の場合のように、単なる観光あるいは通過、そういったものにつきましては、これは協議はしない。あとからどういう人の旅券発行があったかということの通報を受ける、そういうような手続になっておるわけであります。
  19. 穗積七郎

    穗積委員 手続はいいから、内容がわかっておったら知らしてくださいと言っておるのだ。四点。
  20. 笛吹享三

    笛吹説明員 旅券はわからないので、この私のほうの手元にございますのは、出入国記録——結局、日本人外国出国いたします際の出国記録だけが残っております。これでわかるわけでございますが、この点について申し上げますと、出発港が横浜港、旅行目的観光予定滞在期間二十五日、目的地ウランバートル、それから船はソ連船トルクメニア号、このようになっております。
  21. 穗積七郎

    穗積委員 身分は。
  22. 笛吹享三

    笛吹説明員 身分は、職業が会社員
  23. 穗積七郎

    穗積委員 何会社ですか。
  24. 笛吹享三

    笛吹説明員 勤務先武田洋行になっております。
  25. 穗積七郎

    穗積委員 会社住所はどこですか。
  26. 笛吹享三

    笛吹説明員 会社住所は、世田谷区東北沢四の六六六、このようになっております。旅券番号C——Cというのは一般旅券です。C−二二六一九八。
  27. 穗積七郎

  28. 笛吹享三

    笛吹説明員 それは出国カードではわかりません。
  29. 穗積七郎

    穗積委員 それではお尋ねいたしましょう。  外務省は、これは一般トラベラー旅券としてお取り扱いになったわけですが、国会議員以外、身分の明確な者は別といたしまして、特にいまお話しのCの旅券ナンバートラベラー資格共産圏へ参りますときには、実は非常に厳重な調査をするわけですね。そのときに——この会社架空会社だということですが、もうすでにお調べになって、外務省は御承知ですか。
  30. 北原秀雄

    北原政府委員 私、直接担当でございませんので、その点はつまびらかにいたしておりません。
  31. 穗積七郎

    穗積委員 私の聞いているところでは、調査してもらったんですが、これは架空会社名ですね。そういうものを調べないで、政府が、特に法務省審査課パスポートを出した例は一件もないのです。ありもしない会社名前を記載した、自分の勤務しておる会社一体どういう会社であるか、それで旅行目的一体申請書記載どおり目的であるかどうか、特にその点について。  それから第三は、本人身分について、経歴ですね、現在の会社員身分だけでなくて。それを調査せずして共産圏へのパスポートを出した例はないのです。ところが今度問題になって、武田洋行架空会社であるということが初めてわかった。これはもう政府なれ合いパスポートじゃないですか。承知の上のパスポートでしょう。答弁があったら——反証責任政府にあるのです。これはソビエト側が、政府機関委託を受けたスパイ行為であると断定をした。われわれもその疑いを持っておる。内閣調査室の悪業というものは、われわれは身に直接感じておりますから、そういう疑いを持っておる。判決に対して減刑要求するの、保釈要求するのと政府が言うなら、この判決に対して反証をあげるのは今度はこっちですよ。反証をあげてください。国内手続出発からして第一誤っておるじゃありませんか。共産圏渡航の民間のトラベラーで、代議士以外の者ですらすらとこんなものを出した。それじゃ外務省に聞きましょう。この受付は幾日であって、審査完了パスポートを下付した日は幾日ですか。それを明らかにしてください。
  32. 北原秀雄

    北原政府委員 本件申請は八月二十二日、交付の期日は八月二十五日でございます。  それからいま穗積委員のおことばにございました共産圏への渡航に関する事前調査の件でございますが、このように一般旅券観光目的の際には、外務省としては特に事前身元審査は行なうことになっておりません。
  33. 穗積七郎

    穗積委員 外務省とは私は言いませんよ。法務省ですよ。外務省がそんなことをすべき手続はないんだ。それが共管と称して、窓口旅券課だけれども、それはすぐ法務省入管局審査課へ行って、そこで省内公安まで含めて検討する。あなた、こんな調査しないでパスポートをもらった例はわれわれの関係においては一件もないですよ。必要以上の調査をしている。しかも、こんな架空会社名義を使って、それでトラベラー名目である。それじゃ、これから共産圏でも一般観光目的旅券申請であるならば自由に出しますね。外務省から答えてください。
  34. 北原秀雄

    北原政府委員 先ほどの武田洋行というものが架空会社であるという御発言でございますが、私ども承知しております限り、申請時に出した住所というものからその後に至ってその武田洋行なるものが移転をしたということを私ども承知しております。
  35. 穗積七郎

    穗積委員 それであなた、ほかのどれについてもトラベラー名目の、観光旅行名目パスポート申請なら、身分調査しないで出しますか。この内河君のほかにいままでに一回もそんな例はありませんよ。
  36. 北原秀雄

    北原政府委員 共産圏への渡航に関しましては、一応申請が出ました際に、この申請のコピーを関係省に配付して、協議するというたてまえになっております。
  37. 穗積七郎

    穗積委員 協議のときに、その身分目的がはたして記載どおりであるかどうか、それは綿密な調査をするわけです。その上で共同討議をするわけでしょう。あなたのさっきの答弁と違うじゃありませんか。身分架空会社名であろうと——あるいは実際会社名はあっても、業務を何も果たしていない。また若い社員を外遊に、しかも社用でなくて観光目的で出すような余裕のあるような会社であるかどうか、これは外貨積み立ての点もありますからお調べになるでしょう。いつもお調べになるじゃありませんか。日銀外貨まで行って調べるじゃないですか。それをあなた何も調べないでやったというのは、明らかになれ合いですよ。そんな例はいままで取り扱ったパスポート申請の中で一件もないんだ。ちょっと今後のこともありますから、はっきりしておいてくださいよ。
  38. 北原秀雄

    北原政府委員 先ほど私の答弁におきまして、外務省としては事前審査をしないと申し上げましたが、この点ちょっと誤解を招いたか思いますので、取り消させていただきます。  それから本件申請は東京都への申請でございます。そこで、それにつきましては、自動的に関係省連絡いたしますが、協議の結果ある一定期日を置きまして、何らの連絡のない場合には自動的に発行するというたてまえになっております。
  39. 穗積七郎

    穗積委員 この内河君の目的社用ではない、自分観光ですよ。そのときに外貨幾ら許可いたましたか。世界政経調査会を、薄給過ぎるから生活に耐えないといって退社したということが伝えられておるわけでしょう。その者がこんな架空会社へつとめておって、そんな金があるはずはないでしょう。会社から出るはずはないし、本人もあるはずはない。外貨は許可したときに幾ら割り当てになっていますか。
  40. 北原秀雄

    北原政府委員 外務省におきましては、出国の際の外貨申請、これは日銀で自動的にやりますのでわかりません。出国の際の管理当局においてそれは申請されておると思います。
  41. 穗積七郎

    穗積委員 だってあなた、これからソビエトへ向かって減刑要求をしよう、保釈要求をしようというんですよ。スパイじゃない、単なるトラベラーをあなたのほうで誤認したのだということで釈放を求めようというんでしょう。それでは反証にならぬじゃないですか。何を言っているんですか一体外務省関係がなくたって、この世界政経調査会は薄給でとてもやっていけない、不満を持ってやめたと当局は言っておる。その者が幾ら外貨——この二十五日間にわたって、一日十ドルか二十ドルか知りませんが、外貨割り当てをしておるはずです。それらの資料も集めぬで、減刑だのソビエト軍事裁判判決反証をあげていこうなんということはおこがましいですよ。われわれの疑惑を解くことすらできないじゃないですか。大臣どうですか、お聞きになって。あなたはきのうの委員会減刑するの、保釈を求めるのと大きなことを言っておられるけれども、こんなことで反証ができますか。反証責任はこっちにありますよ。
  42. 三木武夫

    三木国務大臣 その判決全文がまだ手に入ってないですからよくはわからぬけれども、この内河という男が過去に世界政経調査会に五年つとめておったという前歴がありますから……。(穗積委員直前までです」と呼ぶ)直前まで——そういうことで、この前歴というものと今度の諜報行為とを結びつけたものと私は思います。そういうことで処断をしたと思いますが、ソ連訴訟手続では上告本人がやることになっていますから、上告をするということで、上告をすれば三カ月以内に最終判決が下ることになっています。そこでまたこの問題は一そう詳細に審査される機会があると思います。政府としては世界政経調査会等調べたわけでありますが、絶対にさような委嘱をした覚えはないということでございますので、穗積君の言われるような、これは政府あるいは政府機関なれ合いのごときことは非常に事実に反することだと私は思っております。これはどういうことをやったにしても本人の個人的な責任だ、政府並びに政府機関関係はない、こういうふうに考えておりますから、それを結びつけての容疑であるならば、これは外務省としても外交機関を通じて釈放要求することが当然である。こういうことをいたしておるので、断じてなれ合いにあらず、このことだけは申しておきます。日ソ友好関係が増進されるときに、政府政府機関なれ合いでかようなことをする必要はごうもないのだ、われわれは日ソ友好関係の増進を願っておるのでありますから、さような意図を政府政府機関が持つはずはないのであります。この点についてはどうか国会においても誤解のないようにお願いをいたしたいと思います。
  43. 穗積七郎

