○
三木(喜)
委員 技術庁長官、いま局長から
お話がありましたように、そこに問題がございますね。文部省のほうから出ておられないような様子があるようです。その点についてはいま局長が言われたような方途をとって、やはりお互いにこういう話し合いの場を持たなければいけないと思いますので、そういうような御配慮をいただきたいと思います。
ちょうど文部大臣おいでいただきましたので、私しばらく御質問を申し上げたいと思うのですが、ずっと話を聞いておられませんので質問するにもしょうがないわけですが、実はきょう
参考人にお二人来ていただきました。その前に名前が出ておるだろうと思いますが、
東京工業大学教授の
岡本哲史先生、それから
明治大学教授の新
羅一郎先生のお二人に来ていただいて、私は、先般出していただきましたこの
技術執告書なるものがわれわれにはわかりませんので、これについて下見をしていただき、
研究をしていただいた結果の御
意見をいろいろと聞いたのです。その御
意見を聞いた要点は、
ラムダ4S一号機、二号機、三号機が相次いで
失敗いたしました。私は
失敗をとがめるのでなくて、その
失敗の
原因が那辺にあるかという、そういう態度でこれができておるかどうか、それはこの
報告書の中には非常に不備で、そういうことがわからない。概略的に申し上げましてそういう御
意見をいただいた。それから、私は
技術のことはわからないですけども、いろいろ自分なりに勉強してみまして、そして、
東大の打ち上げました
ラムダ四S一号、二号、三号機につきまして、
技術的にここが問題じゃないか、ここが問題じゃないかということで、おもな点を二点にわたってお聞きいたしました。
一つは、
技術的な問題になって、非常に時間的に長く
説明しなければならぬのですけれども、とにかく
ラムダ4S一号機を打ち上げられるときに、
スピンがかかって上がっていきます。この
スピンの状況が三段目と四段目とどこかで隔絶いたしまして、三段目は七回半も回っておるのに、一番重要なこの先の
人工衛星になるであろうところの四段目が一回ほどしか回っていなかった。同じように回らなければならないのに、それがどこかで回らなくなってしまった。それは
デスピンといいまして、
スピンをとめるときがあります。
スピンをとめて水平にして
人工衛星軌道に乗せる。その段階で両方の隔絶があった。それがこれの中には具体的に明示されていない。そこで私は
電波研で
スピンの状況を
電波でとらえた分を聞きまして、そして私はずうっと記録してみました。これには一部は記録してあるのですが、どこまでそれが続いたかということがわからないわけです。そこに、
人工衛星にならなかった大きな問題が
スピンの上であるのじゃないか、こういうふうに言ったわけであります。いままで
高木本部長はこの
委員会において終始
スピンは停止しましたということを、私
たちに
報告されておる。しかしこれには
スピンは停止したとは書いてない。それがはっきりわかるような
データーとしては出ていない。こういうようなことで、国費を使って
ロケットを打ち上げるのに、
科学者としてあるいは
東大としていいのだろうかという疑問が私は持たれたわけなんです。そういう点についてお聞きいたしました。そうすると言い方は悪いですけれども、この打ち上げ当時の
日本経済新聞に
東大はなぜ
失敗したかという
原因を端的に書いておる中に、
東大は非科学的、非協力的、非公開的、なるべく秘密でやろう、そして協力を求める態度でない、そして科学的でない。いま私、
スピンの問題だけで申し上げましたけれども、そういう態度ではいけないじゃないかということが
日本経済新聞の
ラムダ4S三号機の問題には書かれておるわけです。私はきょう全部の新聞を読んでみました。おっていただいて、各紙がどういうふうにとらえておるかということを聞いていただきたかったわけです。
第二の
姿勢制御の問題であります。
姿勢制御は、
人工衛星になるであろうところの位置に行きまして、
ロケットが水平に保たれる状況で
人工衛星になる秒速をこれにかけて、そして
人工衛星になるわけなんでありますが、これを見ますと、その
姿勢制御がうまくいっていない。そして、いま聞いてみますと、
姿勢制御は四段目
ロケットを打ち出してみなければわわらないというような状況を聞いたわけです。私は驚いておるわけなんです。そういうことが、あれだけの
データを持ちいろいろしておきながら、どちらを向いておるかわからない、こういうことでは私は非常に不安定なものだと思うわけなのです。この二点を
技術的にきょうは
高木さんから聞いてみてわかったわけです。非常に不安な
感じがしたわけです。
何を言おうとしておるかといいますと、要するに、
東大側といたしましては、最終的には、私は
高木さんからもそういう御答弁をいただいたのです。じみちな
研究を積み上げて衛星になるんだ、衛星になるんだというような、
国民を惑わすようなことはやってもらいたくない。ほとんどの新聞が当時衛星になる、衛星になるということを書いております。冗漫になるかもしれませんけれども、産経新聞は「衛星の夢三たび破れる」それから朝日新聞は「打ち上げ三たび
失敗国産衛星
ラムダ三号機」「基礎
研究が不足」、こう書いてある。読売は「日の丸衛星十分もかからず
失敗」同じく読売は「日の丸衛星当分望めず」そうしてその中に「初歩のミスくり返すと」書いてある。基礎からやはり積み上げていただかなければならない。それから
日本経済新聞が書いておりますように、ひとりよがりにならないようにしなければならない。「
研究体制に不備」ということが書いてあります。非科学生、非公開性、非協力性が指摘されておるわけなのです。そういう問題について、いまるる申し上げた。そして、大臣に私は何を申し上げるかといいますと、いままで大臣は私がいろいろ質問したときに、
東大の問題についてはりっぱにやっているという
立場から、私が申し上げましたことに聞き捨てならぬ、こうおっしゃいました。私は聞き捨てならぬから聞き捨てならぬところをきょうはるる申し上げたのです。どうか速記録を一ぺん読んでいただきたい。あなたも
東大の監督官庁としての最高の
責任者でありますし、学問の自由はわれわれは大事にしなければなりません。しかし
ビッグサイエンスになったときにどのような態度でわれわれは臨まなければならないか、
体制はどうあるべきかということについて、あすもう
一つお聞きしたいと思いますので、きょうは取りあえず、何にも聞いていただいておりませんので、本日の質問の概要を申し上げ、そうして大臣の、これだけでお
考えを聞くわけにはいかぬだろうと思いますけれども、新聞等が率直に
ラムダ4S三号機が
失敗したと書き、そうして
国民が非常な失望をしておるわけなんであります。その失望の
原因の
人工衛星になるということが
東大から出ておると思うので、そういう点についても、大学というところは
研究の府であります。
国民にそういうはかない夢を持たすところでは私はないと思うのです。ただし断わっておきますけれども、私は決してこの三回の
失敗を責めておるわけじゃありません。
実験には
失敗はつきものです。しかしながら、真摯な態度で臨むべきだと思うのです。そういうところを
高木さんに私はきゃうは質問いたしました。そういう点でひとつ大臣の所見を聞きたいと思います。できればずっと聞いておっていただいてそのつど、そのつど聞きたかったわけですけれども、足らないところはひとつ、ずっと
説明しておりますと皆さんも御退屈だろうと思いますので、速記録を読んでいただいて、おまえ、ばかなことを言うな、ここおかしいというところは、また後日ひとつ御指摘をいただきたいと思います。