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1967-06-29 第55回国会 衆議院 科学技術振興対策特別委員会 第19号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年六月二十九日(木曜日)    午前十一時二分開議  出席委員    委員長 矢野 絢也君    理事小宮山重四郎君 理事 齋藤 憲三君    理事 中曽根康弘君 理事 福井  勇君    理事 渡辺美智雄君 理事 石野 久男君    理事 三木 喜夫君 理事 内海  清君       岡本  茂君    石川 次夫君       三宅 正一君    佐々木良作君  出席国務大臣         国 務 大 臣 二階堂 進君  出席政府委員         科学技術政務次         官       始関 伊平君         科学技術庁長官         官房長     小林 貞雄君         科学技術庁原子         力局長     村田  浩君  委員外出席者         原子力委員会委         員       有澤 廣巳君         原子力委員会委         員       山田太三郎君         通商産業省重工         業局電機通信機         課長      高井 敏夫君         通商産業省公益         事業局技術長  藤波 恒雄君         参  考  人         (原子燃料公社         理事長)    今井 美材君         参  考  人         (日本原子力研         究所理事長)  丹羽 周夫君     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  原子力基本法の一部を改正する法律案内閣提  出第七二号)  動力炉・核燃料開発事業団法案内閣提出第七  三号)      ————◇—————
  2. 矢野絢也

    矢野委員長 これより会議を開きます。  原子力基本法の一部を改正する法律案及び動力炉・核燃料開発事業団法案の両案を一括して議題とし、審査を進めます。  最初に、参考人出頭要求に関する件についておはかりいたします。  ただいま議題といたしました両法律案審査のため、本日、原子燃料公社理事長今井美材君及び日本原子力研究所理事長丹羽周夫君を参考人として意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 矢野絢也

    矢野委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。     —————————————
  4. 矢野絢也

    矢野委員長 質疑の申し出がありますので、これを許します。佐々木良作君。
  5. 佐々木良作

    佐々木(良)委員 前回及び前々回等委員会におきまして、時間をいただきまして、私は在来炉国産化の問題について、また、燃料問題につきまして意見交換を行なった次第でありますが、きょうまた恐縮でありますけれども、しばらく時間をいただきまして、特にきょうは、高速増殖炉開発の基本的な問題、及び新型転換炉開発についての基本的な問題、並びにいま審議の対象になっております新事業団の性格問題につきまして、政府のお考えをひとつただしてまいりたいと思います。  まず、高速増殖炉開発についてお伺いをいたしたいと思います。長期計画によりますというと、昭和六十年代の初期実用化を目標にされまして、熱出力で十万キロ程度実験炉昭和四十三年の半ばごろに設計を終わって、建設に着工して、四十七年ごろですか完了いたしたい、同時に、原型炉につきましては、四十五年ごろに設計を開始をして、四十八年ごろには設計を終わって、ほんとう建設に着工いたしたい、こういう計画で進められておるようであります。きょういただきましたこの資料を私まだ十分拝見いたしておりませんけれども大綱において変わりがありませんか、お伺いをいたしたいと思います。
  6. 村田浩

    村田政府委員 大綱において変わりございません。
  7. 佐々木良作

    佐々木(良)委員 これは言うまでもなくえらい計画なわけです。これは当然に本気で立てられておる計画には間違いないと思いますけれども、そのための所要資金人員計画というのは相当具体的にできておりましょうか。
  8. 村田浩

    村田政府委員 ただいま原子力委員会がおつくりになりました動力炉開発臨時推進本部の議長の丹羽理事長が見えておられますが、この計画をつくるにあたりましては、推進本部のほうで専門分科会をつくっていただき、そこで高速増殖炉及び新型転換炉について、原型炉までの開発をどのように効果的に進めていくか、また、どのようにすれば最も能率よく進められるかという点を、相当の時間をかけて御検討の上、さらに、そういって検討されました各項目につきまして、このごろ各方面で行なわれておりますパート方式にかけまして、電子計算機を駆使し、計画実効性等をチェックしながらつくってまいっておるものでございます。
  9. 佐々木良作

    佐々木(良)委員 計画自身を私は批判しておるのではありませんで、私ども計画自身を批判する能力はありません。つまり、それが実現できる政治的な前提に立っておるかということであります。見渡して、これから予見される所要資金と資材の大要について、そして、それが見込みがあるのかないのか、その見当を大要についてお答えをいただきたい。
  10. 村田浩

    村田政府委員 ただいま佐々木先生の申されました長期計画にございます日程に沿ってこの計画を進めるためには、相当資金が必要でございますが、この資金につきましては、FBR、高速増殖炉計画並びに新型転換炉を含めまして、総額約二千億円を予定しておることは前々申し上げたとおりであります。  その内容につきましては、相当こまかいところまで一応算定いたしまして、それを積み上げてその数字が出てきておるわけでございますが、その大略を申し上げますと、まず、高速炉関係におきましては、熱出力十万キロワット程度実験炉をつくるに必要な建設費、さらに電気出力で二十万ないし三十万キロワットの原型炉をつくるに必要な建設費、それらを合計して、若干の運転費を含めますが、昭和五十年までに合わせて約四百四十億円程度必要であろうと見ております。  それから、これらの実験炉及び原型炉をこのタイムテーブルに沿って開発し、つくり上げていくに必要な研究開発実験、こういったものにも相当多額の費用が要るわけでございまして、このおもなものは、たとえば炉工学的な意味での実験研究、その中には、ナトリウムを使いますところの工学的実験研究、そういうものも約百数十億円含まれております。  それから、これらの工学的実験研究と相並んで、資金的にも相当な額を要しますのが燃料関係研究開発でございまして、御案内のとおり、高速増殖炉実用化するキーポイントの一つ燃料開発でございますので、燃料関係研究開発につきましては、これまた百億以上の資金を要するものと見ております。  さらに、そのような燃料開発に必要な燃料、これは濃縮ウラン及びプルトニウムを使うわけでございますが、これらの購入に要する費用がまた、炉の中に装荷しますものを含めますと、約二百五十億円程度必要であろう、こういうふうに見ております。  そういった各種工学的実験研究のほかに、安全性についての特別研究、さらにこれらすべてをサポートするためのいわゆる基礎的研究、こういった基礎的研究だけでも高速増殖炉の場合には、非常に初期段階からスタートするわけでございますので、約十年間に合計しますと百億近い資金を投入する必要があろう、こういうふうに見ておるわけでありまして、これらの研究開発費並び実験炉原型炉建造費、それにこの計画を直接サポートする研究者技術者人件費を含めますと、高速増殖炉関係の総所要資金は約千二百六十五億程度になるものと見ております。  一方、新型転換炉につきましては、昭和四十九年までに原型炉を完成いたすというスケジュールでございますが、この原型炉自体出力二十万キロワットとしまして建設するに必要な資金は約三百七十億円程度、大体一キロワット当たり十八万円余り建設単価を予定しております。この三百七十億円程度原型炉建設するにあたりまして必要な工学的なあるいは炉物理的な研究開発、これには設計研究からいわゆる熱水ループを大型のものをつくっての実験研究、さらに高速炉の場合のごとく燃料及び被覆管研究開発、そういうものが必要でありますし、これら全体をサポートする基礎研究も必要でございます。そういった中で項目的に金額が相当かさむと思われますのは、いきなり原型炉をつくるわけでございますので、その各種主要コンポーネント試作開発試験というものが必要でございまして、そういったものに約百億円程度は必要であろうかと思っております。  その他の研究開発並びにこれを直接サポートします研究者技術者の経費を含めますと約三百億円程度になる見込みでございます。したがいまして、動力炉開発における新型転換炉関係原型炉建設費を含む質金所要量は十年間におよそ六百七十億円程度、こういうふうに考えておるわけであります。
  11. 佐々木良作

    佐々木(良)委員 丹羽さんにお伺いいたしたいと思いますが、四十二年度、いま原研高速増殖炉仕事に取り組んでおる人々はどれくらいの人数があって、今年度の予算はどれくらいですか。
  12. 丹羽周夫

    丹羽参考人 お答えいたします。  四十二年度の予算は比較的わずかでありまするので、それを最も有効に、どうしたらいいかということはほぼ立案済みであります。  まず四十二年度にやりたいと思っておりますることは、これはアイテムごとに、研究テーマごとに申し上げますとだいぶ長くなりますし、専門的用語がたくさん出てまいりますので……。
  13. 佐々木良作

    佐々木(良)委員 ちょっと恐縮ですが、時間があまりなさそうですから、私、具体的に項目を伺っておるのではなくて、今年度、いま原研でこの問題に取り組んでおられる人員は何人ぐらいか、それから高速増殖炉実験炉関係予算は今年度どれくらいか、お伺いしたい。
  14. 丹羽周夫

    丹羽参考人 予算は実は二、三日前から私ヒヤリングをして決定するはずになっておりますが、連日お呼び出しがありましたので私自身はまだ決定いたしておりません。しかし概略数字はすでに所内では出ております。ただし、これは御承知のように、実験炉といえども動力炉開発という国家プロジェクトの一環でありますので、最終的にはまず私のやらせていただいておりまする動力炉開発推進本部で練りまして、そうして原子力局で御準備になっておるいわゆる準備室、これと共同作業をしてきめようといたしております。したがいまして、最終的の数字原研としてはこれだけにしたいというような数字はおおむね出ておりまするけれども推進本部としてもあるいは原子力局に設けられまする準備室といたしましても、まだ最終的な決定はいたしておりません。  ただし四十二年度にやらなければならないという研究テーマは、動力炉推進本部ですでに議決されております。それに従事するおもなる人間の総数は百四十一名であります。
  15. 佐々木良作

    佐々木(良)委員 来年度、四十三年度に高速実験炉仕事に取り組むための予算は、どれくらいを要求される予定ですか。
  16. 丹羽周夫

    丹羽参考人 それはただいま申しましたように審議中であります。概略数字は出ておりますけれども、これは原子力局準備室あるいは原子力委員会と御相談しなければならぬと思います。原研だけはせめてこのくらいのことはやりたいというふうなことはすでに大体の考えを持っております。ただし私自身はまだ最終決定をいたしておりません。もう二、三日でやることになっております。実はきょうの午後も三時からやるつもりではおります。
  17. 佐々木良作