    穗積委員 あなたの主観はそうでしょう。主観はそうだけれども、客観的にはそういうことは証明できない。疑いのほうが多いという客観的事実は証明できない。それはさっきからお聞きのとおりですよ。第一パスポートが、いままでわれわれの経験したことのないやり方で出されておる。身分すら確かめてない、つとめておるという会社の実在すら調べないでパスポートを出したなんという例はないですよ。少なくともパスポート政府なれ合いですよ。特別のものです。政府と特別の関係パスポートです。そうでなければ出るはずはありません。あなた、架空会社名前で出して、これは虚偽の申請ですよ。  それからさらに観光と言うけれども、十月といえば、もうすでに御承知のとおり、九月に入れば急速に厳寒の時期に入って、しかもウランバートル、蒙古まで行こうということであるけれども、蒙古とシベリアでしょう。しかもつかまったということの事実の報道は、軍事施設写真にとった、それからそこら付近の人民からいろいろなそういう情報の聞き取りを始めたということですね。特にシベリアと外蒙というものは、これは実はソビエト核工場または核基地中心ですよ。観光ならモスクワに行きそうなものです。シベリアと外蒙をうろつくなんということが、第一しかも季節にあらざる観光のシーズンオフにこういうことは考えられない。しかももう一つ疑わしいわれわれとして不愉快に思うことは、蒙古に限って一体観光に行くということはどういうことですか。わが外務省は実は中国国交回復をしてない。中国情報をとるには香港では不十分である、モスクワまたは西ヨーロッパでも不十分である。そこで外蒙へ行けばソビエト並び中国との関係並びに両国の関係、特に中国のいろいろな政治経済社会世論の動向をキャッチするに都合がいいから、国交回復をしたい、政府機関ウランバートルに置きたい、ところが台湾政府の反対にあってさたやみになったわけですね。その問題になっておる蒙古ですよ。しかも季節はいま申しましたとおり。十月下旬に行ってすぐ何をしたんだといったら、軍事施設写真をとり、情報を聞き取り、それですぐつかまっちゃったわけでしょう。これははなはだしく疑わしい条件が整っておる。  それから世界政経調査会云々といいますが、これは四百年前、私は三河の出身ですが、わが松平伊豆守の仕組んだ隠密制度というのは、坊主にするか庭師にするか三河万歳に仕立てていって、わが親藩の直参だなんという資格スパイなんかを出した例はないんだ。みんなこれは身分を解除して、解放して出すにきまっていますよ。つかまったら知らぬと逃げよ、へたなことを言ったらうしろからピストルで撃つぞ、昔なら刀ですね。そんなことを、あなた世界政経調査会内閣調査室もこれは委嘱したなんということを言うはずはない。そんなことだけが、何らこのことがスパイ事件でないということの挙証材料にはなりません。あなた、これはもうすぐ直前まで世界政経調査会、しかもソ連関係専門家じゃないですか。天理大でソビエト語をやって、若造だから目に立たぬだろうということですね。スパイにもいろいろありますよ、これははなはだしく疑わしいですね。客観的に、あなた国内においても国際的にも、これは関係がないということを証明する挙証材料は、いままで私が聞いただけでも何もないじゃありませんか。何もないですよ。  内閣調査室長はお見えになっていますか。ちょっとお尋ねいたします。  第一、一般的にお尋ねいたしますが、特に共産圏の場合、共産圏政治経済社会、文化あるいは生活世論、これらを調査対象にしておられるわけですね。さようでございますか。
  44. 大津英男

    大津説明員 共産圏のみでなく……。
  45. 穗積七郎

    穗積委員 共産圏のセクションもあるでしょう、対象になっているでしょう。
  46. 大津英男

    大津説明員 それはやっております。
  47. 穗積七郎

    穗積委員 それはわかりました。  それで次にお尋ねするのは、時間がありませんから簡明率直にお答えください。私も簡単に聞きますから。  この調査のために、内閣調査室職員または委託しておる世界政経調査会をはじめとする十一団体職員が、調査方法として、外国へ出張して調査をせしめる、そういう方法をとっておられますか、どうですか。
  48. 大津英男

    大津説明員 御質問の意味がちょっと私にはわからない点もございますが、世界政経調査会職員が海外へ渡航するということは、いままで香港台湾あるいは韓国……。
  49. 穗積七郎

    穗積委員 いやいや、共産圏に限って言っているのです。時間がないですから、限って言ってください。
  50. 大津英男

    大津説明員 ヨーロッパソ連を通過したというのがございます。
  51. 穗積七郎

    穗積委員 そうすると、内調職員調査目的を持って外国へ出たことがありますか、共産圏諸国へ。
  52. 大津英男

    大津説明員 昨年調査官が一名、内閣事務官が一名……。
  53. 穗積七郎

    穗積委員 どこへ出ましたか。
  54. 大津英男

    大津説明員 東ヨーロッパを回ってまいりました。
  55. 穗積七郎

    穗積委員 ソビエトを訪問したの。
  56. 大津英男

    大津説明員 参っております。
  57. 穗積七郎

    穗積委員 それで、世界政経調査会をはじめとする調査委託団体職員が、共産圏諸国調査目的を持って出張したことがありますか。
  58. 大津英男

    大津説明員 いままでのところ、私の知っている限りはございません。
  59. 穗積七郎

    穗積委員 そういう調査計画が出たときに、これに対して、この費用を認めて、委託費を出しておりますか。
  60. 大津英男

    大津説明員 いままでそういう計画がございませんので、認めておりません。
  61. 穗積七郎

    穗積委員 そうすると、職員が外へ出るということはあり得ませんね。  それから、その次にお尋ねするのは、そうすると、委託団体の十一団体の現職の職員が、調査目的を持って外国へ、特に共産主義諸国へ出ることは認めていない。ところが、身分を解除して、他の身分あるいは無職の身分で出る場合は、内閣調査室は全然関係はありませんね。
  62. 大津英男

    大津説明員 内閣調査室身分あるいは外郭団体身分のない者につきましては、私どもとして全然関知しないところでございます。
  63. 穗積七郎

    穗積委員 そうすると、委託をする団体調査活動国内に限っておるわけですか、正規には。
  64. 大津英男

    大津説明員 内閣調査室調査というのは、何もそういうことだけではございませんで、いろいろな文献、資料、交換されたもの、そういうものを通じて調査をするということは、非常に大きな幅を持って仕事の分野を占めておるわけでございます。
  65. 穗積七郎

    穗積委員 いいえ、私は行動半径を言っているのです。外国へは出さない、共産圏調査ですよ、共産圏諸国事情調査について、調査するために出張を認めない。委託団体職員といえどもそうであるならば、調査活動行動半径日本国内だけですね。資料はむろん外国資料を使いますよ。あるいは向こうから帰ったジャーナリストあるいは旅行者から事情を聞くこともあるでしょう。いずれにしても調査委託団体職員調査活動のゲビートは、国内に限るわけですね。それを聞いているのです。
  66. 大津英男

    大津説明員 いままではそのようになっております。
  67. 穗積七郎

    穗積委員 これからはどうですか。
  68. 大津英男

    大津説明員 これからにつきましては、まだ何も考えておりません。
  69. 穗積七郎

    穗積委員 出す場合もあり得ますね。
  70. 大津英男

    大津説明員 事情が許せば出すこともあり得ると思います。
  71. 穗積七郎

    穗積委員 わかりました。  これは資料として、まず一般的にお尋ねいたしておきますが、内調の役員並びに機構、それから年間の事業計画、それから委託した調査項目、それに対して出した委託費、それからその委託に応じて委託団体調査して出した報告、いいですか、報告ですね、これを資料として国会へお出しいただきたい。この委員会へお出しいただきたい。  それからその次に、今度は世界政経調査会をはじめとする従来から継続して委託しておった委託団体委託機関の役員、機構、それから調査活動並びに決算の監査をしておられると思いますが、決算の監査された報告をいただきたいのです。それで、これだけの報告書の実績に対して、これだけの調査をするために何千万なら何千万の金を出した。それに対して、それに見合うだけの調査報告が一体行なわれておったかどうか。これは過去のものはちゃんとわかっているわけですね。私はおそらくこういう団体の傾向というものは、内閣調査室架空計画に対して予算を出して、その予算が正式に使われていない、あるいは今度の場合もその疑いがあるわけですね。海外出張をいままでさしていない、正式職員にもさしていないというけれども、その金が使われている心配があるわけです。何となれば、さっき言ったとおりです。つとめている会社架空の実益を伴わない会社だ。それから本人は給料が安過ぎるといって不満を抱いて調査会をやめた本人です。それで、あと留守家族のいろいろな事情を漏れ承りますと、そんなに自費で大名観光旅行するような余裕はないわけですから、出るとすればここから出ることがまず第一と世間は疑うでしょう。そういう意味で、それを一切資料としてお出しいただきたいということを最初に委員長を通じて要求しておきます。よろしゅうございますね。
  72. 大津英男

