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1967-06-28 第55回国会 衆議院 科学技術振興対策特別委員会 第18号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十二年六月二十八日(水曜日)    午後二時四十六分開議  出席委員    委員長 矢野 絢也君    理事小宮山重四郎君 理事 齋藤 憲三君    理事 中曽根康弘君 理事 渡辺美智雄君    理事 石野 久男君 理事 三木 喜夫君    理事 内海  清君       池田 清志君    岡本  茂君       桂木 鉄夫君    村上信二郎君       石川 次夫君    三宅 正一君  出席国務大臣         国 務 大 臣 二階堂 進君  出席政府委員         科学技術政務次         官       始関 伊平君         科学技術庁長官         官房長     小林 貞雄君         科学技術庁原子         力局長     村田  浩君         通商産業省鉱山         局長      両角 良彦君  委員外出席者         原子力委員会委         員       有澤 廣巳君         原子力委員会委         員       山田太三郎君         参  考  人         (原子燃料公社         理事長)    今井 美材君         参  考  人         (日本原子力研         究所理事長)  丹羽 周夫君     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  原子力基本法の一部を改正する法律案内閣提  出第七二号)  動力炉・核燃料開発事業団法案内閣提出第七  三号)      ————◇—————
  2. 矢野絢也

    矢野委員長 これより会議を開きます。  原子力基本法の一部を改正する法律案、及び動力炉・核燃料開発事業団法案の両案を一括して議題とし、審査を進めます。  最初に参考人出頭要求に関する件についておはかりいたします。  ただいま議題といたしました両法律案審査のため、本日、原子燃料公社理事長今井美材君及び日本原子力研究所理事長丹羽周夫君を参考人として意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 矢野絢也

    矢野委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。
  4. 矢野絢也

    矢野委員長 質疑の申し出がありますので、これを許します。石川次夫君。
  5. 石川次夫

    石川委員 きょうはこの両法案のうち、特に核燃料に関してだけちょっと掘り下げた質問をしたい、こう思っております。  その前に、実は最近の新聞で拝見したのでありますけれども、この前私が質問いたしました科学技術基本法を今国会中に出すつもりであるという長官答弁であったわけですが、それがどうなっているかということと、それと同時に、科学技術のわりあい長期にわたる予算を伴った計画というものがいわゆるころがし予算というか、そういうものを含めて短期に一年、一年区切ったのではいかぬということで、そういうふうな長期計画みたいなものをつくりたい、こういう意向長官が発表されておるようでありますけれども、これは科学技術基本法が出ないための肩がわりとしてそういうことを考えられたのではないか、こういう疑問を持ちます関係で、この点についてひとつ明確な御答弁を願いたいと思うわけです。そのいわゆる発表された計画というものがあるとするならば、その内容もひとつこの機会に御説明を願いたい。
  6. 二階堂進

    二階堂国務大臣 この科学技術基本法の取り扱いにつきましては、自由民主党の党内におきましては、多少問題がございましたので、いまその点につきまして協議を願っておりまして、来週中には何とか話し合いがつくのじゃないかと思っております。私はできれば二十日までにはぜひまとめてもらって、今国会に出すように努力をいたしてまいりましたが、なかなかどうも調整が思うようにつきませんで、今日まで鋭意私も文部省との間にいろいろ相談をいたしてまいっておりましたけれども、なかなかそう簡単にその議論がまとまらなくて——しかし、いずれにしてもこれはやはり科学技術振興政策を進めていく上に最も基本になる法律でありまして、どうしてもまとめて国会には出したい、こういう考えでいま取りまとめをお願いしておるわけでございまして、先生方から催促をされまして今日まで提出の段取りになっていないことは私も非常に遺憾に存じますが、いましばらく時間をかしていただきまして、何とかこの国会提出できるように、こういう誠意をもって努力をいたしておる最中であります。  また、次にお尋ねの、科学技術に関する長期にわたる計画策定につきましても、いま大体の考え方あるいは内容につきまして取りまとめをいたしておりまして、できれば八月か九月ごろにはその計画を立てて発表いたしまして御審議を願うことに相なろうかと思っております。
  7. 石川次夫

    石川委員 科学技術基本法はずいぶん長い間の懸案で、これがなかなか出ないということは、官庁間のセクトというものが相当きびしいんだということをまざまざと見せつけられる思いがするわけでありますけれども、そのことは同時に、政府の力によってビッグサイエンスを推進していこうということに対するセクトのあらわれがそこに見られると思うのです。こういうビッグサイエンスを推進する中核としてはやはり科学技術庁が存在しているのだと思うのですけれども現実の問題としてはまだまだ科学技術庁というものは無力だと私は思っています。特に専門的な技術家はおるかもしれませんけれどもプロジェクトリーダーとしての力がまだまだ弱いんじゃないか。これは原子力委員会にもいえることですが、何とかそういうふうな体制を整えながらビッグサイエンスを一元化するための中核としての役割り科学技術庁が果たし得るような体制を早急につくらなければいかぬと思っております。そのことについてはこの場で議論をしようとは思いませんけれども、この長期計画の中身、方向づけとして、国民所得の大体二・五%という一つ目標が言明をされておるわけです。そのうち七割が民間に依存をするというようなことでは、これからほかの国に追いついて、追い越すだけの、特にビッグサイエンスを中心とする科学の推進というものには非常に力を欠くんではないかということで、大体五十、五十ぐらいには持っていきたい、政府が五十、民間が五十という程度にまでは持っていきたいというような意向を裏づけとしてこの長期計画というものはつくられたものなのかどうか、その大体の輪郭、方向づけというものをひとつお示しを願いたいと思います。
  8. 二階堂進

    二階堂国務大臣 長期計画につきましては、先ほど石川さんがお述べになりましたとおり、研究費国民所得に対する割合が現在一・七%ぐらいのところを二・五%まで持っていきたい、こういう一応のめどはついております。これは社会経済発表計画の中にもはっきり数字が明示されておりますから、それを考えながら計画を立てていくつもりでありますが、その場合国の投資が、おっしゃるとおり非常に少ないと私は思っております。したがいまして、その割合石川さんは五十、五十ぐらいを目標に置けという御主張でございます。これらについてもいまいろいろ議論をいたしておりますが、昨日この委員会で、総理答弁の中にもありましたとおり、国が出すべき研究費をもっと増大していきたい、力を入れていきたいという総理の御意思もありましたので、私もできる限りこの比率を高めていくようにという考え基本に持ちながら計画内容を進めてまいりたい、こういうふうに考えております。
  9. 石川次夫

