○高橋(正)
政府委員 水資源局長が代表いたしましての形で、私も全く同
意見でございましたので、御答弁申し上げなかったのでございますが、先ほど申し上げましたような顧慮があるわけでございます。しかし、先生の御質問がございましたので、反論とか異論とかいう意味合いで私
どもは申し上げることではございませんけれ
ども、この中で、私
どもが今度の研究の結果と相対的に見ましていろいろと
考えなければならないという点だけを検討しておるということだけは一応申し上げられると思います。
最初の水銀量の証明につきましては、これはお知りおきのとおり、全水銀をもちまして
調査いたしました結果が出ておるわけでございます。メチル水銀の微量定量の問題というものがございますので、この当時は、お知りおきのとおり、全水銀の検討につきましてもジチゾン法のみでやっておるわけでございますが、この放射化分析その他の全水銀の研究もできておりますし、それから今回の私
どものお願いしました研究によりまして、いわゆるガスクロマトグラフィーあるいは薄層クロマトグラフィーによりますところの新しい定量方法が喜多村先生以下の御努力でできたわけでございます。そういうときにおきまして、要するに、科学
技術的な進歩が、この場合と現在とは違いますので、そういう点で、やはり十分に新しい
資料で検討しなければならないという点があると思います。しかし、この
時点で、この結果が悪いと言っているわけではございませんけれ
ども……。
それから疫学的な問題につきましては、やはりいろいろ問題があると思いますが、この前のほうの二章でございましたかにも書いてございますように、疫学というものは、一応の伝播の模型を
考えまして、その基礎の上に理論の展開を行ないまして、流行の本体をつかむわけでございますが、そのために一応の仮説を立て、そして実証するために発症的な実験室的な研究あるいは野外的な
調査でその事実を埋めていくという方法でございます。これはいわゆる学問としての限界はあるかと思いますけれ
ども、疫学は疫学なりにそういうふうな方法をとっておるわけでございます。
ただ、水俣の場合と、それから阿賀野川の場合におきましては、いま申し上げました
条件等がやはり違う点があると思いますので、そういう点があるかないかということな
ども十分に検討いたしたいと思っております。
一言で申し上げますると、これは
最初申し上げましたことと少し違背いたしますけれ
ども、この論文は、先生のお示しのとおり、水俣病の研究といたしまして、その当時十分な努力をなさいまして、りっぱなものだということは私
どもも認めております。当時と比べて科学
技術的な検査方法その他が進歩いたしておりますので、新しい
時点で、今度の書いてございまする
調査方法自体をまた目標として別個検討しなければならないと思っております。しかし、もう一度これに当てはめまして、この水俣の事態を究明するという意味ではございません。阿賀野川につきましては、ここに記述されておりませんような新しい手法でやられておりますので、そういう点でこれと対比して申し上げることはできない、こういう意味でございます。御了解願います。