    大津説明員 できるだけ早くまとめるようにいたしたいと思います。  それから、いまお話しがございましたが、武田洋行というのは本人の義兄のボールペン製造の会社であるというふうに聞いておりますので、申し上げておきます。
  73. 穗積七郎

    穗積委員 貸借対照表、収益表をごらんになったことがありますか。あなたはそういうことを言って弁護されるならば……。
  74. 大津英男

    大津説明員 そこまで知りません。
  75. 穗積七郎

    穗積委員 法務省はそれを調べていますか。
  76. 笛吹享三

    笛吹説明員 法務省は、出国カードによって武田洋行ということを初めて見ただけでございますから、調べておりません。
  77. 穗積七郎

    穗積委員 異例なことですね。パスポートについては異例なことでございます、事実、いままでのわれわれの経験した例から見ると。  次にお尋ねいたしますが、問題は、こういう事件が今度の事件に限って——外務省にちょっとお尋ねするのですが、たとえば北洋で、あるいは豪州で、あるいは韓国で、日本の船員がときどきつかまりますね。それで裁判を受けますね。それに対して裁判指導をされたことがありますか、外交保護権と称して。
  78. 福田篤泰

    福田委員長 北原局長の前に、笛吹次長が答弁要求するので許します。
  79. 笛吹享三

    笛吹説明員 法務省出国カードに記載された出国者の勤務先調べなかったことが異例であるとおっしゃいましたが、これは異例ではございません。あたりまえのことでございます。いままで出国カードによって出た出国者の勤務先を一々調べた例はございません。
  80. 穗積七郎

    穗積委員 私は時間がなかったから言わなかったが、出国カードは決定してからです。パスポート申請書の審査をするときには調べるのですよ。それを言っておるのです。
  81. 笛吹享三

    笛吹説明員 先ほども申しましたように、国交のあります共産圏の日本人渡航につきましての旅券の発給につきましては、観光とか単なる通過というような場合には外務省からは私のほうへ協議はございません。したがって、私のほうではこれは審査いたしません。
  82. 穗積七郎

    穗積委員 でたらめ言っちゃいかぬよ。通過じゃない。トランシットじゃありませんよ。旅行目的ソビエトと蒙古、モンゴルじゃないですか。しかも蒙古は国交未回復国ですよ。聡明なる、明敏なる笛吹さんのお感違いですよ。蒙古はそうすると旅券法違反ですか。旅行目的地域に入っておるでしょう、モンゴルは。未回復国ですよ。
  83. 笛吹享三

    笛吹説明員 私のほうは、先ほどから申し上げますように、本人出国するときに初めて入管の手元に参ったわけでございまして、旅券の発給に際して私のほうには全然協議はございません。
  84. 穗積七郎

    穗積委員 それは事実に反します。パスポートもビザもほとんど決定権は法務省にあるのだ、実際は。外務省は受けつけて特に目立ったものについてはチェックをすることもあるけれども、ほとんどあまりリーズナブルなことはしていない。法務省です。
  85. 北原秀雄

    北原政府委員 ただいまの法務省の御答弁に関連しまして、先ほどの私の答弁をある意味で補足さしていただきます。  共産圏渡航の場合にも普通一般旅券で、観光等の目的の場合には外務省限りで発行いたします。ただし、共産圏渡航パスポート申請のうち一部のものにつきましては、申請者から共産圏渡航趣意書というものを提出していただいております。この内河の件につきましては、共産圏渡航趣意書というものも提出させておりません。つまり事由といたしましては単なる観光ということでございましたので、内河の件につきましては全く外務省限りで旅券発行いたしております。
  86. 穗積七郎

    穗積委員 それは怪しいんですよ。それでいまの裁判指導をしたことがありますか。外交保護権と称して裁判指導いたしますか。
  87. 北原秀雄

    北原政府委員 従来までのところやっておりません。ただソ連との関係につきましては、今後領事条約が発効いたしました場合には、領事条約の趣旨によりまして、そういうことを行なうということであります。
  88. 穗積七郎

    穗積委員 領事条約は発効しておりますか。
  89. 北原秀雄

    北原政府委員 現在発効しておりません。
  90. 穗積七郎

    穗積委員 おらぬのになぜ上告の指導をいたしましたか。身の入れ方がちょっと違いますよ。ほかのもっと条件の悪い、それこそ政府の外交保護権を発動しなければならぬ人に対してはほったらかして、何年留置されて何にも裁判されぬでも。今度の場合についてはやっきになって裁判指導しておるじゃないですか。判決の前から上告をさせると言っておるでしょう。木村長官もそんなことをちょっと言いましたな、新聞で。あとで聞きますけれども外務省も言っていますよ。そんなことは異例なことじゃないですか。何か痛いところがあるに違いない、政府は。国際的に見ていままでに慣例のないことですよ、裁判指導までするなんということは。領事条約も発効していませんよ。
  91. 北原秀雄

    北原政府委員 上告の件は、これは判決のございましたときに被告の弁護士からこの件が持ち出されました。なお、弁護士の言によりますと、判決の最後に裁判長からもそういう措置を考えたらいいだろうという発言があった由であります。上告被告の意思によって行なうものでございますので、政府といたしましては何ら指導の役割りを果たしておりません。
  92. 穗積七郎

    穗積委員 それはいまおっしゃるとおりです。裁判官、弁護士で上告はできないのです、本人の意思なくして。本人の意思を指導したのは外務省じゃないですか。日本政府でしょう。しょうとした。意思表示をした。しかも、ぬけぬけとそれを新聞に談話発表までして、上告の指導をするのだ、その上で判決があったら減刑保釈要求するのだ、こう言っておる。身の入れ方がどういうわけでそんなに違うのですか、この件について。
  93. 北原秀雄

    北原政府委員 実際問題といたしまして、この上告云々の件につきましては、現地ハバロフスクにおいて起こったことでございますので、物理的にも時間的にも日本政府としては何ら介入の余地はなかったと思います。
  94. 穗積七郎

    穗積委員 つかまってから八カ月もある、判決まで。それで勝間田書記官が現地まで行っておるじゃないですか。面会にも行けば傍聴にも行っておるでしょう、遠路はるばる。ほかの漁民がつかまったり——さきに言ったような北や南でね、その裁判にそんな立ち会いをしておりますか。なぜこういうものに、あなた、ばかに身を入れるのですか。  外務大臣、どうですか。ちょっとおかしいでしょう、あなたお聞きになって。
  95. 三木武夫

    三木国務大臣 少しもおかしいとは思わぬです。これは政府が何も指導していないのです、上告の。これは弁護士のそういうふうな話もあり、本人の意思によってやったわけでありまして、判決があれば上告というものはそう長い問時間がかかるわけでもないわけですから、そういうふうな指導は一切していない。これは明らかです。穗積さんの話を聞いておると、政府なれ合いなれ合いと、こう言うが、日ソ両国のためにそういう発言は非常に遺憾であると私は思う。政府はそういう必要はないですよ、ソ連に対して。この内河というのはどういう男か知らぬが、ああいう者をソ連に対して諜報活動をさすというような必要は、日本政府としてごうも持っておりません。日ソ関係というのは御承知のとおりですよ。そういうことで何か政府なれ合いだということは事実に反しますし、また痛いところがあるから上告の指導をしたということは、断じて指導をしたことはない。これは否定をしておかないと国民に非常な誤解を生じますので申し上げておく次第でございます。
  96. 穗積七郎