    石川委員 私は、ほかの国のように政府が七十、民間が三十という形までぜひ持っていかなければならぬ、その過渡段階として、せめて五十、五十ぐらいのことは今度の計画の中で盛り込んでもらわなかったら前進は見られないと思います。私は決して五十、五十で満足するというわけではなくて、七十、三十に至る過程として今度は当面五十、五十ぐらいにはしなくては話にならぬじゃないか、こう思うのですが、その点どうお考えですか。
  10. 二階堂進

    二階堂国務大臣 先進諸国の、国と民間との投資割合考えてみますと、やはりおっしゃったように国が七、民間が三、こういう割合になっておるように伺っておりますが、そこまで一ぺんに持っていこうという考えを持ちましても現実にはなかなかむずかしいんじゃないかと思っております。その過渡的段階として六対四とかあるいは五対五とかということはどうかということでございます。でき得る限りそういうような方向を裏づけするような考え方基本に持ちながら策定努力をしてみたい、現在はそういうお答えしかできないわけでございます。
  11. 石川次夫

    石川委員 この問題については、いずれあらためていろいろ質問をしたいと思っておりますが、この法案関係する点で私が核燃料に限定をいたしましたのは、動力炉についてもいろいろ問題点はあるわけで、各委員から熱心な質問が行なわれたわけでありますけれども、その中で、動力炉開発事業団というものができます過程で、燃料というものをあとからかっこうをつけてつけ足したような文字を私は見たわけです。どうも燃料がつけ足しのような感じで考えられておるのではなかろうかというふうな、これが私の誤解であれば幸いであります。そういうことでもないのですけれども燃料のことについてはちょっと忘れられたといっては語弊がありますが、関心が比較的ぼけている面もあるのではなかろうか。こういう点で燃料のことだけについて質問したいと思っております。きょうは原研の丹羽さんもおいでになっておるようでありますが、丹羽さんのほうにはきょうは質問をしないつもりでおりますから、適当にお休みいただいてもけっこうでございます。手違いでたいへん恐縮でした。  問題は、現在ウランが、御承知のように軍需関係生産減というようなことに基づきまして、たいへん過剰生産ということになっておるわけであります。しかしながら、長期展望に立ちました場合には、現在の過剰設備というのは現在だけの当面の現象であって、将来は必ずこれが世界的に非常な不足、いわゆる買い手市場から徹底した売り手市場に回るということがいわれておるようです。その点について実はこまかに質問したいのでありますが、私のおよその見当でいきますと、現在の生産量年間二万トンということになっておりますけれども、遠い将来をずっと考えてみますと、大体世界年間ウラン需要量というものは、電力関係だけに限りましても、昭和五十年は四万トンぐらいになるであろう、それから昭和五十五年は大体六万トンぐらいになる。ところが現在の生産量というものは二万トン、しかも将来の生産能力というものを、いまは生産過剰のために使っておらないものを再開させる、あるいは新たに開発をはかるというようなことを講じても、四万トンまではいかないのではないか、こういうふうな予想がされておるやに私は考えておるわけであります。そうしますと、もうすでに昭和五十年ころからは世界的にたいへんな不足になってくる。こういう点で現在の買い手市場というものがそう遠い将来ではない時点売り手市場というものになり、相当腰を据えた対策というものを考えないととんだことになるのじゃなかろうか、こう思っておりますが、その点について原子燃料公社理事長さんにひとつ御意見を伺いたいと思います。
  12. 今井美材

    今井参考人 ただいま御指摘がございましたごとく、ウランは過剰であったという事態はもう過去のことになったか、あるいはなりつつある状態だと思います。それと申しますのも、世界的の視野で申せば、昨年一年間におけるアメリカ原子力発電所発注事情などを考慮いたしますならば、ただいま御指摘にあったような数字にもなるとおり、非常に大きな数字になることが予想されておるからでございます。これに対して、いま私ども承知いたしておるところによりますれば、アメリカでももちろん民間事業といたしまして、このばく大な需要に対処する方策が進行中であると存じます。  その一つは、探鉱事業でございます。現在のところ、アメリカのいわゆる埋蔵量と申しますものは、これは数字によって多少の相違がございますが、十四万トンあるいは十六万トンぐらいといわれております。これは先ほどのような二万トンであるとかあるいは四万トンとかいう数字で年で割ってまいりますと非常に懸念のある数字でありますので、民間事業が非常な意欲を燃やして目下探鉱事業に着手をいたしたと思うのでございます。このおもな地帯はワイオミング州等に集約されております。  そこでその見通しの問題でございますが、年間どのくらいのボーリングが行なわれておるから、どのくらいの量が出るだろうかというようなことはおおよそいえるかと思うのでありますが、ただいまの、昨年あたりから始まりました新探鉱ブームは、これまでに一九五六、七年ごろに行なわれておりました探鉱ブーム時代をむしろオーバーしているやに聞いておるのでございます。しかしながら、それだと申しまして、それがすぐに製品に直結してまいるのは非常に困難でありまして、彼らの常識によりますと、探鉱に着手いたしまして、これが探鉱に成功し、そして現実にいわゆる採鉱に着手する、その採鉱に着手した鉱石から、今日の事情で申しますとイエローケーキでありますが、製品をつくるということまでには大体七、八年を要する、こう申しております。そんな次第でございますから、いまからしばらくの間はまだそのものに期待するわけにいかない。  昨年の夏、アメリカ原子力フォーラム産業会議がございまして、それにアメリカ鉱山界一つの旗頭でありまするカーマギー氏が発表いたしましたが、その言い方を簡単に御披露申し上げると御参考にあるいは相なるかと思いますが、五年ごとにものを限って考える。いま一九六六年、これから五年間はまだ、探鉱の限りで申せば過去の遺産がある。つまり過去において見つけてあるか、あるいは見つける可能性をもうすでに知っておるけれども、一時スローダウンでございましたので、その間に十分工業化されていないものがある。それを遺産というならば、それが五年間。その次の五年間というのを飛ばしまして、十年後から十五年の間、これはもう全部新しい、これから探鉱に着手するものでなければ仕事にならぬ。それは先ほど来着手してから七、八年の後でなければ仕事にならないと言った、それに該当いたしておると思います。さて、もちろん事業者が言うのでございますから、その十年、十五年後の見通しといたしましては十分これに可能性考えられると、こう申しながら、一方、その間はどうするのかといいますと、それは遺産と新しく開発するものとのチャンポンでやっていくのである、こういうことを申しております。見通しといたしましては、結論的には、決して心配することはないと申しておりますけれども、いま当分の間はやや窮屈になるおそれのほうが強いのでないかと私は考えております。
  13. 石川次夫