    佐々木(良)委員 局長、私の一番心配しているのは、丹羽さんや皆さんが一緒になってつくられる長期計画はできるのですよ。電子計算機を回しても何を回してもできるんだ。その長期計画とその一年度なり二年度なりは、ことしであり来年であるわけでしょう。その計画がかみ合っておるかということなんですよ。その計画がいまから、四十二年度、四十三年度で計画どおりにいかないようなものが、四十四年度で取り返せるわけがないでしょう。そこのところが、計画計画どうりにできないのじゃなかろうかという心配をしているわけです。できますかな。先ほど出されたのはこの計画みたいなものに基づいて、 たとえば、これをほんとうに先ほどの長期計画に基づいてあのとおりの実験炉を着工しようとするならば、四十三年度にしなければならぬ、先ほど丹羽先生の言われた、しなければならない、したい仕事があるでしょう。それに対する予算が必要でしょう。それが獲得できるかどうかということが一番ポイントなんですが、どうお考えですか。
  18. 村田浩

    村田政府委員 佐々木先生の申されるとおりでありまして、この十年に及ぶ長期計画でありますけれども最初段階で十分な研究開発が行なわれませんと、当然最後の仕上がりが延びてくる、あるいは不完全なものになるというおそれがございます。そこで事業団が設立されるようになりましたならば、これを中核といたしまして来年度から非常に精力的に、かつ計画的に研究開発を進めてもらわなければなりませんが、それに必要な人とお金の手当ということは、四十三年度の予算要求の中で非常に大きな問題、といいますよりトップの重要な課題であると思っております。  予算要求にあたりましては御案内のとおり例年予算要求ワクというようなことがいつも問題になるわけでありますが、もし来年度予算というものが、たとえば今年度予算の場合のごとく前年度実績の何割というような形でございますと、この動力炉開発関係予算は十分なものが織り込めない。したがって、動力炉開発につきましては少なくともそういう予算ワクとは別に配慮する、こういうことが絶対に必要であると思います。
  19. 佐々木良作

    佐々木(良)委員 普通でいきますと、大蔵省の予算査定は三割増の範囲内ですね。それではとうてい無理だという感じでしょうが、別途考えると言われるのは、たとえばどういうことを考えておられるのですか。
  20. 村田浩

    村田政府委員 この別途の措置につきましては、当然のことでございますが、原子力委員会で十分御審議いただき、その処理方針を御決定いただかなければなりませんし、また、いろいろと大臣のお考えを入れまして、そうしてきめていかなければならないわけでありますが、その方法の中に、たとえば考えられますものとしましては、動力炉開発につきましてはこれを閣議決定、そういうような方法によりまして長期にわたる資金確保の道を別途つけておく、こういうことが一つあり得ると思っております。
  21. 佐々木良作

    佐々木(良)委員 その別途というのは、たとえばどういうことを考えておられますか。
  22. 村田浩

    村田政府委員 私の申しましたのは、たとえばではございますが、閣議決定におきまして動力炉開発関係予算を、いわゆる通常の科学技術庁における予算概算要求ワクとは別に扱ってもらう、こういう趣旨であります。
  23. 佐々木良作

    佐々木(良)委員 そうすると、やはり予算という形で、普通のワク内の予算とは別に原子力政策を遂行するために、特に高速増殖炉実験炉建設するための特別な配慮を、言うならば、政府の意思で決定してもらう、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。
  24. 村田浩

    村田政府委員 私の申しましたのは、その場合の方法一つでございまして、そのどれをするかということはまだ決定しておりませんが、ただいま私が申し上げましたような方法は、おっしゃるとおりのことであります。
  25. 佐々木良作

    佐々木(良)委員 これはひょっとしたら間違っているかもしれませんけれども、今年度の予算要求当時の高速増殖炉計画に対する推進本部考え方というのは、先ほども報告がありましたが、金目にして千三、四百億、それから人間が六千百人ですか、年人で六千百人かの計画が出ておったような気がいたします。そうすると、十年間でやるとすれば、これは平均すると六百人くらい大体関係者がなければならぬと思います。丹羽さんのいまの御報告によると、いま原研で取り組んでいるのが百五十何名、これも間違っているかもしれませんけれども、その中で実験炉設計そのものに取り組んでおるのは十数人ではあるまいか、違いますか。
  26. 丹羽周夫

    丹羽参考人 先ほどの答弁はことばが足りませんでしたが、実験炉に関して四十二年度の中でやれるであろうと思いますものは、すでにプロジェクトといいますか、研究グループ課題をきめております。それに対してごく低級——低級というとことばが悪いですが、お茶くみだとか、やれ書類運びだとかいうようなものを除きまして、原研の中だけで四十二年度にやろう、また与えられたる予算においてやれるであろうと思われまする研究テーマに従事する者が、原研の者だけで百四十一名ということであります。
  27. 佐々木良作

    佐々木(良)委員 要するに、金、金と言われるが、金と人とのまたかね合いでありますけれども、先ほどの、十年計画といわれておるけれども、その十年計画のしまいのほうはわからぬみたいなことになっておるが、具体的数字からはじいてみますと、少なくともここ二、三年の予想でいくと、とてもじゃないがこの計画本気かいなと、こう見ざるを得ないような状態のような気がするわけですが、その危険は感じておられますか、局長
  28. 村田浩

    村田政府委員 この動力炉開発をここで進めるにあたって、人材の問題ですが、これは確かに御指摘のとおり非常に重要な要素であります。現在私どもの調べましたところでは、炉関係、これは原子炉全体でございますが、原子炉全体に関係しておりますわが国科学技術者というのは、四十年度現在で三千五百人程度であります。そのうち約六、七百人が原研におられる、こういうことになっておるわけでありますけれども、今度の計画に直接従事される必要のある人は、先ほど佐々木先生もお話しございましたように、十年の平均でいいますと、年間約六百名程度の人が必要である、最高のときには約九百名の人が必要である、こう見ております。当然のことながらその最高のピークが出ますのは四十九年ごろと予定しておりますので、それまで毎年漸次専門科学技術者を投入していくわけでありますけれども、現在人員の三千五百名から見まして、この計画が現実にスタートするようになります際には、当初はどうしてもおります人を集めまして、そうしてこの仕事に入ってもらわなければならぬ。後半になってきますと、いわゆる養成計画等新規に養成される人が投入できる、こういうふうに見ておるわけです。大体人材計画としましては、四十五年度までの前半と、それから四十六年度以降の後半というふうに考えまして、四十五年度までは新規の卒業生の投入ももちろんございますが、主としてこれまで原研あるいは民間の電力会社メーカー等におりますすでに教育を受けてきた原子力関係科学技術者、こういう方々をできるだけ有効に動員して行なうということになろうと思っております。  動力炉開発という仕事につきましては、御承知のとおり原子炉物理あるいは原子炉工学というような直接的に原子力に関連のある教育を受けた人も必要でございますけれども原型炉のような大型な施設をつくっていくためには、機械、金属、電気あるいは化学その他エレクトロニクス等、関連する幾多の分野の技術者の応援が必要でありまして、そういった方々は他の仕事に現在ついておられましても、能力のある人は十分有効に利用できるわけでございますので、そういった点での総力の結集をはかりつつ進めたい。四十二年から四十五年までにつきまして、新卒として特に大学を出た人を入れますのに必要な人は大体百名ないし百五、六十名、その残りは主として配置転換によってというか、既設の機関から集めることによってやりたい。その人数はおよそ新卒倍余り、約三百名程度と見ております。
  29. 佐々木良作

    佐々木(良)委員 その人間原研に入れられるのですか。
  30. 村田浩

    村田政府委員 そうではございませんで、原研に入る人ももちろんございますし、事業団に入る人もあります。これに協力されるメーカー等に入ってこの計画に参画する人も含めた数字でございます。
  31. 佐々木良作

    佐々木(良)委員 局長、それはいま抽象的な数字だからそれでもいいと思うんですよ。私はいまそんなことを聞いているんじゃないのだ。来年、再来年の見られるところで、そうしてその間における高速増殖炉については、ほとんど事業団関係ないでしょう。原研実験炉までつくるということになっておるわけだ、原研でほとんどやられる。私は原研でいま予定されておる——原研でというか推進本部考えられて原研でやろうということになっている、そのことがいけるかどうかという心配をしているわけですよ。それをこの長期計画には非常に大きく取り上げられて、すっといくようになっているんだけれどもほんとうをいうと、事業団ができることによって、そのことをプラスする何かがあるだろうかということについて、私はほんとうにそれを心配しているわけだ。事業団をつくるならば、いまの原研計画あるいは推進本部計画をバックアップして、それを十分実施させる裏づけがなければ、何のために事業団をつくるかわからぬわけだ。したがって、私はそのことが気になって聞いているわけだけれども、ここにある数字みたいなものを何ぼ聞いたって、それはメーカーにも人がおろうし、学校を卒業した者もたいがいおろうし、その辺適当についてくるだろうというような話を聞いたって、来年や再来年の——しかも来年、四十三年には、高速増殖炉実験炉設計を終わってそろそろ建設に着工しようということでしょう。私は理屈を言ってけんかしようと思ってないですよ。あまりうそ言わずに、できぬ、そこのところはむずかしいんだと言うてもらいたいんですよ。できるならこっちは苦労しはせぬ。できないから事業団もつくろうとし、そうして議員連中みんな一生懸命になろうとしているんでしょう。早い話が、外国各国高速炉に対する取り組み方というのは、いまの日本事業団新型転換炉に取り組むよりも、もっともっと激しい取り組み方で高速増殖炉に対して取り組んでおるのは御承知でしょう。お話しのように、高速増殖炉開発にはいまの炉物理であるとか、私にはわからぬけれども、何とかナトリウム技術であるとか、燃料材料各種機器等のいろいろなことがある。これらについてはそういうものの開発が当然必要なんだけれども、これらについてはすでに各国では地道に年期を入れた研究が行なわれて、ほとんど必要な施設外国においてはでき上がっておる。その必要な、でき上がっている施設を使いながら、もう一歩日本よりも先の段階でこの建設に着工し、あるいは研究に着手している、こう思うのですよ。しかしわが国のほうは、御承知のようにいまこれから実験炉建設をやろうということと同時に何だかナトリウムループであるとか、アルファ・ガンマ・ケーブだとか、臨界実験装置だとか、モックアップだとかなんとかかんとかというむずかしいことを、一方において施設をこれからつくるのがあり、それからその施設を使ってこれから実験するのであり、この施設をつくることと、その使って実験したデータを集めて、そしてそれを設計材料としてこれからやろう、こういう段取りでしょう。それが一年や二年でいまの予定どおりいけるかどうか、いける見込みがないのじゃないか、つまり外国のおくれているよりも相当ハンディキャップがいまあるのだから、ハンディキャップを克服するのには、外国の普通の取り組んでいるより以上の、言うならば精力が、金と人員とあるいは国家政策裏づけが必要であって、初めて私はいま計画のような高速増殖炉に取り組めると思うのですよ。ところがいまの状態では、ほとんどそれの見込みがないではないか。このことを私は非常に気にしているわけだ。  そこで、これは有澤先生にお伺いいたしましょうか。一番私が気にしておりますのは、高速増殖炉——いま新型転換炉ばかりわあわあ言っている。これからまた、その問題は詰めますけれども高速増殖炉こそは最終計画として各国とも一番これに熱を上げている最中で、したがって日本も熱を上げなければならぬということになっておるが、この高速増殖炉計画に対して、今度の事業団は何ほどの役に立つであろうか、私はそれを非常に心配しているわけだ。今度の事業団は、これは事業団新型転換炉高速増殖炉をやるのだ、こうなっているのですよ。しかしながら今度の事業団をつくることによって、いま原研を中心にしてやられようとしておることに何ほどのプラスができようか。そして何を期待されておるのであるか。
  32. 有澤廣巳