    穗積委員 法律、行政というものは、すべての人民に対して平等でなければならない。外交保護権発動について、この場合と他の場合と非常に不公平があるということです。それを言っているのです。実はこの問題については、あとわれわれの同僚議員から関連または質問がありますので、時間がありませんから、最後に木村官房長官に、内閣調査室責任者としてお尋ねいたします。  いまもお話のように、私はここで二つのことを提案したい、内閣調査室に。それは各省のばらばらの国際情報関係のが、外務省、通産省、その他文部省も多少ありましょう。そういうものをサマライズして、整理して、そして内閣のいろいろな認識、判断の参考にするということはけっこうだが、実はこのごろはCIAとなれ合って、そしてCIAはいまアジアでは日本に上陸して一番活発な活動をし、一番金を使っておるといわれておる。そういうものにいささかなれ合ったりいたしてやる。しかもいつでも責任を断ち切れるような形で、委託団体というずさんなものにわれわれ国民の税金の金を出してこの調査活動等をやらしておいて、そんなはんぱなような内河何がしという者を使う必要はないんだと言う。使う必要がないなら、委託活動は少なくともやめるべきだと思いますね。五億何千万円の金で、こういう何にも役に立たない、国際的に疑惑を招くだけである。そして国民からもCIAの下請子会社のごとく思われて、それでわれわれも実に不愉快な目をすることが多いんだ。あなた方、やられたことがないからなんですけれども……。だからもうこれはそのとおりであって、調査をする必要がないという外務大臣の御方針であるなら、そのことばどおりであるなら、この際は、調査委託というものは一切おやめになるべきだと思う。あるいは、場合によれば、もうこういうものは、特に調査室というものを設けて、しかも元警察官、軍人、それを主体にしたようなものでこういう調査をする必要はない。シビリアンで、もっと合理的な資料収集というものはできると思うから、特に現在のような内閣調査室は解散すべきだとぼくらは思います。いいことはいままで一ぺんもないのですから、内調内調といって悪名高き内調になっている。国民生活から見ても、国際的にもそうです。だから第一段としては、最大の譲歩をすれば、委託十一団体に対する委託調査という行為は少なくとももうやめるべきだと思う。一歩進んで内調そのものももう廃止をすべきではないかと思います。国民生活に、あるいは国際親善平和に何にも役立っていない。マイナスの面だけです。そのことを、これは要求を兼ねて質問をいたします。  これで私の質問を終わりますから、あと続いて他の委員の御質問にお答えをいただきたい。木村さん、お願いします。
  97. 木村俊夫

    ○木村国務大臣 ただいま御提案をいただきましたが、内閣調査室の仕事は、当然国として、その安全あるいは重要政策に関する情報の収集、いろいろな面におきまして、私は非常に重要な職務であると思います。そこでいまおっしゃいましたような内閣調査室を廃止するような考えは、政府としては毛頭ございません。  かつ先ほどCIAとの関係にお触れになりましたが、私の知れる限りでは、もちろん内閣調査室とCIAとの関係にあろうはずがございません。特にCIAは米国の、外国機関でございまして、日本に何らのそういうブランチもございません。(穗積委員「しょっちゅう情報交換をやっておるじゃないか」と呼ぶ)そこで外務省窓口を通じて、そういう外国の機関とのルートは、情報交換等であるように聞いておりますが、内閣調査室との直接の関連はございまん。(穗積委員 「機構的にはない、委託調査はどうですか、おやめなさい」と呼ぶ)内閣調査室は、ぜひ自分の業務として自分の機関において、すべて直接にそういう職務を行ないたいのでございます。なかなか人手あるいは予算等の関係で、情報の収集その他をみずからの手で行なわないで、他の外郭団体委託する必要が現在のところございますので、この委託も現在のところ直ちにこれを廃止することができないのでございます。
  98. 穗積七郎

    穗積委員 その問題は調査室長から資料をもらって、具体的な事実の中で、ずさんかつ不当な調査活動が明らかになったならば、これは再検討されますね。調査のやり方、調査活動について、委託活動についてどうですか。それでもまだやめないというのですか。
  99. 木村俊夫

    ○木村国務大臣 もちろん私ども内閣調査室の現在の職務が万全とは考えておりませんので、内閣調査室の今後の再検討といいますか、もし万一国民に疑惑を与えるようなことがあれば、その点は改善してまいりたいと思います。
  100. 福田篤泰

    福田委員長 堂森芳夫君。
  101. 堂森芳夫

    堂森委員 ただいま内河何がしの事件につきまして、同僚の穗積委員から二、三の御質問がございましたが、私も外務大臣あるいは官房長官あるいは内閣調査室長等の諸君に、二、三の点、重複しないように質問をしてみたいと思うのであります。  まず外務大臣お尋ねいたしますが、この内河何がしが逮捕されました事実は、外務省に、公式にはもちろん在外公館を通じてでありましょうが、知ったのであるか、この点をまず。そういうことは何も知らなかった、それでもけっこうでありますが、そういう通知をとったとするならば、いっそういう事実を知ったのか、その点まず答弁を願いたいと思います。
  102. 三木武夫

    三木国務大臣 十一月の五日モスクワ通報を受けたわけでございます。
  103. 堂森芳夫

    堂森委員 局長でけっこうです。そこで日本外務省としては、政府としては、外交保護権と申しますか、そういう立場からどういうような措置を今日までとってきたのでありますか。新聞にはいろいろ報道されておりますが、昨年の十一月、公式なそういう情報をキャッチして、判決が行なわれる、あるいは裁判が行なわれるということになって初めて公にこうして報道されるようになったのでありますから、その間どういう措置を具体的にとられたのか、その点の答弁を願いたいと思います。
  104. 北原秀雄

    北原政府委員 十一月七日、直ちにその妻及び義兄、実姉等に対し、外務省より内地において通報いたしました。十一月九日、ソ連外務省を通じまして釈放の要請を正式にいたしました。十一月十五日、東京において在京大使に対して釈放の要請をいたしました。十一月二十二日、この逮捕理由その他詳細の説明を要求いたしました。同時に早期釈放の要請、それから本人との通信、面会等の申し入れ等に関しましての申し入れを行ないました。十一月二十三日、ソ連外務省より、目下内河は刑法六十五条嫌疑のために取り調べているという通報及び説明がございました。補足して同人の健康及びその他のいろいろ情勢等につきましての説明がございました。直ちに面会を至急要求いたしました。先方は早期検討を約しました。同時に早期釈放を要望いたしました。十二月六日、面会許可が参りまして、十二月十一日、二等書記官勝間田をハバロフスクに派遣いたしまして、十二月十三日、ハバロフスクにおいて会見いたしました。その後本年に入りまして、五月三日、取り調べ完了の通告をソ連外務省よりいたしてまいりました。こちらからは理由の説明を直ちにしてくれという点及び弁護士等の件につきましての申し入れを行ないました。五月十日勝間田書記官を再度派遣して、十二日に面会いたしております。六月七日に弁護士よりの通報がありまして、六月二十日に裁判を開始するという報に接しました。六月十五日勝間田を再びハバロフスクに派遣しまして、六月二十日開廷、以後六月二十二日に判決が下りました。
  105. 堂森芳夫

    堂森委員 政府が早く釈放しろとか、外交保護権の立場からそういう交渉をしたというのでありますが、しかし本人は、これもやはり報道によってわれわれ知るのみでありますが、内閣調査室の依頼によってスパイ行為を行なったのだ、こういうふうなことを本人が供述しておるということが報道されておりますが、向こう軍事裁判によって下された判決文は、もうすでに外務省に入っておるのでございますか、いかがでございますか。
  106. 北原秀雄

    北原政府委員 先ほど申し上げましたとおり、判決全文は入っておりません。弁護士から判決の趣旨と申しますか、大要を聞いて承知いたしております。
  107. 堂森芳夫

    堂森委員 自供しておるのでしょう。その点を聞きたかったのですよ。
  108. 北原秀雄

    北原政府委員 弁護士を通じまして知りました判決理由の大要は、次のとおりであります。  「日本内閣調査室及び世界政経調査会の指令を受けソ連の国家的軍事的機密に属する情報日本関係機関に、提供されることによりソ連の利益を害するよう使用されうる性格の秘密情報を蒐集しようとし、又実際に写真撮影肉眼観察及びソ連市民との会話によって蒐集した。これはスパイ活動でありロシア共和国刑法第六十五条に規定された罪を犯したものと認められる。但し、被告が正直に全てを供述したことは情状酌量に価いする。」というのがその判決にいわれておる大要でございます。
  109. 堂森芳夫

    堂森委員 後ほどまたお聞きしますが、内閣調査室責任は官房長官でございますね。——官房長官にお尋ねいたしますが、たしかこの調査室ができたのは吉田第三次内閣の二十七年でございましたか、当時の緒方副総理の発想によって出発したと記憶をしておるのでありますが、当時の目的と今日の調査室の現状というものとはかなり変質してきておると思うのであります。先刻来いろいろ答弁がございましたが、昨年、一昨年あるいは本年度と、たしか五、六億の予算が使われておる。本年度はたしか六億七、八千万じゃないかと思いますが、これが十幾つかの団体調査委託費として分配されておる、こういうふうに聞いております。  そこで、この内閣調査室委託しておる団体、これらにはやはり多くの問題がある団体があると私は思うのです。また世界的にいろいろな諜報活動をやっておる大きな中枢機関である俗にいうCIAですか、これと調査室とは関係があるに違いない、こういうふうにも考えられますし、あるいはまた政経調査会等も何らかの関係が当然あるであろうとか、いろいろな推測が行なわれるわけでありますが、内閣調査室とCIAとは関係があるでしょう。ございませんか。さっきはないとおっしゃった。私はあるに違いないと思います。どうですか。
  110. 木村俊夫