    石川委員 世界埋蔵量がいろいろ推測されておりますけれども、現在発見されておるものとそれからこれから新たに発見されるであろうという数字が大体同量くらいではないかというような報告を私は拝見したことがありますけれども、その中でアメリカが十一社、カナダが三社、これは、うち一社はイギリス系の資本が入っておりますが、それから南アフリカ鉱山会議所というものを通じて七社がこの統制下に置かれている、こういうようなかっこうになっておりまして、アメリカカナダ南アフリカと三者で埋蔵量の九〇%を占めておるというのが現在の実態のようであります。  そこで、いま今井理事長お話しになりましたように、たいへん売り手市場という形になってまいりまして、アメリカだけで見ますと、一九七二年以降は、天然ウラン提供しなければ濃縮ウランだけを買い取るということは不可能になるであろう、こういうふうな記事を私は見たことがあるわけなんです。これはたいへんなことなんで、いま濃縮ウランアメリカでつくっているから、アメリカから持ってくればいいのだという安易な考え方が非常に支配的じゃないかと思うのでありますけれども現実にはカナダ南アフリカは若干提供可能の余地があるやに思います。しかしアメリカは少なくとも一九七二年の時点においてはもうすでに、全然もう自分のところで手一ぱいということで、外国濃縮ウラン提供をする場合には、外国天然ウランを持ってこい、こういうかっこうになるのではないかと私はおそれておるわけなんです。その点の見通しはどうでしょうか。
  14. 今井美材

    今井参考人 海外から持ってこないと、アメリカでたとえ例の委託濃縮制度というものが実行されるようになりましても原料がないのではないかというお尋ねでございます。詳しい数字を持ち合わせておるわけではありませんが、見通しとしては御指摘のとおりではないかと思います。  そこで、それならばどこにまだゆとりがあるかということにつきまして、南ア連邦並びにカナダにはまだ若干のゆとりがあるのではないかという御意見でございますが、私も全くそのとおりであると思います。なかんずく、南ア連邦のほうよりもカナダのほうが本来大きい埋蔵量も持っておりますし、また、そこに大きな会社が三つございまして、エルドラドとリオアルゴムデニソンというのと三つございますが、そのうちリオアルゴムのほうは、先般イギリスに対して大きな長期供給契約をいたしましたので、デニソンのほうが余力が大きいと考えられております。そんなわけで、このデニソンに対しましてはヨーロッパの諸国買い付けの目を向けておるように存じられるのでありますが、いまのところはまだこれは商談が成立したわけではないと思いますので、もしも買い付け考えるならばそういうところに多く可能性があると存じます。
  15. 石川次夫

    石川委員 これは長官もよく考えてもらいたいと思うのです。アメリカはいまのままの形で推移すれば、あと幾らもたたないで、一九七二年以降は濃縮ウランだけ出せといっても提供する余力がない。したがって、どうしても天然ウラン提供しなければ濃縮ウランにしてよこさないという形になるということは、もう大体そういう見通しになっておると私は思うのです。そうなりますと、何か動力炉をつくって濃縮ウランアメリカから持ってくればいいのだということだけで今度の法律を通してみたところで、おっとどっこい、燃料でもって完全に行き詰まる。こういう事態にならざるを得ないし、カナダ南アフリカのほうは若干供給可能ではあるけれども、これは世界各国から殺到するということも予想されるわけです。世界的にも完全に不足をする。完全にもう足りなくなるということは目に見えておるわけでありますから、いまから核燃料についての確保をどうするか、これこそ自主開発という形でもって自分の手で燃料というものを確保するということをいまにして十分な体制をつくらないと、とんでもないことになる。  それから濃縮ウランアメリカの独占で、アメリカから買うほかないのだということで、いまわれわれも考えがちでありますが、よくよく調べてみますと、アメリカからもらえないのだ、こういうことになってくると、一体どうなるのだ。こういうことはよほど真剣に、深刻に考えて対処してもらわなければならない、こう思うわけです。  特に、御承知のように核燃料というものは戦略物資にもつながるわけでありますから、何かの関係提供を差しとめるということになる可能性もあるわけで、たとえば現在でもインドとかラテンアメリカあたり輸出を禁止しております。オーストラリアも有望でありますけれども、これも輸出を禁止しておる。現在すでにそういう形になっておる。したがって、いまのうちにどこかの海外探鉱というような形で積極的にこれを進めなければ、もう動力炉は成功したといたしましても、この点からたちまち行き詰まる。もちろんこれは高速増殖炉というものを完成して、燃料サイクルが円滑にいくということになりますと、その不安が解消されるとはいいましても、これはたいへん遠い将来です。おそらく二〇五〇年とか、われわれの生きている時代ではないわけなんで、それまでの過渡段階でも核燃料というものの不足のために、動力炉をつくったのはいいけれども、どうにもならぬという事態になる危険性がきわめて濃い。そういうことで現在、一体どういうことを長官としてはお考えになっておるか。その対策の現状をお知らせ願いたいと思う。
  16. 有澤廣巳