    ○有澤説明員 私ども考えによりますと、原研では高速増殖炉実験炉に関する研究を進めてきたことは御承知のとおりでございますが、いよいよ実験炉建設し、さらにそれに基づいて原型炉をつくるというふうなプロジェクトになりますと、これは原研だけでやろうと思ってもできない仕事だと私は考えます。原研がもっともっと大きくいろいろな分野にわたって人も集めておるというならばできるかもしれませんけれども、現状では私はできないと思います。そこで、しかしお説のとおり各国では高速増殖炉に対する研究開発に非常に大きな精力を注いでおる。日本におきましては、それが幾らかおくれているという現状でございますので、わが国としては、言ってみれば追いつき、追い越す——とまではいかぬかもしれませんが、追いつくまでの努力をこの際傾注しなければならないだろう、こういう考え方に立っているわけです。そうだといたしますならば、むろん原研がずっといままで手がけてきておりますので、原研の役割りというものは非常に大きいものがあることは言うまでもないことですけれども、これにほかのいろいろな分野にいられる科学技術者が協力をして、そして実験炉原型炉建設に当たらなければ、私はいま申し上げましたようなテンポで実験炉原型炉建設を行なうことはなかなかわが国ではできないだろう、こういうふうに考えております。したがって、そういう研究開発を進める主体といいましょうか、中核体としてこの事業団を設立することが必要である。スローテンポでだんだんやっていくというふうな考え方ならば、まあ当分は原研でひとつやってもらおう、だんだん研究が進んで、いよいよ実験炉もつくる、あるいは原型炉設計を始めるというふうなゆっくりした考え方ならば、いますぐ事業団をつくるということは必要でないかもしれません。しかしわれわれの考え方は、それではあまりゆうちょう過ぎるのだ。この際、しばしば申し上げて恐縮ですけれども、その方面の専門家、科学技術者の力を結集してこの事業に当たらなければならないという考え方に立ちますならば、それを結集できる一つの主体、本体がなければならない、こういう考え方なんです。ですから、いまの御質問に端的にお答えいたしますならば、いまの考え方、高速増殖炉において各国に追いつくような努力をするためには、この事業団なくしてはできないと私ども考えておるわけです。
  33. 佐々木良作

    佐々木(良)委員 有澤先生、私は具体的にお伺いするのですが、実験炉段階は、いまの話によりますと、主として原研でおやりになるのでしょう。それから原型炉段階から別なことを考えられなければならぬ、こういうことじゃありませんか、いまの計画で。
  34. 有澤廣巳

    ○有澤説明員 私はその技術的な点は明らかでありませんけれども実験炉の場合もやはり工学的な分野が非常に広いと思います。そこでは、ある場合においては研究開発しなければできないと思うのです。ですから原研だけでやるとしましても、そういう面は結局外部に頼む、工学的な面、エンジニアリンクな面——化学の面はとの程度原研でやれるかという問題もありますが、少なくとも端的に言って、工学的な分野においては、これはどうしても外部に協力を求めなければならぬ。ですからその分野が非常に広い。実際に建設をすることになりますから、単に理論的な研究とか計算とかいうばかりではこれはだめで、しかも実験炉といっても、十万キロワットというようなかなり大きな炉でございますから、これは十分外部の力を結集しなければ、原研だけではできない、こういうふうに私は考えております。
  35. 佐々木良作

    佐々木(良)委員 いま推進本部がございますね。推進本部に類する機能を持つのが事業団になるだろうと私は思う。そして推進本部計画に基づいて、実験炉自身をつくっていく仕事は、このままですと原研になるだろう、そう思うのですが、違いますか。新たなものが何か加わりますか。この実験炉をつくる段階ですよ。あるいは大学やそれからメーカーに一部の研究委託みたいなものはありますよ。いまでもやろうと思ったらあるし、原研からでもやり得るわけなんです。いまの原研法によっても一部の研究委託はできるはずです。そして推進本部裏づけになって、原研実験炉を来年からつくろう、こういう計画で進めておると思うのですよ。その実験炉をつくる段階には、いまの事業団の事業目論見というか、先ほどの計画によりますと、新型転換炉のほうに取り組まなければならぬのであって、高速増殖炉実験炉段階は主として——ちっとは研究みたいなものはばらまくけれども、やる主体は原研だ、こういうふうに理解しておるのですが、違いますか。
  36. 有澤廣巳

    ○有澤説明員 具体的な開発につきまして、あるいは実験炉建設につきまして、どの程度外部に出さなければならぬかということは、私自身にはまだよくわかりませんけれども、しかしこの高速増殖炉実験炉も、建設についての責任を持っている主体は事業団だ、こういうことになっておるわけです。ただ事業団は、いま御指摘のように自分自身では何も持っていないし、また過去の経緯から考えてみましても、原研でずっと研究を進めてきておりますので、その研究を土台にして、事業団といえども実験炉をつくるということに相なりますので、原研がその点において中心になることは間違いない、こういうふうに考えております。
  37. 佐々木良作

    佐々木(良)委員 実際のやり方については、その辺はいまの段階で、有澤先生としてはなかなか言いにくい点があろうかと思います。したがって、むしろ私のほうから申し上げますが、事実上は推進本部みたいなものをもっと強力にしたようなものが事業団としてさいはいをふるうのであって、実験炉段階は、最初のように原研を少し分割するみたいな計画じゃなくて、原研をまるまる使って協力をさせようというものでありまする限り、大体実験段階仕事原研のほうになるだろう、私はこういう感じがするわけであります。そうして、私はそうであるから一そう——ほんとうはこれは長官にお伺いしたほうがいいのではないかとも思いますが、有澤先生でもけっこうです。先ほど言いましたように、各国ともいま高速増殖炉に対して非常に懸命な努力を払っておりますが、その中で西ドイツは、高速増殖炉開発を進めている段階では、実験炉計画はないようでして、これは実験炉をやめて直ちに原型炉に取り組もうという姿勢を示しておると思います。そして、その方針として、むしろ実験炉段階研究は自分のほうでイロハからやるよりも——これは日本と同じように出発が非常におくれて、十年おくれていますから、国際的な技術に合わせようとするならば、むしろ外国に出ていくなり外国と一緒になって、言うならば国際協力によって実験炉段階を克服して、そして世界じゅうの一番いい知恵を集めて、一挙に原型炉に取り組もう、こういう姿勢を西ドイツは示しておると私は思います。この考え方に対しまして、原子力委員会では、わが国でも相当御検討いただきましたでしょうか。
  38. 有澤廣巳

    ○有澤説明員 私、しばしば申し上げておりますが、動力炉開発懇談会に分科会を設けまして、高速増殖炉開発についてどう進めるかというこまかい検討をしていただきました。その議論の中では、いま御指摘のありましたように、実験炉を飛ばして、スキップアウトして、そしていきなり原型炉をつくるべきである。おくれているこの段階においては、もっとスピードアップといいますか、するためには、その考え方が必要じゃないかという議論も出たということを承っております。しかし、この分科会の最終の結論は、やはり実験炉をつくる。そしてこの実験炉は、将来は燃料の照射に使う。燃料開発をやらなくちゃならないが、この燃料照射のための設備というものがわが国では十分なものがない。これを外国にみな頼んでいたのでは、なかなか研究が進まないだろうから、そういう意味もあって、この実験炉建設するということに決定したわけであります。もしなお御疑念というか御疑問があれば山田委員が参加しておりますから山田委員から……。
  39. 佐々木良作

    佐々木(良)委員 これまで原子力委員会及びその周辺の検討を、私ども横からおか目八目で見ておりますと、けっこうずくめです。考えていけば、当然にイロハから何でも自分でやりたいということになるのはあたりまえのことです。やるための能力、力が現実にあるかどうかということだけが、われわれ政治として判断しなければならぬ最上のものだと思います。やらなければならぬというゾルレンと、妙な話ですけれども、できるということとは全然違うことは、先生十分御承知のことだと思います。私は西ドイツの連中が、実験炉を飛ばして原型炉に食いつこうという判断をするにあたって行なった検討というのは、非常に大切だと思います。これは先生も御承知のように、日本に来た西ドイツのカールスルーエの研究センターのスミットという人、あの人の講演の中にこの話を明確に入れまして、三点の理由を明確にあげております。この三点の中で私は非常に肯繁に当たると思うものは第三点、西ドイツにおける高速増殖炉開発には、実験炉から出発する時間的、財源的また人員的余裕がないと判断された。特に時間的余裕については、高速増殖炉開発が国際競争であるという面から見ても、きわめて重要な課題である、このような判断に立って実験炉一つ段階を飛ばして、国際協力によって強引にその知識を習得しよう、そして一挙に原型炉をひとつ計画しよう、この判断をしたと私は思うのであります。前回の委員会におきましても申しましたが、原子力政策に対する最近五年間の取り組み方は、日本よりも西ドイツのほうがはるかに熱心でありまするし、金もかけておりまするし、人も動員しておると私は思います。それだけやっているものが、とてもこれではかなわぬ、国際協力で求めてやろうというのを、悪いけれどももうはるかに水をあけられた日本で、それは何もかもけっこうずくめでイロハからとりかかる。これはわれわれしろうとが聞きましても、それはできたものは照射に使うのだ、何とかするのだと言われれば、それはけっこうだなと言うよりほかないのだけれども、そのけっこうだなでは、私どもはその中に少し頭を突込んでくると不安にたえないものを感ずるわけです。長官悪いですかな、いまの段階で西ドイツはこのように非常に詰めて、時間的にも、金の面からも、人間も足りないから、この時間をショートカットしてやろうというくらいな判断をしておる、このことについて、日本政府なり日本原子力委員会なりが似たような深刻な判断をされたかどうか非常に疑問だと思うのです。御所見でも承りましょうか。
  40. 二階堂進