    ○木村国務大臣 御推測を承りましたが、私ども内閣調査室は、CIAその他外国のそういう情報機関と共同して活動することはございません。
  111. 堂森芳夫

    堂森委員 そう公式には答弁されるでありましょう。同僚の猪俣委員が来ておられまして、後ほどいろいろ関連して発言されるそうでありますから、私はこの点ははしょります。猪俣委員は専門家でございますので……。  それではもう一度戻りまして、外務大臣お尋ねをしたいのであります。この内河何がしの事件というのは、私は今日、また近い将来三木外務大臣モスクワを訪問されまして、そして日ソ両国の親善等あるいは多くの目的を持ってモスクワあるいは東ヨーロッパ等に旅行をされるというふうに聞いておるのでありますが、こうした事件というものは、やはり精神的にもあるいは存外両国の国民の間の国民的な、何といいますか、友好気分というものを大きく傷つけていくようなきっかけにもなりかねない、こういうふうに私は考えざるを得ないのでありまして、本人スパイをやった、こう言っておるのであります。私は、もちろんこうした問題に対して政府は、もしほんとうに政府関係の何もない行為であるならば、この点については政府は大いにこれを鮮明にしていかれるような努力をされなければいかぬし、政府の、何といいますか、そうした明快な今後の態度をはっきりととっていって、そして幸いこれが両国民の間にそうでなかったというようなことが明らかになったならばいいのでありますが、その点についてどういうふうな御意見でございますか、承っておきたいと思います。
  112. 三木武夫

    三木国務大臣 堂森さんの御指摘のように、これはまことに遺憾なできごとだと思う。政府あるいは政府機関は何ら関係したものではない、これは私は明白なことだと思うのであります。したがって、この事件日ソ友好関係の上にいささかも悪いあと味を残すことのないようわれわれも十分努力をしなければならぬと考えております。
  113. 堂森芳夫

    堂森委員 いろいろ聞きたいのですが、官房長官は三十分までだそうですから、猪俣さんに譲り、それじゃこれで終わります。
  114. 福田篤泰

  115. 猪俣浩三

    猪俣委員 外務大臣と官房長官にお尋ねいたします。  本年の三月二十八日の予算委員会におきまして、私が官房長官に対しまして内閣調査室の行動及び外郭団体について質問いたしましたときに、初めて世界政経調査会なるものが説明せられまして、しかも一億数千万、十一のあげられました外郭団体のうちで最高の額が払われている。その世界政経調査会につとめておった一人が今日の問題の人物であるということで、相当国民にも不信感があると私は思うわけでありますが、この三月二十八日の予算委員会におきまして、私の福永官房長官に対しまして内閣調査室とCIAは何らかの関係があるかという質問に対しまして、福永さんの答弁、はなはだ妙な答弁をやっている。たとえば「内閣調査室自身あるいはこれらの外郭団体とアメリカの中央諜報局CIAとは何らかの関係がありますか、ありませんか。」という私の質問に対して、「内閣調査室は、もとよりいま御指摘のCIA等とは共同で工作する等のことは一切ございません。」こういう答弁をしておる。私は、共同工作をしているかどうかと質問したのじゃないです。「何らかの関係がありますか」という質問をしておるのに、こういうことを言っている。それでなお私は、岸さんがアメリカへ渡りましたときのアレン・ダレスとの交渉の結果を言って、情報の交換をしようじゃないか、お互いに、総理大臣、アレン・ダレスが言い合っているじゃないかという質問を言いますと、「そういう意味においては連絡と申しますか、情報交換ということはあると存じます。ただし、先ほども申し上げましたように、外務省を通じてと、こういうたてまえでございます。」と、こう答弁している。そこで私は外務大臣に質問いたしましたら、「CIA等との情報の交換は、私の承知しておる限りではないのでございます。」と、こう言うのでありますが、ただし、「CIAの出先機関が日本にあるわけではない、CIAというのはアメリカ政府情報機関でありますから、そういう点で、CIAがいろんな情報を大使館を通じて流すので、そういうふうな形でわれわれが情報を受けることはあるけれども、CIAが直接外務省情報交換の連絡があるようには承知してないのでございます。」と、こう言っているのであります。  そこでいま、これは政府としてはそういう答弁をするだろうと思いますけれども、アメリカの大新聞にはことごとく明らかに事がなっているにかかわらず、日本政府は知らぬ存ぜぬ、こう言っている。それは、在外公館の中にCIAの職員が相当入っているということは、アメリカのインド大使をやったテーラー氏自身が告白しているのみならず、アメリカのニューヨーク・タイムズあるいはヘラルド・トリビューン、みんなそれを指摘している。だから日本の大使館にもCIAの職員がいるはずなんです。それは知らぬと言っている。しかしアメリカの大使館と外務省情報の交換をしていることは間違いありませんか。もう一ぺん答弁してください。
  116. 三木武夫

    三木国務大臣 それは、アメリカの大使館との情報交換は間違いございません。
  117. 猪俣浩三

    猪俣委員 そうしますと、アメリカからいろいろ情報をとるとともに、こちらからもアメリカに情報を渡すわけでしょう。そういう意味ですか、交換というのは。
  118. 三木武夫

    三木国務大臣 そのとおりでございます。
  119. 猪俣浩三

    猪俣委員 そこでお尋ねいたしたいことは、これは本に書いてありますから申しますけれども、「アメリカから来たスパイたち」という本の中には、内閣調査室の第一代の室長であった村井順氏は隠れもないCIA東京の協力者である、そして対共諜報活動に従事している者である、こう書いてあるのだが、この第一代の村井氏は松本清張の「深層海流」の主人公になって登場している人物でございますが、そういう遺風が一体今日内閣調査室に残っているのじゃありませんか。内閣調査室はCIAと全く関係ないのですか。それをはっきりしてください。
  120. 木村俊夫

    ○木村国務大臣 全くございません。そういう遺風も残っておりません。
  121. 猪俣浩三

    猪俣委員 なお、本日発売の「週刊朝日」を見ますと、中共の原水爆の実験がどうも非常にスピードが早過ぎたのは日本の技術なり製品が入っているのじゃなかろうかというような疑いから、アメリカのCIAから数人の人間が日本へ出てきて、そうして内閣調査室あるいは外務省その他の政府機関と折衝をやった、こういうことが書いてある。これは相当信用の置ける雑誌でありますので、でたらめなことは書かぬと思うのでありますが、なお詳しくこれには書いてある。これをお読みになったかどうか。どうですか。
  122. 木村俊夫

    ○木村国務大臣 ただいま読んでおる最中でございます。
  123. 猪俣浩三

    猪俣委員 これを見ると、とにかく中国の原水爆に対していろんなものを日本で送っている、これをやめてもらわなければならないというような申し込みを受けて、それに対して政府機関はいろいろ相談をした、結局それは断わることになった、これは大いにいいことだと思うのだ。しかし、そういう関係があると思うと、CIAというのは全然存じません、関係ありませんとはちょっと言い切れないのじゃないかと思うのだ。そんなものが突然来て申し込むはずがないのだ。前からちゃんと連絡があるからそういう要求をしてきたのだとぼくは思うが、外務大臣、これはどう思いますか。
  124. 三木武夫

    三木国務大臣 中共の水爆実験、これを調査のためにCIAがやってきて日本政府機関といろいろ相談をしたというのは、猪俣さん、私は全然そういうことはあり得ないことだと考えておる次第でございます。
  125. 猪俣浩三

    猪俣委員 そうすると、「週刊朝日」のその記事は全くでたらめだということですか。
  126. 三木武夫

    三木国務大臣 木村長官からここに雑誌をいただいて、私も初めて——きょう発売というのですから、ちょっと、猪俣さん、読んだかというのは少し気の早い話で、きょうの発売でありますが、この中に何かココムの関係ということで、「週刊朝日」の記事は、直接に通産省を訪れ、ココム禁輸品についていろいろ相談をしたというふうに書いてありますから、関係は、この記事の内容でも、ココム関係のことだと思います。外務省としてはそういうことはないわけでございます。
  127. 猪俣浩三

    猪俣委員 しかし、政府機関がみな額を集めて鳩首協議の結果返事をしたと書いてありますよ。知らぬのは亭主ばかりなりで、あなただけ知らぬということになるのじゃないですか。
  128. 三木武夫