    ○有澤説明員 お説のとおりウラン資源確保ということは、私どももこれは非常に重要な問題であるというふうに考えております。濃縮ウラン供給につきましては、アメリカがおもなる供給先でございますが、これにのみ依存するというわけにはまいらぬ。そこで、私どもでは今回この事業団開発する高速増殖炉新型転換炉、これで濃縮ウラン一辺倒的な体系を是正しよう、こういう考え方でこの二つの炉の開発を自主的に進めるという考え方になっておりますが、それにしましても、この炉には、いずれにしてもまず天然ウランを入手しなければならないということであります。国内探査探鉱相当計画的に開発を進めておりますけれども、いままでのところ約十年近くになりますが、埋蔵量といたしましては酸化ウランで大体三千四百トン程度のものが見つかっております。むろん、これでははなはだしく不足をいたします。  そこで国内探査探鉱はなお一そう進めるといたしましても、どうしても海外ウラン資源確保する必要がある。それで昨年も燃料公社からカナダオーストラリア等調査員を派遣いたしまして、どういうふうな状況でこれを確保できるかということにつきましていろいろ調査をいたしました。ことしはさらに南アメリカ、そういう方面にも調査を進めるつもりでおりますが、一方、昨年の調査の関連におきまして、カナダにおいて合弁の形でウラン資源開発することの可能性がかなり大きくなってまいりました。いまその可能性を一そう具体化しようと、これは民間ですけれども民間のほうで努力しておりまして、私どももこれを応援しておる次第でございます。また、いま今井理事長お話しになりましたように、デニソンのほうにおきましても、長期契約につきましてはまだ具体的な条件までは入っておりませんけれども長期契約をすることについての可能性があるように見受けられます。  一方はそういう状況でありますが、そこで私どもにおきましては、通産省のほうのエネルギー調査会原子力部会におきましては、この海外核燃料資源をどうして確保するかという問題につきましてすでに検討を始めておりますし、また原子力委員会におきましても、核燃料懇談会というものを設けまして、この燃料対策をどう具体化するか、その辺につきましていま調査研究審議を進めておりますが、なるべくすみやかに結論を出してこれを具体策に実現していきたい、こういうふうに考えております。
  17. 村田浩

    村田政府委員 石川先生の御質問に、アメリカAECが一九七二年以降天然ウランを持ってこないと濃縮をしない、こういう意向を出しておるということでございましたが、当面わが国で建設される動力炉原子力発電所というものが主として軽水炉によるということを予想しますと、相当量濃縮ウランが要りますし、この濃縮ウランの当面の供給源米国をおいてしかないわけでございます。したがって、現在米国わが国政府の間で原子力協定改定交渉中であることは御案内のとおりでありますが、この改定交渉等を通じて私ども承知しておりますところでは、アメリカAEC政策は、昨年の七月にもこの燃料政策を発表いたしておりますが、そこでも申しておりますとおり、燃料供給を受けたいものが、みずからの努力で適正な価格天然ウラン酸化ウランを入手できないときは、米国AECがある価格でこの天然ウラン、つまり濃縮ウラン原料でありますが、これの手当てをする、こういうことの政策を出しておりますし、また、私どもが現在交渉中の日米協定案の中におきましても、ほぼその趣旨に沿った協定案文が入ることになっております。つまり、アメリカはこれまでにも膨大なウラン鉱石を購入してストックパイルを持っておるわけでございまして、これは軍事目的もございますので、その量がいかほどになっておるかということは公表されておりませんけれども、毎年の米国AECの原子力予算約二十五、六億ドルの中で数億ドルが原料の手当てに使われておるということから見ましても、相当原料の購入が行なわれております。ただその価格は、私ども承知するところでは、八三酸化ウランにいたしまして一ポンド当たり大体八ドルというような価格で購入しておるようでございます。したがいまして、外国を含め、国内民間濃縮ウラン購入者が八ドル以下の原料を手当ていたしますと、それだけ濃縮ウランが安くなるわけでございますので、そのような努力をみんないたしておるわけであります。わが国の電力業者もそういう努力をしておるわけであります。しかし、もしどうしても八ドルよりも安いウランが入手できないというときは、AECにお願いしまして、AECの手持ちのウランを使って濃縮ウラン供給してもらうという道が協定上も開かれる、そういう措置を考えておるわけでありまして、この協定は、御案内のとおりこれからわが国において建設を予定される約六百万キロワットにのぼる原子力発電所の約三十年間にわたり必要な燃料を協定によって確保しようというわけでございますので、いま直ちに、石川先生からお話のございましたように、七二年以降においてその不安があるということはないのではないかと思うわけでありまして、問題があるとすれば、価格の点において今後だんだん値上がり傾向にございましょうから、そういった点の問題がどのように反映してまいるか、こういったことであろうかと思います。
  18. 石川次夫

    石川委員 私はAECが一九七二年以降この輸出をしないと言ったとは言っていないのですよ。アメリカのこれから予想される生産能力というものは、将来大体一万四千トンから一万八千トンくらいではないか。最大限の一万八千トンと仮定をいたしまして、電力のアメリカ国内における需要というものを計算してまいりますと、カーブを引いていくと、どうもこれだけの単純な見方からすると、一九七二年ごろに外国から天然ウランを輸入しない限りにおいては、アメリカは自国の需要にも追いつかないのではないかという数字が出てくるのです。そうなりますと、いまのところアメリカは営業政策もありますから、濃縮ウラン提供しますということは言っておりますけれども、どういう事態でこの天然ウラン外国からも入らなくなり、自国の膨大な電力の需要に対して対処できなくなるという事態になった場合に、自分のところは無理しても日本に出してくれるかどうかということについては、たいへん不安がある、私はそう見ているのです。そうなると、この濃縮ウランは向こうからもらえばいいのだというような安易な考え方だけではとんだことになるのではなかろうかという懸念を私は表明しているわけなんです。これはあとで原子力局でも、原電のほうでも、十分にその趨勢を検討してもらいたいと思います。私の計算では、アメリカはそんなにお人よしに——お人よしにといっては語弊がありますけれども、際限なく濃縮ウラン提供できるような状態にあるとは思えないのです。そういう点は、見解の相違というものもありましょうし、私のほうもなおよく調べてみなくてはならぬ点もあるとは思いますけれども、そういうことも考えあわせると、とにかくいまのところ自主開発とはいいながら、ユーザーのほうの関係は、何でも外資導入——外資導入というと語弊がありますけれども外国のでき上がったものをどんどん技術導入すればいいではないかという考え方で、軽水炉、軽水炉ということで、そしてまた、その濃縮ウランアメリカから入れるのだというような非常に強い衝動がユーザー関係にはあると思います。もちろんこの動力炉開発事業団というものができて、これに協力するということは表面的には言っておりますけれども、いままでの日本の財界のあり方というものを見ると、早く導入して早く安上がりにできればそれでいいじゃないかという考え方におぼれやすいけれども、この燃料関係なんかでいいますと、やはり私は軽水炉を全面的に導入するのだという考え方には、ちょっとこういう点で問題が出てきそうな感じがするものですから、あえて私はいまのような見解を申し上げたわけなんです。  それで問題は、外国探鉱は一体どういうふうになっているかという点でいま御説明があったわけですが、鉱山局長さんがおいでになっておりますので、国内及び国外におけるウラン探鉱というものはどういう状態になっておりますか。
  19. 両角良彦