    ○二階堂国務大臣 私は先般の委員会でも佐々木さんから、西ドイツと日本と比べてみて、西ドイツがこのように進んできたのは、一体どこに原因があるかというお尋ねがありました際に、いろいろなことがあろうと思いますけれども、一口に言うとやはり政府原子力開発に対する取り組み方が問題だったのだ、こういうふうに私は考えますということを御答弁申し上げたのですが、事実私もいまお説を承っておりまして、私自身が就任当時そういう認識を持っておったかと言われますと、全くそういう認識がなかったということに尽きるのでありまして、いろいろ勉強しておる間に、これではいけない、追いつけ、追い越せという姿勢でなければどうにもならなくなるということを、身にしみて私は感じておりますから、意気込みだけは非常にそういう気分を持っておりますが、実際はいろいろお説のとおりな現状であろうと思っておりますから、一そうそういう考えに基づいて、将来もひとつこの政策に取り組みたい、また政府としても取り組むべきだ、こういうように考えております。
  41. 佐々木良作

    佐々木(良)委員 いまのお話に関連して、山田さんのお話も承りとうございますが、あるいは間違っておるかもしれませんが、六月十七日の多分毎日新聞だったような気がいたしますが、高速増殖炉研究開発について、外国との提携、共同研究とか、そういうことについて相当方々からも話があるようだ。しかしこの話に対して原子力委員会というか、原子力当局というかは、外国との共同研究的なものには言うならば消極的だ、こういう意味の記事が、相当大きな活字で出ておったような気がいたします。そして、その中には、たとえばフランスからどうだとか、あるいはその他二、三の外国からの共同研究なり、あるいは国際協力なりの話の、非公式なものが載っておったような気がいたします。これらについて簡単でよろしゅうございますから、どういう話がきておって、それに対してどういう態度をとろうとされておるのか、特に高速増殖炉について承りたいと思う。
  42. 丹羽周夫

    丹羽参考人 私以外の方がお答え申し上げるほうが適切かもしれませんが、とりあえず現在はそういうような問題を動力炉開発臨時推進本部で扱っておりますので、かわって御答弁申し上げます。  まず、私、一昨年の暮れに、たぶん御承知いただいておると思いますが、各国動力炉開発に関する政策といいますか、何をどういうわけでやっているかということを調べさせていただきました。帰ってから団としての結論を出したのでありまするが、そのときにおいても、正直に申し上げまして、実験炉といえども、もうすでに外国ではつくっておる。あるものはある程度まで動いておる。ごくわずかではありますけれども動いておる。したがって、高速増殖炉といえども実験炉段階はやめて、場合によっては、いまわれわれがやろうとしており、すでに具体的に進んでおりまするATRつまり新型転換炉と同様に原型炉からやったらどうだろうという意見すら一部にはあったのであります。しかし、いろいろな点で詳細に議論いたしました結果、こと高速増殖炉については、やはり実験炉から始めるべきである。いま有澤委員長代理は、主としてフュエルの照射ベッドだということをおっしゃいましたが、それも大きな意味を持ちますけれども、われわれ推進本部では「高速増殖炉実験炉の意義について」というパンフレットまでつくりまして、相当詳細に議論した結果、まだそのほかに原型炉、あるいは最後には実用炉につながるべき大事な試験を実験炉によってやらなければならない点が多々あるという結論で、結局実験炉をつくるべしという結論に達したのであります。ではありまするが、しかし既存の、各国の先進国の持っておる資料というものは、触れる限りにおいて、あるいは予算等々の許す限りにおいて、できるだけ収集しようということで、一昨年の暮れに、私はイギリスの原子力委員長のサー・ウイリアム・ペニーとは、こと実験炉に関する基礎的なデータの供給、交換をする契約を結びました。しかし、これは相当限られた条件がついておりますと同時に、ドーンレーの実験炉燃料の種類が違います。あれはメタリックフュエルを使っております。したがって、ほんとうに言いまするというと、あまり役に立たない部分もあるということであります。  次に、御承知のように、エンリコフェルミという炉がすでに相当動きましたが、ただいまあれは故障のために、もうすでに何年になりますか、やがて一年近くとまっております。しかも、あれはAPDAというものが責任を持って動かしておりますが、実はきのうレポートが入りましたが、APDAそれ自身、いまのエンリコフェルミの高速増殖炉には不満を持っております。改良設計をしたいという案を持っております。それなら、どういう改良設計するか。これは場合によっては、日本も手伝わないかんという話すら来ております。  それから、フランスの実験炉ラプソディー、あれはユーラトムの計画でありまして、ドイツもその他もみんな含んでおります。  先ほどおっしゃいましたドイツは、SEFORというものにも加盟いたしておるようでありますが、ドイツなんかが実験炉をスキップアウトするということをきめたものの中には、何しろ一、二時間で行かれる近いところにある高速実験炉がほかにもありますので、日本よりはもっともっとたやすくデータを求め得るし、また、事実ユーラトムとして参加しておるということもありまするが、フランスからは、まだそれはきめておりませんが、好意的に、すでに原研からは一、二名ラプソディーの臨界実験装置の臨界試験に立ち会って、しかもある重要なる部分の仕事をさせられて、もうそろそろ滞留期限が切れますが、もう少しあの男を延ばしてくれという要求すらあるくらいであります。したがって、ラプソディーに加盟しようと思えば、予算さえあれば可能であるというふうにも思います。しかし、そこへ行ってやらされることは、おのずからある一部分のことでありまして、全面的に、たとえばコードだとかなんとかいうものをくれるということはちょっと望みが薄い。イギリスのドーンレーの実験炉に関しましても、非常にやかましい条件がついております。  それから、この間来ましたスミットがドイツへ帰ってから話が出まして、一体日本はどういうことでドイツと協力したいか、協力するならさせてやってもいいが、どういう点においてどういう協力を求めるか、あるいはお互いにどういう交換をするかという具体的な条件を持ち出せというように言ってきております。  ともかくも、正直に申しまして、われわれがねらっているような高速増殖炉実験データというものは、しいて言うならば、彼らですらまだまだ満足していないエンリコフェルミリアクターのデータが若干ある。ラプソディーのデータはまだ出ておりません。ドーンレーのものはちょっと違います。そんなわけでもありまするし、先ほど申しましたように、高速増殖炉に関する限り、実験炉の意義というものは他に多々あるのであります。原型炉をつくるのに対しても、まだほかに多々必要な理由が、一々申し上げませんけれども、あるのであります。したがって、われわれは、高速増殖炉に関しては、もちろん、可能な範囲ではできるだけ外国の既存のデータをもらうべく努力いたしてもおりまするが、高速増殖炉に関する限りは実験炉から始めるべきであるというのが、一年有半議論した結果の結論であります。
  43. 佐々木良作

    佐々木(良)委員 実験炉から始めるということをいま私は否定しようとしているわけではありませんで、その辺の検討が十分行なわれているかということを伺ったわけです。同時に、実験炉から始めるということと、それから、その実験炉から始めるに際しても、国際協力を行なって、向こうに行って見てくるのもよかろう、共同研究する部分もあろう、パテントを持ってくるのもあろう、その辺の国際協力に対して具体的な方針を持っておられるか、こういう意味です。先ほどのフランスの問題も、それから、いま、たぶん、GEやウエスチングハウスからも似たような話がきていると思います。そういうようなものも、これは金との関係でもありましょうけれども、でき得る限り広範な国際協力が望ましいのではないか。そうしなければ、とてもじゃないが、これほど国際競争を激しくやってせり合っている中で、日本の中で閉じこもっておったのでは、本格的な前進はなかなか困難ではなかろうか、私はこういう意味のことを申し上げているわけであります。
  44. 丹羽周夫

    丹羽参考人 ある意味においては、おっしゃるとおりであろうと思います。ただ、結果としましては、おしかりをこうむってもしかるべきではないかとさえ思うくらいに、フランスからの申し出、カールスルーエからの申し出、それから昨日到来いたしましたエンリコフェルミからの、新しい高速増殖炉設計に参加しないかというような申し出に対しては、動力炉開発臨時推進本部で検討することにはなっております。また、検討も一部はいたしておりまするが、遺憾ながら最終結論は得ていない。おそらく何らかのことはやることになるであろうと私は想像いたしております。
  45. 佐々木良作

    佐々木(良)委員 方針として承りたいのでありますが、それらについて、基本的に、導入か開発かという議論が多過ぎたような気が私はいたします。  これは有澤先生にお伺いをいたしますが、たとえば、ことしか来年あたりから西ドイツの原型炉建設に着工されることになっておることは御承知だと思います。この西ドイツで行なわれる原型炉は、西ドイツにとっては自主的な開発だとお考えになりますか、導入的な開発だとお考えになりますか。
  46. 有澤廣巳

    ○有澤説明員 こまかい事情はよくわかりませんけれども、西ドイツの方針としては自主開発だと私は考えております。
  47. 佐々木良作

    佐々木(良)委員 私はほんとうはそのお答えがいただきたかったのであります。  実験炉日本でつくらなくても——つくってもけっこうです。つくらなくてもけっこうです。国際的に力一ぱいいろいろな技術研究を総合して日本に合うような計画を立てて、その計画を最短距離に実施しようとする計画は自主的なものだ、私はこう考えるのです。ところが、ややもすると、導入ということが、在来炉のときにも申し上げましたように、電気会社ができ上がっているものをそのまま導入する、あれを導入だということに定義づけて、要するにターンキー・システムだと称するもの、キーだけ持ってきて、あとは全部つくってもらう、これだけが導入だ。これでは絶対にいかぬ、こういうことで、今度は自主だといわれる。自主のときは、材料から何から全部自分でつくらなければならないものだというような感覚で問題を提起されたのでは私は非常に困る。したがって、あらゆる文章に自主開発、自主開発ということばが、ほんとうは少しおかしいと私は思っているわけであります。日本に合う計画である限りそれは自主的なものであることは間違いないのでありますから、どうして自主、自主ということばを入れられるか。それはでき上がったそのものをコピーするという意味ではないと思うのですよ。それならばそのことをはっきりされればいいのであって、自主、自主ということばがあり過ぎるものだから、むしろ鎖国的な、言うならば、私は非常に精神論的な感じを受けてならないわけであります。これは言い過ぎたら恐縮でありますけれども、学術論争はとかくそういうふうになりがちであります。学術論争は当然にそういう論争になる危険性を持っておると私は思います。したがって、実際にこれからやろうとする場合には、ひとつそこのところを一番明確に御判断をいただきたい。したがいまして、新法人が高速増殖炉に取り組む場合も当然日本にほしい炉を計画することは間違いないが、そのためにはあらゆる国際的なものも買ってくるだろう、パテント料も出すだろう、研究員も派遣するだろう、研究成果も買ってくるだろう、それらのものを全部総合してやられるものだ、こういう方針で新法人は計画される、私はこういうふうに理解いたしたい、こう思いますが、よろしゅうございますか。
  48. 有澤廣巳