    三木国務大臣 私たいていのことは知っておるつもりでございますけれども、そういうことは存じておりません。
  129. 猪俣浩三

    猪俣委員 たいていのことは知っておっても、都合の悪いことは知らぬと言うことも、政治家である外務大臣はまあしかたがないかもしれぬ。それはかんべんしますが、しかし、この内閣調査室で出しておりまするところの国際情報資料、これも私は予算委員会で指摘したのですが、こういうものが出ておるのですね。これには破壊活動の問題を直視せよと書いて、CIAのことが書いてある。私は独立国家だから情報活動というものはあると思うのだ。ソ連もやっておるだろう、アメリカもやっておるだろう、日本もやっておるだろうと思うのだ。それはとがめられないと思いますが、ただアメリカのCIAというものは特殊の機関なんだ、世界最大の機関であって、諜報活動のみならず破壊活動をやっておる機関であることは、いまや世界の常識じゃありませんか。知らぬと言っているのは日本政府だけだ。世界じゅうの国の常識ですよ。それが最も顕著になりましたのはキューバのあの侵略作戦だ。あれを指導したのはCIAであることは、これも天下周知の事実だ。それだからこの機関は非常に危険であるといたしまして、各国において、たとえばカナダ、インドそれからフランス、アメリカ自身におきましても、ClAの活動に対して監視機関を置いているというのですよ。だから日本政府は監視機関を置く気持ちはないかと言ったら、そんなものはありません、こう言っているのだ。ところが内閣調査室発行している国際情報資料には破壊活動の問題を直視せよと言っているのだ。国民には直視せよと言っておって、自分たちは直視をしないというのはどういうわけなんだ。これは相当のことをやっているということは皆さんも御存じだろうと思う。それだから今回の事件とも連関がある、こう思うわけでありますが、政府としては連関はあると言い切れませんから、私はそれ以上申しませんが、ただお聞きすることは、私もソ連の法律はあまり詳しくはないのですが、日本の法律によりますと、昔軍機保護法というものがあった。軍の機密を流した、しかしこれは普通一般の裁判所の刑事部で審理をやっておって、軍法会議ではありません。その当時軍法会議なるものがあった。今回また法制審議会で刑法草案を審議しておりますが、この中に機密探知罪というものを政府は考えておる。しかし、これも通常の裁判所で裁判するはずです。ところがこの今回の人物は、軍法会議にかけられた。これは私はただ何か簡単な事実をスパイした。たとえば軍事施設をうっかりして写真をとったなんという嫌疑じゃないと思うのです。軍法会議にかけられた。こういうところに、この人物の行動というものは相当重大な行動をやったのじゃなかろうか、しかも日本政府はこれを数カ月にわたってそういうことを公表しなかった。判決直前になってやっとこれを公表するようなことになった。何かそこに私は異常を感ずるのですが、ソ連のこういう情報収集に対する犯罪に対しては、一体いかなる機関で裁判することが通常であるのか、御存じであったら教えてもらいたいのです。
  130. 北原秀雄

    北原政府委員 ソ連邦におきましては、スパイ容疑事件というものは、ソ連の刑事訴訟法ではこれは全部軍事法廷、軍事裁判ということになっておりまして、普通の裁判所においてはスパイ嫌疑の事件は取り上げないというたてまえになっております。
  131. 猪俣浩三

    猪俣委員 そうすると、純然たる観光旅行として写真をとったということにならなくて、いわゆる軍法会議にひっかかるようなスパイと認定せられたということになるのでありますが、ここに非常に意味がある。それは、これは私の推測でありますけれども、たとえ日本政府機関ソ連のことをスパイさせたとしても、外務大臣がおっしゃったように、ソ連は痛くもかゆくもないと思うのです。日本ソ連を相手にして大いに軍事機密を探らなければならぬような立場じゃないわけですから、それですから、これが私はソ連がこれらを重視して軍法会議にかけて、しかも数カ月の間極秘にしておる。日本政府も秘密にしておる。そして八カ年間という刑を言い渡されておる。ほんとうに純然たる日本内閣調査室なりあるいは政経調査会なりの委託を受けてやったということだけでは、これくらいソ連は目にかどは立てないとぼくは思うのです。日本がいまソ連のあれを知ったって、たいしたことはないわけなんです。これは必ず背後にCIAがいる。CIAの手先となってやっているのだという認定が強く出ていると思うのです。これは判決全文をとらないとわかりませんが、結局内閣調査室及びその外郭団体というものはみんなCIAと関係がある。ソ連ソ連の相当の情報機関を持っていますから、それで認定されたのだと思うのでありますが、こういうことに対しまして、外務大臣は警戒もし、またそういう関係がある疑いを一切持ちませんか、それを御答弁ください。
  132. 三木武夫

    三木国務大臣 私はやはり政経調査会、内閣調査室、その人間の犯罪行為よりもそういうものと結びつけてこういう重い処断をしたのではないかと私自身は観測をしておるわけでございます。CIAとの関係というのではなくて、そういう日本調査機関につとめておったという過去の経歴がそういうものと結びついて判決が下されたものと、こういうふうに私自身は解釈をしておるのでございます。
  133. 猪俣浩三

    猪俣委員 あなたはさっきからそう言っていますが、私がいま言ったように、どこの国だって情報活動をやっている。ことに日本ソ連情報活動をやったって、ソ連自身にしてはそんなたいした問題じゃないと思うのですよ。それだけでソ連が、いまこんなに日ソ関係が好転しようとしている際に、こんな貧弱な人物をつかまえて軍法会議にかけて、これだけ日本国会をわき立たせるような行動をするはずはないとぼくは思うのだ。これは必ず背後にCIAがあるということの認定のために、もうすでに出発前かあるいは向こうに上がって以後か、彼には尾行がついておったと思うのです。もうマークされておった人物ではないかと思うのです。それはCIAの関係だと思うのです。だからどこの国家だって情報活動をやっていることですし、ことに日本は現在平和憲法を持っている。昔の軍国主義の国家ならいざ知らず、平和国家になって、ソ連などと比較にならぬいま軍事体制だ、それでもわれわれのように反対している勢力もまたあるわけなんです。こういう国の一員が単にスパイしたというだけで、ぼくはこれだけの大騒ぎはしまいと思うのです。だからあなた方も、CIAとこの内閣調査室及び外郭団体との関係を、それこそ内閣調査室で少し調査したらどうかと思うんだが、そういうこと、さっぱり知らぬは享主ばかりなりで、アメリカじゃ大騒ぎしているのですよ。あなたはおわかりですかどうですか。日本に来ましたある反戦歌手、その通訳がわざわざ誤訳した。ジョーン・バエズといいましたか、ベトナム戦争の悲惨を訴えた歌を歌った。ところが、悲惨を訴えた部分については、全くごまかした通訳をやっている。しかもそれはりっぱな放送局のプロデューサーなんです。りっぱな社会的地位にある高崎君なんだ。この人が告白しているじゃありませんか。雑誌に堂々と発表している。そうすると、アメリカではこれがいま大問題で、ある雑誌社がバエズ自身に長距離電話で聞いたところが、一切聞いてくれるな、いまアメリカではてんやわんやの騒ぎで、私は何も申し上げることはできないという返事をしている。ところが現在日本においては、この点、日本のマスコミも何かこういうことについては憶病なのか、知らぬのか、だれもさっぱり書かぬ。しかしもう少しこれは日本でも警戒しなければならぬ。私は、CIAが情報機関であるだけなら、これはどこの国でもやっているのですから——このCIAというのは相当危険な行動をやる。あらゆる選挙等にも関係するのみならず、場合によっては反乱を起こさせるというようなことは歴史的事実じゃありませんか。これに対して知らぬ存ぜぬではいかぬと思うが、今回たまたまこういう問題が起こりまして、私は政府もそれから民間の人ももっとこういう破壊的情報活動については用心しなければならぬと思うのであります。しかし、政府におきましては、アメリカがこれだけClAについて論議されておることについて、どれだけ一体調査なさっているのか。ことにアジア財団というものがいま非常に問題になっておる。弁護士会にまで金が来ておる。そこで、これは法務委員会でもっと聞いてみたいと思いますが、日本弁護士連合会でいま大問題になっているのです。二百数十万の金をもらったのだ、知らぬで。ところがアジア財団なるものはCIAから金が出ていることは、アメリカのニューヨーク・タイムズで全部暴露されている。そういうこと、あなた御存じですか。アジア財団はどういう性格のものですか。御存じですか。
  134. 三木武夫

    三木国務大臣 アジア財団がアメリカでいろいろ問題を起しておる面もあることは新聞等で承知しておりますが、アジア財団というものはいろいろな面で社会的に貢献をする役割りもずいぶん果たしておる面がある。だから一がいにアジア財団を何かの事件で全般を評価することは適当でない、こう考えております。
  135. 猪俣浩三

    猪俣委員 それは非常にぼくは——情報をとろうとするものは、古今東西を問わず、何かをやって、あめをしゃぶらしておいてはいろんなことを聞き出す。あたりまえじゃありませんか。多少の社会的な寄与をしたといったって、ねらいがそこにあるのかどうか。これは弁護士会にまで手が及んでいるということに対してりつ然たるものがあるのだ。ところがこれが裁判所にも——きょうは裁判所の人が来ておりませんから、法務委員会で聞くつもりですが、裁判所までにも金が来ておる。在朝在野、正義の法の世界の中心勢力に対してこういう金が来ている。学者の団体にも来ている。これはいま問題になって、それぞれ自粛自戒することになったようですが、日本裁判所まで来ているのだ、最高裁判所へ。弁護士会へ来ておる。これはみんなアジア財団から出ている。いいこともしているからそれでいいということでいいのですか、もう少し研究なさる、あるいは監視なさる気持ちはないですか。
  136. 三木武夫