    ○両角政府委員 御案内のように、わが国内におきまするウラン資源探鉱につきましては、地質調査所が全国にわたりまして概査を行なってきておりまして、昭和二十九年から四十一年にわたります間に約六億円の予算をもちまして全国十地域、その中には人形峠、奥丹後地域その他が含まれておりますが、これらの地域の有望であることを確認いたした次第でございます。それ以後の企業調査につきましては、原子燃料公社のほうで御推進をいただいておる次第でございます。また国内における民間の企業の行ないましたウラン探鉱につきまして、これが助成を探鉱補助金という形でつとめてまいった次第でございますが、これは昭和三十七年度まで約一億三千万円の交付を行なってきておる次第でございます。  次に、海外におきまする探鉱ウラン資源確保のための各種の活動につきましては、先ほど来お話がございましたように、アメリカカナダ等の企業との間で共同の探鉱計画あるいは長期買鉱計画等が現在進められており、あるいはすでに締結された次第でございます。具体的に申しますと、三菱金属がカナダリオアルゴム社と提携をいたしましてアメリカにおける探鉱を実施中でありますし、またカーマギー社のオファーに対しましては、現在電力業界ないしは鉱山業界が、共同探鉱での受け入れ方につきまして検討を進めておる次第でございます。さらにデニソンからの申し込みにつきましても、現在電力業界を中心に受け入れ方針につきまして検討を行なっておる次第でございます。  以上が現状でございます。
  20. 石川次夫

    石川委員 それで、通産省のほうは地質調査所というところで昭和四十年から十カ年計画で大体やっておりますね。その補完という形でもって昭和四十三年、来年度まで補完の調査をやるということで、これはこれで打ち切ってしまって、あとは原燃のほうに全部まかせる、こういうことになるのですか。
  21. 両角良彦

    ○両角政府委員 先ほど申しましたように、地質調査所によりまする調査は概査、いわば基礎的な調査でございますので、これは長期計画の線に従いまして今日まで実施をしてまいった次第でございますが、今後も必要に応じまして、科学技術庁等とも十分連絡をとりまして、さような必要がある場合には調査を継続いたしたいと考えております。
  22. 石川次夫

    石川委員 実は毎年の探鉱予算といいますか費用ですか、これをずっと調べてまいりますと、昭和三十五年あるいは昭和三十四年、五年、六年、このあたりはどうやら二億円をこしてかっこうがついておったのですが、その後人件費が上がっておるのでありますけれども、だんだんしりつぼみで一億八千万円というような数字に下落をしているわけです。何か探鉱というものに対して、国内資源を活用しないで海外のほうに依存をするという形もはっきりとっておるわけでもないのに、何かしりつぼみになっている点が非常に残念だと思うのです。これは今後はこのようにだんだんとじり貧になって、国内資源の探査というものはやめるということになる懸念があると思うのだが、この点はどうなんでしょうか。
  23. 村田浩

    村田政府委員 御指摘のとおり、昭和三十五、六年度をピークとしまして国内における探鉱費の予算は多少逓減いたしておりますが、それには理由があるわけでございまして、ただいま通産省のほうからも御説明ありましたように、まず最初におきましては、国内の非常に広い範囲にわたってどういうところにウラン鉱の埋蔵の可能性があるかというような概査から始めまして、漸次精査に入っていくわけでありますが、燃料公社が行なっております精査のやり方につきまして、わが国におけるウラン鉱の賦存状況が他の国とも違う堆積型鉱床が主体でございますから、そういったような鉱床の賦存状況を明確にするため、人形峠地区あたりでは、御存じのとおり坑道探鉱という形をとりまして、非常にりっぱな坑道を掘りまして、そうして地中から鉱床を十分に確認していく、こういうような方法をとりまして探鉱活動を行ないました関係上、予算額としても相当多額にのぼったわけでありますが、その結果、わが国に特有の堆積型の鉱床の賦存の状況というものもかなり明らかになってまいりましたので、現在は主としてボーリングによる探鉱活動を、さらに賦存の可能性のある地域に広げてやってきておる、こういうような点もございまして、同じ探鉱費ではございますが、坑道探鉱からボーリングの探鉱へ主力が移ってきておるというようなことがございます。ボーリングの関係で、したがって、坑道よりも単価が安くなってきておる、こういうことがあるわけでございます。
  24. 石川次夫

    石川委員 時間が制約をされておりますので結論的に話を進めてまいりたい、こう思っております。  実は海外探鉱の問題に——また話があちこちして恐縮なんですけれども民間でいわゆる共同で合弁会社等でやるのを政府のほうが支援をするというような形をとっておられるようでありますけれども、これは私どもが言っております、燃料というものを民有化するのは時期尚早だということとも関連して、民間でやりた場合にどういう事情で、採算がとれないからといって放棄するかもわからないという懸念もあるわけです。しかしながら、やはり核燃料というものは国策的な立場からして、どうしても日本で加工しなければならぬという前提であるならば、これはやはり相当政府自体が積極的に海外探鉱というものを興すべきではないか。と同時に、国内の資源は御承知のようにカナダの〇・一%というふうな高い品位ではありません。平均でいいますと〇・〇四八%というような低い品位であるというようなこともありまして、こういう国内資源などに依存する必要はないじゃないかというような考え方がおありなのかどうか、その点を長官からお伺いしたいと思います。
  25. 有澤廣巳