    ○有澤説明員 ただいま佐々木委員から自主的ということばについて、その内容を非常に明確にお話しいただきましたが、私どもも全くそのとおり考えておりまして、決して鎖国的な考え方ではありません。われわれのほうで日本の、何といいましょうか、国のリクワィアメント、日本ではこういう形のものをつくる、そこだけはきちんと自主的に判断をしてきめますけれども、それを推進するために必要なものは、場合によってはパテントでも買ってくる、コンポーネントを輸入するということもむろん起こり得るわけであります。国際協力として外国研究員を派遣するというようなことはもうすでに現にやっておりますし、今後も大いにやらなければならないと考えております。
  49. 佐々木良作

    佐々木(良)委員 十二時になりましたけれども委員長、もうちょっとお願いいたしたいのです。  高速増殖炉に時間をとってしまって恐縮でありますが、次に、新型転換炉開発につきまして、私は似たような問題をもう一ぺんはっきりしておきたいと思うのです。  ただし、新型転換炉につきましては、ほんとう新型転換炉開発をしなければならないという目的に対しては、これは高速増殖炉と違って特別な意味がなければならない。特に、中間炉の性格を持っておるから特別な意味がなければならない。この特別な意味を十分踏まえて取り組もう、私はこういうふうにされておるものだと考えます。もし御意見がありましたなら承りたいと思いますけれども、端的に電力供給の面から、原子力技術の向上の面から、プルトニウムの生産の必要性からみたいな、そういう特殊な任務を持ってその目的に沿うようにやらなければならぬ、こういうことだと思います。ただ、そのときに、その目的によって計画が非常に違ってまいるポイントは、タイムスケジュールを非常に重要視するか、あるいは技術習得や技術開発を一番重点に置くか、これによって計画は全然違ってくると私は思うのです。タイムスケジュールは、言うならば、原型炉は四十四、五年着工、四十九年運転開始ですね。そんなところですね。
  50. 有澤廣巳

    ○有澤説明員 五十年前後になります。
  51. 佐々木良作

    佐々木(良)委員 要するに四十年の後半でつくり上げよう、こういう計画であれば、もうあと一、二年すれば着工せねばならぬということだと思うのです。一、二年後に大体詳細設計もでき上がって着工するというタイムスケジュールに乗せようと思えば、これは相当に重大であって、このタイムスケジュールを非常に重要視するか、そうでなしに先ほどの自主開発の議論がありましたように、この新型転換炉計画するのには、原子力発電計画、要するに、原子力産業、原子力技術、これに少しは間違っても何でもいいから力一ぱいどろんこになって取り組んでみなければ本物ができないのだ、こういう意味で、原子力人口をふやす意味からも、技術の一般的なレベルアップをする意味からも、なるべくどろんこになって大ぜいで取り組みたいという要望が確かにあると思うのです。この要望を主としていくのか、しかしながら、そんなことをどろんこになってやっておったら、外国新型転換炉が次々に出てきてしまうのであるから、せっかくつくったものは事実上時代おくれになって使いものにならぬ危険性が出てくる。その意味で、せめて一年や半年や二年ぐらいのことは少々違ってもいいけれども、タイムスケジュールというものを相当に重要視していくのか、いま言った技術の取り組みということを中心に考えていくのか。これはある意味では両方と言われてもなかなかそうはいかぬと私は思う。これはある意味では、判断は、正直いってほんとうは二律背反だと思うのです。どっちを重点に考えられますか。
  52. 有澤廣巳

    ○有澤説明員 新型転換炉につきましては、いま御指摘のありましたように、この新型転換炉には特別の意味を与えておるわけです。その意味から申しますと、いま御指摘のありました、なるべく早くタイムスケジュールどおりに事が運ばなければ困る、こういう考え方を私どもは持っております。ただ、いま申し上げましたように特別な意味を持っておりますので、その意味においてはどうしても自分自身研究開発をしなければならない部分があると思います。そこでその自分自身研究開発をしなければならない部分について申しますならば、私は技術レベルのアップ、向上ということもその点で十分はかられる、こういうふうに考えております。ことに二十万ないし三十万というふうな、かなり大きな原型炉をつくろうということになっておりますので、その何といいますか関連する分野というものは非常に広い。単に核物理というようなところばかりではなく、ほんとうに末端にいきますと、計測機器とか、そういうものの開発にまで及ぶかもしれません。しかし、それはいずれにしましても、われわれのねらいとしておりますところは、この新型転換炉が持っておる特別な意味があります。燃料の上からいいましても特別の意味を持っておりますので、その特別の意味を十分果たすような新型転換炉をタイムスケジュールに乗せて実現をしたい、こういうふうに考えておりますので、一方、タイムスケジュールばかりを言われて特別の意味を見失ってしまうということになっては、これはちょっと困る、そうすればいまカナダやイギリスで開発している新型転換炉を輸入すればいいのではないかということになりますが、そうはいかない面があります。ですから、いま申し上げましたように、特別の意味を十分発揮できる限りにおいてなるべく、というよりタイムスケジュールが一方で非常に重要でありますから、十分タイムスケジュールに乗るようにこの研究開発を進めていかなければならぬ。そのためには、たとえは原研でもすでに——あとで丹羽さんにお話しいただいてもいいと思いますが、必要なデータというものも日本で書いておる、こういうふうなこともやっておるわけでありまして、ですから、それはもっぱらタイムスケジュールに乗せるように、つまり外国ですでに研究が済んでおるデータはそのままもらう、こういう考え方に立っておるわけです。
  53. 佐々木良作

    佐々木(良)委員 長期計画の七三ページにその辺の具体的な方針が書いてあります。これはまさにこのとおりで、こんなにうまいこといくんならだれも心配しないわけですが、そのまん中どころから「まず、概念設計を行ない、また、臨界実験、熱除去実験、」等々ずっと入って「等の研究開発は」、また片カナに入って、この「試験等を実施し、これらの成果を反映させて原型炉の詳細設計を行なう。」そして、それから着工するということでしょう。私は、ここで重要な問題が二つあると思います。一つはこの前半の部分の相当の部分は、言うならば、軽水炉の製作技術といいますか、軽水炉の技術を卒業——と言ったら悪いが、卒業しておることが前提になると思うのです。それから二つ目は、これから日本でやるという話になっているこの中には、いまお話しのように海外で実証済みのものや、それから半分でき上がったものや成果のでき上がったものがあります。これらに対して、海外のものは力一ぱい入れるのだ、この後段のほうには国際協力としては「技術情報等の入手」と書いてありますけれども、いまのお話では、決して情報の入手だけにとどまるのではなくて、そのような成果を力一ぱい導入する、力一ぱい持ってくる、こういうことを前提として、そうして、どうしても日本でやらなければならぬ分だけをやっていこう、こういうことだと思いますが、しかしその前の、今度は軽水炉技術の習得の上に立った部分がここにくっついているわけです。ところが、これは私の流儀で、まあ、あっちこっちで聞きかじってみますと、日本の軽水炉に対する国産化というものは、この前申し上げましたように、言うならば、事実上のコピー国産化であって、ほんとうのその技術を改良発展させるための国産化にはまだ遠い。その意味の国産化をやるのにはこれからまだ数年たたなければ私は本物にならないような気がする。だから、一号炉を外国から持ってきて、そのとおりのものならば日本でできるようになりましょう。しかしながら、二号炉についてGEやウエスチングハウスでやるのと同じ大きさで、最初の三十万キロのものが三十五万キロになり四十万キロになっておるような、要するに、技術に改良発展を加え得る状態の軽水炉の国産技術というものはいままだ習得しておらないし、それからここ一、二年ではなかなか習得できない。コピーのほうはできるけれども。ところが、ここでまず最初にスケジュールにひびがくると思うのは、そのことが全部コピー消化ができるときと、それからコピーでなくて軽水炉の自主開発日本ほんとうにできるときとは、私は、ひょっとしたら混同されておるのではあるまいか、その上に立って新型転換炉の技術を発展させよう、こう考えられておるのであるとすれば、すでに、ここでほんとうは非常に大きなタイムスケジュールの変更が出てくる。この危険を十分踏まえられながら——私はほんとうを言いますと、いまの在来炉国産化というものが必要であるかどうか、疑問に思っているんですよ。でき上がったものを買ってきてしまったほうが日本に経済的ではないかと思っておる。しかしながら、新型転換炉にも本気に取り組まなければならぬ、この技術をやらなければならぬ、高速増殖炉ほんとうにいかなければならぬとかまえる限りにおいて、少なくとも本格的な軽水炉の自主開発が可能になる状態が必要でなければならぬ。ところが、いま行なわれておる国産化というのは、ほんとうの意味の自主開発でなくて、コピー開発、コピー国産化だ。そこのところをちゃんとしなければ、私はほんとう仕事ができないのじゃあるまいか、したがって、この新型転換炉のところに書いてあるこの計画をこれだけやるとするならば、ほんとうは、タイムスケジュールには狂いがこざるを得ないのではあるまいか、そこのところはひとつ海外協力を広範に行なう、こういうことで埋めていただかなければならぬのではあるまいか、こう考えますが、この辺の見方は私の見方でよろしゅうございますか、だいぶ違った感じでしょうか、承りたいと思います。
  54. 有澤廣巳

    ○有澤説明員 いま御指摘になりましたように、軽水炉の技術をどの程度に利用し得るかということにつきましては、一般的にはそういうことが言えるかと思いますが、しかしいま御指摘になりましたように、具体的な面になりますと、やはり国産化といいましてもコピー国産化でない、ほんとうに改良できる程度にその技術を消化していく必要があるだろうということは、私も十分理解できるところであります。それで、なるべくたくさんの国際協力等によりまして、外国ですでに得られておる成果あるいはデータといったようなものを取り入れて、このタイムスケジュールに乗せたい、こういうふうに私ども考えております。  なお、軽水炉の技術がどの程度新型転換炉研究開発に役立つかということは、私、技術的にはよくわかりませんから、山田委員からでもお答えされたいと思います。
  55. 山田太三郎