    三木国務大臣 私が言っておるのは、アジア財団というものがそういう諜報行為をする団体ではない、いろいろ社会的にも貢献をしておるのであって、いろいろ世間に誤解を与えるような事件が、もし多少の例があっても、財団全体の設立の趣旨あるいは活動というものは、諜報行為のためにアジア財団ができたものではない、こういうふうに考えておるわけでございます。
  137. 猪俣浩三

    猪俣委員 最後に、しからばこのアジア財団の金が大部分CIAの金だということは、あなた方、御存じなんですか、御存じないのですか。そういうふうな性格のものなら、どうしてアメリカの諜報機関の総本山がアジア財団の予算の大部分を出すのですか、おかしいじゃないですか。
  138. 三木武夫

    三木国務大臣 大部分だというふうには私は考えていないので、アジア財団は各方面の民間の寄付であって、ClAの寄付によってアジア財団が経営されているというふうには私は考えておらないのでございますが、詳細に事務当局からアジア財団について補足をいたさすことにいたします。
  139. 東郷文彦

    ○東郷政府委員 CIAのみならず、米国政府のお金がいろんな形で調査機関その他に出ておることは事実でございます。アジア財団に対してもCIAのお金が間接に出ておるということは、先生おっしゃいましたように、ニューヨーク・タイムズ等にも出ておりますが、これはアジア財団は各方面からの寄付を求めている、そのごく一部でございまして、現にアジア財団自身も、財団としてはいろんな方面からどこからでもお金をもらう、しかし一ぺんもらったお金に対しては、アジア財団として何らひもをつけたものとしては受け取っておらない、その使用の方法は全く財団自身の方針によってやるのだということを、当時問題になりましたころ、はっきり声明もいたしておりますし、現在アメリカの中でアジア財団というものに対して、一般の米国民から信用を問われるというようなことは何らないと承知しております。
  140. 猪俣浩三

    猪俣委員 時間が来ましたからやめますが、非常に認識が違っていますね。アメリカの新聞をよく読んでいらっしゃらぬですか。アジア財団から学生団体に金が出ている。労働組合に金が出ている。その金の大部分がCIAから出ている。大統領が学生団体に金を出すことをいまとめているじゃありませんか。そういう事情をアメリカの新聞にみんな書き立てられている。そういうことを皆さんはもう少し研究していただきたい。私は時間がないのでこれでやめます。この次に法務委員会でもう少し突っ込んだ質問をしますから、よく検討しておいていただきたい。
  141. 福田篤泰

  142. 穗積七郎

    穗積委員 外務大臣に続いてお尋ねいたします。  きょうは、実は先ほど申しましたとおり、中東戦争中国水爆実験成功後の情勢について、日本政府の認識と方針を伺おうと思いましたが、この不愉快な事件のためにきょうは時間をとってしまって、時間がなくなりました。ただしかし、あなたはASPACの会議に三日にお立ちでございますね。それで、ASPAC会談に臨まれる問題についてのみ事前にちょっとお考えを伺って、要望も聞いておいていただきたいと思うのです。  そこで、最近の情勢で、実は佐藤内閣の外交路線が、三木外務大臣の、何といいますか、平和ムードのオブラートの中で、実は中身はインフレから戦争への道を非常に具体的に進めておると思うのです。あなたはオブラートの役を果たしておる。したがって、オブラートの問題は、実態は、中が毒薬かといえば、中はインフレから戦争への危険のほうが佐藤内閣の実態なんですね。そういう危惧を持っております。特にその一つとして、今度ASPACの会議に臨まれるにあたって、この前の本委員会でも言われましたが、第一回ASPAC会議においては、経済開発、社会開発を主題にするということで努力をした、多少の抵抗も試みた。しかし、共同声明の中には、南ベトナムの戦争に同情を寄せるという共同声明の文書になってこれがあらわれて、そこで打ち切られておるわけです。今度、あなたは、非常にトレレイト、リーズナブルな言い方で、今度のASPACは政治問題も自由に討議をしようということになる。それをきっかけとして、続いて考えられる心配を私どもは持っておるわけです。特に、この間に中東戦争が行なわれ、それから中国の水爆実験が行なわれておる。したがって、提案国であった韓国はもとよりのこと、反共的な台湾、フィリピン、その他のアメリカとの軍事同盟諸国がこの会議を非常に指導して、ベトナム戦争あるいは中国の核実験、こういう新たな情勢を前にして、あなたの言う政治問題に対する自由なる討議というものがそちらの反共体制のほうに導かれていくことにわれわれは非常に危惧を持ち、しかもそれに警戒もしなければならないと思っておるわけですから、率直にひとつお答えをいただきたい。  そこで、ベトナム戦争については、特に今度佐藤総理が、われわれの反対、国民の反対にかかわらず、押し切って、どうしても訪問すると言っておられる。それと関連をして、二つの点が問題になる。一つは、ベトナム戦争に対して、日本はいずれにも加担をしないで、早く平和へということを言っておりますけれども、今度、ASPAC会議における討議が、佐藤ベトナム訪問の前段になるわけですね。そういう意味で、この問題が一つ。  それから、もう一つは、中国の水爆実験が成功をした。しかも、アメリカをはじめとする自由主義諸国の推測より時間が非常にスピードアップされておる。やがてミサイルか、あるいはICBMの開発も予測より早く開発されるのではないか。こういうことを実は新たなる情勢としてどうとらえるかということが、平和へか、戦争へかの問題になってくるわけです。したがって、時間がありませんから、ASPAC会議におけるベトナム戦争に対する日本政府の態度、それから中国の核実験成功に対する今後の展望も含めて、日本は、この問題について、この会議においてどういう態度をとるか、この二点について、特に政府の認識と方針を、この際率直に明らかしておいていただきたいと思うのです。
  143. 三木武夫

    三木国務大臣 穗積さんの、佐藤内閣の外交の基調が内容が変わっているのではないかということでございますが、それは全くの認識の不足と言わざるを得ないので、佐藤内閣の外交の政策は終始平和外交である、何とかして戦争の再発を防止して、世界の平和を打ち立てたい、そのために、日本は、外交を通じてそういう世界をつくるために協力したいというのは、これはもう外も内もない、全く同じである。平和外交、これが外交の基調である、これはもう絶対にゆるがすべきものではない、このように考えております。したがって、ベトナム問題についても、日本が願っていることは、やはり早期な平和的解決、和平の促進ということであります。お考えになってもわかりますように、軍事的にベトナム問題を解決することはできぬと私は思う。そうなってくると、この不幸なる戦闘状態がいつ収拾するともなく過ぎていくということくらい悲惨なことはないと私は思う。したがって、この機会に、一日も早く和平を実現して、そして南も北もおのおのの立場を尊重しながら国の建設に精進することこそ、やはり今日の一番の問題の中心課題だと考えております。こういう見地からASPACの会議にも臨みたいというのが私の考えでございます。  また、中共の水爆実験に対しては、このように原爆、水爆による不安を人類が感じているとき、しかもそれは実害を人類に与えるわけである。放射能その他のことによる精神的被害、あるいはまた実際に被害を与えるわけでありまして、この段階になって中共が水爆の実験をやるということは遺憾しごくだと考えております。中共に限らず、どこの国であっても、こういう水爆、原爆の実験は、日本政府はまことに遺憾である、こういう立場であります。したがって、中共が水爆実験をしたということに対してはきわめて遺憾に考えておりますが、だからといって、中共の水爆実験に対する反応のしかたとして、われわれは核兵器の開発をしようという意思は持っておりません。また、中共の意を迎えるために武装中立の外交政策をとる意思はございません。従来の自民党内閣のとってきたいわゆる集団安全保障の形態による日米安保条約、これによる核抑止力、これに日本の安全というものを依存したいという考えでございます。したがって、ASPACの加盟国が軍事的に提携をして、中共の核、水爆実験に対そうというような、そういう集団的軍事同盟的な考え方は私はとらない。そういう考えをとるべきではない。安全保障の形態については、各国とも安全保障政策があるわけです。これは国の政策として最高の政策である。国の安全を維持するということは最高の政策でありますから、これは各国が真剣に考えるべき問題であって、そういうASPACという場において、中共の水爆実験に対する反応のしかたとして、ASPAC地域の軍事同盟的な考え方は私はとらぬと明白に申し上げておく次第でございます。
  144. 穗積七郎