    ○有澤説明員 御指摘のありましたように、日本の国内にあるウラン資源は確かに含有量が低い、したがって、コストとしましても割高になるけれども、日本の国内に一体どの程度ウラン資源が存在しているかということだけははっきりと確保しておく必要があるだろう、こういう趣旨で、あるいはもっと探査探鉱をやれば富鉱を発見しないとも限らない。これはフランスにもそういう例があります。探査探鉱というのはよほどしんぼう強くやらなければならぬ、こういうふうな考え方で続けてやっていこうという考え方になっております。  海外ウラン資源開発につきましては、これはなかなかむずかしい問題が一つあります。高い資源でもこれを確保したほうがいいかどうか、そういう問題が一つ残ってまいります。非常に高い資源が開発されたといたしましても、これは競争の社会におきましてはなかなかそれを引き取るところがない、買い手がない、こういう関係もありますので、開発につきましては、これは石油の場合も同様だと思います。海外開発につきましては、相当その点についての考慮はむろん払わなければならないと思います。何でもウラン鉱石であればよろしい、こういうわけにはまいらないと考えておりますが、しかし、それにつきましても、それじゃ国際市場における価格以上でなければ売れないような鉱石の場合には一体どうするんだ、こういう問題が当然出てまいります。原油の場合でも同様であります。そういう問題についてどうわれわれは考えていくべきか、たとえば国がこれにどの程度参加すべきか、どういう形で参加すべきかというような問題が、まさにいま私どもの問題になっておる点でございまして、核燃料懇談会あるいは通産省のエネルギー調査会において問題点として上がってきておるまさに問題だ、こういうふうに考えております。それにつきましては、先ほど来申し上げておりますように、なるべく早く方針を打ち出したい、こういうふうに考えております。
  26. 石川次夫

    石川委員 国内資源は非常に貧困で割りが合わないということで、これは見切りをつけたほうがいいんじゃないかという意見が皆無ではないと思うのです。今度の事業団ができますと、御承知のように、これは民間の協力、資本というものを導入するという形になりますと、人形峠ですと〇・〇五三というようなパーセントの低いものはとても割りに合わぬ、打ち切ったらどうだ、こういうことになる危険性がきわめて濃いのではないかということを私はおそれておる、と申しますのは、国内資源でありますから、中には高品位の部分というものもありますし、いままでの製錬試験の成果というものを基礎にして小さい規模の試験生産というものを継続していって、この技術というものを維持する、あるいは向上をはかるということのためには、どうしても私は国内資源というものを温存するというか、開発をしていく必要があるんじゃないか、こう考えておりますけれども、この点長官の所信をひとつ伺いたい。
  27. 二階堂進

    二階堂国務大臣 私も国内ウラン資源開発については、現在やっておりまする人形峠等を中心とする探鉱仕事のほかにも、まだ広くウラン資源の探査はやっていかなければならぬと思っております。また、やるべきだと思っております。なおまた、人形峠の現在の仕事をば品質が悪いからなどという理由でこれを中止するような考え方は持っておりません。
  28. 石川次夫

    石川委員 これは今井理事長から伺いたいのですが、伺いますと、これは非常に品質の低品位のためにたいへんな御苦労をされておると思うのです。しかし低品位なるがために技術の開発というものが進んだという面も私はあるんではないか、こう思っております。伺いますところによると、水力採鉱というものをやることによって低品位の、いままでのそのままよりも五、六倍の品位の向上というものを一応はかることができる。それから一貫製錬法というものをやることによってさらに値段比較的安くつくることができるというような特殊の技術というものも開発されているというふうなことも伺っておるわけであります。これはいわば貧鉱なるがゆえに苦肉の策としてこういう技術というものが生まれたのではないか、こう思っておりますけれども、OECDなんかの発表によりますと、一ポンド大体、人形峠あたりが十から十五ドル、こういう範囲になっておりますが、この一貫製錬法並びに水力採鉱というものを採用して、そうしてこれを大規模に生産に移せるというふうなことを前提とすれば、人形峠で一ポンド当たりどのくらいのものになりますか。これをひとつ伺いたいと思います。
  29. 今井美材

    今井参考人 御指摘のごとく、大体カナダウランに比べましたらば、六、七割の品位しかないわけであります。六、七割ということは、鉱石を倍近く使うということでございますので、いかに製錬法に苦心をいたしましても、鉱石代だけは倍かかるという、そういう点が致命的にあるわけでございます。そこでわれわれとしましてここ数年来努力してまいりましたのは、それはそれとして、製錬法というものは極力安くつくらなければならないということと、もう一つは掘るのにどうして安く掘るかということでございました。  御意見の中にございました水力採鉱ということは非常に変わったことではありませず、石炭の採掘などにすでに活用されておる方法ではありますけれども、しかしわが国ウランの鉱床が石炭の鉱床に類似点を持っており、また岩石がひどくかたくないというような点から、水力採鉱を活用するということは有効であるという予見を下されますので、これについて数年検討をしてきました。  また、それに続きまして、この水力採鉱いたしましたものは、品位は何も上がったわけではございませんが、もしかしていわゆる製錬の方法でなく簡単な洗鉱の方法で大体の石をみんな捨ててしまって品位を上げることができるならば、これまた製錬費の低下に役立つことは自明でございますので、そのような簡単な洗鉱法の研究をいたしてまいりました。幸いに日本のウラン鉱というものは微粒子のところに集まっておるという特性がございます。粉砕をして水で洗うというきわめて簡単な処置で相当品位が上がるという結果を得ております。  次に一貫製練法という点でございますが、私ここで少しも今日までの技術成果を誇示するようなつもりはございませんが、しかしながら、貧鉱であるがゆえに、世界じゅうどこでもやっていない努力をしたことだけは間違いないと思います。そして、ただいま持っております技術の内容を詳細申し上げるのは差し控えさせていただきますけれども、少なくとも世界製品である、ウラン製品であるイエローケーキというものをつくることは、今後少なくとも濃縮ウランをつくるため、いやそれを条件とする必要はございません。すべての場合にイエローケーキを中間体として一ぺん商品にする必要はございません。そうでなく、もっと製品に近いところまで直接に持っていけばそれだけのコストダウンがあると考えておりまして、そのような意味合いでいわゆる一貫製錬法、引き続いて最後まで持っていく、そういう方式の製錬法をやってまいりました。  さてこんなことが事実でございますが、しからばもし大きくやったら幾らくらいでやれるのだ、たいへんむずかしいお尋ねでありますけれども、私ども頭の中でいつも描いておりますことは、一ポント八ドルというのがアメリカの標準的価格であるが、それではできない、まず一ポンド十二ドルくらいであればできるであろう、 いつもそう思っておったわけでございます。ただし、それは製錬の規模の大小によりけりでありまして、私どもがいま考えておりますのは、そんな決して大きなものではなくて、イエローケーキにいたしまして、年間二百トンとか三百トンとかいうような程度のもので、そのくらいの値段を想像いたしておるのが現状でございます。
  30. 石川次夫