    ○山田説明員 軽水炉の技術が非常に役に立つことは確かでございますけれども、ただ原子炉の形が管型の原子炉でございまして、その意味では、軽水炉一般につきまして佐々木先生御指摘のとおりの点が十分あると思いますが、さらにその上に管型、チューブタイプであるということもございますので、もちろんわれわれ自身がやっていかなければなりませんけれども、事前段階においてあとあとまで一われわれがいわゆる自主開発と申しますのは、ライセンスがあとあとまで日本にくっついてくるという状態でございまして、基礎的なデータとして買い得る範囲におきましては、あらゆる努力をして追いついていきたいということでございます。
  56. 佐々木良作

    佐々木(良)委員 いま私は国際協力という問題を非常に広範に、普通の意味の情報の入手だけではなくて、部分的には設計図を買うこともあるだろう、あるいはパテントその他の研究成果自身を金を出して買うこともあるだろう、あるいは部分品あるいは材料等そのもの自身を買うものもあるだろう、あるいは部分的には数名の人を出していって共同研究的なことを進めることもあるだろう、向こうから技術者を呼んできて共同研究することもあるだろう、こういう広範な国際協力が前提になって初めて私はこのタイムスケジュールにひょっとしたら間に合うかもしれない計画が立ち得るのではなかろうか、こういうふうに言うておるのですけれども、非常に拘泥されるんだな。ここに後段に書いてあるでしょう、わざわざ国際協力ということばにして、「情報等の入手、交換」とだけ限定してある。したがって、そこを拘泥されるから私も拘泥せざるを得ないんですけれども、私の考え方と違いますか。
  57. 山田太三郎

    ○山田説明員 御発言のとおりでございます。ですから、もちろんわれわれがあとになったら自分で国産化できるものにいたしましても、このスピードアップするためには完成品を買ってくるとか、もちろんパテント等は当然でございますから、買ってくるという状態もございます。しかし全体のシステムとして、われわれはわれわれの生命を残しておくということになるわけでありまして、ある、たとえば特殊なポンプがあるとか、あるいは特殊な装置、計測器、そういったものがございましたら、買ってきたほうが早いという見通しがついたものについては買ってまいります。それは全く御指摘のとおりの道をいきまして、せっかく実験炉をスキップして、絶対ではございませんが、ターゲットの時期につきましても相当の意味を持っておりますので、あとあとに日本が自主的であるというような点を——先ほどからどうも自主的ということばがむずかしいのでございますが、結局彼らのライセンスを得てやるというものではない範囲におきましては、極力そういう方向をとって進める。そういたしませんと、いままでこの部分につきましては、あまり日本でエンジニアリング的な研究がございませんでしたからやむを得ない点があると思います。ですから、われわれがやれば、これだけの金がかかって、これだけの時間がかかる、しかしそれではスピードがおくれるので、一応原型炉をつくり上げるという時期に合わせるためには買ってくるという方法ももちろんとります。それであとで日本国産化するということを考えればいいわけでありますので、なるたけターゲットデートは狂わさないという方針でまいることにいたしたいというふうに考えております。  なお、先ほどの西ドイツの件でございますが、例の実験炉をオミットしたということは、ある一つの卓想であるとわれわれ思っておりますし、われわれもそういうことについて中でもちろん十分検討いたしました。ただ西ドイツは、われわれよりもっとすばやい手を打っておりまして、先ほども丹羽理事長のお話にちょっと出てまいりましたが、アメリカと国際協力をいたしましてSEFORという実験炉をつくっております。ですから、彼らは自分の国の中ではそういう段階を経ておりませんが、アメリカとの共同において実験炉段階を持っておるというふうにわれわれ了解いたしております。
  58. 佐々木良作

    佐々木(良)委員 昨年の二月に山田さん、その話を私はこの委員会でして、ぐずぐず日本で理屈ばかり言っておらずに、西ドイツは外国とくっついて、一番強敵であるところのGEだのウエスチングハウスだのとけんかをするために、アメリカまで人間も銭も持っていってその共同研究をやっておるではないか。日本でやらなければ何か自主的でないような感覚は違うんだぞと、その話をしたんです。ですから私はいま有澤先生にお聞きしたように、これからドイツでやろうとする原型炉も、ドイツにとって完全に自主的なものだと私は思うのですよ。ところが、日本の、皆さんみたいなりっぱな方はそうじゃないかもしれないけれども、われわれ級の低俗なやつに話をされる場合に、自主開発か導入かなんて言われると、それはおかしいじゃないかというようなことになって、実験炉から、イロハからみんな日本の領土の中で積み上げておかなければ本物でないような錯覚におちいるから、そんなことがないようにというお話を申し上げているわけであります。  ついでにちょっとお伺いいたしますが、この新型転換炉の目標を、特に天然ウランを燃料とすることを基本としながら、在来型炉の技術の発展で一やり得ることがやさしそうだということ、それから実際に時期が早そうだということでもって、御承知のようにいまの天然ウランによる重水炉ということを計画目標とされておるようであります。私も同感で、たいへんけっこうだと思いますけれども、これはしかしイギリスのSGHWと本質的には私は違わないものだと思うのですが、特別うんと違うものですか。
  59. 山田太三郎

    ○山田説明員 特別違わないという表現については非常に問題があると思いますが、イギリスの場合には、イギリスの条件といたしまして、彼らはプルトニウムをSGHWに使っていく考えをあまりはっきりいたしておりませんし、むしろそれは彼らのターゲットによりますと、非常に早く高速炉ができるので、熱中性子炉に使う時間はないというような考え方が非常に強いのでございます。したがって彼らの計画の中のデザインにおきましては、プルトニウムの利用が非常にうまくいかないタイプになっております。それは多少の差であるということにもなるでしょうが、日本ではプルトニウムというものをそこで活用していくということを入れまして独特のデザインを出さざるを得ない、こういうふうに考えておりますから、全く同じようには絶対なりませんです。ただ、そのためには、もちろんある技術開発を必要といたしますけれども、中身を詳しく申し上げるのははなはだ申しわけないのですけれども、結局、一応SGHWとわれわれの考えております新型転換炉の燃焼度計算をやってまいりますと、ウランにおきましてはそう違いございませんですが、プルトニウム燃料といたしました場合にはSGHWではがた落ちになってまいります。それを変えるためにはデザイン上の差ができまして、それがまた今度は核設計、熱設計における変更の問題まで出てまいりますので、そこで独特の研究開発を必要といたします。しかしこれは日本の条件にオプティマイズしておるという意味で、イギリスにおきましては必ずしもプルトニウムを使う条件をよくする必要は持っておらないというふうに解釈しております。
  60. 佐々木良作

    佐々木(良)委員 技術的なことは私よくわかりませんけれども、それは全然同じものでないことは間違いないだろうと思うのです。しかしながら、大体似た系統のものであり、しかも、この開発技術は私はむしろ一番たくさん日本に取り入れられて、基礎になるべき、土台になるべきものだと思うのです。したがいまして、この辺に対しましては、技術者でないわれわれが口出しすべきものではございませんけれども、その辺を十分踏まえてひとつ今後検討されるようにお願い申し上げたいと思います。  時間がございませんが、最後にあと一、二、新事業団の性格について承りたいと思いますが、まず第一に、原研の業務との関係について承りたいと思います。  先ほど大体内容は承りましたけれども、この条文上からまいりますと、今度基本法の七条の改正案が一緒に出ておりまして、この改正によって原燃の業務は包括的に事業団に移ることにはなりますけれども原研法の改正はないわけでありますから、原研法はそのまま生きておる、こう私は思います。そういたしますと、原研法にははっきりと、「原子力開発に関する研究等を総合的かつ効率的に行い、原子力研究開発及び利用の促進に寄与する」と、こう書いてあります。それから今度の新法の事業団法によりますと、同じように「高速増殖炉及び新型転換炉に関する開発」と書いてあるだけでありまして、「計画的かつ効率的に行ない、」同じように「原子力開発及び利用の促進に寄与すること」と、こう書いてあります。したがって、これはおのおの独立に私はやり得るものだと思いますけれども、この調整をどういうふうに形の上で考えておられるか。
  61. 有澤廣巳

    ○有澤説明員 原研は、いま御指摘のありましたように、わが国においての原子力研究開発を進めてまいりました。その中には、動力炉関係する研究開発相当進めてきております。これは丹羽理事長ことばで言えば、目的研究一つとして研究開発を進めておりまして、おそらく今日日本におきまして、動力炉研究開発について一等多くの知識の集積、それから人材というものを原研は持っておると思います。したがって、原研だけでやってもいいじゃないかという議論もあったくらいでございますけれども、しかしこれは毎々私どもが申し上げておりますように、国の総力をあげてやるという観点から見ますと、やはり原研とは違った一つ研究開発主体をここにつくるべきである、こういうふうな考え方で事業団の設立を思い立ったわけでございます。そうなりましたからといいましても、この原研の持っておる力といいましょうか、力というものは、これを度外視してこの事業団研究、特に開発が進むというふうには私は考えておりません。どうしても原研はかなり、というよりも非常に大きくこの事業団仕事に協力してもらわなければならないと思いますし、事業団から申しますと、原研にいろいろな研究開発についての委託を十分行なわなければならないと思います。ですから原研がしばしば事業団にとっての下請機関であるというふうなことを言われますけれども、これは大きな間違いで、もし事業団に対して原研が協力をしないということでありますならば、事業団はこの仕事を遂行することは私はできないと思っております。むしろ原研事業団とは相まって、手を相携えてと申しましょうか、手を携えてこのナショナルプロジェクトの実現をはかっていく、こういう関係原研は立つべきものだし、また立ってほしいとわれわれは考えております。したがって、原研につきましても、この事業団の性格並びにその仕事について十分御理解を願うようにつとめておるつもりでおります。
  62. 丹羽周夫