    穗積委員 そうすると、時間がありませんから——あと五分しかないのです。ですから、はっきりお答えをいただきたいのですが、そういたしますと、南ベトナムの戦争に支持をする。それは精神的、物質的を問わず——精神的な支持も含めますが、そういう態度で臨むのではなくて、この深刻なベトナム戦争をどうして平和的に解決すべきであるか。実はきょうは、平和的解決を願っておるというなら、一体具体的にどういう政策を提案されるつもりであるか、伺うつもりでしたけれども、時間がなくなりましたので、それは次に譲るとして、今度の討議にあたっては、平和解決の原則に従って話をする、そして一方的にベトナムの戦争に支持を与えるような態度はしない、したがって、共同声明の中にもそれを盛り込むことは阻止をする、こういうことでよろしゅうございましょうか。それが一点。  それからもう一つは、中国の核実験はもとより力の誇示を中国はしておるわけではない。中国も原爆の罪過を認めて、一日も早く核実験並びに製造、使用禁止をしようと言っておるわけです。したがって、中国の核実験を名ざしで取り上げて、そしてこれに対する一方的な非難をする、そうでなくて、アメリカ、ソビエトを含む全保有国の核廃棄、全廃に向かう態度で臨み、もし共同声明の中にも盛るとすれば、そのような方針で臨む。中国核実験だけを名ざしで攻撃をする、非難をするということはございませんね。その二点、討議に対する態度。それからさらに共同声明が問題になったときの政府の方針についてお尋ねしておきたいと思います。
  145. 三木武夫

    三木国務大臣 共同声明というのは私たちだけがつくるわけじゃないのです。みなが一緒になってつくるわけですから。日本の態度はいつまでもベトナムで戦争をやれという態度をとらぬ、一日も早く平和実現ということが日本の基本的態度である、こういうのがベトナム戦争に対する態度であります。また中国については、これは最近に起こったのは中国の水爆実験である。起こるつどに日本は抗議をしておるわけです。どこの国に対してもしておるのでありまして、一番最近のは中国の水爆実験であります。また会議をやっておる最中にどこかの国がやるとしたならば、これに対しても会議とすれば何らかの意思表示をするでしょうし、とにかく共同声明ということはみなこれから相談でありますが、日本は中共がこの段階で水爆の実験をしたことはきわめて遺憾である、中共に限らずどこでもであるが、これは最近のできごとでありますから、中共の水爆実験はきわめて遺憾である、こういう考えでおるのでありまして、どういう共同声明をつくるかということは、会議にも何もまだ行ってないときに私は共同声明についてのお答えはできません。日本政府の基本的態度はこういう態度であるということをこの委員会で申し上げておきたいと思います。
  146. 福田篤泰

    福田委員長 川上貫一君。
  147. 川上貫一

    ○川上委員 時間がありませんから、私は外務大臣にまとめて質問しますから、まとめて答えを願いたい。  三木外務大臣は、先日の私の質問に対して、国民を惑わすものだ、こう言われたのです。これはちょっと黙っておれないので、特に時間をもらったのです。私が質問したのは、第一にアメリカの戦略爆撃機のB52です。それから第二は、ベトナムに対する膨大な軍需物資を日本が出しておる。この問題なんです。この私の発言には一定の根拠があるのです。それは去る六月十四日の午後二時ごろ茨城県の航空自衛隊百里基地から黄色と灰色の迷彩を施したB52が飛び立っておる。これを目撃した松原日出夫君が基地司令部に問い合せたところ、基地司令部総務の川里一尉が回答している。この回答は、最初アメリカ兵がいたことは知っておる、機種は知らぬ、こう答えたのですが、すぐ担当者に一尉が聞いて、前はああいうように言いましたが、あれはB52であります。用件はわからないが、用務のためということでありましたと明瞭に答えておる。これは川里一尉です。これを外務大臣は知っておられると思うのです。このことを私が述べて質問のうちに加えておいた。これを私が質問した。なぜ国民を惑わすと言うのですか。これが一つです。  それから第二の問題。時間がないからまとめます。第二点は、ベトナム侵略戦争に対して日本が膨大な軍需物資を提供しておる。この私の発言です。ここにベトナムにおける戦争犯罪調査日本委員会がベトナムへ行きまして、第一次現地調査をやっておる。それがベトナム民主共和国から持って帰った証拠物の一部があるのです。これなんです。  これはトランジスタラジオです。第二は、ここにありますが、ボールペンです。第三は、ここにあるヘルメットなんです。そこで、このトランジスタラジオ、これはドンホイ市に米軍が投下した軍事目的の謀略物資、箱の表面にはベトナム字でこういう意味のことが書いてある。皆さんは共産制度のもとでうその情報ばかり聞かされておる。このラジオで自由諸国の人々がいかに生き生きとした生活をしておるかを知ってください、そうして南ベトナムとの連絡の道具として使うてください。これがここに書いてある。これです。これはアメリカの飛行機が投下したものなんです。ここにトランジスタラジオがあるのです。これを見ますと、中身は——これはごらんくださればいいと思うのですが、乾電池は日立です。それから中の部品もことごとく日立の文字を記入してある。日立製ということは間違いない。これを投下した。いま私の言いましたような宣伝文の内容をここに書いてある。これはもっと詳しく話したいのですが、時間がないから省きます。  このボールペンです。これは謀略のためにアメリカ軍がハノイの郊外に空から無数にばらまいておる。このボールペンを見ますと、これはトンボじるしです。明らかに日本製です。しかしこれはわれわれが捏造したものじゃなくて、ここにちゃんとくっついておる。くっつけてばらまいてある。その数は無数です。これは明らかに謀略物資なんです。  それから第三は、これは大事だと思うのですが、これです。これは北爆を行なって落とされた米軍のパイロットがかぶっていたものです。このヘルメットには明らかに日本製の標記がついておる。これは外務大臣ごらんになってみるがいい。日本製の標記ばかりじゃなくて、製造所が書いてある。この製造所は埼玉県の大宮市の新井広武商店であるとはっきり書いてある。この新井商店というのはヘルメット専門の製造所であり、現在施設をどんどん拡張しておるのです。これはもう明らかに日本製であることは間違いないんです。これはほんの一部です。私は、具体的な材料でなければ、また外務大臣はいろいろなうまいことを言われるから実物を持ってきたのですが、これはアメリカのベトナム侵略に日本が提供しておる軍需物資のほんの一部なんです。(「平和物資だ」と呼ぶ者あり)これが平和物資と言うんなら、こっけいです。これは平和物資でも何でもないんです。これはパイロットがつけておったものである。外務大臣は、私の質問は国民を惑わすものだ、こう言われましたが、この軍需物資の提供を私は指摘をする。どこが国民を惑わすものですか。外務大臣は国民を惑わす云々と、こう言われたのですが、これを取り消されるかどうか、おそらく取り消されぬだろう。もし取り消されぬとすれば、これは早合点かどうか知らぬが、このヘルメット、それからこのトランジスタラジオ……。
  148. 福田篤泰

    福田委員長 川上委員に御注意申し上げますが、本鈴が鳴りましたから質問を打ち切ってください。
  149. 川上貫一

    ○川上委員 これはだれがアメリカに提供したのか、その数量は何ぽか、その価格の総額は幾らか、ここでそれを答えてください。これが答えられなければ、さっぱり私が質問したことが国民を欺くなどとは言えない。だれがやったのか、数量は何ぽか、価格は幾らか、それから爆撃機B52は一体どうなのか、時間が来ておると言われますが、これはどうしますか、答えぬというのですか。
  150. 三木武夫

    三木国務大臣 答えましょう。やはり私が川上委員に対して世道人心を誤らすと言ったことは事実です。世道とは言いませんでしたけれども、人心を惑わすと申し上げたことは事実で、あなたがその場合に御指摘になったのはB52、これはそういう事実はございません。もう一つは武器弾薬、こういうふうに言われたので、トランジスタラジオとかボールペンシルというお話ではなかったのです。この問のお話は、たいへんな直接の戦闘行為の機材をたくさんベトナムに送って、そうして戦争に対して日本が協力しておるというお話でありました。ところがそれをたくさんな武器弾薬というのを、あのときの質問でトランジスタラジオ、ボールペンシル、ヘルメットであるとは考えなかった。あなたの言われたことは武器弾薬という、そういうことで、そういうことならば非常に人心を惑わすのではないか。いまはよくわかりました。それはボールペンシルであり、トランジスタラジオであり、ヘルメットであるということで、そのことはそういうこともあるかもしれませんが、少なくとも直接の戦闘行為に使う武器弾薬というものは、南ベトナムに日本は送ってはいないのでございます。どうか、いかにもいろいろなものを送っておるように言って、人心を惑わすことのないようにお願いをいたす次第であります。
  151. 福田篤泰

    福田委員長 次会は明後三十日、午前十時から理事会、十時十分から委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後零時十四分散会