    石川委員 原子力委員会の中に核燃料懇談会というものができて、こういうことについて、これからいろいろと調査を進められるだろうと期待をしておるわけでありまして、これはあとでひとつよくお考えをいただきたいと思うのでありますが、前に話したことの繰り返しのようなかっこうになりますけれども昭和五十五年の時点になりまして、アメリカから全然濃縮ウランが入らないということを前提として、カナダ南アフリカの生産というものは将来相当伸びるであろうということを予想して、そこからその生産の五分の一というものを日本に輸入する、こう仮定いたしますと、大体昭和五十年でちょうど飽和状態で、それから先は不足をする。それからカナダ南アフリカの将来生産が伸びるであろうものの三分の一を日本に輸入したと仮定いたしまして、大体昭和五十三年ころにもう不足になってくるというような数字が私のほうでは出てくるのであります。これはたいへんなことだと思うのです。でありますから、これはアメリカ濃縮ウランというものにたよれるかたよれないかという前提が一つあるわけでありますけれども、このカナダ南アフリカの将来伸びるであろう生産の三分の一も持ってきて、しかも、これが昭和五十五年までにはもう全然足りなくなってしまうというようなことが予想されるわけでありますので、これは私のあれに間違いがあるかもしれません。よく検討してみなければなりませんけれども、どうもそういうような計算にならざるを得ない。ということになると、国内資源というものを大事にして、技術というものをたくわえるということを一方でやりながら、海外探鉱というものを、いまのようなへっぴり腰でなくて相当積極的にやらなければとんでもないことに将来なるのではないかということを私は非常に懸念をするので、この原子力委員会の中における核燃料懇談会の積極的な意欲というものに私は非常な期待をかけておるわけであります。ぜひひとつこの点についての積極的な取り組み方、姿勢というものを期待したいと思っております。  それからまだまだ質問したいことはたくさんあるのでありますけれども、いろいろな予定があるものですから、最後に原子燃料公社今井さんにまたひとつお願いをしたいわけであります。  実は中共で核実験が矢つぎばやに行なわれて、水爆の実験もこの間行なわれたが、これはどういう技術で核燃料、水爆というものを、たとえば遠心分離法であるとか、ガス拡散法であるとか、いろいろあるわけですが、これはどういうふうにお考えになっておりますか。今井さんでも有澤さんでもけっこうですが、予想されるところをひとつ御説明願いたいと思います。
  31. 村田浩

    村田政府委員 中央の核開発の実態につきましては、情報としてはほとんどございませんで、新聞その他で伝えられるところによるしかないわけでありますが、アメリカあたりの情報を一番信用いたすといたしますと、現在中共で核開発に使っておるいわゆるウラン、こういうものは西部地区あるいはチベット地区等にあるものを利用しておるのじゃないかと思われるわけであります。つまり、新疆省にありますウラン資源等が原料になっておると予想されます。これを濃縮ウランにしますについては、従来から蘭州にいわゆる気体拡散法による工場があるということが伝えられておりますが、最近の情報で、これもアメリカからのお話でありますけれども、新疆省の中に蘭州のものとは別に、遠心分離法による濃縮ウラン工場があるのではないか、こういうことも最近言われておるようであります。  なぜ中共が遠心分離法を使ったかということは、これも想像の域を出ませんけれども、技術的、経済的にガス拡散法よりもうまくいくということでやっておるのじゃないか。  それからもう一つは、そういう技術上、経済上の問題のほかに、気体拡散工場でございますと、国防目的からしまして、その形態が非常に特殊な形になりまして、なかなか空からの査察に対してもたえられないのに対して、ガス遠心分離法でありますと、全体の工場の形が小さくなるそうでありまして、そういうようなことも考えておるのじゃないかというような、これもすべて想像の域を出ませんが、アメリカあたりの情報ではそういうことが言われているようであります。
  32. 石川次夫

    石川委員 これは私の全くのずぶのしろうとの想像の域を脱しないのですが、実は中共が核実験をやるというときに、ウランでもって行なわれた。これはプルトニウムじゃなかったというときに、アメリカはがく然とし、世界じゅうにショックを与えたわけでありますが、そのときの私のおぼろげな知識といたしましては、U2機でもってほとんど中共という土地は、寸土余さず撮影してある、五十センチくらいまでは識別できる程度にまで、中国の土地はあまねく航空機からとられておるわけです。そういうところから見て、中共はとてもウラン核爆発はできないであろう、プルトニウムであろう、こういう予想をしておったところが、あにはからんや、ウランであったということで、非常なショックを世界じゅう、特にアメリカに与えた。私はこのときは——気体拡散法によりますというと、電力を猛烈にたくさん食うわけです。アメリカでもフルに回転すれば、アメリカの電力の一割を濃縮ウラン製造のために使わなければならぬという実態であるのに、中共がそれをやってのけたということは、電力はどう考えてもそこまではないのじゃなかろうか、どうしてもこれは遠心分離法ではないかということがその当時流布されておった、私はそんなふうに感じておったわけです。いまの村田局長の御意見によりますと、遠心分離法ではなかろうかというような情報が、最近出てきておるというのですが、私は初めからそういう予感がしておったわけなんです。  それで問題は、世界各国ともこの遠心分離法に取り組んでおりますが、中共が遠心分離法に成功したかどうかは知りませんけれども、とにもかくにも、こういう短時日に中共は積極的に取り組んで、国防上の事情もあるでしょう、国威宣揚という民族意識を高揚する場に、これを使うという目的もあったでしょうけれども、とにかくやればできるわけです。日本でそれができないはずはないという自負心をわれわれは持ちたいわけです。それで、この遠心分離法について、いま原燃ではどういう程度の試験をやっておられますか、ちょっと伺いたい。
  33. 今井美材