    丹羽参考人 関連発言を簡単にさしていただきたいと思います。  いま有澤委員長代理がおっしゃったとおりでありまするが、私、まだこの事業団というものの構想がそれほど強く出ていないころは、いま有澤先生のおっしゃったようなことであったのですが、事業団というものがだんだんとクローズアップされてきた。そうなりますと、たとえ高速増殖炉実験炉といえども、大事な動力炉開発計画の一環でなければならぬ、したがって、特に科学技術的なRアンドDを原研が主体的に御委託を受けても、その結果だけでできない部分がたくさんございます。メーカーも電力界の人も学校の先生も来ていただいてやらなければなりませんが、たとえそれがそういうグループででき上がりましても、その次に無断で進んではいけない。まず動力炉開発事業団に提出しろ、そしてそこで御議論を願って、こういうところはこういうふうにしたほうがいいというようないろいろな御意見を承ったあとで、さあこれでやれという御指示があったら、初めてその次のステップに進むべきであるというふうに言い出したのは、たぶん私が最初ではなかったかと思います。そういうふうに考えております。
  63. 佐々木良作

    佐々木(良)委員 時間がないから先に急がしてもらいますが、しかしこの過程では、私は、御承知のように、この結論に至るのに必ずしもそうスムーズではなかったと思います。私どもがおか目八目で聞いておる場合でも、たとえば原研自身仕事を二分して、一部分は事業団自身にいってしまう。設備も人間事業団自身にいってしまう。そして残ったものは原研だけでこうやる、こういうふうな考え方が一部にあったこともあったと思います。それが、やはり原研一つのチームワークを持った研究機関であるから、これを一〇〇%能力を発揮しようと思えば、分割をせずに一つにして、そして運営をしたほうがよかろう、こういう結論になったのではないかと私は思います。したがいまして、そのこと自身を十分に行なわしめるがために、高速増殖炉にしましても、新型転換炉にいたしましても、条文上は両方ができるようになっておるけれども、いまの推進本部と同じような仕事事業団の中で、言うならば、事業団のスタッフかそこらで計画をされて、そしてその仕事相当な部分が原研にそのままいって、そして原研が一〇〇%の能力を発揮されてそれをやる、こういう組み合わせになるのではなかろうかと思いますし、それがいわゆる事業団のボード的性格とかあるいは参謀本部的性格とかという性格の一部でないか、こう思います。その際に一つ、私は局長にも十分承知しておいていただかなければならぬと思うのは、これは事業団としては私はほんとうに新しい性格だと思うのです。完全に新しい性格であって、従来の法制に乗っかっておる事業団では、これは非常に微妙になる。早い話が、いまの原研も似たような政府機関でしょう。その原研で行なう高速増殖炉実験計画予算は、これはいまのたてまえからいうと、当然に原研自身につけられるべき性質のものであって、それを事業団予算をつけて、それを委託費として原研に持っていくということは、これは明らかにいまの現状の、少なくとも財政法とかあるいは大蔵省の考え方とは相当に違ったものだ。この違ったものであることをクローズアップされなければ、ここをごまかしておったら、いわゆるボード的な性格だとかあるいは参謀本部的な性格というものはクローズアップできないし、そして私は仕事ができなくなると思います。この意味の、いまお話しのように一応形式的には、法上は、原研でやられる予算は、事業団を通じて、事業団からの委託業務として予算がそこへいくのではなくて、本来ならば原研自身でつくべきものだ。しかし、それにもかかわらず、新しい事業団の性格をもって、そのような包括的な予算事業団にくっつけて、そして委託という形でもって、包括的な能力をここで発揮させよう、こういうことだ。したがって、そのようになるべく法制を解釈しながら、これを行政運営することは非常に大きな問題だと思いますが、これは覚悟がよろしゅうございますか。局長、まず事務的にだいじょうぶだろうな。
  64. 村田浩

    村田政府委員 この事業団が参謀本部的な性格を持つということはたびたびいわれておるし、事実そういった機能がなくては全体の総力が結集できないわけでありますが、同時に、事業団として独立の性格を持った機関であるためには、やはり業務執行の責任をそこが持たなくてはなりません。そこで、たとえばただいまお話しのございました実験炉建設にしましても、その計画が全体の計画の中で有機的に結合して十分な効果が発揮できるように建設され、運転され、実験されるというためには、事業団が全体の計画を握っておるわけですから、そこで責任を持って推進する。ですから、一方においてやはり推進機関としての責任がとれなくちゃいけない。ということは、具体的に言いますと、予算の執行の責任はとらなくちゃならぬということだと思うのです。そういう意味で、たとえば原型炉建設予算をダイレクトに原研につけますれば、その予算の執行の責任は原研にあるわけでありまして、事業団にはないわけであります。それをその上に立って監督しますのは科学技術庁であり、原子力委員会ということになるわけでありまして、事業団は宙に浮いてしまうわけであります。そこで、事業団計画を総合的に立てると同時に、その計画の実施上非常に重要な部分である、たとえば実験炉建設、運転、設計というような問題について、原研のお力をかりなくてはならない、それから原研に実際に全力を発揮していただかなければならない。それをやっていただく。が、同時に、それが計画どおりに推進されるということをやはり責任を持って追及するために事業団予算をつけて事業団からお願いする、こういう形をとる、そういうふうに考えてまいったと私は理解しております。  このようなやり方は、確かに御指摘のとおり、従来の研究委託とかいうようなことから見ますと、非常に大規模な資金なり範囲にわたる委託でありますから、非常に小さな、数百万円程度研究委託ということは従来もずっと行なわれておりますが、この事業団が行ないますものについては、ここに法律にもございますように、基準を設けて、その基準に照らして弾力的に運用されていく、そういうシステムを実現させていかなければならぬ、こういうふうに考えているわけであります。
  65. 佐々木良作

    佐々木(良)委員 その考え方はわかるのですよ。その考え方を実現しようと思えば、それは、悪いけれども、いまの大蔵省でもそうは考えておりませんよ。そこのところをよっぽど覚悟をきめていかなければいけない。原研法というものが直接なければまだいいですよ。原研法があって、原研は独自で原子力研究を総合的にやるという任務が原研法上明記してある。したがって、原子力研究をやるための費用は、本来であるならば直接予算原研に組むべきなんですよ、理屈を言うと。それを事業団に回さなければならぬというのは、私に言わせると、インチキだ。法上で言うと、直接に原研がやる任務としてあるのでありますから、それをやる予算は当然に直接組まるべきだ。それを新しい事業団ということでかまえて、包括的に、おまえのやることもあるけれども、ほかにやることもあるので、それを包括して検討したいから、包括して事業団予算にせよ、こういうふうにやろうということは、私は直ちには出てこないと思うのです。新しい事業団の運用として、これから特に内閣において、長官を中心として、原子力委員会でも、それはそういうことになっておるのだぐらいの話にしてしまって、あなたと大蔵省との、事務官僚との折衝の上の段階で、そうじゃないのだ、こうなってしまっておるのだから、それなら、悪ければ逆に原研のほうの法律でも直しましょうぐらいな話でいかないと、私は本来法制上、財政法上の問題さえ起こり得る危険性を持っておるものだと思うのです。これは時間がありませんから、私の見解と心配を述べまして、特に長官、原子力委員の皆さんの御考慮をひとつわずらわしておきたいと思います。  それからもう一つ原子燃料公社との関係についてですが、原子燃料公社は、もともとから、御承知のように現業機関ですね。事業団は本来ボード的なもので、言うならば頭脳機関だ、この頭脳機関とこっちの現業機関というものは、ほんとう——これは強弁されますよ、燃料と一緒にやらなければどうのこうのと言われる。言われるけれども、その経過があったことは私ども承知しておりますから、その経過をどうのこうのしようとは思いませんが、その現業機関的なものと頭脳的なものとは非常に性格が違ったものだから、したがって、私はこれは法制上も経理上も別にしよう、こういうことになっておると思うのです。したがって、今後その運用は非常に私は微妙だと思いますので、格別に注意を払いながら、ひとつ事業団のでき上がった際には、言うならば木に竹をついだようなものでありますから、その辺を考えながら、ひとつ十分に配慮した運営をお願いいたしたい。  ただこの中で一つ、これは政策としてお伺いいたしておきたいのは、原燃法がなくなってしまいましたね。そうして今度の事業団法に引き継がれる。その中で私が非常に大きな差を感じておるのは事業団は、これは二十五条ですか、原燃法では明らかに規定してあったところの核燃料及び原料物質に関する基本計画に基づいて業務遂行しなければならないという、燃料及び原料の基本計画に基づく業務遂行の義務が燃料公社にはあった。それが今度ぽっとはずされておって、その基本計画は炉に関する部分だけになっておる。そうして、その炉をやるための燃料だけになっておる。したがって、燃料自身の、あるいは原料自身の基本計画という構想は、これは飛んでしまったことになっておる。これは多分私は民有化方針ということから抜かれたのではなかろうかと思いますけれども、そういう考えでこれはあえて抜かれたものか、承りたいと思います。
  66. 有澤廣巳

    ○有澤説明員 原燃法と事業団法におけるいまの燃料政策に関する違いでございますが、民有化のためにいまのような原子燃料に関する二つの法律の違いができたか、こういう御質問のようでございます。  私どもにおきましては、日本の原子燃料に関する政策はやはり依然として私ども委員会のほうで立てて、これは長期計画のほうにも載っておりますけれども、その長期計画は長い間の方針でございますので、それを毎年毎年につきましては、私どもその方針を立てていきたいと思っております。ですから民有化に即してその燃料政策を立てていかなければならぬということと、もう一つ動力炉開発の進捗に伴ってやはり毎年毎年の燃料政策は立てていかなければならぬ、こういうふうに考えておりますので、別にいま特に民有化を予想してその条項を落としておるというわけではございません。
  67. 佐々木良作