    今井参考人 遠心分離法が日本に適当であるからというので、初め理研で着手いたしましたのが昭和三十八年に公社が引き継ぎを受けました。それ以来やってまいりましたが、当初の目的はいかにして周速、回っている早さ、この回る早さを一分間三百五十メートルまで上げるかということでした。小さいものでございますれば回転数が四万回くらい毎分回らないとそのくらいの周速は出ませんが、私どもの持っておりますのは、直径がおよそ四十センチ、それで二万回転毎分回りますると、三百五十メートル回ることに相なります。三百五十メートル回りますると、ある種の分離ができるという計算が成り立ちますので、ウランではなくて、アルゴンを使ってまず分離をしてみました。その結果は大体分かれる可能性を認めております。それが第一段階。  それでその後は、さらに周速を上げることがなお望ましいのでありますが、それと同時に、工業化をいたしますためには、長時間連続運転がどれだけできるかということが問題でございます。いろいろなところに連続運転を阻害するファクターはございまするが、ただいまのところそれを総合いたしまして、千時間くらいの運転に耐えておるのでございます。  これが現状でございまするが、さて、これからまだやらなければならないことは非常にたくさんございまして、特に長期運転に耐えること、それからアルゴンで分離をしてみても、ウランは弗化ウランという非常に腐食性のあるもので分離をしなればならないために、耐腐食性の材質ですべての部分が構成されるということに成功すること。それからアルゴンとウランとはたいへん比重がたいへん違いますから、ウランを分離することになりますと、みんな重いものが外へ行ってしまいまして、まん中のほうは真空になってしまう。その真空になったほうに濃縮ウランができるので、これを取り出すこと、これが非常に能率がよくない理屈であります。それをどうして効率よく取り出すかということ、これを目下研究しております。違った観点から申しますと、いままで理研から引き継いだものは一号機、二号機と二つございます。それで来年度におきましては第三号機をつくらしていただいて、これによって一台の機械ではどんな成績があがるかということを、ウランをもって分離の試験をしたいと思っております。それが現状でございます。  さりながら、それならうまくいくかというようなお尋ねになりますると、まだなかなか技術者としてそれはだいじょうぶでございますという返事をいたしかねる段階でございます。
  34. 石川次夫

    石川委員 私もいろいろな報告をとってあるのでありますけれども、一号機、二号機、三十九年の予算が五百六十万、四十年が九百万、四十一年が五百十三万、これは金額が減っているのがちょっとふに落ちないですが、債務負担がおそらく入っているのじゃないか、こう思いますが、ことしは七百四十四万、一号機、二号機と一台ずつ細々と持ってきて、細々と実験をしているという実態じゃないだろうかと思うのです。民間で協力しているのはどこだというと東芝だけですね。ほかはどこも協力しておりません。この遠心分離法というのは、ドイツなんかもずいぶん前から取り組んでまだ成功していないのですが、非常にむずかしいとは思うのですが、ドイツあたりは十台くらい並べてやっているようですね。そういうところから見ると、この遠心分離法というのが成功するか成功しないかは、これは先々の話ですからわかりませんけれども、取り組む姿勢としてはどうもおぼつかないような姿勢としか私たちには受け取れない。もっと積極的にこれを強引に進めていくという姿勢がほしいと思うのですが、この点長官はどうお考えになりますか。
  35. 有澤廣巳

    ○有澤説明員 濃縮ウランにつきましては、今度の長期計画におきましてもこの開発を大いに進めなければいかぬということになっております。それで遠心分離、ガス拡散、化学分離、三つの方法がいま考えられておりまして、遠心分離のほうは、いま今井理事長のほうからお話があったように、やっております。それで、あとの化学分離並びにガス拡散方式、これらの方式についてもなお研究を進めなければいけない問題だ、こういうふうに考えております。  これもたいへん恐縮でございますけれども、今度われわれの核燃料懇談会の中にウラン濃縮の部会を設けまして、ここで十分その可能性及び方針というものを検討することになっております。ですから、少し手おくれになっているというきらいもありますけれども、その方面にこれから大いに力を注いでいくような体制をいまとっておる次第でございます。
  36. 石川次夫

    石川委員 時間がありませんから、結論的に申し上げますけれも、核燃料というものは完全な売り手市場に回るということを前提として、回るとしても、日本は積極的に国内の資源を開発すると同時に、海外のほうも政府自体が積極的に乗り出さなければとんだことになる危険性が多いということで、積極的に取り組んでもらいたい。  それと、国内探鉱の技術というものを保存するために、人形峠その他は貧鉱だからだめだというのじゃなくて、貧鉱なるがゆえにかえって新しい技術も開発されておるという点をお考えいただいて、今度の事業団ができると、民間の資本が入って、能率が悪いのはやめろというようなことにならないように、ぜひ十分な配慮をしてもらいたい。私はこの点は非常に懸念をしているのです。民間の資本が入ると、そんな採算のとれないところにいつまでもやっている必要はないじゃないか、だから、レポートだけとっておけばいいじゃないか、こういうことになる危険性が非常に多いわけです。そういうことでは、われわれの核燃料自主開発をするというのとは非常に相反する結果になるということをおそれるのと同時に、いま核燃料懇談会というものが原子力委員会の中にできたということで期待はしておりますけれども、いままでの足取りを見ると、これがほんとうに積極的に熱心に取り組んでいる姿勢かどうか、予算だけでは判断はできませんけれども、ほかの国なんかと比較をいたしましてもたいへん立ちおくれている。これでは、とてもほかの国に追いついて、追い越すということにははるかに遠いのじゃないかという点を私は非常におそれているわけであります。したがって、この核燃料の問題だけをきょう取り上げて掘り下げて質問をしたわけでありますけれども、この核燃料というものを自主開発をする方向づけをするために一体どうしたらいいのかということを、いまのような漫然と、外国から導入をはかればいいのだというような考え方におぼれることなしに、ぜひとも日本自身の手で開発をしていく、こういう熱意を持って取り組んでもらいたいということを申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。
  37. 矢野絢也

    矢野委員長 今井参考人には御多用のところ、連日御出席いただき、まことにありがとうございました。  次会は、明二十九日木曜日午前十時より理事会、十時三十分より委員会を開くこととし、本日は、これにて散会いたします。    午後三時五十四分散会