    佐々木(良)委員 私がこの前の委員会燃料問題で質疑応答を行ないました際に、問題を申し上げたような気もいたしますが、民有化というのはウラン自身を民間で開発してもよい、それから所有してもよいということであって、しかしながら原子力政策のもととして、大体何年ころにウランはどの程度は民間でもいいし、国でもいいし、燃料公社でもいいから、ともかく確保しておかねばならないぞというのは、これは国の責任でなければならない、したがって、民有化方針というのは、燃料については民間で適当にかってにやれ、こういうことではないはずだと思うのです。したがって、むしろ逆に言うならば、燃料に対する民有化方針が浸透すればするほど、逆に国の責任はむしろ強くなるのであって、あの辺は民間ではそろばんに合うから、ここのウランは適当になるだろう、しかし、ここのほうはそろばんに合わないから、捨ててしまうだろう、そうすると、何年ごろにはウランの穴がこの辺にあきはしないだろうかということを国自身の責任でもって見なければならない。私はその意味におきまして、燃料及び原料の確保、利用、開発に関する国の責任を民有化方針のために回避しては絶対にならない。むしろそのためにこそ基本計画的なものが必要なのではあるまいか、こまかいことじゃなくて、燃料、原料を国の責任で確保しておこうというための基本計画的なものが国の責任において行なわれることが必要なのではあるまいか。したがいまして、むしろ私は今度の法改正、あるいは事業団法の中でこの問題だけはすとっと削られてしまっておることにほんとうは不安を感ずるものです。むしろ今後そのような配慮をされたいことを望んでおきたいと思います。  それから、ほんとうは私はここで事業団がいわゆる参謀本部的なもの、ボード的なものであるとするならば、そうすると規模はどれくらいになってどうどうだということを詰めたかったのであります。しかしながら、この問題はなかなか微妙でもありまするし、それから具体的内容に入ってまいりますと時間もかかりますから、この問題の詰めをすることは私は省略をいたしたいと思います。ただし繰り返して私がここで申し上げておきたいと思いますことは、石野君の質問に対しましても、その他の質問に対しましても、今度の事業団ははっきりと、先ほどのいわゆるボード、参謀本部的という性格を何べんでもクローズアップされました。そして、せんだっての委員会における総理の答弁におきましても、吉田君の質問に答えて、いわゆる実施部隊のようなものではなくて、ボード的なものでいきたいのだ、こういう構想を重ねて私は明らかにされたと思います。そういたしますと、先ほどから繰り返して言いますけれども、このことは決してこの事業団の中のいわゆる研究部門だけではなくて、原型炉自身建設する仕事についても同様な性格のものである、こういうふうに私は理解するわけでありまして、そうすればそうするほど、事業団の性格というものは、いま普通に法制的や普通の常識で理解されておる事業団とは非常に異なったものである、そしてそのかぎが、先ほど話しのありましたいわゆる二十四条の「業務の委託」ということだと思います。二十四条に規定する「業務の委託」というものを通じて、言うならば、高速増殖炉新型転換炉に対す国の——これから長官に大きな予算をごそっと取ってきてもらって、その予算をこの二十四条の委託条項に基づいて原研に、あるいは実施部隊の第三機関に次々にうまくこれをほうり込んで、そしてここに官民一体の総合的な能力最高度に発揮させようという構想だと思います。したがって、私はこのためには、繰り返して言うようでありますけれども、安易に事業団の性格を考えられては、そうすると、事業団が実施部隊になってしまいますと、いまの原燃と同じように——原燃さんにちょっと悪いけれども、原燃と同じように、毎年毎年、ここから先くらいの予算で、しかも会計計査院に一つずつけちをつけられて、それから毎年やはり建設計画は変えなければならぬのかどうかみたいなことを言わなければならぬということになりますと、この事業団は完全に死んでしまいます。したがって、私は新しい事業団の性格はこの業務委託という条項によって生きる、しかも、これはかぎであると思う。これは局長に聞くのは酷だと思いますけれども、したがって、この条文に掲げてある別に定める基準というものは、これは非常に重要なものだと思いますが、大蔵省からは相当やかましく因縁がついてくることだと思いますが、この辺に対しましては、必ずしも私は事務レベルの折衝では解決がつかないものだと思いますから、その辺の覚悟をきめられながら、この別に定める基準の中に含まれる委託については、業務の中の研究から、建設から運営に至るまでの、その中の一つ一つ相当の大幅の委託が行なえるようにするために、力一ぱいの努力が、少なくとも、長官、委員会において行なわれるものだと思います。ひとつせめて長官並びに有澤先生の決意のほどを承りたいと思います。
  68. 二階堂進

    ○二階堂国務大臣 いま新しい事業団の性格、それから委託業務等についての御説、私も十分のみ込んでおるつもりでございますから、これらについては決意を持って当たりたいと思っております。
  69. 有澤廣巳

    ○有澤説明員 いま御指摘になりました事業団の性格、つまり日本の総力をそこに結集してやらなければならない、そのための中核体、つまり参謀本部的な性格を守ることについては、私はこれがこのプロジェクトの遂行について一つのかぎだというふうに考えております。このかぎを失うことは絶対にいたさないつもりでおります。
  70. 佐々木良作

    佐々木(良)委員 特に私は最後に要望申し上げて質問を終わりたいと思います。  御承知のように、原子力というのは非常に危険なものであります。同時に、ウランも戦略物資であります。したがって、平和利用に懸命になっておられる方々から見れば、思いも染めぬような疑いを外国やその他からはかけられ得る危険性のあるものだと思います。これまでの日本原子力行政といいますか原子力政策原子力部門の発展の過程において一番最初に取り組まれたのがコールダーホール一号炉であった。これは偶然でありますけれども、プルトニウムの製造炉であることは御承知のとおりであります。それからいま懸命に燃料公社でやっておられる再処理工場の計画は同様な意味でこれは幾ら言われても目下そう簡単にそろばんに合わないものであることは明らかです。それにもかかわらず、そろばんに合うと強弁をされて、この事業、この計画を進められようとしておる。しかし少なくとも国際的にはいまあんなものはそろばんに合わないということは知っていると思うのです。さらに御承知のように、プルトニウムの使用技術の研究を進めるために、むしろこれが高速増殖炉の一番中心にもなるわけでありますから、プルトニウムの使用技術研究というのは一番中心に目標を立てなければならぬと思うのです。このようなコールダーホール、それから再処理工場、さらにいまのプルトニウムの使用技術の研究開発というふうにずらっと並んできて、しかもその中に、これはそろばんに合わないけれども国の利益のためにこうこうでやらなければならぬという裏づけ政策がぴたりとしておらない。みんな個々ばらばらに——説明は受けますよ。説明は受けますけれども、コールダーホールをやるというときには、私はそろばんに合わないと言ったにかかわらず、皆さん御承知のようにそろばんに合うからやりますと強弁をされた。それから再処理工場もそろばんに合うと称していま行なわれようとしておる。同じ意味で今度の新型転換炉にしましても、プルトニウムにいたしましても、国際的に見れば当然に損失が伴う、リスクが伴うものだ。このリスクが伴うにもかかわらず、国としては産業政策上こうやらなければならぬからこの損失はおれが負担するという、やらなければならない国の目的と、したがって、そのための損失は国が負担する、こういう裏づけがあって初めて国際的に疑いを招かない基礎がほんとうはできると私は思う。その基礎が何にもなしに、そろばんに合うはずだからやれ、そろばんに合うはずだからやれ。しかも何だかやっているところを見ると、ごそごそやっているのは事業費という名において、研究開発費という名において何だかおかしいかっこうの補助をしているらしいぞ、電気会社に対しても事業団に対してもそういう感じが出れば——悪いけれどもプルトニウムというのは御承知のように爆弾のもとだ。したがって、そのような国際的ないわれなき疑いを受ける危険性をなしとしない。その意味で私は、この原子力政策に対しましては国の政策として、国の計画として、したがって、にない手が民間であろうが、国家機関であろうが、原則としては国が損失を負担するんだぞというたてまえを明らかにされながら、その中の計算は——人の見ておらぬところではどうでもいいじゃないですか。電気会社が文句言うのなら、おれが出せといってもよろしい。しかしそのたてまえははっきりしてもらいたい。この間申し上げましたように、ドイツにおいても、イギリスにおいても、アメリカにおいても、みんなそれはそろばんに合わないから、そのそろばんに合わぬ高くついた部分は国が持ちますよ。民間の電気会社がやってください、しかし高くついた部分は国が持ちますよという政策裏づけにして推進をさせている。したがいまして、このような意味で私はぜひほんとうに、銭がなければ出さぬでもいいから、そのたてまえを政策上の裏づけにしていただきたい。そうしないと円満な原子力の平和利用産業を確立していくことが非常に困難になるのではなかろうか。これが第一点。  それから第二点は、一番最初の質問のときに申し上げましたビッグサイエンスに対する取り組み方だと私は思います。長官からも抱負を承りましたが、基本的にこのビッグサイエンスに対する取り組み方のもとは、国際的な常識になっているのは、ビッグサイエンスは国の計画でやれ。国の計画で、しかも民の能力は全部総動員して、民の能力を国の計画で合体させるところにビッグサイエンスの基本的な政策の出発点があるというのが、私は言うならば目下の国際的な常識ではなかろうかと思います。このような方針をとろうとする場合に、日本のいまのわれわれ政治家の責任も相当のものでございますが、同時に、その政策の立案のもとが政府ということになっており、しかも政府の中では大体役所が中心になって立てられるところから見ますと、これは従来の役所のシステムの中で、それに合わした政策がつくられようとする意味で、このことが非常に困難になっておるような気がいたします。日本の従来の考え方によりますと、国の計画というのは国の役人が自分でやるのだ、国の官僚が自分でやるのが国の計画だと考えられ、そして民間の能力というのは、国からなるべく統制や規制を受けずに自由放任の状態にしておいてもらって力一ぱい能力を発揮するのが民間の能力の発揮のしかただという、言うならば古典的自由主義の原則が民間産業の中にある。この民間産業の中にある、政府はものを言うな、おれだけやらぜい、おれだけやらせいという自由放任主義的な能力発揮と、それから日本の役所の中の、民間なんかにやらしたらあぶなくてしょうがない、国の計画、国の銭を使うのは国の役人が自分の目の届く範囲内で絶対に遂行するのだという従来の日本の行政のシステムと、この二つは、いまのようなビッグサイエンスの時代を迎えて、ビッグサイエンスに取り組もうとする場合の最大の阻害要因になる危険性を感じておるものであります。  それから口をすべらしたことでひとつお聞き願いたいが、こういう際に、悪いけれども、学者的論争と学者的偏狭というものが政治にとって非常にじゃまになることが多い。われわれはいま政治で遂行するのであって、プロジェクトを実施するのであって、学理研究をしておるのでもなければ、論争して、外国の頭よりもおれの頭のほうがいいんだなんという証明をしておるわけでも何でもないわけでありますから、ひとつ今後長官がビッグサイエンスの時代を迎えて科学技術を推進されようとされる場合に、私が非常に言い過ぎた、暴言をはきましたことを御記憶いただきまして、新しい時代に即応する方針を立てながら遂行していただきたいことをお願いをいたしまして質問を終わりたいと思います。
  71. 矢野絢也

    矢野委員長 両参考人には長時間にわたり、まことにありがとうございました。     —————————————
  72. 矢野絢也

    矢野委員長 この際おはかりいたします。  ただいま議題にいたしております両法律案審査のため、来たる七月五日、各界より参考人を招致し、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  73. 矢野絢也

    矢野委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。  なお、参考人の人選につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  74. 矢野絢也

    矢野委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう取り計らいます。  次会は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。    午後零時五十八分散会